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2014年5月28日 第4回厚生科学審議会感染症部会議事録

健康局結核感染症課

○日時

平成26年5月28日(水)13:00〜15:00


○場所

東京交通会館第1会議室A


○議題

(1)中東呼吸器症候群(MERS)の感染症法上の取扱い等について
(2)多剤耐性結核菌の病原体等管理規制の対象範囲の見直しについて
(3)感染症法の見直しについて

○議事

○梅木結核感染症課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより第4回厚生科学審議会感染症部会を開催いたします。

 初めに、委員の出席状況を御報告いたします。本日、山田委員より御欠席の連絡を、小森委員より若干遅れる旨、磯部委員より30分遅れる旨の連絡を頂いております。また、本日は参考人として国立感染症研究所ウイルス第三部第四室長で、MERS等のコロナウイルスが専門の松山州徳参考人に御出席を頂いております。現時点で、定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立しますことを報告いたします。

 ここからは渡邉部会長に議事をお願いいたします。

○渡邉部会長 まず、議事に先立ちまして事務局より資料等の確認をお願いいたします。

○梅木結核感染症課長補佐 それでは、お手元の資料、議事次第、配布資料一覧のほか、資料1-1から資料3まで、参考資料1から3まで、机上には追加配布資料を御用意しております。配布資料一覧と照らして不足の資料がありましたら、事務局にお申し付けください。

 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、本日は、部会終了後、この場所で、本日の審議内容に関して記者レクを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○渡邉部会長 まず議事に入る前に、お手元の議事次第を御覧いただいて、本日は議題1「中東呼吸器症候群(MERS)の感染症法上の取扱い等について」、議題2「多剤耐性結核菌の病原体等管理規制の対象範囲の見直しについて」、議題3「感染症法の見直しについて」の3点について、これから御議論していただきますので、円滑なる進行等に御協力をよろしくお願いいたします。

 まず、議題1に基づきまして、MERSの感染症法上の取扱いについて、現在のいろいろな状況等についての説明を、参考資料12に基づいて、大石先生からお願いいたします。

○大石委員 感染症疫学センターの大石でございます。参考資料1について説明いたします。「中東呼吸器症候群(MERS)について」という資料です。MERS第一症例目の提示をさせていただきます。 2ページに示していますが、2012612日にサウジアラビア人(60歳、男性)が発熱と呼吸器症状を呈してジェッダの病院に入院しています。2日後に胸部X線で肺炎を認め、入院当日の写真で、両下肺野に浸潤影が斑状に認められています。集中治療は受けております。その後、進行して呼吸不全、腎不全のために死亡されています。その後、入院1日目に採取した喀痰検体をオランダに送付して、新型のコロナウイルスを分離されています。

 このウイルスの位置付けですが、最終的にMERSコロナウイルスと呼ばれ、先に知られているMERSコロナウイルスとはちょっと違う位置付けで系統図的には示されています。

 そういった第一症例目の報告後に、2014526日までに、ヒト感染の確定症例が635(死亡193名、致命率30)に至っています。上段に示しているのはWHOで示された今年の59日までの症例数です。御覧になりますように、2012年、2013年は少数例の発生で推移していましたが、その後、今年に入って、特に4月に急速に症例数が増えております。

 スライド右には、初感染例と二次感染例が示されていますが、2013年の例から分かるように、二次感染例がかなり多くなっています。特に2014年、今年の例では、かなりの二次感染例が示されています。

 全体のうち、今年327日以降の報告症例数は330(死亡59名、致命率18)です。サウジアラビア290名、アラブ首長国連邦37名など、サウジアラビアが報告されています。サウジアラビアの290名のうちの128名はジェッタの14医療機関で治療を受けており、発症日は217日から426日までです。この3割は初発例ですが、約6(医療従事者を含む)は、医療施設の二次感染が推定されております。

4ページです。「臨床所見」としては、論文で報告されたサマリーを示していますが、WHOに報告された昨年までのケースの161例では、軽症例から急性呼吸促迫症候群(ARDS)を来たす重症例まであることが分かっています。典型例では、発熱、咳嗽から始まって、 急速に肺炎を呈すということで、しばしば呼吸管理が必要となっています。初期の症例では、急性腎不全等が見られておりましたが、その後の症例では、そう明確ではありません。全症例の63.4%が重症化し、44.1%が肺炎を発症しています。少なくとも3分の1の患者は嘔吐、下痢などの消化器症状を呈しています。また、ARDSの合併は12.4%に認められるということです。

5ページです。「ウイルス学的所見」としては、昨年11月にサウジアラビアにおいて、MERS-CoVに感染したヒトコブラクダとの濃厚な接触後に発症した1症例が報告されています。患者とラクダの遺伝子配列解析から、種を超えたウイルス伝播が示唆されています。

 その後もカタールのヒトコブラクダから採れたウイルスは、同国でヒトから分離されるウイルスとほぼ同一である、同一の遺伝子を持つということが示されておりますし、また、アラブ首長国連邦におけるヒトコブラクダの血清調査では、多数のサンプルから6割程度のMERS-CoVの中和抗体が検出されているという所見があります。

6ページです。そういった事態を受けてWHOの緊急委員会が開催されています。これまでに5回開催されておりまして、513日に開催された緊急委員会の内容では、WHOは、持続的なヒト-ヒト感染を示す証拠は現時点ではない。現状は「国際的な関心のある公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」には至っていないが、最近の患者数の急増や重要な情報の不足など、公衆衛生への懸念は高まっているとして、全ての加盟国に対して、院内感染対策の強化、包括的な調査の実施(接触者調査を含む)IHRに従った適時の症例報告等を改めて要請したところです。

7ページは「リスクアセスメント」です。一昨日、感染研のホームページにアップしたところですが、そのサマリーで、日本においても、今後、中東からの輸入例が発生する可能性がある。特に二次感染例の場合は軽症である可能性があることに留意し、厚生労働省の通知に従って症例の探知を適切に行うことが重要である。高齢者や基礎疾患のある者に感染した場合、重症化するおそれもあることから、症例に対する適切な医療の提供が重要である。限定的ではあるがヒト-ヒト感染があることに留意し、症例について接触者調査を実施し、感染拡大を防止することが重要である。医療従事者は、医療機関内での二次感染の発生を確実に防止するために、患者の診療に当たる際は、MERSが疑われる段階から標準予防策及び飛沫予防策を徹底する必要があるということで結んでおります。以上です。

○渡邉部会長 どうもありがとうございました。今のリスクアセスメントのもっと詳しいものは参考資料2で、感染研で526日現在で出しているものです。これは時間のあるときに読んでいただければと思います。それをまとめたのが、今の7ページのリスクアセスメントになります。

 現状の説明等が行われたわけですが、皆さんの質問でウイルス学的な質問がありましたら、感染研の松山室長が待機しておりますので、そこでまた質問に答えさせていただきます。今の状況について御質問がありましたら、幾つか受けたいと思います。いかがでしょうか。

○前田委員 院内感染についての質問ですが、6割が医療施設内の二次感染で、医療従事者39名となっていますが、これ以外の方は同室の患者等であるかということと、中東の医療機関では、どの程度の院内感染予防対策がとられていて、感染に至っているのかということです。

○大石委員 初発例については、様々な幅広い年齢の方々の発症がありまして、基礎疾患を有する患者もかなりおられます。二次感染例については、年齢が少し若めの基礎疾患がない患者が発症されており、比較的致命率も低めになっています。軽症例が比較的多くなっているというところです。

○前田委員 大石先生、39名の医療従事者を除く院内二次感染例というのは、どういう属性の方ですか。

○大石委員 全例を把握しておりませんが、医療従事者以外はMERS以外の疾患で入院中の患者や病院への訪問者などです。

○前田委員 中東の病院での院内感染対策というのは、どの程度ですか。

○大石委員 これが一番WHOも重視しているところですが、現状は中東諸国の感染制御の概念がまだまだ十分に定着していない状況だと思われます。当然、呼吸器感染症が疑われて入院されるような状況においても、医師は標準予防策、飛沫感染予防策をとらずに、素手で患者を診察しているという状況が現地からのWeb等で示されております。その後のWHOGOARNのネットワークのテレフォン・カンファランスにも参加したのですが、その際にも院内感染対策が不十分である現状が報告されております。そういった結果、医療機関での二次感染の症例がかなり出ており、医療従事者や入院患者、病院への訪問者が多くなっているというところだと思います。

○賀来委員 東北大の賀来です。今、大石先生が言われたように、昨年ヨーロッパで開かれた学会でも、感染制御、いわゆる標準予防策やマスクなどのPPEの取り扱いなどが必ずしも適切に実践されていなかったのではないかという指摘がサウジアラビアからの報告でもありました。ですから、大石先生が話されましたように、適切な院内感染対策、感染予防策が十分にできていなかったという事実はあるのだろうと思います。

○渡邉部会長 事務局からよろしいですか。ほかに御質問がありましたらお願いします。フランス等でも院内感染等が報告されていると思いますが、これはどういう関係か分かりますか。

○賀来委員 これは同室者です。

○渡邉部会長 医療関係者ではなくて、入院されていた方ということです。ほかにありますか。今回のアメリカの事例の情報はお持ちですか。

○大石委員 アメリカは、フロリダ州とイリノイ州で2名の方が発症されておりますが、これらの2名は、サウジアラビアの医療機関に勤務されていた方です。イリノイ州の症例では、初発例と接触した一般の方が、比較的短い、軽微な接触と考えられる方が血清学的な検査で抗体陽性とされたという報告があります。

○渡邉部会長 アメリカの事例の場合は院内感染で、医療従事者が感染してはいない。アメリカの場合は、院内感染対策はちゃんとされたのでしょうか。

○大石委員 基本的には院内感染対策は適切に実施されたと思われます。それと接触調査もしっかりされたと伺っています。

○渡邉部会長 ほかに御質問がありましたらお願いします。

○調委員 今回4月に症例が急増した理由は、ウイルス学的なことと関連するかもしれませんが、サイエンスの記事などを読んでいますと、軽症例なども幅広く検査が行われるようになった結果、患者の報告数が増えたのではないかと書かれていたと思いますが、その辺の情報がもしありましたら教えていただきたいと思います。

○大石委員 これもGOARNのネットワークのテレフォン・カンファランスの中で、軽症例に対する検査実施で多く症例が検出されたとの情報がありました。しかしながら、その詳細はWHOにも報告がされておりません。今回の報告も数は635ということになっていますが、急に増えた症例数の中身の詳細はまだ十分には分かっていません。先生がご指摘のように、接触者調査でPCRを実施したところ、かなりの感染例が検出され、それも無症候例がかなり含まれているのではないかと思われます。

○渡邉部会長 ほかによろしいですか。松山先生、ウイルス学的には、初発例から今までの事例でウイルスがたくさん分離されていると思いますが、ビレンスが高まるような変異というのは起こっているのでしょうか。

○松山参考人 RNAウイルスなので変異は頻繁に見付かっています。今のところ、まだどこが病原性に関わるかというのは分からないのですが、取りあえずレセプターにウイルスがひっつく所には変化がないと言われています。でも、不明な変異はいっぱい入っています。

 それぞれの地域のラクダとヒトから取れてくるウイルスが、それぞれの地域特有というか、ラクダから感染しているという症候が非常に強くて、ヒトからヒトにどんどん移っているのではなくて、その地域ごとにラクダからヒトにという感じのことが遺伝子の配列から分かっています。

○渡邉部会長 ほかに御質問はありますか。先週私はCDCに行って、アメリカの事例とか、いろいろディスカッションしてきたのですが、先ほどあった、アメリカ人でアラブに行って医療を行っている医師が2名感染して帰ってきたと。今はもう完全に治った形で、もう一度アラブに戻って医療行為をし始めたということで、そんなに重症ではなかった例です。

 あとは300人ぐらいコンタクトした人たちを調べた結果、血清学的には1名が陽性が疑われる例で、それについては更なるコンファメーションを行っているところで、ほかの人は陰性である。ウイルス学的に調べた限りでは、特に大きな毒力が増強されるような変異というのは見られていないということで、CDCもビルレンスの変異が起こってトランスミッションが高まるような、SARSのときと同じようなことが起こることを危惧してワクチン開発を行っているということと、ラクダにワクチンを接種するということを今年中に始める予定であると言っていました。それなりの対策は取り始めたというところです。

○岡部委員 ワクチンの話はよく知らなかったのですが、生なのですか、不活化なのですか。

○渡邉部会長 不活化とVLPを使う方法と、生も検討しています。ただ生は、病原性がよく分からないので、その辺はまず後だと思います。最初は不活化かVLPを狙っているみたいです。ほかに御質問はよろしいですか、何でもやれというみたいで。

○廣田委員 ラクダには症状は出ているのですか、症状が出るのですか。

○渡邉部会長 ラクダに症状は出ていないのだと。どうですか。

○松山参考人 極めて軽症です。ラクダの中では風邪みたいなものです。

○大石委員○大石委員 先程提示したサウジアラビアの事例の中に、コロナウイルスに感染したヒトコブラクダとの濃厚な接触後に発症した1症例があって、この報告ではラクダについて、Sick animalと記載がありまして、何らかの症状があるのでしょうね。

○廣田委員 ヒトコブラクダの60%ぐらいが抗体を持っているということでしたが、例えばラクダと接触する人では、どのぐらいの抗体保有率とか、そういうのは何か情報があるのでしょうか。

○大石委員 まだラクダの感染事例というのは、非常に限定的にしか確認されておりませんし、接触した人で抗体が上がったという調査検査については明確にはなっていないと思います。

○渡邉部会長 ほかにありますか。もし、ないようでしたら、次に資料1-1と資料1-2に基づいて、事務局から御提案がありますので、よろしくお願いします。

○福島結核感染症課長補佐 ただいま大石先生に御説明いただいた状況を踏まえまして、MERSの感染症法上の取扱等について、まずは資料1-1に基づいて説明いたします。

2ページです。MERSについては、これまで日本国内での発生報告はありませんが、中東地域では感染者が継続して認められており、特に4月以降、患者の発生が増加傾向にあります。また、中東以外の地域においても、欧州、アフリカ、アジア、北米等で、輸入症例やそれに起因する二次感染の発生が確認されております。そのため、今後、日本国内においても輸入症例が探知される可能性はございます。

 この輸入症例患者との接触者につきましては、MERSウイルスに感染しても、健康な方であれば無症状若しくは軽症にとどまることも多いと考えられますが、特に基礎疾患のある方や高齢者の方では重症化するおそれがございます。

MERSの国内発生を防止するためには、MERSを感染症法の対象疾病に位置付けることによって、医師からの発生の届出を確実にしていただき、発生状況を迅速かつ的確に把握するとともに、積極的疫学調査を行って接触者を特定し更なる感染を防ぐなど、必要な措置を講ずる必要があると考えております。

 現在、平成249月から数度にわたり、結核感染症課長通知を発出しておりまして、これに基づきまして医療機関に対して、MERSの疑われる患者の報告をお願いしているところですが、これは法的根拠に基づくものではありません。また、現状では検疫法に基づく検査・診察等の対象にはなっておりませんで、入国段階での疑い患者の把握ができないため、感染症法に基づく国内措置に効果的につなげることができないおそれがあります。

 以上のような状況を踏まえまして、本部会においては、MERSを感染症法の対象疾病及び検疫感染症に加える必要性、また加える場合の感染症の類型について御審議いただきたいと考えております。

 まず、感染症法に基づく感染症の類別ですが、8ページです。こちらで感染症法に基づく感染症の類別を表にしています。感染症法に基づく措置の対象となる感染症を、一類感染症から五類感染症と分別しております。五類感染症から一類感染症に向かうに従って、適用できる措置の内容が広がるような構造になっています。

 例えば四類感染症については、11例について医師からの届出を出していただき、それについて積極的疫学調査の実施が可能となっています。三類感染症になると、更に患者の就業制限、健康診断受診の勧告実施等ができるようになり、さらに二類感染症になりますと、これに加え疑似症患者への措置の適用、入院の勧告・措置といったものが取れるようになっております。

 これを踏まえまして、3ページです。MERSに関して現在までに判明している知見として、まず、初発例の感染地域は、現時点ではアラビア半島地域に限定されています。また、基礎疾患のある方や高齢者の方では重症化しやすくなっていること。健康な方では感染しても無症状若しくは軽症で経過する場合も多いこと。また、限定的ではヒト-ヒト感染が確認されていること。先ほど御説明がありましたように、アメリカの事例では比較的軽度の接触で感染する場合があることも分かってきております。それから、特に4月以降、医療機関における二次感染の発生患者が多くを占めています。それからウイルス保有宿主動物としては、ヒトコブラクダが有力視されておりまして、はっきりした感染経路はまだ不明な点が多いですが、病気のラクダの世話をした、ラクダの未殺菌乳を飲んだといった履歴のある患者の報告が確認されております。

 このような事実に鑑みまして、国内におけるMERSの国内発生の予防を図る上で、必要な措置の内容としては、今から申し上げる4点があるかと考えております。

1点目としては、日頃からの医療機関における標準予防策の徹底です。こちらは特に法的措置の必要はありませんが、日頃から徹底をお願いしているところです。次に、医師による迅速な届出による患者の把握。これは四類感染症以上に指定することで可能となります。3点目は、患者発生時の積極的疫学調査(接触者調査も含む)です。これも四類感染症以上に指定することで可能となります。最後に、患者に対する入院措置や公費による適切な医療の提供。これは二類感染症以上に指定することで可能となりますが、このMERSは限定的ではありますが、ヒト-ヒト感染がありますし、軽症の方から更に次の方に感染する事例が報告されていることを考えますと、この点は非常に重要になってくるかと思います。

 今、申し上げたような措置を実施し、万全な対策を期すためには、MERSを二類感染症として感染症法上に位置付けることが適当ではないかと事務局としては考えておりますが、この点について御審議いただきたいと思います。

 また、この本感染症については、本年4月以降、中東地域での患者数が増加していること、それから輸入症例が世界各地域、欧州、アジア、北米等で報告されていることから、MERSを二類感染症に位置付けられるまでの間、1年以内の政令で定める期間、二類感染症相当の指定感染症に指定することとしてはいかがかと考えておりますが、この点についても併せて御審議いただきたいと思います。

 仮に、このMERSを二類感染症相当の指定感染症に指定する場合、感染症法上の措置のどの部分を準用するかということをあらかじめ指定する必要があるのですが、その案を4ページに示しています。これが、感染症法の中で適用し得る措置を一覧にしたものですが、MERSを二類感染症相当の指定感染症に指定するということであれば、基本的には二類感染症に適用される措置をそのまま準用することにしてはいかがかと考えておりますが、この中で2点だけ二類感染症をそのまま準用していない部分があります。

1点目が、第31条の「生活の用に供される水の使用制限等」で、これに関しては通常の浄水過程を経ましたら、ウイルスが感染性をそのまま保持する可能性は低いのではないかということで、準用しないということで整理しています。

 もう1点は、第54条から第56条の2の動物の輸入に関する措置に関する部分です。現在、MERSの感染源動物として有力視されているのはヒトコブラクダですが、ヒトコブラクダは偶蹄目ということで、こちらは家畜伝染病予防法の検疫対象物となっておりまして、今現在、口蹄疫等が発生している国、中近東も含まれるのですが、こういった国からは輸入ができないようになっています。また、実績としても、ほとんどヒトコブラクダの輸入はありませんので、こちらについては準用する必要性は低いのではないかということで、準用しないということで整理いたしました。以上、2点が二類感染症の措置を準用しない部分として提案させていただいています。

 続いて、5ページです。検疫関係でMERSに関して必要な措置です。MERSについては、海外からの帰国者でMERS感染の疑いがある方又は健康観察の必要がある方を、入国段階で確実に把握し、感染症法に基づく国内措置に効果的につなげる必要があります。しかしながら、現行の検疫法上、MERSは検疫感染症に位置付けられていないため、検疫法に基づく診察・検査等を実施することができないことになっています。よって、MERSを政令で定める検疫感染症として、検疫法上に位置付けることが適当ではないかと考えております。この点についても御審議いただきたいと思います。

9ページに、「検疫法に基づく隔離・停留等の措置の概要」を一覧表にしています。この赤枠でくくっている部分が、今回の提案している部分です。MERSについては、限定的ではありますがヒト-ヒト感染はありますが、限定的ということで、隔離・停留までは必要ないのではないかということで、鳥インフルエンザ(H5N1H7N9)と横並びになりますが、検疫法の第2条第3項に基づき、政令で指定する検疫感染症に追加して、質問、診察・検査、消毒といった措置が取れるようにしてはいかがかと考えております。この点について御審議いただきたいと思います。

 資料1-2に基づき、「感染症法に基づく病原体等管理規制上のMERSコロナウイルスの分類について」、説明いたします。

2ページです。感染症法においては、病原性が高く国民の健康に重要な影響を及ぼし得る病原体や毒素が、バイオテロに使用されることを未然に防ぐために、病原体の所持や使用等に関する規制を定めております。

5ページに、「現行の病原体等管理規制における対象病原体の選定と分類」ということで一覧表にしています。このように、対象となる病原体、毒素等を、一種病原体から四種病原体に分類しまして、それぞれに必要な措置、基準等を定めております。

 例えば四種病原体については、さほど病原性が高いものではないので、所持、使用について、厚生労働省に届けていただく必要はないのですが、きちんと施設の基準等を遵守して管理することをお願いしています。三種病原体については、四種病原体よりも病原性は高いということで、所持する場合には、事後で結構なのですが厚生労働大臣に届け出ていただくほか、その病原体を事業所から事業所等に運搬する場合には、事前に公安委員会に届けていただくことが必要になってきます。二種病原体については、更にテロに使用される可能性が高いようなものということで分類していまして、こういったものを所持する場合には、事前に厚生労働大臣の許可を必要とする内容になっています。

 こういったことを踏まえまして、2ページに戻ります。MERSについては、患者の致命率が比較的高く、また医療機関内や家族間などにおいて、限定的なヒト-ヒト感染が報告されておりますが、現在のところ、持続的なヒト-ヒト感染は起こしておらず、ヒトからヒトへの感染力は比較的強くはないと考えられております。また、WHO及び米国CDCにおいては、実験室においてMERSコロナウイルスそのものを取り扱う場合には、バイオセーフティレベル3(BSL3)を遵守して実施するように推奨しています。同様に、国立感染症研究所においては、安全管理の必要性、感染の重篤性等を総合的に勘案し、MERSウイルスのバイオセーフティレベルをBSL3に分類しています。

 以上のことを踏まえまして、これまでの病原体等管理規制での病原体の選定・分類状況を勘案しますと、MERSコロナウイルスについては、国による所持の把握、BSL3相当の設備を備えた施設による取扱い、ウイルスの使用状況等に関する記録、ウイルスを運搬する場合の事前の届出といった措置が可能になる三種病原体等に指定することが、適当ではないかと考えております。

 以上、まとめて資料1-1、資料1-2について説明いたしましたが、3つのことについて御審議いただきたいと考えています。1点目は、MERSを感染症法の二類感染症に位置付けること、位置付けるまでの間は二類感染症相当の指定感染症に指定すること。2点目は、MERSを検疫法上の政令で定める検疫感染症に追加すること。3点目はMERSコロナウイルスを感染症法の病原体管理規制における三種病原体に指定すること。以上3点につきまして、御審議いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○渡邉部会長 事務局から3点について、皆さんの御意見等を伺いたいということです。まず、1点目の感染症法上の二類感染症に位置付けるまでの間、指定感染症として指定したいということです。これについての御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○岡部委員 基本的に賛成で、二類並みというのもいいのではないかと思います。現在、例えばマレーシアとか、ほかの国でも、アジアのほうにも感染者が見つかっているということですから、これは備える意味ではいいと思います。ただ、状況に応じてヒト-ヒト感染がないという状況が明らかになれば、直ちに落とすといったことも考慮に入れておく必要があるだろうと思います。

 それから、現時点での症例定義が分からないので、これはいつ頃になって示されるのかどうか。というのは、無症状病原体保有者が出てきた場合にどうするのか。それから、抗体陽性者だけが見つかってくる可能性があるので、その患者に対してどうするのだろうかという方針をお聞かせいただきたいと思います。

 もう1つは、ラクダが輸入されていないので、今のところは入ってくる可能性がないと言うとは思うのですが、展示動物で入ってくる可能性があるということと、国内でもしラクダに陽性が見つかった場合に、獣医師に届出の義務を課せるかどうか、この辺もお聞かせいただければと思います。

○福島結核感染症課長補佐 症例定義等については、政令を発出するときにきちんと整理してお示しする予定です。

 まず、無症状病原体保有者については、二類感染症相当ということで、適用されないということで整理しています。

 ラクダでMERSの感染が分かったときに届出はどうなのかという点については、先ほどその点については説明しなかったのですが、獣医師からの届出も準用するということで、ヒトコブラクダでMERS感染が見つかった場合には届け出ていただくということで整理をしています。

○味澤委員 この中で、実際にMERSの患者を診そうなのは私ぐらいですが、二類に指定するのは基本的に問題はないです。先ほどからの話を聞いていると、比較的軽症例が多いということなのですが、重症になったときに、先ほど大石先生が言ったように、WHOMERSコロナウイルスのスタディーグループの報告だと、大体161人いて80人以上がICUでの治療を必要としているわけです。よくなった例を見ても、4分の1ぐらいはICUに入っているわけです。そうすると、二類病床でICUを持っている所は1つもないので、そういう場合に弾力的に、感染に気をつけてICUでもよいとか、そういった施設を持っている所に送ってもいいのかということを。

 二類というと、最近は非常に重症な二類が増えてきています。我々が今まで扱ってきた二類というのは、命に関わるということは滅多になかったものですから、その辺を丁寧に説明していただかないと。軽症な例では問題ないのですが、いざ重症になったときに、感染対策を取るのか患者の生命を救うのを取るのかというような問題になってしまう可能性がありますので、その辺をよろしくお願いします。

○梅木結核感染症課長補佐 今、指定若しくは二類感染症に位置付けた場合は、基本的には第二種感染症指定医療機関若しくは第一種、特定といったところで、入院が可能となるということになります。二種には、確かに透析をできる所というのは要件としてはありませんが、第一種であれば人工透析ができる設備を有している病院が指定されているといった状況です。また、臨時、応急の場合は、都道府県知事による入院が可能となりますので、そういった場合には移送をしていただくことが検討されるであろうということになります。

○味澤委員 厚労省の方だから、第一種がどのような施設なのかよく分かっていないと思いますが、私は今は豊島病院にいるのですが、前にいた駒込病院の一種というのは、感染防御は厳密なのですが、いわゆるICUという、患者を何とか救おうという仕組みとはほど遠いのです。ですから、二種が駄目なら一種があるというようなのは飛躍しすぎで、その辺はもう少し検討していただきたいと思います。

○渡邉部会長 事務局のほうに宿題ということですかね、それとも答えられますか。

○結核感染症課長 具体的な受入体制は今後検討していきたいと思います。

○前田委員 今の味澤委員の話の関連です。全国衛生部長会として協議致しまして、この方向で賛成いたします。味澤先生からの重症例の場合の話もありますし、軽症の方についてもそうなのですが、二類に指定されるということは、必ずしも全てが勧告入院あるいは措置入院の対象になるということではなく、その方の病状に応じて適正に対応できるという意味での二類への指定だと考えています。病状によっては、現に使用されている医療機関で継続して治療を行うほうが、患者の治療にとって適切である場合もありますし、逆に余り院内感染対策が適切でない医療機関の場合については、直ちに勧告し法的に移送ができるという意味では、この二類は適当だと思っています。

 ですので、今の味澤先生のご質問に、先生の病院の地元自治体である東京都としてお答えしますと、その患者の病状等によって、指定病床への入院勧告か、あるいは、先生御所属の豊島病院には感染症対応のICUもございますので、そういう所で対応していただくかも含めて判断しながら、法を適用していきたいと考えています。

○渡邉部会長 ほかにございますか。臨床の先生で、小森先生いかがですか。

○小森委員 私としては、基本的な議論の方向性は賛同するものでございます。ただ、今、味澤先生が言われたような、第一種感染症指定医療機関というのは全国的にも極めて限られた、法的には設置されていても、実際にどの程度機能するかというのは別の問題がありますので、事務局が整理されたように、そこは検討をしっかりしていただきたいと思います。

○渡邉部会長 ほかにございますか。

○菅原委員 「リスクアセスメント」の中で、大石先生が説明されたアセスメントの下のほうに、感染制御ということで標準予防策と飛沫予防策を徹底する必要があるとあるのですが、前のSARSのときも新型インフルエンザのときもよく話題になるのですが、飛沫予防策といえば普通のサージカルマスクを着用するということだけなのですが、今の病院を収容する、感染制御の重症のMERSの患者を診なければならないとなったときの医療従事者の対応というのは、これでいいのだろうかという。健常者はほとんど軽症だとか言いながらも、毒性がよく分からないとか、検体の取扱いが非常にシビアな取扱いをするということがお話されている中で、特に飛沫予防策の辺りはどのように考えるべきなのか。

○大石委員 この対応につきましては、疑い例に対しては、標準予防策、飛沫予防策が、まず基本であるということを記載しました。しかし、初期事例に対しましては、これまでSARSであってもそうでしたし、鳥インフルエンザA(H7N9)の院内感染対策ガイドラインでも示しておりますが、初期事例に対しては、状況に応じて空気感染予防策を適用していただくのがいいのではないかと考えております。

○菅原委員 今のような具体的なレベルでも、きちんと明文化してレコメンデーションしていただけるということでよろしいでしょうか。

○大石委員 はい。院内感染対策のガイドラインを、鳥インフルエンザA(H7N9)の院内感染対策に準じて改定して、ホームページにアップする予定にしています。

○賀来委員 MERSの院内感染対策についてですが、WHOによるMERSコロナウイルスに対するガイドラインを邦訳したものが日本感染症学会のホームページに掲載されています。そのガイドライン中には、今、大石先生が話されましたように、通常は標準予防策と飛沫感染対策ですが、伝播リスクが高いと考えられる処置などの場合はゴーグルを着用したり、N95マスクを着用するといった空気感染対策も十分に取る必要があると記載されています。リスクアセスメントについては、大石先生のお話しされたとうりで、菅原委員が懸念されていることについては、先に述べましたようにWHOのガイドラインでも記載されていますので、実際にはそれに準じて臨床現場で対応していくということになると思います。

○渡邉部会長 ほかにございますか。

○澁谷委員 方向的には二類相当を考えて指定感染症に当分の間位置付けるということなのだろうと思うのですが、先ほどどなたかもおっしゃっていたのですが、指定感染症の間にもう少しいろいろな知見の集積が必要ではないかと思うのです。

 アメリカとかヨーロッパの例も先ほど少しお話になられましたが、まだこのウイルス自身も分かっていないこともありますし、ヒト-ヒト感染も非常にまだ限定的だということもありますので、最終的に二類に位置付けるということであっても、指定感染症のうちに、日本の国としての感染症の対応としてどうあるべきか、ということの判断のできる情報をもう少し集めておくのがいいという気がいたします。

○渡邉部会長 法的に二類まで持っていくためのプロセスを教えていただけますか。

○山科企画法令係長 法的な対応を取る場合ということですが、今H7N9の指定の期限が来年の5月までということで、鳥インフルエンザH7N9を二類感染症に位置付ける場合には、来年の5月までに法改正をする必要があります。現時点では、そのタイミングには法改正を検討しているということですので、MERSについても、直近の法改正で手当てするという場合には、同じタイミングでやるというのが、スケジュール感にはなってくるかなと考えています。

○渡邉部会長 20155月までの国会で通すということですか。

○山科企画法令係長 そのとおりです。

○渡邉部会長 そうすると、それまでの間に、今いろいろな御意見が出た中で、指定という形で位置付けるけれども、最終的に二類にするかどうかというのは、それまでのいろいろな情報を加味した形で考えたほうがいいだろうという御意見が何人かから出ているわけですが、そうすると5月までの国会というと、当然その前に、いつ頃までに二類という形で厚労省としては定めるというか、方向性を決める予定になるのですか。今日のこの時点で、二類という方向を出したほうがいいということでしょうか。それとも、ほかの世界的な状況を見るまでの時間的な余裕というのはあるのですか。

○感染症情報管理室長 本日提出させていただいた御議論いただいている資料で、事務局としては、二類感染症の対策が必要と判断したところです。その法的な手当てとして、法律で二類感染症とするタイミングとしては、通常でしたらこの秋の臨時国会、それから来年度は通常国会というのがあるのですが、早く対応できれば秋にもと考えています。ということですので、この場で御判断というところでお願いします。

○渡邉部会長 という事務局の意向ですが、更なる御意見を皆さんから。

○岡部委員 具体的に、いまから1週間後にこの患者が日本で見つかったとなると、どういう対応を取るのでしょうか。

○感染症情報管理室長 1週間後の対応としては、当然、法的な整備というところは、それから指定感染症をするに当たっても、政令の改正の手続が必要になります。ですので、そういったことは可能ではありませんので。ただ、万全の対策というところで、その方への医療の提供とともに、その方からほかの方に移らないような対策を、法的な規制がなくてもできる範囲のところはありますので、させていただきたいと考えています。

○渡邉部会長 ほかに御意見はありますか。皆さんの御意見だと、二類感染症としては相当だろうと。それまでの期間、指定感染症という形でやっても、それも妥当性があるだろうと。ただ、何人かの先生は、もう少し情報が必要なのではないか。その情報によってはレベルダウンではないけれども、それがあるほうがいいだろうという御意見もあるわけですが、事務局としては本日のこの提案で何とか持っていきたいということです。その辺はいかがですか。

○賀来委員 実際に、WHO本部から中東地域に実際に調査チームを派遣してもらいたいという要望があり、私どものスタッフが今週の末からそのチームの一員として中東を訪問することになっています。現時点でMERSの実態はまだ十分に把握できておらず、軽症例があるのも事実ですが、事務局も懸念されておられるように、すでに、二次感染例や院内感染事例、重症化している例が報告されていることから、私は、MERSを二類感染症に相当すると位置づけ、それまでは指定感染症として対応していくという事務局の考え方に賛同いたします。MERSの実態はまだ定かではありませんが、WHO本部が緊急に調査団を派遣するというところまできていることを考えますと、やはりこれはかなり緊急性があるということであり、事務局のお考えになる方向性で是非とも対応していただきたいと思っています。

○岡部委員 私が言ったレベルダウンというのは、今レベルダウンということではなくて、一度指定しておいたものについて、あるいは法的に決めたものについても、その後の状況によったら軽症であるなら直ちにレベルダウンするようなことを考えていただきたいということです。

○渡邉部会長 ほかに御意見はありますか。そういうレベルダウンというのは、これに限らず、ほかのことでもでき得るわけですね。

○岡部委員 ただ、念を入れるようですが、一度決めたものについて、なかなかその後の決定ができないというのが、今までの反省点でもあったことがあると思いますから、その点の確認です。

○渡邉部会長 ほかに御意見はありますか、よろしいでしょうか。そうすると、事務局の提案のような形で、二類感染症に位置付けられるまでの間、指定感染症に指定しておくということで、20155月までの国会に向けて、二類感染症という形での法案の提出を行っていくということで、皆さんのそういう御意見で。あと、岡部先生から、結果的にそれほどでもないようなことになった場合には、レベルダウンを行う措置を行政的にやることも考えてほしいということを、付帯という形で付け加えさせていただきます。

 続いて、検疫法上の検疫感染症として位置付けるということですが、これはよろしいでしょうか。二類という形になりますので、同等な形で検疫と。

○廣田委員 検疫法のことについて異存ありませんし、賛成いたします。ただ、考え方として、「入国段階で」というのが常に前面に出るのです。昔の港湾検疫のときだったらともかく、現在の空港検疫で、本当に水際で止めることが可能かという点については、例えばSARSのときとか、2009年の新型インフルエンザのパンデミックのときでも、かなり難しいのではないか、あるいはそれを検疫所に求めることは、余りにも負担が大きいのではないかという理解も、ある程度は深まってきているような状況ではないかと思うのです。

 だから、「入国段階」というのを前面に出すのではなくて、例えば入国から流行までの段階における未然防止と言いますか、早期封じ込め、そういった1つの段階の中でのネットワークとして、その中で、検疫所の活動も位置付けるというような概念も持ったほうがいいのではないかと思いました。

○渡邉部会長 いかがですか。

○結核感染症課長 資料の9ページを御覧ください。先ほどの説明の中にありましたが、第2条第3号に位置付けるという意味は、隔離・停留はできないという意味ですので、恐らく廣田委員のおっしゃったとおりの形になるかと思います。

○前田委員 確認ですが、第2項第3号に基づきということになりますと、隔離・停留はできないということですが、恐らく今は検疫所ではMERSPCR検査等は実施できると思いますし、それを行いますと、6時間程度で結果が出るわけですが、その際は6時間程度であれば空港の検疫所に止め置かれるのか、それともその時点で保健所に連絡があって、医療機関に移送されることになるのか、あるいは一旦御自宅に帰られた後、検疫所から結果が保健所に通知されて、そこから移送という行為が始まることになるのか、どのような対応になるのですか。

○福島結核感染症課長補佐 検疫所においてもMERSPCR検査をできるように、今、準備を進めているところです。帰っていらっしゃった段階でも、重症化のある方で言えば、そのまま病院に入院していただくといった形になると思いますし、軽症の方であれば、検査を行って、そのままお帰りいただけるのであればお帰りいただいて、検査結果が陽性が出たということであれば、検疫所から自治体に御連絡をするとか、そういった連携ができるような形で、これから詳細を詰めていきたいと考えております。

○調委員 それに関連して確認します。潜伏期間は5.5日とか12日とか、いろいろなデータがあると思います。それともう1つは、発症時期と感染性が出るまで、時期的なずれがあるかどうか。

○大石委員 潜伏期間は、2日から2週間ぐらいまで幅を持たせて考えていると思います。発症すると、「非常に軽い呼吸器症状」としか記載されていないのですが、初期の症状は正直いってはっきりしなくて、感冒様の症状ではないかと思われます。その後に、いわゆる下気道感染、肺炎というような状況に進展していくのだろうと思います。

○調委員 そういった情報が封じ込めをするに当たって重要なことだと思いますので、情報がありましたら逐一発表していただくようにお願いいたします。

○大石委員 感染初期段階でのウイルスの排泄とか、感染性の情報が、中東地域から報告されていないというのが現状ではないかと思います。中東在住者が先進国に渡航して発症した症例は、かなり重症化してから感染が判明しているところなので、これから感染初期の患者のウイルス学的情報が収集されるべきであろうと思います。

○渡邉部会長 ほかによろしいですか。検疫法上の位置付けについては、今のいろいろな御意見が出ましたので、それを参考にした形で、法的な問題としてはこれでよろしいということで、皆さん賛成ということで、取らせていただきます。

 続いて、感染症の病原体として、三種病原体の位置付けです。これはいかがでしょうか。SARSコロナは二類という位置付けになっていたわけですが、それに比べると、今のところは病原性も低そうだということで、三種ということになるのかなと思いますが、よろしいですか。病原体を取り扱う側としては、調先生、よろしいですか。

○調委員 それで結構だと思います。

○渡邉部会長 ほかに御意見がないようでしたら、これも三種ということで取り扱わさせていただきます。事務局から、3点の提案があったわけですが、その3点とも事務局案どおりという形で進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、議題2「多剤耐性結核菌の病原体等管理規制の対象範囲の見直しについて」です。事務局から説明をお願いします。

○梅木結核感染症課長補佐 資料2「多剤耐性結核菌の病原体等管理規制の対象範囲の見直しについて」です。2ページの「見直しの趣旨」です。現在、一般的な結核菌については、人為的な感染症の発生を防止するために、先ほど病原体規制の説明が事務局からありましたが、四種病原体等として、使用、保管等の基準の遵守が義務付けられているところです。しかし、結核菌のうち、一次抗結核薬といった結核薬があるのですが、イソニコチン酸ヒドラジドとリファンピシンというものに対して耐性を有する結核菌を、多剤耐性結核菌という形で、三種病原体等としてその所持の届出が義務付けられております。また、公安等への届出等の運搬等に関しても規制が設けられています。

 一方でWHOにおいては、平成18年に多剤耐性結核のうち、一次抗結核薬のみならず、二次抗結核薬。二次抗結核薬というのは、一次抗結核薬と比較しまして抗菌力は劣りますが、多剤併用により効果が期待される薬剤としてみなされているものでして、フルオロキノロン系の薬剤、カナマイシン等が想定されています。これらに対して耐性を有するものを「広範囲多剤耐性結核菌」という形で新たに定義しておりまして、各国にその対策を求めているところです。広範囲多剤耐性結核菌については、端的にいうと4剤以上の耐性を有するものになります。

 課題として、国内においてMDRについて、保管・運搬等に厳格な規制が設けられていて、その調査・研究が十分になされていないことです。

 今後の見通しについて、これらの抗結核薬について、諸外国において二次抗結核薬として使用されているフルオロキノロン系の薬剤、レボフロキサシンというのが代表ですが、これについて国内において適応拡大に向けた動きが見られています。それから、新しい作用機序の新薬のデラマニドが国内で薬事承認される見通しです。これらを踏まえて、今後MDRの治療成績が向上することが期待されているところです。

 審議をお願いしたいのが、この三種病原体として取り扱っている多剤耐性結核菌の定義について、WHOXDRの基準に準じて変更することについてです。現行の、例えばイソニアジド、イソニコチン酸ヒドラジド及びリファンピシンの2剤のみに耐性を有する結核菌は四種となって、使用、保管等の基準を遵守することが求められるような規制になるかと思います。なお、この提案については、同様の要望書が日本感染症学会、日本細菌学会及び日本臨床微生物学会より、結核感染症課長宛てに提出されており、先週522日に開催の結核部会では、同趣旨の見直しについて御了解いただいております。

3ページはイメージです。3つの色分けがされておりまして、濃いブルーから薄くなってきています。現行の三種病原体、「MDR」と記載されている所を、結核医療の体制の強化、あるいはWHOの定義を踏まえて、XDRの基準に準じたところへ定義を見直したい。真ん中の所の中間的な色合いの所については、三種病原体等から四種病原体等に変更がなされるものというイメージとなっています。以上です。

○渡邉部会長 簡単に言うと、MDRは治療できるいろいろなチョイスが出てきたので四種に格下げしたいと。XDRだけを三種にしたいということです。御意見がありましたらお願いいたします。三種だと輸送等の問題で、お金もかかって輸送も大変だということで、検査が迅速、効果的に行えないような状況があるということで、患者のメリットも考えれば、これを三種にしたほうがいろいろな意味で効果的になるだろうということがバックにあると思います。

○大石委員 この新薬のデラマニドですが、これも一定の医療機関でのみしか使えない特殊な薬剤ではあるのですが、MDR TBに対する効果が十分ありますので、MDR TBを三種病原体にする対応でよろしいのではないかと思います。

○賀来委員 先日、結核部会でも了承されたとの御発言がございましたが、この点につきましては、日本感染症学会、日本細菌学会、日本臨床微生物学会の3学会からも要望させていただいております。渡邉先生がお話しされましたように、検出された結核菌についてのより詳しい解析、例えば更に詳細な薬剤感受性検査やより詳細な遺伝子解析などを実施し、患者の治療や感染予防などに有用な情報を共有することは非常に重要なことですが、現時点では、結核菌の輸送などが非常に難しく、患者さんにとって有益な解析がなかなかできないのが現状なのです。

このような意味からも、専門学会からも要望が出されておりますように、できるだけ患者のメリットにもなるとの観点から、結核菌の取り扱いについてより簡潔にしていただきたいということを是非ともお願いしたいと思います。

○渡邉部会長 ほかの先生方、いかがでしょうか。

○小森委員 今、賀来先生がおっしゃったように、私は結核部会にも出席しておりましたが、渡邉先生がおっしゃった視点以上に、MDRに対してまだまだ治療上は厳しい現状の中で一歩進めていくためには、サーベイランス体制、今、賀来委員がおっしゃったようなことを、より進めていく必要がある。そういう意味で、XDRというように絞って、MDRに対してはサーベイランス体制あるいは今の薬剤感受性検査等の体制をより積極的に進める視点で、こういう見直しについて了承をされたという議論の経過がありますので、報告させていただきます。

○渡邉部会長 ほかの先生から御意見はございますか。よろしいでしょうか。皆さん、御賛同いただけたということで、事務局案どおりで進めていただきたいと思います。

 続いて、議題3「感染症法の見直しについて」です。事務局から説明をお願いします。

○梅木結核感染症課長補佐 資料3、参考資料3に基づいて説明します。資料32ページ、「感染症対策の見直しについて(たたき台)の概要」、次のページ以降はこの本文となっておりまして、「感染症対策の見直しについて(たたき台)」となっております。この「感染症対策の見直しについて(たたき台)」は、感染症部会での提言の取りまとめに役立てていただきたいということで、平成26130日以降における厚生科学審議会感染症部会の議論について、事務局において整理したものです。

 まず、概要の1枚紙で説明します。大項目が3つありまして、その1つ目になります。「鳥インフルエンザA(H7N9)の二類感染症への追加」です。この鳥インフルエンザA(H7N9)については、平成255月に検疫法に規定する検疫感染症とするとともに、感染症法に規定する指定感染症としたところです。これにより、二類感染症と同様に患者に対して入院措置等を行うことが可能となっておりますが、指定感染症としての指定が平成2756日に失効いたします。引き続き、患者の入院措置等を可能とするため、鳥インフルエンザA(H7N9)については感染症法の二類感染症として規定することが必要としております。なお、今後、二類感染症相当の鳥インフルエンザを追加する場合ですが、機動的な対応のために血清亜型については政令委任すること、政令で血清亜型を規定する際には、審議会の御意見を聞くことを検討中になります。

 大項目の2つ目ですが、「感染症に関する情報の収集体制の強化」です。これらの中に小項目が3つありまして、上記2つ、知事による検体等の提出要請・採取措置等の創設、検体等の定点医療機関からの収集については、まず参考資料3から説明をして、その後にたたき台本文の説明を読み上げたいと考えております。

 参考資料3は、病原体に関する情報収集体制の一連の流れを図示したものです。国民・医療関係者、都道府県等、国、それぞれが行う責務を記載しております。国民・医療関係者には、検体等提出要請への協力、検体採取措置に応じる義務、定点医療機関等からの検体提出としております。都道府県等については、検体等提出要請/採取措置、検査の実施、これは基準を設定します。検査結果の国への報告、必要に応じ、国への検体提出としているところです。国ですが、都道府県等で実施された検査の情報を収集、必要に応じ都道府県等に検体等の提出を要請し検査としています。

 これらを行うことで病原体に関する情報収集体制を強化して、情報分析をした上で疫学調査強化、あるいは充実を図り、例えばですが、一類、二類、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症などの発生の正確かつ確実な把握等、あるいは流行している季節性インフルエンザの型や薬剤耐性インフルエンザウイルスの発生状況把握を行い、それによって円滑、迅速、正確に健康危機対応が可能、あるいは国民への注意喚起・情報提供といった対策につながることが期待されているといった流れで考えているところです。

 ここで本文に戻って説明します。2ページの下の「説明」を少し読み上げます。「2(1)ア検体等の提出要請」です。近年、病原体の遺伝子解析技術等が飛躍的に進歩しているところで、感染症対策を立案するに当たって、遺伝子情報、薬剤耐性等の収集・解析が必要不可欠となっています。検体等の提出要請については、現在、積極的疫学調査の一環で実施されておりますが、感染症法に明確に定められていないため、関係者から協力を得る際に障害となる場合があります。このため、感染症法に規定する全ての感染症について、都道府県知事(緊急時は厚生労働大臣)による感染症の患者等に対する検体等の提出要請を感染症法に明確に位置付けるべきとしております。

2(1)イ、検体等の採取措置。一類、結核以外の二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症などの国民の健康に重大な影響を及ぼす感染症については、危機管理の観点から検体の確保や精度の高い検査を実施することにより、感染症の発生状況を正確に把握・確認するとともに、感染症の特徴に応じた対策を迅速に講じる必要があります。しかし、検体等の提出要請については、国民の協力は義務ではなく努力義務とされているため、国民の協力が得られない場合、感染症対策に支障を来すおそれがあります。このため、迅速な危機管理体制の構築が必要な感染症については、患者等が正当な理由なく検体等の提出要請に応じない場合、都道府県知事(緊急の時は厚生労働大臣)が検体を採取できることとし、この場合において必要な手続について、健康診断の規定を参考として規定することとしております。

2(1)ウ、検体等の検査等。都道府県知事は入手した検体等を検査するものとする。その際、都道府県知事による検査について一定の精度を確保するため、厚生労働大臣は当該検査の基準を策定する。また、病原体の検査について、国において精度の高い検査により確認すべき場合がありますが、都道府県から国への検体等の提出については、現在、規定されておりません。このため、厚生労働大臣は都道府県知事に対して、検体等の提出を求めることができるものとしているところです。

2(2)検体等の定点医療機関からの収集。季節性インフルエンザについては、病原体の遺伝子情報等を収集・解析することにより、病原体の性状の変化の監視、薬剤耐性のある株の発生状況の把握、ワクチン株選定の妥当性の評価、新たな感染症との比較などを行うことが可能となります。現在、医療機関の任意の協力により感染症の検体等が都道府県知事に提供されておりますが、検体等の確保が一部となっていることや、都道府県ごとに検体等の提出数や検査数にばらつきがある現状です。このため、季節性のインフルエンザの検体等については、感染症の定点調査を参考として、都道府県知事が指定する医療機関又は衛生検査所から、都道府県知事に対して検体等が提出される制度を構築することとしております。こういった形で説明をしているところです。

 概要に戻って小項目の3つ目ですが、侵襲性髄膜炎菌感染症及び麻しんの医師による届出方法の変更について。これら2つの感染症については、予防内服や予防ワクチンの接種などといった感染拡大防止対策のために、積極的疫学調査を迅速に実施できるように、一類から四類などと同様に医師が侵襲性髄膜炎菌感染症、又は麻しんの患者を診断した場合、氏名・住所等を含む患者情報を直ちに届け出ることとしております。

 大項目の「その他」ですが、実験により感染した動物の獣医師の届出対象からの除外。動物が感染する感染症のうち、ヒトに感染する恐れの高いものの発生動向を把握するために、獣医師に対して、感染症ごとに動物の感染状況を都道府県知事に届け出ることを求めておりますが、動物由来感染症の発生動向を正確に把握するために、実験により動物に感染させた場合については、獣医師に届出義務を課さないこととしております。そういったところをたたき台として記載しております。

○渡邉部会長 1番目として、「鳥インフルエンザA(H7N9)の二類感染症への追加」ということで、今まで指定感染症にされていたわけですが、平成2756日をもって失効するということで、二類感染症なりにしておかないと対策がいかなくなるということで、これはいかがでしょうか。特に御意見はないということで、皆さん賛成ということでよろしいですか。

 続きまして、「感染症に関する情報の収集体制の強化」ということで、病原体サーベイランスを強化しようということを法律の上で位置付けようということです。参考資料3に図で示してあるような、こういう模式図的なことになる予定だということですが、この件に関して御意見等がありましたら、よろしくお願いいたします。治験の立場として、調先生、いかがでしょうか。

○調委員 地方衛生研究所としても、検査結果に責任を持つ必要のある検査は数多くありまして、それの検査精度を保証するために様々な努力が必要だと思っておりますので、こういったことからスタートしていただけると、非常に有り難いと思います。

○前田委員 全体の流れについては、こうした形で徹底されることは非常に有り難く思っております。その中で、検体採取措置についてですが、検体採取措置の2(1)のイで措置の対象の感染症が規定されているわけですが、ここで二類について、結核以外の二類感染症となっております。結核全体となると、確かに数としては非常に膨大になると思うのですが、先ほども病原体のところで議論がありましたように、MDRについては早期から的確な治療処置が必要なことがあります。

 その一方で、現実として例えば多剤耐性結核を疑われる方が感染源の場合には、周囲の接触者への予防内服も含めてその標準治療とは異なってくるわけですが、必ずしも検査が的確であると判断できず、もう一度検査をし直さないと、本当に多剤耐性なのか疑われる場合があるのですが、その際に患者から検体の採取について同意が得られない場合とか、あるいは病院側が自分たちの検査結果でいいのだということを主張されて、なかなか検体を採取して頂けないこともありますので、できればMDR以上の結核については、公衆衛生上重大な状況ですし、また一定迅速な対応を要するということで、措置の対象に加えていただけないかと考えるところです。

○渡邉部会長 事務局としてはいかがですか。

○梅木結核感染症課長補佐 こちらは感染症法において、患者という観点からは一般的に結核という形で考えておりまして、耐性の有無については問うていないという現状があります。検体等の採取措置といったところに、結核以外の二類感染症としておりますが、その前提の一歩手前の検体提出要請については、全ての感染症が対象となっており、そちらのほうではまず対応できます。今回、結核以外といった形で除いた理由ですが、現行、結核患者が年間2万人出ているということから、数字の観点も含めて除外していたところですが、危機管理の観点といったところで必要なことが結核についても言えるということであれば、検討していきたいというところです。

○前田委員 全てではありませんが、MDR以上については御検討いただければと思います。

○渡邉部会長 これは検討するということは、ここの文面が少し直るということですか。この「結核以外」という文面が何かほかの言葉に変わるということですか。

○感染症情報管理室長 もしよろしければ、前田先生の御意見のところで、ほかの先生方のお考えなども聞かせていただければ幸いですが、いかがでしょうか。

○渡邉部会長 ほかの保健所関係、また臨床、感染症の立場からなどでいかがですか。

○澁谷委員 1つ伺いたいのですが、結核部会ではこの議論があったのでしょうか。何かそういう考え方が出されているのでしょうかということを1つ伺いたいのと、結核を外したということは、今、合理的な理由があるから外したという御説明があったかと思うのですが、それ以外に何か、今回、耐性菌のことも出ているのですが、その辺で問題になっていることがあるのでしょうか。

○渡邉部会長 事務局、いかがですか。結核部会等の御意見と、先ほどの説明だと患者の数が多いということで、負担が掛かるという意味ですか。

○梅木結核感染症課長補佐 1つ、結核部会では御審議いただいておりません。検体採取措置として結核を入れることが適当かどうかということは、御審議いただいておりません。検体等の採取措置については、一般的には検体の提出要請は全ての感染症でできるといった前提がまずありまして、その上で、更に検体採取措置までいくかどうか。それについては全ての感染症ではなくて、危機管理の観点から一類、二類、新型インフルエンザ、指定感染症、新感染症といったところに限定した上で、措置まで取れるように考えています。

 しかし、結核については年間2万人以上、発生しているということで、危機管理の観点から、果たしてこれを入れるべきかどうか少し検討したところで、耐性の有無などで判断できるところではなかったために落としているところです。二類感染症であるという結核という観点もやはりありますので、そちらの観点、危機管理という観点で結核がどのように捉えられるかといったことが少し御議論いただければと思っているところです。

○渡邉部会長 臨床微生物学的には賀来先生、お願いします。

○賀来委員 前田委員が言われたように、やはりXDRについては感染源となり得た場合のリスクはやはり大きいと思うのです。ここで結核以外と記載しており、その記載につきまして事務局が説明された意味あいは私自身よく理解しているつもりなのですが、XDRといったものについては、文言が入っていたほうが危機管理という観点からは適切ではないかと考えます。

○味澤委員 今日の部会でもXDRの話が出ましたが、XDRの数は1%ないのではないかと思うのです。そうすると、検体数とすると200以下だと思うので、それは現実的なのではないかと思うのです。耐性で入れるのは確かに変と言えば変なのですが、考えていただければ有り難いと思います。

○小森委員 先ほどお話しましたように私は結核部会にも参画をしている関係で、先ほど御説明があったように、つい先日、結核部会が開催されたところで、その中では事務局がお話されたように、このことについて余り議論されていないのです。縦割でなくて、どこでも有機的に議論すればそれでいいのだと思っておりますが、以前と違って分科会ではなくて、横並びの部会という形になっていますので、部会がないなら別ですが、結核部会が存在しておりますので、形としては確かに結核患者全てということではなくて、絞るという観点からは重要な視点かなと私も改めて感じましたが、そちらでの議論を一応されるべきではないかという感じがしております。

○渡邉部会長 多くの先生が何らかの形で、結核も検体等の最終措置、イに入れたほうがいいのではないかという御意見かと思うのです。結核部会の意見を聞くということで、もう1回戻すというのですが、これは可能なのですか。

○感染症情報管理室長 いろいろと御意見いただき、非常に参考になるところでありがとうございます。私どももこのところは非常に迷って悩んでいるところです。このたたき台が、他方、感染症法の見直しで、場としてはここで進めてきているところですので、この取扱いについて、次回の感染症部会が6月中旬等で予定して、そこでこの提言をおまとめいただければと考えているのです。その間に、結核部会等で議論いただく時間等は、なかなか難しいところかと存じます。この部会の先生方で、ある程度のところで方向性をいただければ、今後の我々の事務手続上助かるところなのです。僭越ですが、そのようなところです。

○岡部委員 私も前田先生の意見に賛成なので、この部会としては、前田先生の御意見は取り入れたほうがいいと思うのですが、一応、結核部会の部会長の意見はお聞きしておくということは入れておいたほうがいいのではないでしょうか。全体の委員会を開くのは事務的にも大変だと思うのですが、委員長了承は頂いておいたほうがいいのではないかと思います。そういう一任はできないのですか。御意見を聞くということで。

○感染症情報管理室長 御提案ありがとうございます。まずはそのような方向で、事務局で調整させていただこうかと存じます。

○廣田委員 検体の採取ですが、恐らく医療機関のレベルでは、患者から医療機関が検体を頂くときは、そう問題はなかろうかと思うのですが、行政機関として例えば地方衛研、あるいは保健所の方が患者から頂こうというときとか、あるいは医療機関から行政機関として頂こうというときに、ちょっと難しいことが出てくるということではないかと思います。そうしますと、別段、感染症の種類、あるいは類型にかかわらず、検体が必要なことは出てくるわけですので、感染症とか類型を規定するのではなくて、むしろ行政機関が患者から頂く、あるいは医療機関から頂くと。これを克服することに重点を置いて、この文面を考えれば、もっと本質に迫られるのではないかと思います。

○渡邉部会長 具体的にどういうふうになるのですか。

○廣田委員 この感染症名とか類型は、むしろ規定する必要はないのではないかという気がしますけれども。

○渡邉部会長 事務局はどうですか。

○山科企画法令係長 まず、検体等の提出の要請については、全感染症が対象であるということで、その提出要請は患者はもとより、医療機関なども想定しており、基本的にはそこで御協力いただければ検体は入手できると。そこで仮に医療機関とか患者の協力が得られない場合に、都道府県の職員などが患者から直接採取させていただくと。そういう措置を設けるという仕組みになっており、直接、患者から取るものについては侵襲性を伴うということもありますので、そこは健康危機管理の観点から確実な確保が必要な感染症に限るという仕組みで、今回、提案させていただいているところです。

○渡邉部会長 提出要請はある意味でリクエストで、ボランティア的なところですね。採取措置というのは、これは強制的な意味も含むという理解で、ある程度疾患を規定しておかないと、どこまでも行ってしまうというのは法的なことを考えてまずいということですか。

○山科企画法令係長 おっしゃるとおりの理解だと考えております。

○渡邉部会長 という意味で、ある程度規定しておいたほうがいいだろうということで。

○廣田委員 それはいいとして、せっかく検体を頂こうとするときに、自ら首を絞めるような制限は設けないほうがいいのではないかと思います。

○渡邉部会長 廣田先生からそういう御意見があったということで。

○磯部委員 法律の観点から、今の議論は任意の協力要請である限りにおいては、全ての疾病を対象にできるだけということで、御理解いただくような説明を十分して検体を採取するというので構わないかと思いますが、強制の契機を伴う場合には、必要性がまずあって、目的を達成するのに必要不可欠なものについての採取をするのに絞る、という発想が大事だろうと思います。今回、一類、何かを除く二類という書き方が1つの工夫であって、今の感染症法も基本的にそのように考えているのだろうと思いますので、このままでいいのだろうと思います。

 これを改めて読みますと、具体的に採取措置をどのように強制するのかというイメージがちょっと湧きにくいというのがあって、口を開けて綿棒で何かの粘膜を採るとかいうことをどのように強制的にするのかは、ちょっとイメージが湧かないのです。場合によっては侵襲性が高いことになりますので、健康診断の受診を参考に手続を定めるということが書いてありますが、イメージがもしあれば教えていただきたいということです。

 あと2点なのですが、正当な理由なく応じない場合には採取できるという書き方なのですが、それでいいかということなのです。正当な理由なくという書き方なのか、採取をしなければ感染症のまん延防止に支障が生じるというような、公衆衛生への重大な支障といったことへのおそれがあるからやるということなのではないかという気がして、正当な理由なくという書き方でいいのかどうかは、ちょっと問題提起をしておきたいということです。

 もう1つは、採取した後のサンプルというのですか、検体について、どのように扱うのか。そして、それは個人情報付きでどこまでいくのかとか、いつになったら保存を終了するのかといったことまでもどこかで取り決めておかないと、検体は1つのメディアですので、そこから幾らでも情報は取れるだろうと思うので、そこの取扱いを明確にしておく必要があるのではないかと思いました。3点、感想です。

○渡邉部会長 事務局から、今の3点に関して何かコメントはありますか。

○山科企画法令係長 健康診断の規定を参考として手続をという件ですが、健康診断を行う際にも、その措置を実施する理由とか、そういった事項を書面により通知するとなっており、書面により通知させていただいた上で、検体採取という措置を取らせていただくといった手続を想定しております。

○渡邉部会長 書面で行うと。採取の仕方とか何かは、具体的に先ほどの健康診断云々という所に書いてあるわけですか。磯部先生はイメージがよく分からないということなので、採るときの採り方とか、いろいろな詳しいことはどこかにこれから書く、又は書いてあるという理解でよろしいですか。

○山科企画法令係長 健康診断の17条の3項、4項に書面の通知という規定がありまして、そちらを参考に法律上、書き込ませていただくことを想定しております。

○渡邉部会長 そこに具体的な採り方などがイメージできるようなものが書いてある、と理解すればよろしいのですか。

○山科企画法令係長 具体的に採り方までは法律上、規定されておりません。

○渡邉部会長 先ほど正当な理由なくという、これではなくて、別の書き方があるのではないかと。

○山科企画法令係長 その点については、少し検討させていただきたいと考えております。

○磯部委員 採取した後の。

○渡邉部会長 採取した後の検体の行方というか。

○岡部委員 意見を申し上げたいと思っていたのですが、今の磯部先生のところに関連するので、非常に貴重な検体、あるいは病原体になって、法に基づいて採ったものなので、その目的だけに使用したら廃棄ということになるのは、公衆衛生上、あるいは研究上も、不利益になると思うのです。そこはもちろん、インフォームド・コンセントなどが要ると思うのですが、ここで議論するのではなくて、いずれどこかで議論が出てくると思うのですが、病原体として必要なものについては、もちろん個人情報の話とか、常識的なものはありますが、基本的には公衆衛生、あるいは研究の発展上に保存し得るもの、ほかのことに使用できるものということの一応のコンセンサスは得ていただきたいと思うのです。

○渡邉部会長 将来的にそれを利用した形で、例えばパブリケーションに持っていくというときには、もう1回インフォームド・コンセントを取り直すのか、それとも患者情報等を完全に切り離して、連結不可欠にした状態だったら、そういうところまでできるのか。その辺のことだと思うのです。その辺は今日ここで議論する時間は今はないと思うので、事務局で案を作っていただいて、また機会があるときに言っていただければと思います。せっかく採ったものをそのまま捨ててしまうというのは、もったいないという言い方はあれですが、国民の利益にとって有益な情報が、それ以上の解析をもってした場合に出てくる可能性も十分あると思うので、その辺は考えていただければとは思いますけれども。

○小森委員 磯部委員がおっしゃられた問題は極めて重要な視点です。ですので、このままの文面でこの部会で今、了承ということにはならないと思いますね。また、包括同意の問題については、ほかの部会でいろいろ議論もされているので、事務局でしっかりそこを整理されてやられるべきだと思いますので、是非よろしくお願いします。

○渡邉部会長 頂いた検体の取扱い方も、ここにある程度分かるようなものを入れ込んでいただいたほうがいいという御意見だと思うのですが、事務局、よろしいですか。

○感染症情報管理室長 承りました。検討させていただきます。貴重な意見ありがとうございます。

○渡邉部会長 2つ問題があって、1つは結核の取扱いで、少なくともMDR以上は何とかしてほしいということで、これの文面の書き方についても宿題という形で、頂いた検体の取扱い方、将来的な取扱い方、これは別にこれだけではなくて、ほかのところにも入ってくるかと思うのですが、その辺のことも踏まえた形での項目がここに入り得るかどうか。その辺の検討もお願いいたします。ほかに何かありますか。

○岡部委員 この見直しで一番最後でいいです。その他で。

○渡邉部会長 ほかにこの見直し案に関して、御意見はありますか。項目3では「侵襲性髄膜炎菌感染症及び麻しんの医師による届出方法の変更」ということで、これも前から議論されてきていることですが、氏名・住所等の個人が特定できる情報を含む患者情報を直ちに届け出ることを義務とする。これはよろしいでしょうか。

○小森委員 この問題について、私は何度も発言をしております。最終的に五類のままでということで受け入れたいと思いますし、各医療機関に対しては協力するように私どもの立場からも周知をしていきたいと思います。ここにマスコミの方もいらっしゃるのですが、個人情報を何らかの形であれ公衆衛生上の観点から届け出ることを医療機関に義務付けることについて、是非深い御理解と、国民の方々に対する理解に御協力いただきたいということを、あえてちょっと発言させていただきたいと思います。是非よろしくお願いします。

○渡邉部会長 よろしくお願いします。ほかに、今の侵襲性髄膜炎の麻しんに関して御意見はよろしいでしょうか。

 もう1つ、「実験により感染した動物の獣医師の届出対象からの除外」、これはよろしいでしょうか。全体的な形で岡部先生どうぞ。

○岡部委員 感染症に関する情報の収集体制、結局サーベイランスに関わることなのですが、私は予防接種分科会の座長をやっているのですが、そこの基本方針の中ではワクチンで防げる病気に対するサーベイランスの強化ということがうたわれています。現実には例えばロタの重症とか、ここにも出ている侵襲性髄膜炎であるとか、Hibであるとか、肺炎球菌のサーベイランスがきっちりできてきているというのは、ワクチンの評価であるとか公衆衛生対策上、良いデータになってきていると思います。今度10月から新たな定期接種として肺炎球菌の成人用であるとか、水痘が入り、その他にも、もしかすると入るかもしれないといったものが議論されているので、そういう疾患に対するサーベイランスの強化をどうするかということを是非、事務局に検討していただいて、早く入るものについてはできるだけ早くそういった検討をこの場に出していただければと思います。

○渡邉部会長 ワクチンプリベンタブルディジーズに関しての病原のサーベイランスに関して、いかがですか。

○感染症情報管理室長 岡部先生の御発言にもありましたように、この部会ではこれまで侵襲性のHibとか肺炎球菌とか、新たに追加される予防接種の感染症のサーベイランスについて、新しいいろいろなやり方などを御検討いただいて今に至っているところです。今後とも新たに導入されるようなものについては、その都度、状況がワクチン接種によって変化が見られるような形で入れてまいりたいと、なるべく手厚くサーベイランスができるように進めたいと考えています。御協力、どうぞよろしくお願いいたします。

○大石委員 その件に関して、現在、肺炎球菌、インフルエンザ菌の侵襲性感染症の原因菌の収集を研究班でやっているのですが、必ずしも円滑に原因菌の収集が行えている訳ではありません。今回のご提案のように、病原体検査の感染症法上の位置付けをきちんとしていただくと、この辺の問題が解決されるのだろうと思っております。

○渡邉部会長 今まで病原体を集めるのは、積極的疫学調査という形で集められないこともなかったのですが、なかなか理解されにくいところがあって、そういう意味では病原体収集のこういう規定が法律の上で乗るということは、検査する側も非常にメリットがあるし、患者にとっても非常にメリットがあることにつながるのだと思うのです。現代のような科学、いろいろな解析ができるような時代になってくると、その解析したことによって病原性がどの程度なのか、又は薬剤耐性の問題も含めて、諸々のそういう情報がワクチンの開発、又はワクチンの効果の判定にも利用できると。そういう観点からすると、私は感染研の人間ですが感染研の立場としても、また、ほかの公衆衛生学的な立場からも非常に有用だと思います。

 今日は皆さん、これに関して非常にポジティブな御意見を頂いて、内容の充実に向けて幾つかのコメントが出ましたので、事務局のほうで更なる検討をいただいて、また次回なりにこのバージョンアップのものを出していただければと思います。コメントが更にありましたらお聞きしたいと思うのですが、よろしいでしょうか。もしないようでしたら、事務局にお返しいたします。

○梅木結核感染症課長補佐 様々な御意見を頂きまして、ありがとうございました。次回の開催については、日程調整の上、連絡を差し上げます。長時間にわたり、ありがとうございました。


(了)

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