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2013年2月25日 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 議事録

○日時

平成25年2月25日(月)
17:00~


○場所

新橋会議室6F A会議室


○出席者

出席委員(14名) 五十音順

 庵 原 俊 昭、 大 槻 マミ太郎、 奥 田 真 弘、 川 崎 ナ ナ、
 菊 池    嘉、 清 田     浩、 佐 藤 俊 哉、 田 島 優 子、
 田 村 友 秀、 豊 見 雅 文、 中 島 恵 美、 濱 口    功、
 福 山    哲、◎吉 田 茂 昭
(注) ◎部会長  ○部会長代理

欠席委員(6名)

○新 井 洋 由、 鈴 木 邦 彦、 半 田    誠、 前 崎 繁 文、
 増 井    徹、 山 本 一 彦

行政機関出席者

 赤 川 治 郎 (審査管理課長)
 俵 木 登美子 (安全対策課長)
 矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきありがとうございます。本日の委員の出席についてですが、鈴木委員、半田委員、前崎委員、増井委員、山本委員より御欠席との御連絡をいただいております。現在のところ、新井委員が遅れているようですが、当部会委員数20名のうち14名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。それでは、吉田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○吉田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いいたします。
○事務局 資料の御確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、委員名簿を配布させていただいています。議事次第に記載されている資料1~4をあらかじめお送りをさせていただいております。このほか、資料5「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料6「専門委員リスト」、資料7「競合品目・競合企業リスト」を配布させていただいております。また、当日配布の資料として、資料8「佐藤委員からの御質問」を配布させていただいております。
 続きまして、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」について御報告をさせていただきます。資料7を御覧ください。
1ページ、エボルトラ点滴静注20mgです。本品目は「再発又は難治性の急性リンパ性白血病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページ、ノーモサング点滴静注250mgです。本品目は「急性ポルフィリン症患者における急性発作症状の改善」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目は、なしとしております。
 3ページ、ipilimumabです。本品目は「悪性黒色腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。今の事務局からの御説明に特段の御意見等ございますか。ないようですので、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を得たものといたします。
 それでは、委員からの申出状況についての御報告をお願いいたします。
○事務局 各委員からの申出状況です。
議題1、エボルトラ点滴静注20mg、退室委員なし。議決に参加しない委員は清田委員です。
 議題2、ノーモサング点滴静注250mg、退室委員なし。議決に参加しない委員なしです。
 議題3、ipilimumab、退室委員なし。議決に参加しない委員は奥田委員です。以上です。
○吉田部会長 本日の審議事項は3議題、報告事項が1議題となっております。早速議題1につきまして、機構からの概要の御説明をお願いします。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品エボルトラ点滴静注20mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるクロファラビンは、リボヌクレオチド還元酵素の阻害作用、DNAポリメラーゼαによるDNA鎖の伸長阻害作用等を有する代謝拮抗剤であり、これらの作用により腫瘍の増殖を抑制すると考えられております。
 今般、本剤は、再発又は難治性の急性リンパ性白血病に対して効果を示す薬剤として承認申請されました。なお、本剤は、平成24年2月の当医薬品第二部会で希少疾病用医薬品の指定の可否が審議され、指定されております。
 また、小児急性リンパ性白血病は、過去数十年の間に治療成績が向上しましたが、全ての患者において根本的な白血病の治癒が得られているわけではなく、寛解に入った小児急性リンパ性白血病患者の25~30%は再発を来たし、一旦、再発を来たした場合には治療抵抗性となり、標準的な化学療法は確立していないために依然として予後不良な疾患です。そのため、医療現場では、再発又は難治性の小児急性リンパ性白血病に対して新たな治療薬の開発が望まれています。
 このような状況を踏まえ、本剤は、平成17年10月に開催された第6回未承認薬使用問題検討会議において、本邦において治験が早期に開始されるべきと判断された薬剤でございます。
 本剤は、審査報告書の3ページに記載していますように、平成24年11月時点において、再発又は難治性の急性リンパ性白血病に関する適応にて、49の国又は地域で承認されています。
 本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料6にございますとおり、7名の委員です。
 以下、再発又は難治性の急性リンパ性白血病に対する本剤の承認審査の概要を御説明いたします。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績としては、海外で実施された二つの第II相試験と、本邦で実施された第I相試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書36ページ、上から8行目以降、及び71ページ、上から13行目以降にお示ししますように、初回診断時21歳以下の、複数レジメンによる治療歴を有する再発又は難治性の急性リンパ性白血病患者における本剤の有効性及び安全性を検討した二つの海外第II相試験の結果、本剤投与により一定の寛解率及び寛解持続期間が得られたことから、本剤の一定の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性については、審査報告書40ページ、上から12行目以降、及び72ページ、上から2行目以降にお示ししますように、血液毒性、感染症、腎障害、肝胆道系障害、毛細血管漏出症候群及び全身性炎症反応性症候群、腫瘍崩壊症候群、並びに心血管関連事象が認められており、注意喚起が必要と考えております。
 これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を有する医師による慎重な観察と、適切な処置により忍容は可能と判断いたしました。ただし、本剤の日本人における検討症例は限られており、審査報告書57ページ、下から11行目以降、及び74ページ、下から6行目以降にお示ししますように、製造販売後には、目標症例数を120例とした全例調査の実施が必要であると判断し、これを承認条件と設定することが適切であると判断いたしました。また、国内第I相試験において、寛解に至った患者が認められておらず、現時点では外国人患者と同様の有効性は、日本人患者では確認されていないと考えることから、前向きコホート研究等により、製造販売後に日本人の小児急性リンパ性白血病患者における本剤の有効性に関する情報を収集することを申請者に指示しております。
 以上のような審査の結果、機構は「再発又は難治性の急性リンパ性白血病」を効能・効果として、本剤を承認することを可能と判断いたしました。
 本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を10年とすることが適当であり、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。
 本剤の製造販売承認の可否等について、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 なお、事前に佐藤委員から御質問をいただきましたので、機構から回答させていただきます。
 御質問は二つあり、一つ目は以下のような主旨でございます。
 「申請者は、本剤に関する医薬品第I相試験開始前相談において、成人の開発についても小児と並行して開始するよう機構から助言を受けた旨が、CTDモジュール2.5に記載されている。2012年3月の希少疾病用医薬品の指定は『再発又は難治性の急性リンパ性白血病』が予定される効能・効果とされており、この『成人の開発』は急性リンパ性白血病が対象と考えられるが、申請者が実施した試験は急性骨髄性白血病が対象とされている。医薬品第I相試験開始前相談における機構の助言は、どの疾患に対する『成人の開発』を開始することだったのか説明してほしい」というものでした。
 御質問に対する回答としましては、「小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンスについて」では、特別な理由がない限り、小児で臨床試験を開始する際に成人での安全性情報を利用できる状況が必要とされています。一方、医薬品第I相試験開始前相談時には、日本人における本剤の忍容性は確認されておらず、また、成人での開発に先行して小児での開発を行うこととする申請者の合理的な説明もございませんでした。このような状況に加え、当時、海外では本剤の成人急性骨髄性白血病患者での開発も行われていたこと、また、これらの情報が得られれば、国内外の成人の臨床試験成績の比較により、小児での安全性を予見する上で有益であると考えたこと、さらに、成人と小児の開発をほぼ同時期に行うことにより、本邦での本剤の成人に対する開発もより速やかに進められるのではないかと考えました。
 以上のような状況から、医薬品第I相試験開始前相談において、機構としては、成人での開発対象については急性リンパ性白血病に限定する必要はないと考え、本剤の国内外の開発状況も考慮した上で治験の対象を決定するよう申請者に助言し、申請者は小児の急性リンパ性白血病を対象とした国内第I相試験と並行して、成人の急性骨髄性白血病を対象とした試験を実施したところです。
 御質問の二つ目は、「海外における本剤の成人急性リンパ性白血病に対する適応の有無や、その効能での申請状況等について教えてほしい」との御質問です。
 海外での本剤の適応は、米国では1~21歳、EUでの適応は21歳以下とされており、本剤は21歳までの成人に対する適応を有しています。
 21歳を超える成人に対する本剤の開発は行われておらず、現時点では開発の予定がない旨の説明を申請者から受けています。御質問に対する説明は以上になります。
○吉田部会長 佐藤先生、いかがですか。
○佐藤委員 ありがとうございました。よく分かりました。そうすると、欧米の添付文書には、1歳~21歳、21歳以下というように年齢が書かれています。今回、効能・効果に年齢を記載しない理由は、臨床試験で規定されている年齢が初回診断時の年齢だということで、投与時ではないということですので、それはよく分かったのですが、やはり成人とAMLに関しては用量が違っています。それを踏まえると、海外ではpediatricという言葉が欧米でも入っていますから、効能・効果のどこかに「小児」という一語を入れた方がいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○機構 機構より回答させていただきます。御指摘の点につきましては、機構の内部、専門協議等においても議論させていただいたところですが、実際に小児という言葉を使用したときの年齢を指すものが、添付文書上、15歳以下を指す文言で小児という言葉を添付文書に記載することは避けた方が良いのではないかという議論もございまして、記載しない対応をとらせていただいております。しかしながら、機構としても年齢に関する情報も重要と考え、添付文書の「使用上の注意」では、臨床試験において組み入れられた患者の年齢以外での本剤の有効性及び安全性は確立していない旨を記載した上で、実際の臨床試験に組み入れられた年齢については、臨床成績の項を用いて情報提供することが適切ではないかと考えました。
○佐藤委員 「小児」が使用できないという理由もよく分かりました。ありがとうございます。では、臨床試験で対象になった年齢、これが初回診断時ですので、使用したときの年齢がいくつだったかというのはよく分からないのでしょうけれども、その年齢の情報と、成人では用量が違うかもしれないということは、資材などを使って十分に周知させるようにお願いします。
○機構 御指摘ありがとうございました。成人での用量が違うことに関しては、添付文書の「重要な基本的注意」にも記載させていただいておりますが、資材等で分かりやすく情報提供をするよう、申請者に改めて指示したいと思います。
○吉田部会長 今の点なのですが、添付文書を見ると、「効能又は効果」の「使用上の注意」で、(2)「組み入れられた患者の年齢以外での」と記載されていますが、先程おっしゃっていた内容を考えると、年齢の後に初回診療初診時1歳~21歳以下ということを、具体的に記載した方が良いのではないですか。適用に21歳以下と記載すると、21.5歳はどうなるかという話になってしまい、良くないということは分かるのですが、情報提供する上では、具体的な年齢を記載した方が良いのではないかと思いますが、その辺はいかがですか。
○審査第五部長 部会長御指摘の点も我々内部で検討いたしました。その記載により医療現場にどういう影響があるかという観点からですが、「効能・効果に関する使用上の注意」の中にその趣旨を明記することにより、保険上の取り扱いについても影響があるのではないかということも考えました。しかしながら、それはそれとして、本剤は基本的に専門の先生に使っていただくという前提からしたときには、詳細な情報については臨床試験の成績の項などで情報提供をすることで、より適切に使っていただけるのではないかと私どもも考えました。
○吉田部会長 査定の理由に使われるのですか、こういう使用上の注意が。
○審査第五部長 厳密にはそこまで詳細には分かりませんが、そういう影響もあるかもしれないと考えました。
○吉田部会長 適応ではなく、使用上の注意でそんなことが起こるのかどうかは分かりませんが、逆に言うと、使われる集団が専門医と決まっているので、そこまでやらなくても分かるであろうということですね。ほかにございませんでしょうか。
○菊池委員 後学のために少し伺いたいのですが、よく「警告」の箇所に、「十分に対応できる医療施設で、かつ、経験と知識を持っている医師」ということが出てきますが、決まり文句のようになっていますが、この定義はどこにありますか。例えばがん専門医を持っているなど、これについて、非常にグレーだと思っているのですが、いかがですか、何か規定はございますか。
○機構 「専門医」という表現につきましては、専門医の定義自体があやふやになっております。それから、専門医を持つ医師が十分な臨床経験があるかどうかというところも、なかなか難しいところもあり、そういう記載をしないような形で、このような記載をしております。
○吉田部会長 その辺を勘案した決まり文句のようなものだと思いますが、何れにせよ、この薬に関しては全例調査になっているので、誰が使ったかも分かるということで御了解いただければと思います。ほかにございますか。
○奥田委員 文章の読み取りが甘いのかもしれませんが、日本人の治験では有効性が証明できなかったという内容だと思いますが、海外の治験とプロトコールは少し違うのかもしれませんが、クールの数が実際に臨床試験として設定したのは12クールと6クールで違ったと思います。それは上限の話で、実際に投与された数で日本人には1クールか2クールほどしか投与されていないということなので、有効性が違ったというのは、投与されたクール数によって依存しているということは考えられないのでしょうか。そういうことは理由として文章の中に読み取れなかったので、それについて伺いたいのですが。
○機構 実際にはそういった影響も、日本人で寛解例が認められなかった理由の一つと考えております。すなわち、国内で行われた試験は、前治療として多くの化学療法が使用された患者さんが対象であり、本剤の投与が1クール終わった時点で、全患者さんが移植に移行しました。もう少し本剤投与クール数を増やせば、日本人7例の中でも寛解例が認められた可能性はあったと考えますが、全ての患者が本剤の投与を1クールでやめてしまったので、結果として寛解例が認められなかったとも考えられます。
○奥田委員 その情報が報告書の中に入っていると判断しやすいと思うのですが。
○機構 御指摘の点につきましては、報告書の37~38ページに記載させていただいております。申請者より有効性の認められなかった理由として3点挙げられておりまして、その点については記載をさせていただいています。
○奥田委員 ですから、海外では何クールまで平均して投与されたなど、そのような情報はあるのですか。最大は何クールというのは分かるのですが、実際に投与されたクール数が何クールだったのか読み取れなかったので、日本人の場合は1クールまでというのが分かったのですが。
○機構 審査報告書の55ページを御覧ください。休薬期間の表を載せているのですが、各々何クール投与したか、患者の例数を表として載せております。
○吉田部会長 有効例は何クール目から出たなど分かるようになっていますか。
○機構 その点に関しましては審査報告書には記載してありませんが、CTDの中では、早ければ2クールから有効例が出たという記載もございました。詳しいことにつきましては再度確認した上で、必要に応じて資材等で情報提供するようにさせていただきます。
○奥田委員 是非よろしくお願いします。
 また、添付文書なのですが、これは表記だけの問題だと思うのですが、添付文書の1ページの右下のところには、「日本人患者においては2クール以上の投与経験はない」というのは先程の報告と一緒だと思うのですが、添付文書の5ページ目、「臨床成績」の中に「これを1クールとし最大2クール行った」と書いてあるのですが、これは1クールしかやっていないはずではないかと思ったのですが、2クールまでやっているのですか。
○機構 用法・用量の関連で、使用上の注意に書かせていただいた「2クール以上」の意味ですが、小児推奨用量に関する2クール以上は投与経験がないということを記載させていただきました。一方で、臨床成績の項の記載につきましては、1クール目では小児推奨用量より低い30mgを投与した患者さんが、その後に52mgに増量したという意味で、2クールの投与経験があるという記載になっています。
○奥田委員 ただ、この文面を見ると、1日用量30mg又は52mgで最大2クールと書いてあるので、52mgで2クールをやったように、これだけを見ると読めますね。
○機構 この記載につきましては、再度見直し、適切な表現になるように修正を行いたいと思います。
○吉田部会長 最大2クール行ったということで、2クール行った人が1人でもいればそういうことになるのですか。そういう意味ですか。
○機構 はい。
○吉田部会長 そうすると、その辺、もし違っていれば、「1クール行った」で終わるということですね。そこは訂正するということですね。重要な御指摘ありがとうございました。ほかにございますか。要するに、日本ではフェーズIの辺りしか見ていないというのは、有害事象しか見ていないということなのでしょう。有効性までは検討するような体制になっていなかったというか、初めからそれは目的ではなかった、ということなのでしょう。違うのですか。
○機構 主目的は、安全性及び忍容性を確認する目的で行われた試験でした。
○吉田部会長 PKを行っているので、結局外挿性はあるという、そういう整理ですね。
○機構 はい。
○吉田部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。特に御意見がないようですので、議決に入ります。なお、清田委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは審議事項議題2に移ります。医薬品医療機器総合機構からの概要説明をお願いいたします。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品ノーモサング点滴静注250mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
 「ノーモサング点滴静注250mg」(以下「本剤」)は、シミックホールディングス株式会社(以下「申請者」)から新有効成分含有医薬品として申請されたものです。審査報告書の4ページに記載のとおり、本剤は1985年にフィンランドで承認され、現時点までに世界31の国と地域で「肝性ポルフィリン症の急性発作の治療」を効能・効果として承認されております。本邦では、2008年3月26日に開催された未承認薬使用問題検討会議におきまして、「早期に国内開発が開始されるべき」との結論が出されたことを踏まえ、申請者により開発が進められ、今般、「急性ポルフィリン症患者における急性発作症状の改善」を効能・効果として申請されました。
 以下、承認審査の概要について御説明いたします。審査報告書3ページ、表1-1を御覧ください。ポルフィリン症は、ヘム合成経路に関わる遺伝子に異常を来すことにより引き起こされる一連の疾患の総称であり、ポルフィリン前躯体等の蓄積部位や出現する症状により、病型が分類されています。このうち、本剤の申請適応対象である急性ポルフィリン症は、本邦では1920年~2008年までに351症例が報告されているのみである希少疾病であり、本剤の開発についても、平成23年8月開催の本部会で希少疾病用医薬品の指定について御審議いただき、同年9月に指定を受けております。本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料6にお示しした7名の委員です。
 今般の承認申請では、審査報告書22ページ、表4-4にお示しします国内治験3試験が評価資料として提出されました。
 本剤の有効性については、審査報告書30~32ページを御覧ください。本剤の有効性及び安全性を検討することを目的とした国内第II相試験(002試験)では、有効性の解析対象とされた1例において、本剤の投与期間中に深部腱反射の改善が見られたことから、有効と評価されております。また、当該被験者については、安全性の検討を目的とした国内第II相試験(003試験)でも再度組み入れられ、本剤の投与前に「重度」であった腹痛・疼痛、嘔吐、悪心、血圧上昇が「無症状」に改善したとの結果が得られております。
 以上より、機構は、国内治験成績は極めて限定的な情報であるものの、急性発作症状の改善が認められた症例があり、海外での臨床研究等の情報と矛盾するものではないことから、本剤の有効性は期待できるものと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書32~35ページを御覧ください。国内治験において本剤が投与された6例(延べ7例)では、重篤な有害事象は認められておらず、また、発現した有害事象は、いずれも回復又は軽快しております。本剤の日本人における現有の安全性情報は極めて限定的ではあるものの、海外での使用状況も踏まえ、日本人においての本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。
 製造販売後の検討については、審査報告書42ページを御覧ください。調査方法については、本邦における急性ポルフィリン症の急性発作の発現頻度についての情報が少なく、調査の実施が困難であることを考慮して、可能な限り多くの急性発作エピソードの情報を収集することを目的として、プロスペクティブな調査とレトロスペクティブな調査を組み合わせて実施することが適当と判断いたしました。
 以上の審査の結果、機構は、本剤を「急性ポルフィリン症患者における急性発作症状の改善」を効能・効果として、承認して差し支えないと判断いたしました。本品目は、希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を10年とし、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。
 また、審査報告書41~42ページに記載のとおり、本剤はフィンランドで採血された献血由来のヒト赤血球濃厚液が原材料であるものの、本剤が極めて高度に抽出・精製された低分子化合物であり、外来性感染性物質に対する安全性は確保されていることから、生物由来製品に該当すると判断いたしました。以上、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。
○濱口委員 審査報告書の6ページにHTLV-1、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型についてのメーカーとのやり取りがあるのですが、フィンランドで既に感染している人が見当たらないので、スクリーニングはやっていないというのでしょうか。実際に感染している人はフィンランドにいないと考えて良いのですか。
○機構 今の御質問は、現時点でフィンランドにHTLV-1に感染している患者がいらっしゃるかどうかの御質問ですか。
○濱口委員 そうです。要するに、献血のために使っているもので、ブラッドセンターはスクリーニングをやめているということですが、それはその国でそう決めているのでしょうが、実際にキャリアの方が全くいないので、実際に感染している人はフィンランドにいないと考えてよろしいですか。
○機構 御質問の点につきましては、現時点で情報を持ち合わせておりません。
○濱口委員 例えば、今、イギリスでは2万人ほど感染者がいると言われていますし、フランスでは1万5000人ほど、いると言われています。ただ、ドイツや、こういったフィンランド、スウェーデンなどは調べていないので分からないというのが恐らく答えだと思うのです。献血血だから安全だということなのかもしれないけれども、HTLV-1に関しては日本の場合、非常にナーバスなところがありますので、この部分は向こうが言っていることをそのままOKだというので良いのかというのが第一の疑問です。
 第二の疑問は、製造工程で不活化とウイルス除去のための工程が入っているので安全だろうということでしょうか。メーカーとしては、これに対してどれくらい安全かというデータは追加で出されていないようですが、例えばクリアランスの試験等を行って、彼らがやっている工程がどれくらい有効かは、殊更に追加で資料として出させる必要はないのですか。
○機構 今の御指摘は、HTLV-1を用いたウイルスクリアランス試験ということですか。
○濱口委員 はい。
○機構 HTLV-1を用いたウイルスクリアランス試験は実施しておりませんが、審査報告書5ページに記載していますように、多岐にわたるモデルウイルスを用いたウイルスクリアランス試験を実施しています。また、表2-2に記載の工程に加え、アセトン及び酢酸存在下での□℃~□℃、□時間の減圧濃縮工程等も実施しており、製造工程のウイルスクリアランス能については十分と考えております。
 また、御指摘の審査報告書7ページに記載していますように、HTLV-1については、細胞間感染を感染様式としています。こちらについては、本剤が高度に精製され抽出された低分子化合物であることから、本剤によるHTLV-1の伝播は極めて低いと考えております。以上より現在の情報でも本剤のHTLV-1に関するウイルス安全性は十分担保できているものと考えています。
○濱口委員 この化合物が赤血球の中から取り出されたものであり、また、今の御説明のように工程管理の中できちんと病源体は除去されているだろうとのことですが、きちんとは調べていないということなので、これをあえて特定生物由来製剤というカテゴリーに入れずに、生物由来製剤に入れることが可能かということです。もともとヒトの血液を原材料として使っているので、そこはどういうディスカッションで特定生物由来製剤に入れなくて良いことになったのか、教えていただきたいと思います。
○機構 本剤を特定生物由来製品ではなく生物由来製品に指定することで問題ないと判断した理由につきまして、御説明申し上げます。本剤についてはヒト赤血球濃厚液を原材料とするものの、製造工程における複数回の抽出や、再結晶の工程を経ることにより、高度に精製されております。
また、85%ギ酸存在下での75℃、1時間処理、□□□存在下での□℃、□時間処理など、ウイルスクリアランス試験の結果等から、各種の病原体に対して十分な安全性が確保されていると考えて判断いたしました。
 また、急性ポルフィリン症は遺伝性の疾患であることから本剤を同一患者に繰返し使用することが想定されますが、急性発作症状の発現は間欠的であると報告されております。特に急性発作症状の発症年齢については、思春期から中年とされていることに加え、本剤の継続的投与により鉄過剰症が発現する懸念等もございます。よって、本剤については、一生涯のような長期にわたって継続的に投与する可能性は限りなく低いと考えております。以上から、本剤については生物由来製品に指定することで差し支えないと判断しました。
○濱口委員 例えば、プラセンタ製剤というのがあります。それは胎盤を、何度もオートクレーブを繰り返した上で、その中の蛋白質よりアミノ酸を抽出して、それを薬効として使っているというものがあるのですが、それもカテゴリーとしては特定生物由来製剤となっています。それからすると、本製剤は高度に工程管理されているといっても、HTLV-1に関してはどれくらい不活化されているかを私自身、実際にきちんと見えてないこともありますし、工程が何かの間違いで十分に機能しなかった場合の可能性も考えられますし、もともとそういったリスクがあるものについて、初めからディスカウントする必要が本当にあるのかと思います。いかがですか。
○ワクチン等審査部長 先生が御指摘される内容はよく理解しておりまして、その件で専門協議として議論をしてきたというところです。別にディスカウントというわけではありませんで、この状況、あるいはこの対象の患者に一生でどの程度投与されるのかというところも踏まえて、先ほど御説明いたしましたように、この段階では生物由来製品に指定することで差し支えないと、審査報告書の42ページに書いてあるとおりの判断をしています。それに関して御審議をいただくことも、ここの状況でもあります。我々の判断としては、特定生物由来製品に指定する必要がないという判断に至っております。
○吉田部会長 濱口先生、いかがですか。
○濱口委員 私は、初め特定生物として入れるのが筋だと思っております。
○川崎委員 私も濱口先生と同じ疑問を持ちながら、本部会に出席いたしました。赤血球、ヒトの血液を用いていますので、原則として特定生物由来製品に該当するのではないかと思っていたのですが、工程において感染性因子混入リスクが限りなく低減されていると判断されたというお話でした。では、お聞きしたいのですが、これまでにも血液を原材料とした製品で、特定ではなく生物由来製品として指定されたものはございますか。
○機構 例えば、添加剤としてアルブミン等を含んでいる製剤では、生物由来製品に指定されているものはございます。ただし、現時点では本剤のように有効成分の原材料としてヒト血液由来成分を用いる製剤で、特定生物由来製品ではなく、生物由来製品に指定されている品目はございません。
○吉田部会長 今回、前例のないことをしようとする勇気は、どこから出てきたのですか。
○機構 確かに前例がないと申し上げましたが、これまでヒトの血液を原料とする製剤は、輸血用血液製剤ですとか、血漿分画製剤がほとんどであって、今回の品目のように高度な精製処理、あるいはかなり高度な条件下でのウイルス不活化処理が行われている製剤は、本品目が初めてと考えております。ですので、これまでの前例を踏まえてということではなく、淡々とこの製品のリスク評価を考えたところ、特定生物由来製品に指定する必要はないのではないかと判断しました。
○吉田部会長 これだけクリアランスがされていれば大丈夫だという考え方と、いや、やはり向こうも抜けているではないかと、ヨーロッパで、はやっていないものに関しては見ていないと、そういうところの違いだと思うのです。要するに、審査する側としてはある程度の基準を作りたいということなのですか。「特定」を外す基準を作って、こういったものは「特定」から除いていこうという方針があるのですか。
○機構 もともと、特定生物由来製品、生物由来製品の制度を作ったときに、基本的な考え方は整理されていると考えております。そのときに、ヒト血液由来の製剤は、原則として特定生物由来製品になるのではないかという考え方があるということも、承知しております。ただ、今回の製品について、処理工程なりを考えたときに、特定生物由来製品に指定するまでのリスクはないのではないかと考えているので、今回こういう判断をさせていただきました。
○吉田部会長 審査している側は、ないのではないかと、部会としては、あるのではないかという意見が出てきて、これは多数決で決める問題でもないように思うのです。ですので、どこまでクリアしたら大丈夫か、ある程度ガイドラインのようなものがあると良いのですが、それもないのですか。
○機構 明確な基準を作れるものでもないとは思っております。本審査においては、制度を構築したときの、基本的な考え方も含めまして、専門協議において複数の委員に御意見を伺い、機構の考え方も御説明した上で、特定生物由来製品とする必要があるかどうか確認いたしました。結果として機構の考え方のとおり、生物由来製品で良いということで御了解いただきまして、最終的に機構としてもこのような判断をしております。
○吉田部会長 庵原先生、何か良い考えはありますか、御意見を伺いたいのですが。
○庵原委員 これは結局、そのキャリアがほとんどいないということと、製造工程でどこまできれいになっているかというところなのです。逆に言うと、今、部会長が言われたように、逆に基準を設けてもらった上で再審議という形になるかという印象を今は持っているのですが、その点はいかがですか。
○事務局 事務局から一つだけ補足ですが、本剤は血液製剤に該当するというところは、血液法に基づき間違いないところでして、血液製剤ですと、献血、非献血等表示の義務がございます。今、担当部署で、フィンランドにおける献血、採血の実態など、現地調査を予定しており、これはまだ調査に行っておりませんが、3月上旬に実地調査が行われるということですので、その結果を得られ次第、濱口先生、吉田部会長に個別、取扱いについて御相談をさせていただきたいと考えております。
○吉田部会長 いずれにしても、組分けをどうするかも、今後の対応の問題になってきますね。ただ、使われる患者は極めて少ないことを考えると、現実的にはそう大きな問題にはならないのかという気もするのですが、そういうことで、濱口先生と私でその辺りの事情を聞かせていただいた上で判断を一任いただくことでよろしいでしょうか。では、この件についてはそういう対応にしたいと思います。ほかにございますか。
○豊見委員 1.6の「外国における使用状況等に関する資料」の中で、あとの生理食塩水等の補液等でのフラッシュのことなど、血管を洗うことが丁寧に書いてあるのですが、この添付文書(案)ではその辺りが非常に簡単に済まされていると思うのです。それを常識として大丈夫なのですか。その前の外国の丁寧な使い方と比べると、非常に簡単に書いてある気がするのですが。「100mlの生理食塩水で洗浄すること。最初に10mlの生理食塩水を3、4回急速注入し、その後、生理食塩液の残りを10~15分かけて、点滴静注する」という細かい書き方が見えます。日本の添付文書ではそれに比べると、「用法及び用量に関連する使用上の注意」の箇所に「投与後は補液等により、薬液を十分洗い流すこと」という記載しかないように見受けられるのですが。
○機構 欧州の添付文書での記載について、申請者に確認いたしましたところ、実臨床で行われている内容を記載しているだけで、この手順で実施しなければならないとする根拠はないとのことでした。
 機構といたしましては、記載の明確な根拠がない点を踏まえ、現在の添付文書(案)の記載で十分かと考えておりましたが、必要であれば御指摘を踏まえまして、該当箇所の記載等を再検討したいと考えております。
○吉田部会長 結局、この薬は確定診断がつかないと使われないのでしょうけれども、やはり使い方が特殊ということもあるので、そういう意味では、今御指摘があったように、きちんと詳細を記載するべきではないかと思います。是非改訂をよろしくお願いします。ほかにございますか。
○奥田委員 今の海外の添付文書の中には、「10ml当たり1gのエタノールが含まれる」と書かれていて、それが肝疾患や、アルコール依存症、てんかんなど、そういった患者には良くないということも書かれているのですが、そういう注意は特に必要ないのでしょうか。アルコールの量が含まれるということ自体は添付文書に書かれているのですが、過量投与の欄にはpropylene glycolの注意書きはあるのですが、エタノールのことには特に何も書いていないので、それについてお伺いしたいのですが。
○機構 御指摘の点は審査の段階で確認いたしましたが、本剤の投与量ではエタノールに関する注意喚起の必要はないと判断し、本邦の添付文書(案)では特に記載をしておりません。
○ワクチン等審査部長 エタノールについては、検討させていただきたいと思います。
○吉田部会長 要するに、滅多にない病気で、滅多に使うことがないということは、間違えてしまうと大変なことになりかねません。使い慣れていればある程度いろいろと対応できますが。従って実際の現場に経験が少ないといった場合には、安全対策上からも、できるだけ丁寧な説明文書にしていただければと思います。ほかにございますか。
○濱口委員 先ほどの、「特定にするのか、しないのか」ということにもかかってくるかと思うのですが、添付書類の中には、ヒトの赤血球から取ったということが詳しく書かれていないです。例えば、先月この部会で話題になりましたアブラキサンやアルミが添加剤として使われているものについても、感染性についての注意書きが「一般的な使用上の注意」ということできちんと明記されておりました。これについては、特定にするか、しないかは別として、その部分がほとんど抜けていると思いますので、検討していただきたいと思います。
○吉田部会長 よろしくお願いします。ほかにございますか。今までの試験は全世界でも、海外も含めて国内で30例ほどの経験しかないので、国内は1例のフェーズIIという聞いたこともないような臨床試験になっていて、有効性も心配です。従って、市販後に全数把握するのは大いに結構なのですが、症例としては年に何例あるかないかですし、どれほどの数をまとめようとされているのかがよく見えません。例えば10年、20年かかってもというのでは、やる意味が無くなるかもしれませんね。ですから、逆に期間を切った方が良いとも思うのですが、どうお考えですか。
○機構 正に今、吉田部会長から御指摘いただいたとおり、本剤で一体、全例調査を実施して、どれほどの症例数、調査期間が必要かというところも正直分からない状況になっています。こちらについては申請者とも議論し、計画ではまず1年間調査を実施し、得られた情報を検討の上、調査期間を更新していくという計画を考えております。その中で発作の発現状況を確認しながら機構に御相談いただき、調査の最終的な期間や目標のエピソード数等を確定していきたいと考えております。
○吉田部会長 では、その承認条件の書き方につきましても、よろしくお願いします。色々と宿題が出ましたが、ほかにございますか。
○機構 先ほどの補足をしたいのですが、本剤の適応対象は希少疾病で、かつ、急性発作がどの程度の頻度で起こるのか分からない状況ですので、全てのエピソードを確実に収集する事は困難と考えております。ですので、可能な限り多くの症例数を収集することを目標とし、現時点では、既に患者がいらっしゃることが分かっている病院においては、事前に契約してプロステクティブにエピソードを収集すること、また、本剤が投与された患者が把握できた段階で、レトロスペクティブに情報を収集すること。この二つの手法を組み合わせた調査を検討しております。ですので、全例という約束まではできないと考えておりますが、可能な限り多くのエピソード数を収集することを考えております。
○吉田部会長 この病気には患者会のような組織か何かあるのですか。
○機構 患者会がございます。
○吉田部会長 そうすると、ある程度この薬を使うと思われる集団は、あらかじめ捕捉しておくことはできるのですね。
○機構 はい。そちらに関しては、プロスペクティブな調査としたいと考えています。
○吉田部会長 分かりました。患者会のグループを把握しておくことと、そこ以外でも使われることもあるので、そちらも把握するということで、市販後調査は大変かと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。ほかによろしいですか。御意見はないようですので、議決に入ります。お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは審議事項議題3に移ります。概要説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題3、資料3「ipilimumabを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より御説明いたします。申請者はブリストル・マイヤーズ株式会社、予定効能・効果は悪性黒色腫となります。悪性黒色腫はメラニン色素産生能を有するメラノサイトが癌化し、主に皮膚、眼窩内組織、口腔粘膜上皮等に発生する悪性腫瘍であり、発生割合としては皮膚癌の4%ではございますが皮膚癌死亡者の80%を占める極めて予後不良な疾患です。
 日本皮膚悪性腫瘍学会や厚生労働省の調査結果等から、国内の患者数は4000人程度と考えられ、5万人未満の要件は満たすと考えております。
 本疾患に対しては、根治切除可能な場合には外科的切除が実施され、切除不可能な場合や術後補助療法として化学療法が行われておりますが、薬剤による延命効果は示されておらず、新たな治療法の開発が望まれており、医療上の必要性は高いと考えられます。
 本薬は海外において根治切除不能、又は転移性の悪性黒色腫患者を対象とした臨床試験が実施され、本剤単独、又は本邦でも効能を有しているダカルバジンとの併用において、全生存期間の延長が認められ、忍容性が確認されたことから、米国において2011年3月、欧州において2011年7月に承認を取得しております。また、本邦においても20□年□月より第II相試験が実施されており、本薬の開発の可能性はあると考えております。以上から、本薬は希少疾病用医薬品の指定要件3要件を満たすものと判断しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。
○奥田委員 この領域の専門ではないのですが、海外の結果の報告を見ると、gp100との併用投与群において、gp100というのは併用を前提とした開発をされるのか、単独での開発を予定されているのかということで、もし、そうであればgp100の扱いをどうされるのか、ということをお伺いしたいです。
○事務局 本剤との併用を前提としたものではなく、またgp100も単独での開発の予定等はまだ聞いていないところです。
○吉田部会長 このハザード比が出ているのは併用対gp100単独の比較試験ですね。であれば、gp100も併せて申請しておかないと、将来的には使えないかもしれないのではないか、という御質問だと思うのですが。
○事務局 先生の御指摘の次のページの(2)のところで、ページが振っていないのですが、希少疾病用医薬品指定申請書というグリーンの間紙の2枚目のところからの続きなのですが、そこを1枚めくっていただきまして、奥田先生が御指摘のところはその手前のページの(1)のところだと思うのですが、その次のページの(2)のところで、ダカルバジンとの併用とダカルバジン単独というのがございまして、ダカルバジンは先ほど御説明申し上げたように本邦でも承認を有していて、ダカルバジンと併用した場合には11.2か月と9.1か月ということで有意な延長が示されているということで、gp100との併用だけを前提とした薬剤ではないということで今、開発をしているところです。
○吉田部会長 よろしいですか。要するに相方も探さないといけないということなのでしょうが、ダカルバジンは、今、標準的に使われている薬ですし、それに対して上乗せ効果がありそうだという期待感が見込まれているということは言えるのではないかと思います。ほかに御意見はございますか。国内の開発の可能性はどうなっていますか。
○事務局 国内で第II相試験実施中ですが、この成績を踏まえて、また申請等を考えていくということでございます。
○吉田部会長 承認申請で再度部会に上がってくるということですね。疾病の頻度、疾病の重篤性、開発の可能性と三条件は揃っているようですが御意見はございますか。
 特に御意見がないということですので、議決に入ります。なお、奥田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 お諮りします。本議題について指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議はないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、報告事項議題1について、事務局からの御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項議題1、資料4「医薬品エイムゲンの製造販売承認事項一部変更承認について」御説明いたします。本剤は不活化A型肝炎ウイルス抗原を有効成分とする注射剤であり、「A型肝炎の予防」の効能・効果で、16歳以上の接種対象年齢として承認されているワクチンです。本剤は、主に海外渡航者のA型肝炎予防に用いられています。今般、16歳未満の小児における用法・用量の追加のための製造販売承認事項一部変更承認申請が行われ、機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断をしたところです。
 本件について事前に庵原委員、佐藤委員から御質問を頂いております。まず、庵原委員から頂いた御質問です。「本剤の培養基材としてベロ細胞を使用しているのであれば、不活化ポリオワクチンや日本脳炎ワクチンと同様に、添付文書の製法の概要にベロ細胞を用いていることを明記してはどうか」との御質問、御意見です。本剤ですが確認したところ、本剤の製造には感染研が独自に確立したアフリカミドリザル由来のGL37細胞という株化細胞が使用されているということで、ベロ細胞ではないということでした。
 続いて資料4の審査報告書の5ページの中ほどです。感染防御に必要な抗体濃度の閾値は定義されていない旨、無記載について、2010年のプロトキンらの論文では、発症予防レベルの抗体濃度は10mIU/mlと記載があることから10mIU/mlで検討した場合の抗体陽転率について御質問を頂いております。申請者によりますと、この10mIU/mlで検討した場合も抗体陽転率は100%であったということでした。
 また、同じく審査報告書の5ページの(1)の臨床成績の中ほどに、感染防御という記載がございます。「A型肝炎では発症防御が正確ではないか」との御指摘です。感染防御は引用文献中の表現を「プリベントHAVインフェクションによる」というところで記載しておりまして、厳密には御指摘の通り、発症予防を意味していると考えられますが、審査報告書は提出された資料の表現の記載をいたしました。
 3点目です。用法・用量についてですが、3回目の追加接種に関するところで、初回接種後24週を経過した後ということで、資料4の表紙のページの用法・用量のところにも記載がございますが、初回接種後24週を経過した後との記載を、24週以上経過した後として、6か月以降であればいつでも接種が可能であることを明示してはどうかという御提案を頂いております。これについては現行の記載の24週以降の追加接種に厳密な制限をしているものではないということを意味しておりまして、御指摘をいただいたような内容が含まれた表現と考えております。
 もう1点、佐藤委員からの御質問です。こちらは当日配付の資料8を御覧ください。審査報告書は4ページの一番下の段落ですが、小児対象のPED-01試験に関して、資料の信頼性が確認できない旨の記載について、1994年の一変の申請では何が問題であったのか、御質問を頂いております。本試験については当時、治験契約施設以外の施設において治験薬が投与されていたことなど、GCP上の問題とされたもので、今回の申請に関しては、申請者の判断で本試験成績については評価対象の資料としてではなく、参考資料という位置付けで提出されたところです。御説明は以上です。
○吉田部会長 ありがとうございました。庵原先生、いかがですか。
○庵原委員 特に異存はございません。一番気になっていましたのは、用法・用量の24週を経過した後という、この経過というのが後ろは長く取れると解釈されたということで納得いたしました。ありがとうございます。
○吉田部会長 佐藤先生はいかがですか。
○佐藤委員 この薬は1回申請されているのですね。そのときの臨床試験、このPED-01試験というものだったのですが、ワクチンを接種した303名中157名が先ほど契約外施設ということで、乳児院で接種されて、GCP違反だということが指摘されました。したがって、これは本来であればメーカー側がきちんと臨床試験を行って開発していたはずのものであるわけです。今回、医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議から、これを早期にということで出てきたと思うのですが、検討会議の目的は製薬企業による未承認薬・適応外薬の開発促進に資することが目的であって、決して出来の悪い臨床試験の結果を救うことが目的ではないと思うのです。必要性が高いのは非常によく分かりますので、この薬を16歳未満の子どもたちに適応するのは良いと思うのですが、もし、これを承認するのであれば、せめて無償で提供させるなどを、検討していただきたいと思います。
○吉田部会長 無償にとは、どこに対してですか。
○佐藤委員 16歳未満の子どもには無償で提供するというぐらいのことはしていただきたいと思います。
○吉田部会長 それについては、部会が立ち入れる問題ではないと思うのですが、気持ちの上ではそうかもしれません。結局、企業が迷惑をかけたのです。しかも申請を遅らせる結果になり、とんでもないという、お怒りはごもっともだと思います。世界的に見ても小児を除いているのは日本だけだという現状もあるようです。委員の先生方、ほかに御意見はございますか。特にないようでございますので、それでは報告事項について御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上でございますが、事務局から何か御報告はありますか。
○事務局 次回の予定です。次回は3月13日(水)午後3時から開催させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○吉田部会長 それでは本日はこれにて終了とさせていただきます。御苦労様でした。


(了)

備考
 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 益山(内線2746)

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