第164回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和5年3月23日(木)15:58~17:20

場所

全国都市会館 第2会議室

議題

1.オンライン請求の割合を100%に近づけていくためのロードマップ(案)
2.NDB収載・提供情報の追加について
 ( 報告事項 )
 1.マイナンバー法等の一部改正法案について
 2.第8次医療計画等に関する検討会(新興感染症対応)について
 

 

議事

議事内容
○原田課長 定刻より少し早いですが、委員の皆様がおそろいですので、ただいまより第164回「医療保険部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。
 本日は、新型コイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。オンライン開催に当たっての留意事項を別途御案内しておりますので、御確認いただけたらと存じます。
 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、内堀委員、羽田委員、本多委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 また、池端委員、藤井委員より途中出席されるとの御連絡をいただいております。
 本日、記者の方には会議の模様を傍聴いただいております。
 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○原田課長 それでは、以降の議事運営ですが、田辺部会長にお願いいたしたいと思います。
○田辺部会長 まず初めに、欠席される委員の代わりに出席される方についてお諮り申し上げます。
 内堀委員の代理として熊耳参考人、本多委員の代理として清家参考人、以上の2名の出席につき御承認賜ればと存じますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺部会長 よろしゅうございますか。ありがとうございます。
 それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ってまいりたいと思います。
 本日は「オンライン請求の割合を100%に近づけていくためのロードマップ(案)」、「NDB収載・提供情報の追加について」を議題といたします。
 では、初めに「オンライン請求の割合を100%に近づけていくためのロードマップ(案)」を議題といたします。
 では、事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
 資料1「オンライン請求の割合を100%に近づけていくためのロードマップ(案)」について御説明申し上げます。
 2ページでございます。これは現在の診療報酬請求の形態の現状を整理したものでございます。一番上のオンライン請求につきましては、機関数ベースで約70%、件数ベースで約86%を占めております。光ディスク等による請求につきましては、機関数ベースで約27%、件数ベースで約14%。それ以外、紙レセプトによる請求が、機関数ベースで合計で約3.5%、件数ベースで約0.5%となってございます。
 3ページでございますが、こうした請求形態別の機関数の推移につきまして整理をしたものでございます。青の棒グラフがオンライン請求の機関でございまして、機関数が増加してきているのが見てとれます。一方で、緑が光ディスク等、黄色が紙レセプトでございますが、ともに経年で減少してきているという状況が見てとれるかと存じます。
 4ページにお進みいただきまして、これを医科、歯科、調剤の種別ごとに整理したものということでございます。御覧いただきますと、歯科につきまして、緑色の光ディスク等というのが他の部門と比べまして相対的に多いということが見てとれますが、全体のトレンドとして減少してきているということが見てとれるかと存じます。
 5ページでございますが、昨年6月7日に閣議決定をされました規制改革実施計画の抜粋でございます。より効果的・効率的な審査支払システムによる審査等のためには、紙レセプトはもとより、電子媒体による請求が行われている場合も含め、オンライン請求への移行を進める必要があることから、オンライン請求を行っていない医療機関等の実態調査を行うとともに、その結果も踏まえ、将来的にオンライン請求の割合を100%に近づけていくための具体的なロードマップを作成する。これについて令和4年度末目途措置ということが閣議決定をされているわけでございます。これに沿った対応についてお諮りをするものでございます。
 6ページにお進みいただきまして、先ほどの閣議決定で出てまいりましたオンライン請求を行っていない医療機関等の実態調査でございます。私どものほうで、この6ページの2ポツにございますとおり、質問調査票を紙で郵送いたしまして、調査票を紙で回答いただくか、あるいはインターネットにより回答いただくという形で、今年の2月、1か月間調査を実施いたしました。
 1ポツのところに調査対象・回答状況を整理してございますが、光ディスク等機関4,000、それから、紙レセプト機関4,000、これは、先ほど御覧いただいたとおり、光ディスク等請求機関のほうが母数が多いことになりますので、抽出率で見ますと光ディスク等が約6%、紙レセプトが約48%ということになりますが、こうしたところに調査票を発送いたしました。
 回答状況がその下の表で出ておりますが、おおむね5割前後のところから回答をいただけたという状況でございます。
 7ページ以降、そのアンケート調査の結果について整理をいたしてございます。
 7ページが光ディスク等請求機関でございます。
 左上の棒グラフを御覧いただきまして、現在の請求方法を開始してからの期間についてのお尋ねでございます。ベージュ色のところ、約83%が5年以上この請求方法、つまり、光ディスク等で請求されているという御回答をいただいた一方で、約17%につきましては5年以内という御回答でございました。
 その右の棒グラフでございますが、オンライン請求を開始する予定についてのお尋ねに対しては、令和5年度中にオンライン請求を開始する予定であるという回答を過半数の約51%からいただいてございます。
 一番下の棒グラフでございますが、オンライン請求への移行に要する期間についてお尋ねしたところ、青にございますとおり、6か月程度という回答が最も多く、約26%でございました。また、赤の四角で囲ってございますが、12か月程度以内で移行できるという御回答をいただいたのが合計で約36%でございました。薄い緑色で、約56%の機関からは分からないという御回答でございましたので、具体的な移行に要する期間について御回答いただいた機関の中では、約92%が12か月程度以内で移行できる、そうした状況でございました。
 8ページにお進みいただきまして、紙レセプトの請求医療機関でございます。これにつきましては、レセコン未使用である、あるいは高齢医師等である、あるいは猶予類型に該当する、様々な形態がございますが、右下のところを御覧いただきまして、オンライン請求を開始する予定についてのお尋ねでございますけれども、令和5年度中に開始する予定であるという御回答は約3%から6%程度であったという状況でございます。
 9ページにお進みいただきまして、このアンケート調査におきまして、私ども、年末の中医協でお決めいただきました医療情報・システム基盤整備体制充実加算の要件緩和についてもお尋ねをいたしました。具体的には、この加算はオンライン請求を行っていることというのが要件になっているわけでございますが、このオンライン請求を令和5年末までに開始する旨のお届けを行っていただいた場合、今年の4月から12月までの間、特例により、こうした要件緩和をした上でこの加算が算定できるようになっているということについて御存知かどうか、お尋ねしたものでございます。
 下の円グラフで御覧いただけるとおり、約6割の医療機関・薬局にこうしたことが知られていないという状況が明らかになりました。
 10ページにお進みいただきまして、アンケート調査におきまして、オンライン請求に移行する上でのハードルについてお尋ねをしてございます。
 一番左、光ディスク等請求機関につきましては、オンライン請求の仕方が分からない、情報セキュリティー上の不安がある、費用が負担、こうしたことが相対的に多い結果となりました。
 一方、その右のレセコン未使用、高齢医師等につきましては、費用が負担ということに加えまして、高齢である、請求件数が少ない、こうした状況がより相対的に多く挙げられている状況でございます。
 11ページにお進みいただきまして、このアンケート調査の中で、オンライン請求への移行を検討する上で、あると望ましい情報・周知広報の内容ということについてもお尋ねしてございます。オンライン請求の方法についての分かりやすい説明ですとか、情報セキュリティーを確保するための対応、導入費用やランニングコストの見込み、こうしたことが上位にまいりました。
 以上を踏まえまして、12ページ以降でございますが、オンライン請求の割合を100%に近づけていくための基本的考え方、そして、それを踏まえたロードマップの案というのを13ページにお示ししてございます。
 12ページでございますが、上半分のところは私が今申し上げてまいりましたオンライン化に係る取組の現状を整理したものでございます。
 その上で、赤で囲ってある基本的な考え方でございます。
 まず1ポツでございますが、このオンライン請求に係る周知広報というものを本年末にかけて集中的に行いたいと考えてございます。その際には、先ほどのアンケート調査でも明らかになりましたオンライン資格確認に係る特例加算の要件緩和も含めて、しっかり対応してまいりたいと考えてございます。
 基本的考え方の2ポツが光ディスク等請求機関、3ポツが紙レセプト請求機関ということになります。
 光ディスク等請求機関でございますが、13ページのロードマップの案というのを御覧いただけますでしょうか。
 まず、令和5年のところでございます。ここに大きな橙色の矢印が書いてございますが、厚生労働省、関係団体、システム事業者、審査支払機関、地方厚生局等の様々なチャネルによる働きかけを通じまして、オンライン請求への移行促進のための広報ですとか、先ほど申し上げた特例加算の広報、それから、この後申し上げます令和6年度以降どのような取扱いになるのかの周知も含めまして、集中的な広報を行ってまいりたいと考えてございます。
 その上で、真ん中にございます光ディスク等請求機関につきましては、オンライン資格確認が今、原則義務化ということでお取り組みいただいてございます。オンライン請求も可能な回線が敷設されるこの機会をとらえて、原則オンライン請求に移行していただきたいと考えてございます。
 光ディスク等の令和6年9月末のところを御覧いただきたいと思います。ここに原則終了と書いてございますが、このオン資の義務化により、オンライン請求も可能な回線が敷設される機会をとらえ、令和6年9月末までに原則オンライン請求に移行するということでございます。こうしますと、その下に書いてございます全てのオンライン資格確認導入済み機関がオンライン請求に移行することを目指す。こうしたことになるわけでございます。
 これに先立ちまして、令和6年4月、ここで、この光ディスク等請求につきましては、新規適用を終了する。こうした措置を講じたいと考えてございます。
 この原則オンライン請求に移行する期限を令和6年9月末としている考え方でございますが、上のほうにオンライン資格確認に係るタイムラインを示してございます。4月から導入の原則義務化、そして、システム事業者等の事情により対応が間に合わないところ、9月末というのを経過措置の期限としてございます。この令和5年9月末から、先ほどのアンケート調査で、12か月程度以内でオンライン請求への移行ということについておおむね御対応いただけるような回答もございましたことを踏まえると、令和6年9月末ということが一つのタイミングになります。
 そのほか、令和6年9月末というのは、オンライン請求機関における返戻再請求につきまして、今年の3月請求分からオンライン化をする取組を進めてございますが、審査支払機関からの返戻につきましては、オンラインと紙返戻、両方で行うという取扱いを継続してございます。この紙返戻部分を廃止するというタイミングが令和6年9月末ということで、既に決めてこれを広報させていただいておりますので、そうしたタイミング。そして、令和6年秋というのは保険証廃止を目指すタイミングでもございます。そうしたことを総合的に勘案いたしまして、令和6年9月末までに原則オンライン請求に移行する。そうしたことをうたっているわけでございます。
 一方で、ここで原則終了ということになるわけですが、例えばレセコンを保有していないのだけれども、外部委託により光ディスク請求を実施している機関など、どうしても一定の事情があるところがございます。13ページの光ディスク等の右に灰色の矢印がございます。移行計画の提出を求めた上で、そうした機関については1年単位の経過的な取扱いを認めることとしたいと考えてございます。
 13ページの下でございます。紙レセプト請求機関でございます。これにつきましても、この大きな橙色の矢印、各種の様々なチャネルによりオンライン請求への働きかけを行っていくことは言うまでもございません。その上で、現在、高齢医師等につきましては、新規適用は請求省令上既に認められてございませんが、このレセコン未使用につきましても新規適用を令和6年4月から終了したいと考えてございます。その上で、令和6年4月以降も紙レセプト請求を続ける機関につきましては、改めて当初の要件を満たしている旨の届出を提出いただきたいと考えてございます。
 14ページ以降でございますが、今私が申し上げたことを、14ページでは光ディスク等について、15ページでは紙レセプトについて、そして、17ページは周知広報について、こうした3つの柱で文字にして整理をしたものでございます。
 駆け足でございますが、説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
 では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 このオンライン請求の促進は、まさに医療の質の向上、効率的・効果的な医療の実現、さらには医療保険の事務全体の効率化につながる非常に重要な問題であると考えております。そういう意味で、大きな方向性については賛成でございますけれども、やはり十分な効率化のメリットを得るためには、目標の早期達成がポイントであると考えております。
 今日の資料には入っておりませんが、私ども健保組合も今年4月から原則再審査申出をオンライン化するということにおいて、昨年10月の時点で約4割という未導入状況であったのですけれども、様々な角度からの未導入の理由の分析・分類化等をやって対応策を講じたことによって、3月時点においてほぼ全ての健保組合が導入するに至っております。
 そういった点から見ますと、今回の資料において、経過措置ありきで導入に向けた方針が提案されておりますけれども、やはり国としての本気度を示すためにも、極力早い時期にオンライン請求を100%にしなければならないのだという強い方針に基づく具体的な提案及び実行を期待したいと思っております。
 そういう中で、具体的には3点意見を申し上げたいと思います。
 まず1点目ですけれども、オンライン化に移行する最大のメリットは、医療機関、保険者のメリットはもちろんですけれども、国民、患者が、適切な医療を受けられ、また、マイナポータルで自分の治療、薬剤情報等の確認ができるなど、国民、患者の健康向上に資するということだと思います。とはいうものの、紙レセプトの医療機関で受診した場合には、国民、患者はそうしたメリットを受けられません。国民、患者が自らの選択によってメリットを享受できるように、紙レセプトで請求する医療機関の情報も含めて、医療機関のオンライン請求、オンライン資格確認の対応状況について広く分かりやすく公表いただきたいと思います。
 それから、2点目です。13ページにロードマップがございますけれども、光ディスク等請求機関及びレセコン未使用の紙レセプト請求機関の新規適用は令和6年4月から終了と整理されておりますけれども、いわゆる特例加算措置は令和5年、今年の12月までとされていることも踏まえて、移行が順調に進捗する場合には、この新規適用を前倒しで終了するということも検討いただきたいと思います。
 その上で、なおも紙レセプト請求を継続する医療機関については、やはり極力なくしていただくようにお願いをしたいと思います。あわせて、オンライン資格確認を導入しているにもかかわらず、オンライン請求に移行しないといった医療機関に対しても、より強制力のある対応をお願いしたいと思います。
 それから、3点目でございます。医療機関の請求に関連する問題として、出産育児一時金の直接払いに係る申請のオンライン化、また、マイナポータルでの出産費用情報の提供なども早急に具体化をしていただきたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
 資料1の5ページの規制改革実施計画の中に、オンライン請求の割合を100%に近づけていくための具体的なロードマップを作成と記載されておりまして、今回のアンケート結果を踏まえて13ページに案を提示していただいていると理解しております。その中に、1年更新の届出による経過措置の延長の記載はございますが、令和6年9月末には、原則全てのオンライン資格確認導入済みの医療機関はオンライン請求に移行と記載されております。
 歯科は小規模で高齢の開設者も多いところでございますので、このたびのオンライン資格確認等システム義務化に関しましても、昨年の12月末の中医協答申で、経過措置を含めて御対応はいただいておるところではございますが、整備のスピード感になかなか対応できない側面も見えてきております。
 昨年の第154回の社保審医療保険部会でも発言はいたしましたが、急速なロードマップでは多くの地域の歯科診療所での対応が追いつかず、混乱を招きかねませんので、前もって課題を抽出し、実現可能な方向性を示しつつ、慎重かつ丁寧に行っていただきたく要望したく思っております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、原委員、よろしくお願いいたします。
○原委員 ありがとうございます。
 レセプト請求のオンライン化につきましては、医療費の審査支払業務の効率化やコスト削減につながることから、審査支払機関としてぜひとも実現していただきたいと考えております。少なくとも、今回オンライン資格確認等が義務づけられる保険医療機関や、保険薬局でまだオンライン請求を実施していただけていない機関においては、オンライン資格確認に係るシステムの整備に合わせるなどして、レセプト請求についてもオンライン請求に切り換えていただくよう、いろいろ事情はあろうかと思いますけれども、審査支払機関としてぜひお願いを申し上げたいと思います。
 特に光ディスク等による電子媒体の請求の状況でございますが、先ほども厚生労働省の資料にもありましたけれども、国保や後期高齢者医療のレセプトの審査支払いを担当している国保連合会においても、全国における今年の1月請求分の実績で見ても、医療機関・薬局等の機関件数ベースで全体の26.8%、レセプト枚数ベースで13.5%に上っており、被用者保険の審査を担当している支払基金においても似たような状況にあろうかと考えております。
 今回の対応案による効果は、審査支払機関にとっても大変大きいものと考えておりますので、厚生労働省においては、今回の措置も含め、今後とも関係者の理解を得ながら、レセプト請求のオンライン化に向けて御指導、御支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
 2024年秋のマイナンバーカードと健康保険証の一体化に当たりましては、保険料を納めていただいている加入者の方々の手元にマイナンバーカードまたは資格確認証が迅速に届き、支障なく医療機関等の受診を行える仕組みの構築とともに、柔整・あはき、健診機関、特定保健指導機関を含む全ての医療機関等でオンライン資格確認等システムが導入されていることが前提となると思っております。
 今回のアンケート調査では、少なくない数の医療機関・薬局がオンライン請求への移行に不安や負担を感じていることが明らかになっております。協会といたしましても、オンライン資格確認等システムの活用に向けて、令和5年度も周知に努めていくつもりでございますが、国としても、オンラインを活用した請求、資格確認のメリットや必要な対応、セキュリティーの確保等について、医療機関・薬局向け及び被保険者向けに分かりやすい形でまとめたパンフレットやチラシの作成など、丁寧な周知広報に努めていただきたいと思います。
 また、今後、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会、及びその下に設置されました、協会もオブザーバーとして参加させていただいている専門家ワーキンググループにおいて、具体的な実務上の課題の検討が進められ、6月に取りまとめが行われる予定と認識しております。協会といたしましても、新たな業務フローの検討必要なシステムの改修を急ピッチで進めていく必要があり、引き続き現場の意見を取り入れて、詳細の検討を着実に進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。
 オンライン請求を促進していくということは、医療の質の向上にとっても重要でありまして、資料の12ページで示されました基本的考え方に基づいて、オンライン請求の割合を着実に100%に近づけていくことは必要と考えております。
 その上で、資料の9ページでアンケート結果について御紹介いただきましたけれども、医療情報・システム基盤整備体制充実加算に関しまして、診療報酬加算の要件が緩和されていることについて、約6割の医療機関などが知らないという結果になっております。この点については、この加算はオンライン請求をさらに普及させる観点から、中医協で様々な意見が出された中で、算定要件を見直す延長のない特例措置が講じられたものであり、その目的を果たすためにも、きちんと医療機関に周知がなされるということが必要と思います。厚生労働省におかれましては、先ほど安藤委員からもございましたけれども、ぜひ丁寧な取組をしていただきたいと思っております。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。意見を申し上げたいと思います。
 今回、このようにして全体を俯瞰するような情報を整理していただき、ロードマップを含むスケジュール感のあるものを示していただいたことは、とてもいいことだと思っています。特に完了の見込みがいつまでなのかとかというターゲット、目標を決めて、関係者みんなで努力することが重要だと思っておりますので、これはとてもよい対応だと思っています。
 それをよりよく展開する意味でも、繰り返し出ていますように、100%に近づける啓発や広報、説明ということはとても重要だと思っています。
 そういった意味では、一つは、より細やかな対応というのが大切になるのではないかなと思っています。当然厚生労働省でもお考えだと思いますが、例えば各都道府県単位の医師会、歯科医師会、薬剤師会がございますので、そこを通じて、まだ参加されていないところ、これから検討中のところをできるだけ速やかに移行できるような説明会とか研修、アシストといったことがとても大切ではないかと思います。これはひとえに今申し上げた3つの医師会、歯科医師会、薬剤師会のみならず、例えば都道府県単位で行政機関のほうからそういったところの関係の皆様に御説明を働きかけるということも当然重要だと思っています。
 併せて重要になるだろうなと思われるのが、各医療機関や薬局等に納めていただいているシステムやアプリケーションがございますけれども、これを所管されているシステム事業者へも協力を求めたほうがいいと思います。仕事で連携をされながら、カスタマイズされたり、いろいろ対応をされていると思いますけれども、よりよい未来のために、また、こういった国としてのロードマップがありますので、これを目標によくシフトできるようにアシストしてほしいということも率直にお話しになったほうがいいのではないかなと思っています。
 あわせて、3点目に感じているのは、極めて重要なのが、医師、ドクターの皆さんと、特に事務職にいらっしゃるスタッフの皆さん、病院としての規模はいろいろ違うかもしれませんけれども、このドクターの判断、院長先生としての判断等もございますし、併せて事務スタッフの方々が使い勝手が良いような体制にしていかないと、なかなか拡張、拡散というのもスローダウンしていくと思いますので、ぜひそこら辺、ひょっとしたら現場では一番気にされていることかなと思います。
 あと、アンケートにも出ていましたけれども、コストのことがどうしても関心から抜けませんので、そういったことの改善もいろいろ御支援をいただくといいかと思っています。
 あわせて、最近はDX等がはやりですけれども、一方で、UXデザイン、すなわちユーザーエクスペリエンス・デザインというのがだんだんトレンドになってきています。これはユーザーにとってより良い変化を生み出すようなデザインをしていこうという時代の流れでございます。そういった観点から考えていきますと、ユーザーとしての、あるいは生活者、あるいは利用者としての利便性を高めていく、効果性を高めていくことが重要だと思います。
 そういった観点になりますと、今回直接は関係しませんが、将来必ず関係してくると予想されるのが、診療報酬等に関する情報とか薬剤とかに関する情報は、結果的に医療費とも連携していきます。そういったことからしますと、確定申告の際にこのデータを一覧として使えるようにするということも片方では目標に入れていただきながら、ぜひシフトができるように厚生労働省かどこか関係機関のところでリードしてやっていただくと、本当にデジタルガバナンス、デジタルの社会への移行がより利便性の高く正確で、また、適切な管理ができるということになっていきます。そういったことも射程に入れていただいて、改革の推進をお願いしたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 よろしゅうございますでしょうか。ほかに御意見がなければ、本議題につきましてはこれまでとさせていただきたいと存じます。
 次に、「NDB収載・提供情報の追加について」を議題といたします。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
 資料2、NDB収載・提供情報の追加について御説明申し上げます。
 本件につきましては、医療保険部会の下にございます匿名医療情報等の提供に関する専門委員会におきまして、去る3月1日にこのテーマについて御議論いただき、御了承いただいたものでございます。
 2ページにお進みいただきまして、NDB収載・提供情報の基本的考え方について整理をしてございます。
 NDBにつきましては、高齢者の医療の確保に関する法律(高確法)に基づきまして、医療費適正化計画の作成・実施・評価に資するということで、厚生労働省が保険者等からデータの提供を受け、NDBに収載しているものでございます。こうしたものは、この医療費適正化計画の作成等に資する目的で自ら調査・分析を行うだけでなく、国民保健の向上に資する目的で相当の公益性を有する分析等を行う者に対して提供することができる枠組みになっているわけでございます。
 一方で、このNDBにつきましては、安全管理措置といたしまして、個人が特定できないように氏名等を削除し、匿名化した形でデータを収集するですとか、ほかの情報と照合等を禁止する義務、利用後のデータ消去、安全管理措置、不当な目的利用等の禁止などの義務を課しているほか、法令違反等の疑いがある場合は私どものほうで法律に基づく立入検査・是正命令を行うことが可能となってございます。
 こうしたNDBに収載、そして、提供される情報でございますが、改めてどういう情報を収載・提供するのかというのを整理してみますと、1つ目でございますが、こうした医療費適正化計画での利用、あるいは国民保健の向上に資する研究に利用する目的に沿ったものであるかどうかという観点。2つ目でございますが、個人特定の可能性、それに対してきちんとした対応ができるかといった安全管理措置の観点。3つ目でございますが、こうしたもの、収載に要する事務負担がどの程度あるのか、システム整備等にどの程度の費用を要するのかといった観点。こうしたものを総合的に踏まえまして、必要な見直しを行っていくことになろうかと存じます。
 今回御提案申し上げたいのは3ページ、4ページでございまして、生活保護受給者の健診情報、それから、40歳未満の事業主健診情報につきまして、新たにNDBに収載、そして、提供することとしてはどうかというものでございます。
 3ページは生活保護受給者の健診情報でございます。
 生活保護の医療扶助につきましては、令和5(2023)年度中にオンライン資格確認を開始予定ということで準備を進めてございます。これによりまして、いわゆる生活保護の医療券等につきまして、また、生活保護受給者の方が受ける健診の情報等につきまして、オンライン資格確認等システムにおいて管理をされるようになります。そうしますと、医療保険の場合と同様に、被保護者がマイナポータルで自身の健診情報等を閲覧することが可能になりますし、医療機関等において、被保護者の同意の下、被保護者の医療情報、健診情報等を確認することが可能となります。
 被保護者の健診情報につきましては、令和6(2024)年度からマイナポータルで確認、閲覧できるよう、現在、支払基金等のシステムの改修を実施しているところでございます。さらに、こうした被保護者の健診情報、これは特定健診情報との並びで40~74歳ということになりますが、こうしたものをNDBに収載するためには支払基金のシステム改修が必要となります。逆に申し上げますと、システム改修を行えば収載することが可能になるものでございます。
 2番のところでは、先ほど2ページで御覧いただいた3つの観点からチェックを行っているものでございます。
 1つ目のポツでございますが、こうしたものは被保護者の健診情報を基に健康状態の実態を正確に把握することができ、介入の効果・必要性の検討など政策立案や研究結果の精度の向上が期待できるものと考えてございます。
 また、安全管理措置につきましては、個人が特定されないよう、引き続きしっかりとした措置を講ずることができるものと考えています。
 そして、3つ目のポツでございますが、福祉事務所からこうしたNDBへの健診情報の情報を収載していただくことになるわけですが、これは支払基金内のシステムを経由する想定が可能でございまして、支払基金内のシステム改修でNDBの収載が可能となるわけでございます。
 こうしたことを踏まえまして、支払基金のシステム改修を行うとともに関係省令を改正して、令和7(2025)年度以降にNDBの収載・提供を開始してはどうかと考えてございます。
 続きまして、4ページでございます。40歳未満の事業主健診情報でございます。
 こちらにつきましては、令和4年1月から、健康保険法の改正によりまして、保険者は事業者等に対して40歳未満の事業主健診情報の提供を求めることができる。提供を求められた事業主等は事業主健診情報を提供しなければならない。そうした法的な枠組みが設けられたわけでございます。これによりまして、事業者等から提供を受けた事業主健診情報につきましては、加入者がマイナポータルで自身の健診情報を閲覧することが可能となるということになりますし、医療機関等で加入者の同意の下、加入者の医療情報や健診情報等を確認することも可能となるわけでございます。
 現在、2023(令和5)年度中に40歳未満の事業主健診情報をマイナポータルを通じて閲覧可能とするため、支払基金のシステム改修を実施してございます。また、事業主健診情報をNDBに収載するためには、支払基金のシステム改修が必要。先ほどと同様に、逆に申し上げれば、システム改修を行うことで収載することが可能になるわけでございます。
 2番では、先ほどの3点について、こちらも同様にチェックを行ってございます。
 40歳未満の事業主健診情報は、悉皆データではございませんが、生涯を通じた予防健康づくりに向けて、経年的な健康課題の把握・対策への活用など、政策立案、研究結果の精度の向上が期待できると考えてございます。
 安全管理措置につきましては、同様に個人が特定されないよう、しっかりとした対応ができるものと考えてございます。
 そして、この情報の収載につきましては、支払基金内のシステムを経由する想定でございまして、支払基金内のシステム改修でNDB収載が可能と考えてございます。
 以上を踏まえまして、支払基金のシステム改修を行うとともに関係省令を改正し、令和7(2025)年度以降に、NDBの収載・提供を開始してはどうかとしてございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
 では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 4ページの40歳未満の事業主健診情報についてコメントいたします。
 当然ですけれども、この事業主健診情報、40歳未満の方について、NDBに収載することに異論はございません。40歳未満の事業主健診については、マイナポータルでの閲覧ですとか、医療機関等で確認できるようになることは、加入者の健康管理、また、よりよい医療の提供につながることが期待できますので、賛成でございます。引き続き、事業主健診情報の提供の仕組みについて関係者に対する周知徹底をお願いしたいと思います。
 また、従来から申し上げておりますけれども、この運用費用については、システムが安定稼動するまでの間は国の負担でお願いしたいと思います。また、これまでの特定健診等のシステムと一体的に運用して効率化を図るなどして、できるだけ負担増を抑えるような運用をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
 私も佐野委員と同じように、資料2の4ページの40歳未満の事業主健診情報について意見を述べさせていただきます。
 この40歳未満の事業主健診情報につきましては、保険者が自らの保険事業に活用するため、自らの判断で取得するとともに、マイナポータルに登録したものを活用することに関しては、反対するものではございません。しかし、事業主健診につきましても、生涯を通じた予防・健康づくりの主要な柱である以上、中期的には保険者を経由するという形ではなく、労働安全衛生サイドから直接NDBに登録できるような体制を整備すべきではないかと考えております。別途安全衛生部において開催されている産業保健のあり方に関する検討会におきましても、医療保険者による保険事業と産業保健の役割分担が課題になっているところでございます。事務局におかれましては、労働部局とよく相談をしていただき、産業保健の世界でもNDBへのデータ提供をはじめとした医療情報等の連携を進めるなど、健康づくりへのトータルビジョンを提示していただきたいと考えております。
 なお、オンライン資格につきましては、当初、保険者に実施義務のある特定健診の情報をマイナポータルで閲覧できるようにするとのお話でございました。その後、レセプト情報であるとか電子処方箋情報が追加されるなど、オンライン資格確認等システムの基盤の新たな活用方策が矢継ぎ早に打ち出されております。その都度、個別にその費用負担の在り方が議論されてまいりました。今後も医療DXの流れの中で電子カルテ情報など、さらなる拡充が図られていくことが想定されており、その際はまず全体像を示していただき、利活用場面、ユースケースを整理し、その役割や受益等を踏まえた上で費用負担の在り方を議論していただきたいと思っております。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 前の方と同じように、やはり40歳未満の事業主健診情報の収載ということでございますが、人生100年時代なので、長い人生における健康情報を一貫して把握できるというのは非常にすばらしいことだとは思います。しかし、今の状況でいくと、この40のところで切れてしまうおそれがありますので、40未満についてもなるべく広く情報収集ができることが望ましいと思います。事業主が提供できると書いてあるのですが、どこまで広げることができるのか、厚労省はその辺をどう考えていらっしゃるのか。生涯にわたって、40のところで切れないような一貫した情報の収載ということはできないだろうかということをお聞きしたいと思います。
○田辺部会長 それでは、御質問がございましたので、御回答をよろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
 御質問どうもありがとうございます。私どもとしても、生涯にわたる健診情報等をできる限り把握できるような仕組み、そうしたものが望ましいと考えてございます。
 今回、40歳未満の事業主健診情報、私が先ほど御説明申し上げました制度というものが昨年の1月から施行されているわけでございますが、私どもはこの制度の施行だけではなくて、まさにここに関わる関係者が40歳未満の事業主健診情報の活用について共通の認識を持って、それで取組を進めていくことが重要と考えてございました。そのため、昨年この40歳未満の事業主健診情報等の活用につきまして検討会を開催いたしまして、今、袖井委員から御指摘もございました事業主、そして、保険者、そうした関係者の方にいわばお集まりいただいて、こうした40歳未満の事業主健診情報の活用の意義、そうしたものを改めて確認をする、あるいは40歳未満の事業主健診情報を実際にきちんと活用するということになりますと、きちんと電子化をした形でそれを作成、保存し、それを提供する。どうしてもそうしたことが必要になりますので、そうしたことについての共通の認識、そして、コラボヘルスを推進していく、あるいは実際にそれをどのような形で活用できるのかということについての具体例の積み上げ、こうしたことも含めまして、関係者にお集まりいただいて、報告書を取りまとめ、それをきちんと周知していくという形で対応しているところでございます。
 これは引き続き保険者だけでなく事業主も含めて、先ほど安藤委員から産業保健の在り方全般という非常に大きな視点からの御指摘も頂戴いたしました。そうしたことも踏まえながらしっかり対応してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○田辺部会長 袖井委員、よろしゅうございますでしょうか。
○袖井委員 いつまでにそういうことを完了するとか、タイムスケジュールのようなものは考えていらっしゃいますでしょうか。
○水谷委員 医療介護連携政策課長でございます。
 今の40歳未満の事業主健診情報の活用、まずは私が先ほど申し上げました検討会におきまして認識を共有し、取組を進めていくということを出発点としてございます。現時点において、何をどこまでというスケジュールは、残念ながらまだそこまで合意するような段階に至ってございませんが、まずはこの仕組みを通じて、40歳未満の事業主健診情報を保険者の保健指導等で円滑に活用していく。また、それがマイナポータルに載ることによって、実際の従業員の方はそうした情報を活用しながら予防健康づくりを進めていただく。様々な活用を進めていくことがまず出発点かと考えてございます。
 以上です。
○袖井委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 遅れての参加で申し訳ございません。また、移動中のため、申し訳ありません。
 資料2のうち、4ページに記載されております、40歳未満の事業主健診情報の収載、活用について、コメントをさせていただきます。
 医療保険制度の持続可能性を高めるためには、医療DXによる効率化、利便性の向上と医療サービスの質的向上に加えまして、国民の意識改革と行動変容が必要であります。国民一人一人が日頃から自身の健康課題を把握し、その解消のための取組を行うことで、疾病の発症を未然に防ぎ、医療保険制度に過度な負担がかからないようにすることが大切でございます。個々人のヘルスリテラシーを高め、セルフメディケーションを推進することを国民の常識にすることが極めて重要と考えます。
次の時代を担うべき若者世代が健康を維持し、活躍できるようにすることが求められます。そうした人たちの健康に対する意識や理解を深め、健康の維持、改善に対する活動を自ら行うよう背中を押すべく、生活習慣と健康診断結果の関連性などを、数字で分かりやすく示すことが重要と考えます。その意味からも、NDBへの40歳未満の事業主健診情報の収載、活用は、令和7年度と言わず、ぜひ急ぎ開始していただくようお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、横尾委員、よろしくお願いします。
○横尾委員 ありがとうございます。
 NDBデータの活用ということで、大いに期待しているところです。今回、マイナポータルでの閲覧が可能になったり、あるいは医療機関で本人同意の下ですけれども、そういった情報の共有と医師にお諮りして対応ができるということはとてもよいことだと思っています。もっともっと加速してやっていただくといいかなと思います。
 特に「自分の健康は自分で守る」ということは極めて大切なことであるということを多くの方が認識されているとおりです。今も藤井委員からもありました。やはり自分でやるという意識と、行動を変えてよくしていくということが極めて重要ですので、そういったことに大きく役立つと思っています。
 そこで、その観点をより効果的にしていく観点から、2点意見を申し上げたいと思っています。
 一つは、たとえば家族単位で見てみますと、家族それぞれ保険者が異なる健康保険に参加しているということがあるのです。例えば国保であったり、企業関係の健康組合であったり、あるいは共済であったりなど、いろいろ加入しています。そのため健康医療情報はそれぞれにおいてデータとして管理されます。しかし、例えば行政、特に我々基礎自治体の市役所や町村役場、あるいは都道府県も同じように注目されると思いますが、なかでも特に市町村は国保を預かっておりますので、お一人お一人の住民の健康に非常に関心を強く持って対策を取らねばならないと思っています。そこで重要なのが、実はこういった健康データなのです。でき得るならば全ての御家庭の構成員の健康に関する情報を、加入している保険者の違いとは関係なく、一気通貫して全体を見られるようにしてほしいと思っています。このことは、私が望むという以上に、住民の健康増進に熱心な保健師であればあるほどそのことを切望しています。
 そのことによって何が起こるか、変わるかといいますと、家族としての健康を指導することが極めて容易かつ有効になっていきます。例えば血糖値にしても、高血圧にしても、そういった症状は塩分摂取など食事からかなり影響を受けます。このことは、家族の皆さんにそのことをお伝えして、こうやったら改善できますよ、塩分を控えてとか、そういったことを家族として共有して、改善に努めることが重要です。家族の状況がわかっていれば、より的確に指導も、行動改善も可能になります。
 また、仮に医療的処置を受けるとしたときに、例えば大きな手術を家族が受ける場合、マイナポータルとかを活用していろいろな形でそのことに関する情報を共有して理解を進めて、その上で、ベッドサイドに行って、病院に行って、励ましをしたり、お話を聞いたりということもできるようになり、とても意味があることだと思うのです。
 そういった意味でも、家族としてそういった情報を共有できることと併せて、その情報を行政のほうからでも、守秘義務は当然なのですけれども、自治体として把握して、適切な健康のための行政の施策が展開できるようになるよう、ぜひ健康情報の共有と有効な活用の確立をしてほしいと強く思うところでございます。健康意識の向上が健康づくりにつながることは当然でありますから、それを支える大きな一つの礎になると思います。
 もう一つは、先ほどもほかの委員からもありましたが、一人の人生を考えていくと、出生から天寿を全うするまでのPHR(パーソナルヘルスレコード)というのはあってしかるべきと思います。出生のときだけとか、幼児期とか、学校保健のときだけとか、あるいは企業に入ってからとか、途中は国保だ、そして、その後、後期高齢者医療だなど、あたかもぶつ切りの状況もいいのですけれども、やはりつながっていって、それの改善を図っていく。今回の40歳未満の対応がそれの一つのきっかけになると思いますが、ぜひ出生から天寿の全うまでの個人の健康データ、PHR(パーソナルヘルスレコード)の把握が可能になるように、そして、共有できるような形というのが重要と思います。
 共有と言うと語弊がありますが、私が申し上げたいのは、ビッグデータとして活用したら意味があると思っています。例えばほかの国では国民のかなりの人口数の健診によるデータベースを活用して、「あなたのような血液検査の数値が続くと、5年後にはこうなって、8年後にはこうなって、10年後にはこうなりますよ」という診断まで加えて提供するというサービスもあるようです。現状の日本は当然これらのこともできるだけの技術を持っていますので、こういったデータが積み上がっていくと、そういったことも当然可能となります。人間ドックやそれぞれの健診の最後のカウンセリングのときに話を聞くのももちろん意味がありますが、併せてそういった客観的な医療、健康のデータベースからそういう傾向が出ているという注意喚起なども意識改革になりますので、こういったことも併せて考えてほしいと思っています。
 今後の技術革新を考えていくと、今、AIの分野での進化や変革が物すごく加速しています。そういったものを活用しながらこれをやっていくと、多くの国民の皆さんにとってはとても使い勝手のいい、また、自分の健康をよくしていくためにも意味のあるものになっていくと思います。厚労省も予算確保は大変でしょうけれども、我々も応援していきますので、ぜひ頑張ってほしいと思っています。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、猪口委員、よろしくお願いいたします。
○猪口委員 ありがとうございます。
 この40歳未満の事業主健診情報というのをNDBに収載させていくというのは賛成なのですけれども、今のところ、あくまでこれは特定健診項目のデータになるのだと思うのです。そうすると、あれはメタボ健診ということで、データとしては少し限られてしまうのではないかと思います。ですから、せっかく生涯の健診のデータをためるということになると、もう少し広く、いろいろなデータが入っていたほうが実際はよくて、特定健診に限らないほうがいいのではないかなと思うのですけれども、それはすごい作業がまた必要になるのかもしれませんが、どのようにお考えか教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○田辺部会長 では、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
 御質問どうもありがとうございます。今の猪口委員の御指摘のとおり、まさに御自身のPHRとして健康に役立てていくという意味では、幅広いそうした健診等の結果、情報があることが望ましいことは言うまでもございません。ただ一方で、実際にそれを収載するということになりますと、当然、それに要するシステムの整備費用の負担、そうした様々な観点がございます。今回御提案しているのは、この特定健診の情報の並びの項目で御提案を申し上げてございます。それが、現在あるシステムの中での改修によって比較的簡易に実現できるところということでございます。
 一方で、今、横尾委員あるいは猪口委員から御指摘いただいたとおり、生涯にわたる健診情報等をどうPHRなりの形で管理し、さらにそれをビッグデータとして蓄積していくか。これは大きな課題だと思ってございます。私どもも医療DXを推進していく中で、一つ、全国医療情報プラットフォームということを申し上げてございます。これはオンライン資格確認等で整備された基盤をベースとしながら、そこに今、医療の関係、あるいはさらに介護とか健康の関係も含めまして、様々な主体が様々な情報を持っておられる。そうしたものをこうしたネットワーク上でどのように管理し、それを提供していくかといったコンセプトの下でございます。もちろん、先ほど費用負担について保険者の方々から御指摘があったとおり、そういうことを実現しようとするためには、当然そういう情報を利用する主体、あるいはそれがどのように活用されるかといったことも含めまして、費用負担も含めてきちんと検討していく必要があると思ってございます。
 まさに今御指摘いただいたこと、全国医療情報プラットフォームという中で、自治体検診あるいは乳幼児の健診、特定健診保健指導、様々な健診についてどうしていくか。そうした中で議論していくべきものと考えてございます。
 以上です。
○猪口委員 ありがとうございます。
 今のところ、この形で進めるということはよく理解いたしました。今後さらに広がっていくことを期待したいと思います。ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
 もう一点だけ意見を述べさせていただきたいと思います。今回の議題にはないのですが、本部会でこれまで議論してきました第4期の医療費適正化計画につきましては、令和5年度、都道府県における策定作業が行われることとなっております。その際に、都道府県が医療費目標を推計するための算定式などを示す医療費適正化基本方針につきましては、現在国会に提出中の全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案が成立した場合、その内容を反映して本部会で案を御提示いただくことになると認識しておりますが、協会としましても、今後さらなる医療費適正化に向けて、都道府県の策定プロセスにおきまして、保険者協議会等を通じて積極的に関与していきたいと考えておりますので、できる限り早期にお示しいただけるよう、ここでお願いさせていただきます。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、清家参考人、よろしくお願いいたします。
○清家参考人 ありがとうございます。
 本日の御提案については特段異論ございませんが、NDBに関わる御指摘をさせていただきたいと思います。今回、収載・提供の範囲を広げるという御提案でございますが、もともと、今日も御説明がありましたけれども、医療費適正化計画の策定、実施等に向けて厚労省さんのほうで調査・分析を行うという視点も非常に重要でございます。この点に関して、財政当局のほうからは、医療費適正化計画がエビデンスに基づいた実効性のあるものになっているのかという非常に厳しい指摘もなされております。データの収集・提供に加えて、調査・分析をできるだけ速やかに行うということもエビデンスに基づいた政策立案を行う上で重要でありますので、これは大事な先行投資という視点で、先ほども必要な予算の確保に関する御指摘もありましたけれども、厚労省さんにおかれても、その点、働きかけを今後大いに期待するものでございます。
 私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでございましょうか。
 よろしゅうございますでしょうか。それでは、ほかに御意見等はないようでございますので、本議題につきましてはこれまでとさせていただきたいと存じます。
 次に、事務局ほうから別途報告事項があるということでございますので、説明をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○高木課長 国保課でございます。
 資料3、マイナンバー法等の一部改正法案になります。
 1ページ目でございますけれども、私から御説明するのは、2月24日に御説明したマイナンバーカードと健康保険証の一体化の関係でございます。3のところにございます。マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けられない状況の方が必要な保険診療を受けられるよう、本人からの求めに応じて資格確認書を提供するというものでございます。
 2ページ目になりますが、2月24日に御説明したものから変わった部分としては、施行期日のところにつきまして、令和6年秋となっていましたけれども、法律上、公布の日から1年6か月以内で政令で定める日としております。
 それ以外の部分につきましては同じ内容でございますので、説明は省略させていただきます。
○眞鍋課長 続きまして、医療課長でございます。
 1ページ、先ほどのマイナ法の一部改正法案の概要の改正のポイントの1ポツのところでマイナンバーの利用範囲の拡大というところがございまして、ここにつきまして、私のほうからも1点報告をさせていただきます。
 資料自体では4ページとなります。マイナンバーの利用範囲の拡大についてということで、上の四角に背景、経緯というのがございます。経緯がある話でございますけれども、(2)の1つ目の○でございますけれども、現在、医師、歯科医師、看護師等の約30の社会保障等に係る資格については、先行してマイナンバーによる情報連携の活用が目指すこととされておりまして、これらの免許に関する事務については、令和3年に既にマイナンバーの利用が可能となるように措置済みでございます。
 そして、この改正法案でございますけれども、その下、2ポツでございますが、保険医、保険薬剤師につきましても、現在、地方厚生局の窓口で住民票の写し等の添付書類を添えて手続を行うということでございますけれども、上記の改正法案では、こちらの添付書類の一部を省略することを可能とするものということでございます。加えて、従来の方法に加えましてマイナポータルからの申請届出も可能とする。こういった内容の法案となっているところでございます。
 御報告は以上でございます。
○山田参事官 続きまして、医政局参事官でございます。
 資料4、意見の取りまとめということで、前回の医療保険部会では第8次医療計画の6事業目、新興感染症対応について、医療計画検討会での検討状況として、流行初期医療確保措置の関係部分の資料で御報告をいたしました。
 その後、3月9日の医療計画検討会で意見の取りまとめ案が議論されまして、13日の厚生科学審議会感染症部会、次いで3月20日の社会保障審議会医療部会への報告を経まして、同日、最終まとめが行われましたので、報告でございます。
 まず、1ページの下から8行目の四角囲みのところで、(前提)想定する新興感染症について、ということでありまして、2ページの3行目のとおり、新型コロナへの対応を念頭に取り組むなど、前回の報告資料から変更はありませんけれども、以降、今回も流行初期医療確保措置に関する部分について追加、修正されている箇所を中心に御報告をいたします。
 この2ページの10行目からですけれども、新興感染症発生からの一連の対応について、ということで、流行初期の3か月に入る前、つまり、感染症法に基づく厚生労働大臣による新興感染症に位置づける旨の公表前の、国内での感染発生早期の段階は、現行の感染症指定医療機関が中心に対応し、その後、知見の収集及び分析を行うことが追加されております。
 また、次の○ですけれども、発生の公表後の流行初期の一定期間、3か月に入ってからも、まずは、感染症指定医療機関が流行初期医療確保措置の対象となる協定に基づく対応も含め、引き続き対応。また、国がそれらの知見について、都道府県及びその他の医療機関に情報提供をした上で、その他の医療機関も流行初期医療確保の協定に基づき対応。
 3ページの最初の○ですけれども、この3か月の一定期間経過後は、これらに加え、その他の公的医療機関等も中心となった対応とし、その後3か月程度、発生の公表後6か月程度をめどに、順次速やかに全ての協定締結医療機関での対応を目指す。
 続いて、4ページの下から6行目の(数値目標について)、新型コロナ対応において、都道府県及び医療機関は様々な変化にその都度対応してきた実績を踏まえ、まずは新型コロナ対応での最大値の体制を目指す。
 この最大値ですけれども、5ページの2の各医療措置協定について、(1)病床関係でいいますと、5ページの4つ目の○ですが、ここの(※)で5.1万床、医療機関数で約3,000ということでして、この中から、このページの下から4行目ですけれども、②の流行初期医療確保措置対象の協定締結医療機関(入院医療)について、ということで、6ページの3つ目の○になりますけれども、地域の実情に応じて確保する、ということです。
 以下、当該医療機関の目安や基準などがまとめられているということで、流行初期から新型コロナ発生約1年後の2020年冬の新型コロナ入院患者約1.5万人の規模に対応することを想定。その際、新型コロナ対応においては、例えば総病床数400床以上の重点医療機関約500機関で約1.9万床の対応規模があったことを参考に、一定規模の対応を行う医療機関から確保していくことを目安とする。
 次の○ですけれども、流行初期、入院の医療機関の基準ということで、①、病床を一定数、例えば30床以上確保。②、発生の公表後、都道府県知事からの要請後、速やかに(1週間以内をめどに)即応病床化すること。括弧ですけれども、この際、国は感染発生早期から知見等を収集し、都道府県及び医療機関に対して周知を行い、実質的な準備期間の確保に努める。③、影響が生じ得る一般患者への対応について、後方支援を行う医療機関との連携も含め、あらかじめ確認を行うことを基本とする。「ただし」ということで、都道府県において、地域の実情に応じて、通常医療の確保を図るためにも、柔軟に当該協定を締結できるようにするということ。
 続いて、(2)の発熱外来の関係ですけれども、飛んで10ページになりまして、中ほどですけれども、数値目標としております最大値ということで、下から2つ目の○の中ほど、(※)で医療機関数で4.2万か所ということで、この中から11ページの②の流行初期医療確保措置対象の協定締結医療機関(発熱外来)について、地域の実情に応じて確保する。以下、当該医療機関の目安や基準がまとめられているということで、こちらは流行初期から新型コロナ発生後約1年の2020年冬の外来患者約3.3万人の規模に対応を想定。その際、例えば総病床数200所以上で新型コロナ患者が入院可能な診療・検査医療機関約1500機関で約3.3万人の対応規模があったことを参考に、一定規模の対応を行う医療機関から確保していくことを目安とする。
 流行初期の医療機関の基準ですけれども、①、一定数、例えば1日20人以上の発熱患者を診察できること。②、発生の公表後、都道府県知事からの要請後速やかに(1週間以内をめどに)発熱外来を開始することを基本とする。「ただし」ということで、地域の実情に応じて、通常医療の確保を図るためにも、柔軟に当該協定を締結できるようにする、ということです。
 次の○の4行目ですけれども、国は国内外の最新の知見を収集し、随時都道府県及び医療機関等に周知を行う。また、最後の文で、なお、国には当該知見について更新の上、情報提供をする旨が記載されております。
 流行初期医療確保措置の主な関係は以上でありまして、また、前回の医療保険部会で協定の内容の見える化や履行状況の公表についての御意見がございました。18ページの9行目になりますけれども、④ということで、締結した協定等の報告・公表の内容・方法といたしまして、記載のとおりでありますが、協定の内容、履行状況などをホームページ等でできる限り分かりやすく公表し、その旨の周知を図ることなどが盛り込まれております。
 以上、20日に取りまとめられた第8次医療計画等に関する検討会の意見の報告ということでありまして、この取りまとめを踏まえまして、今後、5月中をめどに、厚生労働省におきまして医療計画の策定指針等を作成して、都道府県においては、当該指針等を踏まえて、令和6年4月の第8次医療計画の開始に向けて、令和5年度中に医療機関と協定締結協議を行いながら医療計画を策定していただきたいと考えております。
 以上でございます。よろしくお願いします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
 それでは、報告事項ではございますけれども、御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
 では、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
 報告事項1に関して、マイナンバーカードと健康保険証の一体化について若干コメントをいたします。本件については、多くの課題があるということはこれまでも申し上げてまいりましたけれども、健保組合のほうからもいろいろな声が出ております。
 一つは、まさにそもそも論になるのですけれども、現状、マイナンバーカードというのは家に厳重に保管しておくという認識が国民の中に強く残っているのではないかと考えております。マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けて、やはり運転免許書証と同様に、国民が安心してこのマイナンバーカードを常に持ち歩くことができるようにしなくてはいけないと思いますので、ここは他省庁も含めた国全体、また、自治体、医療機関、企業、保険者等、関係機関が一体となって大々的に周知、広報をしていく必要があるのではないかと感じております。
 もう一点は、資格確認書につきまして、無論本人の申請に基づいて確認書を発行するのは我々保険者であって、やはり事務負荷及びコストがかかる事項でございます。発行対象者ですとか電磁的方法による提供等、無論これから議論されていくと思うのですけれども、前回も申し上げましたが、実務がしっかり回るように、保険者の意見も聞いていただいて、課題をきちんと把握した上で進めていただきたいと思います。
 以上でございます。
○田辺部会長 では、菊池委員、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長代理 資料3の2ページですけれども、国民健康保険法改正により短期被保険者証の仕組みを廃止する方向性につきまして、マイナンバーカードの活用の観点からは当然だろうと思いますが、若干懸念がありますので述べさせていただきます。
 自治体によって運用は様々だと思いますが、保険料未納者に対して短期被保険者証の交付、その後の被保険者資格証明書の交付というプロセスを通じて、自治体が未納者と接触の機会を持つことによって、相談支援の契機となってきた面はあったのではないかと思います。保険料未納者は、往々にしてそれ以外の様々な困り事を抱えているということが容易に想定され、未納者への直接的なアプローチ、接触を通じて、伴走型支援や必要な制度へのつなぎなどを行うということは、国が進めている地域共生社会の政策理念の観点からも大いに推奨されるべきと考えられます。
 地域共生社会や包括的支援体制整備といった困難を抱えた人を地域で支えていくという近時の政策的な取組は、ともすれば福祉・介護分野を中心に行われている面が否定できないと感じています。これに対し、医療分野との連携はまだ弱いのではないかというのは、私だけではなく、ほかにもこの分野に関心を持っている研究者等は感じているところです。しかし、地域包括ケアの上位概念が地域共生社会であるとされているように、医療、ヘルス分野等との密接な連携の下に施策が進められる必要はあります。孤独・孤立対策の重点計画では、いわゆる社会的処方の観点や保険者とかかりつけ医等の協働による加入者の予防健康づくりの推進といった観点が取り上げられていますが、国としては、短期被保険者証の仕組みの廃止に当たっても、私が今述べたような点に十分留意して進めていただきたいと考えてございます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 では、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。遅れての参加で申し訳ありませんでした。
 資料3の4ページの2の保険医・保険薬剤師の登録の手続のデジタル化について、1点質問をさせていただきたいと思います。2.の保険医・保険薬剤師についてというところ、一部の処理を省略して可能とするものとあります。現状、医師会の中でもよく伺うのですけれども、新規の(保険医)登録をしようと思って、国家試験に合格した後、この登録手続きをするわけですけれども、そこがたった1日、2日の遅れで随分遅くなってしまい、時には1か月以上かかってしまうので、実際に保険医としての診療する場合にかなり支障を来す医療機関が出てくるということをお聞きしています。もしこのデジタル化が進めば、これは最短どれくらいの期間短くなるのか。例えば1週間、2週間で登録ができるようになるのか。これは医療機関にとってありがたいですし、そうなっていくのかどうかということと、実施が交付から1年3か月以内の政令で定める日となっていますが、もし分かればで結構ですが、見込みで最短でいつ頃からこれができるようになるのか。期間がどれくらい短くなるかということと、いつ頃からこれで登録できるようになるかということが、もし現時点でお分かりになれば教えていただきたいと思います。
 以上です。
○田辺部会長 この点、よろしくお願いいたします。
○眞鍋課長 医療課長でございます。
 現在、申請に当たりましては、例えば住民票の写しですとか戸籍抄本を紙で提出いただいて手続に入っているという状況でございます。これが今回のシステム運用になればどのぐらいになるのかというお尋ねでございましたけれども、そこは運用の具体をもう少し明らかにしていかないとなかなか確定的なことが申し上げられませんので、今の段階で必ずこの期間ですということは申し上げられませんが、効率化できる部分があろうかと思いますので、そこも含めて検討してまいりたいと思っております。
 あともう一つ、実際にこれはいつから可能になるのかというお尋ねでございました。このシステムの稼動自体は令和6年度中を予定してございます。医師免許を取得される方はやはり年度替わりにたくさん出られるということでございますので、本格的な運用というのは恐らく令和7年度の年度明け、4月、5月頃からになるのではないかと想定しております。
 以上です。
○田辺部会長 池端委員、よろしゅうございますでしょうか。
○池端委員 ありがとうございます。
 これは医師だけではなくて、いろいろな国家資格の方が一気にこの年度末の3月に登録していくので、どうしても手作業になるとそこに集中することでどうしても遅れがでるということを聞きいておりました。これがデジタル化されれば解決するかと思うので、ぜひ少しでも早い対応をお願いできればと思います。ありがとうございました。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょうか。
 よろしゅうございますでしょうか。それでは、ほかに御意見等がなければ、本日はこれまでとさせていただきたいと存じます。
 このたび、井深委員、菅原委員、本多委員が御退任となります。一言御挨拶を頂戴いただければ幸いでございます。井深委員、菅原委員の順にお願いいたしたいと存じます。
 では、井深委員、よろしくお願いいたします。
○井深委員 どうもありがとうございます。
 最後の御挨拶ということで、よろしくお願いします。
 日本の社会は著しいスピードで変化しています。少子化、高齢化という人口構成の変化は大きく注目されていますが、それ以外にも単身世帯、共働き世帯の増加などの家族構造も大きく変化しています。
 また、医療技術の目覚ましい進歩により、少し前には考えられなかった治療選択が行えるようになり、さらにはICT活用によりサービス利便性やサービス提供効率性も向上し、医療の質の側面から非常に好ましい変化も数多く起こっています。
 これら医療を取り巻く環境の変化を直視すると、医療保険制度も昨日と同じであり続けることはできず、社会状況や環境の変化へ対応すべく、絶え間ない変化が必要とされます。
 医療保険制度は、医療提供体制とともに日本の医療を支える両輪であり、これまで多くの関係者の陰日向の努力に支えられて国民の健康と福利の向上に寄与してきました。今後もそのようにあり続けられるかどうかは、医療保険制度がスピード感を持って社会に適した形へアップデートし続けられるかどうかにかかっています。日本の医療保険制度が、ステークホルダーの理解と協力の下、科学的な根拠に基づく適切な改革の実行により、今後も進化し続けることを期待いたしたく存じます。
 3年弱という短い時間ではございましたが、部会委員の皆様、事務局の皆様には大変お世話になりました。厚く御礼を申し上げます。
 以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 それでは、菅原委員、よろしくお願いいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。
 大変恐縮ではございますけれども、一身上の都合によりまして、今回をもちまして本部会の委員を辞任させていただくことといたしました。
 本部会の委員として、私は恐らく7年半、8年弱ぐらいほど籍を置かせていただいたことになるかと思います。この間、委員の交代等がございましたけれども、田辺部会長あるいは菊池部会長代理ほか、委員の先生方には本当に大変お世話になりました。また、何より毎回の審議会の準備において、資料の検討、準備だけではなくて、毎回遅くまでスケジュールの調整や会場設営、それから、円滑な会議運営に多大な御尽力をいただいておりました保険局の事務局並びに職員の皆様方には、心からの敬意と感謝をこの場で伝えしたいと思います。
 振り返って、もとより浅学非才を顧みず、長きにわたってこのような重要な審議会の末席において何とか席を塞ぐことができましたのは、本当に皆様の御理解と御協力のたまものであったと思っております。
 個人的な見解といいますか、感想コメントのような話なのですけれども、各回の議論におきまして、学識経験者の端くれとして、自らの良心あるいは良識を頼りに何とか参加してまいりました。それでも、正直に申しまして、会議後には自分の認識が本当に正しかったのか、あるいはもう少し別の表現がなかったのか、皆さんに対する伝え方が正しかったのかなど、自らの発言を反駁したり反省することがしきりにございました。こういったことは実は一度や二度ではなかったのです。時に私の発言中でいろいろと耳障りなことがあったかもしれませんけれども、ひとえに私の不徳の致すところでございますので、何とぞ御海容いただければと思います。
 議論を7年半聞いておりまして、当然ですけれども、時に各々のお立場の相違から鋭く意見が対立する場面というのがありました。これはまず、本当にごく自然なことと受け止めておりました。しかし、時に鋭い対立と見られるような活発な議論の中から次第に相互了解が進んで、最終的には極めて妥当と思われるような結論、着地点に至るという過程をこの間何度も目にすることができたようにも思います。
 これを可能としているのは何なのかということをずっと考えていたのですけれども、それはやはり単に各々の利害だけではなくて、最終的に国民に対して良質かつ良好なアクセスを広く保障するといった社会保険とか医療保険の制度の理念というのが、この部会の委員の先生方並びに多くの関係者に等しく共有されているからだと思っております。また、この点こそが我が国において、このような世界的に高い評価を得ている医療保険制度の命脈を、これほど困難な中でも何とかこれまで保たせてきた一つの大きな要因であると体感できたことは、私自身、この場における大きな喜びでした。
 今後も、この医療保険部会あるいは委員各位におかれましては、時に個々の利害得失を離れて、社会全体と何よりも将来のために連帯し支え合うという社会保険の理念を、まさにここの場で体現している本部会を支え、発展させていただきたいと思います。大変僭越ではございましたけれども、最後に一国民としてこのことを切にお願いをして、退任の挨拶とさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。
 以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
 両委員の本部会に対する貢献に対しまして、深く御礼申し上げます。
 次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡申し上げます。
 本日は御多忙の折、御参加いただきまして、ありがとうございました。それでは、閉会いたします。