ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成25年度化学物質のリスク評価に係る企画検討会> 化学物質のリスク評価結果と健康障害防止措置の導入に関する意見交換会 議事録(2014年2月26日)




2014年2月26日 化学物質のリスク評価結果と健康障害防止措置の導入に関する意見交換会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成26年2月26日(水)13:30~16:30


○場所

一般財団法人 日本教育会館 8階 第二会議室


○議事

 

○司会者(鈴木) 定刻となりましたので、ただ今より平成25年度第2回化学物質のリスク評価に関わるリスクコミュニケーションを開催致します。第2回目のテーマは化学物質のリスク評価結果と健康障害防止法措置の導入に関する意見交換会ということで、今日は皆さまのご意見をいただきたいと思っております。本日司会を務めさせていただきますテクノヒル鈴木でございます。今日はよろしくお願い致します。

  開始に先立ちまして、まずお手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。基調講演のレジュメがございます。お手元にございますでしょうか。続きましてピンクのアンケート、これを基調講演が終わりました後、ご質問、ご意見をいただいて今回の意見交換会の題材にしたいと思っております。これを上のほうに置いておいていただいて、先生方のお話の中でメモを書きながらご意見ですとか、ご質問を書いていただければ幸いです。

  それからブルーのアンケートの方はお帰りのとき書いていただければ結構ですので、これは下のほうに置いておいてください。それから青い紙と赤い紙がございます。これは実はこの後皆さんのご意見を伺ったときに、ちょっとご質問させていただきたいケースもございます。コーディネーターの堀口先生の方からカードでお伺いを立てさせていただくことがございますので、赤を上げて、青を上げてということでお願いすることがあるかもしれません、お手元にご用意いただければと思います。

  それから厚生労働省のチラシで「発がんの恐れのある有機溶剤を使う際には」ということで、作業記録の作成、このチラシがございます。これが全部お手元にあるかどうか、もう一度確認をお願い致します。

  本日、このリスクコミュニケーションつきまして労働者の健康障害を防止するために厚生労働省が行っております化学物質のリスク評価にあたり、関係の事業者の方、あるいは事業の団体、協会の方ですとかと皆さんとの情報共有、それから意見交換を実施しております。厚生労働省の方から委託を受けまして、私どもテクノヒルが運営をさせていただいている次第でございます。

本日のスケジュールをご説明させていただきたいと思っております。今日は「リスク評価の結果、平成257月の取りまとめについて」というタイトルで、厚生労働省の検討会である化学物質リスク評価検討会で行われました検討内容について、検討委員をされております慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室の教授の大前和幸先生にご講演を40分いただきます。大体終わりが215分ぐらいになると思います。

その次に、化学物質のリスク評価を踏まえた健康障害防止法措置の導入についてということで、「DDVP、発がんのおそれのある有機溶剤」というタイトルで厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質評価室長の角田伸二様にご講演いただきます。これが第2項目の基調講演でございます。

これが終わりましたら先ほどお願い致しましたこのピンクのアンケートに皆さまのご意見をいただきまして、感想、疑問等いただきまして受け付けの方で集めさせていただければと思っています。出来あがった方から挙手いただきましたらピンクの紙を集めさせていただきたいと思っております。

後半の意見交換会では、基調講演いただいた方に加えて、長崎大学広報戦略本部準教授堀口先生にコーディネーターとして運営をお願いしたいと思っております。またこれ以外に厚生労働省のご担当の方2名に入っていただきまして、ご疑問点を分類した中でお答えさせていただければと思います。意見交換のほうは約1時間、あらかじめ会場のほうからいただいた書面について回答する形として、その後会場からご質問をいただきたいと思っております。

昨年第1回目をやらせていただきましたが、大変重要な、大切なご質問、それからご意見をいただきまして、意見交換会は大変盛り上がりました。今回も出来ましたら色々な形で書いていただければと思います。このアンケートもそうですが、意見交換を含めて議事録を作成する必要がございますので、録音をしております。ただ録音した内容の議事録、いただいたご質問その他については、お名前とご所属は伏せさせていただきますので、お名前を外部に公表することはございません。マイクを回させていただきますので、直接聞いていただいても結構でございます。本日はそういう形で最後、意見交換と質疑応答をさせていただいて、本日4時半ぐらいに終了予定です。今回の一番の目的は皆さんから色々な意見をいただいて、質疑応答させていただくことですのでよろしくお願い致します。

それでは基調講演です、リスク評価の結果と取りまとめについて、慶應義塾大学医学部の大前先生にお願いしたいと思います。それでは大前先生よろしくお願い致します。

 

 

基調講演

「リスク評価の結果について」

 

(スライド1

○大前 慶應大学の大前でございます。このリスク評価検討会の委員をしておりますので、今日は今年度、25年度の7月までの状況についてご報告致します。

  今日ご報告させていただくのは、この三つでございます。職場における化学物質の安全確保についてという点、それから今実際にやっておりますリスク評価の、どんな手順でやっているかという点、最後に7月までのリスク評価の結果ということでございます。

 

(スライド2

化学物質、職場でたくさん使われておりまして、どんどん増えております。今職場で使っている化学物質というのは6万種類あるのだそうです。ついこの間まで5万種類とか言いまして、ゴマンとあると言っていましたけども、それが6万になったということでどんどん増えているようですね。毎年1,200種類ぐらいが新規で追加されているということだそうです。

(スライド3

これだけ多種類の化学物質を使っていて、それによる障害は年度ごとにこのような状況になっているということです。徐々に減ってきているというような感じではありますが、それでも相変わらず200件、300件前後で推移しているということは決して少なくはないという状況にあろうかと思います。

(スライド4

これは現在の労働安全法における規則の体系全体を示したものでございますが、三角形の一番上の所は製造禁止になっている物質ですね。昔、ベータナフチルアミンとかベンジジンとか、それから石綿、こういったものが今使ってはいけない、使用してはいけないということになっております。それからその下が許可物質です。その下三つ目の所が、グリーンの所でございますが、これは特別規則で規制されている物質です。それからその下の黄色の所がSDS制度による自主管理をしてください、と。SDSというのは下の注釈にありますが、昔MSDSと言っていたものです。化学物質の危険有害性情報を提供しなさいという、制度でございますけども、そこの規制にかかっているものが640あるということでございます。その下にまだそこまで行ってないけれども、一応交付を出来るだけしてくださいという努力義務にかかっているのはその他の物質ということになります。今、国のリスク評価でやっておりますのが、ここの部分でございまして、この640の中からルールに従い抽出しまして、リスク評価をやっていく。リスク評価の結果、リスクが高いということが判断された場合は、この中の黄色からグリーンのほうに少し規制を強めていくというような、形でやっております。今日はこのリスク評価のお話の部分になります。

 

(スライド5

  化学物質の対策、今までというか56年前まではハザードベースということでやっておりました。すなわち障害が起きてから規制をしていくというパターンが日本では一般的でございました。しかしそれでは遅いということで、平成18年度以降、ハザードベースではなく、リスクベースでやっていこう、と。リスクベースってどういうことかと言いますと、まだ実際にその障害は見えていませんが、色々な情報を集めますと障害が起きる可能性がある、リスクがあるというようなことをあらかじめ見込んで、事前に規制していこうという考え方がリスクベースの規制という考え方になります。化学物質による健康障害の未然防止と言うことですね。従って、まだ何も起きていないのになんで規制するのというような疑問は当然起きてくるものだと思いますが、それは過去のハザードベースでやっていたことの反省といいますか、それが一部ありまして、少し前に進みましょうということでリスクベースになってくるわけでございます。これは決して日本だけではなくて、世界的にもうこういう潮流になっておりますね。国でも重篤な健康障害の恐れがある物質、強い健康障害を起こすリスクがあるものは、ピックアップしていきましょうということになります。

(スライド6

これがそのリスク評価のための一般的な手順です。上の四角がリスク評価をする分です。下の四角がリスク管理をする部分ですね。こちらの方向で評価をして、その結果をもってどういうふうな管理の仕方をしましょうかということを決めていくということです。ここにリスクコミュニケーションというのがありますが、今日はこのリスクコミュニケーション、この部分になるわけですね。リスク管理をする、あるいはしないということを決めた後に管理対象者、住民あるいは労働者あるいは会社の方々が管理対象ということになるわけですが、こことここの間のコミュニケーションをしてく。やりとりとして1個書いてありますが、本当は両方の矢印なんですけどね。こういう形でリスク評価と管理とリスクコミュニケーションをうまく回しながら労働者の健康障害を未然に予防していくというような形になっているわけです。

 

(スライド7

  で、まず一番初めに何が起きるのかということを今まである情報、過去の分析結果から、科学的に存在している過去の情報を集め、何が起きるか、有害性の同定といいますが、これはリスクハザードの話ですね。昔は健康影響はどれくらいの濃度で起きるのか、と。あとは実際にじゃあ労働者は、今回は労働者の話ですから労働者の話をしますが、労働者はどれくらいのばく露をしているのか、この結果とばく露の結果を見て、じゃあリスクはほとんど無い、リスクは結構ある、という判断をしていくわけですよね。もしリスクが大きそうだなという判断が下りますと、次はどのように管理しようかということで、行政の色々な施策に結び付くということになります。実際には委員会は三つ、こんな形で一つやっています。最初に先ほどの640種の中から今年はどれをやろうかということを選定します。どれをやろうかということを選定して、その物質がわが国でどれくらい使われているかということを各企業から報告してもらいましょうということをやります。それで報告があってばく露実態調査、それから有害性の評価、それはそこのリスク評価のとこですね。ばく露実態調査をやりまして、ばく露が、リスクが高い低いという評価をしていく。このリスクが高い、低いという評価の結果、もし何らかの健康障害防止対策が必要だったら、そちらの方に進んでいくというような、こんなスキームになっております。

 

(スライド8

  これは21年からやっておりますけども、まず企画検討会で何をやりましょうかというようなことを決める。決まったらその物質に対しましてリスク評価の検討会に下りてきまして、ここで有害性評価を、それからばく露評価をやるということです。この結果をもちまして、もしリスクが非常に高いということになりますと、今度はリスク管理の方の委員会でございますが、化学物質の健康障害防止措置に係る検討会ということでリスク管理の検討会があるということになります。こういうようなスキームになっているわけですね。

 

(スライド9

  これも同じようなものですけども、何をやるかということで、順番にやっていくということです。これは月も書いてありますが6月くらいに何をやるか決めて、翌年の1月から12月くらいに報告を求めまして、その次の年の1月から3月くらいに報告をしていただくというような、スケジュールになっております。

  この何をやるかということに関しましては、客観的にパブリックコメント等も含めて透明化をしております。これとこれをやったほうがいいのではないかというご意見があればそれを取り上げて。それから世界的な情勢を見てこれは危ないなということがあればこれを取り上げるというようなことで、そこのところは非常にクリアに、透明性をもってやっております。

(スライド10

では、どうやって評価するかと言いますけども、現在は2段階で評価をしております。初期リスク評価と詳細リスク評価、この2段階になります。初期リスク評価は、先ほどリスクの検討会の方でどんな有害性があるかということを調べます。それからばく露評価の方の検討会でどれくらいばく露しているかということを調べます。この有害性評価の方の検討会ではいろいろ調べまして、最終的には一次評価値というのと二次評価値というのを決めます。この絵でいきますと、この二次評価値が赤、一次評価値が青で描いてありますが、この一次評価値、二次評価値を決めておきまして、実際のばく露を見まして、もし一次評価値がもう非常に低いばく露しかないということが分かれば、これはリスク十分低いから何もやらなくてもいいということです。中くらいですと、今の時点ではリスクが高くないから特にリスク管理に向かうことはないということになりますが、二次評価値を超えるような濃度が検出されますと、これは結構リスクあるので、もう少し詳しく調べるいうことで翌年詳細リスク評価に行きます。これもばく露評価をもう少したくさんの事業場、たくさんの人数でやるということですね。それから有害性評価の方はここで原則的にやっていますので、この間に何らかの新しい情報を付け加わればそれで有害性評価にそれを加えるという形で、やはり最終的に一次評価値、二次評価値を決めまして、同じように比較するということです。もし低ければ、自主的に管理してください。高いということになれば、なぜ高いのかと、どういう部分が高いのかという要因を分析しまして、この要因がある会社の1工程のみに関わっていると、要するにその会社の問題だというようなことが判断出来れば、それはその当該事業場にしっかり指導監督をするということになりますけども、いや、それは数工場集めてみんな同じような工程でその同じことが起きているというようなことがあれば、これはもう共通の問題ですということで、リスク管理の方に行くというように、2段階評価でそれぞれおのおの判断をして、最終的に今の段階で自主的な管理をしてもらうことになるのか、あるいは法的な管理まで行くのかというようなスキームになっております。

(スライド11

  そのリスク評価の評定ですけども、どのような評価をしているかと先ほど言いました。まず一次評価値、二次評価値を決めます。一次評価値というのは原則的に発がんを想定しています。これを超えると発がんリスクが10のマイナス4乗、1万分の1ですね。10のマイナス4乗すなわち1万人に1人がこのレベルを超えるとがんを起こすというリスクがあるということです。過剰に起こすということです。もともと日本人の3分の1か半分近くががんになりますから、そのがんにプラス、足される分、過剰分ですね、その分が1万分の1人です。例えば1万人の人口が居て、3000人ががんにかかりましたとしますと、3001人というのが1万分の1という意味ですね。だから3000人が3001人になるというレベルの話です。その1万分の1ということで今、一次評価値の数字を決めております。で、2年くらい前から発がんだけではなくて生殖毒性、それから神経毒性、これも発がんと同じように重要なので、これも考えていきましょうということで、生殖毒性、それから神経毒性のあるもの、情報が明確なものにつきましてはこれを使って一次評価値を作ることもございます。それから二次評価値というのは発がんとかこういうような重要な影響じゃない、重要な影響じゃないことないですけども一般的な影響ですね。そういうので日本産業衛生学会の許容濃度、もしくはアメリカのACGIHという所のTLV-TWAという数字を持ってくる。それがなければドイツの数字とか、あるいはイギリスの数字とかちゃんと確立した各機関、あるいは各国で確立した数字を持ってくるということになっておりますけども、それを二次評価値ということで使っております。

  この数字とそのばく露濃度の最大値を比べるというルールになっております。すなわち二次評価値よりもその最大値が実際に測ってみた最大値が高ければ、リスクがあるよねと。あるいは実測値じゃなくて、その測定した濃度の分布から95%の上限が二次評価値よりも高ければ、リスクがありそうだよねという形で初期評価から詳細評価に行ってみたり、詳細評価の中で自主管理、あるいは法的な管理のほうに行くというような判断をしております。

(スライド12

  これが7月までの実績です。まず初期リスク評価は酸化チタン、ナフタレン、それからリフラクトリーセラミックファイバー、それからN,N-ジメチルアセトアミド、フェニルヒドラジンそれからフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)ですね。これらの初期リスク評価をやりました。この結果、この3物質はばく露濃度が十分低いのでリスクは小さいだろうということで評価終了です。この三つは結構高いねと。さっきの二次評価値を超えているのが結構ありますねということで、じゃあ詳細評価に行きましょうということで、この詳細評価はだから来年度26年度にやるということになります。

それから25年度に詳細リスク評価の対象になったものが今のDDVPジクロルボスとそれから三酸化アンチモン、金属インジウムです。で、このDDVPに関しましてはやはりリスクが高いということが分かりましたので、それでリスク管理の矢印の方に行ったということです。で、三酸化アンチモンと金属インジウムはまだ継続検討中でございます。それから突然ここで出てきたのが1,2-ジクロロプロパン。ご存じの印刷工場の胆管がんの原因物質である蓋然性が非常に高いということで、これに関しましては先ほど言いましたスキームを飛び越えて、今年度リスクが高いということでリスク管理の措置を要するところまで行っております。例外ですね、今回のね。

 

(スライド13

まずそのジクロルボスはどうなったのかと言いますと、先ほど申しました二次評価値が0.1ミリグラムパー立方メートル、あるいはppmにしますと0.001ppmになりますけども、これが二次評価値になります。実際にばく露評価をしましたところ、19人の方で測定したんですが、これは測定値の95%の上限値ですね、これが1.0220.1に対しまして1.02ですから10倍以上ということになりますけども、このくらいの方が居たということで、これは詳細リスク評価で二次評価値を上回っていると。これの工程を調べてみますと、DDVPを含有します製剤の成形加工、または包装の業務につきまして幾つか、何社かで共通して高いということなので、これはある会社特有の問題ではなくて、作業工程に比較的共通している問題だということで、措置検討会の方に回っていったということになります。

 

(スライド14

じゃあ、これの具体的な中身といいますと、分子量等々いろいろ書いてございます。今は農薬としては使われておりませんで、一番われわれが目にするのは家庭用の殺虫剤でぶら下げるタイプのものがありますけども、ああいうのがこれを使っているんだそうです。

ホスフェイトってありますけども、もともと有機リン剤です。極端な話をしますとサリンとかタブンとかああいうたぐいの仲間です、はるかに弱いですけども。有機リン剤になります。

 

(スライド15

じゃあどのようなことを人で起こすかと言いますと、まず発がん性に関しましては2BIARCというWHOの機関で発がん性があるかないかという定性的な判断をしている機関ですけれども、この定性的な判断をしている機関で2B ということで人に対して発がん可能性があるという判定をしたものでございます。これはNTPというアメリカの発がん実験をよくやっている機関で非常に信頼性のある機関ですが、ここでラットあるいはマウスを使って乳腺とか膵臓とかあるいは前胃といいまして胃の一番先になりますけども、そこら辺に腺腫あるいはがんが起きているということで、2Bであるということです。で、2Bがあるんだから2Aがあるだろうということなんですが、2Aというのは証拠の程度がもう少し大きい、2Bというのは証拠の程度が少し弱いという、そういうような分け方をしております。定性的な判断です。

それから急性毒性はこんな数字になっていると。例えば急性毒性の吸入毒性のLC50 、これは50%致死量でございますが、これが15mgppmにしますと150ppmくらいなので、単体だけで言いますと毒劇で言うと毒物になります。人に対しては先ほど言いました有機リン剤なので、コリンエステラーゼを阻害するというのが一番鋭敏な人に対する影響になります。その他皮膚からはよく吸収されます。

 

(スライド16

許容濃度、二次評価値に関しましては、日本産業衛生学会はこの許容濃度を持っておりません。アメリカのACGIH0.1mg/m3 というそういう許容濃度を出しております。なんで0.1にしたかと言いますと、先ほど言いました人間ではないんですが動物の実験で、赤血球もしくは血漿もしくは脳のコリンエステラーゼの阻害が見られると。その濃度を基にしまして、人でこれなら大丈夫だろうという濃度をして0.1 mg/m3 を提案しているわけですね。今回はこれを使いまして二次評価値を0.1 mg/m3 ということにしました。一次評価値に関しましては評価値はございません。発がんの可能性があるとさっき言いましたけども、その数字を出せるくらいのレベルのデータかというとそうでもないので、一次評価値に関しては今回はなしにしましょうということに致しました。

 

(スライド17

今度はそのばく露評価のほうですけども、13事業場から39の作業の報告がありまして、それで22年から24年度に50事業場で19人の個人ばく露測定をやりました。その他スポット測定19地点という形でやっております。マスクを使用している事業場が74%、防毒マスクですね。作業者としては全部でこの調査の中では220くらいの方がこのジクロルボスを使った製造をしているということです。

 

(スライド18

実際に濃度を測ってみますと、測定数が19人で事業場が五つで最大値が0.627。二次評価値が0.1でしたから、二次評価値を超えている方がたくさん居るということですね。

 

(スライド19

実際にこんな感じでこれは19人全部のデータが書いてありますけども、縦軸が濃度で、横軸がそれぞれの人の名前です。AとかBとかCとかあるのは事業場を示しております。この線が二次評価値で検出している線です。ご覧になりますと半分、3分の2の方ですかね、3分の2くらいの方が二次評価値を超えているということなので、これはリスクが結構高いよねと。もう少しちゃんと管理しなくちゃいけないよね、という判断になったわけですね。

 

(スライド20

まとめますと、このジクロルボスを含有します製剤の成形加工、あるいは包装の所が共通に高かったということです。それからばく露レベルは二次評価値を超える状態であったということですね。これ以外に皮膚の刺激性とか経皮ばく露、結構皮膚から吸収するのがありますので、こういうものがあるので空気中の濃度だけじゃなくて手なんかに接触しますとそこから入りますよというようなこともあります。そこでもちゃんと防いでくださいねということになるんですね。これらの結果をもちまして、リスク管理のほうに行ったということです。これがジクロルボスです。

 

(スライド21

それから酸化チタン(ナノ粒子)です。これは初期リスクです。先ほどのジクロルボスは詳細リスクが終わった段階です。これは初期リスク、その段階です。で、これは二次評価値が、これもACGIHでございますが0.15でございます。今年度日本産業衛生学会は0.3という数字を提案していますので、今年の6月に確定すると思いますけれど0.3もしくは0.15、ほとんど変わらない、たかだか2倍程度しか違いありません、そういう数字が二次評価値になります。ちなみに0.15にしても0.3にしても、持ってきている元のデータは同じ情報を使っていますので、UF、不確定係数をどういうふうに設定するかということで2だけ違っただけのことなので、実質的には根拠情報が、あるいは0.150.3はほとんど変わらないみたいなものですから、変わりません。

で、ばく露評価に関しましては25人の方の測定をしましたところ、推定値の95%上限が2.887ですから、10倍以上高い人が居たということなので、これは詳細評価に行かなくちゃいけないねと。製造工程に関しましては充填、梱包がメインだったということです。

 

(スライド2223

酸化チタンに関しましてはご存じのように白い粉ですよね。今回ナノを対象にしていますけども、ナノはたくさん使われ始めております。化粧品とか、あるいは光触媒関係で今いっぱい使われていますよね。これは発がん性があると先ほどのIARCは言っております。これは2Bという段階ですけども。このIARC2Bに関しましては色々な意見があります。われわれの委員会でもどうしようかというような議論、後でお話ししますけどもしております。いずれにしてもIARC2Bという評価をしております。それから急性毒性はもうほとんどない。LD505グラム以上も取る人ですと何も出てこないんで、死なないんで、非常に急性毒性は低いということになります。その他ありますように刺激性もほとんどないということですね。遺伝毒性はあるということです。これもなぜ毒性が出るのかということに関してやっぱり議論が実はあるところであります。

 

(スライド24

それでナノ以外のチタンに関しましては、ACGIH10という数字を使っておりますけども、今回は対象がナノ粒子なのでこの数字は使えないということになります。従って今まで色々な実験から計算しまして0.15を使っているということですね。ラットの13週間の吸入試験というのがございますけども、これは1次粒径が20ナノメーターくらいの酸化チタンの粒子を13週間吸入させた実験を基にしまして、0.15という数字を導き出しております。一次評価値に関しましては先ほど2B で発がん性があるかもしれないと言いましたけども、これも使えるデータがないので一次評価値は今回作らないと。

 

(スライド25

測定、ばく露のほうですけどもばく露作業従事人数は57000人、結構たくさんの方が使ってらっしゃるんですね、作業員の方がね。それで局排の設置比率が74%、防毒マスクの使用比率が64%です。

 

(スライド2627

で、9事業場25人の方にお願いして、ばく露濃度を測ったと。ばく露作業は梱包、充填、投入というような作業上で測りましたということです。そうしましたら、実測値の最大値が1.64495%のばく露最大値が2.887ということで、0.15という二次評価値を大幅に超えているという状況でございました。これが具体的な1人のデータで25人中上位の15人だけのデータと書いてありますが、このラインが二次評価値で、測定した10人くらいの方は二次評価値を超えていると。その作業を見ますとパレット積みとか運搬とか袋詰めとか包装とかですね、こういうようなところで非常に高濃度ばく露をしているということになります。

 

(スライド28

従って結果としましては、濃度は結構高いですよということですね。95%、上側5%95%ですが、これが3くらいありますよということですね。従ってこういう結果が出ましたので詳細評価に行きますということで、もう今年度から始まっているんでしたっけ? 詳細評価。今年後からもう詳細評価が始まっているということになります。

 

(スライド29

リフラクトリーセラミックファイバーがその次でございまして、これは用途はこんな感じですね。ファイバーですからちょっといやらしいですけども。これも最終的な結果としては、これも初期リスク評価の段階ですが、二次評価値が0.2f/cm3 1立方センチメートル当たり0.2ファイバーという数値ですが、これを二次評価値として使いまして、ばく露評価の結果を見ますと、最大値又は区間推定上側限界値の大きい方ですから最大値ですね、1.841ファイバーということなので、0.2を上回っているということですから、最終的には初期評価から詳細評価に移行するということになります。その作業としましては秤量、投入、研磨、切断、梱包、巻き取り等々色々な作業のところで結構濃度が高かったということですね。

 

(スライド30

じゃあリフラクトリーセラミックファイバーというのはどんなものかと言いますと、アルミナとシリカを主成分とします非晶質のガラス、ガラス質ですね、非晶質の人造鉱物繊維ということで結晶ではありません。さまざまなものがあるので分子量等々は測定不能になっております。用途としては耐火用途ですね。炉のライニングとか防火壁とか耐火用途に使われております。結構生産量多いですね、16000トン以上ということで。

 

(スライド31

じゃあ、どのような影響がこれで見られているかと言いますと、やはり発がん性に関しましては2B と。これは肺のほうです。吸入実験で肺のほうです。それからその他急性毒性はもともと繊維なんで刺激性はあるのはこれは非常に当然だと思います。それから反復ばく露ではさっき言いました肺のほうに蓄積してきますので、肺への影響が出ているというのがメインです。それから遺伝毒性もあり、これもなぜ遺伝毒性が起きるのかというところに関しては少し議論があるところであります。

 

(スライド32

これはACGIHTLV-TWAとしまして0.2ファイバーを勧告しております。これ吸入性の繊維としてでございます。従ってこれを使いまして0.2というのを二次評価値に致しました。一次評価値は濃度試験から数字を作ったんですが、それが0.9という計算値になりました。二次評価値よりも高いということなので、実質的に意味がない、一次評価値とする意味がないので一次評価値はなしということに致しました。

 

(スライド33

これは398の事業場から850の作業報告がありまして、全部で826人くらいの労働者の方がこれの製造に携わっているということだそうです。局排を付けているのは5割くらい。全体換気装置が15%くらいの所で使われているということです。8事業場にお願いしまして40人の方のばく露濃度を測りました。主な作業は先ほど言いました秤量、投入、研磨、切断、梱包、巻き取りというようなこういうような作業の所ですね、40人の方にお願いして濃度を測りました。

 

(スライド34

そうしましたところ実測値ですね、最大値が1.8という数字になりました。それから計算値としては1.7くらいですね。いずれにしても二次評価値を超えているということが分かりましたので、結構リスクがあるよねということです。

 

(スライド35

これをまた図示しますと、これは全部で20人分のデータが書いてありますけれども、この黒いラインが二次評価値ですから、そのうち17人くらいの方が二次評価値を超えているようなばく露を受けているということなので、リスクは低くないですねという結論になっております。

 

(スライド36

従って詳細リスク評価の結果と致しましては今言いましたように、ばく露濃度が結構高い人が居ますということですね。で、1516人くらいの方が二次評価値を超えているということなので、初期評価にとどまらず詳細リスク評価に移行する必要がありますねという判断をしまして、今詳細リスク評価に入っているところでございます。そこの作業は共通して秤量、投入等々と、ここら辺が共通してあったということになります。

 

(スライド37

それでこれは今後の予定ですけども、25年度に関しましてはリスク評価の詳細リスクに関しまして、先ほど言いました酸化チタンとリフラクトリーセラミックファイバーと、ナフタレンは今日ナフタレンはお話ししませんでしたが、これは詳細リスクで考えます。それから初期リスク評価に関しましては何物質かやることになります。

 

(スライド38

これが今後のリスク評価の予定です。こんなようなものが今年度の企画検討会、何をやるかということを決める検討会で、このような物質がリストアップされましたということです。有機則の物質の中では1,1,2,2-テトラクロルエタンがピックアップされていると。それ以外にエリオナイト等々、こういう物質がピックアップされましたということですね。それからジフェニルアミン、これは発がん性が主な選定の理由ですけども、それ以外に生殖毒性または神経毒性でどうも強そうだというものに関して、ここに書いてあるような物質がピックアップされたということになります。

それから先ほどちょっとお話ししましたけども、ナノチタンにしてもあるいはセラミックファイバーにしましても、発がん性をどう考えるのかというようなとこで問題が少し残っている、あるいは変異原性をどう考えるのかということで問題が残っていると言いました。これはどういうことかと言いますと、いずれも肺にたまる物質です。ガスなんかですと肺にたまらないで出ていくかあるいは吸収されますけども、こういう粒子あるいは繊維は全部が全部じゃないですけども、ナノイオン性の粒子とナノイオン性の繊維というのはこれ肺にたまります。どんどん肺にたまっていくと、肺にこういう物質があふれちゃうんですね。肺の中ではマクロファージという細胞がありましてお掃除をする細胞なんですが、肺をきれいにする細胞なんですが、そういう細胞が入ってきた粒子を食べまして、貪食といいますがパクッと食べまして、それを消化するかあるいはどっか持ってっちゃうか、マクロ自身が動くことが出来ますのでどっか持ってっちゃうかというようなことで肺をいつもきれいにしてくれるそういう作用があるんですが、あまりたくさん入れちゃうと追い付かなくなっちゃうんですね。で、追い付かなくなっちゃって結局はたまりっぱなしになって、そこで酸化ストレスといいますけども色々な変なものが出来てきて、それが原因でがんが起きるんじゃないか、特に肺がんですけど、この場合は局所の話なので肺の話なんですけどね。それで肺がんが起きるのでないかということでオーバードーズ、過負荷によって起こる肺がんというか、肺がんと見ないほうがいいんではないか、実はその物質の毒性ではなくて単なる量が多過ぎただけということではないかというような議論がございます。これは徐々に今採用しつつあります。

  先ほどのナノチタンに関しましても、実はまともな実験がまだあまりない状態で、本当にいい実験ではないんですが、いろいろとある実験の範囲の中でやはり10mg/m3 というのは非常に濃度が高いものでは肺がんは出ますが、2 mg/m3 くらいになると出てこない。10 mg/m3 くらいの高い濃度ですと、クリアランスといいまして肺からそういう細胞がその粒子を外にクリアしていく、出していく、その率が遅くなっていく、すなわち蓄積がどんどん増えてくるというようなことも観察されているので、これはその物質によるがんではないかというような考え方が今どんどん採り入れられているところであります。それは変異原性も同じでして、粒子を細胞にぶっ掛けて変異原性を見ているんですけども、それは決してその細胞自身がDNAに対してアタックするのではなくて、その細胞があることで酸化ストレスということで変な物質が出来まして、それが2次的にDNAを損傷しているのではないかというような考え方も出来ますので、変異原性に関しましてもそういう酸化ストレスの考え方を入れていこうというような方向に行きつつあるというのは現状でございます。以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

 

○司会者(鈴木) 大前先生、多くの情報を挙げていただきましてありがとうございます。皆さん拍手でお願い致します。

  大前先生におかれましては厚生労働省のリスク評価の委員会の委員としてご多忙中のところを相当なお時間とご尽力をいただいております。

続きまして行政のお立場から、厚生労働省安全衛生部化学物質評価室の室長角田伸二様より、今大前先生からお話ありましたDDVPおよび発がんの恐れのある有機溶剤についてお話をいただきます。どうぞよろしくお願い致します。

 

基調講演

「化学物質のリスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入について」

 

○角田 厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課の化学物質評価室の角田と申します。どうぞよろしくお願い致します。

先ほど大前先生からリスク評価検討会で取りまとめました評価結果についてお話がございましたけれども、私からはそれを受けまして今後健康障害防止に必要な規制措置について報告が今般取りまとめられましたDDVPと発がんの恐れのある有機溶剤についてご説明したいと思います。

 

(スライド41

  この資料は先ほどの大前先生の資料にも入っておりましたが、一部追加部分がございます。緑の部分が追加になっております。先ほどのご説明のとおり初期リスク評価と詳細リスク評価と、それから初期段階でもうリスク評価にまで行きました1,2-ジクロロプロパンというふうに三つございまして、この中に赤字で書いてありますジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト、DDVPですね、これについてはリスクが高く措置を要すという形になりました。1,2-ジクロロプロパンのほうはすでに昨年101日付けで特化則が、改正特化則が施行されて措置されております。あともう一つのDDVPについて今日はご説明を致します。それから、その下にその他検討ということが書いておりまして、発がんのおそれのある有機溶剤10物質という所がございます。この10物質につきましてもその発がん性にかんがみて、健康障害防止措置の検討を行ったところでございます。

 

(スライド42

これは先ほどご説明もございましたが、リスク評価報告書の概要ということでまとめられたものの要点でございます。DDVPにつきましてはDDVPを含有する製剤の成形加工、または包装の業務について、適切なばく露防止措置が講じられない状況では労働者の健康障害のリスクが高いと考えられることから、健康障害防止措置の検討が必要という結論でございます。

  それから発がんの恐れのある有機溶剤、ジクロロメタンをはじめとする10物質でございますが、これは有機溶剤中毒予防規則によって、すでに一連のばく露低減措置が義務付けられてございますけれども、職業がんの原因となる可能性があることを踏まえて、これらの物質を製造または使用して行う有機溶剤業務を対象として、記録の保存期間の延長等の措置を講ずる必要があるという、こういうまとめがありまして、これを受けて検討がなされたところでございます。

 

(スライド43

  まずDDVPについてご説明致します。先ほどのご説明もございましたが、主な有害性ということはIARCの発がん性分類で2B 、すなわち人に対して発がん性を示す可能性があるということでございます。それから吸入あるいは皮膚反応、臓器障害といったその他の有害性もございます。性状は特徴的な臭気のある無色から琥珀色の液体ということで、家庭用の殺虫剤等で使われているというところでございます。これまでの経緯としましては平成12年にSDS、健康障害を発症する恐れがある物質について譲渡するときに文書を交付して情報提供するというご存じの仕組みでございますけれども、この交付制度が出来たときにDDVPは政令で定める交付対象物質になっているというところでございます。

 

(スライド44

  それで健康障害防止措置の検討結果がこのように報告書の概要ということでまとまっております。これは先月の29日に公表されたものでございます。一つ目は特化則のアクリルアミド、これは特定第2類物質というカテゴリーでございますが、これと同様に作業環境測定の実施や発散抑制措置等を講じることが必要であるという結論でございます。それから発がんの可能性があるということを勘案しまして、特化則の特別管理物質と同様の措置を講じることが必要ということでございます。特別管理物質と同様の措置といいますのは、欄外にありますような作業の記録と30年間の保存とか、作業場へ必要な事項を掲示するというような中身でございます。

 

(スライド45

  それから健康障害防止措置の検討結果でございますが、措置の検討会ではどのような規制措置が必要かということをこんな形で措置内容ごとに検討しまして、報告を取りまとめております。これも公表されている措置検討シートの抜粋でございますけれども、いずれも各項目等で措置の要否を検討しまして、要というふうに規制化の要否の検討がなされたというところでございます。右のほうに前のスライドでもありましたが、特定第二類物質と同様に作業環境測定の実施や発散抑制措置を講ずるということと、それから二つ目は特別管理物質と同様の措置を講ずるということ、それから経皮吸収の神経毒性が指摘されていること、それから皮膚感作性があることから取扱時、これらの有害性にも留意することが必要であるという結論でございます。

  この検討結果を踏まえまして、特化則等での規制の導入に向けて、改正作業を進めることとしておりますが、その時期は8月頃に公布、改正政省令を公布しまして、10月頃に施行するということを予定しているところでございます。

 

(スライド46

  先ほどDDVPをその特定第2類物質や特別管理物質と同様の措置を講ずるというふうに申し上げましたが、特化物の分類はご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、このようになっております。第1類、第2類、第3類というふうに分かれまして、第1類は製造許可物質、それから第2類物質はさらに特定第2類、管理第2類、オーラミン等、エチルベンゼン等というような形で分かれております。それから別途第3類物質がありますし、そのほかに特別管理物質ということがございます。

  ここで吹き出しに書いてありますのがDDVPの部分でございますが、一つはその特定第2類物質と同様の措置が必要であるとの結論。それからもう一つは特別管理物質ということで、この部分と同様の措置が必要というところでございます。特定第2類物質は発がん等の慢性障害の他、急性中毒を防止する措置が必要な物質ということでDDVPはこの部分に位置付けられております。それから特別管理物質はがん等の遅発性の健康障害を生ずる恐れがあるもので、作業の記録の作成とか、その30年保存が義務付けられるものでございます。第1類、第2類、第3類というこの区分とはちょっとまた別の切り口からの分類でございますけれども、第1類の中にも第2類の中にもこの特別管理物質に該当するものが入っているというところでございます。

 

(スライド47

  ただ今の分類を、物質の一部例示を入れまして再整理しますと、このような形でございます。上から第1類、第2類、第3類というような形になっておりまして、ここで色が塗ってある部分が特別管理物質という形でございます。DDVPはさっきもありましたが、この吹き出しで書いてありますようなところへの位置付けを考えているというところでございます。あと今の赤い部分ですけれども、これは特定第2類と第3類物質の製造、取り扱う設備は、特化則に基づいて大量漏洩防止措置を講ずることになっておりますので、それを表しているところでございます。以上がDDVPの措置検討結果で、今後これに即して法令改正等の準備を進めていく予定でございます。

 

(スライド48

  次は発がんの恐れのある有機溶剤でございます。まずそれが何かということですが、上にありますとおり有機溶剤中毒予防規則で規制対象となっている有機溶剤のうち、国際がん研究機関IARCにおいて発がん性の評価が12Aまたは2B に区分されている以下の10物質ということで、この10物質を対象としているところでございます。ここの名称が有機溶剤の名称を使ってますので、例えばジクロルメタンと書いていますけれど、ジクロロメタンのことと同じでございます。特にジクロロメタンにつきましては、1,2-ジクロロプロパンのように職業性の胆管がんの原因物質である蓋然性が高いとされた労災の請求事案が出ているところでございます。

 

(スライド49

  これがその10物質の一覧でございます。一番左に区分として1種とか2種とありますのは、有機溶剤の第1種、第2種の区分でございます。その隣が国際がん研究機関IARCの発がん性の分類でございます。以下、ずっと規制が導入された時期ということで見ていただければと思います。表示対象は全部対象になっておりますが、がん指針という部分ですね、ここは安衛法に基づいてがんを労働者に生ずる恐れのあるものについて大臣の指針を公表しているというもので、すでにその指針の対象になっているものが六つほどございます。それがこのがん指針の欄でございます。

 

(スライド50

  これが有機溶剤の10物質につきまして、国の行政検討会で検討した経過をまとめたものでございます。昨年の5月からずっとこのような形で検討してまいったところでございます。この背景としましては、今回印刷業務従事者に胆管がん事案が発生したことがございます。このため、すでにその有機溶剤中毒予防規則で規制されている物質であっても発がんの恐れのあるものについては職業がん予防の観点から対応することが必要ではないかということで、こういう検討をしてまいったというところでございます。一番上に有害性評価小検討会がございますが、ここでIARCの発がん性評価の確認等を行いまして、次にリスク評価検討会でこれは621日まででございますが、右にありますように職業がんの原因となる可能性があることを踏まえて、これらの物質を製造または使用して行う有機溶剤業務を対象として、記録の保存期間の延長等の措置を講ずる必要があるという取りまとめを報告書で公表したところでございます。724日でございます。その後、健康障害防止措置検討会で検討を918日まで実施しまして、その結論でございますが、先ほどの資料でもございましたが、発がん性という有害性を勘案して特化則へ移すとともに、特定化学物質障害予防規則の特別管理物質と同様に作業記録の作成、記録の30年保存等の措置を講ずることが必要というところでございます。で、この中身で報告書を129日に公表しまして併せて厚労省の安衛部長名で周知の通知を発出しております。

  今後でございますが、先ほどのDDVPと同様、法令等の改正作業に着手予定ということで、時期は同じく、8月頃の公布、それから10月頃の施行を予定しているというところでございます。

 

(スライド51

  次に措置検討会の検討結果をご説明致します。基本的な方針というのは先ほどもありましたのでちょっと飛ばしまして、措置内容のところで、一つは作業記録の作成でございます。二つ目は記録の30年間の保存ということで、これについては、特殊健康診断結果の記録、作業環境測定についての結果と評価の記録、それから作業記録が対象でございます。三つ目は名称、人体に及ぼす作用、取り扱い上の注意事項、使用保護具の掲示とありますが、これらを製造取り扱い作業場へ掲示するということでございます。それから四つ目は事業廃止時に測定とか作業とか診断の記録等を所轄の労働基準監督署長に報告するということを規定してございます。それから五つ目は有害性に応じた含有率、すそ切り値の見直しということで、現在有機溶剤の混合物についてはすそ切り値が5%ということになっておりますけれども、発がん性に着目して混合物のすそ切り値を1%として特化則の規定を適用するということを考えています。

 

(スライド5256

  以下の10物質について、その有害性や性状、用途を整理しましたのでちょっと字が細かくて恐縮ですが、ご参考としていただければと思います。クロロホルムは化学工業の広い範囲でいろいろ溶媒として利用されているものです。それから四塩化炭素ですがこれも溶剤等で使われておりましたけれども、現在はフロンの原料ということの規制もありますので、他の物質の原料としての使用とか、試験研究等に限って製造輸入が可能というような形になっていたかと思います。それから1,4-ジオキサン、これも有機溶媒としてしばしば用いられておりますし、塩素系溶剤の安定剤としても使われております。それから1,2-ジクロルエタンでございますけれども、これは塩ビのモノマーの生産等に用いられているものでございます。

  次がジクロルメタンでございますが、先ほど申し上げましたが印刷事業場の胆管がんの労災請求事案で、洗浄作業に長期間従事した方について、業務上とされた事例が出ているところでございます。クロロホルムと同様にいろいろ溶媒としても使われているものでございます。それからスチレン、これはご承知のとおり多くの合成樹脂の原料として利用されているものでございます。以下、はご参考にしていただければと思いますが、こうした10物質について今回規制措置についての検討をして法令の改正の準備をしているところでございます。

 

(スライド57

  これも字が細かくて見づらくて恐縮ですが、先ほど129日に報告書を取りまとめて、そのときに安衛部長名でご連絡をしたと申し上げましたが、その中身でございます。通知名はご覧のとおりで、この中で発がん性のある有機溶剤関係部分を抜粋しますと、リスク評価検討会においてこれらの物質を製造または使用して行われる有機溶剤業務の対象として職業がんの予防の観点から、健康障害防止措置を講ずる必要があると結論付け、さらに健康障害防止措置検討の結果ということで、ここに書いてあります丸数字1から丸数字3等の措置を行うことが必要とされたと。このため、今後予定する法令改正を待たずに速やかに同措置を講じることにより職業がん予防の取り組みの促進を図るということについて、よろしく周知をお願いしますということで関係事業場の事業者団体にお送り致したものでございます。

  なお書きは先ほど申し上げました六つの有機溶剤については、すでにがん指針の対象物質になっておりますので、これについても周知をお願いしますということを付け加えているところでございます。

 

(スライド58

  それからこれは本日お配りしたものと同じでございます。パンフレットでこうした周知も併せて図っているというところでございます。これは厚労省のホームページにも掲載しているところでございます。発がんの恐れのある有機溶剤を製造、または使用して作業を行う場合には、有機則に基づく局所排気装置の設置等、ばく露低減措置を取ってください。それから作業記録を作成し、健診結果、作業環境の測定記録等ともに保存してくださいということでございます。

 

(スライド59

  それからこれも取り扱う際の措置ということで、具体的に作業記録の作成、記録の保存の延長、それから有害性等の情報の提示というところで、具体的な措置内容を示しているものです。

 

(スライド6063

以下は参考でございますが、有機溶剤の分類と措置の内容というところです。それから職業性の胆管がんに係る対応ということで、ご参考にこれも付けておりますけれども、243月の労災請求に端を発しました職業性胆管がんへの対応について取りまとめたところでございます。下から四つ目の丸にありますが、1,2-ジクロロプロパンについては特化則で規制がなされております。今回の10物質に含まれるジクロロメタンにつきましては、下から二つ目の丸の所に有機溶剤の保存期間の延長等発がん物質としての対応を準備中というのが今ご説明した中身でございます。これは、「胆管がんとは」ということで概略をご参考に付けております。右の表のすぐ上の所に「また、ジクロロメタンについても、長期間にわたる高濃度のばく露により同様に業務上とされた事例がある」とあります。これは昨年12月にリスクコミュニケーションしたときにご説明した資料のサマリーをまとめたものでございますけれども、これもご参考に付けております。1,2-ジクロロプロパンについて、洗浄、払拭の業務が対象で発散抑制措置や作業環境測定、健診等が義務化されたというところでございます。

 

(スライド64

  それから最後に本日ご説明した内容で、より詳しい内容を参照出来る厚労省のホームページのURLを参考に添付しておりますので、もうすでにご覧になっていらっしゃる方も多いと思いますけれども、ご活用していただければと思います。ちょっと駆け足のご説明で分かりにくかったかもしれませんけれども、また後ほどご質問等で補足してまいりたいと思います。12月のリスクコミュニケーションは1,2-ジクロロプロパンの政省令改正についてすでに導入された規制の説明でございました。本日のテーマはこれから制度の中身を具体的に詰めていくもので、このリスクコミュニケーションで皆さんにご説明をしていろいろご意見を聞くということで開催しておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

 

○司会(鈴木) 角田室長、このリーフレットの発送は、いつ頃紙媒体で関係団体の方に送られるのでしょうか。

○角田 2月の始めに送っております。資料の最後のところにもリーフレットのURLがありますので、これをクリックしていただければそこにPDFで掲載されております。

○司会(鈴木) 角田室長、ありがとうございました。これにて第1部の基調講演は終了させていただきたいと思います。実は今回の1番の目的である意見交換会、そのリスクコミュニケーションが主題になっておりますから、先ほど冒頭で申し上げたようにピンクのアンケート用紙へぜひご質問もしくはご意見を記載いただきたいと思います。私ども事務局がおりますので、記載をしていただきまして、手を挙げていただければ事務局の人間が回収させていただきたいと思っております。

  次の意見交換会の方、20分後3時から開始させていただきたいと思っております。3時までの間記載していただくことと、お手洗い、それから飲み物はこのちょうど裏手ぐらいにございますので、少しリラックスしていただければと思います。これから3時からは厚生労働省のほうから化学物質対策課の方も来られておりますし、大前先生、それから堀口先生がコーディネーターとして全部仕切っていただきますので、活発なご意見をいただきたいと思います。それでは20分ほど休憩とさせてください。よろしくお願い致します。また記載中に何か分からないことありましたら、内容を含めまして事務局のほう動きますのでよろしくお願い致します。ありがとうございます。

 

(休 憩)

 

○司会者(鈴木) アンケートのご協力大変ありがとうございました。お手数掛けました。それでは意見交換会に入りたいと思います。これからスタートさせていただきます。意見交換会のコーディネーターは先ほどご紹介致しました長崎大学広報戦略本部準教授堀口先生にお願いしたいと思います、堀口先生よろしくお願いします。

  それからパネリストとして先ほど基調講演いただきました慶應義塾大学医学部大前先生、厚生労働省化学物質評価室の室長である角田さま、それからもう1名パネリストとして厚生労働省の化学物質評価室化学物質情報管理官である高村さま、この4名でやらせていただきたいと思います。

  皆さまからいただきました質問につきまして、堀口先生から今整理をさせていただいております。これを約1時間、4時をめどにさせていただきたいと思います。若干延びることもあるかと思いますがひとつご了承いただければと思います。また、アンケートからいただいた、ご返答いただいた以外で口頭でのご質問、ご意見がございましたら、その後いただきたいと思っております。先ほども申したようにお名前は全部伏せさせていただきます。それではお手元に申し訳ございませんがこの赤と青のカード、出せるようにお願い致します。では、堀口先生よろしくお願い致します。

 

○堀口 皆さんこんにちは、時間がもったいないのでさっさと行きたいと思いますが、このリスクコミュニケーションを検討会が始まって以来継続しておりますが、ご参加のご経験がある方は赤の紙を、今日初めてお見えになった方は青の紙を出していただけますでしょうか。すいません、お願いします。分かりました、ありがとうございます。

  いつも皆さんからこのように紙に書いていただきまして、それを私が読み上げながらご回答いただく形で進めております。

それで始め、「6ページの追加説明をしてほしい」ということがありました。6ページの両括弧3の図の見方をもう少し詳しくということで、大前先生お願い出来ますでしょうか。リスク評価のスキームの話ですね。

○大前 ここですね。

○堀口 6ページのここです。「例えばグラフの色分けは物質のグループなのか、リスクの高さなのか」っていうふうに書いてあるんですけど。

○大前 これで間違いないですか? 質問された方。今おっしゃったのはこの青とか黄色とか赤の縦線の意味でよろしいんですかね。リスクのその色分けはというのは。

○堀口 そうですね、グラフの色分けは…と。

○大前 そういうことですね。これ単純に信号で多分書いてくれたと思います。大丈夫ですよ、注意ですよ、危ないですよという。特にリスクの色分けに意味はないと思います。それから今それだけでしたかって、これ。

○堀口 はい、図の見方をもう少し詳しく説明してほしい、と。

○大前 分かりました。またちょっと重複になりますけども、まず評価自体は2段階でやると。初期とそこから詳細行かれるということになっておりまして、この初期も詳細もこの二次評価値、あるいは一次評価値とそれから実際のばく露濃度を比べるという形になっています。このブルーはある物質でばく露濃度を測定したら、一次評価値とか二次評価値が低い濃度しか出てこなかった、と。要するに現場の濃度はこんなに低いんだよということなので、これはリスクが低いから何もしなくてもいいですよという意味です。それから赤のほうは、実際に測定してみたら二次評価値を超えるような濃度が出てきました。先ほど幾つか例がありましたけども、こういう場合はばく露濃度が高いので、健康リスクが結構高いんじゃないかということで、詳細リスク評価に移行する、あるいは詳細リスク評価でも高ければリスクの低減措置等々に移行すると、そういう意味です。黄色はその中間くらいのレベルということで、そういうことを示しているということですが、それでよろしいでしょうか。

 

○堀口 よろしいですかね。それでは先生もう一つ根本的なところですが、「リスクベースの管理とは未然防止と説明されたが、ハザードとばく露を検討してリスクをコントロール出来るのであれば、その有用性を享受する考え方に基づき、リスクを判定していく考え方ではないのか。事後と未然という対比は正しいのでしょうか?」

○大前 これは考え方の問題でして、未然防止というのと事後措置という両方考え方があります。それでもともと多分この考え方が出た一番の問題は、一般環境の話だと思います。昔日本でもいわゆる公害が起きました。四日市の大気汚染、SO2とかそれからいわゆるスモッグとかいわれたあの時代ですね。あれはああいうことが起きて実際に健康障害が起きました。健康障害が起きたものですから何とかしなくちゃいけないということで健康障害の情報を基にして環境基準が出来ているわけですね。それはその事後の措置の話です。それから未然防止というのはそういうことは過去にあったので、これを何とか起こさないようにしようという考え方を予防原則といいます。予防原則の立場に立ってやりましょう。例えば今回のジクロロプロパンによる胆管がんっていうのは残念ながら事後措置ですよね。起きちゃった後に今はもう散々色々なことやってらっしゃる。でももし、ジクロロプロパンに関してもっと前になんか情報があれば、それでリスク評価をすれば、リスク評価をやって実際のばく露濃度を図ってみてやっぱり高ければひょっとしたらこのことを防げたかもしれない、と未然防止ということですよね。未然防止というのは先ほど言いましたように予防原則というのは、要するにまだ起きてないことを規制しちゃうわけですから、すごく抵抗あると思うんですよね。それを受け入れるかどうかという問題だと思います。そういう考え方で今、日本だけじゃなくて各国進んでいますが、それを実際に一般の国民あるいは事業者の方々、あるいは労働者が受けれるかどうかということ、そこはもう価値観の問題なんですよね。

  それからもう1点は、もう1個追加ですけども、その未然防止とは言うけども例えばがんだったら分かりやすいんだけど、たかだか肝臓が少し悪くなったとか、あるいは刺激が少しあるとか、そういうレベルも未然防止するのっていうそういう影響のレベル、影響の強さをどこで取るか。色々なこと結構気になると思います。今一般的にいわれているのは健康影響の程度だっていうのは、生きるか死ぬかっていうのは極端な話ですけども、いわゆる中毒か中毒じゃないか、中毒っていうのは医者にかかんなくちゃいけないような、治療しなくちゃいけないようなレベルなのか、あるいはその前の段階なのかというところで決めようという考え方もありますし、もう一つ下のレベルでアドバンス・エフェクトっていう副作用といいますか、悪影響を防ごう、中毒までは至らないんだけれども悪影響というふうに判断されるものは防ごうというレベルで管理しようという考え方、この二つがあると思います。これはその集団がどちらを取るか、これはもう自由なあれですが日本なんかの場合は、あるいは一般的な先進国の場合は悪影響を防ごうと。中毒なんてとんでもないと、そういう考え方でやっているので、それすら未然防止するのかというふうになると、結構考え方としては抵抗があるというふうに思われる方も結構たくさんいらっしゃるのではないかと思います。

  がんなら仕方がないけども、たかだか肝臓がちょっと悪くなるくらい勘弁してよみたいなそういう考え方もあり得ると思います。

 

○堀口 はい、それで大前先生のスライドの4ページのこれですね、6枚目。「左端の医学以外の諸要因とはどのようなものかご教示ください。」

○大前 これも極端な例言いますね。お酒はIARCではグループ1にしていますよ。人に対して明らかな発がん物質です。でもこれは誰も規制してないですよね。日本だけじゃなくて諸外国規制していません。それ医学以外の主要因が例えば文化とか宗教とか、そういうようなことでこれは規制しないというのは医学以外の要因ですね。

  それからもう一つは経済的な要因、とてもそんなこと出来ないよ、あるいは技術的な要因、工学的に無理ですよ、色々な要因があると思います。そういうことを全部含めて意思決定するのはリスク管理する国なり、あるいは企業の責任であるわけですから、単純に医学的にリスクが高いというだけでは物事決まらないということですね。最終的に決めるのはリスクを管理する責任者、会社だったら社長さんでしょうし、国だったら例えば今だったら厚労省ということになると思いますけども、そういうことです。これは今回当たり前の考え方だと思います。医学だけでは当然ものは進まないと。

 

○堀口 それで「リスク判定において一次評価値、二次評価値を参考、各基準としていますが、発がんに相関がある一次評価値よりも大きな値である二次評価値であることをかんがみて、一次評価値を超え二次評価値未満の状態を許容される物質の場合、発がんの観点では発症確率が10のマイナス4乗より大きくなります。DSCA等の例で考えると発がん確率が10のマイナス4乗より大きい状況を認めることは、第三者への安全性の説明が難しいと思いますがいかがでしょうか? 誤解があればご教示ください」。

○大前 おっしゃるとおりです。二次評価値、一次評価値で今は示して詳細リスク評価等というふうな二次評価値の所で言っていますけども、確かに一次評価値と二次評価値の間はがんのリスクが10のマイナス4乗を超えている濃度なんですよね。ここに関してはどうしようかというのはまだ方向性は決まってないというのが現状です。この意見はおっしゃるとおりだと思います。

 

○堀口 はい。「事業者から収集したリスクアセスメントに必要なデータを、具体的にはどのような方法でリスクアセスメントを進めているのでしょうか。アセスメント実務は中災防で受注されておられるとのことでしたが、中小企業等の事業者が今後自らがリスクアセスメントを行うために重要な情報と考えております。ということで、どのような方法でリスクアセスメントを進めているのでしょうか」ということなんですけれども。具体的に。

○角田 質問のご趣旨とちょっと違っているかもしれないですけれども、そのリスクアセスメントに必要なデータをどういうふうに活用してやっているのかということですけれども、ばく露作業報告を出していただきまして、多数の事業場から、年間取扱量500キロ以上というところから出てきておりますので、その中で絞り込みをしないといけないということでございます。その中でコントロール・バンディングの手法を用いましてばく露の実態が高そうであるというところに絞り込みをしまして、そこのところでリスクアセスメントを、そこでばく露実態調査を行うと。で、ご質問の中にもありましたが、国のほうの委託調査で中災防さんなりあるいは他の事業者の方でもそういう委託事業の実施主体の方にやっていただきまして、そのばく露実態のデータを踏まえてリスク評価を行うという形でございます。

 

○堀口 よろしいでしょうか。それから物質でいろいろご質問がございましたので。「スチレンは通常工業的にはベンゼンとエチレンユニットから製造され、エチルベンゼンとスチレンの混合物として取り扱われると思います。24年のエチルベンゼンの特別管理の際に取り扱い作業を以前やっていて、現に使用している労働者について企業が調査しており、スチレン混合物の使用者、ユーザーについては塗装業務ではないとして外していると思いますが、今回の作業記録の保存とは関係しないのでしょうか?」

○角田 スチレンにつきましても、今回発がんの恐れがある有機溶剤ということで10物質の中の一つになっておりますので、それを特化則の中で規定するという方法で整備がなされる予定でございます。そうしますと、今塗装業務という表現がありましたが、今先ほどの資料の中にありますとおり、有機溶剤業務ということで想定をしており、有機溶剤業務を対象にする場合には特化則の規制がかかってくるというような形でございます。

 

○堀口 「スチレンはこれを原料とする樹脂および成形品中に1%を超えて含有される場合があるが、これらを取り扱うエンドユーザーは今回の新たな規則の対象として考えるべきですか。」

○角田 先ほど5%から1%へのすそ切り値の方向性ということをご説明しましたが、その特化則に移したときに特化則で規制となるすそ切り値としては、1%以上混合されているものというふうに考えておりますので、その場合1%を超えて含有するものにつきましては特化則での規制がかかってくるというところでございます。あと、有機溶剤との混合物、この10の有機溶剤ではない有機溶剤との混合物ということも当然考えられるんでございますけれども、それにつきましては有機則の規定を準用して規制を行うというような形になります。ただ、特化則として規制をするという部分については1%超のものという方向で今考えております。

 

○堀口 それで「有機則の有害性に応じたすそ切り値の見直し、5%から1%とありますが、本当に1%に出来るんですか」っていうご質問ですけど。

○角田 1%に出来るのかという、ご趣旨がよく分からないのですが、今まで特化則で規制しているものにつきましては発がん性を考慮致しまして、1%のすそ切り値ということで整理をしてきているところでございますので、それに準じたような形で整理をすることを考えているというところです。昨年、前回のリスコミでご説明したのですが、1,2-ジクロロプロパン、これも同じように1%を超える、これは有機溶剤ではございませんけれども1%を超えるものについて特化則での規制がかかってくるという整備をしておりますので、基本的にそれと同じような考え方でございます。

 

○堀口 それで「発がんの恐れのある有機溶剤に関する規則が本年8月頃公布、10月施行予定とのことですが、経過措置は規定されるのでしょうか? 施行が決定と受け止めていいでしょうか?」

○角田 施行につきましては、私どものほうでいろいろ条文なりの検討をして案を固め、そして労働政策の審議会がございますけれども、安全衛生分科会にご意見を聞いて、その上で行うということになりますので、まだそういう手続きが必要というところでございます。その際に案が固まった段階でパブコメという形で一般の皆さんのご意見を広く聞くという場も設けておりますので、そうした手続きも踏まえて行われるというところでございます。

 それと経過措置を設けるのかというところでございますけれども、経過措置は今のところその中身に応じて必要なものについては設けるということではないかと思います。これも今後の検討でございますけれども。例えば今までの政省令改正でも準備に時間のかかるような部分、例えば作業主任者を選任しなければいけないというところについては、当然人を確保しなければいけないということもございますので、一定の猶予期間、経過措置を置いているところでございます。今回の扱いにつきましても同じように、例えば今までは5%に行ってなかったということで作業主任者を置いてなかったけれども、今回1%のすそ切りに該当するので特化則に基づいて作業主任者を置かなければならないということになりますと、そういうことの出来る方を確保しなきゃいけないということになりますので、そういう中身に応じて経過措置を検討していくということになるかと思います。

 

○堀口 はい、それでパワーポイントの57ページ。

 

○A氏 ちょっといいですか?

○堀口 はい、どうぞ。

○A氏 特化則に入るというと、有機則の措置を延長するっていうのは先ほどご質問しました、過去に使ったことのある人間の要するに健康診断があるかないかっていうところがすごく機能を感じるよりは質的に差があるんです。今回お配りになられたこの作業記録を作成、保持しましょうというビラについては、これはあくまでも有機溶剤を前提にされたものなので、現にそういう作業をしている方の記録を伸ばしましょうという話になっております。それが特化則に入ってくるっていうふうになりますと、突然その30年というくくりがなくて、雇用している限り未来永劫さかのぼる、要するに35年前に使った役員が在籍していても退職、健康保持の対象になってしまうっていう話になりますので、例えばエチルベンゼンのときにはマンデル酸の血液検査やって意味があるかどうかってそういう議論はあって、三十数年前にばく露された人間が今マンデル酸血液中にあるわけはないんですけども、現実にはそういった作業記録は5年間では持っているわけですよ。なんで、そういうような意図があるとしたら、こういう現の作業の記録を伸ばすっていうものではなくって、過去に作業したことがある履歴を調べておくようなことをリコメンドするような発表の仕方をされたほうが企業の側は混乱しないような気がしますけども、よろしくお願い致します。

○堀口 どうですか、室長。

○角田 作業記録自体については、昔のものをこれから作るというわけにはいきませんので、それはこれから政省令が施行されればそれに基づいて作っていくこととなります。それからあとさっきのご質問にありました、要するに過去だいぶ前も含めて常時従事させたことのある労働者の方について、実際に健康診断をやらなければいけないのかと前回もご質問があったかと思うんですが、、それについては当然従事の中身を把握して何年前でも健康診断の対象として考えていくということだと思います。

 

○堀口 それで「作業記録の作成とありますが、具体的にどのようなことを記録することが望ましいか教えてください。手本となるようなフォーマットがあるのであれば教えてください。」

○角田 作業記録の中身につきましては、例えば氏名でありますとか、作業に従事した期間でありますとか、作業の概要、そういったものをはじめ、あとは何か著しく汚染がなされたような場合は、そういう状況の概要、応急措置をどうしたかとか等を規定することになるかと思います。

 

○堀口 それで、「常時作業する労働者とありますが、作業記録の作成ですけれども、たまにしか取り扱わないような人は対象から外れますか?」 例えばこれは週に10時間ですかね。

○角田 「常時」の解釈というのは、必ずしもはっきり定義しているわけではないんですが、そこは実態に応じてご判断いただくということで、通常考えられますのはずっとその業務をやってらっしゃる方、それから常にそれをやっているわけではないですけれども、反復してその業務を実施しているというようなケースが該当すると思いますので、そういった業務実態に応じてご判断していただくのではないかというふうに思います。

 

○堀口 「いつから実施すればいいのでしょうか?」

○角田 実施につきましては、法令の施行に合わせてということになりますので、もし今ご説明しましたような予定で進めば、10月以降ですね。あと経過措置がどうなるかということもありますけれども、その法令の施行時であります10月以降というような形になるかと思います。

 

○堀口 「フォーマットはどこかで入手出来ますか。ここに作成するんでしょうか」と書いてあるんですけれども。

○角田 特にないです。

○堀口 フォーマットの話がよく出てくるということは皆さん具体例があったら多分作りやすいということを、

 

 訴えているのではないかと思うのですが。具体例等をお示しされるようなことはあり得ないんですかね。

○角田 今のところはちょっとございません。

 

○B氏 すいません、よろしいですか。

○堀口 はい、どうぞ。

○B氏 先ほどのお話のように、これが特化則の措置を前提にしているものという話ですと、フォーマットとしては特化則の作業記録のフォーマットが流通していると思うんですけど、それを準用するという、そういう理解でよろしいでしょうか?

○角田 そういうことでもよいと思います。あと、法令の施行に合わせて施行通達等も発しますので、その中で規定出来ればということも考えられるかもしれません。ちょっと今の段階ではまだはっきりとは申し上げられませんが。

 

○堀口 よろしい、追加は大丈夫ですか。「作業記録の作成と30年間の保存の確認と、立ち入り調査はありますか」って。

○角田 それは私ども厚労省の労働基準監督署がいろいろ事業場の皆さんの所で指導、確認をやらせていただいておりますので、法令が施行されれば、別にこの法令に限らず、そういう中で確認をしていくという局面は出てくるかと思います。

 

○堀口 読み忘れると嫌なので言っておきますが、「非常に参考になりましたが作業記録に記述すべき内容を知りたい。どの程度の作業まで必要か。特に有機溶剤について」ってやっぱり書いてあります。なのでそこは企業のかたがたがきちんと作業が出来るように具体的にお示ししていただければいいのかなと、例示かなと思います。

 

それから、「健康管理手帳の交付対象等に変更はありますか。」

○角田 健康管理手帳については別途特殊健康診断に関する検討会というのがございまして、去年の8月に検討を実施しております。今手元にその資料がないのですけれども、それを踏まえ手帳の対象になるかどうか決定がなされるというふうに理解しております。

 

○堀口 それで「特化物の業務に従事した者の特殊健康診断は会社を退職された者への責任はどうなるんですか」っていう質問。

○角田 離職者の方についても、同じく特殊健康診断に係る検討会の中で検討するという形でございますちょっと今の段階でははっきりとは申し上げられなくて恐縮ですが。

○堀口 その検討会というのは傍聴とかは出来るんですか?

○高村 出来ます。

○堀口 そしたらまたホームページ等を見ていただくとそういう検討会が開かれるご連絡が上がると思いますので、傍聴されて経緯を見ていただければと思います。

 

それから「発がん性のある有機溶剤のリーフレットが公表されたことは知っていましたが、その背景として安全衛生部長の通知が出されていたことは知りませんでした。通知はどこで見られますか?」

○角田 すみません。ホームページに通知がまだ載っておりませんので、追って掲載されるかと思います。

○高村 通達については、中災防さんのほうにも提供しておりますので、そちらのほうで反映されているかもしれません。また厚生労働省のホームページのトップページに所管の法令等というところがございまして、そこの掲載準備中というところに、新しい通達等については掲載することになっております。そろそろ載るかと思いますので、そちらのほうご確認いただければと思います。よろしくお願い致します。

 

○堀口 はい。「リーフレットのみ見ていたため、その位置付けがよく理解出来ませんでした」っていうことでした。

 

 それから「発がんの恐れがある有機溶剤、10物質について特化則へ移すとあるが、有機則から外れるということでしょうか。有機則から外れない場合、すそ切り値5%から1%は有機則も見直されるということになりますか。」

○角田 有機則から特化則に移すということで考えておりますので、有機則から外れるというふうにご理解していただければと思います。○堀口 「特化則が複雑になってきて分かりづらいです」って書いてあります。情報提供に工夫が必要なのかなと。

○角田 確かにおっしゃるとおり、特化則の中でも整理が複雑になっている面は否めませんので、この件で法令改正という形になればパンフ等も分かりやすいような形で整理しますし、通知等の中身も分かりやすい形で周知していきたいというふうに考えております。

 

○堀口 「発がん性有機溶剤を特化則で取り扱う方向とのお話でした。そこでは個別の物質ごとに特別管理物質に指定される方向で検討されていると理解してよろしいでしょうか?」

○角田 その方向で考えております。実際にご承知のとおり物質ごとに規定しておりますので、その物質を関係する条項に入れて、規制措置を行うというような形でございます。ただ、全体がかなり複雑になってくるという先ほどのご意見もありましたので、そのカテゴリーを「特別有機溶剤」とかでくくるような形で再整理するというような検討もしているところでございます。

 

○堀口 「また特化物第2類、物質にも同様に個別の物質として指定される方向で検討されているのでしょうか?」

○角田 その方向で考えております。

 

○堀口 はい。で、「10種の化合物以外に検討の予定があるようでしたらご教示いただければありがたく存じます」って書いてあります。

○角田 今後のリスク評価の対象の考え方の整理だと思うんですけれども、ここの「今後のリスク評価」(スライド38)で大前先生がご説明された中身でございますけれども、現在この下の黄色い所にありますものについて、ばく露作業報告を昨年の12月にお願いをしておりますので、こういう形で順次リスク評価を進めていくというような形になっております。今までは発がん性を中心に物質を選定してきておりましたです。最初はIARC1とか2A、それから2Bという物質を選定してきておりまして、さらにそれに先ほどご説明あったかもしれませんが、神経毒性、生殖毒性等重篤な健康障害をもたらすものについてもリスク評価の対象としてきたというところでございます。今後も現在この有機溶剤10物質のうち、9物質については今年の1月から3月にばく露作業報告を出していただくことになっておりますので、それを受けてリスク評価を実施していくと。ばく露実態調査を行ってリスク評価を実施していくという形でございます。それ以外にどういうものを今後やっていくのかということにつきましては、また今年7月か8月頃に企画検討会を開催して対象となる物質を選定していくというような形になるかと思います。その際はここにありますような発がん性、その他の重篤な健康障害をもたらすようなものというようなことで選定をしていくという形になるかと思います。あまり具体的に申し上げられなくて恐縮ですが。

 

○堀口 はい、検討会で決められていくということです。「特定化学物質全体の枠組みが非常に複雑で、分かりにくくなっているように思います。整理等は今後考慮されないんでしょうか」という、また同じようなご質問がありました。で、「発がんの恐れのある有機溶剤、今後のリスク評価の計画はどうなるのでしょうか」というのも多分今のお答えに近かったかと思いますが。

○角田 今の発がんの恐れがある有機溶剤につきましては、ちょっと繰り返しになって恐縮ですが今年その報告が出てきますので、今年以降ばく露実態調査を行ってそれでリスク評価を行うという形でございます。1物質については来年報告が出てくるという形になるので1年遅れますけれども、それ以外のものについては極力早くリスク評価を行っていきたいというふうに考えております。通常の先ほどご説明しましたような、初期評価をやり、詳細評価をやっていくような形の手順でリスク評価を実施しているものではございませんで、ばく露実態調査や、リスク評価の方が後になるという形になっているんですけれども、それはこういう1,2-ジクロロプロパンやジクロルエタンのように発がんの恐れがあるものについては、胆管がんの事案ということもございましたので、急ぎ対応しないといけないのではないかということで、このように規制措置を導入するという方向になったという経緯もございます。ただ一方でリスク評価を実施していないということも、通常のリスク評価、ばく露実態調査等を実施していないということもありますので、そこの部分についてはなるべく早くリスク評価を行いまして、その結果、今有機溶剤業務を規制対象として検討していますけれども、こういう業務についてはさらに規制が必要ということが出てくれば、それはまた追加で対応するというような、逆もあるかもしれませんけれども、ところでございます。

 

○堀口 多分それが質問にあった「発がんの恐れのある有機溶剤等、今後事業場等への調査、ヒアリング等は計画されるのでしょうか」というご質問があったので、今のお答えに関連していたと思います。それで、「健康障害防止措置の導入が必要とされる場合、そのような措置が必要かを誰がどのように決めるんですか」って書いてありました。

○角田 健康障害防止措置検討会の報告ということで先ほど私のほうからご説明した資料に、委員メンバーまでは掲載はしていないんですけれども、資料の一番最後の所に関連ホームページのURLが付いていますが、その中にリスク評価の検討会、健康障害防止措置検討会の報告書があったかと思います。そこをクリックしてご覧になっていただきますと、そこにどんな先生方が検討したのかということが掲載されておりますし、その報告に至る検討の過程も全てホームページに載っております。検討会の資料が載っていますし、具体的な議事録が全部記名で掲載されておりますので、ご覧になっていただければと思います。健康障害防止措置検討会は独立行政法人の労働安全衛生総合研究所の菅野先生が座長を務めておられますので、その情報もそのURLでご覧になれると思います。

 

○堀口 「初期リスク評価でさらに詳細なリスク評価が必要とされた物質は、詳細リスク評価の結果を待たず何らかの措置、規制が必要ではないのでしょうか(仮でも良い)?って書いてあるんですけど。

○角田 それにつきましては、法令で規制するというところまではもちろん行かないんですけれども、安全衛生部長名の通知を出しまして、こういう物質については初期評価をした結果リスクが高かったので詳細評価に行くこと、管理に十分注意し、リスクを低減することをリスク評価の報告書を公表するのに併せて周知をしているところです。

 

○堀口 「パワーポイントの57ページって書いてあるんですが、有機溶剤業務の定義について詳しく教えてください」と。業務の定義について詳しく教えてください。

○角田 有機溶剤業務は有機則の第1条第1項第6号に載っているんですけれども、片仮名のイから、イロハニホヘトチリヌルヲまでです。例えば、有機溶剤等を製造する工程における有機溶剤等のろ過、混合、攪拌、加熱、又は容器もしくは設備への注入の業務とか、長くなって恐縮ですが、有機溶剤含有物を用いて行う印刷の業務、接着のためにする有機溶剤等の塗布の業務、有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務、洗浄、払拭の業務等を規定しておりますので、これら有機溶剤業務が措置の対象ということで今考えているところでございます。

 

○C氏 よろしいですか?

堀口 はい、どうぞ。

○C氏 そこに書いてある有機溶剤等っていうのは、すそ切り値5%の物質のことを言っていると思うんですね。そうすると今回の1%のすそ切り値とギャップがありますよね。そこはどういうふうに対処、その1%を使って有機溶剤等を解釈したほうがいいのか、有機溶剤業務は今のままの認識でいいのか。

○角田 発がんのおそれのある10の有機溶剤については、特化則の中で有機則の有機溶剤業務をを適用しますという条項を入れて、他の有機溶剤等と5%超のものは有機則が適用されるという形になります。その場合では有機則が準用されるのですけれども、単独で1%を超える場合は特化則の条項に基づく規制がかかるというような形でございます。エチルベンゼンとか1,2-ジクロロプロパンが有機溶剤との混合物との整理をしているんですけれども、基本的にそれと同じような形ではないかというふうに考えいてます。

 

○D氏 すいません、一昨年の1210日の意見交換会のときにも同じような議論が出ているんですが、そのときには有機則のルールが直接適用することが出来ないという議事録が、議事録は出ないんですけれどもそういうふうな回答されていると思うんですけれども、今回の趣旨で言うと、ここで言う有機溶剤というものは独自に特化則の中で定義される有機溶剤業務になるというふうに理解してよろしいでしょうか。

○高村 同じように準用規定になりますので、読み替えてということになるかと思います。

○D氏 現在は準用規定ではないですよね、準用ということにはなってないという。

○高村 いえ、準用になっています。

○D氏 準用になっている部分となってない部分があると思うんですけれども。

○高村 はい、そうですね。

○D氏 なってない部分については準用出来ないという理解でよろしいんでしょうか。例えばエチルベンゼンを塗装業務が、輸出法の塗装とは違うとかそういったようなことなんですけれども。

○高村 塗装業務については施行通達のほうで有機則の塗装業務と同じですよというような形でお知らせしていたかと思います。同じように、今回有機溶剤の10物質を特化則に移す場合、規則の対象業務をリスク評価の検討会報告書の結果を踏まえて、有機溶剤業務に限定して特化則の対象にするということで現在検討しているところです。具体的な規定については現在検討中ですので、どうなるかということは現時点で詳しいことはお答え出来ませんが、中身としては先ほど室長のほうから回答されましたように、1%超えのものについて要はエチルベンゼンと同じように特化則の規定が入ってきますと。で、他の有機溶剤との混合物5%超のものについては、エチルベンゼン等の規定の、混合有機溶剤5%超と同様の規定になるという方向で今検討しているところです。

○D氏 そうしますと、特化則と有機則、例えば免除業務が違うとか有機則の場合には作業環境見ていただく方、労働基準局長の認定を受けるとかそういったような規定があるんですけれども、そういったようなものは今回の有機則的なものが特化則に入るというものについては追加されると思っていていいんですか。

○角田 今おっしゃったのは有機則第3条の、要するに少量で使うときに認定を受けて有機則の規定は適用除外になるっていう部分の話ですよね。そこの部分は今まで例えば5%超でもそういう認定で免除になっていたという場合はあるんですけれども、特化則に移って特化則の規定が適用されるということになれば、例えば作業主任者がいらなかった場合でも、1%を超えれば特化則の作業主任者による管理が必要になってくるというような形になってきますので、そこは特化則に照らして判断されるということになるかと思います。

○D氏 そうしますと色々な条項がなかなか有機則に準用出来るのか出来ないかってことが非常に複雑に絡んでいるんですね、今のエチルベンゼンもそうですし。あと先ほどご質問のあった常時使用の定義も石綿則の常時使用の定義を要するに準用出来ないというような回答をいただいていまして、1日何時間で繰り返しとかそういったような定義がすごく混乱しているんですけども、そういったことについても何らかの文書での通達とか新しく出るという理解でよろしいでしょうか?

○角田 その常時の解釈というところまで整理出来るかどうかっていうのはありますが、、実際に今まで適用除外になっていたものに新たに今回こういう規制がかかりますっていうことが当然想定され、記録の保存期間の単純な延長ということだけではないので、中身をよくご理解していただけるような形で整理して周知したいと思っています。

○D氏 よろしくお願いします。

 

○堀口 皆さん大混乱して同じような質問があるんですけれども、出来ればQ&AじゃないんですけどFAQで皆さんが混乱しているようなところを今回たくさん書いていただいている部分について、幾つか重なっている部分についてはこういう場に来られなかった企業の方たちもおられると思いますので、新しい通知が出たときにはそういうのを補てんするようなFAQが中災防なりどこから、本来通知になるのって厚生労働省だと思うんですけれども、そういうのを出していただいて、広く理解が出来るようにしていただければいいかなと今思ったので、検討会でもそのように発言したいと思います。

○角田 はい。それはそういう方向で、今のご意見を踏まえて検討したいと思います。

 

○堀口 なので、皆さんが混乱していることが今日の赤い紙にたくさん書いてあるので、例えば、「エチルベンゼンが特化則になったときから感じていましたが、特化則への有機則の準用というやや分かりにくい運用となりました。今般の有機則該当物への特化則への追加、変更となりました。規則の準用という形だと措置内容の把握が包括的に分かりにくくなります。既存の規制との兼ね合いというところもあるかと思いますが、分かりやすい規制体系を構築することが理解と順守につながると思いますので、建て増し方式とは別に、建て替え方式を検討していただくと分かりやすく、守りやすい法令になると思います。で、10の有機溶剤に有機則特化則の二重指定になるのでしょうか」っていうご質問になっていました。

 それから、「日本産業衛生学会にて許容濃度が0.5ppmに決定された1-ブロモプロパンはリスク評価対象物質に選定されていませんが、その理由について教えてください。」

○角田 1-ブロモプロパンについては、現在SDSの交付対象になってないということもございまして、ばく露報告を出してくださいというふうにお願いしてもSDSを付けなくてもいい、義務化されていないということなので、実際に入手した物質がそれに該当するかどうかというのが把握出来ないこともあって、今リスク評価の対象にしてないという実態がございます。ただ、そういったものの扱いも含めて、これからどうするかということについては引き続き検討が必要だというふうには考えております。

 

 

○E氏 すいません、関連ですけど、今の1-ブロモの関連なんですけれども、今アメリカのほうのACGIHでは確か2011年だったと思うんですけど、0.1ppmというのが変更予告値という状況になっていると思います。ですから現時点ではアメリカで10という数字ですが、予告値として0.1が出ています。これはホスゲンと同じ濃度ぐらいになるんですね。要するに毒ガスと同じようなレベルになっていて、日本の衛生学会のほうでは2012年になって0.5というのがいち早くアメリカを越すような形で衛生学会のほうは0.5にしていると。私はこの1-ブロモについてリスク評価という議論をされるときであれば、今の環境を考えますとそもそもこの管理濃度がないこと自体が、要するに法規制の対象外というのが人間の健康とかいうこと考えた場合非常に問題じゃないかなと。要は先ほどから一番話の元にも戻るんですけれども、今回のこういう有機溶剤10種類のものは色々なこの特化則に厳しく規制されるということの前提を考えてみますと、なぜこういうお医者さんの世界、医学の立場の方が言われているのが国のこういうものに入ってないんかなっちゅうのが非常に疑問に思います。今日、ぜひその辺も併せて今の関連1-ブロモの話が出てまいりましたけれど、ぜひ厚労省の方からもぜひ意見をいただきたいなと思いますけどいかがですか。

○堀口 まず大前先生いかがでしょう。お医者さんの立場で。

○大前 1-ブロモプロパンは、1,1,1-トリクロロエタンが使用禁止になってからその代替品でワーッといっぱい使われたんですよね。それで神経毒性、それから一部造血器毒性等々明らかになってきましたんで、2年前でしたか産業衛生学会が0.5というふうに出しました。確かにおっしゃるようにこれは出来るだけ早くやったほうがいい物質だと思います。今まで抜けていたのは今のその640ですか、そこに入ってなかったというだけのあれだと思いますね。

○高村 リスク評価の対象物質を選定する際に、ばく露作業報告の制度が出来てから使われている方が情報を入手出来るものから選んでいくという考え方で、これまでSDS対象物質の640の中から選ぶという方法で行ってきております。その後、平成24年の労働安全衛生規則の改正で、640物質以外の物質でも危険有害性がある物質については、SDSの公布とラベルの表示について努力義務規定とする規則の改正がございまして、これについては今後われわれのほうも周知が必要だと思いますが、そういった物質のSDSの交付が徹底されていけば通知対象物質640に入ってないものについても、使用されている方は使っている物質の情報を入手するということが可能になってくるかと思います。そのようなリスク評価が始まったときから取り巻く制度が少し変わっていることを踏まえて640物質以外の、ハザードの強いといういう情報がある物質についてもリスク評価の対象とするということについて、先ほども室長からもありましたけども検討していきたいというふうに考えております。

○堀口 大前先生付け加えること、、、(Fさん、)どうぞ。

○E氏 私なぜこの1-ブロモについて思うかと言いますと、事業者の、ここの中にたくさんの事業者の方が来ておられるかと思うんですけれども、特に中小の事業者においてはやっぱり日本の法律に該当しているかどうかというのが、まず薬剤の選定の第1になっているんですね。ですから今回10物質の溶剤はバラッと入りましたけれども、じゃあ、事業者はどうするかっていうことになるとまずメーカーの営業、あるいは技術のほうから特化則になってこれどういうこと?まず話聞かせてよっていうところから、それに該当してない物質は何かなと、他に替わるものでなんかいいものないのというような話になるわけですね。すなわち要は日本の法律に入っているか入ってないかっちゅうのが全て大前提で動いているもんですからね、その日本の、先ほど私が言うようにお医者さんの世界でこういう数字になっているものが日本の法律にはありませんというような形で該当法令は、例えば1-ブロモだったら燃えるもんですよとかっていう消防法がなんか危険物のうんぬんとか、例えばちょっとしか項目ないんです。1-ブロモについては皆さんご存じだと思うんですけれども、そういうやはり僕はね、第2の胆管がん絶対起こしてはならないと、日本では欧米と違うのはやっぱりこういう大きな問題を2年前に起こしたことが分かったわけですから、やはりそういうリスクがあるというのは私は1-ブロモについては早急な対応というのは国としてもやらないといけないんじゃないかなというふうに思います。

○堀口 よろしいですか。

○高村 貴重なご意見ありがとうございます。

○堀口 リスクコミュニケーションも元々やっていませんでしたので、ぜひこの場に出てきてやはり制度が改善されてうまくいくことが大事だと思いますので、皆さんお誘いの上今後もご参加してください。よろしくお願いします。

 

  「基調講演の中で、酸化チタン等は肺に蓄積することによるストレス等によって発がん性の可能性があるとのことでしたが、蓄積ストレスでの発症評価に対する検討期間等はどのような判断で行われるのでしょうか。」大前先生お願いします。

○大前 先ほど酸化チタンのお話とかあるいはファイバーなんかもそうですけども、あるいは多分シリカなんかもそうじゃないかと思うんですが、肺に蓄積してマクロファージという貪食細胞が増殖をしてその中で色々な化学物質が出てきまして、それによって肺の炎症等々を起こすんですよね。そういう形でナノは起きるんだろうというふうにいわれております。一つの問題は確かに貪食細胞が処理しきれなくなってオーバーロードであっぷあっぷしていると。貪食細胞がおぼれているという感じですけども、そういう状態なんですが、そういう状態であればそれは違うだろう、その物質のほうが発がん性はないだろうというのは大体ぼんやり出来ていると思います。一つ残っている問題は、例えば典型例がインジウムなんですけども、ITOというインジウムの化合物がありますけどもこのITOは、ITOとして0.01でもきれいに発がんを起こすんですね、肺がん起こすんですね。非常に少ない量でも起きてくるわけです。これも貪食細胞が死んじゃうんですね。このところの境界をどうやってやるのかなっていうところがまだ問題として残っています。貪食細胞の立場から見れば、ITOが少し来てもあっぷあっぷんなっちゃうわけですね、オーバーロードになっちゃう。そういう話とそれから本当にオーバーロードがどこなのかというそこのとこは、これから議論になってくところだと思います。オーバーロードの話っていうのは大体日本だけではなくてヨーロッパでもそれからアメリカなんかでも、大体もう確定してきていると思います。ただ、今言いましたように何をオーバーロードとするかというところはまだ詰めきれてないところだと思ってます。

 

○堀口 「酸化チタンの初期リスク評価で、呼吸器感作性なしとなっています。粉じんの吸入によって体内に入る恐れがあると思いますが、具体的にどのような症状が出てくると予想されますか。」

○大前 肺の炎症です。だから繊維化という形になるんじゃないかと思います。いわゆる皆さんが想像する肺炎。風邪なんかひくと肺炎起こしますよね、ああいうものではなくて肺が硬くなってくるっていうのは多分起きることだと思ってます。一番近いといいますか、イメージとして近いのはじん肺ですね。珪肺とかさまざまな種類のじん肺がありますけども、あれに近いものだと思っています。これは感作ではありません、感作性ではありません。

 

○堀口「 酸化チタン、ナノ粒子以外の一般的な酸化チタンについて詳細リスク評価が終わっているのでしょうか。酸化チタンの詳細リスク評価はいつ公表なのでしょうか。」

○角田 ナノ以外のものについては、23年度にばく露実態調査をして24年の夏ごろ報告をまとめました。ただ、それは中間報告という形でございまして、ナノについての詳細評価の結果の報告書を取りまとめるのが大体今年の夏、7月かそのくらいになるというふうに考えております。

 

○堀口 「酸化チタン以外の粉で今後検討する物質はありますか。」

○角田 粉というと色々な形態があるかと思うんですが、ナノマテリアルではカーボンブラックについて、平成26年度にリスク評価を行う予定でございます。ばく露実態調査を平成26年度に行ってその翌年になるかと思いますけども、リスク評価書を取りまとめるという形でございます。

 

○堀口 それから、「ジクロロメタンの長期間にわたる高濃度のばく露により1,2-ジクロロプロパン同様な例とありますが、具体的な事例としてその期間濃度等について知りたい」ということですけれども。

○大前 報告されている中では、セルローストリアセテート、アセテート繊維の一部、三酢酸化っていうんですかね、トリアセテートの繊維でジクロロメタンから塩基使って作っているのがあるんですけども、それの繊維のほうの工場、フィルムと繊維と両方あり、繊維のほうの工場で今まで報告されている例ですと、僕の解釈で4例ございます。それは医学調査の中の事例ですが、その中にがんのくくりとして肺がんとか胃がんというくくりがあり、その中で肝臓および胆道のがんというくくりになっておりまして、一つの報告はその胆道および肝臓の中身が書いてありました。4例がんで亡くなった方が居て、一例は肝臓がん、一例は小型乳頭がんといいまして少し胆管の一番終末の所、十二指腸の所のがん、あとは胆管がんなんですけども、で、その2例。

  それからもう一つはやはり同じようにファイバーの工場でこれは肝臓胆道がんというくくりになって数が書いてあるんですが、それ確か2名でしたけども、その2名が2名とも胆管がんだったというのはやはり同じ取り扱いのファイバーの工場で報告があります。これは国外のお話で、濃度はやっぱり高かったですね。すいません、今正確な濃度覚えてないんですが、やっぱり300とか400とかそのくらいだったと思います。

  それから、今この1,2-ジクロロプロパンの労災の報告書の中で、ジクロロメタンも蓋然性が高いと書いたんですが可能性があるよっていうような表現になってます。もうすでに認定と公表されている例の中には1,2-ジクロロプロパンがなくて、ジクロロメタンだけという例がやっぱ何例かございます。ただ、このかたがたの推定濃度は随分高い。500を超えるとか900とか1400とか、なんかやたらめったら高いのでちょっとびっくりですけども、そういう方々が、今日本で何例が出ております。

 

○堀口 よろしいですか。で、「今回はIARCの区分で判断しているようですが、グルーピングがあいまいな情報で評価されていたこともあったと聞いています。羮に懲りて膾を吹くようなことがないよう、精査をよろしくお願いします」っていうことのご意見がありました。

  それから、「省令の改正によりラベルの義務が107から640に増えるとのことですが、シリカやブタノールのようなSDSの物質が幅広い場合には、どのような物質名の対応を取られる予定なのでしょうか?」

○高村 今のご質問は、昨年の労働政策審議会でまとめられた今後の安全性対策についての報告書の中の、「化学物質管理の在り方」において、ラベル表示を義務付ける物質の範囲を拡大、例えば、安全データシート、SDSの公布が義務付けられている化学物質まで拡大ということで、とりまとめられたものを踏まえての話かと思います。で、これについては現在の検討中の段階ではありますが、政省令の改正で表示対象物質の拡大も検討しているところです。その中で、表示対象物質としての名称についてどう考えるかということで、異性体等が含まれてSDS対象物質の名称になっているものについて、どうするのかというご意見を賜ったということで、今後の検討の際の参考にさせていただきたいと思います。

 

○堀口 それから、「メーカーへの説明はどうなっていますかっていうのと、代替の検討はどのくらい進んでいますか」っていうご質問があるんです。

○角田 メーカーの方々へのご説明というのは、この今の検討内容についての周知状況だということだと思うんですけれども、、通達を承知してなかったというお話も先ほどありましたが、私どものほうから先ほどの部長名の通知を大体400を超える事業者団体の皆さんのほうにお送りして、その中で周知をしてくださいという形で今御願いしているところです。通達につきましては先ほど説明しましたとおり、追って掲載されますので、ご参照していただければというふうに考えております。

それから代替物質のことですけれども、代替物質につきましては一概に国のほうでこれを使って欲しいというようなことは言えない部分があります。それはやはり実際に現場で使ってらっしゃる実態に応じてどういうものが適正かという、現場によって状況も違うと思いますので、一概に言えない部分もあるかと思います。SDS等の有害性情報等も参考にしながら現場の実態に合ったものを選定していただくようお願いします。その際に先ほど来、いろいろお話がございましたけれども、規制されてないものを選ぶということではなくて、有害性情報を十分確認して選定していただくということが大変重要だというふうに考えております。

 

○堀口 「われわれクロロカーボンを取りまとめる団体に、今回の厚労省の通知資料が届いていないがぜひ塩素系溶剤の適正使用を推進する組織でもあり、知らせてほしい」ということでした。

○角田 大変申し訳ありません。お送りさせていただきます。

 

○堀口 それから、「化学物質はそれぞれ固有の特徴を持っており、特性に合った国の法が定めてあります。2012年の胆管がん事件は労安法違反の事業者が起こした事件ではありますが、今後発がんの疑いのあるIARCの例えば2B2Aの物質を全て特化則にするのか、十分検討が必要だと考えています。たばこは発がん性物質のIARC1であるが特化則と同等の規制はしないんですか。事業者に法を守らせる指導、メーカーや団体による適正使用の推進が日本のものづくりを発展させる道だと思っています」って書いてあるので大前先生、なんか個人的には。

 

○大前 個人的には先ほども言いましたようにお酒はグループ1ですし、たばこもグループ1ですし、色々な発がん性は明確にはなっておるんですけども、それは別に発がん性あるからというだけで規制されるようなもんでもない、さっき文化的な要因とか言いましたけども。お酒がないとお祭りは出来ませんし、お正月は出来ないので規制しないというようなことがあると思いますので。たばこについては、今度なんか出るんじゃなかったっけ。

○高村 受動喫煙が。

○大前 あれは受動喫煙ですか、すいません、受動喫煙の法案は今度出るっていうふうに聞いていますけども、能動喫煙に関してはやめたほうがいいとは思いますけども。厚労のほうで規制するべきかどうかってそれは分かりません。

 

○堀口 大丈夫ですか、たばこに関しては。例えば化学物質とたばこのリスクと足し併せるとプラス以上のものになりますから、本当にインジウムのときも喫煙がかなり問題になっていましたので、やはりそこは健康管理のとこで頑張ってもらいたいなと思います。

  で、「発がんの恐れのある有機溶剤について有機溶剤業務が対象となっていますが、これが限定される可能性はありますか、今回のばく露報告対象でしたが」という話なんですけど。

○角田 先ほどちょっと触れたかもしれませんが、ばく露実態調査を行いましてリスク評価を行った結果、必要があればその対象業務についても見直すという方向になるかと思います。

 

○堀口 「発がんの恐れのある有機溶剤を取り扱う際の措置の中で、作業環境における個人ばく露濃度を○○ppm以下、というように規制は出来ないのでしょうか。作業環境における個人ばく露濃度を何々ppm以下というように規制は出来ないんでしょうか。」

○角田 個人ごとに規制するというよりもそういう作業環境の場として管理するということが適切だという判断でやっておりますので、今のところはご指摘のように個人で対応していくということは想定しておりません。

 

○堀口 だんだん時間も迫ってきたのですが、大体似たようなことが書いてあったりするんですけれども、ちょっと時間もあと10分ぐらいしかないので申し訳ないんですけど、何か追加で自分の質問がまだ伝わってないとか追加で質問のある方、挙手をしていただければと思うんですけれども、どなたか。はい、どうぞ。

 

○F氏 先ほど有機溶剤10物質、エチルベンゼンと同様の扱いをというお話があったんですけれども、エチルベンゼンと同じように閾値が二つ設定されるという考え方でよろしいんでしょうか。0.1%以上を超えたらと、有機溶剤を併せて5%以上だった場合というものと、1%以上だった場合という二通りがエチルベンゼンの場合ありましたれども。

○角田 そういう方向で考えております。繰り返しになるかもしれませんが、特化則の規制がかかるのは、それを1%以上含んでいる場合という形でございますし、有機則の規定を準用する場合は要するにその物質と有機溶剤を合わせて5%超になる場合という形です。エチルベンゼンも同じような形の規制ですが、そういうふうに考えております。

○F氏 ありがとうございます。

 

○堀口 特に大前先生へのご質問がある方は挙手をお願いしたいんですけれども。他にご質問ありませんか。大丈夫ですか? 室長、付け加えて何か、ここで訴えておきたいことがございましたら。

 

○角田 ご説明したとおりなんですけれども、これから規制が導入、今回有機溶剤10物質ということもありまして対象物質が多いということで、皆さんの中にはちょっとびっくりされたという意識の方もいらっしゃるのかもしれないんですけれども、本日ご説明をしましたような胆管がん事案というようなことも含めて、適切に健康障害を防止していくという考えで取り組んでいるものでございますので、ご理解をいただいて、またいろいろご意見等あれば寄せていただければというふうに思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

 

○堀口 はい。それで、「健康障害防止のための物質管理が必要ですが、次から次へと増える規制対象物質への対応で人的および経費の増加が問題となっています。あまり景気の良くない業界等では対応しきれないことも考えられ、行政等の支援検討が必要ではないかと考えます」っていうご意見がありました。他に何か。はい、どうぞ。

 

○G氏 お願いですけども、このシステム全体が特に自分の業務が要するに対象業務になるかならないかっていうのは非常に分かりにくいんですね。特に先ほどからお話が出ています有機溶剤の準用っていうのが全てに準用されるわけではなくて、しかもこのインプットになっている有害物質ばく露報告の定義の所で言っているばく露作業種類が有機溶剤とは違う形で出てくるわけです。で、その後で例えば洗浄、払拭、浸漬、脱脂の作業について作業報告を求められていて、作業環境をリスクされていて、規制されるのが洗浄、払拭だけっていう話になりますと、じゃあ、浸漬および脱脂の作業はいいのかとか、そういうような非常に混乱が起こるので、少なくともどういう作業が洗浄、払拭の業務なのかとか、塗装業務とは何なのかということを特化則の中で有機則準用という形じゃなくて、どこかで通達なりQ&Aでもいいですけど明記していただかないと、どれが塗装業務なのかとか、あと要するに脱脂の所に油を塗っているやつがあったら塗装業務になるかならないかとか、現場はものすごく混乱すると思いますんで、その辺りの文書の出し方なり文書の間の文言の定義みたいなものを行政側からお出しになるようによろしくお願い致します。

○堀口 現場がイメージが出来ない、これは作業がどれに該当しているのかどうなのかっていうところが読み込めないっていうことですよね。

○G氏 はい、関連部署をいろいろやったときにその文書が飛んでしまっているので、昨年末のときも要するに使用と雇用というものの言葉が突然変わったりしてみたいなそんなのがありまして、多分法律のほうから文書をやられるのでそのときに有害物質作業報告の言葉とかそういったようなものと似たような言葉が法律のほうに並んできて、実態は微妙に違うっていうのが起こっているような気がするんです。それなので法律ごとに特化則という規則は定義が微妙に違いますし、免状業務なんかも違いますんでその辺りを独立して特化則の中で自己解決するようなことをしていただいたほうが、法律についての理解がしやすいと思います。

○堀口 そこは厚生労働省のほうでもよく検討というか、考えていただければと。現場が使える法律にならないと作った意味がないので、よろしくお願いします。

  それではそろそろお時間になってきたんですけれども、何かありませんでしょうか。そうしましたら今回のリスクコミュニケーション、これにて終了させていただきたいと思います。皆さまご協力どうもありがとうございました。

 

○司会者(鈴木) ありがとうございました。事務局からですが、来週35日、大阪で同じセミナーをやっていただきます。もし取引先、もし関連がございましたらまだ空席ございますので、このような活発なご意見を、特に大阪は溶剤系をお使いになるところが多くございますので、ひとつご連絡お願い出来ればと思います。

今日はたくさんのご質問、ご意見いただきまして、大変有意義な、逆に言えばご指導いただきまして、本当ありがとうございました。今後も合わせまして厚生労働省からの情報提供をどういう感じでやるかご指導いただいて動いていきたいと思います。本当今日はどうもありがとうございます。

最後にブルーのアンケートですけれども、書いていただいて事務局に帰り渡していただければ幸いです。本当どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室
(電話番号)03(5253)1111(内線5511)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成25年度化学物質のリスク評価に係る企画検討会> 化学物質のリスク評価結果と健康障害防止措置の導入に関する意見交換会 議事録(2014年2月26日)

ページの先頭へ戻る