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2013年12月6日 第5回「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成25年12月6日(火)15:00〜17:00


○場所

経済産業省別館 各省庁共用1111会議室


○出席者

委員

今野座長 黒田委員 黒澤委員 櫻庭委員
佐藤委員 野田委員

一般社団法人日本経済団体連合会

鈴木重也氏 (労働法制本部主幹)
原田豪氏

日本労働組合総連合会

新谷信幸氏 (総合労働局長)

○議題

(1)事業者団体からのヒアリングについて
(2)労働者団体からのヒアリングについて
(3)その他

○議事

○今野座長 それでは、時間になりましたので、ただいまから「第5回『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会」を開催いたします。

 本日は、まず最初に労使団体から多様な正社員に対する考え方についてヒアリングを行いたいと思います。その後、これまでのヒアリングを踏まえて、今後の議論の進め方について議論していただきたいと思います。

 まず、委員の出席の出欠状況等について事務局からお願いします。

○村山労働条件政策課長 本日は、神林委員、竹内委員、水町委員、山川委員から御欠席の御連絡をいただいております。

 続きまして、皆様のお手元の配付資料でございますが、資料1が一般社団法人日本経済団体連合会、経団連様の資料。

 資料2が、日本労働組合総連合会、連合様の資料。

 資料3が、「職務・勤務地限定の雇用区分に関する運用実態」。

 資料4が、これまで行っていただきました企業ヒアリングの概要。

 資料5が、「多様な正社員制度を廃止した企業の事例」。

 資料6が、「雇用管理上の留意点を検討するに当たっての視点」となっております。

 また、参考資料として、規制改革会議で昨日発表されました「ジョブ型正社員の雇用ルール整備に関する意見」をお配りしております。

 先生方、資料につきまして何か不備等ございましたら、事務局までおっしゃっていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

○今野座長 よろしいですか。

 それでは、議事に入ります。まず、最初、ヒアリングを行いたいと思います。30分ぐらいを考えておりまして、最初、10分ぐらい説明していただいて議論したいと思います。

 まず最初に、日本経済団体連合会からお願いいたします。

○鈴木氏 経団連労働法制本部の鈴木と原田でございます。本日は、このような機会をいただきましてまことにありがとうございます。本日は、限られた時間ではございますが、いわゆる限定正社員についての現状認識と私どもの考え方を御紹介したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日は、資料1に基づきまして御説明させていただきたいと思います。

 1ページ目をごらんいただきたいと思います。

 いわゆる多様な正社員の現状につきまして、幾つかの企業からお聞きした範囲でも、例えば一般職から発展してきたケース、総合職から分離してきたケース、あるいは有期契約社員のキャリアルートとして機能しているケースがございました。また、資料には書いてございませんが、制度上のものと運用上のものを含め、4つの限定型の無期社員を運用しているケースもあり、実態は極めて多様になっていると理解しております。

 さらに、2つ目の○でございますが、労働契約法18条の対応として、有期契約社員をすでに運用している限定型の無期社員制度に転換するのではなく、現行の有期契約の労働条件のまま無期化することを検討しているケースもあると聞いております。そのため、今後、限定の無期社員の複線化が進む可能性もあるのではないかと考えているところでございます。

 次に、いわゆる「多様な正社員」制度に対して期待するところを申し上げたいと存じます。現在、国民のライフスタイルの変化、あるいは女性の就労意識の高まりによりまして、労働市場に参画する人々の動機や求める働き方は多様化しております。いわゆる「多様な正社員」は、無期社員の多様な働き方の選択肢を広げ、特に有期契約からより安定した雇用機会がふえるきっかけとなる効果、メリットが期待されると思っております。

 なお、限定正社員という呼称が使われている点について、一言申し述べたいと存じます。人事の御担当者の方からお伺いする中で、現場の感覚としては、正社員というと、とかく無限定の無期労働者と同じカテゴリーに含めるというニュアンスがあるので、何か一つの方向性を示していると誤解されるおそれがあるのではないかと感じております。そこで、制度の普及に当たりましては、限定正社員というのは、法的には、あくまで勤務地等が限定された無期契約であることを明確化した上で周知いただければと思っているところでございます。

 続きまして、2ページ目をごらんいただけますでしょうか。

 現在、限定正社員を運用する企業において、配置転換の制限をかけるということと、当該勤務地、職種が消滅したときの使用者の雇用責任との関係というのは、必ずしも明確に認識されていない可能性があるのではないかと思っております。また、今後、限定正社員を導入しようとする企業においては、そうした関係が認識されない可能性もございます。

 企業実態に合った形で契約概念の普及・促進を図ることが今後の課題だと認識しておりますが、勤務地や職種を将来にわたり限定する場合、書面明示事項として追加するといった法的措置だけを行うとするならば、紛争を誘発する懸念があるのではないかと思っております。勤務地等が消滅した場合の使用者の雇用保障責任ルールの透明化を法的に措置することは、無期転換ルールの企業対応として、雇止めをせず、無期転換を図る企業をふやすことにつながると考えております。労働条件の明示義務の規制強化と、現在、通達や裁判例で解釈されている使用者の雇用保障責任ルールの透明化は、セットで行うべきものだと考えております。

 2つ目の○でございますが、そうした前提で仮に労働条件の明示義務の範囲を広げる場合、厳格に限定することが難しいケースもあると思っております。例えば、一般職の職務特定を行うことが難しいという声も聞かれます。ある企業では、就業規則上、求められる役割をほわっと概括的に書いているものの、労働条件の書面明示までは現在行っておらず、具体的に書くとなると難しいというお声も聞いているところでございます。

 また、勤務地の限定につきましても、自宅から通える範囲内として運用しているケースもあり、具体的にA事業所、B事業所という形での特定は難しいという声も聞いているところでございます。したがいまして、労働条件の限定の仕方は、ある程度個別企業に委ねていただくことをお願いしたいと思います。

 3つ目の○でございますが、労働契約を変更する際、労働条件の明示の必要性があるかどうかということに関しましては、明示よりも、変更には個別同意が必要であることの周知徹底が重要ではないかと考えているところでございます。

 3ページ目をごらんいただけますでしょうか。

 転換制度に関しましては、現在、本人の希望があり、企業が認めた場合に相互転換を認めている企業があることは承知しております。しかし、無期契約として採用すると、実質65歳までの長期雇用を基本的に保障するという我が国の仕組みの中で、労働者の意向だけで相互転換を認めることになりますと、事業運営が困難になると考えております。実際、出店計画のおくれや業績低迷により、一方方向の転換を休止している企業もあると聞いております。

 また、転換は重要な雇用条件の変更に当たります。実質的に新規雇用と同じだということを理解することができ、転換制度を導入するかどうか、あるいは転換条件の設定の有無、転換条件の内容等につきましては、契約自由の原則を尊重して個別企業に委ねていただきたいと思っております。したがいまして、相互転換のあるべき方向性を示すことについては、反対の立場でございます。

 無限定の無期社員から限定の無期社員への転換に関しましては、(1)に書いてございますが、経済のグローバル化に伴って、海外支店、現地法人への配置転換、出向が今後ますますふえることが想定される中、無限定の無期社員を確保することの重要性が増すことが想定されるところであります。

 また、(2)として、無限定の無期社員に対しまして、キャリアアップを期待して採用当初から賃金水準を高くするなど、キャリア全体を見据えた報酬決定をしている企業も多いと思っております。相互転換は、要員管理あるいは賃金管理に影響を及ぼす可能性があると思っております。

 さらに、(3)ですが、企業は育児・介護等、家庭的な事情を持つ無期社員に対する配置転換について、十分配慮しているという実態も御理解いただければと思います。

 逆に、限定の無期社員から無限定の無期社員への転換に関しましては、キャリアアップを一企業の中だけで実現しようとする考え方は適切ではなく、今、政府が進めておられます学び直しなどを通じた転職支援なども含めた政策の中で幅広く考えることが必要ではないかと思っております。

 (2)でございますが、無限定の無期社員は管理職登用を前提として育成しており、職種・職群を無限定と限定で完全に区分して運用している企業もございます。そうした企業では、そうした育成プロセスを経ない限定の無期社員を転換することが事実上難しいケースもあろうかと思っております。また、限定の無期社員を運用する企業の中には、その当該雇用区分の中で限定社員の能力伸長に応じたキャリアパスを用意しているところもあり、転換する必要性が小さい企業もあるのではないかと思っております。

 4ページ目をごらんください。

 無限定の無期社員と限定の無期社員の処遇に関しては、限定項目あるいは限定の程度が多様であり、それに伴う処遇についても千差万別であります。したがいまして、程度、バランスの合理的な範囲を示すことは事実上不可能だと考えているところでございます。個別企業の判断に委ねて、各社の処遇の実態あるいは考え方を収集して周知いただくことが、何よりも大切ではないかと考えております。

 例えば、仕事や人材活用が同じでも、時間外労働があるということや、厳格な採用選考があったかどうか、あるいは地場の賃金水準などを理由に処遇に差を設けている企業もございます。また、無期社員の中でも処遇の安定を重視する雇用区分と、成果重視の雇用区分を設けて処遇に差をつけているような企業もあります。実態は多様であり、例えば仕事内容、人材活用といった基準によって判断できないケースも少なくないと思っております。

 2つ目の○でございますが、有期から無期への転換後の賃金水準・処遇について、そのあり方を示すことは反対であり、事例の紹介にとどめていただければと思っております。特に、有期社員から無期社員への転換に関しましては、労働契約法18条の新設を使用者側として了解するに当たりまして、転換後の労働条件は労使自治に委ねるという大前提で意見をまとめた経緯がございます。普及する際の留意点には、転換後の労働条件は労使自治に委ねるということをぜひ強調していただきたいと思います。

 3つ目の○ですが、有期社員と限定無期社員との間の処遇については、不合理な労働条件の差別禁止に関する労働契約法20条の徹底を図ることが重要だと思っております。

 5ページをごらんください。

 繰り返しとなりますが、今後、有期契約から無期契約へ転換する場合、契約上、限定した当該勤務地が消滅したことを雇用終了事由とすることを検討する企業も出てくると思われます。そうした雇用契約では、有期から、より安定した働き方を広げるきっかけになると思っています。その際、従来型の無限定の無期社員と限定の無期社員は、いずれも労働契約法16条の適用を等しく受けるものでございますが、その司法判断において、現在でも違いがあると理解しております。この点について定めている現行労働契約法の通達を法令に格上げするなど、明確化のための措置が必要と考えております。

 強調したいのは、経営者としては、国内の雇用機会を何とか維持しようという思いで経営しております。望んで事業所を閉鎖するということはないということで、御理解賜ればと思っております。

 次に、6ページをごらんいただきたいと思います。

 まとめとして申し上げますと、制度導入の目的や仕組みというのは多様であり、何か単一的なモデルを示したり、処遇のあり方や相互転換の有無、具体的な仕組みについてあるべき方向性を示すということは、個別企業の実態による自由な制度設計を阻害し、かえって限定の無期社員の多様性を妨げるおそれがあると思っております。政府・行政には、労働契約法18条の対応策の選択肢として、積極的な情報提供をしていただくことが重要だと思っておりますが、とりわけ今後発生するであろう無期転換の多様な事例や留意点を示すことで、企業の取り組みを支援していただくことに期待したいと思います。

 2つ目の○ですが、制度の乱用や悪用を防止する必要があるのではないかということに関しましては、勤務地や職種に関する労働契約の変更については、本人同意が必要であるということ。それは既に法律によって担保されており、そのことの周知以外に特段の歯止め策は不要と考えております。

 私からは、以上でございます。

○今野座長 ありがとうございました。

 それでは、皆さん、御質問、御意見、どうぞ。

 それでは、私から口火を切らせていただきます。3ページ目で相互転換については反対という趣旨のことをおっしゃられたのですが、その下にある○に相互転換のあるべき方向性を示すことは反対と書いてありますけれども、これは別に相互転換が反対という意味じゃないですね。つまり、労働者の意向だけで相互転換があるということについては反対という意味ですね。

○鈴木氏 おっしゃるとおりです。

○今野座長 もう一つ、同じページで、下から3行目の(2)ですけれども、職種等を限定と無限定で完全に区分している企業では、事実上転換は困難というのは、言っておられる趣旨は、限定でずっと養成しているので、無限定からそこのコースに途中から入るのは、実質上難しいという意味ですか。

○鈴木氏 そういうケースもあるのですけれども、我々が想定しておりますのは、逆に無限定で育成している場合には、配転とか職種変更というのが能力・経験につながって、それなりに育成していくというプロセスの中で処遇も決めてやっておりますので、途中で限定の方が無限定のコースに入るのは、事実上難しいケースも多いという声があるということの御紹介でございます。

○今野座長 そうじゃないケースもありそうですね。

 皆さん、どうですか。どうぞ。

○佐藤委員 確認だけで、1ページの下の言葉の使い方、今まで「限定正社員」という言葉を使っていましたけれども、普及に当たっては「勤務地等が限定された無期契約」のほうがいいのではないか。これは、もともと正社員という言葉自体、法律上の用語じゃないし、企業ごとにかなり違いますね。実際、企業には正社員就業規則などはなくて、職員就業規則とか社員就業規則ということもあるので、もともと法律上の言葉じゃないものをつけないでという趣旨だと理解していいですか。何を言っているかわかるような言葉にしろということですか。

○鈴木氏 表現自体、正社員という言葉を使うことについて特段異論はないのですけれども、まさにおっしゃるように、正社員という言葉は法的用語ではないので誤解を生みやすいので、法的にはこういうことだということを明示していただければという趣旨です。

○佐藤委員 限定正社員という言葉は使ってもいいけれども、何かということをきちんと明記して使えと。わかりました。

○今野座長 そうなると、その下にある「勤務地等が限定された無期契約」と書いてしまうと、無期契約でいわゆる非正社員の人もいる。それはどうなるの。

○佐藤委員 用語上ね。

○今野座長 いや、こうやってしまうと。正社員という言葉は使わないとすると、こういうふうに表現してしまうと。

○鈴木氏 勤務地が限定されている無期で非正社員ということですか。

○今野座長 そういう人はいないですか。

○鈴木氏 申し訳ありません。イメージがわかないです。

○佐藤委員 勤務地限定の有期契約社員じゃなくて。よくわからない。

○今野座長 つまり、正社員と無期契約は1対1でぴったり。

○鈴木企画課長 無期パートなどは多分。

○佐藤委員 それは、正社員だと社員が思っていて有期だということですか。

○今野座長 いや、私が言いたいのは、ここでは限定正社員というのは勤務地等が限定された無期契約と定義してしまうと、少しずれる部分が出てこないかという話だけなのです。

○佐藤委員 現状の正社員は雑多なものが入っているから、それを前提にしてしまうとずれるけれども、趣旨は多分、はっきりさせてくださいということだと思うのです。正社員と言いながら、個人調査だと有期の人もいるわけですね。そういうのは少し整理してほしいという趣旨かなと私は理解したのです。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○黒澤委員 お忙しいところ、どうもありがとうございます。

 ルールあるいは個別合意という形でお言葉を使っていらっしゃるのですけれども、労使の話し合いとか、そういうことに関する御意見はどのように思われているのでしょうか。例えば2ページの雇用保障責任とか契約変更時といった新しい限定正社員をつくるに当たって、労使での話し合いみたいなものは余り積極的にはというお考えなのか、それとも。

○鈴木氏 各社によってさまざまだと思っております。どういう方を採用するかという点では、ちょっと不遜な言い方かもしれませんけれども、人事権、経営権にかかわるところでございますので、まず発意としては、経営サイド主導で制度設計が行われるべきものだと思っています。ただし、当然制度を入れた後とか、その変更というケースもございますが、そのときには組合があれば組合と協議して合意するというのが基本だと思います。

 恐らく組合がないところをどうするかということは、1つ考えないといけないと思っているのですが、私どもも限られた時間の中でヒアリングする中で、組合がないところで限定の無期社員を運用されているところはありませんでした。したがいまして、お答えしにくいのですが、一般論として申し上げれば、組合がない企業でも、当然、全従業員の方に説明され、テーマによっては、従業員の方の同意をとることもやっているという企業もあると聞いておりますので、それはある程度適正な手続のもとで、制度設計とか変更が行われるものだと思っております。

○今野座長 どうぞ。

○野田委員 2ページの雇用保障責任ルールの透明化とセットで労働条件の明示義務の強化と書いてあるのですが、責任ルールの透明化というのは、具体的にどういうことか。イメージがわかないのです。

○鈴木氏 我々も技術的にどこまで明確にできるかというのを詳細に詰めているわけではございませんけれども、労働契約法18条の解釈例規におきまして、無限定型の無期社員の雇用保障責任ルールと限定型の無期社員の雇用保障責任ルールは同列に扱われないということがうたわれておりますので、それを何らか、よりわかりやすい形でお示ししていただくということを想定しております。

○今野座長 そこについて、何か新しいことを加えるというのではないということですね。

○鈴木氏 はい。

○今野座長 今の点はいいですか。

○野田委員 はい。

○今野座長 佐藤さん、どうぞ。

○佐藤委員 3ページで、先ほど座長も質問された。私も、本人の希望だけで自由にというのは、実際、人事管理上難しいと思うのですけれども、他方で転換の必要なときがあるだろう。考え方として、勤務地限定で考えたときに、全国転勤と転換なしみたいなところで、定員枠みたいなものを決めて、全国転勤の特定の社員グレードはやめ、そこを公募する。つまり、働く側がいつ転換の機会があるかどうか、全然わからないのも難しいので、両方のニーズをうまく調整できるやり方はどんなものがあるのか、何かアイデアがあれば教えてほしいということなのです。

 1つは、社内公募的なやり方。そうすると、定員をある程度決めておかなきゃいけなくて、空きがあるかないかがわかる。ことし定年で5人やめました。1つは、中でプロモーションで埋まらなければ、限定社員の人がエントリーして能力があれば埋める、社内公募に近いのだけれども、そういうものはわかりやすい。何かありますか。どう調整するか。なければないでいいです。

○鈴木氏 そういうやり方をされている企業が、それを望ましいと考えればやっていただくことを否定するものでもないのですけれども、例えば建設業界では、ある県で需要がばっとふえたりすることに対応するためには、総合職ということに比較的重きを置いている会社もございます。そうすると、あらかじめ毎年定員枠を設けることが運用できない会社もあるということで、ここは各社、実態によってなかなか難しいところもあるのではないかと思います。

○佐藤委員 わかりました。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。全体としては、今回、限定正社員ですけれども、限定正社員も含めた多様な正社員にしていくことはいいと思っているわけね。

○鈴木氏 はい。1点つけ加えさせていただきますと、無期社員の多様化を進めることについては、我々、労働側のニーズと経営側のニーズの合致の中で、あるべき姿を各個別企業労使が考えていくことが基本だと思うのですが、この問題、今、いらっしゃる正社員の方を多様化するというアプローチと、もう一つは、労働契約法18条の対応策として考えるというアプローチがあろうかと思います。

 我々は、比較的後者、つまり18条対応として、繰り返しになりますけれども、雇止めをしてしまうような状況下の中で、無期転換をするということで、こういう選択肢があるよということを広く周知していただくことで、無期転換が広まることを期待している。そういう政策的な支援が今、求められておりますので、こちらに重点を置いた御議論をぜひお願いできればと思います。

○今野座長 いろいろな会社をヒアリングされたと思うのですけれども、限定の仕方は、例えば地域、仕事、時間で限定するとか、いろいろある。いろいろヒアリングされた感じとして、例えば地域を限定するのはやりやすいけれども、職種は無理だとか、そういう濃淡はありますか。一部職種は難しいみたいなことを言われたましたが。

○鈴木氏 職種の限定の仕方ということだけですので、比較的専門職的な限定の仕方をしている会社もありますので、職種の限定が難しいということはないと思います。ただ、比較的多いのは、一般職の今まで勤務地と職種を両方限定したものを、少し職種の限定を外して勤務地だけにするという企業が比較的多いのではないかという印象を持っております。

○今野座長 どうぞ。

○櫻庭委員 今の御質問とも関係するのですけれども、何が限定されているかという点で労働時間を限定することもあり得ると思うのですが、その点に関しては特に何か議論があるとか、労働時間を限定した形での限定正社員は難しいということはあるのでしょうか。

○鈴木氏 今回、幾つかの会社でお伺いする中では、確かに時間の限定というのも一部にはありましたけれども、それほど事例として多いという感じでもなかったということでございます。

○今野座長 よろしいですか。

○櫻庭委員 はい。

○今野座長 先ほどもちょっとおっしゃられた、一般職の場合、地域限定と職種限定でやっていたけれども、いろいろな事情があって職種限定を外して地域限定に移っていくケースが見られた。他方で、いわゆる総合職は職種限定では普通は採用しない。普通は職種限定ではないね。そうすると、全体的に職種限定が外れていくということですね。総合職は職種限定じゃないし、一般職のほうは職種限定を外していけば、全体としては職種限定はなくなっていく。単純な話だけれどもね。

○鈴木氏 例えば、4つの限定型無期社員を運用しているケースということで申し上げたところですけれども、その会社ではエリアの勤務地を限定して、かつ仕事は総合職と同じというもの。それから、エリアの限定かつ仕事は定型的な業務という職種の限定。それから、エリアの勤務地限定かつ仕事は営業職等の職種限定の専門職。そういう意味では、比較的職種限定を運用しているところです。加えて、エリアの限定かつ仕事は総合職と同じか、あるいは専門職で、なおかつ短期的な成果を求めるといいますか、短期的な成果が上がれば報酬を高くするという契約ということで、ベースとしては勤務地限定ですけれども、職種限定にかなり力点を置いた運用をされているところもあるということです。

○今野座長 ちょっと乱暴なことを言うと、例えば営業職で職種限定したとしますね。そうすると、営業職はすごく広いから、職種は限定していないのと一緒だと。定型職も同じで、定型職と言っても、その中には仕事はいろいろだから、実質上、余り職種限定していないのではないかという気がする。

○鈴木氏 少なくとも営業職でも、釈迦に説法ですけれども、キャリアの上限をどこまで設定するかによって全く違うと思いますし、営業職でなおかつ勤務地限定といった場合に、当然支店の営業ということの中で、かなり限られた仕事しかない場合と、本社の限定ということであれば、かなり企画的な営業も含まれるということで、そこはさまざまではないかと思います。

○今野座長 職種限定するときに、職種をどうやって捉えるか、すごく難しいですね。今の事例のお話だと非常に広いので、乱暴にと言ったけれども、実質上、余り限定していないのと一緒じゃないかという気がする。例えばA営業所がなくなりました。B営業所だって営業職はあるわけだから、幾らでも行ける。もっと細かく限定すれば話は別かもしれませんが、具体的には私は想定できないですけれども、たとえば何々製品の営業とすれば、比較的具体的な仕事内容が明確化した職種というか、仕事の範囲が明確化した職種になるけれども、営業職とか定型職じゃ、どこにもある。

○鈴木氏 勤務地を限定していない職種限定というのは、余り聞いたことがないということではないかと思います。

○今野座長 どうぞ。

○黒田委員 本日は、お忙しい中、ありがとうございます。

 ヒアリングをいろいろなさった中で、感想を教えていただきたいのですけれども、限定正社員を導入するに当たって、後ろ向きの企業は大体どれぐらいあるのだろうかということと、後ろ向きの企業がもしあったとしたら、何が導入を躊躇する大きな要因とお考えになられているかという2点をお聞きしたいのですが。

○鈴木氏 今回、限定を導入していらっしゃる企業だけにヒアリングしておりますので、入れていない企業でなぜ導入が進んでいないのかは、承知しておりません。

○今野座長 もう30分たったのですけれども、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○今野座長 それでは、ありがとうございました。いろいろ勝手な質問をしました。

○鈴木氏 ありがとうございました。

○今野座長 次に参りたいと思います。次は、日本労働組合総連合会です。よろしくお願いします。私、存じ上げていますけれども、一応自己紹介をしていただいて、お願いします。

○新谷氏 本日は、ヒアリングにお招きいただきましてありがとうございます。日本労働組合総連合会で雇用政策、労働法制を担当しております新谷と申します。よろしくお願いいたします。

 それでは、お手元に資料2ということでお配りいただいておりますので、「多様な正社員」に関する連合の考え方につきましてご説明申し上げたいと思います。

 まず、もともとこの「多様な正社員」の論議は、厚生労働省職業安定局長の下に設けられた雇用政策研究会において、おそらく最初に出てきたものだと思います。2010年ぐらいにまとめられた報告書の中に、「多元的な働き方を進める」といった形で出てきたのではないかと思います。

 あのときは、確か契約ルールの問題としてではなく、各社の人事制度において二元的である正規と非正規の中間にある形を作ることによって多元的な働き方を導入しようということが提起され、そこに2事業のお金を投入して政府としても政策的にそちらへ誘導していくという発想だったのではないかと思っております。しかし、ここに来まして、政府の規制改革会議の雇用ワーキングにおいて、私は雇用政策研究会の考え方に雇用ワーキングが抱きついたのだと思っているのですけれども、今回、抱きついた上で雇用契約ルールの見直しという新しい切り口でもって切り込んでこられましたので、途端に話が生ぐさくなったなというのが私の印象でございます。

 その規制改革会議の中で論議されていて、また、規制改革会議だけではなく産業競争力会議とか国家戦略特区ワーキングといった政府の会議体の中でも話が進んでいるわけですが、こうした議論の仕方は雇用労働政策に関するILOのグローバルスタンダードに外れるやり方ではないかと思っているところです。労働者の代表はもちろんのこと、先ほど報告された使用者の代表もそうした会議体に入っていない中で、政府の少数の有識者と言われる方々だけで議論をされていることに対して、非常に違和感を覚えております。この「多様な正社員」という論議もその中から出てきたものでございますので、まずその点を申し上げておきたいと思います。

 2ページでございますけれども、この「多様な正社員」という概念は、もともと非正規の方々に対する処遇制度上の位置づけということでありました。非正規の方々が抱えている問題点として、「雇用が不安定である」とか「処遇が低い」とか「能力開発の機会が乏しい」といった指摘がございます。こういった問題に対処するために、非正規から正社員にステップアップするための、いわゆる通過点として、この「多様な正社員」を使うということであれば、労使で十分お話をされた上で処遇制度として設けられることに対しては、それはそれで非常に結構なことではないかと思います。連合として、「多様な正社員」というものに対して否定的に捉えているわけではないのです。これは、通過点として使うのであれば、労使で十分話をされてやられる以上は結構なのではないかと思っております。

 ただ、先ほど申し上げたように、本件は抱きつかれたという経過がございます。その抱きつきの中身は何かと言いますと、ことし3月18日に雇用ワーキングの鶴座長ペーパーの中に記載がございまして、「正社員改革」という文脈で、かつ「解雇ルールのあり方」というタイトルのもとにその記載がなされているわけです。これはすっぽり抜いてきた文ですから、何も書き加えておりません。「正社員改革」で、かつ「解雇ルールのあり方」という表題のもとで、「多様な形態による労働者に係る雇用ルールの整備」という形で書かれており、具体的には、「勤務地や職種が限定されている労働者についての雇用ルールの整備」といったことが書かれているわけです。

 これは本当に危ないなという感じがいたしております。同時期に経団連さんのほうでも政策提言をされていて、雇用ワーキングと全く同じ文脈だと私は理解しましたけれども、そこでは「勤務地や職種が消滅した事実をもって労働契約を終了しても解雇権濫用法理がそのまま当たらないことを法定する」と書かれています。これもそのまま抜いてきた中身でありますが、こういった政策提言が出るに及んで、これはいよいよ雇用政策研究会の考え方に抱きつかれたなと私は思ったわけです。

 これらは、多様な働き方を準備するという趣旨で説明されているのですけれども、どうも本音では契約上のルールの変更を行って「解雇しやすい正社員」をつくり出すのが目的ではないかと、労働側としては感じざるを得ないということであります。

 次に、各論での問題点であります。懸念する点が幾つかあるということです。

 その懸念する点の第1点目は、「多様な正社員」については規制改革会議の雇用ワーキングなどでは「正社員の雇用ルールのあり方」という文脈で書かれていましたので、この「多様な正社員」というものが、正社員から処遇を初めとするキャリアを低下させるような選択肢として悪用されるケースがあるのではないか、ということです。キャリアがアップグレードするのではなく、その反対のダウングレードが行われる可能性がある、ということであります。

 私の出身の産業のことですので話しにくいところもあるのですけれども、2001年にITバブルがはじけまして失業率が5.4%まで上がったときがございます。あのとき、実際に電機産業でそうしたことが行われたのです。その事例は労使で話をされて社内制度として入れたものでありましたけれども、選択制という形で労働者に手を挙げさせまして、手を挙げた労働者についてはその工場以外に勤務地を異動させない、ということにしたのです。これは、まさしく勤務地限定というものです。ただし、そのときの交換条件として、勤続年数によって違いますけれども、最大で3割労働条件を切り下げるという形で、勤務地限定の正社員制度というものが入れられました。雇用は引き続き無期なのですけれども、労働条件だけ3割下げる。その代償が勤務地を動かさない、ということであったわけです。

 ところが、残念なことに、その後、その電機メーカーはその工場での雇用が維持できなくなりました。その際は、たしか切り下げた賃金分を清算して対処したのではないかと記憶していますが、とにかく、個別の企業、それも日本を代表する企業において実際に幾つかこういうことが起こった事例があるということには留意しておくべきと思います。

 もう一つの懸念点は、「多様な正社員」が新たな格差をつくり出し、しかも固定化されてしまうことにならないか、ということです。要するに、非正規労働者が「多様な正社員」を通過点として正社員まで突き抜けていけばいいのですけれども、「多様な正社員」というものが、新たな格差をつくるカテゴリー、いわゆる第3カテゴリーですね。正規でもないし、非正規でもない、そうした中間的なカテゴリーとして、すなわち正社員よりも劣位にある労働者群として新たに形成されてしまって、そこでステップアップがとまってしまうような事態が起きることを懸念しています。

 そういった意味では、(3)に書いてありますように、我々はずっと正社員に転換させろという運動をやっているものですから、こうした第3カテゴリーができてしまうとその動きがとまってしまうのではないか、という懸念を持っている次第です。

 それと、最初に申し上げたように、解雇されやすい、解雇しやすい正社員をつくるということを企図して「限定された労働契約上の要件である勤務地や職種がなくなったということを理由として直ちに解雇できるようにする」といった立法提案も受けているわけですから、このようなことが実現しますと整理解雇の4要件における2つ目の要件である「解雇を回避するための努力」というのが大きく後退するおそれがあるのではないかという懸念も持っております。

 これまでは、無期雇用の正社員であれば、その勤務地がなくなれば近隣の事業所に配置転換する努力をしたとか、あるいは限定された職種がなくなれば職種転換教育を施して新たなスキルを身につけさせて雇用を維持するといったことが、使用者としての解雇を避けるための努力として求められていたわけですが、これがなくなってしまうおそれがある。勤務地がなくなったのだから、職種がなくなったのだから解雇なのだ、といったようななし崩し的な後退が起こるのを懸念しています。

 なお、ここには書いておりませんけれども、多様な働き方とか多元的な働き方が、なぜ雇用形態の変更を伴わないといけないのかという点が、根本的な疑問としてあります。これだけ正社員の長時間労働というのが問題だと言われておりますので、まずやるべきは多様な働き方、すなわち、正社員の働き方を見直すことによって雇用形態はそのまま維持しながら働き方だけを多様化させるというのが本来あるべき政策論だと思います。しかし、なぜだか知りませんけれども、正社員ではそういった働き方ができなくて、雇用形態を変えないとだめなのだ、有期雇用にしないとだめなのだ、限定正社員にしないとだめなのだといった主張がなされているところが、私たちには理解できないところであります。

 また、ここには書いておりませんけれども、「多様な正社員」は我が国の柔軟な雇用構造を阻害するのではないかと思います。職種限定とか勤務地限定と言ったときに、特に職種限定などをやられますと、今、現場では非常に柔軟な労働力の活用が行われているにもかかわらず、「この仕事だけなのです」と限定された途端に、使用者にとっても非常に使いにくくなるのではないかと思います。つまりは、「私、この仕事しか契約上の義務は負っていません」と言われたら、使用者としても柔軟な労働力の活用ができにくくなるのではないかと思います。

 これは、今、ちょうど派遣法の論議をやっている中での専門26業務の話に通底する問題でありまして、そこで使用者側がおっしゃっている「専門26業務があるから横の移動ができないのだ」という主張と裏返しの議論がここで起こるのではないかと私は感じます。

 4ページ目ですが、今後、検討を要する論点を記載しています。1つは、制度の導入・運営に当たっては、先ほど申し上げたように、労使の協議を十分踏まえて実施されることが不可欠であると思いますし、労働条件の明示についても不可欠だと思います。

 また、仮に処遇に格差をつけるのであれば、どういった理由でその差が生じるのか。その点について合理的な理由がなければ納得感が得られないのではないかと思います。さらに、「多様な正社員」に転換する際には、もちろん本人の同意が必要でありますし、この本人の同意も真の同意がないとだめなわけでありまして、合意の形成がどういうふうにつくられるかという問題があります。転換にあたっては本当に真の同意が必要だと思います。

 それと、労契法16条、雇用契約ルールの見直しについては、これは不要ではないかと思います。

 最後に、参考資料としてつけさせていただいたのは、雇用ワーキンググループの4月17日付資料の中に、このジョブ型正社員の解雇の裁判例が幾つか挙がっておりまして、過去の裁判例を抜き書きしてありますけれども、そこには「無限定正社員とは異なる判断を行う事例も多くみられる」と書いてあります。この記載についてはかなり恣意的な分析ではないかと思いました。裁判例をよく見ますと、必ずしもジョブ型ではない裁判例も含まれておりますし、ジョブ型であっても、さきほど申し上げたような解雇の回避努力とか人選の合理性についてきちんと判断されている事案もありますので、ここの裁判例の抜き方や分析の仕方に異論があるところでございます。

 もう一つ異論があるのは、「無限定正社員」という言い方です。我が国に本当に「無限定正社員」という労働はあるのかということです。労働時間にしても、死ぬまで働けということには決してなっていないわけですし、配置転換にしても配転法理が裁判を通じてあるわけですから、この「無限定」という言い方は、確かにわかりやすい意味でつくったのでしょうけれども、ちょっと誤解を与える表現ではないかということもつけ加えさせていただきたいと思います。

 私のプレゼンは、以上でございます。

○今野座長 ありがとうございました。

 それでは、御質問、どうぞ。

○佐藤委員 どうもありがとうございました。

 経営者団体の後で、連合のお話はかなり重なっているな、95%ぐらい同じじゃないか。怒られてしまうけれどもね。基本的には、有期の方から無期の方への転換という形で進めるのは賛成ですというのと。あと、留意点の幾つかの点は、労働条件明示とか本人同意が大事だということは経団連の方も言われていたので、かなり共通性が多いかなと。

 それを踏まえた上で、2つ伺いたいのですけれども、いわゆる正社員の方の労働時間の見直しはやっていかなきゃいけないのですけれども、それをやりながら、同時に正社員の方のワーク・ライフ・バランスというときに、勤務地限定という働き方も大事かなと。もちろん、本人同意も含めてです。特に流通などです。ですから、もちろん有期の方のキャリアとか無期化ということの進め方。もう一つは、正社員の方の働き方の見直しをやると同時に、ワーク・ライフ・バランスという観点からも、例えば勤務地限定の働き方も大事じゃないかと思いますが、その点をどう考えるか。これが1つです。

 もう一つは、3ページの下の2つ目の整理解雇の4要件と、4ページの下の雇用保障のあり方で、両方とも解雇回避努力義務に触れられたのです。この関係なのですけれども、私は個人的には正社員の多様化を進めていく法律上の手当ては必要ないと思っているのですけれども、整理解雇の4要件なり解雇回避努力義務について言うと、現状でも1社1事業所を考えれば、無期の人でも配置転換しろと言ってもできないわけですね。あるいは、極端な話、職種が技術と事務しかなくて、すごくハードルが高いと、職種転換しろとは。エンジニアの大学院卒の人がやる仕事と事務の人しかいないと、転換しろとは普通言わないと思う。

 そういう意味では、現行でも実態として勤務地が限定されたり、職種が限定されたときの解雇回避努力義務の適用の仕方は当然違っているわけですね。ですから、この点は、緩和でも何でもなくて、現状でも実態に則した運用がされているのではないか。これは判例法理ですから、また変わっていく可能性がありますね。それはとやかく言えないわけでありますけれども、その辺はどう考えるかというのが2つ目の質問です。

○新谷氏 正社員の働き方の見直し、まさしくワーク・ライフ・バランスという視点での見直しが必要だと思っております。これは、今、労政審の労働条件分科会でも労働時間法制の見直しが始まっておりまして、それに向けて私どもも考え方を幾つかまとめております。今、労働時間が二極化していて、通常の労働者といいますか、一般労働者についての長時間労働が問題でありますので、私どもとしては、ここは実定法を改正しなければいけないと思っております。1つには、勤務間インターバルを私どもとしては入れるべきだと考えておりますし、青天井となっている特別条項付きの36協定についても、800時間超えが15%もあるという実態ですので、ここの法規制も強化しなければ、正社員の労働時間は減らないと思っております。

 ワーク・ライフ・バランスの施策として勤務地限定というものがあるのかというと、私どもは、そこは全然検討が及んでおりません。勤務地限定をすればワーク・ライフ・バランスが改善するのか、まだ私どもは検証しておりませんので、コメントは今ございません。

 それと、解雇の回避努力についてですけれども、佐藤先生おっしゃったように、使用者団体のほうからは「適用できるか否かの予見可能性が低い」といつもおっしゃるのです。予見可能性は確かに低いはずなのです。それは、法律の適用ができるかどうかは事案ごとに判断するしかないわけでして、一般ルールを決めて、この場合は白、この場合は黒というように簡単に決められるわけはないのでありますから、その解雇の事案に対して回避努力を尽くしたと言えるのかどうかは、その事業所なりがどういう状況にあっったのかなど、その事案ごとに見ないとわからないわけです。これは、法改正するとかしないとか以前の問題で、一個ずつ実態に応じて裁判で判断するしかないと思います。

 予見可能性が低いと言うのであれば、整理解雇の4要件ですら、これは要件ではなく要素だと言われる学者もおられますし、東京地裁の裁判官のように3つぐらいの要素で判断してしまうケースもありますが、一方、お隣の韓国では既に法定化していたりするわけです。判例ではない。韓国の場合、要件は3つですけれども、整理解雇の要件についてはもう制定法化していて制度の安定化を図っています。我々としては、予見可能性が低いというのであれば、整理解雇の4要件自体を法定化するべきであると思っています。

 以上です。

○佐藤委員 4ページの下の「検討は必要」というのは、今のかかわりで言うとどういう検討が必要。

○新谷氏 もし分かりにくいということでしたら、その点は正確を期すために資料の表現を手直しさせていただきたいと思います。また、できれば、さきほど申し上げた2点の追加も入れたいと思っています。すなわち、「多様な働き方は雇用形態の変更ではなくて正社員の中で行うべきである」ということと「職種限定をやられてしまうと、現場での流動性を損なう」ということは、この中に追加したいと思います。

○佐藤委員 4ページの下はないと考えたほうがいい。

○新谷氏 はい。

○佐藤委員 もう一つは、私は正社員の多様化と言っているときは、正社員の中での多様化であって、別に雇用形態の多様化の話ではないのです。まず、その確認なのです。だから、そこは新谷委員がわからなくて、我々は正社員の中での多様化がメーンの議論。

○新谷氏 わかりました。もともとこの話が起こったのは2010年の、さきほど申し上げた雇用政策研究会の中で出されてきたのですね。その中で要素が5つ示されておりまして、要するに「正社員」と、その当時は「多元的な働き方」と言ったと思いますけれども、その「多元的な働き方」との違いの要素があって、5つのうち、1つは無期雇用であるとか長期的な雇用であるとか、フルに8時間働いているとか、幾つかあるのですけれども、たしか4番目と5番目の要素が違っていて、その中で処遇は明らかに格差を認めてあったのです。もう一つは、契約が無期かどうかというところ。

 その要件の違いによって、いわゆる正社員と多元的な働き方を区別してやっていたと思います。そうした区分における一番の根幹が、有期か無期かというところと、処遇が明らかに長期にわたるシステムの中での処遇であるかそうではないかということでした。これが判断要素として示されていましたので、私は「多元的な働き方」というのは、てっきり雇用形態まで変えてやるということなのではないかという認識の中で申し上げたということでございます。

○今野座長 どうぞ。

○野田委員 どうもありがとうございました。

 2ページ目で、導入実績が多い産別からは云々とありますけれども、こういう制度を導入して問題点がいろいろ起きているというのはあるのでしょうか。具体的に問題点があればお聞かせ願いたいのです。

○新谷氏 私どもは、産業別労働組合の連合会です。今、53の産業別組織が加盟しているのですけれども、その中で一番大きいところがUAゼンセンという産別です。そこには140万人の組合員がおりまして、そのうちの半数が短時間雇用の組合員です。流通を中心としたスーパーとか百貨店の労働組合なのですけれども、この産別傘下の各企業の中では労使で話をされてこの制度を既に導入されている実績がありますので、今回のヒアリングに際してそこから意見を聞いたわけです。その結果、エリア正社員といった名前で既に導入されておりまして、労使でも結構工夫をされて導入されているという声を聞いております。

 ただ、問題点として何があるのかと聞きますと、そこに記載させていただいたように、この制度によって「安定した雇用が増加する」とか、「スムーズな労働移動が起こる」といったことは必ずしも考えられないというコメントをいただきましたので、それをつけさせていただいたということであります。

○野田委員 あと、ワーク・ライフ・バランスとの関係で勤務地限定は余り考えたことがないとおっしゃっていましたけれども、そういう現場からの声は出ていないですか。

○新谷氏 ワーク・ライフ・バランスということで勤務地を限定すべきだという声は、加盟組織からは今のところ私は聞いておりません。

○野田委員 労働時間が長いのは私も問題だと思うのですけれども、解雇ルールとかは別に緩めるべきではないと思っているのですが、論理的に考えると、労働時間が長いというのは雇用が守られていることの裏返しなので、時間を短くするというのはその点を考えざるを得ないのかなと思ったりするのですが、そういうことは無理なのでしょうか。

○新谷氏 特に正社員にとっては閉鎖的である我が国の労働市場において、労働力の調整ではなく時間外労働の調整でもって対処しているというのは確かにおっしゃるとおりなのですけれども、それも程度の問題があると思っておりまして、過労死するほどの長時間であっても働かせていいんだということではないと思います。そこには、さきほどの「無限定正社員」ではありませんけれども、労働者の健康と命を守るためのきちんとしたルールが当然あって、それを前提に雇用調整の仕組みをどう動かすのかということが前提になるのではないかと思います。

○今野座長 私から1ついいですか。4ページ目の(3)賃金水準・処遇のところです。先ほど佐藤さんが言われた時間限定とか地域限定とか、いろいろあったときに、賃金に差がついてもいいとここに書いてある。それは、合理的な賃金差であればいいと。しかし一番最初に差があってはいけないみたいなことをおっしゃっていたので確認させてください。要するに、差があっていいですね。

○新谷氏 これも申し上げたように、非常に今、多忙をきわめておりまして、本当に申しわけないですけれども、チェックを緩く出してしまいましたので、より正確を期すために若干言葉を足したいと思います。

○今野座長 でも、これでいいと思うけれどもね。

○新谷氏 なるべく誤解を与えないような表現にできればと思います。いずれにせよ、本当に差を設けていいのか否か、何が合理的な差であるのかということは、しっかりと考えておかなければいけないと思っております。

○今野座長 それはまた別の問題としてありますけれどもね。

○新谷氏 ありますね。だから、先ほど私、実例を申し上げたように、現に賃金を3割も下げてしまうような実例がありました。確かに、全国転勤を可能とするような労働者と、あるエリアに勤務地が限定されている労働者とが同じ処遇・賃金でいいのかというと、ある程度の差があってもやむを得ないのかなと思いますけれども、許容される差が3割なのか、2割なのか、1割なのかというところの判断基準はなかなか難しいのではないか。これは労使がよく話をするということに尽きるのでしょうけれども、そういった意味で書いてあるのです。ただ、これがこのままの形で資料として単独で出ていったときに、読み手の誤解を招かないよう、ちょっと注意すべき点もあるように思いますので、表現の補足について少し考えさせてください。

○今野座長 このままでいいと思うけれどもね。

○新谷氏 もう一度チェックさせてください。

○今野座長 ですから、ここから先は、何が合理的かというのは非常に難しい問題だと思います。

○佐藤委員 一律には決まらない。それは経営側も。

○新谷氏 この件について余り裁判例はないと思いますけれども、1つ参考になるのが、丸子警報器の裁判です。これは最後は和解で終わりましたけれども、2割の格差までが許容され、賃金は8割の水準以下であれば公序良俗違反となるというものでした。裁判例として示されたのは、あれぐらいしかないです。

○今野座長 もう一つも、多分考えさせてくれとおっしゃるかなと思うのですが、2ページ目です。先ほどの佐藤さんの質問と基本的には同じ質問なのです。「多様な正社員」が非正規社員から正社員へとステップアップのための通過点と書いてある。通過点ということは、そこでとまってはいけないということですか。佐藤さんの意見は、とまっていいのではないか、とまった形もつくるのは重要じゃないかという意見。このままだと、とまってはいけないということになるのですが。

○新谷氏 そこの意図は、こういうことです。今でも「正社員への登用システム制度があります」と大々的に宣伝されている企業があるのですけれども、その実績はどうなのかと聞くと、「年に1人か2人しか登用していません」というところが多いのです。つまり、制度はつくってあると大々的に宣伝されるのですけれども、実績はほとんどないという企業があるのです。私どもも、何も非正規労働者が全て正社員に行くことまでは想定していません。しかし、正社員への登用制度を作った場合には、ある程度正社員への登用実績が作られるということは必要ではないでしょうか。つまりは、制度としてきちんと運用されて、非正規からまずは中間的なカテゴリーに入って、さらにそれが正社員まで抜けていくような、そのようなある程度の実績を伴うようなものでなければならないと思っています。

○今野座長 そこをもっとちゃんとしろと。そうすると、これは表現がいけないね。こっちのほうが表現を変えたほうがいいと思う。

○佐藤委員 これだと、有期から多様な正社員、次は無限定正社員にならなきゃいけないという感じ。通過点だから、次があるというイメージです。最後はみんな無限定に行かなきゃと読めてしまうので。

○新谷氏 そういうふうに受けとめられましたか。

○佐藤委員 このまま読めば。

○新谷氏 私どもが意図していることは今の表現からでも当然に読み取れるものと思っておりましたが、全ての非正規労働者が正社員に至らねばならないとまでは思っていません。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○黒澤委員 お忙しい中、どうもありがとうございます。

 先ほどもちょっと触れられた3ページの(1)と(2)、ダウングレードの固定化みたいなところは、懸念が非正社員から多様な正社員ということもあると思うのですが、本当によい意味で正社員のワーク・ライフ・バランスを保つために、ある程度ダウングレードしてもいいから、ダウングレードするからこそ、不公平にならなくて休めるという部分はありますね。そのあたりについては、肯定的にお考えですか。

○新谷氏 労働者の御希望は本当にさまざまだと思います。いろいろな選好があって、労働時間の長短なのか、処遇の高低なのか、様々にあると思うのですけれども、いずれにしても、雇用形態を転換するときに、真の同意とか、本人の同意がちゃんととれるかどうかが重要な点だと思います。職場に労働組合があって、労働組合に対して「転換しろと会社に言われて、無理やりに転換させられた」といった相談をすることにより、労使関係の中で解決する仕組みがあるところであればいいのですけれども、残念ながら8割の職場は労働組合がありません。したがって、真の同意といったものをどう担保していくかということが課題になると思います。

○今野座長 先ほど佐藤さんから質問があった解雇回避努力義務のところですけれども、いろいろ書いてありますけれども、これまでどおりでいいという趣旨ですね。

○新谷氏 全くそのとおりです。

○今野座長 どうぞ。

○櫻庭委員 その点もちょっと関係するのですけれども、4ページの(2)労働条件の明示の(2)で、限定された職種・勤務地が消滅した場合の対応の明示が必要とあるのですけれども、具体的にはどういうことをイメージされているのでしょうか。

○新谷氏 例えば就業規則の中に、「この消滅をもって労働契約を終了する」と書かれ、それでもって明示が果たされているといったものをイメージしているわけではありません。それでは元も子もありませんから。

○今野座長 資料をつくられた方は、解雇回避努力を明示という意味だと思う。

○新谷氏 はい。私どもの意図としては、その通りです。

○座長 先ほど経営側の方とお話したときに、職種限定の場合に、例示で営業とか定型職があがっていたのですが、それでは実質上、職種限定などないと一緒じゃないかと私が質問したのですけれども、組合から見ていて実態はどうですか。つまり、職種限定はできるのか。営業とか生産とか、このような意味での広い職種の限定は私も知っています。でも、この仕事がなくなったらどうなるという場合には、職種はもう少し狭くなきゃいけない。そういう職種は、現実には可能なのかどうか。組合の感覚からしてどうですか。

○新谷氏 昔私がいた職場に、派遣ができる前に、タイピストという職種がありまして、和文タイプをやる方がいらっしゃいました。結局ワープロとか各個人の作業に移ってしまったので、その職種はなくなったのですけれども、そのようなかなり限定した職種で専門職を雇用するケースは現場ではありうるのではないかと思います。ただ、申し上げているように、今まではそういう方々は職種転換で全部新しい仕事についてもらっていますし、事業によってもみんな違うのです。私の出身の電機産業などでは、事業が丸ごと変わってしまうときがあります。例えば携帯電話など、そうですね。100万台もつくっていた携帯電話をもう国内でつくらないとか。そういった場合、そこでやっていたスキルを違う職種に移すというのは当然出てきますので、職種限定となると、そこの柔軟性がなくなる可能性があると思います。

○今野座長 その場合、職種限定と言ったときに職種を定義できる。例えば今の例だと、携帯をつくる生産という職種になる。それがなくなるという職種の定義になるのですかね。

○新谷氏 いや、今は職場限定はやっていませんから。

○今野座長 職種の定義が難しいなと。

○新谷氏 だから、無理やりこんなものをやろうと思ったら、職種を新たに限定しないといけないので、だからこそ柔軟性がなくなってくるのではないかと思います。労働者を他の職種に動かそうと思ったら、契約を変えないといけないわけですから。会社が「違う仕事をやってくれ」と言って、労働者が「できません」と言われたら、もうそれでとまってしまいますので、これは我が国の持っている労働の柔軟性を損なう可能性があるのではないかと懸念します。

○今野座長 私はジョブ型労働市場と言うときに、それを実現するにはどうしょうかと考えて、職種はどうやって定義するのかなと思ったものですから。

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○今野座長 ありがとうございました。

 新谷さん、この議事録の扱いなのですけれども、この資料を直す。どうしよう。相談して。

○佐藤委員 配られているから。

○新谷氏 この資料については、きょうお配りさせていただいる以上、もちろん基本的には結構なのですが、無用な誤解を与えないよう公式にアップする際には若干の補足なり修正なりをお願いできればありがたい。

○今野座長 それができるかな。

○佐藤委員 もう一枚、付加ならと思っている。あると思います。1枚、詳しい説明とかはあるかもわからないけれどもね。違うというのはまずい。事務局と相談して。

○今野座長 説明資料というのはある。

 ありがとうございました。無事ヒアリングも終わりましたので。

 これまでのヒアリングを踏まえて、今後の議論の進め方について議論していただきたいと思います。

 まず、事務局から資料の説明をお願いできますか。

○鈴木企画課長 職業安定局派遣部企画課長でございます。私、資料3について御説明いたします。第1回の際に多様な形態による正社員の研究会報告書を御説明した際に、そもそも限定正社員と言ったときに、規則上限定されているのか、実際上限定されているのか、再集計できないかという御質問がございました。それで、佐藤先生とも御相談しながら、職務限定と勤務地限定については再集計できましたので、御報告いたします。

 まず、左側の丸でありますけれども、職務限定している雇用区分の中で、就業規則とか労働契約で、仕事の範囲を限定しているのが52.4%、そうではなく、実際上限定していないが47.6%という結果でございました。

 右側が勤務地限定でございます。まず、就業規則とか労働契約で、勤務地を「採用時の勤務地のみ」に限定している、要は転勤がない形態が12.1%。それから、同じく就業規則等で「転居を伴わない地域への異動」に限定するが18.8%。ここまでが規則上の限定でございます。それから、規則にはないけれども、実際には異動がないのが23.8%。それから、規則ではないけれども、「転居を伴わない地域への異動」のみがあるという形態が45.4%でございました。

 以上でございます。

○今野座長 続けて資料説明を全部やりましょう。

○村山労働条件政策課長 資料が関連するところもあろうかと思います。お許しいただきましたので、とりあえず全部御説明さしあげたいと思います。

 資料4が先生方に毎回御参画いただきましたので、よく御案内でございますが、この間のヒアリングの総括表と、後ろが個々の企業についての詳しい事例でございます。時間の関係もありますので、きょうは総括表の説明をさしあげたいと思います。

 ヒアリングの概要といたしましては、現時点で8企業、製造業、建設業、小売はかなり専門的なところと一般的なところ、保険業は全国的な保険の会社様、それから金融業は銀行、旅行業は大きなグループの中の一部のところ、飲食業はファミリーレストランという8企業をヒアリングさせていただきました。本日のお話にもございましたように、いわゆる「多様な正社員」で何が限定されているかというときに、全部の企業が勤務地限定の正社員制度を導入している企業でございました。職務とか勤務時間もあわせて限定されているところは一部でございました。

 その定め方でございますが、就業規則にそれらをどのように限定するかを規定しているところがほとんどでございました。一部規定のない例もございました。それから、雇用契約書、労働条件通知書に就業場所の限定状況を具体的に記載する例がございました。さらに、1社だけだったと記憶しておりますが、地域限定の同意書で○○規則で定める○○社員となることに同意しますということを、本人が署名捺印されて人事の方々とチェックの手続がある紙を共有される例がございました。

 それから、賃金と処遇で先ほど来お話があるところでございますが、賃金水準については、いわゆる正社員の方と比べて職務・勤務地限定の正社員の方はおおむね8割から9割。また、ベースのところは同じ手当による調整を行っている企業もあったと思います。それから、昇進のスピードに関しては、ほぼ同じでありますが、勤務地等が限定されていることの兼ね合いもあって、上限が異なるものが多かったとまとめております。

 それから、転換制度でございます。有期等非正規から多様な正社員への転換に関しましては、勤続年数や評価結果、面接等の結果等のもとに、本人の申出、さらに人事の面接等を通じて判断するものが多かったとまとめております。また、多様な正社員からいわゆる正社員への転換に関しましては、一定の要件のもとで、本人の申し出と所属長の推薦、さらに人事の面接等により判断する例が多かったと思います。それから、いわゆる正社員から、一定の制約等がある状況になったときに、多様な正社員に希望に応じて転換するのは、運用でやっていらっしゃる会社も多かったと思いますが、社内ルールとしてやっていらっしゃるところでは、一定の要件のもとに、御本人の申し出(同意)と所属長の推薦等により判断するというものが多かったと思います。

 それから、たった今も御議論になりました雇用保障についてでございます。経済的理由等により限定された勤務地が消滅した場合の人事上の取り扱いについて、就業規則上、これを明確化している例はなかったということでございます。また、事業所閉鎖等の場合については、先生方からかなり突っ込んだ御質問をいただきましたけれども、全ての企業で他の勤務地・職務への配置転換で対応ということで、一定の規模、具体的には事業所数が比較的ある企業がヒアリング対象で全体に多かったこともあって、通勤圏内に他の支店なり勤め先がある例も多かったということもあると思いますが、このようなまとめになっております。

 なお、本人が配置転換を受け入れられない場合には、本人との合意のもと、会社都合での退職としている社内ルールになっている企業もあったと思っております。

 それから、制度導入の目的でございますが、職務・勤務地限定のニーズを持つ人材の確保・定着あるいはワーク・ライフ・バランスの支援という観点。それから、給与水準が地域で相場が違うのを今まで一個のテーブルでやっていたけれども、地域を限定することによって、移動範囲を限定することによって人件費が地場の賃金水準になるので、全体に企業側から見れば適正化されるという効果。あるいは、女性の能力・キャリア志向の前進に伴って、転勤を限定して幅広い職務に従事できるような環境整備が求められ、その中で非常に多くの方が活躍されているという御報告もございました。

 それから、これはものづくり企業、製造業の企業だけでしたけれども、ものづくり技能が有期の方で入れかえがある場合の安定的な継承を目的として掲げていらっしゃるところもありました。また、地域に根づいた事業展開(店舗運営)というのが、地域差、ニーズの差があるので、そういったことが可能になっているという例もありました。

 そして、メリットとしては、今、申し上げたような目的がかなっていることに加えまして、2つ目のポツで、地域に根ざした生活設計が可能となって、生活への安心感も高まってくるので、従業員満足度が上がっているという御報告がありました。

 それから、運用上の課題といたしましては、転勤しないいわゆる正社員の方も転勤が前提になっているのですけれども、これはこの企業の特殊な事情もあるのかもしれませんが、最近では全体に支店間を移動する量自体が会社の中で少なくなっているので、そうすると、同じ仕事をしている多様な正社員からの処遇格差に対する不満が出るという例があったと思います。

 また、会社として幅広く活躍することを期待する役割と、本人の価値観や事情とのマッチングで、なかなか希望が出ないということが転換制度のところなどでも御報告があった企業例があったと思います。

 また、限定された職務を行う短時間正社員の活用のあり方で、特に希望に応じてやっていくと、逆に夜間営業時間の勤務シフトが組みづらくなって、そのカバーに管理側としては非常に苦労しているという人事の方の御報告があったと思います。

 また、コース転換について、ライフイベントのタイミングでの随時応募等柔軟な対応を検討しているけれども、先ほどの御議論にもありました定員枠的なものとの関係で、やり繰りで人事のほうで苦労を結構されている例もあったと思います。

 以上が資料4の企業ヒアリングの総括表でございます。

 続きまして、資料5は、「多様な正社員」制度について、特に先生方の御意見の中で廃止した事例について報告せよという御指示がございました。ヒアリングで対応していただくのは難しい微妙なテーマでございますので、既に出ております報告事例の中からJILPTの方に見ていただいて、まとめたものが裏表の2例でございます。いずれも製造業でございまして、規模はかなり違います。

 1万人以上となっていますが、事例のE社は非常に大きい企業と考えていただければと思います。この企業は、勤務地限定正社員制度を導入後、制度の継続的な活用は停止して、事実上、現在では廃止している例でございます。具体的には、グローバルのGで、勤務地に限定のない区分をG社員。原則として転居を伴う転勤がない区分として、勤務エリア限定社員ということで、社員数としては8対2。

 賃金等処遇は、そこに書いていますように1009085で、昇格スピードに違いはないが、勤務エリア限定社員は一定以上の管理職につけない形になっている。

 また、転換制度は、いずれの転換も1回というルールでやっていたところでございます。

 この企業の場合は、雇用保障について、事業所閉鎖の場合には、労使協議を経て、他の勤務地への配置転換で対応しているということでございまして、配置転換後は、全国へ動く社員へ転換して処遇水準も引き上げられるけれども、異動できない場合は再就職支援で対応していたということでございます。

 なぜ運用停止したのかということでございますが、地域に根ざした生活の安定とかマクロなコスト削減ということで制度導入したけれども、一番下で、理由としては、製品価格の下落によって、当初マクロに人件費の地場に応じた配分による、一定の削減以上のコスト削減圧力が加わったので、早期退職を募集せざるを得なくなった。全体で早期退職をやるものですから、人件費負担を抑えて社員の雇用保障を目的とする勤務エリア限定正社員制度の活用理由自体が社内全体から喪失してしまったということが1つ。

 あと、もっと大きな流れとして、事業構造のかなり大きな転換がこの十数年続く中で、立地戦略を含む構造転換に勤務エリア限定社員が、経営側からの見方としてはネックになってくることがあって、結局この制度の継続的な活用を停止して、事実上、勤務エリア限定社員制度は廃止しているという例でございます。

 裏側のF社は、大企業ですけれども、従業員6,000人程度の企業でございます。

 ざっと目で追っていただきまして、そのような制度であったわけでございますけれども、廃止の理由、運用の課題のところで、拠点統合に伴って社員に勤務地を保障することが困難になったということ。あるいは、従来とってきた職能に基づく賃金制度では人件費を負担できない等の理由から、職責・役割に基づく処遇制度に変更することに伴って、役割という概念と転居・転勤の有無に基づく処遇差の設定の説明が非常に難しくなってきたということなどで、これも制度を廃止したということで、結局転居を伴う転勤がない区分の方々全員を、勤務地限定のない総合職に戻したという例でございます。

 いずれも製造業で非常にグローバル競争等にさらされる中で、制度がなかなか維持できなくなった例が既に報告されているものの中にあるということで、御紹介でございます。

 最後に、資料6でございます。「雇用管理上の留意点」を今後御議論を進めていただくに当たって、視点というのは別に事務局からどうこうということではなくて、1回目以降これまで先生方から出た視点について、事務局なりに中ぐくりぐらいのまとまりでまとめたものでございます。特にコンセンサスのあったところは、少し強調して書かせていただいております。

 今後の検討に当たっての基本的な考え方で、第1回目で報告者の先生から、多様な正社員制度は手段であって、目的ではない。目的はさまざまだけれども、いずれにしてもそういう目的を考えるための手段であるという提起があって、多くの先生から賛同するお声があったと思います。

 また、雇用管理について議論していく上で、キャリアアップ型の場合と、いわゆる正社員から転換する場合で異なるのではないかという点などにつきましても御指摘があったかと思います。

 それから、類型の延長線上で、さまざまな目的に沿ってやられているけれども、それらの類型ごとに少し仕分けて考えていく必要があるのではないかということがあったと思います。

 少し角度の違う御指摘で、4つ目のポツでございますが、座長からいただいた点だったかもしれませんが、雇用区分が多様化して区分ごとに人事管理すると、人事全体の効率が大変になっているということで、多様化するとインテグレーションが必要ということで、多様化しても人事管理を一本化する視点も重要なのではないかという御指摘があったと思います。

 次のポツで、多様な正社員制度について、ワーク・ライフ・バランスを目的とするような場合、個人の事情の変化、個人の申し出によって転換を柔軟にするということと、企業活動(人事権)とのバランスについて、どのように考えていくのかという御指摘があったと思います。

 それから、先ほども少し御議論がありました濫用とか、さまざまな陰の部分もあるということで、それを防止するための仕組みについての議論が必要ではないか。これも1回目にあった御意見だと思います。

 また、この議論をする一方で、いわゆる正社員、あるいはより直接的には、先ほども出ていました無限定なということですが、そうした働き方について、どのように考えるかということが反射的に整理が必要になってくるのではないかという御意見がございました。

 また、多様な正社員制度を導入していない企業の導入しない理由を把握すべきということで、これは引き続き努力していきたいと思いますが、次の、その後廃止した企業につきましては、先ほどの報告をもって御理解いただければと考えております。

 以上が全体の考え方に関して、今まで先生方からお示しいただいた視点でございまして、あとは各項目ごとに、労使関係の基盤で、例えば法律でルール化するよりも、企業内労使の話し合いで制度を決めていくことが大事。あるいは、労働組合がない企業における話し合いの仕組みについて、どのように考えていくのか、なかなか難しい問題があるという御指摘がございました。

 また、労働条件の明示、ルールの明確化は、本日、労使団体からも御意見がございましたが、共通するインフラとして明示が大事だということ自体は、多くの先生からいただいたところだと思います。

 一方で、これも座長からいただいたところだと思いますが、あいまいなほうが柔軟に対応できるという人事管理の実情もあるので、そこと明示のこととどのように考え方を整理するかということもあったと思います。

 それから、神林先生からだったと思いますが、ルールと実態の乖離について就業規則に明記されているか否かという視点だけではなくて、労働者自体の期待に対してどのように限定をかけるのか。日本の会社の人事管理は、その期待をうまく使ってしているので、これを逆に限定することについて、どのように考えていくのかという点がポイントではないかという御指摘があったと思います。

 それから、本日の御指摘にもありましたが、特に勤務地の場合、ある程度ヒアリングでも実例がつかまえられているところですけれども、職務に関しては、ヒアリングでも、営業補助とか生産ラインとか、そんなに細かくジョブディスクリプション的なものを書き上げたような職務限定の実例は、今のところ見ていないわけでございまして、そうしたものについてどのように考えるか。また、その明示する内容の時間的な拘束力につきましても御指摘があり、長期にわたるものとすると、逆に固定化するということとの兼ね合いで、どのように考えていくか等の御提起があったところかと思います。

 3つ目の○で、先ほども見ていただきましたように、ヒアリングした8社で特にうまくいっている、あるいはこれからますますふやしていきたいとおっしゃっているところの場合には、比較的処遇差は小さい中でうまくバランスをとっているというのも多かったと思いますが、そこの点について一般論としてどのように考えていくかというのが次の○でございます。特に、不満もあるという先ほどの実例もありましたが、どのように納得性を高めていくのかという点。

 2つ目の点で、非正規・有期から多様な正社員に転換した場合の賃金水準等の処遇について、どのように考えるかということ。これは、特に無期に転換することから長期的なキャリアパスというものをどのように考えていくのかということと、裏表の問題だという御指摘だったと思います。

 3つ目の点で、多様な正社員は昇進の上限があるが、転勤がなくても育つ人がいるので、これを取り外すべきではないかという御意見もあったかと思いますが、こういった点について、どのように考えていくのかということでございます。

 それから、3ページ目に行っていただきまして、転換制度についてでございます。

 これに関しては、複数の先生方から、あるいは先ほど経団連の方からもお話がございましたように、改正労働契約法で基本的に仕事の内容が今までのままとか、いわゆる正社員にすることを求めるのではなくて、処遇もそのままということもあり得るような形で、ただ無期に転換する5年無期化ルールという新しい法定ルールができる中で、それに役立つルールの検討を行っていくべきではないかという御意見がありました。これまでは、契約の更新時に、いわば洗いがえのような形で職種の範囲とか労働時間を決めることができたけれども、無期化した場合にそうした柔軟な対応ができるのか。あるいは、無期化する際に少し広げるといった対応について、どのように考えるのかという御提起もあったと思います。

 それから、2つ目の点で、女性が育児で仕事をやめる要因は、転勤があるからではなくて、むしろ保育所がないといった理由のほうが大きいという御指摘がございました。多様な正社員によって、女性がワーク・ライフ・バランスや活躍がむしろ難しくなって固定化されてしまうことがないように、一旦多様な正社員となっても、状況が変化したら、またいわゆる正社員に再転換できるような担保も目配りが必要だという御指摘がございました。

 次のポツでございますが、労働者のワーク・ライフ・バランスを目的とする多様な正社員制度について、個人の事情の変化によって転換を柔軟にすることと人事権のバランスについて、この転換制度の文脈からもどのように考えるかという御指摘がございました。

 それから、転換の回数については、ヒアリングでも2回まで、往復までにしているとか、いろいろな例もありましたけれども、それについて考え方をどのように整理するのかという点がございました。

 また、非正規雇用の労働者の多様な正社員への転換が進んでいない場合の要因を把握すべきでないかという御指摘がございました。

 最後に、雇用終了の関係でございますが、事業所閉鎖の場合に、他の事業所等への配置転換を勧め、本人が同意しない場合には合意退職とする事例が多いけれども、これについて、どのように考え、整理していくのかという御指摘がございました。

 また、先ほど来の繰り返しになりますけれども、個人の事情の変化による転換を柔軟にすることと人事権とのバランスについて、どのように考えるかというのが、雇用終了の面についても大事だというお話がございました。

 また、雇用終了の場合にも解雇権濫用法理が適用されることが法学者の先生方から御説明があったところでございますが、これは解雇をできなくしているのではなくて、恣意的な解雇を制限するものであって、法理は抽象的かもしれないけれども、勤務地等が限定されているからといって、機械的に一律的なものを定めるのは難しいという御指摘がありました。

 その上で、逆に労働契約のルールは抽象的な部分が多い中で、多様な正社員の雇用終了だけを特に出してルール化するのは、法制的にもバランスが悪いのではないかという御意見がございました。

 あわせて、参考資料、最後の1枚紙の裏表でございますが、昨日、規制改革会議が発表されましたジョブ型正社員、基本的に多様な正社員と同じ意味で、より職務に着目することを重視されてのネーミングと考えていただければと思いますが、それに関する御意見が出ております。また、この意見書自体が、裏側最後の4ポツにございますけれども、この懇談会において、いろいろなことについて議論が深められることを期待した上での内容ということなので、少しだけ御説明さしあげたいと思います。

 1ページ目の2ポツからが具体的な内容でございますが、契約締結・変更時の労働条件明示に関しまして、これは本日、ヒアリングで御発言された方々の御発言でも、労使自治の中で実情に応じてというお話も多かったわけですけれども、規制改革会議の側からは、制度として、ジョブ型正社員の具体的な契約類型を就業規則に明確に定めることを義務付けるということですので、法制度を念頭に置かれているのだと思いますが、そうしたことについての御提案があるということ。

 あるいは、裏側に行っていただいて、その契約類型であることを契約条件として書面で交わし明確にすることを義務付けるということ。

 (3)で、労働条件明示に関する現行規定は、労働契約締結時だけを対象としている。実際、そのように運用されていると思いますが、ジョブ型正社員については、労働条件変更の場合にも書面明示ということが考えられるのではないかということなどの点がありまして、先ほど経団連さんから少し違う意見も出ておりますけれども、こうした投げかけもあるということで御紹介しておければということと。

 3ポツで、相互転換制度と均衡処遇につきまして、この相互転換を円滑にする方策を法的枠組みも含めて検討するという御提起。

 あるいは、相互転換に当たっては、自発的な意思を前提として、労働条件決定を合意することに加えて、書面明示を義務付けるという御提案。

 (3)で、契約法20条で不合理な労働条件の禁止について、有期の方について無期と比べてということで設けられていますが、さらに幅広く全体を見据えたようなもので何か考えられないかという提起がなされております。

 こうした点も少し御念頭に置きつつ、御議論を深めていただければ、事務局としては大変ありがたいと思っております。雑駁ですが、以上でございます。

○今野座長 ありがとうございました。

 それでは、資料についての御質問、ございますか。どうぞ。

○野田委員 ほかの会議のことなのですけれども、職務限定はほとんどない。勤務地限定が多いので、職務はなかなか難しいという話なのに、ジョブ型というのは、よその会議のことなので、どうかと思うのですが、これはちょっと何とかしてもらったほうがいいかな。こういうものはひとり歩きしてしまいますから。ちょっと何とかならないのかと思います。一番最初の職務がほとんどないのに、ジョブ型の意味がわからない。ジョブ型にしないとだめみたいなものが何かあるのですか。できないでしょう。

○今野座長 答えにくいでしょう。

○村山労働条件政策課長 経緯も答えにくい。会議の事務局の方も傍聴されているという面もありますけれども、経緯としては、ジョブディスクリプションのようなものをより明確化して、ある程度コントラクトベースの働き方が広まっていくことが望ましいという一定の考え方のもとに、限定の中でも特にジョブのところを1つ出して例示されている経緯だと理解はしております。限定が余りかかっていないメンバーシップというものを対比しての考え方のもとに、こちらの会議では議論が積み重ねられていると伺っているところであります。

○野田委員 こちらの会議では、職務限定をやれという話なのですか。やるべきだと。

○村山労働条件政策課長 そうした働き方が明確な形で広まっていくのは、大きな政策目的は変わらないと思いますが、ワーク・ライフ・バランスやキャリアアップの観点から、一つの選択肢としてあるのではないかという観点で、規制改革会議のワーキンググループでは議論が重ねられていると承知しているところでございます。

○今野座長 どうぞ。

○佐藤委員 先ほど今野先生がジョブを限定できるかどうかという話なのですけれども、現状の限定でいうと、職種というか、業務限定は非常に少ないですね。ただ、これから有期契約社員から無期への転換を考えると、有期契約の人は基本的には勤務地と職種限定なのですね。例えば有期のコールセンターのオペレータは、オペレータの業務で雇われている。今までは業務変動がありますから、それは契約更新のところで調整していたわけですけれども、これが無期になったとする。そうしたときに、多分事業所を限定すると思うのですけれども、オペレータと事務の人がいる。無期にしたときに限定しないと、仕事が減ってオペレータを減らすときに事務に転換するのかという議論が出てくると思う。

 ですから、有期から無期への転換のときにも業務限定が大事になる。そのときに、オペレータも、アウトバンド、こっちから電話をかけるのと受けるのがあるのです。これを別の管理をしていれば、電話をかけるオペレータと受けるオペレータで分けるという業務限定もあり得るし、異動させていれば広い。確かに柔軟性のことを考えると、かなり広くなると思うのですけれども、有期から無期のところを考えると、かなり広目の限定が必要になってくるかなと思っています。

 もう一つは、事業所だけ限定した場合はいいですけれども、職種だけ限定というのは考えにくい。ただ、今までもあったのです。例えば、昔、松下は全部出向だから経理社員というものがいて、経理職が松下電工から松下電子部品に異動していくわけです。これは企業も限定されていない。だけれども、職種は経理職員で限定されている。こういうものもあったのですけれども、一般的には職種を限定した場合は事業所を限定することになるかなと思うのです。

 ですから、事業所を限定して職種を限定しなければ、オペレータのケースで言えば、100人のオペレータを50人にするときには、事務への転換も考慮することになると思うのですけれども、職種限定しておけばその中でという。ちょっと長くなりましたけれども、有期のほうを考えると。

 もう少し言うと、有期契約の人は小売業で狭く、例えば生鮮職場でと雇っているわけです。1年ごとの契約で、来年は生鮮をなくすので、デイリーのほう、婦人服のほうへ行ってくださいとかやって調整していたわけですけれども、もし無期にしたら店舗販売職みたいに広くなると思います。今までよりもっと広い職種限定での契約になる。ですから、職種限定がふえてくるし、有期は現状の契約よりも広目になると考えています。

○今野座長 どうぞ。

○黒澤委員 今のことに関連するのですけれども、資料3で再集計していただいたもとのデータがこちらの資料かと思うのですが、企業アンケート調査結果概要というものですね。でも、それによると、それこそ職種限定だけで勤務地限定されていないものがすごく多いのです。

○佐藤委員 だから、事業所は1社で、ほかに事業所がないけれども、できたら異動させるということであれば、限定していない。製造業務で雇っています。工場1個しかないのだけれども、就業規則上、契約していない。また、できたら異動はあるかもわからない。

○黒澤委員 ヒアリングでは、そういったケースが。

○佐藤委員 大企業が多いから。

○黒澤委員 大企業だからということで。

○村山労働条件政策課長 おっしゃるとおりです。

○黒澤委員 わかりました。

○今野座長 今、佐藤さんが言われた件と関係するのですけれども、片方では、例えばパートの人でも限定正社員の人でもいいですが、長期的にはキャリアを積んでいってほしいという価値基準というか、理念を入れると、これを強めれば強めるほど職種限定は難しくなる。

○佐藤委員 広くなる。

○今野座長 だから、いつもそことのバランスですね。ですから、狭く職種限定する場合には、その人はもうキャリアはないですよということを言わなきゃいけないので、それはそれで悪いとかいいという問題じゃなくて、そことの兼ね合いでいつも考えなきゃいけないかなと思います。どうぞ。

○佐藤委員 もう一つ、昇進の上限を限定しているのは、広い意味では職種限定。結構多かったのですね。ですから、これはつく仕事の範囲ですから、管理職ポストにつかないというのは、業務の限定、職種の限定なので、そういう意味では結構あると考えていい。

○今野座長 私からまた質問します。資料3で再集計していただいて、これを見ると就業規則や労働契約で書いていないものが多い。そうすると、書いていないことのプラスマイナスと、書いてあることのプラスマイナスだと思います。普通はそうなのです。そうすると、その辺はどうなのかというのを佐藤さんに、現場で実態としてはどうなのですか。

○佐藤委員 例えば勤務地限定が書いていないと、働く側からすれば、複数事業所があれば配置転換という期待があっても当然おかしくないですね。でも、実態としては異動がなかった。ただ、ルールがそうなっていないと、そう思っている可能性はあるかもしれない。今までは、それで通したのだと思うのですけれども、他方で規定していないために自由に動かしていたというメリットのほうを活用して、今までは必要なかった。だからいたということだと思います。

○今野座長 もう少し短期の質問をします。書いてある場合と書いていない場合がある。何か起きたときに、ルールをつくるということを強調する意見は、そのほうがトラブルが少ないからだと普通考えるね。でも、そこはどうなのか。

○佐藤委員 わからないですけれども、勤務地限定ときちんとルールを決めて、1つは個別契約でもそう書かれていて、事業所閉鎖で、その事業所閉鎖が合理性があったとしたときに、本人が言っても、多分議論したら配置転換しろとならない可能性が高いのではないか。もちろん、経営側の努力として、どこかに空きポストがあったらオファーするのはあり得ると思います。でも、全部はできない。残った人が何と言うかというとき、それは経営側がもっとやらなきゃいけないということにはならないのではないかという気がします。

○今野座長 わかりました。ほかにいかがでしょうか。

 いいですか、私ばかり。資料5の廃止した事例は、2つとも総合職的なホワイトカラーの人だね。工場だけれども、ここには生産労働者が入っていないですね。確認だけです。

 よろしいですか。

 あと、きょう議論していただきたいのは、これから私、事務局と相談して今後の議論の進め方をどうしようかと考えようと思っていますので、その点についての御意見があったらお聞きしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。特にないですか。では、任せますか。

○黒澤委員 ヒアリングはこれでおしまいですか。

○今野座長 もう終わりです。これから徐々にまとめに向かって議論していかなきゃいけないので、そのときに例えばこういう順番でとか、こういう切り口でやったほうがいいという御意見があったらお聞きしておいたほうがいいかなと思ったのです。

 それでは、これから私、事務局と相談しながら進め方を考えますので、後からメールでも結構ですので、こういう進め方をやったらいいぞということを御意見いただいて、それで相談しましょうか。でも、いつまでと言っておいたほうがいいね。1週間ぐらい。

○村山労働条件政策課長 はい。

○今野座長 きょう休まれた人にも言って、進め方について御意見があったら伺ってください。

 それでは、きょうはこれで終わりにさせていただきます。特に、事務局からはいいですか。

○村山労働条件政策課長 日程については、御相談して御案内さしあげたいと思います。

○今野座長 それでは、終わりにします。ありがとうございました。


(了)

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