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2013年11月28日 第199回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成25年11月28日(木)10:00〜


○場所

厚生労働省 専用第23会議室


○出席者

(公益代表)鎌田委員、柴田委員、橋本委員、阿部専門委員、竹内(奥野)専門委員
(労働者代表)石黒委員、清水委員、新谷委員、春木オブザーバー
(使用者代表)秋山委員、小林委員、高橋委員、青木オブザーバー、大原オブザーバー

事務局

岡崎職業安定局長、宮川派遣・有期労働対策部長、鈴木企画課長、富田需給調整事業課長
松原派遣・請負労働企画官、鈴木主任中央需給調整事業指導官、亀井需給調整事業課長補佐、木本企画調整専門官

○議題

1 今後の労働者派遣制度の在り方について(公開)
2 消費税率の引上げに伴う有料職業紹介事業に係る紹介手数料の見直しについて(公開)
3 一般労働者派遣事業の許可について(非公開)
4 有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

○議事

○鎌田部会長 ただいまから、第 199 回労働力需給制度部会を開催いたします。

 本日は、お手元の議事次第にある議題の 1 2 を公開で行い、その後、許可の諮問の審査を行います。審査については、資産の状況等、個別の事業主に関する事項を扱うことから非公開とさせていただきますので、傍聴されている方々には退席いただくことになることをあらかじめ御承知いただきたいと思います。

 それでは、本日の議題 1 「消費税率の引上げに伴う有料職業紹介事業に係る紹介手数料の見直しについて」、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○亀井補佐 まず始めに、本日お配りしている資料ですが、お手元の議事次第を御覧ください。本日、公開案件については「消費税率の引上げに伴う有料職業紹介事業に係る紹介手数料の見直しについて」と「今後の労働者派遣制度の在り方について」の 2 つについて、資料を 3 種類御用意しております。お手元を御確認いただいて、もし過不足等ございましたら事務局にお申し付けください。

 それでは、議題 1 に係る資料 1 について御説明いたします。資料 1 はお手元の横書きの資料です。「消費税率の引上げに伴う有料職業紹介事業の手数料の最高額の改定について」の 1 ページを御覧ください。こちらの資料ですが、「 1. 現行の手数料の状況について」の下に書いてありますように、平成 26 4 1 日より消費税率が 8 %に引き上げられることが決定しております。これに伴い、有料職業紹介事業において上限制手数料を採用している事業所については、消費税込みの手数料の上限を仮に据え置くこととなった場合に、事業の遂行に必要な物品・サービスの調達に係る消費税の負担を事業所がかぶるという形になってしまいますので、そのままでは求人者・求職者へのサービスの低下等が予想されます。

 このため、下の手数料の変遷の表もお付けしておりますが、過去の消費税引上げと同様、紹介所の負担増が起きないように、消費税率の引上げと合わせて手数料の最高額を引き上げる必要があると考えております。過去の変遷を下の表にまとめておりますが、平成元年の消費税 3 %導入時も 500 円から 540 円などの引上げを行っておりまして、また消費税が 5 %に引き上がった際も、それに合わせた引上げを行っております。なお、後ほど御説明いたしますが、平成 9 年の引上げ時から課税事業者と免税事業者の引上げの扱いを区別しております。

 続いて 2 ページです。現在の有料職業紹介事業の手数料の概要をまとめた資料をお付けしております。有料職業紹介事業においては、求人する側と求職する側の間を職業紹介事業者が取り持つという形になりますが、まず (1) は求人者から徴収する手数料の話です。手数料には、資料に掲げている (1) 番と (2) 番がありますが、今回問題になるのは (1) 番の上限制の部分です。求人受付手数料については、 1 件につき 670 円が上限、免税事業者については、 1 件につき 650 円が上限です。イの紹介手数料については、 6 か月の賃金の 10.5 %以下を上限、免税事業者は 10.2 %以下を上限として手数料の徴収が認められております。

 なお、 10.5 %の部分ですが、※の (1) (2) を選べるようになっておりまして、 (2) 番の「臨時に支払われる賃金及び 3 か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除いた」場合は 14.2 %以下、免税事業者は 13.7 %以下で手数料の徴収が認められております。

 続いて 3 ページです。 3 ページは、求職者から徴収することが認められる手数料についてです。 (1) 番の受付手数料と (2) 番の紹介手数料は、いずれも原則として徴収禁止とされておりますが、それぞれ、ただし書に挙げられている職業については、上限制の下で手数料を徴収することが認められております。

(3) 番の課税事業者と免税事業者で取扱いを分けている理由ですが、 2 段落目にあるように、免税事業者は自らは消費税を支払う必要はないが、事業の遂行に必要とされる商品等を調達する際に、調達する物品等に係る消費税率引上げの負担をかぶることになりますので、そこの部分だけを手数料に上乗せすることで事業者の負担増を避けるという扱いで区別をしております。以上が制度の概要です。

 続いて、 4 ページが今回の引上げにおける対応案です。基本的には○にありますように、前回の消費税の引上げ時と同様の考え方により措置します。表の左ですが、具体的には、消費税導入前から基本的な手数料の額や徴収率が定められておりまして、率でいうと 10.0 %です。この基本となる徴収率や手数料額に対して、表の下ですが、課税事業者の場合は消費税率相当分をそのまま上乗せします。一方、上の部分ですが、免税事業者については、仕入れに係る消費税負担分のみを上乗せするということで、少し字が小さいですが、消費税率 8 %の際は免税事業者は 10.3 %、課税事業者については、そのまま上乗せの 10.8 %という形で扱いが分かれております。御参考までに、消費税 10 %の場合も同様の対応をした場合の率が掲げられております。

 続いて 5 ページです。この 10.8 %と定額制の場合の額がどうなるかという計算式を参考までに載せております。課税事業者の計算の方法は、消費税率を基本となる手数料の率や額にそのまま掛けます。一方、免税事業者の手数料については、基本となる手数料率及び額に、仕入れに係る負担増割合、これは算出しまして 2.56 %となっておりますが、この部分のみを掛けられた 10.3 %、 13.8 %、 660 円という額を新たな上限としたいと考えております。

 続いて 6 ページです。以上申し上げた考え方によって手数料額を改定した場合には、課税、免税事業者の受付手数料と上限制手数料率がそれぞれ幾らになるかを、参考までに一覧にまとめております。

7 ページです。今回このような方針を立てるに当たって、 11 月をかけて職業紹介事業所を組織している団体に対して、この方針に係るヒアリングを行っております。 2 つ目の○にあるように、ただいま御説明した平成 9 年と同様の考え方で措置してはどうかという方針については、いずれの団体に対しても説明をしております。御参考までに、その際に得られた主な意見を掲げております。最も強いものとしては、周知を早めに実施してほしいと。またシステムの改修等も場合によっては必要になるので、早めに方針を定めて周知を行ってほしいという声が強くありました。

 最後に、 8 ページの具体的な見直しスケジュールについてです。今回の御説明は、こういう方針で事務的に作業を進めさせていただくという御報告ですが、正式には下の所にあるように、 1 月の部会や分科会において、手数料の上限を定める省令の改正についての諮問・御審議・答申を頂きたいと考えております。今般、御報告したのは、 11 月末から 30 日間をかけて、パブリックコメント及び業界団体への方針の周知を行うことを予定しておりまして、あらかじめどのような方針で作業を進めていくかを打ち出しまして、関係者への準備の参考としていただくという趣旨です。いずれにしても、正式には 1 月の部会と分科会において御審議を頂くことを考えております。以上、消費税の引上げに伴う有料職業紹介事業の手数料の最高額の改定についての御報告とさせていただきます。

○鎌田部会長 ただいま説明がありましたように、この案件については、 1 月に当部会においても諮問を受けて正式に議論をするということですが、この段階で、もし御質問、御意見があればお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 それでは、後日また当部会でも御議論いただきたいと思います。

 次に、議題 2 「労働者派遣制度の在り方について」の議事に移ります。進め方としては、前回労使から事務局にお求めのあった期間制限、均等・均衡待遇、それから併せてキャリアアップ措置も御要望があったと理解しておりますが、この 3 つの論点について事務局に叩き台を用意させましたので、これを基に議論を深めていただきたいと思います。

 では、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○亀井補佐 お手元にお配りしている資料 2 と資料 2-2 が議題に係る資料です。資料 2 は、ただいま部会長から御紹介いただいた 3 つの事項についての論点案です。資料 2-2 は、そこにお示ししている具体的なイメージを、ポンチ絵という形で視覚的に分かりやすくしたものですので、資料 2 2-2 を併せて御覧いただきながらお聞きください。

 まず、資料 2 の最初は「期間制限の在り方についての論点 ( ) 」です。 A 案と B 案を御用意しております。

A 案は、いわゆる 26 業務の内容を見直した上で、業務の区分に基づく期間制限を維持する方式です。具体的なイメージはポンチ絵にもお示ししていますが、現在の「いわゆる 26 業務は派遣可能期間の上限なし」、それ以外は期間制限ありという基本的な枠組みを維持した上で、このいわゆる 26 業務の中から、高度な専門性が認められるものや新たな基準によって業務を区分し直しまして、真に専門的な業務のみ期間制限の上限なしとする。それ以外については期間制限の対象とすると。ですので、イメージ図を御覧いただきますと、 26 業務の幅が少し小さくなって、自由化業務の幅が少し太くなるというイメージにしております。

 留意事項として、この方式を取る場合に御議論いただきたい事項を掲げております。まず 1 つ目は、常用代替防止という観点から、業務の仕分けをどのように行うかということです。すなわち、 26 業務の中から、既に議論に上ったものも含めて、どのような業務を外すのか。また、専門性とは別の観点から盛り込まれている特別な雇用管理を要する業務の扱いについてどう考えるかということです。

2 つ目は、業務区分に基づく期間制限が抱える課題についてどうするかということです。業務に該当するか否かをめぐる解釈の違いが残るおそれや、付随的業務の問題などについてどう考えるかということです。

3 つ目は運用の課題ですが、現在の期間制限の単位としては、「派遣就業の場所ごとの同一の業務」と法令上規定されておりますが、運用上、派遣先における組織の最小単位 ( 係等 ) において行われる業務は、同一の業務であると見なされております。このような現在の運用についてどう考えるかということです。

4 つ目は、この部会においても御議論がありましたが、業務区分に基づく縛りをかけますので、派遣労働者の仕事や人間関係の広がり等、キャリア形成を阻害しているのではないかという御意見をどう考えるかということです。

 メリットとしては、専門的な業務、特別な雇用管理を要する業務に該当するかどうかに争いがあるものを除きますので、解釈の食い違いを防止することができる。また、基本的仕組みの骨格は、現在大きくは変わりませんので、円滑な移行が可能となるという 2 点を挙げております。

 続いて、 2 ページ目の B 案です。資料 2-2 もおめくりください。 B 案は、期間制限の仕組みを派遣元との雇用契約の区分に基づくものに改めると。ポンチ絵にもありますが、無期雇用派遣であれば上限なし、有期雇用派遣であれば 3 年という形で区分する方式です。具体的なイメージですが、 1 番の無期雇用派遣は、派遣可能期間の上限を設定しないと。一方、 2 番の有期雇用派遣は、まず個人レベルと派遣先レベルでそれぞれ常用代替防止策を設けると。まず個人レベルですが、同一の有期雇用の派遣労働者については、派遣先の同一の組織単位における受入れを最長 3 年間とする期間制限を設けると。こちらの縦書きの資料においては、同一の組織単位というのは、今後の議論次第で幅があり得るものですので、業務のまとまりがある単位を想定とだけ書いていますが、ポンチ絵では具体的なイメージを分かりやすくするために、斜め上にもありますが、これを課と仮置きしてイメージ図を作成しております。

2 つ目のポツですが、この場合、派遣可能期間の上限が到来しますと、派遣労働者の雇用機会が失われるおそれがありますので、派遣元事業主は期間制限が到来しますと、対象者の希望を聴取した上で、新たな派遣就業先を提供する等の雇用安定措置を講じてはどうかと。雇用安定措置の中身ですが、ポンチ絵の真ん中の段辺りの右側に、雇用安定措置として、 (1) 派遣先への直接雇用の依頼、 (2) 新たな派遣就業先の提供、 (3) 派遣元での無期雇用の 3 つを例示しております。

 続いて、 (2) 番の派遣先レベルの具体策です。こちらは同一の組織単位における有期雇用派遣の受入れが、派遣先の常用代替となっているかどうかについて、派遣先に労使の委員会を設けまして、期間制限の 3 年ごとに調査・審議をすることでチェックを行うということです。派遣先としては、この委員会において反対された場合には、反対の対象となった組織の単位において、一定期間は有期雇用派遣を受け入れてはならないものとすると。ポンチ絵で申しますと、経理課の部分において、労使の委員会のチェックによって仮に反対された場合には、一定期間の受入れを停止すると。逆にその上の人事課においては、継続的受入れの反対がなければ、引き続き派遣の受入れを可能とします。

3 つ目ですが、委員会における審議を担保するための措置として、委員会が適切に議論を行うために必要な資料を提供するなどの協力を行ってはどうかとしております。

3 ページは、この方式に係る留意事項です。まず、 1 つ目の○については今御説明しましたが、個人レベルと派遣先レベルという 2 つのレベルの常用代替防止策について、それぞれどのように考えるか。また、雇用安定措置についてどのように考えるかということです。

2 つ目は派遣先レベルの話ですが、仮に今御紹介したような委員会方式を採る場合に、御紹介した例では反対があれば停止するとしておりますが、採決の方法とその効果をどう考えるか。また、委員会における議論を担保するための措置、資料を提供することの必要性について、それぞれどのように考えるかということです。

 また、 3 つ目ですが、委員会が反対した場合、有期雇用派遣の受入れを終了する形になってしまうわけですが、これは派遣先における経営権の制約となり得るということについてどのように考えるか。

 最後の部分ですが、今回御紹介している叩き台では、労使の委員会という仕組みを採っておりますが、その他の既存の集団的な決定の仕組み、過半数組合、労働基準法上の労使委員会、安全衛生委員会などを採ることについてもどのように考えるかという留意点を挙げております。

B 案のメリットは、期間制限の単位を、業務単位から同一の有期雇用の派遣労働者についての同一の組織単位に改めるとともに、雇用安定措置を講ずることによって、業務の縛りが解消されまして、派遣労働者の雇用の安定とキャリアアップに資することとなるほか、付随的業務の問題等も解消されて、関係者にとって分かりやすい制度となるのではないかということです。

 続いて「均等・均衡待遇についての論点 ( ) 」です。ポンチ絵では 3 ページです。こちらについても A 案と B 案を御用意しております。

 まず、 A 案は均等待遇の確保策をとる場合です。具体的なイメージですが、部会での議論にも出ている EU 指令や労働契約法第 20 条、またパートタイム労働法第 8 条などの枠組みを労働者派遣制度に借用的に導入しようとした場合に、どのようになるかというイメージを以下にお示ししております。ですので、後ほど留意点の所でも御紹介しますが、これが実際にワークするかという論点について、留意点として掲げております。

 まず、 EU 指令を参考とする場合ですが、派遣労働者の労働条件と就業条件は、その派遣先への派遣期間中、同一職務に派遣先によって直接採用されていれば適用されたものを下回らないものとする。 2 つ目ですが、派遣労働者については、客観的な理由によって異なる取扱いが正当化されない限りは、派遣先において直接雇用されている労働者と同一の条件で福利厚生施設の利用ができるものとするというものです。

 次が労働契約法第 20 条を参考とした場合ですが、派遣元事業主は、派遣先の協力を得てという場合もありますので、 ( 及び派遣先 ) としております。派遣元事業主は、派遣労働者の労働条件が、派遣労働者であるということによって派遣先の労働者の労働条件と相違する場合においては、こうした相違は職務の内容及び、配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないものとするという方法です。

 最後に、パートタイム労働法第 8 条を参考とする場合ですが、派遣元事業主においては、職務の内容が、当該事業所に雇用される通常の労働者と同一であるという派遣労働者について、派遣元事業主と期間の定めのない労働契約を締結している者のうち、当該派遣先における業務の慣行やその他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの期間において、職務の内容、配置が通常の労働者の職務の内容、配置の変更の範囲と同一であると見込まれるものについては、派遣労働者であることを理由として、賃金の決定などの待遇において差別的取扱いをしてはならないとするものです。

 これらの方式の留意点としては、 1 つ目の○ですが、まず EU 指令を参考とした場合、我が国と欧州諸国とでは賃金決定の仕組みが大きく異なることをどう考えるか。また、労契法第 20 条やパートタイム労働法第 8 条を参考とした場合に、派遣労働者とは直接の契約関係にない派遣先に、どのような責任を問うことが可能なのかということです。

2 つ目の○は、いずれの方式にも共通することかと思いますが、派遣先との均等待遇ということですので、比較対象となる派遣先の労働者や業務の特定が前提となることをどう考えるか。また、派遣先が違うことによって、同じ派遣元に雇用されている方々の待遇の不均衡が生じ得るという課題についてもどう考えるかということを挙げております。

 次に 6 ページです。 B 案は均等ではなく均衡待遇の強化策をとる場合です。具体的なイメージとして、派遣元と派遣先に分けて書いておりますが、まず派遣元における均衡待遇の取組の強化として、派遣元事業主は、派遣労働者の求めに応じて均衡待遇について具体的にどのような配慮を行ったのかを説明するものとするということです。 2 番が、派遣先の責任を強化するものでして、賃金、教育訓練、福利厚生施設のそれぞれにおいて、派遣先は、同種の業務に従事する労働者の賃金水準に関する情報提供や、一定の場合を除いて同じ業務に従事している派遣労働者にも教育訓練を実施する。また福利厚生施設の利用の機会を与えるよう配慮するなどの責任を負わせてはどうかというものです。

 留意事項としては、 1 つ目の○は、派遣先は派遣労働者とは直接の雇用関係にはありませんので、そうした立場にどこまで均衡待遇の責任を負わせることが適当かということ。 2 つ目の○ですが、派遣元による均衡待遇の取組を強化するには、派遣先からの情報提供など、もう一段の協力が不可欠との指摘があることをどう考えるかということです。

 最後の 7 ページは「キャリアアップ措置についての論点 ( ) 」です。こちらは、具体的なイメージとして幾つか書いておりますが、まず 1 つ目はキャリアアップの責務は誰が負うかということです。こちらは派遣労働者の意欲や能力を踏まえつつ、派遣元事業主が負うものとすると。具体的な仕組みとして、 2 つ目の○ですが、派遣元によるキャリアアップ措置を仕組み的に担保するために、許可要件にキャリアアップ措置を行う体制及び計画の整備に係る事項を盛り込んではどうかということで、具体例を幾つかポツで挙げております。キャリアアップ責任者の選定、キャリア・コンサルタントの資格を有する相談員又は営業担当者等による相談体制の整備、又はキャリアアップを念頭に置いた教育訓練計画の整備などです。こうしたキャリアアップ措置の実施状況を事業報告事項とし、実際に行われているかどうかを確認すると。次の○は、派遣先においても、派遣元事業主からの要請に応じて、当該労働者の職務遂行能力の向上度合い等の情報を提供することとする。さらには、派遣先の事業所で正規雇用労働者の募集が行われる場合には、当該事業所で就業中の派遣労働者に声をかけ、応募機会を提供することとする。

 最後に、紹介予定派遣についても、正規雇用労働者として採用される可能性がかなり高まることから、派遣を通じたキャリアアップの仕組みとして有効であると。したがって、この仕組みを周知・啓発等していくことによって、更に利用の促進を図っていこうとしてはどうか。

 留意事項ですが、派遣元事業主によるキャリアアップの措置を担保する仕組みとして、今御紹介したような仕組みを、それぞれどのように考えるかと。このほか、当部会においても御議論が出ていますが、教育訓練の成果を評価・確認するために、職務評価制度を整備すべきという御意見もあります。こうした意見についてどのように考えるか。最後ですが、派遣労働者のキャリアアップについて、派遣先の更なる協力を求めることについてどのように考えるかを挙げております。御説明は以上です。

○鎌田部会長 それでは、ただいま御説明のあったいずれの論点からでも結構ですので、御質問、御意見がありましたら自由に発言をしていただきたいと思います。

○新谷委員  各論に入る前に、この論点ペーパーの取扱いについて確認をさせていただきたいと思います。今の御説明ですと、 3 つの論点について、 A 案、 B 案という形で案を示されておりますが、 3 つの論点以外にもこれまで論議をしてきた論点が幾つかあるわけで、例えば、登録型派遣の在り方とか製造業務派遣の在り方、あるいは私どもが主張しておりました派遣先の責任の在り方等々、様々な論点について、本部会では議論を行ってきました。そうした中で、この段階で 3 つの論点しか示されていないという扱いについて、今後、かなり限られた時間の中で、どのようにまとめの案をお示しになるのかという点を、まず教えていただきたいと思います。

○新谷委員 はい。

○鎌田部会長 事務局からどうぞ。

○富田課長 審議会の進め方については、部会長と御相談しながら進めるということでした。今回、これまでの労使双方の御意見を整理したものお示したのは、使用者側代表の委員、労働者側代表の委員のそれぞれから、特に議論を深めたい事項について、具体的な叩き台を示す必要があるという御指摘を得たためです。

 したがって、お示しした論点については、特に労使の御意見の見解の相違が大きい部分だと思いますが、そのほかの論点についても、もちろん排除したものではありません。今日示したのはそういうものだと御理解いただきたいと思います。

○新谷委員 分かりました。特に労使の意見の隔たりが大きい論点という御説明でしたが、今までの論議の中で労使の見解が一致しそうなところは、特定労働者派遣事業の在り方ぐらいで、そのほかの論点は全く論議がかみ合っていないではないかというのが、私の認識であり、論点の相違のある所は 3 つだという認識は、私どもとして違うと思っております。今後、早急にその他の論点についても示していただかないと、なかなかまとめの作業は難しいのではないかという認識を持っておりますので、その点はお願いしたいと思っています。

○鎌田部会長 ただいまの進行についての御意見ですが、使用者側から進行に関わることで何かありますか。

○高橋委員 今回の制度見直しの検討に当たっては期間制限の在り方をどう考えるかというのが、一番重要なポイントになるということから、具体的なイメージをお示しくださいと前回申し上げました。まずは期間制限の在り方について徹底的に議論、審議を行った後に、その他の論点についてもしっかりと議論していくという進め方が適当ではないかと考えております。

○鎌田部会長 ということで、何か付け加えることはありますか。

○新谷委員  たしかに、前回の部会の流れから行きますと、具体的なイメージを示していただくという流れであり、それを受けて本日資料をお示しいただいたわけです。また、これまでの論議を踏まえ、一番重要なのは期間制限の在り方だという点は異論がありません。ただし、今回お示しいただいた A 案、 B 案、特に期間制限の在り方に関するB案で、無期雇用派遣については派遣可能期間の上限を設定しないとされていますが、これはこれまでの部会論議では一切出ていないのではないかと思います。確かに個人単位にという話はありましたが、 B 案で示す無期雇用派遣は派遣可能期間制限を設けないという枠組み、これまでの部会の論議を踏まえたものではないと私は思っていますので、これが出てきた経緯を御説明いただきたいと思います。

○鎌田部会長 事務局どうぞ。

○富田課長  B 案の作成の根拠については、前回高橋委員から研究会報告をベースにした案と、いわゆる専門 26 業務を絞り込む案という両方の案をお示しくださいという御要望をいただきましたので、 B 案については研究会報告を参考にして作らせていただいたということです。

○新谷委員 ということは、これまでの部会の論議を踏まえたものではなくて、研究会の報告をベースとして出してきたということでしょうか。

○富田課長 前回高橋委員からの御要望がありましたので、それに従って議論の参考資料として作ったということです。

○新谷委員 今回の派遣法見直しの論議は 8 30 日から始まっていますが、冒頭に申し上げたように、私どもとしては、研究会報告は、この審議会での審議のベースにはしないということを申し上げてきたつもりですし、これまでの 7 回にわたる論議の中で使用者側委員からも、この点については一切発言がなかったはずなのに、なぜいきなりこの研究会報告をベースにしたものを出してくるのか、そこの説明をしていただきたいと思います。

○富田課長 繰り返しになりますが、前回高橋委員から研究会報告を参考にした案も出してくださいという御要望がありましたので、それに基づいて作ったということです。

○鎌田部会長 よろしいですか。これは案ですので、いろいろな御意見があると思いますので、この案に対して御批判を頂ければと思います。そのように進めていかがでしょうか。

○新谷委員  不思議なのは、これまで 7 回にわたって確かに使用者側委員がおっしゃるように、期間制限が今回の法改正の肝になる部分であって、これまで具体的な御発言がなかったにもかかわらず、いきなり研究会報告をベースにしたものを案として出されるという事務局の見識がよく分からないということを、改めて申し上げておきたいと思います。

 その上で A 案、 B 案について、私からまず見解を申し上げさせていただきたいと思います。 A 案については私どもがこれまで主張してきた内容です。そもそも派遣可能期間の制限をどうするかという問題については、労働市場において、派遣労働をどのように位置付けるかという問題に関わってくると思います。私どもとしては、期間の定めのない直接雇用が労働市場政策として追求する政策ではないかと考えております。また、日本の長期雇用システムに見合った処遇が受けられる労働者をどのように維持していくのかということが、労働政策の中心にあるべきと考えており、その対極とも言える現行の派遣労働者の扱いをどう考えるのかということと切り離してはできないと考えております。

 派遣労働の抱える問題は、間接雇用であるがゆえに、雇用責任が曖昧になりやすいですし、労働者保護が欠けるという実態であるということは、繰り返し実例を挙げて申し上げてきたところです。しかし、今回、使い勝手のいい労働力として恒久的な間接雇用法制となり兼ねないような B 案が出てきておりますので、飽くまでも派遣労働は臨時的・一時的なものにとどめ、これ以上、不安定な雇用である派遣労働を増やすべきではないということを、私どもとしては引き続き主張してまいりたいと思います。

 また、このことは研究会でもやられたアンケートの中でも、派遣労働者の方々で正社員になりたいと思っている方が 6 割を超えているという現状があるわけで、こうした派遣労働の方々はこうした思いの中で労働されているわけですので、そうした思いを切実に受け止める必要があると私どもは考えております。 A 案を今後のまとめに向けての中心に据えていくべきということを、改めて申し上げておきたいと思います。

○鎌田部会長 では、ほかの方で御意見はありませんか。

○高橋委員  A 案と B 案のそれぞれについて、私からコメントさせていただきます。まず A 案ですが、基本的な枠組みは維持ということだけだと、やや抽象的で、よく分かりにくいところがあります。仮に現行の枠組みを維持していく場合に大事なことは、既に申し上げておりますが、専門 26 業務適正化プランで行われたことをどう踏まえて、どのようにしていくのか、あるいは 1 割規制の問題をどう考えるのか、 2009 年の通達をどう考えるのかといったことも含めてセットで考えていかないといけませんが、それらへの言及がない形で示されてもなかなか議論が難しいと思います。その上で、確かにいろいろな問題が生じていることは事実だと思います。

 他方で、かねてから申し上げているとおり、問題なく業務を行っている所もあるので、そうした所についてまで一気に変えていく必要が本当にあるのかどうかについてはしっかり議論をしていく必要があると思っています。

 仮に現行制度を大きく変える場合でも、その業務に従事している労働者の雇用の安定性などを踏まえれば、かなり長期にわたる経過措置期間を設けていくことが適当なのではないかと考えています。

 続きまして B 案について、これは研究会報告書をまとめていただいたものだと認識しておりますが、改めて具体的なイメージの最初の○を読んだときに、大変違和感を覚えたのです。というのは、私が研究会報告書を読んだときの違和感が、この短い文章になったことによって、よりはっきりと確認できたのではないかと思っています。

 具体的なイメージの○には、常用代替防止の対象を有期雇用契約で派遣される場合に限定し、個人レベルと派遣先レベルで常用替防止を行う方式とありますが、この案のイメージは、この文章の 1 行目の最後の「個人レベルと」を削除するのが分かりやすいのではないか。すなわち、 B 案の枠囲いの文章ですが、派遣元との雇用契約期間の区分に基づく期間制限に改めるということがまずあり、有期雇用派遣については原則 3 年とする一方、無期雇用派遣については派遣可能期間の上限を設定しないということであって、常用代替防止を図る方法は、派遣先の労使がチェックする方式である、と整理することが適当なのではないかと考えています。それを個人レベルと派遣先レベルで常用代替防止を行う方式として書くから、非常に分かりにくい作りになっていますし、資料 2-2 2 ページにある図表も、何だかよく分からない図表になっているのではないかと思っています。

 その上で派遣先レベルの所について、「派遣先の労使の代表によって構成する委員会が 3 年ごとに調査・審議するもの」とありますが、労使でチェックする枠組みとしては既存の枠組みがありますので、派遣法で新しく労使の代表によって構成する委員会を設けると規定することは適当ではないのではないかと考えています。以上です。

○鎌田部会長 ほかに御意見はありますか。

○新谷委員  B 案では、業務区分による期間制限に代え、雇用契約期間の区分に基づく期間制限に改めるということが提起されています。その中で 1. の無期雇用派遣と有期雇用派遣に分けるという区分が出ているのですが、無期雇用派遣については、派遣可能期間の上限を設定しないとしか書かれていないのですが、なぜ無期雇用派遣は派遣可能期間の上限を設定しないのか。この考え方について説明を頂きたいと思います。

○富田課長 これは研究会報告をベースにまとめたものですから、研究会報告に書かれているベースで言いますが、無期雇用派遣については比較的長期な雇用を想定しており、比較的雇用が安定している、それからキャリアアップが図りやすい形態であります。労働市場の中で有期雇用がどんどん増えているという状況からすると、派遣可能期間の上限設定について別の扱いをする必要があるのではないかということで上限を設定しないという整理になっていると理解しています。

○新谷委員  今の説明ですと、無期雇用派遣は雇用が安定しているのため上限の設定をしないという説明でしたが、私は派遣会社における無期という意味は、通常の事業会社における無期とは全く意味が違うと考えております。

 これは 5 年前に起こった事実が、事実としては証明しており、これは厚労省から示された資料ですが、リーマンショックのときに、派遣元で無期雇用であった労働者、派遣契約が解約されるとともに、派遣会社で無期雇用されている労働者であっても、離職した者のうちの 94 %の方が違法な解雇が行われたということが、派遣会社における無期雇用の実態ではないかと思っています。

 また、法的な観点から見たときに、解雇権濫用法理の扱いが、通常の事業会社と派遣会社は本当に同じなのかという点も、よく考えなければいけないと思っています。この点は研究会報告ですと無期雇用派遣は「雇用が安定しているから」という一言で終わっているわけですが、本当にそうなのか。これは今日、公益側の先生方が座長も含めて 3 人おられますが、是非、解雇権濫用法理の、特に整理解雇の 4 要件の最初の解雇の必要性とか解雇の回避努力というのが、派遣会社によってはどんな意味を持つのかというところを、是非、分かるように説明していただきたいと思います。公益の先生方にもしお答えいただけるのならお願いしたいと思います。

○竹内委員 まず研究会報告書ではどのように書かれているかということについて申し上げます。研究会報告書はお手元に資料がない方も多いかもしれません。委員の先生方は 192 回の資料として添付されているものがあるかと思います。傍聴の方々には恐縮ですが、読み上げる形で補足したいと思います。

 研究会報告書の 10 ページの (2) 無期雇用と有期雇用の真ん中辺りで「一方、無期雇用の派遣労働者は」で始まる段落があって、そこは、今、御発言があったように、「雇用が比較的安定しており」と書かれています。そこに 22 番という注釈番号が付いていますが、注釈番号 22 を見ると「期間の定めのない雇用については、いわゆる雇止めの問題が生じない」となっています。

 すなわち、研究会報告書では、安定していることの趣旨を、期間の定めのない雇用であるということとして認識しているわけです。法制度的には、御承知のこととは思いますが、期間の定めのない無期雇用の場合には、解雇権濫用法理の下での労働契約法 16 条の下での規制を受けることになります。他方、有期雇用の場合だと、期間満了時点であれば直接には解雇という問題にはならず、雇止めで、原則的には期間満了により終了するということになります。もちろん、解雇権濫用法理を一定程度では類推適用できるのではないかとして雇止め法理と呼ばれるものが形成されていることも御承知のところです。しかし、両者を比較すると、原則終了、そして類推適用も程度に限界があるという意味では、有期雇用のほうが、より雇用の不安定性が強いという形で、差異がございます。

  このように、研究会報告書では、無期雇用の場合は、解約する段階では解雇権濫用法理の適用が常に問題となってくるので、法理面でみて、有期雇用に比べて比較的安定しているという違いがあるということを認識して、先ほど申し上げたように比較的安定していると述べています。私も研究会に参加しておりましたが、同様に認識しています。

 その上で、具体的に御質問があった、無期で雇用されている派遣労働者が解雇された場合における解雇権濫用法理の適用が、直接雇用されている労働者の解雇の事例についての解雇権濫用法理の適用とどのように違うのか、同じなのかという御質問ですが、ここは恥ずかしながら、ということを申し上げなければいけませんが、私自身は無期雇用の派遣労働者が解雇された裁判事例について、どのように争われたかという例を、現時点では把握しておりません。ですから、ここは仮定的な話にならざるを得ないということを、あらかじめ申し上げておきます。また、私自身その事例について、この後調べておきたいと思います。

 その上で、これは私の私見ということになりますが、有期で雇用されている派遣労働者の、いわゆる期間途中の解雇の事例は、リーマンショック後、非常に多く見られて、裁判例も数多く公刊されています。有期雇用の場合でも、もちろん有期雇用の期間途中の解雇は労働契約法 17 条の規定の下で判断されますので、 16 条の下での判断と基準が同じというわけではないのですが、本来的には雇用が存続していたはずの残りの雇用期間中については、ほかの仕事を探さずに、直ちに解雇することは適切ではないと判断されています。そうであれば、無期雇用の場合であっても、同様に、無期雇用派遣は、特定の派遣先での派遣が終了しても別の派遣先で就労するという形で、特定の派遣先での就労喪失というリスクについて派遣元が次の仕事を見つけるという形で対応することが予定されている、つまり特定の派遣先での就労を超えて雇用継続が見込まれている派遣類型と考えられることを踏まえると、現在派遣されている派遣先での仕事がなくなったからといって、派遣元が直ちにそれで解雇できるということにはなりにくいのではないかと考えます。具体的には、例えば、いわゆる整理解雇に該当する場合であれば、解雇回避の措置として、ほかの派遣先に派遣することができないかということについての検討を尽くす必要があると考えます。先ほど申し上げたとおり、有期雇用の事例でも、期間途中の解雇の事例ではありますが、このようなことが求められているところを参酌すると、無期雇用の事例については、より一層求められると考えております。

 そのような観点から見ると、確かに現実に解雇の事例がたくさん生じた所では、不安定性の問題が顕在化しているという御指摘はあると思いますが、法理面で見た場合には、有期の派遣労働者に比べて、無期の派遣労働者については雇用が比較的安定していると認識しております。

○新谷委員  今、竹内委員から御説明いただいた中心は、派遣労働者の中の有期・無期の比較における労働契約法第 16 条と 17 条の問題を中心に開陳いただいたのですが、私が申し上げているのは一般の事業会社における無期雇用労働者と派遣会社における無期雇用は意味が違うのではないかということです。

 およそ 8 万事業所というたくさんの派遣元事業所があって、その多くが中小零細の派遣会社です。今日オブザーバーで来られている会社のような大手であれば、ある所で派遣契約が切られた場合であっても、新たに違うクライアントを見付けて、そこに派遣先を変えれば解雇回避努力は尽くせると思うのです。しかし、圧倒的多くの中小零細の派遣会社においては、クライアントが 1 社か 2 社しかない。そこが切られたからといって、直ちに新しい派遣先が見付けられるのかどうか。それは本当に経営努力をして新しい派遣先を見付けることができなかったと裁判官に判断をされやすいのかということを申し上げているのです。

 特に中小においては、解雇の必要性の問題もあります。派遣会社というのは、一定の資産、電話、一定のスペースがあればすぐ開業できるわけです。派遣というビジネスは、他人の労働に介入して、そこで利益を上げるという構造であり、通常の事業会社のように特許や事業所といった有形・無形の資産を持っているビジネスではないわけです。ですから、解雇の必要性なり、解雇の回避努力というのが、通常の事業会社における整理解雇の 4 要件の判断と比べると非常に弱いのではないかということを申し上げているわけです。

 有期・無期の比較ではなくて、通常の事業会社におけるこれまで形成されてきた整理解雇の 4 要件の問題と、派遣会社における整理解雇の 4 要件は意味合いが全く違うのではないかということを申し上げているわけです。ですから、派遣会社で無期雇用されているからと言って、雇用が安定しているというのは、絶対的なものとしては言えないのではないかということを改めて申し上げておきたいと思います。

○青木オブザーバー 今の無期雇用の件ですが、現在の 26 業務は派遣の受入期間がないので、今回のこの案であれば、同一の有期派遣労働者における受入期間が 3 年というのは、かなり規制強化になると思っています。

 その際に無期雇用派遣であれば、上限を設定しないというのは、私たちにとってはかなり高いハードルですが、現在 26 業務で有期で働いている派遣労働者の方々が、無期雇用派遣、無期雇用への転換促進につながるのであれば、派遣労働者にとって喜ばしいことだと思いますので、これは進めるべきだと思っています。

 派遣労働者がなぜ正社員という働き方を望まないか、というデータはなかなかないのですが、元電機連合の小林良暢さんが、足で調査された内容が『エコノミスト』という雑誌に載っています。題は「製造請負・派遣現場の声を聞け 正社員を望まない労働者は多い」です。これ以上増やしてはいけないと先ほど言いましたが、正社員ではなくて、派遣という働き方を望んでいる方がたくさんいます。この文章は「この人たち ( 派遣労働者 ) にとって重要なのは、正社員になるということよりも 3 年といった期限を設けず、これまでの雇用形態 ( 派遣 ) で引き続き長く働くことができて、また時給を毎年 15 円でも 20 円でも継続的に引き上げてもらいたいということである」ということで結んでいます。私が言いたいのは、正社員を望んでいなくて、長期の派遣の働き方を望んでいる人がたくさんいるといった事実を、そういった労働者の声を是非分かっていただきたいと思います。

○鎌田部会長 石黒さん、いいですか。

○石黒委員  無期雇用派遣であれば雇用が安定するとの点については、先ほど新谷委員も申し上げたとおりです。厚生労働省の調査結果でも、リーマンショックの際に派遣契約の中途解除が起こったときに派遣元で無期雇用されていた派遣労働者の 7 割が離職し、そのほとんどが解雇であったということを重く捉えるべきです。今後派遣元で無期雇用されていれば無期限に派遣できるという形、つまりは派遣制限がないという形にしたら、派遣元としてはまずは無期契約を結んで、その後は無期であろうが何であろうが解雇するといったことが起こり得るのではないか。こういったことが起こりえることを、この部会では将来予見として考えるべきではないかと思っています。

 私はもちろん A 案でやるべきだと思っています。現在、期間制限のない 26 業務の人に期間制限がかかるのでそれはそれでいいのではないかという御意見のように、先ほどのオブザーバーの意見は聞こえましたが、別に現行の 26 業務に従事している派遣労働者は、派遣元で有期雇用であっても、無期限で派遣されているわけで、基本的には派遣元で有期雇用、無期雇用にかかわらず特殊な独自の労働市場が確立されているから派遣期間制限の規制がかからない。つまりは、そういう専門性のある分野については、派遣という特殊な働き方についても無期である、期限の制限はしないということであり、こうした今までの考え方どおりでやっていくべきだと思っています。

A 案の留意事項に、業務の解釈の違いがあるとか、付随業務の割合の問題などがあげられています。それで高橋委員が指摘していた 26 業務の適正化プランのうんぬんという話になるのですが、逆に言えば、今までそのようにルールで決めてきたことが、実態としてわかりにくく守られていないということであれば、きちんと見直して適正化しよういうことなのではないか。これまでの業務区分による期間制限とは、非常に全うなことをやってきたと自分は理解していまして、今回きちんと業務の中身を精査して、なおかつその基準をこれまで以上にきちんと決め、それを派遣先、派遣元に話をすれば、十分対応できると思っています。地方によっていろいろ解釈が違うという問題についても、きちんと解釈基準をここで定めた上で、内部できちんと管理をすれば混乱は起きないと思っており、留意事項にも解釈の懸念が記載されていますが、今申し上げた取組を行うことによって、十分対応できる問題だと思っています。

A 案にあるように、 26 業務の中身を今日的なものに見直して、業務区分による期間制限を行うということは、全く難しいことではない。むしろ無期雇用であれば安定的だという全く事実のない根拠から作っていく B 案を行うということについては、ここの審議会の見識が疑われるのではないかと思っていますので、是非 A 案でやっていくべきだと思います。再三申し上げているように、国際基準から見ても、 B 案はいかがなものかと思われますので、 A 案を採用していくべきだと思っています。

○新谷委員  先ほど青木オブザーバーが、特定の個人の見解を発表されて、それが全ての派遣労働者の意見だみたいなことを言われたのですが、これはいかがなものかと思います。定量的な分析をアンケートで 4,000 件のデータを示して、 6 割の方が正社員になりたいと言っているデータがある前で、個人の見解を示して、それが派遣労働者の意見だというのは、審議会の意見として馴染まないのではないかと申し上げておきたいと思います。

 その上で B 案について1点確認をしたいのですが、無期雇用派遣の問題点は先ほど申し上げましたが、有期雇用派遣についても、「派遣先の労使の代表によって構成する委員会が 3 年ごとに調査・審議する」、「委員会が反対した場合には」と書いてあるのですが、ここで言っている労使の代表の「労」というのは、誰のことを言っているのか、教えていただきたいと思います。

○鎌田部会長 事務局どうぞ。

○富田課長 事務局で作成していますので、事務局がお答えします。これも研究会報告を参考に作ったものです。ここでイメージしているのは、既存の労使委員会制度が他方でもありますが、通常過半数組合があれば過半数組合が示した者、それがない場合は、過半数代表者が示した者が委員になるということを想定しています。

○新谷委員 研究会報告をベースにということですが、研究会報告でドイツの事業所委員会が書いてあるのですが、これはどのように取り扱ったらいいのですか。

○富田課長 研究会報告の解釈になりますので、事務局からお答えするのは不適切かもしれませんが、私が研究会の議論を聞いていて理解していますのは、期間制限のチェックの在り方に関する議論の経過の中で、他国においては、ドイツのような事業所委員会の例があり、これを参考に労使の代表がチェックする仕組みは考えられるのではないかという議論があって、それで 1 つのイメージとして示されていると理解しています。

○鎌田部会長 いいですか。

○新谷委員  関連した質問ですが、 B 案を出されるときに、研究会報告をベースにしたとおっしゃっているのに、研究会報告に書かれているドイツの事業所委員会は、想定していないということですか。

○宮川部長 様々な議論の中で、労使委員会制度そのものについてのいろいろな御議論もされてきたのではなかろうかなと。その中で委員からの御意見の中には、この委員会制度を新たに制度として作るということについて様々な御疑念の点も御指摘されたのではなかろうかと想定しております。

 そういうことの中で、今回の労使委員会というのは、労使の委員会と書かせていただいているとおり、私どもが想定され得るものとしては、先ほど申したような形はありますが、それは別にそれに固定した形ではなくて、ドイツのような事業所委員会を作るべきか否かということについては、是非御議論いただければと考えています。

○新谷委員  事務局の説明はいいとこ取りとしか、私には思えなくて、「研究会報告をベースにしました」と言って、「ドイツの事業所委員会か」と言ったら、「それは違う」という答弁が返ってきたわけです。ドイツの事業所委員会は派遣労働の受入れについて、今年の 7 月にドイツの連邦労働裁判所で判決が出ているわけです。

 それはどういう判決かというと「派遣は臨時・一時的なものである」という 2008 年の EU の派遣労働指令を受けて、ドイツの国内法で「派遣は臨時的・一時的なものである」という派遣労働に係わる法改正があって、それに基づいて、ドイツの事業所委員会の労側委員が裁判所に訴えた事案です。長期間にわたる派遣が続いた中で、これは法違反ではないかということを、ドイツの事業所委員会の労側の委員が訴えて、その派遣が、連邦労働裁判所が法に定める「臨時的・一時的」ではなく、法の規定に違反すると認定したわけです。この点は既に御承知のとおりだと思います。

 ですから、私どもは研究会報告を読んで、労使の代表の「労」というのは、研究会報告に書かれているように、ドイツの事業所委員会のような労側が決定権を持つものを導入するのだなという前提の下で捉えていたら、事務局からは、それは違う。既存の枠組みを使うのだという答弁がございました。過半数代表もそれに含めるのだということになると、全く全体が変わってくると言わざるを得ないと思います。

 御承知のとおり、過半数代表の問題は JILPT の研究会報告に出ているように、約 28 %が使用者による指名という実態があるわけです。また、 12 %は社員会の代表が自動的に過半数代表になるというものであり、 4 割が民意も反映せずに使用者の意向によって指名をされ、過半数代表になっており、そうした過半数代表が、今、 36 協定を含めての協定当事者となっているわけです。ここにまたそういった方々が登場して、派遣先の労使の会議等でチェックをするといったときに、使用者と一体になる人がどうやって実効的なチェックするのか。使用者側委員は既存の枠組みを使えるとおっしゃいましたが、既存の枠組み自体が適正な運用がなされていないのに、仮に労使委員会であったとしても、虚構に虚構を重ねる仕組みといえ、有期雇用派遣における派遣先の労使のチェックというのは効かないと私は思っています。

 また、無期雇用派遣については期間制限を設けないということは、常態的な間接雇用を導入するということです。加えて、有期雇用派遣についても実質的なチェックは機能しない。このまま行くと、派遣はずっと派遣でということになり、こんな仕組みを本当に我が国の法制度として導入するのか。先ほど、申し上げたように、諸外国と言ってもヨーロッパだけではなく、お隣の中国も韓国も派遣は臨時的・一時的なものであるという大原則がある中で、我が国は一体どこに向かって法改正をしようとしているのか、私は全く分かりません。以上です。

○秋山委員 期間制限の在り方についてですが、今、 B 案の事務局案に示されているような新たな委員会を設置するということは、中小企業にとっては、人的にもコスト的にも非常にハードルが高いものです。ですから、チェックを行うのでしたら、過半数代表や過半数組合といった既存の枠組みを活用した方法を検討すべきと思っています。

 次に、 A 案についてですが、現行の 26 業務は、現在働いている人や企業にとっても広く普及している制度です。対象となる業務を見直すことは必要かもしれませんが、専門性が高く、特段の問題が生じていない業務については、現在と同様、期間制限は不要ではないでしょうか。仮に 26 業務をなくす場合には、相当の経過措置が必要だと考えています。

 最後に、 A 案、 B 案に共通する項目についてです。今回の見直しは分かりやすい制度にすることが目的だと思いますが、逆にかえって分かりにくくなってしまっているのではないかと思います。分かりやすい制度にするためにも、例えば、今年 4 月から施行された改正労働契約法との親和性を図るという観点から、派遣可能期間については、本人が希望すれば最長 5 年まで認めるといったことなどの検討も必要だと考えています。以上です。

○小林委員 今、秋山委員からも言われていたとおり、全体的には分かりやすい制度にするということが大前提なのだと思います。今までの 26 業務は非常に分かりにくいというのが、いろいろな現場でもめていた理由でもあります。 B 案で出ているのも、新谷委員に言わせれば、新しい委員会制度を設けろという話になるのでしょうが、現場に実際に新しい制度を入れろということになると、浸透するのに大変時間がかかるのかなと思います。派遣元だけでなく、派遣先というのは一般の中小企業も数多くあるわけですから、それらに伝えるのは非常に時間も掛かります。連合が一生懸命やってくれればいいのですが、労働側だけの話ではなくて、使用者側としてもいろいろ努力をしなければならないにしても、相当難しい面があるのかなと感じております。

 従来から言っている過半数組合とか過半数代表制がうまく運用されていないのであれば、まずそこのテコ入れをする。しっかり労働行政から過半数代表制についても、就業規則の制定、改定を含めて、 36 協定などに使われているわけですから、そういう意味で過半数代表制をしっかり根付かせることと、既存の制度を使うことがいいのではないかと思っています。

 ちょっと伺いたいのですが、 2 ページに (2) 派遣先レベルというのがあって、「同一の組織単位」とあり、先ほどのもう 1 つのイメージ図で、課単位のが事務局から提案されているのですが、課単位というので固定するのか。中小企業の場合は課、係があるのかというのもありますが、組織の単位のイメージをもう少しお知らせいただきたいと思います。

 それから、先ほどの委員会の話で言えば、労使の代表によって構成する委員会が「調査・審議する」という言葉があるのですが、調査・審議というのはどういうことなのか。従来から使用者と労働者側の組合なり労使が話合いをすることによって労使自治が担保されているのですが、労使自治という考え方と、調査・審議というのは何か違いがあるのか、伺いたいと思います。

○鎌田部会長 同一の組織単位ということと、調査・審議ですね。それでは、事務局どうぞ。

○富田課長  2 点御質問がありましたのでお答えいたします。全体として申し上げますと、あくまでもこれは議論の参考になる資料として示したものですので、もちろん B 案を取るかどうかは決まったわけではありませんので、これからの議論だと思っています。中身についてもいろいろな御意見を頂きたいと思っています。

 その上で、ここの同一の組織単位ということで、文章では業務のまとまりがある単位を想定としたことを書いております。イメージ図では課としています。業務のまとまりがあると言いますと、現行では業務単位は係ですが、係だと余りにも狭いのではないだろうかということで、通常 1 つの仕事をやるのは課単位ではないかということで、 1 つのイメージとして課と示しています。

 もう 1 つの御質問の、なぜ調査・審議という用語を使っているのかということです。過半数組合であれば、今は意見を聴取するといった用例しかありませんが、委員会では、調査・審議という用語が実際に使われております。これは例えば労働安全衛生法で衛生委員会というのがありますが、そこで調査・審議という言葉を使っております。実際は意見聴取よりは強い機能だと思っていますが、今使われている用例を使ったということです。

○鎌田部会長 よろしいですか。小林さん、いいですか。

○小林委員 はい。

○鎌田部会長 それでは、大原さん。

○大原オブザーバー まず A 案について確認というか、お話をさせていただきたいと思います。今回の A 案の中身については、自由化業務を区分する。その考え方について、高度な専門性が認められる等の新たな基準によりという例示がなされているわけです。しかしながら、何をもって、その高度な専門性を判断するのか。世にある様々な職種というのは、業界、業種、更にはそれぞれの企業活動によって専門性が千差万別です。したがって、ここでいう新たな基準という具体的な選定方法そのものに、そもそも課題に無理があると考えています。

 そこで、例えばこの提案、もう少し具体的な選定のためのイメージをお持ちなのかどうか。私どもとしてはそこになかなか無理がある、難しい問題があるという認識でいるということが 1 点です。

 もう 1 つ、 A 案ですが、今回新たな例えば基準で 26 業務から絞り込むという提案がなされているわけですが、つい最近でも、例えば非破壊検査業務のように、政令業務に追加指定された実例もあることからすれば、専門性を有する業務は当然ほかにも存在すると考えるのが自然なことで、そもそも新たに政令に追加するという考え方を排除する必要はないのではないか。したがって、絞り込むと同時に追加するという両方向で 26 業務、政令業務を再構成すべきではないかと考えているところです。

○鎌田部会長 御質問の部分がありましたね。あるかないか、基準ということで何かイメージがあればということですが。 

○富田課長 この A 案については、これまで労側委員から御主張があったのを事務局で解釈をして、文章に起こしたもので、事務局では特に具体的な業務を想定して書いているものではありません。

○石黒委員  別に業務を絞り込むと書いてあるわけではありませんので、今日的に見て、専門性がある業務ということであれば、新たに付加すればいいと思います。

 もう 1 つは、派遣という極めてイレギュラーな間接雇用について、 26 業務には期間制限を設けていないということは、何度も申し上げているように、独自の労働市場が確立されている業務は常用代替のおそれが低いので良いという考えに基づくものです。そう考えると、業務の専門性について議論をすればいいわけで、要は買いたたかれるような、安く使われるような業務については専門業務とは言わないわけであり、そんなに難しいことではないと私は思っています。

○青木オブザーバー  A 案、 B 案に関して、幾つか問題はあるのですが、全体的には B 案のように、派遣労働者をはじめとする関係者にとって分かりやすい法律にしてほしいと思っています。従来の業務による区分に比べて、人単位にすることによって派遣労働者の仕事の広がりを生み、キャリア形成を支援することになると考えています。

 先ほど組織単位の話があったのですが、組織単位については、この記載の「業務のまとまりがある単位」というのは誤解を招きかねないと思っていますので、混乱を来さないためにも、 B 案でいく場合には現在と同じ最小単位組織である係単位が適当ではないかと思っています。

 それと、先ほど新谷さんが中心だったのですが、労働側が幾つかお話になった中で、まず不本意で働いている人の 6 割の話ですが、連合が 10 月に公表した「有期契約労働者に関する調査」によれば、正社員になれず有期契約で働いている契約社員が 47.6 %、正社員になりたい有期労働者は 40.7 %いるということですので、同じような数字で派遣だけの問題ではないなというのが 1 点です。

 以前にもお話しましたが、不本意で働いている人を、私たちは時間軸を入れたデータで説明いたしましたが、あれで 26 %でしたので、私はこの 26 %のほうが正確だと思っています。もちろんこれでいいと思っているわけではなくて、希望者には然るべき支援をしていかなければいけないと思っています。

 それから、ずっと派遣だという話があったのですが、私たちは働くのを無理強いしているわけではありませんし、本人の希望を聞きながら仕事をしてもらっています。派遣労働者、労働者は世にたくさんある仕事の情報の中で、より良い仕事を求めて移動しますし、今は以前と比べて携帯などで手軽に仕事の情報を入手し、行動できる時代になっているという事実も実際にあるということをお伝えしておきます。

 あとは派遣は臨時的・一時的な雇用だということを何度もおっしゃっているので、是非、代表的な日雇い派遣に関しては、それを求めている労働者がたくさんいますので、御検討いただきたいと思っています。以上です。

○清水委員 全体としては A 案で本当にやってほしいと思います。 B 案というのは、なかなか分かりづらい図だったのですが、極めて乱暴だという印象をものすごく持ちます。特に無期雇用派遣については、期間制限から外す。私が出た 8 月以降のこの会議の中でも、派遣における無期雇用ということが、実際には 1 年を超えるだけのちょっとしたものが、いろいろ統計の中に入っているという実態は、いろいろこの間データとして示されてきたのではないかと思います。そこを研究会報告のような形での、比較的安定している、だから外すと。こういう論理というのは、とても採ることができないのではないかと思います。

 もう 1 つは、この図でいきますと、そもそも 3 年が上限となっていますが、しかし、原則はやはり 1 年、最長 3 年を超えないという原則を再度はっきりさせる必要があるのではないかと、この図を見ながら非常に思いました。

 それで真ん中の個人レベルと表されている中の右に「雇用安定措置として、派遣元は、以下のいずれかを講ずる」ということで 3 つ書いてありますが、もちろんこれは労働者が希望した場合ということです。先ほどからもあるとおり、普通の事業企業とは違って、人を直接に扱って、人を働かせることによって、そこから利益を得ている企業ですから、そこで働いている労働者を大切にするというのは、極めて当然のことです。

 その場合にオブザーバーの方が来ておられますが、四角で囲った 3 の方策、この文章のイメージですが、「派遣元は以下のいずれかを講ずる」という言い切った形になっているわけです。もし皆さん方が評価をする B 案で全体として行く場合に、このような構えというか、業界として、事業者としてできるのかどうか。そこを聞かせてください。

 それから、派遣先レベルの問題でいくと、先ほどからも幾つか意見があるとおり、労使の委員会のチェックというのはほとんど機能を果たさないと思います。労使の委員会のチェックというのは、要するにその職場に派遣労働者を入れ続けるだけの、いわば免罪符としての役割しか果たさないと思います。それは圧倒的に日本の場合には、企業内労組が多いということとか、先ほども委員会の構成の問題が出ましたが、是非、ここは原則的な見地で 3 年という問題は考えて、これがあるから派遣労働者がいてもいいのだろう、君たちは認めたのだからという方式はやめてもらいたいと率直に思います。以上です。

○鎌田部会長 御質問の部分ですか。大原オブザーバーどうぞ。

○大原オブザーバー 今、有期雇用派遣の、ここの提案でいう 3 年が経過した方に対する雇用安定措置の御質問、御意見があったわけです。まず、 B 案、ある・なしに全く関わらず、そもそも有期雇用派遣の方々に対して、これは大事な仕事をしていく上でのパートナーです。そういう意味では、募集から採用、継続就業、リテンションを継続的に同一の派遣元で仕事をしていただく。そのことに当然努めておりますし、それが私どもの責務であると基本的に考えております。

 そういう中で、当然のことながら、ある一定期間の仕事が終わることが明らかになった場合、その都度、終了前に十分余裕をもって、例えば、ある時点で終わる 1 か月前には、次の就業についての御相談、ヒアリングといったものを行う。あるいは、その間働いてきた御本人の業務内容、スキルレベルが上がってきたかどうか。新たなスキルが身に付いたかどうか。そういったことも含めて当然ケアをし、新しい就業へつなげていく。我々はもちろんビジネスとしても非常に大事な着眼点ですので、基本的にこのことを怠っているとは全く考えておりません。

 その上で、もう一度 B 案で今回御提案いただいている雇用安定措置については、ここでは例示として 3 つの事柄が挙げられております。ただ研究会報告では、この 3 つ等ということで、それ以外の選択肢も今後検討する余地があるように私どもは読んでいるわけです。例えば、ここにある 3 つを前提にしつつ、やはり経済環境の情勢の変化であるとか、あるいは地方における厳しい雇用情勢。特に、小規模地方都市では、企業城下町と言われるように、非常に雇用機会が乏しい。そのような環境もある中においては、派遣労働者の就業をまさしく安定化するために、もう少し雇用安定措置について幅広に認めるべきではないか。この 3 つに限定すべきものではないと考えています。

 そういう意味で、例えば、既に平成 24 年改正で施行されている有期雇用から無期雇用への転換措置なども雇用安定措置に加えていくのに十分に検討に値するのではないか。諸々の措置を講じる中で、御本人の希望に応じて、上限を定めてある一定期間、同一の就業先に引き続き派遣を延長して認めること。これもまさしく雇用安定措置にほかならないと考えておりますので、それらを踏まえて、雇用安定措置についてはもう少し幅広く検討する余地があると考えております。以上です。

○鎌田部会長 ほかの論点もありますので、今に関連する御発言であれば受けますが、その後、ほかの論点、均衡・均等待遇、あるいはキャリアアップについても御意見を頂きたいと思います。

○新谷委員  期間制限の在り方の論点が一番大事だということですので、時間を取って論議するべきだと思います。結論を急ぐべきではないと思います。非常に重要な話を今しているわけで、部会長の進行の点もありますが、私どもとしては時間を取って論議をしていただきたいと思います。

 その上で、先ほど来、オブザーバーが多くのことを発言しておりますが、今回の審議会の進行においては、オブザーバーの役割というのは一体何だろうと、今つくづく思いました。

 前回、これまでの論点整理の左右対照の表をまとめていただいたのですが、この前マスコミの方に教えていただいたら、使用者側の発言の 82 %がオブザーバーの発言であったという結果であったと言われておりましたが、そういうものなのかと思いました。

 やはり、派遣業界の方が直接業界の利益を代表して、審議会の場でお話になるというのは、それはそれで意味があるのかもしれませんが、先ほど来、派遣労働者のことをパートナーであるとか、派遣労働者のためにとおっしゃっているのですが、派遣会社の皆さんは、社員と言われたときに、社員というのは確か内勤の社員しか「社員」と呼ばなくて、派遣労働者は「スタッフさん」と呼ぶのが通例と思っております。そういう現状の中で、派遣労働者の方をパートナーとおっしゃったのですが、非常にこれも違和感がある発言であったと思います。

 先ほどから B 案は分かりやすさを意図した案とおっしゃっていますが、分かりやすさだけでこれを決めていいのかと思います。こんな大事な改正が、分かりやすい、分かりにくい、それだけで理由で、派遣元で有期雇用・無期雇用で期間制限の在り方を決めるというのが、どんな説得力があるのか全く分からないと思います。

 その上で、仮に B 案のスキームを考えたときに、現行制度上は一般業務については、派遣先で 3 年経ったときに、派遣先に雇用申入義務があって、直接雇用へ誘導するというのが政策的に入っていたのですが、今回、これについては何にも触れてないわけです。先ほどから「生涯ずっと派遣だ」と申し上げているのは、この雇用申入義務がどこへ行ってしまったのかということです。要するに、派遣は臨時的・一時的なものであるという前提の中で、期間制限の3年経過後に直接申入れるという政策が入っていたものが、今回入っていないのです。だから、「生涯ずっと派遣だ」と申し上げているわけです。派遣がずっと続けば、業界のオブザーバーのお二人は発言はされていませんが、派遣会社としてはずっと派遣でマージンを取り続けられるわけです。このような世界に類が無いような、常態的な間接雇用法制が今入ろうとしているわけで、これは非常に大きい問題であると思います。

1 点事務局にお伺いしたいのは、 B 案に「委員会が反対した場合には」と書いてありますが、この反対の決議というのはどんな決議なのか教えてください。

○鎌田部会長 新谷さん、今、恐らく現行の 40 条の 4 40 条の 5 についてだと思いますが、それは別に聞かなくてもいいですか。

○新谷委員 はい。

○富田課長 決議がどういう意味かと言いますと、 3 年が来たときに、委員会が反対したときは新たな受入れができないという意味で、「反対」という言葉を使っております。

○新谷委員 聞いているのはそんなことではなくて、これは労と使が複数名で構成するわけで、そのときに決議の方法はどうするのかと聞いているのです。

○富田課長 その点については、留意事項の 2 つ目の○に、原則、委員会方式を取る場合、裁決の方法と効果についてそれぞれどのように考えるのかと書いてあり、正しく御議論を踏まえてから決められるべき事柄と思っております。

○新谷委員 今、委員会方式を取っている現行の枠組みというと、労働基準法の 38 条の 4 で、企画業務型裁量労働における労使委員会というのがあります。これは御承知のとおり、正しく提案されているような労使の会議体として機能しているわけで、この決議の方法は 5 分の 4 の賛成です。ここの決議は一体どういう方向で考えていくのか、考えがあれば教えていただきたいと思います。

○富田課長 繰り返しになって恐縮ですが、研究会報告でも、これ以上のことは、踏み込んで書いておりません。事務局のほうでも、それ以上踏み込んだ今の叩き台を示すことは難しいことから、審議会の議論を踏まえて、決められるべきことだと考えております。

○鎌田部会長 御意見としておっしゃっていただければいいと思います。どうですか。

○新谷委員  B 案に全然望みはないのですが、もし仮にこれが検討されるとすれば、現行の枠組みが、少なくとも過半数代表 1 人が決める方法よりは、これは比較の問題ですが、よりましということを意見としては申し上げておきたいと思います。

○高橋委員 先ほどの新谷委員の発言に関しては、私は遺憾に思いました。オブザーバーの発言が多過ぎるという御指摘ですが、今回の審議に当たりまして、オブザーバーの方々の参加があり、我々は決して各審議会において、各人がそれぞれ勝手に発言をしているわけではなく、しっかりと使側は全体で打ち合わせなども重ねながら、対応を協議してこの会合に臨み、発言をさせていただいているということです。量がどうだとか、誰が発言しているとか、していないとか、そういうことではないということを是非御理解いただいて、これからはそのような発言は是非慎んでいただきたいとお願いいたします。

○鎌田部会長 これはよろしいですね。双方、こういう御意見を言ったということで。何度も繰り返すようですが、他の論点についても是非御意見を頂きたいと思います。「均等・均衡待遇」「キャリアアップ措置」という論点について御意見を頂きたいと思います。

○青木オブザーバー きちんとこれだけは言っておきたいことが 1 点だけあったのですが。雇用安定措置について、現時点で常日頃、私たちは派遣労働者の雇用機会が失われないように、私どもなりの雇用安定措置を取っていますが、今回、ここには義務のように書かれているのですが、これは他の非正規と比べても、厳し過ぎると思うので、ここは努力義務でお願いしたいと思います。

○鎌田部会長 それでは、他の論点についての御意見を是非いただきたいと思います。労働側の御要望で、特にこの論点については案を出させていただいたということがありますので、口火を切っていただきたいと思います。

○新谷委員  これまでの論議の中でも申し上げているように、既に諸外国でも取り入れられているよう、我が国でも均等待遇原則を取り入れるべきだと考えております。研究会報告と今回の B 案の留意点にも書かれているのですが、賃金決定の仕組みが異なるからとか、派遣先が違うことによって、派遣元から見たときの派遣労働者の不均衡が生ずるといった課題は理由にならないと思います。

 例えば、仕組みの問題で言えば、通常労働者と短時間労働者の格差を、パートタイム労働法の中で、これも長い時間をかけて論議をしてきて、平成 12 年にパートタイム労働に関する雇用管理研究会、いわゆる「ものさし研」を厚労省が作られて、どうすればパートタイム労働者と通常労働者の格差が改善できるのかという基準を定められ、それがパートタイム労働法の 8 条、 9 条につながっていったという取組の経過があるわけです。

 そういった前例もあるのにもかかわらず、賃金決定の仕組みが異なるからという理由で、均等待遇の導入をばっさり切ってしまうというのは、本当に乱暴な論議をされたのではないかと思います。

 また、派遣先の違いによって同じ派遣元に雇用されている派遣労働者の不均衡が生ずるという見方も一部にあるようですが、そもそも現状の派遣労働者が置かれている処遇格差を見たときに、これまでの審議会でもデータとして出されているように、派遣労働者の賃金は通常労働者に比べて 7 割を下回っている状況なのです。また、私どもも雇用政策研究会の厚労省のデータでお示ししたように、年齢別で賃金のプロットをしても、派遣労働者の賃金はほとんど上がらない現状にある中で、いかに派遣労働者の処遇を上げていくのかという、大きな目的こそを優先すべきであり、派遣先の違いによって同じ派遣元で雇用されている労働者の不均衡が生ずるということは、その次に考えるべき話ではないかと考えております。そういった大きな視点の検討をされずにきたことは非常に残念で、私どもとしては A 案を是非取るべきだと思っております。

 その上で、 A 案、 B 案共に共通で書かれている所でよく分からないのが、「派遣先の責任はどうあるか」という記載です。これは 5 ページの留意点の所で、最初の○の下の所で、「派遣労働者と直接の契約関係にない派遣先の責任を問うことが可能か」と書いてありますが、誰も派遣先の責任を問えとまでは言っておらず、資料に記載されている趣旨が全然分からないのです。均等待遇については、そもそも賃金を払うのは派遣元で、派遣元の義務として論議をしてきたはずなのに、何で「派遣先の責任を問う」という 1 文が出てくるのか、この趣旨がよく分からなかったので、この説明を頂きたいと思います。もし派遣先で義務を課すとすれば、そもそも現行法上も派遣先には均衡待遇の確保に向けた情報提供の努力義務が課せられているわけです。派遣先が一体幾ら払っているのかという情報がないと、均衡も均等も実現しないわけで、そういった意味で情報提供などの義務や責任は、派遣先にあると思います。ただ、均等待遇において、いきなり派遣先の責任を問うなんて大上段に構えるところがよく分からないです。

 直接指揮命令するのは派遣先ですので、間接雇用を使うのであれば、派遣先も一定の責任を負うというのは当然のことで、何の責任も負わずに、こういうリスクは全部派遣元が持って、派遣先は何も知らないというのはあるわけではないので、情報提供義務も含めて、派遣先の義務は当然あると思いますが、 5 ページの所は説明を頂ければと思います。

○富田課長 この資料を作った趣旨は、今の我が国の労働者派遣者制度の仕組みとしては、派遣元が賃金等の基本的な労働条件を設定していることから、それを超えて、派遣先が労働条件について決定するとか、そういう仕組みを採るのであれば、それは現行の制度の枠組みの中で可能かという意味で書いております。ですから、 A 案の叩き台の所で、労働契約法の 20 条、あるいはパートタイム労働法 8 条を参考とする場合も書いておりますが、基本的に派遣元が講ずるべき措置として書いております。ただ、今新谷委員から御発言があったとおり、それで果たして派遣先が何もしなくていいのかという御議論もありますので、 ( 及び派遣先 ) と書くことで、派遣先がどこまで関与することが可能かとことも含め御議論いただきたいという趣旨で括弧書きで書いております。

○新谷委員  5 ページの所はどうですか。

○鎌田部会長 今のお答えのとおりではないですか。

○新谷委員  5 ページは、「派遣労働者と直接の契約関係にない派遣先の責任を問うことが可能か」と書いてあって、 4 ページの表現とは当然違うわけで、責任を問うという意味合いを説明いただきたいのです。

○富田課長 「責任を問うことが可能か」という趣旨については、労働契約法 20 条もパートタイム労働法 8 条も前提としては、労働条件の決定の所が中心的な中身と考えております。現行の枠組みでは、派遣元が直接の契約関係にある派遣元が、賃金や労働条件の決定については、責任を負います。そこで、派遣先には、現行の枠組みにおいては基本的には決定権限がないので、責任を問うことは可能かという留意事項の書き方をしているということです。

○鎌田部会長 趣旨は、均等待遇を達する上で、派遣先にも幾つかの協力と情報提供の責任が発生するという御趣旨ではないかと思うのですが。

○新谷委員 今でも派遣先には情報提供の努力義務がかかっているわけで、何でわざわざ留意点で、「派遣先の責任を問うことが可能か」と書くのかよく分からないのです。そこを申し上げておきます。

○鎌田部会長 今、御回答は一応ありましたので、それを含めて御議論を頂ければと思います。あと、使用者側のほうでまた御議論も頂ければと思います。

○高橋委員 均等・均衡関係では、最初に苦言を呈したいのですが、期間制限のときには、現行制度を維持する方策があるにもかかわらず、均等・均衡になると、現行制度を維持する場合がないというのは、非常にアンバランスだと思います。

 均等・均衡に関しては御承知のとおり、平成 24 年改正でかなりの手当がなされたところで、平成 24 年改正マターだと感じております。平成 24 年改正マターを、ここだけ取り上げるのは非常にアンバランスです。

 新谷委員の言葉を借りれば施行されたばかりですから、今の法律の枠組みの中で周知徹底を図っていく案が書かれてしかるべきではないかと思います。

 その上で、 A 案については研究会報告書で全て述べられているので、私から付言することはいたしません。 B 案に関して問題となるのは、 2 (1) 賃金の所ではないかと思います。この文章の書き方では、派遣元の求めがある、なしに関わらず、派遣先が情報提供をするように読めてしまいますが、それはおかしいのではないかと思います。賃金というのは、釈迦に説法ですが、瞬間的な、どの業務に従事しているかというだけで決まっているのではなく、その業務に付随する責任の程度や、期待される役割、長期的なキャリアも踏まえながら決定されているのが日本の賃金の事情だと思います。したがって、もし仮に今のような努力義務を徹底していくに当たっても、派遣元が、この方はどういう方で、だから、このような方がいらっしゃいませんかという求めがないにもかかわらず、派遣先がいきなり賃金水準と言っても、派遣先は何の賃金水準を提供すればよいのか全く分かりませんので、このような見直しは不要ではないかと思います。以上です。

○鎌田部会長 特に案の趣旨についてお聞きするということではないですね。

○高橋委員 ないです。時間もないので意見だけに留めておきます。

○小林委員 私も B 案の 2 (2) 教育訓練についてお伺いします。派遣先での派遣労働者に対する教育訓練の実施の義務化ということだと思いますが、努力義務なら分かりますが、義務化ということです。この義務化について、例えば、他国で、派遣先が派遣労働者の教育訓練を義務化している国があるのか伺います。

○鎌田部会長 事務局でもし御存じであれば。

○富田課長 今、そういう資料を手元にお持ちしておりませんので、調査した上で、可能な限りお答えしたいと思います。

○春木オブザーバー  オブザーバーですので控え目に発言をいたしますが、派遣先の責任の強化について書かれている部分もさることながら、派遣元の均衡処遇の取組の強化の中で、仮に B 案を取った場合、「派遣元は均衡処遇について配慮した内容について説明する」という書き方になっています。しかし、単に説明するといった取組程度では、均衡待遇さえも十分に進展しないと思うのです。

 そもそも均等待遇というのは、派遣元に対して、自らが雇用している派遣労働者に、派遣先で同種の仕事をしている労働者と等しい賃金を保障するよう義務付けるものであるはずです。それにもかかわらず、派遣元に関する均衡待遇の取組の強化策が、なぜ説明義務といったレベルのものに矮小化された責任の範疇になっているのか。私としてはここに書かれている事務局の案については全く理解できない。

 やはり、均等待遇、更には均等処遇の本質をしっかりと見極めた上で、派遣先の責任の強化もさることながら、派遣元に対して直接的に一定の待遇を保障するように義務付けを行うべきだということについては強く申し上げておきたいと思います。

○青木オブザーバー たくさんしゃべっているということですが、派遣労働者のことを考えて、よりよい派遣法にしようと思って発言していますので、その辺は御勘弁いただきたいと思います。

 今のお話の均衡待遇の所は、私も均衡待遇の説明というのは確かによく分からないなと思っていました。これは多分待遇に関する説明のほうが適切だと思います。待遇に関する説明であれば、既に雇用主として行っている内容だと思います。

 これに関連する所で、以前からお話しているとおり、派遣先の労働者との均衡だけを取ること自体に無理があると思っていて、私たちは数多くの派遣労働者を抱えていて、派遣先は違っても、同じような業務を行っている人は多く、派遣先ごとの労働者の賃金にはもちろん差がありますから、そのような状況の中で、派遣先が移動したら賃金を変えるのかという問題が発生します。つまり、行うべきことは、前もお話しましたが、派遣労働者の職務内容にふさわしい待遇が確保されるために、必要な措置を取ることであって、派遣元は雇用主として、派遣労働者間の均衡待遇は当然図っていかなければならないことだと考えております。以上です。

○新谷委員  いちいち反論したくないのですが、派遣労働者のために、処遇が大事だとおっしゃるのですが、厚労省は毎年派遣会社から事業報告書の提出を求め、統計データ化しています。研究会のとき資料には、平成 16 年からずっとプロットしたデータが提出されているのですが、そのデータを見ると、正しく、景気や外部労働市場の影響により派遣料金は年ごとに変動しており、派遣料金はどんどん下がってきたのです。平成 19 年にはピークから 2 割下がっています。そのときにマージンは特定労働者派遣の場合は概ね 37 %前後で変わらずに推移しており、派遣料金が下がったにもかかわらず、マージンは一定の率で取り続けているのです。その間の派遣労働者の賃金はどうだったかというと 2 割も下がったのです。本当に派遣労働者の処遇のためにとおっしゃるのであれば、経営努力をされて、例えばマージンを引き下げて、派遣労働者に賃金を回すというのが本当の姿ではないかと思うのです。契約料金が下がったけれども、マージンは一定のままにして賃金を下げるというのであれば、何の経営努力もないし、派遣労働者のためにというのと違うのではないかと思います。

 もう 1 つ、論点を挙げていたキャリアアップ措置の件についても発言したいと思います。キャリアアップ措置について、ここは両論併記という形ではなく、論点の提起ということで書いていただいています。ただ、私どものかねてから主張している意見は資料上は留意事項になってしまっているのですが、派遣労働者のキャリアアップを考えたときに、派遣労働者が自分で勉強してよかったね、それでおしまいということではないということなのです。要するに、派遣労働者がキャリアアップに取り組むとともに、その結果が処遇という形で結び付かないといけないということです。派遣会社としても、処遇という形に結びつけなければ、キャリアアップをやっているということにはならないのではないかと思うのです。処遇に結びつくということは、もちろん派遣労働者にとってもインセンティブ、動機付けにも当然なりますので、ここはキャリアアップと職務評価制度の整備はセットで考えていかないといけないのではないかと思います。

 先ほど小林委員から教育のシステムは他国でどうなっているかというご意見があり、後で事務局からご報告があるということですが、例えば、フランスでは社会保険料にプレミアが付いていて、派遣労働者を雇う派遣会社に対しては、社会保険料をプラスで取っているのです。政労使で運営する派遣労働者を教育するための機関を作ってあって、プラスで取っている保険料財源で、派遣労働者が申し込めば、外部で教育が受けられるというシステムを作っているのです。また、派遣会社内部での派遣労働者に対する教育の義務付けもやられています。つまり、派遣というのは、キャリアアップが難しいという前提で、そうした仕組みが作られているわけです。今回のキャリアアップ措置というのは本当に大事なポイントだと思いますので、論点で出されている内容よりも強化する方向で論議をしていただきたいと思います。以上です。

○小林委員 今の教育訓練の話と、人材養成という意味での仕組みというのは、私は否定するわけではないし、どこがやるか、どういう方法でやるかというのは十分議論しなければならないと思うのです。

 今のお話のように、それは違った労使がお金を出し合って、フランスでは何かやる仕組みを作っていたりしているわけですね。

○新谷委員 労使ではなくて、使用者だけの保険料です。

○小林委員 その使用者の皆さんが集めた、今までの雇用保険二事業と同じようなものですね。雇用保険二事業と同じような仕組みになるのかもしれないし、派遣先が義務化でやるのか、それは十分議論しなければならないと思います。ほかの処方もあるのだと思います。十分に検討する必要があると思うので、海外の状況も見ながら、是非とも考えていくべきだと思います。

 キャリアアップ措置について意見がありましたので、これについて申し上げます。そもそもキャリアアップ措置という言葉は分かるのですが、何となくイメージは分かるのですが、どういうことをやるのかというのが、具体的な概念というわけではないですが、それを是非ともお示しいただきたい。

 具体的なイメージの○の 2 つ目にありますが、派遣元事業主によるキャリアアップ措置を担保する仕組みとして、許可要件にキャリアアップ措置を行う体制及び計画の整備に係る事項を盛り込むと。許可要件に入れるのはいいと思います。いろいろ許可要件で、資産の概念とか、教育も 1 つ入れるのはいいと思いますが、具体例がありますが、これもまた腑に落ちないというか、分かりにくい。実際、許可要件に加えるのであれば、判断基準というのは当然出てくるわけです。そのときにキャリアアップの責任者を設置しているか、していないか、そのキャリアアップ責任者の教育の仕組みがあった上で、どういうキャリアアップの責任者を置くのかというのも 1 つあるでしょう。

2 つ目は、相談員、窓口設置です。窓口を設置しているかどうか。 3 番目が分からない。教育訓練の企画・整備をするというのが、いかにも曖昧です。これは審査のときにどういうのが許可要件にある、どういう資料が出てきて、どういう資料に基づいて判断するのか。教育訓練のための計画書が上がってきた。それをずっと読んでいるのだったら、あと何分かかるのか分かりませんが、何分後の審査で終わるわけがないですよね。これはどんなことを考えているのか。こう思うと、特定の関係を許可にしましょうというのも 1 つ提案がありました。特定が許可になってくると、許可案件の数は多分増えると思います。そういうことを考えると、許可要件、許可の在り方、キャリアアップ措置も含めて議論しなければならないかと思いますので、御検討をいただきたいと思います。

○富田課長 キャリアアップの中身は 1 つのイメージですから、御意見を頂きたいと思います。 1 つ御質問で、キャリアアップの定義は何かというのがありましたので、研究会報告で使ったベースのものを申し上げます。

 これは平成 24 12 21 日に、阿部先生にまとめていただいた「非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する研究会報告」の中でキャリアアップというのが、中心的な論点として書かれております。そのキャリアアップの定義の部分について読み上げます。「関連した職務経験の連鎖や職業訓練等の能力開発機会を通じ、職業能力の向上が図られること、また、その先の職業上の地位や賃金等の処遇の向上が図られること」という意味で使っております。

○新谷委員  今、小林委員がキャリアアップに関連して、許可要件全体の枠組みをどうするのかという検討も必要ではないかと御提起いただいて、私どもも同じことを考えております。現在は、 1 回許可されると、最初 3 年間許可されて、事業ができるということですが、その間、本当に計画どおりやられているかどうかというのはよく分からないのです。ですから、私どもとしては、許可の在り方については、初回の許可は有効期限を 1 年間に短縮して、その間、きちんと計画書どおりの運営ができているかどうかということを確認する仕組みが必要であると考えています。オブザーバーのお二人が盛んに「派遣労働者のために」とおっしゃっているわけですから、キャリアアップもきちんとやっていただく必要があり、つまりは初回の許可後1年間の実績を見て、その後の許可を与えるかどうか。そのチェック体制の強化を盛り込むべきだと思っております。今のように計画書で 3 年間、 1 発で許可を与えるわけではなく、そういったチェックのタイミングについても当然考えていくべきだと思います。以上です。

○鎌田部会長 許可というか、特定と一般に関する許可の統計の問題については、その他の論点ということで、後日、また議論を頂くということでよろしいですか。

○富田課長 議論を閉じるわけではありませんので、もちろん議論はオープンと思っております。

○高橋委員 キャリアアップ措置について 3 点指摘したいと思います。先ほど小林委員からもあった許可要件の具体例で、 3 番目に、「派遣労働者のキャリアアップを念頭に置いた」という表現があります。やはり、許可要件というのは、具体的で客観的であるべきです。キャリアアップを念頭に置いたとか、置いていないという、担当官の判断で変わるものを要件に持ち込むことは反対です。

4 番目の○、「派遣先は、派遣元事業者からの要請に応じ、派遣労働者の職務遂行能力の向上度合い等に関する情報を提供することとする」の「等」が何を意味しているのか分からないので教えていただきたい。

3 点目は、その下の○の「また」以下です。「派遣先の事業所で正規雇用労働者の募集が行われる場合には、当該事業所で就業中の派遣労働者にも応募機会を提供することとする」と書いてあります。分かりやすい例として、新卒採用の場合、通常、卒後 3 年以内の方を対象に募集をかけます。そういうようなものであっても、この文章だけを素直に読むと、「新卒採用の場合であっても、全ての派遣労働者に応募機会を提供する」となってしまうのではないかと思っております。やはり、対象者が募集要件を満たすか、満たさないかということも踏まえていく必要があるのではないかと思います。以上です。

○富田課長 この資料を作った背景として、研究会での御議論がありました。研究会報告の中では、「派遣労働者の職務能力の向上度合いや新たな技術の習得などに関する情報を提供することが望まれる」ということで、「など」の 1 つの例としては、「新たな技術の習得」が例示として挙げられています。それについても、もちろん御議論いただきたいと思います。

○高橋委員 新たな技術に関する情報ということの意味が全く分かりませんが。

○富田課長 研究会の、ある委員の先生から御発言がありまして、それが研究会報告に反映されております。これは推測ですが、研究会の先生方もおられますので違ったら訂正を頂きたいと思いますが、派遣先で、例えば製造現場であれば、製造の技術の 1 つを覚えたとか、そういうことの伝達のことではないかと推測はしております。

○高橋委員 余り不明確なものを入れるべきではないという意見だけ申し上げておきます。以上です。

○新谷委員  大分、時間が迫っておりますので、次回に向けての要望を申し上げたいと思います。冒頭で申し上げたように、今回、大きな 3 点について、取りまとめに向けての原案をお示しいただきましたが、私どもとしては重要な論点として、派遣先責任の在り方というのも考えております。特に、集団的な労使関係の中で、派遣に関わる紛争をどう解決するかといったときに、派遣先の団交応諾義務を派遣法の中に規定するべきではないかと思います。労働者派遣法というのは、もともと禁止されている労働者供給を、職業安定法の 44 条で例外的に規定したものです。雇用と使用が分離した形態ですので、非常に特殊な労働関係、複雑な労働関係になっているわけです。

 ですから、派遣という働き方は、労働者派遣法という個別の法律の中で規定されているわけで、個別法の中にも集団的労使関係の枠組みについての規定を設けるべきです。特に、派遣先の職場での問題、派遣先でのセクハラやパワハラ、不当な配置や業務配分、労働時間の配分等々の派遣先の支配領域に起こる問題については、派遣元と交渉しても全然埒が明かないわけで、紛争は労働の現場である派遣先で起こっているのです。労働の現場の責任者である派遣先も、団交を応諾する使用者性を認めるべきであると当然考えておりますので、この点についての規定も是非盛り込むべきです。これも論点として示していただきたいと思います。

 また、派遣先が労働者派遣法をきちんと理解して、派遣労働者に接していただかないと、いろいろな紛争が生じると思います。この派遣先責任者の講習についても強化する方向で、是非、盛り込んでいただきたいと思います。以上です。

○鎌田部会長 次回の進行について、使用者側から何か御意見はありますか。

○高橋委員 やはり、期間制限の在り方が一番重要なので、今日の議論も踏まえて、どうするのかということも是非お考えを頂きたい。新谷委員が言及された団交応諾義務は、複数ある論点のひとつに過ぎないと思います。まずは期間制限の在り方の所を、次回、詰めの議論を行うことが適当ではないかと思います。

○新谷委員  部会で検討が始まったときに、厚生労働省の意図として、年内に建議をまとめたいということをおっしゃっていたと思いますが、もう 11 月下旬です。あと残り 1 か月しかなくて、高橋委員がおっしゃったように、確かに一番重要なのは期間制限の所ですが、その他の論点も当然論議すべきです。そうした意味で、私どもは、このままでは年内に建議をまとめるということは間に合わないと思っております。年内にもし建議をまとめるつもりがあるのであれば、これだけ意見の隔たりがあるわけですので、早めに論点を示さないといつまでも平行線のまま行くと思います。私どもは建議をまとめるということに対して、努力は惜しみませんが、このままではなかなかまとまらないという印象の中で、早めに論点を示してほしいということです。以上です。

○鎌田部会長 進行については、私と事務局で相談いたしまして、またお示しをしたいと思います。それでは、労働者派遣制度の在り方に関わる議論は、本日はここまでとしたいと思います。実はこの後、許可諮問案件も控えておりますが、この議題については以上ということです。議事録の署名は新谷委員、小林委員にお願いいたします。そういうことでよろしいですか。事務局から連絡事項をお願いします。

○亀井補佐 まず、退席される方々への御連絡です。今回も、傍聴者の方々は、事務局の誘導に従っていただいて、専門委員、オブザーバーが退席された後に御退席をお願いします。

 次回の日程は、 12 4 ( )10 時から、本日と同じこちらの会議室で行いますので、御承知おきください。また、岡崎局長、宮川部長及び鈴木課長においては、ここで退席させていただきます。以上です。

                            ( 専門委員・オブザーバー・傍聴者退席、事務方入替え )

 


(了)

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