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2014年5月16日 第5回東電福島第一原発緊急作業従事者に対する疫学的研究のあり方に関する専門家検討会  議事録

○日時

平成26年5月16日(金)
15:30~17:30


○場所

厚生労働省労働基準局第1・2会議室(16階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○得津電離放射線労働者健康対策室長 本日はお忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。定刻より若干早いのですが、委員の先生方がおそろいになりましたので、ただいまより「第 5 回東電福島第一原発緊急作業従事者に対する疫学的研究のあり方に関する専門家検討会」を開催いたします。

 はじめに、本日の出席状況ですが、本日は 7 名の委員の先生方全員が御出席です。それから、本日は前回、第 4 回の検討会の御議論などを踏まえて、内容等を修正した報告書 ( ) を提示させていただいております。一応、本日でこの検討会の報告書の取りまとめは最後という予定にしております。是非、活発な御議論をお願いできればと考えております。カメラの撮影はここまでとさせていただきます。

 本日の議事進行については、大久保座長にお願いします。よろしくお願いいたします。

○大久保座長 皆様の御手元に検討会の報告書 ( ) が示されております。内容は、もう最後ですので、 1 行ずつ慎重に御検討いただきたいと思います まず、資料確認をお願いいたします。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 資料の確認をさせていただきます。 1 枚目が次第です。次のページが資料 1 として「開催要綱」です。 4 ページから前回の議事録を添付しております。 21 ページからが資料 3 として、報告書 ( ) です。 42 ページから表 1 、表 2 、表 3 で、 46 ページに図が付いています。資料は以上です。

○大久保座長 本日は 21 ページからの報告書 ( ) について御審議をいただきます。最初のローマ数字の1、2、3の第 1 までは余り議論する必要はないと思いますが、一括して説明があればお願いいたします。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 まず、 22 ページの目次からですが、構成としては ローマ数字1が「開催要綱及び参集者」、 ローマ数字2が「検討の経緯」です。 ローマ数字3は「疫学調査に当たっての基本的考え方」ということで、ここは本体部分になります。最後に ローマ数字4として「参考資料」を付けております。

ローマ数字1、2については、 ローマ数字1は従来から御説明している「開催要綱」を、 ローマ数字2は「検討の経緯」をお付けしています。ここは以上です。

○大久保座長 特によろしいですね。それでは、 ローマ数字3の第 2 からです。本日は 1 つずつ点検をしていきたいので、 1 つずつ説明してください。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 それでは、 27 ページの第 2 の所で説明させていただきます。こちらは、前回の御議論を踏まえて修正した部分に下線を付けていますので、そちらを重点的に説明いたします。

 まず、第 2 は「調査対象集団、研究手法等」です。 1 は「調査対象集団」ということで、緊急作業従事者約 2 万人を対象集団として設定して、調査期間は原則として調査対象者の生涯にわたるものとするということです。ほかは変更になっておりません。

2 は「研究の対象となるばく露因子」です。 (1) に「累積線量」を定義しています。前回は「生涯線量」という表現を使っていましたが、生涯線量というのは亡くなった後に分かるものですので「累積線量」という表現にしております。 ( 1) に累積線量の定義を入れていて、1.緊急作業以前の通常被ばく線量、2.緊急被ばく線量、3.緊急作業以降、エンドポイント調査時点までの通常被ばく線量の合計線量ということにしております。この通常被ばく線量の中には、医療被ばくも含めるという概念で考えております。

(2) です。対象集団の中で研究対象とするばく露因子を複数設定する場合は、対象集団の中に複数の小集団の設定を行うことも可能とするということです。これについては、 ( 3) に少し書いていますが、ここも累積線量をばく露因子ではなくて、例えば「短期間に高い被ばくをしたこと」をばく露因子として捉える場合は、累積線量でマッチングした上で、緊急作業者の集団の中で緊急時の被ばくが高い群と低い群を設定する、などといったことが考えられるということです。

( 4) ですが、「臓器別の内部被ばく線量」をばく露因子として捉える場合は、臓器別の内部被ばくに着目した集団設定についても考えられるということです。 ( 5) ですが、緊急作業による心理的影響をばく露因子として調査するためには、緊急作業に従事した時期、例えば平成 23 3 月・ 4 月という早い時期に従事された方とそれ以外の方で、ばく露群と対照群を設定する方法もあるということです。

2 (3) です。心理的影響のばく露因子として、作業内容、作業時期、本人の被災状況等についても調査する必要があるということです。これについては、本来は被ばくによる影響を調べる調査ですが、心理的影響については放射線被ばく以外のものも非常に大きいことが見込まれるので、ばく露についても幅広く調べておかないと放射線影響はよく分からないことになるので、こういったものについても調べておいた上で、解析のときに探索的に解析をする必要があるということです。

3 は「研究手法」です。 (1) は、調査手法としては前向きのコホート調査ということで、場合によってはコホート内ケースコントロール研究の実施についても検討するということです。

(2) ですが、ここは表現ぶりが大分変わっています。調査対象者に対してどの程度の情報提供などを行うかについて、研究開始時に研究実施者が決定する。少なくとも受診率を維持・向上するため、ニュースレターの配布等は実施すべきであるということです。 ( 2) ですが、どういう情報提供などを行うかについては、精密検査実施のための医療機関の紹介、保健指導、健康相談などが考えられるということです。

(3) です。これもかなり議論があったところですが、研究結果の取りまとめに当たっては、統計上有意差のあった解析結果、十分な検出力がある統計的検定において有意差がなかった解析結果の双方について明らかにするということで、 ( 3) で研究の仮説、あるいはばく露因子、統計手法の選択については、研究を実施する中で探索的に検討・決定する必要がある。しかしながら、研究の客観性を担保するために、恣意的に統計上有意差のあった解析結果、あるいは統計上有意差のなかった解析結果のみを公表することがないように留意する必要があるという注意書きを入れています。

(4) については、場所が移っただけですが、倫理指針等に基づき、適切な倫理委員会の審査を受けるということです。

4 は「調査対象集団の追跡・維持のための現況調査等」です。こちらも、表現は「追跡・維持」という形に直しています。この部分については、厚生労働省から定期的に現況調査を行うということで、 (2) に書いているように、厚生労働省が把握している更新された住所情報などを、研究実施者が入手して、それを使って対象集団を追跡・維持することを考えているということです。いわゆる対象集団のフォローアップについては、基本的には厚生労働省が行政経費でやっていくということです。

( 1) ですが、ここも現況調査に未回答があった場合に、必要に応じて住民票の請求による調査を行うことを盛り込んでいます。第 2 は以上です。

○大久保座長 非常にベーシックな大事な部分なので、どこからでも忌憚のない御意見を頂きたいと思います。御意見がないようでしたら、私から皆さんの御意見を伺います。

 まず 2 (2) です。研究対象をばく露の状態によって分けて検討するという所の文章なのですが、「研究対象とするばく露因子を複数設定する場合は」というと、少し違和感があるのです。「区分する」ですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 確かに、因子としては。

○大久保座長 因子は 1 個しかない。因子という言い方は。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 区分けするというか、個分けするというか、そういうことですね。

○大久保座長 そういうことですよね。これは後で少し時間をかけて、いい言葉を探したほうがいいと思います。

 これは単なる確認ですが、 (3) は、もし放射線ばく露を私どもが中心として見るという立場からすれば、いわゆる交絡因子、 Confounding になります。これはもう、ばく露とは別にストレッサーをばく露として捉えて、心理的な影響も今回の調査の中に、 2 つの目的として入れるということでよろしいのでしょうか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 従来は Confounding として整理していたのですが、前回の議論の中で、放射線被ばくによる心理的被害は必ずしも。

○大久保座長 ただ確認を取っているだけです。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 必ずしも大きくないのではないかということがありましたので、ばく露因子として調べるということで整理をしております。

○大久保座長 こういう位置付けでよろしいですね。特に反対がないようですから、原案どおりでいいと思います。

 それから、 ( 4) に書いてある「臓器別の内部被ばく線量」というのは、事実上は甲状腺だけですよね。あとは、これは特定の臓器に特定の線量が行くという計算は、まだちょっとできないのではないでしょうか。

○明石委員 そうですね。恐らくここは、内部被ばくで特定のというと、まず甲状腺が第一で、あと、核種からするとセシウムになりますが、セシウムはカリウムと同じで臓器特異性というよりも細胞の量によって比例するので、恐らくここは甲状腺のことを念頭に置いた内容であればいいのではないでしょうか。

○大久保座長 でも、この表現で別に悪くはないのですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。児玉先生からは、骨髄の関係は白血病の。

○児玉委員 眼とか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 眼もありますね。特定の疾病。

○大久保座長 ただ、眼は計算できない。

○明石委員 外部被ばくが多いですよ。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 眼はそうですね。眼はほとんど外部被ばくだと思います。

○明石委員 それから、恐らく骨髄も外部被ばく、均等被ばくであれば外部被ばくだと思いますけれども。

○大久保座長 そうすると、いわゆる普通の臓器荷重線量だけの話であって、特別な話ではないですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。多分、結果的にはそうなるような気がします。

○大久保座長 確認だけです。この文章で間違っているとは思いませんので構わないと思います。ほかに議論しておくところはありますか。

 では、最初から少しお断わりしておきますが、これは一応、研究報告書としては最後の段階です。ですから、多分まだ本日は十分に時間をかけて見ておられないと思うので、本日の議論が終わってから一定期間を置いて、その間にお気付きの点は後で事務局に連絡していただくようにします。

○明石委員  1 点だけです。 7 ページの ( 1) ですが、ここは1で「緊急作業以前の通常被ばく線量」はいいのですが、「緊急被ばく線量」というのは「緊急作業による被ばく線量」ですよね。

○大久保座長 そうですね。「緊急被ばく」とすると少し意味が変わってしまいますね。

○明石委員 何か別の意味かと思えるので。これは、内容としては緊急作業に当たったときの、あの一定期間の線量という意味だとすれば、言葉を修文したほうがいいのではないかと思います。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 たまたまというか、あえて一致させているところもあるのですが、平成 23 年の 12 16 日で、緊急被ばく限度を 250mSv から 100mSv に下げたと同時に、通常被ばく限度の適応に戻していますので、そういう意味では、いわゆる放射線管理手帳に書いてある緊急被ばく線量と、我々が調べようとしている 12 16 日までの緊急の線量は、基本的には一致することにはなります。

○大久保座長 それでは、どこかで注書きで足しましょう。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。分かりました。その辺りが分かるようにします。

○大久保座長 いきなり読むと、違うことを想像してしまう。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるように、一般的には一致しませんので、たまたま今回、一致しているというだけですので。

○大久保座長 では、この報告書では「緊急被ばく線量」と言ったときには、 12 月末までの累積の線量を指しているということを定義しておけばいいのではないですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 はい。

○笠置委員  ( 1) の所の合計線量の中には、医療被ばくも含めるというようなお話であったとは思うのですが、それはどういうふうに。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 正直なところ、後ろの第 4 で医療被ばくの話は出てきますが、通常被ばく線量のように何ミリシーベルトと美しくは出ませんので、事実上 Confounding に近い扱いだと思うのです。そこをどうやって具体的にマッチングするときに評価するかは、正直なところ十分に検討しないと分からないところはあるのですが、一応、概念としては把握できた医療被ばくは入れていかないと。実行上どうするかは、御指摘のとおり非常に難しいのですが、一応、排除しないということです。

○笠置委員 そういう意味では、1の「以前」のほうは非常に難しいですね。3のほうは、この研究企画である程度工夫をすれば、ある程度は把握できるかもしれない。ですから、一言で「医療被ばく」と言わないで、やはり、研究を開始した以降の医療被ばくについては別扱いにして、何とか把握する努力をしようと。「以前」はもう無理ですよね。

○数藤委員 先ほどの定義ですと、通常被ばく線量というのは作業被ばくに限っていらして、緊急被ばくは 3 11 日から 12 月という定義になっているので、そうすると、医療被ばくは全くここには含まれないのでは。

○大久保座長 先ほどの説明では、3に入るという説明だったのです。

○数藤委員 3の中には「通常被ばく」と書いてしまっているのは、これも作業だけという意味になってしまうと思うのですが。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐  32 ページの第 4 の「累積被ばく線量の把握」の所に書いてあるのですが、第 4 の分類としては、前回の大久保座長の御指摘もあり、緊急被ばくと通常被ばくにしております。 ICRP の基本的な考え方で言えば、職業被ばくと医療被ばくで分けて考えなければいけないということなのですが、現実問題としては、この研究の中では、把握できたものについては通常被ばくの中に入れていくしかないのではないかという整理にしています。

○大久保座長 やはり職業被ばくとしての研究だとすれば、医療被ばくのほうは Confounding にすると。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 はっきり言って Confounding だと思うのですが、ただ、健康影響を見るときに、その区別ができませんので。

○大久保座長 区別ができませんね。ただ、交絡因子というのはそういう定義なのですから。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 ええ。分離不能な交絡因子ですので。

○大久保座長 では、たまたまこれは言葉は入っていませんし、医療被ばくの話は、 (1) ( 1) の3の中には、今後の説明では特に触れるのはやめましょう。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 分かりました。もともと第 4 に出てきますので。

○大久保座長 第 4 のほうで説明することにしましょう。

○祖父江委員 章立ての構成として、第 2 の所で調査対象集団があり、次にばく露因子の説明があるのですが、本来はやはりエンドポイントを何か書くべきですよね。それが第 3 で初めてエンドポイントの説明が出てきていて、第 4 は被ばく線量、主たるばく露因子ですね。それで交絡となっています。やはりここは何か、第 1 と第 2 の間にエンドポイントに関しての簡単な記述があったほうがいいように思います。基本的な記述があって、第 3 にエンドポイントの詳細な記述があるという。

○大久保座長 第 3 以降の平仄とも、そのほうが合いますから。 1 行か 2 行のごく簡単なものでいいのですよね。

○祖父江委員  1 行か 2 行で書くという感じです。

○大久保座長 要するに、前向きの追跡調査として、可能な限りの健康影響について観察をすると。前向きに観察するという表現だけで入れておきましょう。

○祖父江委員 ですから、エンドポイントを、健康指標というか、主としてはがんと非がん、疾患についてエンドポイントとするというような感じですかね。

○大久保座長 ただ、心理的な影響も入っているので。

○祖父江委員 ですから、そこも含めてエンドポイントとするということを、大まかに書くのがいいのではないかと思います。

○大久保座長 というか、期間もありますよね。追跡は生涯と書いてあるだけで、ではエンドポイントをいつから観察を始めるかという話もあるでしょうから、少し検討して、開始後 1 年以降に発生するいろいろな健康影響について観察をするというような表現を入れて、後ろとの平仄を合わせるようにしましょう。

○祖父江委員 その意味でいくと、第 2 の中に含まれている 4 の「調査対象集団の追跡・維持のための現況調査等」というのも、もう少し後ろのほうに来たほうがいいような気がします。

○大久保座長 なるほど。

○祖父江委員 これは追跡のための具体的な手法のことですよね。

○大久保座長 そうですね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 あえてここに入れた理由は、ここはもう研究班は扱いませんよということを宣言して、以降は基本的に外に出てきませんという。要は対象集団と密接に絡みますので、対象集団の設定はしますがフォローアップは研究の中ではやらなくて、厚生労働省がやるのですという趣旨です。

○祖父江委員 研究ということでなく、その外で行われる行為を記述しておくということですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうです。ですので前のほうがいいのではないかと思って入れたのです。

○大久保座長 では 1 のすぐ下に来るような内容なのですね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐  1 のすぐ下に入れるという手もありますね。

○大久保座長 対象集団の定義に近い話だとすればそうですね。それでは、また後で戻ってもいいと思いますので、次に行きましょう。第 3 の説明をお願いします。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐  29 ページからは、第 3 「研究の対象となる健康影響とその把握」ということです。 1 は「研究の対象となる健康影響 ( エンドポイント ) の基本的考え方」です。研究の対象となる健康影響としては、表 1 に掲げられた過去の研究で放射線影響の可能性があると報告されている固形がん、白血病、非がんの疾病といったものを可能な限り網羅するということです。もちろん、これらの疾病を全て検査で調査することは困難ですので、がん登録制度、人口動態調査などと組み合わせて調査を実施することが必要であると、基本的な考え方が述べてあります。

2 は「必要な検査の項目」です。これは 44 ページの表 3 に整理しています。これは前回御議論いただき、毎年実施する項目と、 3 5 年ごとに 1 回実施する項目ということで、すっきりと整理させていただいております。前回、検討項目としていた腎機能検査や炎症関連検査、感染症検査については、生体試料を収集する項目として、 3 5 年ごとに実施する項目として位置付けたということです。これに伴って、御記憶があるかどうか分かりませんが、腹部エコーなどは削除されています。

29 ページに戻ります。こういった項目でやるということですが、 2 (2) にあるように、本研究のように長期間にわたる研究では、蓄積したデータの継続的な活用に留意しながら、検査項目の変更や追加には柔軟に対応するということです。

3 「検査頻度」についても、先ほどの表 3 で書いているとおりなのですが、一応、考え方を整理しています。まず (2) に書いている、大臣指針で定める検査項目のうち、一般住民向けのがん検診で毎年実施されている項目については、研究においても毎年実施するという整理をしています。その他の項目については、 3 5 年に 1 度の範囲で実施されるということです。

(3) を付け加えておりまして、原爆被ばく者に対する研究結果を踏まえて、腎機能検査、炎症関連検査については 3 5 年に 1 度の範囲で実施する。感染症の検査についても 3 5 年程度に 1 度の範囲で実施するということで、 ( 3) ( 4) に説明を付け加えています。 ( 3) には、原爆被ばく者に対する研究結果から、被ばく線量に応じて、腎機能の低下、炎症反応、 CRP の増加、リウマチ因子等の増加が見られるということ。 ( 4) は、ヘリコバクター・ピロリについては、除菌等を行う場合もあること。肝炎の菌についても、インターフェロン治療によって駆除の可能性があるということですので、一定の頻度で検査を行うということを注書きで入れております。

(4) です。生体試料の保存をどうするかという議論ですが、少なくとも初回調査については、すぐに検査するものと長期保存するものを分注して、長期保存するものについては冷凍保存すべきだということです。初回以降については 5 年に 1 回を基本として、生体試料の冷凍保存をすべきであるということにしております。これは ( 5) で、生体試料を凍結保存する具体的な頻度については、研究実施体制等を踏まえ研究実施者が決定するということですので、 5 年に 1 度はメドですが、研究実施者の判断で、例えば 10 年に 1 度するなどということは可能にするということです。

4 は「がん登録制度や人口動態調査の活用」です。がん登録制度については、法令改正により、平成 28 年度から義務付けられるということですので、それを使う。人口動態調査については、死亡票データを活用するということですが、これについても同意書に含める必要があるということです。それから、死亡票のデータを活用するためには、データベースの中に氏名が入っていませんので、死亡の日時、住民登録された住所、これは具体的には管轄の保健所にあるわけですが、そういったものによってマッチングをすることになるということです。 ( 2) に具体的な話として、住民登録された住所 ( 管轄保健所 ) 、死亡日時、性別、生年月日によってマッチングするということを書いております。

5 は「心理的影響に関する調査」ということで、心理的エンドポイントを適切に把握できる調査票を使用する。それから、調査結果に応じて、必要な場合はメンタルヘルスケア実施機関の紹介などを行うということを付け加えております。

 次のページに ( ) がありまして、調査票の選定に当たっては、心理的影響のばく露因子について探索的に解析する必要があるため、被ばく線量以外の因子も含めて幅広く調査できる調査票を使うという注書きを入れております。第 3 については以上です。

○大久保座長 かなりきれいに整理はできているようですが、いかがでしょうか。

○祖父江委員 住民票による追跡は要らなかったのですか。人口動態統計だと、死因をそこから取るのはいいのですが、その死因を取るために死亡年月日を把握するので、そのために住民票照会が必要だったように思います。

○得津電離放射線労働者健康対策室長 住所地が分かっていればいいということではないのですか。それはうちのデータベースで。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 それは 28 ページの 4 に書いてありますが、現況調査に未回答の者に対しては必要に応じて住民票の請求を行い、死亡が把握された場合は、そこで住民票の住所が分かるので、日時でマッチングをすればデータベースから拾えます。データベースでマッチングした人が複数出た場合は、個票を取り寄せることになります。

○大久保座長 ここまではコンピュータでできることを先にやって、最後にどうしても同定が必要になった場合には原票に戻れるということですね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうです。データベースに記載されている事項は限られていますので、どうしてもより詳しく見たいということであれば、個票に戻るしかないことになります。

○大久保座長 がん登録のように、最終的に誰だか分からないものがかなりあるのは困るので。死亡票については大丈夫ですね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 死亡票は、住民票登録住所と生年月日と性別があれば、必ず誰かにヒットしますので、分からないことはないと思います。

○大久保座長 ほかに何か御質問、御発言はありますか。特にないようですので、第 4 に移ります。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐  32 ページ、第 4 「累積被ばく線量の把握」です。こちらは前回、大久保座長から御指摘がありましたので、構成を大きく見直しており、緊急被ばく線量の把握に当たっての留意事項を 1 として、 2 として通常被ばく線量 ( 医療被ばくを含む ) の把握に当たっての留意点、 3 として染色体の検査を入れております。

1 「緊急被ばく線量の把握にあたっての留意点」ですが、被ばく線量に関する記録は、将来の検証に耐えられるように、測定器の種類、測定条件、測定結果等々について、可能な限り原票で保管するということです。これらについては、本来的には事業者側で保管するのが原則ですが、散逸を防ぐために、研究者においても写しの保管・整理をすべきだとしております。

( 1) に、内部被ばく線量についてどういうデータが必要かを列記しております。スペクトルデータ等々ありますが、変わった部分としては行動調査結果というものがあります。東京電力などは行動調査票と言っておりますが、これは例えば安定ヨウ素剤をいつ飲んだとか、いつ 1F に入って、 1F を出たといった出入りの記録などが全部書いてあるもので、そういったものもきちんと保管していくということです。

(2) 内部被ばく ( 預託 ) 線量については、長期健康管理の観点から最大限安全側、これは線量が大きめに出るように評価していますが、健康管理の数値としては妥当である判面、疫学研究観点からは量反応関係が検出されにくくなるという観点があり、外部線量にも言えることなので、外部線量も含めて、「疫学研究の観点から採用する被ばく線量」は多角的に評価するということです。

( 2) に具体的なやり方を書いておりますが、例えば放射線ヨウ素が不検出で、推定しているような場合であれば、確率的に最も確からしい数字を使うことも考えられるということです。もちろん、詳細については研究実施者が考えていくことになります。

(3) に、臓器別の被ばく線量についても評価するということを入れています。

(4) 生物学的線量測定は、原則として外部被ばく線量について活用するということです。これは 3 に詳しい記載があるので、 (4) は削除してもいいかと思っております。 ( 4) ですが、生物学的線量測定は、外部線量については信頼性が高いが、内部線量については今後の研究が必要であるという表現になっております。内部被ばくは、いわゆる預託線量、この 50 年間の被ばくということになりますが、それが果たして染色体にどこまできれいに出るかは知見がないということでしたので、そういった記載を入れております。

2 「通常被ばく線量 ( 医療被ばくを含む ) の把握にあたっての留意点」です。 (1) 事故前の通常被ばく線量、将来のほかの原発の通常被ばく線量を把握するために、放射線影響協会が運営する中央登録センターからデータ提供の協力を得ることが必要不可欠だということです。 (2) 医療被ばくについては、どうしても線量が高いものもあるので、これをできるだけ正確に把握するために、健康カレンダーなどの方策が必要になるということです。

 次のページです。ここは特に変わっておりませんが、特に ( 3) で、レセプトによる CT の実施記録について、研究実施者が東京電力等の個別の健保組合との協議をして、レセプトデータを活用することに最大限努力すべきというところは入れております。

3 「染色体の検査について」です。染色体検査は従来別の所に入っておりましたが、議論の収束の中で、被ばく線量評価のために行うことについてはほとんど議論が集約されましたので、こちらに場所を移しております。染色体の検査は、被ばく線量を生物学的に測定できることと、凍結保存することにより、将来、健康影響が発生した場合に過去に遡って、自己生体試料の採取時の染色体の影響を確認できるということです。検査対象者としては、既に 3 年たっているということもあるので、 100mSv を超える方に限定して、フィッシュ法で実施するということです。頻度ですが、前回の議論を踏まえて、生体試料の採取は初回検査時のみに実施すると。採取された試料は、培養した上で固定液状態及びスライドグラスの状態で凍結保存するということです。

( 3) ですが、染色体の検査時期は初回検査後速やかに行うことに加え、凍結保存しておいて、数十年後に疾患が発生したときの初期値として使うことも含めて考えるということです。この辺りについては、研究実施体制にかなり大きく依存するので、研究実施者が決定をするということです。以上です。

○数藤委員 補足させていただきます。前回までまだ明らかでなかったのですが、今年度、私どもで調査をして、採血時にそのまま凍結保存した細胞を起こしてできるかという御質問が前回あったので、それを調査します。それが今の段階で可能かどうかまだ分からないので、ここには明確には書けませんが、保存リンパ球を起こしての培養が可能かどうかの調査を今年度行います。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 起こすというのは、凍結してあるリンパ球を溶かした後で、そこから培養するという意味ですね。

○数藤委員 そうですね。通常は、樹立細胞はそれで 6 割以上復活して、通常の患者の凍結保存樹立株に関しては可能だということは分かっています。ただし、末梢血のリンパ球がそれで何割増殖できるかがまだ分かっていないので、効率が良ければ最初にありました試料凍結ということで、ここでは完全な固定標本だけを凍結保存と明記されていますが、もしかすると細胞の状態でも可能かもしれないので、これについては後日もう少し文章化して、皆様に御提出したほうがよろしいでしょうか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐  ( 3) にその辺りを書き込んで、最終的には研究実施者が決めるということですが。

○数藤委員 このとおりでなくてもよいということですね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。もちろん、そこは科学技術の進歩によって、もっと効率のいい方法があればそれで構わないというような記載を入れたいと思います。

○大久保座長 それでは、 1 (4) は削除して、 ( 4) はどこかに移したほうがいいですね。なくなってしまうと寂しいので。多分これは大変なことなのだろうと思いますが、初回にやっておけば、ここで定義する緊急時被ばく線量を反映する異常についてはそれで十分なのでしょうけれども、例えばその後の追跡調査中の医療被ばくなどを考えると、 10 年に 1 回ぐらいやるというのも意味がないわけではないですね。ただし、手間はものすごく大変でしょうけれども、そんなことのためにやるだけの能力があるかどうかという問題もあるでしょう。

○数藤委員 初回を 100mSv の方に絞っているので、恐らくそれ以下の人数になるので、可能かと。

○大久保座長 でも、医療被ばくで大量被ばくする人のことを考えると、全員やらないと意味がないですね。そうなると大変ですね。

○数藤委員 そうすると、もし研究を早期発見が目的ではなく影響研究と捉えれば、発症した方又は悪化している方に限定すれば可能ですね。

○大久保座長 それに限ってやれる可能性はありますね。 Confirm すればいいのですね。

○数藤委員 そうですね。早期発見のための健康診断としては、多すぎて難しいですね。

○大久保座長 書くのはやめましょう。後でやればできるということでしょう。

○笠置委員  2 に「通常被ばく線量 ( 医療被ばくを含む ) 」とありますが、これはなかなか納得のできない言葉かと思います。医療被ばくを含んだ通常被ばく線量で、放影協が運営する中央登録センターのデータの提供ということになると、中央登録センターは医療被ばくは全くないので、ここでは通常被ばくは職業上で被ばくするという意味に限定して、通常被ばく線量「並びに」、若しくは「及び」医療被ばくの把握に当たっての留意点にしたほうがいいかと思います。

 最初に戻って、医療被ばくを含むというのが累積線量の話がありましたが、あれは職業上と考えればいいのかなと思いました。というのは、緊急時前の通常被ばくや緊急時の被ばくは全員分かるというか、この中に医療被ばくを含めてしまうと、分からない人がたくさん出てくるわけです。そうすると、線量が把握できない人が出てくるので、累積線量は緊急時以前の被ばくと緊急時、緊急時以降の被ばくに限定して整理したほうがいいのかなと。 12 ページの 2 は「並びに」という形で医療被ばくを入れて、留意点としたほうがいいかと思います。

○大久保座長 今の御発言の趣旨を捉えて、 2 のタイトルを「通常被ばく線量及び医療被ばくの把握にあたって」と併記しましょう。 (1) には原発の通常被ばくと定義してあるので、ここに影響協会が出てくるのは構わないのですね。

○笠置委員 構いません。

○大久保座長 それとは関係なく、 (2) で医療被ばくを何とかして把握しましょうと書くわけですから、全部それでいけるのではないですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 分かりました。 ICRP は職業被ばくと医療被ばくは明確に分けているので、分けたほうがいいと思います。

○大久保座長 括弧に入れたのが、かえって悪かったので、括弧の外に出せば。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 曖昧な形で書いたのが、よくなかったと思います。

○大久保座長 ほかにありますか。これは言葉の問題ですが、 1 (2) 2 行目に「最大限安全側の評価が行われており」という表現ぶりがあります。これは業界用語としては十分通じる言葉にはなっていますが、何も知らない人が読むと誤解されるおそれがあるので、括弧書きで、分からないときは多めに推定するという形で解説を付けましょう。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 分かりました。「安全側」と言うと、どちらか分からないということですね

○大久保座長 これでないものは安全でないと取られると、非常に誤解されるので。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 原子力の世界では「保守的」といった表現を使うのですが、これも一般的な人に言うと分からないみたいで、表現が難しいのですが、括弧書きで入れれば。

○大久保座長 「安全」という言葉は、本当は非常におかしいのです。安全でも何でもないので、ただ過大評価しているだけだという話ですから。ただし、これで皆さんには話が通じているから、 4 は残してもいいと思うので、括弧書きで誤解を避けると。ほかに何かありますか。特になければ、第 5 「交絡因子の把握」に移ります。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐  34 ページを御覧ください。こちらは、前回ほとんど議論がなかったので、ほとんど変更していませんが、「交絡因子の把握」については、 1 「基本的な考え方」として、長期にわたる疫学研究なので、交絡因子を適切に把握することが非常に重要だということです。

2 「項絡因子の項目」は表 4 に挙げていますが、国内の大規模コホート調査で使用されている質問票を使う。また、 (2) 職域の特徴として、作業場の身体的、精神的負担に大きな影響を与える学歴、職位、職種の調査を行うということです。

(3) 心理的影響の調査を実施する場合は、放射線被ばく以外の心理的影響の調査ということです。ここもばく露なのか Confounding なのかが曖昧になっておりますが、これは探索的にやっていただかないと分からないので、この Confounding の中にも出てくるという整理になっております。

 直した部分は ( 1) ですが、表現ぶりだけで、「本人歴・家族歴」と書いてあったのが分からないという御指摘があったので、「疾病の既往歴 ( 本人・家族 ) 」に直したということです。

3 「調査の方法及び頻度」については、初回調査時に同意書の取得と併せて調査票により把握すること。また、おおむね 5 年に 1 回、調査票により変更事項を把握することを考えております。以上です。

○大久保座長 前回も御意見がなかった所なので、今回も余り御意見はないかもしれませんが、心理的影響を Confounder とするか、あるいは要因として捉えるか。ただ、いずれにしても、解析のときには両方の影響を考えなければいけないと思います。どちら側から見る場合も Confounder としての捉え方で入れないと解析ができないので、どちらにするかは余り大きな問題ではないかもしれません。いずれにしても大事なことだと思います。よろしいですか。それでは、第 6 「研究体制」に移ります。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 第 6 「研究体制」については図を作成しているので、そちらで説明します。

46 ページを御覧ください。前回御説明した表をもう少し詳しくしたものです。前回、「中央研究機関」となっておりましたが、中央というと真ん中にあるという意味で、意味が分からないという話もありましたので、研究を統括管理するということで「統括研究機関」と名前を直しております。

 研究班としては、統括研究機関と協力研究機関で構成するということです。統括研究機関は、全体管理、研究計画・研究手法の決定、検査手法標準化、関係機関との協議、健診機関等の募集・指導、生体試料等の保存管理、会計管理・書類管理などを行います。協力機関は、被ばく線量評価や統計解析、がん登録等の調査、心理的影響等、それぞれの専門機関の特性に合わせて協力研究機関を選定していくということです。

 実際の検査については、「委託健診機関等」の中に研究コーディネーターを置いて、この方が同意書の取得や検査手法の標準化、生体試料の収集、 X 線画像等の入手を行うということです。実際に健康診断を法定健診を受けている場面で実施しようと思うと、非常に多数の健診機関が出てきますので、そういった健診機関等との協議についても研究コーディネーターに行っていただくということです。データの流れとしては、一番下にある健診機関・医療機関等で得られた生体試料・検査データなどが生体試料として提出され、それが生体試料分析機関で一元的に分析された上で統括研究機関に帰ってくるといった流れです。

 厚生労働省の役割ですが、被ばく線量等のデータベースの運用、緊急作業従事者への現況調査、健康相談、これは別の委託費で実施していますが、こういったものを的確に行い、統括研究機関に被ばく線量、住所などの情報を提供するということです。東京電力や元請との協議の支援や中央登録センターとの協議の支援等々についても、一定のものについては厚生労働省も関与するということです。ただ、研究の内容には直接関与しないという位置付けとしております。

 左上ですが、第三者委員会、倫理委員会を設け、第三者委員会は 5 年に 1 度程度、倫理委員会は研究を開始する段階で倫理審査を行うということです。これが全体像です。

 これを文章に起こしたものが 35 ページです。「研究体制の骨格」ですが、対象集団の構成員が全国に散らばっていて、 1 つの研究機関で実施をするのは非常に困難なので、統括研究機関が全体の統括をする。分野別に研究に協力する「協力研究機関」を設定するという構成をする。また、統括研究機関から委託を受けて、研究の同意取得や生体試料の採取、生体試料以外の検査の実施などを担う「委託健診機関等」を設定するということを考えております。

( 1) ですが、健診機関の中にコーディネーターを複数選任して研究実務を担っていただく。 ( 2) ですが、委託健診機関等はおおむね都道府県に 1 つ程度、都道府県によっては非常に人数が少ない都道府県もあるので、必ずしも全部ではないと思いますが、おおむね 1 つぐらいということです。 ( 3) ですが、委託健診機関などから生体試料の収集運搬、分注、冷凍等を担う委託機関が別途必要になるということです。

2 「厚生労働省の役割」です。研究の客観性を可能な限り確保するために、厚生労働省の役割は研究結果の評価に限定する。ただし、研究を円滑に進めるために一部の支援を行うということで、関係機関との協議については厚生労働省として支援を行うということです。

(2) 厚生労働省のデータベースの登録情報の提供については、厚生労働省で緊急作業従事者の所属先、住所、電話番号といった情報を提供していくということです。これは研究実施者から申請をしていただいて、個人情報保護の方策が十分に講じられていることを厚生労働省で認めた場合について、情報を提供するという仕組みを考えております。

3 「統括研究機関の役割」です。 (1) 全体管理としては、運営委員会などを設置し、研究計画書の作成、検査手法・統計手法の決定、同意書の作成、交絡因子の調査票といった調査票の関係、検査の項目、精度管理などの主な統一的な部分を決めるということです。 (2) 検査手法等の標準化、 (3) 関係機関との研究協力に関する協議、 (4) 関係機関の募集、指導、 (5) 生体試料等の保存管理、 (6) 会計管理、書類管理等の管理を行うということで、業務量的には莫大なものになるということです。

4 「精度監理、法定健診との関係」です。これも健診の受診率を維持することと精度をいかにして管理するかという両面があるので、精度管理については統括研究機関から少数の信頼できる分析機関に分析を委託する。それ以外の検査については、標準化の手法を指導するということです。

(2) 法定健診との関係ですが、法定健診を使えば受診率が非常に高まることが想定されますが、当然、精度管理としては問題が発生するので、 1 つの方策として法定健診実施時に血液検体を余分に採取して、それを収集した上で統括研究機関が指定する 1 つの検査機関に送付することを考えております。この場合、雇用事業者と検査機関の間の契約もあるので、費用負担を含めて十分な協議を行う必要があるということです。

5 「研究への参加の同意等」です。これは非常に重要な項目ですが、調査項目が非常に多岐にわたるということもあって、それぞれについてその都度同意を取ることが非常に困難なので、可能な限り包括的な同意を得るということです。同意取得の方法としては、面接、郵送、事業者を通じた同意など、最適な方法を選択する。血液検体を長期保存する場合の包括同意については、新たな検査方法の確立等も含めるということです。厚生労働省のデータベースに登録されている住所情報等を活用するときに、住民票の請求を行う場合があるので、それについても同意を取るということです。

(2) 研究協力を得るための方策ですが、緊急作業従事者はほとんどの方が現役の作業員で、なかなか健康診断などを受けられる時間がない方が多いので、 ( ) に書いてあるように、協力謝金についても検討すべきだということを入れております。それ以外にも、健康相談や保健指導、ニュースレターの発行など、参加することで得られるものをきちんと打ち出していく必要があるということです。

6 「その他留意事項」です。 (1) 統括研究機関の要件ですが、 1 5 に定める事項を安定的・長期的に実施できる人員、組織的、財政的基盤があること。国際機関等からの調査等に応じることのできる語学力を含めた人員・組織体制があって、研究成果を国際的に発信できる能力があること。内部被ばく ( 預託 ) 線量の評価を含め、被ばく線量を独自に実施できる設備及び人員・組織体制があることという 3 点を挙げております。

(2) 倫理委員会については、当然、倫理委員会の審査を受ける必要がありますが、関係する機関が非常に多数になるので、統括研究機関で中央の倫理委員会を通していただいた後で、その結果を活用する方策がいいのではないかということです。

(3) 必要な予算の確保としては、長期間にわたる研究になるので、長期安定的に必要な予算を確保することが必要であるということです。統括研究機関が変更になることは現実問題考えられないので、同一の機関が長期安定的に指定される仕組みが必要であるということです。以上です。

○大久保座長  3 番の「統括研究機関の役割」の中の (5) に相当するのでしょうか、いわゆる生体試料と被ばく線量のデータの保管のことが書いてあるのですが、これから、いわゆる疫学調査結果のデータベースが蓄積してくるわけで、これの管理は重要な任務だと思うので、むしろそちらのほうが大事かもしれません。それがなければ何もできません。

○得津電離放射線労働者健康対策室長 それは (6) の書類管理等の管理業務の中に入っております。

○大久保座長 それは軽すぎませんか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐  3 「統括研究機関の役割」の (7) にするかあれですが、データベースをきちんとやるということで。

○大久保座長 あるいは (5) 、タイトルを少し変えて全部入れてもいいということですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。

○大久保座長 ア、イ、ウとしてですね。

○明石委員 今のところで、統括研究機関の役割の先ほどの図の所なのですが、 46 ページの図だと線量評価というのは協力研究機関になっていて、こちらは「統括研究機関の役割」と書いてある。これは素直に考えれば、統括研究機関の役割ではあるけれども、協力機関に任せてもいいですという解釈なのでしょうか。

○得津電離放射線労働者健康対策室長 任せる場合もあると思いますし、連携を取ってやる場合もあると思いますし、あるいは統活研究機関が主体的で、下請的な作業もあるかもしれません。それはどういう研究組織ができるかによって変わってくると思うので、イメージとしての一例を提示したということです。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるように、統括研究機関の中のブロックに書いてある内容は、統括研究機関しかやらないことしか書いていませんので、これ以外に、協力研究機関がやることが全部統括研究機関の中に含まれるという可能性も十二分にあり得ます。要は、協力機関の助けを借りることなく、統括研究機関は全てやれるということも考えられるのですが、ここの図の整理は、統括研究機関と協力研究機関の違いを出さないといけませんので、そのようにバックリと書いていますが、実際は入り混じってやられることになると思います。被ばく線量評価につきましても、 100 %外に丸投げというのはあり得ませんので、もちろん統括研究機関できちんとやれる能力は必要だということです。

○高村委員 第 6 2 (1) の厚生労働省の役割の所で、「厚生労働省の役割は、研究結果の評価に限定すべきである」と書かれています。先ほどの 46 ページの図を見ると、これでは今まで議論したところの第三者委員会が評価をするという形になっているので、少し混乱するかなという感じがするのですが。図の中には「厚生労働省が評価」という文言が入っていないので、文言を考えたほうがいいのかなと思うのですが。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 大変恐縮ですが、図は描ききれなくて、第 7 の所に評価は出てくるのですが。先取りで恐縮ですが、例えば第 7 1 (2) などに、通常の研究評価に加えて国際的な第三者委員会の評価となっていまして、仮に研究補助金を使うとする設定をすれば、補助金の交付のときに研究計画の審査は必ず受けますし、中間審査も必ず受けますので、そういう評価を受けるのは大前提の上で、それに重ねて国際委員会ということにしています。その辺りが、表の中にスペース的に入っていないという、ただそれだけですので。

○高村委員 それと、資料の文書のほうの第 6 2 (1) 1 行目から 2 行目にかけて、「研究結果の評価」と書いてあって、ここがやはり問題だと思います。研究活動の管理。

○得津電離放射線労働者健康対策室長 研究費とか、それで行政的に成果が出ているのかとか、研究内容がどうなのか、そういうことをやるという。

○大久保座長 きちんとお金を使っているかとか、そういうことであって、結果に有意差があるとかないというところに、厚生労働省が口を出しているのではないという意味ですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるとおりですね。ここで言っている「研究結果の評価」と申しますのは、もっと定性的な評価でして、きちんと論文を何本書いたとか、そういった学術面での成果を出しているかという評価は必ず受けるという。

○大久保座長 まだこれからのところですが、 39 ページの 3 番の「研究成果の公表」あるいは、この辺の言葉と平仄を合わせるようにすればいいのですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。補助金の場合は、論理的には中間評価が悪ければ打切りということもあるという厳しい補助金ですので、当然、評価は単なる活動評価ではなく、コンテンツも踏まえた評価になります。ただ、それは厚生労働省の職員がやるのではなくて、厚生労働省が委託した評価委員会が行うということになりますので、そういった含みでございます。ただ、この件についてどういった形で評価するかの詳細は決まっておりませんので、余り詳しく書けないという状況はございます。ですので、バックリと評価をするという書きぶりになっています。

○大久保座長 ただ、これがこのまま外へ出ていくと、「研究結果の評価」というと、このままの言葉ではまずいですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 「研究成果」ですかね。

○大久保座長 成果ならいいかな。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 有意差が出ているから駄目だ、これが良い悪いということではなく、成果をきちんと学術雑誌に投稿できたかどうかとか、そういう意味の評価ですので。

○得津電離放射線労働者健康対策室長 研究の内容とか運用ができているかというところだと思います。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 お金だけ得ておきながら、学術論文が 1 本もないというのでは困りますので。

○大久保座長 「研究活動とその成果に関する評価」と。

○祖父江委員 厚労省の役割の所で、予算措置というのが書いていないのは何でですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐  6 (3) で、「長期安定的に、必要な予算を確保することが必要」という。

○祖父江委員 「厚生労働省が」と書いていないのですよ。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 予算が必要であるということを専門家委員会として御意見を述べていただいて、当方に報告していただくということになりますので、当然厚生労働省の。

○大久保座長 祖父江先生の論点は、 2 に書いていないということです。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 おっしゃるとおりでございます。

○数藤委員 図には書いていますよ。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 分かりました。

○大久保座長 別に大意はないですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 はい。

○数藤委員 図の中に生体試料の提出と生体試料の分析機関とありまして、実際には生体試料は協力研究機関が使う例もあるのですが、これは通常健康診断のときの採血分をそのまま送ってもらって使う、あるいは個別に協力研究機関で採血を行ってやるケースとか、それはもう今後、統括研究機関と協力機関のほうで決めていくという理解でよろしいのですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 現時点では、先ほど御説明しましたように、法定健診の場で採血するのが原則。

○数藤委員 それが一番集めやすいとは思います。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 研究参加者の確保という観点から、それが一番望ましいのと、効率の面からも一番いいとは思っています。

○数藤委員 そうすると、複数の別々の研究機関と検査機関に、別々に配送することは可能なシステムということですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 健診機関にお話を伺ってきたのですが、いわゆるバイラルを複数採って、このバイラルは直ちに分析センター、このバイラルはどこかの配送機関にお渡しするというように、区分けをするのは可能だということです。ただ、この検査をやろうと思うと、バイラルは 3 本ぐらい余分に抜かないといけないので、血が現実に抜けるかどうかは難しいと言われていますが。

○大久保座長 いずれにしても、それはできるということで。ほかはどうでしょうか。この辺は不確定なところも大分あると思うので。とりあえず先に進めましょう。第 7 にいきます。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 第 7 が「研究機関、評価、研究結果の公表」です。研究機関については、生涯ということですが、緊急作業従事者は 20 歳代前半の方も多くおられますので、平均寿命を考えますと、 60 年間ぐらいは必要になる可能性が高いということです。

 長期にわたる研究の品質を確保するために通常の研究評価に加え、 5 年に 1 度などの頻度で国際的な第三者委員会により評価を受ける仕組みを設ける。

 あえて研究期間を期で区切ることはないということですが、予算もありますし、研究計画そのものも、 20 年間の研究計画を一括審査というのは現実問題としてあり得ませんので、国際的な第三者委員会による評価の時期を捉えまして、期を区切って、 1 期、 2 期、 3 期のような形で、研究計画を作り直していくということが現実的ではないかと考えています。

2 の「国際的な第三者委員会による評価」です。研究実施者は、国際的に著明な研究者を含んだ独立委員会としての第三者委員会を設置して、国際的な評価を受けるべきだと。この委員会では、前回に議論いただきましたが、採用された研究仮説、ばく露因子、統計手法等の選択、そもそもどういう研究のやり方をしたのかということについても、恣意的な偏りがないかも含めて評価をすることを入れています。それから、委員会での評価結果は、報告書にまとめて国際的に発信すべきであるということです。

3 「研究成果の公表」です。厚生労働省予算による研究ですので、厚生労働省に報告をするのは当然ですが、これに加えて学術的な報告を、定期的に国際的な学術雑誌に掲載する必要がある。 ( ) です。統括研究機関の中に、公表すべき学術的報告を審査するための組織を設けて、まず内部審査を通ったものを対外的に公表していくという仕組みをとることを想定しています。

○大久保座長  2 (1) の「国際的に著明な」というのは引っ掛かるので、何かいい言葉を。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 「認知された」ですか。

○大久保座長 いや、何としたらいいですかね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 「第一人者」。

○児玉委員 英語では expert ですが。

○明石委員 内容的には、実績のある人ということですよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そういうことですね。では、「国際的に実績のある研究者」というのはどうでしょうか。

○大久保座長 「国際的な専門家」ぐらいでいいですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 「国際的な専門家」というのも非常に抽象的で、何を言いたいのかよく分からない。

○数藤委員 「学術的に実績があって、国際的に名が知られている」ということですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 分かりました。別に、有名である必要は特にございませんので。

○明石委員 当たり前のことと言えば当たり前なのでしょうけれども、「研究成果の公表」の中に、学術雑誌等に掲載する必要がある。これは当然のことなのですが、 37 ページの「同意」の中には、当然ここで触れなくても、公開することは同意をしてあるという意味に捉えていいのですか。あえて書かなくても。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 本物の同意書の中には必ず書きます。

○得津電離放射線労働者健康対策室長 そういうものはきちんと行われるだろうという前提で。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐  ( ) か何かに入れるのは、全然構いません。

○児玉委員 公表することを条件に、参加をお願いするという。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 それは当然取る予定です。

○大久保座長 今、御発言があったので気がついたのですが、例えば原爆の被ばく者の調査の場合には、国際的な学術誌だけではなくて、最近は学術誌のほうになってきたのだけれども、研究所として、いわゆる業務報告書のような形で粗集計をした、本当に生の数値で、いろいろな研究者が更にそれを使えるような発表もしてきたわけです。これだと、学術的な雑誌がアクセプトしたものだけになってしまって、皆さんが使いたいデータが公表されないということもあり得るので、そこを考えたほうがいいかもしれないですね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐  (2) に付け加えるか、 (3) を付けるかですね。組織としての著作物と言いますか。

○大久保座長 それを、例えばホームページとか、そういうもので誰でも利用できるような形。これは放影研もいつも言われていますので、「俺たちにも解析をさせろ」という話はいつも。

○明石委員 アーカイブみたいなものを、きちんと作っていって。

○大久保座長 過去の実績はずっと違うのですが、所内のテクニカルレポートみたいな形で定期的に発表してきて、最近は全部学術雑誌のほうに出してしまっています。出したものは、全部ホームページにデータセットは全部入れて、どなたでも見られるようになっています。

○数藤委員 でも、データベース自体は厚労省が公開して、ここの中に研究者でそれを利用したい人は申請して使うという話は。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 厚生労働省が公表しているデータは、被ばくと個人情報なのです。ですので、研究班でお調べになった健康影響のエンドポイントについては、厚生労働省には還流してきませんので、そこは厚労省から出ていかないものですね。

○大久保座長 これを 3 つに増やして、 1 つ自主的に報告する部分を付け加えましょう。

○高村委員 確認なのですが、「研究成果の公表」のところで、 (1) (2) がありますが、主語の「誰が」というのは入れなくていいのですか。研究、総括、誰が報告書を書かなければいけないのかというのが、研究班としてとか。

○大久保座長 もう既に出てきているから。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 「研究実施者が」という表現で追っておりますので、「研究実施者」にしたいと思います。必ずしも統括研究機関の職員が書くとは限りませんので、そこは研究班全体として、「研究実施者」という扱いに。

○大久保座長 そうですね。だから、 3 番の「研究成果の公表」の所にも、主語を入れてください。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 はい。

○大久保座長 ほかに何か御発言はありますか。ないようでしたら、 8 番に移ります。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 第 8 は「平成 26 年度に実施するベースライン研究」です。 1 「趣旨」は、平成 27 年度から本格的に実施する疫学研究に備えて、調査対象集団のうちの 1 割程度を調査対象として抽出し、基本的に第 2 から第 5 に掲げる事項と同様の内容について調査を実施することにより、緊急作業従事者の有病率など、本格研究の研究計画策定に必要なデータを得ることを目的とするということです。

 注書きとして、本格研究実施時のベースラインとして使用可能となるように、疫学的に有効な抽出方法を採用するということですので、せっかく 1 割は調べるわけですので、集団をできるだけ代表できるような形で抽出するということです。

(2) は、 (1) の結果に基づいて、これも先ほど議論がございましたが、統計手法の検討、研究仮説の検証も、ここでできる範囲でやるということです。

(3) ですが、第 6 に掲げる事項、これは研究体制ですが、これを日本全国ではなくて、ある程度限定した都道府県で試行的に実施することで、本格実施研究の研究体制の構築に当たって必要な情報をあらかじめ得るための予備的研究としても活用するということで、問題点の抽出といったものを考えているということです。

2 の「留意事項」です。研究参加の同意を継続できるように、ベースライン研究と、平成 27 年度から本格的に実施される疫学研究との継続性を担保する。特に以下の事項については、ベースライン研究において優先的に検討を行い、詳細事項の決定が必要な事項について、一定の結論を得るということです。第 3 2 から 4 6 です。検査の項目、検査の頻度、がん登録、こういうところをできるだけやるということです。

 恐縮ですが、項目の変更が若干ありまして、例えば 6 番がなくなっているとか、そういうことがありますので、その辺につきましては、修正させていただきます。いずれにせよ、こういう細かなところで、事前に収集すべき状況については重点的にやるということを書いています。

○大久保座長 これは大変だと思いますね。注書きで書いていることを忠実にやろうとすると、相当大変なことになる。一定の都道府県でやるといったときに、疫学的に有効な抽出方法と矛盾しないですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 例えば福島県に今 5,000 何百人おられますので、そういう大所を狙うというところになると思います。

○大久保座長 そうすると偏りますよね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そういう意味では偏りは避けられないと思います。そこを被ばく量に偏りが出ないようにするとか、できるだけのことをすると。

○大久保座長 いかがでしょうか。表のほうは全部御説明されていますね。

○明石委員 参考資料の 12 は。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 これは前回お配りした資料で、そのままです。ここに書いているのは、全て検討会で配布された資料のうち、主要なものをそのまま参考資料として付けているということで、新しい文献をここで新しく付けるということは一切ございません。

○大久保座長 この間の UNSCEAR ので関係のあるところ、報告していただいた分ですね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうです。第 4 回検討会資料です。後で入れますが、「第何回検討会資料」と全部入れますので。

○大久保座長 ほかに何か御質問はあるでしょうか。まだ時間がありますので、全体を全部見た上で感想なり、あるいは各論でどこか問題になっている点はありか。

○祖父江委員  8 ページの「研究手法」の (1) に出てくる「コホート内ケースコントロール研究」の所の ( 1) です。「この場合、調査対象者が多数受診する特定の医療機関との連携が必要不可欠となる」という文言ですが、余りよく分からないのですが。

○大久保座長 意味が分からないですね。

○祖父江委員 おそらく、 case-control study でやるシチュエーションというのは、先ほどの献体検査の場合に、特にコントロールを抽出して行うというところだったら分かるのですが、「特定の医療機関と連携」というのは、ケースに関する詳細情報を集めるという意味であれば、余り馴染まないような気がするのです。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 様々な研究方法はあると思いますので、必ずしも医療機関と連携をしなくてもできる研究もあるかもしれませんが、例えば福島県立医大とか、緊急作業従事者の方が非常に多く受診される病院があるとして、そちらの中で、例えば 1 人白血病が出ましたということであれば、それとマッチングする方を受診者の中から集めるというやり方を。

○祖父江委員  nested case-control study ですから、コホート内の。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 もちろんコホート内なのですが。ですから、緊急作業従事者が多く受診していますので、コホートの中の受診者から選んで、ケースコントロールが組める場合があれば、一番いいという。

○大久保座長 今の説明で、私は意味が分かりました。要するに、例えば診断の精度だとか、そういうことを考えると、コントロールも同じ機関を受診した人から選びたいと。そうなると、 1 機関にたくさん受診している所でないとできないよと。そういうことが言いたいのではないですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 チェリノブイリでアメリカがファンドを出しているものですと、キエフの何とか病院のような特定の病院で、そこのレビュビダードの方々。それを使ってコホート内スタディをやっているのですが。

○祖父江委員 白血病でないという診断を、その情報を得たいという意味ですか、受診者の中から。

○大久保座長 それも精度が比較可能でなければいけないという意味ですね。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 例えばですが、白血病という診断名以外はきれいにマッチングする人を、患者集団の中から探し出すという。そうすると、 Confounding が非常に生まれにくいという趣旨だと思いますけれども。

○大久保座長 ただ、これをやる場合には、当然それを考えないといけないから、あえて書かないほうがいいのではないですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね。ただ、現実問題として、チェリノブイリの場合は、特定の病院ばかりのスタディなので、実際は特定の病院はつかまえないと難しいのは難しいとは聞いています。

○大久保座長  ( ) でない所の文章があれば、やろうと思えば、当然そういうことを考慮しなければできませんので、なくても。質問を受けるぐらいなら書かないほうがいいのではないですか。

○安井電離放射線労働者健康対策室長補佐 そうですね、なくてもいいかもしれないですね。

○大久保座長 研究者である委員のほうから付けられる注文みたいなものが、事務局から先に付いているから、非常に今回は我々は楽をさせていただいております。ほかにございますでしょうか。

 特に御発言がないようでしたら、お願いですが、是非、 1 度全体的に目を通していただいて、細かい文言も含めて、何かお気づきの点があったら、 5 21 日までに事務局に具体的に御連絡いただきたいと思います。その処理に関しては、私にお任せいただくということで、よろしゅうございますか。

                                  ( 異議なし )

○大久保座長 私と事務局で、最終的な仕上げの作業については相談させていただくようにします。事務局から、後のことをよろしくお願いします。

○得津電離放射線労働者健康対策室長 繰り返しになりますが、本日の会議で頂戴いたしました御意見、御指摘等につきましては、修正をするようにいたします。本日指摘されなかったような点でお気づきの点があれば、 5 21 日までに事務局に寄せていただければと思います。その上で修正して、各委員の先生方に見ていただいて、その後、座長とでまとめていきたいと考えております。

○半田安全衛生部長 先生方、本当にどうもありがとうございました。 2 14 日の第 1 回検討会以来の 3 か月間に 5 回も開催するという、非常にハードなスケジュールでございましたけれども、こうやって粗方取りまとまってまいりましたことに対しましては、本当に厚く御礼申し上げます。

 今後、私どもでは、今日までに御審議いただきました内容を踏まえまして、放射線被ばくによる健康影響の有無に関して、新たな知見を加えるべく疫学的研究を着実に実施していきたいと考えてございまして、そのために必要な準備等に努めてまいりたいと考えております。

 この検討会は、一応ここで 1 つの区切りとなりますけれども、引き続き適切な疫学研究の実施に際しまして、御助言を頂きたいと考えてございます。次回の検討会については、また追って御連絡申し上げます。ということで、これまでの御協力に対しましては厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

○得津電離放射線労働者健康対策室長 今後の予定です。本検討会の報告書については、先ほどもお話をしましたが、座長と調整しまして、今月末をメドに取りまとめて公表したいと考えております。今年度においては、報告書にも記載しましたが、一部の緊急作業従事者を対象としたベースライン研究を行います。その後、本格的な実施は平成 27 年度という形になりますが、この検討会で御議論いただいたものをベースに、適切に実施できるよう、予算等の要求といったものに努力していきたいと思います。

 今後もこういった検討を進めていく中では、先生方の御支援、御助言等が非常に必要になってくるかと思いますので、その折は何卒お力添えを頂ければと考えております。それでは、最後に大久保座長より一言。

○大久保座長 改めて申し上げることもございません。非常にスムーズに特に事務局のほうで、非常にすばらしいたたき台をいつも作ってくださいまして、議論が非常にしやすかったと思います。また、委員の皆さん方からも、それぞれの専門性を生かして、本当に十分な御議論をいただけたと思います。どうもありがとうございました。また、この後も実効上のいろいろな検討を続けるようでございますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

○得津電離放射線労働者健康対策室長 以上で第 5 回東電福島第一原発緊急作業従事者に対する疫学的研究のあり方に関する専門家検討会を閉会いたします。御多忙中にもかかわらず、 5 回にわたる検討会に活発な御議論いただきまして、誠にありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いします。


(了)

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