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2013年9月27日 第1回雇用政策研究会(議事録)

職業安定局雇用政策課

○日時

平成25年9月27日(金)10:00〜12:00


○場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室


○出席者

委員

樋口座長、神林委員、黒田委員、玄田委員、鶴委員、堀委員、両角委員

事務局

岡崎職業安定局長、宮野職業安定局次長、藤澤労働政策担当参事官、尾形職業能力開発局総務課長、土田労働基準局総務課長、成田雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課長、本多職業安定局雇用政策課長、藤井職業安定局雇用政策課労働市場分析官、高橋職業安定局雇用政策課長補佐

○議事

○高橋雇用政策課長補佐 それでは、始めさせていただきます。ただいまから第1回「雇用政策研究会」を開催させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本委員会の委員につきましては、お手元に配付しております資料1をごらんいただきますでしょうか。委員名簿のとおり12名の先生方にお願いしております。

 このうち、樋口委員には当研究会の座長をお願いしております。よろしくお願いします。

また、本日は、阿部委員、佐藤委員、清家委員、宮本委員、山川委員は御欠席となっております。

それでは、研究会の開催に当たりまして、岡崎局長から挨拶を申し上げます。

○岡崎職業安定局長 おはようございます。

 委員の先生方には雇用政策研究会の委員をお引き受けいただきまして、ありがとうございます。

 御承知のように、雇用政策研究会におきましては、従来から中長期的な雇用政策の方向につきまして、いろいろ御議論をいただいて、考え方を整理していただいております。

それに基づきまして雇用政策の指針を定めまして、私どもは雇用政策を実施しているところでございます。

現在、景気も回復の傾向にございますし、そういう中で雇用情勢も徐々によくなってきているという状況ではございます。

しかしながら、今後の我が国の社会を考えますと、少子高齢化の進展、それに伴います労働力人口の減少が見込まれているわけでありますし、我が国の経済社会を取り巻く環境につきましても大きな変化があるだろうと思っております。

昨年の政権交代以来、産業競争力会議等々、いろんな場で日本経済の成長に向けた考え方がいろいろ議論されてきております。

そういう中で、6月には日本再興戦略が取りまとめられておりますが、その中では、雇用の関係につきましても、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換等々、幾つかの新しい考え方が打ち出されております。

そういう経済・産業にかかわります全体の政策との関係の中で、雇用政策をどうしていくのか。我が国の経済、産業の成長に寄与するということが必要だろうと思っているところでございます。

そういうことでありますので、特に今後5年間ぐらいを視野に入れまして、雇用労働政策のあるべき方向について御議論いただきまして、方向を示していただければありがたいと思っております。

一つは、我が国は人材が資源でございますので、その人的資源をどうやって最大に活用していくかということを考える必要があるだろうと思っております。

それぞれの人材が持つ能力、意欲をどうやって引き出していくのか。そして、それらの方々が希望を持って働けるようにしていくことが重要だろうと思っています。

そういう中では、労働市場につきましても、内部労働市場、外部労働市場、それぞれがしっかりとそういう方々の希望に即したような形で機能するということが必要だと思っておりますし、人的資本形成ということにつきましては、能力開発のあり方でありますとか、能力評価のあり方等々を含めまして、労働市場とのかかわりを含めて考えていく必要があるのではないかと思っております。

もう一つは、若者、女性、高齢者、あるいは今、非正規で働いている方々、いろんな方がおられるわけでありますが、そういう方々が全員参加して社会を支える、社会の発展に寄与していくということが必要だろうと思っています。

そういういろんな方々があることを前提にして、どういう政策を打っていくかということが重要かなというふうに思っております。

今、私が申したことに限らず、幅広く経済・社会のあり方とのかかわりの中で雇用労働政策について御議論いただければ、ありがたいと思っております。

現在の雇用政策の指針が一応今年度ぐらいを視野に入れた、5年前につくったものでありますので、それを来年度から見直したいという思いもありますので、可能であれば来年1月ぐらいをめどに御議論をまとめていただければ非常にありがたいと思っているところでございます。

やや短期間の中で大きな課題を御議論いただきますけれども、ぜひ先生方の御理解をいただいて進めていただき、座長の樋口先生には御苦労をかけますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

よろしくお願いいたします。

○高橋雇用政策課長補佐 続きまして、樋口座長のほうから御挨拶をいただければと思います。

○樋口座長 雇用政策研究会、昨年取りまとめということを一度しておりまして、それから時間は余りたっていないのですが、社会情勢はかなり大きく転換してきている。

一つは、景気も回復しているということに伴って、日本全体としては雇用情勢というのは、需要のほうが拡大しつつあると思っておりますが、その一方で、地域の格差というところについてかなり大きな転換が見られるかと思います。

また、前回の雇用政策研究会では、人口推計、新しいものに基づいて議論しましたが、その後、地域別の人口推計といったものも発表されておりまして、少子高齢化の進展といったものも地域において相当違っているという推計がなされているかと思います。

こういうことを見ましたときに、雇用政策の転換というもの、これは日本全体の雇用政策を考えていくということになるわけでありますが、こういった地域問題とか、あるいは業種による違いというところまで目配りしたような議論ができればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○高橋雇用政策課長補佐 ありがとうございました。

 それでは、岡崎局長は所用のため中座をさせていただきます。

 それでは、議事に入ります。

 今後の議事進行につきましては座長にお願いをいたします。

 よろしくお願いします。

○樋口座長 それでは、当研究会の開催要領及び議事の公開について、事務局から説明をお願いいたします。

○高橋雇用政策課長補佐 それでは、資料2、資料3をごらんください。

資料2は「雇用政策研究会開催要領」ということでございます。

「目的」のところで、「効果的な雇用政策の実施に資するよう、現状の分析を行うとともに、雇用政策のあり方を検討する」ということでお願いをしたいと考えております。

3のところですが、研究会は局長が学識経験者の参集を求めて開催する、局長のもとでの研究会ということでございます。

資料3「議事の公開について」でございます。

研究会につきましては、原則公開ということにさせていただきたいと思っております。

ただし、以下の1から4に該当する場合でありまして、座長が非公開が妥当であると判断した場合には、非公開とするということでございます。

以上でございます。

○樋口座長 そのようにしたいということですが、この取り扱いについて、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○樋口座長 どうもありがとうございます。

 それでは、続いて、今回、当研究会で議論を行う論点及び今後の進め方について、資料も含めて、事務局から説明をお願いいたします。

○本多雇用政策課長 まず、論点につきまして、資料4−1と4−2を両方ごらんいただきながら説明をさせていただきたいと思います。

 今回の研究会において議論していただく論点の事務局案でございますので、この論点に限らず、先生方の御議論の中で別の論点がありましたらお出しいただきたいと思います。

まず、現状認識ですけれども、局長挨拶にもありましたとおり、足元の雇用情勢については、厳しさは残るものの、改善が進んでいると認識をしております。

一方で、中長期的には少子高齢化、人口減少、産業競争の激化など、構造変化が進んでまいります。

そういった状況を踏まえまして、この研究会では、我が国が成長していくために必要な雇用政策の具体像を明らかにしていただきたいということ。

同時に、雇用に対する国民の不安に応えていく必要もあると考えております。

こちらを踏まえて、資料4−2、論点骨子としては、まず大きなテーマとして、「成長を支えるために労働政策には何が求められるか」「今後の中長期的な雇用政策は何を目指すべきか」という2点を掲げております。

この大きなテーマのもとで、もう少し具体的にどういうテーマを扱うかということですが、大きく分けて2つの柱を立てております。

1つが「人的資源の最大活用」、もう一つが「全員参加の社会の実現」でございます。

これは、1がいわば労働力の質的な側面、2が量的な側面と見ることもできるかと思います。

1の「人的資源の最大活用」ですが、現状認識を裏返せば課題ということになるのですけれども、競争の中で事業等の新陳代謝を余儀なくされていること。

人材の意欲・能力を十分に発揮することが必要であること。

内部、外部の労働市場が効果的に機能を発揮することが必要であること。

雇用に関する不安を払拭して、希望と意欲を持って働けることが必要である。

こういった課題がございます。

資料4−2のほうをごらんください。

これに対して、人的資源の最大活用に関する論点としては、まず、現在の労働力の配置が効率的なのかどうか、配置された労働力が十分活用されているかといったことを挙げております。

配置に関しては、適切に配置をするためには労働力の需給調整機能が必要になるわけですけれども、その点については、内部労働市場と外部労働市場の役割がどうあるべきか、また、外部労働市場の担い手として、民間人材ビジネスとハローワークなどの公的就労支援機関がございますが、そういったものの組み合わせも含めて論点として挙げております。

 以上が労働力の配置の問題だとすると、3つ目の○は、能力開発、人的資本の質にかかわるものですけれども、職業人生の長期化や労働力の再配置に適合した人的資本形成のあり方はどうあるべきかということで、能力開発政策等のあり方について御議論をいただく必要があるのではないかと思っております。

 また、配置と能力開発に加えて、人材の能力を最大に発揮させるために、雇用管理はどうあるべきかということも論点として挙げております。

次に、2つ目の柱の「全員参加の社会の実現」でございます。

資料4−1の現状認識として挙げておりますのは、少子高齢化の中で、質・量両方の観点から労働力の確保が重要であるというもの。

個人の観点から、ライフスタイルや希望に応じて多様な働き方が求められているということ。

また、近年の問題として、新卒者を初めとする若者や非正規雇用労働者の雇用対策の強化が必要ではないかということ。

こういった課題がございます。

これに対して論点骨子としては、働き方の多様化は現にある程度進んでいるわけでございますけれども、この多様化が目指すべき雇用政策の観点から見てどのように評価できるかという点を挙げております。

また、全員参加の社会の実現をするために、若者、非正規雇用労働者、女性、高齢者などに対する雇用政策をどのように進めていくべきかという論点も掲げております。

こういった論点につきまして、今後5年間程度の間に重点的に実施すべき雇用労働政策の方向性について検討を行っていただきたいと思っております。

あわせて、労働力需給推計についても、今回、全国の人口推計は変わっておりませんが、足元の数字なども踏まえまして、改めて需給推計を行って、研究会の途中で報告をさせていただきたいと思っております。

続きまして、資料5「開催スケジュール(案)」でございます。

今の論点の整理に沿いまして、第2回で人的資源の最大活用、第3回で全員参加の社会の実現ということで、大まかにテーマを割り振っております。第4回で労働力需給推計の案をお示しいたしますので、それについて御検討いただきたいと思います。

第5回、第6回と報告書について御検討いただきまして、できましたら1月には報告書を取りまとめていただきたいと考えております。

私からは以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

 何か御質問、御意見ございますでしょうか。

 雇用政策といいますと、どうしてもセーフティーネットに代表されるような受動的な雇用政策というのが、従来メーンになっていたかと思います。

 例えば景気が悪化して、そこで失業が発生したときに、それに対して、労働市場、あるいは雇用政策としてどうするのかということだったわけですが、今回の説明のところでは、受動的な雇用政策ももちろん重要でありますが、同時に、いわゆる積極的雇用政策と言われている能動的な働き方、あるいは成長を支えるための施策のあり方について御議論いただきたいということだろうと思います。

これは、事務局とも事前に打ち合わせをしておりますが、安定局の局長による参集というような研究会でありますが、安定局の施策にとらわれることなしに、むしろ局を越えて、あるいは時には省を越えて、時には国を越えてといいますか、自治体との関連の問題もあるでしょうし、さらには民間との議論といったものも必要になってくるかと思いますので、幅広に御議論いただきたいということで、タブー視はしない。ここで取り上げるテーマについて、これはだめですというようなものについてはタブー視はせずに、日本全体のことについて考えていきましょうということだろうと思いますが、それでよろしいのでしょうか。

○本多雇用政策課長 はい。

○樋口座長 何かございますでしょうか。

なければ、今の論点骨子というところについては、そういう方向で進めてまいりたいということでございます。

では、資料6について御説明をお願いします。

○高橋雇用政策課長補佐 それでは、資料6以下について御説明をさせていただきます。

まず、資料6をごらんください。

3ページ以降が「雇用情勢」でございます。

4ページ「完全失業率の有効求人倍率の動向」ということですが、今の現状といたしましては、一部に厳しさが見られるものの、改善が進んでいるという状況。

次は「日銀短観(雇用人員判断)」であります。

ボックスの中で、「全産業は−1と2か月」とありますが、これは「2期連続」の誤りです。失礼いたしました。

製造業では、依然雇用過剰感が高いという状況でございます。

6ページ目「構造的・摩擦的失業率と需要不足失業率」でございます。

需要不足失業率のほうは低下基調ですが、構造的・摩擦的失業率は若干高いという状況であります。

7ページ「産業別雇用者数の推移」ですけれども、製造業の雇用者は減少傾向、医療・福祉の雇用者は増加傾向という状況でございます。

8ページ「職業別の求人・求職の状況」でございます。

専門的・技術的職業や、サービスの職業、福祉関連職業などでは求人が求職を上回っているという状況にありますが、一方で、事務的職業などでは求人数を求職者数が上回るということで、ミスマッチが生じているという状況であります。

続いて、9ページ「地域の有効求人倍率の推移」でございます。

景気後退期に格差が縮小し、拡大する時期には格差が増大する傾向にあるわけですけれども、今、改善しつつある中で、地域差が出始めているという状況でございます。

10 ページ以降が「労働移動」ということでございます。

11 ページが「入職・離職の全体像」ということで、入職、離職ともに24年で670万人程度という状況でございます。

12 ページが入職率の推移ということでございます。

13 ページ「離職者の状況」でございます。

まず、理由別で見ますと、「個人的理由」というのが最も多い状況。

年齢別で見ますと、29歳以下の割合が多いという状況になっております。

14 ページ、15ページが「転職の状況」で、企業規模別、産業別で見たものでございます。

企業規模別、産業別いずれも同規模間での移動、あるいは同産業での移動というものが多いという状況になっております。

16ページが「転職後の賃金変動」でございます。

一般から一般への転職については、21年以降、賃金が減少した場合が上回っているという状況にあります。

17 ページ、18ページ「入職経路と入職者数」ということであります。

入職経路として、安定所を利用した者は21%ということで、民営職業紹介所を利用した者は15万人、2.4%という状況であります。

19 ページ以降は「雇用調整」の状況ということでございます。

20 ページが「雇用者数ベースの雇用調整速度について」であります。

国際的な比較で見ますと、我が国の雇用調整速度は中程度ということであります。

21 ページが「経営上の都合による離職者数の推移」ということで、平成23年は常用労働者の約33万人が経営上の都合により離職をしているという状況でございます。

22 ページが「雇用調整の実施方法別事業所割合の推移」でございます。

現状、2013年におきましても、配置転換、出向などは依然高水準であるという状況でございます。

23 ページ以降は「中長期データ」ということでございます。

24 ページ「日本の人口の推移」ということでございます。

人口減少局面を迎えているということで、2060年には高齢化率が40%、総人口は9,000万人を割り込むという状況でございます。

ここで、資料のほうがちょっと飛びますけれども、参考資料4、座長のほうからもお話がございましたが、地域別の将来推計の資料をつけてございます。

こちらの資料は、全体の1枚の紙と、それ以降は県別のところのみを抜粋してつけてございます。

【推定結果のポイント】にもございますけれども、「2040年の総人口はすべての都道府県で2010年を下回る」「65歳以上人口、75歳以上人口は大都市圏と沖縄県で大幅に増加」ということになっております。

もとの資料にお戻りいただきまして、資料6の25ページ「就業率の推移」でございます。

男性、女性を挙げておりますが、男性の就業率は依然高い水準を維持している。

女性の就業率につきましては、2539歳層を中心に増加傾向であるということでございます。

26 ページ「就業者数と雇用者数の推移」でございます。

就業者に占める雇用者数の割合は上昇しているということで、自営、家族従業者の減少の影響が大きいのではないかということであります。

27 ページ「産業別就業者構成割合の推移」、28ページ「職業別就職者構成割合の推移」でございます。

29 ページ以降は対象者、若者でございます。

まず、若者でございます。

30 ページ「高等学校、大学卒業後の状況」ということでございます。

31 ページのグラフとあわせて見ていただければと思います。

まず、高等学校のほうにつきましては、就職も進学もしていない者の率は、30ページの表1、平成20年と25年は5%の割合ということで、変わらない。

大学のほうでは、平成20年から22年にかけて上昇しておりますが、その後、低下傾向という状況でございます。

32 ページが「大学卒業者の内定率の推移」ということであります。

改善をしてきているわけですけれども、依然として厳しい状況にあるということでございます。

33 ページが大卒の求人・求職者数の推移、グラフでございます。

34 ページ「新規高校卒業者の内定率の推移」ということでございます。

こちらのほうも改善はしてきているわけでございますが、依然として厳しい状況ということであります。

35 ページは「新規高校卒業者の求人・求職状況の推移」でございます。

36 ページは「フリーター・ニート等の数の推移」ということであります。

フリーターの数につきましては、平成24年は180万人ということで、前年差4万人減という状況。

ニートの数につきましては、平成14年以降、60万人台で推移ということでございます。

続きまして、「女性」関係でございます。

38 ページです。女性の労働力はM字ということでございますけれども、10年前と比べますと、多くの年齢階級で労働力が上昇しているという状況です。

右側のほうで未婚と有配偶で見ておりますが、有配偶の2529歳、3034歳での上昇幅が大きいということが見てとれます。

「就業率の国際比較」が39ページでございます。

先進諸国と比べますと、M字カーブの傾向は顕著であります。

40 ページ「女性の勤続年数」でございます。

継続の就業が進んでおりますけれども、平均勤続年数は男性よりいまだ低い状況にございます。

41 ページ「管理職に占める女性の割合」です。

管理職に占める女性の割合は上昇傾向にあるわけですが、国際的に見ると、依然その水準は低いという状況にございます。

42 ページ「女性の年齢別雇用就業率と正規雇用就業率の推移」です。

上の青、紫での比較になりますが、全体の雇用就業率の上昇幅に比べまして、下のオレンジから水色のところ、正規雇用就業率の上昇幅が小さくなっているという状況でございます。

続きまして、43ページ以降は「障害者」でございます。

44 ページ「障害種別の障害者雇用の状況」ということで、身体障害者、知的障害者、精神障害者のいずれも雇用者が増加している。特に精神障害者が大きく増加しているという状況でございます。

45 ページ「障害者雇用の状況」でございます。

実雇用率1.69%、法定雇用率達成企業割合は46.8%ということで、障害者雇用につきましては着実に進展してきているという状況でございます。

46 ページが「企業規模別の障害者雇用状況」でございます。

中小企業での取り組みということがまだおくれているという状況にございます。

続きまして、47ページ以降は「高齢者」のデータでございます。

48 ページが「就業率の国際比較」でございます。

高齢者の就業率は、諸外国と比較して高い水準にあるということで、特に65歳以上でかなり高い水準ということでございます。

49 ページが「中高年齢者の年齢階級別・就業状態別割合の長期的推移」ということでございます。

雇用者割合を見ますと、60代前半までの大きな伸びに対しまして、60代後半以降は小幅な伸びということです。全年齢階級で自営業主・家族従業者の割合の減少ということが見えるところでございます。

50 ページが「就業についての引退及び引退時期」であります。

全ての年齢階級で「年齢に関わりなくいつまでも働きたい」という割合が最も高いという状況でございます。

51 ページが「高齢者の就業理由」ということでございます。

60 64歳層では「生活の糧を得るため」が多いわけですけれども、6569歳という層では「健康にいいから」「いきがい、社会参加のため」が「生活の糧を得るため」と同等か、それ以上というふうになっている状況でございます。

続きまして、52ページ以降は「非正規雇用労働者」の状況でございます。

53 ページは「就業者の内訳と推移」ということで、就業者のうち正規雇用者・自営業者等の割合は低下傾向ですが、一方、パート、派遣、契約社員等の割合は上昇傾向ということでございます。

54 ページ「正規雇用と非正規雇用の労働者の推移」でございます。

正規雇用につきまして、直近では1,879万人ということで、36.2%という状況でございます。

55 ページが「非正規雇用労働者の動向」ということで、フリーター、年長フリーターなど、それぞれの年齢とかカテゴリーに分けておりますけれども、平成14年と平成24を比べてみますと、高齢者層と35歳以上、年長フリーターと中高年のところが増加しているという状況になっております。

続きまして、56ページ「『不本意非正規』の状況」でございます。

不本意非正規労働者の割合は、2534歳のところが29.7%ということで、この層が高いということになっております。

57 ページは「非正規雇用労働者における年齢構成」でございます。

非正規雇用労働者数は増加しているわけですが、その割合で見ていきますと、高年齢者層の割合が上昇傾向という状況にあります。

一方で、若年層の割合は低下傾向にあるという状況でございます。

59 ページ、60ページは、非正規雇用を選んだ理由を男女別に掲げております。

男性で見ますと、2564歳層で「正規の職員・従業員の仕事がないから」という割合が多くなっております。

女性につきましては、全ての年齢層で「自分の都合のよい時間に働きたいから」あるいは「家計の補助・学費等を得たいから」の割合が最も多いという状況になっております。

61 ページ以降が「外国人」です。

62 ページは「外国人労働者数」でございますけれども、外国人労働者数、外国人雇用事業所数は増加傾向にあるということでございます。

63 ページがその内訳、「就労する外国人のカテゴリー」ということでございます。

64 ページが「人材育成」でございます。

65 ページは「OFF-JTに対する企業の支援」ということであります。

ここで、教育訓練に支出しました費用の1人当たり平均額を見てみますと、OFF-JTに関しては、23年度調査で1.5万円ということであったわけですが、24年では1.4万円と低下をしている。

自己啓発に関しましても、23年度調査では0.6万円と増加したわけでございますが、24年度では0.4万円と低下をしているという状況でございます。

66 ページが「OFF-JTの実施状況/計画的なOJTの実施状況」でございます。

左側のほうがOFF-JTを実施した事業所の割合ですが、正社員と正社員以外を比べますと、正社員以外のほうの実施水準というのが低い水準にとどまっているという状況であります。

右側のほうは計画的なOJTでございます。正社員については59.1%でありますけれども、正社員以外のところは28%と、これまでから比べると横ばいで推移しているわけですが、正社員以外の割合が低いという状況になっております。

67 ページが「人材育成に関する問題点/能力開発の責任主体」ということであります。

67 ページの左側が「人材育成に関する問題点の内訳」ということで、複数回答でありますが、問題点として「指導する人材が不足している」「人材育成を行う時間がない」というものの割合が多い状況でございます。

右側のほうは、能力開発の方針を決定する主体が、企業主体か、労働者個人を主体とするかということにつきまして、正社員、正社員以外ともに企業を主体とする割合が労働者個人を主体とする割合よりも高いという状況になっております。

68 ページ以降は「参考」ということでございます。

「実質GDPの推移と寄与度」が69ページです。

株価の動きなど、その他の経済の状況についての資料をおつけしているという状況でございます。

そのほかにおつけしている資料についてです。

参考資料1といたしまして、「雇用に関するこれまでの各種提言・取組について」ということで、政府・与党などの動き、最近の労働関係法制の動き、最近の研究会・検討会の動きの概要などをおつけしてございます。こちらは適宜御参照いただければと思っております。

参考資料2につきましては、先ほど局長の挨拶の中で出ておりました雇用政策基本方針に関してでございます。

12 ページの一番上「雇用政策基本方針」の趣旨として、「中長期的な雇用対策の基本的な考え方を踏まえつつ、改正雇用対策法第4条に規定された国が講ずべき施策に即して策定する」ということになっています。

今の計画は平成20年2月29日に策定をしております。この方針の中で「おおむね5年程度」ということになっておりますので、今回、研究会の御議論を踏まえて、こちらのほうを策定していくという流れを考えております。

13 ページにおつけしていますのが現行の基本方針の抜粋、骨子というものでございます。

最後に、参考資料3といたしまして「雇用労働政策の基軸・方向性に関する研究会」報告書をおつけしてございます。

こちらのほうを配付しておりますのは、研究会の論点骨子「1 雇用政策が目指すもの」について御議論いただくに当たりまして、参考として配付をさせていただいているものでございます。

こちらのほうは19年に報告書をまとめておりまして、1枚おめくりいただきまして、1ページ目の裏に「報告書のポイント」というのがございます。

この報告では、「雇用労働をめぐる構造変化に対応して、持続可能な経済社会を実現していくためには、中長期的に一貫性の高い雇用労働政策を策定する必要があり、このためには、雇用労働政策を策定する上で、常に念頭におき政策の妥当性を判断する『基軸』が必要」という考えのもとに報告書がまとめられております。

2つ目の○です。「グローバル化等の中で、企業の競争力の強化や経営の効率化を図る必要があるとともに、労働者は職業人であると同時に生活者であることから、生活の安定と自己実現を図っていくことが必要」ということを踏まえまして、「『競争力の強化、経営の効率化』と『労働者の職業生活の安定、自己実現』との調和を図るために」ということで、1.公正の確保、2.安定の確保、3.多様性の尊重といったことを基軸として雇用労働政策を策定していくのがよいのではないかということで、報告書をまとめたものでございます。

本日の御議論などの参考にしていただければということで、おつけしているものでございます。

説明は以上でございます。

○樋口座長 ありがとうございました。

 それでは、自由討議に移りたいと思いますが、御意見、御質問ございましたら、お願いいたします。鶴さん、どうぞ。

○鶴委員 御説明、どうもありがとうございました。

 最初に論点ということで、資料4−1をいただいたのですけれども、成長していくために必要な雇用政策の具体像ということで、非常にフォーカスがされていて、なおかつどういうテーマをやるのかということで、多分個々の能力の開発、向上というだけではなくて、労働の再配分とかそういうことも含めて、人的資源の最大活用、これはマッチングをどういうふうに高めるのかということも非常に大きなポイントだと思います。

量的な視点として、いかに労働参加率、就業率を高めるかということで2を挙げていらっしゃるということだと思います。

これは全体の構成が非常にわかりやすくて、すっきりしていると思います。

先ほどの資料6についての説明も含めて、2点問題提起ということです。

1点目です。2つの検討テーマというのは、基本的に供給サイドから考えるとこういう形になると思うのですけれども、成長していくためにということは、多分マクロ経済として、需要と供給の相互連関、いわゆる相乗的な効果ということで、これは樋口先生など、内閣府のほうでもいろいろ御検討されているということだと思うのですが、どういうふうに賃金が上がっていくのか、所得が上がると、それによって需要がふえる。また供給があって、対応していく。そういう視点というのも、この2つの中にはちょっと落ちるのかもしれませんけれども、成長という視点の中には入ってくる話だと思うので、最後、報告書の中にはそういうことも少し入っていくのかなというイメージを持っています。

成長戦略は安倍政権の一丁目一番地なので、いろんな政策がそこを見て行われる。私も、そういう視点から雇用政策というものを考えていったときに、自分で少し感じたのは、実は非正規雇用の問題がどうしても抜け落ちてしまうような部分があるのです。

こういう話になると、正社員をどういうふうに改革していくのかとか、そういう話が割と中心となっていくということで、今、統計的にも35%を超えて、就業構造基本調査で38%、4割に迫るぐらい非正規雇用の割合が高まっている。また、有期雇用の割合というのも本年から公表され始めましたが、28%という数字は、OECD諸国の中で一番高いわけです。これはかなり深刻な状況であるという認識を私自身は持っています。

2 の検討テーマの中でも非正規雇用の話というのが入っておりますので、どうしても忘れがちになるということを少し心にとどめなければいけないなと。

資料6の55ページ「非正規雇用労働者の動向」という資料を見ると、最近の10年間の非正規雇用の増加の中で高齢者の割合がふえている、そこの寄与がかなり大きいわけです。5%ぐらい増分になっているということで、これのインプリケーションをどう考えるのか。

しばらく前に、格差の拡大というのは、高齢者層がふえているから、要は、ジニ係数がふえている、そういう議論と非常に似たところが多分あるのだろうなという感じを持っていまして、どんどん高齢化していくと、自然にそこの割合がふえていくから、それによって、例えば高齢者はなかなか正社員になれない、むしろ非正規の方が多いだろう。そうすると、全体として非正規雇用の割合がふえていることについては余り問題視しなくてもいいのではないかという議論が出てくることはあり得るのだと思うのです。

私がちょっとよくわからないのは、確かに統計上はそうなのですが、一方で、例えば就業構造基本調査などを見ると、契約期間の長い人たち、いわゆる正社員に近い働き方をしている人たちが過去20年、30年、一貫してふえているのです。そうした話と高齢者層のウエートの増加がどういうふうに結びつくのか。ここは過去10年だけなのですけれども、もう少しさかのぼって90年代はどうだったのかとか、なぜ非正規雇用の人たちがふえているのかということについて、分析的なものがちょっと必要ではないのかなと思っていまして、そういう問題意識で事務局のほうにも少し分析をしていただいて、次回以降、御紹介をいただければありがたいなと思います。

以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。

 要望と御意見ということですが、これについて、事務局から何かありますか。多分非正規の高齢者のところの増加というのは、高齢法の改正と関連してきているのかなと思うところがあって、ことしの4月1日に施行されているわけで、統計にはあらわれていないと思いますが、要は、定年年齢を超えて継続就業する人たちがふえている。それが正社員としてというよりは嘱託であるとかいうところ。絶対数自身も団塊の世代がちょうどそういう年齢層にあったということもありますが、これをどう評価していくのか。

○鶴委員 これからもっとふえるということだと思うのです。

○樋口座長 そうですね。

というところをどう考えるかということです。

 御指摘の中で1番目のポイント、需要サイドの話をどうするか。確かに経済成長を支えるのは、潜在GDPの伸び、供給サイドの伸びと需要サイド、その両輪で伸びていかないとだめだということでしょうけれども、これまで賃金とか分配という問題については、政策的な観点というよりは、むしろ個別、労使の問題というところで来たわけですが、賃金のところが、確かに今回配られた参考資料でもそう多くないと思っていまして、それをどうするのか。従来あった議論というのは、男女間の賃金格差の問題とか、あるいは正規、非正規の賃金の差の問題であるというのはありましたが、このところを議論のターゲットに加えたほうがいいのではないかということだろうと思います。

それもあわせて御議論したいと思います。

内閣府の政労使会議のほうで議論しているというのは、足元での話ですから、雇用政策研究会のほうはもう少し長期的な視点も含めてというところで、中身はかなり違ってくるかと思いますが、どうでしょうか。神林さん、何かありますか。

○神林委員 もちろん、賃金決定は労働市場の機能の一つの重要な役割ですので、賃金がどういうふうに決定されているのかというのは、こういう雇用政策を考えるときにはかなり重要な問題だと思います。

日本の賃金決定に関しましては、諸外国と比べると、かなりフレキシブルに賃金が決定されているという特徴がありますし、リーマンショック以降、日本の雇用が保蔵された一つのバックグラウンドとして、賃金調整がかなり早く進んだという現状もあります。

年功賃金カーブが寝てきているということとフレキシブルな賃金決定というのがどういう関係にあるのかというのは、まだ学会でも定かではありませんが、ともかく賃金決定というのは、現在どういうふうになされていて、90年代と何か変わったところがあるのかということはまとめておく必要があるかなと思っています。

恐らくそれと関係すると思うのですけれども、労使関係が現在どのように動いているのかということもきちんと把握しておくべきかなと思います。

えてして現在、外部労働市場を利用するという話が重要視されていますが、もし内部労働市場が残るのであれば、そのバックグラウンドの制度としてきちんとした機能を果たすべきは労使関係、これについては恐らく異論はないと思います。労使コミュニケーションというのがこの20年間、30年間棄損しているということは、ちまたでは言われてきているのですけれども、はっきりした証拠、あるいは議論というのはありません。

ですので、これがこれからの雇用政策を考えるときに、棄損されたままの労使コミュニケーションを前提にして雇用政策というのが動くのかということは、疑問がどうしても出てくると思いますので、この点については整理をしておくべきかと思います。

ちょっと余計なことですけれども。

○樋口座長 ありがとうございます。

 やはり労使コミュニケーションというのも大きく変わってきている気がしますね。従来からのコミュニケーションがうまくいっているところもある一方において、その対象にならない、ある意味では労働組合に入っていない非正規とかいうようなところのコミュニケーションといったときに、従来はほとんどが労使コミュニケーションでカバーされてきた。ところが、それ以外の人が相当に多くなってきている中において、どうあるべきなのだろうかという議論もあります。

鶴さんの問題提起であった非正規との絡みというところもどう考えていくのか。見落としがちだという御指摘がありましたけれども、まさにそういったところもここでの対象ということになるかと思います。

黒田さん、どうぞ。

○黒田委員 早稲田大学の黒田です。よろしくお願いします。

 きょうは、できれば総論をということでしたので、大きな話ということですが、私自身は、中途採用市場の厚みをいかにつくっていくかということが、今後は非常に大きなイシューだと思います。

先ほど鶴先生が非正規対策がどうしても抜け落ちがちだということをおっしゃっていて、私もそれはそのとおりだと思うのですが、一方で、正規労働者の転職市場というものの分析もかなり抜け落ちているのではないかなと感じております。

ある企業の正規から別の企業の正規への転職がスムーズに実現するのであれば、転職した後に、そこでポストがあくわけですから、そのポストに今まで失業されていた方、非正規の方が入るということも可能になるわけなので、非正規と正規ということを別々に考えるのではなくて、非正規も考えなければいけないですけれども、正規の転職市場もあわせて考えることによって、最終的なオーバーオールで労働市場が活力を持つようになっていくことにつながると考えております。

そのためには、正規から正規の転職市場が一体どういうふうになっているのかということの分析がもう少し必要なのではないかなと感じています。

例えば雇用動向調査ですと、入職者票に簡単な理由を聞いたりするところがあると思うのですが、そういったところを中心に見てみるということもあるかと思います。

もう一つは、同じ雇用動向調査ですけれども、入職の経路を聞いているところがあると思います。

こちらは今回示していただいた資料6の18ページです。以前に比べて縁故は割合としては大分下がってきているようですが、依然として2割ぐらいは縁故があるというのが大きなポイントかと思います。

縁故によって新たな職を見つける方が引き続き多いということは、雇う側と雇われる側にかなり情報の非対称性があって、この人ならという確かな情報がない限りは、なかなかマッチングがうまくいかないということに関係しているのではないかと思います。

この点について、年齢別とか、あるいは一般とパート別に入職経路の割合がどういうふうに推移してきているかということを見ていくと、もう少し具体像が明らかになってくるのではないかと思いました。

簡単ですが、以上です。

○樋口座長 ありがとうございます。

 縁故の中には知人、友人というのもあるでしょうが、あとは前職雇用主の紹介というのがかなりあって、割とそれがうまくいっているようなところもあるのです。出向、転籍ではないのですが、知っているところに紹介していくとか、ここをうまく使うというのも、言うまでもなく、見えざる手よりは見える手という話が最近あって、全く見えざる手で労働市場に放り出されて、そして情報の不完全性のままというよりは、見える手によって、その人をよく知っている人を通じて転職をしていくということのほうが、割と成功確率は高いとかいう分析結果も出てきています。

そうすると、中には、やめてもらうのには次の仕事を雇用主のほうが紹介するという義務を負わせるということもあり得るかもしれない。そういうのが検討課題になるかなと思います。

どうぞ。

○神林委員 その点なのですけれども、縁故採用での中途採用者の採用というのは、幾つか分析があると思うのですが、今、樋口さんが「見える手」とおっしゃったのですが、私はちょっと印象が違っていて、結局、縁故採用というのは、特定のスペックを切って求人をかけているわけではなくて、いい人がいたら採りますということで、「いい人」と呼ばれる、そういう求人のかけ方なのです。私たちもそういうことはよくやります。

 つまり、ある特定の仕事があって、こういうスキルを持った人を充てたいというマッチングの仕方ではないのです。これは、そういう意味では、見えざる手というのでしょうか、何だかよくわからないですけれども決まってしまうというマッチングのやり方で、公的職業紹介が前提にしているデジタルマッチングの仕方とはロジックが全く違うわけです。

 縁故採用がある程度あるというのは日本に限らず各国でもあって、2割というのは少ないほうだと思っています。

これに関しては国際比較可能な統計がないので、よくわからないのですけれども、ただ、外部労働市場でマッチングをしていくということを今までずっとやってきた目的というのは、むしろ縁故採用というよりは、職業紹介機関を使って、こういう仕事があるので、こういう技能を持った人が欲しい。自分はこういう技能を持っているので、こういう仕事がしたい。そこでマッチングをする。そういうエクスプリシットなマッチングの仕方を社会で構築していこうというのが、ここ30年、40年の基本的な方向性だったと思います。極論すれば縁故採用をなくすという方向だったというのが私の理解です。

なので、この点については慎重に議論をしたほうがよいのではないかと思います。現在議論されている限定正社員のお話であるとか、あるいは民間の職業紹介機関とハローワークとのすみ分けをどうするかという話も含めて、今は、デジタルマッチングを労働市場の中でどれだけ効率的にやっていくのかという議論を集中的にやっている時期だと思いますので、そこで縁故採用を復活しようみたいな話というのは、ロジカルに言って矛盾していると感じます。

○樋口座長 ロジカルに矛盾しているのかもしれませんが、一方において、雇用政策として、特にリーマンショックの後とか大きなショックの後に、前職の雇用主が例えばハローワークなり、さらには民間の職業紹介なりを通じて再就職するときに支援金とかを出してきました。あれはかなり効果があるという評価も片方で分析、例えば賃金の低下が少ないとか、あるいは求職期間が短いということがあって、どちらが効果的なのかというのは、まさに仕事の中身によって、専門職であればそういった効果というのは余り大きくないのかもしれないし、かなり違っていて、それを使い分けしていくということで、縁故をなくそうなどという話は多分していなかったのではないかと思います。

黒田さん、どうぞ。

○黒田委員 済みません、私が縁故復活みたいなニュアンスで申し上げたように皆さんにお伝えしてしまっていたら、それは全く誤解で、訂正させていただきます。

 むしろ一番最初に神林先生がおっしゃっていた「いい人が欲しい」というニーズは、企業の方にお聞きすると、相当程度聞くわけです。スペックは非常に合っているのだけれども、実際に雇ってみると、なかなか人間関係がうまくいかない人だったということがあって、そうしたことが企業に中途採用を躊躇させる足かせになっているということもあるのではないかと考えています。

そういう意味では、縁故復活ということではなくて、デジタルマッチングを進めつつも、人となりもあわせて紹介していける機能とか、あるいはトライアル的に何カ月か雇ってみて、労使がお互いにいいと思えば、そこで正式に成立するという枠組みを考えるということもあり得るのではないかと思っています。

○神林委員 そういう意味では、今の職業紹介のシステムの中に職業紹介者自体が信頼を担保するという制度は入っていません。つまり、職業紹介というのは、紹介したら終わりなわけです。紹介が終わった後、例えば労使双方にこんなはずではなかったのにということが起こったとき、紹介者に舞い戻って、何でこんな人を紹介したのだという苦情は言えるかもしれませんけれども、それはたかだか苦情であって、紹介者自身が何らかの責任を持ってそれに対処するという制度にはなっていないのです。

 なので、今、デジタルマッチングという言い方をしたのですが、デジタルマッチングというのが前提としている紹介の仕方というのは、そういう信頼を担保するような紹介ではないのです。

ただ、民間の職業紹介というのは、職業紹介を通じて信頼を担保するというところにビジネスチャンスがあるはずなのですけれども、今の制度上そういうことができていないというのはあり得ると思います。

労働市場を通じて人材を再配分するときに、情報の非対称性をクリアする2つの方法として、情報を明らかに出してしまう。これがデジタルマッチングの一つの意味ですけれども、それと同時に、情報はよくわからないのだけれども、信頼できる人を間に置くというやり方も一つ大きくあり得ると思います。

この2つを区別して外部労働市場をどういうふうに動かすかということは、実は内部労働市場でジョブをどういうふうに定義するかということと表裏一体になっているわけで、情報、スペックを切ってこういう人を雇ったとしても、1回雇って、その1年後にどこの職務に配置転換されるかわからない。結局、いい加減な雇用管理をやっているようなところだとすると、そういうデジタルマッチングは、いかに入り口のところでマッチングしたって、長期的には余りエフィシェントではないという状況が起こっていると思います。

なので、外部労働市場だけとか内部労働市場だけというのをここは議論できるような形にはなっていないのだと思います。それは表裏一体で考えないといけないことだと思います。

○樋口座長 恐らく転職市場で重要なのは、信頼できる情報をいかに得るかということで、それを誰が提供するのかというところだろうと思うのです。

縁故と言っても、縁故もいろいろあって、信頼できない情報を提供する縁故者もいれば、まさに信頼できる縁故者もいる。

我々の調査でも、ある企業が倒産したときに何が一番再就職にプラスであったかというと、ハローワークを通じてとかとありますけれども、管理職の人が転職した先に信頼できる部下をスクリーニングして連れていっているというのは、かなり有効な方法で、考えれば、アメリカあたりでも全く同じようなことをやっている。

あるいはアメリカでは前職の管理者、上司の各レファレンスが一番効力を発揮する。ほとんどホワイトカラーについてもそういう形での転職で、前の上司が推薦状を書いてくれないというのは、よっぽど何かあったのだなということで、逆に受け入れがたいというところもあるわけで、そこの情報です。

情報の中に、単に技能でなくて、人柄とかやる気というところもあるのではないかというような御指摘かと思います。

議論していただければといいと思います。どうぞ。

○鶴委員 これまでのお話を聞いていて私も非常に感じるのですけれども、資料4−2で「人的資源の最大活用」ということで、現在、労働力の配置が効率的かとか、民間人材ビジネス、公的就労支援機関の役割はどうあるべきか。きっちり政策のあり方を考えるための分析がされてきていないというか、やろうと思ってもなかなか難しいということで、両面あるのだと思うのです。

そうすると、例えばアンケート調査とか、個々のいろんな事象の事実などをくみ上げて、どういうことがいいだろうかということは、これまでもいろんなことが言われているのですけれども、どれが決定打になり得るのかとか、そういうものは非常に難しい。

私は、ドイツの改革や研究なども調べたのですが、結局、個々の政策は具体的にどう影響したのかと。結果として例えばベバレッジカーブがシフトして、マッチングの効率性が非常に高まる。また、一般均衡モデルでディープ・パラメーターを推計して、それが大きく変化している。

我々は大きな効果があったということはわかるのですけれども、では、具体的にどの政策がどうなのか。例えばいろんな職業紹介所がどういうやり方をとっているのかという情報が全部わかって、それで個々の転職した人がどういうふうになっているのかとか、そういうものがわかれば、例えばこういうやり方をやっているところが非常に効果が出ているとか、そういう話はわかってくるのですが、世界的に見ても、そういう情報というのは非常に限られている。分析例というのは余りないのです。

だから、今回、雇用政策研究会でやろうとしていることというのは、そういう意味でも、これまで分析、データということも客観的なものがない中で、どういう政策提言をしていかなければいけないか。結構チャレンジングなところにいるということが現状での認識、出発点として非常に重要だと思っています。

○樋口座長 一度事務局で今までの議論とか、特にJILPTでかなりやっていて、外に出せない情報というのがあるのかもしれませんが、例えばこういうことをやっているハローワークの効率性はどうかとか、地域でやっているところのハローワークはどれだけマッチングをうまくさせているかとか、そういう検討がたしかあったと思います。岡崎さんがいろいろ配慮してくださって研究をやってきたというところがある。ハローワークに限らず、そこについての求職者の追跡というのをやっていたと思いますので、そういうこともあわせて御検討いただいて、御紹介いただければと思います。

 両角さん、どうでしょう。

○両角委員 今と違う話でもよろしいでしょうか。

○樋口座長 結構です。

○両角委員 私は労働法を研究しておりますので、経済学とは考えていることが違うかもしれませんけれども、今回の研究会では、成長のための雇用政策というテーマが与えられていますが、もちろん、成長というのは雇用政策の一つの目的であるだろうと思いますけれども、そこには、同時に安定であるとか、平等であるとか、ほかの大事なポールがあって、そのバランスの中でその時々によってバランスは変わっていくのですが、バランスをとりながら雇用政策を考え、やっていくということだろうと思います。

そうしますと、成長を追求していくときに、例えば平等とバランスしなければいけない。そのときに何の平等に重点を置くのかということが、総論的な話としては大事なのかなと思っています。

機会の平等なのか、結果の平等なのかというのはよく言われますけれども、今回のテーマの全員参加のほうでもそうですし、人的資源の活用にもかかわると思うのですが、私が個人的に一つ重要ではないかなと思っているのは、障害者とか、障害者の認定は受けていないけれども、何らかの病気であったりする方、それから家族の事情、子供や病人や老人の世話をしなければならない、それをしながら働くという人がふえてくる社会ということになるのだろうと思います。

ですから、100%の職業能力を発揮できない状況にある人が非常に多い中で、それを発揮できるようになるまでは労働市場に参加しないというのではなくて、今、使える力をできるだけ発揮して参加できる雇用社会、そういうものをつくっていくことが大事であろうかと思っています。

今度できる障害者の雇用関係の法律なども非常に大きな第一歩ではないかと思うのです。そういう法制度なども整備されていく中で、多分企業も、何らかの事情で100%の力が出せない人に対して、一定の合理的な配慮をしなさいというルールが一般化されてくる方向にあると思うのです。育児・介護休業法なども多分その流れであって、今度の障害者の法律もそうだと思うのです。

では、何が合理的なのかということは法律に画一的に書けることではなく、これはそれぞれの企業でやっていく、そして社会の中で、ここまでは合理的だけれども、これは合理的ではないとか、そういう基準ができてくるのだと。

それをどういうふうにつくっていけばいいか、その基準というのをどうやってつくっていくのかというのは、これから一つ重要な雇用政策の課題でもあるのではないかと思います。

それからもう一つ、雇用政策上、安定ということも大事な価値だと思うのですが、それも何の安定をこれから重視していくのかということを考えなくてはいけなくて、これは諏訪先生が「キャリア権」ということで、職業の保障や雇用の保障も大事だけれども、キャリアの保障も大事だ。

仮に雇用が中断したとしても、転職をしたとしても、個人のキャリアとしてはそれなりの安定というか、一体性を持つような、そういう雇用政策や労働法をつくらなければならないということをずっと言っておられていますが、これもこれからの非常に重要なテーマで、本当にそういうものができるのか、かなり難しいチャレンジングなことではないかと思うのですが、どのような雇用政策をとっていけば、そういうキャリア権みたいなことが実現されていくのかということも考えていく必要があるのではないかと思っております。

○樋口座長 どうもありがとうございました。非常に重要な問題だろうと思います。

 単に成長というだけではないと思うのです。成長というのは、長期的に見ればターゲットになると思いますけれども、その間では必ず景気循環というのがあるわけですから、伸びていく側面と、逆に停滞する局面における公平性の問題とかいうことも考えていかないといけないということだろうと思います。

 堀さん、どうでしょう。

○堀委員 労働政策研究・研修機構の堀有喜衣です。どうぞよろしくお願いいたします。

私は、若者の学校から職業への移行についての研究をしておりますので、これまでの議論とは離れてしまうのですが、2点申し上げたいと思います。

まず、先ほど座長から地域格差の御指摘がありましたけれども、労働政策において地域移動をどう考えていくかということについて、ぜひ御検討いただけないかと考えております。

若者につきましては、高卒後の初職につきましては労働行政でしっかり把握しているところなのですが、大卒についてはほとんどわかっていないという状況で、いわば地域的な労働力の配置とか配分の状況というのがまだ十分につかめていない部分があるのではないかと思っております。

第2点目としまして、大学進学率が高くなる中での大卒の労働力をどう考えていくかということも同時に議論をしていく必要があるのではないかと考えています。この点については、労働行政の枠を部分的に超えてしまうところもあるかと思うのですけれども、この研究会の中で可能な範囲で皆様と意見を交換させていただければと考えております。

以上です。

○樋口座長 どうもありがとうございます。

今後を考えると、地域は重要になりそうだという予感がしますね。本人の移動性と同時に、今度は地域社会の安定性といいますか、持続可能性、特に少子高齢化の中における問題、若者がみんないなくなってしまったということでも困るでしょうし。

玄田さん。

○玄田委員 1つだけ申し上げます。

 結論的に言うと、向こう5年間の労働政策の課題の本丸は、65歳から69歳の層にどう適切な政策を施すかにあるというのが私の結論でございます。

鶴さんの冒頭の発言にもありましたし、これまでの研究会にずっと参加していて、座長の樋口先生もしばしばおっしゃっていますが、やはり就業者をどう確保するかということが極めて重要な課題であるということは、今回も紛れもない事実だと。

全員参加型社会の実現もそうですし、人的資源の最大活用も極めて重要ですけれども、やや難があるとすれば、ちょっと弱い、イメージがはっきりしない。

これをどういうふうに具体的に数字に落とし込むかということを考えたときに、前回の研究会報告、参考資料2にあるように、具体的な数字で幾つか提起がされています。

日本の人口が1億人を割るという中で、製造業1,000万人の維持を目指すのだというのは、実はかなり強いメッセージだと思います。何をやっても10人に1人は物づくりにかかわるのだというのは、かなり強い政策メッセージで、これがどのくらい社会に受けとめられているかわかりませんけれども、非常に方向性がある。

では、何を考えるかというと、一つは就業率であります。日本の労働政策史上、最も忌まわしき年であり、深刻な年であった1998年以降、日本の全体の就業率はずっと6割を切り続けております。

多少意地悪めいたことを言えば、今回の資料6の中でこの就業率全体の数字が取り上げられていないというのは、若干政策の視点としていかがなものかという気もするわけであります。

もちろん、率の問題だけではなく、本来的に申し上げると、全員参加型社会を訴えかけるのであれば、非正規雇用とかいろんな問題もありますけれども、6,000万人の就業者数確保。26ページにある6,000万人は何をもってしても確保するという強いメッセージを考えるべきではないかと思います。率よりは絶対数のほうが大事だろう。

その中で考えると、26ページにもあるように、本当に大きな問題は自営業であります。雇用者数は着実にふえ続けているわけですから、自営業をどうするかという問題は極めて大きいですけれども、冒頭、局長からお話があったように、向こう5年間を考えていくと、この5年間で自営業の減少に反転させるような明確な施策があるかというと、極めて厳しいと思っています。外国人に関しても、ある程度の増加は見込めますが、この6,000万という数と現状の外国人雇用者数を考えると非常にギャップがあって、では、どこが最大のターゲットになるかというと、49ページにある年齢別の就業状態であると思います。

施策の効果もあって、もちろん年金改正の問題もあって、60代前半に関しては、かなり自動的に就業の道筋は、流れが行っていると思います。ただ、65歳から69歳、言うまでもなく今の団塊の世代の方々にとって、そこに入っていくこれから5年間がどうなるかというのは極めて重要だろうと思います。

現状、労働力調査を見ると、60歳から64歳は1,000万人という人口がいるわけで、しかも就業率は57%、極めて高いわけであります。

ただ、これまでを見ていくと、65歳から69歳にいくと、就業率は30%台にダウンします。今、比較的高く維持している60代前半の団塊の世代という多くの層が30%台でなくて、40%台近くの就業率を確保できるような総合的な施策があるならば、就業者数の確保、それに基づく経済成長、もっと言えば社会保障費の抑制、さまざまとつながるわけで、ぜひこの60代後半層、これから向こう5年間どう対応していくかということは、具体的なテーマとして集中的に議論すべきだと思います。

もちろん、先ほどから出てきたハローワークの問題もありますし、かつてこの層は対象としていなかった例えば産業雇用安定センターのような、さまざまな企業からの移動の仕組みもそうでしょうし、民間ビジネスも60代後半層に取り組むのは新しいチャレンジになりますから、この辺の層に対してどういうことを投げかけていくのかというのは極めて重要なのだろう。

多分それは成長だけではなくて、先ほどの格差の問題ともつながってくると思います。団塊の世代というのは、社会的に見ると、非常にフラストレーションを与えている世代です。いろんな意味で制度的な恩恵を享受しているという感覚を特に団塊の世代以降の人たちは非常に持っていて、この人たちに対してしかるべき働く環境を提供し、働ける人は働いていただき、みんなで全員参加型の社会をつくっていくと考えた場合には、この層に対してどうするかということを、ぜひ今後の研究会の中の、特に今回の論点として御検討いただきたいというのが私の意見でございます。

以上です。

○樋口座長 どうもありがとうございました。

 これは雇用保険と関連するテーマになってきて、今、65歳までが加入対象ですか。

○本多雇用政策課長 はい。

○樋口座長 その後をどうするかという問題提起も出された。

○玄田委員 この点について、今、御検討のところがあれば。就業者数そのものについては、労働政策審議会の分科会等でも政策としてかなり重要なテーマとされているということは認識しておりますが、その中で具体的に挙げるとなった場合には、先ほどのいろんな問題もありますけれども、特に60代後半層、今、座長がおっしゃったような雇用保険の制度にもかかわってきますし、何か御検討のことがあれば御紹介いただければと思います。

○樋口座長 では、お願いします。

○本多雇用政策課長 今の玄田委員の御指摘については、この研究会でも論点としていきたいと思っていますが、これまでの検討状況ということでは、参考資料1の35ページ、生涯現役社会の実現に向けた就労のあり方に関する検討会というのが、厚生労働省が最も直近で高齢者関係について検討したものと思っております。

ここでは65歳以降も念頭に置きまして、生涯現役であるために、雇用に限らず、いろいろな形での就業や社会参加の形態があるのではないかということで検討したものでございます。

こういったものもございますけれども、また研究会で改めて65歳以降のことについても御検討いただければと思います。

○樋口座長 今のは平成25年6月に出ているわけで。

○本多雇用政策課長 そうです。非常に最近のものでございます。

○樋口座長 これも参考にしながら別の視点を加えていくということもあるかと思いますので、ぜひ議論をしていきたいと思います。

 ほかにどうでしょう。

○神林委員 数が重要というのは、私も賛成です。なので、この資料の最後のほうに女性とか高齢者とか障害者という形で、各論でターゲットを絞っていますけれども、ターゲットを絞っている相手が大体どのぐらいのマスを持っているのかというのはきちんと把握して、労働市場全体の中でどういう位置を占めているのかを示すというのは重要ではないかと思っています。

 失業者が250万人から300万人ぐらいですので、それにあわせて、例えば障害者は多いのか、少ないのか。大体300万人ぐらいだと思うのですけれども、あるいは20歳から30歳ぐらいの非労働力になっているような女性というのは人数的にどのぐらいいるのか。そういう意味では、若年というのは1年で100万人ぐらい。玄田さんがおっしゃった団塊の世代に比べると人数的には半分になっていますので、率で見ると、若年の雇用者、労働市場というのは非常に問題があるというふうに見えるかもしれませんけれども、日本の労働市場全体の量の中で占める位置というのはどんどん縮小しているわけです。そういうところを見せるというのは必要ではないかなと思います。

そういう意味では、65歳から69歳まで1,000万人いらっしゃって、就業率を10%上げると100万人ぐらい確保できるということになるわけですが、100万人という数字を考えれば、オルタナティブは恐らく出てくるのではないかなと思っています。

○樋口座長 どうぞ。

○鶴委員 今の話に関係しているのですけれども、確かに量を確保するというのは大事で、量を確保しなければいけないというのは、今、潜在的に働いていない人が働くような状況になっていると。そういうふうになるためには、これまであった障害が取り除かれているとか、新たなインセンティブがあるとか、そこに何か変化が必要なわけです。

玄田先生がおっしゃられた65歳以上というのは非常に重要で、私も本当に同感なのです。そうした場合に、この人たちが非常に生き生きと働きやすい環境で働いている姿というのはどういう姿なのだろうか。例えばこれまでとどういうところが変わっているから、この人たちがより生き生きと、マスがふえるという形で働いているのか。そういうイメージを少し持たないと、どういう政策をやったらいいのかということも多分出てこないのではないかなという感じがするのです。

もし玄田先生が何かイメージを持っていらっしゃるのだったらあれですし、私が自分なりに申し上げているのは、今、御紹介いただいた大橋先生の研究会もそうなのかもしれませんけれども、「地域」というのが一つキーワードになって、地域に自分のやってきたことを還元していくということで、学校というのも一つ大きな存在であるということを考えております。

私はそういうイメージを持っているのですが、玄田先生、もしイメージがあったら教えていただければなと思います。

○樋口座長 イメージ。

○玄田委員 老老介護からの脱却。つまり、例えば今、継続就業で定年前に働いていた会社に60代、つなげていく。もちろん、それをさらなる更新で継続の継続というのは一つの流れだと思いますけれども、今、就業者という形では支えていない介護とか福祉、先ほど本多さんからも御紹介があったような社福、シルバー人材、それに近いところを含めて、高齢者が高齢者を支え合う社会を一つのビジネスとして発展させる方向をつくっていかなければならないだろう。

介護保険制度が一つの大きなきっかけになりましたけれども、これから高齢者同士が支え合う環境、そういうビジネスをどれだけ発展させていけるか。そこは先ほど堀さんが言われた地域におけるまちづくりみたいなものとかなり密接にかかわってくると思う。

それだけではないと思いますが、その部分で今、鶴さんがおっしゃったようなモデル事例は少し出つつあるような気もするし、これを促すことは、労働政策だけではないと思いますが、少なくとも先ほどの就業者、働く人として認めるような環境づくりをうまくしていけば、もしかしたら、先ほど両角さんがおっしゃったような障害者みたいなものを含めて、新しいビジネスとして、高齢化社会にとっても、日本にとっても非常に明るい希望のある方向がつくれるのではないかなということを思います。

そういう意味では、老老介護的なものから新しいモデルを目指すというのが一つの方向ではないかなと思います。

○樋口座長 高齢者に近い立場の人間として言いますと、これまで皆さんがいろいろ培ってきた経験があって、職業能力とかいうところについてもあって、65歳を過ぎてから新しい分野に切りかえるというのはなかなか難しいところもあると思うのです。

 今までやってきた能力で企業あるいは社会が必要とするというものを活用していくというのも一つの姿かなと思って、そうなってくると、企業における定年制をどう考えるのかという話もかかわってくるような問題かなと。

 御指摘のような多様な選択肢があるというのはすばらしいことだろうと思うのですが、そこら辺を議論することも必要かなと思います。

 どうぞ。

○両角委員 それについて、先ほど鶴先生が学校とおっしゃったのですけれども、私も子供がいまして、小学校と保育園なのですが、今までやってきたこととは全然違うことをやることになってしまうのですけれども、小学校とか学校というのが一つ有望な場ではないかという気が自分の経験からいたします。

学校もいろいろな人材を必要としていて、ちょっと引いたというか、いろいろ経験をしてきて、広い視点からいろいろなことが見られる方が学校の中にいるというのは非常にいいことではないか。モデルの一つとして、子供のいる場に高齢者が入っていくこともいいのではないかと思います。

○樋口座長 いかがですか。どうぞ。

○堀委員 ちょっと話は変わってしまうのですが、今回、65歳から69歳層に着目されるという御議論がありまして、確かに数としては圧倒的に多くて、若者は本当に少なくなってしまっているのですけれども、少子高齢化が進めば若者の雇用問題はなくなるのだという論調というのは常にあります。特に景気回復期には必ずあるのですが、そうではなくて、若者の問題は構造的な問題なのだということもぜひ併記していただけると、若者の研究者としては大変ありがたく存じます。

○樋口座長 そこについては、皆さん、共通認識があって、報告書を取りまとめるときにもちろんそういう視点というのは重要だろうと思います。

 どうでしょう。どうぞ。

○玄田委員 では、僕も自分の宣伝をします。

今、労働市場の問題と家庭の問題とか個人生活の問題というのは、かなり複雑、難しくなっていて、先ほどの就業云々、縁故もそうですけれども、孤立化現象というのは非常に深刻だろうと思っています。

縁故とは何をもって言うかというのがありますが、友人・知人のネットワークみたいなのが完全に切れているという状況が特に若者で急速に広がっているということを、労働政策の頭の片隅に置いていかなければいけないのではないか。

もちろん、そのためには今までもさまざまな施策がなされていますけれども、恋人がいない、もちろん結婚にもつながらない、就職を励ましてくれる人もいない、そういう状態にある人たちのことをどれだけ考えるかというのはとても大きいと思います。

もう一個は、これも前回藤澤さんに言ったので、もう言うなと怒られそうだから嫌なのですけれども、これは自分の反省でもあるのですが、雇用政策研究会はどうやってお金を使うかばかりの議論をしてきたような気がしていて、財源をどうするのだという話を常にしていかないと、メニューだけふやせばいいよねというふうにはならないだろうと思っています。

ですので、私は、前回も言いましたけれども、向こう5年間でリーマンショックに準ずるか、それにも増すような大規模なグローバルショックが来ないという必然性はゼロだと思うので、そのときにどれだけの機動性を持った施策を準備しておくかということは考えておかなければいけないのではないかということを改めて申し上げたいと思います。

それはメニューの問題もありますけれども、多分雇用保険になると思うのですが、財源を常にどれだけ確保しておくかということをイメージしながら、こういう報告書を定期的に出す場合、ある種の労働政策の防災政策のようなこと、グローバル化の中での労働政策ということを考える上では加味していただきたいなと思います。

テーマである資源をどう有効活用するか、一時的な大規模なショックに対して、どれだけ守ることができるのかということは、神林さんのように雇用調整助成金とかをずっと研究されてきた方も今回メンバーにいらっしゃいますし、その辺の知見も含めながら、財源と緊急性に対する対応のための備えということはどこかで議論していただきたいなと思います。

○樋口座長 難しい問題をいただきました。

 今、出ていない議論で僕が重要かなと思っているのは、産業構造の転換に伴う労働者の移動のところの話で、これは日本特有とは言えないのですが、伸びている雇用をふやしている産業の雇用条件は必ずしも芳しくないという問題。

逆に雇用を減らしているところは、かつてはかなり雇用条件がよかったとか、安定していたという仕事が多いのかなという感じがします。

これは、いろんなところで産業構造の研究をなさっている人のを見ると、やはり日本において第三次産業化、サービス産業化といったものが、ほかの国よりも生産性の低い産業というふうに位置づけられている。

例えばアメリカの各産業のTFPとか、あるいは1人当たり労働生産性、こういったものを100として、日本の各産業のその比率を見ると、やはり製造業、自動車とか電機というのは相当高い。

それに対して、サービス産業、流通も含めてのところというのが、付加価値生産性で見ると、かなり低い。具体的に言うと、アメリカ100に対して、たしか電機とか自動車というのは150ぐらいだった。だから、1.5倍ぐらい生産性が高い。それに対して、日本の流通あるいはサービスというのは60ぐらいになってしまう。その産業間の生産性の違いというのはすごく大きい。

それに割と比例する形で賃金あるいは処遇というのもなっていて、第三次産業化と言うと、海外に比べて相対的に生産性の低いところが雇用をふやしていくという流れの中で、人が余っているところから足りないところに移すのは、経済社会的に必要だという議論というのはよくわかりますけれども、個人の立場からすれば、いい雇用条件から悪い雇用条件に移れといっても、なかなか移れない側面があるわけです。そうすると、どうしても今までの産業とか今までの企業に残りたいという気持ちが非常に強いわけです。

解雇の問題とは別に、そういった外部労働市場のところと関連する意味で、第三次産業、サービス業の生産性をどう上げるのかという議論はどうしても必要になるのかな。

日本のサービスが悪いとは決して思わないわけです。海外に比べて日本のサービスというのは、まさにおもてなしではないですが、非常にいいわけですが、そこにお金を払わない特性があって、「サービスしてくれ」と言うと、何となく安くしてくれとか、ただにしてくれというような意味で使われることがあって、そこのところの改革。何でサービスでは手数料とか付加価値をとれないのだろうかという問題も含めて考えていかないと、雇用政策として難しいかな。流動的な労働市場というのは、絵に描いた餅に終わってしまう可能性もあるのではないかと思いますので、検討していく必要があるのではないかというのが1点。

もう一点は、余り議論に出てこなかった、玄田さんが少しおっしゃったのですが、外国人の問題ということで、これはどこの国へ行っても、今、少子高齢化のもとにおいて、そこをどうするのだという議論が出てきているかと思います。

日本でもこれに伴う制度変更というのが、ここのところ割と行われてきたところがあると思うのです。一つはポイント制の議論。専門職、高度人材の受け入れというところを進めようという形で、これは2年ぐらい前から制度導入をやってきているわけです。その実態はどうなっているのだろうかというものを考えたり、あるいは技能実習制度も、1年目から雇用関係というふうに変えたわけです。

そこのところの評価というのが、労働市場、特に地域にとって大きな問題というか、テーマになるのかなと思いますので、将来に向けてどうするかというよりは、まず足元のそういった制度がどう機能しているのかというところは重要なテーマになるのかなと。

雇用関係にしたということで、最賃とかが適用されるようになったのだろうと思います。かつてのように時間200円の研修で働くということはなくなってきているのだろうと思いますが、逆に言えば、かなり大きな変革が起こっているはずで、そこのところはどうなっているのというのは目配りをしていったほうがいいようなことかなと思います。

どうぞ。

○玄田委員 今、お話があったところで、産業間の移動とか、サービス産業の低生産性の部分をより具体的に議論するとすれば、7ページの産業別雇用者数の推移を見たときに、2000年代の唯一の成長産業というのは医療・福祉しかない。製造業も減少し、建設ももちろん減少し、卸売・小売も減少する中で、唯一支えてきたのが医療・福祉だという現実を踏まえたときに、これをどうしていくか。

一方で、なぜ日本の賃金が上がらないかということと密接に関係していて、通常賃金が全体的に上がるのは、成長産業が賃金の引き上げをリードしていって、それが徐々に全体に普及するというのが多分歴史的な経験則。

今の日本で経験しているのは、高齢社会の中で、成長産業がさまざまな理由によって賃金が上がらないような状況がある中で、どうやって賃上げと今の産業間の移動をもたらしていくか。多分外国にも例のないような相当新しい状況の中に来ているのだと思います。

そうすると、この状況の中で、より多くの人たちがまだまだニーズのある医療や福祉に集まり、なおかつそこで働くことに誇りを感じられるような一定水準の賃上げをするかという非常に難しい問題が問われている。

では、どうすればなるかというと、幾つか考えられる選択肢があるとすれば、この分野にもう少しイノベーションが集中的に起こるような環境づくりをすることによって、これで働くことの生産性を高めて、賃金上昇をもたらすのが一つだろう。

それは、5年間という枠組みの中で、今、介護ロボットとか、かなり普及してきていますけれども、どうなるかというのは、まだわからない。

もう一個残っている可能性は、この分野に対する大胆な規制緩和の流れというのが社会全体で強まってくるかもしれない。例えば混合診療の問題とか、メディカルツーリズムのような形で、外国人に対しては別扱いをするといったことがあると、そこで働く人たちの就業環境というのは、今とは全く違ってくるかもしれない。

ただ、この部分を労働政策でどうするという話はもちろんないと思うのですけれども、これは鶴さんのほうが圧倒的にお詳しいので私よりもあれですが、医療・福祉分野に規制緩和等の流れが出てきた場合に、労働政策としてそれに対してどういうふうに対応していくかということを、ある種シミュレーションとかに近い形でそろそろ検討していく段階に入っているのではないかなという気もします。

実際に今、医療・福祉は、賃金センサスを見ても余り賃金は余っていませんけれども、もしかしたら、事例とかを見ていくと、それなりに賃金とか条件を改善しているようなところもあれば、そういうところでヒアリング、ケーススタディーも含めて、この辺に対してどうするかということをもう一つの大きなターゲットとして議論していくようなタイミングではないかなということを思います。

以上です。

○樋口座長 ありがとうございます。まさにそういうことだろうと思います。

鶴さん、何かあります。

○鶴委員 御指摘どおり。

○樋口座長 ほかにどうでしょう。どうぞ。

○両角委員 済みません、本当に初歩的な質問ですけれども、今の医療の福祉でこれだけニーズがあって、なぜ賃金が上がらない構造なのかということは、どのくらい解明されているのでしょうか。

○樋口座長 いかがでしょうか。これは医療政策、介護政策との関連もあるかと思います。

○本多雇用政策課長 それも宿題の一つということでよろしいでしょうか。

○樋口座長 保育のところもやはりあると思いますので。

○両角委員 保育も非常に深刻だと思います。

○樋口座長 これは厚労省の中の話というのも関連してくる。

○玄田委員 大事な御意見ですね。介護とかも全部点数で決まっているから、その枠内で払えるものは決まっているということを前提として思っているのだけれども、果たしてそれだけで説明できるかどうか、解明されているかと言われたら、新しいのは知りませんけれども、解明されていないのではないですか。もう一回ゼロベースで本当に可能性がないのかということを議論するのはとても大事だなと思います。

○樋口座長 どうぞ。

○鶴委員 今のお話というのは、樋口先生が言われたおもてなしについてちゃんとお金を払われていないのかという話と非常につながっている話なのです。非常に多様なサービスというのが供給されて、それに従っていろんな価格づけ、それから払うほうも、これだけいいものに対して払いたいと思っている人だっているわけです。ある規制がそういうのを非常に妨げているということ。それが全体として賃金が上がらない状況になっているということは事実なので、それは規制の問題なのか、それとも我々の意識みたいなところの話なのか。私は両面あるのだと思うのですけれども、そこを変えていくということをやっていかないと、こうした問題は改善していかないなと。今の2つの話はつながっているというふうに認識をしております。

○樋口座長 ありがとうございます。

 外国人の方があるホテルですばらしいサービスを受けたので、チップを払おうと思ったら、それはやめてくださいというふうにされて、サービスに対する対価は受け取らないのですか、ホテルとしても受け取らないのですかという質問をされて、困ったという話をしていましたけれども、そういった面もあるのかもしれないですね。

 それでは、幾つか宿題もいただきましたので、そういったものも調べながら、次回以降、議論をしていきたいと思います。

これまでのことで事務局からございますか。

○本多雇用政策課長 かなりたくさんの御指摘をいただきました。ここで御議論いただく際には、基本的にはデータをベースにしてということだと思いますので、事務局としてもデータの収集に努めたいと思うのですが、先生方のほうからも、こういうデータがあるよという御示唆がいただけると助かりますので、よろしくお願いいたします。

○樋口座長 それでは、そろそろ時間も来ておりますので、本日の議論はここまでとしたいと思います。

次回の日程等について、事務局からお願いします。

○高橋雇用政策課長補佐 次回の第2回研究会は、1024日木曜日16時から開催ということで、場所については9階の省議室を予定しております。また改めて御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

○樋口座長 それでは、本日は以上で終了いたします。どうもありがとうございました。

 


(了)

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