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2013年9月9日 第5回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成25年9月9日(月) 10:00~


○場所

厚生労働省22階専用第14会議室


○議事

○高村化学物質情報管理官 定刻より少し早いですが、委員の皆様もおそろいですので、ただいまより、平成25年度の「第5回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」を開催いたします。本日は岡部委員が都合により御欠席となっております。それでは、以降の議事進行につきましては、菅野先生、よろしくお願いいたします。

○菅野座長 まず、事務局から資料の確認をお願いします。

○高村化学物質情報管理官 資料につきましては、「第5回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」の議事次第を一番上に置いてある資料、それから参考1「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会参集者名簿」を一番上にした参考資料を綴じたものの2種類用意しております。

 まず、議事次第を1枚目にしております資料ですが、こちらに資料1から資料3まで一緒に綴じて通し番号を振っております。資料1-1として、DDVPの検討シート(99日版)。資料1-2として、DDVPに係る関係事業者・団体への意見照会結果。資料1-2の別紙として、前回、委員の先生方からいただいた質問に対する回答を14ページに用意しております。資料2-1として、発がんのおそれのある有機溶剤の検討シート(99日版)を15ページからお付けしています。資料2-2として、発がんのおそれのある有機溶剤の関係事業者・団体への意見照会結果を25ページ目からお付けしています。資料3として、今後の予定を43ページに用意しております。

 参考資料につきましては、参考資料1は参集者名簿、参考2-1DDVPの「詳細リスク評価書」、参考2-2は「発がんのおそれのある有機溶剤の今後の対応」、参考3-1として、51ページ目から「特定化学物質障害予防規則」を載せています。参考3-2として、99ページ目からは813日公布の改正省令の新旧対照条文がございます。参考3-3として115ページ目から「有機溶剤中毒予防規則」。参考4は「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の概要」です。過不足等がございましたらよろしくお願いいたします。

○菅野座長 資料はおそろいでしょうか。それでは議事に入りたいと思います。まず「ジメチル‐2,2‐ジクロロビニルホスフェイトの措置の検討」です。前回の検討会の際に委員から御質問があったことに対する回答、及びそれを踏まえた健康障害防止措置の検討シートの変更状況について御説明をお願いします。

○高村化学物質情報管理官 お手元の資料の14ページ、資料1-2の別紙を御覧ください。前回の検討会の際に発散抑制措置、局排、プッシュプル型の排気装置がどういった所で使われているのか、何台設置しているのかという御質問がありましたので、こちらについて関係団体であるジクロルボス樹脂蒸散剤普及会に問い合わせ、まとめていただいたものが資料1-2の表です。

 発散抑制措置の設置状況ですが、製造所Aにおきましては、原料混合機、成形機、包装ラインに1台ずつ設置されているということです。また、プッシュプル型の排気装置の設置はないということでした。Bの製造所ですが、局排につきましては、DDVPの保管室、計量室、原料混合機、成形機、冷却水槽、包装ラインについて1台ずつ設置されています。プッシュプル型の排気装置の設置はありませんでした。製造所Cですが、局排の設置は、成形・包装ラインの所に1台設置されており、プッシュプル型については設置無しということです。D製造所は、局排につきましては、プレート冷却装置、切断機、冷却コンベアの所に各1台ということでした。プッシュプル型については、作業所全体で一定の方向に空気が流れるようにということで1台設置されております。

 作業管理ですが、どういったマスクを実際に使われているのかという御質問がございました。これについても回答いただいておりますので説明させていただきます。A作業所においては、DDVPを取り扱う場合、成形機を開けて作業をする場合に有機ガス用の保護マスクを着用されているということでした。B製造所につきましては、原料混合、成形機の操作を行う場合に有機ガス用保護マスクを着用されております。C作業所は、原料混合、成形機の操作を行う場合にマスクを着用ということです。確認したところ、こちらのマスクは防じんマスクを着用されているということでした。D製造所ですが、包装作業所以外では常に有機ガス用保護マスクを着用されているということです。

 健康診断については、前回、具体的に特殊健診の自主的な取組ということで御回答いただいていたところですが、どういった内容なのかを先生方から御質問があった点についても回答いただいております。製造所Aにつきましては、通常の定期健診に加え、作業期間中については月2回の血液検査、これはコリンエステラーゼ値の測定をされているということでした。B製造所においては、通常の年2回の健康診断に加えて、年2回の血液検査、コリンエステラーゼ値測定の検査をされています。製造所Cは、通常の定期健診に加えて血液検査をされているということですが、コリンエステラーゼ値の測定ではないということで、血液検査の内容については現在確認中です。製造所Dにつきましては、「年1回の人間ドック」と書かれておりますが、定期健康診断を人間ドックという形でされており、それに加えて年2回の血液検査、コリンエステラーゼ値の測定をしています。

 また、送気マスクについても、どういった場所で送気マスクを使用されているのかという御質問があり、そちらについても確認いただいたのですが、こちらの資料では、通常作業で使用している製造所はないという御回答でしたが、再度確認をしたところ、製造開始時の未包装の成形品を扱う際には送気マスクを着用されているという御回答がありました。以上、前回の検討会の際に委員の先生方からいただいた質問に対する確認結果です。

 続きまして資料1-1、こちらはDDVPの「健康障害防止措置の検討シート」です。前回の検討会から更新した箇所について説明いたします。5ページを御覧ください。3「健康障害防止措置」の(3)「規制化の必要性」です。下の表の一番右側の総合評価のところを順に読み上げます。

 情報提供につきましては規制が必要、労働衛生教育については規制が必要。それから発散抑制措置(密閉化)について、上の技術的課題に事務局で入れておりますが、成形機のトラブルが発生した場合、機械を開放してトラブル対応せざるを得ない状況があり、密閉化が困難といった状況があるということで、事務局原案としては空欄にしてまだ案を入れておりません。

 発散抑制措置の局排の設置については「規制が必要」と入れております。作業環境改善(休憩室、洗浄設備等)は、既に各事業所で取組がされているということですので、「規制が望ましい」という形で事務局案を入れさせていただいています。作業管理(作業主任者、作業記録等)につきましては、未実施の所もありますので「規制が必要」と入れています。呼吸用保護具についても「規制が必要」としています。作業環境測定についても「規制が必要」と入れさせていただいております。

 次の6ページ、4「対策オプション」にも事務局案を入れさせていただいています。(1)「対策オプションの比較」ですが、オプション1、オプション32つのオプションを入れております。オプション1として、「原則、密閉化、発散抑制措置、作業管理、健康診断等を規制措置として導入」ということで案を入れさせていただいております。

 オプション3として、「原則、必要な健康障害防止対策を行政指導により普及徹底(国の通知により密閉化、発散抑制措置、作業管理等の対策を講ずるよう事業者の自主的改善を指導)」という措置について案を入れています。

 このオプション1、オプション3の考慮すべき事項についてまとめたものを事務局案として今回入れております。丸数字1健康障害防止の効率性について、オプション1は効率性が高い、オプション3は効率性が低いとさせていただいています。丸数字2技術的な実現可能性については、トラブルの際の密閉化以外につきましては、特段、関係団体から技術的な課題としてありませんでしたので、今の時点では空欄とさせていただいています。丸数字3産業活動への影響ですが、オプション1については局排の設置、呼吸用保護具の義務付けに伴うコスト増から影響は大きいと入れさせていただいています。オプション3については、自主的改善は産業活動に影響を与えない範囲に限定されるということで、影響は小さいとしています。丸数字4措置の継続性の確保ですが、オプション1については、義務化により確保される。オプション3については、指導が遵守されない可能性があり、経営トップの意向や景気動向に左右され措置が確保されない可能性があるとしています。丸数字5遵守状況の把握等の容易性ですが、オプション1につきましては、義務化しているということで把握は容易である。オプション3は、現時点では該当事業場が限られており、状況を把握することは可能であるが、今後新規参入する企業の状況を把握するのは困難としております。

(2)「最適な対策」として、規制化の要否についても事務局案を入れさせていただいています。措置内容の全てについて規制化を「要」と入れさせていただいています。密閉化については空欄とさせていただいて、導入に当たって考慮すべき事項として「トラブルの際」と入れさせていただいています。呼吸用保護具ですが、DDVPにつきましては皮膚感作性があること、経皮吸収で神経毒性が指摘されていることから、皮膚の保護等の措置も必要として留意事項に入れています。

7ページ目、(3)「留意事項」です。丸数字1「リスクが低いとされた作業にかかる規制の考慮」、こちらも事務局の提案を入れさせていただいています。作業名として「一次包装後の小函詰め、外装ケース詰め」、成形加工から製品をアルミラミネートに密封包装した後に小函や外装ケースに詰める作業については、リスク評価結果の概要として、製品を密封後の作業なので、密封されていることが確認されかつ作業場所が成形加工・一次包装の業務と別であればばく露の可能性はほとんどないのではないかと事務局の案を入れさせていただいています。減免の判定については空欄になっておりますが、リスク評価結果の概要に書かれております条件が確保されるのであれば、減免については「要」ではないかと考えております。丸数字2「留意事項等」につきましては、現時点では空欄とさせていただいています。

(4)「規制の影響分析」です。選択肢1として、特化則による作業主任者の選任、設備の密閉化又は局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置、作業環境測定の実施、特殊健康診断の実施等の規制の導入という案を入れさせていただいています。

 選択肢3として、基本的には現行対策維持ということで、通知による行政指導を行う、通知に基づき密閉化、発散抑制措置等の対策を講じるよう事業者を指導し自主的改善を促すという案を入れさせていただいています。

 丸数字1期待される効果ですが、こちらについても選択肢1、選択肢3について案を入れさせていただいています。労働者の便益として、選択肢1については便益分類Aということで、ジメチル‐2,2‐ジクロロビニルホスフェイトのばく露の防止により、がん等の発症による健康障害の未然防止を図ることができる。選択肢3につきましては便益分類Bで、国の通知による行政指導では財政基盤が十分でない中小企業等や新規参入する企業で的確な対策が十分に普及しないおそれがあり、その状況を網羅的に把握することは難しい、そのため、労働者にがん等が発症すするおそれがあるということで、案を入れています。

 続いて、関連事業者の便益として、選択肢1については便益分類はAとして、ジメチル‐2,2‐ジクロロビニルホスフェイトによるがん等の発症を防止することにより、事業者としての労働者の健康確保対策に資するとともに、将来の労災発生の補償リスクを低減することができる。選択肢3につきましては、便益分類Bとし、国の通知による行政指導では財政基盤が十分でない中小企業等や新規参入する企業において的確な対策が十分に普及しないおそれがあり、そのため、労働者にがん等が発症するおそれがあるとさせていただきました。

 社会的便益ですが、選択肢1は便益分類についてはAといたしました。ジメチル‐2,2‐ジクロロビニルホスフェイトによるがん等の発症を防止することにより、労災保険財政に寄与する等、社会全体の健康障害防止に資するものであるとしています。選択肢3については便益分類Bで、国の通達による行政指導では的確な対策が十分に普及せず、そのため、労働者にがん等が発症するおそれは現状とほとんど変わらないとまとめております。

 次のページ、丸数字2想定される負担を、選択肢1と選択肢3についてまとめています。実施により生じる負担ですが、選択肢1につきましては、費用分類についてはCで、現状維持より負担が増加としており、本規制により事業者に新たな措置を義務付けることに伴い発生する主要な費用は以下のとおりであるということで、局排、作業環境測定の実施、特殊健診の実施、呼吸用保護具の着用についてそれぞれコストがかかるとしています。選択肢3につきましても費用分類Cで、現状維持より負担が増加としており、国の通達による行政指導を受けて対策に取り組む事業者にあっては次の費用が発生するとして、換気装置、作業環境測定の実施、特殊健診の実施、呼吸用保護具の着用、これらについてそれぞれコストがかかるとしています。ただし、選択肢3については産業活動に影響を与えない範囲に限定されると入れています。

 次に実施に要する負担、こちらは行政コストについてです。選択肢1については、本規制の新設により国において費用や人員等の増減はない、現状維持と同等ということでまとめさせていただいています。選択肢3についても、国の通知による行政指導により、費用や人員等の増減はないということで、こちらについても現状維持と同等ということでまとめております。

 その他の負担としての社会コストについては、選択肢1は、ジメチル‐2,2‐ジクロロビニルホスフェイトによるがん等の発症を防止することを通じ、労働者災害補償保険法による保険給付を抑えることができる、現状維持より負担が軽減としています。選択肢3につきましては、国の通達による行政指導は法的強制力はないため、財政基盤が十分でない中小企業等や新規参入する企業で的確な対策が普及せず、そのための職業性がんの発症により、労災補償保険法に基づく保険給付は設備の密閉化等に関して対策をとっていない現状とほぼ同程度生じることとなるとしています。

 丸数字3便益と費用の関係の分析結果、こちらも事務局の案を入れています。選択肢1につきましては、労働者の保護のためベンゼン等の他の発がん性物質に対しても既に規制を課し健康障害の防止を図っており、今般のジメチル‐2,2‐ジクロロビニルホスフェイトについても、有害性が高く放置した場合に労働者を健康障害のリスクにさらすことになるため、これまでと同様の規制を課すことによる事業者の費用負担増を考慮しても、本規制の実施は必要なものと判断するとしています。選択肢3につきましては、労働者の保護のため、ベンゼン等の他の発がん性物質に対しても規制を課し健康障害の防止を図っており、今般のジメチル‐2,2‐ジクロロビニルホスフェイトについても同様の指導をするということで、事業者の費用負担増を考慮しても、必要なばく露防止対策を求めるのは妥当と考えられる。国の通達による行政指導では、財政基盤が十分でない中小企業等や新規参入する企業で的確な対策が十分に普及せず、そのため職業性がん等の発症を防止すること及び労働者災害補償保険法による保険給付を抑えることはできないと考えられると事務局案を入れさせていただいています。

 以上が、前回お示しした検討シートのところから、事務局のほうで更新をした部分でございます。

○菅野座長 ただいま御説明いただきました点につきまして御意見、御質問がありましたらお願いします。

○保利委員 今の資料1-2で、Cの製造所で使われたマスクは防じんマスクですか。

○高村化学物質情報管理官 はい。

○保利委員 防じんマスクなのですね。確かにミストやガスも多分あると思いますので、そこは注意が必要かと思います。どういうような保護具をするのかについては検討する必要があるのかと思います。基本的にはミストだと思うのですが、蒸気圧が1.6Paと非常に低い。資料1-1で沸点が140℃と書いてあったので、140℃だと大体キシレンぐらいになるのですが、そこまで揮発性がないのではないかと思って調べたら2.8KPaでの沸点ということのようなのです。ですので、括弧付けで圧力を書いてもらった方がいいかと思います。

○菅野座長 今の沸点につきましては修正をよろしくお願いします。

○高村化学物質情報管理官 はい。

○菅野座長 今の保利先生の御発言と関連するかもしれないのですが、5ページの(3)「規制化の必要性」の表で、作業管理として呼吸保護具がありますが、そこで「防毒、済み」と書いてありますが、一部に誤解があるとすれば済みというのは。

○高村化学物質情報管理官 そうですね、作業所Cでは防じんマスクということですので、ここは資料の方は「未実施」ということで。

○菅野座長 どのように表現するか分かりませんが、完全に済んでいるということではないということですね。

○高村化学物質情報管理官 はい。

○菅野座長 もう1つ、14ページですけれども、この製造所Cというのは、検討シートに書いてある「財政基盤が十分でない中小企業」に該当するのでしょうか、そうではないのでしょうか。

○高村化学物質情報管理官 事業所の規模については確認しておりません、申し訳ありません。普及会の方に確認したいと思います。

○菅野座長 この会社は血液検査の点についても曖昧であるということですよね。

○高村化学物質情報管理官 はい。

○菅野座長 それから、比較表の中で、財政基盤が十分でない中小企業については少し負担が大きい旨が書いてあります。それは法律で規制した場合でも負担は大きいと思いますが、何か援助策などはあり得るのでしょうか。

○高村化学物質情報管理官 ほかの物質についても、特に中小企業等向けのということでは現時点ではありませんので、仮にDDVPについて規制を強化した場合においても、現時点では何かしらの財政措置ということでは考えておりません。

○菅野座長 そうですか、どうもありがとうございます。

○大前委員 前回、健康診断の中身ということで、3社でコリンエステラーゼを測っていらっしゃるということなのですが、コリンエステラーゼの値が異常を示した方というのは何%ぐらいいたのですか。その辺はまだ分からないのですか。

○高村化学物質情報管理官 申し訳ありません、そこについても。

○菅野座長 その点については調査可能なのですか。

○高村化学物質情報管理官 まず、普及会にそういったことが確認可能かを伺った上で、確認可能ということであれば、確認した後に、先生方にはメール等でお知らせしたいと思います。

○大前委員 関連してですが、製造所Aは月2回も測っているのですが、これはどういう考えでやっているのか、その辺の考え方も是非教えてください。年2回だったら分かりますが、月2回と書いてあるので随分、頻繁に採血しているのが理解できないものですから。

○菅野座長 通常は年数回で十分ということなのですか。

○大前委員 回数は多いにこしたことはないのでしょうが、採血ですから。月2回というのは。どういう考え方でやっていらっしゃるのかが非常に不思議な気がしました。

○菅野座長 大前先生にお伺いしたいのですが、コリンエステラーゼの異常値を示した例があった場合、この作業所ではほぼ間違いなくDDVPによるものだと結論してよろしいですか。

○大前委員 この物しか作っていないということですので間違いないと思います。ばく露濃度は以前のものて0.1を超えているのが結構あった、30ぐらいあったということなのですが、マスク等をやっていらっしゃる所が結構多いので、人のほうの影響が出ているか出ていないかというのはやはり先ほどの防じんマスクも含めて判断する必要があると思います。

○菅野座長 その会社では。

○大前委員 この会社では残念ながらコリンエステラーゼをやっていらっしゃらないと言っていましたが。そういう意味で、ACでは健康診断に関して随分は大きな差がある。片や月2回、片や全然やっていないという。

○菅野座長 いかがでしょうか。それでは、ここでDDVPについては打ち切らせていただきます。次回で最終案を決定するということでよろしいですか。

○高村化学物質情報管理官 はい、事務局としてはそう考えております。よろしくお願いいたします。

○菅野座長 続きまして、「発がんのおそれのある有機溶剤」の措置の検討に移ります。同じように、前回検討会以降の関係者団体からの新たな意見があったそうですので、その内容と、健康障害防止措置の検討シートの変更内容の御説明をお願いします。

○岸化学物質評価室長補佐 前回の検討会以降の関係団体からの意見内容については、資料2-2を御覧ください。前回の検討時には35の団体から回答が寄せられまして、それ以降、1つの団体から意見が寄せられたところです。

 意見内容は26ページの下線の部分です。これは括弧書きが記載漏れですが、防水工事の関係団体です。取組事項としては、機関誌などにより有機溶剤等の規制に関する周知を行っているが、そもそも材料に規制対象物質が含まれているかどうか、それを踏まえた取扱注意の表記が行われていなければ、施工業者への対応はしようがない。施工業者への周知よりも材料メーカー団体にその情報を流すことが先決で、防水材メーカーによるSDS等への確実な対応を図れるよう連携しているという取組内容です。そのほかのことについては特にこの団体からの御意見はありませんでした。

 あと、更新した内容としては41ページ、資料2-2別紙です。前回御発言いただいた塗料工業会の数字もまだここには盛り込まれていませんでしたので、そちらと今回の防水関係の団体の数字も盛り込んで集計したものです。今回の検討対象であります★印の所を見ると、情報提供の中の掲示の部分については、62.2%の作業で実施されているということです。作業管理のうち作業記録の作成については42.2%で行われており、作業記録の保存については35.1%で保存されていますが、うち30年の保存となると23.3%となります。

 次に、作業環境測定については測定記録の保存は48.1%が行われていますが、うち30年保存となると29.7%となります。また、測定の評価記録の保存については43.8%で保存がされていますが、うち30年の保存がされているのは28.6%となります。また、健康診断の結果の保存については51.9%で保存がされていますが、うち30年保存は31.9%となっています。以上が前回からの意見内容の更新です。

 続いて、「健康障害防止措置の検討シート」の更新内容について御説明します。資料2-115ページからになります。更新内容については、前回と同様、下線部で示しています。16ページを御覧ください。(1)「業界団体等の概要」で、35団体を36団体に修正しました。また、(2)「作業概要及び健康障害防止措置の採用状況」で、右側の健康障害防止措置の採用状況については先ほどの別紙の表にあった数字を反映させています。

 今回の主立った更新内容については20ページの(3)「規制化の必要性」からとなります。今回は、規制化の必要性やその手法や効果、方針を検討したいと考えていまして、ここからが主に追加した所です。まず、規制化の必要性の事務局案としては、「発がんのおそれのある有機溶剤については、有機溶剤中毒予防規則により一連のばく露低減措置が義務付けられているが、職業がんの原因となる可能性があることを踏まえ、この物質を製造または使用して行う有機溶剤業務を対象として、記録の保存期間の延長等の措置を講じる必要がある。なお、ばく露低減措置については、有機則を準用しこれまでと同様の措置内容とし、来年度以降開始されるばく露実態調査によるリスク調査結果に基づき現行の対象業務やばく露低減措置等の見直しを検討するものとする」としました。

 次に、措置内容ごとの規制化の必要性の評価です。今回の検討対象のところを中心に御説明します。下から4つ目の「作業管理(作業記録)」の所です。自主的改善の進捗状況としては、先ほどの表のとおりでして、約40%が行われており、更に30年保存となると約20%となります。「作業環境測定」については約70%の所で行われていますが、30年の保存となると約30%となります。「特殊健診の実施」については、約90%の所で実施されていますが、30年保存は約30%という状況です。それぞれの今の措置についての設備投資の必要性については、スペースの問題等もありますが、基本的には、発散抑制措置、局排などと比べるとそれほど高くないということで、ここについては横棒を入れています。

 次に、行政指導の効果です。これは自主的な取組の浸透度合ですが、30年保存の実施率を見ますといずれも2030%ですので、低いとしました。有害性の程度については、まだ評価値は未設定ですので、このように書きました。用途の広がりについては、いずれも10物質は多くの業界で使われているということで、多岐にわたるとしました。総合評価としては、自主的な改善の進捗状況や行政指導の効果など等も踏まえて考えると、いずれにおいても「丸数字1規制が必要」ということでまとめました。

 次に、21ページの(1)「対策オプションの比較」です。対策の手法としてどのようなものがあるかで2つの手法を記載しました。まず、オプション1として、原則、作業環境測定や特殊健康診断の結果の30年間の保存、作業記録の作成等職業がんを予防する観点からの措置を規則に基づく規制措置として導入するということで、ばく露抑制措置の追加についてはリスク評価実施後に検討するというものです。また、もう1つのオプション3としては、原則、必要な健康障害防止対策を行政指導により普及徹底させる、国の通知により現在の健康障害防止対策の徹底、作業管理等の自主的対策を事業者に要請することで、行政指導による自主的な取組を行うものです。この2つのオプションについて、各観点により考慮したものが下の表です。

 まず、丸数字1健康障害防止の効率性では、オプション1は効率性が高い、オプション3は効率性が低いというものです。丸数字2技術的な実現可能性としては、両オプションとも実現不可能な問題は特に見受けられないとまとめました。丸数字3産業活動への影響としては、オプション1が、測定結果の長期間保存や作業記録の作成の義務付けに伴うコスト増から影響は大きいとしました。オプション3は影響は小さいということで、自主的改善は産業活動に影響を与えない範囲で限定されるとしました。丸数字4措置の継続性の確保については、オプション1は義務化により確保される、オプション3は指導が順守されない可能性があるということで、経営トップの意向や景気動向に左右され措置が確保されない可能性があるとしています。丸数字5遵守状況の把握等の容易性で、オプション1の場合は容易に把握できる、オプション3は多岐にわたる事業場を把握することは困難であるということです。

 続いて、(2)「最適な対策」です。以上の考察に基づき、これらを踏まえての最適な対策は何かを記載しています。発がんのおそれのある有機溶剤を用いた有機溶剤業務については、既に有機溶剤中毒予防規則によるばく露防止対策が多くの事業場で実施されているが、職業がんを予防する観点の措置、作業記録の作成や測定結果等の記録の30年間の保存については実施率が低調であり、これらの措置を徹底させるためには、法令に基づく規制化(オプション1)が最適と判断されるということです。措置内容ごとに規制化の要否を書いています。今回の検討対象になっているものは、下から4つ目の作業管理、作業記録の所ですが、その規制の要否については「要」ということで、作業記録の作成と30年間の保存が必要ということ。また、作業環境測定についても「要」で、屋内作業場が対象ですが、測定結果や評価結果の記録の30年間保存が必要としました。また、特殊健康診断については、実施の項目や実施自体は別途検討ですが、健診結果の記録の保存については30年間の保存が必要ということで記載しました。

22ページ、留意事項の丸数字1「リスクが低いとされた作業にかかる規制の考慮」については、ヒアリングにおいて回答のあった内容から規制の考慮について考察したものです。3つの作業については、前もって書いています16ページの内容と全く同じ作業名と作業概要です。それぞれについてのリスク評価等結果の概要としては、発がん性のおそれのある当該有機溶剤(10物質)については、職業がん予防の観点から、有機溶剤業務を対象として、記録の保存期間を延長等の措置を講ずる必要があるということで、低リスク作業についてはばく露実態調査により把握をするとしています。そのため、減免の判定としては、いずれも「不可」と書いています。

(4)「規制の影響分析」ということで、規制をした場合の影響分析です。各選択肢ごとの影響分析を行うもので、2つの選択肢を記載しています。まず選択肢1は、先ほどの考察による最適な対策として、発がんのおそれのある有機溶剤を用いて有機溶剤業務を行う場合は、作業環境測定や健診の結果の30年間の保存、作業記録の作成等、職業がんを予防する観点からの措置の導入が必要。作業環境測定結果及び特殊健康診断の記録の30年間の保存、作業記録の作成と30年間の保存、発がん物質である旨の作業場への掲示等特別管理物質に関する義務を規定するものです。選択肢3としては、現行の対策の維持ということで、測定や健診結果の30年間保存等職業がん予防の観点からの自主的対策を国の通知により指導するものです。この2つについて分類しました。

 続いて、丸数字1期待される効果ということで、選択肢ごとの効果の要素について考察したものです。まず、望ましい影響として、労働者への便益は、選択肢1は便益分類Aで、発がんのおそれのある有機溶剤のばく露の防止により、がん等の発症による健康障害の未然防止を図ることができるとしました。また、選択肢3は便益分類Bで、国の通知による行政指導では財政基盤が十分でない中小企業等をはじめとした多くの企業で的確な対策が十分に浸透しないおそれがあり、その状況を網羅的に把握することは難しい。そのため、労働者にがん等の発症をするおそれがあるとしました。

 次に、関連事業者の便益で、選択肢1は便益分類Aとし、発がんのおそれのある有機溶剤によるがん等の発症を防止することにより、事業者としての労働者の健康確保対策に資するとともに、将来の労災発生の補償リスクを低減することができるとしました。選択肢3は便益分類Bとして、国の通知による行政指導では財政基盤が十分でない中小企業等をはじめとした多くの企業で的確な対策が十分に普及しないおそれがあり、そのため労働者にがん等の発症をするおそれがあるとしました。

 次に、社会的便益について、選択肢1は便益分類Aで、発がんのおそれのある有機溶剤によるがん等の発症を防止することにより、労災保険財政に寄与する等、社会全体の健康障害防止に資するものであるとしました。また、選択肢3は便益分類Bで、国の通達による行政指導では的確な対策が十分普及せず、そのため労働者にがん等が発症するおそれは現状とほとんど変わらないとしました。

 次に、丸数字2望ましくない影響についてです。まず、実施により生ずる負担です。選択肢1の分類はCで、本規制により事業者に新たな措置を義務付けることにより発生する主要な費用は以下のとおりで、測定の結果の保存では数万円からで、あと、作業記録の作成及び保存では年間数万円からということ、発がん物質である旨の作業場の掲示では数千円からとしました。選択肢3は分類C、一部でBで、国の通達による行政指導を受けて対策に取り組む事業者にあっては次の費用が発生するということで、費用については選択肢1と同様です。ただし、産業活動に影響を与えない範囲に限定されることを書きました。

 次に、実際に要する負担、これは行政コストのほうです。選択肢1の分類はBで、対象となる事業場は有機溶剤取扱事業場として各種指導を実施していることから、本規制の新設により国において費用、人員の増減はないと記載しました。また、選択肢3についても同様の記載をしています。その他の負担、社会コストでは、選択肢1は分類Aで、発がんのおそれのある有機溶剤によるがん等の発症を防止することを通じ、労働者災害補償保険法による保険給付を抑えることができるとしました。選択肢3は分類Bで、国の通達による行政指導は法的強制力がないため、財政基盤が十分でない中小企業等をはじめとした多くの企業で的確な対策が普及せず、そのためのがん等の発症により労働者災害補償法に基づく保険給付は、対策をとっていない現状と同様に生じることとなるとまとめました。

 次に、丸数字3便益と費用の関係の分析結果です。これまでの考察結果からの分析結果です。選択肢1については、労働者の保護のためベンゼン等他の発がん性物質に対しても既に規制を課し健康障害の防止を図っており、今般の発がんのおそれのある有機溶剤についても、放置した場合には多数の労働者を健康障害のリスクにさらすことになるため、従来と同様の規制を課し事業者の費用負担の増を考慮しても、本ばく露防止対策の実施は必要なものと判断するとしました。選択肢3については、労働者の保護のため、ベンゼン等他の発がん性物質に対しても規制を課し健康障害防止を図っており、今般の発がんのおそれのある有機溶剤についても同様の規制を課すことから、事業者の費用の負担増を考慮しても、必要なばく露防止対策を求めるのは妥当と考えられる。国の通達による行政指導では、財政基盤が十分でない中小企業をはじめとした多くの企業で的確な対策が十分に普及しているか否かを網羅的に把握することは難しく、改善効果は限定される。そのため、がん等の発症を防止すること及び労働者災害補償保険法による保険給付を抑えることはできないと考えられると分析しました。

24ページ、5「措置の導入方針」です。以上の必要性や効果の検討を踏まえて、措置の導入方針をまとめました。「発がんのおそれのある有機溶剤(10物質)については、職業がん予防の観点から、化学物質のリスク評価検討会において、有機溶剤業務を対象として、記録の保存期間を延長する等の措置を講ずる必要があるとされた。これら10物質は、既に有機溶剤中毒予防規則により、リスクを踏まえた一連のばく露低減措置が義務付けられていることから、措置の導入に当たっては、発がん性という有害性を勘案し、発がんのおそれのある有機溶剤を1つのグループ(仮称:特別有機溶剤)として特定化学物質障害予防規則(特化則)へ移すとともに、以下の措置が必要となる特化則の特別管理物質と同様の措置を講ずることが必要である。胆管がん事案で原因となった蓋然性が高いとされたジクロロメタンを含む10物質への措置であり、職業がん予防の観点から直ちに対応する必要があることから、できるだけ早期に施行するものとする。なお、これらの物質のばく露低減措置については、有機則を準用しこれまでと同様の措置内容となるが、平成25年有害物ばく露作業報告対象物質(1,1,2,2‐テトラクロルエタンについては平成26年報告対象物質とする予定)とされ、同報告を踏まえばく露実態調査及び当該調査に基づくリスク評価を行うこととしており、このリスク評価結果に基づき、必要に応じ、ばく露低減措置や管理体制等その他の措置について見直すこととする」としました。

 「措置内容」としては、1「作業記録の作成」、2「記録の30年間の保存」として、特殊健康診断結果の記録、作業環境測定の測定結果と評価結果の記録、作業記録です。3「名称、人体に及ぼす作用、取扱上の注意事項、使用保護具の掲示」、4「事業廃止時の記録の報告」。5「有害性に応じた含有率(裾切り値)の見直し」で5%から1%に見直すということです。

 次に、「規制導入スケジュール」としては、政省令の改正を行う場合ですが、事務局としては、平成2512月頃を公布として考えており、施行としては来年度、平成264月を考えています。例として、下の表のとおりですが、作業記録の作成や保存、また測定や健診結果の30年間の保存については平成26年度からと考えています。その他のばく露低減措置については、既に措置としては有機則で実施済み、措置済みですが、平成26年度から始まるばく露実態調査によるリスク評価に応じて対象業務等を見直すことを考えています。以上です。これより御検討をよろしくお願いします。

○菅野座長 ただいまの説明について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○唐沢委員 22ページの4「対策オプション」の(3)留意事項の丸数字1、表の右から2つ目の「リスク評価等結果の概要」で、最後に括弧書きがありまして、「低リスク作業についてはばく露実態調査により把握予定」となっています。この、ばく露実態調査は、今後手掛けられるということなのでしょうから、一番左側の欄にあるリスクが低い作業とされている、「サンプリング・分析作業」「実験・試験研究」「その他」の作業については、関係記録の保存期間を30年に延長する等の措置は、最初は義務付けるのですか、それともばく露実態調査の結果を把握してから義務付けることになるのですか。24ページのスケジュール表からすると、その点がよく分からなかったのですが、いかがでしょうか。

○角田化学物質評価室長 考え方としましては、まず義務付けの対象とし、その後にばく露実態調査を踏まえて細かいリスク評価を行った段階で、必要があれば見直していくという考え方です。

○大前委員 2次評価値も管理濃度も、日本産業衛生学会の許容濃度、あるいはACGIHTLVの数字を持ってきていると思います。そうした場合に、今回は発がんの問題がメインなので、その数字が、がんをターゲットにして決められている数字なのか、あるいはがんではないほかの影響もたくさんあると思いますが、それをターゲットにしているのかということは、知っておく必要があると思うので、次回までに、何とかという物質はがんがターゲットで数字が決まっている、あるいはがんではなくてほかのもので、ほかの健康影響のほうが鋭敏に起きるから、それが基になって決まっているというような、一覧表か何かを作っていただけませんか。

 というのは、作業環境測定をして、作業環境測定の測定結果の30年間の保存については、私は賛成ですが、これは管理濃度で評価値が決まるわけですので、それが発がんで決まった評価なのか、あるいは発がん以外で決まった評価なのかというのは、非常に問題だと思います。

 もう1つは、この場合に、生の数値も保存するということですか。単純に、環境測定の評価だけではなく、実際の数字も残すのでしょうか。というのは、将来的に管理濃度が変わる可能性があるので、ある時点から管理区分が比較できなくなってしまう可能性もあるわけですから、そこら辺はどのようにお考えでしょうか。

○名古屋委員 今、大前委員もおっしゃったのですが、エチルベンゼンのときもそうだったのですが、エチルベンゼンのときはACGIHの値を使ったので、ACGIHの値は発がん性を評価していないということです。だから、エチルベンゼンを特化則にするのか有機則にするのかという最終的な結論のときに、有機則にした1つの理由が発がん性を評価していないACGIHの値を使うということでした。

 今回、例えばACGIHの値を採ったときに、発がんがあったときに、ほかから発がんのデータを持ってきて第2評価値が決まる可能性があるということですね。

○大前委員 もう1点は、今は環境の測定ということで管理濃度で評価しているはずですが、そのうち、ばく露の測定と変わる可能性もないことはないわけです。今回は30年間という随分長い話なので、そこら辺も少し考えて、できれば生の値、もちろん環境測定の値だからばく露濃度ではないですが、生の値も保存したほうがベターなのではないかとは思います。

○菅野座長 ただいまの保存につきまして、事務局のお考えはいかがでしょうか。

○岸化学物質評価室長補佐 測定結果には、測定値を全て書いていますので、そのモデル様式をそのまま残せば、生の数値も残っているということですので、それが30年間残れば、過去を振り返っても、その当時のデータがどうだったのかは分かると思います。

 それが、作業環境測定がばく露評価に将来変わったとしても、参考の値になると思いますし、当然そこで作業環境測定がなくなったとしても、それは引き続き保存していただき、かつばく露濃度測定の結果も、当然保存することになるかとは思います。

○保利委員 現行の有機則でも、報告書の記録はそのまま残すことになっているのですよね。

○岸化学物質評価室長補佐 現行も3年間とか、期間は短いですけれども、測定結果と評価結果のそれぞれを残すことになっています。

○大前委員 今度は健康診断の項目の話なのですが、健康診断の委員会で見直しまして、まだ発行されていないのもありますが、あれもあの時点では、この10物質に関して、発がんをターゲットにして決めたかどうかということも、確認をしておく必要があると思うのです。特に、スクリーニングの1次検査のところで、発がんのことを考慮して決めたかどうかは、確認だけはしておく必要があります。まだこれは発行していないので、見直す必要があれば見直す必要があるという意味で、確認が必要だと思います。

○松崎中央労働衛生専門官 確認させていただきます。

○櫻井委員 24ページの「措置の導入方針」の上から8行目か9行目ぐらいに、「胆管がん事案で原因となった蓋然性が高いとされたジクロロメタン」となっていますが、報告書の段階では、原因となった蓋然性が高いとされたのは1,2-ジクロロプロパンであって、ジクロロメタンについては、その段階では結論ができないとなっています。その後、ジクロロメタンについても、業務上であるという認定はされておりますが、こういう文はどこにも出てこないので、一応修正したほうがいいと思います。例えば「蓋然性が高いとされた1,2-ジクロロプロパンに近似するジクロロメタン等の物質を含む」というような。

○角田化学物質評価室長 今の御指摘ですが、記述自体は先生のおっしゃったように、正に6月に業務上で認定をされていることを踏まえて書いておりますので、そういう趣旨で入れました。中身については、御指摘を踏まえて検討したいと思います。

○小野委員 22ページの「リスクの低い」という所については、今後ばく露実態調査を行って、再考する可能性があるというお話だったと思うのですが、実際の状況は分からないのですが、発散抑制措置として、「密閉化」と書いている作業があると思います。この密閉化になっている場合に、周りにほかの作業があれば別なのですが、それも低リスクという区分に入りませんか。要するに、もう一度ばく露実態調査などが必要にならないかどうかについて、御質問したいと思います。

○岸化学物質評価室長補佐 例えば何かを製造するときに、密閉式の反応装置の中でやっているために、ばく露が低いということであれば、その事業場については低リスクということであるかと思いますが、製造作業全てにおいて、リスクが高いかどうかについて考えなければいけないと思いますので、そういう観点から調べるのかなと思っております。

○小野委員 要するに、サンプリングとか、実験・試験というのも、全体の中の一部というか、多分、これは別室でやっていると思うのですけれども。

○岸化学物質評価室長補佐 そうですね。

○小野委員 密閉化の場合には、別室である可能性が低いということになると思うのですが。ですから、ほかに高い所があれば、再調査はしないで、減免の判定はなしという判断になって、密閉化が完全に全体としてなされていれば、再考慮もあり得るという理解でよろしいですか。

○岸化学物質評価室長補佐 そうです。今、業務としていろいろ見ておりますので、例えば試験研究でも、製造するかどうかというラインでの試験というようなことになりますと、大量に物質を扱うこともありますので、そういうことも含めて、試験研究という業務のリスクが低いと言えるのかどうか、そういう全体的な目で見て、例えば規制を外すことによってリスクが上がることがないかどうかも、併せて考えなければいけないのかなと考えています。

○名古屋委員 今のリスクの低い所の作業というのは、アンケートから出てきているのですが、初期リスク評価で必ずもう一度トレースして、リスク評価結果を見て判断するということを必ずやるのですね。

○岸化学物質評価室長補佐 はい。

○名古屋委員 それによって、状況は違うということですね。

○岸化学物質評価室長補佐 はい。

○名古屋委員 今までのリスクの考え方というのは、どちらかというとそういう形のものではなくて、高い所、高い所へいくようなリスク評価の考え方をして、報告のあった事業場のリスク評価の対象事業場の選定については、コントロールバンディングを使って設定したのですが、今回はそうではなくて、アンケートが低くても、必ず全部ローラー作戦のようにトレースするという形で考えてよろしいのですか。

○角田化学物質評価室長 はい。そういう方向で考えています。

○菅野座長 申し上げるのが遅れましたが、可能であれば有機溶剤について、今回を最終案としたいということですので、文章についても御検討をお願いいたします。

1点お伺いしたいのですが、MSDSには、含有率1%までのものは現状で全て記載されているものなのでしょうか。

○岸化学物質評価室長補佐 SDS641物質あったかと思いますが、有機則や特化則の対象物質は全て入っております。

○菅野座長 質問を間違いました。例えば混合有機溶剤等で、その中の成分の含有率というのは、1%以上のものについては必ず示されているのでしょうか。例えば今まで5%という線がありましたので、それ以下のものを明確に表示していないことがあり得るかなと思うのですが。

○岸化学物質評価室長補佐 SDSの表示にあっても、裾切り値があったかと思います。労働安全衛生規則別表2-2が対象で、本日の資料には付けておりませんが、重量%で0.1%が、SDSの明示対象となっておりますので、合計して5%ということで考えれば、多くは含まれるものと考えられます。

○搆化学物質対策課長補佐 化学物質対策課の搆です。SDSについては、基本的に法令で含有率の表示の一定の幅は認めています。それは規則に明示してある部分もあります。ただし、例えば有機則に入るかどうか、今でしたら、有機則の裾切り値は5%ですので、それが入るか入らないかが不明確なものについては、適切なSDSとは認められないということで、例えば1%から5%とか、非常に曖昧なものになっていて、適用が分からないものについては直してもらっております。

 したがいまして、今度の改正で、裾切り値が5%から1%になったとすれば、そこは1%を超えるのかそうではないのかということは、個々の物質について明示されないといけないと考えています。

 ただし、有機則、特化則の適用が不明確なものは駄目ですが、そうでないものは、一定の範囲において幅を持たせるという表記は可能になります。

○菅野座長 私が心配したのは、例えばシンナーなどにはいろいろな有機溶剤が入っています。今までの規制だと、有機溶剤として5%以上のものかなと、私は思っていたものですから、例えばそのときに、2%しか入っていないものについては明示されない場合があるのではないかと思ったものですから。例えばジクロロメタンが2%入っているというときに、有機溶剤としてだったら5%以下ですので、現時点だと。

○搆化学物質対策課長補佐 そのように、混合物として、幅を持って、例えば2%から4%というのを書くことは可能なのですが、その場合には別の所で、有機則の適用があるかないかは明記しなければいけないことになっていますので、ジクロロメタンが入っていて、仮にトルエンも入っていると。足すと、実は5%になるという場合について、そこは有機則の適用があるのかないのかは明示していないといけないと。ジクロロメタンだけで、2%なのか2.5%なのかは幅を持たせても構わないということはあります。

 ですから、今度、規則が変われば、1%、あるいは当該物質については1%の前後で、あと混合物質で有機溶剤として、5%を挟むのかどうかについては、何らかの形で明らかにすることが求められています。

○菅野座長 移行がスムーズにいけば問題はないと思うのですが、現時点で市販されてしまっているものでも、これが成立すれば、使用するときには新しい法律が適用になると思いますので、その点は大丈夫なのかということが。

○搆化学物質対策課長補佐 分かりました。例えば今日発売されて、表示をされたものが、新しい法令の施行後に曖昧になることがないようにということですね。

○菅野座長 それがあり得るかなと。

○搆化学物質対策課長補佐 それは確かに、法令の改正に伴って前後する、一時的な現象でしょうけれども、そういうことはあると思いますので、留意して検討したいと思います。

○大前委員 突飛な話かもしれませんが、今回のこの中に産業医のことは入らないのですか。今回の大阪の事案も、産業医がいればもっと早く見つかった可能性があるわけですよね。対策の中にということですが。

○岸化学物質評価室長補佐 基本的に有機溶剤であっても、特化物であっても、50人以上の事業場においては産業医を選任する必要があるということですので、変わりないと考えております。

○大前委員 そういう意味で、ここには入っていないということですか。

○岸化学物質評価室長補佐 はい。

○大前委員 少なくとも、この10物質に関しては50人以上では産業医を選任しなさいとか、そういう対策はあるのではないかと思ったものですから。

○菅野座長 20ページの(3)「規制化の必要性」の最終行ですが、「リスク調査結果に基づき現行の対象業務やばく露低減措置等の見直しを検討する」とありますが、24ページの5「措置の導入方針」には、対象業務の検討については書いてないようですが、書きにくいということでしょうか。

○岸化学物質評価室長補佐 24ページに対象業務も入れて表現を合わせます。

○菅野座長 4「対策オプション」の所で、対策に伴って必要となる費用が書いてありまして、作業場への掲示は数千円になっていますが、1か所につき数千円ということですか。

○岸化学物質評価室長補佐 安全用具を売っているホームページで、例えば掲示板で3,000円程度で売っているようなものもありましたので、それを参考に書かせていただきました。

○大前委員 22ページの減免のところですが、先ほど室長がおっしゃったような形でよろしいと思うのですが、今までリスク評価の中で、発がんに関して閾値がないタイプの場合は、10-4 で数字を出してきています。閾値がある場合は、不確実係数を割って出てきているわけですが、閾値がある場合に関しては、不確実係数で割った数字以下は、発生率はほとんどゼロで、10-4 より遥かに小さな値ということになるわけです。

 したがって、これは閾値があるタイプにせよ、ないタイプにせよ、濃度に依存して数字が決まってくるわけなので、留意事項の「リスクの低いとされた作業にかかる規制」のところで、ばく露実態調査をやられたということになっていますが、そういう定量的な評価というか、それは入れていくべきだと思います。そうでないと、本当に低い濃度の所でも全部これをやるということは、非常に無駄が大きいだけだと思うのです。

 そういう今までの10-4 、あるいは不確実係数を使って数字を出すという考え方とも矛盾してくるので、ここら辺は将来的には、どういう形でリスクが低いという所を定義するかというのは、考えていく必要があるのではないかと思います。今回は、先ほど室長がおっしゃった形で問題はないと思います。

○岸化学物質評価室長補佐 10物質については、有害性評価書を作るところからスタートしますので、その辺りから検討していければと思っております。

○菅野座長 ほかにはいかがでしょうか。

○唐沢委員 今日のメインテーマと違う話になるのですが、私は海外の専門家とcommunicationしていまして、今、検討会でこういう議論をしているということを知らせましたところ、1,2-ジクロロプロパンあるいは今回のジクロロメタンについて、人に対する発がん性、蓋然性があるということで、労災補償の対象になったということを英文で知らせてやったのですが、最近になって質問がきました。

IARCに対して、こういう貴重な情報は提供していただいているのかと聞かれたのです。IARCから情報をもらうばかりではなくて、我が国の貢献ということで、櫻井先生が座長をされて、業務上外の労災補償、直接的にはそういうレポートだと思うのですが、非常に貴重なレポートだと思うので、できれば我が国の貢献として、IARCに情報提供できればいいのではないかなと思ったのです。

○櫻井委員 情報提供されていると思います。

○搆化学物質対策課長補佐 事務局ではありませんが、胆管がんの調査を続けてきた立場からご説明いたします。私どもは、この事案を把握した昨年4月以降、調査を開始して、国内的には7月に中間的な取りまとめを行いましたが8月以降は、海外に向けても、IARCが属するWHOはもちろんのこと、ILOOECDASEAN、それから中国、韓国に対して、情報発信を行っております。

 と言いますのも、1,2-ジクロロプロパンやジクロロメタンのばく露が胆管がんにつながるという信頼できる知見が、国際的には知られていなかったことから、疑わしい段階であっても遅れることなく情報発信を行うことが日本政府の役割と考えた次第です。具体的には、英文概要を厚生労働省の英文ホームページ、それから中央労働災害防止協会には当初から全面的に協力いただき英文ホームページに掲載し、定期的に更新しております。

IARCからは、来年の6月に予定している有害物質の年次検討対象として、この2つの物質を追加した旨の連絡が入りました。発がん分類の年次検討対象は、あらかじめ先まで決まっているようで、今回は日本の情報を踏まえて通常より繰り上げて再検討するとのこと、IARCのホームページにも確かにこれら2物質が載っています。おっしゃるとおり、日本も国際機関等の情報を受け取るだけではなく、知見や情報を発信していくよう努めなければなりません。

○菅野座長 その他の点についてはいかがでしょうか。

○保利委員 業界からはいろいろ意見を頂いているのですが、これに関しては、例えば検討結果を踏まえて、団体等には結果のフィードバックはされるのですか。

○角田化学物質評価室長 実際にこの検討会の検討結果を踏まえて、今後、法令等を検討していくという段階になれば、その段階でパブコメなどをして、御意見を伺うという形になろうかと思います。

○菅野座長 この検討シートについては、若干の修正はありますよね。

○角田化学物質評価室長 はい。

○菅野座長 そうしますと、今日で最終というのは難しいのかと思うのですが、次回ということでよろしいでしょうか。

○岸化学物質評価室長補佐 修正したものを次回に提出して、確定できればと思います。がん指針も今回見直すことも考えておりますので。

○菅野座長 先ほど、DDVPについて、時間の調整で早く区切ってしまいましたが、DDVPについて御意見がありましたら、いかがでしょうか。

○田中委員 14ページです。4社から貴重な情報を頂いて、取り分け2番の「作業管理」でしょうか。C製造所が防じんマスクを使用していることについて、どういう背景の中で使用しているかを問い合わせようということが出ました。

 更にこれを見ていますと、保護手袋の問題についても、情報を頂ければと思いました。B社だけが保護手袋を使用しているとは限らないのではないかということを踏まえますと、防毒マスク、防じんマスク、保護手袋、保護衣、保護眼鏡、経皮吸収の問題も重要だという御指摘があるものですから、項目ごとで使用しているのかどうか、作業内容との絡みで、問合せをしていただければ、次のステップに保護具をどう記載するかという情報に役立つのではないかと思いました。事業場への聞き方を御相談させていただいて、情報が活用できるようにしたいという提案をさせていただければと思います。

○高村化学物質情報管理官 そちらについては、質問事項の案をまとめまして、先生方に確認いただいた後に、業界団体に調査依頼等をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○菅野座長 質問書については、メールか何かで配布していただくということですか。

○高村化学物質情報管理官 はい。メールでやり取りをさせていただければと思いますので、よろしくをお願いいたします。

○櫻井委員 直接これに関係があるかは迷っておりますが、今回これらの物質の発がん性について、特に強く警告を発することになりますので、代替物質に代えるという考えも、当然起こってくると思いますが、その際に、コストの面で、これれらの物質は比較的塩化、炭化水素等が多いわけですが、安いものが多いのではないかと思います。その辺について、代替物質をできるだけ高価でないもので、比較的安全なものを選択しようとされると思いますが、その際に情報が十分でないので、誤った選択がされてしまうおそれ、むしろそれを助長するようなことになってはいけないという気がしますので、そうでないような留意事項が必要かなという気がしております。

○菅野座長 対策として代替物は明示されておりませんが、どちらかの項目に入れるということで。

○櫻井委員 この形式の中にうまく収まるかどうか、ちょっと分からないのですが。

○大前委員 今回の対象の物質の数ですが、17ページの対象物質は12あって、24ページには10物質と書いてあるのですが、これは12物質ですか。

○角田化学物質評価室長 これは訂正が必要ですので、10に合わせて整理したいと思います。

○岸化学物質評価室長補佐 NN-ジメチルホルムアミドや1,1,1-トリクロルエタンは、今回のものではないので削除いたします。

○大前委員 分かりました。

○菅野座長 それでは、この辺りで区切らせていただきます。今後、御意見があればメールで通知するということでよろしいでしょうか。

○高村化学物質情報管理官 発がんのおそれのある部分についてでしょうか。

○菅野座長 はい。

○高村化学物質情報管理官 よろしくお願いいたします。

○菅野座長 最後に、今後の予定の御説明をお願いいたします。

○高村化学物質情報管理官 資料43ページ、資料3「今後の予定」です。第6回化学物質の健康障害防止措置に係る検討会、予備日として設定しておりましたが、この日については918()10時から、こちらの建物の16階、専用第17会議室において開催させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 具体的な検討内容は、DDVPに係る検討シートの最後の所まで、御検討いただくということと、本日御議論いただいた発がんのおそれのある有機溶剤の検討シートの修正したものについての御確認を頂きます。それから、先ほどもお話をさせていただきましたが、がん原性指針の見直しについての御検討を頂くことを考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○菅野座長 以上をもちまして、第5回化学物質の健康障害防止措置に係る検討会を終了します。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室 (内線5511)

代表: 03-5253-1111

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