第5回 がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(議事録)

健康・生活衛生局がん・疾病対策課

日時

令和5年12月1日(金)11:00~13:00

議題

(1)座長の選任について
(2)がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件等について
(3)その他

議事

議事内容
○扇屋がん・疾病対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第5回「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましてはお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めます厚生労働省健康・生活衛生局がん・疾病対策課の扇屋と申します。
 本ワーキンググループはYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 まず構成員の出欠状況の報告です。
 今回のワーキンググループから、国際医療福祉大学遺伝カウンセリング分野教授・日本認定遺伝カウンセラー協会理事長の西垣昌和構成員に新たに御参画いただいております。よろしくお願いいたします。
 また坂田麻実子構成員より御欠席の御連絡をいただいております。
 続いて、本日は2名の参考人の方に御出席いただいております。参考人の御紹介をいたします。京都大学大学院医学研究科腫瘍薬物治療学講座、武藤学先生、国立研究開発法人国立がん研究センターC-CAT副センター長、吉田輝彦先生です。よろしくお願いいたします。
 続いて、資料の御確認をさせていただきます。
 議事次第及び資料1、参考資料1から7がございますので、御確認ください。なお、資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております。
 本日の議題としましては、1つ目に「座長の選任について」、2つ目「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件等について」、3つ目に「その他」を予定しております。
 それでは、議題1「座長の選任について」に移りたいと思います。
 本検討会は、構成員の互選により座長を置くこととされておりますので、御推薦がございましたらお願い申し上げます。
○平沢構成員 平沢ですけれども、よろしいでしょうか。
 座長を中釜構成員にお願いするのがよろしいかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
○扇屋がん・疾病対策推進官 皆様、いかがでしょうか。
 特に異論ないということですので、中釜構成員に座長をお願いすることでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○扇屋がん・疾病対策推進官 それでは、中釜構成員におかれましては座長席に御移動の上、一言御挨拶をお願いします。
○中釜座長 ただいま本検討会の座長に指名されました中釜です。
 2019年に遺伝子パネル検査が保険収載されてから4年が経ち、既に6万件を超える症例が登録されています。その間にゲノム医療中核拠点・拠点あるいは連携病院を通してがんのゲノム医療はある程度の広がりを示していると同時に課題も幾つか見えてきていると思います。その点について本日このワーキンググループの中で御検討いただくことになりますので、皆さんの御経験を踏まえて、あるいは御期待を踏まえて御意見をいただければと思います。本日はよろしくお願いいたします。
○扇屋がん・疾病対策推進官 ありがとうございました。
 この後の進行は中釜座長にお願いいたします。
○中釜座長 それでは、早速ですが、議事に従って進めたいと思います。
 議題の2つ目「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件等について」に移りたいと思います。
 まず資料1の説明を事務局よりお願いいたします。
○扇屋がん・疾病対策推進官 事務局でございます。
 資料1を御覧ください。「エキスパートパネルの効率的かつ効果的な運用について」を御説明いたします。
 2ページ目ですけれども、今回の資料はまずエキスパートパネルの効率的かつ効果的な運用についての総論から始まりまして、各論として3つ御用意しております。
 それでは、3ページ目を御覧ください。
 がんゲノム医療に関するこれまでの経緯についてです。
 これまで「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件等に関するワーキンググループ」で整備指針に関する議論を行い、「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」に報告されております。その後、令和4年8月1日に改定した「がんゲノム医療中核拠点病院等の整備について」を発出しております。
 がんゲノム医療中核拠点病院等の指定についてですが、改定した整備指針に基づき、令和5年2月と3月に「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定に関する検討会」で2回議論され、地域ブロックごとに指定見直しが行われました。これを受け、同年4月からがんゲノム医療中核拠点病院13か所とがんゲノム医療拠点病院32か所が指定されております。
 続きまして、4ページ目にがんゲノム医療中核拠点病院等の全体像をお示ししております。
 右手中ほどの表に中核拠点病院・拠点病院・連携病院それぞれの持つ役割について概要を示しております。こちらで御確認いただきたいのが、中核拠点病院・拠点病院でエキスパートパネル、専門家会議が必須とされているところになります。連携病院が中核拠点あるいは拠点病院の会議等に参加という内容になっております。
 続きまして、5ページ目、がんゲノム中核拠点病院等の指定要件見直しのポイントをお示ししております。
 大きく3点ありまして、診療実績の評価、新たな技術や体制への対応、指定に関する課題の整理としております。
 診療実績の評価としましては、がん遺伝子パネル検査の実施数、遺伝カウンセリング等の実施数、がん遺伝子パネル検査後の適切な治療法への到達数を適切に評価。がんゲノム情報管理センターへの臨床情報登録実績を新たに評価しております。
 技術や体制への対応としましては、リキッドバイオプシーに対応する人員要件の追加ですとか、改定が想定されるエキスパートパネルの実施要件を課長通知に変更しております。また小児がん連携病院類型1‐Aからの選定を可としております。
 指定に関する課題の整理は御覧のとおりでございます。
 6ページ目にがんゲノム医療中核拠点病院等の現状をお示ししております。
 日本地図の赤字で書きましたのが今回新たにがんゲノム医療中核拠点病院またはがんゲノム医療拠点病院として指定された医療機関になります。
 続きまして、7ページ目です。
 エキスパートパネルの意義と現行の実施要件についてです。
 まず意義としまして、エキスパートパネルとは、がん遺伝子パネル検査の結果を医学的に解釈するための多職種による検討会のことです。がん遺伝子パネル検査では多くのゲノム情報を得られる可能性がある一方、それを正しく解釈できなければ、得られた情報を診療に活用することができません。そのため多職種の専門家が集まり、ゲノム情報の臨床的解釈を行うエキスパートパネルと呼ばれるプロセスが不可欠となります。
 現行の課長通知におけるエキスパートパネルの構成員の要件についてお示ししております。複数名必要な構成員としまして、がん薬物療法または病理学に関する専門的な知識及び技能を有する常勤の医師としております。また1名以上必要な構成員につきましては御覧のとおりとなっております。
 続きまして、8ページ目、現行のエキスパートパネルの実施要件の詳細(持ち回り協議)についてお示ししております。
 持ち回り協議の定義と留意点ですけれども、エキスパートパネルの全ての出席者が、セキュリティーが担保されたファイル共有サービスや電子メール等を介してそれぞれ評価することです。なお、持ち回り協議の全ての出席者において、下記に該当する症例であるとの見解が一致しない場合は、リアルタイムでのエキスパートパネルで協議を行う必要があります。
 下の箱のところに持ち回り協議のみ行い、リアルタイムでのエキスパートパネルを必要としない症例についてお示ししております。
 続きまして、9ページ目です。
 がん遺伝子パネル検査の出検数の推移をお示ししております。
 2019年6月にがん遺伝子パネル検査が保険収載されて以降、検査実施件数は増加しております。2023年現在、おおむね月1,600から1,800程度の規模で推移しております。
 続きまして、10ページ目です。
 がんゲノム医療中核拠点病院・がんゲノム医療拠点病院におけるエキスパートパネルの開催実績についてです。
 中核拠点病院では、拠点病院に比べ、エキスパートパネルにおいて他施設の症例を検討している割合が高いことが分かります。
 続きまして、11ページ目、こちらが小括になります。
 エキスパートパネルの見直しについて、現状・課題としまして、1つ目、がん遺伝子パネル検査の保険適用から4年以上経過し、がんゲノム医療中核拠点病院等の枠組みや関係学会の取組により、がんゲノム医療提供体制の整備は一定程度進んできているところです。
 2つ目、がんゲノム医療連携病院の中には、がんゲノム医療中核拠点病院・がんゲノム医療拠点病院に指定されなかったものの、がんゲノム医療について一定の経験と知識を蓄積したがんゲノム医療連携病院も存在しています。
 一方で、がん遺伝子パネル検査の実施件数の増加に伴い、エキスパートパネルで検討が必要な症例数が増加し、エキスパートパネルの結果報告書の返却時期が遅くなる可能性が出てきているところです。
 そこで本日の論点としまして3つ挙げております。
 今後もエキスパートパネルの持続可能な体制の確保の観点から、エキスパートパネルの効率的かつ効果的な運用に係る以下の事項等の検討をお願いします。
 1つ目がエキスパートパネルの実施要件。
 2つ目が持ち回り協議のみ行い、リアルタイムでのエキスパートパネルを必要としない症例。
 3つ目に一定の要件を満たしたがんゲノム医療連携病院でのエキスパートパネルの実施です。
 まず各論の1つ目、エキスパートパネルの実施要件について13ページ目を御覧ください。
 まず論点としまして、エキスパートパネルの運用について、一定の質を担保しながら、臨床現場での実際の運用に即して、以下の観点等を踏まえて要件の見直しを検討してはどうかとしております。
 見直しの観点としましては、エキスパートパネルの構成員の要件について。具体的には「病理学に関する専門的な知識及び技能を有する常勤の医師」について、「複数名」から「1名以上」としてはどうか。
 エキスパートパネルの参加者についてです。「主治医又は当該主治医に代わる医師」について、エキスパートパネルにおいて主治医・担当医がリアルタイムで協議する場を設定することは、それぞれの日常診療や様々なほかの会議等を考慮すると現実的に困難な状況であることから、議論に必要な治療歴や家族歴に関する診療情報を提供している場合には、エキスパートパネルに参加したとみなせることとしてはどうか。また主治医等の医師がエキスパートパネルに参加したとみなすに当たって、エキスパートパネルに提供すべき診療情報を整理し、示すこととしてはどうかとしております。
 続きまして、14ページ目は参考資料として持ち回り協議と事前の検討についてお示ししています。
 続きまして、2つ目の論点に進みます。持ち回り協議のみ行い、リアルタイムでのエキスパートパネルを必要としない症例についてです。
 論点としまして、持ち回り協議のみ行い、リアルタイムでのエキスパートパネルを必要としない症例の条件について、臨床現場での実際の運用に即して、以下の観点等を踏まえて定義を明確化するとともに、対象となる症例を広げるよう検討してはどうかとしております。
 16ページ目をお示しください。
 見直しの観点としましては、定義の明確化として、用語につきまして、現行「遺伝子異常」と示していますのを「病的バリアント」へ統一してはどうか。
 また持ち回り協議のみ行い、リアルタイムでのエキスパートパネルを必要としない対象について、大きく分けて3つお示ししております。1つ目が、二次的所見が見つかった場合、または疑われた場合について。2つ目が、病的バリアントが検出された場合について。3つ目がエビデンスレベルB及びCの病的バリアントについてです。詳細は資料を御覧ください。
 続きまして、17ページ目ですが、こちらは参考になります。
 現行の事務連絡と先ほどの見直しの観点を反映した場合の改定案のイメージをお示ししております。
 18ページ目に遺伝子パネル検査におけるエビデンスレベルについて参考資料をつけております。
 続きまして、3つ目の論点です。20ページ目を御覧ください。
 がんゲノム医療連携病院でのエキスパートパネルの実施について。
 こちらは1つ目の論点ですけれども、一定の要件を満たし、がんゲノム医療について一定の経験と知識を蓄積したがんゲノム医療連携病院が、自施設でがん遺伝子パネル検査を実施した症例に限って、自施設でエキスパートパネルを実施することを認めてはどうかとしております。
 一部のがんゲノム医療連携病院でエキスパートパネルを実施する目的としましては、がんゲノム医療の均てん化また中核拠点病院・拠点病院の負担軽減を挙げております。
 続きまして、21ページ目にエキスパートパネル開催可能な連携病院の要件案をお示ししております。
 大きく分けて3つあります。
 1つ目が課長通知に示すエキスパートパネルの実施要件を満たすこと。
 また2つ目に以下の実績を有することということで、出検数であったり症例数についての要件をお示ししております。
 また3つ目、自施設で判断に迷う場合は、連携する中核拠点病院または拠点病院にエキスパートパネルを依頼できる体制を有することとしております。
 下のボックスでは運用案をお示ししております。
 連携する中核拠点病院または拠点病院は、自施設でのエキスパートパネル実施を希望する連携病院から、エキスパートパネルが実施できる連携病院を選定する。またその選定に当たっては、連携病院が要件を満たすことを確認し、厚労省に届け出る。3つ目として毎年の現況報告書に基づいて、適切にエキスパートパネルが実施できているのか毎年評価を行う。最後に4つ目として、要件を満たしていないと判断した場合は、連携病院はエキスパートパネルを実施できないものとするという案をお示ししております。
 続きまして、22ページ目以降は実績要件の現状についてお示ししております。
 1つ目が遺伝子パネル検査の出検数。
 23ページ目にエキスパートパネルで推奨された治療薬に到達した症例数。
 3つ目とし、遺伝カウンセリングの合計件数をお示ししております。
 続きまして、最後のページ25ページ目を御覧ください。
 がんゲノム医療連携病院でのエキスパートパネルの実施について、中核拠点病院及び拠点病院は、整備指針において、エキスパートパネルの実施だけでなく、がんゲノム情報に基づく診療や臨床研究・治験等の実施、新薬等の研究開発、がんゲノム医療に関連する人材育成等の分野において、がんゲノム医療の質の向上や充実、均てん化等に貢献することが求められているところです。
 連携病院においてエキスパートパネルを実施可能とした場合の論点を以下にお示ししております。
 短期的には、中核拠点病院・拠点病院は、一定の要件を満たし自立可能と判断した連携病院が適切にエキスパートパネルを自施設で実施できるようサポートする役割があるのではないか。
 2つ目に、中長期的には、一部の連携病院がエキスパートパネルの実施に関して自立可能となった場合においても、中核拠点病院または拠点病院は、毎年集計する現況報告書による実態の把握、連携体制の構築、人材育成等を通じて、引き続き連携病院においてがんゲノム医療が適切に提供されるよう努める必要があるのではないかとしております。
 資料1の説明は以上となります。
○中釜座長 ありがとうございました。
 それでは、個別的な論点に入る前に、資料1の説明をいただきましたが、全体を通してこの時点で御意見、御質問はございますか。
 若尾構成員、お願いいたします。
○若尾構成員 ありがとうございます。若尾直子です。NPO法人がんフォーラム山梨でがん情報に関する情報提供と相談支援をしております。
 まず総論からお尋ねしてもよろしいですか。
○中釜座長 お願いいたします。
○若尾構成員 今回の議事のタイトルとしてつけていただいた文言ですが、第4期のがん対策推進基本計画の中にもある「誰一人取り残さないがん対策」を実現するためだというイメージがつくとありがたいなと思いました。医師の働き方改革も非常に大切ですし、患者のために努力していることは重々承知しておりますが、誰一人取り残さないがん対策の重要性もいつも視野に入れていただきたいなと思います。
 あと2つあるのですが、2点目は4ページのポンチ図というのか、中核拠点・拠点・連携病院がある左側の図です。この図を見ますと、中核拠点病院と拠点病院、連携病院が緩くきつくつながっていて、この図はとてもいいと思うのです。ですが、ここで言うことではないかもしれないのですけれども、C-CATなどのホームページの中では拠点病院と中核拠点病院は独立しているのです。ですのでこういった議論をするときには、中核拠点と拠点も連携している事がわかるようなイメージ図に統一していただきたいなと思います。
 最後、総論の中の3点目ですけれども、5ページの中にあります「指定に関する課題の整理」で、一番下、「がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議の位置づけと役割を明確化」とあるのですけれども、確かに位置づけも役割も明確にしてありますし、協議の内容は見ることができるのですけれども、本当に広くがん医療をしているゲノムの連携病院やその他の病院にゲノム情報が伝わっているかというところが非常に疑問なのです。がん相談・ピアサポート等をしていますと、明らかにゲノム医療に関わっている病院の患者であっても、「ゲノム医療のことを先生から言い出してくれなくて知らない」という患者が一定数おられます。ですので中核拠点病院等連絡会議の内容などを、がんに関わる病院に広く情報提供するというようなことも役割として重要視していただけたらなと思います。
 以上、3点総論として患者の視点から申し上げました。以上になります。
○中釜座長 御指摘ありがとうございます。
 今の3点について事務局からお願いいたします。
○扇屋がん・疾病対策推進官 御指摘ありがとうございます。
 1点目、第4期基本計画に沿った内容となっているのかどうかというところですけれども、おっしゃっていただいたとおりで誰一人取り残さないがん医療の提供ということで今回の議論をお願いしているところになります。ゲノム医療の充実また均てん化がそこに当たると考えております。
 続きまして、2つ目、4ページ目の図についてです。がんゲノム医療中核拠点病院と拠点病院が緩くつながっているように見えるというところですけれども、こちらにつきましては、一つ一つのエキスパートパネルは独立して実施しているところではありますが、表の右手のほう、研究開発だとか人材育成の項目につきましては連携と書いております。中核拠点病院が行う人材育成やこういった研究開発に拠点病院は連携するという関係になっておりまして、その関係性を点線でイメージしているところになります。
 また最後に会議の情報提供に関してですけれども、こちらについてはどういったやり方があるのかを事務局でまず検討させていただきたいと思います。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございました。
 今の説明でよろしいでしょうか。引き続き必要なことに関しては検討していくということであります。
○若尾構成員 よろしくお願いします。
○中釜座長 ほかに全体としてよろしいですか。
 それでは、特にないようですので、具体的な論点について議論を行いたいと思います。
 まずは12ページから14ページまでのエキスパートパネルの実施要件についてですが、この点についていかがでしょうか。資料の12ページから14ページ。御質問、御意見のある方は挙手をお願いできますか。
 それでは、土原構成員、お願いいたします。
○土原構成員 国立がん研究センターの土原です。
 今回13ページに示されております見直しの案ですけれども、私自身も毎週エキスパートパネルに参加している身として非常に妥当なものであると考えております。実際のところ主治医の参加が難しくて延期する症例を我々も経験しておりますので、一方でこういった形で必要十分な条件がしっかりと提供されるという担保があるのであれば、運用上も非常に有益な改定になると考えております。
 以上でございます。
○中釜座長 ありがとうございます。
 続きまして、金井構成員、お願いいたします。
○金井構成員 慶應義塾大学また日本病理学会のゲノム病理診断を担当しております金井でございます。
 構成員の要件について13ページ目でありますけれども、エキスパートパネルに参加するのは1名以上が基本であることから、病理学に関する専門的な知識及び技能を有する常勤の医師についても1名以上ということは理論的に全く妥当でありますので、人数を変更することについてはもっともであると考えます。
 他方では、構成員の要件として「病理学に関する専門的な知識及び技能を有する」と説明されていますけれども、これは具体的には日本専門医機構が指定する病理専門医、つまり形態学的な病理診断を確定する特別な能力を有している医師を指していると考えられます。日本病理学会におきましては、形態学的な病理診断だけではなく、ゲノム医療における専門的な知識をさらに身につけて、エキスパートパネルで卓越した知識の下に助言できる病理医を分子病理専門医として認定しております。現在、日本で実働しております病理専門医は2,500名程度であると考えられますけれども、そのうち既に581名が分子病理専門医資格を取得しておりますし、この12月の試験によって恐らく800名程度までに上ると考えております。さらには中核拠点病院・拠点病院の認定要件に分子病理専門医を指していると考えられるがん遺伝子パネル検査に関連する病理学に関する専門的な知識及び技能を有する常勤の医師が複数名配置されているというのが既に入っておりますので、エキスパートパネルの構成要件につきましても1名以上とするのは妥当でありますが、ここに「病理学に関する」ではなく、「がん遺伝子パネル検査に関連する病理学に関する」という文言を入れていただくのが極めて適切ではないかと思います。御検討をよろしくお願いいたします。
○中釜座長 御指摘ありがとうございます。
 今の指摘について、事務局、いかがでしょうか。
○扇屋がん・疾病対策推進官 事務局です。
 御指摘いただきありがとうございます。こちらにつきまして整備指針の記載ぶりと整合を取るという意味で要件に追記する方向で検討させていただきたいと思います。
 以上です。
○金井構成員 ありがとうございます。
○中釜座長 ありがとうございます。
 では、中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。京都大学早期医療開発科、あと日本臨床腫瘍学会から参加しております。
 参加者について非常に現場に沿った見直しかなと考えております。主治医または当該主治医に代わる医師が起用されることによって、より多くの件数を多施設でフレキシブルに検討することが可能となるかなと思っています。
 一方で、下から2つ目のポツにありますように「議論に必要な治療歴や家族歴に関する診療情報を提供している場合には」というところに関しましては、恐らくエキスパートパネルごとに多少の情報提供の内容が変わってくるかなと思いますので、その辺りは各エキスパートパネルごとにやはりしっかり見直して、必要最低限の情報が提供されているかというところの目安は必要になってくるかなと思っています。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の御指摘について、事務局、いかがでしょうか。
○扇屋がん・疾病対策推進官 事務局でございます。
 御指摘いただきありがとうございます。各病院のエキスパートパネルの状況もそれぞれあると思いますので、がちがちに縛るものではなくて、それぞれの状況に合わせてこちらについては整理するということでよろしいかと思います。
 以上です。
○中釜座長 今の回答でよろしいですか。例えば一定の目安みたいなものを示すことはあまり考えておられないですか。
○扇屋がん・疾病対策推進官 今回の論点として挙げておりますので、目安となるような項目についてはぜひ先生方から御意見をいただきたいところになります。
○中釜座長 今の回答でよろしいでしょうか。
○中島構成員 現実的なところを考えますと、治療歴も治療の開始日・終了日の日付までとか、毒性の度合いとかいうところはそんなに詳細に聴取する必要はむしろないと思っていますが、やはり最低限の前治療の内容とそれが標準治療に合致しているかどうかが判断できるような内容が含まれていれば、多くのエキスパートパネルでは問題ないと考えているのではないかなと思います。
 一方で、家族歴につきましても非常に重要になってきますので、そちらについては構成員の要件を変更するとしても、やはり詳細な聴取は必要になってくるかなと思っています。
○中釜座長 ありがとうございます。恐らく各エキスパートパネルの運用の状況にもよるかと思いますけれども、御指摘の点は大変重要だと思いますので、その辺りのところはある程度共有できる形を検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見はございますか。
 よろしいでしょうか。
 土原構成員、お願いいたします。
○土原構成員 今の中島委員の御意見に関しまして、私たちも当然危惧するところですが、例えば今、C-CATに検査前に登録する臨床情報がおおよそ網羅しているのかなというふうに伺いました。そういうことも含めますと、こういった実運用のところを今回の課長通知で規定するのか、あるいは関連する学会であったり、中核拠点病院等連絡会議で何かひな形を示すのがよろしいのか、その辺りも方針を決めていただければ現場は対応できるのかなと考えました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 事務局、追加で御発言はございますか、よろしいですか。
 ありがとうございます。御指摘の点を踏まえながら、どの対応が可能かということについては検討していきたいと思います。ありがとうございます。
 ほかに論点1に関していかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 参考人武藤先生、お願いいたします。
○武藤参考人 すみません、発言させてください。京大の武藤と申します。
 エキスパートパネルの構成員の要件について、次の16ページでも議論があるかなと思うのですが、見直しの観点で2-1の2つ目の矢印のところです。持ち回り協議においてはいわゆる遺伝カウンセリングに関する者の参加を必須としないこととしてはどうかというところに関してこの資料の中で抜けてしまっているので、要件の中にリアルタイムのエキスパートパネルは必要だと思うのですけれども、持ち回り協議に関しましては、これは臨床腫瘍学会からの意見書なのですが、参考資料7の12ページ、13ページのところです。ここの「以上の課題を解決するため、以下の改訂を提案する」という中の4)です。プレエキスパートパネルというのはいわゆる持ち回り協議を指すのですけれども、「『遺伝医学に関する専門的な知識及び技能を有する医師』が参加している場合には、『遺伝医学に関する専門的な遺伝カウンセリング技術を有する者』としての役割を担うことができる」としております。これはなぜかといいますと、持ち回り協議はリアルタイムのエキスパートパネルでディスカッションするための事前のスクリーニングの段階なので、持ち回り協議には遺伝カウンセリングの人が絶対参加しなければいけないというわけではなくて、実際ディスカッションが必要な場合には遺伝カウンセリングの方も入る形なので、今後、血液のパネルが入ってきたり、遺伝カウンセラーのニーズが非常に高まる中で人材もいないということと、持ち回り協議が勤務時間外にやることも多いと思いますので、その辺も加味しまして持ち回り協議には必須としないという条件をつけていただきたいと思っております。16ページのところがちょっと抜けてしまっているのかなと思って少し発言させていただきました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 事務局、今の御指摘についていかがでしょうか。
○扇屋がん・疾病対策推進官 事務局でございます。
 御指摘いただきありがとうございます。今回論点を3つに分ける上で、今、御指摘の16ページ目の2-1の2つ目の矢羽根の部分は持ち回り協議のほうの論点に入れさせていただいていたところです。こちらにつきましては、この先論点2に進むと思いますので、そちらで先生方のコンセンサスが得られれば、この方向で進めさせていただければと考えているところです。
 以上です。
○中釜座長 今の回答でよろしいでしょうか。また後ほど詳細について議論させていただきたいと思います。
 ほかに御意見はございますか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、今の指摘を踏まえてですが、15ページ目から18ページ目のところで、持ち回り協議のみ行い、リアルタイムでのエキスパートパネルを必要としない症例について、この論点についていかがでしょうか。
 それでは、西垣構成員、お願いいたします。
○西垣構成員 国際医療福祉大学、認定遺伝カウンセラー協会理事長の西垣です。
 先ほど武藤先生からもお話があった件につきまして発言いたします。
 持ち回り協議における遺伝カウンセラー、遺伝カウンセリング技術を有する者の参加を必須としないということについて、武藤先生がおっしゃるようにフィージビリティーの観点からそのこと自身には賛同いたすところですけれども、その論拠として例えば矢羽根の2番目のところには「二次的所見が疑われた場合の患者及びその家族への対応に当たる」ということが遺伝カウンセリングの技術を有する者の役割の定義のようになっておりますけれども、実際は遺伝カウンセリングで直接患者さんに対応することだけではなくて、この方が二次的所見が疑われるのかどうかといったようなときの家族歴の評価であるとか、そういったようなことも遺伝カウンセリング技術を有する者の役割には入っておりますので、論拠としては持ち回り協議のディスカッションには遺伝を専門とする医師と当然事前に情報共有はした上で挑むと思いますので、武藤先生がお示しになった遺伝医学に関する専門的な遺伝カウンセリング技術を有する者の役割を担うというよりは、事前に遺伝の専門医と遺伝カウンセリング技術を有する者は当然二次的所見の評価をするに当たって情報の共有であったり、ある意味下調べ、チャートレビューといったようなことは踏まえた上で持ち回り協議に挑む上では、遺伝カウンセリング技術を有する者の参加は必須ではないと認識しております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の御意見を含めて、武藤参考人から何か追加で御発言はございますか。
○武藤参考人 京大の武藤です。
 御指摘のとおりなのですが、ここでは持ち回り協議においてのみの業務というか、エフォートのところを指しておりまして、先生がおっしゃるように例えばがん遺伝子パネル検査をする申込みの段階とかではそういう話も入ってくるケースもありますし、それは運用面では実施されていると思うので、それを否定するものではなくて、これは持ち回り協議の中のエフォート、タスクだけを示していますので、認定遺伝カウンセラーの方々の業務全体をシュリンケージするような形ではないと御理解いただければと思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
 実際にコロナ禍での運用的な面でのところになるかと思いますけれども、その辺りは適切に運用するということで、また何か課題等がありましたら御意見をいただければと思います。今の議論を含めて何かほかに御意見はございますでしょうか。
 先ほど織田構成員から手が挙がっておりましたが、お願いいたします。
○織田構成員 ありがとうございます。今の点に関していえば、やはり遺伝医学に関する専門的な知識及び技能を有する医師というのはもちろん遺伝カウンセリング技術も有しているところもありますので、しっかりと連携を図りながらやっていくということでよいのかなと私も思いました。
 ここのスライドのところで1点と、あと17ページで1点コメントというか、意見を述べさせていただきたいと思います。まず1つは二次的所見が見つかった場合、疑われた場合、あと見つからないまたは疑われない場合という表現においては、二次的所見に関しましては腫瘍オンリーの検査も多く行われているところでありまして、ジャームライン・コンバージョン・レート、すなわちジャームラインかどうかという検討が必要な場合と、パソジェニシティーの点で、VUSなのか、ライクリー・パソジェニックなのかを判断するところと両方があるかと思います。したがいまして、「見つからないまたは疑われない」という場合に関してはそういったパソジェニシティーの観点、あるいはジャームライン・コンバージョン・レートの観点双方含めて、「疑われない、見つからない」という意味合いで書かれているという認識でよいかどうか、この点をまず1点お聞きしてもよろしいでしょうか。
○中釜座長 今の御指摘について、事務局。
○扇屋がん・疾病対策推進官 御指摘ありがとうございます。御指摘の2点双方示しているという趣旨になります。
 以上です。
○織田構成員 ありがとうございます。解釈が適切に伝わらなくて、VUSは含まないといった不適切な形にならないような運用になればということでコメントさせていただきました。
 すみません、もう一点よろしいでしょうか。
○中釜座長 お願いいたします。
○織田構成員 17ページのところなのですけれども、特に(4)の部分のリスト化という点は非常に画期的な仕組みとなりますが、リスト化の内容が拠点病院あるいは中核拠点病院等で施設ごとに大きく乖離がないほうがよいのではないかと思いました。拠点病院の中には連携病院がなく単施設で行われているところもありますので、単施設だけでつくるルールブックも存在する形になります。一方で中核拠点等では非常に多くの、2桁の連携病院とエキスパートパネルを行っているところもありますので、リスト化を実際に運用していく上で、そのリストに関しても適切な均てん化が図られるように御検討いただければと思いました。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の御指摘、リストに関する均てん化ですが、いかがでしょうか。
○扇屋がん・疾病対策推進官 御指摘ありがとうございます。事務局でございます。
 御指摘の点はおっしゃるとおりと考えておりまして、リストが均てん化されるような方策はいろいろやり方があるかと思うのですけれども、例えば会議の中で共有するであったり、可能であれば各拠点病院群が公表する、それでお互いに見ることができるといったようなことも1つの案としては出てくるかと思いますが、今後の検討事項かと考えております。
 以上です。
○中釜座長 今の回答でよろしいでしょうか。
○織田構成員 ありがとうございました。
○中釜座長 続きまして、中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。私も今、織田先生の最後の御質問と同じようなところを少しコメントさせていただこうと思っておりました。
 リスト化が重要になってくると思っていまして、1、2、3、4という持ち回り協議でOKとされる病的バリアントの内容がエキスパートパネルごとにある程度均てん化されるような工夫は重要になってくると思います。拝見しますと、日本臨床腫瘍学会から出ている意見書の中にリスト化をどういうふうに検討していくかというところのコメントが書かれておりまして、厚労科研費ですとか競争的研究費の会議体などで検討していくところが少し例として載っております。非常に重要な取組でありますし、それがサステイナブルなリストの更新につながるようにぜひ検討を進めていっていただければなと思っています。
 以上です。
○中釜座長 御指摘ありがとうございます。
 今の御指摘について、事務局、よろしいでしょうか。
○扇屋がん・疾病対策推進官 御指摘いただきありがとうございます。おっしゃるとおりでして、関係する学会と連携しましてリストの均てん化を進めていきたいと考えております。
 以上です。
○中釜座長 ほかに御意見、武藤参考人から手が挙がっていますね。武藤参考人、お願いいたします。
○武藤参考人 ありがとうございます。先ほどの織田先生と中島先生のコメントに関連するのですけれども、まず16ページ目の2-1のところですが、「二次的所見が見つかった場合、又は疑われた場合について」ということに関して、がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議の診療ワーキングの中でも議論し、また臨床腫瘍学会の中でも意見書をつくる際に議論がありまして、二次的所見がないと言い切るのはなかなか難しいという御意見も認定遺伝カウンセラーや臨床遺伝専門医の先生方からいただきました。先ほど織田先生から御指摘がありましたように、ここの根拠を例えば厚労科研で作成された小杉班のガイドライン等を参考にするようなコメントがあれば、より客観的に判断しやすいのかなと思いました。
 もう一つ、先ほどの17ページ目のエビデンスレベルB及びCの病的バリアントに関しましては、基本的に実診療では医薬品の適用外使用の内容になってしまいます。適用外の使用については各病院、特に特定機能病院等はその判断を各病院ごとにすることが求められておりますので、それはそちらのほうで対応できると思うのですが、ここでリスト化するということは、例えば中核拠点病院が勝手に決めているとか、連携病院が勝手に判断しているということではなく、エキスパートパネルに参加する医療機関の先生方が合意するということで、それをきちんと可視化する、少なくとも中核拠点もしくは拠点病院と、それにひもづく連携病院の中でコンセンサスが得られていることを明確にするためのことであります。これも意見書の中で出させていただいたのですけれども、適用外使用に関しまして各病院で公開することになりますと、適用外使用の内容を公開することになってしまいますので、別の意味で懸念点が出てきて、適用外使用をやっています、混合診療をやっていますみたいなことになると、逆に日本の保険医療制度上、問題があるので、ここは少し慎重にしたほうがいいかなと思いまして、意見書の中ではこのような書きぶりにしております。一応コメントです。
○中釜座長 重要な御指摘をありがとうございます。
 事務局、よろしいですか。今の御指摘の点を十分に踏まえながら先ほどの運用について、リスト化ということの重要性と、それをどのように運用していくかという御指摘だと思います。その辺りが特定機能病院等の運用、薬剤の適用外使用に関して齟齬がないような形で運用していければと思います。御指摘ありがとうございます。
 ほかに。
 平沢構成員。
○平沢構成員 よろしくお願いします。先ほどから話されている16ページの2-1、2-2について、持ち回り協議においては遺伝医学に関する専門的な遺伝カウンセリング技術を有する者の参加を必須としない、ということは、そもそも遺伝性疾患を推定した場合には本来のエキスパートパネルで検討するから、というニュアンスだと思います。私も最初はそのニュアンスが読み取れることができず誤解しておりました。2-1の1つ目のところについて、遺伝医学の専門家は最初からいろいろなところで携わっています。具体的には二次的所見が見つからなかった、または疑われなかっただけではなく、家族歴を含めた表現型から遺伝性疾患の潜在が疑うなどしていますので、ここの表現は少し工夫が必要かなと思っています。具体的には生殖細胞系列の遺伝子の関与が疑われるなど、別の用語にしたほうがよろしいかなと思いました。次のページについても同様です。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の御指摘点についていかがでしょうか。
○扇屋がん・疾病対策推進官 御指摘ありがとうございます。二次的所見が生殖細胞系列の変異のみを指すと考えてよろしいでしょうか。それともまだほかにもあるようであれば、二次的所見、例示として生殖細胞系列と記載した上で、表現の工夫をすることが考えられます。
○平沢構成員 具体的には、プロファイル上遺伝性疾患を示唆するゲノム変化が同定されていなくても家族歴が非常に濃厚な例などは、持ち回り会議ではなくて本会議に行くことになります。二次的所見という切り口だけにしてしまうとそういう例が議論にならないので、そこのところをもうちょっと広く表現を工夫したほうがいいのかなと思いました。
○中釜座長 家族歴等で生殖細胞系列の関与が疑われるような場合ということを少し考慮したような記載ぶりということですか。
○平沢構成員 はい。
○中釜座長 ありがとうございます。
 ほかに意見はございますでしょうか。
 土原構成員。
○土原構成員 今の平沢構成員の御意見のところで、生殖細胞系列全体を必ず本来のエキスパートパネルを必須とするというふうにしますと、一方でエビデンスレベルAであるBRCAの生殖細胞系列の変異があった場合もしばしばエキスパートパネルで遭遇すると思います。こういったところは即治療に直結させればいいという認識がありますので、あまり広く生殖細胞系列全てであったり、濃厚な家族歴を本会議にかける要件とする一方で、2-3にあります現状でも既に認められているエビデンスレベルAの場合には持ち回り協議で十分対応できるかと思いましたので、この辺りは実運用に即した形で文言の整理をされてありさえすれば十分現場は対応できるのかと思いました。
 以上でございます。
○中釜座長 ありがとうございます。厳密にすると同時に、運用面での融通性もエキスパートパネルに求められている機能だと理解しますので、その辺りのところはどのような記載ぶりが適切かについては少し検討させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、西垣構成員、お願いいたします。
○西垣構成員 ありがとうございます。今の平沢先生の御意見についてなのですけれども、エキスパートパネルにおける遺伝性腫瘍診療の役割をどれくらいエキスパートパネルに求めるかというところのコンセンサスだと思います。現状小杉班で作成したフローチャートにおいても、やはりがんゲノムプロファイリングになる検査を適用する前に家族歴等の評価をした上で、もしそこで遺伝性腫瘍が疑われるのであれば、がんゲノムプロファイリングと並行して遺伝性腫瘍診療を進めていくべきといったようなガイドを出しております。なので家族歴が最初から濃厚で遺伝性腫瘍の可能性が疑われる症例に関しては、事前に遺伝性腫瘍診療も走るといったようなことのビジョンの下にこの運用をしているとすると、エキスパートパネルにおいてがんゲノムプロファイリングの結果によらず遺伝性腫瘍のことに関して議論するということをエキスパートパネルのタスクの中に入れ込むかどうかという観点の議論になると思うのですけれども、そこに関してのコンセンサスは必要なのかと考えております。
○中釜座長 ありがとうございます。どのような形で具体的、明示的にこれを示せるかということだと思うのですけれども、エキスパートパネルの各パネルの運用を含めて、これが適切に、拾い漏れがなく、患者さんの適切な抽出が行われないことがないような形ということを記載の中である程度カバーできるかということですので、そこは事務局でも検討していただきたいと思います。
 ほかに御意見、御指摘はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、若尾構成員、お願いいたします。
○若尾構成員 若尾です。ありがとうございます。
 すごく些細なことだとは思うのですけれども、患者の視点からお尋ねいたします。リアルでエキパネを開く場合と持ち回り協議で済む場合、これは平均というような言葉を使うのが妥当かどうか分かりませんが、患者にとってどのくらいの時間の節約になるのか、おおむねのお返事というか、概要は分かりますでしょうか。
○中釜座長 この点について、現場から、例えば土原構成員、何かございますか。
○土原構成員 ありがとうございます。現在、いわゆるリアルタイムのエキスパートパネルは、多くの医療機関では週に1回開催されていると認識しております。ですので準備の期間まで含めますと、結果が返却されてからやはり長い患者さんでは2週間程度かかっているというのが現実かと思います。もし持ち回りの協議が可能になるというふうになれば、恐らくもう少し頻度高く実施することは十分可能になると思いますので、患者さんに返却される時間は1週間程度短縮されることが期待できると思います。当然進行がんの患者さんが対象の検査ですので、この1週間というのはかなり大きな意味を持つと我々も考えております。
○中釜座長 構成員の方、今の回答に加えて何か追加での御発言はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、武藤参考人、お願いいたします。
○武藤参考人 京大の武藤です。
 今の御指摘は非常に重要だと思います。現在はリアルタイムでのエキスパートパネルを必要としない症例につきましても、実際にはリアルタイムのエキスパートパネルを実施しています。そのために結果返却が遅れてしまうのですけれども、要は薬につながる変異がないとか、遺伝性腫瘍に関する変異がないということの情報を早く伝えるためには、持ち回り協議で結果が出れば速やかに結果返却できますので、そういう意味では患者さんにとっては必ずしもいい情報ではないとは思うのですが、結果返却に関しましてはスピードアップできるかなと思います。
 もう一方で、リアルタイムでのエキスパートパネルを必要としないということとは逆に、リアルタイムでのエキスパートパネルが必要な場合はしっかりディスカッションする症例を増やせることになりますし、土原先生がおっしゃったように数も増やせる可能性がありますので、そういう意味ではエキスパートパネルできちんとディスカッションする症例についてはしっかりと専門的に検討して、加えて早く返せる可能性が出てくるということで、患者さんにとっても我々にとっても両方にとっていいかなと思っております。
○中釜座長 ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。
 若尾構成員、今の回答でよろしいでしょうか。
○若尾構成員 ありがとうございます。現時点では本当に時間的猶予のない方しかがん遺伝子パネル検査を受けられないわけですので、たとえ1週間であっても早く結果が分かって次に進むなり、ほかのことを考えるなりということができると思いますので、この時間の短縮は現時点においては非常にありがたいことだと思いました。ありがとうございます。
○中釜座長 織田構成員から手が挙がっています。よろしくお願いします。
○織田構成員 織田ですけれども、重要な御指摘をありがとうございました。実は現場にとっては持ち回りになっても2日後など、割と近い日に本番のエキスパートパネルがあるとした場合に、レポートの発行を2回に分けて出すとなると、意外と手間がかかってしまう可能性であったり、手続的に混乱が生じたりという可能性があります。現場においてそういった混乱が起こらずに、少しでも早く患者さんに返せるような形を、これはエキスパートパネルを実施する施設が努力するという意識を持つことが大事かと思いました。ありがとうございました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 ほかによろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、続きまして19ページから25ページまでのがんゲノム医療連携病院でのエキスパートパネル実施についての議論に移りますが、3つの論点に分けて議論したいと思います。
 まずは20ページの論点、一定の要件を満たし、がんゲノム医療について一定の経験と知識を蓄積したがんゲノム医療連携病院が、自施設でがん遺伝子パネル検査を実施した症例に限って、自施設でエキスパートパネルを実施することを認めること、この論点について御意見をいただけますでしょうか。
 では、中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。これは非常に大きな変化だと考えておりまして、より多くの患者さんにより迅速に結果を返していくことにおきましてすごく功を奏する変更だと思っていますので、ぜひ前向きに進めていただければなと考えて伺っておりました。実際にもうゲノム医療が保険でできるようになりまして、連携病院の中でもかなりの件数と実績を蓄積されている御施設が増えてきております。もうほぼ自立できるのではないかと感じる御施設も現時点でとても多いと認識しておりますので、これはとてもよい前向きな変更だと思っております。
 一方で、自施設の症例だけに限定しましても、やはり多くの症例を自施設でエキスパートパネルで検討していくというのは、施設の御負担はかなり増えることになりますので、エフォートに対する評価ですとか、中核拠点・拠点とのバランスも今後検討していかなければいけないのかなと考えて伺いました。
 以上です。
○中釜座長 御意見ありがとうございます。
 今の点、最後の点を含めてですけれども、事務局からお願いします。
○扇屋がん・疾病対策推進官 ありがとうございます。エキスパートパネルを開催することについてですけれども、基本的には診療報酬がついているというのがまず前提にあります。その上で中核拠点・拠点病院と連携病院の違いは最後のページで出てくる論点かとは思いますけれども、今後、人材育成の面でやはり中核拠点・拠点病院は役割を担っていただく必要があるのかなと考えておりますので、本日先生方に御意見をいただきたいポイントになります。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。この議論の中でやはり中核拠点・拠点・連携病院がいろいろな形で連携してゲノム医療を進めていくということがボトムラインの方向性としてあるかと思います。今の御指摘点をいかに運用面でできるか、それから連携病院と拠点との連携、人材育成などを引き続き続けていく必要があると改めて感じたところです。ありがとうございます。
 では、続きまして平沢構成員、お願いいたします。
○平沢構成員 私もがん遺伝子パネル検査をやるような病院では、将来的には自分の病院の患者は自分の病院でエキスパートパネルをするという考え方が、患者さんにとっても、医療者にとっても、患者さんと医療者の関係にとっても、TATに鑑みても一番理想だと考えております。これが実施されると根本的なポンチ絵が改定になると思うのですけれども、やはり原則はがん遺伝子パネル検査をやる病院は自施設でエキスパートパネルを行うことを目指す。そして今、御指摘がありましたようにそこをカバーするのが人材育成であって、、2019年6月からこの検査が始まって、そこを前提に我々も考えていく時期に来たのかなと思っております。全面的にこちらの方向で行くことには賛成です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 ほかに、土原構成員、お願いいたします。
○土原構成員 私も皆さんの御意見に全く同意なのですけれども、一方で非常に解釈に苦しむ症例にこの後も恐らく連携病院でも多々遭遇するのではないかと思います。ですので連携病院が自立した後も、拠点病院あるいは中核拠点病院がそういった情報であるとか、あるいは解釈のところでしっかりとサポートする体制は残しておく。具体的に言いますと、連携病院から求めがあったときには、拠点病院側も自らのエキスパートパネルでこれまでと同様にしっかりとした審議をさせていただくというふうな枠組みはきちんと残すということは明記されてもよろしいかと思いました。
○中釜座長 重要な御指摘をありがとうございます。
 では、続きまして武藤参考人、お願いいたします。
○武藤参考人 ありがとうございます。今の土原先生の御指摘に先にコメントしますと、21ページ目の3です。ここに臨床腫瘍学会の意見書にもこのように土原先生の御指摘の内容が書かれていて、迷う場合にはきちんと中核拠点・拠点に相談し、しっかり質の担保をすべきかなと思っております。
 あと先ほど中島先生の御指摘に関して、自立できる連携病院に関してはインセンティブとしましては厚労省からの事業費はないわけですけれども、今、連携病院は中核拠点・拠点病院にエキスパートパネル費用をかなりの額払っております。これが自施設で完結すれば、先ほど厚労省からの説明がありましたように診療報酬上、それを自施設の中で活用できますので、そういう意味でのインセンティブは自立できる連携にはあるのかなと思っています。
 ただ、将来的に平沢先生がおっしゃいましたようにゲノム医療をやる病院はしっかりそこで患者さんのディシジョンを決めるという方針に行くためには、これは多分大きな第1歩だと思いますので、ぜひこれを進めていただきたいなと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。最後、武藤参考人が御指摘のようにこの仕組みを広げていくためにも中核拠点・拠点病院の役割は引き続き大きいと思いますので、そのようなところが分かるような記載ぶりできちんと書きとめていただきたいと思います。ありがとうございます。
 ほかに御意見はございますか。
 それでは、織田構成員、お願いいたします。
○織田構成員 織田ですけれども、全体像の4ページ目の総論の部分になりますが、先ほども御説明いただきましたが、拠点病院と連携病院は、連携病院がある意味2層化されるといいましょうか、自施設で行う施設と今までどおり全例委託するというところに分かれるかと思います。そこの部分の書きぶりとして、拠点病院と自施設で行う連携病院との違いが分かりにくくなる可能性があるかと思っております。拠点病院ももちろん人材育成であったり研究開発だったりを積極的にされている御施設が多いわけですが、ただ定義上は連携していればよいという形になっています。連携病院でエキスパートパネルとレポート作成を自施設でやりますという場合、スーパーバイズを受ける、適切な形で行えるように必要な症例を依頼するというのはあるのですけれども、拠点病院と自立している連携病院との違いが少し見えにくくなってきますので、ここの部分の書きぶりに関して御検討いただければと思いました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の御指摘点について、事務局、いかがでしょう。
○扇屋がん・疾病対策推進官 御指摘いただきありがとうございます。本日のワーキンググループでこの連携病院でも自立してエキスパートパネルが可能というふうにコンセンサスが得られましたら、今後、この表についても一部改変が必要と考えているところです。織田先生御指摘のとおりでして、連携病院も1分類ではなくて2分類になっていくということも検討しているところです。
 以上です。
○中釜座長 今の説明でよろしいでしょうか。
○織田構成員 ありがとうございます。
○中釜座長 若尾構成員、お願いいたします。
○若尾構成員 今、織田構成員がおっしゃったこととちょっと関連するかもしれないのですけれども、今後、連携病院が2種類に分かれ、例えばAとかBとかに分かれる大きな節目になると思うのですけれども、現在では拠点病院と中核拠点と連携病院では金銭的な負担感が非常に違ってくると思うのです。まず第1歩目で、多分今までの流れからすると、連携病院の中で手挙げ式、意欲があって手を挙げた連携病院がエキパネができるというようなイメージになると思うのですが、決して時間の短縮ができるわけでもなく、先ほどどなたかがおっしゃいましたけれども、自分の業務時間外にすごく大変な労力をかけて熱意でやっているというような現状の中で補助金も何もないという現実を見ると、どのくらいの連携病院が熱意を持って手を挙げてくれるかということが患者としてはとても心配になるのですが、その辺のイメージはある程度ついているのでしょうか、お尋ねします。
○中釜座長 今の御指摘点は診療報酬上の観点からそういう御意見があったと思うのですが、事務局、改めていただけますでしょうか。
○扇屋がん・疾病対策推進官 御指摘いただきありがとうございます。補助金について現時点で何か明確なことを申し上げるのは難しいところではありますけれども、今後、連携病院で可能となった場合に現場から種々課題などが上がってくるかと思います。そういった課題を踏まえまして、今後、検討を進めるものと承知しております。
 以上です。
○中釜座長 よろしいでしょうか。若尾構成員、お願いいたします。
○若尾構成員 拠点病院や中核拠点に依頼した場合としなかった場合のイメージなんかもある程度明確になると手を挙げやすいのかなと思いますので、すぐに補助金をつけるつけないというようなことにはならないと思いますけれども、そういった点もこの要件の中で示していただけると分かりやすいかと思いました。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 では、菱木構成員、お願いいたします。
○菱木構成員 菱木でございます。
 今日は小児血液がん学会からの推薦で参加しているのですけれども、私の施設が連携施設で現状頑張ってやっておりますので、その現状も踏まえて少し御検討いただきたいということで、私の施設は大体年間に200数十件というペースで出検しているのですけれども、実際にエキスパートパネルは連携先の拠点病院でやっていただいているのですけれども、レポート作成も本当に完成版に近いものを私どもの若い先生たちが作成してという形で、ほぼ自分たちのところでやっているのと同じくらいのエフォートを割いている。それが私どものほうでエキスパートパネルができるという形にしていただけるのであれば、先ほど武藤先生もおっしゃっていただいたように拠点にお支払いしている費用を私たちのほうで活用できるというところで、ただそれで人が何人雇えるのかなということを頭の中で少し試算いたしますと、ぜひ少しでも補助をいただけるのであれば、そういった方向で御検討いただきたいなというのが恐らく多くの連携施設の気持ちではないかなと思いますし、そういうふうにしていただいたらより手挙げをしやすくなるかなと感じております。
 以上です。ありがとうございました。
○中釜座長 ありがとうございます。連携病院からのお声として貴重な御意見と思います。ありがとうございました。
 織田構成員、お願いいたします。
○織田構成員 織田ですけれども、今の点とも関連するのですけれども、今回資料の総論の6ページを見てみましても、7つの施設が新たに連携から拠点になったということが示されていたかと思います。拠点プラス中核拠点で合わせて45か所という施設総数は変わっていませんので、そういう意味では、逆に言えば7つの施設が拠点病院から連携病院に回ったということになります。その7施設というのはこれまで拠点病院としてしっかりと活動されていて、そこで行われていたエキスパートパネルも適切なものであって、たまたまコンペティティブな中で今回の拠点の指定には含まれなかったということになるかと思います。そういう意味ではその7施設は既に十二分な実績があるという中で、補助金がゼロになるかどうかというオール・オア・ナッシングの形で今回拠点に手挙げをした、あるいは今後連携として手挙げをする、というような状況が考えられます。各施設が持続可能な人員の雇用をどう考えようかというのはすごく難しいのではないかと思います。今回拠点から連携に回ったことによって、これまで雇用できていたせっかく育成されたがんゲノム医療に習熟した専門のスタッフの雇用が途切れてしまっていないかも危惧されるところです。補助金は非常に難しいかと思うのですけれども、安定的な人材の雇用であるとか人材の確保、せっかく育成された人材が適切な形で継続的にがんゲノム医療に関われるような形につきまして、補助金も含めて御検討いただければと思いました。
○中釜座長 重要な御指摘ありがとうございます。がんゲノム医療が広く日本中に広がるための均てん化を目指した1つの課題としてあると思いますので、その点を踏まえて引き続き現状を踏まえながら検討していければと思います。
 ほかによろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、今の議論で一定の要件を満たしたがんゲノム医療連携病院において自施設でのエキスパートパネル実施を認めることに関しては構成員の先生方から広く合意をいただいたと理解いたしますので、次の検討について進みたいと思います。
 21ページ目から24ページまでには自施設でエキスパートパネルを開催可能な連携病院の要件、さらには運用案について記載されています。この点についていかがでしょうか。
 では、金井構成員、お願いいたします。
○金井構成員 運用案そのものではないかもしれませんけれども、21ページ目の記載に関して日本病理学会の立場で発言いたします。
 課長通知で定めるエキスパートパネルの出席者ということで、先ほどエキスパートパネルの要件として「がん遺伝子パネル検査に関連する病理学に関する専門的な知識」ということを明記するということで前向きに検討していただけるというありがたいコメントを頂戴したところですけれども、これをエキスパートパネルの開催要件といたしまして、なおかつ連携病院が手挙げをするということであると、現在の連携病院の要件として連携病院には病理学に関する専門的な知識、つまり病理専門医相当のことが書かれていて、分子病理専門医相当のことは書かれていないことについて御懸念を持たれるかと思われましたので発言しております。
 先ほど述べましたように既に分子病理専門医を581名養成しておりまして、またこれから間もなく800名体制に入ろうというところで、実働している病理専門医の3分の1に近い人数がエキスパートパネルで主導的に発言できる能力を蓄えるように目指しているところで、その数は中核拠点・拠点病院をはるかに上回る数でありまして、連携病院にもかなり多数の分子病理専門医が所属しております。ですから経験と知識を蓄積した連携病院が手挙げするということであると、その要件に分子病理専門医が在籍するということが含まれていたとしても大きな障害にはならない、実力のある連携病院はそのような要件がついていても十分手挙げをしていただけると考えておりますし、日本病理学会としても、学会の立場ですけれども、がんゲノム医療に関する人材育成について強い意欲を持って、単に形態診断をするだけではなくて、あらゆる病理専門医が分子病理専門医を目指す体制を今、促進しているところですので、このような形で分子病理専門医がいる連携病院は手挙げができるという体制を構築していただけると、さらに均てん化が加速できるという意味で大変ありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○中釜座長 重要な御指摘ありがとうございます。
 今の御指摘について、事務局、いかがでしょうか。
○扇屋がん・疾病対策推進官 御指摘いただきありがとうございます。エキスパートパネルは一定の質を担保する必要があるという点において、先生が御指摘の分子病理学に精通した医師が必要ということであれば、ここに記載のとおり「課長通知に示すエキスパートパネル実施要件を満たすこと」ということで、おのずとその中の要件で入ってくると考えております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 この点についてほかの構成員の先生方、何か御意見はございますでしょうか。
 では、武藤参考人、お願いします。
○武藤参考人 今の金井先生のコメントは非常に重要なことかなと思っています。特にアメリカなど海外では分子病理の先生方が診断して推奨治療まで報告するという状況になっているので、そこまで今の病理の先生方ができるのかなというのは一足飛びにはなかなか難しいかなと思っています。エキスパートパネルの実施要件で、病理学の専門家というところをがん遺伝子パネル検査にと変えてしまうと、なかなかそこはハードルが高いのではないかなと個人的には思っておりまして、今、病理の先生方もエキパネに参加していただくと、多分病理の先生方はふだん免疫染色されたり遺伝子検査をしてがんゲノム、遺伝子異常についてはかなり精通した先生方が非常に多いと思うので、病理という括りの中で運用したほうが現時点ではフレキシブルに行けるのではないかなと思っています。「がん遺伝子パネル検査に」としてしまうと少しハードルが上がってしまって、なかなか運用が難しいのかなと思っています。病理の先生方は日常的に免疫染色とかで遺伝子の検査をされているので、多分そこである程度のリテラシーはあるのかなと思っているのですけれども、いかがでしょうか。
○中釜座長 今の点については課長通知の中にそのような記載があることが中核拠点・拠点の中には記載されているかと思いますので、そういう理解をしていますが、金井構成員、何か追加で御発言はございますか。
○金井構成員 認定要件に既に「がん遺伝子パネル検査に関する」ということは明記されているところで、それで運用されておりますし、エキスパートパネルの課長通知にも取り入れていただくということであると、もちろんリテラシーがあると言っていただけるのはそのとおりであると思うのですけれども、さらに毎年250名単位で試験を受験して、受験するためには種々の講習であるとか勉強をしなければいけないのですけれども、そういう病理専門医が意欲を持ってどんどん増えておりますので、ハードルが高すぎるということにはならないと考えておりますし、そういう傾向は均てん化のために望ましいと思うので、そして普通の連携病院にもかなり多数の分子病理専門医が在籍しているという状態ですから、「分子病理専門医相当のがん遺伝子パネル検査に関する」という記載をつけていただくということで、何かそれがネックになって手挙げできない施設は生じないだろうと考えておりますので、むしろこのまま課長通知のとおりに運用していただくのが望ましいのではないかと思います。
○中釜座長 指定要件の中にその記載があるということですので、その点はそれほど無理はないかと思います。連携病院に関して、連携病院のエキスパートパネルの開催要件としてそのレベルを求めるということに関しては、陣容的にも無理はないのではないかという金井構成員からの御意見でした。よろしいでしょうか。
 ほかに関連して何か御発言はございますか。
 よろしいですか。要件案、運用案両方ですけれども、特段の追加の御発言はよろしいでしょうか。
 土原構成員、お願いいたします。
○土原構成員 要件については非常にハードルが高いというか、むしろ厳しいものかなと思います。現行の拠点病院にほぼ準じていると思いますので、これだけのハードルがあれば質の担保も十分だと思います。
 一方で、私の目から見てもかなりハードルが高いので、逆にどれくらいの連携病院がこの要件に合致すると見込まれるのかというのがちょっと気になります。ですのでもし事務局のほうで試算があれば、あるいは必要であれば参考人の方の御意見も伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜座長 今の点について、先ほどエキスパートパネルの検討実績あるいは治療を実施した症例については全体としての表、グラフが出ていましたが、これを全て満たすということではどのくらいの施設があるのかということに関して、事務局、いかがでしょう。
○扇屋がん・疾病対策推進官 御質問いただきありがとうございます。21ページ目の2のところです。「以下の実績を有すること」というところの要件を満たしているものを事務局で試算したところ、大体40から50施設くらいになるという試算になっております。
 以上です。
○中釜座長 今の回答でよろしいでしょうか。
 それでは、続きまして織田構成員、お願いいたします。
○織田構成員 お願いいたします。第三者認定のことを少しお聞きしたいのですけれども、連携病院に関しては第三者認定を受けた臨床検査室あるいは病理検査室を有することが望ましいとなっているわけですが、拠点病院に関しては基本中核と同様に有することという規定になっていたかと思います。そうすると実は第三者認定がネックになって拠点に申請できなかった、もしくは拠点病院に指定されなかった施設も存在し得ることになります。連携病院のこの要件案の中に、1を見ますと、結局絶対に第三者認定がないといけないということになってしまうと思うのですが、候補となる今、挙げていただいた40~50の施設はほぼ第三者認定は受けておられるという理解でよいのか、この点が実はネックになって、どれだけ意欲と能力があっても自施設開催が難しい施設が出てこないか、この点を御意見いただいてもよろしいでしょうか。
○中釜座長 今の御指摘について、事務局、いかがでしょうか。
○扇屋がん・疾病対策推進官 御質問いただきありがとうございます。先ほどお示ししました40から50といいますのはあくまで21ページ目の実績の部分のみを試算したものになりまして、先生御指摘の第三者認定のところまでは確認していないものになります。
 以上です。
○中釜座長 今の回答でよろしいでしょうか。
○織田構成員 そうしましたらやはり認定がなければどれだけ意欲があっても手挙げはできないという解釈になるかと思うのですが、そのような形で狭めるのも致し方ないということでよろしいでしょうか。
○中釜座長 今の御指摘についていかがでしょうか。
○扇屋がん・疾病対策推進官 今回お示ししています要件案はあくまで21ページ目に示しているもののみになりますので、先生御指摘のポイントにつきましては論点になってくるかなと思いますので、先生方の御意見をいただきたいところです。
 以上です。
○中釜座長 それでは、今の御意見に対してほかの構成員の先生方から何か御発言はございますでしょうか。
 平沢構成員、お願いいたします。
○平沢構成員 令和4年8月1日の中核拠点の整備について参考資料3ではがんゲノム医療連携病院については臨床検査室と病理検査室に第三者認定を受けることが望ましいとなっています。がん遺伝子パネル検査が保険収載されてからすでに時間もたっていますので、近い将来はがん遺伝子パネル検査を施行する全病院は第三者認証を受けることを条件にしてもいいと考えています。
○中釜座長 今の御意見は一定の期間を設けてその認定を受けることと理解してよろしいですか。
○平沢構成員 はい、将来的にはやはりこれはこういった病院ががん遺伝子パネル検査をやるという将来の姿が必要かなと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 ほかの先生方、今の御意見を含めて第三者認定に関してはいかがでしょうか。
 土原構成員、お願いいたします。
○土原構成員 いずれも非常に重要な御指摘ですし、平沢先生がおっしゃるとおり将来の目標としては大事だとは思うのですが、やはり一方で今、これだけのネットワーク、数百施設が一度に動くというネットワークで、毎月2,000例弱の患者さんが検査を受けていらっしゃるのも現実であると思います。連携病院という仕組みをつくることによってネットワークが大きくなって、患者さんのメリットが増えてきたという観点も一方で検討する必要はあると思います。ある意味非常に重要な問題ですので、この辺りについては今の連携病院での各項目の充足状況等を客観的に調べた上で、次回以降の検討の中でしっかりと議論するのが望ましいのではないかと個人的には思いました。
○中釜座長 ありがとうございます。しっかりと議論する前提として、一定の猶予期間を設けてその体制を規定するというようなことをある程度書いておくということですか。土原先生、いかがでしょうか。
○土原構成員 それも含めて本当に認定を取らなければいけないかどうか、特に今回は連携病院が2層に分かれるという大きな変更もありますので、まずは現状の調査をしっかりして、その結果を見た上で次にどうするかというアクションを決めるのでも十分間に合うのではないかと感じました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見はございますでしょうか。
 中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。私も土原先生の御発言に賛成でして、もちろん将来的な理想像を掲げながら要件検討を進めていくのはとても大事なことだと思っておりますので、しっかり時間をかけて現状を把握した上での検討にしていかないと、今、連携病院でエキスパートパネルをできるようにしたり、とても大きな変更を行おうとしているところでございますので、その状況も踏まえながら時間をかけて検討していくべきかなと思います。
○中釜座長 ありがとうございました。
 ほかにこの件について御発言はございますか。
 ありがとうございます。皆様の御意見をお伺いすると、特に今、それをきちんと書き込むというよりは、運用を見ながら、実績を見ながら判断していくのでよいのではないか、将来的にはそういう議論も絶対必要だろうということですが、事務局、今のコメントはいかがでしょう。
○扇屋がん・疾病対策推進官 御意見いただきありがとうございます。今、中釜座長におまとめいただいたとおりとなりますが、今後のポイントとして目標として見ていくということで、今回については要件化しない方向と理解しました。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 ほかに要件案、運用案についての御発言、御意見はございますか。ほかの論点について。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、3つ目の論点といたしまして25ページ以降ですけれども、連携病院におけるエキスパートパネルを実施可能とした場合の論点ということですが、これについていかがでしょうか。特に中核拠点・拠点側の視点からの論点だと思いますが、御意見はありますでしょうか。
 では、土原構成員、お願いいたします。
○土原構成員 今のスライドの下のほうにありますけれども、やはり引き続き連携病院においてがんゲノム医療が適切に提供されるように中核拠点病院あるいは拠点病院側が務めるというところが1つ大きなポイントだと思います。今、従来も全ての拠点病院あるいは中核拠点病院において定期的に連携病院との会議は通常のエキスパートパネル以外でも実施してきているところだとは思うのですけれども、そういったところをどれくらいしっかりと情報共有の場を持っているかということ、これは中核拠点病院や拠点病院側の審査であったり、毎年の報告の中にきちんと実績として報告するということも併せて注意喚起されるのが適切かなと思いました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 ほかに、中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。新しく連携病院でエキスパートパネルを開始するという時期に関しまして、特に中核拠点もしくは拠点病院からのサポートは心強いと思いますので、人材育成ですとか連携はこのまま引き続き保っていくことは非常に大きな点かなと思いますし、中核拠点もしくは拠点が自立してOKという認可をした後も継続的に連携がしっかり自立できているかどうかを評価しながらサポートしていくところは重要な点かと思っています。そこが先ほども少し議論になりましたが、拠点病院・中核拠点病院の補助金が出ているところの役割にもつながってくるのかなと思っています。やはり他施設との連携構築ですとか人材教育に関するアドバイスは大きな役割となってきますので、そこをやっているのが拠点病院と中核拠点なのだというところの意義にもつながる重要な点かと思います。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。中核拠点・拠点の意義に関して補助金の位置づけということの説明でしたが、事務局、何か追加で御発言はございますか。よろしいですか。
 ほかに、若尾構成員、お願いいたします。
○若尾構成員 若尾です。
 直接運用のところと関係するのかどうかも分からないのですが、拠点病院の連絡協議会の中にエキパネの標準化ワーキンググループがあると思います。このエキパネの標準化のワーキングと今回連携病院がエキスパートパネルを自施設でできるというようなことが現実化した場合、このワーキンググループと手挙げをしてくれた連携病院との関係はどんなふうになるのか教えてください。
○中釜座長 重要な御指摘と思いますが、今の御指摘に関していかがでしょうか。事務局、お願いいたします。
○扇屋がん・疾病対策推進官 御指摘いただきありがとうございます。現時点では明確に検討できていないところでありますので、今後、協議会の在り方、その下のワーキンググループの在り方を考えていく必要があると考えております。
 以上です。
○中釜座長 よろしいでしょうか。重要な御指摘と思います。
 ほかに御意見はございますか。この会議の冒頭に若尾構成員から、誰一人取り残さない、そのための隙のない取組という観点からは、各施設の自立とともに中核拠点・拠点さらには連携病院の連携は本当に重要な視点だと思います。それなくして恐らく誰一人取り残さない均てん化を実現できるがんゲノム医療体制は実現しないと思いますので、冒頭の若尾構成員の御意見、発言を踏まえながら取り組んでいければと改めて思った次第です。ほかの構成員の先生方、何か御意見はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、全体を通じまして何か改めて御意見、御発言はございますでしょうか。特にございませんでしょうか。
 それでは、本日は本当に活発な御議論ありがとうございました。本日の議論の内容につきましては座長のほうで取りまとめを行い、今年度中に開催予定の「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」の中で御報告したいと思います。またあり方検討会で検討いただき、承認が得られましたら、各種通知が改定されて、厚生労働省から発出されることになると思います。構成員の皆様の御協力に改めて御礼申し上げます。
 それでは、これをもって本日のワーキンググループを終了させていただきます。どうもありがとうございました。

照会先

健康・生活衛生局がん・疾病対策課

代表 03-5253-1111(内線4608)