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2013年6月12日 第88回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成25年6月12日(水) 15:00〜17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 職業安定局第1・2会議室


○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

○岩村部会長 ただいまから、第88回雇用保険部会を開催いたします。皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の出欠状況ですが、野川委員が御欠席と伺っております。
 議事に入ります。カメラ撮りはここまでとします。議事次第にありますとおり、本日の議題は「雇用保険制度について」です。まず、事務局から資料に沿って説明をいただき、その後、質疑に移ります。それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○高島雇用保険課長補佐 資料1「基本手当に係る過去10年の制度改正の検証」を御覧ください。こちらは、前回の雇用保険部会で、今後部会で御議論をお願いしたい論点をお示ししましたが、その中で基本手当の水準に関する御議論をいただくための資料です。基本手当は、雇用保険制度の一番基本的な給付ですが、過去10年の間、累次の改正で制度の見直し等をしております。その制度の見直しによって、求職者の就職の状況等がどのように変わってきたかについて、事務局でデータの抽出を行い整理しましたので、それを材料として、今後の制度について御議論をいただきたいという趣旨です。
 1ページ、「基本手当の主要指標の推移」です。繰り返しになりますが、基本手当は雇用保険の根幹の給付として、失業された方について90日から最大330日給付をするものです。その給付の額については、直近の離職時の賃金の日額をベースとして一定の割合を掛けたものを給付しておりますが、そうした給付についての基本的な業務指標、何人の方が初めて給付を受けられたか、平均どれぐらいの期間給付を受けておられたか、それぞれの方がどれだけの日額の給付を受けておられたか、基本手当全体としてどれだけの支出が行われたかについて、平成11年度から平成24年度まで整理をしているのがこちらの資料です。
 2ページ、「基本手当に係る主な制度変遷について」です。様々な制度の見直しを行っておりますが、特に平成12年の改正と平成15年の改正がポイントになっております。平成12年、平成15年改正で所定給付日数等を見直しております。改正の趣旨ですが、平成12年改正については、平成13年4月から施行しておりますが、趣旨としては中高年齢者の層を中心に、倒産・解雇等により離職した方にきちんと手厚い給付をしていくという観点で、求職者の給付、基本手当等を重点化しました。そのほか、短時間就労者等の見直し、適用要件の見直しに伴って日額を見直しているといった変更があります。
 改正内容として、法定賃金日額、給付率、所定給付日数の3つのカテゴリーで整理しております。法定賃金日額は、給付額のベースになるものですが、平成12年改正以前と平成12年改正後と比べて、(2,150)と下線が引いてある所が変更点ですが、こちらの法定賃金日額の短時間就労者の部分を見直しております。もう1つ、給付率ですが、平成12年改正以前は60〜80%、高齢者は50%ですが、こちらについては平成12年改正では特に変更を行っておりません。一番大きな変更点としては、所定給付日数です。平成12年改正以前は90〜300日の間で給付を行っておりましたが、こちらを2つのグループに分けております。「特定受給資格者」は、倒産や解雇等により離職した方ですが、そうした方についての給付日数です。こちらが90〜330日、一部給付日数を増やした形で、そのような幅になっております。「特定受給資格者以外」、いわゆる一般の離職者ですが、こちらを整理して90〜180日の幅で給付を行うといった趣旨の見直しを行いました。
 平成15年改正ですが、趣旨が3点あります。1つが、通常の労働者とパートタイム労働者の給付内容の一本化ということで、法定賃金日額を見直しております。また、壮年層の給付日数の改善として、35歳以上45歳未満の方の給付日額の見直しを行っております。3つ目として、基本手当日額と再就職時賃金の逆転現象の解消という趣旨で、給付率の見直しを行っております。法定賃金日額については、下限を2,140円とした上で、上限が様々幅がありますが、1万3,160〜1万6,080円の幅に変更しております。給付率については、平成12年以前からの給付率は60〜80%ですが、50〜80%ということで、低い方の給付率ですが、賃金が高かった人たちがこの低い給付率になります。そちらの部分の見直しを行いました。この趣旨ですが、先ほど申し上げたとおり、基本手当の日額と再就職時賃金の逆転現象を避けるためです。もともと雇用保険の基本手当の趣旨としては、失業中の所得の保障、生活の安定を図るという趣旨と、失業されている方の早期再就職を図るという2つの趣旨があります。その後者の部分、失業されている方の早期再就職を図るという観点から、基本手当の額よりも再就職時賃金の方が低くなると、求職者にとって逆方向のインセンティブが働くということがあるので、それが起こらないようにするために給付率の見直しを行ったという趣旨です。併せて所定給付日数についても、特定受給資格者以外の方について一部見直しを行い、90〜150日という形で見直しを行っております。
 まとめると、平成12年改正の前後、施行としては平成13年度を境としますが、日数について主に見直しを行っております。また、平成15年度を境として、給付率と賃金日額について主に見直しを行っています。そうした2つの節目が過去10年の中でありました。後ほど、それに沿った検証データを提示します。
 3〜4ページは、細かなデータになっていますが、先ほど申し上げた給付の日数についての表です。厳密に言えば、雇用保険の世界では失業者の方がどういった年齢にあるか、それぞれの方がどれだけの期間、雇用保険に入られていたか、その期間、その2つの要素をベースとして、給付日数をそれぞれ整理しております。給付日数の変更といった場合に、それぞれの部分について見直しを増やしたところもあれば、減らしたところもあるので、それがどのような状況にあるのかを整理した表です。
 3ページも4ページも、グレーに網掛けをした部分が変更した部分です。例えば3ページのAの「特定受給資格者」の30歳未満ですが、5年以上10年未満ということで、120(90)となっています。これは、改正後は120日になっており、改正前は90日であったということで、横に[30]と書いてありますが、これは30日増やしたということです。そのほかのブロックで△となっているのは、給付日数を減じている部分です。平成12年では、「特定受給資格者」のAと「特定受給資格者以外」のBで分けたことが一番大きな改正ですが、それを分けた上で、それぞれの年齢や被保険者期間別に給付日数の見直しを行っております。主に特定受給資格者は、一部60歳以上の方について給付日数を減ずる見直しを行っておりますが、基本的にはそれまでと同じ給付日数、一部の方については増やし、又は減らしております。特定受給資格者以外の部分については、特定受給資格者、解雇・倒産の方に重点化を行ったことがあるので、それと併せて、Bのグループの方々については全体として給付日数を減じております。
 4ページは、平成15年改正の前後でどのような見直しを行ったかです。Aの部分では、35歳以上、45歳未満について、一部給付日数の充実を行っております。グレーで網掛けにした部分について30日ずつ増やしております。一方、Bの「特定受給資格者以外」については、被保険者期間が長かった方を中心として、一定程度日数を減ずる見直しを行っております。平成15年では、日数としては小幅な見直しにとどまっておりますが、これ以外の見直しとして、給付率の見直しや賃金日額の見直しがあります。4ページまでが改正内容の説明です。5ページ以降が検証の内容です。
 5ページ、「基本手当受給者の再就職時期に関する検証」です。平成12年及び平成15年の改正で、所定給付日数等を増減したことによる就職時期への影響を見るということで、以下3つ掲げていますが、このような方法で検証を行っております。1つは、雇用保険受給者の中での就職状況を見ております。就職者を100として、これは就職者を分母としてということですが、待期期間、給付制限期間、受給期間、支給終了後の期間について、受給者が就職された方のうちいつ就職されたか、就職時点においてどのような構成割合になっているか、過去10年間で年度ごとに比較を行っております。2つ目は、法改正前後の年度について所定給付日数ごとに、所定給付日数は90日、120日とあって、330日までありますが、そうした日数ごとに就職者を並べて、日数ごとに就職割合を比較しております。3つ目は、主に平成15年に改正を行った点ですが、法定賃金日額、給付率が削減されたことで、削減の対象になったグループについて就職率に変動があったかどうかを、特定のグループに絞った上で、特定の時期で比較を行っております。この3点の検証を行っております。
 1つ目の検証ですが、6ページです。この後、形の似たグラフが計6ページほど続きますが、6ページで基本的な事項を説明します。「基本手当受給者の再就職状況」ということで、平成11〜20年度になっております。平成13年度の前後、平成15年度の前後で法改正が行われているので、そちらの年度を含めて、10年の幅でどのようなことが起きているかを整理したものです。
 帯グラフになっており、一番左が白い所で、そのあと色が変わっておりますが、上に四角で囲んであるとおり、いつの時期に雇用保険の基本手当の受給者が就職したか、その構成割合を示したものです。左に行けば行くほど早い時期に就職をされた方です。一番左が待期期間中です。こちらは受給資格の決定、雇用保険をこれからもらうという手続をされた後、7日間は共通して待期期間があるので、その期間に就職をされたということです。給付制限期間というのは、一部の方ですが、自己都合で離職をされた方は3か月間給付制限がかかることになっており、その後給付が始まります。その給付制限の期間中に就職をされた方がどれぐらいいるかということです。真ん中の一番太い所は、受給されている期間の間に就職をされた方です。右側で、動きを太字で強調しておりますが、ここの部分までが支給が終わるまでに就職をされた方のグループです。左から3つまでのグループが、支給が終了するまでの間に就職をした方です。太字の右側のグループは、支給が終わった後に就職をされた方のグループです。右に行けば行くほど、時間がたってから就職をされた方になります。太字の一番右隣が、支給終了後1か月以内に就職をされた方、その隣が2か月以内、3か月以内、6か月以内、1年以内となっており、一番右側が支給が終わってから1年を超えて就職をされた方がどれぐらいいるかを示したデータです。
 注の部分ですが、平成11年度から平成20年度まで分けてデータを示しております。示し方ですが、雇用保険の給付をいつもらい始めたか、いつ受給資格を決定したか、それによって振分けをしております。平成11年度であれば、平成11年度のどこかで職業安定所に来所されて支給を開始された方が、この中に全て入っております。ですので、就職をされた時期は、必ずしも平成11年度中ではありません。人によっては平成12年度以降の方もいらっしゃるとは思いますが、平成11年度に雇用保険をもらい始めた方が、この平成11年度のグループに全て入っております。同じような形で、平成20年度まで全て入っております。就職者を100として、就職された方がいつの時点で就職をされたかを整理した資料です。
 太字の所を御覧いただければお分かりいただけるのですが、おおむね5割前後の方が支給が終了するまでに就職をしている形になっております。平成12年度と平成13年度の所で、支給終了までの就職割合、太字の部分が少し低下しているという現象が見られますが、その後、平成19年度までの間にだんだん増えてきております。また、平成20年度にかけて一部低下しております。
 この後資料のページが続きますが、1つ御参考として併せて御覧いただきたいのは、18ページの「参考」の部分です。18ページの参考資料は、雇用情勢の推移をグラフで示した資料です。直近のデータは4月末の雇用情勢を整理したものですが、平成9年から平成25年ぐらいにかけて、失業率や有効求人倍率がどのように推移したかを示したものです。これを見ると、平成9年頃が1つの山でしたが、平成11年や平成14年ぐらいは非常に雇用情勢の悪い状況が続いています。平成14年度から平成19年度ぐらいにかけて、だんだん好転している状況が続いており、平成21年、リーマン・ショック後に、また雇用失業情勢が非常に悪い状況になっております。経済に関してはこのような推移があるので、今後のグラフ等を御覧いただく際には、こうした動きも見ながら、併せて御覧いただければと考えております。
 7、8ページのグラフは、よく似たグラフですが、6ページのグラフを対象者を2つのグループに分けて検証した資料です。7ページのグラフは「特定受給資格者の再就職状況」、8ページのグラフは「特定受給資格者以外の者の再就職状況」です。特定受給資格者は解雇・倒産により離職した方、8ページの方はそれ以外の方なので、6ページのグラフは解雇・倒産を理由としても自己都合であっても、とにかく全ての方がどういう就職状況にあるかを全体として整理したグラフになっており、7、8ページはそれらについて解雇・倒産により離職した方、それ以外の方と2つに分けて動きを見ているものです。
 7ページについては、グラフの見方自体は同じで、特定受給資格者は給付制限期間がないので、給付制限の部分が消えておりますが、左に行けば行くほど早く就職された方、右に行くほど就職時期が遅かった方というのは変わりません。太字の部分、支給終了までに就職された方の動きとしては、平成13年度に少し落ちて、その後平成19年度までの中で上がっていって、平成20年度でまた少し落ちています。こうした動きにあること自体は、6ページの動きとは大きく変りません。
 8ページは、いわゆる一般の離職者です。こちらは平成13年度にかけて落ちており、平成19年度にかけて緩やかに回復して、また平成20年度に落ちております。1点補足しますと、特定受給資格者以外の方については、平成12年改正で給付日数を主に減じているグループの方になります。平成12年改正では、特定受給資格者とそれ以外の方で給付日数を2つのグループに分け、解雇・倒産の方については給付日数を重点化しているという見直しを行っております。ですので、特定受給資格者以外の方については、給付日数を減じている方々になります。こちらは平成13年度で少し落ちており、平成19年度以降また回復しているという動きになっております。
 9〜11ページですが、主に9ページについて御説明します。同じ形のグラフになっていますが、こちらは先ほど御説明した6ページのグラフについて一部補正を行っているものです。補正の内容ですが、支給終了後1年超経過して就職した者を除いた再就職状況です。6ページのグラフでは、一番右がグレーになっており、1年超たってから就職された方々のグループがありました。こちらはどうしてもデータ抽出の制約があるのですが、それぞれの年度で雇用保険の受給を始めた方がいつ就職をされたかを、直近の状況でデータを抽出しております。具体的には、平成24年7月になります。平成11年に雇用保険を受け始めた方は、そこから13年ほどの状況を見ていることになります。一方、平成20年度に受けられた方については、そこから4年弱の状況を見ていることになるので、1年超で就職された方は、いつの年度かによって大分期間に幅があるデータになっております。そうしたデータを除いて、比較の条件をそろえた上で検証したのが9〜11ページの資料です。
 御覧いただけば分かるとおり、1年超で就職した方が抜けた中で構成割合を見ているので、全体的に支給終了までに就職した方の割合が少し増えております。あとは年度ごとの動きがバイアスが補正された形になっており、9ページを見ると、平成11年度から平成20年度にかけて動き方は似ている部分はありますが、全体としておおむね6割前後、先ほどの話で言うと5割前後の方が支給終了までに就職されていましたが、1年超の就職時期の方を一旦除いて考えると、おおむね6割前後の方が支給終了までに就職をしているという状況になっております。10、11ページはその前の資料を同じような形で補正したものですので、説明は省略します。
 2番目の検証のグループです。12ページですが、こちらは「所定給付日数終了までに就職した基本手当受給者の割合」です。先ほど申し上げたとおり、基本手当の給付日数は年齢や被保険者期間、更には離職の理由により様々ですが、それぞれ90〜330日の幅で給付日数が設定されております。先ほどは年度ごとに全て分けたものですが、今回は給付日数が同じグループの方々の就職状況が変わったかどうかを見ております。平成12年度、平成14年度、平成16年度と3つのグループで抽出していますが、平成12年度と平成14年度の前後に給付日数の見直しを行った平成12年改正があって、平成14年度と平成16年度の間に給付率や法定賃金日額の見直しを行った平成15年改正があるので、その間を挟むような形で検証を行ったものです。
 こちらの資料を横で見ると、平成12年度は全体的に所定給付日数以内で就職した方が50.2%となっており、平成14年度は48.4%と、全体として少し低下をしています。平成16年度にかけて50.6%ということで、また少し戻っております。こちらは先ほどの6ページ以降の帯グラフで御説明した傾向と一致するものです。それを日数ごとに分けたものがこの中の表で、縦で見ると平成12年度から平成14年度にかけて、90日の部分などは微増はしておりますが、どちらかというと横ばいか、多少低下しているグループの方のほうが多い部分があります。こちらは全体の平均の動きと似ております。300日の方は一部増えてはいるのですが、平成14年度の300日の方々は、(41)とありますが、これは抽出したデータの件数です。41人しかこのテーブルの方がいなかったということで、若干データとしては数が少ないので、極端な動きをしている可能性はあり得ると思います。平成16年度にかけては、それぞれのグループごとに見ると横ばいの部分もありますが、多くの部分において少しずつ就職の割合が上がっているという動きを見せております。こちらが所定給付日数終了までに就職した受給者の割合全体です。
 13、14ページは、これまでと同じような切り口で整理しており、13ページが特定受給資格者、解雇・倒産による離職者、14ページはそれ以外の方々、一般の方々になります。データの切り口は同じなのですが、1点だけ御説明したい部分があります。特定受給資格者と特定受給資格者以外の方、一般の方の差は、給付日数が増えたりというところは1つありますが、もう1つの影響として給付制限期間がないということがあります。こちらは所定給付日数別で整理しておりますが、13ページは、例えば90日の方は、ハローワークの窓口に来られて7日間待機をした後、既に90日の日数のカウントが始まりますが、14ページの方々は、90日となっている方でも雇用保険の受給が始まるまでに90日間、3か月間の給付制限期間が一部入っております。そうしたものが数字に表れております。
 13、14ページで、特に90日、120日、150日辺りを縦に並べて比較すると分かりやすいかと思いますが、平成12年度、平成14年度、平成16年度で、90日の方は特定受給資格者ですと33.1%、36.7%、40.3%となっております。一方、一般の特定受給資格者以外の方については、平成12年度は53.1%、平成14年度は50.4%、平成16年度は51.0%と、数字が若干違っています。1つの要因としては、先ほど申し上げた給付制限期間の有無の部分があるかと事務局としては考えております。そのほか、全体の表の見方は12ページの表と同じですので、説明は省略します。
 15ページ、「支給終了までに就職した者の割合」、検証事項の3点目です。平成15年改正で主に改正を行った法定賃金日額、あるいは給付率の見直しによって、就職状況に変更が起きたか起きていないかを検証するための資料です。1は平成12年改正ですが、平成12年の部分は短期労働被保険者の賃金日額の一部引下げを行っております。引下げを行って平成13年4月施行なので、そこの間で対象になった賃金日額が2,500円未満の方がどのように就職率が変わったかですが、平成12年度は38.0%であるのに比べて、平成14年度は46.7%ということで、就職率はむしろ増えている状況にあります。こちらは法定日額は低下しておりますが、就職率が低下するといった影響は見られません。
 2は平成15年改正による影響です。ここでは2つの見直しがありました。賃金日額の下限の引下げをしたという見直し、給付率の下限を引き下げたという見直しです。1つ目の比較として、一般被保険者で平均賃金が3,500円未満の方、正に賃金日額の変更の影響を受けたグループですが、こちらの就職率を見ると、平成14年度は40.7%、それに比べて平成16年度は46.2%ということで、5.5%就職率が向上しているという状況があります。
 60歳未満、あるいは60〜64歳の方々ですが、こちらは給付率の見直しを行ったことで影響を受けたグループの方です。表の右側に、備考ということで※を付けておりますが、60歳未満の方であれば、1万2,220円の賃金日額を超える日額の方は給付率が一番低いものになるので、以前だったら60%の方が、平成15年改正以降は50%になっております。60〜64歳の方は、以前だったら50%の方が45%になっているので、そうした影響を受けたグループの方々の就職率を見ております。60歳未満の方々については就職率が若干増えており、5.3%ほど増えております。60〜64歳、グループとしては限られたグループになっておりますが、就職率が0.6%微減をしたという状況です。ただ、全体としては、法定賃金日額や給付率を変化されたことによる低下は、ほぼ見られないというまとめになるかと考えております。
 以上の3点の検証についてまとめたものが、16ページです。「まとめ及び論点」、1つ目ですが、基本手当支給終了までに就職した者の割合(就職率)は、若干の経済情勢による変動、18ページにあるとおりの動きですが、過去10年間おおむね5割前後で推移しています。また、平成12年、平成14年、平成16年の所定給付日数別に比べた場合には、おおむね5割前後で一定をしておりますが、特定受給資格者、先ほど説明した所で、かつ給付日数が短い方については、就職率が4割前後ということで、ほかと比べると少し低い就職率になっております。また、15ページで説明した部分ですが、法定賃金日額と給付率の減による就職率の低下は、ほぼ見られないという状況です。
 こうしたデータの整理を踏まえて、委員の皆様に御議論いただきたい部分ですが、基本手当の趣旨として、就職までの生活の安定を図るという趣旨があります。もう1つの留意点としては、所定給付日数を増減させることは、就職行動に一定に影響を与えるのではないかという意見もあります。そうした点を踏まえて、どのようにこの検証結果、あるいは基本手当の設定について考えるかを御議論いただきたいと思います。
 17ページ以降は参考資料ですが、18ページは先ほど御説明した現在の雇用情勢です。19〜21ページについては、第1回の部会で新谷委員から御指摘をいただいた海外の状況で、今回御議論いただく上で、JILPTで各国の保険制度について整理したものがあるので、そちらをまとめています。個々のものについては説明は省略しますが、幾つかポイントで申し上げます。受給要件については、アメリカなどでは、基本的には事業主都合で解雇された方々について主に支給がなされているといったことがあります。
 また、20ページに給付水準があります。日本は賃金によって50〜80%で動かしておりますが、そのほかの国々では一律の率にしているとか、年齢で分けているとか、そういった設定をしております。給付期間については、日本では90〜360日と、これは就職困難者や障害者ですが、様々なところで日数を定めている方がいる一方で、ほかの国々でもそれぞれの理由で給付日数のバランスを取っております。
 21ページは財源ですが、日本の場合は保険料プラス国庫負担になっております。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスは、アメリカなどは連邦と州ですが、保険料を労使から取っているのと併せて、一定程度国庫負担がありますが、失業保険については、国庫負担で主に出てきているのはドイツ、フランスです。イギリス、ドイツ、フランスについては、ここで整理した失業保険以外に失業扶助制度があって、そちらで一般財源によって運営しているので、その辺りが財源を御議論いただくに当たっての留意点と考えております。以上です。
○岩村部会長 ありがとうございました。ただいま資料1について説明を頂きましたので、これについての御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。
○新谷委員 御説明、ありがとうございました。また、頂いた資料の中で6ページから始まる分析は、多分、膨大なデータを突合して分析をしていただいたと思いますので、大変御苦労を頂いたと思っております。お疲れ様でした。
 さて、その上で、頂いた内容ですが、御説明の中にもありましたように、この資料の18ページのグラフにあるとおり、その時々の雇用情勢の変化を念頭に置かなければいけないと思っております。特に平成12年、平成15年の改正の前後は景気循環の山谷がちょうど重なっている時期で、平成15年の改正以降は、非常に長期にわたる景気回復の中で雇用保険制度が運営されていたということも念頭に置いて分析をしなければいけないと思っています。そういった意味でいくと、分析をしていただいた6ページ以降の再就職までの変化、これは年度ごとにプロットしていただいているのですが、これから単純に一定の結論を導き出すのは難しいのではないかと思います。要するに、就職したのが給付日数なり給付率の改定による要因なのか、景気の回復に伴って労働需給が緩和したというか膨らんだことが就職への動機付けになったのか、よく分からないと思うのです。ですから、いろいろな分析をしていただいているのですが、参考にはさせていただきますが、これをもって直ちに一定の結論を出すというのは難しいのではないかと思います。それが1点です。
 もう1点は、資料の6ページに太い線で引いてあるとおり、受給終了までに就職されている方の率は50%前後で推移しているということです。逆に言えば、給付期間が満了してから就職されている方々が半分いるという見方ではないかと思います。こういった方々が雇用保険が目的とする生活の安定というカバーから外れてしまう方々ですので、今日においては求職者支援制度が整備されているのでそちらのほうに移行できるわけですが、生活の安定という面では右側の方が問題ではないかと思っております。
 それと、今、資料の6ページの所を見ていただいているのですが、一番右端の濃い所は、全部取り払ってバイアスを除去したということですが、実はこの右端の所はいわゆる長期失業者、すなわち1年を超えて失業されている方です。しかも、就職者を分母、100として取ってあるので、就職されていない方のデータが全然分からないわけです。要するに、就職されて被保険者として戻ってこられた方をベースに分析されたので、いわゆる長期失業で1年を超えてまだ失業中の方については全然データに入っていないということを改めて見ておかないといけないのではないかと思っているのです。ですから、この右の1年超のところはだんだん減ってきて長期失業者が減っているように見えるのですが、実際はこれに出ていない、1年を超えて更に失業状態が続いている方が多くいるわけです。これはOECD各国共通の状況なのですが、失業者のうち3割近い方が1年を超えて失業状態にあります。我が国でも110万人前後が今、1年超えの長期失業者になっていると思います。そういったものも雇用保険制度の中ではどのように扱っていくのかについて、論点としては見ておかないといけないと思います。今日の中では御説明がなかったものですから改めて申し上げておきたいと思います。
 それで、頂いたデータがたくさんあるのですが、16ページに「まとめ」が4つあります。上の2つは客観的なものを分析しているだけなのでいいのですが、3つ目の分析には因果関係の記載があります。「法定日額と給付率の減による就職率の低下は見られない」と書いてあるのですが、就職率が低下が、今、申し上げたように、法定日額とか給付率の減によって起こったのかどうかという要因の分析までできないのではないかと思うのです。単に外形的に見て、平成12年と平成15年の改正があったけれども、その前後で就職率の変化が見られないということだけで、それが日額の変化なのか給付率の変化なのかの分析ができないなかでは、ここは書き過ぎではないかと思います。もし本当にやるのであれば、どうやってやるのか分かりませんが、要因の分析といっても多分できないと思うので、この3つ目の○については、公式のまとめとしてはふさわしくないのではないかと思います。
 あと、申し上げておかないといけないのは14ページの所です。これは平成12年、平成15年の改正で大きく変わった特定受給資格者以外の人のところです。改正によって300日から120日減らして、更に30日減らした結果、給付日数が150日になってしまった方々なのですが、ここは、先ほどあったように待機期間があるので、プラス90日分を見ないといけないということです。これで見ても、就職率はかなり低いと思います。確かに平成12年、平成15年の改正というのは、前回の資料で示されたように、積立金の残高が4,000億円程度まで減少してしまった前後の正しく緊急避難としてやった見直しの中で、労使が保険料の引上げも入れながら苦渋の決断でやった給付引き下げの見直しですので、この150日までの就職率の低さは際立っていると思います。
 それは日数との関係でいくと、今回、諸外国の資料も出していただいて、我が国の雇用のセーフティネットとしての日数の在り方として、もちろん保険料もかなり違うようですし、生活扶助との関係で国庫負担との関係も大分違うのですが、給付日数の在り方は今後の見直しの争点にしていただきたいと思います。給付率なり給付日数の問題は、雇用保険の目的である再就職の促進と生活の安定を図るために、モラルハザードとの問題とどう調和を図るかというのは非常に難しい問題だと思うのですが、我々としては、給付率、給付日数の在り方についても今後の論点として入れていただきたいと思います。長くなりましたが以上です。
○岩村部会長 ありがとうございます。今、御意見の表明等がありましたが、事務局から何かありますか。
○吉永雇用保険課長 新谷委員から詳細にわたる御指摘を頂きましてありがとうございます。新谷委員もおっしゃったとおり、景気の動向の影響ですとか、あるいは、この間、雇用対策も様々なものを打っておりますので、そういった政策の影響などがありますので、社会実験的に同じ人をどうしたらいいかと、給付期間を変えてどうかというような実験ができれば明確になるわけですが、そういう状況はできない中で、細かい要因を外していくということができない中で非常に単純な分析をしたということです。そういう意味で、先ほどおっしゃった給付日数や日額のところでの動向も、それほど詳細に要因分析したものではありませんが、今回の部会に向けてあえて議論を誘発するという意味で書き込んだというもので、これが私どもの最終的な意見であるとか、あるいは、まして審議会の中の最終的な意見につながると考えているものではありません。
 頂いた点につきましては、今後、作業ができるものについてはやっていきたいと思いますが、冒頭で申しましたとおり、なかなか他の影響は排除できないということで、資料の正確性については御理解いただければと考えております。
○岩村部会長 よろしいでしょうか。
○吉永雇用保険課長 はい。
○岩村部会長 そのほか、いかがでしょうか。
○遠藤委員 先ほど新谷委員から御指摘がございましたように、そのデータを見るにあたって、景気の変動の影響を一定程度見ていかなければならないのはそのとおりだと思います。しかし、いろいろ工夫されたとしても景気変動の影響がない、純粋な形での比較は難しいのではないかと考えています。時系列で見てまいりますと、所定給付内で再就職された方と給付が終わって1年以内に再就職された方の割合が傾向としてほぼ出てきているというデータ自体は、私は大変貴重なものだと考えております。その上で2点申し上げたい。
 1つは、先ほど新谷委員がおっしゃったように、2つの視点で見てくださいということです。求職者の生活の安定をどう図るかという視点に加えて、早期に再就職を図るという2つの視点を踏まえ、制度全体のバランスを持って本テーマについて議論をしていく必要があるということであり、私どもも同感です。どちらか一方に偏ることなく、バランスをとる形での議論を進めてまいりたいと思っております。
 2つ目です。給付水準あるいは給付日数の問題につきましては、過去、何度も議論をさせていただいております。そういった中で繰り返し申し上げていることで恐縮ですが、リーマン・ショック以降、被保険者の範囲が累次的に拡大されております。加えて、求職者支援制度という新たな枠組みも入ってきております。こういった現状の仕組みがある中でどう考えていくかということですので、当時の状況が緊急避難的であることを理由に平成15年の状況に戻すという単純な発想には私どもは立つことはできないということです。更に申し上げると、今回はデータとしてありませんが、過去のデータにありましたとおり、所定給付内に再就職が図れるといってもそれは濃淡があり、支給期間が満了に近づくほど、より求職活動に積極的に取り組むというデータも出ています。
 そういった事情を考えていくと、給付率や、給付日数などを変えるということになれば、求職者の意識なり行動なりに多大な影響を与えるということも言えますので、私どもは、このテーマについては引き続き慎重な立場で臨んでまいりたいと思っているところです。
○岩村部会長 事務局のほうで今の御意見あるいはコメントに何かありますか。特によろしいですか。ほかに、資料1の説明についていかがでしょうか。
○山本委員 各論に入らせていただきます。これまでもずっと出ていますが、就職までの生活の安定を図るという基本手当の趣旨の点からどう考えるかという提起も16ページに頂いております。「賃金日額及び基本手当について」の所の2ページで、先ほど説明を頂きましたが、「平成15年改正」という所で、給付率と賃金日額の上限と下限がそれぞれ引き下げられています。現在の基本手当の水準については、平成12年改正以前の水準を大きく下回っているという状況がこの表からも見て取れると思います。現状、2012年の8月からですが、賃金日額の下限が2,320円、基本手当の日額の最低額は1,856円という状況になっています。これまで説明もありましたし今も意見がありましたが、雇用保険法では雇用保険の目的の一つとして労働者の生活の安定を掲げているという状況の中で、雇用保険が生活保障の面を持ち合わせているということを考え合わせれば、現行の賃金日額の下限額は低すぎるのではないのかということを意見として申し上げたいと思っています。
 基本手当の水準の在り方については、国家公務員の給与勧告である人事院勧告に用いられる標準生計費などを参考にしつつ賃金日額を引き上げるとともに、基本手当の下限額を最低保障手当額として定めることなど、労働者の生活保障の観点も含めて、これから議論をしていってはどうかということを提起したいと思っています。
 ちなみに、平成23年度の人事院勧告の標準生計費は、単身世帯では11万7,390円ということで、これは日額にすると、3,913円程度になっています。平成15年度以降の人事院勧告を見ても、最も低い水準の平成18年で単身世帯が9万7,900円、日額で3,263円ということです。現行水準との差を見ても、今の水準はやはり低いのではないかと思っていますので、最低保障手当額などを含めて検討の余地があるのではないかということを各論として提供したいと思います。
○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○古川委員 給付率のことです。平成15年の改正で給付率の下限が引き下げられましたが、労使が納める保険料は上限がなくて、収入が増えれば増えるほど保険料は増えていっていると思います。言ってみれば青天井となっていると思うのです。そういう一方で給付率が引き下げられたままになっているということは、雇用保険制度の趣旨に鑑みても、労働者の納得感、そういうことから見てもこのままでいいのかなと、もう少し何とかしなければいけないのではないかと思います。
 それから、諸外国の例を出していただいた20ページですが、日本の給付水準の下限が50%になっています。これはやはり社会的セーフティネットが比較的手薄いアメリカと同じであって、ドイツでは67%になっています。こういった諸外国の状況も考えれば、やはり給付日額の上限を平成15年改正前の水準に戻して給付率を引き上げるべきではないかと思います。
 もう一つですが、ドイツの例では扶養する子供の有無によって給付率に差を設ける制度設計になっています。雇用保険は生活保障という特徴がありますので、日本の雇用保険制度においても、やはり家族を扶養する失業者に対して手当を加算するといったこともこれから検討してみる必要があるのではないかと思います。
○岩村部会長 ありがとうございます。
○新谷委員 今の給付率と保険料の関係で、保険料のほうは本当に青天井です。支払われた賃金に対して1%の率を労使で負担する一方で、給付の際には上限額が決まっています。保険制度として、保険料の負担と給付との関係でいくとほかの社会保険に見られない制度だと思うのです。この辺はなぜこんなことになっているのか。もし過去の経緯をお分かりならば教えていただけませんか。
○岩村部会長 では事務局、お願いします。
○吉永雇用保険課長 過去の経緯については後日改めて説明させていただきたいと思いますが、現状で承知していることだけを簡単に申し上げます。
 保険料については青天井にはなっていますが、全体としてその料率を見直していくという形で、現状においては、弾力条項の最下限まで下げるという形で全体としての調整は行うという考え方になっているということが1つあります。
 あともう1つは、先ほど新谷委員もおっしゃったとおり、雇用保険の1つの考え方が失業期間における生活の安定と早期の再就職をどういう形で考えていくかということです。そういうことを考えた場合に、どうしても日本の雇用構造の中では再就職賃金が低下してしまうという傾向は非常に強いということがあります。そうしますと、従前の生計費をまかなっていくという形になってしまいますと、そこは生活の安定という面でどの水準にするかという議論はあるにしても、かえって再就職賃金よりも高くなってしまうというようなことになり、再就職は進まないという観点から、それについて上限額を設けるというような考え方になっているのではないかと思っております。現実にどのぐらいの水準かという議論については、今後、この部会の中で御議論いただければと考えておりますが、そのバランスをどういう形で考えていくのかというのは1つの大きな課題だろうと考えております。
○岩村部会長 では部長、お願いします。
○宮川派遣・有期労働対策部長 答えになるかどうかあれなのですが、もともと雇用保険の仕組みというのは、失業保険時代からこうやっていたのです。昔、労災保険については、その給付額は青天井だった時代があったのですが、昭和61年の改正の際に年齢階層別の最低限度額と最高限度額を導入し、公的な保険として必要な範囲の給付を行うべきであろうと、ただし負担については、端的に申せば、収入に応じた形で負担していただくという形にしました。ただし、給付の内容については、もちろん最低限度額とか、ここで言う下限額を作る逆の側としては公的な給付としてどこまでのところをやるべきなのかという議論の中で、雇用保険や労災保険については仕組みをそのようにやっているというように理解できるのではないかと思っております。
○新谷委員 給付率の50%というのも、それは賃金日額に対する手当額の給付率であって、実際の保険料負担と手当の関係でいくと青天井ですから、理解としては、実際には給付率はもっと下がっているということでよろしいのですか。
○吉永雇用保険課長 実際の日額につきましては、もちろん上限額もありますし、あるいは、賞与について入れていないということもあります。そういう意味で全体的なところについて言えばそういう言い方はできるかもしれませんが、賃金というベースで見た場合については、基本的には50%になるように、もちろん上限の問題はありますが、制度設計がされているということだと思っております。
○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。資料1についてはよろしいでしょうか。ありがとうございます。次に、事務局では資料2と参考資料も用意していただいておりますので、今度はそれについて説明を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○高島雇用保険課長補佐 続きまして、資料2について御説明させていただきます。タイトルが「平成25年度末までの暫定措置について」となっています。これは先日の第1回部会の中では、論点として一番最初に掲げていた個別延長給付、雇止め等により離職した者の所定給付日数の充実、そういった論点について御議論いただくための資料となっています。
 資料2の1ページですが、「平成25年度末までの暫定措置について」ということで、3点書いています。1が個別延長給付と呼んでいるものですが、本来の所定給付日数に加えて給付日数を60日間延長する措置。これは解雇や倒産等により離職した者、「特定受給資格者」と先ほどの資料でも呼んでいましたが、そうした方や雇止めにより離職した方々に対して、通常の所定給付日数90〜330まで幅はありますが、それらに加えて原則として60日間延長する措置です。これは、先日御説明させていただいた改正履歴で申し上げれば、平成21年の法改正で創設した特例措置で、平成24年の法改正で更に2年間延長する措置を講じています。
 2が雇止め等により離職した者の所定給付日数の拡充です。雇止め等により離職した者については、通常は一般の離職者と同じ給付日数です。一般の方というのは90〜150日ですが、これについて暫定的に特定受給資格者と同じ給付日数に拡充している措置です。これも同じく平成21年から設けて、現在まで一度改正で延長した上で、今年度いっぱいまである暫定措置です。
 3は法律というより省令事項になっていますが、併せて暫定措置として続けている措置で、常用就職支度手当の支給対象範囲の拡大です。常用就職支度手当というのは雇用保険受給者の方が早期に再就職した場合に、その再就職の度合いに応じて一時金を支払っているですが、その中で特に就職困難者については、その手当とまた別のものを作っているというものです。もともと就職困難者の例として障害者の方が代表ですが、暫定措置として「40歳未満の者」で、グループとしてフリーター層と申し上げればよろしいでしょうか。そうした方々を支給対象として追加している暫定措置です。
 個々の措置について、現在の状況を説明させていただきます。2ページ以降が1の「個別延長給付」になります。3ページが個別延長給付の概要となっています。特定受給資格者又は有期労働契約が更新されなかったために離職した者のうち、以下に掲げるものに該当して安定所長が就職が困難であると認めた者について、所定給付日数を60日間延長しているものです。対象者としては3つグループがあります。(1)は45歳未満の求職者、(2)は求人倍率等を踏まえて、一定の就職がなかなか難しい地域に居住している求職者、(3)は個別的な認定になってきますけれども、公共職業安定所長が、知識、技能、職業経験等を勘案して、特に再就職のための支援を計画的に行う必要があると認めた者、そうした方々が対象者となっています。
 支給対象者の例として3点ありますが、1は安定した就業の経験が少なく、離転職を繰り返している者、2は再就職のために就業することに時間を要する者、3は熱心に求職活動を行っているけれども、適切な職業選択を行うことが困難である者、こういった方々について一定の要件を課した上で、安定所長が認定を行っています。その認定がされれば一定年齢の方や、一定地域の方と同じように個別延長給付として給付日数を拡充しているものです。
 現在の受給者数、創設後の推移を示したのが4ページです。平成21年度から創設していて過去4年間、そして直近2年間に関しては毎月の動きを整理しています。御覧いただくと傾向としてお分かりいただけるかと思いますが、ここ数年について平成21年度と比べると、個別延長給付の対象者は減っている状況です。雇用情勢の変動などにも伴い、こうした初回受給者数についてはだんだん低下しているということです。ここ1年については、前年同月で見ても毎月低下しているということです。
 5ページは支給状況を、また別の切り口で整理したものになっています。1が基本手当の支給が終了した者で、これは特定受給資格者と雇止めにより離職した特定理由離職者です。その中で更に個別延長給付を受け始めた者が2に掲げられています。個別延長給付自体は1の基本手当が終わった後、一定の要件に該当している方がもらえる給付になってきますので、どれぐらいの方がもらっているのかを延長給付率で示しています。右から2つ目で2の数を1で割った数で整理していますが、基本手当が終わった人のうち、どれぐらい個別延長給付につながっているのかということで、平成21年度は73.9%程度でしたが、直近の平成24年度で申し上げると66.8%に低下しています。これは就職活動などの結果、すぐに就職が決まった方もいると思いますが、平成24年に改正を行った際に、就職活動の要件を厳格化するなどの見直しを行っていますので、そういったことによる部分もあると考えています。
 6ページが個別延長給付の支給状況です。これについて各都道府県別に先ほど申し上げた個別延長給付の3つの理由で、どれぐらいの方々が受け取っているかを示した表になっています。右下の注ですが、指定地域は四半期に一度要件を確認して、地域の見直し、追加などを行っていて、平成25年1月時点で33の都道府県になっています。現在、平成24年からの見直しで安定所内でもきちっと見るようにしていて、33都道府県の中でも、260の安定所の管轄区域に居住する方を指定地域の方と見ていて、個別延長給付を行っている状況です。
 7ページは、2「雇止め等により離職した者(特定理由離職者)の給付日数の拡充」に関する現状を整理した資料です。8ページに制度の概要を記載しています。雇止め等により離職した者について、暫定的に、特定受給資格者(解雇、倒産等による者)と同じ給付日数に拡充しているものです。大きく2つのカテゴリーがあります。1が期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者、いわゆる雇止めによる方になります。2が正当な理由のある自己都合により離職した者で、正当な理由として、疾病、妊娠、出産、育児、親族の死亡等、特殊な配転といったものになっています。こうした離職者の方々が特定理由離職者のカテゴリーに入っていて、特定理由離職者のうち、さらに一部の人について給付日数を充実する措置を講じています。右下に※で書いていますが、暫定措置の対象は1及び2ということで、雇止め等による離職者がメインの層です。正当な理由による自己都合離職者のうち、被保険者期間が6月以上12月未満の者についても、暫定的に給付日数の充実を行っています。
 9ページに、特定理由離職者について、もう1点、補足的な説明をさせていただく資料が入っています。特定理由離職者については給付日数を一部、暫定的に延ばしているものがありますが、もう1つ給付をもらえるための要件、被保険者期間の要件も変えています。特定受給資格者(解雇、倒産等による者)と、特定理由離職者と、それ以外の離職者の3つで整理していますが、被保険者期間の部分です。一番下のそれ以外の離職者、一般の方が雇用保険の基本手当をもらうためには、離職の日以前2年間で12月以上の被保険者期間があることが受給要件になっています。一方、一番上の特定受給資格者(解雇、倒産等による者)は、2年中12月ではなく、離職の日以前1年間で6月以上あればいいという要件になっています。特定理由離職者は特定受給資格者に合わせた形になっていて、2年中12月なくても1年中6月あればいいと、上に揃える形で措置を講じています。こちらは暫定措置ではなく法律の本則上、手当をしています。
 一方、右の給付日数ですが、括弧を除くと、給付日数は特定受給資格者とそうでない人でグループが分かれています。ただ、今、暫定措置で真ん中の特定理由離職者の人は90〜150日でなく、90〜330日に延ばしている部分があり、こちらの括弧書きの部分についてどう取り扱うか議論いただきたいという趣旨です。
 続いて、特定理由離職者の推移、実績等を整理した表が後に続いています。10ページを御覧ください。特定理由離職者について初回の受給者数、受給者実人員、支給金額の3つを整理しています。特定理由離職者の初回受給者数について、平成21年度の制度スタート時は13万2,000人ほどだったのですが、平成24年度は10万5,000人ほどという形で若干低下してきています。一方、この表の中で併せて整理していますが、特定受給資格者(解雇、倒産等による者)も同じように人数は減ってきています。これは平成21年度がリーマン・ショック後のある意味、非常に悪い景気、雇用情勢の中でのものでしたので、特定受給資格者の推移と併せて、特定理由離職者の数も同じようにちょっとずつ減ってきている形と考えています。受給者実人員や支給金額の推移についてもほぼ同じトレンドとなっていて、平成24年度の受給者実人員は約3.5万人です。支給金額については平成24年度は約470億円ほどとなっています。こちらは基本手当全体では8,300億円ほどになっています。
 11ページに、特定理由離職者数の推移ということで、時系列で整理した資料を載せています。初回受給者や受給者実人員は先ほど御説明した部分に重なっています。月ごとの推移で見ると、個別延長給付と違い、必ずしもずっと低下し続けている形ではありません。例えば平成24年度の後半は、前年同月と比べると少し増えているといった状況もあります。若干、個別延長給付とは動きが違っている部分です。以上が、特定理由離職者についての現状を整理した資料です。
 最後に、3「常用就職支度手当」について簡単に御説明させていただきます。13ページをお開きください。常用就職支度手当の概要1となっています。常用就職支度手当は、受給資格者、特例受給資格者又は日雇受給資格者であって、一定の要件に該当する者の就職を促進するため、安定した職業に就いた場合において必要と認めたときに支給する形になっています。常用就職支度手当は昔からある制度ですが、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、トということで就職困難な方々をグループとして設けています。その中でトの(ニ)が暫定措置として対象として新しく加えているものです。安定した職業に就くことか著しく困難と認められる者であって、就職日において40歳未満である者という形になっています。いわゆるフリーター層の方々ということになっています。これについて平成21年度、正確に申し上げれば平成20年度の終わりからですが、そこから今年度いっぱいまでは暫定措置で延ばしているものになっています。
 常用就職支度手当そのものについて、もう少し言葉を補足させていただくと、14ページを御覧ください。右上に表があります。もともと雇用保険について、先ほど御説明した基本手当は失業者に対して給付することになっていて、給付日数が満了するまで失業していれば給付される。一方、就職すれば基本的に基本手当は終了するのですが、ただ、早期に再就職した方については、一時金という形で早期再就職に報いる形で再就職のための手当を出しています。常用就職支度手当というのはその1類型で、右の表で申し上げれば雇用保険の基本手当の日数を一定程度残している方であれば、再就職手当がもともと出るのです。3分の1以上残していれば再就職手当が出るのですが、それよりも日数が経った後でぎりぎりで就職した場合、一般の方であれば特段の手当は出ません。ただ、就職困難者の方々に限っては特別に常用就職支度手当という名目で、日数があまり残っていなくても給付金を出す形になっています。その給付金を出す対象について、暫定的にフリーター層の方々を加えている形になっています。支給額については下の表で整理していますが、支給残日数がどれぐらい残っているかによって、常用就職支度手当でどれだけ出すか分かれています。この常用就職支度手当の額の計算の基本としては、その方の基本手当の額を基本とし、それの何日分という形で給付の額を設定している状況です。
 15ページに、常用就職支度手当の支給状況について整理しています。全体として1万人ほどの受給者数になっていますが、その中で右から2番目、安定した職業に就くことが著しく困難な40歳未満の者ということで、暫定的に加えている対象者の方々、実はこの方々が常用就職支度手当では現在のメインの層になっています。7,099人の方が常用就職支度手当を暫定措置の結果としてもらっている状況になっています。以上、3点、暫定措置を説明させていただきました。
 論点を16ページに掲げています。1これまで講じてきた暫定措置の効果をどのように考えるか。暫定措置を3点説明させていただきました。個別延長給付、雇止め等により離職した者の所定給付日数の拡充、常用就職支度手当の支給対象範囲の拡大です。2が、緩やかに持ち直しているものの、依然として厳しい雇用失業情勢の中で、今後の暫定措置の取扱いについてどのように考えるかとなっています。今回、この第2回の雇用保険部会の中で、この暫定措置を論点として取り上げていますが、これについては雇用失業情勢なども踏まえながら御議論いただく部分だと考えています。まず本日、第1回として御議論いただき、また部会の進展に従って、そのときの雇用状況などを見ながら、また御議論いただく機会もあると思いますが、これまでの状況を整理しましたので、これについて御議論をお願いしたいと思います。
 併せて、参考資料の御説明を簡単にさせていただきます。こちらは本日の議題と直接リンクしませんが、雇用保険について言及している直近の政府関係の動きということで紹介します。財務省に設置されている財政制度等審議会の中で、「財政健全化に向けた基本的考え方」が取りまとめられています。平成25年5月27日付けです。これはスケジュールが流動的でしたが、来年度の予算編成に向けて、その概算要求の手前までの段階で審議会としての意見をまとめて財務大臣に報告する、そうした位置付けの資料です。
 財政健全化に向けた考え方ということで、もちろん社会保障に限らず、近時の経済状況、財政運営の話、あるいは各歳出分野における取組として、地方財政、社会資本、防衛、文教等が掲げられていますが、その中で社会保障についても一定のページを割いて言及がなされています。その中で雇用保険に関する記載もあります。24ページを御覧ください。各歳出分野における取組の中の社会保障、その中の最後の項として記載があります。その手前のところで医療、介護など様々ありますけれども、5雇用として枠で囲んでいる部分です。「労働保険特別会計の歳出について、若者・女性・障害者に係る雇用の安定・質の向上、多様な働き方につながる施策に重点化しつつ、時代の変遷に伴い優先順位が低下した事業や実効性の低い事業について徹底した見直しや制度の濫用を的確に防止する取組を実施するべきである」。これは、いわゆる雇用対策全般について御指摘いただいた部分だと受け止めています。
 特に雇用保険部分ですが、「雇用保険勘定の財政に関しては、5兆円を超えている積立金の状況、諸外国の失業保険制度、被保険者が一部の就業者に限られているにもかかわらず納税者負担で勘定の収入の一部を支えているという負担者と受益者の対応関係などを踏まえつつ、国庫負担の引下げも含め、そのあり方について検討を行うべきである」。「なお」ということで、その審議会の中で御議論が出ていた部分ですが、「労働行政に対する国の責務の重要性やこれまでの雇用保険法改正の経緯などに留意すべきとの意見があった」となっています。後ろのほうは、こちらの参考資料になりますので説明は省略させていただきます。以上、財政制度等審議会の動きと暫定措置について説明させていただきました。
○岩村部会長 ありがとうございました。ただいま御説明いただきました資料2、参考資料につきまして、御意見あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。
○亀崎委員 ただいま御説明のありました3つの暫定措置について、平成25年度末が期限となっているわけですけれども、これは、いわゆるリーマン・ショック後の厳しい雇用情勢を受けて設定されたと承知しています。今回の雇用保険制度の見直しの議論において、所定給付日数や給付率といった雇用保険制度の根幹を成す仕組みをどうしていくのかという方向性の議論と関連するために、基本手当に係る一連の議論の中で整理、検討をしっかりとしていくべきだろうと考えます。
 その上で申し上げたいのは、1つは個別延長給付についてです。これは2ページからありますけれども、具体的には6ページにありますように、特定受給資格者及び特定理由離職者であって、基本手当の支給が終了した方のうちの約7割近くが、個別延長給付の支給対象となっている現状からすれば、仮に暫定措置が廃止された場合の影響は非常に大きいだろうと思います。本措置の内容については、26年度以降も継続して行うべきだと考えます。
 2つ目として、雇止め等によって離職した者の所定給付日数の拡充についてですが、特定理由離職者の数が平成23年度から24年度で増加に転じているわけです。そもそも特定理由離職者は、契約更新を希望したにもかかわらず、更新についての合意が成立せず離職を余儀なくされた方であり、特定受給資格者と同様の扱いでいいのではないかと考えます。それと本年4月に施行された改正労働契約法によって、契約期間が通算で5年を超える場合には無期労働契約へ転換できるという仕組みが導入されたことで、無期転換権が生じる前に雇止め、解雇されるケースが考えられます。したがって、こうした制度の趣旨に反するとも言える雇止めを防止することは、労働行政として当然に手当すべきことでありますが、しかし、一方で現実に雇止めに遭って離職を余儀なくされた方への生活保障についても、確実に行うべきであると考えます。その意味で雇止めなどによって離職した者の所定給付日数の拡充についても、継続して考えていく必要があるだろうと思っています。
 なお、これら個別延長給付と雇止めなどによって離職した者の所定給付日数の拡充の暫定措置の内容については、恒久化するという方向で、是非、今後も検討していただきたいという意見を申し上げたいと思っています。
 最後に、12ページからの常用就職支度手当の支給対象範囲の拡充についてですが、現状としては40歳未満の方で同一事業主に5年以上雇用されたことがない方など、いわゆるフリーターなどに対する、就職支援的な位置付けとして設定されているものと理解していますが、若者の雇用をめぐる環境は依然として厳しいわけです。非正規労働を余儀なくされて雇用が不安定な若者に対する支援を、引き続き十分していく必要がありますので、これらの現行措置についても継続して対応していくべきことを意見として申し上げておきたいと思います。
○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○遠藤委員 質問を何点かさせていただきたいと思います。ページで申し上げると資料2の5ページ、個別延長給付の支給状況1ですが、先ほど事務局から御説明がありましたように、平成23年度末に期限を迎える過程での議論の中で、平成24年度、平成25年度と延長が行われたということです。その際、当時の報告書の中には次のような記述があって、個別延長給付の延長に当たっては重点的な再就職支援が真に必要な者に限り、その対象とするなど運用上の見直しを行うべきであるということです。先ほどの説明の中では、厳格な運用ということでの御説明にとどまっていましたが、具体的に平成24年度からの対応について、どのような形で変わってきたのか教えていただきたいというのが1点目です。
 2点目です。個別延長給付は平成21年改正のときに創設されたということですが、最大60日間という延長幅の背景と言いますか、どうして60日間になったのか教えてください。
 3点目です。これは、私が制度自体のことを理解していないのかもしれませんが、個別延長給付の期間内に再就職がかなって被保険者として働き、受給資格を得た後に離職し、その方が個別延長給付の二度目という形で受給している場合が、存在しているのか、どうなのか。制度上、何か制約がある仕組みが整っているのかもしれないのですが、その辺のところを教えてください。以上、3点です。
○岩村部会長 御質問ですので事務局、お願いします。
○高島雇用保険課長補佐 御質問いただきました1点目ですが、説明が不足していました。確かに遠藤委員がおっしゃるとおり、平成24年に個別延長給付を延長するに当たっては、雇用保険部会報告書で、その対象をきちっと真に必要な者に限ってやるようにとおまとめいただきました。それに伴い、平成24年度に個別延長給付を延長した際に2点の見直しを主に行っています。1つ目が受給者の求職活動を促すような仕組みということで、具体的には個別延長給付の認定を行う際に、その方が、どれだけこれまで求人に応募してきたか。その求人の応募の実績が一定程度あることを要件としています。もう少し具体的に申しますと、90日とか120日の方は2回以上の応募要件があること。その後、日数が増えるごとにまた応募要件をより課す形で見直しを行っています。そうしたものが1点です。
 もう1つは、先ほど一部御説明した部分がありますが、地域の運用をより細かく見ていくということで単純に都道府県単位でなく、都道府県の中でどこの地域の求人状況が厳しいのかということで、都道府県単位から安定所単位により地域指定を精緻化しました。この主な2点について、真に必要な者を対象とするという趣旨での見直しとして行っている次第です。
 2点目の御質問で、個別延長給付がなぜ60日になっているのかですが、これは先ほど基本手当でまさに御議論いただきましたとおり、給付の趣旨と絡んできますけれども、どれだけの日数の延長給付を行うことが、当時の厳しい雇用失業情勢の中で失業者の生活の安定、再就職のために必要かというところと、あと日数を延ばすことによって早期再就職にどういう影響が出るか。この主な2点を踏まえながら議論を行った結果、60日という形になっています。先ほど私が帯グラフで御説明しましたけれども、資料1の6ページを御覧ください。雇用保険の支給終了前あるいは支給終了後に、どれだけの方が就職しているか割合を見ていますけれども、大体、雇用保険の支給が終わって1か月後の方が就職の割合としては相当程度ある。また2か月でも相当程度あり、ここで全体の15%程度をおおむね占めている状況があります。グラフ上はほぼ毎年度、そのような状況があります。こうした状況も踏まえて60日、つまり2か月延長することで、これまで支給終了後2か月までの間に就職していた人たちは、大体きちんと生活の安定が図られるだろうという趣旨で、見直しを60日の延長ということで設定したものです。
 3点目については、法令上、そういった追加給付要件があるかどうか。確かなかったと思いますが、現実にそういう方がいらしたかどうかは確認が必要だと思いますので、整理をさせていただければと思います。
○岩村部会長 よろしいでしょうか。
○遠藤委員 リーマン・ショックという大変厳しい雇用情勢下で暫定的に講じられた措置であり、その後の2年間の延長についても雇用情勢がままならないといった状況であったと思います。今般は、どうかと言えば、いまだ予断を許さない状況下にある中でどう考えていくのか、この点は私どももその前提に立ちたいとは思っています。しかしながら、暫定措置ということですから政策の効果が具体的にどのように出ているのかについては、もう少し必要な資料を出していただき、その効果の有無を十分検証した上で、さらに延長していく必要があるのかないのかについて議論を進めてまいりたいと思っているところです。
○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○井上委員 参考資料で御説明いただいた財政審の基本的考え方について、意見を述べさせていただきたいと思います。24ページの下から6行目、「被保険者が一部の就業者に」というところで「収入の一部を支えている」という記載がありますけれども、我が国の就業者約6,200万人のうち、雇用保険の被保険者は約3,900万人と6割強を占めており、納税者としては国民階層の中で最も多い層ではないかと思います。憲法で保障する勤労権を踏まえれば、被保険者の失業時の生活の安定を図ることは国の責務であるし、また国庫負担は当然の道理だと思います。雇用保険の国庫負担を引き下げるという議論は、雇用対策に対する国の責任を軽視していると言わざるを得ず、また、これまでの議論の積み重ねを無視するものではないかと考えます。
 また、その続きのところで「国庫負担の引下げも含め、そのあり方について検討を行うべきである」という記載もありますが、そもそも労働行政にかかる費用というのは雇用保険や労災保険など一般会計以外を財源としており、国が労働行政の費用負担をしていないに等しいのが実態ではないかと思います。そういう意味では、この費用負担のあり方をはじめ、雇用保険制度に関する議論については、公労使の代表が参画しているこの労働政策審議会の場で行うべきものであり、国庫負担に関するものだからといって財務省主導で決めてよいことにはならないと考えます。厚生労働省におかれては是非とも、国会決議を含めたこれまでの経緯、労政審の位置付け等を十分に御留意いただいて、財務省との折衝に当たっていただくようお願いしたいと思います。
○岩村部会長 ありがとうございます。事務局、何かございますか。
○吉永雇用保険課長 財政審の資料を提出しています。財政審は議事録などが公開されていませんので、具体的にどういう議論があったか私どもは詳細には承知できていない立場にありますが、その中でも「なお」書きの部分が付いているという形で、これは財政審の報告書の中ではかなり異例なものではないかと考えています。記載については井上委員が御指摘の点も含めて、いろいろな課題があるのではないかという思いは共通ですが、いずれにしても、私どもとしては雇用対策あるいは雇用保険に必要な財源について、財務省との調整は当然にやっていくべきものだろうと思っていますので、今後とも御支援いただければと考えています。
○岩村部会長 ありがとうございます。新谷委員、どうぞ。
○新谷委員 今の点に関連してですが、先日、労働政策審議会の本審があって、そこで平成25年度予算の資料が配られていました。この労働行政に係る政策経費の予算総額が2兆8,000億円でしたが、そのうち一般会計から拠出されている金額が2,000億円で、わずか7%という状況です。その2,000億円のうちの1,800億円ぐらいがこの雇用保険の国庫負担で、残りの200億円ぐらいしか一般会計から出ていないのです。今、雇用労働政策の政策経費のほとんどが使用者に負担していただいている二事業の費用と、労災保険の社会復帰等促進事業の費用で賄われている。本当に一般会計が投入されていないというのが我が国の特徴だと思います。先ほど雇用保険制度の諸外国との比較を出していただいて、雇用保険そのものには国庫負担がないということで、先ほど説明があったように生活扶助については全額、各国は税金を投入しているわけですけれども、我が国の生活扶助に近い求職者支援制度については72.5%が雇用保険で賄っていて、国庫がわずか20数パーセントしかないという状況です。
 そういった構造にある中で24ページの書きぶりが、被保険者が一部の就業者に限られているとなっていますが、これはちょっとあまりにひどいのではないかと思います。3,900万人も被保険者がいて、十五三一ではないけれど、ほとんど捕捉されて納税している層が就業者の6割以上いるのに、この制度に対する国庫負担がわずか一部の就業者に限られているという、こういう認識でいるのは、今日、この審議会の場の傍聴に財務省の人がいるのか、いないのか知りませんけれども、あまりにひどいと私は思いますので重ねて申し上げたいと思います。
○岩村部会長 ありがとうございます。小林委員、どうぞ。
○小林委員 今、井上委員、新谷委員が言われたのは、使用者側の委員も多分同様に思っていることで、過去、ずっと雇用保険部会の保険料率のときに必ず国庫負担の問題が出てくるわけです。上限まで上げてくださいということで、公労使一体になって審議会では決めているような過去もあります。国は当然ながら、景気の動向等によって失業者を発生させるなど、景気対策上の問題から出る失業者もあるわけですから、国としてもしっかり責任を持っていただきたいというのが、お願いです。
 戻って恐縮ですが、個別延長給付のことでひとつお伺いしたいことがあります。3ページの対象者(3)は公共職業安定所長が決める形になっていますけれども、実際の個別支援の状況は、6ページの一番右の個別支援の数字が該当するものだと思います。都市部を抱える都道府県で数が多いのは分かる気がしますが、人口に比べてかなり人数が多いところが見受けられます。例を挙げて恐縮ですが、茨城は数が多い。この辺の数で個別支援がゼロの所もある。ゼロの所があるというのは、多分、指定地域という関係でほとんどそちらで救えると。所長が認めるものが減っているみたいな理由があるのか、その辺、お伺いできればと思います。
○岩村部会長 事務局、お願いします。
○高島雇用保険課長補佐 資料の6ページは、確かにおっしゃるとおりそれぞれどういう要件で認定したかになっています。確かに指定地域と重なっている部分は、個別支援という形で必ずしも延長が行われない部分もありますので、そこによる部分も若干あるとは思います。平成24年に法改正を行った際に、こちらの厳格化の部分は雇用保険部会報告書でまさに併せて御指摘いただいた部分であり、業務のルールも見直しをしたところですので、個々、それぞれ地域事情はあると思いますが、このルールにのっとって、引き続ききちっと適正な運営に努めていきたいと考えています。
○小林委員 指定地域でない所については、公共職業安定所長の個別支援を認めるみたいな形になっているということであれば、ちょっと温度差が出てくるようなところもあるので、しっかり標準的なパターンで、所長が決めるような仕組みを是非ともとっていただければありがたいと思います。
○岩村部会長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。
○新谷委員 今日、資料が出されていないのですが、先週、政府の成長戦略を検討する諸会議の取りまとめなり素案が示されたかと思います。その中の産業競争力会議の素案に、この部会に関わる内容が提起されていると思います。これはまだ素案ですし、政府は14日に閣議決定するとしていますので、素案のとおりになるかどうか分かりませんけれども、この部会に関わる成長戦略の内容について、次の部会で是非報告をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○岩村部会長 事務局、どうぞ。
○吉永雇用保険課長 近々、閣議決定が出るかと思いますので、次回までに用意して御説明させていただきたいと考えます。
○岩村部会長 よろしくお願いいたします。そのほか、いかがでしょうか。
○青山委員 初めての参加となりますので、少し基本的な質問かもしれませんが、この個別延長等の効果について教えていただきたいと思います。基本的に雇用保険は、失業中の所得補償や再就職支援については当然行うべきです。リーマン・ショック後において、この緊急的な避難措置は、当然の措置と認識しているわけですが、一方で、それなりの効果を期待して作られたのだとも思います。そこで、具体的、定量的に再就職者がどのくらい出ているのかという数字、その就職者の方々がどういう雇用形態で就職されているのか、そういうところを教えていただけると、もっと議論が深まるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○岩村部会長 事務局、お願いします。
○高島雇用保険課長補佐 御指摘の点、もっともだと思いますので、次回また御議論いただく際に整理して提示したいと思います。
○岩村部会長 よろしくお願いいたします。青山委員、よろしいですか。
○青山委員 はい。
○岩村部会長 そのほか、いかがでしょうか。
○遠藤委員 労働側の御意見の中にありましたとおり、1年を超えて求職活動している人の割合が、リーマン・ショックまでとリーマン・ショック後、明らかに数字上異なっている状況があります。改めてデータで見させていただくようなことも今後の検討の中では必要かと思っていますので、是非、お願いしたいと思います。
○岩村部会長 それは事務局のほう、どうでしょうか。データは可能ですか。
○吉永雇用保険課長 可能な範囲で、併せて御議論いただくような形で資料を用意したいと考えます。
○岩村部会長 よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。今日はこのあたりでよろしいですか。ありがとうございます。それでは、本日はここまでということで終了させていただきたいと思います。本日の議事録署名委員ですが、雇用主代表につきましては青山委員、労働者代表につきましては古川委員にそれぞれお願いしたいと思います。次回の日程につきましては、事務局から改めて皆様に御連絡があるということですので、よろしくお願いいたします。それでは委員の皆様方、お忙しい中、今日はありがとうございました。これで閉会といたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

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