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2013年8月9日 第3回安全衛生関係指定制度運営評価会議

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成25年8月9日(金)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用第13会議室(中央合同庁舎第5号館12階)


○出席者

参集者:五十音順、敬称略

五十嵐克也、今村肇(座長)、杉山豊治、三浦武男、和田義博

事務局:

半田有通 (安全衛生部長)
大塚弘満 (石綿対策室長)

○議題

(1)指定法人((公財)安全衛生技術試験協会)の中期計画の実施状況について
(2)指定事務の手数料の見直しについて
(3)その他

○議事

○今村座長 それでは定刻になりましたので、「第3回安全衛生指定制度運営評価会議」を開催します。本日は、お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございます。北村委員が欠席との連絡を受けています。また、今日も指定法人である公益財団法人安全衛生技術試験協会から、理事長以下皆さんに御出席いただいています。今日の議事ですが、指定法人の中期計画に基づく業務の実施状況を審査していただき、その上で、適正な手数料額等について意見を取りまとめていただきたいと思います。なお、事務局に異動がありましたので、御報告、御挨拶をお願いします。
○半田安全衛生部長 7月2日付けで安全衛生部長に着任いたしました。前職は安全課長を務めておりました半田と申します。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
○大塚石綿対策室長 同じく7月2日付けで石綿対策室長になりました大塚と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○今村座長 最初に、資料の確認を事務局からお願いします。
○大塚石綿対策室長 資料ですが、お手元の議事次第を見ていただきますと、本体資料が2つ、参考資料が3つあります。本体資料は右肩に資料番号が入っていますが、A4の横の資料です。資料1は、「指定法人の中期計画の実施状況」です。資料2は、「労働安全衛生法関係法令に基づく指定事務の手数料の見直しについて」です。それ以下は参考資料ですが、1つ目が「中期計画」、2つ目が「収支状況に係る資料」、3つ目がA4横のポンチ絵で、1枚紙の「今後のスケジュールについて」です。過不足等がありましたら、おっしゃっていただけたらと思います。
○今村座長 議事を進めます。議題(1)指定法人の中期計画の実施状況について、公益財団法人安全衛生技術試験協会から説明をお願いします。
○安全衛生技術試験協会 事務局長の飯田から説明いたします。資料は資料1ですが、その前に参考資料1があります。これが先般、承認され、進捗中の中期計画の資料です。これに基づいて平成24年度、1年間実施した状況をこれから報告したいと思います。中期計画、ローマ数字1.基本的考え方の次に、2ページにローマ数字2.重点的実施事項があります。この内容について、資料1に、それぞれの項目ごとにまとめて進捗状況を列記しているので、これを使って説明したいと思います。
 ただ、その前に、試験協会としてどのような事業性で推移してきたかを、10年ぐらいの俯瞰的な資料もありますので、以前にもお示ししたと思いますが、平成24年度と、平成25年度の予算の内容も入っているので、それを最初に見ていただきたいと思います。参考資料2の目次の裏のページに「試験協会の事業性の推移 実績と平成25年予算」があります。平成23年までについては、以前にも報告したと思いますが、簡単に報告します。
 図の見方ですが、上の折線が、試験協会のメインの事業である免許試験(学科試験)の受験申請者数の推移です。平成16年ぐらいからずっと上がり続けて平成20年までは上がっています。その後、平成21年、平成22年、平成23年と、3年連続で減少していましたが、平成24年度に下げ止まり、若干増加しているという状況です。平成25年度については、過去3年間の平均をとるということで試算していて、平成25年度は179,350人の予測ということで事業計画を作っています。
 その下の折線が収益からそれぞれの経費を引いた収支差です。左の軸の金額で見ていただきたいと思いますが、平成16年からずっと受験者数が上がってきています。メインの学科試験の受験手数料は下のほうに、8,300円と書いてあると思いますが、平成12年に8,000円から8,300円に上がり、その後ずっと8,300円で平成20年まで来ています。ですから、受験申請者の伸びに8,300円と掛けると、この収支差がプラスということで、かなりたまってきているということでした。ただ、そういう形の中で平成21年に8,300円から7,000円に引き下げられ、受験者が減ったのと併せて平成21年の収益の部分が少し落ちてきています。
 さらに平成22年には、マイナスにまでなってしまったという状況であり、その後、経費の削減等を含めて平成23年には、受験料はさらに7,000円から6,800円に下がったのですが、その収支差については1億円強ということで、一応プラスに転じたということです。平成24年には、受験申請者も若干下げ止まったということもあり、6,800円のままですが、一応、収支差については1億2,400万円ほどプラスになっておりますが、平成25年には、受験申請者の数は平成24年に比べて若干減るという予測の中で、後で申し上げますが、さらに平成25年当初に7つの試験センターを購入して、その後のいろいろな費用等があるので、そこを含めて計算する予算では、ほんの少しですが約2,200万円プラスという形で、平成25年度の予算は動いています。これが今までずっと説明したプラスアルファの内容です。
 2ページに、引当金の期末残高の推移とセンター購入引当預金というグラフがあります。実は今説明した形でたまってきた収益を、引当預金という形でずっとためてきています。平成21年度にはトータルで35億円近い引当預金が、項目別にはいろいろありますが、これだけの引当預金があったということで、この引当預金をどうするかということの中でセンターの購入という話があり、平成23年度からその引当預金を使いセンターを購入するという形にして動いてきています。実際には、平成24年度に使う予定だったのですが、少し遅れて平成25年度に使っていくということで、17億1,500万円が平成24年度から無くなり、今、平成25年度の見込みとしては、退職手当引当預金が4億9,100万円、減価償却引当預金が1億2,200万円、事業費調整引当預金云々ということで、トータルで17億円ぐらいの引当預金になる予定で、今動いています。
 数字についての詳細は、3ページに、平成24年度の正味財産増減計算書内訳表があり、これがこれからの手数料を決めるに当たってかなり関係深い重要な内容だと思いますので、ここについて少し説明をいたします。数字的なものを先に説明した上で、資料1の進捗状況、実施状況をかい摘まんでプラスして報告しようと思います。この資料の見方ですが、平成24年度は実績です。右から3列目に合計の金額があります。左のほうに科目として、一般正味財産増減の部の1.経常増減の部の中に経常収益、経常費用、その下に、2.経常外増減の部があり、また指定正味財産増減の部という形で、出来ております。
 合計(A)は、収益です。経常収益計(A)が上から3分の1ぐらいの所にありますが、平成24年度は事業収益合計14億3,039万5,000円ということです。メインは3事業収益ですが、免許試験の収益、コンサルタント試験の収益、測定士試験の収益、また登録事業を平成24年度から新たに受託しましたが、このコンサルタント登録事業の収益、作業環境測定士の登録事業の収益、そして合計ということで、メインの事業収益は14億485万5,000円となっています。上のほうには、基本財産の運用益や特定資産の運用益があります。これが約350万円と約2,489万円です。雑収益が4で、少しですが10万幾らかあり、経常収益はトータルで先ほど申し上げた14億3,039万5,000円となっています。
 それに対して使われた費用は経常費用ですが、合計については、次のページの2.経常外増減の部の少し上に経常費用計(B)という欄があります。この右から3つ目の合計を見ていただくと13億632万円ということで、収益から経常費用を引いて増減の値が1億2,407万円という形で出てきています。これが先ほどの図で表した収支差、増減の金額です。
 この経常費用が適正かどうかが、これから議論されることになるわけですが、経常費用の項目別に簡単に説明します。4ページの下の欄外に注1と注2があります。各事業の費用に直接対応できないものとして、例えば役員報酬、総務課職員の人件費、本部事務所の賃貸料など、そういう本部で使う諸費用等があります。これについては、各事業の申請者数に応じて配分することとして、そのトータルの配分できない、直接対応できない費用については、中括弧[]の中に幾らという金額を書いています。注2は、逆に各事業に直接対応できる費用、直課できるもの、これは小括弧()書きで記しています。
 具体的に説明すると、3ページの経常費用の「役員報酬」を見ていただきたいと思いますが、3,151万5,000円というのがありますが、そのうちの小計の欄に2,313万円があります。これは実際にはそれぞれの事業に直課できないので、共通の所にそのまま[2,313万円]というのが入っています。これを各事業に申請者の比率で割り振ったのが、免許試験から順番に2,242万円、コンサルタントに21万2,000円となっています。
 例えば職員給与ですが、トータルの合計(A)では5億9,400万円となっていますが、小計に5億7,671万円があります。このうち直接直課できないものが[]で共通の欄にある4,269万円という数字です。それ以外については、それぞれの試験や登録で直接かかっているのが分かるので、例えば()で見ていただくと、免許試験は4億9,530万3,000円、コンサルタント試験は1,310万9,932円ということで、直接それだけ費用としてその事業に掛けていると。先ほど申し上げた共通の[4,269万円]については、申請者に応じて配分して、その分が乗ったものが、例えば免許試験では5億3,668万円になっているし、コンサルタント試験では40万円ほど上乗せして1,350万円になっていると、こういうように、それぞれの項目、それぞれ直課できるもの、そうでなくて配賦しなければならないものを作り、きちんと試算したのがこの表です。
 最初に少し説明しなくてはいけなかったのですが、合計の13億632万円が経常費用計(B)の所にありますが、その中で法人会計が6,444万9,785円とあります。実は経常費用の中で、まず直接事業費に持っていけるものと管理費として残さなければいけないものを最初に割り振らなくてはいけないのです。まずは6,444万9,000円が管理費としてどうしても残るものであるということで、最初にこの部分を出して、その残ったものを全て事業費に。それで事業費の中で直課できるものは先ほどのように直課し、共通のものは共通費として、申請者数に応じて分配したということです。先に法人会計の6,444万9,000円を説明しなければいけなかったのに、申し訳なかったですが、そういうことになっています。
 今の会計法でいくと、6,444万9,000円は、法人会計をプラスマイナスをゼロにするということがあるので、収益の所に「法人会計(管理費へ充当)」と書いてありますが、この6,444万9,000円を収益にしてプラスマイナスゼロにするという会計上の規定がありますので、実際にはこのような収益はないのですが、運用益、雑収益を除いた、事業収益の項目に「法人会計収益(管理費へ充当)」があります。この法人会計の4,046万7,748円は、実際には法人会計ということで収益があるわけではないので、この部分については事業収益の中から管理費へ充当してもらわなければいけない部分ということです。この金額についても先ほど来から御説明しているように、各事業の申請者数の比率に割り振って、それぞれ免許試験に3,922万5,000円、コンサルタント試験に37万2,000円、測定士試験に57万4,000円ということで分担してもらって、収益を引かせてもらっているという一覧表になっています。今、これで新しい会計基準に基づいて動いているところです。これが平成24年度の実績です。
 平成25年度の予算の前に、先ほどの中期計画で平成24年度が、どういう達成状況であるかということに戻りたいと思いますので、資料1に戻っていただきたいと思います。中期計画の実施事項の中で1.試験業務の的確な実施ということで、中期計画に書かれていることを真ん中に書いて、それに対して一番右に現在の実施(達成)状況として整理しました。この試験の実施については、ほぼ計画どおりです。
 1免許試験については、中期計画の中では別記1にありますが、43都道府県で出張特別試験を実施する。学科試験(センター試験)は790回、実技試験は392回実施する予定で動いていました。実績は、衛生管理者試験が少し多く、追加試験として実施したので、センター試験については、学科試験794回の実施をしました。実技試験については、申請者数は見込みより多かったのですが、効率的にできたので、382回ということで7,018名の実技試験者に対応しました。
 2コンサルタント試験についてですが、これも計画どおり実施して、筆記試験の受験申請者は1,147名、口述試験は610名です。もともとの計画では、受験申請者数は次の裏頁の筆記試験1,200名、口述試験は600名を見込んでやっていましたので、ほとんど予定どおりの人数です。
 作業環境測定試験は第1種と第2種がありますが、それぞれ見込みが第1種については1,150名、第2種は1,600名ということで見込んで予算を作っていました。実績は第1種が1,127名、第2種が1,618名ということで、これも大体予想どおりの人数です。学生等に対する試験は積極的に協力してやっていくということで、これも積極的に協力し、高校生(2級ボイラー等)が中心ですが、26回で4,235名を予定していましたが、実際は25回で3,913名ということで、少し少なかったとは思いますが、こういう形で全て対応しました。刑務所等についても、27回で310名の予定でしたが、回数は27回の予定どおりで申請者は若干増えて321名ということでした。
 ハ.試験実施に伴う過誤事案の発生防止です。中期計画の中では0件を目標とするということで、平成24、25年にかけて0件を目標として動いています。学科試験では過誤事案は今のところ発生はしていませんが、残念ながら、実技試験において今年2月にボイラー溶接士の実技試験の試験板が1名分紛失するという事案がありました。これについて結果的には、受験者本人の了解を得て再試験を実施し、内容については厚生労働省にも報告して、今、再発防止策を策定して徹底して動いているところです。
 (2)「良質な試験問題の確保」です。イ.不適切な試験問題の発生防止は、非常に大きな問題ですが、この部分についても相互チェックや各種試験委員会の適切な運営、審査体制の充実を図るということで、これも0件を目標として動いています。この件はボイラー溶接士試験において実質的には1件発生してしまいました。平成24年8月及び9月の出張試験の問題の内容ですが、1問が不適切であったことが分かり、その部分について対象者は52名だったのですが、全員正解として処理しました。これについても厚労省に報告し、再発防止策を策定して動いているところです。
 ロ.試験問題の質の確保については、問題作成者間で十分検討を行うということや、試験問題検討委員会を開いてきちんとやっていくということで動いています。これについては、作成者間での十分な検討も併せて、潜水士については、潜水医学や潜水技術の専門家の意見を聞いて、良質な試験問題の作成を心がけてきました。その良質性をどう図るかですが、1つは識別値があり、その識別値を参考として良質な問題の作成に心がけて動いています。識別値が普通0.3以上だったらいいのですが、私どもとしては、ここで0.4以上と数字を出しましたが、識別値が0.4以上の問題として、第1種衛生管理者については82.3%、エックス線についても91%以上ということで、問題としては非常に良質であると思っています。また試験問題検討委員会については、計画どおり開催しました。
 下のほうの(3)安定的かつ効率的な試験事業実施に向けた施設の整備です。先ほど申し上げた7つの試験センターを国の資産ですが貸してもらって長くやっていたのですが、これを購入するということで、平成24年度中の購入の予定で動いていたのですが、厚生労働省及び財務省間の調整等に若干時間がかかったので、実際には6月にずれ込みました。ですから、金額については、一応、今年6月11日に払い込み、今、登記の作業をやっている最中です。その施設をどうするかということでは、今後、センターの長期の使用を可能とするために、大規模修繕工事の計画を策定して動き始めています。
 2.公益財団法人への移行も当協会にとっては大きな内容でしたが、これも4月1日の移行を目標として動いており、実際に4月1日付けで移行を完了しました。
 3.効率的な業務運営ということでは、契約の見直しとか、修理・修繕の積算の精査、旅費交通費の節減、その他いろいろ書いてありますが、こういうことをやることによって、これからまた数字でお示ししたいと思いますが、中計では平成22年度の実績に比べて、平成25年の中期計画の最終年度については、9%削減するという目標を掲げました。今、平成24年度ということで、まだ1年目ですが、それについてはセンター購入をすることによって伴う費用及び項目があります。これを除いた形でということで、もともと目標に掲げていました。それで、平成24年度の実績ベースでは7%の減少というところまで来ています。平成25年度予算はこれからもう一度御説明しますが、9%の目標でしたが、今は10%の減少を見込んで予算を組んで平成25年度は動いています。
 (1)組織・運営体制の整備についても、人員については最小限の人員で対応するということで、計画どおりの人員で対応してきています。人件費については、平成24年度の人件費が8億876万1,000円ということで、平成22年度の実績が出ていた8億4,700万円に比べると、4.6%ですが、3,861万円の減少になっています。
 (2)業務の効率化では、横断的に対応することができる職員の育成に努めるとともに受験者管理システムの改善を継続的に行うこととしておりますが、今、試験委員の内部化、問題原案作成の内部化を進めています。システムについても、専門的知識を有する職員を育成するために、そういう研修やシステムの改善に努めて動いてきています。
 5ページですが、特に収支でかなりマイナスであることがありましたので、その事業を特別にきちっと見ていくということで、(3)労働安全・労働衛生コンサルタント試験、作業環境測定士試験については、それぞれの改善策を目標に掲げ、今、それに基づいて動いています。
 1コンサルタント試験については、試験会場の変更を目標に掲げてきました。実際に、東京会場は、平成24年度は都市センターホテルから東京流通センターに変更することによって、費用が150万円節約できています。協会職員を試験委員として活用することで、実際には職員の試験員の担当科目を2科目に増やして、事務局が試験問題原案を作ることによって、外部試験員の数を2名削減できました。平成25年度においても、引き続きやっていくことになります。
 記述試験があるのですが、これについては、採点作業を含め工数がかなりかかっているので、これを多肢選択試験に変更ができるかどうかを検討して、可能であれば多肢選択試験にもっていこうという考え方で動いています。これも検討を開始して、今まだ検討中ですが、平成25年度についても引き続き継続していこうということです。いろいろな費用、旅費等の削減には努力しているので、この費用については削減できていると思っています。
 試験の実施方法についても、検討していかなければいけないということで目標に掲げています。これは厚生労働省との綿密な協議をしながら検討するということで、先ほどの記述試験を多肢選択試験にするかどうかについても一緒にやっており、方向としては技術的に可能であれば、そちらの方向でもよいのではというおおむねの了承を得ているところです。
 2測定士試験ですが、これも試験員会がかなり多く開催されますので、その回数を削減していこうということです。試験員会が今まで41回ありましたが、それを中期計画の中では33回まで減らしていこうということです。平成24年度には、実際に35回にまで減らすことができました。平成25年度については6ページに内訳を書いていますが、33回まで減らしていくということで動いています。どうしてこれだけ必要かということですが、測定士試験については、第1種が全部で9科目あります。この9科目については、今までそれぞれ3回ずつ必要だったのです。選択科目については、どうしても3回は必要ですが、衛生一般、デザイン、法令については内部の力を活用できるということもあり、衛生一般、デザインについては2回で何とかなるだろうということで2回×2科目で4回、法令については内部にそれだけの力のある人がほとんどですので、1回で何とかするということで、それぞれの原案については事務局で作り上げることによって、減らしていこうということで考えています。後期試験については、共通の4科目だけですが、今まで4×3で12回かかっていたわけですが、それをこういう形で減らしていこうと。
 それ以外には、幹事の合否判定会議が必要なので、これについては夏、冬1回ずつ要るということで、今、平成25年度はトータルで33回を目標に動いています。
 協会職員の試験員としての活用で云々とありますが、これについても職員1名を試験員として登用して動いています。
 会議関係経費、旅費等諸経費の削減も、今、具体的には実施中です。実際に、平成23年度は大体600万円ぐらいかかっていたのですが、平成24年度については、支出額458万円となり大分削減ができました。
 (4)契約・調達の効率化も、契約については一般競争入札を原則とすると。これによらない少額についても、インターネットの活用やいろいろな効率的な調達に努めるという目標を掲げて動いています。実際に平成24年度は、一般競争入札の必要な金額のものはなかったのですが、本部複写機の購入等で、指名競争入札を実施して、できるだけ調達費用をかけないようにということで動いています。
 7ページですが、会議室の費用など、そういう費用も結構かかっているわけですが、会議についてはできるだけ本部内で開催すると。コンサルタント試験は、東京会場を流通センターに移すということを申し上げましたが、平成25年もそういう形で持っていくことを考えています。現在、本部が入居しているビルの賃貸料も、スペースを効率的に使うことで、かなり縮少して経費の削減を図ってきました。
 (5)受験者管理システムの適正な運用です。これも実際には試験事務の情報や受験者のデータを受験者管理システムによって一元管理して効率的な運用に努めています。受験資格が廃止された試験が平成24年度から6科目ほどあります。それに関する法令改正に伴うシステムの改修が必要で、適正な試験事務処理を行うために継続的なシステムの改修を行ってきています。この効率的な運用によって組織の人員の増員を抑えながら、今後とも経費の節減にシステムを有効に活用していくことで動いています。
 4.受験者等に対するサービスの充実です。円滑に受験できるように的確な広報に努めたり、フォローしたりということを書いていますが、実質的には適正な一般広報に努め、ホームページの充実にも努めて動いてきています。
 (2)特別な配慮の必要な受験者への対応も、平成23年度は85名という実績があったのですが、今年度は対応者が92名で、例えば金属アレルギーの人など、いろいろな方にきちんと対応して受験者サービスを充実させてきました。
 8ページの5.機密事項の漏洩防止対策の徹底です。平成24年度においては、実際に受験者への個人情報の漏洩や試験問題の漏洩は当然ですが、ゼロということで目標を掲げて動いており、現在ゼロです。
 6.「コンサルタント及び測定士の登録事務の実施は、平成24年度から新たに登録事務をするということで入ってきた事業ですが、これについても移行に伴って受験者に余りマイナスにならないように、あるいはクレームにならないようにということで移行を心掛け実質的にはゼロでした。実際の登録件数としては、1年間で、新規登録、書換え、再交付を合わせて、測定士が1,053件、コンサルタントが364件でした。
 7.国との緊密な連携と受験者の動向、有資格者の需要状況の把握については、できる範囲でのアンケート調査等を行いました。平成24年度に、受験者に対するアンケート調査を行って、第1次の内容としてまとめて報告させていただきました。また、コンサルタント試験や測定士試験の運営等については、厚生労働省とも定期的に打合せをしてやってきています。今後ともそういう形でやっていくことを考えています。
 最後に、8.職員研修等の充実ですが、中期計画に新規採用職員や中堅職員に対する研修プログラムを設けて実施する、また必要な資格取得や人事異動等を計画的に実施すると書いています。実際に平成24年度は、採用後3年程度の人まで広げて初任時研修の対象として、そのプログラムを作って実施しました。12月と2月に、対象者はちょうど14人いたのですが、それが終わりました。平成25年度は中堅研修を実施する予定です。
 人事異動の件については、試験問題検討会に各センターの中堅職員を参加させて、試験問題作成のノウハウや知識の獲得に努めさせており、平成25年度も引き続き行っていきます。また本部の試験問題作成部門にプロパーの職員を配置して、実地に試験問題の作成をさせていくということで平成25年度からは、プロパーを1名入れてやっています。少し長くなりましたが、平成24年度は、実質的にこういう形で、中期計画の中の途中のものもありますが動いています。
 続けて、もう一度参考資料に戻っていただき、平成25年度予算を見ていただければと思います。参考2という資料の平成25年の予算の所です。5、6ページです。表の作り方は、先ほどの平成24年度のものと同じですが、単位が1,000円になっているだけです。右から3列目が合計(A)のトータルの所です。平成25年度は、受験申請者を少し低く見積っているので、経常収益が下がっていますが、合計は14億1,633万円を予定しています。
 もう一度申し上げます。平成25年度予算、今動いている予算ですが、右から3列目に合計があります。収益14億1,633万円です。経常費用は、6ページの下から3分の1ぐらいにある経常費用計(B)で、13億9,365万5,000円です。収支差が2,267万円ということで、ぎりぎりですが、今この予算で動いています。なぜ、ぎりぎりになっているかについては、減価償却費、租税公課など、平成25年6月にセンターを購入したことに絡んで、その金額が平成24年と比べて大きく異なっているところです。
 この後、平成26年以降の云々はあるのですが、実際には、これからの手数料をどうするかということを受け、その手数料が改定になったときの改定額でもって、3年間のことを見積っていますので、それは、あとで説明をしたほうがよろしいかと思いますので、一応、ここまでで説明を終わります。
○今村座長 ありがとうございました。ではただいまの説明を踏まえて御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。
 まず、資料の作成上で細かなことで恐縮ですが、資料1の4ページの3の(1)組織・運営体制の整備のところで、中期計画には目標数値として、平成24年度の職員数は88人と書いてありますが、右側のほうでは計画通りの人員で対応したと書いてあります。たまたま、これは数字を入れなかったのですか。
○安全衛生技術試験協会 そうです。
○今村座長 大体この辺の人数で、88人で対応していると。分かりました。
○三浦委員 先ほどの中期計画の2ページで、試験実施に伴う過誤事案の発生防止の所で、学科試験においては、過誤事案は発生していないということですが、下のほうで溶接士試験において、不適切事案が1件発生と。全員がこの問題については正解したと。
○安全衛生技術試験協会 実は、大きく2つに事業部門が別れており、試験問題を作成する部門で、不適切な試験問題の発生をゼロ件にするということを1つ目標に上げております。もうひとつは、各センターで試験を実施します。そのときに問題が起こったりすることがあります。例えば受験申請書の写真照合を怠ったために別な人だったとか、あまり起こることはありませんが、実は、そういうことがあるために、2つに分けて、それぞれ管理していこうということです。
 7つのセンター試験の実施に伴う過誤事案はありません。問題を作成する側で1件だけありました。簡単な問題ですが、ボイラーの試験で、「裏曲げ」とするべきところを「曲げ」ということで「裏」が抜けていたことがありました。これが1件です。そういうことです。
○杉山委員 ありがとうございました。一通り実施状況を見せていただきましたが、これといって大きく指摘することはないのかという気はしました。ただ1点だけ教えていただきたいのは、3ページのセンターの購入関係で、これが半年ずれ込んだということで、このずれ込むことによっての経費上の影響はどこかに出ておりますか。
○安全衛生技術試験協会 そういう意味では、24年度が費用としてもっとかかるはずだったので、24年度をマイナスに近い予算に組んでいましたが、それがプラスになってきていることで、24年度、プラスの影響は出ております。25年度については、もともと24年にやるべき費用がそのままずれ込んで25年度にきております。後で説明をしようと思っておりましたが、併せて、24年度中に購入が終わっていれば、その時点で租税公課ということで約7,000万円ぐらいの費用が要ります。それが24年度に出て、25年度はその分がないはずでしたが、その分が24年度に出ず、25年度に出てくるということで、25年度の予算が、その分も含めてかなりマイナスになります。このあと参考資料の8、9ページで説明する内容として残っておりましたが、もし必要なら、今、説明しますか。よろしいですか。影響はそのぐらいです。
○今村座長 ほかの委員がお考えになっている間に、1つ。
 組織の今後のことで、重要だと思いますが、4ページの(2)業務の効率化で、目標としては、「業務を横断的に対応できる職員の育成に努めるとともに」と書いてあります。右側を見ると具体的な、横断的に対応するスキルに該当するような事項がないように見えますが、受験者管理システムというのが各試験共通ということですか。つまり、簡単にいうと、いろいろな試験を別個にやっていたものを、できるだけ余剰人員が出てこないようにするというのが基本的な考えだと思いますが、それが具体的に実施されたかどうかが、この右側の文章だと、もうひとつ読めないのです。その辺をもう少し説明していただければと思います。
○安全衛生技術試験協会 そういう意味では、ここの部分について、これは現在進行中のところもありますが、最後の人材育成の部分にも絡んでくる内容です。そこのところも併せて、今どういうことをそれぞれ共通でスキルアップさせるか。それぞれの職員のキャリアプランみたいなものも作っている最中です。そういうことも併せて、これは育成に努めるとともにという表現をさせていただいております。
 この横断的対応は、確かに今まで7つのセンターそれぞれが若干違ったようなやり方をしていました。受験者管理システムもそうですが、やはりそれ以外は、それぞれのセンターでどのようなやり方でやっているかを、今、本部として全部細かく把握しながらそれをできるだけ同じような形にすることによって、どこへ行ってもそれぞれの職員が総務も、試験員もいろいろなことを含めてできるようにしていくと、そういう考え方で動いています。
○安全衛生技術試験協会 基本的に言いますと、試験問題を作るという力と作った問題を実際に実施するという試験管理が、かなり別れているのは、これまでの実態でありまして、どちらかは得意で、こちらはできないと。特にプロパー職員は、どちらかというと試験実施のほうが得意です。プロパー職員でも試験問題を作っていけると、お互い交流していろいろなことで対応できるということ。大きく分ければそういうことです。
 そのひとつの端緒として、プロパーの方に、試験問題作成をしてもらって、今、教えて育成中です。今後、その人数も序々に増やしていこうと考えております。
○今村座長 ありがとうございました。2つあると思いますが、システムの共通化によるスキルの共通化と、もうひとつは実際に人員を異動することによって横断的にノウハウを職員の中で共有していき組織的に余剰を無くしていき、柔軟性を作っていくという2つの方法があると思います。それは中期目標にも書かれているので是非、今後とも確実に実施していただければと思います。
 いかがでしょうか、ほかに。
○和田委員 昨年もお尋ねしたかもしれませんが、もう一度、今年度(平成24年度)の正味財産計算書と平成25年度の予算との関係を最終の数字だけで結構ですが、確認させてください。
 参考2の3、4ページに、平成24年度の正味財産増減計算書内訳表があり。この合計金額を見ると、合計欄の当期一般正味財産増減額が1億2,386万930円。24年度は1億2,600万の正味財産がプラスになっているということです。
○安全衛生技術試験協会 そういうことです。
○和田委員 はい。それで、6ページに、これは予算で千円単位で、平成25年度の同じ所の数字が2,267万5,000円になっています。
○安全技術試験協会 一桁違いになっています。
○和田委員 なっていますね。
○安全衛生技術試験協会 はい。
○和田委員 それでいえば、24年度は1億2,300万あったプラスが、平成25年度は2,200万の予算に減ると。6ページの予算だけを見ると、その横の前年度は△の9,900万。これはこのまま見ると、間違えて昨年は9,900万のマイナスだったのに、今年は2,200万で良くなったと見えるので、これは前年度の予算かどうか。
○安全衛生技術試験協会 そうです。前年度の予算です。センター購入とかを含めて24年度でやる予定で、こういう形で組んでいました。それが遅れたために、平成24年度は1億2,000万ほど出たということです。
○和田委員 そういうことですか。
○安全技術試験協会 はい。
○和田委員 これは前年度の予算とか。
○安全技術試験協会 書いておいたほうがいいですか。
○和田委員 本当は、これは同年度の24年度もそうですが、実績と実績で比較するのはどうですかね。その年度の予算と実績を比較するのかだと思いますが。これは誤解を招いて、悪くなっていくのに、悪くなったのが良くなったように見えます。気をつけたほうがいいと思います。
○安全衛生技術試験協会 ずっとその形できているみたいですが、これは考えたほうがいいかもしれませんね。
○和田委員 「予算」と書くだけでも分かります。
○安全衛生技術試験協会 少なくとも、ここに「予算」と書くべきですね。分かりました。
○和田委員 そうです。
○安全技術試験協会 はい、分かりました。
○五十嵐委員 1つ前の議論になって申し訳ありませんが、先ほど座長もおっしゃっていたところで、試験員、作問委員ということで、職員を活用して外部試験員の数を削減することで実績が出ております。これは24年度の中でそれを行ったという実績が出ているわけですか。
○安全衛生技術試験協会 はい。
○五十嵐委員 我々も検定試験をやっている側として、同じ年度の1つの年度の中で、そんなことがよくできるなと。どういうことで職員の方の能力向上を図り、それが試験問題を作る原案ということで、そのあと外部試験員の方のチェックが何重にも入るのかもしれませんが。どのようなことをすると、そういうふうに職員の能力向上を図られるのかというのは、単なる経験値だけでしょうか。教えていただければ参考にしたいです。
○安全衛生技術試験協会 試験実施を長い間やってきておりまして、事務局には行政からきた人もいるのです。どうしても測定士のような専門性の高いものは、なんとなく委員会でやるというシステムになっておりますので、先生任せという意識が職員、事務局にもありました。しかし、よく考えてみれば、我々がいつも免許試験などで作っている問題と、余り変わらないのではないかと。少し勉強をすれば測定士向けの問題が作れるのではないかと。もともとそれだけの力があった人たちが事務局にいたということですが。どうしても仕事は惰性でやりますので、去年と同じやり方ということで、ずうっと専門性が高いんだというような、確かに専門科目では、大学の教授、助教授級がよくて専門性が高いです。それでも事務局がやれるものはないかということを、こういう事業仕分け以降の機会で考え、これは事務局でもできるのではないかということで探していったのが実態です。
○五十嵐委員 参考までに教えてください。コンサルタント試験と測定士試験のそれぞれ外部試験員の方の人数は、何人ぐらいになりますか。
○安全衛生技術試験協会 正確には覚えてないですが、測定士32人ぐらいで。コンサルタントは40数名です。例えば、委員会が測定士には9個あります。1つの委員会に5人ぐらいでも、ダブルで重複して委員になってもらっていますが、そのぐらいの人数が必要です。
○五十嵐委員 今後もそういうことを続けて更に。
○安全衛生技術試験協会 限りがあります。
○安全衛生技術試験協会 やはり事務局としても。科目、科目で本当に大学の助教授級の人を揃えられるかというと、科目の数だけいないと駄目ですので、事務局体制として、恒常的には難しいと思います。事務局が作れる範囲というのは、ある程度限られますが、できる範囲でやる。もう少しできると思います。一応、当面できる目標は、例えば測定士は33回までは減らせるだろうと。委員会という形式をなくすという根本的なシステムを変えれば別ですが、これがある以上、今のところは33回で、そこまでかという感じです。
○安全衛生技術試験協会 たまたま資料を持ってきておりますが、コンサルタント試験の試験員については、今年度は47名です。測定士は32名です。
○五十嵐委員 職員の方を作問のほうに。言ってみれば、業務の一部をそこに振り向けるわけです。そうすると通常の業務は、今までやってきた他の業務への影響は大丈夫ですか。
○安全衛生技術試験協会 相対的には増えます。仕事自体は忙しくなるというのが一言です。実は試験というのは、ある程度時期的であり、例えば今の時期は、夏はそんなにいつもと比べれば仕事量は少ない。例えば、委員会形式では、委員会を開く時期はコンサルタントも測定士も、4月から6、7月頃まで集中的に何十回も開くので大変忙しいです。先生にやってもらうと、そこがすごく忙しくなります。別に少し暇なときに事務局で原案を作っておけば、かえって4、5、6月のときは委員会の数が減ります。ここが平準化されるという意味で、相対としては若干増えますが、全体としてはうんと忙しい時期には落ちるということで、今のところ支障はあまり生じてはいないという状況です。
○五十嵐委員 はい、分かりました。ありがとうございます。
○今村座長 ありがとうございました。是非、その辺のところは既存の人的資源を十分に生かされて、先ほど既存の流れに従ってということもおっしゃっていましたが。そういうところで意識改革をしていただきたいと思います。恐らく、それはトップの責任でもあると思いますので、全体をよく見て、マネージメント、管理を更に一層続けられるように期待申し上げております。よろしくお願いいたします。
 よろしいですか、ただいまの御意見について。これ以上なさそうですので、それでは指定法人の中期計画の実施状況について、これまでのところ適正なものと評価でき、また各業務に係るコストも概ね適正なものと評価できるということでよろしいですか。
(異議なし)
○今村座長 ありがとうございます。
 次に、議題2「手数料額の見直し」に移ります。
 今回は当運営評価会議として、適正な手数料額について意見を取りまとめることになっております。その取りまとめ案について、事務局から説明をお願いいたします。
○大塚石綿対策室長 資料2を御覧ください。「労働安全衛生法関係法令に基づく指定事務の手数料の見直しについて」(案)に基づき御説明申し上げます。
 1の趣旨ですが、これは当評価会議の位置付けも含めて、これまでの経緯を書いています。1段落目に書いていますように、もともとは厚生労働省に置かれた独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会が、平成22年12月27日に報告書を取りまとめましたけれども、これに基づきまして労働政策審議会の安全衛生分科会に設置された専門委員会で、指定制度の在り方及び国家試験等の手数料が適正かどうかについて議論いたしました。その結果、外部の有識者で構成される第三者委員会の意見を踏まえるべしとなり、当評価会議が設置されたというものです。御案内のとおり、この評価会議では皆様方に御参集いただきまして、指定法人の中期計画に基づく業務実施状況等についての確認をいただくとか、あるいは今から御議論いただく手数料額について御検討いただくといった趣旨です。
 2の指定法人の業務の実施状況についてですが、これは正に今、議題1で御議論いただいた結果、おおむね適正であるという結論に至ったかと思います。これを踏まえて個別の手数料額について、これから御意見を賜りたく存じます。
 3の手数料額についてですが、(1)に基本的な考え方を示しています。(1)の基本的な考え方の2行目から書いていますけれども、各手数料額については、現在の収支状況及び受験者数等に基づき、今後、3年程度の受験者と登録者1人当たりのコストを推計します。それと現行の手数料額との乖離度が平均しておおむね10%を超えるものについては、均衡する水準に改訂するということです。具体的に例を御覧いただくと、3ページに「免許試験年度別収支状況」を載せています。表を書いていますけれども、左から3番目に経常収益という2の欄があります。この経常収益から右隣の3経常費用と、更にその隣の4修繕積立金積立額を引いたものが、その右側に記載している5収支差です。この収支差を左から2つ目にある1申請者数で割ったものが、右から2番目に書いてある61人当たりの収支差になります。この1人当たりの収支差を現行の手数料で割り算したものが一番右の乖離度です。今後、3年間というのを一番下の欄に載せていますが、要は右2つです。収支差と一番右の乖離度を見て、この乖離度が10%を超えるものについては均衡する数字に持っていく。それが基本的な考え方です。後に、一つひとつの手数料等について説明していきますけれども、この手数料は1ページの一番下に書いてありますように、ここで見直しの御議論をいただき、こういうやり方でやろうと決まった場合には来年度から適用することにして、更に特段の事情がない限り、3年ごとに見直しをするといった流れで進めていきたいと思います。
 個別の手数料について御説明申し上げます。2ページに各手数料等について書いてありますけれども、現行の手数料額との比較で言うと8ページのほうが見やすいかと思いますので、適宜、見やすいほうを御覧いただければと思います。
 1つ目の免許試験ですが、免許試験についての収支状況は先ほどお示しした3ページに出ています。3ページの一番右の下の2つを見ますと、1人当たりの収支差は20、乖離度はゼロとなっていますので、こちらは据置きとし、現行額をそのまま維持するという結論でどうかと思っています。
 次に労働安全・衛生コンサルタント試験ですが、この収支状況は4ページに出ています。4ページの表の一番右下の2つを見ると、1人当たりの収支差は-3,340、乖離度は-14となっていて、先ほどの基本的な考え方に照らすと10%を超えていますので、機械的にやれば値上げが必要となってきます。ただ、8ページの現行額を見ると、今の労働安全・衛生コンサルタント試験の手数料は2万4,700円と、普通の試験と比べても高水準となっていますので、利用者の立場に立ちますと、そのまま値上げするよりは、現行経費の更なる削減に努めることにより対応していくのが適当ではないかと考えますので、これは据置きとしてはどうかと考えています。
 次の作業環境測定士試験ですが、この収支状況は5ページに出ています。5ページを見ると1人当たりの収支差は-10、乖離度はおおよそゼロとなっていますので、こちらの手数料は据置きが適当ではないか、としています。
 次に労働安全・衛生コンサルタントの登録手数料ですが、これは6ページに収支状況が出ていて、1人当たりの収支差が+1万670、現行手数料との乖離度は36%に及んでいます。これを均衡させることとして、現行の手数料3万円のところを2万円に引き下げてはどうかとしています。書換手数料については2,450円となっていますが、これは十分に低い水準であるため新規登録のほうで一括受益者還元することとして、書換えについては現行維持でどうかとしています。
 最後に作業環境測定士ですが、収支状況については7ページに出ています。7ページの一番右下を見ると1人当たりの収支差は7,220、乖離度は28%となっていて、機械的に下げるのであれば7,220円程度下げることになるかと思いますが、これは先ほど見ていただいた労働安全・衛生コンサルタントの手数料との均衡が、1つの考慮要素としてあろうかと思います。もう1つが、過去3年の最低申請者の実績による収支差を見ると、7,000円までいかなくて5,300円にとどまっていることなどもあり、その2つを考慮すると、値上げ幅は現行の2万5,800円から、5,800円値下げして2万円にしてはどうかとしています。書換手数料については、これも労働安全・衛生コンサルタントよりは若干高いですが、十分低い水準ということもありますので、こちらも一括して新規登録者に受益者還元することとして据置きにしてはどうかと考えています。
 以上が各手数料の考え方ですが、今、申し述べましたとおり労働安全・衛生コンサルタント登録料、作業環境測定士の登録料については、値下げしてはどうかと考えています。先ほど述べましたとおり、今後は参考資料3にありますように、26年度に手数料改定を行い、その後、3年後にもう一度見直しの議論をしてはどうかと考えています。もし、こちらについて委員の皆様の御賛同が得られましたならば、労働政策審議会安全衛生分科会に御報告申し上げて、手数料の改定についての具体的な議論を進めていきたいと思っているところです。以上です。
○今村座長 ありがとうございます。ただいまの説明を踏まえまして、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。
○五十嵐委員 3ページの免許試験の費用のところですが、経常費用のほうで26年度以降、消費税の上昇分も加味している中でも費用が減っていくことについて、原因というか、そこをお聞かせいただけますか。
○今村座長 それは試験協会のほうから。
○安全衛生技術試験協会 3ページの注6を見ていただきたいのですが、試験管理システムを先ほどお話したと思います。その減価償却がちょうど27年度で終わることになりますが、結構、1億、2億という単位の費用がかかっていて、それが減価償却しますので、この部分がかなり大きく効いて、消費税の増分を加味しても若干下がるという数字が経常費用として出てきています。
○三浦委員 これは、全ての試験で減価償却が。
○安全衛生技術試験協会 ほとんどは免許試験、学科試験が中心ですので、そこに賦課しようと、こちらで持ってもらうということです。これが18万ぐらいの人数でやっています。4ページを見ていただくと、コンサルタント試験は1,400名ぐらいですし、測定士も2,700名という形です。ほとんど免許試験でやっていますので、そこに全部賦課させていこうということで、ここに減価償却として全部入れさせてもらいました。
○三浦委員 分かりました。
○今村座長 同じように、ほかのところでも「試験システム減価償却」と書いてありますけれども、影響としては免許試験のところに集中してマイナスの結果が出ていると。
○安全衛生技術試験協会 というのは、本当に申請者の比率で割りますと、97%が免許試験の学科試験に配賦されますので、0.何パーセントの分ですから10万とか1万とか、それぐらいは入っているのですが、ほとんど動いていません。減少するとは書いてあるのですが、ほとんど動きはないぐらいの部分で、逆に消費税の分が上がっているという感じかと思います。
○今村座長 ほかに、御意見はございませんか。
○安全衛生技術試験協会 今、いろいろ質問がありましたので、それに関係して実は26年度から28年度、今のような形で進めまして改正したとしたらこうなりますという資料も作っていますけれども、これを御説明したほうが。
○今村座長 何ページですか。
○安全衛生技術試験協会 参考2の7ページに、3年間の収支予想ということで作りました。当初は、この改正の前のもので作っていて、更にそれに改正した場合にはどうかということで作ったのが7ページの表です。見方としては26年度から28年度に横展開していますけれども、経常収益のところで登録事業のコンサルタントと測定士、この部分の登録手数料の収益が実際には540万円と1,300万円になっていますが、これがもっと高かったわけです。1万円分とか5,800円分とか高く最初は作っていました。これが改正後はこういう形になります。人数などは予想をそのまま使っています。27年度もそれが560万円、1,240万円ということでここが減ってきていますし、28年度もそういう形できています。それでいきますと収益として合計のところが、例えば26年度は14億764万3,000円となり、経常費用のところで役員報酬や職員給与は年々変わっていきますし、若干上がっていく部分もありますけれども、基本的には3年間据置きという形で努力していくことによって、一番下の経常費用計の(B)のすぐ上に消費税の増税分というのがありますが、例えば26年度は1,260万円ほど計上していますし、27年度は1,682万円、28年度は2,110万円計上しています。経常費用計が13億6,512万6,000円というのが26年度で、増減額は4,251万7,000円と、25年度よりは少しプラスの予想をしているのですが、できればここで次の大規模修繕積立金繰入れ額ということで、4,720万円ほど積み立てさせてもらうと、マイナスにはなってしまいますけれども、こういう予算の予想になります。27年度は同じく4,720万円ということで、全てこれは免許試験に配賦させてもらう前提で書いていますが、211万3,000円のプラス、28年度は768万6,000円のプラスということで、この減価償却が26年、27年、28年と減っていくと思います。この部分で、先ほどの御質問の答えにもなると思います。
○今村座長 消費税引上げのシナリオは、今、1%ずつとか、また新しいものに。
○安全衛生技術試験協会 そうですね、また変えなくてはいけないかもしれません。
○今村座長 そういうケースの場合には、若干、これは減っていくという。
○安全衛生技術試験協会 これは3%でやっていますね。
○今村座長 3%でやっている。
○安全衛生技術試験協会 そうですね。
○今村座長 分かりました。
○安全衛生技術試験協会 そうですね、変わってきます。
○今村座長 御説明はよろしいでしょうか。
○杉山委員 ありがとうございました。登録手数料の引下げに関係して、感想めいた話になりますけれども、試験に受かったものの、登録料が高くて登録しない人について、こうした者の登録を促し、活躍する場に出て来られる可能性が高まったという意味では、評価できるのではないかと思っています。それが1点です。2点目は、これは今頃聞いていいものかどうかというところではあるのですが、基本的な考え方に遡りますけれども、資料2の1ページにある1人当たりのコストの出し方についてです。
○今村座長 下から5行目ですね。
○杉山委員 はい。今、縷々ご説明いただいて、1人当たりのコストと将来のコストで比較して10%の差がある場合について検討しているということを聞くと、なるほどと思いますけれども、全ての収益とその経常益と受験者数で計算することに何かの理屈があるようで、どうなのだろうという単純な疑問があるのです。そういう意味では、例えば他の試験制度のコストや手数料を検討する際に、同じようなやり方をされているのかどうかも含めて、何か情報はあるのでしょうか。もう少し言ってしまえば、これはここ独特のやり方ということになるでしょうか。
○安全衛生技術試験協会 独特なのかもしれません。ただ、同じような国家試験がどのくらいの費用でやっているかはいろいろ調べさせてもらい、先ほどのコンサルタント試験については、マイナスだけれども上げるところまでのことはないのではないかとかしていますが、答えとしてなっていないかもしれませんけれども、これは独特と言えば独特なのかもしれません。特にほかの所でこういう方式でやっていることは聞いていないのですけれども。ひとつは動きがありますね。
○杉山委員 ええ。
○安全衛生技術試験協会 その中で毎年、毎年、凸凹の中でやるより、ある程度幅を持たせた中で決めていくほうがいいのかなと、それが10%ぐらいなのかなという気がしないでもないので、出させてもらった数字です。事務局のほうで何かありましたらフォローしていただければと思います。
○大塚石綿対策室長 それぞれの試験区分、あるいは登録料の将来像を考えていくにあたり、乖離度の出し方にも関わるかとは思いつつ、あまりにも収支差が出てしまうようですと見直すべきとなろうかと思います。10%というのは、ある程度決めの部分というのもあるのですが、あまりにも乖離度が大きくなるよりは、3年ごとに収支差がある程度均衡していくような水準で見ていったほうがいいのではないかというのが、我々事務局としての考え方になっています。
○和田委員 あまり、ここで急に言い出しても変な話になってしまうかなとは思いますが、杉山先生の疑問は、私もないわけではないのです。これは受験生が多ければ当然安くなるのです。受験生が少ないと高くなるのです。これって、その試験ごとに受験生が本当に負担すべきものなのか。国のこういった制度として、その試験ごとに収支でバランスを取ることを前提にしているというか、国家試験ですから、国がそういった制度をもって合格者にそういう資格を与えていって、ちょうどバランスよくなっていくのかどうか。多分、それで順調にいっているのですからいいのでしょうけれども、そのときに、その受験生で割り算するのがいいのかどうかが気になります。この辺は、ずっと昔に結論が出ているのではないかと思うのですが、その辺はいかがなのでしょうか。
○安全衛生技術試験協会 受験者の立場から見れば試験に合格して免許証をもらうなり、そういう利益というのは、本当は同じですよね。たまたま人数の少ない試験だったら高くなって、衛生管理者みたいにたくさん受けると1人当たりの金額が、計算上は安くなるという現象があります。どちらから見て公平性を見るかという問題のバランスかもしれませんけれども。
○安全衛生技術試験協会 そういう意味では、安全衛生法に基づく免許試験というのは18科目あります。それはそれぞれ受験者が全然違いますので、トータル18万人ほどいますけれども、その中でも同じように就業制限を解除するという意味では、例えば50人しか受けない試験が3万円かかるとか、5万人受けている衛生管理者は5,000円でいいということでなく、そのトータルで6,800円というのを決めてきていると思いますので、考え方としてはそういう大きな枠の中で1人当たりの金額を決めているのだろうと理解しています。ただ、コンサルタントと作業環境測定士は、また違う形でやっていますので、それはそれなりに、そこでもってある程度収支が取れるようにしていく。これが今の手数料額になっているのかなと理解しています。
○和田委員 手数料の大元は、こういう資格試験をするためには、こういう試験をしなければいけない。そのためにはどれだけお金がかかる。それの赤が出ますね。個人別の総額というのは受験生の数で割り算したら、受験生の多さで掛かる金額が変わってきてしまうではないですか。その辺は、大元ではどういうふうに考えたのでしょうか。
○安全衛生技術試験協会 ですから、大元としては安全衛生法の18科目の受験者は何人ということで考えられたのかなと。
○和田委員 あくまで何人ですかね。
○大塚石綿対策室長 そこは先生方もそのような発想で、これはもともと国家試験ですから、正に手数料を取ってやってという考え方だったのですが、試験協会に指定試験機関としてやっていただくことになっていますので、出す以上は試験を運営していかなければいけませんから、誰を受益者と捉まえて、どういうふうにコストを負担していくかということで、こういうやり方になっていくのも、外に出してやっていただく以上はある程度致し方ないのかなと思います。もともとあるべき論としては、誰を受益者として捉まえるかということで受験者だけでなく、それによって便益を受ける方は、受験者あるいは合格者にとどまらず、広く労働者や事業者一般になっていきますので、出し方として違うやり方があるのではないかという御指摘も分かるのですが、外に出す以上は、ある程度こういうふうにならざるを得ないと思っています。
○和田委員 指摘というのでなく、ちょっと疑問ということでした。大体分かりましたので。
○今村座長 この問題は以前からずっと引き続いている問題で、もしこの試験を民間へオープンにしたときに、果たして市場価格として妥当なものかどうか、そういう基準で検討せよということで従来から議論されていました。つまり、オープンにしたときに市場価格でどの辺のものになるのか。五十嵐委員は、そういう意味で監視役みたいな方ですが。ただ、一方で試験の持続性というものがあります。全体として申請者数が横ばい、ないしは減少したりということで、システムとして持続可能性を維持しなければいけない部分があり、その両方を睨みながら考えることは今後も必要だと考えます。
 それから規模の経済性で考えれば、確かに人数が多いほどコストが安くなるという視点もあるのですが、安全衛生技術試験協会にお願いする場合、一方で範囲の経済と言いますか、1つの組織で共通のノウハウを、うまく生かしながらやっていく部分の経済性もありますから、先ほど来申し上げていますように、組織の中で人的資源やシステムなどを共有することによって、まさに範囲の経済性が活かされていくと思いますので、そういうところをはっきりと意識を持って、仮想ですけれども、適正な市場価格相当の試験費用を維持していくという発想で、是非、今後とも継続して努力していただければと思いますが、いかがでしょうか。
 ほかに御意見はいかがでしょうか。それでは、この取りまとめ案を運営評価会議としての意見とすることで、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは最後の議題3「その他」について何かありますか。事務局からお願いいたします。
○大塚石綿対策室長 事務局から1点ございます。今の手数料の話とは関係ないのですが、実は平成23年10月に総務省から、利用者への配慮のために過去問とその解答を無償で公開するように勧告を受けています。これは何が対象かと言いますと、試験協会が行っている全ての試験についてです。現在は過去の問題については公開しているのですが、解答については公開していないのが現状です。考え方として、解答について公開することができない特段の事情とか理由があれば、公開しないことは差し支えないと思いますけれども、もし、そういう事情がないのであれば、解答を公開しても差し支えないのではないかという考え方もあり得ます。現在、解答について公開していない理由なり考え方について、まずは試験協会からお話いただき、それについて委員の方々から御意見を賜りたいと思っています。
○今村座長 それでは、試験協会から説明をお願いいたします。
○安全衛生技術試験協会 私飯田から今の考え方を申し述べさせていただきます。今、我々としては問題の公表はしています。ただ、なぜ解答を公表していないかということですが、今、試験問題については一定の出題範囲から出しているわけですけれども、無限に新規の問題を作り続けることは非常に難しくて、どうしても過去に出題した問題、またはそれを若干修正したものを相当数出題しなければならないということでやっています。既に問題の公表は行っていますが、これに解答まで一緒に公表するとなると、受験生の受験の準備として過去問へ過度の、より以上の依存を招きかねない。問題を解き、勉強していろいろ知識を得るというよりは、問題のパターンと解答を暗記するようなやり方になってしまいます。受験者の利便性という意味は分かるのですが、どうしてこの試験制度があるかということからすると、5つある選択肢の1つ1つをきちんと読んで分かってもらった上で、どれが誤りかということで解答に辿り着く。そういう勉強の仕方をやってもらいたいということもあり、我々としては、試験制度のあり方からして公表するべきではないと思って今までやってきています。ほかに足りない部分があったらフォローをお願いします。
○安全衛生技術試験協会 例えば英語の試験とか、数学の試験ですと、試験問題はいくらでも作れるわけですが、衛生管理者のように比較的広い範囲のことを聞くタイプの試験もあります。一方、高圧室内作業主任者や発破技士など非常に現場に直結した職種の方の試験もあり、そういうのは非常に専門的で、ある意味で特殊で幅が狭いということで、たくさんの問題をどんどん作ることが試験問題の範囲内では難しいのです、英語の試験みたいなものでしたらいいのですが、そういう現場に直結した非常に特殊な専門的試験ではパターン化しやすい傾向があり、パターン認識で解答するのでは実力が分からないわけですから、この試験のために売っているテキストぐらいは1~2回読み通して受けていただいたほうが、試験の効果が上がるという意味で、問題は公表することにしていますけれども、解答は公表していないということです。
 それは手間がかかるという意味でなく、試験の有効性を保持するために問題を公表することもちょっとと思っています。というのは、試験問題は新規の問題を出せばいいではないかと言っても、新規の問題というのは分からないのです。非常に難しいかもしれないし、易しすぎてほとんど役に立たない問題かもしれないし、変な反応をする問題があるということで、どうしても過去に出した問題をベースにして、新規の問題を少しずつ増していくというやり方をしないと、試験というのは成立しないと思います。
 過去に出して問題のパフォーマンスが分かっていれば、信用できるし識別能力も高く、難易度も適切だと分かっていますから、そういう問題をうんと揃えることで全体の試験の信頼性が上がるのですが、新規の問題で作っていくと、難問かどうかは2~3回やってみないと分かりませんので、どうしても過去問あるいは過去問を修正した問題を中心に作らざるを得ない。特に専門的で割と幅が狭く、普通の人は全然知らない知識ですが、特殊な知識でそんなに幅がない職種が18職種の中に結構あるのです。そういうことから見ると、そういう情報を前もって出すのは試験全体の質を保つためにはどうかという考えは持っています。ただ、私ども試験を実施する立場ですから、こちらで強く主張して「ノー」と言える立場でもないですが、私どもとしてはそういう考えがあります。
○今村座長 ありがとうございます。今朝もニュースで過去に経験したことのない大雨というのがありました。現場での判断力が重要ですから、過去問に頼って知識偏重でやるよりは、現場での判断力を重視したいという御判断はよく分かりました。御意見はいかがでしょうか。
○安全衛生技術試験協会 アメリカは労働力の流動性の高い社会ですので、人間の能力を測ることは非常に重要な社会的課題ですけれども、例えばアメリカの大学共通1次みたいなSATのようなのは過去問しか出さないのです。では問題が増えていかないかというと、200問あるうち10問ぐらいは新問にするのですが、それは採点しないし受験者にはそれが新問かどうかも教えていない。採点部分は全部過去問でしかしない。あの国はそれが徹底している。ですからアメリカでは試験問題も公表しておりません。ただ、アメリカがいいから日本もということでは決してないのですが、試験の実施についてはそういう考え方もあるということです。
○今村座長 御意見、いかがでしょうか。
○杉山委員 今、御説明していただいたことで、概ね納得はできるのですけれども、ただ、少なくとも総務省から過去問を公表するよう指示が出されているわけで、それに対して、今、御説明いただいた理由だけで本当にこの先もずっと通していけるのだろうか、我々としても、その理由だけで過去問の解答を公表する必要はないと言い切っていいものだろうかというところを、きちんと整理しておく必要があるかと思っています。そういった意味では、ほかの試験などで同様に出していないものについて、その理由、背景と比較検討した上で、この協会の実施している試験の過去問の解答を公表しないことの妥当性を、資料として準備し整えておくことは必要だろうと思います。新しい問題をどんどん出していくのは大変だというのは、とてもよく分かりますけれども、今、口頭で御説明いただきましたように、過去問の解答を公表しないことの妥当性について、きちんとしたもので、この評価会議の中で共有しておくことは必要ではないかと思います。
○今村座長 おっしゃるとおりで、ちょっと別の話になりますけれども、最近、各企業でTOEICの試験の点を重視して採用していて、こんな逸話があります。TOEICで最高点を取って入社した新入社員がどうも使えない。「どうして、お前は実務で使えないのだ」と言ったら、「だって、TOEICの試験で採ってくれると言うから、その受験勉強ばかりしていて、実務の勉強はしてこなかった」と。これは作った逸話かもしれませんが、つまり過去問に依存して過去のことばかりやってくると、実際の実務で判断力を養えない。協会の御主張と大学で教える側の立場としてまさに符合するところかと思います。ただ、今、杉山委員の御指摘のように、それだけで理由が通るかということは、そういった趣旨もよく分かりますので、そのへんをしっかりと検証して、この試験制度の特性上、そのことが必要だということをきちんと納得いただける資料を引き続き用意いただき、説明していただければ我々もサポートできるし、そうでなければ過去問をオープンにしていくことになります。先ほどアメリカではという御指摘がありましたが、引き続き御検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。
○和田委員 参考までにお尋ねしたいのですが、この試験に対する受験書籍というか受験参考書というのは、かなり出ているのですか。
○安全衛生技術試験協会 うちの協会が、「これが参考書です」と指定したものはありません。ただ、労働安全衛生関係の団体ですね、例えば中央労働災害防止協会などで衛生管理者の受験のためのテキストは作っていて、それは何十年も歴史のあるもので内容的にもそれなりのものではないかと思っています。科目ごとに、例えばボイラーはボイラーの系統というふうにありますが、うちで「これがテキストですから、これだけ勉強しなさい」とは言っていません。できるだけというか、そのテキストに書いていることを私どもは知りながら問題は作ります。もちろん、そのとおり作るという意味ではないですが、ある程度そういうことを横目に見つつ作っています。
○和田委員 そういう受験専門書籍に、過去問集みたいなものというのはあるのですか。
○安全衛生技術試験協会 過去問集はあると思います。
○大塚石綿対策室長 総務省で公開されている資料の中に、労働衛生コンサルタントについては、資格登録機関である社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会で、過去2年間分ごとの問題と解答をまとめた書籍を、1冊、3,500円で販売しているという情報が載っています。試験協会でやっている作業環境測定士については、そういった記述はないのですが、少なくとも労働衛生コンサルタントについては、そういう情報が総務省のホームページに公開されています。
○安全衛生技術試験協会 測定士の関係もそのようなものが出ているということで、先ほど私どもが言いましたのは試験実施機関としての考え方です。だからといって私どもは行政的判断ができる立場にないですし、総務省に「ノー」と言うつもりもありませんので、そこは試験実施機関としての考え方はそうとして、ほかのいろいろなことを考えて、それは指示があればというところはありますけれども。
○安全衛生技術試験協会 何でも公開していいのですかと、少なくとも過去問は公開していますから問題は分かる。ただ、解答までは出していないのですが、それを全部出しなさいというなら、あえて拒否する理由はないと思います。ただ、そこまで全部教えても本当にいいのですかというのはあります。
○今村座長 現在は記述試験のほうが多いのでしたか。
○安全衛生技術試験協会 記述式はコンサルタント試験だけで、一部だけで出しています。
○今村座長 なるほど。ではほとんど選択肢方式ということですね。
○安全衛生技術試験協会 そうです。
○和田委員 一般の参考書にも問題と正解というのは付いているわけですね。
○安全衛生技術試験協会 少なくとも過去問を出している所は、そうやっていると思います。
○三浦委員 講習会や何かでやっています。
○安全衛生技術試験協会 そうですね。それで説明を加えたりして。
○三浦委員 過去何年間の問題と、それの対応というような形の。
○安全衛生技術試験協会 そういう意味では、あまり力んで言ってもというのはあるのです。
○今村座長 それでは、一応、事務局からの御提案を賜ったということで、その方向で、当面は対応していただくということで、よろしいでしょうか。それでは本日の議事はこれで終了いたしました。最後に事務局から連絡事項等ありましたら、お願いいたします。
○大塚石綿対策室長 先ほど、資料2に基づきまして御議論いただきました手数料の取りまとめ結果につきましては、労働政策審議会安全衛生分科会に報告いたしまして、手数料令の改正手続を進めていきたいと思います。26年度の最初の頃からやるのが本来であれば望ましいのでしょうけれども、実は労働安全衛生法の見直しの議論を、今、安全衛生分科会のほうで並行して行っていて、もし手数料令を変えるとなりますと、政令改正で内閣法制局との調整等も生じてきますので、26年度のできるだけ早い時期にやりたいと思いますが、ちょっと時期がずれてくる可能性もあります。その辺りは私どもの裁量に任せていただければと思っています。また参考資料3で配布しましたスケジュール表にありますように、次回は26年度からの3か年を期間とする中期計画の策定について、またこの場で御審議いただきたいと思っていますので、来年度の最初の方に再び集まっていただき、御審議いただきたいと思っています。そういうことで今後ともよろしくお願いいたします。
○今村座長 では、本日はこれで終了いたします。本当にお暑い中、御参集いただきまして、皆様、ありがとうございました。お疲れさまでした。


(了)

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