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2013年11月26日 第2回 ブランコ作業における安全対策検討会 議事録

労働基準局安全衛生部安全課

○日時

平成25年11月26日(火)10:00〜12:00


○場所

経済産業省別館108各省庁共用会議室


○出席者

検討会参集者(50音順、敬称略)

石原 成昭 清水 尚憲
杉本 旭(座長) 中西 勲
西田 收 山田 忠彦

参考人

相川 淑紀 (一般社団法人 全国特定法面保護協会 技術部長)
久保田 好男 (一般社団法人 全国特定法面保護協会 安全委員長)

厚生労働省

奈良 篤 (安全課長)
一瀬 壽幸 (安全対策指導業務分析官)
野澤 英児 (建設安全対策室長)

○議題

(1)業界団体ヒアリング
(2)報告書骨子案の検討
(3)その他

○議事

○杉本座長 まだ時間がちょっとございますけれども、皆さんおそろいになったということで、お忙しいところ、ありがとうございます。きょうもよろしくお願いいたします。

 いよいよプロセスの中では一番重要なところに入ってきていると思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、事務局のほうから本日の出席状況の御報告、資料の確認等をよろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、本日の出席状況について御報告させていただきます。

本日は、全員の委員に御出席いただいており、あわせて、一般社団法人全国特定法面保護協会のほうから相川技術部長と久保田安全委員長のお二方に御参加いただいておりますことを、まず御報告させていただきます。

 それでは、資料及び机上配付資料を確認させていただきます。

まず、議事次第は1枚紙です。クリップどめにしておりますものを外していただいて適宜ごらんいただければと思います。

まず、資料1の参集者名簿ですが、前回の検討会で座長が杉本先生に決まったことと、石原委員の肩書に若干修正があったことを踏まえ、修正版ということでお示ししています。

資料2は、2−1、2−2、2−3の3種類ございます。2−1、2−2は2枚紙、2−3が1枚紙の資料です。

資料3は、全国特定法面保護協会さんから御提出いただいた資料です。

資料4、資料5はそれぞれ1枚紙で、骨子案と「ブランコ作業における用具の種類・性能要件・規格等」ということで、用意をしてございます。

それから、委員の皆さんに机上配付資料ということで、「法面工事現場安全衛生管理の手引」という茶色い冊子のほうを配付させていただいております。

資料のほうに不足がございましたら、適宜おっしゃっていただければと思いますが、不足等ございますでしょうか。

ないようですので、もし何かございましたら、事務局のほうにおっしゃっていただければと思います。

○杉本座長 ありがとうございます。

それでは、議事に入りたいと思います。

議題の「(1)業界団体ヒアリング」でございます。それに先立ちまして、資料2といたしまして、「ブランコ作業における労働災害発生状況、問題点及び対策の方向」ということで、事務局のほうから用意していただいているものがございますので、ヒアリング等の前に事務局からの説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○事務局 それでは、資料2−1から2−3に従って説明をさせていただきます。

 前回の検討会でブランコ作業に係る死亡災害発生状況ということで、平成20年から24年の間に発生した死亡災害の概要を資料としてお示しをさせていただいたところですが、今回の資料は、前回お示しした死亡災害の事例のうち、より詳細な情報を入手、分析できたものについて、災害の概要と対策を深掘りして表にまとめたものでございます。

前回はブランコ作業とブランコ類似の作業という分け方をしておりましたが、今回は業種で分類をしております。

資料2−1がビルメンテナンス業で発生した災害ということで9件、資料2−2が建設業で発生した災害ということで、11件についてそれぞれ挙げています。

資料2−1と2−2の基本的な構成は同じです。まず、一番左側の段に「労働災害発生状況のあらまし」ということで、災害の概要を記載しております。真ん中の段の「問題点」では、どういうところに問題があって災害につながったのかというものを箇条書きにしております。一番右側の段は「対策の方向」ということで、「問題点」に対して、どういう対策を本来とるべきであったのか、とるべきであるのかというものを箇条書きにしたものになっております。

例えば、資料2−1の1ページ目の一番上の事例について説明しますと、まず、問題点として、「安全帯を着用していなかったこと」「手すり等墜落防止設備が設けられていない部分を移動通路として使用したこと」「作業場所への入場手順が徹底されていなかったこと」、この3つを挙げてあります。これらのそれぞれの問題点に対する「対策の方向」として、「安全帯の着用を徹底すること」「墜落防止設備のない箇所を移動通路として使用しないこと」「あらかじめ、作業場所への入場も含む安全な準備作業の手順を定めておき、その手順に従って作業を行うこと」といったことを挙げています。

また、その下の災害事例については、問題点として、2本のロープのつり元を同じつり元からとってしまったこと、ロープの緊結方法が適切ではなく結びつける箇所を間違えてしまったと、という2点を挙げております。この2点のそれぞれに対する対策の方向として、2本のロープのつり元はそれぞれ別のつり元からとること、作業前に複数名でロープの緊結状況を確認してから作業を行うこと、ということで記載しています。

資料2−2についても同様の構成です。こちらは建設業の災害を対象としていますが、法面作業も入っています。法面作業に特徴的な事例として、資料の2枚目の一番上の災害事例ですが、問題点として「作業中に安全帯のグリップを親綱から外したこと」となっています。これは、作業中に安全帯を他の吊り元に付け替えようとした際に墜落をしたというものですが、ビルの窓ガラス清掃の場合、作業中に安全帯を付け替える状況というのはちょっと想像しづらい、ということで、そういう法面作業に特徴的な要素も含まれているということで挙げているところです。

この資料2−1、2−2によって大体の災害の傾向が浮き彫りになっていますが、似たようなパターンの災害も幾つか見られますので、これらを分析した内容を踏まえ、類型化して資料2−3「災害の類型と必要な対策」を作成しました。

資料2−3では、「災害の類型」として6つほど類型を挙げております。

具体的には、上から「ロープがほどけて墜落」、「ロープが切れて墜落」、「親綱と安全帯との接続が外れて墜落」、「親綱と安全帯との接続を外した際に墜落」、「準備作業中、安全帯未使用状態での墜落」、「胴ベルト型の安全帯を使用しての作業中、墜落時の衝撃により内臓が圧迫されての被災」という6つの類型に分けており、資料2−1、2−2の内容を踏まえまして、それぞれの類型ごとに「必要な対策」を記載しております。

この「必要な対策」について、1点だけ括弧書きにしているところがございます。「親綱と安全帯との接続が外れて墜落」という部分で、丸数字の「(4 親綱の末端部に結び玉(結び目)を設けること。)」というところがございますが、1個上の「3 地上(法尻)まで到達するだけの十分な長さをもった親綱を使用すること」ということで、同じ法面作業で発生した災害、資料2−2の2ページ目の中段に示した災害事例、親綱が法面の途中までしか届くような長さになっていなくて、しかもそこに結び玉がなかったということで、グリップを緩めたときにすっぽ抜けてしまったという災害の対策からを引用していますが、実質面として、3をやれば、4は要らないのではないかなとも考えられたので、4については一応括弧書きとさせていただいているところでございます。

いずれにしても、資料2−3につきましては、災害事例を踏まえ、基本的な対策を網羅したものであると考えておりますが、これらの対策について御意見をいただければということでございます。

以上です。

○杉本座長 ヒアリングの後に皆さんに質疑をしていただきたいと思います。

それでは、冒頭に事務局のほうから御紹介のありました全国特定法面保護協会から、相川技術部長さんと久保田安全委員長の2人に来ていただいておりますので、お二方から法面作業についての現状とどのような安全対策がとられているか、御説明をいただきたいと思います。

提出いただいている資料も含めて15分程度でお願いいたします。

○相川技術部長 全国特定法面保護協会の相川でございます。

きょうは、現在、私どもが法面において行っている作業の概要と、安全対策、このようなことをやっていますということを御説明したいと思います。

 資料3のほうに移らせていただきます。

 「1.作業に使用する用具について」ということで、「1−1 法面作業の親綱使用概要」でございます。法面でどのような安全用具を使っている、もしくはどのような作業をしているかということを頭に描いていただくのにポンチ絵を載せてございます。

法面は切り土、盛り土、両方あるのですけれども、私どものほうでは割と切り土面のほうが多うございます。勾配は大体45度から、部分的に90度というのがあるのですが、せいぜい70度ぐらいまででございます。50度、60度ぐらいのことが多いかなと思います。

 そこのポンチ絵にございますように、親綱がありまして、そこでバックルサイドベルトとロリップ、グリップでつないで腰にベルトを宛てがって作業をしている。足元は地面についていることがほとんどです。

 この絵はモルタルを吹きつけている様子を描いてございます。このホースの先端からモルタルが吐出してくるということでございます。

これ以外に、安全帯を使った状態で法面の清掃作業を行ったり、金網を設置したり、アンカーピンを打ち込んだり、そのような作業がなされるということでございます。

中には、(部分的には)オーバーハングの箇所でも施工する場合があるのですが、そのような場合は別途足場などをかけて行うことがほとんどです。

 2ページ目「用具の種類」ということでございます。

 3ページ目に、どのような用具を使っているかということで、実は産業安全研究所技術指針の「安全帯構造指針1999」から抜粋してコピーさせていただいております。このようなベルト、ランヤードを使っているということでございます。

 そこにベルト類、胴ベルト、バックサイトベルト、つりベルトというのがございまして、バックル、D環なども載せています。

その下のグリップは、私どものほうでは「ロリップ」と通称言っているのですが、そのようなものを使っているということです。

安全帯はグリップ、傾斜面用ランヤード、フックというものからなっています。

これ以外に、親綱(ロープ)につきましては、径18mmJIS規格品(合成繊維)を使用するよう、指導しております。

「1−3 用具に求められる要件」なのですけれども、これも同様に「安全帯構造指針1999」のほうから抜粋してございます。

傾斜面用ハーネス。私どもは、これを「安全帯」と言っておりますので、括弧して「(安全帯)」と書いてございます。ベルト、ハーネス用主ベルトにつきましては、「15.0KNの引張荷重をかけた場合において、破断しないこと」とうたわれているということです。

バックルにつきましては、「8.0KNの引張荷重をかけた場合において、抜けたり、破断しないこと」。

D環は、「11.5KNの引張荷重をかけた場合において、破断しないこと」とうたわれているということです。

ちなみに、私どもが使用する場合には、これを1セットで購入して使用しているということです。

次に、グリップにつきましては、「11.5KNの引張荷重をかけた場合に、ロープの損傷等により保持機能を失わないこと」ということとなっています。

あと、「質量30kg以下の重りを用いてロックし、ロックを解除するまで、その機能を維持すること」ということも試験方法としてある。

また、「質量85kgの落下体を用いて落下試験したとき、落下体を保持し、最大衝撃荷重は8.0KNを超えず、落下距離は2.Omを超えないこと」、このような試験があるということでございます。

ランヤード(ストラップ)につきましては、「アイ加工部を含めて15.0KNの引張荷重をかけた場合において、破断しないこと」になっています。

フックにつきましては、「11.5KNの引張荷重をかけた場合において、破断せず、その機能を失う程度に変形せず、かつ、外れ止め装置の機能を失わないこと」ということです。

ちなみに、このグリップにつきましても1セットで購入して使用しているということでございます。

垂直親綱(ロープ)、命綱につきましては、「19.0KNの引張荷重をかけた場合において、破断しないこと」という規定がございます。

「参考」ということで、その下に書いてございますが、当協会のほうでは18mmのものを使いなさいということを指導しています。

ちなみに、その引張強さにつきましては48.0KNということでございます。

メーカーによっては少し差があるのでしょうけれども、大体このぐらいあるということです。

以上の基準に合格するような安全用具を用いるよう、当協会の「安全衛生管理の手引」などで指導してございます。

 次に、4ページ「用具の使用方法」です。

まず、「1)垂直親綱とグリップ金具(ロリップ)の固定」です。

グリップ金具は、親網を挟み込んで使用するような筒状の形状でございます。半筒状に開くのですが、片側はちょうつがいでとめているのです。親綱として、片側のほうをねじで締め込む。この半筒状の中には爪があり、その爪がロープに食い込む(噛む)ようになっています。それを(爪を)押さえ込むばねも一緒に装着されているものです。

セット方法につきましては、ねじを緩めて半筒状に開いて、親網を半筒の中にセットする。ばねを押しつけながら半筒状にセットしていくわけですけれども、今度はこのねじを締めつけます。それで手を放す。その状態で固定されている(ロリップとロープが)状態です。

手をふれなければ親綱をグリップした状態です。手で強く握ってばねを押さえつけると緩む状態になります。

次に、「2)親綱ののり肩での固定と親網の防護」です。

これにつきましては、当協会の「安全衛生管理の手引」のほうに載ってございます。

「親綱は径18mmの合成繊維を使用しなさい。親綱の上端は2カ所で固定しなさい。」としています。

立木であれば、固縛する木の直径は20cm以上の太さで、根張りが堅固なものということです。

ほとんどの場合は、立木が法面の上方にございますので、立木を用いるのですけれども、そういうものがないというときには、鉄筋のアンカーピン、径19mm以上で、70cm以上地山に打ち込みなさいとしています。下のほうにポンチ絵が描いてございます。このような状態で打ち込みなさいということでございます。

親綱は引張強度が強いのですが、こすれると非常に摩耗が激しいものがございます。親綱がのり肩に直接かかる部分にはウマ、単管パイプなどでこすれないような状態で設置する。また、単管パイプのクランプ等でこすれるおそれのある部分には保護カバー等で防護するとしています。これは親綱のこすれ防止ということでございます。

アンカー(立木、鉄筋など)から外した親綱は、おろすか巻き上げて所定の場所に保管しなさいとしております。これは、間違って固定されていないものを使って途中で落下することを防ぐためです。

親網の結び方につきましては、綱に荷重が加わると結び目が締まり、ほどくときには容易にほどける結びとする。例えばもやい結びとか巻き結びというものを指導しています。

これについては、この資料にはないのですけれども、ノズルマンの技能講習会というものを別途開いてございまして、その中で安全教育ということも行っております。テキストのほうにこのようなこと(親綱の結び方)を載せているということです。

5ページ目「3)留意事項や禁止事項」ということで、特に墜落や転落の防止ということを主眼に置いて、手引のほうから抜き書きしたものです。

まず、安全帯の親綱への装着は安全な場所(平たん部等)で行いなさいということでございます。安全帯の取りつけ・取り外しはのり尻の平たんな場所や、手すりの内側など墜落、転落のおそれがない安全な場所で行いなさいということを指導しています。

法面途中での安全帯及びグリップの取りつけ、取り外し、または安全帯を緩める等の行為は絶対行わない。傾斜地、危険な場所でそのような行為は行わないということです。

法面作業には必ず安全帯を使用する。また、のり肩や小段での作業にも安全帯は必ず使用しさないと指導しています。

親綱は4ページ目の下のポンチ絵にあるように、2カ所に固定しなさいと指導しています。

また、親綱の堅結び状態、たるみの有無などは毎使用前にチェックして、すれのおそれがある箇所は保護カバー等で防護したり、ウマを設けなさいと指導しています。

親綱は、転落防止用の手すりを設けた小段、またはのり尻まで届く長さのものを使用し、途中での継ぎ足しは行わないとしています。

これは先ほど事務局さんのほうから御説明があった事案のことです。

作業用具、保護具は諸規格に合ったものを使用する。特に安全帯などの保護具は、厚生労働省により構造規格が定められているので私製のものは一切使用しない。また、安全帯の上帯を外すことや、改造したものの使用は絶対行わないということでございます。

実は相当昔なのですけれども、自分で使いやすいように安全帯を加工してしまったということがございましたので、そういうことは絶対しないようにという指導です。

法面の昇降は、原則として安全通路(昇降階段の設置等)を確保して行いなさいということ。

作業用具、保護具等の使用前点検は確実に実施し、結果及び処置を記録しなさいと指導しています。

作業用具、保護具は必ず現場にスペアを準備し、点検によって不良品が発見されたならば、直ちに取りかえるようにしなさいと指導しています。

ということをうたってございます。

次に、「1−5 用具のメンテナンス」です。

まず、安全帯を保管する場合は、事前に決められた日陰の乾燥したところに保管しなさい。直接地面に置くようなことをしてはいけないと指導しています。

安全帯は、下積みにして、傷や変形をさせないと指導しています。

ベルトやロープ部分は合成繊維であるので、地面などを引きずることはしないということ。

ベルトやロープ等に泥・コンクリート・油を付着させた場合は、乾いた布で拭き取って保管すると指導しています。

金具の汚れは拭き取って、適時注油すると指導しています。

使用前点検につきましては、親綱、安全帯の点検は職長が指名した者が親綱・安全帯点検表により点検を行い、不良な箇所がある場合は是正して、不良な物は交換しなさいということ。

作業中の点検につきましては、作業中に親綱・安全帯に異常を感じたならば、直ちに使用を中止し、安全な場所で再点検を行い、異常のある物は交換するということです。

ちなみに、次のページに「親綱・安全帯の点検表(例)と廃棄基準」を載せています。

6ページ目は「親綱・安全帯点検表」の例でございますが、このような項目に従って、最低この項目は点検しなさいということをうたっています。

 7ページ目につきましては、バックルとかベルト、D環、フック、ロープ、グリップ金具、これらの廃棄基準、このようになったならば廃棄しなさいということをうたっています。

 8ページ目「 その他留意事項・禁止事項など」ということで、例えば高さが2m以上の作業床の端、開口部等には囲いや手すり等を設けなさい。

高血圧者、年少者には絶対に高所作業を行わせてはいけませんということでございます。

「1)親綱の使用について」ということで記載していますが、今後、我々も少しずつ考えていかなくてはいけないということを書いてございます。

法面では傾斜面で作業を行うため、作業姿勢の保持と滑落や墜落防止のため、親綱を使用しています。従前より親綱は1本使用としていたのですけれども、安心、安全性向上のため、最近は2本を用いるケースが散見されるようになりました。しかし、傾斜面の作業においては移動が多くて、親綱を2本にした場合、移動に伴い作業用の親綱から滑落防止のための親綱に体重が移りかわることがあり、そのためバランスを崩してかえって転倒することが少なくありませんでした。このような事情により、当協会では現在も親綱を1本とすることを標準としています。

ただし、法面の高さとか勾配等の条件から、親綱の2本使用や、親綱と併用して安全ブロック(ワイヤー内蔵で急激な荷重が作用するとストッパーが働く)を用いる会員や現場も見受けられるようになっています。

このようなことから、今後、親綱の2本使用(安全ブロックの併用を含む)や親綱の交換時期のあり方についても考えていきたいと思っています。

また、現在の安全ブロック内のワイヤー長は大体30mほどが限度でございますので、重量も重くて、30キロぐらいと聞いていますが、このため、ワイヤー長が長い安全ブロックの移動や、固定方法についても検討を要するだろうと推測しています。

ちなみに、法面作業と申しましても、のり長が非常に長いものもございますし、数メートルのものもあるのです。勾配も非常に緩いものと立っているものがございますので、線引き、つまりどこから2本使いとかいうことはなかなか設定しにくいということもございます。

片方には作業効率のこともございますので、2本使いになりますと若干作業効率が落ちる傾向にもあるようですので、そういうことも含めて考えているところでございます。

「2 作業方法について」ということでございます。

まず、「作業準備」につきましては、立木あるいはアンカーバーに親綱を固定して、2カ所に設置するということでございます。

「本作業」といたしまして、昇降施設などを利用してのり肩へ移動して、親綱と安全帯をセットして法面上を下がってくる。

あるいは親綱の固定状況を確認後、のり尻で親綱と安全帯をセットして上がっていくということでございます。

作業の種類といたしましては、法面の清掃、ラス張り・ネット張り、吹付枠工の鉄筋や型枠の設置、プレキャスト枠の設置、モルタル・コンクリート吹付、植生基材吹付、鉄筋挿入工というものがございます。

ただし、鉄筋挿入工を施工する場合は足場を設置することがほとんどなのですけれども、中にはクレーンを利用して施工するということがございます。そのような場合には親綱を使用するということでございます。

「2−3 その他留意事項・禁止事項など」でございます。

第一に、上下作業は行わないということでございます。墜落落下ではないのですけれども、飛来落下のほうに関係がございますので。

 9ページ目「3.作業者に対する安全衛生教育」ということでございます。

まず、協会本部のほうで行っているのは、安全教育だけを行っているということはめったにないのですが、本部のほうで施工管理者を対象にした講習会を開いたり、ノズルマン、作業員の方を対象にした講習会を開いたりしております。

施工管理者を対象とした講習会につきましては、「法面施工管理技術者講習会」と称していますけれども、その中で安全関連について講習しているということで、これは平成10年から毎年開催してございます。年に全国8〜10会場です。

受講者につきましては、平成20年から25年で2,062人。それ以前のデータは残っていないのですけれども、平成10年から19年だったら、おおよそ約4,000人ぐらいと推測いたします。

講習会でどのような内容を行っているかということで、概略が書いてございます。

法面からの墜落事故防止重点対策です。これは国交省さんから毎年通達が出ますので、それの紹介をしています。例えば昇降設備の設置とか、適切な作業計画の作成と周知を行いなさいというようなことを紹介しています。

墜落、転落事故防止対策ということで、前に述べました「1−4 用具の使用方法」の3)とか、親綱の設置方法とか保管、親綱と安全帯の使用と管理、保護具類の始業前点検、作業床とか作業構台についてです。これにつきましては、足場の手すりの高さとか中さんという基本的なことでございます。

安全設備につきましても同様でございます。

それ以外の飛来落下災害防止対策や、崩壊、倒壊災害防止対策や、ヒューマンエラーということを講習しているということでございます。

次に、ノズルマンの方につきましては、「法面ノズルマン技能講習会」を開いてございまして、この中で安全についても講習しています。

これは平成19年から毎年開催していまして、年に全国5〜7会場で行ってございます。

現在までの受講者の方々は2,034人でございました。

(次に)講習会での安全衛生面の内容でございます。

保護具の種類及び取り扱い方法です。具体的には安全帯やグリップ金具、使用する親綱とその廃棄基準案です。先ほど御紹介したとおりでございます。

(次に)墜落、転落災害防止です。

親綱の結び方とか、さきに申し上げました「1−4 用具の使用方法」ということです。

作業中の留意点としては、グリップ金具操作は慎重に行って、少しずつ下がりなさい。親綱の振り角度は大きくとらない。要は、2カ所にロープをつないで、作業するときには体を多少振るのですが、その振り角度を大きくとらない。大きくとったならば、足元が滑ってこける場合(転倒)がございますので、そのような指導をしているということでございます。

地方支部につきましては、会員の要請に応じて不定期に安全講習会を実施しているということでございます。

各現場につきましては、新規入場者教育や、定期的に安全衛生教育を行っているということでございます。

10 ページは、立木の引き倒し試験をやったデータがございましたので、参考にと思い、抜粋して提出したものでございます。

これは長野県林務部さんのほうで行われたデータでございまして、立木にロープを固定して折れないのかという心配がございますので、載せてございます。

11 ページのほうに2つグラフが載っているのですが、上のほうは、例えば私どものほうでは、直径20cm以上のものに固定しなさいとしてございますので、横軸のほうは胸高直径になっていますが、20cmです。ここが誤記のようで、「m」になってございますけれども、これは「cm」の間違いです。

 それを上げてきましたならば、そこの線とぶつかる箇所が、引き倒し抵抗力がおおよそ20KNになってございますので、(2トンほどで、)それを2本に固定しますので、安全性は確保されているかなと。20cm以上のものに固定して、まして根張りが強固なものとなってくると、安全性はよろしいかなと考えているところでございます。

 以上でございます。

○杉本座長 ありがとうございました。

 ただいま事務局と参考人から御説明いただきましたけれども、御意見、御質問がございましたら発言をよろしくお願いいたします。西田委員、どうぞ。

○西田委員 丁寧な御説明ありがとうございました。

 8ページのほうに「2−2 本作業」で「昇降施設などを利用してのり肩へ移動し、親綱と安全帯をセットして下がる」「あるいは、親綱の固定状態を確認後、法尻で親綱と安全帯をセットして上がる」とあります。

1ページ目のポンチ絵のほうですけれども、この人が上がったり、下がったりするということですか。

○相川技術部長 そうです。法面を上がる、下がるという表現にしてございます。上ったり、下ったりということですね。

○西田委員 ちょっと不思議だなと思うのは、この人はホースを片手で持って、片手で親綱をつかみながら上ったり、下がったりされるのですか。

○相川技術部長 そうですね。ホースで吹きつけながら、ロリップを操作して下がってくるということです。

○西田委員 ただ、ロリップというのは、先ほどの御説明ですと、握ると解除されると。

○相川技術部長 はい。

○西田委員 握っている間というのは何もつかむものがない状態になりますね。

○相川技術部長 ただ、それは一瞬です。少しずつです。少しずつ。

○西田委員 わかりました。

 個人的な感じなのかもしれませんが、片手に割と重い、大きなホースを持って、片手でそのようなコントロールをやっていくというのは、ちょっと怖いかなと思いましたので、質問させていただきました。

ありがとうございました。

○杉本座長 我々は、これを「ホールド・トゥ・ラン」と言うのです。ホールドしているときには安全を自分が確認して、それでオーケー。自分が確認しているのです。確認できないと放す。ホールドしているときにはランしますけれども、意思をやめると、操作をやめたということになって停止する。摩擦でゆっくりと滑るということがあるわけですが、倒れるときは手を放している状態で倒れる。そういう程度のトラブルで処理をしているという考え方ですね。

○相川技術部長 はい。

○杉本座長 ということなのですけれども、いかがですか。

確かにこういう構造を考えることですからね。

○西田委員 最近、国内のメーカーさんでも、同じロリップのシリーズで下降器というか、レバーを引いて荷重をかけるとゆっくり下がることができて、放すとストップするというものも市場のほうに出てきていると聞いているのですが、そういったものはまだ普及してはいないのですか。

○相川技術部長 まだ普及していないです。

○西田委員 わかりました。

○杉本座長 そういう方式を普及したらどうなのですか。もちろん、中身の問題はあれですけれども、新しい技術というのは試験・確認して積極的に開放していくというふうに考えたほうがいいのですか。それとも、今まで確認できているものはいいのだけれども、新しいものはどうも不安なので、なるべく採用しないと考えてゆくのですか。

○石原委員 安全が確保され、その作業に合っているかどうかが、一番大事だと思います。基本的には、吹き付け作業中での下がる時の事故というのは、まずあり得ないと思います。

○杉本座長 下がるのはいいのだけれども、上がるのはどうなのですか。

○久保田安全委員長 上がるときは自分で用いながら。

○石原委員 吹き付け作業をしながら法面を上がっていくということは、作業方法として実施することはありません。あくまでも吹き付け作業は、水平方向に吹き付けしながら上から下へ向かって少しずつ移動していく手順です。

吹き付け途中で、法面を上がっていくときは、吹き付けホースの中のモルタルをすべて吹き付けしてホースを軽くし、吹き付け作業を一時中断してから上がっていきます。

○西田委員 だけど、それは余り勾配がきつくなってくると難しいですね。

○石原委員 吹き付け作業をしながら、上ることはしません。原則として、吹き付け作業は下がるだけです。

○西田委員 今、上ってという説明。

○石原委員 先ほども申し上げたように法面を上るときは吹き付け作業はしていません。

○西田委員 それはそうなのですけれども、例えば40度とかの斜面で上がっていくというのはそんなに力が要らないではないですか。先ほど70度ぐらいまでということで、場合によってはもっと勾配がきつくなるというお話だったのですけれども、そうすると、足のほうの踏ん張りがほとんどきかないから、人を1人分、腕の力で上げるという格好になってきますね。このマニュアルだけを拝見しますと。

○石原委員 法面の作業では、必ず足が地面に着いている状態ですので、宙吊り状態になることはありません。著しく角度が急な勾配の斜面を吹き付けする場合は、足場設備を設けて施行します。作業中にロリップを使用して法面を昇降する場合は、一旦作業を中止して全体重を両足で地面で支え両手を自由にした状態で昇降します。

○相川技術部長 勾配が急で自力で上がるのが大変という場合には、下から上がるようなことはできないと考えます。

○石原委員 基本的に法面作業では、宙吊り状態になる作業はありませんが、もし宙吊り状態になる作業があるとすれば、ブランコ作業のやり方をしないとできないと思います。

○西田委員 現実的に上がれないという感じですか。

○石原委員 ないです。

○相川技術部長 勾配の急なところはそうですね。

○西田委員 8ページで言うところの「法尻で親綱と安全帯をセットして上がる」というのは、ある程度勾配が緩やかなケースに限定されるという理解でいいのですね。

○相川技術部長 そうです。

○杉本座長 いずれにしても、転んでしまったということではないのですけれども、足元の問題もあるわけですからね。だから、それは安全の問題でなくて、ある意味で。

○石原委員 法面作業では、両足が地面に着いた状態での作業となりますので、この作業状態で転倒したとしても宙吊りになることはありません。もし転んだとしても、両足が地面に着きますので、その場所で立ち上がることができ滑落や転落することはありません。

○杉本座長 そうですね。

でも、ミスがありますから。ミスのために安全があるわけだから、ミスの程度なら、これぐらいの余裕でストップしている、安の範囲に動きを抑えてあると。その辺の判断基準でしょうね。

そのほかにございませんでしょうか。

確かにトラブルというのがあるのです。トラブルを許容できるトラブルの中におさめていくという意味で、安全というのは、完全にいろんなトラブルをなくしてしまうのでなくて、トラブルを考えて、そのトラブルが許容できる限界を超えないようにということで考えていくということでしょうね。人間、何かあったとき、むしろバンザイしてしまいなさいといいますか、バンザイすれば止まるという考え方だと思います。

今のところについて、ほかにございませんでしょうか。

親綱、ロープを二重にするか、しないかという話がありますが、その辺はいかがなのですか。現実的にはやりにくくなる、かえってトラブルがあるというのですけれども、1本だと、トラブルが許容できるトラブルでなくなってしまうのですね。

許容の限界にすると、1本がやられても、1本があるということがありますから、理論的に言うと、安全のリスクアセスメントをやって、これはリスクを下げなければいけないとなったときの対応の仕方というのは、リダンダンシーにするか、ダイバーシティーにするかと決まっているのです。

だから、これはリスクが小さいよと最初から評価されてしまえば、信頼性、もともとしっかりしたものをつくれば、あとはというふうに考えるのですけれども、リスクというのを考えてみますと、ブランコ作業では極めて大きいですね。

でも、安全というのが人間に非常に大きく依存していますから、人間に依存するという意味では、二重化に依存するというよりも、もっと大きく人間に依存しているとするなら、やりにくいよりもやりやすいということを優先して、ロープの試験基準のクラスを上げるということで補うという考え方もあるわけです。

ロープ、親綱を二重するということに対して、どうでしょうか。

○相川技術部長 2本にするということでしょうか。

○杉本座長 ええ。それの現実面と今のリスクの関係。

○相川技術部長 先ほどちょっと申し上げたのですが、法面と言っても、勾配が緩やかなところ、低いところ、のり長の長いところ、急なところ、いろいろあるわけなのです。ですから、押しなべて全部使いなさいということは非常に言いづらい。

例えばのり長が2m、3mのところで、勾配は、実際には切り土ですから45度より立っているところが多いのですが、中にはもっと緩やかなところもあるわけです。例えば30度ぐらいの盛り土面で施工する場合もございます。そういうところまで全部2本で行うのかと。作業能率に非常に影響してくるところです。

これは法面保護協会として申し上げていますけれども、盛り土の法面だったならば、盛り土しながら徐々に(のり面を)つくっていき、法面保護も施工していくのですが、別に法面工でなくても、一般土工の方々もその作業を行う場合もあります。

その場合には勾配は逆に緩やかなのです。そのようなところにも全部(2本)使うのかとなってくるわけなのです。そのあたりが非常にちょっと。

○杉本座長 悩ましいね。

○相川技術部長 悩ましいところです。

○西田委員 実は私どものほうにも法面というか、斜面の作業があるのです。建物の構造で一番多いのが、屋上から傾斜が始まっていて、ある程度傾斜が続いたところで垂直の壁面になる。我々は2本のロープでやるわけなのですが、そういう構造の場合、傾斜が緩ければ緩いほど、2本のロープをワーキング、セーフティーということでコントロールしながらやっていくのは結構大変なのです。だから、緩い斜面に関して2本だと、かえってコントロールがしづらくてバランスを崩してしまったという事例があるというのはすごくわかります。

 だけれども、斜面と言うからには、1度から89度まで斜面になってしまうわけですね。そうすれば、それはリスクの高いところに尺度を合わせて物を考えないと、安全のルールというのは成立しないのではないかなと思います。

○杉本座長 なるほど。おっしゃるとおりですね。

この議論をもう少し進めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

またこれもひとり言と考えていただいて結構なのですが、国際的にはこれは全部リスクで決めます。そのかわり、リスクアセスメントをやって、安全ガード、安全の考え方というのはクラスがありまして、それほど危険がないということのために、こういう簡易な方法でいいのではないかというふうに提案する場合も、きっちりと検討してそれをドキュメントにするのです。事故が起こったときに、これはお互いに納得しているのだというところまで準備をするためのルールなのです。だから、これはこういうふうにリスクがあるので、こちらを選択しますと。それをいいかげんにしてはいけないよというルールが国際規格です。

おっしゃったように、最悪の状態で全部決めるのが一番いいですね。だけど、どうしてもここはこれを選択したいといったときには、これはどういうことが起こるのかというのを事前に全部分析をして、自分はこういうつもりでやったのだというので、事故が起こったときも裁判をしなさいでくださいというところまで行くのです。

だから、誰が悪いというふうに言わないためには、納得できる分析をやって、納得できるデータをとって、納得できるドキュメントを証明して、それが納得できるというところで処理をしていくのです。

そんなことがここでは通用するかどうかわかりませんけれども、基本的にはそういう考え方があるということです。ひとり言でいいのですけどね。日本ではなかなか通用しないのです。ちょっと参考に。

清水委員、どうですか。

○清水委員 私も、今回の委員会の中でリスクアセスメント導入ということを考えますと、事故が斜面のなだらかなところで起きているのか、いないのかにもよるのですが、一つはリスクの大きさに合わせてという考えが基本だと思うのです。

ただ、その中で、例えば現場で1度違うみたいな微妙なところまで判断できるかどうかというのは、なかなか難しいと思うのです。そういった意味で、ある程度安全側に考えるというのも必要かと思うのです。

○杉本座長 そうですね。

どうぞ。

○事務局 今、斜面の傾斜角についての議論になっていますが、労働安全衛生規則上での斜面の扱いについて、「勾配が40度以上の斜面上を転落することは、労働安全衛生規則第518条及び第519条の墜落に含まれる。」という解釈が出ております。ですので、法令的には40度を超える斜面においては墜落・転落の防護措置をとる必要があるということになっています。

○杉本座長 非常に明確ですね。

○西田委員 ただ、それも、日本では「墜落」という範疇があったり、「滑落」という範疇があったり、「転落」という用語もあるのです。ところが、今はボーダーレス、グローバルの時代ですから、そういう考え方の基準にいくと、みんな「Fall」でくくられてしまうのです。

40 度の話も、僕もちょっと聞いていましたけれども、そこのところで滑落と墜落を分ける今日的な意味合いはぴんとこないなと思います。

○杉本座長 前回の委員会で、もっと根本的なところで見直したほうがいいのではないか、今までの流れの中でなくて、非常に特殊な、危険なものをあえて許可していくのだから、あえてという部分は、もっとしっかりしたものを入れて、しっかりと開放していく、オーケーを言っていくというような案も出ていたと思います。そのことが1つ。

先ほどのロープを2つというのは、独立性と言いまして、2本にしたおかげで強くなっているのではないのです。1本がやられたときに、1本のロープでホールドできる。同時に故障がないので、独立してつくりますということで、アンカーも本当は独立して、こちらのアンカーのダブルとロープのほうのダブルということで、どちらかがやられても、一方のほうがしっかりしているので、その時点で仕事をやめて、もとに戻すのです。2本が条件ですから、2本目はこちらが故障したときのためですからね。1本だけでやると、同時故障でなくて、1本故障になりますからね。常に同時故障が起こらないのだという前提で物を考えていって、ダブルも独立のダブルで、これが故障したら一緒になって落っこってしまうというのでなくて、独立になっておりますよと。常に独立が保障の根源ですと。

逆に言うと、独立したものが偶然両方やられたときだけやられてしまう。あとは大丈夫ですというのが考え方の前提なのですね。

2本やったので強くなりましたという保障だったら、亀裂がひょっと入りますと、2ホントも一緒に切れてしまいますからね。そういう冗長系の考え方ではないのだということを御承知願いたいと思います。

2本ロープについては、今の作業性の問題がありますね。人間のエラー、人間にきちんと仕事をしてもらいたいというのが全体の危険性に大きな影響があるというのだったら、むしろやりやすいほうを優先して、全体的なレベルを上げていくという考え方がある。私はまだ整理ができませんけれども。

あと、法律の問題がありますから、法律的な解釈との関連でそれを考えていくのが筋かなと思います。

ただ、今、言ったように、新しい時代になって、新しいということをどのぐらい入れられるかどうかですが、そういう味をつけていく、新しい展開をやっていくということで新しく生まれた危険を受け入れていくという考え方もあるかなと思うのです。

こういうのは議論だけでは済まないで、法律の問題もありますから、検討を広くやっていきたいと思います。

もう一つはハーネスの問題で、法面のハーネスの胴タイプと、垂直のハーネスと、どうにでも使えるというような普遍的なハーネスを考えていくべきか。ハーネスの問題がちょっと残っているのではないかなと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○相川技術部長 私どもとしては、現状のものがよろしいかと。というのは、腰を包むような形、腰を支えるようなものですから、作業員の方も比較的楽ということですから、法面作業、傾斜面の作業においてはこのようなタイプのものがよろしいのではないかなと思います。

○杉本座長 法面のハーネスは、垂直状態では抜けてしまうなどということはないのですか。そういうチェックはないのですか。足がついてこういう状態ですから、力の方向は、これと垂直方向と、こういう風に身体のバランスがとれていますからね。これが90度という場面もあったときはどうでしょうか。

○相川技術部長 部分的に90度の場合はありますけれども、全体が90度だったならば、これは足場をかけたりいたしますので。

○杉本座長 実際には仕事をやらなくてもそういう状態にはなり得るわけですね。何かのことで宙ぶらりんになることがあるわけですね。絶対ないということはない。

○相川技術部長 宙ぶらりんになることはほとんどないですよ。

○杉本座長 というか、この角度が90度以上はありませんから、どんな状態でも抜けませんと。作業が一番やりやすいハーネスが、異常なことでも落っこちないと。そうすると、作業しているところがいいし、安全の広い範囲でもオーケーというふうになって、両方が満たされるハーネスが一番いいわけですね。

○相川技術部長 そうですね。

○杉本座長 だから、安全上、法面作業という条件で設定をしただけでいいかどうかですね。

 股をこうやっているわけではないので、抜ける可能性はないことはないね。

○石原委員 過去に抜けて落ちたというのはあるのですか。

○相川技術部長 聞いたことがありません。

○石原委員 法面作業は、ブランコ作業とは作業している状態が違います。法面作業は、常に両足で地面に立ち体重を支えている状態ですので、ハーネスから抜け落ちることはありません。

○杉本座長 ある意味でそれが当てにされているわけですね。

○石原委員 両足で法面に立っているわけですから、くるんと回転して逆さになり宙吊りになることはありません。

○清水委員 胴ベルトもあるので、もし滑って。

○石原委員 それでも落ちないですね。腰ベルトで支えていますから。法面作業にフルハーネス型安全帯を使用していくようにする必要があるならば、法面作業用のハーネスを開発しなくてはいけないということになると思います。現在、法面作業にフルハーネス型安全帯を使用するようにしても、そういうものがありません。

○杉本座長 そういうことよりも、これでいいかという話なのです。今おっしゃったように、胴ベルトになっているので、ずるっとやるとここに来ますからね。だから、何かミスがあったとしても。

○石原委員 法面作業用のフルハーネス型を作れば、そちらのほうが更に安全でよいと思います。

 現在の高所作業用の安全帯でもフルハーネス型にした方がよいのと同じで、法面作業でもフルハーネスにしたほうがよいと思います。

○杉本座長 いいというのは、ある意味で作業性がありますからね。

○久保田安全委員長 この図を見ていただくとあれですが、一番上のところは腰のところにまず。これは普通の1本がけの安全帯と一緒です。

こちらのほうの広くなっているところは、お尻のところからこういう形で。ですから、自分の体を保持しながらやります。お尻のところからこういう形で来ますので、抜けるということはないですね。そういう形での事故というのは。

○杉本座長 落ちてもここまでの位置ですからね。

○久保田安全委員長 はい。ここからちょうどおへその上ぐらいのところにロリップが来るという形状で仕事をしております。

○杉本座長 なるほどね。ということは、安全上も問題ないということですね。

○久保田安全委員長 はい。そういう形で抜けるということは今まで過去には。

○杉本座長 わかりました。では、これは問題がなさそうですね。

○久保田安全委員長 そちらのほうが抜けるということはない。

○杉本座長 では、わざわざフルハーネスをこのために開発しなければいけないという必要性はないですか。

○久保田安全委員長 そうですね。

○事務局 ベルトという論点でいくと、いろんな御意見をおっしゃる方がおられます。脇の下でひっかかるから抜けないという方と、後ろ側に転んだときに足から抜けてしまうという方がおられて、諸外国では1本ベルトの安全帯というのが余り使われていないということをおっしゃる方がいるのも事実です。

このような作業の場合には、作業のポンチ絵を見ていただくと分かるように、前側から吊らなければいけないので、前から吊るようなフルハーネス型安全帯があるのか、ないのかという点にもよるのかなという感じはいたします。

○杉本座長 そうですね。

○中西委員 フルハーネスではあるのですね。

○事務局 あるのですか。

○中西委員 はい。両足から出ていますので、仮に抜けたとしても、つりベルトでぶら下がるような状態になりますので、胴ベルトの安全帯とは力のかかり方が若干違うかもわかりません。

 ですから、もし抜けるというのであれば、真ん中に筋がありますので、それを股のほうからフックにひっかけて抜けないような構造にすれば大丈夫かと思うのです。

○杉本座長 そうだね。

○清水委員 今、安全帯研究会のほうでも、ハーネスが後ろからつるのが基本なのですけれども、前からつりたいというのがあるのですが、前からつると、墜落したとき、つられて自分でロープに当たるのです。今、開発しようとしているのは、つられたときに横にずれてつられるような形のものを考案というか、考えはあるのですけれども、今、石原委員がおっしゃったように、あくまでも前で作業をしていて、そのまま足が滑って、頭を上にして宙づりになるという前提でしたら、1本づりでもいいのでしょうけれども、逆に頭がひっくり返ると抜ける可能性があるということです。過去にはなかったかもしれませんけど。

○石原委員 可能性がないとは言えないと思います。

○清水委員 ええ。そういう可能性があるので、国際的にはハーネスに移行しているという形です。

○西田委員 使い方としては電柱の柱上安全帯と同じように、柱上安全帯は、ランヤードを輪っかにして、ここに体重をかけることによって初めて使える。これも、法面で使うときというのは、親綱があって、そこにグリップがあって、それに体重を預けて、ここに腰かけて初めて使えるようになるのに、ここからさらに何かがあって墜落するというケース自体がそんなには想定できないというところがありますね。

逆に、そういうことがあるということは、親綱に何かのエラーが起こるということですから、かなりとんでもない事態になると思います。

○杉本座長 親綱のほうが問題のように帰着してしまうわけですね。

○西田委員 僕らなどから見ると、先ほどの親綱2本方式のように、むしろ親綱に全部ではなくて、そのリスクを担保するものを別に用意しなくていいのだろうかという気がします。

○杉本座長 そうですね。

これ用の新しいハーネスを改めてつくって、それを認可して使用が許可されるというところまで行く必要はないかなという気もしたのですが、ただ、多くのことが人間の注意、人間のやるべきこと、やってはいけないこと、そういうものに強く影響しているのですね。安全帯をつけなかったではないかと。だから、人間にどうやって本来あるべき作業手順を委ねていくか、そちらのほうに強く影響するのかなと思います。その辺もまとめていくときには考慮していきたいと思います。

それでは、大体議論も尽くしましたということで、次の議題「(2)報告書骨子案の検討」に行きたいと思います。

それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料4をごらんいただければと思います。本日の議論のたたき台といたしまして、事務局で用意させていただいた報告書の骨子案となります。

大きく分けて1から6までございますが、順に説明をさせていただきます。

まず、「1 はじめに」について。「検討会設置の趣旨・目的」がありまして、次に、報告書の対象とする業務の範囲というものを書いております。具体的には、「作業床の設置が困難な場合の高所作業であって、作業箇所の上方(作業箇所が法面の場合は当該法面上部)からロープを吊るし、当該ロープにより身体を支持して行う作業を対象とする」というものを対象業務の範囲としています。これは、高所作業のうち作業床を設置して行う作業まで含めてしまうと、議論がかなり大きくなり過ぎてしまうので、こういう表現としたところです。

次の「2 ブランコ作業をめぐる現状」ということで、これは先ほど資料2のところで御説明させていただきました災害発生状況や、これまで行政や関係団体が行ってきた対策ということを書き込むことを考えております。

次に、「3 作業に使用する用具等について」ということで、「用具に係る性能要件等」「ロープ支持物の強度等の要件」ということでございます。

 前段の「(1)用具に係る性能要件等」については、記載のイメージとして、資料5を西田委員のほうに作成をお願いして作成いただきましたので、そちらをご覧ください。資料5は「ブランコ作業における用具の種類・性能要件・規格等」ということで、ロープ、安全帯、下降具など、それぞれの用具の種類に応じて必要な性能要件、それを担保する規格、それに廃棄基準をまとめていただいたものになります。実際の報告書でも、この表をイメージして書き込むというような形で考えています。

次の「(2)ロープ支持物の強度等の要件」ということで、これは現場でのつり元の状況にもよるので、性能要件的なものを記載していくというのがなかなか難しいところではあるのですが、つり元の記載も必要であると考えられますので、まずは項目として挙げさせていただいたところでございます。

次に、「4 作業に係る危険の防止」ということで、これは大きく分けて、(1)に「作業段階での安全確保」、(2)に「準備段階での安全確保」、(3)に「本作業中の安全確保」、(4)に「その他」ということで、ロープ、用具の点検・交換の目安等について、(5)に「法面作業における留意事項」という5つに分けており、以下、順を追って説明させていただきます。

(1)では、作業場所の調査(リスクアセスメント)を行った上で、調査結果を踏まえた作業計画を策定し、その上で、作業指揮者を選任するという3点を丸数字の1から3ということで挙げております。このうち、3の作業指揮者については、作業全体の進行管理を行う、あるいはロープの緊結状況等のチェックを行う、あるいは緊急時の対応、こういったものを作業指揮者に行わせるということを想定して挙げたものでございます。

次に、(2)について。丸数字の1から9までありますけれども、1天候の確認、2用具の作業前点検の確認、3上下作業による飛来落下等を防止するための保護帽の着用、4作業区域下方の立入禁止区域の設定、5メインロープ、ライフラインの使用、6ロープの緊結元の選定、7用具の装着、安全確保及び作業者の用具装着状況の確認、8ロープの緊結、緊結状況の確認、9ロープの養生及び養生状況の確認の順で挙げました。

今、申し上げた中で、確認という項目がいくつかあります。主に丸数字の7、8、9になりますが、ここは複数名で確認作業をしていただくということを想定しております。これは先ほど資料2の災害事例のところでもちょっと触れさせていただきましたが、実質的な一人作業となり作業者以外が確認をすることなく作業者本人の確認のみで作業を行って墜落してしまうというパターンが散見されますので、例えば緊結状態などについて、作業者が確認するとともに、作業指揮者にも確認させる、あるいは作業者同士がお互いに確認し合うといった形で、ダブルチェックをかけるようなことでリスクを低減するということを想定してこういう書き方をしているものです。

以下、本作業中の安全確保、用具の点検・交換や保管などについて記載をして、「(5)法面作業における留意事項」ということで、特化した事項があれば書き込むということです。具体的には、先ほど議論もありました安全帯などの用具について、特別な対応が必要であれば、それを書き込むということが1つ。2つ目として法面途上の水平移動による作業時の安全帯の付け替えを行う場合の留意事項ということを挙げています。これはビルの窓ガラス清掃では基本的に下降のアクションしかないとのことでしたので、最初は下降作業のみを想定すればよいと考えていたのですが、資料2−2の災害事例で触れましたとおり、法面途上で水平移動をするというケースもあるということを踏まえて挙げたものです。ただし、先ほどの特定法面保護協会さんからの説明の中で、法面途上での安全帯の付け替えは厳禁、というお話もありましたので、実際に記載するかどうかは議論の必要がありますが、付け替えを認めるのであれば、その場合の留意点を書き込むことになります。

次に、「作業者に対する安全衛生教育」という項目を立てています。これは、今、3や4で記載した内容を網羅して教育を行うものと考えていますが、先に作業指揮者の選任についても触れておりますので、作業者に対する教育と作業指揮者に対する教育をそれぞれ記載する必要があると考え、このような構成にしております。

最後に、先ほどの4の(5)の法面作業の留意事項と内容が重複する部分もありますが、「その他」として、ビルメンテナンス業以外の業種で作業を行う際の留意事項がもしあれば記載するということで、骨子案に入れています。

以上、これらの内容を骨子案の議論のたたき台として、災害の状況なども踏まえて作成したものをお示ししています。よろしく御検討方お願いいたします。

以上です。

○杉本座長 ありがとうございます。

 資料5ですけれども、西田委員から御提出いただいたということなのですが、何か補足する説明がございましたら、よろしくお願いいたします。何かございますか。

○西田委員 ロープについてですけれども、これは国内と欧州に分けていまして、それぞれどういう規格があるのかという話なのですが、国内にはJISにナイロンロープと、ビニロンロープもあったかな。ナイロンロープのJIS規格はあるのですが、JISのほうは「ナイロンロープ」というタイトルにはなっているのですが、対応しているISOのほうの規格が「 3 - Strand Polyamide Multifilament Ropes 」という、要するに、三つよりのナイロンロープのためのISOの規格に対応させているものですから、三つよりと八つ打ちタイプのものにしか規定していないのです。

ですから、「ロープ」の欧州のほうに「二重構造」と書いてありますが、これは外側が編み込んであって、一体の1つの構造になっていて、中によったストランドが幾つも入っているという構造のロープなのですが、そういうものを規定する規格というのがJISにはない。

ただし、東京製綱さんなどではEN1891、あるいはアメリカのNFPA、消防のほうの規格に適合したものも国内で生産しているようです。

僕のほうからはそれを補足させていただきます。

○杉本座長 資料5について、ほかの方で何か御質問がありましたら。どうぞ。

○山田委員 資料5ですけれども、ブランコ作業という定義の中でのロープの強度とは違うと思うのです。その辺を含めて検討しなくてはいけないということと、あと、「安全帯」「下降具」「グリップ」「接続具」と書いてあるのですが、接続具というのは下降器具と同じなのです。これを使わないと下降できないというものでございます。

グリップに関しては、私たちは前、「墜落防止器具」と呼んでいたものです。そういったものを含めて、呼び方と、もうちょっとシンプルに、本当に安全対策用の呼び方をしていかないといけないのではないかなと思います。

それと、ロープの作業を見ていただくとわかるのですが、ブランコ台を使用するのです。ブランコ台のところが全く抜けているというところで、これも1つ入れていかなくてはいけないと考えております。

資料4の骨子案に関しては、ガラス外装クリーニング協会でもう既にやっているものなのです。全く一緒のものなので、これを報告書でつくるというのはちょっと無駄ではないかなと思うのです。

それ以上に踏み込んでいただきたいのが、災害が発生する原因というのは屋上と作業中なのです。屋上の準備段階で、例えば水平親綱、ライフラインを通してそこに安全帯を取りつけて準備をするとか、そういったところまで踏み込んでいかないと、なかなか災害がなくならないのではないかなと考えております。

以上です。

○杉本座長 なるほど。

先ほどグリップを「墜落防止器」とおっしゃったのですか。

○西田委員 「墜落阻止器具」という言葉を今、私どもでは使っていますけれども、グリップというのは、安全帯を構成する一部品、部位の名称ですので、ここは「グリップ」でいったほうが良いのではないでしょうか。ほかの関連の法律との整合性がとれなくなってしまうと考えます。

○杉本座長 もっと生々しく、「グリップ」をもうちょっと必要な、安全のための意味づけの名前に変えたほうがいいという考え方と、普遍的なものなので、全体の安全の中のグリップという部品としての位置づけをはっきりしておいたほうがいいと。そういう違いですね。

○西田委員 はい。

○杉本座長 それでいかがですか。

○山田委員 安全墜落防止が大前提なので、「グリップ」と言っても、多分わからないと思うのですね。その辺はちゃんとした。

○杉本座長 機能的なグリップというのと、その目的がちょっと言葉の中に入ってくるべきだろうね。

○山田委員 そうですね。

例えば国内のグリップのところに「11.5KN」と書いてあるのですけれども、これはブランコ作業時のものではないです。ブランコ作業のための用具ではないわけですから、まずそこから考えるべきではないかなと思います。日本国内でブランコ作業というのは基本的に認められていないものではないですか。だから、そういう安全基準がないのです。そこから始まらなかったらこの会議は意味がないのではないかなと考えております。

○杉本座長 作業だけでなくて、安全のためにいかにするかというところもね。

○山田委員 そうですね。

○杉本座長 安全のためにこういう機能が必要なのだという言い方での「グリップ」でなくて、墜落防止器具だという意味づけをちゃんとしたほうがいいということですね。

○山田委員 そうですね。

○杉本座長 なるほど。

○西田委員 以前にとある会議で今の山田委員と同じような見解から、我々のマニュアルで使っている「墜落阻止器具」という名称にしていただきたいというお話をしたことがあるのですが、全くその用語が普及していませんで、こういう安全関係の専門家の方ばかりいらっしゃったのですけれども、結局、そのときは「つかみ金具」という名称におさまったということがありました。これから「墜落阻止器具」という名称を普及させる方向で考えていったほうがいいのか、むしろほかの用語に合わせる方向で考えていったほうがいいのか、非常に難しいところですね。

○杉本座長 それは2つの考え方がありますね。括弧書きで話を進めていきたいと思います。

資料4のほうではいかがでしょうか。今、山田委員からお話が1つございましたけれども、同じことをただ整理するのでなくて、ポイントを押さえて、指揮者という概念がありましたが、その指揮者がどういうことをきちんとやらなければいけないというところも含めて、準備作業、上での作業がおかしかったから作業中におかしくなるのだという話をもうちょっと体系的にやったほうがいいという話ですね。

その辺はいかがなのですか。

○石原委員 屋上での準備作業というのは、例えば屋上に手すりがあっても、基本的には高所作業ということです。屋上でロープを垂らすための作業だけでも高所作業です。

○西田委員 もう既に高所作業です。

○石原委員 高所作業をするには手すりを設けなさいというのが安全衛生法にあるわけですから、それが設けられない場合は、親綱を設置して安全帯を使用する等の墜落防止措置を行うようになっています。それを遵守すれば、特に問題は無く新しく規則等を設ける必要はないのではないかと思います。ブランコ作業だから新たに親綱を設置しなくてはいけないとか、準備のときは安全帯をつけなくてはいけないというのでなくて、基本的には安衛法や規則で決まっていることをきちっとやればよいのではないかと思います。ただ、ブランコ作業になってからは、ちょっと別なのかなと思います。

法面作業でも同じことが言えるのではないかと思います。法肩上での準備作業では、法肩に手すりを設けて転落防止措置をするのと同じです。基本的に、法面作業の安全マニュアルも安衛法に則って作成されていると思います。

グリップの話について言えば、「グリップ」の規格の問題だと思うのです。使用するグリップ等がブランコ作業と法面作業では、用いる器材や器具の規格が違うようです。そのグリップや器材器具をどこまで規定するかという点でいうと、両作業の器材器具の規格が同様の規格に当てはまることではないとしたら、ブランコ作業ならブランコ作業という項目をつくって規定しないといけないのかなという感じがします。

○西田委員 今、石原委員がおっしゃられたことは本当にそのとおりだなと思うのですけれども、我々のガラス外装クリーニングの世界においても、当然労働安全衛生法という法律の対象になって、墜落防止のために何にもやらないで高いところで作業をさせていかぬのだということになっていて、細かいことも労働安全衛生規則で決まっているのです。にもかかわらず、ブランコ作業での災害が多発したまま今日を迎えているというところで、こういう検討を私たちはずっと望んでいたところがあって、そういう立場からこの骨子案を拝見させていただきますと、計画段階でリスクアセスメントをきっちりやる、実作業に入る前に作業計画をきっちりつくるのだということを、どういう形になるかわかりませんけれども、行政としてきちんと御指導いただくというのはとても大きなことだなと思っています。

○石原委員 作業計画をきちっとして、それを周知させて、手順を作成し作業していくことは、安衛法や規則で決まっています。

○西田委員 リスクアセスメントは、今は「望ましい」というレベルではなかったですか。

○石原委員 リスクアセスメントについても、安衛法で規則として決まっています。それをしなかったら、事業主や現場責任者の指導側の問題です。

○西田委員 いや、漠然としたリスクアセスメントというのはもちろんやっているのですけれども、ブランコ作業は、細かいこと、屋上での作業動線というものをどういうふうに構築して、どのエリア、どのゾーンの作業はどういうハザードを評価するのかということまで必要なのですよというところまで踏み込んだ御指導をいただきたいなと思っています。

○事務局 両委員のおっしゃることはすごくよく分かりますが、検討会の結果をどういうふうに活用するかを想定しておく必要があります。

そのときに、法令で書いていくものについては、例えば道具の名前でも、JISで名前が決まっているものであれば、その決められた名前を使うとか、一定の根拠、縛りがあります。通達で書くものであれば、もう少し幅広く書いていけますが、今、西田委員がおっしゃったような、例えば具体的な作業動線をどう作るかとか、作業計画をどう作るかということになると、非常に技術的な事項になってくるので、多分通達でもなかなか書きづらくなってきます。そういう場合には先生方に御協力いただいて、例えば役所のパンフレットとか、業界団体で今作られているマニュアルをもう少し詳しくしていくとか、それぞれの内容の詳しさの程度に応じて、使い分けを考えていく必要があります。

あと、報告書の中でどこまで書くかということを想定しておく必要があります。非常に細かな技術的なことまで書き込むためには、報告書の取りまとめにも相応の時間がかかります。今回、こちら側から、作業スケジュールも勘案しながらどこまで細かいところまで報告書に書き込むのか、その辺の相場観をはっきりお示しできていなくて申し訳ないのですが、整理をしながらやっていかないと際限がなくなり、報告書をまとめきれなくなるおそれがあります。

今回は骨子案の最初の検討なので、色々御議論いただくのはいいのですが、まずはこの検討会で対象とする作業の範囲をある程度きちんと決めた上で、それに必要な計画の作成方法の基本や、道具の種類や性能要件などを整理し、御議論いただいた内容を踏まえて事務局で報告書案として肉付けしていくこととしたいと考えています。

○杉本座長 基本的には、「確認」という言葉と、複数でやる、お互いの確認、指揮者の問題とか、基本的な考え方を討論する必要があるかなと思うのですけれども、それはいかがでしょう。

 きちんとやれば起こらない事故ですね。だけど、例えばフックを外すのは自由に外せるかもしれないけれども、つけて仕事を再開するときに見てもらう。外すというのは勇気が要るわけで、なぜかというと、つけ直したときの確認を要求するわけだから、なるべく外さないようにする。だけど、外した場合は、必ずそれを見てもらうというルールがどのぐらい必要か。そういうルールでもってこの作業はでき上がっていくのではないかなという気もするのですが、その辺はいかがでしょうか。

人間依存、お互いの確認依存といいますか、1回外したのですから、つけたときには、ちゃんとつけたぞと。こういうけじめをつけながら仕事をやるというのは、人間に依存する。逆に人間に依存するならば、そういうポイントを押さえた依存の仕方が必要なのではないかと思いますけれども、その辺の御意見をいただければと思います。

僕らの機械安全とは大分違うわけで、ガードをあければ、とまってしまったみたいな話とちょっと違いますので、人間にお願いするわけですから、いいかげんなあけ方と閉め方がなされたらというところがポイントらしいのです。あけるのはある意味でいいのですが、閉めて運転を再開するとき、機械で言えば中のモーターが動き出す。そのときはきちんとけじめをつけて、大丈夫ですよということで電源が入る。そういうのを人間にお願いしているわけですから、きちんと使命を受けて、安全帽にはちゃんと自分の名前があり、指揮者の登録がなされていて、皆さん、私は指揮者ですよと。そういう人がきちんとした立場になってそれを管理していく。

あるいはできないときには君は今、指揮者なのだよという責任あるチェックの委託をきちんとして、お互いに確認し合う。そういうところがどうもポイントのような気がするのですけれども、いかがでしょうか。どうぞ。

○清水委員 今、委員長がおっしゃったように、機械安全と違いまして、フェールセーフとか、そういったことができないとすると、今のダイバーシティーでやるとかということになりますけれども、さらにそれが人の注意力に依存しているところが多いとなると、それを二重化、三重化していくというのが考え方の基本だというふうには思います。

 今の骨子の中で、基本的にブランコ作業を行うためのリスクアセスメントということを考えると、この作業の全てのライフサイクルで考えるというのは基本だとは思うのです。ただし、その場合も、今、事務局のほうからもお話があったように、どこまで範囲を限定するか。それが最初、私もちょっと疑問だったところですが、ここでは例えば「作業場所の調査」のところに「屋上の調査・記録」ということで、案としては屋上の調査も入っているのですけれども、それが実際の労働安全衛生規則などで決まっているとすれば、そこを引用するということで、そんなに細かく書かなくてもいいかなという気はするのですが、そこは明確に分けていく。

あと、「はじめに」でどの範囲というのを書くことが必要かなと思うのです。「ブランコ作業」と全て入っていますね。本来は準備作業から終わって片づけるまでというのが。

○西田委員 ただ、事故事例を検証する限りは、実際の作業というか、準備は終わった、これから壁面を垂直におりていくのだよと。おり始めてから事故要因ができ上がってくるケースというのはほぼないのです。災害の要因というのは、99%までが屋上で動いているときに生まれているということを考えれば、そこをいかに分厚くするか。今、御指摘のあった人によるフェールセーフ、ダブルチェックという方向で考えていくのであれば、屋上の作業指揮者の監視のありようというところが、かなり比重が大きくなるのかなという印象を持ちました。

○石原委員 今、言われたことは、屋上での親綱などの設置作業と、屋上でいろいろな器材器具、ロープを点検する作業とか、この2つの意味があるということでいいのですか。

○西田委員 屋上で墜落するといっても、水平親綱がないとか、本来作業動線として把握していないところに入り込んで作業していたとか、そういうことですので、それもまた指揮者の管轄の範囲のことだと思うのです。

○事務局 ですから、報告書としては、そもそものブランコ作業というか、ロープを使って壁面を下りているときの墜落云々だけではなくて、事前の準備作業も含めて書くことはいいと思うのです。

○杉本座長 特にそれが重要だということですね。

○西田委員 そうです。

○杉本座長 落ちるのはなぜかというと、準備作業でちょっといいかげんだったのではないかというふうに手前のところでいろんな対応がつけられるということですね。準備の影響が非常に大きく出るということですね。

だから、目の前を見て、子供が出てきたから急ブレーキという話でなくて、やはり信号系がしっかりしていて、踏み切りがちゃんとできている、そういうふうにシステムができ上がっているのを、ちょっと荒っぽい扱いをしてしまったおかげで事故が起こっているというところですね。

○西田委員 はい。

○杉本座長 確かにそう思いますね。

 これは、仕事中に何か起こって、切れてしまったからとめてあげるみたいな話ができないですからね。だから、準備がそのままうまく反映しながら、前倒しをしていったものが実際に実行される。必ず安全が確認された状態で仕事をしていく。わからないまま仕事をしながら、途中でやめろというわけにはいかないということですね。

○西田委員 はい。

○杉本座長 この作業はそういうふうに常に安全確認を考えていくのかということ。

それから、委員長は余り発言しないほうがいいのですけれども、リスクアセスメントは努力義務だったのを、ある意味でちゃんとした義務にしたほうがいいなという気もしますね。事前に押さえておくものは押さえておくと。

どうしても残るものがあって、これについては残留リスクと。ただ、これは確率的なリスクでなくて、これをこういうふうにやってもらいたいのだと。具体的にこういうことをやってもらいたい、やらないでくれというふうに決めるために事前にいろんな準備をやる、体系的に準備をやる、そのためにリスクアセスメントがある。

だから、宙に浮いたときには、これであなたたちはもう安全が保障された状態でブランコ作業状態でいるのだというふうにいきたいということですね。

○西田委員 はい。

○杉本座長 だから、相当特殊な作業なので、逆に言うと、途中からやっても遅いので、事前に準備をきちんとやっていくと。その気になって分析をし、その気になって主任さんもチェックをしていく、前倒し的に全部やっていくという話を徹底的にやるためには、努力義務ですよというのではなくて、ちゃんと問題を把握して、その問題をきちんとその現場のところに「これはお願いする」「わかった」という関係で伝達し合うことかなというふうに思いました。委員長が余りしゃべってはいけないのだけれども、そんな気がいたします。

ご意見をいただければと思います。もうちょっと討論しましょうか。

あと、今、出た複数者の問題、複数でもってやっていく、あるいは指揮者という存在をきちんとやって、わからなくなったら、必ず指揮者を通して何かを進めていく。この作業はどういう重要な作業で、どういう危険を持っていて、どういうポイントを押さえれば事故が防げるのだということを知っている指揮者を用意しておいて、何かあったとき、現場がわからなかったら、それをすぐ指揮者に確認しながらいくという意味での2人作業。

あとは、だらしないのはわかっていますから、ちょっと締まっていないよということを言い合うための冗長系、人間のダブルといいますか、そういうシステムの考え方についてはいかがですか。

○石原委員 各作業ステップで、作業をする人が動線から外れるリスクが発生するなら、そういう人を管理すること。そこへ行けないような設備を設けること。落ちないための設備、器具を設けること。上からぶら下がってブランコ作業をしているときの作業手順など、そこで人がやる不安全行動とか、そういうことに対して危険が考えられるのであれば、人と設備や器材器具の規格や取扱い方法とその点検について、こういう方法でやりなさいというものと設備に使う材料関係を明確にしておけば、それがクリアになっていくのではないかなという感じがします。

○杉本座長 やはり指揮者という概念が非常に重要だと思うのです。俺が指揮者か、おまえが指揮者なのだと言ったら、それについてはちゃんと動く。

○石原委員 それを誰がきちっとするか指揮者が大事です。

○杉本座長 というふうに決めていく。ただ単に名前を決めるのでなくて。

どうぞ。

○山田委員 私はビルメンテナンス協会なのですけれども、ガラスクリーニング協会は平成3年から社団法人になりまして、その前からもそうなのですが、職長と同等の教育で災害防止責任者、皆さんもいろいろ見ていただきたいのですけれども、ブランコについては、ちゃんと安全教育もテキストもしっかり整っています。それを全部やられているのです。実施しています。ほかの業界にはないぐらいガラスクリーニング協会は安全対策に対しての勉強、教育に非常に力を入れています。

その中で、リスクアセスメントはもちろん決まっていますし、安全対策を講じてやろうということでやっている中で、本来はガラスクリーニング協会のほうで、災害があるのであればもっと厳しく指導していかなくてはいけないところを、災害がどうしても発生しているというところが現状だと思うのです。

 そこを一歩上に行くには、それなりにもうちょっと厳しい縛りをつけるしかないのではないかなと考えております。

だから、この骨子案は全く同じで、今、クリーニング協会のほうではこれ以上の厳しいことをやっています。もう少し法的な厳しい縛りとかそういうのがなければ、災害はなくならないのではないかなと考えています。

ただ骨子案をつくって、小冊子で「ブランコ作業安全マニュアル」と。これ以上に難しい、しっかりした教育はクリーニング協会のほうでやっていますので。というふうに思っています。

○西田委員 作業指揮者なのですけれども、昭和50年代にビル管理業に対して、職長等に準ずる教育を行いなさいという通達をいただいたことがあるのです。それは中災防のほうの職長トレーナーの教育事業とちょっとリンクしたような話になっていて、中災防のRSTのほうへ行くと、4泊5日缶詰になるのですが、製造業は職長の指定ではないので、準ずる教育で何とかしましょうという話で、2泊3日のコースというのをつくっていただいて、そこで職長のトレーナーというのを僕たちも育てているのです。

通達が出たのは、ビルメンテナンス全体として事故が多かったということですね。

○山田委員 その経緯はわからないですけれども、ガラスはガラスでということではないですか。

○西田委員 いえ、違うように思います。通達はビルメンテナンス業に対して出されたように記憶しています。

だけど、床の掃除をしている人たちとブランコを初めとする高所作業をしている人間では、そもそも扱っている業務のリスクが違うという話が近年出てきて、果たして2泊3日のビルメンテナンス業全体としての職長に準ずる教育トレーナーコースを受講した人間が我々の業界の現場責任者、作業指揮者、職長を教えていいのだろうかという議論がありまして、これは高所作業の多い建設業さんと同等の4泊5日、1週間缶詰のところで勉強した先生が現場の責任者に教えていかないと、事故は減っていかないなというような流れに今、なりつつあるという状況を御報告いたします。

○杉本座長 わかりました。

この事故では死んでしまうのですね。僕は労働安全を何十年もやりましたけれども、死亡事故というのは、やはりまずいね。少なくとも死亡事故、人が死んでしまうというのは防ぎたいなと。

そういうことで、我々のほうが結論するよりも、報告書を書く行政の方々へいろんな情報を提供したということ、きょうも専門の方に来ていただいて実態についてお話しいただいたということ、議論もいろいろいただいたということです。そういうことで情報を整理していただいて、現実に死亡事故をなくしていくといいますか、そういうことを反映していただきたいと思います。

その中の報告書ということが今、目下の問題としてありますから、それの整理をしていただきまして、次回に案をいただいて、また討論していきたいと思います。

一応、ここで議論を終わりたいと思います。

次回のことについて、事務局のほうからよろしくお願いします。

○事務局 次回の第3回の検討会でございますけれども、本日の骨子案に係る議論を踏まえて報告書案を作成し、検討を行う予定としておりますが、議論をスムーズに進める観点から、骨子案について、本日御議論いただいた内容も含め事務局において整理をさせていただき、その上で骨子案に肉づけをして報告書の素案を作成し、委員の皆様に事前に送付して内容を見ていただいた後で開催をしたいと考えているところでございます。

予定としては、報告書素案の委員の皆様への送付のほうを来年の1月中旬ぐらい、第3回の検討会を、報告書素案の送付から少し時間を置いて1月下旬から2月上旬ぐらいにかけて開催する方向で考えております。開催日時については、後日、日程調整をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○杉本座長 それでは、第2回「ブランコ作業における安全対策検討会」を終了させていただきたいと思います。

どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。


(了)

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