ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会> 第7回足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会 議事録(2013年9月5日)




2013年9月5日 第7回足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会 議事録

労働基準局安全衛生部安全課建設安全対策室

○日時

平成25年9月5日(木)15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2


○出席者

参集者(敬称略)

大幢 勝利 小林謙二(座長)
小野辰雄 鈴木芳美
加藤正勝 金森勝三
小島政章 児玉猛
才賀清二郎 鈴木敏彦
高橋元 宮本 一
宗像祐司

オブザーバー

田村秀夫 (国土交通省大臣官房技術調査課長)
屋敷次郎 (国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長)

事務局

半田有通 (安全衛生部長) 奈良篤 (安全課長)
野澤英児 (建設安全対策室長) 釜石英雄 (主任技術審査官)
川越俊治 (技術審査官)

○議題

(1)足場からの墜落防止措置の検討
(2)その他

○議事

○事務局 それでは、定刻になりましたので、ただ今から第7回「足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会」を開催いたします。
 本日はお忙しい中、お集まりいただきどうもありがとうございます。
 私は、事務局を務めさせていただきます厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課建設安全対策室の高松と申します。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、半田安全衛生部長から挨拶いたします。
○半田安全衛生部長 安全衛生部長の半田でございます。
 本日はこの検討会にお忙しい中お集まりいただきまして本当にありがとうございます。
 この開催に当たりまして簡単に御挨拶申し上げますが、御案内のとおり、建設業の死亡災害の4割がこの墜落・転落災害ということです。このような問題に重点的に取り組んでまいりまして、先般も21年6月に労働安全衛生規則を改正いたしまして、足場からの墜落防止措置を強化したところです。
 併せまして、手すり先行工法等の「より安全な措置」、このような望ましい措置についても取り組んでいただくように指導もしているところです。
 この検討会の学識経験者の委員におかれましては、これらの安全衛生規則、あるいはこの関連通達等に基づくさまざまな措置の効果について、平成22年度から3年間、6回にわたって、その効果・検証等も実施いただいています。
 3つの報告をまとめいただくとともに、御提言を踏まえて、22年2月に「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱」を策定して、足場からの墜落・転落防止対策を推進しているところです。これまでの間の御協力に改めてお礼を申し上げます。
 今日からは、本検討会はまた新たな局面に入りまして、これまでの分析結果を踏まえ、足場からの墜落・災害防止対策をさらに進めていくためにはどうしたら良いか、という検討を行っていきたいと考えています。このような観点から、これまで検討会に御参集いただきました4名の学識経験者に加えまして、足場のメーカー・リース業者の皆様、あるいは足場を実際に使われる建設業・造船業のお立場の皆様からも御参加いただくとともに、国土交通省の関係部署からもオブザーバー参加をしていただくという、少し大人数になっていますが、関係者総動員で、この問題に取り組んで検討していただきたいとお願いしている次第です。
 本年4月からは、御存じのとおり第12次の労働災害防止計画が5カ年計画でスタートしています。この中においても、建設業の墜落・転落災害防止は重点として取り組むことになっているところです。
 このような話題に言及する際には、いつもいつも申し上げていますが、実は私事を申し上げて恐縮なのですが、私自身が土建屋の息子ですし、弟はやはり建設業を営んでいます。また、娘婿はその建設会社の職員と、こういう建設に深いところでもありまして、この建設業の墜落・災害防止というのは切実なものがあります。ぜひこのようなことを進めていきたいと考えています。
 ただ、目指すところは、皆様方の目標は1つ、同じだと思いますが、それに至る道、これにはなかなか険しい道もありまして、いろいろな道があります。どういった道を選んでいくことがより速やかに高みに到達できるのかについては、いろいろ検討の余地があろうかと思います。皆様方の知識・御経験を生かして、より速やかにその高みに登っていけるような道筋を見つけていければと思っています。
 どうぞよろしく御協力のほどお願い申し上げます。
○事務局 次に、資料の確認をいたします。資料を御覧ください。
 まず、議事次第が1枚あります。1枚めくっていただいて、資料1として本検討会の開催要綱が裏表1枚あります。
 次に、資料2として、「足場からの墜落防止対策に関するこれまでの取組と現状」という資料があり、それが裏表印刷で21ページあります。
 次に、資料3として、足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会検討スケジュール(案)があります。これは1枚です。
 最後に、資料4として、本検討会の論点(案)が1枚あります。
 次に、委員の皆様限りではありますが、過去3回にわたって本検討会で報告書を作りましたので、その報告書が3年分あります。
 まず、平成23年1月にまとめました報告書が1部、次に、平成24年2月にまとめました報告書が1部、最後に平成25年6月にまとめました報告書が1部あります。この報告書については、傍聴者の皆様におかれましては、厚生労働省ホームページからダウンロードできますので、興味がある方は御確認いただければと思います。
 過不足があれば、お知らせいただきますようよろしくお願いいたします。
 次に、参集者の皆様の紹介に移ります。
 先ほど半田部長が申し上げたとおり、今回の検討会からは、これまで足場からの墜落防止措置の効果について検討していただいた4名の学識経験者に、新たに足場メーカー・リース業関係団体及び建設業・造船業関係団体からも加わっていただくとともに、国土交通省からも担当課長にオブザーバーとして参加いただいています。
 そのため、改めて本検討会開催要綱の参集者名簿の記載の順に、皆様を紹介させていただきます。
 まず、学識経験者の皆様からです。本日は御欠席ですが、大阪大学大学院人間科学研究科教授の臼井伸之助様。臼井様は本日体調不良により欠席と承っています。
 独立行政法人労働安全衛生総合研究所建設安全研究グループ上席研究員、大幢勝利様。
 本検討会の座長である関東学院大学工学部建築学科教授の小林謙二様。
 東京工芸大学工学部建築学科教授の田村幸雄様。田村様は、所用により欠席と承っています。
 続きまして、本日の検討会から加わっていただいた関係団体の皆様です。
 まず、足場メーカー・リース業関係団体から、全国仮設安全事業協同組合理事長の小野辰雄様。
 一般社団法人仮設工業会会長の鈴木芳美様。
 一般社団法人軽仮設リース業協会会長の関山正様。関山様は所用により本日欠席で、本日は関山様の代理として、同協会常務理事、原田保様に御出席いただいています。
 続きまして、建設業・造船業関係団体から、建設労務安全研究会理事長の加藤正勝様。
 一般社団法人全国中小建築工事業団体連合会副会長の金森勝三様。
 一般社団法人全国建設業協会労働委員会委員の小島政章様。
 一般社団法人日本造船工業会全国造船安全衛生対策推進本部本部長補佐の児玉猛様。
 一般社団法人建設産業専門団体連合会会長の才賀清二郎様。
 一般社団法人日本建設業連合会安全委員会安全対策部副部会長の鈴木敏彦様。
 建設業労働災害防止協会技術管理部長の高橋元様。
 全国建設労働組合総連合労働対策部長の宮本一様
 一般社団法人住宅生産団体連合会CS・労務安全管理分科会主査の宗像祐司様。
 また、オブザーバーとして国土交通省から、大臣官房技術調査課長の田村秀夫様。田村課長は、遅れて来場されるとの連絡を受けています。
 次に、土地・建設産業局建設市場整備課長の屋敷次郎様。
 なお、本検討会の参集者には鈴木様が2名いらっしゃいますので、議事録につきましては、仮設工業会の鈴木様を「鈴木(芳)委員」、日本建設業連合会の鈴木様を「鈴木(敏)委員」と記載することを御了承くださいますようよろしくお願いいたします。
 では、続きまして、事務局より自己紹介申し上げます。
 まず、半田安全衛生部長 次に、奈良安全課長。次に、野澤建設安全対策室長。次に、釜石主任技術審査官。次に、川越技術審査官。最後に私、高松です。よろしくお願いいたします。
 また、議事に移ります前に、本検討会は第6回までと同様に一般の方の傍聴も可能としており、資料及び議事録についても、厚生労働省において公開されることをあらかじめ御了承ください。
 次に、傍聴される方への注意事項を説明いたします。
 傍聴される方におかれましては、静粛を旨としていただきますようよろしくお願いいたします。
 また、その他のことについては、座長及び事務局の指示に従っていただきますようよろしくお願いいたします。
 報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでといたしますので、御了承ください。
(報道関係者退出)
○事務局 それでは、以後の進行を小林座長にお願いいたします。
○小林座長 皆さん、こんにちは。座長を仰せつかりました小林です。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど来お話がありますように、3年前からの検討委員会がありますけれども、これまでの間、平成21年6月の改正労働安全衛生規則から、さらに通達が出まして、改正規則及び部長通達に基づく措置に関して、その効果について検証をしてきました。
 厚労省でいろいろ立入検査等をしたデータについて検討を加え、墜落防止措置の効果について検討をしてきましたが、その時学識経験者4人だけで検討をしました。今回は、各関係団体から多数おいでいただいて、いろいろな意見をいただきながら、活発に議論をして、目標としては今年、年内をめどに結論をまとめたいということになっていますので、活発な御議論をぜひお願いしたいと思っています。よろしくお願いいたします。
 まず、それでは議事ですが、議事次第にありますが、資料1は本検討会の開催要綱で、その裏が先ほど御説明のあった各委員の方の御紹介ですので、資料2の部分から事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○川越技術審査官 それでは、お手元の資料2に従って、厚生労働省の川越から内容を説明いたします。
資料2を御覧ください。「足場からの墜落防止対策に関するこれまでの取組と現状」ということで資料をまとめています。
 まず、「これまでの取組」ですが、冒頭挨拶でもありましたように、建設業の労働災害の約4割を墜落・転落災害が占めているということから、これまでも重点として取り組んできたということでして、墜落・転落災害の動向について、次のページを御覧ください。
 労働者死傷病報告に基づく休業4日以上の死傷者数の推移を表とグラフにしたものです。平成14年から平成24年まで表していますが、このように実数で書いてある部分です。平成14年に2万6,295人から、規則改正を経て平成22年には1万6,143人まで減っていますが、その後、平成24年まで増加傾向にあります。これが建設業全体の発生状況です。
 その中で、墜落・転落災害、これがその下の表になりますが、平成14年から減少傾向にありますが、さらに規則改正を経て平成22年に5,408人、また平成24年までに若干増加しているという状況が分かります。
 この中で、本検討会の対象の足場からの墜落・転落災害の動向を見ますと、平成14年から既に減少傾向ではありますが、規則改正を経て平成20年から22年にかけて大きく減少したところです。そこから、平成23、24年と増加傾向にあるということが言えます。
 また、括弧で記載している数字は、死亡災害の内数です。
 次に、死亡災害の状況で、どのようなところから落ちて亡くなっているのかということで、死亡災害だけの状況をグラフにした円グラフがあります。
 右上にある足場については、平成24年は、建設業全体で157名の方が墜落・転落災害で亡くなっていますが、うち24名、15%の方が足場からの墜落によって亡くなっています。
 そのほか、屋根、はり、建築物等からの墜落・転落による死亡者を、それぞれ数値を挙げています。屋根・はり等建築物、開口部等からの墜落防止については、足場が設置できる場合もありますが、そうでない場合もあります。このように、いろいろな場所から落ちているということが、これからも分かるかと思います。
 1ページ目に戻りまして、墜落・転落災害の状況がありますが、平成21年6月から改正労働安全衛生規則を施行し、足場からの墜落防止措置を強化しています。
 また、これに合わせて、手すり先行工法等の「より安全な措置」の普及を図っているところです。具体的には、資料の4ページからになりますが、図を用意しましたので御覧いただきたいと思います。
 4ページの1として「墜落防止措置」、2として「飛来物防止措置」と分けて書いていますが、この2つについて規則を強化しています。
 平成21年の改正前は左側にありますとおり、単管足場については、高さ75センチメートル以上の手すり1本で良かったものが、改正後については、手すりの高さを85センチメートル以上としなければならない、合わせて35センチメートル~50センチメートルの位置に中さんを付けなければならない、といった改正をしました。
 また、わく組足場については、以前は交さ筋かいがあればよしとしていましたが、規則改正により、交さ筋かいに加え、高さ15センチメートル~40センチメートルの位置に下さんを付ける、または手すりわく、こういったものを付けることにより墜落防止措置を強化しています。
 また、これに合わせて、飛来物防止措置として、以前は明示的な規定はありませんでしたが、飛来物を防止するための10センチメートル以上の幅木を取付ける、またはメッシュシートなどで覆うということが義務化されています。
 これに加え、合わせて通達を出しまして、より安全な措置というものを推奨し、指導してまいりました。
 より安全な措置をそれぞれの足場について申し上げると、単管足場については、2段手すりにさらに幅木を追加する。わく組足場の場合には、先ほどの状態に上さんを追加する。また手すりわくであればそれに幅木を付ける、そういったことを行うことで、開口部が少し減り、より安全な状態になるということで推奨をしています。
 また、5ページ目を御覧いただきたいのですが、足場の組み立て時の最上層の墜落防止措置として、手すり先行工法を推奨して指導しています。
 手すり先行工法とは、この絵にありますように、下の段から上の段の手すりをあらかじめ付けることができ、床をつけた後で上に上がった時には、手すりが付いた状態で作業ができるという工法です。これについては、これまで3年間の評価検討会の中で、採用率を監督署が立ち入った現場について調査しており、下のグラフのようになります。
 全体でわく組足場について調べています。わく組足場について限定しているのは、このような手すり先行工法が使いやすい足場として、わく組足場があるからです。通常の単管足場では手すり先行はできませんので、わく組足場だけで見ると、平成21年度は、全体で40.6%であったものが、23年度については、44.2%まで増加しています。
 一方、そのうち民間の工事については、平成21年度は20.3%であったものが、23年度については、28.4%と若干増加しています。
 このような状況ではありますが、公共工事においては、国の仕様書などで使用することが明記されているということから、普及が進んでいますが、そういったものがない民間についてはそれより低い普及率になっているということが言えます。
 また、このような措置については、その関係規定を次の6ページから8ページまで付けています。
 6ページの一番上に第518条がありますが、これは改正した条文ではありませんが、今後、足場からの墜落防止措置を検討するに当たって、関係する規定ではありますので、一応用意をさせていただきました。
 その次の作業床の第563条、この中で、2メートル以上の作業場所には足場を設置する、その場合の足場の要件を規定しています。この中の第1項第3号において、先ほど図で説明したような措置が定められています。
 また、その下の第6号で、物体の飛来・落下による労働者への危険を防止するための措置が明記されています。
 7ページにわたって、足場の組立て時の作業に関する条文、これは最上層のときに、特に関係している条文ですので、第564条の第1項第4号に足場材の緊結、取りはずし、受渡し等の作業にあっては、幅20センチメートル以上の足場板を設け、労働者に安全帯を使用させるなど、労働者の墜落による危険を防止するための措置を講ずることといった条文があります。
 また、これに合わせて、足場の組立て時の作業主任者の選任、職務が定められています。
 また、第567条で点検の義務があり、こちらについても、前回の改正時に墜落防止措置に関する点検の義務を追加しています。
 具体的には、その次のページになりますが、上から2行目の第4号のところで、先ほど説明した第563条の第1項第3号、イからハまでの設備の取り外し及び脱落の有無、また、その次の幅木等の取付けの状態、取りはずしの有無等が点検の中に盛り込まれているというものです。
 また、合わせて第3号で、このような点検を行った時の記録の保存義務があります。
 合わせて、建設業について特有の規定です。注文者について義務が書かれており、足場についての措置として、第655条に、足場を請負人の労働者に使用させるときの規定として、こちらに書かれているような規定があります。
 特に、前回強化されたところとして、第2号の「強風、大雨、大雪等の悪天候又は中震以上の地震の後においては、足場における作業を開始する前に、次の事項について点検し」ということで、この中に先ほどの墜落防止措置が、ニとホに追加されたものがあります。
 また、合わせて注文者についても、このような点検を行った場合に、点検結果の保存義務があります。
 これ以外にもいろいろ条文はありますが、ポイントになる条文についてこちらに用意をいたしました。
 このような状況がありますが、改正の際に、規則改正の施行後3年をめどに規則等に基づく措置の効果の把握を行って、必要があると認められるときは、その結果に基づき所要の措置を講ずるということを厚生労働省が通達で書いてきており、それを受けての本日の検討会です。この検討会で検討・検証を行ってきたということです。
 これまでの検討会の経緯について、資料の9ページ目から用意しています。
 第1回が平成22年8月25日に開催され、第2回、第3回と業界団体に対するヒアリングを実施いたしました。そのようなヒアリングを踏まえて効果検証の方法を確認し、第4回で報告書案を取りまとめ、次のページになりますが、平成23年1月に第1回目の報告書を取りまとめています。この時、合わせて、平成21年度に発生した足場からの墜落災害を分析しています。
 続いて、同様の検証方法で、第5回検討会を平成24年1月に開催し、この時は平成22年度に発生した足場からの墜落災害を分析し、公表しています。公表したのは平成24年2月です。この報告書をまとめていただく際に提言がありまして、その提言を受け、厚生労働省として、「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱」を策定し、これに基づき、関係団体等に対策の徹底を要請し、指導を強化しているところです。
 続いて、第6回として、今年3月26日に開催して、この時に平成23年度に発生した足場からの墜落災害について分析し、報告書をまとめています。
 ここまでがこの検討会の経緯です。合わせて、第5回の提言を受けて行政が策定した推進要綱の内容について少し触れたいと思います。ページ数は11ページ目から要綱の周知のためのパンフレットを添付していますので、こちらをポイントのみ御説明いたします。
 まず、1ページめくっていただいて12ページを御覧ください。
 「足場からの墜落防止措置を検討する際の基本的な考え方」として、やはり建築物の設計段階から足場の解体まで、それぞれの段階ごとにきちんと一定のポイントを踏まえた対策を計画的に実施するということが大事であるということで、考え方をまとめています。
 国が労働安全衛生法で努力義務となっているリスクアセスメントの考え方として、次の安全対策を検討する上での基本的な考え方というもので、優先順位があります。
 まず、検討に当たっての優先順位の1つ目として、そもそもの危険性を低減する措置を行えないかどうかということが優先順位の1つ目です。足場について当てはめてみると、足場自体がない工法が採用できないか、「無足場工法」、「大組・大払工法」など、高所作業の少なくて済む工法、作業方法の採用ができないかどうか。
また、高所での組立・解体作業を必要としないゴンドラや高所作業車の採用ができないかどうか、といったことをまず検討いただくということです。
 その検討を踏まえて、足場が必要だということになった時に、次の優先順位を検討いただくということで、工学的な対策を検討いただくということです。足場について当てはめてみると、手すりなどをきちんと設置するということで、物理的に落ちない状態をつくるということです。また、組立・解体時であらかじめ最上層に手すりを付ける、といったこともこのような工学的対策です。
 そのような検討の次に考えられることとして、管理的な対策、これについては、危険箇所への立入りの禁止、安全ネット等の設置による墜落距離の低減、また、作業主任者による適切な作業の指揮、作業マニュアル等の作成、安全教育の実施といったものがあります。
 さらに、そのような対策を講じた上で、最後に残るところ、これが個人用保護具の使用です。例えば、足場に当てはめてみますと、臨時に手すり等を取り外す際、組立・解体時に手すりがない時、一方は開口部になっている時に安全帯を使用する。さらに、安全帯の使用に当たっては、付け替えの時の墜落を防ぐために「2丁掛」にする対策、このようなものが検討する上での基本的な考え方として示しているものです。
 次のページにある内容は、法令に基づく墜落防止措置と合わせて実施することが望ましいより安全な措置示しています。
 先ほどの説明になかったところで、すき間がないように設置するということも明記しており、この床材と建地の間隔が開いているような場合には、仮に手すり等を設置した場合でも、開口部が広くなってしまうということで、このような措置も合わせて実施していただくように指導しているところです。
 手すり先行工法の採用、また足場の点検の確実な実施として、チェックリストを使って点検を行うというようなことも指導しています。
 その次のページから、足場に関連する各作業段階において留意すべき事項ですが、建築物等の設計の段階での留意事項として、これは発注者に対して求めていることですが、高所作業が少なくて済むような工法ができないか、これがまず第1番目です。
 その次に、足場の設計・計画段階、これはそれを請け負った元方事業者や足場の設置業者等が検討することになりますが、足場で一番危険なのは組立・解体時、特に最上層の墜落防止ですので、そのようなところについては、先ほどあったように、高所作業が少なくて済むような工法の採用、また、「つり足場」などの場合、特にリスクが高いものですので、このようなものを使わずにゴンドラや高所作業車、そのようなものを用いることができないか。また最上層での組立作業を行う場合に、安全帯だけで行うということではなくて、例えば手すり先行工法等の設備対策、これができないか、そのようなことを優先的に採用してくださいということです。
 その次に、通常作業時における墜落の防止として、墜落する「すき間」が少ない足場にするということです。幅木などを使ってすき間がないように設置する、このようなものが大事だということを推進しています。
 また、不安全行動が多いということがこれまで分析結果の中から出ています。足場の外側を昇降設備を使わずに上ってしまうということから、足場の中にきちんと昇降設備を作っていただく。ただ、狭い足場ではなかなか難しいので、ハッチ式の床材を使って設置する方法なども示しています。
 次に、足場の組立等の作業段階での措置として、作業手順に基づく作業の徹底を言っています。また、労働者にきちんと周知させるということです。
 また、「作業主任者」がポイントになりますが、その職務が、きちんとなされてない場合がありますので、その選任の義務と職務を適切に行わせるということ。また、5メートル以上が法定の義務ですが、5メートルに満たない場合でも、作業指揮者を選任・指名し、同じような職務を行っていただく、そのようなことを書いています。
 また、作業主任者自体の能力を向上していただく、そのようなことで、直近の災害動向などを踏まえて、現場できちんと対策をしていただく。実際に効果・検証検討会の中であった事例ですけれども、安全帯を着用したにもかかわらず使用していなかった、せっかく安全帯を使っていたのに、安全帯自体が破断してしまって墜落を食い止められなかった、そのような事例があります。そのようなことで、安全帯の使用状況の監視、安全帯の機能の点検等を作業指揮者、作業主任者できちんと行っていただくということが重要だと考えています。
 その次に安全帯の使用として、安全帯を使用するためにはその適切な取付設備がないといけないので、その設備の設置を推奨しています。
 また、足場の最上層で組立作業を行う場合には、当然、安全帯取付設備を設置して作業をすることになりますが、残念ながら墜落に至っている場合があります。せっかく安全帯を使用していたが、かけ替えのときに墜落する、そのような事例があります。そのため、「安全帯の二丁掛け」、また衝撃を緩和するための「ハーネス型安全帯」の使用、このようなことを推奨しています。
 「手すり先行工法」、これも1つの重要な対策です。手すり先行工法ガイドラインがありますので、それに基づいて作業を行っていただく。また、手すり先行工法を採用した場合であっても、妻側や躯体側からの墜落というのがあります。安全帯を併用するということも併せて規定しています。
 また、足場の点検ですが、足場が計画どおり作成されているかどうか、それが完成した後に、きちんと点検をするということが必要です。この点検については、十分な知識・経験を有する人が、足場の種類に応じたチェックリストを使って必要事項を漏れなく点検するということが大事です。そのようなことから、「点検実施者」として望ましい者として、「足場の組立て等作業主任者能力向上教育」の修了者など、複数ありますが、そのような講習を受けた方など知識・経験を有する者に行っていただく。合わせて法定の義務である点検で異常を認めた場合の補修、点検結果の記録なども記載しています。
 1ページめくっていただきまして、足場の上で作業を行う場合での留意事項を記載しています。
 まず、足場上での作業について、きちんと作業計画を定めて作成して、それに基づいて作業してほしいということです。どうしても途中で手すりを外して作業をしなければいけない場合などもあるかと思いますが、そのようなことも含めて作業計画の中で復旧までをきちんと作業計画に入れていただく、ということを求めています。また、手すりをどうしても臨時に外す場合については、その作業時に安全帯の使用を徹底する。
 また、作業を行っている際に、関係のない方がその場所に入った時に復旧していないところから墜落するということがあります。そのようなことを防ぐために、そのような場所への関係労働者以外の立入禁止、臨時に取り外した手すり等の復旧及び責任者への報告、ということが必要だということを記載しています。また、安全帯の使用、足場の点検などについても実施していただきます。
 その他の留意事項として、やはり不安全行動が多いということもあります。安全衛生教育が重要ですので、それを実施していただきたいということです。また、教育をすることによって、法令で定められているところをきちんとやっていないという状況を少なくしていくことができると考えています。
 また、足場上での整理整頓、労働者の健康管理、そのようなことも示しています。実際に災害事例で、放置されていた資材等でつまずいた例や、ふらついてそのまま落ちたものがあり、これは、健康上の理由があったのだと思いますが、そのようなことで墜落している例があります。
 このようなことを法定の義務に限らず、より安全に行うための総合的な対策として推奨しているところです。
 また、このような措置を行う主体、いろいろございます。そのようなところにも何を行っていただくかというのを総合対策の中で明記しておりまして、17ページにあるような発注者、元方事業者、設置業者、設置業者以外の業者、実際に作業を行う労働者、関係団体、足場機材メーカー、そのようなところにそれぞれ必要なものを求めています。また、行政もこのようなことをしっかり周知していくということで取り組んでいるところです。
 合わせて、その次の最後のページに災害事例2例を載せています。
 これは安衛則に基づく措置を実施しており、かつ不安全行動もなかった中で、災害に至った例です。それを紹介したものです。
 例えば、左側の災害事例○1ですが、最上層で足場の組立てを行っていた労働者が墜落したのですが、安全帯を使っていたのに安全帯が破断してしまった。このようなことを防ぐために安全帯をきちんと点検していただきたいということを紹介しています。
 また、災害事例○2で、橋梁のつり足場の作業中にめまいが発生して、つり足場の開口部から落ちた例があります。このようなところの開口部を少しでも埋めるために幅木等の設置、より安全な措置で示したような、より開口部が少なくなるような措置が重要であるということを示しています。
以上が要綱の説明です。
 続いて、これまで検証を行ってきたものの最後の報告書であります、平成23年度の労働災害の発生分を分析した報告書のポイントだけ説明いたします。
 検証・評価結果として、総括評価です。平成23年度に発生した足場からの墜落・転落災害については、平成22年度と同様の傾向が見られたことから、引き続き、安全衛生規則に基づく墜落防止対策の徹底を図る必要がある。
 また、組立・解体時の最上層からの墜落防止措置として効果が高い「手すり先行工法」については、普及率に若干の増加が見られるが、普及率は低調であり、より一層の普及を図ることが労働災害防止に効果的である。
 また、足場からの墜落・転落災害防止対策推進要綱を策定し、その推進を図っていることから、同要綱の徹底を図り、足場からの墜落防止対策を推進することが重要とまとめています。
 細かい分析は報告書を見ていただきたいと思いますが、一番ポイントとなるものをその下に図として示しています。今回、分析した墜落解体時の最上層からの墜落災害、これが合計で118件起きており、また、通常時の作業などで304件の災害が起きています。この合計の422件全体を規則に基づく措置を講じていたか講じていなかったかで分類しますと、規則に基づく措置を講じていたものが全体の約1割、それ以外の約9割はそのような措置がなかったという状況があります。
 安衛則に基づく措置を行ったもののさらに内訳を見ますと、不安全行動があったかなかったかです。不安全行動があったのは38件、不安全行動がなかったものが6件ということです。不安全行動の防止と安全衛生規則に基づく措置、この両方がなければ災害は防げませんので、その両方をしっかり守っていただくということが大事であると思っています。
 ちなみに、安全衛生規則に基づく措置を実施していなかった方でも、不安全行動のあるなしを分類しておりまして、全体で不安全行動があったものというのが178件あります。そのようなことで、この安全衛生規則をいかに守らせるかということも重要な論点であると考えています。
 続いて、各論についてまとめたものを紹介いたします。20ページから2ページありますが、ポイントになりますので、中身を紹介いたします。
 まず1つ目、組立・解体時における足場の最上層からの墜落災害です。その中で、規則で定められている安全帯の使用、20センチ以上の足場板の設置というのがありますが、この措置がなされていたかどうかという観点で分析した結果です。
 措置を実施したにもかかわらず被災したものは118件中7件でありまして、このうち不安全行動等がなかったにもかかわらず被災した事案は2件であったことから、同条に基づく措置の災害防止効果は高いと分析しています。
 また、安全衛生規則に基づく墜落防止措置の徹底に加え、適切な作業計画の作成やこれに基づく作業の徹底が重要、安全帯の使用方法を労働者に徹底することや、安衛則に基づき、安全帯の点検の徹底が必要であると結論付けています。
 次に、足場の組立て等作業主任者の選任が必要な作業もありますので、この状況を分析したものです。
 死亡災害が30件ありまして、そのうち組立・解体時における最上層からの墜落災害は11件ありました。その中で、必要な資格を有する作業主任者を選任し、かつその作業主任者が職務を適切に実施していたもの、これはありませんでした。
 いずれにしても、これは規則に基づいて作業主任者の選任、職務の徹底を図ることが適当であるとまとめています。
 また、作業主任者の職務の徹底の他、労働安全衛生法第19条の2に基づく能力向上教育の受講勧奨などによる資質の向上も必要とまとめています。
 続いて、通常作業時における墜落災害の関係ですが、安衛則の第563条第1項第3号で、墜落防止措置が規定されていますが、この措置を実施したにもかかわらず被災した事案は304件中37件ありました。12.2%です。このうち不安全行動等がなくて被災した事案は4件、1.3%であり、同条に基づく災害防止効果は高く、引き続き安衛則に基づく措置の徹底を図ることが適当としています。
 また、個々の事例を分析した上で、規則に基づく措置の徹底の他、足場上の作業手順の徹底、日ごろの足場の点検などによる不備の排除、不安全行動を生じさせないような昇降設備の設置などが重要、また、手すりなどを臨時に取り外して作業を行う場合の措置を安全衛生教育の場を活用して労働者に徹底することが必要としています。
 併せて、通達に基づく「より安全な措置」について効果を分析しており、これは当然のことながら、安全衛生規則よりも上回る措置ですので、同等以上の効果は認められます。
 安衛則に基づく措置を実施していたが、「より安全な措置」を実施していなかった32件を分析したところ、幅木を設置していれば防ぐことができた可能性が高いと考えられるものが1件ありました。そのようなことで、幅木の普及もそれに努めることが必要と結論付けています。
 また、足場上での作業の状況、現場の実情に応じた措置を適切に選択する、そのようなことが必要であるとしています。
 また、通達に基づいて、「床材と建地のすき間」について効果を分析しています。建地の幅よりも狭い床材を使用し、それが災害につながった事例がありました。これは、工事の制約からそのようなものを使っていたのですが、そのような災害が1件ありましたので、やはり床材と建地のすき間を作らないように設置するということが大事であるということです。
 また、当然のことながら、物理的に考えても、そのようなすき間をなくすことは「下さん」や「中さん」との合わせ技で災害防止対策の効果を高めるものですので、そのような趣旨をきちんと徹底することが必要としています。
 次に、足場の点検について分析したものですが、足場の設置段階からの安全衛生規則に基づく墜落防止措置が不十分であった事案がほとんどであったことから、安衛則に基づく足場の点検の実施について、さらに徹底が必要である、また、点検の実施者となる者の能力の向上、点検の実施の際にチェックリストを使用する、そのようなこともきちんと普及することが必要とまとめています。
 最後に、手すり先行工法について分析しています。組立・解体時の最上層からの墜落防止対策に直結するものですが、手すり先行工法を採用した現場での墜落災害が全体の1.7%であったことから、手すり先行工法は最上層からの墜落・転落防止に効果が高いということが言えると思います。
 また、ガイドラインに基づく適切な手順に基づく作業、これを実施していなかった事例があります。それで災害に至っているものもありますので、手順の徹底が必要です。当然ながら、安全帯の使用をしなければ落ちるという場合があります。併用することが望ましいということが分析されています。
 また、通常時の作業において、手すり先行工法の効果についても記載されておりまして、特に据え置き型については、それが残っていきますので、法令に基づく措置がきちんと残っていくということから、墜落防止の効果も高いと言えます。
 しかしながら、こちらについても適切な手順を守らなければ同様に墜落につながるものがありますし、また、手すりわくがあっても、身を乗り出して作業を行うということで、落ちている例があります。安全帯を併用することが望ましい場合もあるということが分析されています。
 このような状況で、これまでの取組と現状については以上です。
○小林座長 どうもありがとうございました。
 資料2に関して、平成21年6月の規則改正以降、22年からの委員会での検討の状況、経過及び検討委員会の検討結果に関する報告書のポイントなどを説明いただきました。
 資料2に関するこれらのことに関して、多分、御質問、御意見あろうかと思いますが、これに関していかがでしょうか。
○宮本委員 ちょっと2点ほど質問がございます。
 1つは、(資料2)5ページ目の手すり先行工法の調査結果が出ているわけです。これは母数がどのぐらいかというのを分かれば教えていただきたい。あるいは地域、首都圏だとか東京だとかあるいは全国的なのかどうか、その辺のことも分かれば教えていただければというふうに思います。
 2点目は、その安全帯の活用、使用ということなのですけれども、この安全帯の使用ということについて、厚生労働省としての使用状況ですね、厚生労働省としてのそのデータというのはありますでしょうか。この点お願いします。
○小林座長 母数については、平成23年度報告書の5ページぐらいのところでよろしいですか。また、2ページ辺りにもパーセンテージが出ていますが、これについても上に表があります。御質問の1つめの母数の話は平成25年に作成された報告書についてのものでしょう。
○川越技術審査官 それでは、こちらから説明いたします。
○小林座長 御説明ください。
○川越技術審査官 一応、本日、委員限りで報告書を全部印刷してお配りしていますが、平成25年の6月にまとめた一番最後に付いている資料に、これのもとになったものがあります。
 概要としましては、3ページをめくっていただくと、手すり先行工法の採用状況として、発注者別わく組足場というのが左上にあるかと思うのですが、母数は全体で平成23年度に監督署が立ち入ってわく組足場であったもの、これが2,207件、その中での分析結果です。
 地域別については、この分析では行っていませんでしたので、地域別のデータは今、手元にはありません。
○小林座長 この報告書のグラフはちょっと見にくいかと思うのですが、厚労省のホームページに確かカラーのグラフがありましたね。
○川越技術審査官 失礼いたしました。少し見にくいほうを紹介してしまったので、報告書の別添でこの調査の報告をそのまままとめておりまして、ずっと後ろの方になりますが、参考資料の別添の2にこの調査結果の詳細を載せています。
 最初、文字でまとめていますが、後ろの方でそれぞれグラフにまとめております。今の表は8ページを見ていただくと、わく組足場で発注者別で分類したもの、これが民間と全体、また国の発注工事でどれだけ手すり先行が採用されたかということが分かるようになっています。
 ちなみに、全体で44.2%、民間で28.4%、国の発注工事では79.8%で採用されているという結果です。参考資料別添2の8ページです。よろしいでしょうか。
○小林座長 先ほどの御質問の地域別のデータについてはどうですか。
○川越技術審査官 地域については分析しておりません。
 また、安全帯の使用については、足場の組立て時の最上層の措置に安全帯を使っていなくて落ちた数字というのはそこで分かるのですが、一般的な安全帯の使用率、そのようなものについては、データとしてはありません。
○小林座長 よろしいでしょうか。その他によろしいですか。はい、どうぞ。
○小島委員 全建から来ました小島です。
 少し細かい話なのですが、今の資料2の2ページのところの労働災害発生状況の推移のところで、平成23年度の数字が並んでいます。そのうち足場からというふうに細かくされていまして、建設業の足場からの死亡者数が25という数字がありますね。
 それで、先ほど私どもいただいているこの25年6月の検討会報告書の23年度発生分というところの数字、例えば5ページを見ますと、28というふうに見てとれます。もちろん、これはまとめたところのタイミングとか確定値とかさまざまな要素があるとは思うのですが、どちらが正しいというのは重要なく、相対的な話なのですが、分析の状況として、今後、どちらを正として話をしていくのかというだけはお聞きいたしたいと思います。
○川越技術審査官 資料2の2ページにあります労働災害の発生状況については、年単位、暦年単位でまとめておりまして、暦年ベースで表示しています。
 また、これまで効果検証・評価検討会で分析してきたデータは、各年度単位で監督署に提出された労働者死傷病報告をもとに大きく分類しておりまして、死亡災害については、監督署が調査した死亡災害報告をもとに分析をしています。そういう意味では、若干、時期が1、2、3月での発生数によってこちらの数字が異なっている状況があります。
○小島委員 確認ですが、こちらの資料はいわゆる国の年度ということで、4月から翌年の3月という理解でよろしいのでしょうか。
○川越技術審査官 そのとおりです。年度は4月から翌年の3月まで、暦年は1月から12月まで、そのような違いがございます。
○小林座長 よろしいでしょうか。
○大幢委員 ですから、資料2の2ページ目の表で年度と書いてあるのを、「度」を取るということでよいのではないでしょうか。これは年単位なので、年度ではなくて年ということでよろしいのでしょうか。
○川越技術審査官 資料2の2ページ目は暦年です。
○大幢委員 年ですね。報告書が年度ですね。
○川越技術審査官 報告書は年度でまとめています。施行日が平成21年6月だったために、それの効果を検証するということで、年度という単位を取って、分析をしています。
○小林座長  ただ今御指摘になった部分というのは、この2ページ目の表ですが、年度を取って「年」でよろしいということですか。どうもありがとうございました。
 他に御指摘ありますか。はい、どうぞ。
○高橋委員 建災防の高橋です。
 資料の見方ですが、先ほど御説明いただいた21ページの3番、手すり先行工法についてという記述があります。資料2の平成23年度発生分のポイントの21ページの3番の(1)です。確認なのですが、(1)で組立・解体時における最上層からの墜落・転落災害について、というところの検証の中で、上から2行目のところですね。「墜落・転落災害の1.7%であった」ということなのですが、1.7%であったことから、手すり先行工法のその最上層からの墜落・転落防止効果が高いというように結論付けていますね。
 これは、要するに手すり先行工法の採用率が28%であったからということが背景にあるのでしょうか。
○川越技術審査官 おっしゃるとおりです。
 一般的な建設現場での足場の手すり先行の普及状況が全体で3割ぐらいですので、3割で採用されているということを考えると、災害の発生率が1.7%ということは、かなり小さいのではないかということは言えます。
○高橋委員 要するに、この墜落・転落災害があったものが、全体の中でどのくらいの手すり先行工法であったかは調べてはないということですね。一般的なそういうデータからこういう結果を出したということですね。
○川越技術審査官 死傷病報告をもとに分析しているので、実際に起きた災害が手すり先行工法かどうかが必ずしも分からない場合があります。手すり先行工法を採用していることが分かった場合で事故があったものは2件あります。あとは、先送り式の手すり先行工法だと、死傷病報告をもとにした分析では分からない部分がありまして、仮に先送り式のものがこの他にあったとしても、ある程度効果は高いということだけは言えると考えています。
○高橋委員 はい、分かりました。ありがとうございました。
○小林座長 他に御質問、御意見、いかがでしょうか。
○小野委員 委員長、ここでは今の説明に対する質問でしょうか。意見もいいのでしょうか。
○小林座長 御質問、御意見、これをお聞きになった上での御意見もいただいても結構でございます。
○小野委員 そうですか。意見も良いわけですね。
○小林座長 はい。
○小野委員 それでは、私は、協同組合の小野と申します。
 私自身はこの要綱では、足場のメーカーとかリース関係の代表ということになっていますけれども、私どもの組合員の中には、足場の組立・解体を代行でやっている業者もたくさんいます。そういう意味で足場のメーカー・リース屋さん、代行の現場のとび職の合体が私たちの団体です。そういう具合に理解してもらいたいと思います。
 それで、私も、これについては、個々に質問はあるのですが、実は、これだけの書類をこんな厚いもの、しかも21、22、23年分を全部総合的に連結して、この場で理解しろというのは無理なのですね。無理なのですが、私は過去3回のこの検討会を傍聴しており、3回分の資料をいただいてありました。今日はそれに追加する資料というのはほとんどないのです。ないものですから、過去3回いただいた資料をもとに分析と統計を図りまして、いろいろ新しいこのつなぎの統計の表も作ってまいりました。
 それをもとにして、いろいろ提言なりも申し上げたいと思います。
 例えば、先ほど宮本さんが手すり先行工法の母数がわからない。ここでつなぎ合わすと全部わかります。だから、そういうものは全部解決された文書を作ってまいりました。
 そんなことでぜひ質問もありますし、それに対する意見と提言もございますので、ぜひこの文書を皆さんに配付させていただきたいと思います。ぜひお受け取りになっていただいて御検討いただければなと思います。
 なお、この文書については、私たちを指導してくれている通称足場議連ですけど、足場からの墜落・転落災害を撲滅するための国会議員による足場議連という形の議員さんの団体から私たちも指導を受けています。それで指導を受けた結果の文書です。
 それから、もう一つ、労働法に関するスペシャリストの弁護士さんにいろいろ指摘いただいて、それも加味してこの文書を作らせていただきましたので、ぜひ御覧になっていただければ非常に分かりやすくなっています。
○小林座長 今、差し当たって御質問、御意見は、事務局の方から御説明いただいたこれまでの経過とレポートに関してに限らせていただきたいと思うのですよ。まだ、この後ありますから。
○小野委員 ええ、結構ですけどね、私はですから、そういういろいろな皆さんの今、御質問をいろいろお伺いしますと、この文書の中に全部包含されているのです。しかも3年分を全部つけていますので。
○小林座長 分かりやすく説明していただいた資料ができているということですか。
○小野委員 そうです。3年分つなぎ合わせるというのはなかなか至難のわざなのですね、こういう短時間の中で。それでかなり統計的にもなっていますので、ぜひこれを参考にしていただければ。
 しかし、この根元になっているのは、全部厚労省さんから出していただいたデータをもとにしています。新たなデータ、ここに入れていません。そんなことでぜひ御理解いただいて、これを御検覧いただければなと思います。ありがとうございます。
○小林座長 事務局、いかがですか。
○川越技術審査官 参考になる資料ということで提言いただいたようですので、皆さんがよろしければ。
○小林座長 これは今までの経過と成果を補足する形で読ませていただくということでよろしいですね。今ではなくてですね。
○小野委員 3カ年分のデータを根元にして、それをつなぎ合わせた統計とか何かになっています。非常に分かりやすいのではないかと思いますし、それに対する私たちの立場としての意見、質問もその中に、意見と提言をこの中で述べさせていただいています。
○小林座長 ありがとうございます。
○小野委員 もしこれを簡単に説明しろということであれば、ぜひ説明をさせていただきたいです。
○小林座長 多分、御意見をいただく場所がこの後で事務局から調整をしていただいて、別途あると思いますので、そこでまた詳しくやっていただければ。
○小野委員 また後で時間をとっていただければありがたいと思います。
○小林座長 これの趣旨は今伺いましたのでわかりました。ありがとうございます。
 そのほかに今まで、資料2に関しての御質問あるいは御意見ありましたらいただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。はい、どうぞ。
○高橋委員 この資料2の2ページの先ほどの足場からの墜落の括弧書きの数字ですけれども、私の記憶では、22年にこの45というのが建災防の中で非常に問題になって、分析してみたのですけど、確かつり足場からの墜落で急激に増えたというのは覚えがあるのです。それに対する緊急対策をやった途端に減ったということがあるので、ここだけ特異なのはそういう影響ではないかと思うので、何かその足場の種類ごとというのはどこかに統計はあるのですか、それはないのですか。
○川越技術審査官 本日用意はしていないのですが、次回以降そのようなものも含めて適宜用意してまいりたいと思います。
○高橋委員 分かりました。
○小林座長 ここに書いてあるのは、我々の普通の意識で45にどかんと増えているというのはちょっと違うというお話ですね。
 その他いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、その次に資料3ですね。先ほどの資料2の後にあります検討のスケジュールということで、ヒアリングに関して、特に日程の調整をしなければいけないということになっているものですから、それの説明をお願いいたします。
○川越技術審査官 資料3を御覧ください。
 本検討会の検討スケジュールを年内をめどに結論を得るということから、逆算をしましてこのようなスケジュールを立てています。既に、各委員の御予定を確認させていただいておりまして、なるべく多くの方が出席していただける日程としてこのような形で決定したいと考えています。
 また、そこで行う検討内容ですが、本日9月5日第7回はこれまでの現状の説明と今後の検討スケジュール、論点の検討です。
 その次、第8回、第9回で、本日御参集の関係団体からの代表で出ておられる皆様方からのヒアリング、意見表明を行っていただこうと考えています。
 その次としまして、その意見表明をいただいたものを事務局である程度整理して、11月19日の第10回でそのような論点、それぞれの意見を取りまとめていくヒアリングの結果を踏まえて墜落防止措置がどういうものがあって、どういう意見があるかということを提示したいと思います。
 それをもとに、12月16日第11回で報告書の案を出し、予備日として12月26日を設定いたしました。
 以上です。
○小林座長 どうもありがとうございます。
 予定としましては、こういう形でスケジュールを考えられていますけれども、何かこれに関して御質問がありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 これはいわば予定の話だけですので、御異論あまりないかと思うのですが、そうしましたら、スケジュールの詳しい中身ですね、今、ここで各団体のヒアリングのスケジュールを決めさせていただきたいということですので、それもお願いいたします。
○川越技術審査官 スケジュールでは、第8回、第9回で、皆様方からの意見表明の場を設けたいと考えていますので、意見表明を行う意向のある団体と、そうでない団体があるかと思いますので、今日この場で少し確認をさせていただきたいと思います。
 また、推薦団体からそのような話を聞いていないということで、本日、意向表明を行うかどうか、回答できないという団体があるかどうか、その3つをこれから尋ねてまいりますので、関係団体の皆様、挙手をお願いしたいと思います。
 まず、この検討会で意見を表明する意向のある方、挙手をお願いいたします。
 小野委員、宮本委員、加藤委員、才賀委員、他はございませんでしょうか。
○小林座長 四方だけでよろしいでしょうか。
○川越技術審査官 あとまだ聞いてまいりますので。宗像委員も意見表明されるということですね。
 では、次に、ヒアリングで意見を表明する意向のない委員の方、挙手をお願いいたします。関山委員、児玉委員、金森委員。
 最後にヒアリングで意見を表明するか否か、この場では回答できないので、後日事務局に伝えたいという方がいらっしゃれば挙手を願います。
 鈴木委員がお二人ですね、また、小島委員もですね。
○金森委員 済みません。訂正します。後日もう1回意向を出します。
○川越技術審査官 建災防はいかがですか。意見表明しない、ということですね。
 それでは、続きまして、ヒアリングで意見を表明する意向のある方に希望の日程を今日分かる範囲でできるだけ事務局で整理したいものですから、聞かせていただきたいと思います。
 10月4日と10月7日、どちらでも可。この3択で尋ねていきます。
 10月4日に意見表明を希望される方は挙手を願います。小野委員。
 10月7日に意見表明を希望される方は挙手してください。才賀委員、宮本委員、宗像委員。
 どちらでも構わないという方は。加藤委員、金森委員。ありがとうございました。
 それでは、おおむね確認ができましたが、本日、意向を表明されていない委員もいらっしゃいますので、後日事務局へ意見表明を行うかどうか意向をお知らせください。
 その上で、事務局で日程を調整し、決定した上で改めて各委員へヒアリングの日程をお伝えいたします。
 以上です。座長、お願いいたします。
○小林座長 どうもありがとうございました。
○小野委員 座長、いいですか。
○小林座長 はい。
○小野委員 今のこのヒアリングの件なのですけど、やはり皆さん、言いたいこと、表明したいことはなるべく私は文書で出しておいてもらえれば、みんなが問題を共有できるという意味では、言葉だけで流すのではなくて、私、きょうこの文書、この中には意見も入っていますけど、こういう形で出していただければ、すごく後々問題解決もしやすいのではないかなと思います。できたら、こういう文書で皆さん出していただければ共有できますのでということなのですけど、いかがでしょうか。
○小林座長 あらかじめそういう余裕があればと思いますけれども、よろしいですか、事務局。皆さん、あらかじめ出していただいて、委員の方々、それをあらかじめ読む時間があれば、それのほうがよく理解できると思いますので、そういう時間的な余裕はありますでしょうか。
○才賀委員 逆に全国的に問題が出ていると、それを集める時間があるので、無理という点もあると思うのですよ。だから、出せる人は出すということでいいのではないですか。
○小林座長 そうですね、はい。そういうことでまとめていただいてよろしいですか。
 余裕がありましたら、各委員にお送りいただくとか、あるいはメールに添付していただくとか、できれば、あらかじめ時間をとりたいということです。よろしくお願いします。
○川越技術審査官 では、そのような形で進めます。
 事前に団体の意見を事務局にお送りいただける団体があれば、それは私どもで受け取って各委員にお流しすることもしたいと思いますし、当日いただいているものは資料として配った上で意見を表明いただく。また、資料を用意されない団体におかれては、口頭で行う団体もあって構わないと考えています。その場合は、事前に資料をお配りすることはできませんが、そのようなことの確認でよろしいでしょうか。
 それでは、そのようにお願いいたします。
○小野委員 皆さんの意見が分かれば、委員全員がそれがいいと思います。
○小林座長 よろしくお願いいたします。
 今のスケジュールに関してはよろしいでしょうか。その他に何か。
 それでは、肝心な点ということになるかもしれませんけれども、今の資料3の次に、一番最後のページになりますが、資料4があります。
 ここで何回かの検討会を通じて検討をしていただく、あるいは意見もできるだけ取りまとめるということにしたい部分でありますが、ここには論点と書いてありますけれども、それを御検討していただきたいと思うのですけれども、それについて事務局、御説明お願いします。
○川越技術審査官 お手元の資料4を御覧ください。
 事務局として作成しました論点(案)です。先ほどの報告書でまとめてきた観点と同じような形で項目を立てました。
 1つ目として、「足場の組立て又は解体時の最上層からの労働安全衛生規則に基づく墜落防止措置は十分か」。ここに「十分か」とだけ書いてありますけれども、仮に十分でない場合、どういった措置を強化するのか。その強化する策として、今、より安全な措置ということで推奨している部分もありますが、そのようなものの現場での実施可能性も含めて、ぜひこの論点で議論いただきたい点です。
 2つ目として、「通常作業時等の安全衛生規則に基づく足場から墜落防止措置は十分か」。こちらについても、十分でない場合に取り得る措置も含めて、そのようなものの実現可能性等も含めて議論いただきたいと考えています。
 3つ目として、「安衛則に基づく足場の点検義務は十分か」。こちらについても、不十分というような話がありましたら、そこで取り得る策についても、その実現可能性等も含めて御議論いただくということで3つ目の点として挙げています。
 4つ目として、「安衛則に基づく墜落防止措置を履行させるための取組は十分か」と書いています。これは、仮に今回の検討会で規則を強化するということがあれば、そのような強化した部分も含めたものを考えていまして、現在、足場から墜落した災害の9割が法違反、規則の措置が十分なされていないという現場ですので、その措置を実施していない方にいかに守っていただくかという観点が、4つ目の論点として挙げたものです。
 また、そういう意味では安衛則と書いてありますけれども、例えばより安全な措置で、これまで通達ベースで指導してきたものを引き続き通達ベースでやるようなものが出てきた場合に、そのようなものであっても規則ではない方法で推進する方法、そのようなこともここの4つ目の論点で議論できればと考えています。
 このような論点を案として提示していますが、皆さんの御意見をいただきたいと思います。
○小林座長 どうもありがとうございました。
 これは重要な点であると思います。いろいろ御意見おありかと思いますけれども、これに関してどうぞ御意見いただきたいと思いますが。
○小島委員 先ほど意見のところで、高橋委員のほうからも、この足場からの災害のデータで、つり足場の話が出ました。
 それでこういう報告書には細かなところで、例えばわく組み足場からとか、つり足場とかとかいうので事例としては載せているのですが、死亡災害だけかもしれませんが、足場の内訳をぜひいただきたいと思います。
 むしろそれで、しかも最上層からの墜落というのと、通常作業時での墜落というのは、恐らく死傷病報告からも推定できると思いますので、これは私でも、その23年度までのデータであれば出せることは出せるのですが、あくまでも公式にこうですというのを出していただけたらなと思います。
 それからこの論点も、この一くくりの足場というのではなくて、厚生労働省は、わく組足場とわく組足場以外という表現にされていますが、そういう論点で意見表明していかないと、話が混乱すると思いますので、そこはぜひ意見表明するときも、整理をしてお話をしていく必要があるのではないかという意見です。
○小林座長 今のお話、例えば定義や何かも含めてというお話ですか。
○小島委員 いや、法的には、この規則の改正では、わく組足場とわく組足場以外という表現はなされていますので、それはそれで結構なのですが、意見表明するときに、一まとめにした話をすると話が少しずれる可能性があります。そのため、ぜひ、「わく組足場では」とか、「つり足場では」といった表現をしていかないと、もちろん先ほど来申し上げています効果の検証をするとか、措置が十分か十分でないかというようなところがはっきり見えてこないものですから、お願いをしたいと思います。
○小林座長 はい。いかがでしょう。
○川越技術審査官 足場の種類をさらに細かく分析すべきというお話で、それを意見表明の際にそのようなところも含めて意見表明をきちんと、足場で分けてすべきだというお話だと思いますが、行政としましては、これまでデータは持っていますので、分析を追加でやることはある程度できると思います。
 意見表明を皆様が用意するに当たって、今のような資料を先に分析してお渡しして、それで分析、意見表明をいただくのか、タイミングとしてもう少し遅いタイミング、例えば意見表明の際に出していいのか、それとももっと後の実際にどうするかを検討する時、それは11月になると思いますが、その際に間に合うように分析をすれば良いのか、その辺りを確認したいのですが。
○小林座長 どうぞ。
○小島委員 小野委員が先ほど出されたように、このような公式な報告書に基づいて小野委員はこれから御意見をされるということです。
 私も23年度のデータとか22年度のデータとか、死亡災害のみですけれども、数字上のチェック・分析は死亡災害データベースの文章を読み取ってやってはいるのですが、あくまでも私が個人的にやっているものですから、それを意見表明の場に出しても、いわゆるオフィシャルではない形になるので、できればオフィシャルなところの数字で意見を言う方がより効果的ではないかということです。死傷者数について今から出すのは大変だと思いますが、1年で20数件、22年度だけだったら45件、大した数字ではないと思うので、このような数字は出せないのかなということです。死亡災害に限ってです。
○川越技術審査官 今、お話のありました死亡災害については、早急に事務局で追加で確認して、分析した結果を全委員にメールにてシェアをいたします。
 それ以外の部分についても、事務局のほうで引き続き取り組んでいきますので、足場の種類ごとのデータがある程度取りまとまるようでしたら、それも随時情報提供させていただいて、そのようなものも参考に皆様で意見を述べていただければと考えています。
○小林座長 はい。
○才賀委員 今のその足場のそれだけ細かく調べていただけるのならば、職種もついでに調べていただけませんか。例えば大工が落っこちているだとか、鉄筋屋が落っこちているだとか、とび職が落っこちているのだとかということで、事故が分かればそこまでわかるでしょう。
 そうすれば今のこの場の問題ではなく、今後現場に行って、こういう事故で大工さんが多いとか、鉄筋屋が多いというような事例が言えるので、各業者さん、安全についてもう少し真剣に取り組むのではないかなと思います。足場だけのことではなく。足場の死亡、157人調べるならついでにどの業種か分かれば調べてもらいたい。
○小林座長 先ほど宮本委員からも言われましたように、いろいろ各団体ごとにそういう御要望、あるいはそれぞれに応じて自分たちのいわば対応を考えよう、あるいは検討項目を考えようということにもなると思うので、できればできるだけ詳しいお話を聞かせていただければとは思います。
○川越技術審査官 今、才賀委員からお話のありました職種別については、こちらで持っているデータを確認して、データとしてあるようでしたら分析してまたシェアしたいと思いますが、まず、データで管理している項目の中にあるかどうか、それを確認したいと思います。分析できるようでしたら、その旨またお知らせいたします。
○小林座長 はい、どうぞ。
○宮本委員 論点案の4に含まれるものなのかどうかということなのですが、24年度の死亡災害理由に足場というのがあるのですが、屋根・はりというのが最大の墜落の原因ということになっていまして、経年的に今、数字がありませんので、何とも言えないですが、今日は足場から発生した災害の検討ということですが、この論点4のところに、例えば就業形態の問題だとか安全経費の問題だとか、そういう足場というところも含んだものの論点を私は主張するつもりなのですが、そういうものが含まれてもいいのかどうかというのを確認したいです。
○小林座長 いかがでしょう。
○野澤建設安全対策室長 今の宮本委員からの御指摘ですが、この検討会そのものは要綱にありますように、基本的には安衛則の改正が行われた、あるいはより安全な措置についての遵守状況を踏まえて、今後どういう対策に取り組んでいくか、それについての検討をいただくというのが基本的なベースです。
 ただ、それに付随して、いろいろな関連することがあれば、掘り下げた議論ができるかどうかは、そのテーマによると思いますし、なかなか所管外のことをあまり掘り下げるということは難しいかもしれませんが、そのようなことも重要であるというような意見があったとか、そのような形での報告書への取りまとめ方というのは、もちろん検討会での検討の結果ですが、一般論としては可能かなと思っています。
○宮本委員 それはその他というか、その論点のその他のところで可能ですよということで理解してよろしいでしょうか。
○野澤建設安全対策室長 事務局としてはそう思っていますが、検討会のことですので、最終的には検討会で御議論いただければと思っています。
○小林座長 その他というくくりではなくて、それぞれの項目にも多分かかわりのあるような、今、言われた要因というのはあると思うので、はっきりそういうふうに分かるとは思いませんけれども、それぞれについて必要な指摘もしていただければ、それで良いのではないかと思います。その他に。
○宗像委員 住団連の宗像です。
 先ほど小島委員がおっしゃった、足場の種類ということについては、それぞれイメージをはっきりさせてお話をいただくのがありがたいというふうに思います。
 足場というふうに言葉を使いますと、ここにいらっしゃる多くの委員の方がイメージされる足場と、住宅で扱う足場と、種類は違いませんけれども、全く違うものという観点が出てくると思いますので、ぜひ御議論の中ではそこははっきりさせていただくというか、それの前提をはっきりさせて議論が進むと良いなと思っています。
○小林座長 よろしいでしょうか。
 事務局、今のようなお話、それでよろしいですね。
○川越技術審査官 できるだけそのような分析データもお示ししながら、それに沿って御議論いただければと考えています。
○小林座長 どうもありがとうございました。
 その他に論点に関しまして、御意見、御質問はありますか。
○小野委員 この論点に関してですけど、先ほど宮本さんの御意見、それから、住団連さんの御意見をお聞きしていまして、それから、建対室長さんの御回答をお聞きしまして思うのですが、私は、墜落災害の15%から20%が今で言う足場だと。ですから、その部分に限ってということになれば、墜落災害は撲滅できないですね。もともと安衛則というのは、全て2メートルを超える高所作業における規制をいろいろしているわけですよ。
 ですから、現状、足場と言われるものだけに限っていてはだめだと思います。例えば、屋根・はり、斜面、法面、みんな2メートルを超えたところで、これは足場ではないと分解、分離すること自体が間違いだと思います。
 私は、先ほど提言書の中でそういうことも書いています。ですから、それを分解すべきではないと思います。というのは、高所作業は全て足場だという捉え方をしないと改革できないと思います。
○小林座長 事務局、いかがですか。
○才賀委員 それはおかしい。それは小野さん、おかしい。
○小野委員 いや、ですから、それはそれで御意見として言っていただければ良いわけです。
○才賀委員 だから、それはきちんと分けるものは分けないと、何でもかんでも足場と言われたのでは、ごみも宝物も同じになってしまいます。
○小野委員 ええ、ですから、分解しながらでいけば良いわけですよ。その都度その中で問題を掘り起こしていけばいいと思います。ですから、今現状言われるその15%、20%に相当する足場の部分に限ってこの会議がやるのだということになれば、大きな方向に行きません。
○加藤委員 労研の加藤ですが、高所作業車でやる場合だって、それはその場で含めましょうかとか、そういう幅広くなってくると際限ないでしょう。法面だとかという話になってくると。
○小野委員 いやいや、そんなことないですよ。
○加藤委員 全部がそうだよという話はおかしいと思う。
○小野委員 いやいや、高所作業車を足場で、という見方は私もしません。だから、自立式の足場だ、つり下げ足場とか、そういう大きな分解の仕方によってできるですよ。住宅用足場もそうです。住宅用足場は足場ではないということではないと思います。
 ですから、法面、斜面の面というのは、それはJISで決まった足場設備というのはJISであるわけですよ。あるいは屋根工事用足場のJISも既にあるわけですよ。
○鈴木(敏)委員 よろしいですか。すいません。日建連の鈴木です。
 やはり今この場では、足場というように限って、高所作業でいえば鉄骨建て方も高所作業になりますし、論点が相当ぼけてしまうと思うのですね。そして、まして今、手すり先行工法なりかなり具体的にもう足場に限った内容も出てきていますので、そこに絞った議論をやはりすべきではないかというふうに思います。
○小林座長 部長からの一番初めのお話もありましたけれども、やはりまずは足場ということがテーマになっていますので、宮本委員が言われたようなお話で、いろいろな要因は考えなければならない部分がある、あるいはかなり大きい要因として、それは重要であるということもあるでしょうけれども、ここでは、論点としてまずは足場ということで、皆さんに検討していただきたいというわけです。
 もちろん、その中で検討すべき項目というのは、事務局が先ほども説明されたように、その中にはいろいろな形の要因が含まれるということを報告書の中に盛り込むということはできると思うのですけれども、今までの御意見を伺っていますと、具体的に論点として掘り下げるということに関しては、あまり議論を拡散させたくない、その方向しかないかなというふうに思っています。
○小野委員 足場は足場で、今現状対象になっている足場ですね、それはそれで掘り下げてそれはいくべきだと思います。しかし、それに直接関連しないものは全く違うのだという外し方はまずいと思います。
○小林座長 今のような話で事務局、よろしいでしょうか。小野委員言われたようなことはもちろん別の離れた話としてもちろん検討しなければいけないとは思いますけれども、ここでは主として足場に限るということですね。
○野澤建設安全対策室長 先ほど申し上げたように、安衛則の改正とより望ましい措置ということで、あるいは災害の発生状況を見たときに足場と、その他に屋根とかはりとかある中で、そこでは足場の設置がどうかというような問題が全く否定されるわけではないので、議論としては出てきても良いと思っていますが、まずは我々の最初の宿題としては、安衛則の改正なり、より望ましい措置について今後どうしていけば良いか、あるいは論点の4番にあるように、どう守ってもらわなければいけないか、報告書の中には、現行規則をどう守ってもらうかというのが大事だというような考え方も言っていますので、そこからスタートする中で、足場の中にはおっしゃるように、屋根に設ける足場もある、JISもあるというふうに承知していますので、そういうところに話が行くことを否定するわけではないのですが、基本的には現行の通常のというか、わく組足場なり想定されている足場をまずは検討する、そういうことかなというように事務局としては思っています。
○小林座長 ありがとうございました。そういうことで御了解いただきたいと思います。
○小野委員 ええ、了解するしないとは別ですけどね、とにかくその墜落災害をなくすという大きな課題ですね。こういう視点から捉えて、先ほど皆さんにお配りさせていただいた提言書なのですけど、これを簡潔に、ほんの数分ですけど、ぜひ語らせていただきたいと思います。
○小林座長 今ですか。
○小野委員 いやいや、議長が指図する時間で結構ですけど。
○小林座長 この中身というよりも、先ほど趣旨みたいなものはお伺いしましたので、中身に関してはまた。
○小野委員 いや、安衛則を主題に今考えています。
 だけど、私、安衛則を離れたことはあまりこの中では言っていないのですよ。ほんの数分で結構ですけど。
○小林座長 では、2分。
○小野委員 いいでしょうか。2分ですか、かしこまりました。
 私たちは、とにかく墜落災害は撲滅するというのはもう国家的、社会的問題だという捉え方を、私たちだけではもうないのですが、足場議連の皆さんが言われます。結局、先ほども言ったのですけど、専門の労働の法律家も加わっていただいてこの提言書をまとめたわけです。
 なお、議連からは皆さんの御意見もぜひ議連に聞かせてほしいということを求められています。はじめに、墜落災害の実態とその問題点としては、国交省直轄の工事と民間の工事で災害の官民格差が歴然としているというのが大きな問題なのです。
 それから、被災者は30人未満の企業で90%を占めていると、300人以上の元請、大企業は1人も死亡者がいないということ、一人親方の実態も全然把握されていないということです。
 それから、この検証委員会、過去3回の結果ですけど、結局、手すり先行工法の絶対的な効果の実態を直視していないようなやり方、安衛則、安衛則ということを中心にずっとやられてきている。ところが、手すり先行工法をやった結果としては、手すり先行をやった場合は58分の1の被災率です。現状、例えば23年度でも、もし全部にこれ該当させれば422人から11人に減りますということです。
 こういうことをぜひ、これは総合的なデータの中から直視していただきたい。いつも安衛則中心、安衛則中心といくからもう改革ができないのだということです。
 それから、点検の問題ですけど、第三者点検がされていないと、1%前後だと。ですから、80%も点検をやったという実態がありながら、何でそんな事故が起きるのですかと、第三者点検のやはり有効性がそこで問われなければいけないということです。
 それから、問題解決のための提言なのですけど、結局、労働災害を撲滅するには、安全な作業環境の実現は、労働者保護を目的とした労働法の立場から最低限の基準だと、それは強制力によって遵守されなければいけない問題ではないかということです。それには3つの絶対的対策の実施が必要です。
 それから、これも安全に関係することで、官・民の発注者の責任において、安全経費と労災保険料を別枠計上にするのだと、これらを含めた競争させてはいけないのだということですね。受注者の、元請の責任においては、安全経費が数次の下請にもやはり透明的に流れるように反映させる。それから、労災補償については、元請が一括して補償することによりそこで働く下請としての労働者、あるいは一人親方はもう安心して働けるようになる。こういう仕組みも安全にかかわる、直結することです。やはり公正な競争が担保されるということは労働法上の大事なことなのだということです。
 とにかく安全とか保険とか巻き込んだ、たたき合いの競争入札によって結局、労働者や下請に全部しわ寄せが来る仕組みなんて、それを外さなければだめなのだということなのです。
 それから、結局、90%も安衛則が実行されてないよと、何でそうなのだと。もうちょっと実行されるようにやはり民間の力を活用した監視制度を導入できるのではないかということです。
 それから、この安衛則の中で2メートル、5メートル、10メートル問題があるのですよ。結局みんなばらばらなのですね。2メートル以上には足場をかけなければいけないと、それができない場合、安全帯を頼りに。結局、安全帯に頼った結果が被災者は全部自己責任で葬られていると、こんなことではだめなのだ、やるべきことをきちんとやるのが安全対策だと思います。
 それから、5メートル以上だけ作業主任者を配置すると言ったって、5メートル未満で半分以上の災害が起きているのに、5メートル未満では何で作業主任者がいらないのだという話です。作業指揮者だけ、作業指揮者とは一体何なのだということです。
 10メートル問題は、60日を超えて10メートルを超えるものだけ、88申請なんて、それ以下のものは88申請もしていないのだから、結局、そこで圧倒的に多くの災害が発生しているということですよ。
 それから、一側足場ですけど、これは第563条から外されている。全然、そこで規制がかかっていない、だから、どうしてもそちらに逃げていく。だから、この辺の規制も考えなければだめだということです。そんなことで、全てがやはり足場絡みだと私は思います。
 以上です。
○小林座長 ありがとうございました。
 小野委員、時間、倍ぐらい御意見いただきましたけど、詳しくはまた述べていただく時間が取ることができますので、そのときにまたお話を伺いたいと思っています。
 今日の議題というのは、ここら辺まででよろしいのでしょうか。終わりに当たって、何か御意見あるいは御質問、今日の全体に関していただければと思いますけれども。
 なければ、予定時間も過ぎていますので、事務局から他に何かありますか。
○川越技術審査官 それでは、事務局から次回の予定等について確認させていただきます。10月4日金曜日13時から第8回を開催したいと考えています。
 また、第9回の検討会は10月7日月曜日15時からを実施することとしています。場所等まだ決まっていませんので、追って正式な通知をお送りします。
 関係の皆様から意見を述べていただく会ですので、どの団体がどちらの回に意見を述べていただくか、追って皆様に通知をさせていただきます。また、若干私ども宿題をいただいている分析データの提供という話がありますので、それについては、事務局で作業が終わり次第、提供いたします。
 そのようなことで、関係の皆様におかれましては、次のヒアリングで意見表明をされる準備をよろしくお願いいたします。
 以上です。
○小林座長 今、気がつきました。これは資料4に関しての論点ですけれども、整理して皆さんに申し上げなければいけなかったかもしれませんけど、具体的なお話としては、細かいお話、先ほどのような足場の細かい分類というのですか、限定した話でとかという、そういう話はありましたけれども、おおむねこの論点、この委員会ではこの事務局が示していただいた論点ということでよろしいということとして理解しましたので、そういうことでよろしいですね、論点に関しては。
○川越技術審査官 この論点に従って皆様方から、少しそれから派生するところも含めて提案書などはあるかもしれませんけれども、それは述べていただいて、その上でさらに検討会で議論していただくということで理解いたしました。
○小林座長 よろしくお願いいたします。
 それでは、今日はこれで閉会ということでよろしいですか。
 どうもありがとうございました。御苦労様でした。


(了)
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