オーラルセックスによる性感染症に関するQ&A

よくある質問

Q1 オーラルセックスとはどんな行為ですか?

 口や舌を使って相手の性器やその周辺を刺激する性行為の一種です。


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Q2 オーラルセックスには性感染症のリスクがありますか?

 オーラルセックスにも性感染症にかかるリスクがあります。口(くちびる、口内の粘膜、のどを含みます)から性器へ、性器から口へ、の二通りの感染がありえます。性器から口への感染の場合、口内(特にのど)に性感染症の病原体が感染しても症状が出ないことが普通です。その結果、のどに感染していることに気づかないままオーラルセックスして、口から性器へ、つまり相手の性器に病原体をうつすことがあります。オーラルセックス時にもコンドームを使用すると感染のリスクを下げることができます。

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Q3 オーラルセックスでうつる性感染症について教えてください。

 主な性感染症の口やのどの症状を中心に説明します。

 
 (1)淋菌感染症(いわゆる淋病)
  淋菌という細菌が原因です。のどに感染した場合、通常は無症状です。のどの分泌物のPCR検査や細菌培養検査で診断します。淋菌は内服の抗菌薬が効きにくくなってきており、特定の抗菌薬の注射で治療するのが一般的です。

 (2)クラミジア感染症
  クラミジア・トラコマティスという細菌が原因です。のどに感染した場合、通常は無症状です。のどの分泌物のPCR検査で診断します。特定の内服抗菌薬で治療します。

 (3)単純ヘルペス感染症
  単純ヘルペスウイルスが原因です。口唇ヘルペスにかかったことのある人とのオーラルセックスで口から性器に感染することがあります。口唇ヘルペスを発病したことのある人のくちびるやその周辺からはヘルペス症状(水ぶくれやただれ)がなくてもウイルスが出ている可能性があります。同様に性器ヘルペスにかかったことのある人では、陰部に症状がなくてもウイルスが出ていることがあります。したがって、発病経験のある人には症状がなくても口から性器・性器から口の双方向への感染リスクを減らすため、コンドームの使用を勧めます。なお、のどに初めて感染した場合、発熱とのどの痛みで発症することがあります。くちびるや口内の単純ヘルペス感染症の診断は主として症状で行い、時に迅速検査キットを利用することがあります。症状のある場合、抗ヘルペスウイルス薬の内服薬で治療します。

 (4)梅毒
  梅毒トレポネーマという細菌が原因です。くちびるや口内の粘膜、のどに感染すると、くちびるや粘膜にただれ・潰瘍ができることがありますが、無症状も多いと考えられています。診断には採血して梅毒抗体検査をすることが重要です。治療にはペニシリンを初めとする特定の抗菌薬の内服薬もしくは注射薬を使います


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Q4 オーラルセックスによる性感染症は増えているのですか?

 尿道炎患者を対象にした調査によると(文献1)、性交渉の際、9割以上の人でオーラルセックスが行われており、その際にコンドームを使用するのは1%もいないという結果でした。
一方、性器に淋菌が感染している人の10~30%はのどにも感染しており(文献2)、性器にクラミジアが感染している人の10~20%はのどにも感染していた(文献3)との報告があります。梅毒の第2期(病変が全身に広がる時期)に口内に病変がある割合は30%程度とする報告があります(文献4)。
性感染症を診療するクリニックにはコンドームなしのオーラルセックスで性感染症をもらって来院する患者さんが少なくありません。無防備なオーラルセックスを背景に性感染症が増加することが心配されています。

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Q5 オーラルセックスによる性感染症が心配な場合はどこに受診すればよいですか?

 のどの感染が心配な場合は耳鼻咽喉科あるいは性感染症を専門とする医療機関が対応しますが、事前に性感染症の診療が可能かどうか電話等で確かめてください。性器の感染が心配もしくは性器周辺の症状がある場合は泌尿器科や産婦人科、くちびるや皮膚の症状がある場合は皮膚科に相談してください。

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Q6 オーラルセックスで性感染症のリスクを減らす方法はありますか?

 男性器にはコンドームの使用を、女性器にはラップなどを用いて口と性器の直接接触を避けることで感染リスクを減らすことができます。ただし、性器周辺の皮膚どうしの接触でも感染がありうる感染症(単純ヘルペス感染症など)では防ぎきれないこともあります。

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Q7 キスでも性感染症はうつりますか?

 相手がのどに淋菌やクラミジアを持っていても、軽いキスであれば感染リスクは低いと考えられます。口唇ヘルペスや梅毒でくちびる周辺に発疹がある場合はキスで感染する可能性があります。

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【文献】

1) 小島宗門ほか:オーラルセックスの現状.日性感染症会誌 27: 43, 2016.

2) 日本性感染症学会編:性感染症診断・治療ガイドライン2020. 診断と治療社, 2020. p.55.

3) 同上. p.62.

4) Gjestland T: The Oslo study of untreated syphilis. Acta Derm Venereol 35(suppl 34), 1955 p.125.