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2013年8月28日 第34回独立行政法人評価委員会議事録

○日時

平成25年8月28日(水)12:57~16:50


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

山口委員長、永井委員長代理、石渡委員、今村委員、内山委員、亀岡委員、酒井委員、坂井委員、柴田委員、清水委員、高瀬委員、竹原委員、田極委員、平井委員、福井委員、藤川委員、松尾委員、宮崎委員、安浪委員

○議事

(以下、議事録)

 

○山口委員長

 ただいまから、第34回独立行政法人評価委員会総会を開催します。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、また、各部会において年度評価等を精力的に御審議いただきまして、誠にありがとうございました。本日は、五十嵐委員、尾崎委員、金倉委員、川北委員、祖父江委員、高田委員、田宮委員、古米委員、真野委員、丸山委員、三田委員が御欠席です。事務局から、本日の議事についての御説明をお願いします。

 

○政策評価官

 説明申し上げます。本日、お手元に配布してある議事次第を御覧いただければと思いますが、本日の議事については、大きく3つあります。1つ目ですが、本年度で中期目標期間が終了する法人の平成24年度までの業務実績の評価をお願いすることです。これは次期中期目標策定等へ反映させるという観点から行うものでして、厚生労働省の独自のものとなっていますが、一般的には皆様方には「暫定評価」という形でお願いしているものです。対象としては4法人あり、国立病院機構、医薬品医療機器総合機構、労働者健康福祉機構、年金・健康保険福祉施設整理機構の4法人です。

2つ目ですが、「組織・業務全般の見直し当初案」の審議です。組織・業務全般の見直し当初案は、独立行政法人通則法第35条の規定を根拠としているところですが、中期目標期間の終了時点において、法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方、その他組織及び業務全般にわたる検討を厚生労働大臣が行うということになっており、その結果に基づき所要の措置を講ずることとなります。

 厚生労働大臣が検討を行うに当たりましては、同じ通則法の第35条第2項に規定があり、評価委員会の意見を聴くこととされております。先ほどの暫定評価と同様、対象となる法人は同じですが、国立病院機構、医薬品医療機器総合機構、労働者健康福祉機構、年金・健康保険福祉施設整理機構の4法人について、御審議いただく形になります。

 なお、この検討に当たりましては、まず厚生労働大臣は概算要求提出期限、8月末になりますが、それまでに「見直し当初案」を作成し、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会へ提出する運びとなっています。その後、総務省の政・独委、今申し上げました委員会において審議を経て、厚生労働大臣が「見直し当初案」を再検討し、予算の概算決定時、12月になろうかと思いますが、それまでに「見直し案」を作成することとされています。

 最後に3点目ですが、平成24年度で中期目標期間が終了した法人の当該中期目標期間の業務実績評価です。これは独立行政法人通則法第34条第1項に基づくものでして、「最終評価」と言ってお願いしているものです。対象としては、福祉医療機構、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園、勤労者退職金共済機構、高齢・障害・求職者雇用支援機構の4法人について御審議いただくこととなります。大変多い項目ですが、以上です。

 

○山口委員長

 議事に入ります。初めに、国立病院機構の暫定評価について審議します。820日の国立病院部会において暫定評価書の案が検討されているので、これについて松尾部会長からの御報告をお願いします。

 

○松尾委員

 報告申し上げます。資料1-11枚めくっていただくと、全体的な評価の案がここにあるので、それを見ながらお聞きいただきたいと思います。国立病院部会では、国立病院機構の設立目的に照らして、国立病院機構が独立行政法人として発足して以来、これで中期目標の2期が終わったところですが、業務によって得られた成果が公衆衛生の向上や増進にどの程度具体的に寄与したか、また、効率性や有効性の観点から適切に業務が実施されてきたかという視点に立って評価を行ってきました。全体的な評価ですが、独法化の狙いや期待に応えて、医療、経営の両面において中期目標の水準を満たして大きな成果を上げている、期待以上の成果を上げているのではないかということで評価をしています。

 先ほど1枚めくっていただいた表の右から2段目に「暫定評価」があります。この中にS項目が7つありますが、ここを中心に述べます。「質の高い医療の提供」です。これはなかなか読みにくいと思うのですが、資料1-2に「暫定評価結果()」があります。これも併せて御覧ください。質の高い医療の提供ですが、クリティカルパスの実施件数について、中期目標に掲げた目標を達成していることを我々は評価しました。このほか、この項目については、EBMの推進に向けた取組、長期療養者をはじめとする患者のQOLの向上等、質の高い医療の提供に向けた取組が十分なされているということで評価をしています。

 次に、色刷り資料で4ページですが、「個別病院に期待される機能の発揮等」です。地域の医療機関との連携において一層の強化推進を図り、紹介率・逆紹介率、あるいは救急受診後の入院患者の数などが増加をしており、中期計画に掲げる目標を一応達成していると評価をしました。なお、このほか、新型インフルエンザ発生時の対応、あるいは東日本大震災時の災害医療、これらへの対応等、国家の危機管理に関わる事項について多大なる貢献をしたのではないかと考えています。

7ページですが、「臨床研究事業」ですが、治験の実施症例数について、中期計画に掲げる目標を達成しているということで評価をしました。このほか、国立病院機構のネットワークを活用した大規模臨床研究を推進するなど、取組が進んでいるということで評価をしています。こうした国立病院機構のネットワークをいかした臨床研究や治験の促進は、今、日本の医療の向上に非常に貢献が期待されている分野ですが、国立病院機構は、これまで着実に実績を上げているのではないかということで評価をしています。ただ、今後も積極的、継続的に取組をしていただきたいと思っています。

9ページの「教育研修事業」を御覧ください。教育研修事業に関しては、地域医療への貢献として、地域の医療従事者を対象とした研究会を積極的に実施するなど、中期計画に掲げる目標を達成していることを評価しています。このほか、クリティカル領域における看護師の育成や医師のキャリアパス制度の確立に向けた取組なども評価をしています。

14ページの「医療資源の有効な活用」です。これは国立病院機構が持つ様々な医療機器の共同利用についてですが、こちらも随分進んでおり、中期目標に掲げる目標を達成していることを評価しています。このほか、医事会計システムの標準化が随分進んでおり、これも評価しますが、まだ全病院でというわけにはいっていないので、今後、全病院で標準化することを期待しています。

16ページの「経営の改善」です。本部と病院の収支改善に向けた努力です。特にこれは本部の理事長を中心とする本部の強力なガバナンスにより、経常収支率について中期計画に掲げる目標を達成しています。このほか、個別病院ごとに視点を向けて、赤字病院数の減少など、これも本部のリーダーシップによって個別に第一弾、第二弾と対策を立ててやって、かなり改善していることを評価しています。

 最後に、「固定負債割合の改善」ですが、国立病院機構発足時に承継した国時代の膨大な負債と老朽化した建物を数多く抱えながら、経営の中で約定どおりの償還を確実に行った結果、毎年、固定負債が削減されて、第二期中期計画中にでも、対平成20年度に比べて長期借入金残高が約1,400億円減って、現在、4,579億円になっているということで、かなり急速に減りつつあるということで評価をしています。一方で投資額が2,400億円弱ということで、借金を返しながら投資もかなりされておられることが見えます。ただ、耐用年数を超える老朽建物が数多く存在しているために、患者さんの療養環境改善の観点から、計画的に投資を行って、更に建物整備を進めていくことが今後の課題かと考えています。

 以上、第二期中期目標期間における4年間の成果を踏まえると、これは144病院ありますが、全国に冠たる日本の医療施設において、このような全国的なネットワークをいかして、国の政策医療として担うべき医療等を提供している国立病院機構が果たしてきた役割は、極めて意義深いということが委員から述べられました。そして、国立病院機構は、今後とも引き続きその役割を担っていくためには、患者さんの目線に立った良質な医療と健全な経営とのバランスに配慮することはもちろんですが、医療技術の発展、新たな疾病への対応など、社会的要請に即時かつ的確に応えられる病院機構の機能の充実に向けた不断の見直しを、自発的、自律的に行っていかれることを期待したいと思います。

 その見直しに当たりましては、当然のことながら国立病院機構に期待される役割、あるいはその果たすべき責任は、今後、一層増していくことが、これまでのトレンドから期待されることですから、長期的、安定的に運営が確保できる十分な見通しを持った運営、経営に当たっていただきたいと思っています。以上をもちまして、国立病院部会からの報告とします。

 

○山口委員長

 ただいま御報告いただいた国立病院機構の暫定評価書の案について、委員の皆様から御意見、御質問等がありましたら、お願いします。よろしいですか。それでは、修正意見等はないようですので、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果として当委員会で決定をして、これを法人、並びに政・独委に通知するとともに、公表したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますか。

(各委員了承)

 

○山口委員長

 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。最後に、理事長から一言頂ければと思います。お願いします。

 

○国立病院機構理事長

 国立病院機構の桐野です。この度は第二期中期目標に係る暫定評価につきまして、いろいろ御審議をいただき、誠にありがとうございました。私どもといたしましては、第二期中期間を通じて評価委員会から御指摘をいただきましたいろいろなことにつきまして、今後とも御期待に応え、着実に成果を出すように頑張っていきたいと考えております。

 また、当機構は、平成26年度から次の新しい中期目標期間に入りますが、これまでの各事業を継続して引き続き取り組むことのほかに、老朽化した建物が多数ございまして、その建物を建て替えして、患者の療養環境を改善する。あるいは、病院ネットワークを活用した診療情報の収集、分析、情報発信がますます重要になっています。それから、これまでもやってまいりましたが、人材育成を通じて我が国の医療政策の実施、医療水準の向上に貢献するということで、今後ともやっていきたいと考えております。本日はどうもありがとうございました。

 

○山口委員長

 続いて、国立病院機構の組織・業務全般の見直し当初案についての審議に入ります。まず、法人所管課から説明を頂きまして、そのあと、部会長の松尾委員から、820日の国立病院部会での審議における委員からの意見等についての御報告をお願いします。最初に、法人所管課より、10分程度で御説明をお願いします。

 

○医政局国立病院課長

 国立病院課です。資料に基づいて説明をします。実際に政・独委に提出される資料は、1-3-2ですが、時間の制約もあるので、そのポイントをまとめたものを1-3-1という形で用意をしているので、こちらの資料に沿いまして説明をします。1ページは「国立病院機構の概要」ですので、説明を省略します。また、2ページについては「中期目標期間の成果と概要」ですが、ただいま部会長から詳細な説明をいただいているので、説明は私からは省略をします。

3ページからが、組織・業務全般の見直し当初案です。3ページの「事務及び事業の見直し当初案概要」です。最初の診療事業については、引き続き、国の医療政策として担うべき医療である5疾病・5事業や、在宅医療を推進するための地域連携、他の設置主体では必ずしも実施されないセーフティーネット分野の医療について、診療・臨床研究・教育研修を一体的に実施することにより、我が国の医療政策の実施や医療水準の向上に貢献する。

2災害医療など、国の危機管理や積極的貢献が求められる医療について、国立病院機構の人的・物的資源や病院ネットワークを最大限活用し、人材育成を含め中核的機関としての機能を充実・強化するとともに、必要な医療を確実に提供するとしています。国の危機管理や積極的貢献を求められる医療を実施していただくことに関して申し上げると、全国的な病院ネットワークを活用し、災害が起きたときなど、いざというときに対応していただくことは、これまでにも積極的に取り組んでいただいているということですが、今後とも積極的に取り組んでいただきたいということで、このように改めて書いているということです。

3については、「老朽化した建物の建替えなどを計画的に進めることにより、患者の療養環境を改善し、サービスの向上を図る」と書いています。これは先ほども理事長の先生からもお話がありましたが、国立病院機構は平成16年度に独法になりましたが、設立の際に7,600億強という膨大な長期借入金を承継していたことに加えて、平成30年までに耐用年数を経過する老朽化した建物が増えていく状況ですので、患者の療養環境を改善するという観点から、このように書いています。

4ページの「臨床研究事業」に関してです。これについても、引き続き積極的に取り組んでいただくという考えに立ちまして、1国立病院機構の病院ネットワークを活用し、迅速で質の高い治験の推進、国際水準の臨床研究の充実・強化により、他の設置主体との連携を取りつつ、医療の標準化と出口戦略を見据えた医薬品・医療機器開発支援に取り組むと書いています。

 また、そうした臨床研究実施の基礎となるデータを収集するためにではありますが、国立病院機構の病院ネットワークを最大限有効に活用するため、DPCデータ等の診療情報データベースの分析を更に進めるとともに、電子カルテ情報の収集・分析について検討を進め、臨床研究のIT基盤の充実を図るとしています。特にカルテ情報については、DPCやレセプトデータにはない患者の症状・状態に関するデータが含まれているので、こうしたことを取り込んでおけば、臨床研究が更に進められて治療にもいかされるのではないかということで書いています。

5ページの「教育研修事業」については、様々な診療機能を持つ国立病院機構の病院ネットワークを活用することにより、質の高い医療従事者の育成を行うとともに、地域の医療従事者や地域住民に向けた研修などを実施することにより、我が国の医療の質の向上を図るとしています。国立病院機構においては、従来から各病院の特徴をいかして、地域の医療従事者を対象にした研修、あるいは地域住民を対象にした公開講座などについても、積極的に取り組んでいただいているということですが、こうした取組は大変意義があると考えており、このように書いています。また、チーム医療を推進するために、特定行為を行う看護師など、高度な専門性の下に多職種による連携・協働ができる専門職種の育成・研修を実施するとしていますが、こういう取組も今後必要だろうということで記述しています。

6ページ、「組織の見直し」に関してです。法人形態の見直しとしては、政府による独立行政法人改革の中で、医療事業の特性を踏まえた見直しを検討するとしています。これは様々な法人形態の在り方について、今後、政府・与党において議論が進んでいくことが想定される状況です。その際には、特に医療事業の特性、すなわち、診療事業の費用については、運営費交付金に頼らず、診療報酬で賄って運営されていること、患者の療養環境改善や医療の高度化に対応するためには、計画的な投資が必要だということなどを踏まえて、議論していただくことが必要だという観点から、このように記述をしているということです。また、非公務員化については、「法人形態の見直しと併せて非公務員化を検討する」と書いていますが、これは平成18年頃から論点として挙げられていることですので、引き続き議論の対象になるだろうということでこのように書いています。

 いずれにしても、法人形態をどうするか、非公務員化をどうするかという話は、政策医療をはじめとして、国立病院機構が果たしていただくべき役割というものを、より確実に実施できるかどうかという観点から、形式論ではなく議論していただくことが必要だろうということで、我々もそういう立ち位置から議論に参加をしていきたいと考えています。

 最後に、「運営の効率化及び自律化の見通し案の概要」です。ここには、ITに係る本部の組織体制を強化することにより、国立病院機構の診療事業・臨床研究事業等におけるITの戦略的投資、セキュリティ対策等の強化を推進する。経営環境を的確に把握し、機動的な経営戦略に基づく自律的な病院運営の実施を可能とするため、本部の経営情報分析体制の強化により、経営情報の収集・分析を進める。さらに、効率的な病院支援体制を確立するため、本部組織を再編する、と書いています。

 先ほど臨床研究推進の際のところでも申し上げましたが、IT基盤の整備が重要だと申し上げました。それに加えて、本部組織の体制を強化することにより、標準化、セキュリティ対策を進めることも極めて重要なことだと考えています。また、自律的な病院運営の実施を可能とするという観点からは、更なる経営情報の収集・分析を進めることも大変大事だということで、このように書いています。説明は以上です。

 

○山口委員長

 松尾部会長から、国立病院部会の審議における委員からの意見等についての御報告をお願いします。

 

○松尾委員

 簡潔に報告します。820日に行われた国立病院部会では種々議論がありましたが、基本的に当初見直し案について了承されたことをまず報告します。先ほども申し上げましたが、国立病院機構は全国的な病院ネットワークを活用して、大事なことは、国の医療政策として担うべき医療等を効率的かつ全国的に提供していく役割があって、この間の事業の展開は、その目的に沿って積極的に進められたことは極めて大きく意義深いと考えています。

 その中で委員から出た意見としては、先ほどIT化のことがあったのですが、このIT化、例えば向こう5年間で何をどの程度まで進めるのか、その目的が何かを、もう少し踏み込んで記載してほしいという意見がまずありました。

2つ目ですが、独立行政法人化して8年ということで、現状は非常に機構を再整理して、本部のガバナンスの下に、先ほど言いました設立のミッションに沿ってようやく地に足の着いた活動が出てきている、経営も改善されてきたかという段階かと思うのですが、今後、運営の効率化や自律化の見直しに関わる具体的措置に関して、自律化がもう少し具体的に見えるような記載にしていただきたいという意見でした。

3つ目は、先ほども少し出てきましたが、こういう国の医療政策とも絡みまして、このガバナンスができて、活動が非常に活発になってきたというところで、今後は日本の医療を引っ張るための連携強化、あるいはその中心になっていくと、そういう記載をしてほしいということで、全般的には国立病院機構に対する大きな期待を込めた意見が出されたということです。本日の資料は、このような必要な修正が一応なされていて、私もチェックしたことを併せて報告します。

 

○山口委員長

 ただいま御説明がありました組織・業務全般の見直し当初案について、委員の皆様から御意見、御質問等がありましたら、お願いします。

 

○永井委員長代理

 今、連携強化という話がありましたが、これはもちろん国立病院機構の間での連携と地域での連携と2つあると思うのです。

 

○松尾委員

 いや、この意見は私が一応言わせていただいたのですが、国立病院機構の中での連携は当然のことでして、今は国の政策として臨床研究もそうですし、地域医療等でもそうですが、こういう異なる機構同士の連携も非常に必要ではないかということで、そこに是非踏み出していただきたいということをお願いした次第です。

 

○永井委員長代理

 地域との連携について、何か組織を見直す必要は議論されませんでしたか。

 

○松尾委員

 突っ込んだ議論は時間の関係でできませんでしたが、御存じのように、今後、すさまじく少子・高齢化社会になっていって、そのときに、今は地域包括ケアや在宅医療などが非常に推進されようとしていますが、その中で都市部にある病院、地域部にある病院、いろいろな病院を国立病院機構は抱えているのですが、それぞれのミッションをより明確にして、その地域の、あるときは中核になり、あるときは連携病院になるという形のことをやっていただきたいという意見も出ており、これはディスカッションの中で国立病院機構理事長の桐野先生からも、そのようなことで積極的にやっていきたいという御意見を伺いました。

 

○山口委員長

 ほかに御意見、御質問等はありますか。よろしいですか。それでは、特に修正の御意見はないようですので、組織・業務全般の見直し当初案については、当委員会として了承したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などにより修正が必要になった場合の対応については、先ほどと同様に私に御一任いただけますか。

(各委員了承)

 

○山口委員長

 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替えを行うので、皆様、しばらくお待ちください。

(法人及び所管課入替え)

 

○山口委員長

 議事を再開いたします。続きまして、医薬品医療機器総合機構の暫定評価についての審議に入りたいと思います。これにつきましては、813日の医療・福祉部会において暫定評価書の案が検討されていますので、この報告をお願いします。なお、本日は真野部会長が御欠席のために平井部会長代理から報告をお願いいたします。

 

○平井委員

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の第二期中期目標期間における業務実績の評価概要を申し上げます。お手元の資料2-1が説明資料、本文は資料2-2です。

 まず、本文の1ページ、1.「中期目標期間の業務実績評価について」の(2)「中期目標期間の業務実績全般の評価」について簡単に説明いたします。PMDAは医薬品の副作用に加え、生物由来製品を介した感染等による健康被害に対して迅速な救済を図る「健康被害救済業務」、それから、医薬品・医療機器などの品質、有効性及び安全性について、治験前から承認までを一貫した体制で指導・審査する「審査等業務」、市販後における安全性に関する情報の収集、分析、提供を行う「安全対策業務」の3つの業務が主体となっています。これらを着実に進めることによって国民の健康の向上に貢献することを目的としています。本機構の業務実績の評価においては、業務の効率化及び質の向上により、3つの業務がどの程度効果的に適切に実施されたかという視点を中心に行っています。

2ページ上段に、評価結果の総論をお示ししています。こうした視点から評価を行った結果、平成21年度から24年度までの4年間の業務実績については、各種経費の節減をはじめ、ドラッグ・ラグの短縮などの中期計画における目標を上回る業務の効率化を実現していることなどから、おおむね適正に業務を実施できたと評価できると思います。

 具体的な評価内容は、48ページに記載しています。まず、健康被害救済業務については、シンポジウムの開催とそのテレビ中継など精力的に広報活動を行っている点、また、副作用被害救済の請求件数が増加しているにもかかわらず、処理件数を増加させている点など、十分な成果を上げていると評価します。一方で、こういった制度に関する一般国民の認知度については、認知度調査の結果も踏まえ、制度の普及に向けた一層の工夫が期待されます。また、平成24年度において数値目標を達成できなかった、救済給付の6か月以内の処理件数についても、今後着実に達成できるよう一層の努力を期待したいと存じます。

 審査等業務のうち、新医薬品の審査については、総審査期間が目標を大きく上回って短縮されたことは大いに評価できます。また、審査期間短縮のための事前の治験相談の実施についても、目標達成に向けた進捗が認められ、国内における十分なリソース確保の要請を企業に行うといったグローバルな対応とともに今後の成果が期待されます。

 医療機器の審査については、新医療機器の総審査期間が目標を大きく上回って短縮され、承認件数も着実に増加するなど、十分な成果を上げていると評価します。また、改良医療機器の審査につきましては、審査が長期化していた品目の処理を精力的に進められたことから、次年度以降の更なる進捗が期待されます。さらに、後発医療機器の審査につきましても、熟練者と新人が21組となって審査を行うBuddy制度を導入して審査期間の効率化、短縮が進んでいるとともに承認件数も増加しており、成果が上がっていると評価します。

 次に、安全対策業務です。これは、より有効な医薬品・医療機器がより早く国民の手に届くと同時に、より安全な医薬品・医療機器が求められていますので、審査と併せて、車の両輪として、医薬品等のリスクを適正に管理する機能の発揮、また、その業務の充実が期待されています。第二期中期目標期間においては、患者からの副作用報告を受けるための制度構築を準備する、収集された医療機関報告についてPMDA自らが調査を実施する体制を整備するなど、副作用・不具合の情報収集の強化策を積極的に実施しているものと評価します。

 平成23年度から、10の医療機関を拠点とした大規模なデータの活用により、迅速で的確な安全対策を目指す「医療情報データベース基盤整備事業」を開始し、システム開発などに着実に取り組んでいること、副作用報告や添付文書改訂指示について迅速な公表が行われていること、また、企業、医療関係者や患者、一般消費者に対する医薬品等の安全性情報の提供についてPMDAメディナビなどでの情報発信を通じてサービスの向上に積極的に取り組んでいることは、目標への着実な進捗が図られているものと評価できます。以上が各事業の評価の説明です。

 続いて、34ページで、組織体制、財務状況及び全般に関わる評価について説明いたします。組織体制については、理事長のトップマネジメントにより経営判断が迅速に業務運営に反映される組織体制が確立されており、業務執行状況の適切な管理を推進できていること、業務の効率化、公平性及び透明性の確保もなされていることは高く評価できます。さらに、科学的側面に関する事項の審議を行う「科学委員会」の設置や積極的な国際活動推進のための「国際戦略会議」の設置など、PMDAを取り巻く環境の変化に適切に対応するための創意工夫が図られている点を評価したいと思います。

 財務状況については、コスト削減や競争入札の一層の促進などにより、目標を大いに上回る経費削減がなされているとともに、平成22年度の審査等勘定における当期純利益28億円のうち、経営努力による部分6.2億円について、業務改善及び職員の資質向上に充てるための積立金として国に申請し認可を受けるなど、財務内容の改善等についても十分な成果を上げていると評価できます。

 以上が、PMDAの中期目標期間の業務実績の暫定評価の概要です。また、先に行われた医療・福祉部会におきましては、本評価書について特段の意見は出ておらず、原案どおりに了承されたことを御報告いたします。なお、本年6月に「日本再興戦略」が閣議決定されていますが、この戦略の中で、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の強化として、世界に先駆けた革新的医薬品・医療機器、再生医療製品の実用化の促進、審査ラグ「0」の実現、薬事戦略相談の拡充、さらには、医療情報データベース基盤整備事業の拡充が明確に示されています。今後に向けて、PMDAとして、これらを実現するための取組を着実に推進することが求められます。国民の期待に応えるために更なる体制強化を強く期待したいと考えます。

 

○山口委員長

 それでは、ただいま報告されました暫定評価書の案について御意見等ございましたらお願いいたします。

 

○亀岡委員

1つ、質問です。10ページの10.に「業務の迅速な処理及び体制整備(医薬品)」とありますが、これを見ますと、平成21年度はA評価で3.6と大分低く、平成222324年度は、4.854.754.75で大変高い評価をされています。4年間を通しての暫定的な評価としては平成21年度のA評価になっています。これは最終的にA評価でよろしいのでしょうか。

 

○山口委員長

 何ページですか。

 

○亀岡委員

 資料2-1では17ページ、もう1つの資料2-2では通し番号の19ページです。具体的に書かれていますので、資料2-2のほうがよいと思います。

 

○平井委員

 これにつきましては、まだ今後期待するということでA評価としてまとめさせていただいています。

 

○山口委員長

 よろしいでしょうか。ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。

 

○石渡委員

 医療・福祉部会の石渡と申します。部会の議論の中では、PMDAに関しては、審査機能などに関しても国際水準、世界をリードするレベルになっているというような評価をされていましたし、再生医療に関する期待が非常に大きくて、私も患者さんの立場などから、確実な検討とともに、迅速にこれからの検討、研究を進めていただきたいということをお願いしました。患者さん個人の立場に立つと、「私には間に合うのだろうか」というような切実な声などもありますので、是非、PMDAの更なる活動の進展を改めてお願いしたいという意見を再度強調させていただきたいと思います。

 

○山口委員長

 ほかに御意見等ございますか。よろしいでしょうか。特に修正の御意見はなかったと思いますので、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果として、先ほど御報告いただきました内容を当委員会で決定し、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。なお、先ほどと同様、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては私に御一任いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(各委員了承)

 

○山口委員長

 それでは、そのようにさせていただきます。最後に、理事長から一言、頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○医薬品医療機器総合機構理事長

 ありがとうございます。本日は、第二期中期計画における暫定評価につきまして御審議いただきましたことを誠に感謝申し上げます。私が理事長に就任いたしまして5年を過ぎたところですが、この間、機会を捉えて、国民の命と健康を守るという絶対的な使命感を矜恃といたしまして職員とともに努めてまいりました。その理念を具体的な成果として国民の皆様に還元するために、審査期間の短縮をはじめといたしまして、事案のきめ細かい分析を通じて安全対策を強化すること、また、副作用被害救済を迅速に行い、事案の内容を安全対策にいかすこと、これらに努めてまいったところです。国民の命と健康を守るということ、これは改めて申しますと、救済・審査・安全の3部門が同一法人にあり、3業務を有機的に連携させて運営するという、世界にも例のないPMDAの特徴をいかした取組であると自負しているところでございます。

 医薬品・医療機器の分野では企業は世界の舞台で激しい競争を繰り広げております。その中で最新の研究開発の成果が日本において逸速く安全で有効性の高い製品として実るためには、PMDAが世界から信頼される高い水準で審査・安全などの業務を継続していくことが必要であると思います。このために、これからも最先端の科学的知見とともに、国民及び社会への倫理観を併せ持った人材を育て、その力を十分にいかす組織運営が重要だと心掛けてまいりたいと考えています。今後とも御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

○山口委員長

 続きまして、医薬品医療機器総合機構の組織・業務全般の見直し当初案についての審議を行いたいと思います。まず、法人所管課から説明を頂き、その後、平井部会長代理から、813日の医療・福祉部会での審議における委員からの意見等についての報告を頂きます。まず、法人所管課から10分程度でお願いいたします。

 

○医薬食品局総務課長

 医薬食品局総務課の鎌田です。独立行政法人医薬品医療機器総合機構の組織・業務全般の見直し当初案について説明いたします。PMDAの第二期中期目標期間における実績について御審議いただきましてありがとうございました。それを伺いますと、評価を頂いている部分については引き続き効率性・経済性を向上させるよう努力してまいります。また、目標を達成できなかったものがありますので、それにつきましては更なる工夫、努力をしたいと考えています。それを踏まえ、どのような見直しをするかについて、資料2-3に基づいて説明いたします。

 表紙をおめくりください。第三期に向けた見直し当初案の基本方針です。先ほど、平井部会長代理からもお話がありましたが、6月に閣議決定された日本再興戦略や健康・医療戦略におきましてPMDAの体制強化が明確に示されました。なお、日本再興戦略と健康・医療戦略は資料の19ページ以降に参考資料が付いていますので後ほど御参照ください。日本再興戦略においては、革新的医薬品・医療機器、再生医療製品の実用化の促進をするということ、具体的には、1ページに引用していますとおり、医薬品・医療機器の審査ラグを「0」とするという目標も明記しています。そのため、開発ラグの解消に資する薬事戦略相談の拡充、更には医療情報データベース基盤整備事業の拡充などについても戦略として掲げています。そうした日本再興戦略、健康・医療戦略を踏まえて今回の見直し当初案を作りました。

2ページ以降が、具体的な事務・事業の見直しです。まず、2ページは、健康被害救済給付業務についてです。まず、必要なときに確実に救済制度の利用に結び付けるための仕組みづくりです。これは、国民あるいは医療関係者の方に知っていただくということです。これについては、先ほど平井部会長代理からもありましたとおり、一般国民の制度についての認知度が10%以上という目標をこれまで掲げていましたが、更に、一般国民の皆さんには「名前は聞いたことがある」、医療関係者にも「知っている」という割合を増やすことを次の目標にすべく働き掛けなどをしていきたいと考えています。

 それから、請求事案の迅速な処理についてもデータベースの蓄積や業務システムの活用をしたいと考えています。

3ページは、審査等業務についてです。審査等業務の見直しの当初案は、繰り返しで恐縮ですが、日本再興戦略で掲げられた2020年までに審査ラグを「0」とすることを目標として、その具体策として書かれています。薬事戦略相談の拡充、更には本年10月に設置が予定されているPMDAの関西支部、いわゆるPMDA-WESTの対応として、関西地区での相談やGMP調査の実施を考えています。

4ページは、再生医療の実用化支援です。具体的には、京都大学のCiRAとの連携強化を図ること、そして、細胞培養施設の体制を整備する、適合性を調査する体制を整備することなどを掲げています。さらに、難病・希少疾病等への対応、審査・相談の質の高度化、更なる国際化への対応なども考えています。国際化への対応においては、アジア諸国の臨床データや製造施設のデータを適切に整理し、アジア地域の医療に貢献することも記しています。

5ページは、安全対策業務です。一番最初の○、新たに導入されました医薬品リスク管理計画を通じた適切な安全対策を実施したいと考えています。また、市販後情報収集体制の強化、さらに、安全対策の高度化として、大規模医療データベースを量・質ともに拡充して、早期に1,000万人規模のデータを蓄積できるようにしたいと考えています。

6ページは、そのような事業を行うために必要な組織・運営の見直しです。まず、体制の強化については、審査ラグ「0」を目指して必要な体制の強化を図るために、専門性の高い優秀な人材を確保する観点から、雇用条件の見直しなどについて調整していくことを考えています。さらに、PMDA関西支部(PMDA-WEST)の対応として、10月に設置が決まっていますので、バイオ医薬品、医療機器及び再生医療に係る我が国の技術を最大限に引き出し、医療関連イノベーションを促進することに努めてまいりたいと考えています。

7ページは、取引関係の見直しについてです。コスト削減、透明性の観点から、政府の定める計画等に基づく取組を引き続き推進することとしています。また、人件費・管理運営の適正化については、国家公務員の給与水準を勘案しつつ、優秀な人材を確保する上での競争力を考慮して、適正かつ効率的な職員の給与水準について検討することにしています。

 最後に、PMDAの役割にふさわしい財政基盤の整備については、財源の安定的な確保に努めることに加えまして、PMDAの審査業務が広く国民の生命・安全に関わるため、その財政基盤についても検討し必要な措置を講ずるとしています。

8ページ以降については、PMDAの概要と組織・業務全般の見直し当初案を総務省の独立行政法人評価委員会への提出様式に当てはめた詳細な資料ですので、説明は割愛させていただきます。

 

○山口委員長

 次に、平井部会長代理から医療・福祉部会の審議における委員からの意見等について報告してください。

 

○平井委員

PMDAの組織・業務全般の見通し当初案については、813日の医療・福祉部会で議論が行われまして、基本的に了承されました。なお、医療・福祉部会におきましては、先ほども説明がありましたが、資料2-3「組織・業務全般の見直し当初案」の6ページ、体制強化について、専門性の高い優秀な人材を確保する観点から雇用条件の見直し等、魅力ある職場づくりに向けて、給与等のインセンティブなどについても検討することを期待するという趣旨の意見が出されました。

 また、革新的な新医薬品や新医療機器だけではなく、既にある薬についても、より安全なものにしていく、また、より使いやすいものにしていくといった、育薬の観点についても忘れずに取り組んでいただきたいという趣旨の意見も出されましたので、御報告いたします。

 

○山口委員長

 ただいまの医薬品医療機器総合機構の組織・業務全般の見直し当初案について、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。

 

○亀岡委員

 よく分からないので教えてください。4ページの「再生医療の実用化支援」についてです。その前もPMDA-WESTということで、関西支部への構想が出ているので、この関係かもしれませんが、京大のiPSの細胞研究所との連携強化ということで、ここだけ具体的な名前が出ています。iPSでは、東では慶應などもあると思いますが、ここであえて京大とうたわれているのは、これだけ傾注するという理解でよろしいのでしょうか。

○医薬食品局総務課長

 もちろん、国内にある研究所というか、そういう方々の連携を取ることは必要で、それはやっていきます。資料の22ページを御覧ください。これは、先ほどの日本再興戦略の閣議決定に加えて、官房長官、厚生労働大臣、関係大臣申合せということで6月に決められた健康・医療戦略からの抜粋ですが、22ページの6)に「世界最先端の医療の実現に向けた」とあって、1「再生医療の実用化」のイ.の一番最後に、PMDAの薬事戦略相談などについて、国立医薬品食品衛生研究所や京大iPSとの連携強化を図ると書いてあります。御指摘のとおり、様々な研究機関とは連携しますが、ここに書かれていますのであえて書いたものです。

 

○山口委員長

 ほかにございますか。

 

○宮崎委員

 資料2-36ページについて確認します。関西支部(PMDA-WEST)の対応の所の文章で、「平成2510月」から始まって最後は「関西地区に設置した」となっていますが、これは将来のことだと思いますので、「設置する」ということでしょうか。「設置した」と「2510月に」がつながっていないように思われたので、その関係を確認したいと思います。

 

○医薬食品局総務課長

 失礼しました。御指摘のとおりです。もう公表等しておりまして準備をしているものですから、「設置した」と書いてしまいましたが、正確には「設置する」です。先ほど委員長からもあったように、この辺の扱いについて御相談させていただきたいと思います。

 

○山口委員長

 ほかに、御意見、御質問等はよろしいでしょうか。それでは、ただいま御意見を頂きました内容の修正等も含めて、当委員会として了承したいと思います。なお、これ以外の誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては私に御一任いただきたいと思います。

(各委員了承)

 

○山口委員長

 それでは、そのようにさせていただきます。次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替えを行いますので、しばらくお待ちください。どうもありがとうございました。

(法人及び所管課入替え)

 

○山口委員長

 議事を再開したいと思います。続きまして、労働者健康福祉機構の暫定評価についての審議を行います。これにつきましては、826日の労働部会において暫定評価書の案が検討されておりますので、今村部会長から御報告をお願いします。よろしくお願いします。

 

○今村委員

 御報告させていただきます。まず、主に資料32の暫定評価書(案)を御覧いただきながら、資料31も参考にしていただきたいと思います。報告の順番として、御覧になって分かると思いますが、最初に評価シートの12番、業務運営の効率化、資料3111ページですね。それから、表に戻りまして評価シートの4番に入りまして1からまた再開するという順番になっています。一応、そういうものも参考にしていただきながら御覧いただければと思います。

 ポイントを絞って報告いたします。まず本文の1ページ、中期目標期間(平成214月~平成263)の業務実績についてです。(2)中期目標期間の業務実績全般の評価です。

 評価の視点について簡単に申し上げますと、中期目標で掲げられた機構の目的と業務の内容等について記載したものです。これらのミッションを適切かつ効率的に実施し、機構が適切に労働者の福祉の増進へ寄与しているかどうかという視点が評価の中心となります。

 評価結果の総論ですが、第二期中期目標期間の業務実績については全体としてこれらの視点に資するものであり、適正に業務を実施したと評価できますが、なお以下の2点ほど留意する必要がございます。

2ページ目の12です。労災病院グループが勤労者医療の中核的な役割を果たす医療機関であるとともに、地域医療の中核的医療機関でもある場合が多いことから、地域の医療機関に対して、労災疾病等研究の成果である労災疾病等に関する診断・治療法等の積極的な普及活動や実用化に向けた取組を更に続けるなど、地域の実情を踏まえつつ、地域医療連携を更に強化し事業を進めること。

 それから1の中に入っていると思うのですが、産業保健推進センターにおける研修業務を通じた産業保健活動の現場への還元の一層の取組を進める。さらに、1の最後のほうにありますが、メンタルヘルス不調者の職場復帰の支援など、社会的なニーズに的確に対応した活動など、医師等の職場環境にも配慮しつつ、更に積極的な取組が進められること、ということです。

2の機構の財務内容につきましては、厚生年金基金資産減少に伴う退職給付費用の増等の影響はあるものの、平成22年度以降、3年連続で経常損益については黒字を確保するなど、着実な改善が見られるが、今後の一層の経営改善を推し進め、繰越欠損金の解消に向けた計画的な取組を進めていただきたい。以上、大きく言いますと2点、細かく言いますと4点のポイントについて指摘をしておきます。

 以下は具体的な評価内容です。まず、業務運営の効率化に関する措置についてです。評価シート12です。1機構の組織運営体制の見直しにつきましては、機構本部に設置している経営改善推進会議や個別病院協議等による本部の経営指導・支援体制の強化に取り組むとともに、医師不足への対応や医療機器の共同購入を促進する等、本部のガバナンスを発揮し、着実に成果を上げていると評価いたします。

2一般管理費、事業費等の効率化につきましては、平成20年度を起点として、一般管理費については毎年度3%程度削減して、5年間で15%、事業費については毎年度2%程度を削減して、5年間で10%程度に相当する額をそれぞれ削減することが目標となっておりますが、平成24年度には20年度と比べて一般管理費は12.1%減、事業費は42.5%削減するなど、効率化が図られ、着実に取組が進んでいるものと評価できます。また、医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営費交付金の割合は平成20年度の水準を維持しており、中期計画に沿った内容となっています。

 次に3ページの(2)は、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置についてです。まず評価シートの4番、1「労災疾病等に係る研究開発の推進等」について、労災病院グループには産業保健関係者とのネットワークを活用しながら、蓄積された多数の労災疾病等に係る臨床データや、疾病と職業との関連性に係る情報などを基礎として、労災病院のミッションに基づいた特色ある労災疾病等13分野におきまして、大学等の研究で取り上げられにくい分野を含めた医学研究・開発や、その成果の普及を進めております。

 その中でもアスベスト関連疾患・粉じん等による呼吸器疾患に関する診断・治療法については、モンゴルや中国等のアジア諸国からも注目されており、国内はもとより、国外においても研究成果が注目され、積極的に力を注いでいることは高く評価できます。

 次に4ページ目をお開きください。2「勤労者医療の中核的役割の推進」についてです。評価シートの1から3及び5になります。労災病院では、地域がん診療連携拠点病院等の認定病院の増加、71看護体制の拡大等に取り組んでおり、地域における中核的医療機関としての体制構築・強化を着々と進めていることは評価できます。

 また、勤労者医療の地域支援の推進につきましては、各地域の労災指定医療機関等の医師に対して行ったニーズ調査の結果を踏まえ、時間外受付、休日受付、FAX・メール・連携システム等による紹介患者の受付など業務改善に取り組まれ、患者紹介率、逆紹介率、症例検討会・講習会参加人数、それから受託検査件数等の目標数値を全て達成していることは高く評価できます。

 さらに、行政機関等への貢献として、東京電力福島第一原子力発電所における労働者の健康管理等のため、国からの要請に基づき、Jヴィレッジ内の診療所に対し、平成235月以降、全国の労災病院から継続的に医師を派遣するなど、東日本大震災への対応に関する貢献は顕著です。

 それから、勤労者予防医療センターにおきましては、過労死予防対策、メンタルヘルス不調予防対策、勤労女性の健康管理対策についての取組を行っています。勤労者の利便性の向上を図るため、指導・相談等を時間外、休日にも行うとともに、企業等の要望により、出張による指導も積極的に行ったこと等によって目標数値を全て達成し、高い利用者満足度を得ているところです。

5ページ目、3「重度被災労働者の職業・社会復帰の促進」です。評価シート67になります。医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターでは、重度の障害を受けた方の社会復帰に向けた取組として、重度の障害や併発する疾病に対応するため、チーム医療による患者ごとの障害に応じたプログラムの作成・実践等による専門的なリハビリテーションを行う等の結果、社会復帰率及び患者満足度調査において目標数値を達成しております。全般的には適切に運営されていると評価できます。

 なお、労災リハビリテーション作業所の運営業務につきましても、入所者ごとに障害特性や希望に応じた社会復帰促進プログラムの作成等により、社会復帰率の目標を達成しております。閣議決定により「現入居者の退去先を確保しつつ順次廃止する」とされており、現在順次廃止を進めるところでございますが、退去先の確実な確保につきましては、引き続き万全を期していただくようお願いいたします。

6ページ目の4「産業保健活動の積極的な支援と充実したサービスの提供推進」です。評価シート89です。閣議決定に基づき、産業保健推進センターを段階的に集約化することとされています。平成24年度末には15か所に集約しているものの、本部や近隣の産業保健推進センターによる支援等により、産業医等の産業保健関係者等に対して行う実践的・専門的な研修・相談の充実、産業保健関係情報の提供・普及の取組につきまして目標を達成しているところです。

 さらに、昨今の胆管がん問題に関しても、全国の産業保健推進センターと労災病院の連携という、機構ならではのネットワークをいかした取組を行っており、これは高く評価できます。

 また、産業保健推進センターにおける運営費交付金についてですが、中期目標期間の最終年度において平成20年度実績と比べておおむね3割程度の削減をするとされているところです。平成24年度の削減率については41.5%であり、着実な削減が図られております。しかし、機構の研究成果の普及は機構にとって重要なミッションであることから、更なるサービス、質と量の普及のための対応について検討を行っていただくことを期待いたします。

 次に6ページ目の下段です。5「未払賃金の立替払事業」です。評価シート10です。未払賃金の立替払事業につきましては、請求書の受付日から支払日までの期間について25日以内を目標としているところです。平成24年度には過去最短の17.3日となっており、労働者の立場に立って的確に事業が推進されています。また、破産した企業に対する求償についても、平成24年度には累積回収率が過去最高の24.9%となっており、これまでの実績を更新し、目標を達成している点は高く評価できます。

7ページ目の6「納骨堂の運営業務」です。評価シート11番です。納骨堂そのものの運営は適切に行われ、社会的啓発の意味からも評価できるものの、一般国民に向けた事業の周知について、より一層の取組を期待いたします。

 同じく7ページ目の「財務内容の改善等について」です。評価シート13番以降ですが、依然として、厚生年金基金資産減少に伴う退職給付費用の増加等の影響を大きく受けているものの、平成22年度以降は3年連続で経常損益について黒字を確保するなど、着実な改善が見られます。今後についてもなお一層の経営改善を推し進め、繰越欠損金の解消に向けた計画的な取組を期待いたします。

 最後に、人事に関する取組につきましては、運営費交付金を充当して行う事業に関する常勤職員が平成16年度当初は800人だったのですが、平成24年度には650人まで削減しており、着実な取組を行っていると評価いたします。以上、駆け足でございますが、労働者健康福祉機構の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果概要です。

 なお、先の労働部会におきましては、本評価書について特段の意見は出されず、原案どおり了承されたところです。以上です。

 

○山口委員長

 ありがとうございました。ただいま御報告いただきました、労働者健康福祉機構の暫定評価書の案につきまして御意見、あるいは御質問等ございましたらお願いいたします。

 

○亀岡委員

 資料3-110ページ目「未払賃金の立替払」という所ですが、先ほど読んでいただきました資料3-2ですと6ページ目の5だと思うのです。書かれている文章を読む限りは、過去最高の評価というような、なおかつ3-1の資料ですと過去最短とか過去最高、大変高い評価を得ているわけです。平成23年度から若干評価が下がって、平成24年度は結果的にA評価となってしまった。これはこれでよろしいのですね。確認の意味での発言です。

 

○今村委員

 全体として高い評価であることは間違いありません。平均しますと暫定評価でSまで行かなかったということです。もう一息、これからも頑張るようにしていただきたいと思います。

 

○亀岡委員

 ありがとうございました。これは私の個人的な意見でいいのですが、こういうものはだんだん改善してきていると思います。特に4年間を通じてというよりも、今の時点が一番最高に良くなっているということを考えたとき、結果的に5年間の評価をどう見るのかということについて、評価の考え方があっていいのかなと思ったのでお話させていただきました。

 

○山口委員長

 ありがとうございました。ほかによろしいですか。それでは、ただいま御報告いただきました評価書の案について修正の意見はないようですので、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果として当委員会で決定をして、法人及び政・独委に通知をするとともに、これを公表したいと思います。なお、これにつきましても誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私に御一任いただけますでしょうか。

(各委員了承)

 

○山口委員長

 ありがとうございました、それではそのようにさせていただきます。最後に理事長から一言いただければと思います。お願いします。

 

○労働者健康福祉機構理事長

 本日は私ども、労働者健康福祉機構を御審議・御評価いただきましてありがとうございます。私どもの主たる使命というのは労働者の健康や生活をお守りするということです。これは国民あるいは国家的にも大切なミッションでございます。もちろん、私どもだけではこのような大きな事業を成し遂げることはできないわけでございます。厚生労働省からの暖かい御支援もいただき、いろいろな方のアドバイスも賜りまして本日、比較的ポジティブな評価をいただけたということで、大変有り難く思っております。これは職員一同にとりまして大きな励みにもなりますし、更に職務に奮励することにつながるかと思っております。

 ただ、いくつか御指摘いただいたことも、肝に銘じていかなければいけないのではないかと思う次第です。ともすれば、この評価というのが数値目標といいますか、外的な数字が比較されるわけですけれども、今回御指摘いただきましたのは労災病院等での診療・治療によって生み出された果実を更に普及し、一般に広めていくように、あるいは産業保健事業に関しましても現実的にどういうインパクトがあったか、リアリティーを変えたかどうか。そういう視点でのバックチェックが必要だろう。このような、大変正鵠を得た御指摘をいただきました。こういう視野でも私どもの事業を見直していきたいと思っている次第でございます。

 いずれにせよ、長時間、労をお取りいただきました評価委員の方々、大変適切な御助言を頂きました。これからの私どもの活動に大いに参考になるかと思っている次第です。本日はどうもありがとうございました。

 

○山口委員長

 ありがとうございました。続きまして、労働者健康福祉機構の組織・業務全般の見直し当初案について審議に入りたいと思います。まず、法人所管課から説明していただき、その後、今村部会長から826日の労働部会での審議における委員からの意見等についての御報告をお願いしたいと思います。まず、法人所管課から10分程度で説明をお願いします。

 

○労働基準局労災補償部労災管理課長

 労働基準局労災補償部労災管理課長です。よろしくお願いします。

 労働者健康福祉機構の組織・業務の見直し当初案でございます。資料として3-3-13-3-22種類をお出ししています。そのうち、見直しに係る部分を整理いたしました3-3-1を用いて説明させていただきます。

 まず、現中期目標期間における業務の効率化等の取組状況について整理をしております。1の「事務・事業の廃止」ですが、海外勤務健康管理センター、労災リハビリテーション工学センター、こういった2つのセンターについて廃止をし、また、ここに掲げております2つの助成金について廃止を行っております。さらに、労災リハビリテーション作業所は脊髄損傷等の被災労働者の方が入所をして、職業的なリハビリテーションを行う施設でございます。こちらにつきましては順次廃止をするということで、平成21年度に6作業所あったものが現時点で3作業所となっております。

2の「事業運営の効率化」として産業保健推進センターの集約化ですが、全国47ございましたところ、そのうちの32センターを統廃合し、集約を進めてまいりました。また、本部の効率化、国立病院機構との医薬品や医療機器等の共同購入といったことで経費の削減を進めてまいりました。

3の「経営改善」を御覧ください。診療報酬上、有利になる上位施設基準の取得等の増収策、また、給与カーブのフラット化等による経費の削減を進めてまいりまして、その結果、平成22年度には単年度黒字に転換いたしました。

 次の3ページからが「組織・業務全般の見直し当初案」です。以上のような事務・事業の廃止等をこれまで進めてきたという実績を踏まえ、今回の見直しでは更なる効率化についての努力を引き続き行うものの、むしろ政策的機能の充実・強化ということを念頭に置いております。1の「事務・事業の見直し」ですが、1として「労働者健康福祉機構の政策的機能の充実・強化」を冒頭に持ってまいりました。全ての労働者が安心して働ける社会の実現のため、事業場における疾病予防を含めた労働者の健康確保への支援、疾病への適切な治療の提供、円滑な職場復帰や治療と就労の両立支援の各分野において適切なサービスが提供可能な体制を構築し、労働者の業務上疾病等に係る予防・治療・職場復帰を一貫して実施するということであります。

 このように、機構に与えられた使命を再確認して、次の中期目標期間に臨もうというのが基本的な考え方です。また、「併せて」の段落にございますが、それぞれの労災病院は地域の住民の方々に対して医療を提供し、お役に立っているわけですから、各病院の特性をいかし、地域の実情に応じた医療サービスの提供による地域医療への貢献ということも重要かと考えております。この1が総論的なもの、2以下が具体的な各論でございます。

2は産業保健支援の関係です。現在、厚生労働省では機構への交付金のほか、委託事業の形で、産業保健関係の3つの事業を行っています。産業医等に対する支援を行う産業保健推進センター事業、小規模事業場の産業保健活動を地域レベルで支援する地域産業保健事業、事業者の行うメンタルヘルス対策を支援するメンタルヘルス対策支援事業です。これらを一元化して、機構で行うことによって三事業を連動させ、事業の効率化を図るとともに、窓口や周知の一本化等で利用者の利便性の向上を図るなど効果的な実施にも資するようにしたいと考えております。

 次の4ページをお開きください。3は機構の機能として、職場復帰の支援や治療と就労の両立支援を打ち出したいと考えております。労災病院グループの特性をいかして、がんや脳卒中等の患者さんに対して労災疾病研究で得た知見を活用して、職場復帰支援や治療と就労の両立支援に向けた取組を行うということでございます。また、就労年齢の延長も踏まえ、作業と関連した疾患増悪リスク、就労を視野に置いた支援や治療方針の選択等について研究を進めることも想定をしております。

4として、研究開発全般でございます。現在、13分野を掲げてモデル医療やモデル予防法の研究開発を行っています。13分野というのは具体的には脊髄損傷ですとかメンタルヘルス、アスベスト関連疾患などで、依然として多くの労働災害が発生している疾病、勤労者の新たな健康問題として社会問題化している疾病でございます。この13分野について、より適切な実施が可能となるような方向で見直しを行い、また、研究の中身の充実という観点から、必要な支援体制の整備なども進めていきたいと考えております。

5として、優秀な人材の確保、育成です。機構の業務の性格上、優秀な人材、特に医師の人材確保は重要です。そのため、機構の機能を支える重要事項として、優秀な人材の確保、育成ということを掲げています。具体的には括弧内に書いていますが、大学への働きかけ、医療機器等の整備、研究体制の整備、こういった多面的な措置が必要と思われますし、労務面での整備も課題だと思われます。

5ページは、個別具体的な話ですが、6として、新潟県にある燕労災病院の再編の関係です。現在、新潟県で県央基幹病院について基本構想が検討されています。小さな字で書かれてある部分ですが、新潟県において燕労災病院と、ほかの病院を統合再編し、公設民営の県央基幹病院を創設したいという方向が打ち出されており、この方向での基本構想が検討されているものです。これに対しては、地域医療への貢献という観点から協力していきたいと考えており、新潟県における検討状況を踏まえつつ、厚生労働省、そして機構としても必要な検討を進めていきたいと考えております。

7として、事業廃止の関係です。労災リハビリテーション作業所を平成27年度末までに廃止する、という方針を確実に実施していきたいと考えています。

 最後の6ページは業務運営の効率化・財務内容の改善についての見直しです。1は「厚生年金基金の見直し等」と書いております。現在、機構には繰越欠損金がございます。その要因としては、厚生年金基金の関係での資産減少に伴う退職給付費用の増加などが挙げられます。この厚生年金基金に関しましては、先の通常国会で法改正が行われていますので、それを踏まえて代行返上を行うなど必要な措置を講じるとともに、そのほかにも更なる収入確保、支出削減の対策に取り組んで繰越欠損金の解消を図っていきたいと考えております。

2として、本部事務所です。現在、機構の本部は神奈川県の川崎駅近くの民間ビルにオフィスを借りていますが、借料も結構な額ですので機構としては移転し、経費の削減を行うことを検討する考えです。

3として、経営改善などを検討する上で必要と考えられますので、個別病院ごとの財務状態及び運営状況が把握できるよう、個別病院単位で財務関係の書類を作成していくことを考えております。

4として、経費の削減や収入増の一環として、国立病院機構と連携をして医薬品や医療機器等の共同購入、治験の共同実施を進め、業務運営の効率化や財務内容の改善を図っていきたいと考えております。今期の実績等を踏まえて、次期中期目標期間に向けて、所管課としてはこのような方向での見直しを進めていきたいと考えております。以上です。

 

○山口委員長

 それでは、次に今村部会長から労働部会での審議における委員からの意見等について御報告をお願いします。

 

○今村委員

 報告いたします。労働者健康福祉機構の組織・業務全般の見直し当初案につきましては、826日の労働部会で議論が行われ、基本的に了承されましたことを御報告申し上げます。

 なお、労働部会における議論ですが、当機構に限るわけではありませんけれども、各機構とも多様な事業を抱えております。統合して抱えているものもあります。キーワードになるのは「シナジー効果」でして、とりわけ本見直しの12、産業保健三事業一元化による産業保健支援の充実・強化といった、横の連携を強化することによって、目に見えない所でありますけれども、効率化していく努力が期待されるということで、これは非常に意欲的な取組であるというように評価しております。

 なお、そうは言いましても基本は45でして、労災疾病等に係る研究開発の推進及び優秀な人材の確保、育成でございます。当機構は御存じのとおり労災という、非常にユニークな分野の医療を研究、そして臨床対策ということでやっております。希少な存在であります。そのためにも今後とも優秀な人材を確保され、研究環境・職場環境等を充実して、更なる継続、発展を期待したいという意見が出されたところです。以上です。

 

○山口委員長

 ありがとうございました。ただいま説明がありました、組織・業務全般の見直し当初案について、委員の皆様から御意見あるいは御質問がありましたらお願いいたします。

 

○酒井委員

 私は調査研究部会に所属しております。対象として労働安全衛生総合研究所があります。今、部会長から御説明があったように、4の労災疾病等の研究、この13分野がにわかにはどういうことか分からないのですが、かなり重なるところもあるのではないかという気もします。確かにシナジー効果で、中でというのは非常に立派なことだと思うのですが、もう少し独法の中での調整というのはお考え、若しくは実態としてあったら少し教えていただきたいと思います。

 

○労働基準局労災補償部労災管理課長

 行政からお答えいたします。基本的には、労働者健康福祉機構が行っておりますのは労災病院を利用した臨床的な研究です。それに対して、安全衛生総合研究所が行っておりますのは、いわゆる基礎的な研究と整理できようかと思います。このようにそれぞれの研究の分野と言いましょうか、そこには違いがあると思うのですが、連携をして、何かより良い効果を出すということは確かに考えられるのかもしれません。こういったことについてはどういった工夫が可能かといったことなどを含めて、行政としても考えていきたいと思います。

 

○酒井委員

 よろしくお願いします。

 

○山口委員長

 よろしいでしょうか。ほかに御質問等はございませんでしょうか。私から質問させていただいてよろしいでしょうか。これまでもあったのだと思うのですが、納骨堂の運営などの事業をやっておられるのですが、多分、過去の経緯からこういう事業があるのだと思います。病院の事業と納骨堂の事業を併用されているというのはちょっと違和感があります。今後の業務の見直しの中で、これを今後も機構の仕事としてやり続けていかれるのかどうかご検討いただければと思います。それからもう一つ、未払賃金の立替払についても、ややこの法人の所管事業というよりも、この後出てきます高齢・障害・求職者雇用支援機構といったところでやるほうが名前からしてもフィットするのではないかと感じました。行政のほうではどのように考えておられますか。

 

○労働基準局労災補償部労災管理課長

 今は労働者健康福祉機構という名前で労災病院が中心の機構のように名前からも見えますけれども、以前は労働福祉事業団という名前でして、労働福祉に関係する事業を行うということで、労災でお亡くなりになった方々の慰霊、それから倒産等によって賃金を受け取られなかった方々に対する未払賃金の立替払など、こういった労働者の福祉に関係する事業を行う団体、そういったことになじむ法人ということで事業実施をいただいている。それが今に至っていると理解しております。

 今後につきましても、こういった労働者の福祉に関係する事業を行うという性格はあるわけですので、引き続き労働者健康福祉機構に実施をしていただくことが適切ではないかと考えております。独立行政法人の事務事業についてはたゆまぬ見直しも行われているわけですし、今後もこれで固定して、一切見直すつもりはないというところまでは申しませんけれども、今後いかなる業務を法人が行うのが適当かということはニュートラルに検討していきたいと思っています。

 

○山口委員長

 ありがとうございました。

 

○亀岡委員

 私は国立病院機構の委員をさせていただいています。先ほど、こちらの労災の方のほうで、資料33213ページになるのでしょうか、見直しの所の「運営の効率化及び自律化の見直しに係る具体的措置」という所で、実は国立病院機構の「連携の推進」が一つ大きなキーワードとして挙げられているわけです。確かに、こちらから見ればそうなのかなという角度なのかと思います。ただ、国立病院機構では特に整理表の中にそういう項目というのは挙がってはいなかったと思うのですが、これはこれでよろしいのでしょうか。

 

○労働基準局労災補償部労災管理課長

 私どもとしては連携をして、いろいろ取り組んでいきたいということです。一方的に言っているわけではございません、現に連携が進んでいる所もございますし、これを更に進めていきたいということです。

 

○藤川委員

 高度医療専門センターに属しています。こちらでも国立病院機構との医薬品や医療機器等の共同購入がさんざん出てきていました。こちらの見直し案の最後に、連携において、「国立病院機構との連携の推進」と書かれているのですが、高度専門医療センターはここには入れていただけないのかなと思いました。なぜ入っていないのか教えていただけますでしょうか。

 

○労働基準局労災補償部労災管理課長

 端的に申し上げますと、現実に連携が進んでおり、高額の機器の共同購入などといったことが進んで行われているものについて書いております。そのほかにどのような組織とどのような連携が可能なのか。見直し当初案なり、中期目標なりに書いてあるかどうかということを離れましても、可能な範囲での連携によって効果が生じるのであれば連携を進めていきたいと思っています。現時点で一般論、総論としてですが、そのように考えています。

 

○今村委員

 ちょっとだけ付け加えさせていただきます。先ほど来、シナジーという言葉を盛んに使わせていただいているのですが、機構内部の物事のシナジーもそうですし、今の御提案にありましたように機構を越えたシナジーも当然あるわけです。現在、本質的に制度があって、組織があってという中ではなかなか組織を越えてシナジーというのは難しいところもあるのは十分承知しております。とりあえず人の移動、コミュニケーションの活発化という形で、シナジーの基礎に少しずつ努力していかれるということは重要ではないかというのは労働部会などでも出ているところです。是非、今後とも御検討いただければと思います。

 

○山口委員長

 ありがとうございました、ほかに御意見等ございますでしょうか。

 

○労働者健康福祉機構理事長

 高度医療が国立病院機構とどのような連携が可能かという御質問の趣旨かと思います。労災管理課長がお答えになったとおりです。私たちの扱っているのはあくまでも勤労者、労働者の健康管理、予防、治療、あるいは職場復帰、治療と就業の両立支援です。そういう中で一連のプロセスを切れ目なく扱おうということで、高度医療と言っても多少国立病院機構の言う高度医療とは違うわけです。私たちが取り組む中での高度性を追求していくということではあります。

 それから、御存じのように医療には地域性もありますので、ロケーションが違うと必ずしも国立病院機構というわけでなく、日本赤十字社などほかの所と連携も必要です。それから、たまたま地域によって両院が併存しているような場合、棲み分けというのはかなりできておりました。私たちの得意とするのは整形外科、脳神経外科、リハビリテーション科といったところです。一方、国立病院機構でも独自のノウハウがあります。そういう中ではお互いにスムーズな協力体制は取れているのではないかと思っています。私も現地を回ってきてそのように実感している次第です。以上、よろしいでしょうか。

 

○藤川委員

 財務的な話で言えば、共同購入という側面で考えれば少し節約になる部分もあるのかなと思いました。もし、その側面だけでも検討の余地があればということでお伝えしました。

 

○労働者健康福祉機構理事長

 実際、高額医療機器の共同購入というのは去年から進めております。機構にとって、これは経営面でも大いにプラスになっているのではないかと判断しています。

 

○山口委員長

 よろしいでしょうか。それでは、特に修正の御意見もなかったようですので、組織・業務全般の見直し当初案につきましては当委員会として了承したいと思います。なお、これにつきましても、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私に御一任いただけますでしょうか。

(各委員了承)

 

○山口委員長

 ありがとうございます、それではそのようにさせていただきます。次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替えを行いますので10分ほど休憩の時間を取りたいと思います。開始は1456分からとします。時間になりましたら御着席くださいますようにお願いいたします。どうもありがとうございました。

(法人及び所管課入替え)

 

○山口委員長

 議事を再開したいと思います。続きまして、年金・健康保険福祉施設整理機構の暫定評価についての審議をいたします。819日に開かれました年金部会において、暫定評価書の案を検討いたしましたので、年金部会長であります私のほうから御報告をさせていただきます。資料4-1と資料4-2がございますが、資料4-2の文章のほうで御説明をさせていただきたいと思います。

 まず評価の視点ですが、2ページ中ほどにありますように、評価の視点のまとめとして、施設整理機構は、社会保険病院等を除く全ての年金福祉施設の譲渡、又は廃止をすることを目的として平成1710月に設立された5年有期の独立行政法人でしたが、平成228月公布の法改正により、残存期間が2年間延長され、平成236月公布の法改正により、平成264月に社会保険病院等の運営管理等を目的とした地域医療機能推進機構へ改組されるといった特異な経緯をたどっていることを踏まえ、暫定評価を実施することを明記し、特記しているところです。

 続きまして、(2)中期目標期間の業務実績全般の評価です。平成1710月の機構発足以来、平成229月までの5年間で、社会保険病院等を除く全ての年金福祉施設等の譲渡、又は廃止を行うという、機構の当初の使命に照らして評価を行ってまいりました。

 平成22年度においては、平成228月公布の法改正により、機構の存続期間が2年間延長された一方で、社会保険病院等の受け皿が決まらない中で病院の運営・管理を行い、厚生労働省からの譲渡指示に備えてきたことから、平成229月までの年金福祉施設等300施設全ての譲渡完了に至る期間を含めて、総括的な評価を行ってまいりました。

 平成23年においては、厚生労働大臣から譲渡指示のあった2病院の譲渡のほか、平成236月公布の法改正により、年金福祉施設等の譲渡又は廃止から、社会保険病院等の運営・管理等を目的とした地域医療機能推進機構への改組に向けた業務内容が大きく変化したこと、また平成233月に発生した東日本大震災により、社会保険病院等に大きな被害があったことを考慮して評価をいたしました。

 平成24年度においては、8病院の譲渡業務への取組のほか、地域医療機能推進機構への改組に向けた準備並びに改組に向けた移行準備の一環として実施した財務調査の実施及びその対応について考慮し、評価を行ってきたところです。

3ページ目の中段辺りからですが、評価結果の総論についてお話申し上げます。中期目標期間の業務実績全般の評価結果としては、このような経緯を踏まえ、機構の置かれた環境変化に応じ評価を行ってきたところですが、全体としては高い業績を実現できたと評価しております。

3ページの中段以降に、評価結果の総論を記載しております。

年金福祉施設等の譲渡は、平成229月までに社会保険病院等を除く全ての施設の譲渡が完了し、売却実績は2,185億円で、出資価格対比で184億円のプラス、比率で109.2%となっており、出資価格総額を上回る売却額を確保しております。これは資産価値向上のための様々な取組の成果であり、高く評価できます。また、施設譲渡時に事業を行っていた258施設のうち74%に当たる192施設について事業が継続され、譲渡時に従業員がいた施設で雇用交渉が終了した258施設のうち、一部のものを含め、72%に当たる187施設において雇用の継続も図られております。これらの結果、機構が目的とした「時価を上回り売却すること」、そして「出資価格を毀損しないこと」を達成したことは大いに評価できるものと考えております。

 次に、社会保険病院等の譲渡については平成24年度末までに厚生労働省から譲渡指示を受けた8病院のうち、平成24年度末時点で予定も含め、6病院の譲渡が完了しており、所在地地方公共団体等の意向も踏まえつつ、地域医療が損なわれることがないよう十分に配慮した譲渡条件を設定し、適切に譲渡が行われていると認め、大いに評価できるものと考えております。

 川崎社会保険病院等の譲渡は、現に入院・外来医療を行っている病院を、一般競争入札で譲渡するという、新たな譲渡スキームでありましたが、年金福祉施設等の譲渡等を通じて蓄積した民間のノウハウが、最大限にいかされております。厚生労働省からの譲渡通知が変更となり、新たに随意契約による譲渡が可能となりました大学及び委託先法人を対象とした初めてのケースとなる譲渡への対応についても、鑑定価格を参考とした価格で適切に譲渡しており、随意契約という困難な譲渡業務を的確に実施したと認められます。発足以来の社会保険病院等の譲渡を含めた譲渡実績は、契約ベースで売却額2,341億円で、出資価格対比195億円のプラス、比率で109.1%となり、出資価格総額を上回る売却額を確保しております。高く評価できるものと考えております。

 平成23311日に発生した東日本大震災の対応についても、直ちに被災状況を把握し、迅速に被災病院の復旧工事に着手し、同年11月までに工事を完了したことは、評価できるものと考えております。

 次に、社会保険病院等の平成213月期以降、3期分の合算財務諸表を作成するとともに、病院の実態把握に努め、財務内容と老朽度に基づく整備計画を策定し、資産価値保全の観点から病院機能を維持するために必要な整備を行ってきたことも評価できます。

また、譲渡業務の進捗状況や、機構の置かれた状況に応じて、継続的に組織・人員体制の見直しを行い、効率的な業務運営の体制を構築してきた点は、独立行政法人の特性を踏まえ、柔軟に対処したものであるとともに、独立行政法人の模範となる取組であったと言え、高く評価できるものと考えております。

 平成24年度には、新機構への改組に向け、平成24330日に中期目標が見直され、従来の業務に加え、新機構への改組に向けた準備を行う業務が追加されたため、平成244月に地域医療機能推進機構準備室を設置し、様々な課題を乗り越えながら、新機構の大枠として運営方針を確定させており、改組に向けた準備作業は着実に前進したものと認められ、大いに評価できます。

 新機構への移行に備え、独立行政法人の形態にふさわしい透明性の高い運営と、適切な内部統制を確保する観点から、内部統制調査を含めた財務調査第3フェーズを実施し、各施設における現金、未収金等が適切に管理されているかなど調査しております。その結果については、国民への説明責任及び透明性の確保の観点から、平成2412月に中間報告、平成253月に全体報告として公表したことは、評価できます。なお、今後改善が必要な点については、病院を運営している各団体等に対して指導していることも、評価できます。

5ページの一番下ですが、さらに、一般管理費については適正な執行を徹底した結果、平成24年度において、平成17年度比で60%の削減が図られており、業務経費についても必要最小限の経費の執行に努めた結果、各年度の予算比で節減が図られております。

6ページの上段、具体的な評価方法については、ただいま御説明いたしました内容と重複するものがありますので、省略させていただきます。

以上が、年金・健康保険福祉施設整理機構の中期目標期間の業務実績の評価概要です。

 なお、先の年金部会においては、本評価書について、特段の意見は出されず、ほぼ原案どおり了承されたところです。以上、私からの報告でした。

 それでは、ただいま御報告申し上げました暫定評価書の案について、御意見等ございましたら、委員の皆様のほうからよろしくお願いいたします。

 

○高瀬委員

 施設の売却なのですが、目標が、時価を上回り、出資価格を毀損しない。その出資価格のほうは書いてあるのですが、時価で言うとどうなるのでしょうか。

 

○山口委員長

 数字は法人のほうから御説明いただけますか。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構審議役

 お手元に配られております別添「業務実績評価シート」がございますが、その1112ページを御覧いただきたいと思います。11ページに、これは福祉施設に関してでございますが、平成22年度までの譲渡実績、そのあと病院の業務もございましたので、その譲渡に関するものを含めたものが、平成24年度までの譲渡実績として12ページに出ております。

 ここで、今、御指摘がございました出資価格と時価との話がございましたが、一番右側に出ておりますのが出資価格比です。その2つ左の売却原価比、これが時価に対する比率です。

 

○高瀬委員

102%という。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構審議役

 したがいまして、平成24年までの実績で、出資価格比で109.1%、売却原価比、時価対比で186.5%ということでございます。

 

○山口委員長

 この売却原価比というのが、時価に対する比率であると、そういうことですね。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構審議役

 はい。売却時の時価に対する比率ということでございます。

 

○山口委員長

 よろしいでしょうか。ほかに御質問、御意見等ございますか。それでは特に修正意見もないようですので、この年金・健康保険福祉施設整理機構の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果として、当委員会でこれを決定し、法人並びに政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。ここでも、同じようにこの後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私に御一任いただけますでしょうか。

(各委員了承)

 

○山口委員長

 それでは、そのようにさせていただきます。

 最後に、理事長のほうから一言、お願いいたします。

 

○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長

 本日はお忙しい中、委員の方々には我々機構の業務内容について御審議をいただきまして、誠にありがとうございます。このプロセスを通して頂きました様々な御助言、アドバイスなどについては真剣に受け止めて、これからの運営に活用していきたいと思います。先ほど委員長のほうから言及されましたけれども、我々の機構は来年4月の新しい独立行政法人地域医療機能推進機構という新しい機構になるまであと7か月ぐらいになりましたので、今日の先生方の御助言を踏まえて、準備をさらに急ピッチで上げたいと思いますので、これからもよろしく御指導のほどお願いします。本日は、本当にありがとうございました。

 

○山口委員長

 続きまして、年金・健康保険福祉施設整理機構の組織・業務全般の見直し当初案についての審議を行います。まず、法人所管課のほうから説明をいただきまして、その後、私から819日の年金部会での審議における委員からの意見等について、御報告をいたします。それでは法人所管課より10分程度で説明をお願いいたします。

 

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長

 年金局事業企画課の社会保険病院対策室です。資料4-3に基づき、年金・健康保険福祉施設整理機構は平成264月以降に、今ありましたように、地域医療機能推進機構に改組されるわけですが、そちらの組織・業務見直し当初案について御説明申し上げます。資料4-3の表紙をおめくりいただき、今申し上げました、来年4月から地域医療機能推進機構に改組する点については、平成23年に成立をいたしました議員立法、この独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法の一部を改正する法律により決められているものです。新しい地域医療機能推進機構は、もともと平成17年に設置されたRFO(年金・健康保険福祉施設整理機構)を改組して、地域医療機能推進機構を設置するということです。今までのRFOといいますのは、年金福祉施設等の整理合理化を目的とした法人だったわけですが、来年4月からRFOから社会保険病院等を引き継ぎ、新しい地域医療機能推進機構が、病院等を直営する形の法人に生れ変ります。

 現在、社会保険病院については国からの出資を受け、RFOが保有をし、実際の病院運営は特例民法法人が運営の受託をしております。新機構になりましたら、今申し上げましたとおり、病院を直営することになり、この1ページの1.法律の趣旨にありますように、新しい法人といいますのは、地域医療に貢献をしつつ、安定的な病院運営を行うことを目的とした法人になるということです。

 新しい法人の概要についてはこの資料の2.の部分ですが、法人の目的はここにありますように、救急医療等の5事業、あるいはリハビリ等のその地域医療や、介護を提供する機能の確保を図る。これによって公衆衛生向上、住民福祉の増進に寄与することが、法人の目的です。法人の業務については(2)で、病院や介護老人保健施設あるいはその看護師養成施設の設置、運営の業務を行う、自ら直営をするということです。

 なお、(3)にございますが、この議員立法には社会保険病院等をめぐるこれまでの様々な議論の経緯を考慮し、引き続き地域で必要とされる医療機能が確保されるものについては、もちろんその地元の地方自治体の意見を聴取をした上でという当然前提がつくわけですが、譲渡することができるという規定が引き続き設けられているということです。

 また、この新しい法人には※にあるように、基本的には国からの運営費交付金は交付されないことに法律上なっているということです。なお、改組日については3.にあるように、平成2641日ということになっております。

RFOから新機構への改組のイメージということで、2ページ目ですが、左、右にそれぞれ比較のような形で載せております。目的や業務については、1ページ目で法律の趣旨や改組法人の概要で御説明したとおりですので省略をいたします。新しい法人の組織体制については一番下の「役職員」にございますが、これまでRFOは理事長以下役員4名、あるいは職員は20数名の体制だったわけですが、来年4月以降は、現在の予定では57病院を直営することになるのですが、その病院の職員が全てこの独立行政法人の職員になるということですので、理事長以下役員については13名、職員は約2万人を超えるような体制ということで、大きく生れ変ることになっております。

 事務・事業の見直し当初案についてです。3ページ目、この事務・事業の見直し当初案については、新しい地域医療機能推進機構では地域において必要とされる医療・介護機能の確保を図るという機構の目的を果たしていただくために、この下の囲みの部分の記載の方針で事業を実施いただいてはどうかということです。見直し当初案のポイントで、現在、各社会保険病院ごとにそれぞれ得意分野等もあって、地域医療に貢献をしていただいているところですが、新機構への移行後についても、地域の実情や各病院あるいは老健施設の強みを活かして、全国規模の病院グループとして、それぞれの地域のほかの医療機関などとも十分連携をしていただきながら、ここにありますように急性期から回復期、介護に至るまでのシームレスなサービスを提供していただき、地域医療、介護の確保に取り組んでいただきたいと考えているところです。

 具体的には、ここにポツが3つございますが、1つは、地域での取組が十分でない分野について積極的にその機能役割を補完をしていただきたいということ。2つ目として、地域医療支援機能の体制整備、例えばということで括弧の中に入れておりますが、地域の医療機関との連携や地域の医療従事者に対する教育や研修といったこと、あるいは地域医療に係る情報発信などが考えられると思いますが、そういったことにも取り組んでいただき、3つ目のポツのように、救急、災害、へき地、周産期、小児といった5事業や、リハビリテーションの実施に取り組んでいただくということです。

2つ目の○ですが、現在の社会保険病院等には、約半数に老健施設が併設されている特色がございます。新機構はこれを引き継ぐことになっておりますので、この特色を踏まえ、老人保健施設サービス、施設サービスだけでなく、ショートステイやリハビリ、訪問看護などの複合的なサービスを一体的に提供する。また、そのための拠点として地域包括ケア、これは医療・介護・生活の支援などが日常生活の場で一体的に提供できる地域の体制ということですが、こういった地域包括ケアの推進にも取り組んでいただきたいということです。

 次のページは組織・運営の見直し当初案です。これまで病院等について、RFOから特例民法法人に委託をしておりましたが、これを直営をするということになります。来年4月以降はこういった直営ということですので、全国規模の病院グループとして、そのスケールメリットをいかした組織運営を実現していただくことが必要と考えております。また、一元的な規定、組織系統に基づき、内部統制を十分確立した運営を行っていただく必要があると考えております。

 見直し当初案のポイントとしては、その下に囲ってある部分です。1つ目の○のように、まず新機構の病院間の人事異動を行うことにより、法人内で適切な人員配置を実現をしていただくこと。2点目としては、経営指導などの病院運営について、機構本部が積極的に関与していただくこと。3つ目として、職員の適正配置、共同入札の実施などにより、機構法人としてその効率的な運営を実施していただく。そういった運営に取り組んでいただくことを考えているところです。新機構についての業務や組織の見直し当初案についての説明は、以上です。よろしくお願いいたします。

 

○山口委員長

 続いて、私のほうから年金部会での審議における委員からの意見等について、御報告を申し上げます。年金・健康保険福祉施設整理機構の組織・業務全般の見直し当初案につきましては819日の年金部会で議論が行われまして、了承されております。なお、年金部会の中では、見直し当初案について特段の意見は出されておりません。以上でございます。

 それでは、ただいま説明がありました組織・業務全般の見直し当初案について、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。

 

○亀岡委員

 教えていただきたいのですが、これはちょうど新しい組織改組のイメージの所です。年金・健康保険福祉施設整理機構から新たな地域医療機能推進機構ということで、大きく組織が変わるかと思うのです。そのときに特に役員のところですが、従前は随分役員のほとんど非常勤の方で構成されていたわけですが、この中、特に監事については従前監事2名が非常勤ということになっておるのですが、新たな所においては、特に常勤、非常勤というところが書かれておらないのですが、監事2名についてはどのように考えておられるのでしょうか。

 

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長

 お答え申し上げます。新機構における監事2名については、常勤、非常勤の別は現在まだ検討中でございますけれども、同様に、病院を運営しております先行法人といいますか、国立病院機構などにおきましては、確か常勤、非常勤1名ずつという構成になっておりましたので、そういった先行法人の例も参考にしながら今後進めていきたいと考えております。以上です。

 

○山口委員長

 よろしいでしょうか。はい、今村委員。

 

○今村委員

2点ほど質問をさせていただきます。1つは、労働部会の労働者健康福祉機構とも関わる問題ですが、「地域医療」というキーワードが載っております。労働者健康福祉機構は、御存じのとおり、勤労者医療の地域支援の推進ということで、地域医療に関する重要な役割を従来から担わされております。これとの関係はどうなっているかということについて、質問させていただきたい。

 この表の2ページですか、地域医療推進機構の改組の右側、オレンジ色の所に、住民福祉の推進等に照らした、勤労者とは注意深く書いてないのですが、住民の中で勤労してない人の割合というのはかなり少ないと思うのです、かなりオーバーラップすると思うのですが、この辺をどういうふうに区別しておられるのかということについて、特に教えていただきたいことが1つ。

 もう1つは、最後の所で、組織・業務全般の見直し当初案について、先ほど来いろいろな委員から指摘されておりますが、機構の病院間で人事異動を行うなど、適切な人員配置、それから機構本部が経営指導を行うとか、最後の所、共同入札と職員の適正配置、これは機構の中だけではなくて、機構を超えて情報共有、あるいは共同入札、人事的な異動はいかなくとも、コミュニケーションと情報共有ということはあり得るかと思います。それについては、機構の組織を超えてどの程度お考えかということもお聞きしたいと思うのです。以上です。

 

○石渡委員

 関連して、よろしいでしょうか。こういうふうに新しい組織になったときに、民間の機関に対する浸食というか、今まで果たしていた機能を機構の病院等が、簡単に言ってしまえば奪い取ってしまうようなことにならないのか。多分、社会保険病院というのも地域性でそれぞれかなり特徴が違うと思うのですけれども、むしろレベルの低い地域をアップするための役割みたいなところを果たそうとするのか、というところを分かりやすく教えていただきたいと思います。

 

○山口委員長

 では、所管課のほうから。

 

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長

 全部で4点ほどお尋ねがあったかと思うのです。まず1点目の労災関係との仕分けというか、デマケみたいなお話だったのだろうと思うのですが、基本的にはその新しい地域医療機能推進機構といいますのは、確かに国立病院にしろ、労災の病院にしろ、地域医療をやっておられる、あちらの病院も地域医療をやっておられるということは、確かにそのとおりではございます。ただ、労災病院とか、あるいは国病などについては、一方で、その政策医療の提供を実施していただくというところが1つの大きな目的になっているのではないかなと思っております。こちらの地域医療機能推進機構のほうは、むしろいろいろな人口構造、高齢化の話とか、地域の病院における機能の役割分担とか、そういったところが十分に進んでいない中で、新しい機構というのは、その地域において必ずしも民間病院だけに見られたときに、なかなか十分に手が差しのべられないような分野が仮にあったとして、そういったことも含めた地域医療全体を、地域における地域医療の機能を確保していくことを目的にした運営をしていくというところで、1つ役割分担というのがあるのかなと考えております。

2点目の改組のイメージの所に書いてあります、住民福祉の増進なのですが、ここも確かに御指摘ありましたように、勤労者ではない住民というのは、全体の数からいけば数は少ないのだとは思いますけれども、かといって、その地域医療機能推進機構は勤労者以外のところだけをターゲットにしてということでもありませんので、そこは広く地域における医療機能を確保していくというところで、ある意味、その両者は重なり合っている部分は、必ずしもそこは否定できないところなのかなというふうに正直には思っているところです。

3点目の共同入札の部分ですが、誤り等があればここは補足してもらえればと思うのですが、基本的にはいろいろな病院グループ等との、例えば国病とか、あるいはそのほかの民間の病院グループとかもあるかもしれませんが、幅広く連携をして、共同入札というのはやっていくことも今後検討していく必要はあるのかなと思っておるところです。

4点目の、民間の仕事を奪うのではないかというような御指摘ですが、こちらについても、最初の1点目の中でも触れましたが、今あるところの仕事を民間で取り組んでいただいているところの仕事を奪うというよりは、むしろ地域において足らざるところをいかに補っていくのか。そこにこの新しい機構の存在意義があるのだと思いますので、最初の私の説明のところで申し上げましたように、その地域のほかのいろいろな医療機関とも連携をし、あるいはその地域において足らざるところを補っていただく、補完していただくと。地域で取組が十分でない分野について、積極的に補完していくというようなところも、この新機構が病院運営をやっていく中で取り組んでいただく、1つの部分なのかなと思っております。以上です。

 

○山口委員長

 よろしいでしょうか。はい、宮崎委員。

 

○宮崎委員

 同じく、この改組のイメージのところで、少し内容を理解したいという趣旨で御質問させていただければと思うのですが、現行が特例民法法人などの職員になっております。新しく改組すると、職員が約2万人前後とあって、医師不足などもありますが、職員の確保というところが気になっております。これは現状の特例民法法人の職員を、法律上はそのまま承継するということなのか、あるいは、別途その職員は採用確保しなければならないということなのか。そこが理解できていないものですから、教えていただければと思います。

 

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長

 現在は、今、御指摘ありましたように、病院現場の職員は特例民法法人の職員です。新機構になりますときには、病院現場の職員については、今の特例民法法人を退職していただきまして、新機構の職員として採用されると。基本は引き継がれるということで、今、考えているところです。

 

○宮崎委員

 ありがとうございます。

 

○山口委員長

 よろしいでしょうか。ほかに御質問、はい、藤川委員。

 

○藤川委員

 同じページなのですが、役職員の数がほかの法人と比べて、比較的多いのかなというか、それは職員数ですとか、病院数とか勘案して、やや多目な感じがしました。あと、常勤の理事がわりとほかの所と比べて、例えば国立病院機構であれば、理事11名のうち非常勤9名というような感じで、何となくそういうイメージを持ったのですが、常勤の方が多いとか、全般に数が多いという辺りの理由を教えてください。

 

○年金局事業企画課社会保険病院等対策室長

 新機構の役職員の数は、実は法律で、もう人数も含めて決まっているところですけれども、その考え方としましては、役所がどうこう言うのもなかなか僭越かもしれませんけれども、やはり今の予定では57病院の予定なのですけれども、約60に近い病院を、全国の病院を運営をしていく、直営をしていくというところ、職員の数も約2万人という、そこら辺りの規模も考えつつ、なおかつ、今あります国立病院機構の理事の数なども、恐らく横目でにらみながら、こういった人数が法定されているのではないかなというふうに理解をしているところです。

 

○松尾委員

 これは希望といいますか、この機構については、今度は病院が新しく入ってきて、これから全体の統治機構とか、ガバナンスとか、ミッションとかいろいろ決めてやっていくということで、しばらく落ち着くのに時間はかかるとは思うのですね。思うのですけれども、新しい機構が出来ますと、国立病院機構の病院、労災病院、そしてまた今度この機構の病院ということで、ミッションを狭く分けてしまうと、例えば経営的には成り立たないとか、いろいろな病院としては本当に機能が果せるということがあると思います。

 それで独立行政法人化したのですけれども、一方では経営の自由度はないといけないのですが、一方でこれらの病院というのは、やはり民間の病院と比べたら、かなりパブリック度が高いといいますか、そういうことなので、将来的にはやはりどういうミッションが全体としてあって、それを全体としてどう果していくかというふうな議論も少しやっていかないと、それぞれ独立したのがやると、恐らく重複したり、いろいろなことが出てくるのかなと思います。ですから来年から始まるので、まだしばらく機構が落ち着くまで時間はかかると思うのですけれど、全体としての議論も是非進めていっていただきたいと思います。是非よろしくお願いします。これは是非、厚生労働省のほうにもお願いしたいと思います。

 

○山口委員長

 ありがとうございました。非常に貴重な御意見だと思いますので、取りあえず、この法人の話というよりも、今後の全体としての病院の行政、それぞれのミッション、役割といったようなものを、役所のほうでも十分考えてみていただきたいということだと思います。それでは、ただいま説明のありました組織・業務全般の見直し当初案については、修正意見はなかったと理解をしておりますので、当委員会として了承したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要になった場合の対応につきましては、私に御一任いただきたいと思います。

 それでは次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替えを行いますので、しばらくお待ちください。どうもありがとうございました。

(法人及び所管課入替え)

 

○山口委員長

 それでは議事を再開いたします。続いて、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の最終評価について審議いたします。813日の医療・福祉部会において、最終評価書()が検討されておりますので、平井部会長代理から御報告をお願いいたします。

 

○平井委員

 それでは、のぞみの園の最終評価書()について御報告いたします。資料5-2を御参照いただきながら説明していきたいと思います。のぞみの園の第二期中間目標期間は、平成20年度から24年度の最終評価です。最初に、「評価の視点」についてです。資料5-21ページを御覧ください。のぞみの園の設立目的は、重度知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、知的障害者の支援に関する調査及び研究等を行うことにより、知的障害者の福祉の向上を図ることとされております。そういうことで、業務運営の効率化とサービスの質の確保という、質の異なる目標を課せられていることを考慮することが必要です。このため、のぞみの園の業務運営に対する評価の留意点として、単に数値目標の達成状況に着目するだけでなく、業務内容の質の面にも力点を置いて評価すべきものと考えます。

 ということで、業務実績全般の評価としては、1ページの下から3行目から3ページにわたって書いてあります。まず、業務運営の効率化についてです。のぞみの園の設立目的に沿った業務運営を行うために、「地域移行」と申しております入所利用者の自立支援の推進と高齢化対策、そして新たな政策課題に対する取組等を推進するために平成21年度、23年度及び24年度には寮再編を実施し、生活寮の数を減らし、更に平成20年度、22年度及び23年度においては、新たな政策課題である矯正施設等退所者への支援事業の推進を図るために、組織改正を実施し、平成24年度には施設事業局の組織再編や障害児通所支援センター等の、新たな事業への取組のための体制整備の検討を行っており、効率的かつ柔軟な組織改正に積極的に取り組んだことを評価したいと存じます。

 次に、業務運営の効率化に伴う経費節減についてです。これは中期目標において設定された運営費交付金の23%以上の節減に向けて、常勤職員数を計画的に削減するとともに、平成21年度から国家公務員の新しい給与体系に準拠した給与制度を導入し、俸給の引下げ等により、人件費を削減しました。また、一般競争入札等の実施による費用の節減に努めるなど、積極的に行っております。ということで、運営費交付金は平成19年度に比べて、平成24年度までに8.1億円、34.8%の節減が可能になっており、中期目標を上回っていることを高く評価したいと思います。なお、今後も独立行政法人として業務運営の効率化に取り組む一方で、サービス水準の維持の観点から、有用な人材の育成・確保を図るなど、施設利用者に対する支援の質を高めるための方策についても、留意していただきたいということを申し添えます。

 次に、地域移行への取組についてです。施設利用者は年々高齢化し、身体機能等の低下が進み、地域移行や新たな同意を得ることが難しくなっている中で、施設利用者及び保護者・家族の意向を尊重しつつ、障害特性を考慮した受入先の確保に努めるといった個別支援計画に基づいて、一人一人丁寧に手順を踏んで取り組んでいるというように評価したいと思います。こうした取組の結果、平成24年度までに第一期中期目標期間から通算して150名の入所利用者が、出身地での地域生活のためにのぞみの園を退所したことなど、中期目標に向けて着実に成果を上げていることを評価いたします。

 次に、矯正施設等退所者など著しく支援が困難な者への支援についてです。著しく支援が困難な者に対しての支援は、全国の知的障害関係施設・事業所においても直面している重要な課題です。のぞみの園においては専門家を招へいし、その指導の下、職員の支援と技術の向上を図るとともに、モデル的な支援の確立に向けて事業を推進したことを評価いたします。

 調査・研究については知的障害者の地域移行、行動障害等を有する著しく支援が困難な者への支援、矯正施設等退所者への支援、発達障害者・児への支援、健康管理、福祉と医療の連携など、国の政策課題となっているテーマや、全国の知的障害関係事業所において関心の高いテーマを取り上げて実施しております。また、これらの成果を活用するなど、障害者福祉や保健医療に留意する者の資質向上を図るための研修会やセミナー等を積極的に実施したことを評価したいと思います。

 なお、のぞみの園は平成23311日に発生した東日本大震災により被災した、障害者や障害関係施設に対する支援に積極的に取り組んでおります。特に平成23415日から現在に至るまで、福島第一原子力発電所の10キロメートル圏内にある被災施設の社会福祉法人友愛会の利用者及び職員を一括して受け入れており、従来の事業ができるように支援しております。今後も国立施設として、こういった支援に積極的に取り組むことを要請したいと思います。

 全般的な評価は以上ですが、最後に3ページの8行目以降を御覧いただきたいと思います。今後の業務運営に当たっての留意点ということで、ここにまとめております。まず、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下「障害者総合支援法」)が、平成2541日から施行されたことから、これまで培ってきた福祉と医療の連携における支援の専門性を活用して、重い障害を持っている方の地域生活を支えるモデル的な支援事業に取り組むなど、新法の理念である地域社会における共生の実現に寄与する事業に積極的に取り組むことを、留意点として挙げております。

 具体的には1として、発達障害者・児支援のニーズに的確に対応するため、就学前から成人までを切れ目なく支援するための事業の一層の充実を図ります。

2として、矯正施設等退所者への支援、行動障害等を有するなど著しく支援が困難な者への支援及び高齢化した施設利用者に対しての支援については、全国の知的障害関係施設・事業所においても直面している重要な課題ですから、のぞみの園においてはモデル的な支援の確立に向けて、引き続き事業を積極的に推進していただきたいということです。

3として、施設利用者の地域移行については、施設利用者の高齢化、機能低下が年々進み、地域移行や新たな同意を得ることが難しくなっております。しかし今後も施設利用者及び保護者・家族の意向を尊重しつつ、障害特性を考慮した受入先の確保に努めるなど、地域生活への移行に向かって粘り強く取り組んでいただきたいということを要望したいと思います。

4として、調査・研究及び養成・研修については、政策課題や障害者総合支援法の新たな政策課題など、国の目標の実現に関する分野、あるいは民間では対応が難しい先駆的な分野について、関係機関や大学等の外部有識者との連携を図りながら実施するなど、更に充実を図っていただきたいということを要望いたします。中期目標に沿った個別業務の評価は、3ページの下から5行目以降に記載しておりますが、ここでは時間の関係で省略させていただきます。

 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の第二期中間目標期間の業務実績の最終評価は以上のとおりですが、813日の医療・福祉部会において、以上のことが了承されました。以上です。

 

○山口委員長

 それでは、ただいま御報告いただいた最終評価書()について、御意見等がございましたらお願いいたします。

 

○亀岡委員

 資料5-13ページ目です。「内部統制・ガバナンス強化への取組」ということで、一応B評価になっています。この中身の具体的なものが、ページの表題がないのですが、もう1枚の細かく書いてある4ページ目の「事故防止への取組」が、多分これとリンクしている部分なのかと思うのです。これを見ますと平成24年度になると、ヒヤリハットの実績が従前に比べて10倍以上です。一気に増加している。これは大変素晴らしい報告かとは思っているのですが、同時に、事故の発生状況はそんなに大きく下がっていないのです。通常、ヒヤリハットで事前にパッと止めるということから考えると、結果として事故がどんどん減っていくのかなと、私などは単純に思うのです。これだけヒヤリハットの実績があっても事故が減らないということになると、どんどんリスクが増えてきているのか。この辺の評価はどのようにされたのかだけ、お聞きしたいと思います。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 のぞみの理事長の遠藤でございます。よろしくお願いいたします。ただいまの御指摘のように、私どもはヒヤリハットについて、職員が積極的に報告しやすいようにということで取り組みまして、平成24年度は大変件数が増えております。職員の意識を高めるという意味では、効果があったと思っております。他方で事故の発生件数については、目に見えた成果は上がっておりません。その原因としては、特に入所利用者がだんだん高齢化してきて、機能低下が大分進んでいるということもあります。職員が24時間体制で支援し、介護しているわけですけれども、どうしても機能低下が原因で、ちょっとしたことで倒れてしまったり、利用者同士が接触して、ちょっとしたことでも骨折になったり、頭部などに切り傷を作ったりしてしまうということがあります。私どもとしてはこういったいろいろな報告を基にして、発生防止に努めておりますけれども、どうしても利用者御本人の機能低下などによって、なかなか防げない事故も発生しているというのが正直なところです。

 

○山口委員長

 ほかにございますか。

 

○石渡委員

 のぞみの園の評価に関してはこれでよろしいのですけれども、今のヒヤリハットなどとも関連して、のぞみの園で出している紀要などを拝見した中で、これから高齢化対応を考えていったときに、障害という枠の中に捕らわれずに、救護施設や養護老人ホームの障害者利用という辺りを取り上げてくださっていますけれども、そういう所との情報の共有とか、のぞみの園の研究成果などを発信していただくような、今までの障害福祉という枠を超えたところでの連携に、積極的に取り組んでいただくことの必要性を、私もこの間救護施設の方などと話している中で再認識いたしました。その辺りについては是非、更に情報発信なども考えていただけたらということを、お願いとして言わせていただけたらというところです。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 御意見を幾つかありがとうございました。御指摘のように、救護施設などに知的障害のある人たちが、かなりの割合で入所しているという事実もございます。ただ、生活保護施設ということで、制度的に分断されており、私どももそういった協力・連携面で、これまでなかなか力を入れてこなかったのも事実です。しかしながら、同じ知的障害のある人たちの日々の生活、あるいは、これからの人生を考えますと、私どもで取り組んでいる成果を何らかの形で共有していただくのも、大変大事なことと思います。そういう意味で、これからいろいろと工夫させていただきたいと思います。

 

○山口委員長

 それでは、特に修正意見もないようですので、中期目標期間の業務実績の最終評価結果として当委員会で決定し、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の取扱いについては、先ほどと同様に私に一任させていただきたいと思います。

(各委員了承)

 

○山口委員長

 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。最後に理事長から一言お願いします。

 

○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長

 第二期の最終評価結果を御了承いただきまして、ありがとうございました。私どもは第二期について、厚生労働大臣から指示された中期目標は、全般的に達成することができたと考えております。これも関係者の皆様から御指導・御協力いただいたたまものと、改めて御礼申し上げます。

 本日の最終評価結果の3ページでも御紹介がありましたように、今後の業務運営に当たっての留意点が5つ掲げられております。第三期の中期目標・中期計画の中でも、同様の記述がございます。したがって、これらの5つの項目というのは、第三期ののぞみの園の事業展開の基本方針になるものと受け止めて、役職員一体となって、第三期の目標を達成できるように、全力を尽くしてまいりたいと思います。のぞみの園としては、こういった方針に基づいて事業を進めるに当たって、知的障害を主とするというのは当然ですけれども、発達障害なども含めて、障害のある人たちのニーズに幅広く、かつ的確に対応する事業展開をしていかなければならないと考えております。また、発達障害の場合、先ほどの5点の中にも書いてありましたように、就学前から成人までの切れ目のない支援が大変重要です。そういった意味で、私どもは必ずしも年齢に捕らわれず、事業を展開していけたらという方向で全力を尽くしてまいりたいと思います。

 いずれにしても、障害福祉行政の推進に寄与するために、こういった総合施設の運営、調査・研究、人材の養成研修といったこれらの事業を一体的に進めて、貢献していけたらと考えております。今後とものぞみの園に対して御指導・御鞭撻をよろしくお願い申し上げて、御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

 

○山口委員長

 ありがとうございました。それでは次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替えを行いますので、しばらくお待ちください。

(法人及び所管課入替え)

 

○山口委員長

 それでは議事を再開いたします。続きまして、福祉医療機構の最終評価についての審議を行います。813日の医療・福祉部会において、最終評価書()が検討されておりますので、平井部会長代理から御報告をお願いします。

 

○平井委員

 資料6-1の最初のページに、点数の評定評価のまとめが記載されております。また、資料6-2が最終評価結果()です。これらに基づいて御説明いたします。

 評価結果の総評ですが、福祉医療機構におきましては、現理事長が平成204月に民間出身者として初めて就任して以来、お客さま目線に立った利用者サービスの向上という経営理念、すなわち「民間活動応援宣言」を掲げられて、「お客さま満足を徹底して追求していく」という運営方針を役職員に浸透させた結果、理事長のリーダーシップが非常に効果的に発揮される体制構築をはじめ、非常に充実した業務実績を上げられていることを高く評価しております。

 今後も民間のノウハウや経営姿勢など、民間の良い面、言い換えると、独立行政法人に今まで不足していた面を、引き続き福祉医療機構に浸透させていただくことを期待したいと思います。特に、東日本大震災への対応については、福祉医療機構の総力を挙げて、被災地の復旧・復興を支援しており、独立行政法人としての社会的役割を十分に発揮していると評価しております。

 このような実績を踏まえ、今回の平成20年度から平成24年度における最終評価結果としては、業務運営体制の整備及び退職手当共済事業の2項目はS評価、福祉医療貸付事業など12項目でA評価、福祉医療貸付に係る債権管理など2項目でB評価とさせていただきました。

 まず、S評価について御説明します。業務運営体制の整備及び退職手当共済事業はS評価を付けておりますが、S評価の効率的かつ効果的な運営体制の整備、最終評価書()2ページを御参照ください。経営企画会議を毎月開催し、重要事項に対して迅速かつ的確な経営判断を行うとともに、役員連絡会を毎週開催するなど、情報共有及び問題意識の共有を徹底されています。また、理事長の経営姿勢及び考え方等を役員及び幹部職員に対して指示するとともに、全職員にイントラネットにより漏れなく伝えるなど、理事長の意向が組織運営に反映される統制環境の整備を推進しておられます。

 このような業務運営体制のもと、東日本大震災への対応をはじめとして、多岐にわたる事業を実施している機構の特徴や専門性をいかしつつ、業務間の連携を強化し、業務の効率的な運営を図っておられます。

 また、業務の実態を踏まえ、継続的に業務運営体制の見直し、組織のスリム化を図る一方、ガバナンスや内部統制環境の高度化、職員のモチベーションを上げるための取組みを実施されていることを高く評価しております。

 同じく、8ページのS評価の退職手当共済事業については、退職手当支給に係る平均処理日数の短縮に努め、計画の目標値を大幅に上回る短縮を実現することができており、利用者サービスの向上を図っていることが認められたため、5年間連続して高い評価にさせていただきました。また、電子届出システムについては、利用者アンケートに基づき、毎年度、システムの改善を継続的に行っており、更なる操作性の向上を図っております。その結果、非常に高い利用率につながっており、効果として利用者の事務負担の軽減、また、福祉医療機構の事務の効率化等も図られていることを高く評価しております。

 次に、A評価の福祉医療貸付事業等の12項目に関してです。代表して、福祉医療貸付事業及び福祉医療経営指導事業について講評させていただきます。まず、4ページの福祉貸付事業、5ページの医療貸付事業に関しては、政策融資の果たすべき役割を踏まえ、介護基盤の緊急整備、保育所の整備や病院の耐震化整備事業など、増大する利用者ニーズに迅速かつ的確に対応するとともに、審査業務及び資金交付業務においても迅速化が進められるなど、利用者サービスの向上を図っていることを高く評価しております。

 また、東日本大震災で被災された社会福祉施設や医療関係施設等に対し、円滑・迅速かつきめ細かな対応をするなど、積極的に支援されていることが認められ、国の目指す福祉・介護、医療サービスを安定的かつ効果的に提供する基盤整備を支援しているものと評価します。

6ページの福祉医療経営指導事業についてです。集団経営指導(セミナー)では、受講希望者の受講機会の確保に努めるとともに、機構の独自性を発揮する情報を新たに発信するなど、施設経営を支援するための情報を的確に提供していることが認められます。

 個別診断については、診断メニューの多様化及び経営指標の拡大を図り、施設経営者等が施設の経営状況を的確に把握し、健全な施設経営を行うことができるよう、経営支援を行っていることが認められ、また、個別経営診断の申込書の受理から報告書の提示までの平均処理期間についても、中期計画に定めた目標を達成できております。

 さらに、平成24年度からは、福祉・医療貸付の融資先が自らの施設の経営状況と経営指標を比較することができる「経営指標自己チェックシート」(無料診断)のサービスを開始するなど、顧客サービスの向上に努めているものと評価しております。今後も福祉医療貸付事業など、多岐にわたる事業を実施している福祉医療機構の強みをいかして、各業務間の連携を図り、早い段階から積極的に経営支援を実施するなど、質の高い介護サービス等を安定的に供給できるよう、社会福祉法人等の経営基盤の強化に資する支援を期待しております。

 続きまして、B評価についてです。これは債権管理及び心身障害者扶養保険事業に関してです。5ページから債権管理業務について記載しております。第二期中期目標期間におけるリスク管理債権比率については、前中期目標期間中の比率を上回ったものの、平成24年度末におけるリスク管理債権比率は、東日本大震災に係る返済猶予分は除いておりますが、これに関して、第二期中期目標期間においては最も低い比率となっております。引き続き福祉医療機構におきましては、貸付債権の適正な管理を行うとともに、リスク管理債権比率の改善に努めつつ、不良債権の処理を促進することを期待しております。

8ページの心身障害者扶養保険事業ですが、資金の運用については、外部の有識者から成る委員会の議を経た上で策定した基本ポートフォリオに基づき、安全かつ効果的に行い、毎年おおむね資産ごとのベンチマーク収益率を確保していますが、国が指示する運用利回りを確保できていない年度もありました。しかし、平成24年度においては、おおむね資産ごとのベンチマーク収益率を確保するとともに、厚生労働大臣が指示する運用利回りを確保することができております。

 心身障害者扶養保険事業では、繰越欠損金が発生しております。これについては、外的要因による影響が大きいところですが、今後も引き続き外部専門家から成る心身障害者扶養保険資産運用委員会の助言を受けつつ、市場環境を注視しながら、運用を実施することで着実に解消を図っていくことを期待しております。

 最後になりますが、福祉医療を取り巻く環境は年々非常に大きく変化しており、介護基盤の緊急整備、保育所の整備、病院の耐震化整備など、利用者のニーズは増大する一方です。さらに、医療・福祉分野では、今後新たな成長が期待される分野と考えられることから、福祉医療機構においては政策融資として求められている役割を果たすため、融資対象の重点化及び必要な融資枠の確保、貸付条件緩和等による積極的な支援を行うことにより、地域の福祉施設や医療施設の着実な整備を図っていくことを期待しております。福祉医療機構には、非常に大きな期待が寄せられているとともに、その社会的役割は非常に重要であります。引き続き、理事長の指示の下、お客さま目線に立って、国民のニーズに柔軟かつ迅速に対応し、お客さまから選ばれ続ける組織となって、我が国の福祉と医療の発展に努めていただくことを期待して講評とさせていただきます。以上です。

 

○山口委員長

 ありがとうございました。ただいま御報告をいただいた最終評価書()について、御意見等がありましたらお願いいたします。

 

○今村委員

 資料6-2のほうで、これは質問というか、教えていただければと思う件ですが、2ページの下から3行目、「民間活動応援宣言の具体化に向けて」という言葉と、「民間活動応援本部を設置」という言葉が書いてあり、これに大変関心を持ったのですが、こちらのポンチ絵といいますか、説明資料の10ページ、評価項目89の中に、特に下のほうに、NPO等への助成状況、中期計画80%と。質問は2つで、中期計画80%というのは何に対して80%か。評価項目9の左の下の所「NPO等への助成状況、中期計画80%」というのは、何に対して80%かということです。

 もう1つは、9ページの上の「診断メニューの多様化・経営指標の拡大」は、正に民間活動を応援という形の1つかと思いますが、「診断メニューの多様化・経営指標の拡大」という中で、「保育所の経営指標を試作」「保育所の経営指標を策定」と書いてありますが、この「保育所」というのは法人形態はどういう割合になっているのですか。質問の趣旨は、営利企業から非営利、サードセクターと幅広く民間の事業者はあると思うのですが、それに対してどれだけ幅広く民間活動を支援できているのかという視点からの質問です。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 最初のNPO等への助成については、私どもで助成を行う団体のうち、80%以上はNPO等に対して助成するという目標になっており、それが達成できたというのが最初のお答えです。

2つ目の保育所については、従前までは社会福祉法人等が中心で、民間までまだ融資対象としていなかったことがあり、今のところ社会福祉法人が中心で、ほかの宗教法人とか多々ありますが、基本は社会福祉法人になっております。

 

○今村委員

 確認ですが、そうすると、民間の中に社福も入るわけですね。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 社会福祉法人も民間に入るという認識でおります。

 

○今村委員

 ちなみに営利企業はどうでしょうか。営利の福祉とか、いろいろありますが。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 今は営利法人等も融資対象になっておりますので、今後、融資が増えていけば、そちらのほうも対応できると考えております。

 

○山口委員長

 よろしいでしょうか。

 

○今村委員

 はい、ありがとうございました。

 

○山口委員長

 ほかにありますか。藤川委員、お願いします。

 

○藤川委員

 評価項目7の「債権管理」についてはB評価となっていますが、貸出条件緩和債権の件で伺います。民間の金融機関では貸出条件緩和債権は、検査マニュアルの考え方がある程度変わったところがあって、「実抜計画」があることによって、貸出条件緩和債権が、比較的上の債務者区分にいくような考え方になっていると思うのですが、そういった考えがこちらに及ぶのかどうかというところが分からなかったということです。

 あと、計画をある程度丁寧に作ることによって、債務者の把握ももちろんできますし、区分も上がるというような、そういうきめ細かい管理ができるのかと思ったのですが、その辺りの管理がどうなっているのか教えてください。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 最初の答えは、おっしゃるとおり、私どものほうも適正な計画ができて、民間で条件を緩和して正常となれば、金融庁の検査に沿った形で取り扱っておりますので、考え方は一緒です。

 条件緩和については、私どもも2年間程度繰り返し措置を講じることもあるのですが、基本は3年間程度になりますと、半数程度の貸付先については適正にフォローアップし、助言を行いながら一緒に再建を目指すことによって、正常化しているのが実態です。

 

○藤川委員

 そのわりに貸出条件緩和債権のパーセンテージが余り下がっていないので、もう少し努力が必要かと思ったのですが。

 

○福祉医療機構総務企画部企画室長

 普通の銀行であればと言うのは変な言い方ですが、貸出債権が悪化すれば、それを例えば競売にかけるとか、様々な手段により、債権回収をやっていくことがあると思いますが、私どもの融資の対象先というのは、言ってみれば、老人の方や病気の方が入っている病院とか社会福祉施設ですので、貸出債権が悪化したら直ちに競売にかけるとか、そういうものとは少し違うところがあります。やはり、そこで一緒に早め早めの対応を行い、初期段階で適切にケアし、正常化を目指すところがあります。そういう点でリスク管理債権比率の半分ぐらいは、条件緩和措置を講じ、正常先に戻していくという手法をとっております。

 

○山口委員長

 よろしいでしょうか。それでは、修正意見がないようですので、中期目標期間の業務実績の最終評価結果として、当委員会で決定して、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますか。

(各委員了承)

 

○山口委員長

 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。最後に理事長から一言お願いします。

○福祉医療機構理事長

 福祉医療機構理事長の長野です。一言お礼を申し上げます。委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中、本日は第二期中期目標期間の業務実績の最終評価について、御審議と御評価をいただきまして、ありがとうございます。

 私は第二期の中期目標期間におきまして、効率的な業務運営体制の整備、組織の見直しなどに前向きに取り組んでまいりましたが、本日の御意見、あるいは御指摘を踏まえて、今後ともより効率的かつ効果的な業務運営となるよう、役職員一丸となって努めてまいる所存でございます。

 当機構は、本年4月より第三期の中期目標期間をスタートさせております。この10月には、独立行政法人として発足10年を迎えます。第三期におきましても、独立行政法人としての社会的役割を十分果たせるよう努めるとともに、小回りのきく福祉・医療支援の専門店ということで、国民の皆様のお役に立つ組織となるべく、努力してまいる所存でございます。

 委員の先生方におかれましては、今後とも引き続き私ども当機構に対して御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。本日はありがとうございました。

 

○山口委員長

 ありがとうございました。それでは次の議題に入る前に、法人及び所管課の入替えを行いますので、しばらくお待ちください。どうもありがとうございました。

(法人及び所管課入替え)

 

○山口委員長

 それでは議事を再開いたします。続きまして高齢・障害・求職者雇用支援機構の最終評価について審議を行います。814日、826日の労働部会において、最終評価書()が検討されておりますので、今村部会長から御報告をお願いいたします。

 

○今村委員

 報告させていただきます。説明資料は資料7-1、その別紙及び資料7-2ですが、主として資料7-2に基づいて報告させていただきます。7-1もほぼ説明の順番に整理されているかと思います。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果案について報告申し上げます。最初に機構の中期目標期間の業績評価について、総論的に御説明申し上げたあと、具体的な評価内容についてポイントを絞って説明いたします。

 まず、1ページ目の中段を御覧ください。(2)中期目標期間の業務実績の全般の評価について説明します。機構の業務実績の評価に当たりましては、「高年齢者等及び障害者並びに求職者その他の労働者の職業の安定その他福祉の増進を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与する」という機構の設立目的に照らし、どの程度寄与するものであったか、効率性、有効性等の観点から、適正に業務を実施したかなどの視点に立って評価を行ってまいりました。中期目標期間の全般の業務実績ですが、業務運営の効率化に関しては、本部機能の幕張本部への移転・集約化、地方業務の委託方式の廃止による直接実施等により、効率化に着実に取り組んでおられます。また、人件費削減、一般管理費・業務経費の削減など、経費節減に取り組むとともに、利用者等のニーズ把握、サービスの質の向上などに積極的に取り組んだ結果、業務実績は中期目標・中期計画を上回るなど、着実に実績を上げており、公正、適正に業務を実施していたと評価できます。

2ページ目の中段、具体的な評価内容についてです。(1)業務運営の効率化についてです。先ほど申し上げましたとおり、業務運営体制について本部機能の幕張本部への移転、集約化、地方業務の委託方式の廃止など、業務運営の効率化に着実に取り組んでおり評価できます。また、経費削減等については一般管理費、業務経費ともに中期目標・中期計画を上回る予算の節減を進め、併せて予算執行の節約など、極めて高い努力が認められます。さらに、給付金・助成金業務の事務手続の効率化・簡素化、審査能力の向上等により、1件当たりの平均処理期間が平成19年度と比べて平成24年度で35.3%の短縮となっており評価できます。

(2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上、2ページの1業務の質の向上への取組です。関係者のニーズ等の積極的な把握、サービス終了後の業績評価の実施など、業務の点検、改善に努めておられて評価できます。また、コンプライアンス体制を二元構造として、リスク管理委員会の設置、内部統制への改善に積極的かつ着実に取り組んでおられます。ただし、一部マスコミにおいて、求職者支援訓練に係る不正受給の疑いのある旨の報道があったところです。これについては、統合によるシナジー効果の一層の発揮という観点から、求職者支援制度に係る職業訓練認定業務等については、給付金・助成金支給業務における不正受給防止に向けた全般的な取組を踏まえ、厳正な実施状況確認の在り方を含めた再発防止策を強化するとともに、内部統制の観点から、コンプライアンス意識の向上のための更なる取組に期待いたします。

3ページ、2高齢者等雇用支援業務についてです。高齢者雇用に係る事業主等に対する給付金の支給業務については、給付金の効果的活用の促進に向けた周知・広報及び事務手続の簡素化、合理化に努めており、支給要件等に変更があった場合の公開状況についても毎年度中期計画の数値目標を上回っており評価できます。また、適正な支給業務の実施に当たっては、不正受給防止策の一層の強化に取り組んだことが評価できます。

 事業主に対する相談・援助については、高年齢者雇用アドバイザー等による相談・援助等の実施件数が中期計画の数値目標を上回るとともに、追跡調査において具体的な課題改善効果があったとの評価を得た割合も、中期目標・中期計画の数値目標を大きく上回っており評価できます。

3障害者雇用支援業務です。地域障害者職業センター業務については、他の就労支援機関では対応が困難な精神障害者、発達障害者等に対し、平成24年度末までに延べ148,415人に職業リハビリテーションサービスを実施しており、職業準備支援等修了者の就職等に向かう次の段階への移行率、及び就職率についても、毎年度中期計画の目標を達成していることは高く評価できます。

 ジョブコーチ支援についてですが、平成24年度末に延べ16,465人に対して支援を実施し、支援終了6か月経過時の職場定着率も中期計画の目標を上回っており評価できます。

 さらに、関係機関に対する助言・援助については障害者職業カウンセラーが関係機関の職員へ、支援方法の解説を行うなど、積極的に助言・援助を実施したほか、アンケート調査の結果も中期計画の目標を大幅に上回っており評価できます。

 また、職業リハビリテーションの専門的な人材の育成についても、福祉機関等の職員に対して、専門的、技術的研修を実施するとともに、受講者アンケートの結果を踏まえて、更なる内容の充実を図っており評価できます。

 職業リハビリテーションに関する調査・研究については、そのニーズを踏まえたテーマについて実施しており、毎年度全てのテーマについて3分の2以上の外部評価委員から上位2段階の評価を得て中期計画の目標を達成したことは評価できます。

4ページから5ページにかけてですが、障害者職業能力開発校の運営については、精神障害者、発達障害者、高次脳機能障害者などの職業訓練上特別な支援を要する障害者の積極的な受入れ拡大に取り組みまして、平成24年度においては職業訓練上特別な支援を要する障害者の割合が54.7%となり、2年連続5割を超えるとともに、定員充足率は毎年度中期計画の目標である95%を超えており評価できます。また、雇用情勢に対応した就職促進対策の実施等により、修了者の就職率が毎年度中期計画の目標を上回っていることも評価できます。

 納付金関係業務ですが、事業主の利便性の向上等の取組により、毎年度99%以上の収納率を達成していることは評価できます。特に平成22年度からは新たに適用対象となった200人を超え300人以下の事業主についても、収納率が99%を上回ったことは制度改正にも着実に対応した結果であり評価できます。

 納付金制度に基づく助成金の支給業務については、助成金の効果的活用の促進に向けた周知・広報、事務手続の簡素化に着実に取り組むとともに、不正受給防止対策の強化に取り組むなど、適正な支給業務の実施に努めており評価できます。

 障害者雇用に関する相談・援助等について、特に困難で個別の課題を抱える事業主への相談・援助に取り組んだほか、就労支援機器の普及・啓発の取組により、就労支援機器の利用率が中期計画の目標を上回っており評価できます。

 いちばん下、アビリンピックですが、大会来場者に対して、アンケート調査において障害者の職業能力及び雇用に対する理解度が深まった旨の評価が得られた割合は毎年度中期計画の目標を大幅に上回っており評価できます。

6ページ、4の職業能力開発業務についてです。職業能力開発業務の実施に当たっては、地域の実情に応じた運営に努めるとともに、新規成長分野における訓練カリキュラムの開発・検証など、関係機関との連携を図っているほか、訓練コースについては機構版教育訓練ガイドラインに基づいたPDCAサイクルによる見直しを行っていますが、今後もニーズに応えた職業訓練の効果的な実施に取り組むことを期待します。また、職業能力開発総合大学校については、平成24年度末に相模原校を廃止し、東京校への集約を完了したほか、全国の職業訓練指導員を対象としたスキルアップ訓練については、出前型訓練を全国において試行実施するとともに、平成26年度から導入するハイレベル訓練の実施に向けて必要な準備を進めていることは評価できます。

7ページの離職者訓練です。これについては地域ごとに人材ニーズを踏まえた上で、民間教育訓練機関では実施できない訓練コースの設定に努めるとともに、就職支援ツールを活用した就職支援の強化を行っており、こうした取組により、訓練修了者の終了後3か月時点の就職率は毎年度中期計画の目標を大幅に上回ったほか、常用労働者の割合も毎年度向上しており評価できます。

 なお、定員充足率が経年的に低下傾向にあることを踏まえ、各施設の定員充足率を明らかにし、低調な施設においては定員充足率の向上に取り組んでいると認められますが、今後も引き続き定員充足率の向上に取り組むことを期待します。

 高度技能者の養成訓練については、きめ細かな就職支援の取組等により、専門課程及び応用課程の修了者のうち、就職希望者の就職率は中期計画の目標を上回るとともに、常用労働者の割合も高い水準を維持したことは評価できます。

 在職者訓練です。受講者と事業主のアンケート調査の満足度が中期計画の目標を大幅に上回ったことは評価できます。また、事業主等自らが職業訓練を実施するための支援については、職業訓練指導員の派遣、施設設備の貸与、「緊急雇用対策講習」を実施しており評価できます。

8ページです。職業訓練指導員の養成については、技能習得の指導、キャリア・コンサルティング、就職支援等に幅広く対応できる能力を有する人材の養成に努めており評価できます。また国際連携・協力の推進等についても、開発途上国からの研修員等の受入れや職業訓練指導員の開発途上国への派遣等、国際貢献の取組を行っており評価できます。

 最後になりますが、平成2310月から開始された求職者支援制度に係る職業訓練認定業務については職業能力の開発及び向上を図るため、効果的な訓練内容となっていることを踏まえた審査に努めるとともに、定期的に訓練実施機関に対し実施状況の確認を行うなど、求職者支援訓練の質の確保、訓練実施機関への支援に取り組んでいます。

 なお、冒頭に申し上げましたが、一部マスコミにおいて求職者支援訓練に係る不正受給の疑いがある旨の報道があったところです。現下の雇用構造が大きく変化する中で、新たに登場しました求職者支援制度の重要性はますます高まっており、求職者支援訓練の効果的な実施と質の確保を図るために、更なる役割を果たしていただく必要があります。このため、関係機関との緊密な連携の下、今回の不正受給事案の全容解明を図るとともに、その結果を踏まえ厚生労働省と連携し、厳正なチェック体制の構築など、実施状況確認の在り方を含めた再発防止策に速やかに取り組む必要があります。また、これらの取組と併せて、サードセクターを含めた民間訓練実施機関との連携、協同によるこの制度の効果的な運用を期待します。労働部会としても引き続き当該事案の全容解明、今後の再発防止対策等の取組等を注視することとしています。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標期間の業務実績の最終評価の結果は以上のとおりです。

 なお、先の労働部会において本評価書について特段の意見は出ず、原案どおり了承されました。

 

○山口委員長

 ありがとうございました。ただいま御報告いただきました最終評価書()について、御意見等がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。修正意見がないようですので、中期目標期間の業務実績の最終評価結果として、当委員会で決定し、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認など修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますでしょうか。

(各委員了承)

 

○山口委員長

 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。

 最後に理事長から一言お願いいたします。

 

○高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長

 本日は御審議を大変ありがとうございました。今、今村委員からお話いただきました最終評価書において示されました課題などを踏まえまして、役職員一丸となって業務の更なる改善、あるいは事業運営の一層の効率化に努めてまいる所存でございます。これも今村委員から御報告がありましたが、一部マスコミにおいて求職者支援訓練に係る不正受給の疑いがある案件に関しまして、当機構の非常勤の嘱託職員が関与しているのではないかという疑いがあるという旨の報道もあったところです。当機構としましては、これもお話にございましたとおり、警察を含めた関係機関との密接な連携の下で、当該事案の全容解明を図るとともに、その結果を踏まえて厚生労働省と連携をし、厳正な実施状況確認の在り方を含めた再発防止策を速やかに構築し取り組んでまいりたいと思っております。

 また、特に求職者支援業務における更なるコンプライアンスの意識の醸成というか、浸透というか、あるいは意識の徹底に更に取り組んでいきたいと考えております。引き続き御指導のほど、よろしくお願いを申し上げます。本日はありがとうございました。

 

○山口委員長

 どうもありがとうございました。それでは次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替えを行いますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。どうもありがとうございました。

(法人及び所管課入替え)

 

○山口委員長

 議事を再開します。本日最後の法人になりますが、勤労者退職金共済機構の最終評価について審議を行います。826日の労働部会において、最終評価書()が検討されていますので、今村部会長から御報告をお願いします。

 

○今村委員

 再び私から報告させていただきます。聞き取りにくいところがあるかもしれませんがどうぞ引き続きよろしくお願いします。

 資料は、8-18-2です。8-1に重要なデータ等があります。主に8-2に基づいて進めさせていただきます。それでは、中期目標期間の業務実績の評価について概要を申し上げます。

1(2)です。中期目標期間の業務実績全般の評価です。機構の目的に照らして、業務の効率化及び質の向上により得られた成果が「確実な退職金支給」、「退職金制度への着実な加入」及び「財形持家融資制度の普及」にどの程度寄与するかという視点が、評価の中心となります。

 中期目標期間の業務実績については、全体としては適正に業務を実施したと評価できますが、なお、以下の4点に留意する必要があります。

1中退共事業については、平成24年度に累積欠損金が解消されましたが、林退共事業においては、一定額の累積欠損金が解消されたものの、引き続き「累積欠損金解消計画」を踏まえて、今後の市場の推移の中で着実に解消を図ることが求められます。

2加入促進については、制度の安定的な運営のため、実施体制も含めた対策の見直しを行い、一層効率的かつ効果的な取組を行うことを期待します。

3中退共事業における退職金未請求、それから、建退共事業における共済手帳の長期未更新及び証紙の未貼付については、意欲的な取組がなされています。しかし、未請求率がこのところ下げ止まりの傾向にあります。今後とも未請求の発生要因や建設業の労働市場の特殊性に配慮しつつ、更なる取組を進められることを期待いたします。なお、未請求の退職金の存在等は制度の性格上、一定程度はやむを得ない面がある中で、これまでの評価委員会でも議論したところです。未請求率等に関する目標の妥当性の検証を行うとともに、併せてそのようなことを行う費用に対して、費用対効果という面も配慮の上で取組を行っていただきたいと思います。

4財産形成促進制度については、中小企業における融資の利用促進を図るため、中退共制度の利用促進に向けた取組との連携を強化する等、更なる取組の強化が期待されるところです。

3ページ下の具体的な評価内容です。ポイントを申し上げます。業務運営の効率化に関する措置についてです。効率的な業務実施体制の確立については、「業務・システム最適化計画」に基づいて新システムを稼働させ、システム管理業務の一元化を図ったことや、新たに資金運用部を設置して、資産運用業務の一元化を図るなどをして、効率的な業務実施体制を確立したこと、及び独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止に伴う財形事業の移管を円滑に進めたことなどが評価できます。

2中期計画の定期的な進行管理については、「業務推進委員会」等を定期的に開催し、業務の進捗状況の把握、検証を行うとともに、進行管理を職員一人一人に徹底させ、周知させるなど、中期計画の推進管理は着実に行われていると認められます。

3内部統制の強化です。これについてはコンプライアンス推進委員会において、基本方針の策定・改正を行うとともに、理事会、コンプライアンス推進委員会等の開催により、内部統制の強化を図っており、また新たに財形融資ALMリスク管理委員会を開催するなど、ガバナンス・コンプライアンス高度化への取組は評価できます。

4業務運営の効率化に伴う経費節減です。これについても、一般管理費及び退職金共済事業経費について、退職金共済事業における運営費交付金廃止後の平成22年度以降も、各年度予算に対して着実に削減を行っている点は評価できます。

 次に、人件費の節減についてです。超過勤務管理などの努力の結果、目標を上回る経費削減がなされており、今後も職員の労働インセンティブの低下につながることにならないよう留意しつつ、人件費等の削減に引き続き努められることを期待いたします。随意契約の見直しについては、計画に基づく取組を着実に行い、目標を上回る取組を行った点は評価できます。

5ページです。(2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置についてです。確実な退職金支給のための取組です。まず、中退共事業における退職金未請求に対する取組として、「加入状況のお知らせ」等の発行により、被共済者の意識を高める取組等を行ったほか、電話による請求手続要請等の新たな取組を実施して、未請求率は取組開始前の2.8%前後から、平成24年度末時点においては1.7%と縮減されており、今後も工夫等をしながら取組を推進することを期待いたします。

 建退共事業においては、共済手帳の長期未更新者発生防止等に関する取組として、新規加入時及び共済手帳の更新時における被共済者の住所把握等による長期未更新者縮減に向けた取組が引き続き行われており、努力が認められます。共済証紙の適正な貼付に向けた取組については、共済手帳及び共済証紙の受払簿の厳格な審査等を行い、共済証紙の販売額の累計と貼付確認額の累計との差額縮減の努力が認められますが、目標には及ばなかったので、その要因分析に基づき、引き続き効果的な対策を期待いたします。清退共事業及び林退共事業についても、新規加入時及び共済手帳の更新時において把握した被共済者の住所のデータベース化を行う等、対策の強化を行っている点は評価できます。

6ページの2サービスの向上についてです。退職金給付に係る処理期間については、中退共事業については25日以内で、建退共、清退共及び林退共事業については30日以内とする目標を達成するとともに、これを維持できたことは評価できます。

3加入促進対策の効果的実施についてですが、中期目標期間中の加入者数の目標達成率が機構全体として加入目標を上回り、評価できます。

7ページの2です。財産形成促進事業についてです。貸付事業については、平均6日で対応した点、周知広報についてもホームページのアクセス件数、リーフレット配布箇所数など、目標を大きく上回った点は評価できます。

7ページ下の1累積欠損金の処理です。中退共事業においては、平成19年度末時点の累積欠損金1,564億円が平成24年度末時点で解消され、逆に利益剰余金539億円を計上した点は非常に高く評価できるところです。

 林退共事業においても、平成19年度末時点の累積欠損金13.57億円が平成24年度末時点で26,000万円以上解消しましたが、今後とも引き続き累積欠損金解消計画を踏まえて着実な解消に努めることが求められます。

 次に、2健全な資産運用等についても、第三者による外部評価を反映しつつ、「資産運用の基本方針」に基づき資産運用を実施した結果、市場の低迷等の影響から当期純損失を計上した年もありますが、全体として各共済事業ともおおむねベンチマークと同等のパフォーマンスが達成されていると認められます。

2は、財産形成促進事業、雇用促進融資事業についてです。財産形成促進事業における累積欠損金を解消した点は評価できます。雇用促進融資については、財政投融資への償還も約定どおり実施されており、財務内容の改善が着実に進んでいると認められます。

 (4)その他業務運営に関する措置です。退職金機構ビル及び同別館について、外部有識者で構成する「退職金機構ビルのあり方に関する検討会」の意見を踏まえまして、平成245月の移転に向けた準備です。土地・建物の売却処分等、速やかに行った点は評価できます。松戸宿舎、越谷宿舎は現物による国庫納付を行い、着実に取組を行った点は評価できます。

 シナジーとしての退職金共済事業と財産形成促進事業の連携については、「中退共だより」に財形事業の広告を掲載するなど、周知広報に係る取組については評価できます。予算については、毎年度の決算額が当初予算額より減少するなど、範囲内で適正に執行されており評価できます。以上が勤労者退職金共済機構の中期目標期間の業務実績の評価です。

 

○山口委員長

 ありがとうございました。それでは、ただいま御報告いただきました最終評価書()について、御意見等がありましたらよろしくお願いします。よろしいでしょうか。それでは特に御意見はないようなので、中期目標期間の業務実績の最終評価結果として、当委員会で決定をし、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。

 なお、この後、誤字脱字、事実誤認等よる修正が必要となった場合の対応につきまして、私に御一任いただけますでしょうか。

(各委員了承)

 

○山口委員長

 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。最後に理事長から一言お願いいたします。

 

○勤労者退職金共催機構理事長

 理事長の額賀です。本日は御審議賜りまして、誠にありがとうございました。今後とも、機構運営に万全を期してまいりたいと思いますので、引き続きましてよろしく御指導賜りますようお願い申し上げます。本日は、ありがとうございました。

 

○山口委員長

 ありがとうございました。非常に長い時間になりましたが、本日の議事は以上です。最後に事務局から今後の予定についてお願いいたします。

 

○政策評価審議官

 総会の終了に当たりまして、今後の予定も含めて、一言御挨拶をさせていただきます。当委員会は主として、毎年3月、78月、もう一つは12月というように主に3回開催させていただいていますが、何と言っても夏の委員会が一番のメインになっています。今年も各地で40度を超すという猛暑の中、先月22日の総会に始まりまして、7つの部会を中心に、全部で25回、約70時間に及んで精力的に御審議いただき、本当にありがとうございました。 また、財務担当の委員の方々においては、更に財務ヒアリングということで財務内容の御確認を頂いたということで、それも併せますと、多分100時間を超えるということになるかと思います。

 本日の総会をもちまして、4つの法人の暫定評価、4つの法人の最終評価を決定していただいたということです。今後、事務手続を進めまして、総務省政・独委に提出させていただくとともに、ホームページに公表させていただきたいと思います。

 なお、暫定評価を行いました4つの法人については、先ほどから御議論いただいたように、組織・業務全般の見直し当初案という形で御審議いただきましたが、今後、厚生労働大臣から総務省政・独委に通知し、その審議を経た上で改めて今年12月に、「当初」というのが取れた形で「見直し案」として当委員会において御審議いただくというように考えていますので、どうぞよろしくお願いします。最後に、委員の皆様による熱心な御審議に重ねて御礼を申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。

 

○山口委員長

 それでは、今年夏の独立行政法人評価委員会の審議については以上です。長時間にわたりまして熱心な御審議をいただきまして、誠にありがとうございました。


(了)

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