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2014年3月20日 第58回社会保障審議会年金数理部会 議事録

年金局

○日時

平成26年3月20日(木)13:58~15:32


○場所

厚生労働省専用第15、16会議室(12階)


○出席者

山崎部会長、宮武部会長代理、牛丸委員、翁委員、駒村委員、佐々木委員、田中委員、野上委員、林委員

○議題

1.公的年金財政状況報告-平成24年度-について
2.その他

○議事

○清水首席年金数理官

 少々定刻より早いですが、全員おそろいですので、ただいまから第58回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。

 審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。 座席図、議事次第のほか、次のとおりでございます。 資料1は、1-1、1-2、1-3、1-4の4つに分けておりますが、「公的年金財政状況報告-平成24年度-(案)」でございます。 資料2は、「公的年金財政状況報告-平成24年度-要旨(案)」でございます。配付資料は以上でございます。

次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は全委員が御出席でございます。

それでは、以後の進行につきましては山崎部会長にお願いいたします。

 

○山崎部会長

 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。

 本日は、平成24年度の公的年金財政状況報告に関して審議を行いたいと思います。

 カメラの方はここで退室をお願いいたします。

 

(報道関係者退出)

 

○山崎部会長

 平成24年度の報告書の作成にあたっては、検討作業班、技術作業班の2つの作業班において作業を行い、本日の資料である報告書案を作成いたしました。

 それでは、事務局から本年度の報告書案につきまして、そのポイントとなる点を読み上げてください。よろしくお願いいたします。

 

○清水首席年金数理官

 それでは、事務局から報告を申し上げます。

 まず、資料1-1をごらんください。

資料を1枚めくっていただきますと、年金数理部会の委員の先生方の名簿が掲載されております。

次に目次でございます。「はじめに」から始まって、第1章が「公的年金の概要」、第2章が「財政状況」、第3章が「平成21年財政検証・財政再計算結果との比較」、付属資料、参考資料という構成になっております。この構成は昨年度と同様です。

各章の節の構成も昨年度と同じでございますが、さらに括弧付き項番のところをごらんいただきますと、42ページの2章2節「(6)年齢階級別標準報酬総額(推計値)のコーホート分析」の部分は今年度新しく記載した部分です。4節「(6)被用者年金制度計の財政指標」も、今年度新しく作成した箇所です。

それでは、1頁の「はじめに」のところでございます。ここにつきましては、第4段落目に、「本報告では、平成24年度の財政状況の報告をもとに、各制度の財政状況を横断的にまとめ、年金財政の仕組みやこれまでの経緯などをわかりやすく解説した上で、平成21年財政検証・財政再計算との比較により、各制度の財政状況を分析・評価している」と本報告書()の概要を述べております。

3ページから「第1章 公的年金の概要」になります。ここにつきましては、公的年金制度の体系その他について昨年度に比べて変化があったということはありませんので、記述につきましても昨年度と同じとなっております。ただ、4ページの図表1-2-1につきましては、入手可能な直近の数字で差しかえております。

以上が第1章でございます。

次に、資料1-2をごらんいただきたいと思います。ここは「第2章 財政状況」という部分です。

12 ページは「1 財政収支の現状及び推移」の「(1)平成24年度の財政収支状況」であります。読み上げますと「図表2-1-1は、平成24年度の決算における財政収支状況をまとめたものである。本表は、各制度の決算で基準となっている簿価ベースの数値を中心に記載しているが、参考として、財政状況の把握の基本となる時価ベースの数値も併せて記載している」と、図表2-1-1の位置づけを述べております。

あとに続く文章では、14ページにあります「図表2-1-1 財政収支状況」の概要を記述しています。平成24年度の特徴につきましては、13ページの一番下の段落に記載してありますとおり、「平成23年度に比べ時価ベースの運用収入が大幅に増加していることや、国共済・地共済間の財政調整(決算ベース)の流れが変わったこと」などが挙げられます。

国共済・地共済間の財政調整につきましては、14ページの図表2-1-1の収入のところの財政調整拠出金収入513億円と、支出のところの財政調整拠出金513億円が国共済、地共済の列に計上されておりますが、その方向が前年度とは逆になったということです。

次に、16ページ「(2)平成24年度の単年度収支状況」です。これにつきましては、1行目の終わりのところから読み上げますと、「年金数理部会が、公的年金の財政状況を年金財政状況の把握の観点から制度横断的に比較・分析するため作成したものである」と、その位置づけが述べられており、さらに「運用損益分を除いた単年度収支残」と「運用による損益」の2つに分けて分析していると記載されております。

第2段落では、「公的年金全体の平成24年度の運用損益分を除いた単年度の収入総額は433,682億円、単年度の支出総額は50685億円、収支残は△6兆7,003億円となっている。一方で、運用による損益は時価ベースで15610億円のプラスとなっており、公的年金全体の時価ベースの年度末積立金は、対前年度で103,132億円増の1781,849億円となっている」と単年度収支状況の概略が記載されております。

第3段落では、なお書きということで、基礎年金勘定の積立金につきましては、「特別会計に関する法律の改正により、平成24年度決算において収支残の一部を積立金として積み立てたため、対前年度1兆5,977億円の増加となっている」ということが記載されています。

そして、一番下の段落では、「単年度収支状況を制度別にみると、すべての制度で、運用損益分を除いた単年度収支残はマイナス、運用による損益(時価ベース)はプラスとなっている。結果として、時価ベースの年度末積立金は、国共済で減少する一方、その他の制度では増加している」と制度別の記載がされております。

次に、18ページ「(3)収入の推移 (i) 保険料収入」では、図表2-1-4が掲載されており、本文では、一番上の段落になりますが、「平成24年度は、国共済が1.4%減少している一方、その他の制度では、厚生年金2.9%、地共済1.2%、私学共済3.5%、国民年金2.0%と増加している」と記述されているところです。

19 ページの図表2-1-5は、保険料収入の増減の要因分析であり、本文では、18ページの一番下の段落でございますが、「各制度とも保険料率が引き上げられたことが保険料収入を増加させる方向に大きく寄与している」などと記述されております。

20 ページは「(ii) 国庫・公経済負担」です。図表は2-1-7になります。本文では、「平成24年度は、被用者年金各制度で減少する一方、国民年金が17.6%と大きく増加している」と記述されています。

この点につきまして、21ページの一番下の段落でございます。「平成24年度以降は、納付率の違いに係る精算分が小さくなるため、決算ベースの基礎年金拠出金は、より確定値ベースに近くなると考えられる。その影響で、対前年度でみると、平成24年度の決算ベースの基礎年金拠出金は被用者年金で減、国民年金で大幅増となり、国庫・公経済負担も同様の動きとなっている」と説明が加えられております。

「(iii) 追加費用」については、省略させていただきたいと思います。

次に、23ページ「(iv) 運用収入」に参りたいと思います。図表2-1-10に、運用収入の推移がまとめられています。本文では、「平成24年度の時価ベースの運用収入は、各制度とも大幅に増加し、公的年金全体で15610億円となっている。これは、時価ベースの値を把握している平成15年度以降で最大となっており、運用環境が非常によかったことがうかがえる」と記載されております。

24 ページ「(v) 運用利回り」です。運用利回りの推移は、図表2-1-11にまとめられております。「国共済以外の制度では、平成15年度以降で最も高い水準である」と記載されています。

25 ページ「(4)支出の推移」「(i) 給付費」です。給付費の推移は図表2-1-12にまとめられています。まず、「平成24年度の公的年金全体の給付費は、対前年度1.9%増となっている」ということであり、本文ではその推移について、「被用者年金では、私学共済の伸びが高い傾向が続いている。平成24年度は、国共済で減少する一方、厚生年金、地共済、私学共済で増加している。国民年金では、基礎年金勘定で大幅な増加が続いている。(中略)平成24年度は5.0%の増加となっている」といった記述がされております。

26 ページは「(5)運用損益分を除いた単年度収支残」ということで、その推移が図表2-1-13にまとめられております。本文第1段落にありますように、「平成24年度は、すべての制度でマイナスとなっている」という状況です。

27 ページからは「(6)積立金」ということで、まずその推移が図表2-1-14にまとめられています。本文第1段落にありますように、「平成24年度末の時価ベースの積立金は、国共済で減少する一方、その他の制度で増加している」状況です。

29 ページでは、図表2-1-16に各制度の積立金の資産構成(時価ベース)、平成24年度末の状況が制度別にグラフで示されております。その上の段落を読み上げますと、「平成24年度末の積立金の資産構成は、例えば国共済で預託金と国内債券の2つで8割を占めるなど、制度により違いが見られる。第1章で述べたように、被用者年金一元化の際には、共済年金の積立金のうち厚生年金の積立比率(平成26年度末の積立金を用いて算出)に相当する額を厚生年金部分の積立金として仕分けることとされており、各制度の資産構成の違いにより生じる短期的な運用状況の相違についても、注視していく必要がある」と指摘されております。

30ページからは「(7)基礎年金制度の実績(確定値ベース)」という部分です。図表2-1-17に基礎年金交付金の推移、図表2-1-18に基礎年金拠出金の推移がまとめられています。

31 ページの2段目以降をごらんいただきますと、「被用者年金では、基礎年金給付費等の増加に伴って保険料・拠出金算定対象額が増加していることを反映し、基礎年金拠出金は増加傾向が続いている。一方、国民年金では、拠出金算定対象者割合が減少したことなどから、基礎年金拠出金は平成22年度、平成23年度と減少していたが、平成24年度には4.2%増加した。これは、基礎年金拠出金単価と国民年金の拠出金算定対象者数がともに増加したためである。」などと記述されています。

続いて32ページをごらんいただきたいと思います。第2段落では「保険料・拠出金算定対象額は毎年度増加している」こと、第3段落では「公的年金全体の基礎年金拠出金算定対象者数は、(中略)平成24年度は0.5%の増加となった。この要因としては、平成2410月から3年間の時限措置で設けられた保険料の後納制度による影響(約47.8万人分)が大きい」という記述が加えられております。

続きまして、35ページの第2節「被保険者の現状及び推移」に進みます。まず「(1)被保険者数」ですが、図表2-2-1に被保険者数の推移がまとめられております。本文では、「平成24年度末の被保険者数は、(中略)公的年金全体で6,736万人」であるということで、以下、各制度の被保険者数が記述されております。

36 ページの「(2)年齢分布」につきましては、時間の関係から省略させていただきたいと思います。

38 ページの「(3)男女構成」につきましても、時間の関係から省略させていただきます。

その下の「(4)1人当たり標準報酬額(月額)」については、図表2-2-7が40ページにございます。これは1人当たり標準報酬額(月額)の推移を示したものです。これについて、本文では、39ページの一番下の段落でございますけれども、「平成24年度における総報酬ベースの1人当たり標準報酬額は、厚生年金が横ばい、その他の制度では減少した。特に国共済の減少(2.7%減)が大きいが、これは、平成24年4月からの国家公務員の給与の特例減額が大きく影響しているものと考えられる」との記述が加えられております。

41 ページは「(5)標準報酬総額」ということで、これは図表2-2-8にまとめられております。これにつきまして、本文では3行目からですが、「標準報酬総額の推移をみると、平成24年度は、厚生年金及び私学共済で増加する一方、国共済及び地共済では引き続き減少しており、特に国共済では△3.1%と大きく減少している」と記述されております。

42 ページからは、「(6)年齢階級別標準報酬総額(推計値)のコーホート分析」です。これは先ほど御説明しましたように、今年度新たに分析を加えた部分です。

1段落目の2行目から、「各制度の標準報酬の動向をより詳細に把握するため、ここでは、年齢別コーホートに着目して、平成23年度から平成24年度にかけての標準報酬総額の動向を分析する」と分析の目的が述べられております。

次に「(i)分析方法」です。2段目ですが、「こうして得られたコーホート別標準報酬総額の増減を、以下の方法で『人数の変化分』、『年齢上昇に伴う賃金の変化分』及び『マクロベースの賃金の変化分』の3つの要因に分解する」というものであり、その下にありますとおり、「まず、平成23年度の各年齢階級別コーホートの標準報酬総額について、被保険者数だけを平成24年度の当該コーホートの人数に置き換えた標準報酬総額を計算し、その差を『人数の変化分』とする。」、43ページに参りまして、「次に、1人当たり標準報酬額を平成23年度における1歳上の年齢の値に置き換えて計算し、差額を『年齢上昇に伴う賃金の変化分』とする」ということで、残りがマクロベースの賃金の変化分ということになります。

その分析の結果が図表2-2-9にまとめられております。「(ii)分析結果」は、43ページの一番下のところからスタートしております。「コーホート別にみると、平成24年度末に55歳以上となる各コーホートで減少する一方、54歳以下の各コーホートで増加している」といった記述がございまして、44ページの段落「要因分析をみると」以下に、最初の段落が厚生年金男性、次の段落が厚生年金女性、次の段落が国共済、次の段落が地共済、最後の段落が私学共済と、それぞれ要因分析の結果が概略記述してあります。

ここでは、厚生年金男性のところを若干読み上げますと、「厚生年金男性の場合、年齢計では『人数の変化分』が減少要因、『年齢上昇に伴う賃金の変化分』及び『マクロベースの賃金の変化分』が増加要因となっている」という記述がされております。

なお、国共済についても申しますと、国共済の3行目でございますが、「コーホート別にみると、『マクロベースの賃金の変化分』はすべてのコーホートで減少要因となっており、国家公務員の給与の特例減額による影響が大きく反映されている」と記述されております。

45 ページからは第3節「受給権者の現状及び推移」です。まず、「(1)受給権者数」「(i)受給権者数」ということで、その推移が図表2-3-1にまとめられております。第1段落では厚生年金3,405万人以下、制度別の受給権者数が記載されておりまして、第2段落最後のところですが、「これらの重複を除いた、何らかの公的年金の受給権を有する実受給権者数は、3,942万人である」と記述されております。

それから、46ページの初めのところですが、「受給権者数の推移をみると、各制度とも増加傾向が続いている」ということで、以下、最近の増加傾向について制度別に記述がされております。

次の「(ii) 受給者数」、47ページの「(2)年金種別別にみた状況」につきましては、時間の関係から省略させていただきたいと思います。

それでは、50ページの「(3)年金総額」「(i) 年金総額」に進みたいと思います。図表2-3-5です。本文では、第1段落ですが、「平成24年度末の年金総額は、厚生年金27.9兆円、国共済1.8兆円、地共済5.0兆円、私学共済0.3兆円、国民年金20.3兆円となっている。公的年金全体では55.4兆円であった」と記述されております。

51 ページ「(ii) 年金総額の年金種別別構成」については省略させていただきます。

52 ページの「(4)老齢・退年相当の受給権者」のところに進みたいと思います。これにつきましては、53ページ「(ii)老齢・退年相当の平均年金月額」をごらんいただきたいと思います。「平成24年度末の老齢・退年相当の平均年金月額をみると、図表2-3-8に示したとおり、地共済が最も高く20.1万円、次いで国共済19.4万円、私学共済19.0万円、厚生年金14.8万円(厚生年金基金代行分も含む)の順となっている」と記述されております。

55 ページの「(iii) 1人当たり保険料と平均年金月額」、56ページの「(iv) 本来支給、特別支給の平均年金月額」については、省略させていただきたいと思います。

58 ページの「(v) 老齢・退年相当の平均年金月額の推移」をごらんいただきたいと思います。これは図表2-3-11にまとめられており、本文では2行目からですが、「被用者年金では、平成24年度の対前年度増減率が、厚生年金及び地共済でともに0.8%減、国共済で0.4%減、私学共済で0.1%減となり、引き続き各制度で減少している」と記述されております。

その要因につきましては、61ページの「(vii) 平均年金月額の減少要因」というところに記述されております。「その要因として以下のことが考えられる」として、 給付乗率、 物価スライド、 定額部分の支給開始年齢の引上げ、の3点が挙げられております。

続きまして、62ページの第4節「財政指標の現状及び推移」に進みたいと思います。「(1)年金扶養比率」からになります。「年金扶養比率は、1人の老齢・退年相当の受給権者を何人の被保険者で支えているかを表す指標である」と、指標の意味を簡潔に記載した上で、具体的な内容の記述を始める形がとられております。

63 ページの上から2段目ですが、「年金扶養比率の推移をみると、図表2-4-2に示すとおり、各制度とも一貫して低下している」という記述になっております。

「(ii) 年金種別費用率」につきましては、省略させていただき、65ページの「(2)総合費用率」に進みたいと思います。図表は2-4-6です。「総合費用率は、実質的な支出のうち自前で財源を用意しなければならない部分の標準報酬総額に対する比率である」ということで、図表2-4-6の下の文章ですが、「総合費用率の推移をみると、厚生年金(実績)は、平成20年度以降上昇傾向にあったが、平成23年度以降は低下している。厚生年金基金の代行部分を含めた『実績推計』についても、同様の傾向である」と述べられています。

国共済及び地共済につきましては、66ページの上から3行目ですけれども、「平成24年度は、国共済が2.8ポイント、地共済が1.3ポイントの大幅な上昇となった。この主な要因としては、追加費用が本来の水準に戻り大幅に減少したことや、標準報酬総額の減少等が挙げられる。また、国共済については、地共済との財政調整で拠出する側になったことも要因となっている。」と記述されております。

私学共済については、その次の段落です。「私学共済の総合費用率は、(中略)平成24年度は1.7ポイントと特に上昇幅が大きいが、これは、年金保険者拠出金の大幅な増加が主な要因である」と記述されております。それから、総合費用率と保険料率を比較しておりまして、「図表2-4-7に示すとおり、各制度とも総合費用率が保険料率を上回る状況が続いている」と記載されております。

67 ページの「(ii) 厚生年金相当部分に係る総合費用率」については省略させていただきます。68ページ「(i)独自給付費用率」、69ページ「(ii)基礎年金費用率」についても省略させていただきたいと思います。

70 ページ「(4)保険料比率及び収支比率」に進ませていただきたいと思います。まず、「(i) 保険料比率」では、「保険料比率は、実質的な支出のうち自前で財源を用意しなければならない部分のどの程度を保険料収入で賄えるかを示した指標である」と指標の意味を概略述べてあります。

その次の段落です。「すべての制度で、実質的な支出のうち自前で財源を賄わなければならない部分が保険料収入より多くなっており、運用収入や積立金の取崩し等により財源を補っている状況である」と記述されております。

それから、保険料比率の推移についての記述は図表2-4-11の下の部分から始まりますが、「厚生年金は、(中略)全体的には上昇傾向にある」ということで、平成24年度は3.3ポイント上昇したということです。

71 ページに参りまして、国共済の保険料比率については、3行目からですが、「特に平成24年度は、追加費用の大幅減少や財政調整拠出金による実質的な支出の増加と、標準報酬総額の減少等による保険料収入の減少が重なり、7.5ポイントの低下となっている」、地共済につきましては、その次の段落で「平成24年度は、保険料収入は増加したものの、追加費用の大幅減少等による実質的な支出の増加の影響で、2.6ポイントの低下となった」、私学共済につきましては、「平成24年度の低下の要因としては、年金保険者拠出金の大幅な増加による実質的な支出の増加が挙げられる」、さらに、国民年金につきましては、一番下の3行ですが、「平成24年度は、この精算額が小さくなり、決算ベースの基礎年金拠出金が大きく増加したことなどから、保険料比率は大幅な低下(△25.9ポイント)となった」と記述されております。

72 ページ「(ii) 収支比率」につきましては、3行目ですが、「国共済以外の制度で100%を下回っており、自前で財源を用意しなければならない分を保険料収入と運用収入で賄うことができている状況」となっています。

73 ページからは、「(5)積立比率」です。図表は2-4-13です。指標の意味については、「積立金が、実質的な支出のうち自前で財源を用意しなければならない分の何年分に相当するかを表す」ということでして、24年度の状況につきましては、74ページの最初の段落ですが、「地共済及び私学共済が高く、厚生年金及び国民年金が低い」、国民年金につきましては、「決算ベースの基礎年金拠出金の増加などの影響で、1.3ポイント低下した」と記述されております。

75 ページ「(6)被用者年金制度計の財政指標」です。最初の段落ですが、「被用者年金制度が一元化されることを踏まえ、今回新たに年金数理部会において推計した。なお、被用者年金制度計の年金扶養比率は、各制度の老齢・退年相当の受給権者数の単純合計を用いて推計している。また、総合費用率、独自給付費用率、保険料比率、収支比率及び積立比率は決算ベースの数値を推計したものであり、厚生年金の厚生年金基金代行分を含まず、国共済、地共済、私学共済の職域部分を含んでいる。」と留意事項が述べられておりまして、内容的には図表2-4-14にまとめられているとおりです。

76 ページの図表2-4-15は、被用者年金制度計の厚生年金相当部分に係る財政指標を示したものです。これにつきましては、第2段落目の下の3行です。「保険料比率、収支比率及び積立比率については、共済年金の保険料収入、運用収入及び積立金を、厚生年金相当部分と職域部分に分けることができないため、指標を作成していない。平成24年度における被用者年金制度計の厚生年金相当部分に係る総合費用率は20.1%となっており、平成23年度とほぼ同水準であった」という記述でまとめられております。

以上が第2章の主要な内容でございまして、その後の77ページ以降に続く参考あるいは詳細統計表につきましては、省略させていただきたいと思います。

次に、3章に参りたいと思います。

「第3章 平成21年財政検証・財政再計算結果との比較」です。

ここでは、まず99ページの第2段落をごらんいただきたいわけですが、「実績と平成21年財政検証・財政再計算の結果の比較にあたっては、厚生年金と国民年金では、将来見通しの対象範囲が決算ベースとは異なることから、決算の実績に一部修正を加え将来見通しのベースに合わせた『実績推計』を作成し、これを財政検証・財政再計算の結果と比較している。また、国共済と地共済については、財政単位が一元化されていることから、年金数理部会において『国共済+地共済』の実績を推計して比較している。」と、どういう形で比較をしているかということがまとめられております。

第1節は「財政収支の実績と将来見通しの比較」ということで、まずは「(1)被保険者数等の実績と将来見通しの比較」です。

図表につきましては、100ページの図表3-1-1です。内容としましては、99ページにありますように、「厚生年金では実績が将来見通しを下回っているが、その他の制度では実績が将来見通しを上回っており、平成23年度までと同様の傾向を示している」というものになっております。

次に、100ページの「(ii)標準報酬総額の実績と将来見通しの比較」ということで、図表につきましては、101ページの3-1-2です。最初に1人当たり標準報酬額について記述し、その後、第2段落目で標準報酬総額について記載するという体裁をとっております。「1人当たり標準報酬額についてみると、平成24年度は、被用者年金各制度ともに実績が将来見通しを下回っている。(中略)標準報酬総額についても、国共済と私学共済を除き、1人当たり標準報酬額と概ね同様の傾向にある。国共済と私学共済は、(中略)被保険者数の乖離が拡大している影響を受けている」という記述となっています。

次に、「(iii) 受給者数の実績と将来見通しの比較」です。図表につきましては、図表3-1-3が102ページ、103ページの2ページに渡っています。本文では、100ページにありますとおり、「平成24年度は、被用者年金各制度ともに実績が将来見通しを下回っており、平成23年度までと同様の傾向を示している。国民年金では、実績と将来見通しが概ね同水準で推移してきている」と記述しております。

104 ページに参りまして、「(2)経済的要素の実績と将来見通しの前提との比較」です。まず、「(i) 物価上昇率」です。「平成24年は、実績が将来見通しの前提を下回っており、平成23年までと同様の傾向を示している」ということで、図表は3-1-4です。そして、今回の報告書(案)では平成21年からの累積についても図表をつけております。累積の物価上昇率についてみると、「平成23年より乖離が拡大している」ということです。なお書きで、なぜそういうことを累積で比較しているかについて、理由が述べてあります。すなわち、「保険料収入、給付支出及び積立金は、財政検証・財政再計算の基準時点から当該年度まで累積した経済的要素の乖離の影響を受けるためである」というふうに記載してあります。

次に、105ページ「(ii) 賃金上昇率」です。図表は3-1-6で、本文では「賃金上昇率についてみると、被用者年金各制度において、名目賃金上昇率、実質賃金上昇率とも、実績が将来見通しを下回っている。特に国共済では乖離の程度が大きい」という記述です。

106 ページは、賃金上昇率の累積についてまとめたもので、図表は3-1-7になります。「名目賃金上昇率、実質賃金上昇率ともに、実績が将来見通しを下回っている。特に国共済では乖離の程度が大きい」と、24年度単年度に関するものと同様の記述となっております。

(iii) 運用利回り」につきましては、図表3-1-8、107ページのところです。本文では、106ページの下の部分からになります。「名目運用利回りが名目賃金上昇率を上回る部分(以下「実質的な運用利回り」という。)で比較することが適当である。平成24年度は、被用者年金各制度とも実質的な運用利回りの実績が将来見通しの前提を上回っている」という記載になっております。

108 ページでは、運用利回りの累積について見ておりまして、「平成24年度は、被用者年金各制度とも実績が将来見通しの前提を上回っている」と記述しています。

109 ページは、「(3)収入の実績と将来見通しの比較」ということで、まずは「(i)保険料収入の実績と将来見通しの比較」になります。図表は3-1-10です。本文では、「平成24年度は、各制度ともに実績が将来見通しを下回っている。特に、国民年金については、実績が将来見通しを大幅に下回ってきているが、これは、国民年金保険料の納付率の実績が財政検証における前提から大きく乖離してきたことによるものである」という記述がされております。

110 ページは、「(ii) 国庫・公経済負担の実績と将来見通しの比較」です。図表は3-1-11になります。本文に記載のとおり、「平成24年度は、被用者年金各制度では実績が将来見通しを上回り、国民年金では実績が将来見通しを下回っている」という状況になっています。

110 ページ下からは、「(iii) 運用収入の実績と将来見通しの比較」ということで、図表は111ページの3-1-12です。「平成24年度は、各制度とも、実績が将来見通しを大幅に上回っている」という状況になっています。

続きまして、「(4)支出の実績と将来見通しの比較」ということで、112ページをごらんいただきたいと思います。まずは「(i) 給付費の実績と将来見通しの比較」で、図表3-1-13です。「平成24年度は、被用者年金各制度では実績が将来見通しを下回り、国民年金では実績が将来見通しを上回っている」という状況です。

その下の「(ii) 基礎年金拠出金の実績と将来見通しの比較」では、「基礎年金拠出金だけではなく、基礎年金拠出金算定のもととなる基礎年金給付費、基礎年金拠出金算定対象者数等についても、実績と将来見通しとを比較する」という記述がされております。図表は3-1-14、3-1-15及び3-1-16です。本文の読み上げについては、省略をさせていただきます。

次に、114ページ「(iii) 実質的な支出の実績と将来見通しとの比較」です。図表は115ページの3-1-17になります。本文をご覧いただくと、「平成24年度は、厚生年金、地共済、国民年金では実績が将来見通しを下回り、国共済+地共済、国共済、私学共済では実績が将来見通しを上回っている」と記述されております。

115 ページ「(5)積立金の実績と将来見通しとの比較」です。図表は、116ページの3-1-18になります。「平成24度末は、厚生年金、私学共済では実績が将来見通しを上回っており、国共済+地共済、国共済、地共済では実績が将来見通しを下回っている。また、国民年金では実績と将来見通しが同水準にある」と記述されております。

その際、比較の留意点としてその下の段落になりますが、「国共済、地共済及び私学共済は簿価ベースを基準としており、将来見通し作成当初より、簿価ベースと時価ベースで違いがあることに留意が必要である」という留意点が述べられております。

117 ページからは、第2節「財政指標の実績と将来見通しとの比較」です。まず、年金扶養比率について比較しているものが図表3-2-1になります。本文では、「平成24年度末は、厚生年金及び国民年金では、実績と将来見通しが概ね同水準となっている。国共済+地共済、国共済、地共済及び私学共済では、実績が将来見通しを上回っている」という記述となっています。

118 ページは、「(2)総合費用率、独自給付費用率及び基礎年金費用率の実績と将来見通しとの比較」です。「(i) 総合費用率の実績と将来見通しとの比較」については図表3-2-2で、本文では、「平成24年度は、被用者年金各制度ともに実績が将来見通しを上回っている」という記述となっています。

119 ページ「(ii) 独自給付費用率及び基礎年金費用率の実績と将来見通しとの比較」です。本文に記載のとおり、「独自給付費用率、基礎年金費用率とも、被用者年金各制度で実績が将来見通しを上回っている」という状況です。図表は3-2-2になります。

120 ページは、「(3)保険料比率の実績と将来見通しとの比較」です。図表は3-2-3になります。本文に記載のとおり、「平成24年度は、各制度とも実績が将来見通しを下回っている。この乖離は、分子となる保険料収入の実績が将来見通しを下回ったことによるものである」ということです。

121 ページは、「(4)積立比率の実績と将来見通しとの比較」です。「積立比率についてみると、平成24年度は、厚生年金、国民年金では実績が将来見通しを上回り、国共済+地共済、国共済、地共済、私学共済では実績が将来見通しを下回っている」ということです。

以上で第2節が終わりまして、123ページからは第3節「積立金の実績と将来見通しとの乖離の分析」になります。

分析の手法は昨年度までと同様ですが、(1)で乖離分析の方法についてまとめています。「人口要素及び経済要素の実績と将来見通しとの乖離により各収支項目の実績と将来見通しが乖離し、その結果、収支残の実績と将来見通しが乖離する」ということで、ここでは発生年度別に分解をして、それをさらに細かく分けているということでありまして、具体的な分け方が125ページの図表3-3-1に示されております。

これを見ていただきますと、一番左の24年度末における積立金の乖離の状況につきまして、各発生年度別に分解した上で、それぞれについて、名目運用利回りが将来見通しと異なったことの寄与分と、運用収入以外の収支残が将来見通しと異なったことによる寄与分にそれぞれを分ける。さらに、名目運用利回りが将来見通しと異なったことにつきまして、実質的な運用利回りが将来見通しの前提と異なったことによる寄与分と、名目賃金上昇率に相当する運用利回りが将来見通しと異なったことの寄与分、この2つに分けているということになり、そういった具体的な要因分解の方法につきまして、123ページから124ページにかけて記載をしているということです。

その結果につきましては、126ページ以降でまとめておりまして、具体的な結果につきましては、128ページの図表3-3-2が実額で表したもの、129ページが比率で表したものということになります。

本文の記述で読み上げさせていただきますと、126ページの2段目のところですけれども、「積立金の実績と将来見通しとの乖離を発生年度別にみると、厚生年金及び私学共済では、平成21年度末及び平成24年度においてプラス方向の寄与となっており、これらの寄与が平成22年度及び平成23年度におけるマイナス方向の寄与を上回ったため、結果として平成24年度末において実績が将来見通しを上回っていることがわかる。一方、国共済+地共済、国共済及び地共済では、平成24年度においてプラス方向の寄与となったものの、平成21年度末、平成22年度及び平成23年度のマイナス方向の寄与を上回らなかったため、平成24年度末において実績が将来見通しを下回っている。」という記述になっております。

あとは、各年度の乖離分析の結果がまとめてありまして、最後に、通期の分析結果が127ページの一番下のところでまとめております。

ここをまとめている部分は、129ページの表で申しますと、一番下の段の通期でまとめている分になります。読み上げさせていただきますと、「・名目運用利回りの実績と将来見通しの前提の乖離による部分は、各制度ともプラス方向に寄与していること、・名目運用利回りの実績と将来見通しの前提の乖離による部分のうち、実質的な運用利回りの違いによるプラス方向の寄与が、名目賃金上昇率相当分の実績と将来見通しの前提の乖離に相当する部分のマイナスの寄与を上回っていること、・運用収入以外の収支残は、各制度ともマイナス方向に寄与していること、・運用収入以外の収支残のうち、名目賃金上昇率以外の経済要素、人口要素等は、各制度ともマイナス方向に寄与したこと」が挙げられております。

130ページからは、それをわかりやすく図表にまとめたものです。

132ページからは第4節「財政状況の評価」です。

最初に、「財政状況の評価の考え方」ということでまとめております。「(1)財政状況の評価の考え方」のところですが、「公的年金では、通常の場合、保険料や給付費(総額)が名目賃金上昇率に応じて増減することから、積立金が財政検証・財政再計算の予測から乖離しても、それが名目賃金上昇率の予測と実績の乖離の範囲内にとどまっている限り、長期的な財政の均衡には大きな影響はないと考えられる。このことから、平成21年度までの公的年金財政状況報告では、『財政検証・財政再計算の将来見通しにおいて、名目賃金上昇率の前提と実績の当該年度までの乖離の影響を反映させた場合の積立金の推計値』を算出し、実績の積立金をこれと比較することにより、当該年度末の財政状況を評価してきた。しかしながら、給付費(総額)が名目賃金上昇率に応じて増減するという上記の前提は必ずしも成り立たない」という状況があります。このため、「平成22年度から、財政状況の評価は、上記の(ア)『財政検証・財政再計算の将来見通しにおいて、名目賃金上昇率の前提と実績との当該年度までの乖離を反映させた積立金の推計値』を算出した上、さらに(イ)『給付費等のうち賃金上昇率に連動しない部分の将来にわたる影響』を推計して補正し、これを改めて『評価の基準となる積立金額』として、実績の積立金と比較することによって行うこととした」ということです。

その場合、「『評価の基準となる積立金額』と実績の積立金とが同額の場合、次の から までの前提のもとでは、当年度末の財政状況は、財政検証における将来見通しによるものと概ね同程度であると評価される」というふうに述べております。ここで、前提 は、「今後の期間に係る経済前提や死亡率等の基礎率は、一切変更がない」こと、前提 は、「マクロ経済スライドによる給付水準調整期間には、一切変更がない」こと、前提 は、「評価の対象とする期間は、直近の財政検証・財政再計算で設定された平成117年度までの期間とする(つまり、将来に向かってシフトさせない)」というものです。さらに、なお書きで、「この評価は、上記 を前提とするという制約条件の下で行うものであり、したがって、この前提を変更した場合には、当然のことながら、評価の結果は異なったものとなりうることに留意が必要である」と述べられております。

これは要するに、132ページで行われている議論そのものが、こういった前提のもとで成り立つものだということです。

134 ページの「(2)『評価の基準となる積立金額』の算出方法」につきましては、テクニカルな部分でありますので、省略させていただきます。

それでは、135ページの「(3)財政状況の評価結果」について述べさせていただきたいと思います。

結果は136ページに表がまとめてありまして、グラフで137ページから138ページにかけて示されております。文章について読み上げさせていただきますと、135ページの初めのところになります。「各制度とも、積立金の実績額が「評価の基準となる積立金額」を上回る結果となっていると評価できる。ただし、例えば厚生年金についてみると、積立金の実績額は「評価の基準となる積立金額」を4.8%上回る状況にあるが、平成13年度以降で最も低かった平成20年度の運用利回りが△6.83%であったこと等を勘案すると、単年度の運用収益の大幅な下振れに十分対応できるほど、実績が将来見通し(基本ケース)を大幅に上回って余裕がある状況とまでは言えない。国共済、地共済及び私学共済についても同様に、単年度の運用収益の大幅な下振れに十分対応できるほど、実績が将来見通しを大幅に上回って余裕がある状況とまでは言えない。」という評価になっております。

ここに注44がありますけれども、みていただきますと、「ここでは、実績により運用利回りの変動幅(ボラティリティ)について評価しているが、変動幅の動向については、実際の資産構成や各資産の変動性・相関などを踏まえつつ、今後とも注視していく必要がある」という脚注がついています。

留意点が下3段でついておりまして、4段目を読ませていただきますと、「平成25年度以降は、平成21年財政検証・財政再計算の経済前提や死亡率等の基礎率に従って推移すること及び財政均衡期間は平成117年度までとすることを前提としたものであるため、この前提を変更した場合には、当然のことながら、「評価の基準となる積立金額」やそれを用いて行う評価の結果も異なったものとなりうる。また、平成21年財政検証・財政再計算で設定された基礎率の現時点における妥当性については評価を加えていない。基礎率設定のあり方については、今後、年金数理部会において行う公的年金の財政検証・財政再計算の検証において、検討を加えていく。」という記述になっております。

以上が第3章でございます。

付属資料については説明を省略させていただきます。

最後に、簡単に資料2「公的年金財政状況報告-平成24年度-(要旨)」(案)につきまして、読み上げさせていただきたいと思います。

これは今まで読み上げさせていただきました報告書(案)を前提としてまとめてあります。

1ページ目「1 財政収支」ということで、「公的年金各制度の決算をまとめた財政収支状況は、以下のとおりである」。この記述は、2ページに「単年度収支状況」がありますので、それとの違いがわかるように、こういった記述が加えられているということです。

「公的年金全体の財政収支状況」ということで、「公的年金全体でみると、24年度の収入は保険料収入30.2兆円、国庫・公経済負担11.3兆円等、支出は年金給付費49.8兆円等となっている。24年度末の積立金は、時価ベースで178.2兆円、簿価ベースで162.4兆円であった。」とあり、以下、「保険料収入」「給付費」「積立金」について、制度別の内訳、あるいは前年度に比較した増減がまとめられております。

2ページ目をめくっていただきまして、「単年度収支状況」です。「年金数理部会では、公的年金制度の財政状況を年金財政の観点から制度横断的に比較・分析した「単年度収支状況」を作成している。ここでは、「運用損益分を除いた単年度収支残」と「運用による損益」に分けている。」ということで、図表2が載っておりまして、「図表2の収入では、図表1から運用収入、厚生年金・国民年金の積立金より受入を除き、支出では、国共済・地共済・私学共済の有価証券売却損等をその他から除いている。」と述べています。

どういう違いがあるのかということを述べた上で、3段目でございますけれども、「公的年金全体の運用損益分を除いた単年度の収入総額は43.4兆円、単年度の支出総額は50.1兆円、収支算は△6.7兆円となっている。一方、運用による損益が時価ベースで15.1兆円のプラスとなっており、公的年金全体の時価ベースの年度末積立金は、対前年度で10.3兆円増の178.2兆円となった。」と記述されています。以下の段落では、図表3とともに、制度別に見た収支残の状況が述べられております。

3ページが「2 被保険者」の状況ということで、制度別の内訳、制度全体の数が述べられております。それから、「1人当たり標準報酬額」ということで、制度別の額と、24年度の数字について、前年度から比較した状況がまとめられております。

「3 受給権者」についても同様に記述がされております。

4ページが「4 財政指標」ということで、「年金扶養比率」と「総合費用率」について取り上げて記載されております。

次が「5 実績と平成21年財政検証・財政再計算との比較」です。「積立金の実績と将来見通しとの乖離分析」ということで、「24年度の積立金は、厚生年金、私学共済では、実績が将来見通しを上回る一方、国共済、地共済で、実績が将来見通しを下回った。積立金の乖離を発生要因別にみると、22年度から24年度までの通期でみて、賃金上昇率との差である実質的な運用利回りが将来見通しの前提を上回っていることの寄与が大きい。」という記述になっておりまして、最後が「財政状況の評価」という部分です。

「公的年金では、保険料や給付費など収支両面とも長期的には概ね名目賃金上昇率等に応じて増減することから、積立金に名目賃金上昇率の違い等による乖離が生じても、全体の財政規模が相似的に拡大、縮小するだけであり、長期的には財政的にあまり影響がないと考えられる。そこで、積立金の将来見通しを名目賃金上昇率の違い等に対応する分だけ補正して、評価の基準となる積立金額(推計値)を算出、これと積立金の実績を比較し、乖離の動向を分析することにより、財政状況の評価を行った。

すべての被用者年金制度において、積立金の実績額が評価の基準となる積立金額を上回る結果となっており、財政状況は平成21年財政検証・財政再計算による将来見通し(基本ケース)を上回っていると評価できる。ただし、単年度の運用利回りの大幅な下振れに対応できるほど実績が将来見通し(基本ケース)を大幅に上回って余裕がある状況にあるとまでは言えない。

なお、この評価は、25年度以降、平成21年財政検証・財政再計算の経済前提や死亡率等の基礎率に従って実績が推移すること等を前提としたものであることに留意が必要である。」とまとめられています。

 ご報告は以上でございます。

 

○山崎部会長

 お疲れさまでございました。

 それでは、報告書(案)に対する御意見などがありましたら、お願いいたします。では、野上委員。

 

○野上委員

 どうもご苦労さまでございました。

 作業班とか事務局とのやりとりの中でつくられたものですので、内容について、ここをこうしてくださいというのは言わないということで、ただ、私なりにいろいろ考えたところもございますので、その辺についてちょっと意見を述べさせていただきたいなということでございます。

 まず、総論的な話で恐縮なのですが、公的年金というのは、言うまでもありませんが、賦課方式を前提としておりますので、運用でエクセレントな結果を出しても、例えば賃金が全く伸びないとか、あるいは人口が減っていくというような状況の中では、なかなか維持しがたい面があるなと。

要因としては、子供の数が余り減らないというか、できたらふえていくほうがいいのですが、そういう面が大事だというのは前から重々意識されておるのですが、それによってマクロ経済スライドというものも導入されているというふうに理解しております。

ここに来て、106ページにございますように、例えば厚生年金の実質賃金上昇率が、財政検証の初めから累計して7.4%実績を下回っている。この辺は今後十分注意していく必要があるのではないかなと思います。

ですから、親の世代よりも子供の世代あるいは孫の世代というのは実質賃金が上がっていくことで豊かになっていくというのが、賦課方式を中心とした公的制度の大前提になっているということかと思います。その辺の前提が少子化に加えて若干心配な状況になっているということかなと思います。

 今回の報告書なのですが、注を2つ追加いただきましたので、その点についてコメントさせていただきます。

まず、135ページの注44です。ここは運用に関しての注でございます。読み上げていただいた部分ですが、ここに「相関」というのがございまして、「変動幅・相関」と書きますと、どちらかというと変動幅を抑えるような意味合いで読まれる方もおるかもしれませんが、私自身は、最近の例で言いますと、リーマンショックのときに、今まで前提としていたような資産ごとの相関が大きく崩れたというのを経験しております。

あるいはこういう例を挙げていいかどうかというのはわからないのですが、アベノミクス自体は、金融を緩和しまして金利が下がっていく。伴って株が上昇している。要は、両方プラスの相関が生じておるわけです。

ただ、例えば物価が上がって金利が上がっていくときに、相関が維持されまして、金利が下がったときに株は上がったので、将来、金利が上がるときに株が下がってもとのもくあみで、どうしようもないということでございますので、アベノミクス自体は、ある意味で変動幅の相関が変化していくのを前提にしているということだと思います。ですから、ここは、要は、いろんな資産に分ければうまくいくとは限らないということかと思います。

132 ページの注37ということでございます。最後のところで「必要な補正を行っている」と。ここは、私の解釈としましては、必要な補正は行っていただいていると思うのですが、もしかしたら十分ではないかもしれない。数学をやっている者は「必要十分」とかとよく言うのですけれども、十分な補正をやっているのかなと思っております。

例えば賃金上昇に連動しない部分という修正自体は2年前からやり始めたわけで、逆に見ますと、それまではそういう視点がちょっと抜け落ちていたというのは事実だと思うのです。非難しているわけではなくて。

例えば賃金上昇というのは、運用がうまくいった、いかないというのとは違って、年金制度の給付自体が、いわゆる新幹線の1両目みたいに基礎年金部分が出っ張っているというか、そぎ落とされていますので、賃金が下がると、もしかしたら財政上マイナスの影響が出てくるかもしれない。要は、平均的に負担しているのでなくて、報酬に比例して保険料が入ってきますので、賃金が下がって全体の保険料が減ってくると、一方で給付のほう、基礎年金部分というのは下支えされていますので、もしかしたら財政上マイナスかもしれないなと。そういう影響に関しては、例えば7.4%減ったと先ほど申し上げましたが、それで本当に将来とも影響がないのかなというのは心配なわけでございます。

翻って、最近決まりました次の財政検証の前提というのを見てみますと、いろいろな見方があると思うのですが、長期の計画を立てるときに民間人もよくやるのですが、いわゆるホッケースティック型といいますか、近い将来はかなりコンサバにやって、遠いところはかなりアグレッシブ、力強くやるということで見てみますと、前半部分、スタートの二、三年は実質賃金がマイナスというふうな想定をされています。途中でプラスに転じて、最終的にはかなり実質賃金が上がっていくという想定になってございます。ですから、次の財政検証の中で、この実質賃金というのがマイナスからプラスに転じるかどうかというのが非常に大きなポイントの1つになっているかなと。

そういうことで見ますと、我々は毎年、こういう形で一生懸命分析しておるのですけれども、実質賃金の動向が大きく影響する中では、やり方として、そろそろ革新といいますか、違うやり方を考えたほうがいいのではないかなと。私自身は、財政検証を毎年やったらどうかという過激な意見を持っておりますが、例えばその前段階で、経済前提とかはそのまま置いて、シミュレーションだけもう一回やってみるというのも1つのやり方かなと思います。

今回の財政検証の次の回は、8つの経済前提にプラスして政策オプション、掛け算になるのか、足し算になるか知りませんが、大量の計算をされるというふうにお聞きしておりますので、もしかしたら計算の能力は事務局のほうでもかなり高まっているのではないかなと思いまして、できたらこういう職人技のような分析ではなくて、コンピュータを使ったような分析をしていただけると非常にありがたいなと。これは来年以降の課題、意見として述べさせていただきます。

以上でございます。ありがとうございました。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。

 とりあえず報告書としてはこれでいいけれども、今後の留意点ということでご意見をいただきました。ありがとうございました。

 事務局から何かありますか。

 

○清水首席年金数理官

 ありがとうございます。

 野上委員御指摘の1点目、135ページの注44「変動性・相関」の「相関」の部分の意味でございますけれども、事務局としても、「相関」の意味というのは、単に相関係数ということだけではなくて、幅広い意味での「相関」と理解しております。いわゆる裾野依存性などと呼ばれる状況もあり、最近では、コピュラなどによって、金融の裾野の特異な動きも表現し、一定見ていかなければいけないのだといった議論もあります。「相関」については、そのようなものとして私どもも認識はしているということでございます。

ただ、そうしたリスクの管理を具体的にどうやっていくのかというのは、また別の問題になろうかと思います。

2点目の132ページ注37のところでございます。先ほどの読み上げのときに少し申し上げたのですが、いずれにしても、ここで行っている分析というのは、今後の期間、つまりこれから先の期間については、賃金上昇率というものが経済前提で置かれていたものに復帰するということを仮定し、その上で、決算時点までに前提からずれた分の影響をどう評価するのか、そういうフレームの中でやっているものだということです。ですので、今、野上委員御指摘のように、それが今後どうなるのかという話まで含めた評価にはなっていない。それはこの分析の制約条件というのか、そういう枠組のなかでやっているということなのです。

ですから、これまでこういう形でやってきたということなのですけれども、もちろんこういう分析だけでいいのかどうかということにつきましては、新しい分析方法を検討するということは、常に私どもの課題として認識しておりますので、現状に満足することなく勉強を続けていきたいと思っています。

3点目、実質賃金上昇率が今後どうなるのかということにつきまして、年金数理部会では、これから公的年金の財政検証・再計算が行われて、その結果について年金数理部会においてレビューをしていただくということになろうかと思っていますが、そういう中で、基礎率というものはそもそもどういう考え方に基づいて設定していくべきなのか。こういったことについて、具体的なモデルに深入りするというよりも、基本的な考え方のようなことも含めて、さまざま議論をしていただく必要があろうかと思っていますので、そういったときには、今、野上委員が御指摘になったようなことも含めて、議論はされていくのではないかというふうに私どもとしては認識しているということでございます。

 

○山崎部会長

 ほかにございますでしょうか。田中委員。

 

○田中委員

 今の野上委員の話にちょっと関連するかもしれませんが、死亡率とか国民年金の納付率についても少し考えたほうが良いのではないかというコメントです。

112 ページ「給付費の実績と将来見通しの比較」のところで、図表3-1-13を見ますと、ちょっと不思議に思ったのは、財政検証の結果と実績推計の結果で、高齢者の死亡率が今も低下傾向を続けていると思っていたのですが、実績推計のほうが実は給付が少なくなっている。これは、要するに、予定と実績との関係において保守性を見込み過ぎているというか、そういう感じも受けるのですが、この解釈で正しいのかどうかというのが質問です。

それと同じことで、103ページ「図表3-1-3 受給者数の実績と将来見通しとの比較」でも同じような傾向が見られるのですが、各制度における死亡率の設定についての考え方が、おそらく制度全体、例えば国民死亡率のようなものを予定死亡率にしている、あるいは改善を見込むとか見込まない、その辺の話について各制度においてもうちょっと精緻にしていったほうがいいのではないかなと。これは意見です。

また、その辺の実情を教えていただきたいということ。これは質問です。

あと、109ページ、国民納付率の話は以前からも出ているのですが、80%の見込みに対して、実際には60%であるということで、60%を計算基礎率というふうに見てしまうと、60%でいいよということになってしまうのです。基礎率を目標と考えるのか、あるいは客観的な単なる計算基礎だと思うのかによって立場が変わってくると思うのですが、先ほどの賃金の上昇率などについても、政府が設定するものですから、余りペシミスティックな前提を置きたくはないというお気持ちもわかるのですが、その辺の計算基礎率のあり方について少し整理して考えたいなと思っているのですが、その辺についても御意見をお聞きしたいということです。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○清水首席年金数理官

 まず最初に、図表3-1-13で財政検証と比較して給付費が思ったほど伸びていないという御指摘であったかと思いますが、それについては、まず、新規裁定の分は賃金スライドになるところ、賃金が見通しほど伸びていないという点が1つあります。

 もう一つは、既裁定者については物価スライドするということなのですが、物価が見通しよりは伸びていないといったことも影響しているのではないかと見ております。

御指摘の受給者数の実績と将来見通しというところでこの乖離をどう評価するかいうことで、受給者数につきましては、難しいのは、記録訂正によって新しく受給者が出てきているという要素があるのです。そういうことで、死亡率の設定が正しかったかどうかという評価について、3年間の時限措置でそういうことが行われているので、評価しづらいという要素が一方にあります。非常に特殊な事情ですけれども。一方で、基礎率設定が実際の現実を見てどうだったかといったことについて、こうした中でも評価していく努力というのは、今後のレビューの中で考えていく必要もあろうかと思っております。

納付率について、目標なのか、中立的な前提を置くのかという御指摘だったかと思います。これは、それぞれの制度を所管する立場において、どういう前提を設定されるのかという問題でありますが、私ども年金数理部会あるいは事務局というのは、制度を所管する立場でない立場からレビューしていくということですので、そこでいろいろな視点から、今後、御検討を賜っていけばいいのではないか。

これは、日本でそうするかどうかは別問題として、昨年11月に年金数理部会でセミナー形式の部会を開催させていただいたときに、IAA(国際アクチュアリー会)のISAP2という実務基準が、社会保障の年金について出されたということで、御報告させていただいたかと思うのですが、そこで言われていたのは、中立的な前提の設定ということが基本的な考え方になっていたということです。日本では、ISAP2を採用しているというわけではないですけれども、国際的な議論のなかでは、そういうことが言われているということは認識しておく必要があるということかと思います。

いずれにしても、日本ではどうあるべきか、ということについては、今後の年金数理部会においてレビューしていただく中で、さまざま御議論をいただければいいのではないかということでございます。

 

○山崎部会長

 田中委員、よろしいですね。

 

○田中委員

 はい。

 

○山崎部会長

 ほかに。どうぞ。

 

○駒村委員

 報告書については、私も特段申し上げることはございません。

先ほど野上委員、田中委員からお話があったことに関連して、今後年金数理部会がどういう役割を果たしていくかというところで、私も年金部会のほうに入っているので、先ほどもあったような経済前提8パターンをつくって、どういう財政検証を行っていくかにもよると思うのですけれども、21年財政検証によって、基準ケースをもとにして、それを比較して数年間作業をやってきたことは、安定しているかどうかを毎年チェックできたので評価ができたわけですが、今度8パターンが出た場合に、基準ケースというのが仮に置かれなかった場合、年金数理部会が、今度の検証が終わった後の間をどうつなげていくのか、また研究するか、検討していったほうがいいのではないかなと思います。8パターンに対してどういうふうに見ていくのかというのは、年金部会の議論の結果にもよると思いますけれども、年金数理部会はそれをどう受け取るかというのは、また研究する必要があるのではないかなと思います。

以上です。

 

○山崎部会長

 ほかにございますでしょうか。林委員。

 

○林委員

 皆さんおっしゃるとおり、報告書はこれで十分だと思っております。

 常日ごろ思っているのですが、年金数理という固有名詞的な技術があるわけですね。その場合、被保険者、公的年金の場合には受給権者も含みますが、加入者の分類を制度別、年齢別、男女の性別、標準報酬の分布等の切り口で分析していくわけです。

 今後問題が起こってくるのは、被保険者それぞれの雇用形態にあるのではないかなと考えています。

アバウトな話ですが、所得階層を3分類しますと、中位にある者は、被用者年金に加入しているのではないか。上位にある者はどのくらいのウエートがあるか分かりませんが、自営業者とか独立した方でしょうか、国民年金に加入する。下位にある者は、国民年金の被保険者、あるいは受給権者であって、先ほどもありましたように無職の者とか、実際勤め人でありながら被用者年金の加入条件では救いきれない者、少人数の職場で働いているとか、もちろん非正規の労働者が全部入るとは思わないのですが、そういう者が大宗を占めているのだろう、その一方で被用者年金には正規の労働者の大半が加入しているのではないかと思うのです。

現在、非正規の労働者の割合が37%というような数字も出ておりまして、これは十年前だと2割ぐらいだったと聞いております。そうすると、非正規の労働者が徐々に国民年金のほうに移っていくと、言葉は過ぎると思うのですが、ちょっと野に放つような感じになります。

一方、被用者年金の方は、被保険者、つまり分子がだんだん減っていって、受給者である分母は余り変わらないとすると、さらに年金扶養比率が低下していくのではないか。

さらに、今、グローバル経済化ということで貿易関税交渉をやっていますが、経営の効率化が問題になってくると、まずコスト、雇用の流動化というか、手っ取り早く人件費を下げる、あるいは採用を抑制するということになると、正規の労働者が減少する度合いが明らかになっていくのではないかなと。

国民年金のほうに移っていくと、なかなか管理が難しいし、今は未加入者をできるだけ抑制するようにしているようですが、先ほどありました未納率みたいなものが増えていくと、構造的に公的年金全体の財政が厳しくなるのではないかなと思います。

ただ、先ほど申しましたように、これまでの年金数理の切り口ではそこは把握できていない。そこは誰かがチェックしているのかなということが質問でございます。

以上です。

 

○山崎部会長

 質問だそうですから。

 

○清水首席年金数理官

 経済前提に限らず、人口要素も含めて、そういった前提の設定ということについては、5年に一度行われる財政検証・再計算のときに相当深く、あるいは長期にわたって検討されて、前提として設定されております。ただ、それがそのとおりいくかどうかというのは、もちろん別問題でありますし、今、林委員御指摘のようなことできちんとチェックはしていかなければいけない。そういう意味では、制度が仮に一元化で1つになったとしても、そういった部分のチェックというのは、この年金数理部会においてきちんとやっていただく、あるいは事務局もそれについてサポートしていく。こういうことをまずやることが必要ではないかと感じた次第でございます。

 

○林委員

 ありがとうございました。

 

○山崎部会長

 宮武部会長代理。

 

○宮武部会長代理

 毎年度この財政状況報告をまとめております。そのつど公的年金制度は、盤石とまでは言わないけれども、制度の持続性の面で大丈夫だよというメッセージを世の中に発しているわけです。ただ、世の中一般には、そうは言っても、これだけ少子化と長命化が並行してどんどん進んでいけば、年金制度は本当にもつのかいという不安とか不信が逆に広まっている。我々は、それに対してどういう形で応えていくのかということを常に考えておかなければいけないと思うのです。

 確かに現状報告ですから現状を分析するわけですけれども、例えば年金扶養比率などのところを考えますと、先行きは、もっと年齢に関係なく働ける社会や、あるいは子育てをしながら女性たちが働ける社会をつくっていって、適正に労働力率が上がっていくということを前提で、この分析をやっているのだと。たしか労働政策研究・研修機構か何かが出しています。適正な労働力率、望ましい労働力率というのは、2030年で60代前半の働きたい人は9割までが働ける、女性は20代後半から40あたりでM字型カーブがあるところががーんと上がって、働きたければ8割ぐらいが働ける、そういう推定と前提で年金の将来像も見通しているわけです。

これから先行きは、いわば目標というか、社会全体が取り組むべき宿題を我々の世代で解かなければならない、というメッセージを報告書の中に入れていく必要があるのではないかなと思っておりまして、以前にもちょっと言ったことがあるのですけれども、その辺はこれから先の報告をまとめていくときに念頭に置きたいなと思っております。

お答えは結構でございます。

 

○山崎部会長

 次の報告のときはその辺も踏まえてやれということですね。

 

○宮武部会長代理

はい。

 

○山崎部会長

 わかりました。

 ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、委員の皆様にはいろいろと貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。

報告書そのものの修文が必要との御意見は特にございませんでしたので、これをもちまして、本部会の平成24年度公的年金財政状況報告とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 

(「はい」と声あり)

 

○山崎部会長

 異議がないものと認めます。

それでは、これを本部会の報告とさせていただきたいと思います。

最後に事務局より今後の日程等について、よろしくお願いいたします。

 

○清水首席年金数理官

 今後の日程につきましては、調整して御連絡申し上げますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 

○山崎部会長

 それでは、本日はこれで終了いたします。どうもお疲れさまでした。


(了)

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