福祉・介護福祉人材確保対策

1 福祉人材確保対策の方向性

  1. (1)少子・高齢社会の進展等により、ますます国民の福祉サービスに対する需要の増大・多様化が見込まれ、また、介護保険制度や障害者自立支援法の施行により、利用者本位の質の高い福祉サービスの提供が求められることから、サービス提供の根幹である福祉人材の養成・確保の提供が極めて重要です。
  2. (2)現在、福祉人材の養成・確保のための総合的な施策を推進しており、量的な確保のみならず質的な向上に重点を置いた対策を推進しています。

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2 具体的施策

(1) 人材確保指針の見直し

  1. [1]「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」(平成5年厚生省告示第116号。以下「旧人材確保指針」という。)は、平成5年4月に、いわゆる福祉人材確保法(社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律(平成4年法律第81号))に基づき、高齢者介護に係る新ゴールドプランの策定、少子化の進行に対応するエンゼルプランの策定、障害者の自立と社会参加を促進していくための総合的な障害者施策の検討といった当時の状況と相まって、これらを担う人材の養成確保を図っていくことを目的として、厚生大臣より告示されました。
  2. [2]しかしながら、指針が制定された平成5年以降、福祉・介護サービスを取り巻く状況は大きく変化してきており、少子高齢化の進行や世帯構成の変化、国民のライフスタイルの多様化等により、国民の福祉・介護サービスへのニーズがさらに増大するとともに、認知症等のより複雑で専門的な対応を必要とするニーズの顕在化等を背景として、質的にもより多様化、高度化している状況にあります。
  3. [3]また、少子高齢化の進行等の下で生産年齢人口が減少し、労働力人口も減少が見込まれる一方、近年の景気回復に伴い、他の産業分野における採用意欲も増大しています。福祉・介護サービス分野においては、高い離職率と相まって常態的に求人募集が行われ、一部の地域や事業所では人手不足が生じているとの指摘もあります。
  4. [4]このような状況の中で、将来にわたって福祉・介護ニーズに的確に対応できる人材を安定的に確保していく観点から、経営者、関係団体等並びに国及び地方公共団体が講ずべき措置について改めて整理を行い、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第89条第1項の規定に基づき、今般、新しい「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」(平成19年厚生労働省告示第289号。以下「新人材確保指針」という。)が告示されました。
  5. [5] 新人材確保指針は、
    1. 就職期の若年層から魅力ある仕事として評価・選択されるようにし、さらには従事者の定着の促進を図るための「労働環境の整備の推進」
    2. 今後、ますます増大する福祉・介護ニーズに的確に対応し、質の高いサービスを確保する観点から、従事者の資質の向上を図るための「キャリアアップの仕組みの構築」
    3. 国民が、福祉・介護サービスの仕事が今後の少子高齢社会を支える働きがいのある仕事であること等について理解し、福祉・介護サービス分野への国民の積極的な参入・参画が促進されるための「福祉・介護サービスの周知・理解」
    4. 介護福祉士や社会福祉士等の有資格者等を有効に活用するため、潜在的有資格者等の掘り起こし等を行うなどの「潜在的有資格者等の参入の促進」
    5. 福祉・介護サービス分野において、新たな人材として期待される、他分野で活躍している人材、高齢者等の「多様な人材の参入・参画の促進」 の5つの視点から、人材確保のために講ずべき措置を整理しています。

    ※ 「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」(平成19年厚生労働省告示第289号)本文及び関連資料
  6. [6]厚生労働省としても、この新人材確保指針を踏まえ、これらの視点に沿った人材確保のための取組を総合的に講ずる必要があると考えており、以下のファイルに整理した取組を行っているところです。

人材確保指針に関連する厚生労働省の取組について(平成24年度)[PDF形式:282KB]

※「介護の日」、「福祉人材確保重点実施期間」の取組について

(2) 社会福祉従事者の養成確保、資質の向上

ア 社会福祉士及び介護福祉士の着実な養成

平成元年度より社会福祉士及び介護福祉士の国家試験を実施しており、これら社会福祉士及び介護福祉士を養成する養成施設数は以下のとおりです。

社会福祉士 登録者数 266,557人(令和4年3月末現在)
養成施設 70施設、97課程、定員13,705人(令和4年4月1日現在)
介護福祉士 登録者数 1,819,097人(令和4年3月末現在)
養成施設 371施設、385課程、定員15,730人(令和4年4月1日現在)

社会福祉士及び介護福祉士養成施設に在学する学生に対し、修学資金を貸付(月額限度額 50,000円等)

イ 社会福祉士及び介護福祉士の養成力の質的向上

  • 平成11年度に養成施設の教育課程を見直し(平成12年度から適用)
  • 養成施設において介護技術等を教授する専任教員に対し、介護教員講習会(300時間)の受講を義務化(平成15年度施行)
  • 国家試験の改善
    • 出題数の増、内容の充実(第14回試験から実施)
    • 出題基準及び合格基準の策定・公表(第15回試験から実施)
    • 介護技術講習制度の導入(平成17年度から導入)
      介護福祉士養成施設等の設置者が実施する介護技術講習を修了した者について、その申請により、講習修了後引き続いて行われる実技試験を3回に限り免除する。

ウ 研修の充実

エ 指導的社会福祉従事者の養成

平成16年度に学校法人日本社会事業大学に専門職大学院(1年課程)を設置し、指導的社会福祉従事者の養成等を委託

(3) 職員処遇の充実

社会福祉事業従事者に対する福利厚生事業を社会福祉法人福利厚生センターにおいて実施

(4) 就業の促進

  • 福祉人材の無料職業紹介(就労斡旋)
  • 福祉就労希望者に対する説明会、講習会
  • 経営者に対する人材確保相談
  • 福祉人材に対する研修
  • 介護の有資格者届出制度等

(参考)福祉人材センターを通じた求人・求職状況(令和3年度実績)

新規求人数 260,480人
新規求職者数 56,446人
求人・求職相談件数 350,665件

イ 全国社会福祉協議会中央福祉人材センターにおいて都道府県福祉人材センターの連絡調整等を実施

(5) 社会福祉施設職員退職手当共済制度

社会福祉事業の振興の寄与を目的に、社会福祉法人の経営する社会福祉施設等の職員に退職手当を支給しております。
その運営は、独立行政法人福祉医療機構において行っています。

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