ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会有期雇用特別部会)> 第1回労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会 議事録(2013年12月25日)




2013年12月25日 第1回労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成25年12月25日(水)17:30~18:31


○場所

経済産業省別館310各省庁共用会議室


○出席者

【公益委員】

猪熊委員、岩村委員、山川委員

【労働者代表委員】

新谷委員、冨田委員、八野委員

【使用者代表委員】

市瀬委員、遠藤委員、小林委員、鈴木委員

【事務局】

中野労働基準局長、大西審議官、村山労働条件政策課長、大隈労働条件政策推進官

○議題

1 運営規程について
2 有期雇用の特例について
3 その他

○議事

○大隈労働条件政策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回「労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、大変御多忙の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は公益委員の阿部正浩委員、労働者側委員の芳野友子委員の2名の委員が御都合により御欠席でございます。出席委員につきましては10名となっております。労働政策審議会令第9条では、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

 部会長を選出していただくまでの間、私、労働条件政策推進官の大隈が議事の進行を務めさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 なお、議事に入ります前に労働条件政策担当審議官の大西から一言、御挨拶を申し上げます。

○大西審議官 本日はお忙しいところ大変ありがとうございます。一言、御挨拶させていただきます。

 労働契約法につきましては、労働条件分科会の御議論を経まして、この有期契約労働者の雇用の安定を図り、労働者が安心して暮らすことができる社会を実現するために、有期労働契約が5年を超えて反復更新した場合に、無期転換するというルールを改正法でつくりまして、本年4月から施行されているといった状況でございます。

 一方、先の臨時国会におきましては、国家戦略特別区域法という法律が成立したわけでございます。その附則の第2条では、有期雇用の特例といたしまして、高度専門職で比較的年収の高い方などを対象に、無期転換申込権の発生までの期間のあり方、あるいはその際に労働契約が適切に行われるための必要な措置について検討するということとされたところでございます。

 この特例につきましては、労働政策審議会において早急に検討を行い、その検討結果を踏まえ、平成26年の通常国会に所要の法案を提出するといったことが、あわせて国家戦略特別区域法の法律の附則の中に記されているところでございます。こういった経過を踏まえまして1217日に開催された労働条件分科会におきましては、本件につきまして短期集中的に議論を深めるため、分科会のもとに特別部会を設けることが確認されたわけでございます。こうしたことで有期雇用特別部会が設置されたわけでございます。

 お集まりの委員の皆様方におかれましては、大変短期間で御審議をいただくことになるかと存じますが、改正労働制約法の意義を踏まえつつも、求められている新たなルールにつきまして、総合的、建設的な御議論をいただければ大変ありがたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○大隈労働条件政策推進官 それでは、次に委員の方々の御紹介でございますが、大変恐縮でございますけれども、お手元の資料NO.1に委員名簿がございます。この委員名簿をもって御紹介とさせていただきたいと思います。

 次に、特別部会の部会長の選出についてでございます。参考資料NO.1に労働政策審議会令をつけてございますが、労働政策審議会令第7条第6項に、部会に部会長を置き、この部会長は部会に属する公益を代表する委員のうちから委員が選挙することとなっております。

 本部会で労政審本審の委員でいらっしゃるのは阿部委員、岩村委員、山川委員でございますが、あらかじめ御相談させていただいたところ、岩村委員に部会長をお願いすることとさせていただいております。

 ここからは岩村委員に部会長をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○岩村部会長 ただいま部会長ということで仰せつかりました。皆様の御協力を得ながら議事を進めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、部会長代理についてでございますけれども、労働政策審議会令第7条第8項によりますと、部会長に事故があるときは当該部会に属する公益を代表する委員、または臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理すると規定されております。

 こちらもあらかじめ相談の上、阿部委員に部会長代理をお願いしておりますので、御了解をいただければと存じます。

 それでは、申しわけありませんが、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○岩村部会長 それでは、議事に入りたいと思います。お手元に議事次第がございますが、それに沿って進めてまいりたいと存じます。

 最初の議題は運営規程についてということになっております。

 先日の1217日に開催されました労働条件分科会におきまして、国家戦略特別区域法附則第2条に定める有期雇用の特例の検討につきまして、短期集中的に審議をするために、分科会のもとに特別部会を設けることが確認されたところであります。これにつきまして改正後の労働条件分科会運営規程と、新しく設置された有期雇用特別部会の運営規程案につきまして、事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大隈労働条件政策推進官 それでは、資料NO.2-1をまずごらんください。これは先日1217日の労働条件分科会で特別部会を設けることが確認され、それを受けて分科会運営規程の改正を既に行ったというものです。改正部分は下線を付けておりますけれども、附則第2項からでございます。労働条件分科会に当分の間、有期労働契約の特例に関する専門の事項を審議させるための有期雇用特別部会を置くということでございます。これは有期雇用の特例について短期集中的に審議するということで、このような附則において臨時的に置くものという位置づけとさせていただいております。

 3項に公労使それぞれ各4名とする規定、4項に特別部会の議決をもって分科会の議決とするという専決の規定を置かせていただいております。

 資料NO.2-2でございます。こちらは、この有期雇用特別部会の運営規程で、こちらは案ということでございます。これも他の部会と同様の規定を横並びで置いたものでございますが、内容としては第2条に各委員は代理者を出席させることができるが、定足数の取り扱いについては、欠席したものとして取り扱うというような内容でございます。

 以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 ただいま事務局から規程等について説明をいただいたところですけれども、御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、当部会の運営規程は、今、御説明のあったような形で決定しまして、労働政策審議会関係法令、そして、これらの運営規程に基づきまして、この部会を運営してまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 次に議題の2番目でございまして、有期雇用の特例についてということになります。まず事務局から資料などを用意していただいていますので、それに基づいて説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大隈労働条件政策推進官 それでは、引き続きまして事務局から資料NO.3-1でございます。今回御検討いただくことの背景なり経緯として、まず労働契約法の無期転換ルールについての資料を用意させていただいております。

 1枚めくっていただきまして、非正規雇用労働者の動向についての資料でございます。非正規雇用は95年から2005年までの間に増加しておりまして、現在、雇用者全体の35.2%ということで、数としては1,879万人といったところでございます。非正規雇用をめぐる課題について下のほうに書いてございますが、雇用が不安定あるいは賃金が低い、能力開発機会が乏しい、セーフティネットが不十分というような課題があるところでございます。

 次のページでございますが、非正規雇用労働者のうち、今回議論の対象となります有期契約労働者の現状でございます。有期労働契約は非正規雇用の労働者の大半に共通する特徴でございます。非正規雇用の労働者は約1,800万人ほどで、その中に契約社員、嘱託、パート・アルバイト、派遣社員などのさまざまな類型がございますが、その中で有期契約労働者につきましては約1,400万人といった数となっております。有期契約労働者につきましても一番下のところでございますが、非正規全般と共通する部分でございますが、契約の反復更新の常態化というようなこともあり、やはり雇用の不安定さ、待遇等の格差、職業能力の形成が十分でないといった課題が存在してございます。

 次のページでございますが、これまで労働条件分科会におきまして、有期労働契約について検討してきた経過の資料でございます。平成2210月から有期労働契約のあり方について議論をスタートさせ、契約の締結・終了をめぐる課題、契約期間中の処遇や雇用管理をめぐる課題、それから、実態の調査なども含めて幅広い議論を行い、約1年2カ月ほどたって、平成2312月に「有期労働契約の在り方について」という形で建議をまとめていただいたという経過がございます。

 その建議につきましては、その次に付けてございますが、表紙が2枚ございまして、その次が建議の報告の内容でございます。建議の初めのところに非正規労働者の割合が増加しているという中で、有期労働契約の利用に関する明確なルールがないことによる問題として、雇い止めの不安とか処遇に対する不満等の課題が指摘されているというようなことが書かれておりまして、こうした課題に対処するため、有期労働契約の適正な利用のためのルールの明確化が必要になっているということで、そうした検討の結果、下記のとおりの結論に達したということでございます。

 記のところですが、1番目は有期労働契約が合理的な理由がない場合には締結できないような仕組みとすることについての検討でございますが、ここは措置を講ずべきとの結論には至らなかったということでございます。

 今回、検討いただくことになるのは主に2番のところでございます。有期労働契約の長期にわたる反復継続への対応ということで、有期契約労働者の雇用の安定、有期労働契約の濫用的利用の抑制のために、同一の労働者と使用者との間で5年を超えて反復更新した場合に、労働者の申出により期間の定めのない労働契約に転換させる仕組み、いわゆる無期転換ルールを導入することが適当であるという旨が記載されております。

 その後、クーリング期間6カ月という旨が記載されておりまして、次のページでございますが、「また」ということで制度の運用に当たって利用可能期間、これは5年ということですが、5年到達前の雇い止めの抑制策のあり方については、労使を含め十分に検討することが望まれるという旨が記載され、「さらに」というのは、これはどの時点から算定するかという、制度導入後から算定するという旨が書かれ、なお書きとして、見直し規定として5年経過時から3年経過した時点において必要な検討を加えるという旨が書かれております。

 その後は、雇止め法理の法定化、期間の定めを理由とする不合理な処遇の解消等について、ここに書かれているような形で建議がなされておりまして、これがその後の労働契約法の改正につながったという経緯でございます。

 次のページが建議を受けた改正労働契約法のポイントでございますが、今、申し上げたような3つのルールでございますが、特に今回の議論としては1の無期労働契約への転換という5年の無期転換ルールでございます。施行期日と書いてございますが、この1につきましては平成25年4月1日ということですので、今年度当初からスタートしたという状況でございます。

 次のページでございますが、通算5年のところで無期転換申込権発生ということですが、具体的に図示した資料でございます。平成25年4月開始で契約期間1年を繰り返し更新するということになると、5年経過した平成30年4月、ここでもう一回更新したときに無期転換申込権が発生するということで、この申込権を行使した場合には、その次のタイミングから無期労働契約になる。その6年目のところの1年で行使しなかったとしても、次の1年間で申込権を行使すれば、その次から無期労働契約になるという仕組みでございます。

 無期労働契約の労働条件につきましては、その下に書いてありますとおり、職務、勤務地、賃金、労働時間などは別段の定めがない限りは、直前の有期労働契約と同一となるということですが、別段の定めにすることによって変更は可能であるという仕組みでございます。

 施行後の状況についてでございますが、次のページに今年1112日にJILPTで公表された調査結果速報がございます。無期転換ルールへの対応の検討状況ということで企業にアンケートした結果でございますが、フルタイム有期を雇用する企業の4割超が「何らかの形での無期契約にしていく」という答えで、4割弱は「対応方針は未定。分からない」、15%程度は「通算5年を超えないよう運用」という回答になっております。

 次のページですが、これも同じ調査による結果ですけれども、有期契約労働者を無期契約に転換するメリットをどのように考えますかという質問に対して、これは複数回答でございますが、「長期勤続・定着が期待できる」というのが一番多くて61.2%、それから、「有期契約労働者の雇用の不安感を払拭して働く意欲を増大」、「要員を安定的に確保できるようになる」といったところが多い回答になってございます。

 以上が無期転換ルールをめぐる経緯と現状でございますが、続きまして資料NO.3-2をごらんいただければと思います。今回この特別部会で御検討いただく有期雇用の特例、この検討が必要になるに至った経緯についての資料でございます。

 1枚めくっていただきまして、右肩に国家戦略特区ワーキンググループ八田座長提出資料というものがございます。まず1ページ目が9月20日でございますが、ここで競争力の強化ということ、それから、一番上のところですが、新規開業事業者や海外からの進出企業などが優れた人材を確保できるようにというような趣旨が書いておりまして、その下に提案が書いておりますが、今回の関係では(1)のところです。有期雇用と書いておりまして、契約締結時に労働者側から5年を超えた際の無期転換の権利を放棄することを認めるというようなことが書かれております。

 引き続きまして10月4日のペーパーが次のページでございますが、こちらも同様に国家戦略特区に関するワーキンググループの提案と書いておりますが、やはりグローバル企業やスタートアップ直後の企業が優秀な人材を集めやすくするための環境をつくるということで、2(1)のところ、これも「特区内の適用対象に限り、無期転換しない約束を可能に。」、それから、3のところに適用対象が書いていますが、特区内に限るとか、グローバル企業、スタートアップ直後の企業、対象者としては弁護士、会計士、修士・博士号取得者などということが書いてあるということですが、これについて政府部内でさまざまな議論があり、閣僚級の折衝も経て、次のページの日本経済再生本部決定(1018日)ということで、政府内で決定したということでございます。今回御検討いただくのはこれが出発点でございますが、2(2)にある有期雇用の特例でございます。

 実際に求められていることとしてはポツの2つ目のところですが、新規開業直後の企業やグローバル企業をはじめとする企業等の中で、重要かつ時限的な事業に従事している有期労働者であって、「高度な専門的知識等を有している者」で、「比較的高収入を得ている者」などを対象にして、1つは「無期転換申込権発生までの期間の在り方」、もう1つは「その際に労働契約が適切に行われるための必要な措置」、これについて労働政策審議会において早急に検討を行って、その結果を踏まえて通常国会に所要の法案を提出することとされております。

 もともと発端は特区の話で、一定のエリアを限ったらというような提案もありましたが、ここに書かれているように、これはあくまでも全国規模の全国ルールとしてのものということでございます。

 最後のポツにありますとおり、以上の趣旨を臨時国会に提出する特区関連法案に盛り込むこととされておりまして、その法案が次のページでございます。これは臨時国会に提出されて成立したものでございますが、国家戦略特別区域法の附則の第2条に検討規定として、第1項のところは1018日の決定の内容がそのまま法律の条文として書かれているということですので、ここに書いてあるような事項について検討することとされております。

 次の裏のページですが、第2項として、これも1018日の決定にあったとおりですが、労働政策審議会の意見を聞かなければならないということと、第3項は26年の通常国会に法案を提出することを目指すということで、このような内容の法律が成立しているということでございます。

 次のページでございますが、有期労働契約の期間に係るルールについての説明の資料でございます。ルールは2つございまして、1のほうが1回の契約期間の上限ルールでございます。労働基準法第14条ほかで定められております。趣旨としては長期労働契約による人身拘束の弊害の排除ということですが、内容としては1回の契約期間の上限は原則3年とされているところでございます。例外が3つございまして、1つ目が高度専門知識を持つ労働者。具体的にはそこの下に書いてありますような博士号の取得者とか公認会計士、医師等々でございますが、こういう方が5年。60歳以上の労働者についても5年。一定の事業の完了に必要な期間を定めるものは、その期間とありますが、例えばトンネル工事等で7年の事業があれば7年間という契約は可能であるということでございます。

 ※印に書いてございますが、労働基準法上の事業であるか否かは場所の独立性によって決定するということとされていますので、トンネル工事等は典型的ですが、その事業が一定の期間の後に消滅することが客観的に明らかな場合が該当するということで、企業内のプロジェクトチームのようなものはこれに該当しないということとされております。

 2つ目のルールが2で、これはまさに今回、御検討いただくほうの話ですが、反復更新した場合の無期転換ルールでございます。これは有期労働契約の濫用的な利用の抑制ということで、有期労働者の方の雇用の安定を趣旨とするものでございます。内容につきましては先ほどの資料で御説明したとおりでございます。

 資料NO.3-3にまいりまして、以上のような経緯と現状がございます中で、これから御議論、御審議いただくわけですが、事務局としてのたたき台の論点として資料NO.3-3を用意させていただいています。それはその次のページに参考として国家戦略特別区域法の附則2条をつけさせていただいておりますが、ここで下線を引っ張っているところが検討すべき論点ですので、ここを拾い上げた形で前のページのたたき台としております。

 大きな1つ目は特例の対象及び効果でございまして、今回、特例の対象となる者の範囲につきましては、まず1つ目としては一定の期間内に終了すると見込まれる事業の業務に就く労働者ということですが、この具体的な範囲についてどう考えるかという論点がございます。

 それから、「高度な専門的な知識、技術または経験」についてもその具体的な範囲についてどう考えるかということが論点になります。

 年収ですが、特区法の文言で言えば、「年収が常時雇用される一般の労働者と比較して高い水準となることが見込まれる者」ですが、これも具体的な範囲についてどう考えるかということが論点になります。

 その特例の効果のほうですが、特例の対象となる者の労働契約法第18条第1項に規定する通算契約期間の在り方ということなので、原則5年ルールのところをどのように考えるかという論点でございます。

 大きな2つ目ですが、労働契約が適切に行われるために必要な措置ということで、1番のような形で特例の対象となる方について、期間の定めのある労働契約の締結時、期間の満了時において、労働に関する法令の規定に違反する行為が生じないようにするために必要な措置ということもあわせて考えることになっていますので、それについてどう考えるかということが論点になろうかと思います。

 3番目として、その他というふうに掲げさせていただいているところでございます。

 以上が論点でございまして、最後に参考資料として、NO.1は審議会令でございます。参考資料NO.2は労働契約法改正についてのパンフレットですので、無期転換ルールも含め改正法のポイントなどがまとめられたものでございます。

 参考資料NO.3は先ほど調査結果を一部御紹介しましたが、今年11月に発表されたJILPTの調査結果のプレスリリースの全体でございますので、これは後ほど御参照いただければと思います。

 資料の説明は以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきましたことにつきまして、御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 まず労働側として、この特別部会の設置に当たっての総論的な考え方を申し上げたいと思います。

 ただいま資料NO.3-2で、この部会を設置した経緯について御報告をいただきました。さきに成立しました国家戦略特別区域法附則第2条に基づいて、労働契約法が定める有期労働契約の無期転換ルールのあり方を検討するために設置をされたという御説明をいただいたわけであります。

 ただ、我々としては、経緯の中で触れられました「国家戦略特区ワーキング」という政府内に設置された検討スキームについて、そこに労使の代表が入っていない、あるいは、政府が指名をされた委員による非公開の会議によってこうした見直しの方針が決定されたということを、極めて遺憾に思っております。特に、提起をされている労働契約法は本年4月に施行されたばかりであり、しかも無期転換ルールについてはその効果が主に発生するのは5年後ということでございます。今この時点では無期転換ルールを見直すべき立法事実すらつかめていないという中で、こうした政府の会議体の中で一方的に見直し提案がなされたということは、極めて遺憾であります。

 国家戦略特区ワーキングは非公開でありますが、官邸のホームページにその開催状況が書かれておりますのでよく見ますと、5月10日に1回目がスタートされ、この見直し方針をまとめられた1018日までに計6回、会議をされているようです。しかし、今日、資料NO.3-2として出てきている9月20日のペーパーであるとか、10月4日のペーパーは、いずれも会議の資料ではないことが明らかになっておりまして、おそらく座長の方が出されたものに過ぎないと思います。しかも6回開催されたとされる会議のうち2回は持ち回り開催ということです。こうした状況の中で見直しの論議が行われたということに対しても、遺憾と言わざるを得ません。すなわち、労働政策の基本方針を策定する労働政策審議会こそが、まさしくILOの三者構成原則に基づくグローバルスタンダードであるわけですが、三者が集まって労働政策を決めるという世界標準の仕組みとは別のところで、こういう労働契約に係る重要なルールを変更するという検討が加えられたことについては、ILOの三者構成原則に照らし極めて遺憾だということを申し上げざるを得ないと思います。

 我々労働側は、組織労働者を中心としつつも、全ての働く者の代表としての立場でこの場に座っておりますし、もちろん使用者側の委員もそれぞれの組織をバックにされて、多くの企業の経営者の声を吸い上げながらこの場に来られていると思います。

 しかし、国家戦略特区ワーキングはわずか4~5人の政府指名の委員によって構成されており、そうした委員がどういうバックグラウンドをもって論議されているのかわからない。こうした位置づけの委員によって非公開の中でこういう重要な方針が策定されているということに対して、非常に疑問だということをまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、さらに意見を申し上げたいと思います。先ほど御説明にありました国家戦略特別区域法附則2条に書かれておりますように、労働契約法第18条の通算契約期間のあり方、無期転換する際の期間のあり方について論議をするということでありますけれども、もともとこの18条については、これは本当に岩村先生に御尽力いただいて、非常に労使の意見に隔たりのあった労働条件分科会の中で使用者側の御主張と我々の主張との接点を見出していただき、その結果、5年で無期転換の仕組みをつくることを、まさしく労政審の中で決めたわけであります。

 それでは、なぜこういう無期転換のルールを決めたのか、つくったのか。これは、我が国には有期労働契約法制においてこうした規制がないために諸外国に比べて本当に雇用が不安定な状況に置かれている有期労働者について、雇い止めの不安をどうやって排除し、その雇用安定につなげていくのかということを議論してきた中で編み出した着地点ということであります。そういう背景がございますので、この無期転換ルールの見直しについて、今回この特別部会の中で審議をするということに当たっては、この18条を創設した際の雇用の安定をどう図るのかという法の趣旨・目的を決して忘れてはならないと思っているところであります。

 国権の最高機関であり唯一の立法機関である国会がこういう法律を決められましたので、それに従って労政審として論議をしていくことについては、やぶさかではありませんけれども、あくまでもここは国家戦略特別区域法附則第2条に書かれている範囲に限定して議論すべきであるということを、まず申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございましょうか。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ありがとうございます。

 今般まず政府が有期雇用の特例を措置する方針を打ち出されたということは、我が国の立地競争力の強化と雇用機会の創出を促すものと期待され、私どもとしては評価をしているところであります。

 国家戦略特区法が示す対象については、その中でその他これに準ずるものというふうにありまして、労働契約法18条の法の趣旨の範囲で対象を考えることができるものだというふうに理解しているところでございます。

 会員企業からは、とりわけ高齢者全般につきまして無期転換ルールがあるため、事実上、5年を超えた雇用が難しいという声が、実際に地方も含めて寄せられています。また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、すでに企業が選手の競技活動を支援するような動きも活発になりつつあると聞いております。

 検討に当たりましては、改正法の趣旨を逸脱しない範囲において、とりわけ高齢者全般や企業スポーツ選手などの取り扱いについて、適用除外の検討を行う必要があると思っているところでございます。

 新谷委員から、審議会で労使の意見に隔たりがある中でまとめ、法施行後1年も待たずに改正するのはいかがなものかという御発言がございました。契約法の議論については論点がかなり多岐にわたっており、とりわけこれまでにない、新しい法的な論点もございました。そうしたこともあって実務への影響を十分議論できなかったのではないかという思いが使側としてあるところであります。

 答申に当たりましても、審議時間が足りなかったということを発言させていただいた経緯がございます。

 くどいようですけれども、私どもも改正法の趣旨を逸脱した形で例外を設けるべきということを主張するつもりはございません。もとより労働契約法18条が創設された趣旨、これは繰り返しになりますが、若者を中心に不本意な形で有期契約に就労される方が少なからずいらっしゃって、他方で無期社員の場合には一度採用されると60歳まで雇用が基本的に保障される。そのために有期と無期の間で雇用の安定さの違いが大きい。そこで一定期間反復更新された有期社員の雇用の安定を図ろうというのが政策目的だと思っています。この点は恐らく新谷委員、労側の皆様と共通するところではないかと思っています。

 ただ、例えば60歳以降の高齢者の雇用形態は大半が有期契約でございます。また、1回に締結できる有期契約の上限の例外でありますとか、あるいは日雇い派遣の例外として高齢者が位置づけられているわけでございます。これらはいずれも高齢者を積極的に活用するということで、雇用機会を広げようとする大きな政策の中で措置されているものだと理解しております。

 長期雇用からある意味で外れた高齢者の方について、雇用の安定を図るということは労働契約法18条の保護の必要性ということでは、一般の方よりも小さい。逆に、この18条を適用することのほうが雇用機会を失わせるのではなかという思いがございます。

 そういった意味で幅広く議論を皆様とさせていただければと思っています。

 私からは以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 そのほかいかがでございましょうか。新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 今、使用者側委員から高齢者の件を中心に御発言がありました。そこで質問したいと思います。使用者側委員の発言の中で、今オリンピックという話が出てきましたけれども、先ほど配られた資料NO.3-21018日の日本経済再生本部決定の資料の中の(2)の最初のポツにも、「例えば、これからオリンピックまでのプロジェクトを実施する企業が」と書かれていて、オリンピックが持ち出されています。これに関して、先ほどの法の枠組みについての説明の中では労基法14条の話があって、説明の中にもオリンピックまでは7年間だといった話が出てきました。そこで、7年間に限定して有期契約を更新したいのだけれども無期転換権が発生してしまうことになって問題だということで、しかも、その問題への対処は現行制度ではできないとあるのですけれども、私は今の法の枠組みでも対処できないわけではないと思うのです。

 現行法でも今のNO.3-2の3ページにありますように、一定の事業の完了に必要な期間を定める有期事業については、1回の労働契約の上限をその期間に合わせることができるわけです。したがって、7年の有期事業であれば7年にわたって短期契約を更新するのではなく、契約期間が7年の契約を一発で結べるわけでありまして、こうした現行法と先ほどの御説明との関係をどう理解すればいいのかわからないのです。オリンピックという話が使用者側から出てきたので、まずはそこのところをどういうふうに考えたらいいのか。もちろん我々としては今でもできるのに、なぜこんなことが書かれてあるのかよくわからないということであります。お考えをお聞かせいただけますか。

○岩村部会長 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 企業スポーツ選手ということで申し上げますと、当然企業スポーツ選手を契約する際、無期、有期という形でいろいろな雇用形態があるわけでございますが、有期で締結する場合、選手として活躍するということを前提に契約を結ぶということになろうかと思います。

 例えがよろしくないのかもしれないのですけれども、大学の研究者の方々が有期プロジェクトに基づいて有期で締結されるケースがあるわけでございますが、この場合には有期プロジェクトが続く限りという大前提があろうかと思います。企業スポーツ選手の場合には俗にということで申し上げますと、いわゆる選手生命というものがあって、選手として活躍できる期間というものがあろうかと思います。それぞれスポーツによって活躍できる期間というのは当然違うわけでありますけれども、60歳まで現役というスポーツというのはほとんどないのではないかと思っているところでございます。

 当然、1回で6年とか7年ということが決められればいいわけでありますけれども、選手がけがをされたり、残念ながら活躍できなくなったりということで、事前に1回の期間ということを決めることが難しい。そのため、実際には1年契約を更新するケースも多いというのが実態ではないかと思っています。

○岩村部会長 八野委員、どうぞ。

○八野委員 この問題を議論するに当たって、今、新谷委員からもありましたが、オリンピックという名称を使った主張がなされています。オリンピックは、日本としては非常に重要なことで、ここにいるメンバーも皆、成功させたいというふうに思っています。しかし、この無期転換ルールの見直しの議論は、オリンピックを目標として行うものではなくて、これから先の産業競争力を高めるという観点から主張されているものだと思います。

 スポーツ選手というものが今、使用者側から出てきましたが、これが議論の対象になるのかどうかということも話されていないわけですから、余りここで特定なものに絞って議論をするのは、我々の思考を狭くしてしまうと思います。議論を進める際には、その辺のところの留意をお願いしたいと思います。

○岩村部会長 新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 いただいている資料のうち1018日の政府の資料に有期特例のことが書かれてありますが、現在でも労基法第14条を使えば一発で7年の有期労働契約が締結できるのに、わざわざ「更新することなく」ということですので、多分一発7年という形ではなくて、もっと短期の、今お話があったような1年契約の更新という形のような、要するに雇用契約を細切れにして契約することを想定しているのかなと思います。やはり、あるべき姿として現在でも一発で7年間の有期契約が結べるのに、なぜこんなことが書いてあるのか、その意図が全くわからないのです。1018日の政府資料です。

 今、八野委員からもあったように、何でもオリンピックだと冠すれば、何か国民的なコンセンサスが得られるような書きぶりで書いてあって非常に残念だなと思います。オリンピックだと言うことでまともな論議ができないのではないかという感じがしますので、もし同じ政府として厚労省側でここに書かれた意図なり、契約の細切れを図るものではないんだということ等を含めて、何かコメントがあればいただきたいと思います。

 その上で、先ほど鈴木委員からは高齢者についてもたくさん御発言があって、高齢者も検討項目にすべきだという発言がありました。しかし、本部会の設置に当たっての経過にありますように、もともとは国家戦略特別区域法附則第2条に規定された限定的な範囲で有期労働契約者に対する無期転換ルールのあり方を検討するようにとの提起を受けているわけでありますので、我々としては検討すべき対象はそこに限られているという理解でおります。

 先ほどの論点にも書かれてありましたように、附則第2条には、要件が3つ書かれてあります。一定の期間内に終了すると見込まれる事業に就く労働者であるということ、及び、高度な専門的な知識、技術をもつ者であること、あるいは年収といった要件が3つ出ておりますので、法の目指すところの産業力強化という観点から、こういった労働者が一体どういう方々で、かつ、その雇用の安定が損なわれない範囲は一体どこなのか、といったことを中心に論議をするべきだと思います。

 そういった意味からいきますと、先ほど使用者から御提起のありました「定年後の高齢者」については、法の要請とは基本的には無関係ではないかと思っておりますので、この「定年後の高齢者」に関する無期転換ルールのあり方まで論点とすることについては、私どもとしては反対であるということを申し上げておきたいと思います。

 仮にそういったことを論点として御主張されるのであれば、先ほど配っていただいた資料NO.3-1には労政審の2年前の建議の内容が書かれてあると思います。この建議は高齢法のときの建議と同時期に出ているのですが、高齢法の建議にはたくさん使用者側で反対意見がつけられました。しかし、この労働条件分科会の建議には反対意見はつけられていないわけでありまして、本当にぎりぎりの中で労使の接点を見出してまとめ上げた建議だと思います。その建議の中の2枚目の上から4行目のところに、実は労政審で決めてあった内容でありながら、いまだ検討していない項目があるのです。つまり、「制度の運用に当たって利用可能期間到達前の雇い止めの抑制策のあり方については、労使を含め十分に検討することが望まれる」というのが建議の中身としてあったのですが、2年たった現在も、雇い止めのあり方について十分な論議がされているという認識は、私どもとしてございません。

 そういった意味からは、先ほど使用者側から「定年後の高齢者も論点に」といった御発言がありましたが、せっかくの特別部会でありますので、私どもとしては積み残しとなっているこの課題についても、この特別部会で論点にすべきであるということを主張したいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員 ただいま高齢者について新谷委員が言及されましたので、前半はもしかすると事務局からのお答えがあるやもしれませんので、私は後半の部分について意見を申し述べさせていただければと思います。

 御案内のとおり、契約法の改正議論と同じ状況下で高齢法についても改正議論が行われておりました。高齢法の改正につきましてはかなり労使の見解の隔たりがありまして、実際には国会への提出後に修正が行われるといった状況がありました。私どもといたしましては、契約法の中に当然適用除外の条文があるという前提のもとで、高齢者の適用除外については特段、高齢法で議論することなく対象者基準の廃止に特化する形で反対意見をつけ、また、国会についても御理解をいただくような活動を行ってきたという経緯がございます。これはまず事実関係としてお話しておく1点目でございます。

 2点目でございますけれども、先ほどから契約法18条の条文の趣旨ということで、雇用の安定ばかりを申し上げているようですが、そこにはもう一つ、有期契約の濫用的利用の抑制というものがあるわけです。高齢者の実態を見てみますと、御案内のとおり、とりわけ定年後の方々というのは健康状態あるいは健康状態に伴う形での能力の発揮度合いについては、個人差が大変大きくなってきます。そういった中で有期契約で更新を重ねていくという実態が大半であるわけでございます。これは有期契約を濫用的に利用しているのではなくて、むしろ高齢者の方々を積極的に活用しよう、実態に合うような形で活用していこうという動きであって、これは高齢者の方々を適用除外にするというような見直しがあったとしても、18条の趣旨を損なう話ではないと思っております。

 先ほど鈴木から申し上げましたように、私も高齢法の改正、契約法の改正など、いろいろ御説明させていただきました。施行前の段階でありますけれども、やはり出てくるのが、定年後の方々が再雇用という形で継続雇用される場合についても、なぜ無期転換ルールが適用されるのですかという質問です。労務担当者からすると、60歳まで働いた方が有期で働き、場合によってはまた無期に戻る、このサイクルについては到底理解しがたい、受け入れがたいという声が大変強いわけでございます。決して私どもが言っている適用除外というのは、高齢者の方々の活用を抑制するという意味ではなくて、今以上に活用していこうという枠組みの中で御提案しているということです。ぜひこの議論のテーマの中に高齢者の部分も入れていただき、主張としてはまずは適用除外という枠組みで考えていただきたいと思っているところでございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 事務方にまず先ほどお尋ねになった部分について御回答というか、説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○村山労働条件政策課長 ありがとうございます。

 新谷委員から御質問がありましたら資料NO.3-21018日付、日本経済再生本部決定の2(2)の最初の例示「例えば」というところで、オリンピックまでのプロジェクトを実施する企業が7年間限定で更新するかわりに無期転換権を発生させることなく、高い待遇を提示し、優秀な人材を集めることは現行制度上はできないという表現と、既存の労働基準法14条等との法令との関係という御質問かと思います。

 お話にもございましたように、基準法14条では一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年あるいは例外的に5年という1回の契約期間の上限が設けられているのは委員の皆様御案内のとおりでございまして、違う言い方をすれば一定の事業の完了に必要な期間を定めるものであれば、3年あるいは5年を超える契約期間というものが何か規制されているということではないというのは御指摘のとおりでございます。

 一方で、また別な法律の規定では、必要以上に短い期間を有期の契約期間として反復しないように配慮しなければならないという規定があるのも事実でございますけれども、さまざま企業活動を取り巻く変化もある中で、7年間にわたって1回で双方が拘束されるような有期契約を締結するのは難しい実情もあるということがある程度前提となって、ちょうど1018日に日本経済再生本部で決定される一連のプロセスの中で、産業競争力会議等の中でもアベノリンピックというような御議論もあったわけでございます。そうしたことから1つの例示としてオリンピックまでのプロジェクトを実施する企業が、なかなか1回で7年間というのは難しい場合に、ここには細かく書いてありませんけれども、一定の期間の反復更新の有期契約という形で1人の人を雇うことを継続しようとすれば、それは当然5年を超えたところで無期転換権が発生しますので、7年間限定で更新する代わりに、すなわち、反復更新する代わりに無期転換権を発生させることなく、労働者側からの申込権の発動が全くない状態は排除するということは現行制度上はできないという趣旨で書かれている。事実経過としてそういったことでございます。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 1018日の資料の趣旨は今、御説明いただいたとおりなのでしょうが、本当に誤解を与える記述、すなわち、あたかも短い契約期間の反復更新へと誘導するような記述になっておりますので、これではちょっと誤解を与えてしまうと思います。

 同じく9月20日の資料もそういった意味では一番下から3行目のところに「不当労働行為」という言葉が出てきておりまして、これも一体何を意味するのか全くわかりません。「不当労働行為」と「特区内の労働基準監督署の体制を強化する」という全くつながらない話がここに出てきておりますので、政府としてこういう文章を、これは今でもホームページに載っていますけれども、出される際はよくチェックをしてほしいと思います。国民に誤解を与えないようにやっていただきたいと思います。

 その上で、先ほど遠藤委員が高齢者についても今回の検討の論点に入れるべきだということで御主張されました。この高齢法の改正を検討した際、私もその場に委員として参画しておりました。あの高齢法の改正は、もともと本則で決めてあった65歳までの雇用の維持をどうするか。まさしく雇用安定措置として3つの雇用安定措置の履行をどうするかという観点から行われた法律でありますので、今、御発言の中にもあったように、65歳までいかに雇用を維持していくのかという視点は重要です。高齢者を活用するとか高齢者雇用を抑制するつもりはないといった御発言もありましたが、現実的には、多くの場合、1年の有期契約の反復更新という形で65歳まで雇用をつないでいくということになります。その際、更新時における雇い止めという問題もいまだ残っているわけでありまして、御主張されるような高齢者の雇用についても論点として加えるというのではあれば、65歳までの雇用のあり方をどうするのかということも考えていくべきではないかと思います。まさしく高齢者の定年後の雇用は有期契約が中心になっていますので、同時に考えていくべきではないか。御発言の趣旨のとおりに65歳までどうやって雇用を維持するのかということについても議論するというのであれば、当然に65歳までの雇用のあり方も検討する範囲に入ってくると私は思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 労使双方からこの部会で取り上げるべき論点について、いろいろ御意見があったところでございます。ただ、先ほど冒頭に大西審議官からお話がありましたように、実は極めて短期間のうちに一定の結論というものを出すことがこの部会に対しては求められているところであります。そういう観点からしますと、余り手広く多くの論点を取り上げますと、逆に個々の論点についての突っ込んだ議論ができないというようなことにもなってしまうかと思います。そういう意味ではきょういろいろ御意見がありましたけれども、この部会で取り上げる論点としましては、ある程度絞り込みをさせていただければと思うところでございます。

 当然のことながら、もともとこの部会では有期雇用の特例という国家戦略特別区域法の附則の規定を受けて、それについての特例を議論するということでございましたので、それをもちろん当然ここで部会で議論をすることになります。その上で今日、使側のほうからは、高年齢者の扱いについても検討してほしいという御要望があり、他方、労働側からはそれを議論するのであれば、平成231226日の労働条件分科会の建議で検討事項となっている、無期転換権が発生する前での雇い止めの抑制策の検討をすべきだという御意見があったところでございます。

 先ほど申し上げたような、この部会がそもそも課せられている制約というものを考えますと、大変申しわけありませんけれども、取り上げる論点としては以上の3つに絞らせていただければと思いますが、いかがでございましょうか。もちろんそれぞれの論点についてどういう結論が出るかというのはまた別の話でございますけれども、取り上げるものとしては今後の有期雇用のあり方ということも考えた上ではこの3つ、つまり当初のものに加えて残り2つの高齢者の問題と、雇い止めの抑制策というものを取り上げるということでいかがかと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 なお、高齢者についての論点を取り上げるということで御了解いただいたように思いますが、そうしますと高年齢者の雇用政策を所掌しております職業安定分科会とも連携することが必要かと思います。そういう連携を図って慎重に検討を進めることが必要かと思いますけれども、そこはいかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。

 それでは、今後は国家戦略特別区域法附則第2条に規定する内容に加えて、高年齢者の取り扱い、雇い止め抑制策の検討についても論点として取り上げることにいたしたいと思います。そのうち特に高齢者の取り扱いについては今、申し上げましたように職業安定分科会とも連携しまして議論を進めていきたいと思います。

 今日は第1回ということでございまして、先ほど最初のほうで無期転換ルール導入の経緯とか現状、有期雇用の特例の検討の経緯というようなことについて事務局から説明をいただいて、御確認をいただいたところでございます。また、労使双方それぞれ取り上げるべき論点等についても活発に御議論をいただいたところでございますが、次回以降は、先ほど御了解をいただきました3つの具体的な論点について御議論を進めていきたいと思います。

 そこで事務局にお願いでございますけれども、本日の議論を踏まえまして、次回のこの部会で論点の具体的な検討のために必要な資料等を用意していただくようにお願いしたいと思います。

 それでは、次回の日程につきましては事務局から説明をお願いいたします。

○大隈労働条件政策推進官 次回の日程につきましては、ただいま調整中でございますので、追って御連絡させていただきたいと思います。

○岩村部会長 では、連絡のほうまたよろしくお願いいたします。

 それでは、これをもちまして第1回「有期雇用特別部会」は終了させていただきたいと思います。

 議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては冨田委員に、使用者代表については市瀬委員にそれぞれお願いをいたします。

 本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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