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2013年7月30日 第41回独立行政法人評価委員会年金部会議事録

○日時

平成25年7月30日(火)13:00~15:16


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

山口修部会長、川北英隆部会長代理、竹原均委員、安浪重樹委員、大出陽子委員、大野早苗委員、光多長温委員

○議事

(以下、議事録)

 

○政策評価官

 定刻になりましたので、ただいまから第41回厚生労働省独立行政法人評価委員会年金部会を開催します。委員の皆様方におかれましては大変お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。

 私は710日付で政策評価官を拝命しました原口と申します。以後、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日は新しい任期の下での第1回の会合となりますので、後ほど委員の皆様方に部会長の御選出をお願いすることとなりますが、それまでの間、私のほうで議事進行をさせていただきますので、よろしくお願いします。

 議事に入ります前に、本部会の開催に当たりまして政策評価審議官の山沖から御挨拶をさせていただきます。

 

○政策評価官評価審議官

 政策評価審議官をしております山沖です。どうぞ、よろしくお願いします。

 皆様方には御多忙のところ、独立行政法人評価委員会年金部会ということで、その委員、臨時委員に御就任いただきありがとうございます。また、本日は大変暑い中お集まりいただき、重ねて御礼を申し上げます。また、本年度の独立行政法人の評価にあたりましては、先週月曜日、722日に開催されました本委員会の総会において、所要の審議を行っていただきました。独立行政法人の運営にあたりましては、自主性と共に公共性そして更には透明性が求められており、そのためには中期目標、中期計画を定め、その業務の実績を評価すること、すなわちPDCAサイクルに基づいて不断の見直しを行うことが極めて重要です。

 本委員会では、これから8月下旬までにかけ、全部で7部会ありまして、総会、部会を併せて25回開催されますが、本部会では本日と81日、19日の3回、全部で6時間で御審議をお願いしたいと思っております。この部会では、年金積立管理運用、今日、御説明をさせていただきます独立行政法人のほか、年金・健康保険福祉施設整理機構、農業者年金基金の3つの法人について評価していただくことになっています。この内、2つ目に申し上げました年金・健康保険福祉施設整理機構につきましては、来年の4月から地域医療機能推進機構に改組することが決まっているため、その中期目標期間が平成2210月から平成26年、来年の3月までの3年半となっており、現在、最終年度を迎えていますことから、今回は昨年度の実績評価に加え、これまでの期間の暫定評価等も行っていただくことになります。

 また、農業年金基金につきましては、一部の業務が農林水産省との共管となっておりますので、当該業務に係る平成24年度の実績評価に関しまして、農林水産省評価委員会がそちらにもありますので、そちらに意見を述べるという形になっています。

 委員、臨時委員の皆様方には厳しいスケジュールの中ではありますが、独立行政法人に対して適正、かつ厳正に御評価いただきますよう、お願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。

 どうぞ、よろしくお願いします。

 

○政策評価官

 続きまして事務局を紹介します。政策評価官室長補佐の和田でございます。

 

○政策評価官室長補佐

 和田でございます。よろしくお願いします。

 

○政策評価官

 委員の皆様方の御紹介に移らせていただきます。皆様には先に辞令につきまして郵送させていただいておりますが、厚生労働省独立行政法人評価委員会委員、または臨時委員としまして、本年630日付で厚生労働大臣の任命が発令されています。また、お手元の配布資料1-2ですが、722日に開かれました委員会の総会におきまして、皆様方の年金部会への分属が正式に決定しましたことを御報告します。

 それでは五十音順でお手元の資料1-1に基づき御紹介させていただきます。京都大学大学院経営管理研究部教授の川北英隆委員です。早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授竹原均委員です。公認会計士の安浪重樹委員です。横浜国立大学大学院国際社会科学研究員教授の山口修委員です。続きまして、臨時委員です。栃木市農業委員会委員、大出陽子委員です。武蔵大学経済学部教授、大野早苗委員です。鳥取大学地域学部特任教授の光多長温委員です。

 それでは、議事に入らせていただきます。議事次第の議事(1)部会長選出、部会長代理の指名です。

 まず最初に部会長の選出をお願いします。選出手続について簡単に御説明します。資料集の50ページで、厚生労働省独立行政法人評価委員会令の第5条第3項におきまして、部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任するということが規定されており、委員の皆様方の互選により選任することになっておりますが、いかがでしょうか。

 竹原委員、どうぞ。

 

○竹原委員

 互選ということですので、推薦させていただきます。年金部会での、これまでの御経験、御見識、議事運営手腕により、前期に引き続き山口委員にお願いしてはと思いますが、いかがでしょうか。

 

○政策評価官

 ただいま、竹原委員から、山口委員を部会長にという推薦がありましたが、いかがでしょうか。

(異議なし)

 

○政策評価官

 ありがとうございます。それでは山口委員に部会長をお願いしたいと思います。山口委員、席の移動をよろしくお願いします。

(山口委員移動)

 

○山口部会長

 よろしく、お願いします。

 

○政策評価官

 山口部会長が選ばれましたので、以後の議事進行につきましては部会長にお願いしますので、よろしくお願いします。

 

○山口部会長

 御承認をいただきましたので、部会長を務めさせていただきます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 最初に部会長代理を指名させていただきます。部会長代理は、先ほど御紹介がありました評価委員会令の第5条第5項において、部会長に事故があるときは当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理するとされています。したがいまして、私から指名させていただきますが、年金部会でのこれまでの御経験、御見識を踏まえまして、川北委員に本部会の部会長代理を引き続きお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

(異議なし)

 

○山口部会長

 よろしいでしょうか。それでは川北委員に部会長代理をお願いします。よろしくお願いします。

(川北委員移動)

 

○山口部会長

 それでは、議題に入りたいと思います。これから皆様には年金部会所管の独立行政法人につきまして評価をしていただくことになります。そこで、各法人の概要について事務局から御説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは年金部会と独立行政法人について資料1-3で御説明します。年金部会所掌の法人については全部で3法人あります。

 まず、1ページ目の農業者年金基金ですが、こちらは農業者の老後の生活の安定と福祉の向上や、農業者の確保に必することを目的として、平成1510月に設立された法人で、農業者の老齢について必要な年金等の給付に係る業務を行っています。こちらは農林水産省が主幹の法人となっておりまして、業務の一部、4の事業概要の(2)ですが、旧制度の給付金に関する部分は厚生労働省と農林水産省の共管の形となっています。

 続きまして2ページ目の年金積立金管理運用独立法人ですが、こちらは平成184月に設立された法人で、年金積立金等の管理及び運用等の業務を行っています。3ページの中段に、平成24年度の第3四半期の状況で運用資産額が約112兆円、収益率が3.27%、収益額が約36,000億円となっています。また4ページの中段にあるとおり、本年67日に年金部会を開催しており、その中で基本ポートフォリオの見直しも行っています。

 続きまして年金・健康保険福祉施設整理機構ですが、こちらは平成1710月に設立された法人で、年金福祉施設等の譲渡、あるいは廃止等に係る業務を行っていまして、先ほど審議官から説明がありましたとおり、平成264月より社会保険病院等の運営を目的とした地域医療機能推進機構に改組される予定になっています。

 それぞれの法人の詳細な業務内容は個別評価に入る際に法人から御説明します。

 なお、当年金部会には3法人が属していますが、実際、個別評価と総合評価の形で評価を行っていただくのは年金積立金管理運用独立行政法人、年金・健康保険福祉施設整理機構の2法人です。農業者年金基金につきましては、全体的な評価は農林水産省の評価委員会で行っておりまして、厚生労働省と農林水産省が共管となっている部分は当部会で御議論をいただき、厚生労働省の意見を集約し、農林水産省の評価委員会に、文書で提出する形になります。

 本日の部会ですが、次の資料1-4に記載のとおり、年金積立金管理運用法人が対象になります。年金・健康保険福祉施設整理機構と農業者年金基金につきましては次回、81日の部会で御意見を伺うことになります。

 評価の具体的な進め方については、後ほど御説明をさせていただきます。以上です。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に対しまして、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは次の議題に移りたいと思います。議題3ですが、独立行政法人の実績評価にあたりまして、今回、新任の委員もいらっしゃいますので、評価の流れや評価の基準について事務局から御説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは個別評価の進め方について御説明します。

 資料1-5-1ですが、資料に沿って御説明しますと、最初に法人の理事長から法人全体の業務実績を説明していただき、その後、各個別項目を3つのグループに分けて、法人から実績と自己評価を説明していただき、各パートごとに質疑応答を行い、委員の方々にはSDの評定とその評定理由につきまして資料2-5にあります評定記入用紙に記入していただく形になります。

 なお、各パート区分につきましては資料1-7の左端に記載されています。評価につきましては、総務省に設置してあります政策評価・独立行政法人評価委員会、いわゆる政・独委が作成しております「評価の視点」等を踏まえて評価していただく必要があります。

 また、今年、520日に政・独委より二次評価にあたって特に留意すべき事項が示されています。なお、評価の視点につきましては資料集の89ページを、二次評価にあたって特に留意すべき事項につきましては資料集の95ページに掲載されています。

 年金部会ではこれらに関する法人の実績を資料2-4にあります「業務実績評価別別添資料」に取りまとめておりまして、この別添資料に記載された事項を評価するチェックポイントとしまして、資料1-5-2にまとめていますので、評価にあたって参考にしていただければと思います。

 また各法人はこの対応方針を受けて資料を作成、説明等を行う形になります。法人の個別評価が終わりましたら、各委員の評価を踏まえた評価書案を所管課と起草委員とで調整しながら作成していただく形になります。

 各委員の起草担当の法人は、資料1-6のとおりお願いしたいと存じます。

 なお、作成していただいた評価書案につきましては、総合評価の部会で各委員に御審議をいただく形になります。

 

○政策評価官

 続きまして、今、補佐のほうから御説明を申し上げたことについて、若干、補足をさせていただきます。

 お手元に配布してあります資料1-7ですが、本委員会で評価する法人に係る平成24年度の事業実績に対する自己評定の一覧となっていまして、本日、御議論いただくのは下の表で、左手に第1、第2、第3グループと区分していて、この塊ごとに担当から御説明を申し上げます。右側は平成23年度と今回、法人自体が提出してきた自己評定が記載してあります。

 先ほどお手元に配布の資料2-5ですが、評定記入用紙に記入していただく評定について御説明します。

SD5段階の評定ですが、中期目標、中期計画期間開始前、この計画が実行される前に厚生労働大臣から独立行政法人評価委員会からの意見を踏まえ作成し、法人に示した中期目標に対してこれらを達成するために法人が作成し、厚生労働大臣の認可を受けた中期計画の各項目で、この場合、年金積立金管理運用独立行政法人ですと、1から12になるわけですが、各項目に対する達成度合いにつきまして法人から後ほど御説明しますが、御説明を受けた上で各委員に御判断をいただきまして、計画どおりであれば「B」、計画を上回っていれば「A」、計画を大幅に上回っていれば「S」と、逆の場合は「C」、「D」という形になるものです。SDにつきましては簡単で結構ですが、全ての評定に理由を付していただきたいと思いますが、特に計画を大幅に上回った場合のSとか、計画を大幅に下回った場合のDと評価する場合につきましては、委員の皆様方の専門的知見であるとか、また国民的目線に立ちまして、そのように判断した根拠につきまして具体的に御記載いただければと思います。よろしくお願いします。事務局からは以上です。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問等ございますか。よろしいでしょうか。

 今、事務局より説明のあった手順で各法人の実績の評価を行っていただくよう、お願いします。それでは年金積立金管理運用独立行政法人の個別評価に入ります。最初に理事長の三谷さんから御挨拶と平成24年度における業務実績概要の説明をお願いします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 理事長の三谷です。今回は、私どもの第2期中期計画期間における3回目の実績評価となります。よろしくお願いいたします。まず、昨年度の運用実績ですが、欧州周辺国の財政金融をめぐる不安感の高まりや、米国経済の景気減速懸念等を背景に、夏場にかけて円相場が上昇、内外の株価も低調に推移したことから、年度前半は厳しい状態が続きました。ただ、その後は欧米主要中央銀行による金融緩和策の更なる拡大に加え、11月半ば以降は、総選挙後の我が国新政権による積極的な金融緩和や経済対策への期待から、行き過ぎた円高の是正に向けての動きが強まるとともに、内外の株価も急ピッチの上昇に転じました。この間、超低金利下にあった国内債券の比率を私どもは相対的に低めに維持していたこともあり、最終的には収益率で10.23%と、複合ベンチマーク収益率9.0%を上回り、金額では112,222億円と過去最大の運用益を計上することができました。

 次に、昨年度における、私どもの主な取組について資料2-1に沿って簡単に御説明いたします。2ページからですが、第1は、運用効率化に向けての取組です。まず、運用受託機関の見直しですが、一昨年8月に公募を開始した国内債券については、昨年度初めに最終審査である第3次審査を実施し、運用受託機関の構成、運用内容をパッシブ・アクティブ一体として見直しました。具体的には、今後のキャッシュ・アウトへの円滑な対応を図るため、一昨年に創設したキャッシュアウト等対応ファンドをほぼ倍増させるとともに、流動性の高い国債型の運用を増額、その分流動性にやや難のある総合型のパッシブ運用及びアクティブ運用を減額しました。運用機関についても、パッシブについてはオペレーショナルな観点にも配慮しつつ、その集約を図ったほか、アクティブについては、既存先の半分を新たな先に入れ替えたところです。

また、昨年6月には外国株式アクティブの運用受託機関の見直しを開始しました。見直しに当たっては、特定のスタイルに絞ることなく、十分な実績のある運用機関の中から、多用な運用ノウハウを有する先を公募、昨年度中に第2次審査を終え、新規応募57ファンド、既存先13ファンドのうちから、現時点で16ファンドまでに絞り込みました。

このほか、一昨年度に運用受託機関の選定を行ったエマージング株式について、各国における所要の手続を終えた6月から運用を開始し、7つのファンドに対して分散して資金を配分し、これまでのところまずまずの成果を上げています。

3ページは、第2に年金給付のための流動性確保のための対応です。御承知のとおり、当法人では平成21年度からキャッシュ・アウトの局面に入っており、平成21年の財政検証では、平成29年度までキャッシュ・アウトが続くものと見込まれております。私どもでは、キャッシュ・アウトに必要な流動性の確保のために、満期償還まで持ち切ることにしております財投債及び一昨年創出したキャッシュアウト等対応ファンドの元利償還金をまず充当し、それで不足する部分は、市場で運用している資産を売却することにより調達しているわけですが、今後も比較的高水準のキャッシュ・アウトが続くと見られます一方、財投債の元利金償還は先細りしていくことから、先ほども申し上げましたとおり、国内債券の運用受託機関構成の見直しに合わせ、キャッシュアウト等対応ファンドを倍増させました。これにより、平成28年度までの間は、毎年約35,000億円から55,000億円の元利金償還が見込まれ、今後のキャッシュ・アウトの一層の円滑化が図れるものと考えております。

また、キャッシュ・アウトに関しては、昨年度は極めて異例な対応が必要とされました。すなわち、当初予算の段階では、基礎年金の国庫負担上乗せ分について、国の資金繰り手当てが困難であるとして、当法人宛に交付国債を発行、必要な流動性については、当法人において確保するとされていたところ、7月に至って将来の消費税増税分を償還財源とする、年金特例公債の発行により、必要な資金を確保するということで、追加的な流動性の確保はそこで一旦必要がなくなりました。ところが、その後国会情勢から、特例公債法案自体の成立の見込みが立たない状況に至り、最悪の場合5兆円を上回る追加的な流動性確保が必要とされ、これへの対応を始めたところ、幸い11月初めには特例公債法案成立の見通しが付いたということでした。このように多額の流動性の確保について、ゴー・アンド・ストップという事態が繰り返されたわけですが、私どもでは市場の動向を注視しつつ、様々な工夫を行うことにより、市場に悪影響を与えることなく、その時々で必要な対応を取ることができたと考えております。

 第3は経費の節減です。当法人では、従来から一般経費の節減に努めております。昨年度も粘り強い交渉の結果、事務所賃借料の引下げ等を実現しました。当法人の資産運用業務費の90%以上を占める管理・運用委託手数料、約220230億円ありますが、管理・運用委託手数料についても、引き続き圧縮に努めました。すなわち先ほど御説明したとおり、国内債券の運用受託機関の見直しに際し、キャッシュアウト等対応ファンドの増額と、運用内容を変更するとともに、個別の運用機関の手数料率の見直しも行いました。これらによる手数料の節減額は、平年のベースでは約30億円、全体の13%に上ります。なお、昨年度は運用資産の時価上昇による手数料の増加要因が約9億円あった一方、今申し上げた年度途中の手数料の見直し等による効果が17.3億円あったことから、年度間では全体として8.3億円の節減という結果になりました。

 以上、私からの御挨拶と、昨年の私どもの業務実績の主要なポイントについての説明を終わらせていただきます。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 審議役の青木です。昨年度の運用概況を御説明いたします。お手元のブルーの冊子、資料2-7、平成24年度の業務概況書を御覧ください。3ページに昨年度の運用実績の収益率を示しております。年度中期で10.23%です。第2四半期まではマイナス圏に沈んでおりましたが、第3四半期以降外国為替市場において円高の修正が進行するとともに、内外株式の価格が上昇したことなどから、中期で10.23%となりました。

4ページは収益額です。年度中期で112,200億円余です。下の図にあるように、今期は特に株式が良好で、国内株式、外国株式でそれぞれ約3.3兆円、約3.8兆円の収益額です。5ページで、平成24年度末の運用資産額は1204,600億円余でした。

6ページに、自主運用を開始した平成13年度から平成24年度までの収益額の動きを示しております。平成13年度以降の累積では約25兆円ですが、平成20年度にいわゆるリーマンショックのために、マイナス9兆円になりました。平成21年度は内外株価が大幅に回復したことから、ほぼ同額のプラスとなりました。平成24年度の収益額約112,000億円は、それまで過去最高であった平成21年度を上回るものです。

10ページにベンチマークインデックスという形で、市場の動きを示しております。11月まで一番下に茶色の線がありますが、これは国内株式のベンチマーク収益率を表したものです。年末から年度末にかけてプラスに戻しております。その動きについては、9ページの運用環境に記述しておりますが、説明は省略させていただきます。以上です。

 

○山口部会長

 評価に入っていきます。評価の進め方としては、評価シートの個別項目を3つのグループに分けて、グループごとに評価を行っていきます。第1グループは、項目番号13です。年金積立金の管理及び運用に関する主要な事項の1です。これについて評価を行っていきます。所要時間は、法人からの説明を15分ぐらいしていただき、委員の評定と質疑で15分ということで、1つのグループをおおむね30分ぐらいで進めていきたいと考えております。第1グループの部分について、法人からの説明をお願いいたします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 資料2-2、平成24年度業務実績評価シート説明資料により御説明いたします。1ページは、年金積立金の管理及び運用の基本的な方針です。第2期、すなわち平成22年度から平成26年度までの5年間については、厚生労働大臣から、第2期中期目標が示され、それに基づいてこの表の1のとおり基本ポートフォリオを策定しております。また、2のとおり基本ポートフォリオを長期的な観点から維持・管理するとともに、ベンチマーク収益率の確保を図っております。さらに3のとおり、具体的な行動では資産全体について、資産構成割合の維持・管理など、各資産についてマネージャー・ストラクチャーの見直しなど、各運用機関についてその選定・管理・評価などという対応を行っております。これが基本的な方針です。

2ページは、管理運用方針の策定及び公表、見直しです。評価の視点は、管理運用方針について毎年1回検討を加えて見直しを行ったかということです。管理運用方針は左にあるように、積立金の管理及び運用に関し、具体的な方針を定めたもので、運用受託機関の管理及び運用の手法をはじめ、具体的な中身を定めております。右に、平成24年度の改正事項が2項目あります。特に平成246月の改正は、収益機会拡大のため、平成23年度に外国株式アクティブのエマージング運用受託機関を選定したものについて、平成24年度に実際に運用を開始したため、外国株式のベンチマークを見直したものです。

3ページは、運用の目標の1です。評価の視点は、運用受託機関の選定、管理及び評価は適切に行われているか。特にアクティブ運用については、投資方針、銘柄選択の方法等の運用手法及び運用体制について必要な評価指標を設け、定性評価が適切に行われているかということです。

 左の運用受託機関の管理についてですが、年1回総合評価のための定期ミーティングを実施しています。定期ミーティングで問題が残った運用受託機関については、再度リスク管理ミーティングという形でフォローアップをしています。また、月次で運用実績リスク状況の報告を受けております。何か問題があれば随時ミーティングを実施し、確認しております。これらのミーティング等を通じ、運用実績やリスクの状況、ガイドライン遵守状況等を確認しており、金融監督当局による処分を含め、問題が認められた場合、程度に応じて警告から解約等の対応を取っております。

 右の運用受託機関の評価については、定性評価・定量評価に基づき総合評価を行います。定性面では投資方針、運用プロセス、組織・人材、コンプライアンス、株主議決権行使への取組等に関し、有効あるいは明確な取組がなされているかといった点等について評価を行います。また定量面では、パッシブ運用、アクティブ運用で若干の違いはありますが、超過収益率やトラッキングエラー等について評価を行います。

 定性・定量評価を合計した総合評価の点数が一定水準に達しなかった運用受託機関については資金の一部回収・配分停止という措置を講じております。昨年は、国内株式アクティブ8ファンドがこれに該当しました。一方、総合評価の点数が一定水準に達した国内株式アクティブ9ファンドに資金の追加配分を行っております。

4ページは、各資産ごとのベンチマーク収益率の確保です。数値目標は各年度において、各資産ごとのベンチマーク収益率が確保されるよう努めるというものです。評価の視点は、数値目標に対してどういう管理に努めているかということです。中央に、昨年度実績があります。国内債券及び短期資産はおおむねベンチマーク並みの収益率でした。また、外国債券及び外国株式については、ベンチマークに対してプラスの超過収益率となり、国内株式についてはマイナスの超過収益率となりました。

5ページは、ベンチマークの設定です。評価の視点は、ベンチマークは市場を反映した構成であることなどを勘案した、適切な市場指標を設定しているか。ベンチマークは市場を反映し、投資可能な有価証券により構成され、かつその指標の詳細が開示されていることを勘案して設定しております。

6ページからはリスク管理についてです。評価の視点は、資産全体の構成割合とポートフォリオとの乖離状況を毎月1回把握し、必要な措置を講じているか。評価の視点の下に、考え方等を記載しております。基本ポートフォリオの資産構成割合と実際のポートフォリオの資産構成割合との乖離状況を把握し、リスク管理。リバランスは原則として各資産の資産構成割合が、基本ポートフォリオに定めた乖離許容幅を超えた場合に実施ということです。昨年度は、国内債券が1月末及び2月末に基本ポートフォリオの乖離許容幅の8%を一時的に超過しましたが、リバランスを実施し、3月末には乖離許容幅の範囲内に収めることができました。右の国内債券の折線グラフを御参照ください。リバランスは乖離許容幅内にある場合においても、定期的に検討を行うこととしており、リバランスを行う場合には、足元の市場動向等の分析を行い、市場に格段の影響を与えることなく、適切・円滑に実施しております。

7ページは、対複合ベンチマークの超過収益率の要因分析についてです。評価の視点は、各資産の収益率とベンチマーク収益率、資産全体の収益率と複合ベンチマーク収益率を比較し、その乖離要因を分析し、必要な措置が講じられているかです。基本ポートフォリオどおり運用した場合の複合ベンチマークの収益率と、実際の収益率の差の要因を分析していて、主には資産配分要因について差があったことを把握しております。この資産配分要因+1.40%の主な要因については、昨年11月以降、新政権に対する積極的な金融緩和や、経済対策への期待などから、円安が進行するとともに、国内株式が大幅に上昇する中、内外株式の構成割合が参照値、すなわち基本ポートフォリオを基に計算された資産構成割合を平均的に上回っていたことなどがプラスに寄与することになったと認識しております。

8ページは、各資産のリスク管理です。評価の視点は、各資産ごとに管理すべきリスクを明確にし、定期的に確認し、問題がある場合必要な措置を取っているか。国内株式及び外国株式については、トラッキングエラーやβ値により、また国内債券及び外国債券については、トラッキングエラーやデュレーションをそれぞれ毎月モニターし、問題がないことを確認しております。

9ページは、その他のリスク管理です。信用リスク、カントリーリスクなどについてもモニターし、問題がないことを確認しております。

10ページは、リスク管理の5です。評価の視点は、運用受託機関にガイドラインを示しているか。運用スタイルの異なる運用受託機関を適切に組み合わせるとともに、運用スタイルに対応した適切なベンチマークを示しているかなどです。左にあるように、運用受託機関へガイドラインを提示、併せて各ファンドごとに運用スタイルに対応したベンチマークを設定しており、ガイドラインに示しているリスク管理項目等についてモニターしております。平成24年度は組入れ銘柄やデュレーション等に関し、11件の軽微なガイドライン違反が認められ、口頭注意等を行いました。また、運用体制の変更についてもモニターしており、平成24年度は74件の変更がありました。平成24年度は、外国株式アクティブ3ファンドで、運用能力に問題があると判断し、契約を解約しました。また、国内株式アクティブ1ファンドについて、資金運用業務に関して著しく不適当な行為に該当する事実が認められたため、契約を解約しました。

11ページは、リスク管理6です。評価の視点は、資産管理機関にガイドラインを示しているか。また、各社の資産管理状況を把握し、必要な措置を取ったかです。資産管理機関についても、運用受託機関と同様にガイドライン等を示してモニタリングをしていますが、昨年度は問題はありませんでした。

12ページは自家運用のリスク管理です。評価の視点は、自家運用において、運用ガイドラインを定め、運用状況等を確認し、必要な対応を行ったかです。インハウス運用のリスク管理の観点から、債券売買の取引先、短期資産の運用先及び債券貸付運用先について、定期的にモニタリングを行っております。

13ページは、自家運用の運用状況等の確認です。インハウス運用も、運用受託機関と同列に、運用受託機関の管理あるいは評価を行っている運用部がガイドラインの提示を行い、いろいろな状況を確認しており、言わば運用部が牽制機能を働かせております。また、資金計画の提示等と、その執行状況の管理は企画部で行っております。

14ページは、運用手法についてです。パッシブ運用を中心とした運用手法についてまず御説明いたします。評価の視点は運用手法は各資産ともパッシブ運用が中心となっているかです。収益確保や運用の効率化のための運用手法の見直しを行っているか。運用手法については、各資産ともパッシブ運用が79割程度を占め、パッシブ運用を中心としております。収益確保や効率化のため、平成24年度は主として3つの見直しに取り組みました。

1つ目は、左の国内債券パッシブ・アクティブですが、昨年度は国内債券パッシブと、国内債券アクティブの運用受託機関構成を一体的に見直しました。その中で、キャッシュアウト等対応ファンドを10兆円から20兆円に増額しました。キャッシュアウト等対応ファンドの償還金・利金を活用することにより、キャッシュ・アウトに必要な資金を捻出するための市場での資産売却額を大幅に抑制することが可能となることから、運用が効率化いたします。また、受託機関の集約等により、管理・運用委託手数料を大幅に見直し、削減することができました。さらにアクティブ運用受託機関の見直しの中では5ファンドを解約し、新たに4ファンドを選定いたしました。

2つ目は、中央の外国株式アクティブです。昨年度公募を行い、第2次審査まで実施しました。今回の公募では、多様なプロダクトを幅広く募集しており、それらを組み合わせることにより、リスク、リターンの改善を図るべく選定作業を進めております。新規の応募57ファンド、既存の運用受託機関13ファンドについて審査を行い、16ファンドが第2次審査を通過しております。

3つ目は、エマージング株式です。相対的に高い経済成長が見込めるエマージング諸国の株式まで運用対象を拡大することにより、収益機会の拡大を図っております。昨年度に運用を開始し、ベンチマーク収益率を1.14%上回る実績を上げております。評価項目の3になりますが、私どもとしてはこれらの取組全体について、自己評価として今回は「S」を提案させていただいております。

15ページは、運用受託機関の選定です。評価の視点は、運用受託機関の運用実績等を勘案し、運用受託機関を適時見直しているかです。運用受託機関の選定プロセスは、公募により募集し、評価項目に基づき、第1次から第3次までの審査及び運用委員会の審議を経て選定します。平成24年度においては、平成23年度に公募を実施した、国内債券のアクティブ運用及びパッシブ運用についての一体的な見直しを実施いたしました。また、外国株式のアクティブ運用の運用受託機関構成を見直すこととし、公募を実施し、2次審査まで終了しております。

16ページは財投債の管理及び運用についてです。評価の視点は、財投債の管理及び運用は適切に行われているか。時価による評価も併せて行い、開示しているかです。財投債については、その管理及び運用を適切に行っているところですが、資産の評価に当たっては、償却原価法に併せ、時価による評価も実施し、平成24年度業務概況書及び各四半期の運用状況等において公表しております。簿価と併せ、時価も付しております。グラフでお示ししておりますとおり、順次償還を迎えることで、残高は減少している状況です。第1グループの説明は以上です。

 

○山口部会長

 委員の皆様は、評価シートへの評定の記入をお願いいたします。また、ただいまの説明に関して御質問等がありましたら適宜御発言ください。

 

○竹原委員

2点お伺いします。リスク管理の所で、基本的には従来どおり月次でのリスク管理の体制ということでの説明だったように思います。昨年度末来為替市場、資産市場は非常に変動が激しい中では、もう少し日次といったリスク管理が必要になってくるかと思うのです。その点について何か取組を考えていることがあれば、調査部でも結構ですが、教えてください。

 もう1点は、エマージングです。こちらも収益機会としてより高い収益機会を獲得するということで、取組としては非常に評価したいのです。一方で今年の年末以降、エマージング市場が、予定されていたような高い収益率を維持できるかどうかというのは、経済学者の間でも見通しがある意味で分かれているところかと思うのです。その点についてどう考えているのかをお願いいたします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

1点目のリスク管理は、おっしゃるとおりです。昨今市況の変化が激しいという状況があります。私ども運用機関の管理については、月次の管理が基本ではありますが、私どものGPDRシステムを使い、一応デイリーでの把握も可能な状態になっております。したがって、課題のある運用機関先には、ほぼ日次ベースでデータを把握しています。リスク管理という観点でいくと、資産のウエイトの把握は大変重要です。この観点からも、構成割合については大体週次で把握し、リバランス等を適時判断できるようにということで管理している状況です。

2点目のエマージングについては、長期的に投資を考えるということです。そのエマージングが世界株式市場に占める割合が随分増えている状況ですので、エマージングについては流動性にも配慮しながら、時間分散を図って、少しずつそろそろと投資していこうという方針です。おっしゃるとおり、今年度に入ってから、先進国と比べると、随分エマージングも出遅れが見られる状況ですけれども、私どもとしてはタイミングを分散しながら、長期的な観点で着実に残高を増やしてまいりたいと考えております。

 

○川北部会長代理

1点は3ページで、毎年そうなのですけれども、運用受託機関の委託している資金の一部回収、配分の停止、それに見合って新たな受託機関を採用するということをやられています。この回転率というと変な言い方なのですが、1つの受託機関に対する継続期間はどのぐらいになっているのか。それからボラティリティというのか、短い所と、ずうっと委託されている先もあると思うのですけれども、その期間の範囲はどのぐらいなのかを教えてください。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 運用機関の回転率と申しますか、特に外株等では、昨年度2次審査まで進めたところです。御承知のように外株のアクティブについては近年成績が不振なところもあります。昨年度実施した外株のマネージャー・ストラクチャーの2次終了段階で、かなり既存先についても新規先との比較の中で厳しくチェックいたしました。第2次審査の段階で、3分の2を落として、3分の1を第3次審査に進め、目下のところ審査中です。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 これまで受託機関との契約は原則1年契約でやってきており、その都度特に問題がなければ更新し、3年程度たったところで、全体を見直していく方法を取っていました。ところが、これまでの経緯を見ると業務の繁忙等で必ずしも定期的な見直しが行われていない部分もあったということで、先般契約方法を変えました。運用機関の実績を見るのに、半年とか1年では短すぎるという話もありますので、3年程度委託してから実績を見る。3年たったところで、今度は従来の運用受託機関、それから新しいところを公募し、両方を並べて新しい目で全体を見直して、新しいところに委託するということで、実際の契約は4年契約ということで、3年たったところで、次の1年間で第1次審査から第3次審査まで進めていくような形に変えたところです。

 その結果として、3年たったところで見直す場合には、新たに公募してきたところと古いところを並列して見ます。したがって、場合によっては古いところが落ちることもあるし、生き残ることもあります。特に、1つの機関に対して何年間以上はやらないというようなことは決めておりません。したがって、うまくいけば相当長期間受託できるし、運用哲学なり、そういうものが不安定であるとか、体制にやや問題が見られるような場合には、3年たったところで解約ということになりますし、場合によってはそれ以前の契約期間中に解約ということもあり得るという形で管理しております。

 

○川北部会長代理

5ページにベンチマークの設定があります。資産アセットクラスごとにベンチマークを設定していると。その一方でエマージングを採用したことによって、外株のベンチマークの変更がなされている。昨今のように経済が相当グローバル化してくる中において、ベンチマークの見直し、若しくはその大元となるアセットクラスの見直しが重要になってくると思うのですが、その辺りはどのような取組みというか、スタンスでおられるのかをお答えいただけますか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 御指摘のベンチマーク並びに投資対象となるアセットクラスですが、先日、基本ポートフォリオを変えた際に、これは現行の中期計画あるいは現行の中期目標の範囲内ということですので、基本的にはそのような変更はしなかったということです。現在、厚生労働省において、これは川北先生も参画されておりますが、年金財政と運用を一体的に検討する専門委員会において、平成26年の財政検証に合わせた形で、私どもに関する次回第3期の中期目標が議論されるということですので、その議論に向けての検討課題という形で考えております。

 

○大野委員

 運用手法についてです。パッシブ運用とアクティブ運用の比率について、14ページでパッシブ運用とアクティブ運用の比率があります。79割ぐらいということでお示しされています。平成24年度については、国内債券の比率、パッシブ運用の比率が9割を超えるということです。事前説明のときにキャッシュアウト等対応ファンドによってここの比率が上がったという説明を頂きました。それ以外については7割、例えば株式については7割台ということで推移している状況だと思うのです。このパッシブ・アクティブについての比率というのは、現状の比率が最適というのか、望ましい比率と考えている上で、こういう比率に結果としてなっているということなのでしょうか。これは、恐らく手数料引下げが、当法人としての目的としてもあります。ここの比率をどうするかということも、そういう所とも絡んでくることになるかと思います。その辺について伺えればと思います。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 アクティブ、パッシブ比率については、基本的にアクティブのほうをまず決めていく。アクティブについては超過収益が獲得できる運用機関でもボトムアップで、マネージャー・ストラクチャーごとに積み上げていって、このぐらいの数の規模の運用機関だったら超過収益が取れるだろうということで、資産ごとに個別の資産の状況を考慮して決まっていく。ボトムアップで積み上げてきた結果が、国内株、外債・外株のアクティブ、パッシブ比率になっていると御理解いただければと考えております。

 ただ、国内債券については、それ以外にもキャッシュ・アウトの必要性を勘案し、今後の財政見通し等、相当なキャッシュ・アウトがまだまだ続く状況ですので、そうしたことも考慮し、昨年度はマネージャー・ストラクチャーの中でキャッシュアウト等対応ファンドに10兆円入れる。そのお金は既存のアクティブなりパッシブなりから削り取って、キャッシュアウト等対応ファンドに入れたということですので、国内債券については昨年度と比較するとアクティブが半減といった状況が生まれていると御理解いただければと思います。

 

○大野委員

 マーケットが安定している場合と、非常に不確実性の高い状況において、当法人のように非常に大きな金額を動かすような所において、市場環境の変化に応じて、パッシブあるいはアクティブのほうが望ましいというところから、この辺の見直しをされるような議論はあるのでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 マネージャー・ストラクチャーの都度、それまでの期間を振り返って、今後の見通しも立てた上で、超過収益が取れる機関がどれぐらいあるのだろうか考えてボトムアップで決まってまいります。各資産ごとにマネージャー・ストラクチャーを見直すところで、いろいろ考慮して決めて、それが3年間ぐらい続いていくというサイクルで見直しがなされていくという流れです。

 

○竹原委員

 パッシブ・アクティブに関して、私の記憶に間違いがなければ、2008年以降で、国内株式、海外株式とも勝敗でいけば負け越しています。昨年度の会計検査院の指摘でも、本当に収益力があるのかどうか説明責任を果たすべきだという意見が付いていたと思うのですが、その点についてはどうなのでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 その点については、特に昨年度の外国株式のアクティブの見直しにおいて、私どもも大変重く受け止めました。特に、リーマンショックの前後で、既存先のアクティブ運用機関について見ると、負けている先が随分多かったという反省も踏まえ、新規の先のパフォーマンスを見るについても、2008年度、それからリーマンショックの戻った2009年度と、どっちか負けている先が多いのです。できるだけどちらも勝っているような運用機関はないのかということで、定量データも綿密に拝見させていただきました。また投資方針についても、一貫したプロセスでぶれずに行っているような先ということで、2次審査まで進めていって、かなり厳選しながら進めているといったところです。

 また御指摘のありました国内株についてもおっしゃるとおりで、20082012年度を見ていくと、残念ながら私どもの国内株のアクティブ全体で見ると23敗という格好で少し負け越しという状況です。国内株式については、今年度に入ってから公募を実施し、今は1次審査の真っ最中です。今後、過去の苦い経験も踏まえながら、見直しを進めていきたいと考えているところです。

 

○安浪委員

 情報開示の話に関連するのですが、概要書の12ページに、収益額の四半期別の内訳が出ています。これを見ると、第4四半期からアベノミクスの影響で大きな利益が出たということはこの表を見ればよく分かります。先ほどの説明シートの4ページで、国内株式の超過収益率がベンチマークに比べて0.42%のマイナスになっていると記載してあります。その要因分析が、中長期的な割安株及び輸出関連企業の銘柄を高めに保有していたことがマイナスに寄与と書いてあります。アベノミクスによって、特に輸出関連株とか上げは大きいわけですから、第4四半期で、この輸出関連株をたくさん持っていれば、むしろプラスになる。このマイナスの説明として、このように記載されているのは、むしろ第1四半期での国内の株の減少分が大きかったから、年間ではマイナスになったと。この説明の記載の仕方が、私にはちょっとすっきりこないところがあります。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 御指摘のとおりです。アクティブの敗因を分析してまいりますと、実は年度の前半は大変な円高で、輸出関連株も低迷して、その時期の損失が大変大きかったのです。その後11月以降新政権発足期待等で、相場全体は随分上がったのですけれども、私どものアクティブ運用機関が持っていた銘柄はそれに付いていけなくて、結局年度前半の負けを後半で取り戻せず、年度トータルで見るとちょっと大きな負けになってしまった状況です。ひとえに銘柄選択がうまく働かなかったという状況でした。

 

○安浪委員

 輸出銘柄が大きければ、今回のアベノミクスで相当な利益が出るわけだから、多く持っていればプラスになっていたという話ではないのでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 銘柄によって、年度後半の上げ相場というのはちょっと特殊な相場で、輸出関連銘柄であれば全部上がったということではなくて、上がった銘柄はかなり限られていて、そういう良い銘柄を残念ながら私どもの運用機関は持っていなかったということです。

 

○安浪委員

 概要書の12ページに関してちょっと細かい話なのですが、国内債券が第3四半期でマイナス354というようになっているのですが、これは何か理由があれば教えてください。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 概況書の46ページを見ていただきますと、国内長期金利の推移がグラフで書いてあります。ここで御覧いただくと分かりますとおり、12月の半ばから12月末、1月初にかけて長期金利が一旦大きく反発しています、上昇しているのです。その分値段が下がって、それがここに反映されているということです。

 

○安浪委員

1月から12月にかけて金利が上がっていますね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 上がっています。

 

○安浪委員

 この上昇によって、国内債券が下がったということですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長

 いろいろな要因はあると思うのですけれども、いずれにせよここのところで長期金利が一旦上昇したものですから、第3四半期通じてみれば、キャピタルロスのほうが大きかったということです。

 

○安浪委員

 分かりました。キャッシュアウト等対応ファンドが10兆円から20兆円に増えたという説明なのですが、情報開示の話からして、業務概況書の中に、キャッシュアウト等対応ファンドというのはどこかに記載されているのでしょうか。13ページの資産構成額の内訳の所にも出てこないし、どこに入っているのかをお聞きします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人企画課長

 業務概要書の17ページを御覧ください。16ページから自家運用についての説明をさせていただいております。17ページの一番上にキャッシュアウト等対応ファンドについての説明をしております。

 

○安浪委員

13ページに、資産構成額の内訳があります。これのどこの所に入っているのでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人企画課長

 自家運用については、財投債のものについては財投債ですので、13ページでいえば財投債の所がそのままです。市場運用の一部として自家運用が。

 

○安浪委員

 国内債券の市場運用と財投債の所に入っているということですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人企画課長

 入っています。

 

○安浪委員

 でも、この表だけでは10兆円増えたというのは、去年と比べても分からなかったので、その辺は表示の区分ではあるのですけれども、情報開示の話の点から工夫はできないか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人企画課長

 昨年度の業務概況書の同じ場所に、キャッシュアウト等対応ファンドのそのときの残高は載せているのですけれども。

 

○安浪委員

 具体的な数字が出ていないから、10兆円増えたというのは分からないですよね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人企画課長

 そうですね、この業務概況書だけだと分からないです。

 

○安浪委員

 分からないですよね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人企画課長

 はい。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 一言補足いたしますと、国内債券の中でアクティブ・パッシブから回収してキャッシュアウト等対応ファンドに入れましたので、国内債券全体で見ると、残高は変わっていないです。その中で移していますので。

 

○安浪委員

 中の移し替えだから。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 おっしゃるとおりです。

 

○安浪委員

 その内訳を作れば、その動きが出てくるということですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 はい。

 

○光多委員

 最初に部会長にお伺いしたいのですが、本日の評価は本日中には書けないと思うのです。

 

○山口部会長

 いつもそうなのですが、お持ち帰りいただいて後で出していただきます。

 

○光多委員

 そういうことでよろしいのですね。

 

○政策評価審議官

82日までに出してもらう、という形で今は考えております。後ほど詳しいことはまた。

 

○山口部会長

 そうですね、最後のところでまた。

 

○光多委員

 質問しながら書くのは不可能だし、後のほうとの連関もあるものですから。安浪委員の質問と関連するのですが、昨年度11兆円以上の利益を出したということで、大変頑張られたと思うのです。その辺の要因をもう少し教えていただきたいのです。例えば、ベンチマーク収益率とあります。逆に行くとベンチマーク収益額という形はいくらになるのか。ベンチマーク並みの収益を行った場合には大体どのぐらいの利益が出て、それは超過でいくらぐらい金額としてあったのか。大体で結構ですが。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 ベンチマークから、11兆円全体として収益が上がりました。このうちベンチマークに対して上回った分だけを抜き取ると、これが1.3兆円になります。残りの11兆円から1.3兆円を引いた10兆円ぐらいがベンチマークに従って運用したら儲かったであろう収益という内訳になります。

 

○光多委員

 内部では、これだけ利益が上がった要因について、かなりいろいろな形で分析しておられると思うのです。外国株式と外国債券についてはかなり為替レートが影響したと。これは率直に言うとその機関の努力よりは、むしろ外的な要因だと思うのです。そういう外的な要因、特に為替相場によって大体どのぐらいそこが追い風になって金額になったのか、それが1つです。

 先ほど安浪委員がおっしゃったことですが、国内株式の、特にアクティブの所でマイナスになったというのが、私もこれで割安株と輸出関連株で、おっしゃる意味は分かるのですが、年度末にかけて輸出関連株が上がっている中で、かなりそこと違う所を運用しておられたと。そうでない所の株を持っていたということだと思うのですが、その辺が一番基本に関わるものですから、もう少しその辺について説明していただけないでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 最初の御質問の、為替の影響については、業務概況書の10ページを御覧ください。こちらにベンチマーク収益率ということで下に表が掲げてあります。外国債券を円ベースで申しますと17.86%ベンチマークベースで上がっています。その3つ下の(参考)複合ベンチマーク収益率現地通貨ベースという数字があります。これが現地通貨ベースで測定すると5.18%であったということです。17.86%と5.18%の差の大体11.5%ぐらいが円安の効果によるものと御理解いただければと思います。同様に、外国株式についても、円ベースで28%ですが、現地通貨ベースを見ますと、14.04%ということで、外株の場合には14%ぐらいが円安の効果というブレイクダウンになってまいります。

 国内株アクティブのアンダーパフォームの要因ということで、典型的な例で申しますと、これは運用機関の投資判断によるわけですが、同じ輸出関連株、例えば自動車で申しますと、私どものファンドは割高のA社と割安のB社のどっちを持ちますかという判断で、B社を多く持っていたと。A社はアンダーウエイトにしていたという状況が銘柄ごとに見るとあります。ところが、年度後半の状況を見ると、A社がグッと上がって、B社が出遅れたといったことがありました。同じ輸出関連企業でも、個別株の判断のところで私どもの運用機関の投資判断が、このマーケット状況とマッチしなかったといった効果の積み上げで、これだけのアンダーパフォームが生まれたと理解しています。

 

○光多委員

 分かりました。そういう追い風という運も実力のうちですから、これは大変評価されていいと思うのです。今のところでいくと、中長期的な観点から、割安株と輸出関連株の銘柄を持っていた。これは、全株式が中長期的な観点から持っているわけですよね、デイトレーダーではないのだから。この辺の表現の、中長期的な観点からというのがちょっと引っかかるのです。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 これは念押し的に書かせていただいたところです。

 

○山口部会長

 よろしいでしょうか。全体の予定がありますので、先に進めさせていただきます。次に第2グループです。項目47になります。年金積立金の管理及び運用に関する主要な事項の2についての評価を行います。先ほどと同じように、法人から15分ぐらいで説明をしていただき、委員の評定と質疑で15分、合計大体30分ということで進めてまいりたいと思います。それでは、法人からの説明をお願いいたします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

17ページから第2グループの御説明を申し上げます。透明性の向上1ですが、評価の視点は基本ポートフォリオの考え方や具体的な運用体制など、管理運用の仕組みを年度の業務概況書などで理解しやすく情報公開しているかなどです。左にありますように、法人の情報はホームページで公表しております。ホームページの全面的な見直しは平成23年度に実施し、以降は掲載内容の充実等を図っております。昨年度は、新たに運用受託機関の運用に係る再委託先を公表するなど、情報公開を進めております。また、業務概況書及び四半期の運用状況報告について、速かな公表に努めております。右にあります運用委員会の更なる透明性の向上については、運用受託機関の選定過程で、管理運用委託手数料の水準も含め、運用委員会で審議いただいております。議事録は一定期間、7年経過後に公表することを進めております。

18ページは運用委員会についてです。評価の視点は、運用受託機関等の選定についてその過程においても運用委員会で審議しているか、また、その際管理運用委託手数料の水準についても審議の対象としているかなどです。運用委員会については前のページで御説明したものと重なる部分もありますが、昨年度は9回開催し、先ほども申し上げた、国内債権のアクティブ運用及びパッシブ運用に係る運用受託機関の選定や、外国株式のアクティブ運用受託機関の選定等について審議し、あるいは報告をしています。

19ページは基本ポートフォリオについてです。評価の視点は、基本ポートフォリオが運用目標に沿った安全・効率的かつ確実な資産構成割合として策定されているか。その際、株式のリターン・リスクについて、そのリスク特性に配慮しつつ、慎重に推計を行ったかということです。基本ポートフォリオについては第2期中期目標に基づき、第1期中期計画における基本ポートフォリオについて更新したリスク・リターンデータを用い、引き続き安全・効率的かつ確実であることを検証し、厚生労働大臣の認可を受け、第2期中期計画機関の基本ポートフォリオを策定いたしました。昨年度においては平成2410月の会計検査院報告に基づき、厚生労働省より基本ポートフォリオについて定期的に検証を行うよう要請があったことから、検証を行うための準備を行いました。なお、今年6月には基本ポートフォリオを変更しております。

20ページは、市場及び民間の活動の影響に対する配慮1です。評価の視点は資金の投入及び回収に際し、市場の価格形成や民間の投資行動を歪めないような適切な配慮がなされているかなどです。評価の視点に対するものは、中央に投資行動を記載しております。評価の視点の1つ目が、市場の価格形成や民間の投資行動を歪めないよう配慮するということで、年金特別会計への寄託金償還等のための資金については、財投債の償還金及び利金等を活用するとともに、計画的に市場から資金の回収を実施いたしました。また、市場運用資金から回収する場合には、市場動向を踏まえつつ、時期を分散して回収するなど、できる限り慎重にかつ工夫して行い、特定の時期への集中を回避するよう努めました。2つ目が、民間企業の経営に与える影響を配慮するということです。株式運用について、自ら個別名柄の選択は行っておらず、また個別名柄の指図も行ってはおりません。

21ページは議決権行使状況です。評価の視点は、運用受託機関に対し、議決権行使の方針や行使状況等について報告を求めているかなどです。株主議決権の行使状況の考え方について、御説明いたします。左にありますように、私どもは民間企業の経営に影響を及ばさないよう配慮するという国の中期目標の考え方を基にし、株主総会での個々の議案に対する判断を法人としては行っておりません。その代わり運用受託機関にガイドラインを整備していただき、その策定状況、あるいは行使状況を法人が評価することを通じ、いわば間接的に管理をしております。右にありますように、平成24年度においてもガイドラインを提出していただき、行使状況などの報告を受け、必要に応じてミーティングを実施しております。その結果については、右下の「改善が必要な指摘事項」にまとめておりますが、基本的に、議決権行使は各運用機関ともしっかりやっていただいたと考えております。ただ、一部の運用受託機関は改善の必要性が認められたということで、その運用機関に対しては個別に改善を求めたということです。

22ページは、年金給付のための流動性の確保についてです。評価の視点は、年金財政の見通し及び収支状況を踏まえ年金給付等に必要な流動性が確保されているか、市場の価格形成等に配慮しつつ円滑に資産の売却等を行い、不足なく確実に資金を確保するために、市場動向の把握・分析や、短期借入の活用等必要な機能の強化を行っているかなどです。これは年金給付のために運用資産を取り崩して国に償還し、それが年金給付に使われるという仕組みで、いわゆるキャッシュ・アウトです。

 中央の体制・機能の欄に、これを適切に行うための4つの対応をお示ししております。キャッシュ・アウト資金については財投債ファンド及びキャッシュアウト等対応ファンドの満期償還金・利金等を有効に活用しました。今後、財投債の残高が減少していく中、安定的にキャッシュ・アウト資金を確保するため、国内債権に係る運用受託機関構成の一体的な見直しの中で、市場で売却する必要のないキャッシュアウト等対応ファンドを平成23年度末の10兆円から、平成24年度末には20兆円に増額したということです。財投債ファンド及びキャッシュアウト等対応ファンドの満期償還金・利金等を活用しても、なお不足する分は市場で運用する資産の売却を行いました。

 資産の売却に当たっては、市場に悪影響を与えることのないよう市場動向の調査分析を行い、資金計画を策定し、売却のタイミングや、回収金額の分散等の工夫をしながら実施いたしました。短期借入の整備については、市場からのキャッシュ・アウト資金の調達が困難となる場合に、借入れて、その資金を捻出する枠組みを用意しております。なお、昨年度は短期借入が必要となるような事態はありませんでした。私どもといたしましては、これは評価項目7ということになりますが、これらの取組全体について、自己評価としては、今回「S」を御提案させていただいております。第2グループの説明は以上です。

 

○山口部会長

 それでは、委員の皆様は評価シートへの評定の記入をお願いします。御質問等ありましたら、適宜御発言いただければと思います。

 

○川北部会長代理

21ページの議決権行使に関してですが、株主総会において議決権行使をすることは非常に重要なことで、それによって企業へのガバナンスが働くと思うのです。ただし、これは年に1回、しかも瞬間的にかつ大量の株主総会への案件が来るという中で、どこまでこれを正確にというか、この議決権の行使をいかして、ガバナンスの対応ができるのかということに関して私自身はかなり疑問というか、それでは十分ではないと思っています。むしろ日頃から積極的にその企業と対話し、アナリストがヒアリングにいく中で、いろいろ企業の活動に対して注文をつける、もしくはアドバイスをしていくというスタンスが必要になると思うのですけれども、この辺りに関してどのように評価されているのか。それから、昨今は日頃のその企業との接触を活用して、株式の投資収益率を上げようという動きも出てきているという中で、そういうアセットマネジメント会社の活動に関してGPIFとしてはどのような評価をされているのか。その辺りをお伺いしたいのですが。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 現状の立て付けで申し上げますと、21ページ記載のとおりでございます。ガイドラインの整備状況、それから行使の組織的な体制、それと行使力、この3つの柱でもって評価をさせていただいているところです。委員御指摘の運用機関とその企業の日頃の接触といったところまでは、そこまでの踏み込んだ評価はしていない現状ではございます。

 

○川北部会長代理

 これは今後も今の方針を踏襲されていくことでしょうか。ここに書いてますように、むしろ民間企業の経営に与える影響も配慮してという、何かそういうスタンスと考えてよろしいのでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 その点につきましては、今進んでおります国内株の1次審査の中で、委員御指摘のとおり、そういう企業との接触の中でパフォーマンスを上げていこうといったような新しい形の運用手法も現に出てきている状況でございます。そうした手法を私どもしっかり見させていただく中で、運用の新たな在り方を追求しながら今後考えていきたいと思います。

 

○安浪委員

 今年度からその運用受託機関の再委託先を開示されるようになったということで、それに関してです。この運用概況書の65ページ開いていただくと、再委託先が出ているのですが、まず1つお聞きしたいのは、外国株アクティブで、例えばみずほ投信さんがウェルズ・キャピタル・マネジメントに再委託している。子会社であれば親子関係ですから手数料がダブルで取られるということはないと思うのです。資本関係がないところに行った場合、この場合管理手数料は再委託先から請求されるということはないのですね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 手数料につきましては、元の委託先に払うものが全てと。その中で、元請けの所と再委託先とで分け合ってくださいというようなことでお願いしている。

 

○安浪委員

 親子関係ならそういうことが言えると思うのですけれど、全く第三者、みずほとウェルズ、別会社だと、「いや、そうはいかないよ」というようなケースはないのかということなのです。これも同じだということなのですね、親子と。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 はい、基本的に同じでございます。

 

○安浪委員

 この表を見ますと、パッシブに関しては再委託している所はほとんどないのですね。再委託されているのは外国株にしてもアクティブとかいうところで。ただ、1つだけ外国債権のパッシブで、ノーザン・トラスト・グローバル・インベストメンツが再委託されているのです。これは何か事情があるのでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 こちらにつきましては、ノーザン・トラスト・グローバル・インベストメンツというのは、これは日本の法人です。日本の法人から、アメリカにある親会社のほうに再委託はされているといった形態でございます。

 

○安浪委員

 その上のステートとか、ブラックロックは再委託してないのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 こちらは日本の法人で、完結しておりますので、再委託がないというところです。ただ、このノーザン・トラストにつきましては、日本法人のほうで、残念ながら運用ができないと。アメリカの本社のほうに運用の機能があるということで、再委託がなされておるといった状況でございます。

 

○安浪委員

 再委託は、受け取め方としては余り好ましくない。どんどん離れていくというか、間に人が介在してくると問題が出てくる。極力その再委託先は減らすほうがよいと思います。そこら辺の管理、今回から再委託先を開示されるようになりましたが、委託先と再委託先の間で、その管理状況についてのチェックは前期でやられたと思うのですが、状況はいかがだったのでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 まず、考え方といたしまして、私ども法律上の制約で、契約のできる先というのは日本で、投資運用業に登録をしている先に限られてまいります。そういたしますと、例えば外株アクティブ、外債アクティブといったところで、海外に優秀な運用ノウハウを持った先のノウハウを、日本の法人だけ相手にしていると活用できないという中で、日本の法人と投資運用が登録のある先と契約をして、そこからノウハウのある先に運用を委託しという形態を私どもは取ってきたという歴史的な経緯ございます。さはさりながら委員の御指摘のとおり、再委託ということになりますと、管理も人様にお任せするということになり、距離が離れると、管理がルーズになる危険もございますので、そこは日本のこの元請けの先にしっかり委託先を管理するようにということで、私ども厳しく指導しているところでございます。その一環としまして、再委託まではオーケーとしているのですが、再々委託は絶対許さないというようなことで私ども管理をしておるというところです。

 

○光多委員

 運用委員会のことですが、いろいろな経緯があって、運用受託機関の選定までやっているわけです。要するに、機能しているのかなというのが質問なのですが、概況の23ページで、実際にどんなことを審議されたかというのが書いてあります。これでいくと、選定について審議が行われたということですが、選定についてはいろいろな一定の基準に合わせて、独法のほうでずっとやっておられるわけですね。これ、月に1遍ぐらいやって、それで審議するといっても、なかなかそうは機能しないのではないか。これはちょっとまずい表現かもしれませんが、例えばこの委員の中に日産自動車の方もおられますし、先ほどの運用の関係でいくと、いろいろ微妙な関係もあるかもしれません。もちろん、だからある程度の内部での公平性の確立という形で、その機能は必要だと思うのですが、私はもう少し証券市場とか、経済がどうなるかとか、国際関係どうなるかとか、もっと幅広い分野での事実上のアドバイスをされるような形だったら、もう少し機能すると思うのですけれど、現在のこれで本当に機能しているのかなと、率直な印象なのですが、どうでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 運用機関の選定につきましては、中期目標の中で運用委員会の御審議をお願いしなさいということで言われているところです。それで、私ども、この3段階の審査がありますが、その都度運用委員会の意見を御議論いただき、その都度相当厳しい意見も随分出てまいります。先ほどございました日産の方もいらっしゃるということで、運用委員会に出すときには、この個社名は全部記号化しまして、どこがどれだか分からないような格好で掲示をいたしまして。その上で議論をいたしますので、利益相反とか、そういった問題は極力ないようにということで、私ども工夫をさせていただいて、議論をお願いしているといったところでございます。

 

○光多委員

 機能しているというふうな評価をしているわけ。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 はい、そのとおりでございます。

 

○山口部会長

 私のほうから1つ質問ですけれども、先ほどの説明資料の19ページで、会計検査院の報告に基づいて、定期的に基本ポートフォリオの検証を行うということについて、検証報告の検討を開始したと書いてありますが、具体的に何をしているのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 お答えいたします。まず、会計検査院からの御指摘があって、それを受けた形で厚生労働省のほうから、私どもに対しまして定期検証の要請が昨年10月にあったということでございます。それを踏まえた形で、私どもとしては内部的に、具体的にどのような枠組みで、この定期検証というものを実施するのか。あるいはデータをどういう形で更新するなりするのかについて年末から年明け3月ぐらいまで、ずっと内部的に検討しまして、その結果を踏まえた形で、運用委員会に提案といいますか、そういう形で検証作業を進めたということでございます。そういう意味で、ここに書いておりますのは飽くまでもGPF内部における定期検証の要請を踏まえた内部的な検討と御理解いただければということでございます。

 

○山口部会長

 ほかに何か御意見、御質問ございますか。よろしいですか。

 次に、第3グループについて評価を行いたいと思います。同じように、法人のほうから15分程度で御説明いただき、委員のほうは評定と質疑15分、合計30分ということでお願いします。それでは法人のほうから御説明をお願いします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役 

 それでは、第3グループの御説明を申し上げます。23ページは内部統制の一層の強化に向けた体制整備です。評価の視点は、年金積立金の管理及び運用に当たり、責任体制の明確化が図られているか、内部統制に係る取組を行ったかということです。内部統制につきましては、平成23年度に作成した内部統制の基本方針により、大きく5つの体制を確保し、責任体制の明確化を図っているところです。

 第1の業務の有効性、効率性を確保するための体制の整備については、業務を有効にあるいは効率的に行うため、理事長の意思決定を支える体制として、経営管理会議及び企画会議を設置しております。また、中期計画等を確実に達成するため、年度計画を四半期ごとに分割し設定した目標に対する実績を経営管理会議において四半期ごとに把握・評価し、問題点や課題を抽出し、事業運営の改善を図ることとしております。

 第2の法令等の遵守体制の整備につきましては、幹部職員及び有識者で構成する「コンプライアンス委員会」を開催し、関係法令の遵守状況等の報告及びコンプライアンス推進施策の審議を実施しております。更に内部通報制度も設置しております。

 第3の損失危機管理体制の整備につきましては、当法人が当面するリスクとして、積立金の運用に関する運用リスクのほか、法人の事務全体のいわゆる運営リスク、オペレーショナルリスクがありますが、この運営リスクに対処するために、運営リスク管理委員会を設けております。

 第4の情報保存管理体制については、情報セキュリティー管理委員会を置いて、情報の保護に努めております。

 第5の財務報告等信頼性の確保の体制整備につきましては、監事・監査法人、監査室が一体となって数字の確からしさを担保するという考え方で行っております。

24ページはこの内部統制等の概念図です。前のページで御説明した5つの体制整備や外部からの目を含め、概念図でお示しをしています。

25ページは運用受託機関に対する関係法令等の遵守です。評価の視点は、運用受託機関等に対し、契約等において受託者責任を踏まえ、関係法令等の遵守を徹底するよう求めたかということです。運用受託機関等説明会、定期ミーティング、運用及びリスク管理の状況の報告書提出時などにおいて、関係法令等の遵守の徹底と確認を行っております。

26ページは、内部統制の強化に向けた内部監査の充実です。内部監査につきましては、理事長の直属である監査室が行っており、内部監査と情報セキュリティ監査を実施しております。

27ページは監事監査の充実・強化の取組み実績です。監事監査は決算監査、業務監査、重点事項監査、経常監査を行っております。監事監査活動の充実・強化については、平成2212月の閣議決定「独立行政法人の事務事業の見直しの基本方針」により、当法人は「監査内容の充実、金融実務経験者の監事への採用等により、監査機能の充実を図る」こととされたところです。このことなども踏まえ、当法人の監事は平成224月に民間企業において取締役、常勤監査役、企業年金基金理事長の経歴を持つ常勤監事と、平成237月に民間企業における監査役、経理部長等の経験を有する非常勤監事が任命され、その知見に基づき監査が行われるなど、監査機能の強化を図っているところです。

 具体的に御説明申し上げますと、資料記載のとおり、1「監事監査方針」を策定し、監事監査活動を周知2監事監査の「見える化」を図り、監事監査年間・月次計画・実績表を作成し、予定実績管理を実施3「内部統制に関する監事監査実施基準」による内部統制システム監査の充実・強化4「監事監査チェックリスト・評価表」「法人の長のマネジメントに関する評価表」等による監事監査の標準化・効率化5会計監査人及び監査室等の緊密な連携を保ちつつ、非財務情報に係る信頼性確保のため、監事、会計監査人及び監査室で組織する「三様監査会議」における審議を実施6全ての重要な会議、委員会に出席し、必要に応じ監事として意見表明し、予防的観点に立った監査の実施7経営改革に貢献する監査に努めるべく監事意見を形成し、報告書を通じ、役職員に周知徹底8監事指摘事項に対する改善改革の進捗状況を徹底的にフォローすることにより、PDCAサイクルが有効に機能し、全ての指摘事項に対する改善改革が実施されていることを確認するといった取組を行っています。

 こうした監査の結果、平成24年度の監査報告書では、当法人は適切に運営されているものと認められております。

 次の28ページは監事監査のスケジュールを記載しております。29ページは職員研修の実施についてです。評価の視点は、研修計画を策定し、資産運用等の分野に係る専門的かつ実務的な研修を実施したかということです。内部統制の研修や専門資格取得の促進を行っております。

30ページです。前ページと同様に職員研修の実施について、特に内部統制の関連のうち、コンプライアンス及び情報セキュリティに関して、e-ラーニングを用いた取組などについて記載しています。また、情報セキュリティについては、最近の政府等のWebサイトへの攻撃等を踏まえ、実践的な対策方法等の知識の習得を進めております。

31ページは職員の専門性の向上のための資格取得等の支援です。評価の視点は「資産運用等の分野に係る資格の取得を支援するための措置を取ったか」などです。毎年度御報告させていただいておりますが、専門性という観点から、証券アナリストの資格取得を促進しており、平成23年度末と比べて、平成24年度末は合格者が2名増えまして、28名ということです。

32ページは調査・分析の充実です。評価の視点は「大学等の研究機関との連携の強化や、先進的な事例等に関する情報収集に努め、年金積立金の管理運用の高度化を進めるための調査研究について充実を図ったかなどです。調査研究の充実につきましては、平成23年度、24年度の2年間、大学との共同研究を実施し、長期的な運用の枠組や、マーケットインパクトについての基礎的研究を行いました。研究結果は、次期中期計画における基本ポートフォリオの策定方法等の検討に活用することを予定しております。委託研究については、テーマは毎年度変えて行っておりますが、昨年度はオルタナティブ投資スキームや、リスクファクターに基づくポートフォリオの策定、リスク管理手法についての調査研究を行いました。研究結果は、今後のオルタナティブ投資の検討等に活用することを予定しております。また、適切なリバランス及びキャッシュ・アウトのための市場動向に関する分析評価について、運用機関等からの情報収集、勉強会の実施等により、内外の経済動向の把握を積極的に行い、また収集した情報を基に、市場動向の把握・分析を行い、適切なキャッシュ・アウト等に活用するため、役職員で情報を共有しております。

33ページは人事評価制度の運用です。評価の視点は能力実績を反映した、人事評価制度を実施しているかです。右側にありますように、昨年度は実績評価と能力評価の2つの評価をしておりまして、実績評価は結果をボーナスに反映させ、能力評価は昇給等に反映させております。

34ページは業務運営の効率化に伴う経費節減です。数値目標及び評価の視点は、退職手当、事務所移転経費を除く一般管理費については、中期目標期間の最終年度において、平成21年度比15%以上の節減を行う。システム開発費、管理運用委託手数料に係る経費を除く業務経費については、中期目標期間の最終年度において、21年度比5%以上を節減するということです。まず経費節減に向けた取組みを推進するために、法人内の組織として、経費節減委員会を設置しております。

 次に人件費、物品費等の一般管理費についてですが、今中期目標期間の前年度である平成21年度予算に対し、中期目標期間の5年間で15%節減、毎年度あたり約3%節減としております。24年度は3年目ですから、約9%の節減ということで、これを踏まえた予算の範囲で執行を行いました。

 同様に管理運用業務に必要な経費である業務経費につきましては、平成21年度予算に対し、中期目標期間の5年間で5%の節減、毎年度あたり1%の節減となります。24年度は3%の節減ということで、こちらも予算の範囲内での執行を行い、一般管理費及び業務経費等とともに、目標に向けて着実に節減を進めております。

 主な経費節減の事例ですが、私どもが入所しております事務所の賃借料については、更新の際に引下げ交渉を行い、対前年度比で9.1%減となる約1,500万円の引下げをすることができました。また、契約について申し上げますと、一般競争入札等により節約を図っており、競争制がないいわゆる随意契約については、事務所の賃貸借契約等、真にやむを得ないものに限定しております。

 次に人件費については、昨年度から「国家公務員給与特例法」に準じた措置を実施しております。昨年度の国家公務員等のいわゆるラスパイレス指数ですが、当法人は100を若干下回り、国を下回る実績となっております。

 最後に宿舎の売却及び国庫納付についてですが、日野宿舎については平成22年度に、行徳宿舎については平成23年度に売却を完了し、その売却代金をそれぞれ23年度、24年度に国庫納付いたしました。早期に売却を完了した結果、今中期目標最終年度である26年度までに仮に両宿舎を保有していた場合のメンテナンスコスト、税金等の支払いなど、約1,400万円の節減が図られたところでございます。

35ページは管理運用委託手数料の水準についてです。評価の視点は、管理運用委託手数料については、運用資産額の増減等も考慮に入れつつ、引き続き低減に努めたかということです。左のグラフを御覧いただきますと、平成24年度が総額222億円、その前年の23年度が231億円ということで、約8億円ほど減っております。これにつきましては、国内債券の運用受託機関構成の見直しをしまして、その節減効果が17億円。ただし円安、株高の進行等を受けて、運用資産の時価評価額が増加したことにより、9億円の増加があったため、実際の節減額が約8億円にとどまったということです。国内債券、運用受託機関構成の見直しは期半ばにあったということで、平年ベースに換算しますと、約30億円の節減を達成し、この手数料見直しの効果は今後も続くことになります。

34ページから35ページにかけての経費節減につきましては、評価項目11になりますが、自己評価を「S」と御提案させていただいております。

 最後に36ページは重要な財産の譲渡等の計画についてですが、評価の視点は、宿舎の売却については独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針において、定められた所要の手続を完了するよう努めたかということです。34ページの説明で触れましたが、当法人は国の方針に従い、所有する全ての職員宿舎について平成24年度までに売却、国庫納付を完了しております。説明は以上です。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。最後の宿舎売却の件は平成23年度までに既に終わっているということですよね。それを評価しているというのはどのように考えたらいいのでしょうか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長

 国庫納付が2410月でございましたので、24年度中の実績とさせていただいたところです。

 

○山口部会長

 そういうことですか。分かりました。ですから評価対象とするということですね。

それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問等ございましたらお願いします。併せて評価シートへの記入もお願いします。

 

○竹原委員

 職員の能力開発というか、教育と調査研究については、過年度から継続的に実施がされているということは分かるのですが、その中で先ほどもちょっと質問が出ていましたが、基本ポートフォリオの見直し等関連する部分で、例えば過去に行われた研究あるいは昨年度行われた研究で、こういう部分が基本ポートフォリオの将来的な見直しの議論に関係するといった事柄があったら、御説明をお願いしたいと思います。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

お答えいたします。特に基本ポートフォリオの関連ですと、32ページの調査分析の充実の部分ですが、大学との連携強化の中で、特に年金積立金の運用の枠組についての基礎的な研究と、こういうところで幾つかテーマを設定しまして、研究を職員ともどもさせていただいたということです。

 大きく2つあり、まず1つは基本ポートフォリオに直接関連するわけではありませんが、特にリーマンショックのときに見られた現象、すなわち複数の資産が同時に下落するということが見られたわけです。これはどういうことかと申しますと、通常我々ポートフォリオを作るときには、各資産間の相関係数について一定の数値を想定するわけですが、そこで見られた現象というのは、特段の下落局面では、特に複数の資産間の相関が高まると。そういう意味において、相関係数というのは、常に一定であるということを仮定するというのも課題があるのでして、こういうことについてテーマを立てまして、我々のリスク管理に実際に反映されるという方法で今現在、対応させていただいています。これは具体的にはコピュラ関数の応用という点でございます。

2点目については、次期のポートフォリオの課題の1つになると考えておりますが、年金財政との関連で、我々の今のポートフォリオにつきましては、一期間モデルということ、いわゆる平均分散法という手法ですが、これを多期間に伸ばして、更に負債との関連も考慮した上で、何らかの最適なポートフォリオを構築する手法というのも、テーマとして設定しています。これについても次期のポートフォリオに向けて、何らかの役に立つのではないかという形で考えています。

 

○光多委員

 ちょっと今のところに関連しますが、評価項目でいくと、調査分析の充実等というところで、32ページの所でいろいろやっているわけですが、大学との連携強化、委託調査研究という形でいろいろ成果が出てきているわけです。大学との連携強化というのは、これは別に委託調査ではないわけですね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい、おっしゃるとおりです。

 

○光多委員

 共同研究ですね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい、共同研究です。

 

○光多委員

 委託調査はどこかの外部機関に委託をしておられるのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 はい、おっしゃるとおりです。

 

○光多委員

 例えばどういう所に委託しておられるのですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 委託調査研究につきましては、主としていわゆる民間のシンクタンクですとか、そういう所を想定しています。具体的に申し上げますと、例えば昨年度、委託調査研究テーマとして2つありますが、オルタナティブ投資スキームの調査研究については、例えばフィージビィリティ調査ですので、弁護士事務所とか、ローファームに委託していますし、後者につきましては、外国の民間の研究機関にお願いをしています。

 

○光多委員

 国の場合には、委託調査の場合は、原則公開しているのですが、この場合はどうなっていますか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 この大学との連携強化で、委託調査研究、共同研究の委託調査ですけれども、毎年前年度の結果を、例年7月の私どもの運用委員会にその概要を御報告しまして、それを踏まえた形でホームページに公表しています。これらの内容につきましては既にホームページに公表しているということで御理解いただければと思います。

 

○光多委員

 委託調査も。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人調査室長

 委託調査も含めて。

 

○光多委員

 そうですか。

 

○山口部会長

 ほか、御質問等ありますか。安浪さんのほうから。

 

○安浪委員

 先ほどのセクションの話で、寄託金の償還なのですが、流動性の確保ということで、S評価にされているのですが、寄託金の償還は金額的には、去年が56,000億。これは収入を引く前のグロスの数字ですが、去年は56,000億で今年度が59,000億円、23年度が64,000億。数字的にはそう償還額が大きく増えてきたというわけでもないのです。去年のS評価は確かに厳しい環境で資金を確保されているなと、大変な御努力だとは思うのですが、去年も「S」だから同例で「S」だという理屈もあろうかと思うのですが、そこら辺はどう考えればよろしいでしょうか。流動性の確保については金額は去年とそう大きく変わらない中で、S評価にされた理由はなんでしょうか。59,000億の償還は大変なことなのだということなのか。112兆円の資産がある法人で、それぐらいはどうってことないよと見るのか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用部長

 償還につきましては、平成21年の財政検証でも、平成29年度頃までは相当額のキャッシュ・アウトがあるという前提に立ちまして、今回、国内債券のアクティブ・パッシブの見直しの中で、10兆円キャッシュアウト等対応ファンドに移しまして、先々のキャッシュ・アウトに備えたということをもちまして。

 

○安浪委員

 実績は59,000億円ですよね。償還されたのは。グロス、寄託金の収入を引く前で59,000億。しかも今期は20兆円ファンドを増やせられたから償還については資金繰り上はそう大きな苦労がないのかなという気もしたものですから。そこら辺の詳しいお話をきかせてください、御苦労があるかと思うのですが。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用理事長

5兆円といっても、マーケットの規模から考えるとかなり大きいものなのですが、それをそのまま全部ですと、相当部分を市場運用資産の売却でまかなうとすると、市場の状況等によっては、不測の事態も起きかねないし、場合によっては売却もできないこともあり得るので、そういうことがないように、キャッシュアウト等対応ファンドを、この先々の財投債の償還金額等も念頭におきながら、拡大したというのが1点です。あと、付け加えていうならば、先ほど私のほうから申し上げたように、去年は当初の予算では89,000億円の寄託金の償還が必要とされていました。これは例の交付国債との関係があるのですが、それが結果的には43,000億円で済んだのですが、その途中段階ではそれがぐっと減りまして、その後、特例法が成立するかしないかということで、ぐんとまた必要額が膨らみ、それが元に戻ったというようなことで、非常に計画的に着実にやるような環境でもなかった。その状況を見ながらうまく乗り越えたということも含めて、我々としてはS評価と考えています。

 

○安浪委員

 キャッシュアウト等対応ファンド20兆円というのは、これを資金化するのに相当な市場に影響を与えるのだということですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用理事長

 そうではなくて、通常運用しているものは、御承知のとおりNOMURA-BPIをベースにした運用資産ですので、期間1年超から国債ですから40年ぐらいまで長いものがあるわけです。そのうち、例えば1兆円をそこから捻出するということになりますと、40年ものから1年強のものまで、一定の構成費に応じて売却するということになるわけです。ところが、キャッシュアウト等対応ファンドの場合には、満期を待って満期で償還された資金及び利金をそのまま使おうということですから、そういう意味では市場へのインパクトはゼロになる。そういった意味でキャッシュアウト等対応ファンドの償還の満期及び利金を使ったほうが、マーケットには非常にやさしいといいますか、我々としても余り頭を使わなくても済むというようなことです。

 

○安浪委員

 キャッシュアウト等対応ファンドに20兆円を設定したこと自体を、やはり評価すべきことだということですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用理事長

 これからのキャッシュ・アウトの想定金額を、これはまだ確定はしているわけではありませんが、念頭におきながら、かなりの部分は財投債とキャッシュアウト等対応ファンドでまかなえると。差し当たり34年ということですが。

 

○安浪委員

 来期寄託金償還が56兆、今期と同じぐらいだとすれば、今年度は59,000億の償還がありましたから、来期も5兆円から6兆円ぐらいの金額は20兆円対応ファンドで市場にインパクトを与えずに行うことができるということですね。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人運用理事長

 市場運用分の売却は少額で済むだろうと。

 

○年金積立金管理運用独立行乗法人企画課長

 数字を補足しますと、平成25年度については、今のところ予算ベースでいうと、5.1兆円の償還というのが予算ベースで想定されておりまして、その一方で財投債の満期償還金と利金につきましては、足して2.7兆円ほどが予定されております。これだけですと足りないので、キャッシュアウト等対応ファンドも使うわけですが、こちらのほうの満期償還金・利金は、増額後になりますけれども、1.8兆円ということになります。したがって足して4.5兆円ほどが償還金・利金として市場売却なしに手当てできる現金となります。差額はもう少しありますが、ここは時期がきましたらその時々の状況に応じて現金を確保していくというようなことになろうかと思います。

 

○山口部会長

 よろしいでしょうか。それでは、以上で全ての項目の評価が終了いたしました。つきましては、事務局からこの後の取扱いについて御説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日お配りしている資料について郵送を御希望される場合は、会議終了後に事務局にお申し付けください。本日評定の記入が終わらない場合につきましては、資料をお持ち帰りになって記入していただくか、若しくは本日メールで評定記入用紙の電子媒体もお送りしますので、82日までに事務局に提出していただければと思います。以上です。

 

○山口部会長

2日までに事務局に提出ということですか。

 

○政策評価官室長補佐

 月曜日の午前中であれば作業的には。

 

○山口部会長

 ありがとうございます。

 

○政策評価官室長補佐

 メールでも郵送でも結構です。

 

○山口部会長

 次に、業務方法書の変更についてです。まず事務局から業務方法書の変更の流れについて説明をしてください。

 

○政策評価官室長補佐

 資料集の25ページになります。業務方法書の変更につきましては、独立行政法人通則法の第28条の1項で、業務開始の際、あるいは業務方法書の変更の際に、主務大臣の許可を受けなければならないとしており、同条の第3項で主務大臣は業務方法書の認可をする場合には、あらかじめ評価委員会の意見を聞かなければならないこととされております

 今般、法人から資料3-1のとおり業務方法書の変更の認可の申請がありましたので、今回委員の皆様方に御意見を頂く形になります。以上です。

 

○山口部会長

 ありがとうございます。続きまして、法人から御説明をお願いします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 それでは、年金積立金管理運用独立行政法人の業務方法書の変更案について御説明申し上げます。3-1は申請書のかがみです。3-2で内容を御説明します。1ページです。第1条の変更は年金積立金管理運用独立行政法人の業務運営並びに財務及び会計に関する省令第1条が、以前の省令改正によりまして、同省令の第1条の2というように条項が変わりましたので、業務方法書第1条中、同省令の「第1条」とあるのを、「第1条の2」と修正をするものです。

 第2条及び第3条の変更については、旧年金福祉事業団が旧資金運用部から借り入れた、長期借入金の管理運用の業務、及びその経理を行っておりました承継資金運用勘定が現在廃止されておりますことから、第2条及び第3条の規定中、この業務及び勘定に関係する文言を削らせていただくものです。

○山口部会長

 すみません。第2条というのは。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人審議役

 失礼しました。第3条と4条で、訂正させていただきます。第5条ですが、第5条の第1(4)の変更ですが、中期目標及び中期計画に「年金積立金の管理及び運用に当たっては、専門性の向上を図る」との文言があることから、業務方法書も中期目標等と平仄を合わせ、「専門性の向上を図る」との文言を加えるものです。

 第5条第2(11)につきましては、個別法とも略称される、年金積立金管理運用独立行政法人法においては、当法人が自家運用できる運用方法の範囲を規定しています。それが個別法第21条第1項第3号のイで規定されていますが、今回の変更は業務方法書上、自家運用できることとされている運用方法の範囲を法律で規定されている範囲に合わせるものです。

 第4章は表題の字句修正です。資料3-3は今回の変更案を反映させた業務方法書の全文で、仮に御認可がいただけましたならば、速やかに施行、公表したいと考えています。以上で御説明とさせていただきます。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。ただいまの内容について御質問がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。それでは、本部会としましては、本件について、異存はないとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

 

○山口部会長

 ありがとうございます。ではそのようにさせていただきます。

 次に役員退職手当支給規定の変更についてです。事務局から説明をしていただきまして、続いて法人から御説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 法人のほうから厚生労働大臣に対して役員退職金手当支給規定の変更について届出がきております。資料集の32ページになりますが、独立行政法人通則法の52条で特定独立行政法人の役員の報酬や退職手当を変更するときは、法人は主務大臣に届けることとなっており、53条で届出に係る報酬等の支給基準を評価委員会に通知することとしております。同じくその2項で評価委員会はその通知に係る報酬等の基準が、社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて意見を申し出ることができるとされております。当法人につきましては、特定独立行政法人ではありませんが、資料集の35ページの一番下にある、通則法の62条で、52条、53条の規定は特定独立行政法人以外の法人にも準用することとなっております。つきましてはこのたびの役員退職手当支給規定の変更について、社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、御意見を頂ければと思います。

 

○山口部会長

 それでは、法人から変更の内容の説明をお願いいたします。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長

 役員退職手当支給規定の改正について御説明申し上げます。資料4-1を御覧ください。平成241126日に、国家公務員と民間との退職給付水準の格差を是正するために、国家公務員退職手当法等一部を改正する法律が交付されたところです。これに関しまして、平成241211日付で、厚生労働省年金局長より、当法人理事長宛に役職員の退職手当について、国家公務員退職手当制度の改正に準じて、必要な措置を講ずるよう、要請がありました。それを受け、役員の退職手当については、国家公務員に準じた形で、13.65%引き下げる規定の改正を、平成25321日付けで行ったところです。以上です。

 

○山口部会長

 ありがとうございました。ただいまの内容について御質問等ございますか。これは部会に諮られてはいないですが、一般の職員も同じということですか。

 

○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長

25年の710日付けで、一般職員についても同様の措置を講じています。

 

○山口部会長

 分かりました。よろしゅうございますか。それでは、本部会としてこの変更について意見なしということで取り扱わせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

 

○山口部会長

 ありがとうございます。それでは、本日の議事は以上となります。次回の開催等について、事務局から御案内をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 次回の開催は81()10時から、場所はこの建物の12階の専用第12会議室になります。議題は年金・健康保険福祉施設整備機構の個別評価、農業者年金基金の業務実績に関する意見についてになります。以上です。

 

○山口部会長

 それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり、熱心な御審議を頂きましてありがとうございました。

 


(了)

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