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2013年3月8日 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 議事録

○日時

平成25年3月8日(金)
15:00~


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室


○出席者

出席委員(12名) 五十音順

 小 川   聡、 奥 田 晴 宏、 加 藤 総 夫、 佐 藤 田鶴子、
 武 田 正 之、 豊 見 雅 文、 野 田 光 彦、 林   邦 彦、
 平 石 秀 幸、 古 川   漸、◎松 井   陽、 本 橋 伸 高 
 (注) ◎部会長  ○部会長代理

欠席委員(9名)

 神 田 敏 子、 木 村   剛、 佐 藤 雄一郎、 鈴 木 邦 彦、
 手 島 玲 子、 増 井   徹、○松 木 則 夫、 村 田 美 穂、
 山 田 清 文

行政機関出席者

 平 山 佳 伸 (大臣官房審議官)
 赤 川 治 郎 (審査管理課長)
 俵 木 登美子 (安全対策課長)
 矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 佐 藤 岳 幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 中 野   恵 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。本日は、お忙しい中御参集いただき、ありがとうございます。
 本日の委員の出席についてですが、神田委員、木村委員、佐藤雄一郎委員、鈴木委員、手島委員、増井委員、松木委員、村田委員、山田委員より御欠席との御連絡を頂いております。現在のところ、当部会委員数21名のうち12名の委員の御出席を頂いていますので、定足数に達しておりますことを報告いたします。
 それでは、松井部会長、以後の進行をお願いいたします。
○松井部会長 皆さんこんにちは。よろしくお願いします。本日の審議に入りますが、まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。お願いします。
○事務局 事務局より、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員名簿を配布させていただいております。議事次第に記載されている資料1~14を、あらかじめお送りさせていただいております。このほか、資料12「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料13「専門委員リスト」、資料14「競合品目・競合企業リスト」を配布させていただいております。
 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料14の1ページを御覧ください。「ノウリアスト錠20mg」です。本品目は「レボドパ含有製剤で治療中の運動合併症を併発するパーキンソン病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページの「オングリザ錠2.5mg、オングリザ錠5mg」です。本品目は「2型糖尿病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページの「ネオキシテープ73.5mg」です。本品目は「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページの「メトレレプチン皮下注用11.25mg『シオノギ』」です。本品目は「脂肪萎縮症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 5ページの「イノベロン錠100mg、イノベロン錠200mg」です。本品目は「Lennox-Gastaut症候群に対する他の薬剤との併用療法」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 6ページの「アリセプトドライシロップ1%」です。本品目は「アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○松井部会長 ありがとうございます。ただ今の事務局からの説明に、何か特段の御意見はございますか。ないようですね。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては委員の皆様の御了解を得たものといたします。
 委員の先生からの申出状況について報告してください。
○事務局 議題1「ノウリアスト」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は小川委員、野田委員です。
議題2「オングリザ」、退室委員は野田委員、議決に参加しない委員は小川委員、武田委員、平石委員です。
議題3「ネオキシテープ」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は武田委員、平石委員です。
議題4「メトレレプチン」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は加藤委員、武田委員、平石委員です。
議題5「イノベロン」、退室委員はなし、議決に参加しない委員は小川委員、武田委員、野田委員、平石委員、本橋委員です。
議題6「アリセプトドライシロップ」、退室委員は野田委員、議決に参加しない委員は小川委員、武田委員、平石委員です。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。本日は審議事項が6議題、報告事項が5議題を予定しております。各委員の皆様方の申出状況を踏まえて、検討の順番を議題1、2、6、3、4、5の順で進めたいと思います。よろしくお願いいたします。
 議題1に入ります。機構から概要を説明してください。お願いします。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ノウリアスト錠20mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。まず、本剤の概要について説明させていただきます。審査報告書3ページを御覧ください。
 本薬は、アデノシンA2A受容体の選択的拮抗薬であり、ドパミン系に作用する従来の抗パーキンソン病薬とは異なる作用機序でパーキンソン病の症状を改善することが期待され、開発が行われました。アデノシンA2A受容体は、線条体-淡蒼球の間接経路におけるGABA作動性の神経細胞に発現しており、そのアデノシンA2A受容体に対する拮抗作用により、間接経路の過度なGABA作動性出力を低下させることによって、パーキンソン病に対する効果を表すと考えられています。
 本薬は、協和発酵キリン株式会社により開発が進められ、2007年に米国で新薬承認申請が行われましたが、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□米国での開発は中断しております。2013年2月の時点で、本薬は、海外において承認取得及び販売は行われておりません。本邦では、米国と同じく協和発酵キリン株式会社により開発され、今般、国内の臨床試験成績を基に申請がなされました。本品目の審査に関して、専門委員として資料13に記載されている委員を指名しました。
 本品目の審査の概略について説明させていただきます。有効性について、審査報告書58ページの国内第III相試験の項を御覧ください。こちらの試験は、レボドパ含有製剤で治療中のウェアリングオフ現象を併発しているパーキンソン病患者を対象とした試験であり、有効性評価項目である1日平均オフ時間の変化量、このオフ時間がマイナスになることによって改善が示されていることを意味しています。こちらの結果が表9に示されております。
 表9にお示ししたとおり、本薬20mgと40mgで、ともにプラセボに対して有意なオフ時間の短縮が示されました。本薬20mgと40mgのプラセボに対する優越性は再現性をもって示されており、いずれの用量においてもウェアリングオフ現象を併発しているパーキンソン病患者において、オフ時間の減少効果を期待して使用が可能と判断しました。
 また、副次評価項目ではありますが、同じく58ページの下から3行目に記載しているように、UPDRSpartIIIという、パーキンソン病における運動機能障害の程度を評価するスコアの評価において、40mgではプラセボに対して有意差が認められました。一方で、先ほど示された20mgと40mgのオフ時間短縮効果について、用量間の比較においては20mgと40mgで差は見られませんでした。
 以上のような有効性の成績より、本薬の20mgと40mgは、それぞれパーキンソン病のどの症状に有効性が期待されるかを把握した上で使い分ける必要があると判断し、審査報告書90ページの一番下の下線部にお示ししていますが、用法・用量に関連する使用上の注意の1として記載しておりますように、患者のオン時の運動機能の改善も期待する場合は40mgが投与できること、また、40mgでは、20mgを上回るオフ時間の短縮効果は認められていないということを注意喚起することが妥当と判断しました。
 続いて、安全性について説明いたします。審査報告書59ページの表10にお示ししているとおり、また、その詳細な安全性評価は審査報告書75ページにもお示ししていますが、プラセボと比べて本薬で多く発現する有害事象として、不随意運動であるジスキネジーが見られました。ジスキネジーはドパミン系の抗パーキンソン病薬でも知られている副作用ですが、非ドパミン系薬剤である本薬でも注意すべきリスクであると考えます。しかしながら、国内臨床試験で認められたジスキネジーの重症度は、いずれも軽度又は中等度であり、ジスキネジーにより投与中止に至ったいずれの症例においても、中止後には回復が確認されたことから、これは許容可能なリスクであると判断しました。
 また、審査報告書89ページに記載しておりますように、非臨床試験の安全性薬理試験及び毒性試験から、本薬の潜在的なリスクとして、心筋虚血時の不整脈悪化、肺の炎症性変化、精神依存性などのリスクが示されております。これらのリスクについて、今まで臨床試験では明確に関連する所見は認められておりませんが、ヒトにおいて、これらに関連するリスクが発現しないかどうかというところは、製造販売後調査において情報収集する必要があると判断しました。
 以上のリスクに関しては、添付文書の「慎重投与」「重要な基本的注意」及び「その他の注意」に記載するとともに、医療関係者や患者様向けの情報提供資材も利用して、情報提供を行う予定です。
 最後に、製造販売後調査について、審査報告書の84ページ及び91ページを御覧ください。長期投与時の安全性及び有効性を確認することを目的とした使用成績調査を実施し、精神症状及びジスキネジーの発現状況、40mg投与例における安全性と有効性、並びに喫煙者、肝機能障害患者、虚血性心疾患患者及び呼吸障害を有する患者における安全性について、情報収集を行う予定です。
 以上のような検討を行った結果、本剤を「レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるウェアリングオフ現象の改善」の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において審議いただくことが適当であると判断しました。
 原薬及び製剤は、いずれも劇薬又は毒薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品にも該当しないと判断しております。再審査期間は8年とすることが適当であると判断しております。また、薬事分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほど、よろしくお願いします。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。
○加藤委員 二つ伺いたいと思います。一つは、この薬物がFDAで□□□□□□□□というのは、非常に記憶に新しいところです。一部、データなどありますが、米国や欧州のものはプラセボとの間の有意差が証明できていないのかと思うのですが、その後、どういう根拠があって、今回、このように国内で申請するのか。つまり、FDAの審査の際に有効性が証明できなかったことに対して、その後、何か状況の積極的な変化があったのか。その認識を変えるに相当するようなデータが得られたのかというようなことについて解説をしていただければと思います。それが一つ目です。
 二つ目は、アデノシンA2Aは、今、非常に話題になっているのは睡眠の制御に関係しているということで、睡眠制御のことからA2Aの遺伝子多型というのはかなり、例えばカフェインで眠くならない人と眠くなる人というのはA2Aの遺伝子多型によるということが、大分、エビデンスが出てきていると思うのです。これでも、幾分か睡眠関係の障害というのは、非常に率は少ないですが見つかっているようですし、もう一つは、そういう、行われた国によって遺伝子多型が、この薬物の薬効の強さ、効果に影響を及ぼしている可能性があるかということを、今後、どう考えていくか。その2点を伺いたいと思います。
○機構 FDAで□□□□□□□□一方で、国内で承認可能と判断された理由として、まず、FDAからの主な指摘事項としては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□という問題が主に指摘されていました。
 今回、国内で後期第II相試験と第III相試験という2試験が主要な試験として実施されておりまして、そのいずれの試験でも、本薬20mgと40mgに関して、オフ時間の減少効果が、日本では有意差をもって示されました。2試験によって、有効性が再現性をもって示されたと判断されています。その主な理由として、海外の試験ではオフ時間の評価に用いる患者日誌について、基本的にオフ時間の算出方法が2日分の記録から算出するという計画にしていましたが、日本ではデータの精度をより高めるために、7日分の日誌に基づいてオフ時間を算出するという工夫もしておりました。
 また、海外では、一部の試験においては、かなり多くの国が参加して試験を実施しており、その際の施設間差が試験の成績のばらつきなどに影響して、有効性が示されなかったのではないかという考察もなされております。
 また、先ほど御説明しましたように、UPDRSpartIIIのような副次評価項目においても、有効性を支持する結果が、国内臨床試験からは得られたと判断しておりますので、本邦においては承認可能な成績が示されていると判断しました。
 また、申請者からの情報ですが、米国での開発についても、中止したわけではなくて、今後、継続も検討しているということです。
○松井部会長 一番目の点についての回答です。加藤先生、いかがでしょうか。
○加藤委員 評価方法のばらつきが一番の原因であったと考えられるのですか。例えば米国の試験に対して、日本の評価方法をもう一度記録に照らし合わせて当てはめてみると、きちんと有効性が証明できるというような、後ろ向きの評価というものは、あり得るのでしょうか。
○機構 後ろ向きの評価というものは確認していないのですが、少なくとも、欧州で実施された試験というものが、陽性対照も設定していたのですが、その陽性対照もプラセボとの有意差が示されなかったということで、妥当性が確認できない試験であったところもあります。それに対して、各群のばらつきを見ると、日本の方が、特にプラセボ群で抑えられていて、評価が厳密に可能であったと考えています。
○松井部会長 よろしいでしょうか。アデノシンA2A受容体に関してはいかがでしょうか。
○機構 2点目に関して、申し訳ございません、A2Aの多型と本薬の有効性と安全性に関する影響は、治験においては情報が得られておりませんので、お答えすることは困難な状況となっております。
 また、本剤の製造販売後調査においても、基本的に、有効性・安全性の情報は収集しますが、現時点で、遺伝子多型のようなファーマコゲノミクスの情報まで収集することにはなっておりませんので、そちらについては、また、こういった薬剤が広く使用される中で、レスポンダーとノンレスポンダーのようなものの問題が分かってきたときに、改めてそういった検討の必要性も考慮すべきと考えております。
○松井部会長 まだ分かっていないということですが、いかがでしょうか。
○加藤委員 71ページに、内因性及び外因性、民族的要因というのがありますが、それについて何か情報があれば解説していただけますでしょうか。
○機構 まず、内因性及び外因性民族的要因というところで、例えば、先ほど御指摘のあったようなA2A受容体の多型の発現状況や、その頻度の有無というところまでは、申し訳ございません、確認しておりませんが、主に内因性民族的要因の違いとして、まず、血中濃度に違いがあるかというところは確認しましたが、特に日本人と外国人で本薬の血中濃度が大きく異なるような結果は示されておりません。
 外因性民族的要因については、基本的に、パーキンソン病における治療方法やその方針、使える薬剤に国内外で大きな違いはないと判断しております。
○松井部会長 よろしいですか。
○加藤委員 今後調査を進めていただいて、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□今度は証明できたというのは、やはり疑問として残ると思うので、それを的確に、明らかにしていっていただきたいと思います。
○機構 はい。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。
○本橋委員 この薬はカフェインの影響を受けないのでしょうか。と申しますのも、カフェインはアデノシンA1の拮抗薬であるとともに、アデノシンA2Aの受容体も拮抗する作用があります。ですから、カフェインを200mgや400mg摂取しているとパーキンソン病が改善するという論文も出ているのですが、今回、その辺りをコントロールしていたのでしょうか。
○機構 少々お待ちいただけますか。
○松井部会長 もしよろしければ、ほかに御質問があれば先に伺います。ほかの委員の先生方からありませんか。
 今の御質問への回答をお願いします。
○機構 手元の資料を確認する限りで、何かカフェインの摂取状況について調べた状況、あるいは治験で、そういったものがどう制御されていたかというところが見受けられませんので、恐らく、特にカフェイン摂取についての制限は掛けられていなかったと思いますが。申し訳ございません、現時点では手元にある資料からカフェインの影響についてお答えできるものがございません。
○本橋委員 カフェインの摂取量は個人でかなり違いますので、今回の結果に影響しなかったのかと考えました。特に日本では比較的いい結果が出て、□□□□□□□□□□□とすると、例えばコーヒーの摂取量なども影響していないのかという疑問を感じたものですから質問いたしました。
○機構 分かりました。その点を申請者に確認して、また、必要に応じて、製造販売後調査においてもそうした情報を収集すべきか検討させていただきます。
○松井部会長 よろしいですか。ほかの委員の先生方いかがでしょうか。
○加藤委員 追加のコメントです。今の御指摘のとおりで、カフェインの抗睡眠作用というのは、アデノシンA2Aノックアウト動物では、ないということが証明されていますので、A2Aの拮抗薬ということになると、どうしてもカフェインのターゲットとしても考えなければいけないと思う。先ほど少し睡眠のことを伺いましたが、それももう少し市販後調査が必要かと思いました。
○機構 御指摘ありがとうございます。
○松井部会長 ほかに御意見、御質問ございませんでしょうか。
 それでは議決に入りますが、小川委員、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。異議がないと認めますので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。
 それでは、議題2に移りますが、野田委員におかれましては、恐縮ですが、議題2の審議の間、別室で御待機ください。
── 野田委員退室 ──
○松井部会長 議題2について、機構から説明をお願いします
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品オングリザ錠2.5mg及び同錠5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。
 本剤は、サキサグリプチン水和物を有効成分として含有するDPP-4阻害薬であり、食事摂取により消化管から血中に分泌されるGLP-1の不活化酵素であるDPP-4を阻害することにより、GLP-1の血中濃度を維持し、血糖降下作用を示す薬剤です。2012年7月現在、本剤は欧米を含む世界69か国で承認されています。国内においては、DPP-4阻害薬として、シタグリプチンリン酸塩水和物、ビルダグリプチン、アログリプチン安息香酸塩、リナグリプチン、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物、アナグリプチンが既に承認されています。本品目の専門協議では、資料13に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 単独療法の有効性については、審査報告書61ページの表16を御覧ください。国内第II/III相試験の主要評価項目とされたHbA1c変化量について、本剤2.5mg及び5mg群のいずれにおいても、プラセボ群と比較して有意な低下が認められました。次に、64ページの図1と66ページの図2を御覧ください。二つの国内第III相長期投与試験のHbA1c変化量について、本剤2.5mg又は5mg投与により、52週時までの効果の持続が示されました。以上より、単独療法の有効性は示されたと考えております。
 併用療法の有効性については、審査報告書69ページの図3を御覧ください。国内第III相長期投与試験において、本剤と作用機序が異なる5種類の経口血糖降下薬との併用療法について、それぞれ52週時までHbA1cの低下が維持されたことから、各併用療法の有効性も示されたと考えております。
 安全性については、74~85ページの「(3)安全性について」の項を御覧ください。低血糖、新生物、心血管系リスク、過敏症、膵炎等の個別の検討結果を含めて大きな問題は見られていないことから、本剤の安全性は、許容可能と判断しております。
 製造販売後調査については、94ページの「(6)製造販売後調査の計画について」の項に示したように、目標症例数3000例、観察期間3年間の長期使用に関する特定使用成績調査が計画されています。当該調査では、低血糖症、胃腸障害、膵炎等に関する情報が収集される予定です。また、750mg/日を超えるメトホルミンを含め、糖尿病用薬併用例における安全性及び有効性や、腎機能障害患者、肝機能障害患者、高齢者における安全性及び有効性に関する情報も収集される予定です。
 以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
 本剤の再審査期間は8年とすることが適切であり、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬・劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。また、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議の程、よろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。特にございませんか。
○豊見委員 65ページの表20で、鼻咽頭炎というのが特徴的に多いような気がするのですが、この辺りには何か特殊な理由があるのでしょうか。
○松井部会長 どこが多いのですか。
○豊見委員 65ページの表20の1行目です。鼻咽頭炎というのがほかの有害事象に比べると多いような気がするのですが、何か理由というか、分かっていることがあるのでしょうか。
○機構 今、御指摘の表は、有害事象として出てきたものが拾われたということで、因果関係の有無にかかわらず、試験期間中に出てきた事象が拾われましたので、因果関係なしの事象も含まれています。なお、副作用ということで、因果関係が否定できない事象で見てみると、特に多く出ているという状況ではございません。
○松井部会長 今の説明でよろしいでしょうか。ほかにはいかがですか。
○奥田委員 専門外なので、素人質問で恐縮ですが、DPP-4の阻害薬、糖尿病薬というのは、今まで四つか五つぐらい出ていると思うのですが、こういうものを承認するときに、やはり、そういったものに比べて何かプラスアルファがあるかないかという判断はないのでしょうか。
○機構 重要な御指摘だと思います。本剤は、先ほど説明しましたように、新有効成分としては七つ目の薬剤になります。国内では、この作用機序の薬剤の開発が非常に激化して、同じような開発を計画していても、会社によって開発の着手時期等の違いがあって、結果として今回は7番目になりました。一方、海外の開発を見ると、米国では二つ目の承認、欧州では三つ目ということで、少し国内の開発が他社に先行されてしまったという実情があります。
 ただ、逆に海外では、特にこの手の薬剤は長期に使用したら安全性はどうなのかという気になる点があるのですが、海外で市販された時期が少し早めですから、臨床データが集積しつつあるという部分があります。
 また、国内では同じクラスの薬剤でも、従来の併用薬ごとに承認されているものと、今回のようにガイドラインに基づいた2型糖尿病という効能・効果に変更されるものが混在している状況ですから、2型糖尿病の効能・効果への変更が取得できれば、現場にとって使い勝手という観点からメリットになるかもしれません。なお、直接、類薬と比較した試験がありませんので、有効性や安全性の観点から類薬との比較について結論付けられる状況ではございません。
○審査第一部長 追加で申し上げますと、このDPP-4で、日本で最初に承認を受けたのがシタグリプチンです。これが2009年で、まだ、承認されてから3年ぐらいということで、3年の実績があるといえばあるのですが、まだ再審査期間中でもありますし、併用をして、比較をして、非劣性などのデータを取るまでの段階にはなっていなかったということでございます。
○奥田委員 ありがとうございます。
○佐藤(田)委員 1つ、基本的なことかもしれませんが、66ページのHbA1cの推移について教えてください。投与を始めて24、28週ぐらいでしょうか、かなり下がってきていますが、また再び上がってくるというのでしょうか、戻ってくるような傾向があります。果たして、この差がどの程度であるかというのがよく理解できませんが、効果としては下がらない人よりは下がった、というぐらいのものなのでしょうか。この効果について、このカーブについて説明してください。
○機構 お答えします。1年間の試験をやった場合、ものによって多少、程度は違うのですが、後半、HbA1cがやや上がることがあります。1年間にわたって治験をやる場合、例えば、基本的な食事療法、運動療法は試験中に原則として変更しないという条件でやりますが、きちんと1年間にわたって守るのは難しい面もありますから、そういう、ほかの影響も完全には否定できません。それから、薬そのもののパワーが影響している可能性もあるかと思います。
 なお、臨床現場では、薬剤を長期間使用したときにHbA1cという一つの指標について効果の得られる患者さん、あるいはあまり得られない患者さんも現実にはいらっしゃるわけです。その点は、添付文書の「重要な基本的注意」の2に「本剤を3か月投与しても効果が不十分な場合は、ほかの治療法への変更を考慮すること」とありますので、実際、現場で患者さんを診られるときには、定期的に検査等しますので、その薬剤が、その患者さんにとって十分な効果が得られるのか否か、あるいは安全性上問題がないかどうかという観点から、現場の判断で治療薬を取捨選択していただくということになろうかと思います。
○松井部会長 今の御説明でいかがでしょうか。私も同じ疑問を持ちました。ほかにございますか。よろしいですか。
 それでは議決に入りますが、小川委員、武田委員、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
異議がないものと認めます。承認を可として、薬事分科会に報告いたします。
 次は議題の6です。お願いします。
○事務局 審議事項議題6、資料6「医薬品アリセプトドライシロップ1%の毒薬又は劇薬の指定の要否について」事務局より御説明いたします。
アリセプトドライシロップ1%は、1g中にドネペジル塩酸塩10mgを含有するドライシロップです。お手元の資料の緑色のタブの「指定除外概要」をお開きください。本成分は、アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制を効能・効果としていまして、平成11年にアリセプト錠3mg、5mg、また、その後、アリセプト細粒、アリセプトD錠などが承認され、それぞれ毒薬から除外され劇薬に指定されています。今般は、既承認の薬の剤型追加で、アリセプトドライシロップ1%が申請され、2月15日に承認されましたが、本剤は1%の製剤であることから、現状の規定においては毒薬に該当するものです。
 資料の「毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ」のタブ、4~5ページをお開きください。本剤について生物学的同等性のデータが提出されています。5ページの中ほどの表2にもありますとおり、既承認の5mgの錠剤と薬物動態が同等であることから、本剤についても他の既承認の剤型と同様に毒薬の指定から除外して、劇薬の指定にすることが適当であると考えています。毒薬又は劇薬の指定の要否について御審議の程、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは、委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○豊見委員 アリセプトD錠の10mgが多分0.28gぐらいだと思うのです。錠剤も0.28g近くの重さ。D錠などは口の中ですぐ粉になるのですが、濃さという意味では随分とD錠の方が濃いわけです。3倍~4倍ぐらい濃い。それで、顆粒が1%で、1gが約10mgになるわけです。もともとそれが毒薬である方が少しおかしかったのではないかと思うのです。0.5%までの顆粒は劇薬で、それ以上濃かったら毒薬ですというのがおかしかったのではないかという気もしていますが、その判断でよろしいのでしょうか。
○事務局 事務局からお答えいたします。こちらの製剤は、原薬としては、急性毒性等のデータから毒薬という指定です。先生の御指摘がありましたD錠やその辺りのデータで、個別に毒薬の指定を外して劇薬と指定してきたものです。今回、新たにドライシロップが出てまいりましたので、個別にということで、本剤についても同様に毒薬から外して劇薬の指定をさせていただきたいと考えています。
○松井部会長 ほかにございますか。奥田委員、いかがでしょうか。
○奥田委員 結構だと思います。
○松井部会長 特に御指摘がなければ議決しようと思います。小川委員、武田委員、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
御異議なしと認め、指定を可として薬事分科会に報告をいたします。
 御退出いただいている野田委員にお入りいただいてください。
── 野田委員入室 ──
○松井部会長 議題3に移ります。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品ネオキシテープ73.5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。まず、本剤の概要について説明します。審査報告書3~4ページを御覧ください。本剤の有効成分でありますオキシブチニン塩酸塩(以下、「本薬」)は抗ムスカリン薬であり、本薬の経口剤が米国において1975年に排尿障害治療薬として最初に承認され、また、本邦においては1988年に「神経因性膀胱又は不安定膀胱(無抑制収縮を伴う過緊張性膀胱状態)における頻尿、尿意切迫感、尿失禁」を効能・効果として承認されています。
 過活動膀胱(以下、「OAB」)における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁の治療における第一選択薬には抗ムスカリン薬が使用されていますが、口内乾燥、便秘などの抗ムスカリン作用に起因する副作用が多いことも知られています。また、本薬の経口剤では1日3回の投与が必要であり、そのほかの既承認のOAB治療薬は経口剤のみが承認されています。一方、本剤は1日1回の投与で済む経皮吸収型製剤であり、20□年より久光製薬株式会社により臨床開発が始められ、今般、国内臨床試験成積を基に製造販売承認申請がなされました。なお、2013年2月現在、海外において本剤は承認されていませんが、本薬のゲル剤及び本剤とは製剤学的な特徴が異なる貼付剤が承認されています。
 本剤の審査に関して、専門委員として資料13に記載されている委員が指名されました。本剤の審査の概略に続き、臨床試験成積を中心に説明いたします。
 有効性について、審査報告書28~30ページ、1)国内第III相試験の項を御覧ください。OAB患者を対象として、本剤73.5mg、プロピベリン塩酸塩20mg及びプラセボを1日1回、12週間投与したときの有効性及び安全性が検討されました。なお、本剤及び本剤のプラセボ製剤は、1日1回、下腹部、腰部、及び大腿部のいずれかに貼付し、24時間ごとに貼り替えることとされました。29ページの表8に主要評価項目の結果を記載しています。主要評価項目とされた1日当たりの平均排尿回数のベースラインから最終評価時までの変化量は表8のとおりで、本剤のプラセボに対する優越性とプロピベリンに対する非劣性が検証されました。また、副次評価項目とされた平均尿意切迫感回数及び平均切迫性尿失禁回数などの変化量においても、本剤の有効性を示唆する結果が得られました。
 続いて、安全性について、審査報告書30ページの表10を御覧ください。国内第III相試験において、抗ムスカリン作用に基づく有害事象は、プロピベリン群と比較して、本剤群では口内乾燥及び便秘の発現割合が低い結果でした。さらに、審査報告書37ページ中段より記載していますとおり、本剤とオキシブチニン、本薬の経口剤との抗ムスカリン作用に基づく有害事象の比較結果も踏まえますと、既承認OAB治療薬と比較して、抗ムスカリン作用に基づく有害事象について新たな安全性上の懸念は認められませんでした。したがって、現時点では本剤の添付文書において、本薬の経口剤の添付文書に記載されている抗ムスカリン性有害事象の注意喚起に加えて新たな注意喚起を記載する必要はないと判断いたしました。
 一方、臨床試験において、本剤群での貼付部位の有害事象の発現割合は、明らかにプラセボ群より高かったことを踏まえ、添付文書(案)の「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重要な基本的注意」の項において、皮膚症状を回避するための貼付方法並びに皮膚症状が発現した場合の適切な処置方法等を注意喚起することが適切と判断しました。また、本剤を皮膚が損傷した箇所に貼付した場合にオキシブチニンの血漿中濃度が上昇するリスク等についても添付文書上で注意喚起するとともに、以上の点を適切に情報提供できるよう、患者及び介護者向けの情報提供資材並びに医療従事者向けの情報提供資材を作成し、臨床現場に周知する予定です。
 最後に、製造販売後調査について、審査報告書46、47ページを御覧ください。目標症例数を1300例とし、12週間の観察期間において本剤の有効性を検討するとともに、治療が長期に及ぶ場合には同一部位への再貼付も起こり得ることから、一部の患者では、本剤の104週までの長期使用下における安全性を確認することを目的とした特定使用成績調査を実施する予定です。また、本剤の投与中止例において中止理由を確認するとともに、本剤から他剤へ切り替えた症例においては切替え理由等を情報収集する予定です。さらに、皮膚症状発現時の本剤貼付状況、具体的には、発現時の貼付部位、貼付箇所変更の遵守状況や発現部位への連続貼付への有無等についても情報収集を行う予定です。
 以上のような検討を行った結果、「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁の効能・効果で本剤を承認して差し支えないとの判断・結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品に該当しないと判断しています。また、再審査期間は6年とすることが妥当であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。
○武田委員 2つお聞きします。1つは、このお薬は排尿困難を起こす薬になるかどうかということです。副作用のところにはそういったことが一切記載されていません。もう1つは、オキシブチニンは中枢移行があるということで、認知機能に影響がある可能性が示唆されているのですが、これに関する記載がどこにあるのか教えていただきたいと思います。
○松井部会長 今の2点について、いかがでしょうか。
○機構 機構より回答申し上げます。まず、1点目の排尿困難については、本剤の臨床試験の中で1例ほど有害事象として尿閉として扱われた事例がありましたが、重度の症状ではなく、残尿感があった程度の事象という申請者の説明でした。ただ、オキシブチニンの経口剤では既に重大な副作用として取り上げられています。今回も同じ有効成分ですので、添付文書の「重大な副作用」として尿閉に関する注意喚起をしている状況です。
○松井部会長 もう1点はいかがですか。
○機構 2点目の、認知機能についてです。先生の御指摘のとおり、オキシブチニンに関しては中枢移行性に関する情報は多く報告されています。審査報告書6~7ページにありますとおり、今回は非臨床薬理試験において、ラット受動的回避反応試験を実施しまして、本薬の経皮投与と経口投与で認知機能の程度を比較する試験が行われています。この結果、経皮投与群が経口投与群に比較して認知機能への影響が少ないという結果が得られています。また、今回実施された臨床試験におきましても、認知機能に関連する有害事象は発現しておりません。そのため、現時点で本剤について認知機能障害に関連する事象が非常に懸念されるという状況ではありませんが、他のOAB治療薬と同様に「慎重投与」として、認知症又は認知機能障害のある患者に注意喚起して安全確保に努めております。
○小川委員 質問ですが、最初の3ページで、経口剤と比べてこの経皮製剤の良さが、1日1回貼付でよいということと、経口摂取ができない人によいということも書いてあります。一番良いところは、血中濃度の上がりが緩徐であって、今までの抗コリン作用による副作用が少ないことが期待されているのだと思うのですが、それに関する結論はどういうことになったのでしょうか。経口剤と全く同じということですか。
○機構 先生におっしゃっていただいたように、本剤に関しては、血中濃度の急激な上昇が抑えられることによって、結果的に臨床試験においても抗ムスカリン性の有害事象が抑えられている状況を確認しております。
○小川委員 経口剤に比べて少ないということですね。
○機構 はい。
○小川委員 その辺りを、今まで経口剤で効いていた人に経皮製剤を勧めるに当たって、副作用が少ないのですということがうたえるのかどうか、それが質問だったのです。
 それからもう1つ、ムスカリン受容体、膀胱などのサブタイプはM3ですか。
○機構 はい。
○小川委員 心臓などはM2ですね。そういうサブタイプ選択性は、この薬はどうなのですか。
○機構 オキシブチニンに関しては、比較的M3受容体に対する選択性が高いと考えられています。M1やM2受容体に関しても少なからず結合はしますが、M3が比較的選択性が高い状況です。
○小川委員 私が気になったのは、この添付文書にかなり厳しく心臓疾患に対する禁忌、慎重投与の記載があるのですが、非臨床試験などでもほとんど循環系への影響がないことになっているし、心拍数の増加もないことになっています。それにもかかわらず、かなり厳しいですね。禁忌が、重篤な心疾患があれば心拍数が増加するからとか、あるいは、慎重投与の中にも同様の記載があるのですが、そこまで書かなくてはいけない根拠が今回の臨床試験から明らかになったのでしょうか。
○機構 御指摘ありがとうございます。今回の臨床試験等においては、御指摘のように、こういった禁忌や慎重投与に書かれているような事象が特に発現している状況ではありませんが、こちらの禁忌と慎重投与の記載は、既承認のOAB治療薬、抗コリン薬全て一律の記載をしています。本剤オキシブチニンに関してはこの記載をしなくてよいという根拠もありませんので、ほかの抗ムスカリン薬のOAB治療薬と同様に注意喚起してまいりたいと考えています。
○機構 追加します。御指摘の禁忌の患者さんにつきましては、御存じのとおり、作用機序からの問題点ですが、そもそもこういう人たちは危ういということで、臨床試験では投与されていない、除外されている患者さんです。今回の試験で、この人たちにどうやら大丈夫そうだという結果は得られておりません。
○小川委員 繰り返しになりますが、やはり、経皮製剤の良さをメーカーとしてはMRが宣伝すると思うのです。そういう中で、こういう循環器系を含めたいろいろな抗コリン作用の副作用の発現が少ないのだということをあまり強くうたってはいけないと、今の御説明からは考えられるのですが、少しもったいないという気がしたものですから、そこを指摘させていただきました。
○松井部会長 ほかには、いかがでしょうか。
○佐藤(田)委員 基本的な質問かもしれません。頻回に排尿があることを少し落ち着かせるということですが、この薬の効果があった場合に、1日量でも結構ですが、尿量の変化はないのでしょうか。37ページの中頃を見ると、口腔内乾燥とか便秘というようなものが出てきています。もし効果があって、きちんと排尿されたときに、今まで残尿感があった、本当に残尿していたか残尿感だけだったかは分かりませんが、全部排出されたとして、かなり多量に尿が排尿されることによって、この薬が、1回投与である時間効くのではなく、1回貼ればいいのでDDSのような形で効果を現わしているとすると、尿量のチェックや、今言ったようなことは、尿が多量であったためというか、尿崩症とは言いませんが、副作用として出てくるということではないのでしょうか。
○機構 機構よりお答え申し上げます。37ページで御指摘いただいた口内乾燥や便秘は、先ほどの議論にも上がりましたM3受容体、こちらは唾液分泌や腸管収縮等にも関与する受容体として知られていまして、今回見られた口内乾燥や便秘は、本薬の作用によってM3受容体を介して発現した副作用であると考えています。したがって、排泄量が増えて過量に排泄されてしまったために口内乾燥や便秘が起こったというよりも、抗ムスカリン作用の機序による要因が強いものと考えています。
○佐藤(田)委員 こういうときに尿量の測定などは併せて行わないものなのですか。
○機構 少々お待ちください。
○武田委員 確認です。このような試験をする場合、普通は3日間の排尿記録の平均値を取るので、24時間尿量と排尿回数は全部チェックされています。それから、除外基準は恐らく多尿が入っていますから、異常な多尿な方は全部除外されているので、尿量の変化によっての効果は除外されると思います。恐らくどこかに記載されていると思います。
○松井部会長 武田先生は御専門でいらっしゃいます。
○機構 ありがとうございます。今、確認しておりますが、この機序なので長い間、国内でも使われています。水分を過剰排泄して問題が起こっているということもありません。まずは機序からしてそういうことだと思いますが、少々お待ちください。
○機構 先ほど武田先生から御意見を頂きましたとおり、まず、除外基準として、1日当たりの平均排尿量が3000mLを超える多尿患者は除外されています。また、有効性の評価項目の一部として平均排尿量等も確認しています。過度な多尿までは今回は確認されていない状況でした。
○松井部会長 佐藤委員、武田委員、よろしいでしょうか。ではほかにございますか。
○小川委員 サンプルについてです。これは、貼る場所は基本的には全身どこでもいいわけですね。ここに限定しなければいけない理由は何でしょうか。説明書には大腿、腰部、腹部となっています。それを受け入れるにしても、この絵を書いてしまっていると、お年寄りは大腿部や腰部は全然考えないで使用すると思うのです。場所のことはどこにも書いていないのですが、これを見ると、4回目はどこに貼ったらいいのか、元に戻るのか、上に行くのか。そういう意味で、この絵は分かりやすいようで患者さんには親切ではないのではないかという気がしますが。
○機構 まず、貼付部位の場所については、どこにでも貼ってよいわけではなくて、用法・用量に記載されていますように、下腹部と腰部と大腿部のいずれかに貼ることとされています。開発の過程で、貼付部位を変えることで薬物動態がどのように変わるかという試験を実施し、今申し上げた3か所に上腕部を加えて4か所で検討がなされています。その結果、上腕部では曝露量が最も高かったことも踏まえ、III相試験の用法・用量として上腕部を除いた3か所規定して検証試験を実施しました。その3か所以外に貼った場合の有効性・安全性は検証されておりませんので、我々も、ほかの場所に貼ったときの有効性・安全性は不明と言わざるを得ない状況かと思います。
 もう1点、製剤見本に記載されています絵については、先生方にお配りしている絵では、下腹部に貼る場合の例として、お腹に、1回目、2回目、3回目と場所を移動するような形で貼っていますが、これは今後、腰と下腹部と大腿部のいずれかに貼るという、3か所がより分かりやすくなるように修正する予定です。
○松井部会長 そのほかには特にございませんか。それでは、議決に入ります。武田委員、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただきます。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告をいたします。
 議題4に移ります。機構から説明をお願いします。
○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。
 本剤の効能・効果である脂肪萎縮症は、脂肪組織の消失を特徴とし、レプチンを含むアディポサイトカインが不足することで、肝臓及び骨格筋等にトリグリセライドが蓄積して高度な脂肪肝、高トリグリセライド血症、インスリン抵抗性等を呈し、血糖値が上昇するとされています。重症例では、非アルコール性脂肪性肝炎が肝硬変に進展し、これが死因となることが多く、自然経過は十分に知られていないのが現状ですが、平均寿命が30~40歳とも言われる予後不良な難治性疾患であると報告され、本邦の脂肪萎縮症患者は約100例と推定されています。脂肪萎縮症の原因療法はなく、標準治療は確立されていません。対症療法として食時制限、糖尿病治療薬、脂質異常症治療薬による治療が行われていますが、重度の脂肪萎縮症患者ではこれらの対症療法が奏効しない場合が多いとされています。
 本薬は、ヒトレプチンのN末端がメチオニル化されたヒトレプチンアナログです。レプチンは、主に脂肪細胞が分泌するホルモンであり、エネルギーの蓄積に関する情報を中枢神経系へ伝達することに関与しています。また、主に視床下部に存在するレプチン受容体に直接作用することにより、強力な摂食抑制シグナルを伝達し、エネルギー消費亢進、インスリン感受性亢進、脂質代謝亢進をもたらし、糖代謝及び脂質代謝において重要な役割を果たしています。
 本剤は希少疾病用医薬品に指定されており、今般申請者は、国内医師主導治験等により脂肪萎縮症に対する有用性が確認されたとして医薬品製造販売承認申請が行われました。2012年12月現在、脂肪萎縮症に対して本剤はいずれの国においても承認されていません。
 本品目の専門協議では、資料13に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性については、脂肪萎縮症の希少性や重篤性、国内医師主導治験の組み入れ症例数が4例のみであったこと等を踏まえ、国内臨床研究、国内高度医療試験の結果も含めて総合的に評価しました。国内医師主導治験では、審査報告書40ページの表22に示しましたように、HbA1cについて、いずれの症例においても、投与前と比較し投与20週において改善又は投与前値と同程度(5.8%未満)に維持されたことが確認されました。また、トリグリセライドについては、審査報告書41ページの表23に示しましたように、4例中3例においては、投与前と比較し投与20週において改善又は投与前値と同程度(80mg/dL未満)に維持されたことが確認されました。1例においては悪化がみられたものの、その原因はステロイド薬が併用されたことによるものとされ、その後移行した国内高度医療試験において改善しました。次に、審査報告書47ページの表31、48ページの表32ではHbA1cの推移、49ページの表33、50ページの表34ではトリグリセライドの推移を示しましたが、国内臨床研究及び国内高度医療試験では、HbA1c及びトリグリセライドについて、一部の被験者において悪化が認められるものの、長期間にわたり効果が維持された症例も存在しています。以上を踏まえ、脂肪萎縮症における本剤の有効性は期待できると考えました。
 安全性については、50~54ページの「(3)安全性について」の項に記載しましたように、低血糖症、急性膵炎等について検討を行い、適切な注意喚起のもとで本剤が使用されることを前提とすれば、期待される有効性との観点から安全性は許容可能と考えました。
 製造販売後調査については、63ページの「(5)製造販売後調査について」の項に記載しましたように、患者背景、前治療及び併用療法の状況、血圧、心電図、血糖値、HbA1c、血中トリグリセライドを含む臨床検査、低血糖症、急性膵炎等を調査項目とし、安全性及び有効性について情報収集される予定です。なお、64ページの「承認条件」の項に記載しましたように、国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全投与症例を対象に使用成績調査を実施して本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じる旨の承認条件をつけました。
 以上のとおり、機構での審査の結果、「脂肪萎縮症」を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。
 本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年が適当であると判断しております。なお、原体及び製剤は、毒薬、劇薬のいずれにも該当せず、また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。
 薬事分科会では報告を予定しております。御審議の程、よろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。質疑に入る前に、野田先生、もしよろしければ脂肪萎縮症について御説明をいただけますか。簡単にお願いいたします。
○野田委員 全身性のものは主に遺伝性のまれな疾患ですけれども、産生の低下によるレプチン作用の欠如により、通常の治療では高血糖を含めなかなかうまく治療できない疾患で、この疾患に対してレプチンが投与できるようになることは、そういった患者さんにとって福音だと思います。
○松井部会長 ありがとうございます。御質疑をお願いいたします。委員の先生方、いかがでしょうか。小川委員、お願いします。
○小川委員 希少疾病用の医薬品ということで、これについてはよろしいと思います。私は専門外で分かりませんが、専門にされている先生にとっての関心は、インスリン抵抗性の改善や肥満の改善の方だと思いますけれども、そちらの方の治験は何か並行して計画、あるいは実施されているということはございますか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。メトレレプチンに関しては肥満症の治療薬として、一時期、別の有効成分との配合剤として開発されていましたが、残念ながら肥満症を取り巻く様々な状況を勘案して開発が中止されている状況です。現在、国内でこのメトレレプチンを使って肥満症治療薬の開発をしている話は聞いておりません。
○小川委員 これが承認された暁に、そういう疾患にオフラベルで使用されていってしまうリスクというのは、いかがなものでしょうか。これは医師のモラルに関わるのでしょうけれども、インスリン抵抗性、高中性脂肪血症の患者さんに、やたらにということは懸念されてはいないのでしょうか。
○松井部会長 誤った使用がされる危険性はないかということです。いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。本剤に関しましては、承認条件として全例調査を条件とさせていただいています。その中で適応外使用というものも中には見つかってくるかもしませんが、その折々、申請者には適正使用を徹底するように指導していく予定です。また、脂肪萎縮症というかなり希な疾患でもありますので、適正使用を推奨するような情報提供資材も、作っていただくようにお願いをしていますので、そのような注意喚起の中で脂肪萎縮症という効能・効果に従って使用していただくことが望ましいと思います。
○松井部会長 ほかには、いかがでしょうか。豊見委員、お願いします。
○豊見委員 この1本の11.25mgという量ですが、これは何か基準があってそうなったのでしょうか。体重にすると140kgぐらいになりますね。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。本剤ですが、もともとAmgen社が作っていた薬剤であり、審査報告書の5ページに「海外においては、当初Amgen社により」という段落に記載しましたが、もともとは肥満症の治療薬として開発されていて、そのときの用量が10mg、20mgとかなり多い用量で開発されていました。ただ、その後、脂肪萎縮症にも効果があるのではないかということで、Amylin社に開発が継承され、Amylin社が現在も開発をしているところです。もともと品質のデータ等を取っていたのか、かなり大きい容れ目のものでしたし、全世界的に見てもウルトラオーファンということで新たな剤を開発することが難しいということでした。今回の製剤についても小さい容れ目のものであるとか、保存剤入りの注射用水を使うことはできないかという点を申請者には確認したのですが、様々な事情によりなかなか難しいということで、本疾患の希少性と、できるだけ早期に患者様に薬剤を届けるという観点から、かなりの過剰量が入っている製剤ではありますが、今回、この製剤のまま御審議いただくことになりました。
○松井部会長 ほかに、いかがでしょうか。小川委員、どうぞ。
○小川委員 たしかこの中の文章に、レプチン濃度が上がって血圧が上がる可能性があるという記載があったのですが、添付文書の中には使用上の注意の中で、例えば高血圧が入っていないのですけれども、このあたりはどういうふうに理解したらいいのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。血圧が上がる可能性というところは、レプチンの薬理作用によるものから可能性が否定できないというものではありますが、実際に臨床試験ではそのような懸念は認められていませんので、添付文書では特段の注意喚起はしていません。しかしながら、今後、製造販売後調査等では血圧も情報収集することになっていますので、新たな知見が得られた場合には、その際、注意喚起の必要性を判断させていただきたいと思います。
○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。野田先生、お願いします。
○野田委員 これはHIV感染症のような人も、一応、適応として含まれているという理解でよろしいのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。今回ですが、HIVに伴う脂肪萎縮症の患者様は、国内の臨床試験、国内の臨床研究、高度医療試験では1例も含まれていません。また海外で実施されている試験においても、HIVの患者さんは入っていないと伺っていますので、効能・効果に関連する使用上の注意ということで、HIVに関する脂肪萎縮症に関しては、有効性は確立していないという文言を入れさせていただいています。ただ、実際の主治医の判断でお使いになる場合もあるとは思いますが、それは今回の全例調査の中で情報が拾われてくるのではないかと考えます。
○野田委員 ありがとうございました。
○松井部会長 よろしいでしょうか。それでは議決に入ってよろしいですか。加藤委員、武田委員、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮ください。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。
 議題5に移ります。機構より説明してください。
○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品イノベロン錠100mg、同錠200mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。 
 本剤の有効成分であるルフィナミドは、トリアゾール骨格を有する化合物であり、作用機序は明確とはなっていないものの、電位依存性Naチャネルの不活性化促進作用等を介して抗てんかん作用を示すと考えられています。海外では、2007年1月に欧州で承認されて以来、2012年10月現在、米国及び欧州等35の国又は地域で承認されています。本邦においては、2010年2月に未承認薬開発支援事業による開発支援品目に選定されており、20□年□月よりLennox-Gastaut症候群患者を対象とした臨床試験が開始され、今般、製造販売承認申請が行われたものです。
 本申請の専門委員としては、資料13に記載されております10名の委員を指名しました。
 審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。有効性についてですが、審査報告書55ページの表24を御覧ください。1~3剤の抗てんかん薬で十分な効果が認められない日本人Lennox-Gastaut症候群患者を対象として、本剤と他のてんかん薬を併用した際の有効性が検討されました。主要評価項目である治療期における28日間あたりの強直・脱力発作の発作頻度の観察期からの変化率はプラセボ群-3.25%、本剤群-24.20%、群間差は-26.65であり、プラセボ群と比較して本剤群で統計学的な有意差が認められました。
 次に、安全性についてですが、審査報告書83ページの表43を御覧ください。こちらの表に示されている重要な特定されたリスク、重要な潜在的リスクを中心に審査し、重要な特定されたリスクについては現時点で許容可能なリスクと判断し、重要な潜在的リスク、重要な不足情報については製造販売後も引き続き検討するよう申請者に指示しております。なお、てんかん重積状態については、審査報告書64ページ、「2)てんかん重積状態について」の項を御覧ください。てんかん重積状態の発現割合は、国内第III相試験ではプラセボ群16.7%、本剤群27.6%、海外第III相試験ではプラセボ群0%、本剤群4.1%であり、いずれの試験においてもプラセボ群と比較して本剤群で発現割合が高い傾向が認められました。しかしながら、これらの試験で認められたてんかん重積状態はいずれも緊急治療薬等の投与等により同日又は翌日に回復していること、ほとんどすべての抗てんかん薬が発作の増悪をもたらす可能性があるとの報告もあること、また、審査報告書65ページの表34を御覧ください。こちらの表に示したとおり、てんかん重積状態の発現の有無にかかわらず本剤の有効性が示されていることを踏まえると、てんかん重積状態の発現リスクについては、十分な注意喚起を行うことで一定の対処が可能と考えられ、本剤のベネフィット・リスクバランスを大きく損なうものではないと考えております。
 以上の審査を踏まえ、製造販売後の全投与症例を対象とした使用成績調査の実施を承認条件として付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断致しました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は希少疾病用医薬品であることから10年、原体及び製剤はいずれも毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品にも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、事前に豊見委員より「両面割線入りフィルムコーティング錠ですが、半割したときの同等性試験が資料にありましたでしょうか。御教示ください。」との御質問を頂いています。割錠した際の同等性については、申請資料中には記載されていませんが、200mg錠を用いて、溶出性試験により割錠した際の同等性が確認されており、100mg錠については、粉砕物を用いた溶出性試験により同等性が確認されております。また、割錠、粉砕した場合の安定性についても検討されており、これらの試験成績については、インタビューフォームを通して医療現場に情報提供される予定です。
 以上です。よろしく御審議の程、お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。豊見委員、今の御質問、よろしいでしょうか。
○豊見委員 はい。
○松井部会長 この部会の委員の中で小児科医は私と古川委員の2人だけだと思いますが、このLennox-Gastaut症候群について多少御説明申し上げるとすれば、三つある年齢依存性の難治性てんかんの一つです。三つというのは、大田原症候群、ウエスト症候群、そしてLennox-Gastaut症候群で、小さい順番に、このLennox-Gastaut症候群は3、4歳~7歳ぐらいまでに頻発する。何よりも難治性であることの理由として、発作をコントロールできないと知能及び身体的なデフィシットが徐々に進んでいってしまうという、非常に難治性で予後の悪いてんかん発作の一つです。参考までに。御質疑をお願いします。
○佐藤(田)委員 大変御丁寧な説明、ありがとうございました。追加なのですが、この症候群の患者さんでも特に重積のてんかん発作がなければ、別に投与する必要がないのでしょうか。それとも重積発作は必ず起こってくるのですか。
○松井部会長 はい、必ず。
○佐藤(田)委員 そうすると、この薬が効果を示して、重積発作が落ち着いた状況になれば投与しなくていい時期や、投与しないで終わるということもあるのでしょうか。それとも、投与期間は一生涯使うものなのかということをお伺いしたいと思います。
○松井部会長 私も小児神経の専門ではないのですが、小児科医としての知識によれば、飲まなくて良くなることは考えにくいです。古川先生、そのような認識でよろしいですね。今、古川先生にも御賛同いただきましたので。ほかに御質疑はありますか。古川委員、お願いします。
○古川委員 71ページに効能・効果とあります。ここに3歳ぐらいから、あるいはそれ以下でも起きるのですが、そういう小さい子にも使いたいのではないかというニュアンスがたくさん書かれていると思います。話は飛びますが、今回、添付文書の最初の用法・用量のところに、「4歳以上の小児」と出したのは今までに見られない画期的なことのように思います。今までこういうのがあっても、あまり用法・用量のところに年齢を明記することがなかったと思います。去年や一昨年、いろいろ議論したと思いますけれども、今回は「4歳以上の小児」ときちんと明記したのは、大変いいことではないかと私は思いますが、これは会社側がこうしてきたのですか。それとも機構がこれを指導したのですか。それをお聞きしたいと思いました。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えいたします。用法・用量に4歳以上と明記した経緯ですが、会社側としては最初、効能・効果のところに4歳以上と書いてきましたけれども、ほかの抗てんかん薬との並び等も考え、また古川委員から御指摘があったように、4歳未満でも使いたい人がいるかもしれないという話がありますので、効能・効果からは削除の方向で考えました。用法・用量に関しては、4歳未満での投与経験は海外も含め存在せず、成長への影響がありますので、明記すべきと考えています。またガバペンの小児の用法・用量でも、下限の年齢が書かれていますし、Dravet症候群に対する治療薬であるデイアコミットなどでも、用法・用量に下限の年齢が記載されていたと思いますので、抗てんかん薬の領域ですと一般的に下限の年齢は規定しております。
○古川委員 私は下限を聞いたのではなくて、4歳以上という数字を入れていただいたことが、分かりやすくて良かったと言ったのです。これは機構が指導したのか、会社が最初からこのように言ってきたのですか。そこをお聞きしたいと思ったのです。
○機構 失礼しました。経緯としましては、4歳以上との記載を効能・効果から外すときに、会社側から用法・用量に入れてきました。
○古川委員 分かりました。
○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかにはございますか。加藤委員、お願いします。
○加藤委員 59ページに、Lennox-Gastaut症候群に対する選択薬として、今まではバルプロ酸とベンゾジアゼピン系ということが書いてありますが、この薬が承認された場合に、使い方として併用のことがどうなっていくのかということと、それから、どこかに書いてあったと思いますけれども、最近、日本でも迷走神経刺激療法が適用になり得ると伺ったのですが、迷走神経刺激を行っている患者さんで併用があり得るかどうか。その場合の危険性について何かメッセージはあるのか伺いたいと思います。
○松井部会長 今の2点、いかがですか。
○機構 機構よりお答えいたします。1点目の他剤との併用に関しては、ガイドライン等ではバルプロ酸が第1選択薬となっていますので、本剤に関しては、その次にバルプロ酸などと併用して使用されるものと思われます。実際に臨床試験の中でも、国内では8割~9割の患者さんがバルプロ酸を既に併用している状態で試験が実施されています。2点目の迷走神経刺激療法に関しては、申し訳ありませんが、現在のところお答えできるようなデータはありません。製販後調査の中で併用療法についてもきちんと情報を収集していくことになりますので、製販後調査の中で検討させていただきたいと思います。
○松井部会長 よろしいですか。
○加藤委員 今、迷走神経刺激療法というのは、どういう現状になっているかというのは、先生に伺ってよろしいですか。
○松井部会長 私は分かりません。古川先生、いかがですか。
○古川委員 分かりません。
○加藤委員 報告書のどこかに書いてあったのです。
○松井部会長 効果的な方法として書いてあったのですか。
○加藤委員 いや、あまり有効性がないということで。
○松井部会長 そうだと思います。
○加藤委員 結構です。
○松井部会長 ほかに御質疑、ございませんか。それでは議決に入ろうと思いますが、よろしいでしょうか。小川委員、武田委員、野田委員、平石委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮ください。
 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。
 以上で審議事項は終わりです。まとめと言っては何ですが、最初の議題でアデノシンA2A受容体に関することで、薬効の強弱、カフェインの影響について委員の先生方から御質問が出ました。この点については何らかの形でフィードバックしていただきたいと思います。委員の先生方、それでよろしいでしょうか。それでは報告事項に移ってください。
○事務局 報告事項議題1、資料7「医薬品トラゼンタ錠5mgの製造販売承認事項一部変更承認について」です。本剤は、リナグリプチンを有効成分とする経口血糖降下薬であり、既に、本剤の単独使用について承認されています。
 今般、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社から、本剤と他の経口血糖降下薬との併用が追加され、2型糖尿病へ効能・効果を変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤と他の経口血糖降下薬を併用した際の有効性及び安全性が確認されたことから、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。議題1は以上です。
○松井部会長 続けてください。
○事務局 続きまして報告事項議題2、資料8「医薬品ペンタサ坐剤1gの製造販売承認について」です。本剤の有効成分はメサラジンであり、現在、ペンタサ錠が「潰瘍性大腸炎(重症を除く)、クローン病」の効能・効果で、ペンタサ注腸が「潰瘍性大腸炎(重症を除く)」の効能・効果で承認されています。
 今般、杏林製薬株式会社より、ペンタサ坐剤として「潰瘍性大腸炎(重症を除く)」の効能・効果を取得することを目的に新剤型医薬品としての製造販売承認申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題3、資料9「医薬品ソル・メドロール静注用40mg、同静注用125mg、同静注用500mg及び同静注用1000mgの製造販売承認事項一部変更承認について」です。本剤は、メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを有効成分とする副腎皮質ホルモン剤であり、現在「急性循環不全(出血性ショック、感染性ショック)」、「腎移植に伴う免疫反応の抑制」等の効能・効果で承認されております。
 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成24年8月31日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、ファイザー株式会社から「多発性硬化症の急性増悪」に関する効能・効果を追加する申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、申請された効能・効果を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして報告事項議題4、資料10「医薬品マグセント注100mL、静注用マグネゾール20mL及びマグセント注シリンジ40mLの製造販売承認事項一部変更承認について」です。本剤は、硫酸マグネシウム水和物を有効成分とし、マグセント注100mL及び同注40mLについては切迫早産における子宮収縮の抑制、静注用マグネゾールについては子癇の効能・効果を有する注射剤です。
 本剤について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成24年10月26日に開催された本部会における事前評価を踏まえ、東亜薬品工業株式会社から、「重症妊娠高血圧症候群における子癇の発症抑制及び治療」の効能・効果及び当該効能・効果に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認について申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
○松井部会長 議題4まできました。この四つの報告事項につきまして何か御質問あるいは御意見はございますか。野田先生、このトラゼンタについてよろしいですか。
○野田委員 日本人でのインスリンとの併用の試験がないということですが、海外では行われているということですね。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。おっしゃるように日本人での検討はありませんが、海外での検討はございまして、審査報告書上で、安全性のそれぞれの事象について議論させていただいています。製造販売後に臨床試験を実施する予定とされており、デザインを詰めていく予定です。
○松井部会長 よろしいですか。平石先生、このペンタサについてはいかがでしょうか。
○平石委員 ペンタサは、潰瘍性大腸炎を例に取りますと、軽症から中等症に適応を有する5-ASA製剤です。時間依存性の5-ASA releasingのドラッグであり、小腸から5-ASAを遊離しますので、遠位側の潰瘍性大腸炎、つまり直腸炎型の潰瘍性大腸炎には効果が弱い可能性があるということで、この坐剤製剤が開発された経緯があります。直腸炎型の潰瘍性大腸炎を含めて非常に有効性が期待されるところだと思います。以上です。
○松井部会長 そのほか議題3、議題4について特にございますか。豊見先生、どうぞ。
○豊見委員 今のペンタサの坐剤の形が、坐剤としては割に変わった形をしています。添付文書を見ると普通の錠剤のような格好をしているのですが、何かこれは理由がありますか。
○機構 機構よりお答えさせていただきます。今回、楕円形ということで坐剤としては珍しい形ですが、患者様が挿入する際に挿入方向を迷わない、どちらから入れても構わないということで、申請者の方でこの形が妥当ということで開発されています。
○松井部会長 よろしいですか。ほかにございますか。それでは今の報告事項については御確認いただいたものといたします。最後に議題5について、お願いします。
○事務局 事務局から説明させていただきます。報告事項議題5、資料11「医療用医薬品の承認条件の解除について(ラニビズマブ(遺伝子組換え))」事務局より御説明します。資料11「承認条件に係る審査報告書」を御覧ください。
 おめくりいただき、1ページの「I.品目」でございますが、対象品目はルセンティス硝子体内注射液2.3mg/0.23mL」、一般名は「ラニビズマブ(遺伝子組換え)」でございます。その下の「1.製造販売後調査の実施の経緯」でございますが、本剤は、平成21年1月21日に「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症」の効能・効果で承認されており、その際、1ページの下から5行目の記載のような、全例調査の承認条件が付されています。今般、この承認条件に関して、ノバルティスファーマ株式会社により製造販売後調査の中間報告書が提出され、機構における審査が終わりましたので、御報告します。
 2ページを御覧ください。「2.調査の概要」ですが、観察期間は2年間とされ、調査票が収集された3456例の成績に基づき、集計・解析が行われ、調査結果がまとめられています。
 安全性について、5ページの「(4)安全性」を御覧ください。安全性解析対象3427例における副作用発現率は2.8%であり、承認時までの国内・海外臨床試験で認められた副作用発現率と比較して、高くなる傾向は認められませんでした。また、発現した副作用の種類に異なる傾向は認められませんでした。
 有効性について、11ページの「2)承認時までの臨床試験との比較」を御覧ください。有効性解析対象眼3465眼において、少数視力を換算して算出したETDRS最高矯正視力スコアのベースラインからの変化量は、表8のとおりであり、1か月ごとに連続3回投与した投与開始後3か月時点での変化量については、承認時までの国内外臨床試験と比較して、大きく異なる傾向は認められませんでした。なお、投与開始後12か月及び24か月時点については、国内外の臨床試験成績と比較して、変化量が小さいですが、その理由として、臨床試験においては、投与開始3か月以降も月1回の投与を継続しているのに対し、承認用法・用量では、投与開始3か月以降は、症状により投与間隔を適宜調節するとされている、投与法の違いによると考えられています。
 以上を踏まえまして、本剤の安全性及び有効性について大きな問題はないと判断され、12ページの「III.総合評価」に記載しておりますとおり、本承認条件の内容については確認できたものと判断されています。報告は以上でございます。
○松井部会長 ありがとうございます。ただ今の説明に対しまして何か御質疑はございますか。報告事項につきましても、御確認をいただいたということで、よろしいですか。特にご意見はないようですので、御確認いただいたことといたします。この病気はひどく進行すると、それこそiPS細胞の治療対象になるのではないかと思います。
それでは本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はございますか。
○事務局 次回の部会ですが、年度が変わりまして4月26日(金)午後3時から開催を予定しています。よろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは本日は、これで終了にいたします。御苦労さまでした。


(了)

備考
 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 益山(内線2746)

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