クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」内の感染制御策について

令和2年2月20日厚生労働省

2月3日に横浜港に到着し、現在着岸検疫を実施中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」については、2月5日の朝以降、感染の拡大を抑制するため、乗客全員を自室での待機とするなど、感染防止策を講じてきたところです。
 
認定感染制御医などの感染制御の専門家や感染管理認定看護師によって構成される日本環境感染学会の災害時感染制御支援チーム(Disaster Infection Control Team:DICT)や大学病院等の専門家には、今回の新型コロナウイルス対策において、当初から、チャーター便での帰国者の宿泊時の感染予防措置やケアを行う医療従事者の指導等に取り組んでいただいてまいりました。
 
今回のクルーズ船での感染防止策においても、船舶内という制限のある空間において、様々な場面で感染拡大を防ぐ対策を向上させるべく、厚生労働省として、DICTおよび大学病院等の感染制御専門家に対して継続的に依頼し、船内において適切な感染管理に関するコンサルテーション及びラウンドを実施していただきました。業務手順の指導、衛生環境の整備など具体的な改善策についての指導をうけつつ、乗客のみなさまのご理解と同船乗員の献身的な努力を得つつ、以下のような感染防止策を実施してまいりました。

1 船内の区域管理(ゾーニング)など、感染管理について

船内の区域管理(ゾーニング)が適切に実施(※)されているかを含め、船内の感染管理について、感染制御支援チームの医師が船内のコンサルテーション及びラウンドを連日実施し、指摘された点はすべてその日のうちに対応を行ってきました。
(※)検体採取等で汚染したガウン等の感染防具を脱ぐゾーンは設けられ、その他の業務区域と明確に分離されています。
 

2 検疫官や医療従事者の感染防御について

クルーズ船においては感染制御専門チームが、適切にコンサルテーション及びラウンドを行い、医療従事者及び乗員の衛生改善活動の指導を行ってきました。

乗客に関しては、繰り返し船内アナウンスで指導するとともに、個々に配布したスマートフォンに日本環境感染学会の災害時感染制御支援チーム(DICT)が制作したマスクの外し方、手指消毒の仕方などの動画を制作して配信し、普及啓発を行いました。

乗員については、ほぼすべてに対して講習を行い、症状がない状態で勤務中の乗員に対しても、業務中は必ずマスクと手袋を着用する、手指をアルコール消毒する手指衛生を行う、食事を離れてとる、船内の乗員の各居室への消毒用アルコールの設置など衛生環境の整備を行うことなどを徹底してきました。

外から乗船する医療従事者に対しては、ターミナルにおいて乗船する前に認定感染制御医などの感染症専門医や感染管理認定看護師による個人防護具の装着についての講習を受けていました。またターミナルでの感染管理については、保健師の協力もいただき、建物への出入口での衛生管理においても適切に行ってきました。