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2013年6月27日 第73回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成25年6月27日(月)13:00〜15:00


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

明石祐二、小畑明、勝野圭司、栗林正巳、桑野玲子、城内博、新谷信幸、瀬戸実、辻英人、土橋律、中村聡子、中村節雄、縄野徳弘、半沢美幸、三柴丈典、水島郁子、山口直人、山岸氏(岡本委員代理)

事務局:

宮野甚一 (安全衛生部長)
井内雅明 (計画課長)
半田有通 (安全課長)
奈良篤 (化学物質対策課長)
毛利正 (調査官)
濱本和孝 (主任中央労働衛生専門官)

○議題

(1)第12次労働災害防止計画を踏まえた検討について(各論その1)
(2)その他

○議事

○分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第73回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。
 本日の出欠状況ですが、公益代表委員では角田委員、労働者代表委員では犬飼委員、使用者代表委員では岡本委員、鈴木委員が欠席されています。なお、岡本委員の代理としてJFEスチールの山岸様が御出席されています。よろしくお願いいたします。
 議事に移ります。本日の議題は「第12次労働災害防止計画を踏まえた検討について(各論その1)」ということです。まず、化学物質管理のあり方の論点について事務局から説明をお願いいたします。
○奈良化学物質対策課長 資料1です。1ページには「労働安全衛生関係法令における主な化学物質管理の体系」を示しています。現在、産業で使用されている化学物質は下のほうにありますが、6万以上にも及ぶと言われています。これらのうち、製造・輸入・譲渡・使用が禁止されている物質が中ほどの三角の図の一番上にありますが、8物質あります。過去に健康障害が多発した化学物質や事業場に共通する高い健康障害の発生リスクが確認された化学物質について、特定化学物質障害予防規則や有機溶剤中毒予防規則といった特別規則の対象としていて、これらについては、三角の図の上から2段目にありますが、全体で114物質あります。この中には重度の健康障害の発生のおそれがあるということで製造許可の対象になっているものが7物質含まれています。
 他方、これらの特別規則の対象となっていない有害な化学物質のうち、日本産業衛生学会や米国のACGIHで許容濃度の勧告値があるものなど520物質あまりについて、特別規則の規制を受ける物質を含めて640物質ということになりますが、いわゆるSDS(安全データシート)の交付義務対象としていて、これについては労働者への周知義務が課されています。
 その他の化学物質については、労働安全衛生規則の衛生基準として有害原因の除去、ガス等の発散の抑制、保護具の備付けなどの措置が必要とされています。これは、この図の一番右側の下のほうにあります。更に、全ての有害な化学物質に共通に必要な措置として、リスクアセスメントが努力義務とされています。更に、労働安全衛生規則の中においては、全ての有害な化学物質について共通と言えるわけですが、雇入れ時や作業内容変更時の安全衛生教育が義務付けされています。
 この図の左側に、国のリスク評価があります。国として発がん性を中心に、高い有害性の情報があり、産業の場で多く使用されている化学物質について、有害物ばく露作業報告を求め、順次、それらの初期リスク評価、人に有害な程度のばく露のおそれがある物質については更に詳細なリスク評価を進めているところです。その結果、事業場間に共通の高いリスクがある物質については、規制の対象として追加して、具体的な措置を定め、健康障害の発生防止を図っているところです。また、労働安全衛生法に基づく新規の化学物質の届出は、近年は年間1,400物質程度あるのが現状です。
 2ページは、今回の分科会での化学物質管理のあり方の検討をお願いする背景になっている胆管がん事案についてです。胆管がんは昨年の3月、大阪府内にある印刷事業場の労働者から、化学物質の使用により胆管がんを発症したとして労災請求があったのが始まりでして、本年5月末日現在で胆管がんの労災請求は72人という状況です。これらの労災請求については、2ページの中ほどですが、胆管がんと業務との因果関係などについて、医学専門家などで構成される検討会を、昨年9月から開催しまして、本年3月に報告書が取りまとめられたところです。その内容は3ページです。
 3ページの左のほうですが、胆管がんはこれまで国際的にも化学物質による職業がんとは認識されていないものでして、一般的には高齢者に発症する疾病とされ、50歳未満での発症はまれな疾病です。今回の労災請求事案について業務との因果関係を検討した結果、3ページの右側の下の表にありますが、1,2-ジクロロプロパンとジクロロメタンの2物質について、長期間、高濃度のばく露により胆管がんを発症し得るという結論が得られました。さらに、大阪の印刷事業場については、これら2物質のうち1,2-ジクロロプロパンを長期間、高濃度でばく露したことが原因で胆管がんを発症した蓋然性が高いとされたところです。この2物質のうち1,2-ジクロロプロパンは、安全データシート(SDS)の交付義務の対象物質ですが、特化則、有機則と、いわゆる特別規則による規制の対象にはなっていない物質です。このため、現在、この物質を特化則の対象とすべく、法令改正のための準備作業を進めているところです。
 4ページは、欧米で化学物質の管理についての規制がどのように行われているのかということを、我が国と比較しながら概観してみたものです。規制の体系が異なっていますが、中ほどの「基本的な考え方」に、まず代替化、次に密閉化、局所排気装置などによる濃度の低減、これらの措置でもばく露の低減ができない場合に、労働者の保護具の使用といった優先順位に従って措置するという化学物質管理の基本的な考え方は主要国間で同様であるという状況です。これらの措置の優先順位については、アメリカ、EUにおいては、それぞれ安全衛生規則、EUの中では「根拠法令」の3つ目ですが、化学的因子からの労働者の保護に関する指令を受けての、各国個別法制の中で規定されているところです。
 日本については、この優先順位について、資料の8ページに化学物質のリスクアセスメント指針をお示ししています。その中に、要旨の2段落目にあるように、リスクアセスメントの結果を踏まえて講ずるリスク低減措置は、1から5の順に検討し実施するという形でお示ししているところです。また、この表の下にありますが、一部の物質については製造を禁止したり、特別な管理を求める個別規制の手法も、共通的に見られます。ただ、アメリカ、EUで「許容濃度未満の管理」というところがありますが、労働安全衛生法での定めは、この部分についてはありません。
 5ページは、胆管がん事案等を契機とする化学物質管理のあり方についての論点についてです。胆管がん事案は発がん性が確立していなかったため、特別規則で規制されていない物質により発生した蓋然性が高いという、専門家による検討結果が出ました。先ほど申し上げたように、特別規則の対象とすべく作業中ではありますが、今後においても、特別規則で規制されていない物質であっても、同様の事案が発生するおそれがあります。国として、発がん性を中心に特別規則で規制されていない物質の有害性評価、リスク評価を加速してまいりますが、こうしたリスク評価が行われる前の物質、さらにはリスク評価の結果、特別規則による規制の対象とならなかった物質であっても、事後的に有害性が明らかになったり、あるいは使用目的や作業態様などが変更されることによる新たなリスクの発生も考えられるところです。また、特別規則で規制されていない物質については、労働者の化学物質へのばく露を管理する必要性が認識されていないことも懸念されるところです。
 こうしたことから、特別規則で規制されていない物質について、有害性などの最新の情報の共有を進めることや、化学物質の有害性やばく露実態に応じて何らかの対策が講じられる必要があるのではないかと考えているところです。何らかの対策ということについて、具体的には、事業者によるリスクアセスメントの実施と、その結果に基づくばく露防止対策の促進。あるいは化学物質の譲渡・提供者によるSDS交付の促進などが考えられると思っています。資料1についての説明は以上です。
○分科会長 それでは、議論に移りたいと思いますが、最初に、本件に関して御専門でいらっしゃいます城内委員から一言いただければと思います。
○城内委員 ありがとうございます。今、事務局から御説明があったとおりなのですが、私のほうから諸外国の状況も踏まえて、少しコメントさせていただきます。特別規則で規制されている物質は、比較的よく管理されてきたと思っています。しかしながら、規制されていない物質に対する管理が行き届いていないことが、先の厚生労働省の報告、あるいは今回の胆管がんの事例でも明らかになったと思います。現場で使用されている数万の物質を適切に管理するためには、リスクアセスメントがキーとなるわけですが、この前提となるのはSDSによる危険有害性に関する情報の共有であり、しかしながら、その交付が義務付けられている物質は、現在、日本では他の法令も含めて約1,400物質のみです。
 一方、化学物質管理が最終的に適切に行われるかどうかは、それを扱っている労働者次第でありまして、その労働者が危険有害性情報を共有していることが非常に重要であると思っています。しかし日本では、労働者に危険有害性を伝えるシステム、具体的にはラベルですが、これが発達してきませんでした。労働安全衛生法でのラベル義務対象物質は御存じのように107にとどまっています。資料1の4ページの図にある化学物質管理規制の比較ですが、実はアメリカのHCS(危険有害性周知基準)あるいはEUのCLP規則では、全ての危険有害な化学物質について、ラベル等で危険有害性を知らせなさいということになっています。もちろんSDSもこの中に含まれています。昨年、労働安全衛生規則が改正されて、欧米では全化学品が対象となっているように、日本でも同じように、努力義務ではありますが、SDSあるいはラベルが全化学品対象になりました。これは、欧米に近くなったということでもありますし、化学物質管理の基盤が、やっと整備されたと言えると思います。
 こういう背景を基に、事業者は労働者との情報の共有を行うことによって、労働者の安全行動を促進する、また、SDSに基づいたリスクアセスメントに基づいて、ばく露の低減化を図る必要があると思います。繰り返しになりますが、やっと基盤整備ができたので、是非こういう方向で化学物質管理を進めていただければいいかなと思っています。以上です。
○分科会長 どうもありがとうございました。それでは、議論をお願いいたします。いかがでしょうか。
○小畑委員 まず、化学物質管理の検討には、専門知識が必要であり、論点ペーパーにもあるとおり、業界団体や専門家の意見を聞く必要があるとしている点については、異存はありません。ただ、その検討会に、現場の実態を知る労働者の代表も加えていただけるようにお願いをしたいと思っています。その上で、意見と質問を申し上げたいと思います。
 まず質問なのですが、資料1の4ページで、海外との比較が示されていますが、その中の「基本的な考え方」で、アメリカやEUでは化学物質管理措置に優先順位が付されていますが、日本ではリスクアセスメント指針の中で示されているということです。日本において、措置の優先順位を、指針ではなくて法制度として整備をしたときの、期待される効果、あるいは法整備をするに当たって、何か弊害が生じる可能性があるのかについてお聞きしたいと思います。
 もう1点は、アメリカやEUにおける化学物質管理の実態について、管理に要する人員の規模や法令違反の事例、そういったものの日本との違いが分かれば教えていただきたいと思います。
 ここからは意見になるのですが、日々化学物質を取扱う業務を行っているのは労働者ですから、化学物質のばく露による健康障害等のリスクは常に労働者が負っているわけです。胆管がんの事例のように、労働者の犠牲があってから対策がとられるようになるのではなく、危険有害性を未然に発見することが重要であると思います。したがって、特別規則の対象でない化学物質については、効果的かつ効率的にばく露等の影響を評価し、影響が想定される物質について化学物質の有害性やばく露実態に応じた対策が必要であると考えます。こうした対策を推し進めるためには、12次防の中にも、行政機関が自ら行う有害性調査の情報だけでなく、化学品メーカーなど事業者が保有する有害性情報を広く収集し、蓄積・共有する仕組みを構築するという記載があるように、危険有害性情報の収集及び評価を一元的・効率的に実施するための体制や制度のあり方について検討していくべきであろうと思っているところです。以上です。
○分科会長 質問事項もありましたが、事務局側からありますか。
○奈良化学物質対策課長 質問事項についてお答えをしたいと思います。まず、化学物質の管理についての措置の優先順位を定めた場合に、その効果、あるいはそれを進めていく上での弊害はどういうものが考えられるかということでした。まず、効果に関しては、仮に法令上これを明確に位置付けるといった場合には、事業場における安全衛生管理の場において、具体的に法令に則った対策の検討が進められていく効果があると考えております。
 弊害ということですが、実際に対策を進めていくに当たって、その効果と費用ということでの議論がいろいろ出てくると思いますが、そういう場合に、どういう方法を講じていくのがいいのかということについて、特に中小・零細の事業場に対して何らかの、対策の実施方法と言いますか、その点についての指導あるいは情報の提供というようなものを、きめ細やかにやっていかないと、実効性を担保していく面での課題があるかもしれないと考えております。
 化学物質管理を実際に進めていく中での必要な人員の確保等の実態という話ですが、申し訳ございませんが、今、アメリカやEUの実態についての情報を、この場では持ち合わせておりません。
○小畑委員 法令違反の事例についてはどうですか。
○奈良化学物質対策課長 申し訳ございません、法令違反の事例についても、数字としては持っておりません。
○分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○中村(節)委員 論点ペーパーにある3についてですが、私も関係業界、専門家の意見を聞くということでよろしいのではないかと思います。
 ただし、中小企業では化学物質の管理のために専任の担当者を置いている所は少なく、詳しくない企業が多いのが実態であると思います。こういう実態を踏まえて、SDSの交付だけではなく、「何が危険で、何が危険ではないのか」という認識を、そのような中小企業にも普及させていくにはどのようにすればよいかという点についても検討していただければと考えております。以上です。
○明石委員 私も、関係業界、専門家の御意見を聞くことには同意をさせていただきます。ただ、この論点で、何を論ずるかについては幅が広くて、大きな対象に対して大きな規制がバサリと掛けられるのではないかという懸念を持ちます。そこで質問ですが、この論点の1の所に「個々の化学物質の有害性やばく露実態に応じて」と書かれています。これはどのようなことをするのかを教えてください。
○奈良化学物質対策課長 こういうことについてという、具体的に何をするべきかということについては、正に検討会での御議論を待ちたいところですが、今、事務局側として考えているのは、先ほど「労働安全衛生法における化学物質の管理の体系」のお話を申し上げましたが、特別規則が適用されている対象物質114と、それ以外のところでは、対策に関してのきめ細やかさについて、非常に大きな差があります。現実に、今回の胆管がん事案で見た場合に、特別規則の対象ではありませんでしたが、安全データシートの交付義務が掛かっている物質、当然こういう物質ですから、米国等における許容濃度等についての情報もあるわけですが、そういう情報があり、具体的に対策が行い得るような物質については、何らか一定の対策をとるような方向付けが必要ではないかと考えているところです。そのほか、そういう法規制のみならず、具体的に化学物質管理を我が国で促進していくための支援のあり方等についても、是非とも御検討をいただければと考えているところです。
○明石委員 すみません、ちょっと質問の仕方が悪かったようです。ばく露実態について、どういう調査をするのか、リスク評価をどうするのか、その辺りを聞きたいのです。その対策は専門家等に任せるのでしょうけれども、その前段で、どういう実態調査、リスク評価をするのか、その方法としてどういうことを考えられているのかをお聞きしたい。
○奈良化学物質対策課長 失礼いたしました。ここで申している化学物質の有害性あるいはばく露実態、有害性というのは正にSDS等から情報を得られるもの、ばく露実態というのは、それぞれの事業場の中での作業の態様等におけるばく露の実態という意味でして、これらを調べるために何か特別な調査を行うなどということを意図しているものではありません。
○分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○山岸氏(岡本委員代理) 私も、当然、検討会で業界専門家などから意見を聞くのがいいと思うのですが、是非、関係業界からメンバーを集めるときに、先ほど労働者の代表もということで、それは非常に重要だと私も思いますが、業界にも大企業から中小と、いろいろありますので、やはり、中小、本当に安全管理体制あるいは衛生管理の専門家、スタッフといった者がいない、置ける状況でないような業界の意見も吸い上げるようなメンバー構成にしていただければというのが、1つお願いです。
 あと、例えば事業場のほうでリスクアセスメントをするにしても、いろいろな管理をするにしても、今、正にSDSをできる限り交付するということで12次防にも書かれていますので、まず、そういう情報がない限りは、使う側は何もできませんし、逆に、その情報をもらって、それを判断できる人材というか担当者がいない会社なども非常に多いと思いますので、その辺りを、先ほどラベルもまだ数百種類ぐらいしか、実際使うものに貼られていないなどという実態もありますので、是非、実際に使う側が使えるようなデータ、あるいは使う人が見て分かるような方向に検討を進めていただければと思います。以上です。
○分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○三柴委員 私の認識に誤解があったら申し訳ないのですが、検討を始められる上で、特に化学物質対策について、基本的な視点になるであろうものを申し上げれば、縦と横と高さになるだろうと思います。つまり、GHSのような国際的な情報を共有するのは横の視点になると思うのです。縦というのは、その現場でどういうばく露実態があるかなどを、労働者など、専門家も含めてですが、現場にいる人たちから聴取していく、あるいはばく露実態を調べていく。高さというのは、私流の表現では、製造業者などサプライチェーンの源からも情報を吸収していくということになると思うのです。
そうした前提に立ちつつ、中小企業対策について申し上げれば、既に12次防の中で、まず優先順位として、変異原性やがん原性などを注視していくことであったり、個人サンプラーの活用や、あるいは中小などでは複雑なことを求めても実施しにくいので、コントロールバンディングなどの普及を図って、一定の方程式に乗せることで、リスクやハザード、あるいはばく露の実態が分かるようにしていくという方針が示されていると理解しています。
 また、海外について先ほどお尋ねがあったのですが、私は何カ国も承知しているわけではありませんが、例えばドイツなどであれば、基本的な方針は専門性の開発と共有、それから、労働者の自律的参加というところに基本方針がある、その実現型の1つとして、労使自治的な構成を基本とする労災防止団体による取り組み、個々の企業、事業所ごとの従業員代表委員会による取り組みなどがあり、その中で、まだ現場で、あるいは普遍的、一般的にリスクやハザードが解明されていない部分についても積極的にすくい上げていくという仕組みになっていると思うのですが、それは、その国特有の縦・横・高さの実現の形があるので、日本ではどうするのが一番いいのかは、正に専門家や現場の方々の経験に照らして検討されるべき課題かと思います。
○分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○城内委員 先ほども少し申し上げたのですが、この論点の中に、希望として、情報の共有、つまりラベルで危険有害性を労働者と情報共有することを、是非入れていただきたいと思っています。というのも、実は、日本の化学物質管理で欠けているのはそこだったわけです。資料の4ページにある表は、日本のシステムはほとんどアメリカやEUでもやっていますという表になっていますが、ラベルによる情報の共有が唯一日本で欠けている大きなシステムだったと私は思っています。ですから、先ほど労働者代表の方からも御発言がありましたけれども、情報の共有を是非進めないと、リスクアセスメントについても基盤がないということになりますので、是非考えていただきたいと思います。それは、欧米では労働者側の知る権利であり、事業者側はそれを知らせる義務があると、ILOの条約でもそう書いてあるわけですので、是非そこの点を専門家の会議でも議論していただいたほうがいいと思っています。以上です。
○分科会長 ほかにいかがでしょうか。
 いろいろ御意見を頂いただきました。まとめてみますと、化学物質対策を進める必要があると。こういった問題意識を持つということについては、皆さん異論がないと考えます。具体的な内容をどう進めていくかということですが、本日、いろいろ御意見を頂きました。そういったことも踏まえた上で、専門家による検討会を立ち上げていただいて検討して、その検討結果を当分科会に報告していただく形で進めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○分科会長 では、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の論点は「安全・健康に対する意識改革を促進するための取組」です。まずは資料の説明からお願いいたします。
○井内計画課長 資料2について説明申し上げます。これは2つの面があり、優良な企業が社会的に評価される仕組みの構築が1つです。1ページ、検討の視点です。安全衛生対策を積極的に取り組んで、良好な労働環境を維持している企業について、客観的な基準で評価して公表するということが1つです。そういうことをするとともに、高い評価を得た企業に対する優遇措置を設けるということで、企業による自主的な取組の促進による労働環境水準の向上、あるいは求職者や消費者に対する有用な情報の提供に資するのではないかという視点です。これは下に12次防の関連記述が抜粋されていますが、aに総合的・客観的に評価する指標とか、あるいはbに今申し上げたような趣旨がまとめられているわけです。
 次のページです。優良な企業を評価する仕組み、厚生労働省の現在の取組について紹介しております。一番上が安全衛性に関する厚生労働大臣の表彰、労働局長の表彰です。安全衛生水準が高いと認められる優良企業、あるいは事業場に対して、年に1回、大臣、あるいは局長が表彰を行うということです。これについては上限があるということで、枠が設けられています。
 2つ目ですが、「あんぜんプロジェクト」で、安全対策に積極的に取り組む企業からの応募に基づいて、厚生労働省のホームページ等で公表するものです。ホームページで紹介する内容としては、参加企業の安全への取組事例、あるいは労働災害の発生状況を公表するということで、これは自由参加の形のものです。安全衛生の関係は以上です。
 安全衛生以外の関係で類似の制度・取組としては、1つは子育てサポート企業、くるみんマークの認定があります。これは行動計画を作成してもらって、目標を達成するなどの一定の場合に、子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定、くるみんマークの認定を受けることができる。具体的には、ある期間に男性の育児休業があるとか、また、時短の措置をとるとか、そのようなことに実際に取り組んでいただいている企業に対しては、このマークを商品とか広告に使えるということです。それに加えて、税制上の優遇措置、建築物等の割増償却なども受けられるという制度です。その下の○ですが、若者応援企業の宣言です。これは一定の労務管理の体制が整備されている企業で、かつ若者のための求人を出して、35歳未満の若者の採用・育成に積極的であるということ、あるいは詳細な企業情報、採用情報を積極的に公表するといった中小・中堅企業を若者応援企業として積極的にPRを行うということです。こういう企業には、行政からも就職面接会の開催などについて積極的に御案内をしたりしております。これは厚生労働省の取組です。
 3ページは民間企業での取組事例ということで、日本政策投資銀行のDBJ健康経営、ヘルスマネジメント格付けがあります。これは従業員の健康の維持・増進に取り組んでいる企業を評価して、その評価結果に応じて融資条件を設定するというもので、3段階で格付けされて、高い格付けを受ければ金利の優遇措置が受けられるということがとられています。
 その下は、海外での取組です。アメリカ労働安全衛生庁のVPPというプログラムです。これも労働者の安全と健康を守って、企業とか団体の自主的な取組を促すために、1982年から取り組まれているものですが、企業の申請に基づいて、安全衛生の取組状況を書面審査したり、あるいは実地調査をしたりということで評価をして、3段階に格付けをされるということです。この参加が認められた企業については、格付けのレベルに応じて一定期間、労働安全衛生庁の定期検査を免除されるといった仕組みです。
 4ページが検討の論点ですが、今申しましたような個別の表彰制度、あるいは個別企業の取組事例を公表するような「あんぜんプロジェクト」、そういった仕組みに加えて、企業の積極的な取組へのインセンティブが高まるようにするために、企業の労働環境水準を客観的な指標で評価して、公表する仕組みを新たに設けるべきではないかというのが1つ目です。また、こういったものを設ける場合に、企業の労働環境水準を客観的に評価する指標としては、どのようなものが考えられるか。例として下にあるのが、労働災害の発生状況、リスクアセスメントの実施状況、あるいは特殊健康診断の有所見率、メンタルヘルス対策への取組状況、時間外労働の状況、受動喫煙対策の実施状況などが考えられるのではないか。
 3つ目として、評価する方法としてどのようなものが考えられるのかということで、例えばランク付けとか、点数化とか、優良認定マークなどが考えられるのではないかということです。最後に、高い評価を得た企業に対してどのような優遇措置が考えられるかというのが、1つ目の優良な企業についてのものです。
 5ページですが、反対に重大な労働災害を繰り返す企業への対応です。検討の視点としては、法令違反により死亡災害を繰り返し発生させているような企業について、同じような災害が更に発生することのないように、災害が発生した事業場だけでなくて、企業全体で労働環境の改善を図らせるような仕組みが必要ではないかということです。下に12次防の関連記述を抜粋しております。
 6ページですが、法令違反に対する現行の対応がどうなっているか。労働基準法、労働安全衛生法に基づく対応、監督指導とか司法処分です。3つありますが、一番左が重大な労働災害が発生する場合、その現場への立入調査などをやります。また、労働者からの申告については事情聴取・事実確認を行います。私どもが作った計画に基づいて、定期監督をやっていくというのもあります。そういった場合に、右のほうで法令違反なしということであればそこで完結するわけですが、法令違反がある場合、それがまた重大又は悪質な場合には、即司法処分、送検、かつ公表するということがあります。そうでなくて、是正勧告をして、再監督をして、それでも未実施、未是正ということであれば、重大又は悪質な場合、司法処分、送検それから公表という手続になるということです。
 7ページですが、現在、安衛法上、安全衛生改善計画の作成指示という仕組みがあります。それについては、労働災害の発生状況等に鑑みて、労働災害の防止を図るため、事業場の施設等について、総合的な改善措置を講ずる必要があると労働局長が判断した場合には、安全衛生改善計画の作成を事業者に指示をするというものです。これは年間600事業場ぐらいが指示を受けているということです。その場合に、右に2つ箱がありますが、事業者が計画を作成する場合には、そこの事業場の労働組合又は労働者の代表者の意見を聞く必要があります。その下ですが、労働局長が労働安全衛生コンサルタント、つまり専門家による診断を受けることを事業者に推奨する場合もあります。ということで、安全衛生計画を作成した場合には、事業者、労働者に計画の遵守義務があります。ただ、これについて、罰則はありません。また、計画を作成しないという場合も罰則等はありません。こういう仕組みが現行の制度としてあります。
 8ページですが、法令違反に対する現行の対応の課題です。これは全社共通で、同じ業務を同じ方法で実施しているような場合についてです。本社があって、それぞれ事業場があるわけですが、例えば右上のB事業所で労働災害が発生して、監督指導を受けて改善する場合もあります。左下のEはそういう形です。Fは災害がまだ発生していませんが、問題を確認したような場合には、改善計画の作成を指示して改善をするような場合もあります。ただ、こうやって事業場それぞれで対応することはあるわけですが、同じ業務を同じ方法でほかの事業場でもやっている場合、その間もAとかCとかDという事業場は災害発生のおそれがあるような状態が続くわけです。したがって、個別の事業場、事案ごとの対応だけでは、災害の発生を未然に防止するのに不十分という課題が考えられるということです。
 9ページですが、同じ企業で繰り返される重大な災害はどういう状況かというものです。これは平成21年から平成23年の3年間を見たものですが、その3年間で同じ企業で同じような死亡災害が複数件発生した事例は10社以上あります。交通事故は除いています。事例1、事例2、事例3と例を出していますが、これは資材をトラックから荷卸しする際に下敷きになって死亡したような場合とか、倉庫内で荷の整理作業中に開口部から墜落して死亡した、あるいはエレベーターピット内で点検作業中に挟まれて死亡、そういうものが複数回繰り返して発生している例がありました。その下ですが、過重労働による健康障害です。これも過重労働等を原因とした脳・心臓疾患を発症させたことを把握した事案で、同じ企業で複数件発生した事例は約20社ありました。その下の精神障害ですが、仕事のストレスを原因とした精神障害を発生させたことを把握した事案のうち、同じ企業で複数発生した事例としては約30社あるということです。これは労働災害として把握した件数であって、法令違反が認められたという件数ではないわけですが、こういった状況が見受けられるということです。
 10ページですが、企業名の公表制度、現行でほかにどんな制度があるかという参考です。これまで12次防で御議論いただいたときにも紹介したこともありますが、1つには障害者雇用促進法があります。障害者雇用率で、それを達成していない事業主に一定の場合に雇入れ計画の作成を命令するわけですが、その計画が著しく不適当な場合等については、変更等をしなさいということで勧告をしますが、勧告に従わない場合には公表するという制度があります。また、労働者派遣法ですが、労働者派遣の役務の提供を受ける者、これは派遣先と言われている者ですが、派遣先が適用除外業務で労働者派遣を受け入れるという法令の規定に違反した場合に指導助言を受けて、またなお違反するおそれがあると認められる場合には勧告をして、勧告に従わない場合に公表という制度があります。その下の男女雇用機会均等法ですが、事業主が法違反行為を行った場合に勧告を行って、それに従わない場合には公表するということ。一番下の職業安定法の施行規則ですが、採用内定の関係です。2年連続して採用内定を取り消した場合、また同一年度内に10名以上の採用内定を取り消した場合などに公表するという、類似の公表制度があります。
 11ページの論点ですが、現在の対応は個別の事案ごとの事後的な対応(監督指導・司法処分)、あるいは個別の事業場ごとの対応ということで、先ほど見ていただきましたが、安全衛生改善計画の作成指示ということになっております。企業の管理手法等に共通した問題があって、同一企業の複数事業場で、同じような労働災害が繰り返されているような場合については、企業全体で改善を図らせるような新たな仕組みを設けるべきではないかというのが1点目です。
 そういう企業全体の新たな仕組みとしてはどのようなものが考えられるのかということで、今見ていただいた他の法令を参考とすれば、一定の基準を満たした場合に、企業単位で改善計画の作成を指示する、あるいは勧告を行う。そういった指示とか勧告に従わない場合に、企業名を公表するという仕組みが考えられるのではないかというのが2点目です。
 3点目として、こういった仕組みを設ける場合、どのような企業に対して全社的な改善を求めるべきかということで、発生させた労働災害の重篤度、あるいは発生頻度、悪質性、法違反の有無を考慮するべきではないかというものです。説明は以上です。
○分科会長 議論に移りたいと思いますが、内容を切り分けて、まず優良企業に関する部分から議論をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○縄野委員 資料2の4ページに検討の論点ということで記載されていますが、この中で、現在行われている表彰制度、あるいは取組事例の公表といったものに加えて、労働環境水準が客観的に見て非常に高い企業を評価する制度ができれば、他の企業の積極的な取組を促すことにもつながりますし、企業における労働安全衛生の全体的な取組の底上げ、あるいは全体的な波及、こういった流れとしても非常に良いものができるのではないかと思います。
 4ページの2つ目の○に評価指標の例が幾つか挙げられています。いずれも重要な指標と考えておりますが、業種によってかなり差があるというのが実態だろうと思います。したがって、今後、制度設計をするに当たっては、特定の業種に評価が偏ってしまわないような業種ごとの評価、こういった仕組みも工夫が必要ではないかと思います。
 労働環境の高い水準を維持している企業を評価することについては当然ですが、これに加えて、以前と比べて指標の数値の改善状況が著しく改善されている企業についても、一定の評価を与えることも、積極的な取り組みを促す効果が期待できると言う点から、必要なのではないかと思います。
 企業へのインセンティブ策についてですが、例えばハローワークの求人票に優良認定マークを入れるなど、ハローワーク等でも積極的に優良企業をPRすることも1つ考えられるのではないか。さらに優遇措置として、例えば厚生労働省をはじめ、国あるいは地方自治体が発注するいろいろな工事、あるいは委託業務といった企業選定に当たって、優良企業に優先的に発注する仕組みも大変有効なのではないかと思います。以上です。
○分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○三柴委員 結論から申し上げて、安全衛生面での優良企業の評価は極めて重要であると考えます。1つには、マーケット内外でのブランド力の強化に貢献するだろうと。ここでいうマーケットには、物品やサービスの取引だけではなくて、内部と外部の労働市場も含まれます。募集や採用の場面も含めて、そうした労働市場でのブランド力の強化になるほか、組織内で安全衛生の担当要員を大切にすることも含めて、安全衛生文化の醸成につながり、効果は計り知れないと思います。ただ、数値が独り歩きすると本末転倒することもあるので、その点だけ、指標の検討において御留意いただければ、非常に有意義な仕組みになると思います。あと、くるみんという制度は既に浸透しているということですから、現実的にも妥当性があるだろうと思います。以上です。
○山岸氏(岡本委員代理) 私も優良な所を表彰するとか公開するのは賛成なのですが、1つ、企業の中でも優良な職場を評価するということで、安全衛生活動を盛り上げようということでやっている企業は多いのですが、その目的はやはり職場がやる気になってモチベーションを持って安全活動をやっていってほしいというために、いろいろ評価をしながらやっているわけです。例えばそれと同じような考え方で、企業全体、日本国内全部のいろいろな業種の会社の評価をどういう指標にするのかは、非常に重要だと思います。
 いろいろな災害のデータとか疾病のデータは、おのずと公開されるといいますか、していますので、そういう数値はすぐに出るとは思うのですが、それ以外の取組状況をこちらに書いてあるようなもの以外も含めて、本当に企業が安全文化などを醸成するためにどうやっているのかというところは、なかなか数字に出すのが難しくて、我々も会社の中で同じ組織、いろいろな組織のレベルを評価するといったときに、数字だけではなかなかできないのです。やはり1対1ではないですが、面と向かってインタビューをしたり、やる気だとか、管理者がどう思っているかとか、そういったところまで評価しないと、なかなか全体評価できませんので、それを企業ということで評価しようとしたら、どのようにやるのかは、率直には難しいかとは思っています。いずれにしても、何かしらの評価基準に基づいて競い合うなりして、プラスになるような方向に持っていければ、制度としては非常にありがたいとは思います。
○瀬戸委員 指標を検討するに際して、中小・小規模企業の経営実態を踏まえて、是非指標を検討していただければと思っております。中小・小規模企業にとって、ハードルが高くなるような指標になると、なかなかこういう範疇の中に中小・小規模企業が選ばれてこないというおそれも出てくると思いますので、その経営実態をよく踏まえた上で御検討いただければと思います。要望です。
○桑野委員 客観指標の中の1つに是非、男女共同参画の推進とか、ダイバシティの推進という視点も入れていただきたいと思います。
○新谷委員 労働側としては先ほど縄野委員が申し上げたとおりで、これは是非、積極的に取組を進めるべきだと思っています。ただ、この制度が社会的に認知されて、今後その権威を持ち続けるためには、客観的な基準なり公正な選出が大事だと思っています。今後この論議を深掘りする際に、指標をどのようにするかというのは論議すればいいのですが、先ほど来、御発言があるように、中小企業であるとか、業種の違いによって、労災保険料率が違うのと同じように、かなり置かれた環境も違うと思うのです。その中で、ピンポイントで現在優良な所だけを表彰するということだけだと、多分狙っているような積極的な安全衛生の取組であるとか、インセンティブというところはなかなか評価しきれないのではないかと思います。業界全体が労災の発生件数等々を見ても厳しい中で、この企業については前進をさせて、取組としてはかなり改善してきているではないかといった、変化率といいますか、過去からの動きを見たときの取組の変化も評価の中に入れていくと、やる気が出るのではないかと思います。
○中村(節)委員 要望として申し上げますが、企業へのインセンティブや従業員のモチベーションアップにつながるよう、安全衛生活動に一生懸命取り組んでいる企業や従業員に対しては、公的に評価をしていただける仕組みを是非検討していただきたいと思います。また、どのような優遇措置が考えられるかという点についてですが、中小企業では優秀な人材を採用したいという思いはあっても、大企業に比べて人材が集まりにくいというのが実情です。例えば求人の際に「この会社の安全管理は優れている」という評価を、PR材料となるような仕組みにしていただければと思います。
○分科会長 評価、あるいは指標、インセンティブ、そういったところは今後いろいろ御意見を頂きましたので、その辺りも踏まえて議論は必要ということではありますが、基本的に優良企業がより社会的に評価されると。こういう仕組みが必要であるといった問題意識は異論がないということとしたいと思います。よろしいでしょうか。評価する場合の具体的な方法等については、引き続きこの分科会で議論したいと思います。優良側は以上にして、続いて「重大な労働災害を繰り返す企業への対応」という部分について議論をお願いいたします。
○明石委員 「重大な労働災害を繰り返す企業への対応」ということで、論点の所で意見と質問です。論点の一番上で、要は企業全体という表現を使われていますが、労働行政の基本単位は事業場単位だと思うのですが、ここで急に企業全体というか、先ほどの絵で「本社」という所がありますが、そこに急に移っていくというのがどうも理解ができないのですが、もう少し詳しく説明いただけますか。
○井内計画課長 11ページにある一番最初の○の論点ですが、ここで御議論いただきたいのは、同じ企業において同じような原因で重大な労働災害を繰り返し発生させて、その原因がその企業の事業場に共通するような管理方法にあるような場合には、災害が発生した事業場だけを改善するのでは効果的に労働災害の再発防止を図れないのではないかと、そういう問題意識です。その他の事業場でも、予防的に改善を図っていただく必要があるのではないかということで考えているもので、企業全体で同時並行的に改善を行っていただくという意味で、企業全体という表現にしております。
○明石委員 8ページの図でよく分からないのが、「全社共通で同じ業務を同じ方法で実施している」と書かれていますが、人とか場所が変われば、それなりにやることも変わってくるし、こういう所は災害の原因をまずきちんと押さえてから、「災害の発生おそれあり」と書いてありますが、人はミスをするし、機械は誤作動する可能性があると思うのです。そういうことを含めると、これは一概に本社でどうのという話ではないのではないかと思うのです。そこに持っていくのは、ちょっと無理があるのではないですか。
○山口委員 私は逆に企業全体でこういう取組をすることは大変画期的だなと思っていましたので、そのことをちょっとお話させていただきたいと思います。いろいろな事業場単位で労働安全衛生行政がなされているというのは、そのとおりだと思いますが、恐らく企業全体での取組がなされることによって、更に取組が飛躍的に効果を上げることが考えられるのではないかと思います。
 もう1点は、先ほどの優良と今回の優良でないというのは、何か両極にあるように見えるのですが、これは車の両輪みたいな関係なのではないかと私は思います。いろいろな企業が優良に向かっていろいろな取組を行っていくときに、非常に優良に近い企業もいるし、かなり遠いところにある企業もあって、特に遠い所にある企業については、このような取組から企業全体が優良に向かって取組を進めていく端緒になるというか、そういうドライビングフォースになるということが大きく期待できるのではないかと思いますので、私は企業全体でという取組は是非必要だと考えます。以上です。
○新谷委員 複数の事業場を持つ企業では、全社的な安全衛生管理というのは管理部門が体制を組み、全社的な安全衛生活動方針などを決めて、それを各事業場に共通で守らせるという管理体制を組んでいると思います。それは労使関係の中でも同じで、工場単位に組合の支部があり、そこでも安全衛生活動を行いますが、中央レベルでは本社と労組本部間で労使協議の付議事項の中に安全衛生管理が入っていて、法令の安全衛生委員会とは別に労使協議の中での安全衛生管理を、この会社としてどう行っていくのかという全体的な労使協議を行っているのが一般的だと思います。
 本日お示しいただいている災害の事例などを見ても、残念ながら同一企業の中で、複数の事業場で同様の重大な災害が発生していることが出ております。例えば製造業の設備などで共通で使っているものについては、1つの事業場で労働災害が出て、それが機械の不備によるものであれば、他の事業場についても点検をし同じような対策を打つという横展開を行うわけです。それは、全国展開しているような複数の事業場を持つ所はみんなそうだと思います。そういった意味でいくと、現実的な安全衛生管理を全体的に引き上げていくためには、同一企業の複数事業場で重大な災害を繰り返している場合については当該企業の安全衛生管理にどこか問題があるのではないかということから、安衛法上は事業場単位となっていても、企業全体で改善を図らせるような仕組みの構築が必要だと考えております。以上です。
○三柴委員 結論から申し上げて、この制度の導入に賛同いたします。各論的な根拠は6つあるのですが、端的に申し上げます。大原則は、これは安衛法上の施策ですので、大目的は制裁ではなくて予防であるという認識が必要になると思います。
 各論ですが、第1に、重大災害を繰り返すような企業に対して、企業単位で対策をとる必要性、何らかの対策をとる必要性については、12次防の審議時点でも意見が一致していたと思います。先に実例のご紹介を頂きましたが、安全衛生の推進には企業単位、特に企業上層部の意識改革が必要なことについては、共通理解を得られると思います。そもそも安衛法は沿革的に労災防止の目的を達するために、厳格に規制体系にとらわれないで、柔軟な施策をとるために労基法から別れてできたという経緯がある。だから、製造業者とか輸出入業者などの規制まで含められていますし、事業者という言葉も、そもそも事業利益の帰属主体という本旨があります。
 第2に、資料にありますように、ほかの法令でも公表制度があります。障害者雇用促進法であったり、雇用機会均等法などが例に挙げられますが、安全衛生法の履行確保の必要性は、命と健康にかかわるだけに、相対的に高いと考えられます。
 第3に、予防という制度趣旨との関係で、単に労災というだけで公表対象になるわけではなくて、基本的には法令に違反して、更に可罰性があってといった悪質性の高いところが対象になるはずです。単に労災だからということで公表対象になるわけではない。
 第4に、公表に際して一定の手続は踏まれます。通例は、先ほど事務局から御説明がありましたように、指導から入って、勧告から入って、何度言っても言うことを聞いてくれないというところが対象になるのだと。従って、合理的な改善努力のあとが見られるような事業場であれば、まず公表は考えられないだろうと思います。
 第5に、もし誤りがあったら正していただきたいのですが、現行法制度下でも送検事例については、特に公表に制限はないと理解しています。
 第6に、諸外国でもこういう制度をとっているところがあります。
以上のことから、予防を期して公表を含めた実効策を考えるという手法は妥当であろうと考えます。以上です。
○明石委員 今、労災事案のことをおっしゃられましたが、労災事案については非開示ということが大阪高裁で出ています。検討対象にならないのではないですか。
○三柴委員 おっしゃるような趣旨で申し上げたつもりです。つまり、労災が起きたというだけで開示に相当するわけではない、というのがご指摘の判例の趣旨ですね。他方、今回の制度の趣旨も労災だというだけで公表対象になるものではなくて、要するに悪質性が高いところ、具体的には法令違反が改善されない、しかも改善努力もみられないようなところが対象になるということだと理解しています。
○新谷委員 十分に12次防の際にも論議をさせていただきましたが、企業名の公表制度は、悪質な企業に対する制裁というよりも、労働災害をどのように発生を抑止するのかという、抑止力として使うべきだと思っております。資料2にも記載されているように、いきなり公表ありきではなく、まず助言・指導・勧告があって、それでも守らないというケースに対して、公表という措置に至るという提起をいただいておりますので、この辺の取扱いについては冷静にこのプロセスについて論議をしていく必要があるのではないかと思います。
 資料2の11頁の検討の論点の3つ目に、このような仕組みを設ける場合、どのような場合や、どのような企業に対して全社的な改善を求めるべきかについて、労働災害の重篤度、発生頻度、悪質性等を考慮することが記載されております。ここは、12次防でも論議しましたが、死亡災害だけではなくて、過重労働による脳・心臓疾患、精神障害といったものも今後の評価基準に加えていくべきと思っております。ここはまた枠組みが決まれば、論議を深めていきたいと思っております。以上です。
○山岸氏(岡本委員代理) 1つ質問なのですが、9ページに事例が何社かありますが、一番最後に「法令違反が認められた件数ではない」と書かれています。実際に繰り返し発生するような会社で、法令違反でという所もかなり多いのでしょうか。
○井内計画課長 こちらは労働災害として、実際のところ把握したという件数であって、法令違反が認められたかどうかというところまで厳密にきちんと追えてはいないのです。ただ、おっしゃるように、もちろんその中のある程度の部分はかなり法令違反があって、それに基づいて結局、労働災害が起こってしまったというものも含まれているということです。
○山岸氏(岡本委員代理) 先ほど委員からも発言があったと思うのですが、いろいろな安全衛生への取組をやるために、会社である組織があって取り組めている企業は、何らかあっても、それに対して必ず改善努力をしていくという仕組みもあるし、組織もあるし、人材があるのですが、先ほどの優良の評価のところでも同じようなことを私も言いましたが、もしそういう仕組みとか、あるいは安衛法なりで今、管理者を置きなさいとか、いろいろな決めごとがありますが、例えばそれに該当しないような会社でこういうことが起きているとすれば、そちらの体制をもう少しするような法整備といいますか、もうちょっと、今ないところにやれと言っても多分変わらないような気もしています。その辺、大企業ですと組織もあるので、もしこういうことが言われても改善するための力があると思うのですが、そうでないところがもし対象だとすれば、言うだけの法律ができても実際に取り組むほうは受け入れられないといいますか。それだったら、安全管理者を置きなさいとか、衛生管理者を置きなさいというところをもう少し拡大していくとか、あるいは安衛法の対象外だと言っているような業種でしたら、そこをもう少し広げるといいますか、そうしないと難しいかなという気もします。今、組織のある会社は多分付いて行けるのではないかと思います。以上です。
○井内計画課長 今の御意見の関係で、8ページをもう一度見ていただきたいのですが、例えばB事業所で労働災害が発生して、監督指導を受けて、これは直さなければいけないということになって、また同様の労働災害がEで起こったりした場合、通常、1回、2回起こると、本社はこんなに労働災害が頻発して連続しているのであれば、これは何か改善しなければいけないとなって、通常であればここで改善措置が、本社で安全衛生措置の拡充、充実、根本的なところでいろいろ手当がとられるはずなのだと思うのです。
 それがとられていればいいのですが、それがとられていれば公表とかいう話には全然なってこないのだろうと思いますが、そこでもそういう措置をとっていかずにいると、今のところ事業場単位で、事業場の管轄する所からの個別事業場に対する指導監督で改善をさせていっているわけです。そのまま本社が何もせずに、企業としての本来改善すべきところについて何も対応をとっていかなければ、やはり次のAとかCとかで、また同様の災害が発生してしまうおそれがあるのではないかということで、そういうことをまず企業全体として何か取組を促すような措置をとって、それも最初から公表とかいうわけではなくて、先ほどから申し上げているような、例として考えられるものとしては、指導とか、あるいは勧告をして、それでも全然聞かないという企業に対しては公表という仕組みが考えられるのではないでしょうかと話をしているわけです。ですから、改善しない所については、例えば改善の計画なりを作ってもらうということで、それをとっていくようなことを今、提案しているわけです。
 また、企業全体の安全衛生管理体制の仕組みとしては、前回、議題を7つ挙げた中の後半の議題もありますので、そちらの安全衛生管理体制の充実というところで御議論いただく。そういうこともあり得るかなということで、2点ほど違う論点について申し上げました。
○明石委員 今、課長から本社がやっているはずだというお話だったのですが、やはり先ほどの優良事業場もそうですが、業種・業態によって大分、本社がどこまで介入しているのかとか、そういうところが違うのではないかと思うのです。なので、主だったところの実態調査か何かをやられたほうがいいのではないですか。
○宮野安全衛生部長 今の点を申し上げると、これは通常そうした重大事故があれば、本社が全体をやっているはずだというように、今、計画課長から話がありました。これに関して言えば、むしろどこかの事業場でそうした重大災害があれば、全社的にチェックをするのは、むしろやっていただかなければならない当たり前のことなのだろうと思います。逆に、そうしたことをやらないことのほうが恐らく大きな問題なのだろうと。ですから、どうしてもそうしたものをやらないような所については、こうした仕組みの中でむしろやっていただくということもあるのではないかと考えております。
 ですから、これはやっている所があったり、やっている所がなかったりするから、こうした仕組みをとるとかとらないというよりも、むしろやっていないところ、全ての一定の企業がこうした仕組みを全部とっているというのであれば、法律上やる必要はないという結論はあるのかもしれないですが、必ずしもそうした実態にはないのではないか。実際上、今、資料でお示ししたような形での労働災害が起こっていることも確かですから、そうした中でそうした災害を防ぐ手段としてこうした仕組みは考えられないかということで、御提示をしているということです。
○明石委員 事故が起こったときに、本社に報告が行くと思うのです。その先の別の所の点検とか、それは内容によってどうされるか分からないのですが、本当に本社がそういう機能をきちんと持ってというか、今現在この事業所単位でやっている中で、本社がここはという所が、本当に実態としてきちんとあるのかどうかがちょっと分からないのです。
○宮野安全衛生部長 そこは逆に実態としては確かにそれぞれの企業の安全管理体制がどういう形になっているのかというところはあるかと思いますが、一方で、安全衛生法上で言えば、基本的にはこうした労働災害を防止するための義務は、それがどういう形かは別として、個別の事業場ではなくて事業主にあるわけです。したがって、やはり事業主として、それぞれ全ての事業場の安全衛生管理体制をきちんとやっていただくことは、もしそうしたことができていないということであれば必要であるのではないかと考えますけれども。
○新谷委員 本社における安全衛生管理の管理体制については、通常、正しく中央がコントロールしてガバナンスがきいている健全な労使関係のある会社ですと、重大災害があると、災害の起こった事業場に労使が行って、組合の本部と本社の間で対策会議を開催する等の対応をしていると思います。ただ、明石委員が御懸念されるように、いろいろな会社があると思うので、例えば製造業の代表的な企業、流通の代表の企業など、複数の事業場をまとめているところが本社の機能として安全衛生管理をどのように行っているのか、本社がガバナンスをきかせているのかどうかについて、実情をヒアリング等でお調べいただいたらどうかと思います。以上です。
○分科会長 いろいろ御意見を頂きました。検討の方向性としては、企業単位で改善を図らせるような仕組みを考えて、それを担保するために公表も検討していくということかと思います。今日いろいろ御意見もありましたので、引き続きこの場で議論するという形にさせていただきます。
 次の議題に移らせていただきます。3つ目の資料である「機械の回収・改善の対象範囲と違法な機械の公表について」、まず資料の説明をお願いいたします。
○半田安全課長 資料3です。1ページに現在の機械の回収・改善制度についての概要を示しています。現在は、労働安全衛生法第43条の2に記載されています。この条文は、昭和63年の労働安全衛生法改正で追加されたものです。
 動力プレス機械などの一定の危険性を有する機械などにつきましては、構造規格が定められています。構造規格に適合しないものについては、国は、回収・改善を命令することができることになっています。
 なお、今回議論していただきますが、公表の規定は置かれていません。実際の運用は、労働災害の発生あるいは監督指導などを契機とし、私どもが把握した場合に、国から譲渡者、提供者に対し、回収・改善命令を行うことになっています。これを受けて、譲渡者、提供者は機械などの回収・改善を行う。私どもはその履行状況の確認を行っているという状況です。
 次に、2ページ、3ページです。労働安全衛生法における機械等の規制体系で御説明します。
 まず2ページです。この略号は私どもが便宜的に付けているものです。Aの一番規制の厳しいものです。法令の中では、「特定機械等」という形で出てきます。一定以上の大きさを持っているボイラー、クレーンです。こういったものに関しては、全数検査を行っています。検査証がないと、日本では譲渡できないもので、回収・改善命令制度の対象にはなっていませんが、ただいま申し上げたように、非常に厳格な規制を掛けていますので、この部分に関しては、直ちに回収・改善命令は必要ないと考えています。
 次に、Bです。個別検定を行う小型ボイラーとか、型式検定を行う動力プレスの安全装置といったものですが、約16種類がありまして、これは回収・改善命令の対象となっています。
 次はCですが、自己認証対象機械等としています。これは構造規格のみが定められていまして、建設機械など、34種類があります。これも回収・改善命令の対象となっています。
 次にD-1です。労働安全衛生規則で譲渡提供者等に対し、機械などの作動部分の上に突起物があってはいけないとか、動力伝達部分などに対して安全保護措置を義務付けた規定があります。こういった規定の対象となるものです。
 具体的にということで、3ページを御覧ください。左上にD-1とあります。右下にモーターがありまして、プーリーが左にありまして、これをベルトで回しているようなものです。こういう回転部分がありますと、巻き込まれて腕を取られたりということがありますので、回転部分には覆いを設置しなければいけないという規定があります。こういった規定の対象となる機械ということです。
 2ページのD-2です。これは労働安全衛生規則で、機械のユーザーである事業者に対して、安全措置を義務付けているものです。D-1は譲渡提供者に義務付けていますが、D-2はユーザーに義務付けています。
 具体的には3ページを御覧ください。右側にD-2と書いてあります。1つには、この木材加工用機械です。帯のこ盤の刃及びのこ車に関して、覆いを付けなさいという規定です。2は、食品加工用混合機の囲いです。これは、つい先般労働安全衛生規則の諮問をお認めいただきまして、改正をしたところです。3は産業用ロボットの囲いです。産業用ロボットについては、この規制について、これからまた議論、検討があるところですが、現在の規定では、産業用ロボットの可動部分に人が立ち入って、けがのすることのないように囲いを設けるということを規定として設けています。このD-1、D-2共に、回収・改善命令の対象外となっています。
 2ページのEです。機械というのは膨大な種類がありますが、今申しましたAからD-2までは、何らかの規制が掛かっていますが、何も労働安全衛生法の中で規定されていない機械がありまして、そういったものです。
 この機械の例として、3ページの左下で、自動炊飯ラインの炊飯米搬送容器反転機による災害です。両矢印が付いている四角部分に御飯が入りまして、引っ繰り返してベルトコンベアに乗せるという仕組みです。これが回転して動くわけですが、災害事例では、この作業員の方が、せり上がってきた反転機に挟まれて被災されたという例です。
 2ページの表です。こういったことで、実際に回収・改善命令などの実績があるかを示しています。一番右側の欄ですが、Bの検査対象機械については4件です。Cの自己認証対象機械等については12件です。D-1は38件です。これは、違法なものを発見したが、現状では回収・改善命令の対象外なので、行政指導で要請を行ったものです。D-2も3件となっていますが、行政指導で要請を行ったものの件数です。Eに関しては、そういった行政指導の実績はございません。
 4ページに、回収・改善命令の具体的な例を示しています。事例1では、先ほどの2ページの分類のCの機械に該当します。鉄道用のレール切断用の研削盤です。研削する砥石の覆いが不十分だということで、研削盤の構造規格に違反していると認められました。割れた砥石が付近にいた労働者に当たり、負傷していました。こうした事例では、販売台数が1,900台以上と非常に多く、改善に努めておりますが、少し時間がかかっているという事例です。
 事例2です。2ページの種類でいうと、D-1の機械に該当します。トリなどに自動で餌を与える、給餌機という機械の例です。機械の回転軸に付属する留め金具に覆いがないというものです。これに労働者が巻き込まれ、被災したという災害がありました。この機械は回収・改善命令の対象範囲ではありませんが、行政指導として改善を要請し、製造メーカーにおいて特定できた74台について改善を実施しています。ただし、販売先が特定できなかったということで、回収できなかったものもございました。
 5ページです。今一度現状を示しまして、その上で、こういったところが論点かというところを示しています。先ほどのA、B、C、D、Eに応じ、構造規格、労働安全衛生規則の規定等があり、あるいは何もないEというものについて、現状では、構造規格の対象となっているB、Cについて、回収・改善命令制度があります。
 論点の1としては、D-1、D-2、Eの辺りに、回収・改善命令を広げていくことは考えられるかです。論点の2は、回収・改善命令があった上で、更にそれを促進するための方策としての公表です。こういったことで、論点を2つお示ししています。
 6ページに、他法令での似たような事例を紹介しています。まず、消費生活用製品安全法の公表制度との比較です。この消費生活用製品安全法は、一般消費者用の製品の安全を確保することを目的としており、平成18年に法改正されています。パロマの湯沸かし器など、そういった重大製品事故を起こした製品を公表しています。併せて、国による命令制度を整理しています。ただし、産業機械と消費者用製品については、相違点がございます。
 2にまとめています。産業機械は、一般的にある程度の危険性を有するもので、それを使用する方は一定の資格者、あるいは各種安全衛生教育を受けた者であると考えられます。ですから、災害が起こった際の機械の欠陥の有無の判断は、難しい面があると思っています。
 (2)です。産業機械では、機械ユーザーからのオーダーメイドによってメーカーが製造する場合がございます。ですから、一般消費者用のものは、特定の種が大量に出回るわけですが、産業機械では、非常に特殊な機械があるということです。また、そのユーザーが、あるいはその流通の中間段階の方が機械に手を入れるということがありますので、一概に機械メーカーの責任だけを問えないというケースもございます。
 (3)です。産業機械では、機械メーカーが機械ユーザーを把握していまして、アフターサービスを行っている場合もあります。このような場合には、機械メーカーの責任で、欠陥機械を短期間に全数改善することも可能で、一般消費者等、不特定多数の方に渡しているのとは少し違うというわけです。こういった違いもありますので、そういったことも考慮しながら検討していく必要があるだろうと思います。
 そういったことで、7ページに論点を整理しています。論点1は「機械等の回収・改善命令の範囲」です。1-1は機械等の回収・改善を図るため、対象範囲を拡大するところについて、検討する必要はないだろうか。
 1-2は、広げる場合にどこまで広げるべきかです。先ほど申し上げましたが、機械譲渡者等に義務付けている法第43条違反の機械、D-1に分類しています。ここまで広げるのはどうだろうか。あるいはD-1以外の機械についてはどうだろうか。ここで御留意いただきたいのは、D-1に関しては機械の譲渡・提供者に対して義務がありますが、D-2、Eに関しては、そういった義務は今のところありません。
 1-3ですが、機械等の回収・改善命令の対象を広げるに際しては、関係業界や専門家の御意見を伺う必要がないだろうかと考えています。
 続いて論点の2「回収・改善の促進について」です。2-1は、回収・改善を促進するという観点から、公表を含めた対策について検討する必要があるのではないだろうか。
 2-2は、機械等の回収・改善を促進するためには、1つには消費者の例にならい、公表を行うことが有効ではないかと考えていますが、先ほど申し上げましたように、何点か留意する点があると思っています。1つには、産業機械は、機械ユーザーからのオーダーメイドにより製造される場合がある、あるいはユーザー自身が改善をする場合があって、必ずしも製造メーカーが責任を負えない場合もあるということです。それから、産業機械は製造メーカーがユーザーを全て把握していて、アフターサービスを行っている場合もありますので、メーカーの責任できちんとやっていただくということで、やれる場合もあるのだということです。
 2-3は、いずれにしても、この点についても、関係業界や専門家の御意見を聞きながら、検討していくことにしてはどうかと考えています。
○分科会長 御議論をお願いします。
○半沢委員 論点の1-3、2-3について、関係業界や専門家の意見を聞きながら検討していくことについては、異論はありません。
 その上で意見ですが、労働災害防止対策の1つとして、労働災害の発生をきっかけとした、類似災害の防止に向けた取組がありますが、労働災害の発生をきっかけとする以上、残念ながら労働者の犠牲の下に講じられる対策であるということは、今一度認識をしなければいけないと思っています。
 機械の回収・改善命令、公表等も、類似災害の防止という観点で重要な取組だと思っていますが、労働災害の防止に向けた取り組みには、予防重視や本質安全化という、労働者の犠牲を前提としない取組もあります。12次防にも、「機械の本質安全化の促進」が掲げられていますので、こうした視点での検討も、引き続きお願いをしたいと思います。
○半田安全課長 本質安全化、予防重視の観点からということについては、心して取り組んでいきたいと思います。
 1点補足させていただきます。先ほどの私の説明ですが、現行の回収・改善に関して、災害事例を申しましたので、災害が起こった後のみ行っているように聞こえたかもしれませんが、もちろん災害の発生を契機とした場合もありますが、私どもが監督指導に行った際に、この機械は危険である、法令に違反しているということで、災害が起こる前に回収・改善を指示している例もございます。
○分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○明石委員 質問です。論点1は、3つとも既に拡大という方針になっていますが、なぜですか。
○半田安全課長 私どもの考えでは、拡大すべきではないかと考えているのですが、その是非も含めて御検討いただければと考えています。
○明石委員 そうであれば、そのように書いていただきたいと思います。拡大について検討するのではなく、範囲の検討を行うのですよね。
○半田安全課長 はい。
○明石委員 論点2の2-2に「消費者の例にならい」と書いてあるのですが、12次防の議論にB to BとB to Cは違うのではないかということで、12次防にはB to Bで書いていただいたと思うのです。この2段落目、3段落目は、産業機械ということで、そういうことが書かれているのですが、これが消費者の例にならう理由は何でしょうか。
○半田安全課長 消費者の例というのがどういうことかと言いますと、パロマの場合も1つの事故が契機なのですが、この機械は危険だということが分かっても、メーカー側で全てには対処できない場合がございます。ですから、公表することによって、この機械を使っているユーザーの皆さんに注意喚起をして、災害を防ぐということがありました。
 産業機械でも同じように、メーカーから多数のユーザーに渡っているものもございます。ですから、同じように公表することによって、災害を未然に防ぐということはあり得ると思っています。
 例えば4ページの事例1ですが、これも1,900台出回っていますし、4ページの事例の2は、台数は不明ですが、こちらはある程度把握できて回収できたとはいうものの、回収できなかったという部分も残っています。そういった部分については、消費生活用製品安全法のやり方にならうということはあり得るのかな、ということを申し上げたところです。
○明石委員 今の点は分かりましたが、企業名の公表、機械名の公表は、安全に使うということを第一に考えられているのだと思います。消費者向けのものと、産業機械のものでは、公表の懲罰的な意味合いが違うので、その辺りは専門家の方々に意見を聞いていただければと思いますが、「ならい」というのには疑問をもちます。
○半田安全課長 懲罰的な意味で書いているつもりではないのですが、あくまでも「ならい」は、不特定多数の方に危険有害性を認識していただいて、災害を防止することに重きを置いているわけですが、その辺りが懲罰的に聞こえるようであれば、その点も含めて専門家の皆さん、関係者の皆さんの御意見をお伺いしながら検討させていただきたいと考えます。
○分科会長 他にいかがでしょうか。
○城内委員 機械安全というのは、人間工学的な基本の課題であると思いますが、時代とともに安全の概念も、装置等も変わってきていると思いまして、D-1に見られるように、義務が掛かっていて、今後も安全のために回収・改善しなければいけないというものについては、確実にやっていく必要があると思うのですが、今の御議論でもあるように、対象と、どのようにユーザーを特定して、回収・改善していくかというのはかなり難しい問題だと思いますので、ここに書いてあるように、専門家の意見をしっかりと聞いて対応していくことが必要だろうと思っています。
○分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○水島委員 災害防止の観点からは、回収・改善命令の範囲を広げるという方向性には賛成いたします。
 ただ、回収・改善命令の名宛人が譲渡者となりますと、譲渡者に措置義務が掛けられていないD-2やEについて、どのようにすれば対象とできるのか、あるいは対象にできないのかといった検討が、今後必要ではないかと考えます。
○半田安全課長 ただいまの御指摘も専門家検討会にお伝えしまして、御議論いただくようにいたします。
○分科会長 ということで、今の件に関しましては、2つの問題点、回収・改善命令の対象となっていないものでも、回収・改善が必要と考えられるものがあるという点、もう1つは、現在回収・改善の対象となっているものでも、十分な回収が図られていないものがある。こういった問題点を見直していく必要がある、こういった認識では、皆さん一致したと考えます。
 検討については、専門家による検討会を立ち上げて進めていきたいと思います。その中で、今日出ました様々な御意見、これを制度化していくかといったことも含めて、検討していただきまして、結果が出たところで本分科会に報告いただき、話を進めたいと考えます。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○分科会長 そのようにさせていただきます。
 本日の議事としてはここまでですが、その他に何かございますでしょうか。
○新谷委員 次回の論議に向けて、資料の御準備をお願いしたい点があります。
 前回6/10の分科会で、12次防を踏まえた今後の検討項目と論点の1つとして、「第三者に施設等を使用させる施設等管理者の安全衛生管理責任についてどう考えるか」が挙げられていました。これについては、事務局より例として、荷役作業のように、作業を行う労働者を雇用する運送事業者では責任を果たせない場所での作業について、その場を管理する者の責任をどう考えるか、ということが提起され、論議されたと思います。
 その際、労働側から、幾つか現場の実態を踏まえて懸念点を申し上げましたが、それは、現場の実態を十分に踏まえた実効性を伴う施策の検討が必要であるという趣旨で発言したものであり、法律論、あるいは制度論として施設管理者に何らかの安全管理責任を負っていただくことを検討すること自体を否定するものではありませんので、それはあらかじめ申し上げておきたいと思います。
 その上で、事務局にお願したいのは、次回資料として、具体的にどのような災害事例があったのか、現行の法令の枠組みの中で、施設に瑕疵があった場合や作業場の問題点があったときに、施設管理者にどういった責任が課されるのか、ガイドライン等を含め現行の法令等の枠組みと実態にどういった乖離や課題があるのか、について次回の分科会で議論する際に提示をいただきたいと思います。
 また、今後の検討の方向性についてのお考えを、事務局ペーパー等でお示しいただけると、ありがたいと思っておりますので、次回の検討に向けてお願いを申し上げます。
○分科会長 ほかにございますか。
○瀬戸委員 資料2で教えていただきたいことがあります。9ページの「死亡災害、健康障害、精神障害」の複数件発生した事例の件数なのですが、死亡災害が10社以上、過重労働による健康障害が約20社、精神障害が約30社と記載されているのですが、確定数として、10社以上というのは何社なのか、約20社というのは何社なのか、約30社というのは何社なのでしょうか。もし分かれば、次回でも結構ですので教えていただきたいと思います。
○毛利調査官 手元に数字がありますので、お伝えします。まず、死亡災害が発生したという件については、この3年間で13企業です。過重労働については17企業です。精神障害については27企業です。
○分科会長 ほかにいかがですか。
○三柴委員 先ほどの私の発言について、1点だけ修正させていただきます。公表制度に関してですが、具体的な法令違反のあるところ、更に可罰性があるところに限って公表対象になるのではないか、と申し上げた点は、あくまでも予防に資するという、貢献するという安全衛生法の趣旨に沿うようにという意味から、撤回させていただきます。お詫び申し上げます。
○分科会長 ほかにございますか。よろしいですか。事務局から連絡事項をお願いいたします。
○井内計画課長 今日は精力的な御議論を頂きまして、ありがとうございました。次回については、先ほど委員から御要望もありましたが、できるだけその趣旨にのっとって資料を用意させていただいて、各論その2ということで、これまでの3つの議題以外のテーマということで、別の論点の資料を用意して、御議論をお願いする予定です。日程は調整中ですので、追って連絡を申し上げます。
○分科会長 本日の第73回労働政策審議会安全衛生分科会は終了いたします。なお、議事録の署名については、労働者代表は辻委員、使用者代表は明石委員にお願いいたします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。


(了)

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