地方課

都道府県労働局における法令遵守の徹底に係る取組みの実施状況等の評価について(令和4年度)

 厚生労働省大臣官房地方課地方支分部局法令遵守室は、令和4年度の都道府県労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等について、次のとおり評価を行いましたので、公表します。
 なお、当該評価結果については、令和5年12月に、外部有識者を委員とする地方支分部局法令遵守委員会の各委員に報告し、その際の意見とともに、令和5年12月27日付けで都道府県労働局長宛て通知しました。
 令和4年度に各労働局において実施した内部点検等の結果に基づき、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組みの実施状況等について、以下のとおり総括的に評価する。

1 定期的な内部点検結果について

 「法令遵守チェックリスト」を用いて、各都道府県労働局長が自ら点検と検証を実施し、当課に報告してきたところである。
 
【是正措置等を講じた事例】
 ● 運転免許証の有効期限が失効していることに気づかず、公用外出及び出勤に自動車を運転していた。
● 個人情報漏えい事案があった。
● 入札において、不適切な取扱により無効とし、改めて再入札した事案があった。
● 公共調達監視委員会、公共調達審査会が実施されていなかった。      
 
【好事例】
○ 上司のトリセツの配布、1on1ミーティング等の取組により、部下が相談しやすい雰囲気づくりに務めている。

○ 超過勤務時間について増加の要因分析・対策や減少させた取組を報告させ、各部署に共有している。
  超過勤務縮減のため、若手職員を中心としたプロジェクトチームを立ち上げて、業務改革等に協議し、具体的な改善を行っている。

2 会計事務監査指導結果について

 大臣官房会計課監査指導室における一般監査指導は、新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえ、令和2年度及び令和3年度は、書面監査としてきたところ、令和4年度は対面監査として22労働局に対して実施されたところ。是正等を要するものとして指摘された件数は22局で99件(令和3年度は6労働局、15件)であり、1労働局当たりの件数は増加している。

【指摘事項】 
● 自局の入力誤りによる振込不能件数が、複数回発生していた。
● 赴任旅費の支出において、過大に/不足して支給している案件や添付書類に不備があった。
● 予定価格が1千万円を超える事案について、低入札価格の場合に調査を行うことやその協力義務を入札説明書に記載していなかった。
● 少額随意契約ではない随意契約において、証拠書類に随意契約の根拠法令条項が付記されていなかった。
● 公共調達委員会の審査対象となる契約において、成果物確認表を作成せず契約担当部局に提出していなかった。

3 管理事務及び企画調整事務に係る中央監察結果について

  労働局の管理事務及び企画調整事務に係る中央監察は、新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえ、令和2年度及び令和3年度は、書面監査としてきたところ、令和4年度は対面監査として22労働局に対して実施されたところ。是正等を要するものとして指摘された件数は22局で30件(令和3年度は24労働局、0件)であり、1労働局当たりの件数は増加している。
 
【指摘事項】 
● 再就職等規制について、定年退職目前となった職員に対して、局幹部職員(局長、部長、課長)から直接説明するとされているところ、それ以外の者が説明していた。
● 法令遵守委員会設置要綱に所定の協議事項が定められていなかった。また、協議事項として定められているものが協議されていなかった。
● 内部監査において、超過勤務命令時間と庁舎の庁舎施錠記録との不一致による超過勤務手当の回収が2年連続して発生していた。
● 勤務時間管理員に超過勤務終了の報告がなされていなかった。
● 委託事業者決定後の速やかな個人情報の取扱いの研修の記録が確認できなかった。

【好事例】
○ 倫理規定遵守のため独自の「チェックリスト」を作成し、導入したほか、事業主向けリーフレットにより部外者にも理解を求めている。
○ 内部監査で指摘された問題点について、4月の人事異動後もその再発防止の取組が継続されるよう、自主点検を新体制となった後の5月にも行っている。

4 総括的な評価等について

 上記1から3を踏まえ、当課においては、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組について、次のように総括的に評価等を行うこととする。
 
(1)総括的な評価について
 各労働局における法令遵守の徹底に係る取組は、令和2年度及び令和3年度においては、新型コロナウイルス感染拡大防止に留意しつつ書面監察などを行ってきたが、令和4年度において対面監査を再開したことにより、指摘事項が増加したものの、新たな取組を行う局も認められ、おおむね適正に実施されているものと総括的に評価できる。しかしながら、各労働局単位でみると、依然として、担当者の認識誤りや決裁時の確認漏れ、法令等に定められた手続漏れ等の取扱いの誤りが認められ、法令・通達に基づく取扱いの徹底、会計法令に関する知識習得と引継ぎ、勤務時間管理の適正化、保有個人情報の適正な管理など、引き続き取り組むべき課題がみられた。
 
(2)具体的な取組指示について
 ア 職員に対して、服務規律等の遵守に係る意識の向上及び法令・通達に基づく必要な手続きの実施について、飲酒運転の防止を含め、綱紀の厳正な保持の徹底等のため必要な措置を講ずること。【公務員倫理の徹底と綱紀保持】
 イ 少額随意契約ではない随意契約において、証拠書類に随意契約の根拠法令条項を付記する等、知識不足により対応に不備がない様、会計法令等に関する知識の習得や浸透のために必要な措置を講ずること。【適正な会計経理事務等の徹底】
 ウ 職員や相談員等の勤務時間管理にあたり、規則等に基づく管理と適正な手続き及び厚生労働省働き方・休み方改革要綱に基づく取組みが適切に行われているか等の確認による長時間勤務の縮減等を徹底すること。【勤務時間管理の適正化】
 エ 保有個人情報の取扱いに係る、意識の向上に必要な措置を講じるとともに、委託事業者における研修の実施記録を確認する等、漏えい防止対策の確実な履行を徹底すること。【保有個人情報の適正な管理】
 オ 会計事務監査指導や中央監察において、是正等を要するものとして指摘された事項は、その後の監査指導等で同様の指摘を受けることのないよう、また、局の内部監査においても、是正等を要するものとして指摘した事項が、その後の内部監査で同一部署がくり返し指摘されることが生じないよう指導を徹底すること。

地方支分部局法令遵守委員会委員の主な意見(令和4年度)

○総括的な評価は、指摘事項のみを記載しているが、好事例も含めて評価しており、また、好事例を記載することにより取り組んでいる局の意識も一段と高まると思われるため、好事例についても盛り込んではどうか。
 
○好事例については、積極的に横展開を図ってもらいたい。
 
○遵守すべき内容をすべて覚えることが難しいため、要点を絞った「チェックリスト」を活用した手法はとても効率的。
 
〇職員の勤務時間管理について、システム化等により在庁時間の適正な把握・管理のため、厚生局のシステム化等他の機関の取組を参考とする等、改善することが望ましい。
 
〇非違行為の原因は私生活を背景とした心理的な要因もあると思われ、そういった職員の状況把握のため、日頃の声掛けや職場内でのコミュニケーションにより意思疎通を心がけることが重要。

厚生労働本省の地方支分部局の職員等からの法令違反行為に関する通報受付件数等の運用状況(令和4年度)

 厚生労働本省の地方支分部局(都道府県労働局(労働基準監督署・公共職業安定所を含む。)及び地方厚生(支)局)の職員等からの法令違反行為に関する通報受付件数等の運用状況について、令和4年度は以下のとおりでした。
   通報又は入手した情報  
調査(事実確認)に着手したもの  
事実関係が確認され、是正等措置を講じたもの
 件数
58
54
   
内部窓口 
53
49
外部窓口 
※ 通報又は入手した情報について、法令違反行為に関する内容であって、具体的なものについては、全件、調査(事実確認)を行っています。

(厚生労働省大臣官房地方課 03-5253-1111(内線7273))