ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 「日本人の食事摂取基準(2015年度)」策定検討会> 第6回「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会 議事録(2014年3月14日)




2014年3月14日 第6回「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会 議事録

健康局がん対策・健康増進課栄養指導室

○日時

平成26年3月14日(金)14:00~15:15


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○出席者

構成員<五十音順・敬称略>

雨海 照祥 ( 武庫川女子大学教授)
勝川 史憲 (慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授)
門脇 孝 (東京大学大学院医学系研究科教授)
河野 雄平 (独立行政法人国立循環器病研究センター生活習慣病部門長)
木戸 康博 (京都府立大学大学院教授)
葛谷 雅文 (名古屋大学大学院教授)
熊谷 裕通 (静岡県立大学教授)
児玉 浩子 (帝京平成大学教授)
古野 純典 (独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長)
佐々木 敏 (東京大学大学院教授)
柴田 克己 (滋賀県立大学教授)
柴田 重信 (早稲田大学教授)
曽根 博仁 (新潟大学大学院教授)
多田 紀夫 (東京慈恵会医科大学教授)
寺本 民生 (帝京大学名誉教授・臨床研究センターセンター長)
中村 丁次 (神奈川県立保健福祉大学学長)
菱田 明 (浜松医科大学名誉教授)
深柄 和彦 (東京大学附属病院手術部准教授)

事務局

佐藤 敏信 (健康局長)
椎葉 茂樹 (がん対策・健康増進課長)
河野 美穂 (栄養指導室長)
芳賀 めぐみ (栄養指導室長補佐)

○議題

(1)報告書の取りまとめについて
(2)その他

○議事

○河野栄養指導室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第6回「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会を開催いたします。

 構成員の皆様方には御多忙のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。

 本日は、佐々木雅也構成員におかれましては、御都合により御欠席です。

 まず、配付資料の確認をさせていただきます。

 お手元、議事次第、座席図、構成員名簿をおめくりいただきまして、資料1として「前回検討会での主な指摘事項に対する修正内容」、資料2といたしまして「日本人の食事摂取基準(2015年版)(案)」、資料3として「学会からのご意見への回答(案)について」でございます。

 これ以外に、先生方のお手元、机上配付として、報告書の全文の(案)、また、2010年版の冊子、さらに第1回から第5回検討会の資料を水色の紙ファイルで配付しております。不足はございませんでしょうか。

 それでは、これ以降の進行については菱田座長にお願いいたします。

○菱田委員 それでは、会議に入りたいと思います。

本日が最後の検討会になりますので、よろしくお願いいたします。

前回の検討会では、報告書(案)について御議論いただき、さまざまな意見をいただきましたが、本日は、前回いただきました指摘事項に対する修正内容を中心に、報告書の取りまとめに向けて議論していきたいと思います。

では、まずワーキンググループの座長でいらっしゃいます佐々木構成員から、前回の検討会での主な指摘事項に対する修正内容について、資料1、資料2を踏まえて説明をお願いいたします。

 よろしくお願いします。

○佐々木(敏)構成員 わかりました。

 それでは、前回御指摘いただいた内容について、修正内容を御報告申し上げます。

 少々内容が多くございますのでお時間をいただきますが、一つ一つ進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それから、申しわけございません。私、風邪を引いてしまいまして、ちょっと声が出にくいのですけれども、お許しいただきたいと思います。わかりにくいところがありましたら、どうぞ御指摘、御質問ください。お願いいたします。

 資料1に従って御説明申し上げます。

最初が「策定の基本的事項及び留意事項について 1)入院患者への適用について」というところでございます。

主に資料2に従って説明をしていきまして、それ以外の補足説明が必要なところがある場合のみ、卓上配付の資料で御説明申し上げる予定にしております。

「資料」と申しますのは全て「資料2」を指します。資料2の2ページ「1-1 対象とする個人並びに集団の範囲」の第2段落に、治療を目的とする場合の基本的な考え方を追記いたしました。

少しだけ読み上げますと、「また、疾患を有していたり、疾患に関する高いリスクを有していたりする個人または集団に対して、治療を目的とする場合」という文言でございます。ここでは、その疾患に関連する治療ガイドライン等の栄養管理指針を用いる。しかしながら、その前段といたしまして、食事摂取基準に関する基本的な考え方を理解した上でという文章といたしました。

次は、「日間変動に関連して、時間栄養学、日内変動についても記述が必要ではないか」という御意見を頂戴いたしました。これにつきましては、資料2の13ページ「3 策定留意事項」のところに「3-3 摂取の回数・割合、速さなどの健康影響」という項を設けました。御指摘のとおり、食事の回数(頻度)、時間、そして1日の中での食事量、エネルギーやそのほかの栄養素の割合、食べる速さなどが健康に対して無視できない影響を与えているという研究がかなりふえてきました。それを受けまして、代表的な文献を引用いたしましてここに1つの項を設けました。

最後に、「しかしながら、日常生活のなかでの食事摂取は生物学的な概日リズムとともに外的な要因の影響も受けており、更なる基礎研究並びに疫学研究が必要であると考えられる。現時点においては研究途上であり、今後の課題であると考えられる」といたしました。

 その次は、「活用に関する基本的事項について」のところでございます。

「1)食事調査法について」です。「食事調査法のまとめ」の表の中に「生体指標」というのがございまして、栄養評価を目的としたものなので、ここでは入れないほうがよいのではないかという御指摘を頂戴いたしました。

これに関しましては、17ページに表4がございまして、一番下が生体指標でございます。「短所」のところを追記いたしました。「摂取量を直接に測定するわけではないため、あくまでも摂取量の代替値としての扱いに留まる」というところをつけ加えまして、また、「摂取量以外の要因(代謝・吸収、喫煙・飲酒など)の影響を受ける場合がある」といたしました。

その一方で、「長所」のところで「摂取量の大部分が吸収され、かつ、その大部分が尿中に排せつされるミネラルでは有用な調査法」となるということで、それぞれ長所と短所についてもう少し詳細に記述をすることにいたしました。

 続きまして、同じく食事調査法のところでございます。

食事調査法の調査票例のBDHQDHQについて

・正しく使われないと、一人歩きして、誤った使い方になるので、適切に用いることを強調すべき。

・妥当性や再現性の検証については、どの程度の妥当性や再現性なのか、提示するとよいのではないか。

という御指摘をいただきました。

それをそのまま受けまして、18ページにそれに相当するところを追記いたしました。具体的に申しますと、18ページの参考3の最後の段落「例えば」から始まるところで妥当性、再現性の検証についての記述を盛り込みました。

また、誤った使い方にならないように、使い方について概念的にしっかりと理解するようにという文言はそのまま残してございます。

それから、調査票の一部を抜粋して具体的な例としてお示ししておりましたが、一部だけ示すことが一部の抜粋なのかというところで、誤解を与えるおそれがあるかもしれないと考えまして、掲載をしないということでの整理をいたしたいと考えております。

その次は、考慮するエネルギー及び栄養素の優先順位です。これは現行の2010年版におきましては「考慮するエネルギー及び栄養素の順位」という項が設けられてございます。ところが、前回の検討会の資料においてはそれがありませんでした。その記述に対してはどうするのかという御指摘をいただきました。

そこで、24ページから25ページにわたりまして「指標の特性などを総合的に考慮」という表題を設けまして、これに相当する部分としたいと考えております。

どういうことかと申しますと、一律に全国民に対して考慮するべきエネルギー、栄養素について優先順位をつけて幾つかを挙げるということは、今回は避けたいと考えております。

なぜかと申しますと、それは集団の特性、個人の特性を正しくアセスメントをし、そこから得られた情報から重要なエネルギー及びどの栄養素かということを、それぞれの食事摂取基準を使う者が取捨選択をしてほしいということ、そういう活用のところの理念に沿うものであると考えまして、具体的な栄養素名は挙げないこととしたいと思います。

しかしながら、どのように考えるかというプロセスについて、タイトルでは「総合的に」と簡単に書いてございますが、それぞれのところについて、ここで書いてございます。

 その次は、エネルギー必要量のまとめにおけるPALの記述が不十分なので、補足したほうがよいのではないかという御意見を頂戴いたしました。

これに関しましては、30ページに当たります。

エネルギーに関しましては、前回御説明申し上げましたとおり、BMIや体重管理と、エネルギー必要量など、指標や文章の全体構成が不明瞭であったと考えております。

そこで、指標としては、エネルギー収支のバランスの維持を示す指標として、今回はBMIを採用するということを明記いたしております。

そのように文章全体の構成を変更したことに伴いまして、PALに関する文章の位置を変えました。これはエネルギーの中の後半の推定エネルギー必要量の算定に至るそのプロセスのところで触れることにいたしました。

したがいまして、きょうの資料2の中には文章がございませんが、検討委員の先生方に見ていただきたいのですが、構成員限りの卓上配付資料の61ページから推定エネルギー必要量に関する文章が始まってございまして、PALに関する文章は、68ページ「4-3」というところを設けました。「4-3.身体活動レベル 4-3-1.成人」から始まりまして、PALに関する記述をやや詳細に記すことといたしました。

したがいまして、PALのところは、前回の資料とは場所が入れかわっているということと、PALのところは後ろに持っていきまして、やや細かく記述をすることに努めたということでございます。

その次は、「BMIについて」であります。「総死亡率を最も低く抑えるための望ましいBMIという表現は適切か否か」という御指摘をいただきました。

これに関しましては、資料2の30ページをごらんください。

前回の資料とは構成をやや変えました。目標とするBMIの範囲というものを1つの表として取り出しました。これは次の御質問「総死亡率を最も低く抑えるための望ましいBMIと目標とするBMIについては、それぞれ別の表にするなど、修正が必要」に対する修正でございます。

 ここで、「望ましい」という言葉は削除しまして、「目標とするBMIの範囲」と文言を変えてございます。

そして、BMIの分布状況について、前回はデータが男女の合計になっておりまして、男女別のデータがございませんでした。BMIの分布は男女で異なります。そこで、男女別のデータを見られるほうがよかろうと考えまして、計算をしていただきまして追記をいたしました。同じく30ページへの追記でございます。

○児玉構成員 済みません、男女別のというのは何ページでしょうか。

○佐々木(敏)構成員 資料2のほうには表がございません。机上配付資料の56ページです。あちこち行って済みません。56ページに表2として掲載されております。失礼いたしました。

 次は、「主要栄養素」という名称を用いておりました。この名称をどうするかについて御議論いただきました。幾つかの案を出していただきましたが、ワーキンググループといたしましては、「主要栄養素バランス」という言葉に統一したいと考えております。これは「エネルギー収支バランス」に合わせて「エネルギー産生栄養素バランス」としたいと考えております。エネルギーの収支のバランスに対して、エネルギーの産生栄養素のバランスという意味で、対比させた意味もございます。また、欧米の本や総説等を調べましたところ、この文言が比較的よく用いられているということも確認済みでございます。

その次もエネルギー産生栄養素バランスのところですが、「30歳以降で脂質の量があがってみえることをどう解釈するか」という御質問をいただきました。しかし、1歳以上の全ての年齢階級で脂質がエネルギー比率で2030とするということにいたしまして、39ページの「エネルギー産生栄養素バランス」のところの脂質が2030ということでございます。

また、「脂質のエネルギーとともに、飽和脂肪酸への配慮が必要である」と。これは脚注並びに本文中に書いてございました。それを表中に挙げるというか、含めるほうが理解しやすいだろうということで、ここに含めるということにさせていただきたいと考えております。したがいまして、39ページのような表構造となります。

次は、対象特性の高齢者、乳児・小児、妊婦・授乳婦の順についてというところです。これは御指摘のとおりでございまして、順序については、妊婦・授乳婦、乳児・小児、高齢者というライフステージの順に掲載をしたいと考えております。66ページの参考資料1のところをごらんいただければ、おわかりだと思います。

その次は、「乳児・小児について、推定エネルギー必要量が再掲の表に記載がない」という御指摘をいただきました。これは御指摘のとおりでございまして、81ページです。これは乳児について、エネルギー並びに全ての栄養素を一覧表にした再掲の表でございますが、ここに「エネルギー」を追記したということでございます。どうぞ御確認ください。

その次は、対象者特性の再掲の表についてですけれども、「妊婦・授乳婦、乳児・小児、高齢者の基準値を一覧表で再掲してはどうか」という御指摘を得ました。これは御指摘のとおりで、妊婦・授乳婦の目安量の設定について再整理をした上で、追記をするということにいたしました。

場所といたしまして、ややあちこちに飛んでいるのでございますが、例えば68ページをごらんください。これが妊婦の食事摂取基準で、妊婦から見た全ての数字ということになります。このように再掲で全ての栄養素を挙げるということをそのほかのライフステージにおいてもいたしております。構造は全く同じでございます。

その次は、高齢者のサルコペニアについてです。「サルコペニアについて、加齢性筋肉減少と訳しているのは適切か」という御質問でございました。これは御担当の葛谷先生にも御相談申し上げまして、最初にサルコペニアの定義を行いまして、その後は「サルコペニア」として記述をし、訳はつけないということで統一させていただきたいと考えまして、そのように修正をいたしました。

その次は、「脂質異常症とアルコールについて」というところです。図中、低HDLアルコール血症に、アルコールからマイナスの矢印をつなげるべきであるということ。

食事性のコレステロールが、脂質の枠の中にないのはなぜだろうかということ。

 これは同様のレベルの御質問だと理解をしましたが、炭水化物とアルコールが別個のものとして整理されているのは、これでよいかということであります。

修正としましては、113ページのところで、アルコールから低HDLコレステロールに向けてついていた矢印は、日本人のデータにおきましては有意な予防効果が十分に認められないということを確かめまして、そこは削除ということにさせていただきたいと考えます。

その次は2つまとめて御説明申し上げたいのですが、食事性のコレステロールは、化学的構造としては異なりますが、食事摂取基準としては、脂質の章の中にコレステロールの項を求めるという形にしております。

また、同様に炭水化物の章の中にアルコールを項として設けるとしております。

したがって、構造的なことではなく、食事摂取基準の項立て、章立てに従いまして、そことの統一を図りまして、脂質の枠の中に「食事性コレステロールを含む」、炭水化物の枠の中に「アルコールを含む」という形に修正をさせていただきました。

以上、前回の検討会で御指摘いただいたところに関しまして、ワーキンググループで修正をいたしましたところについて、簡単ではございますが、説明をいたしました。

済みません、1つだけタイプミスがございます。卓上配付資料の55ページ「表1 総死亡率を最も低く抑えるために望ましいと考えられるBMIの範囲」と書いてございますが、これは修正が施されておりません。正しくは、「ために望ましい」を取ります。すなわち、「総死亡率を最も低く抑えると考えられるBMIの範囲」と修正をしたつもりでございました。「望ましい」という文言を取るということが趣旨でございます。済みません、印刷が間に合いませんでした。お許しください。

以上でございます。

○菱田委員 ありがとうございました。

 前回、たくさんの先生方からいろいろな御意見をいただいて、その方向で修正をいただいて充実したものにしていただいたと思いますが、この修正につきまして、また皆様方からの御意見をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。どうぞ。

○曽根構成員 

今、佐々木先生がおっしゃった55ページのところですが、まず、表1と表3を分けたということは非常に適切であると思いますし、今、先生がおっしゃったように、表1に関して「総死亡率を最も低く抑えると考えられるBMI」として、「ために望ましい」というのを削除したのは大変適切だと思うのですが、52ページからずっと続く内容のまとめとして表1が出てくることを考えますと、その前の内容は観察疫学研究の結果についてであるのに、「最も低く抑える」と書くと、介入を示唆する内容になってしまう気がします。

大変細かい点で申しわけないのですけれども、BMIの目標というのは、健診、保健指導、医療現場など国民生活全般において非常に影響が大きい部分ですので、この表1に関しては、「総死亡率が統計的に最も低かったBMIの範囲」などとして、今までの観察疫学研究の結果の総括であるということをはっきりとさせた上で、科学的事実として提示し、表3の「目標とするBMIの範囲」というのは、これをもとに考察した結果を提示した部分でありますので、先ほど表1から削除した「ために望ましい」ををむしろ付け加えて、例えば「表3 目標とすることが望ましいBMIの範囲」などとはっきりと考察に基づく結果だとするといいと思います。要するに、科学的な観察結果の総括をした部分と、それを受けて考えた委員会として、国民のためにこういうことを提言するという部分とにはっきり分けたほうがいいのではないかと思いました。大変細かいところですが、先ほど申し上げたように、BMIというのは非常に影響力の強い部分でありますので申しわけございません。

○菱田座長 ありがとうございます。

この点については、いろいろな先生から御意見があると思います。よろしくお願いします。

○河野構成員 私は、アルコールがそのままになったということについて納得しております。最初の案が、アルコールは中性脂肪を上げるという悪い方向ばかりに矢印がついていて、いいほうがなかったものですので、意見を申し上げたのですが、悪いほうもなくなっていますので、異存ございません。

○菱田座長 ほかにいかがでしょうか。

○佐々木(敏)構成員 1つ補足をよろしいでしょうか。

○菱田座長 はい。

○佐々木(敏)構成員 先ほどの曽根先生の意見は、私は至極ごもっともであると思います。賛成でございます。すなわち、表1は、純粋に疫学研究の観察の結果であります。いろいろな不確定要素を含んでおります。

ただ、統計学的に申しますと、介入試験も統計的に限定してしまいますので、直接に「観察研究による」ということを書くのがよいのではないかなと考えました。

○曽根構成員 おっしゃるとおりでよろしいかと思います。

○菱田座長 どうぞ。

○門脇構成員 私も曽根先生の御意見と、それに対する佐々木先生の御意見、両方とも非常に重要な御指摘で賛成です。

○菱田座長 ありがとうございます。

 今、確認をしておきたいのですが、佐々木先生、今のところを文章として表現していただくと、表1と、それから表3も先ほど曽根先生から少しコメントがあったと思いますが、その辺は文章的にはどのような形になると考えてよろしいですか。

○佐々木(敏)構成員 重要な表題でございますので、落ちついて考えないといけないと思うのですが、考え方としましては、表1は、「観察研究において総死亡率を最も低く抑える」、または、もしも後で動詞が使えるのであれば、「観察された」というようなところになるかと思います。

○曽根構成員 「最も低い総死亡率が観察された」とか「最も総死亡率が低かったBMIの範囲」ということですね。要するに、「抑える」と言うと、介入をしたというニュアンスが入りますので。

○佐々木(敏)構成員 そうですね。変化ではなく、観察された、オブザーブされたということですね。

○曽根構成員 治療や介入によって下げた結果、最低になったわけではないわけですので。

○菱田座長 表3のところについて、曽根先生、もう一度御意見をお願いします。このままでよろしかったですか。

○曽根構成員 そのままでも。考え方ということで、「目標とするBMI」ということでもいいかと思うのですが、それをよりはっきりさせるためには、例えば「目標とすることが望ましいBMIの範囲」であるとか、「目標として提言したいBMIの範囲」とか、他にもうちょっと洗練された言い方があれば、それでもよろしいかと思うのですけれども。

○菱田座長 この点について御意見ございますか。どうぞ。

○勝川構成員 今回の食事摂取基準の対象は、保健指導までの範囲ですので、通常、生活習慣病を有していらっしゃる患者さんに関しては、軽度の減量でそれが改善するというエビデンスがかなりあるのですが、今回のデータですとそういったことが言えませんので、そういった意味では、表3は「目標とする」あるいは「目標とすることが望ましいBMI」という形でよろしいのではないかと考えます。

○菱田座長 ありがとうございます。

 もともと目標とするのが望ましいものを提言しているという全体の流れですので、この文章そのままでもいいということになるかなと思いますが、曽根先生、よろしいですか。

○曽根構成員 結構です。

○菱田座長 ありがとうございます。

 それ以外に御意見、いかがでしょうか。どうぞ。

○寺本構成員 これは記載の仕方の問題だと思うのですけれども、結局、ここで言いたい本当の目的は表3になるわけですね。これが途中に出てきていて、表1と表2と表3が全く同等の雰囲気になっていて、全体像として一番表現したいところにこれを持っていくべきで、ほかのところも、いろんな解説があって、最後にこういうことをしてほしいということが書いてあるわけなので、これは最後に持ってくるとか、形を変えないと、どれが一番重要なのだろうという感じがちょっとしてしまうので、そこは少し構成を考えられてもいいのではないかという気がしますけれども。

○菱田座長 どうぞ。

○児玉構成員 それに関連しまして、前回、私がコメントを述べさせていただいたのですが、表1と表3を同じようにすると理解に苦しむとか、どちらをどういうふうにしていいかわからないということですので、表1の内容は文章の中に入れて、表2と表3を表にしてクローズアップさせるのが活用にはより有効かなと思っていますが。

○菱田座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○佐々木(敏)構成員 ありがとうございます。お二方の先生とも非常に重要なポイントというか、使い方において非常に重要だと認識をしました。こういうことを押し出したいのだということを最後に大きくはっきりと記述すべきであると。私も同感でございます。

したがいまして、今、直接の案を出すことはできませんが、表3を最後に持ってきて、結論という形の構成に組みかえたいと考えております。

しかしながら、内容に関しては変えないように配慮をし、構成変えを行いたいと思います。

ただ、1つだけ懸念がございます。それは食事摂取基準を使う側の人たちと業務上、またおつき合い上、感じるところでございますが、食事摂取基準の中をできるだけ読んでいただきたい。この表の数字だけを見るのではなく、なぜこうなっているのか、どのようなところに配慮して使うのかというところまで十分に御理解を願いたいと思います。

そういう意味では、表1を文章中に置くのか、それとも表1、表2という流れの中で、すなわちこの中にはほかにも図が入ってございます。その図表と同じ高さに置くのかというところは一考を要するかなと考えます。

しかしながら、表3に関しましては、別の高さというか、一番高位にございまして、最後に置くのがよいだろうと私は考えます。

○菱田座長 ありがとうございます。

 ほかに御意見ございますでしょうか。

 脂質のところについての表現の仕方はこのような形で、飽和脂肪酸についての表現を入れていただくということでよろしゅうございますか。どうぞ。

○曽根構成員 

表1が表として残るかどうかは別として、表1と表3を比べますと、70歳以上のところが表1 22.527.4が表2 21.524.9というふうに変わって、両者で違うわけですけれども、これに関する説明というのが机上配付資料の55ページのところにあるはずかと思ったのですが、どうして70歳以上だけ変えたのかというところについて詳しく書いてある部分が見つかりません。

 もちろんサルコペニアとかいろんなことがあるから、70歳以上だけ、こういうふうに下のほうを少し引き上げたということだと思うのですけれども、それについて、何らかの判断となった根拠を1行、2行書かれるといいと思います。そうでないとミスプリと間違われてしまっても困るので。

○菱田座長 佐々木先生、どうぞ。

○佐々木(敏)構成員 曽根先生、下のほうの話ですね。

○曽根構成員 表1と表3の違いは70歳以上の部分だけでございますね。

○佐々木(敏)構成員 はい。

○曽根構成員 高齢者の部分について、最終的に表3の目標とするものを21.524.9とした、要するに、先ほどの観察疫学の研究結果から少しずらしたもので、そこに判断というか、考察が入るわけですけれども、その考察の部分が55ページの上の部分にもう少し入ると、読む人が納得しやすいと思います。

○菱田座長 ありがとうございます。

○佐々木(敏)構成員 わかりました。ごもっともです。

 まず、2526というところ、肥満のほうがリスクになる疾患を高齢者層がかなり持っているということがございます。

もう一つは、表2のBMIの分布で示しましたように、この年齢階級では肥満よりもやせのほうの人口の分布が多いということがございます。このようなことを考慮して、表1のままではなく、表3という数字に変えるというところでございます。

これは実は手違いでございまして、前回の検討会の資料の3の脚注に少し書いてございました。2行ですので読み上げます。

70歳以上では望ましいBMIと実態との乖離がみられるため、虚弱の予防及び生活習慣病の予防の両者に配慮する必要があることも踏まえ、当面目標とするBMIの範囲を21.524.9とした」という文章を入れてございます。脚注を書きかえたときにこれを削除してしまったというミスでございます。先生、ありがとうございました。これを復活させて入れます。

○曽根構成員 納得いたしました。よくわかりました。

○菱田座長 ありがとうございます。

 そのほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○古野構成員 エネルギーのところは、前回の配付版にくらべて、佐々木先生が中身をよ読んでくださいと言うだけの価値があるほどよく書けています。中身をよ読んでもらって使っていただくように、序文等にちゃんと記述する方がよいと思います。基本的なこと、何が不足しているかを理解した上で活用していただくようにないといけないでしょう

先生、1カ月御苦労さです

先生、1カ月で御苦労さんです。

○佐々木(敏)構成員 今後これをどのように普及し、理解して正しく使っていただけるかというのは次のステージになると思います。内容を理解していただくということが一番正しく、積極的な活用につながると思いますので、古野先生もよろしくお願いいたします。

○菱田座長 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、議論として最終確定的な形にはなっておりませんけれども、表1の扱い方、表3の扱い方について、皆さん方の御意見としては、表3自体をしっかり理解していただけるようにという形での表現の仕方をお願いしたいと。表1だけがひとり歩きするとか、表1と表3が混乱することがないようにということで検討していただくことにしたいと思います。よろしくお願いします。

続きまして、前回の検討会後に、今回の作成に当たりまして関連した日本高血圧学会、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会、日本腎臓学会に御意見を伺いました。また、日本小児保健協会からも御意見をいただいております。

いただいたご意見の中に、策定方針や値の変更を伴うような御意見はございませんでしたけれども、その御意見の紹介と回答案について、事務局より説明をお願いいたします。

○芳賀栄養指導室長補佐 それでは、資料3をごらんください。

 座長から御説明いただきましたが、各学会からいただきました御意見とそれに対する検討会としての回答(案)に関して整理させていただきました。

まず、日本高血圧学会に関しましては、御意見なしです。

次に、日本動脈硬化学会からの御意見です。

いただいた御意見、次にその御意見に対する回答(案)という順番で読み上げさせていただきます。

欧米のメタ・アナリシスを主なエビデンスとしているが、質の高い観察研究や介入試験のデータも用いることを考慮した方が理解しやすいと考える。日本のデータも可能な限り示し、欧米のデータの日本人への利用可能性について示した方が意義があると考える。

回答(案)です。

食事摂取基準のレビュー方針として、メタ・アナリシスなど、情報の統合が定量的に行われている場合には、基本的にはそれを優先的に参考にすることとしていますが、実際には、それぞれの研究内容を詳細に検討し、現時点で利用可能な情報で、最も信頼度の高い情報を用いるよう留意しました。

2つ目の御意見です。

栄養素摂取と脂質異常症の関連に絞った方が良いと考える。栄養素摂取と動脈硬化性疾患の関連が必要であれば別項目で示した方が良い。動脈硬化性疾患予防の観点からは、高血圧、糖尿病、脂質異常症に対する包括的管理が重要であり、減塩に配慮し、さらに食事型(日本食、地中海食、DASH食)など栄養バランスにも影響するため。

回答(案)です。

栄養素摂取と脂質異常症の関連に絞りました。

3つ目の御意見です。

文中に、欧米のデータか日本のデータか、対象などわかるような記載にした方が良いと考える。

回答(案)です。

主要な箇所に追記しました。

おめくりいただきまして、2ページをごらんください。

・摂取量との関連について、記載されていない項目があるが、データがないのか否か不明。

n-6系脂肪酸についても、記載してはどうか。

回答(案)です。

栄養素摂取との関連で、特に重要なものを図1と文章で示し、図1の栄養素以外に記述した方がよいものは「その他」に整理しました。

2つ目です。

n-3系脂肪酸について、サプリメントを用いたデータが用いられているが、信頼性は確立されているのか。

回答(案)です。

研究自体の信頼性が高いと考えられたため記載しました。

次です。

図4は高脂血症が対象の様だが、どのような対象か記載した方が理解しやすいと考える。

回答(案)です。

対象を追記しました。

次の御意見です。

食事性コレステロールの食事性は必要か。

回答(案)です。

血中コレステロールと区別するために、食事性コレステロールとしています。

次の御意見です。

2-1.高LDLコレステロール血症の食物繊維に関して、“血清LDLコレステロール濃度を上昇させる”は低下の間違いでないか。

回答(案)です。

修正しました。

次の御意見です。

2-3.高トリグリセライド血症のn-3系脂肪酸に関して、“血清トリグリセライド濃度の上昇は平均30mg/dlであり”は低下の間違いではないか。

回答(案)です。

修正しました。

こちらまでが日本動脈硬化学会からの御意見に関しての回答(案)でございます。

次に、日本糖尿病学会については御意見はありませんでした。

 3ページに入りまして、日本腎臓学会からの御意見です。

 たんぱく質に関して、成人の推定平均必要量が0.72g/kg/日と算定され、そこから推奨量が計算されており、CKD患者へのたんぱく質制限(低たんぱく質食)の指標として示している値(0.60.8g/kg/日)の方が高くなる。

学会ガイドラインの制限値(低たんぱく質)と同じ値でも、食事摂取基準では高たんぱく質のニュアンスになるため、そのことをガイドラインからの引用部分に明瞭に記載いただきたい。

回答(案)でございます。

食事摂取基準における推定平均必要量は、不足の回避のための指標です。CKD患者の方におかれても、栄養欠乏を来さないよう注意を払うことが必要となります。

次の御意見です。

CKD診療ガイドラインにおける制限値の設定に関するエビデンスとその解釈については、適切に引用されています。また、高齢者CKDに関しては、高齢者の推定平均必要量も推奨量も、体重当たりでは成人より高く、フレイルティ予防も含めて(特に軽症CKDでは)制限を緩めるべきという記載がなされており、適切である。

「ご御意見ありがとうございました」との回答(案)です。

次の御意見です。

275のナトリウム欠乏の症状は低Na血症のものなので、修正が必要。

回答(案)として「修正しました」。

巻末の図1(栄養とCKD重症化)について、たんぱく質(過剰)摂取が直接、CKD重症化に実線で結ばれているが、これはエビデンスがないため、点線にしてはどうか。

また代謝性アシドーシスについても分岐すべきではないか。

これに関しての回答(案)でございます。

 図1のたんぱく質とCKDをつなげる矢印は点線に修正しました。

また、この図は栄養素摂取との関連で重要なものを示しているため、代謝性アシドーシスは追記しませんでした。

次の御意見です。

現在、日本腎臓学会で作成中のCKDの食事療法基準とも内容は整合性があるので良い。ただし、文章のみで結論が分かりにくいため、推奨するエネルギー量、たんぱく質量、食塩量など一覧してはどうか。

回答(案)です。

参考資料は、疾患ごとにレビュー結果を整理したものです。推奨する量については、食事摂取基準として、各論において一覧で示しています。

 おめくりいただきまして、4ページ以降は、日本小児保健協会から平成26年2月28日付で提出されました要望書でございます。

 それに関しての回答(案)を整理いたしました。

協会からの御意見は、妊婦・授乳婦、乳児・幼児のそれぞれについていただいております。

まず、妊婦・授乳婦についてです。

・妊娠期の低栄養と乳児の発育への影響に触れる必要がある。

・国の出している妊娠中の至適体重増加ガイドラインについて記載する必要がある。

回答(案)です。

こちらは御意見をもとに追記しておりますので、「追記しました」。

次の御意見です。

離乳食に移行してゆく月齢では、乳汁分泌が減るので、必要量が変わってゆくので考慮が必要。

回答(案)でございます。

考慮して策定しました。

次の御意見です。

栄養素に関する文献が、2010年版から削除されているのは問題。

これに関しての回答(案)です。

各論の栄養素の項で、妊婦・授乳婦の基準値について記載しており、合わせて参考文献を掲載しています。

乳児・小児に関しての御意見です。

総論策定方針で、生活習慣病予防に触れているので、小児期における生活習慣病予防についての記載が必要。

栄養摂取に関連のある近年の子どもの特徴について記載する必要がある。平成22年乳幼児身体発育調査によると、近年わずかに体重・身長の発育値が減少し、母乳栄養児の割合が増え、離乳の時期が遅れている。離乳の時期の後ろ倒しは、平成19年の離乳・授乳の支援ガイドも影響している。

こちらの御意見に関する回答(案)です。

小児期の生活習慣病予防に、特に関連のあるものについては、各論の栄養素の項に記載しています。

CODEX規格、一般調製乳、特殊ミルク、成分栄養剤に関して一覧表にまとめるとよい。

回答(案)でございます。

乳児の目安量については、母乳中濃度を基本として設定していますので、食品の規格等の値については、記載しませんでした。

次の御意見です。

表1について、乳児期後期の論文もあるので、離乳食からの摂取データも示すべき。

回答(案)でございます。

表1は、食事摂取基準策定の参照データとして用いた各栄養素の母乳中濃度及び離乳食からの摂取量を示したものです。

おめくりいただきまして、5ページに入ります。

脚注の母乳中の亜鉛の記載は、「乳児・小児で考慮すべき栄養素の摂取」の項に移すべき。

回答(案)です。

亜鉛の乳児・小児の項で記載しております。

次の御意見です。

脂質、炭水化物に関して、エネルギーで記載されているが、不飽和脂肪酸との整合性も考えると、g/日にした方がよい(小児、妊婦、授乳婦に関しても同様)。

回答(案)でございます。

脂質、炭水化物は、他のエネルギー産生栄養素の摂取量を考慮する必要があるため、食事摂取基準をエネルギー比率で策定していることから、乳児・小児、妊婦・授乳婦でも同様にしております。

次の御意見です。

・6か月~11か月は前後から外挿したとあるので記載すべき。

・参照体位の値がどのように外挿に用いられたのかを記載すべき。

回答(案)でございます。

総論の「外挿方法」の項に記載しています。また、各栄養素の乳児の項でも、参照体位を用いたものについては記載しております。

次の御意見です。

「乳児・小児で考慮すべき栄養素の摂取」に、ビオチン、銅、セレンを載せるべき。

回答(案)です。

各栄養素の乳児・小児の項で記載しています。なお、「乳児・小児における基準策定に当たっての留意点」には、通常の算定方法と異なる場合(乳児の目安量の算定に母乳中濃度を用いていない栄養素)や新たに目標量が設定された栄養素などについて記載しています。

以上が学会から寄せられた御意見に関しての回答(案)になります。

ご検討、よろしくお願いいたします。

○菱田座長 ありがとうございました。

 最初にちょっと確認しておくことでありましたけれども、この4学会については、参考資料の記載のところについての御意見をいただいたということで、最後の小児保健協会からは、その前の部分のことを含めての御意見だということでよろしゅうございますね。

○芳賀栄養指導室長補佐 はい。

○菱田座長 4学会からの意見に対する回答は、学会からの御意見にそう方向で修正していただいたというふうに思いますが。回答についてご意見ありますか。どうぞ。

○熊谷構成員 日本腎臓学会からの御質問の第1番目なのですけれども、特に後半の部分の趣旨がわかりにくい文章になっております。回答もちぐはぐな感じがいたしますので、もしこれがパブリックに公開されるものでしたら、趣旨をはっきりさせていただいて、しっかりした回答をつくったほうがよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○菱田座長 各学会の御意見おとびそれに対する回答を公開、公表するかどうかに関連しますが、学会からの意見とそれに対する回答などのやりとりについては公表されるものとなりますか。

○河野栄養指導室長 基本的に本日の会議資料は全て公開ですので、この資料についても公開になります。

また、学会からの御意見については、こちらのほうで一切修正しておりませんで、学会からいただいた意見どおりに書いておりますので、そのことに対して御回答申し上げるという形になります。この形で本日了解をいただければ、回答を差し上げて、その上で、今のような趣旨と違っている部分がもしあるということでしたら、またそこで趣旨をお伺いをして、御回答申し上げるという形をとりたいと思っております。

○菱田座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○門脇構成員 日本糖尿病学会からは意見なしということなのですけれども、理事全員にこれをよく読んでいただきまして、非常によくできているということでした。

○菱田座長 ありがとうございます。

○河野構成員 高血圧学会も理事・監事の全員に意見を伺って、異論なしということでございました。

○菱田座長 どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、本日の御意見を踏まえ、報告書(案)については、おおむね御了解いただいたということで、先ほどの問題になっていたところを含めまして、文言の修正、微調整につきましては座長に一任していただくということでお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○菱田座長 どうぞ。

○多田構成員 きょう配付された資料の39ページ「エネルギー産生栄養素バランス」のところにちょっと戻っていただきたいと思います。

今、佐々木構成員からいろいろ御説明いただきましたが、アルコール、炭水化物のところなのですが、4、5と注釈がありまして、下に「4 アルコールを含む。ただし、アルコールの摂取を勧めるものではない」ということで、恐らく対象としましては、妊婦ですとか重症化予防対象のところにいる方々、ちょうどこうした範疇にあるような人がこの対象となると思うのですけれども、実際アルコールを摂取しない場合でもは炭水化物摂取エネルギー率をやはり65%までとするのか。その場合、何を置き換えて入れるのか、例えば食物繊維で代用するとか、ということも実際的な問題になってくるのではないかという気がしております。ここの説明をある程度しないと、実際使い勝手が悪いのではないかということ。

「5 食物繊維の目標量の下の値を十分に注意すること」と書かれていますが、これはどういう意味なのか。もうちょっと具体的に書かれたほうが使い勝手がいいのではないか。この2点、お願いします。

○菱田座長 ありがとうございます。

佐々木先生、お願いします。

○佐々木(敏)構成員 御意見ありがとうございます。

 アルコールに関しましては取り扱いが難しゅうございます。本来は炭水化物ではございませんが、従前、エネルギーをこのように主要栄養素で分ける場合にアルコールを炭水化物に含めて1つの群、グループとして扱うということがなされております。そのために、今回もそれを踏襲いたしまして、炭水化物の中にアルコールを含むといたしました。

アルコールを摂取しない場合は、ここはアルコール由来の摂取量は0となりまして、炭水化物はイコール炭水化物になるというふうな、とても単純な理解を私はしております。

そして、「アルコールの摂取を勧めるものではない」という理由は、決して妊婦さんなどのような人たちのみを想定しているのではなく、全ての国民に対して、食事摂取基準の立場からアルコールを積極的に摂取する、または何グラム摂取するのが好ましい、または望ましいというような数値または文章をお出しするものではないという理由でございます。

したがいまして、結論といたしましては、炭水化物の中にアルコールを含めて計算をしてねという意味で、それ以上の意図はございません。

もう一つ、食物繊維でございます。これは「目標量の下の値」と書きましたが、食物繊維につきましては、目標量が資料の38ページに数値が出ておりますように、何々g/日以上というように下限、下の値のみが設けられて、上の値は設けられておりません。したがいまして、ここでは「目標量の下の値」という記述にいたしました。

 もっと簡単に、「下の値」を取って「目標量に十分に注意すること」でも意図は通じるなというふうに今、思いました。

以上です。

○菱田座長 ありがとうございました。

 よろしゅうございますか。

○多田構成員 結構です。

○菱田座長 どうぞ。

○芳賀栄養指導室長補佐 資料3に関しまして、事務局から補足させていただきます。

先ほど門脇先生、河野先生から御意見いただいた内容に関しまして、資料3の日本高血圧学会、日本糖尿病学会の「ご意見なし」という記載に関しましては、「ご意見がないとの回答をいただきました」ということで修正させていただきます。

なお、ホームページ掲載用も修正させていただきます、よろしいでしょうか。

○菱田座長 よろしゅうございますか。

 それでは、改めまして今後の取り扱い、修正、微調整等につきましては座長のほうに一任していただくということでよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

今回の食事摂取基準(2015年版)は、2010年版と異なりまして、生活習慣病の発症予防とともに重症化予防を入れるということを策定目標に掲げたということが非常に大きなポイントだったと思います。それに従いまして、エネルギーについても、それをより評価できるような形でということで、指標にBMIを採用するということになりましたし、また、生活習慣病の予防を目的とした目標量につきましても、食塩が2010年版より男性で1グラム、女性で0.5グラム減らすという形で対応するなど、目標量を充実していただきました。

また、小児期からの生活習慣病予防のために、食物繊維とカリウムについて、6から17歳においての目標値を設定していただくなど、多くの新しい試みをしていただきました。

今までのものと違って、各学会のガイドラインとの整合性、その他のことで大変いろいろな議論もありましたけれども、難しいところもある程度クリアしていただいて、充実したものになったのではないかと思います。

関連して非常に苦労していただきました構成員の皆さん方に座長としても感謝を申し上げいと思います。

最後に、少し時間がありますので、今後の活用に向けての御意見や、次期改定での課題など、この機会に御意見がございましたら御発言いただいて、次回の改定に役立てたいと思いますので、御意見をお願いしたいと思います。どうぞ。

○葛谷構成員 済みません、もっと早く言うべきでしたけれども、高齢者のところで1つだけ御相談があります。中身ではなくてターミノロジーの問題で、主に「サルコペニア」と「フレイルティ」という話を中心に記載をしたのですが、「サルコペニア」も、先ほどございましたように、日本語表記というのが明確でないので削除していただいたということがあります。

 「フレイルティ」に関しても、日本語でどうやって訳したらいいかというのは実は決定事項がございませんで、日本老年学会で「虚弱」という言葉、「フレイルティ」または「フレイル」、どういう言葉が一番なじみやすいかということの議論がございました。

「虚弱」というのはかなりネガティブな印象があるということで、統一して「フレイル」という名前を慣用的に使ったほうがいいのではないかということが、学会で決まり事としてつい最近出てまいりました。

私は、ここの中に一貫して「フレイルティ」という呼称でずっと通しておりますので、もしここの場でお認めいただけるならば、これを簡略化して「フレイル」という形で統一させていただきたいなと思うのですが、よろしいでしょうか。

○菱田座長 学会その他でこの問題の用語を正式に決めておられるところがなければ、老年学会のほうで決めていただいているものを採用するのが適当かと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。どうぞ。

○佐々木(敏)構成員 基本的にはそのようにしていただきたいとワーキンググループ座長としては思います。

確認事項でございます。「フレイル」というのは名詞なのですね。

○葛谷構成員 本来「フレイルティ」が名詞で、「フレイル」というのは形容詞で使われると思うのです。ただ、例えば語呂で考えたときに、「フレイル」という言葉のほうが今後なじみやすいのではないかということで、あえて「フレイル」というふうにこだわったということであります。ただ、老年学会が「フレイルティ」という言葉を使ってはいけないとは言っておりませんので、「フレイル」という言葉自体になじみがないとか、問題があるというならばこのままでも別に構わないのですが、もし可能ならばということです。

○佐々木(敏)構成員 学会のほうで1つの言葉に統一しようということであれば問題は少ないかなと思います。その場合は、定義についてもう一度確認を葛谷先生と私の。

○葛谷構成員 初めのイントロのところでしっかり記載をしたほうがいいと思います。

○佐々木(敏)構成員 その確認をして、修正をさせていただきたいと思います。

○葛谷構成員 ありがとうございます。

○菱田座長 よろしくお願いします。

 それでは、またもとへ戻りまして、次期の2020年版の策定までのことで御意見等ございましたら、お願いします。どうぞ。

○古野構成員 

もう一点、もとに戻って申しわけないのですがけれども、きょう配られた厚い資料は十分見ていないのですが、後で文言などのとかおかしい点はのがあったら、了解なく佐々木先生のところに連絡すればいいのですか。

 あと、きのう配られた資料2の68ページを見ていただくと、の「表1 妊婦の食事摂取基準」と書いてあります。これは「付加量」ですね。前のほうでは全部「付加量」と書いてありますね。タイトル自体が「摂取基準付加量」になると思いますと書かないといけない。そういうことがたくさん出てくると思うのです。そういうのは許されるのでしょう。

○菱田座長 御意見をいただいて、佐々木先生のところで調整していただくということはお願いしたいと思います。

○古野構成員 表1でたんぱく質が突然出て、エネルギーは付加量が妊婦で載っていますけれども、表1にエネルギーが載っていないのは単純ミスでいいですか。

○佐々木(敏)構成員 済みません。最後に修正をしたところがうまくリンクを張れなくて、その文章が間違っております。

具体的に申しますと、この後、急いで私どものところで文言の整理、統一、再確認をいたします。先生方で文言等や文章の流れに関して修正したほうがよいのではないかと考えられるところがあれば、どう修正するかは御一任いただきたいのですけれども、御意見をいただけますと、たくさんの目が通りますので、よいかなというふうに私としては考えております。来週以降そういう作業をいっぱいこちらのほうでやる予定にしております。まだ文言が十分に通っていないところや語句のタイプのミス等が残っております。残っていないとこの場では申せませんので、残っているだろうと考えています。

○菱田座長 よろしいですか。

○古野構成員 はい。

○菱田座長 ほかに御意見、どうでしょうか。

特に活用その他のことについても御意見、よろしいですか。

それでは、2015年版の日本人の食事摂取基準策定に向けた議論はここまでとさせていただきます。

今後のスケジュールについて、事務局からお願いいたします。

○河野栄養指導室長 今後のスケジュールについてですが、本日いただきました御意見を座長、ワーキンググループ長の佐々木構成員、事務局で取りまとめまして、今月末を目途に報告書の公表をしたいと考えております。

また、この報告書をもとに、平成26年度中に大臣告示を行いまして、平成27年度から使用開始とさせていただきます。

 また、本日構成員の方々に机上配付している報告書(案)の冊子については、文言の修正あるいは構成について、事務局の作業能力を超えた分量になっておりまして、行き届かない点がたくさんございますので、その点については速やかに反映したいと思っておりますので、本日はこのまま机上に置いてお帰りいただけたらと思います。

以上でございます。

○菱田座長 ありがとうございました。

 それでは、閉会に当たりまして、佐藤健康局長から御挨拶をお願いいたします。

○佐藤健康局長 おくれてまいりまして大変失礼いたしました。健康局長の佐藤敏信でございます。

 日本人の食事摂取基準(2015年版)の策定ということで、構成員の皆様におかれましては、1年以上にわたりまして熱心に御討議をいただき、ありがとうございます。

 今、所要の調整は必要ということで事務局から申し上げましたけれども、おおむね御了承いただいたものと考えております。これまで以上に質の高い内容になりまして、本当に御礼を申し上げる次第です。

 私から申し上げるまでもありませんが、今回の改定では生活習慣病の発症予防だけではなくて、重症化予防という視点も入れていただきましたし、こうして各種疾患のガイドラインの策定に携わっていただいた先生に御出席を賜り、御検討いただいたわけでございます。とりわけワーキンググループの先生方には短期間で膨大な文献レビューもやっていただいたということで、これも御礼を申し上げる次第でございます。

そうした検討の成果としまして、今般はBMIというものをエネルギーの指標ということで採用していただいて、これが改定の大きなポイントになっているように思います。

生活習慣病の予防や高齢者の低栄養の予防ということで、管理栄養士はもとより、医師、医療関係のスタッフの方に御活用いただければ、これに過ぎる幸いはございません。

いずれにしましても、今後は、つくっていただきました食事摂取基準を活用されますよう努力してまいりたいと思います。

簡単ではございますが、これまでの御尽力、御努力に敬意を表しまして御礼を申し上げて、閉会の挨拶にさせていただきます。

本当にどうもありがとうございます。

○菱田座長 それでは、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 「日本人の食事摂取基準(2015年度)」策定検討会> 第6回「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会 議事録(2014年3月14日)

ページの先頭へ戻る