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2013年9月27日 第103回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成25年9月27日(金)16:28〜17:46


○場所

中央合同庁舎第5号館9階 省議室
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○出席者

【公益代表委員】

岩村委員、田島委員、野崎委員

【労働者代表委員】

工藤委員、新谷委員、冨田委員、八野委員、春木委員、宮本委員

【使用者代表委員】

秋田委員、小林委員、鈴木委員、平岡委員、宮地委員

【事務局】

中野労働基準局長、大西審議官、土田総務課長、村山労働条件政策課長、古瀬労働条件政策課調査官

○議題

1 今後の労働時間法制の在り方について
2 2012年度の評価及び2013年度の目標設定について
3 その他

○議事

○村山労働条件政策課長 御案内した定刻より若干早いのですが、皆様おそろいですので、ただいまから第103回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。

 私は労働条件政策課長の村山です。

 今回は、4月27日付にて行われた委員改選後初めての分科会です。労働条件分科会長につきましては、労働政策審議会令第6条第6号によりまして、労働政策審議会本審所属の公益委員の中から選出されることになっており、岩村正彦委員が選出されております。また、分科会長代理につきましては、労働政策審議会令第6条第8号により、公益委員または臨時委員から分科会長が指名することとされており、山川隆一委員が指名されております。

 では、以降の議事進行は岩村分科会長にお願い申し上げます。

〇岩村会長 引き続き分科会長を務めることになりました岩村でございます。皆様の御協力、御支援をいただきながら議事を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、本日の欠席の委員でいらっしゃいますけれども、公益代表につきましては、権丈英子委員、村中孝史委員、守島基博委員、山川隆一委員、労働者代表につきましては、高松伸幸委員、使用者代表につきましては、池田朝彦委員、田中恭代委員がそれぞれ御欠席ということでございます。

 また、池田委員の代理としまして、日本商工会議所産業政策第二部副部長の高山さんが出席されていらっしゃいます。よろしくお願いします。

 なお、宮本礼一委員は所用により途中で退席されると伺っております。

 議事に入ります前に、委員の改選がございましたので、定足数とあわせて事務局から報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 平成241010日に開催された前回の労働条件分科会以降、改選により新たに就任された委員を御紹介申し上げます。なお、資料1といたしまして委員名簿をお配りしておりますので、御参照願います。

 公益代表の委員が新たに1名就任されました。野崎法律事務所弁護士の野崎薫子委員でございます。

 労働者代表の委員が新たに1名就任されました。UAゼンセン副会長の八野正一委員でございます。

 使用者代表の委員が新たに3名就任されました。

 まず、日本通運株式会社総務・労働部長の秋田進委員でございます。

 一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部主幹の鈴木重也委員でございます。

 株式会社日立製作所人財統括本部勤労部長の平岡真一委員でございます。

 次に、定足数について御報告いたします。

 労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

 最後に、事務局に異動がございましたので、御紹介申し上げます。

 大臣官房審議官(労働条件政策担当)の大西です。

 労働条件政策課調査官の古瀬です。

 ここで、労働基準局長の中野より御挨拶申し上げます。

〇中野局長 労働基準局長の中野でございます。

 新たに委員に御就任された方、また引き続きの委員の方もいらっしゃいますが、今後の労働基準、労働契約法制等についての調査・審議、とりわけ本日から始まります労働時間法制の調査・審議につきましてよろしくお願い申し上げます。

 労働時間法制につきましては、前回の労基法改正におきまして、1カ月60時間を超える時間外労働に対します割増賃金が50%以上に引き上げられましたが、中小企業につきましてはこの規定を当分の間適用しないこととされております。これにつきまして、改正法附則に定められました施行後3年経過後の見直し検討時期が到来しておりますことから、この点について御検討いただく必要がございます。

 また、本年6月14日に閣議決定されました日本再興戦略等におきまして、労働時間法制につきまして、企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制を初め、労働制約審議会において総合的に検討することとされたところでございます。

 この閣議決定に至る段階で、産業競争力会議や規制改革会議におきましてさまざまな御議論がありましたが、最終的には、ワーク・ライフ・バランスや労働生産性の向上といった我が国経済社会の持続可能な成長を実現する観点に立って、公労使三者構成の労政審において調査・審議いただくことが必要であるということが閣議決定の本旨であると理解しております。

 各委員におかれましては、これらの点につきましてぜひとも御理解いただきまして、総合的かつ建設的な御議論をしていただきますようお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

〇岩村会長 局長、ありがとうございました。

 カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきたいと思います。

(報道関係者退室)

〇岩村会長 それでは、議事に入らせていただきます。

 お手元の議事次第に沿って進めてまいります。

 そこにございますように、最初の議題は「今後の労働時間法制の在り方について」でございます。これにつきまして資料等を用意いただいておりますので、まずは事務局のほうから説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○村山労働条件政策課長 それでは、資料2をお開き下さい。

 資料2「論点(案)」です。先ほどの労働基準局長からの挨拶かたがたの検討依頼にもございましたように、当面の労働条件分科会におきまして労働時間法制の調査・審議をお願いしたいということでございます。資料2はその論点(案)を御提示するものでございます。

 まず、論点の1つ目は、先ほど局長から申し上げましたように、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率についてでございます。平成20年の労働基準法改正によりまして月60時間超の時間外労働に対しては50%以上の割増賃金率が定められましたが、中小企業につきましては労働基準法第138条により当分の間適用されないこととされました。同時に、施行後3年経過後に施行状況や時間外労働の動向等を勘案し、同条について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずるものとされております。

 この関係につきましては、ただいま申し上げた条文は、2ページ目の「改正労働基準法の検討規定」というシートに書いてあるとおりでございます。下線は引用に際して付したものでございますが、そこのところが先ほど御説明申し上げた内容です。

 1ページ目に戻りまして「論点(案)」の2つ目「企画業務型裁量労働制及びフレックスタイム制の見直しについて」です。平成25年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」におきまして「企画業務型裁量労働制を始め、労働時間法制について・・・本年秋から労働政策審議会で検討を開始する。ワーク・ライフ・バランスや労働生産性向上の観点から、総合的に議論し、1年を目途に結論を得る」こととされております。また、同日閣議決定されました規制改革実施計画におきましても「企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制をはじめ、労働時間法制について総合的に検討する」こととされております。これら閣議決定に即しまして、労働政策審議会の中で、労働時間法制を所掌していただいている労働条件分科会に御審議をお願いしたいというのが2点目です。

 閣議決定の具体的な文書は3ページに掲げております。上が「日本再興戦略」、下が「規制改革実施計画」でございます。「規制改革実施計画」のうち「4 雇用分野」の(1)の中に、ほかの分科会・部会等で担当される内容も入っておりますので、2の部分に下線を付しておりまして、個別の措置事項として閣議決定されている内容が下の表のとおりでございます。

 以上2点が具体的にお示ししている論点ですが、その他、この労働時間法制をめぐっては、公労使各側からさまざまな御意見もあるものと考えております。3で「その他」とさせていただいております。

 なお、先ほど申し上げました労働時間法制に関する閣議決定の中で、例えば「日本再興戦略」のところ、3ページ目の上の箱を見ていただきますと「労働時間法制の見直し」とした後の「企画業務型裁量労働制を始め、労働時間法制について」の次に「早急に実態把握調査・分析を実施し」とされております。その「早急に実態把握調査・分析」をどのように実施しているかについての資料が、4ページ「平成25年度労働時間等総合実態調査について」です。

 本分科会で労働時間法制について調査・審議をいただきます際には、いつも、まずもって今後の労働時間法制等の検討の際に必要となる実態につきまして把握を行っております。調査方法といたしましては、全国の労働基準監督署から事業場への訪問調査で実施しているものでございます。閣議決定も踏まえ既に調査を終え、現在、その結果について鋭意分析中でして、その調査結果が取りまとまり次第、本分科会にも詳細に御報告申し上げ、議論の出発点にしていただければと考えております。

 調査対象の事業場数は、4.にありますように、約1万1,000事業場です。

 主な調査項目は、5.にございますように、時間外・休日労働の実態、あるいは実労働時間数等、それから割増賃金率の設定状況、裁量労働制の実態、みなし労働時間数や実労働時間数等ということです。

 特に今回の調査・審議に当たりましては、先ほど見ていただきました労働基準法の138条でありますとか、附則の3条で、前回の改正で第3条第1項ただし書きの規定は当分の間適用しないとされた中小事業主の取り扱い等もありますので、これら調査結果につきましては、大企業・中小企業別に、事業場規模だけではなくて企業別の集計も現在進めているところです。

 資料2の「論点(案)」については以上です。

 あわせまして、資料3「労働時間等関係資料」をお開きいただければと存じます。これは、「毎月勤労統計調査」や「労働力調査」等の基礎的な労働時間のデータの資料につき、ごく簡単に取りまとめているものでございます。

 まず、1ページ「年間総実労働時間の推移」です。労働者1人当たりの平均値は減少傾向で趨勢的に推移しておりますが、近年では、一般労働者の総実労働時間はおおむね横ばい、パートタイム労働者の総実労働時間はやや下がっておりますが、その減少幅はそれほど大きなものではないという中で、一方では、その構成比でみた、パートタイム労働者比率が持続的に上昇していることにより、総実労働時間の平均値が右肩下がりになっている傾向にあります。

 それから、平成21年には、前年秋の金融危機の影響で、製造業を中心に所定内・所定外労働時間がともに大幅に減少し、その後はやや上昇してきているという状況でございます。

 2ページ「週労働時間別雇用者等の推移」です。週の労働時間が60時間以上の雇用者の割合について見ているものでございます。上の表にございますように、週60時間以上の労働者の比率というのは、かつて平成1516年ごろの水準と比べますとかなり低下しておりますが、一方では1割弱という水準にあることも事実でございます。特に30歳代の男性で週60時間以上の労働時間の方について見ますと、これも同様に、以前よりは比率としても人数としても減っているということではございますけれども、やはり全体の平均よりはかなり高い構成比になっているということは見ていただけるかと思います。

 それから、3ページの、「年次有給休暇の取得率」につき就労条件総合調査で見たものです。その取得率につきましては、近年5割を下回る水準で推移しておりまして、足元数年は若干上昇しておりますものの、直近の数字は49.3%ということでございます。

 4ページ目「労働者1人平均年間総実労働時間の国際比較」で、長期の時系列がとれるいわゆる先進国について見ているものでございます。日本につきましては、昭和62年の労働基準法改正以降、大きく減少した後、その後の状況については先ほど御説明したような状況が見ていただけるかと存じます。

 最初の議題に関します資料の説明は以上です。どうぞよろしくお願いします。

〇岩村会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま説明いただきましたこの件につきまして、御意見あるいは御質問がありましたら、お願いしたいと思います。

 新谷委員、どうぞ。

〇新谷委員 今、御説明いただいた資料とは直接には関係はありませんが、論点の各論に入る前に、厚生労働省としての考え方を確認させていただきたい点がありますので、一言発言をお許しいただきたいと思います。

 9月20日に、政府は、安倍総理出席の下で産業競争力会議の課題別会合を開催しております。新聞等でも報道されておりますので結構話題になっておりますが、この課題別会合の中で、国家戦略特区というものが提起されており、そこでは、この労働条件分科会でこれから論議する内容とまさしくかぶる内容が提起をされております。

 国家戦略特区というのは、特定の地域に対して法律の適用を除外するという仕組みをお考えになっているようですが、その適用除外とする労働法の部分が、資料によれば3つあります。

 1つは有期雇用について。これも労働条件分科会の中で建議をまとめて法律としてでき上がったものでありますが、労働契約法第18条の5年を超えたときの無期転換ルールについて、無期転換権を事前に契約によって放棄させることを、特区のエリアについては認める、ということが1つ。

 もう1つは解雇ルールについて。これも契約の締結時に解雇の要件・手続を契約条項で明確にして、裁判になったときにはその契約条項を裁判規範とするという、まさしく労働契約法16条の適用除外をするということが1つ。

 もう一つは労働時間について。これもホワイトカラーイグゼンプションですけれども、現在の労働時間の規制、時間外の規制、深夜の規制、全てを外して、41条の適用除外の中に新たに設けろといった極めて乱暴な提案がなされております。

 労働基準法は、申し上げるまでもなく、憲法25条の生存権の保障なり27条の勤労条件の法定を受けて、労働者を守るための最低限の労働条件を規定するものであり、労働契約法については、民事法規の基本法規としての民法の特別規定として制定されたものであり、16条は、民法1条3項の権利の濫用はこれを認めずという大原則から、判例法理により生み出された解雇権濫用法理を定めたものです。これに対して、特定の地域についてはこれを適用しないといった内容の提起がなされているわけで、これはまさしく法の下の平等を定めた憲法14条との関係でどう捉えるのかといった問題や、裁判を受ける権利等々の憲法上の問題をはらんでいると考えられます。労働条件分科会の中でこれから労働時間の審議が始まることと並行して、一方でこのような乱暴な論議が総理が陪席をされるような会議の中で出てきております。

 もともと、使用者の代表も労働者の代表も入っていない政府の諸会議の中で労働政策なり労働法規の話がされることに対しては、また後ほども述べたいと思いますが、ILOの三者構成主義に反するということは前々から申し上げております。こういった国家戦力特区の提起に対して、労働法制を所管する厚生労働省として一体どのような見解を持っておられるのか。これからこの分科会で審議が始まる労働時間について、まずそこのところを確認させていただかないと、我々としても、これからの論議は難しいと考えておりますので、ぜひ厚労省としての見解をお聞かせいただきたいと思います。

 また、分科会長にも労働法の専門家として、国家戦略特区の提起内容についてのコメントを頂戴できればありがたいと思います。

〇岩村会長 まず、事務局、お願いいたします。

○村山労働条件政策課長 ただいま新谷委員から御提起のありました国家戦略特区の関係です。

 ただいまの御発言にもありましたように、9月20日の産業競争力会議課題別会合の資料等が既に公表されておりますので、それに即しながら、本日議題ではないので、委員の皆様方のお手元になくて恐縮ですが、これまでの経緯ですとか、御質問の点に可能な範囲でお答えいたします。

 まず、申し上げておきたい第1点は、まさにこれは現在進行中の議論であるということです。何かが既に決まっている議論というわけではなくて、現在進行中の議論であるということをまず前提として申し上げておきたいと思います。

 6月に閣議決定された日本再興戦略の中に国家戦略特区というものを検討していくという内容は盛り込まれております。そこで何をやるかという具体的なことは書かれていないのですが、どういう特区かが盛り込まれています。具体的には、国・自治体・民間の各主体が対峙するのではなく、三者一体となって取り組む案件であって、これまでの特区では実現が期待できなかった世界からの投資を引きつける程度にインパクトのあるものに限って対象として、スピード感を持って実現していく特区制度だということが書かれているところです。

 先ほどお話のありました9月20日に官邸で開催されました産業競争力会議の課題別会合で具体的な御議論がありました。その場では、既に報道等もなされておりますが、総理からも、世界から注目されるような画期的な規制改革を緊急に実現しなければならないという問題意識の上で、国家戦略特区ワーキンググループという有識者の方々が集まっている組織から提起された規制改革提案について、実現する方向で対応策を検討するようにというお話が、出席した関係の閣僚等に対してなされたということでございます。

 その際の資料は既に公表されておりますので、それに即して御説明しますと、その際の「国家戦略特区WG規制改革提案に関する現時点での検討状況」というワーキンググループ座長の先生のお名前でのペーパーによりますと、ワーキンググループからその場で提起されているのは3点です。その対象は、特区内の開業後5年以内、または外国人比率30%以上の事業所を念頭に置いた特例措置です。

 1点目は、有期契約の関係でして、労働契約法18条にかかわらず、労働者が無期転換権を放棄することを有効とする旨を規定し、使用者側が無期転換の可能性を気にせず有期雇用できるようにするという提案がなされております。

 2点目は、解雇ルールの御提案です。労働契約法16条の特例規定といたしまして、特区内で定めるガイドラインに適合する契約条項に基づく解雇は有効となる旨を規定し、労働契約の締結時に解雇の要件・手続を明確化しておけば、仮に訴訟になった際、契約条項が裁判規範になるようにするという提案がなされております。

 3点目が、労働時間です。年収など一定の要件を満たす労働者が希望する場合、労働基準法の労働時間・休日・深夜労働の規制を外して労働条件を定めることを認めるという御提案がなされております。

 これに伴う措置といたしまして、特区においては、同時に労働者保護を欠くことがないよう、特区内の労働基準監督署の体制を強化する等の内容が書かれているところでございます。

 この課題別会合には厚生労働大臣も出席を求められ、出席し発言をしております。また、その際に資料を提出しており、それも公表されております。先ほど新谷委員から提起のあった厚生労働省の現時点の考え方に関しては、厚生労働大臣からのプレゼン資料に盛り込まれている内容を口頭で御説明することで御理解いただきたいと思っております。

 まず、厚生労働省といたしましても、この国家戦略特区という考え方は閣議決定され、政権として進められようとしているものですので、全体として前向きに対応する基本姿勢であると同時に、雇用分野の先ほどの3点の提案を考える上では、その資料にも明記してございますが、幾つかの留意点があると考えているところです。

 1つが労働者保護の視点です。大臣も、雇用に関する基本的ルールである労働基準法や労働契約法について、一部地域や企業を対象とし、試行的適用除外ないしは緩和する特区ができるかどうか、基本的生存権である労働者保護法規の位置づけに照らして検討することが前提という趣旨を同日発言しております。憲法上の法の下の平等、特に解雇に関する御提案に関しましては、何人にも認められている裁判を受ける権利といった観点からの検証も必要ではないかと考えているところです。

 2つ目に、労働者保護と同時に、公正競争の観点も忘れてはならないと考えております。労働基準、ないしは最低労働基準の一つの存在意義は、事業者間の公正競争の確保にあるということでございます。国際化時代におけるルール設定の観点から、そうした視点も十分に踏まえて議論を進める必要があると考えております。

 その上で、この20日の課題別会合の会議の際、田村大臣からも、海外からの進出企業や起業間もない会社が雇用ルールを的確に理解しつつ、労働紛争を生じることなく円滑に事業展開し、対日直投ですとか、新規開業ですとか、そういったことを促進できるような雇用の支援策を初め、積極的な提案もあわせて行っているところでございます。

 また、その際、労働時間法制については、全国的な視点で、まさに本日この場でございますが、9月27日から労働政策審議会の所管の分科会で議論をスタートするということも紹介しております。

 以上が事実関係です。

 最初に申しましたように、これは現在進行中の話でありまして、その後も政府内の調整に努めております。本日も、開かれること自体公表されていますが、産業競争力会議のフォーローアップ分科会に大臣も出席され、議論をされたものと承知しております。

 いずれにいたしましても、現在、基本的に政府の中で意見を交わし、調整に努めている段階である、議論を深めている段階であるということに御理解をいただければと考えております。

 以上、経過の報告と、その中で特に公の場で厚生労働大臣が示した考え方でございます。

〇岩村会長 ありがとうございました。

 私にコメントせよというお尋ねもございましたが、今、労働条件政策課長から厚生労働省の対応についての説明がありました。私としても、今回のこの国家戦略特区についての厚生労働省の大変な御尽力についてありがたく思っておりますし、また、適切な対応をしていただいているのではないかと思っております。これから特に労働時間の問題については、この労働政策審議会の労働条件分科会の場で議論をするということでございますので、労使のそれぞれの立場からの御意見を踏まえつつ議論を進めていければと考えているところでございます。

 新谷委員、何かございますでしょうか。

〇新谷委員 丁寧な御説明ありがとうございました。

 今、課長及び分科会長から御説明いただいた内容は、私も全くそのとおりと思っております。やはり不思議なのは、法律の基本構造を崩すようなこんな提案がよく出てきたな、本当に信じがたいというのが正直な思いですし、また、この特区案に大阪府と大阪市が同様の提案をしてきていることも事実です。

 先ほどもありましたように、地域間の競争力のダウングレードの競争が始まって、地域ごとに労働条件がどんどん下げられていくという悪夢のような話にもなりかねない話ですし、先ほど、世界から注目される画期的な規制改革とありましたが、これは別の意味で注目されてしまいますので、厚労省として、あるべき論や、筋論といった、当然の論議でありますけれども、ぜひ政府内でまともな論議ができるように御尽力いただきたいと思っています。

〇岩村会長 それでは、できれば本題に入りたいのですが、よろしゅうございましょうか。

 それでは、先ほど「論点(案)」等について説明がありましたので、それについての御意見・御質問を伺いたいと思います。

 では、宮本委員、お願いします。

〇宮本委員 論点1の改正労基法の「月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金について」発言いたします。

 我が国の中小企業の雇用労働者数というのは全体の7割余りと、非常に多いわけでありますが、一方で、中小・零細企業で働く労働者の労働条件というのは、大企業で働く労働者に比べると、総じて劣悪な環境にあるということは、例えば、私どもの組織で毎年調査をしております労働条件実態調査や、賃金調査等からも明らかになっております。労働組合のあるところですら、そういう状況ですので、労働組合のない未組織の中小・零細のところではさらに低下をしているというふうに予想しているところであります。私としては、2008年改正労働基準法第37条による法定割増率の引き上げについての中小企業への適用猶予措置は、早急に適用に向けて検討してもらいたいと思っているところです。

 労働条件分科会において、本日から労働時間法制についての議論が始まるわけでありますが、この中小企業への適用猶予措置については、いつごろをめどに法改正を行う予定なのか、まずお聞きをしたいと思います。

〇岩村会長 では、事務局、お願いいたします。

○村山労働条件政策課長 ただいま御質問いただきましたスケジュール感の点でございます。先ほど御説明した資料2の3ページにもございますように、閣議決定上、総合的な労働時間の議論に関しまして、1年を目途に結論を得るということにされているところです。このスケジュール感に沿って本分科会における御結論を取りまとめいただければありがたいと考えております。お取りまとめいただいた結果、法改正が必要な内容であるということであれば、審議会で得られた結論に従って政府として誠意を持って所要の措置を講じていくことになるのではないかと考えております。

〇岩村会長 宮本委員、どうぞ。

〇宮本委員 労基法の第1条では「労働条件は、人たるに値する生活を営むための必要を充たすべき」と規定されているわけであり、これを踏まえれば、あるいは企業の公正競争を確保する上からも、最低基準を保障している労働基準法が今ダブルスタンダードになっていることが大きな課題だと思っておりますので、この課題について早期に改めるようにぜひお願いしたいと思います。

〇岩村会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございましょうか。

 では、鈴木委員、どうぞ。

〇鈴木委員 我が国企業が、中小企業も含めて再び力強い成長を成し遂げるためには、例えば社会保障制度の改革を初めとする国内の事業環境の整備が必要になりますが、あわせまして、働く方の働きやすさと生産性の向上を同時に実現できるような就労環境を整えることも大きな課題だと思っております。

 そういった意味で、このたび、ワーク・ライフ・バランスの推進と生産性の向上の観点から、労働時間法制について総合的に検討を行うとされたことにつきましては、まことに時宜にかなったものだと感じております。

 ワーク・ライフ・バランスの推進について申し上げたいと思います。その取り組みの課題はさまざまあることは承知をしておりますが、その一つに、長時間労働の見直しがあろうかと思います。ただし、長時間労働の背景や実態は個別企業によって異なります。したがいまして、その打ち手を考えるに当たりましては、個別企業の労働時間の短縮、年次有給休暇の取得促進といったような取り組みをいかに効果的に支援していくかが大切であり、そうした観点からもぜひ皆様と議論をさせていただければと思っております。

 それから、生産性の向上という観点で申し上げたいと思います。現在、世界規模で企業間競争が激しくなっております。例えばアジアのメーカーでは従業員の技術力を高め、あるいは最新鋭の機材を投入して、そのキャッチアップのスピードを速めている状況にあります。

 翻って我が国の状況を見てみますと、産業の空洞化が進み、あるいは産業構造が大きく変わってきている中で、例えば労務作業職でありますとか運輸通信職といったいわゆる現業職の方がどんどん減っているというような状況にございます。日本全体の付加価値を維持していくためには、裁量を持って働く事務職、営業職、研究職といった方々お一人、お一人が、世界と伍していけるだけのクリエイティビティーを発揮していただくということも大変大きな課題になっていると思っております。

 また、経済のグローバル化の進展によりまして、企業はいち早く製品サービスを開発したり、市場に展開することが求められてきている中で、組織のありよう、マネジメントのありようも変えつつあります。

 現在、みずから持っているネットワークを使って情報を収集して、高い専門性を駆使しながら働くというようなタイプの働き方もふえてきておりますし、また、業務そのものが高度化をしていることを背景に、マネジメントを行いつつ、みずから実務にも携わるような方、そのようなタイプの働き方も一般的になっているのではないかというような印象を持っております。

 このように働き方が変化し、多様化していく中で、今後の労働時間法制を考えた場合、画一的な法律で規制を行うというのではなしに、個別企業労使が協議をして決められる仕組みを充実・強化していくことが不可欠ではないかと思っておるところでございまして、こうした観点からも議論を進めさせていただければと存じます。

〇岩村会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございましょうか。

 では、八野委員、どうぞ。

〇八野委員 今、使用者側から具体的にこれからどう進めていくのかというお話があり、これとは少し観点が異なりますが、ILOの三者構成の原則という観点との関係で、労政審と今の規制改革会議等々の動きについて少し整理をさせていただければと思います。

 論点2のところで出てきている「企画業務型裁量労働制及びフレックスタイム制の見直し」については、先ほど説明をいただいたように、日本再興戦略の中で方向性が示された内容となっています。ただ、会議体自体も、一部の有識者、それと財界関係者のみで構成された会議の中で雇用・労働政策が打ち出されていると見ております。それがそのまま労働政策審議会で取り上げるべき論点に上がってきている状況について、この審議事項を決定する労政審のあり方ということでは、こういうやり方でいいのだろうか。そこについては極めて遺憾であると言わざるを得ないだろうと思っております。

 もう一点ですが、労働時間法制のあり方については、規制改革会議のワーキンググループの中でも、または本日から労働条件分科会でこの議論が行われるのですが、同時並行的に行われているように、調査が向こうでもされていると捉えております。労働時間法制などの雇用労働問題というのは、ILO条約に基づく三者構成の原則にのっとった労働政策審議会の場で取り扱われるべきものであって、この原則から外れていると捉える規制改革会議において、労政審の審議と並行的に実質的にそこで議論が行われていることについては強い違和感を覚えざるを得ません。

 国家戦略特区にかかわる一連の政府の動き、また、労働時間法制などの雇用労働政策について、ILOの三者構成主義との関連について事務局または公益委員の方も含めてどう御見解を持たれているのか、この辺についてお伺いしたいと思います。

〇岩村会長 では、事務局、お願いいたします。

○村山労働条件政策課長 お答え申し上げます。

 時々の政権と申しますか、政府が政府全体の政策方針を決定していく、あるいは検討を行っていくに当たりまして、内閣官房や内閣府といった全体の総合調整機能を持っている一段高いところに事務局を置いて、有識者を参集して会議で議論されるという例はこれまでもあったところと思っています。その上で、幾つかの会議体の名前がただいま八野委員から御言及がございましたが、現政権におきましては、日本経済の再生ですとか、成長力ですとか、そういった観点から産業競争力会議の設置や規制改革会議のアジェンダ組みかえ等も行われて、専ら雇用分野ということではなくて、経済社会全体、あるいは政策全体の議論が広範に行われていると理解しております。

 しかしながら、ただいま御提起もありましたが、国会で担当の閣僚も御答弁されていますように、例えば諸会議に提出されている民間企業のペーパーでありますとか、会議で示された個々の意見が直ちに全て閣議決定になるといった性格のものではないのだろうと思っております。最終的に、政府としてそれらを踏まえて、例えば全体の成長戦略をどうしていくか、全体のルールをどうしていくかについて考え方を整理していく、閣議決定に至るプロセスの中では政府内の調整が尽くされてきているということも一方では事実だと思っております。

 先ほど見ていただきました「日本再興戦略」等の閣議決定におきましても、これらのテーマについて労働政策審議会で検討するということも同時にここに決定されているわけでございます。政府として、労働法制の基本ルールにつきましては、何といっても、働く現場で通用するよう、当事者である労使の方々、国民の理解・納得が得られるようなものであることが必要ですし、そのためにはまさに全体の使用者、全体の労働者を代表される方々、さらに高い専門性を持たれた公益委員の方々、その議論の積み重ねが不可欠という認識もあって、労働政策審議会での調査・審議を経て最終的には決めるということが明記されたのだと考えております。

 その意味で、今後、例えばフィラデルフィア宣言における労使代表原則を初めとする労働分野におけるグローバルスタンダードでございますILOの原則的な考え方というものにのっとった対応を、政府として、とりわけ私ども労働のルールに携わる行政にいるものとしてしっかり認識していきたいと思います。政府全体で大きな枠組みで話し合われる会議とその具体的な個別のルールをどうしていくかという議論の積み重ねをする中で、どのように円滑に調整をし、あるいはまた受け渡しなどをしていくかということについては、私どもも厚生労働省の職員として、それぞれの会議の事務局等との間で必要な調整・意見交換等を引き続き重ねてまいりたいと考えております。

 先ほど八野委員から、規制改革会議の雇用のワーキンググループの動向などについての御指摘もありましたが、恐らく今までの例から言っても、そういった議論が深まっていけば、今度は私ども厚生労働省の役人が呼ばれて、労政審ではどういう状況になっているのかという説明を求められることもあるのだろうと思います。そうした機会には、ただいまのような御提起があったことも含めて、先方にも分科会の状況をしっかり伝えていきたいと考えているところでございます。

〇岩村会長 八野委員、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

〇八野委員 今、お答えいただきました。自分は、ペーパーを少し見てみましたら、9月25日の第10回雇用ワーキンググループの中で、ワーキンググループの今後の進め方(案)というので、これが最終どうなったかというのはわかりませんが、スケジュールの仮という中でも、10月以降も労働時間法制等の見直しについて議論が進められていると見ております。

 そういうところもありますので、この労働条件分科会と政府が持つ会議、両者の位置づけの整理を明確に行った上で、本審議の会議の運営を改めてお願いしたいと思います。

〇岩村会長 では、御意見ということで承りたいと思います。

 では、新谷委員、どうぞ。

〇新谷委員 関連して申し上げます。

 厚労省に頑張っていただきたいという趣旨で申し上げるのですが、閣議決定をする前提となるような会議体に、使用者の代表も労働者の代表も入れずに、政府が任命したたった5人の有識者という人たちに2人の専門委員を入れて、方針を決めてしまうというのは、民主国家として論議のプロセスとしていかがなものかと思います。

ILOには100年の歴史の中で積み重ね、編み出したルールがあると思うのです。使用者団体は会員企業の御意見を聞きながら上に意見を吸い上げてくる仕組みがあると思いますし、我々労働者団体も全国全ての産業に対して意見を聞いて論議をまとめる仕組みを持っています。我が国では、このような労使の現場をよくわかっている代表と、公益の先生に入っていただく仕組みの中で、現場を良く知る労使が互いに理解をしながら、議論を闘わせながら一つの解を導き出していくというプロセスがあるにもかかわらず、一部の経営者と有識者と言われるたった5人の方が非公開の会議で方針を決めてしまい、それが閣議決定のベースになるというのは、民主国家としての論議のありようとしては非常に危惧をするところです。ここについて、まともな論議ができるように、ぜひ厚労省としても粘り強く政府内部での調整をお願いしたいと思います。

 以上です。

〇岩村会長 ありがとうございます。

 分科会長としても、厚労省のほうには同じようなことでお願いをしたいと思います。

 きょうのこの「論点(案)」につきまして、ほかに御意見・御質問ございますでしょうか。

 では、新谷委員、お願いします。

〇新谷委員 資料2の論点案では、2つの論点と「その他」という項目をお示しいただいており、「その他」の部分で、労使から、もう少しこういうことを検討してはどうかという論点を示す所になろうかと思います。この2.にも記載があり、先ほど使用者側の鈴木委員もおっしゃっていたワーク・ライフ・バランスという論点から、今後、労働時間法制を検討するに当たってぜひ必要と思われる点を申し上げたいと思います。

 資料3「労働時間等関係資料」に週ごとの労働時間の雇用者数の分布が出ており、ここに週60時間以上の労働者の数字が10%近くと出ていますが、これを30代の男性で見たときに、18%と、2割近くの方が週60時間労働されているという実態が出ております。

 週の労働時間が60時間というのはどのような意味があるのかということを考えてみますと、1年365日で、7で割ると52週、それをさらに12で割って1月の数値を出しますと、法定の40時間を超える残業時間は、月の平均値で86時間になると思います。この数値については、一方では、労働省基準局から出されている労災認定の80時間という基準に照らすと、労災認定が強く推定される時間をさらに超えて労働されている方が2割もいるという現状が見えてくるわけです。これほどの長時間労働は、今、社会問題となっている過労死の問題であるとか、メンタルヘルス不調といったような健康上の問題を引き起こす原因にもなっておりますし、一方で、我が国の構造的な問題となっております少子化問題の一因にもなっていることも指摘されておりますので、ワーク・ライフ・バランスの観点や、過重労働、長時間労働に対する手当てといった労災防止の観点からもぜひ必要だと思っております。

 そういった意味では、長時間労働を是正するための措置として、例えば睡眠時間とか生活時間といった、疲労回復のために十分な休息時間を確保するといった施策を講じることも検討が必要ではないかと思います。また、労使協定という話も先ほどありましたが、特別条項つきの時間外協定の規制が、今は青天井で上限規制がない、実質的な法的な規制がないという現状がありますので、こういった無制限な時間外労働について歯どめをかけるための過重労働防止対策も、今回の労働時間法制の審議の中ではぜひ審議されるべきだと労働側として思っておりますので、検討すべき論点として申し上げておきたいと思います。

 以上です。

〇岩村会長 ありがとうございます。

 では、鈴木委員、どうぞ。

〇鈴木委員 昨今のいろいろな状況を見ておる中で、私どもが特に注目しておりますのが、近年、労働分野の規制がやや強化されている嫌いがあるのではないか。それが事業の柔軟性の低下につながっているのではないかということでございます。

 もとより、日本の生産性というのは、OECD34カ国中19位と低いところにございます。また、主要先進7カ国で見ましても、94年から一番下という順位が続いています。効率的な働き方を模索しながら、長時間労働の見直しを図っていくことも大切だと十分理解しているつもりでございますが、あわせて、付加価値そのものをどうやって上げていくのか。あるいは、柔軟性をどのようにして確保していくかという点も大きな課題ではないかと思っているところでございます。

 そういう意味では、働き方が変化して多様化している中、とりわけ、企画業務型裁量労働制が社員間の公正な処遇を確保するという観点で大変有益な仕組みだと私どもは考えているところでございます。ただ、その導入率が極めて低く、十分な活用がされていないという実態にございますので、健康確保に十分配慮しながら、対象業務等について労使で十分話し合った上で決められるような仕組みとすること、また、手続を簡素化することをぜひ検討すべきものと考えております。

 加えまして、事業の柔軟性確保の観点からは、フレックスタイム制でありますとか、変形労働時間制、さらには特段の事情がある場合のエスケープ条項に関する運用基準、それから休憩時間の一斉付与規制についても、柔軟な解釈でありますとか、見直しを図るというような方向で議論を進めさせていただければと思っておりますので、ぜひこの点はその他のテーマにお加えいただければと思っているところでございます。

〇岩村会長 ありがとうございます。

 それでは、冨田委員、どうぞ。

〇冨田委員 先ほど新谷委員が労働法制を考えるに当たっての過重労働対策が必要であるということを言われましたが、それに関連して1点、論点として加えていただきたい点を申し上げたいと思います。

 論点2の中の企画業務型裁量労働制の見直しに当たってとありますが、裁量労働制に従事する労働者というのは、厚生労働省の通達にあります「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」の適用外とされているかと思います。先ほど鈴木委員からもありましたが、この企画業務型裁量労働制の見直しを行うに当たっては、健康確保を図る観点から、使用者の方には適正な労働時間管理を行うことが責務とされているかと思います。ですので、こうした観点からも、裁量労働制の見直しを検討する場合には、適正な労働時間管理と健康確保の観点からの過重労働防止が前提となるということを踏まえた上での論議をぜひお願いしたいと思ってございます。

 以上です。

〇岩村会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございましょうか。

 きょうのところは、この論点については以上のようなところでよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

〇岩村会長 ありがとうございます。

 次に、2番目の議題に移りたいと思います。「2012年度の評価及び2013年度の目標設定について」でございます。これについての報告になります。

 本件につきましては、労働条件分科会長としての判断で、事務局にたたき台を作成させました上で、持ち回りで審議を行い、委員の皆様の御意見を伺ったところでございます。それに基づきまして、当分科会に関連する施策目標に係る2012年度の点検の評価、そして2013年度の目標の設定というのを行ったところでございます。持ち回りでの審議であったということもございますので、改めて事務局からこれについての報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〇村山労働条件政策課長 それでは、ただいま分科会長から御指示のありました2つ目の議題ですが、関係の資料は資料4と5でございます。

 まず、資料4で、年度評価及び目標設定の基本的な位置づけについて御説明を差し上げたいと思います。

 資料4の最初のページでございます。

 労働分野の各施策の運用・実績の点検評価、PDCAサイクルでの評価につきましては、これまで労働政策審議会に点検評価部会を設置し、同部会において実施してまいりました。本年度から、厚生労働省としてPDCAサイクル機能の充実・強化を一層図るために、各部会・分科会におきまして、専門的かつ効率的に通常の審議とあわせてこの評価や目標設定についての調査審議をお願いしていくという方針に、本審の御了解のもとに切りかえているところでございます。したがいまして、先ほど分科会長からございましたように、労働条件分科会に関連する施策目標に関しまして労働条件分科会のほうでお願いしたいということでございます。

 この目標設定の基本的な考え方は資料5を御覧下さい。先ほど第1の議題の後半で労使各側の委員からも言及がございました仕事と生活の調和の観点とも絡みますが、資料5に目標設定の根拠がございます。その資料の真ん中、上のほうにございます「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」は、主要労使団体の方々や関係閣僚、有識者などによって構成されている会議でございますが、そこにおいて決定されておりますワーク・ライフ・バランス憲章、そして具体的な行動指針の中に、数値目標が設定されております。具体的には、労働時間の課題について労使が話し合う場の設置を進めていくという目標。それから、先ほどまさに御議論のございました週労働時間60時間以上の雇用者の割合について縮減し、低下させていくという目標。それから、年次有給休暇の取得率を向上させていくということにつき、いずれも2020年の目標値というものが定められているところでございます。

 この目標を年度ベースで割り戻して掲げ、計画的にPDCAサイクルの中で労使も取り組み、さらにそれを支援する行政の支援策、あるいは指導といったものについて一層進めていくようにという考え方のもとに、かねてから労働条件分科会関係の年度評価、あるいは目標設定が行われてきているところでございます。

 具体的には、資料4にお戻りいただき、1枚おめくりいただくと「評価シート」がございます。その2ページのところです。「安心して働くことのできる環境整備」といたしまして、関連する目標は、先ほど申しましたように、2020年までに年次有給休暇取得率70%、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%まで落としていくということです。

 それにつきまして、2012年度の目標が、真ん中に書いてあるとおりでございまして、それに対します実績は、統計の都合で出ているもの、出ていないものがございますが「2 週労働時間60時間以上の雇用者の割合」について言えば、8.8%まで下げるという目標に対して、労使の取組もあってこれまでよりは低減傾向にあるものの、9.1%にとどまっている。あるいはまた、1年前の実績になりますが、年次有給休暇の取得率は上がってきてはいるものの、49.3%になっているということです。

 目標設定ですとか、その実施状況に係る分析については、次ページ以降、記述しており、各委員の御確認もいただいたところでございます。これに関しまして、最後6ページに、持ち回りで各委員からいただいた意見を分科会長に御判断いただきまして取りまとめたものを掲載させていただいております。

 分科会委員の意見といたしましては、目標どおりには進んでいないが、着実には前に進んでいると評価できるものの、目標自体は達成できていないという結果を重く受けとめ、最終目標の達成のため引き続き取り組みに努力すべきだという御意見がありました。

 それから、労使の自主的な取組を促進するためには、働き方・休み方改善コンサルタント、これは労働局に置いているこの分野に詳しい労使のOBの方等を委嘱しているものですが、これにより効果的な改善方策や、企業と労働組合等との共同した取り組みを指導していくべしという御意見がありました。

 あるいはまた、リーフレットの企業への配付を企業が関心をお持ちいただけるような時期にすることなど、一層の個別の設定改善の取組の工夫が必要であるという御意見をいただいております。

 それから、中小企業団体等の事業主団体、あるいは個別の中小企業などがこうした取組を進めるときの支援の助成金制度がございます。そういった助成金が活用されるように周知に一層努めるべきであるという御意見をいただいております。

 また、有効な助言・指導が行えるよう、先ほどのコンサルタントの育成を強化すべきであるという御意見をいただいております。

 また、個別の指導だけでなく、国としての長時間労働を抑制するための社会風土づくりにも積極的に取り組むべきであるという御意見をいただいております。

 先ほど分科会長からもございましたように、これらを持ち回りで改めて意見の部分も委員各位に御確認いただきました上で、現在、パブリックコメントにかけているという状況にございます。資料5の附属資料ともども御確認いただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

〇岩村会長 ありがとうございました。

 ただいま報告いただきました「2012年度の評価及び2013年度の目標設定について」ですが、御意見・御質問がございましたら、お願いをしたいと思います。

 どうぞ。

〇春木委員 2013年度の目標設定に関して一言申し上げたいと思います。

 今回の2012年度の目標達成の実績については、先ほど分科会委員の意見としても御紹介いただいたように、少しずつといいますか、着実にといったほうがいいのか、前には進んでいると思っておりますが、目標を達成できなかったという結果は結果として、今後2013年度に向けてさらにどうしていくかということは考えなければならないと思っています。

 ただ、この2012年度も厚生労働省の施策としてさまざまな施策が展開されてきて、その効果も一定的にはあったわけですが、全体的に見れば、個々の企業とか、個々の労使といったところに対する指導の強化というものについて極めて強い施策のウエートを置いているように感じます。その必要性については十分理解できるのですけれども、現実的に、週労働時間が60時間以上になる労働者の割合が高い業種においては、働き方の見直しなり、企業労使努力といいますか、そこだけではなかなか突破できない部分もあるものも現実ですし、当然、自主的な努力に委ねるだけでは限界もあるかと思っています。

 こういった状況を踏まえれば、例えば、大企業、中小といいますか、サプライヤーも含めたところですけれども、契約取引に対する社会的ルールとか、いわゆる労働条件、働き方をも横に置いた価格競争主義からの脱却、さらに、価格競争主義からの脱却というのは情報システムのほうのことを指しておりますが、流通業を初めとする年中無休に近い営業日設定のあり方の見直しについても、国としての長時間労働を抑制・改善するという観点に立った社会風土づくりにも積極的に力を注ぐべきではないかと考えます。

 この目標の中にも「国の果たすべき役割」として「国民運動を通じた気運の醸成」という言葉も記載されているところですし、やはり休むときは休むのだというような状況を国民の意識の中に国の風習・習慣として定着させていくのも役割ではないかと思いますので、その点についてもぜひとも力を注いでいただくような施策をお願いしたいと思います。

 以上です。

〇岩村会長 ありがとうございます。

 御意見ということで承りたいと思います。

 ほかにいかがでございましょうか。

 では、野崎委員、どうぞ。

〇野崎委員 目標の設定自体についてはこのとおりで結構だと思いますけれども、事前に事務局にも御質問したところなのですが、この目標設定に当たりましては、その前提として、実態の把握というのを正確にされることが出発点だと思うのです。年次有給休暇の取得率というのは、厚労省の実施する就労条件総合調査によって把握しているということですけれども、労働時間につきましては、総務省の実施する労働力調査によって把握しているということでございます。これは信頼に値するのでしょうけれども、この点を御確認いただきたいということ。

 それと、厚労省で毎月勤労統計調査もやっておられるようなのですけれども、それをもとにということではなくて、労働時間数は総務省の実施する労働力調査ということで、資料という点でもう一度お尋ねしたいということ。それは先ほどの論点の資料にもかかわってくるかと思いますので、お聞きします。

〇岩村会長 では、お願いいたします。

〇村山労働条件政策課長 審議に当たって大変重要な視点をいただきありがとうございます。どういう目標設定を行うかということに関し、どういう統計資料を使うかということは極めて重要な点であるというのは、まさにそのとおりであると考えております。その際、労働時間をめぐる資料で、データで非常に難しい点が幾つかございます。

 そのうちの一つが、ただいま野崎委員から御提起のありました毎月勤労統計調査ですと、対象がかつての30人以上規模から5人以上規模まで下がってはおりますが、全ての規模の事業場の実態が捉えられるわけでありません。もちろん、その限りにおいて趨勢を見る上では非常に有効ではございます。

 第1の議題でもございましたけれども、非常に多くの方が中小・零細の事業場、あるいは企業でも働かれている実態の下にあって、どういう調査をもとにするかというときに、限界はある訳ですが、例えば労働力調査ですと、結局、世帯を通じての個人に対する調査になりますので、例えばダブルジョブの可能性とかいったことについては排除できないわけでございますけれども、一方で、全体として一定規模以上の事業場しか把握できないということはないということがございます。毎月勤労統計調査ですと一定規模以上のところしか把握できないということがございます。このワーク・ライフ・バランスを政府全体で、あるいはまた政府・労使の官民トップ会議でも具体的な数字の設定をするときに、そうしたところのどの数字も限界はあるけれども、どうしようかというときに、一定の限界はありつつも全体の規模が把握できる、あるいはまた経時的に把握しやすい週60時間以上雇用者の割合をとってきた経緯がございます。

 その上で、むしろ今、野崎委員から御提起いただいた大変重要な点は、議題1、本日からキックオフをお願いしました労働時間法制の制度のほうの議論は、まさに全ての労働者、労使にかかわるところでございますので、これは悉皆的に小規模事業場のデータもきちんととり、あるいは回収率が低いとかそういったことなく、ぶれのない数字をとっていく必要があると考えております。

 したがって、先ほど申し上げましたように、この議題1のほうの議論の前提としては、ある意味で、労働基準監督署のマンパワーといいますか、ヒューマンリソースを一時期これに集中的に投入することによって、訪問調査によって悉皆的なあらゆる規模、あらゆる業種の実態を把握した上で、それを次回以降御報告申し上げながら総合的な御議論をお願いしたいということでございます。

その上でワーク・ライフ・バランスの2つ目の議題の検証に当たって、どのような複眼的な資料で補強しながらやっていけるかということについては、今後の宿題にさせていただければ大変ありがたいと考えております。

〇岩村会長 野崎委員、よろしいでしょうか。

〇野崎委員 はい。

〇岩村会長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでございましょうか。

 それでは、特に御意見がないということだと思います。

 そうしますと、残るは「その他」ということになりますけれども、何かございますでしょうか。

 工藤委員、どうぞ。

〇工藤委員 今後、ワーク・ライフ・バランスの観点からもさまざま議論が行われていくということなのでぜひお願いしたいのですが、厚労省のほうでは9月を過重労働重点監督月間として、9月1日には、特に若者の使い捨てが疑われる企業などに関する電話相談を実施され、そこでの相談結果を踏まえて、労働基準関係法令の違反が疑われるような企業などには監督・指導を実施したと聞いております。

 昨今、労災などの発生件数が多い企業や、さらにはパワハラを行うような企業、若者の離職率が極端に高い企業、いわゆる世の中では「ブラック企業」と言われておりますが、これが社会的に大きな問題となっております。こうしたブラック企業への対応策を考えていく上において、先日行われた電話相談などの結果、これは現状を示すデータとして極めて貴重ではないかと考えておりす。この点で、無料電話相談の実施結果の速報は9月2日にホームページでも出ており、そこの結果を見ると、相談件数が1,042件あり、その主な相談内容の上位の3つは、1番目に賃金の不払い残業、2番目に長時間・過重労働、3番目にパワーハラスメントとデータとして出ているところであり、より詳細な分析を踏まえた結果の集約が待たれると思っております。

 したがいまして、この労働条件分科会の場で電話相談の結果なり、どのようなことを行ったのかといった監督指導の実施状況をを中心に、過重労働重点監督月間の取り組みの集約結果をぜひ御報告いただきたいと思っております。

 以上でございます。

〇岩村会長 ありがとうございます。

 御要望だと思いますが。

 では、事務局、お願いします。

〇大西審議官 委員御指摘のとおり、今のは分析に若干時間がかかると思いますが、取りまとめができ次第、この分科会で御報告させていただきたいと思います。

〇岩村会長 ほかにいかがでしょうか。

 では、事務局のほうから「その他」で何かございますか。

 よろしいでしょうか。

 それでは、本日予定していた議題は以上で終了でございます。

 次回の日程につきまして、事務局のほうから説明をいただきたいと思います。

〇村山労働条件政策課長 次回の労働条件分科会につきましては、御日程を調整の上、できるだけ早く委員の皆様にお知らせしたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

〇岩村会長 それでは、本日の分科会はこれで終了とさせていただきたいと思います。

 議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては冨田委員に、使用者代表につきましては小林委員にそれぞれお願いをいたします。

 それでは、本日はお忙しい中ありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。


(了)

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