ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 東日本大震災アスベスト対策合同会議(東日本大震災の復旧工事に係るアスベスト対策検証のための専門家会議)> 第11回東日本大震災アスベスト対策合同会議 議事録(2013年7月25日)




2013年7月25日 第11回東日本大震災アスベスト対策合同会議 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

○日時

平成25年7月25日(木)10:00~12:00


○場所

都道府県会館 101大会議室


○議事

渡辺課長補佐

定刻になりましたので、ただいまから第11回東日本大震災アスベスト対策合同会議を開催いたします。

 本日の出席状況ですが、名古屋委員、藤吉委員から御欠席の連絡を受けております。したがいまして、委員12名のうち10名の方に御出席いただいております。また、青森県、岩手県、福島県、栃木県、茨城県、千葉県及び測定機関、研究機関の方々にも専門委員として御出席いただいております。

 なお、会議の前ではありますが、事務局の方で異動がございまして、環境省水・大気環境局大気環境課長と、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長が7月からかわりましたので、紹介させていただきます。

 環境省水・大気環境局大気環境課長の難波です。

 

難波大気環境課長

よろしくお願いします。

 

渡辺課長補佐

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長の森戸です。

 

森戸化学物質対策課長

森戸でございます。よろしくお願いいたします。

 

渡辺課長補佐

続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第がございまして、下半分から裏面にかけて、配布資料の一覧になってございます。それから委員名簿をつけさせていただいております。資料につきましては、環境省資料1~5まで、また厚生労働省資料につきましては、資料1~4、それから参考資料1がございます。机上配布ということで、委員限りとなりますけれども、環境省からは、「東日本大震災アスベスト対策合同会議(第11回)」と書かれたものを1部、厚生労働省からは、「震災被災地での気中石綿モニタリング結果(詳細)」というものをお配りさせていただいております。こちらの2点につきましては会議後回収させていただきますので、座席に置いてお帰りください。それから、外山委員から提出のありました「東日本大震災後の被災地におけるアスベストの状況と対策 調査・活動報告書」、こちらも机上配布させていただいております。もし不足しているもの等がございましたら、事務局にお申しつけいただきたいと思います。

 それでは、これ以降の議事進行は神山委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

 

神山委員長

おはようございます。委員、自治体の皆様には、お忙しいところをご出席くださいまして、ありがとうございます。

 この会議も今回で11回目です。震災後2年4カ月余りが過ぎまして、今年度中に宮城県と岩手県では大量のがれき処理の片づけが終わるという朗報もありますが、被災された方々の元の生活へ戻るのはまだまだのようで、本当に大変なことと心配しております。

 この会議も、被災地域住民の安全・安心と復旧作業者のアスベスト二次ばく露の防止を主目的に進めてまいりまして、丸二年のデータが前回ほぼ出そろいました。一般住民の方々のアスベストばく露は、限られたデータではありますけれども、そんなに心配するレベルではないということがほぼ分かりましたが、一方で、建物の解体等に伴うアスベストのかなり高い漏洩が散見されました。それは今後も発生するのではないかと懸念されるため、御存じのように、大気汚染防止法を改正して管理を厳しくしました。また、厚労省は各労働局等に漏洩防止の指導の徹底などを図ってきましたが、今後モニタリング等を厳重にしていく必要があるだろうと思っております。

 きょうは、環境省から第9次の報告と、厚労省のばく露モニタリングの結果が出てきていますので、委員の皆様の御意見をお聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

(1)平成23、24年度の実績及び平成25年度の計画について

 

神山委員長

それでは、議事に従いまして、第1番目、「平成23、24年度の実績及び平成25年度の計画について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

 

磯崎係長

環境省の磯崎です。私からは、環境省が平成24年度に実施した対応、それから平成25年度の予定について説明させていただきます。

 環境省資料1をご覧ください。

 まず震災直後の平成23年3月からの対応についてまとめておりますが、これまでも資料として提出させていただいているものです。平成23年3月19日にあるとおり、「廃石綿やPCB廃棄物が混入した災害廃棄物について」を発出し、4月28日に、東日本大震災の被災地において活動するボランティアに対する防じんマスクの着用に関する通知というような感じで、震災直後については、応急の対応として、生じた廃棄物の処理方法、ばく露しないように防じんマスクの着用、そういうものについて周知を図ってきたところです。

 2ページ目に移っていただきまして、11月28日ですが、環境省でモニタリングを行ってきていまして、その中で、解体現場から飛散事例が生じるということがありましたので、適切な能力のある業者に発注するようにという形で石綿対策の徹底の通知を出しております。

 3ページ目に移りまして、平成24年2月、解体現場で実際に問題が発生していないかどうかをパトロールするために、環境省の大気環境課と廃棄物の担当部局、そして厚生労働省、宮城県、石巻市で、石巻市内の合同パトロールを実施しております。

 3月には、岩手県で同様にパトロールを実施しました。

 年度をまたいで、24年4月になりまして、引き続き青森県から千葉県までの8県で石綿のモニタリングを継続しているという状況です。

 次ページに移りまして、24年7月6日には、福島県で先ほどの合同パトロールを実施しております。

 また、そのころになりまして、建築物の解体のみではなく、工作物の解体においてアスベストの飛散が確認されてきましたので、工作物の解体についても飛散防止対策を徹底するように通知を出しております。

 同年9月に、委員の方々に石巻に入っていただきまして、視察をしてもらっています。

 その後、現在に至るまでモニタリングを行って、その結果をこの会議で検討していただくというものを継続しているという状況です。

 6ページ目に移っていただきまして、今年度の予定ですけれども、今年度4月~6月に第9次モニタリングを行ってきまして、今日が7月の第11回合同会議です。今後は、3カ月モニタリングを行って翌月に会議ということで、これをあと2回繰り返したいと考えております。

 また、廃棄物の関係では、宮城県や福島県でアスベストの処理方法などについて講習会などを開く予定でいます。

 環境省の実績、計画については以上で、続いて厚生労働省の計画等に移らせていただきます。

 

樋口中央労働衛生専門官

厚生労働省の担当の樋口です。私からは、厚生労働省資料1と2、参考資料1について説明させていただきます。お手元に資料を御準備ください。

 まず厚生労働省資料1でございます。23、24年度の実績でございまして、昨年6月の会議にそれまでの状況報告をやらせていただいておりますけれども、それ以降の厚生労働省の動きについて追記したものになります。

 個々にはこれまでの会議で御報告させていただいております。時系列で並んでいなくて見にくいのですけれども、1ページ目の下の方、建築物解体等での石綿対策に関してということで、平成24年度は、技術指針を5月に出して以降、4回ほど通達を出させていただいております。1つは、既に報告しておりますけれども、煙突の解体工事に係る留意について2度ほど通達を出させていただいております。

 それから、昨年10月とことし1月には、この会議の中で、石巻のビルの事例を踏まえながら、見えないところまでしっかり事前調査をやってくださいとか、完成検査とか、そういったところの注意喚起の留意通達を出させていただいております。

 それから、一番最後のところで、技術指針に係るマニュアルをつくったということで、報告させていただいております。これは参考資料1にもつけさせていただいております。前回3月の会議でも暫定案ということでお示しさせていただきましたけれども、4月に完成版ということで厚生労働省のホームページに掲載して、今、周知啓発を図っているところでございます。前回もお話ししましたけれども、このマニュアルはバージョン1.02となっておりますけれども、そのときおりの知見あるいはこの会議での御助言等をいただきまして、最新のものにして、よりよい対策をとっていただくような形でバージョンアップしていきたいと考えております。また、委員の皆様もお気づきの点がありましたら、この会議の場でなくても結構ですので、ご助言いただきたく、適宜修正、そして充実を図っていきたいと考えているところでございます。

 簡単ですけれども、23、24年の報告についてお話しさせていただきました。

 厚生労働省資料2に戻っていただければと思います。

 25年度につきましても、昨年と同様、100カ所のモニタリング調査を実施する予定にしているところでございます。前回御確認いただいた方針を踏まえて、昨年とほぼ同様の仕様書を作成していまして、今年度公募いたしまして、昨年と同様、宮城の東北緑化環境保全さんに受注していただいております。後ほど報告しますけれども、既に10数カ所測定させていただいているところでございます。内容については昨年と同様なので、説明については割愛させていただきますが、概要としては、昨年と同様、解体工事現場であれば、定点と前室、排気口の測定、がれき処理場であれば、労働者に個人サンプラーをつけていただいて4カ所ほど測定するというようなやり方でやる予定にしているところでございます。

 厚生労働省からの報告は以上でございます。

 

神山委員長

ありがとうございました。

 ただいま23年度、24年度の実績、それから25年度の計画について両省から説明がありましたが、何か御質問、コメントがありましたら、お願いいたします。

 ちなみに、今年3月までに23年、24年の2年分のデータが挙がってきています。この間、調査したサンプル数は、環境省が第8次モニタリングまでで2,600検体ぐらいで、各自治体は合わせて1,000件近くでした。厚労省は、先ほど説明がありましたように2年間で200地点を調査し、各地点で4検体か5検体でしたので、800~1,000検体のアスベスト計測をしました。

 初期のころは総繊維とアスベストの飛散が多々見られましたけれども、一般大気に関しては、現在ではほとんど見られなくなっています。作業者の方も同様で、もちろんマスクをして作業をしていますので、本当の意味のばく露ではありませんけれども、マスクをしなかったら吸い込むという意味ですが、呼吸域検体に当初アスベストの検出があったのが、最近は余り検出されない状況です。ただ、先ほども言いましたように、解体現場は例外で、たまに有意に高いアスベストの飛散が見られています。

 それでは、どうぞ。

 

小林委員

1点だけ、講習会、研修会を繰り返しやっていただいているのですが、その講習会、研修会の中で、何かトピックス的なものとか、目立ったような御意見等はありませんでしたでしょうか。

 

神山委員長

講習会は厚労省が中心ですか。パトロールの結果とか。

 

樋口中央労働衛生専門官

厚生労働省でやりましたパトロールは、昨年の福島の、前回御報告させていただきましたけれども、これは個人的な感想ですけれども、回らせてもらった郡山の市内は大分落ち着いているかなという感じでした。被災の建物というよりは、普通の建築物の解体と同じような状況としていたということです。

 それから、これは講習会ではありませんけれども、宮城とか岩手の労働局の話を聞いた限りでは、岩手についてはほとんど解体現場、いわゆる被災を受けた建物の解体はほぼ落ち着いてきているということです。そういった意味では、測定すべき対象が大分なくなってきていたという報告を昨年は受けております。宮城についても、石巻とかはまだ残っておりますけれども、仙台市内とかは大分落ち着いてきたという話は聞いております。

 昨年は、厚生労働省で独自に講習会を開催していないので、実際の解体現場の話は拾えていませんけれども、そういう状況だとは聞いております。

 

神山委員長

あとは、今年度中に岩手県、宮城県はがれき処理がほぼ終わるという話ですので、次回か次々回ぐらいに各自治体からその辺の話を中心にした御報告をいただけるとありがたいと思っております。それは事務局と相談して、準備をお願いすることになると思いますが。

 

小林委員

できたら、事例集ではないですけれども、Q&Aみたいなもの、講習会とかでやられたときのいろいろな方の御意見とかを、次に問題が起きたときのために参考資料としておつくりいただくのはいかがかという感じがするのです。はっきり申し上げて、阪神大震災のときに公式の報告書はつくられていないのです。私たちが個人的にあちこちで講演したりしたものを印刷したものはあるのですが、公式に環境省が出したとか厚労省が出したとか兵庫県が出したというのはないので、ぜひそういうものをまとめていただくといいのかなという感じがするのですが。

 

神山委員長

阪神大震災の後、小林委員が委員長になって、震災時マニュアルをつくられているわけですね。それに対して、個々の事例やQ&Aを盛り込んだものが実際には役立つのではないかというお話ですね。

 今日は、最後に、外山委員から提出の資料もありますが、こういうものも将来大きな助けになると思いますけれども、それをより充実させたものということですね。

 他に御意見等ありませんでしょうか。

 25年度の計画のお話をいただきましたが、環境省のモニタリングは、従来は3カ月ごとに4回やっていたわけですけれども、今度は3回になるということですね。

 

磯崎係長

はい、そうです。

 

神山委員長

4カ月置きの3回で、今までより1回減るということです。

 それについても特に御意見はないということでしたら、承認をいただいたということで先へ進ませていただきます。

 

(2)被災地におけるアスベスト大気濃度調査結果及び計画について

 

神山委員長

それでは、次の議題(2)になりますが、「被災地におけるアスベスト大気濃度調査結果及び計画について」、環境省から説明してください。

 

磯崎係長

それでは、第9次のモニタリングの結果と第10次の計画について御説明させていただきます。

 環境省資料2をご覧ください。

 第9次モニタリングですが、4月~6月にかけて実施しております。地点数は168地点。そのうち90地点が仮設住宅だったり学校だったりという地点になっております。また、58地点ががれきの仮置き場ということで、その2地点で大半を占めているという状況になっております。

 測定の結果ですけれども、地点分類ごとに並んでおりまして、まず1ページ目が学校、避難所、仮設住宅などの地点となっております。総繊維数で1f/Lを超えた地点が幾つか見られておりますが、位相差偏光顕微鏡法でアスベストがどうか確認したところ、ほとんど全てがアスベスト以外の繊維だったということで、特段問題は確認されておりません。

 2ページ、3ページと同様に結果が続いておりまして、全て同じような結果が得られております。

 4ページ目に移っていただきまして、解体現場では今回1地点でモニタリングを行っております。宮城県の気仙沼で行っておりまして、全て1f/L以下の結果ということで、問題は確認されておりません。

 解体現場の測定においては、これまでのPCMの測定以外に、デジタル粉じん計、パーティクルカウンター、リアルタイムモニターを用いた測定を今回から取り入れていくということでしたので、結果としては問題ないのですけれども、その状況だけ簡単に説明させていただきます。

 委員限りで机上配布しております「東日本大震災アスベスト対策合同会議(第11回)机上資料」となっているものをごらんいただけますでしょうか。

 1ページ目にあるとおり、ある施設で解体、アスベストの除去を行っておりまして、2ページ目、3ページ目にあるとおり、地下と1階のある部屋の壁や天井に吹きつけられているアスベストを除去するという工事を行ったものです。

 その後、測定状況などが写っておりますが、14、15ページあたりを見ていただけますでしょうか。こちらの写真がリアルタイムモニター、デジタル粉じん計、パーティクルカウンターで測定を行っている状況の写真になります。このように、集じん・排気装置のダクトに吸気口をそのまま入れて、その中で測定しているという状況です。

 それぞれの結果に移らせていただきます。16ページ目をごらんください。デジタル粉じん計とパーティクルカウンター、リアルタイムモニターの3機種で測定を行っておりまして、測定場所は、前室前と集じん・排気装置の前になります。この結果の順番ですが、前室前でのデジタル粉じん計の結果、パーティクルカウンターの結果、リアルタイムモニターの結果、その後に排気口と続く形になっております。

 まず16ページ目で、前室前のデジタル粉じん計の結果ですけれども、一般環境で平均17cpmだったものが、作業前、作業中と上昇していくということで、アスベストはPCMで確認されておりませんでしたので、作業員が通過するとか、そういう状況でその他のいろいろな繊維やほこりを巻き上げてしまったという状況かと思います。

 17ページに移っていただきまして、パーティクルカウンターの結果ですけれども、こちらは0.5μm以上の結果で、先ほどのデジタル粉じん計と同じような結果になっております。

 18ページ目は、同じくパーティクルカウンターですけれども、5μm以上の粒子をカウントしたものです。これについては、一般環境が29個/L、作業前で9個/L、作業中で大体20個/Lということで、一般環境よりは下がっていることは見えるのですけれども、これで飛散状況を確認できるかどうかというと、微妙な結果だと思います。

 19ページに写りまして、リアルタイムモニターの測定結果ですけれども、一般環境で0f/L、作業前で2f/L、作業中に0f/Lという結果になっておりまして、このリアルタイムモニターですと、作業している作業室内から何らかの繊維が漏れてきた場合にカウントできる可能性はあるのかなという結果が得られております。

 20ページ目に移っていただいて、集じん・排気装置の排気口の中で測定した結果です。まずデジタル粉じん計の結果ですけれども、一般環境で17cpm、作業前に1cpm、作業中に0cpmというように、集じん・排気装置の中でHEPAフィルターを通った空気を測定しておりますので、ほぼ0cpmに近い値、作業中であればずっと0cpmという値が得られております。こういう結果が得られておりますので、今後実際にアスベストが飛散した場合にどういう結果が出てくるかということに注目していく必要があると考えられます。

 次のページに移っていただいて、パーティクルカウンター、これは0.5μm以上の数値をカウントしたものですが、グラフとしては、作業中、作業前にも数値はある程度出ているのですけれども、左の数字を見ていただくとわかるとおり、これは対数でとっておりますので、一般環境で測定した場合よりも、集じん・排気装置の中であれば相当低くなるということが確認できます。

 次のページに移っていただいて、パーティクルカウンターの5μmの結果ですけれども、こちらについても、一般環境より、作業前、作業中のダクトの中のほうが大きく下がるということが確認できます。

 次の23ページのリアルタイムモニターの結果についても、同様に一般環境よりも下がるということが確認できております。

 したがいまして、前室前ですといろいろな繊維を拾ってしまう可能性がありますので、デジタル粉じん計などは使用しづらいという状況があるかと思いますが、排気口の中であれば、今後PCMでアスベストが確認されたときにどういう動向を示すかという確認は必要になってきますが、集じん・排気装置の中で測定することでアスベストの飛散を監視することができる可能性があるかと思います。

 環境省資料2ですが、結果の一覧に戻っていただきまして、先ほどは4ページ目でしたが、その後、解体現場の後にがれきの集積場でモニタリング結果などが続いておりまして、一般環境だと、同じように総繊維で1f/Lを超えた地点は若干見られますが、アスベストの飛散はほぼ確認されていないという状況です。

 続いて、自治体で測定した結果について説明させていただきます。環境省資料3をごらんいただけますでしょうか。岩手県と宮城県、福島県から結果をいただいております。

 まず岩手県の結果ですけれども、4地点で1f/Lを若干超える総繊維が確認されておりますが、電子顕微鏡で確認したところ、そのほとんどがその他の繊維ということが確認されております。

 続いて、宮城県の結果に移りまして、2ページ目、3ページ目と宮城県の結果が続きますが、1f/Lを超える結果は得られておりません。

 4ページ目に移りまして、石巻での測定の結果ですけれども、若干1f/Lを超える地点が確認されておりますが、位相差偏光顕微鏡法、電子顕微鏡法で確認したところ、検出されなかったり、ほとんどがその他の繊維ということが確認されております。

 6ページ目に移りまして、福島県いわき市での測定の結果です。こちらはアスベストモニタリングマニュアルの3版で測定しておりまして、アスベスト繊維、その中のクリソタイルの繊維ですが、ほぼ0.1f/L、0.2f/Lという数字で、問題のある結果は得られておりません。その中で幾つかは電顕でも確認しているのですが、全てNDということで、問題のない結果となっております。

 続いて、第10次モニタリングの結果についてですが、環境省資料4にありますとおり、8月~10月にかけて、3カ月間で測定を実施する予定です。実施内容はこれまでと変わらないので割愛させていただきますが、引き続き、先ほど説明させていただいたように、集じん・排気装置などでデジタル粉じん計などが使えるかということもありますので、解体現場に力を入れて測定していきたいと考えております。そのためにも、各自治体におかれましては、届出があり次第こちらに状況をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 環境省資料5に移りまして、その10次モニタリングをどこで行うかという地点の一覧ですけれども、第10次モニタリングでは、上の表にありますとおり、166地点で行う予定です。(1)の丸数字1の仮設住宅、学校などで95地点、がれきの集積場で53地点と、第9次と同じような割合で測定する形になっております。

 第10次モニタリング計画についての説明は以上です。

 

神山委員長

ありがとうございました。

 ただいま、第9次モニタリングの結果、デジタル粉じん計、パーティクルカウンター等の結果、机上配布資料も含めて説明がありました。それと、第10次モニタリング計画も含めて、御意見あるいは御質問がありましたら、よろしくお願いいたします。

 

小島委員

解体現場での測定が1カ所ということで、貴重な測定なので、内容について確認させてください。

 まずB2階ポンプ室の排気口の測定ということで、一般環境と気中の平均濃度とそれぞれデジタル粉じん計とかパーティクルカウンター等ではかられているのですけれども、写真を見させていただく限り、この排気口というのは、B2階の集じん装置からダクトを介して地上に上げてきて、地上の排気口で取りまとめて1本にして、そこをはかっているということでよろしいのでしょうか。7ページでそういう写真が見てとれますので、そういうことですよね。

 

神山委員長

これは集じん機が3台ぐらいあるわけですね。

 

小島委員

図面で見るとそうなっています。

 

神山委員長

それが1本ないし2本の排出口になっているから、まとめられているのでしょうね。

 

小島委員

絵ではそう見てとれるので、まずその確認を。

 

神山委員長

これは詳しくはわかりますか。

 

株式会社環境管理センター

私もそのときに現場に行っていないものですから、詳細はわからないのですけれども、そちらについては後ほど確認して、環境省さんを通じて御連絡させていいただければと思います。

 

小島委員

さらに確認していただきたいのは、今回の現場のようにB2階に集じん装置を置いて、地上までダクトを上げてきた場合、全体的な水平距離とか垂直距離とか、実際に大気環境に吐き出すところまでの長さがどのぐらいになっているのかというのは資料・データがなくて、できるだけ集めていきたいという話が業界でありまして、せっかくの資料なので、ぜひお示ししていただきたいと思います。

 なぜかといいますと、集じん装置が稼働している状況で、実際に排気口でどれぐらいの排気量といいますか、風量が流れているのかというのも知りたいところです。せっかく引くのだけれども排気口のところでは風量がどのぐらいになっているのかというのがなかなか把握できていないものですから。機能として集じん装置がちゃんと働いているというところを確認したいと思っていまして、我々も実験までしようという話があります。もし測定のデータなり、実際にはかられた方の感想なりで結構ですけれども、教えていただければと思います。

 

神山委員長

この写真を見る限りは、地下2階の2台の集じん機はそのまま地上に来ていると見ると、2本出ているから、もしかしたらこれはそれぞれ2本独立して来ている可能性がありますね。ただ、1階の集じん機3台がどこに行っているかにもよります。それがこれにまとめられているのかどうか、確認をお願いいたします。それと、このダクトは何mぐらいになっているかですね。それから、流速も測っておいたほうがいいですね。

 

小坂委員

今の排気ダクトの長さですけれども、小島さんは現場のことは御存じだと思うのですが、私は10年ぐらい解体現場の測定を兵庫県のときにやっていましたけれども、感じたのは、外へ出したくても出せない、非常に長くて出せなくなってしまう現場があるわけです。例えば自治体が持つ大きなホールがありますが、そういうところの天井裏に吹付け材があって、そこを除去するとき、一度そういう経験をしたのですけれども、舞台の袖のほうに出してきても、天井裏から下へおろしてくるのですが、ホールというのは窓とかがありませんから、出そうと思えばあと20~30mダクトをつながなければならなくなるわけです。そうすると圧力損失が非常に高まりますので、そういうところではホールの舞台の袖に排気を出しているというようなことがあったのです。しかも、そのときにはクリソタイルが漏洩していまして、すぐとめさせたのですが、そういうところでは、ダクトを伸ばして外へ出しても、圧力損失が高まって集じん機が機能しなくなることが考えられるわけです。しかも、そういうところで飛散させますと、エアコンの換気だけで、しかも浄化する可能性はありませんので、また変なことになると思ったことがあるのですけれども、今までの経験では、この写真で見ますと、皆さん右側の透明のダクトをお使いになっておられますけれども、そういうものであれば、20mぐらいつなげていても排気はかなり出てきます。ですから、いくらになったらだめなのかというのは私も実際にはかったことはないのですけれども、普通は皆さん、圧損云々よりも、どこへ出そうかということに規定されてしまいますから、仕方なく非常に長くしてみたりしておられるというのが実態ではないか。現場は、先ほどのホールのように、我々が望むように非常に短いので済むというようなことができないところが結構ありますから、そういうときにはこれは避けられないことかなと感じているのです。実際にどれぐらいの長さで圧損がどうなるのかというのは調べてみればいいと思いますけれども、調べてもどうしようもないケースもあるのではないかと思ったので、お話ししておきました。

 

神山委員長

ありがとうございました。

 それも含めて、何mでよく働いていなかったとか、大丈夫だったとか、それもきちんとしたデータとして得られれば、大変重要だと思います。

 あと、このデータで、排気口付近、これが正常に排気されていたという前提で、20ページ、21ページ、22ページ、23ページを見ますと、デジタル粉じん計、パーティクルカウンター、ファイバーエアロゾルモニター、それぞれがきちんと漏洩がないことを示すのに有効なデータのような気がしますけれども、これに関してはどうでしょうか。何か御意見はないでしょうか。

 

小坂委員

私が1つ気になるのは、等速吸引ということでしておられる写真があったと思うのです。15ページの最後の写真ですね。そこでパーティクルカウンターなりデジタル粉じん計なりの吸引口をこのように3つつくってサンプリングしておられるわけですけれども、デジタル集じん機やポータブルのパーティクルカウンターの吸引ポンプというのは、小さな非常に弱いポンプしか使っていないと思うのです。そうすると、幾ら計算で吸引口の径を計算しても、吸引ポンプそのものが弱いので十分吸引できない可能性があると考えます。ですから、デジタル粉じん計の場合も同じようなことだと思うのですけれども、むしろこの15ページの排気口から出てくるところはほぼ集じん機から出た清浄空気が出てきているわけですから、煙道の測定をするときには等速吸引で濃度を正確にはかるというのがあるのですけれども、この場合は飛散しているかどうかの1つの指標として見るわけですから、こういう等速吸引とかいうことではなくて、この排気口からちょっと離れたあたりにサンプラーを置いて測定するほうがより簡便でいいのではないかと感じます。そういうことのあらわれとして、例えばデジタル粉じん計の20ページの値とか、21ページのパーティクルカウンターの値が出てきている。パーティクルカウンターでも1個/L以下ですね。これらは等速吸引用吸引口の影響があるのではないかという気がします。

 

神山委員長

これは測定のときに、サンプラーのセンサーが入っているところの流速は測定していますよね。

 

株式会社環境管理センター

測定しているとは思います。

 

神山委員長

後でチェックしてください。

 

株式会社環境管理センター

確認します。

 

神山委員長

今の質問に関しては答えられると思いますので。

 

小坂委員

実際にきちんと記録してやったわけではないのですが、昨年度でしたか、環境省のモニタリング調査で、自動測定機のファイバーモニターの業者の方がパーティクルカウンターを持っておられたので、それで測定したところ、エレベーター室の除去工事でしたけれども、集じん機からの濃度が高いということで、確認して、後ですぐ顕微鏡で調べたら確かにアモサイトが出たという事例に私自身が立ち会って経験していますので、パーティクルカウンターに関してはかなりいい指標になるのではないかと考えています。

 

神山委員長

どうでしょうか。他に何か御意見はありますでしょうか。

 このデータは、今の付随的な基礎的なところの条件等を明らかにしていけば、相当いいデータになっているのではないかと私も思うのですが、基本的なところはその辺のプロの方に判断いただいて、問題のないように評価する必要があるかと思います。

 その他、測定結果、第9次の測定結果、それから自治体のモニタリング結果は何ら高いデータは出ていなかったということですけれども、これに関してはよろしいですか。

 それから、第10次モニタリングも、第9次あるいは第8次と同様に進めるということで、検体数もそんなに大きく変わってはいないようです。場所に関しても、学校等がかなり入っているようですし、第9次とそんなに大きく違うところはない。1つは、がれき処理場とか解体現場は未定ということですね。

 それでは、環境省サイドからの被災地におけるアスベスト大気濃度調査結果及び計画はこれまでとしてよろしいでしょうか。

 

(3)がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング等について

 

神山委員長

それでは、厚労省からの議題の(3)になりますが、「がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング等について」ということで、これも測定結果及び計画を含めて、説明をお願いいたします。

 

樋口中央労働衛生専門官

それでは、厚生労働省の資料に戻っていただきまして、資料3について御説明させていただきます。

 先ほども議題1でお話ししたとおり、今年は100カ所を測定するということで進めておりまして、厚生労働省は6月から測定を始めたところでございます。これは先週の7月18日までの測定結果の報告になります。全てで19カ所ございまして、岩手が4カ所、宮城が7カ所、福島が7カ所、それから、今年は昨年と同様、がれきの受け入れ自治体での測定もさせていただいているところでございまして、その1カ所の報告となります。10f/Lという基準の中でまとめさせていただいて、色のついているところがそうですけれども、10f/Lを超えているところが2カ所ございました。それについて詳細を報告させていただきます。

 机上配布で委員限りということで資料をお配りさせていただいております。それぞれの現場の写真と状況報告の資料があります。お手元に「震災被災地での気中石綿モニタリング結果(詳細)(厚生労働省)」という資料を御用意いただければと思います。

 一覧表と見比べながら見ていただきたいと思いますが、まず福島のNo.2、こちらが前室で41f/L飛散していたところでございます。報告書の4ページあたりになりますけれども、15名の方が作業されておりまして、その方が退室されたときに粉じんのカウントが上昇したという報告もあるところでございます。

 福島のNo.7も続けて説明させていただきますと、詳細資料ですと17ページからになります。こちらは、昨年もございましたけれども、煙突の解体工事でございまして、煙突の上と下に前室を設けて作業をされていたということです。その下のほうの集じん・排気装置の排気口から、また一覧表に戻っていただきたいのですけれども、500f/Lのかなり高濃度のアスベストが飛散していたところでございます。

 こちらの資料については、安衛研の中村先生に事前に確認していただいて、漏洩の可能性について後ほど御解説いただくこととしております。

 これらの現場について、いずれも定点につきましては総繊維数は低濃度でしたので、敷地境界等、外へのアスベストの飛散はなかったと考えているところでございます。また、現場の対応でございますけれども、測定結果が出次第、監督署が事業所に聞き取り等をしまして、漏洩原因と思われるところでの再発防止という次回の工事に向けた指導をさせていただいているところでございます。

 それでは、引き続き、漏洩の原因について中村先生から解説等をよろしくお願いします。

 

中村専門委員

労働安全衛生総合研究所の中村です。

 今説明のありました高濃度の石綿が確認された現場について、簡単に御説明いたします。

 まず、今の資料の3ページからの福島県、地点No.2ですが、この現場は昭和50年に建てられた鉄骨構造7階建ての建物の解体現場ということで、使用された石綿の種類が、機械室天井にアモサイト含有の吹付け材、建物全体の天井にクリソタイル含有のフレキシブルボード、鉄骨の柱にアモサイト含有のキャスライトボード、煙突にアモサイト含有の断熱材が使用されていたということです。含有率はいずれも不明ということでした。今回測定が行われたときの作業としては、機械室天井のアモサイト含有吹付け材の除去作業ということです。

 作業ですが、7階機械室及び1階から7階までの階段全体を1つのエリアとして隔離して、作業時は作業員15名の方が入って7階天井の吹付け材の除去を行っていたということです。集じん・排気装置は、7階に4台、2階、5階にそれぞれに1台ずつの合計6台があり、全て稼働していたということです。前室は6階に設けられており、測定が行われたのはこの6階の前室の入り口と2階の集じん機排気口付近、それから建物の外の定点で行われていました。また、前室の入り口にはデジタル粉じん計が設置されておりました。そこで、先ほどもありましたとおり、前室付近で高い総繊維数濃度が測定されておりました。電子顕微鏡の結果は、総繊維として104f/L、アモサイト濃度として52f/Lということで、総繊維の半分程度がアモサイトであったという結果です。

 このとき、この前室付近にあります粉じん計の結果からは、作業員の退室の際にカウントが上昇していたことが報告されておりますので、このことから、作業員の退室に伴い前室から持ち出されたということが考えられます。

 ただ、一方、監督署からの報告によりますと、建物は老朽化しておりまして、また震災などの損傷により建物の中に堆積している粉じんも多かったということがありますので、もしかしたら被災により事前に堆積していたものが再飛散した可能性もあります。

 以上が福島県の地点2についての解説になります。

 続いて、都道府県No.05の地点No.7ということで、17ページからあります福島県のNo.7についてですが、この現場は昭和50年に建てられた建築物の解体現場になっておりまして、使用されていた石綿の種類としては、煙突にアモサイト含有の断熱材が使用されておりました。今回測定を行った際には、この断熱材の除去作業を行っていたということです。

 この現場では、前室が建物の地下一階と屋上に設置されておりました。煙突上部で3名、下部で6名の作業員の方が作業されておりまして、高圧洗浄水により除去を行っていたということです。集じん・排気装置は、煙突上部に2台、下部に2台設置してあり、煙突上部の1台と下部2台の計3台が稼働しておりました。排気口は、それぞれ建物の屋上と建物の1階に伸ばして排気を行っておりました。

 測定は、地下1階の前室入り口と建物1階の集じん・排気装置排気口付近及び建物の1階の定点測定の3点で行われています。この現場では、排気口付近で総繊維が600f/L程度ということで、高い値となりました。電子顕微鏡の分析の結果でも、総繊644f/L、そのうちアモサイト濃度として574f/Lとなっております。除去対象がアモサイトでありまして、アモサイトが高濃度で出ていることから、漏洩の可能性が高いと考えられます。現場で測定された測定機関のお話ですと、この測定されていた下部のほうでは途中でフィルターの交換が行われていたということがありますので、そのフィルターの交換の際に何か不備があったのではないかということが疑われます。ここに関しては1週間前に測定が行われたということで、まだ詳しい状況が入ってきておりませんので、現在はこのぐらいのことしかわかっておりません。

 以上です。

 

神山委員長

ただいま、福島県の、測定点でいきますと2と7の漏洩の原因等の推定を含めて説明いただきました。

 何か今の説明について質問等ありましたら、お願いいたします。

 煙突の解体というのは、過去にもこういった漏洩がよくあったようで、なかなか難しいですね。

 

小西委員

今の煙突の解体ですが、18ページに「建物の内部解体作業も行われていた」と書いてあるのですが、これはどういう解体で、対象は何だったのかを教えていただけますか。

 

樋口中央労働衛生専門官

今、その辺のデータは持っていないのですけれども、東北緑化さんでわかりますか。

 

神山委員長

これは煙突とは関係ないものですね。

 

東北緑化環境保全株式会社

内部で煙突以外の解体もやっていました。

 

小西委員

煙突以外もやっていたのですね。建物のほかのところで。

 

東北緑化環境保全株式会社

そうです。

 

小西委員

それともう一つですが、今の中村さんの説明で、19ページの測定結果で、アモサイトだというのはわかるのですが、その他の繊維69.6f/Lというのはどういう繊維の可能性があるのでしょうか。その他の繊維も多いかなという気がするのですが、これはどんな感じでしょうか。

 

樋口中央労働衛生専門官

少し調べたほうがよろしいですか。

 

小西委員

気になるのは、ほかにも解体をやっていたということもありますし、そういったものの影響がなかったのかどうかを確認する意味でも、共存している繊維が、煙突の中から出てきているもので、通常の場合アモサイトの繊維だと思いますけれども、それに付随するものなのか、そういったものをもし確認できればということです。

 

樋口中央労働衛生専門官

では、あるデータでわかる範囲で調べてもらおうと思います。

 

神山委員長

ありがとうございました。

 

小島委員

1つは意見、1つは質問ですけれども、まず地点2のほうで、最初の情報ですけれども、4ページの文章に、「各作業員の退室時間間隔はおよそ30秒程度であった」、つまり、15人の作業員ですから、7~8分で15人が出てしまったということですね。私もさまざまなところで研修の講師をやっているのですけれども、せっかく前室をつくって、エアシャワーを設置しているのだけれども、保護衣を脱いでエアシャワーをかけて出る時間が1人当たり30秒ということは、ほとんどエアシャワーをかけていないに等しい状態だと解釈しています。なので、恐らく15人が作業退室時に粉じんを持ち出したとするのが一番可能性が高いのではないかと思います。

 次は質問ですけれども、煙突のほうで、高圧洗浄で除去を行っているという記事ですけれども、詳しく教えていただきたいのは、煙突上部から一気に高圧洗浄機で煙突の中にある石綿材を剥がし落とすという作業で、一番下の吐き出し口に落としていっているということでよろしいのでしょうか。

 

東北緑化環境保全株式会社

詳細資料の21ページの下の写真を見ていただきたいのですが、恐らくここが煙突の頂部になっておりまして、ここから高圧水で下まで全部やっているという話を聞いています。

 

小島委員

わかりました。

 

神山委員長

最初のほうの御意見というか解釈で、普通、前室退室は1人当たりどのぐらいの時間をかけているのですか。

 

小島委員

これもさまざまな意見がありまして、御紹介がありました技術指針に係るマニュアルでも少し触れているのですけれども、脱いだ後にエアシャワーを1人30秒以上洗身することとしています。全部保護衣を外して、エアシャワーをかけて、更衣室に行ってとなると、1人3分~5分ぐらいかかると思うのです。なので、狭いスペースで15人が全員普通に出るだけでも45分~1時間ぐらいかかってしまうと思います。私が会社で指導しているのは、あまりたくさん人数を入れないで5~6人作業してくれと。マニュアルでも若干触れているのですが、できるだけ隔離空間を小さくして作業人数をできるだけ絞ってやってくださいというのは、こういうことが起きる可能性があるという意味です。

 

神山委員長

あるいは、15人で作業をしたときに一度に出ないで、3回ぐらいで時差退室みたいなことができればいいかもしれませんけれども、難しいですか。

 

小島委員

この記事では、20分~25分入って、また出てきているのです。なぜそうなっているのかよくわかりませんけれども。

 

神山委員長

エアシャワーを含めて、前室の漏れというのは排出口に次いで多々あるようですので、今の退室時間も含めて厳重に見ていかないといけないかもしれないですね。

 ありがとうございました。

 

森永委員

配布資料の6ページで、この地図は7階の地図ですね。それで6階に前室があるということで、6階の前室の状況までわかるものがあればいいと思うのです。もう一つの解体作業場所は前室のスケッチが載っているのですけれども、先ほど小島委員がおっしゃったように、前室での管理が不十分なケースが多々あるのではないかと思いますので、6階の前室のところも何かつけていただいたらよかったと思います。

 

神山委員長

こういったミスが起きたときの事例というのが、先ほどの事例集ではないですけれども、何か今後の参考のために、今の詳細も含めて準備できるといいですね。

 ありがとうございました。

 

外山委員

地点7の質問ですけれども、煙突の上部で負圧除じん装置が1台稼働、下部で2台稼働ということで、上部にも下部にも設置している、しかも下部は2台というのはすごく多過ぎるというか、しかも、上部と下部に置くと、引き合いというのでしょうか、流れとしては一方向にならなくて効率的には悪くなるのかなという感じがしますので、小林委員か、ほかの方でも、これはどうしてなのかということがわかればということです。

 もう一つ、(6)のその他の特記事項でよくわからないのですが、6名が退出して、6名がフィルターを持ってというのは、煙突のこの作業で6名も作業していたということですか。そのあたりも人数が多過ぎるのではないかという感じがしますので、もし今後聞き取りがあるのであれば、このあたりの理由も聞かれたらどうかと思います。

 

樋口中央労働衛生専門官

先週の工事の話なので、まだ詳細は確認できていないのですけれども、報告された範囲の情報では、前室と上と下に集じん機を設けているのですけれども、下を強くして、下から引くような形で調整しているということです。フィルターについては、現場としてはそういうことをしていたということで、どうしてそういうことをしていたかまではまだ確認できていないところです。

 

神山委員長

では、それも含めて、もうちょっと詳細の確認をお願いしたいと思います。

 他に何かありますでしょうか。

 それでは、厚生労働省の資料4について説明をお願いいたします。

 

(4)平成24年度がれき処理作業等におけるアスベストの気中モニタリング等結果報告等について

 

樋口中央労働衛生専門官

続けて、議題4の厚生労働省資料4を御説明させていただきます。

 昨年も御報告させていただきましたけれども、1年分の取りまとめということで、資料を安衛研の中村先生につくっていただいているところです。平成24年度、前回御報告させていただいた100カ所の取りまとめの報告書になります。前回、先生から御提案があった、この会議としての取りまとめ報告書の一部にしようと思ってつくっていただいているものでございますので、後ほど中村先生から御説明がありますけれども、お気づきの点、書きぶり等も含めて御意見をいただければと思います。

 それでは、中村先生、よろしくお願いします。

 

中村専門委員

厚生労働省資料4として、平成24年度に厚生労働省が行った調査結果についてまとめさせていただきましたので、ここで御報告させていただきます。本文6ページの後ろに、別添として作業ごとに結果をまとめた表がありますので、あわせて御参照ください。

 目的のところにありますように、作業ごとに調査結果をまとめて、その飛散状況や特徴などを見ることを目的としております。

 今回は、建築物の解体・改修工事、がれきの集積作業、廃棄物処理という3つの作業現場で調査が実施されておりますので、それらについてまとめております。また、建築物については、木造、鉄骨、鉄筋コンクリート及び鉄骨鉄筋コンクリートという4つに分けてまとめております。

 結果ですが、まず建築物の解体について、1ページ目の3.1というところからですが、木造建築物の解体に関しては、今回は1カ所のみ行われました。この現場ですが、事前の調査では石綿含有の建材が使われておりました。石膏ボードであったり、フレキシブルボードで石綿含有だったということですが、隔離などはせずに、レベル3の作業として除去が行われていたということです。

 位相差顕微鏡の結果、総繊維が全て30f/Lを超えておりまして、最大が個人ばく露で105.83f/Lという高い値となっておりました。電子顕微鏡による分析結果では石綿は検出されなかったのですが、この現場では天井の石膏ボードを取り外す作業を手作業でしていたということです。現場の写真を見ますと、ボードが割れていたりする様子が見てとれますので、それに伴って発じんがあったと考えられます。ただ、先ほども言いましたけれども、電子顕微鏡による分析ではアスベストは出ていなかったという状況です。ただし、レベル3ですので、発じんがあることは望ましくないということは言えると思います。

 続きまして、鉄骨構造に関してですが、鉄骨構造の建物の解体作業の測定は18カ所で行われております。今回の測定が行われた現場で、事前調査の段階で石綿含有建材が使用されていると確認された件は15カ所ありました。そのうち14カ所は隔離をして除去を行っていました。そのうちの1つはグローブバッグを使ったものになりまして、それ以外のものは通常の隔離をして行ったという作業になります。残る1カ所ですが、吹付け材が吹きつけられた鉄骨にビニールシートを巻いて、そこに飛散防止剤を散布して、その後に基礎をはつって鉄骨を溶断して横倒しにするという作業が行われていました。ここは全体を隔離するということではなく、鉄骨についた部分にビニールシートを巻いて養生としていたという作業になります。また、事前調査によって石綿含有建材の有無が明らかになっていなかったという作業現場では、含有建材とみなして作業が行われていたのですが、そういう作業場が3カ所ありました。建材としては、含有が不明の成型材がありましたので、それらを手ばらしで除去するという作業でした。

 これらの鉄骨構造の現場で石綿含有建材の使用が確認されたものに関してですが、合計43点で測定が行われていて、総繊維で30f/Lを超える地点はありませんでした。最大としては総繊維で21.4f/Lという現場がありまして、この現場は、偏光顕微鏡の結果からアモサイトが確認されております。これは排気口から確認されているということで、漏洩の可能性があるということです。10f/Lを超えていないのでこれまでの合同会議では報告はしていないのですが、こういう現場がありました。

 先ほど説明しました鉄骨にビニールシートを巻いたという現場が、その下の宮城県No.35というところで、この現場では総繊維が15.45f/Lというところがあったのですが、偏光顕微鏡による分析からはアスベストは検出されませんでした。

 また、事前調査により、含有建材の使用が明らかにならずに、あるとみなして作業が行われていた3カ所についてですが、総繊維が30f/Lを超えた点が4点ありました。これは全て同じ現場で、福島県のNo.14というところですが、ここで一番高かった値は最大で1768.89f/Lということで、かなり高い総繊維数濃度になっておりました。この現場では内部解体で手作業による石膏ボードの取り外し作業を行っていたということですが、現場の写真を見ますと、手にバールのようなものを持っているように見えますので、恐らく除去の際に使用していて、その際に破砕などしてしまって発じんが起こって、総繊維数濃度が高くなったものと考えられます。ただし、電子顕微鏡の分析結果から、これらの測定点でアスベストは確認されていないということですので、高濃度のアスベストにばく露していたということではないということは言えます。

 次に、鉄筋コンクリートの現場ですが、全部で25カ所ありまして、そのうち、今回の調査で石綿含有建材の使用が確認されたのは18カ所ありました。使用が確認されていないまたは不明というところが7カ所ありました。この7カ所のうち、石綿含有建材の有無が明らかにならずに、石綿含有建材とみなして作業が行われたのが3カ所で、事前調査により石綿不使用であるというものが4カ所となっております。

 まず石綿含有建材が確認された18カ所ですが、全て隔離をして作業が行われておりました。30f/Lを超えた点が3点ありまして、これらについては、電子顕微鏡による分析結果から、全てアスベストが確認されております。これら2カ所3点につきましては、これまでの合同会議でも詳細を説明させていただいております。

 簡単に説明しますが、まず宮城県No.23というところで、これも煙突の解体ですが、高圧洗浄により煙突内部の石綿含有建材の除去を行っていたということです。この現場では、排気口付近で、電子顕微鏡でアモサイト濃度として69.6f/Lが測定されております。リアルタイムモニターの結果から、短時間だけ繊維数濃度が上がっているということでしたので、集じん・排気装置の不具合で短期間漏洩があったのではないかということを原因として推定しております。

 次に、栃木県のNo.2というところですが、こちらは吹付けの石綿含有物の除去を行っていたということで、天井スラブボード裏にアモサイトを64%含有した吹付け材が使用されておりました。ここでは、前室付近で333.62f/L、排気口付近で87.99f/Lということで、高い総繊維数濃度が測定され、電子顕微鏡による分析結果でも、それぞれアスベストが含まれていることが明らかとなった現場です。まず前室付近につきましては、作業員の退室のときにデジタル粉じん計の数値が上がったという報告がありますので、出入りに際し漏洩した可能性が考えられます。排気口付近に関しては、その後の点検で集じん機などのチェックを行ったということですが、そこで問題は見つかっておりませんので、原因の推定は困難ということです。

 これら2点以外では総繊維数濃度が高いところは少なくて、アスベスト濃度としても、最大では5.94f/Lというところが排気口であったのですが、それほど高い値ではなかったということになろうかと思います。

 石綿含有建材の使用が確認されなかった7カ所について行われた結果で1つ、10f/Lを超えていないのでこの会議での報告はされていないのですが、岩手県のNo.7というところで、ここは事前調査で石綿含有建材が使用されていないと判断されていた現場だったのですが、測定結果を偏光顕微鏡で分析したところ、アモサイトと判定された繊維がありまして、定点と個人ばく露で、それぞれ4.76f/L及び7.13f/Lというアモサイトが確認されております。事前調査で使用されていないというところでアモサイトが確認されているということで、事前調査に不備があったのではないかという可能性が考えられます。

 それ以外の点では、福島県のNo.15で総繊維数濃度が高い現場がありました。これは、作業としてボード類を袋詰めしていたようなところだったので、総繊維が高くなったのはそのボード類の破損などが原因かと思いますが、電子顕微鏡による分析結果としては、アスベストは出ていないという結果になりました。

 最後、建築物解体の4つ目として、鉄骨鉄筋コンクリート構造ですが、測定箇所は6カ所ありました。この6カ所は全て、今回の事前調査では石綿含有建材の使用が確認されておりまして、全て隔離をして作業が行われておりました。この中でも高い濃度が確認された点がありまして、これらは合同会議で既に報告がされています。

 まず宮城県のNo.11ですが、鉄骨に吹きつけられたクリソタイルの吹付け材の除去を行っておりました。この現場では前室付近で25.56f/Lの総繊維を測定し、偏光顕微鏡でアモサイトが63%という判定がされております。ただ、除去対象としていたアスベストはクリソタイルだったのですが、分析結果からはアモサイトという判定がされていることから、1つの可能性としては、隔離内からの漏洩ではない、例えば集じん・排気装置内に残っていたものの影響ではないかということ、もしくは、事前調査で出ませんでしたが、アモサイトが含まれた建材が使用されていたという可能性も考えられます。

 次に、福島県No.4ですが、ここでは吹付け材の除去作業を行っておりまして、天井ボードを外した裏側にクリソタイルとアモサイト含有の吹付け材が使用されていたということです。この現場では、前室で総繊維数濃度が高いということで、電子顕微鏡の分析結果でも、アモサイト濃度として52.2f/Lという高い値となりました。この建物は多くの個室がつながっている構造の中で、複数の部屋を1つの作業場として隔離しておりましたので、集じん・排気装置の負圧がうまくいかなかったのではないかということが原因として推定されました。

 以上が建築物解体作業に関する結果となります。

 続きまして、3.2としてがれき仮置き場、集積場における集積作業ということで、今回の平成24年度の調査では、集積場における作業の測定は44カ所で行われております。がれきの種類としては、ほぼ全ての現場で、いろいろなものが混ざっている混合がれきということで、それらを重機及び手作業で分別し、集積し、搬出するという作業が行われておりました。全測定点が176点ありまして、定点が44点、個人ばく露が132点あります。

 これらの中で、総繊維数濃度で30f/Lを超えた点が1点だけありました。この点は、福島県のNo.29の個人ばく露の3ですが、370.74f/Lというかなり高い値となっておりました。この現場では残りの3点も3f/Lを超えていたということで、がれき集積作業の中ではかなり高い結果となっておりました。この福島県No.29の現場で行われていた作業ですが、破れてしまったフレコンバッグなどに入っていた石膏ボードや波形スレートなどを重機や手作業で新しいフレコンバッグへ詰めかえる作業ということでした。この作業中に重機の周辺で作業をされていた方の個人ばく露濃度がかなり高かったということです。ただし、電子顕微鏡及び偏光顕微鏡の結果からは、アスベストは検出されておりません。

 それ以外の現場では、宮城県No.2の個人ばく露1の13.08f/Lというのが総繊維数濃度の最大になります。アスベスト濃度としても2.37f/Lが最大ということで、全体として高い値ではないと言えると思います。

 済みません、その後、昨年度という言葉を使っていまして、ちょっとわかりづらいのですけれども、これは平成23年度の調査に引き続きということです。平成23年度の調査に引き続き、平成24年度の調査結果においても、がれき集積作業に関しては総繊維数濃度も比較的低く、また、この中で気象条件や作業内容によって繊維数濃度がどう変化するかというような議論をすることは難しいと考えております。

 その後ろには作業ごとの平均値を書いてありますが、大体3f/Lいかないか、一番高かった重機周辺作業でも平均で3f/Lということで、定量下限程度の濃度ですので、濃度としては低かったとは言えるかと思います。

 最後に、廃棄物処理作業に関してですが、今回は6カ所で行われておりまして、いずれも屋内での作業でした。総繊維数濃度で30f/Lを超えた現場はありませんでした。最大としては10.7f/Lという点があったのですが、石綿濃度としては最大でも1.18f/Lということで、サンプル中に1本あったというのが1カ所あったのみですので、ほとんど飛散していないという状況と言えます。

 以上の結果をまとめますと、平成24年度の調査では、解体作業で50カ所、がれき処理作業で44カ所及び廃棄物処理作業で6カ所の測定が行われております。解体作業で10f/Lを超える現場が4点ありました。ですので、今後も解体作業における漏洩防止を徹底していく必要があるかと思います。特に集じん・排気装置の使用方法、それから作業員の出入りが漏洩の原因と疑われますので、それらについて注意する必要があると思います。また、事前調査で石綿を使用していないと判断された建物の解体作業において石綿が確認された事例がありましたので、事前調査の徹底も必要であると考えます。また、今回の調査では高濃度の石綿の飛散は確認されておりませんが、成型材を除去する、いわゆるレベル3という作業のときに総繊維数濃度が高くなる事例がありました。本来発じんしないように作業を行うべき作業で、仮に石綿含有建材を取り扱う場合や混入のおそれがあるような状況で総繊維数濃度が高いという状況は望ましくありませんので、そういったレベル3の作業に関して発じんを防ぐような手ばらしとか湿潤化の徹底という対策をしっかりととっていく必要があるかと思います。

 また、がれきの仮置き場、集積場における集積作業及び廃棄物処理における作業においては、総繊維数濃度も比較的低く、高濃度の石綿にばく露するような状況にはありませんでした。

 以上で報告を終わります。

 

神山委員長

ありがとうございました。

 ただいまのは平成24年度に厚労省で進めた調査の全体のまとめということで、表も全部まとめてつけてありますが、ただいまの説明等で御質問あるいは御意見がありましたら、お願いいたします。

 

小坂委員

濃度のことでお聞きしたいのですが、3ページ目の福島県のNo.14で、個人ばく露、個人サンプラーの濃度だと思うのですが、2000f/L近いのが出ているのですが、こういうサンプルは、顕微鏡で見て、粒子の重なりとか、そういう心配はないのですか。

 

中村専門委員

今手元に資料がないので確認できないのですけれども、実際に粒子が多く乗っていて、それに重なってしまって隠れているかもしれない可能性はあるのですが、そうすると全体に対して見える部分が少なくなるので、この値は過小評価になると思います。それでこのぐらいの量があるということになりますと、実際にはもっと高かった可能性があると思うのですが、それでも今のところとしては高いことは間違いないと言えるかと思います。

 

小坂委員

いずれにせよ、サンプルについてはかなり積もっているということですね。

 

中村専門委員

はい。

 

小坂委員

それと、総繊維ということで説明がいろいろあったのですけれども、別の資料で、顕微鏡写真を9ページから11ページまで出していただいているのですが、この写真を見ますと、10ページとか11ページの繊維状物質はいかにも角閃石アスベストだなと形だけで思われるのですけれども、総繊維としてはかられた繊維がどんなものかという写真も幾つかあれば、我々ももう少し実態がわかるのかなと思ったものですから、また何かの機会に見せていただければと思います。

 

神山委員長

ありがとうございました。

 厚労省の問題でも何点か出ていましたけれども、集じん・排気装置の問題にプラス作業員の出入りの問題、前室の漏洩が複数カ所ありますので、まとめにもありますけれども、今後注意が必要だろうと思います。

 それから、事前調査であるなしの判定がつかなかったというのも興味がありますが、みなしであるものとして作業してよかったわけですけれども、これがなぜ事前調査でわからなかったという原因も解明しておいたほうがいいと思います。

 

中村専門委員

そこは表現の不備かもしれないのですけれども、私がいただいた資料で不明と書いてあったものをそういう言い方をさせていただいているので、調査しなかったというよりも、分析まで回さずに、怪しいからこれは含まれているとみなして作業をするという判断をされたのかなと。私は現場に行ったわけではなくて、それだけいただいてまとめた中で、不明というような表現だったので、そういうのを合わせて、きちんと分析して、あるなしを確認していないものに関してはそういう表現をさせていただいたので、何もしていないとかいうことではなく、分析にまで回さずに、みなしでやるということだと考えております。

 

森永委員

建築物のアスベストは、いつごろその建物ができたかというのが一番大事な情報になりますよね。吹付け石綿もそうですし、アスベスト含有建材ボードでも、古いものほど含有率が高くて、新しいものほど含有率が低いわけですから、そういうのは、施工年が不明と片づけるのではなくて、例えば、ある程度のビルの建物であれば、住宅地図をチェックすれば、いつごろから地図に載っていて、いつごろまでは地図に載っていなかったら、その間に施工されているのだというぐらいの見当はつきますので、そういう調査も、図書館に行って調べればすぐわかるわけですから、それをやったほうがいいと思います。

 

神山委員長

あとは隣近所に聞くという手もあるのではないですか。

 

小林委員

今言われた件は、私もずっと経験してきてそう思っているのですが、先日現場を見せていただいたときに、石巻でしたか、同じ県営住宅で、吹付けをしているものとしていない建物がありましたね。なぜ片方はして、片方はしていないのかわからないというお話がそのときにあって、今言われた施工図面を持っておられたので、見せてもらったのです。見てすぐわかったのですが、建築年が3年ぐらいずれていたのです。つまり、古くつくったほうに、吹き付けアスベストがあって、新しいほうにはなかったのです。その間に、行政指導か、規則が変わったと思うのですが、今言われたように建築当時の図面を探すことが重要で、通常、建物が使われている限り、その建物のどこかに図面が残されているのが本来なので、それだけはチェックされたらいいと思うのです。

 もう1点、今御報告いただいた件は、これから先マニュアルの見直しに当たって大変参考になる点がいっぱいあったと思うので、これから整理をしていただければと思うのですが、その中で2点お聞きしたかったのは、この資料の3/6ページの上から14~15行目、「次に、栃木No.2……」と書いてあるところの2行ほど上ですが、「集じん排気装置の不具合が原因で短時間排気口からの漏えいが起こった可能性が考えられる」と書いてあるのですが、上の方の説明から言って、「短時間」という言葉をなぜ書いたのかがよくわからないのです。これは注意されたほうがいいと思うのです。本当は短時間ではないかもわかりませんので、これは注意されたらどうかと思います。

 もう1点は、次のページの4/6の一番下の福島No.4の文章ですが、この最後のほうの文章で、「集じん排気装置は換気回数を満たすために3台設置されていた。そのため、上手く負圧にできていなかった可能性が考えられる」、これは文章として脈絡がつながっていないのです。「そのため」と書いてあるのですが、何のためなのか。換気回数をふやすために3台設置されていたとしたら負圧ができていたという論理だと思うのです。それができていなかったということになると、何か問題があったと思うので、ここを書いていただいたほうが後で参考になると思うのです。

 

中村専門委員

今の4ページの「そのため」というのは、確かに私の文章がおかしかったと思います。そこは直させていただきます。

 もう一つの短時間というほうですけれども、ここは、前にこの会議で報告させていただいたときにはリアルタイムモニターのデータもあったので、そのときは、ピークがあって、20~30分でピークがおさまるというデータがありまして、今回はそれはつけていないのですが、そういう事情がありましたので、短時間の漏洩であっただろうという推定をしまして、そのままそれを引用させていただいています。

 

神山委員長

では、今の御指摘の文章等の直しをお願いいたします。

 他に。

 

小西委員

今の小林委員の件で、後の福島ですけれども、3台設置したというのは、恐らく気積から計算して3台とやったけれども、部屋が各部屋で実質分かれていたから、3台、気積だけでやった配置ではうまく負圧にならないよということを書いていただければいいのではないかと思うのです。

 

中村専門委員

ありがとうございます。

 

樋口中央労働衛生専門官

では、いただいた御意見については、修正させていただいて、修正した上でホームページにこの会議の資料ということで掲載させていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

神山委員長

ありがとうございました。

 他に。

 

森永委員

木造のところで、事前の調査で石綿含有石膏ボード、石綿含有フレキシブルボード、防火ライトが建材として使用されていることは確認されているけれども、電子顕微鏡で石綿は検出されなかったという結論になっているのは、合わないわけです。これはどういう理由で合わないと考えるのですか。

 

中村専門委員

正直、そこは私も疑問に思っているのですが、結果として分析したときには出ていないということです。ただ、使っている建材が含有ということなので、ではどの程度の含有率だったかとか、そういうことははっきりしていない点とか、その作業のときにそれ以外の建材も一緒に解体していたとすると、それらのものが割合としてどの程度あったのかということがわからないので、その辺の関係で、作業をしていたときはたまたまそれ以外の建材からの発じんが多かったのかなとは思いますが、ここは私も、報告でいただいていたものとしては建材で使われているということなのに、出てこなかったというのは疑問に思っているところです。

 

森永委員

石膏ボードも、石綿を使っているときと使っていないときとあるのです。防火ライトも使っているときもあるし、使っていないときもあるのです。ですから、ここの事前調査がどこまでの事前調査なのか。実際にサンプルをとってきて調べたわけではないだろうと思うのですけれども。ですから、基本的には、この木造はいつごろできたのかということで、そのころのものであったら石膏ボードといっても含んでいるかなとか、そういうスペキュレーションがある程度できるので、いつごろできたかというのが一番大事な基本情報だと私は思います。

 

神山委員長

ありがとうございました。

 いろいろと御意見をいただきまして、それらをまとめに反映して記入していただければと思います。

 他にありますでしょうか。

 なければ、「その他」に参りたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 

(5)その他

 

神山委員長

それでは、「その他」で、事務局で準備しているものとしましては、外山委員から提出された「東日本大震災後の被災地におけるアスベストの状況と対策」という小冊子が配布されております。時間もあと15分ぐらいですが、これを外山委員から御説明ください。

 

外山委員

時間をいただいてありがとうございます。

 これは、私たちが独自にNPOとして被災地でアスベストの調査を2011年度、2012年度とやってきた、その報告書です。

 2011年度の報告に関しては昨年の本委員会の中でも報告していますので、要所要所かいつまみながら御説明したいと思います。

 まず31ページの後ろのほうを開いていただくと、私たちの活動と、本委員会の開催とかその他政府の関係の動きなども全部まとめてありますので、便利かなと思ってつくってみたので、私たちの活動はこのころはこんなことをやっていたというのが大体わかるようになっております。

 昨年度の大きな出来事としては、まず気中濃度測定の結果が、28ページから、これは主に女川町、気仙沼市で行われたものの結果が入っています。これ以外に石巻市でも若干行っておりますが、それは前のほうに入っています。結果的には1f/Lを超えるような場所は見つからなかったということで、一般環境中には石綿の漏洩はほとんどなかったということで、本委員会の結果と大体一致するのかなと思います。

 もう一つは、30ページ、濃度測定の最後のページに被災写真が何枚かあります。これも本委員会の中で報告させていただきましたけれども、石綿が取り切れずに建物の解体作業に入ってしまって、結果的に周囲にアスベストを飛散させてしまった可能性が高いということで、これは私たちがたまたま見つけまして、その後の対処もすぐにされて、厚労省からは再発防止のための通達が出ているということもありました。

 あとは、特に昨年度は、石巻市と協力させていただいて、作業者向けの教育を重点的にやらせていただいて、その写真が25ページの上の部分です。石巻市で作業者向けの教育が十分できていないということで、石綿作業の特別教育を市が主催して、それに私などが講師として派遣されるという形で実施しまして、2012年度は270名で、今年度もやりまして、合計380名ほどの方が受講しているということです。現場の作業者向けの教育をやりました。石綿作業者主任者技能講習も、宮城県では年にほんの数えるほどしか行われていないし、石巻でも行われていないということで、足りないだろうということで、私たちが教習機関として登録して、これも昨年度と本年度と実施して、計71名の方が受講しているということで、このあたりは力を入れてやりました。25ページに写真がありますけれども、特別教育の中では、必ず皆さんにマスクを持ってきていただいて、使い方、フィットテストも全部勉強してもらうということでやりました。あとは、含有建材を実際にたくさん持っていって、こういうものが被災地にあるのだということで皆さんに見てもらっています。スレート板とかはルーペを使って判別できるものもあるということも現場でのリスク評価につながるのかということで、私たちならではの実地的な研修会をやったというところが、昨年度の大きな成果といえば成果なのかなと思います。

 あと、2年間やりまして、実は今年度も続けておりまして、最終的なまとめということではないのですけれども、32ページの考察の部分で、これまで2年間のおおよそのアスベストの状況に関して書かせていただいていまして、丸数字1の吹付けアスベストに関しては阪神淡路大震災と比べて非常に数が少ないということで、リスク的にはこの部分は低いと見ていいと思いますが、私たちが見つけた事例とか、漏洩事故も再三起きているということなので、事前調査も含めた除去時の対策の部分が今後徹底されていく必要があるだろうということです。

 吹付けロックウールは、私たちの調査では非常に少ないことがわかりました。年代的に少ない時期、80年代後半以降に建てられたものが多かったのかなと思います。

 あとは、煙突用断熱材がありますけれども、これも見落とされてしまったという報告が1件ありましたし、十分調査されていないのではないかということで、そういった報告もさせていただいて、通達も出ているということです。

 次のページに行くと、整形板等ということがありますけれども、スレートが非常に多いということが私たちの調査でもわかりましたし、どうも現場での対策が十分できていないのではないかと。いろいろな現場を見ましたけれども、散水せずに、保護具もつけずに破砕されているという現場も幾つかありました。そういった部分が、行政側の指導としてはやられているという状況はあると思うのですけれども、実際の現場までは届いていない。そんなことがあって、石巻市では特別教育をやったり作業主任者技能講習をやったりということでやらせていただいたということがあります。

 あと、いろいろ書いているのですが、36ページに提言ということで、東日本大震災被災地の今後のためにということで12点ほどまとめさせていただいて、あとは今後の津波と地震に備えてということで6点、やはり調査をしていく必要があるということだと思います。それから、被災地に限らずにアスベスト除去での問題点も課題として上がってきたということで、5点ほど挙げさせていただいているということです。

 非常に簡単ですけれども、あとは読んでいただければおわかりになるのかなということで、報告としては以上にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 

神山委員長

ありがとうございました。

 たくさんのデータが出ていますので、参考になると思います。一般大気に関しては環境省あるいは厚労省のモニタリングと同じぐらいで、余り飛散はなかったということと、解体現場等ではそれなりに出ていたということですね。

 ありがとうございました。

 今の御報告でご質問がありましたらどうぞ。

 

小林委員

大変参考になって、よかったと思うのです。

 ただ、これは意見ではなくてお願いですが、この提言が箇条書きで簡単に書かれているのです。実際にこれを使うとなった場合、次に対応するためのマニュアルづくりとかに反映させるとすると、これではとてもではないけれども無理なので、できたら今後これを膨らませて、このようにすべき、なぜそうなのか、逆に言いますと、一般の方が読んでも理解できるような形でこの提言の部分をもう少し詳しくお書きいただければと思うのですが。

 

外山委員

今年度も続いておりまして、最終的なまとめは今年度末にそのようにまとめさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 

神山委員長

ありがとうございました。

 他にございますでしょうか。

 時間がちょうどで終わりそうです。ありがとうございました。

 それでは、事務局から何かありましたら、お願いいたします。

 

渡辺課長補佐

事務局で用意したものは、本日これ以外にはございません。

 

神山委員長

それでは、次回の予定等を。大雑把でいいですけれども。

 

渡辺課長補佐

本日の議事録につきましては、各委員に御確認いただいた上で公開することとさせていただきます。

 次回の委員会につきましては、モニタリング調査結果を取りまとめ、状況も勘案し、委員の皆様と日程の調整をさせていただきます。

 本日は長時間にわたって御議論いただき、ありがとうございました。

それでは、本日の合同会議はこれで閉会とします。どうもありがとうございました。

 


(了)
<厚生労働省>

労働基準局安全衛生部 化学物質対策課 樋口

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