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2014年3月17日 第11回肝炎対策推進協議会 議事録

健康局疾病対策課肝炎対策推進室

○日時

平成26年3月17日(月)16:00〜18:00


○場所

都市センターホテル606会議室


○出席者

相澤 好治 (学校法人北里研究所常任理事)
浅倉 美津子 (薬害肝炎東京原告団代表)
天野 聰子 (日本肝臓病患者団体協議会賛助会員)
有川 哲雄 (B型肝炎訴訟原告団)
大賀 和男 (日本肝臓病患者団体協議会常任幹事)
柿嶋 美子 (公益財団法人人権教育啓発推進センター理事・東京大学大学院法学政治学研究科教授)
加藤 篤志 (全国中小企業団体中央会理事・事務局長)
清本 太一 (全国B型肝炎訴訟北海道原告)
熊田 博光 (国家公務員共済組合連合会虎の門病院分院長)
小森 貴 (公益社団法人日本医師会常任理事)
武田 せい子 (薬害肝炎原告団)
田中 純子 (広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授)
南部 由美子 (福岡市西区保健福祉センター所長)
林 紀夫 (関西労災病院院長)
松本 喜成 (日本労働組合総連合会総合労働局労働条件・中小労働対策局局長)
溝上 雅史 (独立行政法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長)
脇田 隆字 (国立感染症研究所ウイルス第二部部長)
八橋  弘 (国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター研究部長)
渡辺 哲 (東海大学医学部教授)

○議題

(1)平成26年肝炎対策予算案等について
(2)委員等からの報告
(3)その他

○議事

○井上肝炎対策推進室長 定刻よりはまだ少し時間がございますが、出席予定者そろいましたので、ただいまより「第11回肝炎対策推進協議会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、現時点で16名の委員に御参集いただいており、小森委員が4050分遅れられるという予定をいただいております。会議の定足数に達しておりますことを御報告いたします。なお、阿部委員、岡本委員、土井委員におかれましては、御欠席との連絡をいただいております。 なお、本日は参考人として、国立病院機構長崎医療センター臨床研究センターの八橋弘臨床研究センター長及び東海大学医学部の渡辺哲教授に御出席いただいております。

 会議の開催に当たりまして、健康局長の佐藤よりごあいさつをさせていただきます。 
○佐藤健康局長 皆さん、こんにちは。改めまして、所管をしております健康局の局長で佐藤敏信でございます。どうかよろしくお願いします。
   本日は、第11回の肝炎対策推進協議会を開催いたしましたところ、年度末のお忙しいところお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
   また、平素より肝炎対策を初め、公衆衛生全般に関しまして御指導・御助言を賜っておりまして、この点についてもこの場をかりて厚く御礼申し上げる次第でございます。
   さて、私が申し上げるまでもありませんけれども、この肝炎対策、平成20年度より医療費助成を初めとします5本柱、そして、平成22年からは肝炎対策基本法、そして、平成23年からは基本指針ということで、それぞれに基づきまして、取り組みを推進してまいっているわけでございます。本日の協議会では、そうしたことも踏まえながら、来年度の肝炎対策予算案、それから、肝炎対策の取り組み状況、行政研究の成果等について御報告をさせていただきます。
   少し過去を振り返ってみますと、この1年の間にいろいろな動きがございまして、1つは患者の皆様にとっても福音かと存じますけれども、C型肝炎治療薬でありますシメプレビルが薬事承認されましたし、その3剤併用療法についても保険適用ということで、同治療が医療費助成の対象にも追加されたということでございます。
  また、肝炎対策予算につきましても、既に御案内のことかと思いますけれども、約187億円を確保いたしまして、肝炎ウイルス陽性者のフォローアップ、それから、拠点病院の充実機能強化ということで新規に計上しております。行政研究につきましては、先ほどお話がありましたように、八橋先生に御報告いただくことになっております。いずれにしましても、こうした行政研究の成果を活用しながら、また、それを予算に反映して充実させていただきたいと思います。
 今日は限られた時間でございますが、実りのある議論となりますようお願いをいたしまして、簡単ではございますが、冒頭の挨拶にかえさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

○井上肝炎対策推進室長 どうもありがとうございました。 
 前回の開催以降、2名の委員に交代がございましたので、御紹介させていただきます。 
 まず、お一人目、加藤委員でございます。

○加藤委員 加藤でございます。よろしくお願いいたします。

○井上肝炎対策推進室長 もう一人、松本委員でございます。

○松本委員 松本でございます。どうぞよろしくお願いします。

○井上肝炎対策推進室長 次に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の配付資料、まずは1枚紙の議事次第、それから、委員の名簿、座席表。それから、「第11回肝炎対策推進協議会資料」としてホッチキスで何種類かの資料を配っております。下の通しページ番号が86ページまでございます。もう一つは、「第11回肝炎対策推進協議会参考資料」と題しまして、幾つかの資料を束ねてございます。ページ下の通し番号で49ページまでございます。本来ここに含むべきものが2点、時間の都合で含めなかった2枚、有川委員及び清本委員からの提出資料が別添でございます。

資料は以上でございます。過不足等ございましたら、御指摘をくださいませ。よろしいでしょうか。
 それでは、カメラ撮りはここで一旦終了とさせていただきますので、御協力のほどお願いいたします。
 これよりの進行は林会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○林会長 本日も、どうもよろしくお願い申し上げます。それでは、議事に入らせていただきたいと思います。

   本日は、平成26年肝炎対策予算案等についてというのが最初の議題でございますが、その後、委員等からの報告、その他ということになってございます。限られた時間でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

  まず、議題1でございますけれども、平成26年度肝炎対策予算案等につきまして、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○井上肝炎対策推進室長 肝炎対策推進室長です。「第11回肝炎対策推進協議会資料」の1、2、3に沿いまして、来年度の肝炎対策予算案等につきまして御説明をいたします。
   まず、資料1に沿って御説明いたします。来年度の政府の予算案でございます。1ページ下が概要でございますが、肝炎総合対策、5つの柱ごとに予算の概要を提示してございます。左側の数字が来年度の数字、括弧内が今年度の数字でございます。ほぼ今年度と同様の予算規模を確保し、5つの柱それぞれの配分の概要も大きな変更はないという形でございます。
   ページをめくっていただきまして、5本の柱を1本ごとに簡単に御説明いたします。まず、2ページ上のスライド、金額的に一番大きいのは肝炎治療のための環境整備、これは患者さんの治療費の自己負担分の助成のための予算でございます。前年度同様、国が100億円、地方が100億円、合計200億円の規模で、新たに出てくるさまざまな治療もここに含められるという形で対応を今年度も進め、来年度も同じように新たに出てくる治療薬については、速やかに助成するという想定で準備を進めているところでございます。
  2つ目の柱が、肝炎ウイルス検査等の促進、これも前年度よりもやや増額した形でございました。2ページの下のスライド、下線を引いているところが新規でございまして、検査で陽性とわかった人に対して医療機関への受診勧奨のフォローアップを行う事業を新たに平成26年度から立ち上げるという形でございます。 
  3ページ上のスライド、5本の柱うちの3本目、健康管理の推進、肝炎治療の推進。これは、肝炎対策を中心として担う拠点病院に対するさまざまな措置でございます。これも下線を引いているところが来年度新規の事業でございまして、肝炎対策の拠点病院に設置してある相談センターに、新たに職種として保健師、栄養士といった方々を配置し、よりきめ細やかな生活指導、情報提供を行うという形。それから、肝炎の専門医のみならず、一般の医療従事者に対する研修事業も新規に計上いたしました。
  3ページ下のスライド、5本の柱の4本目ですが、国民に対する正しい知識の普及啓発。前年同様の規模で引き続き推進していく中で、下線を引いているところが新規でございます。拠点病院の普及啓発事業に対する補助事業を新たに始めました。各病院から市民向けにさまざまな取り組みを進めていただきます。

4ページ、5本柱の最後は、新たな治療薬に結びつく研究の促進でございます。これも昨年よりもやや事業規模は少なくなりますが、相当の規模を持って新たな治療薬、それから、新たな政策のあり方につながるさまざまな研究を進めていただく予定でございます。

 以上が、資料1、来年度の予算の概要でございました。
  引き続きまして、資料2に基づきまして、各自治体における肝炎対策の取り組み状況、最新のアップデートした状況をお伝えいたします。
  まず、5ページ上下のスライドは、肝炎ウイルス検査・検診の推移状況でございます。上と下は事業の主体が違いますが、あわせて見ていただければと思います。おおむねの傾向といたしましては、B型、C型それぞれ受診者を分母、感染者を分子とした感染率は、年々少しずつ下がっていくという傾向にございます。 
  実際の検査を受けてくださる人の数というのは、上の特定感染症検査等事業では若干減りつつございますが、下の老人保健法・健康増進事業では平成23年度から大幅な増加が見られます。これは、平成23年度以降、個別勧奨のプログラムを5歳刻みで行っていることの効果だと考えております。
  引き続きまして6ページですが、実際に肝炎治療特別促進事業の医療費助成を受けておられる治療受給者証を交付しておられる方の実績でございます。平成2024年度まで経時的に見てこのような形でございます。平成22年度から核酸アナログ製剤が始まり、平成23年度から3剤併用療法が始まったという経緯の中で、全体の数は少しずつ適用される方がふえてきているという状況でございます。
  6ページ下のスライド、各47都道府県における肝炎対策の計画策定状況。上の数字がアップデートした状況、下の数字が1年前の状況でございます。1年前に比べて平成26年1月現在で、より多くの県が計画を策定していただいているという状況が見てとれるかと思います。

  その細かな状況を7ページ、8ページに47都道府県別に示させていただきました。
  引き続きまして資料3で、今年度新たに薬事承認された肝炎治療薬の取り扱いに関しての御報告でございます。
  C型慢性肝炎に対してシメプレビルという新たな医薬品が昨年11月に薬事承認され、12月6日から医療機関で実際に処方できる形になりました。薬事承認と同時に「肝炎治療戦略会議」で、この薬の医療費助成のあり方を議論いたしました。資料3は、このシメプレビルを含む3剤併用療法の有効性・安全性について、「肝炎治療戦略会議」で検討した際の資料でございます。
  結論を申し上げますと、16ページの「3.対応方針」という枠囲みのところでございますように、新たに出てきた新薬はC型慢性肝炎に対する、この新薬シメプレビルを含む3剤併用療法を医療費助成の対象という形にいたしました。12月6日、処方できる状態になったときから適用という形でございます。詳細は省略いたしますが、その適用の基準についても定め、既に通知として関係方面に発出したところでございます。
  以上、前回の推進協議会から今回の推進協議会までの間、予算を含め政策の進捗に関しまして資料1〜資料3で御説明をいたしました。
○林会長 どうもありがとうございました。 
 御質問・コメントがございましたら受けさせていただきますが、いかがでしょうか。よしろいでしょうか。
 それでは、本日は議題が多うございますので、先に進めさせていただいて、また何かございましたら、最後にでもお聞きいただければと思います。
 次に、各委員からの報告でございますが、最初に、田中委員より「大規模データから見た感染を知らないままでいる肝炎ウイルスキャリアとその動向について」ということで御報告をいただきます。よろしくお願いいたします。

○田中委員 広島大学の田中です。きょうは、私どもの疫学班の研究報告などあわせまして「大規模データから見た感染を知らないままでいる肝炎ウイルスキャリアとその動向について」ということで報告させていただきたいと思います。
 B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスが発見されまして、その後、測定系がさまざま開発されております。特に、C型肝炎ウイルスがクローニングされて以後は、さまざまな測定系の開発が行われ、いろいろな場所で検査が行われることになりました。 
 また、日本では、輸血用血液のスクリーニングにCV抗体検査を世界に先駆けて導入しておりまして、感染予防対策も早くから行っていることは周知のことです。
 この10年間で、いろいろなところで感染状況が明らかになりました。肝炎ウイルスに持続感染していると肝がんとの関係が非常に強いということ、また、感染していてもなかなか自覚症状がないということから、検査を受けなければ感染していることがわからないということが、いろいろな疫学データからわかってきたわけです。

 そこで、先ほどもお話がありましたが、老人保健法による節目外検診が国主導でスクリーニングが始まりまして、住民検診の中に取り入れられ、大規模集団での感染状況がわかってまいりました。この間、肝炎ウイルス検査、肝炎対策基本法、治療の進歩などが起こっておりまして、また新しい治療薬の開発などが進んでいる第三期に突入している状態です。
 今日は、このようなことを踏まえまして、C型肝炎ウイルスが見つかりました以後、感染を知らないまま社会に存在している人たちの割合がどうなっているのかについて報告させていただきたいと思います。
 さて、これは日本赤十字社の初回献血者のデータです。1995年〜2000年、6年間の348万人の出生年別のキャリア率、こちらがHCV抗体陽性率を示しています。献血をする人たちというのは、自分が肝炎ウイルスに感染していることを知らないで、ボランティアの精神を持って献血をする集団です。つまり、感染を知らないまま社会に潜在している人たちの割合ということになります。それで見てみますと、B型については2000年時点の年齢ですが、1935年生まれ、19451950年生まれのところにピークがありますけれども、大体1〜2%ぐらいの割合を示しています。

一方、C型肝炎ウイルスの感染者、HCV抗体ですけれども、年齢が高い集団では10%と非常に高い、年齢が高ければ高いキャリア率を示していることが明らかになったわけです。

 これらの割合を地域別・性別に分けまして、その時点の人口をもとに、どれくらいの人が感染を知らないで日本にいるのかを推計したものです。
 2000 年時点の年齢で、左側がB型、右側がC型。年齢が1569歳に限定されておりますけれども、合わせまして170180万人の人が感染を知らないでいるのではないかということが2000年の段階でわかったわけです。特に、40歳以上の年齢が感染を知らない人が多いということから、先ほど申し上げました住民検診の肝炎ウイルス検査が導入されることになったわけです。

その後、2000年に入りまして、いろいろなところでの検査が進んでまいりました。これは、同じ日赤の初回献血者のデータ、感染を知らないでいる人たちの割合ですけれども、先ほどお示ししました2%のスケールが1%に落ちてまいりまして、C型につきましても一番高いところでも2%となっています。また、若い集団ではどんどんキャリア率が低くなっています。特に1986年にはB型の母子感染予防対策事業が公費負担で行われていますので、これ以後のキャリア率は非常に低く、ゼロに近づいていくものと考えられておりました。

 また、この時期は住民検診の肝炎ウイルス検査が行われた時代です。20022006年の間に、全国で870万人ぐらいの方が検査を受けまして、B型のキャリアの方が10万人、C型のキャリアの方がやはり10万人ぐらい見つかっております。

4074歳までの年齢の人が対象者で、この方々のキャリア率を図に示したものです。住民検診の肝炎ウイルス検査についても、自分自身が感染をしていることを知らないで肝炎ウイルス検査を受けた人が多いということから、これも社会に潜在する感染を知らない人の割合ということになります。2000年時点の年齢で団塊の世代でのB型のキャリア率が高いということ、年齢が高い集団でC型のキャリア率が高いということは、先ほどの献血者のデータからも同じ結果が得られております。

 この2つのデータを用いまして、やはり同様に、感染を知らないままのキャリアの方がどれくらいのいるのかを全国地域別に算出してみますと、全年齢でB型では90万人、全年齢でC型では80万人と、先ほどの年齢が1564歳と限定した場合の170万人と比べて、全年齢で170万人ですので、感染を知らないままでいるキャリアの数はやや減ってきています。これは、さまざまな場所で検査が進んできた効果だと言えます。しかしながら、都市部あるいは中高年齢層男性で、まだなお感染を知らないでいる人が多いということが、これらのデータから明らかになってまいりました。

 これは新しいデータですけれども、それ以後の20072011年のやはり同じような初回献血者272万人の出生年別のキャリア率です。B型はさらに低くなりました。C型も全体の平均がさらに低くなっております。ただ、1986年以後出生の集団では、キャリア率がほぼゼロになると思っておりましたけれども、やや横ばいあるいはちょっと増加傾向にあるのが見てとれます。若い集団でも感染を知らないままでいる人たちのキャリア率の調査がさらに必要ではないかということが、この大規模の疫学的データから見えてまいりました。

 疫学的視点から見ますと、社会における肝炎ウイルスに感染している人の対策を考えるときに、存在状態別に把握して、それぞれの状態に合わせた対策を行うことが効果的だと考えております。研究班では、感染を知らないままでいる人のキャリアの数あるいは患者として既に通院・入院しているキャリアの人たち、それから、感染したけれども医療機関・治療に結びついていない人たち、それから、新規感染者と分けまして、それぞれの対策を行うことが効果的だということで提示しております。

なぜかと申しますと、肝炎ウイルス検査を普及しているばかりでは感染を知らないままでいるキャリアの方は減少します。全員が医療機関に受診して適切な治療を受けて、ウイルスの排除を行えばよろしいのですけれども、実は医療機関の受診がままならない場合には、3の方の数がふえていくということで、治療に結びついた対策がさらに必要だということが現在提示している課題です。

 1つ調査をお見せします。肝炎ウイルス検査を受けた人がどのような行動をとっているかについて調査を研究班で行いました。そのうち検査で陽性と判定された人を抽出してお示ししています。

2000年時点ですけれども、検査で陽性と判定された人たちの中でさえ、検査を受けたことを忘れている人が14%もいらっしゃるということ。また、検査を受けたことを覚えていても陰性であると間違って覚えている人が10%もいるということから、最終的に医療機関に受診しなければならない人の66%しか医療機関受診に至っていないことが明らかになりました。御自分の検査結果が陽性であるということがおわかりになって、また検査も受けたことがわかっている人の中でも、専門医療機関受診率は6割になるわけですけれども、やはり検査の通知、自身の認識が重要だということになってまいります。

 そこで、研究班では検査を受けた人には陽性であっても陰性であっても、こういうカードをお渡しする試みをしております。また、肝炎の専門以外の先生でも検査の結果を適切に説明できるような下敷きも研究班で用意しています。広島県と徳島県などでパイロット的に現在行っているところです。

 このカードには検査結果を書くのではありません。落としたときには個人情報の問題がありますので、検査日と検査場所を記載するにとどめ、自分がしっかり覚えておくということです。

また、肝炎ウイルス検査を受けた人だけではなくて、手術前後の検査あるいはいろいろな検査の機会で肝炎ウイルス検査を受けることがあります。住民検診以外の、整形外科、眼科、小児科、耳鼻科などでも、このカードを使ってもらうように広島県でパイロット的に実施しています。検査で陽性と判定された方が適切に治療を受けることができるような取り組みを現在行っています。

 先ほども示しましたように、疫学的視点から見ますと、社会に存在している状態4つ別に、それぞれの課題に応じて検査を適切に進める、あるいは最新の治療を受ける、医療費助成を利用する、あるいは自覚症状がなくても肝臓専門医の診断を受ける、それから、新たな感染を予防するためのサーベイランスなどの調査を行って、グローバル化の対応も同時に行うということが、疫学的視点か見たウイルス肝炎続感染者への対応だと思っております。

 きょうは大規模集団のデータをお示ししまして、これまでの、それから、これからの対策あるいは課題について御報告させていただきました。

○林会長 どうもありがとうございました。

 現在の日本の肝炎ウイルス感染者の実態と、今後どのように対応をとればいいかがよくおわかりいただけたかと思います。

 ここで御質問がございましたら受けさせていただこうと思いますが、よろしゅうございますか。

 それでは、また後でもございましたら、おっしゃっていただければと思います。

 次の御発表でございますけれども、八橋参考人から「病態別の患者の実態把握のための調査および肝炎患者の病態に即した相談に対応できる相談員育成のための研修プログラム策定に関する研究」について、御発表いただきます。よろしくお願いいたします。

○八橋参考人 長崎医療センターの八橋でございます。よろしくお願いします。

 本日は、私の研究班の報告をさせていただきます。

 1枚目のスライドは研究班メンバーですが、国際医療センター及び国立病院機構の病院を主に研究組織としています。

 きょうは、肝疾患患者さんに対するアンケート調査ということで、その調査内容を御報告します。

 調査期間ですけれども、2012年2月1日から7月31日の半年間です。

 調査施設は34施設です。

 調査対象は、上記医療機関に通院治療を行っているB型肝炎、C型肝炎の患者さん。慢性肝炎、肝硬変、肝がんの患者さん以外に脂肪肝や原発性胆汁性肝硬変や自己免疫性肝炎の患者さんも含んでおります。

 主治医が患者さんに直接アンケート調査用紙を配った人数が9,952名です。郵便で長崎医療センターに返していただくということで匿名化しています。アンケートの回収率は6,331名ということで、63.6%において回収が行われました。

 アンケート用紙は20枚程度ですけれども、設問数は78、調査内容としては212項目と詳細な調査を行っています。

 まず、アンケートの回収が行われた6,331名の背景因子ですけれども、C型肝炎の方が57%及び、B型肝炎の方が23%、それ以外の方は20%という構成になっています。

 病態に関しては、肝硬変、肝がんの患者さんは診断名が重複しますので、より重いものに重きを置いて分類しています。ですから、6,331より合計数は増えて7,000となりますが、慢性肝炎の方が3,225名で51%、肝硬変は1,043名で17%、肝がんが643名で10%。キャリアというのは、C型肝炎、B型肝炎でもALTが正常と診断されている方で626名、脂肪肝483名という内容です。

 性差については、55%の方が女性、男性は45%で、より女性の方に多く答えていただいています。

 年齢分布は、スライドで灰色棒グラフは全てを足した年齢分布ですけれども、60歳代、70歳代にピークがあるのがおわかりいただけるかと思います。ただ、C型肝炎に関しては70歳代にピークがあります。B型肝炎に対しては60歳代、B/C以外は6070歳代に年齢のピークがあります。やはりB型肝炎の患者さんは若く、B/C以外の方は高齢者に多いということが読み取れるかと思います。患者数そのものは少ないのですが、50歳以下に注目するとB型肝炎の患者さんが多いというのが、このグラフからもおわかりいただけるのではないかと思います。

 今回、生活の実態も調査するということで、まず、現在の暮らしの状況を総合的に見てどう感じていますかという設問を設けました。選択肢として「大変苦しい」「やや苦しい」「普通」「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」という5選択ですが、「大変苦しい」が9%、「やや苦しい」が25%で、合わせますと35%の方で生活が苦しいということです。「普通」という方が56%で最も多いのですけれども、3分の1近くの方で生活が苦しいと感じているということでした。

 年収のこともお聞きしました。平成23年1月〜12月までの所得額です。年収については余り答えていただけないのかなと思ったのですが、95%の方でどれかに選択いただきました。100万円未満の方が9%、100300万円が41%、300600万円が30%、6001,000万円が11%ということで、今回300万円未満というところで切りますと50%でした。300万円未満と300万円以上で大体半々に分かれるということがわかりました。

 1カ月に支払った医療費と交通費の総額がどれくらいかもお聞きました。5,000円未満が33.6%、5,000〜1万円が34.7%で、合わせますと1万円未満が68%となります。ただ、1万円以上の方が32%、少数ですが、248名の方では月5万円以上かかっているという御回答をいただいています。

 感染経路に関して、「輸血・止血剤」「集団予防接種」「家族内感染」「感染経路はわからない」「説明を受けていない」という選択肢です。B型とC型では元々感染経路が違いますが、全体を合わせると、わからないという方が39%と多数を占めていました。

 C型慢性肝炎の方2,557名、B型慢性肝炎の方966名を対象に、B型とC型に分けて感染経路を見ますと、C型の中で一番多いのが、不明の方で43%、手術・輸血・血液製剤が31%。主治医からどのように説明を受けていますかという設問で、説明がないという方が12%、予防接種が8%、その他が5%、家族内が1%です。

 一方、B型に関しては、家族内感染が45%、不明が33%、説明なし11%、予防接種7%、その他2%、手術・輸血・血液製剤が2%ということです。

 感染経路が明確なのは、C型の場合、昭和の時代の手術・輸血の頻度が30%、B型の場合、家族内感染は45%でしたが、それ以外、すなわち、感染経路不明や説明がない方を合わせますと過半数を超えています。自分が、いつどこから肝炎ウイルスにかかったのかがわからないというのが多くの患者さんの御理解だと思います。病気の成り立ち、始まりが何なのかということがわからないというのも、肝炎患者さんの悩みの大きな構成要因になっていると考えています。

 今回、C型肝炎のインターフェロン治療に対する考えもお聞きしました。インターフェロンの治療歴のある2,407名の方で、ウイルスが駆除された方と、一度治療したけれども再燃した方とで分けますと、ウイルス駆除された方は917名で、うち92%の方が満足されています。ただ、8%は満足していないということで、意外に満足されていない方がいると思ったのですが、自由記述を調べてみますと、ウイルスは駆除できたけれども、その後、肝がんができたとか、当時の副作用がかなり強くて、現在もその後遺症が残っているという方が多かったように思います。

 一度治療を受けたことがあるも再燃された方を対象に、新しい治療ができたら受けたいですかという問いには、52%がはいと回答いただき過半数を超えていました。

 一方、今まで一度も治療されたことがない968名の方では、インターフェロンを受けてみたい方は16%と少なく、明確に受けたくないと回答された方が41%で、インターフェロン治療に対する恐怖感があるのかなと解釈しています。

 次に肝炎に感染していることで差別を受けるなど嫌な思いをしたことがありますかということをお聞きしたら、84%の方がそういうことはないということですけれども、16%、782名の方が嫌な思いをしたことがあるということでした。16%という頻度は少ないのですが、悩みを構成する要因として、差別を受けたというエピソードは患者さんにとって重みがあるというか、重要なエピソードであるということが後の分析でわかりました。

 肝臓の病気が、仕事や家事に与えた影響の度合いについてお聞かせくださいという問いには、67%の方は同様に仕事を続けられているということでしたが、21%の方が仕事を減らしたり内容を変更した、8%の方が仕事や家事を辞められたということです。合わせますと、病気のことで仕事の量を減らしたとか変更したとか辞めたという方が29%ということになります。後の分析によって、仕事と家事のことも患者さんの悩みを構成する要因として重く、この29%という数字は非常に重要であるということが後でわかりました。

 日常生活で、肝臓病を患っていることによる悩み・ストレスの頻度は48%、ない方の頻度は52%ですが、半数の方で悩み・ストレスがあると理解いたしました。

 悩み・ストレスの原因について、下記に21項目設けて、どれでも選んでくださいということでお尋ねしました。最も多いものは自分の病気や介護に関する悩みでした。2番目が収入・家計、借金等金銭にかかわるような悩みで、3番目が仕事に対する悩みということです。患者さんは非常に多岐にわたる悩みをお持ちであるということがわかります。

 病気のことで、あなたが最も気楽に相談できる方はどなたですかという設問に対しては、家族を選択した方が66%、医師が24%でした。合わせますと90%の方が家族か医師に相談しているという実態ですが、実はそれ以外の方を第一に選んだ方は極めて少ないということです。特に私が意外だったのは、看護師を選んだ方は10名、0.2%しかいなかったということです。肝疾患患者さんが、だれに相談するのかという対象を考える上で、この結果は非常に考えさせられる集計結果でした。

 国(厚生労働省)の肝炎対策の推進で重要と思われるものを3つ選び、番号に○をつけてくださいという設問に対して一番多かったのが、肝炎などの治療薬・治療法などの開発、保険認可ということで、4,074名の方が選ばれています。その次は、ほぼ同数ですが、肝炎患者(肝硬変・肝がん患者を含む)の医療費・生活支援ということです。3番目が、専門医療機関とのかかりつけとの連携ということでした。

 今まで、単純集計結果についてご紹介しました。私の研究班は肝疾患患者さんの悩み・ストレスをテーマにしています。これからは、悩み・ストレスを中心として、その構成要因を明らかにするために、因子を複合させた解析結果についてご紹介します。解析手法としては、統計解析だけではなくデータマイニングを用いました。データマイニングとは人工知能のひとつで、コンピューターを用いて解析します。

 これは1つの例でございますが、悩み・ストレスに関して病態別に分類して、頻度を検討したものです。スライドは、50歳代の方を対象に、B型慢性肝炎、C型慢性肝炎でウイルスが消えた方、C型慢性肝炎でウイルスが残っている方、脂肪肝、肝硬変、肝がんという順番で悩みストレスの頻度を示したものです。これで見ますと、最も悩み・ストレスの頻度の高い方というのは、C型慢性肝炎のウイルスが残っている方でした。肝硬変、肝がんの方で高いのかなと予想したのですが、それよりもこちらに一番ピークがありました。

 しかし、同じC型肝炎の方でもウイルスが消えると、その頻度は35%でした。C型肝炎の方では、治療によってウイルスが排除されると、悩みストレスの頻度は68%から35%へとほぼ半減するのではないかということを想像させるデータと思います。私は、治療を推進するということ、病気を治すことが患者さんの悩みを直接減らすことにつながるのではないかと思っています。

 次は、年収と生活状況について分析したスライドです。上段は年収300万円未満の方の頻度を示した棒グラフです。年齢層別に50歳未満、50歳代、60歳代、70歳代としています。

 まず、50歳代に注目して年収300万円未満の方の頻度を見ていただきたいのですが、ピンクと赤は肝硬変、肝がんの方で60%とか75%という頻度です。慢性肝炎の方では年収300万円未満が30%前後であることに比べると肝硬変、肝がんの方は年収300万円未満の方の頻度が60%とか75%と高いことが理解できます。一般的に若い方は仕事をされているので、収入がある程度ある世代かと思うのですが、50歳代までに肝硬変、肝がんと診断される方は同じ世代の方に比べて年収が少ないということが読み取れるかと思います。

60歳代でも脂肪肝の方に比べると年収が少ないということが統計的には出ています。

 下段の棒グラフは、暮らしの状況についてお尋ねして、苦しいと答えた方の頻度です。これも50歳代に注目しますと、50歳未満で肝硬変、肝がんと診断された方の73から75%が苦しいと回答されています、ほかの疾患では40%前後ですので、それに比較すると肝硬変、肝がんの患者さんでは生活が苦しいと答えた方の頻度が有意に高いということがわかります。

 年収に関しては、高齢になると年金暮らしの方が多くなり、年収300万円未満の方が多数を占めます。ただ、年収が少ないと生活が苦しいという単純な関係ではないように思います。高齢の方は年金暮らしで年収は少ないのでが、お一人やお二人暮らしという方が多いかと思います。50歳未満の方はある程度収入があるわけですけれども、家族を養っている方が多く、それなりに年収があっても、生活の実態は苦しいという状況と理解します。ですから、必ずしも年収の高さと生活状況は直結しないのですが、そのような中でも年齢層とか病態別に分けますと、50歳代までに肝硬変、肝がんと診断される方のように、困っている方が浮き彫りにされてくるのかなと理解しています。

 データマイニングという解析の中でも決定木という手法が最近よく用いられるようになりました。決定木には、情報処理的には関数が2つありまして、SPRINTというものとC5.0というものがあります。これはその違いを理解いただく為の写真です。SPRINT関数は根っこからすぐ分岐するもの、C5.0関数は、大きな幹があって途中から小さく分かれていくイメージと御理解いただきたいと思います。

 これは、その違いをまとめたものです。どちらの関数を用いるかで結果が異なってきます。SPRINTというのは、写真の木を上下にひっくり返したような形とイメージしていただきたいと思います。アルゴリズムのように、イエスとノーと各設問に答えた場合、SPRINT法では全体的な因果構造を見出す場合に適して、上位に重要な因果が現れると言われています。C5.0の場合は、むしろ最初に特異的なものを見出すということで、発見的な因果構造を見出すのに適していると言われています。

 今回私どもは、SPRINT関数を用いて分析しました。決定木の中で根っこに近い因子、より上位にあるものが重要な因子だと御理解いただきたいと思います。

 今回のアンケート用紙には212の項目を設問としました。客観的なものと、患者さんの主観的なものと、その中間になるものという3つに分けて分析しています。今回分析に用いたデータの個数は212項目について約6,000名の方に回答いただきましたので、記入漏れ、欠損値がないと仮定した場合、134万のデータを、コンピューターを用いて網羅的に解析したということになります。

 その中から、肝疾患患者さんの悩みを構成する要因をデータマイニング、SPRINTアルゴリズムで分析すると、トップに出てきたのが、病気が仕事や家事に与えた影響ということで、最も重要な因子ということです。2番目が、差別を受けるなどいやな思いをしたことがありますかということです。3番目が、最近1カ月の医療費、現在のウイルスの状態、ウイルスが駆除されているかどうか。あと入院回数という因子が出てきました。

 具体的に言いますと、全体では47.6%の悩みストレスの頻度なのですが、一番右端をたどっていきますと、病気が仕事や家事に与えた影響に関する設問にイエスと答えた方、すなわち、そのことで仕事を減らしたということになりますと、悩みの頻度は68.6%に上昇します。そのことに加えて差別を受けたことがあるとエピソードがあった場合には89.4%と頻度となり、最も悩みの多い集団に分類されます。

 最も悩みが少ないのは左端をたどる方で、仕事はそのまま続けられて、差別を受けたことがなくて、1カ月の医療費が1万円だった場合は、一番左の29.8%という集団に分類されます。これはアルゴリズムのようにイエス・ノーでたどっていきますと、その集団の悩みの頻度がわかるということです。

 先ほどのスライドは3段分岐まででしたので、4分岐、5分岐まで掘り下げて、いわゆる肝硬変や肝がんであることが悩みの要因になっていないのか、所得が低いことが悩みの要因になっていないのかを検討しました。病態は5段階で抽出されていますが、所得はさらにそれより下段のところで出現しました。

 これは、同じデータベースを用いて統計解析で分析した結果です。単変量解析で有意なものにさらに多変量解析をおこない、より重きがあるものから順番に係数を示して回帰式を作成しました。

 悩みありの頻度ということで、これは実際に該当する数字を当てていただければいいのですが、基礎係数が83.8で、家事・仕事を減らしたということになりますと1、20.8ポイントプラスです。ただ、続けられたということだと0になりますので、何も足さないという形になります。差別を受けたことがありますと1ポイントということで、25.0ポイントプラスという式になります。ここまでいきますと、仕事・家事を減らした、差別経験があった、を加算すると147点になるのですが、その次に年齢がでてきます。年齢は悩みを減らす要因となります。80歳の方は係数の0.5をかけますので40ポイントマイナスになります。あと、通院頻度も1年に1回とか通院間隔が長くなると悩みの頻度が下がるということがわかりました。

 あと、肝臓病の治療の経験の数、ウルソにミノファーゲンを併用した場合には2個と数えて、治療の種類が多くなるとポイントが高くなるということと、あと、月の医療費もそこに係数を掛けますと3.8ということで、やはり5万円以上の方は15.2ポイント上がるということです。ウイルスが駆除されると10ポイント減るということで、これを全部計算しますと、悩みの頻度が計算できます。

 データマイニングと統計解析と異なる手法で分析を行っても、悩みを構成する主な要因として、ともに共通していたのは、仕事・家事を減らした、内容変更した、辞めたということです。2番目が、差別を受けた経験。3番目が、月の医療費、ウイルスが残っているかどうか、入院回数等でした。

 今回の解析結果から、肝疾患患者さんの悩みを私はこのように解釈しています。若くて商業を持っておられる患者さんの悩みというのは、ある程度収入はあるものの治療と仕事、家庭生活との両立の問題、治療に専念できる時間を確保できないこと、社会からの偏見、結婚・恋愛に関しての悩みが多いと思います。

60歳以上の年金暮らしの患者さんの悩みは、時間はあるものの、年金・貯金を崩しながら治療費を何とか確保されていること、また、高齢化し、病状が進行していること、核家族の影響で身近に介護者がいないこと、通院への交通手段の確保がないという悩みが多いかと思います。

 肝疾患患者さんの悩みというのは多様性を呈しており、年齢層、C型肝炎の方は高齢、B型肝炎の方は若い、病気の進行度、慢性肝炎、肝硬変、肝がん、収入の状況によって悩みが異なります。今後、個々の患者さんの状況に応じて、その背景因子を十分考慮した上で、医療従事者として肝疾患患者に向き合うべきと考えています。

 肝疾患患者さんが置かれている状況は、このようなアンケートの数字だけでは表せないところがあります。6300名中約1400名の方に自由記述を書いていただいています。それを一つ一つ読みますと、肝疾患患者さんが置かれている状況とは、実はこうだったのかと私自身、非常に反省させられる面がありました。

 それで、今回、人間関係、社会のことも含めて、肝疾患患者さんを相談支援するシステムを何とかつくれないか新たに検討しました。さきほど自由記述していただいたものを、肝疾患患者さんの多様性に合わせて分類し、匿名化した状態でデータベースを作成しました。今後、医療相談員を対象として、そのデータベースを参照できるアプリを構築したいと思っています。相談員には、肝疾患患者さんに対する理解度を高めた上で相談支援をおこなっていただきたいということ、あと、このアプリは相談員の自己学習用としても使えないかと考えています。

 繰り返しになりますが、肝疾患患者さんの悩みや置かれている状況は多様性を呈しています。個々の患者の置かれた背景を十分理解した上で相談に乗ることが大事ではないかということと、今後の支援策ということをご紹介しました。

 以上です。

○林会長 ありがとうございました。

 御質問がございましたら、どうぞ。天野委員どうぞ。

○天野委員 日本肝臓病患者団体協議会遺族代表委員の天野でございます。

 八橋先生の研究に関しですけれども、質問ではないのですが、この協議会の委員のメンバーも事務局のメンバーも途中で大分変わりました。八橋先生の研究がどのような経緯で実施されることになったのかということを皆様に認識していただきたいと思いまして、第1回協議会から今まですべての協議会に参加してきた委員の一人としてお話しさせていただきたいと思います。

 まず初めに、平成22年6月17日、「第1回肝炎対策推進協議会」において、肝硬変、肝がん患者の高齢化、重症化が進んでおり、一日に120人もの方が亡くなっていくという一刻の猶予もない状況なので、肝硬変、肝がん患者に対する助成を検討してほしいと意見陳述をいたしました。これは全て議事録の中に入っておりますので、確かめていただければわかります。

 平成22年8月2日、第2回協議会におきまして、今、一番苦しい状況に置かれている肝硬変、肝がん患者の実態調査などを実施し、具体的な施策に結びつけ、施策に盛り込んでいただきたいと日肝協・阿部委員からの意見がありました。

 平成22年8月26日の第3回協議会で、基本指針のたたき台の案が事務局から提示されました。そのときに当時の山井厚生労働大臣政務官からは、肝硬変、肝がんへの医療費助成については、現在のところ難しいというお話がございました。

 その後で、第3回の協議会で提示された基本指針のたたき台の案に対して、平成22年9月1日、委員意見を提出しております。内容は、肝炎対策基本法附則第二条2「肝炎から進行した肝硬変及び肝がんの患者に対する支援の在り方については、これらの患者に対する医療に関する状況を勘案し、今後必要に応じ、検討が加えられるものとする」という肝炎対策基本法の条文に基づき、肝硬変及び肝がん患者の医療及び生活の現状を早急に調査し、肝硬変、肝がん患者が適切な医療を受けることができるよう、肝硬変、肝がん患者に係る経済的な負担を軽減するための施策を検討することを明記するようという意見を提出いたしております。

 その結果、平成221025日の第4回協議会において、第1回の改訂版基本指針案に項目が追加されております。その内容は「肝硬変及び肝がんの患者に対する更なる支援の在り方について検討する上での情報を収集するため、肝硬変及び肝がん患者に対する肝炎医療に関する現状を把握するための調査研究を行う」というものでした。その指針案を受けて、医療だけではなく、障害認定との関連も考慮して、療養の生活実態も含めて調査研究していただきたいと意見を述べました。

 そして、平成23年2月10日、第5回協議会で、第2回改訂版基本指針案に「生活実態等」という文言が追加されました。そして、これが最終的に本文に載っております。その本文は、肝炎対策基本指針第9()エ「肝硬変及び肝がん患者に対する更なる支援の在り方について検討する上での情報を収集するため、肝硬変及び肝がん患者に対する肝炎医療や生活実態等に関する現状を把握するための調査研究を行う」。そして、この肝炎対策基本指針第9()エに基づいて、平成23年から3年間、八橋先生の研究が実施されております。

 なお、平成23年2月10日、第5回協議会において、調査研究の全ての進捗状況について「肝炎対策推進協議会」に報告があり、協議して意見を言えることを当時の外山健康局長から確認をとっております。

 このような経緯から、八橋先生の研究が肝炎対策基本指針第9()エに基づいた肝硬変及び肝がん患者に対するさらなる支援のあり方を検討するための調査研究であり、そのさらなる支援のあり方については、「肝炎対策推進協議会」の場において協議するものであるということを皆様に認識していただきたいと思います。

 これは重要なことですので、これからもう一つ研究の発表があるかと思いますけれども、また後で議論する時間を設けていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○林会長 事務局から何か御意見はございますか。

○井上肝炎対策推進室長 天野委員から、これまでのこちらでの経緯に関しまして整理をしていただきまして、ありがとうございます。参考までに今、天野委員がおっしゃった文言は参考資料の中にも添付してありますので、事務局から申し添えます。今回の会議の参考資料、通し番号17ページ、上からイ、ウ、エと書いてございます。天野委員が御指摘なさったのはエに相当する文言で、これが肝炎対策基本指針上に定められた文言であるという天野委員の御指摘に対しまして補足をさせていただきました。

 以上でございます。

○林会長 ありがとうございました。

 それでは、議事を進めさせていただきます。柿嶋委員どうぞ。

○柿嶋委員 先ほど、御研究の御報告の中で、差別を受けたことがあるかという質問に対して、30ページですけれども、嫌な思いをしたことがあるということで、私の記憶では15.4という数字をお話しになっているときだったと思いますけれども、そんなに数値として多くないけれども、後ほどエピソードとしてそれがとても重要だということがわかるとおっしゃったと思うんです。それが後ほどわかるという部分が、私には後になってもよくわからなかったのですが。

○八橋参考人 対象は6,300名にアンケートの中で差別を受けた方というのは16%という頻度です。ただ、悩みがあるという方は約50%です。だから、3,000名くらいの方で悩みがあると回答いただき、その悩みを持っている方では差別を受けられた経験が多いと理解していただきたいと思います。

○柿嶋委員 6,300名のうちの16%が差別を受けるなどの嫌な思いをしたことがあるということですか。

○八橋参考人 単純推計はそうなります。

○柿嶋委員 それで、悩んでいるという方の半分が差別であるというお話ですか。

○八橋参考人 悩んでいる方がほぼ半数いますので3,000名です。6,000名でいくと16%なのですが、3,000名を母数にすると、その倍近くに上がっていくと御理解いただければと思います。母数が何になるかで変わってくるということです。

○柿嶋委員 それと、私は一応、人権担当ということで委員になったのでお伺いするのですけれども、今まで会議に出席していないので、あるいは皆様は十分御理解のことかもしれないですが、差別というのは具体的にどういう形で発生するのですか。

○八橋参考人 C型肝炎、B型肝炎ということで、極端な話は仕事を辞めないといけなくなってしまったとか。

○柿嶋委員 仕事を辞めなければいけなくなってしまうというのは、感染者だということがわかって首になるということですか。それはどういうことでわかることが多いのですか。

○八橋参考人 結局、治療とかで会社を休まれますよね。何で仕事を休んだのか診断書を提出する、そういうこともきっかけになっていると思います。

○柿嶋委員 それを理由に首を切ることは法律に反していると思うのですけれども、実際には首を切られて、それに対して泣き寝入りをしなければならないということですね。

○八橋参考人 恐らく正当な理由では解雇できないのですが、いろいろと間接的に圧力がかかり、辞めざるを得ないという手記は幾つも見られました。

○柿嶋委員 そのほかに差別の形態はどういうものがありますか。

○八橋参考人 感染症の隔離と差別が混乱しているところがあります。たとえば病院内での検査で肝炎患者さんは検査の順番が最後にされる。例えば、過去における内視鏡検査とか。

○柿嶋委員 それは病院でですか。

○八橋参考人 病院の中です。

○柿嶋委員 それはどうしてそうなるのですか。

○八橋参考人 今は全員に検査前後で完全な消毒を行っているわけですけれども、医療機関としては、感染を防ぐというようなことで、検査の順番を変えるということは行われていたと思います。

○有川委員 済みません、今のやりとりで意見があるのですけれども、個別にやっていただきたいと思います。後で、お二人で聞いてもらったほうが私はいいと思います。

○柿嶋委員 わかりました。

○林会長 ちょっと時間内に終わらないと思いますので、後でまた御質問をいただければと思います。

 それ以外にありますか。それでは、議事を進めさせていただきたいと思います。

 続きまして、渡辺参考人から「職域における慢性ウイルス性肝炎患者の実態調査とそれに基づく望ましい配慮の在り方に関する研究」について、よろしくお願いします。

○渡辺参考人 よろしくお願いいたします。東海大学医学部公衆衛生学の渡辺です。

 私どもの研究班では、職域における慢性ウイルス性肝炎患者の実態調査と、それに基づく望ましい配慮のあり方に関する研究を行ってまいりました。

 これはその背景ですけれども、まず、職域における肝炎対策、肝炎検査が重要だということは、先ほどの田中先生のお話にありましたように、まだキャリアの方が大体1%前後は存在するということ。多くは無症状のために知らないうちに進行してしまうこと。多くの方が働いていますので、職場で肝炎ウイルスの検査ができれば早期発見の糸口になること。実際、現在では早期発見すれば治療法がありますので、有効な治療で治すことができるということがあげられます。そこで、早期発見に結びつけるために職場の肝炎ウイルス検査は重要だろうと考えております

本研究で明らかにする項目は、まず、肝炎ウイルス検査が職場でどの程度行われているか。これは国が過去4回ぐらい各職場に肝炎ウイルス検査を行ってほしいということと、結果は本人のみに知らせるように、プライバシーに配慮するということを通達していますが、実際にそれが行われているのかどうか。それから、働きながら治療を受けられる体制があるかどうか。労働者の病状に配慮した適正配置、あるいは労働者の慢性ウイルス性肝炎に対する認識度、それから、専門医、労働者、産業医間の連携がどうかについて調査研究を行いました。これを通じて、職域における望ましい肝炎対策のあり方を提示するのが目的です。

 まず、調査研究ですが、初年度は関東地方、これは東京、神奈川、埼玉ですが、あるデータベースから大体2万5,000社を、企業規模が全国と同じになるように抽出してアンケートを行っております。回収率は29.1%とちょっと少ない状況です。

 2年目は、中京、西日本の24府県の事業者、やはり2万5,000箇所を抽出してアンケートを行っております。

 実は、この数はその地域の全企業がほぼ入りますので、医療機関は除いていますが、実際にこういうことを行うことによって、逆に通達のことを知ってもらうという逆の結果も得られました。

 3年目は、各拠点病院にあります肝疾患相談センターにおいて、今度は就労に絞りまして、就労支援の相談実態を調査いたしました。

これは、企業・事業者を対象した肝炎対策の実施状況ですが、まず、国からの通達を知っていたかどうかですが、知っていたのは関東・西日本とも約1割ということで、ほとんどの事業主は肝炎ウイルス検査をやってほしいという通達を知らなかったということです。実際に肝炎ウイルス検査を行っていたところ、人間ドッグとかほかの目的で行ったものも含めてですが、17.9%、15.7%と非常に少ない割合でした。啓発活動を行っているかどうかも非常に少ないと。それから、就業上の配慮があるかどうか。これは大体4分の1ぐらいの企業であったと答えております。

 西日本はかなり地域が広いので、九州、四国、中国、近畿、中京に分けてアンケートを回収しましたが、多少地域によってばらつきはありますが、いずれにしても肝炎ウイルス検査を行ったという地域は非常に少ないという状況でした。

 今度は会社の規模と実際に検査を行ったかどうか、あるいは就業上の配慮があったかどうかを見ますと、やはり従業員1,000人以上の大規模事業所では割と多くやられていたと。また、就業上の配慮もしていたというのが多いのですが、規模が小さくなるにしたがって、だんだんその割合が減ってまいります。特に、産業医の選任義務のない50人未満では、非常に少ないという状況です。

 実際の肝炎ウイルス検査の実施状況ですが、定期健康診断のときに一緒にやったり、あるいはドッグでやると。中には雇い入れ時に全員にやってしまうという企業も少なからずありました。実際はやっていないところが66%ですので、検査をやっていない企業が大変に多い状況です。

今度は、検査の通知方法ですが、指針どおり事業主は検査結果を知らないというのが27.9%、これは肝炎ウイルス検査を実施した企業の中です。ただ、半数以上は事業主にも定期健康診断の結果と一緒に通知されてしまう状況です。恐らくドッグなどの場合はこれに入ってくるのだと思います。

 検査後のフォローアップに関しましては、本人に任せるというのが33%、医療機関への受診の勧奨が38.5%、ちゃんと行ったどうかも確認しているのが17.4%と、これもばらつきがある状況でした。

 実際、なぜ肝炎ウイルス検査を企業で行わなかったかという理由として、一番多いのが労働安全衛生法の定期健康診断項目にないということが挙げられております。それ以外では費用がかかるとか、逆に、意見は少ないのですが、肝炎ウイルス検査をやってしまうと労働者が差別をこうむる危険性があると答えた企業もあります。確かに、労働安全衛生法による肝炎ウイルス検査の実施というのは非常に難しい状況でして、これは労働安全衛生法における健康診断というのは、あくまでも職業が労働者の健康に影響を与えたかどうかを見るのが主目的だからです。逆にいうと、肝炎ウイルス検査はこの項目には到底入りませんので、企業にこれをやれというのはなかなか難しいのではないかと思います。

 啓発活動に関しましては、これも頻度は少ないのですが、ホームページあるいは電子メール、社内冊子などがありました。

 肝炎の治療が必要な従業員について、就業上の配慮をしたかどうかという質問に対しましては、6割ぐらいの企業ではそういうケースがなかったと答えております。恐らく事業主にそういう情報が届かなかったのかもしれませんけれども、それ以外では時間外労働を減らしたり、出張を減らすとか、勤務日数を減らすという回答がありました。

 肝炎の治療が必要な従業員に関しまして病気休暇制度があるかどうか尋ねました。肝炎に特化したものはないのですが、一般の病気の休暇と同じように扱っているというのが大部分でした。

 これは、拠点病院にあります肝疾患相談センターで就業支援、就業相談があったかどうかというアンケートですが、半数ぐらいの肝疾患相談センターで、やはり就労に対する相談があったと答えております。

 内容ですが、一番多いものが治療時間を確保できるかどうか。2番目が、仕事内容で他人への感染が心配だということが多いということです。3番目としては、職場で病気の罹患をどの程度知らせたらよいかということが相談内容として上位に挙げられておりました。

 対応ですが、本人・家族への助言のみが一番多いのですが、中には専門医との打ち合わせ、あるいは数は4件しかないですが、実際に勤務先へ助言したり、調整を行ったというものもありました。

 肝疾患相談センターの肝炎コーディネーターへの質問ですが、就労相談を受ける際の課題は何かという質問で、やはり法的な知識や人事労務に関する知識が不足しているということと、あるいは他の地域の関係機関との連携をどうしていいかわからないと。例えば、各地域に都道府県の産業保健推進センターがありますし、あるいは保健所との連携そういうことを含めてだと思いますが、連携がよくわからないということがありました。

 これは、一般労働者、肝炎患者労働者に対するアンケート調査です。一般労働者に対しては約3,000名、これはインターネットを使って行っております。肝炎患者労働者は312名、これはB型、C型が半数ずつですが、実際に働いている方にアンケートを行っております。

 一般労働者に対する調査結果ですが、これまで肝炎ウイルス検査を受けたことがあるかないかということを聞きましたところ、受けたことがあるという方は21.3%しかいませんしでした。受けた理由としては、人間ドッグ、住民検診、がん検診などで行ったと。職場の検診にあったというのは19.2%だけでした。

 肝炎ウイルス感染者の方が職場にいた場合、どう感じますかという問いには、何となく漠然としたことだと思いますが、不安に思ってしまうという方が36%という結果でした。

 次に、肝炎患者労働者の方に対する調査の結果ですが、感染の結果が明らかになった理由としては、やはり体調不良で病院に行って指摘されたという方が最も多くて、会社の健康診断というのが18.6%と少ない数字でした。

 ちょっとびっくりしたのが、ウイルス性肝炎患者さんの受診状況ですが、定期的に受診していないという方が36.9%とかなりいらっしゃいまして、その理由としては、担当医から言われていなかったという方が少なからず存在しました。中には、職場での偏見を何となく感じてしまうという方が15%。それから、先ほどの相談でもありましたけれども、他の人に感染させてしまうのではないかと不安に思う方がやはり3割ぐらいいらっしゃいました。

 これは別の分担研究者の結果ですが、実際に職場ですと産業医が労働者と企業との間の仲立ちとして最も適切だろうと考えまして、産業医が実際に関与した好事例を集めてデータベース化を行いました。

 まず初年度は、職場における肝炎検査の文献調査。その次の年に職域の実際の好事例、これは54名の専属産業医の方に対してアンケート調査を行いまして、87症例を集めてまいりました。その次の年は、専門的な産業医の方にアンケートを行いました。

 産業医が実際に関与した場合の好事例としては、正しい知識の啓発、あるいはなかなか治療を受けていない方へ受診勧奨が行えたと。あるいは治療の継続を円滑に行うための措置ができた、あるいは病状悪化に伴う職場等の連携ということに実際に効果があったという回答でした。

 これも専門的産業医に対するアンケート調査ですが、実際に半分くらいの方は積極的に関与して、半分ぐらいの方は余り積極的に関与していないという実態ですが、やはり肝炎患者さんに対しては最初から積極的に関与したほうがいいのではないかという結果です。

 これは産業医の方の意見として、どういう人に就業制限が必要か、あるいは就業負荷がかかる職種はどういうものかについてアンケートをとったものです。

 これは実際の事例を集めてホームページにアップロードしましたので、だれでも検索できるものです。例えば、ここにある「文献検索」をクリックしますと、産業保健分野における肝炎対策に関する文献が出てきます。パプメド、メディカルオンライン、医中誌などから集めていますが、日本のものは余りなく、海外のものが圧倒的に多いという結果です。

 次に、好事例ですが、これもクリックしますと、どの段階で産業医が患者さんにかかわったか。最初からかかわったのか、途中から結果を知って相談を受けたのかという、どの段階でかかわったかによって、例えば「健診以外で本人が結果を知る」をクリックすると、それに応じた事例が出てまいります。実際にどのように具体的に関与して、うまく治療あるいは就業に結びつけたかという事例を見ることができます。

 これをアップロードしましたので、これによって産業医の方に参考にしてもらえればと思います。

 実際に職域における肝炎対策の課題としては、労働者の方を中心に事業主、専門医、産業医と書きましたけれども、事業主・衛生管理者は肝炎ウイルス検査を実施というのが一応国からの指針ですが、検診における配慮、本人にのみ結果を知らせるということがありますが、これは強制ではありませんので、やはりきちんと検査を受けてもらうという労働者への啓発活動が必要です。

 もし、陽性の結果があった場合、私どもは、労働者の方と産業医の方が情報共有して、すぐその後の処置に当たるというのが最もいいのではないかと考えております。もちろん労働者の方と専門医の方で情報共有してもいいのですが、その場合は事業主や産業医の関与がほとんどなくなってしまいますので、職場における就労支援につながりませんので、やはり職場において産業医がいるところでは、産業医を介して情報を共有するのがいいと思います。

実際、患者さんの情報、例えば、肝炎にかかっているとか治療内容は、仕事に関係ない場合や業務に差し支えない限りは事業主に知らせる必要はありませんので、労働者と産業医の間だけで十分です。ただ、何らかの治療が必要な場合には、事業主にその情報を伝えないと就労支援ができませんので、事業主に最低限必要な情報だけを教えると。それによって労働者の適正配置なり、就労上の配慮ということが行われます。

 ですから、こういう判断は産業医と労働者の方が情報を共有して、どの程度まで事業主に話をするかということを考えながら、うまく就労支援に結びつけるのが最もいいのではないかと考えております。

 ただ、先ほどのアンケートにもありましたけれども、やはり小規模事業所、特に産業医のいないのような職場ではうまくいきませんので、やはりこういうところでは肝疾患相談センターの肝疾患コーディネーターなどを中心に、保健所、産業保健推進センターなどを包括した地域・職域連携モデルが重要だろうと考えております。

まとめですが、やはりまだ職場での肝炎検診の通達の認知度や実施率が低かったということ。それから、就業上の配慮や検診は、小規模事業所ほど低い状況でした。肝炎患者労働者のうち約37%は医療機関を受診していませんでした。産業医が積極的に関与した場合には好事例が見られますので、産業医がいるところでは産業医が事業者と労働者の仲介役として積極的に関与すべきだろうと思います。それ以外のところでは、肝炎患者の就労支援には労働者を中心とした肝疾患相談センター、産業保健推進センター、保健所などとの連携が必要だと考えます。

 以上です。

○林会長 どうもありがとうございました。

 職域の検査あるいは肝炎検査の実態というのは今までよくわかりませんでしたが、これでかなり明らかになったと思いますが、御質問がございましたらお受けします。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

 それでは、天野委員と大賀委員、有川委員、清本委員の4人方から意見書の提出をいただいておりまして、御意見を伺う予定でございますが、実はあと残りの時間が40分くらいです。先ほど天野委員からの御意見もございましたように、討論の時間もとらせていただきたいと思いますので、恐れ入りますが、今から御発表いただく4人の委員の方にお願いがございまして、一応文書で提出いただいておりますので、読んで御理解いただけるところについては、できましたらそのようにさせていただいて、何を提案されたいのかを明確に言っていただいて、事務局等にお答えいただくほうが有意義だと思いますので、そういうことを御勘案いただきながら、御発表いただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず、天野委員からお願いいたします。

○天野委員 日肝協の遺族代表委員、天野聰子でございます。

 八橋先生の研究のまとめを拝見して、6,331人という今までにない大規模な患者さんのデータを集め、解析された、患者の実態を知ることができる大変貴重な結果だと思っております。

 6年前にC型肝硬変から進展した肝がんによって59歳で亡くなりました夫の天野秀雄の闘病体験と照らし合わせてみますと、八橋先生の資料の31ページ、F-12、悩みやストレスの第1位が自分の病気や介護、第2位が収入・家計・借金等、第3位が仕事とありますが、全くそのとおりとうなずいてしまいました。夫・天野秀雄の闘病体験をもとに意見を述べさせていただきたいと思います。

 参考資料の43ページ、天野秀雄病歴、医療費の表を参照してください。

 天野秀雄がC型肝硬変の合併症の食道静脈瘤破裂による大吐血で倒れたのは43歳、働き盛りのときでした。2人の息子は、それぞれ中学、高校に進学が決まって、これから学費がかかるというときに一家の大黒柱が突然倒れ、病気を理由にリストラに近い形で職を失って、収入の道が断たれました。

 生死の境をさまよった後に命を取り留めた後も、肝硬変の合併症の肝性脳症や高アンモニア血症、高血糖などで入退院を繰り返して、倒れた年の平成4年には1年間の医療費が、治療費だけではなく検査費、入院費も含めて180万円ちょっとかかっています。その後も平成8年までは年間100万円を超えることがありました。

 非代償性肝硬変の末期になっておりましたので、治ることはない、一生かかって戦い続けることになるのだと覚悟はしたものの、この高額な医療費負担がずっと続くのだろうか、きちんと治療は続けられるだろうかと、非常に不安になりました。

 また、肝がんを発症した後は、再発の不安と死と隣り合わせの恐怖にさらされ続け、本人はもちろん家族も精神的につらい状況が続きました。

 参考資料の表の医療費は、確定申告の申告書のコピーがとってありましたので、医療費控除の額に10万円をプラスした額になっております。平成1011年に約200万円というのは、インターフェロンの自費治療の費用ですので、別途支出となります。

 見ていただきますと、平成9〜14年までは医療費控除を受けておりませんので、年間の医療費は10万円以下ということになります。なぜ医療費がかかっていないかといいますと、当時、東京都では難病指定の中に東京都独自に慢性肝炎、肝硬変、ヘパトームが入っていまして、全ての肝疾患に対して医療費が助成されていました。そのことに気づいて申請をして認定を受け、医療費が助成されたためです。これで、不安なく、きちんと治療を受けることができると非常に安堵して、ありがたく思ったことを覚えております。

 しかし、平成14年に、東京都の難病指定から慢性肝炎、肝硬変、ヘパトームが外されてしまい、第4回目の肝がんを治療した平成16年からは、また高額な医療費がかかるようになってしまいました。医療費助成が受けられなくなり、また、何らの生活支援も受けられないまま、5回目の肝がんによって亡くなりました。

 八橋先生の研究の結果、32ページのG-1で示されていますように、国の肝炎対策の推進で重要と思われるものの第2位となっていますけれども、第1位とそれほど変わりません、肝硬変、肝がん患者を含む肝炎患者の医療費・生活支援が挙げられています。これが患者の切実な願いであるということが明らかになったわけです。

 そこで、検討していただきたいことがあります。その1は、肝硬変、肝がん患者への医療費助成制度の創設です。この医療費助成制度を創設することによって、今、一番厳しい状況に置かれている肝硬変、肝がん患者が安心して適切な治療を受けることができ、安心して生活することができるようにしていただきますことをお願いいたします。

 その2は、身体障害者手帳の認定基準の緩和です。国民年金法に基づく障害年金の認定基準見直しのための専門家会合が、八橋先生を含む専門の先生方を委員として、昨年4回にわたって開催され、認定基準の改定が決まりました。私も4回とも傍聴させていただきましたが、検査成績及び臨床所見で血清アルブミン値、プロトロンビン時間が緩和され、また、より柔軟な組み合わせによって等級が決定されるように改定されたと思います。この改定によって、より多くの患者さんが認定され、支援を受けることができるようになることを期待しております。

 そこで、もう一つの身体障害者福祉法に基づく障害認定につきましても、まず、専門家の先生方の御議論が必要かと思いますが、ぜひ、できるだけ早く見直しをしてくださいますよう、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○林会長 ありがとうございました。

 それでは、残りの方の御意見をお聞きしてから、御質問・御討議を進めさせていただきたいと思いますので、次に大賀委員、よろしくお願いいたします。

○大賀委員 私の発言の前に、ちょっとお尋ねしたいのですが、資料7、資料8を厚生労働省から出されているのですが、これについてのコメントは予定されているのでしょうか。それがもしありましたら、それを受けた後に発言したいと思います。

○林会長 事務局いかがですか。

○井上肝炎対策推進室長 資料は通し番号で資料1〜8まである中で、大賀委員御指摘のように、資料6まで説明があり、資料7、資料8に関しましては特段資料の説明の予定をしておりませんでした。そういう意味では、資料のあり方としては参考資料のほうに本来は移してもよかったのかなと思っております。改めてこちらからの説明はございませんので、この場の関係者は既に承知の上という形で御発言いただければと思います。

 以上でございます。

○大賀委員 そうしますと、八橋先生の報告を受けた形のコメントも、きょうはないのでしょうか。

○林会長 それは後ほどさせていただきます。かなり重複する部分があると思いますので、まず4人の御意見をお聞きしてから、御質問等を受けさせていただきたいと思います。先ほど申し述べましたように、個々の事情は私もよく理解しているのですけれども、個々の患者さんの事情等については、文書等でわかるところはある程度わかっていただいた上で、特に何を望まれるかを明確に言っていただいたほうが、今の御質問に答えることになると思いますので、その点だけ十分御承知おきください。

○大賀委員 わかりました。私の発言は、参考資料の4548ページ、これは個人的な立場で、日肝協の役員としての立場で意見をまとめさせていただいております。

 そして、次の49ページは、患者委員連名で出されていただいております。これは今、天野委員がおっしゃった要望の2点に尽きます。肝硬変、肝臓がん患者に対する医療費支援、もう一つ、身障手帳の認定基準の緩和をおっしゃいました。その点を補足させていただきたいと思います。

49ページの資料に基づいてですが、簡単に言いますと、この文書の中身は、1つは、肝炎ウイルスの感染拡大には、その全てとは言いませんけれども、国の責任があるのだということが基本法前文にうたわれていますよということを導入部分で書いております。

 次に、2つの裁判があったわけですけれども、いずれの裁判も感染推定数に比べて、実際に裁判を通じての和解件数が圧倒的に少ないではないですかということを述べております。特に、B型は四十数万人と言われておりますけれども、私たちの要望書はおよそ1万人と書いておりますけれども、厚労省の今回の資料を見ますと、およそ1万4,000人が提訴して、これまでに6,800人が和解済みということですが、いずれにしましても、四十数万人の感染推定数に比べて余りにも少ないではないですかと、救済は今後どうするのでしょうかという問いかけです。

 もう一つ、血液製剤と予防接種以外の患者が相当数いるわけですが、むしろこちらのほうが多いわけですけれども、そういう感染者も元をたどれば何らかの医療行為で感染したのですということを強調しております。そこが、ほかの疾病と違うんですよという訴えかけをしているところです。

 そして、4番目に、今は慢性肝炎は、インターフェロン等核酸アナログ製剤で私たち患者は本当に助けられています。感謝しているのですが、ただ、その恩恵に浴さない肝硬変、肝がん患者に進行した場合は、今の支援制度、国の助成制度から抜け落ちてしまう。そういう人たちがたくさんいるということを強調しているわけです。要するに、谷間にあるというところです。症状が進んだ患者がどうして救済から抜け落ちていくのかというところを強調しているわけです。

 下記について早急に実施してくださいというのは、さっき天野委員がおっしゃった2点です。

 ちょっと長くなって申しわけありませんけれども、46ページを見ていただけますでしょうか。これは八橋先生の中間報告をもとに、私がまとめたデータです。患者の暮らし、これは八橋先生のきょうの報告にもありましたが、35%が生活の苦しさを訴えております。

 それと、私たち患者サイドから言いますと、闘病期間が極めて長いということです。八橋先生の調査結果でも10年以上の闘病生活者が68%、これは専門の先生方は皆さん御存じです。ウイルスが消えなければ死ぬまで、棺桶に入るまで闘病生活が続いていくと。私も実際に発症して42年になります。B型とおつき合いしていますけれども、抗体ができて安定しているからここに来られるわけですが、私もエコー検査と血液検査は一生続くという立場で、そこが患者として強調したいところです。

 肝臓がん治療、これは643人を対象に調査されておりますけれども、治療期間が5〜10年未満が19.6%で10年以上が11%、先ほども言いましたように、長期にわたり治療費の負担は本当に大きいということを物語っているのではないかと思っております。

 それから、治療費、先ほど先生の発表は1カ月スパンでしたけれども、患者サイドから言いますと、3カ月に1回とか6カ月に1回の検査がたくさんあるわけですから、1カ月だけの検査結果、治療費というのは、正直言いましてちょっと首をひねったところです。1年間の治療費を見ますと、3050万円の方もたくさんいらっしゃるんです。100万円以上支払っていらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。そういった立場にいる患者の厳しい状況を、皆さん方にぜひ御理解していただきたいと思っております。

 身障手帳につきましては、言わずもがなといいますか、とにかく今の認定基準は非人間的だと思っております。私のところの患者さんで、前回のこの協議会で報告をした方は、3月に13回目のがん治療を受けられました。それでも手帳は主治医がまだだめですと言って出されないんです。それが実態なんです。こういう理不尽な状況が何でいつまでも続くのかというのが、私は九州肝臓友の会の会長をしておりますけれども、患者から相談を受けている中身を考えますと、本当に苦しい状況だなということを皆さん方にぜひ御理解願いたいということです。

 以上でございます。

○林会長 ありがとうございました。

 続きまして、有川委員どうぞ。

○有川委員 有川です。お手元に後で私の意見を書いたものを配っていただいておりますけれども、特に私が強調したいのは、自身が肝がんになって、なおかつ、重い障害を持つ子どもを育てている方がおられますけれども、今年1月20日に日本は、障害者権利条約というものを、よその国と比べると大変遅いのですけれども、国連の141番目の条約締結国になりましたが、この障害者権利条約の中には、「他の者との平等を基礎として」という言葉が30ぐらい入っていると聞いております。私は肝炎の患者も障害者の一員だと思っていますけれども、肝硬変は肝がんの患者にとっては他の者との平等を基礎としてというのが、私たちが今お願いしているウイルス性肝硬変、肝がんにかかる医療費助成制度の創設に当たるのではないかと考えております。他の者と同じように生きていくことについては、こういう制度の創設が不可欠だと思います。

 特に、去年8月に、この「肝炎対策推進協議会」で、平成26年度予算要求に係る意見書を出しております。その中では、医療費助成について肝硬変、肝がんを含む全ての肝炎医療に係る医療費助成制度を創設するとともに、B型肝炎の拡散アナログ製剤治療に係る自己負担の限度額の引き下げや、治療開始前の検査費用の助成を検討すると意見書を出しているのですけれども、残念ながら、一番最初に平成26年の予算案について説明された中には、ほとんどこの協議会の意見が反映されていないということに私はなっていると思いますので、これは何とかこの後改善していただきたいと思っております。

 そして、肝炎患者について言いますと、厚労省の平成23年度の患者調査によると、肝炎患者、肝硬変、肝疾患と肝がん等も含めると、患者さんは328,000人ほどおられます。1年間に肝がんや肝疾患で亡くなる方は大体5万人近くいるとなっています。他の疾病、例えば、糖尿病ですと270万人の患者さんがいて、亡くなられる方は1万5,000人ぐらい。高血圧の方は906万人おられて7,000人ちょっと。高血圧の方はほかの病気で亡くなる方もおるかと思いますけれども、肝臓の病気にかかっている方は、他の疾病と比べると限りなく死に近い病気であると思います。たくさんの方が亡くなる率が高いということなので、極端に言うと、他の病気の方と同じような死亡率にしてほしい、それだけのお金を出してほしいと思いますので、ぜひとも御検討をお願いいたしたいと思います。

 以上です。

○林会長 ありがとうございました。

 それでは、最後に清本委員、お願いいたします。

○清本委員 清本です。私は、提出資料の1枚ものの箇条書きというか項目だけなのですけれども、要望としては資料の7377ページにかけて、B型肝炎の原告団として大臣に要求している医療費助成の件についてです。

 この中でも発言していただいた榊原さんと高橋朋己さんは、もう既に亡くなってしまい、医療費助成というものが早急に必要だということを私も身をもって感じております。

 また、B型肝炎の訴訟の原告から要求していることとしては、原告数が今2万人弱、原告団のほかの提訴者もおりますけれども、四十数万人以上の被害者がいる中で、田村大臣にも他の疾病とはバランスを考えても、自身に責任がない、なりたくてなった病気ではなくて、国の責任に基づいた医療費助成として、ほかの病気とも一歩抜きん出た医療費助成が必要なのだということだと思います。

 私の要求といたしましては、私自身が肝硬変になったのが30歳で、その際に北海道の医療費助成を受けておりました。それ自体は、検査費は月1万2,000円で、投薬が無料になっているという医療費助成で、バラクルードを飲むに当たってある程度いろいろなハードルがありまして、子どもを産めなくなるかもしれないですとか、長期間の飲むというところが一番のハードル、もう一つは、経済的な負担だと思います。私が治療を受けるときに経済的負担というのは一切気にすることなく、この治療に踏み切ることができました。そのおかげで、私も今年で37歳まで元気で働くこともできているので、重篤化を防ぐという意味でも、医療費が限りなくゼロに近い助成制度が重篤化を防ぐ最も効果的な内容になると思います。

 私の資料の3の差別・偏見の防止の部分に関しても、八橋先生の研究結果や渡辺先生の研究結果にもありましたが、他人に感染させてしまうかもしれないという、これは間違った知識だと思いますけれども、そういった誤解を防ぐことが治療にもつながるのだと思います。

 医療費助成制度の創設に当たって、先日「オールジャパン肝炎サポート大集会」という国会議員の方や多くの患者を招いた1,000人規模の集会を行いました。その中でも、地方議会からも厚生労働省に対して医療費助成を求める意見が多数上がっているはずです。

 今後、その医療費助成を実現していく中で、八橋先生の27ページのA-14の中で、苦しいという方が35%おりますが、普通という方が大半を占めております。この「普通」に私もなりたいと思っております。医療費助成としては、この大変苦しい人を救って、この普通の中にどんどん組み込めるような助成制度を、この協議会の場で患者の意見を反映させて検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 以上です。

○林会長 ありがとうございました。

 それでは、4人の委員の御意見をお聞きしまして、まず事務局から主に御要望は3点に集約されるかと思いますが、その御回答をいただいてから、他の委員の御意見をお伺いさせていただこうと思いますので、事務局よろしくお願いいたします。

○井上肝炎対策推進室長 今、林会長が3点とおっしゃいました論点は、私自身は大きく2点と整理していたのですが。

○林会長 天野委員の2点プラスB型肝炎のお二人の意見は少し違う点もあるかと思いますが、最初の医療費助成に全部含めるのとはちょっと違うので3点だと思いますが。

○井上肝炎対策推進室長 会長のほうで、その3点を具体的に整理していただけますでしょうか。

○林会長 では、最初は、天野委員の肝硬変と肝がんの医療費助成の件だと思います。2点目が、身障者手帳等の問題。3点目が、B型肝炎の治療費等の医療費助成を含めた点で、これは恐らく肝硬変、肝がん以外もということだと思いますので、3点目につけ加えさせていただきました。先ほどのB型肝炎の御意見は、肝硬変だけだと肝硬変の医療費の中に入れてもいいわけですが、2点でいいですか。それでは、とりあえず2点で。

○井上肝炎対策推進室長 まずは、本日プレゼンテーションをしていただいた3人の委員、参考人の皆様に御礼を申し上げます。それから、それを受けて各委員の御意見、事務局でも賜りました。ありがとうございました。

 この「肝炎対策推進協議会」と申しますのは、肝炎基本法、それで定められた肝炎対策の基本指針の現状あるいは進捗状況に関しまして、幅広く御意見を伺い、今後の政策に反映させていくための会であると事務局も認識しております。そうした幅広く肝炎対策全般に関しまして、この「肝炎対策推進協議会」でお諮りする中で、本日は特に、八橋先生のこの3年間の御研究の概要発表に関しまして各委員から御意見が相次ぎましたので、特に事務局としてもこの点を中心に、現時点での整理をお話しできればと考えております。

 まずは、本日御発表いただきました八橋研究班、3年間にわたる研究、予定どおりに最終的なとりまとめをいただき、その概要をここでお話しいただき、我々としても最終報告書を実際に年度が明けた段階で手にして、さらに精読をしたいと考えております。まだ、最終報告書そのものを私どもは手にしておりませんが、本日御発表いただいた内容により、肝疾患の患者さんのさまざまな悩み・ストレス、抱えておられる問題は我々としても改めて認識したところでございます。

 その中では、仕事や家事への影響から差別・偏見、ウイルスの状態など悩みやストレスが重要な要因となっていることが1つございました。2つ目としては、特に各委員から御指摘があった医療費などの経済的な問題も含まれているということを私どもも改めて認識いたしました。それから、当然のことではございますが、患者さん一人一人が置かれている状況は違いますので、年齢や病態によっても悩みやストレスに差があるということも改めて認識した次第でございます。

 事務局としては、本日のこの結果を踏まえて、特に何人かの委員の方から御指摘があった2点の問題、1つは肝硬変、肝がんの患者さんに対する支援のあり方について、それから、障害者手帳の認定のあり方につきまして、行政施策としての支援はどのような形であれば今後とも拡充させていくことが可能かを検討してまいりたいと考えております。

○林会長 それでは、それぞれ委員の方から御意見を賜ろうと思います。どうぞ。

○武田委員 薬害肝炎の武田と申します。拡充を図るというおっしゃることは、肝硬変、肝がんについての医療費等について、今後この「肝炎対策推進協議会」で具体的にお話しするということでしょうか。

○井上肝炎対策推進室長 それぞれの要望、特に患者側委員の意見が相次ぎました肝硬変、肝がんの医療費助成のあり方という問題に関しましては、幾つか我々事務局として検討するにも課題を抱えております。1つには、もちろん財源の問題がございます。2つには、ほかの病気との兼ね合いの問題がございます。こうした課題を事務局としても整理の上で、問題の解決を図っていかなくてはいけません。今の武田委員からの御質問は、具体的なスケジュールに関する御質問だと理解いたしましたが、現時点では具体的な検討スケジュールを明確にお示しすることは、抱えている問題を解決してからでないと、なかなか難しいだろうと。今後、予算要求などの機会をとらえて、肝硬変、肝がんの患者さんを含めた肝疾患患者への支援について検討してまいりたいと考えております。

○武田委員 財源という問題もわかるのですけれども、先ほど渡辺先生、八橋先生がおっしゃったように、私自身も発病してから26年間ずっと仕事をしているのですけれども、私の厚生年金の記録を見てもわかるのですが、仕事をしていても入院が長引くと辞める、またよくなると仕事をするというのが今までずっと続いております。今60歳を過ぎてもまだ仕事をしているのですけれども、やはり私たち患者というのは皆さん高齢化になっているんですよね。ですので、いつまで待つと言われても、いつ死ぬかわからないと毎日不安な日々を過ごしている中で、期間というものはある程度ちゃんと決めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○井上肝炎対策推進室長 御指摘ありがとうございます。

 先ほどの八橋研究班のデータの中でも、B型肝炎、C型肝炎、それぞれのウイルスに感染しておられる方の年齢構成のグラフがございました。そうした年齢構成のグラフからも現在の感染者あるいは肝炎、肝硬変、肝がんの患者さんの年齢が高齢化しているという状況は、私どもも認識しております。それから、先ほど委員から御発言がございましたように、肝硬変、肝がんを主たる病因として亡くなられる方の数が、年間4〜5万人に達しているといった状況をも承知しております。そうした状況をもちろん踏まえた上で、今後の検討をさせていただければと思っておりますが、問題を解決するためのさまざまな課題を乗り越えなくてはいけないので、明確に今の時点で検討スケジュールをお示しすることができないということは御理解いただければありがたいと思っております。

○林会長 ほかに御意見ございましたら。

 浅倉委員どうぞ。

○浅倉委員 でも、かなり前からこの議論はしていて、去年の時点で林先生の意見書でも提出されていますし、その項目にも入っていますし、もう患者は待てません、もうこれ以上待てません。身障者手帳の認定も、亡くなる寸前じゃないと認められないという現状です。これを何とかしてもらいたい。本当に一刻も早く論点整理をしていただいて、事務局から私たちに提示してください。それでないと納得できません。

○井上肝炎対策推進室長 浅倉委員、御指摘ありがとうございます。

 これまでお答えしていたのは2点の問題で、比較的混同してお話ししていましたが、浅倉委員の今の御指摘は、特に後段の身障者手帳の認定基準の見直しにかかわる御指摘であったと理解いたしました。これは担当部局が省内でも少し異なるところにあるのですが、今の浅倉委員の御指摘は、私のほうから担当部局に申し伝えるようにしたいと思います。ありがとうございます。

○林会長 それ以外に、他の委員から御意見はございますか。

 清本委員どうぞ。

○清本委員 田中先生の調査にも、感染者はどんどん減っていますし、このウイルス性問題というのは、私の年齢であれば先生方に研究をどんどん進めていただきたいということと、高齢の方には早急に助成制度実現というのが一番のポイントだと思います。高齢の方には助成制度をきっちり受実させる、若い患者には研究をしっかり推進する、その2点で助成制度に関しては、次の協議会にでもこの場で議論できるような早いスパンで進めていきたいと思いますので、ぜひとも早急に協議会内でも議論できればと思いますが、どうでしょうか。

○井上肝炎対策推進室長 清本委員、御意見ありがとうございます。

 各委員からいただいたこの問題というのは2つ、1つは肝硬変、肝がんの医療費の助成制度、もう一つは障害者の認定基準のあり方。いずれも、患者さんのバックグラウンド、特に年齢、背景要因を踏まえれば、議論を急ぐべきだという御意見を相次いで承りました。事務局としても、そうした意見は踏まえた上で、これはこの協議会の委員及び会長が定めることですが、次回の会合でも引き続き議題とするべしということが各委員の御意見の総意及び会長の御判断であれば、そのような形にさせていただければと思います。

○林会長 浅倉委員どうぞ。

○浅倉委員 八橋先生の研究に関して、私たち患者ばかりが意見を申しているのですけれども、ほかの患者さんをたくさん診ていらっしゃる溝上委員、熊田委員から、御意見を何かちょうだいしたいのですが。

○林会長 では、溝上委員から。

○溝上委員 溝上でございます。

 私が医者になりましたときには、C型につきましては、当時非A非Bと言っておりましたが、もうやるすべがないと、何も治療法がないというのが現実でした。肝硬変というのは、腹水がパンパンになって初めて病院にくるというレベルでした。それが1985年『ニューイングランドジャーナル』に、これで治るかもしれないという論文が出てから、あっという間に1992年、世界で一番最初に日本がインターフェロンを保険治療で認めてくれました。当時5〜10%でした。そのときに副作用ばかりで、1,000億円もかけてたった5%しか治らないというキャンペーンが新聞等で行われました。あれがなかったら、もっと助かっていたのにというのが、私が一番残念に思っているところです。

 その後、みんな頑張ってどんどん治るようになってきまして、今や8〜9割を目指せるところまで来ております。ですから、今はとにかくできるだけ早く治療を進めることと思っています。ここ2〜3年のうちには9割は治るところまで来ております。そういう状況に来ているということは、ぜひ御理解いただければと思っております。

○林会長 熊田委員、よろしいでしょうか。

○熊田委員 熊田委員 私たちの病院は、私が今までにトータルで2万2,000人を診ていました。そのうちC型が9,300人で、この30年間で治った人が2,600人。その間に亡くなった約1,700人が肝硬変、肝がんで亡くなっているという現状です。

 私たち自身が今やっていることは何かというと、薬が承認されたら少しでもいい薬は待つことなく、どんどん治療していくという考えで全てやっています。実際にインターフェロン、溝上委員が言われたように1992年のときには難治例では5%だったんですね。つい最近のシメプレビルは90%までもう治るようになったわけです。それに対する支援があればあるほど我々はやりやすいわけです。次にもっと楽な経口剤が出てきたら、それをまたすぐやると。それでまた問題があれば、さらに次の経口剤というやり方を我々はどんどん啓蒙していくというのが、我々の肝臓専門医の基本的な考えです。実際に私も今でも3,800人の外来患者を抱えていますので、今、肝臓専門医の中では外来が限界に来ていることも事実です。ですから、専門医も増やす必要があります。医療費助成だけでは専門医に到達しないとなかなか難しい。

○林会長 どうもありがとうございました。

 時間になりましたので、きょうはこれで終わらせていただこうと思いますが、ただ、各委員からの御要望の件は今回だけではございません、ずっと継続的に出ている御要望でございます。事務局も事務局サイドでかなり努力をいただいているのですが、いろいろなことで明確な答えが得られなければ、事務局としても明確なお答えができないという状況なので、恐らくこのまま事務局にお聞きしても、これ以上、事務局は具体的な御返答ができないと思います。

○井上肝炎対策推進室長 事務局といたしましては、この場「肝炎対策推進協議会」という、法に基づいて設置された重みのある位置づけの組織ですので、この場で各委員からいただいた御意見ということは十分に踏まえた対応をとりたいと考えております。

 以上でございます。

○林会長 ただ、先ほども御意見がございましたように、きょう結論が出るわけではございませんので、次回もちろんこのことについては継続して討論をさせていただく予定にするということについては、ここで決めさせていただきますけれども、それを踏まえて御意見をお願いします。

○大賀委員 1つだけ確認しておきたいのですが、私は原告ではありませんけれども、原告弁護団と厚労大臣の話し合いの中で、厚労大臣が何度も強調されていたのは、要はきょうの八橋先生の報告を待って、今一生懸命研究しているので、調査しているので、それを待ってくださいと。それを待って、今後の対策のあり方を検討していくからという答弁が出ているわけです。それは確認できますか。

○井上肝炎対策室長 ただいまの大賀委員御指摘のとおりでございます。

○大賀委員 もう一つ。それは確認できましたので、私たちの気持ちとしては、本当にスピード感を持ってこの結論へ向けて、できないかもしれないというのが行政側の姿勢かもしれませんけれども、私たちは何としても実現したいという強い気持ちを持っているわけです。そういう討議の場、意見を出せる場を、ぜひ早急に設けてほしいというのが気持ちです。

○林会長 ということでございますので、本日はこれで終わらせていただきますが、この問題は以前からも何回も御指摘いただいている点でございますので、財政等の問題もございますので今のところ答えが出せておりませんけれども、また今後も議論を進めさせていただきたいと思っております。

○井上肝炎対策室長 それでは、定刻になりましたので、本日もいろいろな御意見を賜りまして、どうもありがとうございました。先ほど溝上委員、熊田委員からの御意見がございましたように、現在の治療方法、治療効果は非常に高くなってきておりますけれども、それだけでは解決できない方がまだまだたくさんおられることについては、我々も重々承知しておりますし、今後どういう対策をとらなければならないかについても今後、議論を進めさせていただきたいと思っております。

 本日は、御出席いただきまして、どうも有り難うございました。









(了)
<本件に関する問い合わせ先>

健康局疾病対策課肝炎対策推進室

新川智之: 代表電話: 03-5253-1111(内線2948 )

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