第166回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和5年8月24日(木)14:00~16:00

場所

全国都市会館 大ホール

議題

  1. 1.診療報酬改定の基本方針について(前回の振り返り)
  2. 2.マイナンバーカードと健康保険証の一体化について

議事

議事内容
○池上課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第166回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして大変ありがとうございます。
 まず、前回の医療保険部会開催以降、事務局に人事異動がございました。
 私、保険局総務課長を拝命いたしました池上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それ以外の新任の者について、私より御紹介いたします。
 保険課長の山下でございます。
 国民健康保険課長の笹子でございます。
 高齢者医療課長の安中でございます。
 医療介護連携政策課長の竹内でございます。
 医療課医療技術評価推進室長の木下でございます。
 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、菊池部会長代理、内堀委員、羽田委員、原委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 また、藤井委員より、途中退席後オンラインで御参加いただけるとのことですので、あわせて御紹介いたします。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、恐れ入りますが、カメラの方は御退席をお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○池上課長 それでは、以降の議事運営は、田辺部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○田辺部会長 まず、欠席される委員の代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。
 内堀委員の代理といたしまして熊耳知徳参考人、原委員の代理として井上誠一参考人、以上2名の出席につき、御承認賜れればと思いますが、いかがでございましょう。よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ってまいりたいと思います。
 本日は、「診療報酬改定の基本方針について(前回の振り返り)」、「マイナンバーカードと健康保険証の一体化について」、以上の2つを議題といたします。
 では、まず、「診療報酬改定の基本方針について(前回の振り返り)」を議題といたします。
 それでは、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
 お手元の資料1「診療報酬改定の基本方針について(前回の振り返り)」という資料を御覧いただきたいと思います。
 診療報酬改定につきましては、皆様御案内のとおりかと思いますけれども、予算編成過程を通じて内閣において改定率、医療費総額が決定され、社会保障審議会医療部会、医療保険部会におきまして基本方針を策定していただき、その基本方針に基づいて中央社会保険医療協議会、中医協において具体的な診療報酬点数の中身、あるいは条件について審議を行うという流れになっております。
 また、次期診療報酬改定につきましては6年に1度の介護報酬、障害福祉サービス等報酬との同時改定となります。こうしたことも踏まえながら、今後、この社会保障審議会医療保険部会と医療部会におきまして、令和6年度、次期診療報酬改定にどのように臨むかといった基本方針について、御議論をいただきたいと考えております。
 次のページには、参考までに、前回、令和4年度診療報酬改定の基本方針について、概要を御用意しております。2部構成になっておりまして、1部、上のほうの箱でございますけれども、改定に当たっての基本認識ということで4つの基本認識、具体的には新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築など医療を取り巻く課題への対応、2点目として、健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現。3点目として、患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現。そして最後に、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、それから経済・財政との調和ということで掲げられております。
 こうした基本認識の下、改定の基本的視点と具体的方向性ということで4つの柱を掲げております。(1)と(2)が重点課題ということになっております。読み上げさせていただきますと、(1)新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築。(2)として安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進。(3)として患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現。そして最後に、効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上。こうした内容が前回の基本方針の概要でございます。
 そのほか幾つか参考資料を御用意してございます。参考資料1といたしまして、前回、令和4年度診療報酬改定のスケジュールの実績をおつけしてございます。また、参考資料2といたしまして、令和4年度診療報酬改定の基本方針の本文。それから、参考資料3として、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針2023の主な箇所の抜粋。それから、参考資料4として、医療介護総合確保法に基づく地域における医療・介護を総合的に確保するための基本的な方針、総合確保方針の概要でございます。
 今回は、令和6年度診療報酬改定の基本方針の策定に向けた議論のキックオフということでございますので、大局的な視点から幅広く御意見をいただければと考えております。
 事務局からの説明は以上です。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたら、挙手にてお願いいたします。それから、オンラインにて参加の委員におかれましては、挙手ボタンを押してお知らせいただければ幸いです。
 では、いかがでございましょう。
 藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 御説明、ありがとうございます。意見を申し述べさせていただきます。
 現在、我が国にとって、人口減少のさらなる進行への対応が重要な課題となっております。基本方針において、年齢に関係なく、意欲と体力を持つ国民が活躍できる環境づくり、及び、それに不可欠な健康寿命の延伸、それから、国民のヘルスリテラシーの向上とセルフメディケーションの推進を目指す姿勢を、さらに強く打ち出してもよろしいのではないかと考えます。
 また、医療提供体制の充実という観点から、病院や薬局のかかりつけ機能をどう位置づけるかということも、重要な点かと考えます。
 なお、この後の議題にも関連いたしますけれども、マイナ健康保険証のプラットフォームの活用を通じまして、国民による自身の健康管理向上を進化させる方策の検討ということを、基本方針で何らかの形で触れていただいてもよろしいのではないかと考えます。例えば、慢性的な疾病を持つ患者さんについて、医師に、診療の一環として、継続的に病状の変化や治療の効果に関する情報をアップしていただき、マイナポータルから見られるようにすれば、患者さんへの情報のフィードバックが進むと、そんな取組も考えられると思いますけれども、いかがでしょうか。検討していただければ、よろしいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 ありがとうございます。日本医師会副会長の猪口でございます。今回の診療報酬改定について、幾つか意見を述べさせていただきます。
 令和6年度の改定は診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等の報酬、いわゆるトリプル改定と言われております。参考資料にもあります骨太の方針2023には、同時改定において物価高騰、賃金上昇、経営の状況、担い手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担、保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行うとされております。
 特に今般、食事療養費については26年間見直しが行われておらず、ほとんどの病院が給食部門は赤字であり、給食業者も提供困難となっているという現実があります。骨太の方針に基づいた令和6年度の同時改定が実現されるように強く求めるものであります。
 また、新型コロナウイルス感染症の診療については、特例措置も縮小されてきておりますが、今後は新型コロナウイルス感染症に限らず、新たな新興感染症にも対応できる感染症への対策を診療報酬上で評価することも検討が必要と考えます。
 医療DXに関しては、その目的である医療機関の負担の極小化を実現するためには、診療報酬改定の施行時期を後ろ倒しにするだけではなく、同時に他の取組も必要と考えておりますので、ぜひお願いしたいと思います。
 令和6年4月から医師の働き方改革の制度がスタートいたします。働き方改革の目的は、勤務医の健康を守ることが第一義的ではありますが、同時に、取組により地域医療の継続性や医療の質向上が損なわれないようにしなければならないと思っております。
 この改革を推進するために、これまで診療報酬や基金等により様々な後押しがなされてきており、診療報酬改定等で行われてきた取組については維持・継続していかなければ働き方改革は実現できるものではないということをぜひ御理解いただき、検討していただきたいと思います。
 また、もう一つ、ただいま藤井委員からありましたマイナポータル等に医療の経過を載せるということですが、検査値等は載せることになっておりますけれども、実際の診療の経過を載せるのはなかなか難しい話だと思いますので、この話はまだまだ時期尚早なのではないかと感じました。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。令和6年度診療報酬改定の基本方針を決定するに当たりまして、保険者の立場から一言意見を申し述べさせていただきます。
 人口構造の変化などにより、今後ますます厳しくなる状況の中で、質の高い医療提供体制を維持しつつ、医療保険制度の安定性、持続性を維持していくことは極めて重要であると考えており、令和6年度の診療報酬改定に向けて、国民が質の高い医療を受けられる機会を確保しつつ、保険制度の持続可能性を確保するために、効率化・適正化を通じた各種取組を進めていただきたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。本日の議題は前回の振り返りということでございますけれども、資料1の3ページを見ますと、やはり前回、令和4年度の改定の基本的な検証が必要だと思います。そういう意味で、引き続き重要な課題として残っているものや、前回とは状況が変わっているもの等を整理することが重要だと思っております。
 そういう中で、引き続きの重要な課題としては、医療費が足元で高い伸びを示しております。さらに、御承知のとおり団塊世代の後期高齢者への移行が進んで、今後も医療費はますます増加する一方で、支え手が急速に減少していくという極めて厳しい見通しを踏まえれば、やはり社会保障制度の安定性、持続可能性の確保というのは不可欠だと思います。入院、外来のいずれを取っても、依然として効率的で効果的な医療提供体制が構築されたとは言えない状況かと思いますので、次回改定で取組を強化すべき、加速すべきだというふうに考えております。
 また、今回、骨太2023の資料を示されており、この中で「少子化対策・こども政策の抜本強化」の内容が紹介されておりますが、骨太方針の本体においては、資料に記載された部分の前段に、経済成長や歳出改革等による公費節減効果や社会保険負担軽減の効果を活用することによって、国民に実質的な追加負担を求めることなく加速化プランを推進するということが書かれております。これまで長らく賃金、物価が伸びない中で、医療費が増加し続けてきたということも踏まえて、この新たな課題に対応するためにも、適正化・効率化の視点は極めて重要だと思います。
 後発医薬品や長期収載品に関わる見直しですとか、また、国民・患者の視点で医療DXを医療の効率化、質の向上に確実につなげていただくという視点も必要だと考えております。
 一方で、新型コロナウイルス感染症については、感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ5類になったこと、また、今回の6年に1回の医療・介護・障害福祉の同時改定ということを踏まえても、前回とは異なる要素として留意すべきだと考えております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、熊耳参考人、お願いいたします。
○熊耳参考人 ありがとうございます。令和4年度改定の際の4つの基本的視点は、引き続き重要な視点になるものと考えます。新型コロナウイルス感染症対応について、入院が必要な方については、今後、全病院での対応を目指すこととしていることから、診療・検査等における医療機関の負担を適切に評価し、感染症対策に必要な経費を踏まえた診療報酬の見直しを行うとともに、今後の新興感染症等の感染拡大にも対応できるよう、診療報酬の見直しをお願いいたします。
 加えて、エネルギー、原材料及び資材価格の高騰は全国的な課題であり、都道府県単位の臨時的な補助金等ではなく、診療報酬の改定により全国一律の対策をお願いいたします。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、横本委員、お願いいたします。
○横本委員 このたび医療保険部会の委員を拝命いたしました、経団連の横本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。今回、私のほうからは、基本方針の議論のキックオフということでございますので、改定に当たっての基本認識について御意見を申し上げたいと思います。
 少子高齢化が加速しまして、制度の支え手である現役世代の減少が顕著になるということは皆さん御承知おきだと思いますけれども、令和4年度の診療報酬改定の基本方針と同様、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和という点につきましては、引き続き重要だという認識でおります。改定後の2年間だけではなくて、中長期的な視野から医療需要の変化を踏まえた提供体制の見直しを促す改定とするべきだと考えております。
 また、企業は成長と分配の好循環の実現に向けまして、構造的な賃金引上げに取り組んでいるところでございます。経済・財政との調和という観点からも、現役世代の負担増には十分配慮いただき、好循環を阻害しないような改定とすることをお願い申し上げたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、渡邊委員、よろしくお願いいたします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。よろしくお願いします。
 今回の基本方針を検討する上で、今もありましたような少子高齢化等の人口構造に伴う国民の生活様式の変化、それに加え、新型コロナウイルス感染症への対応、そして、6年連続になっています薬価改定、医薬品の供給問題、物価高騰、また、賃金上昇への対応など、医療現場は様々な影響を大きく受けている状況にあります。
 次回診療報酬改定の基本方針においては、これらの視点に加えて、医療・介護・障害福祉のトリプル改定という部分も踏まえた認識が必要だと思いますので、数点意見を述べさせていただきたいと思います。
 1点目ですけれども、前回改定で新型コロナウイルス感染症への対応が柱になっていたわけですけれども、今後起こり得る新興感染症に備えるための薬局の感染症対策の強化とともに、医療計画にも示されているような地域においての薬局や医療機関をはじめとした関係機関との連携強化を充実させていく必要があると思います。
 また、今回は医療介護の同時改定でもありますので、在宅という観点においても、さらなる連携体制の構築の上でも、医療・介護をシームレスにつなぐ両制度の改定にとって重要な改定になると思います。
 今回の同時改定に関しては、2025年の地域包括ケアシステムの改修を目前にした改定であり、医療介護関係者との連携の下でかかりつけ機能の推進、そして、薬局薬剤師業務の推進による適切な薬物療法の提供が重要であり、特に適切な薬物療法の提供においては地域においての医薬品提供体制は欠かすことのできない視点だと思っています。
 ただ、現状、医薬品の供給問題については、先月の時点でも限定出荷、出荷停止というような部分が全体の22.4%に至っているという状態の中で、鎮咳薬等、医薬品の提供に大きな支障が生じ続けているという状況です。
 このような状況にあって、医療保険財政の持続可能性という部分を維持するためにも、薬局で可能な限りの後発医薬品の使用には努めておりますけれども、医薬品の供給が不安定な中、維持をするだけでも現場が手いっぱいになっているという状況だけには配慮いただきたいと思います。
 また、あわせて第4期医療費適正化計画では、後発医薬品の使用促進とともにバイオシミラーの使用促進に関する目標値も出ていますけれども、これにおいても同じく安定供給を確保しつつ、現場や企業に無理させない形での推進策等をお願いしたいと思います。
 次に、医療DXに関してですが、システム全体で連携を考えた情報の共有・活用が重要と考えます。レセコンのみではなくて電子カルテ、電子薬歴を一体的に運用していくことが必要であり、電子的に標準化されたカルテ、薬歴、それからデータの抽出による文書の作成・提供・共有の仕組みという部分も必要になると思います。
 また、この医療保険請求におけるレセプト情報という部分に関しても、診療報酬の明細書というだけの概念のみにとらわれず、活用していくことで、直接オンライン資格確認の基盤に情報を載せることのできる基盤の活用という部分になるかと思っています。あわせて、電子処方箋における薬局からの調剤情報の医師へのコメント等を付加しての提供も同様に考えており、共有可能な基盤の利用という部分も含めて、一体型として医療DXを進めることで医療の質の向上や業務の効率化、連携推進という部分を考えていくべきだと思います。また、ここに関しては、個々の施設の特性に応じたサイバーセキュリティーという部分の体制の整備も重要かと思っています。
 もう一つ、今後さらなる発展が予想されている治療用プログラム医療機器に関してですが、その普及の中で多くの患者さんを抱えるドクターが、それらの提供から使用上のトラブルにおいてまで対応していくというのはかなり大きな負担だと思います。あわせて、医薬品との併用がなされていくということを考えても、医師と薬剤師が連携した提供体制のために必要な保険診療上での取り扱いの整理など制度上の整備が必要であると思います。それにより、国民皆保険下でのSaMDの進展につながるのかなと思っています。
 また、病院におけるタスクシフト・タスクシェアリングの部分に関しては、医師の負担軽減だけではなくて、より質の高い安心・安全な医療の提供につながるという部分も踏まえて、そこには薬剤師の確保という観点も必要になります。それには医療と薬事の双方で政策や制度の議論も必要であると思いますので、医療計画を踏まえて、医政局であったり、医薬局であったり、関係部局としっかりと連携した協議や適切な検討をお願いしたいと思います。
 その上で、今回の改定に当たっては、大病院においてはさらなる業務拡大に向けた薬剤師数の拡充が必要であるとともに、中小病院のほうでは、業務上必要な薬剤師数が確保できていないという現状にも考慮しながら、病棟での業務が進むように、施設の特性等に応じた評価が必要であると思っています。
 最後になりますけれども、効率性に応じた薬局の評価を推進するに当たっては、敷地内薬局という部分に関してはさらなる厳しい対応等が必要なのかと思います。そのほか、全体的な視点として、様々な業務に取り組む必要性はあるものの、業務の効率化、また長時間労働や残業など、薬剤師の働き方という部分の改革も進めていくことが重要と考えております。
 長くなりましたが、私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。診療報酬改定は単に報酬の改定のみならず、日本の医療の今後の方向性とか、充実させるウエートをどこに置くかとか、あるいは財政面、そして医療機関の経営面など、いろいろなところに影響を及ぼすものですので、極めて重要なものだと思っています。本日、幾つかの課題所見を出すという形で御意見を述べさせていただきたいと思っています。地方自治体の首長として、また、全国後期高齢者医療広域連合協議会の会長として活動させていただいていますので、そういった点で感じていることを幾つか述べます。
 まず1点目は、資料にもありましたように、新興感染症への対応というのは避けて通れないと思います。政府におかれても、プロジェクトチームやワーキンググループで今細かい議論がされていますけれども、ハード面やソフト面、そしてヒューマン、人材面ですね、こういったことをしっかりしていくことも配慮すべきだろうと思います。
 2つ目は、コロナ感染症そのもののことでございます。私の家族や知っている方がコロナに感染し、私も感染しました。私の症状は軽度だったのですけれども、重い方の場合はいまだに後遺症が残っている方も多いかなと思います。専門機関や報道のコメントを見ましても、後遺症の主な症状だけリストアップしても50、60はざらに出てきます。専門家に聞くと100を超えます。実に様々、いろいろな症状が出ています。脱毛もそうですし、味覚がなくなるや頭痛など、ほかのこともそうです。そこで一番私が気にしているのは、感染隔離期間や後遺症症状が出ている期間があり、免疫力がその間に落ちてしまっていることです。体力も落ちます。そして、そのことが起因となって、後々の違う病気への誘発要因になっていることもありえると思われることです。可能ならば、政府において、コロナ感染症の全ての悉皆調査は無理だとしても、適切な調査をして何らかの対応をすべきですし、そのことを配慮した医療の体制のための報酬改定ということもぜひ考えるべきではないかなと感じます。おそらく、感染症後遺症の方々は潜在しておられ、長引いている不調の方がたくさんおられると思われます。ぜひこれを対応すべきだと思います。そうでないと、今回の新型コロナウイルス感染症の経験が後世に活かせないと感じます。
 3点目は、先ほど来、意見も出ていますデジタルに関することです。医療機関としてはマネジメント、政府としてはガバナンス、このことをいかにイノベーションしていくかということが時代の急務であります。ひとつには、それらのことがあり、関連してマイナポータルをどう活用していくのかもあります。より多くの方々が有効に、この新たな行政サービスイノベーションツールを使うことによってマイナンバーへの理解も進むと思います。報道機関等の今の炎上とかを見ていますと、マイナンバーそのものに課題はないのだけれども、そこに今日至るまでに蓄積されてきたデータに、必ずしも正確でない部分があって、それがいろいろな不都合を起こしている側面も多いようだと感じます。そういったデジタル面のことがございます。
 4点目は、身近なことで、誰でもみんなができる1つの健康保持の方法として歯科口腔医療があると思っています。毎朝歯を磨くとか、寝る前に磨くとか、途中でケアをするとか、あるいは何か月ごとに歯科医院でケアをするということで、本当に身近なことでできる訳です。その効果として、感染症予防にもなれば、認知や糖尿病の予防にもなるとも最近聞きます。あるいは全身の神経系とも歯は連動していますので、放っておくとあちこち痛くなるということもあるようです。そういった意味での注目も必要と思っています。それに最近知ったのですけれども、報道でおなじみのデヴィ夫人は83歳、28本の歯は全て自分の歯だそうです。すごいことだと思いますが、やはりこういった、やればできるんだなと思いました。
 次に、5点目は救急医療のことです。自治体では消防と連携して救急医療の対応を行っているわけです。その現場は、現場に出動する救急救命士をはじめ、救急外来病棟の医師の皆さんの献身的な尽力によって成り立っています。それはまさしく、昼夜を問わず、あらゆる困難を克服しつつ対応されています。救急コールが混むときも大変ですし、都会では待たせてしまって大変だということが時々報じられています。この救急医療を体制として維持していくためにも、人的な確保と病院としての対応は極めて重要です。一方では、働き方改革という時流に応じる必要性がありますから、その対応をどうするのか。こういったことへの配慮もしながら課題を乗り越えるべきと思います。
 6点目は、そのことも踏まえて、全国的課題でございますが、地域医療の確保ということがあります。地域医療をいかに確保するかということは、特に公的病院がしなければいけない部分もあるのですけれども、開業医の皆さんや診療所の皆さんとうまく連携をしながら、国民すなわちその地域の住民が不安にならないような地域医療をどう確保するか。このこともどこかで配慮すべきと思います。
 7つ目は、特定健診・特定保健指導のことです。私どもの多久市は、頑張って特定健診受診率と特定保健指導の双方で全国2位となり、今年はその全国2位の2回目を取りました。この経験から、やればできると思います。例えば健診受診率は60.1%です。そのことによって実は個々人のヘルスリテラシーが高まりますし、医療費も少し抑制に働いていきます。しかも、健康が話題になって、具体的に見える化された情報で自分のことを知り、家族と会話ができて、より健康を保持するような意識に変わっていく。こういったことをどこかで促すような報酬改定もあっていいのではないかなと感じています。
 8点目はフレイルのことです。後期高齢者医療のことで、いろいろな資料を御覧になっている方も多いと思いますし、この委員会でもその情報が出されていますが、フレイルは年とともに出てきます。これをいかに早く予防していくかという知識を持つことと、取組や実践をしていかなければ、本当に身体が弱って、足から弱って動けなくなって、食が細って厳しい状況になる。そうならないために、いろいろな知見がありますので、こういったことに取り組んだ医療機関あるいは福祉機関での対応ということもぜひ促すようなことも必要なことに入るかなと思っています。
 最後に9点目は難病のことです。ひょっとしたら文言として、このような診療報酬議論の文書に入れるのは難しいことかもとも感じる部分があります。けれども、それでも、個々の難病患者の方にとってみれば、命を得て生まれてきて、一生そのことと付き合わなければいけなくて、しかしながら治癒の方法が見えなくて、治療方法も確立されてなくて、もうお先真っ暗な印象なのだろうと思えるのですよね。でも、そこに希望を注ぐことができるような医療制度というのが必要ですし、医療に関する政治や行政が「あなたのことを忘れていませんよ」と、「しっかりケアするから」ということを伝えながら対応できるようにしていくべきだと思っています。このことは、最近とみに話題になってきている「ウェルビーイング」、一人一人のウェルビーイングを考えるときにも不可欠ですし、SDGsの理念からもとても必要なことだと思います。ぜひこういったことも配慮した診療報酬改定の議論がなされることを心から期待しています。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、大杉委員、よろしくお願いいたします。
○大杉委員 ありがとうございます。日本歯科医師会として、令和6年診療報酬改定に向けて意見を述べさせていただきます。
 まず、基本方針の検討に当たっては、昨今の物価高騰や賃金上昇への対応が重要です。骨太の方針でも、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう必要な対応を行うと記載されていますが、歯科に限らず、適切な医療を提供するために必要なことと考えますので、よろしくお願いをいたします。
 基本認識につきましては、前回までに引き続き、新興感染症への対応、人生100年時代に向けた全世代型社会保障、健康寿命の延伸、地域包括ケアシステムの推進、患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保の観点については、今後も継続する必要があると思いますし、今回は医療DXの推進も重要であると考えています。
 続いて、具体的指針と具体的方向性について、歯科の観点から幾つか意見を申し上げます。口腔と全身との関連などに関するエビデンスは年々蓄積されてきているところであり、口腔健康管理を推進することは、口腔の健康だけではなく、全身の健康を保つために重要です。今回は、介護・障害福祉サービスとの同時改定でもありますので、医療と介護のシームレスな歯科医療提供体制の構築、医科歯科連携をはじめとした多職種連携も含む在宅歯科医療の提供の推進、そして、リハ・口腔・栄養の一体的推進の視点を考えていただきたいと思います。
 続いて、感染防止対策についてです。新型コロナ類型引下げに伴い、歯科医療現場での感染防止策の考え方、方法が変わるものではなく、安全・安心な歯科医療を提供するためには、これまで行ってきた感染防止策を継続することが必要です。ついては、新興感染症発生時の対応も含め、適切な感染防止対策や歯科医療提供体制の評価について、令和6年診療報酬改定において検討が必要と考えます。
 最後に、口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進は、引き続き重要な視点です。これを基本軸として、かかりつけ歯科医機能の適切な評価、質の高い在宅歯科医療の推進、医科歯科連携を含むチーム医療の推進、歯科疾患の重症化予防の推進やICT化の推進等について、医療DXを推進する視点も加えた検討が必要と考えております。
 以上、よろしくお願いをいたします。以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊奈川委員、よろしくお願いいたします。
○伊奈川委員 東洋大学の伊奈川でございます。社会保障を研究している立場から2点申し上げたいと思います。
 1つは、やはり人口減少の問題だろうと思います。先回の中には人生100年時代とあるわけですけれども、やはりこの間の人口減少、しかも、それが一律ではないということがやはり地域の医療にも大きく影響を与えますし、また、医療だけではなく介護、そしてそのほかの福祉も考えると、やはり人材確保というところにも関わってくるということでありますので、せっかくの6年に1回のトリプル改定でありますから、そういった人口減少社会における地域の中の医療といったような広い視野を持った改定が求められるのではないかと考えております。
 そういう点で、人口減少の現実というものをよく踏まえる必要があるわけでして、御承知のように、既に高齢化が進むだけではなくて高齢者も減っていくといったような地域もあるわけですので、そうなれば医療のデリバリーの問題にも関わってくるということだろうと思いますので、その辺りのエビデンスに基づく検討が必要なのだろうと思います。
 2点目は、この後の議題にもありますけれども、マイナンバーカードとの関係の医療DXであります。私も長い間、カードの関係というのをいろいろと考えてきましたけれども、個人的に言いますと、1990年代前後にフランスでカルトビタルという現在のカードの基になる実験が始まっておりまして、その時代、日本ではまだ紙の保険証でありましたので、そういった中で、世界的にも今、少なくとも医療保険を取っているフランス、そしてドイツもやはりカード化というのが進んでおりますので、こういった大きな流れはきちんと今後とも維持していく必要があるのではないかと考えております。
 とりあえず以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。私は日本慢性期医療協会という立場からこの委員を拝命しておりますが、一方で県の医師会を預かっている立場もありますので、現場からの切実な意見ということを踏まえて、少しお話をさせていただきたいと思います。
 まず、次回のトリプル改定に関しては、かかりつけ機能というのが大きくクローズアップされていることは間違いありません。これはコロナ禍を経験してということなりますけれど、かかりつけ機能というとよく24時間365日対応ということが出てきますが、これは現実的には一診療所の一人のドクターでできることではないと思うので、これからはむしろ病院も含めて全体の医療提供体制をどうするかということの中で、かかりつけ機能としてどうみていくか。こういう広い視野に立った上で、この機能の在り方ということをぜひ検討いただくといいのではないかと思っています。
 それから、もう一点、令和4年の基本方針の重点事項にはなかった医療DXについては、まだまだこの果実を得るというところまではいっていないけれども、一丁目一番地と言われているマイナ保険証の資格確認等の端末に関しては、おかげさまで全国的にも医療機関の申込みは9割近くまで到達しているということで、何とかそろってきているので、これからしっかりそれを育てて、そして果実を得るまでにはもう少し時間がかかりますけれども、ここは踏ん張って、やはりしっかりここを支援して育てていくという体制が必要ではないか。今いろいろトラブルが起きていることも十分理解はしていますけれども、これはやはり粛々と進めるべきではないかという個人的な意見も含めて感じています。
 それから、新興感染症に対するという点です。新興感染症に関して、確かに5疾病6事業に入った新興感染症対応は非常に重要ですけれども、まだ現在の新型コロナ感染症も終息しているわけではないということがあります。半年後の令和6年度以降どうなるかという点もしっかり慎重に対応しなくてはいけないと思いますし、安易に今の対応を継続しろと言うつもりはありませんが、そこはしっかり状況を踏まえ、どういうソフトランディングができるかということも併せて考えながら、次の新興感染症への対策と併せてやっていただければと思っています。
 次に、令和4年度からありました医師の働き方改革、これはもう来年スタートしますので、粛々とやっていくための対応が必要だということの中で、やはり医療従事者の人材不足という点が非常に大きな問題が上がってくると思います。先ほどから何人かの委員の先生がおっしゃったように、骨太の方針でも必要な対応を行うということをうたってありますが、もちろん持続可能性を担保し日本の冠たる国民皆保険制度を守るということでは、効率化・適正化ということが重要であることは重々私自身も承知しているつもりです。一方で、その働き手である医療従事者、特に看護補助者であったり、介護福祉士であったり、そういう介護の担い手等々がいなくなってしまえば、これはお金の問題ではなくなってしまう。実際にサービスを提供する方がいなくなってしまうので、ここに対しては、皆さんが感じている以上に現場はかなり厳しい状況になっているということをぜひ御理解いただきたいと思っています。
 人材の不足という点ですが、これは全ての産業で人材が不足しているわけですので、医療界だけの問題ではないということも重々承知しています。一方で、公定価格以外のところは給与がどんどん上がっている中で、公定価格で縛られている医療従事者の厳しさということもぜひ御理解いただきたいなと思っています。その中で、限りある財源をどう適切に配分するかということが、かなり厳しい議論になるかと思いますけれども、そこをお互いに本音でぶつかり合って、いいところに落としどころを見つけていただきたいなと思っています。
 最後に1点だけ言わせていただきたいのですが、先ほど猪口委員もおっしゃったように、給食費の問題も二十何年間全く変わっていないというのは、さすがに現実的ではないように思います。皆さんも20年前の食材費、エンゲル係数はどうだったかと考えていただくと御理解いただけると思うので、その辺は、特に今は物価高騰で本当に光熱費も上がっている、材料費も上がっている中で、給食が非常に厳しい状況にあるということはぜひ御理解いただきたい。
 それからもう一点、今、現場としてすごく困っているのは後発医薬品の問題です。適正化ということで後発医薬品の80%以上を維持するということは、依然として適正化対策でまだまだうたわれていますが、本当に明日この薬が手に入るかどうか分からないというのがまだまだ続いていて、どなたにお聞きしてもあと3年、4年かかると言われている。この現状の中でそれをどう改善していったらいいか。薬価制度の問題もありますので、診療報酬だけで解決できる問題ではないということも重々承知しているつもりですけれども、そういう現場の苦しさがあることも御理解いただきたいということで、御理解いただきたいことばかりなのですけれども、ぜひよろしくお願いします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。今回、診療報酬改定の基本方針を策定するに当たりましては、前回の令和4年度の診療報酬改定で目指した改善が進んだのか、例えば、先ほど来御指摘がありますけれども、重点課題として挙げられた「医師等の働き方改革等の推進」についてどのように進んできたのかということについて、丁寧に整理をすることが必要だと思います。
 また、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが変更されているということなどの状況の変化を踏まえながら、質の高い医療の推進を後押しするような基本方針を策定していくことが重要だと考えております。さらに、先ほど来ございますように、今回はトリプル改定ということでございますので、中長期を見据えて、医療と介護の連携を強化する方向づけが必要と考えております。この基本方針の議論が深まるよう、丁寧なスケジュール設定をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、任委員、よろしくお願いいたします。
○任委員 日本看護協会副会長の任でございます。今後の基本方針の検討に当たりまして、看護の観点から意見を幾つか申し上げます。
 まず1点目ですが、令和4年度の基本的視点に盛り込まれました「医師等の働き方改革等の推進」は、引き続き重要であり、「タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進」や「業務の効率化に向けたICTの利活用の推進」を一層進める必要があると考えています。限られた人的資源の中でそれぞれの専門性を発揮し、質の高い医療・看護を円滑に提供していく体制の強化が必要であり、特に特定行為研修の修了者、あるいは専門看護師、認定看護師が力を発揮できる方策を検討すべきと考えます。
 また、看護職と看護補助者のさらなる協働の推進も重要であり、看護補助者の確保・定着につながる方策の強化も検討すべきと考えます。病院におきまして、介護福祉士が看護補助者として従事している場合もあると存じますが、介護福祉士は介護職員不足の中、介護領域で活躍する重要な人材であると存じます。病院での介護福祉士の配置は、介護職員全体の人材確保に大きな影響を及ぼすと思いますので、介護福祉士を診療報酬で評価することについて、私どもとしては反対でございます。繰り返しますが、看護補助者確保に向けた課題解決のためには、看護補助者の育成と定着に向けた取組の強化こそ本来やるべきであると考えています。
 次に、令和4年度の基本的視点に盛り込まれました「新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築」は、引き続き重要だと考えます。感染症に関する専門性の高い看護師を地域で活用する取組は、感染対策向上加算や厚生労働省の委託事業等の中で一部実施されてきていますが、介護保険施設を含めた地域全体の感染症対応の水準向上につながるよう、この同時改定の機会にさらなる推進策を検討する必要があると考えます。
 3つ目としまして、令和4年度の基本的視点に盛り込まれました「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」、そして「重症化予防の取組の推進」も引き続き重要であり、これに関しては訪問看護、そして外来看護の機能の強化等が必要だと考えています。医療・介護双方のニーズを有する高齢者の生活に配慮した医療を提供するためには、医療・介護双方からの情報共有、そして、確実な連携体制の構築が不可欠です。現場では、医療と生活の双方の視点を有する看護職が必要な連携先とつなぐ役割を担っています。病棟、外来、訪問看護事業所、そして、介護保険施設や行政等との連携が重要であり、情報連携はもちろんのこと、専門性の高い看護師等が必要に応じて支援や助言を行い、ケアの継続性と連続性を担保する仕組みを一層強化する必要があると考えます。
 加えて、専門性の高い看護師による訪問看護の充実により、全世代の利用者に対して専門性の高いケアを提供することを推進し、重度な状態の利用者、また看取り期にある利用者の在宅での療養を支えるためには、24時間体制の訪問看護を提供するための体制構築を促進することが極めて重要と考えます。
 また、今後、疾病を抱えながら在宅で生活する高齢者が増加する中、再入院を防ぐためにも、外来看護職による重症化予防、療養支援の取組のさらなる推進が求められます。在宅療養支援の質向上に向け、外来看護職の研修受講体制の強化も大きな課題と考えます。
ぜひこのような取組を後押しするための仕組み等について御検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、池端委員、よろしくお願いします。
○池端委員 今の意見にちょっと御質問させていただきたいのですけれども、今、病院での介護福祉士については評価は要らないということをおっしゃいましたが、ということは、病院では介護福祉士は要らないということを日本看護協会としては考えているということでしょうか。
○任委員 病院におきましては、看護補助者の活用が大変重要であるということでございます。
○池端委員 看護補助者の中で何割かは介護福祉士がいらっしゃると思うのです。現に今病院で働いている方に対して評価をしないということを、今ここで個別に明言されるのはちょっといかがなものかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○任委員 看護補助者の待遇改善というところは、今おっしゃった現に働いている皆様への支援になると考えています。
○池端委員 介護福祉士全体として、介護も医療も全体のパイが少ないので、なかなか病院だけ評価するのが難しいということは分かりますけれども、だからといって、病院の介護福祉士に対する今の意見に私はちょっと納得できないところありますので、反対意見として言わせていただきます。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。
 では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 診療報酬改定では、基本的に供給側の視点が重視されると思うのですが、私は利用者として、医療サービスの利用者あるいは患者としていつも考えているのは、日本の医療において、患者の権利、人権、尊厳、意思決定など、そういう視点が非常に欠けていると思うのです。アメリカでは20世紀の終わり頃、ペイシェンツライツというようなことも言われております。改定の基本方針としては安心で安全という、これを挙げればいいでしょというような感じですが、そうではないと思うのです。特に私なんかも気にしているのは、精神科医療における人権侵害とかそういう問題がありますので、やはり医療というものは、単に提供すればいいというものではなくて、誰のため、何のための医療であるか、そうしたことをもうちょっと考えていただきたい。
 いまだに利用者としては、一方的に与えられる、特に医療の側のパターナリスティックな、上から与えられる情報にそのまま唯々諾々と従っているというケースが少なくないと思います。ですから、適切な情報提供、そして、ヘルスリテラシーの話も先ほどから出ていますが、国民自体としても、そういう問題について積極的に取り組む一方、やはり国としても、適切な情報提供、そして人権や尊厳ということをもっと考えていただきたい。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ほかに御意見がなければ、本議題についてはこれまでとしたいと思います。
 本日の意見も踏まえつつ、さらに議論を深めていただければと存じます。
 次に「マイナンバーカードと健康保険証の一体化について」を議題といたします。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○竹内課長 医療介護連携政策課長でございます。
 それでは、お手元に資料2「マイナンバーカードと健康保険証の一体化について」という表題の資料を御用意いただきたいと思います。
 ページをおめくりいただきまして、2ページを御覧いただきたいと思います。マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会につきましては、昨年12月にデジタル大臣、総務大臣、厚生労働大臣を構成員といたしまして、デジタル庁に設置されました。この検討会の下には、医療関係者等を構成員といたしますワーキンググループを設けて、一体化に当たっての課題等について御議論いただきまして、本年2月に中間取りまとめを公表し、今月8日に最終取りまとめをお示ししたところでございます。最終取りまとめの本文につきましては、参考資料2-1としてお配りしてございますので、御覧いただければと思います。
 ページをおめくりいただきまして、3ページでございます。この3ページに、その最終取りまとめのマイナ保険証関連の主な事項についてお示ししております。
 4ページ以降の資料で、その概要について御説明をさせていただきます。
 4ページでございますが、まず、マイナ保険証を保有しない方への対応といたしまして、令和6年秋の健康保険証廃止以降の資格確認書の活用について、お示しをしております。対象者と交付方法につきまして、従前の方針案では、本人の申請に基づく交付を原則としておりましたが、保険者から資格確認書発行に係る事務負担の軽減等の御意見をいただいたほか、要介護高齢者等の要配慮者につきましては、マイナ保険証での受診が難しいなどの事情がある場合もあると考えられることも踏まえまして、対応案として改正法附則の規定に基づき、マイナ保険証を保有していない者全てに申請によらず交付することで、加入者全員にマイナ保険証ないしは資格確認書を交付できるようにするとともに、継続的に資格確認書の交付が必要な要配慮者につきましては、継続的に見込まれる場合には、更新時に申請によらず交付することとしております。
 また、マイナ保険証の利用登録の解除につきまして、従来はシステム上解除ができないということでございましたけれども、もともと利用登録自体が任意の手続であるということ、また、国会での御審議なども踏まえまして、必要な利用登録につきましては解除可能といたしまして、解除した者には資格確認書を交付することとしてございます。
 資格確認書の有効期間等につきまして、従前の方針案では1年間を上限としておりましたけれども、保険者や被保険者への影響が大きいということから、5年以内で保険者が設定することといたしまして、様式も現行の実務・システムを活用することとしてございます。
 ページをおめくりいただきまして、5ページ、6ページにかけてでございます。
 5ページは、マイナ保険証の利用シーンの拡大についてでございます。オンライン資格確認の義務化対象外の医療機関等、下に※印を振ってございますけれども、足元の数字で約8,300施設、3.7%、レセプトベースでは0.8%ということでございます。こうした義務化対象外の医療機関等には、資格情報のみを確認できる汎用型のカードリーダーを普及させることを想定しておりますけれども、当面はマイナ保険証の提示に併せまして、スマートフォンで表示いたしましたマイナポータルの被保険者資格情報を提示したり、あるいは6ページにイメージをお示ししてございます資格情報のお知らせなどを一緒に提示することで受診可能としてはどうかと考えております。
 続いて、資料の7ページを御覧いただきたいと思います。保険証の廃止に伴う削減コストの試算でございますけれども、7ページ、それから8ページにお示ししております。マイナ保険証の保有率が65~70%と52%のそれぞれの場合で、一定の前提を置いて行いました粗い試算でございます。試算の前提といたしましては、国保、後期高齢者医療、被用者保険、いずれもマイナ保険証を持たない者に対して、先ほど御説明させていただきました資格確認書を交付し、加えて資格情報のお知らせを、国保と後期高齢者医療はマイナ保険証を持つ者に対して、また、被用者保険では新規加入者に対して交付することといたしまして、送付の頻度や印刷費、郵送費等につきましては、現行の発行実務を踏まえ、計算をしてございます。
 試算の結果につきましては、マイナ保険証の保有率が65~70%ほどまで進む場合につきましては100億~108億円の減少、また、マイナ保険証の保有率が現状維持で52%の場合には76億~82億円の減少となってございます。また、これらのほかにも、マイナ保険証の利用によりまして、保険者の事務コストが軽減されるものと考えております。
 続きまして、9ページと10ページでございますが、福祉施設・支援団体の方向けのマイナンバーカード取得・管理マニュアルの概要をお示ししてございます。このマニュアルにつきましては、一体化検討会において関係団体からヒアリングをさせていただいた中で、障害者や高齢者の方へのカードの取得支援、また、これらの方が入所する福祉施設におけるカードの管理について、不安の声をいただいたことも踏まえまして、施設職員や支援団体の方に参考としていただけるものとして、総務省、それからデジタル庁と協力して策定をしたものでございます。
 9ページの下、項目の3を御覧いただきたいと思います。カードの暗証番号の設定、管理に不安がある方でも安心してカードを御利用いただけるように、本年11月より暗証番号の設定が不要なマイナンバーカードの申請受付を開始する予定でございます。このカードでは、暗証番号の入力が必要なマイナポータル等のサービスは利用することができませんけれども、顔認証による本人確認を行いまして、医療機関、薬局で保険証として御利用いただくことができ、薬剤情報等を活用した医療を受けていただくことができます。
 また、10ページの下、項目の6でございますが、施設でのマイナンバーカードの管理等につきまして、記載をしてございます。施設入所者の方のカードにつきましては、御本人の状況や御希望等に応じまして、御本人や御家族、施設側で管理をいただくことが考えられるわけでございますが、施設側で管理する際には、右側の点線、(参考)ということで記載しておりますような管理方法が考えられることをお示ししてございます。
 続きまして、12ページを御覧いただきたいと思います。マイナンバー制度及びマイナンバーカードに関する政策パッケージについて御報告をいたします。
 こちらはデジタル庁に設置されておりますマイナンバー情報総点検本部の資料の引用でございますが、今ほど御説明をいたしました一体化検討会の最終取りまとめの内容も踏まえながら、各制度のマイナンバー紐付け誤り等の事案の発生を踏まえて行われました総点検の中間報告と再発防止策、マイナ保険証に関する国民の信頼回復に向けた対応を取りまとめ、政策パッケージとして今月8日に公表されたものでございます。
 13ページは、マイナンバー総点検の進め方の全体像になっております。今年6月に総点検本部が立ち上げられ、社会保障等の各制度におけるマイナンバーの紐付け作業の実態を調査し、今月8日に中間報告を行ったところでございますが、今後、さらに具体的な個別データの点検に着手し、原則として本年秋までに点検作業を終了する予定でございます。
 14ページでございますけれども、総点検の中間報告の結果となっております。このうち表の最上段にございます健康保険証につきましては、先行して点検作業を進めており、5月23日に3,411の全保険者に対しまして、厚生労働省が示している基本的な留意事項とは異なる方法で事務処理をしていなかったか点検を行い、そのうち1,313の保険者で個別データの点検を行いました。
 点検結果につきましては、次の15ページにお示ししておりまして、8月1日現在で異なる個人番号が登録された事例として1,069件を確認してございます。これらにつきましては、検知した段階で全てオンライン資格確認等システムの閲覧を停止しておりますけれども、システムのアクセスログを確認したところ、第三者に薬剤情報等が閲覧された事例として5件を確認してございます。
 16ページから17ページでございますが、各制度における御自身の情報につきまして、御自身のマイナンバーと正しく紐付けられているかを確認する方法として、マイナポータルの活用を推進していくという内容になっております。
 健康保険証情報につきましては、17ページの右側にイメージ図がございますけれども、こうした確認方法を国民の皆様に周知することにより、マイナンバーカードやマイナポータルの利用に親しんでいただくと同時に、御自身の情報が正しくひもづいていることを御確認いただけるものと考えております。
 18ページからは、マイナ保険証に関連して国民の信頼回復に向けた対応ということで記載されております。重複する部分もございますので、かいつまんで申し上げますと、①は先ほど申し上げました資格確認書について、②はカード取得の円滑化への対応といたしまして、特急発行・交付の仕組みの構築や、既に御説明させていただきました福祉施設・支援団体の方向けのマイナンバーカード取得管理マニュアル、それと、暗証番号設定不要なカードの対応などについて、また、③につきましては、さらに多くの方々にマイナンバーカード健康保険証として実際に使っていただき、メリットを実感していただけるように、カードによるオンライン資格確認のデモ体験や、周知動画による広報等をさらに促進していくことについてお示ししております。
 次のページに参りまして、19ページでございますけれども、④は、今後の取組として生活保護の医療扶助の医療券や、自治体による子ども医療費助成制度の受給者証、また、診察券とマイナンバーカードの一体化について早期の実現、普及に取り組むこと。また、電子処方箋やスマートフォンのオンライン資格確認への対応も着実に進めること、病院における顔認証付きカードリーダーの端末の増設等を図ることなどについてお示しをしております。
 さらに次のページですが、20ページの⑤は、マイナ保険証のメリットを国民、医療現場に実感いただけるよう、引き続きしっかりと取り組んでいくといったことについてまとめております。
 政策パッケージの全体の内容としては以上でございます。
 パッケージ本文につきましては、参考資料2-2としてお配りをしてございますので、御参照いただければと思います。
 22ページを御覧いただきたいと思います。オンライン資格確認における登録データの正確性の確保についてでございます。医療保険加入者のうち一部の方の資格情報がオンライン資格確認等システムに未登録となっているという事象について御説明をさせていただきます。未登録者が生じる主な要因といたしましては、資格取得時にマイナンバーの提出がないなどの理由により、保険者がマイナンバーを取得できていないことが挙げられるわけでございますが、こうした要因に対しましては、これまでも保険者から事業主に対して、加入者のマイナンバーの提出を求めてきたほか、本年6月には新規の未登録者の発生を防ぐための省令改正等を実施してきたところでございます。
 こうした取組の結果、未登録者数につきましては、例えば協会けんぽにおいては、令和3年8月の92万人から、本年8月時点での36万人まで減少してきたところでございますが、今般、岸田総理より厚生労働大臣に対しまして、未登録者の解消に向けて速やかに取組を行うよう指示がございました。この指示を踏まえた今後の対応といたしまして、保険者において、来月から順次、未登録者に向けて、データが未登録であることをお知らせいただくとともに、11月末までを目途に未登録者からマイナンバー等を提出いただきまして、登録作業を行っていただきたいと考えております。
 最後に23ページでございます。一部負担金割合の表示が本来の負担割合と異なる事案への対応についてでございます。表題にありますとおり、オンライン資格確認を行っております医療機関、薬局におきまして、患者負担割合の表示が本来の負担割合と異なる事案が確認をされております。
 まず1つ目は、オンライン資格確認結果と保険証の負担割合に相違が生じているものについてでございます。左側のほうでございますが、こちらに関しましては、システムの仕様の問題や正しい事務処理手順が踏まれていなかったことが原因と指摘をされておりまして、各保険者等に対して、負担割合の相違が判明して中間サーバー等の負担割合を修正した事象につきまして、現在調査中でございます。9月上旬に取りまとまり次第、公表予定でございます。
 2つ目は箱の右側でございますけれども、オンライン資格確認の結果と医療機関のレセプトコンピューターの表示の相違が生じているものでございます。医療現場では、通常、いわゆるレセコンの表示によりまして、患者の負担割合の確認やレセプト請求を行っているところでございますが、オンライン資格確認導入前は、レセコンの仕様上、生年月日等から便宜的に負担割合を算定して表示することが一般的であると承知をしてございます。この点、オンライン資格確認の導入後は、資格確認端末とレセコンを同期させている多くの医療機関等では、オンライン資格確認による照会結果がレセコンに表示されておりますが、一部のレセコンベンダーでは、旧来の方法で便宜的に算定した負担割合を表示する仕様のままとなっている場合があることが確認をされております。
 今般、レセコンベンダーに対しまして、旧仕様により算定した負担割合を表示している場合には、その旨を顧客である医療機関等に伝達した上で、資格確認端末等で負担割合等を確認する必要があることを周知するよう要請いたしました。
 いずれにいたしましても、各保険者のレセプト審査では、本来の負担割合に基づき審査を行っておりますので、最終的には被保険者には正しい負担割合で御負担いただいておりますけれども、これらの事象につきましては、引き続き保険者やベンダーと協力をいたしまして、原因の解消に努めてまいりたいと考えております。
 24ページ以降は参考資料でございます。御参照いただければと思います。
 事務局からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、この御説明に関しまして、御意見等ございましたら、挙手にてお願い申し上げます。オンラインで御参加の委員におかれましては、挙手ボタンを挙げていただければと存じます。いかがでございましょう。
 では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 まず最初に、今御報告がありましたけれども、マイナンバーの未登録者について、今回の調査において健保組合においても相当数いるというのが判明しております。この状況については真摯に受け止めております。もちろん健保組合においても、これまでも未登録者のマイナンバー取得も含めて未登録の解消には取り組んでおりますけれども、今後、事業主、加入者に対する働きかけをより強化して、さらなる取組を進めていきたいと思っております。
 また、あわせて、正確なデータ登録にもしっかり取り組んでいきたいと思っておりますけれども、いずれにしても、マイナンバーカードと保険証の一体化については医療DX推進の基盤でありますので、この利用促進をしっかり図っていただきたいと思っております。
 特にマイナンバーカードの保険証利用でなければ医療情報等の活用を含めた質の高い医療は受けられませんし、また、いわゆるなりすましの問題にも対応できません。そういう意味で、最終的にはマイナンバーカードの保険証利用への一本化、これを目指すということをしっかり基本に据えて取組を進めていきたいと思っております。
 そういった上で、本日は3点コメントをしたいと思います。1点目は、マイナ保険証利用のメリットを実感してもらえる仕組みづくりでございます。先ほど資料の20ページでも示されておりましたけれども、やはりマイナンバーカードの保険証利用のメリットを国民、医療関係者、保険者等に広く理解してもらうことは極めて重要であると思っております。1つの例として申し上げたいと思うのですけれども、例えば健診結果を踏まえた診療の推進といったものも挙げられるのではないかと思っております。医療機関において診療を受ける際に、健診結果ですとか健康状況を踏まえるということは、患者さんにとっても、また、医療機関にとっても大変メリットが大きいのは間違いないと思います。ただ、これを行うにはマイナ保険証が必要となります。そういう意味で、「健診結果を踏まえた診療を標準的な診療ということにする」ような目指し方もあるのではないかと思っております。
 先ほど横尾委員のほうから健診受診率の向上という話がありましたけれども、こういったことを目指す上でも、このような取組をしていくことは効果があるのではないかなと考えております。
 2点目は、「資格情報のお知らせについて」でございます。今日の資料の6ページに例が示されておりますけれども、先般取りまとめられましたマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の最終取りまとめにおいて、資格情報のお知らせについては、容易に携帯して利用ができるような工夫をすることというふうにされたと理解、認識をしております。この資格情報のお知らせについては、加入者にマイナ保険証を安心して利用してもらうためにも大変重要だと思っております。
 また、この資格情報のお知らせに記載されています記号番号、これはまさに健保組合の加入者にとって、あらゆる保健事業の場で必要なものでございますので、マイナ保険証とともに携行できるように、その様式はカード型であったり、カードケースであったり、各保険者の裁量によって、創意工夫による活用の余地を認めていただける方向での検討をお願いしたいと思います。
 健保組合の中には、この資格情報のお知らせの発行開始を待たずして、先行的な取組を行うということで、より安心して、かつ便利にマイナ保険証を加入者に使ってもらいたいという声がございますので、政府としても、ぜひこういう取組を後押しいただければと考えております。
 3点目は、今後実施が予定されています「全件のJ-LISチェックについて」でございます。この秋からの全件J-LISチェックの進め方ですとか、また、資格確認書の運用等について、これをぜひ保険者のほうに早く示していただいて、保険者の事務負担が少しでも軽減できるような形での検討をお願いしたいと思います。
 また、この全件J-LISチェックのための費用等については、政策パッケージにおいても十分配慮するということになっておりますので、基本的には国のほうでカバーをしていただきたいと思います。また、今後必要となります資格確認書の発行等、これに関するシステム的な対応についても財政支援をお願いしたいと思います。
 最後になりますけれども、マイナンバーカードと保険証一体化については、まだまだ課題は残っていると思いますけれども、関係者全員でしっかりと取り組んでいかなければいけないと思っております。そういう意味で、国としても取組をさらに強化していただければと思っております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。私は立場上、商工会議所の皆さんからも、マイナンバーカードとは一体どうなんだという質問をよくお受けするわけなのです。まずはお使いになってくださいよというふうにお勧めをすると、かなり頑固に反対された方も、いや、意外と便利なものだなということをよくおっしゃいます。
 しかし、私が申し上げるのは、これは単に便利なだけではないのですよと。まさに、これは命を救うカードなのではないですかと言うと、大変驚かれますね。例えば、高齢化社会で持病を抱えながらの就業というのは、当たり前でございます。ところが、企業としては、個人情報保護の観点からも、従業員の健康情報を常に把握するというのは、あまり現実的ではないのですね。すると、仮に出先で急病になると、医療・投薬情報が共有されないと、タイムリーで適切な医療が受けられないのではないかということが、大変懸念されるわけでございます。そうすると大体、じゃ、社長さん、どうですかと言うと、自分も心配になってきたということでございますので、実は国民のかなりの方がこういった基本的なことをあまり御存じないのではないかと。いつの間にか、何となく、誰かが分かってくれているのではないかと、勝手に思い込んでいるだけなのではないかと思いますね。現実の姿をお見せすると、皆さん大変驚かれます。あるいは大変恐れますね。ですから、こういった誤解を解くということも、私は大変重要なのではないかと思います。
 こういった理解を高めるためにも、例えば、資料2の20ページの内容を、実際の暮らしに役立つものとして落とし込む、あるいは、これを活用しないことのデメリットをちゃんと説明していただくことによって、これまで以上の普及活動を強力に展開していただければと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。
 マイナンバーカードと健康保険証の一体化につきましては、今も発言がございましたけれども、信頼と理解を得た上で進めていくことが必要不可欠と思います。その基盤となるのがオンライン資格確認等システムですけれども、その導入状況を見ますと、全体的にかなり進んできているとは思いますが、いまだに首都圏や沖縄などでは全体での進捗率が70%台というところでございます。患者の皆さんがマイナ保険証を医療機関に持参しても使えないということでは、何のために保険証を切り換えたのかということになりかねませんので、まだ進んでない部分について、加速の取組をぜひお願いしたいと思います。
 2点目は、こちらもご発言がございましたけれども、マイナ保険証のメリットを理解いただく前に、紐付けの誤りなどのトラブルが報じられているということで、不安が広がっている部分もあるのではないかと思われます。私どものほうにも様々なお声をいただいているところです。こうした状況であるからこそ、一つ一つ丁寧に対応していただき、また、国民の信頼回復に向けた対応については分かりやすく周知をお願いしたいと思っております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。まず初めに、先ほど事務局からも御説明いただきましたが、協会けんぽ加入者のうち約40万人の資格情報がマイナンバーと紐付けされていないと報道されている件について、簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 協会では、資格取得時にマイナンバーの提出がなく、J-LIS照会を行ってもマイナンバーの取得ができていない方を対象に、過去2度にわたりマイナンバーの提出勧奨を実施し、未収録者は減少してきているものの、本年8月時点で、なお約36万人が未収録者の状況であるということでございます。今後、国からの指示を踏まえまして、速やかにさらなる提出勧奨に取り組み、未収録者の回収に取り組んでまいりたいと思っております。
 さて、本題のマイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けては、検討会の最終取りまとめにおきましても、資格確認書の取扱いの詳細などについて方針が明確化されたものでございます。我々保険者において、一体化に対応するためには、新たな業務フローの検討やシステムの改修を行う必要があり、さらに細部の設計が必要となってまいります。このため、最終取りまとめで盛り込まれました内容につきまして、幾つか要望と質問をさせていただきたいと思います。
 まず、資格確認書の職権交付の運用につきましては、保険者がマイナ保険証を保有していない方の情報を把握していることが必要不可欠でございます。現在、協会は当該情報を保持しておらず、システム的に円滑に連携されるよう、早急に必要な調整をお願いいたします。
 また、資格確認書の有効期間につきまして5年以内とされているところでございます。有効期間中に資格喪失した場合などに不正使用されないような仕組みを構築する必要がございます。例えば、資格確認書により受診する場合においても、オンライン資格確認を行うことにより、資格が有効であるか確認することであるとか、その後の回収であるとか、資格確認書を発行してもらったが、マイナ保険証のほうが便利なので途中でマイナ保険証に切り換えた方の資格確認書の回収の取扱いをどうするのかなど、不正防止策の方針及び根拠について早急に明示をしていただくようお願いいたします。
 あわせて、マイナ保険証は今後の医療DXの基盤となるものであり、当該有効期間中にマイナ保険証への切り換えが進むよう、保険者としても努力してまいりますが、国が先頭に立って、マイナンバー制度のメリットや導入の意義について、医療機関、薬局など関係者の皆様の協力も得ながら、国民の皆様と共に日本の医療DXをこれからつくっていくのだという機運をつくるために、積極的な周知・広報をお願いしたいと思います。
 次に、資格情報のお知らせについては、修学旅行のケースやオンライン資格確認の義務化対象外の医療機関を受診するケースなどにおいて活用が想定されておりますが、これらはあくまで例外的な運用であると認識しております。原則として、資格情報のお知らせで医療機関の受診はできないという点は誤解のないよう、しっかりと周知徹底していただきたいと思います。
 続きまして、登録済みデータの総点検について、今後、登録済みデータ全体を対象にJ-LIS照会を行い、誤登録の疑いがあるものについて本人に送付する等により確認するとありますが、この確認作業が、できる限り保険者の負担が少なく、加入者、事業主との照会をめぐるトラブルも生じにくいような形で行われるよう、合理的な実施手法の検討をお願いしたいと思います。
 今回の取りまとめ案につきましては明示がございませんでしたが、制度改正施行時の業務移行について、何を基準として制度切り換えの適用日とするかなど、早急に指針を御提示いただく必要がございます。現行の保険証を廃止し、資格確認書や資格情報のお知らせの発行を行うための業務システムの切換えを滞りなく実施するためには、一定の移行期間が必要と考えており、そのために必要な経過措置についても検討をよろしくお願いしたいと思います。
 いろいろと申し上げましたが、令和6年秋のマイナンバーカードと健康保険証の一体化を円滑に迎えるためには、こうした詳細を詰めていく必要がございます。我々保険者の意見をしっかりと聞いていただき、早急に方針の整理や調整を行っていただくよう、重ねてお願い申し上げます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。全国市長会の前葉でございます。
 私もマイナンバーカードと健康保険証の一体化につきまして、これは国民健康保険の保険者として、しっかりと取り組んでいく。情報の正確性を確保するための対応を引き続き取り組んでいきたいということをまず申し上げます。その上で、今日は資格情報のお知らせについて発言をいたします。このことは医療機関の窓口における資格確認の混乱を避けるために一定の有用性があると考えます。
 なお、その際、保険者の立場から見ますと、このお知らせそのものの発行には、事務的あるいは財政的な負担が生じますので、取組を進めることになる場合には、その負担につきまして必要な支援等の配慮をお願いしたいと思います。
 それから、今もうお話が出ていますように、携行しやすい形状に必要な情報を記載していくということになると思いますので、その形、あるいは様式につきましては、恐らく各保険者の間でそれほど大きな差異は生じない。期待する形というのは似たような形になると思いますので、資格確認書と同様に、厚労省さんにおいて統一的な様式をお示しいただくのも1つのアイデアかと思います。ぜひ御検討願いたいと思います。
 もう少し視点を広げて、マイナンバーカード全体について申し上げたいと思いますが、もとよりマイナンバーカードというのは、これ1枚持っていればほかに何も要らないということを目指して、いわば鳴り物入りでスタートをしたものでございますから、今回提示されるように、紙の資格情報のお知らせをマイナンバーカードと併せて持っておくことを勧められるということになりますと、前回も私は、マイナンバーカードとともに何かを持たなければいけないというのはじくじたる思いだと申し上げましたが、あまり居心地のいいものではない状況であることは変わりない。そう言わざるを得ないと思います。
 たまたま国民全てが持つ保険証がこの議論で先行しており、ある意味、非常にマスコミの関心を集めているということもありますが、マイナンバーカードの利用機会が増えてきますと、同様のことが様々なところで見込まれるわけでございます。つまり、私たちが資格情報のお知らせを考えているようなものを、ほかの利用の際にも様々な様式の発行、あるいは携行が求められる。暫定的なものであってもそういうことになろうかと思います。
 そうなりますと、どういうことになるかというと、個別のお店の紙のポイントカードがどんどん増えて財布が膨れ上がってくるような、マイナンバーカードと同時に持つ紙がどんどん膨れ上がってくるような、そんな事態は避けなければいけないと思いますので、そのためにはカードの安定性を早く達成されるよう、政府においてぜひお願いをしたい。カード以外に何かを念のために持っておかなければいけないような状況は早期に解消されるよう強く期待をするものでございます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。私ども国保中央会は、社会保険診療報酬支払基金とともに、オンライン資格確認等システムの運用を担っているところでございます。そのような立場から一言発言をさせていただきます。
 私どもといたしましては、マイナ保険証に関わる様々な対応が大きな混乱なく円滑に、かつ適切に運用されていくことが、今後政府の重要政策である医療DXを推進していく上での大前提であり、またその基盤となるものであると考えますので、厚労省におかれましては、本日御説明のあった取組をしっかりと確実に進めていただきますよう、強くお願いしたいと思います。
 私ども国保中央会といたしましても、先ほど申し上げたとおり、オンライン資格確認等システムの運用を担っている立場でございますので、そうした立場から、この問題に対して求められる役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 よろしくお願いします。我々の医療現場としましても、マイナ保険証の活用をぜひ進めていきたいと考えております。実際の医療現場では、停電とか機器の不具合といった様々なトラブルが突然起こる可能性もありますので、マイナ保険証の活用が一般的になるまでの対応として、資格情報のお知らせを容易に携帯でき、マイナンバーカードと一緒に持ち歩くということで、トラブルが起きた際も正確な資格情報を確認できるようになると考えております。さらに、オンライン資格確認の義務化対象外の医療機関も受診しやすくなるため、医療現場での混乱を未然に防ぐことができるようになると考えております。
 ただ、1点申し上げたいのは、8ページの一覧表にあります資格確認書というのは、マイナ保険証の非保有者に持っていただく。その下の資格情報のお知らせに関しましては、国保と後期高齢者医療の方に関しては、マイナ保険証の保有者にも配られるわけですが、被用者保険の方については新規加入者と書かれております。やはりここは新規の方に限るのではなくて、マイナ保険証の保有者全ての方にお配りしないとメリットは出てこないのではないかなと考えておりますので、意見として言わせていただきました。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、熊耳参考人、よろしくお願いいたします。
○熊耳参考人 ありがとうございます。現在、マイナンバーの紐付け誤りに関する総点検が行われているところですが、実施に当たっては、地方自治体の実情を踏まえながら点検作業への適切な支援を行うとともに、当該業務に係る費用については、地方自治体の負担が生じることのないよう、確実に措置していただくようお願いいたします。
 また、再発防止に向け、誤った紐付けの防止を担保するシステムの構築について、速やかに対応されるよう検討いただくとともに、国民の信頼回復に向けて、国が責任を持って、国民の理解と信頼を得られるよう取り組まれることを改めてお願いいたします。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。医療機関で医療を受ける、そのときに保険証がないと10割負担、全額負担になりまして、大変なことなのですが、それを瞬時に判断して、「被保険者に間違いないですよ」とわかると、「この方はこの保険組合に入ってらっしゃるので3割、1割、その応分の負担で結構です」となります。しかも、限度額の範囲で高額医療も受けることができるというのも保障してくれるわけです。ですから、ここは一番肝心なスタート地点だと思うのです。このことをよく理解していただきながら、20ページに書かれているようなメリット、使わないときのデメリットをより多くの方に知っていただく必要があると思っています。
 そういう意味からすると、現状を見ますと、政府において、できればスポークスパーソンを決めて、その人が繰り返し、繰り返し、分かりやすく発信をし、説明をし、あらゆる問題もソリューションを出してやっていくぐらいのことをしていただいたら、今のちょっと過剰で過熱しているマイナンバーアレルギーは鎮静するのかなと思っています。
 このアレルギー化したような状況を早く解決しないと、なかなか前の方にバラ色の未来を描くこともできにくいし、議論もそっちへ進んで行かないかなと思っています。現状では、ワイドショーや様々なところでこのことが話題になったら、いかにも悪者のように言われますし、あるいは詳細や新たな対策などを十分に認識されないままに議論が始まって、知らないまま、知識のないままに、議論は沸騰しているのではないでしょうか。例えば、マイナンバーによって29項目のことが分かるということがほとんど知られないまま、分からないままに、対策として新しい紙の印刷がいいのかどうかばかりに議論集中とかになっていまして、国民全体から見ると、かなりのエネルギーロスを今生じてるのかなと思われます。もっとエコ運転でスムーズな進展が図られることを期待しています。
 関連になりますけれども、医療や健康に関する情報だと思いますが、EUでは現在、フィンランドのシステムソフトをベースとして、EU全体を取り込んだ全体的な、網羅的な情報ネットワークをつくる動きがあるようにも聞きました。これは専門家の方からです。こういった世界の動きから見ましても、日本にとっても今回のことはとても重要な入口なので、ぜひうまくいくことを願っているところです。
 ほかの機会にも申し上げたように、情報を突合しようと思ったら正確性に欠けるとか、紐付けにミスがあったとか、その対策をどうするかというのが話題になりますが、それは一つ一つの実態分析をして、一つ一つソリューションを描いて、一つ一つ打開をしていくしかありません。これを全部やることによって初めて公は多くの皆様から信頼を得ることができて、まさに「信なくば立たず」でございます。それらのことを努力していくことが、多くの方々の安心・安全の基盤になると思うのです。
この安心・安全と信頼がなければ、こういったもののみならず、税を納めることに始まり、保険料を負担することに始まり、全ては信頼を基礎にリンクしていますので、ぜひこういったことをしていただきたいのです。
この資料で言いますと、18ページ以降にある国民の信頼回復のための対応を大きく5項目、具体的に細かい項目を挙げてありますけれども、ぜひ迅速に、かつスムーズにやっていただきたいと期待をしているところです。
 また、過去にも申し上げたかと思いますが、スマートフォンの搭載をぜひ政府としても早く考えてもらえたらいいと思います。多くの方々は、仮に地震が発生したときに、もちろん携行している保険証とかマイナンバーカードは持っていきますけれども、離れたところにあったとしたら、それを取るよりも、手元にあるスマートフォン持って飛び出すと思うのですね。そのスマートフォンの中に自分の個人の証明するものがあり、医療に関するデータを自分も確認ができ、マイナポータルにアクセスして病歴とか薬歴をぱっと瞬時に提示して、適切な診療を避難所でも迅速に受けられるということがあれば命を救うことにもなると思いますので、スマートフォン搭載についても検討していただいているということでございますが、ぜひ進めたほうがいいと思います。デジタルガバナンス先進国のエストニアでも既にそういったことになっておりますし、ほかの国でもそう聞いています。
 また、不具合などのニュースが今後、実態調査の結果が出るたびに大きく報じられると思いますし、そのことに始まって、1週間はそのことが報道等の話題になったりすると思いますけれども、それはそれとしてしっかり受け止め、しっかり推進すべしとの激励と解して、対応していただくとともに、いかなることがあろうとも、政府や厚生労働省におかれましては、ぶれることなく、惑うことなく、着実に改善を図りつつ、前に進めていくというのが大きなミッションだと思います。改めてこのことをぜひお願いしたいと思います。
我々も、後期高齢者医療をお預かりしていますし、各地方自治体の首長として国保など保険行政等の一部等もお預かりをしているわけでありますので、しっかりと対応していきたいと思います。そのことが整っていけば、日本がデジタル時代にデジタルガバナンスを持つ、よりよい国として評価されると思います。そして、多くの皆さんが安心して医療を受けられる、福祉にもアクセスできる、自分の健康もよく分かりやすく分かるということで安心して暮らしができると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 あわせて最後に付け加えるならば、直接今回のテーマと関係ありませんけれども、国民のデジタルリテラシー、ヘルスリテラシーをぜひ高めることも、文部科学省などと連携をしていただいて、促すことが大切だと感じています。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、横本委員、よろしくお願いします。
○横本委員 皆さんたくさん御意見が出ておりますが、経団連の立場で少しだけコメントさせていただきます。
 医療DXの推進による質の高い医療の実現、効率的・効果的な医療提供体制の構築に向けましては、そのインフラとなるオンライン資格確認の速やかな導入が必要不可欠だということは論をまたないと思っております。企業の果たすべき役割も大きいと考えておりまして、経団連といたしましても、会員企業に対しまして、新規加入者について、事業者から保険者への届出がスムーズに進むように必要な周知を行ったところでございます。引き続き、制度普及に向けまして、経団連として必要な対応を行ってまいりたいと考えておりますので、見守ってまいりたいと思っております。
 私からは以上です。
○田辺部会長 では、渡邊委員、よろしくお願いします。
○渡邊委員 ありがとうございます。薬剤師会の渡邊です。私のほうからも少し現場からの意見ということで発言しておきたいと思います。
 スライドの6ページ等に示されている資格情報のお知らせというような部分ですけれども、これについては義務化対象外施設への汎用型カードリーダーの普及までの過渡期的な対応ということだけではなくて、現場においてマイナンバーカードを破損されているであったり、顔認証つきカードリーダーの不具合が起きているようなときに、このような紙が有効に機能するように工夫して、丁寧な周知に努めていただければと思います。
 ただ、あわせて、このようなシステムの普及期における紙での対応という部分に関しては、マイナポータルの活用が普及すれば大きな部分で解決していくと思っています。現場のほうにおいては、徐々にマイナンバーカードを使われる方が増えてはきていますけれども、その中であっても、マイナポータルを使えている方はほとんどおられません。ですので、今回も改めて説明されていますけれども、マイナポータルをしっかりとマイナンバーカードと同時に周知・啓発していただいて、何が見られるのか、何が確認できるのかということをしっかりメリットとして丁寧に進めていただきたいと思っています。
 最後にあわせてなのですけれども、各委員からもありましたように、診療・薬剤情報等に基づいたより適切で質の高い医療の提供には、このマイナンバーカード、マイナ保険証というのは大前提となってまいります。ですので、そのメリットという部分に関しては丁寧に国民の皆さんに周知をお願いしたいと思っています。
 また、今後かもしれないですけれども、あわせて、実際に高頻度で使用されているような医療現場等の好事例の部分がありましたら、ぜひそういう部分の収集・展開を図っていただいて、より患者さんにも、医療現場にも、マイナ保険証のメリットという部分、またその高頻度に使用する使用方法というか、啓発方法というか、そういう部分も実感できるような施策に関して御紹介いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 20ページのところで国民の信頼回復に向けた対応とか、そのメリットを実感するというようなことを書いてありますが、メリットばかり言っているから、国民の側としてはちょっと眉唾で、ほんまかいなと思わざるを得ないのです。実際に全てがうまくいっているわけではないという不都合な真実をちゃんと明らかにしていただきたい。例えば、診療を受けた途端にそのデータがマイナポータルに格納されるわけではないですね。タイムラグがあります。だから、例えば、引き続き診療を受けて、引き続き処方箋を受け取るような場合を考えると、やはりお薬手帳を持っていったほうがいいんじゃないかなと思います。それから、例えば診察券が要らないと言っていますが、昨日の御説明では、診察券が本当に要らないわけではないと。マイナカードで会計処理までは今の段階ではできないとか、今の段階でできることとできないことというのをちゃんとはっきり国民に説明すべきで、いいことばかりではないと思います。
 私は有志の方と一緒にこの8月3日に医療介護関係者とマイナ保険証についての集会というかシンポジウムを開きましたが、末端の現場の意見をもっと聞いてほしいという要望がありました。特に今回施設の話が出ていましたけれども、一番大変なのは訪問の方々ですね。特に訪問介護の方、ケアマネさん、ヘルパーさん、そういう方たちが非常に困っていらっしゃいます。在宅の寝たきり、独り暮らし、そして認知症が入っている方なんかのカードをどうするかという問題があります。
 マイナンバーカードシステム、あるいはマイナ保険証というのは、自分でカードや暗証番号が処理できる、いわゆる健常者の方にはとても便利かもしれませんが、そういうことができない弱者にとっては、いろいろ不安ですし、不便なこともいっぱいあります。そもそもこの設計の段階で、そういう弱者というか、そういう人たちのことを考えていたのかどうかということがとても疑問です。
 私自身のことについて申しますと、取得して5年目で区役所に行ってチェックをしたのですが、暗証番号を全く忘れておりました。それで入れ直しということになってしまったのです。ですから、一般の人でもなかなかこれを自己管理するのは難しいという問題もありまして、確かにメリットは非常にあるかと思いますが、現段階ではできないこともあるよということ。あるいは紐付けの問題にしても、人間がやるのですから、ヒューマンエラーもあり得るということを明確に国民に示したほうが信頼回復につながるのではないかと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、池端委員、よろしくお願いします。
○池端委員 ありがとうございます。19ページの国民の信頼回復に向けた対応、3ポツのところにありますが、先ほどもお話ししましたように、しっかりした果実を得るにはこれらのことが大事だということで、ここに幾つか今後整備することが入っています。その中で、電子処方箋についてですけれども、今年1月から運用開始して、令和7年度、1年半後までにはおおむね全ての医療機関で実施予定となっていますが、私も病院団体でいろいろ話を聞く中で、この電子処方箋はなかなかまだいろいろな状況で厳しい状況ということをお聞きしています。電子認証の問題とか、院内の電カルの院内処方との紐付けが難しいとか、更にそもそも電カルそのものの導入が中小病院・診療所でまだ5割程度ということがあってなかなか厳しい状況かなと思いますけれども、それから約半年たっていますので、現状、事務局として進捗状況等について、あるいはいろいろな解決点も出てきたかと思いますけれども、それについて何か把握していることがあったらお教えいただければと思います。
 以上です。
○田辺部会長 この点、何かデータを持っていれば御披露いただきたいと思いますけれども、なければその旨のことを。
○竹内課長 すみません。本日、今手元に何も持っておりませんので、整理をして、また御報告をさせていただければと思っております。
○池端委員 病院団体としても、進めていくことはやぶさかではないのですけれども、そういう幾つかの問題があるということを現場からお聞きしていますので、またよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 では、伊奈川委員、よろしくお願いします。
○伊奈川委員 東洋大学の伊奈川でございます。ふだん大学で教えているものですから、こういった分野のスピードの速さに驚いておりまして、やはり世代によって違うのではないかなという感じがします。大学におけるスマートフォンの利用というのはすごく今進んでいまして、ほとんどのことはこれでもうできるようになっているということですので、先ほど言いましたフランスのカードも、今やもうカードではなくてスマートフォンに搭載するというのが時代の流れということだと思いますし、そういった点では、大きな時代の流れに即した形で、特に医療の分野というのはDXの一番重要な分野だと思いますので、そういうところをきちんと今後とも維持していくということは大事だと思いますし、今言いましたように、世代によっても違うので、若い人たちというのも1つ重要かなと思いました。
 以上であります。
○田辺部会長 では、大杉委員、よろしくお願いします。
○大杉委員 ありがとうございます。日本歯科医師会といたしましても、医療DXの推進及びマイナンバーカードの普及については国策として推進されているものであり、国民の理解を深めた上で進めるべきであると考えております。また、国民全てに普及できるように、いろいろな方策を考えていただいていることに御苦労申し上げます。
資料の5ページにマイナ保険証の利用シーンの拡大について記載されておりますが、オンライン資格確認義務化対象外の医療機関では、マイナ保険証と併せてスマートフォンを携行しての受診や、資料の6ページに示されているような資格情報のお知らせを持参して利用しやすくした上で受診可能とするとされております。こういった取組は、医療機関によらず、マイナ保険証の利用拡大につながるものであろうと思っております。
 一方で、現状はまだ移行期間であるということもあり、オンライン資格確認義務化の医療機関においても、オン資システムの不具合などのトラブルの際にも受診可能なように、患者さんにマイナンバーカードとともに健康保険証を持参する等の対応をしていただくことで、安心・安全でより質の高い医療提供ができると考えております。マイナンバーカードが便利で有益なツールとなるような仕組みづくりを要望したいと思います。
 マイナンバーカードの取得状況は、昨年10月で国民の51%、今年7月末で71%にとどまっており、なかなか国民全ての方に登録していただけない状態でございますけれども、多くの国民の方々がマイナンバーカードで病院や診療所を受診できることを認識されているように思われます。それでも、資料の27ページにありますように、医療機関においてマイナンバーカードで受診される方は、歯科診療所で約11%、全体でもたったの5%と低い利用状況であり、とても普及しているとはいえません。これはマイナンバーカードを使用することによる個人情報流出や、情報の誤登録等の不安や心理的な抵抗感が強いと思われます。ついては、早期に点検や修正を終わらせ、国民の信頼回復につなげることが必要であろうと考えます。
 マイナンバーカードと健康保険証との一体化に関しては、国民の不安を早期に払拭し、その上で、国民や医療機関、薬局等へのきめ細かで懇切丁寧な説明や周知を行い、関係者の理解を深めた上で運用していただければと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。
 では、任委員、よろしくお願いいたします。
○任委員 日本看護協会の任でございます。
 令和6年秋の健康保険証廃止に向けまして、様々な対策が用意されていることを御説明いただきましたが、引き続き、国民及び医療現場に混乱が生じないよう進めていただければと思っております。
 また、訪問看護ステーションにおいては、令和6年にようやくオンライン請求がスタートするところです。令和6年秋に保険証の廃止となりますと、それまでに全てのステーションでオンラインの資格確認ができるようになっていなければならないという点で、非常に準備期間が短こうございます。訪問看護ステーションへの周知及び体制整備につきまして、ぜひその支援をお願いしたいと存じます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、局長のほうからよろしくお願いします。
○伊原局長 厚生労働省の保険局長でございます。
 マイナ保険証につきまして、いろいろ御心配をおかけしておりまして、大変心苦しく思っております。今日いろいろ御指摘いただきましたように、このマイナ保険証、これは今後、例えば電子処方箋を普及させていくとか、あるいは電子カルテの情報をみんなで共有していくためには乗り越えなければいけない課題ですし、これがあることによって、次の医療DX、国民の方々がいい医療を受けられるための基盤になるものです。そういう意味では、今ある課題にちゃんと答えて、国民の皆さんから安心して使っていただけることを一日も早く実現しなければいけないと、このように思ってございます。
 そうした中で、今年の5月以降、紐付けの誤りの話が大きな議論になりまして、そうした中で保険者の皆様には、7月末に向けてそれぞれの保険者の紐付けの状況を顧みて、点検いただきました。1500万件を超える資格情報を再度検証していただいたということでございます。
 それから、先ほど佐野副会長さんのほうからお話もありましたように、未登録の記録、これも以前は非常に多かったのですが、現時点では0.8%の方ですけれども、六十数万件残っています。これも今日、総理からも指示を受けましたが、11月末までに解消するよう、対応していきたいと考えてございます。
 一つ一つこうした課題を解決していこうと思いますけれども、やはり大事なことは、次のための大事な取組であるということを御理解いただくことですし、マイナ保険証利用の意義をお伝えすることだと思っております。最近、大臣やほかの方々と共に、マイナ保険証を使っておられる医療機関を訪問させていただいておりますが、使っておられる様子を見ると非常に有効に使われておりますし、医療現場の事務の効率化、これには即座に効果を上げているということもございます。そうした意味では、ぜひそういう取組を広く関係方面の方々に御理解いただく努力をしたいと思いますけれども、同時に保険者の皆様、それから診療側、医療機関の皆さんに、ぜひ被保険者の方、患者の皆様に、マイナ保険証を1回使ってみようよと、1回マイナンバーカードを実際に医療の現場の受付で当ててみて、ちゃんと使えるんだということを分かっていただくことが大事なことではないかと思っております。
 そうした意味で、我々も最大限努力いたしますけれども、ぜひ保険者の皆様、あるいは診療側の皆様も、現場で一度御利用いただけるよう御支援を賜れればと思ってございます。
 一言ちょっと長くなりましたけれども、御挨拶させていただきました。
○田辺部会長 伊原局長、ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
 それでは、ほかに御意見等ないようでございますので、本日はこれまでとしたいと存じます。
 次回の開催日につきましては、追って事務局より。
 村上委員、どうぞ。
○村上委員 時間が迫っている中、申し訳ございません。議題にはないことなのですが、1点御要望申し上げたいことがございまして、発言を許していただければと思います。
 昨日から出産費用の見える化のウェブサイトに関するパブリックコメントが始まっておりまして、それを知って大変驚いたというのが率直なところでございます。出産費用の見える化ウェブサイトに関しましては、この部会でも昨年大きく議論をしてきたところでございまして、公表項目等の詳細をどのようにしていくのかということは大変重要な課題だと思っております。
 本来であれば、この場でも、検討状況の御報告であるとか共有などがあってしかるべきだったのではないかと思っております。保険適用につなげていくために重要な道筋ということだと思っておりますので、次回以降必要な議論を丁寧にしていただきたいと思っております。
 以上です。
○山下課長 保険課長でございます。
 村上委員、大変失礼しました。驚かせてしまったことは大変申し訳ございません。実は、まさに医療保険部会で次回議論していただくためにも、先にパブリックコメントで幅広く意見を聞いた上で、こんな意見がありましたという形で皆様方に御披露させていただいて、御審議いただく。そのプロセスのつもりでおりまして、驚かせてしまったことは申し訳ございませんが、今、村上委員がおっしゃられたとおり、皆様方も含めて御関心の高いことですので、医療保険部会で議論していただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 すみません。今お話がありましたけれども、やはり出産費用の見える化について、これまでこの医療保険部会の場でも、見える化を進めていくことは非常に重要なのだということは我々もずっと前々から申し上げております。この重要性に鑑みても、今後、この医療保険部会において、しっかりと見える化についてのきちんとした議論を進めていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。恐らく次回以降、資料を作って出てくると思いますので、活発な議論を期待しているところでございます。
 ほかはいかがでしょう。よろしゅうございますか。
 それでは、ほかに御意見等ないようですので、本日はこれまででございます。
 次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡申し上げます。
 本日は御多忙の折、御参加いただき、また活発な議論を展開していただき、ありがとうございました。それでは、散会いたします。