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2013年5月22日 第1回 遺伝毒性評価ワーキンググループ  議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成25年5月22日(水) 10:00~


○場所

合同庁舎5号館22階専用14会議室


○議事

○大淵有害性調査機関査察官 本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。定刻よりも若干早いのですが、先生方がお揃いになりましたので、ただいまから、第1回遺伝毒性評価ワーキンググループを開催いたします。

 はじめに、化学物質対策課の奈良課長より御挨拶申し上げます。

○奈良化学物質対策課長 おはようございます。本日は、有害性評価小検討会の第1回の遺伝毒性評価ワーキンググループにお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、各委員の皆様には、日頃から私ども安全衛生行政、様々なところで御支援、御協力いただいていることに対して、厚く御礼申し上げたいと思います。

 今回の、この有害性評価というのは、労働安全衛生法の体系下の中で行われるものですが、この労働安全衛生法では厚生労働大臣が、労働災害の防止の5か年計画を策定することになっておりまして、今年の4月から第12次の計画がスタートいたしました。今次の、この計画の中では、昨年の胆管がんの発生等を踏まえて、職場で使用される化学物質の発がん性評価を加速化するということが、その対策の重要な柱になっているところです。

 このため、今年度、平成25年度から、リスク評価検討会の有害性評価小検討会の検討結果に添って、発がん性物質のスクリーニングと、新たな発がん性試験方法の導入を行うことを計画しているところです。これらの推進に当たっては、スクリーニングに当たっての遺伝毒性の評価基準の決定、個別物質の評価、更には試験実施の優先順位の決定等を行う必要があり、この遺伝毒性評価ワーキンググループを設置して、専門的な御判断を賜ることとしたところです。

 繰り返しになりますが、化学物質の発がん性評価の加速化は、社会的にも非常に高い関心が寄せられている事項です。各委員の御協力をお願い申し上げまして、簡単ではございますが挨拶に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○大淵有害性調査機関査察官 続いて、出席者の先生方を御紹介させていただきたいと思います。参考資料2の通しのページで3ページにも名簿がありますので、参考にしていただけたらと思います。名簿の順で申し上げます。名簿の最初の中央労働災害防止協会の荒木先生ですが、本日は都合により御欠席となっております。続いて、東京薬科大学の太田先生です。

○太田委員 太田です。よろしくお願いします。

○大淵有害性調査機関査察官 中央労働災害防止協会の清水先生です。

○清水委員 清水です。よろしくお願いします。

○大淵有害性調査機関査察官 国立医薬品食品衛生研究所の本間先生です。

○本間委員 本間です。よろしくお願いします。

○大淵有害性調査機関査察官 同じく国立医薬品食品衛生研究所の山田先生です。

○山田委員 山田です。よろしくお願いします。

○大淵有害性調査機関査察官 本日は、特別参集者ということで、構造活性相関の専門である国立医薬品食品衛生研究所の広瀬先生にも御出席をいただいております。

○広瀬委員 広瀬です。よろしくお願いします。

○大淵有害性調査機関査察官 事務局側も御紹介をさせていただきます。ただいま御挨拶を申し上げました化学物質対策課の奈良課長です。

○奈良化学物質対策課長 奈良でございます。よろしくお願いいたします。

○大淵有害性調査機関査察官 化学物質評価室長の角田です。

○角田化学物質評価室長 角田でございます。よろしくお願いいたします。

○大淵有害性調査機関査察官 室長補佐の岸です。

○岸室長補佐 岸でございます。よろしくお願いします。

○大淵有害性調査機関査察官 最後になりますが、私は化学物質対策課の大淵でございます。よろしくお願いいたします。

 議事に入る前に、本日は第1回目ですので、このワーキンググループの座長を決めたいと思います。事務局としましては、有害性評価小検討会からも引き続きメンバーとなっていただいている清水先生に座長をお願いできればと思っておりますが、ほかの先生方はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○大淵有害性調査機関査察官 ありがとうございます。座長については、清水先生にお願いします。それでは清水先生、以下の進行についてよろしくお願いいたします。

○清水座長 それでは、座長ということで、よろしく御協力のほどをお願いいたします。

 議事に入る前に、事務局から議事次第と資料の確認をお願いいたします。

○大淵有害性調査機関査察官 事務局から確認させていただきます。まず、お手元の資料の「議事次第」を御覧ください。本日の議事としては、大きく3項目あります。1番が「遺伝毒性の有無と強さの判断基準について」、2番として「遺伝毒性の構造活性相関結果の評価基準について」、3番として「遺伝毒性試験対象物質の絞り込みの方針について」という議題を予定しております。

 配布資料です。次のページに配布資料一覧があります。配布資料は大きく2グループに分かれていまして、資料15と参考資料15に分けて、それぞれホチキスでとめております。資料は資料、参考資料は参考資料で通しのページを各資料の右下に付けておりますので、説明の際には右下の通しページを申し上げながら御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○清水座長 不足等ございませんでしょうか。特にないようですので、本日の議題に入る前に、事務局から平成24年度の有害性評価小検討会での結果について御説明を頂きます。

○大淵有害性調査機関査察官 本日のワーキンググループは、昨年度開いた有害性評価小検討会での議論を踏まえて立ち上がったものですので、議題に入る前に、昨年度の小検討会の検討内容について簡単に説明させていただきたいと思います。

 参考資料の5ページからの参考資料3です。資料のタイトルは「職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化に関する検討結果」です。こちらの検討ですが、昨年、印刷業における胆管がんの問題が非常に話題となりまして、それを契機に、厚生労働省としても化学物質の発がん性評価を、もう少しスピードアップしていかなければならないという認識に立ち、昨年の9月から12月にかけて、この資料の2番目の段落に書いていますが、リスク評価検討会の中の有害性評価小検討会というものが従来からありましたが、その小検討会のテーマとして発がん性評価の加速化を議題として、計6回開催し、関係の先生方にお集まりいただいて、いろいろ検討を行ったというものです。6ページに、その小検討会のメンバーの名簿がありますので御参考にしてください。

 具体的な検討の中身等は7ページからです。「職場で使用される化学物質の発がん性スクリーニングについて」ということで、この検討会でのテーマは、化学物質の発がん性をいかに効率よくスクリーニングして発がん性物質を見つけていけるかという手法を探るのが大きなテーマとして1つあります。もう1つは、最終的に行う発がん性試験そのものを効率化しましょうということで、これら大きく2つのテーマで検討しましたが、その中身について記載しております。文章を読ませていただきますと、「国が行う長期発がん性試験の効率化については、別途、検討結果を取りまとめているところであるが、職場で使用される化学物質の種類が飛躍的に増加している状況に対応するためには、長期発がん性試験の効率化に加えて、以下のような方針で、効果的な発がん性物質のスクリーニングを行うことが必要である。長期発がん性試験の実施を含めた発がん性評価の全体像については、別紙のフロー図に示した。なお、スクリーニング手法の細部については、更に検討を行うことが必要である」ということでして、別紙のフロー図が11ページにありますので、こちらで流れを説明させていただきたいと思います。

 この図で、まず、発がん性評価の加速化ということで、発がん性物質を絞り込んでいくために、最初の導入段階ではできるだけ幅広く網をかけましょうということで、国内で製造・輸入される物質が、約6万物質ぐらいあると言われていますが、この中で、1事業者において年間1トン以上の製造・輸入量のある物質は化審法の一般化学物質ということで、毎年、製造・輸入量の統計等を取っておりまして、そういった物質は約7,000物質あります。CAS番号ベースでいくと、約11,000物質ぐらいあるということです。

 こういった物質について、スクリーニングをしていくということで、まず最初に、既存の発がん性に関する情報がある場合には、それを活用していくということです。発がん性情報が何かあるという場合については、その情報を基に、矢印でかなり下のほうまで進みますが、二重囲みになっている「健康障害防止措置の指針による指導」、あるいは一番下にある化学物質の「リスク評価」ということで、このリスク評価というのは有害性、それから労働現場における実際のばく露の状況を総合的に判断して、労働者に化学物質のリスクがあるかどうかを評価するものです。既に発がん性が明らかなものについては、始めからこちらのスキームに乗ってまいります。

 上から2段目の囲みの中の、発がん性の情報がない、あるいは、発がん性が判断不可といったものについては、まずは遺伝毒性に基づいて判断をしていきましょうという考え方です。遺伝毒性の有無の判断ということで、既存の試験結果、あるいは、試験結果のないものについては構造活性相関の計算を行って、それによる判断をしていこうということで、「遺伝毒性あり」「判断不可」「遺伝毒性なし」ということで、まず判断を行って「遺伝毒性あり」のものについては、今度は遺伝毒性の強さの判断を行います。強さの判断は、基本的には試験結果によって判断するということで、「強い」「弱い」あるいは場合によっては「判断不可」という場合があろうかと思いますが、この中で、遺伝毒性が強いと判断されたものについては、遺伝毒性の物質ということで、健康障害防止措置の指針による指導を行い、その次のステップとして発がん性について、短期・中期の発がん性試験ということで、2段階発がんモデルによる肝発がん性試験を優先的に実施するという流れです。そのあとは、もし2段階の試験で陽性の結果が出た場合には指針による指導、それから長期の発がん性試験の実施、あるいは最終的にはリスク評価へ持っていくという流れを予定しております。

 遺伝毒性が弱いと判断されたものについては、遺伝毒性が強いものに比べると優先順位は落ちますが、必要がある場合には短期・中期の発がん性試験等に持っていくということで、ここは点線で書かせていただいております。

 また、遺伝毒性の強さが判断できないものの場合、それから、1つ上の段で、遺伝毒性の有無自体が判断できない「判断不可」というものについては、改めて国で遺伝毒性試験を行って、それによって遺伝毒性があるかどうか、遺伝毒性が強いものについては、先ほどと同じように、指針による指導を行ってまいります。

 上の囲みに戻りまして、遺伝毒性の有無の判断において遺伝毒性がないと判断されたものについては、in vitroの形質転換試験、あるいは、遺伝子の発現量測定等、遺伝毒性のないような物質について、発がん性を予測するための試験が、今、いろいろ開発されていますので、そういうものを行って、人への発がん性の可能性があるとなった場合には、短期・中期の発がん性試験のほうへ持っていくということを考えております。これが、昨年度取りまとめた発がん性の加速化の流れの基本的なところです。

 このうち、遺伝毒性に絡んでは、少し前のページでも、念のために見ていきたいと思いますが、通しページ8ページの上から5行目の(2)「遺伝毒性の有無の判断」という所から読ませていただきます。「遺伝毒性の有無により適切なスクリーニング手法を選択するために、上記(1)ア」、上記(1)というのは前の方のページで、発がん性に関する情報による判断ということになりますが、そこで「スクリーニングの対象外としたもの以外の化学物質については、以下の方法により遺伝毒性の有無の判断を行う」と。

 ア「既存の遺伝毒性試験(細菌復帰突然変異試験、染色体異常試験、小核試験等)の情報を収集し、これらの情報から、遺伝毒性の有無を判断する。なお、判断を迅速に行うため、化学物質審査規制法の」、いわゆる化審法のことですが、その化審法の「一般化学物質のスクリーニング評価のために収集される既存試験情報、及び変異原性に関する評価結果も活用することとする」。

 イ「上記アの既存試験情報の収集で、十分な情報が得られない化学物質については、構造活性相関により遺伝毒性の有無を推定する。構造活性相関の実施に当たっては、複数のモデルを組み合わせて予測の精度を向上させることとする」。()として「当面、構造活性相関については遺伝毒性の有無の推定に用いることとし、発がん性の推定への活用の可能性については、引き続き検討する」。

 ウ「遺伝毒性の有無及び下記(3)の遺伝毒性の強さの判断に当たっては、労働安全衛生法の新規化学物質の有害性調査における変異原性に関する判断規準、及び化学物質審査規制法のスクリーニング評価等における変異原性に関する判断規準を参考とする」。

(3)「遺伝毒性のある化学物質のスクリーニング」、「上記(2)で遺伝毒性があると判断された物質については、既存の遺伝毒性試験の情報又は新たに実施する遺伝毒性試験の結果から、遺伝毒性の強さにより発がん性のスクリーニングを行う。また、上記(2)で遺伝毒性の有無が判断できないとされた物質については、試験の実施により遺伝毒性の有無を確認した上で、遺伝毒性があると判断された場合は、その強さにより、発がん性のスクリーニングを行う」。

 ア「上記(2)で遺伝毒性があると判断された物質については、まず、収集した既存の遺伝毒性試験の情報から、遺伝毒性の強さを判断する」。

 イ「上記アで遺伝毒性の強さが判断できない場合、及び上記(2)で遺伝毒性の有無が判断できない場合は、細菌復帰突然変異試験等を実施し、その結果から、遺伝毒性の有無を確認するとともに、その強さを判断する。なお、対象となる物質が多数である場合は、上記(2)で得られた情報や構造活性相関の結果から、遺伝毒性の強い可能性が高いと推定される物質、物質の性状(蒸気圧等)から、労働者のばく露の可能性が大きいと推定される物質、製造・輸入量の多い物質等を優先して試験を行う」というところです。今、読み上げさせていただいた所が、特にこのスキームの中で遺伝毒性に関係する部分です。

 こういう検討の結果を踏まえて、このスキームを実際に進めていくために、スクリーニングを進めていく上での専門的事項については、別途、ワーキンググループを開催して検討していただく必要があるだろうということで、この4月から、本日

開催しております遺伝毒性評価ワーキンググループ、もう1つは発がん性評価ワーキンググループを立ち上げて、この4月以降、検討を行っております。発がん性評価ワーキンググループは今月2日に、既に開催しておりまして、今回が遺伝毒性ワーキンググループの初回ということになっております。

 遺伝毒性評価ワーキンググループについて、どういう事項を検討していただくことを予定しているかということで、資料1「遺伝毒性評価ワーキンググループの目的及び検討内容」を御覧ください。

1「目的」として、「職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化のために、平成25年度から、リスク評価検討会有害性小検討会の検討結果に沿って、発がん性物質のスクリーニング及び新たな発がん性試験方法の導入を行うこととしている。これらの推進に当たっては、スクリーニングに当たっての遺伝毒性(変異原性)の評価基準の決定、個別物質の評価、試験実施の優先順位の決定等を行う必要がある。このため、これらの事項のうち、専門家による判断が必要なものの検討を行うため、有害性評価小検討会の下に『遺伝毒性評価ワーキンググループ』を設置することとする」。

2「検討内容」、(1)「遺伝毒性の評価基準の決定」、丸数字1「細菌復帰突然変異試験、in vitro染色体異常試験等の結果の評価基準の決定」。「『陽性』または『陰性』、及び陽性の場合の『強い』又は『弱い』の判断基準を決定する」。丸数字2「複数の試験結果が存在する場合の評価基準の決定」。「複数の種類の試験結果が存在する場合、及び同一の種類の試験で複数の試験結果がある場合の評価基準を決定する」。丸数字3「構造活性相関による遺伝毒性の評価基準の決定」。

(2)として「個別物質の遺伝毒性の評価」、「上記(1)の評価基準による評価結果の確認、及び個別判断が必要な物質の評価」。

(3)「細菌復帰突然変異試験等の対象物質の優先順位の決定」、「既存の試験結果、又は構造活性相関により遺伝毒性があると判断されるが、その強さが判断できない物質については、細菌復帰突然変異試験等を実施することとしているが、その対象物質の優先の順位を決定する。既存の試験結果や構造活性相関から遺伝毒性の強い可能性が高いと推定される物質、物質の性状(蒸気圧等)から労働者のばく露の可能性が大きいと推定される物質、製造・輸入量の多い物質等を優先することを想定」。

(4)「その他」、「上記(1)(3)以外で、発がん性物質のスクリーニングに当たって、遺伝毒性に関する専門家の判断が必要なことが生じた場合に検討を行う」ということで、このような形でワーキンググループを開催、検討をさせていただきたいと考えております。本格的な議題に入る前の大前提の説明は以上でございます。

○清水座長 ありがとうございます。ただいま、有害性評価の小検討会での検討結果について御説明、それから、このワーキンググループでの目的というようなことをお話いただきましたが、これまでの御説明で、何か御質問等ありますでしょうか。

○本間委員 先ほど、発がんのワーキンググループは既に今月の初めに開催されたということですが、先ほどのスキームでは、遺伝毒性がない場合は、形質転換試験やジェノミクス解析ということになっていましたが、その辺りはどのような議論がされたのでしょうか。

○大淵有害性調査機関査察官 そちらについては、今後、発がん性評価ワーキンググループで検討する予定でして、昨年の小検討会では2つの試験方法について、実際にその試験をやっていらっしゃるラボの方に内容を御説明いただいたのですが、まだ、どの試験を使ってこのスキームを進めていくかを決定しているわけではないので、そういった、どの試験を今後やっていくかという決定等、あるいは、それをする場合の試験基準をどうするかということも、場合によっては御検討いただくことがあるかもしれません。そちらの方は、発がん性評価ワーキンググループでやっていただく予定としております。

○清水座長 よろしいですか。ほかにいかがですか。特にないようでしたら、次の議題の1に入りたいと思います。「遺伝毒性の有無と強さの判断基準について」ということで、事務局から御説明をお願いいたします。

○大淵有害性調査機関査察官 資料2-1から資料2-3を中心に御説明させていただきます。3ページが資料2-1です。これから、このワーキンググループの中で、個別の物質の遺伝毒性の有無、あるいは強い・弱いといった判断をしていただくことになります。その判断を進めるための判断基準をまず設定していただく必要があります。そこで、事務局としての案を御提示させていただきました。

 中身についてはこれから御説明させていただくのですが、このスキームを考える上で大前提としたのは、既に平成22年から、化審法で一般化学物質のスクリーニングが始まっておりますので、そちらでの遺伝毒性、あるいは変異原性の評価基準の考え方を踏まえ、かつ私どもも従来から新規化学物質の遺伝毒性の評価をやっておりましたので、その辺りをベースにし、今度の新しい枠組みの中でどういう基準を設けたらいいかということで案を作成いたしました。

 資料2-1を説明する前に、ベースとなっているものは今までどんな基準でやってきたか、あるいは化審法の方でやっているかを最初に確認させていただいてから、資料2-1に戻ります。

7ページが資料2-3です。「関連制度における遺伝毒性の判定基準」ということで、7ページには労働安全衛生法での新規化学物質の審査の際の判定基準を示しております。労働安全衛生法では、原則微生物を用いる変異原性試験を提出していただいております。場合によっては追加試験ということで、哺乳類の培養細胞を用いる染色体異常試験の結果なども提出されることがあります。

 微生物の試験の場合には、陽性が化学物質の用量増加とともに復帰変異コロニー数が明らかに増加し、かつ再現性が得られる場合。このうち強い陽性というのは、比活性値がおおむね1,000rev/mg以上を強い陽性と判断しております。

 哺乳類の培養細胞の染色体異常試験については、陽性の基準として、処理群の値が陰性対照の値と比較して明らかに上昇し、かつ用量依存性が認められた場合。ただし、構造異常と、数的異常は独立に判定するということでやっております。異常細胞の出現頻度により、5%未満を陰性、510%を擬陽性、10%以上を陽性という判断をしております。陽性の強さについて、D20値がおおむね0.01mg/mL以下を強い陽性の判断基準としております。

 次は、8ページで化審法の関係の評価基準です。化審法については、一般化学物質等のスクリーニング評価の関係の基準を今回引用しております。少し制度の背景を御説明させていただきます。(1)「制度の概要」として、平成21年の化審法の改正で、一般化学物質のスクリーニング評価が導入されております。このスクリーニング評価というのは、最終的に優先評価対象物質に当たるかどうかを判定するために行うものです。その中では、人の健康・生態についてそれぞれ有害性とばく露の観点から評価しております。

 その評価方法が、平成231月に、「化審法におけるスクリーニング評価手法について」ということで資料がまとめられて公表されております。

 具体的な手法として、人の健康の場合は有害性、それからばく露クラス。有害性については、クラス14、更にクラス外の5段階に分けていて、これらは数字の小さいほうが有害性が高いという意味です。ばく露のクラスは、クラス15まであり、更にクラス外の計6段階あります。これも、数字が小さいほうがばく露が高いものです。有害性、ばく露それぞれについてまず評価をし、それで両者を組み合わせたマトリックスの形で、最終的にその化学物質の優先度が高いかどうかという判断をしております。それのマトリックスを示しているのが9ページの図です。人の健康に係る優先度マトリックスです。

 具体的な評価の進め方は8ページに戻ります。有害性のクラスについては、有害性の項目を「一般毒性」「生殖発生毒性」「変異原性」「発がん性」の4項目に分けています。それぞれについて、まず独立にクラス分けをして、そのうち最も厳しい、数字の小さいクラスをその物質の有害性クラスと判断しております。有害性クラスの区切りについては、改正前の化審法の第二種監視化学物質の判定基準と、それからGHSの分類基準を土台にして設定しています。このことも9ページに書かれています。

 本日の資料では、9ページの分類基準の根拠となっている他の基準ということで、改正前の化審法の監視化学物質の基準、GHSの生殖細胞変異原性に関する分類基準、化管法(PRTR)の変異原性クラスの基準を後ほど後ろの方でも示しております。9ページの図には記載されていないのですが、一般毒性及び変異原性については、有害性情報が得られない場合には、当該項目の有害性クラス2とするということも、平成23年に決まった資料の中で書かれております。

 今回の議論とは関係ありませんけれども、ばく露クラスは、個別の化学物質について届けられた製造数量、用途別出荷数量、排出係数等から求めるということです。

9ページの図を少し説明させていただきます。9ページの図の一番右側に「人の健康に係る有害性クラス」とあります。その1つ隣に「有害性の項目」があります。上から「一般毒性」「生殖発生毒性」「変異原性」「発がん性」とあります。変異原性の中が3段に分かれています。「案」と書かれている所が、最終的に化審法のスクリーニング評価での変異原性の判断基準と決めたものです。

 その下の第二種監視化学物質の判定基準、あるいはGHS分類については、その案を作成する際の参考にしたものです。「案」の所を左から見ると、有害性クラス1というのは、GHS区分1Aに相当するものです。有害性クラス2は以下のいずれかということで、GHS区分の1Bあるいは2、化審法判定における強い陽性、化管法の変異原性クラス1、強弱不明の陽性結果。有害性クラス3は、化審法の変異原性試験のいずれも陽性。ただし、この陽性の所に※1があり、右下に注があって、「軽微な陽性、強い陽性を除く」とあります。有害性クラス4は、化審法の変異原性試験のいずれかで陽性というものです。

 クラス外というのは、以下のいずれかということで、GHS区分外、化審法の変異原性試験のいずれも陰性、in vivo試験で陰性。ただ、in vivo試験の所に※2があり、「in vitroの変異原性試験で陽性の結果がある場合、クラス外とするかは個別に専門家判断」となっています。

 今見ていただいた、変異原性のクラス分けの基準のベースとなった所ということで11ページで、「監視化学物質への該当性の判定等に係る試験方法及び判定基準」というのは、化審法の監視化学物質の基準ということで、平成22年のものです。こちらでは、スクリーニング毒性に関する試験ということで、丸数字1細菌を用いる復帰突然変異試験、丸数字2哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験又はマウスリンフォーマTK試験。丸数字3は省略させていただきましたが、遺伝毒性関係では、そういった試験の基準がこちらで定まっていました。

12ページの(6)で、第二種監視化学物質の判定です。どういう物質を第二種監視化学物質として当時判定していたかということです。難分解性であって、かつ高濃縮性ではないと判断された場合であって、11ページの(3)の結果、次のいずれかに該当する場合には第二種監視化学物質として判定するということです。丸数字1は省略しています。丸数字2変異原性試験において強い陽性が示唆されるものということで、11ページの(3)の丸数字1又は丸数字2が強い陽性の場合です。丸数字3反復投与毒性試験等において、中程度の毒性を示すとともに、変異原性試験で強い陽性ではないものの陽性である場合、こういうものを第二種監視化学物質と判定していました。

 次の参考として13ページです。「GHSの生殖細胞変異原性に関する分類基準」です。GHSというのは、化学物質の国際的な分類のシステムによる基準です。毒性ごとに分類基準が決められておりますが、その中で生殖細胞の変異原性の基準を抜き書きしております。こちらでは、評価基準として大きく区分1、区分2に分かれています。大きな区分1は、ヒト生殖細胞に経世代突然変異を誘発することが知られているか、又は経世代突然変異を誘発するとみなされている化学物質ということで、区分1Aが、そのようなものを誘発することが知られている化学物質で、判定基準の方は、ヒトの疫学的調査での陽性ということです。区分1Bは、経世代突然変異を誘発するとみなされるべき化学物質です。判定基準の詳細は省略いたしますが、ここに書かれているようなものです。

 区分2として、ヒト生殖細胞に経世代突然変異を誘発する可能性がある化学物質ということで、哺乳類を用いる試験、又は場合によっては下記に示すin vitro試験による陽性結果です。ここの結果の所には、哺乳類を用いるin vivo体細胞の変異原性試験、in vitroの変異原性試験の結果も含まれています。

15ページは、PRTR法の変異原性クラスです。PRTR法においても、労働安全衛生法と同じように、化学物質の安全データシートの仕組みがあります。その中で、化学物質を分類していくことになっています。そこでの変異原性クラス1ということで基準があります。こちらの基準は、(1)in vivo試験で陽性、(2)が細菌を用いる復帰突然変異試験の比活性値が1,000rev/mg以上、かつ哺乳類培養細胞の染色体異常試験が陽性。(3)は、哺乳類培養細胞の方でD20値が0.01mg/ml以下、かつ細菌を用いる試験の方が陽性。(4)細菌を用いる試験で比活性値が先ほどよりも弱いもので100rev/mg以上、かつ哺乳類培養細胞試験のD20値が0.1mg/ml以下ということで、こちらの数字は(3)よりも大きく、染色体としては弱いということです。こういう中程度の変異原性同士の組合せを(4)で示しております。「なお」の所で、気体又は揮発性物質については、低濃度において陽性を示すものとあります。(5)異なるエンドポイントを見る、in vitroの試験の幾つかにおいて陽性の結果が得られている等により、(1)(4)と同程度以上の変異原性を有すると認められているものということです。

 こちらのPRTR法の基準については、化審法あるいは労働安全衛生法で変異原性が強いと判断する場合よりも、少し幅が広くなっている状況です。以上長くなりましたけれども、今現在の変異原性の分類基準を説明させていただきました。

 資料の3ページに戻り、発がん性スクリーニングを行っていく上での遺伝毒性の判断基準の案を御説明させていただきます。今回の私どものスクリーニングでは、化審法で行っているスクリーニングとできるだけ合わせていきたいと考えていて、それを前提に作っております。最初は、in vivoの変異原性試験で陽性かどうか、情報なしか、陰性かというところで分類をしていきたいと思っております。ここで陽性であれば、他の情報はなくてもすぐに化審法でいうところのクラス2という感じで考えております。化審法のスクリーニングのクラス1及びクラス2を、今回私どもは判断基準案として、強い遺伝毒性、化審法のクラス3とクラス4は遺伝毒性有りではあるけれども、強い遺伝毒性ではない、それを除くということで考えています。このいずれかに該当しているかということで議論をさせていただければと思っております。

in vivoの上の所へ戻りますが、in vivoの陽性のうち、生殖細胞変異原性のGHS区分が1Aのものについては、化審法ではクラス1としておりますので、私どもも同じような考え方です。in vivoの情報で情報無し、又は判断不可という場合。判断不可というのは、陽性と陰性の両方の試験結果が存在して判断できないような場合もあろうかと思います。このような場合にはin vitroの試験結果等も考慮し、総合的に判断する必要があるかと思います。そういう場合には、in vitroの試験も見ていこうということで、その場合のin vitroの試験の基準としては、丸数字1細菌復帰突然変異試験で、比活性がおおむね1,000rev/mg以上、丸数字2哺乳類培養細胞染色体異常試験で、D20値が0.01mg/ml以下、あるいはマウスリンフォーマTK試験で、陰性対照の4倍、若しくは陰性対照より400×10-6 を超えて増加。

 丸数字1丸数字2のいずれかに該当、あるいは強弱不明の陽性結果の場合には、これをクラス2に持っていきます。丸数字1丸数字2のいずれにも該当しない場合にはもう一度考える。丸数字1丸数字2いずれも陽性で、強いというところまでいかないような場合については、クラス3。丸数字1丸数字2のいずれかで陽性のものについてはクラス4。丸数字1丸数字2いずれも陰性の場合にはクラス外。今後議論していくときに、一番左にあるクラス1、クラス2の強い遺伝毒性の辺りが非常に重要になってくるという考え方です。

 上のin vivoの試験の陰性の所に戻ります。in vivoの試験で陰性の場合については、基本的にはクラス外に持っていきますが、in vitroの変異原性試験で陽性の情報がある場合には、個別に判断をするということです。以上、事務局としての判断基準案です。これについて、先生方からいろいろ御意見を頂き、修正を加えていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○清水座長 ただいま、変異原性試験の判断基準に当たり、他の法律関係を含めて説明がありました。今までの説明の中で御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。

○本間委員 幾つかありますが、最後におっしゃったin vivoの試験があって、それが陰性である場合にはクラス外ということなのですが、これはin vivoの試験の予測率を過大評価しているのではないかと考えています。遺伝毒性試験、発がん性の予測ですが、比較的エームス試験やin vitroの試験は、発がん性物質を検出する能力は高いのですが、in vivoの試験は飽くまでもin vitroの試験で陽性になった場合のコンファメーションという形で使っています。in vivoの試験の発がん性の検出能力はそんなに高くないです。むしろ、これが入ってしまうと試験はin vivoだけでいいのではないかということにもなります。

 具体的に言うと、現在使われている小核試験の発がん性の感受性は、我々の現在のデータでは46%程度です。これは、エームス試験の60%よりかなり下回ります。果たして、この小核試験陰性だけで発がん性に関係する遺伝毒性を問題としていいのかということにはちょっと疑問があると思います。これは、in vivoの遺伝毒性試験の結果の使い方がこれまでと違っている点があります。それが、最後に出ていたので少し気になりました。

2点目は、クラス2の分類です。最初の丸数字1丸数字2のいずれかに該当又は強弱不明の陽性結果ということでクラス2に入るということです。私の印象では、クラス2に関しては両方強いということが、クラス2は強い遺伝毒性というのでしょうか、そういう印象がありますので、いずれかというよりも、むしろ両方の方が何となく理解しやすいのではないかと思います。この辺はほかの先生の意見を聞きたいと思います。今、思いついたところはその2点です。

○清水座長 ただいまの問題点の1つは、in vivoの方だけでその結果をもとにしてクラス2を判断するというのは、例えばin vivo小核試験などを用いると、少し考えなければいけないのではないかということ。2点目は、真ん中の丸数字1丸数字2ですね。

○本間委員 はい、丸数字1丸数字2のいずれかに該当と。

○清水座長 これは、丸数字1丸数字2いずれともというお考えだということですね。

○本間委員 という印象だと思うのです。

○清水座長 そういう2つの御意見が出ております。この点に関してはいかがでしょうか。

○大淵有害性調査機関査察官 こちらの図は、9ページの化審法のスキームを、少し形を変えて持ってきたつもりです。先ほど9ページの図を御紹介させていただきましたが、最初のin vivoの試験の取扱いの関係です。9ページの図でクラス外の最後の行に「in vivo試験で陰性」と書かれていました。それがありましたので、ここでは、in vivo試験が陰性の場合は原則クラス外に持っていくという整理です。ただ、※2で書いてある、「in vitroの試験の結果が陽性の場合には」ということで注意書きはさせていただきました。

 エームスと染色体の両方が強い場合にクラス2なのではないかということですが、9ページの表の変異原性のクラス22つ目のポツに、「化審法判定における強い陽性」の所に対応すると考えております。化審法の判定基準は、12ページの(6)の丸数字2に「変異原性試験において強い陽性が示唆されるもの」というので、ここでは前のページの(3)の丸数字1又は丸数字2が強い陽性の場合ということで、結果的にエームス試験か染色体異常試験、ないしはマウスリンフォーマTK試験のどちらかが強い場合に、丸数字2の強い陽性になるというように、私どもはこの資料から理解しておりました。化審法の実際の運用とは違いがあるのでしょうか。

○本間委員 化審法上ではそうでしょうが、GHSの区分1Bの中を見ると、ちょっと厳しいので思ったのです。何となくそのニュアンスに違いがあるのではないか。

○清水座長 3ページの一番上の四角の中で、陰性の場合はin vitroの変異原性試験で陽性の場合、個別判断を行います。in vivoで陰性であったものに関しては、そのままクラス外に行くわけではなくて、in vitroの変異原性試験も考慮する。それぞれ個別に判断する。1つはそこでチェックできるわけです。他の先生方から何か御意見はありますか。

○本間委員 今言った点は、先生がおっしゃったように、in vivoの試験だけが存在して、in vitroがないということは多分あり得ないと思います。現実的には、こういうプロセスを踏んでいくかと思いますが、もしここにもう少し書き加えるならば、in vivoの試験結果というか、試験内容とin vitroでの変異原性試験陽性を判断してというようなことにしていただけるといいのかもしれないということです。

 例えば、トランスジェニックの突然変異試験だと、比較的エームスに近いような、強い発がん性との相関性がありますので、そういう場合にはかなり強い信頼性があるかという気がします。小核試験とか、その後のUDSといったものに関しては発がん性と予測率は乖離しているものがありますので、どういう試験かということも重要なのではないかと思いますので、その辺を少し示唆するような書きぶりにしていただけると、大きな問題はないかもしれません。

○大淵有害性調査機関査察官 単にin vivo試験と一括りにしないで、その試験の種類にも十分配慮しないといけないということですね。

○本間委員 はい。

○清水座長 他に何かありますか。

○太田委員 in vivoの陰性の所は、矢印が下に行ってもいいのではないかと思うのです。in vitro変異原性試験に。

○大淵有害性調査機関査察官 横ではなくて、下へ持っていくということですか。

○太田委員 はい。それで、丸数字1丸数字2いずれも該当せずでいって、クラス外と行けばいいわけです。in vivoのデータは、恐らく小核試験がほとんどだと思いますし、それだと染色体異常だけを指標にしています。もちろんその陰性データを考慮しますけれども、in vitroの変異原性試験がどうであったかというのを下の方で見ていって、それでいずれもなければクラス外とする。最初からクラス外に行くルートではなくて、やはりin vitro試験は恐らくあると思いますのでそれを見ていく、というのでもいいのではないかと思いました。

○清水座長 広瀬先生は何かありますか。

○広瀬委員 お聞きしたいのは、最初は根本的なことで、資料2-1の基準は、参考資料の11ページのスキームのどこに入るのですか。参考資料の11ページのフローの中の、どの部分を今ここでやっているのか。

○大淵有害性調査機関査察官 まず大前提なのですけれども、参考資料の11ページの加速化のスキーム図の上から3つ目、4つ目の四角で、遺伝毒性の有無の判断、遺伝毒性の強さの判断をすることになっております。判断をするためには、大前提として基準を設けておかなければならないので、それを本日御議論していただいているということです。個別物質の御議論は、次回以降いろいろ出てくるかと思うのですが、本日は判断のための基準作りです。

○広瀬委員 それに該当するか分からないのですが、例えば強いというのはクラス12で、弱いというのがクラス34で、判断不可のものはクラス外というイメージですか。必ずしもそれに該当するわけではないのですか。

○大淵有害性調査機関査察官 クラス外というのは、遺伝毒性無しの方に入るかと思います。

○広瀬委員 クラス外は、遺伝毒性無しに行ってしまうということですか。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○広瀬委員 その辺がちょっと分からなかったのです。

○大淵有害性調査機関査察官 遺伝毒性無しも、3ページの図に入れたほうがいいように、今のお話を伺っていて思いました。

○広瀬委員 そうです。こちらとの整合性が少し分かりいいかと思いました。

○大淵有害性調査機関査察官 そうですね、整合が取れておりませんでした。

○広瀬委員 今回のスキームは、何となく化審法のスキームに合わせてしまっているような感じがしています。目的としては、試験をするための分類とか、優先順位付けがメインであるとすると、必ずしも化審法の分類にとらわれる必要はないのかということが1つです。

 先ほど本間先生から、両方あったほうがクラス2ではないかという話がありました。クラス2に入れるか入れないかは別にして、それはクラス2の中で優先順位が発生するということを本間先生は言っているのと同じだと思うのです。私は素人なのですけれども、例えば染色体異常よりも、変異原性があったほうが、よりもっと低用量で規制しなければいけないとか、より優先度の順位が高いという考え方をすると、クラス2の中に両方陽性とか、片方だけという優先順位が含まれて入るべきなのか。1つのカラムに入っているから、同じウエイトのように見えるけれども、その中でウエイトが違うのかなという話があります。

in vivoが陰性になるのが、すぐに右に行くというのは確かにちょっとやりすぎです。一旦は下に行く。でも、下に行くとin vivoで変異原性試験をしたというのは、大体in vitroで陽性結果があった物質なのです。そうすると、この下の図でいくとクラス2に入ってきてしまいます。どちらか陽性、違うか、クラス3か。

○本間委員 陰性だから。

○広瀬委員 クラス3に入る可能性があるのですね。どちらかというと、クラス外に行きにくい物質になる。

○本間委員 ずうっと来て、何もなければクラス外に行くと思うのです。

○広瀬委員 ああ、何もなければね。

○本間委員 何もなければ、in vitroでも何もなければ。

○広瀬委員 でもかなり少ないですよね。

○本間委員 少ないです。

○広瀬委員 in vivoの試験をやるというのは、大体in vitroで陽性であった物質が選ばれて、in vivoの試験をやるということで、最初からin vivoの試験をやるというのは少ないです。

○山田委員 同時に3つやることもあるでしょうか。小核試験だったら、最初からエームスと、染色体と、in vivoの小核と3つ一緒にやることもあるから。

○広瀬委員 全部一緒にやる。化学物質ではそうでもないか。やはり、陰性の物質も、下へ矢印が行ったほうがいいのかなと思います。

○清水座長 資料2-1で、構造活性相関というのはどこの部分でやることになりますか。

○大淵有害性調査機関査察官 構造活性相関の基準はまた別途決めさせていただく形になります。どんなプログラムを使って、複数のプログラムを使ったときに、その判断が分かれたときにどうするかということも含めて、本日の2つ目の議題で御議論いただく予定です。これは、飽くまでも試験結果をベースにした判断基準ということです。

○清水座長 別添211ページの3つ目の四角では、遺伝毒性有無の判断、括弧の中に「構造活性相関」と書いてあります。それは、これよりももっと上の段階ということですね。資料2-1で見る場合です。

○大淵有害性調査機関査察官 構造活性相関は、遺伝毒性がポジかネガの可能性は出るのですけれども、強さの情報が取れないので、この図の中に入れ込んでやることはできないため、別途基準を設けるということです。

○山田委員 クラス2に行く矢印の所なのですが、丸数字1丸数字2のいずれかに該当か、いずれにも該当するかということについては、いずれかに該当としておかないと、両方に該当するものをクラス2という矢印にすると、いずれかに該当するだけの、丸数字1か丸数字2のどちらかだけ強い陽性のものはこの箱から出ないことになるのではないか。矢印の行き場がないので、広瀬先生が言われたように、このいずれかに該当ということでクラス2に持っていって、その中でいずれも該当するものが一番強いと考えるのかと思うのです。それで、この中で重み付けをするような形にするのがいいのか。それでないと、どちらかだけ強いものは、矢印の行く所がなくなってしまうように思うのです。

 太田先生が言われたように、一番上のin vivoで陰性のものについては、右側の矢印よりは、下の箱の所に矢印ということで、それでスキームに従って、もちろんクラス外へ行くものもあるでしょうし、クラス34に行くものもあるのではないかと思います。

○清水座長 丸数字1丸数字2のいずれかではなくて、丸数字1and orということですね。

○山田委員 いや、いずれかに該当として、クラス2に行く。そのクラス2の中で、いずれもなのか、丸数字1が強いか丸数字2が強いかというので何か判断するということかと。いずれもにすると、いずれかというものがどこにも行かなくなる。

○清水座長 よろしいですか。

○大淵有害性調査機関査察官 はい、分かりました。

○清水座長 他に何かありますか。

○本間委員 今のことですが、その案でいいと思います。クラス2の中に入った後で、また少し何か分類するということで非常にいいのだと思います。なぜそういうことができるかというと、今の遺伝毒性の考え方は、例えば染色体異常試験が陽性でも、エームス試験が陰性、in vivoが陰性であればそんなに問題にしない。閾値が設定できるという考え方です。

 この場合のように「いずれか」となってしまうと、染色体異常が陰性で、エームスが陽性でもin vivoも陰性だというものがここに入ってしまうのです。in vivoで陽性でも一緒になってしまうということなのです。そこは切り分けないと、すごく程度に差が出ます。広瀬先生や山田先生がおっしゃるように、この状態で一旦クラス2に落としてから、更にその分類分けをするのがいいのかもしれないです。場合によっては、そこからクラス3に落とすものがあってもいいかもしれません。

○清水座長 この件、あるいは他に何かありますか。その辺を考えていただいて。

○大淵有害性調査機関査察官 はい、分かりました。この図は、いろいろ頂いた御意見をもとに修正させていただき、先生方に御提示いたします。最後に本間先生から頂いたお話からすると、こちらで基準を決めて、先生方に遺伝毒性の強さなどを判断していただくと、その後のスキームとしては、参考資料の11ページでいくと、真ん中の二重囲みで、遺伝毒性の強いものは健康障害防止措置の指針での指導があり、その次のステップとして短期・中期の発がん性試験へ、必ずしも全部の物質ではないのですが、進むということを予定しています。中期試験の対象物質を選定していくような際には、同じクラス2相当の中でも、エームスと染色体の両方強いのか、あるいは片方だけ強いのかという辺りは物質を選ぶ際の参考には十分なってくるのかと思いながら伺いました。

○清水座長 一応今の御意見をもとにして、もう一度判断基準の検討をしていただき、提案していただくことにいたします。他に御意見がないようでしたら、議題2「遺伝毒性の構造活性相関結果の評価基準について」を、事務局から説明をお願いいたします。

○大淵有害性調査機関査察官 すみません、議題2に行く前に、評価基準の細かいところなのですが、5ページの資料2-2の「遺伝毒性の評価基準の細部事項」のところで御議論していただくと、今後事務局、あるいは委託事業をやっていくときに非常にスムーズになるということでお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか。

○清水座長 はい。

○大淵有害性調査機関査察官 5ページの資料2-2を説明させていただきます。先ほどのスキームを具体的に転がしていく上で、あらかじめ整理しておかなければならないと思う事項を書き出しております。どのような試験結果を採用するのかということです。基本的には信頼性のある試験を採用していく必要があるのだろうということで、丸数字1テストガイドライン、あるいはGLPの基準に準拠したような結果のみを採用するのか。丸数字2これ以外であっても、信頼性があるものは採用していくのか。丸数字2の場合にはどういう場合に信頼性があると判断できるか、その基準は何かあるでしょうか。

2番目は、遺伝毒性に関する複数の種類の試験結果が存在する場合に、その試験結果がいずれも陰性とか、いずれも陽性であれば特に迷うことはないのですが、試験結果が陰性のものと陽性のものの両方がある場合に、どのような試験を優先すべきか。あるいは同一の種類の試験、エームスならエームス、あるいは染色体なら染色体について、複数の試験結果がある場合の判断基準ということで、これも全部陰性とか、全部陽性であれば迷わないのですが、陽性と陰性の両方がある場合にどうしたらいいか。

6ページで、定量的な結果が出るような試験、エームスとか染色体等において、陽性の結果が複数あって、その評価指標、比活性値とかD20値が相当程度異なるような場合は、一番厳しい評価指標の試験によって、遺伝毒性の強さを判断するのかどうか。このようなことを、ある程度先生方の方で整理していただけると有難いかと思っております。

○清水座長 資料2-2の評価基準の細部事項ということで、いろいろなケースがあるわけです。1番は、「どのような試験結果を採用するかの基準」ということで、(1)(2)がありますが、これはいかがですか。GLPでやったのが一番良いわけです。GLP基準ができる以前の試験もかなり出てくると思うのですが、その辺の考え方をどうするか。この辺で何か御意見はありますか。

○太田委員 古い試験が多いと思いますので、テストガイドラインに従っていれば、それはほとんど評価できるのではないかと思います。そういうことの記載があるような報告であればです。

○清水座長 他に御意見はありますか。

○広瀬委員 信頼性の基準は、OECDのドキュメントを書くときもそうですけれども、クリミッシュ(klimisch)の判断の基準というのがあります。1234と信頼性の高いものからグレードが付いています。テストガイドラインでGLPに準拠しているのが1。制限があるというのは、要するに実験条件などの情報はないけれども、ある程度信頼ができる。ほとんどは大丈夫、パブリックな論文になったもの、要するに査読システムのある論文に載ったものは2になります。もうちょっと制限されるのは3で、2次情報であるときはみたいな、そういうランク付けがされているので、そういうのでいいのかなと。

GLPガイドラインだけにすると、これは既存化学物質が対象なので、昔の試験になるとほとんどないので、基本的には論文に載ったものは、GLPテストガイドラインと書いてなくても採用していかないと、使う情報が減るのではないかということが懸念されます。少なくとも、2次情報でなくて、1次情報として、査読のあるジャーナルに載ったような結果は採用することはしたほうがいいのではないかと思います。

○清水座長 1次情報のオリジナルなペーパーを見れば、ある程度判断ができると。

○広瀬委員 ペーパーによっても、たくさんの物質をやったときに、プラス・マイナスしか載っていない物質と、あとは56個の物質で詳しく書いてあるものとはランクの違いがあるので、その辺は優先順位を付けて、信頼性を付けたほうがいいと思います。

○清水座長 ペーパーを見て、生データが載っているかどうかでも大分違います。その辺は誰の報告か、いつ頃か、1次情報として入手してみるということで判断するしかないと思います。当然テストガイドライン、OECDGLPといったものであれば問題ないと思います。

○本間委員 ただ、論文によっては明らかにおかしいというのがありますから、その辺はある程度のエキスパートジャッジがあってもよろしいのではないかと思います。何でもかんでも、用量が足りなかったりとか、異常な自然突然変異があったりというものは、採用したとしても有益な情報にはならないと思うのです。プラス、エキスパートジャッジということで、データを精査するのがいいのではないかと思います。

○清水座長 ケース・バイ・ケースですね。

○本間委員 ケース・バイ・ケースです。

○清水座長 2番目の、「遺伝毒性に関する複数の種類の試験結果が存在する場合の判断基準」ということで、(1)から(3)まであります。全てが陰性であるということに関しては、異論はないと思います。全てが陽性である、というのも異論はないと思うのです。陰性と陽性が非常に入り乱れてあるというのが、一番判断が難しいのではないかと思うのですが、この辺はいかがでしょうか。これも、やはりエキスパートジャッジになりますか。

○本間委員 NTPのエームス試験のデータで、GLPでやったとしても、ラボ間では、90%が一致し、10%が違うと言われています。これは、ある程度しようがない部分があるかと思います。多数決で決めるしかないかもしれません。データの信頼性がそれなりに保証されていれば。

○清水座長 (1)(2)に関しては御異論ないですね。陰性の報告ばかりであるということと、陽性の報告だけであるという場合。(3)の判断というのは、専門家が見るということになるでしょうね。

○大淵有害性調査機関査察官 事務局方では情報の整理だけはして、具体的には専門家の先生の判断を仰いで決定ということでしょうか。

○清水座長 はい。そういうことでよろしいでしょうか。3番の、「同一の種類の試験で複数の試験結果がある場合の判断基準」ですが、(1)複数の結果がいずれも陰性というのは問題なく陰性と判断できる。(2)複数の試験結果がいずれも陽性の場合も陽性と判断できる。(3)試験結果が陰性のものと陽性のものの両方がある場合についてはいかがでしょうか。

○太田委員 これも純度とか、そういうものの情報を見て判断するしかないと思いますので、一概には決められないと思います。

○本間委員 私が勘違いしていました。2番目の状況というのは、例えば複数の試験というのは、染色体異常試験とマウスリンフォーマTK試験で結果が全然違うというような場合ですね。

○大淵有害性調査機関査察官 はい、そのようなことです。

○清水座長 いろいろな試験結果ですね。

○大淵有害性調査機関査察官 いろいろな種類です。

○本間委員 先ほど私が言った意見は3番のケースであって、2番目に関してはモードオブアクションを考慮する必要がありますので、結構面倒です。どういうタイプの変異かということがあります。

○太田委員 基本は先ほど言ったように、エームス試験と染色体異常試験ですか、先ほどのスキームが基本ですので、それ以外の試験の情報があった場合ということですよね。

○本間委員 これは今言ったように、染色体異常試験とマウスリンフォーマTK試験で違いが出たような場合が一番想定されますよね。

○大淵有害性調査機関査察官 そうです。あとは、エームスがポジで、染色体がネガとか、あるいは逆にエームスがネガで、染色体がポジというのも、例としては想定しておりました。

○太田委員 2番目は、ケース・バイ・ケースですね。

○大淵有害性調査機関査察官 ケース・バイ・ケースです。

○本間委員 細かいことで、例えばマウスリンフォーマTK試験というのは、エームスのような突然変異を検出できると同時に、染色体のようなクラストジェニックなものも検出できる。要するにバイファンクショナルな試験なのです。その結果というのは、ミュータントのコロニーの大きさに現れてきて、コロニーが大きいと点突然変異で、多分エームスと似たような変異。コロニーが小さいと、これは染色体異常という判断になります。

 ガイドラインでは、どういうタイプの突然変異が多いのかを要求しているのですが、これもエキスパートのジャッジメントがあるので、クリアカットにこれはエームスタイプ、これは染色体異常タイプという形ではなかなか難しいのです。それをすごく細かく解析している人もいますしし、サラッとやっている人もいますので、そこの部分はケース・バイ・ケースかもしれないです。

○広瀬委員 2番は、判断基準のレベルが中にちょっと。本間先生が言っているのは、詳細評価にどういう陽性かという、種類分けする判断基準のことを言っているようなのです。例えば、この物質は陽性・陰性という判定をしようとしたときに、混ざったときにどうするかというと、どれか1個でも陽性があったら陽性ではないですか。

 それを聞いているのか、2(3)は何を聞いているのかがちょっと分からないのです。物質の遺伝毒性が有るか無いかという判定のときと、本間先生が言っているのは、陽性とジャッジしても、どういうレベルの陽性かという判断と混在して話をしているみたいです。

○本間委員 陽性と陰性だけだったら。

○太田委員 実際は3ページのスキームの所では、in vitroの変異原性試験で丸数字1丸数字2があって、片方だけとかあるので、これで済んでいるわけです。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○太田委員 これに対して、片方だから陽性だとか、片方だから陰性だということはあえてやらなくてもいいと思うので、5ページの2(3)は余り意味がないのではないかと思います。

○大淵有害性調査機関査察官 最初のin vivoの変異原性試験の所も、例えば何種類か違う種類のin vivo試験があったとして、それをトータルとして見て陽性と判断するのか、陰性と判断するのかみたいなケースは場合によってはあるのかと。あるin vivoの試験は陽性である、他の種類のin vivoの試験は陰性だったような場合とか。そういう場合でもエキスパートジャッジで。

○太田委員 in vivoの試験では、そこだけでトータルで判定できないでしょうね。全部陽性とか、全部陰性ということはあり得ないと思います。大体が混じってくるはずなので、それはメカニズムを考えながらやらなければいけないので、あえてそこで陽性物質か陰性物質かをクラス分けすることはないと思います。

○清水座長 複数の種類の試験結果ということですから、エームス、細菌ではどうしても引っ掛からなくて、ファゴサイトージスのある染色体異常試験では引っ掛かるという場合もあるわけです。揮発性の物質の場合、そういうものをエームスでやっても引っ掛からないかもしれない。いろいろなケースがあるので、これもそれぞれケース・バイ・ケースで考えないとおかしいです。

○大淵有害性調査機関査察官 エームスと染色体だけに限って言えば、3ページでいくと一方だけが陽性の場合を想定しているので、5ページのこれとは関係ないようになってしまいます。

○太田委員 その他のいろいろな参考資料のデータがあったら、補強する材料になるかもしれないです。

○大淵有害性調査機関査察官 そうすると、かなりの物質でエキスパードジャッジを頂かないと、なかなか判断が付かないという感じになるでしょうか。たくさんの複数の試験があって、その結果が全部ポジならポジ、ネガならネガで一致するというのはレアケースでしょうね。

○清水座長 レアでしょうね。

○大淵有害性調査機関査察官 そうすると、第2回以降の検討の場でいろいろ御議論いただいて。

○太田委員 基本的にはエームスと染色体異常の丸数字1丸数字2でクラス分けしていって、あとは参考資料としてこんなのがありますということでいいのではないでしょうか。

○大淵有害性調査機関査察官 はい、分かりました。

○清水座長 3番は、同じ種類の試験で、複数の結果が違うものが出た場合。エームスでもプラスとマイナスがたくさんあると。染色体でもいろいろあるという意味ですね。

○大淵有害性調査機関査察官 はい、そうです。

○清水座長 これも、なかなか判断は難しいのではないかと思うのです。ガイドラインをちゃんとやっているかとか、純度の問題もあるでしょう。

○太田委員 染色体異常の場合に、細胞が違ったりしますので難しいです。

○大淵有害性調査機関査察官 エームスの溶媒の違いで結果が違うのがあります。詳しく比較しないと、なかなか一概に単なる多数決というわけにもいかないですね。

○清水座長 はい。これもある程度専門家の判断、エキスパートジャッジ、ケース・バイ・ケースということになるかと思うのです。そういう形でよろしいですか。

○大淵有害性調査機関査察官 はい、分かりました。続きは6ページでかなり細かい話になってしまいますが、強さの指標をどう考えるか。

○清水座長 強さですね。

○大淵有害性調査機関査察官 比活性とかD20値も値が複数ある場合は当然あり得るので、そのときにどの数値を採用するかで、強いに入るのか、弱いに入るのかというのが変わってまいります。

○太田委員 そんなに差がなかったら、一番低い値とか何かでいいと思うのです。時々、バックグラウンドのコントロール値が低いために計算上高くなったとか、ポッとあったりすることがあります。それだけを取って、例えばほかの34のうち1つだけが飛び抜けて高い場合にそれを取ればいいとは思えないのです。そこも妥当性を見ないと、単に数値だけでやるのは危険性があります。

○清水座長 これも、ある程度専門家に見てもらって判断せざるを得ないということですか。

○太田委員 多数決にすればいいのではないかと思います。多かったほうの値が実際は反映していると思います。

○大淵有害性調査機関査察官 分かりました。

○清水座長 ここは、後で出てくる構造活性相関のこともありますから、そういうデータも参考にして判断することになると思います。先に進みたいと思います。

○大淵有害性調査機関査察官 はい、ありがとうございました。

○清水座長 議題2の「遺伝毒性の構造活性相関結果の評価基準について」の説明をお願いいたします。

○大淵有害性調査機関査察官 資料3を御覧ください。発がん性スクリーニングにおける遺伝毒性の構造活性相関結果の評価基準案です。今回、構造活性相関の対象とするのは、まず発がん性情報、遺伝毒性情報のいずれもない物質について、遺伝毒性の構造活性相関について計算し、その結果により遺伝毒性の有無を判断、推定をしてまいる予定です。これについては、手順、判断の基準を、事務局として案を書かせていただきました。

1、構造活性相関の計算に使用するプログラムですが、予定として、エームス試験、染色体異常試験それぞれについて、3つのプログラムを使用して行ってまいりたいと思っています。プログラムについては、国立衛研さんのプログラムを貸していただく予定にしております。

2として、構造活性相関の計算をした後の遺伝毒性の有無の判断についてです。エームス試験、染色体異常試験それぞれについて、陽性なのか陰性なのかを判断します。それから、プログラムを3つずつ使いますので、それをどのように判断するか、事務局で叩き台として案を書かせていただきました。次の場合に陽性と判断するということで、3つのうち2以上のプログラムで陽性と判断された場合、当該物質は陽性と判断し、これ以外の場合は陰性と判断すると。案2は、3つのプログラム全てで陽性と判断された場合を、陽性と言うというようなものです。場合によっては、私どもの今の案では陽性と陰性の2つなのですが、例えばプログラムの1つが陽性で2つが陰性のような場合には、判断不可というような区分もあり得るのかなと思いますが、後ほどまた議論いただければと思っています。(3)として、(2)でエームス試験、染色体異常試験それぞれについて陽性、陰性を判断します。その結果、少なくともどちらかが陽性の場合には、当該物質は遺伝毒性有りと判断するというようなことです。

4、遺伝毒性試験を実施する場合の優先順位です。これは、43に直していただければと思います。構造活性相関結果により遺伝毒性有りと判断された物質については、遺伝毒性試験、私どもとしてはエームス試験の実施を予定しておりますが、それによって遺伝毒性の有無・強さの程度を確認する予定です。その場合に、試験対象物質を選定する場合の優先順位は、次のとおりとします。エームス試験、染色体異常試験両方の構造活性相関において陽性のものが第1順位、2番目としてはエームスのみが陽性のもの、3番目として染色体のみが陽性のものといったような形で、実際の試験を実施するときの優先順位として考えたらどうかということで示させていただきました。事務局からは、以上です。

○清水座長 今の説明に関して、御意見はありますか。

○本間委員 まず、言葉の使い方なのですが、QSAR結果というのは飽くまでも予測なので、陰性、陽性という言葉は余りよくないと。可能性が高いといったようなものです。特に、例えば最後の4の文章を見ますと、エームス試験、染色体異常結果の両方が陽性の物質と書いてあるので、一体これは実際の試験なのか、計算の結果なのかが訳が分からなくなります。QSARの結果に関しては、適切な表現を付けていただきたいと思います。なかなか難しいですが、可能性があるといったような言い回しになるかもしれませんが。

○山田委員 予測結果、予測という言葉がいいのではないでしょうか。

○本間委員 そうですね。

○大淵有害性調査機関査察官 予測結果が陽性とか、予測結果が陰性と言うのでしょうか。

○本間委員 それしかないようですよね。結果自体は、英語ではプロバブルとかポッシブルと言っています。ですから、ポジティブとは出ないですね。あとで相談しましょう。

○清水座長 エームス試験のQSARの結果というのは、かなり蓄積されていると思うのですが、染色体異常試験のQSARはいかがなのですか。

○広瀬委員 確かに、染色体異常の予測は余り高くはないので、信頼性という意味でエームスと同格でいいのかという問題はあります。この結果の使い方ですね。参考資料の全体のスキームの中からいくと、多分上から3段目の所で遺伝毒性有りか無しの所で使うイメージですかね。それが、何と言えばよろしいでしょうか。判定の使い方ですかね。ですから、どの場合は試験する、どの場合は試験をしないという判定をこれでするのですよね。陰性、陽性という判定をするよりは、こういう判断が出たときに遺伝毒性試験をする、こういう判断が出たときに遺伝毒性試験をしないという判定ですか。

○本間委員 とすると、4番目です。

○広瀬委員 そうですね、4番目と一緒になっています。ですから、2番はあえてなくても、どうなったときに試験をして、どうなったときに試験をしないという優先順位のウエイトにどう使うという書きぶりのほうがいいのかなと。そうすれば、そういう誤解は生まないですよね。この物質を陽性と判断すると書くから少し誤解を招くわけで、陽性と予測されるので試験をするとか、陰性と予測されるので試験はしないと書くのがいいのかと思いました。

○本間委員 その辺りは、私はよく分からないのですが、もし試験をしなくてもQSARの結果で問題ないとなったら、それはクラス4にいくという話になるわけですか。

○大淵有害性調査機関査察官 QSARの結果で問題がなかった場合は、参考資料の11ページのスキーム図にいきますと、QSARなり先ほどの実際の試験結果で遺伝毒性がないとなった物質については、次は非遺伝毒性のためのスクリーニングのスキームに進みます。ここで言うと、in vitroの形質転換や遺伝子の発現量測定うんぬんという、非遺伝毒性のためのスクリーニングのスキームへ進む予定となります。

○本間委員 資料2-1のこれでは、どこに動いているのですか。

○大淵有害性調査機関査察官 分類でいきますと、先ほどの資料2-1でもしそこに置いていくとすると、クラス外の所に後ほど遺伝毒性なしというようなものを付け加えたいと思うのですが、そこになると思いますので、その遺伝毒性無しに分類された場合に縦長のほうのスキームでいくと、次のステップとして非遺伝毒性物質のスクリーニングのスキームへ乗るという感じです。

○本間委員 少しそれは厳しいかもしれませんね。

○清水座長 4は、構造活性相関でエームスのQSARと染色体のQSARで両方陽性の場合にはエームス試験をやるということですね。

○大淵有害性調査機関査察官 今の資料の案では、そのような形で書かせていただいております。

○清水座長 エームス試験のみが陽性の場合も、これは確認のためにもう一度実際にやるという意味ですね。

○大淵有害性調査機関査察官 エームス試験の予測結果が陽性の場合ですか。

○清水座長 そうです。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○太田委員 これは、データがない場合ですよね。

○広瀬委員 もちろん、データがない場です。ですから、4番は誤解を招くのですよ。予測結果がよろしくない。

○大淵有害性調査機関査察官 予測結果というか、こちらが舌足らずで分かりにくくて申し訳ございません。

○清水座長 QSARでということなのですよね。

○大淵有害性調査機関査察官 QSARで陽性の場合には、QSARは遺伝毒性がある可能性が高いというところまでなので、実際試験をしてみて、本当に陽性かどうかと強さがどの程度かを調べて、それによって次のスキームへ進むかどうかを判断することになります。

○広瀬委員 いや、これは試験の効率的な考え方を考えるものと微妙に絡んでいるのですが、例えばQSARとはいえ、3丸数字1のQSAR6つのモデルで全部陽性だったということですよね。そこまで陽性ですと、試験をしなくてもいいのかなと。優先順位としては、もちろん懸念は高いにしても、試験をする優先順位としては、むしろ曖昧なものを先にやったほうがいいのかなと思ったりします。それは、こちらにいらっしゃる専門家の方々がどう思うかだと思うのです。例えば、全体のスキームでいくと、全部が陽性だったら何か指導の方にいってしまうような感じになってしまいますが、そこまで強いかどうか。いかなくても、少なくとも試験実施の優先順位としては、考え方次第ですが。

○山田委員 全部陽性とか、全部陰性ですと、後回しにして、混じっているものを。

○広瀬委員 混じっている中で、どこから優先順位をもっていくかは、もう少し詰めたほうがいいかもしれません。

○本間委員 それなら、複数使う必要はないかもしれませんね。DEREKだけでやって、それで見ていくという。

○広瀬委員 例えば、全部陽性だったらやらないで、その次に真ん中のものはDEREKだけのような、陽性のものからやっていくと。まあ、DEREKだけでもいいかもしれません。

○本間委員 やり方としては、どれだけの優先物質を絞り込むかにもよるのですが。

○広瀬委員 数にもよると思います。

○本間委員 私としては、QSARを今後長く続けていく意味では、本当は優先順位が3つの組合せや2つの組合せであるのだろうけれども、今言ったようにたくさん選べるのなら、最低3つのうち2つでも陽性のものからやっていくようなやり方を取るべきかと思います。3つとも陽性ならやらなくていいかというと、やってほしいですよね。そのほうが、今後の情報量が増えますからね。それから、先ほど言ったように3つの中で陰性だったら陰性としていいかというのは、かなりの誤解であり、それは陰性ではないのですよ。ほとんどが判定不能ということです。ですから、可能性のあるものに優先順位を付けることはできるのですが、陰性は問題ないとすることはかなり危険です。

○太田委員 陽性の場合も、実際にやってみないと強さが評価できないのですよね。先ほど言った103 などがありますので、どれに該当するかはやはりやらなければいけないと思います。

○清水座長 今、いろいろ御意見が出ましたが、ここはQSARである程度出たものを、予測結果がプラスに出たものであっても、それは実際に試験をしてみないと強さが分からないという意味では、やる必要があるということだと思います。エームスだけでいいのかどうかは、これもなかなか予算的に問題ではあるのですが。

○大淵有害性調査機関査察官 予算的に、いろいろな試験ができれば望ましいのですが、とりあえずは物質の数をこなすことを第一優先でやると、少しエームスを先行してやらざるを得ないかなと思っております。予算的な面でも余裕が出てくれば、またほかの試験との組合せも将来的にはあり得るかもしれません。少なくとも、今年度、来年度はエームスでというようなことになろうかと思います。

○清水座長 余りデータはないでしょうが、ガス状やボラタイルなもの、あるいは貪食細胞に貪食されないと出ないようなものはエームスだけでは引っ掛からないですから、そういうことも考えてやらなければいけないのではないかと思います。

○本間委員 エームスの予測だけでいいと思います。広瀬先生はどう思われますか。

○広瀬委員 予測自体、エームスだけやればいいということですか。それは、それでもいいかもしれません。

○本間委員 染色体のほうは、まだ研究発展段階で、実用化している所はないです。

○清水座長 QSARですね。

○本間委員 今はQSAR、試験の話でしたよね。

○清水座長 試験です。いずれにしても、試験はとりあえず予算の関係で細菌だけということで仕方がないですが、QSARのほうでは予測はできるだけやるということですね。ほかに何か御意見はありますか。それでは、事務局で今の意見をまとめていただきたいと思います。

○大淵有害性調査機関査察官 確認いたします。まず、予測は染色体はしなくて、エームスだけの予測でよろしいですか。今回は、これから委託事業でやるということですので。

○本間委員 私の意見としては、そうなると、私どもは小核試験の予測システムまで持っています。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○本間委員 しかし、それはまだ研究段階です。染色体に関しても我々の研究班でやっていますが、まだ論文にしていないですからね、公表されてはいないです。唯一、エームスのDEREKMultiCASEAworksは既に論文になっています。そういった意味では、オーソライズされているやり方だと思います。

○大淵有害性調査機関査察官 それから、もう1つ確認したいのは、今回の試験は実際の変異原性試験をするかしないかの優先順位を決めるための判断材料として使うと考えたときに、2つ以上のプログラムで変異原性の可能性が高いと出た場合に、試験の候補にするという整理でよろしいですか。先ほどの陰性、陽性などと、項目2(2)の辺りの文章の作り方も直さなければいけないのですが、基本のポイントとして2つ以上のプログラムで変異原性の可能性が高いとした場合には、試験候補物質に持っていくような整理でよろしいですか。

○本間委員 そうやって出た場合に、その物質を実際に試験するわけですよね。

○大淵有害性調査機関査察官 そうですね。

○本間委員 ですから、それをどのぐらい絞り込めるか。そうすると、多くなるわけですよ。3つポジティブなものを選べば少なくなるのですね。

○大淵有害性調査機関査察官 はい、そうです。

○本間委員 これは、前の解析では、2つポジティブにすると、適用率が95%とかなり高いものが出ます。3つですと、その半分ぐらいになってしまいます。要するに、コンフリクトしますからね。

○広瀬委員 試験、予算との関係ですね。2つ陽性をもし選ぶと、多分総物質の20%ぐらいが入ってくる可能性があります。3つ陽性ですと、アプリカビリティーが50%で、大体5%になるのです。それですと、試験の優先順位や生産量も加味されるので。

○本間委員 大体、確かに40%、10%ぐらいですね。

○広瀬委員 4010ですから。2010

○本間委員 20ぐらいですかね。いや、196のうちの46ですから、2010ですね。

○広瀬委員 もう1つは5%です。

○本間委員 もう1つは、114分の18です、3つプラスは。

○広瀬委員 114は、もうアプリカリビリティーが半分入っているので。

○本間委員 既にここですね。

○広瀬委員 ですから、全体から見ると5%です。

○本間委員 そうです、そんなものです。

○清水座長 優先順位を付けるという意味では、3つプラスのほうから優先するということですね。

○大淵有害性調査機関査察官 予算との兼合いですが、試験のための予算が潤沢にあるのであれば、2つのプログラムで出たものは対象にできますが、なかなか試験の予算が少なければ3つともという場合に初めて試験に持っていくという形です。

○広瀬委員 そうですよね。しかし、最初に戻りますが、これで見ると試験のないものは全部ここに入るのですよね。

○本間委員 はい。

○広瀬委員 それで、試験実施の優先順位をQSARで付けることになるので、それを考えると、私が最初に言ったのは、3つ陽性だったら、試験をしなくてもいきなりこちらにいってもいいと思ったのですが、しかし今先生方の話を聞きますと、必ずしも全部陽性ではないとすると、3つ陽性のほうから先にやったほうがいいのかなと思いました。

○清水座長 強さの評価ができないという、太田先生の。

○広瀬委員 そうです。要するに、それをここで使うのではなくて、この段階で使うとする位置づけにするのであれば、3つ陽性のものから先にやるほうがいいと思います。

○清水座長 ということですね。

○大淵有害性調査機関査察官 例えば、3つ陽性のものは優先順位の一番手で、2つ陽性のものは二番手のような感じで、あとは生産量なども考慮しながら選択していくということですね。

○広瀬委員 余裕があれば、2つだと思います。

○清水座長 では、そういうことでよろしいでしょうか。ほかに御意見がなければ、次の議題3、資料4「遺伝毒性試験対象物質の絞り込みの方針()」の説明をお願いします。

○大淵有害性調査機関査察官 基本的には、既存情報により遺伝毒性が有りと判断されるが、その強さの程度が判断できない場合。それから、スキーム図の11ページでいきますと、もともとの情報からして遺伝毒性の判断が不可というようなものも場合によっては入ってくるかと思うのですが、そういった物質については国の委託事業で遺伝毒性試験、現在のところはエームス試験の実施を予定しております。その際の優先順位付けということで、事務局として方針、考え方を整理いたしました。

1として、遺伝毒性の観点からの優先順位付け。2として、労働者ばく露の観点からの絞り込みです。1では、遺伝毒性の情報があるので、その中でいろいろな種類のもともとある情報を同じ重み付けで見るのか、少し試験の種類によって重み付けを変えるのかというようなことで書いたつもりです。その際には、エームス試験で陽性だという情報があるような物質が国の委託試験の優先順位が高く、その次としてその他のin vitroの遺伝毒性試験で陽性の物質というようなところです。

2番の労働者ばく露の観点からの絞り込みでは、1の毒性の観点で絞り込んだ上で、更に次の観点からも総合的に判断することが必要かなと思っております。(1)国内の製造・輸入量、(2)用途ということで、労働者ばく露の観点ですと、用途がいろいろ幅広い、あるいはその用途から見て開放系での使用が予想されるような物質、あるいは3番目として物理化学的性質ということで、常温での性状が気体、液体、粉状の物質、特に液体の中でいきますと蒸気圧の高いような物質を考慮して、物質の試験に持っていく物質の選定をしていくことになろうかと思っております。実際の物質選定の作業自体は、今年度の9月頃になろうかと思っております。

○清水座長 何か御質問、御意見はありますか。1番目から御意見をいただきたいと思います。委託事業をする上で、優先順位を付ける観点から、先ほどもいろいろと議論があったわけですが、こういう形でよいかどうかということで、エームスが陽性の物質、2番目がin vitroの遺伝毒性試験で陽性の物質ということですが。先ほどの構造活性相関との関係もありますよね。

○大淵有害性調査機関査察官 構造活性相関でやるような物質についても、最終的にはこちらです。構造活性相関の予測をエームスでしかやらないのであれば、今のペーパーですと1番は関係なくなりますので、2番の観点でというようなところです。よろしければ、実際に秋以降試験対象物質を選定いただくときに、このような考え方でやっていただければと思っております。また、物質選定の際にも、同じようなペーパーを再度配らせていただきたいと思います。

○清水座長 そういうことで、2も当然これは労働者ばく露の観点から、こういった項目を考慮して行うということだと思いますが、特にここで御意見がある方はいらっしゃいますか。

○大淵有害性調査機関査察官 物質によっては、この3つの情報の全てが必ずしも揃うわけではないので、一律に機械的にやるのは難しいと思うのですが、そのときには可能な情報の範囲で議論をいただければと思います。

○清水座長 何か御意見はありますか。

○山田委員 質問なのですが、用途の所で「開放系での使用」というのですが、ある程度密閉した所でばく露されるほうが濃度は高くなるように思うのですが、どうなのでしょうか。

○大淵有害性調査機関査察官 開放系という趣旨は、化学反応などのように密閉容器があって、そこで物質を扱って、人はその外にいるというのを密閉系といって、そこで蓋が開いているような容器を使って人が何か作業をするようなものを開放系という意味で使っています。

○山田委員 では、部屋として開放されているという意味ではないのですね。

○大淵有害性調査機関査察官 そうではありません。取り扱う容器が開いたままか、閉じている状態かというイメージです。

○山田委員 分かりました。

○本間委員 1番のところですが、()のところのin vivo遺伝毒性試験の陽性の物質は、遺伝毒性が強いと判断されるため、というのですが、遺伝毒性が強いというのはどういうことかというのは、私はいつも疑問に思っています。飽くまでも、遺伝毒性の強さは、1つの試験の中での強さを示すのであって、各試験間で強さを比較するのはなかなか難しいのです。in vivoの場合の試験の重さは、これは飽くまでも人との関連性が高いということですから、強さと関係ないです。これは強さではなくて、in vivo遺伝毒性試験陽性の場合は、人健康影響との関連性が高いという形にしていただきたいというのが、私の考え方です。強いということではないです。

○大淵有害性調査機関査察官 分かりました。

○清水座長 ほかに何か御意見はありますか。よろしいでしょうか。特に御意見がなければ、こういった方針で行うということで、お認めいただけますでしょうか。ほかに御意見がなければ、一応3つの議題が終了しました。今後の予定に関して、事務局から説明をお願いします。

○大淵有害性調査機関査察官 資料5を御覧ください。今後の遺伝毒性の評価の関係ですが、こちらのワーキンググループと委託事業とうまく連携させながらやってまいりたいと思っております。先に、2番の委託事業の関係から説明いたします。今年度、委託事業で予定している項目としては、大きく3つあります。1つ目は、遺伝毒性情報の収集・整理、2つ目として実際にエームス試験を実施するもの、3つ目として遺伝毒性に関する構造活性相関の計算です。(1)の遺伝毒性情報の収集・整理は、こちらは年度の前半に行う予定としております。化審法のスクリーニング評価を行うために既に同じ厚労省内の別の部署ですが、委託事業で有害性情報を収集済みです。こちらは、基本的には二次文献による調査がなされております。そのうち、遺伝毒性情報があるような約500物質程度について、一次文献に遡って情報収集をしまして、変異原性の強さに関係する情報、非活性、D20値の情報を集め、直接そういった数値がないものについては、計算などもしていただく予定です。

2番目は、(1)を踏まえて、(1)の事業が済んだ段階でこのワーキンググループを開催しますので、そこで試験対象物質を絞り込んでいただき、約50物質について試験を実施するというようなものです。予定としては、その50物質の中にもしガス状物質や揮発性の液体が入っているような場合には、ガスばく露法による試験なども実施したいと考えております。

(3)として、構造活性相関の計算です。こちらは、年度末まで掛けてやる予定で、遺伝毒性の情報がない約1,000物質について、今年度は計算をする予定になっております。このような委託事業を行い、それと行政の検討会であるこのワーキンググループとの関係ですが、第2回のワーキンググループを9月頃目途に開催できればと思っております。1つ目の議題は、委託事業で情報収集をした物質について、遺伝毒性の有無、あるいは強さの判断をしていただく予定です。その作業をした上で、平成25年度のエームス試験の対象物質の優先順位も決めていただきたいと思っております。

 そのあと、また半年ほど空きまして、平成26年度の春頃になりますが、平成25年度に行ったエームス試験の結果の評価や、平成25年度に行った構造活性相関の結果の評価をやっていただくことを今のところ予定をしております。

 本日の議論を聞いておりまして、少し時間をかけてやる必要が出てくるかなと思ったのは、(1)の中の遺伝毒性情報収集対象物質の遺伝毒性の判断についてで、先生方の御議論からすると、かなりエキスパートジャッジをしないと判断がつかない物質が相当多そうな感じですので、第2回ワーキンググループと書きましたが、1回で済むのか、複数回調整をしてやらなければいけないのかと思っています。場合によっては、第2回、第3回とやらせていただくようなことになるかもしれません。そのようなことで今後予定しておりますので、第2回の日程調整は早めにしたいと思っております。

○清水座長 次の委員会はいずれ開かれると思いますが、またどうぞよろしくお願いします。それでは、これで本日のワーキンググループを閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

電話番号: 03-5253-1111(内線 5511)

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