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2014年1月30日 第6回「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年1月30日(木)15:00〜17:00


○場所

厚生労働省専用第23会議室(6階)


○出席者

委員

今野座長 黒田委員 黒澤委員 櫻庭委員
佐藤委員 竹内(奥野)委員 水町委員 山川委員

事務局

中野労働基準局長 大西大臣官房審議官
村山労働条件政策課長 岡労働条件確保改善対策室長
牧野職業安定局派遣・有期労働対策部企画課雇用支援企画官 伊藤職業能力開発局能力評価課長
田中雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課長

○議題

(1)多様な正社員の導入について
(2)処遇について
(3)その他

○議事

○今野座長 時間ですので、ただいまから「第6回『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会」を開催いたします。

 本日は、これまで行ってきました企業・労使団体からのヒアリング結果を踏まえまして、どのような場合に多様な正社員を導入すればうまくいくかとか、そういう導入理由あるいは背景について議論していただくということ。

 もう一つは、それを受けて幾つかの問題が登場するわけですが、その中の1つの処遇の問題について議論をしていただきたいと考えております。

それでは、まず委員の出欠と資料の確認について、お願いします。

○村山労働条件政策課長 本日は、神林委員と野田委員から御欠席の御連絡をいただいております。また、佐藤委員が途中から御出席の予定でございます。

続きまして、配付資料ですが、お手元、1点とじにさせていただいております。先ほど座長からお話がございました導入目的のほうに関します論点ペーパーが1ページ目から数葉続いておりまして、6ページ目から導入目的の関連資料、しばらく進んで38ページ目のところで資料2−1となっておりますが、これは先ほど座長からございました幾つかの論点のうちの処遇に関します論点ペーパーでございます。これがまた数葉続いておりまして、43ページ以降がその関連資料ということでございます。

また、全体の参考資料といたしまして、66ページ以降でございますが、先般実施していただきました経団連、連合の労使団体ヒアリングの状況、その後に「産業競争力会議『雇用・人材分科会』の中間整理」及び今後の検討方針等の抜粋をつけております。

ごらんいただきました資料について何か不備等ございましたら、事務局までお申しつけいただければありがたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○今野座長 それでは、議事に入りましょう。

まず、お手元の議事次第にもありますが、「多様な正社員制度の導入について」ということで、議論をしていただきたいと思いますが、その前に事務局から資料の説明をしていただければと思います。

○岡労働条件確保改善対策室長 それでは、お手元の資料の2ページをごらんいただきたいと思います。

まず、「多様な正社員」の導入目的。どのような場合に活用すると、うまく活用できるかということの論点ペーパーでございます。

勤務地限定、職務限定、勤務時間限定の3類型にまとめてみました。

まず、勤務地限定正社員でございます。

1つ目の○は、優秀な人材の確保、定着のために活用できるのではないかということでございます。育児、介護等の事情によって転勤ができなくて、いわゆる正社員として働くことが困難な方が入職したり、仕事を継続したり、能力を発揮することが可能となる働き方ではないか。

また、人材の確保や定着に課題を抱えている企業にとって、こうした制度の活用が考えられるのではないかということでございます。

2つ目は、非正規雇用の労働者の方の正社員転換の受け皿として活用できるのではないかということでございます。

非正規雇用の方に今以上に戦力として活躍してもらうために正社員転換をしていくということでございますけれども、その場合に、非正規雇用の方は、一般的に勤務地が限定されていることが多いですので、いきなりいわゆる正社員と同じような働き方ですと、なかなか転換が難しいということもございますので、こうした勤務地限定正社員制度を活用することが考えられるのではないかということでございます。

また、改正労働契約法で5年無期化ルールというものが導入されましたが、この場合も無期転換の受け皿として勤務地限定正社員制度の活用が考えられるのではないかということでございます。

3つ目の○は、一般職の職域の拡大や職位の上昇に活用できるのではないか。コース別雇用管理で一般職の方が多くいらっしゃる分野、例えば金融業などがそれに該当すると思いますけれども、そういった分野では、一般職の方の能力機会の拡大のために、より幅広い職務を担うことができるエリア総合職などを導入しまして、一般職のさらなる活用ということが考えられるのではないかということでございます。

次のページの一番上の○は、ものづくり技能の安定的な継承ということで、いわゆる正社員と非正規という二極化の中では、転勤ができない方については、非正規として働くことになることが多いかと思いますけれども、そうした場合、技能の蓄積とか継承というのがなかなか難しい場合もございます。そういったことで勤務地限定正社員を活用することで技能の蓄積や継承がうまくいくのではないかということでございます。

次の○は、地域のネットワークの活用ということで、サービス業などがそれに当たると思いますが、地域ごとのニーズに合ったサービスの提供、あるいは顧客の確保の観点から、勤務地限定正社員制度を活用することができるのではないかということでございます。

3つ目の○は、海外転勤等が可能な人材の明確化ということで、勤務地限定正社員を活用することで、海外転勤ができる方とそれが難しい方をあらかじめ把握、確保することができるのではないかということでございます。

4つ目の○は、導入目的とはちょっとずれるかもしれませんけれども、こうした機能もあるということで、人件費の適正化による雇用の維持でございます。転勤のリスクをなくすかわりに、賃金をその地域の賃金水準に適合させて人件費を適正化することで、結果として厳しいときにも雇用を維持することができる、そういう場合もあるのではないかということでございます。

なお、下に※印で書いてございますのは、男女雇用機会均等法の間接差別で、先般制度改正がありまして、総合職だけでなく、全ての雇用区分ということになったわけですが、勤務地限定正社員の場合は勤務地が限定されているので、転勤ということは余りないのかもしれませんけれども、その場合、いわゆる正社員のほうについて転勤を要件とするのであれば、その合理的な理由を説明する必要があるのではないかということで、注意書きをしておきました。

 続きまして、次の4ページをごらんいただきたいと思います。

次は職務限定正社員の導入の場面でございます。

まず1つ目が、資格が必要とされる職務における人材、高度専門人材の活用でございます。

医療福祉関係あるいは運輸関係など資格が必要とされる職務が存在する分野においては、職務限定正社員制度の活用が考えられるのではないか。あるいは必然的に職務限定になるのかもしれませんけれども、こういった分野では職務限定が活用できるのではないかということでございます。

 2つ目の◇のところでございますが、例えば為替ディーラーですとか、あるいは研究機関の研究職の方といった高度専門人材の方についても、もちろん他の職能、経験を積むということもあるのかもしれませんが、一般的には特定の職能内において経験を積むことによってキャリア形成をしていくと思われますので、そういった高度専門人材については、職務限定正社員制度の活用が考えられるのではないかということでございます。

 2つ目の○は、先ほどの高度専門とまではいかないかもしれませんけれども、統計などを見ましても、職務限定正社員というのはいろんなところにいるということで、恐らく工場における技能労働者の方、あるいは店舗の販売員、それからホワイトカラーでも人事畑とか経理畑とか、ある程度専門性を高めるために特定の職能内で経験を積んでキャリア形成をしていくということが多いかと思います。こういった方々について、今以上に専門性を高めていくという観点で、職務限定正社員というのを導入して活用するということも考えられるのではないかということでございます。

また、今、政府全体で中長期的なキャリア形成ということで、一旦仕事についてからもより専門的な知識、技能を身につけていこうということを進めておるところでございますが、そういった身につけた専門的な能力を生かしながらキャリア形成をしていく、そういった場面で職務限定正社員というのが活用できるのではないかということでございます。

 その下は、先ほどの勤務地限定と同じでございますけれども、改正労働契約法による無期転換の受け皿として職務限定正社員というのも活用できるのではないかということでございます。

一番下は、逆の方向の記述になってしまうかもしれませんが、職務限定は上記のようないろんなメリットとか活用が考えられるわけですが、一方で、技術や需要の変化に迅速に対応する、あるいは不測の事態が生じたときに的確に対応するためには、いろんな能力が必要な場合があるかと思います。

また、管理職の場合は、さまざまな経験、能力が必要だということもありますので、異なる職能の職務を経験することが必要だということで、そういった人事異動などが行われることも多いかと思います。

また、一般的に職務が非常に狭くて、明確だと思われがちな欧米の企業においても、近年は職務の大くくり化といった動きも見られます。ですので、職務を限定してうまくいく場合もありますけれども、余り狭くし過ぎると、うまくいかない場合もございます。

 ということで、職務を限定することが合理的であるかどうかというのは、業務や業種あるいは企業によって異なるのではないかということを書いてございます。

 以上が職務限定でございます。

次に、勤務時間限定正社員でございます。

こちらも先ほどの勤務地限定と同じように、フルタイムで勤務することが困難な人の定着、確保、そういった場面で勤務時間限定正社員制度の活用が考えられるのではないかということでございます。

なお、勤務時間限定の場合は、いわゆる正社員よりも勤務時間が短いパターンと、所定時間は同じなのですが残業が免除されているパターンの、2パターンがあるのではないかということでございます。

なお、一般的に勤務時間限定の場合は、特に育児を理由に行われる場合が多いかと思いますけれども、育児とか介護については、既に育児・介護休業法によって一定の制度が設けられておりますので、そういった制度を引き続き推進していくことが適当ではないかと思われます。

また、それ以外の理由で短時間勤務を活用することが考えられるということで、先ほど中長期的なキャリア形成ということを申し上げましたが、資格を取得したり、能力をつけるためにどこかに学びに行くといった場面でこういった短時間勤務というのが活用できるのではないかいうことでございます。

その下は、佐藤先生が東大の社研で調査された研究をこちらのほうでまとめたものでございます。

育児・介護のための短時間勤務制度について、どういった課題があって、どういったことをしていったらいいかということをまとめております。

まず、短時間勤務が長期化しますと、労働者のキャリア形成に影響を与えたり、あるいはモチベーションが低下するということもございます。

また、短時間勤務の方にどういった業務をやってもらうかという業務配分が難しい場合、あるいはほかの従業員の人に過度の負担がかかる場合などもございます。

 それから、そもそも長時間労働を前提とした職場では短時間勤務制度を利用することが難しいという側面もあります。こういったことは、時間が短い場合だけではなくて、所定外免除の場合も当てはまるのではないかと考えられます。

うまくいくためには、労働者に対するキャリア形成の支援、あるいは適切な業務配分や短時間勤務の方がいる人の職場の人員体制の整備、それからそもそもとりにくいということがないように、フルタイムの正社員の働き方の見直し、長時間労働を前提としない職場づくりというのが必要ではないかということです。

また、こういったことがうまくいくためにも、その制度を利用する人と上司の人のコミュニケーションの円滑化ということが必要ではないか。そういったことがうまくいけば、勤務時間限定正社員というのも活用できるのではないかいうことでございます。

以下6ページ以降は、第1回目の資料にもお載せいたしました各種統計を載せておりますので、細かい説明は飛ばさせていただきますが、15ページをお開きいただきたいと思います。

14ページまではどういった理由で導入しているかということで、先ほどの論点ペーパーにあるようなことが述べられておったわけですが、15ページは「多様な正社員」を導入していない理由について聞いたアンケート調査でございます。

そこで多かった答えとしては、いわゆる正社員でもそもそも多様な働き方が可能であるからということで、柔軟に働かせることができるところについては、特に「多様な正社員」を導入しなくてもうまくいっているところもあるということでございます。

他方、労務管理が複雑になるとか、あるいは非正規を積極的に活用しているから「多様な正社員」は要らないのだといった理由を挙げるところも多くあるということでございます。

少し飛びまして、18ページをごらんいただきたいと思います。

この懇談会でもヒアリングで勤務地限定はたくさんあったわけですが、職務限定がなかなか見つからなかった、例がなかったということでございます。

日本の場合は職務が不明確で広い、欧米の場合は職務が明確で限定されているということがよく言われておりますが、果たしてそうなのかということで、資料を幾つか集めてみました。

まず、18ページ、19ページにつきましては、日本、ドイツ、アメリカの管理職に対するアンケート調査ということで、現在の仕事をする上で、有効な能力開発機会としてどういうことが考えられるか、また、どういったことをすると望ましいキャリアを積めるかということで聞いております。

日本も欧米も1つの職能内のいろんな仕事を経験するというところは共通しておるのですけれども、18ページの右のほうの囲みを見ていただきたいのですが、日本の場合は、1つの職能だけではなくて、他の職能の仕事の経験というのも重視している。他方、アメリカの場合は、余り重視していないのかなということで、若干差があるところでございます。

また、19ページも同じような傾向が見られまして、日本の場合は、複数の職能を経験してキャリア形成をしていきますけれども、アメリカの場合は、1つの職能の中で数多くの仕事を経験することでキャリア形成をしていくということで、日本のほうが職務の範囲が広いのではないかと思われます。

20ページはイギリスの経理関係の仕事の雇用管理でございます。こちらにつきましても、1つの職能の中で転職する、あるいは内部で昇進することもあるのですが、狭い範囲でキャリア形成をしていく傾向があるのではないかということでございます。

 飛びまして、22ページでございます。

 欧米の場合は、職務記述書や契約で職務の内容が明確に定めてあるのに対して、日本では余り明確になっていないというふうによく言われておりますけれども、日本の場合は、次のページにもございますが、限定された正社員の場合でも、就業規則や労働契約で仕事の範囲あるいは勤務地が限定されていない場合も半分以上あるということで、確かに明確になっていない場合が多いということでございます。

 他方、アメリカの場合は、職務記述書で重要な責務の内容とか仕事の内容、あるいは必要とされる能力などが明確に定められておりまして、やはり日本とは違うのではないかということでございます。

24ページ以降に書いてありますのは、あくまである本からとったものでございますので、一般的にこういう記述かどうかというのはわかりませんけれども、アメリカの職務記述書の事例でございます。

24ページは旅行業の関係の営業所長の例ということで、任務や責任、必要な能力、この場合ですと、物理的な負担ということで、どういった動作をするかといったことまで事細かに書いております。

25ページ、26ページは配管工についてでございます。

こちらは物理的な負担というのはないのですが、どういった知識や能力が必要かということを事細かく書いてございます。

27ページです。では、アメリカの場合はどうしてこういったことになっているかということでございますが、日本と違って、労働者が労働を忌避することが前提となって、企業としては最低限ここまでは仕事をやってほしい、従業員の側からしますと、これ以上はやらない、その均衡の上で職務記述書の内容が定まっているということでございます。

28ページでございます。では、職務記述書で職務が明確に定まっていて、実際の仕事もそれに対応しているかということでございます。今やっている仕事と職務記述書の一致ぐあいということで、ほとんど全ての職務を記述しているというのが32%で、それ以外のところでは、仕事と職務記述書の内容がずれている場合が多いということでございます。

 職務を明確に定めるのはいいのですが、職務が変化すると、一々その都度職務記述書を改定する必要がございますので、非常にコストがかかるわけですし、また、従業員のほうも、自分はこんなにやっているのだということで、交渉に有利になるように職務記述書を利用するということも見られるということで、弊害もあるということでございます。

そういったことで、29ページでございますが、アメリカのほうでも80年代、90年代ぐらいから人事制度に変化が見られております。今までは詳細に職務を細分化しまして明確化しておったわけですけれども、それでは柔軟な働き方とか、あるいは環境の変化に対応できないということで、職務を大くくり化するブロードバンディングが行われるようになっております。あるいは今までの人事評価を変えましてコンピテンシーということで、「こういうことをしている」ということで評価が行われてきており、日本の職能給のような、「何々できる」というものと似たような流れが一部見られるということでございます。

次のページも脱職務化ということで、ブロードバンディングをしているメリット、デメリットを挙げておりますが、ブロードバンディングによって柔軟な対応ができるということでございます。

31ページ以降は、勤務時間限定正社員もヒアリングの中で非常に少ないという御指摘をいただきましたので、事務局のほうで2社ヒアリングをしてまいりました。

31ページ、32ページは食料品製造業の企業で、短時間勤務の事由は問わないですし、また、パートから短時間、あるいは短時間からフルタイム、フルタイムから短時間というところが非常に柔軟に動けることになっております。

では、フルタイムの方が短時間になった場合に仕事をどうするかということが、31ページの下から4行目ぐらいから書いてございます。短時間社員への転換と、部署・ポストの異動を同時に行いまして、職務内容や責任を軽減しているということで、短時間勤務をとりやすくしているということでございます。

他方、33ページは別の製造業の例でございます。真ん中ぐらいのところに「職務内容、責任・権限」という欄がありますけれども、フルタイムから短時間勤務になった場合に、業務の配分は見直すのですが、職務内容や責任、権限は変更しないということで、ただ、1日当たり2時間ぐらいの範囲だったら短縮できるということで、残りの人たちで仕事をカバーするということでうまくやっているという例でございます。

こういった事例のようにいろいろ工夫ができれば、短時間正社員というのも活用できるのではないかということでございます。

34ページからは佐藤先生が東大の社研で短時間勤務制度について調査された結果でございます。長くなりますので、説明は割愛させていただきます。

以上でございます。

○今野座長 ありがとうございました。

 それでは、あとは自由に議論していただければと思います。質問でも結構ですので、どうぞ。

○竹内委員 どうも御説明ありがとうございました。

 目的は、もちろんいろんなものがあると思いますし、これまでのヒアリングでもいろんな目的が挙がっていたのではないかと思います。

御説明の中で既にあったとおりですので、これは申し上げても余り意味がないかもしれませんけれども、勤務地限定の理由の7つ目の○に「人件費の適正化による雇用の維持」というところがありまして、このような機能を果たしているということは、ヒアリングの例でも労働条件を下げるような、総人件費を減らすような形で導入したという事例もあったかと思いまして、そのような機能は確かにあるかなとは思います。ですが、これから制度を導入しようというところでこういう目的で使えるとアピールするというのは、ほかの目的に比べますと、後ろ向き的な印象があるかなと思います。

そういう意味では、機能があるのは確かだとは思いますけれども、ぜひ多様な正社員制度導入の目的として掲げるのはどうかなと思うところが若干ございますので、そこは少し御議論いただければというふうな感触がございます。先ほどの説明でも、むしろ機能だなという形で御説明いただいたかと思いますけれども、そのように思いました。

もう一点、私自身、余り手放しで賛成する考えはないのですが、この懇談会の議論が始まった中では、ワーク・ライフ・バランスの推進との関係で「多様な正社員」の制度というのがどのような可能性があるか。もし可能性があるのであれば、その導入に向けた課題等を検討して、導入に際しての参考にしようというふうなお話だったと思います。

恐らくは「優秀な人材の確保、定着」の中に入っているのだろうと思いますけれども、現在のペーパーだとワーク・ライフ・バランスの推進という目的は言葉としては出てきていない感じがいたします。これを目的として示すことができるか、できないかということは検討してよいかなと思います。

ただ、これまでのヒアリング等の感触で申しますと、職務限定は余りワーク・ライフ・バランスと関係ないかなという感じがしまして、また、勤務地限定は、例えば介護でなかなかその地域を離れられないという状況との関係ではわかる気もするのですが、育児の場合だと、私もよくわかりませんけれども、むしろ短時間勤務、時間の限定が一番重要ではないかなというふうな感触を持っております。

一般的な勤務時間短縮の例というのはヒアリングの中ではなかったと思いまして、先ほど御説明いただいた育介休法上の制度のところでの事例というものはあるという御紹介だったと思います。

 そういう意味では、恐らく勤務時間限定のところでそのようなワーク・ライフ・バランスで、そこでは特に育児が念頭に置かれているかもしれませんけれども、そのような観点からの目的というものが示せるか、検討する余地があると思います。もちろん、それが有効かどうかということについては、必ずしも限定の制度がワーク・ライフ・バランス実現の決定打とは限らない可能性もありますので、慎重に議論をしていただく必要があろうかと思います。

 あと、何が限定されているかということが、ある特定の目的に役立つかということにも影響するかと思います。現在の資料も、限定の内容との関係で示されておりますが、そのような形で目的が示されていくことになればよいのかなと思います。

以上です。

○今野座長 私から質問を1個だけ。これには全部いいことばかり書いてあるのだけれども、では、企業は何でやっていないのだ。

そうすると、こんなにいいことがいっぱいあるのに、今のところ出てくる問題点というのは、労務管理が面倒くさいだけ。

となると、企業が合理的でないからかと言うと怒られるかもしれないけれども、その辺はどうですか。こんなにいいことがいっぱいあるのに何で企業はやっていないの。どうぞ。

○岡労働条件確保改善対策室長 先ほど資料が多くて、早口で恐縮でございます。済みませんでした。

 勤務地限定については、複数の事業所があるところは、ヒアリングでもたくさんありましたし、恐らく広く行われているのではないかと推測されるのですが、職務限定については、先ほどの資料にもありましたように、余り職務を限定し過ぎると、使いづらいというふうに企業が考えているのではないかなと推測されます。

 あと、勤務時間限定については、課題解決を先ほど申し上げたのですが、どういうふうに業務を配分したらいいかとか、あるいはそもそも職場自体が長時間勤務であるので短時間勤務がしづらいということで、ヒアリングでも例がなかったですし、統計上も余り数字が上がってこなかったのではないかということです。別に企業の方が何も考えていないということではないと思います。そういったところが課題として挙がるのではないかなと考えております。

○今野座長 どうぞ。

○黒澤委員 今の今野先生のお話とワーク・ライフ・バランスのお話ともかかわるのですが、ワーク・ライフ・バランスを進めていくというのが一つの今後の日本の働き方のあり方という意味では、非常に大きな指針になってくると思うのですが、その観点から言うと、この3つの中では勤務時間限定というのが一番重要になってくると思うのです。

しかしながら、いわゆる育児・介護以外でそれを導入している企業というのは非常に少ないのだというお話があって、そこで今野先生が先ほどおっしゃった話になり、配付いただいた資料の5ページの3つ目にその問題点が書いてあります。

つまり、これが一番難しい。なぜならば、これが小手先では一番導入しにくいところであって、しかしながら、これをうまくやっていくと、実はワーク・ライフ・バランスを非常に図りやすい働き方をみんなができるようになり得る。

そういう意味において、この問題の部分には、こういう問題があるよとただ列挙されているだけなのですけれども、例えば「短時間勤務者への業務配分が難しい場合や他の従業員に過度の負担がかかる場合がある」とあるのですが、何でこういうことが起こるかというと、それこそ職務の割り当てがあって、権限委譲というのがあって、それに応じた処遇というものがされていないということだと思うのですね。でも、それを変えるということが企業にとっては非常に勇気が要ることだし、コストがかかるのだというところはやはり明確にしておくべきだと思います。

もう一つ、その前のポツの「短時間勤務が長期化すると、労働者のキャリア形成への影響やモチベーションの低下」とありますけれども、これについては、いわゆる転換が可能であるということ、つまり1度非限定正社員という立場から少しでもずれると、それでもうおしまいというのでなくて、それからまた意欲と能力に応じてカムバックできる、そういう可能性がないから、モチベーションの低下が生じる。そこら辺の要因を明確にすべきではないかなと思いました。

このように考えると、実は勤務時間限定正社員のところに「勤務時間が短いパターンと、所定外労働が免除されるパターン」とあり、それはそうなのだと思うのですけれども、本当はその中にフレキシビリティーを与えるパターンというのがあってもよいのかなと。それをここに明示しなくてもよいですが、そういうことが必要なのだよというように議論として、論調として持っていけるような書き方にぜひしていただければ。

このことはまさに佐藤先生のなさっている推進研究プロジェクト、37ページぐらいに課題、こういうことを検討したらいいのではないかというインプリケーションがありますが、そこにも書かれていることなので、そのあたりをもうちょっと前面に出して記述していただけるとよいのではないかなと思いました。

○今野座長 目的、課題、解決策、そういう感じかな。

○黒澤委員 はい。

○今野座長 どうぞ。

○水町委員 今のこととも関連するのですけれども、いろんなことをたくさん御提示されていて、かなり具体的なところまで書かれているのですが、全体としていっぱい盛り込み過ぎて、わかりにくくなっているというところがある。

例えば目的の点では、企業にとってメリットになるとか、こういうことをすれば労使にとってメリットになるよと。本当にメリットになると思えば、それをちゃんと周知、啓蒙して、では、うちもメリットになるからやりましょうというところもあると思います。

他方では、企業とか労使にとって直ちにメリットになるかどうかはわからないけれども、これから日本の政策としてこういうことを進めていくべきなのだと。黙っておけば進まないから、例えば税金を使ってこれを政策的に使ってやっていこうという措置が、例えばワーク・ライフ・バランスであれば次世代法の問題もあるし、例えば職種限定については、中長期的なキャリア形成というのを雇用保険の予算を使いながら進めていこうというところもある。

そういう政策的な目的としてこれからどういう方向に進むかという政策的インセンティブをかけながらやると、恐らく政策的に望ましいものと企業とか労使にとってメリットになるものというのがかなり重なり合っているとは思うのですが、もし本当に労使にとってメリットというのであれば、税金を使わなくてもやっていけるにもかかわらず、政策的にお金を使ってやっていこうというのと、実は短時間とか勤務地限定のワーク・ライフ・バランス的なあり方とか、職種限定で企業を超えた汎用性のある資格をつくっていきながら、失業なき労働移動を促進していこうとか、そういう政策にもかかわっているところもあるので、そこを少し整理する。

ただ、それを進めていく上では、労使にとっても政策にとっても壁になるようなこれまでの雇用システムがあるので、そこについてちょっと注意してほしいのは、余りステレオタイプに、およそ日本企業ではこうなのでとかいうのではなく、日本企業の中でも残業ゼロでうまく回しているところもあるし、ワーク・ライフ・バランスについても、女性については残業させずに長期勤続を実現しているようなところもあるので、そういう課題についてはきちんと指摘しながらも、日本の企業の中でもそういうのを克服してやっていくようなところがあるし、そういうやり方をすれば、ほかの企業でもまねできるところがいっぱいあるのではないか。それは企業にとっても中長期的にはメリットになるし、政策的な方向にも合っているという形で、ちょっと見やすく整理して書いてもらう。勤務地限定、職種限定、労働時間限定で少し温度差があって、整理が必要かもしれませんが、そういう形で書いていただければ、今後の方向性も少し見えてくるかなという気がいたしました。

○佐藤委員 まず、労働時間限定のほうなのですけれども、フルタイムで例えば残業があるという人たちが、ある一定期間だけ短時間勤務になると。これは育児・介護休業法上あって、その人たちの短時間勤務が円滑にいくという話とずっと短時間でいくということは、一応分けて考えなければいけなくて、現状の育介法上の一定期間短時間勤務というのは、いつかはフルタイムに戻る。ただ、現状でいうと、法定は育児の場合は子が3歳までで、かなり長くまで入れている会社もあるのですが、その場合は戻るわけですから、今、フルタイムでいる人たちと同じような仕事といったときに、これがなかなかうまくいかないのは、フルタイムのほうが、単にフルタイムだけでなくて、いつでも残業できるという人たちの中でフルタイムを切り出すのが難しいという議論の話と、ずっと短時間というのはちょっと分けて考えなければいけない。

ずっと短時間というのは、今の短時間勤務、いわゆる有期契約のパートタイマーなどが無期になったらつくれる。つまり、もともと短時間の仕事を出しているわけです。ただ、これを無期にしたときに、もう少し仕事の範囲を広げるとかということは書かなければいけないかもわかりませんが、これはもともと短時間でやれるような仕事を切り出しているわけです。そこにフルタイムでいろいろ調整する人がいるわけだけれども、これは、今の有期でパートの人が無期になっていけば、できてくる可能性はある。だから、これは一応2つに分けたほうがいいかなというのが1つです。

もう一つは、職種限定なり業務限定とキャリア形成の議論をするときに、最近よく議論されるように、海外のはポスト限定です。キャリア形成ということはない。つまり、今、プログラマーの2か何かでいて、上にプログラマー1があったら、私はプログラマー2ですと言ったときに、プログラマー2になるかどうかは、基本的には自分が決めるかどうかです。プログラマー1のポストがあいたときに、自分がエントリーすれば動くので、キャリア形成支援という考え方はないわけです。もちろん、サクセッションプログラムみたいなもので、例えば部長がやめた後、どうするというのは、ホワイトカラーの上のほうはサクセッションプログラムで考えていますが、キャリア形成支援というのは普通ないのだね。

日本でキャリア形成支援と職種限定を議論するというのは、ポスト限定ではなくて、多分かなり広目に職種をつくると。だから、経理でも経理1、2、3までが限定ですよと。中の異動の人事権は会社が持つのだね。だけど、経理以外には動かしません。

日本の場合での業務限定なり職種限定をするとキャリア形成支援ができないという議論は、すごく狭く、ポストで限定すれば当然そうでしょうと。

だから、キャリア限定というのは当然考えられている。もっと狭くして切っていってしまうかということで、それは業務限定の設計の仕方だと思うのです。

前にもお話ししたように、有期契約のパートの人で言うと、契約更新は半年ごと、1年ごとですから、職種のくくりはかなり狭くなっていて、例えばどこどこ店舗の生鮮売り場で6時間勤務で半年間。でも、半年後、生鮮売り場がなくなってしまったときはどうするかというと、次の契約更新のときに、生鮮は全部やめてしまって、衣類しか扱いません、おたく、こちらに来ませんか、契約更新していいですよと言うと、そちらにするわけね。

だけど、多分それがなくなると、短時間勤務で無期になったときに、そんな細かくもしなくて、販売員契約にする。店舗の中の仕事は異動してもらいますという方向になるとすると、その中ではキャリア形成があり得る。

キャリア形成があるか、ないかというのは、どういう範囲で業務を限定するかに依存するのではないかなと思います。だから、業務限定イコールキャリア形成があり得ないというのは、自動的になるわけではなくて、日本の場合は業務限定、キャリア限定という形かなと思います。

○今野座長 どうぞ。今の件でしょ。

○水町委員 労働時間限定社員というのは2つのものが入っていて、1つは育児・介護休業法みたいに1日6時間というのは、フルタイムとは別に短時間があって、どう組み合わせるかという問題ですが、会社の中でノーマルな働き方をフルタイムだけれども1日8時間で残業なしの働き方にして、企業としてどう成り立っていくかということも、ここの労働時間限定社員には入っているので、その2つを見ながら議論をするということが大切かなと。

○今野座長 どうぞ。

○佐藤委員 育介法上は残業免除と短時間勤務の両方なので、残業免除のほうも難しいというのはそこね。こちらが残業が前提になっているから、残業を外すと、それだけで業務の割り当てにかなり苦労してしまっているというおかしなことが起きているということで、御指摘もそうなのですけれども、そういう意味では、残業免除をつくるだけでもかなり工夫が要るような働き方の状況がある。それをどう変えていくかということだと思います。

○今野座長 どうぞ。

○山川委員 短時間または勤務地限定と職種限定とでちょっと違うというような感じはするのですが、一括するとしたら、一つは、ワーク・ライフ・バランスのほかに、安定化のような側面では共通するのではないかという感じがします。つまり、「多様な正社員」というものを分解すれば、「多様」という部分と「正社員」という部分に分かれて、正社員という部分は、いわゆる正社員ではなくて無期で、有期に比べてこれから安定する方向に持っていくという政策のもとでやっているので、短時間というだけでしたら、別に有期のパートでいいではないかということが出てくるのですが、安定性を強調すると、一括して、政策的な要請という点では、今の正規と非正規の壁の中でそれを変えていくということはあり得るのかなと思います。

先ほど短時間社員で難しいというお話がありまして、昔、パートの研究会をしていたときに、短時間正社員を育児・介護のためだけでなくて恒久的に使うと、今の話と関係するのですが、要するに、普通のパートとどう違うのだという印象を持たれて、ある意味で不公平感みたいなものが生じるのではないかということを感じたことがあります。

それは活用の仕方ということもあると思うのですが、ほかの部分でも、今回の資料の中に、転勤が実際ない人をどう考えるかという不公平感みたいなものがあるので、それがどういうふうに解消されるかというのは、1つ実務上の課題になるような気がします。

処遇もこの点と関連していまして、バランスのとれた処遇ということなのですが、全く同じということであると、やはり不公平感が出てくる可能性がある。

他方で、有期、パート、いずれにしても契約法とかパート法で不合理な差別ができないというふうに変わってきますが、そちらのほうがある意味ではバックアップ的な要素になるかもしれない。もともと不合理なものは許されない方向に動いてきているということです。

それにしても、一体どのぐらいの処遇が妥当なのかということは、企業にとっては、活用の幅が違う以上、処遇にある程度の差はつけるべきであろうと思っていると思うので、多様な正社員を促進するとしたら、そのあたりも課題になるかなという感じがします。

以上です。

○今野座長 今、山川さんが言われた雇用の安定化なのですけれども、企業からすると、どういうメリットがあるか。

例えば長期契約を考えるから、養成して将来の幹部まで育てる。だから、教育投資をしてもいいぞというようなメリット。

でも、例えば佐藤さんが言われたように、パートから来た人が短時間正社員だとすると、もう成長しなくてもいいやと。つまり、職務について安定的に労働力さえ供給してくれればいいやという意味の雇用の安定化メリット。そうすると、企業からすると、山川さんが言われた雇用の安定化ということに込める狙いというのが実は何パターンかあるということになってくるのですかね。

○山川委員 そうですね。これだけ有期がふえてきたというのは、安定した雇用でなくても労働者としてはやれるという仕事がふえてきているというのが背景にあるので、どのぐらい望むかというのは、先ほど水町さんが言われた政策的な要請と企業のニーズにずれがあるかもしれないという感じはするのです。

 ただ、大きな目で見れば、日本の労働力全体の質の向上という観点からは、キャリアアップをしやすい、能力開発をしやすい無期のほうが将来的には全体としていいということはあると思います。

 あとは、本末転倒かどうかわからないのですが、無期にしたら活用せざるを得ないというか、そうしないと損だという現実はあるかと思います。

○今野座長 でも、それは別に給料を上げなければいいだけの話で、そしたら、そういうインセンティブが働かないから。そういう正社員パターンをつくってしまえばいいだけの話で、もしかしたら今度のパートからの転換は、そういう正社員をつくるのかもしれない。

○佐藤委員 有期のところで言うと、もともとテンポラリーで有期でしている部分というのは全体の1割ぐらいで、有期だけれども、例えば先ほどの流通などで、この事業所がある限りとか、この仕事がある限りは雇用しようと企業は思っているわけです。だけど、現状はそれを有期で更新という形でやっている。

これを無期にしたときに何が変わるかというと、一つは、企業からすれば、仕事があるときは長期で使おうというのを無期として、仕事がなくなったときは契約解除できますというのが明確になれば、企業にとってそこの乖離は余り変わらない。

ただ、プラスになる部分は何かというと、特に現場の管理職からすると、何で毎年1回面談して、契約更新の話をやってと。この人はもう優秀なのだからいいじゃないという店長がたくさんいるわけですよ。働く側も、私はもう5年も働いています、何でそんなことをやるのという不満もあったりするわけです。店長からすると、人事からはちゃんと契約更新をやらないと雇い入れもできないからとか言われて、やるわけです。でも、実際上50人も部下がいたらやれるわけがない。ただ契約をしてしまっているのだけど。

そういう意味では、現場でいうと、現場の管理職もパートの人も何でこんな手続を踏まなければいけないのと思っている人がすごくあって、その部分については実際無駄なことをやっているわけなので、そういう部分はかなりなくなる。

実際上、無期にすれば、もう少し計画的に育成するということは会社も考えるし、本人も長くいるのだからと考える。かなりメリットが大きいのではないかなと思います。

○黒澤委員 雇用情勢の効果も大変大きくて、だんだん景気がよくなって人手不足になってくると、こういうことをせざるを得ない。でも、それは体のいいというか、そういう状況のときだけ無期に転換して、また景気が悪くなると有期にするのかという話ですね。そうはしてはもらっては困るというのは政策的な要請かと。

○今野座長 今回のテーマと余り関係ないからもう深追いしたくないのだけれども、佐藤さんのように、あるいは山川さんが言われるように、正社員化します。そのときには長期で少しずつでもキャリアアップしていくように養成していきましょうというふうに考えて、かつそれに合うように人事制度も全部設計すると。そうすると、私が人事だったら、入り口は考えるね。当然そうなりますね。誰でもというわけにはいかないぜということをセットにしないと、政策の均衡はとれないね。余計なことですけど。

○佐藤委員 現状で言うと、無期転換を想定すると、3年目、4年目ぐらいからは少し仕事を広げて動かしたりする。異動圏内に店舗があったら、そこも異動してもらう。そういう人だけ無期にしていくということになっていくね。私はこの仕事しかしませんというのは、無期転換が実際上はなかなか難しい。

そういう意味では、私はこの仕事をしませんという人にとってはマイナスになる可能性がある。転勤はしなくてもいいけれども、店舗の中の仕事は生鮮しかしませんというのは、会社としては難しい。こちらの仕事もやってくれますねと。つまり、販売員として仕事をしますかというようなことは強まってくる可能性がある。だけど、それは、ある人たちにとってはマイナスになる。

○今野座長 ついでに職務限定も少し議論していただきますが、なかなか難しくて。私の想像ですけれども、職務限定といったときに、しゃべっている人によって職務の範囲が全部違うのではないかという気がするのだな。

佐藤さんがやった調査でも、既に50%の企業は職務限定制度を入れているわけね。そのときに回答者が答えているのは、生産労働者をひとくくりにして、これは職務限定というふうに考えています。そういう意味では、非常に広い意味での職務限定は入っているわけです。

でも、水町さんが言われたときの職務限定というのは多分違うイメージなのだな。

職務限定、どうあるべきかといったときに、お互いに内容が一致できない。

○佐藤委員 基本的に勤務地限定も同じで、つまり、この店舗だけという勤務地限定もあれば、通勤90分圏内の店舗というのもあるわけだから、これも複数あるわけです。そういう意味で、職種限定もいろんな設計があり得るというのでいいのではないか。

勤務地限定も転勤の間、考えている人がいるけれども、今回のヒアリングでも、流通などでいうと、特定店舗というのはそんなに多くなかったです。通勤圏内の異動ありますと。

ですから、いずれもいろんな限定の仕方があり得ると合意すればいいのではないか。余り狭いのだけというのはちょっとあれだと思うのです。

○今野座長 水町さん、どうぞ。

○水町委員 そこは相対的なもので、極端に言うと、業務上の必要性に基づき転勤、出向を命じることができるという就業規則の1つの条項で、どこでも命じられる人か、それとも生産というのでもいいかもしれないし、私は経営の修士を持っているので、経営能力を生かせる、それに付随するような職務に限定してくださいと。いろんなものがあり得るかもしれないので、そこは別にここで限定する必要はなくて、こういう限定の仕方だったら企業に合うかもしれないし、これは政策目的にも合うかもしれないねという議論を幅広にしていけばいいのかなと思います。

○今野座長 それをそのまま持っていってしまうと、それは状況、現場によって違うのだから、労使が相談して決めればいいではないかということで落ちつくわけだけれども、それはそれでいいとしても、水町さんが言った、個別企業の事情を超えた政策的な狙いといったときには、これはもう少しお互いにすり合わせたほうがいいかなという感じはするのだけれども。それがなければいいですよ。

○水町委員 そこは両方であって、政策目的から出てくる制度というのは、目的から出てくる制度のあり方というのがあるので、例えば企業を超えて資格を汎用性のあるものとしてつくっていきましょうと。それは例えば国家資格として取ったり、大学院で勉強したりということに付随する職種の限定。ほかの企業に行っても生かせるという職種の限定の仕方というのがあるかもしれない。ここではただ政策目的のためだけに議論しているわけではないので、労使にとってメリットであり、今回の大きな意味での方向性に合致しているというのであれば、失業なき労働移動のためだけにやるような職種限定ではなく、企業の中で限定をつけて、広い意味ではワーク・ライフ・バランスに資したり、個人として能力を生かすというふうに発展していくということも十分あり得るので、そこは少し議論を区別しながらというか、意識しながらやればいいのかなという気はします。

○今野座長 どうぞ。

○佐藤委員 何を考えるかで、例えば職種限定といったときに、ある程度企業と労働者が合意できるような内容。後から違いましたというのは困るわけで、そういう意味では、職種を限定したときに、お互い了解できる限定になってなければいけないとかね。

職種の限定のあり方、すごく狭くすれば、会社がキャリア形成支援なんかしてくれなくなってしまいますよと。だから、例えば外で自分が探すのです。つまり、限定の仕方によって、企業にとって、個人にとってどういうプラスマイナスがあるかということを少しわかりやすくするというのはあると思うのです。その中で、企業なり本人がどういうのを選択するか。そういう情報の出し方もあるのではないかなと思います。

○今野座長 今の佐藤さんの議論は、要するに、出口はいろいろだけれども、こんなことに気をつけたほうがいいというぐらいで整理したほうがいいよという話だよな。

○佐藤委員 そうです。

○今野座長 昔、日経連が出した新日本経営の中に専門能力型というのがあったけれども、まさにこれのイメージなのだね。あの当時もすごく少数で、そんな人はほとんどいない。いてもほんの一部だから、人事制度上、本丸にならないから、つまらない議論をするなと私は思っていたのです。すごく注目をされた提言だったわけですが、あれから何年もたっているけれども一向に広がらないというのはどういうことだというのがあるのですね。

 どうぞ。

○山川委員 今回の職務限定正社員にはいろんな背景があったと思いますが、1つの背景は労契法18条との関係で、無期化するときに、現在の有期の従業員は職種が限定されている方が多いという認識を前提にしていたような感じがします。それだけが政策として考えられていることではなかったとは思いますが、とりあえず議論の中に入ってきたことにはそういう背景があったので、非常に高度の方の場合、有期を無期化しても、特例がない限りは問題ない。同じ問題が起きるとは思いますが、必ずしも高度専門家でない場合も含めてこういう議論をしてきたという背景があったかと思います。

○今野座長 ほかにどうぞ。

○黒田委員 ちょっと的を外れた質問かもしれないのですけれども、御存じの方は教えていただきたいのですが、既に金融機関などを中心に総合職、一般職、地域限定職というコース別制度は普及しており、私が就職活動するときはもう既にそういった体系になっていたわけですけれども、それより一昔前はそういう制度はなく、おそらくきっかけは男女雇用機会均等法が関連していたのではないかと思います。法律が施行されたことによって、積極的にコース別制度を導入した金融機関系とそのまま導入せずに今に至っている企業との間でどのような違いがあるのか、当時の背景みたいなものをもし御存じであれば教えていただきたい。

 事務局のほうで当時の資料などが見つかるようでしたら、なぜ導入する企業としない企業がいるのかということを考えるきっかけになるのではないかと思いました。

 それから、職務限定、職種限定の話で、佐藤博樹先生のアンケート調査ですと、9割はもう何らかの職務限定になっているという結果になっています。さらに、23ページはその運用の実態が示されており、導入している9割の企業に聞いている質問だと思いますが、そのうち47.6%は曖昧な形で運用しているということになっています。ここで議論しているのは、曖昧なものをもっと明確にしなければいけないということなのか、それとも不明瞭にしていてもうまくワークしているのであれば、その必要はないような気もするのですけれども、その点についても、どなたか御意見があれば、お聞かせいただければと思います。

○今野座長 では、前者については佐藤さんに聞きましょうか。

○佐藤委員 均等法の前は、金融機関の中で総合職は基本的に大卒で、男性で、大卒の女性でも一般職という構造があった。当時は男性と同じような仕事につく能力、意欲のある人については門戸を開けということで、そういう意味では、総合職のほうは女性にも開いて、一般職のほうは女子のみでもよかったということです。

そのときに総合職のほうに入れる女性について、転勤できますかというような条件が入ってきたのではないかな。典型的な例で言えば。

逆に言えば、もともともそうだったのだけれども、明確に総合職のほうは転勤がありますよ、そういうのでいいですかという形。それまではそんなことをわざわざ言わなくてもそういう人しか来なかったと思うのだけれども。

一般職のほうは女性のみで、総合職のほうにそれでもいいという女性に門戸を開いたというのが一番最初だったと思うのです。

ただ、今はそれはだめですよという形になってきて、つまり、一般職のほうも、エントリーすれば男性も採るということです。女子のみ採用はだめなので。

転勤の有無だけでなくて、業務の範囲で切り分けるような形でつくってきているというのが最近の動きかなと。だから、従来型はだめということもあるけれども、かなり変わってきていると思います。

○山川委員 同じですけれども、要するに、男女別構成を職種別構成に変えて、その場合の総合職の類型的な要件として転勤というのを持ってきたということだと思います。今は間接差別が禁止されているために、業務上の必要性がない限り類型として使うことはできないとか、そういう感じになっているのだと思います。

○今野座長 どうぞ。

○黒田委員 済みません、ちゃんと理解していないのかもしれないですが、私の質問は、当時、性差別というものをなくそうという法律がきっかけになってということなのだと思いますけれども、それによって制度を導入した企業としなかった企業があるわけです。法律が施行されたにもかかわらず、当時制度を導入した企業としなかった企業があるのはなぜなのか、そしてその違いがなぜ今も残っているのか。

例えば金融機関であれば、総合職、一般職というのは当たり前のように今はあるわけですが、そうしたコース制がない企業もあるわけです。それが私の疑問の1点です。

とはいえ、当時の法改正がそれだけがらりと働き方を変えるというふうに世の中を動かしたのであれば、そういった大きなきっかけがないと、これ以上はなかなか進んでいかないのではないかというふうに考えることもできるので、そういう意味で、当時の法改正の影響と、なぜそれが一部の企業にはアクセプトされて、一部の企業にはそうならなかったのかということを考えたほうがいいのではないかいう問題提起です。

○今野座長 一般的にメーカーはないね。

○黒田委員 はい。

○今野座長 どうぞ。

○山川委員 転勤が非常に多用されていて、それがない補助的な職務を切り出して、かなりカテゴリカルに使える。例えば商社とか金融機関は割と総合職、一般職が多い。メーカーはそう簡単に2つに分けられるわけでもないですし、中小企業ですと、そこが不明確な場合もあるので、金融機関などはそういう切り分けが割とはっきりできやすかったということではないか。実態の話なので、佐藤先生のほうが詳しいと思いますが、そんな感じがします。

○今野座長 どうぞ。

○黒田委員 今のお話を聞いて思ったのですけれども、もしそうであるならば、2〜3年の頻度で必ずローテーションをするという形で運用している企業と、必ずしもそうではない、あるいは勤務地がそもそも1事業所しかないというところで今のような現状が確立しているのであれば、そこからさらにふやしていくというのは難しいのではないかと思います。

○今野座長 2番目の質問は何だっけ。今、議論したのは1番目の質問だね。

○黒田委員 はい。

○今野座長 2つ目は何だっけ。

○黒田委員 2番目の質問は、曖昧に職種限定を運用しているということがどれほど企業や労働者にとって不利益をもたらしているのかということを御存じの方がいらっしゃれば。

○今野座長 どうぞ。

○佐藤委員 1つは有期と無期転換のほうで、事実上、有期のときは事業所や職務を限定したような形になっているわけです。これを無期にしたときに、今の正社員と同じような形でやることが企業にとってプラスか、本人にとってどうか。例えば仕事はどういう範囲かとか、どの事業所かというのは、本人も明示してほしいというのがあると思うのです。やはりこの事業所、通勤圏で働きたいというのがあると思うので。

 企業もこの事業所がある限り雇いますという形で有期の方を使っているので、無期にしたときに、その後の紛争が起こらないという点では、特に有期の無期転換という限りにおいて明示するというのは、働く人にとっても企業にとってもプラスではないかな。

 もう一つ、正社員のほうも、職種、自分は営業だと思っていても、その後、ここが難しいところですけれども、営業以外に動かすということができるわけです。だけど、それが本人にとってプラスかマイナスというのは、本人の選択だと思うのですが、自分は雇用が保障されていいと思えば動くほうがいいと思うのだけれども、私は営業ですねという人からすると、明確になったほうがいいね。

 ここは結構判断が分かれるところがあるかもわかりませんけれども、自分はこの仕事という人がふえてくると、もうちょっと明確にする。

 勤務地限定も、運用でやっていると、今までは転勤しなくて、事業所閉鎖のときに何で転勤させるのかと。逆に無期で異動していた人からすると、クレームが出てくる可能性もある。

 僕は、いろんな点で明確にしていくことが重要な局面は出てくるのではないかなと思います。

○今野座長 どうぞ。

○竹内委員 ほとんどつけ足しというか、同じことになるかもしれませんけれども、法的な観点から言うと、紛争になったときに、取扱いが明確になっていないと、自分はこの工場でずっと働けると思っていたのに何であちらに行かされるのだということがあると思うのです。問題になった局面でやはり自分の限定というのが生かされない、そういうふうに最終的に判断されるとなると、遡及的に繰り上がって現状の自分の働き方に満足できないというふうな形で、日常の働き方の満足度にも影響してくるかなと思うのです。

 佐藤先生のお話の中にもあったことで、結局、繰り返しかなとは思うのですが、同じ会社の中で、曖昧な形だけれども限定されているような人と契約上明確に限定されている人が併存していた場合、そこは従業員の間での処遇に対する不満にもつながってくるのかなと思います。

そういう意味では、もし明確化を一方で進めるのであれば、曖昧なままに放置する部分を余り残さないほうがいいということになっていくのかなという気がいたします。

○今野座長 どうぞ。

○水町委員 フランスとの比較で言えば、職務が限定されていないと定時に帰れないし、休みがとれない。仕事があれば、おまえ、残ってやれと言われるし、自分が休むと、ほかの人に迷惑をかけると。フランスは何で定時に帰れるし、休みをとれるかというと、自分の仕事が決まっているから自分のペースで帰れるし、休みもとれるというところが大きな違いだと。

○今野座長 どうぞ。

○山川委員 紛争の防止という観点から、もし明確に決まっている場合は明確にすることが有効かと思いますが、ヒアリングの中ではそもそも明確にできるかどうかという事例もあって、明確化したほうが望ましい場合もありますけれども、例えば問題がない限り勤務地は限定します、あるいは特に会社が困ったら勤務地限定を外しますとか、そんな答えが出てきた場合に、それは一体どちらなのかという問題もありそうです。

客観的に曖昧でないのに曖昧にしている場合と客観的にも曖昧であるという場合、その曖昧さをなくすには一体どういうふうに契約として考えていくのか。法律家の役目かもしれません。また、仮に曖昧なことを法的に明確にできた場合に、それをどういうふうに説明するのかという問題はあるかなと。ヒアリングに全部出ていないのですが、そういうふうに思いました。

○今野座長 その延長なのですけれども、勤務地限定をします、しませんというのを契約上、明確に書いたときに、限定しない社員の中で動かない人というのは当然出てくるね。その場合はどうなるの。つまり、今と余り状況が変わらないのではないかというのが私の意見なのだ。

例えば今、総合職、一般職ということで、総合職の中で異動しない人がいるから問題ではないかという話ですね。今どき大企業だったら、入社時には総合職、一般職とちゃんと明示しているから、ある種の契約は成立しているわけですけれども、それにもかかわらずそういう問題が起きてくる。そうすると、先ほどの議論で、総合職は転勤があります、一般職は転勤がありませんと明確に契約をしてやったとしても、結果として総合職で動かない人は当然出てくるので、その場合にはどういうことになるのと思った。

○山川委員 法的には、そういう場合、例えばかなり長年にわたって同じところにいても、限定する合意が成立することにはならないという傾向が判例ではあると思いますが、多分それは今野先生の御期待する答えとは別の話かと思いますけれども。

○佐藤委員 まず、前提として2つあって、転勤が必要ない人まで無限定にしているのはちょっと問題で、そこは見直す必要があると思うのね。初めから転勤があるという人について、やや多目にしているという感じがある。これはまずいなと思っている。

ただ、そうしたことをやった上で、結果として動かなかったというのが今までであって、これから動く可能性はあるわけですから、そこは問題ないのではないか。結果として今までは動かなかった。でも、これから動くかもわからないですから、それは。

○今野座長 では、これから動くかもしれないということであればいいということだね。

○佐藤委員 そうそう。

○今野座長 結構です。

 それでは、きょうはもう一個、処遇の問題があるので、処遇の問題に行きますか。

 では、まず資料の説明をしていただいて、それからまた議論しましょう。

 事務局、議論が発散していて大変だね。整理を頑張ってね。

○岡労働条件確保改善対策室長 今の制度導入の目的と大分絡むところも多いのですけれども、重ねて議論をお願いしたいと思います。

 資料の39ページをごらんいただきたいと思います。

「多様な正社員」の処遇ということで、賃金と昇進、それから両方にかかわる均衡処遇ということで、3つに分けて記載しております。

まず、賃金でございます。企業ヒアリングでは、いわゆる正社員と比較した勤務地限定正社員の賃金水準は8〜9割超、各種先行調査報告書では勤務地限定、職務限定、勤務時間限定を含め8〜9割となっている場合が多いということで、不満に思っている人ももちろんいるとは思うのですが、おおむね納得が得られている場合が多い。

一律に何割ぐらいにしろということはなかなか難しいのですけれども、今後その制度を導入する企業においては、こうした水準というのが参考になるのではないかいうことでございます。

2つ目です。勤務時間限定の人の賃金については、同種の職務を行う比較可能なフルタイムの人と比べまして時間が短いということで、その分時間比例する例というのが見られる一方で、フルタイムの人とは単に時間が短いというだけではなくて、拘束度も違う場合があるということで、拘束度に応じて時間当たりの賃金額を一定程度抑えるということも考えられると思います。そのような場合に、職務、職責に合った適切な賃金制度をどのように設計していくかということでございます。

職務限定正社員の賃金については、いろいろパターンがあるかと思いますが、職務給あるいは職務給の要素が強い場合というのがあるかと思います。一般にいわゆる正社員の場合は職能給の要素が強いと思いますので、いわゆる正社員とは賃金制度が異なることがあるかと思います。そのような場合には単純に比較というのが難しくなるわけですけれども、就業の実態に合った適切な賃金制度をどのように設計するかということがあるかと思います。

4つ目です。いわゆる正社員と「多様な正社員」の間で賃金の差を設ける場合に、これもいろんなやり方がございました。

そもそも異なる賃金テーブルを適用しているケースというのもありますし、同じ賃金テーブルを適用しつつ、転勤がある人とない人で異なる係数をかけて差を設けているケース。あるいは同じテーブルを使って、転勤のある人については、転勤のリスクに対するプレミアム、手当を支給することで差を設けているケースというのが見られました。

これも1つのやり方に決めるというわけにはいかないですが、今後制度を導入する企業においては参考になるのではないかということでございます。

次のページでございます。

そういったいろんなパターンがありますし、先ほどのような水準というのが一般的なわけですが、いわゆる正社員と職務内容や時間の差が小さい場合、先ほどお話もありましたいわゆる正社員で転勤しない人がいるという場合に、「多様な正社員」の人が自分たちは賃金が低いということに不満を持つことがあります。

こうした場合は、賃金水準の差をできるだけ小さくしたり、あるいは同一の賃金テーブルにした上で、転勤に対するプレミアム、手当を支給したほうが「多様な正社員」の納得が得られやすい場合もあるのではないかということでございます。

他方、これも先ほどお話がありましたが、いわゆる正社員のほうの負担が大きいに場合に、余り差がなさ過ぎると、今度は逆にいわゆる正社員の方が不満を持つこともありますので、そういった場合は一定程度の差を広げたほうがいい場合もあるのではないか。

ただ、先ほど黒澤先生がおっしゃったように、一定の差を設けるのはいいのだけれども、そういった状況が固定化しないように転換制度を設けることも考えられるのではないかということでございます。

その下、改正労働契約法、5年無期化の人が出てくるのは今後ということでございますが、JILの行った調査でございますが、今後無期転換をした場合に賃金をどうするかということで、そのままというところも当然あるわけですが、賃金の水準を引き上げる傾向が全般的に見られるのではないかと思います。また、いわゆる正社員と比べて大体8割程度、あるいは9割とか同じというところもありましたけれども、8割以上とする企業がその中の3分の2ということになっております。

まだ検討していないというところも多いと思いますが、今後無期転換の受け皿として「多様な正社員」を活用していこうとする企業において、こうした傾向というのは参考になるのではないかということでございます。

最後は、先ほど今野先生がおっしゃられたことと共通しますけれども、それぞれ企業ごとに事情も違いますので、賃金制度、賃金水準については労使の間で決定するということで、「多様な正社員」、いわゆる正社員の双方から納得が得られるようにわかりやすい制度とするとともに、労使間で十分に話し合って一番納得ができるような制度にすることが必要ではないかということでございます。

41ページは昇進でございます。これもヒアリング等でいろんなパターンがございまして、そもそも昇進のスピードに差をつけてしまうケース。

あるいは途中までは同じなのですが、ポストの関係などもあるのですが、途中からスピードが遅くなっていくケース。

あるいはスピードは同じなのですけれども、昇進の頭打ち、上限があるケースというのがありました。

他方、一般職はスピード、上限を設ける場合もあるのですが、エリア総合職についてはいわゆる正社員と全く同じで、スピードも同じですし、上限も設けないといったケースもございました。

これもどれが良いということはなかなか言いがたいかもしれませんけれども、今後制度を導入する企業においては参考になるのではないかということでございます。

勤務地限定正社員についてでございます。一般に転勤する場合は、事業の必要性というのもありますし、キャリア形成、人材育成といったこともあるかと思います。ただ、転勤が余り能力アップなどに関係がない場合もあるかもしれませんので、モチベーションの維持あるいは人材育成の観点から、転勤が能力アップといったものに関連性が薄い場合は昇進の上限を設けないとか、制度を再検討するということも考えられるのではないかということでございます。

いわゆる正社員から一時的に「多様な正社員」に転換した人が、限定する事情がなくなっていわゆる正社員に復帰する場合に、ずっといわゆる正社員で働いてきた人と同格のポストに配置するというのは、公平性の観点からなかなか難しい場合が多いかもしれませんけれども、ただ、限定された中で当然実績や経験も積んできておるわけでございますので、それを適正に評価してふさわしいポストに配置することが望ましいのではないかということでございます。

先ほど賃金のところでもございましたが、無期転換した場合、昇進とか昇格をどうするかというアンケート調査でありますが、無期転換した人について役職まで登用するとしている企業が大体3割。登用するとしている企業のうち4分の3は、役職でも下のほうの役職だけではなくて、中級クラスあるいは上のクラスの管理職まで登用しますよというふうに答えております。

3割というのが高いかどうかというのは、いろいろ判断があるかもしれませんけれども、今後企業において無期転換を考えていくときの参考となるのではないかということでございます。

一番下ですが、先ほどの賃金と同じように、納得のいくような制度とするために、労使で十分に話し合ってわかりやすい制度にしていただくということでございます。

次に、42ページの均衡処遇でございます。これは先ほどの賃金、昇格、あるいはそれ以外の条件にもかかわることかと思います。

いわゆる正社員と「多様な正社員」の間で職務内容が同じであるにもかかわらず、勤務地等の限定があるかないかで処遇に差をつけることをどのように考えるか。

2つ目は、規制改革会議の意見書に盛り込まれた内容でございますが、いわゆる正社員と「多様な正社員」の均衡処遇を図るために、労働契約法20条に類する規定(不合理な労働条件の禁止)を設けるという考え方がありますけれども、これについてどのように考えるかということでございます。

3つ目は、使用者団体のヒアリングのときにいただいた意見でございますが、限定の項目程度というのは企業によってさまざまでございますので、処遇も千差万別であるということで、合理性の範囲を示すことは難しいので、均衡処遇を制度化するというのはなかなか難しいのではないかという意見もありましたが、これについてどのように考えるかということでございます。

最後は、先ほどいろんな賃金の水準などの例をお示ししたのですけれども、今後その制度を導入する企業が処遇の設定を円滑に行うことができるように、先ほどの水準がどうかというのはありますが、賃金水準の相場を示したり、あるいは設定方法としてこういうものがあるといった情報発信をしていくことで事実上、均衡がとれていくようにしていくということも考えられると思いますが、そういった方法についてどのように考えるかということでございます。

43ページ以降は関連資料ということで、この懇談会におけるヒアリングや先行調査におけるさまざまなデータを載せております。賃金については大体8割から9割というところが多くなってございます。

49ページは黒田先生が調査された研究でございます。短時間勤務を導入する場合にどれくらい差をつけたらいいかということで、ヒアリングで短時間勤務がなかなかなかったものですから、こちらを使わせていただきましたけれども、白いほうが企業で、黒いほうが従業員ということになりますが、企業のほうは、そもそもそんな制度を導入することは考えられないという企業が半分ぐらいあるわけですが、他方、いわゆる正社員と比べて10%ぐらい低い、あるいは20%低いというのだったらいいのではないかという企業もあります。あるいは同じでいいのではないかというところも2割ぐらいあるということです。

他方、労働者のほうを見ましても、正社員と同じでないといけないという人も当然いるわけですが、一番多いのは20%ぐらい低くてもいいということ、あるいは30%、10%というのもありますけれども、賃金が下がったとしても短時間で働けるメリットのほうを重視する人が多いということで、こういったことも参考になるのではないかということでございます。

50ページ以降には昇進、昇格の関係のデータをつけてございます。

無期転換した後、どういう制度にするかというのが54ページ、55ページにございます。

転換後は職務を限定しないということで、職務を広げたり、あるいは配置転換をするということで、今よりもう少し広い範囲で活用していこうということがうかがわれるのと、それから先ほど申し上げた役職に登用するかということで、3割ぐらいの企業が役職に登用することを考えているということでございます。

次のページに賃金のことが書いてございますけれども、今、有期のときは時給制ということなのでしょうけれども、無期転換後は月給制にしていく。あるいは賃金水準については正社員と同じか、それ以上にするというところも3割ぐらいございます。教育訓練などについても今よりもちゃんと行っていくという傾向が見られるかと思います。

ちょっと飛びまして、57ページです。これもこれまでの懇談会では出していない資料ですが、これは今野先生がなさった研究でございます。これは「多様な正社員」とか限定正社員というわけではないのですが、転勤がある正社員と転勤がない正社員の賃金決定方法や水準について調べられたものでございます。

真ん中ぐらいにございますけれども、転勤のある正社員の年収を100とした場合に、転勤がない人の年収は約9割ということで、先ほどの懇談会のヒアリングや先行研究と大体同じような傾向が見られるかなということでございます。

その下は賃金に対する社員の納得度ということで、「納得している」あるいは「やや納得している」というのが約8割ということで、大体9割ぐらいにすれば、不満に思っている人ももちろんいるわけですが、納得している人が割と多いのかなということでございます。

以下、その詳細なデータをつけてございますが、先ほど申し上げたような傾向の資料でございます。

なお、63ページに、先ほど論点ペーパーでも触れましたが、規制改革会議の資料をおつけしております。

下のほうに赤字で書いてございますが、均衡処遇を図るために契約法20条に類する規定を設けるという提言がなされておるところでございます。

以上でございます。

○今野座長 ありがとうございました。

 それでは、御質問、御意見、どうぞ。

○佐藤委員 これは多分賃金の水準の話だと思うのです。議論するときに勤務地限定と時間限定と職種限定を分けて考えなければいけないかなと思っていて、労働時間が限定された場合、6時間勤務の人は比較可能な無限定の人の何割と。ですから、育介法上の短時間勤務でいえば、普通は時間比例で8分の6。だから、ここは何割でなくて、比較可能な人、つまり、いわゆる正社員で同じ等級で、その人が6時間勤務であれば、基本的にその人は割り引かれないで8分の6だと思うのです。

他方で、パートで6時間の人が無期になったときに、これはパート労働法と一緒で、その人は比較する人がいない可能性が結構あるわけです。職種が限定されて、短時間で、転勤もないという人がいないとすると、これは単純に何割という話でなくて、パート労働法のような議論になるのかな。

今回、無期転換したら賃金がふえるみたいなのですけれども、これは仕事の範囲が変わったりする可能性がある。そのことは聞いていない。

ですから、時間でいうと、いわゆる正社員が短時間になったりするのは時間比例で、他方で、パートなども職種限定、勤務地限定で無期になったときというと、パート労働法のときのような考え方かなと。

職種限定もなかなか難しくて、かなり狭い職種限定だと、賃金も仕事給とか職務給的になってきますね。そうすると、これも何割減というような話でもないかなと。これも比較可能な人がいないのかな。だから、パート労働的な考え方になるのかなと思う。

ただ、勤務地限定の場合は、勤務地が限定される以外同じと限定したときの転勤リスクみたいな話で、割合議論しやすいのですけれども、時間限定と職種限定の賃金については別の議論をしなければいけないかなと考えています。

○今野座長 どうぞ。

○水町委員 ここは基本給の話がほとんどなのですが、実際は基本給以外のところで問題になっていることが多い。例えば賞与とか退職金以外に福利厚生とか現物給付とか、いろんなものがありますので、それを少し幅広に見ていくというのが1つです。

もう一つは、法的なものを考えるときに、42ページの均衡処遇というところの労契法20条とかパートタイム労働法8条とか労働契約法3条2項について、基本給以外の問題も含めて、もう少しきちんと議論を整理したほうがいいのではないか。

基本給については、職務の実態とキャリアの展開を踏まえてバランスのとれた賃金制度になっているかどうかというのが問題で、そこは就業の実態と企業の中の運用によるということになると思いますが、基本給以外のところは、比較可能なものが必ずしも当てはまらないところが出てきて、例えば労働契約法20条で食堂の利用というのを、無期には食堂を利用させているけれども、有期には食堂を利用させていないというのは、これは特別の理由がなければだめだというふうになっています。

有期の人が5年たったから無期転換にして、無期になったから労働契約法20条の適用がなくなったから、この人たちだけは食堂の利用を認めないようにしましょうといったら、労契法20条の適用はないわけです。だけど、何か法的にはおかしいねというときに、これは20条の問題ではないし、ほかにも今、実定法上の条文はないけれども、例えば公序良俗という民法90条の問題になるのか、労契法3条2項の一般的な条項の問題になるのか、そういう意味で、福利厚生とかいろいろやると、いろいろあるわけですよ。

そうなった場合に、では、20条に類するような規定をつくって穴を埋めようかという、新しい立法、規定をつくるという話になるか、それ以外であってもカバーできるかという話をちょっとして、現行法で整理してカバーできるのであればカバーできるし、企業の中の運用もその中で沿ったような形でやってくださいというふうにお勧めすればいいのですが、今、現行法と基本給以外のところも含めた処遇のあり方とのたてつけの問題を少し議論したほうがいいかなと思います。

○今野座長 どうぞ。

○櫻庭委員 今の点にちょっと関連するかと思うのですが、今までの労契法20条とかパートタイム法では、パートタイム労働者がフルタイム労働者との不合理な差別的取り扱いを是正することを目的としていて、労契法のほうは、有期契約の労働者が無期契約の労働者との関係で是正するという話だと思うのですけれども、今回の「多様な正社員」との関係でいうと、いわゆる正社員の人が「多様な正社員」の人の処遇が高過ぎるという話も含まれるということになるのですか。彼らは労働時間が限定されているとか、勤務地が限定されているにもかかわらず処遇が高過ぎるとか、そういうことも入ってくるのかなと思ったりもするのです。

○今野座長 でも、結果的には「多様な正社員」で例えば勤務時間限定新正社員というのができたときに、パートと全く同じ限定で、仕事も同じようにしていて給料が高ければ、それは問題になるのではないか。

○櫻庭委員 そうすると、かなりその射程が広がってくるような。

○今野座長 従来の非正規の人たちの対象範囲が広がるというのはあり得ると思いますね。

○佐藤委員 現状でも無期の人の中でフルタイムとパートタイムはパート労働法が適用されるという考えでいいですね。

○今野座長 そうだろうな。

○佐藤委員 ですから、そこはパートタイム法のカバー範囲で、今度無期の中の転勤する、しないとか、無期の中で職種が変わる人と職種が限定される人の比較みたいなのが現行法でカバーされるかどうかよくわからなくて、だから、短時間とフルとパートについては一応パート労働法がカバーしているという考えでいいのかな。

○水町委員 パート労働法8条の3要件を満たしていないと8条の要件にならないので、8条を満たしていないけれども均衡のとれた処遇がふさわしいのだというときにどうするかという問題も入ってきますし、全体の条文のバランスとか穴をどう考えていくか。有期から無期になって、無期、無期の話になったとき、ダイレクトに規制している法律、規定がないので、ほっておいていいのか、それともふさわしい方向性があるとすれば、労契法3条2項とか公序良俗で対応できるけれども、こういう方向性で進めてくださいねという話にするのか、そこら辺の議論ですね。

○今野座長 「多様な正社員」ができると、いってみれば、企業の中で全く異なる人事制度が複数存在するようになって、その結果、賃金が違うとか福利厚生が違うとか、そういう問題が起きてくるかもしれないという話だね。

○水町委員 そうです。もう既に労契法20条ではその問題が無期、有期で起こっていますが、それ以外のところにも想定していない問題が波及して出てくるので、それをちゃんと考えてきおきましょうと。

○佐藤委員 事業所ごとに福利厚生が相当違うというのが昔からあったのは事実なのです。事業所単位の利益管理をしているところなどは、労使交渉で事業所ごとに相当違うというのが出てきて、それがもう少し具体化してきたときに、こちらの事業所は社内保育園がないとか、福利厚生が事業所ごとに違うというのをどうするかとか、そういう問題も出てくるかなという気はしました。

○今野座長 どうぞ。

○竹内委員 先ほどの櫻庭先生のお話のところに戻って、私が正しく理解しているかにもよりますけれども、現在のパートタイム法8条とか労働契約法20条の規定だと、いわゆる非正社員に当たる人たち、つまり、パートタイム労働者である人たち、あるいは有期契約労働の人たちがそうでない人に比べて差別されたり、不合理に取り扱われてはならないとされています。有期とかパートタイムの人たちが置かれているほかの条件とかを踏まえて無限定の正社員と比較すると、ある意味お得な地位にいる、より有利に扱われているということは必ずしも否定していないと思うのです。

 例えば雇用形態間で不合理な取り扱いをしてはいけないという、ある意味新しい規定とかをつくろうとした場合には、いわゆる限定正社員が不利に取り扱われることがあってはいけないと思うのですけれども、他方で、無限定正社員が損をする、つまり無限定正社員と限定正社員の格差について、低い方に統一するという対応方法も認められることになるのか、問題になると思います。

もしこれが認められるとすれば、例えば低い線でそろえる形で均衡をとっていくという話になると思うのですが、雇用形態間とかで不合理な処遇を禁止する場合、これまでは、割と、下に置かれている処遇の人たちを引き上げていくという話だったと思います。そうではなく、上を下に合わせるような話とかも含めていくべきなのか、あるいは含めるべきでないのか、櫻庭先生はそういった問題も整理しておくべきであるという御指摘だったのではないかなと思うのです。そこは労働条件変更の法理の問題とも絡む問題だなと思います。

○今野座長 法律上わからないので、私から質問していいですか。処遇の中に昇進というのがありますけれども、昇進といっても一種の配置政策なので、ここでは処遇に入っていますが、ある仕事があきましたと。昇進だったら、上のポストがあいたということですけれども、そのときに誰をつけますかということについて、差別さえしなければ、あとは会社の自由ではないかというふうに考えていいの。つまり、男女は差別しないとか。

そうすると、今のところうちの会社は無限定社員を中心に配置したいのだといったときには、法律違反にはならないということね。どうぞ。

○水町委員 これは、制度として設けるのか、個別の人選をしてやるのかという点で違いが出てきて、例えばパートタイム法で3要件を満たしている短時間労働者がいるときに、うちはフルタイムの人しか課長以上にさせません、短時間の人は係長どまりですといったら、これはパートタイム法8条違反です。

だけども、実際に人選をして、こういう理由で結果としてフルタイムの人が課長になっていて、パートタイムの人は係長までしかなっていませんということで、その理由になっていなければいいのです。だから、制度としてやってはいけないことと、個別の中で、人事権の裁量の中でやれることの違いがあるし、無期、有期の話でもそういう形で合理的理由というところがかかわってきます。

○今野座長 もう少し正確的に言うと、「多様な正社員」の範囲内で。正社員の範囲内でどうですか。

○佐藤委員 今野先生が言われたのは、今、全国転勤屋の人とブロックと一般職とここにあるように、昇進を制度的に分けている。これがいいか悪いかという意味ですか。

○今野座長 いや、いいか悪いかとか結果。

○佐藤委員 法律上認めない。

○今野座長 要するに、頂上を設けるとか、遅いとかいうのは全部配置政策の問題だから、そこの配置政策をどう考えるかということなのだね。会社の自由だったら、制度を設けたっていいし、遅くたっていいではないかという話があるので、そこが基本なのですね。

○水町委員 無期、有期とかでも不合理な労働条件の違いはいけないという話になって、均等法の間接差別のときも、転勤要件をつけることは原則だめだと。ただし、転勤要件が企業の中の人事管理上、合理的な理由があればオーケーということなので、企業としては、何か差をつけるときにはちゃんと合理的理由を説明しなさいということが求められるようになり、今回も新しい法律をつくるとすれば、その合理的理由というのをちゃんと考えた上でつくりましょうねということになるのだと。

○今野座長 そうなると、こういう問題はどうなりますか。総合職と一般職を採用しました。総合職は将来課長、部長にしたいと思っています。したがって、若いときはポスト上の昇進でなくて、ここまで頑張ったねという昇進があるわけだね。そのときは総合職を早くするわけですね。これは差別になるわけ。問題になるの。

○山川委員 そこは、もし法的ルールをつくるとしたら、どういうルールをつくるかに依存してくるような気がしまして、例えばパート労働法は、人材活用の仕組みも一緒でなければいけない。ということは、人材活用の仕組みが違う場合には、そこでもうはねられてしまうというのが現在の8条の状況で、要するに、何をもって不合理な取り扱いをしてはいけないかということに依存してくる。均等法の場合は性別のみが差別してはいけない事由になっていますけれども、パート法とか労働契約法はそこがちょっと広がっているので、どういう仕組みをつくるかによって変わってくると思います。

○今野座長 そうすると、男女関係なく、総合職、一般職の場合だけ考えたら、どうなりますか。

○山川委員 例えば勤務地限定という理由をもって不合理な取り扱いをしてはいけないというふうに書くかどうかにも依存します。ただ、勤務地限定というのも一種の配置政策だとすると、ある意味堂々めぐりになる部分が出てくるかもしれないので、そこはちょっと難しいです。勤務地限定と配置政策は別だとすると、勤務地限定ということを理由としていたら、不合理であればやってはいけないということになると思いますが、そういう仕組みにするかどうかですね。

○佐藤委員 今野先生が言われたことは2つあって、最初のほうに言われたのは、全国転勤はそうでなくて、昇進の上限を設定するときにその合理性がなければいけない。例えば複数の店舗を経験しないと店長のスキルがつかない、かなりの確率でそうだという合理性があれば設定してもいいというのがあるのか。そういうのがないにもかかわらず、つまり、転勤しなくても店長になるスキルがつくのにそういう設定をしていると、多分合理的に説明できないというのが最初の話。

 もう一つは、総合職として、そのポストにつく能力はまだないけれども、つけてから育てますと。こちらにはつける人がいるけれども待ちますと。そういうのが差別になるかどうかという話かなと思って、後者は結構難しいかなと思ったのです。個別の管理の話ですね。

○今野座長 ここで昇進になったので、単純にいうと、昇進というのは、ポスト上の昇進と、管理職前の資格制度上の昇進があるではないですか。前者は比較的ポスト上の昇進をイメージしている。そうすると、佐藤さんと水町さんの意見は、どんな社員タイプであろうが適切な能力の人を選べということを言っているのだね。つまり、総合職だろうが、一般職だろうが、何でもいいと。そんなのは気にしないで、このポストにつけるときに適切な能力を持っているかどうか、唯一これだけで選びなさいと。

○水町委員 差別でなければ、そこはセーフです。

○今野座長 もちろん、差別ではないですよ。

○佐藤委員 今のは、上限の設定がまず合理的なのかどうかというのがあった上で、その中の運用としての話ですね。

○水町委員 それプラス制度の問題としてどうするか。

○佐藤委員 その話と個別に誰をという話はまた別の話で。

○今野座長 でも、私にとっては同じ話なのですけれども。

 どうぞ。

○山川委員 そうすると、およそ従業員を処遇するには合理的でなければならないという法的ルールを設定するかという問題になって、そこは現行法とはかなり乖離するような状況になります。水町先生がおっしゃった公序良俗というか、特にひどいですねと評価される場合とか、それを類型化するということはあるかと思いますが、およそ処遇は合理的でなければならないというルールは多分甚大な影響をもたらすので、かなりハードルが高いような気がしますけれども。

○今野座長 私が気にしたのは、昇進で、やはり能力だけちゃんと見てやれよと言われて、配置政策も全部そうしろという話になってくると、どういう世界になるか。つまり、勤務地限定でも何でもいいですけれども、正社員を分けて管理している意味というのが基本的になくなるので、そうすると、どういう世界ができ上がるのかなと。

○佐藤委員 今野先生が言われたように、例えばある程度将来の幹部候補生で、入社5年目で分けてというのは、合理的にやっているからいいのです。ここに乗れた人を選んで、部門を越えて動かしますというのは別に差別でも何でもない。ここに乗れるという人の選び方が合理的であればね。

○水町委員 少なくとも今、均等法の間接差別として、転勤要件をつけるということについては、合理的理由がないとだめですよというふうになっているので、では、転勤要件だけなのか、もうちょっと幅広にしていくのかというのは政策的にあり得るし、そういう意味では、ある程度は広がり得るようなものになるかもしれない。

○今野座長 教えてね。私の理解では、アメリカは、法律上の差別さえしなければ、あとは会社が全部勝手にやっていいという認識なのです。先ほどの日本流で言うと、総合職だけをぽっと上げるというのはいいではないかと。こういう法律だと僕は思ったのですけれども、それでいいですか。

○水町委員 ただ、アメリカにも間接差別はあります。僕のはその話です。

○今野座長 どうぞ。

○山川委員 そこは何をもって差別をしてはいけない理由にするかということで、何らかの事由が問題になる。女性であるとか、短時間労働であるとか、期間の定めのある契約とか。そこに勤務地限定というのをフィットさせるかという問題で、させるとした場合に、勤務地限定、あるいは「多様な正社員」というものの一般がどのぐらい明確な禁止事由となし得るかということにかかわるかと思います。

○今野座長 余計なことを言いました。

 どうぞ。

○黒田委員 何をもって差別かというところにも関係してくると思うのですけれども、例えば先ほど佐藤博樹先生がおっしゃった時間比例の場合は8分の6で問題ないのではないかというところも、時間と生産量が1対1対応しているような仕事であれば、それも納得が得られると思うのですが、非常に印象的だったヒアリング、あるサービス業の方がおっしゃっていたことで、24時間サービスを対応しているようなところで、いつ何どきあるかもしれないトラブルに対応しなければいけないといった責任を、9時から5時以外は働きませんという人に任せられないというようなことをおっしゃっていたかと思うのですけれども、そういった業務をしているところにしてみれば、がちがちと時間比例ということを規定すると、かえって普及がおくれてしまう可能性はないかと思ったりもします。

○今野座長 どうぞ。

○佐藤委員 原則で、例えば夕方とか夜というのは、時間帯別繁忙が違えば仕事が違うので、当然差があっていいので、他の全てが同じ場合8分の6が原則で、例えばファミリーレストランで夕方お客様がたくさん来るというのは、量が違うわけだから、時間帯で変えるのは別に問題ないというのが僕の理解です。

 ですから、黒田さんが言われるのは十分範囲内かなと。他の条件が一定であれば。例えば仕事が時間帯で違うとか、明らかに夕方にすごく注文が多いといったときは繁忙手当をつけるなり、時間帯で賃金を変えるということは別に問題ないのかなと思います。

○今野座長 どうぞ。

○黒田委員 そういう意味では、法律で非常にがちがちと数字とかを決めてしまうのではなくて、例えばこの職種のコースであれば、働いたらこういった処遇が待っていて、昇進がここまでと決まっていて、何年働いたらどれくらい賃金が上がっていくのかといった情報をきちんと開示することによって、労働者が自分がよいと思うところに就職する。労働供給がそこに殺到するのであれば、市場メカニズムが働いて賃金が下がりますし、逆に人気がない職種は、人を集めるために企業は賃金を上げていかざるを得ないということになるわけですから、市場で賃金プレミアムみたいなものがついてくるのではないかと考えています。

○今野座長 どうぞ。

○水町委員 次世代法でどこまで議論が進むかわかりませんが、次世代法で例えば労働時間を短くするとか、子育て、ワーク・ライフ・バランスに資するような制度を導入していて、これを公表した場合にはインセンティブを与えようというのが議論されていて、そういう議論とここの議論をどうつなげていくかというのも重要かなという気がします。

○今野座長 先ほどの佐藤さんの労働時間比例の話なのですけれども、原則はそのとおりでいいですが、よくある議論に、いやいや同じ仕事をやっているのだというのがある。つまり、時間比例というのは、時間で給料を払っているわけですが、私はこの仕事をやっているのだから、8時間を6時間にしたって大体こなせるのですという議論はあるな。こういう問題はどうするのですか。

○水町委員 それは日給制にすればいいだけで。

○今野座長 日給制でなくて。

○水町委員 時間比例にしなければいけないということは、日本の賃金制度ではどこにも書いていなくて、パートタイム労働法の8条だけが差別的取り扱いをしてはいけないというふうに書いてあるだけで、パートタイム労働法8条の適用対象になるかどうかがまず問題になりますが、一般的には合理的理由のない不利益取り扱いの禁止というので、それは合理的理由があるから時間比例にしなくてもいいのではないかということで、外国でもそうなっていますし、余り法律を硬直的に考えるのはよくないような気がする。

○今野座長 どうぞ。

○山川委員 そういう意味では、先ほど黒田さんの言われたこととか、例えば事業場、職場での話し合いがきちんとされていれば、それは納得性が高まるでしょうという方向は実務的にも非常にあり得るかなという感じはします。

○今野座長 私は企業で働いたことがないからわからないけれども、2時間ぐらいの短縮だったら、課長ぐらいだったら同じ仕事ができるのではないかと思うのだ。トラブルが発生したときは、6時間だけど、もちろんちゃんと対応しますよ。定常的には6時間にして、あとは家にいて、部下から電話がかかってきたら電話で指示するというのはできるのではないかという気もしないでもないのだけれども。

○佐藤委員 実際上いろんなやり方があって、短い時間で成果を出しているから、業務のほうを変えないで、逆に評価するというやり方もある。与える業務については同じにしておいて、時間が短い人のほうが短くやっているわけだから評価が高くなる。

逆に、目標管理もやっているから、6時間のやつを短くしておいてやるとか、いろんなやり方があるので。

○今野座長 そろそろ時間ですけれども、言い残したことはありますか。どうぞ。

○櫻庭委員 最初のほうの論点に戻ってしまうのですけれども、ヒアリングに全部出られなかったということもあるかもしれないのですが、「多様な正社員」導入の目的の主なものとして、仮にワーク・ライフ・バランスの促進と雇用の安定ということを挙げた場合に、それについて実効的であったということがヒアリングから出てきていたという理解でよろしいのですか。

○今野座長 少なくとも今回呼んだ企業はそうだったのではないですか。

○櫻庭委員 そういう評価でよろしいのですね。

○今野座長 そういう会社だった。そういう意味では、成功例の企業を呼んできたということです。

○櫻庭委員 私は法律家なので余り詳しくないのですけれども、エビデンスというか、定着率が上がったとか、女性の応募がふえたとか、有期から無期への転換制度がこういう企業では多く設けられたとか、そういう形でというよりは、企業の方がそれを積極的に評価していたからということなのですか。

○今野座長 気持ちかな。でも、彼らにそういうきちっとしたデータを持ってきてくださいと言えば持ってきたのかもしれない。あのとき、持ってきたっけ。どうでしたっけ。

○岡労働条件確保改善対策室長 資料には書いていなかったかもしれませんけれども、事前に打ち合わせをしたときに、定着率が上がったという例がありました。前は何割やめていたけれども、今はこれだけしかやめていませんとかというのは、全社ではないのですが、ありました。効果は上がっているのではないかなと思われます。

○今野座長 どうぞ。

○水町委員 私が聞いた範囲内では、例えば10080にするか、10090にするかというときに、10080だと、予定していたほどの人が集まらなかったので少し見直そうとか、10091にしているところでは、結構来たけれども、さらにもっと希望を募って広げていこうというふうに言っているということが、企業の中での成功を見せているのかなという気もしますので、客観的なエビデンスというと結構大変ですが、そういう意味で前向きに評価できるところはいっぱいあったのではないかなと。

○今野座長 そろそろ時間かな。もういいですか。どうぞ。

○黒澤委員 私もヒアリングに全部出席できなかったので、申しわけないのですけれども、15ページの「多様な正社員」を導入していない理由の中で、「正社員は、そもそも多様な働き方が可能であるから」というのが52.3%とあるのですが、こういうところで「はい」と言った企業の正社員の働き方がどういうふうになっているのかというところについて分析された研究はあるのでしょうか。

もしあるとすれば、それが実際に「多様な正社員」を導入した企業における成功例や運用実態というものと重なるものがあれば、それも含めて1つの事例として示すこともできるのかなと思うのです。

○岡労働条件確保改善対策室長 15ページはアンケート調査ですので、具体的にどうだったかというところまでは分析ができていないのですけれども、これとは別に、JILPTの2年にわたって事例研究をしているもの、どちらの研究だったか忘れましたが、ある企業では「多様な正社員」は導入していないのですけれども、一般職は廃止してうまくやっているという事例がありました。そこは参考になるかもしれませんけれども。

○今野座長 それでは、まだ御意見があるかもしれませんが、時間ですので、この辺で終わりにさせていただきます。

 それでは、次回以降の日程等について、お願いします。

○岡労働条件確保改善対策室長 次回の日程につきましては、調整をいたしまして御連絡申し上げます。

○今野座長 それでは、終わります。

○水町委員 済みません。今後の進め方というか、大体のスケジュール、段取りみたいなのを。

○村山労働条件政策課長 前回少し御意見もいただきまして、当初の目標よりは少し早めて報告書をということと、あと、本日から一つ一つ論点に入っていきますけれども、こうした形で個々に論点をやっていって、まさに労働契約の成立から転換終了に至る全体を通じて、最後、またそれで大きく戻ることができればというふうに考えております。

以上です。

○今野座長 いいですか。

○水町委員 結構です。

○今野座長 でき上がりの日にちは聞かなくていいですか。

○水町委員 結構です。そこまでは言いません。

○今野座長 では、終わりにします。ありがとうございました。


(了)

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