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2013年8月26日 第85回独立行政法人評価委員会労働部会議事録

○日時

平成25年8月26日(月)12:59~16:27


○場所

厚生労働省専用第12会議室


○出席者

今村部会長、柴田委員、宮崎委員、小西委員、松浦委員

○議事

(以下、議事録)

 

○今村部会長

 定刻になりましたので、ただいまから第85回独立行政法人評価委員会労働部会を開催いたします。委員の皆様におかれましてはお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。本日は高田委員、松尾委員、志藤委員、関口委員が欠席です。

 初めに、事務局から本日の議事について御説明をお願いいたします。

 

○政策評価官

 本日の議事は、お手元の議事次第のとおりです。労働者健康福祉機構、勤労者退職金共済機構につきましては、総合評価をお願いいたします。また、労働者健康福祉機構の暫定評価及び組織・業務全般の見直し当初案、勤労者退職金共済機構の最終評価について御審議をお願いしたいと考えております。

 このほかに労働者健康福祉機構につきましては、平成24年度財務諸表に関する意見についても御審議をお願いいたします。独立行政法人の毎事業年度の財務諸表については、独立行政法人通則法第38条に規定がありますが、厚生労働大臣の承認に先立ちまして、評価委員会の意見を聴くこととされています。後ほど本部会の財務担当委員でいらっしゃいます宮崎委員から法人へのヒアリング結果等を御報告いただき、それを踏まえて御審議いただく形になります。

なお、勤労者退職金共済機構の平成24年度の財務諸表に関する意見については、31日に開催されました第81回独立行政法人評価委員会労働部会で御了承いただきました「中期目標期間終了時における積立金等の承認に係る意見聴取の取扱い」に基づいて、本年6月に持ち回りによる書面審議を行い、本部会として「申請のとおり承認することが適当」という意見を厚生労働大臣に既に提出しておりますことを御報告いたします。

 続きまして、2法人に共通する総合評価の御審議について、簡単に御説明いたします。総合評価については、前回の委員の方々の個別評価の結果に基づき、起草委員から起草いただいております総合評価の案及び評価シートの「委員会としての評定理由」案等について御審議いただきます。

 また、皆様方のお手元に配布させていただいております評定記入用紙については、御参照いただけるよう置いておりますので、御活用いただければと思います。事務局からは以上です。

 

○今村部会長

 それでは議事に入ります。初めに労働者健康福祉機構の平成24年度財務諸表に関する意見について審議を行います。財務担当の宮崎委員から御報告をお願いいたします。

 

○宮崎委員

 労働者健康福祉機構の財務ヒアリング内容について御報告申し上げます。お手元の資料1-6に財務諸表が添付されているかと思います。1ページは、貸借対照表になっています。24年度の法人全体の財務数値は、資料1-61ページで、総資産額4,711億円、2ページに記載がありますとおり負債総額が3,104億円、純資産額1,607億円となっています。同じく資料の3ページが、損益計算書となっています。経常費用の合計3,059億円、経常収益の合計3,067億円、臨時損失約5億円、臨時利益2,700万円が計上されていまして、最終の利益は当期総利益25,600万円となっています。当機構の財務諸表全般について、前年度比の増減内容分析、並びに私が特に必要と判断する個別の会計処理の内容について質疑を行い、その妥当性を確認いたしました。会計監査人は有限責任あずさ監査法人が監査を行っており、同法人から提出を受けている監査実施報告書によって監査の実施状況及び特段の重要な指摘がないということの確認もいたしております。

 また、会計監査人及び監事から提出を受けた監査結果の意見書のいずれにおいても財務諸表の適正意見が表明されているところです。以上から判断させていただきまして、労働者健康福祉機構の平成24年度の財務諸表は適正に作成されており、申請どおり承認することが適当であると判断いたします。

 併せて、若干コメントを付け加えさせていただきます。平成24年度の決算におきましては、診療報酬の増加、経費の削減により、当期総利益25,600万円を計上しているところでありますが、なお、累積欠損金が373億円となっています。引き続き累積欠損金の解消に向けて、医業収入の拡大、経費の削減に御努力いただきたいと考えます。併せて、一部の労災病院において、稼動病床数が低下している病院があります。近隣の自治体との連携強化に加えて労災病院間の医師の人事交流、人員配置の工夫を図るなど、医師不足解消に向けて取組強化を検討いただきたいと希望いたします。以上です。

 

○今村部会長

 ありがとうございました。ただいま御報告をいただいた労働者健康福祉機構の財務諸表について、御意見等がありましたらお願いいたします。

 すみません、表の読み方が分からないのですが、累積欠損金が373億円というお話でしたが、2ページの一番下の、「繰越欠損金当期末処理損金△373億円」とあって、そのうち当期総損失は△なしで「25,600万円」と書いてありますが、これは損失が増えたのでしょうか、減ったのでしょうか、数字の見方が分からないので。

 

○宮崎委員

3ページの損益計算書を御覧いただきたいのですが、当期総利益25,600万円となっておりまして、この期は利益となっています。2ページのうち、「当期総損失」と記載があるのは、「当期総利益」ではないかと思いますけれども。

 

○今村部会長

 ちょっとよく分からないのですが、当期損失は上が△なので、下は△がないのでプラスなのかな、というのはなんとなく分かりますけれども、左側に「当期総損失」と書いてあると、あれっ、という。これは増えたのですね、損失が減ったのですね。

 

○宮崎委員

 損失が減ったのです。

 

○今村部会長

 はい、分かりました。ありがとうございます。

 ほかに何か御意見等ありますでしょうか。修正意見がないようですので、平成24年度の財務諸表に対する意見としては、資料1-1意見書()のとおり、厚生労働大臣に提出したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○今村部会長

 ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。

 続きまして、労働者健康福祉機構の総合評価について審議いたします。起草委員を代表して、小西委員から御報告をお願いいたします。なお、議事運営の都合上、報告時間はおおむね10分程度を目指してお願いいたします。

 

○小西委員

 労働者健康福祉機構の平成24年度業務実績の評価概要について、ポイントを絞って御報告申し上げます。お手元の資料1-2、平成24年度の業務実績の評価結果()を御覧いただきながらお聞きいただければと思います。まず、本文1ページの1、平成24年度業務実績についての(2)平成24年度業務実績全般の評価です。第1段落では、中期目標で定められた機構の目的と業務の内容等について記載しています。これらのミッションを適切かつ効率的に実施し、適切に被災労働者の福祉の増進へ寄与しているかという視点が評価の中心となります。

 第2段落以下から全般的な評価を御説明いたします。労災病院事業においては急性期に対応した高度・専門的医療の提供、地域医療支援の一層の推進に取り組んでいると認められます。労災疾病研究では、国内の労災指定医療機関等に対する成果の普及に加え、国外への普及の取組等が認められます。産業保健推進センター事業では、産業医等に対する専門的な研修・相談等の積極的な取組を行ったほか、未払賃金立替払事業では過去最高の実績を達成しております。今後は労災疾病等研究の成果の臨床への積極的な普及活動や実用化に向けた取組を更に進めることが必要であるとともに、産業保健推進センターにおける研修業務を通じた産業保健活動の現場への還元の一層の取組など、医師等の職場環境にも配慮しつつ、更に積極的な取組が進められることを期待いたします。業務実績全般の評価については以上です。

 次に、2ページからの2、具体的な評価内容について、(1)(4)の大きく4つに分けて御説明いたします。まずは(1)業務運営の効率化に関する措置についてです。1機構の組織運営体制の見直しについては、機構本部から労災病院等への経営指導・支援体制の強化に取り組むとともに、医師不足への対応や医療材料、医療機器の共同購入等を促進するなど、本部のガバナンスを発揮し、着実に成果を上げていると評価できます。続きまして2一般管理費、事業費等の効率化については、平成23年度に比べ、一般管理費は3.2%、事業費は7.8%削減するなど、着実な成果を上げたと言えます。

 次に3ページからの(2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について、順番に御説明いたします。1労災疾病等に係る研究開発の推進等について、労災病院グループでは労災疾病等13分野に係る医学研究・開発や、その成果の普及を進めており、大学等の研究で取り上げられにくい分野を含めた研究の推進と臨床への応用の取組として高く評価できます。具体的には、アスベスト関連疾患の早期診断、メンタルヘルス不調の予防等の各研究において着実な取組を行っていることが高く評価できます。

4ページ、2勤労者医療の中核的役割の推進について。ア、高度・専門的医療の提供については、労災病院では地域がん診療連携拠点病院等の認定病院の増加、71看護施設の拡大等に取り組んでおり、地域の中核的医療機関としての体制構築、強化を着々と進めていることは評価できます。イ、勤労者医療の地域支援の推進については、紹介元医療機関への有用度調査の評価が前年度を上回る79.3%となっており、地域の医療機関のニーズに沿った活動がなされていると評価できます。

5ページのウ、行政機関等への貢献については、東日本大震災に対する継続的な取組に加え、いわゆる胆管がん問題に対して、全国の産業保健推進センターと労災病院の連携という、機構ならではのネットワークをいかした取組を行っており、高く評価できます。エ、過労死予防等の推進について、勤労者予防医療センターにおける勤労者への指導、相談人数等の各目標を達成しており、評価できます。更に横浜労災病院で試行している職場訪問型職場復帰支援は、より現場に近い取組として評価できます。

なお、過労死予防は使用者への働きかけが重要であるので、都道府県労働局など、医療機関以外の機関との連携も期待いたします。

 同じ5ページの3重度被災労働者の職場・社会復帰の促進について。医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センター並びに労災リハビリテーション作業所の運営業務では、それぞれ社会復帰率等の目標数値を達成しており、計画に沿って適正に運営されていると評価できます。

6ページ、4産業保健活動の積極的な支援と充実したサービスの提供推進について。いわゆる胆管がん問題に対して行政と連携し、相談対応フローチャートを作成し、対応体制を確保したあと、全国の産業保健推進センター等において、印刷業の労働者や事業者からの相談に対応できる体制を迅速に整備したことなどが評価できます。また、産業保健推進センター等での産業保健関係者に対する研修業務については、現場で実践できるスキルの体得を目的とした参加型研修や休日・夜間の開催等の取組により、研修件数及び受講者の有益度調査に係る目標を達成していることが評価できます。加えて、産業保健推進センターに係る退職手当を除く運営費交付金については、中期目標期間の最終年度において、平成20年度実績と比べておおむね3割削減を図るとされているところ、平成24年度の削減率は41.5%で、着実な削減が図られています。機構の研究成果の普及は機構にとって重要なミッションであることから、更なるサービスの質と量の向上のための対応について検討を行っていただくことを期待いたします。

 続いて7ページの5、未払賃金の立替払事業と6納骨堂の運営業務についてです。どちらの事業、業務についてもそれぞれの目標が的確に達成されていることが評価できます。

なお、納骨堂の運営業務については今後、一般国民へ向けた事業の周知についてより一層の取組を期待いたします。

 その次に同じく7ページから8ページにかけての(3)財務内容の改善等について御説明いたします。1労災病院について、平成24年度は約8億円の経常利益、約3億円の当期損益を確保しており、着実な改善が見られます。8ページの2人事、施設・整備等に関する計画については、運営費交付金を充当して行う事業に係る常勤職員を期首の職員数である720人以内であるとするという計画に基づき、650人まで削減しており、着実な取組を行っているものと評価できます。

 その次に同じく8ページからの(4)評価委員会が厳正に評価する事項及び政・独委評価の視点等への対応について御説明いたします。これらについては、19までの項目がありますけれども、時間の都合もありますので、いくつかの項目に絞って御説明申し上げます。9ページの3組織体制・人件費管理についてのア、給与水準の状況についてです。平成24年度のラスパイレス指数はここに記載のとおり、いずれも国と比べて給与水準が高くなっています。要因としては、1つは全体的に低年齢層の平均給与額は国を下回り、その一方で、中高年齢層の平均給与額が国を上回り、年功的傾向の強い給与体系となっていることです。もう1つは国において、平成24年度4月から給与減額措置が実施されているところ、人材確保に配慮しつつ、本部全職員及び労災病院等の施設幹部職員を対象に、平成24年度9月から給与減額を実施したため、給与減額措置の開始日及び対象者の割合が国とは異なることとなったことです。今後も医師の確保状況を考慮した上で、より適正な給与水準の在り方について必要な検討を進めていただきますようお願い申し上げます。

 続きまして10ページのイ、総人件費改革の進捗状況についてです。平成24年度の総人件費総額は平成17年度に比べ6.9%の増の1,087億円となっており、行革推進法に基づく削減率を達成できていませんが、これは労災病院が政策的な労災医療への取組や、中核的医療機関としての救急医療や地域医療を担っていることから、その求められる役割を着実に果たしていくため、医師、看護師等の必要な体制を確保したことによるものです。一方で、こうした政策的な医療など、義務的・不可避的な増加を除いた人件費分については賞与削減等の給与改革や施設の統廃合等を推進し、平成24年度の事務・技能職員の人件費総額は平成17年度比で21.4%減と大幅な削減が図られています。今後も労災病院事業を行っているという特殊性はあるものの、行革推進法を踏まえた適正な人件費管理に努め、更なる効率的な運営を期待いたします。

 最後に12ページの7内部統制についてです。機構は中期目標及び中期計画に基づき、理事長自らが機構を取り巻く情勢、基本的課題、取り組むべき事項及び方向性を明確にするとともに、これを踏まえ、年度計画及び運営方針を策定し、全職員に周知するとともに、運営方針を踏まえ、関係職員全員が参加して、BSC(バランス・スコアカード)を作成し、PDCAサイクルによるマネジメントシステムを実施しており、高いレベルで維持していると評価できます。駆け足になりましたが、以上が労働者健康福祉機構の平成24年度業務実績の評価結果の概要です。

 

○今村部会長

 ありがとうございました。ただいま御報告をいただきました総合評価書()について、御意見等がありましたらお願いいたします。よろしいですか、特になければ、まだ若干議論をする時間がありますけれども。

 いつも問題になるのですが、医師、看護師のラスパイレスの国との比較で、医師と看護師とで若干、凸凹がありますよね。それと、10ページの上から78行目辺りの前年度のラスパイレスと比べて、当機構が事務・技術職が6.0ポイント、病院医師4.5、病院看護師5.8とそれぞれ上昇したと書いてありますけれども、一方で小西委員のお読みいただいた中ではその後に、より適正な給与水準の在り方について今後も必要な検討を進めていただきたいという趣旨は、給与水準についてはもう少し調整を検討していただきたいということでしょうか。

 

○小西委員

 その辺はなかなか難しいところではあると思うのですが、常にそのような観点をもっていただいて、検討の対象としていただきたいということです。

 

○今村部会長

 病院の医師、看護師の確保が非常に難しいところですし、業務の根本ですので、難しい状況ではあると思います。特に御意見はないですか。

 それでは、特に修正意見はないようですので、平成24年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますでしょうか。

(各委員了承)

 

○今村部会長

 それでは、現在までの意見・報告等を踏まえ、個別評定を修正したい方は、ここで評定記入用紙の修正・確定の時間を設けさせていただきますのでよろしくお願いいたします。なお、修正に当たりまして、事務局より留意事項がありますのでよろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 評定記入用紙の修正に当たっての留意事項になりますが、修正につきましては赤鉛筆で修正していただきますようお願いします。また、修正のある箇所についてはお手元にあります付箋を貼っていただきますようお願いします。机上配布しています個別項目に関する評定結果の資料については、現在いただいている評定を、「S」を5点、「A」を4点、「B」を3点、「C」を2点、「D」を1点に点数化したものです。委員名は空欄としておりますので、委員各自には御自身の名前以外は分からないような状態になっています。なお、評定記入用紙につきましては、部会終了後に回収いたしますので持ち帰りにならないよう、机の上に置いたままでお帰りいただくようお願いします。以上です。

 

○今村部会長

 それでは、5分ほど修正・確定の時間を設けさせていただきますので、その間に評定記入用紙の確認や修正・確定をお願いいたします。

 

○今村部会長

 ではよろしいでしょうか。これをもちまして、労働者健康福祉機構の平成24年度業務実績評価に関する意見を取りまとめいたします。評価書には評価結果の別添として、評価シートの集約版が添付されておりますが、本日、評定記入用紙の確認・修正を行っていただいたことにより、評価シートの集約版の内容が変更となる際には、その内容について、私に御一任いただきたいと存じます。なお、場合によっては個別に各委員に御意見を賜ることもあるかもしれませんが、その際にはよろしくお願いいたします。

 次に、労働者健康福祉機構の暫定評価について審議いたします。まず、事務局から暫定評価について説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 暫定評価について簡単に御説明いたします。これまでの評価結果を、次期中期目標の策定などへ反映させるという観点から、中期目標期間の最終年度において、中期目標期間の業績に係る暫定評価を行うこととされております。暫定評価につきましては、中期目標期間中の各年度の法人の実績や、各年度の業務実績の評価結果を踏まえ、起草委員の先生に作成していただいた暫定評価結果案を基に御審議いただく形になります。なお、暫定評価につきましては、総会での決定事項になりますので、本日の部会で審議を行い、一次評価を行った上で、その結果を部会長より総会に報告していただき、総会での審議を経て暫定評価を決定するという流れになります。以上でございます。

 

○今村部会長

 それでは、法人から中期目標期間の業務実績について説明をお願いし、その後、起草委員を代表して小西委員から暫定評価書()について御説明をいただき、最後に質疑応答という形で進めていきたいと思います。なお、議事運営の都合上、御報告時間は、おおむね10分程度でお願いしたいと思います。それでは、法人より中期目標期間4年間の業務実績について説明をお願いいたします。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 労働者健康福祉機構の総務部長です。お手元にお配りしております資料1-3に基づき御説明させていただきます。時間が限られていますので、掻い摘まんで御説明いたします。

1ページ、評価シート1、高度・専門的医療の提供についてです。暫定評価は「A」となっています。急性期医療への対応については、平均在院日数は平成21年の15.2日から平成24年の14.5日に短縮しています。また、71の看護体制の導入状況は、平成21年度は9施設だったものが、平成24年度は23施設ということで、14施設増えています。救急医療体制の強化については、救急搬送患者数で言いますと、平成21年度は67,000余だったものが、24年度は76,000弱というところまで増えています。学会等への積極的な参加については、学会認定医数、専門医数や指導医数がこの4年間増えているという状況です。

2ページです。同じく専門センター化によるチーム医療の推進の関係です。設置センター数は平成21年度の146センターから順次増え、平成24年度は156センターになっています。患者満足度調査結果ですが、これについても80%以上の満足度を確保しています。クリニカルパスの活用状況の件数については、平成21年度は3,700余であったものが、24年度は4,400余まで増加しています。最後に臨床評価指標に基づく評価については、平成24年度から新たにデータ収集を開始しています。以上が評価シート1の関係です。

 続きまして評価シート2、勤労者医療の地域支援についてです。これについては暫定評価は「A」となっています。1、有用度調査については75%以上を確保しています。次に、拠点病院等の承認取得数は、地域医療支援病院については平成21年の17施設から、24年の24施設まで増えています。がんについては、地域がん診療連携拠点病院に準ずる病院については24年度は8施設まできているという状況です。3の地域連携については、(1)紹介率、逆紹介率についてはそこにあるとおり、それぞれ目標の数字をクリアしています。検討会、講習会等の開催の状況については、そこにあるような状況でございまして、24年度までに96,000人弱の参加数を得ていますので、10万人以上をクリアすることが確実という状況です。受託検査数についても、そこにありますとおり、24年度までに13万数千件になっていまして、これについても延べ15万件以上ということが確実な状況です。

 次に、評価シート3、行政機関への貢献についてです。暫定評価「S」となっています。これについても、まず福島第一原発への医師派遣の関係について、そこにありますような実績を挙げています。もう1つ、アスベスト関連疾患への対応についても、(1)(3)にありますとおり、技術研修、健診・健康相談、小体計測検査について実施しています。

 次に5ページ、評価シート4、労災疾病等に係る研究・開発についてです。暫定評価は「S」という評価を頂いています。(1)のデータベースのアクセス件数についても、24年度が47万数千件ということで、過去最高になっています。学会発表については、国内、国外の件数はここに掲げているとおりでございまして、それぞれ目標を達成しています。論文掲載件数はそこにあるとおりです。

 次に、6ページ、評価シート5、過労死予防等の推進についてです。これについては暫定評価「A」という評価を頂いています。これらにつきましては14にありますように、過労死予防対策については、集団指導件数等々書いていますが、このような実績になっています。心の健康相談件数についても、メンタル不調予防対策についても、勤労女性の健康管理対策事業もそれぞれ年度の目標、計画を達成しています。

 次に7ページ、評価シート6の医療リハ・総合せき損センターの運営の関係です。暫定評価は「A」となっています。まず医療リハビリテーションセンターですが、これにつきましては医学的に職場、自宅復帰可能である退院患者の割合を80%以上という目標をクリアしています。患者の満足度評価についても、全て80%の目標をクリアしている状況です。2、総合せき損センターについても、同じように職場、自宅復帰可能である患者数、あるいは満足度調査についても、全ての年次において目標の80%以上をクリアしています。

 次に8ページ、労災リハビリテーション作業所の運営についてです。暫定評価は「A」です。1、社会復帰率の向上の関係ですが、これについては毎年向上しており、平成24年度は38.3%と過去最高になっています。また、縮小・廃止の関係ですが、福井作業所については目標を達成し、廃止しました。愛知作業所も同様です。残っております作業所は(4)にありますとおり、宮城と福岡については、今年度末をもって廃止をするということになっております。長野については27年度末をもって廃止ということで、それに向けて準備を進めている状況です。

9ページ、評価シート8、産業保健情報の提供についてです。暫定評価は「A」となっています。1、研修の開催件数も目標を達成しています。相談件数についても目標を24年度に既に達成しています。次に質の向上についてです。アクセス件数についてはそこにあるとおりです。延べ配信件数についても、増加しており、平成24年度においては50万件となっています。併せまして、いわゆる胆管がん問題についても、先ほど小西委員から御報告いただきましたとおり迅速な対応をしたという状況です。

 次に10ページ、評価シート910についてです。産業保健助成金の支給についてです。既に廃止されております助成金ですが、迅速な支給を実施していく中で、処理期間を縮減しており、平成24年度では34日という状況で、目標を達成しています。

 未払賃金立替払の関係ですが、暫定評価は「A」評価ということです。同じく立替払の迅速化に取り組んでおりまして、平成24年度においては17.3日というところまできておりまして、平均30日以内を大幅にクリアしています。求償の関係につきましても、累積回収率で見ますと、平成24年度は24.9%と、過去最高の状況になっています。

11ページ、評価シート1112、納骨堂の運営の関係ですが、暫定評価は「B」ということで、これについては満足度90%以上をクリアしています。

 業務運営の効率化の関係は暫定評価「A」ということで、1の一般管理費の節減については、そこにあるような形で毎年削減幅を広げているという状況です。平成24年度は12.1%まできています。事業費の関係も同様で、平成24年度においては、42.5%まで削減しています。

 次に12ページ、評価シート1314です。予算等について暫定評価は「A」評価ということです。これについては当期損益で見ますと、平成24年度で3億円の黒字ということです。経常損益で見ますと、3年連続黒字が続いています。融資の回収状況も目標を達成しています。

 短期借入金等について、暫定評価は「B」評価ということですが、不要な資産の処分を進めていまして、平成24年度においては8件の処分を実施しているという状況です。

13ページ、人事等に関係する部分ですが、暫定評価は「A」評価ということです。常勤職員の数については、先ほども御報告がありましたように、平成24年度については650人まで縮減しています。あるいは交流・派遣制度、転任制度についても、その時々の状況による部分もありますが、各年度においてそこにありますような実績を上げています。

 産業保健推進センターの集約化についても鋭意進めていまして、24年度においては推進センターを15か所まで減らしています。交付金についても、24年度は41.5%削減ということで、目標を達成しています。

 評価シート16の業績評価の実施についてです。暫定評価は「A」評価ということですが、これについても全ての事業についてBSCを作成し、PDCAサイクルを回して運用の徹底をしています。また、業績評価としまして、年2回評価を実施していますし、新規採用職員等への対応として、本部研修等も実施しています。私からの説明は以上です。

 

○今村部会長

 続きまして、労働者健康福祉機構の起草委員である小西委員から御報告をお願いします。

 

○小西委員

 労働者健康福祉機構の第2期中期目標期間における、業務実績の暫定評価の概要につきまして、ポイントを絞って御報告申し上げます。お手元の資料1-4「独立行政法人労働者健康福祉機構の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果()」を御覧ください。

本文1ページの1、中期目標期間(平成214月~平成263)の業務実績についてという所の(2)中期目標期間の業務実績全般の評価についてです。まず、中期目標で定められた機構の目的と業務の内容等について記載しております。これらのミッションを適切かつ効率的に実施し、適切に労働者の福祉の増進に寄与しているかという視点が中心となります。

 続きまして、第2期中期目標期間の業務実績については、全体としてこれらの視点に資するものであり、適正に業務を実施したと評価できますが、以下の点に留意する必要があります。2ページの12です。1つ目として、労災病院グループが勤労者医療の中核的な役割を果たす医療機関であるとともに、地域医療の中核的医療機関でもある場合が多いことから、地域の医療機関等に対し、労災疾病等研究の成果である労災疾病等に関する診断・治療法の積極的な普及活動や、実用化に向けた取組を更に進めるなど、地域の実情を踏まえつつ、地域医療連携を更に強化し、事業を進めるということです。

 次に、産業保健推進センターにおける研修業務を通じた、産業保健活動の現場への還元の一層の取組を進めるということです。

 次にメンタルヘルスの不調者の職場復帰の支援など、社会的なニーズに的確に対応した活動など、医師等の職場環境にも配慮しつつ、更に積極的な取組が進められるということです。

 最後に、機構の財務内容については、厚生年金基金資産減少に伴う退職給付費用の増等の影響はあるものの、平成22年度以降、3年連続で経常損益について黒字を確保するなど、着実な改善が見られますが、今後なお一層の経営改善を押し進め、繰越欠損金の解消に向けた計画的な取組を進めていただきたいという点があります。

 次に、2ページ中段の2、具体的な評価内容についてです。(1)業務運営の効率化に関する措置についてです。1機構の組織運営体制の見直しについては、機構本部に設置している経営改善推進会議や、個別病院協議等による、本部の経営指導・支援体制の強化に取り組むとともに、医師不足への対応や、医療機器等の共同購入を促進する等、本部のガバナンスを発揮し、着実に成果を上げていると評価できます。

2一般管理費、事業費等の効率化につきましては、平成20年度を起点として、一般管理費については毎年度3%程度削減し、5年間で15%、事業費については毎年度2%程度削減し、5年間で10%に相当する額をそれぞれ削減することが目標となっていますが、平成24年度におきましては、平成20年度と比べ、一般管理費は12.1%の削減、事業費を42.5%削減するなど、効率化が図られ、着実に取組が進んでいるものと評価できます。また、医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの総支出に占める運営費交付金の割合は、平成20年度の水準を維持しており、中期計画に沿った内容となっております。

3ページの(2)国民に対して提供するサービス、その他の業務の質の向上に関する措置についてです。1労災疾病等に係る研究開発の推進等についてですが、労災病院グループでは、産業保健関係者とのネットワークを活用しながら、蓄積された多数の労災疾病等に係る臨床データや、疾病と職業の関連性に係る情報などを基礎として、労災病院のミッションに基づいた、特色ある労災疾病等13分野において大学等の研究で取り上げられにくい分野を含めた医学研究や開発の成果の普及を進めております。その中でもアスベスト関連疾患や粉じん等による呼吸器疾患に関する診断・治療法等については、モンゴル、中国等のアジア諸国からも注目されており、国内はもとより、海外においても研究成果の普及活動に積極的に力を注いでいることは高く評価できます。

4ページ、2勤労者医療の中核的役割の推進についてです。労災病院では、地域がん診療連携拠点病院等の認定病院の増加、71看護体制の拡大等に取り組んでおり、地域における中核的医療機関としての体制構築・強化を着々と進めていることは評価できます。また、勤労者医療の地域支援の推進については、各地域の労災指定医療機関等の医師に対して行ったニーズ調査の結果を踏まえて、時間外受付、休日受付、FAX・メール・連携システム等による紹介患者の受付など、業務改善に取り組み、患者紹介率や逆紹介率、症例検討会、講習会参加人数、受託検査件数等の目標数値を全て達成していることは高く評価できます。

 ウで、更に行政機関等への貢献として、東京電力福島第一原子力発電所における労働者の健康管理等のため、国からの要請に基づき、Jヴィレッジ内の診療所に対し、平成235月以降、全国の労災病院から継続的に医師を派遣するなど、東日本大震災への対応に関する貢献は顕著です。

 また、勤労者予防医療センターにおいて、過労死予防対策、メンタルヘルス不調予防対策、勤労女性の健康管理対策についての取組を行っておりますが、勤労者の利便性の向上を図るため、指導・相談等を時間外・休日も行うとともに、企業等の要望により、出張による指導も積極的に行ったこと等により、目標数値を全て達成し、高い利用者満足度を得ているところです。

5ページの3重度被災労働者の職業・社会復帰の促進についてですが、医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターでは、重度の障害を受けた方の社会復帰に向けた取組として、重度の障害や併発する疾病に対応するため、チーム医療による患者ごとの障害に応じたプログラムの作成・実践等による専門的なリハビリテーションを行うなどをした結果、社会復帰率や患者満足度調査において、目標数値を達成しており、全般的には適正に運営されていると評価できます。

 なお、労災リハビリテーョン作業所の運営業務につきましても、入所者ごとの障害特性や希望に応じた社会復帰促進プログラムの作成等により、社会復帰率の目標を達成しておりますが、閣議決定により現入居者の退去先を確保しつつ、順に廃止することとされており、現在順次廃止を進めていますが、退去先の確実な確保につきましては、引き続き万全を期していただくようお願い申し上げます。

6ページ4産業保健活動の積極的な支援と充実したサービスの提供推進につきましては、閣議決定に基づき、産業保健推進センターを段階的に集約化することとされており、平成24年度末には15か所に集約化しているものの、本部や近隣の産業保健推進センターによる支援等により、産業医等の産業保健関係者等に対して行う実践的・専門的な研修・相談の充実、産業保健関係情報の提供・普及の取組について、目標を達成しています。更に、胆管がん問題に対して、全国の産業保健推進センターと労災病院の連携という、機構ならではのネットワークをいかした取組を行っており、高く評価できます。また、産業保健推進センターに係る運営費交付金については、中期目標期間の最終年度において、平成20年度実績と比べて、おおむね3割削減を図るとされているところ、平成24年度の削減率は41.5%であり、着実な削減が図られております。しかしながら、機構の研究成果の普及は、機構にとって重要なミッションであることから、更なるサービスの質と量の向上のための対応について、検討を行っていただくことを期待いたします。

6ページ下段の5、未払賃金の立替払事業についてです。未払賃金の立替払事業については、請求書の受付日から支払日までの期間について、25日以内を目標としているところ、平成24年度には過去最短の17.3日となっており、労働者の立場に立って的確に事業が推進されています。また、破産した企業に対する求償につきましても、平成24年度には累積回収率が過去最高の24.9%となっており、これまでの実績を更新し、目標を達成している点は高く評価できます。

7ページ6、納骨堂の運営業務についてですが、納骨堂そのものの運営は適切に行われ、社会的啓発の意味からも評価できるものの、一般国民へ向けた事業の周知について、より一層の取組を期待いたします。

 最後に(3)財務内容の改善等についてです。依然として厚生年金基金資産減少に伴う退職給付費用の増等の影響を大きく受けているものの、平成22年度以降は3年連続で経常損益について黒字を確保するなど、着実な改善が見られます。今後についてもなお一層の経営改善を押し進め、繰越欠損金の解消に向けた計画的な取組を期待いたします。また、人事に関する取組については、運営費交付金を充当して行う事業に係る常勤職員が、平成16年度当時800人であったところ、平成24年度には650人まで削減しており、着実な取組を行っているものと評価できます。駆け足になりましたが、以上が労働者健康福祉機構の中期目標期間の業務実績の暫定評価の概要です。以上です。

 

○今村部会長

 ただいま御報告いただきました暫定評価書()について御意見等がありましたらお願いいたします。

 

○松浦委員

2点ほど御質問がございます。1つは細かいことなのですが、資料1-311ページですが、ほかの数字も同じような書きぶりになっているのかもしれませんが、一般管理費の節減額及び節減率、これは全て対20年度だと思ってよろしいのでしょうか。一般管理費が12.1%となっているのですが、上の記述では20年度の相当経費に比べて15%程度節減となっているので、これが目標達成というのが理解できなかったのが1点目です。

 もう1つは素朴な疑問で、もし統一的な考え方があればということで御質問させていただきます。中期計画の目標値について、例えば3ページを御覧いただきますと、3(1)の患者紹介率は平成21年度では55.0%で、23年度になってようやく60%以上の目標が達成されているのですが、一方で逆紹介率は、21年度の段階で42.2%と、かなり早い段階から目標が達成されています。ほかの目標値も初年度に達成されているところが多く、もちろん御努力の成果だと思うのですが、どういうお考え、コンセンサスの基に目標設定をされているのか、その設定の考え方のようなところを少し御教示いただければと思います。以上です。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 最初の点は私から御説明しますが、11ページの考え方ですが、少し分かりにくいのですが、赤字でコメントをいろいろな所に入れているのですが、目標達成と書いてありますのは、その時点で中期目標の計画を全てクリアしたものが目標達成となっているわけです。24年度目標というように限定していますのは、最終的には15%までいかなければならないけれども、まだ12%で達成していないし、削減率は毎年がんがん変わりますので、来年に達成できるという確認もないわけです。ただ、毎年3%ずつ削減していって、最終的に15にしなさいとなっていますので、4年間だと3掛ける412なら少なくとも24年度時点では達成しているということになって、クリアしていると、こういう考え方です。

 

○労働基準局労災補償部労災管理課長

 目標設定の関係につきまして、行政からですが、まず中期目標という形で行政から目標設定をするもの、そして中期目標を受けて中期計画という形で機構が目標設定をするものと2つの種類があるのですが、おおむね考え方は同様かと思います。ある事項について、大体、過去の実績がありますので、過去の実績を踏まえて、実績に更に政策的に上乗せといいましょうか、更にこういう努力をしてほしいというようなことで目標を設定するというのが一般的です。更にその目標が5年間トータルでこの数値という場合もあれば、例えば有用度とかでしたら、毎年80%以上を目指せというのがありますから、そういう意味で各年度、目標を達成するかしないかというのが出てくるものもあれば、累積で出てくるといった性格のものもあります。

 

○松浦委員

 ありがとうございました。

 

○今村部会長

 ほかに。

 

○宮崎委員

 併せて資料1-3で、参考までに教えていただきたいということだけですが、7ページで医療リハビリテーションと総合せき損センターに関しては、職場・自宅復帰可能率が80%以上達成となっておりまして、これは達成されていると。8ページのほうですと、今度は労災リハビリテーションでこちらの社会復帰率は30%以上ということで、内容が同じではないとは思うのですが、社会復帰率というのが片方が80%で片方が30%と、大きく開きがあるのですが、これがどのような要因でこれぐらい開きがあるものなのか、参考に何か事情があれば教えていただければと思います。

 

○労働基準局労災補償部労災管理課長

 ただいまの目標数値は、国が定めました中期目標で出てきている数字ですので、私から説明させていただきます。まず、医療リハビリテーションセンターの関係では、19年度の実績が80.4%でして、これにつきましては重度の障害者ということもあり、更にこれに上乗せをしようというのは、なかなか現実的に困難であろうということから、実態を踏まえた目標を設定したというのがこの80%です。

 労災リハビリテーション作業所につきましても、考え方は同様でございまして、19年度の社会復帰率の実績として、30.4%という数字がございます。これにつきましてもやはり同様にこの労災リハビリテーション作業所に入っておられる方々、せき損の患者さんですとか、かなり重度な方々ですので、数字だけを掲げてこれを達成しようというものに馴染まないものもありますので、実績を踏まえて30%という設定をしたというものです。

 

○宮崎委員

 ありがとうございました。設定の仕方そのものを伺っているのではなくて、業務そのものを少し理解したいというので、片方が8割程度達成されていて、労災リハビリテーションは3割ぐらいになっているというのは、それぞれの業務内容が恐らく違うからだとは思うのですが、どのような要因でこれぐらい開きがあるものなのかというのを、参考までにちょっと教えていただければ。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 若干補足させていただきますと、医療リハビリテーションセンターもせき損センターも、正に事故によって短期的に入院して手術を受けた患者さんですので、職場復帰の意思もありますし、そのための訓練を受けていわば巣立っていかれるという形なのですが、作業所のほうはもともとはそういう趣旨だったのですが、実態的に長期にわたってそこに、言葉がいいかどうかはともかく、長く住んでいる、滞留的にされる方がたくさんいらっしゃるという実態があって、そういう実態があるがゆえに、それは本来の趣旨ではないですよということで廃止という方向性も打ち出されているのですが、実態としてそうなっていますので、ある意味言葉はちょっと足りないかもしれないのですが、職場復帰したいという意思自体もある意味低いといいますか、そこで生活できてしまっているものですから、そういう部分で、機能的には同じようなものなのですが、運営実態として、もう入ったときから出るつもりの人たちがいる施設と、ある意味そこで実態的に生活しているというか、そういう部分が反映されていたのではないかと思います。

 

○宮崎委員

 ありがとうございました。

 

○今村部会長

 次の議題にも関係するかもしれませんが、目標設定の仕方というのが先ほどから議論になっているのですが、例えばその関連でいきますと、6ページの評価シート5、過労死予防等の推進、これは累積でやっていらっしゃるのですよね。(1)1234と。これは若干強調している、23年と24年を比べると、23423年より24年のほうが落ちているのですよね。累積で目標を達成すると、達成度が上がると、ちょっと息切れするのかなとか。ちょっと強調して言い過ぎかもしれませんが、目標設定の仕方としては工夫が必要なのかなというのが、今の私の感想なのですが。減ったのは何か理由があるのですか、23年に比べて24年が、特に心の問題、メンタルヘルス、勤労女性の健康管理というところで、23年に比べて24年が減りましたよね。

 

○労働者健康福祉機構医療企画部長

 私からお答えいたします。実は23年度は東日本大震災がありましたので、相談件数が非常に増えたという事情がございます。それで、だんだん落ち着いてまいりまして、24年度は少し下がったということです。特に23年度、24年度はそういう傾向がありました。21年度、22年度は私のほうで今御説明できないのですが、ここはそんなに大きな要因があったというようには認識しておりません。23年度、24年度はそういうことです。東日本大震災の関係が基本的には大きいと、そのように思っております。

 

○今村部会長

 メンタルの面は全国的にインパクトがあったというふうに考えられるのですね。

 

○労働者健康福祉機構医療企画部長

 はい。

 

○松浦委員

 すみません。私は今回初めて委員になりましたもので、これまでの経緯がよく分かっていなくて恐縮ですが、納骨堂というのは、労災で亡くなった方に対象を限定した事業なのでしょうか。

 もう1つ、未払賃金も、ほかの事業とは位置づけが異なるようにみえるのですが、これも貴法人で実施されているのには何らかの経緯があるのでしょうか。この2つの事業について位置づけや経緯を御教示いただければと思います。

 

○労働者健康福祉機構産業保健・賃金援護部長

 最初に納骨堂の関係ですが、産業殉職者の遺骨を納骨する霊堂というものでございまして、対象としましては、産業殉職者の御遺骨で整理をされております。経緯はもともと労災保険法が施行されて20周年の事業の記念として設けられたという経緯がありました。それ以降、機構の前身である労働福祉事業団が運営をしているといったことです。

 もう1つの立替払の関係ですが、こちらにつきましてもいわゆる現業というのでしょうか、企業が倒産等し、払えなくなった賃金を事業主に替わって立て替えるという事業ですが、国の事業として行っておりますが、現業ということで、国がやるよりは、国の意向を受けた実施主体である当時の労働福祉事業団がやるのが適当であろうというように国が判断されたと聞いていますが、その歴史を受けて、現在も当機構でその事業を行っています。

 

○松浦委員

 ありがとうございました。

 

○今村部会長

 ほかにはありますか。修正意見はないようですので、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果()として、828日に開催される総会におきまして、私から委員会に報告したいと思います。なお、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私に御一任いただけますでしょうか。

(各委員了承)

 

○今村部会長

 ではそのようにさせていただきます。

 次に、労働者健康福祉機構の組織・業務全般の見直し当初案について審議いたします。まず、事務局から説明をお願いし、続いて法人所管課より説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、お手元の資料集の139ページを御覧ください。組織・業務全般の見直し当初案については、独立行政法人通則法第35条の規定を根拠としていまして、「中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて」という、平成1581日の閣議決定に基づき行われるものです。通則法の第35条においては、「中期目標期間の終了時において、主務大臣が法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき所要の措置を講ずること」となっています。主務大臣が当該検討を行うに当たっては、通則法第352項の規定により、評価委員会の意見を聴くこととされており、今回、組織・業務全般の見直しに係る当初案について本部会の御意見を頂くものです。それでは、法人所管課から御説明をお願いします。

 

○労働基準局労災補償部労災管理課長

 途中でも発言いたしましたが、改めて、労働基準局労災補償部労災管理課長です。労働者健康福祉機構の組織・業務の見直し当初案についての説明です。資料としては1-5-11-5-22つ出しています。このうち、2は総務省から指定のあった様式でして、1-5-1がそこから見直しに係る部分を整理した概要版ですので、資料はこの1-5-1を用いて説明をします。

 表紙をめくっていただき、「現中期目標期間における業務の効率化等の取組状況」です。まず、これまでの業務の効率化等の取組状況について整理して書いています。1、事務・事業の廃止です。海外勤務健康管理センターは海外派遣者の健康診断等を行っていた所です。労災リハビリテーション工学センター、これは、義肢、補装具の技術的な改良などを行っていた所です。こういったセンターの廃止、ここにあります2つの助成金の廃止、それから、これまでの議論の中でも出てきた労災リハビリテーション作業所の順次の廃止といったことを進めてきました。

 また、事業運営の効率化では、産業保健推進センターの集約化、本部の効率化や国立病院機構との共同購入を通じた経費の削減を進めてきました。

3の経営改善としては、診療報酬上有利になる上位施設基準の取得などの増収策、給与カーブのフラット化などによる経費の削減、こういったことを進めてきまして、平成22年度に単年度黒字へ転換という実績も上げてきています。

3ページ、「組織・業務全般の見直し当初案」です。これまで以上のようなことを進めてきたという実績を踏まえて、今回の見直しでは、更なる効率化についての努力は引き続き続けるわけですが、むしろ機構の政策的機能の充実・強化を念頭に置いています。

1「事務・事業の見直し」の1です。労働者健康福祉機構の政策的機能の充実・強化を冒頭にもってきました。全ての労働者が安心して働ける社会の実現のため、1事業場における疾病予防を含めた労働者の健康確保への支援、2疾病への適切な治療の提供、3円滑な社会復帰や治療と就労の両立支援の各分野において、適切なサービスが提供可能な体制を構築して労働者の業務上疾病等に係る予防・治療・職場復帰を一貫して実施するということです。このように、機構に与えられた使命を再確認して次の中期目標期間に臨もうというのが基本的な考え方です。また、「併せて」の段落にあるとおり、それぞれの労災病院は、地域の住民の方々に対して医療を提供しているわけですから、それぞれの特性をいかして地域の実情に応じた形での地域医療への貢献も重要なことと考えています。この1が総論的なものでして、2以下が具体的な各論です。

2は産業保健関係です。現在、厚生労働省では機構への交付金と委託事業の形で、ここにある産業保健関係の3つの事業を行っています。産業医等に対する支援を行う産業保健推進センター事業、小規模企業の産業保健活動を支援する地域産業保健事業、それから、事業者の行うメンタルヘルス対策を支援するメンタルヘルス対策支援事業です。これらを一元化して機構で行うことによって事業の効率化を図るとともに、窓口や周知の一本化等で利便性の向上を図るなど効果的な実施にも資するようにしたいと考えています。

3、両立支援・職場復帰支援などです。機構の機能として職場復帰の支援や治療と就労との両立支援をきちんと打ち出したいと考えています。がんや脳卒中等の患者に対して、労災疾病研究で得た知見を活用して職場復帰支援や治療と就労との両立支援に向けた取組を行うということです。また、就労年齢の延長をも踏まえて、作業と関連した疾患の増悪リスク、就労を視野に置いた支援や治療方針の選択等について研究を進めていくことも考えています。

4、研究開発の全般についてです。現在、13分野を掲げてモデル医療やモデル予防法の研究・開発を行っています。13分野というのは、具体的には、脊髄損傷とかメンタルヘルスとかアスベスト関連疾患などでして、依然として、多くの労災が発生している疾病や勤労者の新たな健康課題として社会問題化している疾病です。この13分野について、より適切な研究が実施可能となる方向で見直しを行い、また、研究の中身の充実という観点で必要な支援体制の整理などを進めていきたいと考えています。

5、優秀な人材の確保、育成を掲げています。機構の業務の性格上、優秀な人材、特に医師の人材確保は重要です。そういうこともあって、機構の機能を支える重要事項として優秀な人材の確保、育成を掲げています。

5ページ、個別具体的になります。6、新潟県にある燕労災病院の関係です。現在、新潟県で県央基幹病院について基本構想が検討されています。新潟県で燕労災病院ともう1つほかの病院を統合再編して、公設民営の県央基幹病院を創設したいという方向が打ち出されていまして、この方向での基本構想が検討されています。これに対しては、地域医療への貢献という観点から協力していきたいと考えており、新潟県における検討状況を踏まえつつ、厚生労働省で、そして機構としても必要な検討を進めていきたいと考えています。

7、事業の見直しの関係で、労災リハビリテーション作業所を、平成27年度末までに廃止する方針について確実に実施していきたいと考えています。

6ページ、「業務運営の効率化・財務内容の改善についての見直し」です。本日の議論の冒頭の財務関係の中でも言及がありましたが、今、機構には累積欠損金があります。1の厚生年金基金の見直し等でそれについて触れています。この繰越欠損金の要因にはいろいろなものがありますが、厚生年金基金関係の欠損も大きな要因となっています。厚生年金基金に関しては、先の通常国会で法改正が行われていますので、それを踏まえて、代行返上を行うなど必要な措置を講じると共に、更なる収入確保、支出削減の対策に取り組んで繰越欠損金の解消を図っていきたいと考えています。

2つ目、本部事務所の移転です。本部は今、神奈川県川崎駅近くの民間ビルにオフィスを借りていますが、借料も結構な額ですので、移転をして経費の削減を行うことを機構としても検討する考えです。

3つ目、経営改善などを検討する上で必要と考えられますので、個別病院ごとの財務状態や運営状況が把握できるよう、個別病院単位での財務諸表を作成していくことを考えています。

4つ目、経費の削減や収入増の一貫として、国立病院機構と連携して医薬品や医療機器等の共同購入、治験の共同実施などを進めて業務運営の効率化や財務内容の改善を図っていきたいと考えています。

今期の中期目標期間の実績等を踏まえて、次期中期目標に向けて所管課としては、このような方向で見直しを進めていきたいと考えています。以上です。

 

○今村部会長

 それでは、組織・業務全般の見直し当初案について御意見等がありましたらお願いします。特に3ページの新たな試み、この辺などは質問が多いのではないかと思いますが、大丈夫ですか。

 

○宮崎委員

4ページの優秀な人材の確保、育成ですが、これは非常に重要なことだと思っています。書き振りとしては、大学への働きかけ、公募医師の活用という形になっていますが、先ほどの、例えば燕労災病院の件などもあるので、せっかくネットワークとして労災病院を持っているわけですから、他の労災病院からの人員の配置の見直しとか、何と言いますか、単純に新しく採るだけではなくて、うまく配分の見直しですとか、もしそういう取組も可能であれば、そういった趣旨とかニュアンスが入れられればなと思います。

 

○労働基準局労災補償部労災管理課長

 まず、行政としての考え方を述べて、必要に応じて機構から補足していただければと思います。見直しの当初案として優秀な人材の確保、育成を掲げています。ここで機構内部の人員の適正配置ということもあるでしょうが、それを行うためにも絶対数としての数を確保しておく必要があるのだろうと。むしろここでは、数としての確保に重点を置いてこのような書き方をしました。

 

○宮崎委員

 ありがとうございます。まあ、そういったことなどで、そのほかにも取組としてあるとは思いますので、その辺はどのレベルで検討するかという問題だと思うので、よろしいかと思います。

 それともう1点、6ページの個別病院財務諸表です。これを位置づけとして全部の病院ごとの財務諸表を作るとなると、現状、1-6にもあるように、もともと決算書もかなり分厚いものですから、これを更に病院ごとのものも作ることはなかなか事務負担も大変な面もあるかと思うのです。情報の開示として、事業報告書の中で何か参考情報として入れるのか、本当に監査を受ける財務諸表として位置づけるのかという、その辺は少し検討の余地があるのかなと。例えば参考に、国立病院機構などは本当に病院11個の財務諸表を開示しているのかは、ちょっと疑問に思うところですから、その辺のガバナンスというか、経営管理上把握されることと、それをそのまま全て国民に開示することはまた必ずしも同一ではないと思いますので、その辺の考えを少し御説明いただければと思います。

 

○労働者健康福祉機構経理部長

 先生が今おっしゃった意味で言えば、監査対象とする考え方はありません。病院ごとのBSPLを作りたいなと、それを開示したいなと、そういう考え方でやっています。

 

○宮崎委員

 分かりました。そうしますと、ここだけの表現なのですが、財務諸表と書いてしまうと、いわゆる法定の監査を受ける財務諸表という位置づけがありますので、何か参考情報とか、あるいは要約情報とかという形で少し整理いただければと思います。

 

○今村部会長

 先ほど3ページと申し上げたのですが、これを中期目標、中期計画に下ろしていく段階で更に具体的な議論に出るかと思うのです。事務・事業の見直しの2番で、「一元化による産業保健支援の充実・強化」ということで、3事業を一元化すると書いてあるのですが、それぞれ組織があることを考えると、具体的にどうされるのかなというのはかなり関心のあるところです。具体化の目処はどれくらい立っているのかは関心のあるところですが、非常にいい傾向ではあるかと思います、シナジーを発揮することでは。何かもし現時点でお考えがあれば。

 

○労働基準局労災補償部労災管理課長

 これから平成26年度に向けて具体化を図っていくということですので、確たるものがあるわけではないですが、ここにも書いてあるように、「効率的・効果的に行う」ということで、いわゆる管理部門の在り方をどうするか、そして、業務のより効果的な実施をどうしていくか、これは両方とも両立するよう検討していくべきものと考えています。

 

○今村部会長

 是非、具体的・効果的な目標設定まで実施していただければと期待しています。いかがでしょうか。

 

○柴田委員

 現中期計画目標期間における業務の効率化の取組状況の所で経営改善が入っていて、事業の見直しのこれからについての経営改善がどういう形でなされるのか、関係がよく分かりませんでした。その中ですごく気になっているのは、優秀な人材の確保、育成が必要だという所に、お金のことは何も入っていないことです、報酬のことが。一方で、2ページ目の所の経営改善では「給与カーブのフラット化」と書いてありますが、単にフラット化して給料が下がっていくのでしたら、優秀な人材はちょっと来ないのではないかなと、すごく個別具体的なことで申し訳ないのですが。むしろ、優秀な人材には優秀なだけのきちんとした給料を払うし、看護師でも事務の人でも医師でも、きちんと評価して職務に見合ったお給料をあげるべきだと思います。

 ラスパイレス指数をどう比較するかがすごく難しいと思っているのです。ただ単に職種別の比較が何%だというのではなくて、やはり評価とリンクしていかないと、医師みたいな専門的知識と技術を持っている人や、民間ではものすごい給料をもらっているような人は入れないで、一定の基準の人がいればいいというのでしたらいいのですが、そこら辺の考え方をきちんとしておかないと、人件費が少なくていい人が来ないために信頼性を失うのも問題ですし、単に人件費のフラット化ではない考え方を少し入れていかないと、こういう専門的な高度な能力を有する人たちの質の向上は難しいのではないかなと思いまして、質問したいと思います。

 

○労働基準局労災補償部労災管理課長

 同様な問題意識は行政も機構も有していまして、今の優秀な人材の確保、育成に関しては、3行書いてある一番最後の部分ですが、「労務・福利の整備等」という文言があります。ここで、今、具体的に賃金をどうするとかは書きづらいところもあるのですが、この労務・福利の整備の所で問題点を認識していると言いますか、いろいろなことを含めているつもりです。

 

○柴田委員

 労務と福利はフリンジベネフィットと言うか周辺な感じがしてしまうので、何となくそのような気がしましたが、分かりました、今のところは御検討いただくということで。

 あとは、病院ごとの、ちょっと私はよく理解できていなかったのですが、財務諸表を作るのはいいのですが、一方で、民間ではできないからこそやらなくてはいけないというので、赤字でも仕方がない部分とかの考え方も整理していかないといけないと。ただ赤字だからというのではなくて、公的な役割としてどこまで許容できるかということも少し理論武装しておかないといけないのかなとちょっと思いましたので。いつも外れたことばかり言ってすみません。

 

○今村部会長

 今のことに関して若干重要なインセンティブとして、ここの4番にある13分野研究ですが、いわゆる医学研究者のインパクト指数ですか、業績評価のときに重要になるポイントについては、機構が抱えている分野は十分若手にとって魅力的な分野なのかどうかをお聞きしたいのです、そういう業績を残す上で。その辺はどうなのでしょうか。いろいろな研究機関がありますね、我々でもそうですが、ジャーナルのレベルによって研究成果が評価されていきますね、そうすると、機構が抱えている13分野研究は研究者として評価を得るためには有効な分野なのかどうかという、それだけなのですが。

 

○労働者健康福祉機構理事長

 私がお答えします。機構は様々な職種、あるいは年齢構成からなっていますが、特に病院の医師に関しては定着して幹部になっている方と、ローテートで来ている方がいます。それぞれの中核の大学病院等々との人事交流がないと安定した雇用もできない、それから医療レベルも落ちてしまうということで、大学からのローテーターである若い医師を引き付けるという意味では、やはり研究活動は非常に大きな魅力になると思います。それから、若手の医師たちのいろいろな可能性も研究を通じてまた発展することもあるので、そういう意味でも研究活動は非常に医師の確保にもつながります。それから、やはり今の大学でもこういう労災医療とか、産業保健というのは扱ってはいますが、実際には教育機関、アカデミアではこういうことはほとんど行われていません。実際、産業保健とか労災疾患を支えるのは機構になっています。現実にはそうなっているということで、そういう意味での社会的な我々に課せられた使命と研究を行うことを認識していますので、是非これを何とか伸ばしていきたいと考えています。

 

○今村部会長

 ありがとうございます。是非、給料以外でも魅力的な部分を引き続き維持していただければと思います。修正意見は特にないようですので、828日に開催される総会において私から委員会に報告させていただきたいと思います。なお、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますか。

(各委員了承)

 

○今村部会長

 ありがとうございます。それでは、労働者健康福祉機構に関わる審議は以上となります。最後に理事長から一言お願いします。

 

○労働者健康福祉機構理事長

 本日、先日、2回にわたりまして非常に長時間を費やしていただき、私どもの業務内容を御審議いただきまして大変ありがとうございます。私どもは、厚労省のサポートあるいは指導によりまして勤労者の健康や生活をお守りするというユニークな類例のない組織と自負しているわけです。

 当然ですが、このような事業というのは、時代的背景、時の経済状況と政治事情、いろいろなことによって変化していく、ニーズが変わっていくということですので、あらかじめ目標を設定して一直線にそれを進めるというよりは、今日お集まりいただきましたいろいろな専門の方々からの御高見を頂いて、それで常に軌道修正をしていかなければいけない、常に時代に見合うような事業を進めていかなければいけないと思っています。そういう意味では、むしろ我々はともすればこれに没頭すればするほど他者の見方、第三者の見方という視点が欠落してきますので、皆様方にいろいろな御指摘を賜ることは大変有り難いと感謝しています。また、今日私どもがむしろ内々には申し上げたいことも、なかなか言いづらいことも御発言いただいて大変心強く思っています。非常に本音と言いますか本質に触れたいろいろな議論をしていただき、大変心強く思っている次第でございます。

 特に、私ども労災病院に関わる職員が95%近くでございますので、これに関する評価は大変皆さん注目をしている、関心が高いわけでして、そういう中で高度専門医療の提供とか行政への関与、あるいは労災疾患に関する研究等に高い評価をいただきまして、これは大いに皆を鼓舞し士気を高めることにつながるので、とても感謝している次第です。ただ、勤労者の地域支援に関していろいろな見方があるわけでして、私たちは確かに数字的な面ではそれなりに自負するところもありますが、やはり勤労者医療ということのもつ意味をもう少しいろいろな角度から考えてみたらいかがかと、まずそういう御指摘かと思って、これは謙虚に受け止めているわけでございます。

 また、過労死なども産業保健で実際にファイナルアウトカム、過労死の減少につながるかという御指摘もありまして、いわばこれまで我々が主観的にあれをやったこれをやったと提示していたのですが、多少独り善がりであって、それが客観的に見た場合、マクロで見た場合に社会全体にどういうインパクトを及ぼすかと、そういう視点も重要ではないかと、これも真摯に受け止めていきたいと思います。

 ただ一方では、予算の枠内で我々はやっていまして、法人の活動も御存じのように既定のフレームでやっておりますので、それとファイナルなアウトカムをどのように整合させるかと、これは大変重要な課題でございますが、今度はそういう視点でも、いろいろ我々のアクティビティを検討していきたいと、このように思っている次第でございます。また、昨今の経済状況あるいは産業界の置かれている立場、あるいは一層のグローバリゼーションの波が進む中で、勤労者の健康や生活を守るというのは以前にも増して重要な課題になるかと思っています。また、産業保健活動の一本化ということで、全く新たな基軸に沿って進むことになりますので、そういう意味でも、今まで以上に気を引き締めて我々に負託された業務の遂行に精励いたしたいと思う次第です。

 本日は、長時間いろいろ御審議いただき、また貴重な建設的なコメントを賜りまして、本当にありがとうございました。これを糧にしてこれからもこの機構をマネージしていきたいと、このような所存でありますので、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

 

○今村部会長

 どうもありがとうございました。労働者健康福祉機構に係る審議は以上ですが、次の議題に入る前に法人及び法人所管課の入替えを行います。これに約10分ほど要しますので、開始時刻は1450分を予定しています。時間になりましたら御着席ください。どうもありがとうございました。

(法人及び所管課入替え)

 

○今村部会長

 それでは議事を再開します。続きまして、勤労者退職金共済機構の総合評価について審議いたします。私から起草委員を代表して御報告します。資料は2-1です。平成24年度の評価結果です。できるだけ効率的に読んでいきたいと思います。まず、1(2)の平成24年度業務実績全般の評価です。機構の目的に照らして業務の効率化及び質の向上により得られた成果が、「確実な退職金支給」、「退職金制度への着実な加入」及び「財形持家融資制度の普及」にどの程度寄与するかという視点が評価の中心となります。平成24年度の業務実績については、全体としては適正に業務を実施したと評価できますが、3ページのように以下の点について留意する必要があります。

 まず、中退共事業は平成24年度に累積欠損金が解消されました。林退共事業についても一定の累積欠損金が解消されたものの、引き続き「累積欠損金解消計画」を踏まえて、今後の市場の推移の中で着実に解消を図ることが重要と思われます。

2の加入促進については平成25年度もさらに効果的な取組を行うことが求められます。特に平成24年度に加入者が目的に達しなかった中退共事業、建退共事業及び林退共事業については、業界の状況等も勘案しつつ、確実な加入に向けてより一層の努力が求められます。

 次に3の中退共事業ですが、退職金未請求、建退共事業における共済手帳の長期未更新者及び証紙の未貼付については、機構において意欲的な取組がなされているものの、未請求率等がこのところ下げ止まりの傾向にあります。今後とも未請求の発生要因、建設業の労働市場の特殊性などに留意しつつ、更なる取組が行われることを期待いたします。なお未請求の退職金の存在等は制度の性格上一定程度は止むを得ないものですが、これまでの評価委員会でも議論してきました未請求率等に関する目標の妥当性の検証も含めて、費用対効果の面も配慮の上、取組を行っていただきたいと思います。

4は財産形成促進制度です。中小企業における融資の利用促進を図るため、中小企業退職金共済制度の利用促進に向けた取組との連携を強化する等更なる取組の工夫がなされることを期待します。

 次は具体的な評価内容です。まず3ページの下から始まっている業務運営の効率化に関する措置についてです。1の効率的な業務実施体制の確立については、確実な退職金支給のための取組として、「業務・システム最適化計画」の一部を改訂して、中退共事業の退職金未請求対策の強化を行ったほか、各事業本部の外に新たに資金運用部を設置して、資産運用業務の一元化を図りました。また適格退職年金移行担当組織を廃止し、定員を7名削減し、効率的な業務実施体制の確立に大きな成果を上げている点は高く評価できます。

 次に2は中期計画の定期的な進行管理です。加入促進対策の遂行状況については、組織的な進行管理が図られており、中期計画の進行管理は着実に行われると認められます。

3は内部統制の強化です。理事会、幹部会及びコンプライアンス推進委員会等の開催により内部統制の強化を図っており、従来からのPDCAの仕組みに加え、財形融資ALMリスク管理委員会の開催や理事長と管理職員との個別面談など、ガバナンス・コンプライアンス高度化への取組は評価できます。

4の業務運営の効率化に伴う経費節減についても、順調に経費節減が行われている点は評価できます。また随意契約の見直しについては、「随意契約等見直し計画」に基づく取組を着実に行い、目標を上回る取組を行った点は評価できます。

 次は4ページの(2)、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置についてです。11確実な退職金支給のための取組については、まず中退共事業における退職金未請求に対する取組として、引き続き「加入通知書」や「加入状況のお知らせ」の発行により、被共済者の認識を高める取組を行ったほか、退職後3か月を経過しても未請求者のいる対象事業所に対して要請通知を行うことに併せ、平成22年度脱退の未請求者に関する対象事業所への2回目、3回目の請求手続要請やテレホンアプローチを実施し、脱退後2年経過後の未請求率を1.7%に縮小したことは評価できます。しかし未請求率がこのところ下げ止まりの傾向にあるため、目標達成に向けて要因分析を行った上で効果的な取組を期待します。また、これまでに累積した退職金未請求者に対する取組についても、引き続き退職後5年以上を経過した未請求者のいる事業所に対し、未請求者の住所等の情報提供を依頼し、入手した情報に基づき被共済者に対して請求手続を要請するとともに、時効完成直前の未請求者のうち、住所等の情報提供がされた者で未だ請求されていない者に対して、2回目の請求手続を要請するなど、着実な取組が認められます。

 建退共事業においては、共済手帳の長期未更新者発生防止等に関する取組として、新規加入時及び共済手帳の更新時における被共済者の住所把握、既加入者に対する長期未更新調査における長期未更新者縮減に向けた取組が引き続き行われており、努力が認められます。

 共済証紙の適正な貼付に向けた取組については、加入履行証明書発行の際の共済手帳及び共済証紙の受払簿を厳格に審査すること等の努力が認められますが、共済証紙の販売額の累計と貼付確認額の累計との差額の解消が、当中期目標期間の目標値に大きく及んでおらず、目標達成に向けて更なる改善を期待します。

 清退共事業及び林退共事業についても、新規加入時及び共済手帳の更新時において把握した被共済者の住所のデータベース化を行う等、対策の強化を行っている点は評価できます。今後とも、それぞれの業界の特性や機構の実施体制等を勘案しつつ、成果を把握し、その結果を今後の対策へと反映させるなど、引き続き効果的な取組を期待します。

 次は25ページの下です。サービスの向上です。退職金給付に係る処理期間については、中退共は25日以内、建退共、清退共、林退共は30日以内とする目標を達成するとともに、これを維持できたことは評価します。

3の加入促進対策の効果的実施については、加入者数の目標達成率が中退共事業は96.7%と目標を達成することができなかったものの、適格退職年金からの移行を除くと、前年度の加入実績を2.8%上回る結果となったことから、加入促進の取組については、一定の効果が認められます。建退共事業と林退共事業の目標達成率はそれぞれ98.7%、81.4%と加入実績が目標に達しなかったものの、清退共事業については加入促進の取組を行った結果、達成率が110.8%となり、この取組については評価できます。今後は未達成についての更なる要因分析に基づき、各事業の特性に応じて効果的な加入促進対策を行うことを期待します。

 次は6ページの下、財産形成促進事業については、貸付決定について平均6日で対応した点、周知広報について、ホームページの積極的な活用、外部委託の活用や関係機関との連携等に努めることにより、ホームページのアクセス件数、リーフレット配布箇所数など目標を上回る点は評価できます。中小企業における融資の利用促進を図るためにも、更なる取組の工夫がなされることを期待します。

6ページ、(3)の財務内容の改善等です。1累積欠損金の処理は、「資産運用の基本方針」に基づき、安全かつ効率を基本として資産運用を行った結果、中退共事業においては平成29年度末に解消予定だった計画を大幅に上回り、平成24年度末で累積欠損金が解消され、539億円の利益剰余金を計上した点は高く評価できます。過去の評価委員会で申し上げ、ここが重要ですが、資産運用というのはその時の市場環境要因に応じて、利益や損失の発生が避けられません。特に損失が発生した場合には、評価を行う際に過度に考慮するリスクがあります。これは過去の評価でもそうでしたが、我々が評価を行うに当たっては、公正な規準の下で時々の利益や損失の状況に過度に反応するのではなく評価を行ってまいりたいと思います。つまり機構自体がコントロールできる要因とそれ以外の要因とが大きすぎますので、そういうことを勘案して評価を行っていきたいです。林退共事業においても、年度ごとの解消目安額を大きく上回る約2億円の累積欠損金を解消した点も評価できますが、引き続き累積欠損金については解消計画を踏まえて資産運用について安全かつ効率的な運用を基本としつつ、着実な解消に努めることが求められます。

 次は7ページの2、健全な資産運用等です。委託運用において内外債券高、内外株高、円高修正により、清退共事業を除きおおむねベンチマークと同等以上のパフォーマンスを達成し、利益を確保したことに加え、自家運用においても安定した収益を確保した結果、当期純利益を確保することができた点は評価できます。専門性の高い実務経験者を中途採用し、職員向けの講習会を開催するなど資産運用能力の向上を図った点も評価できます。

 次が7ページの下、2財産形成促進事業、雇用促進融資事業です。財産形成促進事業における累積欠損金を解消した点は評価できます。雇用促進融資の財政投融資への償還も約定どおり実施されており、財務内容の改善が着実に進んでいると認められます。

 次に(4)7ページの下です。その他業務運営に関する措置に関しては、退職金機構ビル及び同別館について、外部有識者で構成する「退職金機構ビルのあり方に関する検討会」の意見を踏まえ、移転、土地・建物の売却処分については滞りなく実施され、業務改善に寄与したことは評価できます。また退職金共済事業と財産形成促進事業の連携については、周知広報に係る連携した取組は評価できます。

 次は8ページの(5)です。評価委員会が特に厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点等への対応についてです。1の財務状況については、各共済事業とも当期純利益を計上しております。その他2(3)で評価したとおりです。2保有資産の管理・運用等については、2(4)で評価したとおりです。 

3組織体制・人件費管理については、平成24年度における給与水準の検証について、東京都特別区に勤務する国家公務員と比較すると、地域勘案指数で104.0、地域学歴指数で105.0とやや高くなっております。これは年齢が高く管理職が多いのがその要因と考えられます。人件費については、年度計画において平成17年度を基準として7%以上を削減する目標を大幅に上回る23.5%となりました。また一般管理費及び退職金共済事業経費については、平成24年度予算に対して13.5%削減となっています。

4の事業費の冗費の点検については、執行計画額に対して支出実績額が19.5%の削減となるなど冗費の削減について適切に取り組んでいるものと評価できます。また「平成24年度の庁費及び旅費の類に関する支出状況」から、事務経費等の駆け込み執行はないものと認められます。5の契約については、2(1)4で評価したとおりです。

6内部統制については、2(1)3で評価したほか、退職金共済業務を取り扱う法人特有のリスクとして、1なりすまし等による退職金の詐取や2市場の変動に伴う運用リスク等が考えられます。これについてはそれぞれ、a対応マニュアルを作成の上、チェック項目を複数設けて複数の者によるチェックを行う、b基本ポートフォリオの構築等について外部の専門家の助言を受けるほか、資産運用の実績について外部の専門家に評価を受ける等の対応が取られており評価できます。さらにコンプライアンス推進委員会や理事長による全ての管理職の個別ヒアリングの場を活用する等、法令遵守に向けた体制を確保している点も評価できます。

7は事務事業の見直し等についてです。独立行政法人の事務事業の見直し基本方針等を受けて、各種の取組を着実に行っていると認められます。またコールセンターに稼働状況をリアルタイムに把握・管理できるシステムを平成245月の移転に合わせて導入するとともに、平成252月末の中退共相談コーナーの縮減に合わせてサービスの低下とならないよう、体制の見直しを図った点は評価できます。

 最後に8です。法人の監事との連携状況についてです。当委員会では評価の実施に当たり、監事の監査報告書の提出並びに監事監査の実施状況及び業務運営上の検討点についての説明を受け、評価を行っております。以上、勤労者退職金共済機構の平成24年度業務実績の評価概要です。

 それでは以上ですが、ただいま御報告した総合評価書()について御意見がありましたらお願いします。いかがでしょうか。

 

○松浦委員

 既に御説明の中にもありましたが、やはり退職金未請求の抑制のようなところは、頑張っても頑張っても限界がある面もあろうかと思います。今村先生が要因分析とおっしゃいましたが、必ずしも目標設定を厳しくすればよいという話ではなく、人件費をかけて、さらに取組を強化する必要があるのかどうかの検討も含めて、目標設定の段階で十分に御検討される必要があるかと思います。気になったところは以上です。

 

○今村部会長

 未払請求、23か所要因分析を掲げておりましたが、やはり状況を十分に踏まえないまま目標設定したかもしれないなということが過去に振り返ってあります。しかしやはり未払請求者が少ないことに越したことはありませんので、なおその辺は妥当な目標を考慮しつつ、是非、低めの達成率は目指したいです。そこはバランスを取りながら今後は評価していきたいと思っております。何かその要因についてはいかがでしょうか。何かあれば機構からどうぞ。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 感想を含めてお答えしたいと思います。理事長になり28か月たちました。その間いろいろなことを感じながら仕事をしてきたわけですが、大変感心したのはこの未請求問題に対する職員の取組姿勢です。実に真摯にかつできることは全てやったという感じでして、それでも松浦委員がおっしゃったとおりどうしても残ってしまう部分があったというのが私の実感でした。そうは言っても制度の本来の趣旨から申しますと、先ほど今村部会長がおっしゃったとおり、できるだけゼロパーセントに近く、本来あるべき方に退職金が払われるのが筋でもあるので、1%という目標を第3期の中期計画にも一応掲げております。しかし今の松浦委員の御意見、また5年間頑張ってきた経験等を踏まえて要因分析をきちんとしながら、目標設定の在り方等も踏まえて、改めて検討することを課題としていきたいと思います。以上です。

 

○今村部会長

 これは組織の経済改革の基本ですが、本人が努力して達成できるものと、例えば資金運用のように本人の努力の範囲を超えて市場要因に大きく左右されるものとがあります。今の問題に関しても構造的な要因に左右されるわけですから、そこはうまく峻別しながら組織が目標をきちんと達成できるような方向に我々は配慮していかなければいけないと思っております。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 ありがとうございます。

 

○今村部会長

 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に修正意見はないようですので、平成24年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。なお、この後に誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応については、私に御一任いただけますでしょうか。

(各委員了承)

 

○今村部会長

 ありがとうございます。それではこれから現在までの意見・報告等を踏まえて、個別評定を修正したい方は、ここで評定記入用紙の修正・確定の時間を設けます。よろしくお願いします。先ほどと同様、5分を目安に評定記入用紙の確定や記入をお願いします。

 

○今村部会長

 よろしいでしょうか。それでは、これをもちまして、勤労者退職金共済機構の平成24年度業務実績評価に関する意見を取りまとめいたします。評価書には、評定結果の別添として、評価シートの集約版が添付されています。本日、評定記入用紙の確認・修正を行っていただいたことにより、評価シートの集約版の内容が変更となる場合には、その内容につきまして、私に御一任いただきたいと存じます。なお、場合によっては、個別に各委員に御意見を賜ることもあるかもしれませんので、その際にはどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

○今村部会長

 次に、勤労者退職金共済機構の最終評価について審議いたします。まず、法人から中期目標期間の業務実績について説明していただき、その後、起草委員を代表して、私から最終評価書()について御報告、最後に質疑応答という形で進めさせていただきます。それでは、法人より10分程度で説明をお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 勤労者退職金共済機構の総務部長です。お手元の色刷りの資料2-2を御覧ください。1ページ、評価項目の1「効率的な業務実施体制の確立」についてです。「業務・システム最適化計画」につきましては、平成20年度に、システム最適化推進のための会議の設置と業者の決定を行いまして、平成2210月から新システムを稼働しました。その際、併せまして、平成22年度にはシステム管理業務の一元化を行いました。業務実施体制の効率化につきましては、平成20年度には未請求対策の強化のために給付推進室を設置するとともに、各事業本部でバラバラに行っていた資産運用業務を効率的に実施するために、平成24年度からは資産運用業務部門を一元化するなど、各種の取組を毎年実施しています。こうした取組を評価いただきまして、毎年度「A」評価を頂いています。平成23年度につきましては、実施した取組が顕著であったことを御評価いただきまして「S」評価を頂きました。

2ページ、評価項目2「中期計画の定期的な進行管理」についてです。理事会、業務推進委員会、加入促進対策委員会などを通じて職員への周知を図りまして、職員の意識向上に努めてきました。評価としては、毎年度「B」評価となっています。

3ページ、評価項目3「内部統制の強化」についてです。PDCAサイクルに基づく業務運営を行っています。下のチェックの所を御覧ください。外部の専門家で構成する資産運用評価委員会や契約監視委員会の評価や検証を受けながら改善に向けた取組を行っています。特に、平成21年度からは、コンプライアンス推進委員会を設置するとともに、外部の有識者も加わった契約監視委員会の活動を通じて内部統制の強化に努めています。平成20年度は「B」評価ですが、平成21年度以降は「A」評価を頂いています。

4ページです。評価項目4「業務運営の効率化に伴う経費節減」についてです。一般管理費及び退職金共済事業経費の節減では、運営費交付金を充当するものについて第2期中期計画の最終年度である平成24年度までに平成19年度予算額に比べて18%以上の削減という目標でしたが、平成21年度にはほぼ達成いたしました。運営費交付金は平成21年度末で廃止されましたので、平成22年度からは予算と決算とを比較して予算節減比率を記載しており、毎年度大幅な節減を行っています。また、旧雇用・能力開発機構から移管された業務に係る経費についても、人件費の目標1%に対して29%の削減、一般管理費の目標8%に対して62.8%削減となっておりまして、中期目標で定めた目標を大きく上回る削減を達成しています。下の人件費の節減についても、超過勤務の削減の取組、計画的な定員削減により目標を大きく上回る削減を達成しています。こうした取組を評価いただきまして、毎年度「A」評価を頂いています。

5ページ、評価項目5「随意契約の見直しについて」です。随意契約の適正化のため、平成20年度に「随意契約等見直し計画」を策定しましたが、この計画を上回る取組を行ったほか、競争性や透明性の確保にも努めています。また、監事監査の実施や、外部の有識者を交えた契約監視委員会の開催を行いまして、おおむね適正であるとの意見を頂いています。また、取組の結果はホームページで公表しています。こうした取組を評価いただきまして、毎年度「A」評価を頂いています。

6ページ、評価項目6「一般の中小企業退職金共済事業における退職金未請求者に対する取組」についてです。退職後2年を経過しましても退職金の請求に至らない、未請求退職金の発生を防止するための対策として、被共済者に対して加入認識を深めるために、平成20年度からは加入時に「加入通知書」を発行するとともに、平成21年度からは年1回、毎年5月上旬頃までに、既に加入している被共済者へ「加入状況のおしらせ」を事業主を通じて被共済者に渡るように依頼しています。

また、退職金の未請求者に請求を促すための対策として、平成21年度までは退職後3か月経過後に事業主を通じて退職者に退職金の請求を促し、その後3か月を経過しても未請求の場合には機構から直接、被共済者に退職金請求の要請を行ってまいりました。退職後時間がたてばたつほど住所情報の取得が困難になることが分かりましたので、そこに書いてありますとおり、平成22年度からは、退職後3か月を経過しても未請求の退職者がいた場合にその勤務した事業所への住所情報の提供の依頼を行い、事業所の協力を得た場合にはその情報に基づいて機構が直接、未請求者に請求手続の要請を行いました。このことにより、機構から被共済者へ直接要請を行う期間が従来の6か月から3か月に短縮されました。併せて、退職後2年を経過しても未請求の方、すなわち中小企業の退職金共済制度上ほかの中小企業に転職しても掛金月数の通算制度が利用できなくなった方に対して、再度請求を行うよう要請などを行ってまいりました。これらの取組はいずれも事業所の任意の御協力の下に進めるものですが、退職後数か月たってから事業主の協力の下で行う点で一定の限界がありました。そこで、平成24年度からは機構独自の取組として、被共済者の退職届に住所記入欄を新設しまして、退職後すぐに住所情報が得られるように改善を図りました。また、厚生労働省における制度面の改善が行われまして、平成251月からは厚生労働省令が改正され、被共済者の退職届に住所情報を記載することが事業主の義務とされました。こうした取組により入手した住所情報を基に、未請求者に対して請求手続を要請することとしています。

 また、右側にありますとおり、平成19年度からフリーコールの設置、平成21年度からは、勤労者が自らホームページにアクセスして加入事業所名を検索できるシステムを設け、これらの取組の周知徹底に努めたほか、未請求対策にも役立てるための調査分析も実施しています。

しかし、結果としましては、平成20年度は2%、平成21年度は1.8%、平成22年度は1.6%と減少してまいりましたが、平成23年度以降は下げ止まりの状況にあります。先ほど、要因分析というお話もありましたので、このようなことについても検討してまいりたいと思っています。

7ページを御覧ください。評価項目7「特定業種退職金共済事業における長期未更新者への取組」についてです。建設業、清酒製造業、林業の、いわゆる特定業種退職金共済制度につきましては、共済手帳に共済証紙を貼り付けることによって制度の運用を行っていますが、手帳を取得してから過去3年間手帳の更新がなかった方を「長期未更新者」と呼んでおり、これらの未更新者を対象として現況調査を行い、手帳が証紙で一杯であれば新しい手帳を入手するよう要請しますし、既に業界を引退しているのであれば退職金の請求を要請することを行っています。

 下の段の左側、新規加入時の加入通知書発行、被共済者住所のデータベース化の欄を御覧ください。新規加入時に機構から直接、被共済者に対して加入通知書を発行しています。建設業などの特定業種で働く労働者の場合は、期間雇用なので、事業主から住所情報を入手して加入通知書を出すまでの間に事業主が変わってしまう可能性も高いと見込まれます。このため、事業主を通じて加入通知書を渡すのではなく、機構から直接、被共済者に加入通知書を送付しています。新規加入時には被共済者に加入通知書を発行するという対策に加え、この中期計画の平成20年度からは、被共済者住所情報のデータベース化をしています。その実績につきましては表に掲げたとおりです。また、その下の欄にありますとおり、業界の専門紙等を活用するなどして、長期未更新者を縮減するための対策を講じています。

 右側に、共済証紙の適正な貼付の取組についてまとめています。平成24年度末時点では平成19年度末と比べて約82億円の減少額となりました。平成22年度は前年度に比べて大幅に減少したということで「A」評価を頂いていますが、その他の年度につきましては「B」評価となっています。

8ページを御覧ください。評価項目8「業務処理の簡素化・迅速化」についてです。毎年度、事務処理改善を行うとともに、退職金を所定の期間内に払ってきておりまして、平成21年度までは「B」評価でしたが、処理期間の短縮の欄のとおり、平成22年度はシステムの最適化により、清退共事業と林退共事業において退職金の支払に関する期間が39日から30日に短縮したことを評価いただきまして「A」評価を頂いています。平成23年度につきましては、真ん中の欄にありますとおり、東日本大震災に係る被災地域への対応として特別の対応を取ったということで「A」評価を頂いています。

9ページ、評価項目9「情報提供の充実、加入者の照会・要望等への適切な対応等」についてです。ホームページにおいて最新の情報を迅速に分かりやすく掲載するとともに、利用者からの質問・照会・要望等を受けて情報提供の充実を図ったこと、また、その結果、ホームページアクセス件数が大幅に増加しておりまして、照会・要望等にも適切に対応したことなどを評価いただきまして、毎年度「A」評価を頂いています。

10ページを御覧ください。「積極的な情報の収集及び活用」についてです。左上の「参与会」の欄にありますとおり、外部の有識者から成ります参与会を定期的に開催しておりまして、業務の運営状況について外部の方から御意見を頂戴する。それから、右側にありますように、退職金制度の実態調査を行いまして、分析結果を踏まえた対応を取っています。評価としては、平成23年度を除いて毎年度「B」評価を頂いています。平成23年度は、左下の欄にありますとおり、東日本大震災に遭われた被災された方の状況確認を行ったということで「A」評価を頂いています。

11ページです。「加入促進対策の効果的実施」についてです。平成20年度から平成23年度までは達成率が100%を超えています。評価も平成20年度から平成23年度までは「A」評価を頂きましたが、平成24年度は97.1%と加入目標数を下回る結果となりましたので「B」評価となっています。ちなみに、全事業本部とも5年間のトータルでは100%を上回っている状況です。

12ページを御覧ください。評価項目12「財産形成促進事業」についてです。(2)の周知につきましては、ホームページのアクセス件数、リーフレットの送付件数ともに目標件数を上回りました。(1)の融資業務につきましては、貸付決定までの処理日数が18日以内という目標を、平成23年度は100%達成しましたので「A」評価、平成24年度は達成率が99.5%で評価は「B」を頂いています。

13ページ、評価項目13「累積欠損金の処理」についてです。累積欠損金につきましては、平成17年度に累積欠損金解消計画を作成しまして、中退共につきましては平成29年度末までに、林退共につきましては平成34年度末までに解消するとしました。こうした計画に沿って資産運用に努めてまいりました。棒グラフが当期利益(損失)金で、折れ線グラフが年度末の累積欠損金の額です。第2期の中期計画中の実績を見ますと、平成20年度はリーマンショックの影響を大きく受けました。ただ、中退共につきましては平成24年度末に累積欠損金を解消することができています。評価につきましては、平成20年度「C」、累積欠損金解消目安額を達成できなかった平成22年度は「B」、各年度の目安額を解消できた平成21年度と平成23年度以降は「A」評価を頂いています。

14ページを御覧ください。「健全な資産運用等」についてです。資産運用につきましては、資産運用の基本方針に基づいて、安全かつ効率的な運用を基本として実施しています。委託運用につきましては、委託運用機関の適切な選定、管理、評価の実施に努めた結果、おおむねベンチマークと同等のパフォーマンスを達成しています。外部の専門家で構成する資産運用評価委員会からも適正である旨の評価を受けておりまして、留意事項につきましては事後の資産運用に反映しています。評価としては、平成20年度から平成22年度までが「B」評価、平成23年度及び平成24年度は「A」評価となっています。

15ページ、「財産形成促進事業」と「雇用促進融資事業」についてです。左側の財産形成促進事業につきましては、累積欠損金の解消に努めた結果、平成24年度に解消しています。貸付金利の見直し、引下げ、運営費交付金は平成24年度末で廃止ということで、平成25年度からなくなっています。適切な債権管理にも努めています。右側の雇用促進融資事業につきましては、適切な債権管理に努めるとともに、財投に対して約定どおりの償還を行っています。評価としては、平成23年度は「B」評価ですが、平成24年度は「A」評価を頂いています。

16ページを御覧ください。「その他業務運営に関する事項」です。左側の退職金機構ビル及び同別館につきましては平成245月に移転しまして、土地・建物を売却しました。また、左下の欄にありますとおり、松戸宿舎を平成233月に、越谷宿舎は平成243月に現物による国庫納付を行っています。

17ページ、「予算、収支計画及び資金計画」等についてです。こちらについても毎年度、適正な執行に努めています。短期借入金についても借入限度額の範囲内にとどまっておりまして、各年度「A」評価を頂いています。

 最後に18ページ、「職員の人事に関する計画」です。職員の採用につきましては、左側のピンク色の欄のとおり、資質の高い人材を広く求めるための取組を行っておりまして、就職環境が厳しいという時代でもありましたので、毎年度応募者数が増えており、適正な選考に努めています。平成23年度は採用していませんが、平成244月には資産運用調査役の公募などに取り組んでいます。また、右側の欄は、「能力開発プログラム」に基づいて研修等を実施しています。そのほか、管理職と理事長との個別面談などにより意識等の向上も図っています。評価につきましては、平成20年度、21年度が「B」評価、平成22年度以降は「A」評価を頂いています。以上です。

 

○今村部会長

 続いて、勤労者退職金共済機構の起草委員を代表しまして私から報告いたします。資料2-3「独立行政法人勤労者退職金共済機構の最終評価結果」を御覧ください。

 まず、1ページ、(2)「中期目標期間の業務実績全般の評価」です。機構の目的に照らし、業務の効率化及び質の向上により得られた成果が、「確実な退職金支給」、「退職金制度への着実な加入」及び「財形持家融資制度の普及」にどの程度寄与するかという視点が評価の中心です。

 次に、3ページ、中期目標期間の業務実績につきましては、全体としては適正に業務を実施したと評価できますが、以下の点に留意する必要があります。

1、中退共事業につきましては、平成24年度に累積欠損金が解消されましたが、林退共では一定額の累積欠損金が解消されたものの、引き続き「累積欠損金解消計画」を踏まえて今後の市場の推移の中で着実に解消を図ることが求められます。

2、加入促進につきましては、平成23年度末で適格退職年金からの移行が終了したことも踏まえ、制度の安定的な運用のため実施体制を含めた対策の見直しを行い、一層効率的かつ効果的な取組を行うことを期待します。

3、中退共事業における未請求及び建退共事業における共済手帳の長期未更新及び証紙の未貼付につきましては意欲的な取組はされています。ただし、未請求率がこのところ下げ止まり傾向にありますので、未請求の発生要因や建設業の労働市場の特殊性に配慮しつつも今後も工夫等をしながら取組を進められることを期待します。なお、先ほど、平成24年度の評価結果でも申し上げましたとおり、幾つかポイントがありますが、未請求率に対する目標の妥当性の検証や、それだけの努力を積み重ねて得るものとの費用対効果の面も配慮の上で取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、4、財産形成促進制度につきましては、中小企業における融資の利用促進を図るため、中小企業退職金共済制度の利用促進に向けた取組との連携を強化する等、更なる取組の工夫がなされることを期待します。

 次に、3ページの下の「具体的な評価内容」です。ポイントを申し上げます。(1)「業務運営の効率化に関する措置」についてです。1「効率的な業務実施体制の確立」につきましては、「業務・システム最適化計画」に基づき新システムを稼働させました。計画の実施に併せて、システム管理業務の一元化を図ったことや、清退共事業・林退共事業の業務運営組織の一体化を図ったこと、それから、各事業本部の外に新たに資金運用部を設置して資産運用業務の一元化を図る等により効率的な業務実施体制を確立したこと、独立行政法人雇用・能力開発機構の廃止に伴う財形事業の移管を円滑に進めたことなどが評価できます。

2「中期計画の定期的な進行管理」についてです。「業務推進委員会」等を定期的に開催しまして、業務の推進状況の把握・検証を行っているとともに、評価結果、年度計画の進行状況を職員一人一人に周知させることの努力が見られるなど、中期計画の進行管理が着実に行われていると認められます。

3「内部統制の強化」につきましては、コンプライアンス推進委員会において、「独立行政法人勤労者退職金共済機構コンプライアンス基本方針」の策定・改正を行うとともに、理事会、幹部会及びコンプライアンス推進委員会の開催により内部統制の強化を図っています。また、従来からのPDCAの仕組みに加え、財形融資ALMリスク管理委員会を開催するなど、ガバナンス・コンプライアンス高度化への取組は評価できます。

4「業務運営の効率化に伴う経費節減」についても、一般管理費及び退職金共済事業経費について平成19年度予算に対して削減目標が18%以上でしたが、平成21年度決算では17.5%の削減、平成22年度には退職金共済事業における運営費交付金は廃止しています。運営費交付金廃止後の平成22年度以降も各年度予算に対し着実に削減を行っている点は評価できます。

 人件費の節減につきましては、超過勤務管理などの努力がなされています。目標を上回る経費の削減がなされている点は評価できます。給与水準につきましては、東京都特別区に勤務する国家公務員の給与水準と比較しますと、平成24年度において年齢・地域勘案指数で104.0となっていますが、年齢・地域・学歴勘案では105.0とやや高くなっています。特別都市手当につきましては、国家公務員の地域手当である18%よりも低い水準にとどめることなどにより給与水準の適正化を行うことが求められます。今後も職員の労働インセンティブの低下につながることにならないよう留意しつつ、人件費の削減に引き続き努めることを期待します。

 随意契約の見直しにつきましては、「随意契約等見直し計画」に基づき、着実に取組を行っています。目標を上回る取組を行った点は評価できます。

 次に、5ページ、(2)「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置」です。11「確実な退職金支給のための取組」につきましては、まず、中退共事業における退職金未請求に対する取組として、「加入通知書」や「加入状況のおしらせ」等を発行し、被共済者の意識を高める取組等を行っています。また、電話による請求手続要請等の新たな取組等を実施しています。未請求率の目標値は1%程度ですが、新たな取組により、取組開始前の2.8%前後から、平成24年度末時点において1.7%と縮減されています。これまでに把握した未請求者等に対する調査結果等も基にして、今後も工夫等をしながら取組を推進することを期待します。また、これまでに累積した退職金未請求者に対する取組についても、時効完成直前の未請求者のうち住所等の情報提供がされた者でいまだ請求がされていない者に対し、2回目の請求手続を要請するなど着実な取組が認められます。

 建退共事業における共済手帳の長期未更新者発生防止等に関する取組につきましては、新規加入時及び共済手帳の更新時における被共済者の住所把握や、既加入者に対する長期未更新調査による長期未更新者縮減に向けた取組が引き続き行われており、努力が認められます。共済証紙の適正な貼付に向けた取組につきましては、加入履行証明書発行の際に共済手帳及び共済証紙の受払簿の厳格な審査等を行い、共済証紙の販売額の累計と貼付確認額の累計との差額が平成19年度と比較して平成24年度末時点で約82億円減少するなど、縮減の努力が認められますが、中期目標期間の目標は達成することはできなかったので、その要因分析に基づいて引き続き効果的な取組を期待します。

 清退共事業及び林退共事業においても、新規加入時及び共済手帳の更新時に把握した被共済者の住所のデータベース化を行う等、対策の強化を行っている点は評価できます。それぞれ業界の特性や機構の実施体制等を勘案しつつ成果を把握し、その結果を今後の対策に反映させるなど、引き続き効果的な対策を期待します。

 次に、6ページ、2「サービスの向上」についてです。まず、退職金給付に係る処理時間に関して、中退共事業は25日以内、建退共、清退共及び林退共につきましては30日以内とする目標を達成するとともに、これを維持できたことは評価できます。

3「加入促進対策の効果的実施」につきましては、中期目標期間中の加入者数が機構全体としての加入目標を上回っており評価できます。今後は、各事業の特性に応じつつ、一層効率的かつ効果的な加入促進対策を行うことを期待します。

7ページです。2「財産形成促進事業」についてです。貸付決定について平均6日で対応した点、周知広報についてホームページの積極的な活用、外部委託の活用や関係機関との連絡等に努めることにより、ホームページのアクセス件数、リーフレット配布箇所数など、目標を大きく上回った点は評価できます。中小企業における融資の利用促進を図るため、更なる取組の工夫がなされることを期待します。

 次に、(3)「財務内容の改善等」についてです。「累積欠損金の処理」につきましては、安全かつ効率を基本として資産運用を実施した結果、中退共事業においては、平成19年度末時点の1,564億円の累積欠損金が平成24年度末時点で解消され、利益剰余金539億円を計上し、林退共についても、平成19年度末時点の13.57億円が平成24年度末時点では10.96億円となり、26,000万円以上解消できました。これは、金融市場など外的な要因も大きく影響していることに留意する必要がありますが、累積欠損金の解消は制度の持続的な運営にとって加入促進と並び最重要課題であることから、今後とも引き続き累積欠損金解消計画を踏まえ着実な解消に努めることが求められます。

8ページの、2「健全な資産運用等」についてです。第三者による外部評価を反映しつつ、資産運用の目標、基本ポートフォリオ等を定めた「資産運用の基本方針」に基づき、安全かつ効率的運用を基本として実施した結果、市場の低迷等の影響から当期純損失を計上した年もありますが、全体として、各共済事業ともおおむねベンチマークと同等のパフォーマンスが達成されていると認められます。引き続き、健全かつ効率的な資産運用の具体的成果に向けて、一層の取組が求められます。

 「財産形成促進事業」、「雇用促進融資事業」です。財産形成促進事業における累積欠損金を解消した点は評価できます。また、雇用促進融資の財政投融資への償還も約定どおり実施されており、財務内容の改善が着実に進んでいると認められます。

 最後に、(4)「その他業務運営に関する措置について」です。退職金機構ビル及び同別館について、外部有識者で構成する「退職金機構ビルのあり方に関する検討会」の意見を踏まえ、平成245月の移転に向けた準備、土地・建物の売却処分についての主務大臣への認可申請等の対応を速やかに行った点は評価できます。また、松戸宿舎は平成233月、越谷宿舎は平成243月に現物による国庫納付を行い、着実に取組を行った点は評価できます。

 退職金共済事業と財産形成促進事業の連携につきましては、中退共事業本部が発行する「中退共だより」に財形事業の広告を掲載するなど周知広報に係る取組につきましては評価できます。

 なお、予算につきましては、毎年度の決算額が当初予算額より減少するなど、範囲内で適正に執行されており評価できます。以上が勤労者退職金共済機構の中期目標期間の業務実績の評価概要です。

 ただいまの報告につきまして、御質問等ありましたらお願いいたします。

 

○松浦委員

 資料2-27ページの特定業種退職金共済事業の長期未更新者について、意見というか、感想に近いことです。既に長期未更新者調査の中で把握されているのかもしれませんが、なぜ長期未更新になってしまうのか、正に要因分析ですが、手続や制度を知らないということが問題なのでしょうか、あるいは手続が煩雑なことが問題なのでしょうか。更新されない何らかの理由があると思うのですが、その理由を、もう少し詳しくお調べになることが中長期の課題として必要なのではないかと思いました。やはり、現業の労働者の方々なので、データベース化やネットでの手続きが難しいというのは推測できますが、就労日数に応じて証紙を手帳に貼り付けるというのは、今の時代からすると、とても煩雑に見えます。

 私も手続自体に詳しくないので、皆様のお知恵をお借りしたいと思いますが、例えば日雇健保も同じような仕組みだったと思います。たしか、日雇健保にも手帳があって、就労日数分の印紙を全部貼り付けるように記憶しております。素朴な発想ですが、例えば、これらの手帳を統合することはできないのでしょうか。共済手帳は共済手帳で毎日貼り付けて、日雇健保は日雇健保で毎日貼り付けるというようなことが、使い手から見ると非常にやりにくいものになっているのであれば、そこを改善すれば多少、未更新の問題を打開する道が見えてくるのではないかと思った次第です。

話を戻しまして、この長期未更新者調査では、どういう項目を調べているのかを教えていただきたいと思います。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 項目というよりも、過去3年間更新されていない被共済者の方々に対して、共済契約者、事業所を通じて、「お元気ですか」という御機嫌伺いをしています。その結果、手帳の更新につながった方あるいは退職金の請求につながった方の実績をここに掲げています。一般的に見て、母集団と比べて実績が少なくなっています。一番大きな問題は本人にアクセスできないという問題です。毎年年間3万人ほど調査していますが、大雑把に言いまして、3つのグループに分かれます。3分の1は、4年前に手帳を更新された会社で引き続きお仕事されているというグループ。3分の1は、その会社はもうお辞めになってどこかほかの会社に移られたという方々です。もう3分の1は、そもそも会社が存続していないとか、存続していても、個人の被共済者の方々がどこに行ったか、もう会社でも把握していないという方々です。ほとんど御本人に直接アプローチできない状態というのが今のところネックになっています。

 これは、今年度から開始された第3期の中期5か年計画を策定するに際しまして、当部会はもとより、特に政・独委から強く御指導いただきまして、データベースの充実、特に被共済者個人個人の住所データベース、古いデータでは生年月日のデータも把握していないものがありますので、被共済者個人を特定するための生年月日ないしは直近の住所を把握すべしということでした。

 今、取りあえず生年月日を優先して入力作業をしています。生年月日にしましてもその時点時点の住所にしましても、画像のデータとしては残っていますので、その画像データをデジタルデータに変換するという作業をしています。したがいまして、最近10年ぐらいで新しく加入された方々につきましては問題ありませんが、それ以前のデータにつきましてはやや問題がある。この5年間の第3期中期計画では、全ての基礎となるデータベースの構築を第1目標、課題としています。

 先生の御指摘の、調査の結果どういう理由で長期間未更新だったのかというところまでは、誠にお恥ずかしい話ですが、まだ調査の内容として把握できておりません。

 

○松浦委員

 中長期的な課題かもしれませんが、こういった特定の業種で働いている方々を対象にしてグループインタビューをするとか、要因分析のための手法はいろいろあると思います。どうして更新しにくいのかなど、その辺の理由をもう少し分析されてはどうかと思いますので、1つの意見としてお聞きいただきたいと思います。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 少し補足させていただきます。もう十分に御理解の上だと思いますが。中退の場合と今お話のありました建退の場合とは基本的な違いがあります。中退共の場合には会社を退職しましたという事実が雇用主から連絡がありますから明瞭に分かるのです。しかし、建退共の場合には、退職というのが、業界から、その仕事から離れるという、本人の意思によることがあります。そういう点で、そもそも退職したのかしないのかという、そのこと自体を把握することが難しいという事情があります。そういう事情の下で未更新問題を取り扱わざるを得ない難しさがあることは御理解願いたいと思います。

 それから、システムについて申しますと、決してシステムが不備ということでは必ずしもない。もともと業務系のシステムとして構築されていたので、今私どもが問題にしていますような、情報系のデータのデジタル化がどうしても遅れがちだったということです。私どももその不備を自覚しているものですから、第3期、今期では、その辺のデジタル化を早急に進めることとしています。そうしたデジタル化が進みますと、もう少し事情が分かるようになるのではないかと考えています。

 それから、もう1点、証紙の貼付システムに再考の余地がないのかという御指摘もあったと思います。この点につきまして、非常に大きな課題であることは私自身も職員も理解しているところですが、お金が大変に掛かること。それから、何しろ業界の共済制度としてこの制度が運営されてきたという歴史があり、業界の方々の間でも大変意見が分かれるのです。そういう事情がありまして、問題は十分理解しているのですが、なかなか思い切った改革といいますか、対応に至っていないというのが現状だと御理解いただきたいと思います。

 

○松浦委員

 業界の特性を考えると大変なことなのだろうとは御推察申し上げますが、御本人たちが老後の資金をより切実に必要とされている方々だと思いますので、今後とも中長期的な課題として御検討いただければと思います。

 

○柴田委員

 怒られてしまうかもしれませんが、建設は本当に皆さんがおっしゃるとおり課題だらけで、お給料だって、まともに最低賃金が払われているかという状況だと思いますので、業務フロー自体を今までと同じようにしていたら多分何もうまくいかないと思います。先ほどの何とか手帳、あれもそうですが、そっちも含めて、ポイントカードじゃないけれど、本人たちに何かカードを持たせて、そこに行くと必ずそれが記録できるような、業界全体として何かやるような形にしていかないと全然無理。あそこで働いている、ここで働いているという情報をどこかでつかめるようにしておかないと全然駄目です。お役所も公共事業をやるときには、そういうものに入りなさいと言いながら、違う事業に行くと払ってもらえない場所があったりということではないかと思うのです。だから、横断的というか、業界の心ある人たちと組んで、今までとは違った集金システムと支払システムを考えないと、お金の問題もさることながら、これ以上一歩も前に進めないのではないかと思います。是非、御尽力いただきたいと思います。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 柴田先生の御指摘は過去につきましてはごもっともな面が多かったと思いますが、最近は、厚生労働省と国土交通省と二人三脚で取組が進んでいます。具体的には、労務単価を上げるということです。平成25年度から公共事業について標準的な労務単価を15%上げて積算をしなさいということです。それに期待するところが1つあります。また、社会保険料は必ず末端まで支払うようにしなさいということで、それが二人三脚で進んでいます。労務単価も15%上げる、その代わり、国民年金なり、私は余り社会保険のことは詳しくありませんが、法的義務のある失業保険、いわゆる年金と建康保険と失業保険になろうかと思いますが、それに必ず入りなさいという動きです。その手段としては、国土交通省と業界が中心ですが、正におっしゃるようなICカードを労働者の方々に持たせて、どこでいつ仕事をしたかということを、カードによってIC情報として把握するという検討が進んでいます。そこへは建退共も利用ができるようにスペースを空けておいていただきたいというお願いをすると同時に、私どもはオブザーバーとしてフォローしています。先ほど理事長が申し上げましたように、いかんせん大規模な業界なので相当のお金が掛かる、誰がそれを負担するのかということで、建設業界は国に予算措置をするように要望はしていますが、今の御時勢、それができるかどうかということがあります。うまくそのシナリオが進むかどうか分かりませんが、少なくとも15%アップのほうは進みつつありますので、私どもの証紙の貼付の究極の財源ですから、そこは期待しています。少しずつ世の中は変わってきています。

 

○柴田委員

 ありがとうございます。

 

○今村部会長

 要因分析も是非そういった前向きのイノベーションに活用されるような形で、大いに進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。

 特に修正意見はないようですので、中期目標期間の業務実績の最終評価結果()として、828日に開催される総会において私から委員会に報告したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要になった場合の対応につきましては私に御一任いただけますでしょうか。

(各委員了承)

 

○今村部会長

 それでは、そのようにさせていただきます。

 勤労者退職金共済機構に係る審議は以上です。最後に、理事長から一言、頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 改めまして、理事長の額賀です。委員の皆様方には、猛暑の中、審議に御参加いただきまして大変有益な御示唆を賜りました。私ども、審議の結果を踏まえまして、機構運営に万全を期してまいりたいと思っておりますので、どうか引き続き御指導賜りますようお願い申し上げまして、大変簡単ですが、私からの御挨拶といたします。どうもありがとうございました。

 

○今村部会長

 ありがとうございました。次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替えを行います。ここで5分ほど休憩を取ります。165分から再開いたします。時間になりましたら御着席お願いいたします。

(法人及び所管課入替え)

 

○今村部会長

 それでは議事を再開します。まず、前回当労働部会におきまして、高齢・障害・求職者雇用支援機構より報告があった、求職者支援制度における不正受給の事案につきまして、法人からその後の経過等を含めて報告事項があるとのことですので、お願いします。

 

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長

 高障求機構でございます。求職者支援制度における不正受給疑義に係りまして、当機構非常勤嘱託職員の関与疑義について説明させていただきます。お手元に資料がありますので、それに基づいて説明します。求職者支援制度における、当機構の業務は職業訓練の認定業務と訓練の実施状況確認ですが、今般、資料のとおり、当機構の非常勤嘱託職員が関与した疑義事案が発生しましたので、この場をお借りして報告します。

 まず、事案概要です。求職者支援訓練を実施する大阪府の当該訓練実施機関が、求職者支援制度の認定職業訓練実施奨励金を大阪労働局から不正に受給している疑いがある事案に関連して、当機構大阪職業訓練支援センターの非常勤嘱託職員が、職業訓練実施機関に対する抜き打ちの立入状況確認を実施する日時等の情報を当該職業訓練実施機関に漏らした疑いがあるものです。

 現在までの取組ですが、大阪府警とも相談をしながら、大阪職業訓練支援センターにおいて、求職者支援訓練業務に従事する当該職員を含めた、全職員からのヒアリングを実施するとともに、大阪労働局と連携をしながら、当該訓練実施機関で開講中の全訓練コースについて実地調査を実施しました。なお、当機構がこれまで把握した情報については大阪府警に報告をしております。また、コンプライアンスの観点から、815日に理事長から、嘱託職員を含む全職員宛に、コンプライアンスの徹底について指示をしました。

 今後の対応としては、当機構としましては、大阪労働局と連携しつつ、大阪府警と相談・協力をしながら、引き続き事実確認に努めています。大阪府警の捜査状況等を踏まえ、今後、原因の解明を行い、再発防止策を取りまとめるとともに、コンプライアンス研修の一層の充実などを通じまして、特に求職者支援業務におけるコンプライアンス意識の徹底に努めてまいりたいと考えております。説明は以上です。

 

○今村部会長

 現在、まだ事態が動いているところですが、この事態の重大さを重く受け止めていただいて、調査、原因究明、対応、それから、再発防止等の努力を行っていただきたいと思いますが、法人からの報告に対して何か御質問等があればお願いします。

 

○柴田委員

2ページ目に「求職者支援制度について」という概要をつけていただいて、どうもありがとうございました。質問が2つあります。真ん中の所に訓練とありまして、3つ目の○で、「訓練実施機関には、就職実績も加味した奨励金の支給」というのは、今お話になっている給付金とは違うものですね。終わった段階で、就職実績も加味した奨励金だから、給付金とはまた違うお金、違う種類のものかという質問です。

 それから、もう1つは、この下にある給付金と違うということと、もしこの給付金が不正受給されたということになると、給付金の2つ目の○の中の「不正受給」については、不正受給額の3倍額までの納付・返還のペナルティがあるので、不正に払ったものは請求して回収できる見込みがあると理解していいのですか。その2つです。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 制度として説明しますが。このペーパーの中の訓練実施機関の奨励金支給というのは、いわゆる実施奨励金というか、訓練実施機関に払うお金のことです。そして、給付金については求職者支援制度ですから、個々の訓練生や求職者に払う給付金でして、対象の異なる2つの所に支給されている状況です。

 

○柴田委員

 両方とも不正の対象になっているのですね。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 状況を調べているわけです。

 

○柴田委員

 分かりました。そうすると、給付金のほうは3倍までの納付・返還ペナルティがありで、奨励金もあるのですか。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 奨励金についてはございません。

 

○柴田委員

 ああ、そうですか。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 成立ちを言いますと、いわゆるサービスプロバイダというか、訓練実施機関に支給する対価のものと、求職者に対する生活支援の意味を加味した給付金についての政策の立案趣旨が異なりますので、どちらも一律に3倍ということではありません。

 

○柴田委員

 私が聞きたかったのは、奨励金は訓練機関のほうに払うので、訓練機関は返還義務がないのかと思っただけなのです。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 訓練機関は返還義務がないのではないかと。

 

○柴田委員

 ここには書いていないから、ないのかと。ありますよね。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 それはあります。例えば、助成金とかも民事契約ですので、その趣旨にそぐわなかったらそれは民事契約を根拠として返還請求できますので、そういう意味ではわざわざ法には書いていないです。口頭で返還請求する。

 

○柴田委員

 返還請求が可能ということですね。民事ということなのですね。分かります。すみません。制度自体がちょっと分かりにくいです。

 

○今村部会長

 雇用保険の失業給付と生活保護の間に位置づけようという狙いは、ヨーロッパなどでやっているので、それを目指そうとしたものだと思います。

 

○柴田委員

 理解しにくかったのは、厚労省さんとこことの役割分担が分かりにくい部分があったので、ちょっと聞きました。すみません。

 

○今村部会長

 あと、給付金に関しては、これは機構さんが給付するのではなくて、ハローワークですよね。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 はい。ハローワークです。行政機関を通じて。

 

○今村部会長

 今回、この事案に関しては、不正受給をしたという具体的な人物というのはあったのですか。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 それについても、ペーパー上に示しているのは、現在、その疑義があることについて調査をしているということでして、今この場で、そういった事実が認定されたということは申し上げられません。

 

○今村部会長

 ああ、そうですか。調査中ということですね。分かりました。

 

○柴田委員

 私も、認識としては、要するに、そこの検査に行くときに、本来は前もって言ってはいけないのに言ってしまったということだけが、こちらの機構さんについては問題になっているのですね。この職員に関しては。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 機構の場合は確かに、基本的には職員についての事案として見ていただければと思います。

 

○柴田委員

 それで、制度全体の問題としては、厚労省さんを含めた全体の問題としてあるのですね。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 はい。

 

○柴田委員

 分かりました。機構さんとしては、もし本当に不正受給があるとしたら、事前にコースをきちんと審査・認定できていたかとか、事実確認、チェックシートが確認できていて、ちゃんとした機関なのかとかといった、認定作業中の厳正さがあったかどうかが問題ということですね。

 

○職業能力開発局能力開発課長

 はい。

 

○柴田委員

 もしあるとしたらです。

 

○今村部会長

 今の件に関して、1番目の「現在までの取組」という所で、コンプライアンスの徹底指示はしておられるようですが、柴田委員が今おっしゃったように、事業者の選定においての審査の仕方とか、その後のフォローアップ、モニタリングみたいなことに関しての取組はスタートされているでしょうが、それも含めてやろうとしておられるということでよろしいですか。

 

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長

 事案概要に疑義と書いていますが、先ほど課長から御説明があったとおりなのですが、私どもは一定の解明が進んで、原因がどこにあるかをきちっと把握した上で、それに対してどういう対処をするかを詰めていかなければならないと思っております。いずれにしてもすぐに、例えば、特に今回の件が非常勤嘱託だったという件でもありますので、通常の職員に比べますと帰属意識の面とか、いろいろな面で十分な配慮が必要だという点もありまして、そういう点も含めて、しっかりとコンプライアンスの徹底を図るように指示をしたところです。

○今村部会長

 今お話した、人員配置の問題ですね。

 

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長

 例えば、嘱託職員の方というのは、入ってまだ12年の方も多々いらっしゃるわけで、職員と違ってずっといるわけではない方もいらっしゃいますので、そういう方も含めて、コンプライアンスの徹底については、各施設にきちっと取組を指示しております。今後につきましては、再発防止を図るとともに、当該求職者支援業務におけるコンプライアンス意識の徹底も併せてやっていくことになろうかと思います。

 

○今村部会長

 多分、柴田委員も私も同じ印象だと思いますが、問題はコンプライアンスだけではなくて、システム全体に何かある可能性は十分ありますので、そこをきちっとやっていただかないと。

 

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長

 先ほど御説明いただいたとおり、事案をよく解明した上でどこに問題点があるかを踏まえて、そこについては厚生労働省とよく御相談しながら、御指導いただきながら対応していきたいと思います。

 

○柴田委員

 具体的に言うと、問題のその人が検査日程を分かるような状況にあったのかどうかということです。要するに、検査する機関の秘密がどのように守られていたかということです。検査に行く人と認定担当者は別の人に設定されているのか、検査する人は自分たちがいつどこに行くか、絶対に漏らさないというファイアウォールがあったかということです。ファイアウォールがなかったために、この人が知り得たのだというと、やはり組織全体の問題になります。監査に行く情報が部外担当者に分かるような体制になっていたのかというと、それはそれで、内部統制的には組織としての問題があったのだろうという話になると思います。それを申し上げたかったのです。また嘱託でもいい人もいるし、正社員でも悪い人がいるし、その人たちの雇用形態がどうであれ、どんな人でもこの秘密には接し得ないというような、セキュリティの問題がきっちりできていたかに課題があるとしたら、今の段階でもできることはいっぱいあるのではないかと思います。

 

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長

1つは、私どもがコンプライアンスという言葉を使用する場合は、文字どおり法令遵守ということで、いろいろなツールを使って、何とか法令を遵守することの必要性とか重要性を職員に浸透させるのは重要なことです。多分、御指摘の点については、どちらかというと業務上の責任体制とか情報の共有の仕方について、どういうふうにしていくべきかという点で考えていかなければいけないと思います。

 

○柴田委員

 あと、内部統制はもっと広いのではないですか。

 

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長

 私どもは、総務省等からいろいろ御指導いただいたり、総務省の研究会の報告等があって、それに基づいてやっているものですから、独法としての1つのスタンダード的なものとなっております。コンプライアンスという文言自体は受取り方によって非常に様々ですので、多分広い意味で捉えられたり、狭い意味で捉えたりと、いろいろあると承知しておりますが、私どもは、独法のコンプライアンスの取組の1つとして、総務省の研究会の報告等に基づきながら対応しているところでございます。

 

○柴田委員

 しつこくて申し訳ないのですけど。内部統制という言葉が出始めたときは、いわゆるJ-SOXという、財務諸表の信頼性を主にする部分で出てきたのだと思います。そのときに、コンプライアンスとか内部統制とかといったときには、やはりお金の面はものすごく大きな対象で、財務諸表の信頼性をどれだけ確保して、かつ効率性や業務の信頼性をどのように実現していくかが重要だったと思います。内部統制的に、奨励金を不正受給されないようにきちっと管理していくとなると、検査担当部署は、現場や認定部署との間にファイアウォールを構築するのが組織の在り方だと思うので、独法では決められていないからという形で整理してしまうと、今回の事件の再発防止に組織として対応していないことになります。

 

○高齢・障害・求職者雇用支援機構総務部長

 それは、要するに言葉の使い方という問題でして。要は、先生の御指摘になっておられるような点は、いずれにしても私どもとしては考えており、それは再発防止という観点で考えるということでございます。

 

○柴田委員

 はい。分かりました。

 

○今村部会長

 ありがとうございました。この問題は我々の委員会の問題でもありまして、以前から評価官室には、政・独委から、ガバナンス、コンプライアンス、内部統制等、法令遵守に関して、何かきちっとした、具体的な評価基準のようなものをもう少し明確に出してくれという要求は、事務局を通してやっているのですが、組織も違うし、業務形態も違うので、一律に、ガバナンス、コンプライアンスの評価項目というか、評価指標はなかなか難しいと思いますが、我々もそういった評価指標をきちっと、開発といいますか、考えていきながら、チェックできる体制も考えていかなければいけないし、これはいろいろな形で、今後も、私たちもできるだけ知恵を出し合いながら再発防止に協力していければと思います。

 よろしいですか。それでは、事務局から、高齢・障害・求職者雇用支援機構の平成24年度業務実績の評定結果について連絡事項があるということですので、お願いします。

 

○政策評価官

 今、法人のほうから、本事案については調査中という御報告がありましたが、前回お示しした個別評定等につきましては、この事案が発生する前のものについて御評価いただいたものであると、起草いただいた文案も本事案が発生する前のものだということでしたので、前回冒頭の理事長からの御説明等を踏まえまして、各委員から、評価について一部修正等がございましたので御連絡致します。最終的な法人の評定結果についてはお手元に配布してあるとおりです。その結果、第2期中期目標期間の最終評価で、評価項目20項目のうち、評価項目2の「業務の質の向上への取組」、評価項目18の「職業訓練認定業務と求職者支援制度」ですが、そちらにつきましては、委員のほうから評価の一部修正があった結果、評価項目18で、職業訓練認定業務等については評価が「A」から「B」に変化していることを報告申し上げます。事務局からは以上です。

 

○今村部会長

 続きまして、本事案の現在の状況を踏まえまして、前回に御提出いただいた、高齢・障害・求職者雇用支援機構の総合評価書()、最終評価書()に修正を加えたとのことですので、起草委員の柴田委員から御報告をお願いします。

 

○柴田委員

 それではお手元の、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の平成24年度の業務実績の評価結果を御覧ください。今お話がありました、不正受給事案の報告を踏まえ、修正を行いました。2ページを御覧ください。2ページの一番下の所、(2)1「業務の質の向上への取組について」で、線が書いてありますように、「なお」から始まって、「一部マスコミにおいて、求職者支援訓練に係る不正受給の疑いある旨の報道があったところであり、求職者支援制度に係る職業訓練認定業務等については、シナジー効果の一層の発揮という観点から、給付金・助成金支給業務における不正受給防止に向けた全般的な取組を踏まえ、厳正な実施状況確認の在り方を含めた再発防止を強化するとともに、内部統制の観点から、コンプライアンス意識の向上のための更なる取組を期待する」と書いてあります。

 ここで「シナジー効果の一層の発揮という観点から」と書いてありますが、3ページの所の2「高齢者等雇用支援業務」にも書いてあるように、不正受給防止・摘発対策緊急プロジェクトチームは、高齢者雇用に係る給付金の支給業務では立ち上げていますし、障害者のほうでも同じように不正受給という話がありますので。これは機構を上げてシナジー効果を狙いながら、横断的にこういうことを取り組んでいただくことを期待します。

8ページです。「求職者支援制度に係る職業訓練認定業務等」の所に書いてあるように、ここにも同じようにありますが、アンダーラインの2番目の所で、「雇用構造が大きく変化する中、求職者支援制度の重要性はますます高まっている」と。皆さんのお仕事がますます大変であることを強調した上で、「求職者支援訓練の効果的な実施と質の確保を図るため、更なる役割を果たしていく必要がある。このため、関係機関との緊密な連携の下、当該事案の全容解明を図るとともに、その結果を踏まえ、厚生労働省と連携し、厳正な実施状況確認の在り方を含めた再発防止策に速やかに取り組む必要がある。併せて、サードセクターを含めた民間訓練実施機関との連携・協同による制度の効果的な運用を期待する」と書いてあります。

 それから、12ページ。これも重複があるのですが、6「内部統制等について」で、組織を上げてここで取り組んでいただきたいということで、ここにも、「求職者支援訓練に係る不正受給の疑いある旨の報道があったところであり、求職者支援制度に係る職業訓練認定業務等については、シナジー効果の一層の発揮という観点から、給付金・助成金業務における不正受給防止に向けた全般的な取組を踏まえ、厳正な実施状況確認の在り方を含めた再発防止策を強化するとともに、内部統制の観点からコンプライアンス意識の向上のための更なる取組を期待する」と、同じように書いてあります。

 次に、最終評価書の修正についてもほとんど同じように書いてありますので、具体的なものは省かせていただきます。基本的には、こういう事件が起きたということは、ひょっとしたら大したことがない案件かもしれませんが、警告として、これをいい機会にして、皆さんの業務が更に効果的に、よりよいものになっていく、それから、不正を直していくという、いい機会に変換していただければと思いますので、よろしくお願いします。

 

○今村部会長

 柴田委員、ありがとうございました。ただいま御報告をいただいた、総合評価書()、最終評価書()の修正につきましては、前回の労働部会において、私が皆様から御一任をいただき、部会長として既に了承していますが、特に御意見等があればこの場でお願いします。よろしいですか。

(各委員了承)

 

○今村部会長

 それでは、特に御意見がないようですので、平成24年度の業務実績の評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。また、修正後の最終評価書()につきましては、中期目標期間の業務実績の最終評価結果()として、828日に開催される総会において、私から委員会に報告したいと思います。なお、当該事案への法人の対応についての今後の報告を含めた対応については、私に御一任いただけますか。

(各委員了承)

 

○今村部会長

 それでは、そのようにさせていただきます。以上で、高齢・障害・求職者雇用支援機構に係る議事は終了します。法人及び法人所管課はここで御退席ください。お疲れさまでした。

(法人及び所管課退席)

 

○今村部会長

 それでは、本日の議事は以上でございます。なお、本日御審議いただいた「総合評価書」、「財務諸表に関する意見書」につきましては、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づき、本部会の決定をもって評価委員会の決定となります。また、総合評価書については、今後、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会への通知、公表の手続が行われることとなります。さらに、労働者健康福祉機構の暫定評価書()、組織・業務全般の見直し当初案、勤労者退職金共済機構及び高齢・障害・求職者雇用支援機構の最終評価書()につきましては、28日に行われる総会において、私から委員会に報告します。

 それでは、事務局から今後の予定等について御連絡をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の予定等について御連絡いたします。本日御審議いただきました総合評価書については事務手続を進めて、後日、委員の皆様に確定版を郵送します。また、労働者健康福祉機構の暫定評価書()、勤労者退職金共済機構、及び高齢・障害・求職者雇用支援機構の最終評価書()につきましては、28日の総会における審議を経て、決定次第お送りします。

 正委員の皆様におかれましては、828()13時から厚生労働省専用第12会議室において、第34回独立行政法人評価委員会総会が予定されておりますので、御出席のほどをよろしくお願いします。

 最後に、労働者健康福祉機構の組織・業務全般の見直し当初案につきましては、28日の総会終了後、厚生労働大臣から総務省政策評価・独立行政法人評価委員会へ通知され、総務省政・独委における審議を経て、本年12月に再度、組織・業務全般の見直し案として、本部会、それから、総会において御審議いただく予定となっております。以上でございます。

 

○今村部会長

 ありがとうございました。それでは、本年夏の労働部会の審議については以上となります。正委員の先生方には明後日また御参加いただくことになりますが、どうぞよろしくお願いします。長時間にわたり熱心な御審議をいただきまして、ありがとうございました。どうもお疲れさまでした。


(了)

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