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2013年3月14日 第10回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成25年3月14日(木)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(6階)


○出席者

構成員

鎌田座長、阿部委員、奥田委員、小野委員、木村委員、竹内(奥野)委員、山川委員

事務局

岡崎職業安定局長、宮川派遣・有期労働対策部長、尾形企画課長、富田需給調整事業課長
牧野派遣・請労働企画官、佐藤需給調整事業課長補佐、鈴野労政担当参事官室長補佐

○議事

○鎌田座長 まだ定刻にはなっておりませんが、委員の方全員お揃いですので、「第10回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」を開催いたします。まずは、事務局より委員の出欠状況と、資料の確認をお願いいたします。
○佐藤補佐 委員の出欠状況ですが、山川委員が本日は御欠席と伺っております。
 お手元の資料は、議事次第、座席表、資料1として「前回の議事概要」、資料2として「今回の論点」です。資料3と参考資料1は横の束の資料になっております。資料は以上です。
○鎌田座長 ありがとうございました。それでは、本日の議論に入りたいと思います。本日は、派遣先の責任の在り方、いわゆる派遣と請負の区分に関わる37号告示、労働・社会保険の適用について御議論をいただきたいと思っております。まず事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○佐藤補佐 まず、お手元の資料2を御覧ください。資料2には、本日御議論いただきたい事項ということで、今、座長から御説明頂きましたが、主に3点ございます。1つ目が派遣先の責任の在り方、2つ目がいわゆる37号告示、3点目が労働・社会保険の適用ということで、それぞれ論点といいますか、御議論いただきたい事項を記載しています。
 先に資料の御説明からさせていただきます。参考資料は本当の参考資料集ですので、資料3、横の束の関係資料を御覧ください。右下にページを振っていますが、1ページです。最初は派遣先の責任の在り方についてですが、現行の派遣元事業主、派遣先の責任の分担の在り方といいますか、現在の整理です。これは派遣法の中でそれぞれ労働基準法、あるいは労働安全衛生法等々について、派遣元、派遣先にそれぞれどのような責任が掛かっているのか、概略をまとめたものです。基本的に派遣労働者と雇用契約を結んでいるのは派遣元事業主ですので、原則としては派遣元事業主が責任を負うということです。例えば労働基準法であれば、賃金、年次有給休暇、労働安全衛生法で言いますと、雇入れ時の安全衛生教育や、一般健康診断等については派遣元が負います。ただし、実際に働く場所は派遣先になりますので、実際の仕事をする上で、何らかの危険を回避するような措置が求められるものについては、派遣先が責任を負うということになります。分かりやすいもので言いますと、例えば真ん中の欄に労働安全衛生法とありますけれども、安衛法で言う、特別な安全衛生教育、あるいは作業環境測定、あるいは特殊健診、危険有害業務を行うような場合の義務については、派遣先が負うという原則になっております。
 2ページ以降に判例を4つほど付けております。まず一番最初の判例は、「いよぎんスタッフサービス事件」という有名な事件があります。一番上に【事案の概要】と書いてありますが、派遣労働者が、有期の雇用契約を繰り返しで更新していたわけですが、約13年間同一の派遣先に派遣就業した後に、雇止めをされたという事件です。この判決のポイントですが、大きな論点としては、いわゆる雇止めの効果の問題、派遣先との黙示の雇用契約が成立するかどうかという問題があります。【判決の要旨】の真ん中のちょっと上に書いておりますが、最初に雇止めの効果については、解雇法理の類推適用もされない。それから、派遣先との黙示の労働契約の成立については、認められないという判決です。下に、一審、二審、最高裁それぞれの判決文の関係部分を抜粋して付けております。まず雇止めの効果について申し上げますが、一審では、原告の雇用継続に対する期待は、労働者派遣法の趣旨に照らし合わせると、合理性を有さず、保護すべきものではないとう判決文となっております。二審では、控訴人(労働者)と、被控訴人との間の雇用契約が反復継続していたとしても、あたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在している場合、あるいは期間満了後も、使用者である被控訴人が雇用を継続すべきものと、期待することに合理性が認められる場合には当たらない。だから、解雇権濫用法理が類推適用されることはないという論理構成になっています。
 下のほうに黙示の労働契約の成否とありますが、こちらは二審のほうだけ線を引いてありますが、派遣元と派遣労働者の間で、実際に雇用契約が存在する以上においては、派遣労働者と派遣先との間で雇用契約締結の意思表示が合致したと認められる特段の事情が存在する場合や、派遣元と派遣先との間に、法人格否認の法理が適用あるいは準用される場合を除いては、黙示的にも労働契約が成立する余地はない。こういう判断が下されているのが、いよぎんスタッフサービス事件でございます。3ページは松下のプラズマディスプレイ、あるいはパスコの事件と呼ばれるものです。これも【事案の概略】に書いてありますが、同じように黙示の雇用契約の問題、偽装請負かどうかという問題がポイントとなっております。
 これについては【判決の要旨】に書いてありますが、最高裁のところだけ申し上げますと、最高裁では黙示の雇用契約は否定をされていると。偽装請負については、最高裁で認定をされています。下にそれぞれ【判決の要旨】の関係部分の抜粋を付けていますが、黙示の雇用契約については、一番右側に最高裁の判決文で下線を引いていますが、上告人は、パスコによる被上告人の採用に関与したとは認められない。また、給与等の額を上告人は事実上決定していたという事情もうかがえない。逆にパスコは配置を含む被上告人の具体的な就業採用を一定の限度で決定しうる地位にあったのだから、上告人と被上告人との間において、雇用契約関係が黙示的に成立していたものとは評価できないという判決文です。
 下のほうに偽装請負かどうかというところで、下線を引いていますが、請負人による労働者に対する指揮命令がなく、注文者が実際にその労働者に対して、直接具体的な指揮命令をして作業を行わせているような場合には、請負契約と評価できず、労働者派遣に該当すると解すべきだと記載されております。
 4ページは3つ目の裁判例です。これは横浜南労基署長事件、いわゆる旭紙業事件といわれるものです。これは自己所有のトラックを持ち込んで、その会社の指示にしたがって、製品の輸送に従事していた運転手が、災害を被って労災を適用、請求したというもので、ポイントは運転手に労働者性があるのかないのかという事案です。【判決の要旨】で書いていますが、最終的に最高裁では労働者性を否定されています。下にそれぞれの一審、二審、最高裁と書いておりますが、労働者性の判断として、最高裁では一番右側に下線を引いていますが、旭紙業は、上告人の業務の遂行に関し、特段の指揮、あるいは監督を行っているとはいえず、時間的、場所的な拘束の程度も、一般の従業員と比較してはるかに緩やかである。報酬の支払い方法、公租公課の負担等についても、上告人は労働基準法上の労働者に該当すると解するのが相当とする事情はないということで、いわゆる労働性に該当しないという形で判決が下されているという判例です。
 5ページです。判例の一番最後ですが、これは朝日放送事件と呼ばれるもので、放送会社から請負で、放送関連の技術業務を請け負っている三社の従業員が、発注元に対して団交を申し入れたところ、雇用主ではないということで拒否をされたものです。ポイントは発注元の使用者性があるのかどうかというところで、判決の要旨に書いておりますが、部分的に労組法上の使用者に当たるという形です。
 下に中労委の命令、一審、二審、最高裁と書いていますが、最高裁の下線の部分を御覧ください。発注元の使用者性というところで、雇用主以外の事業主であっても、雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ、かつ、同視できる程度の現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、労組法7条の「使用者」に当たるものと解するのが相当だということです。下のポツの真ん中ですが、その場合には従業員の基本的な労働条件等について、雇用主である請負三社と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったのだから、その限りにおいて「使用者」に当たると解するのが相当だと、こういう判決です。
 6ページ以降は、2つほど最近の中労委命令について添付をしています。一番最初の命令は、派遣労働者の雇用の確保等に関する団交拒否ということで、去年の9月に出されておりますショーワの不当労働行為の再審査事件です。6ページの上の「事案の概要」に書いていますが、派遣先に派遣されている派遣労働者が加入する組合が申し入れた団交に、派遣先が応じなかった。それから、会社に派遣されていたAが、会社の交替要請により、派遣元から出勤停止を命じられたことが、それぞれ不当労働行為であるということで、組合が救済を申し立てたという事案です。
 2番目の「判断の要旨」という所で、これは中労委の命令を抜粋したものですが、一番最初の○のところで、雇用主以外の者であっても、例えば、当該労働者の基本的な労働条件等に対して、雇用主と部分的とはいえ、同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有しているといえる者や、労働者との間に、近い将来において雇用関係の成立する可能性が現実的かつ具体的に存する者も、また雇用主と同視できる者であり、労組法の「使用者」と解すべきだという記述があります。
 真ん中の○に、派遣法には明文の規定はないが、労法上の枠組に従って行われる、労働者派遣の派遣先事業主については、労組法7条の使用者に該当しないことを原則として立法されたというように解するのが相当だと示した上で、ただし、6ページの一番下の○ですが、立法趣旨としても、労働者派遣法上の派遣先事業主につき、例外として派遣労働者との関係において、一般的な法理のうち雇用主以外の場合に関する法理に従って、使用者性が認められる余地を残しているということで、具体例が「例えば」と書いてありますが、派遣法の枠組み、あるいは派遣契約で定められた基本的事項を逸脱して、派遣が行われている場合、あるいは派遣法上、派遣先事業主に一定の責任あるいは義務が課されている部分を履行していない場合等については、使用者に該当する場合があり得ると、このように示されております。
 7ページです。上から2つ目の○ですが、また、派遣労働者の直接雇用に関する団交事項の、派遣先事業主の使用者性についての記述がございます。これについては、派遣先事業主に対して、派遣労働者の雇入れを求める行政勧告、あるいは、その前の段階としての行政指導がなされた場合においては、近い将来に労働者との間で雇用関係が成立する可能性が現実的あるいは具体的に存するものとして、使用者となり得るということが記載されております。ただ、結局この場合には、使用者性を認めることができないというところが「しかしながら」以下で書いているわけです。
 下から2つ目の○です。派遣法に基づく11年指針に定められた「次の就業機会の確保」に関する団交事項についてはというところですが、同指針が派遣先の事業主に求める措置を履行していない場合に、同事業主が派遣労働者の基本的な労働条件等に対して雇用主と部分的とはいえ、同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有しているものとして、労組法の使用者となる余地がある、と判断をされております。ただし、「しかしながら」とありますが、この場合には会社には労組法上の使用者性を認めることができない。事案の判断としてはそういう判断があったわけですが、こういう形で原則が示されているものです。
 8ページにつきましても、基本的には同じ枠組みです。8ページは去年の11月に出された阪急交通社の再審査事件ということで、これも団体交渉の問題ですけれども、「判断の要旨」というところで、いちばん上の○に先ほどと同じような趣旨ですが、原則としては派遣先の事業主は労組法上の「使用者」には該当しないということ、「しかし」以下に書いていますが、派遣先事業主が行うべき義務を果たしていない。あるいはその上で労働者の基本的な労働条件に対して、雇用主と同視できる程度に現実的、具体的な支配力を有している場合には、その限りにおいて使用者に該当するということです。
 2つ目の○ですが、この事件の場合には、会社、いわゆる派遣先ですけれども、派遣先は労働基準法の規定に反して、労働時間管理を行っていなかった。
 3番目の○にありますように、また、支部組合員には、会社から現実的かつ具体的な指示を受けていたということで、この事案の場合には、会社のほうが現実的かつ具体的な支配力を有していたと認めるのが相当と判断され、結果的に労組法の不当労働行為に該当すると、こういう判断をされたというものです。
 9ページ、10ページは個別労働紛争のあっせんについてということで、都道府県労働局で受け付けている個別労働紛争の状況です。9ページですが、個別労働紛争は正社員あるいはパートとか、いろいろ労働者の種類といいますか、雇用形態を問わず受け付けているものですが、その全体の大体5%あるいは6%ぐらいが派遣労働者に関する申立てでございます。9ページの表で申し上げますと、都道府県労働局長による助言・指導の申出の受付け、一番右側に23年度の実績がありますが、それが大体500件弱、全体の5%ぐらいが派遣労働者に関するもの、下のほうに労働局の紛争調整委員会におけるあっせんの申請受理ということで、これは大体400件弱で、全体の6%弱が派遣労働者に関するものだという状況です。
 10ページは派遣労働者が関わるあっせんの具体的な事例ということで、各労働局の公表資料からいくつか抜き出しをしているものです。いじめや嫌がらせ、あるいは派遣開始前の派遣先の契約破棄に伴う補償、あるいは雇用機関の満了前の出勤停止、これに対するあっせんの申立てですとか、こういった事案が、派遣労働者に関して上がってきているという状況です。
 11ページ以降は、労働者派遣と請負の、いわゆる区分の問題、11ページはいわゆる37号告示と呼ばれるものです。これは告示本体をそのまま貼り付けているものですので、説明を省略させていただきたいと思います。
 12ページ以降は、今の告示に関連して、局長通達という形で出されている、業務取扱要領の関係部分を抜粋しています。12ページから14ページにそれぞれ告示に書いてある事項、それに対して具体的にどのように判断、解釈をするのかというところが、業務取扱要領の中で記載をされているというもので、それについても説明は省略させていただきます。
 少し飛びまして17ページは労働者派遣事業と請負により行われる事業の区分に関する基準疑義応答集ということで、先ほど申し上げました業務取扱要領とは別に、新しく局長通達ということで、平成21年に出したものです。本文全体が長いので概要を資料に付けておりますが、例えば、具体的なQAという形で作っておりまして、左側でいいますと、中間ラインの1つを請け負うことができますかとか、あるいは作業服が同一だと偽装請負になりますかとか、あるいは作業場所や機械、資材などを発注者から提供を受けると、偽装請負いになりますかとか、そういう質問に対してそれぞれこうですよ、これだったら偽装請負とは判断しません、あるいは差し支えないです、あるいは偽装請負いになります等々と、QA方式で記載をしているものです。
 18ページですが、いわゆる37号告示に関する指摘事項ということで、1から3まで付けています。1.附帯決議ですが、労働者派遣と請負の区分基準を更に明確化するということ、これは昨年の3月の改正労働者派遣法の附帯決議の中で付されております。
 2番目、経団連の規制改革要望で、これは去年の9月に出されたものですが、先ほどの説明で申し上げました疑義応答集ですけれども、これが製造業を中心に作成されているもので、ほかの業種にも対応する内容に拡充をした上で、労働局により異なる判断が示されることがないよう、明確なものとすべきである。
 1番下、これは「日本再生加速プログラム」というものですが、これについても昨年の11月に更なる明確化を図るべきだ、という閣議決定がなされているという状況です。
 19ページ以降は、社会保険・労働保険に関する規定となっています。現在の派遣法の中では、社会保険あるいは労働保険に関する規定ということで、法律の中、あるいは省令、指針で書いていますが、まず派遣元に対する規定ということで申し上げますと、いちばん上の○に、派遣をする場合には、派遣労働者の労働・社会保険の加入状況を派遣先に通知をしなければいけない。仮に加入をしていない場合には、その具体的理由を付して、派遣先に通知をしなさいということが規定されています。真ん中の○ですが、保険に加入する必要がある派遣労働者については、加入させてから派遣を行うこと、それから、保険に加入していない派遣労働者については、派遣先に対して通知した労働者が、なぜ保険に加入していないのかという具体的な理由を、労働者御本人に対しても通知をしなさいということが指針で記載されています。
 それから、派遣先に対する規定ということで、派遣先は、保険に加入義務がある派遣労働者については、その保険に加入している派遣労働者を受け入れるべきとか、あるいは保険に加入していないという通知を派遣元から受けた場合に、その理由が適正でないと考えられる場合には、その派遣元事業主に対して、きちんと保険に加入をさせてから派遣をするように求めてくださいとか、こういった内容が指針で記載をされています。
 20ページですが、社会保険・労働保険の加入状況ということで、真ん中に表がありますが、大体派遣労働者の場合には、雇用保険への加入率が85%弱、健保への加入率が78%ぐらいで、厚生年金の加入率が76%ぐらいということで、正社員に比べれば低いですが、パートタイム労働者よりは高いという加入状況になっています。
 21ページ以降は、前回の研究会の場で頂いた宿題に対して、御用意をさせていただいた資料です。
 21ページは派遣労働者の賃金ということで、それぞれ業務別にどういう賃金なのか、また一般の労働者と比較してどうなのかというものを統計から引っ張ってきたものでありまして、派遣労働者の賃金は26業務か自由化業務かという形でデータを取っており、一般労働者の場合には、標準産業分類で拾っているというところもありますが、完全に一致はしないのですが、全産業平均で申し上げますと、派遣労働者の場合には、平均賃金は大体1,290円、一般労働者の場合には、有期の場合には約1,287円ということで、派遣労働者の時給は一般労働者の有期と大体同じぐらいだと。無期の場合には1,900円となりますので、そことは差があるかなと、こういう状況でございます。
 22ページは請負労働者の労働条件ということで、ちょっとデータが古くて恐縮なのですが、平成17年に厚生労働省のほうで実施をした調査に基づくデータでございます。左側に雇用期間が書いてありますが、雇用期間があるかないかということでいうと、大体半分強の労働者の方が雇用期間が定められていると。かつ、2ですが、雇用契約期間が書いてありますが、一番多いのは4か月から6か月で41%ということになっております。右側に賃金が書いてありますが、平均賃金は大体時給だと1,000円ちょっと、日給で9,000円、月給だと20万円ぐらい、年収だと260万円ぐらいということで、労働者の方が管理者なのか、あるいは現場作業のリーダーなのか、あるいは一般の労働者なのかということによって差はありますが、全体の平均でいいますと、先ほど申し上げたような数字になっています。
 23ページ、24ページは、法律を作ったとき、あるいは平成11年の改正時の関係の報告書の抜粋です。23ページは、派遣法を作ったときの調査会の報告書です。(2)派遣的事業と労働者供給事業禁止規定との関係ということで、労基法との関係をどう整理しているのかというところですが、真ん中のところに線を引いてありますが、労働者を供給するという形態は、強制労働等の弊害が生じる恐れがあるということは否定できず、安定法44条の基本精神は、今後とも堅持していく必要があることはいうまでもない。ただ、一方で、経済、社会的状況の変化にかんがみれば、その規定のあり方については、再検討が必要ではないか。
 その場合には、次の点に配慮していくことが必要であるということで、1我が国においては終身雇用という慣行が定着しており、そのような慣行に影響を与えることがないように、企業にとって恒常的に存在する仕事や、特別の雇用管理、教育訓練等を必要としない分野については、企業のノウハウの蓄積、活力の維持あるいは労働者の雇用の安定の面から見ても、自己の雇用する労働者に行わせることを原則とすべきである、それから、労働者について雇用の安定を図り、就業条件を明確化し、雇用管理のルールを整備するとともに、労働者保護法規の適用関係を明確化したために、措置を講じていく必要があるという記述があります。
 下のほうで、3番目の(1)に対象分野の限定というところで、どういう分野をポジティブリストの中で整理をすべきかという考え方をまとめたものです。1)の1から3がありますが、1では、専門的な知識、技術、経験を必要とし、職業紹介、請負等の既存の需給システムでは十分対応できない分野であること、あるいは、他の従業員とは異なる労務管理、雇用管理を必要とするようなもの、強制労働や中間搾取といった弊害が生ずるおそれがない分野について、派遣ができるようにすべきではないかという形での記載があります。
 24ページは平成11年改正の前に、当時の中央職業安定審議会で取りまとめられた建議の内容です。これは第2の派遣期間関係というところになりますが、常用代替の部分について下線を引いてありますが、一番目の派遣期間のあり方についてということで、常用雇用の代替のおそれが少ないと考えられる臨時的、一次的な労働力の需給調整に対する対応策として位置づけるべきだと。あるいは「派遣期間について」というところでも、常用雇用の代替防止云々という記述がございます。というのが、前回の研究会の中で頂いた宿題に対する、資料の整理です。
 資料2に戻っていただき、主に御議論いただきたい事項、先ほど3点、御説明申し上げましたが、一番目が派遣先の責任の在り方についてということで、先ほど御説明申し上げましたとおり、現行の制度では派遣法に労働基準法ですとか、安衛法等々の特例を設けることで、派遣元、あるいは派遣先の責任分担を明確化をしています。このような責任の在り方について、制度上検討すべきものはあるかどうか。特にヒアリングを行いましたが、ヒアリングの結果では、賃金支払いの連帯責任に派遣先の団体交渉の応諾義務等について、法令上義務を課すべきと、こういう意見もありましたが、どう考えるか。その際に、先ほど説明した中労委の判断基準をどのようにいかすことができるか、この辺りについて御議論いただきたいと思っております。
 二番目がいわゆる37号告示ですが、先ほど御説明申し上げましたとおり、更なる明確化、あるいは経団連からは、製造業を中心の議義応答集をほかのものにも適用できるようにすべきとか、そういった指摘がありましたが、どういった観点で更なる明確化が望まれるのかということについて御議論いただきたいと思っております。
 三番目、労働者保険・社会保険の適用についてということで、派遣労働者の保護に欠けないように、労働・社会保険がしっかり適用されるようにすべきという指摘があるが、制度において対応すべきものとしてどういうことが考えられるかということについても、御議論いただきたいと思っております。事務局からの説明は以上です。
○鎌田座長 ただいま御説明いただいた資料について、御質問があれば発言をしていただきたいと思います。よろしいですか。今日の本題の議論の中で確認したいことがあれば、御質問いただければと思います。
 中身の議論に入ります。本日も複数の論点がありますので、順番に議論していきます。まず最初に、派遣先の責任の在り方について御議論を頂きたいと思います。どなたからでも結構ですので、御意見をお願いします。
○竹内(奥野)委員 「派遣先の責任の在り方について」という項目ですが、御説明の中では、派遣法における労基法、労安衛法等の責任の分担と、団体交渉義務に特に焦点を当てて、特に、不当労働行為における使用者性のところについて、御説明があったかと思います。
 「ヒアリング結果では」という形で、賃金支払いの連体責任や派遣先の団体交渉の応諾義務等について、法令上の義務を課すべきということについても説明、議論すべき事項として掲げられています。
 私は集団的労働法を主として研究させていただいている関係もありますので、特にそこに焦点を当てて御意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 団体交渉の応諾義務等についても法令上の義務を課すべきかどうかが議論いただきたい事項として挙がっています。これは技術的な意見になってしまいますが、一般的に使用者性が明らかである、不当労働行為制度における使用者性が明らかであると考えられている労働契約関係にある相手方ですが、そういう主体以外で使用者に該当するのではないかということが争われる場合というのは、派遣先事業主という場合もありますし、それ以外にも、例えばいわゆる親子会社における親会社も、これまでに問題になってきているわけです。
 そういう意味では、派遣先についてだけ法令上の規定を置くというのは、適切なのかどうかというのを考えた上で、派遣先以外のものも含めて、何らかの措置をするなら、むしろ講じるべきではないかという形で、検討すべきだと思います。それを法令上規定するとしてどこで規定するのか。派遣のことだけであれば、派遣法ということは技術的に考えられなくはないと思いますが、ほかのものも含めてということであれば、これは労働組合法の改正の話にすべきではないかということもあるかと思います。そうしますと、ここの研究会でどこまでやれるかということも、一応確認をしておく必要があるかなと思います。これは非常に技術的な観点からの議論ですが、ここで挙がっている意見については、そういう点にも留意しつつ考える必要があるかと思います。
 その上で、派遣先の団体交渉の応諾に関連して、不当労働行為法上の使用者性についてです。比較的最近のショーワ事件等で、「一般的な法理」といってよいとの形で、中労委命令が判断を下しております。
 当該判断枠組みがいいかどうかという話はなかなか難しいところですし、また、判断枠組み自体は、ある程度抽象的なところが残されていまして、そういう意味では判断枠組みが広いとか狭いという話は決し難いところがあるかと思います。
 ショーワ事件について申し上げさせていただければ、この事件では、「基本的な労働条件等に対して、雇用主と、部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有している者や、当該労働者との間に近い将来において雇用関係の成立する可能性が、現実的かつ具体的に存する者も、また雇用主と同視できるものである」、こういう2類型のものについては、不当労働行為制度における使用者に該当すると解しています。そうすると、団体交渉などが申し入れられて、義務的団交事項であれば、応答すべきということになります。そういうことを「一般的な法理」と述べています。
 その上で、立法趣旨の理解として、派遣法制定あるいは改正の際の立法趣旨として、派遣の場合については、派遣先事業主というのは、原則としては労組法の第7条、不当労働行為に関する規定における使用者には該当しないということを立法している、そういう話です。
 その立法趣旨の理解の上に派遣について言えば、「労働者派遣法の枠組み、又は労働者派遣法で定められた基本的事項を逸脱して行われている場合」、もう1つは「当該労働者の基本的な労働条件に対して、雇用主と按分、部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有していると認められるかどうか」、そういう形で判断を下していると、ショーワ事件の命令文を見て理解をしております。
 一般的な枠組みとしては、こういうものというのはあろうかと思います。ただ、派遣の場合には、現実に指揮命令をしているという側面も当然あって、指揮命令をしている中での就労環境、そういうものについても、そのことについて団体交渉に応ずべき立場にはあるのではないかと思われます。
 と申しますのは、現在の中労委が割と詳細に示している枠組みの下では、派遣法の枠組みを逸脱しているかどうか、あと派遣法で定められている労基法、安衛法、各種の義務内容について違反している場合というものが挙げられていますが、基本的に指揮命令をしていることに係る項目については、抜けているのではないかなと思うのです。これは私の命令の読み方にもよりますが、そういうこと等については、中労委命令が出ているという議論事項との関係では、更に追加的に考えていく必要があるのではないかなと思います。具体的な判断のところではいろいろと疑問もありますが、この事件の検討会というわけでもないと思いますので、そこは省略させていただきます。
 今、申し上げた上で、これも技術的な話になってしまうかもしれませんが、今のような使用者性の話を考えたとした上で、この研究会としてどのようにそれを取り扱っていくのがよいか。例えば、そういうのを使用者の定義として、立法規定を置くべきなのか。基本的には、派遣法の見直しという形での会議ですので、そういうところにいくのは1つかもしれませんが、何らかの報告の中で、そういう事項について言及するにとどめるのか、そこら辺についても考慮する必要があるかとは思います。
 技術的な観点からの話が多くなりましたが、派遣先の使用者性の中身に関するコメントも含めて、意見とさせていただきました。
○鎌田座長 今の竹内委員に対する御意見でも結構ですし、別なテーマでも結構ですので、何かありましたらお願いいたします。
○奥田委員 基本的には竹内委員がおっしゃったように、団体交渉の応諾義務に関しては、派遣労働に特殊というよりも、労組法あるいは労組法に関連する解釈の中で考えていくという考え方が適切であろうと思います。
 確かに、派遣労働に関してはきちんとした制度の下で、派遣会社の派遣元の責任、派遣先の責任は区分されて、少なくとも適法に行っている以上は明確に区分がされているのです。ただ、雇用契約に対する責任とは異なって、団体交渉上の責任というのは、団体交渉の保護を及ぼすことが適切かという、雇用上の責任とは別個の観点から判断されるというのが基本だと思います。
 したがって、派遣労働に特殊な、あるいは派遣労働に関する雇用契約上の責任とは基本的に分離して、労組法あるいは団体交渉の応諾義務に関する解釈の中で考えるという部分が適切であろうということだと思います。その点で、今おっしゃった点と同じように考えます。
 問題は、朝日放送事件の枠組みを、派遣労働のところでどのように考えていくかということなので、むしろ朝日放送事件で一応最高裁が立てているとされる考え方の、派遣労働における解釈というものをどう考えるかという観点で考えるのが、応諾義務に関しては望ましいのではないかと考えています。
 もう1つは、団体交渉の応諾義務とは別個に、派遣先の雇用責任ということ、雇用申込み責任であったり、あるいは直接雇用責任であったりということに関しては、労働契約上の問題ですので、結局は先ほど紹介いただいた判例にも出てきますように、労働契約の基本的な要素というものが存在しないと、黙示の労働契約というものが認められないというのが基本的な考え方です。ただ、派遣に関しては先ほども申し上げたように、派遣会社がきっちりと労働契約を締結して派遣先に派遣をしている以上は、いわば派遣元が形骸化しているという状態は、まず生じ難いということになりますから、従来の判例の適用でいいのかということを考えますと、雇用契約上の責任に関しては、何らかの立法的な対応や明文の規定というものが派遣法の中で考えられるということが望ましいのではないかと考えています。
 これは申入み義務、見なし規定もそうですが、そういうものを派遣法の中で考えるという仕組みが必要であると考えています。
 もう1点です。資料3の一番最初のページで示していただいた中で、この現在の区分がどこまで実態として適切になされているのかについては、一定の検証が必要だと考えています。よく聞くところでは、派遣元の36協定に基づいて、派遣先が時間外労働の命令をする場合、その時間外労働を含めて、労働時間のきちんとした管理という責任は派遣先にあるのですが、36協定は派遣元の36協定に基づくというのは、非常に実態に合わないというのもよく聞くところですので、そういう現在の区分けというものが、基本的には契約と使用が分離しているところの特色として表れるのですが、それが果たして、例えば時間外労働で言えば、そういう仕組みが実態の規制として適切に機能しているかどうかという観点から考えていく必要があると思いますので、派遣先の責任というときに、幾つかそういう区分をした考え方を採っていく必要があるのではないかと考えています。
○鎌田座長 技術的な話が続きましたので、少し整理をします。
 まず、竹内委員から、団交の応諾義務の話が提起されました。いわゆる応諾義務に関わっては、必ずしも派遣だけに限って問題にされているわけではなくて、親子会社などでも問題となっているので、これを議論するのであれば、むしろ労組法などの集団的労働関係、労使関係を規制する法律の中で議論をすべきではないかという意味で、本研究会の検討範囲の中にあるのかどうか躊躇するというような御発言がありました。
○竹内(奥野)委員 確認をしていただければ結構です。
○鎌田座長 次に、派遣先の使用者性に関っては、立法趣旨の中で、基本的に派遣元を使用者とし、派遣先を使用者とはしないという立法趣旨が、現在でも維持されるべきではないか、これが支持されるというような御発言でした。ただし、具体的に個別事案の中で、派遣先の使用者性を判断することは、もちろんあり得るというような御趣旨の御発言だったかと思います。少し違いますか。
○竹内(奥野)委員 そこは、ショーワ事件の中労委命令でそのように分析されているということについて言及したものです。そのような趣旨として理解するかどうかは、私はやや議論の余地があるのではないかと思っております。
○鎌田座長 直接、竹内委員の御意見はそこでは言っていなかったということですね。
○竹内(奥野)委員 そこでは言っていないと御理解下さい。
○鎌田座長 中労委はそうしているけれども、それについては。
○竹内(奥野)委員 それでよいのかどうかは、本当は確認すべきではないかなとは思います。
○鎌田座長 分かりました。
 次に、奥田委員から、まず団交の応諾義務の話から出発しまして、派遣先の契約上の責任、いわゆる一般に労働者派遣における契約関係と、派遣先の契約上の責任というものを区別して議論すべきではないかということで、取り分け派遣先の団交応諾義務に関わっては、朝日放送事件の枠組みをどう理解したらいいのか、あるいは、私も正確に理解していないのですが、中労委命令を朝日放送事件の枠組みに引き付けて理解をしているが、それでいいだろうかという御趣旨でしたか。
○奥田委員 私はそこまでは言及していません。竹内委員が、「この問題は労組法を含めた集団法の領域で」とおっしゃったので、基本的にそれに賛成であるということです。実際に、労働契約上の責任というものと、団体交渉における集団法上の責任というのは異なるので、したがって、団体交渉に関する団交応諾義務という意味での責任に関しては、派遣法独自というよりも、集団法の中で考える、そういう視点で考える必要があると思います。
 その場合には、実際には朝日放送事件が立てている枠組みによって、それの解釈によって判断するということに現在はなっていると思うのですが、派遣法の場合にどういう解釈の余地があるのかを考えていく、そういうスタンスで見ていく必要があるだろうということですので、中身の適否に関しては、今は述べていません。
○鎌田座長 分かりました。
 次に、派遣先の雇用責任の話で、これは契約責任とも関わります。つまり、労働者派遣法に基づく派遣の場合と、いわゆる偽装請負の場合と2つありますが、派遣先との間の法律関係、派遣先の雇用責任をどう捉えたらいいのかという問題提起をされて、先ほど御紹介いただいた、松下プラズマディスプレイ事件に言及された上で、黙示の労働契約関係の成立については、厳しい判断がなされていて、これを踏まえると、派遣先の雇用責任、契約責任について、立法で何らかの対応をすべきではないだろうかという御趣旨の発言があったかと思います。
 3つ目に、取り分け時間外労働に関わる論点を提起されて、現在、現行の労働者派遣における時間外労働の枠組みについて、36協定と時間外労働の業務命令との関係で、実態に合わないということで問題があるのではないかと。そのように理解したのですが。
○奥田委員 そうですね。時間外労働のところは1つの例なのですが、特に、派遣元の36協定に基づいてというのは実態に合わないという話をよく耳にするので、果たしてそうなのかということも含めて、この割り振りというもの自体が適切なのかどうかを検討する必要があるだろうと。そういう趣旨です。
○鎌田座長 いくつか問題が提起されまして、ややテクニカルな御指摘もありまして、もしそこに興味があれば深く入っていきたいと思いますが、ほかの先生方で、この問題について、必ずしも法律上の視点でなくて結構ですが、御意見があれば、是非御発言いただければと思います。
○木村委員 今までの先生方の議論を受けてということはできないのですが、1ページの「派遣元、派遣先の責任分担」の所で、左から「派遣元」「派遣先」とありまして、3番目に「双方」とありまして、両方で責任を持つということです。ここで「均等待遇」というのがあります。派遣先の社員と派遣労働者の均等待遇ということなのでしょうけれども、これは労働基準法ではこうなっているのですが、実態として均等対遇が実現できるかということです。
 均等待遇の実現に向けて、派遣法という枠の中で何ができるのかということと、実際に、均等待遇の実現にいろいろな壁があると思うのですが、派遣法の中で何らかの規定を設けることによって、この問題が解決、改善できるのか。そういったことが問題になるのではないかと思います。具体的にどうしろということは思い浮かんでいないのですが、問題の提起として申し上げます。
○鎌田座長 均等待遇は労働基準法というか、第3条、第4条の話で、もっと広い意味での均等待遇の話というのは、別途この研究会でも項目立てをしたいと思っています。ここの表で書いている均等待遇というのは、第3条、第4条の。
○佐藤補佐 基準法の差別的取扱いの話ですとか、その辺りの話になります。
○鎌田座長 限定しての提起だったと思います。そういう議論をする1つの視点を出していただきました。
○小野委員 法律に関係する内容で、難しいことは私は分からないのですが、いろいろ調査している中で、労働者から聴いて、派遣先にもう少し面倒みてほしいと思うことはいくつかあります。いくつかある中で、これは具体的にできるのではないかと思うものは、例えば休暇の問題です。有給休暇というのは、1ページにも書いていますが、派遣元事業主は年次有給休暇を付与する形になっているのですが、実際に派遣先で働いてみると、創業記念日があったり、夏休みを長く取る職場があったり、ゴールデンウィークの期間の休みを詰めて長期にするということが出てきます。こういった場合、もともと付与されている年次有給休暇を充てるというやり方をしているところもあるのですが、本来年次有給休暇というのは、使用者がそのようにいって、そこに休みを取りなさいと言われるものではなくて、本人が取りたいときに取れる休暇のはずなので、その運用の仕方は間違っているのではないかと思います。それを行わなかったら、これは無給になってしまうのです。
 派遣労働者の方から話を聞くと、ゴールデンウィーク、夏休みがある月は、給料が少ない。それは労働日数が少ないからです。派遣先が、創業記念日など自らの職場の理由で休むのであれば、その辺りの給料を補償できるような仕組みは必要ではないかと思っております。
 震災のときに急に操業できなくなったりしたときもありまして、数割程度を自宅待機させながら払っている会社もありましたが、全くお金を払っていないところもありますので、その辺について、派遣先の都合で休むとなったときに、その休暇をどう考えるかという問題はあるのではないかと思います。
○鎌田座長 この点について、特に、震災で罹災した企業に派遣した場合の手当の問題で、小野委員は、それに限定されてはいませんが、ゴールデンウィーク、創業記念日等で、無給の対応があるという。そうした場合に、休業手当の関係で、震災については派遣労働者について指示は出していませんでしたか。
○宮川部長 具体的に基準局なり安定局で、そういう指示を出した記憶はありません。そこは基準局にもう一回問い合わせてみますが、あのときは、確か基準局は休業手当の対象にならないと出したのです。その後、その運用についてのときに、雇調金を使ってくださいというのを出したり、いろいろ行いました。天災ですので、実質予算の責めに帰すべき休業ではありませんので、休業手当は出ないわけなのですが、そういう形で雇調金などを活用していただいて、できるだけ事業主の方々から労働者に何らかの形のものを払えるような仕組みを考えてほしいというのは、一般論としては言ったかもしれません。ただし、それは派遣向けに作った記憶はありません。またそれは調べた上で、次回にでもご報告いたします。
○鎌田座長 小野委員がおっしゃったのは、実態として無給というケースがあったことを事実として理解しているということですよね。
○小野委員 そうです。
○宮川部長 これもまた基準局に問い合わせないといけないとは思いますが、正に週5日で働くということを約束しておきながら、例えば月から金までが就労日だと言っておきながら、派遣先の都合によって、その日がなかったといった場合には、基準法上の適用があり得るのではないかと、私がお聞きしている限りではあります。ただ、実態の運用が、そのようにやっているかどうかというのは、私も確認したことはありませんので、その辺りは実態論を聴かなければ分からないです。
○鎌田座長 今、法的な課題として、それを前提にするかどうかということは、実態を調べていただいて、もしかしたら、今言ったような休業手当のことも含めて、ある程度法的な対応をした上で無給という対応になっている可能性もありますので。
○小野委員 震災のほうですか。
○鎌田座長 震災のほうと、創業記念日などです。
○小野委員 そうですね。
○鎌田座長 実態を踏まえた上で、議論をさせていただければと思っています。あと何かございますか。
○竹内(奥野)委員 今の小野委員から御発言いただいた内容について、確認させていただきます。私が理解できていないのかと思いますが、初めに年休の話をされて、そのあとに、例えば創業記念日などについて、無給になってしまうという話がありました。その2つは別の話と理解してよろしいのですか。
○小野委員 一緒の話です。
○竹内(奥野)委員 例えば創業記念日について、派遣先の創業記念日で、派遣先が操業しない日について、派遣労働者もお休みで仕事がないと。そういうことで、そこに年休を充てて休みにしてもらうと。そうすると、年次有給休暇を会社が取らせるのがいいかという話は別にしまして、それを取るということであれば、賃金は当然派遣元からは支払われませんが、代わって,当然ながら年休手当が出るので、それで無給で困るというお話の趣旨がよく分からなかったのですが、それはどういうことでしょうか。
○小野委員 当然充てればお金は出ますが、自分の持っている年休は減りますよね。
○竹内(奥野)委員 年休が減るので、実際には年休を取らない形にしておくと。そうすると無給になるということですね。
○小野委員 そうです。だから、手持ちの年休がそんなにない方もいらっしゃいますし、1週間丸々夏休みというときに、その1週間丸々を自分の年休を充ててしまうのかという話になりますよね。
○竹内(奥野)委員 はい。その点は理解できました。その上で、2通りの話があるのではないかなと思います。1つは、今、議論されていた中でも出てきたとおり、もともと働く予定だったけれども、急遽創業記念日だから休みにして、年休を取らせます,でも、年休を消化されるのは困るという話の場合で,もう1つは,もともと派遣で働くときに、何日から何日働きますとか、この月は何日働くことになっていますとか、この日は休みですとあらかじめ決まってる状況です。この2つは、違うと思います。
 後者であれば、もともと派遣を何箇月間することに契約されているというのと同じ話で、それが長いか短いかという話だと思うのです。前者の、もともと働く予定にしていて、いきなり休みにしようと、コロッと変わったというときが、今の問題の状況かなと思います。趣旨がよく分かりました。ありがとうございました。
○小野委員 最初の契約のときにどこまで休みを知らされているかという問題もあると思いますので、その辺は把握してからでないと議論はできないと思います。
○鎌田座長 派遣法の枠組みでいうと、労働者派遣契約、確か第26条第1項の中で、就業条件については取り決められて、その中に、時間、場所、業務、休日も入っていたと。それを受けて、第34条で、派遣元が就業条件を派遣労働者に明示する。それが労働契約内容になるということですので、今言ったような様々な休日、休暇の中で、分かっているものであれば、当然入っているはずです。多分、その枠に入っていないところで、こういった問題が起きているということだと。
○小野委員 そうですね。枠に入っていないことかもしれませんが、枠に入っていたらいいのかという議論もあるかなと思います。
○木村委員 枠に入っているというのは、少なくとも派遣先は予定されているという話で、例えば創業記念日は休日、ゴールデンウィークは続けて飛び石にしないとか、そういう方針を会社として既に決めているという話だと理解しました。
 そういう場合でしたら、むしろ派遣元のほうが、派遣契約を結ぶとき、また派遣労働者に月々の日数と給与を伝えるときに、派遣先から聴き取って派遣労働者に伝えるという、こちらの範囲ではないかと思います。
 ですから、例えば今月は18日になってしまうとか、そういうことが事前に分かっているのであれば、派遣元ができる限り早めに把握するということだと思います。
 ただ、派遣先が急に休みにするとか、今月は業績が悪かったから、来月のここは休日にするとか、そういう話になれば、派遣先の領域になってくると思いますので、それはある程度派遣元の責任にもなってくるのではないかと思います。
○富田課長 竹内先生からの御質問に答えていない部分があると思いますので、発言させていただきます。竹内先生から、派遣先の団体交渉の応諾義務について、この研究会で行うのが適当かどうかという御質問があったと思います。それについてコメントさせていただきます。
 なぜこれを検討議題として挙げたかと申しますと、これは審議会、国会で、派遣先の団体交渉の応諾義務が検討課題として挙げられていまして、派遣について検討いただいているこの研究会で、議題として挙げられたということです。
 ただ、これについては議題として挙がっていますが、果たして派遣法の枠組みの中で対応するのがいいのか、竹内先生がおっしゃったような、集団的労使関係一般の枠組みの中で対応したほうがいいのかというのは、先生方の御知見を頂いた上で事務局で整理して、派遣法の中で対応するべき問題であれば、この研究会で御議論を続けていただきたいと思いますし、そうでなければ適切なフォーラムに議論を移して、もっと大きな枠組みで検討いただくということで、その観点で御知見をいただきたいということで入っていると御理解いただければと思います。
○竹内(奥野)委員 ありがとうございました。その上で、先ほど申し上げた話の内容と趣旨がずれていなければと思いますが、どこで扱うかというのは、今後、研究会で御判断していただいた上で、他方で、ここの研究会で議論が出ること自体は、そのあとの然るべきところでの検討には全く無益だとは思いませんので、議論が出ることについては、特に差し支えはないかなと思っております。
○鎌田座長 皆さんの御意見を伺って、私が何か言うこともないのですが、阿部委員から何かございますか。
○阿部委員 私は、この問題にどれだけ貢献できるか分からないのですが、経済学を勉強していると、何で派遣の責任分担があるかを考えたときに、生産活動はどう行われているのかが大事なような気がするのです。経済学の基本的な教科書であったら、生産活動というのは、資本と労働が投入されて、アウトプットが出てくるわけです。
 法律の先生方は、よく労働者性があるかないか、あるいはなぜ労働者性があると保護しなければいけないかという議論があると思います。それは、資本と労働が分離されると、生産活動は行われないという状況になってしまっていて、資本を持っている人たちの力が、相対的に強くなる可能性があるから、労働者の保護が必要なのだということを言うのだと思うのです。
 実際、経済学でもそういう話はあって、資本の力が強くなりすぎてしまうのをどうやって防ぐか、そのときにどういう問題が起こるかというのは、よく議論されるのです。
 そう考えたときに、派遣の労働者が特殊な立ち位置にあるのはそうなのでしょうけれども、実際に資本と労働サービスが結び付いて、生産活動が行われたときに、結び付き方の度合いで責任の在り方が変わってくる気がするのです。
 例えば先ほど小野委員が言っていたように、休みだといわれたら、その資本を使うことができないので、生産活動は行えないので、賃金は払えないというのは、経済学的には合理的でしょうけれども、何で資本を使えないような状況になったのかを考えなければいけない。あるいは横浜南労基署長事件というのも、トラックなどは持ち込みで、資本は自分のものでしょうと。それを自由に使っていいという、ある程度自由裁量が認められているので、あなたには労働者性が認められないという解釈をしていると思うと、資本をどのように使っているかという状況が、かなり大事なのかなと思います。法律家の観点ではないのですが、そのように見えるのです。
 だから、その辺りについて、この研究会の結論にどう貢献できるか分からないのですが、生産活動にどのような寄与を派遣労働者がしていて、その派遣労働者が生産活動に当たって、資本をどのように使うのか。資本を提供する側が、どのような支配というか、どのようなパワーを使ってくるのか。そこで責任の度合いが見えてくるのかなと思っています。余り貢献できるか分からないのですが、皆さんのお話を聞きながら、そのように考えていました。
○鎌田座長 今の「支配」というのは、派遣先の支配力というイメージでおっしゃっていたのですね。
○阿部委員 そうです。
○鎌田座長 今までの議論と全然違うことを言うので、大変申し訳ないのですが、いよぎんスタッフサービス事件が出ているので、皆さんの御意見を伺って、恐らく事務局がいよぎんスタッフサービス事件を出した趣旨は、派遣先との黙示の雇用契約の正否のところでお出しになったと思うのです。実は、この事件は、もう1点重要な問題として、派遣元による派遣労働者に対する雇止めも、大きなテーマとなっています。
 資料の2ページ目に書かれているとおりなのですが、私の記憶によると、この方は同一の派遣先に6か月の有期雇用契約を13年間にわたって反復更新して、ほぼ同じ支店でありました。いろいろと、この方の人間関係を含めたトラブルがあって、雇止めになったという事件です。
 細かなことはともあれ、いわゆる雇止めに関する解雇権濫用の法理の類推適用というのが、判例上は確立しておりまして、今回の労働契約法の第19条において、その判例法理の明文化が行われたところでもあります。
 通常でありますと、具体的事案の問題なので、この事件においてどうかというのは、なかなか難しいところがあるのですが、一審、二審ともに、雇止めを有効と認めて、つまり、それで終わりということなのですが、その議論の中で、雇止めの法理と言われるものは、大きく2つの要件があります。1つは、反復更新を繰り返して、実質的に期間の定めのない契約と同視できるような場合です。もう1つは、期間満了後も労働者に継続雇用の期待が合理的に認められる場合です。これは、今度の労働契約法の第19条においても、そういったような形で、雇止めの法理が明文化されたところです。
 この二審判決においては、今言いましたように、継続雇用についての合理的期待を認められるかどうかが問題となっていまして、その際に、判決文を読みますと、常用代替防止の理念があるので、派遣労働者には継続雇用の合理的な期待がない、つまり、派遣というのは、派遣先の就業機会があって派遣というのがあるのだから、派遣契約が終了してしまうと、労働契約についても、期間が満了すれば終了すると考えるべきだと、正確な表現は忘れてしまいましたが、こういったことが言われております。
 そうしますと、一審、二審ともに、雇止めについての解雇権濫用の類推適用があるということは、一般論としては認めていますが、具体的に派遣に関しては、今言いましたように、派遣先での派遣就業が終了した場合に、それに伴って派遣労働関係が終了することになった場合に、合理的な期待が認められる場合というのは、かなり限定されるのではなかろうかという感じがするのです。
 そうだとすると、通常の労働契約の下で働いている方と、派遣の労働契約で働いている方との間で、少し差が出てくるのだろうかというようなことが、私としては気になるところではあるのですが、今日の派遣先の使用者性と違うので、御議論しなくてもいいのですが、その辺のところで御意見を伺えればと思いますがいかがでしょうか。
○竹内(奥野)委員 細かく分けると2点かと思います。1点目は、いよぎんスタッフサービス事件の訴訟提起の時間との関係でいうと、平成24年改正で派遣法は変わっております。平成24年改正のところでは、法令の名称の中でも、派遣労働者の保護ということが入るようになってきているわけです。
 それ以前がどうかというのは別にしまして、少なくとも、改正された後の現在の法律の下ですと、派遣労働者をどう保護するかという観点からの話も、また,常用代替防止ということも引き続き考える必要があるかと思いますが、両方を見ながら考えていく必要があるかと思います。
 そうすると、いよぎんスタッフサービス事件において、長期間特定の派遣先の下で、有期雇用を反復継続して就業していた、稼働していたという方について、常用代替防止だから、この人は保護されないという方向性の議論だけでよいのかということは、現行法の下ではやや異なって考える余地が十分にあると思われます。
 もう1つは、この事件だと、今、座長から御説明いただいたような形で、それで派遣元が雇用継続すべきことについての期待が合理的なものとして認められないという判断がされているわけですが、派遣元としてはそれ以外の所に派遣をする形で雇用を継続するという余地があるかないかということを、少なくとも概念的には検討し得ると思います。派遣元というのは、いろいろな所から仕事を受注して、それでいろいろな所に派遣していくというイメージで捉えれば、そのような可能性はあるかと思います。
 特定の派遣先で就労することだけが、派遣の関係だと捉えられる側面は多いのかもしれません。派遣元が雇用していることの意味というのは、派遣先が確保できなければ、それ以上の雇用継続はないと。そういう意味では限界はある程度はあるかと思いますが、派遣元が雇用先を確保するという観点では、特定の派遣先がないからといって、直ちに雇用継続の合理性が否定されることにもならないのではないか。そして、現行法の目的との関係で、派遣労働者の保護という状況が変わっていると言い得るところと、特定の派遣先における就労が見込めないということをもって、雇用継続に対して合理的な期待がないと言い切れるかどうかについては、疑問があるという2点です。
○奥田委員 2、3点に分けて考えるとすると、まず、いよぎんのケースに関して、最高裁で確定しているので、もちろん判例として無視できるわけではないのですが、基本的には有期契約に関する解雇権濫用法理の類推適用の枠組みでの問題だと思いますので、解雇権濫用法理の類推、今後でいえば労契法第19条の適用を考えるときに、法律に明記されているわけではないとしても、いろいろな判断要素がある中で、そこに立法趣旨というものが入ってくるかどうかだと思うのです。
 従来から、裁判例で用いられている幾つかの要素でいえば、労働者が立法趣旨を理解していなければいけないような結果になってしまうので、解雇権濫用法理の類推適用の判断に立法趣旨が入ってくることになると、私は批判的に捉えていますが、この理屈を前提にすれば、座長がおっしゃったように、派遣の関係では常用代替防止という観点がある以上は、合理的期待は生じないはずだという結果になってしまいます。しかし、その合理的期待が生じるかどうかに、そういう常用代替防止の趣旨が、正にこれは13年も続いて、常用代替になっているところで、そこの判断の要素に入ってくることをどう捉えるかということから、まず考える必要があると思っています。
 したがって、派遣の目的の問題というより、解雇権濫用法理の類推適用における判断の要素で、そういう派遣の趣旨が入ってくるのかどうかというところだと思います。
 もちろん、これがずっと継続していないというケースであれば、そういう考慮の余地もあるのかもしれませんが、実際に常用代替になってしまっているようなケースであったりとか、通常の有期契約であれば、合理的期待が生じているようなケースにおいて、あえてそこのところを区分して、今後の第19条の適用を判断する必要はないのではないかと思うので、これは第19条の適用問題として考えていくと思っています。
 もう1つは、今後であれば、違法な派遣を行っていたとすれば、派遣先は雇用の見直し義務が生じるという規定ができていますので、そうなった場合に、今後それが、例えば有期契約で行われたとすると、これは松下のケースでもそうですが、そこから先の有期契約だけについて合理的期待が生じるのか、何年も続いてきた派遣から考えて合理的期待が生じるのかという、また別個の問題が出てくると思うので、そこのところでも、どこについて解雇権濫用法理の類推適用の余地を考えるのかということになると思うで、まとめにくいのですが、問題の枠組みを解雇権濫用法理の類推適用の枠組みとの関係で、その中で、派遣についての特殊性をどこまで検討する必要があるのか。
 繰り返しになりますが、前者で言えば、立法趣旨というところまで、その判断要素に入れる必要はないと私は思いますし、後者で言えば、派遣から、例えば見なし義務によって次に有期契約が締結された場合に、どの期間をもって類推適用の余地を判断するのかかという問題として出てくるし、第19条の適用の中で、派遣のケースにいろいろな問題が生じるという形で整理することになるのだろうな考えています。
 ただ、最初に座長がおっしゃったことで言えば、この判例を前提とすれば、派遣のケースで類推適用が生じないと判断されかねないケースは多いだろうなと思います。
○鎌田座長 少し本日の議論と違うことで御意見を伺いました。ほかの先生方、何か御意見ございますか。特になければ、次のテーマに移りたいと思います。
 次は、37号告示についての御議論をお願いしたいと思います。先ほどの議題でもありましたように、更なる明確化が求められているということで、どのような観点での明確化が望まれるかという問題提起です。その際に、現在の取扱要綱などでは製造業を中心とした細かな目安が示されていますが、それ以外についても議論・明確化が求められるのではないかというようなことでした。それ以外について、事務局から何か問題提起として挙げられるものがあれば紹介していただきたいのですが、製造業以外でいかがでしょうか。
○富田課長 本日お配りしている「業務取扱要領(抜粋)」の12ページ以下です。Q&Aは製造業だけを示していますが、12ページでは製造業務以外についてもいくつか、簡単にではありますが、書いています。車両運行管理業務の場合や医療事務やバンケットサービスなど。また、参考になる事柄としまして、先ほどの裁判例で旭紙業事件をお付けしていますが、これは運送の話です。直接37号告示が関係する部分ではありませんが、製造以外で、直接の雇用関係にないが直接の指示があったかどうかなどが争われた事案として、参考に示しています。そういうものを御参考に御議論いただきたいと思っています。
○鎌田座長 それでは、先生方から御意見を頂きたいと思います。
○奥田委員 確認です。これはかなり細かい基準なども出ているのですが、ここで求められている「更なる明確化」というのは、どういう問題点から、どういう「更なる明確化」が求められているのか、議論の前提を御説明いただきたいと思います。
○鎌田座長 事務局からお答えできますか。
○富田課長 恐らく2点あると思っています。1つは、資料の経団連さんからの要望事項にありますとおり、業種が製造に偏っているのではないかという御指摘がありますので、業種の広がりを持つという意味での明確化。製造業は詳しいのですが、それ以外が余りにも簡単であると。それと、ひょっとしたら製造についても、このお示ししているものではまだ不十分だという観点もあるかもしれません。そこについて研究会の場では幅広く御意見をいただきたいと思っています。
○鎌田座長 奥田委員、その程度でよろしいでしょうか。
○奥田委員 はい。
○鎌田座長 対象が広いので、皆さん御意見が言いづらいかもしれません。実は、37号告示に関連しましては根が深いと言いますか、言い出したら切りがないと言いますか、派遣法に関わる問題の中でも極めて根本的な問題の1つであります。委員の先生方は皆さん御存じだと思いますが、37号告示は、請負の法形式を伴うような労働者の派遣については、請負人が直接指揮命令をし、かつ、請負人が独立である場合に限って派遣法の適用がないということであります。
 資料では、11ページの区分基準、これは37号告示の基準がそのまま出ています。二条に関わる所が重要で、「請負の形式による契約により行う業務に自己の雇用する労働者を従事させることを業として行う事業主であっても、以下の各号のいずれにも該当する場合を除いて労働者派遣事業を行う事業主とする」ということになっています。この辺が特徴ではないかと思っています。つまり、ここで言う請負が民法上の請負に限定されるかというのは議論がありますが、いわゆる民法上の請負若しくは委託という法形式のものであるか、いわゆる労働者派遣であるかは、各法形式の要素に従って判断するというのが一般の手法ですが、この二条はそうではなくて、以下の事項をクリアできた場合に限って派遣の適用がないのだとなっている。そういう意味では、請負として認められる場合をかなり厳格に規制する仕組みの立て付けになっています。
 あとの基準の一、二は、真正の請負として認められる要件を定めています。一は、請負人が労働者の労働力を自ら直接利用するものであること。指揮命令をし、労務管理を行い、労働時間管理を行うというようなことが条件となっています。二は、請負人が自己の業務として相手方から独立してこの業務を行うものであるという、独立性の要件といわれるものがある。具体的には、イ、ロ、ハと、独立性の具体的な内容を定めています。一と二、つまり、直接利用の要件と独立の要件は共に充足しなければいけないことになっています。
 特に指揮命令に関しては、請負人ではなく注文者が労働者に対して何らかの形で指揮命令をすることが出てくるわけです。ところが、請負にしろ委託にしろ、注文者が請負人あるいは請負労働者に対して何もしてはいけないのかとなると、なかなか難しいものがあるわけです。それはなぜかと言いますと、派遣先事業の中での業務を行うことになりますと、全て丸ごとお願いすることにはいかないような業種・業態があります。このことから、実態においては様々な形で工夫をしながら請負事業も行われている。どうしてもそれが難しい、つまり、指揮命令をせざるを得ないような場面があるとなれば、行政としても労働者派遣事業として適正な事業運営をしてほしいという指導をしているということであります。製造業についてはかなり細かな疑義応答集も出ているのですが、それ以外については必ずしもそう明確にはなっていない。そういう御指摘ではなかろうかと私は思うわけであります。
 小野委員、木村委員でも、実態をよく御存じの先生方で、製造業に限ってもいいですが、非常に判断に苦しんでいる、こういったことで非常に苦慮されているようなことがあれば御紹介いただきたいと思います。
○阿部委員 やはり我々は事例がないと少し想像しにくいのではないかと思います。関係資料の18ページに、附帯決議1、2、3といろいろとありますが、やはり紹介の多い事例にどんなものがあって、それにどのように対応すべきかなど、そういうものを議論したほうが生産的なのではないかと思います。
○鎌田座長 そういった事例で御議論の参考になるようなものがあれば御紹介いただきたいと思います。
○富田課長 例えば、電話等で問合せがある例です。業務取扱要領にも出ている車両運行管理について、この程度の簡単なことしか入っていないのですが、よくあるのが、運転手は乗り込む人と話をしてはいけないのかということです。日常会話ぐらいは製造現場に関する疑義応答集でも書いてあるのですが、それを超えて、「この場所に停めてください」など、そのようなことも言ってはいけないのかという御質問があります。製造現場ですと指示書に従って黙々と仕事をしていれば大丈夫なことがあるかもしれないのですが、車両運行管理のような、どちらかというとサービス業系についてはコミュニケーションが伴うようなことがあるので、そこについてはやはり明確な基準が求められるということがあるのかもしれないと、事務局としては思っています。例えばの例として申し上げました。
○竹内(奥野)委員 今のような事例についての前提状況としては、そのような業務が、いわゆる業務処理請負、ここで言う請負としてできる場合なのか、派遣の規制が掛かってくるような労働者派遣になってしまうのか、その区分で困るという趣旨の相談だと理解してよろしいのでしょうか。
○富田課長 今の問合せは請負でやっていることについての問合せです。ですから、請負を厳密にやろうとすると、疑義応答集は製造現場だけしか出ていませんので、どうしたらいいのでしょうかと。話をしたりとか指示をしてしまったりすると、これは偽装請負になってしまうのではないかというのを心配されている業者の方がおられるのです。そういう問合せがあるということです。
○竹内(奥野)委員 分かりました。有益な議論になるかどうかは分かりませんが、今のお話を私なりに察する限りは、今のような事例について、業務処理を、ここで言う請負でやりたいということが背景にあるのではないかという気がします。この辺りからは私のうがった見方かもしれませんが、請負でやりたいということは,つまり,労働者派遣としてやるのではない。言い換えますと、労働者派遣の規制を受けない形で事業運営をしたいということではないかと思います。しかしながら、原理的に言うと、現在の派遣と請負の枠組みでは、派遣のほうは派遣先が指揮命令できる。それと併せて,労働時間や安全衛生など、指揮命令等に勘案して、実際の就労に関するリスクも同時に取っているわけです。他方で、業務処理請負の場合は、請け負った側、受注した側が雇用の責任も含めて一切の責任を負うとなっていて、いわば発注した側は労務管理に関するリスクも負わないというように区分されているのだと思います。その意味は、制度として、そもそも指揮命令等いろいろとできて便益も享受するけれども責任等のリスクも負う。請負の場合については、発注した側は便益も取れないけれどもリスクも負わないという区分になっているのではないかと思います。そのような制度として基本的に区分されている以上は、請負でやりたいというニーズはあるかもしれませんが、むしろそれは派遣で正面からやるべきだという考え方は、原理的に考えるとあるのではないかと思います。
 この問題の背景は、恐らく、派遣だと派遣法のいろいろな規制があって、請負の場合だと少なくとも特別な規制はない。もちろん、業務を請け負っている雇用主のほうが労働関係に関する責任を全部負うわけで、少なくとも発注しているほうは労働法上の責任がない。もちろん、朝日放送事件が正しくそうであるように、団体交渉上の責任を負わないかというと、そうでない場合もあるのですが、基本的にはそのようにリスク配分がなされているのだと思います。そのように、非常に就労形態が似ているものについて、そもそも極端に法規制が違っていること自体が本当にそれでよいのか。これまで私は何度かこの研究会で、どこかを厳しく規制したらほかのところに逃げてしまうので、そういうイタチごっこの危険性があるのではないかと申し上げています。そのような発想から言うと、これは派遣以外の話になってしまうかもしれませんが、極端に法規制が似ている、非常に区別が難しいことでいろいろな意見が出ていることについて、そもそも極端に法規制が違っていること自体、本来問題ではないかという気がします。実態として区分が難しいところを、法規制が違うことで、片方の形態を使いたいというニーズが出てきて、じゃあそこで区別をしましょうというのは、何か、却って大本の前提を考える必要があるのではないかという気がします。この研究会が取り扱える問題ではないかもしれませんが、区分の難しさとか区分のニーズに関する背景事情はその辺があって、そこをある程度考慮する、何らかの検討をすることも、具体的に出ている事項の考察に当たって必要ではないでしょうか。
○鎌田座長 ほかの方、何かございますか。
○阿部委員 37号告示の取扱要領などいろいろと読んでいると、先ほど私が発言した内容と重なるのですが、資本と労働の結合という形をどのようにやっているかということではないかと思うのです。請負の場合は、資本も労働も一挙に提供します、それで請負主が全体の生産活動に責任を持っているという形が請負で、そうではないのが派遣だと区別できれば素晴らしいのです。ところが問題は、資本を必ずしも自分で全て提供するわけではなくて、借りて、レンタルしてやるケースが出てきています。例えば先ほどの自動車の場合も、請負先の所有の車をレンタルしてきても、資本を提供していることには事実上なります。そうすると、請負なのか派遣なのかを区別するのは難しくなるだろうと思うのです。外形的に資本も提供しているかどうかが分かればいいような気もするのです。外形的に資本を提供していますということが分かっていれば、例えば口を利いてはいけないとか、そういうことは大した問題ではなくて、行く所が違うとか、そういうことはどうでもいい話であって、資本と労働サービスを同時に提供するかどうかが、分けるとしたら一番分かりやすいのではないかと思います。それにはいろいろな考え方があるかもしれません。
○鎌田座長 例えば発注者から独立して業務を処理しなくてはいけない場合に、発注者の機械・器具をレンタルして請負人が作業を行う場合があると、それは、阿部委員がおっしゃった考えだと、資本関係が明確にならない。そういった趣旨かどうか分かりませんが、区分基準においては、発注者が提供する資材については業務委託契約と別途に資材の有償の賃貸借契約を締結することになっているのです。そうすると、その部分は明確になるということですね。
○阿部委員 ではないでしょうか。
○宮川部長 15ページのハの(1)の黒字になっている所が、今、鎌田先生がおっしゃられた部分です。2行目の「別個の双務契約による正当なものであることが必要である。」
○鎌田座長 この短い時間の中で深く議論するのはなかなか難しいのですが、せっかくこういう話題が出ましたので、私の現時点での考えも少し述べます。先ほども言いましたように、請負と注文者と請負会社が雇用する労働者、この三者の関係が問題となっていて、話題にしていますように、この区分基準は、請負人の労働者の直接利用と、発注者との関係での独立性が要件になって、細かな要件を立てています。これ自体については、現在これを全てもう一度根本的に考え直すという時間的余裕もありませんし、私としても、ではどうすればいいのかということも思い付きません。
 指揮命令に関して言いますと、請負についても委任においても、業務の遂行においては一定の指図・指示を民法上はしてもいいことになっています。ただし、それは請け負った仕事に関わる指図あるいは引き受けた業務についての指示というのが民法上の考え方であります。37号告示はこの辺を十分に考えておりまして、注文者が請負労働者に対して直接に指示をする、指図をすることを認めていないという仕組みになっています。
 しかしながら、冒頭に私が言いましたが、役務提供に関わる部分については、指図の出し方と指図を労働者に伝える形態が極めて様々な、多様性を伴っていまして、そこから紛れが生じてくるのではないかと思っています。車両運行管理の例を出されましたが、そこにおいても、乗っている方と運転している方との間のコミュニケーションの問題が話題になったのも、そのことだと思っています。コミュニケーションが全然あってはいけないということは、このような役務提供の場合にはなかなか言えないのではないか。しかし、それを自由に指示することは先ほどのことからして難しいということであれば、指図なり指示なりが委託契約あるいは請負契約の本旨に従って、趣旨・目的に従って行われているかどうかが、基本的な立場だろう。そうしますと、委託なり請負なりの契約の趣旨・目的に従って、そこから請ける範囲の中で様々な場合について検討を加える必要があるのではないかと考えています。
 しかし、それはかなり一般的・抽象的に述べたことでありまして、個々の区分基準あるいは区分基準に基づいて実施されている個々の指標・判断のための要素の、この部分をこうしたらよいということは、今の私にはそこまでのアイディアはありません。役務提供に関わる請負・委託については、そうした視点を考えてみる価値はあるのではないかと思っています。余り中身のない話で恐縮ですが、このような感想を持ちました。これについて、私が今言ったことについてでも結構ですが、ございますか。
○奥田委員 今、座長がおっしゃったことは非常に重要だと思います。請負の観点から判断していくというのは、見方としては非常に重要だと思っています。と言いますのは、このように細かく区分する基準となると、よく労働者性で出てくるような、業務に必要な指示がどこまでかという議論になってしまわないかという危惧があります。そうなると、最初に竹内委員がおっしゃったように、業務上に必要な指示をしなければいけないものであれば、そもそも請負ではできないということが前提です。ですから、おっしゃったように、請負や委任という、ここで言えば請負の基本的な考え方の枠組みの点からその区分の在り方を考えていくことは重要です。そこから離れて、どこまでが業務に基づくものかどうかを細かく判断するとなると、どうしても、本来、業務の指示はできないはずなのに、ここまでならば必要だからよいだろうという、そういう議論にならないことが重要だろうと思っています。
○木村委員 今のお話とは若干ずれます。この場ではそうなっていないと思いますが、37号告示の明確化という話では議論が2つにブレやすいのです。片方が、判断基準の明確化という話で、それが本来この議題の話だと思います。もう1つは、この範囲を広げるか狭めるかという話、その意図が入ってくることがあります。そうなってくると、請負の範囲を広げて派遣法の保護から外すということになってくるわけです。
 先ほど竹内先生のお話がありましたが、似たようなもので保護の形が全然違う、規制の在り方が全然違うというのは問題だということですが、例えば、請負の範囲を広げていくと両者が近くなってくるわけです。これだけ厳しくしているから、法律上は遠いのですが実態が近くなってくる。そうすると、派遣労働者の保護の観点から問題になってくるということだと思います。
 それはさて置き、ここで大事なことは、請負そのものの基準の明確化であって、その範囲をどうするかという話は、若干出てくるかもしれませんが、まずは置いておいて、37号告示の意図するところでいかに明確化できるかということだと思います。ここで、業務が製造業に偏っているということなので、それ以外のもので疑義応答のケースを考えるなどの形があると思います。今まで問題になっているような事例に基づいて、1回、整理することが必要なのではないでしょうか。労働局で判断基準が異なるという話がよくありますが、それが本当に労働局ごとの判断の基準だということもあるし、実際によく見ると、そもそも事例が違う、似たような事例だけれども違うということもあります。そういったものを整理してみて、そこから製造業ではない業種のものを作ってみる。その上で、もともと告示そのものをいじったほうがよいことがあればやっていく。そういう順序で、少し時間を掛けてやっていかないと、派遣法で保護する範囲の労働者の変更にもなるので、安易に請負の範囲を広げるような形の見直しにならないように注意しなければいけないと思います。
○竹内(奥野)委員 明確化とその範囲が広いか狭いかという問題は別問題という御指摘はそのとおりだと思います。私が申し上げたかったのは、木村委員のお話されたこととやや重なるところもあると思います。資料の18ページの、37号告示に関する指摘事項を見ていますと、製造業以外のところで分かりにくいということが指摘されていると思いますが、それとともに、木村委員もお話されましたが、労働局によって、具体的に誰が監督するかによって判断が異なっているという問題意識があると思うのです。そのような意味では、今取り上げられている37号告示について、これは行政が運営するところなので余り申し上げられるものはありませんが、その判断の統一を図るということも、実際の行政による取締りの中では御努力いただきたいと思います。
○鎌田座長 具体的な事例のないところでどこまで議論するのかは難しいのですが、皆さんがおっしゃっているように、偽装請負あるいは派遣法の適用範囲の問題を広げる狭めるという話と明確化の議論とを区別して、明確化の議論にするということであれば、少し具体的な事例も踏まえながら更に検討していく必要があるのではないかということです。
 もう1つ、「労働・社会保険の適用について」という議題がありましたが、時間がもう既にかなり押していて所定の16時まで残り5分です。私の進行の不手際で申し訳ありませんが、これについては次回送りということで事務局はよろしいでしょうか。
○佐藤補佐 はい。
○鎌田座長 では、そのようなことで進めたいと思います。委員の皆さんもそれでよろしいでしょうか。何か一言ございますか。
○阿部委員 それで時間ができたのであれば。先ほどの37号告示で、労働と資本のセットで提供するというのが請負で大事だという話をしましたが、もう1つの視点があるのではないかと思いました。それは、請負というのは、内部にあった業務を外部化していくことなのだろうと思うのです。したがって、これは常用代替があってもよいのです。一方、派遣は、常用代替は禁止されていますから、中にあったものを外に出すのではなくて、外にあるものを中に取り込みたいというのが、派遣の本来の望ましい姿ではないかと思うのです。その辺りも分かるようにしてもらえるといいのかもしれません。そうでなければ、常用代替は、なぜ請負はよくて派遣は駄目なのかという話になると思うのです。経済学的に言えば、内部にあったものを外部に出して市場化したほうがより効率的な生産活動が行えるということになって、請負になっていくのだろうと思うのです。そういう観点からも線引きがあるかもしれません。
○小野委員 事例で、少し思い出したものが、2つほどあります。なぜこんな形になっているのだろうという2つの例です。
 1つは、請負形態で事務をやっているケースです。営業事務を、これまで派遣だったものを請負化したという職場の話です。こちらで正社員の営業の方が働いていらっしゃる。営業事務の方は違う部屋にいるのです。これまでは正社員の方が外へ行ってきた営業のもの、請求書などそういうものの後方処理を、横にいた派遣の方が処理して、お客様に電話して、後のことは全部やる。非常にスムーズだったのに、なぜか請負化して、請負化したので営業事務の人たちは全員向こうの部屋という形になり、指示も一々、間に立っている人に、ボックスのようなものがあって、そこに書面で指示を出さなければいけないということをやっている。なぜこんなに面倒なことをやっているのだろうと感じた例があります。それは経費削減など会社のいろいろな事情があって、1回、トライアルで事務請負をやってみようとやった結果がこのようになっているということです。阿部委員がおっしゃったように、本来であれば、外のものをうまく中に取り入れて、指示・命令を出してやったほうが恐らくスムーズなのだけど、何とか切り分けて外部化できないかということなのです。
 もう1つは、コールセンターです。コールセンターは切り分けて外部請負にしてしまっている所が多いのですが、その会社は逆に派遣なのです。派遣労働者は、この間の適正化プランなどいろいろとあったので、コールセンターは電話を受けることだけということになりました。それまで電話を取ったあとに日誌のようなものを書いたり、業務処理のようなことを、1時間ぐらい残って処理してから帰ることになっていた部分が、どうも適正化プランに触れるのではないかということになって、その部分は切り離して、この人は電話するだけ、後輩の指導もしません、ただ電話を掛けるだけの要員とするというケースがありました。これは、本来外部化して全体で見たほうが効率はいいのではないかと思うケースを内部化してひずみが起こっているケースです。おっしゃっているように、何をうまく取り出すかによって視点が変わってくると思うのです。その辺の明確化をどこまでするかという問題はあると思いますが、極めて難しい問題だと私は思います。
○鎌田座長 小野委員のお話を聞いて、明確化と区分基準、先ほど言ったように、適用範囲をどうするかというのは、結構、矛盾する話ではないか。すなわち、パーテーションを置いて、それで違うというのは、それは素晴らしいことです。皆さんが安心できる。だけれど、それが業務の効率性を高めるかどうかというと、どうなるかということです。明確化するためにはパーテーションでも置いてというのは、皆さん、そのほうがすっきりするわけです。でも、それが果たして業務の性質、効率性から言って合理的かどうか。これを分けて少し考えなければいけないということなのでしょうね。
○小野委員 そうですね。
○鎌田座長 ということで、最後の第3「労働保険・社会保険」については次回としたいと思います。本日は皆様どうもありがとうございました。
○佐藤補佐 次回の日程は3月29日(金)15時からを予定しています。以上です。
○鎌田座長 よろしくどうぞお願いいたします。


(了)

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