ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会労働力需給制度部会)> 第203回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録(2014年1月17日)




2014年1月17日 第203回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成26年1月17日(金)10:00~


○場所

厚生労働省 専用第12会議室(12階)


○出席者

(公益代表)鎌田委員、柴田委員、橋本委員、阿部専門委員、竹内(奥野)専門委員
(労働者代表)石黒委員、清水委員、新谷委員、春木オブザーバー
(使用者代表)秋山委員、小林委員、高橋委員、青木オブザーバー、大原オブザーバー

事務局

岡崎職業安定局長、宮川派遣・有期労働対策部長、鈴木企画課長、富田需給調整事業課長
松原派遣・請負労働企画官、鈴木主任中央需給調整事業指導官、亀井需給調整事業課長補佐、木本企画調整専門官

○議題

1 職業安定法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(公開)
2 今後の労働者派遣制度の在り方について(公開)

○議事

○鎌田部会長 ただいまから、第 203 回「労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は宮本オブザーバーが所用により欠席されています。本日の進め方ですが、お手元の次第にある議題 1 について御審議いただいた上で、その後に議題 2 の審議に移りたいと思います。

 それでは、本日の議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力よろしくお願いいたします。

 それでは、議題 1 の「職業安定法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について」ですが、昨年御説明いただいた内容を基に作成された省令の要綱案が、厚生労働大臣から労働政策審議会長宛に諮問されています。そこで、職業安定分科会に先立ち、あらかじめ当部会で審議することとしたいと思います。それでは、事務局から諮問の内容について御説明をお願いいたします。

○亀井補佐 諮問の内容について御説明させていただく前に、本日お配りしている資料を念のため確認させていただきます。お手元の次第の配布資料のところにありますように、本日は資料を 3 種類と、議題 1 に係る参考資料 2 つを付けさせていただいております。御確認いただきまして、漏れなどありましたら事務局にお申し付けください。

 それでは、資料 1 2 、参考 1 2 を用いまして、議題 1 の案件について御説明させていただきます。

 まず資料 1 は、本日付けで労働政策審議会に諮問されております、「職業安定施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」です。中身につきましては、昨年の需給部会においても説明しておりますので、資料 2 の概要を基に簡単に御説明いたします。ちなみに建設労働者の雇用の改善等に関する法律も併せて入っておりますが、こちらは省令を改めるときに併せて改正するために形式上盛り込んでいるもので、当部会において御審議いただくのは、職業安定法施行規則の部分です。

 それでは、資料 2 を御覧ください。改正の概要です。昨年御説明いたしましたように、本年の 4 1 日から消費税率が 8 %に引き上げられることに伴い、上限制の手数料を採用している職業紹介事業者においては、仮にこの上限が据え置かれた場合に、必要な物品やサービスの調達に係る消費税率引上げ分が事業者の負担増となってしまう。このため、求人者や求職者へのサービスの低下や紹介機能への影響を抑えるために、消費税率の引上げに伴い、事業者が負担をかぶらなくても済むように、手数料の最高額の見直しを行うものです。この改正と併せて、職業紹介事業について、事業報告の整備を行い、民間職業紹介事業の更なる活用に向けた議論に役立てるための整備を行いたいと考えております。

 改正の内容は、 1. 職業安定法施行規則の一部改正です。 (1) の手数料は、昨年も御説明させていただきました消費税率の引上げに伴い、受付手数料、紹介手数料の上限をそれぞれ課税事業者、免税事業者別に引き上げるというものです。

(2) の職業紹介事業報告ですが、参考 2 として、様式がどう改まるかということをお付けしておりますので、併せて御覧いただきながらお聞きください。

 参考 2 として「職業紹介事業報告の様式改正について」という資料があります。今般、改める様式は、概要にもあるように 3 種類で、様式第 8 号の有料・無料職業紹介事業報告書、様式第 8 号の 2 の特別の法人無料職業紹介事業報告書、更に様式第 8 号の 3 の地方公共団体無料職業紹介事業報告書です。どこがどのように改めるかにつきましては、参考の 2 に実物をお付けしております。

 有料・無料職業紹介事業報告書におきましては、まず活動状況の欄に、年度末における有効求人数を併せて追加する。更に併せて、下のほうの求職者手数料の部分ですが、現在、取扱業務区分ごとに手数料の額を御報告いただいているところですが、件数のデータがありませんでしたので、今回件数を様式に追加するというのが 8 号の修正です。 8 号の 2 は、 8 号と同じく 3 月末における有効求人数を追加するというものです。 8 号の 3 は、 3 の活動状況の部分ですが、現在、求人数の報告につきまして、産業別区分で御報告いただいておりました。こちらをほかの様式と併せて取扱業務等の区分、職業分類区分での報告に変更させていただくという改正と、裏面の活動状況の部分に有効求人数の欄を設けるという改正です。その他様式のレイアウトの修正など、文言の修正と併せて所用の整備を行うというものです。議題 1 、本日諮問させていただく事項についての説明は以上です。

○鎌田部会長 ただいまの事務局からの説明について、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。特段なければ本件については冒頭申し上げましたとおり、諮問案件でありますが、次回の部会で審議させていただきたいということでよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○鎌田部会長 では、そのようにさせていただきます。次に、議題 2 の「今後の労働者派遣制度のあり方について」の議事に移ります。前回の部会の議論では、公益委員からお出しした骨子案をたたき台に、皆様と調整を続けさせていただくことになっておりました。皆様には、年をまたいでの調整に御協力いただき、かなりの歩み寄りをいただいたことについて、まず御礼申し上げたいと思います。

 事務局において、この間の調整の結果を反映した「部会報告書案」を作成してもらいましたので、本日はこれを基に御議論いただければと思っております。それでは、事務局から読み上げをお願いいたします。

○亀井補佐 それでは、本日お配りしております資料 3 「報告書 ( ) 」です。ただいま部会長から御紹介がありましたように、年末年始における骨子案を基とした調整の内容を反映させていただいたものです。まず全文を読み上げ、骨子から、主に具体化が大きくされた部分についての補足をさせていただく形で御説明いたします。それでは、資料 3 を読み上げさせていただきます。

 労働者派遣制度の改正について ( 報告書 ( ))

 1 . 基本的考え方。 1. 労働者派遣制度については、平成 24 年改正労働者派遣法の国会審議の際の附帯決議において、その制度の在り方について検討するとともに派遣先労働者や派遣元・派遣先企業に分かりやすい制度とすることが求められている。 2. また、労働者派遣事業が労働力の需給調整において重要な役割を果たしていることを評価した上で、派遣労働者のキャリアアップや直接雇用の推進を図り、雇用の安定と処遇の改善を進めていく必要がある。 3. さらに、業界全体として、労働者派遣事業の健全な育成を図るため、悪質な事業者を退出させる仕組みを整備するとともに、優良な事業者を育成することが必要である。 4. 以上のような考え方に基づき労働者派遣法を改正し、以下のような具体的措置を講じることが必要である。

 2  . 具体的措置について。 1. 登録型派遣・製造業務派遣について。経済活動や雇用に大きな影響が生じるおそれがあることから、禁止しないことが適当である。ただし、これらの派遣労働に従事する者については、雇用が不安定になることを防ぐため、後述の雇用安定措置等を講ずるものとすることが適当である。 2. 特定労働者派遣事業について。特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別を撤廃し、すべての労働者派遣事業を許可制とすることが適当である。その際、派遣労働者の保護に配慮した上で、小規模派遣元事業主への暫定的な配慮措置を講ずることが適当である。また、現在の特定労働者派遣事業の許可制への移行に際しては、経過措置を設けることが適当である。

3. 期間制限について。 (1) 新たな期間制限の考え方。労働者派遣事業は、労働市場において、労働力の迅速・的確な需給調整という重要な役割を果たしている。その一方で、派遣労働の雇用と使用が分離した形態であることによる弊害を防止することが適当である。すなわち、派遣労働者の雇用の安定やキャリア形成が図られにくいことから、派遣労働を臨時的・一時的な働き方と位置付けることを原則とするとともに、派遣先の常用労働者 ( いわゆる正社員 ) との代替が生じないよう、派遣労働の利用を臨時的・一時的なものに限ることを原則とすることが適当である。また、派遣労働への固定化及び常用労働者との代替の防止のためには、後述する直接雇用や均衡待遇の推進及びキャリアアップ措置を併せて講じることも有効である。

26 業務という区分及び業務単位での期間制限は、分かりにくい等の様々な課題があることから撤廃し、 26 業務か否かに関わりなく適用される共通ルールを設けることとした上で、雇用の安定やキャリアアップが図られる等の一定の条件を満たすものを除き、派遣労働者個人単位と派遣先単位の 2 つの期間制限を軸とする制度に見直すことが適当である。その際、期間制限が派遣労働者の雇用の機会やキャリア形成に悪影響を与えないよう、必要な措置を講ずることが適当である。また、制度見直しの時点で現に行われている 26 業務への派遣については、新制度への移行に際して経過措置を設けることが適当である。

(2) 個人単位の期間制限について。派遣先は、 (5) で述べる例外を除き同一の組織単位において 3 年を超えて継続して、同一の派遣労働者を受け入れてはならないものとすることが適当である。組織単位は、派遣先を替わることによる派遣労働者のキャリアアップの契機を確保する観点から、業務のまとまりがあり、かつ、その長が業務の配分及び労務管理上の指揮監督権限を有する単位として派遣契約上明確にしたものとすることが適当である。派遣先が、同一の組織単位において 3 年の上限を超えて継続して同一の派遣労働者を受け入れた場合は、労働契約申込みみなし制度の適用の対象とすることが適当である。

(3) 派遣労働者に対する雇用安定措置について。派遣元事業主は、 (2) の上限に達する派遣労働者に対し、派遣労働者が引き続き就業することを希望する場合は、以下の措置のいずれかを講ずるものとすることが適当である。( 1 )派遣先への直接雇用の依頼。( 2 )新たな就業機会 ( 派遣先 ) の提供。( 3 )派遣元事業主において無期雇用。( 4 )その他安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置。

 ※( 1 )から( 4 )のいずれを講じることも可とする。( 1 )を講じた場合に、直接雇用に至らなかった場合は、その後( 2 )から( 4 )のいずれかを講ずるものとする。

1 年以上継続して派遣先の同一の組織単位に派遣された派遣労働者が、上記 (2) の派遣期間の上限に達する前に当該組織単位での派遣就業を終了する場合であって、派遣元事業主は、派遣労働者が引き続き就業することを希望するときには、上記( 1 )から( 4 )の措置のいずれかを講ずるよう努めるものとすることが適当である。派遣先は、上記 (2) の派遣期間の上限に達する派遣労働者について、派遣元事業主から( 1 )の直接雇用の依頼があった場合であって、当該派遣労働者を受け入れていた事業所で従事させるために労働者を募集するときは、当該情報を当該派遣労働者に周知するものとすることが適当である。また、派遣先は、 1 年以上継続して同一の組織単位に派遣された派遣労働者について、派遣元事業主から( 1 )の直接雇用の依頼があった場合であって、当該派遣労働者が従事していた業務と同一の業務に従事させるため労働者を雇用しようとするときは、当該派遣労働者に対し労働契約の申込みをするよう努めるものとすることが適当である。

(4) 派遣先における期間制限について。ア、過半数組合等からの意見聴取。派遣先は、 (5) で述べる例外を除き、同一の事業所において 3 年を超えて継続して派遣労働者を受け入れてはならないものとすることが適当である。派遣先が、事業所における派遣労働者の受入開始から 3 年を経過するときまでに、当該事業所における過半数労働組合 ( 過半数労働組合がない場合には民主的な手続により選出された過半数代表者、以下「過半数組合等」 ) から意見を聴取した場合には、さらに 3 年間派遣労働者を受け入れることができるものとすることが適当である。その後さらに 3 年が経過したとき以降も同様することが適当である。意見聴取にあたり、派遣先は、当該事業所における派遣労働者の受入開始時からの派遣労働者数と無期雇用労働者数の推移に関する資料等、意見聴取の参考となる資料を過半数組合等に提供するものとすることを指針に規定することが適当である。

 イ、適正な意見聴取のための手続。過半数代表者は、管理監督者以外の者とし、投票、挙手等の民主的な方法による手続により選出された者とすることが適当である。過半数組合等が、常用代替の観点から問題があり、現在の状況を是正すべきとの意見を表明した場合は、派遣先は、当該意見への対応を検討し、一定期間内に過半数組合等に対し対応方針等を説明するものとすることが適当である。派遣先は、意見聴取及び対応方針等の説明の内容についての記録を一定期間保存するとともに、派遣先の事業所において周知するものとすることが適当である。派遣先による過半数代表者への不利益取扱いを禁止することが適当である。

(5) 期間制限と常用代替防止措置の特例について。以下に該当する者及び業務に関する派遣について (2) から (4) の措置の対象から除外することが適当である。( 1 )無期雇用の派遣労働者。( 2 60 歳以上の高齢者。( 3 )現行制度において期間制限の対象から除外されている日数限定業務、有期プロジェクト業務、育児休業の代替要員等の業務。派遣元事業主は、無期雇用の派遣労働者を派遣契約の終了のみをもって解雇してはならないことを指針に規定することが適当である。有期プロジェクト業務に係る派遣については、終期が明確である限り派遣期間を制限しないことが適当である。

4. 直接雇用の推進について。派遣元事業主は、雇用する派遣労働者の希望に応じ、派遣労働者以外の労働者として雇用されることができるように雇用の機会を確保し、これらの機会を提供するよう努めることとすることが適当である。

5. 派遣先の責任について。国は、派遣先の使用者性に関する代表的な裁判例及び中労委命令について、整理を行った上で周知することが適当である。派遣先が適切かつ迅速な処理を図るべき苦情の内容として、派遣先におけるセクハラ・パワハラ等を指針に例示することが適当である。また、派遣先が苦情処理を行うに際しては、派遣先の使用者性に関する代表的な裁判例や中労委命令に留意することを指針に規定することが適当である。国は、派遣先責任者講習の受講を促進するための施策を講ずるものとすることが適当である。

6. 派遣労働者の処遇について。 (1) 均衡待遇の推進。ア、賃金について。派遣先は、派遣元事業主の求めに応じ、派遣元事業主に対し派遣労働者と同種の業務に従事する労働者の賃金に係る情報提供等の適切な措置を講ずるよう配慮するものとすることが適当である。以下の内容について、指針に規定することが適当である。

 ・派遣先は、派遣料金を決定する際に、就業の実態や労働市場の状況等を勘案し、派遣される労働者の賃金水準が派遣先の同種の業務に従事する労働者の賃金水準と均衡が図られたものとなるよう努めるものとする。

 ・派遣先は、派遣契約を更新する際に、就業の実態や労働市場の状況のほか、派遣労働者が従事する業務内容や当該派遣労働者に要求する技術水準の変化を勘案して、派遣料金を決定するよう努めるものとする。

 ・派遣元事業主は、派遣料金が引上げられたときは、それをできる限り派遣労働者の賃金の引上げに反映するよう努めるものとする。

 ・派遣元事業主は、派遣先との派遣料金の交渉が派遣労働者の待遇改善にとって重要であることを踏まえ、交渉にあたるよう努めるものとする。

 ・派遣元事業主の通常の労働者と有期雇用の派遣労働者との通勤手当の支給に関する労働条件の相違は、労働契約法第 20 条に基づき、諸般の事情を考慮して不合理と認められるものであってはならない。

 イ、教育訓練について。派遣先は、派遣先の労働者に対し業務の遂行に密接に関連した教育訓練を実施する場合は、一定の場合を除き、派遣元事業主の求めに応じ、同じ業務に従事している派遣労働者にも実施するよう配慮するものとすることが適当である。

 ウ、福利厚生施設について。派遣先は、受け入れている派遣労働者に対しても、派遣先の労働者が利用している一定の福利厚生施設 ( 給食施設、休憩室、更衣室 ) の利用の機会を与えるよう配慮するものとすることが適当である。

 エ、その他。派遣元事業主は、派遣労働者の均衡を考慮した待遇の確保の際に配慮した内容について、派遣労働者の求めに応じて説明するものとすることが適当である。

(2) 労働・社会保険の適用促進。派遣元事業主は、派遣労働者として雇用しようとする者に対し、労働契約の締結の際に、労働・社会保険の加入資格の有無を明示するものとすることが適当である。労働・社会保険に加入していない派遣労働者に対し、加入していない理由を通知することを定めた派遣元指針の内容を法律等に格上げすることが適当である。また、派遣開始後に労働・社会保険に加入させる場合について、派遣元事業主は、一定期間内に派遣先に対し加入の通知を行うものとすることが適当である。派遣元事業主は、社会保険に加入させた上で労働者を派遣する場合は派遣の開始までに、派遣の開始後に加入させる場合には加入後速やかに、派遣先に当該派遣労働者の被保険者証等の写しを提示すること等により、派遣先が加入の事実を確認することができるようにすることが適当である。

7. 派遣労働者のキャリアアップ措置について。 (1) 派遣元事業主が講ずべき措置。派遣元事業主は、雇用する派遣労働者に対して、計画的な教育訓練を実施するほか、希望する派遣労働者に対してはキャリア・コンサルティングを実施するものとし、特に無期雇用の派遣労働者に対しては、長期的なキャリア形成を視野に入れてこれらを実施するものとすることが適当である。労働者派遣事業の許可・更新要件に「派遣労働者へのキャリア形成支援制度を有すること」を追加することが適当である。キャリア形成支援の具体的な在り方については指針に規定することが適当である。派遣元事業主が行うキャリアアップ措置の取組については、労働者派遣事業報告により把握することが適当である。キャリアアップ措置を適切に実施することを派遣元責任者の責務に追加することが適当である。

(2) 派遣先が講ずべき措置。派遣先は、派遣元事業主の求めに応じ、受け入れている派遣労働者の職務遂行状況や職務遂行能力の向上度合に関する情報を派遣元事業主に提供するよう努めるものとすることが適当である。

(3) 紹介予定派遣の推進。紹介予定派遣を推進するため、派遣元事業主が職業紹介事業の許可を申請する際の手続の簡素化等を進めることが適当である。

(4) 派遣先での正社員化の推進。派遣先は、新たに正社員の募集を行う場合は、募集を行うポストがある事業所に 1 年以上受け入れている派遣労働者に対して当該募集情報を周知するものとすることが適当である。

(5) 国及び事業主団体の責務。国及び事業主団体は、派遣労働者のキャリアアップのための必要な環境整備を行う責務を有するものとすることが適当である。

(6) 派遣先による直接雇用への対応。関係者間でのトラブルの発生を未然に防ぐ観点から、派遣先が派遣契約の終了直後に、受け入れていた派遣労働者を直接雇用しようとする際の取扱いについて、派遣契約に定めるものとすることが適当である。

8. 平成 24 年改正法について。平成 24 年改正法の規定については、施行状況についての情報の蓄積を図りつつ、見直しについて引き続き当審議会において検討を行うことが適当である。一方、日雇派遣の原則禁止については、以下の観点に留意しつつ、法改正を行わずに実施できる見直しについて、今回の制度全体に係る見直しと併せて実施することを検討することが適当である。( 1 )労働者が日雇い派遣による収入に生計を頼ることがないようにしつつも、現在の年収要件を見直すことにより雇用の機会を拡大すること。( 2 )教育訓練を十分に受けていない労働者が日雇派遣に従事することによる労働災害の発生を防ぐこと。なお、今回の見直しによる業務単位での期間制限の撤廃後も、日雇派遣の原則禁止の例外であるいわゆる 17.5 業務については引き続き政令に規定することが適当である。

9. 特定目的行為について。無期雇用の派遣労働者に対する特定目的行為を可能とし、その際には、年齢や性別を理由とする差別的取扱いの禁止規定を整備することが適当である。また、派遣先による事前面接は、派遣元事業主が自らの責任において選んだ無期雇用の派遣労働者に対して行うもののみが認められ、派遣先が複数の候補者の中から派遣される者を選別する行為は認められないことを指針に規定することが適当である。

10. 指導監督の強化等について。 (1) 無許可事業所に対する指導監督について。無許可で労働者派遣事業を行う者に対する行政上の措置を強化することが適当である。 (2) 初回の更新時のチェックの強化について。労働者派遣事業の許可の取得後最初の許可更新の際に、当該更新を受けようとする派遣元事業主が許可基準を満たしていることを当審議会に報告することが適当である。 (3) 優良な派遣元事業主の推奨等について。労働力の需給調整という労働者派遣事業の役割が適切に発揮されるためにも、悪質な派遣元事業主に対する指導監督を強化するとともに、優良な派遣元事業主を認定し推奨する事業を推進していくことが適当である。派遣元責任者の要件として、派遣元責任者講習の受講を規定することが適当である。

11. 上記以外の事項。 (1) 関係法制度の必要な整備について。この他、関係法制度について必要な整備がなされることが適当である。 (2) 施行期日について。施行期日は平成 27 4 1 日とすることが適当である。

 読み上げは以上でございます。なお、基本的にこの報告書は、前回の骨子案の項目を具体化したものですが、骨子案から大きく具体化が進んだ部分について、簡潔に御紹介させていただきます。大きくは 3 点ありまして、期間制限に係る内容、また、派遣労働者の処遇に係る内容、また、平成 24 年改正法の扱いに係る事項です。ページで申し上げますと、 3 ページから 4 ページにかけての部分ですが、 (4) の「派遣先における期間制限について」、過半数組合等からの意見聴取として、適正な意見手続の内容を、イ、適正な意見聴取のための手続や、資料の提供であるとか、そうした形でより具体化を図っております。こちらは期間制限の部分に係る内容です。

 続きまして、派遣労働者の処遇に係る部分ですけれども、様々なページにまたがっておりますが、 4 ページの 4 番で、「直接雇用の推進について」という項目を独立して立てているほか、 5 ページ (1) の均衡待遇の推進のアの「賃金について」の部分で、均衡待遇を図る観点からの賃金に係る情報提供等の内容、指針に係る事項ですが、こちらを「・」という形で列挙し、具体化を図っております。また、直接雇用の推進に係る事項についても、派遣元や派遣先におけるそれぞれの取組の中で具体化を図っております。また、平成 24 年改正法に係る事項ですが、 7 ページの 2 段落目です。平成 24 年改正法の扱いについては、「見直しについて引き続き当審議会において検討を行うことが適当」ということですが、日雇派遣の原則禁止については、( 1 )と( 2 )に掲げている観点に留意しつつ、「今回の制度改正に係る見直しと併せて実施することを検討することが適当である」という内容を加えております。資料 3 の説明は以上です。

○鎌田部会長 この部会報告書 ( ) につきまして、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○秋山委員 報告書 ( ) について、 3 点、意見を申し上げます。まず、 1 ページの、特定労働者派遣事業を許可制にするに当たりまして、小規模派遣元事業主への暫定的な配慮措置や許可制への移行に際する経過措置等の必要性を盛り込んでいただいたことには、かねて私どもが主張しておりましたので、感謝申し上げます。是非とも移行による混乱が最小限に抑えられるような措置をしていただきたいと思っています。

 また、 2 ページの 3 2 段落目に、「派遣労働への固定化及び常用労働者との代替の防止のため」とありますが、この書き方では、派遣という働き方を全て否定するような印象を与えかねません。派遣という働き方を望まれている労働者も多くいらっしゃいます。防止すべきは、不本意ながらも派遣でしか働けない状態が長期間固定化されることですので、ここでは「不本意な固定化」としたらよろしいのではないかと思っています。

3 点目は、 7 ページの、平成 24 年改正法についてです。日雇い派遣の原則禁止につきましては、今回、「制度全体に係る見直しと併せて実施することを検討する」とありますので、是非とも進めていただきたいと思います。また、平成 24 年改正法は、日雇い派遣の原則禁止以外にも多くの課題がまだありますので、早急に見直しを行っていただきたいと考えています。以上です。

○鎌田部会長 そのほかにございませんか。

○新谷委員 先日の公益委員の骨子案に加えまして、今回の報告書 ( ) では、我々の主張についても一部反映された形でご提示をいただきました。部会長をはじめ事務局の皆さんの年をまたいでの御尽力に対し、敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 我々としましては、今回の派遣法の見直し論議に当たって、「派遣労働は臨時的・一時的なもの」として位置付けるべきということ、それによって常用代替の防止を図るべきということ、及び、派遣労働者の処遇改善のために均等待遇を実現するべきであるということ、を一貫して主張してまいりました。労使の意見に大きな隔たりがある中で随分と突っ込んだ論議もさせていただきましたが、私どもとしては三者構成原則にのっとった労政審の中で一定の結論を見出すことについて精一杯の努力をしてまいったつもりです。しかし、残念ながら、本日提示いただきました報告書 ( ) を拝見いたしますと、私どもが維持することを主張しておりました 26 業務という業務区分や業務単位での期間制限については、「分かりにくい等の課題があるので撤廃する」という考え方が引き続き示されています。派遣法の根幹をなすともいうべき期間制限の在り方について、今回提起されたこの部分の内容については反対と言わざるを得ないと思っております。報告書には、私どもの意見を反映していただいた部分、評価できる部分も多々ございますが、しかしながら、この形のままで了解するとは、残念ながら本日の段階でも申し上げることはできないと思っています。

 検討すべき点は多々ありますが、「派遣労働は臨時的・一時的なものである」という原則について、その実効性をどう確保していくのかということ、特に、有期雇用派遣における過半数組合等の意見聴取について、今一段の追加的な措置を強く求めてまいりたいと思います。

 報告書の中では、私どもが主張しておりました過半数組合等への資料提供義務や過半数代表についての民主的な選出手続及び意見聴取等に関する記録の保管・周知といった義務、これらについて盛り込んでいただいている点は評価いたしますが、そもそも過半数組合等に対する意見聴取が行われなかったときにはどうするのかという点に関する実効的な対応が欠けているのではないかと思っております。具体的には、使用者が意見聴取を行わなかった場合に労働契約申込みみなし制度の適用対象とすることによって使用者がしっかりとした意見聴取を履行するよう担保していくべきだと考えています。そうした観点からは、この報告書において、「過半数組合等の意見聴取をすることなく 3 年間の期間制限を超えて派遣労働者を受け入れたような場合には労働契約申込みみなし制度の適用対象とする」という形で、いわゆる民事制裁についても明確に書いていただきたい、ということを申し上げておきたいと思います。以上です。

○鎌田部会長 そのほか、いかがでしょうか。

○石黒委員 今回の報告書 ( ) においても、期間制限について、無期雇用の派遣労働者は制限対象から除外するという方針が示されています。新谷委員からも申し上げたように、派遣期間制限については専門的な業務であるか否かという業務区分によって行うべきだと思っておりますので、報告書 ( ) にあるように、派遣元で無期雇用であるか有期雇用であるかによって区分するという考え方には賛成することはできません。報告書 ( ) にあるような考え方を取ることの前提としては、研究会報告書にも記載されていたように「無期雇用であれば雇用が安定している」ということがあるのでしょうから、無期雇用の派遣労働者が派遣元において無期雇用にふさわしい雇用保障を受けられないのであれば、この考え方は成り立ちえないと考えています。

 報告書 ( ) 4 ページに、「無期雇用の派遣労働者を派遣契約の終了のみをもって解雇してはならないことを指針に規定する」と書かれていますが、このようなことは無期雇用であれば当たり前でありまして、これだけでは無期雇用の派遣労働者の雇用が安定しているという前提を担保することはできないと言わざるを得ないと思います。派遣元が無期雇用の派遣労働者の雇用に責任を持って当たるようにするためには、法律を改正する際に、併せて行政上の措置が講じられるべきと考えています。具体的には、有効な解雇であると認められるか否かは最終的には民事上の問題ではありますが、派遣法は業法でありますので、派遣契約の終了のみを理由に解雇を行った派遣元に対してはもっとも厳しい行政処分を行う、すなわち、許可の取消しを行うというようなことを明記すべきだと思っています。

 そうした観点から、最終的な報告書には、「派遣契約の終了のみをもって無期の派遣労働者を解雇した場合には派遣元の許可を取り消す」ということを明記して、雇用の安定を図っていくべきだと思います。以上です。

○鎌田部会長 では、清水委員。

○清水委員 新谷委員からあったとおり、本日出された部会報告書 ( ) については、全体としては反対せざるを得ないと思います。同意はできないと思います。ダブる点は置いておきまして、 1 つだけ、意見聴取の所に関する問題です。派遣を臨時的・一時的と規定しているという原則的な考え方と、 3 年間後の意見聴取によって同一の職場にずっと派遣労働者が居続けることができるということは、明らかに原則的な矛盾と言わざるを得ないと思います。そういう点では、確かに新谷委員からもあったような、いろいろな情報の提供や記録の問題ということはありますが、しかし、今のこのままでいくと、労働者側の代表の方が幾ら反対しても経営者側がそのことを説明すればそれがずっと永続的に続くという仕組みになっています。ですから、例えば 1 回目はそうなったにしても、 2 回目も言い、 3 回目も言いながら、それが続けられるというのは、明らかに労使合意など事業所の中での労使構成等から見てもこれは矛盾だと思います。ですから、 2 回目にも労側が反対なり是正を求める意見表明をしたときには、そうしたことが取り上げられるような体系にしなければならない。実効性はどうかという問題はありますが、そういう制度的な見直し、展望を担保するべきではないかと思います。

 このままでは、常用代替防止との関係で、ここの点がいろいろと大きな問題になるし、今度の改正でここが盛り込まれるというのは、派遣法のこれまでの経過から見ても、なかなか認めることができないと思います。以上です。

○鎌田部会長 春木オブザーバー、どうぞ。

○春木オブザーバー 派遣労働者の処遇の関係についてです。今回の報告書 ( ) 5 ページに、派遣労働者の賃金について指針に規定すべきとする内容が 5 点ほど具体的に記載されています。その中では、これまで労働側が強く求めてきた派遣労働者への通勤手当の支給についても言及されておりますので、一定の前進点もあると判断しています。しかしながら、項目の見出しもそうなのですが、基本的な考え方はいまだに「均衡待遇」というレベルにとどまっており、我々が主張してきた「均等待遇」というレベルには達していないと言わざるを得ません。日本の賃金体系が職種別のものとなっていないといった事情があることは理解していますが、これまでも繰り返し述べてきたように、欧州だけでなく中国、韓国でも均等待遇が規定されており、世界の潮流は均等待遇にあると思っています。そうした世界の流れもしっかりと認識をした上で、今回の見直しに当たっては、この部会として「目指すべき姿は均等待遇である」という意思を明確に表示するべきではないかと思います。

 そうした意味からは、期間制限の箇所では「派遣労働を臨時的・一時的な働き方と位置付けることを原則とする」といった原則が明記されていますので、派遣労働者の処遇の箇所についても、均等待遇が原則なのだという考え方を明確に記載すべきではないかと思っております。さらに、派遣労働者の処遇について均等待遇こそ原則なのだということは、法令にも明記していただきたいと思っています。

 したがって、派遣労働者の処遇に関する基本的な考え方が、現在のように「均衡待遇の推進」といった表現にとどまるのであれば、それについては反対していきたいと思います。

○鎌田部会長 そのほか、ございませんか。

○新谷委員 頂いた報告書 ( ) の中で特に気になる所は、 7 ページの「 9. 特定目的行為」に関する記述です。今回の報告書 ( ) では、特定目的行為について解禁する旨が書かれていますが、これについては労働側として反対であるということを申し上げたいと思います。派遣先が事前の面接等によって特定目的行為を行うことについては、これは正に派遣先自身による採用行為に他ならないわけでありますから、派遣先が派遣労働を利用する際の行為としては許されないと思っております。派遣という事業は、御承知のように、職業安定法第 44 条の例外的な取扱いとして、労働市場において労働力の需給調整を行う、マッチングを行うということがその存在意義とされているわけでありまして、派遣先と派遣労働者の双方のニーズをマッチングさせることが派遣事業のあるべき姿であると思っています。しかし、特定目的行為を解禁するとなりますと、そうした派遣事業が担うべき労働市場における機能を放棄させることに等しくなるのではないかと考えています。派遣元が有期雇用している派遣労働者であろうが無期雇用している派遣労働者であろうが、そのいずれについても、需給調整機能の観点からすれば特定目的行為は解禁されるべきではないと思います。

 私どもとしては、派遣先がこうした特定目的行為を行った場合には採用行為があったものと解すべきであり、したがって、特定目的行為によって派遣労働者を受け入れた場合には派遣先が派遣労働者に対して労働契約の直接の申込みを行ったものとみなす、といった手当こそがなされるべきと考えています。このように、 9. に記載されているような特定目的行為を解禁する旨の記述については削除されるべきであることを改めて申し上げたいと思います。以上です。

○鎌田部会長 そのほかに御意見ございませんでしょうか。

○高橋委員 今回いろいろと労使双方の意見を踏まえながら調整いただき、本日のような案をお示しいただきましたことについて、公益委員の先生方並びに事務局の皆さん方に謝意を表したいと思います。その上で、ページに沿って何点か申し上げます。

 まず、 3 ページの、 (4) 派遣先における期間制限の 2 つ目の「派遣先は」で始まる段落に、労働者の募集に当たっての派遣労働者に対する周知がございます。募集に当たっての周知はここだけではなく、 6 ページの一番下の、 (4) 派遣先での正社員化の推進にも募集のことが言及されています。これらに関して、新卒の採用などを考えていただくと分かりやすいのですが、そうしたものまで派遣労働者に周知するというようなことですと、そもそも新卒採用というのは現在学生である方に対して行う採用行為ですから、そのようなものまで周知していくということになると実態と乖離する部分があります。そもそも条件に合わないようなものまで周知する必要はないということを明確化していただきたいということが 1 つ。また、当該派遣労働者に直接周知するというだけではなく、派遣元を活用して周知を行うという在り方もあるのではないかと思いますので、そうしたことについても明確にしていただくことがよろしいのではないかと思います。

 次に、同じ 3 ページの一番下のイ、「適正な意見聴取のための手続」のすぐ上の「意見聴取にあたり」という段落についてです。「意見聴取にあたって資料提供に関わることを指針に規定することが適当」という文言がありますが、今回の見直しは基本的には派遣先の労使自治に委ねていくという大きな原則があるのではないかと思っていますので、意見聴取の際に、どのようなデータ、どのようなことについて議論するかは派遣先の労使に任せていくことが基本であると思います。余り箸の上げ下ろしのように何々を提供しなければならないといった形で指針を規定していくべきではないと考えます。

 それから、先ほど新谷委員から、私の理解では、意見聴取という手続を経ずに 3 年を超えて受け入れた場合はみなし制度を適用すべきだという御意見があったと思います。みなし制度についてはそもそも反対であるということは、この際除きまして、手続を怠ったからといってみなし制度の適用というのは少し重過ぎるペナルティではないか。それとともに、そもそも、 2 ページの、 (3) 雇用安定措置のすぐ上の段落で、「派遣先が同一の組織単位において 3 年の上限を超えて継続して同一の派遣労働者を受け入れた場合は労働契約申込みみなし制度の適用の対象とすることが適当である」と書いてあります。したがって、手続をせずに 3 年を超えたら、この規定が適用されて、申込みみなし制度が適用されることになりますので、新谷委員の御指摘はここで十分に対応が可能なのではないかと思います。もし仮に新谷委員のように手続の不備によるみなし制度を考えるとしても、手続を踏めないことについて使用者の責に帰さない事情もあることが想定されるのではないかと思います。そういう点も踏まえながら、新谷委員の御指摘について、公益の先生方には御検討いただきたいと思います。

 それから、 5 ページの (1) のア、賃金についてです。再三再四、労働者側の皆さんは均等原則とすべきだとおっしゃいますが、それについて申し上げると長くなりますので今回は省略します。今回書かれた、現行の努力義務を配慮義務に格上げすることについて、配慮義務になれば派遣先には何らかの具体的なアクションが求められる形になると思いますが、なかなか派遣労働者と同種の業務に従事する労働者を特定すること自体が非常に難しい場合もあり、配慮義務とされてもなかなかアクションが取りにくいと思います。したがいまして、適切な措置については、既に派遣先として公開している求人情報や、その派遣先が属する業界で一般的な業界平均の賃金データなど、そうしたものも広く含めて認めていく、可能であるとすることを明らかにしていただきたいと思います。

 最後に、 7 ページの、 9. 特定目的行為についてです。先ほど新谷委員から問題提起があった所です。その是非については私は申し上げませんが、無期雇用の派遣労働者に対する特定目的行為を可能とすることは、実は平成 20 年の労政審の需給制度部会で既に可能とするという結論を得ています。三者構成であるこの労政審で既に結論を得たことは大変重いと思っています。その結論を尊重していくべきではないか。

 重ねて、法律改正事項ではないのでこの報告書には出てまいりませんが、過去の審議において私からお願いしております、スキルシートの取扱いの明確化については、業務取扱要領でしっかりと対応していただくことを重ねてお願いして、以上とさせていただきます。

○鎌田部会長 そのほか、御意見ございませんでしょうか。

○新谷委員 高橋委員から私どもの主張の内容について触れられましたが、その内容について一々申し上げるつもりはありません。今回の派遣法の審議は、確か 8 30 日から始まり本日で 12 回目になると思いますが、非常に長い時間を掛けて、重要な内容についての審議を重ねてきました。もともと、昨年 4 月に改正法が施行されたばかりの中で、またすぐにこの派遣法の改正の審議を行うこと自体が私どもとしては違和感があったところですが、今回の派遣法の審議に当たっては、派遣法の根幹をなす期間制限の在り方や、派遣労働者の処遇の在り方といった非常に重要なテーマについて論議をしてきたわけです。我々としても、政府の一部から出されている労政審不要論といったものを現実の姿として横目に見ながら、この公労使三者から成る労政審で一定の結論をどう出すのか、真摯に取り組んでまいった次第です。

 しかし、今回の審議の中で気になりましたのは、オブザーバーという形で、派遣事業の直接の利害関係者の方、すなわち派遣元事業主の方が直接参加をされて、正に御自分たちの事業の利害を背負って、かつ、使用者側の中心的な発言をされてきたということであります。その点に、労働側としては非常に大きな違和感を覚えていたのが事実です。もちろん、派遣事業の実態に即した論議を行っていくことは重要なことでありますので、例えば派遣事業者の方のヒアリングを行うといった機会は非常に重要だと思いますが、今回は、こういう形で労政審の中に直接の利害関係者が入って来られて、それぞれの立場を代表する形での発言がなされておりました。そもそも、この労政審の場は労働市場政策として派遣とがどういうものであるべきかということを冷静に審議する場であると考えています。したがって、今後、この需給制度部会において派遣制度の見直し論議が再び行われる際には、こうした私どもの意見についても是非斟酌していただいて、部会運営の在り方を考えていただきたいと思っております。あえて苦言じみたことを申し上げますが、最後に申し上げておきたいと思います。以上です。

○鎌田部会長 小林委員、どうぞ。

○小林委員 今の新谷委員の意見ですが、使用者側の立場から言えば、派遣先の企業もあり派遣元の企業もあるということで、私どもの団体の場合には派遣元というのはあまり会員団体がいないものですから、派遣元の事業者の方に加わっていただいて、派遣制度がどのようになっているのかという生の声も聞けたのではないかということで、私は良い審議会だったと思っています。労働側が言うのであれば、逆に、派遣労働者の方に実際にオブザーバーとして参加していただいて、派遣労働者の生の声を聞くのも 1 つの方法だったのではないかと思います。これは一方的にどうのこうのという議論というよりも、今までの実態に合った形で、どういう形で派遣事業者の方が決められた派遣制度の中で取り組んできているのか、私どもにしてみれば、使用者側の立場として、派遣先の企業から派遣先の待遇としてはどうかなど多くの意見を聞いていますので、別にその辺の運営の方法はいろいろな方法があると思います。一方的に派遣元の方が言っていた意見がどうだということには私は納得いかないところです。

○鎌田部会長 では、阿部委員、どうぞ。

○阿部委員 前々回の公益委員の報告書 ( ) を基に本日この報告書 ( ) が出て、それに対して労使双方からいろいろな御意見がありましたので、公益者を代表するわけではなく個人的に幾つか私個人が思っていることをお話しさせていただきたいと思います。

 基本的に、労働側・使用者側から頂いた意見は、正にそういうところもあるだろうと思っています。一方で、少しどうなのかと思うところもあります。例えば清水委員が、意見聴取が何回も行われていたときに、労働者側の意見を担保するような規定を置いてはいかがかというような御意見だったと思いますが、これは前にもここで議論したと思いますが、どこまで経営権に介入できるかという問題があるのではないか。私は法律の専門家ではありませんので、法律あるいは省令や指針などでどこまで経営権に介入していけるのかという点は少し考えていただかないといけないのではないかと思いました。

 それから、高橋委員から特定目的行為について御発言があって、以前そのような話があったことは私も認識していますが、前回と今回で違うのは、無期雇用の範囲が変わってきているという点は少し考えていかなければいけないのではないかと思っています。そういう意味で、無期雇用の範囲が業務の制限なしになってくるわけで、その点で特定目的行為の是非を考えておくべきではないかと思います。

 公益委員を代表した意見ではなくて私個人の意見ですから、今後また反論されてもいいと思いますが、私個人は労使それぞれのいろいろな御意見をお聞きして思った点を述べさせていただきました。

○鎌田部会長 新谷委員どうぞ。

○新谷委員 審議会の運営について、オブザーバーの在り方について申し上げたところ、小林委員から、そうではないという御意見を頂戴しましたので、重ねて私どもの考え方を申し上げたいと思います。労政審というのは、もともと ILO の三者構成原則に従って、主な使用者団体と主な労働団体の代表が政府と一緒に審議を重ねていって、こうした現場をよく知っている労使によって一定の結論を見出すという場であり、これこそ ILO が培ってきた原則ではないかと思います。しかしながら、そこに、直接の利害関係者が入ってきて、御自分たちの事業の在り方についてその主張をされることについては、非常に違和感を覚えるということです。

 先ほどの小林委員の御発言の中で、御自分たちの組織内に派遣会社はいないとお聞きしましたが、私どもは派遣労働者をきちんと組織化しておりますので、派遣労働者の声については私どもが代弁しているつもりであります。御自分たちの組織の中にいないからといって直接にその業界団体の方々をこの場に出してきて発言をさせるということについては、今回の審議会を 12 回やってきた中で非常に大きな違和感を覚えております。これは見解の違いなのでこれ以上は申し上げませんが、私どもとしては、今後の審議に当たってはこういうやり方はよろしくないということを重ねて申し上げておきたいと思います。

○鎌田部会長 この審議会でのオブザーバーの位置付け、また、議論の仕方について、もう何回も御意見を伺っています。それぞれの立場で御主張があると思います。この点は、これからの部会の進め方として、事務局から何かコメントがあればお聞かせいただきたいと思います

○富田課長 オブザーバーの在り方につきましては、この審議会を始める前に、やはり各方面から直接の利害関係者の声も聞かなくてはいけないのではないかということもあって、部会長や労使の皆様にもお諮りして、このような形で進めさせていただいたということです。ただ、本日、労使双方から御意見がありましたので、それを踏まえて、今後 新たにまた派遣制度の見直しの議論を進める際には部会長及び労使の皆様とも相談して、その在り方を検討していきたいと思っています。

○鎌田部会長 今のことについては、今の事務局の発言で、そういうことで御意見を伺ったということにしたいと思います。青木さんは、別のことでしょうか。

○青木オブザーバー そのことに関してです。オブザーバーの話だったので一言だけと思ったのですが。

○鎌田部会長 今、御意見を頂きましたので。

○小林委員 今の御意見に関して。全くいないわけではないのです。私どもの団体に派遣元事業者が全くいないというわけではなくて、少ないという意味で申し上げたのです。私ども中央会の中にもいろいろな派遣元の事業者の方々がいます。業種によっては運送業などの方でも派遣元を兼務されていたりするということで、いろいろな業界から御意見は頂いています。全くいないというわけではないのです。その意見を反映できるということはあるのですが、オブザーバーという立場で今回は当事者から生の声を聞くというのは、先ほどの事務局の説明もあった上でこの審議会を始めたので、そのことについて、生の声が直接聞けるのも、私どもとしては良かったのではないかと思っているということを申し上げたまでです。

○鎌田部会長 もういいのではないですか。短くお願いします。

○青木オブザーバー 私自身が派遣労働者であったという事実に基づいて、私は、派遣労働者の声を反映しようと思って発言してきました。以上です。

○鎌田部会長 違う論点のことですか。違うことであれば、清水委員のほうが少し早かったので。

○清水委員 阿部先生から御意見を伺いました。経営権に対する介入ということについては、その度合いなどということだと思います。ただし、労働者派遣法自身がその法律の目的に派遣労働者の保護や常用代替防止ということがあるのですから、それが担保されない制度が現実的に発足する、改正するというのは、やはり矛盾だと思います。ですから、もしそれが矛盾しないというのであれば、この 3 年ごとの意見聴取による、人は替わっても同一職場に派遣労働者が位置付けられる、居続けられということが、常用代替防止との関係でどう合理性があるのかきちんと説明してもらいたいと思います。これは要望です。

○鎌田部会長 小林委員、どうぞ。

○小林委員 報告書の内容に戻らせていただきたいのですが。報告書の 6 ページの 7 に、派遣労働者のキャリアアップ措置として、派遣元事業主が講ずべき措置があります。現状の制度でも専門 26 業務というものがありまして、 1 例を挙げれば、通訳の方など、かなり高度な専門知識を得ている方々が派遣労働者の中にはいらっしゃいます。一方、登録型派遣の派遣労働者の方に対して、現状では派遣元事業主ではキャリアアップの措置は取られていないというのも事実だと思います。派遣労働者の中にもそれぞれの方々のキャリアアップの支援というのは、派遣元事業主にとっても違いがいろいろとあるのだと思います。確かに、キャリアコンサルタントの方々に相談しながらどういうキャリアアップの措置が必要なのかを聴き取っていただきたいと思いますが、これをキャリア形成の具体的な在り方について一様に指針に規定するというのは、少し難しい側面もあるのではないかと思います。キャリアアップの支援措置は重要だということは認識していますし、派遣元でもやらなければならない。また、それに対して派遣先としてもいろいろな形で協力しなければならないというのは大切なことだと思います。雇用保険の制度の中でも、学び直しという形でキャリアアップのいろいろな仕組みを、社会のいろいろな従業員の方々も学び直しましょうということと同様に、特に派遣労働者の方々についてもその措置の必要性は十分に認識しています。その措置を取ることが必要だと思うのですが、一様には書けない部分、指針で表わすのも少し難しい部分もあるのではないかと思います。今後、このことについても指針作成に当たっては十分に議論していく必要があるのではないかと感じています。

○新谷委員 先ほど阿部先生から、経営権との兼ね合いの話が出されましたので、私どもの思うところを申し上げておきたいと思います。集団的労使関係の中で、経営権の取扱いというのは昔から論議してきた内容です。日本の独自の経営権と集団的労働関係との関係で言うと、労働協約の中に労使協議制というものが盛り込まれていて、集団的労使関係上はそういう形で処理をしてきたと思います。これはもちろん労働組合のある所に限ってということです。したがって、労働組合のある所はきちんとした意見聴取がなされると思いますが、今は労働組合のない所が職場の中では大半です。もともと 8 20 日に出された研究会報告の中の「派遣先の労使の会議等」でチェックするということが御提起されていて、その中にドイツの事業所委員会が明確に記載されていましたので、私どもは当然、経営権の問題があることも踏まえた上で、有識者の先生方はそれを乗り越えるような形でご提起をなされたものだと思い、この論議に臨んでまいったところです。しかし、今回の論議の中で、あれは例えばということで出しただけであって経営権の問題は乗り越えられないということになってしまい、「おかしいのではないか」となったわけです。私どもは非常にその点に期待しておりましたが、そういうことも経過としてあったのではないかと思います。所感めいた話になりますが、重要な御提起を頂いた点に対して、私どもはそのような印象を持っているということです。以上です。

○鎌田部会長 ほかにございませんか。

○竹内 ( 奥野 ) 委員 私も阿部委員と同様に、公益委員ではありますが、公益委員全体を代表するわけではなく、一公益委員個人の意見として申し上げたい点がございます。まず、労使の双方の委員の方々から様々な御意見を報告書 ( ) に頂きまして、更に検討が必要だと感じました。

 その御意見の中で 1 点、高橋委員から、派遣先における期間制限に関して、労使の自治に委ねるということで、余り細かく規制をすべきでないという御趣旨で箸の上げ下げまで細かく定めるような規定ぶりであるべきではないという御発言があったと思います。確かに、派遣先でいわゆる正社員、正規の労働者として働いている労働者の方々が代替されていくことを防ぐ、その判断に自ら加わる、また,当該判断については、もちろん派遣労働を利用するかしないかということでは使用者にも関わることですので、こうした現場の当該労使に委ねるという意味では、提案の内容は、労使の自治に委ねているという側面があることは確かだと私も認識しています。

 しかしながら、この法律、また、現在議論されている報告書 ( ) の中でも、常用代替の防止といのは法の立場として維持をするという考え方が取られているわけです。その上で,常用代替防止の実現を図る制度として、今回の報告書 ( ) では、派遣先の労使のチェックを利用するという判断を、この段階では、しているわけです。そういう意味では、法がなお堅持している原則についての機能を担わせるという、法の目的としている重要な役割を労使のチェックに担わせていることになりますので、これは現場の労使の判断であれば何でもいいというわけではなく、法の期待する機能を適切に担う形での労使の判断に委ねられる必要があります。その意味では、労使の判断の前提として、適切な労使の話合いの枠組みができているということが法によって保障されていることが必要だと私は思います。もちろん具体的な定め方についてはなお議論する必要があろうとは思いますが、労使に丸投げすることでよい、という制度設計であってはならないと私個人としては考えています。

○鎌田部会長 よろしいですか。今お示しした報告書 ( ) は、労使の皆様に相当の歩み寄りを頂いて作成したものであります。また、個人の立場ということで公益委員からも御発言がありました。公益委員の間でも何度も何度も議論を重ねてきているところでもあります。そうした中で、このような報告書 ( ) を皆様に御提示しているということです。かなり問題が収斂してきていると私は理解しています。

 ただ、本日の議論をお聞きしますと、なお隔たりが残っているものが少しあるのではないかと思います。派遣問題というのは本当に立場の違いが大きくありますので、議論を尽くせないところもたくさんありますが、論点についてどのように調整を図るかということでは、私の理解では、かなり論点は収斂されてきているのではないかと思っています。引き続き調整を続けていきたいと思いますが、次回には、是非、労使双方が合意できるよう、私ども公益委員としても事務局とも協力しながら全力を挙げて進めていきたいと思っています。多くの方の期待と懸念、様々なものを双方の立場でお持ちだと思いますが、是非とも前進させる方向で御協力を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○亀井補佐 次回の日程については、部会長と改めて相談いたしました上で調整、御連絡させていただきたいと思います。連絡事項は以上です。

○鎌田部会長 以上をもちまして、第 203 回労働力需給制度部会を終了いたします。本日の署名委員は、清水委員、高橋委員にお願いいたします。委員の皆様、どうもありがとうございました。


(了)

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