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2013年11月14日 第198回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成25年11月14日(木)10:00〜


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(6階)


○出席者

(公益代表)鎌田委員、柴田委員、橋本委員、竹内(奥野)専門委員
(労働者代表)石黒委員、清水委員、新谷委員、春木オブザーバー、宮本オブザーバー
(使用者代表)秋山委員、小林委員、高橋委員、青木オブザーバー、大原オブザーバー

事務局

岡崎職業安定局長、宮川派遣・有期労働対策部長、鈴木企画課長、富田需給調整事業課長
松原派遣・請負労働企画官、鈴木主任中央需給調整事業指導官、亀井需給調整事業課長補佐、木本企画調整専門官

○議題

今後の労働者派遣制度の在り方について

○議事

○鎌田部会長 ただ今より第 198 回労働力需給制度部会を開催いたします。

 本日は公益代表の阿部専門委員が所用のため御欠席されると伺っております。

 それでは本日の議題、「今後の労働者派遣制度の在り方について」の議事に移りたいと思います。本日の進め方としては、これまで当部会で行ってきた議論の整理について事務局から資料を説明してもらった後、更に深めるべき点はないか等について御議論いただきたいと思います。

 では、はじめに事務局から資料の説明をお願いします。

○亀井補佐 それでは、本日お配りしている資料について御説明させていただきます。まず、議事次第を御覧ください。本日、事務局から 2 種類の資料を御用意しています。御確認いただき、過不足等ございましたらお伝えいただきますようお願いいたします。

 資料 1 を御覧ください。まず、資料 1 として、労働力需給制度部会におけるこれまでの議論の整理です。こちらの資料は、当部会におけるこれまでの議論について、それぞれ論点項目ごとに労使双方の御意見を事務局にてまとめたものです。

 まず 1 番として、登録型派遣の在り方です。左側に労働者代表委員等の御意見をまとめています。まず 1 つ目のポツ、登録型派遣の原則禁止は平成 22 年法案にも盛り込まれており、その理由として雇用の不安定性や処遇の格差、教育訓練の機会といった課題があり、そうした課題は現在も変わっていないというものです。したがって 2 つ目のポツ、現在の 26 業務を絞り込んだ上で専門業務とし、これ以外については、登録型派遣を禁止した上で無期雇用派遣のみを認めるべきという御意見です。その他の御意見として、同一の労働者について派遣契約期間より雇用契約期間が短く細切れになっているケースなどが見られることから、こうした労働契約法第 17 条や派遣元指針に照らして不適当な事案について基本事項の遵守がなされるべきとの御意見です。

 一方、使用者代表の御意見としては、 1 つ目のポツで、登録型派遣は、労働市場への橋渡し機能や派遣元がエージェントとしての役割を果たすことから大きな意義がある。したがって、こうした働き方について多様な働き方の尊重、雇用機会の創出の観点から、この仕組みを維持・堅持すべきというものです。維持・堅持した上で、登録型派遣という働き方について就労機会を得る手段として位置付け、その後は正社員・直接雇用への転換や派遣継続などの本人の意思に沿った支援をしていく制度として構築すべきだという御意見です。

2 として、製造業務派遣の在り方に係る御意見です。労働者代表の御意見は大きく 2 つの課題を挙げられ、これを無期雇用のものに限定すべきという御意見です。具体的には 1 つ目のポツで、製造業では景気に応じて労働力の需要の変動が大きいので、雇用の不安定性という課題に抜本的に対処するのは難しい。 2 つ目のポツで、課題としては、労災が非常に多いというものです。

 一方、使用者代表の御意見ですが、 1 つ目のポツにありますように、こうした需要の変動に的確に対応できるのが正に派遣という仕組みであるので必要不可欠というものです。 2 つ目のポツの労災につきましては、期間制限があるために新人が多いことなどが原因と考えられ、派遣という働き方だからというものではないという御意見です。

3 番として、特定労働者派遣事業の在り方についてです。こちらは労使とも、全て許可制にすべきとの御意見です。まず労働者代表の御意見ですが、特定派遣元事業者が余りにも問題が多いことを理由として、全ての派遣元を許可制にすべきというものです。

 使用者代表の御意見ですが、現行の届出制は、一度届出をしたら廃止届を出すまで有効であることとか、そもそも労働者を派遣するという業務の特性からも、全て許可制とすべきというものです。一方で、一番下のポツですが、使用者代表委員の御意見の中には、許可制とする場合は中小企業は資産要件を緩和するなど、慎重に検討すべきであるという御意見もあります。

 真ん中の部分は許可基準をめぐる御意見です。労働者代表はこれを厳格にすべきとのお立場で、資料に挙げておられるような許可基準の充実を図るべきという御意見ですが、一方、使用者側委員の御意見では、特定は中小零細企業が多いことを踏まえ、十分な移行期間や資産要件についての配慮が必要という御意見や資産要件以外の別の尺度も必要ではないかといった御意見などもあります。

 続きまして、 4 番として期間制限の在り方についてです。まず、( 1 )常用代替防止の考え方です。労働者代表の御意見ですが、 1 つ目のポツの最後の部分、常用代替防止という考え方を堅持すべきというものです。一方、使用者代表の御意見では、代表的なものとして、 5 つ目のポツの中ほどに、廃止も含めて抜本的な見直しの議論をしていくべきという御意見があります。

 労働者代表の御意見に戻っていただき、まず派遣労働という働き方は職業安定法第 44 条の例外として認められているもので、あくまで臨時的・一時的な需給調整の仕組みと位置付けるべきというものです。 2 つ目のポツ、この常用代替防止という考え方が派遣労働者保護と相容れないという意見がありますけれども、均等待遇原則を導入することによって両立することができるというものです。 3 つ目のポツ、そもそも雇用というのは直接・無期が原則たるべきであって、非正規雇用が増えているから派遣のみ常用代替防止は必要なのかという考え方は的外れであり、常用代替防止というのは、あるべき雇用の姿は何かという観点から検討されるべきであるという御意見です。

 一方、使用者代表の御意見としては、そもそも臨時的・一時的たるべきという意見に対しては、これは制度創設時からのものではなく、平成 11 年の際にそのように位置付けられたものであるという御意見です。 2 つ目のポツで、常用代替防止という考え方が派遣労働者の就業機会やキャリア形成の機会を阻害しているので、分かりやすい制度として新たに位置付けるべきという御意見です。 3 つ目のポツ以降ですが、間接雇用や直接雇用などにつきましては、どちらが原則で、法的に上かというものではなく、雇用の安定が図られているかどうか、適正な労働条件が確保されているかどうかという視点で望ましい働き方を判断すべきである。これに続くものとして、派遣労働者が正社員を代替しているということは極めて小さいものであって、代替は非正規の中で起こっており、派遣のみ常用代替防止の対象とすることに意義が少ない。 5 つ目のポツですが、改正労働契約法が全ての労働者に適用される中で、派遣制度のみ常用代替防止を維持し続けることには疑問という御意見です。常用代替防止を見直すとすれば、例えば、派遣は優良な事業者によることとするといった考え方もあるのではないかという御意見です。

 下半分の部分ですけれども、労働者代表の御意見は、あるべき雇用の姿とは何かという観点から派遣という働き方の課題を挙げるもので、そもそも派遣労働者は正社員と比較して処遇が非常に低い。年齢が上がっても賃金が変化しないという課題があるほか、次のポツは、主に研究会報告で提案している意見に対する反論ですが、無期雇用のほうが雇用の安定の面でも処遇の面でも有期雇用よりも優れているとは言えない。ですので、無期であれば常用代替防止から外すという考え方は問題である。又、多様な働き方のニーズがあるからという御意見に対しては、これは直接雇用の正社員の中で多用な働き方を可能としていくべきという御意見です。

 一方、これに対して使用者側の御意見ですが、働き方に対する価値感の変化や女性の職場復帰の必要性といった多様なニーズや処遇面でも、パートやアルバイトと比べれば高いといった実状を踏まえて常用代替防止の考え方を見直すべきというものです。

 最後に、国際比較の観点ですが、労働者代表の御意見は常用代替防止は日本だけのものではなく、 EU 派遣労働指令でも「臨時的・一時的なもの」と定義されています。

 一方、使用者側代表の御意見は、常用代替防止というのは日本だけで、世界的にも特異であるという御意見です。

 続きまして、( 2 26 業務に基づく期間制限についてです。まず、労働者代表の御意見ですが、これは真に専門的な業務か否かという観点から絞り込んだ上で、業務単位での期間制限を維持すべきという御意見です。

 一方、使用者代表の御意見は、大きくは、この 26 業務に基づく仕組みを維持することは難しいという御意見と、そのほかの御意見に分かれます。維持することは困難という御意見は下半分、 4 つ目のポツからです。まず、 26 業務をほかと区分している専門性という基準、これについては変化し続けるものなので基準として維持していくことは難しいという御意見とか、それに続くポツで、専門的な業務以外にも特別な雇用管理が必要という点が含まれることをどう考えるかという御意見があります。また、それに続くものとして、業務に基づく期間制限の課題として、派遣労働者に任せることができる業務を厳しく限定することで、ここに挙げているようなキャリア形成や円滑な人間関係、また、その下のポツにあるように、仕事の広がりや向上を阻害しているので、この期間制限の単位は派遣業務から個人単位に見直すことが理にかなっているのではないかという御意見です。最後のポツですが、仮に 26 業務を廃止するとすれば、具体的な常用代替防止策とセットで考えるべきであるという御意見です。

 それ以外の御意見として、上の 3 つのポツですが、 26 業務を廃止すべきという御意見に対しては真に高度な専門性が必要な業務もあるので、廃止は慎重に議論すべきという御意見です。また現在の仕組みでも新たな業務の追加は機動的に対応できるといった御意見、 3 つ目のポツは、そもそも論的な御意見ですが、 26 業務に従事する労働者の減少については、「専門 26 業務適正化プラン」が影響していると言わざるを得ないので、こうした議論をする際には行政の指導の実態や在り方についての検証も必要であるという御意見です。

 続きまして、( 3 )常用代替防止策についてです。労働者代表の御意見は、 1 つ目のポツで業務単位の期間制限を維持した上で、 26 業務の中身の見直しをすべきというものです。

2 つ目以降は研究会報告書が提案している労使のチェックに対する御意見です。研究会の提案している方式のほかにも、集団的労使関係法制の枠組みには様々なものがありますので、そうした仕組みが機能しているかどうかを検証することが重要である。仮に、こうした仕組みを置いて新たな仕組みを当部会で検討するとなれば、そうしたことが適切なのか。この期間で、はたして新たな枠組みを設けることができるのかという御意見です。

 一方、使用者代表の御意見ですが、 1 つ目のポツ、先ほども申し上げましたが、業務単位の期間制限という手法はキャリア形成や人材育成の観点から課題が多いということで、個人単位の期間制限に改めるべきではないかという御意見です。

2 つ目のポツ以降は労使のチェックに対する御意見です。これは期間制限と労使のチェックはパッケージで見るべきという前提付きで、均等・均衡待遇には課題が多いので期間制限や労使のチェックという方法が望ましいのではないか。

 また、 3 つ目のポツですが、そもそも派遣の利用は、派遣先が判断するものなので、今ある期間の延長の際の過半数組合からの意見聴取が問題なく行えている以上、これ以上の労使のチェックという仕組みをかける必要はないのではないかという御意見です。

4 ページ、論点 5 、派遣先の責任についてです。まず労働者代表の御意見ですが、派遣先に団体交渉の応諾義務を認めるべきか否かという論点については認めるべきとのお立場です。理由として、労組法において見直すというのは時間がかかるとか、紛争の解決にかかる時間を短縮することができるといった理由から、こうした主張をされております。 3 つ目のポツは、労基法等の使用者責任の分担については、時間外労働や安全衛生、労災補償等の面でも派遣先と派遣元が連帯して責任を負うべきという御意見です。

 一方、使用者代表の御意見ですが、まず労組法上の使用者性の問題については、これは労組法の枠組みの中で考えていくことが適当というものです。又、使用者責任の分担については現行制度を変える必要はない、現在の仕組みにおいても、きめ細かに分担が示されているので法改正まで行う必要はないのではという御意見です。

6 番の派遣労働者の処遇についてです。まず( 1 )均等・均衡待遇ですが、労働者代表の御意見は、結論として派遣先と派遣元との均等待遇を進めるべきというものです。

 一方、使用者代表の御意見としては、派遣先と派遣元との均等待遇を図ることは難しいというものです。

 労働者代表の御意見、具体的には 1 つ目のポツを御覧ください。均衡待遇は平成 24 年改正で措置されたところですが、実態は均衡からはほど遠い。こういう状況を処遇の改善を強力に進めるため、やはり均等待遇が必要である。また、 EU とは状況が違うので難しいという意見については、パート法の際には、ものさし研を通じてしっかり議論をしており、中国や韓国でも均等待遇が義務付けられている国際比較の観点からも、世界の潮流は均等待遇であるという視点を持つべきであるという御意見です。派遣先との均等を義務付けるべきという主張の理由として、派遣労働者の賃金は派遣料金の変動に連動しているから、やはり派遣先との均等待遇が必要であるということです。 3 つ目のポツは、賃金以外、職務に関連しない給付については不合理な格差を禁止すべきというものです。

 使用者側の御意見ですが、そもそも日本と EU とは労働市場の構造が異なり、比較対象をどうするかといった課題、また仮に、均等待遇を導入するとすれば正社員の賃金制度の見直しも必要になるといった課題を挙げて均等待遇は難しいと。当面は派遣元の派遣労働者間の均衡待遇を進めることが重要ではないかという御意見です。その他、派遣料金と賃金との関係とか、福利厚生に係る御意見もいただいております。

 ( 2 )の労働・社会保険ですが、労働者代表の御意見は、派遣先と派遣元に保険料の納付等についての連帯責任を負わせるべきであるという御意見です。

 一方、使用者代表の御意見としては、保険料は派遣元が全労働者分をまとめて納付するものなので、こうした連帯責任を負うことは難しく、現在の仕組みの一層の促進を図るべきである。仮に派遣元は全て許可制とすることになれば、こうした保険の適用の問題はかなり担保されるのではないかという御意見です。

7 番としてキャリアアップ措置についてです。労働者代表の御意見ですが、一つ目のポツに詳しく書かれているように、教育訓練計画、あと管理者の選任、成果を評価・確認する職務評価制度の整備などの様々な仕組みを整備して、義務付けることが必要というものです。また、行政に対する関与も求められております。

 一方、使用者代表の御意見ですが、 1 つ目のポツ、キャリアアップというより、キャリア形成と言うべきである。前提として、これは本人の意欲や能力が基本であって、派遣元はキャリア形成の支援を行うと位置付けるべきである。具体的には 2 つ目のポツ以降、 OJT を重視される観点から、キャリアアップには多くの派遣先の仕事を確保することが必要であり、その中でのローテーションによってキャリアアップを図っていくべきであり、期間制限を個人単位とする場合は、受入れ可能な範囲をなるべく小さくして、派遣先も様々な部署をローテーションしやすいような形で制度設計すべきという御意見などです。次のポツは、キャリアアップ自体が多様な概念であるので、一律の仕組みというよりは様々な措置を認めるべきであるという御意見です。

 また、労働者側に戻っていただき、登録型派遣というのは、ビジネスモデルの在り方からして、キャリアアップを派遣元が図るというインセンティブが働かないのではないかという御意見があります。あと、育児休業取得についても、継続して働くことができるようにするものなので、キャリアアップの措置の観点からも重要であるという御意見です。

 使用者側代表の御意見は、まず登録型については、コストというより、知恵と工夫によって対応すべきという御意見です。また、紹介予定派遣は、現在の本人の能力適性が分からない段階での労働条件を示すといったルールは、派遣先のハードルとなっているので見直すべきという御意見です。

8 番の平成 24 年改正法に係る部分ですが、まず総論として、労働者側の御意見は、平成 24 年改正法の見直しはするべきではない。まだ、施行から 1 年がたったばかりであるという御意見です。

 一方、使用者側委員の御意見としては、現在、不合理な実状が生じているので見直すべきであるという御意見です。

 各論ですが、( 1 )日雇派遣の原則禁止については、労働者代表の御意見としては、日雇派遣という働き方は短期雇用と直接雇用という課題の多い働き方が結びついて、使用者責任、雇用主責任が曖昧になるといった問題が大きいことから、そういう働き方の見直しを行うことは労働者保護に反するというものです。その下のポツは年収制限にかかる御意見です。これは労働力が安く買い叩かれる日雇派遣という働き方から脱却させるために設けたものである。こうした貧困や不安定雇用のループから脱け出すためにも、日雇派遣は広く認める方法ではないはずという御意見です。 3 つ目のポツ、労働市場政策全体という観点から、こうした働き方をどう位置付けるべきかということを議論すべきかという御意見です。フランスの場合は派遣利用事由制限と均等待遇原則がパッケージになっているので、日本のような処遇の問題は生じない。ですので、日雇派遣を議論するのであれば、こうした処遇の改善をどう図るかという問題とセットで議論すべきというものです。最後のポツですが、派遣を臨時的・一時的と位置付けているのは、無期の直接雇用に誘導するためであるという御意見です。

 これに対して使用者側委員の御意見ですが、 1 つ目のポツで、そもそも派遣労働は臨時的・一時的なものと位置付けられている中で、その典型である日雇派遣を制限するのは整合的ではない。それに続き、様々な日雇派遣を必要とする方のニーズや具体例を挙げていただき、現在の規制の在り方を見直すべきであるという御意見です。次のポツ、年収制限に係る御意見ですが、日雇派遣を認めることで貧困のループに陥るということではなく、長期的にステップアップしていくために日雇派遣を活用するという観点から、問題が起こらないような規制の在り方を考えるべきという御意見をいただきました。

 また、労働市場政策上、間接雇用や直接雇用という働き方をどう位置付けるべきかという御意見に対しては、日々紹介、これは直接雇用ですけれども、その日々紹介にも社会保険に加入できないなどの問題が多くある。また、それに続くポツには、必ずしも十分に機能していないといった御意見が続いています。この年収要件の存在が短期派遣を望む方を妨げているので、現実的に考えて高過ぎるから見直すべきであるという御意見です。最後、冒頭にも出ましたけれども、派遣が臨時的・一時的な働き方ということであれば、その典型である日雇派遣を禁止するのはおかしい。処遇の問題についてもパートやアルバイトよりも高いという御意見です。

 ( 2 )離職後 1 年以内の派遣の禁止です。労働者代表委員の御意見は、この規制の必要性を訴えておられるものです。 1 つ目のポツで、この規制がリストラを自己都合退職という形にして、自社の正社員を派遣会社に移籍させることを禁止するために導入されたものであることに触れた上で、こうした規制を緩めると、自己都合退職という装いを取って、こうした規制の抜け道を図る所も出てきかねないことから安易に例外を設けるべきではない。 2 つ目のポツ、この規制が導入される前は実際にそうしたことをやった例があった。最後のポツですが、地方では働く場所が限られているのでという御意見に対して、まともな会社ばかりではなくて、実際にこういうことをやったものがあるので、この規制の見直しについては慎重たるべきという御意見です。

 一方、使用者側委員の御意見としては、離職の理由には自己都合とか様々な理由がありますので、一律に規制するのはいかがなものかということです。

 続いて( 3 )労働契約申込みみなし制度です。労働者代表の御意見としては、まだ施行されていない制度なので、改正するにも立法事実がない。まだ施行もされていないものを議論するということは、国権の最高機関たる国会の決定を尊重しないことになるのではないかという御意見です。それに続くものとしては、違法派遣について、この制度は適用されるものであるので、採用の自由や契約の合意原則に反するとの主張もありますけれども、フランスやドイツにおいても、違法派遣がなされた場合には、雇用みなしが適用される規定が存在している。偽装請負について予見可能性が低いという課題があることについては、施行までに予見可能性を高めるための努力をすべきであるという御意見です。

 一方、使用者側委員の御意見としては、まず施行されていないから見直すべきではないという御意見に対して、改正法の成立前の国会の議論で施行期間までに議論するということを前提にした議論もなされているというものです。また、この制度が採用の自由や契約の合意原則を侵害しているという根本的な問題をはらんでいるということです。 2 つ目のポツですが、仮に残すとしても、要件の 1 つである偽装請負については、予見可能性が非常に低いので、そもそも遵法できるのかという観点から非常に問題が大きいという御意見です。最後に、施行まであと 2 年間しかないので、予見可能性を高めるための方策を検討するにしても時間が足りないという御意見です。

 次のページの「みなし制度」ですが、労働者代表委員の御意見としては、むしろ、みなし制度の要件に特定目的行為を加えるべきという御意見が出ております。

 使用者代表としては、これに対しては現在、特定目的行為が裁量的に判断されているので、加えることについては反対という御意見です。

 ( 4 )マージン率等の公表についてです。労働者代表の御意見として、業界団体からマージン率を開示したくないという意見があがっていることについて、派遣会社には高いマージンを取っている所も実際にあって、このマージン率を公開することが派遣労働者が派遣会社を選ぶ際の判断材料となり得る。社会・労働保険の加入状況や年休の取得状況などを開示すべきという御意見については、それは任意で公表すれば足りることである。この規制の撤廃とは関係のない問題であるという御意見です。また、 2 つ目のポツですが、許可諮問の際に実際、このマージン率を参考にしている。特殊な業務への派遣でなくてもマージン率が高い会社があるので、マージン率というのは実際に判断要素になり得る。仮にマージン率が高いとしても、その中身を説明すれば足りるものであるというものです。

 一方、使用者側委員の御意見としては、 1 つ目のポツで、労働者の選択という意味では意味のない規制なので撤廃すべきであるということです。実際、労働者がこのマージン率を基準にして選んでいるのかどうかといった御意見が具体的に述べられております。 2 つ目のポツは、労働者が派遣会社を選ぶ際の参考情報という位置付けであれば、マージン率というよりも社会保険、福利厚生、有給休暇などの状況について開示するほうが有益なのではないかという御意見です。 3 つ目のポツでは、マージンを高くして暴利をむさぼるようなことをすれば競争原理が働くために淘汰されるので、そうしたことにはならないはずという御意見です。

 ( 5 )均衡待遇の配慮です。こちらは上の論点でも御紹介しておりますので省略させていただきます。労働者側委員の御意見として、平成 24 年改正によってどのくらい進んだかを同じように議論すべきであるといった御意見とか、福利厚生についても議論すべきといった御意見が挙がっております。

 ( 6 )グループ企業派遣の 8 割規制です。労働者代表の御意見として、メリットが大きい事例も出ていることを考えると、規制を変える必要はないという御意見です。

 一方、使用者側代表の御意見としては、様々な課題、例えばどういった会計基準を選ぶかでグループの範囲が変わることとか、 8 割という数字についても根拠が明確でないことから、非常に問題であるという御意見がございます。そのまま 2 つ目に続きます。グループ企業派遣には、外部から労働者を雇い入れて派遣する形も多く見られる点で、有効な需給調整機能をはたしており、一律 8 割という形で規制するのが適当かどうかという御意見です。

9 番の特定目的行為です。労働者代表委員の御意見としては、研究会報告で提言している無期で事前面接を認めてはいいのではないかという意見に対しては、無期であっても解雇につながる例があることから、これまでどおり禁止すべきであるということです。 2 つ目のポツ、派遣の本来果たすべき需給調整機能に照らして、派遣先が特定目的行為を行うのであれば、そうした機能を放棄することになるので、規制を緩めることには反対というものです。

 一方、使用者代表委員の御意見としては、現行、法律上は努力義務でありますけれども、指針では禁止とされていて整合性が取れていない。実際、どこまでが認められてどこからが禁止されるのかを明確にすべきである。具体例として、例えばスキルシートを派遣先に送付するようなことは特定目的行為ではないと認識していて、該当しないということをはっきりとさせてほしい。そうした扱いを業務取扱要領などにもはっきり書いてほしいという御意見です。最後のポツ、研究会報告の提案については賛成という御意見です。

10 番のその他として、労働者代表委員は要望として、これまで挙げられたような論点以外にも、こちらに挙げているような事項についても今後の論点に入れられるものがあれば入れるべきという御要望です。

 これに対して、使用者代表の御意見としては、こうした要望がどのような考え方に基づくものなのか分からないので、直ちにはコメントしづらいというものです。別の観点から、直接雇用のアルバイトをしながら、派遣会社の教育制度を利用している方もおられるという実態を踏まえ、こうした労働者をサポートする仕組みを設けてはどうかという御意見があります。以上が資料 1 の御説明です。

 続きまして資料 2 です。こちらは前回、新谷委員からお求めがあり、提出させていただいた資料です。平成 20 7 8 日当時の与党新雇用対策に関するプロジェクトチームが派遣制度の見直しに関して取りまとめた提言です。日付が 7 8 日となっていますが、 7 28 日には当時の研究会報告がまとめられておりまして、こうした政府の検討の内容に与党としての御意見を反映させるためにまとめていただいたものです。

 具体的な内容として、裏面の別添に掲げられておりますが、本日の論点にも挙がっております項目について御紹介しますと、まず 1-(1) 、日雇派遣については、ポジティブ・リスト化して例外的に認めるものとするという提言がなされています。 (2) の登録型派遣ですが、こちらは常用型派遣を含む常用雇用へ切替えを促進するための仕組みを設けるなど、雇用の安定化に対処すべきという御意見をいただいています。 (3) の待遇の改善についても御意見をいただいているほか、 2-(1) 「マージン率について」は、その公開を含め、法律上の義務として、その徹底を図るべきという御意見をいただいています。また、 8 割規制とも関連する「専ら派遣」につきましては、こうした派遣が労働者の処遇の切下げに用いられやすいことから、一定の規制を行うべきという御意見をいただいています。

3 の偽装請負違法派遣への対処については、現在、みなし制度が平成 24 年改正で措置されたところですが、当時の提言におきましては行政措置や指導監督強化のための措置で対処すべきという御意見をいただいています。以上です。

○鎌田部会長 資料 1 について、まとめられた内容について、更に議論を深める観点から、御意見があれば自由に御発言いただきたいと思います。

○小林委員 資料 1 1 ページでコメントしたいのですが、今までいろいろな点について論点で項目を検討してきました。登録型派遣、製造業務派遣ですが、後に書いてあるいろいろな雇用安定の措置とか、キャリア形成、キャリアアップの措置が取られるのであれば、現状は有効に機能している制度だと思います。ずっと維持することをお願いしたいのが 1 点です。

 特定労働者派遣事業について申し上げたい。現行、特定労働者派遣事業者はかなりの事業者数があるわけです。この多くの特定労働者派遣事業者に、今まで厚生労働省として指導監督をしてきたという意味では、どのようなことをしてきたのかをお伺いできればと思うのですが。

○鎌田部会長 今の状態ですか。

○富田課長 以前、確か資料として御案内させていただいたかと思いますが、一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業との大きな違いは、入口の許可のところで一般労働者派遣事業については審査があります。その後は、初めの 3 年間、それから 5 年ごとに定期的に更新が必要になります。なおかつ、その間には定期的に指導監督を行っております。特定労働者派遣事業については、届出だけででき、更新もありません。指導監督については、一般労働者派遣事業と同じように、定期的に呼出したり、あるいは立ち入りによって指導監督なども行っています。

○小林委員 特定労働派遣事業者は、かなり数があるわけです。私どもで関係するのは、事業協同組合などが、例として挙げられます。事業協同組合でも、組合が活動を行えない状況になって、休眠団体になるケースがあるのです。休眠団体になると、年に 1 度決算報告書を事業協同組合等では認可を所管行政庁に届出しなくてはならないわけです。そういう行為が行われていない、若しくは組合として登記が行われていないことがあると、行政庁の権限で一括整理ができるのです。休眠組合の一括整理ができるのですが、もしも特定労働者派遣事業が届出制度として残るのであれば、是非とも、一括整理ということを出口の規制みたいなものも十分お考えいただきたい。それによって、特定労働者派遣事業者の数が減って指導の対象も減ることもありますので、その辺もひとつ考えどころだと思います。

 議論の中では、特定労働者派遣事業者については、届出から許可にしたらどうかということがあるのですが、以前も私から、届出制を廃止して許可制へということも発言しましたが、そのときは中小企業に十分な配慮をお願いしたいのです。これは移行に当たっての猶予期間を設けるのがありますし、資産要件については、これはかなり弊害になると思いますので、このことを考えていただきたいと思います。

 前回、部会で言い忘れたことが 1 点あります。指導監督許可の部分のところです。多くの問題があるのが、特定派遣と一般派遣との移り変わるところですが、許可制から届出制に行ったり、届出制から許可制になった事業者が、その手続でいろいろ問題があったことがあるのです。もう 1 つ無届、無許可の事業者が派遣を行っていたことが、大きな問題になっているわけです。今の法律の中では指導監督で制裁や罰を加えることが余りできない仕組みになっているように承知しています。これは、ただ他の法律の関係もあるかと思うのですが、無許可、無届の事業者が事業を行った場合の制裁行為について、もう少し検討する必要があるのかと思いますので、派遣法以外の法律でどうなっているのかを調べた上で、その制裁強化について検討したらどうかが提案の 1 つです。

○鎌田部会長 ただいまのは要望ということでよろしいですね。

○小林委員 はい。

○新谷委員  今、小林委員が、登録型派遣と特定労働者派遣の箇所で意見を述べられたわけですが、労働側としては、登録型派遣については、本日の資料の労働側委員の意見に記載のとおり原則禁止をすべきである、という考えは変わっていません。

また、特定労働者派遣事業を届出制から許可制にすることに関し、小林委員は許可制における資産要件について中小企業の緩和が必要との意見も言われていますが、私どもとしては、派遣事業とは人の労働に介入する事業であるわけですから、使用者としての要件が大企業と中小企業で変わるのは、非常に違和感を覚えるところです。もともと派遣会社は、他の事業会社と違って見るべき資産がほとんどない業態ですので、中小企業だからといって、資産が少額で良しとすべきという御意見については、私どもとして反対です。そもそもなぜ資産要件を設けているのかというと、経営的に、いざというときに、きちんとした使用者責任が果たせるのかどうか、それを代理変数的に当てているのが資産要件であると思います。

 そういった意味でいきますと、私どもとしては、今の一般労働者派遣事業の許可要件にも繋がりますが、ここの特定労働者派遣事業を許可制にするにあたっては、本当に使用者としての責任が果たせるのか、使用者責任がいかにあるべきかということも、許可要件として盛り込むべきだと考えたいと思います。

○秋山委員 特定労働者派遣事業についてですが、法令違反する事業者の中には特定労働者派遣の事業者が多いため、他の委員の皆さんの意見のように、登録制を廃止して許可制にすべきということも考える必要はあると思います。しかしながら、現実に 6 3,000 の事業所があって、そこで働く派遣労働者は 30 万人いらっしゃるわけですから、許可基準となる資産要件などのハードルが高くなることで廃業等を招きかねず、結果として、その方たちの雇用の場が狭まったり、雇用の場が失われることも懸念されます。そのため、資産要件をはじめとする許可基準は見直していただきたいと思います。

○小林委員 派遣労働者の人数に応じて資産要件を変えていく話もあるかと思います。資産要件は外せと言っているわけではないので、派遣労働者の人数に応じて幾つかの違いはあってもいいのかなというのは、あってもいいのかではなくて、資産要件のハードルが高いことがあるわけです。ですから、資産要件だけではなくて、いろいろな要件を基に、今まで現場でも審査しているわけですし、違いがあっても別におかしくはないと私は思います。説明しにくいですが、これはまた十分議論しましょう。

○青木オブザーバー 私もかなり多くの国を知っているわけではないのですが、他国を見たときに資産要件はある一定基準は必要だと思うのですが、その中で 2,000 万円は高いかなと思っています。きちんとした派遣会社を経営しようと思って立ち上げようとしても、 2,000 万円はかなり高いハードルでもあるので、これはかなり派遣会社を設立するのであれば、もちろん資産要件はある程度必要だと私も思っているのですが、それにプラス経営者のモラル的なところのチェックとか、後は教育とか、そういったものを他国の例などを参考にしながら組み立てるのが本来の筋ではないかと。資産要件がとても重要なポイントだとは思うのですが、それは私も高過ぎると感じます。私は今回書いてありますが、ほかのものさしもあった上で許可していくのも、 1 つ考えられるのではないかと思っています。

○新谷委員  今、御発言があったように、派遣というビジネスを改めて考えてみると、一定の資産と一定の面積の事務所と電話が 1 本あれば始められるビジネスなのです。それはどういうビジネスかというと、他人の労働に介入して利益を上げる構造になっているわけですから、いざ経営が傾いたときにある程度の資産がないと労働者に対する賃金の支払いもできないわけですから、使用者責任、正しく雇用主としての責任が果たせるのかどうかを測る尺度は、当然、資産であると思います。そのときに、中小企業であるから、それが半分で良いとかいうことは、あってはいけないわけです。要するに、大企業であろうが中小企業であろうが、基本的に同じ基準で考えるべきと思っています。

 青木オブザーバーがおっしゃったように他国の状況があるわけですが、前回申し上げたように、私どもがドイツ、フランスに現地の調査に行ってきたときに、特にドイツの例が参考になったと思いますが、ドイツの場合、雇用と使用が分離した働き方の中で派遣元が雇用主としての本当の責任が果たせるかどうかが、許可の際にものすごく厳格なチェック項目があって、それを満たしているかどうかによって初めて許可するという仕組みになっています。是非、事務局でもそういった他国の状況、特に雇用主、使用者としての責任がどのようなもので測られるのかをお調べいただいた上で、今回、資産要件が論議になっていますが、それに加えて、使用者としての責任の在り方は当然考えていくべきだと思います。

 先ほど小林委員がおっしゃった無許可、無届派遣の件は、私も賛成です。無許可派遣、無届派遣を防止するため、行政罰としてどのようなものが考えられるのか。これは派遣法の世界と職業安定法の世界でそれぞれ対応策はあるのだと思いますが、行政罰を強化しておかないと、変な事業者が業界に入ってくる、それも無許可、無届で入ってくることになりかねませんので、この点については小林委員の意見に賛成をしたいと思っています。

○鎌田部会長 それ以外のテーマでも結構です。

○青木オブザーバー 常用代替防止の考え方について、 2 つありまして、意見を述べさせていただくのと、事務局に確認をしたいと思います。 1 つは、労働側から常用代替防止を堅持すべきという発言が繰返しありますし、実際に発言ではかなりあるかとは思うのですが、私の理解では、常用代替防止は、派遣法の制定時や改正時に考慮されてきたことは事実のものの、派遣法の目的とされたものではなく、運用上の配慮とされたに過ぎないと思っています。派遣法の目的は、派遣労働者の保護と雇用の安定にあることは法律上も明記されていることから、そのことを基本と、今回も今後も制度の設計を行うべきと考えています。つまり、常用代替防止は配慮とされていたに過ぎないと理解しているのですが、実際、これはどうかを教えていただきたいです。

 もう 1 点が、 3 ページですが、常用代替防止策の労働側の発言の最後ですが、労使のチェックの仕組みを当部会で検討することが適当か、短いスケジュールの中で新たな枠組みをつくることは困難とおっしゃっていますが、正に私もそのとおりだと思っています。新たな仕組みを考えるのであれば、それにふさわしい所で検討すべきであって、当部会としては、仮に労使のチェックが必要であると結論づけたとしても、その仕組みは既存の仕組みの中で行われるべきであると思っています。

○鎌田部会長 事務局に対する質問が 1 点、常用代替防止の立法時における位置付けの問題ですね。

○宮川部長 詳細はまた後ほど次回にでもきちっとお知らせしたいと思いますが、基本的な考え方は、昭和 60 年頃、旧労働省でいろいろ議論したときに、最も基本的な論点の 1 つが、この常用代替をどう押し進めるのか、しないのかであったのは、これは間違いない事実と認識しています。

 先ほど青木オブザーバーのおっしゃられた条文上に出てくるのはどこかといったときに、実は表に出てくるものは確かに配慮義務規定しかないと思います。当時はもともと 10 幾つですが、 26 業務制度を作った発想は何かと言われれば、それは常用代替防止であるのは間違いないですし、それから、なぜ臨時的・一時的なところをネガティブ・リスト化したかという考え方も、それはあくまでも常用代替防止という考え方に基づいて議論したと理解しています。具体的な審議会答申の中にもあるようですので、課長からお伝えします。

○富田課長 今の宮川部長の補足ですが、確かに条文上は配慮義務規定ぐらいのものしかないわけですが、初めの制度ができた際に出された中央職業安定審議会の答申では、「対象業務を具体的に定めるに当たっては、我が国の雇用慣行等の調和に留意し、常用雇用労働者の代替を促すこととならないよう十分配慮するとともに」ということを書いていまして、その当時の立法趣旨の中には、「常用雇用労働者の代替を促すことにならない」ことが入っていたと整理されていると思います。

○青木オブザーバー 今、配慮という言葉が何度か聞かれましたが、私が確認したところによると、第 25 条の運用上の配慮において、文章的には「規定の運用に当たっては、労働者の職業生活の全期間にわたる、その能力の有効な発揮、及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を考慮しなければならない」と規定していて、制度の運用に当たって配慮すべきことと規定されているほか、第 40 条の 2 1 項第 1 号において、現在の期間制限の例外である業務の指定基準として、ここは文章ですが、「労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及び、その雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損わないと認められるもの」と定められるに過ぎないと確認しています。

 したがって、何が言いたいかというと、期間制限を検討するに当たっては、法の目的である派遣労働者の保護と雇用の安定を第一義に考えなければいけないと思っていることを言わせていただきます。

○新谷委員  青木オブザーバーから常用代替防止の考え方について御発言がありましたが、私どもと認識が違いますし、事務局の答弁が正確だと思います。私どもも、昔の中央職業安定審議会の答申も当然見ていますし、国会での与野党の修正協議の内容も見ていまして、常用代替防止は派遣法制定以来の背骨になる考え方ではないかと思っています。また、 1999 年の改正の際に、ポジティブリストからネガティブリストに入れ替えるときに、正しく臨時的・一時的なものであるという派遣の定義が再定義されたと思っています。

 逆に、私が事務局にお聞きしたいのは、我が国以外で派遣は臨時的・一時的ではないと規定している国はアメリカを除いてあるのか、ということです。アメリカは自由放任の国で、政府による規制は排除する国ですからもともと規制が少ないと思いますが、世界中に派遣労働を規制する法律がある中で、派遣は臨時的・一時的であるという規定を設けていない国は本当に存在するのかどうか、是非これを調べていただきたいと思います。

 私どもも発言の中で、常用代替防止の重要性について繰返し申し上げていますが、これは誤解されてはいけないと思っていますが、私どもとしては何も正社員を守れと言っているわけではないのです。私たちの主張は、労働市場政策の中で、派遣労働のような間接雇用、要するに雇用と使用が分離して不安定な雇用をこれ以上増やしてはいけないという考えなのです。世界各国の法律でも、同様の考えで派遣は臨時的・一時的であると規定をしているのだと思いますので、広い意味での労働市場政策として直接雇用に比べて雇用が不安定にならざるを得ない派遣をどう位置付けるのかという中で、常用代替防止という考え方がある、ということを改めて申し述べます。

2 ページに私どもの発言の中で「今後の労働者派遣事業の在り方に関する研究会」の報告も触れていますが、研究会報告の中に、派遣は無期派遣であれば雇用が安定しているという書きぶりがありますが、これに対しては本当に違和感を覚えます。例えば、整理解雇における解雇権乱用の法理の判定をする際のいわゆる整理解雇の 4 要件において、通常の事業会社に雇用される労働者と派遣会社で雇用される派遣労働者では、本当に同じ司法判断が下されるのかが非常に疑問として残るわけです。

 先ほど申し上げたように、派遣というビジネスは、他人の労働に介入して業としているわけで、もともと資産はなくてもできるのですが、いざ問題があったときに、本当に労働者を守るだけの構造になっているのかどうかの尺度として資産要件を設けなくてはいけない、といったビジネスなのです。ですから、派遣元で無期雇用されているからといって、法的にも、例えば人員削限の必要性とか解雇回避努力とかが、通常の事業会社と同じように司法判断されるかは非常に疑問です。だから、そういった面で言っても、 2 ページの下から 3 つ目に書いてありますような「無期だから」という所は違和感が非常に強いことを改めて申し上げておきたいと思います。

○石黒委員 資料の中で、労働側の意見として、労使のチェックの新たな枠組みを短いスケジュールの中で検討することは困難とだけ書いてあるのですが、これは研究会報告に対する見解を述べた所であって、前提として、常用代替防止という考え方は堅持するという意味で発言をしています。つまり、研究会で提起された今後の常用代替防止については派遣先の労使のチェックという仕組みもあるではないかという提言に対して、もともとの常用代替防止の考えを堅持することを基本とした上でお話をしたことを補足させていただきたいと思います。

○新谷委員  先ほど青木オブザーバーの発言の中で、今、石黒委員が発言した時点で、もう少し私も反論したい点がありましたので、申し上げたいと思います。以前に石黒委員から、短い期間で労使のチェックの新しい枠組みの検討することは困難ではないかと、ここに書いてあるとおりの内容を申し上げたのですが、これは本当に時間がない中で本当にできるのかどうかという懸念はあると思います。

 ただ、これが仮に研究会報告のような形で、もし枠組みが今後の取りまとめ報告に持っていくとすれば、ここは十分時間をかけてやるべきではあります。先ほど既存の枠組みとおっしゃったのですが、既存の集団的な労使関係の枠組みとしては 1 つは労働組合があって、 1 つは過半数従業員代表があって、もう 1 つはそれに基づく労使委員会、この 3 つしかないわけです。

 ここに新たな 4 番目のカテゴリーをつくるか、つくらないかという論議になるわけですが、既存の枠組みの中の従業員の過半数代表、これが全く機能していないという認識が私どもにはあります。これは選出の手続にしても、 JILPT の先日の研究会報告にもありましたように、使用者が指名するとか、社員会の代表が自動的に指名されるとか、本当に従業員の民意が反映された選出手続が行われていないといった課題が報告されています。過半数代表が、今、運用として本当に代表としての正統性が問われる問題がある中で、これが本当に常用代替の防止のチェックを果たす枠組みとして機能するのか、と非常に疑問です。

 もし、仮にこうした仕組みの中に組み込むとすれば、今言った選出の手続から始まって、使用者の不当な介入をどう防止するかとか、就業時間中の活動時間の保障をどうするのか、エビデンスの保存期間をどうするのか、書面での保存期間をどうするのかといったことも含めて、詳細な検討をしないといけないと思っています。それがない限り、この枠組みの運用は無理だと思っていますので、短時間でもありますが、もしやるのであれば十分な検討が必要であると思っています。

○清水委員 労働契約の申込みみなし制度の問題で、特に 4 つ挙げられているわけですが、その中の偽装請負の問題については、この制度を存続する場合でも削除が必要だという御意見がここの中でも書かれています。私はそれについては、本当に反対だと思っています。というのは、偽装請負という仕組みが極めて悪質だと私は思います。そもそも戦後直後にできた職安法の中で、なぜ労働者供給事業が禁止されたのか。その下で労働者供給事業が様々な形で法に触れないように実態としては進んできた中で、しかし、そうした事態を労働者でありながら労働者としての権利や保護が受けられない、そういうものに対する、そういう仕組みを許容する企業や業種に対するペナルティーの制度だと、この条文を読むと思うわけです。そうした意味で、今、使用者側の方々が一番心配されるのは、請負だったものが実態は派遣労働者だったと、こういうことだと思います。

 しかし、このみなし制度をよく読んでみますと、法令上では、派遣先が知らなかったことについて、過失がない、瑕疵がないときには、それを免れていますし、派遣元という派遣企業が絡む限り、そうした請負契約を派遣先が結ぶことが実態としてあり得るのかと私は思います。しかも派遣元企業が派遣先に通知することの中には、健康保険証の番号とか、厚生年金や雇用保険の資格取得日等々の情報があるわけですから、派遣先企業のそういう予見可能性は、それによって十分担保されるのではないかと思います。そうした偽装請負という悪質性において、他の 3 つの違反行為と同様な措置をとる、それを堅持していただくことが大事ではないかと思います。

 あと 1 つだけ。青木オブザーバーの発言は、大変驚きました。

○鎌田部会長 驚きましたというのは、どういう点が驚いたのですか。

○清水委員 そういう認識でこの会議で出られているのだなと、そういう認識で派遣法を理解されているのだな、という意味でびっくりしました。

○鎌田部会長 常用代替防止の発言についてですね。

○清水委員 そうです。

○青木オブザーバー 常用代替防止は、私は先ほども言いましたが、「配慮」という言葉がかなりあるので、そういった意味で派遣法の改正時から考慮されていたことは十分理解しています。ただ、文章を読む限り、「配慮」という言葉があったので、これは配慮だと思ったので、是非もう 1 回確認していただきたいと思うのですが、それが 1 点です。

 あと、今のお話で偽装請負の件ですが、使用者側としては偽装請負については予見可能性が非常に低く、余りにも問題という発言もさせていただいていますし、あと、これは確か前回、新谷委員からだと思うのですが、偽装請負について予見可能性が低いということであれば、方策をこの場で検討すべきではと言っていただいたのを覚えているのですが、是非、この場で検討していただきたいと思うのです。もし必要であれば、資料の提供も私たちからもさせていただきたいと思いますので、是非検討をしていただきたいと思います。もし仮に、検討が難しいのであれば、今回、労働契約申込みみなし制度のこの部分に関しては削除するべきではないかと思っています。

○鎌田部会長 それは偽装請負の部分は、告示の話ですが、それを議題にするという御趣旨でおっしゃっていたのですか。

○青木オブザーバー いや、両方とも書いているので、予見可能性が低いと言われているので、私たちも困っているところもあるのです。ですから、そこについて、きちんと、どうすればこれがはっきり分かっていくのかを議論、前回、是非この場ですればという話があったので、そうであれば是非本当にしてほしいと思って今お話をしています。

○鎌田部会長 お互いの御主張の中での議論なので。いいですか、新谷さん。

○新谷委員 実は昨年、法律改正法が成立した際にも、今後の予定として、与野党の修正協議の中で施行日が平成 27 10 1 日と 3 年間後ろ倒しをされましたが、もともと内閣提出法案を出されたときには、昨年 10 1 日に同時施行の話で違法派遣のみなし制度が進んでいましたので、法律の実際の施行に当たっての通達については、当然この審議会の中で、どのような要件であれば偽装請負に当たるのかという要件を、この審議会で需給部会で審議する予定だったわけです。それが 3 年間延びていますので、その内容については当然この部会で論議するべきものであると。別に今までなかったものを新たにこの部会で論議することではなくて、施行に当たっての要件については当然この部会で審議するものだと、私はそういう認識で申し上げたということです。

○鎌田部会長 ほかにありますか。では、高橋さん。

○高橋委員 今日の資料 1 で、これまでの様々な論点項目についての各側の意見と主張は、かなり整理されていると思いますし、これ以上重ねて主張しても、この項目に関する記述が増えるというわけでもありませんので、今日の議論を聞いていても、繰り返しの部分がお互いに多いという感想を持っています。その上で、私からは、この資料 1 にはない、是非追加させていただきたい主張があります。それは「期間制限」に関することです。

1 つは高齢者で、 60 歳以上の方を派遣する場合に、今後、期間制限の在り方は大きな論点としてこの部会で審議をしていくと思いますけれども、高齢法も改正されて、希望者全員の 65 歳までの雇用が措置義務化されました。やはり高齢者の就業機会を確保していくという観点から、 60 歳以上の高齢者の方が派遣労働者として働く場合、派遣の期間制限の上限は設けないようにしていくべきではないか。これは主張です。

24 年改正のときに、高齢者の部分の記載がありましたけれども、そのとき 60 歳以上の定年退職者という極めて限定的な場合が例外化された部分がありました。派遣可能期間の上限を設けないということにおいては、定年退職者に限らず、 60 歳以上の方の全てを派遣可能期間の制限を設けないという形にすべきではないかということです。

2 点目は、現在例外扱いとされている業務として、日数限定業務や有期プロジェクト業務、育休の代替要員の派遣などがあるわけですけれども、こうしたものは引き続き、どのような制度になろうとも例外扱いとすべきではないかと思います。私が本日申し上げたいのは、この「有期プロジェクト業務」です。現行の有期プロジェクト業務は、「一定の期間内に完了することが予定されているもの」と法律で規定されているのですが、他方で、業務取扱要領には一定の期間内というのは 3 年以内だと規定されてしまっています。今後、 2020 年の東京オリンピック・パラリンピックの開催などもありますし、 3 年に有期プロジェクトを限ることなく、終期が決まっているもの、要するに有期プロジェクトなら何でもいいということではなくて、終期が決まっているものについては 3 年を超える場合があってもいいだろうと思っています。

 これは事務局にお願いですが、冒頭の私の発言にも関係しますけれども、今後はもう少し具体的な制度の在り方を是非議論させていただきたいと思っています。そういう意味では、とりわけ最大の論点としては、期間制限の在り方が考えられます。これに関しては、どうすべきかということについての基本的な考え方は、この資料 1 にもまとめられてはおりますけれども、もう少し具体的な制度として、どのようなものがあり得るのか、あくまでたたき台で結構ですから、事務局のほうから何らかの案を、次回のこの需給部会にお示しいただくよう、是非お願いします。事細かにお願いするつもりはないのですが、当然、研究会報告書をベースにした制度のイメージというのもあるかと思いますし、他方で、この資料 1 にもありますとおり、現行の、いわゆる 26 業務、これを限定化していくという在り方もあろうかと思います。多様な選択肢を示していただきながら具体的な制度見直しのイメージを是非御提出いただきたいと思っています。

 それに関連して、ここは意見ですけれども、研究会報告書のイメージで次回、御提出を頂くかもしれませんけれども、研究会報告書の中で私が気になっている内容は、有期雇用派遣についての言及ぶりです。この有期雇用派遣については、雇用が不安定でキャリアアップがしにくい働き方であるということで、望ましくない派遣利用が起こりやすいとの記述があって、私の印象としては、非常に問題のある働き方だと、だからこれを規制していくという書かれ方がされているように見受けられます。これに関しては当然、不本意ながら派遣に従事している方がいらっしゃることは、様々な統計等でも確認されていることで、それを否定するつもりは全くありません。しかし、傍聴の方には恐縮ですが、例えば第 192 回の需給制度部会の参考資料を御覧になっていただきたいと思います。 37 ページの「希望する働き方(雇用形態別・派遣形態別)(派遣労働者調査)」です。この会合のときにも新谷委員から、 60.7 %の方が正社員として働きたいという御指摘をされたことを覚えています。他方で、この棒グラフの下に、雇用形態別があって、有期雇用の数字が並んでいます。「今のままの働き方がよい 17 %」、「派遣会社と 1 年以上の雇用契約を結ぶ派遣労働者として働きたい 12.8 %」、「短期、単発の仕事中心の派遣労働者として働きたい 4.8 %」で、これらを合計すると「 34.6 %」になってくるわけです。不本意のまま働き続けている方がいらっしゃる一方で、有期雇用派遣で引き続き働きたいという方も一定数いらっしゃるということを十分に踏まえて、制度の見直しについて論議をしていくべきではないかと思います。

○鎌田部会長 今、高橋委員から進行に関わる御提案と、それから御要望としてのいろいろな御意見が出されましたけれども、進行に関わるところで労働側で、何か御意見があれば、お願いいたします。

○新谷委員  高橋委員から、論点はかなり整理されていることから、早くまとめに入ってはどうかという御意見だったかと思います。私どもとしては、今回の論議は、派遣法の歴史の中でも非常に重要な法改正となると思いますし、研究会報告の内容についてはかなり違和感を覚える内容ではありますが、いつまでも審議を続けるのかという問題もあろうかと思いますので、今後の論議のたたき台となるものを早めに事務局に示していただくというのは一つの考え方かと思います。

 ただ、改めて申し上げておきたいと思いますけれども、高橋委員の発言の中で、研究会報告がたたき台になるのではないかという触れ方でされておりましたが、今後のまとめに当たって研究会報告がたたき台になるというのであれば、私どもとしては、あくまで反対である、ということを重ねて申し上げたいと思います。

 いみじくも高橋委員がおっしゃっていたアンケートにおける「派遣労働者の方々が今後、希望する働き方」という設問では、「正社員になりたい」との回答比率が 60.7 %と断トツに多く、多くの派遣労働者の方々が正社員になりたいということを御希望されているわけです。 2 位の回答の「今のままの働き方がいい」、つまりは派遣のままでいいという方はその 3 分の 1 に過ぎなくて、 19.3 %です。この数字を一体どのように見て研究会報告が作られたのかが私は非常に疑問であります。もし仮に、研究会報告がたたき台として示されるということであれば、無期雇用派遣は安定的な働き方なのだという結論であり、これは全く理解できません。派遣会社における無期雇用派遣のどこが安定雇用なのかということです。先ほど配っていただいた 2008 年当時の与党の「新雇用対策に関するプロジェクトチーム」の提言にも書いてありますが、たった 5 年前に「派遣切り」という、離職された労働者の 94 %が無期雇用なのに解雇された実態があるわけです。これをどのように見るのか。また、申し上げたように、派遣の方々は派遣のままずっと働きたいという希望をもっている方はほとんどいないというか、少ないわけです。派遣の方々は正規雇用に転換していくことを御希望されているわけですし、こういった派遣労働者の切実な希望を、あの研究会報告はどこを見ていたのかと、そのように思います。

 今後の派遣労働については、臨時的・一時的な働き方であるという整理をした上で、如何に正規雇用に転換させるかという政策を打ち出していくのが、労働政策として我が国が取るべき方策だと思っております。よって、仮に今後事務局に作成頂くたたき台の中で、申し上げたような派遣元と有期と無期で分けて、無期雇用については常用代替防止の対象としないというものが、もし組み込まれるのであれば、これは反対であるということを予め申し上げておきたいと思います。

 それと、研究会報告の中で非常に論議が不足している点があろうかと思います。それは均等待遇についてです。研究会報告では、正しく均等待遇を実現している EU と我が国では賃金の決定の構図が違うから無理だ、あるいは派遣元において派遣労働者の均衡が図れないから無理だという 2 つの論点で、均等待遇の導入が見送られていますけれども、無理だからこそ、難しいからこそ、その均等待遇に近づける努力をどうするのかということを検討すべきであって、非常に論議が不足していると思います。かつ、諸外国の潮流を見たときに、先日も資料を提出させていただきましたが、先ほどの派遣は臨時的・一時的なものであるという考えは世界の潮流となっていますが、同時に、均等待遇原則も派遣労働では世界の潮流であり、均等待遇原則を導入していない国のほうが少ないのではないかと思います。その均等待遇原則が我が国では難しいと研究会報告には書いてあるのですが、お隣の韓国のような非常に就業構図が似ている国でも、均等待遇原則が導入されているわけです。派遣のもつ雇用の柔軟性の裏返しとして、雇用リスクを派遣元が被ってしまうというリスクの中で、派遣は安い労働力ではないということを貫いているのが世界の潮流だと思いますので、是非今後そのまとめをお示しになるのであれば、この均等の部分、あるいは現行の均衡の部分をどのように強化をしていくのかというところの論議を深めるべきです。それともう 1 つは、派遣労働者のキャリアアップの措置についても非常に検討が弱いと思っていますので、是非、労働者保護に向けてどのようなまとめをされるのかということを盛り込んでいただくということも含めて、たたき台のほうの提示をお願いしたいと思います。

○鎌田部会長 今、新谷委員の御発言で、期間制限について使用者側からたたき台の提示の要望がありましたが、この点については御同意いただいたのかと。さらに均等待遇についての部分もたたき台が必要であると、このような御趣旨かと思います。それでよろしいですか。

○新谷委員 結構です。

○鎌田部会長 そのような進行上の御提案があったのですが、それについてはよろしいですか。それではそのような形で事務局に御用意をお願いしたいと思います。

○大原オブザーバー  高橋委員の先ほどの御発言と新谷委員の御発言も関連してということになりますけれども、確かに先ほど高橋委員、新谷委員がデータをどう読むかそれぞれの立場から見方はいろいろあろうかと思っています。私どもの認識としては、やはり働きたいというニーズは多様化していると認識をしていて、必ずしも 6 割以上の方々がただちに正社員になりたいという方ばかりではないという認識を持っています。一定程度派遣を続けたい、派遣を活用したいというニーズはあるという認識を持っています。その上で、今回の様々な議論の中での期間制限について、 1 点だけ申し上げておきたいと思います。今回、期間制限の考え方の方向性の 1 つとして、 26 業務区分は廃止をして全ての業務について業務から人へ期間単位を変更したらどうかということが、研究会報告でも提案がなされていて、私どもとしても、一定の方向性としてはそれでいいのではないか、そのように考えているところです。

 さらに、研究会報告において、人単位の期間制限について 3 年という単位が目安として示されているわけですが、この 3 年についても、私どもの考えと合致をしているところであります。更に、 3 年上限に至った方たちへの雇用安定措置を図ることについても、我々も同じ考えですが、この点については、派遣労働者の就労希望は多様化しているということから、 3 年上限に達した場合、本人の希望を前提にさらに同一派遣先で、最長 2 年を限度として延長されるような仕組みも検討されていいのではないかと思っています。

 理由は 3 つです。 1 つ目は、御本人のキャリア形成や能力開発の点からして、派遣先の業種業務も様々な中、御本人の習熟度合いによっては、 3 年を超えて業務経験を積んだほうが御本人のキャリア形成につながる可能性もある、そういった点が 1 つ。

2 つ目は、先ほど来言っているとおり、今、研究会報告の御提案の中にある雇用安定措置は 3 つの例示が示されているわけです。それについても私どもも一定程度同意をしているわけですが、やはり御本人が派遣で続けたいというニーズがあることは事実ですので、そうした観点から、雇用安定措置の 1 つとして、そういったことも検討されていいのではないかと。さらには、数年前のリーマンショックのときのように、大変急激な経済情勢の変動、それに伴い短期間に大量の雇用調整という場面も当然起こりうる話です。そうした観点も踏まえると、雇用安定措置というのは、一定程度、選択肢を増やしていったほうが派遣で働く人にとってもよろしいのではないか、それが 2 つ目の理由です。

3 点目の理由は、御案内のとおり有期雇用派遣労働者であったとしても、すべからく派遣元との有期雇用者であることは間違いありませんので、労働契約法における有期雇用の 5 年を超えた有期から無期への転換措置にも絡んで、 5 年というのは、他の労働法制との親和性から考慮されてもいいのではないか。このような観点から、人単位の 3 年を原則としつつも御本人の希望によっては、同一派遣先での就労延長も認めていく方向も検討すべきではないか、そのように考えています。

○鎌田部会長 よろしいですか。

○宮本オブザーバー  均等待遇について、一言発言をしたいと思います。私どもは正規従業員を比較的多く組織している労働組合ですが、その立場からして、派遣労働者の均等待遇をどう見ているかということです。現在の労働組合の組織率は 17.9 %ですから、決して高くはありませんけれども、正規で働く、あるいは組織されている者の立場からすると、やはり同じ現場で同一労働をしている派遣労働者の方々の賃金水準が低いとか、あるいは福利厚生の面で、例えば食堂が使えないとか、あるいは交通費が出ないとか、こういったことに対して、それが当たり前だというようには決して思っていません。やはり正規の労働者から見ても同じ職場の中で気持ちよく明るく、そしてモチベーション高く、みんなで気持ちよく働こうとすれば、正規あるいは派遣労働者の皆さん方も同一労働であれば同一賃金、あるいは福利厚生も同じということが求められます。ただ、先ほど言いましたように、残念ながら労働組合の組織率は非常に低いわけですから、我々がどれだけ職場の中で、当事者労使がそのような話合いや協議をしても、なかなか限界があります。そこでこのような労政審の中で、ルールや仕組みを作っていく、そういうことが私は必要だと思います。

 先ほど新谷委員も発言しましたけれども、私も今年の 7 月下旬にドイツとフランスの派遣労働の実態調査団の 1 人として参加をしました。やはりドイツもフランスも関係労使ともに、この均等待遇は当たり前なのだという認識でした。もっと言えば派遣労働はコストも高くついて当たり前だという認識が、もう労使の常識になっているのです。そう考えれば、日本だけが違う方向に行っているというような感じがします。そういった面で、先の改正で均衡配慮義務が規定をされましたが、これは強制力もなく、今後の実効性もさほど期待できないとすれば、やはり均等待遇というのはしっかり義務付けるような仕組みが必要だと、改めて思っています。

○石黒委員  今の宮本オブザーバーの御発言はそのとおりなのですが、初めに正規労働者を組織化しているというようにおっしゃったので一言申し上げます。私は出身が UA ゼンセンという組織ですが、うちの産別では、正規以外で働く方を非正規組合員と言わずに短時間組合員と言っています。今、 145 万人いるうちの半分以上が短時間、いわゆるほとんど有期契約労働者です。いろいろな労働組合がありますが、確かに全体的な有期労働者の所の組織率はまだまだ低いですけれども、必ずしも労働組合全体として、正規労働者だけで組織しているわけではないということを一言付加しておきます。

 その上で、うちの組織でも有期雇用で働く方も派遣で働く方もいますけれども、今後の労働政策等々を考えたときに、先ほどの大原オブザーバーから、派遣労働者は必ずしも正社員になりたい人ばかりではないというご発言もありましたけれども、常用代替防止という考え方ではなく生涯派遣でやっていくということに政策的に誘導するようなものをつくっていくというのは、労働政策審議会の議論としては違うのではないかと思います。特に、先の資料の読み方で、 60.7 %のほうが正社員として働きたいという数値データがある中で、大原オブザーバーが指摘するような、どう見れば派遣として働きたい人がたくさんいるということになるのかが、私には理解できません。方向性としてはそういったところも踏まえた審議をしていきたいと思っています。

○鎌田部会長 青木さんいいですか。

○青木オブザーバー 均等待遇の延長線上の話ですが、正に進めていかなければいけない重要なことだと思っています。ただ、以前もお話したとおり、派遣先の例にもいくつか示しましたが、大企業で働いている方で、派遣社員でそこに出していて、中小企業に行ったときにはどうするのか、下げるのかという問題もあって、私たち派遣元としては労働条件の管理がとてもやりづらくなりますし、職務的要素も非常に強いというところから、今日お配りいただいている労働者派遣制度の見直しに関する提言、この与党新雇用対策に関するプロジェクトの (3) 待遇の改善についての所で、「派遣労働者の職務内容に相応しい待遇が確保されるために必要な措置をとること」という、これはとても適切な文章でいいなと思いました。派遣先ばかりお話するのですが、派遣元も派遣先もたくさんある関係で、こういった言葉が使われるほうがより適切ではないかなと、今日、この資料を見て思いました。それが 1 点。

 もう 1 点言わせていただきますと、派遣の代表的な臨時的・一時的な雇用の日雇派遣の問題ですが、原則禁止を削除していただきたいという思いは変わらないのですが、ただ、今現在、現場で困っていることがあります。それは何かといいますと、現在は「 30 日以内の雇用期間」とされていることから、例えば 2 1 日に契約した方は 3 3 日までとかで、その次の契約更新するときには 3 4 日から 4 3 日とか、結局 30 日という期限を区切っている関係で、派遣労働者自身も非常に分かりづらく、本来は 1 か月単位で更新をしていきたいというのが派遣労働者であり、派遣元であり派遣先の考えでもあることから、この「 30 日以内の雇用期間」という文章を是非、「 1 か月の契約の単位で、延長更新による反復継続が見込まれる場合には禁止の例外」というような形にお願いできないかなと思っています。

○春木オブザーバー  先ほど高橋委員や新谷委員が言われたように、これからの論議を進める中で、期間制限の在り方や、均衡均等待遇の在り方について具体的なものをもって論議をしていくということについては、私も賛成するところであり、そのようにお願いしたいと思っています。労働側として、期間制限の在り方に対しても、均衡均等待遇の在り方に対しても大きく関わってくるのが、派遣元だけでなく、派遣先の責任というものも相当大きく関わってくると思っていますので、そういった部分も併せて論議を深めていけるような状況をお願いしておきたいと思います。

○新谷委員  青木オブザーバーから、今日配られている資料 2 の、 5 年前の与党の「新雇用対策に関するプロジェクトチーム」の提言内容が紹介されて、それについての言及があったのですが、改めてこの中身を見ると、例えば、原則禁止となる日雇派遣の労働契約期間は 30 日であり、この前の改正法と同じです。また、日雇派遣については、特に雇用が不安定であるというのが当時の与党でも指摘をされているし、 2 番に、「派遣事業における事業の透明化、適正化を図るために、マージン率については開示をせよとか、専ら派遣については賃金の引き下げ処遇の引き下げに用いられやすい」といった指摘もあります。私がお聞きしたいのは先日来、平成 24 年改正を廃止を含めて検討せよと、盛んに使用者の委員がおっしゃっているのですが、この 5 年前の与党の提言で指摘されている派遣労働が持つ課題はこの 5 年間に変化があったのかどうかです。具体的に派遣労働が持つ課題がどのように改善、どう変化あったから改正せよとおっしゃっているのか、改めてこれをお聞きしたいのが 1 点です。

 もう 1 つ、大原オブザーバーが先ほどおっしゃった中で気になるというか、御自分から発言されたわけですけれども、研究会報告と我々の考え方は同じだと、ほとんど同じだというようにおっしゃっていました。正しく私もそう思っています。例えば、 26 業務を撤廃して人を中心とする関係に切り替えろとか、 3 年の上限の数字であるとか、あるいは 3 年たったときの雇用安定措置の 3 つの措置を導入するといったことは、 6 月に全く同じ内容が研究会のヒアリングで業界から出された内容や要望が出され、そのまま研究会報告としてまとめられたという印象があります。今、全く同じだとおっしゃっていたので、本当にそのとおりだなと、私はその発言を聞いて思った次第です。ただ、あの研究会報告のままいきますと、無期雇用派遣については期間制限なしで、ずっと派遣でいくということでありますし、有期雇用派遣についても先ほど出てきた派遣先の労使の会議等でチェックするということですので、申し上げたように、既存のルールでいくと、従業員の過半数代表もそれに役割を与えられるということになると、現実的にはチェックがほとんど掛からないということになろうかと思います。そうすると無期雇用派遣は期間制限なし、有期雇用派遣についても一応枠組みができるとしても、多分ノーチェックでそのままずっと派遣でいく。これは、派遣が今まで 3 年という期間制限で区切られたものが、ずっと派遣として派遣労働者を送り続けることができる改正になると思うので、派遣会社にとっては非常に素晴らしいことだと思います。ところが、先ほど来、申し上げているように、正規雇用になりたいという派遣労働者の声が 6 割を超えているわけです。これは生涯派遣で働く環境をつくることが派遣労働者の保護にはならないと私たちは思っているのです。如何に安定的な雇用に転換させていくのかというのが、今後の労働政策として考えるべきだと思っておりますので、たまたま我々と同じだという発言がありましたので、改めて印象を申し上げておきたいと思います。

○鎌田部会長 研究会の委員の一人でもありますので、一言申し上げますが、大原オブザーバーが全く同じというような発言をされた趣旨はよく分かりませんが、私の認識では研究会報告と大原さんたちの御意見は違っているものがありますので、その点は御理解いただきたいと思っております。

○大原オブザーバー 一言だけ、全く同じとは一言も言っていません。方向感として同じものはあるということは 1 回目の審議会でも発言をしたところであります。言葉の使い方です、すみません。

○鎌田部会長 中身として御議論をいただければいいと思っております。

○青木オブザーバー 変化はあるかという話があったのですが、平成 20 年の段階では日雇派遣のマイナス面ばかり強調されていた状況ではなかったかなと思っているのですが、実際に施行されてみても多くの問題が顕在化しているのは前回のこの部会でもお話させていただいたとおりです。

 あと、東日本大震災のときも災害自体は悲しい出来事だったのですが、そのときの日雇派遣が大いに機能したということで高く評価された事実もあります。

 また、ここに書かれている「日雇派遣事業からの日雇紹介事業への切り替えの促進」、これもほとんど進んでいないのが分かっていますので、平成 20 年時点では正しいと思いますが、想定されていた現実とは大きなギャップがあることは明らかになって今があるというように認識しています。

 それと、正社員を希望している割合が 6 割という話ですが、ここに関しては 2 回目のときですか、私のほうで資料を提出して発言をさせていただきましたが、時間軸が入っていない資料になりますので、私が出したものは時間軸が入っていて、その時間軸をきちんと見れば、有期労働者の方たちと正社員希望の率はほとんど変わりがなくて、もっと低い数字だということはお分かりいただいているかと思っています。

○鎌田部会長 進行についての御意見で新たに付け加えることがあれば御発言を、今まで私が聞いているところでは、繰り返しの部分も結構ありますので、是非、新たにここに付け加えたいというようなことがあれば御発言いただければと思います。もし、それがなければ、本日はこれで閉めたいと思いますがどうですか。

○新谷委員  お配りいただいている資料の 10. その他で、要望として前回申し上げた点で今後のまとめに当たって、是非考慮をいただきたい点があります。特に、労働者の権利の保護ということで、産育休の取得に関し、派遣労働で働く組合員から強い要望がきております。派遣元では、産育休の取得要件の1つである同一事業主要件を満たしても、派遣労働者の方が産育休の取得申請をすると派遣契約自体を切られてしまうという実態の声が寄せられております。これをどのように防止して、派遣労働者の方がきちんと産育休を取れるのかといったところも、是非、今後のまとめの中に組み込んでいただきたいと、改めて申し上げておきます。

○鎌田部会長 先ほど私が申し上げた観点からの御発言はありますでしょうか。公益委員の方で何かありますか、よろしいですか。

 ただいま御議論いただきましたように、次回は事務局からたたき台を出してもらって、更に議論を深めたいと思っております。事務局から連絡事項がありますか。

○亀井補佐 次回の日程について御連絡させていただきます。 11 28 日木曜日の 10 時から、場所は、 6 階の専用第 23 会議室にて開催させていただきます。また、資料については、ただいま部会長から御指示いただいたものと、資料 1 についても、本日の御議論を踏まえて、リバイスした資料をお出しさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○鎌田部会長 以上をもちまして、第 198 回労働力需給制度部会を終了させていただきます。

 本日の議事録の署名は、石黒委員、秋山委員にお願いします。どうもお疲れさまでした。


(了)

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