ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> ブランコ作業における安全対策検討会> 第3回 ブランコ作業における安全対策検討会 議事録(2014年1月29日)




2014年1月29日 第3回 ブランコ作業における安全対策検討会 議事録

労働基準局安全衛生部安全課

○日時

平成26年1月29日(火) 10:00~12:00


○場所

経済産業省別館1031各省庁共用会議室


○出席者

出席者(五十音順、敬称略)

石原 成昭 清水 尚憲
杉本 旭(座長) 中西 勲
西田 收 山田 忠彦

参考人

相川 淑紀 (一般社団法人 全国特定法面保護協会 技術部長)
久保田 好男 (一般社団法人 全国特定法面保護協会 安全委員長)
佐藤 功 (一般社団法人 全国特定法面保護協会 安全委員)

厚生労働省

一瀬 壽幸 (安全対策指導業務分析官)

○議題

(1)報告書(案)の検討
(2)その他

○議事

○杉本座長 それでは、時間がまだ2~3分あるようなのですが、皆さんそろいましたので、早速開始したいと思います。

 それでは、第3回「ブランコ作業における安全対策検討会」を開催いたします。

 まず最初に、事務局のほうから本日の出席状況の報告、資料の確認等をよろしくお願いいたします。

○事務局 本日の出席状況ですが、全委員に出席いただいております。併せて、前回に引き続き、一般社団法人全国特定法面保護協会さんのほうから相川技術部長、久保田安全委員長、佐藤安全委員のお三方に御参加をいただいておりますことを御報告申し上げます。なお、事務方ですが、安全課長と建設安全対策室長は、本日、急遽国会用務が入ったため、申しわけありませんが、欠席しております。

次に、資料の確認をいたします。

クリップどめになっておりまして、議事次第の1枚紙のほか、資料1、資料2とございます。資料1は検討会の報告書(案)、資料2は「報告書(案)に対する意見」ということで、本日おいでいただいております特定法面保護協会さんからいただいた意見、山田委員からいただいた意見を取りまとめていますので、御報告申し上げます。

資料について不足等ございますでしょうか。もし何かありましたら、事務局に適宜お知らせください。

○杉本座長 それでは、議題「(1)報告書(案)の検討」でありますが、報告書(案)について、事務局から説明をよろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、資料1の報告書(案)に従って説明をさせていただきます。

 表紙を1枚めくっていただきますと両面刷りになっていまして、裏に目次が載っておりますので、ご覧いただければと思います。

報告書案は4つの章立てとしています。

「1 はじめに」というところで本検討会の設置に至った背景、検討会の目的、対象とした作業の範囲というものを記載しています。

その次に「2 ブランコ作業をめぐる現状」として、ブランコ作業に係る労働災害発生状況、これまでの対策というものを記載した上で、「3 ブランコ作業における安全対策について(提言)」として、求められる対策について、提言という形で記載しています。

最後に、「4 おわりに」で締めくくっていますが、以下、この報告書案に従って個別の説明をしてまいります。

 まず、1ページ「はじめに」ですが、「(1)検討会設置の趣旨・目的」を記載しています。ここは検討会の設置要綱をベースに記載したものです。

(2)は、検討会での対象作業について記載をしているところです。

最初の段落に記載しておりますとおり、「作業床の設置が困難な場合の高所作業であって、作業箇所の上方(作業箇所が斜面の場合は当該斜面上部)」としていますが、そこからロープをつるして、当該ロープにより体を支持して行う作業ということで、これをこの報告書においては「ブランコ作業」として取り扱って、検討会報告書の対象とする作業としています。

今、申し上げたように、括弧書きで「斜面の場合は」と記載していますが、報告書の対象作業には斜面での作業も含めております。ただ、斜面と言っても、墜落のおそれの少ない緩斜面もありますので、どの程度の勾配のものまでこの報告書の対象とするのかをきちんと示しておく必要があるということで、具体的な勾配について、(2)の3段落目、1ページ目から2ページ目にかけて記載しております。

労働安全衛生法令では、勾配が40度以上の斜面上を転落することは墜落に含まれるという、省令での条文あるいは解釈が示されているところですので、ここは勾配40度以上の斜面での作業を対象としています。

なお、勾配が40度未満の緩斜面については、この報告書の対象ではありませんが、そういう緩斜面であっても、勾配に応じて必要な墜落防止措置をとることが必要である旨、併せて記載しているところです。

 最後に、「(参考)」ということで、十数行追加しております。

 この検討会では、ブランコ作業がある業種として、ビルメンテナンス業と建設業を念頭に置いて、報告書(案)でもこの2業種を中心に記載をしています。

 しかしながら、斜面での作業自体は、他の業種、例えば林業なども斜面での伐採作業など、対象作業があるのではないか、ということも考えられますので、その点について確認をしたのがここの記載となっております。

結論を申し上げると、林業における伐採作業などでブランコ作業を行うケースはほとんどなく、この検討結果が林業での伐木等の作業に与える影響は、極めて限定的であるというものでございます。

続きまして、「2 ブランコ作業をめぐる現状」についてです。2ページ下段からになります。

(1)として死亡災害の発生状況を記載しました。先ほど申し上げたとおり、ブランコ作業は主にビルメンテナンス業あるいは建設業において行われていますが、ビルメンテナンス業での年間発生件数は表1のとおり、建設業での年間発生件数は表2のとおりとなっています。いずれの業種においても年間数件の死亡災害が発生をしつつ、推移をしています。

 これらの死亡災害につきましては、報告書の末尾に資料としてその概要と原因を添付しています。後ほど見ていただければと思いますが、資料1-1がビルメンテナンス業、資料1-2が建設業のものです。

災害のパターンを類型化すると、3ページの6つほどの類型に分けられるということで、詳しい内容につきましては、資料2のほうに載せております。

次に、(2)としてブランコ作業におけるこれまでの対策ということで、アからウということで記載しております。

アとイにつきましては行政での対策、行政でこれまでこういう取り組みを行ってきたということを記載していまして、ウは関係業界での自主的な取り組み、積極的に取り組んでいただいているという対策を記したところです。

続きまして、4ページの中ほどのところから、具体的な提言になります。

まず、総論部として(1)に「対策の基本的方向性」というものを記載しております。

検討会の開催要綱ですとか、本報告書の「はじめに」などにおいても繰り返し記載をしていますが、基本的に高所作業というのは作業床の設置により行うということが大原則です。

ブランコ作業は、この大原則が当てはまらない、作業床の設置が困難な場合に特例的に行う作業ですが、墜落防止対策としては、例えばロープの点検とか、ロープの切断防止措置、あるいはその状況を確認するといった人の注意力あるいは人の技能に依存したものがほとんどであるということで、これまでの労働災害防止対策とは特徴あるいは性質が異なっているところです。

このため、ブランコ作業の安全対策においては、まず安全対策の多重化をすることにより、墜落のリスクを極力下げること。それと、安全教育を確実に実施するということによりまして、作業者の安全に係る意識、あるいは知識と技能の向上を図るというこの2点が基本的な対策の柱になるということで、記載をしています。

(2)以降が個別具体的な対策になります。

 まず、用具等についてということで、用具と緊結元について記載しています。

 (ア)で使用する用具についてということで、ロープ、安全帯、連結器具、下降器具、及びグリップ(墜落阻止器具)、ブランコ板と挙げています。

 まず、ロープにつきましては、十分な強度を有すること、緊結したロープが地上または斜面の末端まで届くだけの十分な長さを持っていること、著しい損傷、変形または腐食がないことなどを要件としているところです。

 (イ)の安全帯については、厚生労働省が安全帯の規格の告示を出しております。この告示において示されているハーネス型、いわゆるフルハーネスタイプの安全帯であるべきとさせていただいております。

なお、一般的に垂直面用ハーネス、傾斜面用ハーネスと呼ばれる安全帯がございますが、これは告示で示した安全帯の規格では胴ベルト型の安全帯の一種に分類されているということで、本報告書(案)で言うところのブランコ作業で使用する安全帯には含まない整理としていますので、後ほどの御議論に際して御留意をいただければと思います。

6ページに行きまして、「(ウ)連結器具、下降器具及びグリップ(墜落阻止器具)」ですが、基本的にそれぞれの用具について簡単な説明を加えています。

(エ)でブランコ台を記載していますが、これは前回の検討会で追記すべきという御意見をいただいたことを踏まえて記載をしたものです。

 「補助的なアクセサリーとしての位置付けがなされている」と記載しておりますが、これは全国ガラス外装クリーニング協会連合会さんが平成23年に作成された「ブランコ作業マニュアル」においてそのような記載をしているので、そのまま書き写させていただいております。

 続きまして、「イ ロープ支持物(ロープの緊結元)について」ということです。

「これは十分な強度を有する必要がある」という記載をしています。緊結元の強度としては、現場の状況などもありますので、非常に抽象的な表現ではありますが、少なくとも使用するロープの強度以上の引っ張りに耐えられるだけの強度を必要と記載した上で、具体的な確認方法を記した形としています。

また、前回の検討会で特定法面保護協会さんから御説明いただいた斜面でアンカーあるいは立木を使用する場合の要件も記載しました。

続いて、7ページ「(3)作業に係る危険の防止」についてです。

大きな流れとして、アとして事前の措置である「計画段階での安全確保」。

イとして、当日、本作業に入る前の「準備段階での安全確保」。

ウとして「本作業中の安全確保」。

最後に、エの「その他」と、大きく4つに分けて記載をしております。

以下、説明をしてまいります。

まず、「ア 計画段階での安全確保」ですが、(ア)で現場の状況を調査・記録する。その上で、「(イ)調査結果を踏まえた作業計画の策定」、それから「(ウ)作業指揮者の選任」という流れとしています。

(ウ)の作業指揮者ですが、求められる職務、どういう職務をさせるかというものを7ページの下のほうに記載しています。

作業指揮者として必要な能力を有する者の範囲を8ページの上に丸数字の1から丸数字の3として記載しています。

「必要な能力を有する者の範囲」でございますけれども、基本的にブランコ作業は、これまで長いこと行われてきているような作業でございまして、後ほど説明をさせていただきますが、特別教育を受けた作業経験者であるという丸数字の1、特別教育の全科目について十分な知識と経験を有している作業経験者であるという丸数字の2、この2つでかなりの数の方を確保できるのではないかと考えております。

丸数字の3の「以下の項目を満たす教育を受講した者であって」云々と書いているところについては、基本的にブランコ作業を全く経験していない方を前提として入れたものですが、ここにポツで挙げております3点の項目を満たす教育というのが、作業指揮者に対して最低限求められる知識となる者として想定をしております。

 次に、「イ 準備段階での安全確保」についてでます。

(ア)から(ケ)まで項目を立てておりますが、以下、項目ごとに説明をします。

「(ア)悪天候時の作業禁止」については、労働安全衛生規則第522条に高所作業における「悪天候時の作業禁止」という規定があり、この適用を受けるものと考えられます。

 「(イ)照度の保持」は、夜間にブランコ作業をするというケースもあり得る、というお話を伺いましたので、それを踏まえて入れたものですが、基本的にこれは労働安全衛生規則第523条の適用を受けるものと考えられる、と記載をしております。

これに加えて、具体的に照度の基準についても記載しました。実は照度の保持については、労働安全衛生規則第523条に定められた「高所作業における照度の保持」以外にも幾つか定められています。これらのうち、労働安全衛生規則第604条と事務所衛生基準規則第10条に具体的な照度の数値が記載されております。どちらの条文でも精密な作業は300ルクス以上、普通の作業は150ルクス以上、粗な作業は70ルクス以上とされております。これは安全基準ではなくて、衛生基準に該当するものです。安全基準は条文に具体的な数値はなく、照度の粗な作業の70ルクスでも、安全基準で示されている数値を上回る数値が設定されています。

ただ、ブランコ作業では、例えばロープの緊結状態の確認、あるいは切断防止措置の状態の確認が作業に含まれますので、安全基準を満たすだけでは不十分で考えられますので、少なくとも衛生基準上の普通の作業レベルの基準である150ルクスは必要である、と記載をしました。

「(ウ)ロープ、用具の作業前点検の実施」については、作業指揮者のところでも記載していますが、不良品を使用することによる危険を防止するための作業前点検を実施すべき、と記載しています。

「(エ)準備作業中の墜落を防止するための措置」について、準備作業中の対策については前回の検討会でも御指摘をいただきましたが、基本的に準備作業を行う場所は労働安全衛生規則第519条の適用を受ける場所になると考えられますので、同条に加えて安全帯の使用についての規定520条、521条の適用も受けるということになると記載をしております。

「(オ)ロープの緊結元の選定」について、ブランコ作業で使用するメインロープ、あるいはライフラインの緊結元ですが、それぞれ異なる緊結元をとるということで、片方の緊結元が外れたり、切れたりしても、もう一方で墜落を防止するという安全対策の多重化の概念を盛り込んだ記載としています。

次に(カ)(キ)(ク)の3つについてですが、用具の装着、ロープの緊結、ロープの切断防止措置それぞれについて記載してございます。

これらの措置が確実になされていることの確認作業については、そのリスクを極力低減するという考えに基づき、この確認作業は複数名で行うということを明記しているところでございます。

最後に、(ケ)ですが、今申し上げた複数名の確認について「最小限の体制」を記載しました。具体的には、少なくとも作業指揮者と作業者の2名で確認をしなさい、としています。

続きまして、「ウ 本作業中の安全確保」です。ここでは、ロープの2本使用、物体の落下を阻止するための措置、この2点を記載してございます。

まず、(ア)のロープの2本使用について、作業中に常時荷重のかかる作業用のメインロープ、安全帯の取りつけ設備としてのライフラインと2本を使用すべき、としています。このライフラインは通常は過重がかからない前提としており、メインロープに何か異常が生じた場合にライフラインを介して安全帯が機能して墜落を防止するという意味合いで、安全帯の取りつけ設備という記載をしているところです。

なお、斜面作業では、ライフラインの代替措置としてセーフティブロックの使用も考えられるその旨を記載しています。

「(イ)の物体の落下を防止するための措置」でございますが、ここについては、基本的には労働安全衛生規則第537条の適用を受けることになります。また、保護帽の着用については、労働安全衛生規則第539条の適用を受けることになります。

なお、丸数字の2の立入禁止措置、丸数字の3の用具の落下防止措置については、個別に明記しておくべきであると考え、特出しして記載しています。

11ページの中ほど「エ その他」です。経年劣化したものを使用することによる危険を防止するためのロープ、用具の廃棄・交換、あるいはロープ、用具の保管についての留意事項を記載しています。

その次に「オ 斜面での作業における留意事項」ということで、先ほど説明したとおり、ウ(ア)において斜面作業ではライフラインの代替措置としてセーフティブロックの使用について記載していますが、その場合の満たすべき要件として、基本的にメインロープと同等以上の性能を有することが求められると考え、ここに記載した3点を挙げています。

次に、11ページの(4)安全衛生教育です。先ほど特別教育の話もしましたが、特別教育が必要である、というトーンで記載しております。「(1)対策の基本的方向性」でも触れているとおり、作業者のブランコ作業に対する安全衛生意識や知識の向上はもちろん必要なのですが、それに加えて、作業を安全に行うための技能の向上も必要不可欠であると考えられます。このため、特別教育の内容としては、12ページになりますが、「イ 実技教育」も入れており、いわゆる座学だけでなく実技教育も行うべきである、としています。

最後、「4 おわりに」ということで、「検討結果を踏まえて、厚生労働省においては、労働安全衛生法令の見直しに向けて、速やかな対応が求められる」ということで結んでいます。

資料1の報告書(案)についての事務局からの説明は以上です。

○杉本座長 ありがとうございます。

 それでは、今般のこの報告書(案)に対しまして、本日参加いただいております全国特定法面保護協会の相川委員から御意見をいただいておりますので、まず全国特定法面保護協会さんからの御意見をまとめて御説明いただきたいと思います。

よろしくお願いします。

○相川技術部長 相川でございます。

 資料2「報告書(案)に対する意見」ということで、記載がございます。意見は2ページ目から5ページ目まで出してございます。

 最後のところには特別教育に関する御質問という形で出しております。

まず、2ページ目でございます。かいつまんで申し上げますと、総論でございますが、「1.報告書全体の在り方」の上から5行目、本報告書におけるブランコ作業に係る安全対策に関する内容につきましては、ビルからのブランコ作業に係るものとすべきであると考えます。まずはそれを主体にするということでございます。

 仮に法面作業を含む斜面作業についての記述するのであれば、あくまでも参考意見として聴取したということ、法面等の斜面作業における現状の安全対策に関する一つの具体的な参考例示としての記述とされることを要望いたします。

 それから2~3行下の中段です。仮に、ブランコ作業としてひとくくりで報告書に盛り込むとするならば、やはり法面などの自然斜面を相手に行うブランコ作業特有の事象等を考慮したものとする必要があると考えられます。

 例えば勾配40度とあるのですけれども、実際の法面、斜面におきましては、一部が40度であったとしても、それからまた勾配が変化して30度なり、もっと急になる場合もございます。では、そういう場合の判定をどのようにするかということまでもかかわってくるかと思います。

 それとともに、法面作業を含む斜面作業とビルのブランコ作業における作業方法もくしは作業の目的は全く異なるものでございますので、安全対策についても、両者では相入れることができない部分も少なからずございます。ですから、例えば斜面作業での安全対策につきましては、別途検討会などを設置するなどして内容の検討を行うことが必要でなかろうかと考えます。

 次に、各論の1番でございます。「勾配が40度以上の斜面上からロープを吊して行う作業とする」の後段に、「ただし、自然斜面等での作業の場合は、勾配が40度以上の場合であっても、当該工事施工箇所の状況等を踏まえた作業方法によることが必要となる場合も有ることを考慮すべきである」というふうなことを追記していただきたいということでございます。先ほどちょっと申し上げたとおりでございます。

その後、詳細の検討などがなされるかと思うのですけれども、勾配が40度以上の作業をブランコ作業とされた場合、報告書での安全対策は親綱の2本使いが求められます。これを基準とする安衛則の改正等が行われた場合、法面等の勾配40度以上の斜面での作業が全て親綱の2本使いになるということが考えられます。

仮にこのような規制を行うのであれば、斜面作業にかかわる業界団体とか、これを発注する機関、例えば国交省さんとか、そういうところを交えた場で検討を進めることが必要ではないかと考えます。

例えば2本使いの場合は、まず作業効率の低下が考えられます。そのために、歩掛かりというか、積算単価の見直しが必要になってくるわけですけれども、法面、斜面におきましては公共事業がメインでございますので、その積算につきましては、国交省さん、国のほうで行うわけなのです。民間さんが相手だったらば、そのようなことは決してないのでしょうけれども、全体にかかわってきます。斜面作業と言いましても、我々は法面保護工ばかりでなくて、例えばコンサルさんなどで事前に設計する場合は、現地調査をする場合があるのです。そういう場合には、崖地、斜面とか、そういうところも調査を行いますから、人が行って、そこに立って位置出しをするということがあるわけです。そこら辺のこともかかわってくるのではなかろうかと考えます。

法面業者のことなのですけれども、うちの会員、非会員の方もいっぱいいらっしゃるかと思うのですが、いずれにしても、法面の施工業者の大半は地方に拠点を置くような中小業者が多いはずなのです。いきなり2本使いの適用ということになってくると、大きな死活問題に発展することも想定されます。このため、時間をかけて議論し、決定していくということも必要かなと考えます。

それとともに、我々は吹きつけをしながら下がってくるわけですけれども、そのとき、吹きつけたものをロープがこするということもあるわけで、それが2本だったらば、なおさらなのです。勾配が緩いと、せっかく平滑に吹き付けたところをロープがこすっていくと、もう一回そこへ上って手直しするということもあるということでございます。それで、品質を守りつつ、施工能率をできるだけ落とさない2本使用の方法とか、ロープにかわるセーティブロックの使用方法といった、法面工が実際に施工する立場に立って標準的な使用方法を設定する必要があるだろうと考えます。

及び2本使いとする勾配の設定です。先ほどちょっと申し上げましたけれども、勾配が途中で変化している場合も多いということでございます。それの設定も必要だろうといった、標準化の作業があるということです。

加えて、ハーネスのことが先ほど出てまいりましたが、肩かけのついたようなハーネスは、法面作業用は現在流通していません。法面で使っているものには類似したものがございません。ましてや、股上のものがあるものについては、その体制を長時間保てません。かえって作業員に苦痛を与えることになります。

ですから、ハーネスについてもその形状を試作して、例えば公的に強度試験などを行う必要性も考えられるということでございます。

 そのようなことから、ちょっと詳細になりますけれども、報告書(案)の5ページ目「(2)ブランコ作業に使用する用具について (イ)安全帯」の「ここでいう『ハーネス型安全帯』の基準に適用する安全帯には、垂直面用ハーネス、斜面用ハーネスは含まない」のところから「斜面用ハーネス」を削除いただきたいということです。今すぐに適用となると、使えるものがないということでございます。ですから、開発とか試験などに時間及び費用を要するということでございます。

6ページ目の(ウ)の連絡器具、下降器具でございます。

下降器具にはシャックルとかエイト環が使用されているようなのですけれども、下降器具には作業員が手を放した状態でも急激に落下しないよう、個人差が生じないということでございますが、ベテランさんや、そうでない方がいらっしゃるでしょうから、一定のグリップ力を確保できる器具を使用すべきであって、例えば「下降器具には、十分な強度とともに個人差が生じないグリップ力を有するもの」といった内容を加えたほうがよろしいのかなという気がいたします。

 法面のほうにおいては昔、シャックルを使っていたのですが、それをロリップに変えていったのですが、結構期間を要しました。あるいは、シャックルとかエイト環の使用については、「窓の清掃作業においては」と限定していただければなと思います。

もしブランコ作業、両業種とも下降器具にシャックル、エイト環が使用可ですよとなったならば、また40年前に戻ってしまうことになってしまうのです。そのような危惧がございます。

報告書(案)の7ページ目の(3)の「(イ)調査結果を踏まえた作業計画の策定 の中の丸数字の1 作業箇所への入場の経路及びロープ緊結場所の設定」とあるのですが、「緊結場所の設定」を「緊結方法の設定」に変更いただきたいと思います。もしくは文章の頭に「窓の清掃作業においては」といった文言を入れていただきたいということでございます。

というのは、斜面作業のほうではロープの使用本数が多うございます。一時期に十数本を全部かける。または固定する立木も多数あります。ですから、それを一つ一つ特定し、計画書などに記載していくというのは非常に困難かと思います。

11ページ目のオの中にセーフティブロックの要件について書いてございますが、・の2つ目「ワイヤーが斜面の末端まで到達するだけの長さを有すること」とあるのですが、この要件は削除願いたいということでございます。というのは、セーフティブロックは、長さが限界となるとワイヤーの送り出しがストップする仕組みとなっております。また、現在はワイヤー長が30m程度まであるため、長い斜面では法尻までワイヤーが届かない場合もございます。そのようなことで、「末端まで到達するだけの長さを有すること」を削除していただければなと思います。

 あとは、事務局さんのほうから御説明はなかったのですけれども、報告書(案)の15ページにオブザーバーとして当協会名と参集者名が掲載されているのですが、「オブザーバー」ではなくて、「参考人として法面作業状況の説明を受けた団体」というふうに書きかえていただければと思います。

 その他の質問といたしまして、特別教育についても報告書には記載されているのですけれども、実際に特別教育を行うに当たって、どのような団体が行うのか、内容について書いてございます。

あと、建設業におきましては、現場で新入社員教育のときに教育を行うということがほとんどなのですが、そのときにブランコ作業についての教育を行うということも含まれていると思うのですが、大体特別教育を行った者に対しては、その修了証を発行していくのですけれども、それはどこの団体が発行するのかとか、そのような仕組みをもうちょっと詳しくわかるように記載していただければと思うところでございます。

 以上でございます。

○杉本座長 議長は余りコメントをしてはいけないかもしれないけれども、安全には基本的考え方があって、ここでの議論はグローバルな考え方と相当違いますね。まず、みんなで標準というのを定めて、これが標準なのだと。例えばロープは1本でいいのだ、これが標準と決めよう。だけど、この仕事のリスクアセスメントをやったら、それが標準より危険だとわかったから、2本にするのだと。2本を標準にしておいて、1本でいいのではないかというのは絶対に出せないね。みんなで標準を2本にしようではないかといったときに、うちは1本にするといって、それで起こった事故に対しては、アメリカだったらPLでものすごく賠償・補償をとられてしまう。この人は何で死んだのですかと訴えられてしまうからね。

だから、標準を1にして、2にすることはできるけれども、2をみんなで決めておいて、うちはちょっと手を抜きたいというのではないけれども、何かの都合でこれをしないというのは、特別の理由が要るのだね。

そんな安全の責任にはそんな考え方が基本にあります。これはグローバルな安全のフィーリングで、後で論議の中で私も加わりたいと思います。

 ありがとうございました。

 では、続いて、山田委員から御意見がありますということで、加えてよろしくお願いいたします。

○山田委員 ビルメン協会の代表をさせてもらっています山田でございます。

 前2回の検討委員会のときも話させていただいたのですが、ブランコ作業が正式な高所の作業方法として認められるか、認められないかというところが、安全対策、一番災害がなくなるところだと思うのです。

 この報告書(案)を見て私も非常にびっくりしたのですけれども、まず行政のほうでブランコ作業をやらない方向に指導していると書いてありますが、これは実際どこに指導をしているものですか。ここはちょっと聞きたいのです。

 私どもがビルのオーナー、ビル管理会社にヒアリングしても、行政のほうから、ここはゴンドラを使わなくてはだめだとか、ブランコ作業はおかしいという指導をしたという話を聞いたことがないのです。その辺をちょっと教えていただきたい。

○一瀬安全対策指導業務分析官 ガラスクリーニングのように例えば一度だけやるようなケースですと、足場の設置とかがなかなか難しいということがありますので、ガラスクリーニングについて、行ってはいけないという指導はしていないと思います。

 ブランコ作業をできるだけしないようにという話は、例えば建設業とかで塗装工事などに使っているような例が見えてきておりまして、そういった場合は足場を使ってくださいという指導をしております。そういう趣旨でございます。

○山田委員 わかりました。

安衛則をとっても「ブランコ作業」という項目は一切入っていないというところと、建設業にはブランコ工法というのは全く認められていない工法です。だから、建築業ではブランコ作業は一切しません。

というところで、私どものガラスクリーニング、清掃作業で行うのであれば、まず特別教育ありきであれば、安衛法と安衛則を変えて、ブランコ作業というものを厚生労働省のほうで認めていただかなければ全く意味がないと考えております。それがまず大前提なのです。

この報告書なのですけれども、ガラス外装クリーニング協会のほうではブランコ作業マニュアルというものがあるのです。それはこの報告書以上に厳しく書かれています。それと同時に、これは3年前ぐらいに改定しているのですが、西田さんに聞いていただければわかると思うのですが、これを基準にして安全課の安全専門官と一緒にパトロールをしているという事実がございます。安全専門官と一緒にパトロールをしているということは、この作業基準書で全然問題がないのではないかと考えているのです。

その中で、この報告書の問題点を幾つか述べさせていただきます。

まず、「はじめに」の(2)の本検討会報告書のところで「勾配40度」と書いてあるのですが、先ほど法面協会の方が言われたように、全く違う業態であり、全く違う業種であるので、これをリンクさせるのはちょっとおかしいのではないかと考えています。

 丸数字の2の「ブランコ作業」の定義です。「ロープを吊るし、当該ロープにより身体を支持して行う作業」と書いてありますが、これはロープ及びブランコ台により身体を支持して行う作業が本来の作業でございます。身体を支持するのはロープだけではございません。

6ページの「ブランコ台はブランコ作業における補助的なアクセサリーとして位置付けがなされている用具」とありますが、「補助的なアクセサリー」というのは、非常に危険な言葉だと思うのです。ブランコ台は作業床の役目もしていますし、安全対策の役目もこなす重要な用具であります。ですから、「アクセサリー」という言葉を外していただきたいということ。

逆に「ブランコ作業はブランコ台を必ず使用しなければならない」という定義を必ず入れていただきたいと考えています。ハーネスを使ったり、安全帯を使ったりして墜落防止をとっていると書いてありますが、実際私どもの業者では、もちろん自分自身も安全帯をつけますけれども、ブラコン台に直接墜落防止器具をつけて、もし1本目のメインロープが切れたとしても、ブランコ台に乗ったまま墜落阻止ができるということをやっている業者もいます。そういったところでブランコ台というのは非常に重要だというところをもう一度御検討いただきたいと思います。

 丸数字の3、5ページの「作業において身体を支えているロープや安全帯の接続に」というところで「ブランコ台」が抜けていると思います。これは今、ブランコ台の重要性ということで、安衛法には2メートル以上のところは作業床のところでやらなくてはいけないと出ているのですが、ブランコ作業で言う「作業床」というのはブランコ台だというふうに私は考えております。

 丸数字の4、「身体を支えているロープを2系統確保」とありますが、近年、山岳関係者が窓拭きガラスに普及させましたザイル及びケービングロープの作業を確認すると、2本のロープを同じ場所に、同じ荷重のかかる状態で作業しております。2本同時に破断する可能性も高く、万が一同時破断した場合は、安全対策が講じられない作業が今も日常茶飯事行われています。実際私もよく都内で見るのですけれども、無荷重のライフラインをとって、そこに安全対策措置を講じるというところが一番のメインだと思うのです。この報告書には、1本使って、もう一本ライフラインというところで、「無荷重」という明記をしていないのです。ぜひそこは「無荷重のライフラインを使用する」と明記していただきたいと思います。

 次のページです。

丸数字の5、6ページの(ウ)に「グリップ」と記載されていますが、「墜落防止器具(墜落阻止器具)」に変更することが望ましいと思います。

私どもは、墜落阻止器具としてグリップを使っておりますし、また、スライドするロープシャックルを使っているところもございます。

そういったところで、「グリップ」と称すると、山岳登山で行われるグリップというところもありまして、決してブランコ作業の墜落阻止のための安全装置ではないのです。そのために開発されているものはそんなにないと思います。そういったところで、建設現場などでも使用されているグリップというのは、ちゃんと墜落阻止器具として開発されたものでございます。そういったもので「グリップ」と称しているものを通常化されると危険性があるのではないかと考えております。

丸数字の7に、作業者に対する安全教育とありますが、先ほど申しましたように、今、ガラス外装クリーニング協会では「ブランコ作業安全教育」があります。これはブランコ作業に関する教育でございまして、実技指導も若干しておりますし、そういった高度な安全対策教育がなされていますので、それとは別に特別教育をなすのであれば、私が先ほど言いましたように、法制化してからでないとおかしいなと考えております。

丸数字の8、この報告書では、ブランコ作業における一番安全な防止対策というのは、屋上の安全管理対策だと思うのです。屋上を出たら、もう危険だという認識をしっかり持たせることによって安全管理がなされるのではないかと思っております。

 最後に、発注者責任なのですが、ガラスクリーニングの業務の大半はビルメンテナンス業者からの外部発注になっているのです。ビルメンテナンス業者の発注元責任(元方責任)というところをしっかり明記して、ガラス外装クリーニング業者と合同の安全監視体制、安全管理体制をとっていかなくてはいけないと考えております。

 それから、今、お話の中でちょっと考えたのですけれども、ハーネスの問題なのですが、ブランコ作業マニュアルにはフルハーネス型にしろ、ハーネスを使うのが望ましいと書いてありますが、実際A種安全帯を使っても安全にやっている業者もありますし、その辺をフルハーネスにしてしまうと、今、私たちの業者では非常に混乱が起きると思います。

また、そういうふうにこの報告書で明記することによって、それを基準として行政指導がなされてしまいますと、私たちの業者としては大分問題が出てくると思いますので、その辺を十分御考慮いただきたいと考えております。

以上です。

○杉本座長 それでは、御説明いただきました中で何点か御質問があったと思いますので、その点について事務局から回答があれば、お願いします。

○事務局 1点、報告書の体裁について、「オブザーバー」というのを「参考人」と修正してくださいということなので、これはいただいた御意見を踏まえて修正させていただきます。

また、特定法面保護協会さんから、資料2の4ページから5ページにかけての部分、先ほど相川部長のほうから御説明があった7-1と7-2の2項目に分けて教育について御質問をいただきましたので、回答いたします。

まず、7-1の御質問についての回答です。

特別教育ですが、労働安全衛生法第59条第3項の規定に基づき、一定の危険または有害な業務に従事する労働者に対して、安全衛生教育の一環として積極的に必要な知識及び技能を事前に付与させることを目的として、その事業者にその実施が義務づけられているというものです。

特別教育のカリキュラムや時間など、実施内容の詳細については、厚生労働省告示であります特別教育規程において定められています。

また、特別教育は、基本的には事業者に実施義務が課されていますが、実施主体について特に制限はありません。もちろん、特別教育規程に基づく特別教育として、カリキュラムや時間など、特別教育規程に定められた要件を満たす内容の教育を実施していただく必要がありますが、特別教育の実施機関について、例えば登録とか認定とか、そういった手続は必要ありません。以上が7-1についての回答です。

次に、7-2の御質問への回答です。

御質問では、「斜面作業では、新規入場者教育は現場において、安全衛生教育は現場や別途会場において実施しています」とございますが、前段の「新規入場者教育」は、労働安全衛生法第59条第1項の規定で雇い入れ時教育あるいは作業内容変更時の教育に該当するものと考えられます。従って、「新規入場者教育」を特別教育とは言いがたいのではないか、と考えられます。

また、後段の「安全衛生教育」については、先ほど申し上げたとおり、教育のカリキュラムあるいは時間などの要件が特別教育規程に定められた要件を満たすものであれば、特別教育として位置づけることは可能であると考えられます。

なお、修了証と特別教育の講師に係る御質問でございますが、まず特別教育の修了証の発行について、特段の規定はありません。特別教育を実施した場合には、受講者あるいは科目等について、3年間その記録を保存するということが事業者に義務づけられていますので、修了証を発行していただいた方が望ましいとは言えますが、修了証の発行自体は任意であり、修了証の様式も特段定められてはいません。

また、講師要件についても、特段定められていません。特別教育規程に定められた要件を満たす教育を実施していただく必要はありますが、その点をクリアすれば、どなたがやっていただいても構わないということで、講師の登録とか認定等の制度もありません。

○杉本座長 どうぞ。

○佐藤安全委員 質問ですが、他の特別教育の場合、通達等でインストラクター教育を受講した者が講師として望ましいとありますが、今回はどうですか。

○事務局 講師要件の話ですか。

○佐藤安全委員 はい、そうです。

○事務局 はい。今の段階で考えていないというか、まだ検討していないのですが、基本的には御負担のない方向で考えるのかなというふうに思いますけれども。

○山田委員 この特別教育についてですが、私どものガラスの清掃ではゴンドラを使うのですが、ゴンドラの場合は、ゴンドラ安全特別教育というのを受講しなくてはいけないというのが出ている。それは安衛則に載っているものですね。ということは、この特別教育とはまた違うということですか。

○事務局 ゴンドラの特別教育とは別にブランコ作業の特別教育を設けるという意味で、ブランコ作業を特別教育の対象に入れるということで労働安全衛生規則に載せるという前提です。ですから、基本的には省令改正で対応できるものであると考えております。

○山田委員 ということは、ブランコ作業が認められるということと考えていいですね。

○事務局 そうです。報告書では特別教育の対象とすることを念頭に置いた記載をしつつ、最後の「4 おわりに」のところで、厚生労働省はこれを踏まえて速やかな対応をすることとして結んだものです。

○山田委員 わかりました。ありがとうございます。

○杉本座長 議論を進めたいと思います。

 それでは、時間の関係もありますので、いただいた意見も踏まえつつ、報告書の個別の項目につきまして議論を進めていきたいと思います。

 資料を開いていただきまして、まず「はじめに」というところで趣旨・目的、「(2)本検討会報告書の対象とする作業」、この辺の議論をいただきたいと思います。御質問、コメントがございましたら、どうぞよろしくお願いします。いかがでしょうか。

40度等々、数値が具体的に出ましたけれども、その辺の御議論はいかがでしょうか。

○相川技術部長 法面の作業においては、40度の勾配だったら、比較的緩いほうなのです。ロープを斜面の上の立木などに固定します。法面が長いと、人がぶら下がって、そこから(作業員の前後)ロープがたるんでしまうのです。吹きつけですから、モルタルを吹きつけてみたり、植生基材というふわふわのものを吹きつけるわけですけれども、2本使いを行っていると、そこを(吹付け済みの箇所)全部こすりますので、それをまた補修するのに上がっていかなくてはいけないということになりかねないのです。その頻度が高くなってくるようなことがあるかと思います。

○佐藤安全委員 4法面作業での災害の多くは自立できるところで安全帯を外してしまうケースが多く、ロープが切れるとかいった災害はほとんどありません。ガラスクリーニング作業の場合は、自分の足では自立することが全くできないと思うので、そこが法面作業と全く違うところです。

以上です。

○杉本座長 なるほどね。

○久保田安全委員長 あと、先ほどの2本使いというところですが、40度からなりますと、そこからの2本使い。当協会でも会社によっては、角度を決めてここからは2本使いというような形でやっているところもありますが、2本使いが決して必要ないという意味ではなくて、当協会としては、40度という部分は緩斜面に当たって、かえってその部分が品質とかいろんな部分で支障を来す懸念があるということで、2本使いを決して否定するということではございませんので。

○山田委員 先ほど言いましたように、業態と業種が違うので、これは外すべきだと思うのです。例えば「40度」という文言が入ってしまうと、逆に作業員の人たちが、では、ここは全然大丈夫なのかというふうに混乱を起こすと思うので、ガラス外装クリーニング協会には、この部分に関しては必要ないのではないかなと思います。

○佐藤安全委員 それは垂直で作業するガラスクリーニング作業の考えですね。

○山田委員 垂直でないところもあります。

○佐藤安全委員 法面作業の場合、垂直でないところがほとんどです。

ガラスクリーニング作業とは、そこが違うということをまず認識していただきたいのです。

○山田委員 十分認識しています。

○佐藤安全委員 法面作業の場合、ある程度、角度を規定することが必要です。

○杉本座長 どうぞ。

○西田委員 前回の会議で40度以上の傾斜角というのは墜落の危険のある箇所だという解釈例規が出されているというお話がありました。墜落の危険のある箇所というのは、一般的に私の解釈だと、垂直面と同じような意味で墜落の危険のある箇所だというふうに解釈してしまうのですけれども、その解釈自体、違いますよということですか。

○佐藤安全委員 違います。労働安全衛生法では、40度以上を墜落と言っています。40度未満は転落です。40度以上が墜落という定義になっているわけです。

○事務局 40度未満のところで転落するというのは、先ほど申したとおり、労働安全衛生規則でいっても、40度未満のところからの転落は、高所からの墜落とはみなさない、そういう前提で議論をさせていただいています。

○一瀬安全対策指導業務分析官 40度以上の転落は墜落であるという解釈です。

○佐藤安全委員 そうですね。

○一瀬安全対策指導業務分析官 ですから、どこかにラインを引く必要がどうしてもあります。といいますのは、90度のときには「墜落」ですね。80度のときもそれはほとんど同じでしょうということになると思うのです。ところが、20度だと、これはそう大きな危険はないでしょうということなので、どこかに線を引く必要があって、それについては、これまで安衛則の中で「40度」という規定をしているということなのです。

 ですから、80度とか70度とかは大きな危険があるので、そこについては何らかの規制をしていかなければいけないし、どこで切るかというときに、「40」という数字は既にありますので、そこで切るしかないのかなというふうに我々としては思っております。

○久保田安全委員長 今、「40度」というのは、行政のほうでの一つのラインということで入っているという部分と、法面における作業をしたときの40度ということの違いがあるものですから、ここの部分で40度ということがいいのか悪いのかという部分で、今、この報告書のスタートが「40度」というところから来るものですから、こういう形の議論の食い違いというのはおかしいですが、そういうふうに思います。

○西田委員 恐らく40度の是非の話になってしまうと、ここで話すテーマではなくなってしまうのかなと思います。

○杉本座長 ただ、カテゴリーとして違いがあって、法面だと、ある意味で足をつきながらこうやっていくと。直角の場合だと、こういう風に吊り下げられると、作業として違うのではないかとなると、ハーネスについても目的が違うでしょうね。そうすると、一概にそれと一緒にすることはできないですね。今のブランコ台のほうが基本であるとかいう話になって、一緒にはできないですからね。

 そうすると、全体として同じ墜落の安全の話をしておきながら、カテゴリーが2つあるのだということで、中で分けるということですね。

○相川技術部長 そうです。

○杉本座長 作業が違うので、安全帯も違うのだと。だけど、同じように墜落を考えなければいけない、目的は労働者を助けることだというふうになると、作業の違いで事情が変わったとしても、少なくとも目的としては墜落を同じように防いでいくのだという発想になるわけですね。

 論議がなかなかまとまり切れないのですけれども。

そこら辺にいたしまして、次に行きますか。

では、次に「2 ブランコ作業をめぐる現状」というところに議論を移したいと思います。

(1)では死亡災害の発生状況、(2)ではこれの対策ということで、(ア)と(イ)で行政の対策の状況、(ウ)で関係業界での自主的対策の状況をまとめてもらっておりますけれども、これについての御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○相川技術部長 4ページの(イ)のところに「平成20年に『法面工事現場安全衛生管理の手引き」を策定し」とあるのですが、私が御報告を電話で言い間違えたかもしれません。平成20年の年度が、もしかすると16年だったかもしれません。下の「平成24年」が20年だったかもしれませんので、もう一度確認してからお電話を差し上げます。

○杉本座長 どの話ですか。

○事務局 4ページの(イ)というところで特定法面保護協会さんの取り組みというのがございますが、そこのところで「平成20年に『法面工事現場安全衛生管理の手引き』を策定し、平成24年に」ということで、この年号がちょっと違うかもしれないので、また御確認をいただけるというお話でございます。

○杉本座長 わかりました。

 しかし、ロープがほどけて、ロープが切れて、安全帯との接続が外れて、ロープと安全帯との接続を外した際に墜落。要するに、ロープがある意味でライフラインといいますか、代表的危険源というか、これこそ危険源というのがあるわけですね。これに対するリスクアセスメントを標準的にやったという例はないのですか。どういう事故がどういう確率で起こる。したがって、危険度としてはこういうふうに。

○山田委員 そういうのはガラス外装クリーニング協会ではやっていると思います。

○杉本座長 実際特別教育でそれをやらせると。

○山田委員 それは現に今のブランコ作業教育でやっています。

○杉本座長 実際にやった人は認識できるのですね。ああ、そうかなるほどといって。他の人にやらせたらおまえ、本当にわかっているのかと言われてしまう。自分でリスクアセスメントをやらせるのが一番いいのですね。

○相川技術部長 当協会のほうで平成16年にこの手引をつくって指導を始めたのですけれども、それから以降は実際にロープがほどけて墜落とか、ロープが切れて墜落という事故はないのです。というのは、毎年会員に報告してもらうようにしているのですが、過去のものを見てみると、なかったのですね。特に19年以降はないですね。

ですから、資料の3ページの上に載っている「平成19年~24年の建設業でのブランコ作業における年別死亡災害発生状況」という表の人数と合わないものですから、もしかしたら協会外で指導が行き渡っていないというか、そういうところなのかなと思ってみたりはしたのですけれども。

○石原委員 建築業界で発生した墜落死亡災害の件数も入っているからです。

○事務局 そうです。建設でビルの塗装をしているときに垂直面で落ちているようなものも入っていたりします。

○石原委員 「建設業」全体での発生件数ですから。

○相川技術部長 全体でしたね。申しわけございません。

○事務局 そうです。建設業全体です。アウトサイダーがやっておられるというのもあるとは思いますけれども、建設業全体でこの数字ということでございます。

○相川技術部長 私が申し上げたのはリスクアセスメントまではいかないのですが、特に重要な危ないポイントをこの中で記載して、それを指導しておりますので、昔から比べたら相当減ってはいるのだろうなと思うところですが。

○杉本座長 安全の理論屋なのでコメントしておきますと、今の話は全部信頼性の話なのです。二重系もみんな信頼性です。リスクベースも全部信頼性です。

 安全性というのは、とめることなのです。事故が起こってからとめるのではないです。事故が起こる前にとめるのです。赤信号の手前でとまるのです。穴ぼこの手前でとまるのです。人が飛び出したら、人を轢いてからとめるのではないです。全部事前にとまるのです。

 だから、これは、本当はみんな多重系で、どうやったら安定した作業ができるかと考えますと、安定した作業というのは信頼性の話なのです。だから、本当は不安なのでとめましたと。不安だから使うのを止めましたとか、ちょっと不安だから一時的にとめて、もう一回確認してみましたら、やはりだめだから完全に止めるとか、2人作業で確認して、2人とも信頼性の低いだめな男だったらどうしようもないのです。

 必ず2人がきちんとしていれば、どちらかが必ず気がつくだろうということです。気がつくというのは何かというと、やめよう、直そう、ちょっと待とう、上司に聞きに行こうというふうにやって安全のためにきちんととめることなのです。

 落っこちてから、もうちょっと早くやめればよかったというのが安全の問題なのです。だけど、そうならないように事前にやっていくというのが信頼性の話ですよ。

だから、とめる能力がちゃんとあるから、とまらないように事前にいろんなことをやりましょうといって、お互いに関係づけられて、いい仕事ができるのです。

だから、今のお話のように、事故がゼロになっても、偶然なのか、ちゃんとやってゼロなのか、不安だから止めるというふうにきちんと実行されていて、だから事故がゼロなのだと。事故が起こってからとめたってしようがないですから。監督署が飛んできて、何故止めなかったのか、と責められるのだから。警察が飛んできて作業を中止させられる。警察にやめさせられるのはわかるけれども、自分たちが事前に事故を防ぐ、事故の前にやめる、危険な作業をとめる、チェックする。これはちょっと不安だ、落っこちてからだと遅いというふうに、どうやって事前に確保するかが安全の話なのです。その体系が弱いね。

だから、2人で確認するというのは、異常に1人が気づいて、今日はいいところでやめてくれた。すぐに直さなければいけない、これは廃棄しなければいけないというふうに、そこに安全のポイントがあるのですね。

 2人がだめだと、権威を持っていないと、だめなのがオーケーになってしまう。おまえが言ったし、俺も言ったので、両方見ているからいいだろう。頼りない確認だと落下事故を起こして、あの2人はだらしなかったと。確実にオーケーということ、危険だという判断に権威をつけるにはダブルチェックが一番いいのです。原発の例の3つの電源みたいなもので、頼りない3重系は与えにできない。要するに、同時にやられてしまうのですね。

だから、何を特別教育で教えるかというと、本当に確信が持てないときには止まって、呼んで待つというのが原則なのです。異常を予知したときには止めて、呼んで待つ。安全を確認する人を呼ぶわけですね。自分もそうですけどね。

そうやって、ああ、よかったな、やめてよかったな、あるいは止める必要がなかったなというのも、止めてみて分けるというわけです。その権威を持ってやるとゼロになるのです。

あとはみんな確率です。リスクというのは、止める能力のなかった証拠です。

今の2つの問題もそうですね。1本だけならそれが切れたらどうするのですかと言ったら、落っこちるのだよとなってしまうのです。1本が切れても残りの1本が確実にあるから止めてくれるのです。事故があってから止めるのではないのです。最後のところの1本が安全の話なのです。あとの1本のほうは信頼性です。リスクなのです。確率なのです。だから、落っこちてから止めるのでなくて、落ちる前に止めてくれるというその装置が安全のための最後の切り札なのです。

それをなしにしていいといって、信頼性だけでいきましょうというのは大変な提案で、逆に言うと、その提案をするためのやめる手段といいますか、かわりになるようなものを人間にお願いをしたり、ほかの手段にお願いするかもしれません。メンテナンスでやるとか。でも、かわりになるかどうかを明確にしないと誰も納得できないね。

認証団体はみんなそうですね。国際規格の認証団体というのは、止める能力があると認証しているだけです。それが限界となって安全を確保しているねというのを認証マークにして、万が一落下事故が起こっても、二重系で確保できる安全の限界として仕方がなかったと言ってくれるのです。安全の限界を認めることは大変厳しい条件が求められるのです。

特別教育はみんなありますけれども、2人の作業もあるし、チェックもあるし、だけど、一番重要なのは廃棄基準。寿命が来てからではもう遅い。だったら、廃棄をするときには、これを基準にして、これ以上のものは使いませんからというのがとめる信頼性、安全の話。

2人でもってチェックして、オーケーだからいってしまいましょうというのが事故の原因です。

失敗はゼロの年もあるのですから、ゼロの年が本物のゼロの年であるには、やはり落っこちてから、もうちょっと早くやめればよかったのに。グリップが滑ってしまってと。では、何でもうちょっとグリップをとめるようにしなかったのか、何にもしなかったらとまるのだからと言ったら、それは切れてしまったので。何でもう一本のほうで切れないように準備しておかなかったのか。そういうのは、みんな手前のところで堂々とやめる権利をもらうというか、とめる権利をもらう。逆に言うと、とめる権利が最後にあるから、なるべくとまらないように効率よくやりましょうと。こういう関係を証明して、ドキュメントをとっておいて、それで事故になったら、ヨーロッパではそれを出すのです。

ヨーロッパでは何のために事前に認証マークをもらうかというと、こういうふうに考えて私たちはやりましたので、事故が起こったときは事前にどう考えたかを出しますからと言うのです。そうすると、そのときに見て、業務上過失や安全配慮義務違反はオーケー、これだけやったのだからいいということになるのです。

事前に何もやらないで、後になってから業務上過失で裁判をしましょうというと、何の根拠もないですね。ただ免許がありますみたいな感じですね。

 話の時間が長くなって済みませんけれども、事前に特別教育をやって、事前にこういう法律をつくって、そこにチェックシートがあって、私はわかりましたと言って事前にやって、ファイルを持って、私はこういうふうに作業をやらせるのだ、やるのだという関係を持つことがリスクアセスメントなのです。

事故だから起こるのです。そのときに、裁判所が出しなさいと言う。日本人だけがないというのです。国際規格では日本にはないので、あなたはPLにひっかかりますよということで、ドカンと高額の補償をとられるのです。

だけど、それを持っていれば、中身を見て、ああ、これは限界をきわめているな、これなら仕方がないなということで、補償・賠償が大幅に下がるというのが実態です。

だから、リスク低減をやるというのは、今、言ったように事前にやって、この事前を用意しておくということだね。あとは、いずれも出せる、チェックされたときに、堂々と自分はこういうことを解決できないので、こういう代案をつくってコントロールしていますという、そういう制度なのですね。

 そんなことがあって、ちょっと読んでみると、とめるという行為が甘いね。事故になってから、どうしても信頼性の話になって、作業性の話になる。2人でいいじゃないか、3人でいいじゃないかみたいな話も含めて、問題先送りになっていて、どーんと事故をやって、もうちょっと早くやめればよかったなというか、後悔しないで済んだのにな、ということになってしまうね。

 どうぞ。

○山田委員 ガラス協会のほうでも、平成3年に社団法人にしたのですけれども、その前から職長等に準じる教育ということで、職長に関しては安衛法に載っていて、12時間ですか、そういう教育を受けてというところで、基本的に窓ガラス清掃自体は安衛法に認められているものではないので、ガラスクリーニング協会としては、準じる教育という形で、災害防止責任者教育ということで2日間講習から始めて、そういう講習をしていました。現在もしています。そこには悪天候では中止命令を出せると。全く職長と同じ指揮権を発動できるようなことをやっています。

○佐藤安全委員 ガラスクリーニング協会では、職長はいないのですか。

○山田委員 職長に準じる教育です。職長はいません。

○西田委員 職長を置くようにという、規定の範囲外です。

○佐藤安全委員 労働安全衛生法では職長を選任しなさいというふうになっていますよね。

○西田委員 なっていません。

○山田委員 基本的に安衛法に抵触しないのですね。

○佐藤安全委員 抵触しないのですか。

○西田委員 はい。

○山田委員 だから、私は最初からまず安衛法、安衛則ありきだということをずっと言っているのです。

○佐藤安全委員 建設業の場合は、それが当然という認識でした。

○山田委員 そうです。だから、建設業の建築現場に入る場合は、職長教育をして入らなくてはいけないです。

○西田委員 ちょっと脱線していますので、議事のほうを進めていただきたいと思います。

○杉本座長 ということで、時間がなくなりますので、次に進みます。

○山田委員 よろしいですか。

○杉本座長 今の関連ですか。

○山田委員 そうでなくて、ここは時間をかけてしっかり話し合わなくてはいけないのではないかなと思うのですね。

○西田委員 管理体制の話は、この後の「作業に係る危険の防止」のところで出てきますので。

○杉本座長 後にしましょう。

 では、次に「3 ブランコ作業における安全対策について(提言)」に議論を移したいと思います。

 「(1)対策の基本的方向性」について御意見がありましたら、よろしくお願いします。

 先ほどの作業床が前提になっているのだと。これができないときにというので、落っこちてきてしまうという話なのですね。大前提、大原則はそういう考え方ですかね。

○佐藤安全委員 (2)のブランコ作業に使用する用具等について「(イ)安全帯」のところの「ハーネス型安全帯」にすべきだという文言ですが、法面作業の場合、上がよく言われている胴型の安全帯で、下が作業帯と言って、ガラスクリーニング作業からすると、ブランコなのです。

 法面作業は、同一姿勢を保つ作業ばかりではなく、斜面に足をつけながら鉄筋を運んだり、削岩機で削孔するといった作業もあります。それを考えると今の傾斜面用ハーネスは、お尻を支えるといった面で安定感がありますが、これがハーネスになってしまいますと、前吊りのハーネスがない現状ではかえって作業する人の作業がきつくなるばかりではなく、作業が全くできなくなってしまうことも考えられ、いきなりでは無理と思います。

○山田委員 ガラスの清掃でも一緒だと思うのです。ハーネスに絞るというのは、それなりにしっかり検討していくべきだと思います。

○杉本座長 どうぞ。

○事務局 今のお話、斜面作業に特化したハーネス型安全帯がなく、開発するとしても相応の時間がかかるので、その点を考慮して欲しい、ということだと思うのですけれども、我々としては安全対策ということで、報告書案では「こうあるべき」という理想論として書かせていただいたわけです。しかしながら、その一方で、理想論と現状との間にあまりに乖離があって、報告書案の内容が絵に描いた餅になってしまうのでは意味がないとも考えています。

先ほど山田委員のほうからお話があったA型の安全帯について、御指摘があったのは垂直面用ハーネスを…

○西田委員 胴ベルト型ですね。

○事務局 胴ベルト型の安全帯を使っている現状もあるので考慮して欲しいという御意見だと認識しています。そういう現状を踏まえてどのように現実的な対応をしていくかを考える必要があります。具体的には、垂直面用の作業、あるいは傾斜面用の作業に特化したフルハーネスの安全帯をどのように開発していくか、ということになると思われます。これは我々行政がどうこう、というよりも、開発していく下地があるのかどうか、という話になると思います。中西委員にお伺いしますが、保安用品協会さんとしては、どのようにお考えでしょうか。

○中西委員 お話の中で、我々がつくっている安全帯というのは、当初から力がかかっていない状態の安全帯、万が一墜落したときに、そこで保持するという安全帯を今まで開発してきたわけですね。ですから、常時力をかけながらやっている安全帯ではないので、西田委員のほうからも開発に協力してくれというお話があったので、それは我々の研究会として一応やりましょうという方向に行っています。

 今の法面のほうの作業内容については、我々はまだわからない。知っているメーカーもあると思いますけれども、あさって委員会がありますので、その辺も含めて、同じ要件なので、一緒に開発させていただきたいと思います。

 ですけど、つくっても、どういうふうに担保しようかということになって、もしあれでしたら、安全帯の今の構造規格の中に特別に別規格ということで、法面とブランコの安全帯についてはこういう基準でいくのだという規格をつくっていただきたいなと。逆にそういう方向でいけないかなと思います。

○佐藤安全委員 ただ、もし作るとしたら作業する人の負担を軽減できるものにしてもらいたい。

○中西委員 その辺は、作業内容がよくわかっていかないと。

 今おっしゃるように、役所のほうからハーネスを使えという御指導をいただいて、今、いろいろ使っていただいていますし、その結果、ハーネスの安全帯の使用がふえてきているのです。ですから、今、胴ベルトでやっている安全帯は簡易で、軽いしという考えもありますし、ハーネスを使っていくことがおととしあたりから随分ふえてきていますので、一概にはそういうことを言えないとは思うのです。ただ、使い勝手が悪いというお話はあるかもわかりません。それと安全とはまたちょっと別問題ということなのですね。

○佐藤安全委員 それを一体化して考えてもらわないと、安全は担保できないと私は思います。

○事務局 胴ベルト型でも安全だという御指摘がありますが、一方で、報告書案で書かせていただいたとおり、胴ベルト型の安全帯を使用していて落ち、安全帯により墜落は免れたものの、吊されたことにより胴体が締めつけられ、救助が来るまで長時間その状態になっていたことが原因で死亡に至ったという死亡災害があり、類型の1つとして取り上げています。フルハーネスの安全帯を打ち出したのはそういった背景を踏まえてのことですので、御理解いただければと思います。

○佐藤安全委員 これを読ませていただいて、多分胴ベルト型の安全帯だと思います。それを二丁使いして、何かの拍子でなったと私は理解しています。

○事務局 この死亡災害の概要では、まず、落ちたときの衝撃が胴ベルトの部分にかかってしまった。更に、救助待ちの間、最初は受け答えができたけれども、だんだん意識を失っていった、という経過となっています。吊された状態で長時間置かれていると、この死亡災害に類似した展開になることも想定されましたので、こういう書き方をさせていただいたところです。

○佐藤安全委員 わかりました。

○杉本座長 どうぞ。

○西田委員 ハーネス型安全帯の話は結構難しい部分があると思うのですよ。しかしながら、第12次防、労働災害防止計画の中でもハーネス型の普及というのは明示してあるところなので、今、このタイミングでブランコ作業の安全対策を検討する上においては、ハーネス型安全帯の普及ということを前提に考えるのは原点だと思うのです。

ただ、残念ながら2本のロープを使うという規定をしているではないですか。1本のロープは身体保持用、もう一本のロープは墜落阻止用だと。現行の安全帯の規格でいうところのハーネス型安全帯というのは、墜落阻止用の安全帯でしかないのです。法面さんのほうで使われているような身体保持用のものは、全て胴ベルト型のほうで区分けされている部分になりますので、身体保持機能をあわせ持ったハーネス型の安全帯というものの開発、並びに安全帯の規格の早急な議論、せいてもしようがないとは思うのですが、それが望まれるところなのかなと。

ここでハーネス型の安全帯を使用するべきであると。垂直面、傾斜面は含まない、要するに、身体保持用の安全帯は含まないということになってしまいますと、身体保持用の親綱と墜落阻止用の親綱を使うのだという前提とちょっとパラドックスに陥っていってしまうところがありますので、その辺はどういう表現で報告書に盛り込むのか、デリケートなところだと思いますが、そういう部分もあわせて、第12次防で言うところのハーネス型安全帯の普及というものを、我々はガラスクリーニングの業界の皆様に、山田委員はビルメンテナンス業界の皆様に、法面協会の皆様は法面協会の方に周知も図っていただく。

同時に、身体に負担のない傾斜面用に使える安全帯というものの開発を、中西委員や関連の安全帯研究委員会の皆様と情報交換をされて開発していくというのが、どうやって安全をつくっていくかということではないかなと思います。

○事務局 報告書(案)の10ページのウの「(ア)メインロープ、ライフラインの使用」のところで、先ほど山田委員のほうからあった御意見の中で、荷重のかからない系統と荷重のかかる系統のロープを用意すべきだという御指摘がありました。該当部分の報告書案の記載は「作業中に常時荷重のかかる作業用のメインロープ及び安全帯の取付設備としてのラインライン」となっていますが、前段のメインロープは、作業中に常時荷重のかかるもので、後段のライフラインは、荷重がかからないというニュアンスで書いており、いただいた御意見のとおりの記載にしたつもりでした。

もう少し補足すると、ブランコ台や、傾斜面用ハーネスのお尻を支える機能などの部分は、結局、作業中に常時荷重のかかる作業用のメインロープから接続する部分としてのメインロープの系統として考えていました。その系統とは別に、ふだんは無荷重であるけれども、メインロープに何か異常があったときに安全帯が機能して墜落を防止するための「安全帯の取付設備」としてのライフラインの系統があり、報告書案としては、この2系統を分けて書いたつもりでした。

しかし、今の御議論や御意見を聞いていて、その辺りのニュアンスがうまいこと伝わっておらず、誤解を招く表現になっていたようなので、今、西田委員から「身体保持機能を持った安全帯」という御指摘がありましたが、その点も含めて、ここのところは、ライフラインは無荷重であるということが明確に分かるような記載を考えてみます。

○山田委員 そうなると、技術的な話になってしまうのですけれども、安全帯が救うだけではないと思うのです。ブランコ台ももちろん救いますし、ブランコ台に墜落阻止器具がついていれば問題ないわけですよ。逆に、胴締めのベルトでも全く問題ないというガラス業者もいますので、それをハーネスに限定してしまうと、ガラスの業界はすごく混乱すると思いますし、今のブランコ作業マニュアルにはハーネスが望ましいと書いてある程度でおさめていただかないと、大分問題になってくるのではないかなと思いますね。

○事務局 先ほども申し上げたとおり、理想論的なことは書いたつもりなのですが、その一方で現実と余りにも乖離があって、今、直ちに適用するのは非常に乱暴なのではないか、ということになるのであれば、そこは現実と照らし合わせながら落としどころを探っていく必要があると考えます。傾斜面作業用に特化したフルハーネスの開発などもその中に含まれる、と考えております。

 いずれにしても、書き方を整理したいと考えています。

○山田委員 それはガラスの業界の人たちにももう少しヒアリングしていただいて、胴締めベルトでやっている会社が結構あると思いますので。

○事務局 先日、委員の皆様も含めて視察をしたビルガラス清掃現場ではフルハーネスを使用していたことを踏まえ、これがベストであると考え、このような記載にしたところです。

○西田委員 ここ2年ぐらいの休業災害の事例なのですが、胴ベルト型で板のほうから足を踏み外して、ライフラインのほうにぶら下がってしまった。胴ベルト型の安全帯だったと。胴ベルト型安全帯というのは、一般的に2分ぐらいしかもたなくて、3分たったらもたないというふうに言われていますけれども、その人はビルの壁面にそういう形でぶら下がってしまったわけですね。3分待っても誰も救助に来てくれるわけはありませんから、結局、その人はどうしたかというと、連結している器具を安全帯から外して、ロープを手でつかみながら垂直面をおりていったのです。とうとう最後に力尽きて手を放して、骨折で休業3カ月ぐらいだったのかな。

そういうことがありまして、安全帯についてはハーネス型、我々が言うハーネス型というのは、日本の安全帯の規格で規定されているものでなくて、CEタイプのものを指して言っているのですが、ハーネス型の安全帯のほうが選択されるべきであろうというような一定の結論を出したというところでございます。

○山田委員 結論はどこで出したのですか。協会で出したのですか。

○西田委員 うちの連合会です。

○山田委員 そしたら、協会のほうでそういう話が出てこなくてはおかしいのではないですか。

○西田委員 それは各地区の協会からそのような広報をして。

そうでなければいかぬ、違反したら何かのペナルティーを課すのだということではありませんよ。

○山田委員 まず、災害ありきで考えるのです。例えばゴンドラを使う場合は、ゴンドラのロープ、ワイヤーが切れたらどうなるかとか、そういう話ではないのです。ゴンドラ作業をするには、ゴンドラの作業開始前点検をやって、しっかり動作を確認してという教育なのですね。ゴンドラ特別教育というのはそういうことです。

 だから、ブランコの特別教育をやるのであれば、ロープが切れるなんて絶対にあってはならないことで、その前の段階、安全管理体制をしっかり整えていく教育だと思いますね。

 だから、例えばロープが切れるなどというのはあり得ない話なので、安全帯がフルハーネスでないとだめだとか、そういう問題は後の話ではないかと思います。

○西田委員 ただ、それでもハーネス型の安全帯は普及させる方向で考えないと。

○山田委員 もちろん、それは普及させればいいと思いますし、ただ、ハーネスを取り入れない会社はガラス会社に幾らでもありますので、その辺はちょっと考慮していただきたいと思います。

○事務局 そこは、先ほど申し上げたとおり、現実とこの報告書の中身に乖離があって、報告書の内容が絵に描いた餅になってはいけないので、そこは落としどころを探りながら、例えば開発するまでの間は猶予しましょう、といったようなことも含めて、相談していきたい、と考えています。ですので、直ちに一足飛びにハーネス型を義務づけましょうなどという話をしているつもりはありません。

○中西委員 今、ハーネス型でフックが後ろだけだとおっしゃっていますけれども、前のフックもありますので、各社、皆さん、もうお持ちなので、それでしたら、1回検討していただければいいと思います。

○山田委員 それはフルハーネスのことを言っているのですか。

○中西委員 はい。

○山田委員 フルハーネスについては、うちの会社もフルハーネスをゴンドラのときは使っていますが、それはナンセンスだと思いますよ。フルハーネスにしなくてはいけないというのは間違っていると思います。もっとしっかり検討していただきたいなと思います。

○杉本座長 ということで、検討しましょう。

 私も状況が余り見えていないので、どういうふうに落下が起こるの、どういうふうな姿勢で苦痛を受けるのか、現状はどのように対処しているのか、そういう。

○山田委員 切れない、落ちない、そういった安全管理体制をつくっていかなくてはいけないのではないですか。

○杉本座長 そうそう。ブランコ作業は絶対に落ちない対策が必要ですね。

○山田委員 切れたとき、どうしようかとかいう前提に、まず切れないための安全管理体制ではないですかね。

○杉本座長 それが安全を最初に考えることなのです。自動車事故がそうですが、人間に任せたら毎年5,000人も死ぬのだから仕方がないと言って、また今年も同じ数の死亡事故を出すのだけれども、本当は、最後の手段としてアイサイトではないけれども、安全装置で事故が起こる前に止まるというのをつくっていく。というふうにやると、止まる安全装置を用意すると、今度は逆になるべく止まらないように運転が安全になってくるのです。そうすると、最後の安全装置が止めてくれるおかげで、安全については人間がこんなに楽になったと。

安全の話は、人間に注意を押しつけて事故を防ぐというプロセスができているので、最初から安全装置がないという前提をつくってしまうと、人間の教育でいいだろうということで終わってしまうのですね。

それの装備の限界を、作業管理の限界を、危険なときの人間の対応の限界を、といくのですね。今、危険な状態の最後の限界のためにハーネスに来て、事故のプロセスをここで停止させるというのが安全の話だということですね。

○山田委員 あと、ブランコ台というのはアクセサリーではないので、非常に重要なものなのです。体も安定しますし、ブランコ台を使わない作業というのは非常に危険だと思いますので、そういったところをもう一回しっかり検討していただきたいなと思います。

○事務局 報告書(案)の説明のところで申し上げましたけれども、「ブランコ作業マニュアル」に書いてあったので、その記載をそのまま引き写したのですが、それはアクセサリーでなくて、主要な部材なのだということであれば、そこは修正させていただきます。

 ロープを使用する高所作業では実際ブランコ台を使わないでロープに直接安全帯をつないで行う作業もあるのではないですか。

○山田委員 ほとんどないです。

○事務局 ブランコ台を使わない作業もあると仄聞していました。

○山田委員 中には一部あるかもしれないですけれども、ほとんどブランコ台は使いません。

ブランコ台がアクセサリーだというのは、どこの報告書。

○西田委員 それは私どものマニュアルのほうに記載されています。

○山田委員 アクセサリーだということで。

○西田委員 はい。

なぜそういう表現に至ったかというのは連合会の中では説明を申し上げているのですが、そもそもこのマニュアルの原型というのは、四半世紀ぐらい前にさかのぼるのですけれども、当時はブランコ板というものを作業床に準じるものという位置づけにしようとした時期があって、「座床板」という言い方をしていた時代があるのです。これは作業床であるというような言い方で結構行政関係にアピールしたこともあるのですが、いや、これは作業床ではないよということ。一方で、私どもとしましても、では、ブランコ板の構造を規格化できるのかという部分もあって、ブランコ板、ブランコ台が本当に重要な部分であれば、このブランコ板というのはどういう素材を使って、どういうサイズであって、どういう構造を持っているという規格をきちんと明確にしなければいけなくなりますね。

現実的に使用されているブランコ台にもさまざまなものがあります。ただ、木材ですから結構割れたりもしている。いわゆる作業床のような確実なものではないのですね。それで、グローバルな考え方としては、安全帯のほうで身体保持用のD環と墜落阻止用のD環があって、それぞれ身体保持用の親綱と墜落阻止用の親綱につなぐという形で規格化されているという先例がありましたので、そちらの方向で規格化したほうが整然とした規格になるであろうという方針で、板については「アクセサリー」という位置づけをさせていただきました。

○山田委員 それはガラス外装クリーニング協会の見解なのですね。

○西田委員 はい。連合会の見解です。

○山田委員 間違っていると思いますね。ブランコ台は非常に重要なものでありますし、今、ステンレスのものもできていますし、そこのところももう少し検討していただきたいなと思いますね。厚労省の方たちもしっかり現場を見て、実際乗っていただければ一番わかると思うのですけれども、作業するに当たっても安定しますし、どれだけ重要か。ブランコ台がなかったら、今のガラスの清掃というのは大半が大変な作業になると思います。そういったところが非常に重要です。なおかつそこに座って作業することによって安定感もあります。逆にそれを連結していれば、もし1本切れたとしても、そのまま横に移るだけなので、そういった安全なところもできます。重要なことだと思うので、もう少しブランコ台のところを検討していただきたい。決してアクセサリーではないと思います。

○一瀬安全対策指導業務分析官 先日も現場を見せていただきまして、メインロープのほうにはブランコ台をつなげていて、確かにそこで体を支えているということですので、「補助的なアクセサリー」という表現は適切ではないのだろうと思っております。

○山田委員 ロープで支えているのはブランコ台ですから。

○一瀬安全対策指導業務分析官 マニュアルに書いてあったので、そこから引っ張ってきているのですが、そこのところは修正をさせていただきたいと思います。

○山田委員 絶対それは間違っていると思います。

○一瀬安全対策指導業務分析官 あと、関連して山田委員にお聞きしたいのですが、御意見の6ページの丸数字の3の中に「無荷重のライフイランにブランコ台と墜落防止器具を直接連結する」と。

○山田委員 している業者もあります

○一瀬安全対策指導業務分析官 そういう業者もあるということですね。

○山田委員 その業者は、1本のロープが切れたときも、安全帯に命を預けるのではなくて、ブランコ台に命を預ける。そういうことをやっている業者もあります。それをちょっと言っただけです。

○事務局 ブランコ台に座って作業するので、ブランコ台にはメインロープをつないで荷重がかかると認識しているのですが、今の御指摘は、ブランコ台をメインロープにつなぎ、同時にライフラインにもつないで作業するケースがある、ということですか。

○山田委員 そうです。

○西田委員 これはツインロープ方式のことを言っているのですね。

○山田委員 いやいや、パラレルのことです。

○西田委員 パラレルでも2本荷重するのですか。

○山田委員 そこはやっていますからね。ライフラインにブランコ台を連結しています。

○西田委員 ゴンドラにおいての「ライフライン」という言葉は、作業者の墜落を防止するためでなくて、ケージ、かごを墜落させないために使うのがライフラインだということなので、そちらのほうの考え方からいうと、ブランコ台のほうにライフラインというのは連結されるべきだろうと解釈された方がいらっしゃるということですね。

○山田委員 そうやって1本切れても安全だと。ハーネス安全帯に命を預けなくても大丈夫だ、そちらのほうがよっぽど身体的には安全だという見解でやっている会社もあるということです。

 だから、業種のものをもっと詳しく調べていただきたいと思うのです。まだばらばらなのです。

○西田委員 私どものほうで行政の皆さんにブランコの安全の問題にもう一歩踏み込んで取り組んでいただきたいというお願いをしましたのは、今、そういうばらばらな状況がありますので、それをもう少し整理をして、ある程度の規制の対象にしていただかないと災害の防止というものは難しいのかなという部分もあって、お願いをしておりますので、今のばらばらの状態がこのままでいいというふうには決して思ってはいません。

○杉本座長 まず、頭の中で作業を標準化してもらいたいね。

○西田委員 そうですね。

○杉本座長 いろんなケースが出てきてね。

○山田委員 ただ、安全にやるところは一緒ではないですか。

○石原委員 ビルメンテナンス協会とガラスクリーニング協会の両協会で内容について事前に打ち合わせ調整をすればいいと思いますね。

○西田委員 私も同感です。申しわけございません。

○山田委員 現にガラスの協会も安全対策をしっかり講じて、そういう教育も講じてやっているわけですね。

○杉本座長 やっていると言うけれども、今、言ったように標準的な話がわからないままやっていると。

○山田委員 それは協会のほうでもっと検討していただきたいなというところです。逆に僕がガラスの協会員の方たちの代弁者みたいになっているのですね。本来しっかりやってくれというふうに言いたいのですが、ハーネスのこと一つとっても、ライフラインのことをとっても、それはもっとしっかり検討していただきたいなと思っています。

○杉本座長 私も頭の中で整理がつかない。どういうふうな標準的方法とか考え方があって、どうしても私たちの事情でその標準から離れるので、こういう準備をしたので標準から離れるのを認めてくださいと普通はいくのですね。みんなで共通化しないとできないので、離れるなら離れる理由をちゃんとやって、その理由のためにこれだけ準備したのだから離させてくださいよというふうに普通はいくのですね。

 だけど、みんな勝手に標準から離れてしまった。本当は離れるには正当な事由がなければならないのですね。

○佐藤安全委員 法面業界の作業方法は、ほとんど同じです。

○石原委員 我々は労働安全衛生法の中でやっている。統一した法規制があるからいいのですけれども、統一した法規制の中でない話では困ります。

○山田委員 最初から話にならないですよ。だから、安衛法等、そちらからまず入っていかなくてはだめだということを僕はずっと言っている。

○石原委員 労働安全衛生法に準ずるように両協会がしてくれれば入りやすいのだね。

○山田委員 そうですね。

○杉本座長 グリップの話はいいのですか。

○事務局 法令上、「グリップ」という言葉を使用しております。ただ、それだと、現場の方にわかりづらいという御指摘もいただいていたので。

○山田委員 何か挟むのも「グリップ」と言うではないですか。

○事務局 安全帯の規格の中で「グリップ」という言葉を使っていて、ロープ作業で使うグリップの機能を有するものを称して言っているので、そういう意味で使わせていただいております。

○山田委員 国際法上というのはあるのですか。

○事務局 報告書の中では山田委員の御指摘も踏まえてわかりやすく書くのですが、通常法令の中ではJISの用語とかを引用していますので、多分それとの並びで使っていくのかなというふうに思いますけれども。

○山田委員 では、ロープシャックルスライド方式を使っている企業に対しては、どうするのですか。グリップしか使えないということなのですか。

○西田委員 「スライド」という言葉そのものが法令用語ではないですね。

○石原委員 ここではすべてを含めて「グリップ」という総称なのです。

○西田委員 安研のレポートで「スライド」という言葉を使っています。

○山田委員 だから、グリップでないやつも使っているわけですね。

○石原委員 総称で「グリップ」になっているということ。そこをどう使い分けをしているかというのが実際の施工での計画や方法となります。

○山田委員 だから、「墜落阻止器具」という名称を使うべきで、それが安全対策なのではないかなと思います。

○事務局 ですから、我々は別にその言葉にこだわっているわけではなくて、実際どういう器械が使われているのかということを整理していただいて、それを代表するような言葉として最もいい言葉があれば、それを使えばいいと考えています。ですので、どういうものをお使いになっているかということをよく教えていただいた上で、適切な言葉で報告書に書き込んでいく必要があります。

○杉本座長 わかりました。これは誤解がないように。定義が要るようですね。

○事務局 もう一点、法面協会さんのほうからエイト環やシャックルは下降器具としては使っていないという御指摘がございました。

 この報告書(案)の原案にはエイト環やシャックルを入れていたのですけれども、エイト環とかシャックルは斜面作業では危険なので使っていない、という御意見を事前にいただいていたものですから、本日お示しした報告書案からは落としております。基本的にこういう用具があると例示をして記載していたのですが、危険であり使用していないという現状でございますので、具体的な器具名は一切落として、報告書案6ページの(ウ)の「下降器具とは、身体保持用の親綱(メインロープ)に取り付け、ロープに屈曲及び摩擦を与えることで、緩やかで安全な下降を可能とするための器具をいう」と報告書の中からは具体的な器具名を入れない記載とさせていただいております。

○杉本座長 もう時間が迫ってきてしまっているので、あと一つやりましょうか。

次に、「(3)作業に係る危険の防止」というところで御意見をいただければと思います。

○山田委員 先ほど言いました作業指揮者のところなのですけれども、災害防止責任者という定義でそういう教育をやっていますので、その辺をちょっと検討していただければなと思います。

○西田委員 でも、これは主任者に準じるというか、その意味の作業指揮者ということですね。準じるという言い方がいいのかどうかわからないけれども、政令で定めるものについては「作業主任者」というものがあるので、今回、政令の枠ではないから「作業指揮者」という表現。

○事務局 通常、厚生労働省令の中で、いろんな危険作業のときに指揮をする人については、「作業指揮者」という言葉を使っています。業界団体では別の呼び方をしている、という御指摘なのだと思いますが、報告書では法令上の言葉に合わせた記載とさせていただければと考えています。

○山田委員 安衛法にしっかり「ブランコ作業」というのが載れば、ぜひそういう形に。

○事務局 報告書案の記載を踏まえれば、当然作業指揮者を置いてくださいという話になります。

○山田委員 あと、屋上の安全管理体制、ゴンドラ安全教育では作業開始前が一番メインの安全対策です。そういったところをしっかり入れていただく。屋上でしっかりライフラインをつけて、屋上に出たところから落ちないような形、そういう基準書をつくっていただければ、絶対災害はなくなると思いますので、そういうところをぜひやっていただきたいと思います。

○事務局 7ページの(3)のアの(イ)の「丸数字の4 作業の方法及び順序」のところで、当然最初に親綱を設置し、親綱に安全帯を確実につなげてから準備作業をしてくださいと。個別具体的な作業の中身としてはそういう形になろうかと思います。それをまとめて書くと「作業の方法及び順序」という形になろうかと思います。

 あと、「(ウ)作業指揮者の選任」の「以下の事項を作業指揮者に行わせるべきである」というところで、丸数字の1に「ブランコ作業の手順及び作業者の配置を決定すること」、手順のところで当然イレギュラーな手順、安全帯も装着せずに作業をして墜落することのないようにしましょうという形で整理をさせていただいているところです。

ですので、考え方のエッセンスとしては、屋上での作業において墜落するようなことのないように、という基本的な考え方を入れているつもりで記載しています。

○杉本座長 要するに、KYなどの実行よりも計画、打ち合わせといいますか、そちらのほうが重要だということですね。

○山田委員 いや、全部重要なのですけれども、屋上でそれをするときには、屋上からライフラインをつけてというところが一番。

○事務局 実際に先日現場を拝見させていただいたときにも、作業現場では御指摘いただいている内容で作業をやっておられたので、当然そこは担保すべきであると私どもも考えておりますし、報告書案もそのように記載したつもりです。

○杉本座長 先ほど元方の話がありましたね。あれは非常にいいと思っているのだけれども。

○山田委員 元方責任というのは、ここで挙げていますので、その辺はビルメン協会とガラス協会が合同に安全管理体制をつくり上げていけばいいのではないかなと思っております。

○杉本座長 親の責任でちゃんとね。

○西田委員 ただ、責任は明確にしないと、曖昧に両方に責任がありますよみたいな形もどうなのかなと思ったりもします。

○杉本座長 責任を明確にするということは非常に重要だと思います。

○事務局 ただ、法令上の責任ということと、道義的に一緒に安全管理をやりましょうというところはちょっと違うので、その辺はよく報告書に書いてお躯必要があると考えています。

○杉本座長 それではもう一ついきますか。

次に、「(4)作業者に対する安全衛生教育」というところはいかがでしょう。御意見がございましたら、どうぞ。

○山田委員 先ほど特別教育というのは認定資格ではないというふうに聞いたのですけれども、認定資格にするということで私どもは考えていればいいのですか。

○事務局 いや、特別教育については、ゴンドラの特別教育もそうですが、基本的にカリキュラムと時間など、教育内容はかっちり固めます。一義的には事業者に対して実施義務がかかっていますので、内容がしっかりしていれば事業者が単独で実施しても構わない。ただ、事業者では教育の実施体制を整えられないというケースもあるので、例えば外部の団体がそれを任意でやるということも差し支えない、としているものです。そういう意味では、認定とか登録といった制度になじむものではないと考えています。

○山田委員 例えば今、ガラス清掃でゴンドラを使っているところは、ゴンドラ特別教育受講修了者でないと乗れない。それは安全課のほうで安全官が指導しているわけですね。そういった形で考えればいいのですね。

○事務局 特別教育の対象にするというのは、結局、特別教育を受けた方でなければその作業をしてはいけませんという前提になります。ですから、労働者の方が会社を変わられたり、違う作業現場に行くときに、元請の方からちゃんと教育を受けているかと聞かれたときのために、第三者的な教育機関が自主的に受講修了証をおつくりになってお渡ししているというのはあると思います。

○山田委員 今、ガラスクリーニング協会でそういう教育をやって認定証を渡しているのですけれども、その辺とどう違うのですか。

○石原委員 建災防とか中災防とかで、特別教育や技能講習をやっています。、安全特別教育の手帳も取扱い販売しています。

○山田委員 もちろん、私もゴンドラのを持っていますし。

○西田委員 後ほどゆっくり説明させていただきます。

○山田委員 私も職長トレーナーの講師を持っていますので。

 また戻るのですけれども、結局、特別教育をやるということは、安衛法、安衛則にブランコ作業が載るということですか。

○事務局 労働安全衛生法第59条第3項の条文自体を変えるという話ではなく、特別教育の対象となる労働安全衛生規則のリストの中にブランコ作業が載るという形になるということです。

○山田委員 ということは、建設現場でブランコ作業がオーケーになるというふうに考えていいのですか。

○事務局 ブランコ作業を行うのに当たっての大前提として、作業床の設置が困難な場合、という縛りがありますので、分析官から話があったとおり、足場を組める場所については足場を組むことになりますし、ビルの作業でも、ゴンドラがあるビルであればゴンドラを使ってくださいという話になろうかと思います。

 今回この検討会で議論しているのは、例えばゴンドラがないビルで、ゴンドラを設置するのはなかなか難しい、更に、ゴンドラ以外の作業床もなかなか設置が困難であるというケースを想定して、そういう場合にブランコ作業を認めるというか、やりましょうということを前提として安全対策を検討しているものでございますので、そこは御理解いただきたいと思います。

○山田委員 わかりました。ありがとうございます。

○杉本座長 最後の「おわりに」ということなのですけれども、一応一定の結論を得たところが「おわりに」にあるわけですが、本日の議論では、斜面のロープの2本扱いとか、斜面のハーネス型の安全帯の考え方等々、私も頭の中で整理ができていないところもありますので、全国特定法面保護協会さんからいろいろ意見がありまして、それを考慮しまして、そうなりますと、なかなか結論をつけるわけにもいかないのではないかと思うわけです。

時間が来ましたので、予備としまして第4回の検討会を開催して、改めて議論の上、報告書を取りまとめることにいたしたいと思います。

また、全国特定法面保護協会さんからは斜面作業の現場も見に来てほしいという声がありますので、その点も含めまして事務局のほうよろしくお願いいたします。

○事務局 今、第4回の検討会について座長のほうからお話がありましたが、事前に日程調整させていただいておりまして、予備として3月5日の14時から16時ということで仮置きをさせていただいておりました。今般、正式に第4回を開催することとさせていただきたいと思いますので、各委員の皆様方におかれましては、3月5日の14時から16時に第4回の検討会を開催するということで、まずもって日程の確保方をお願いいたします。場所についてはこれから決めますので、また御案内させていただきます。

また、本日御出席いただきました全国特定法面保護協会様におかれましては、大変恐縮なのですが、次回の検討会にも御参加いただきまして御意見をお伺いいたしたく、あわせて日程の確保方をお願い申し上げます。

あわせて、座長のほうから御指示いただきました斜面作業での現場視察のほうにつきましては、次回の検討会まで一月ありますけれども、日程がタイトな中でこれから日程調整をしますので、委員の皆様全員の参加はあるいは難しいかもしれませんが、全国特定法面保護協会様と日程調整をさせていただいた上で、後日改めて御案内させていただきますので、御承知おきくださいますようお願い申し上げます。

○山田委員 済みません、最後にもう一つ。作業指揮者がいないと作業ができないという報告書ではないですか。これだったら、一人現場の作業はできないという話になるのですね。

○事務局 基本的には2人以上でやっていただきたいと考えていますが、例えばほかの作業指揮者を置くようなものについては、1人でやるときには当然作業指揮者が要らないという解釈で今まで運用しています。指揮のしようがございませんので。

○山田委員 一人現場も非常に多い業界なので。

○事務局 本当は2人以上でやっていただきたいと考えています。

○山田委員 それはどうなのですかね。また検討していかなくてはいけないと思います。

○杉本座長 いろいろ事情があって、置かれた環境条件によっては、他の所為にしないで自分の作業として決めていくということがありますが、環境が整わないときは安全が確認できるまで仕事を停止するということにもなると思いますね。

そういうことで、ブランコ作業の事故は物すごく大きな事故で、取り返しのつかない事故といえますので、むしろ不安は危険とみなしますというところで、確実な安全をつくっていくよう法律をつくっていただければと思います。

では、きょうはどうもお疲れさまでした。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> ブランコ作業における安全対策検討会> 第3回 ブランコ作業における安全対策検討会 議事録(2014年1月29日)

ページの先頭へ戻る