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2013年10月24日 第2回雇用政策研究会(議事録)

職業安定局雇用政策課

○日時

平成25年10月24日(木)16:00〜18:00


○場所

厚生労働省議室(9階)


○出席者

委員

樋口座長、阿部委員、神林委員、黒田委員、玄田委員、佐藤委員、清家委員、鶴委員、堀委員、宮本委員、両角委員

事務局

岡崎職業安定局長、宮野職業安定局次長、宮川職業安定局派遣・有期労働対策部長、藤澤労働政策担当参事官、尾形職業能力開発局総務課長、山田職業能力開発局能力開発課長、伊藤職業能力開発局能力評価課長、青山職業能力開発局能力開発課企画官、土田労働基準局総務課長、成田雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課長、本多職業安定局雇用政策課長、富田需給調整事業課長、溝口公共職業安定所運営企画室長、藤井職業安定局雇用政策課労働市場分析官、高橋職業安定局雇用政策課長補佐

○議事

○樋口座長 それでは、ただいまより第2回「雇用政策研究会」を開催いたします。

 お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日の議題でございますが、「人的資源の最大活用について」というテーマで御議論いただきたいと考えております。

 議論の進め方としまして、資料2−1関係の説明及び議論を前半1時間程度、資料2−2関係の説明及び議論を後半1時間程度で行いたいと考えております。

 それではまず、前半部分について事務局から説明をお願いいたします。

○高橋雇用政策課長補佐 それでは、前半部分について御説明をいたします。

 資料1「第2回雇用政策研究会論点(案)」をごらんください。

 本日は、人的資源の最大活用ということでございます。

 1つ目でございますが、「現在の労働力の配置は効率的か。配置された労働力は十分活用されているか」ということでございます。

 まず、挙げておりますのは、経済のグローバル化、IT化の進展などに伴って労働力に対するニーズはどのように変化しているか、例えば労働需要の二極化というようなこと、またミスマッチはどのような状況かということです。

 それから、労働需要が拡大している分野の労働条件は必ずしもよいとは言えないという中で、再配置を円滑に行うためには、雇用が拡大する産業分野の労働条件の改善が必要であるが、どのような取り組みが必要であろうかということでございます。

 大きな2つ目としては「内部労働市場と外部労働市場の役割はどうあるべきか。また、それぞれの課題と方向性はどのようなものか」ということです。

 まず最初に、内部労働市場での人材の育成・配置につきましては、労働者の適性、能力の情報把握でありますとか、技能の形成といったメリットがあるということが言われてきたわけでございますけれども、競争環境の変化や技術環境の変化という中で内部労働市場の役割は変わるのかという点でございます。

 次の点でございますが、限りある労働力をさらに活用するには外部労働市場の活性化というものが必要であると考えております。そのためには、外部労働市場の各機関がそれぞれの長所を生かしながら、市場全体でのマッチングというものを効率的に進める必要があると考えておりますが、民間人材ビジネスの育成や活用を含め、どのような取り組みや連携をしていくべきであるかということでございます。

 3点目のところですが、外部労働市場の活性化のためには、今、申し上げた需給調整機関によるマッチングだけではなくて、職業能力をはかる共通の物差しの整備や、それに基づく評価、さらには中途採用を活用するという企業の受け皿の形成といった全体を進めていく必要があるのではないかという点でございます。

 大きな3つ目として「人材の能力が十分に発揮されるために、雇用管理はどうあるべきか」という点です。

 こちらにつきましては、1点目、労働者の能力が最大限発揮されるため、あるいは経済の成長を牽引するような競争力のある事業活動を支えるためには、労働者のモチベーションや、労働者が内発的、主体的に仕事に取り組めるような雇用環境が重要ではないか、それについてどう考えるかということであります。

 もう一つは、働き方の多様化、労働者ニーズの多様化という中で、柔軟できめ細かな雇用管理を行っていく必要があるのではないか、そのために職場において労使が十分な意思疎通を図ることが必要ではないかという点でございます。

 4つ目の大きな論点といたしまして「労働集約分野の労働力確保などのために何が必要か」という点です。ここでは3つ、介護、建設、農業を挙げております。

 (1)の介護の分野につきましては、離職率が高いということがございます。それに対しまして、処遇改善、定着促進、キャリアパスの確立に向けてどのような取り組みが必要かということでございます。

 次に、介護需要が増大する一方、労働力人口が減少していく中で、人材確保とあわせて労働生産性の向上といったものを図る必要があるが、どのような対応が考えられるかという点です。

 次に、労働力の確保・定着を図るということから、業界としても自主的に介護分野のイメージアップや雇用管理の改善などに取り組むことが必要ではないかという点でございます。

 (2)が建設分野でございますが、建設分野につきましては、若年労働者の減少、高齢化の進展ということがございまして、人材の確保や技能承継の観点から若年労働者の確保が重要な課題と考えております。建設業の厳しい雇用環境というものが一方でありまして、そういったものの改善が必要だと思われるわけですが、雇用政策としてどのような取り組みが可能かという点でございます。

 次に、若年労働者に対しまして、建設業の仕事の内容やその魅力を訴えていく努力も必要ではないかという点でございます。

 次に、建設業における人手不足につきましては、重層下請構造といった産業構造上の問題も影響しているのではないか、関係省庁や業界による対応も必要があるのではないかという点でございます。

 (3)が農業分野に対する雇用対策でございます。農業分野につきましては、就業者の減少や高齢化が進んでおりまして、将来の担い手不足ということが言われております。今後、農業法人等において雇用が増加した場合、ハローワークによる就職支援のほか、強化する取り組みはあるか、また通年で雇用し、生活設計が可能な賃金支払いができる産業という形として育成していくことも必要ではないかという点でございます。

 以上の点までが前半で御議論いただきたい論点でございます。

 続きまして、資料2−1でございますけれども、こちらは今申し上げた論点に関係する資料でございます。引き続き、こちらのほうを説明いたします。

 まず、3ページでございますが、「成長と労働政策」ということで整理をさせていただいております。

 今回、成長のための労働政策ということで先生方に御議論いただくわけですけれども、その政策との関係を、いろんな要素はあるわけでございますが、簡潔に整理させていただいたものでございます。

 供給のところで労働というものが出てきます。労働投入量あるいは労働生産性という形を書いていきまして、その横に労働力率、失業率、人的資本の質といったような各要素がありまして、それに対して、一番右側にありますようなそれぞれの施策、対応といったものが入ってきます。右側にあります施策について今回の研究会でいろいろ御議論をいただいていると考えております。

 労働投入とか、そういった形が需要というところに影響してくるということで、それが所得のほうに影響し、消費という形で結びついて、そういった全体で成長ということに労働政策が寄与していく形になるというふうに整理をいたしました。

 4ページでございます。こちらのほうは、前回、神林委員から、若者、高齢者などどれぐらいいるのか、全体像をというお話もいただきましたので、全体を俯瞰するということで資料を御用意させていただいております。

15歳以上の人口を時系列で雇用形態別に見ております。現在の正規雇用者数は3,300万人程度ということで、1980年代半ばとおおむね同水準です。家族従業者、自営業者は、1984年から2012年で750万人減少しているという状況です。非正規の労働者は、1984年から2012年で604万人から1,813万人と、1,200万人増加しているという状況でございます。

 5ページがそれを男女別に分けてみたグラフでございます。特に女性におきまして非正規雇用の労働者が、赤いところになりますけれども、大きく増加しております。

 6ページは、平成24年の状況で、15歳以上の人口について年齢階層別にそれぞれ雇用形態で分けたというものでございます。2559歳層の男性が正規雇用の割合が高く、3564歳層の女性が非正規雇用の割合が高いという状況になっております。

 7ページが、今のグラフのデータでございます。

 続きまして、8ページからが「産業別・職業別の労働力需給の状況」です。

 9ページが日銀短観の産業別雇用人員判断ということで、建設業、サービス業で人員不足感が強いという状況でございます。

10ページは、有効求人倍率で人手不足職種について見ているものですが、医療や建設に関する職業で求人超過になっている一方、事務に関する職業では求職超過になっているというものでございます。

11ページは、業種別の転職求人倍率ということでございます。こちらのほうは民間人材ビジネスのデータを活用しておりますけれども、そのデータによりますと、2013年9月の時点では、サービス、IT/通信、メディカルといった分野での転職求人倍率が1倍を大幅に上回っているということでございます。転職求人倍率につきましては、お聞きしましたところ、米印に書いているような出し方でとっているということでございます。

12ページが同じく民間人材ビジネスのほうのデータでございますが、職種別の転職求人倍率でございます。職種別で見ますと、営業系、技術系、専門職、クリエイティブ系の職種で転職求人倍率が1.0倍を超えているという状況でございます。

 続きまして、13ページからが「労働移動の状況」でございます。

14ページが入職者の内訳でございまして、2001年以降、入職者の6割以上が転職入職者になっているという状況でございます。

15ページは、転職入職者が前職をやめた理由でございますけれども、常用労働者、一般労働者ともに「その他の理由」「定年・契約期間の満了」の順に多いという状況になっております。

16ページが入職者の状況でございます。大企業、中企業、小企業別に見ておりますけれども、時系列で見ますと、大企業、中企業で転職入職者の割合が増大する傾向となっております。企業規模別では、企業規模が小さいほど転職入職率の割合が高いという状況でございます。

17ページが転職の状況でございます。これは産業別の転職の状況ですが、同一産業への転職者が多いという状況でございます。

18ページが入職経路でございます。前回、縁故の部分を御議論いただいたわけで、その中で樋口座長から、前職雇用主による紹介がうまくいくというお話もあったと思います。縁故のところに前の会社というデータもございます。そこに掲載してございますが、縁故のうち、前の会社からのあっせん、援助等による場合により入職した者が平成24年で29万人いるという状況でございます。

19ページは、転職入職者が現在の勤め先を選んだ理由でございます。こちらにつきましては、黒田委員から、入職経路について一般・パート別、正社員から正社員に転職した理由別などというお話がございましたので、そこについてでございます。

 まず、就業形態の変化別に現在の勤め先を選んだ理由ということで割合を見ております。一般から一般の層で「能力・個性・資格が生かせる」「会社の将来性が期待できる」「その他の理由」の割合が高い。パートから一般の層では「仕事の内容に興味があった」「給料等収入が多い」という割合が高い状況でございます。

20ページは、転職入職者が現在の勤め先を選んだ理由で、これは入職経路別に見たものでございます。安定所を利用した者と民営職業紹介所を利用した者ともに「仕事の内容に興味があった」「能力・個性・資格を生かせる」「労働時間、休日等の労働条件がよい」といった割合が高い。安定所を利用した者につきましては「とにかく仕事に就きたかった」の割合が高いという状況でございます。この多い少ないにつきましては、入職経路計との比較をして言っております。民営職業紹介所を利用した者については「会社の将来が期待できる」「給料等収入が多い」の割合が高いということでございます。

21ページは、転職入職者の入職経路別に見た就業形態でございます。こちらにつきましては、それぞれ入職経路ごとの就業形態の変化というものでございまして、安定所のところで見ますと、一般から一般が58.5%、パートからパートが19.6%、民営職業紹介所のところは、一般から一般が80.0%、パートからパートが8.9%という状況になっております。

22ページは、就業形態ごとの入職経路の割合でございます。こちらにつきましては、就業形態変化計と比べますと、一般から一般の転職入職で安定所、民営職業紹介所、前の会社の割合が高い。パートから一般の転職入職で安定所の割合が高い。パートからパートの転職入職で広告の割合が高いという状況でございます。

23ページは、入職経路別に見た入職後の職業の状況でございます。安定所を入職経路として利用した者の入職後の職業につきましては、事務従事者、生産工程従事者の割合が高い。一方、民営職業紹介所を入職経路として利用した者の入職後の職業につきましては、専門的・技術的職業従事者、事務従事者の割合が高いという状況でございます。

24ページは、職業ごとの入職経路の割合でございます。事務従事者、保安職業従事者、生産工程従事者などにおきましては、安定所の割合が高い。管理的職業、専門的・技術的職業従事者などでは民営職業紹介所の割合が高いという状況になっております。

25ページは、入職者の入職後の地域と入職経路割合でございます。入職後の地域ごとに入職経路ごとの割合を見ますと、地域によって差が見られるわけですけれども、埼玉、千葉、東京、神奈川等の首都圏では全国での割合と比べて安定所の割合が低いという状況になっております。

26ページは、退職経験の有無でございます。退職経験につきまして、正社員・正職員で50%となっておりまして、女性のほうが高いという状況でございます。

27ページは、転職時の状況で退職理由でございますけれども、「会社の将来に不安を感じて」「年収アップ」「時間的・精神的なゆとりを求めて」「他の会社で新しいキャリアを身につけたかった」というものが多くなっております。

28ページは、能力向上のための複数企業経験の有効性ということで、職業能力を高めるためには1つの会社で働き続けるよりも複数の会社を経験したほうがよいと思う割合は46%で、「そう思わない」というのと拮抗している状況でございます。

29ページからが「内部労働市場」についてでございます。

30ページは、外部労働市場と内部労働市場の特徴、意義について整理をしております。外部労働市場につきましては、賃金というものを媒介にいたしまして適材適所が達成され、労働市場全体を通じて人材の効率的配置が達成される。内部労働市場につきましては、企業内部での再配置ということで、労働者についての情報を生かした効率的な人材活用が可能という意義があると整理させていただいています。

31ページは、正社員の雇用についての企業の考え方ですが、正社員の長期雇用の維持については約8割の企業が肯定的となっております。

32ページは、正社員の職業能力開発の方向づけですが、多くの企業で引き続き企業主体で決定すると回答しております。

33ページは、正社員の採用20年後の在籍率別に人材の確保・育成上の課題の有無について調査したものですが、長期勤続の正社員の割合が高い企業ほど、人材の確保・育成上の課題は少ないということになっております。

34ページは、終身雇用支持割合と失業に関する意識でございます。労働者からしますと終身雇用を支持する割合が高まっている。一方で「失業不安がある」と答える割合も高まっている状況です。「失業不安がある」と答える割合につきましては、50歳から59歳、60歳から69歳の割合が高いという状況になっています。

35ページは、内部労働市場に影響する環境変化ということでございます。技術革新、市場ニーズなどの多様化などによりまして、製品のライフサイクルの期間が短くなるということで、業種別に見ますと家電業界における短期化が著しく、5年前の59.9%になっている状況でございます。

36ページは、内部労働市場の課題ということで、企業内の年齢構成について「適正ではない」と回答した企業が約半数、2030代が不足と回答した企業が75%となっている一方、50代が過剰というのが53%となっている状況でございます。

 続きまして「外部労働市場」でございます。

38ページは、外部労働市場の機関ということで、まずハローワークでは、職業紹介、雇用保険等を一体的に行うほか、個別対象者への雇用対策を行っています。また、住民サービスのさらなる向上のため、自治体との連携を推進してきているところでありまして、さらには全国ネットワークの求人情報を地方自治体にオンラインで提供することも行って、連携をしっかり図っていくことに取り組んでいるところです。

39ページは、前回、樋口座長から、マッチングの件につきまして、JILPTの論文があるという御指摘をいただきましたので、それらについて参考としてまとめさせていただいております。

40ページは、需給調整事業の種類ということで、国が行うもの以外の労働力需給調整システムについて整理をしております。ごらんのようなものがあるという状況でございます。

41ページは、民間人材ビジネスの意義でございますけれども、国際的な労働基準であるILO条約や社会情勢の変化による要請を背景に、民間人材ビジネスの役割が増してきているという状況でございます。

42ページは、民営職業紹介の状況で、入職経路別入職者数の割合でございます。平成24年につきまして、民営職業紹介を利用した者は約18万人、2.6%となっております。平成12年から平成24年の12年の間に約3.3倍に増加しているという状況です。

43ページは、民営職業紹介事業所数の推移ということで、平成11年度以降、急激に増加しております。平成20年度を境に頭打ちとなっておりまして、平成24年度は約1万8,000所となっている状況でございます。

44ページは、民営職業紹介による常用就職件数の推移でございます。常用就職件数につきましても、年々増加しておりまして、平成23年の常用就職件数は約44万件となっている状況でございます。

45ページは、民営職業紹介による常用就職の構成でございます。有料職業紹介は、職種では家政婦(夫)やマネキン、職業大分類では専門的・技術的職業の割合が高い。無料職業紹介につきましては、社会福祉事業従事者や医療関係従事者の割合が高いという状況でございます。

46ページは、派遣元事業所数の推移でございます。こちらにつきましては、平成15年以降、急速に増加をしているわけですけれども、平成20年を境に頭打ちで、平成23年には約8万3,000所となっている状況です。

47ページは、派遣労働者数の推移でございます。平成20年度以降、派遣労働者数は減少傾向にあり、平成23年は約137万人となっている状況でございます。

48ページは、民間人材ビジネスの利点でございますが、総合的な人材サービスの提供、高度人材の需給調整機能の提供、専門業務に特化した需給調整機能の提供といったものがあるのではないかと考えられます。

49ページは、転職に伴います賃金変動についてでございます。転職に伴う賃金変動につきましては「変わらない」というのが3割台後半になっておりますけれども、前職雇用者で20002011年平均ということで、賃金増減DI、増加から減少を引いたものを見ますと、マイナス0.7%ポイント、前職一般労働者でマイナス10.4%ポイントの減少超過になっております。離職理由別に賃金変動を見ますと「変わらない」というのが3割台後半ではありますけれども、「自発的理由等」のところは小幅な減少超過、「定年・契約期間満了」「会社都合」は大幅な減少超過となっている状況でございます。

50ページは、離職理由が会社都合というものについて産業別で見たものでございます。産業計で見ますと、前職と同一産業への転職の場合、賃金が変わらないというのが46.1%、賃金減少が40.6%、一方、他産業への転職の場合は、賃金減少割合が54.8%、変わらないのが30.8%という状況でございます。

51ページは、離職理由が会社都合による転職に伴う賃金変動を職業で見たものでございます。まず、職業計のところで、同一職種への転職の場合は、賃金が変わらないが44.6%、賃金減少割合が36.3%でありますけれども、一方、他職種への転職の場合は、賃金減少割合は59.4%、賃金が変わらないが30.4%となっているところです。

52ページは、失業と賃金低下の代替性に関する意識でございます。「失業を避けるためには賃金が下がってもかまわないか」という問いに対して、やむを得ないと考える割合は約43%となっておりまして、中高年男性では失業を避けるための賃金低下はやむを得ないと考える割合が高いという状況でございます。

53ページは、日本における所得水準と雇用吸収力の関係でございます。こちらにつきましては、前回、樋口座長から、雇用をふやしている産業の生産性や労働条件のお話がございまして、それに関係する資料でございます。日本はこれまで高所得部門の雇用吸収が弱く、相対的に所得の高くない部門での雇用拡大が続いていたということでございます。

54ページは、労働生産性水準のアメリカとの比較でございます。卸・小売、飲食・宿泊等の労働生産性はアメリカの生産性の半分以下ということになっております。

55ページ以降が「雇用管理」です。

56ページ、まず企業の雇用戦略として、自社の競争力をさらに高めるために強化するものとして「人材の能力・資質を高める育成体系」「従業員の意欲を引き出す人事・処遇制度」を選択する割合が高いという状況になっております。

57ページは、従業員の持てる能力を最大限発揮させるため重要と考えている事項と実際に取り組んでいるもの、両方を聞いているわけでございますけれども、その差、重要だと考えているが実際には取り組んでいない割合について見ますと「上司と部下のコミュニケーションや職場の人間関係の円滑化」「能力・成果等の評価に見合った昇格・昇進や賃金アップ」といったものが大きくなっている状況でございます。

58ページは、労使コミュニケーションについてでございます。労使コミュニケーションの良好度につきまして、事業所と労働者に聞いた結果、ともに平成21年では平成16年よりも「非常に良い」「やや良い」という割合が上昇している状況でございます。

59ページは、労使コミュニケーションの2つ目、小集団活動及び職場懇談会の状況でございます。こちらの調査につきましては、連合総研の調査ということでございます。製造業のほうが非製造業よりも活発であるという状況で、非正社員の参加は製造業のほうが活発であり、過去5年間見比べますと取り組み状況についてはおおむね変わりはないという状況でございます。

60ページは、労使協議機関の成果でございます。「労働環境の整備に役立った」というのが最も多い。また「従業員の仕事に対する満足度が高まった」というのが20.9%となっております。職場懇談会の成果としては「職場環境が改善された」というのが最も多い状況でございます。

61ページは、日本経団連の調査で、労使協議制度の設置状況につきましては、81.6%という状況でございます。労使協議制度の成果としましては、生産性の向上など実際的な成果はもとより、情報の共有、意識の共有化にも高い成果が上げられているという結果になっております。

62ページからは「労働集約的産業の現状と課題」です。

63ページは、介護についてでございます。介護職員については10年間で倍以上となっておりまして、2025年にはさらに1.5倍以上必要と推計されている状況でございます。

64ページは、介護職員の離職率・賃金でございます。介護職員の離職率は、産業計の一般労働者と比べて高い。勤続年数、平均年齢等の要素の違いはありますが、賃金につきまして、介護分野の平均賃金は産業計の平均賃金と比較して低いという状況でございます。

65ページは、建設労働者の年齢構成と入・離職者数の推移でございます。就業者の年齢構成は55歳以上が33.6%に増加する一方、34歳以下は20.3%に低下している。入職・離職率につきましては、離職率が入職率を上回っている状況でございます。

66ページは、建設労働者の労働条件でございます。建設業の生産労働者の年収額につきましては392万円ということで、全産業や製造業より低いという状況で、建設業の労働時間につきましても、全産業や製造業に比べて長く、週休2日制の普及状況も全産業より低いという状況でございます。

67ページは、農業の就業状況と課題ということで、農業就業者数は平成24年で251万人ということで、平成20年から47.2万人減少しております。年齢階層別に見ると7074歳層が最も多いという状況でございます。労働条件で、新規求人の賃金分布を見ますと、職業計は2022.5万円層が多いのですが、農業は1517.5万円層が最も多いという状況でございます。

68ページ以降は参考でございます。

69ページにつきましては、前回、神林委員から、賃金決定に関してのお話をいただきましたので、資料をおつけしております。「賃金の改定を実施し又は予定している企業割合」ということで、平成元年には「賃金の改定を実施し又は予定している企業」は98.6%でございましたが、平成24年は79.2%という状況でございます。

70ページは、「賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素別企業割合」ということで、企業の業績を最も重視した割合というのは最も多いわけでございますけれども、時系列的には低下傾向にあるということでございます。

71ページは「基本給の決定要素別企業割合」ということで、平成10年と平成24年を比べておりますが、基本給を決定する際に「業績・成果」「学歴、年齢・勤続年数など」と回答した割合が低下しているということでございます。

72ページは、賃金カーブですが、平成10年に比べて賃金カーブの傾きは緩やかになっているということでございます。

73ページ以降は地域のお話ですが、前回、樋口座長、堀委員から、地域に関しての御指摘がございましたので、資料をおつけしております。こちらにつきましては、職歴別に見た各種移動の割合ということで、新規学卒入職者につきましては「地方から都市」という割合が「都市から地方」と比べて高いという状況でございます。一方、転職入職者につきましては「都市から地方」というのが相対的に多い状況になっております。2006年と2012年を比べますと、新規学卒入職者で「地方から都市」というのがさらに高くなっている状況で、一方、転職入職者についての「都市から地方」というのは下がっている状況でございます。

74ページは、地域間の移動について年齢別に見たもので、同一地域ブロック内にとどまった者の割合ということでございますが、19歳以下から2024歳層で同一ブロック内にとどまった者の割合というのは一旦下がるわけですけれども、それ以降、同一ブロックにとどまる者の割合は上がっていく状況でございます。2006年と2012年を比べますと、5559歳層、6064歳層を除きまして、同一ブロック内にとどまった者の割合は低下している状況でございます。

75ページは、年齢別に見た移動ということで、2024歳層では「地方から都市」の割合が2006年と2012年の比較におきまして「都市から地方」の割合を逆転し、大きく上回るようになっている。2529歳層では「地方から都市」の割合と「都市から地方」の割合の差が縮小し、同程度となっている。6064歳層では「都市から地方」の割合と「地方から都市」の割合の差が縮小し、同程度になっているという状況でございます。

 以上でございます。

○樋口座長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に基づきまして、御意見、御質問がございましたら、お願いいたします。

 佐藤さん。

○佐藤委員 3つあります。

 1つは、資料1の論点の2つ目の丸の外部労働市場の役割のところで、外部労働市場の活性化というところです。今後ふえてくる異なる産業への転職あるいは異なる職種への転職をどう支援するかがすごく大事になってきます。産業が違っても同じ職種、例えば繊維産業の人事だった人が、繊維が少し下がるときには伸びている産業の人事をする、こういうのはあったわけです。産業は異なるけれども、従来の人事から人事とか、経理から経理というのは、それはここで書いてあるようなことで割合やれると思うのですけれども、これからは、産業が違うだけではなくて、同じ職種に転職できる人はよくて、そういう職種自体が減ってしまう、あるいはそのポストがないということで、別の職種への転職をどう支援するかということがすごく大事です。

 今回、介護業界へという話がありましたけれども、介護施設でいうと施設長のところが足りないのです。実際そこで働いている専門職の人は、余り管理者にはなりたくないという人が多い。ですから、有料老人ホームなどを展開しているところは施設管理者がすごく足りない。そこにどこから持っていけるかというのがすごく大事です。

 例えば、実際上うまくいっているのは百貨店の店長経験者みたいな人です。百貨店だと多様な職種、派遣からパート、そういう人たちをマネジメントする能力がありますし、お客様重視という考え方がありますね。この方を、例えば出向で受け入れているところがあるのですけれども、もちろん福祉業界の仕事の中身とか考え方を理解しなければいけないですけれども、施設長に持ってくると、多様な専門職のマネジメントとか、入居者はお客様ですが、そういう顧客重視みたいな視点があって、うまくいっているところがあります。本人から見ても、自分は百貨店の店長をやっていて福祉施設の施設長をやるとは思っていなかったし、採る側、福祉施設側も、百貨店の店長が来てうまくやれるのかというようなことはわからない。でも、実際やってみると成功する。

 転職しようとする人がちょっとハードルが高いなと思っても、そう高くないですよ、以前のスキルをかなり使えますと。雇う側も、百貨店の店長でも自社の施設に来ればマネジメントをやれますよと、そういうところがすごく大事です。そういう事例なりノウハウを集めていくことが外部労働市場の整備でこれからすごく大事になるというのが余り議論されていない。

 2つ目は、コミュニケーションのところです。57ページで、これから企業として上司と部下のコミュニケーションが大事といいながら、なかなか取り組めていないとか、いろいろあるわけです。労使コミュニケーションといったときに、もちろん組合とのコミュニケーションや従業員諸氏とのコミュニケーションもあるかと思いますけれども、実はもっと大事なのは上司と部下とのコミュニケーションです。たしか労使コミュニケーション調査でも、不平や不満があったときに上司にちゃんと相談しますかというのが昔あったと思います。数が落ちてきているのではないかと思うのですけれども、やはり現場の管理職と部下とのコミュニケーションが円滑化するということが実は雇用管理上すごく大事です。

 ちょっと話が飛んでしまいますが、女性活躍推進とかワーク・ライフ・バランスなんかも、基本的にはそこの管理職のマネジメントがすごく大事だと思うのですけれども、そこがうまくいっていないというところが最大の課題です。

 ただ、これを政策研究会で取り上げることかどうかは別として、つまり雇用管理の制度というよりかは、現場のマネジャーがやるべき部下管理なり仕事の管理を十分やれていない。ここをどうするか。一つはプレーイングマネジャー化してしまって、自分がプレーヤーで、マネジメントをやるマネジャーだという意識が薄くなっているということもあるわけですけれども、職場で部下を男女の別なく育成する、部下の希望に応じた仕事の与え方をする、働き方を変えていく、そういうことをやれる管理者を育てられるかどうかが大きいというのが2つ目です。

 3つ目は、64ページの介護職員の離職率のところで、どう魅力あるものにするかというのがありますけれども、ややもすると介護現場というのは3Kというか、余りいい職場ではないというのが前面に出てきています。例えば離職率が高いという議論があるのですけれども、これは平均ですね。

 訪問介護のヘルパーなどでいえば非正規職員の離職率は13.2%です。本来比較すべきは全産業平均ではなくて、ほぼ対応するのはパートタイム労働者の25.1%です。パートタイマーの離職率と比較すれば、訪問介護のヘルパーの離職率は低いのです。そういうところが十分伝わっていない。

 介護施設も、訪問介護もそうですが、二極化していて、平均は3割だけれども、非常に離職率が低くて定着している事業所も相当多いのです。もちろん離職率が高いところが多いのですけれども、平均で出してしまう。実際上はきちっと雇用管理して、人も採れて定着している事業所が相当あるのです。

 これは再集計したのがあるのですけれども、どうも介護施設は離職率が高く定着率が悪いというメッセージが伝わってしまって、その結果、養成校に学生が進学しなくなってきているということもあるので、課題もあるのだけれども、やはり正しく現状を伝える。ちゃんとやっているところもありますという情報を出して、そこには人が来るように、そして問題があるところはよくやっているところを見習って改善していく、そういう方向での取り組みというのがすごく大事かなと思います。

○樋口座長 今のお話で事務局で何かありますか。よろしいですか。

 それでは、委員でどなたか、神林さん。

○神林委員 初めてなものですのでどういうふうに進行していったらいいのかわからないのですけれども、大きい話ではなくて、きょうのプレゼンテーションに基づいてこういう議論の組み立てをしたほうがいいのではないかということをちょっとしゃべりたいと思います。そういうのでよろしいですか。

○樋口座長 お願いします。

○神林委員 最初に概況が出てきて、労働移動の現状というのが出てきて、内部労働市場、外部労働市場という構成になっているのですけれども、労働移動の状況というのは外部労働市場のお話そのままですので、順番は入れかえたほうがいいのではないかと思います。

 最初の「総論」のところで人口構成を見ると、結局、労働力人口というのが頭打ちになっていて、それは、深尾さんたちが一生懸命やっているマクロの統計でも投入のマンアワーが減ってきているのが経済成長の足を引っ張っているということと非常にコンタクトしているわけだと思います。この辺は既に林さんなんかの議論もあって、世界的には共通見解になっているといいますか、一つの有力な見解です。日本の90年代の経済成長がなぜストップしたのか、とまったのかということは、結局みんな働かなくなったからだという議論が非常に有力なものとして主張されていますので、この辺は強調してもよいかなと思いました。

 ただ、その内容といたしまして、新しい資料のほうでは9ページではないですね。TFPの分解の話があったのです。

○高橋雇用政策課長補佐 資料についてですが、恐らく神林先生がおっしゃられたのは事前にお送りさせていただいた資料で、その後ちょっと構成が変わっておりますので、ここには今回掲載されておりません。

○神林委員 そういうことですか。では、この話はしないほうがいいでしょうか。

○樋口座長 どうぞ、してくださって結構です。

○神林委員 事前に配られた資料のほうでは、8〜9ページにマクロの経済成長の要因分解というのがついていまして、そこで90年代以降マンアワーの低下というのが経済成長の足を引っ張っているというのが明確に出ています。ただ、それが労働の質の向上というのでちょうどキャンセルされていて、労働の投入分というのが経済成長に対してはプラスマイナスゼロというような総論が書かれています。

 この件に関して2つリマークがあります。

 労働の質の向上というのは、基本的に平均学歴が上昇しているということに依存しています。あと、平均勤続年数が長くなっているということもあります。実は若年層での大学進学率の上昇というのがこれを非常にドライブしているのです。それはわかっているのですが、ただその一方で、皆さん御存じのとおり、OECDPIAACの結果が最近公表されまして、日本の一般労働者におけるスキルが国際的に見て非常に高いということがわかってきました。国際的に見て相対的に高いスキルを持っている人たちというのは、実は低スキルを需要するような職業についている人たちなのです。

 若年層での高学歴化が進んで平均的なヒューマンキャピタルが増加しているというマクロの見解と、日本の競争力の源泉には、低スキル、低賃金の人たちのヒューマンキャピタルが国際的に見て非常に高いものを持っているということがそれほど整合的に理解できないという状況になっている。この辺についてどういうふうに議論をするかというのは一つ大きな論点かなと思っています。

 2つ目のリマークというのは、これも深尾さんたちが非常に強く主張していることなのですけれども、経済成長が進行するときには生産性の高いフィールド、分野に労働力が流れていって、それで経済成長が牽引されるわけです。そうすると、労働者がどこからどこへ移るのかということ自体が経済成長を改善する要因になっているはずなのです。ところが、90年代以降の日本というのはそれが逆に出ている。つまり、経済成長の足を引っ張る産業に人がどんどん流れているという状況がある。これが先ほど来ちょっと議論になっている介護とかサービス産業、低い生産性を持っているような分野になぜ人が流れていっているのかをきちんと考えなければいけないということがこの全体の論点として出てくるのではないかと思います。とりあえずこれで。

○樋口座長 非常に重要な論点かと思いますが、今の点について何かございますか。

 文章の中でも、介護サービスについての生産性の向上が必要だという言葉が書いてあるのですが、一体それは何を意味するのだろうかと逆にまたかみ砕いて考えると、重要なポイントになってくると思います。

 恐らくここで言う生産性というのは付加価値生産性ですから、例えば料金が上がっていくというようなことがあるとその分だけ付加価値が上がる。相対的に日本のサービス業がどうも生産性が低いと言っているのも付加価値生産性ということで、ある意味では、料金が抑制されることによってその分野が低く出ていく。これはデフレスパイラルとも関連しているテーマで、ここのところをどう考えているかというポイントの御指摘かなと思うのですが、いかがでしょうか。何か事務局からあったら。

○本多雇用政策課長 成長会計関係の資料は今回ちょっと落としたのですけれども、今の御指摘ですと、労働の質を考慮した成長会計については算定方法自体を検証したほうがいいということなのか、それはそれとして受け取った上でPIAACの結果との整合性を考えたほうがいい、どちらでしょうか。

○神林委員 後者です。

○本多雇用政策課長 それでは、また改めて成長会計の資料をお出しするとともに、PIAACのほうの結果についても提出させていただきたいと思います。

○阿部委員 よろしいですか。

○樋口座長 どうぞ。

○阿部委員 今のに関連して、多分、何回か前のこの研究会でもこの話をしたと思っているのですが、サービス業の生産性が低いのは付加価値生産性で見るから低い可能性があって、サービスの質とか、そこを加味すると実はそうでもないのではないか。

 非常に興味深い日経新聞の記事があって、日本国内の、いわゆるLCCを扱った記事なのですけれども、全日空がやっているピーチエアというのはうまくいっているが、それ以外はだめで、それはもともと日本人の特性を考えてシステムづくりしているからだ、そういう内容だったと思います。安いけれども、質の高いサービスを提供できる。しかし、お金にならない。そこら辺をどう考えるかということなのではないかなと思うのです。そこら辺は難しいなと、前もそういう話をここの研究会ではしたような気がします。

○神林委員 生産性を計測すること自体は確かにそういう難しさがあるのですけれども、そこに労働者が移動するかどうかということはステップが一歩あるわけです。労働者が移動するかどうかを決めるのは賃金ですので、生産性と賃金というのは確かに連動していますけれども、一致はしていません。賃金と労働移動の関係を見るということでは、付加価値をグロスで見るか、ネットで見るか、そういう議論は別に要らないわけです。

 そういう意味で、介護職員のデータを見ると、きょうここで話してしまっていいのかよくわからないのですけれども、次の「日本労働研究雑誌」の特集で労働移動に関する特集を組んでいまして、そこで一橋大学の塩路先生が、日本の70年代以降の地域間の労働市場というのが何によってドライブされてきたのかということを検証していただいています。

 そこでわかった一つの見解というのは、介護職、医療福祉職ですけれども、医療福祉職の増加に関しては賃金というのが全然効いていないという結果が出てきています。通常は賃金が高くなって、そこを目がけて労働者が移動するわけですけれども、そういうメカニズムが医療・介護職員に関しては成立していないということがわかってきています。ですので、賃金が高くなったからそこに労働者が移動する、そういう古典的なメカニズムが現在の主要な成長産業と目されているところには通用しないということを明確に意識するべきと思っています。

○樋口座長 3ページの「成長と労働政策」で、今、御議論になった成長会計というようなところから考えると、要は、供給面から考えると労働投入量が90年代以降伸びなくなっている。労働時間短縮の問題、もう一つは労働力率あるいは就業率の低迷というようなことがあります。

 供給能力、潜在GDPの議論からいうと、そうかなと思うわけですが、一方において労働力率というのが伸びなくなった、働かなくなったというところの意味合いが、ある意味では就業環境の影響がかなりあって、やはり女性の就業率の上昇あるいは高齢者の就業率の上昇というところに需要サイドの影響というのがかなり働いてきて、それは人々が働かなくなったというよりも、意欲があってもそれを実現できない、そういった要素のほうが影響している可能性があります。

 労働インプットが減ったというところの意味をどう考えたらいいのか。人々が怠け者になったという話ではちょっと短絡的だなと思います。その背後を考えていくということもあって、まさに今、議論されている女性が活躍したのが全体のGDP、潜在GDPを押し上げるのではないか、そういうような議論とも相まったところになっているのではないかという気がします。

 ほかに。鶴さん。

○鶴委員 また少し違った視点からなのですが、まず、この論点につきまして、全体的に出していただきまして、本当にお書きになっているとおりかなと思います。

 ただ、ここの問題というのは、政策的に何をやるのかというのは物すごくチャレンジングなところに入ってきている、私自身はそういう認識をしています。つまり、ここでお書きになっている、何々をすることが必要ではないかということは全く私も同様なのですが、では、それだけではなく、さらにそこから具体的に何をやるのかというところを考えないと、なかなか意味のある形にならないのではないかという懸念がございます。そういう意味で非常にチャレンジな部分があるなと思っています。

 私のほうから、この論点に沿って大きく分けて2つ、外部労働市場の話と建設分野に関する雇用対策ということでちょっとお話を申し上げたいのですけれども、外部労働市場をハローワーク、地方自治体、民間人材ビジネスの活用ということでお書きになっております。この3つがどういう補完関係を持って、お互いにうまく協力関係を持ってやるかというのは非常に重要かなと思っています。

 きょうお示しいただいた資料の23ページに、職業別でどういうところを利用して入職したのかというのが出ているわけです。これを見ると、管理的職業従事者、専門的・技術的職業従事者、こういうところは民営職業紹介所というところが割と多い。事務従事者や生産工程従事者は安定所のところが多いわけです。

 情報をハローワークから出してとか、政策的にやり始めているのですけれども、実は対象となっている層が少しずれているというのが現状として当然あるのだろうと思うのです。そうした場合にどういう連携をやっていくのかということもしっかり見ながらやっていく必要がある。

 一方、人材ビジネスをやっている方などとお話しすると、地方公共団体が職業紹介を一生懸命やろうとしているが、なかなかノウハウがない。民間人材ビジネスというのがそういうところに関与できるのではないか、そういう発想もあると思うのです。

 要は、この3つがどういうふうにうまく連携していくのか、そういうところからもう少し具体的な政策を考えていく必要があるのではないかということが1点です。

 外部労働市場については、これもお示しいただいた資料の51ページに、賃金上昇の割合が従事者別で出ています。これを見ると管理的職業従事者というのは非常に大きいわけです。従事者別に勤続年数別の賃金プロファイルを描くと、管理的職業従事者というのはもちろん年齢層が高い人たちが多いということはありますけれども、急になっている。年齢層が高ければ生産性の高い賃金をもらっている割合が大きい。そういうことも含めて、賃金減少は非常に大きくなっているということになりますと、転職しやすくする、外部労働市場を発展させるには、どうも賃金システムの話というところに真正面からいかないと難しい。これは説明を見て感じました。

 最後に、建設労働者のところなのですが、最初に御説明いただいたように、非常に不足感が高いということだと思います。RIETIのほうでやった調査を見てびっくりした点なのですけれども、いろんな職種、産業の方々に、あなたの今のスキルを得るために例えば新人が入ってきてどれぐらい年数がかかりますか、また自分ほどではなくても一人前になるのにどれぐらい年数がかかりますか、そういうようなアンケートをすると、業種の中で建設業は結構高いのです。一番高い部類になる。割と単純労働が多いと思われている部分があるのだと思うのですけれども、かなり技能を要する、何年もやらないとなかなか一人前にならない部分があります。

 過去10年ぐらい公共投資が非常に減少してきたとか、いろんな流れの中でそういうところが非常に弱くなっているのではないか。これからオリンピックもあります。そういうところに向けて、こういうところをどれぐらいしっかりしていくのかというのは見過ごされている点ではないのかということなので、こういうところもやはりしっかり目配りしていく必要があるのではないかと思います。

 以上です。

○樋口座長 玄田さん。

○玄田委員 短目に1つだけ質問があります。

 厚生労働省としては、民間人材ビジネスが伸び悩んでいる原因はどの辺にあると理解されているかということです。

43ページから47ページが私は今回とても驚きで、こんなにリーマンショック以降伸び悩んでいるのかと改めて思いました。リーマンショックでブレーキがかかったのは理解していましたけれども、その後、事業所数、就職件数を含めて見ても、特に一般的な派遣が伸び悩んでいるということはどうしてなのだろう。厚生労働省に伺ってみたい。資料1に書いてあるように、民間人材ビジネスと公的な職業紹介がある程度連携していかなければいけないということは一つの大前提だと思うのだけれども、そうなった場合に、なぜこれが伸び悩んでいるのか。もしサポートする必要があるとすれば何をしなければいけないのか。

 この前、御説明があったように、ハローワークの職業安定業務統計の情報を一部民間に開放するというのは非常に大きなサポート策だと思いますけれども、場合によっては、ほかの施策も含めて考えなければいけない可能性があるように思うのですけれども、ぜひその点を教えてください。

○富田需給調整事業課長 需給調整事業課長の富田でございます。

 今、御指摘がありました民営職業紹介事業所と派遣元事業所が確かに平成20年以降頭打ちになっておりまして、国会等ではやはりリーマンショックの影響と答弁させていただいております。

 ただ、派遣については、派遣法の見直し論議がこの時期ちょうど進んでいたという理由があったのではないかと一部には言われておりますが、民間職業紹介のほうはその影響はないはずなので、影響があるというのは、リーマンショックだけが理由ではないのかもしれませんけれども、今のところ考えられるのはそれが最大の理由ではなかったかなと思っております。

○樋口座長 どうですか、佐藤さん。

○佐藤委員 私もよくわからないけれども、職業紹介はもしかしたら、日々紹介と派遣、代替でいえばそれがあったかもわかりません。確かに景気の問題と、もう一つは紹介でやったのが派遣に移ったり、逆も戻ったりとかいう出入りのところかもわかりません。そこは私もきちっと見れていないのでわからない。

○樋口座長 いいですか。

 では、清家さん。

○清家委員 非常に小さい統計上の解釈で、白書とかよく読めばそれが説明されていると思うのですけれども、4ページの15歳以上人口の内訳です。これはよく言われているわけですけれども、正規雇用の数というのは、現状は80年代の半ばぐらいと余り変わらなくて、90年代の初めから半ばぐらいにかけてぽこっとふえているわけですね。

 当時、労働需要側の要因で正規雇用がそんなにふえるとは考えにくいから、主として供給側の要因だと思いますが、これは団塊ジュニアの就職、そういうような解釈なのでしょうか。多分どこかにちゃんと書いてあるのでしょうけれども、私、ちょっと不勉強なので教えていただければと思います。

○宮川職業安定局派遣・有期労働対策部長 今、先生御指摘のとおり、いわゆる非正規労働者がふえたのはここ数年の動きではなくて過去の大きな動きがあって、それが引き続いている、やや上がっている形のものだというのは、まさにそのとおりでございます。

 その中で、どうしてそういう形になったのかというのは、先生おっしゃられたように、その当時、景気がよくなったときにどういうふうな形で労働力を強化していくか、需要側の立場では正社員をふやしていこうという動きには必ずしもつながらなかったということが一つ考えられるかなと思っていますが、ただ、この辺を今のところ何かで分析したものは余りなかったと思います。

○清家委員 私の質問はそうではなくて、正規雇用が90年代初めから半ばにかけてぽこっとふえているでしょう。80年代と今のレベルは余り変わらない。要するに、正規雇用というのは原則この30年ぐらい余り変わっていないのだけれども、いっとき90年代だけふえたということの解釈です。

○宮川職業安定局派遣・有期労働対策部長 そこのところでいっときふえたのは、その時点で、ある程度正規雇用という形で対応できるのかなと思ったのではないかと私も思います。

○岡崎職業安定局長 恐らくバブルの時期です。

○清家委員 90年代半ばぐらい。

○岡崎職業安定局長 90年代前半ですね。

○清家委員 前半からでも半ばぐらいにかけてふえているのです。

○岡崎職業安定局長 バブル期に正規を少しふやそうという状況があったところの部分で少しふえたのではないか。

○樋口座長 どうぞ。

○鶴委員 私も全く岡崎局長と同じで、ちょうどその場でいろいろ景気分析なんかもしていました。ただ、91年というか、バブルが崩壊してどうもおかしくなってきた92年にかけて、まだまだ失業率がすごく低かったのです。労働市場は逼迫感があって、企業のほうもバブルのときに人がなかなか採れなかったので、とにかく採用したい。そこのずれがしばらく続いていたのですね。採用になると翌年度ということになるので、人の調整というのが経済のほうの動きから随分おくれた。それでしばらくふえてきたのだけれども、それからこれは大変なことになったということでまた減っているわけです。そのずれみたいなのは結構このときにあったという思いがします。

○清家委員 感じとして需要側が大変だというので正社員をふやそうと思ったのと、団塊ジュニアの就職期みたいのが重なって需給両面で正社員がふえやすい状況があった、そういうことですね。

○鶴委員 ふやしたときは、もう世の中も変わった。

○清家委員 非常に興味深いのは、要するに正社員は85年ぐらいから今まで基本的に変わっていないわけです。いっときだけぽこっとふえた、そういうことですね。

○岡崎職業安定局長 今、鶴先生がおっしゃいましたように、私も地方に出ていたころ、ちょうどバブルが崩壊したときだったのですが、企業を回っていたときによく聞かされたのは、人を減らしたり採用を抑制すると、かつてそういう形でやったときに後から非常に苦しんだので、正規雇用、当時でいえば高卒採用とか大卒採用は減らさない、逆に採れるのだというような声を聞いた記憶があります。そういう意味で、しばらくタイムラグがあったのではないかと思います。

○清家委員 私は不勉強だから、あれかと思っていたけれども、このぽっこりを何かうまく説明するとおもしろいのではないかと思いました。

○樋口座長 ほかにどうでしょう。阿部委員。

○阿部委員 今のぽっこりに関してなのですけれども、ちょうど私が大学を出たころがぽっこりの時期で、バブルの世代というふうによく言われます。私は90年に大学を卒業していますので、その当時の採用のことは先ほど鶴さんがおっしゃったとおりで、人が採れないというので、採用基準をどんどん落としていくのです。落とした結果が我々であって、そういう意味では、今の新卒採用の基準と我々のときの新卒採用の基準はどうも違うらしい。我々が退職するまであと何年あるかというのをちょっと考えていくと、10年か15年かもつのかなというところが企業の一番の不安で、その人たちが排出されたときにどうなるかというのはちょっと考えておく必要があるだろうと思うのです。

 きょうのデータでなかったように思うのは、年齢別の転職の経路の違いを見てみたらどうなのだろうということです。例えば、中高齢者は民間職業紹介とハローワークでどっちが多いのだろうか、あるいは内容がどうなっているのか、そのあたりを見ていかないといけないかなと思います。

 というのは、人材紹介業の方たちとお話しすると、若者の就職あっせんというのは多いけれども、中高齢者のところはなかなか難しいという話もあって、そうするとそのあたりをどうやって手当てしていくかというのは大事な話になるのではないか。もちろんハローワークにおいてもそうだと思うのですけれども、そのあたりがどうなっているかというのは大事なポイントではないかと、ぽっこりのお話を聞きながら思いました。

○樋口座長 どうでしょう。

 私もお願いした図表をつくっていただきまして、74ページ、75ページの地域間の労働移動のところです。

74ページを見ると、やはり同一地域ブロック内にとどまっている人は全年齢層において落ちている。要は、地域間の移動というのがどちらかというと活発になっている。

75ページを見ると、2006年から2012年において、特に全体的に移動が頻繁になっているということは74ページからも推測できるのですが、例えば2024歳あるいは2529歳というのは、2006年は「都市から地方」というほうが多かったのが、2012年になると全く違っている。その差がかなり大きくなっています。

 「都市から地方」というUターンやIターン、あるいは就職のときそういう学生もいたということなのかもしれませんが、それが実現できなくなっている。地方の学校を出ても大都市圏の企業に就職している。あるいは地方で就職したものの、また移動という形で都市部に集中するようになってきている。これをどういうふうに受けとめたらいいのか。要は、地方の雇用は非常に厳しいということを端的にあらわしているのかなと思いますが、雇用政策の法律はもちろんそうなっているわけですが、地域の問題というのをどう考えているかというのはすごく重要な今後のテーマになるだろうと思いますので、ちょっとメンションだけさせていただきます。

○鶴委員 ちょっと関連でいいですか。

○樋口座長 どうぞ。

○鶴委員 今のこの図で2012年というのは震災の後の視点なので、東北地域から若者が外に出ていったという震災に関連した部分がどれぐらい影響しているのか、それを除くとどういう形になるのか、これを見て思いました。樋口先生がおっしゃるようにそういうものを除いた地方の問題と、今回、震災というのがあって、それでどれぐらい影響を受けているのか、そういうところがもしわかれば教えていただきたいと思います。

○樋口座長 そうですね。どうぞ。

○本多雇用政策課長 これはブロック別のものを積み上げている数字ですので、ブロックで分解して、またお出ししたいと思います。

○樋口座長 たしか就業構造基本調査が震災の影響を集計して、東北3県からの移動とか詳細にやっていると思いますので、見ていただいたらと思います。

 よろしければ、次のテーマに入りたいと思います。

 資料2−2に基づいて「人的資本形成関係」ということで、これも事務局から説明をお願いします。ちょっと時間が過ぎていますので、短目にお願いできたらと思います。

○尾形職業能力開発局総務課長 能開局総務課でございます。

 資料2−2と資料1の論点の3ページ目とあわせて御説明申し上げます。

 まず、論点のほうでありますが、人的資源の最大活用という中で、人的資本形成というところに着眼して幾つか論点をピックアップしてみました。再興戦略ということも念頭に置きつつ、幾つか書いてみたものであります。

 まず、企業における長期的な人的資源形成の重要性、これが社会全体のマクロ経済の好循環に不可欠であろう。そのためにどういうことが必要か。特に、正規と非正規との間のギャップで、教育訓練のレベルが低いという問題についてどういう部分を強化していくべきかという論点もあわせて書かせていただいております。

 次に、労働者の主体的なキャリア形成ということがかなり前から言われておりまして、職業人生の長期化の中でますます重要になってきていると思うのですが、現状は必ずしも十分でない中でどういった環境整備が必要かということがあろうかと思います。

 今回、再興戦略の中で社会人の学び直しという観点が打ち出されているのも、そういった側面もあると思うのですけれども、社会人の学び直しなども含めて、いろいろ人材育成のための公的支援のフレームワークみたいなものはふえていく。ただ、そういう中で、それを受けるのは基本的に民間教育訓練機関でございますが、プロバイダーである彼らのほうの訓練内容の質というか、そういった機関の育成振興が必要という論点もあるのではなかろうか。

 そういう訓練機関のレベルというものを考えるときに、例えば一律な就職率というような切り口だけではなくて、先ほど来議論のある長期化した職業人生全体を通じてキャリアアップを図っていくという中で、どれだけの役割を果たしているのかという視点もあるのではなかろうかということでございます。

 次に、公的な支援という意味では、やはり公共求職者支援というのが今まで中心だったわけでありますけれども、特に高度な人材の育成や企業の求める人材像をこれからはもっと意識すべきではなかろうか。公共職業訓練だけではなくて、大学も含めた幅広い教育訓練の場を通じて、どうやってそういった訓練ニーズをうまくつかんできて訓練のコースを立ち上げていくか、教育訓練を立ち上げていくか、またそういった教育訓練を受けたことについてちゃんと評価できるような社会にしていく必要があるのではないか。具体的にそのための取り組みについても御議論いただくことが有益ではないかということでございます。

 次に、やや各論になるわけですが、これも再興戦略の国際競争力という中で、引き続き、ものづくり分野の重要性というところに焦点が当たっておりまして、技術力ということをこれからも維持向上するために人的資本形成という文脈の中で何が必要か。ポリテクなどでやっている高度な訓練も当然でありますが、そもそもこの分野でちゃんと人材確保するために何が必要かということがあろうかと思っています。

 最後に、先ほども出てまいりましたけれども、外部労働市場といいますか、多元的な働き方ということが今後はもっと必要になってくるのではなかろうか。それから、労働移動支援ということもやっていかなければならないという中で、教育訓練というだけではなくて、そもそもスキルをちゃんと客観的に評価できるような環境整備を外部労働市場型でやっていくことが必要不可欠ではないかと考えております。

 以上が私どもの現状考えている論点ということでございまして、そのための参考として資料2−2のほうの幾つかのデータを御説明したいと思います。

 まず、企業の側に焦点を当てまして、最近、企業側の人材育成に投入する費用が低下している。これはよく言われている話でございますが、1988年から、赤い枠で緑の点線を囲っておりますけれども、一貫して下がり続けているということでございます。

 次のページに参りまして、企業の教育訓練といいますとOJTOFF-JTとあるわけでございますが、どの程度それぞれやっているかということでございます。OJTといいましても、日常的に普通にやっているのがOJTというわけでございますが、さらに計画的なOJTということで絞り込みますと、実はOFF-JTより計画的なOJTのほうが少ない。これも予想されたことでありますが、企業規模が小さくなるに従って割合が減りますし、正社員と正社員以外では歴然とした差があるということでございます。

 今のデータとやや食い違う部分がございますが、OJTを重視しているのか、OFF-JTを重視しているのかということを聞いてみると、意外にもというか、これもある意味で想定されるのですが、正社員でも正社員以外でも同じ傾向でございまして、7割はOJTだと言っているということでございます。

 そういう中で、能開法の努力義務ということで各企業が職業能力開発推進者を選任しろとなっているのですが、そもそもどうなっているかというと、ほとんど選任されていない。4分の3が選任されておりませんし、選任されているところでもそれは本社で1人選任していて全部を見ている状況になっているということでございます。

 次のページですが、人材育成上の問題点を企業に聞いてみると何がポイントかというと、7割が問題があると言っている中で、その理由の第1番目は指導する人材がいない、次に、指導するだけの時間がない、費用がない、金銭的余裕がないと言われているということでございます。

 今度は、労働者の立場に立ってみて職業生活設計ということを捉えてみました。職業生活設計を正社員と正社員以外とで分けてみますと、正社員のほうが意外にも自分で生活設計を考えていきたいという人が多い。正社員以外のほうは、本来この人たちは企業側から手当てが受けられないわけなので自分で考えるべきなのに「わからない」という人が3割ぐらいいて、かなりこの辺に非正規の置かれている状況が出ています。

 次に、9ページの自己啓発を行った労働者の割合ということでございます。これも正社員と正社員以外でかなり差が出ている。最近7〜8年の間で、やや上下はあるのですけれども、基本的に正社員と非正社員の間でこういう差があるということには変わりがない状況でございます。

 自己開発を4割ぐらいの正社員は考えてやっているというのですが、では何をやっているか中身を見ると、ラジオやテレビ等で自学・自習しているというのが半分ぐらいです。あるいは、社内の勉強会に参加しているというようなことがほとんどでございまして、例えば専修学校へ行く、大学みたいなところへ行くというのは非常に限られているということでございます。

 自己啓発の問題点でございますが、問題があるというのが8割近いわけですけれども、その中身を見ると、またこれも似たような話で、仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない、費用がかかり過ぎるというようなことが出ております。

 自己啓発というものは、ほっておいてもなかなかできるものではないという気づきが前からございまして、キャリア・コンサルタントという制度を能開局としてこのところ推奨しているわけでございます。

 実は3層のキャリア・コンサルタントがございます。12ページの左側にオレンジと青の帯と太枠のゴチックで囲んだところがございますが、レベルごとに分けていると思っていただければいいわけです。

 いわゆる技能検定職種として、キャリア・コンサルティング技能士の1級、2級です。

 その下に標準レベルキャリア・コンサルタントというのがおります。厚労省で指定した試験に合格した人がこのコンサルタントになるということで、産業カウンセラー等々、既に自主的に民間で始まった取り組みをこちらでオーソライズして、彼らがやっている試験に合格した人を標準レベルキャリア・コンサルタントというふうに呼んでいます。

 最後が登録キャリア・コンサルタントというものですが、これはジョブ・カードを普及するために導入したものでございます。一定時間の講習を受ければ登録できるということですが、一定の資格を持った人でないとそもそもこの講習が受けられませんので、いわゆるジョブ・カードを交付すべき立場にある人たちを中心にしてつくっている資格ということになります。

 全体で8万人ぐらいいるわけですが、キャリア・コンサルティング技能士が1級、2級合わせて約4,000人でございます。標準レベルのキャリア・コンサルタントは技能士も含めると約5万人、登録キャリア・コンサルタントは、一部重複もありますが、約4万人ぐらいということでございます。

 どういうところにいるかというのが右側の表でございまして、公的就職支援機関のハローワーク、それから企業内、学校、民間人材ビジネス、NPOといったところに分散しているということでございます。

 続いて、教育訓練給付ということでございまして、要するに自己啓発を後ろから支えるための制度として教育訓練給付というのが雇用保険制度の中の一環でございます。12万人ぐらいが毎年受給しておりまして、50億円近くが出ているわけです。

 中身を見てみますと、ここにありますように、情報関係、医療・社会福祉・保健衛生関係、建設関係の運転免許を取るというようなコースがやや多いということで、専門学校や各種学校の講座がほとんどです。大学や高等教育機関係でいいますと、米印の「その他分野における講座の内訳」というところで580ぐらいのコースが指定されている状況で、これを見ても高等教育機関を利用する形には余りなっていないという現状がわかります。

 続いて、14ページの公的職業訓練でございまして、国と都道府県と民間教育訓練機関の三者で役割分担してやっているという絵を描いております。これは、公共職業訓練と求職者支援訓練と両方合わせたものでございます。

 国がやっている離職者訓練が3万人、都道府県が1万人、民間が20万人です。民間の20万人は県から委託されます委託訓練と求職者支援訓練、両方が含まれます。ポイントは、民間のウエートが非常に大きいということでございます。それぞれに特徴がございますが、訓練科目とあわせて見ていただきますとおわかりのとおり、ものづくり分野のような高度で手間のかかるものは国でやる、その他のものはできる限り民間でやらせるというような形になっております。

 民間訓練機関のところに焦点を合わせますと次のページでございまして、プロバイダーの現状は、民間企業、経営者団体、公益法人、専修・各種学校、大学等、こういう形の立ち上がりになっているということでございます。

 次のページは、そういった公的な場面でどれだけ訓練にお金がつぎ込まれているかということで、OECD平均で日本はびりのほうということになっています。

 続いて、ものづくりでございますが、これもよく御存じだと思いますけれども、だんだん減ってきているというのが就業者数の推移でございます。技術力が売りなのに、ここが失われていくという状況に危機感を持っているわけでございます。

 次のページに参りまして、最近のものづくりの技能系正社員に求められているものは何かというと、右側の表にあるような、要するに知恵を使うような部分がふえてきているということでございます。

 次のページは、こういった技能者が中核的人材になるまでにどれだけ時間がかかるかということですが、非常に時間がかかっているという状況です。

 次のページは、育成が依然としてうまくいっていないという話がございまして、やはりここでも指導者が少ないということが言われています。

 ものづくりに関する職業認知ということでは、なかなか人が来ないと言われているが、やや古いデータですけれども、若い人たちがやってみたい職業を見てみると、ものづくりは絶望的に人気がないということでございます。

 次のページは、職業能力評価の問題でございます。職業能力評価を実施している事業所が全体の3分の2ぐらいある中で、資格を利用しているのがそのうちの半分、その中でも技能検定を利用しているのが43%ということなので、全体の2割ぐらいが技能検定を利用しているということです。技能検定は、主として製造業、建設業で利用されているということですが、どういうことに役立つかというと、労働者自身の励みになるというのが一番多くて、採用等で使っているというのは40%ぐらいで、それほど多くありません。

 次のページは、技能検定制度の概要でございます。最近、受検者数は横ばいなのですけれども、ふえているのは主としてファイナンシャル・プランナーの受検ということでございます。

 次のページに参りまして、職業能力評価を6割ぐらいが利用しているというけれども、人事考課の判断基準ということで、内部に使うというのがほとんどでございまして、採用するときに使っているというのは余りない、3割ぐらいということでございます。

 次のページは、派遣労働者について見ているわけですが、採用のとき使うというのはそれほど多くございません。能力評価の内容・方法はどういうところで使っているかということですが、働きぶり、仕事の経歴、経験年数というが中心でございます。どういうものを使っているかというと、資格とか客観的なツールは少ないということでございます。

 次のページは、もう一度繰り返しでございますが、技能検定の話で、採用に当たって技能士であることをどの程度評価するかということです。積極的に考慮するというのは4分の1ぐらい、それに対して技能検定合格者に配慮しているかというと、手当の支給等々、一定の配慮がされているという状況がございます。

 外部労働市場向けのツールとしてジョブ・カードを導入したわけですけれども、訓練にひもづけされているところで取得したものがほとんどでございまして、ハローワークでの交付は7%弱という状況でございます。

 最後のページでございますが、企業側のジョブ・カード制度の認知状況も非常に低いということでございます。内容を含めて知っているのが全体の6分の1ぐらいですし、さらにその中で、使っているというのも6分の1ぐらいの状況でございます。

 長くなりましたが、以上でございます。

○樋口座長 どうもありがとうございました。

 それでは、御議論いただきたいと思います。どうぞ。

○清家委員 4ページに「雇用形態別・規模別のOJT及びOFF-JTを実施した事業所割合」というのがあるのですが、私も不勉強だったのですけれども、計画的OJTというのは何か定義があるのですか。

 もう一つは、私の感じだとOJTというのはもともとそんなに計画的ではなくて、オーダーメイドというか、その都度いろいろ先輩が後輩に教えるというのが効果的なような気がするのですけれども、計画的OJTというのをそういうアドホックなOJTよりもお勧めしている根拠というか、あるいはそのほうがよろしいのだという根拠みたいなものがあるのか、あったら教えていただきたい。

○尾形職業能力開発局総務課長 能力開発基本調査では、OJTと計画的OJTを用語の説明という中で一応定義しております。裸のOJTですと「日常の業務に就きながら行われる教育訓練のことをいう。直接の上司が業務の中で作業方法について部下に指導することなどがこれに当たる」となっております。他方で計画的OJTは、同じく「日常の業務に就きながら行われる教育訓練のことをいい、教育訓練に関する計画書を作成するなどして、教育担当者、対象者、期間、内容などを具体的に定めて、段階的・継続的に教育訓練を実施することをいう」、こういうことになっております。

 要するに、ちゃんとプログラムを決めてやるというところでございまして、そうなると、OJT自身は非常に重視しているのだが、計画的ということになった瞬間にかなり割合が減るという状況です。

 私どもとしましては、日常的なOJT自身が効果がないと言うつもりは毛頭ないわけでございますけれども、例えば助成金支給ということでこれを後押しする場面になりますと、ちゃんとした助成金支給の前提としてのOJTをやっていただくということであれば計画的に出口をあらかじめ考えた上でやっていただくのが望ましいということで、計画的OJTを推奨している面はややあるということでございます。

○樋口座長 よろしいですか。

○清家委員 はい。

○鶴委員 7ページで「人材育成に関する問題点」というのがございまして、先ほど御説明があったように、指導する人材が不足していることと人材を育成する時間がない、労働者のほうにとっても自己啓発をやる時間がないという答えが非常に大きいということだと思います。

 御説明を聞いて思ったのは、訓練とか能力開発は今いろいろ問題が出てきているということなのですけれども、それだけ見てもなかなか答えは出てこないのではないのかなという感じがします。どういうことかというと、やはり正社員の働き方というところが大分変わってきている。それに基づいていろいろ問題が出てきているので、訓練と能力開発のあり方ばかり見てもなかなか答えにたどり着かないのではないか、そういう思いがあります。

 一つは、非正規がふえることによって正社員のいろんな責任というのが非常に重くなっている。長時間労働というのも解消されない状況があると思います。やはり成果主義を導入するようになって、これが評価の側に回らなければいけないということになると、どうしても人材育成というところに手が回らなくなる。また、それが非常にやりにくくなる。そういった問題も多分これまで指摘をされているのだと思います。

 正社員の働き方というのが大分変わってきているので、こういう問題がある。指導する人材が不足している、時間がないという同じ答えが、例えば20年、30年前に統計をとると出てくるのかということは若干疑問です。ある程度やっていたのではないか。先ほど何度もお話もあったように、上司がしっかり面倒を見て育てるという部分は企業としてあったのではないか、そこが大分変わってきているのではないか、そういうような感想を持ちました。

 以上です。

○樋口座長 佐藤さん。

○佐藤委員 論点の能力開発のところです。これからの企業からしても、働いている人からしても、どういう能力開発が大事になっていくかということで、確かに、今、従事している仕事ができなければそれができるように企業も育成したり自分も勉強したりするのはすごく大事だと思います。

 ただ、同時に、今の仕事に必要な能力開発だけではなくて、今の仕事がずっと同じように続くわけでなくて、これからどんどん仕事が変わっていくわけですから、OJTで身につけた知識経験というのは同じことが続くときは有効なのですけれども、仕事ががらっと変わったときの応用力というのはすごく低い。そういう意味では、今の仕事に必要な能力を身につける、あるいは身につけさせると同時に、将来いろいろ仕事が変わったときに適応できるような、つまりOJTで身につけた知識経験をある程度理論的に整理するということはすごく重要になってくると思います。だから、ハウツウではないのです。ハウツウも大事なのだけれども、ある程度理論的な勉強をやっていくというのはすごく大事だと思います。

 そのことを企業がどれぐらい理解しているか、あるいは働いている人がどれぐらい理解しているかということで、例えば忙しくてやる時間がないというのは多分事実なのだけれども、本当はもうちょっと勉強しなければいけないことを理解していれば時間をつくるはずだと思います。時間がないと言っているのは余り理解していないのかなと思っています。そういうことも含めて、どういう知識、能力を高めることが大事かということをもう少し整理してもらう。

 そうしたときに、13ページですが、つまり専門学校とかのハウツウではないのだと思います。それが必要な部分はあるのですけれども、大学とか大学院の教育というのはすごく大事になってくると思います。そこが伸びていない。

 例えば、能力開発の給付金も大学院のMBAなんかも対象になっているようで、でも1万人もいるのだなと思ったのですけれども、ただ講座数は580で、法科大学院だと8ですね。もっとエントリーすれば、つまり法科大学院はもっと多いので、逆に言えば大学とか大学院が手を挙げて、もうちょっとエントリーして宣伝する。よくわかりませんが、実際上もうちょっと高等教育機関が広げていくこと、あるいは働く人が受けやすいようにしていくことが大事だと思いますが、必要性を理解してもらうとともに、サプライヤーのほうも何か少ないような気もするのですけれども、これはどういうふうになっているのかなというのが後半の質問です。

○樋口座長 では、お願いします。

○青山職業能力開発局能力開発課企画官 能開課の青山でございます。

 教育訓練給付の関係ですが、確かに世の中に社会人向け大学院講座はたくさんあります。制度がまだ知られていない部分があるのか、全てのところがこの指定を受けているわけではないのですけれども、ただ、経営のほう、おっしゃっているMBAとかは、主だったと言っては語弊があるかもしれませんが、関東あたりにある主な大学院さんは指定を受けていらっしゃいます。

 実は、この教育訓練給付は1年分しかお金が出ないとか上限10万円ということもあって、非常にお金がかかる教育の中でどれだけこの制度を頑張って利用するかなというのも多分あって、大学さんも余り魅力を感じていない可能性もあるのかなとは多少思っております。いずれにしても、周知不足ということであれば我々の努力不足もあるので、もう少し分析はしていきたいと思っております。

○樋口座長 これはたしか上限額が。

○佐藤委員 10万です。

○樋口座長 給付は10万円ですけれども、授業料のほうの規定がありましたね。100万以下でしたか。

○岡崎職業安定局長 今の制度は青山が言ったとおりですが、今、学び直しをもうちょっと支援しなければいけないのではないかということで、教育訓練給付の給付をもう少し部分的に充実しようかという議論を雇用保険部会でやっています。

 その中で、今、提示しているのは、法科大学院とか学費を見ると年間100万円からもうちょっと高いぐらいなのですが、その辺をある程度めどにして、今の2割を4割、資格を取った場合にプラス2割ぐらいのことにしたらどうかと、これはまだ雇用保険部会に提案したたたき台なので、そうなるかどうかはわかりませんけれども、そういったことも考えているということです。

○樋口座長 どうぞ。

○両角委員 今の点に関してなのですけれども、そういう法科大学院、大学院、あるいは長期の本格的な学びというのか、育てるというのか、そういうニーズがどれぐらいあるのかということはすごく大事だと思います。諏訪先生がおっしゃっているキャリア権をどうやって具体化するか、そのイメージとして、もしそういうニーズが割とあるということであれば、教育訓練給付ではなくてもっと本格的な制度が必要ではないかなと個人的には思っています。

 例えば、私はスウェーデンのことが専門なのですけれども、調べていると、労働法上も、教育訓練休暇のように会社を休んで大学院などに雇用が保障された状態で行ける、あるいは所得のほうも個別に学習のための社会保険制度みたいなものがあって、それは一度返さなければいけないので全額もらえるわけではないのですけれども、学び直しみたいなことが本当に必要なのであれば、それを支える法制度の整備ということも必要になってくるのではないかと思います。

○樋口座長 御意見をいただきます。ほかにどうでしょう。

 宮本さん、どうぞ。

○宮本委員 ちょっとターニングして戻ってしまうのですけれども、よろしいでしょうか。

○樋口座長 どうぞ。

○宮本委員 一つは介護労働についてなのですけれども、今度、介護保険が恐らく改定されて、介護労働の中身が随分変わっていく。つまり、要支援1・2というのが今度は外されて、地域支援事業というのに入っていくわけです。

 これまで介護の世界の一つのジレンマというのは、認定事業者が本来やるべき介護そのものに加えて、家族が解体していますので生活支援みたいなこと、要するに家事手伝いみたいなことをやらないと介護もできなかったというところがあって、訪問看護がその単価で家事手伝いをやっているのか、何事だみたいな議論があったわけです。介護予防というのも大分使い勝手が悪いと言われていたのですけれども、それが今度外されて地域支援事業になって、今度は認定事業者以外の多様な主体が生活支援労働をやっていく。つまり、介護労働と生活支援労働というのが分かれていくわけですね。

 生活支援労働というのは、規模からいっても、これまでの介護予防が給付の5%ぐらい使っていたのですけれども、それに加えて地域支援事業というのは上限3%ぐらい使っていて、膨大な8兆円の給付の8%分ぐらいのお金が、全部が全部というわけではありませんけれども、生活支援労働というところに流れていくわけですけれども、これがつかめないと介護労働の全体像が見えてこない。恐らく認定事業者の労働がここでは介護労働という形で捉えられるのではないかと思いまして、そうした新しく物すごく膨らんでいく労働の世界というのを何とか捉えていただけないだろうかということです。

 生活困窮者自立支援法がこの秋にもし通ると、就労準備支援事業、いわゆる中間的就労みたいな仕事も固まりとして出てきて、それをどう捉えるかということ、恐らくそういう仕事と生活支援の仕事とかなり重なってくるのではないかと思うのです。そのあたりが捉えられた上で、しかもそこからの入職経路みたいな形で正規などに移れるのかどうなのかというところのデベロップメントが何か捉えられないかと思っていまして、そこをちょっと御留意いただけないか、これはお願いです。

 2番目は簡単な質問なのですけれども、先ほどハローワークの仕事、自治体の職業紹介と民間ビジネス機関の関係というお話がございまして、資料2−1の38ページでは、既に64市区町で相補的にハローワークと自治体の職業紹介が連携する事業をやっている。これは質的に中身をもうちょっと御紹介いただけないか。

 私が聞いている限りでは、京都ジョブパークとか、あるいは豊中市は市民協働部というのがあって、そこに雇用労働課があって、ハローワークが紹介して、紹介先に行くのに雇用労働課の人間が随行して、紹介先の仕事をいわばカスタマイズするというか、求職者の事情に合わせて、例えば労働時間を短くしてくれないかとか、そういう仲介役みたいなことをやっています。それは非常に建設的な関係かなと思うのですけれども、それ以外、64市区町での連携の中身について、もし質的な情報があれば教えていただけないか。

 その2点です。戻ってしまいまして、済みません。

○樋口座長 まず、1点目は御要望ということでしたが、いかがですか。

○本多雇用政策課長 介護保険制度の見直しはまだ進んでいるところなので、介護需要にどう影響が出てくるかというのは定量的には難しいかと思うのですが、今回の雇用政策研究会で、雇用労働に限らず地域の中での就労ということも検討対象に含めていきたいと思っておりますので、その中で定性的に反映できないか、考えていきたいと思います。

○樋口座長 2番目。

○宮川職業安定局派遣・有期労働対策部長 この事業につきましては、今、先生がおっしゃられた幾つかの市町村の中で、自治体のほうから一緒にやっていきたいと。そこで一体的実施の中で最も大きな方法は、例えば福祉事務所や市役所にハローワークが出張っていって、具体的に言えば、大きなところであればそこに窓口をつくってやる。そういうところまでいかないようなところにつきましては、巡回相談という形で定期的に相談に行ったり、予約相談をやる。こういうような形で、特に福祉関係での生活困窮者を含めた方を対象とした一体的実施というものを今やっているところでございます。また後ほど詳しい資料等については先生のほうに御説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○樋口座長 よろしいですか。

 では、どうぞ。

○玄田委員 今、宮本さんがおっしゃった、特に最初の点は本当に賛成で、今回のこの政策研究会の中で、介護から地域生活支援の流れをどうつくっていって就業につなげるかというのはぜひ研究していただきたい。法改正もありますけれども、既にいろんなNPOとかで試みが進んでいますので、ヒアリングできればいいと思いますが、無理だったら、いろんな資料を集めて、どうすればそれがうまくいくのか、地域の雇用に結びつくのかというのは、例えば私の知る限りでも、宮城にあるCLCというコミュニティライフサポートセンターはかなり具体的に取り組みをしているので、それはぜひ今回加えるべきだと思います。

 もう一点は簡単に質問です。能開局の皆さんに伺いたいのですが、皆さんというか、どなたかに伺いたいのですが、今回は15ページのシートがとても印象的で、こういう民間教育訓練プロバイダーの推計数なんていうのは見たことがなかった気がします。

 質問内容は、先ほど富田さんがお答えしたこととは反対で、民間教育訓練機関というのは伸び悩んでいるのか、成長しているのか、一体実態はどうだというふうに捉えていらっしゃるのか。これは堀さんに伺うべきかもしれないけれども、ここで出所がJILPTと出ているということを見ると、もしかしたらこういう把握というのは、特に文科省との関係もあって、案外できそうでできない状況にあるのかもしれない。

 ただ、14ページもそうだけれども、民間教育訓練機関の受講者は全体の8割で20万人を超えているというのは相当大きな規模で、民間教育訓練機関というビジネスがどういう方向に向かっているのかを一回実態把握するというのは非常に重要な政策テーマであるように思います。私がもし政府研究関係者ならば、良質な民間教育訓練機関を育てていくことがこれからの成長戦略には重要だと入れてもいいかなというぐらい相当大きな役割だと思います。「民間教育訓練機関の現状」と書いてあるので、ぜひその動向についてどういうふうに理解されているかということを教えていただきたい。

 以上です。

○尾形職業能力開発局総務課長 実は、私ども自身もこういう実態を何とかして把握できないかと思って、今回一生懸命探して見つけたのがこの数字で、その後ふえているのか、減っていないのかというのを厳密には把握できておりません。

 ただ、肌感覚的に、担当者たちの話を聞いていると、民間の特に人材ビジネス系のところが決して伸びているということではないようでございます。減っているかどうかというのはちょっと微妙なのですけれども、最近、必ずしも躍進目覚ましいということではない。

 例えば、求職者支援訓練という制度が平成2310月から立ち上がって、その前身の基金訓練というのが21年の暮れから立ち上がって、その辺が若干起爆剤的な要素にはなったのかもしれないとは思っておるのですが、その後、一種の訓練バブルもはじけまして、この当時と比べて必ずしも革命的にふえているという状況ではないと思っています。

 我々は、今、御説明した程度の把握の仕方で十分だとは思っておりませんし、先生から御指摘があったような実態把握は非常に重要だという認識を最近強く持つようになっておりますので、可能であればJILPTさんなどにも引き続き調査をぜひお願いして、我々の政策研究に貢献していただければと思っているところでございます。

○樋口座長 どうぞ。何かありますか。

○堀委員 この研究は、今野先生のお力をおかりして集計したものでして、この後はやっておりません。人も足りないのでなかなか難しいのですが、教育つながりで一言申し上げさせていただきたいと思います。

 今回、ものづくり人材ですとか建設人材についての不足などが指摘されているところなのですけれども、90年代半ばに多くの高卒の仕事がなくなって、どんどん高学歴化していったわけです。建設とものづくりに関しては、相変わらず高卒に対する需要が非常に大きい。逆に言うと、大卒でものづくり現場や建設分野に技能者として入ってくる人はまだまだ少ない。雇用する側、管理側もそれを望んでいないというような認識かと思います。

 したがいまして、高卒労働者に対する働きかけというのは、高学歴化して少なくなってしまった今でも非常に重要だと思っておりまして、現在、工業高校などはかなり就職率がいいわけなのですが、実際には高卒就職者の一番多いのが普通科出身なのですけれども、この人たちに対する働きかけというのはまだまだ弱いところがあります。特にものづくりや建設あたりは、普通に生活している限りにおいては全然なじみのないところですので、何らかのカリキュラム的な形で取り組んでいくような試みが必要ではないかと考えています。

 そのことにつきましては、労働政策のかかわりはなかなか難しいところがあるのですけれども、やはりさまざまな能力開発の分野でこうしたことに詳しい方がいらっしゃると思いますので、ぜひその方たちにコーディネート役になっていただきまして、なじみのない普通高校にもこうした取り組みを紹介していただいたり、体験していただくような機会をふやしていただければと考えております。

○樋口座長 黒田さん。

○黒田委員 今、建設の話が出たので、先ほど質問しそびれたその点で1点と、その他2点あります。

 1つは、建設の需要が非常に大きいというお話は今もありましたけれども、時系列推移をみると人数も、賃金も減っており、需要が高いのにもかかわらず、賃金がこれだけ下がっていっているのはなぜなのかというところが、もしおわかりになったら教えていただきたいと思います。

 また、社会人の学び直しについて先ほども御議論がありましたが、せっかく会社外で学び直しをしても戻る場所がないかもしれないというリスクを労働者が考えている可能性を考えておかないといけないと思います。訓練する機関の器とかお金を用意したとしても、企業にそういったところで学び直しをしてきた人を受け入れる土壌がないのであれば、意味がないものになってしまうのではないかと思います。

 最後に、お金を出すとなると、どうしても可視化しやすいスキルに充当するということになってしまいがちだと思います。今回の資料で人を育てる人がいないという情報が多数示されていたことと間接的に関係すると思うのですが、企業の方とお話ししていると、よいマネジャーがいないということが、よく聞かれるところでございます。

 マネジメントというのは専門スキルと捉えるべきだと思うのですけれども、なかなか可視化しにくい職業能力だと思います。育てる側の人を政策的にどう育てるかというのは難しいところだと思うのですが、少なくともそういったニーズが世の中にあることは認識しておくというのは必要かと思います。

 以上です。

○樋口座長 私もちょっと戻って恐縮なのですが、先ほどの資料2−1に給与の決め方というのが71ページにありまして、職務・職種など仕事の内容、職務遂行能力というのは平成10年も平成24年もほとんど変わっていない。学歴、年齢・勤続年数は平成10年がトップだったのが下がって61.3%になりました。気になっているのが、業績・成果が、成果主義と言っている割にはむしろ下がっている。大きく下がっている。これを見ると、上がっているものがなくてみんな下がっているということは、何を基準に基本給が決められるようになっているのかよくわかりませんというところがあります。調査が違うからということもあるかもしれません。業績というのはここでは個人業績を言っているのかわかりませんが、いずれにしても、業績あるいは成果を余り重視しなくなっているというのはちょっと意外な結果です。

 その一方で職務遂行能力は維持しているわけで、資料2−2の24ページで職業能力評価というものを何に使っているのかというと、人事考課の判断基準が90%です。ということは、やはり職務遂行能力を職業能力評価に基づいてやっているのだなということが予想されるのですが、それでいて人材の採用にはそれは使いませんよと。これは、個別企業が職業能力評価を自分のところでやっているから社会化していない、だからそれを人材の採用のところでは使えないというふうに言っているのかなという気がします。

 では、何をもって人材の採用を決めているのか。これは多分、新卒者ではなくてむしろ中途採用を考えているわけですから、労働市場の流動化あるいは円滑な労働移動という問題を考える上では、ここのところというのはすごくポイントになってきて、どうやれば市場をつくることができるのかというような問題と関連してくるところがあるだろうと思います。社会的に職業能力を評価するのは難しいというのは十分わかりますが、どうすればいいのかというところを何か考えていかないと、今いろいろ問題が出てきている中で応えられないのかなと思います。何で人材採用に職業能力評価というものを使わないのかというところを教えていただければと思います。

○伊藤職業能力開発局能力評価課長 能力評価課長でございます。

 今、座長から御指摘ございました資料2−2の24ページに関しまして、今ほど話がございましたように、職業能力評価は、典型的に言えば資格等であったり、現在、企業で従事している者であればそれぞれの仕事ぶりの評価であったり、こういったものを指していることになってくるわけでございます。

「人材の採用」に関しましては、右側にありますように32.2%と非常に低い活用比率にとどまっています。ただ、残余の70%近くについては何がしかの基準のもとで採用選考を行っているというのは事実でございます。

 別の場でこの職業能力評価のあり方について、議論、検討を行っていただいておりまして、その中でいろんなヒアリングも行っているところでございますけれども、企業の募集、採用選考に当たり、応募してきた方の総合的な評価の一要素として資格等を活用している実態は相当程度認められるようでございます。

 これは、能力開発基本調査の質問の捉え方にもかかわってくることかと思うのですけれども、あらかじめ求人要件として特定の資格を明記した場合に、その資格は有していないのだけれども、それと同等あるいは同等以上の経験・能力を有している方の応募を得られなくなってしまう、応募者の母集団を確保することができなくなってしまうというふうな求人企業側の一般的な行動・思考様式もあり、求人要件に具体的な資格といった客観性を持った、社会性を持った能力評価を明記していない。

 ただ、その後の総合評価の中では資格等も用いられているというふうな、どうも大まかな実態があるようでございまして、これはこれで求人企業の行動としては合理的な部分もあるかと思うのですけれども、より合理的、効率的に外部労働市場の中で職業能力に着目したマッチングを進めていくという意味では、やはりここは課題があります。具体的な職業能力のあらわし方という課題もございましょうし、具体的な求人条件の中での示し方、マッチングの場面の使い方という観点でもいろいろ課題があるように思っておりますので、そのあたりについては、私ども能開局、安定局も含めて、いろんな場面で、実態、課題両面から検討中という段階でございます。

○樋口座長 ありがとうございました。

 先ほど黒田さんがおっしゃった職業訓練をやっても受け皿がなければという、まさに職業訓練を受けた人がどういうふうに就職できるのか、そこではやはり評価制度というのが関連していないとばらばらだし、訓練は訓練で終わりという話では成果は期待できないわけですから、そこをどうつなげていくのかというのは行政的にも重要なポイントになってくるのではないかと思いますので、御検討いただけたらと思います。

 ほかにどうでしょうか。神林さん。

○神林委員 時間ですので。

○鶴委員 事務局への質問で、玄田先生の先ほどのお話にかかわるのですけれども、民間教育訓練プロバイダーの現状はどうなっているのかというお話だったと思います。民間企業の中で、例えば民間職業紹介とか派遣というのも兼ねてやっているものがどれぐらいあるのか。民間の職業紹介というのは派遣とあわせてやっていらっしゃる方が多いというふうに私も認識しているのですけれども、教育訓練というのはどんな現状か、3つセットしてやっているところが多いのか、全く教育訓練だけでやられているところが多いのか、私、状況を知らないもので、もしおわかりであれば教えていただければと思います。

○尾形職業能力開発局総務課長 これも肌感覚的な感じなのですけれども、思ったほど多くなかったですね。人材ビジネス、いわゆる派遣、紹介を本業とする人たちが最近、人材育成の分野に進出してきている。特に地域の取り組みの中でそういうことをやっているという話を聞くのですけれども、ここで統計をとっている中にそれがどれくらい入っているかというと実は余り多くないということでございます。

○宮川職業安定局派遣・有期労働対策部長 民間人材ビジネスもさまざまな大きさがありまして、そういう中で、大きなグループ企業をつくっているような人材ビジネスをやられているところでは、別会社とか子会社にしてそういう教育訓練専門のものをつくるというパターンもあります。今、尾形課長から説明があったように、私も求職者支援制度を所管して幾つか実際見させていただいたところでは、いわゆる兼業をして、両者を企業としてミックスした形のものというのは今のところ余り見当たらないような感じです。

○樋口座長 よろしければ、そろそろ時間が来ておりますので、きょうの議論はここまでとさせていただきたいと思います。

 次回は、全員参加の社会についての検討を進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 事務局から連絡をお願いします。

○高橋雇用政策課長補佐 次回以降の日程につきましては、資料3につけさせていただいておりますが、第3回につきましては、1115日の10時から12時でございます。場所は、この同じ場所でございます。どうぞよろしくお願いします。

○樋口座長 以上で終了します。どうもありがとうございました。


(了)

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