2014年1月16日 新人看護職員研修ガイドラインの見直しに関する検討会 第3回議事録

日時

平成26年1月16日(木)10:00~12:00

場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)

出席者

(五十音順)
青柳 裕子     (平成立石病院副院長・看護部長)
石垣 靖子     (北海道医療大学看護福祉学部客員教授)
上泉 和子     (青森県立保健大学副学長)
川本 利恵子  (日本看護協会常任理事)
熊谷 雅美     (済生会横浜市東部病院副院長・看護部長)
佐々木 幾美  (日本赤十字看護大学教授)
佐藤 真紀     (広島県健康福祉局医務課専門員)
清水 貴子     (聖隷浜松病院副院長・人材育成センター長)
西澤 寛俊     (全日本病院協会会長)
藤川 謙二     (日本医師会常任理事)
山岸 紀子     (諏訪中央病院副看護部長)
山口 育子     (NPO法人ささえあい医療人権センターコムル理事長)
 

議題

1)新人看護職員研修ガイドラインの見直しについて
2)その他

議事

○島田室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第3回「新人看護職員研修ガイドラインの見直しに関する検討会」を開催いたします。
 構成員の先生方におかれましては、お寒い中、そして、お忙しい中、御出席をいただきましてまことにありがとうございます。
 まず、本日の構成員の出席状況でございますけれども、本日は全員に御出席いただいております。ありがとうございます。
 次に、配付資料を確認させていただきます。
 議事次第の下に座席表をお配りしております。そして、その下からが資料でございます。
 資料1「新人看護職員研修ガイドライン到達目標修正案」。
 資料2、到達目標の細項目作成プロセスの例示についての修正案。
 資料3「新人看護職員研修ガイドライン(本文)修正案」、横置きの資料でございます
 そして、資料4「インタビュー調査結果より」、佐々木構成員資料でございます。
 そして、参考資料といたしまして「抗生物質に関する資料」。これは1枚ものの資料でございます。
 参考資料2「第2回新人看護職員研修ガイドラインの見直しに関する検討会での主なご意見」。
 そして、藤川構成員から御提出いただいております資料と、川本構成員から御提出いただいております資料をおつけしております。
 不足などございましたら、途中でも結構ですので事務局のほうにお申しつけくださいませ。
 それでは、石垣座長、議事の進行をよろしくお願いいたします。
○石垣座長 皆さん、おはようございます。本日も活発な御議論、よろしくお願いいたします。
 早速議題に入りたいと思いますが、議題1の「新人看護職員研修ガイドラインの見直しについて」ですが、前回の第2回の検討会の皆様方からの御意見を踏まえて、事務局に修正案を作成していただきましたので、事務局より説明をしていただきたいと思います。
○島田室長 それでは、資料1~3と参考資料1を用いまして説明をさせていただきます。
 前回、ガイドラインの修正案を作業班の先生方にも御協力いただきましてつくりまして、それを踏まえた御議論をいただきました。そして、いただきました御意見を踏まえまして、今回修正案をおつくりしております。
 まず資料1でございます。到達目標の修正案ですが、前回お示ししております修正部分については、アンダーラインをつけたままでございますけれども、そこからさらに見直しをしているところに網がけをした資料をおつくりしております。
 まず、中身に入ります前に到達の目安の修正をしております。表の左上でございますけれども、★をつけております項目の説明としまして、「1年以内に経験し修得を目指す項目」となっておりましたけれども、前回の御意見では、「経験し修得を目指す」としますと、全てできるという1を目指すかのように見えるのではないかといった御指摘をいただきました。確かにそれぞれの項目、1であったり2であったりといった到達目標にそれぞれそこまで目指していただくことがこの印の意味でございますので、「1年以内に到達を目指す項目」という修正をしてはどうかと考えております。
 続きまして、到達目標の項目の6番でございます。修正内容につきましては、前回お示しいたしましたとおり、「患者・家族にわかりやすい説明を行い、同意を得る」という修正案でございますけれども、修正の理由といたしまして、誤解を招くような表現を避けまして、行動を表現する文言として「『わかりやすい説明』の修正」というのみの修正理由としたいと考えております。
 おめくりいただきまして、3ページの39でございます。「呼吸・循環を整える技術」の中の吸引でございますけれども、吸引の括弧内に部位が書いてございまして、これはそれぞれ難易度がかなり違うので、検討が必要ではないかという御意見をいただいたところでございますけれども、それぞれの項目をさらに細かくするという作業は各施設で必要に応じてやっていただくものという位置づけかと思いますが、その際にやはり難易度がばらばらに示されておりますと整理しにくいだろうということで、括弧内の部位を難易度別、易しいほうから順番に「口腔内、鼻腔内、気管内」という並べかえをしてはどうかということで修正案をお示ししております。
 続きまして4ページです。53番の「与薬の技術」の中の「抗生物質の用法と副作用の観察」のところでございますけれども、抗生物質という用語がもう現場で使わなくなっているのではないかという御指摘をいただきました。これにつきまして事務局のほうでお調べいたしまして、参考資料1をご覧いただければと思います。臨場現場でよく使われております「今日の治療薬」ですとかその他の文献を調べましたところ、参考資料1の上のほうに書いてございますが、後段のほうですが、抗生物質について、現在合成品が多くなったので、通常抗生物質と言わず、抗微生物薬または一部を抗菌薬と呼んでいるということでございましたので、修正をしたほうがいいだろうと考えております。ただ、それをどのように表現するかというところですけれども、抗微生物薬という文言が現場でなじみにくいのではないかと考えておりまして、さらにこの参考資料の下のほうでございますけれども、看護師国家試験出題基準というものを厚生労働省のほうで通知しているところでございますが、この中で、右のほうでございますが、薬物治療にかかる項目ということで抗菌薬、抗ウイルス薬というものを挙げているところでございますので、臨床現場で看護師が取り扱うものとして多い主なものがこの2つであろうという観点から、この53番の項目につきましては、抗菌薬、抗ウイルス薬などの用法と副作用の観察という項目名に修正してはどうかという提案でございます。
到達目標の各項目の前回からの修正部分は以上でございます。
 続きまして資料2でございます。資料2は到達目標の細かい項目をそれぞれの医療機関でどのように設定していただくかといった際に、そのプロセスを例示としてお示ししたものでございます。前回も同じものをお示ししておりますけれども、前回からの修正部分を赤文字で示しております。
 お開きいただいて2ページです。各病院、医療機関等でどのように到達目標を設定するかということで、病院の施設の規模ですとか看護部の理念ですとかそういったものを勘案しながらという考え方を整理して、図示したものをお示ししておりますけれども、前回は2ページの下のほうにありますような高度急性期医療を担う病院の例をお示ししておりました。前回御意見いただきましたのが、今後より新人研修を進めていく医療機関のイメージとしては、むしろもう少し慢性期といった規模が小さいところではないかということで御意見いただきましたので、今回、回復期リハビリテーション病院の例というものをお示ししております。
 こちらのほうは下と比べますと新卒者の数も少なくしており、さらには、新人であっても夜勤になるべく早くお入りいただきたいという医療機関をイメージした例を示して追加しております。
 そして、3ページ以降ですけれども、項目をどのように細かく設定していくかという例を、救急場面のチームメンバーの応援要請というものを例にとってお示ししたところでございますけれども、その中のお開きいただいて4ページ、5ページでございます。詳細さの設定例と難易度の設定例を前回もお示ししておりましたけれども、それぞれ下の表の表現にわかりにくさがございましたので、修正をしております。
 今回お示ししましたところでは、詳細さの設定例としましては、下のほうにパターン1、2、3とございますけれども、どのような行動あるいは理解を新人に求めるのかという詳細さの設定例と、5ページの「3難易度の設定例」としましては、どういった役割を求めるのかといった内容で表現してはどうかということで資料を修正しております。
 6ページにつきましては、4ページ、5ページの修正内容を反映させて、どのような時期に到達すべきものとして設定するかという例をお示ししたところでございます。
 続きまして資料3でございます。資料3はガイドライン本文の修正案でございます。前回検討会でこれまでの議論を踏まえてあるいは文言の齟齬があるような部分を全体見直すべきではないかといった御意見をいただいたところでございますので、事務局のほうでガイドライン本文を頭から見直しをしたところでございます。
 修正部分それぞれアンダーラインを引いておりますけれども、まず「はじめに」のところでございます。3行目の右の端ですけれども、「修得」という表現がございますが、これは全体を通しまして「習う」ではなく「修める」という文言を使っておりますので、「修める」に修正しております。
 それから、その下の「ガイドラインの構成と使い方」のところでございますけれども、先ほど★マークの説明を修正いたしましたが、従前のこちらの案ですと新人の到達目標として「1年以内に経験し修得を目指す項目」という書き方になっておりますが、こうしますと一律1年以内にという表現になってしまいますので、右側にありますように「1年以内に到達を目指す項目とその到達の目安を示した」という修正を行っております。
 おめくりいただいて2ページでございます。こちらのほうはガイドラインの中で研修体制について記述している部分でございまして、4)で「新人看護職員が少ない施設や小規模病院等における外部組織の活用」という説明をしているところでございますけれども、前回地域での連携体制という事例を御報告いただいて、ディスカッションしていただいたところでございますが、その中でその他の医療機関等を活用する場合であっても、自施設での計画が重要といった御議論がございましたので、後ろの2行を追加しております。なお、その際にも自施設における研修計画を立て、その中で外部組織を活用した研修の位置づけを明確にしておくことが重要という文言を追加しております。
 その下でございますけれども、2.新人看護職員研修の内容を示しているところでございまして、1)の臨床実践能力の構造を図2で図示しております部分ですが、こちらにつきましては到達目標の項目の中に死亡時のケアという項目を入れましたので、その文言を図の中に追加をするという修正をしたいと考えております。
 その下の2)到達目標でございますが、こちらの修正につきましては、今、示しております到達目標の各表の表現を正しく反映するという修正を行っておりますのと、それから、先ほどの1年以内に経験し、修得を目指すという部分も修正したものを反映しておりまして、右側修正案の3行目からでございますが、「各項目の到達の目安を4段階で示し、1年以内に到達を目指す項目には『★』を付した。ただし、1年の間のいつの時点で到達すべきなのか、あるいは1年以内に到達を目指す項目ではない項目(『★』を付していない項目)についていつまでに到達することを目標とするのかは、各施設が決めていくものとしている」と修正をしております。
 それから、その下の3番の研修評価の部分ですが、こちらについては前回一度御議論いただいたところでございますけれども、さらに修正した部分を網かけしております。
 2)の評価時期ですが、評価時期についてこれは到達目標を1年で到達という表現が残っておりまして、そうしますと一律1年でという意味合いが強くなってしまうという御指摘をいただきましたので、その表現を削除しております。そして、「評価時期は各医療機関の状況等に応じて設定する」という修正を行っております。
 おめくりいただきまして、4ページ、最後のページでございます。評価方法についてでございますが、前回一度御提案しておりまして、他の職種や患者からの評価としておりました部分ですが、他の職種といっても多くの職種という意味があるだろうということで多くの職種という表現に変えておりますのと、患者さんからの評価といいますと、患者さんがチェックリストを持って評価をするようなイメージになるのではないか。実態はそうではないという御指摘がありましたので、患者の視点からのフィードバックを取り入れることも考えられるという表現に改めております。
 そして、一番下でございますけれども、これは「習得」を「修める」に修正するという御提案でございます。
 ガイドラインの修正案についての御説明は以上でございます。
○石垣座長 ありがとうございました。
 ただいま説明していただいた修正案に御質問や御意見がありますでしょうか。また、ほかに修正が必要と思われることがあったら、あわせて御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。清水構成員、どうぞ。
○清水構成員 かなりの部分を御修正いただいてありがとうございます。何点かあるのですけれども、よろしいでしょうか。
 まず、1つ目ですが、資料1の1ページ目の看護の職員としての基本的姿勢の1の3、倫理に基づいて行動するというところですが、1年目でできるというレベルになっていると思うのですけれども、倫理に基づいて行動するというのを1年目に要求するのはちょっと難しいかなと思ったのが1点です。今、私も臨床倫理に関与しているのですけれども、倫理的なジレンマに気づくとか、そういう言葉のほうがいいのではないかという気が。倫理に基づいてというのは結構上級のレベルではないかなと思いました。
 ほかにも全部言ってしまってもよろしいですか、それとも一個ずつのほうがいいですか。
○石垣座長 続けてどうぞ。
○清水構成員 申しわけありません。
 同じくそのページの13番目なのですけれども、適切なコミュニケーションをとるという表現ですが、この全体を見回してみるとチーム医療という言葉が到達目標の中にどこにもなくて、今、チーム医療がとても重要だと言われているときで、恐らくここがチーム医療にかかわるところかなと理解いたしました。それで表現を例えばチーム医療に必要なコミュニケーションをとることができるですとか、適切なコミュニケーションをとってチーム医療ができるとか、そういうふうな言葉のほうがわかりやすいかなと考えました。
 それが2つ目で、3つ目が19番目なのですけれども、食生活支援というのがちょっとわかりにくいかなと思いまして、ずっと後のほうを見ていますと藤川先生の資料がございましたけれども、例えば、栄養アセスメントということと連動してこられたので、ここはそういうニュアンスで食生活支援なのかがちょっとわからなかったのですけれども、栄養アセスメントといった言葉のほうが、今、NSTなんかもやっていますし、そのほうがわかりやすいのかなというふうに思いました。
 次が29番目、活動・休息援助技術のところですが、関節可動域訓練というのは、これも2で1年目で指導のもとにできるのですけれども、例えばPT、OTでも可動域訓練を2年目でやるというのは結構厳しいかなと思っていて、看護師さんが訓練ができるとなってしまうと、結構ハイレベルかなと思ったので、ここは可動域の拘縮予防とか、そういう表現のほうがいいのではないかと思いました。
 済みません、いっぱいあって、これが最後でした。54番目、「インシュリン製剤の種類・用法・副作用の観察」という言葉ですけれども、これは種類の観察、用法の観察、副作用の観察ではないと思うのですね。インシュリンの種類・用法を理解して副作用が観察できるという意味だと思うのですけれども、もし行動的な表現に変えるのであれば、今のような言葉のほうがわかりやすいかなと思いました。
 以上でございます。済みません。
○石垣座長 細かい御指摘ありがとうございました。
 今、清水構成員から幾つかの御指摘をいただきましたけれども、それについていかがでしょうか。
 藤川構成員、お願いします。
○藤川構成員 29関節可動域訓練・廃用性症候群の予防というのは、もちろん賛成ですけれども、卒業して1年目の看護師が拘縮している患者さんをやるとか、関節の可動域を改善しようとすると必ず痛みを伴うのです。大体一度上げるのに1回涙を流すと昔は言われていたぐらいで、暴力的にやると筋の断裂を起こしたり、骨粗鬆症の高齢者の場合は骨折を起こす場合もあります。やはりここはPTがしっかり行うことがPTの立場としてはそうだろうと、整形外科の立場としても思います。訓練ということではなくて関節の拘縮を予防するということが非常に大事なことかと考えます。
 例えば、足の指を動かすとか手の指を動かすとかそういうことを指導するのは全然構いませ。拘縮を予防するための運動はいいのですが、拘縮しているやつを可動域訓練で改善しようとすると、事故が起こる可能性があります。そこはやはりPTに依頼したほうがいいのかなと思いますので、拘縮予防という表現のほうがベストと考えます。
○石垣座長 ありがとうございました。
 清水構成員と同じくこの可動域訓練というところを修正したほうがいいという御意見でございました。ほかの方いかがでしょうか。
 熊谷構成員、どうぞ。
○熊谷構成員 ありがとうございます。
 臨床で現実どうかという話なのですけれども、多分、この言葉をどういうふうに臨床現場が捉えているか、そこが多分いろいろあるのだろうと思うのです。自分の臨床では、先生方が今おっしゃってくださったことに余り困難さを生じない。その病院のレベルがあるではないですか。例えば整形外科病棟だったら、医師の指示のもとにこれだけは毎日してくれないと困るというのが指示で出てくるわけです。ですから、そういうふうに考えれば、そこに余り困ったなという感覚はなかったのです。
 ただ、例えば回復期リハ病院なんかにおいては、ここをどんなふうに現実的に捉えていらっしゃるかという意見を伺いながら、少し検討するといいのかなというふうには思いました。
○石垣座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
○島田室長 御指摘いただいた点、御説明させていただいてもよろしいでしょうか。
 先ほど13番の項目のコミュニケーションについての御指摘がありまして、チーム医療という文言がという御指摘だったのですが、その上の項目に「チーム医療の構成員としての役割を理解し協働する」というものがありまして、そういったものが同じ項目の中に一応ありますので、その理解、協働するということと適切なコミュニケーションというので表現しているところかと思いまして、先ほど清水構成員から御指摘があったところ、この2つの項目で御指摘のような内容をもともとあらわしていたのではないかと考えておりました。
 それから、また現場での実情などを先生方から御意見いただければと思うのですが、19番の食生活支援を御指摘いただいたところですけれども、こちらはそもそもこの項目を設定した際の意図としましては、アセスメントプラス実際に援助するところも恐らく含めた上での支援、介入するところも含めた上でのこういう表現になっていたのではないかと思いますので、そのアセスメントという表現でそれがあらわせるかどうかといったところは、御議論いただければと思っております。
 それから、今、御意見がありました関節可動域訓練ですけれども、卒業時、前回の第2回の検討会の参考資料3で、卒前の教育の到達度の資料をお示ししておりますが、その中でも関節可動域訓練ができるという項目を設けておりまして、もちろんリハビリ職種と到達レベルが違うかもわかりませんけれども、現場でもこういったことは当然看護師に求められるということで、卒前でも一応教育をしてできるのかどうかということを到達目標の中で示しているというものがございます。
 事務局から事実関係の御説明は以上でございます。○石垣座長 ありがとうございました。
 清水構成員、どうぞ。
○清水構成員 ありがとうございます。
13番についてはその上の12番を見逃していてすみませんでした。
 もしそういうことであれば、この13番はチーム医療に必要なといったような表現のほうが、学習者はわかりやすいかなと思います。ありがとうございます。
19番の食生活支援というのも前の段階を存じませんで失礼いたしました。アセスメントだけでは不十分で、その次の段階まで目指すということであれば、例えばNSTと協働するとか、今、多職種連携がすごく進んで、病院の規模によっても違うかもしれませんが、栄養アセスメントをした上で、どういう栄養献立をつくるのかみたいな、もしくはどういう食生活に限らないかもしれませんが、どういうメニューで栄養バランスをとるのかということは、医師も栄養士さんもいろいろな方がなさっていらっしゃると思うので、その辺をNSTみたいな言葉が入ると、何かもうちょっとわかりやすくなるかなと思いましたけれども、これは皆さんで御議論いただければ結構と存じます。
○石垣座長 ありがとうございます。
 藤川構成員、どうぞ。
○藤川構成員 食生活、食事療法がメインだと思うのです。特に入院中だけではなくて退院した後に継続して病院での食事療法を自宅でしていくためには、本人だけではなくて家族に教育をしないといけないですね。当院では必ず管理栄養士と協力して、入院中の献立の内容を退院のときにプレゼントするのです。それは一つは継続して食事療法をしていただくことと、入院中の患者さんの人生の記録としてお渡しすると非常に感謝されます。
 だから、看護師だけの仕事ではなくて、医師と管理栄養士等々のNSTも含めて協働してやる作業だと思います。食生活支援を現実には看護師さんが一人で行うということは普通ありません。やはり管理栄養士がいる場合は管理栄養士が主導しなって医師と看護師たちが協力してやります。チーム医療の協働作業としての意味を入れたほうが、食生活の支援を看護師さんが楽になると思います。
○石垣座長 ありがとうございます。
 この1年目に対する食生活の支援ということを具体的にどのように考えていったらいいかということなのですけれども、いかがでしょうか。
○山岸構成員 ワーキングチームで話したときにも、この食生活支援の中には幾つかの内容が含まれていて、小さな病院でNSTなどがなかったり、また、NSTがすごく活発に活動されている病院もあったりする中で、いろいろ多職種との連携の中で、先輩の看護師の指導のもとでできるということ、ここは大きなくくりで食生活の支援ということにしたような気が私はするのですけれども、なので各病院のレベルに合わせて、その指導のもとでできるとさせてもらったのかなと思いました。
○石垣座長 必ずしもNSTチームが活動している病院が全てではないというお考えでしたね。あといかがでしょうか。
○川本構成員 この到達目標は恐らくどこでも通用するもので、その基準として、項目が挙がっていると私は理解しております。実際に、各施設がやっていかれるときには、そこの施設施設がそれをかみ砕いて到達目標をまた設定されるということになるかと思いますので、先ほど説明された内容を踏まえると、このような状況になるのかなと私は理解いたしました。
○石垣座長 ありがとうございます。
 今、川本構成員がおっしゃいましたけれども、全ての項目はそれぞれの施設に合わせてということが原則ですので、標準的なものをここに示していますが、あくまでもそれは参考ということで、御自分の施設でそれをどのように運用するかというのは、それをそれぞれが考えてほしいということがこちらの考えでございます。
 ほか、いかがでしょうか。
○山口構成員 先ほどの29番の関節可動域について、痛みを伴うとか骨折する場合もあるというお話が少し気になったのですけれども、先ほど事務局の御説明の中で、この卒業時の到達について拝見しますと関節可動域訓練が指導のもとでできるというのが卒業時にも挙げられています。新人職員研修ガイドラインも指導のもとで1年目にできるということになっていますが、学生にとっての卒業時にできるというのは、具体的にどういうことを指していて、そして、実際に仕事を始めて1年目の到達との違いはあるのでしょうか。
○石垣座長 上泉構成員、佐々木構成員、いかがでしょうか。
○佐々木構成員 学生のときには、ほぼ受け持ち患者さんの可動域訓練について、看護師あるいは理学療法士等の具体的な指示とか指導を受けながら一緒にさせていただくという状況があると思います。1対1の指導体制が割と原則論になっていますので、新人さんのときとはまた状況が若干違うのかもしれませんけれども、そういう中で関節可動域の訓練ということを指導のもとで行わせていただいているということはあるかなとは思っています。
 必ずしも全員がその関節可動域の訓練を実習等で体験するということではないかもしれませんけれども、授業の中では必ずそのことについて確認をしたり、先ほど藤川構成員からお話があったような非常に危ないこともあるのだということもきちんと説明は受けているところになると思います。
○石垣座長 ありがとうございました。
 どうぞ、山口構成員
○山口構成員 だとすれば、この短い言葉で書いてあることで、読んだ人のイメージが結構違ってくるように思います。ここまでできるようにならないといけないのではないかというイメージについて、もう少し誰が読んでもわかるような表現が求められるのではないかと思います。
○石垣座長 藤川構成員、どうぞ。
○藤川構成員 この関節可動域訓練で「・」になっていますよね。ここを少し修正して、関節可動域訓練による廃用症候群の予防とすればいいと思います。正常に動いている関節が拘縮しないようにトレーニングすることは予防になって、そんなに危なくないのです。問題は拘縮しているものを治療しようとすると、関節の癒着や筋肉の癒着をはがさなくてはいけません。それはPTや整形外科医のレベルの仕事で、もともとある程度動いているのがだんだん寝ていると拘縮していくのです。1週間寝ていると足首でもすぐに拘縮します。それが拘縮しないようにするときは正常に動きますから、そんなに危険性はないのです。だから、関節可動域訓練による廃用性症候群の予防とすると、看護師さんたちも意味がわかるのです。動かないものを動かすのは治療行為ですから看護師にはさせてはいけません。リハビリで治療後ある程度動くようになった。しかし、また1日そのまま三角巾していくと拘縮するのです。巡回したときに、予防行為として少し動かしていたほうがいいですという指導をするというのが看護師さんの仕事ではないかと思います。
○石垣座長 ありがとうございます。
 「による」という言葉を入れたほうがいいということです。
 熊谷構成員、どうぞ。
○熊谷構成員 この新人看護職員の研修のガイドラインそのもののスタンスとして、この研修が努力義務というところがあります。医師は義務化なので、臨床研修をする病院も規定されていて、だからこそ医師の修得すべき中身は、細かく私はできると思う。どこに行っても同じことができるはずです。ただ、看護師の場合はまだ残念なことに努力義務ということで、さまざまな病院で研修を受けなければならない。
 そんなときにさまざまな病院がこれを見たときに、自分の病院でおろしていけるような取り組み、ここだったらできるということがある意味表現のほうが、私は看護師の場合のガイドラインとしては非常に必要なことだと思うのです。
 今、先生方から御指摘いただいた、例えばすごく大きなところについては、次の資料で出ている、事務局から御説明があったようにそれ一つとって、自分の病院はどうするのかということをこの難易度や詳細さを設定していくというのが、このガイドラインの仕組みだと私は理解しているので、今、御指摘いただいたところはそれぞれの施設が考えていけばいいのではないかと考えております。
○石垣座長 西澤構成員、どうぞ。
○西澤構成員 このガイドラインの到達目標は、言葉としては狭い、確定的に書いていますが、実は、この新人看護職員の研修とはどういうものかというと、この基本的な考え方の中にありますが、これは全職員で支え合うとか、理念で書かれていますし、それから、研修体制の中にも専門的なことは研修自体が医療機関で他職種との連携のもとで研修を行うとか、すなわちこれは看護部だけの話ではない、大きく言えば病院全体で研修をするということです。ですから、先ほどの可動域等々であれば、その病院リハスタッフとかドクターが係ることができますし、栄養のところは当然管理栄養士が絡んで、教育に入っていくということだと思います。ですから、看護部だけの研修と見るとちょっと違和感がありますが、多くの職種が協力しながら、その病院の中での、チーム医療の中での看護職としてどこまでするのかだと思います。
 例えば可動域等々であれば、そこでは医師、リハスタッフ、看護師みんな絡むわけですから、それぞれがどういうふうに絡むか、そういう中で考えるべきで、そのための教育のガイドラインだと思います。そういうことではここでは書いた内容としては、最初に理念とか研修の基本的なことは書いてありますので、それを前提にして具体的なことを書いているという捉え方をしたほうがいいのではないか。これは看護部だけの研修だと見てしまうと、ちょっと誤解を生むのかなと、そういうふうに今、議論を聞いていて感じました。
○石垣座長 ありがとうございます。
 川本構成員。
○川本構成員 恐らくこれは項目で出しているので、なかなか具体的なところになるといろいろなことが含まれてきて、イメージがいろいろなことが起こってきているのだと先ほどの議論から感じ取りましたが、教育の際には各項目の中に詳しくその技術の内容が書かれております。その関節可動域訓練とか廃用性症候群の拘縮予防も訓練の項目の中に拘縮予防からレベルの高いものまでずっと入っているのです。恐らく現場でガイドラインを使われるときにはそういう教科書等を参考にされながら、より詳細に設定されていかれるかと思いますので、危険がないようにというのは基本的に皆さん御理解の上での計画になるかと思います。しっかり教科書を見ながら確認し、つくっていくべきということをガイドラインでも少し補足できれば、その辺がカバーできるのではないかと思います。
○石垣座長 ありがとうございます。
 青柳構成員、いかがですか。
○青柳構成員 私どもの民間の病院もそうです。回復リハのPT、OTさんがしっかり現場で教育する。それに使ってのトランファーだったりベッド移動だったりする部分は看護師さんに連携をとっていくという、あくまでもこの新人研修の部分はガイドラインですので、自分の病院に合った具体策をつくっていくと理解していますので、大きく文言が来た部分を細かくやってしまうと、次どうするの、どうすると、病院によってはいろいろな部分が出てくると思います。それは私も理解していますので、これだけを読むとえっと思うかもしれませんが、回復リハビリの人たちがいる。それを看護師さんが指導しながら、患者さんを中心にものを見ていくという部分でいいのではないかと理解しております。
○石垣座長 ありがとうございます。
 清水構成員、どうぞ。
○清水構成員 ありがとうございます。
 皆様の御意見を伺っていて、医師の研修目標もそうだったのですが、新人看護師さんがご覧になって、彼女、彼らたちが自分の1年後のあるべき姿がイメージできるものがいいと思うのです。そのような表現がいいと思うのですが、先ほどの食生活支援の内容はわかりましたけれども、彼らたちが1年後に食生活支援の何を自分ができればいいんだろうかということがわかりにくい。それは別のものに書いてあるから、そっちを見ましょうでもいいかもしれないですけれども、とりあえずはこの紙をもって彼女たちは働くわけだから、そのときにわかるほうがいいのかなと思いました。
 それと同じ意味で関節可動域訓練も、自分は1年後に誰かに見てもらえれば可動域訓練ができることになっていなければいけないと思うのだとしたら、ちょっとそこはハイレベルかなと私は思いました。
○石垣座長 ありがとうございます。
 この技術の項目に沿って、各施設では看護手順をつくります。看護手順の中には先ほど川本構成員がおっしゃいましたが、かなり具体的な動作からどこまでできるというところまで書いてあります。1年目は大体看護手順をもとにして教えられ、それで実践するということになっていると思いますが、いかがですか。
 山岸構成員。
○山岸構成員 私のところの病院の例で言いますと、この技術の項目が技術だけで70項目あるものを、もう少し詳細に落として200項目ぐらいにチェックリストとして、技術の部分はつくりかえているのです。なので関節可動域のところも関節可動域の訓練と廃用性症候群のところは項目を分けて、そして、詳細な項目に落として、新人たちにチェックリストとして渡して、自分たちが経験したらつけるとか、先輩とケアをしたときに自立になると、そこをチェックしていくということ。
 それをもとにまた各単科、整形外科病棟だったり循環器病棟だったりすると、そこをまた落とし込んでいくということをしています。多分このガイドラインではすごく細かいところをつくるのは、全体としては非常に難しいのかなと思うので、現場の者としたら、ある程度大まかな項目にしていただいて、そして、各病院で落とし込んでいかせていただくほうがすごくありがたいなと思っています。
○石垣座長 どうぞ、清水構成員。
○清水構成員 皆さんがやっていらっしゃることがわかっているつもりでお話ししているのですけれども、落とし込んでいったものはいいとして、それでもなおかつ1年目に新人看護師さんがROM訓練までできるようになるというのは、ハイレベルではないかなと私は思うのです。
 先ほど藤川先生がおっしゃったけれども、リハビリの訓練士が一生懸命頑張っても、1年目にROM訓練が指導のもとでできるようにはなかなかなれないと思うのです。だから、そういう意味で申し上げているだけであって、皆さんが落とし込んでいくので細かなことは要らないというのはそのとおりだと思いますし、ここに書かれているのは、私のこの項目自体は最終的なアウトカムの姿が出ているだけだと思うので、このアウトカム自体が1年後に、今年の4月に卒業した新人看護師さんが来年の3月にROM訓練を誰かに見てもらえばできるようになるというのは、それはちょっとハイレベルではないかと思っているだけなので、それの中については全然私は全く言及するつもりはございません。レベルとしてちょっと高級なのではないかと思うところです。
 だから、学生さんだと卒業時の到達目標がそこにあるというのも、ちょっと違和感があるといえば違和感があります。
○石垣座長 川本構成員、何かありますか。
○川本構成員 先生の御指摘、御心配はもっともだと私も思います。
 食生活支援と関節可動域訓練はそれだからこそ★印がついていないのではないかと思っているのです。むしろ1年以内で目指してはいけない項目となっているので、私は先ほどの食生活と関節可動域訓練とはより慎重なレベルの項目かと受けとめておりました。
○石垣座長 この項目についても皆様方からいただいた御意見をもとに、また事務局でも考えてみたいと思いますが、そのほか最初、清水構成員が御指摘をされた例えば54番のインシュリンなどは少し解説を加え、何を理解しということを加えるだけですけれども、最初の3番目ですが、この倫理のことに関してはいかがお考えでいらっしゃいますか。○上泉構成員 倫理のことにつきましては、私はこの倫理に基づいて行動することは新人であっても求められると思います。むしろ倫理的なジレンマに気づくとかあるいは倫理的な判断をすることのほうが非常に難しいわけでして、指示によっても、また誰かの指導によってでも、その倫理的な判断に基づいて自分が行動するということであれば、行動そのものは特に技術を要するものではなく誰かに伝える、あるいはその判断に基づいて行動するということですので、必要な部分だと思います。
 また、基礎教育においてもこの点については倫理に基づいた行動は指導しているところですので、このままでいいのではないかと思います。
○石垣座長 ありがとうございます。
 藤川構成員、どうぞ。
○藤川構成員 日本医師会で私は倫理担当をしていますが、看護師さんが卒業式のときに読み上げるナイチンゲール誓詞があります。あの中に十分すばらしいことが書いてあります。1年目で看護師さんにわかりやすく理解をさせようとすれば、学ぶべき倫理をナイチンゲール誓詞に基づいてすると、その意味がわかるのかなと思います。もちろん正しいことをきちんと道に外れないことはわかるのですが、倫理と言われるとものすごくかた苦しく、日常使っている看護師さんのレベルでは、ナイチンゲール誓詞を卒業式と入学式のときだけ読むのではなくて、日常の看護師の行動の中にきちんと生かされていることを実感するためには、1年目できちんとナイチンゲール誓詞に基づいた行動をすることをなし遂げていただければ、我々医師側としてもヒポクラテス精神で対応できると思います。
○石垣座長 これは各施設によりますが、日本看護協会が出している15項目の看護職の倫理綱領があります。それはまさしくナイチンゲール誓詞の精神も含まれていますが、各施設でかなりこの倫理綱領は広く浸透していると思います。その第1番目に患者の尊厳と権利を尊重するという文言があります。ですから、この「人として尊重する」、すなわちケアする対象は人間である、それも固有の価値観とか思いとかその人の特有の事情を持った人なのだということを踏まえてケアする。これは1年目のときから非常に大事な考え方で、倫理といっても非常に幅が広く、専門に教育を受けた人でなければ判断できないようなこともたくさんあると思いますが、まず、ケアする者として相手を人間として尊重するということは、1年目の最初のところから必要ですし、倫理綱領をもとに私たちは指導し、それを大事にしているつもりですので、この文言で看護職はわかると思います。
○藤川構成員 倫理綱領としたらだめなのですか。日本医師会も医の倫理綱領というのを定めています。
○石垣座長 必ずしも倫理綱領というのでなくてもっと基本的なところなので、それは多分専門職である以上、生涯をかけてずっと育てていかなければいけない、その基本になる、相手は固有の人間なのだという、そのことを大事にしましょうということがこの項目に含まれていると思います。これは一つ一つが4項目~6項目に分けて書かれています。それを参考にしながら各施設でこれを活用していると思います。
 上泉構成員、どうぞ。
○上泉構成員 倫理の中の一つの例ですけれども、学生も実習の際に患者さんにとって不利益なことを目撃した時など、倫理的な行動に基づいて、自分みずから言っていくということは学生のときからすべきことであります。重大な倫理的意思決定といったものから、ふだんの実践の中に起こってくる倫理的行動も含まれるわけですから、そういう点ではやはりここはこのまま残しておくほうがよろしいのではないかと思いました。
○石垣座長 清水構成員、どうぞ。
○清水構成員 ありがとうございます。
 おっしゃっていることのとおりということであれば、そうしたら新人の看護師さんたちはこの文章を読んで全部わかるのかもしれないのですけれども、私がこれを拝見して想像したのは、例えば安楽死問題とか高齢者の胃ろうをどうするかとかそういう話をイメージしたのです。おっしゃっていることが基本的な職業人としての職業倫理ということであれば、新人の看護師さんたちがそのとおりイメージできるのであれば、それでよろしいのかもしれません。ただし、ほかの人が読むともうちょっとハイレベルの、倫理コンサルテーションに持っていかなくてはいけないことまで想像してしまうのだったらば、ちょっと書き加えたほうがいいのかもしれないと拝聴して思いました。
○石垣座長 山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 倫理は基本というお話を伺っていて、私どもに届いたこれまでのさまざまな電話相談のお話を思い返していたのですけれども、もしかしたら1年目の看護職員のほうが倫理的な行動ができるのではないか。むしろ10年、20年たってできていますかと問われたときに、できない人が出てきていることのほうが問題ではないかなという気がしました。
 1年目の到達目標ということなのですけれども、できれば倫理に基づいて行動し続けるとか継続性があるという文言にしていただいたほうが現実的に意味があるのではないでしょうか。できるかどうかわかりませんけれども、患者の立場からはそんな気がいたしました。
○石垣座長 ありがとうございます。
 西澤構成員、どうぞ。
○西澤構成員 今、聞いていても倫理という言葉の捉え方が本当にさまざまだなと。その言葉の定義づけあるいは深さに関して違うと思いました。倫理というのは看護職としてとありますが、例えば我々医療人全部の倫理で、病院であれば病院の倫理というのがあります。我々も病院の理念・目標等に倫理に基づいて行動するということを書いていますが、実際どうなのかというと本当に清水先生言うように、倫理を専門的に議論し、それに取り組めば取り組むほどだんだんわからなくなるとか、より深さがなくてはならないということになります。そうすると、極端に言えば、我々一生涯何十年やっても、もしかしたら倫理というのをしっかり把握しているかといわれたらそれも疑問があると。それぐらい難しいことだと思います。
 それはそのとおりですが、やはり少なくとも新人として、倫理を掲げて、倫理はこうですということを理解しようとして行動するというのであれば、これは当然医療人として必要だという思いで書いていると捉えたほうがいいのかなと思います。深く言えば1年目で無理だというのもありますが、1年目からこういう倫理を少しでも理解しようとして、それに基づいて行動しましょうということで書き込んでいると私は捉えていいのではないかと思います。
 そのあたりは1年目で倫理は全て理解したというのでは絶対ないと。これは我々医療人として仕事を続ける以上、常にこれを考え、悩みながらやっているということ前提でよろしいかなという気がします。
○石垣座長 ありがとうございました。
 川本構成員、どうぞ。
○川本構成員 先ほど御紹介いただきましたように、日本看護協会はこの「看護者の倫理綱領」をホームページ上で公表させていただいております。そこにいろいろな使い方とか理解しやすいように漫画の事例で示したりしているのですけれども、アクセス数がかなりあります。山口構成員からも先ほど御質問がありましたが看護者達も継続してお勉強し続けているのではないかと理解しております。
○石垣座長 ありがとうございます。
 さて、清水構成員からいろいろ問題提起をしていただきましたので、より内容が深まってきたと思いますが、そのほかいかがでございましょうか。
 山岸構成員、どうぞ。
○山岸構成員 清水先生のほうから御指摘のあった54番のインシュリンのところなのですけれも、私も御指摘のように製剤の種類・用法・副作用の観察とありますので、やはり用法を理解し、副作用の観察を行うとか入れたほうがよかったなと思いました。ありがとうございます。
○石垣座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 いただきました御意見はまた事務局で整理していただくことにいたしますが、ほかにございませんか。次に進めてもよろしいですか。
 上泉構成員、どうぞ。
○上泉構成員 到達目標ではないところでもよろしいのでしょうか。
○石垣座長 いいえ、どうぞ。
○上泉構成員 ガイドラインの修正案のところなのですけれども、一番最後のページの評価方法のところにフィードバックのことが書かれてあるのですが、実はこのガイドラインにおきまして新人看護職員がすべき役割というのが自立して個人の今後の目標を定め、主体的に研修に参加するということが新人の役割として書かれてあります。
 それでこの評価方法のところに例えば3に続いて、評価結果に基づき、今後の目標を自分で立てたり、今後の目標や研修の計画を立てることを支援するといったところに結びつけるのはどうかと思ったのです。
○石垣座長 4ページですね。
○上泉構成員 4ページの評価方法の3ですが、「評価は、その時にできない事を次にできるようにする」とあります。フィードバックによって、次の行為につながるようということがあるのですが、やはり大事なところは新人看護職員が自分から主体的に自分の未経験項目を評価して、そこからさらにこれからの目標やその目標を主体的に自分で学習していく、修得していく計画を最後の評価のところでつくるということをここに入れ込んではどうかなと思ったのです。
○石垣座長 いかがでしょうか。新人自身が今の状況を判断し、そして、次の目標につながるような、あるいは考えられるようなことをここに追加してはどうかという御意見でございました。どうぞ。
○藤川構成員 今の御意見に賛成です。結局、医師の場合は2年間ですが、その後、後期研修をやって専門医資格をとるのに頑張るわけです。その後も生涯教育として医師会としてもやっていますので、看護協会のほうも継続教育という形をとっています。やはり1年目で終わるわけではなくて、1年目で到達しないところが出てくるわけです。2年かかる人も3年かかる人もいるわけですので、その後の継続的な教育をしていくためにも、本人が自覚して2年目以降もこのガイドラインを上手に使って修得していくという文面を入れたほうがいいかなと思います。
○石垣座長 さて、いかがでしょうか。この評価をどこに書いたらいいですかね。
○青柳構成員 これは新人職員ガイドラインのあれですよね。今、継続して個人個人が自分の作業をするための勉強をこの中に入れるのですか。
○石垣座長 評価の中に。
○青柳構成員 評価の中に入れていく。
○石垣座長 自己評価をきちんとできて、しかもそれが次にどうつながるかということ、本人が次の目標が立てられるようなという御意見でございました。
 ガイドラインの16ページに研修の評価というのが書かれています、評価の時期と評価の方法というのがあります。評価は自己評価という言葉であらわしているのですが、その内容をもう少し次につながるような内容にしたほうがいいという御提案でございました。
 佐々木構成員、どうぞ。
○佐々木構成員 私も今の御意見には賛成で、確かに自己評価してできている、できていないというところが割と多いのですけれども、ガイドラインの5ページのところに先ほど上泉構成員がおっしゃってくださった新人看護職員の1で、それぞれの役割を下に示すところを恐らく取り上げて強調していただいて、自立して個人の今後の目標を定め、主体的に研修に参加することが期待されるところを、この評価の中でも明確に出してはどうかという御意見だと思いますので、その辺はとてもわかりやすいのではないかと思いました。
○石垣座長 ありがとうございます。
 そのほか修正が必要だと思われるような箇所が。清水構成員、どうぞ。
○清水構成員 いただいた資料の4ページの、今の資料3のガイドラインの4ページの評価方法の3)の4です。「総括的評価は、看護部門の教育担当者又は各部署の所属長が行う」という総括的評価の意味合いは、1年たった時点であなたはこの新人看護師ガイドラインのこれぐらいは到達してほしいということを示して差し上げるのでしょうか。
 質問の意味合いは、通常は医学教育学では、総括的評価というのは合否を決定するときに使うので、例えば免許をもらえる、もらえないといった意味合いで使いますので、どういう意味合いでこの総括的評価というのをお使いなのかなと思ってお聞きいたしました。
○石垣座長 いかがでしょうか。上泉構成員、どうぞ。
○上泉構成員 予想するにプログラムの評価も含めたものということで総括評価としたのではなかったでしょうか。違いますか。
○石垣座長 佐々木構成員、どうぞ。
○佐々木構成員 私もそのときの状況は余り明確ではないのですけれども、そもそも途中途中の評価が形成的評価という意味で使われているということであれば、一応研修期間がそれぞれの病院で1年であるとかもう少し長く設定する病院もあるかもしれませんけれども、研修を終えた時点での総括としての評価ということで、必ずしも合否ということでないのですけれども、研修を終えた時点での総括的な意味で、それは担当者や所属長が行い、その場合には終わりましたという修了証を出すということも提案されるという意味で、私自身は読んでおりましたが、そのような理解でよろしいかどうか、またちょっと教えていただければと思います。
○石垣座長 さて、いかがでしょうか。
 山岸構成員、どうぞ。
○山岸構成員 私も正しく理解しているかどうかが不安なのですけれども、私のところでは1年目が終わって、もちろん自己評価でチェックリスト、技術的なこと、態度とか姿勢のところを確認し、そして、3カ月ごとぐらいに形成評価として、振り返りをしてもらいます。そして、1年が終わったときに病院の中のラダーみたいなものがありますので、あなたは2年目のここを目標にしていきましょうと所属長と面談をして2年目に上がっていくと私は思っておりました。
 もう一度1年目の研修をしましょうという子はそれほどはいないのですけれども、そこの面談の中でまだ夜勤に入れないとかいろいろなことがあるので、全体を総括してみて、2年目の目標に向かいましょうかとか、2年目の研修に入っていきましょうかということを所属長と面談してもらっているのが現実です。合否まではしていないのですけれども、そんなふうな意味合いで私はとっていました。
○石垣座長 ありがとうございます。
 川本構成員、何かありますか。
○川本構成員 すみません。評価という言葉がある限りはゴールがあるわけです、目標があるわけですから、目標がどうだったかということで評価という言葉を使っていらっしゃるかと思います。教育学的に言うと、先ほど佐々木構成員からありましたように、形成的評価、総括的評価といつも設定されております。評価時期がこのガイドラインがつくられたときに細かく設定されておりますので、恐らくこれを形成的評価、最終的にゴールにどうだったかという意味で総括的評価をしたらどうかということで、ここでは書かれたのではないかと私は理解しました。
○石垣座長 熊谷構成員、どうぞ。
○熊谷構成員 看護師の場合は今、研修が努力義務で、ただ法律改正があって、その人確法の中にこの研修は組織としてやりなさいと。その開設者が責務として研修を受けさせなさいという改正がありました。なので組織としてやる以上、1年間のプログラムを用意して、そこが本当に修了できるか。それは1つは評価をする必要があるだろうと私は理解しています。ですから、1年終わった段階でプログラムが修了していいかどうかという評価が必要だと思います。
 それから、16ページのガイドラインの評価方法の中に、2には到達できたかどうかの総合的な評価をしなさいということがあって、4の評価は総括的評価をしなさいと2つがあるのです。私がこの総括的評価に入れ込んだものは、先ほど上泉構成員がおっしゃったように、新人さんがどうなったかというジャッジの評価と病院が考えて行ったプログラム、教育担当者の指導そのものを、責任者である看護部の管理者であるとか施設の院長等が評価をしなさいという意味だと捉えてやっております。
○石垣座長 ありがとうございます。
 まだ御意見がいろいろおありと思いますけれども、今までいただいた御意見はまた事務局のほうで整理していただくことにしまして、次の議題に進んでもよろしいでしょうか。
○佐藤構成員 すみません、資料2について質問と意見なのですけれども、2ページ目です。今回、回復期リハビリテーション病院の例を追加していただいてありがとうございました。
 もう一点、ここの中につけ加えたほうがいいかなと思う内容としまして、到達目標設定の際に考慮する項目がオレンジ色で書いてある項目だと思うのですけれども、その最後の到達目標を設定する前の矢印のところに看護師さんの顔があって、施設に合わせた到達目標を検討ということがあるのですけれども、ここに多分、そこの病院でよく経験できる項目だったりとか、早く到達してもらわないと夜勤に入れない状況とか、そういうものの検討の視点がもう少しあるのではないかと思っていまして、目指す看護職員像を明確にするところまでの検討の視点はいっぱい書いてあるのですけれども、その最後の到達目標を設定するところの検討の視点か明記されていないように思うのですが、いかがですか。
○石垣座長 右のほうに例として、技術的側面の例示がしてあります。
○佐藤構成員 それに至った検討の視点というのが具体的に書かれていないと思うのです。例えば、上の4、5、6の技術が到達の目安を下げられているのだと思うのですけれども、その下げられた理由はどこから来ているのかというのが、もう少し明確に示されたほうが使いやすいのではないかという意見です。
○石垣座長 例えばどういうことを加えたらよいとお思いになりますか。
○佐藤構成員 先ほど1つ言ったのは、学校の病院で特に経験がよくできる項目を洗い出してみるとか、そういうところを施設に合わせた到達目標検討の下に視点のようなものを挙げたらどうかと思ったのです。
○石垣座長 具体的な修得する項目を入れたほうがいいという。
○佐藤構成員 病院の中でこの回復期リハビリテーションならではの体験できる技術項目が何なのかとか、逆に経験できない項目は何なのかということを洗い出した上で、このレベルは下げるべきだとか上げるべきとなっていくのではないかと思ったので、そのあたりの表現がないかなと思ったのです。
○石垣座長 施設に合わせた到達目標を検討するというこの文言の意味なのですけれども。
○藤川構成員 結局、ガイドラインがあっても自分の医療機関では必要でない項目があります。ICUとか救急手術もやっていない内科の慢性期の医療機関の場合には、必要でないから項目から落として各医療機関で設定していくのだろうと思います。
 だから、今、言われたのはそれを1年以内とか2年以内にどこで研修するか。その辺が微妙でその看護師さんが任意で将来的に急性期に移る可能性がある人はもちろんやっておかなくてはいけないけれども、もう自分は慢性期のほうで働いて、福祉のほうでも活躍したいと思っている人からすれば、あえてそういう急性期の研修を1や2まで挙げる必要はないのではないか。そこは看護師さんの進む自由意志をある程度尊重してあげる、それから、医療機関としても必要でない項目を無理やり勉強やらせるということは、時間的ロスではないかという意味でランキングを下げているように理解しています。
○石垣座長 これはランキングを下げているという意味は、私は全くなかったのですけれども、例えば、回復期リハだったらこういう例があるということで、今、施設に合わせた到達目標の検討というところは、あくまでも施設の規模や機能、看護部の理念、それから、目指す看護職員像が明らかになって初めてこれが出てくることですので、ここにどれほどの詳しいことを入れるかというのは、施設に合わせて、その施設が考えていかなければいけないことなのだと思うのです。
 ですから、あくまでもこの規模・機能、看護部の理念、目指す看護職員像というところで先ほど佐藤構成員がおっしゃったことも、ここに含まれてくると思うのですけれども、いかがでしょうか。実は時間がかなり押しておりまして、次の項目、佐々木構成員のヒアリングのインタビューの内容もぜひお聞きいただきたいと思いますので、もしさらに御意見がありましたら、ぜひ事務局のほうにお寄せくださいますようにお願いいたします。
 少し中途半端ですけれども、次の項目に移らせていただきます。このたびまた佐々木構成員が、新人看護職員推進に関する課題のところです。中小規模の病院に対するインタビューを行ってくださいまして、その結果を情報提供していただきたいと思います。いろいろありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○佐々木構成員 資料4をご覧ください。
 ガイドラインに沿った研修を行う上での困難・課題と今後の方向性というあたりで、インタビューを実施させていただいたものを紹介したいと思います。
 インタビューは前々回に紹介したそれと合わせてですけれども、今回は特に病床数の比較的小さい規模で、一般病床だけでなく療養病床や精神病床を持っているような、あるいはそこだけの施設などを中心に御報告させていただいております。こちらは看護部長の2部門の長もしくは教育に携わっている方々を中心にインタビューさせていただいて、いずれの施設もガイドラインの公表後に体制や内容の見直しを行っていたという施設です。本来はガイドラインに沿った研修を行っていない施設をターゲットにインタビューしたかったのですけれども、いろいろなネットワークで紹介いただいたり、電話をかけたりしながらお話を伺ってみると、例えば研修事業に参加はしていないのだけれども、実際にはガイドラインを見て何とか新人を育てようということで、沿っているかどうかというあたりは微妙のところもあるかもしれませんが、必ず大体研修を行っている状況がありましたので、そういった状況の中でもいろいろ困難があるところを中心に御報告させていただきたいと思います。
 それで、ガイドラインに沿った研修の実施における課題や困難については、4ページをまずご覧いただきたいと思います。これは今までのところでも出てきたと思うのですけれども、到達目標が一律であることでの困難、これもある意味解釈ができないというところなのかと思います。一律という意味でつくっているわけではないところなのですが、そこの読み込みがなかなか難しいという状況なのかなと思います。
 要約を中心にお話しますので、回答内容、データはご覧いただく形になると思うのですが、1つは病院の特性によって到達できる技術とそうでない技術があるというところで、困っているところが1つ出されてきました。
 2つ目としては、新人看護職員個々人の能力差があるために、提示された到達目標にあわせて達成度を評価する難しさがあるということで、この辺はいろいろな施設でも出てきておりましたけれども、新人がなかなか能力が入ってくるところでも違うし、いろいろな背景を持った新人さんが入ってくるところでの難しさが出てきておりました。
 組織体制としては一応つくっておるのですが、新人に対するメンタルサポートを機能させることが非常に難しいことも出てきていて、それが到達目標の達成にも影響があるということで、メンタルサポートするような仕組みづくりもしているのだけれども、実際にそれをしていくことが難しいということもお話が出てきていました。
 次に5ページをご覧ください。「研修における組織体制での課題」が出てきておりまして、特にスタッフの年齢層が幅広いために、ガイドラインに沿った体制をつくることが非常に難しいということで、一応、ガイドラインに沿った幾つかのサポートができるような体制はつくってはいるのだけれども、なかなか年代とか年齢層は幅が広くて、それを実際に運用していくのが難しいということです。
 それから、小規模の場合は新人研修以外の役割とかけ持ちしないといけないというところで、能力のある方がいろいろな役割をかけ持たなくてはいけないということで、負担感も大きく、その辺をどういうふうにサポートすればいいかということが非常にありました。
 それから、教育担当者が交代することでの困難ということで、教育担当者が退職する場合もあるため、教える側の体制維持が難しいということで、担当者としていろいろ研修にも出てきて、育ってきたなというところで途中でやめたりしてしまうところがあったりして、そういう点では非常に難しいとか、それから、担当者の役割を果たすことで非常に成長する効果は実感しています。ただし、昇格したりして例えば師長とかになってくると、今度は担当者から外れなくてはいけなくなるので、今度はまた担当者を一から育成するところがなかなか難しいという御意見もございました。
 6ページは指導者層育成に関する課題ということで、指導するスタッフが十分育成されていないところがもう一つは出されていました。新しい病院等などのところもありましたので、なかなか難しいということもございましたし、例えば、中途採用者が多い病院もこういった病院では多いということで、そうすると指導するスタッフとして育ってきていない人たちが来るので、そこからまたつくっていくのは非常に難しいということも意見として出されてきました。
 指導者層に対する教育プログラムを自施設で十分に構築できていないところで、新人に対する体制ということはつくるのだけれども、それを教える方々のプログラムはなかなかつくっていくのが難しいということでした。それから、経験が豊かなスタッフの方々に新人研修の考え方の理解を促すことは難しいということで、若い人、比較的新人に近い方々は優しくポジティブに教えていくというか、ゆっくり育てるという発想ができるのですが、もうちょっと上の年齢層の方々は割と自分で一生懸命勉強してやってきた層が多いものですから、なかなか教え方が難しいという御意見があって、そこを浸透させていくことの難しさも出てきました。
 そういった簡単ではございますが、大変さというのがあった中で、少し新人看護職員研修に対する提案ということで、幾つかアイデアになることの御意見もいただきました。これは向こうから提案ということではなく、我々がお話を聞いて提案できるのではないかということで出させていただいているのが8ページなのですけれども、研修体制や研修内容を具体的にするために中小規模の施設の研修責任者や教育担当者が、研修体制の整っている医療機関で研修に参加することについてメリットがありましたという御意見をいただきました。
 この人は教育担当者になってから、もう少し別の大きな規模の施設の研修に行かせていただいたそうなのですが、留学ではないのですけれども、短期間でそういったところに入るとイメージ化ができるという御意見をいただいて、いろいろな研修というのがあるので、そういったものにも参加させていただいたのだけれども、実際に病院でやっている研修に入って、実際を見てもらうというのが非常に役に立ったという御意見をいただいたのがこれでございます。
 それで、9ページ以降に考察ということで、このデータからちょっと考えられたことを挙げておりますけれども、到達目標の活用に関して、施設特性による活用の困難さがありましたけれども、本検討会での見直しでも対応は可能だと思うのですが、幾つかの施設の特徴によって、どういうふうに目標を解釈していくかというところの難しさがあるということで、きょうも幾つかの例を出していただいたのが1つ可能性としてはあるのではないかと思います。
 個々の新人看護職員に見合った到達度評価に関する課題について、指導者層が個々の新人看護職員に合わせた指導評価の重要性を理解して、かつ具体的な指導評価の力をつけることが必要で、この辺は各施設のほうにお願いしていくことでしょうし、ガイドラインにはなかなか書きにくいところかもしれませんけれども、その新人の状況に応じたというところも少し考えていく必要があるかと思いました。
 それから、組織体制上の課題については、やはり組織において教育を浸透させていくためにも、教育担当者のニーズ等については少し熟考が必要で、なかなか育ちにくいところをどう配慮していくかというところが課題かなと思いました。
 組織のスタッフ構成によっては、なかなかガイドラインに沿った指導体制を構築する困難があるところがありましたけれども、自施設のスタッフ層で可能な体制を構築できるような管理者の力量の必要性であるとか、スタッフ層への周知が必要だろうと思っていましたので、これはガイドラインかどうかわかりませんけれども、今後の課題としては出てきたことかなと思いました。
 そして、指導者育成というところがとても難しいようで、特に出てきたのが実地指導者というよりはもう一個上の方々の育成、担当者の育成というのがよく出てきておりましたので、指導者育成に関しては今以上に指導者育成に力を注ぐ必要があるだろうということが考えられます。
 最後の10ページのほうに指導者育成については、先ほどの提案のところでも述べさせていただいたように、教員担当者が研修体制の整っている医療機関での研修に参加する機会をもらい、その実際を見学したり実施する中で、具体的なイメージが湧いたり、自施設での応用を考えることができたりということがありました。自治体や職能団体等で行われている研修にも参加しており、こちらももちろん役に立っているというお話もあったのですが、自施設に応用する上ではなかなかイメージがつかないというあたりが出てきたので、むしろほかの医療施設にも実際は見学することも役立ち感を何とか利用できないかということで、新人看護職員を対象とした「医療機関受入研修」のような形で、例えば研修責任者であるとか教育担当者に対しても、ほかの医療機関での研修を実施してはどうかということを少し提案させていただいております。前回佐藤構成員から広島県のほうで、新人の受け入れ研修の効果ということはお話があったのですが、これをもう少し拡大できるとまた違った効果があるのかなと思っております。
 以上でございます。
○石垣座長 ありがとうございました。
 今の御説明に対して、何か御質問や御意見はおありでしょうか。
 青柳構成員、どうぞ。
○青柳構成員 質問というよりもむしろ佐々木構成員、お疲れ様でした。
 第1回の検討会で私どもも新人看護研修実施をやっている、やっていないということはどうかなということで、確実にデータを調べたわけではありませんけれども、14施設ぐらい、私の知っている看護部長さんたちの会議の中でちょっとしたアンケートを出しまして、回答をいただきました。民間病院は50床から300床未満、400床未満の看護部長さんたちの御意見をいただいております。
 その中で新人看護師を採用している病院は9施設あるいは100床未満が2施設あります。ただし、新人さんが入ってくる年もあれば、入ってこない年もあるというそのバランスが保てていないという部分もあります。一方では、新人看護師の採用の年がある。それに研修を実施できない理由はどういうことですかという質問に対して、新人看護師の入所期に採用される、あるいは人的余裕がない。これは看護師不足がマンパワー不足があるということです。それと教育体制の整備が困難であるという佐々木先生が言われたとおりの評価をいただきました。
 その中で民間病院においては、業務を優先していかなくてはいけない事情もある現状、研修を担当できる看護師の育成または外部の研修に参加させるだけの看護職員が不足している現状がありますということです。民間病院でも新人看護教育は絶対不可欠ということであると看護部長は理解できていますけれども、一番、看護師を確保し、充実した看護ケアを提供できる体制を優先する。これを考えているようです。
 それで看護教育をしっかりしないと現場でのいろいろな問題が発生し、離職へつながる問題もある。今回の調査で十分な情報を得ることはできませんでしたけれども、去年、「今でしょう」ではなく看護部の医療界の看護師として、将来、こういう教育ということの人材育成には投資、欠かせない問題ではないだろうかということで、看護部長さんたちはもっとしっかりとした看護教育にこのガイドラインができた目的も含めて、ちょっと話が飛ぶかもしれませんけれども、予算をしっかりつけていただいて、将来の看護師育成にこのガイドラインがもっともっと充実させてほしいということを訴えておりましたので、報告だけですけれども、よろしくお願いいたします。
○石垣座長 ありがとうございました。
 藤川構成員、どうぞ。
○藤川構成員 今の青柳先生の意見と似ているのですが、指導者層がいないというのは各医療機関で本当に悩みの種で、指導者の研修、指導者のレベルアップもしていかなくてはいけないのです。その指導者とは何年目を言うのか。例えば現場が一番ばりばりできる3年目~5年目ぐらいを言うのか、ないしは10年目以上を言うのか。もう10年目以上になると大体病棟の管理部門にいますので、その辺でその人たちもこういうガイドラインができたことによって、さらに自分が学ぶことと人に指導するのでは全然違います。自分ができるのに相手ができないと非常にイライラしますから、名選手は名指導者になかなかなりにくいというところはあるのです。苦労して名選手になった人と天才的になった人は違います。
 指導者をまた教育し、育てながら、指導者層を厚くするというのが看護界の今後の課題かなと思います。特に大病院の場合には十分できるわけですけれども、中小の病院ではなかなかそこまで指導者層を厚くできないわけです。本当の実務の3交代に入るのに明け暮れていますので、その辺はもう少しゆとりが持てるようにしていかないと、これが絵に描いた餅になるようでは困ります。ぜひ指導者層をまたさらに育てていくということを国の行政としても予算をしっかりとって、育てていってもらいたいと思います。
○石垣座長 ありがとうございました。
 川本構成員、どうぞ。
○川本構成員 先ほどからもう出ておりますけれども、私どもも新人看護師の指導者育成というのは非常に大事だと思っています。佐々木構成員にはヒアリング調査実施とそのご報告を頂き、ありがとうございました。教育担当者の教育・支援の充実をということで御意見がありましたが、現実によく聞きますのは、病棟で指導する実地指導者の方のサポート体制をしないと、なかなかそこがまたつながっていかないということがあります。中堅の看護職員の離職予防の観点からも、課題の中にそこも少し入れていただけるとありがたいなと思います。
 それから、最後の10ページにありました提案でございますが、この他施設に行ってそこで得た事例を活用するためには、あくまでもその土台にこの新人指導に関する知識とかそういうものがきちんとないと、それは有効に使えないと思いますので、その辺のところが今までどおりわかるように提言していただければありがたいなと思います。
○石垣座長 佐々木構成員、どうぞ。
○佐々木構成員 今のお話はもっともで、そういった自治体や職能団体で行われている研修にこの人は参加をしていらっしゃったので、もちろんそれがあるからこそということはお話があったのですが、それを自施設に生かしていくところの発想の中では、割と座学であったりグループワークが中心だったりするものだけだとなかなかわかりにくかったのですが、それがあるからこそほかの施設に行ったときにイメージ化がしやすかったということで、片方だけでいいということではありませんので、もし誤解があるようでしたらここは修正したほうがよろしいかもしれません。ありがとうございました。
○川本構成員 ありがとうございました。
 先ほど質問させていただこうと思っていたのですが、評価のことで少し御意見が出ていて、私も総括的評価と混乱をしていたのですが、ガイドラインの21ページに研修計画、研修体制等の評価というのがございますので、そちらのほうで先ほどの問題は解決できるのではないかと思います。そして教育担当者、実地指導者研修は非常に重要だと思います。
 私から今回提出しております添付資料の一番最初に、ホームページ上に載っておりますからということで、今回は資料を出しませんでしたけれども、看護協会からも出ておりますガイド等をご紹介しました。2番の新人看護職員臨床研修におけるガイドの中で、こちらの責任者とか指導者の方の重要性に関して、どういう点を評価したらいいかということを20ページ、21ページに載せておりますので、参考にしていただければより有効になるのではないかと思います。
○石垣座長 ありがとうございました。
 西澤構成員、どうぞ。
○西澤構成員 日本の病院というのは、200床以下の病院が半数以上ということです。中小病院が中心です。ここは本当に中小病院の現状をあらわしていると思います。きょうお集まりの構成員の方々はほとんど大学とか大病院なので、ここに書いてあるようなことはちょっと読んでびっくりしているのではないかなと思いますが、こういう病院が大多数あるということを頭に置いて研修をどうしていくかだと思います。ですから、大きな病院は別に問題ないわけです。ガイドラインに沿った研修の実施割合を上げていく、1%上げるのはすごく大変だと思います。それに対して今回のアンケートの結果はすごく役に立つと思います。
 今、看護協会から説明がありましたが、看護協会の研修は十分内容もよくて、それはもうわかっています。わかっている上でというのがここに出ているので、佐々木構成員も言いましたが、どちらかではなく、プラスで今こういう考察、提案がされたと思います。これをどのように考えていくか、非常に重要だと思いますので、ぜひ一つ一つこの問題点を頭に置きながら検討していただければと思います。
 ヒアリングの内容を今あえて言いませんが、えっと驚くような文章が結構中に入っていますので、これが現実だということだと思います。
○石垣座長 ありがとうございました。
 山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 今、指導者の育成について御意見が出ていますけれども、やはり患者から見ても、先ほどのガイドラインの項目を教育担当者が細かく落とし込んでいくということからすると、その教育担当者の力量によって、ガイドラインの活用が大きく変わってくるのではないかと思いました。だとすれば、ますますこの指導者の育成が大切になってくるのではないかなと思います。
 私も今、いろいろな病院の管理職の方とお話する機会があるのですが、外の病院を見ることによって自分の病院のいいところや足りないところがわかるようになるという話を聞きます。先ほどおっしゃっていたいろいろなところを見ることによって、全体のレベルアップがはかれるのではないかと思います。せっかくこのガイドラインの見直しを行うわけですので、ぜひレベルアップにつなげていただきたいということが1つ。そして、今回この検討会にかかわらせていただいたことで、新人看護職員のガイドラインがあって、研修が努力義務という話をしましても、患者だけではなくほかの医療関係者の方が知らなかったという声を結構耳にいたします。
 きょうはちょっと終わってからお配りしようと思っているのですけれども、私たちでつくっている会報誌で新人看護職員ガイドラインについて取り上げさせていただきました。先ほどからこのガイドラインは病院全体で取り組むのだというお話をされているのですが、どちらかというと看護師の中だけで、内向きでやっているところも少なくないのではないかというのが私の印象でもあります。だとすれば、病院全体で取り組むときに使うツールであるのだということを何か知らせていく、周知していくような働きかけも今後は必要なのではないかと思いました。
○石垣座長 ありがとうございました。
 先ほど熊谷構成員がおっしゃいましたが、新人看護職員研修は努力義務になりました。従って病院開設者と看護部の責任者の役割は重いのです。看護職員を育てるために病院開設者も看護部のトップも協働してこれに取り組みなさいということです。先ほど藤川構成員がおっしゃっていましたが、病院の開設者がどれほどこのガイドラインについて周知しているかということですね。佐々木構成員が出していただいたこの内容を見ると、指導者をどう育てるかは、看護部のトップの姿勢が鍵になると思います。中小の病院の看護の責任者を対象とした、先ほど西澤構成員がおっしゃいましたが、そういうフォーカスグループに対する研修をするということも1つの方法なのかなと思いましたが、いかがでございましょうか。
 佐藤構成員、どうぞ。
○佐藤構成員 8ページで指導者層の育成に関する提案ということで、受け入れ研修を新人看護職員だけではなくて、指導者の方も一緒に参加させていただくのはどうかという提案があったのですけれども、私も賛成です。実際に広島県でも、この間の事例では紹介しなかったのですが、自主的に連携ができているところは新人だけではなくて私たちも行かせてくださいということが、参加施設のほうから自主的にそういう訴えがあって行かれているというところなので、そのぐらい関係性とか必要性を認識されているところはどんどん進むのかなという印象を受けているのですけれども、今回残念ながらガイドライン公表後に少し見直しを全部しているところの病院の情報なので、広島県の実例からいいますと、まだ体制の見直しも必要性を余り感じていない施設に対しては、どういう対策が必要なのかというところを少しヒントをいただければなと思いました。
○石垣座長 青柳構成員、どうぞ。
○青柳構成員 先ほどからですが、石垣座長が言われるようにそこのトップ、部長の意識といいますか、そういうこともものすごく民間の場合は左右されまして、その部分で全日病の会長もいらっしゃいますけれども、そういう連携、役員会なども通しながら、看護協会もそうですが、東京都だって23区集まってきますので、そういう看護部長さんたちにこういうことを広めながら教育するのだということでやっていかなくてはいけない部分もあるのではないかということで、部長さんがこんなのねと言われたら、小さな50床病院とかそこでストップしてしまう確率があるのです。そこら辺は今の佐々木構成員、広島の前回言われたように、私たちはすぐ連携をとって部長さんたちにこういうふうにお互いに教育担当者を一週間そちらにお願いしますとか、新人さんは、広島の例でも悩んでいたように、行ったら向こうのほうがいいと言って、離職につながったら困るわと冗談で話しますけれども、現実、そういうこともあるかもしれませんので、それをここで学んだことをしっかりと部長さんたちの連携がとれるような組織をつくっていく必要があるのではないかということで学ばせていただきました。
○石垣座長 ありがとうございます。
 地域の中での仕組みがあれば、割合そういうことが容易にできるということですね。
 熊谷構成員、どうぞ。
○熊谷構成員 私は2つありまして、1つは中小規模病院が非常にわかっていても出せない状況にどうするかといったときに、例えば神奈川県看護協会の取り組みで、出ていきましょうというのを始めたのです。以前大学の先生だった、看護管理者だった人が病院のニーズに応じて出向いていって、そこで現場で教育担当者の教育をしながらということを指導するのです。ですから、そういうことも1つ実際の取り組みとしては非常に有効なことかと思うのです。
 それからあとは、ガイドラインのプログラムの中に19ページ、21ページに実地指導者、教育担当者の研修プログラムがありますが、その中のどこかに座学のほかにここに出てきたいわゆる実習です。出向いていって現場で研修をすることも取り入れると効果があるという一文を入れて、それはどうプログラムするかはそのいろいろな都道府県と看護協会等がお考えになるのですが、その文言を一言入れるだけでいいのではないかと思いました。

○石垣座長 ありがとうございます。
 国がやっている教育の中にアドバイザーの派遣については、補助金がつきます。アドバイザーの派遣で随分具体的な計画ができたという発表もありますので、今、熊谷構成員がおっしゃったアドバイザーの派遣ということももう少し活用していただければいいのかもしれません。ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。川本構成員、どうぞ。
○川本構成員 先ほどから出ておりますように管理者の方、トップマネージャーの影響が非常に大きいということで、私どももそのように思っております。
 そういう方たちがやはり今、すごくお忙しいのでなかなか出てこられないということで、それで先ほどから御紹介させていただいています。手前みそになってしまいますが、いろいろなガイドブックをつくっております。先ほど紹介させていただきました「継続教育の基本ver.2」というのは、本当にこんなことまでという細かい研修の企画の運営の仕方、予算のとり方などの細かいことまで書いておりますので、この辺を皆様に御周知いただけると、少しでも向上につながるのではないかと思います。ダウンロードできますので、どうぞ活用していただければありがたいと思います。
○石垣座長 ありがとうございます。
 藤川構成員、どうぞ。
○藤川構成員 1つ、今のコメントに対する意見と資料の説明をしたいと思いますが、今の熊谷構成員の発言は、中小病院にとっては非常に好ましいことで、やはり当院も60床ですけれども、看護部長もフルに活躍して、それが抜けると非常に病院が不安定になります。医療機能評価機構も審査のときにチェックをされるのですが、さまざまな指導をしてくれるのです。それが非常に医療機能評価を受けるときもためになります。外から来て風を吹かせていただけると、保健所の監査指導のペナルティを課すときの指導ではなくて、純粋にそこの医療機関のレベルを上げるために来ましたよとなると、看護部門も心を開くのです。
 チェックに来られたら書類をチェックされて、看護師が1人足らないではないかとか、夜勤が多過ぎではないかと怒られると思ったら看護師もみんな萎縮してしまうのです。そうではなくて、この医療機関のレベルを上げにサポートに来ましたとなると、もう全然受け答えが違いますので、そのアドバイザーシステムはぜひ活用させていただければいいのかなというのが1つ。
 それと資料をよろしいでしょうか。もう時間がなくなってきましたので。日本医師会としては2年間かけてこの佐々木構成員の研究に協力させていただいたときに、看護師だけではなくて准看護師も現実に現場で、中小病院で活躍していますので、ぜひ看護職員ということでこの看護プログラムの中に入れてほしいとお願いいたしました。もちろん入れていただいたのですが、その中で准看護師の到達目標に関して、特に技術面においてどうしても少し落とさなくてはいけないところ、医療安全上あるだろうということで、いろいろな議論させていただきました。
 それでこの資料をもって説明させていただきますが、これは初めに某准看護学校の教務主任の連絡協議会があるのですが、作成した卒業時に到達すべき項目と到達目標の目安を活用して、准看護師の看護養成課程において修得すべき看護基礎技術の内容と卒業時の到達度を確認するとともに、看護師養成課程における卒業時に到達すべき技術項目とその到達度をまず比較してみました。基礎教育の段階で卒業するときにどの程度違うのかというのもチェックしようということです。
 主な相違点は1ページに示していますが、右下の小さな1ページ、2ページと2枚ずつスライドをつけておりますが、協議会が作成した准看護学生の技術項目と卒業時の到達度では、日常生活の援助技術の到達度ではできる、または指示のもとで実施できるレベルを基本とし、診療の補助技術の項目については卒業後に修得することとして見学のレベルを設定していた。その理由は、カリキュラムの進捗状況が学校ごとに異なること、全教科の学習を修了した後に臨時実習を行っている状況ではないこと、医療事故防止を考慮したことなどがその背景にあります。
 さらには、准看護学校ではアセスメントができることを学生には求めず、アセスメントに必要な観察と情報収集、報告ができることを到達のレベルとしていた。加えて看護師養成課程における技術到達度を超えないことなども前提として作成していたことを確認しております。
 次に、医師会の看護専門学校(准看護科)が卒業後間もない新人准看護師を対象として3年間にわたり実施した「看護技術の達成度認識調査結果」を参考に、准看護師を対象とする基準的側面に関する到達の目安(試案)、たたき台を作成してみました。
 参考までに2ページの下段に示しましたが、認識調査結果では全106項目中70%以上の新人准看護師が一人でできると認知した項目は14項目から27項目にわたります。卒業の段階ではまだまだなかなかできないです。
 3ページ目には試案、たたき台のレベル作成時の判断に用いた考え方を示しております。「一人でできる」というのは7割を超えた項目。それから「一人でできる」と「指導があればできる」というものを2の段階にしたのです。それで7割以上であれば1、5割から7割で2、3割から5割程度ができるのを3、2割程度できるのを4とランキングしております。
 結果として、暫定的レベルの全体バランスを考慮の上で、3ページ下の段の表に示す8項目において、厚労省が示すガイドラインの目安とは異なるレベルを設定しております。いわゆるワンランク落としているということです。8項目全てが厚労省ガイドラインの目安1のレベルは到達目安試案であるたたき台では2となっております。
 4ページ目を御参照ください。新人准看護師の技術到達の目安の確定に向けて、日本医師会で医療関係者検討委員会というのがありますが、そこの参加している委員らの所属する14施設から教育担当者、研修責任者、それに準ずる看護職員の計20名から、この試案のたたき台の到達目安に示されたレベルについて意見を聴取しております。試案レベルを確定しております。
 結果は5ページを御参照ください。技術的側面の69項目のうち試案レベルについて修正が提示された項目は41項目、全体の約6割であった。下段です。全く修正が示されなかったのが環境調整技術と清潔・衣生活援助技術でした。
 6ページをご覧ください。試案のレベル確定に用いた判断基準を示しております。修正率が5割以上、過半数修正したほうがいいだろうという意見が20名中11名以上ある、いわゆる修正が提案されたレベルを試案として確定し、修正率が5割以下の場合にはその試案のレベルを確定しております。
 その結果、修正率が50%以上の項目は、表に表記した浣腸をはじめとする5項目について修正しております。5項目全ては厚労省が示すレベルとなっております。
 7ページをご覧ください。修正率が5割以下を示しておりますが、意識レベルの把握を含めた3項目を試案のレベルとして確定しております。これらの結果、多くの施設ではガイドラインをもとに既に到達度の評価を行っていることや、業務遂行上准看護師には看護師と同等な知識や技術が求められていることが影響していることと伺えます。
 このことは7ページ、8ページに示したように、新人准看護師の臨床研修や准看護師を取り巻く環境において、調査協力者から意見を求めた結果から推察ができます。
 9ページ以降には補足資料を添付しております。これは「基本姿勢と態度」「管理的側面」に関する調査結果の概要ですが、修正率は全て5割以下でした。なお、別添資料として、修正率5割以下の技術的側面の調査結果と、基本姿勢と態度と管理的側面の調査結果を示しておりますので、御参照ください。
 最後に新人看護職員研修は、将来の医療サービス提供を担う看護職の能力形成の基盤研修であり、また、看護の専門職としての能力開発に欠くことができない初期研修であると考えております。このたび作成した新人准看護師の技術到達の目安試案は、今後、臨床現場において本試案を活用した上で、再度レベルの妥当性について意見を聞き、最終的な到達の目安准看護師版を日本医師会としては作成し、各医療機関、各看護学校等に配布したいと思っております。よろしくお願いします。御意見を賜れば。
○石垣座長 資料の提供と丁寧な御説明をありがとうございました。
 これはまた准看護師の多い施設には参考になると思います。
 まだまだいろいろ御意見もおありだと思いますけれども、新人看護職員研修の課題や推進等に向けて、きょうはたくさん御意見をいただきました。これは事務局に整理していただきまして、まだまだ御意見のある方がいらっしゃると思いますので、ぜひ事務局まで直接お伝えいただければありがたいと思います。
 一応、時間が迫ってまいりましたので、事務局に今後のスケジュールにつきまして、よろしくお願いいたします。
○島田室長 ただいま座長からお話がありましたように、本日御議論いただきました内容は、取りまとめましてまた座長とも相談の上、資料に反映させていきたいと思います。
 それから、次回取りまとめをと考えておりますので、本日まだ御意見、御指摘事項があります場合には、恐縮でございますけれども、来週月曜日の13時をめどに事務局のほうにお寄せいただきたいと存じます。そうしましたらいただきました内容をまとめのほうに反映させていただきまして、次回御検討いただくようにと考えております。
 今後のスケジュールにつきましては、また改めて連絡をさせていただきます。
 以上でございます。
○石垣座長 時間になりましたので、本日はこれをもって閉会とさせていただきます。
 大変活発な御議論をありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。
                                       (了)

照会先

厚生労働省医政局看護課看護サービス推進室

看護サービス推進室長補佐 平尾 (内線4174)

代表: 03-5253-1111
直通: 03-3595-2206