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2013年9月13日 第91回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成25年9月13日(金) 13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 職業安定局第1・2会議室


○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

○岩村部会長 定刻になりましたので、ただいまから第 91 回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会を開催いたします。今日はお暑い中、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の出欠状況ですが、井上委員と浅見委員が御欠席でございます。新谷委員は間もなく見えられるかと思います。

 次に、事務局に異動がありましたので御紹介いたします。 8 1 日付けで、職業安定局派遣・有期労働対策部企画課長に着任された鈴木英二郎さんです。また、本日は資料の関係で、職業能力開発局能力開発課の青山企画官に御出席いただいております。

 それでは議事に移ります。なお、カメラの頭撮りは以上となりますので、撮影のほうは御遠慮いただきたいと思います。

 本日の議題ですが、お手元の議事次第にありますとおり、雇用保険制度についてです。事務局から資料に沿って説明を頂戴し、そのあと質疑をするという順序で進めてまいりたいと思います。まずは資料 1 「雇用保険制度に係る論点について ( ) 」、資料 2 「これまでに出された主な意見について」に関して説明をいただきたいと思います。事務局のほうで、よろしくお願いいたします。

○高島雇用保険課長補佐 お手元の資料につきまして、説明をさせていただきます。資料 1 、雇用保険制度に係る論点について ( ) です。雇用保険制度の見直しの検討に向けて、本年 5 月から雇用保険部会を開催をし、 7 月までで 4 回行わせていただきました。第 1 回のときも、論点という形で項目のみ提示をさせていただきました。その論点の中で、これまで委員の皆様から頂いた御意見を基に、これから更に議論を深めていただくために、論点の具体的内容、方向性について、資料を準備させていただきました。資料 1 について、御説明をさせていただきます。

1 番、平成 25 年度末までの暫定措置についてです。現在の雇用保険法の中で、平成 25 年度、ちょうど今年度末までの暫定措置があり、その取扱いをどうするかということです。

(1) 個別延長給付についてです。論点ですが、現在の雇用情勢は一部に厳しさが見られるものの、改善が進んでいるとされています。ただ、一方で、これまで資料でも説明させていただきましたとおり、現在でも 7 割程度の方が、基本手当受給後の個別延長給付を受給されています。そうしたことから、当該給付の暫定措置の効果及び終了した場合の影響を考慮する必要がある。これらについて、延長することについてどのように考えるか、御議論をお願いしたいと思います。

 延長する場合の支給要件として年齢、地域、個別要件があります。現在の個別延長給付は 45 歳未満の方であるか、求人倍率などが低い地域にお住まいの方であるか、あるいはそういった方以外でも、求職活動の状況などから見て就職が困難であると安定所長が認めるような方であるか。そういった個別の要件で運用しておりますが、それらについてどのように考えるかということが論点です。

(2) 雇止め等により離職した者の給付日数の拡充についてです。特定理由離職者とも呼ばれている、雇止め等の離職者の方の給付日数を延ばしている暫定措置です。個別延長給付と同じく、平成 21 年のときの雇用情勢を踏まえ創設した暫定措置ですが、現在の雇用情勢は一部に厳しさが見られるものの改善が進んでいるとされているが、その特定理由離職者である受給者数は必ずしも減少傾向にない。こちらは第 2 回の資料で説明したとおりです。また、もともと非正規労働者対策として設けた経緯があり、今年度から施行された労働契約法など様々な非正規労働者対策があるが、その状況も考慮する必要がある。これらを踏まえて、延長することについてどのように考えるかについて、御議論をお願いしたいと思います。

(3) 常用就職支度手当についてです。こちらの内容ですが、雇用保険の基本手当をもらっている方が、そのもらっている所定給付日数内に就職された場合、早期に就職をされていれば再就職手当が出るのですが、就職が困難な方については、再就職手当がもらえないくらいのタイミングで就職をしていたとしても、支援する観点からこの手当を出しております。年長フリーターである 45 歳未満の方を暫定的に対象者に追加している暫定措置ですが、若者の雇用状況が依然として厳しいことを踏まえて、 (1) 個別延長給付と (2) 特定理由離職者ですが、その状況の下、延長することについてどのように考えるかという論点です。

(4) 雇用保険二事業に要する費用の失業給付等の積立金からの借入れについてです。平成 22 年、リーマンショック等から雇用調整助成金の支出が増えたことで、積立金からの借入れの特例措置を設けたものです。後ほど、平成 24 年度の決算などの状況も説明させていただく予定ですが、平成 24 年度の決算をもって、こちらの借入れ 370 億円は返済できた状況になっております。現在の雇用保険二事業の財政状況を踏まえて、この暫定措置についてどのように考えるか、御議論をお願いしたいと考えております。こちらは今年度末までの暫定措置の取扱いです。

2 番、学び直しの支援措置についてです。 1 つ目の○のとおり、経済のグローバル化や少子高齢化への対応のために、日本再興戦略で、学び直しの必要性がうたわれております。こちらは、本年 6 月の閣議決定に盛り込まれているものです。こういった必要性を踏まえて、学び直しを支援するために、教育訓練給付の効果を踏まえつつ、社会人の学び直しに資する教育訓練を受講する場合に給付率を引き上げることについて、どのように考えるかという論点です。

 現在、雇用保険制度の中では労働者の自主的な教育訓練を支援する観点で教育訓練給付が設けられております。制度上は、受講した場合 2 割、上限 10 万円まで支援をする形になっております。今回、学び直しを支援する観点で、それらの給付内容を拡充することについてどのように考えるか、御議論いただきたいと思います。

 また、訓練効果を担保するために、一定の成果が上がった場合に追加給付を行うことについて、どのように考えるか。現在の教育訓練給付は厚生労働大臣が指定する講座を修了した場合に、その修了後に給付を行う形でした。部会の御意見でもありましたが、例えば資格の取得などの場合、そうした一定の成果が上がった場合に追加給付を行うことについて、どのように考えるかも、給付内容の拡充の中で、合わせて御議論をお願いしたいと考えております。

2 つ目の○ですが、学び直しの支援のためには本人のキャリアアップに真に資するものである必要があることから、一定の高度な教育訓練を対象とする。まず訓練の内容に関するものとともに、給付に当たり、受講前に本人がキャリア・コンサルティングを受けることを前提とすることについて、どのように考えるかという論点です。こちらも正に部会での御議論の中で委員の皆様からいただいた点を踏まえ、御議論をお願いしたいと考えているものです。

3 つ目の○ですが、企業に対する支援です。従業員の学び直しを支援する事業主に助成する、キャリア形成促進助成金、キャリアアップ助成金、現在も雇用保険二事業で運営している助成金です。こちらの支給対象等について、どのように考えるか。日本再興戦略の中では、社会人の学び直し支援として、正に学び直しをされる御本人への支援の観点で、雇用保険制度の見直しが盛り込まれております。従業員の方にこういった学び直しを受けてもらう、受けさせる、そういった企業に対する支援も合わせて盛り込まれており、内容としては非常に関連性が深いものですので、合わせて御議論をお願いしたいと考えています。これらについては前回御議論いただいた後も、職業能力開発分科会のほうでも訓練の内容について御議論いただいており、本日の資料、参考 2 にまとめておりますので、後ほど御議論の際に、合わせて御確認いただければ幸いです。こちらは学び直しに関する論点です。

3 番は、基本手当の水準についてです。当雇用保険部会での継続検討事項とされており、これまでの部会の中でも御議論いただいてきたものです。事務局から雇用保険受給者の基本手当受給者の方の就職状況などについてデータを整理し、お示しをした上で、御議論いただいたものです。委員の皆様からいただいた御意見として、失業中の生活の安定、そして早期再就職とのバランスを取って考えるべきという御意見、また、現在の雇用保険の財政状況や長期失業者が多くなってきていること、そういったものから給付水準の見直しを行うべきという御意見、両面がありました。そうしたものを踏まえ、給付水準についてどう考えるかを、引き続き御議論をお願いしたいと考えております。

 基本手当の関係の 2 つ目ですが、事務局で整理をした資料の中でも御覧いただきましたとおり、基本手当の支給終了までに就職した割合は、過去 10 年間おおむね 5 割前後で推移をしておりました。そうした状況を踏まえ、早期再就職を促進していくためにどう考えていくべきか。早期再就職を促進するために、インセンティブとして現在再就職手当が雇用保険の制度上設けられておりますが、そちらについてどう考えるか、御議論を今後お願いしたいと考えております。

4 番は、育児休業給付についてです。 5 月に雇用保険部会を始めたときは、論点としては入っておりませんでしたが、この間様々動きがあり、平成 25 8 6 日に、社会保障制度改革国民会議がまとめられました。その中で、育児休業の取得促進の必要性が指摘されるとともに、育児休業を取得しやすくするために育児休業期間中の経済的支援を強化することも含めた検討を進めるべきとされております。

 育児休業給付についてはこれまでも累次の見直しを行っており、その都度、雇用保険部会で御議論いただいております。育児休業給付は、給付率の引上げ等により育児休業給付受給者が増加しております。これまでの部会の資料の中でもお示ししたとおりです。こちらは、育児休業の取得促進に寄与していると考えられます。少子化対策や仕事と子育ての両立支援を強化する観点は、国民会議の中でも盛り込まれていた考え方です。そうした観点から、育児休業給付の給付率の引上げについて、どのように考えるか、御議論をお願いしたいと考えております。

 引上げに当たって、給付率をどう考えるか。給付の期間について、現在子供が 1 歳あるいは一定の場合には 1 2 か月、 1 6 か月といった形で設けられています。そして全期間において、一律の給付率の形になっております。そうしたものについてどのように考えるか、御議論をお願いしたいと考えております。

5 番、その他についてです。いくつかの論点をこの中に盛り込んでおります。 1 つ目は、 65 歳以上の者への対応です。現在の雇用保険制度では、 65 歳を超えた場合には一時金の形でお支払いしている形になっております。 65 歳以上の者への対応については雇用と年金の接続に資する観点も考慮し、今後の雇用情勢や社会経済情勢等も勘案しつつ、引き続き中長期的な観点から議論していくことについて、どう考えるかということです。前回、部会で議論いただいた際も、年金の支給開始年齢については 65 歳までの引上げが決定しており、現在その状況になっております。そうしたこととの観点でどう考えるか。

 もう 1 つ、高年齢雇用継続給付については、平成 24 年の雇用保険部会の報告の中では当分存置することにしており、正に平成 25 4 月には高齢者雇用安定法、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律が施行されております。そうした施行状況なども踏まえ、高年齢者の雇用の確保を図る中で、どのように考えるか。

2 つ目は、マルチジョブホルダーです。前回も御議論いただいた論点です。 1 つの事業所ではその適用基準を現在満たさない方が複数の事業所に勤められている場合について、どう考えるか。これまでの雇用保険部会の継続論点ともなっていたものです。こちらの適用に当たって労働時間の把握方法や、失業の判断といった論点がまずあります。その上で、前回も説明いたしましたが、番号制度の法律が成立し、 2017 年からスタートします。 2017 年の番号制度のシステム運用の状況も考慮しつつ、検討を行うことについて、どのように考えるか、御議論をお願いしたいと考えております。

6 番、求職者支援制度についてです。求職者支援制度は、前回の部会で御議論いただく際に、検討の視点ということで 4 点掲げておりました。その検討の視点と、いただいた御意見を踏まえた論点ということで、用意しております。

 求職者支援制度は、雇用保険の給付を受けることができない者を対象とする第 2 のセーフティネットとして位置付けられているものです。そうしたことを踏まえ、例えば非正規雇用の経験しかない者や、生活困窮者といった訓練受講が必要な方が訓練を受講できるようになっているか。また、受講生の希望や、能力、経験等や労働市場の状況、地域のニーズなどを踏まえた多様な訓練が設定できるようになっているかといった観点から、訓練の確保・充実や、訓練への誘導の在り方についてどのように考えるか。訓練のメニューとか、ハローワークから訓練への誘導、そういったものに関する論点です。

2 つ目は、訓練実施機関が必要となる訓練を十分に実施できるようにするとともに、訓練の質を確保するための方策について、どのように考えるか。訓練の質に関する論点です。

3 つ目は給付金です。職業訓練受講給付金の金額や支給要件が訓練受講を容易にするという趣旨から妥当なものになっているか、検討することについてどのように考えるか。

同じく 4 つ目も給付金の関係です。職業訓練受講給付金を受給するために、やむを得ない理由による欠席の場合でも、 8 割以上の出席日数が求められる。現在、その要件で運用しており、その状況について、前回も説明しましたが、制度の最終目標が就職であることも踏まえ、就職面接による欠席などの取扱いをどのように考えるか。また、やむを得ない理由や、欠席のカウント方式についても、モラルハザードに留意しつつ、訓練を受けるべき者が適切に訓練を継続できるようにするために見直しの検討について、どのように考えるか、御議論をお願いしたいと考えております。

5 つ目、訓練受講後の就職支援に関する論点です。訓練受講後の就職について、より安定した就職につながるよう、ハローワークや訓練実施機関による就職支援や、就職の内容に応じた取扱いについて、どのように考えるか。

4 ページ目、求職者支援制度の財源について、どのように考えるかも、合わせて御議論をお願いしたいと考えております。こちらについては、学び直しと同じように、前回、雇用保険部会の後に、能力開発分科会で御議論いただいており、そちらの内容は先ほども申し上げた、参考 2 に、学び直しとともに触れております。

 最後の論点は、財政運営についてです。失業には雇用政策を行う国に一定の責任があることから、本来の負担割合に戻すべきという意見があります。これまでの雇用保険部会の中で、労使それぞれの委員の方々から同じように御意見をいただいてきた部分です。一方、政府内では財政制度等審議会報告書にも見られるように、納税者負担で勘定の収入の一部を支えているという負担と受益者の関係なども踏まえつつ、国庫負担の引下げも含め、その在り方について検討を行うべきといった意見もあります。そうした意見や、これまでの部会での御議論の内容、それらを踏まえてどのように考えるかについて、御議論をお願いしたいと考えております。論点の説明については、以上です。

 この後の部会でも、それぞれ各論点について、具体的に掘り下げて御議論をお願いしたく、そのための資料についても部会の回ごとに順次御用意したいと考えております。こちらが資料 1 です。資料 2 については、これまでに出された主な意見について、前回議論しましたマルチジョブホルダー、求職者支援制度、財政運営について、いただいた御意見を事務局で整理し、追加したものです。合わせて御参考としていただければと思います。最後、資料 3 4 は飛ばして、参考 1 は先ほど申しましたとおり、 8 6 日の社会保障制度改革国民会議の報告書の中で、育児休業中の経済的支援の強化について、盛り込まれております。先ほど説明した内容と同じですが、報告書の抜粋も付けておりますので、合わせて御参考としていただければと思います。事務局からの説明は以上です。

○岩村部会長 なお、ただいま説明いただきました学び直しの支援措置と、求職者支援制度のうち、訓練に関わる部分については、職業能力開発分科会でも合わせて議論をいただく予定になっているということです。その点を御了解いただければと思います。

 ただいま説明いただきました資料 1 などについて、御意見あるいは御質問がありましたらお伺いしてまいりたいと思います。ただ、今回この資料 1 について見ても、論点が多岐にわたるところですので、私のほうで少し整理をさせていただきながら進めてまいりたいと思います。したがって、大きな項目ごとにある程度まとめて御意見、御質問を伺う形で進めていきたいと思います。最初は、平成 25 年度末までの暫定措置についてです。こちらは年度末までということですので、そういう意味ではある程度優先的に考えなければいけない事項かとは思っております。いかがでしょうか。

○新谷委員 今、部会長から、各論点ごとにという仕切りをいただいたわけですが、まず私から、論点の立て方自体について意見を申し上げてよろしいでしょうか。

○岩村部会長 はい、どうぞ。

○新谷委員  5 月以降、雇用保険制度の在り方について様々な資料に基づいて論議を重ねてきたわけで、今日 7 つの論点が示されたわけです。具体的な各論に入る前に、そもそも今回のこの雇用保険制度の見直しはどのようなスタンスなり、基本的な考え方に沿って行うのかという基本思想がまず必要ではないかと思ってございます。後ほどまた詳細に申し上げますが、積立金の残高が 5 9,000 数百億というような金額に達しているわけです。財源が無限にあるわけではございませんので、今後の見直しに当たっては、労使が納める保険料を使って、雇用保険制度としてどのような制度の見直しを行っていくのかについては、おのずと優先順位があると考えています。

 その上で、私どもが従来から申し上げておりますように、この雇用保険というのは、やはり労働者が失業するということ、それに対して生活が安定し、安心して求職活動ができるという、基本的な制度としての機能があるわけで、私どもとしてはまずそこの機能の回復を図るべきであると考えています。

 そもそも今日 6 兆円近く積立金が積み上がった背景にあるのは、これも御承知のとおりですが、雇用保険の財政が危機に陥った平成 12 年、 15 年の改正において、当時の苦渋の決断として、保険料の引上げとともに給付の削減を行ってきて、今日の積立の残高に至ったわけです。収入が回復し、収支の改善が図られてきた今日に至った中では、やはり私どもとしてはこの基本手当の在り方について、今日的な見直しを行うべきと考えているわけです。これも既に資料をお示しいただいているように、受給期間内に再就職できた方は、実は 3 割に満たない状況です。また、倒産・解雇等の特定受給資格者以外、いわゆる自発的な離職ということになるのでしょうけれども、この給付日数が 10 年近く、具体的にいうと 119 か月も保険料を納めても、雇用保険を受給できる期間が 3 か月、 119 か月納めて 3 か月しかもらえないという絞り込まれた内容になっているわけです。こういった状況を踏まえれば、今日のこの雇用保険財政が回復した状況の中では、離職者が安心して求職活動ができるように、雇用保険の生活安定機能を充実させるのがまずありきと考えていますので、そういった大きなフレームをどのように組み立てるのかということの論議はやはり必要ではないかと考えております。冒頭、以上でございます。

○岩村部会長 事務局のほうで、今の新谷委員の御発言について何かございますか。

○吉永雇用保険課長 御指摘の点については、これまでの部会でも繰り返し御指摘いただいた内容だと思っております。今回、雇用保険の見直しを始めるに当たりまして、論点としてお示しをさせていただいた中で、 1 つの契機としては、今回の議題となっております、平成 25 年度末の暫定措置について、これが喫緊の課題として今年度末で切れてしまいますのでどうするかが、当面緊急に対応すべき事項という形で掲げさせていただいております。あと政府として、見直しを進めてはどうかという議論もある中で、 3 点目に基本手当の水準という形で、論点として掲げたところです。こういった中で、この審議会の中で御議論いただければと考えています。

 これまで長年にわたり、新谷さんから詳細な資料をという形で御要請あったものについて、今回の部会で出させていただきました。その中で、今、新谷委員から御指摘ありましたとおり、その期間内の就職の割合がどうなっているのかという辺りについて、詳細なデータを基に今後の立て付け方について議論をすべきではないかと思っております。

 一方で、エビデンスとして出てまいりましたのは 12 年、 15 年様々な経緯の中で給付について見直しを行ってきたところでありますが、就職のデータについて推移がどうなっているのかという辺りはいろいろな考え方があるものだと思っております。そうした点を含め、全体の御議論の中で、給付日数については基本手当についても正に御指摘のとおり、見直すべきかどうかという議論も必要です。それと合わせて、まず議題の 1 にありますような、暫定措置についてカバーされていく部分も若干あるかと思いますので、そうしたものを総合的に判断しながら、今後のあるべき雇用保険の給付の在り方について御議論いただければありがたいと考えてございます。

○新谷委員 今、雇用保険課長から御答弁いただいたのですけれども、今回挙げられた論点 7 つに、序列をつけられた発言をされたと思うのです。第 1 点目に暫定措置があって、第 3 点目に基本手当という、序列をつけられたわけですが、私どもとしては 2 点目に学び直しの支援がくるということに対しては、非常に違和感を感じております。もともと本来ある雇用保険制度は求職者の再就職支援をどうするかということでありますから、今おっしゃったような序列をつけて、論点の中に軽重をつけるということに対しては、非常に違和感を覚えていることを申し上げたいと思います。以上です。

○吉永雇用保険課長 すみません。順番が 1 2 3 という形になっておりますので、そういう形で申し上げましたが、決して軽重という意味で序列をつけてどうこうという形で申し上げたつもりはないのです。 1 つ言えるのは、先ほど申しましたとおり、暫定措置については早急にどういう形にするかを考えていく必要があるだろうということです。そのほかについても、せっかく見直しをこれだけ委員にお集まりいただきながら御議論いただいているわけですので、そうした中で全体として御議論いただければというふうに考えております。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。ほかに全体の枠組みについて、御意見、御発言ございますでしょうか。

○遠藤委員 先ほど部会長からお話がございましたように、複数の審議会の中で同一のテーマを議論していくということであります。もちろんいろいろな場で、いろいろな立場の方が御議論していくことの必要性は何ら否定するものではないのですが、やはりこれだけテーマが広範にわたっていますと、それぞれの役割分担といいますか、そういったようなこともそろそろ視野に入れながら議論をさせていただきたく思っております。これは意見です。

○岩村部会長 事務局のほう、今の御意見について何かございますか。

○高島雇用保険課長補佐 今、遠藤委員から御意見いただいた部分ですが、例えば学び直しについて申し上げれば、雇用保険部会ですので正に雇用保険制度でその給付内容を考えていくに当たって、その対象者ですとか、給付水準、そういったものについてはこの雇用保険部会を中心として御議論いただくのだろうと考えております。また、こちらの学び直し、正に支援の内容だけではなく、何を学習するのか。学び直す内容とは何なのかというところも、合わせて重要な論点で、そちらについては主に能力開発分科会のほうで御議論をいただくことになっております。ただ、やはり完全に分けた議論をするのがなかなか難しい部分はありますので、両部会、分科会それぞれ並行したタイミングで議論してまいる予定でおりますので、それぞれの部会、分科会の検討状況も報告させていただきながら議論をお願いしたいと考えている次第です。

○岩村部会長 よろしいですか。

○山本委員 今説明があった、資料でいうと、 3 ページの求職者支援制度について、当部会と職業能力開発分科会のどちらで議論するかに関連しての意見なのですが、ここに様々な論点が挙がっていますが、中には訓練の確保・充実、訓練の質の確保といった、訓練の内容そのものに関する内容も記載されています。こうした論点に関する議論については、職業能力開発分科会の場でも行うと思われますが、雇用保険制度に関する論点がこれだけ、今言っているように多岐にわたっておりますので、そういった中で短期間で議論をまとめていく必要があることを考えれば、議論を効率的に進めていくために、職業能力開発分科会で主に議論する論点と、当部会で主に議論する論点とを、ある程度分ける必要があるのではないかという意見を持っております。そういった意味で、どちらの審議会でやるかということの論点整理もお願いをしたいと思っております。

○岩村部会長 では事務局、お願いします。

○佐々木派遣・有期労働対策部企画課求職者支援室長 求職者支援制度の論点に関しましても、訓練の内容に関わる部分といいますか、訓練自体を見直していく部分については能力開発分科会で議論し、さらに能力開発分科会での議論の状況もこちらにフィードバックさせていただきながら、議論を進めていただければと思っております。

○岩村部会長 山本委員、よろしいですか。いずれにしても、今、御指摘ありましたように、求職者支援の問題、それから学び直しの支援措置の問題というのは、雇用保険の部会のほうと、それから能力開発の分科会のほうと、両方にまたがることですので、両者の歩調の合った検討を進めるという観点からしますと、事務局のほうでしっかり連携をしていただきながら、歩調を合わせて議論が進むようにやっていただければと、お願いをいたします。全体の議論はよろしいですか。

 それでは、資料 1 に戻り、 1 番目、平成 25 年度末までの暫定措置について、御意見、御質問があればお願いをしたいと思います。今日のところは特段これについてはないということで、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは次に、 2 番目、学び直しの支援措置についてです。これについて、御意見、御質問がありましたら、お願いをしたいと思います。

○亀崎委員 学び直しの支援措置についてですが、労使の代表が参加していない規制改革会議、あるいは産業競争力会議での議論を踏まえて閣議決定された日本再興戦略ということがここにも書いてあります。そもそもこの考え方は、これまで労政審の議論で取り上げられてきたものではないことを申し上げておきたいと思います。あくまでも我々労働側は、先ほど新谷委員が述べたように今回の見直しに際しては、基本手当の水準を回復させること、それを優先させて進めるべきだと考えております。

2 つ目に、その上で学び直しをしたいという労働者の主体的な能力開発支援を行うことであれば、それ自体の検討を否定するものでは全くありませんが、 1 ページ 1 つ目の○の 3 行目に「教育訓練給付の効果を踏まえつつ、社会人の学び直しに資する教育訓練を受講する場合に給付率を引き上げることについてどのように考えるか」と書かれております。あたかも現行の教育訓練給付には効果があり、それを踏まえた上で現行制度の枠組みの中で学び直しの支援を行うことを前提とした記載になっております。現行の訓練給付については一部において、趣味、教育目的で利用する者もいることもあり、労働者のキャリアアップにつながる主体的能力開発を支援しようという趣旨に、必ずしも合致していない実態もあることはこれまでもずっと述べてきたところです。教育訓練給付の効果について疑問を抱かざるを得ない点があることは事実だと思っております。

 したがって学び直しの支援を行うことについて、現行の教育訓練給付との位置付けの違いを明確にすべきであると考えます。その上で学び直しの支援の対象者、助成の範囲・水準、支給要件、財源等をどう考えるのかという論点についても今後、整理が必要であると思っております。

3 つ目の学び直しの対象ですが、雇用保険の被保険者である在職者に加え、学び直しを行う離職者・離職求職者等も対象として考えられると思っております。その場合、離職後から学び直しを終了するまで求職者が安心して学ぶことができるよう、生活支援という観点からの給付を行うことも今後検討すべきだと考えます。以上です。

○岩村部会長 何か今の亀崎委員の御発言について事務局からございますか。雇用保険課長お願いします。

○吉永雇用保険課長 論点について御指摘の点を踏まえて修正という形になるかと思います。 1 点だけ申し上げると「教育訓練給付の効果を踏まえつつ」という点で、教育訓練給付については様々な問題点が指摘され、これまで制度改正を重ねてきたという状況もあります。成果としていろいろな形で御発言いただいた面もあり、いろいろな課題もあり、それを直してきたこともあります。逆にいうとその効果というのは必ずしも成果と書いてありません。そういう問題点が起きないようにという意味も込めた書きぶりになっていることを御理解いただければと考えております。

○岩村部会長 亀崎委員よろしいでしょうか。ほかにいかがですか。

○山本委員 私のほうからも 4 つの切り口から意見を述べさせていただきたいと思います。まず、適切な給付認定の在り方の視点からですが、今回、学び直しの支援を新たに設定するということですが、 2 ページの最初の○にあるとおり受講者の本人によるキャリアアッププラン、こういったものの作成あるいはハローワークにおけるキャリア・コンサルティング等の実施を支給要件することが、やはり現行の教育訓練給付との違いを明確にするという意味でも重要であると思っております。

 また財源の在り方の視点からですが、学び直しの支援に当てる財源をどうしていくか。例えば労使折半の雇用保険料から充てるのか、雇用保険二事業から充てていくのか、あるいは国庫から充てるのかという財源の論点があり、また財源の規模によっても制度の内容が変わってくると思われますので、今後、学び直し支援の受講者モデルを明示をして、しっかり認識を合わせていくことが必要ではないかと思います。

 次に学び直しのメニューについての意見です。学び直しの実効性を高めていくという中で、真に本人のキャリアアップにつなげるために学び直しの受け皿となる教育機関、プログラムとして何が必要か、またそれをどのように整備していくのかという点も非常に重要であると思います。その際に文部科学省との連携強化なども非常に重要になってくると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 最後に給付水準という切り口で、繰り返しの部分で恐縮ですが、基本手当の給付水準の改善が今回の雇用保険制度の見直しの第一義と思っております。学び直し支援の給付の水準は、基本手当の改善状況を踏まえつつ検討を行っていただきたいと思います。以上 4 点意見として述べさせていただきました。

○岩村部会長 御意見ということですが、事務局のほうで何か今の点についてございますか。

○高島雇用保険課長補佐 御質問、御意見を頂いたキャリア・コンサルティングの部分、受講者モデル部分、学び直しのメニュー、給付内容、そういったものについてこの後の部会で、また学び直しの支援措置の具体像、たたき台といったものを準備させていただきたいと考えておりますので、その中で御意見を頂ければ非常にありがたいです。

○岩村部会長 能力開発のほうで、今のところ何か御意見はありますか。

○青山職業能力開発局能力開発課企画官 今いただいた意見も踏まえまして、職業能力開発分科会でも十分に議論して、また報告をさせていただきたいと思っております。

○岩村部会長 ほかにいかがですか。

○青山委員 学び直しの目的については、資料に記載があるとおり、グローバル化、少子高齢化という大きな国家目標に対応することで、それは当然そうかと思っております。

 一方で、先ほどより議論・意見を頂いているように、学び直しとはどういうような施策で、どう担っていくのかが非常にポイントになってくるかと思います。雇用保険で一体何を担うのか、そういうことはやはりしっかり他の分科会との議論の整理をしていただくことが当然であると思います。

 また、雇用保険は保険制度であり、保険の目的から考えて、雇用保険で担うべきところは、まずは雇用保険の加入者であるということを第一に考えていくべきではないかと思います。ぜひ、このような視点からも考えていただきたいと思っております。以上です。

○岩村部会長 事務局のほうはよろしいですか。ほかにはいかがですか。

○阿部委員 ここで話すべきか冒頭で話すべきなのか、あるいは次のところで話すべきなのか迷いましたが、学び直しの支援措置は、多分、学び直しの支援をすることによって失業をできるだけ短かくする、あるいは失業しなくても雇用が安定するとかそういう機能があると思います。今、労働市場の中で流動性の高い人たちも、特に非正規雇用の人たちが高まっていますし、今後、多分、産業構造の変化も起こる可能性も高くなっていると思います。そういうときに、失業手当、基本手当を充実させることが望ましいのか、事前に学び直しや求職者支援制度を活用して、失業を経ずとも上手く雇用の安定を図るような労働移動みたいなものを考えていくかは、基本的に議論しておくべき問題かもしれません。

 どちらが大事なのか、なかなかこれは難しいと思います。時代とともに変わってきます。労働者の性質というか雇用の在り方によっても変わってきますので、その辺も少し見つつ冷静に議論をしたほうがよいのではないかと今、議論を聞いていて思いました。

○岩村部会長 全体に関わる御意見だと思います。そういう視点も持ちつ有意義な議論がこの学び直しの支援措置、あるいは基本手当の給付水準の問題についてできればと思いますので、よろしくお願いします。学び直しの支援措置について、ほかになければこれでよろしいですか。

 次に資料 2 3 番目、基本手当の水準についてです。既に先ほど全体の枠組みの中で、労側のほうからも御意見が出ましたが、改めても含めて御意見、御質問がありましたらお願いします。

○亀崎委員 ここでの論点は基本手当の水準ですが、水準だけではなく、全ての雇用労働者のいわゆるセーフティネットとしての雇用保険の機能充実・強化といった観点で、今の現行制度で問題はないのかといった意味で、改めてもう一度その点を問い直して考えていく必要があるのではないかと考えております。具体的には、働き方が今日、多様化してきている中で、基本手当を受けるにあたっての前提となる被保険者の要件について、例えば現行 1 週間の所定労働時間が 20 時間以上となっておりますが、被保険者要件はこのままでよいのかといった点。

2 つ目に、基本手当の受給資格要件は現在、特定受給資格者と特定受給資格者以外で異なる扱いになっているかと思っておりますが、これも本当にこれでよいのかどうなのかといった点も含め、今後考えていく必要があるのではないかと思っております。要は基本手当を受けるに当たり、入口についての要件である被保険者の範囲とか、あるいは受給資格要件についても論点として挙げるべきだと指摘しておきたいと思います。

 また基本手当の水準では所定給付日数、賃金日額、給付率等が主な論点となると考えますが、真に手を差し伸べるべきものに対するセーフティネットを充実させるという観点からすると、例えば家族を扶養しながら求職活動を行う者に対して給付を加算するような仕組みも今後検討してはどうかと考えます。したがってこの件についても論点に掲げて検討いただくよう意見として申し上げておきたいと思います。以上です。

○遠藤委員 冒頭から指摘されておりますように、ただでさえ議論が広範に渡っている中で、いまテーマに掲げられていない被保険者の範囲をどうするのか、あるいは受給資格要件をどうするのかといった議論を仮にのせていこうということであるのならば、到底年末までの取りまとめなどは想定できない話になってくるかと思います。

 繰り返しになりますが、今日の制度というのは求職者支援制度が導入され、あるいは所定給付日数の中で再就職できなかった場合についても、個別延長給付があります。現行の枠組みをどのようにサポートしていくかという視点で全体像が書かれているのであり、そういった中での論点を、まずは年末までに片付けましょうという議論が私は進んでいると思います。新しい論点の議論を将来的にも蓋をするつもりはありませんが、この年末までの論点の中に入れていくことについては、慎重であるべきだと申し上げたいと思います。

○新谷委員 今、遠藤委員のおっしゃったことはよく分かりますが、私どもとしては雇用保険の積立金の残高は、平成 12 年、 15 年の法改正による給付の削減によってもたらされた構造的な問題であると考えております。

 今回の雇用保険制度の在り方議論において、学び直しという大きな支出項目がここに出てきたわけで、先ほど阿部委員がおっしゃっていたように、これはバランスをどう取るかだと思います。結局今回の改正論議の蓋が閉まってみたら本来あるべき基本手当の改善が進まずに、別のところに巨額の支出項目ができて、それで収支のバランスが取れてよかったということにはならないと思いますので、確かに今、新しい検討項目も提起申し上げましたが、やはり本来あるべき雇用保険の基本的な機能をどうするかという論議を中心的にさせていただきたいのが私どもの意見です。以上です。

○岩村部会長 今、新しい論点も入れるべきではないかという御意見もありましたが、他方でそれを入れて年末までにまとめるのは難しいのではないかという御指摘もありました。その点については、私と事務局とでどうするかを考えさせていただければと思います。ほかに基本手当についてはいかがでしょうか、よろしいでしょうか。

 次に 4 番目の育児休業給付についてです。

○古川委員 育児休業給付についての論点で、給付率の引上げの設定の在り方と給付期間が挙がっていますが、もう 1 つの論点として引上げ財源の在り方があるのではないかと思います。育児休業給付の給付率の引上げが少子化対策や仕事と子育ての両立支援に資するという考え方には異論はありませんが、少子化対策や就業人口の維持という政策目的は、これは国の政策そのものであるので、本来これは国費で賄うべきものだと思います。

 昨年成立した社会保障と税の一体改革の関連法によって、消費増税で得られる財源のうち 7,000 億円を子ども・子育てに充当するとされておりますが、育児休業給付の給付率を引き上げるにしてもその財源を活用するなどして、引上げは全額国庫負担とするのが筋ではないのかと考えております。以上です。

○岩村部会長 事務局何かございますか。いずれにせよ、財源の問題は考えなしにはできない話であることは間違いないです。

○吉永雇用保険課長 もともと育児休業給付が導入された段階で、給付率も低いという状況の中で、育児休業制度あるいはそれを支える育児休業給付がなければ失業してしまうことを前提として制度設計がなされたという経緯がございます。そういう意味で、まさに失業の予防のための給付として始まったわけです。その後、少子化対策という形で累次拡充をしてきております。その中で 50 %という給付率までになったということです。非常に急速に少子化が進んでいる中で、これをどういう形で考えていくのか。少子化は短期的には労働市場とは関係はないわけです。長期的に見て当然、今後の労働力人口等に関わる重大事項で、国家を挙げて対応すべき問題としてこれまで対応をしてきました。

 これまでは一般の基本手当の給付率を下回る水準という形でやってきておりますが、それが現在、基本手当の給付率の一番下のところまで来てしまったという状況の中で、これを拡充する中で、御指摘のように財源の議論というのも出てくるのかと思っております。いずれにしても財源の議論ということを併せ給付の在り方というものも御議論いただきながら、全体として必要な対策を講じていく形で議論を進めていただければありがたいと考えております。

○岩村部会長 論点で財源の話をすれば、育児休業給付のところだけを取ったときに、給付率の設定を財政中立でやるかプラスアルファーを付けて上げるか、そういう論点の立て方になるのかと思います。

○青山委員 今お話があったことは、非常に重要な点だと認識しております。育児休業給付を雇用保険で扱うにあたっては、職務の復帰をとにかく最重点として始まったものと認識しています。給付率を拡大し、様々な要件を緩和していくとすると、育児休業給付というものを、少子化対策の中でどのように位置付けていくのか、という問題を整理する必要があると思います。

先ほどより、財源の問題が出ておりますが、育児休業給付の位置付けを整理することは、結果としてそういうところに帰結するだろうと思っております。育児休業給付について、少子化対策という観点から踏み込むのであれば、やはり国庫負担を当然視野に入れるべきではないかと私どもは思っております。

○新谷委員 今、青山委員から力強い御発言があり、全く私どもと同じ御意見だと拝聴いたしておりました。もう 1 点私のほうから、ここの保険料の負担と給付を受ける者との関係で注意が必要な点があるかと思います。それは非正規の方々への目配りだと思います。雇用保険の被保険者には非正規の方もおり、雇用保険料を払っていただいておりますが、育児休業給付の取得の実態を見たときに、やはり非正規の方が、特に有期雇用の方々や、派遣労働者の方々が取得できていないという実態が私どもの労働相談に数多く来ており、今後、給付率の引上げの検討と共に、非正規の方々が保険料を払った対価としての給付をきちんと受けられる体制をいかに作っていくかということも目配りの論点としていくべきではないかと思います。以上です。

○岩村部会長 ほかにございますか、よろしいでしょうか。経緯は育児休業から復帰するときに支払ってきた給付を本体に繰り込んでしまったときに、やはり給付の性格が若干変わったというところは否定はできないのかと思います。ただ他方で、育児休業給付があることにより、育児に伴って会社を辞めなくてはいけないということが防止できているという側面もあり、そういう点で失業の予防という観点とのつながりは依然としてあるのかと思うところで、その辺のバランスを取りつつ給付の水準、あるいは財源をどう考えるかだと思います。またこれについて御議論いただくときにいろいろ御意見を頂戴できればと思います。よろしいですか。

  次に「その他」です。主として高齢者の問題、マルチジョブホルダーを上げております。ここの部分についていかがですか。

○遠藤委員  2 つ目の高年齢雇用継続給付に関して、1つ目の 65 歳以上の者への対応の部分と比べると書きぶりが異なり、前者は中長期的観点から議論していくことになっているのに対し、後者はもう少し踏み込んだ形で書かれているかと思います。

 何度か御意見がありましたが、本給付そのものを当分、維持、存置していくことについての約束が取れることでしたら、その余のことは、中長期的観点から議論していくという整理でよろしいかと思っております。以上です。

○新谷委員 今、遠藤委員から高年齢雇用継続給付を存置させるべきだという御意見があったかと思いますが、私どもとしてもやはり現行制度について、現行の制度のまま存置していただきたいと思いますので、意見として申し上げておきたいと思います。以上です。

○岩村部会長 今、労使それぞれから御意見がありましたが、現時点で何か事務局のほうでございますか、よろしいですか。その他、何かございますか。

○遠藤委員 求職者支援制度についてですか。

○岩村部会長 それは次です。

○遠藤委員 財政運営の論点に行ってからのほうがよろしいのかもしれませんが、前回使側の一致した意見として、保険料率の引下げについても是非、論点に掲げてくださいと申し上げております。今回の論点 ( ) には掲げられていませんが、改めて保険料率の引下げについて議論いたしたく思っておりますので、論点に含めていただくようお願いさせていただきたいです。

○岩村部会長 では事務局お願いします。

○吉永雇用保険課長 次回以降、論点を整理する際に今の御指摘の議論を踏まえて加筆させていただきたいと考えます。

○岩村部会長 それではその他についてはよろしいですか、次に 6 番目の求職者支援制度についてです。ここについての御意見、御質問がありましたらお願いします。大体これについて、ここで挙がっているような論点でよろしいですか。

 資料 1 4 ページ目で財政運営についてになります。今ほど使側からは保険料率の引下げという論点の追加という話も出ましたが、ほかにこの財政運営についてございますか。

○古川委員 財政運営についての書きぶりですが、この中で「失業には雇用政策を行う国に一定の責任があることから本来の負担割合に戻すべきという意見がある」となっております。これはあたかもほかに意見があったような書きぶりになっているのではないかと思います。国庫負担の本則戻しについては、これは労使が一致してこれまで主張してきている意見で、過去のこの部会の報告書にも明記されている内容だと思います。ほかに意見があったかが疑問です。

 論点記載の「一方で」の後のところで、財務省の財政審の報告書が引用されておりますが、財政審の報告を受けて「意見がある」という記載にしているのであれば、これは全く私たちは受け入れられるものではないので訂正すべきであると思います。これまでの労政審の意見と財政審の意見を同列に並べて、これを踏まえどのように考えるかという、この厚労省のスタンスには大きな疑問を抱かざるを得ません。

 これまでも申し上げておりますが、被保険者の失業時の生活の安定を図ることは、これは国の責務であり、国庫負担は当然の道理ではないかと思います。費用負担の在り方をはじめ雇用保険に関する議論は、公労使の代表が参画しているこの労政審の場で行うべきで、労政審でまとめられた意見が尊重され実行されるべきだと考えております。国庫負担の引下げについては、これはもう論点にならないことを申し上げておきたいと思います。

○岩村部会長 今の点について何かございますか。

○小林委員 今の古川委員と同感です。当然ながらこの失業の問題、雇用対策は、労使だけの問題ではなく、国の経済政策にも影響されるわけで、以前から申し上げているように国の責任がある、国庫の負担を引き下げることについては従来の雇用保険部会、労政審の中でも言い続けている。論点にならないとまでは言いませんが書きぶりを直すべきかと思います。

○岩村部会長 事務局何かございますか。

○吉永雇用保険課長 御指摘を踏まえ、書きぶりについて、加筆・修正し、御相談させていただきたいと思います。

○新谷委員 加筆・修正されるときに、財政審のものを引用するかどうかも含めた検討をお願いします。財政審の記載がここに一部抜かれていますが、「納税者負担で勘定の収入の一部を支えている」と書いてあります。財政審が書いているので事務局は引っ張ってきただけなのでしょうが、御承知のとおり、我が国の就業者の数 6,200 万人のうち雇用保険の被保険者の数は、 3,900 万人もいるわけです。実は国民の階層的には一番大きな階層が、この労働者であり、雇用保険の被保険者になっているわけです。この階層が源泉徴収で 100 %納税している納税者でありますので、これは納税者と負担の関係からいっても全然齟齬はないと私は思っていますので、財政審の書きぶりはこうなっているので引用されたのでしょうが、非常に違和感のあるところだけ引っ張ってきたなという感想を申し上げておきたいと思います。以上です。

○岩村部会長 以上で資料 1 について一通り御意見等を伺ったことになりますが、最後にもう一度振り返って是非言っておきたいことがありましたら、よろしいですか。

 次に資料 3 、雇用保険の財政運営関係資料が提出されておりますので、これについて事務局のほうから説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高島雇用保険課長補佐 資料 3 について御説明いたします。雇用保険の財政運営関係資料です。現在のタイミングですが、先月末に平成 26 年度の概算要求がまとまりました。また平成 24 年度については決算の内容がまとまり、これまでの部会の最初の時点で財政状況は御説明させていただいておりますが、その 2 点について、時点の更新がありましたので状況報告をさせていただければというものです。

 資料 3 1 ページ目ですが、失業等給付の関係収支です。平成 24 年度について決算がまとまり、収入についてそこまで大きな変更はなく、支出については 24 年度予算では 21,000 億円程度の支出であろうと見込んでおり、決算については 17,460 億円となっています。これまでも御説明させていただいていますとおり、雇用保険の失業等給付については予算の段階である程度、いざというとき、雇用失業情勢が中途で悪化した場合などに必要な支出が行えなくなってしまうと問題になりますので、一定の幅を見込んだ形で予算を整理させていただいておりますが、平成 24 年の状況から結果的にこのような支出の状況に落ち着いたところです。支出の内訳として失業等給付費と就職支援法事業、求職者支援制度に関する給付、それらの支出についてもこのような決算の数字になっています。

 トータルの差引剰余として、 168 億円、収支トントンから少し足されたぐらいの黒字となっており、積立金の残高については 59,257 億円となっています。こちらを基にして、平成 25 年度の予算や平成 26 年度の概算要求の数字を調整してこのような形になっております。

 平成 26 年度の概算要求については、収入 18,147 億円、支出 20,347 億円の要求をさせていただいていますが、もちろんこれから雇用保険制度の見直しに向けて御議論をお願いしているところですので、それらを踏まえた上で今後、こちらについては調整がなされるものです。

2 ページは雇用保険二事業の関係収支状況です。こちらも同じように平成 25 年度の予算案がまとまり、また概算要求案がまとまり、また 24 年度については決算が出ております。 24 年度の決算については、支出は予算上 6,794 億円と見込んでいたものが 5,030 億円となっております。見込みよりも 1,700 億円程度ぐらい落ちた形になっていますけれども、こちらの一番の大きな要因は雇用調整助成金の支出が当初見込んでいたほどの支出にはなっていなかったというものです。その結果、差引剰余については、収入を支出が下回る形、収入が上回る形になりましたので、剰余が出ている形になっています。

 こちらの 24 年度決算の所の 863 の差引剰余の下に▲ 370 とあります。左側に「 ( 積立金へ返還 ) 」となっていますが、こちらは先ほど御説明いたしましたとおり、平成 22 年の雇用保険法の改正により、雇用保険二事業の費用に当てるために失業等給付の積立金から借入れを行う特例措置が講じられました。そちらに基づいて平成 22 年度において、 370 億円の借入れを行っていましたが、今回、平成 24 年度決算において黒字となりましたので、その部分について返済が行われた形になっています。

 平成 26 年の概算要求は、収入 5,934 億円、支出 5,382 億円となっております。

 続いて 3 4 ページは失業等給付と雇用保険二事業について、 24 年度決算がまとまりましたので、弾力条項についてこれまでと同じように計算をさせていただいています。弾力条項とは既に皆様御存じのとおり、雇用保険の失業等給付や雇用保険二事業は雇用失業情勢などによって大きく支出なども変動するものですので、そのときどきの財政状況を踏まえ、一定の幅で保険料率を上げ下げできる、そういうシステムになっています。そちらのシステムを発動するかしないかの基準になっているものがこちらの弾力条項の算定式の部分です。こちらはその算定式が 2 を越えると保険料率は引下げ可能という形になっており、引下げ幅は失業等給付で言えば 10/1000 まで引き下げることが可能になっています。現在、平成 25 年度の保険料率自体もこの弾力条項を用いて 10/1000 まで引き下げた形になっています。来年度の料率を議論するに当たって、また今後御議論をお願いすることになると思いますが、現行の制度に基づいて計算をしますと、弾力条項の弾力の指数については 3.70 となっていますので、こちらの弾力条項を用いて引き続き保険料率については 10/1000 まで引き下げることが可能になっているというものです。

 雇用保険二事業についても、同じように一定の計算式に基づいて計算をしていますが、弾力の指数が 0.86 ということで、上の計算に載せていますとおり、雇用保険二事業については 1.5 を越える場合に 3/1000 まで引き下げることができることになっていますが、その条項の発動はできない形になっています。

4 ページ目は関係条文ですので説明は省略させていただきます。

5 6 ページは参考指標ですが、 26 年度の概算要求までまとまっていますが、もう少し古い 20 年ぐらい前までのもので、遡って数字の推移を整理したものです。 6 ページはそれを更に長い幅で図示したものです。

7 ページも参考ですが、前回の部会の際に、雇用保険積立金について試みに、ソルベンシー・マージンの比率の試算をさせていただきました。前回、平成 23 年度の決算を基に計算をしましたが、今回平成 24 年度の決算がまとまりましたので、それに基づいて計算をしているもので、 283.8 %となっていますが、前回、 23 年度決算と 24 年度決算で失業等給付の積立金の額が大きく変動しているわけではありませんので、ここの比率についても大きな変動はしておりません。こちらは参考としてお示しをさせていただきます。資料 3 の説明については以上になります。

○岩村部会長 ただいまの資料 3 、それからその説明について、御意見、御質問がありましたらお願いします。

○新谷委員 ただいま、収支の状況の御報告をいただきました。失業等給付の予算と決算の状況ですけれども、予算ベースでは 3,300 億円の赤字の予算に対して、決算では差引剰余で 168 億の黒字で終わったということでした。この件は雇用保険部会で再々申し上げておりますし、また雇用保険課長から昨年 12 月にも御答弁いただいて、議事録もここにあるわけですが、 24 年度の年度見通しとして、実は昨年 12 月の中間に近い時点で赤字額は 1,700 億なり 1,800 億円程度になるという見通しであるということ、積立金の残高についてもそれに伴って緩やかに減少するという御答弁をいただいたわけです。結局収支はプラスの決算となったわけですが、昨年の 12 月段階からだけ見てもやはり 2,000 億円からのギャップが出ているわけです。見通しがこんなに大きく食い違っている理由、昨年の 12 月の答弁と今回の決算の結果がこんなに食い違った原因について、説明をいただきたいと思います。

○岩村部会長 雇用保険課長、お願いします。

○吉永雇用保険課長 雇用保険の予算と決算についてこれまでも度々御質問いただいてきたところであります。昨年の 12 月に新谷委員から御指摘いただいた形で御回答させていただいております。この際、失業等給付費を中心に計算をしていましたけれども、 12 月の段階で 16,000 億円程度の見込みの失業等給付でしたが、それについては大体その見通しどおりの決算になっています。それ以外の要素として、求職者支援法の実績とか、あるいは予備費を 750 億円ほど積んでいますが、これに手を着けなかったということがありましたので、結果として今回のような形になったところです。いずれにしましても今後とも予算と決算については余り乖離しない形で要求するような形で進めていきたいと考えています。

○新谷委員 民間事業会社ですとこういう赤字の見込みが黒字になったら、よかったねとなりますけれども、雇用保険のような公的な社会保障の仕組みは必要な給付を必要な保険料で賄うという消費会計だと思いますので、毎年こんなにギャップが出ることに対しては、いかがなものかという印象を持ちます。もちろん安全サイドで堅め堅めの予算を立てられることについては一定の理解をするところではありますけれども、今回は予算と決算のプラスマイナスでいくと 3,500 億円、収入に対しては約 20 %の相違が出ているわけです。ちなみに、過去実績を追い掛けてみますと、 23 年度がプラスマイナスの相違が 7,700 億円。 22 年度が 9,400 億円、 21 年度は 6,000 億円の相違が出ているわけです。要するに予算と決算の数字がこんなに違う状況になっているわけです。これが今日 59,000 億円もの残高が積み上がっている構造的な原因の 1 つだと私は思うのです。

 収支の見通しがこんなにぶれてしまうと保険料の問題とか、私どもが申し上げている給付の問題にも関わってきますので、この構造を直さない限り、今後、雇用保険制度の見直しの中で収支を検討するにあたっても、毎年の運営でこんなにギャップがたまっていくと正しい予測ができないという懸念をもっております。

 そういった意味で、 25 年度予算と 26 年度の予算の概算要求でそれぞれ 2,000 億円の赤字の見通しをまたお立てになっているわけですけれども、今日の雇用情勢を見たときに、どういう前提でこの赤字を見通しているのか、失業率が今 3.8 %まで下がってきた中で、今の状況の中で赤字を 2 年続けて出すという、堅め堅めは分かりますけれども、こういうことを続けていくとまた残高が増えてしまって、また近い将来対応に迫られることになりかねないのではないかと思いますので、その辺の考え方があれば教えていただきたいと思います。

○岩村部会長 雇用保険課長、お願いします。

○吉永雇用保険課長 失業等給付費については特に経済状況の変化に応じて大きく変動することもあって、最終的には積立金という形にはなるわけですけれども、多少、新谷委員の御指摘のとおり、堅め堅めの形で予算を積んでいるのは事実です。基本的には実際の受給者数の伸びを勘案しながら決定しているわけですが、それを少し堅めの水準で予算立てをすることと、更に予備費を積むような形になっていますので、予備費は使わなければそのまま戻ってくるということで、そもそも返ってくることは想定されているというようなものです。

 一方、先ほど申しましたとおり、失業等給付以外のところについてはまだその制度が発足間もなく、安定していないような状況もありますので、ちょっと収支の見通しがつかないという中で、変動要因になっているところがあります。いずれにしましても予算と決算の乖離が著しいことはあまりいい状況ではないと思っておりますので、中期保険、短期保険としての性格を踏まえながら可能な限り精緻な推計ができればと思っているところです。

○岩村部会長 ほかにいかがでしょうか。これについてはよろしいでしょうか。

 それでは、資料 4 の求職者支援制度関係の資料に移ります。まずこの資料 4 について、事務局から説明をよろしくお願いいたします。

○佐々木派遣・有期労働対策部企画課求職者支援室長 資料 4 を御覧ください。前回の 7 30 日の雇用保険部会で求職者支援制度について説明させていただきまして、いくつか宿題をいただいた事項があります。その中で、本日は 2 点ほど整理しましたので、御説明させていただきます。

前回の御議論の際に就職をどのように把握しているのかというようなお話があったかと思います。 1 ページで整理させていただきましたが、訓練を受けられた方が実際にどのように就職状況を報告するのかを簡単な図で表わしています。訓練を受講されて、終了した後 3 か月以内の就職状況の報告を訓練実施機関に、それから就職が決定した場合には、ハローワークに対してそれぞれ御報告をいただく形になっています。注書きを下に書いていますが、報告する内容としては、本人が御認識している就職の有無や雇用形態、雇用期間の各項目について書いていただく形になるのですが、実際の様式は 2 ページにお付けしています。左側の様式が就職状況報告書で、こちらが訓練機関に対して出していただくものになります。右側がハローワークに対して出していただくものです。実際に就職の状況に関して、下半分からになりますが、就職した、あるいは内定したのか、自営を始めたのか、未就職なのか、こういったものを書いていただくとともに、就職の経路や、実際に就職された事業所名といったものも記載していただく形になっています。

 前回御議論があった雇用形態、雇用期間に関しては更に下の枠になります。雇用形態として、正社員、パート、アルバイト、派遣といったものを具体的に選んでいただきます。「その他」がありますが、例えば契約社員などになられた方がここの「その他」を選ばれていることが多いかと思います。雇用期間に関しては下から 2 つ目の箱になります。○を付けるようになっていまして、雇用期間の定めが「なし・あり」どちらかを選んでいただき、「あり」の方に関しては脇のほうに具体的な年月日を記載していただくようになっています。それから、訓練との関わりということで、関連就職として、訓練の内容に関連した業種あるいは職種への就職なのかどうかを選んでいただく形になっています。ハローワークに対しての報告もおおむね同じような形になっていますので後ほど御覧いただければと思います。

3 ページは就職者の雇用形態、雇用期間についてグラフに整理させていただきました。御議論の中で就職された方の雇用期間の定めがどうなっているのかについて、全体の数字で、期間の定めのない方が大体 6 割、 7 割ぐらいいらっしゃる中で、一方で雇用形態を見ると、正社員が 2 割、 3 割に留まっていて、パート、アルバイトが割合として高めだという御指摘があったかと思います。そこで、同じデータの中でそれぞれパート、アルバイト、派遣について精査させていただいたものになります。パート、アルバイトに関しては、期間の定めのなしを選ばれている方、こちらは先ほどの様式に基づいて取りまとめたものになりますので、御本人の認識している内容でということですが、期間の定めがないと選ばれている方がパート、アルバイトそれぞれの 7 割程度となっています。派遣に関しては、逆に期間の定めありと選ばれているのが 7 割ぐらいになっています。

 参考で下のほうに総務省の就業構造基本調査からの引用ですが、パート、アルバイト、派遣それぞれについて、期間の定めのある・なしを聞いている調査がありましたので載せております。パート、アルバイトに関しては期間の定めがない方がそれぞれ 38 %、 35 %で、派遣が 15 %となっています。この就業構造基本調査に関しては選択肢として「分からない」というものもありますので、「分からない」としてパート、アルバイトの方でそれぞれ 14 %、 29 %という状況になっています。

4 ページ目からは、前回の御議論の中で受講者の典型的な例としてはどのようなものなのかという御質問がありましたので、典型例というところまで描けたかというのはあるのですが、 JILPT にお願いしていた調査を活用し、試みで再集計させていただいたものです。男性、女性それぞれ生計の主な担い手なのか、主な担い手ではない方なのかを分けて、それぞれに応じて年代がどうなっているか、あるいは家族形態がどうなっているのか、こういったものを集計しております。全体の年代としては 20 代、 30 代の受講されている方が多いのですが、特に男性で主な担い手ではないと答えられた方のうち、 7 割ぐらいが 20 代、 30 代で、ほかと比べて少し高い割合になっています。

5 ページは家族形態とクロスで集計したものですが、男性で生計の主な担い手である方は、配偶者がいらっしゃらない、子供がいらっしゃらない、独身者になろうかと思いますが、そういう方の割合が高くなっています。女性で生計の主な担い手である方では、ほかと比べて配偶者なし、子供ありという方の割合が高くなっているという状況です。

6 ページが収入と比べてみたものですが、本人収入に関していずれも 100 万円以下の割合が高くなっていますが、男女ともに生計の主な担い手の方が 100 300 万円、 300 万円以上の割合が高くなっています。

7 ページは直近の働き方です。これはいずれも非正社員と回答された方が割合として非常に高くなっていますし、男性に比べると、女性のほうが非正社員と回答された方の割合が高くなっています。

8 ページの求職期間については、いずれも 6 か月未満の割合が最も高いのですが、 1 年以上と答えられた方は 40 代、 50 代のところで高くなっています。

9 ページ目以降は、回答された方がこれから受けられる予定の訓練コース別に集計してみたものです。主な訓練コースということで、基礎、 IT 、営業・販売・事務、こういったものをまとめています。その他は、下の注釈に、建設、電気、機械、いろいろ書いていますが、こういったものが含まれています。こちらについても御議論の際に御参照いただければと思い作ってみましたので、議論の中で御覧いただければと思っております。説明は以上です。

○岩村部会長 ただいま御説明いただきました資料 4 について、御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。

 基礎的なことですが、男女比というか、男女の人数が、ちょっと今見ていたら見当たらなかったのですが、これは分かりますでしょうか。具体的にはこの JILPT の調査です。これで男女で集計していただいているのですが、やはりパーセンテージで出てしまうと分からなくなるので、人数が、母数がどのくらいそれぞれなのか分かりますか。

○佐々木派遣・有期労働対策部企画課求職者支援室長  JILPT の調査の男女別ですが、男性が 33.5 %、女性が 66.3 %になっています。

○岩村部会長 ありがとうございます。皆様いかがでしょうか。

○山本委員 前回も議論を大分したところだと思うのですが、今回資料の 3 ページの所で、特にアルバイトですが、期間の定めなしの人が 68.4 %と約 7 割近くに上っていますが、その右下の参考の就業構造基本調査では、アルバイトの期間の定めなしとした回答の方が 35.7 %となっています。これは回答に「分からない」という選択肢がないが故ということだと理解しますが、そういった中で分からなくて期間の定めなしを選択した可能性が非常に高いのではないかと思っています。そうするとこういう統計数字を見ながらいろいろな政策判断などをしていくことを考えた場合には、この数字自体が疑わしいということになれば、求職者支援制度の政策評価の根幹を揺るがしかねない事態ではないかと思います。

 また、そういう視点で見た場合には、過去に訓練終了後 3 か月以内の就職率が 7 割を超えているデータも以前の当部会の資料で出されていますけれども、アルバイトとして 1 週間とか 2 週間とか短期間就職した場合もカウントされているということであれば、その就職率自体も単純に評価することはできない可能性があるという疑義が出てくると思います。訓練終了者の就職後の雇用の期間、形態などを正確に把握するということをしっかりとやっていかなければいけないと思います。そういった意味ではこの調査の方法の検証と改善等が必要と思われますけれども、そういうことに関してどういう見解をおもちなのか、厚労省にお伺いしたいと思っています。

○岩村部会長 同じ感じですか、別の観点ですか。

○野川委員 今の山本委員の御意見に少しだけ付け加えます。 3 ページの表、グラフは私の前回の質問にお答えくださった内容ですが、今、山本委員も御指摘くださいましたように、右下の総務省の資料と、今回のアンケートによる資料とのギャップが非常に大きいということで、この 2 ページの右側の「就職決定届出書」、この右下の雇用期間についての質問が、○を付けてくださいとあって、雇用期間の定めが「なし・あり」とあって、「あり」の横に「平成 日~平成 日」とあります。この聞き方ですと、例えば更新ありますよと言われた場合には、これは雇用期間なしと答えるのですね。つまり何年何月で終わりますよと言われていない以上は、あなたは 1 か月で更新していきますと言われただけでは、雇用期間なしと受け止めてしまう。なので、ここはせめて注を付けるのと、それから更新があるというのは期間の定めがあるということだという認識ができるように聞くと大分変わってくるのではないかと思います。山本委員が最後におっしゃったようにここの結果がいろいろ波及しますので、正確な実態に合った結果が見て取れるような工夫をしていただきたいと思います。

○岩村部会長 今のに関連してほかにありますでしょうか。

○遠藤委員 求職者支援制度の中には、受講されている方は月に 1 度ハローワークを訪問する仕組みがあるかと思うのですが、ハローワークを訪問する際に、どこかのタイミングでいずれアンケートについてお答えいただくことをお話して、そこで、例えばそのポイントについての御説明を少しの時間でもできるのではないかと思います。可能なのかどうかをお尋ねさせてください。

○岩村部会長 それでは、事務局のほうでまとめてお答えをお願いします。

○佐々木派遣・有期労働対策部企画課求職者支援室長 今、遠藤委員がおっしゃられたハローワークで説明するということに関しては、利用されている方は月に 1 度、それから訓練を終わられてからも 3 か月程度を目途に月に1度来所いただいていることもありますので、御説明することは可能かと思います。それだけではなくて、野川委員や山本委員からも御指摘がありましたように、多分、この様式について工夫しなければならない、見直さなければいけないところもあるかと思っておりますので、御意見、アドバイスを頂きながら受講生の方が適切に、正しく書けるような、正しく把握できるような、できるだけそういう形にもっていけるようにここは考えてみたいと思っています。

○岩村部会長 山本委員、野川委員、よろしいでしょうか。遠藤委員もよろしいでしょうか。あまり複雑にすると今度は答えるのが難しくなるので、そこのところをよく工夫していただいて、適切なデータが得られるような形にしていただければと思います。

○新谷委員 先ほど申し上げればよかったのですが、今、野川委員も御指摘された、 2 ページの報告書の書き方に関して、もし工夫ができればお願いしたいことがあります。これは書き方だけではなくて、定義とか、考え方の問題になろうかと思いますけれども、就職をしたという、真ん中に就職状況を聞く欄がありますけれども、就職をしたという定義が一体どのようなもので統一をされているのか。多分、この求職者支援制度だけではなくて、公共職業訓練の就職率を把握する際も同じ基準でやっているのかと思うのですが。 1 日でも 2 日でもアルバイトをすれば、就職をしたということになるのか。その就職の定義をどのように捉えてこれを書いてもらうのか、別途、マニュアルとか記載要領があるのかもしれませんけれども、その辺の考え方があれば教えていただきたいと思います。

○岩村部会長 事務局、お願いします。

○佐々木派遣・有期労働対策部企画課求職者支援室長 就職の定義に関して、この様式の例えば裏面に何か定義が書かれているということではありませんで、御本人が就職と報告されたものをもって、あるいは自営を始めたと報告されたものをもって就職としてカウントさせていただいている形になっています。

○岩村部会長 多分、定義をすること自体がなかなか難しくて、一般的に受け取られている就職というところで皆さんにお答えいただくしかないのかなというように思います。あとは先ほどの議論で、雇用形態といったところで、見て解析をするということぐらいかなという気がします。精密に統計を取ろうと思えばできるのですが、そうすると今度はまた逆に回答率が下がったりとか、余計に不正確になったりとかもありますので、なかなかこの種のもので取ろうというのは限界があるかという気はします。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、データの取り方については御意見もあったところですので、事務局のほうで工夫をいただいて、分かりやすい形でなるべくいいデータが取れるような、そういう書式にしていただいた上で、もちろんこれは切替えの時期とか、そういう問題もありますでしょうけれども、早めにやっていただければと思います。

 本日、用意しました議題は以上ですけれども、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。以上をもちまして、本日の部会を終了させていただきます。署名委員として本日は雇用主代表は小林委員に、労働者代表は新谷委員にそれぞれお願いをいたします。

 次回の日程は、事務局のほうで改めて各委員に御連絡をいただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。委員の皆様方、どうもお忙しい中、今日はありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

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