ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会有期雇用特別部会)> 第2回労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会 議事録(2014年1月14日)




2014年1月14日 第2回労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年1月14日(火)18:00~19:20


○場所

中央合同庁舎5号館専用第23会議室


○出席者

【公益委員】

阿部委員、猪熊委員、岩村委員、山川委員

【労働者代表委員】

新谷委員、冨田委員、八野委員、芳野委員

【使用者代表委員】

遠藤委員、小林委員、鈴木委員

【事務局】

(労働基準局) 中野局長、大西審議官、村山労働条件政策課長、大隈労働条件政策推進官
(職業安定局) 内田高齢・障害者雇用対策部長、中山高齢者雇用対策課長

○議題

1 有期雇用の特例について
2 その他

○議事

○岩村部会長 定刻となりましたので、ただいまから第2回「労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会」及び第1回「労働政策審議会職業安定分科会高年齢者有期雇用特別部会」の合同会議を開催させていただきます。

 本日は、使用者側委員の市瀬優子委員が御都合により御欠席ということでございます。なお、市瀬委員の代理で日本商工会議所産業政策第二部副部長の高山さんが出席されております。よろしくお願いいたします。

 議事に入ります前に、事務局のほうから高年齢者有期雇用特別部会の設置について、定足数と併せまして御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大隈労働条件政策推進官 それでは、事務局から高年齢者有期雇用特別部会の設置につきまして、資料NO.2に基づきまして御説明させていただきます。

 昨年1225日の第1回有期雇用特別部会におきまして、高年齢者についても論点として取り上げることとし、さらに高年齢者の雇用政策を所掌する職業安定分科会と連携して検討を進めるべきとされたところでございます。それを受けて、この資料2は昨年1226日の職業安定分科会の資料でございますが、ここにありますとおり、高年齢者の取り扱いについて議論するに当たっては、「高年齢者雇用対策の観点からも検討が必要であることから、職業安定分科会として、この議論に参画することが必要である。このため、職業安定分科会のもとにも臨時的に高年齢者有期雇用特別部会を設置し、両分科会のもとの特別部会において合同で議論することとする。」とされ、これが了承されているところでございます。

 この2つの特別部会の委員の構成でございますが、これはお手元の資料1の委員名簿にあるとおりでございますが、両部会とも同じ構成員となっております。両特別部会とも、部会長として岩村委員、部会長代理として阿部委員に御就任いただいているところでございます。

 それから、本日の出席委員につきましては11名となっております。労働政策審議会令第9条におきましては、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

 なお、今回から机上にドッチファイルを置かせていただいております。今後は、このファイルに使用した資料を順次差し込んで、各会の部会で御参照いただくことにしております。よろしくお願いいたします。

○岩村部会長 ありがとうございました。今後、この2つの特別部会につきましては合同で開催していくことになります。委員の皆様の御協力を得て進行させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速議事に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。

 本日の資料といたしましては、昨年1225日に開催されました第1回有期雇用特別部会における議論を踏まえて修正しました論点(案)、そして「高年齢者雇用の状況と制度概要」及び「無期転換ルールに関する雇止めの状況等」が用意されております。まず、これにつきまして事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大隈労働条件政策推進官 それでは、資料3につきまして御説明させていただきます。「有期雇用の特例」に係る論点ということで、昨年1225日の第1回特別部会において提出していた資料を、前回の各委員からの御意見を踏まえて、一部修正したものでございます。

 まず、「1 特例の対象及び効果の最初のところでございますが、特例の対象となる者の範囲について、「有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、労働者の雇用の安定を図ることを目的とする無期転換ルールの趣旨に反しない範囲とすることが必要ではないか」という点を付け加えさせていただいております。これは、労使各委員からの御発言、御意見を反映させたものでございます。

 その次の高度専門労働者については、前回と同様、特区法附則で求められている検討事項を書いたものでございますが、その次の高齢者のところが、これも前回の委員からの御意見を踏まえてつけ加えさせていただいたところです。高齢者につきましては、「高齢者(特に定年後継続雇用されている高齢者)を対象にすることについて、どう考えるか」という論点を追加しております。

 次の通算契約期間の在り方については、前回と同じものでございます。

 それから、大きな2の「労働契約が適切に行われるために必要な措置」についても、前回と同じものでございます。

 それから、「3 その他」でございますが、これが追加した部分でございます。これも委員の御意見を踏まえまして、「改正労働契約法の運用に当たり、利用可能期間到達前の雇止めの抑制策の在り方について、どのように考えるか」ということを追加しております。

 資料3については、以上です。

○中山高齢者雇用対策課長 高齢者雇用対策課長でございます。

 引き続きまして、資料4について御説明申し上げます。高年齢者雇用の現状、それから制度の概要についてでございます。

 まず、3ページ目、就業率の推移ということで、年齢階層別の就業率を時系列にお示ししております。特に、この中で上から4つ目、5つ目のグレーの6064歳層、その下のブルーの6569歳層に着目していただきたいと思いますが、2006年4月1日施行の高齢法の改正、これは雇用確保措置の導入が義務づけられたときのものでございます。もちろん、労使協定あるいは、就業規則でのみなしによる対象者基準とか、いろいろなものがありましたけれども、雇用確保措置が義務づけられたタイミングでございまして、このときを機に、特に6064歳層におきましては就業率が飛躍的に上昇していることがごらんいただけるかと思います。

 もう一枚めくっていただきますと、それぞれの形態の割合を同じように年齢階層別で示しておりますが、6064歳層は一番左側の濃い青色の部分でございますけれども、2000年と2010年の間に今の改正があったわけですが、雇用者比率がこの間で非常に伸びている。その一方で、この黄緑色の自営業主、それから黄色の家族従業者については、傾向的に減ってきているということでございます。6569歳層につきましては、6064歳層ほどではありませんが、雇用者比率が伸びてきている。また、その一方で、自営・家従の比率が下がってきているということでございます。

 次の5ページ目は、年齢階層別の人口、雇用者数、自営業主数、家族従業者を時系列で、実数と比率をグラフにしたものでございます。それから、点線から先の部分は将来推計で、この6064歳層の人口がどのように推移するかをプロットしてみたものでございます。先ほど申し上げましたように、2006年と7年の間が改正法の施行ということになるわけでございますけれども、比率が上昇しております。

 その一方で、棒グラフですが、これは人口の総数、6064歳層でございます。御案内のように団塊の世代、1947年~49年生まれの層が入ってくることによりまして、この階層の人口が飛躍的に上昇しております。しかしながら、2012年には1947年生まれの層が6064歳層から出ていったということで、その年齢階層の人口が減っている。これがさらに2015年~20年に大幅に減っていくことがここで示されているわけでございます。

 茶色が雇用者数、黄緑色が自営と家従ということでございます。

 1枚めくっていただきますと、6569歳層について、同じような要領でグラフ化しているものでございます。

 それから、7ページ目でございますが、これは今、見ていただきました6064歳層、6569歳層につきまして、正規雇用、非正規雇用の数の推移をお示ししたものでございます。左側が6064歳層でございますけれども、この2006年の改正を境に実数が伸びている。これは、先ほど見ていただきましたように、団塊の世代が入ってきた効果もあるのですが、雇用者比率自体が上昇していることもありまして、このようなグラフになっております。

 内訳を見ていただきますと、2006年から2007年、茶色のところ、正規雇用が伸びております。8年、9年、その後は横ばい。一方、非正規のほうは、2008年から9年は若干横ばいですが、それ以外は2011年まで傾向的に増加しているということで、非正規雇用の増加がこれで見てとれるかと思います。それから、右のほうは6569歳層でございます。それから、2011年から12年にかけまして6064歳層の総数が減っておりますのは、先ほど申し上げた団塊の世代退出の効果でございます。

 1枚めくっていただきまして、8ページ目でございます。これは、おなじみのグラフかと思いますけれども、高年齢者の高い就業意欲をあらわしているものでございます。これは、60歳以上の男女を対象といたしまして、何歳ぐらいまで働きたいかということで調査したものでございます。65歳くらいまで、あるいはそれ以上が9割近いということでございます。65歳を超えますと、70歳くらいまでから右側で、7割強となっております。

 この高い就業意欲の背景として、実際にどういった理由で就業しているのかを調べたのが、その下のJILPTの調査でございます。一番左側のオレンジのところが経済上の理由でございまして、年齢とともに減少はしておりますけれども、一定のボリュームがあることがこれでおわかりいただけるかと思います。

 続きまして、10ページ目は男性、11ページ目は女性でございますけれども、ハローワークにおけます高齢者の就職の状況でございます。左側が新規求職の申込件数、上段が6064、下が65歳以上で、右側のほうは就職件数でございます。6064歳層で見ていただきますと、就職申込上位のところは、その他の運搬・清掃・包装、2番目が一般事務となっておりますが、実際にどういったところで就職できているかが右側でございまして、件数的に多いのは、自動車運転、保安、清掃となっております。

 一番右側の欄が就職率で、この階層については28.2%になっております。一方、65歳以上層につきまして同じように見てまいりますと、就職率が14.6%ということでございます。したがいまして、ハローワークで就職しようとした場合に、6064歳層と65歳以上層では約2倍の開きがあるということでございます。ちなみに、男性の平均は29.7%ということでございます。

 同じく女性のほうでございますが、こちらは全体が28.5%であるのに対しまして、6064歳層は23.5%、65歳層は13.1%となっております。左側と右側で矢印が錯綜していることから、希望した職種と実際就職している職種が違うという、いわゆるミスマッチが生じていることがおわかりいただけるかと思います。

 さらに1枚めくっていただきまして、12ページでございます。これは、いわゆる61調査、平成25年6月1日現在の31人以上規模の高年齢者の雇用状況でございます。高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は143,070社中の132,067社で、92.3%ということでございます。これは、前年差で5ポイント減っておりますが、25年4月に制度改正等があった関係で、このような数字になっているということでございます。企業別内訳を見てまいりますと、301人以上の大企業では95.6%、中小企業では91.9%ということになっております。これらの法定の措置を講じていない、いわゆる未実施の企業は1万1,003社、7.7%でございます。

 それから、この雇用確保措置を講じている内訳でございますが、下の左側の円グラフをごらんいただきたいと思いますが、継続雇用制度の導入というところが8割を超えているということでございます。

 それから、過去1年間、60歳定年到達者、約37万人おられたわけでございますけれども、この方々のうち、継続雇用を希望しなかった方が22.3%。76.5%の方が継続雇用されておりますが、希望したものの、継続雇用されなかった方が1.2%いるということでございます。なお、25年4月から制度が改正されておりますので、これは旧法の体制下で10カ月間、それから新法施行後の状況で2カ月間ということで、前年との比較がうまくできない状況になっておりますが、こういった状況でございます。

 それから、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の状況を13ページ目でお示ししております。これは、改正法の施行によりまして数字が大幅に動いている部分でございますが、企業規模計で見ていただきますと、65歳以上まで希望者全員という企業は48.9%でございましたものが、66.4%。2社に1社から3社に2社になったということでございます。その内訳を見ていただきますと、継続雇用制度のところが大幅に伸びているということがおわかりいただけるかと思います。また、65歳以上定年についても若干割合がふえているところでございます。

 これらを企業規模別に見ていただきますと、301人以上企業については24.3%から48.9%と、ほぼ倍増しているということでございます。31300人については51.6から68.5%となっております。

 さらにもう一枚めくっていただきますと、14ページ目、60歳定年企業における定年到達者の状況でございまして、60歳定年企業で定年到達者がいる企業というのは、先ほど企業数が14万社近くありましたが、実際に定年到達者がいるのは7万799社でございまして、定年到達者の総数は366,755人。このうち継続雇用されている人は28482人、76.5%。そのうち、子会社・関連会社等での継続雇用者というのが1万5,827人になっております。それから、先ほど申し上げましたように、22.3%の方は継続雇用を希望せず、1.2%は希望したが継続雇用されなかったということでございます。

 それから、15ページ目は、61報告を特別に集計したものでございます。継続雇用期間を6年以上としている企業の状況ということで、現行の労働契約法で有期契約が更新されて無期転換が可能となる一つの目安として、この6年以上の継続雇用期間を設けている企業がどのぐらいあるか、調べてみたものでございます。

 一番上のほうが、雇用確保措置として継続雇用制度を導入し、継続雇用期間を6年以上としている企業数が、定年年齢6064歳層に設定している場合は9,009社あったということです。さらに、定年年齢を65歳以上としている。既にこの時点で雇用確保措置が講じられているわけでありますが、さらに引き続き雇用する制度を設けて、定年年齢+6歳以上まで雇用する企業は3,238社ございまして、合計いたしますと1万2,247社になります。それで、これらの企業で過去1年の定年到達者のうち継続雇用されている方は3万811人ということになっております。

 以上が現状でございます。

 それから、めくっていただきまして、制度の概要ということでお示ししております。

17ページは、高年齢者雇用安定法のこれまでの改正内容ということで、公的年金制度の改正と高年齢者雇用安定法の改正がリンクしながら進んできた。60歳定年の努力義務、それが義務化されて、さらにその次は65歳までの確保措置。まず努力義務化がありまして、その後義務化された。今般の改正によりまして、希望者全員とする仕組みができ上がったという流れが出ているわけでございます。

 1枚めくっていただきまして、高年齢者雇用制度の概要でございます。これは、委員の皆様方、よく御案内と思いますので、省略いたします。

 それから、19ページ目が高齢法と改正労働契約法のいわゆる無期転換の関係を示したものでございます。現行制度下では、高齢者が雇用確保措置の継続雇用制度によりまして、有期労働契約の反復更新による場合、現在、これは無期転換ルールが適用されますので、その際、いわゆる第二定年を定めるようなケースもございまして、この場合は第二定年に達したことによりまして雇用を終了することは可能であることになっております。

 ただ、その際にいろいろな課題もあるということで整理したのが下の2つの点でございます。

 1つ目といたしまして、第二定年に到達することによりまして雇用が一律に終了することになりますので、その年齢を超えても働いてもらいたいと事業主が考えている、また、高齢者本人も働きたいと希望している、そういった個々のケースにおきまして、高齢者の雇用機会を奪うことにつながりかねないといった問題があろうということ。

 もう一つは、60歳を超える年齢を第二定年として設定し、しかも労働者がこの転換権を行使するような場合は、結果的にその年齢まで、第二定年まで無期の雇用ということになりますので、有期雇用を反復更新する中で、高齢者個々人の体力等を踏まえて定期的に雇用の継続可否を判断したいというニーズがある企業にとりましては、この無期転換申込権が発生する5年を超えた継続雇用制度を設けるインセンティブが生じない。その結果、65歳時点で雇止めとなる可能性があるといったことでございます。

 こうした課題も踏まえて、高齢者に係る有期労働契約のあり方について、どのように考えるべきか、今回の論点に詳しく整理したものでございまして、今の点は、この下のほうのチャートにも示しているところでございます。

 資料4の説明は以上でございます。

○大隈労働条件政策推進官 引き続きまして、資料5の説明をさせていただきます。今回、論点に追加いたしました雇止めの抑制策についての現状等の資料でございます。

 1枚めくっていただいて2ページ目でございますが、これは前回の特別部会でも資料といたしましたが、改正労働契約法のポイントの資料でございます。3つのルールのうち、この件に関係するのは、1つ目の無期労働契約への転換のルール、2つ目の「雇止め法理」の法定化になります。

 次のページにつきましても前回の資料でございますが、5年の無期転換ルールの仕組みの資料でございます。今回は、利用可能期間到達前の雇止めということですので、この図で言いますと左半分の5年のうちの更新のときの雇止めの議論になるということでございます。

 それから、4ページ、無期転換申込権発生前の雇止めに関する事例でございますが、これは前回の改正労働契約法案が審議されていた参議院厚生労働委員会の議事録の抜粋でございます。質疑者が質問している内容としては、ある企業におきまして、その年の3月に有期の労働者に対して、契約期間3カ月の更新15回を上限とするというルールを定めたということで、その時点で4年を超えて働いている方々は3月で雇止めになるなどという事例が取り上げられて質問されているものでございます。

 それで、厚生労働副大臣からの答弁でございますが、これはそれ以前の労政審での審議も踏まえたものですが、まず最初に、裁判例の一般的な傾向として、一旦労働者が雇用継続への合理的な期待を抱いた場合に、使用者が更新年数あるいは更新回数の上限などを一方的に宣言したことによって労働者の雇用継続への合理的な期待が失われることにはならない、そういう裁判例の傾向を答弁しております。

 それから、最後の段落ですが、「不更新条項を入れさえすれば雇い止め法理の適用が排除されるといった誤解を招くことがないように、従来の判例法理が変更されるものではないということを解釈通達などを通じて周知徹底を図ってまいりたい」という答弁をしております。

 こうした経緯も踏まえまして、次のページからが実際に周知等で活用しているパンフレットでございます。5ページが「雇止め法理」の法定化の部分の抜粋ですけれども、これも雇止め法理、確立した過去の最高裁判例の内容や適用範囲を変更することなく、労働契約法に条文化したというものの周知でございます。

 次のページにそれを少し詳しくしております。一番上の対象となる有期労働契約のところに1、2として、それまでの最高裁判例、東芝柳町工場事件、日立メディコ事件を書いておりますが、先ほどの国会答弁との関係でいいますと、※2で、労働者が雇用継続への合理的な期待を抱いていた場合の話について、ここで改めて周知しているということでございます。

 それから、次のページで「雇止めの慎重な検討について」ということで、労使の取り組みのお願いということで周知に使っている資料でございます。

 最初のところに、無期転換ルールの導入については、「労働者の雇用の安定を図ろうとするものですが、このルールの導入に伴って、無期労働契約への転換前に雇止めとなる場合が増加するのではないかとの心配があります」とした上で、このため、「雇用の安定がもたらす労働者の意欲や能力の向上や企業活動に必要な人材の確保に寄与することなど、無期転換がもたらすメリットについても十分に御理解いただき、雇止めの判断に当たっては、その実際上の必要性を十分慎重に御検討のうえ、御対応いただくようお願いします」という形で周知を図っているところでございます。

 それから、次のページでございますが、前回もこのページの資料は配付し、御説明しておりますが、無期転換ルールへの対応の検討状況についての施行後の調査でございます。「通算5年を超えないよう運用」するという企業が15%程度。一方で、「何らかの形で無期契約にしていく」という前向きな答えのところが4割程度。それから、「対応方針は未定・分からない」ところが4割弱でございます。

 こうした全体的な状況がある中で、次のページでございますが、先ほどの件と関連いたしまして、フルタイムの有期契約労働者を雇用する企業のうち、有期労働契約の反復更新に係る「上限を設けている」企業の割合が、調査によれば10.1%となっております。こうした上限がいつからあるかを尋ねたところ、「改正労働契約法に関係なく、以前からある」という割合が66%、「改正労働契約法の全面施行に伴い、新設した」ところは3分の1、32.5%ということでございます。全体の10%のうちの30%ほどが「改正労働契約法の全面施行に伴い、新設した」こととなっております。現時点での割合は少ないものの、一部で無期転換申込権発生前の雇止めの動きも見られる実態にあるという状況でございます。

 事務局からの資料の説明は以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきました資料3、4、5につきまして、御意見あるいは御質問を伺ってまいりたいと思います。議論の整理のために、各資料について順番に進めてまいりたいと思います。したがいまして、まず最初に資料NO.3の論点(案)について、御意見あるいは御質問があればお願いしたいと思います。

 では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 前回、部会長から議論の検討項目につきまして絞り込みを行うということの方向性が示されたところであります。極めて短い期間の中で審議をしなければならないという制約があり、企業スポーツ選手という特定の契約類型を取り上げる時間がないという状況感は基本的に理解するところです。しかしながら、雇用機会の多様化を図るという観点から、企業スポーツ選手に関する無期転換のあり方について議論してもらいたいという声が企業から挙がっているということは、改めて申し述べたいと思います。

 もとより企業スポーツ選手は、身体的能力・技術が秀でた方であり、高度の専門的な知識、技術または経験を有する方と理解することができます。年収要件も含め考えるということで、極めて限られた対象とはなりますが、そうした切り口で議論させていただければと思っております。

 以上、意見でございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。今、御意見ということでございましたが、ほかにいかがでございましょうか。新谷委員。

○新谷委員 使用者側委員からは企業スポーツ選手の件について改めての要請ということでご発言がありましたけれども、私どももこれに対する意見を申し上げます。

 資料3の裏面にもありますように、今回の特例の議論は国家戦略特別区域法の附則に基づいて労働契約法の無期転換ルールのあり方について論議を行うことになったという経過でございます。国会で成立した法のプログラム規定に基づくものであり、そうした国会の意思が示されているということは重く受けとめたいと思います。その一方で、労働契約法第18条の無期転換ルールは、昨年4月に施行されてから、まだ1年もたっておらず、法改正しなければならないという立法事実の検証が十分になされていない中で、この見直しの論議が発議されたことについては、まことに遺憾であると申し上げておきたいと思います。

 御承知のとおり、労働契約法は、労働契約に関する基本的な民事ルールを定めるものであり、その規定は労働契約関係にある全ての労働者に適用されるべきでありますので、労働契約を締結する労働者の一部に限って特例を講じることについては、極めて慎重な姿勢で臨むべきであると考えております。今回、論点(案)として示されております高度専門労働者と高齢者の2類型に関する特例の是非を論議するに当たっても、同様に慎重であるべきであると考えております。仮に何らかの特例を講じるということであれば、論点(案)にも示されておりますように、その対象者等は、無期転換のルールの趣旨・本旨に反しない形に限定されなければならないと考えております。

 また、論点(案)の冒頭に記載がございますように、仮に特例措置を講じたとしても、有期労働契約の濫用的な利用につながらない、あるいは対象者の雇用の安定を損ねない範囲に限定していくべきであると考えております。同時に、何らかの特例措置が講じられた場合には、それが使用者によって濫用的に利用されるということを防止するための対策についても、あわせて講じられなければならないと思っております。

 いずれにしましても、本特別部会においては、無期転換ルールを創設した趣旨を十分尊重しながら、論議を尽くしていくべきであるということを改めて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。では、芳野委員、どうぞ。

○芳野委員 有期契約の特例における高齢者の扱いについて、意見を述べさせていただきたいと思います。

 高齢者につきましても、有期雇用の特例の対象とすることにつきましては、慎重であるべきであると考えております。御承知のとおり、昨年4月に改正高齢法が施行されていますが、この法律の高年齢者雇用確保措置は、定年の定めをしている事業者に対して、その雇用する労働者の65歳までの安定した雇用を確保するための措置を講ずるよう義務づけたものでございます。そのため、有期契約労働者は、実質的に期間の定めのない雇用であるとみなされる場合を除くと、60歳などの一定年齢を迎えても、この法律の高年齢者雇用確保措置の対象にはならず、全ての労働者が65歳までの安定した雇用を確保されるわけではありません。

 また、労働契約法第18条の無期転換ルールは、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、労働者の雇用の安定を図ることを目的としていることをかんがみれば、高齢法の高年齢者雇用確保措置の対象外となる有期契約労働者につきましては、当然、労働契約法の趣旨に従い、無期転換ルールを適用して雇用の安定を図っていく必要があり、有期雇用の特例の対象とすべきではないと考えております。

 このように、高齢法の高年齢者雇用確保措置の対象とならず、65歳までの安定した雇用の確保が図られない有期契約労働者が存在するという現状や、有期契約労働者の雇用の安定を図るために労働契約法の無期転換ルールが導入されたという趣旨を踏まえれば、高齢者全てを有期雇用の特例の対象とすることには慎重であるべきであると考えております。

 以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 では、高山代理。

○高山代理 今の高齢者の部分に関して申し上げます。仮にここに書いてありますように、特例の対象となる高齢者が定年後、継続雇用されている高齢者に限定されてしまいますと、例えば中小企業の中には大企業などのOBを有期雇用で採用して、本人の意欲があれば70歳あるいは70歳を過ぎても雇用契約を更新している企業もかなりあると認識しております。結果として、そういう方々の雇用機会が縮小してしまう可能性が危惧されるところでございまして、ここは定年後継続雇用されている高齢者と限定されている印象を受けますので、もうちょっとほかのパターンもあることを御認識いただいて、議論を深めていただければと思っております。

 以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、新谷委員、関連ということで。

○新谷委員 今、市瀬委員の代理である高山さんから、いろいろなパターンがあるとの御発言がございましたが、例えばどういうパターンを想定されて御発言されたのか教えていただけますか。

○岩村部会長 御質問がありましたので、それでは高山さん、お願いします。

○高山代理 先ほどは1つのパターンとして申し上げましたけれども、例えば定年前に転籍するというパターンもありますし、定年後に転籍するという場合もございます。転籍先の中小企業では有期雇用で採用されて、その後も長く活躍するという事例も数多くあると認識しております。また、日本商工会議所でも以前、経済産業省の委託を受けてOB人材マッチングという事業を行っていたことがございますが、企業OBと受け入れ側の中小企業の双方からは、それなりのニーズがあり、この事業を契機に雇用されて活躍されている方々も数多くいらっしゃったと認識しております。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

 では、小林委員、どうぞ。

○小林委員 今、新谷委員から言われた幾つかのパターンというのを紹介したいと思うのですけれども、例えば大企業から中小企業に出向されるケースというのは結構あるのです。年齢的にいくと、50ぐらいから出向されるケースと55ぐらいで出向されるケースがございます。全国中央会でもそうですけれども、例えば55歳の方が出向されて5年間いていただいて、大企業の雇用主の継続雇用ではなくて、うちのほうに転籍していただいて、高齢者の方を継続的に雇用されるケースがあるのです。

 もう一つは、途中で50ぐらいから来られた方が3年ぐらいで戻られるケースもありますし、7年ぐらい出向でおられるケースもあるのです。7年いて、55とか57ぐらいに大企業で一般的に役職定年制というものがよくありますね。例えば支店長級クラスの方がその役職から外れて一般職になるとか、出向されている方も同じような年齢で役職定年の年齢に達した方が、例えばの話、出向元のほうが幾らかお金を出して、出向先も負担して、本人に従来の給料を出す。役職定年になった方は、その段階で給与もがたんと下がるのです。そのときに御本人の希望で、中小企業で受け入れてくれないかみたいな形で転籍される方が結構いらっしゃいます。

60歳のときに定年と同時に転籍されるケースと、それ以前に転籍されるケースがあります。それ以前に転籍されるケースでも、そのときの雇用関係を60までの定年という形で無期雇用という、他の従業員と同じように受け入れるケースと、有期雇用で受け入れるケース、いろいろあります。現場の中小企業で、55歳以上の方を高齢者と言うのであれば、55歳以上の方々を雇い入れているケース、もしくは継続雇用しているケースがあるというのは、数多く聞く実態です。

 そのときに、従来から新卒から採用されて定年退職される方がいらっしゃいます。これがここで言う、特に定年後、継続雇用される高齢者に当たると思うのですけれども、その方を特例という措置で、以前の改正のときに5年継続雇用して、そこでおしまいという形で考えていたのですけれども、継続的に6年以上雇い続けて無期転換のルールが生じる。これを今回見直しをしてくれないかという話があるのです。

 例えば、今後その方が無期転換の対象から外れるということにしますね。そうすると、大企業から受け入れて57歳から3年間の無期の方、これも同じスタートになると思うのです。けれども、57歳から有期契約で雇い入れた方が63歳ぐらいに5年を超えるわけです。この人については、本人の希望があれば無期転換しなくちゃならない形にならざるを得ないわけです。そうすると、どっちがかわいいというわけじゃないですけれども、従来からいた人が無期転換にならない、途中から来た人が無期転換の対象になる。現場では多分混乱すると思うのです。

 ですから、そういう意味で65歳ルールというのをつくるというのを考える余地があるのではないかというのが、多分高山さんの意見だと思うのです。これは、同じように私ども中央会としても、この問題についていろいろ聞いていると、現場ではいろいろな形で高齢者の雇い入れを行っているとのことです。定年制をなくしている企業もありますが、高齢者の雇用継続、雇い入れにはいろいろな形態があるという声は聞いているということでございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 では、新谷委員。

○新谷委員 いろいろな工夫をされて高齢者の雇用の確保を図っておられるというのは承知しておりますけれども、仕事が継続的にあるのであれば、短期の有期契約を反復更新するのではなく、労働契約法第18条の趣旨に従って無期契約に転換させて、雇用の安定を図るべきであると考えます。

 今のご発言の中で、50歳とか57歳という話が出てきましたけれども、では、50歳と48歳との違いはどう考えるのでしょうか。年齢による境目を設けることに合理性があるのか疑問ですし、そもそも労働契約法は労働契約関係にある全ての労働者に適用されるべき民事の基本法規ですので、仮に例外規定、特例措置を設けるというのであれば、非常に限定されたものとして取り扱うべきであるということを改めて申し上げたいと思います。

 その上で、関連しますので、もう一点申し上げたいのですけれども、今のご発言の中で、定年後継続雇用で働く高齢者が5年を超えて有期契約を反復更新した場合に無期転換申込権を発生させないようにしてほしいという声があるというお話がございました。前回、使用者側から、60歳で定年を迎えた後、1年ごとの反復更新で5年を超えた場合の無期転換申込権のあり方についても議論の俎上にのせるよう要望が出されて、今回の論点にも入れられたと理解しております。逆に言えば、継続雇用制度を導入している場合、高齢法の趣旨に従って、希望者の65歳までの雇用が確実に継続されることが、まさしく昨年4月から施行されている高齢法の趣旨であると思っています。

 高齢者の有期契約の無期転換ルールに特例措置を設けるという使用者側のご意見は、まさしく労働契約法上の労働者の権利を後退させる主張ですから、高齢法で事業主に義務づけられている65歳までの安定した雇用の確保が前提となっていないと、今後の論議の前提条件が成り立たないと思います。

 また、高齢法の継続雇用制度については、60歳で定年に達して継続雇用に切りかえる際、継続雇用しないことができる事由として、就業規則の退職事由や解雇事由とは別の事由を設けることは法違反であることは明確になっています。しかし、定年後に継続雇用に切りかわった後の1年ごとの反復更新の際の不更新事由については法の手当てがなされておらず、継続雇用後の雇い止めをめぐる裁判も生じているなど、継続雇用後、65歳になるまでに恣意的な雇い止めが行われるという懸念も払拭できません。こうした、法の趣旨を没却し、65歳までの雇用の確保を潜脱するような雇い止めの防止についても当然論議していくべきだと思っております。

 裁判をすれば、労働契約法19条に従った判断がなされるわけでありますけれども、裁判によらずとも、高齢法の趣旨に従って希望者全員が65歳まで確実に雇用されるという方策についても、当然検討するべきであると思っております。使用者側が、高齢者について特例措置を設けたいというご主張をなさるのであれば、有期契約であっても65歳までは希望すれば確実に雇用が確保されるための方策についても、あわせて論議することが不可欠であるということを申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 では、遠藤委員。

○遠藤委員 使側からお話をさせていただきましたように、高齢者につきましては、括弧書きで書かれている定年後継続雇用されている者よりも広い範囲で議論させてくださいという趣旨です。というのは、まさにこれが、企業の皆様方のお声であるということを改めて申し上げさせていただければと思います。いろいろなパターンがあり得る中で、その場合にはどこまでを対象にするのかということに対し、ただ今、新谷委員がおっしゃったように、客観的にどこに線引きができるのかということを議論しなければならないことの難しさも十分認識しております。最初の段階からターゲットを狭くすることになれば、それは企業さんのお声ではないのだということでございます。

 そういった中で、高齢法の改正のときに議論があったことをいま一度呼び起こしていただきたく思っています。それは、特殊関係事業主という形で資本関係が一定程度あるような場合について、今般の改正で継続雇用の受け皿として対象が広がったということは、皆さん御案内のとおりかと思います。

 その議論の中で、もう一つ受け皿として十分可能性があるものとして、例えば取引先もあったわけでございます。資本関係はないのだけれども、日ごろ取引先として接しているお仕事であれば、その就業環境も含めてソフトランディングは十分可能であるといった選択肢もあったわけでございます。継続雇用という形ではないのだけれども、雇用がつながっていくという形でどう環境づくりをしていけばよいのかということも議論したということは、御記憶にとどめておいていただければと思っております。

 繰り返しになりますが、選択肢を広げることについては、事業主サイドの問題だけではなくて、高齢者の方々の多様な働き方をどう実現するのかということについても、十分寄与する考え方だと思っておりますので、まずは私どもとしては幾つかのバリエーションの中で対象を考えさせていただきたいということを改めて申し上げさせていただきたく思います。

 以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 論点については、今いろいろな御意見が労使それぞれから出たところでございます。きょう御用意している論点(案)の中には、明示的には書かれていないかもしれませんけれども、きょう出てきた御意見も念頭に置きながら、今後の議事運営というものを図ってまいりたいと思いますし、いただいた御意見の中には、むしろそれぞれの論点のところで議論していただいたほうがより適切かというものも含まれていたと思いますので、それはまた改めて、それぞれの論点になったところで御議論を頂戴できればと思います。そういうことで、論点(案)については、きょうお示ししたもので御了解いただければと思いますけれども、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岩村部会長 ありがとうございます。

 次に、資料4でございます。「高年齢者雇用の状況と制度概要」についての御意見あるいは御質問がありましたら頂戴したいと思います。

 では、遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員 今般、資料NO.4ということで、幾つかデータでお示しいただきましたように、60歳前半層あるいは後半層で就業率の高まりということについては、さきの高齢法の改正が貢献しているということはデータ上も明らかになっていると思います。私どもの見方といたしましては、もちろん法律改正が大きな影響を与えてはいるのですが、実はその改正の中身そのものがどういうものであったのかということが、企業現場を考えたときに、こういった結果をもたらしていると考えている視点がありますので、一言申し上げさせていただきたく思います。

 それは、この高年齢者雇用確保措置というのが一律的な対応を求めたのではなくて、3つの選択肢を用意したことであります。さらには、その3つの選択肢の中に継続雇用制度の導入を入れたということです。高齢者の方々の就業実態を考えたときに、その就業率を高めるための枠組みとして、企業現場が選択するには適当な枠組みであったということであり、まさにこのデータの中から読み取れるのだと思います。今後、議論が展開するということではありますが、高齢者の就業実態というのは多様であり、多様である一方で、職域拡大がなかなか広がらないという、今もって企業現場の中で解決できない課題もございます。

 そういったこと等々を考えますと、今般の議論に際し、無期転換のルールにつきましては適用除外していただくことによって、さらなる活用の道を広げることにつながると考えております。使側としましては、決して有期の契約を濫用するという意味ではなくて、前向きな意味でお受け取りいただければありがたく思っておるところでございます。

 以上であります。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 では、先にお手が挙がりましたので、八野委員。

○八野委員 資料4は、制度の概要まで入っていますので、それに関して意見を言わせていただきます。

 今、使用者側から、正社員の転籍をはじめ、さまざまなケースがあるというご発言がありましたが、働き方の多様化という観点からは、有期契約労働者の65歳までの安定した雇用の確保ということもあわせて考えていかなくてはいけないのではないかと思っています。というのは、厚労省の「高年齢者雇用安定法Q&A」のQ1-11に、有期契約労働者を対象とした雇用継続制度の導入についての質問と回答が出ています。それによると、「有期契約労働者に関して、就業規則等に一定の年齢に達した日以後は契約の更新をしない旨の定めをしている場合は、期間の定めの雇用と見なされることがあり、これにより、定年の定めをしているものと解されることがあり、その場合には、65歳を下回る年齢に達した日以後は契約しない旨の定めは、高齢法第9条違反であると解される」とされていますが、その続きでは「有期契約労働者の雇い止め年齢についても、高齢法第9条の趣旨を踏まえ、段階的に引き上げていくことなど、高齢者雇用確保措置を講じていくことが望ましい」と記されているにすぎません。

われわれとしては、有期契約労働者で、60歳以前から同一事業主のもとで有期労働契約を反復更新して、60歳などの一定年齢に達した日以降、契約を更新しない旨を就業規則等で定めているような場合は、実質的には無期雇用と変わらず、期間の定めのない雇用と見なすべきであり、この場合には、契約更新しない一定の年齢については定年の定めをしたものであると明確化し、高齢法の雇用確保措置の対象として整理するべきであると考えています。

 本特別部会は、労働条件分科会の特別部会であるだけでなく、職業安定分科会の特別部会でもありますので、全員参加型社会の実現、高齢者の就労促進という観点と、有期労働契約の雇い止めに対する不安を解消して、働く者が安心できるようにするという観点から、高齢者雇用に関する課題についても議論がなされるべきではないかと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 使用者側から多様な働き方があるという御発言がありましたけれども、本当に多様な働き方がありまして、今、八野委員が申し上げたとおり、高齢法の高年齢者雇用確保措置は定年の定めのある労働者しか対象になっておりませんけれども、ずっと有期労働契約で来られて60歳を迎える方もたくさんいるわけです。こういった方々について実質的に無期労働契約であるという扱いになれば、高齢法の高年齢者雇用確保措置の適用があるということはQ&Aでも示されていますので、ぜひこの明確な整理も検討していただきたいと思います。

 その上で、先ほどの小林委員の御発言の中に、私の聞き間違いかもしれませんけれども、高齢者について労働契約法の適用除外とするべきであるという御発言があったかと思います。資料3の論点(案)の「特例の対象及び効果」の2つ目の○ですけれども、この一文は適用除外のあり方についてどう考えるかということではなくて、通算契約期間のあり方についてどう考えるかということであり、私どもとしては、高齢者を労働契約法の適用除外にするということは全く考えておりませんので、改めて私どもの考え方を申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 ほかには資料NO.4についてはいかがでしょうか。では、鈴木委員にまずお願いします。

○鈴木委員 今、労側の御発言について素朴な質問ということなのですけれども、60歳までずっと有期の方ですと、基本的には労働契約法18条の適用があって申込権が発生する。ただし、ケースとしては、私はこのまま有期でいたいですということで手を挙げない方が想定されるのですけれども、それは5年たった以上はいつでも転換権を行使できるので、政策的なターゲットとしては余り問題とならないのではないかという思いがあるのですけれども、いかがでしょうか。

○岩村部会長 新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 それは、先ほどどんなパターンがあるのかと私がお聞きした背景でもあります。いろいろなパターンがあると思うのですけれども、先ほど使用者側からは、労働契約法の適用除外の範囲を拡大したいという御発言があり、定年後継続雇用されている高齢者だけではなく、もっといろいろなパターンの高齢者まで労働契約法の適用を外したいという御発言があったものですから、私どもとしてはそうではないでしょうということを申し上げたわけです。実質的に期間の定めのない雇用とみなされる有期契約労働者については、当然、高齢法の雇用安定措置の対象とするべきであるというのが、われわれの主張です。

 以上です。

○岩村部会長 少なくとも実際に無期転換権が発生するのはまだ先の話になりますので、そういう意味では、それまでの間は新谷委員がおっしゃったような問題というのはあるのだろうと思いますが、他方で無期転換権が実際に発生する状態になってくると、鈴木委員がおっしゃったようなことになって、必要な人は無期転換権を行使するでしょうねということになると思います。ですので、いつの時点でそういう状況になるかということによって問題の起き方が違ってくるので、二者択一の問題ではないかなと。そういうものではなくて、それも含めて考えていけばいいのかなと思います。

 ほかに、さっきお手が挙がりました高山さん。

○高山代理 事務局に御質問させていただきます。13ページに希望者全員が65歳以上まで働ける企業の状況という調査結果がございますが、調査対象が31人以上の規模となっております。30人以下の規模の企業について、正確な数字は把握していないのかもしれませんが、31300人の68.5%という水準と比較してどうなっているのか、そのあたりの感触は何かお持ちなのでしょうか。

○岩村部会長 では、高齢対策課長、お願いします。

○中山高齢者雇用対策課長 非常に難しい御質問ですが、300人の上と下で比べると、このように、より規模の小さいところのほうが制度の導入が進んでいるということは明らかでございます。ただ、30人の上と下で比べた場合にどうかということは、例えば3人とか4人という企業も多数あるわけで、そういうところまで含めた場合にどのような実態になっているかというのは、正直言って全て把握しているわけではございません。

○岩村部会長 これは、61報告そのものが31人以上しか対象にしていないので、それ以下は報告では把握できていないということですね。

○中山高齢者雇用対策課長 今お話がありましたように、実はこれは労側からも30人から下をしっかりやれというお話がありまして、それに対する考え方は、役所の持っている人員、能力といったものをどこに効果的に投入するかという観点で、統計的にその全数を把握するのではなくて、企業数でいくと非常に多数あるわけでございまして、それら30人以下の企業については、実際、法令違反の状況がわかれば、そういったものを個別的に対処していくほうがより効率的であろうということで、その報告を求める対象は30人を超える企業に限定している。ただ、その部分については悉皆でやるとしているところでございます。

○岩村部会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、論点になったところは、課長からもお話していただいたとおり、30人以下の企業で働く労働者の数は全労働者の3割いるわけですが、現状では、高齢者雇用の実態が全くわからない状態になっています。しかし、30人以下の企業で働く労働者も、当然、高齢法の適用対象になっています。悉皆調査だと行政コストがかなりかかると思いますけれども、サンプリング調査等を行って実態を把握しないと対処しようがないと思います。今回は非常に短い期間ですから難しいかもしれませんけれども、ぜひ実態調査をやっていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。この部会は、高齢法そのものを対象としているわけではございませんので、またそれは高齢法の議論の中で問題を提起していただきたいと思います。

 ほかにいかがでございましょうか。では、山川委員、どうぞ。

○山川委員 2つあります。

 1つは、ごく細かい点で15ページですけれども、継続雇用期間を6年以上としている企業の状況ということで御質問ですけれども、定年年齢プラス6歳以上と、労契法からすれば5年超ということになるのですけれども、6歳以上としたのは統計上の制約か何かということでしょうか。理屈の上では5年超がどうなっているのかということになるわけですけれどもね。

○岩村部会長 では、雇用対策課長、お願いします。

○中山高齢者雇用対策課長 今の件に関しまして、調査の刻みが1年、2年、3年になっていて、5年以上というのは5年ジャストも入ってしまいます。そういう意味で、労働契約法で想定された事象とオーバーラップするという意味で、6年以上がより近似的かなということで、このようなデータにさせていただいております。

○岩村部会長 では、続けて山川委員、どうぞ。

○山川委員 あと、先ほどの論点のところで申し上げるべきことだったかもしれませんけれども、今回、特区法のもとでは一定範囲の高度専門的な知識、技術、経験等を有する者ということだったのですけれども、高齢者につきましても雇用の安定を図りつつも、能力の発揮を図る、あるいは労働力の有効活用を図る。場合によっては、19ページの資料等にかんがみますと、雇用機会がかえって縮小してしまうのを防ぐとか、そういうこともあり得るので、ある意味では共通性を持って検討するべき事項に入るかと思います。

 ただ、この資料NO.3には無期転換ルールの趣旨に反しないということがございますので、この無期転換ルールの趣旨に反しない範囲というのはどのようなものかという点は、先ほど議論がいろいろありましたけれども、さらに具体的に検討していく必要があるのではないかと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 ほかに資料NO.4についていかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○岩村部会長 ありがとうございます。

 次に、資料NO.5「無期転換ルールに関する雇止めの状況等」でございますが、これについて御意見あるいは御質問がありましたらお願いをいたします。

 では、冨田委員。

○冨田委員 私のほうからは、通算契約期間5年超到達前の雇い止め抑制策をこれから論ずるに当たりまして、1点、要望を述べさせていただきたいと思います。

 有期労働契約の無期転換を促進し、5年に到達する前での雇い止めを抑制していくためには、労働契約法第18条にある無期転換ルールだけではなく、有期労働契約が更新されることについて合理的な期待が形成された場合などにおける雇い止めを無効とする同法第19条の規定についても、その内容が労使双方に十分に周知されていることが必要だと思います。そうした意味におきまして、連合では昨年9月に改正労契法の施行から半年がたったということを機に、全国の有期契約労働者、すなわち週20時間以上労働する民間企業の有期契約者1,000人を対象に、その認知・周知の状況等に関するインターネット調査を行ってございます。

 この状況につきましては、1024日に連合のホームページからリリースさせていただいておりますが、こちらの結果を見ますと、無期転換ルールについて、「ルールの内容まで知っていた」という方は全体の12.2%、「ルールができたことは知っていたが、内容までは知らなかった」という方が24.4%いらっしゃいましたので、例えばこれを認知率ということに換算しますと、全体では36.6%という結果にとどまっているという状況でございました。すなわち、6割以上の方は「ルールができたことも知らなかった」という状況であったということでございます。

 一方で、使用者側の方々の認知度はといいますと、前回部会の参考資料3に、JILPTの調査の速報をお示しいただいておりまして、この10ページに使用者側の認知度が記載されております。こちらを見ますと、「改正の内容まで知っている」という方々が63%以上あるという一方で、「改正されたことは知っていたが、内容はよく分からない」、もしくは「そもそもルールがあることを知らなかった」という方が4割に上っています。こうした実態をかんがみますと、労働契約法の趣旨等につきましては労使双方に周知が必要だということが言えるかと思います。

 先ほどの資料4の中でも、法の趣旨については周知徹底を図っていく必要があるという御答弁もございましたので、まずは周知の方法についてもしっかり検討していくべきということを要望として挙げさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

○岩村部会長 御要望ということで、重要な点だと思いますので、事務方にもよろしくお願いしたいと思います。

 そのほか、いかがでございましょうか。では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 まず、転換前に雇い止めが増加するのではないかという指摘につきましては、先ほど事務局の方より御紹介いただきましたリーフレットで、企業としても無期転換がもたらすメリットについて十分理解した上で、雇い止めの判断においては十分慎重な検討を行うということでございます。その趣旨は、使側としても十分理解しており、この点についても一層周知を図っていくことが大切だと思っております。それが第1点でございます。

 また、冨田委員から御指摘ございましたけれども、そもそも雇い止めの判断についても、適正な解釈・理解ということを労働契約法18条とあわせて周知していくということが重要ではないかと思っているところでございます。

 それから、企業側といたしましては、無期転換をする際に期間の定めが有期から無期になることを除いて、その他の労働条件は別段の定めを置くことなく同じにするほうが、場合によっては活用しやすいと考えるところも少なくないでしょうし、また労働者の側からしてみても、これまでの有期契約が勤務地や職種を限定しているようなケースでは、同じ労働条件のほうが働きやすいと思われる方、あるいはそういう条件ではなかなか働けないというケースも中にはあるのではないかと考えます。

 したがいまして、限定型の無期社員を導入・活用しているような企業の好事例を周知することで、雇い止めや、いわゆる正社員に登用する以外の無期転換の選択肢があるということについて広く知ってもらう、理解してもらうことが必要ではないかと思っているところでございます。

○岩村部会長 いずれも貴重な御指摘だと思います。そもそも、この有期契約に関する労働契約法の改正の議論のときでも「ぴかぴかの正社員」という言葉を使っていたところでありますけれども、もともとこの無期転換というのは、「ぴかぴかの正社員」に転換すること自体を想定しているわけではございません。そういう意味で、従来、有期契約で雇われている方の雇用の機会が、少なくとも無期契約のもとで働くという形で広がるというところが大きな狙いの一つとしてあるのだと思いますので、その辺も含めて厚生労働省のほうで周知などを図っていただければと、私からもお願いしておきたいと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。では、山川委員。

○山川委員 法の周知に関しては、割と労使の見解が一致する傾向があるのではないかと思いまして、発言がしやすいのです。その意味では、均等分科会のときにも若干申し上げたのですけれども、いろいろなところで周知の重要性が議論されております。もちろん、この部会でということではないのですけれども、有効な周知というのは一体どのように図るべきかということを、あるいは労使で御検討いただくことも含まれるのかもしれませんけれども、もし将来的な課題としてでもお願いできればと考えております。

 以上です。

○岩村部会長 この部会の所掌ではないのでしょうけれども、一般論としてはおっしゃるとおりだと思います。先ほど冨田委員が指摘されたように、企業側が6割ぐらい、中身も含めて比較的知っているというのは、業界団体、その他を通しての周知というのが、企業のほうがやりやすいということだと思います。他方で労働者側のほうは、組織化されている方々はともかくとして、未組織の、特に有期労働者、実際に有期で働いている方への周知というのは、現実問題として非常に難しいということが大きく影響しているのだろうと思います。その点、どういう工夫が考えられるかということについては、労使も含めて、さらには厚生労働省も含めて御検討いただければと思うところであります。ありがとうございます。

 資料NO.5については、よろしゅうございましょうか。

 その他、全体を通して御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○岩村分科会 ありがとうございます。

 それでは、本日は2つの特別部会の合同審議ということで、新たに論点として追加されました高齢者、そして雇い止めの抑制策ということを中心に議論していただきました。先ほど山川委員からも御意見がございましたけれども、高度専門労働者と高齢者につきましては、確かに同じ有期契約の労働者といっても、その特性は異なるところではありますが、雇用の安定を図りつつ、その能力の維持・向上や活用を図っていくことが重要であるというところについては共通していると考えることができるかと思います。

 こうした視点も踏まえつつ、次回以降、無期転換ルールの特例のあり方も含めて、求められる措置などの論点を深めていくための検討というものを進めてまいりたいと考えております。事務局におかれましては、今日いただきました御意見も踏まえて、論点メモ、それから関連資料をまとめていただきたいと思いますし、さらに検討を深めていく上で必要な資料についても準備していただくようお願いしたいと思います。

 それでは、次回の日程につきまして事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大隈労働条件政策推進官 次回の特別部会の日時でございますが、1月31日金曜日14時からを予定しておりまして、場所についてはただいま調整中でございますので、委員の皆様には追って御連絡さしあげたいと思います。

○岩村部会長 では、よろしくお願いいたします。

 それでは、これをもちまして第2回有期雇用特別部会及び第1回高年齢者有期雇用特別部会を終了させていただきたいと思います。

 なお、議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては八野委員、それから使用者代表につきましては遠藤委員に、それぞれお願いいたしたいと思います。

 本日は、お忙しい中、遅くまでどうもありがとうございました。

 


(了)

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