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2014年2月3日 第108回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年2月3日(月)16:00〜18:00


○場所

中央合同庁舎第5号館12階 専用第12会議室
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、権丈委員、田島委員、野崎委員、村中委員、守島委員、山川委員

【労働者代表委員】

工藤委員、新谷委員、高松委員、冨田委員、八野委員、春木委員、宮本委員

【使用者代表委員】

池田委員、小林委員、鈴木委員、田中委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

中野労働基準局長、大西審議官、土田総務課長、村山労働条件政策課長、古瀬労働条件政策課調査官

○議題

1 今後の労働時間法制のあり方について
2 その他

○議事

○岩村分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第108回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催することにいたします。

 本日御欠席ということになっているのが使用者代表の秋田進委員でございます。また、池田委員、権丈委員、田島委員もおくれて来られるということで伺っております。

 まず、議事に入ります前に、定足数の報告を事務局からいただきたいと思います。

よろしくお願いします。

○調査官 定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと存じます。

 お手元の議事次第にありますとおり、本日の議題は「今後の労働時間法制の在り方について」ということになっております。前回は、弾力的な労働時間制度について御議論を頂戴したところでございます。今回は、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金の問題や、健康確保、ワーク・ライフ・バランスの観点からの労働時間制度をめぐる課題について御議論を頂戴したいと存じます。

 事務局のほうで、今申し上げた課題につきまして、前回までの分科会資料を中心に整理した資料を用意していただいておりますので、まず、その説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○調査官 それでは、お手元の資料のご説明をさせていただきます。

まず、資料1でございます。こちらにつきましては、第103回分科会での配付資料でございますが、本日は、ただいま、岩村分科会長からもございましたとおり、赤枠で囲いました論点1にございます割増賃金を初めとしました健康確保やワーク・ライフ・バランスの観点からの御議論をお願いできればということでお配りしたものでございます。

 次に、資料2についてでございます。資料2は、本日の御議論に関連するものにつきまして、これまでの分科会資料をもとに整理したものでございますが、既存の分科会資料と重なっている部分につきましては適宜割愛させていただきながら御説明させていただきたいと思います。

 それでは、表紙をめくりいただきたいと思います。まず1ページ目から7ページ目までは、労働時間関係の全般的なデータをおつけいたしております。まず1ページ、「年間総実労働時間の推移」についてでございます。左側のグラフにありますとおり、全体としては減少傾向で推移しておりますが、右側のグラフにございますとおり、その背景にはパートタイム労働者比率の上昇がございます。

 2ページ、週労働時間60時間以上の者の割合は、全体では近年低下傾向で推移しておりまして、1割弱でございますが、30代男性では約18%となっております。

 3ページでは、週労働時間60時間以上雇用者の割合を規模別で見たものでございます。

また、その次の4ページは週労働時間別の雇用者割合を細かい労働時間で割ってみたものでございます。

 次の5ページは、業種別に見ました週労働時間60時間以上雇用者の割合で、その次の6ページは、それを職業別に見たものでございます。

 それから、7ページに参ります。こちらは毎年公表されております労災補償状況についての資料でございます。左側の表は脳・心臓疾患の労災支給決定件数を時間外労働の時間数別に見たものでございます。

 なお、右側に精神障害についてもおつけしておりますが、時間外労働との関連は部分的で、認定手続等の変更もございますので、参考としてごらんいただければと存じます。

 次に、8ページから20ページまで、割増賃金関係の資料をおつけしております。まず、8ページ、それから9ページでございますが、こちらは現行の規定を抜粋したものでございますので、説明は省略させていただきます。

10ページは、現在の割増賃金率の枠組を示したものでございます。一番右上の枠が、大企業に義務がかかる月60時間以上の時間外労働についての割増賃金率50%の部分でございますが、この部分につきましては労使協定で代替休暇の対象とすることが可能となっております。

11ページがその代替休暇制度の概要でございます。大企業につきまして、月60時間を超えた場合の割増賃金率は50%以上でございますが、一部を割増賃金の支払いにかえて有給休暇を付与することができることとする制度でございます。月60時間を超えた時間数につきまして、通常の割増率と50%以上に設定した率との差の部分が対象となってまいります。代替休暇を取得するか否かは労働者の意思によるものとされてございます。

また、導入に当たりましては、このページの下の枠の○にございますような事項について労使協定を締結することとされておりますけれども、代替休暇は1日または半日単位、そして、代替休暇を与えることができる期間は、月60時間超の時間外労働のあった月の末日の翌日から2カ月以内となってございます。

12ページが、割増賃金率50%が適用猶予となっております中小企業の範囲についてでございます。上の枠にございますので、ごらんいただければと思います。また、中小企業の割合は、この下の枠にございますとおり、中小企業の割合で見ますと99.7%、中小企業の常用雇用者の割合、労働者ベースで見てまいりますと66%ということになってございます。

 次の13ページでございます。割増賃金率の設定状況でございますが、60時間超につきましては、大企業の91.2%、中小企業の8.9%が割増賃金率を50%以上に設定しております。

また、14ページでは4560時間、それから、0〜45時間の設定状況でございます。

 次に、15ページから18ページに一連のデータをつけさせていただいてございます。こちらは割増賃金率と法定時間外労働の実績のクロス集計の結果でございます。内容につきましては第106回分科会で御議論いただいたものでございますが、全体の傾向としまして、割増賃金率が高い事業場のほうが時間外労働が長いというデータとなっております。第106回分科会での御議論といたしましては、割増賃金率の時間外労働抑止効果が見られないのではという御意見と、時間外労働が長い事業場では、対応策として割増賃金率を高く設定しているという見方もあって、一概に言えないという御意見があったところでございます。

 次、19ページは、代替休暇制度の導入状況でございます。制度がある事業場は、調査した大企業の事業場のうち11.7%という結果となってございます。また、調査対象月に実際にどれだけ取得されたかを見てまいりますと、0人というところが94.7%となってございます。

 それから、20ページは均衡割増賃金率の試算の資料を再度おつけしてございます。第106回分科会で御議論があったところでございますが、この試算結果は理論値ということになってまいります。

 次に、21ページから29ページまで、労働時間の量的上限規制等に関する資料をおつけしております。まず、21ページ、労働者の健康確保の観点から、労働時間の量的上限規制につきましては、規制改革会議や産業競争力会議からも、ごらんのとおり提言をいただいているところでございます。

 次の22ページに諸外国との比較をつけております。EU諸国におきましては、時間外労働も含めまして、原則、週48時間が上限となっております。また、国ごとに労働協約により調整期間等変更が可能となってございます。そして、割増賃金率につきましては、法定されておらず、基本的に労働協約により定められるとされております。

 さらに、勤務間インターバルにつきましてですが、24時間につき連続11時間、病院や電気、ガス、水道等については、労使協定等により代償休息や適切な保護を与えることで適用除外や、連続9時間といった短縮も可能となっております。

 それに対しまして、右端の米国をごらんいただきたいと思います。御案内のとおり、米国では上限規制はなく、割増賃金率は50%となってございます。

 また、その隣の韓国でございますが、労働時間の上限規制は我が国と似た枠組となってございますが、割増賃金率は50%となっております。

 真ん中の日本でございますが、日本はEU型と米国型の中間的な仕組みとなっておりまして、労働時間の上限規制につきましては、行政が関与し、法令に基づく指導を行うとともに、割増賃金率が法定されているところでございます。

 それから、次の23ページは諸外国の労働時間の比較表を再度おつけいたしております。

24ページからは、我が国の労働時間の上限規制の状況につきまして資料をおつけしております。まず、24ページは時間外労働に対する限度基準、それから、一定の場合に、特別条項によりまして、限度基準を超えて労働時間を延長できる枠組がございますので、それをお示ししたものでございます。

 次に、25ページでございます。勤務間インターバル、休息期間を国内で設けている例としまして、バスなどの自動車運転者の改善基準告示がございますので、お示ししたものでございます。休息期間は8時間以上とされております。

 また26ページ、その次の27ページでございますが、三六協定・特別条項付三六協定の締結状況をお示ししたものでございます。既に御説明させていただいているものでございますので、ご確認いただければと存じます。

 それから、28ページでございます。こちらは特別延長時間別に見ました時間外労働の実績のデータでございます。この下の枠に書いてございますとおり、定めた特別延長時間が長いほど時間外労働の実績も長くなる傾向にございますが、一方で、定めた特別延長時間と比べれば、実際の時間外労働は短い事業場が多いという結果になってございます。

 次に、30ページからは、最後の固まりでございまして、休暇の関係の資料をつけさせていただいております。まず30ページでございます。年休取得率の推移でございますが、近年、5割を下回る水準で推移しております。

 次の31ページは、産業別に年休の付与日数、取得日数の推移を見たものでございます。特徴といたしまして、付与日数ですとか取得日数の多いのが上段の右から2番目にございます電気・ガス・熱供給・水道業、逆に少ないのが、一番下の段の左にございます宿泊業・飲食サービス業、あるいはその隣の生活関連サービス業・娯楽業などとなってございます。

 それから、次の32ページでございます。こちらは、年次有給休暇に係る現行の規定でございますので、説明のほうは省略させていただきます。

 次の33ページでございます。年休の時間単位取得制度についてでございます。制度の導入は小規模企業を中心に進んでおります。

 それから、34ページでございます。年休の計画的付与制度がある企業の割合でございますが、近年余り伸びていない状況でございます。

 次の35ページでございます。年休の計画的付与制度を導入している企業と導入していない企業との比較でございますが、導入している企業は導入していない企業よりも年休の平均取得率が5ポイント高くなっているという結果になってございます。

 次、36ページでございます。休暇取得に対する労働者の意識を調査したものでございまして、「ためらいを感じる」と、「ややためらいを感じる」の合計がおよそ60%台後半となっておりまして、その理由につきましては、この左下の棒グラフのとおりでございます。

 最後、37ページでございます。過重労働の解消とワーク・ライフ・バランスの実現に関連します現在の施策のメニューを簡単にまとめたものをおつけいたしました。

 以上、駆け足で大変恐縮でございますが、説明のほうを終わらせていただきます。

○岩村分科会長 ありがとうございました。

それでは、ただいま事務局のほうで説明していただきました資料No.1、No.2につきまして御意見、あるいは御質問がございましたらお出しいただきたいと思います。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 前回、柔軟的な労働時間法制の在り方について論議し、本日は、時間外割増率の60時間超えの扱い及び労働時間全体の論議をするということですので、まず、私どもとして一番問題と考えている過重労働の防止をどうするのかということについて申し上げ、その後、60時間超えの時間外割増率について申し上げたいと思っております。

 資料2の2ページの「週労働時間別雇用者数等の推移」にもあるとおり、週60時間以上の労働者の割合が、全体で9.1%で、一番働き過ぎが問題となっております30代の男性については、18.2%という数字が出ております。この週60時間以上働くということは、週の法定労働時間の40時間で算出すると、1週あたり20時間以上時間外労働をしているということとなり、1年は52週ですので、1カ月当たりで86時間の時間外労働しているということになります。月86時間という時間は、厚労省で定めている、80時間という過労死の認定基準を超えて働いておられる方ということになりますので、特に30代の男性でいきますと、5人に1人近くがこういう過重労働の実態にあるというのが、この2ページから読み取れると思います。

 同じく、7ページのところに脳・心臓疾患の時間外別の支給決定件数等が書かれております。これで見ると、80時間以上で282件、100時間超で166件、160時間超で31件という結果が出ており、時間外労働と脳・心臓疾患、まさしく過労死との関係が深いと思います。過労死、すなわち脳・心臓疾患で毎年100人を超えている方が亡くなっており、労災認定されているという状況ですので、労働時間の問題を考えるに当たっては、前回、前々回、103回の分科会でも申し上げた通り、まず、労働者の健康確保という観点から、長時間労働をいかに是正するかということこそ、今回の労働時間法制の在り方においては喫緊の課題であると考えます。

 そういった面からいくと、睡眠時間や生活時間をきちんと確保するという疲労回復に向けた十分な休息時間を確保する施策が重要だと思いますので、資料にも入れてもらっているようなインターバル規制であるとか、あと、現在、実質青天井となっており、時間外の規制がないに等しい最長労働時間に関する規制等々を設けることによって、無制限な時間外労働について歯止めをかけなくてはならないと私たちは考えているところです。

 各国の比較を見ると、EUでは、現在、連続11時間のインターバル規制が入っております。1日24時間という点からすれば、EUも日本も同じでありますので、この実労働時間の規制を実効あるものとするために、インターバル規制、それと時間外労働に係る上限規制を導入するべきであるということについて申し上げたいと思います。また、健康確保、労働時間の削減といった観点から、法定労働時間の規制についても強化するべきであるということをまず総論的に申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。では、春木委員、どうぞ。

○春木委員 ありがとうございます。今ほど、新谷委員から勤務間インターバル規制の導入について検討を行うべきだという御意見がありました。私の出身の産業別労働組合では、勤務間インターバルの導入に向けて取り組みをしておりますが、そこで問題になってくるのは、インターバル時間の休息時間の設定というところです。

 私たちとしては、一日の睡眠時間が6時間未満である場合については、循環器疾患のリスクを高めるという研究結果が出ていることや、単に休むということだけではなく、帰宅時間や睡眠をとるまでに必要な時間など、生活する上での必要な時間も考慮して、その時間については設定されるべきであろうと思っています。

 具体的には、EU諸国と同様に、24時間につき原則として連続11時間といった時間の設定が適当と考えられますし、11時間を原則に置きながらも、やはり事業実態や業務が持つ特性などについても配慮しながら、労使協定によって原則である11時間よりも短い時間を設定するということも当分の間は認められるべきだろうと思っています。

したがって、勤務と勤務の間に、しっかりとした休息をとるという文化をつくるためにも、やはり勤務間インターバル規制というものについては、まずは導入に向けて労使で取り組んでいくことが重要でないかと思っています。

 その際に、いろいろと勤務間インターバル規制の適用対象というものが語られるわけですけれども、その適用については労基法上の労働者全員とすべきであって、管理監督者や裁量労働などのみなし労働時間制の対象者についても、やはりここは健康を害しかねない長時間労働を防止するという趣旨に鑑みて、適用対象とすべきだと考えております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。まず、労側委員より過労死防止についての御発言がありましたので、それについて申し上げた上で、インターバル規制についてスタンスを申し上げたいと思っております。

まず、安心・安全な職場環境を労働者の方々に提供するということは、経営を行う上での大前提であり、いわゆる過労死を防ぐということの大切さにつきましてはいささかも疑問を持っておりません。

 ただし、いわゆる過労死防止に向けた取り組みにつきましては、例えば適正な労働時間把握でありますとか、長時間職場の上司への指導でありますとか、医師の面接指導制度、あるいはそれに基づく事後措置、仕事の再配分とか、あるいはだらだら残業を是認するような職場風土を改善するということが必要であります。さらに、中長期的には、効率よく仕事ができるよう、会社として労働者の方々への能力開発を促進するといった幅広い施策が考えられます。

 毎年、経団連が会員企業に協力いただいて、人事・労務に関するトップマネジメント調査というものを実施しております。その中で、時間外労働の削減・抑制でありますとか年次有給休暇の取得促進ということが、春季労使交渉のみならず、年間を通じて話し合いが労使でされており、施策を実施し拡充している実態がわかっております。

 しかしながら、時間外労働の削減についての話し合いの場を実際には設けられていない企業、事業場というのがまだまだございます。時間外労働の問題は、先ほど申し上げましたように、労働者あるいは職場の意識や風土にもかかわる問題でございますので、社会的な機運の醸成といったこともあわせて考えないといけないと思っております。また、話し合いの場を設けるといっても何をどう話し合えばよいのかわからないというような職場も少なくないと考えております。

 その意味で、時間外労働の削減に成功した事例を収集し、周知することで、これならば自分たちでもできると思ってもらえるような工夫というのが大切ではないかと考える次第でございます。

 その際、企業規模や産業、あるいはその職場の特性に応じて長時間労働の背景や原因というのが違っておりますし、それに伴って打ち手も違って参りますので、多様なパターンでその事例というのがわかるようなことが必要ではないかなと考えます。

 いずれにいたしましても、過労死を防止しようという方向性については労側の委員の皆様方と同じ思いでございますけれども、他方で、何か一律の規制をかけることで問題を解決しようとしたときには、その実効性がどうなのか、事業活動への支障がどうなのかということを総合的に考える必要があるのではないかと思っているところでございます。

 それからもう一点、インターバル規制について申し上げたいと思います。御案内のとおり、現在、限度基準というのは、1日を超え3カ月以内の期間及び1年ということについて定められており、1日単位の限度基準というのは、今のところございません。このことは、一定期間を通じて時間外労働の管理を促して、できるだけ短くするという趣旨であると理解しているところでございます。

 企業や実態によって、1日単位の時間外管理が適しているケースはあると思っております。一方で、多くの企業はある程度幅を持ってこの時間外労働の管理を行っていると考えております。毎日、終業から始業まで、一定時間確保しないといけないという一律の規制が果たしてそれぞれの職場の実態に照らして合っているかどうかについては大いに疑問があります。とりわけ裁量性の高い業務に従事している労働者の業務遂行を阻害して、生産性や働きやすさが低下することを懸念するところでございます。

 ちなみに、また経団連の調査を御紹介いたしますと、昨年の春季労使交渉におきまして、インターバル規制が労使で議論された企業割合というのは1.4%でございます。そのうち、実際にインターバル規制を導入された企業は0.4%でございます。これはあくまでも我々のサンプル調査で、なおかつ単年度の調査でございますので、累計ではもう少し多くなるとは理解しておりますが、まだまだ導入している企業というのは少ないのではないかと思っております。

 御案内のとおり、このインターバル規制というのは、何か導入することについて法的な規制があるわけではございません。個別企業のニーズを踏まえて労使交渉に委ねられるべきテーマであると考えております。

 私からは以上でございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 入り口から、今回の労働時間法制を検討するに当たって非常に重要な提起があったと思います。今、使用者側委員からも、安心・安全な職場をつくるために使用者も同じ思いだという御発言があって、非常に心強く思いました。過労死というのは我が国固有の労働災害で、残念ながら、英語の辞書や他言語の辞書にもKAROUSHIとして掲載されており、ILOなどの国際会議などでも、日本の過労死というのがテーマに取り上げられるような状況になっていますので、これは本当に何とかしなければいけない状況にあると思います。

 使用者側委員がおっしゃるような、職場の風土とか意識の醸成、これも本当に大事だと思います。かつて、前川レポートが出て、我が国で労働時間の短縮が国策として、あるいは対外的な、国際的な公約として取り組むということを政府として宣言されて、それがきっかけになって、昭和63年施行の労働基準法の改正、あれから労働時間の短縮が国としての大きな大目標を持って進められたと思います。あのときには、確かに風土とか意識の改革というところで、例えば年休取得についても、労使でどうやれば年休取得が進むのかということで、知恵を絞って取り組んだ成功事例もあって、これも非常に重要だと思っております。

ただ、今の状況は、各個別企業の風土とか意識とか、そういったものに依拠する段階は過ぎているのではないかという意識を私たちは持っています。毎年100人以上の方が過労死で脳・心臓疾患でお亡くなりになるような現状は、もうこれ以上放置できないのではないか、やはりここは一律的な規制をかけていかないと、この100人も過労死で亡くなる現状を改善できないのではないかという意識の中で、私たちとしては、先ほど申し上げたような提起をしているわけです。ぜひこれからの論議の中で、そういった風土、意識の醸成の上に、どのような施策ができるのかということを一緒に検討させていただきたいと思っています。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

 では、冨田委員、どうぞ。

○冨田委員 ありがとうございます。私からは、本日の論点にあります、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金について、1点意見を申し上げたいと思います。

 この60時間を超える時間外労働については、長時間労働を抑制し、労働者の健康を確保するとともに、仕事と生活の調和のとれた社会を実現する観点から、2008年の改正労働基準法により法定割増率の引き上げ正が行われたと理解しております。

 先ほど事務局のほうからお示しいただきました資料の12ページに、適用猶予となっている中小企業の企業数及び雇用数の割合の記載がありますが、これによれば、中小企業の、全企業に占める割合は99.7%、そのうち常用雇用者の割合が66%となっており、全雇用者のおよそ3分の2がこの適用から除外されているということとなっております。長時間労働を防止し、誰もが健康に働き続けられる職場環境を実現するといった意味からも、この法定割増の引き上げの中小企業への適用猶予の措置というのは速やかに廃止されるべきと考えます。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。では、池田委員、どうぞ。

○池田委員 割増賃金に関して意見を申し上げたいと思います。日本商工会議所が1月に実施した調査結果では、全体的な景況感は、売り上げ、受注の増加を背景に改善が見られますが、地方ではなかなか採用ができず、人材の不足感が出ています。

中小企業、とりわけ下請の産業においては、受注が増えても直ちに増員して対応することが難しく、今いる社員が残業して対応せざるを得ない企業も多いのが実情ではないでしょうか。したがって、一律に割増賃金率を引き上げても、長時間労働が抑制されるかということには疑問があります。なぜ長時間労働になっているのかということを、職業別や業種別に分析し、その上で個別に対策を講じていくことが必要です。

 もう一つ、年次有給休暇につきましては、私は非常に使いにくい現状があるのではないかと思うのですが、むしろこちらのほうを過労死その他に対応できるような新しい方策、有効な手段になり得ないものかという検討も必要ではないかと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。それでは、小林委員、どうぞ。

○小林委員 論点の月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金についてまず申し上げたいと思います。これは、中小企業に対しては、当分の間、適用猶予されているということです。労働側の皆さんから、これをダブルスタンダードという言い方でよく言われますけれども、ダブルスタンダードという認識は私のほうは持っていません。大企業で既に50%の割増を行っているのですが、抑制効果がないということは大きな点として捉えなければいけないことだと思います。

それと、先ほど池田委員からも申し上げましたように、中小企業の場合、その割増賃金の引き上げというものは経営に与える影響大きいというところにももう一つ着眼点があるのかなと思いますので、当分の間と言わず、中小企業には適用しないという形でぜひともお願いしたいということです。

 もう一つ、中小企業全体ではどうなのかということで、今回出ている資料でいきますと、資料2の6ページですか、いろんな職業、職種の状況によってかなり違いがある、60時間を超える雇用者の数の違いというのがございます。やはり医師なんかが大きくなっています。医師は中小企業の従業員に多いかというと、医師は決して従業員ではないケースも多いと思います。一番問題になっているものとして、自動車の運転手の従業員というのが長時間の労働にあるというので出ております。自動車の運転従事者が35.3%となっております。

先だって、自民党で過労死の問題を取り上げている会議がございまして、そこで私どもも中小企業の実態調査結果を報告しました。中小企業の場合、従業員規模が少ないほど時間外労働少ないのです。厚労省のデータもそうですが、私どものデータでも、規模が大きくなるにつれて時間外労働が大きくなるという傾向が、規模別ではございます。

 業種別に見ると、やはり運送業が時間外労働がすごい多い。それから、IT関係のソフトウェアの開発業務とかいうのが多いのと、あとサービス業関係が多いという傾向がございます。ずば抜けて多いのが運送業なのです。運送業の場合、どうして長時間になるのかというのはよくよく考えなければいけない。これは、1つは長距離の運送というのがもともとある。この間バスの事故があって、いろんな上限時間の制限が加えられましたが、運送業の場合にも長距離輸送がある。逆に、運送業の組合もいろいろ調べていると思うのですけれども、もう一つは、ジャストインタイムで品物を運ばなければならないということで、荷主に何時何分に持ってこいという要求が出るために、それに間に合わせなければならない。このため待ち時間というのがすごい多いのですね。2時間とか3時間待ちというのがかなりある。それから、港湾の場合、荷物を運ぶのにコンテナで運ぶものが順番待ちで、相当な待ち時間。

 運送事業者は中小企業が多いのですけれども、運送業自らが労働時間を短縮するというのは限界があるのです。これは社会全体の仕組み、荷主のほうにも考えていただかなければならないとは思いますし、社会的にもこの仕組みを考えなければいけない。今、運送業、人件費もかなり抑えられていますし、物流コストというのであれば燃料費もかかるというような状況があるわけです。その中で、安くお運びするということによって、皆さんが使っているいろんな商品の供給もでき、物流コストというのは抑えられているわけです。これが時間外労働の制約、例えば50%割り増ししたらすごいコストのアップになって、物流費というもの自体も上がりかねないという大きな問題がある。これは上がって解消できるのだったらいいですけれども、価格に転嫁できるのかという問題もある。ましてや、物流業者の運送業者が、倒産に追い込まれるという事態もあるかもしれないです。

業種特性というのを、今、運送業例に上げましたけれども、捉えながら考えていく必要があるのではないかと思います。これは時間外労働の割増賃金という部分でもそうですし、過重労働という部分でも、業種別にいろいろな対策を十分考えた上で対応していく必要があるのではないかと思っている次第でございます。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。それでは、宮地委員、お手が挙がっていましたのでどうぞ。

○宮地委員 ありがとうございます。割増賃金について意見を述べさせていただきたいと思います。

 月60時間超の時間外労働に対して50%の割増賃金を適用することが、時間外労働を抑制させるということに必ずしもつながっていないという実感を抱いております。日本百貨店協会を通じて業界内大企業に実施したヒアリングにおいても、割増賃金引き上げ前後で働き方が変わったと回答した企業はございませんでした。

 百貨店業界では、時代のニーズにあわせて営業時間を延長している企業が大半です。そのため、各社の労使で営業時間と労働時間の分離に向けた働き方の取り組みを続けております。月45時間超の時間外労働が発生した場合において、大半の企業が産業医面談を実施しています。また、長時間に及ぶ時間外が発生した場合、その要因がどこにあるのか、ヒアリングを実施している企業も多くあります。

 通常の業務において長時間の時間外労働が発生するケースは少なく、長時間に及ぶ時間外労働をしている方の多くは、専門性を要する業務課題が発生した際、解決のためその期間単発的にしているというケースです。このような場合、担当者以外の人では対応できない個人のスキルを発揮させる業務となることが多く、時間外労働の割増賃金率に左右されることなく業務を続けることが必然となっております。時間外労働が発生する要因は、企業ごとに多岐にわたっております。労働時間の削減に向けては、このような実態を考慮しつつ、各企業が労使で協力して自主的に取り組みを続けることが大切であるという実感を抱いております。

○岩村分科会長 ありがとうございました。それでは、工藤委員、どうぞ。

○工藤委員 時間外労働に関して申し上げます。資料2の15ページから18ページの、「時間外労働に関する割増賃金率別の法定時間外労働の実績」では、割増賃金率が高いほど平均労働時間が長いという結論が出ております。しかし、この結果については既に前回103回の分科会で宮本委員からも指摘したように、時間外労働時間が長い状況があり、これを改善するために、もしくは代償として労使協定で割増賃金率を高く設定したという実態を反映した結果と捉えるべきであると見ております。

 また、中小企業の猶予措置のところですが、これは憲法に基づいて、人たるに値する生活を保障して最低基準を定めている労働基準法においてダブルスタンダードを放置しているという状況については、やはり早期に改善、解消されるべきであり、労働基準法の第37条による法定割増賃金率の引き上げの中小企業への適用猶予措置を速やかに廃止すべきであると考えております。

 さらに、資料2の26ページに、「三六協定・特別条項付三六協定の締結状況」がありますが、三六協定を締結している事業場が前回より改善しているとは言いながら、55.2%にとどまっており、人数の少ない1〜9人のところは46.8%となっております。平成25年度の労働時間等総合実態調査の中では、三六協定の締結をしていないと回答した事業場の約4割が、そもそも三六協定の存在すら知らないと回答しております。

このような状況を鑑みれば、現状での三六協定のさらなる周知徹底というのは間違いなく必要不可欠であり、あわせて、この三六協定を締結していない、あるいは協定で定める限度時間を超える時間外労働をさせた場合の罰則を強化すべきであると考えます。

以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございました。それでは、宮本委員どうぞ。

○宮本委員 ありがとうございます。月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金について発言させていただきます。先ほどからいろいろ使用者側委員の方々からも御意見をいただいていますが、そもそも中小企業での労働時間がなかなか削減できない大きな理由は、先ほど小林委員もおっしゃったジャストインタイムにあると思います。私たちの職場でも、例えば金曜日の午後に発注して月曜日の朝に納入、といった発注の仕方は、繁忙期になってくると日常茶飯事になってきます。そのような状況の中で、日曜、月曜も出勤して生産に当たるというのがもう中小企業の当たり前の状況になっているわけです。

そうすると、中小企業での労働時間短縮というのは、その当該の中小企業だけの問題ではなく、元請と下請の関係、いわゆる業界全体で考えていかなければ中小の労働時間はなかなか短くならないということだと思います。

もっと言えば、今、グローバル化していて、ヨーロッパでは、例えばグローバル・コンパクトであるとか、あるいはOECDの様々な指針、あるいはILOも含めて、例えば劣悪な労働条件のところで生産されたものは受け付けない、といったことの動きがどんどん加速してきています。そのような中で、中小企業だけが長ければ良いのだ、ということにはならないと思います。

 その上で、資料2の2ページの週労働時間別の雇用者等の推移を見ると、確かに週60時間以上のものの割合が、平成16年の12.2%から、平成24年には9.1%に減少しており、数字だけ見ると、長時間労働の状況は改善されたかのようにも見えますが、中小企業はリーマン・ショックの影響も含めてそんなに仕事量がふえていないというのが実感です。最近、業種によって仕事は少しずつ戻ってきているとしても、例えば元請の中小企業への発注の仕方が再編されていて、今まではA社とB社に同じようなものを発注していたものがA社のみに絞り込むといったことも業界の中ではあるとすると、なかなか全体で中小企業の業況というのはまだ改善されていません。

 そのような状況でもありますが、一方で、私どもの調査でも、例えば中小企業の所定労働時間そのものが、例えばJAMの調査でも、はっきりわかっているだけでも、約900近くの中小企業で、まだ135社も年間2,000時間以上の所定時間が設定されている中で、ここも含めて短縮していかなければ実労働時間は減っていかない。まして、有給休暇の取得率も、中小企業は非常に悪く、そして、慢性的な人出不足のところに、昨年あたりから、定年退職を2007年ぐらいに済まされた団塊の世代の人たちもいよいよ65歳になって、職場から離れ、今ますます人出不足の感があります。

 このような中で、アベノミクスで仕事が少しずつふえてくるというトレンドになっていますが、そうなるとまた長時間労働というのは慢性的なものになっていくということが十分考えられます。

先ほど、新谷委員初め、冨田委員、工藤委員からも発言ありましたけれども、長時間労働を防止することは国民的課題でもありますし、誰もが健康に働き続けられる職場環境を実現するというのは世界的な流れでありますから、この流れをとめてはならない。また、取引上の公正競争を確保する上でも、労働基準法を定める法律で労働基準について二重規制があるということについてはやはり問題だと思います。中小企業に対する法定割増賃金率の適用猶予措置というのは速やかに廃止すべきだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 では、八野委員、どうぞ。

○八野委員 今、いろいろ業種、業態のことがさまざま出てきており、風土の改善であるとかマネジメントの問題などもこの場で議論されてきたところがありますが、なかなか改善の方向に向かっていないというのが今日本の大きな問題なのではないかと思います。

 そういう意味で、長時間に及ぶ時間外労働の削減というのはやはり重要な課題であるという認識のもとで、時間外労働に対する割増賃金の支払いというのは、通常の勤務とは異なる特別の労働に対する労働者への保障ということとともに、使用者に対して経済的負担を課すことによって時間外労働を抑制することを目的とするというものであります。

 日本における労働時間規制については、資料2の22ページにもあるように、まず、労働時間の量的上限規制等については、EU諸国との差というのは歴然であり、時間外労働の割増率は、韓国などの例もあるように、国際的に見て低くなっているということが1つあると思います。

 また、資料2の9ページ「割増賃金に係る労働基準法等の現行規定2」でも記載いただいているように、割増賃金の基礎となる賃金には手当、一時金などを含まない算定基礎となっており、その点も不十分なものとなっているということも言えると思います。

 現行の法定時間外の割増率である25%は、資料2の20ページに出ている均衡割増賃金率47.1%を大きく下回っております。新たに労働者を雇うよりも、この数値から見ると、既存の労働者に残業を課したほうが使用者にとって低いコストで済むことになっており、長時間労働を抑制させる効果を十分に発揮し得ていないと思います。

 さらに、月45時間超ということになりますが、時間外労働の限度基準による25%超の割増賃金率設定義務も、努力義務にすぎず、資料2の14ページの結果からも明らかなように、効果は余り出ておりません。

 以上のような観点を見ると、法定割増賃金率は、少なくとも均衡割増賃金率に見合う賃金率、例えば時間外50%、休日100%、深夜50%とすべきであり、当面は月45時間以下については30%以上、月45時間を超えるところについては50%以上、休日については50%以上へ早急に引き上げを行う法制化をすべきだと考えています。

 また、法定労働時間内であっても、所定労働時間を超えた労働に対しては割増賃金の支払いの対象とする方向で検討すべきではないかと考えます。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。では、平岡委員、どうぞ。

○平岡委員 資料の22ページと23ページを先ほどから見比べておりますが、先ほど御指摘がありましたように、韓国、米国というのは、総量規制がない一方で、賃金の割増率は法定で50%からスタートになっている。それと年の平均労働時間を見比べてみますと、どうも割増賃金率のところで長時間を抑えていくというのは、アメリカ、韓国を見ると実現できてないということかなと見て取れます。

 一方で、年の平均労働時間が短い国というのはEUの総量規制をやっているところでございまして、ただ、総量規制をやっているところは、逆に言うと割増賃金というものは法定では定めていない。そういうバランスの中で成り立っているのかと思います。したがいまして、総量規制的なものと割増賃金、いずれをもという形で求められるのはある意味で企業の運営にとっては非常に難しいところが多いのではないかと思います。

 もっとも、23ページの年平均労働時間を拝見しますと、例えば日本の1,765時間というのは、恐らく一般労働者の2,030時間とパートタイム労働者の1,105時間の過重平均にすぎないので、そうすると、ほかの国と比較しても、そういった労働力の構成が違うと、単純比較をしても余り意味がないのかなとも見て取れます。

 同じように、例えば右側の表を見ますと、ドイツはある意味で40時間以上の方々の比率が高いのですが、平均労働時間で見ると一番短いというのは、言ってしまえば、52.6%の方々の中にかなり短い労働時間の母集団が入っているのだろうと、そのように見て取れます。

 前々回のときにも申し上げたと思うのですが、そういった問題とか、それから、恐らくこの統計に含まれてないであろうエグゼンプトの存在とかいうことを考えますと、労働時間の問題については、やはりマクロ感ではなくて、きちんと分別してターゲットを絞って検討していくことが必要ではないかと考えます。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 ちょうど今、22ページ、23ページの国際比較の話が出ており、先ほど八野委員が、時間外割増率、諸外国と比較しての話を申し上げたのですが、今、政府のほうで我が国の競争力強化のための様々な検討がなされており、この21ページにも、その会議体から提案されている内容が記載されております。

例えば21ページの中程にある産業競争力会議の「雇用・人材分科会」については、1月20日に「今後の検討方針」として、世界トップクラスの労働時間制度をつくるということが政府の方針として出てきております。この検討の最初のころの論議ではイコール・フッティングという言葉がキーワードとして出ておりまして、我が国の様々な規制が諸外国と比べて同じ立脚点になってないところを改定するべきだという論議がありました。その中では、エグゼンプトの話とかも出てきているのですが、どなたも、この時間外割増率について我が国は諸外国に比べて低いということを指摘されておらず、これは本当に検討が漏れたのではないかと思うのです。諸外国と比べて明らかに我が国の割増率は低く、25%と決めている国はヨーロッパの協約ルール以外にないわけであり、先ほど、総量規制と平岡委員がおっしゃいましたが、韓国も我が国も年間の最長労働時間規制をはじめ何の規制もかかっておらず、かつ、時間外割増率は韓国に比べてもアメリカに比べても著しく劣っています。

韓国は、この前も御紹介したように、韓国の最高裁に当たる大法院の判決が出て、割増賃金の算定において、定期的に支払っている一時金については算定の基礎に入れろという判決も出ているわけであり、政府がおっしゃっているようなイコール・フッティングということであれば、世界トップクラスの労働時間制度をつくるというのであれば、ここも当然見落としなく検討するべきではないかと思います。

 もう一点、別件ですけれども、実は法定労働時間のテーマで、これは今回の資料にも出てないのですけれども、法定労働時間の週の労働時間の特例措置の扱いについても論議するべきではないかと思います。先ほど申し上げたように、我が国では、1986年に前川レポートが出て、政府として、我が国の労働時間を引き下げていくということが国際公約になって、1987年、昭和62年の労働基準法の改正によって、法定労働時間の短縮を進めるということで、それ以降十何年かけて、法定労働時間48時間から40時間まで、特例と猶予措置を組み合わせしながら順次下げてきた歴史があります。この特例措置についても、1〜9人までという零細企業について、商業とか接客・娯楽といった非常に多い企業、事業場が対象になっておりまして、ここのところは、2001年に46時間の特例措置から44時間に下がって以降、実は下がっておりません。1日8時間、週40時間と法定労働時間が決まっていると言われる中、ここのところは週44時間のまま放置されているというのが私どもの認識です。

104回の資料にも、その特例措置の対象事業場における週の所定労働時間の状況というのが出ておりましたが、その結果を見ると約8割のところが40時間にほぼくっついているという状況にありますので、こういった実態からすれば、この特例措置の44時間を残しておく意味というのはほとんどないのではないか。まさしく一律に週の法定労働時間は40時間とするべきであるということも今後の論議の中に盛り込んでいくべきであると考えます。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。では、先ほどお手が挙がっていた鈴木委員、その後、田中委員ということでお願いします。

○鈴木委員 ありがとうございます。ただいま、特例措置の取り扱いについて労側から御意見がありましたので、お話をしたいと思います。8割の特例措置対象企業が40時間の所定の時間を設定していることは事実でございますけれども、この調査を見ると、実は所定労働時間を44時間ぴったりに設定しているという特例措置対象事業者の割合は、平成17年で10.8%、今回の調査で10.9%ということで、ほぼ変化が見られません。この点はちょっと注視しないといけないと思っております。所定労働時間の設定を何時間にするかは、企業が求人、人を募集する際、特に目につくところでありまして、当然、所定労働時間が長くなれば募集もそれだけ減るという可能性があるわけでございます。それでもなお、特例措置をフルの形で使わざるを得ないというような実態がまだまだこの特例措置事業者の中にあるのではないか。そういう意味では、まだまだ政策的な支援が必要ではないかと思っております。したがいまして、平均的に見て40時間以下の所定が設定している事業場がふえたからというだけで廃止の方向での検討を行うべきではないと考えます。

 それからもう一点、イコール・フッティングということでの御発言がありましたので、それに関連して御発言させていただきたいと思います。釈迦に説法ですけれども、労働政策というのは、その国、あるいはその地域のこれまでの労働法制の積み重ねですとか、あるいは長年労使が積み重ねてきた慣行とか、あるいは労働市場の状況などに深く関係します。政策、施策は国によって異なって当然という思いがベースとしてございます。

 例えばということでございますが、欧州では個々人の方々に、職務記述書によって仕事の範囲というのが決まっており、また、あくまでも例示ですけれども、夏のバカンスに代表されるように、メリハリをつけて働くというような慣行もあるやに聞いております。さらには、日本では一般的であります間断のない営業でありますとかきめ細かいサービス、これがひいては付加価値を高めるという効果もあるわけでございますが、そういった面で欧州とは違う文化や慣習が少なくないのではないかと考えます。

 日本の通常の労働時間管理のもとで働いている労働者の大半は、比較的チームワークで仕事をされて、現実問題として対顧客からの要望に最大限応えられるように求められる商慣行、先ほど池田委員からも御発言がありましたけれども、そういった慣行等がある中で、労働者の方々には、時間外労働に御協力いただいている実態もあろうかと思っております。

 こうした実態も踏まえて考えた場合に、上限規制でありますとかインターバル規制のような一律の規制強化というのはなじまない面があり、かえって事業活動の停滞ですとか、あるいは雇用機会を喪失しかねないということを心配するところであります。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 それでは、田中委員、どうぞ。

○田中委員 ありがとうございます。時間外労働のところに意見を述べさせていただきたいのですが、時間外に起因する労災というのはあってはいけないと思っています。これは従業員の方にとっては当然ですし、会社側にとっても絶対に当然のことだと思います。そうしますと、そういうことが起きないようにどうやってやるかというのがここで議論すべきポイントだと思います。一方で、中小企業にもいろいろな事情があると思います。一つ一つの事業や職種によって、その時間外労働に至る経緯なりバックグラウンドというのがあると思いますので、それを減らすための有効な手段というのはそれぞれその要因によって違うと私は思っております。

 例えばSEの方でしたら、もしかすると、割増率を上げても余り働き方は変わらないかもしれません。あるいは運転者の方の場合、あるいはお医者様の場合はどうかと、個別にみていくと、人材難の問題、事業の繁閑の問題等、いろんな理由が考えられると思いますので、個別にきちっと見ていくべきだと思います。

その中で、事務局の方に、もしあればですけれども、なぜ時間外労働に至っているかというようなデータはないか、お尋ねしたいと思います。従業員の方の意見、あるいは企業からの意見というのを、企業規模別あるいは職種別にとったようなデータはないでしょうか。実際どのぐらいの割合の方が、何が要因で労働時間超になっているのかというのを客観的にもう少し把握した上で、何が有効かという議論をすべきではないかなと思います。

 なぜならば、労働基準法というのは非常に大事な法律ですので、もう少し細かくそういう事情を確認した上で議論する必要があるのではないかと思っております。その中の1つとして、社員の方の価値観とか働き方、時間外労働に対するスタンスというのもさまざまだと思うのですね。この点についても生の御意見を知りたいと思います。

 それからもう一点、全然別件で、インターバル規制について、インターバル休息について、御意見、あるいは資料をいただいているのですが、EUとか入れていらっしゃる国があるわけなので、こういう国における評価や、インターバル休息等を既に導入されている日本企業で、この制度がどういう効果をもたらしているかという評価のようなものがあれば、それも参考にしながら、こういった制度が先ほど申し上げたような労災を起こさないための一つの大事な施策になりうるか、有効かどうか、判断しながら議論させていただくべきではないかと思っておりますので、もしそのような評価があればぜひお聞かせいただきたいと思います。

 私からは以上です。ありがとうございます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。お求めのような調査があるかどうかということも含めて、今の田中委員の御意見については事務局のほうでちょっと対応、検討していただければと思います。

 それでは、鈴木委員。その後、池田委員ということでお願いします。

○鈴木委員 資料2の19ページに代替休暇制度についての調査結果がございます。導入率が全体で11.7%ということで、この数字自体、高いと見るか低いと見るかはさまざまな見方があると思いますが、相対的に労働時間が長い業種で利用されているということについては注目されてもよいと考えます。

 代替休暇制度の利用要件については、11ページに紹介されておりますが、やや要件が複雑、厳格な印象があります。また、十分制度が周知されてないということもありますので、周知することで利用企業がふえていくのか、あるいは、周知の問題ではなくて、何か手続上の要件の問題で広がらないのか、あるいはニーズとして余りないのか、その辺を今後議論していきたいと思っております。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。今の点で、何か事務局のほうでありますか。

○労働条件政策課長 資料について何点かお話をいただきました。田中委員から先ほど御指摘の、どうして時間外労働に至っているのかに関して、さまざまな調査があると思いますが、精査して問題意識にかなうようなものを、各側とも御相談の上対応したいと思います。

 それから、インターバルについての実例は、既に裁量労働の事例集として一回見ていただいた資料の中に、あわせてインターバルの調査もしているものがございまして、これは必ずしも改善基準告示の対象業種や、2交代、3交代が前提となる医療等の業種以外、すなわち製造業ですとか情報通信業の電工職種ですとか、そういった例も調べたかと思います。そうしたものも改めてよく見た上で、どのような形で出せるか、よく精査したいと思っております。

 その上で、今、鈴木委員から御質問のございました代替休暇制度についてでございますが、このいわゆる調査的監督、労働時間等総合実態調査結果以上に、なかなか突っ込んで意識ですとかそういったものを調査しているものはございません。けれども、実際のお声としてどのようなことが出ているかにつきましては、少し局署の担当者の意見を聞くなどもしまして、どんな照会が多いかというような現場の声もすくい上げつつ、また、労使の皆様からもいろいろ御指導いただきながら、どんなものが出せるかよく考えていきたいと思っております。

 なお、鈴木委員から御指摘のあった手続の問題に関しまして、前回の法改正後、この分科会で御議論いただいた結論を踏まえ、11ページの資料の下のほうに、代替休暇の単位、代替休暇を与えることができる期間、取得日の決定方法等について労使協定を締結するということで、これは確かに締結内容自体はかなりな分量になる一方で、一度お話し合いいただければ、大体このような形でというひな形などもお示しをしながら、これまでも窓口や集団指導でよく御説明に努めてきているところではありますが、まだまだ不十分な点はあると思いますので、引き続き努力してまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

○岩村分科会長 よろしくお願いいたします。それでは、お待たせしました。池田委員、どうぞ。

○池田委員 私が先ほど申し上げた年次有給休暇の問題なのですけれども、36ページを見ますと、平成12年と24年との比較で、「ためらいを感じる」人の割合はあまり変わっておらず、ためらいを感じない人でも、「当然の権利だから」と言う人は10%程度減少しています。7割弱の人が取得にためらいを感じている今の年次有給休暇制度について、全然意識が改善されていないということは、この制度自体の課題なのではないかと思います。

従業員のほうも、とりにくい、遠慮があるということで、この辺をもっと改善することが、必要でないかと思っています。また、日本はこの10年くらいの間で祝日が多くなっているのではないかということ、外国の法定祝日日数や年次有給休暇制度の状況なども総合的にお調べいただければと思います。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局のほうでお願いします。

○労働条件政策課長 ただいま池田委員から御質問のございましたうちの、各国の年間法定祝日数につきまして、以前も池田委員から御質問を頂戴いたしましてまとめている表がございます。23ページの一番下でございますが、御指摘のとおり、日本は15日ということで、この間の変化としても、海の日等が加わったということもありまして、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツより多くなっております。ただ、韓国は17日ということでございます。年次有給休暇についての実質的な議論はこれから深めていただければと思いますが、その前提となる法定の祝日日数に関してはそういったことでございます。

○岩村分科会長 事実関係だけ申し上げますと、例えば私の知っている範囲では、フランスが年間の法定祝日数11日となっていますが、独特の慣行がありまして、日本ですと、今は祝日と日曜日が重なると次の日が休みになるというのがあると思いますが、フランスの場合は、祝日と日曜日が1日置いてセットになると真ん中が休みになる。「橋を架ける」と言うのですが、そういう形ですので、実際のこの法定祝日日数よりも、現実には年によっては多いときがある、場合によってはかなり多くなってしまうというのがあります。

 それから年休については、少なくともフランスの場合ですと、やはり年次有給休暇というのが存在していますけれども、日本とは根本的に発想が違いまして、御承知の方も多いと思いますが、使用者に与える義務があって、個々の労働者の請求によって与えるのではなくて、使用者のほうが計画的に全部付与するというやり方になっています。ですから、単純な話、使用者がそれをしなければ罰則がかかるという世界ですので、従業員の側のためらいを感じるとかなんとかいうのはおよそ関係がないという仕組みになっています。ですので、フランスの場合ですと、年休を病気休暇に使うということはおよそ考えられないということになりますので、したがって、病気休暇はまたそれとは別途に存在するという形になっています。いずれにしろ、詳しいことはまた事務局のほうで御用意いただければと思います。

それでは、高松委員、お待たせしました。

○高松委員 ありがとうございます。代替休暇の関係と有給休暇について、今ほど御議論ありましたので少し御意見を述べさせていただきます。先ほども使用者側の委員から御発言があったとおり、資料No.2の19ページの表を見ましても、実際の企業が1割強超えて代替休暇を活用しているということですが、取得者数を見ると94.7%で0人という結果が出ており、数字を見た上では機能していないのではないのかなという気がいたします。

一方で、今、代替休暇の問題、あるいは年次有給休暇の問題について御発言がありましたが、それぞれ国ごとの慣習などもあろうと思っています。この点日本では、休暇をとらないことが美徳というのですか、とれない風潮というのも強いのだろうなと思っていますが、そのような中で、今、規制改革会議の答申では時間外労働の補償の在り方について、金銭補償から休日代替という考え方が示されております。

先ほど来議論があったとおり、なかなか有給休暇自体がとれない状況の中で、果たしてこの代替休暇制度のこれ以上の拡充をするのか、本当に機能するのかどうなのか。今ほど分科会長が報告いただいたように、欧州のほうではいろんな形で有給の休暇制度等々、しかも、取得率ほぼ100%というような話も聞いておりますが、そういうことが前提となっている国でやられることについてはいいですが、今の日本になじむのかどうなのか。まず、前提に当たっての制度設計、これが優先ではないかという気がいたします。

資料2の30ページにあるとおり、有給休暇の取得率自体が5割を下回っているという現状にある以上、いずれにしても、今、活用できる休日について、いかに取得率を上げるかということがまさに労使を挙げての喫緊の課題であると考えます。

それから、先ほど使用者側の委員のほうから運送業について事例を挙げて実態を御報告いただきましたが、まさにそのとおりの厳しい状況に置かれています。業種別の対応の必要性については、私も必要であると思っていますが、逆に、一方で、やはり規制を必要としている産業、あるいは労働者がいることも事実であろうと思っています。

特に物流業の場合、規制緩和が始まる前は約4万社の事業者であったのが、現在では6万3,000社にまで事業者が増加しています。加えて、その6割が車両10両以下、10台以下の中小企業となっており、中小そのものが自助努力で今もう改善できない実態の中に置かれています。したがって、やはり一定の規制の強化、引き上げも必要であると思っています。

今、物流の中小、これは他の産業でも共通することだろうと思っていますが、5割のところで、荷主は大手の物流業です。したがって、同じ業種の中で大手の置かれている任務、役割、責任、そういったものを通じながら中小を改善していくことが産業全体の引き上げにつながるのではないかとも思っております。

加えて、物流業については、トラック運転者の労働条件の改善を図るため、労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」により、年間拘束時間3,516時間の適用を受けています。実労働ではありませんが、現状では、この3,516時間の年間拘束すら、ややもすれば守り切れないという実態も見受けられますので、そういった状況も考慮いただき、中小に対しても指導強化をいただきたいと思っています。

以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。代償休暇については、先ほどの議論にもありましたけれども、なかなか利用が進まないというのが、それぞれの企業、あるいは業界の事情によるのか、あるいは制度的な設計の問題なのかというところは検討する必要があるだろうと思います。そこはまた事務局のほうで、先ほども御答弁ありましたけれども、可能なところで資料等を精査して御用意いただければと思います。

それでは、工藤委員、どうぞ。

○工藤委員 ありがとうございます。私の出身は製造業の労働組合ですので、製造業以外については余りわかりませんが、この年次有給休暇取得促進の問題というのは真正面から取り組まなくてはならない課題だと見ております。高度経済成長のころの働き方と今の働き方はもう完全に違うと思っておりまして、高度経済成長のころというのは人海戦術で、相当な陣容を入れながら土日も働いていたような状況があったと思います。

今の闘い方、グローバル競争の中での闘い方というのは、間違いなく、インスピレーションと、それを実現する技術力の闘いになっているのではなかろうかと思います。それを考えると、どのようなときに発想なりがわいてくるかというと、少し時間の余裕が大事であると思います。高度経済成長のころを否定するわけではありませんが、発想というものは、少し業務から時間を置いた、距離を置いた中においていろいろ出てくるのであり、そういう点については、労使で多分共有できるのではないのかと思います。

また、メンタルヘルスの不調者や、過労死、過労自殺に至る方々というのが増加傾向にあるなど長時間労働が解決されてない中、資料2の30ページ「有給休暇の取得率の推移」にもあるとおり、我が国では10年以上にわたって有給休暇の取得率が5割を下回る水準となっており、取得日数そのものを見ても、昭和63年から2桁に届かない状況が続いております。先ほど池田委員からもご指摘があったように、36ページの「年次有給休暇取得に対するためらい」を感じる理由で「みんなに迷惑がかかる」という割合が多くを占めており、これも確かにそのとおりであり、この辺が逆に日本人の昔からの美徳みたいなところももしかしたらあるのかなと感じるところであります。

しかし労働基準法そのものが、第12項で「この法律で定める労働基準は最低のもの」と規定するように、本来保障されている権利が半分以下しか行使されてないという事態は、法的に見ても極めて問題であり、こういう状況を鑑みれば、取得日数の拡大というのは我々が真っ正面から捉えて解決していかなくてはならない課題であると思っております。

具体的には、計画年休の活用促進を図って、労使で業務計画なり体制の見直しを一緒になって促進していくということも必要ではないかと考えますし、年次有給休暇のうちの一定年数については、使用者が労働者の意見も踏まえて、これはあらかじめ具体的な取得日を決定することによって確実に取得することを義務づけていく、こういう制度を労働者の時季指定権を阻害しないということを前提にして進めていくということも一つの休暇取得促進の観点から前向きに考えるべきではなかろうかなと考えております。

以上です。

○岩村分科会長 それでは、たくさんお手が挙がっていますが、春木委員、その後、使側の委員のお二人ということでいきたいと思います。

○春木委員 ありがとうございます。関連して発言させていただきたいのですが、「年次有給休暇取得に対するためらい」については、調査結果でも出ているとおり、「ためらいを感じる」「ややためらいを感じる」の合計は、65.5%にのぼる状況になっております。そのためらいはどこから来ているのかといえば、美徳なのかどうなのかということよりも、働き方とか取らされ方、取り方に対してのためらいというものがあるのではないかと思います。休まない風潮、休めない状況というものが社会的にもあり、例えば契約取引に対する関係なり、流通業を初めとする年中無休に近い営業スタイルといったものを見たときに、果たして国全体が休むとか働く時間を短くするというような風土づくりが日本では全体的に欠けているような気もしておりまして、社会風土づくりというものも一方では大切だろうと思っています。

さらに、休暇取得促進のために、年次有給休暇の制度的なものや各種休暇の充実を図ることも重要だと思います。その中でも、年次有給休暇の最低付与日数を引き上げるということについても一つの手法だろうと思っていますし、昨今の少子高齢化社会の到来、さらには男女平等参画、さらにはワーク・ライフ・バランスの重要性に着目した多種多様な目的休暇の新設というものも休暇取得の向上に寄与するのではないかと思っていますので、いろいろな手法について労使双方で検討するべきではないかと思っています。

もう一点だけ申し上げますけれども、先ほどから年次有給休暇に関して世界的な状況はどうなのかとあって、分科会長のほうからも補足的な説明をいただきましたけれども、実はILOの第132号条約で年次有給休暇に関する条約というものが1970年に制定されていますが日本は未批准になっていまので、このILO132号条約の批准に向けた法環境整備もしっかり行っていくことが休暇の取得率向上につながっていくのではないかなとも思いますので、その点もあわせて議論できればと思っています。

以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。それでは、先ほどお手が挙がっていました鈴木委員、それから田中委員ということでお願いいたします。

○鈴木委員 ありがとうございます。先ほど来、年次有給休暇ですとか、その他の休暇の取得促進が重要ではないかという御指摘を労側の委員からいただきました。これは全くそのとおりであると思っているところでございます。資料2の36ページの中にもありますように、みんなに迷惑がかかる、ためらいがあるという実態をどのように我々は捉えて考えていくかが1つ大きなポイントではないかと考えます。

企業は、休暇取得に逡巡するような方々に対して、例えば誕生日月については必ず休んでくださいとか、あるいは勤続年数、一定年数たったらば必ず1年間で何日間とってくださいとか、あるいは夏休みの前後にとってくださいとか、さまざま工夫をされている実態にあり、まさに労使の知恵を出して各社取り組んでいる状況だと思っております。

ここからちょっと労側の御意見と違うのかもしれないですけれども、例えば最低付与日数の引き上げとかいったような一律の規制というのは、そうした労使の知恵というのを阻害することになるのではないか。また、年休取得率5割を切っているような状況でありますので、まずはそれへの対応を考えるということが重要ではないかと考える次第です。

 休暇取得促進にしても、長時間労働の見直しにしても、労使、知恵を出して取り組むということが大変重要でありますが、その取り組みにはノウハウが必要ということを改めて強調させていただきたいと思います。

経団連では、中堅・中小企業も含めまして、ワーク・ライフ・バランスに積極的に取り組む66社の好事例を昨年3月に公表したところでございます。ホームページにも掲載しております。各社とも、休日休暇の取得促進と仕事の効率化とセットで、時間短縮、取得促進に取り組んでいらっしゃいます。

 例えば従業員規模約360人の美容業を営む中堅企業では、以前は大規模店舗に多数の従業員を配して、平日に交代で休暇をとって、土日等の繁忙期に全員が出勤する営業スタイルだったということですけれども、ワーク・ライフ・バランス向上を目的に、店舗において年休日を導入すると同時に、店舗の人繰り、効率運営のために店舗の小型化を進めたということであります。規制ということが一つの労使で知恵を絞るきっかけになるというのは完全に否定しませんが、やはりノウハウがない企業に対して一律に規制をかけるということになりますと、どうしても無理を強いてしまう。それがひいては事業活動を阻害して競争力低下につながるということを強く懸念するところでございます。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 それでは、田中委員、どうぞ。

○田中委員 ありがとうございます。年次有給休暇と一口に言っても、多分いろいろ企業や業態によって、あるいは取り巻く環境によって捉え方が随分違うような気がしています。36ページの御質問票がどういう御質問票、チェックなのかフリーアンサーだったのかというのはよくわからないのですけれども、池田委員がおっしゃったように、構造の問題というのは少し分析して議論すべきではないでしょうか。

例えば年次有給休暇は年度で付与されていくわけですけれども、いろんなところでいろんな方のお話を聞いていると、インフルエンザになったときのためにとっておくという発想は必ずあるのですね。それがこの中のどこに入ってくるのかよくわからないのですし、使い切るよりも、もしものときのためにとっておくという発想もあるかもしれません。先ほど分科会長おっしゃっていましたけれども、諸外国ではシックリーブのようなものがあって、それが独立している。そうすると、年次有給休暇の色合いが全く違ってくるわけですね。日本にある会社でも、年次有給休暇の性格を少し分類して分けておられる会社もおありになる。だから、一概に、一まとめにして年次有給休暇を議論するというよりも、もう少し実態の構造を分析した上で議論すべきではないかと思います。

 それからもう一つは、「みんなに迷惑がかかる」という理由ですが、どういう迷惑かというのがまたよくわからないので、この表のバックグラウンドおよびこの表の選択肢の在り方とかそういうところも分析しながら議論させていただくべきではないかと感じております。

 私からは以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。それでは、先ほどお手が挙がっていた新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 年休の話になっていますので私も少し申し上げたいのですが、なぜ休暇の取得をためらうのかというところについては、分析しないといけないと思います。私の感じるところとしては、90年代の後半以降、非正規労働者の数が非常に比率的にふえてきて、今、1,800万人と、3人に1人が非正規労働者になっており、そのうちの実は1,400万人が有期契約労働者です。

私たち労働組合も労働相談をやっておりますが、この有期労働契約にまつわる問題としては、年休がとれないという声がやはり多くあがっております。その理由としては、雇い止めの恐怖があり、休暇をとったら、次回以降、契約してもらえないのではないかという声があるわけです。そういった非正規労働者、特に有期契約労働者の方が非常にふえてきているといったことも、この年休がとれないといったことに含まれているのではないか、これは何らかの定量的な分析をしないといけないと思いますが、そういったこともあるのではないかと思います。

 年次有給休暇については、未消化のまま消滅時効にかかってどんどん消えていくわけですが、このロスについては国民経済的にみると毎年数兆円とも言われる年休の有給部分が放棄されているといわれ、それとともに、先ほど工藤委員が言っていたように、目に見える形のお金だけでなくて、イノベーションとか、ものを考えて新しいビジネスを考えるためのリフレッシュのための時間も消えていっているのではないかなと思います。

 また、先ほど好事例という話も出ましたが、実は私たちの組織の中でも、労使で取り組みをしているところでは、年休取得100%というところもあり、そこに共通しているのは、経営の意思、ボードの意思の重要性です。経営の方針として管理職の管理項目の中に、職場の中での年休取得が100%でないというところは管理能力なしということで評価されてしまうというような風土、それは労使がつくり込んできたのだと思いますが、グローバルに展開されている世界的な企業何社かが年休取得100%を毎年続けているというところがあります。

 ところが、そういう企業ばかりでは現実はないわけであり、本来年休は労働者が取得できる権利として付与されておりますが、これは私は、付与日数の在り方というよりも、今後は取得日数を上げるための政策に転換していかないといけないと考えております。

もちろん、労働者が自由に使える年休の日数との兼ね合いがありますけれども、今のまま放置しておけば年休取得はなかなか進まないということですから、時季変更権というものを阻害しない範囲で、使用者に対する年休取得に対する義務づけとか、本当に抜本的に年休取得の在り方を考えないといけないと思います。

 それともう一つ、先ほど鈴木委員のほうから、イコール・フッティングに関して、文化や慣習が異なるという実態も踏まえ、国のあるべき労働時間の在り方、検討が必要ではないかというご発言がありましたが、そのとおりであると思います。ただ、労働時間というのは企業活動において付加価値を生む源泉でありますが、同時に、労働者の生活時間、休息時間との兼ね合いで決まってくる話であり、一日24時間というのは世界共通の時間であります。日本だけが26時間も28時間もあるわけではないので、そこは世界共通の仕組みが必要だと思います。そういった意味から、我が国の労働時間法制いかにあるべきなのかということをこの審議会の中で十分論議を尽くしていきたいと思っています。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。それでは、高松委員、どうぞ。

○高松委員 年休に関連して1点だけ申し上げたいと思います。今ほども、労使で年休の取得促進に向けた環境整備についての御意見があったと思っています。資料232ページに労働基準法の抜粋も載せていただいておりますが、附則の136号6条の中で不利益取扱の禁止の文面がございます。これについては附則規定から本則規定へと変更するとともに、不利益取扱いの禁止を明確にすべきであると考えます。

 それと、未消化の年休の買い上げについて、本来であれば、年次有給休暇については法定の日数を有給できちっと休むべきと考えますが、さりとて達成できない場合に代償を求めることも否定すべきではないと思っております。

とりわけ、大変高齢化が進む中で、退職時の未消化年休の取り扱いもこれから大きな課題になってくるだろうと思います。したがって、年次有給休暇の取得抑制につながらないということは大前提ですが、退職時に限って未消化有給休暇を手当により清算することについても、やはりこれから検討すべきであると思っております。

○岩村分科会長 ありがとうございます。

それでは、時間も大分迫ってきていますので、簡潔にお願いしたいと思います。では、まず池田委員からお願いします。

○池田委員 1つだけお断りしておきたいのですが、私は年次有給休暇の見直しの問題を、決して100%取得するようにしろとか、もっと有効に使えとかいうことを申し上げているのではありません。これ以上中小企業に負担を与えないような方策を考えていただきたいということですので、その辺、誤解ないようにひとつお願いします。

○岩村分科会長 それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 手短にお話ししたいと思います。

 1点目は、年休取得の不利益取り扱いの件でございます。例えばタクシー業界では実車率を高めるということがかなり経営に影響を及ぼすということがございます。最高裁も、諸般の事情を総合的に勘案してということで判断しておりますので、この点については慎重な検討が必要だということだけ申し上げます。

 もう一点は、割増賃金率のベースの問題でございます。本日の9ページでございますか、算定基礎に入らない手当等が入っておりますが、これは労働の量と関係のない事情で変わり得るような手当について外しているという趣旨だと理解しております。その状況は現時点でも変わっておりませんので、これについては現行の仕組みを維持すべきものと考えています。

 以上です。

○岩村分科会長 ありがとうございます。ほぼ時間になってまいりましたけれども、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。きょうも大変活発に御議論いただきましたけれども、これまで6回にわたりまして労働時間法制に関する議論を頂戴してまいりました。前回は弾力的な労働時間制度につきまして、それから、きょうは割増賃金の問題、あるいは健康確保等、それから、とりわけ最後のほうは年休ということで課題について御議論いただいたところであります。

次回は、この分科会での検討状況というものを外にも示すという意味もありまして、これまでの議論の状況を一度整理しまして、さらに議論を深めるということをしてはいかがかと考えております。

そこで、事務局のほうにお願いでありますけれども、論点ごとの各側のこれまで頂戴した御意見というものを整理していただいて、資料としてつくっていただきたい。資料の作成については、各側委員に適宜御確認いただきながら準備を進めていただきたいとお願いをいたします。

また、各側の委員の皆様におかれましては、次回まで、時間が限られた中ではございますけれども、事務局からの問い合わせにつきましては御協力を賜りたくお願いいたします。

それでは、次回の日程につきまして事務局のほうから説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○調査官 次回の労働条件分科会につきましては、2月25日、火曜日の10時から12時を予定しております。場所は追って御連絡申し上げます。

○岩村分科会長 ありがとうございます。きょうの議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては高松委員に、それから、使用者代表につきましては宮地委員にそれぞれお願いをいたします。

それでは、きょうの分科会はこれで終了とさせていただきます。お忙しい中ありがとうございました。


(了)

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