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2013年8月9日 第23回独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会議事録

○日時

平成25年8月9日(金)13:12~15:28


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

内山部会長代理、藤川委員、斎藤委員、花井委員、三好委員

○議事

(以下、議事録)

 

○内山部会長代理

 それでは、第23回高度専門医療研究部会を開催します。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。

 本日は永井部会長、祖父江委員、福井委員、本田委員が御欠席です。永井部会長が御欠席ですので、私、内山が進行役を務めさせていただきます。

 それでは、本日の議事について事務局から説明をお願いします。

 

○政策評価官

 それでは、本日の議事について御説明します。議事次第にあるとおり、本日の議事につきましては、国立国際医療研究センターの平成24年度の個別評価について御審議いただきます。なお、机上に1枚紙で机上配付資料「高度専門医療研究部会平成24年度実績に係る自己評定一覧表」がありますが、一番左に個別評価16項目を1グループから4グループまで区分しており、そのグループごとに法人から御説明いただき、審議いただく形をお願いできればと思っています。その表の右にあります自己評定は、法人からの個別項目についての自己評定で整理したものを記載しています。一番右隅には平成23年度の評定結果がありますが、これは昨年度に御審議いただいた結果を記載してありますので、評価をお付けになる際に御参考にしていただければと思います。事務局からは以上です。

 

○内山部会長代理

 それでは、国立国際医療研究センターの個別評価に入ります。最初に、春日理事長から御挨拶と平成24年度における業務実績概要の説明をお願いします。

 

○国立国際医療研究センター理事長

 ただいま御紹介いただきました国立国際医療センターの理事長を務めております春日です。本日は私どものセンターの平成24年度の業務実績の審議をしていただくということで何卒、よろしくお願いします。本日頂きます評価並びにいろいろな御意見を参考にしまして、更に私どものセンターの経営に努力する所存ですので、重ねてよろしくお願いいたします。

 お手元の資料1-1を参考にしまして、平成24年度の私どものセンターの業務実績の概要を御説明します。1ページですが、ここに私どものセンターの概要と言いますかデータが載っております。また、そこにあります理念を掲げております。2ページの上に組織図があり、それについて少し御説明をします。

 今、御覧いただいた理念を実現すべく、そこにありますように7研究部門と糖尿病研究センター、肝炎・免疫研究センターからなる研究所、さらに4部門を有す臨床研究センター、それからその次に771床の病床を持つセンター病院、それから375床の病床を持っている国府台病院、さらに国際医療協力局、国立看護大学校、そしてこれらをサポートする事務部よりなります常勤役職員数1,667名で、この幅広い分野で業務に取り組んでいます。

 下の、基本構造を御覧ください。私どものセンターは1993年に総合病院を基礎に発足したナショナルセンターです。したがいまして、その基盤としては、一番下にあるとおり、高度先駆・総合医療を基盤としていて、センター病院、国府台病院でこのような業務に取り組んでいます。そして、その上に国際医療協力、それから研究所を中心とした基礎研究、それから病院と臨床研究センター、研究所の連携による臨床研究、橋渡し研究を行う機能をその基軸的ミッションと考えています。その中でも特に、その上にある感染症、糖尿病・代謝性疾患、肝炎・免疫疾患のような疾患が当センターの中心的なミッションとなる疾患群であると考えておりまして、それぞれを担当するセンター、すなわち臨床と研究を一体化した構造があります。感染症に関しては、ACC、エイズ治療・研究開発センター、それからDCC、国際感染症センター、糖尿病・代謝性疾患に関しては糖尿病研究センター、肝炎・免疫疾患に関しては肝炎・免疫研究センターがあります。つまり、このような三層構造が私どものセンターの基本的な構造と考えています。

 実際の図はありませんが、簡単にここで私どもの法人運営について御説明をします。2週間に1回、理事、監事が出席します運営会議と、さらにセンター全体の運営方針等を決定する理事会を開催しています。それから平成24年度においてはセンター全体の運営方針案の検討を行う会議としまして、総長特任補佐会議、病院運営企画会議を毎週開催しまして、全て私、理事長が出席して法人運営に取り組んでいます。

 続いて3ページですが、各部門について特色を簡単に御説明します。まず最初に研究所ですが、ここでは先ほどからお話しています当センターの中心のミッションの疾患群、感染症、糖尿病・代謝性疾患、肝炎・免疫疾患を中心とした疾患の基礎的研究によりまして、その発症機序の解明などに取り組んでいます。平成24年度におきましては、ヒトのiPS細胞から褐色脂肪細胞、褐色脂肪細胞はエネルギー代謝を亢進させる細胞ですが、褐色脂肪細胞に分化させることに成功しまして、その臨床応用として抗肥満治療に用いられないか等を現在検討中です。

 次に臨床研究センターですが、これは法人化後に、研究所と病院を結ぶ、その間に設置されたセンターでして、臨床研究の推進、それから質の高い臨床研究の実施に向けた研究者の支援、知財の保全や臨床研究に係る各種教育活動を担当しており、特に平成24年度において、この部門の強化に取り組んだところです。

 続きましてセンター病院ですが、これは40余の診療科を有し、高度先駆的・総合医療の提供をしています。平成22年に救命救急センターに指定されまして、現在、全国でトップあるいは2番目程度に救急車の受入数が多い施設になっており、大体1年間に12,000人ぐらいの患者さんを救急車で受け入れています。それからもう1つ、このセンター病院が力を入れているのは、研修医、レジデント、フェローの人材育成です。初期研修に関しましては国内で最も人気のある施設の1つとなっています。それから、このセンター病院には先ほどお話しましたACCがありまして、ACCは我が国のエイズ治療・研究開発のトップ機関です。またDCCがありまして、このDCCでは国際感染症等の国家危機管理機関として機能しています。すなわち、特定感染症指定医療機関になっており、最も危険な感染症の方が日本に入られた場合のために全国で8つのベッドが準備されていますが、そのうち4つのベッドが私どもにあります。さらに国府台病院ですが、地域に開かれた高度で先進的な医療を提供する総合病院として活躍しておりまして、新病棟が昨年10月に完成しています。そして同じ頃、肝炎・免疫研究センターが完成しまして、そこを中心に我が国における肝炎・免疫分野の診療・研究の拠点として活動をしています。それから、従来から国府台病院は児童精神科医療の提供機関として広く知られており、精神科救急の実施もしています。

 次に4ページです。国際医療協力局ですが、この国際医療協力は私どものセンターの当初からの重要なミッションの1つで、我が国の国際保健医療協力の拠点として厚生労働省や外務省と連携して、保健医療分野における開発援助を推進しています。毎年、100名を超えるスタッフを海外に派遣し、200名を超える研修生を海外から受け入れています。国立看護大学校ですが、高度な臨床看護実践能力、臨床看護研究能力を備え、先端医療の現場や国際医療協力の場で活躍できる看護師、助産師の育成に努めています。

 最後に、平成24年度の業務実績に関して、3つのポイントを強調させていただきます。1つは、平成24年度に関しては、先ほどから申し上げているように臨床研究の推進に力を入れました。臨床研究推進のための戦略会議を立ち上げまして、臨床研究センターを中心に関係部門の連携の強化を図るとともに、生物統計家やプロトコール支援ユニットの構築など臨床研究支援体制の充実を図りました。

 第2に、センター病院が平成24年度11月に特定機能病院の名称を取得しました。このことによりまして、センター病院が高度先端医療に対応できる病院として公に認められたことになるとともにDPCの係数が上昇して、経営上のメリットも生じています。

 第3は、経営の問題です。当センターは中期計画期間累計で収支相償を目指しておりますが、平成24年度の決算で9.8億円、それから平成23年度で18.5億円、平成22年度で0.5億円ということで累積で28.8億円の経常損失を計上しています。少し、この3年間の収支について御説明をしますが、収益で見ますと運営費交付金では減少がありまして38億円でした。しかし、これはいずれも中期計画に比しての話なのですが、我々の経営努力で医業収益の66億円の増によりましてトータルとしては28億円増となっています。一方、経常費用ですが、これは診療や研究機能強化に伴う人件費で40億円の増、材料費で37億円の増がありました。しかしながら、一般管理費で51億円の削減努力に成功して26億円の増にとどめています。ところが、さらにこの経常費用ですが、国立の時代に発注した新しい病棟、あるいはナショナルセンターに相応しい最新の医療機器が、独法化以後に集中して整備されることになりまして、それに伴いまして減価償却費が中期計画より20億円の増になっています。現時点での中期計画と実績との差は19億円ですので、これが主にその差額になっているものと考えることも可能だろうと思っています。

 なお、6つのナショナルセンターの中で初期研修医を採用しているのは私どものセンターだけです。この人件費は運営費交付金で措置されていません。実際には2学年で私どものセンターに110名の初期研修医がおりますが、時間外手当を含めて、1年間に6億円以上の人件費を要しています。したがいまして、このような点も他のナショナルセンターと違い、当センターの経営面での負担になっているのではないかと考えています。

 いずれにしましても、経営改善は我々に課せられた非常に大きな課題という危機意識は全員で共有しており、役職員全員で5年間での収支相償を目指して全力を挙げて取り組む所存ですので、よろしくお願いします。

 続きまして、平成24年度の具体的な取組に関しましては担当より御説明を申し上げます。以上です。どうも、ありがとうございました。

 

○内山部会長代理

 ありがとうございました。続きまして評価の進め方ですが、国立国際医療研究センターの個別評価につきましては、評価シートの個別項目を4つのグループに分け、グループごとに評価を行います。評価の指標として計画どおりであればB評価、中期計画を上回っていればA評価、想定外の要因を加味しており計画を大幅に上回っていればS評価としていきます。

 それではまず1グループ、項目13、「研究・開発に関する事項」について評価を行います。所要時間は法人からの説明が10分、委員の評定と質疑15分の合計25分です。それでは法人から説明をお願いします。

 

○国立国際医療研究センター企画戦略局長

 企画戦略局長の亀井です。私のほうから、まずグループ1、項目13について御説明させていただきます。資料1-1「業務実績の概要」を御覧ください。時間の関係もありますので、こちらで説明をさせていただきます。

 評価項目の1「臨床を志向した研究開発の推進」です。評価シートは1ページを御覧ください。「研究所と病院等、センター内の連携強化」です。先ほど総長からも説明させていただきましたとおり、臨床研究推進のための戦略会議を設置して毎月開催し、関係部門間の連携強化による臨床研究を推進してまいりました。また、生物統計家を確保してCRCの体制も強化し、プロトコール支援ユニットの構築など、臨床研究を支援する体制を充実・強化してまいりました。開発医療の推進に向けた臨床応用が見込まれるシーズの洗い出しも行ってまいりました。

 先進医療等の基盤となるバイオバンクについてです。まずは当センター独自のものですが、バイオバンクの在り方委員会というものを立ち上げて、バイオバンクの構築やバイオリソースの基礎研究・臨床研究への活用の推進を行いました。また、前年度、国府台地区に臨床研究・治験センターを立ち上げましたが、そこにおいて臨床研究レジストリとしての活用可能な体制の構築を行い、平成24年度末でデータベース登録数が4,000を超えています。さらに、6NCバイオバンクネットワークとして、当センターは中央バイオバンクを設置し、外部検索可能なカタログのデータベースの設計を開始しています。

 次に、評価シートの2ページから、「産官学等との連携強化」です。既に平成23年度に協定を締結した早稲田大学理工学部との連携協定に基づき、研究会や共同研究を実施しております。さらに、平成24年度は3施設と新たに協定を結んでおります。1つ目は東京大学生産技術研究所との連携で、これは医工連携により、先進的な診断・治療方法の開発研究など臨床医学により次世代を担う人材育成あるいは人材交流をするというものです。東京大学大学院医学系研究科との連携も行っています。この協定に基づき、「分子糖尿病学」の連携講座を設置いたしました。さらに、横浜市立大学とも協定を結んでおります。これについても、教育研究について連携・協力してきております。

 数値目標にもありますが、外部機関等との共同研究、開発初期の臨床研究の共同研究については、資料の右上のグラフを御覧ください。数値目標は毎年10件以上ですが、平成24年度については全部で25件と、数値目標を15件大幅に上回っております。

 次に、評価シートの3ページからの「研究・開発の企画及び評価体制の整備」です。国の研究開発評価に関する大綱的指針に準拠するように評価運営を行っているところでございます。事前評価委員会と中間・事後評価委員会を分離・運用し、評価に当たっては配点基準を示し点数化、客観的な評価を実施しております。

 評価シート3ページを御覧ください。「知的財産の管理強化及び活用推進」です。これについては、既に前年度から知財関係の基盤強化を図っていますが、さらに、特許庁の経験者を配置するなど強化を図っているところです。全職員を対象にした知財に関する説明会を開催するなどして、知財関係に力を入れております。資料の右下のグラフを御覧ください。新規の発明出願件数の推移ですが、御覧のとおり、平成24年度は25件と、22年度に比べると6倍強と大幅な増加を示しております。

 評価シートの4ページ以降を御覧ください。これらのように、当センターのミッションに沿って、臨床研究に係る連携や臨床研究支援体制の基盤強化に加え、バイオバンクの整備、新たに大学等研究機関等との連携強化、知財に関する体制の強化などに取り組み、中期計画を大幅に上回っております。大学や民間との共同研究の取組も中期計画を大幅に上回り、着実に実施しているところでございます。したがいまして、自己評価をSとさせていただきました。

 資料1-17ページを御覧ください。評価項目2「病院における研究・開発の推進」です。評価シートは8ページからです。「臨床研究機能の強化」についてですが、先ほども御説明したとおり、生物統計家の確保やCRCの体制強化、さらには、センター内のプロトコール作成支援をする業務体制を強化するプロトコール支援ユニット、外部からの統計解析業務受託体制の強化、倫理委員会の体制強化、多施設共同研究を担う中央事務局の設置などを行い、臨床研究センターの体制を強化しております。さらには、薬事・規制要件への対応のためのPMDA経験者の配置や、臨床研究等を担う人材育成を目指したクリニカルリサーチフェロープログラムを策定するなど、PMDAとの人事交流を推進しています。ちなみに、今年の7月時点で2名がPMDAに出向中でございます。

 右の上のグラフを御覧ください。治験申請から症例登録までの期間です。これは数値目標にも挙げられていますが、これについては、平成24年度は96.0日ということで、対前年度で5.5日増加しています。しかし、これは、適格例が少なく症例登録まで597日を要した再発性の悪性リンパ腫1件が含まれています。これを除くと64.7日と、大幅に短縮しております。

 また、右下のグラフを御覧ください。治験の実施症例数です。平成24年度、戸山地区が163件、国府台地区が74件と、いずれも大幅な増でございます。両方合わせて対前年度42件と、大幅な増を示しています。

 評価シートの8ページ、「倫理性・透明性の確保」です。外部専門家を加えた倫理委員会の適正な運用を行っております。また、倫理委員会事務局の体制強化を図りました。倫理委員会については、一般は12回、遺伝子解析は4回と、定期的な開催を行いました。臨床研究認定制度の運用により、研究者への倫理に対する教育も充実しています。倫理委員会の結果はホームページで公表しております。倫理性・透明性の確保のため内部監査の充実も図り、成育医療センターと相互監査も実施しています。

 評価シートの9ページからの「病院における研究・開発の推進」については、臨床研究センターの充実強化に取り組み、臨床研究支援部門の体制強化に加え、研究倫理の向上、臨床研究の透明性の向上に向けた監査体制の強化などの取組は、中期計画を上回って着実に実施しているところでございます。したがいまして、自己評価はAとさせていただきました。

 資料1-18ページを御覧ください。評価項目3「担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な研究・開発の推進」です。ここについては、主立ったものをかい摘んで御説明させていただきます。評価シート13ページ、「疾病に着目した研究」ですが、糖尿病における病態解明に関する基礎研究、臨床研究の中でも、先ほども総長から説明させていただきましたが、ヒトiPS細胞から褐色脂肪細胞を分化させることに成功し、糖尿病網膜症に関する新規物質を発見しております。これについては、肥満予防に結び付ける研究を進めているところでございます。また、当センターの研究で同定された「CITED2タンパク」が脂肪細胞の発生・分化においても重要な分子であることを、解明しております。

 次に、HIV・エイズにおける臨床との連携による今後の治療法や新薬の開発に資する研究についてですが、HIVについては、薬剤耐性出現や薬剤副作用に配慮した治療戦略に関する多施設臨床研究、いわゆるSPARE studyを実施しています。また、それまで実施していた研究、ET studyについては、これを終了し、論文化を図っているところでございます。HIV新規感染者への耐性検査の実施、薬剤耐性状況の把握及び遺伝子解析を125例実施し、前年度に比べると9件増えています。

 次に、新興・再興感染症についての病態解明に関する基礎・臨床研究についてですが、高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)について、重症化の機序に係る知見を解明しております。

 次に、肝炎ですが、C型慢性肝炎の治療効果予測法として、宿主側因子として、IL28Bと、ITPA、これは貧血に関する酵素ですが、このITPAというもののSNP測定法を開発しております。また、ウイルス側要因として、HCVcore70,91の測定法も確立しております。

 数値目標にも挙がっていますが、右のグラフの一番下を御覧ください。治験、臨床研究の実施数、合計数は342件と、過去最高を記録しています。これは、21年度に比べると59.8%の増加となっております。

 次に、評価シートの1718ページ、「均てん化に着目した研究」です。まず、エイズ医療に係る情報を医療従事者向けにE-learning形式で開発していましたが、これを更に改訂し、情報発信手法として、新たなものとして公開しています。次に、かかりつけ医向け及び糖尿病専門医向け糖尿病標準診療マニュアル、これは平成22年度に作成したものですが、これを改訂し、公開しています。さらに、糖尿病の最新のエビデンスを医療従事者向けに提供しています。肝炎拠点病院間連絡協議会、あるいは医療従事者、例えば看護師や相談員に向けた研修会も開催しています。肝炎については、最新情報をホームページで公開し、相談センターとのリンクも図っています。そのほかに、国府台地区における児童精神医療ネットワーク会議なども開催しています。

 評価シートの19ページからになりますが、「国際保健医療協力に関する研究」です。国際保健協力に係るエビデンスの構築と情報発信の一環として、過去65年にわたるWHO総会の技術議題を分析し、決議文書をデータベース化しております。開発途上国におけるHIV対策の評価及び改善のため、HIV母子感染予防実施の費用推定ツールも開発しております。また、紛争後脆弱国の人材育成制度の比較研究から、人材管理モデルも開発しています。さらには、WHO協力センターとして、WHOとも協力し、ラオス国においてB型肝炎有病率調査研究を行い、ラオス国の感染症対策にも大いに貢献しているところです。このほかに、国際保健ネットワークの強化に必要な研究として、文科省の行っているJ-GRID、あるいはJICAJSTSATREPSなどにもジョイントして研究を行っているところです。

 右の表は、数値目標の1つです。平成21年度に期間中に論文誌への掲載論文数をセンター全体として10%増加させるということですが、これは、Web of Scienceにより検索した主に英文論文の数ですが、平成24年度においては231と、過去最高になっています。これは21年度に比べると42.6%増と、大幅増です。また、その下にある論文引用数においても過去最高で、これも21年度より37.3%増と、大幅増加になっています。

 評価シートの21ページからになりますが、主要疾患等である感染症、例えばHIV/AIDS、新興・再興感染症など、さらには糖尿病・代謝性疾患、肝炎・免疫疾患、国際医療協力等の分野の研究開発について、疾病の本態解明・実態把握、高度先駆的及び標準的な予防、診断、治療法の開発、医薬品等の開発、均てん化、国際保健医療協力などにおける研究の着実な推進など、研究・開発を推進してまいりました。掲載論文、特に英文論文、あるいは臨床研究実施数ですが、これらは数値目標を大幅に上回って、着実な実施を行っております。したがいまして、自己評定をSとさせていただきました。

 

○内山部会長代理

 ありがとうございました。委員の皆様は評価シートへ評定等の記入をお願いします。また、御質問等ありましたら、適宜御発言いただきたいと思います。

1つ、お聞きしてよろしいですか。iPS細胞から褐色細胞を分化させることに成功したということですが、もし記憶が正しければ、ほかのナショナルセンターでも類似の成果を耳にしています。センター同士の共同研究でしょうか。それはそれで非常によろしいことだと思うのですが。

 

○国立国際医療研究センター理事長

 これは、共同研究ではありません。独自のものです。世界でもいろいろ試みられていたのですが、やっていた先生方が血液の専門家の方で、血液細胞を分化させるのと同じような方法をやってみたら、たまたまうまくいったということです。そういう意味では、世界で初めてということで、非常に高く評価されていると思います。

 

○藤川委員

 素人ですので、よく分からない点が多いものですから、分かりやすくお願いしたいと思います。まず、評価項目1に関しては、もともと計画自体が体制整備に係る計画が多いものですから、御説明自体も、こういう体制を整備しましたという成果を書かれているものが多かったと。それは計画に対しての実績ですから、ある意味そうかなとも思うのですが、体制整備によってどのような成果に結び付いたか、具体的な成果もお聞きしたいと思いました。

 それから、評価項目の3番目なのですが、いろいろな数値目標自体もかなり飛躍的に伸びているということでSを付けているということは理解しました。それでは、なぜ増加したのか。12の整備によって3になっているのだということかもしれませんが、もう少しその辺の関係を知りたいと思いました。それから、いろいろな研究を個別具体的に述べていらっしゃるのですが、これがすごい、これが国民生活にとって大事な研究なのだということが分かるように、説明をお願いしたいと思いました。

 

○国立国際医療研究センター企画戦略局長

 それでは、今の御質問に対しまして。委員のお助けもありまして、ある程度お答えをおっしゃってくださっていますが、1番の体制整備のところで、これはどのような成果にということは、正に委員が今お話されたとおりでして、この体制整備をすることにより、評価項目3のような研究・開発の推進に結び付いているということです。例えば評価項目の1で、生物統計家、CRCの増強、あるいはプロトコール支援ユニットの構築ということを御紹介させていただきましたが、研究を行うに当たっては研究を支える方々が要るということと、プロトコールというのは研究計画そのものでして、いかに効果的・効率的なものを作っていくかというところが1つの鍵なのですが、私どものセンターは、やはりそこを強化しなければいけないということで、基盤強化に力を入れてきたことが、24年度に花開いてきたのだと思います。

 さらに、国民に対しどのようにこういう成果をアピールするかということですが、先ほど総長から説明させていただいた褐色細胞の話は、糖尿病というのは国民病で、長寿社会になれば老化現象の1つで、どうしてもこういったメカニズムをたどらざるを得ないところもありますので、これに対してできるだけ予防するという今後の対応に結び付いていくだろうということです。

 さらに、HIVについては、これからHIVのお話などもさせていただくと思いますが、お薬自体が随分いい薬になってまいりましたが、患者様が長年にわたって治療を受けられてきているので、その人によって、どういう薬がいいのか、どういう治療がいいのかと細かく対応していかなければいけないということで、こういった研究をすることによって、その成果が患者様のほうに生きてくるだろうと思っています。

 また、感染症のところで紹介させていただいた高病原性鳥インフルエンザのことですが、この鳥インフルに関しては、今年の3月、4月辺りも中国のH7N9というインフルエンザが日々報道されていましたとおり、インフルエンザ対策というのは欠かせないものでございます。これについては、日頃からこの研究を重ねていることで、パンデミックが起きたときに即座にそれが検査キットや治療に反映されるということでございます。C型肝炎については、実は日本人には非常に多い病気でして、こういった病気については、決定的な対策がこれからというところでございます。それから、C型ウイルスそのものも、人によって個性があって違ってきていて、例えばお薬が効く方、効かない方があり、どうしてそういうことになるのかということが、まだ解明途上です。ここにお示ししたものは、正にその一翼を担うような検査の開発に結び付いています。これでよろしいでしょうか。

 

○花井委員

 いわゆるトランスレーショナルリサーチということが言われて、体制を強化されているということなのですが、国立国際医療研究センターは結構たくさん部門があって、ほかのナショナルセンターより分かりにくい部分があるのです。組織の中で、まず肝炎・免疫研究センターが国府台に独立してあって、そこはもう1つのユニットになっているということだと思うのですが、糖尿病研究センターは研究所にぶら下がっていて、ACCDCCはセンター病院にぶら下がっているわけですよね。そうすると、どちらかというと感染症のほうが臨床に近い、スタッフも研究職はそんなにいなくて、臨床をやる人が多いと。糖尿病研究センターのほうは研究職が多いという理解なのですか。その辺を臨床研究センターが橋渡しをすると概念的には説明があったのですが、実態として研究職がどういう配置で、どのような形でやっているのかということを教えてもらえますか。特にエイズなどでも、画期的な新薬を開発するのだという方向性と、臨床においてより良い治療を行うという方向性は若干研究の指向も違うと思うのです。その辺の連携体制の説明を、お願いできますか。

 

○国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター長

 我々ACCでは、花井委員がおっしゃったように、病院にぶら下がっている組織ですので、主力は、それをどう使って、より良い治療をどうするかというところに主眼を置いています。いわゆる基礎的な新薬開発等は、我々のところでは行っておりません。ただ、御存じのように、臨床研究センター長が満屋先生という世界的な薬開発の権威ですので、今後そういったところとはかなり密接に連携ができてくるのではないかと思います。それから、我々のところは病院にぶら下がっていますので、主力はMD、医者が多いのですが、独法になってから、研究職という形でも少しずつ配備ができるようになってきています。

 

○花井委員

 臨床研究センターは研究職が多いのですね。

 

○国立国際医療研究センター企画戦略局長

 研究職も普通の臨床の者もおりますが、臨床研究センター自体が常に研究所と病院の橋渡しの役目をしていまして、そこが中心になって研修会もやっていますし、先ほど紹介させていただきましたが、倫理委員会に申請するに当たっては、臨床研究の研修会を受けて一定のものを基礎にした方でないと、倫理委員会にも申請できないという仕組みを作っていまして、それ以外にも、勉強会なり研究会なりを日頃からやっております。臨床研究の基盤強化の中で御説明したプロトコール支援ユニットは、正に研究者と臨床家が組み合った1つのユニットで、その部隊が研究所も病院も駆けずり回って、いろいろ研究計画を作るに当たっては、日々打合せをしながら研究を確立させて、それを成果に結び付けるような役回りをしているということで、ここの橋渡しを私どももかなり意識して、一生懸命やっているところでございます。

 

○花井委員

 インフラとしてのラボというのは、研究所に集約しているという理解でよろしいのですね。

 

○国立国際医療研究センター企画戦略局長

 はい。

 

○内山部会長代理

 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは次に2グループ、項目46、「医療の提供に関する事項」について評価を行います。所要時間は法人からの説明10分、委員の評定と質疑15分の合計25分となっております。それでは法人から説明をお願いいたします。

 

○国立国際医療研究センター企画戦略局長

 それでは引き続き説明をさせていただきます。資料1-19ページを御覧ください。評価項目4「高度先駆的な医療、標準化に資する医療の提供」についてです。評価シートは28ページからになります。「高度先駆的な医療の提供」ですが、HIV・エイズに関して薬剤耐性や薬剤血中濃度のモニターなどに基づき、個々の方の病態に即した医療を提供するということで、これは平成24年度327例実施しました。9ページの右上のグラフを御覧ください。目標値は年間150例以上ですが、これについては177例上回って327例という件数を実施しています。

 次に新型インフルエンザなどの診断・治療について、「重症新型インフルエンザ診断と治療の手引き」を作成しています。これらを情報発信し、医療の標準化、均てん化を推進しているところです。肝炎についてはインターフェロン治療の効果予測として実際の患者でIL28B SNP測定を実施しています。これはテーラーメイド医療の1つです。また、糖尿病ですが、連続血糖測定が可能なシステムを活用し治療方針を策定するテーラーメイドの糖尿病治療の実施もしているところです。9ページの上の表で、テーラーメイドの糖尿病治療ですが、平成24年度は延べ200件と、前年度の2.5倍ほどの数を実施しています。

 次に先進医療についてです。評価シート29ページからになります。これについては既存技術31件を実施しています。9ページの左側の2番目の表になりますが、前年度の約1.5倍と、これも大幅に増加しています。平成24年度は先進医療の既存技術3件を取得しました。また、先進医療新規技術3件及び先進医療既存技術6件を申請準備と書いてありますが、この6件のうちの1件は今年7月中に既に承認されました。申請準備中の先進医療新規技術の3件はそこにお示ししたとおりです。遅ればせながら、特定機能病院も名称を取得させていただくことができました。平成24111日です。これにより高度先駆的な医療を確実に実施しているところです。

 評価シートの29ページ、「医療の標準化を推進するための、最新の科学的根拠に基づいた医療の提供」です。電子ジャーナルを整備し、電子カルテシステムと連携しています。これは日常診療において診療の合間に電子カルテシステム上からジャーナルを参照できるシステムを整備したものです。このほかに平成24年度に国府台に移転した肝炎・免疫研究センターでも情報システムを構築しています。また、医療の質の均質化を図るため、カンファレンスによる取組を各診療科で強化しています。さらには研究所の各種カンファレンスへ医師が参画し、最新の研究成果を共有しているところです。

 肝炎情報センターでは全国の肝炎医療の標準化に向け、全国70の肝疾患診療連携拠点病院の医療従事者向けの研修会を年4回実施することにより、肝炎医療に関する最新の知見を各自治体におけるリーダー的立場の医療者の方と共有し、さらにそこから伝達・研修をしていただくということで、均てん化に努めているところです。

 評価シートは30ページですが、医療の標準化は、医療の品質改善という観点から取り組み、研究所と連携しつつ、最新の知見を活用した個々の病態に即する高度先駆的な医療の提供を行い、併せて標準的医療の開発を実施しています。先進医療既存技術3件を取得し、新たに合計9件、そのうちの1件は既に認められていますが、これらの申請に向けた取組を実施しています。センター病院については特定機能病院の名称取得が認められました。数値目標についても中期計画を大幅に上回って、着実に実施しているところです。したがって、自己評定はSとさせていただきました。

 次、同じ資料1-110ページです。評価項目5「患者の視点に立った良質かつ安心できる医療の提供」です。患者の自己決定への支援、これは評価シートは31ページです。カルテの開示請求に対する適切な対応をしているところです。10ページの一番上ですが、カルテ開示件数です。平成24年度103件と前年度の1.5倍の開示数になっています。さらには個人情報保護研修会を開催して、個人情報保護に努めています。また、相談支援体制を強化し、この窓口の支援、円滑な実施も行っているところです。

 セカンドオピニオンの実施状況です。これは数値目標にもなっており、年間110件以上ということですが、そこの表を見ていただければ御覧のとおりです。平成24年度は211件と数値目標を31件上回って、セカンドオピニオンも確実に実施しているところです。

 評価シートは31ページからになりますが、患者等参加型医療の推進です。これらについては患者満足度調査、これは患者サービス推進委員会を毎月開催していましたが、こういったところでこれらの調査を踏まえて議論などもし、サービスの改善に努めているところです。病棟クラークによる入院手続き等の説明など、患者満足度を向上させるとともに、外来診療予約時間の設定の見直し、あるいは患者紹介の受付時間の延長による患者サービスを改善しているところです。また、ボランティアの活動も推進しています。ボランティアの登録数も平成24年度61人と、前年度のほぼ倍になっています。

 チーム医療の推進、評価シートは33ページです。多職種連携及び診療科横断によるチーム医療として、数値目標に掲げられていますが、900件を大幅に上回る年間1,771件の回診又はカンファレンスを実施しているところです。

10ページの右上、「入院時から地域ケアを見通した医療の提供」です。評価シート34ページからになります。地域医療連携の強化により、センター病院、国府台病院ともに紹介率、逆紹介率が御覧のとおり向上しています。特にセンター病院においては逆紹介率が今年はさらに増え、40%近くにまで伸びているところで、順調な伸びを示しています。右の3つ目のグラフですが、CTMRI等の画像診断機器の共同利用件数の推移です。御覧のとおり平成24年度はセンター病院が1,303件、国府台が75件ということで、両方を合わせても前年度の1.5倍です。地域医療連携にこういった機器も有効利用しているところです。

 さらに「医療安全管理体制の充実」で評価シートは35ページです。毎月、医療安全委員会を開催しています。また、ヒヤリ・ハット事例の検証と対策の協議や情報共有も確実に図っています。数値目標にも年1回の医療安全ポケットマニュアルを改訂とありますが、これも平成24年度に改訂しており、全職員に携帯を義務づけているところです。さらに医療安全・院内感染に係る研修会の開催ですが、数値目標でいずれも年3回以上開催ということですが、医療安全の研修会については11回、院内感染に関する研修会に関しては年4回開催して、この数値目標を大幅に上回っています。延べ人数は医療安全研修は延べ3,000人を超える人数、院内感染については4,000人弱の人数が参加しています。年2回以上全職種の受講率が98.9%とほぼ全員が受講している状況です。また、診療連携医療機関との院内感染対策地域連携を実施しているところです。

 評価シート36ページ、客観的指標等を用いた医療の質の評価です。医療の質の評価に必要な基礎データを取り出すためのデータウェアハウスについては、臨床研究等に向け効果的・客観的な指標を抽出するための運用ルールを検討しているところです。

 評価シート38ページからです。患者の療養環境の向上に向け、アメニティの改善に取り組むとともに、安心で安全な医療の提供のため、医療安全の確保、院内感染管理の制御に対し、重点的で確実な取組を行い、良質で安全な医療を提供しています。医療安全の研修については全職員の98.9%が年2回以上受講ということで、いずれにしても数値目標は大幅に上回っているところで、着実に計画の実施を図っています。したがって、自己評定をSとさせていただきました。

 次に資料1-111ページを御覧ください。評価項目6「その他医療政策の一環としてセンターで実施すべき医療の提供」についてです。評価シートの42ページからで「救急医療の提供」です。これについては挨拶で総長からも説明させていただきましたが、救命救急センターにおいて救急車搬送患者数が11,942人と過去最高になっています。これについては右側の一番上の表を御覧ください。平成22年度に比べますと10%の増加ですが、この11,942人というのは、平成24年度においては全国で一番です。対前年度で247人の増加になっています。また、2番目のグラフですが、救急から入院となった患者数についても大幅に伸びており、4,499人と対前年度で254人増加しています。さらに一番下のグラフです。国府台病院精神科救急病棟新入院患者のうち、重症身体合併症患者の割合です。数値目標は5%以上ということですが、平成24年度は10.5%と大幅に目標を上回っています。

 評価シートは42ページからになります。「国際化に伴い必要となる医療の提供」です。海外渡航前健診とワクチン接種などの渡航相談、帰国後疾患治療を実施することにより、総初診患者数は3,686人と、対前年度で23%の増となっています。これについては11ページの左側の一番下のグラフを御覧ください。帰国後疾患治療初診者数も440名と対前年度比で82人増加しています。入院患者は135名と対前年度で64人の増加となっています。成田空港検疫所との連携により、黄熱ワクチンの接種も実施しています。1,259件実施していますが、それ以外の必要なワクチン接種、あるいはマラリア予防薬の対処法なども行っており、全体として8,707件と平成23年度と比べますと増加しています。政府のミャンマー難民受入れに伴う健康診断の実施も行いました。総合感染症後期研修プログラムにより、熱帯感染症管理や院内感染症コンサルテーションなどに対する研修も実施、さらには医療従事者向けのトラベラーズワクチンの講習会の実施なども行っています。

 評価シート44ページです。総合医療機能を基盤とした全科的な総合救急医療及び精神科救急医療の提供を積極的に実施しています。国際感染症の黄熱予防接種実施のほか、海外渡航者に対するワクチン接種、あるいはトラベラーズワクチン講習会の実施、総合感染症後期研修プログラムで、マラリア、デング熱、腸チフスなどの熱帯感染症管理や一般感染症例の入院管理等、コンサルも含めまして医療提供体制の整備を図っているところです。数値目標は中期計画を大幅に上回り、着実に実施しています。したがって自己評定はSとさせていただきました。

 

○内山部会長代理

 ありがとうございました。御質問等はございませんでしょうか。

 

○三好委員

 ページ11ですが、私は病院の救急の事情をよく知らないのでその質問です。右のグラフで救急車搬送患者数の推移というのがあって、これは受入れ体制とかそういうのが改善されて上がってきている、という理解でよろしいですか。それが1つです。2番目が、救急から入院となった患者数の推移、これは素人的に理解すると、患者の病態によって変化するので、これが増えるのが良いのか減るのが良いのか、それもよく分かりません。最後の重症身体合併症率、これも何か病院側がアクションして減らせるものなのか分からないので、その辺も説明してください。

 

○国立国際医療研究センターセンター病院長

 では、私から返答させていただきます。救急車の搬送患者数に関しては、当センターはただ救命救急センターをオープンにしているだけではなくて、消防庁と、問題になっている都内でたらい回しを防ぐためのルールがいろいろありまして、5か所を訪ねたのだが入れない、30分以上探したのだが入れないというのを最終的に受け取る施設ということが1つあります。

 もう1点は都内、国府台ではなくてセンター病院のほうですが、精神科の疾患をベースに持っていて、それに対する身体合併症が起きた症例、それもほかの施設では受けにくいものですから、センター病院のほうにも精神科の病棟がありますので、そういう合併症は公的に積極的に受けるようにしています。そういうことがだんだん積み重なって、それによって特別に人員、それを捌く事務官も増えたことから、いろいろなことから流れがよくなって年々増えてきたという経過があります。

 内容ですが、最近の高齢者社会で、ちょっとしたことで救急車で来る方も多いわけです。したがって、救急車では来たけれど、そのまま処置をして帰宅していただくという方も新宿界隈では結構多い所です。その中で、だんだんに台数が増えると同時に、そのまま入院しなければならない重症患者も増えてきたということで、内容的に簡単に言うと濃くなってきたというような変化が見られたということで、入院患者数が救急車で運ばれてきた上で入院に至ったというのが増えてきたということが、これに表れていると言っていいと思います。

 

○国立国際医療研究センター国府台病院長

 国府台病院における重症身体合併症率の推移について説明します。これは昨年の評価委員会において、15%でちょっと多過ぎるのではないかという御指摘があり、結局日本では精神科、精神病院で一般診療科を要するような身体合併症があると、それをその病院ですぐ手当てできるという施設が非常に少ないわけです。国府台病院はそれができる数少ない施設です。したがって、15%という、重症な身体合併を有している精神科の入院患者はこのくらいいるかなということでしたが、重症という定義を若干変えました。やはり目標が5%ということで、これがいいかどうかというのは私もよく分かりません。ただ、ここの意義は、ナショナルセンターは精神科の患者で、すごく肺炎なり胆管結石なりそういった病気がいくらでも出てくるわけです。そういうもののどこまでを重症とするかということでパーセンテージが変わるので、これの定義を明確にすることを、今回作ったときにしました。そこで10%という形になっております。

 

○内山部会長代理

 これに関連して教えてください。1つは、救急車の受け入れ台数が非常に多いということ。それから感心したのは医療安全感染対策研修会の参加者数が極めて多いということ。これだけ忙しいとなかなかドクターの意識を高めるのが難しい点もあると思うのですが、よくまとめていらっしゃると思います。お聞きしたいのは、どのようにしてそのようにエンカレッジされているのかという点。もう1つは、救急車が多いとどうしても院内暴力とか未収金の問題が絡んでくると思うのですが、どのように対策を取られているのか、お聞かせください。

 

○国立国際医療研究センターセンター病院長

 センター病院のほうからお答えさせていただきます。まず医療安全・院内感染にかかわる研修会の参加率ですが、やはり2年前、3年前はそんなに高くなかったのです。基本的にはそれぞれに声をかけて努力したということです。その当時、ネームカードがID化されて、入口でメカニカルに電子的にそれをカウントするような方式があって、参加するしないが確実にカウントできるようになりました。それから、今までは現場に接する人たち、医師、看護師が多かったわけですが、事務職や表に出る方たち、研究所も含めてそういうことに参加するようにということで、いろいろな方に参加していただく。それをどんどん公表するようにして、あとは1回の講習会、研修会を時間を分けて2回やるとか、2日間に分けて同じことをやるという、参加しやすいような工夫を随分しました。それでも漏れた人に対しては、それをCDに焼いたものを集まって見るとか、そういういろいろな次の手、次の手を考えて確保していったという結果だと思います。

 院内暴力はやはりときどき起こります。これは患者さん同士のドメスティックバイオレンス、赤ちゃんに暴力を加えるようなケースもありますし、それとは全く違って、患者がうちの職員に暴力を振るうというのもあります。これは緊急の場合には隣の警察署、派出所と連携がとれているところですが、そうなる前に、心肺停止のときには院内では特別のコールがあるのですが、それと同じように院内で放送して、一般には分からないようにレッドコードというアナウンスをすると、みんなが集まるようになっています。ほとんど今までそれが発生されたことはありませんが、回数は定かではありませんが半年の間に2回ぐらいそのようなアナウンスがされて、みんな集まっていくということで構えています。

 

○内山部会長代理

 未収金患者はどうですか。

 

○国立国際医療研究センターセンター病院長

 未収金は事務局からお願いします。

 

○国立国際医療研究センター財務経理部長

 未収金については事務局から説明させていただきます。未収金については地域柄低いわけではありません。平成24年度末にもやはり2億円ぐらいの未収金がありました。そういうこともあり、減らす方法としては基本的にはできるだけその場で頂く方策を取る、例えばカードであったり、キャッシュコーナーがありますので、カードがあればそれで払っていただく等々をやっていただくということ。あとはお金を持っていらっしゃらないという方も実際にいらっしゃいますので、その方については連絡先をしっかり確認するということ。よくある全く連絡先が分からないということをなくし、連絡先を知ることによってできるだけ早く御本人、家族、又は会社に速やかに連絡するという形をとっています。時間を置きますとどうしてもそのまま滞留しますので、そうならないようにできるだけ早く対応するという形でやらせていただいていますが、診てもらったあと後ろを向けばいなかったという方もいらっしゃいますので、どうしても未収金は大きくは減らないという現状にはなっています。

 

○藤川委員

 先ほどの受講率98.9%は非常に驚異的で、逆に残りの100に達しなかった人は大変だっただろうという、御努力もあったと思うのですが、ここまで上がってくると、逆に内容の充実や、実はカードで最初は入ったけど途中で帰ったとか、そういう方がないのかどうかなど、内容の定着をきちんと考えていただく必要があるかと思います。

 

○国立国際医療研究センターセンター病院長

 内容を説明しますと、関係者の努力がやはり大きいのだと思うのです。これはというときにはやはりカードが便利でして、入ったときと終わりのときとダブルチェックをするとか、そういうことも今はできるようになってきています。担当する医療安全委員会のチームが、例えば前でコントみたいなことをやったりとか、こういう間違いを起こさないようにしようとか、それに非常に力を入れたり、何か貼り出す用紙を作ること、それをどうやってみんなに知らしめるかということに非常に熱心にやってくれるようになって、そういう人数も増えてきたことで、全体の意識が上がってきたのかと思います。ただ、これだけのパーセントを維持するのはそう簡単ではないということは事実です。

 

○藤川委員

 それから評価項目4ですが、単純に数値が伸びればいいとかそういうことではないと思うのですが、右側のグラフでいうと平成23年度の682327に落ちていることは、単純に数字だけを見ますとちょっと気になるところですので、ここを御説明いただきたいこと。それから、特定機能病院の名称取得に関して遅ればせながらとおっしゃっていたのですが、申請されてから2年近くかかっているということで、これが相場感としてどうなのかというのが私には分からないところなのですが、2年かかったことが、何か普通それぐらいなのか、何かあって2年かかったのか、そこを教えていただきたいと思います。

 

○国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター長

 それでは先に、HIV・エイズ患者に対する病態に即した医療の件数が平成23年から平成24年にかけて減ったところを説明したいと思います。これは平成23年度に新しく使われるようになった薬の血中濃度が非常に個人的にばらつくことに気付き、そういった人たちに副作用が起こらないかどうかというのを非常に綿密に平成23年度は集中的に調べたものですから、そういう意味で件数が増えました。基本的にはそのばらつきの範囲で特別な副作用が起こらないということが分かりましたので、平成24年度については少し、個人個人で血中濃度を見ながら治療するというような件数が減ったということです。

 

○斎藤委員

 今、御説明を伺っていて、御苦労の程がだんだん具体的に分かってきたのですが、今までの御説明、そして資料では、実施している、何とかを測ったとかというように淡々と書いていらっしゃるので、これが自己評定のSにどうしてつながるのかが、どうも今一つよく理解できません。前年度と比べてここがこんなにすごいのですというようなアピールをしていただくと納得できるのですが、Sの根拠となるところをもう少しお話しいただけませんでしょうか。実施したということで、確かにグラフを拝見しますと、ほとんどが今どき珍しい右肩上がりで努力なさっていらっしゃることはよく分かるのですが、これがSというのがよく分かりません。

 

○国立国際医療研究センターセンター病院長

 私からお話できることは評価項目4の先ほどの特定機能病院の名称取得ですが、これは御存じのとおり、大学病院がほとんどで、大学病院以外では確か6つの医療センターしか取得していません。がんセンター、循環器病センター、大阪の医療センター等々です。それに対して私どももアプライして2年かかったのですが、その間に先ほどの医療安全のこととかカルテをまとめる率であるとかいろいろなことをやったわけですが、一番大きかったのはその当時DPCにまだ入っていなかったのですですが、DPC加入ということが1つ問題になりまして、最初の年は駄目であったということです。それからDPC加入プラス、例えば掲載論文数とか、その他、特定機能病院を既に持っている大学病院のいろいろな値が出ていますので、それの一番下の数字にたどり着いたのではとても入れてくれない、その真ん中ぐらいでないと駄目だということが大体分かってきました。この数値は、特定機能病院に大学病院並みの認定を受けたということだけではなくて、その中で、ものによっては上3分の1、大体真ん中辺以上には全て入っているという数値を取得することによって、やっと得られたものです。大学病院以外では6つしか認定されていないので、そういう意味ではこれは我々にとっては非常に大きな値だったということを申し上げたいと思います。

 それから、医療の標準化を推進するための最新の科学的根拠に基づいた医療の提供ということに関しては、カンファレンスを強化しているというお話をしましたが、院内のカンファレンスでも、リトリートカンファレンスというのはテーマを決めて月に1回専門家に話してもらう、これは公開もしているというのがあります。もう1つ、CPC、臨床病理カンファレンスを病院全体で月に1回やっておりまして、この内容もかなり組み立て準備が詳しいものになってきています。それに加えてこの内容が医事新報社の「CPC」の中に、当センターのCPCがそのまま掲載されるようになりました。ですから全国規模で出されている雑誌に当センターのCPC、臨床病理のカンファレンスの内容が提供されたということで、これも中でやっている地道な努力の結果がそういう医事新報という雑誌に認められたということで、大きいのではないかと思います。

 

○斎藤委員

 ありがとうございました。

 

○内山部会長代理

 ほかにもあるかもしれませんが、評定用紙の記入はよろしいでしょうか。次に第3グループ、項目711の「人材育成に関する事項」、「医療の均てん化と情報の収集・発信に関する事項」、「国への政策提言に関する事項、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項」について評価を行います。これまでどおり法人からの説明は10分、委員の評定と質疑15分の合計25分となっております。それでは法人からよろしくお願いします。

 

○国立国際医療研究センター統括事務部長

 資料1-1「業務実績の概要」に基づき説明をさせていただきます。12ページの「人材育成に関する事項」で、「リーダーとして活躍できる人材の育成」です。初期研修医110名、後期研修医148名、フェロー40名と記載されております。右の表で臨床研修医と書いてあるのが初期研修医で、レジデントが後期研修医ですが、こうした推移になっております。いちばん左にあります臨床研修医は、ほかのナショナルセンターでは対応しておりませんで、当センターのみです。初期研修医のマッチングは、3年連続市中病院中全国トップで、真ん中にありますランキング表を御覧いただければと思います。

 次の3点は初期臨床研修の関係です。研修指導医体制の整備として、指導医養成講習会を開催し指導体制を強化しました。また、カリキュラムで6週間の疫学・医学の統計基礎講座の受講を義務づけております。臨床研修修了発表会においては、研修医全員が学会方式の研究発表を行います。後期研修カリキュラムにおいては、医学研究の基礎的な方法論を実地で修得する機会を設定しております。

 国際的な感染症に対応できる人材養成として、3年間の総合感染症レジデントプログラムを設置いたしました。高い専門性、幅広い経験を身に付けることを目的に若手医師を対象に海外留学制度を整備しております。また、思春期精神保健研修を実施し、心身の総合的医療の専門的人材を育成しております。看護師の卒後臨床研修、専門看護師資格取得の支援を行っております。その次は下のグラフを御参照ください。連携大学院を通じ学位取得の支援として東京大学、横浜市立大学と協定を締結したところです。

 続いて、「モデル的研修・講習の実施」です。エイズ拠点病院等の医師・看護師を対象とした研修、病院に対する出張研修も各地で実施しております。これは後で表が出てくるのでそのとき御覧いただきたいと思います。全国の医師を対象に輸入感染症講習会を開催、ワクチンの教育振興の一環としてトラベラーズワクチン講習会、肝疾患の診療拠点病院の医療従事者向けに4回の研修会、「糖尿病診療の最新の動向」と題して医師・医療スタッフ向けの研修会、精神疾患については児童思春期精神医療専門研修会、精神科心理教育研修会等を実施しております。これらの取組については、質の高い医師の育成を目指した初期段階から継続的な研修の実施や、総合的な医療を基盤とした高度先駆的医療を実践できる人材育成に着実に、その内容に充実して取り組んでいるところであります。HIV・エイズ、感染症等各分野において、医療従事者向けの研修・講習を積極的に実施するというような状況で、これらは中期計画を大幅に上回っております。また、数値目標も中期計画を大幅に上回っていることに着目し、自己評定をSとしました。

 続いて13ページの項目8「医療の均てん化と情報の収集・発信に関する事項」です。ネットワーク構築の推進のHIV・エイズですが、全国8ブロックのブロック拠点病院協議会を厚生労働省疾病対策課と合同で各ブロックにて開催し、情報の提供、高度先駆的医療及び標準的医療の普及を図ったものです。また、首都圏の中核ブロックと連携会議を開催し情報交換を実施しております。

1つ飛びまして、児童精神です。地域の医療・福祉・教育の専門機関が児童精神科地域診療ネットワーク会議を6回開催し情報共有の事例のデータベース作成を行っております。平成24年度末には140以上の症例データペースを蓄積しております。

 情報の収集・発信です。ホームページの改善等の広報体制の整備を行い、ホームページアクセス数は平成24年度では1,432万件で0.1%の増です。それは左下のグラフで推移を御覧ください。各分野における情報発信の取組は、まずHIV・エイズの関係では、医療従事者や患者・家族がHIV感染症に関して、信頼のおける情報を分かりやすく入手できるようホームページを適宜に改訂しております。特に平成244月に、利用者の利便性の向上を図る観点でホームページの全面改修を行いました。必要とする情報に直接アクセスを可能とすることにより、利便性の向上を図ったものであります。アクセスの状況は右上のグラフを御参照いただければと思います。減っているように思えますが、そのアクセス改善の影響ということで御理解ください。感染症、肝炎、糖尿病については、それぞれが医療従事者、患者、家族に対して情報提供を行っております。アクセスの状況は、それぞれ右のグラフを御参照ください。

 このように最新の知見から標準的な治療法等の情報を、研修会や協議会等を活用して中核的な医療機関に情報発信を行い、医療の水準の向上に貢献している点、医療の均てん化や情報の収集・発信は各分野においても最新の情報の提供に取り組み、中期計画を上回っており、数値目標も同様に上回っているという状況で、自己評定をAとしました。

14ページで評価項目9「国への政策提言に関する事項、その他我が国の医療政策の推進等に関する事項」です。国への政策提言に関する事項で、エイズ動向委員会や薬事審議会医薬品第一部会、次期国民健康作り運動プラン策定委員会等の審議に参加し専門的立場から提言をしました。またB型肝炎の創薬実用化等の研究事業の研究評価も同様です。公衆衛生上の重大な危害への対応は、こうしたことが発生し又は発生しようとしている場合、迅速かつ適切な対応、また、そのような事態に対する準備が必要です。平成251月に全職員のみならず早稲田大学、国士館大学、看護大学校の学生に模擬患者として協力を得まして、災害訓練を実施したところです。また、その経験をもとに災害マニュアルを改訂しました。新感染症発生を想定した訓練を合計4回実施しております。

 東日本大震災における取組として、宮城県東松島市に対して震災後から継続的支援を行っております。毎月1回のペースで公衆衛生関連の医師を派遣し、要請に基づきデータの分析等を行い、市の保健衛生対策や復興計画策定に寄与しました。また、「自然災害時における亜急性期保健医療支援活動マニュアル」の作成を行いました。これは支援活動の経験を基に作成し、ホームページに掲載し、他の医療施設の対応準備のための情報やノウハウを提供しております。こうしたことによりまして、東日本大震災における活動に対して、厚生労働大臣から感謝状を授与されたところです。これは写真左側に掲示しております。津波と血圧の関係等、海外の医学論文雑誌に掲載されております。

 国際貢献についてです。これはアジア、アフリカ等開発途上国における保健システムの強化を図るための専門家の派遣109名の実績です。一方、途上国からの研修生の受入れは239名の実績です。JICA等の依頼に応じた調査研究・評価事業は30件の実績があります。国際保健の基礎講座を開催、これに364名が対応しております。また、国際保健医療協力研修を開催は13名です。医学生や看護学生を対象とした国際保健に関する講義を実施し講師を派遣、学生を受入れという対応を取っております。長崎大学と連携大学院に関する協定に基づき学生に対する講義、研修指導等を実施しております。また海外機関との協定に基づき共同研究や人材交流を推進しております。括弧書きにあるように、それぞれの国で対応しておりますが、新たにカンボジア・国立母子保健センター、ネパールの国立トリブバン大学医学部と新たに協定を締結しました。また、WPROHIV/AIDS部門の技術パートナーとしてワークショップを開催し、アジア太平洋地域におけるHIV母子感染予防対策に寄与したところです。

 これらの取組や公衆衛生上の重大な危害への対応、重大な危機への万全な体制の整備と準備に取り組むほか、支援活動マニュアルの作成やホームページの掲載により他の医療施設へのノウハウの情報提供に取り組んでいる点、また国際保健医療の活動のノウハウを活用し、被災地への被災後からの継続的な支援の実施等、長期にわたって継続的に実施したこと、国際貢献については、専門家派遣と研修生受入れなど国際医療協力の確実な実施や国際保健協力にかかわる人材育成に取り組んでいる点、また国際保健医療活動の現状などの積極的な情報提供など国際展開に有用な情報提供活動の取組は、中期計画を大幅に上回っている点、また数値も中期計画を上回る状況に達しておりますので、自己評定をSとしました。

 次に15ページで、評価項目10「その他我が国の医療政策の推進等に関する事項」です。HIV・エイズの関係です。これに関する取組として、患者の診療実績です。延べ入院患者数7,484名、延べ外来患者数10,931名。外部からの診療等に関する相談件数は年間2,161件に達しております。また、診療情報をコンパクトにまとめた患者教育用小冊子(患者ノート)は、年間合計9,561冊を配布しております。そのほか医療従事者に関する研修は、右表の上のほうに記載しておりますので御覧ください。先ほどの説明の中で、全国の医療従事者にE-learningでの積極的な情報の公開で自己研修が可能になるような対応を取っているという点です。ブロック拠点病院への支援は、石川県立病院で医師の派遣によります外来診療サポートを継続しております。また名古屋医療センターと名古屋大学、平成24年度からは新たに仙台医療センターと東北大学との連携を図るため、それぞれの合同会議に参加しております。

 次の3点については、それぞれ説明済みなので省略いたしますが、このような取組によりまして診療水準の向上に向け全国の医療従事者に対する研修会を実施、研修における資料等を公開、医療従事者が自己研修に活用できる情報提供を積極的に実施しているという点、医療施策に係る専門家としての提言を実施、ブロック拠点会議を行いましてネットワークを構築しているという点、これら平成23年度をより発展した取組を実施したということからも自己評定をAとしております。

 続いて16ページで、評価項目11「その他我が国の医療政策の推進等に関する事項」です。まず、「看護に関する教育及び研究」です。高度実践看護学領域(感染管理看護学)の平成254月開校に向けた取組を実施しております。社会人に対する教育機会の拡大を図り、働きながら看護研究活動を継続できる長期履修制度は9名が活用しております。認定看護師教育課程の開催は14名が修了しております。短期研修の開催は8コースに327名が受講しております。また、積極的な情報提供が必要になりますが、情報提供をするためにオープンキャンパスを開催いたしました。看護学部のオープンキャンパス開催は2回で1,019名参加、研究部課程オープンキャンパス開催は3回で33名です。それだけではなく、近隣の医療施設に勤務する看護職員や清瀬市民を対象とした公開講座を開催しました。これには147名の参加があります。その開催状況はそれぞれ右表を御参照ください。高等看護学校の進路指導担当者を対象とした進学相談会を新たに開催しました。また、近隣の高等学校からの依頼により出張講演、これは模擬講義の実習をしました。臨床看護研究を推進するため研究相談及び看護師が行う臨床看護研究の18件の継続指導、研究の推進と研究成果を外部に周知等の観点から研究紀要を発行し配布もしております。このようなことから、年度計画を含めた年間活動計画に取り組んでいる点、平成24年度に高度実践看護学領域の設置準備の取組を実施した点、それから開講に伴って専門看護師教育機関としての認定を平成2538日に受けました。こうした取組は中期計画を大幅に上回っている点があります。学生の教育環境の充実を図った長期履修制度の活用、認定看護師教育課程の開講、各種の短期研修の実施、また看護師等が行う臨床看護教育研究の指導等を実施したという点。これらは数値目標を含めて中期計画を確実に上回っているという点から、自己評定をSとしました。以上です。

 

○内山部会長代理

 ありがとうございました。委員の皆様には評価シート等への御記入をお願いします。御質問はございますか。

 初期臨床研修医のマッチング率がこれだけ高いのはすばらしいことだと思います。一言で研修医に対する病院の売りは何でしょうか。

 

○国立国際医療研究センターセンター病院長

 こういう傾向が3回続いて起きたわけですが、その前と比較して見ると、毎年だんだん伸びていったわけです。新しく来る若手の医師たちは、自分たちの情報を昔よりもすごく共有しております。卒業する56年生は、自分たちの先輩から情報をすごく得る。そういう人たちが来ると今度は上の者が、人数が非常に多いですからレジデント、フェローまで入れると、うちは250人ぐらいいる大きな教育病院ですので、全部を全て教育担当の上級医師が教えるわけではありません。屋根瓦方式と言われているように1学年上、2学年上が下を教えるという形になっています。その関係がだんだん構築されてきて、あそこに行くとおもしろいとか、よく教えてくれると。教える側も自分が教わったことを非常に熱心に、すぐ次の世代に教えてくれる。そういう雰囲気というか歴史がだんだん重なってきて、次の世代にいろいろな情報が伝わっていったと考えております。それが一番大きいと思います。

 

○国立国際医療研究センター国府台病院長

 私は3年前に、独法化して国府台病院に行きました。江戸川を越えたら医者は来ないと思っていましたが、去年からすごく一般診療科を中心にして定員10人に対して4倍以上の44人、今年も50人ぐらい応募があります。これはなぜかというと、やはり1つは、いろいろな教育部のレジナビとかいろいろな形で宣伝をすること。見学しに来た学生に、なぜここを受けに来たかを聞くと、やはり雰囲気ですね。チーム医療、医者、看護師、事務部門でみんなが楽しく働いているという形。こんなに一辺に早く国府台病院のほうに若い学生さんが研修医として応募してくれるとは思いませんでした。去年もびっくりしました。それまでは精神科だけでした。精神科希望の人しかうちには応募してくれませんでしたが、昨年からは13人まででフルマッチして、10人のうち9人が一般診療科という形。その辺が1つの鍵ではないかと思います、全国的にも。

 

○内山部会長代理

 一言で言えばごく一般的な理由ですが、それが逆に大事ということですかね。

 

○国立国際医療研究センター国府台病院長

 そうだと思います。

 

○斎藤委員

 国際貢献について伺います。国際医療研究センターという名前どおり、国際貢献を非常に重要なものと捉えていることがこのデータからも分かる気がいたします。この受け入れた方たちは、平均で何日間、何箇月間ぐらいいらっしゃるのかを教えてください。それが質問の1つです。

 もう1つは、素人の質問で申し訳ないですが、HIV/AIDSというのは、完治しない病気ですね。それをこれだけ受け入れてくると、ベッド数が足りなくなって病院の経営にかなりのインパクトがあるのではないかと思いますが、それをどのようにマネージしているか教えてください。

 

○国立国際医療研究センター国際医療協力部長

 それでは先に国際貢献のことについてお答えします。専門家の派遣状況ということで示しましたが、基本は長期と短期とそれぞれあります。我々のほうで長期と申し上げているのは、定期として1年以上です。プロジェクトというのは、3年、4年、5年と続いており、大体3年ぐらいを1つのプロジェクトの平均的な長さと御理解いただくとよろしいと思います。

 その他に短期としてもいろいろあります。数週間の規模でそういうプロジェクトに専門家の立場で支援に行くというものもありますし、23か月という形で繰り返し行くというようなものもあります。私どもはシャトルの専門家の支援という形でいっております。いろいろなパターンがあるので平均どうかというのは、それぞれのプロジェクトの内容、その内容も例えば3年間の中でいろいろなフェーズがあり、その中でいろいろ変わってくると御理解いただければと思います。

 

○斎藤委員

 ありがとうございます。

 

○国立国際医療研究センター国際医療協力部長

 受入れのほうに関しては、先ほど派遣のところで話をしましたが、そういった派遣先の国の方々をカウンターパートとしてこちらのほうに受入れをさせていただいております。

 例えば具体的に言うと、相手国の政府の方や病院の関係者の方、いろいろなパターンがあります。研修の規模や内容によっても変わります。2週間ぐらいのものもありますし、1か月近くのものもあります。大体数週間というものが多いと御理解いただければと思います。

 

○国立国際医療研究センターエイズ治療・開発研究センター長

HIV患者の件です。一般には非常に予後の悪い重篤な疾患だと思われておりますが、今、非常に治療薬が良くなり、きっちり治療をすると余命はほとんど普通の人と変らないぐらいで、社会復帰しております。大体、安定した人は3か月に1回来るぐらいです。実際の入院患者数、外来患者数はここ3年間ほぼ同じですが、大体プラトーに達して安定しております。毎年200人ぐらいの新患の方が来られますが、安定した人については、もう地域の病院に逆紹介で出しております。逆紹介は40%ぐらいあり、地域連携しながら行っているのでこのような数字になっております。治療薬も30種類近くが保険で認可になった薬もあり、ごく一般医療の1つとして医療を行っております。

 

○国立国際医療研究センターセンター病院長

 今のHIV/AIDSに関して、病院側からするとACCという所だけではなく、HIVを持った方が一般の疾患合併、胆嚢炎、心臓が悪くなったり、救急であるとか、そういう患者さんが病院の中にいっぱい散らばっている、そういう状況でやっております。特別な病棟、特殊な領域ではなく、一般の中でみんながそれなりの対策をして患者さんを診ているのがもう何年も前からやっております。当センターで一般の手術、お腹の手術、胸の手術、そういうのが全国一、HIVに合併した一般疾患です。それが一番多いところです。未だにそういうのを、HIVであるというだけで毛嫌いしている病院がたくさんありますけれども、そういう所から緊急で回ってくることもまだある時代ですので、そういう点では、たくさん誰でもが慣れている、対策は知っているところです。

 

○内山部会長代理

 よろしいでしょうか、次に第4グループの項目1216の評価を行いたいと思います。所要時間はこれまでどおり、法人からの御説明10分、委員の評定と質疑15分の合計25分となっています。法人から説明をお願いいたします。

 

○国立国際医療研究センター統括事務部長

 資料1-1の「業務実績の概要」に基づいて御説明させていただきます。16ページの評価項目12「効率的な業務運営体制」です。これについて、まず国際感染症センターに改組しました。これは感染症に係る診療教育など、総合的・一体的な感染症対策の充実強化に取り組む体制を整備しました。また、研究所、病院における部門体制の改組、それから任期制の導入に向けた検討を平成24年度から開始しています。招へい型や若手育成型任期付職員は年俸制を導入し、優秀な人材を公募により採用しています。この実績は平成24年度は64名で、うち任期付研究員の採用は14名です。この推移については右のグラフを御参照ください。

 続いて「組織の適正化、効率的な業務運営体制」です。ミッションの達成を目指した企画立案など、総長の補佐体制の充実・強化をしたところです。理事会による運営の重要事項の審議・決定、運営会議によるセンターの効率的・効果的な業務運営、監査室による内部監査の実施、監事による業務監査や各種委員会等に参加など、適切なガバナンス体制による法人運営に取り組んでおります。

 また、副院長複数制は、高度先駆的医療の提供など、ミッションの達成に向けてより一層推進していくという観点から、課題に対する担当部門と責任の明確化を図り、更に任期制としたところです。併せてDPCに係る体制整備により効率的な運営体制を築きました。こうした中でミッション達成を目指し、人的資源の有効活用などによる医療機能の強化に資する病院組織の見直しなどの取組を実施したということで、自己評定をAとしたところです。

 続いて17ページの評価項目13「効率化による収支改善・電子化の推進」です。まず効率化による収支改善ですが、業務の特性を踏まえつつ、より効率的・効果的な機能の発揮ができる運営体制となるよう職員の適正配置を行い、外部資金の受入れや病院における診療報酬上の基準の新規取得などの収益増を図りました。また、積極的な共同購入の実施や、棚卸しの見直しによる材料費や、業務内容の見直しによる人件費及び委託費などに係るコストの削減に努め、収支改善に向けて取組を行ったところです。その結果、平成24年度の医業収支の観点で見ますと+1.1億円で、23年度は-4.4億円だったという状況ですので、+5.5億円の改善が図られたことになります。また、経営改善の取組については、平成23年度と比較して、経常収支は86,300万円、経常収支率は2.7%の改善が図られています。これは後ほど詳細に説明いたしますが、右のほうの経常収支率の推移に、平成23年度94.6%であったものが、平成24年度は97.3%となり2.7%の改善がここに示されています。

 主な取組として、収益の改善についてです。連携強化などにより患者数の増加を図る点では、センター病院、国府台病院それぞれありますけれども、センター病院においては、入院患者数は診療部門及び看護部門を中心としたベッドコントロールの適正化、地域医療連携の強化、土曜日の手術実施や、教育入院などの運営体制の改善を実施したところです。その結果、平成24年度の1日平均患者数は650.0名で、1日平均外来患者数は1,696.6名になりました。また、国府台病院においては、1日平均入院患者数は285.2名、1日平均外来患者数は780.0名です。なお、新病棟移転後の11月以降では、1日平均入院患者数が296.0名で、旧病棟の1日平均入院患者数より18.3名増加という状況変動があります。これは右上の患者数の比較表を御参照いただければと思いますが、それぞれ前年度を上回る状況です。この患者数の増のほかに、施設基準の取得というものが重要になってきます。センター病院においては、平成2441日からDPC対象病院となり、DPC請求を開始しています。また平成24111日付けで特定機能病院の名称を取得した関係で、121日よりDPC係数が上がる新たな請求を開始しています。また、基準の取得ですが、ハイケアユニット入院医療管理料の新規取得、特定集中治療室管理料は追加の取得というような状況です。国府台病院においては、新病棟完成に伴う一般診療科の強化を目指し、入院基本料71を引き続き確保するほか、多くの新たな施設基準を取得しております。このような取組により、平成24年度の医業収益については265億円、前年度比+22億円を計上していまして、医業収支率で見ると100.4%の状況です。

 一方、費用のほうはどうなのか。費用の主な内容については、センター全般にわたる徹底的な効率化を強力に進め、材料費の節減などに取り組んだところです。その取組については、具体的には次に記載していますけれども、収支相償の経営を図るべくセンター全体での取組をより一層進めるため、経営改善プロジェクトを発足させ、6つの柱を基本に、現場からの意見の反映を含め、各般の経営改善の取組を推進したところです。また、ナショナルセンター及び国立病院機構との共同入札の実施、後発医薬品の利用促進のため16品目の後発医薬品への切替えを実施。センター病院・国府台病院による共同入札、SPDによる適正な在庫管理や定数の見直し、業務内容の見直しによる委託費等のコスト削減、医業未収金の新規発生防止の取組、また、定期的な支払案内等の督促業務により回収に努めています。これが右下のグラフにありますように、未収金比率の縮減につながっています。一般管理費の経費節減に向けた業務運営体制を見直すことで、平成21年度に比べ21,200万円の節減を図っています。節減状況は左下のグラフを御参照ください。

 これらの取組状況を確認するために、資料の19ページを御覧ください。右上に、損益計算書があります。経常費用3614,800万円、経常収益3516,500万円と出ています。このことから、経常収支は98,400万円の損失となるわけです。次の20ページを御覧ください。一方、先ほど経営改善の取組により平成23年度と比較して平成24年度の経常収支は86,300万円、経常収支率で2.7%の改善を図ったと申しましたが、それがこの表の一番上の平成23年度の経常損失、オレンジの部分です。184,700万円の損失です。平成24年度は下から2つ目の緑色の、経常損失98,400万円です。これは左下の四角枠にある86,300万円の改善が図られた結果です。表の中段青色の収益関係の増額が269,300万円あります。また、ピンク色の費用関係の増額は合計183,000万円です。この差が改善された86,300万円となっているわけです。今後更なる収支改善に向けてセンター全体の経営分析を強化し、病院に加えて研究所などにおける問題点の把握や、その対応を行い、中期計画期間中の収支相償を目指した取組を重点的に行うこととしています。

 また冒頭、総長から説明がありました経営の問題について、再度御説明したいと思います。これまで3年間の状況を御覧いただきたいと思いますので、21ページを御覧ください。最初に記載していますように、中期計画において収支相償の経営を目指し、5年間を累計した損益計算書において経常収支率100%以上と定める一方、実績は3年間累計の経常収支率は97.2%です。これは平成22年度~平成24年度の累計です。経常収支の中期計画と決算額は19億円の差異です。右下の損益計算書における経常収支の中期計画(A)に対して、決算額(B)の差額は-19億円と出ています。この差異は収益面において、経常収益の棒グラフを御覧ください。左は3年間の中期計画の累計です。右は3年間の実績の累計です。今後出てくる内容は同じになりますが、その3年間で38億円の運営費交付金収益の減があります。しかしながら、この間、経営努力で医業収益等の66億円の増です。これは赤色と緑色の部分ですが、66億円の増となっているということです。この結果、計画に対して28億円の改善が図られたものです。それは合計の差異を見ていただければ、中期計画では967億円ですが、995億円の実績が出ています。それが28億円の改善というところになろうかと思います。

 一方、費用面については、真ん中の棒グラフを御覧ください。経常費用については、左側が中期計画の累計、右側が実績の累計です。診療機能強化に伴う人件費40億円の増、材料費37億円の増です。一方、この間、経営努力などにより一般管理費などの51億円の削減が図られています。差引き26億円の費用増にとどまっている状況です。しかしながら、独立行政法人前から計画されていました施設整備や医療機器整備などに伴う減価償却費が中期計画に比して20億円の増となり、これが主として中期計画との経常損益の差額になっているところです。それは右の経常収支のグラフの中期計画合計と実績合計の差額に表われています。これは国の厳しい財政事情による運営費交付金の削減はやむを得ないものの、経営に影響を及ぼしている状況を踏まえつつ、引き続き、効果的な人的物的資源の投入と、効率的な法人運営による国立国際医療研究センターの財政基盤の強化に努めたいと思っております。

 資料17ページにお戻りください。電子化の推進による業務の効率化ですが、これは外部からの不正侵入を防止するために、ウイルスソフトを更新し、セキュリティの向上を図ったものです。また、センター病院においては新棟移転に併せて電子カルテの導入、国府台病院においては25年度導入に向けてプロジェクトチームを立ち上げ、検討を開始しています。次に、財務会計システムの導入による月次決算の実施ですが、財務会計システムを導入、運用し、適正な会計処理を実施しています。電子カルテシステムや物流システムと連携した経営分析システムにより、各種経営指標を作成し、経営改善のための資料として活用しています。このようなそれぞれの取組において、効率的な運営体制を整備し、セグメントごとの事業損益の収支改善を推進し、特に診療業務における収益増加や、費用削減などの効率化による収支改善と一体と捉えて、収支相償を目指した取組を推進している点、一般管理費の削減と経費縮減を図ることを目指した業務運営の取組、医業未収金の比率についても縮減を図っています。こうした中期計画に掲げる目標を上回っていることを鑑み、自己評定Aとしたところです。

 続いて18ページです。評価項目14「法令遵守等内部統制の適切な構築」です。内部統制の有効性に関する評価、コンプライアンスの推進、監査室による内部監査の実施、監事による業務監査・会計監査の実施、会計監査人による外部監査の実施、契約事務の競争性、公正性及び透明性の確保の点です。これらについては、適切な法令遵守などに取り組むため、内部統制としてコンプライアンス室及び監査室による監査を実施、監事による業務監査、外部監査人による会計監査の実施などに加え、それぞれ相互連携を図り、内部統制の取組を推進しています。また、コンプライアンスの推進については、職員に対して監査法人によるコンプライアンス研修を実施しています。契約事務手続きに係る執行体制や審査体制は、契約方法等の適切性について契約審査委員会を設置し、審査・評価、加えて契約監視委員会を設置して、競争性のない随時契約及び一者応札・一者応募などについてはより厳格な審査を行い、審査・評価体制について強化を図っています。このような厳格な体制を取るということから、自己評定をAとしたところです。

 評価項目15「予算、収支計画及び資金計画」です。自己収入の増加に関する事項ですが、寄附金については、担当する者を配置し、受入れの増加に向けた体制を再構築しました。受託研究については、依頼者が委託しやすい環境に配慮した制度に再構築しました。競争的研究費については、積極的な応募等による取組を実施しました。これらをトータルしますと、約17億円の状況となっています。資産及び負債の管理に関する事項です。診療機能の更なる充実強化へ6億円の借入れを実施しました。固定負債については、約定どおりの償還を実施、期末の1794,200万円が長期借入金の残高となっています。施設・設備工事に関しては、施工を的確に進めている状況で、こうした適切な対応を取っている観点から、自己評定をAとしたところです。

 評価項目16「その他主務省令で定める業務運営に関する事項」です。人事システムの適正化ですが、業績評価制度に基づき、職員の業務で発揮した実績などを評価して給与に反映させ、意欲の向上を図ったものです。優秀な人材を持続的に確保し、組織の活性化を図る観点から、国立病院機構などと人事交流を実施しています。職場環境の整備については、女性が働きやすい環境の整備、役割分担を見直しています。人事に関する方針では、二交替制の導入し勤務の多様性を取り入れた職員のワークライフバランスを考慮した確保対策、並びに復職支援などを実施しています。職務の改善については、勤務実態に応じた諸手当を引き続き支給しています。また、公募による人材の確保により、専門的な技術を有する者については全て公募を実施するという対応です。このように人事システム、人事に関する取組が適切に行われている観点から、自己評定をAとしたところです。以上です。

 

○内山部会長代理

 委員の皆さまは評価シートへの評定等の記入をお願いいたします。御質問等がありましたら適宜お願いいたします。

 

○藤川委員

 まず1点ですが、先ほども重点的に説明いただいた、中計に対する見込みと言いますか、今まで、残念ながら損失を計上してきたということで、あと2年、もう少し具体的に、このような方法で達成をしたいというようなところを、非常に難しいところだとは思うのですが、どのように達成するつもりなのかがお聞きしたい点です。

 それから財務諸表のヒアリング等もしまして、財務諸表の内容を具体的に拝見したのですが、その他の臨時損失の中に、医業未収金残高の過去分の修正が5,000万円弱ありました。監査法人の指摘でも前年度に8億円近くの未収、保留のレセプトがあったと。それが今年度になって1億円ぐらいには減っているけれども、業績がなかなか厳しい中、そういう保留のレセプトがそれだけあるというのはどうなのかなという気もするのですが、それだけ減ったということは、追及があったことによってそこまで改善されたということで、何か問題があったのであろうとも思われるので、その辺を明らかにしていただくことと、どのような改善がなされて、今後、そういうことはないですとか、その辺の改善状況を教えていただきたいのが2点目です。

 それから、センター病院の教育研修棟の新築工事は、これからもうすぐ完成ということでしょうか。それが補助金が22年度に出ていて、設計が途中で頓挫してしまって、3年内に完成できないのではないかということで、自己負担でやらなければいけないような状況にあるという話を伺いました。そうなりますと、またいろいろ中期計画が最後までいったところで達成が厳しくなる要素にもなるのではないかと思われましたので、その点についての御意見を伺いたいのが3点目です。

 もう1点。最近、昔に在席されていたドクターがいろいろ問題があったと思うのですが、それについてどのような調査状況がされているのか、一度お聞きはしたのですが、この場で御説明いただけたらと思いましたので、4点お願いいたします。

 

○国立国際医療研究センター財務経理部長

 財務経理部のほうから説明させていただきます。まず、中期目標の経常収支100%に向けた今後の取組状況ですが、平成22年度から平成24年度の経常収支については△の28億円強という形で、相当悪うございます。これらを回収すべき方法として、まず25年度は、年度計画プラスαの91,400万円以上というところを目指しています。現状、6月までの経常収支は、事業計画の7,400万円に対して、実績が13,600万円で、現在のところ順調に進んでいます。これにつきましては、91,400万円の年度計画を更に上回るような努力等、上積みを進めていきたいと考えています。26年度については、約20億円弱ほどまだ残るかと思いますが、そこについては今後の予算や診療報酬の改定、26年度からまた変わりますので、DPC病院として係数を上げていく、まず3群から2群に上げること、難易度の高い手術等を行うことによりまして、収益を更に上げていくこと、患者数の増も図っていきたいと考えています。なかなかそれ以上のことは言えないですが、収益についてはもちろん研究費の取得も含め、更なる収益の増額を目指していきたいと考えています。

 また、費用については委託費の見直し、経費の単価の引下げ等々も努力していきたい。それについては具体的には、随時契約をできるだけやらずに、年間の単価契約をしっかりとやることによって、今まで買ってきたものより安く買うという形で努力していきたいと考えています。いずれにしても当センターについては交付金の問題や減価償却の問題で相当、当初の中期計画と大きく変動しているところもあります。いろいろな理由はありますけれども、取りあえず5年間で収支相償を目指して効果的な人的・物的資源の投入を図り、収支相償を目指していきたいと考えています。

 次に2点目です。未請求額の8億円の中に、二重計上になっていた件ですが、23年度末において、今、正に藤川委員がおっしゃったとおり8億円の未請求額がありました。これについては23年度ですが、事務的に手が回っていなかったということで、監事のほうからも御指摘をいただき、24年度に全て洗い直して、1億円弱まで減らさせていただいた中で発覚したということです。今後はそういうことを発生させないため、毎月の未請求額を全て、今はこういう状態になっているということを説明をさせていただき、その実績を運営会議のほうでお諮りし、解消に努めています。

 次に3点目の工事の関係が遅れていることですが、教育研修棟について当初予定していた整備の設計業者について、潰れてはいないですが途中で社員がほとんどいなくなり、実質的に設計できる人がいなくなったこともあり、ある意味使い物にならない設計が出てきて、それを東京都に申請に行ったら、これでは設計にはなっていないということで、結局、やり直さざるを得なくなり、当初予定していたものが大きくずれてしまい、完成が遅れてしまったものです。本来であれば24年度中に完成しないといけないのですが、その部分が2510月末までかかるということですので、補助金の仕組みの面から繰越しが2年度までしかできないということがあり、25年度の支払いの部分、実績4億円の補助金は国に返還して、その4億円についてセンターの収益の中からお支払いする形となりました。正に藤川委員がおっしゃったとおり、この部分については後々、減価償却費として出てくることになりますので、その辺りが厳しくなると思っております。

 もう1つ、東京大学の先生の件だと思います。その件については、当センターには平成17年までいらっしゃったことを確認しています。

 

○国立国際医療研究センター統括事務部長

 ただいまの御質問の関係ですが、当センターには平成9年から平成17年までおられました。研究費はどうだったかという点については、はっきり申し上げて明確ではありません。記録が残っておりません。それで、当時その研究に当たり、いろいろシステムを設計して現に対応しているという状況にありましたけれども、結果的には当センターが様々なそういったもので研究費を不正使用したというような記録は全く残っておりませんので、この場合については、これ以上、今の段階では明確には申し上げられません。

 

○内山部会長代理

 よろしいですか。

 

○三好委員

 経常収支について、念のためもう一度質問です。17ページで、平成24年度は97.2%、年度計画は100%で、計画は100%であったけれども、それは達成できなかったという理解でいいのですね。

 

○国立国際医療研究センター財務経理部長

 そうです。基本的には当初予定していました患者数確保のところが、4月から7月部分の患者数が当初予定より相当落ち込んだということです。その後、いろいろセンターの中で対策を立てさせていただき、8月以降は計画どおりに戻ったのですが、当初の4か月間の分が大きい形で、先ほど申しました入院収益のところが落ちた形で、約9億円ほど落ちてしまったと御理解いただければと思います。

 

○国立国際医療研究センター統括事務部長

 あとその辺に一言付け加えさせていただきます。診療点数ですけれども、先ほど特定機能病院の取得をするという観点で、もっと高く上がるであろうという想定もありました関係で、少し高めに設定したかもしれませんけれども、具体的にはそんなに大きく上がることもなかった関係もあったと思います。患者数の問題とかそういった点を加味しましてこういった状況になっているという状況です。

 

○国立国際医療研究センター理事長

 先ほどの藤川委員の御質問ですが、最も重要な点だろうと思うのですが、来年の3月にはセンター病院の外来棟も完成しますし、国府台病院の外来棟もその1年後に完成するということで、減価償却費が減らずに増えるのは明らかです。一番最初に申し上げましたように、結局、国の時代に駆け込みで、それまでにいろいろな建物を建てて新しい機械をという計画が実はうまくいかずに、独法化になってから全部そういうことが整備できたことが一番大きい問題だと思うのです。それを言ってもしょうがないことですが、そういう意味で、非常に厳しい状況であろうと思うのです。

 基本的には、例えばセンター病院に関しては、1日の平均の入院の患者さんが平成23年度は628人ぐらいだったのが、平成24年度は650人になりまして、本年度は現在まで46月までは670人ぐらいになっています。670人ぐらいになると週の真ん中では720人ぐらいの方が入院されておられまして、そういう状況になりますと、実際にはベットのやりくりが非常にきつい状況です。ですから、週末は少し余裕があるのですが、基本的には、これ以上入院患者さんの数を増やすのはあまり多くは望めないので、私どもといたしましては、より高度の医療と言いますか、例えばより難しい手術をするとか、手術件数を増やすとかで、医療の数から質への転換を図っていかなければ、なかなか改善は難しいのではないかということです。現在、センター病院における手術が平成22年度は大体4,000件、23年度4,200件ぐらい、24年度が4,700件ぐらいですが、とこれを今年度は6,000件を目標にして、まずは手術件数を増やそうと、いろいろ必要なことをやっているところです。

 

○国立国際医療研究センターセンター病院長

 患者数、それから点数のことをもう少し詳しく話させていただきます。24年度が650人平均という数字が出ていますが、これは771ベットに対して、結核病床が40、精神科が38というのも入れて771なわけです。それに対して、平成24年度の650という数字は、年の平均であり、最後の4か月、去年の12月から3月まではいろいろな対応の具体的な効果が出始めた時期であって、そのときは690にいきなり上げることができました。先ほどお話があった456月は更に低かったものですから平均がこういう形になります。入院単価が6,000点から6,500点なので、6万から65,000円ということで、それを掛け合わせるとベットが65069040ぐらい増えたとして、月当たりに9,000万円ぐらい収入が増える。その内容に加えて、今、外科の症例数も大分上がってきており、点数も月々6,100から6,500というように段々上がってきていますので、そういう点を今後維持する、あるいはそれを更に増やしていくことを対抗策としてやっているところです。ベットは急性期の病院としてあれだけ救急車を受ける以上は、770ベットに対して720、今まで最高730だったのですが、720を超えるとこれは動かなくなってしまうので、700前後を目指していますけれども、今のところ685から690でして、その数で今の単価でいけば、なんとかなるのではないかという数字で、一応考えているところです。

 

○内山部会長代理

 平均在院日数はどのくらいですか。

 

○国立国際医療研究センターセンター病院長

14日から15日です。これは高齢化してくると、その季節によって多少延びたりします。土日には660ぐらいベットが減るのですが、それが水曜日辺りが最高で710720その繰り返しで、平均すると1415日というところです。外科の症例数等がもっと増えれば、要するに高齢者の肺炎とかいろいろなものが入ってくると少し延びる傾向にどうしてもありますので、それが本当の高度急性期ということで、どんどん回転していけば、もう少し短かくすることができるかもしれません。今のところはまだそこまではいっていません。12日ぐらいになると随分違ってくると思います。

 

○内山部会長代理

 ほかにありませんでしょうか。評定等の記入は終わりましたでしょうか。

 それでは以上で、全ての項目の評価が終わりました。事務局からこのあとの取扱いと次回の開催について案内をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 事務局からです。本日お配りしています資料の郵送を御希望される場合は、部会終了後に事務局までお申し付けください。また、評定記入用紙をお持ち帰りになって評価していただく場合については、813()までに事務局まで提出をお願いします。

 次回の開催については、812()15時から、場所は本日と同じ専用第12会議室になります。議題は国立精神・神経医療研究センターと国立長寿医療研究センターの個別評価になります。以上です。

 

○内山部会長代理

 本日の議事は以上となります。長時間にわたり、熱心な御審議をいただきありがとうございました。どうもお疲れさまでした。


(了)

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