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2013年12月4日 第200回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成25年11月28日(木)10:00~


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(6階)


○出席者

(公益代表)鎌田委員、橋本委員、阿部専門委員
(労働者代表)石黒委員、新谷委員、春木オブザーバー、宮本オブザーバー
(使用者代表)秋山委員、小林委員、高橋委員、青木オブザーバー、大原オブザーバー

事務局

岡崎職業安定局長、宮川派遣・有期労働対策部長、鈴木企画課長、富田需給調整事業課長
松原派遣・請負労働企画官、鈴木主任中央需給調整指導官、亀井需給調整事業課長補佐、木本企画調整専門官

○議題

今後の労働者派遣制度の在り方について

○議事

○鎌田部会長 ただいまから第 200 回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は公益代表の柴田委員、竹内専門委員、労働者代表の清水委員が所用のため御欠席されると伺っています。

 それでは、本日の議題の「労働者派遣制度の在り方について」の議事に入りたいと思います。本日の進め方としては、期間制限、均等・均衡待遇、キャリアアップ措置の 3 つの論点を中心として、引き続き幅広に御議論いただきたいと思っています。事務局から追加資料が出ておりますが、その他の論点についても必要に応じ、御議論いただきたいと思います。

 はじめに、事務局から追加資料の説明をお願いいたします。

○亀井補佐 それでは、本日お配りしている資料の御説明をします。お手元の次第のとおり、本日配布資料として 4 種類御用意しておりますので、御確認ください。過不足等ありましたら事務局にお申し付けください。

 本日お配りしている資料は、 2 種類追加で出しており、資料 2 、資料 2-2 は前回お出しした資料と同一のものです。資料 1 の委員名簿は、使用者オブザーバーの大原様に役職の変更がありましたので、役職の変更を修正して本日改めて 4 日現在で差し替えをさせていただきました。

 続きまして資料 2 2-2 です。こちらはいずれも前回お出しした資料を本日もお出ししておりますので、説明は省略させていただきます。

 続きまして資料 3 は「労働力需給制度部会におけるこれまでの議論の整理 ( 許可基準及び団交応諾義務の在り方 ) 」です。タイトルの注にもありますが、こちらの資料は第 198 回労働力需給制度部会に事務局から提出させていただきました。これまでの労使双方の御意見の整理に基づき、それをリバイスしたものです。前回の部会でも御議論がありました、許可基準の在り方と、派遣先の団交応諾義務の在り方に係る御意見を抜粋しまして、アンダーラインの部分ですが、前回と前々回の御議論を追加させていただいたものです。

 中身を簡単に御説明させていただきます。 1. の許可基準の在り方については、労働者代表委員等の御意見で追加させていただいたものとして、まず 3 つ目のポツ、許可基準を厳格化すべきという流れで、許可基準については資産要件をはじめとして、企業規模に関わらず一律とすべきである。むしろ資産要件のみならず、雇用主責任を担保するための要件を追加すべきという御意見です。

 また、派遣事業というものは一定の資産と面積のスペースがあれば誰でも始められるものであるからこそ、いざというときに雇用主責任を果たせるように、資産要件が必要であるので、中小企業だから半分でよいということにはならないのではないか。更にはドイツでは許可の際に派遣元が雇用主責任を果たせるかどうかという観点から、チェックを行っているという御意見でした。

 また、最後のポツ、初回の更新は 1 年ごとにすべきという御意見に追加して、 1 年後のチェックの際に、キャリアアップの実施状況もチェックしてはどうかという御意見です。

 これに対して、使用者代表委員等の御意見で、 2 つ目のポツの中小零細企業が多いことを踏まえての配慮の部分ですが、派遣労働者の人数に応じて資産要件を変えたり、ほかの許可要件と組み合わせることで、適格性は担保できるのではないか。また、現在の資産要件は 2,000 万円となっておりますが、これはやはり非常に中小零細にとっては高いのではないか。更に次のポツ、特定事業所が 6 万ありますが、そちらには 30 万の派遣労働者の方々が雇用されているということで、こうした方々の雇用が失われたりしないよう、新しい基準を検討すべきという意見も追加させていただきました。

 続きまして 2. の派遣先の団交応諾義務の在り方については、労働者代表委員等の御意見を追加させていただいています。 3 つ目のポツ、派遣法の中でパワハラなど、一定の事項に係る団交応諾義務について、やはり明確に規定すべきという御意見です。資料 3 についての御説明は以上です。

○鎌田部会長 特に題目で区分することはいたしませんので、自由に御発言を頂きたいと思います。

○新谷委員 前回も大分論議をさせていただいて、今日また資料 3 という形で追加の論点の整理のメモを頂きました。前回も申し上げたと思いますが、資料 2 で示されております両論併記の取りまとめに向けての論点メモがあるわけですが、これの B 案については、そもそもこれまで 8 回に渡る論議の中で、使用者側から一度もこういう内容の主張がされてこなかったものが、取りまとめに向けての原案として、 B 案として示されたわけであります。前回この点について、事務局に確認を求めたところ、これについては研究会報告の内容であるということが答弁としてあったわけですが、 8 回に渡る論議とは違うものが研究会報告という形で取りまとめの原案として出てきたことに対して、前回も申し上げましたが、非常に強引な取りまとめの手法ではないかと感じます。これが最終的な取りまとめに向けてベースになるということであれば、非常に遺憾であるということを、改めて申し上げておきたいと思います。

 それと、前回も論議をさせていただいて、やはり労使の隔たりは非常に大きいと感じているところです。当時は厚生労働省から、検討のスタートに当たって、年内の建議を目指して論議を進めるということをお示しいただいたのですが、私どももその努力を惜しむつもりはありませんが、ただ余りに労使の隔たりが大きいということは現実としてあるわけです。事務局として今後取りまとめに向けて、次回以降のこの部会の進め方をどのように進めていくのかお示しをいただきたいのですが、くれぐれもこの現状の中で、拙速に強引なまとめ方をすることのなきよう求める中で、次回以降の進め方について今の考え方をお聞かせいただきたいと思います。以上です。

○富田課長 部会の進め方につきましては、もちろん部会長の采配になりますので、事務局としてこう進めたいというものではありません。本日まだ議論が始まったばかりですので、本日の議論を踏まえて、部会長と相談して決めることになると思います。

○鎌田部会長 ただいま、労働側委員のほうから、使用者側委員から B 案に対する、あるいは B 案に関わる様々な項目について、意見がなかったのではないかというような御指摘があったのですが、もし使用者側のほうで何か御意見があれば発言をいただければ。私の理解では、その折々に発言をされていたような気がするのですが、改めて。

○小林委員 折々言っていたような気もするのですが、以前の部会で、 A 案のようにいわゆる 26 業務の見直しもしたほうがいいのではないかというようなことの提案もしました。 B 案についてもちょっと分かりにくいので、どういうものなのかと説明していただきたいと、事務局の方から伺ったこともあります。そういうことで、両案を見ていたような状況もございます。

 その中で、いわゆる 26 業務について、真に専門的な業務にするように常に見直しを行ったほうがよいということを、以前言ったと思うのです。とは言え、実際に 26 業務を見直すとなると、また一方でどれを残すのかとか、更に追加したほうがいいものもあるのではないかという議論になると思うのですが、なかなか難しいというのも少し感じています。それと、期間的にもこの議論が始まった時期から年内まとめるような形で進めていく中で、果たしてまとまるのかというような疑問も持っているところでもあります。また、いかに業務を絞り込んだところで、関係者の解釈の食い違いとか、付随業務の問題があって、これも言うなれば派遣先にとって課題が残されるのが A 案なのではないかなという懸念も持っています。

 一方、研究会報告にある B 案のほう、業務単位から個人単位の見直しをするということですが、 A 案の課題を解決するというものでも一つあるのかなということも感じています。ただ、そこを今までの議論の中で労使のチェックというのですかね、インター方式が採られるということもありますし、新たな方法でもありますし、到底中小の事業所でインター方式のようなものを採られると、対応できるのかなという、制度ができたけれども守られない仕組みになってしまうのではないかということでの懸念もあります。その部分については若干反対の部分を持っていたりとか、 A 案、 B 案それぞれの仕組みがあるのではないかと思っています。

 この中で仮に研究会報告の B 案を採られると、今までの 26 業務について、元派遣先ではずっと期間の限定なく受け入れられていたのが、今後は期間が制限されることになるとわけです。そうすると、それで本当にいいのか。専門性のあるもので例を挙げれば、この間いろいろ検査業務など新たに加わった業務があるわけです。今までは期間の制限があるから大変だということで、新たに追加された業務もあるわけです。そういうのを考えると、例えば一定の経過措置を取るとかいう仕組みが採られるのであれば、また考えようがあると思うのです。その辺十分な配慮が、それぞれ A 案、 B 案について採られることが必要なのかと感じています。

○鎌田部会長 ありがとうございます。

○石黒委員 今、 A 案、 B 案のところで、特に賛成意見も含めて、もう一度 198 回の両方の論点整理の所を読み返しているのですが、例えば今小林さんがおっしゃったように、 26 業務は問題ないとか、下限制限のところを、業務から個人へというところは論点にあるのですが、例えばそれが問題だから、無期の場合は派遣先でやめましょうという話は一度も、自分の記憶では使用者側から、そういう話はなかったと思っているのですが、事務局にお尋ねしたいのですが、いつどういう所で、 B 案は使用者側が折々に触れたものなのだということを、少しお示しいただきたいのですが。

○富田課長 すみません。折々というのは、私から申し上げたことではございませんので、お答えし兼ねるのですが。

○石黒委員 おまとめになったので、まとめられたところの根拠ということです。

○鎌田部会長 ですから、今審議条項についてまとめていただいたわけですが、基本は発言したことをまとめたということですので、どの部分が発言はなかったのではないかとおっしゃいましたか。

○新谷委員 今、部会長もそうですし、小林委員も B 案について折々触れてきたとおっしゃるのですが、 B 案のどこを触れてきたのかということなのです。 B 案を見ていただくと、派遣元を有期と無期で分けて、無期については派遣期間の上限を設定しないとか、有期については個人レベルと派遣先のレベルのチェックを入れる。派遣先レベルについては労使の委員会でやるとかと書いてあるのですが、これまで 8 回の論議の中で、使用者側は一切このことは触れていないわけです。それをどこを見れば折々触れてきたと言われているのか、事実関係を確認したいのです。大事なことなので、もともと使用者が言っていないことを研究会報告で B 案として出してきたのかどうか。そこは大事なポイントだと思うので、事務局に確認したいと思います。

○富田課長 そうしますと、前回も申し上げましたが、 B 案を出した理由といいますのは、前々回の審議会で、使用者側委員から今後議論を進めていく中で、労側が主張されています業務を限定する方式と、あと研究会報告を参考にした方式というのをお示ししてくださいというような御要望がありましたので、研究会報告を参考にした方式を御提示させていただいたということです。

○新谷委員 今 198 回に配られた資料 1 の「これまでの議論の整理」というのがあって、各項目ごとのを見ているのですが、期間制限なり、常用代替防止なり 26 業務の所というのは、発言の中心が今の仕組みの常用代替防止をやめろとか、 26 業務について問題があるとかいう発言に終始をしておられて、唯一出ているのが、前回配られた資料の 3 ページ目の右側に、期間制限の単位を業務から個人にすることで分かりやすい制度とすることができるとか、個人単位の期間制限として一定期間を同一の派遣先で派遣できるようにするべきであるといったところ、こんなところしか出ていないのです。無期は常用代替防止の対象としないとか、派遣先での労使の委員会のチェックを入れるとか、一切入っていない中で、折々に触れてきたというのが、全く事実誤認なのではないかと思いますので、そこだけははっきりさせておきたいと思います。

○鎌田部会長 無期雇用派遣についての位置付けというのは、使用者側からも発言があったように記憶しているのですが、個人を特定して恐縮なのですが、青木さんはそういう発言をしていませんでしたか。

○青木オブザーバー 確かしたと思うのですが。あと、労働側の方にとっては、研究会報告はたたき台とはしないとおっしゃったのですが、私としてはスタート地点として活用するべきではないかという発言をして、もうこの研究会報告書のこの辺は入ったことが頭の中にありながら話をしているつもりではいました。スタート地点として活用してもいいのではないかという発言をした。そういう意味合いでの言葉でもあったのです。

○阿部委員 議事録を御覧になっていただければ分かると思いますが、私は発言した覚えがあって、高橋委員がお話になったことを受けて、無期雇用は本当に無期雇用なのかという議論をして、高橋委員は、それは誤解していますみたいなやり取りがあったように思っています。なので、多分、研究会の報告書ベースだったと思いますが、無期雇用の、無期雇用派遣についての議論は、 1 回はやっているのではないかと私は記憶をしています。

○鎌田部会長 ですから、議事録がどのような形でまとめられたかというのは事務局にお願いですが、もう一度精査をしていただいて、そこは次回でも結構ですが、より改善されたバージョンを出していただければと思います。そういったことでよろしいですか。議事録を精査していただくということです。何も言っていないことをここで作り上げるという話ではありませんので、そういうつもりは全然ありません。

○新谷委員 それに関連して、 198 回のときに、この論点の整理が出てきたので、このときの議論経過や、 198 回の議論自体も折り込んで、これを完成させてほしいという要望を出しておったはずなのですが、今、議事録のチェックということもありましたので、それも併せてこの審議会で一体どんなことが話をされて、何が論点になったのかというのは、記録として残す意味もありますので、是非これの精査をお願いしたいと思います。

○富田課長 次回に間に合うように提出したいと思います。

○鎌田部会長 それ以外について、何か御発言はありますか。

○新谷委員 先ほど小林委員が A 案についての意見を表明されましたので、私どものほうも B 案についての意見なり見解をお聞きしたいと思っております。私どもとっては B 案が導入されたとすれば、無期雇用派遣については派遣期間の上限を設定しないということでありますし、有期雇用派遣についても、派遣先レベルのチェックがかかるということですが、原則として派遣はオーケーだけれども、派遣先の労使の会議が反対したときには駄目になるというロジックになっているわけです。これが今の既存の労使関係の枠組みを使うということになりますと、問題の多い過半数代表もこれに参画をするということになってくるとすれば、常態的な間接雇用法制が導入される懸念があるというように思っております。本来、仕事があるのであれば直接雇用で労働すべきであると私も考えておりますが、派遣を媒介とした間接雇用が入ってくるということであれば、これは余り言いたくありませんが、規制改革会議の雇用ワーキンググループのほうでも、実は指摘をされている内容ですが、実態にそぐわない派遣の利用であるとか、雇用不安定の派遣が入る。これを防止するという意味での派遣労働の濫用防止が必要ではないかということが提起されていたと思います。本当は従来的な間接雇用労働者が入ってきたときに、派遣の濫用防止ということに対して、どのような歯止めをかけるのかというところが示されていないのではないかと思います。

 我々としては雇用が不安定である、これはもともとの派遣という働き方が雇用と使用が分離するという中で、必然的に持っている不安定さでありますし、また、均等待遇原則が入っていない中で、やはり今現在の現状から見てみると、処遇が低いというのが否めない事実ですので、本当にこの濫用防止という考え方がないと、ずっと派遣を使い勝手のいい労働力として、派遣先が使う懸念があるというように思っております。

B 案を仮に取るとしたときに、事務局にお伺いしたいのですけれども、雇用ワーキングからも御指摘をされている濫用防止という考え方は、今回どのように捉えていくのか。実効性ある対応策は考えておられるのかお聞きをしたいと思います。

○鎌田部会長 事務局、どうぞ。

○富田課長  B 案は研究会報告を参考に作らせていただいたものですので、研究会報告をベースでお答えいたします。規制改革会議のほうでは濫用防止が扱われておりまして、当審議会でもよく出ておりました常用代替防止とは違うワーディングを使っておられるということは承知しております。規制改革会議のほうでは、派遣労働者の保護につながるようなという観点で使われたと思っております。今回は、均衡待遇の推進であるとか、キャリアアップの推進というものも組み合わせて対応することになるのではないかと考えております。

○新谷委員 お聞きをするといつも研究会報告だからよく分からないという話があって、使用者側の先ほどの論議ではありませんが、ズバリとここのところはおっしゃっていない中で、また研究会報告になると、研究会報告だけは動かない。本当に責任を持って誰が考えているのかということなのです。これは本当に常態的な間接雇用法制が入ってきて、本来仕事があるのに、なぜ間接雇用でいくのかというところ。本当に濫用ではないかと思うのですが、そこの防止策をどう考えるのか。これがセットで示されないと B 案というのはなかなか採りにくいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○富田課長 資料の性格について申し上げますと、 A 案と B 案を併列で並べまして、事務局としてはどちらを強力にプッシュするという形は問わないような形にしております。そういうことで、 B 案についても、記載がそれほど踏み込んだものになっておりません。

 逆にいうと、 A 案についても事務局のほうでいろいろと考えまして作ったペーパーになっているということで、御理解を賜りたいと思います。

○新谷委員 それでは、次回まででいいので、濫用防止への対応策についても、事務局で考えられる案を出していただけませんか。このまま本当に B 案だと、歯止めがかからない可能性があります。私どももこの研究会報告を見たときに、生涯派遣という仕組みができてしまうという懸念が一番多いと思っていまして、派遣の問題というのは雇用の質と使用の分離が必然的にあるわけですから、なぜ仕事があるのに分離したまま働き方を推進するのかというのがよく分かりません。だから濫用防止という考え方をどのように B 案の中に組み込まれるかというところを、是非事務局で考えられる案をお示しいただければ有り難いと思っています。

○鎌田部会長 新谷さん、具体的な細かい話は結構ですが、濫用防止という場合の考え方、ポイントを少しこの場で、お考えを少しアドバイスいただければ事務局としても作成する上で、ピント外れにならないのではないかと思うのです。それを含めてどういう形にするかということも検討いたしますが、どういったようなイメージで思っておられるかということだけお話いただければと思います。

○新谷委員 労政審で進んでいる中でいかがなものかと思いますが、規制改革会議の雇用ワーキングのほうで、派遣の論議がずっと進んでおりまして、需給部会にも意見書が提出されたわけですが、そこの論議のペーパーを見てみますと、常用代替防止という考え方と派遣の濫用防止という考え方が併せて書かれておりまして、今回彼らの考え方の中だと、採るべきは濫用防止であるということが書かれております。その中に書かれているのが、実態にそぐわない派遣の需要をいかに防止をするのかということと、不安定雇用の派遣をいかに防止をするのか。これが濫用防止として考えるべき点であると書かれております。こういった視点から、この B 案における対応策をお考えいただけないかということであります。

○秋山委員  A 案と B 案について申し上げますが、今回の見直しにあたっては、労働者、企業双方にとって、現行制度よりも分かりやすい制度にするということを一番の目的にしていただきたいと思います。 A 案については、小林委員もおっしゃったように、付随的業務が曖昧で、分かりにくいというところがあると思いますので、もし A 案とする場合は、その点を見直していただければと思います。なお、 26 業務の中には、特段の問題は生じていない業務もあると思います。次に B 案については、現行よりも多少分かりやすくはなりますが、まだ不十分だと思います。特に労使のチェックをしていく委員会を新たに設けるという点については、中小企業にとっては、人的、コスト的にハードルが非常に高いですし、そもそも雇用計画をどうするかというのは、経営の裁量というところが大きいと思うのです。留意事項にもありますように、委員会が反対した場合に、派遣労働者の受入れができなくなるというのは、経営権にとっては非常に大きな制約になると思いますので、まだまだこれから考えていかなければいけないところだと思います。

 また、今年の 4 月から施行された改正労働契約法では 5 年を超える有期契約は、本人の希望により無期契約に転換できます。 B 案の派遣可能期間は最長 3 年となっていますが、本人が希望すれば 5 年まで延長するということも考えていいと思います。

 なお、制度を見直すことになった場合、 26 業務については、そこで働く労働者や、会社への影響のことを考えて、十分な経過措置が必要だと思います。以上です。

○鎌田部会長 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 まず A 案と B 案の双方について、コメントさせていただきたいと思います。既に A 案については、かねてからいろいろコメントしていますが、改めて A 案を見ますと、やはり派遣先としては法令に則り、適正に派遣労働者の方を受け入れていると判断していたにもかかわらず、結果として異なる判断がなされるということが、実際に起きています。その意味で、現行制度が持つ制度の不安定さというものがあると感じています。今はまだ発動されていませんが、みなし制度の中には、発動要件の 1 つに期間制限違反があります。その辺りのことを踏まえて見ましても、制度が不安定なまま、みなし制度の施行ということになりますと、現場は大変混乱していくのではないかと感じています。

 その意味におきまして B 案というのは、このように判断が分かれるということは、イメージなので具体的に詳細な制度設計を見てみないと、はっきりと評価することはできないかもしれませんが、少なくとも私が想像するにおきまして、現行制度が持つような制度の不安定さは、かなりなくなっていくことが期待されるのではないかと感じています。

 その上で、先ほどから労働者側委員の方々からも御指摘がある B 案の無期雇用派遣の取扱いについても、お話をさせていただきます。先ほど阿部先生からも、少しやり取りのことを想起されて、御発言をしていただきました。少し話が長くなるかもしれませんが、現行の制度には、いわゆる常用雇用という概念があります。常用雇用というのは御承知のように 3 パターンあって、無期雇用派遣か、短期の雇用契約を反復更新して 1 年超か、最初の契約で 1 年超か、この 3 パターンのいずれかに該当すれば常用雇用ということで、常用雇用という名称の受け止め方は人によって異なると思いますが、継続して 1 年超の雇用契約が続いていれば常用雇用だというのが現行の制度なのですが、こちらの B 案で出されているのは、そのうち無期雇用派遣、すなわち派遣元の会社と、期間の定めのない労働契約を締結している労働者だけに限定をしていくということで、今の常用労働者と比べると、大分対象を絞った形で考えているということであって、そうしますと、よく批判がありますように、派遣契約が打ち切られた段階で、雇用契約も打ち切られてしまうという批判が、常用雇用の方にはあるわけですが、無期雇用派遣ということになれば、当然のことながら労働契約法の第 16 条の適用がなされていくと理解しますので、単純に派遣契約が切られた瞬間に雇用契約を打ち切るということになれば、それは解雇無効になっていくということもあります。

 また、研究会報告書でも指摘されているように、労働市場全体で見れば、期間の定めのない雇用契約者であることを評価して、期間制限の上限を設けないということも、一定の理があるのではないかと感じています。

 ただ、使用者側委員のお二人からも御指摘されているように、私が研究会報告書で一番違和感があるのは派遣先レベルの所で、なぜ派遣先の労使の代表によって構成する委員会というものを設けて、そこで調査・審議をするということが提案されているのか、これがよく分からないのです。説明を聞いてみなければ分かりませんが、なぜ派遣法で、労使の新しい委員会を、これはどのようなものを想定されているのか、研究会報告書を見るだけでは全く分からないのですが、委員会が反対したら一定期間受け入れられないと書かれていますが、具体的な仕組みがよく分からないので、何ともコメントのしようがありません。

 やはり私は派遣先の労使のチェックの基本は、先ほど 2 人の使用者側委員の方からも御発言いただきましたが、既存の制度であるところの過半数労組ですとか、過半数代表者への意見聴取といったような仕組みを、派遣先レベルのチェックと位置付けるのであるなら、この B 案というのは、大変評価される案ではないかと思っています。以上です。

○鎌田部会長 今の発言について、石黒さん。

○石黒委員 まず B 案について、今、高橋委員の無期雇用の部分の、制限なしという所です。今、研究会報告をもう一回見ていたのですが、大前提の所で「無期雇用というのは、雇用保障がしっかりされて、雇い止めの問題が生じない」と書いてあるのですが、前回も申し上げたように、 5 年前のリーマンショックの話をもう一回言うまでもなく、常用が無期になって、無期に期間の定めがないとしても、実際に零細な所も多いとか、いろいろな企業の体質を含めて、無期であればずっとその無期雇用で、期間の定めがなく雇い止めされる可能性が全然低いかという問題について、全くそこのところは理解できないと、まずはじめに申し上げておきたいと思います。

 ここの研究会報告も結構ずるくて、技術者派遣に典型的に見られるような無期雇用のものは、要は雇い止めがないということなので、むしろ今の労働市場を含めてもう形成されているという、そういう専門的な業務の所については、無期で雇って雇い止めがないけれども、これは逆に無期雇用という形にすれば、もう派遣の制限もない、期間制限もないとなった場合に、はたしていろいろな所が無期の派遣になった場合に、本当に無期であるなら直雇用の正社員のように、雇用保障がしっかりしているのかという問題については、きちんと事実確認、今後の在り方も含めて議論していかなければ、 B 案という根底の所が、 B 案の「派遣が無期であれば期間の制限をしない」ということの根本的な論拠が全く成り立たないということになると思います。

B 案を採るとしたときには、実際、本当に無期雇用であれば、雇い止めの問題が生じないという状況になるように、そういったものに違反するような派遣元については、前もそういった派遣元の所に制限をやるべきだという、きちんとするべきだという使用者側の御意見もありましたが、当然、無期雇用の派遣の所が雇い止めになるということについては、きちんとした行政処分、そういった派遣業者は、もう業界にはいないということをしていかない限りは、無期であれば雇い止めの心配がないから、派遣については期間を制限しなくていいよということは、全く理解できないと思っていまして、それができるのかという問題も含めて、 B 案を選択する余地はないと私は考えています。

○鎌田部会長 無期の場合、雇い止めの心配がないというご趣旨は。

○新谷委員 解雇です。

○鎌田部会長 解雇ですね。

○新谷委員 今、高橋委員が無期の話をされたので、関連して申し上げますが、確かに今の枠組みが常用雇用という枠組みなので、この曖昧さは非常に問題だと前から思っていまして、これを純化していって無期にするというのは、それはそれでいいと思うのです。ただ、無期だから雇用が安定しているというロジック、今、石黒委員も申し上げましたが、これは本当にそうなのかというところです。事実関係としてはリーマンショックの話、今も申し上げたとおりでして、たった 5 年前に起こったことですが、あの中でも派遣元で無期だった派遣労働者の 94 %が解雇されているわけです。これは雇い止めでもなくて、本当の解雇でして、まさしく 16 条違反の違法な解雇が行われたのが 5 年前の話です。

 それで、派遣会社と一口に言っても、いろいろな規模の会社がありますので、研究会報告で出されたようなエンジニア派遣、実際、エンジニア派遣は私の出身の産業別組織に労働組合が入っていますので、実態はよく知っていますが、この前のリーマンショックのときでも、 1 人も解雇者を出さずに、雇用調整助成金で乗り切った会社もあるわけです。これは、本当にそういう会社もある一方で、そんな規模の会社ではない所もいっぱいありまして、毎月、許可申請の案件をチェックしていますが、本当に資産要件ぎりぎりで、マンションの一室を借りて、電話一本を引いて、派遣会社を行っている所もやはりあるわけです。

 では、そこで無期雇用と言われる意味は一体何なのかということを、改めて考えないといけないと思うのです。そういった中小零細の所の無期雇用といったときに、この派遣というビジネスは前回も申し上げましたが、一般の事業会社と違って、求められる資産が資産要件 2,000 万だけ、あとは電話と一定のスペースがあればいいだけで事業を始められますので、一般事業会社のように例えば店舗があったり、工場があったり、機械があったり、いろいろな有形・無形の資産があったりということではなくて、派遣先のお客さんとの契約が 1 2 社しかなくて、そこがなくなってしまったときに、新たに経営努力したけれども、やはり取れませんでしたといったときに、たちまち経営基盤が危うくなる事業形態ではないかと思うのです。

 そのときに整理解雇の判断として、そうしたときの解雇が権利の濫用となるのか、ならないのかといったときに、やはり一般の事業会社と判断が違うのではないかと思います。だから、そういった今の資産要件からいったときに、この派遣というビジネスが持つ経営基盤の弱さ、特に中小零細の所において、無期だということの意味が、雇用が安定しているというのが、ただちに結びつくのかというところが一番疑問なのです。

 それから、事務局にお尋ねしたいのですが、先ほどもありました 5 年前の無期での解雇に対して、行政が行った対応です。目の前に無期の解雇が、こんなにバンバン起こった、いわゆる派遣切りというのが起こったわけですが、 16 条違反に対して、行政としてはどんなことをされたのかというのを教えていただけませんか。

○富田課長 派遣切りについては、もちろん私どもも派遣法を所管しているので、対応を行っていますし、併せて労働基準局においても対応を行ったというのが実情です。他局の例になりますが、労働基準局においては、厳しい経済状況下において、どういうことが必要なのかということを、労働契約法あるいは労働基準法の手続についてまとめたリーフレットを作り、それを周知徹底して、違法な派遣切りが行われないようにするということを行いましたし、私どもも事業主団体を通じて、そこはお願いしました。また、当方でも同じように、派遣切りについて整理したリーフレットを作って、周知徹底を行っていました。

○新谷委員 やはり派遣契約が切られたからといって、ただちに労働契約、しかも無期の労働契約、有期のほうが、本当はもっと厳しいはずなのですが、有期は 17 条の要件なので、 16 条よりもっと厳しい要件で解雇が規制されているはずなのですが、いずれにしても 16 条違反、 17 条違反があったときに、これは違法行為である、違法行為が行われているという認識の下で、いろいろな行政指導をされた。行政処分をする根拠はないわけですね。行政指導のレベルに留まっているというのが現状だということでしょうか。

○富田課長 すみません。他局の例になるので、そういう前提でお聞きいただきたいのですが、解雇の当・不当については、これは労働契約法の解釈で、最終的には裁判所において判断されることになりますので、労働基準局においては、こういうものが違法に当たるということを、判例なども例示をしながらお示しをして、それで事業主の皆様の理解を得ました。ですから、一種の啓発指導という形をとっているということだと理解しています。

○新谷委員 今の判例の話は、確かにおっしゃるとおりでして、これはまさしく労働契約の話ですので、判断は誰がやるのかというと、行政ではなくて司法判断になりますが、この B 案の前提になっている無期は、期間制限なしで上限を設定しないということになっているのですが、その根拠が仮に研究会報告が言っているような、派遣元での無期は雇用が安定するのだというロジック、その前提に立つのであれば、私が申し上げたような、派遣会社における解雇の回避努力なり、解雇の必要性なりの、整理解雇の 1 番目と 2 番目の要件が一般事業会社と比べて、これは同じ運営なり司法判断が行われているという裁判例があれば、私も大分納得できるのですが、もしそういうものがあれば、お示しいただければ有り難いと思っています。以上です。

○鎌田部会長 今、準備がありますか。

○富田課長 今はありませんので、裁判については関係局とも協力して、探してみたいと思っています。

○春木オブザーバー 派遣期間制限の見方ですが、先ほど使用者側から 3 年の扱いの問題、本人の希望があれば延長もというお話があったのですが、私は逆でして、 B 案の有期雇用派遣の 3 年間の上限を設けると、それで派遣元は 3 年たった時点で雇用安定措置を講じるという条件になっているのですが、どちらかというと 3 年に満たないぎりぎりでの契約や、更に 3 年に満たないぎりぎりでの中途解約が行われた場合には、この 3 年という時点に限定した規定というだけでは、やはり何ら雇用安定措置がかからないと思っていますし、雇用安定措置と言いながら、実際には抜け道だらけで全く機能しないものになってしまうのではないかということを危惧しています。

3 年時点での雇用安定措置義務を義務づけるのであれば、その短い場合であっても、雇用の安定が実質に図れるような措置が講じられるべきだと思っていますので、特にこういった雇用安定措置の具体的イメージについて、やはり十分に示していただかないと、この仕組みについても、なかなか議論しにくいと思っていますし、納得いくものにはならないと思っています。是非とも事務局に対しても、現時点で具体的なイメージがあればお聞かせいただきたいのですが、ないようでしたら、やはりこういった点もしっかりと議論できるようにしていただきたいと思っています。

○富田課長 ここの資料 2 というのは叩き台ですので、委員の皆様の御意見を踏まえて、もし修正することをお求めになるのであれば、検討していきたいと思っています。

○新谷委員 関連して、今、雇用安定措置の話が出ましたが、この論議をずっとする中で、派遣という事業は労働市場において、需給調整機能を担っているのだというのは、再三オブザーバーから発言があったわけでして、ここに出ている「新たな派遣就業先を提供する等」と書いてあって、「等」が何を示すのか分かりませんが、例としては「新しい派遣就業先を提供する」というのが書いてあるのですが、これは、しかし当たり前のことではないかと思うのです。要するに需給調整の機能を担っていただいているのが派遣会社なのだということを再三おっしゃられているわけですから、こんなものが何で新たに雇用安定措置という名前を付けられて、ここに出てくるのかというのは、本当に不思議だと私は思っているのです。

 このときに、仮にこれが出たとしたときに、本当にこれが、「措置する」と書いてありますから、措置義務として意図されているのでしょうけれども、これの義務を履行するといったときに、例えばもともと派遣された所が 3 年の満期になって、切られた、違う所に行く、新たな就業先を紹介されるといったときに、今までいた派遣先での労働条件と、新たに提供される労働条件、あるいは勤務地の不便さなどが、明らかに応諾できないような条件、例えば今まで時給 1,500 円で提示されたのに、最賃切りの 800 円ですとか、今までは通勤が 1 時間で行けていたのに、 2 時間かけて行かないといけないとか、明らかに応諾を求められないような、想定されないようなことを提供されても、それは義務を履行したということになるのかどうか。抜け道というのは、先ほど申し上げたのは、そういうことも含めて、一応提供の義務は果たしたけれども、実際は応じられない、それで義務は履行しましたということになるのか、ならないのか。今、考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

○鎌田部会長 それは事務局にですか。

○新谷委員 はい、事務局です。

○富田課長 これは再三繰り返しになりますが、研究会報告をベースにしていますが、私どもの理解としては、当然雇用の安定につながるということで、新たな派遣先というのは、当然前の経歴であるとか、勤務場所とか、あるいは能力というものが踏まえられるものだと理解しております。

○春木オブザーバー そういうことは、やはり曖昧にしたままで議論はできないと思っていますので、しっかりそういったところについても議論できるようにしていただきたい。

○富田課長 お求めがありましたら、その辺についても資料には書き加えたいと思っています。

○青木オブザーバー 雇用安定措置ですから、前回の最後にお話させてもらったのですが、もちろん私たちは常日頃、派遣労働者の雇用機会が失われないように、私どもなりの雇用安定措置を現在も取っているつもりです。ただ、他の非正規、他のものと比べて、あまりにも厳しすぎるというのは、これはいかがなものかと正直思っています。

 それと、先ほどからお話が出ていますが、無期雇用も含めて、派遣労働者が不安定という話がありますが、本当に派遣労働者だけの問題なのかというところもあると思うのです。他の直接雇用のパート、アルバイトの方たちと比べてどうなのか。今は正直、正社員の方でも、厳しい直面に遭われている方たちもいらっしゃいますので。ただ、もちろん前にもお話したとおり、私としては安定した社会のために一定数以上、常用、無期雇用の人を中心とした雇用政策を否定するつもりはないのですが、ただ、全ての今働く人たちが無期雇用で働くわけではなくて、ワークライフバランスだとか、職業意識の変化、労働市場の状況などによって、有期雇用を希望する人も数多くいるので、その結果、非正規労働者が 4 割近くを占める状況に至っている現状からも、派遣、有期が重要だということは明らかだと思うのです。

 あと、処遇の問題等もあったと思うのですが、現在、派遣労働者の賃金とパートの賃金の格差、資料もたくさん出ましたが、一般派遣で見ると 400 円から 300 円ぐらいの違いがあって、派遣労働者のほうが非正規の中で高いのです。これは個々の労働者が企業に直接雇用される場合と違って、派遣元企業が派遣先企業と契約することによって、その信用力などが評価された結果であって、派遣事業の労働条件を向上させる企業は、適正に評価されるべきだと思っています。

 あと、資産要件の話等で少し出ましたが、新谷委員のお話は多分、装置型の製造業などをイメージされているのかと思うのですが、現在、労働集約型のサービス会社というのは結構多くて、例えばビルメンテの会社だとか警備業などは、その例だと思いますので、実際に派遣労働だけの問題ではなく、そういった中小企業で働かれている方たちと同じような感覚の中で、実際に解雇だとか退職のことを考えなければいけないのではないかと思います。以上です。

○新谷委員 今、青木オブザーバーから派遣会社としてのポリシーといいますか、スタンスをお示しいただいたのですが、お聞きしていてお伺いしたかったのは、派遣会社として派遣労働者を直接雇用するわけですよね。一方でこの前申し上げたように、派遣会社は多分、階層管理をされていて、内勤の職員の方を普通社員さんと呼んでいて、派遣労働者の方はスタッフと呼ぶというのが一般的なところだと思うのです。このときに、派遣労働者が大事にされているというのは常々おっしゃっているのですが、この前施行された労働契約法の 20 条というのがありますよね。これは直接雇用されているわけですから、派遣会社の無期の方と、派遣会社で雇用される有期の方との、不合理な労働条件の格差を禁止するという、まさしく契約上の義務として施行されているのですが、あの中に、これは行政解釈、厚労省が出した行政解釈なので、裁判所が拘束するものではありませんが、かなり有力な解釈として通勤費とか、例えば派遣会社内における食堂の利用であるとかいうのがあったときには、その格差は認められないという解釈が出ているのですが、例えば通勤費などは、派遣会社として派遣スタッフを大事にされているということですから、社員には払っているけれども、スタッフには払っていないという、そんな実態はないでしょうということを、確認させていただけませんか。

○鎌田部会長 御回答の準備はありますか。

○青木オブザーバー はい。まず交通費については再度お話しますが、先ほどお話した呼び方の件で言うと、それぞれの会社によって異なると思うのですが、もちろん私たちはパートナーと思ってやっています。やはり区分として、分かりやすく呼び方を変えているだけの問題です。今、交通費に関してはお答えしたいと思います。

○大原オブザーバー 今の新谷さんの御発言についてですが、呼称の問題にこだわるかどうかは別にして、そもそも派遣労働者としてあなたを雇い入れますということは、明確に通知をしなければいけないという仕組みになっているので、そういう意味では御本人に雇用契約書を交付する際に、あなたは派遣労働者としての雇い入れになるということを通知するということに則って事業運営をしていますので、そういう中で言えば、呼称ということではそのような呼び方が一般的に行われている。ただ、だから故に何かそこで格差があるとか、差別があるというようには、我々は全く理解をしていません。一応、そのことだけは申し上げておきます。

○青木オブザーバー 交通費に関しては、やはり本人との契約となりますので、個々の本人たちと確認の上、もちろん働いていただいています。払っている方もいらっしゃるし、払ってない方もいらっしゃいます。それは個々の状況に応じて相談をしています。

 あと、中には深夜残業が多い方などに関しては、交通費がもらえるよりは、基本給を高くしてもらったほうがいいという方もいらっしゃいますので、そういった例もあるということを御存じいただきたいと思います。

○新谷委員 突然質問してお答えにくいと思うのですが、私が申し上げたのは、やはり労働契約法の 20 条のような契約の基本法は、これは派遣会社であろうが何であろうが、全ての労働者に適用されるわけですから、仮に派遣会社における内勤の、いわゆる社員の方が無期雇用で、派遣のスタッフの方が有期雇用であって、これはどちらも雇用主は派遣会社ですので、そこでやはり 20 条の不合理な格差、違反のようなことはないでしょうね、ということを確認させていただいたので、次回、もし本当に違反がないということであれば、改めて調べていただいて、御協会の中でそういう違反はしていない、あるいは協会としても指導されているという事実があれば、また教えていただければと思います。

○鎌田部会長  20 条の適用に関わることで、協会で何か議論していることがあれば紹介いただくということで、個々の企業についてどうであるかという調査は難しいと思うのですが、どうですか。

○大原オブザーバー 部会長が御指摘のとおりだと思います。ただ、今この場で業界として、今の労契法の指摘の問題について、こういう措置をとっていますという話は特にないです。

 その問題、先ほど雇用安定措置の具体的な在り方のイメージを、事務局に求めるという御発言がありました。働くことを決めるときに、一人ひとりの労働者の方は当然、賃金のみならず、どういう仕事であるか、どういう業界や会社であるか、あるいは勤務地はどこであるか、そういうことを総合的に判断して、その仕事に就くかどうか。これは別に派遣に限らず、全ての労働者の方はそのように判断されるだろうと思っています。

 そういう意味で、先ほど青木オブザーバーもおっしゃったとおり、従来から派遣契約が、例えば満了なり、あるいは場合によって中途解約なり、何がしか仕事が終わったときに、次の仕事を私どもがケアしていくという姿勢は、従来からそれはやっているというお話をしたところですが、その際に、そのときの労働条件、それから御本人の住まいであるとか、そういうことをトータルで勘案して、提案をする。これは当然、ある意味で常識論と言いますか、そこの判断は我々も持ち合わせています。

 したがって、先ほど 1 例として、時給 1,200 円、 1,300 円の方に、最低賃金のような時給の仕事を提案するかといったら、そんなことは到底相手方も受け入れるわけではありませんので、ただ、トータルとして勤務地、職種、そして賃金のバランス等々を加味して、御提案をしているというのが実態であるということは、申し上げておきたいと思っています。

○新谷委員 今、大原オブザーバーがおっしゃったように、到底受け入れるわけではない、全くそのとおりなのです。ただ、ここに書いてある雇用安定措置というのは措置義務として、「等」が書いてあるのでほかにもあるのでしょうが、多分、研究会報告などを見ると、派遣先への雇用を要請するとか、あと、御自分の派遣会社で無期雇用する等々が、多分入ってくるのだと思いますが、いずれも厳しい要件なのです。

 それで、一番緩いのが、新たな派遣就業先の提供が義務としては残っているわけです。そのときに、義務の履行を考えたときに、到底受け入れられないようなものを提示しても、これは義務を履行したことになるのです。だから私どもとしては、そこは到底受けられないようなものを提案したとしても、それは一旦義務を履行したのだから、これは義務違反ではありませんという、そういうロジックで抜けられるのではないかというのが懸念点ですので、そうならないようにどうするのかということを、事務局で示してほしいというのが、我々の言っている論点なのです。

○大原オブザーバー 御質問された趣旨は分かっています。ただ、私は実態を申し上げた、それだけのことです。

○宮本オブザーバー 先ほどの有期雇用派遣の労使委員会のことで、使側の皆様方から懸念事項が表明されましたが、逆に言えば私も、逆の意味で懸念事項を持っています。この B 案を読んでみて、本当にチェック機能が果たせるのかと感じるわけです。仮に派遣先の労使代表で委員会を構成するとすれば、この留意事項の所にも書いてあるように、集団的な決定の仕組みとして、委員会の設置をされると仮定すると、労使同数になるのではないかと思っています。そうすると、労使同数で委員会を設置すれば、先ほど秋山委員もおっしゃったように、経営側からすれば、やはり使いたい。労使でちょうど同数で、ですから先ほどもあったように、意見を聴取すればそれで委員会の機能が果たすということになれば、やはりそれは単なる、労側からすれば言い方は悪いですがガス抜きみたいな形になって終わってしまうような、そういう委員会にしてしまっては、委員会を設置する本来の意味は、私はないと思っています。

 したがって、どういう委員会をするにしても、ここに例が書いてありますが、あまり拙速に議論を進めて、結論を出すのではなくて、やはりあるべき委員会、どうしたらしっかり議論ができるのか、結論が出せるのかということについての、そういう委員会設置をやはり望むところです。

 集団的労使関係を踏まえたスキームを作るということになると思うのですが、それにしても集団的労使関係のいろいろな法制を、全体像を見据えながら、是非この辺は多面的に検討を進めてもらいたいということを望むところです。以上です。

○新谷委員 今、労使委員会の話なり、派遣先労使のチェックという話が出たのですが、先ほど来、確認していますように、もともと B 案というのは研究会報告をベースに書いたのだという説明があったわけですが、研究会報告が今手元にあって見ているのですが、この研究会報告での論述ぶりは、研究会報告の 15 ページに書いてあるのですが、派遣先の常用代替の恐れの有無について、派遣先の労使が判断する枠組を設定するという方法であると。ドイツの事業所委員会による派遣受入れの関与の仕組みに類似した方法であって、以下の利点が考えられると書いてあって、ドイツの例を挙げておられるわけですね。

 このドイツの事業所委員会の仕組みというのは、橋本先生が、確かドイツは御専門だと思いますが、これは労働者の関与なり、使用者の関与、先ほど経営権という話が使用者側から出てきたのですが、ドイツの事業所委員会における決定の仕組みで、もしお話しいただける点があれば補足いただきたいのと、事務局にお聞きしたいのは、ここの B 案に出ている派遣先の委員会ですね。これは、このドイツの事業所委員会を想定したものかどうか。もしそうではないのだったら、なぜ外したのかというところを、お聞かせいただきたいと思います。

○鎌田部会長 何か、橋本さんにお聞きしますか。ではドイツの事業所委員会についてお願いします。

○橋本委員 簡単に御説明します。御存じのことと思いますが、ドイツの事業所委員会は従業員の代表機関で、選挙で選ばれる委員の数は事業所規模に応じて法定されていますが、この事業所委員会に認められる同意拒否権の 1 つとして、法律等に違反する場合には労働者の雇い入れや配転等の個別的な人事措置を拒否できることが事業所組織法 99 2 1 号で規定されています。そして、「派遣は一時的なものでなければならない」と定めるドイツ労働者派遣法 1 1 2 文の規定が事業所組織法にいう法違反にあたるのか、そうではなくて派遣法の規定は単なるプログラム的な規定で、法的な拘束力はないのかが争われたケースで、 2013 7 10 日のドイツ連邦労働裁判所判決は、「派遣は一時的なものでなければならない」という派遣法の規定には法的な拘束力があり、したがって、派遣労働者の受入れが一時的ではない場合には、事業所委員会は受入れを拒否できることを認めました。

○鎌田部会長 何か聞きたいことは。

○新谷委員 お聞きしたかったのはその点で、ドイツの事業所委員会と研究会報告に書かれているものですから、ドイツの事業所委員会は労働者側の判断によって、法違反の場合には派遣を拒否できる仕組みになっているわけです。その法違反が何かというのは、前回、私が申し上げました。ドイツの連邦労働裁判所で出たように、派遣は臨時、一時的なものであるというのに違反して 7 月に判決が出たわけで、それは正しく労働者側の判断によってこれが止まったということだと思います。だから、ここでドイツの事業所委員会と書かれていて我が国にはない仕組みですし、当初、こんなのを短期間に導入する論議ができるのかなという危惧があったものですから、最初、そういうことを申し上げたのですが、また B 案が出てきていますので、もし本当にこれをやるというのであれば、ドイツの事業所委員会のようなものを入れるべきであると私は思っているのですが、事務局に先ほどお聞きしたように、これは入っているのか入っていないのか。入っていないのだったら、なぜ外したのかをお聞かせ頂きたいと思います。

○鎌田部会長 事務局、お願いします。

○富田課長 この研究会報告で、どうしてひとつのイメージの代表として労使のチェックの仕組みを取り出したのか、経緯を申し上げます。諸外国の常用代替防止の仕組みとしてどういうものがあるかを研究会の中で御議論頂き、その中では、 EU のように、直接的には常用代替防止ではないのかもしれませんが、それが常用代替防止のように働いている仕組みがあること、それから研究会報告に最後は載りませんでしたが、中国のように法令で割合を定める方式があるということ、そして、ドイツのやり方で労使でチェックをしている仕組みがあるということという3点が挙げられました。派遣制度の現状を見ると、法律でぎりぎりとやっている今の仕組みが、実は派遣労働者及び事業所の実情に合致しているのかという御意見がありました。また、均等待遇も御議論頂いて、我が国で導入するのはまだ時期尚早ではないかということもあり、この労使でチェックする仕組みが示されました。

 研究会報告では、派遣先の労使がチェックする方法ということを示し、諸外国の制度を参考にして、ドイツの事業所委員会を例示しているわけです。前回の資料においては、労使がチェックする方法だけをお示ししており、その趣旨といたしましては、具体的にドイツのような仕組みを入れるほうがいいのか、あるいは既存の仕組みがいいのかについては、皆様の御議論に委ねたいということです。

○高橋委員 私が先ほど申し上げたことと重なってしまうかもしれませんが、課長が言われた研究会報告書の派遣先の労使がチェックする方法の該当箇所を見ると、ドイツの事業所委員会による派遣受入れへの関与の仕組みに類似した方法であって、以下の利点が挙げられるとして 3 点を挙げています。 1 点目は、常用代替が発生するかどうかについては、業種、職種、個々の職場の状況等によって事情が異なるが、派遣先の労使の議論により現場の実態を踏まえた判断が可能となるということ。 2 点目が、有期雇用派遣の受入れに対する派遣先の常用労働者の意見がより反映されやすい仕組みとなること。 3 点目として、労働者個人単位で派遣期間の上限を設定した場合には、労働者を交替させることで派遣受入れを長期間継続することができることとなるが、そうした場合でも望ましくない派遣の利用があるときはチェックすることが可能となることの 3 点を挙げています。こうした利点は、わざわざ労使による委員会を設置しなくても、過半数組合や過半数代表者とチェックをすることで、十分得られるのではないかと私は考えています。先ほども質問めいたことを申しましたが、なぜ研究会報告書でそうした委員会が殊更取り上げられたのかについては、是非、伺っておきたいと思います。

○鎌田部会長 事務局、よろしいですか。

○富田課長 なぜ委員会制度が取り上げられたのかについて御質問がありましたが、1つは他国の制度を参考にした結果、ドイツの事業所委員会が例示として挙げられたということです。それと、過半数代表については、代表者の交渉力も議論になっていたためではないかと思っています。

○鎌田部会長 この点について、何か労働側から御意見はありますか。

○新谷委員 高橋委員がおっしゃるように、現場を一番よく知っているのは派遣先の労使なので、仮に B 案でやるかやらないかは置いておき、現実としては現場の労使が一番よく分かっていると思います。ただ、このドイツの事業所委員会の特徴は、秋山委員がおっしゃったような経営権の話とは全くバッティングするわけです。これは正しく労働側の決定によって派遣労働者の受入れを決められるという仕組みですから、そこが全く違うということをお分かりになって、多分、研究会報告は書かれたのだと思っていますので、もし研究会報告 B 案でやるというのであれば、これはセットで考えるべき話だと私は思っています。

○石黒委員 今のに追加して、正しくこれ、派遣先の労使できちっと常用代替防止についてチェックしていこうという B 案の提案なので、特に留意事項の欄にも委員会方式を取る場合の採決の方法や効果など、骨格を検討する必要があると書かれています。そういったものを委員会を作ってやることについて、労側としては、ドイツの事業所委員会のことも書いてあるけれども、具体的にどういうことを事務局で考えていますかという質問は何回かしています。具体的にどういうものを作って労使でチェックする機能を作るのかという話は、留意事項にあるだけで、具体的な議論はしていないのが現状だと思います。年内に建議したいという事務局の御意向があるということであれば、 B 案の骨格となる派遣期間の制限なり課題については、労使でチェックするのだという骨格のところについて、 12 月になってまだ議論がされていないということは、この B 案を採用することは難しいのではないかと思っています。こういったものを含めて年内建議という制約も払って慎重に議論していくのか。若しくは常用代替防止の観点からすれば、 B 案というのはこういった労使チェックのものを含めたところで、常用代替防止についてやっていこうという案なので、そういったものではなく、常用代替の防止もきちっとできる A 案を採用することにしなければ、当然、 12 月のところで建議することは難しいと思うわけです。

○鎌田部会長 労使チェックのメカニズムについてはかなり溝も深いのですが、今後、その辺の議論も少し深めたところで詳しい案を考えて頂ければと思います。

○新谷委員 それで結構なのですが、前回示された A 案、 B 案で、 B 案については研究会報告だというのが再三事務局から出てきているのですけれども、その先の論議ができないわけです。研究会報告なのだからよく分からないとか、詳細どうのこうのということですが、出されるのであれば少なくとも厚生労働省の案として出して頂かないと、研究会というのはもう存在しないわけですし、たまたま部会長が取りまとめをされたということはありますけれども、研究会全体としての意見ではないわけです。だから提案の立ち位置というか、このペーパーの性格を変えてもらわないとこれ以上論議できないと思いますので、次に出されるときは、あくまでも取りまとめに向けての厚労省の原案という形で示して頂かないと、論議が深まらないと思います。

○鎌田部会長 これについて何か、進行に関わることですか。

○高橋委員 進行に関わることです。私の意見を申し上げると、今、鎌田先生もおっしゃったとおり、次回、もう少し具体的な仕組みまで踏み込んだ案を御提示頂くことは賛成ですが、そのときに B 案を研究会報告書そのもの、 8 月時点の内容を具体的にするとこうですというような内容を提示されることには、反対です。本日も議論を重ねていますのでそうしたことも踏まえて、研究会報告書はベースになるのかもしれませんが、需給制度部会の議論も踏まえ、私の個人的な希望を申し上げれば公益委員の先生方にお話を頂いて、公益委員のたたき台を是非、次回、具体的にお示しを頂きたいとお願い申し上げます。これは今後どう変わるか分かりません。誠心誠意議論を尽くしたいと思いますが、期間制限以外の論点項目についても具体的に公益の先生方の意見をお示し頂くよう、お願い申し上げます。

○鎌田部会長 私が発言するのがいいのかどうか分かりませんが、私は研究会委員でもあった立場から申し上げると、今、高橋委員がおっしゃったように労使の御意見をお聞きし、そういったことも考慮して事務局と相談しながら、公益委員の考え方もまとめようと思っています。ですから、次回、どういう形で出るかどうか分かりませんが、私の考えでは研究会報告のものがそのまま出てくるというよりは、何らかの形で今までの議論を踏まえたものを考えていく。そして皆さんに御議論頂くというのが、短い期間ではありましたけれども、時間的には相当長く皆さんに御議論頂きましたので、その努力を反映していきたいと思っています。そういう趣旨で次回、案をまとめていきたいと思っています。公益委員の先生方もそれぞれ御意見をお持ちで、恐らく言いたいことはたくさんあるだろうと思っていますが、そういったことで率直に御意見を聞きながら進めていきたいと思っています。そういう進め方でよろしいですか。

 進め方の話になってしまいましたが、それ以外のテーマもたくさんあったので、これについて何か御意見はありますか。もう既に、それこそ折々に出して頂いていますので繰り返しになるかとは思いますが、あえて何かここで御質問なり御意見があれば御発言頂ければと思います。

○新谷委員  2 点目の論点で均等・均衡待遇について、これも A 案、 B 案の両論が出されています。 A 案については私どもが主張していた均等待遇の確保ということですけれども、 B 案が、これも研究会報告の内容を踏まえたものが出きているわけです。 B 案について内容を教えてほしいというか、考え方なりイメージを教えてほしいところがあります。 6 ページの B 案の 1 に派遣元の均衡対遇の取組の強化と書かれていて、「派遣元事業主は、派遣労働者の求めに応じて、均衡待遇について配慮した内容について説明するものとする」と書いてあります。これが均衡待遇の強化策として書かれてあるイメージがよく分からなくて、一体、これは何をどうすれば均衡の強化になるのか。ここに書いてあることでイメージできるものがよく分からないのです。

 例えば派遣先の労働条件を、教えてもらえるか、もらえないかという前提条件はありますけれども、もしそれが分かったとして、派遣先でいくと同様の業種について労働者の賃金が仮に 2,000 円だったと、ところが派遣労働者の賃金が 1,200 円だった。 1,200 円なんだけど、ここはマージンを削って 1,500 円まで均衡に向けて実は努力したんですといったことを、派遣元が言うことをイメージしているのか。私の想像の域で、今、話をしているわけですが、ここで言っている内容のイメージを教えて頂きたいと思います。

○富田課長 ここの 1 つ目のポツの私どもの理解について申し上げます。平成 24 年改正法の中で均衡待遇についての配慮義務というのが入りましたが、これは要するに派遣元事業者の方にしてみればどのような配慮を行ったのか説明する必要はなかったわけです。そうすると、どういう配慮があったのか派遣労働者の方が分からないので、派遣労働者の方のモチベーション、納得性の観点からも問題ではないかということから、提案されたと理解しています。

 具体的に配慮した内容についての説明ですが、私どもの理解としては、配慮義務で講じられた中身、すなわち、例えば派遣先の同種の業務に従事している労働者の賃金と比較したとか、これは相場との比較も入っていましたので相場と比較してこういうふうに決めたとか、あるいは派連先と均衡を図るために交渉したとか、そういうことを御説明頂くのだと理解しています。

○新谷委員 今、御説明頂いた内容の中身は分かったのですが、それがなぜ均衡強化につながるのか、実効性なりがどこにあるのか全く理解できないですね。求めに応じてプロセスを説明しましたということですが、これが強化策と言えるのかどうか。それは評価につながるのですが、その辺はどのようにお考えになってこれを提起をされているのでしょうか。

○富田課長 繰り返しになりますが、ここで入っている理由としては派遣労働者の方の納得性の向上、モチベーションの向上といったことが背景にあるのではないかと理解しています。

○新谷委員 もともと労働基準法の 15 条で労働条件の明示が義務付けられているわけで、そこで賃金の話も当然するわけですが、その際のいろいろな説明の中で、ここに書いてある均衡に配慮したことを説明する。申し上げているように、これが何で均衡待遇の強化策になるのかというところが分からないです。これによって何が効くのか。

○富田課長 派遣労働者の方からすると要するに配慮が講じられたかどうかということが分からない、また、講じられたのであればどういう配慮がされているのか分からないということがありますので、それについて説明されることによって派遣労働者の方は、派遣元に配慮いたただいていると分かるということだと考えています。

○小林委員 話題を変えます。前回の部会のときに、 (2) の教育訓練のことについて海外ではどうなのか伺い、その辺の答えが出たのか伺いたいのです。

○亀井補佐 御指摘を受けたものについては、現在、関係局などにも照会をかけつつ調査中です。今の段階ではまだ把握できていません。

○小林委員 その結果も知りたいのですが、この文章を読むと「派遣先は、当該派遣先での業務遂行に密接に関連した教育訓練を派遣先の労働者に実施する場合は、一定の場合を除き、同じ業務に従事している派遣労働者にも実施しなければならないものとする」と、派遣先のことですけれども、従業員の教育を派遣先の企業でやります。そのときに大体一緒に行っていると思いますが、「一定の場合を除き」という、この内容が分からないのです。そもそも「実施しなければならない」という教育訓練の義務ですよね。義務という形になっているのですが、 1 つ方法としては努力義務というのもあるだろうし、義務というのもあると思うし、この義務化するということが派遣先にはかなり難しいのかなと思います。いろいろな従業員教育というのがあるわけです。現場での作業訓練のものもあれば、全体的な会社の仕組みの訓練もあり、違った教育訓練の方法というのが各社あるわけです。何を除くのかというのが分からないし、これは非常に分かりにくいのです。雇用保険の場ではキャリアアップの支援施策も考えてますし、利用の機会としていろいろな機会があると思います。新谷委員からは、海外では事業主から集めたお金で教育訓練するという話もありました。

 ここの問題でもう 1 つあるのは、派遣先にとってみると、その教育訓練を提供するようにしたけれども、派遣労働者が逆に受けないというケースもあるわけです。義務化なのに受けなかった、違反になってしまうみたいな話になるとまたおかしくなるので、努力義務程度なら分かりますが、何で義務化するのかも含めてお答えいたただければ有り難い。

○富田課長 ここで書いている趣旨ですが、「業務遂行に密接に関連した教育訓練」は、通常派遣元で行うのが普通だと思いますが、例えば複雑な機械とか派遣先にしかないような機械を使う等、特殊なケースについて、派遣先の労働者に教育訓練を実施している場合については、同じように派遣労働者にも実施してくださいという意味であると理解しています。「一定の場合」と書いているのは、例えばその機械についてもう既に知識がある場合とか、あるいは小林委員がおっしゃったように、派遣労働者が必要ないと言った場合も含まれると思っています。一応、義務と書いていますけれども、そこをどうするかは御議論頂きたいと思っています。

○小林委員 おっしゃるとおり「一定の場合」というのは、例えば従来の 26 業務などは正に専門的な知識を持った方々に来て頂くわけです。それと同じような業務を派遣先でもやっていて、トッププロフェッショナルの方に来て頂いている。そのときに派遣先企業のもともとの従業員が、専門的な業務の A ランクぐらいのことをやっているときに、プロフェッショナルの方に教える機会は除きましょうというのは確かに分かります。そういうようなこともあるでしょうし、派遣先企業で一般的知識を習得するための教育訓練を全ての従業員にやるとき、これは派遣先の責任でやりますし、派遣で来ていた方々にも同様に与えましょうとか、いろいろなケースがあるわけです。

 考えてみると派遣元でやることもあれば、派遣先でやらなければならないこともあるし、やる機会を提供することもあることを含めて、「しなければならない」という言い方より、本来、努力義務的な配慮をするとか、努めるという規定の言い回しにしてほしいと思います。是非とも派遣元でもっといろいろな形で訓練をしてくれるような仕組みも、ある程度作ったほうがいいと思いますし、派遣先の責任強化で一方的にしなければならないという形にならないように、ちょっと御考慮頂だければ有り難いというのがお願いです。

○高橋委員 それに重ねてよろしいですか。今、正に小林委員がおっしゃったことに尽きているのですが、基本的に派遣労働者の雇用主は誰ですかという話です。派遣元が雇用主なわけですから、派遣先としては仮に教育訓練を派遣労働者の方に実施する場合でも、まずは派遣元との間で話合いをして、派遣元のほうで教育訓練できる方は派遣元でやって頂く。そうでない場合は派遣先でやって頂くという責任分担の在り方もあると思います。この規定ぶりだと、そういう派遣元とのことは一切関係なく、派遣先が全て判断してやるという規定のようにも読めるわけです。その辺りを是非、工夫して頂いたらよろしいのではないかと思います。

○鎌田部会長 今のに関連してですか。どうぞ。

○新谷委員 ここの訓練、賃金、福利厚生施設が各論で出ているのですが、今、高橋委員がおっしゃった内容、あるいいは小林委員がおっしゃった内容に関連しますけれども、派遣というのは雇用と使用が分離した働き方で、他人が雇用した労働力を派遣先が使用者として指揮命令して使うわけです。だから当然、それは派遣先が直接雇用している労働者とも違うし、そこには一定の派遣先の義務というのが当然生じなければ、私が再三申し上げているように、派遣労働者の雇用責任なりが本当に希薄化してしまう。これは派遣元の責任なんだろうと押し付けられてしまうと、正しく教育訓練などは派遣先で訓練してスキルを上げていくわけですから、そこの協力・努力をして頂かないと、これは派遣労働者にとってスキルアップにつながらないと思っています。

 だから、全くフリーハンドで、派遣先は何の義務も負わないのだという働き方でないと私は思いますし、 B 案は均衡なのか均等なのかというと、これは程度の問題ですから、この中でいくと措置義務を講ずるとか、実施しなければならないとか、 3 点目の配慮は劣りますけれども、 (1) (2) は措置義務に入っていますので、これは均等待遇に一歩近づけた内容であると私は評価します。ただ、 B 案全体が均衡で止まっているので、これはもう少し A 案のほうを取るべきだと私どもは思っているところです。

○春木オブザーバー 関連して。

○鎌田部会長 関連して、どうぞ。

○春木オブザーバー そうなのです。 B 案のほうは結構具体的に書かれているのですが、 A 案は法を並べているのみで、具体的にどんなところを取り入れようとしているのか。それによってどのようなメリットなりデメリットがあるのかも含めて、実は判断できるような資料の提示の仕方になっていない。特に A 案は均等待遇の確保策を採る場合、 B 案は均衡待遇の強化策を採る場合、表題が違う中でどう並べて議論するのか。極めて A 案のほうの事務局としての考え方が、全く will が入っていない中で両論併記で議論しろと言われてもなかなか議論できかねる。確かに、これを入れて頂けるというのであるならば、我々としても「それはそうだ」という立場に立つわけですが、しっかりした議論をするためにも、もう少し A 案に対する具体的なイメージも含めて出して頂きたいと思います。

○鎌田部会長  A 案を作成した経過、趣旨を御説明頂ければいいと思います。

○富田課長 作成しました趣旨について御説明申し上げます。 A 案と B 案で表題が異なっている理由からですが、均等待遇というのは我が国の法制の中で男女間の均等という要望等はありますけれども、正規・非正規間の法制において均等という言葉は使っていませんので、そういうことからすると新たに導入する概念であることから、均等待遇の確保策としています。これに対し、 B 案が均衡待遇の強化策と言っているのは、均衡待遇は既に平成 24 年改正で派遣制度の中身も入っていますし、それを更に進めていくことをベースにした形になっていますので、表題が異なっています。

B 案は具体的に書いているのに、 A 案は具体性が乏しいという御指摘ですが、 A 案でイメージしているのは、均等待遇で全ての待遇について不合理な取扱いをしてはならない、あるいは不利益な取扱いをしてはならないことをベースにしていますし、 A 案については、そういう意味で全ての待遇をイメージしていますので、具体的な教育訓練については記載がないという状況になっております。

○春木オブザーバー 分かりました。事務局のイメージとすれば、全てのものに対して不合理と認められるものであってはならないと、こういったところで均等・均衡の確保策を取るイメージだということですね。であるならば、我々としては A 案ということになると思いますので、これについての議論を深めていきたいと思います。

○青木オブザーバー  B 案の教育訓練のところですが、私のほうも努力義務でお願いしたいと思っています。「一定の場合を除き」というのがよく分からないところもありますが、実際に働く人は業務の内容や業務に伴う責任の程度も違いますし、あと期間の問題を抜きにこれを実施することはあり得ないと思います。無期雇用の人もいれば、 1 か月ちょっと超えるぐらいの方たちもいらっしゃいますので、そういったことも考えた上でやるべきかなと思っています。

 似たようなところで、その次のキャリアアップ措置についての論点 ( ) のところでお話をしておきたいと思います。一番最初の具体的なイメージの○ですが、ここに関して派遣労働者の雇用期間は、今、お話したとおりかなりまちまちで、キャリアアップ措置を望むかどうかというのも派遣労働者にとって異なることを考えると、これが計画的な教育訓練の実施であれば非現実的ですから、希望する者に対する努力義務にすべきだと思っています。もちろん、私たちが雇用主として派遣労働者に対するキャリアアップの責務を負いながら、キャリアアップ措置をしていくということは変わりないところです。

 また、以前にも似たようなことを話しているのですが、雇用主として派遣労働者へのキャリア形成支援、キャリアアップを怠るつもりはないのですが、有期である以上、教育投資にも限界があります。この件について重要なのは、他国のように国として、派遣労働者を含む非正規社員の方々に対するキャリア形成支援を行う体制、失業する以前からの支援が重要だと感じています。私はこれを実施することこそ国の責務だと考えています。もちろん業界団体も、こういったことに協力をしていきたいと考えていますので、ここの派遣だけの話ではないのですが、派遣労働者を含む非正規社員の方々に対する支援をお願いできないかなと思っています。

○新谷委員 また均等・均衡に戻りますけれども、 6 ページの (2) のところ、先ほど努力義務にしてほしいと使用者側からの意見がありましたが、これは等しいものを等しくということですから、均衡策の B 案の中でも (2) だけは均等待遇の扱いなのです。これは当然、私どもとしては B 案であってもここの部分は評価できると思っています。

(1) の賃金の情報提供のところですが、これは均等であろうが均衡であろうが、ベースになる派遣先の同種の労働者の賃金が分からないと、アプローチのしようがないわけです。そういった意味で言うと、これも措置義務を行うということで評価したいのですが、ただ、ここに「情報提供など」と抜け道が入っていますので、この「など」というのは一体何を考えているのか。「など」なんかなくてもいいのですが、ここに書いてあることの意味を教えてほしいということが 1 点です。

 もう 1 点は、 A 案の留意事項として書かれている内容で、同じ派遣元に雇用されている派遣労働者間の待遇の不均衡が生じる課題があると。これは派遣先がそれぞれ異なるので派遣先ごとの不均衡の話を書いてあるのですが、実はこの不均衡の話は先ほど私が申し上げたように、同じ使用者としての派遣元の労働者における有期と無期の不均衡はないのですね、ということを確認しておきたいのです。労働契約法 20 条において、派遣会社で無期雇用されている正社員がおられますね。一方でスタッフと呼ばれている派遣労働者がいて、これは有期雇用ですと。同じように働いていて、労基法 20 条は通勤費については合理性が乏しいという判断をしていますので、当然、派遣元で雇用されているわけですから、派遣会社における正社員に対する通勤費の支給があるのであれば、派遣スタッフについても当然支給されているのでしょうなということを確認しておきたいので、その点について取締りに当たる事務局は、不均衡の話が出ているものですから、労基法 20 条の派遣元における有期と無期の不合理な労働条件格差について、どのようにお考えになっているのか教えて頂きたいと思います。

○富田課長  2 点ございましたので、お答えいたします。 1 点目の「賃金に関する情報提供など」の「など」が何を指すのかという質問ですが、これにつきましては情報の提供が一番の念頭にあるわけですけれども、それとほぼ同様の支援を派遣先が行うのであれば、適正な措置と言えるのではないかということで書いています。例えば情報自体は提供しない場合であっても、派遣元事業主の方が均衡の取れた賃金検討が行うことができるように、直接の情報でなくても助言するとか、そういう支援の仕方があるのではないかということを想定しています。

 もう 1 つ、 5 ページの労働契約法の御質問ですが、派遣元の有期雇用の方と無期雇用の方については労働契約法 20 条の適用があって、不合理な取扱いをしてはならないと理解しています。

○新谷委員 今の答弁ですが、なぜ私が通勤費にこだわっているかというと、私どもは労働相談を幾つも受けていて、厚労省のアンケートもそうでしたが、賃金に次いで多いのが通勤費の支払いがされていない問題なのです。派遣労働者からの訴えが多くて、会社からの説明によると、実はそれは派遣料金の中に入っているのだという説明をされることも多いようなのです。申し上げているように正社員に通勤費を支払っている所は多いと思いますが、派遣スタッフについては派遣料金に含むのだと。実は含む内数になると課税の扱いが当然違ってくるわけです。ですから、ここの扱いが正社員である社員と派遣会社の社員、スタッフの間で違っているのであれば、これは当然、労働契約法違反ですから行政として取締りを強化するべきではないかと思いますので、法改正とは別に、そこの観点も忘れずに盛り込んでおいてほしいと思っています。

○鎌田部会長 今の御指摘は現行法の適用の問題ということですので、これはまた別途、監督官庁のほうで御検討頂くということで、そのことも場合によっては御報告頂くということで、よろしいですか。

○新谷委員 ただ、均衡・均等の話をしていて留意事項でこういうことを書かれていますので、実はこれは派遣先ごとの不均衡でなく、派遣会社の中の不均衡の問題でもあるということで指摘をしたわけです。

○高橋委員  6 ページの 2(1) の賃金のところですが、前回の会合でも発言しましたので重なってしまう部分もありますけれども、改めてこの文章を見ても「派遣先は」と言って、派遣先が一方的に講じると読めてしまいます。そもそも同種の業務に従事する労働者が誰なのかを特定することは非常に困難な場合もあります。それであるにもかかわらず派遣元との話合い等も一切なく、派遣先が一方的に情報の提供をするのは非常に難しいと思いますので、こうした規定ぶりはいかがなものかということを重ねて申し上げたいと思います。

○鎌田部会長 秋山委員、どうぞ。

○秋山委員 資料 3 について、よろしいですか。特定労働者派遣事業は、現在、 6 3,000 の事業所があり、派遣労働者の方が約 30 万人いらっしゃいます。労働者保護のために、規制強化で悪質な事業者を排除することも必要ですが、一方で優良な事業者もいるわけです。現在の資産要件 2,000 万円は、中小企業にとってはとても厳しい水準です。きめ細かなニーズを拾い上げて、小回りが利くところが中小企業の良いところですので、中小企業でも存続できるようにして、産業の活性化につながるように資産要件の引下げなどを、是非、検討して頂きたいと思います。

○新谷委員 今、秋山委員から中小企業の実態をお話頂いたわけです。確かにおっしゃることは理解する部分もあるのですが、これはこの論点になっていますように、そうした派遣会社において無期であれば派遣期間制限はなくなるというのが、今、 B 案として出てきているわけです。人の労働に介入してビジネスをされるのが派遣会社ですので、事業基盤のメルクマールとして、今ある資産要件を中小企業だから緩めるというのは、人を扱うビジネスなので、そこについては慎重であるべきだということは繰り返し申し上げておきたいと思います。

○鎌田部会長 あと、ございませんか。

○阿部委員 教育訓練の件で、皆さん、いろいろ御議論されていたと思いますが、私の個人的な意見を申し上げると、今回の日本再興戦略で労働のことについて一番最初に書いてあることは、今後の少子化を見据えると労働力の数の確保と労働者の質の確保、 2 つの面からやっていかなければならないと書いてあると記憶しています。ここで大事なのは質の確保で派遣制度がどのように貢献できるかだ思います。ただ、現状、先ほどもなかなか有期雇用については難しいとか、いろいろな議論があったと思います。それをどういうふうに引き上げていくかというのは、是非、考えておくべきではないかと思います。

 過去、第 192 回のところで資料の後ろに参考 44 という資料がありますが、派遣労働者のスキルの獲得方法、これはインターネット調査で派遣労働者から聞いたものだと思いますが、無期雇用であっても有期雇用であっても大部分は「特にない」が 25 %程度、次に多いのが「派遣先での OJT 」で 36.9 %です。やはり派遣先と派遣元が共同しないと 4 人に 1 人が全くスキルを向上できない状況にあり、今後の社会のことを考えると問題があるという気はします。派遣労働者のスキル形成は国だけではどうしてもできない。特に OJT でやることが大事なポイントだと思いますので、そこは皆さん、突き放したような言い方をしないで、どういう書き方をするか分かりませんが、やるべきだと思います。

○鎌田部会長 今のに関連して、小林さん、どうぞ。

○小林委員 別に派遣先が教育訓練しないと言っているわけではないのです。派遣先も一生懸命、それぞれ派遣先労働者の方々に訓練の機会を提供したり、その場で OJT をやっていたりということで企業も考えています。それを含めて私ども事業者団体としても、十分、その責務を果たしていきます。ただ、義務にされるというのがちょっと遺憾だという意味で言っただけです。

○大原オブザーバー 同じくキャリアアップについてです。以前も申し上げたことですけれども、派遣労働者のキャリア形成の在り方は大きく 2 つあると申し上げています。 1 つは、派遣労働者として働きながらその経験、専門性を高めていく道と、企業内の派遣先の特定スキルを身に付けることによって、例えば派遣先での直接雇用化に進んでいく道、例えばそういう派遣スタッフの働き方によって、キャリアアップの仕方の道筋が幾つかあるのだろうと思っています。

 ただ、先ほど来、確か高橋委員から御発言があったと思いますが、派遣労働者の雇用者である我々派遣元が、第一義的には責任を持って派遣労働者の方の教育訓練を行っていく。それについては全く変わらないわけであって、そういう意味で基本的には企業内の特定スキルを身に付けていくよりも、世の中の雇用情勢全体を見たときに、長い職業人生の中で転職があったり失業を余儀なくされたり、同じ会社に勤めていても企業の M&A があったり事業部門の変更があったり、様々な変化があるわけです。そういった観点からすると、特定の企業における特定スキルを身に付けていることよりも、もう少し大きな視点で見たときには汎用性のあるスキルをいかに身に付けていくか。そのような視点も欠かせないのではないかと思っています。そういう意味では、派遣労働という外部労働市場の中でいかに職業能力を高めていくかということ。これは本当に官民を挙げて取り組んでいかなければならないと考えています。そういう意味で、今、議論されているような派遣先の義務化の議論のみならず、幅広の議論を今後も続けていく必要があると考えています。

○鎌田部会長 その他御意見ありますか。

○新谷委員 キャリアアップの話が出ていますので、最後の論点ですけれども、留意事項に記載していることで、これは私どもが主張したところが留意事項に入っています。キャリアアップは確かに大事なことですが、それが成果として評価されないと本人のモチベーションにも関わってきますし、それがキャリアアップの促進を阻害する要因にもなりかねませんので、教育訓練の成果を評価、確認するような職務評価制度もセットで入れていたただかないと、派遣元の皆さんもキャリアアップを御自分たちでやるとおっしゃっていますが、それは処遇の改善に結び付けるような制度の裏付けがないと、うまく機能しないと思います。是非、これも今後のまとめの中に盛り込んで頂きたいと思っています。

○鎌田部会長 活発な御議論ありがとうございます。本日はかなり突っ込んだ議論が行われました。特に御発言がなければ、進め方については先ほどお話したような形で進めていきたいと考えています。事務局から連絡事項はありますか。

○亀井補佐 次回の日程ですが、 12 12 ( ) 10 時から、 12 階の職業安定局第 1 ・第 2 会議室にて開催させて頂きます。

○鎌田部会長 それでは、以上をもちまして、本日の第 200 回労働力需給制度部会を終了させて頂きます。本日の議事録の署名は、石黒委員と高橋委員にお願いいたします。ありがとうございました。


(了)

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