第147回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和3年12月1日(水)13:58~16:02

場所

全国都市会館

議題

  1. 1. 令和4年度診療報酬改定の基本方針について
  2. 2. 薬剤給付の適正化に向けた取組について
  3. 3. 令和3年度補正予算案(保険局関係)の主な事項について
  4. 4. オンライン資格確認等システムについて

議事

議事内容

○榊原課長 それでは、定刻前ではございますが、全員参集いただきましたので、ただいまより第147回「医療保険部会」を開催いたしたいと思います。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としております。
会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。
委員の異動がありましたので、御紹介させていただきます。
一瀬政太委員、石上千博委員が退任され、新たに、全国町村会副会長、長野県長和町長、羽田健一郎委員、日本労働組合総連合会副事務局長、村上陽子委員が就任されています。後ほど御挨拶を賜れればと思います。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、羽田委員、原委員、平井委員、本多委員より御欠席の御連絡をいただいております。
本日、記者の方には別室にて会議の模様を傍聴いただいております。
それでは、以降の議事運営は田辺部会長にお願いいたします。
○田辺部会長 まず初めに、先ほど事務局から御紹介がございましたように、新たに羽田健一郎委員、村上陽子委員が就任されております。羽田委員は本日御欠席でございますので、村上委員から一言御挨拶を賜れればと思います。では、よろしくお願いいたします。
○村上委員 御紹介いただきましてありがとうございます。石上に代わりまして参加をさせていただくこととなりました、連合本部の村上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 こちらこそよろしくお願いいたします。
それでは、欠席の委員に代わりまして出席する方についてお諮り申し上げます。
平井委員の代理として蓬田参考人、本多委員の代理といたしまして井上参考人、この2名の出席につき、御承認賜れればと存じますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
(委員首肯)
○田辺部会長 ありがとうございます。
それでは、早速でございますけれども、議事のほうに入ります。
本日は、まず第1に、令和4年度診療報酬改定の基本方針について、2番目として、薬剤給付の適正化に向けた取組について、3番目として、令和3年度補正予算案(保険局関係)の主な事項について、4番目として、オンライン資格確認等システムについてを議題といたします。
では、初めに、令和4年度診療報酬改定の基本方針についてを議題といたします。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○水谷課長 保険局医療介護連携政策課長でございます。
診療報酬改定の基本方針につきましては、これまで医療保険部会、医療部会で御議論いただいてまいりました。本日は骨子案ということでお示しをさせていただいてございます。
資料1が骨子案の概要という横置きの紙、資料2が骨子案の本文となってございますが、横置きの骨子案の概要につきましては、骨子案の項目の部分を抜き出したものになってございますので、この後、資料2、骨子案の本文に沿って御説明をさしあげます。御説明に当たりましては、これまでの医療保険部会、医療部会での御議論のほかに、6月に閣議決定されました骨太の方針あるいは11月に閣議決定された経済対策など、そうした政府の方針も踏まえまして、記述を書き加えてございますので、そうしたところを中心に御説明させていただきます。
資料2の1ページ目でございます。改定に当たっての基本認識ということで、これは今まで4つの基本認識、さらにその下の○レベルに書いてある文章までお出しいただいて御議論いただき、おおむね御了解をいただけてきたと思ってございます。
基本認識の1つ目、新興感染症等にも対応できる医療提供体制の構築など医療を取り巻く課題への対応というところでは、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、地域医療の様々な課題が浮き彫りとなり、地域における医療機能の分化・強化、連携等の重要性が改めて認識された。
そうした中で、まず足下の新型コロナ感染症対応に引き続き全力を注いでいく。また、今後、新興感染症等が発生した際に、病院間など医療機関間の役割分担や連携など、平時と緊急時で医療提供体制を迅速かつ柔軟に切り替えるなど、円滑かつ効果的に対応できるような体制を確保していく。こうしたことを記載してございます。
2つ目が健康寿命の延伸、人生100年時代に向けた「全世代型社会保障」の実現でございまして、2つ目の○の最後のところでございますが、全世代型社会保障を構築していくことが急務の課題。こうした考え方の下、これまで数次の改定を行ってきたところであり、このような視点は今回も引き継がれるべきものとしてございます。
3つ目の認識が患者・国民に身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現でございます。2ページにお進みいただきまして、患者にとって身近で分かりやすい医療の実現ですとか、1つ目の○、医師等の働き方改革など、医師等が高い専門性を発揮できる環境の整備を加速させるということ。それから、医療分野におけるICTの利活用の推進ですとか、革新的医薬品を含めたあらゆる医薬品を国民に安定的に供給し続けること。そうしたことを書いてございます。
4つ目の基本認識、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和というところでございます。2つ目の○の2ページで申し上げますと下から5行目のところでございますが、医療資源の効率的・重点的な配分ということで、これまで医療資源の効率的な配分としてございましたが、審議会の御議論の中で、医療資源の重点配分といったことを記載すべきという御指摘を頂戴しましたので、ここに重点的なという言葉を補ってございます。
2ページの下から改定の基本的視点と具体的方向性ということで、4つの基本的視点についてこれまで御議論いただいてまいりました。
2ページの下から3ページの頭にかけては、そこの冒頭の出だしの部分ということで、改定のこれまでの経緯ですとかそうしたことを記載してございます。3ページの1つ目の○の後段、その際というところで、補助金等の予算措置を含めた新興感染症への対応の全体的な視点の中で診療行為に対する対価である診療報酬の在り方を考えていくことが必要であるとしてございます。
これまでの審議会の議論の中で、診療報酬について考えるだけではなく、特にコロナ対応の中で補助金等、そうしたツールもあったわけで、そうしたものをどういうふうに考えるかということを記載すべきだということがございました。今回、改定の基本方針ということでございますので、そこをベースとしつつ、補助金等の予算措置を含めた新興感染症への対応の全体的な視点の中で考えていくということを明らかにしてございます。
3ページの真ん中からが1つ目の基本的視点、新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築、重点課題でございます。基本的視点の2つ目の○でございますが、新型コロナ対応に当たりまして、様々な医療機関に御活躍いただいたこと、ここにおきまして重症者に対応する医療機関、中等症患者に対応する医療機関、回復後の患者に対応する後方支援医療機関、発熱患者等に対応する診療・検査医療機関、新型コロナウイルス感染症患者以外の患者も含め、救急医療その他の通常医療に対応する医療機関など、おのおのの医療機関がその機能に応じ地域医療を守るために役割を果たしていただいたということ。さらに、かかりつけ医機能を担う医療機関を中心とした外来医療や在宅医療を含め、こうした対応がなされたということを記載してございます。
3ページの下から2つ目の○のところでは、医療計画の記載事項として、新興感染症等の感染拡大時における医療が追加された、そうした経緯を言葉として補ってございます。
4ページにお進みいただきますと、1つ目の○でございますが、地域包括ケアにつきまして、これまでも記載はしてございましたが、地域包括ケアの重要性に鑑みて記載が薄いのではないか、そうした御指摘を頂戴いたしました。ここに改めて地域包括ケアシステムを構築することが引き続き重要な課題であるということ、そして、そのために質の高い在宅医療、訪問看護を確保するとともに、医療機関間、医療介護間などの連携の取組を推進することが重要であることを記載してございます。
その次の○におきましても、医療計画の記載事項の追加を踏まえた文言の追加を行ってございます。
4ページの真ん中辺りから具体的方向性の例というところがございます。これはこれまでここの○で書いてある項目のレベルを基本的に出して御議論をいただいてまいりました。これまでの御議論等を踏まえまして、ここに書いてあるポツの部分を中心に新しく言葉を補ってございます。1つ目の○、新型コロナウイルス感染症への対応のところでは、新型コロナウイルス感染症患者の診療について実態に応じた評価を行いつつ、外来、入院、在宅における必要な診療体制を確保としてございます。
2つ目、新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築のところでは、平時からの感染症対策に係る取組が広く実施されるよう、個々の医療機関等における感染防止対策の取組や地域の医療機関等が連携して実施する感染症対策の取組をさらに推進。そして、今般の感染拡大時における経験を踏まえ、主に重症患者等を受入れる急性期病棟等について平時からの体制機能強化を推進としてございます。
その次の○は入院医療の評価でございまして、1つ目のポツの前段のところは、これまでもお出ししていた医療機能の分化・強化、連携に係る表現でございます。
その上で後段ですが、その際、質の高い効率的・効果的な医療提供体制の構築という観点からも、さらなる包括払いの在り方を検討としてございます。これは6月に閣議決定された骨太の方針の記載を踏まえたものでございます。
4ページの一番下の○、外来医療の機能分化等につきましては、1つ目のポツのところは、これまでもお出ししている受診時定額負担の見直しを含め、外来機能の明確化・連携を推進というところでございます。
5ページにお進みいただきまして、もう一つのポツ、外来医療から在宅医療への円滑な移行に当たって必要となる連携を推進ということを記載してございます。
その後、5ページの1つ目の○がかかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価でございます。複数の慢性疾患を有する患者に対し、総合的・継続的な診療を行うとともに、療養上の指導、服薬管理、健康管理等の対応を実施するなど、かかりつけ医機能の評価。こうした機能を担う医療機関が地域の医療機関と連携して実施する在宅医療の取組を推進。それから、歯科に関しましては、歯科医療機関を受診する患者像が多様化する中、地域の関係者との連携体制を確保しつつ、口腔疾患の重症化予防や口腔機能の維持向上のため、継続的な口腔管理指導が行われるようかかりつけ歯科医の機能を評価。それから、かかりつけ薬剤師につきましては、服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導が行われるよう、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価を推進。その際、薬剤調製など対物業務を適切かつ効率的に実施することを前提に、薬学的管理など対人業務の実施を拡充するための所要の重点化、適正化を行うとしてございます。
その次は質の高い在宅医療・訪問看護の確保でございまして、効率的・効果的で質の高い訪問診療、訪問看護、歯科訪問診療、訪問薬剤管理指導等の提供体制を確保としてございます。その次のポツは再掲です。
それから、地域包括ケアシステムの推進のための取組につきましては、関係機関との連携も含め、地域包括ケアシステムの推進のための医師・歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士等による多職種連携・協働の取組等を推進としてございます。
5ページの下から2つ目の視点で重点課題としてございます。安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進でございます。
6ページにお進みいただきまして、基本的視点のところはこれまでと表現は変えてございませんが、2024年4月から医師について時間外労働の上限規制が適用される予定。こうした準備期間も考慮すると実質的に最後の改定機会ということを踏まえて、実効性ある取組について検討する必要があるとしてございます。
6ページの真ん中から具体的方向性の例というところでございますが、ここもこれまでお出ししていたところと基本的に変わってございませんが、1つ目の○の2つ目のポツ、タスク・シェアリング/タスク・シフティングのところに、各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するためのという言葉を補ってございます。
また、具体的方向性の例の3つ目の○のところで、先般、11月に閣議決定された経済対策を踏まえまして、看護の現場で働く方々の収入の引上げ等に係る必要な対応について検討するとともに、負担軽減に資する取組を推進としてございます。
3つ目の基本的視点、患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現でございます。
7ページにお進みいただきまして、具体的方向性の例でございます。1つ目の○のところでは、医療機関間の連携の強化に資する取組、治療と仕事の両立に資する取組ですとか、臨床上必要性が高い医薬品の安定供給、革新的な医薬品、医療機器、検査等におけるイノベーションを含む先進的な医療技術の適切な評価等々、若干文言の整理を行ってございますが、これまで記載しているもの記載してございます。
その上で、4つ目のポツでございますが、生活習慣病の増加等に対応する効率的・効果的な重症化予防、口腔疾患の重症化予防や口腔機能の維持・向上のための取組を推進。これはこれまで視点4、効率化・適正化の項に記載してございましたが、審議会の御議論の中で視点3にも記載すべきとの御指摘を頂戴して、こちらに記載してございます。
そのほか、ICTの利活用、デジタル化への対応ですとかアウトカムにも着目した評価、その他重点的な対応が求められる分野として、不妊治療、がん医療、認知症、精神医療、難病患者、小児医療、周産期医療、救急医療、こうしたものを記載してございます。
8ページにお進みいただきまして、1つ目の○が歯科の関係でございます。1つ目のポツは先ほどの再掲でございますが、2つ目のポツにおきまして、歯科診療所と病院歯科の機能分化・連携を強化。3つ目のポツで歯科固有の技術等の適切な評価を記載してございます。
その次の○が調剤、薬局・薬剤師業務の関係でございますが、1つ目のポツは同じく再掲、2つ目のポツにおきまして病棟薬剤師業務を適切に評価と記載してございます。
最後に4つ目の視点でございますが、効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上ということで、基本的視点の1つ目の○の中に、先ほど冒頭のところでも申し上げました医療資源を効率的・重点的に配分するという観点も含めという言葉を記載してございます。具体的方向性の例のところでは、後発医薬品やバイオ後続品の使用促進の項におきまして、安定供給の確保の状況等を踏まえつつとした上で、後発医薬品の数量シェアに係る新しい目標について記載を追加してございます。
9ページにお進みいただきまして、市場実勢価格を踏まえた適正な評価等のところでは、その際というところで、後段の部分になりますが、長期収載品等の医薬品について評価の適正化を行う観点から、薬価算定基準の見直しを透明性・予見性の確保にも留意しつつ図るとしてございます。
その後の○、入院医療と外来医療、これは再掲でございます。
その後の重症化予防の取組の推進は、先ほど申し上げました視点3にも同じものを記載しているものの再掲でございます。
その次の○、医師・病棟薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進のところでございますが、これまでお出ししている文章から加えたことが2点ございます。1点目は一定期間内に処方箋を反復利用できる方策の検討、2点目がOTC類似医薬品等の既収載の医薬品の保険給付範囲の見直しなど、薬剤給付の適正化の観点からさらなる対応を検討というところでございます。いずれも6月に閣議決定された骨太の方針の記載を踏まえたものでございます。
最後の○、効率性等に応じた薬局の評価の推進のところでは、2つ目のポツのところにおきまして、これまで審議会の場でも敷地内薬局等々について御指摘を頂戴してございました。薬局の収益状況、経営の効率性等も踏まえつつ、薬局の評価の適正化等を推進と記載してございます。
最後に3、将来を見据えた課題という章を起こしてございます。これまでの改定の基本方針におきましても、審議会で御議論いただく中で、将来を見据えた課題という項におきまして論点を整理しているところでございます。
9ページから10ページにかけましては、この審議会の場でも御指摘を頂戴いたしました。10ページの上から2行目になりますが、地域包括ケアシステムの構築はもちろん、地域に生きる一人一人が尊重され、その可能性が最大に発揮できる地域共生社会の実現に資する取組が求められているということ。
その次の○のところでは、診療報酬のみならず、医療法、医療保険各法等の制度的枠組みや補助金等の予算措置など、総合的な政策の構築が不可欠であるということ。
それから、最後の○におきましては、患者自身が納得して医療を受けられるよう、患者にとって身近で分かりやすい医療を実現していくとともに、国民の制度に対する納得感を高めるため、診療報酬制度を分かりやすくするために取組を継続していくこと。また、国民に対して医療制度に関する丁寧な説明を行っていくことが求められるということを記載してございます。
駆け足でございますが、説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○田辺部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。3点ございます。
まず1点目ですけれども、診療報酬を検討する上で配慮すべき経済と財政の調和についてでございます。日銀や商工会議所の調査によりますと、景況感は全体として回復基調にあるものの、規模や業種によって差が見られるK字型の回復となっておりまして、先行きへの慎重な姿勢も続いております。診療報酬改定に当たっては、こうした状況を十分に勘案していただきたいと思います。
2点目、資料2の5ページに記載のかかりつけ医の機能評価についてであります。私どもとしましては、かかりつけ医に、地域における包括的な医療の担い手として、希望する方に、健康に関するアドバイスや予防医療を提供する役割を期待しております。そのため、複数の慢性疾病を持つ患者への対応や在宅医療に加えて、かかりつけ医が国民によるセルフメディケーションの実践を後押しする機能を評価する方向性で、議論していただければと思います。
3点目、資料2の8ページに記載の後発医薬品の使用促進についてでございます。現在は薬価の取引価格が低いだけでなく、海外から十分な量の原材料を確保することが難しいため、生産を継続しても赤字となってしまうような構造的な問題に直面しているという声を多くいただいております。医療費の削減を過度に薬価低減に求めることは、薬剤の安定供給に支障を来しかねないという実情をぜひ御認識の上、御検討いただきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、井上参考人、よろしくお願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。事務局におかれましては、これまでの指摘事項を反映いただきまして感謝申し上げます。その上で何点か申し上げたいと思います。
まず、1ページ目、2ページ目、基本認識のところでございますけれども、今回の審議の開始時にはなかったわけでございますが、新しい岸田政権の下で強く打ち出されているコンセプトが、「成長と分配の好循環」、そして「新しい資本主義」でございます。医療費四十数兆円は、国民経済的にも成長や分配に大きく関わるものでございますし、将来不安の解消なくして好循環は実現しないということでございますので、先週、11月25日の経済財政諮問会議におきましても、厚生労働大臣から新しい資本主義を支える社会保障政策について説明がありまして、総理からは、メリハリのある診療報酬改定を目指すという旨の御発言があったところでございます。
したがいまして、この改定に当たっての基本認識にぜひとも「成長と分配の好循環に資する」という観点でありますとか、「メリハリのある診療報酬改定」ということを盛り込んでいただきたいと思います。
4ページ目の具体的方向性の例の一つの目でございますけれども、「新型コロナウイルス感染症患者の診療について実態に応じた評価を行う」とございます。これまで申し上げてきましたとおり、様々な特例措置がございまして、まずその検証が必要であると思います。コロナの診療につきまして、「これまでの特例的対応の検証に基づいて、実態に応じた評価を行う」という修文を御検討いただきたいと思います。
その下の○の黒ポツの2つ目に「急性期病棟等について、平時からの体制・機能強化を推進」とございますけれども、重要なのは、有事においてそれが機能するということでございますので、「有事においても確実な機能発揮がなされることを前提に」と修文していただければと思います。
その次、7ページ目でございます。具体的方向性の例の2つ目の○、オンライン診療について、11月19日に閣議決定されました経済対策におきまして、「診療報酬上の取扱いを含め、オンライン診療・服薬指導の適切な普及・促進を図る」という政府方針となっておりますので、この「普及・促進」というところに言及をしていただきたいと考えます。
次に、9ページ目でございます。長期収載品について言及がございます。この点につきまして骨太方針でも示されておりますけれども、あくまでも、「革新的な医薬品におけるイノベーションの評価」とセットで行うということだと理解をしています。
以上、本文について申し上げましたけれども、ぜひとも概要版のほうにも成長と分配の好循環の視点を踏まえて、医薬品のイノベーション推進でありますとかオンライン診療の普及・促進について触れていただきたいと考えております。
大変恐縮でございますけれども、この後、中座をしなくてはならないので、議題2と4につきましても意見を先に申し上げたいと思います。
議題2の薬剤給付の適正化について、市販類似の医薬品の保険給付の在り方等の薬剤自己負担の見直しにつきましては、昨年12月の「議論の整理」におきまして「引き続き検討すべき」と記載をされているところでございます。この点につきましてもさらに深く検討していく必要があると思いますので、早急な対応をお願いしたいと思います。
近年、高額な医薬品の保険収載が相次いでおります。こうした革新的な新薬への国民のアクセスを図るということで、高額なものであっても有効性・安全性が確認されているものにつきましては速やかに公的保険の対象とするということを基本とすることは否定するものではございません。一方で、資源には限りがございますので、給付の重点化は避けて通れないわけでございまして、継続的に議論がされております市販品類似の医薬品の保険給付の在り方の検討につきましては、前に進めていくことが不可欠だと考えております。
また、本日の議題とはなっておりませんけれども、今後のスケジュール案の中に示されている次期医療費適正化計画に関する検討につきましては、年度内に論点提示、議論が行われることになっておりますけれども、本年7月を最後に議題として取り上げられていないということでございますので、ぜひとも議論を促進していただきたいと考えます。
議題4のオンライン資格確認システムにつきましては、ぜひ普及促進に向けまして今後も尽力をお願いしたいと思います。また、データヘルス改革につきましても、非常に重要な項目でございますので、ぜひ予定どおり進めていただきたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森です。
改定の基本方針の取りまとめ、ありがとうございました。おおむねこの方向性で問題ないのではないかと思っています。その中で、何回か敷地内薬局に関して発言をさせていただきました。先ほど事務局からの御説明で、資料の9ページの効率化、適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上の中の一番最後のところ、薬局の収益状況、経営の効率性等も踏まえつつ、薬局の評価の適正化等を推進する中に敷地内薬局が入っているということは理解しました。これまでも何回も発言してきましたので多くは語りませんが、敷地内薬局は適正な医薬分業の点から、そして、かかりつけ機能の強化・推進の視点、地域包括ケアシステム推進の視点等から逆行するものです。また、敷地内薬局に診察室などの病院の施設設備を求められている事例が増えていますが、薬局は同一敷地内の医療機関からの処方箋の応需で得た収益からその費用を支払う構図となること。保険医療に係る財源は国民皆保険制度で成り立っているため、このような公費の使い方をすることは国の方針、保険診療として適切ではないと考えます。
以上の点などから、敷地内薬局は診療報酬の適正化だけではなく、そもそもの在り方について見直すべきだと考えます。
以上です。ありがとうございました。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。まず、これまで申し上げてきた意見等も踏まえて、今回、医療資源を効率的・重点的に配分というような方向性ですとか、また、補助金や診療報酬の位置づけ等、具体的に明示いただいて感謝を申し上げます。その上で、今回の基本方針について、文言修正について3点、その他意見、コメントを3点申し上げたいと思います。
まず、文言修正に関連したところですけれども、資料の5ページの1つ目の○のかかりつけ医機能の評価でございます。これはやはり患者目線で見て納得感のある評価とするということが大変重要だと考えておりますので、1つ目の黒ポツにおいて、2行目の「実施するなど」の次に、「患者のニーズを踏まえた」という文言を加えて、「患者のニーズを踏まえたかかりつけ医機能を評価」というふうにしていただきたいと思います。
次に、5ページ以降の安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進に関連する部分で、もちろんこの重要性はよく理解しますけれども、その上で、診療報酬上の対応については、やはり逼迫しております保険財政を踏まえていただきたいと思います。診療報酬はあくまでも医療機関に支払うものであって、働く方に直接支払うという仕組みにはなっておりませんので、6ページの具体的方向性の例の3つ目の○、「看護の現場で働く方々の収入の引上げ等に係る必要な対応について検討」という文言については、「必要かつ実効性のある対応について検討し、その効果を検証する」。こういった表現に変えていただきたいと思います。
3点目でございますけれども、7ページに書かれていますオンライン診療の部分です。具体的方向性の例の中の2つ目の○の1つ目のポツでございますが、ここは先ほど井上参考人からもお話がございましたけれども、コロナ禍で得た教訓を踏まえて、「普及・促進」という文言を加えるべきだと考えますので、具体的には、「安全性と信頼性の確保を前提に適切に評価し、普及・促進を図る」という表現にしていただきたいと思います。
以下、コメントとして3点申し上げたいと思います。
まず、9ページ等に書かれています「一定期間内に処方箋を反復利用できる方策の検討」、これはやはり患者の通院負担軽減につながる仕組みとなるように具体的な御検討をお願いしたいと思います。
また、その下にありますOTC類似医薬品の保険給付の範囲の見直しにつきましては、医療資源の重点的な配分という観点から、これまでも我々健保連が検討を求めてまいりました課題でございまして、今回取り上げていただいたことには感謝を申し上げます。我々はこれまで申し上げておりますけれども、財政審でも取り上げられていますように、湿布など市販品で代替可能な医薬品については処方上限の設定も含めて具体的な検討の準備をお願いしたいと思います。
最後に3点目でございますけれども、これは先ほど森委員からも御指摘がございましたが、敷地内薬局についてでございます。これについては私ども保険者としても大変問題意識を持っております。もし大病院に利益供与しているという実態があるとすれば、これはやはり公的医療保険制度の下では看過できない問題だと思います。申し上げるまでもありませんが、その理由は2つあると思っております。1点目は地域包括ケアシステムの推進に逆行するということで、敷地内に開設する薬局、また囲い込みを行う病院のいずれも、医薬分業ですとか地域包括ケアシステムの趣旨を全く理解していないと言わざるを得ません。また、もう一点は、保険財源を医療以外の投資に使っているという部分だと思います。調剤報酬を財源にした投資は、当然ながら保険調剤の質の向上に使うべきであって、仮に誘致した病院のアメニティ等を充実するために使われているとすれば、もってのほかだと思います。
以上、そういう点から見ても、誘致する側、また応じる側の両方に対して、いま一度公的医療保険制度の下でどのように振る舞うべきかということはしっかり考えていただきたいと思います。また、それに当たっては、診療報酬上において見直しの検討を行うということも一つの方策ではないかと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、次に、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。3点意見を申し上げたいと思います。
まず最初、お礼も含めてですけれども、コロナ禍の状況下で政府でもデジタル庁を発足してデジタル改革が今推進されている段階でございますが、ICTの利活用や将来のデジタル社会に対応することの重要性を意見として申し述べましたが、これらについても触れていただいて、明記いただいたことにお礼を申し上げたいと思っています。今後の行政としてのイノベーション推進の一助になる書きぶりになっていると受け止めているところで、お礼を申し上げます。
また、併せて、かかりつけ医、歯科医、薬剤師などの重要性についても触れられました。身近な日常の中で健康はとても大切でございます。特に高齢者の皆さんにとっては極めて重要です。例えば歯磨きや口腔ケアというのは健康の維持、食事の摂取、最近では感染症予防などに欠かせないと思っています。適切な専門家の指導を受けながら健康を守ることができる状態を広げ維持することは日本健康会議でも掲げておられる国民の健康に不可欠と思っています。そして、それらも含めて生かすことのできる地域包括ケアのサポートも大切だと思っています。人生の始まりから天寿の全うまで、医療の世話になるわけですので、十分な配慮が必要だと思っています。
2点目は、以前も少し触れましたが、地域医療確保という観点のことです。直接診療報酬でどうこうということはないかもしれませんが、あえて意見として申し上げます。医療の確保は国民の生命・財産を守ることが政治の重大な使命とされています。そういったことを踏まえ、現状の中において極めて重要なことでございます。個々の国民の皆さんがどのようにお住まいになるのか、どんな暮らしをされるか、もちろんその当事者の努力が極めて重要ではありますけれども、いずれの都道府県や1,740ほどの基礎自治体にいらっしゃろうとも、いわゆるナショナルミニマムに相当する部分での安心して享受できる医療のサービスを実現することは論をまつまでもなく重要なことだと考えています。このことは先の総選挙においても、コロナ禍のこともあり、また災害の被害もありましたので、さらに全ての政党や候補者の皆さんが訴えられたことでもあると認識しています。
この観点に立てば、地域医療をいかに確保するのか、救急・救命をはじめとした急場での医療としての対応力をどう確立するか。また、必ずしも医療機関の多くない、あるいはなかなか診療所さえ確保しがたい状況下にある厳しい状態の自治体や地域を鑑みますと、ぜひとも政治の崇高な見識と実行力で実現を図ることが不可欠であると思っています。よって、地域医療確保につきましては、その充実・向上が図られる対策などについて、ぜひとも検討課題として位置づけ、政府として国民の健康、また医療を守る施策の一環としても充実できるように、ぜひ御配慮いただきたいし、そうあるべきだろうと考えています。
そして3点目ですけれども、今の内容と少し関連いたしますが、医療機関の整備や配置について、これまでの間に政府では、例えば公立病院等の統廃合、ネットワーク化などを打ち出されました。急な情報提供という段階でもありましたので、多くの様々な反応がございました。そのことは厚生労働省においても的確に把握をされていると認識しています。それを踏まえてではございますが、それらの政府方針を受けて努力をしている地域もあります。公立病院もあります。これらに対しても地域としての医療確保ができることは何としても必要なことですので、これらの努力をしていることへの適切な配慮ということもぜひ考えていただく必要があるのではないかなと受け止めています。
それは診療報酬の在り方のみでは対応し切れないものかもしれませんけれども、しかし、その地域に住んで暮らしている方々にとっては不可欠の地域医療でございます。その維持や継承が叶うように、十分な配慮がなされるべき、あるべきとも感じています。そうでなければ、医療や教育が希薄になるエリアには好んで定住なども困難になっていくことも危惧されます。それは地域力の衰退や国力の減退にもなりかねません。ぜひこういったものも含めて、その観点に立ち、財政面、技術面、人的面など十分な配慮をできるように診療報酬、様々な医療に関する施策の中で御高配いただきたいと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、引き続き、林委員、よろしくお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。基本方針の取りまとめ、ありがとうございます。
今回提示いただきました改定の基本方針、骨子案に関しましては、賛同したいと思います。特に基本的視点で新型コロナウイルス感染症対応が重点課題と位置づけられたこと、また、その中で、5ページにもありますが、具体的方向性の例の一つとして、歯科医療機関を受診する患者像が多様化してくる中、地域の関係者との連携体制を確保しつつ、口腔疾患の重症化予防や口腔機能の維持・向上のため、継続的な口腔管理・指導が行われるよう、かかりつけ歯科医の機能評価というしっかりとした記載がされていることは評価し、感謝いたします。
基本的視点にも記載のように、おのおのの医療機関は、その機能に応じ地域医療を守るための役割を果たしておりまして、かかりつけ医機能を担う医療機関を中心とした外来や在宅医療を含めた地域医療全体を視野に入れ、適切な役割分担の下、必要な医療を面として提供することの重要性がクローズアップされているものと認識しております。
2年近く対応してまいりました新型コロナウイルス感染症によって地域における顔の見える職種連携のより一層の強化が重要であるということが再認識されたと考えております。改めて今回の一連の感染症対策を検証、整理して、国民の健康、生命、生活を守る立場の医療提供者として、歯科からもしっかりと発信していくべきと考えております。引き続きよろしくお願いいたします。
また、2点目の医師の働き方等の推進に関しましては、前回に引き続き、重点課題になっておりますが、医科歯科連携の推進をより進めることで、歯科からもその役割を果たすことができる部分が多いと考えておりますので、様々な点からの医科歯科連携の視点を御検討いただきたく、重ねて要望いたします。
加えて、3点目の患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現についてでございますが、前回も申しましたが、歯科におきましても厚労科学研究等で在宅現場のICT利活用の検証を行っております。好事例は取り上げていっていただきたく思っております。
加えて、歯科補綴物の製作等を含めたデジタル技術の応用やICTに関する新しい効果的な技術についての検討も引き続き事務局におかれましては進めていっていただきたいと考えております。
歯科からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、秋山委員、よろしくお願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。日本看護協会の秋山です。私からは資料2の5ページからの「(2)安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進」について、1点確認と1点意見を述べさせていただきます。
まず1点目、確認させていただきたい点ですが、6ページの中ほど、具体的方向性の例の1つ目の○、医療従事者が高い専門性を発揮できる勤務環境の改善に向けての取組の評価の2ポツ目に、各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するためのタスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療推進とありますが、前回意見を述べさせていただきました看護師から看護補助者へのタスク・シェアリング/タスク・シフティング、それから看護補助者の確保の推進の内容については、ここに含まれるという理解でよろしいでしょうか。念のため確認させてください。
それから、もう一点、こちらは意見ですが、今の箇所の1つ下のポツに、「届出・報告の簡素化、人員配置の合理化を推進」とありますが、ここは「医療従事者が高い専門性を発揮できる勤務環境の改善に向けた取組の評価」のところですので、人員配置の合理化ではなく、例えば業務の効率化や業務の合理化の推進といった表現のほうが適切ではないかと思います。ぜひ御検討いただければと思います。
以上、1点目のみ御回答のほどよろしくお願いいたします。
○田辺部会長 それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
タスク・シフト、タスク・シェアのところでございますが、今、御指摘がございましたとおり、各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮するためのという修飾語をつけさせていただいてございます。今、看護師から看護補助者へのという文脈で御発言いただきましたが、まさしく今申し上げました各職種がと書いてございますのは、何か職種を限定するという趣旨ではございません。各職種がそれぞれの高い専門性を十分に発揮できるためのタスク・シェア、タスク・シフトを推進していく、そうした趣旨で記載しているものでございます。
以上です。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○秋山委員 ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。基本方針の取りまとめをありがとうございました。その上で2点、意見を申し上げさせていただきます。
まず1点目にかかりつけ医についてでございます。かかりつけ医の定義や在り方については、十分な整理がされていない状況と認識しております。このことから、医政局における地域医療の中でのかかりつけ医の在り方の整理状況を踏まえ、かかりつけ機能を担う医療機関の評価の方向性について検討すべきであると考えております。
2点目ですが、後発医薬品の使用促進についてです。8ページの(4)の具体的な方向性の例の1つ目の○に全ての都道府県で80%以上とするという新目標を実現するため、さらに取組を推進と記載されております。この記述につきましては、体制加算を充実させる方向であるかのようにも読めますが、既に後発医薬品の使用割合がある程度の水準に達しており、患者側にも後発医薬品を選ぶという習慣がある程度浸透していると考えられる状況でございます。
このことから、加算対象のさらなる厳格化、薬局における減算基準の引上げ、使用割合の低い歯科を含めた医療機関への減算規定の創設等を行った上で、加算を段階的に廃止していくことを検討すべきであると考えております。
また、先日、中医協の支払側6団体から要請書を提出させていただいたとおり、国民皆保険制度の長期的な持続可能性を高めつつ、医療提供体制を新興感染症にも強い効率的・効果的な仕組みへ再構築することや、高い水準の自然増を考えれば、令和4年度は診療報酬を引き上げる環境にはなく、国民の負担軽減につなげるべきであり、配分の見直しに主眼を置いたメリハリのある改定とする必要があると考えております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。
まず、基本方針全体については賛同したいと思います。取りまとめをありがとうございました。その上で1点だけ確認をさせていただきたい事項があります。今の秋山委員と少し被る内容になるかと思いますけれども、6ページの働き方改革等の具体的な方向性の3つ目の○の中であります。令和3年11月の閣議決定の経済対策を踏まえ、看護の現場で働く方々の収入の引上げ等に係る必要な対応についての検討ということであります。
ここで確認なのですけれども、医療の現場では看護補助者という言い方をしていますが、これはあまり御承知ない方も多いかと思うのですけれども、医療の現場でも介護職員というのが一定程度いらっしゃいます。これは施設基準上も、特に療養病床等では介護職員の配置が義務づけられているわけですけれども、ここはこれまで介護保険上は、介護保険施設では処遇改善交付金あるいは処遇改善加算という形で処遇が改善されましたけれども、医療の現場における介護職員の処遇が全く改善されない状況でずっと来ていて、これがほとんど施設、病院の持ち出しで処遇を対応しているということになります。
確認なのですが、介護の現場で働く方々に、看護補助者という言い方をするのですけれども、その中で理学療法士等々ではなくて介護職員も入るということでいいのかどうか、この1点だけ確認させていただきたいと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 それでは、事務局、よろしくお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
参考資料1-3にこの骨子案の関係の参考資料がついてございますが、そこの30ページ、最後のページでございます。ここに11月19日に閣議決定されました経済対策の該当部分の抜粋を書いてございます。真ん中辺りから看護についてはということで書いてございますが、看護については、まずは、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、段階的に収入の3%程度引き上げていくこととし、収入を1%程度(月額4,000円)引き上げるための措置を来年2月から前倒しで実施した上で、来年10月以降のさらなる対応について、令和4年度予算編成過程において検討し、必要な措置を講ずるとしてございます。
月額4,000円引き上げるための措置というところに49の注がついていまして、看護補助者、理学療法士、作業療法士等のコメディカルの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めるとしてございます。
今、申し上げた部分については、補正予算で計上しております予算措置の部分のことでございます。今回、改定の基本方針の中でこの経済対策を踏まえ、看護の現場で働く方々の収入の引上げ等に係る必要な対応について検討するということは、経済対策で言う来年10月以降のさらなる対応について、令和4年度予算編成過程において検討し、必要な措置を講ずるというところに対応するものでございますが、全体として経済対策において今申し上げたような考え方で補助金等の予算措置も設計されている。そうしたことを踏まえた上で議論が進められていくものと承知をしてございます。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○池端委員 了解しました。ありがとうございました。
○田辺部会長 それでは、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。4点ほど申し上げたいと思います。
まず1点目に、4ページの冒頭で、医療機能の分化・連携の取組は不可欠とございますが、この取組を進めていく目的は、まさに効率的・効果的で質の高い医療提供体制を維持していくためであると理解しております。この連携を患者にとって「たらい回し」と感じさせずに、むしろ連携による診療情報提供に係る負担を上回る効果や質の高さといったメリットを患者が感じられるような医療提供体制の構築に資する報酬制度とすることが重要と考えます。
2点目は、地域包括ケアシステムの構築について丁寧に記載いただき、ありがとうございます。高齢化が進展する中で、良質な在宅医療の提供や介護サービスとの適切な連携が進むことを期待したいと思います。
次に3点目ですが、5ページ、安藤委員が先ほど御指摘されましたかかりつけ医についてでございます。本日は参考資料1-2でも医療部会での議論が紹介されておりまして、その中では総合診療医の養成の重要性も指摘されております。身近なドクターが、速やかな診断と治療、専門医との連携をしてくれる総合診療医であれば、患者としては大変安心ではないかと考えております。
この点、5ページのかかりつけ医機能を担う医療機関と地域の医療機関の連携によって在宅医療を推進するに当たりましては、こうした機能がきちんと果たされるような報酬の仕組みとすることが重要と考えます。
最後に、先ほど来、御議論がありますが、6ページの働き方改革の推進の部分に記載されている看護の現場で働く人々の収入の引上げについてでございます。この点は看護職員をはじめとする医療現場で働く皆さんの安定確保という意味でも、継続的な取組が求められると思います。取組にあたっては、こうした現場で働く人にこのお金が確実に届く仕組みとしていただくよう、先ほど佐野委員が指摘された観点と同様の意見を持っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菅原委員、よろしくお願いいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。
基本方針の取りまとめに関しましては、事務局におきまして大変な御尽力をいただきましてありがとうございます。私のほうからは、主に基本的な認識につきまして中心に3点ほど御意見をさせていただきたいと思っております。
まず、2ページ目の基本認識の中段にございますデジタル化に関する記述ですけれども、今回のコロナ禍におきましては、給付金の支給や全国におけるワクチン配分等々、新型コロナ対応を契機に我が国のデジタル化の遅れというものが痛切に顕在化したと認識しております。各国では、デジタル技術を活用した様々なアプローチにより新型コロナウイルスに対する社会的な対応を進めております。ICTの進歩やデジタル基盤の整備によりまして、クラウドベースで安全・高速に情報を共有・連携することが可能になっています。しかも、これらは個別のシステムより低コストで整備・運用可能な時代になっているという認識があります。
このような状況に照らしまして、医療分野におきましても、電子カルテの標準化、デジタル化された医療情報の利活用や医療機関間における連携の取組の推進が必要とされておりますので、そのような趣旨をぜひとも基本認識の中に明確に書き込んでいただきたい。これがまず第1点目でございます。
2点目ですけれども、その次のポツになりますが、イノベーションの重要性、医薬品の重要性に関する記述がございます。コロナ禍の中で医薬品の存在意義や創薬の重要性が深く認識されたということは明らかでございます。これについて全くこの記述に異論はないのですけれども、例えばECMO等の高度な医療機器によっても数多くの生命が救われたことは社会的にも広く認知されていることでございます。より精度の高い検査手法や診断技術の確立も今後一層求められることになりますので、ぜひとも基本認識の中にも、医薬品だけでなく、医療機器について、その社会的な重要性や一層のイノベーションの必要性の促進といった視点を入れていただきたいと思います。
こちらについては、具体的な方向性の中には医薬品と同時に医療機器についても言及があるのですけれども、基本認識との整合性が今は取れておりませんので、それについてもきちんと書き込むべきだというふうに考えます。
3点目ですけれども、基本認識の冒頭にあります、何人かの委員からも発言がございましたかかりつけ医機能についての記述でございます。基本認識におきまして、新型コロナ対応の中で地域における医療機能の分化や強化、連携の重要性が改めて認識されたという記述がございます。これはここではっきりと、入院だけではなく、広くかかりつけ医機能をはじめとする外来をも含むものであることを確認させていただきたいと思います。
その上で、かかりつけ医機能について引き続き一層強化していくことが、その定義の在り方等々を含めて非常に重要だというふうに考えるわけですけれども、昨今では、保険者とかかりつけ医の協働による加入者の予防・健康づくりといった先駆的な取組、いわゆる社会的手法についてのモデル事業も行われていると聞いております。今後、このようなモデル事業の結果、あるいはかかりつけ医機能を含む外来機能の明確化、連携などをさらに進めていく方策の検討をぜひ踏まえていただいて、地域の実情に応じた取組を進めていくべきことを、ぜひとも最後の将来を見据えた課題の中に明記していただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 日本医師会の松原でございます。先ほどからいろいろと御指摘いただきまして、非常に興味深く聞いておりました。この2年間コロナがやってきまして大変な事態でありました。そのときに看護師さんも大変でしたし、医師も大変でした。さらに、ECMOなどは管理するところも大変であります。臨床工学技士さんも感染の可能性がありながらきちんと管理する。人工呼吸器もそうであります。したがって、書いてあるわけですけれども、コロナの件から始まったこの話の中で、看護師さんは大変ではありますけれども、ほかの職種の方、例えば病院の掃除をする人も大変ですし、事務も大変ですし、そういったこともきちんと御理解いただかないと、私ども医療はチームワークでやっております。その辺りの御配慮を十分いただきたいと思います。
先ほどの話をお聞きしますと、そういったことに対して補助金を含めて対応するということでございます。あらゆる職種が一丸となって対応しているからこそ、国民の命を救えているということを十分御理解賜りたいと思います。
2番目は、OTCを増やすということは安全性が確立されていて、短期間であれば患者さんが自分で選んで対応しても問題がないだろうということにおいて認可しているわけでありますけれども、自己判断の服薬が長く漫然と延びますと大変なことが起きるのは我々も医師としてよく知っております。そういったことのなきように対応しなければなりません。その中で、OTCに採用されたら医療保険は払わないというような暴論をおっしゃっている方が時々いらっしゃいます。あくまでも国民が健康保険に入らなければならない大前提は、必要な医療については健康保険で十分に給付されるということが大前提であります。そのことを外れて、OTCで買えるからこれを医療保険として対応しないというのは、私は先ほども申し上げましたが暴論と考えます。十分に対応していただかなければならないと思います。もう一点は、OTCになったものが何でこんなに高く市販されているのかという点です。我々は中医協の中で、金額について市場の話も含め、原材料費も含め、議論して薬価を決めているわけでありますが、同じ医薬品が何で薬局に行くと何倍もするのだと。確かに湿布薬などは、保険では1回に原則70枚までという規定でありますけれども、それよりも使いたいという方がいらっしゃいます。御自身でお買いになって安心のためにお使いになるのは問題ないと思いますが、そのときに何であんなに薬局では1枚が高いのだと、保険の点数の何倍もするではないかという声を聞きます。市場に任せているからこれは国のすべきことではないというのはやはりおかしいと思いますので、適切な形で運用していただきたいと思います。
また、オンライン診療は、私どももぜひ進めてまいりたいと思います。大変便利なものでありますし、国民にとっても患者さんにとってもこれは必要なものであります。ただ、御存じのように最近、ランサムウェアというのが放り込まれて、ウイルスの感染によって電子カルテがストップしてしまったという症例が日本も含めて世界で起きております。突然電子カルテが止まりますと、全く医療が効率的にできなくなるどころか、資料もなくなり大変な状態に陥っています。
そういったことも含めて、とにかくつないでデータを集めればそれで全て国民にとって利益だという話ではなくて、やはり個人情報の大事さと、先ほど申しましたランサムウェアで医療がストップしてしまうことにならないように十分注意を払いながら、対策も国のほうで考えていただきたいと思います。個々の医療機関で完全に対策するのはほとんど無理であります。
最後に、かかりつけ医の定義でありますけれども、これは何年にもわたって議論してまいりました。かかりつけ医機能というものについては様々なものがあり、その中でどれを持っていて、どれを持たない、あるいはこれがあるからかかりつけ医だというものではなく、患者さんに選んでいただいて、かかりつけ医機能を持っているところに対して患者さんが十分にお話していただくということが大事だと思います。今回、コロナ禍においてどこにかかっていいのか分からない、あるいはワクチンもどこでしていいのか分からないという方がかなりいらっしゃいました。救急以外では、医師としましては、突然来られて、その方の家族歴も既往歴も分からない状態で大量の人たちを診察し、完全に治療するのは無理であります。むしろふだんの状況において、風邪引きやおなかの痛いときだけでなく、いろいろな対応、つまり、例えば特定健診をきちんと受けていただく、あるいは定期健診を受けていただくことになって、ふだんから患者さんと医師との間の信頼関係が成立し、十分に対応できるような体制を考えていただきたいと思います。
今回、ワクチンが打てなかったからかかりつけ医を制度化しなければいけないというのはとんでもない暴論であります。そうではなくて、かかりつけ医機能をもっと拡充し、国民の皆さんにかかりつけ医を持っていただくということが本来の筋であります。あまりにもがちがちの制度をつくりますと、結局諸外国で起きているような大きな問題が多々起きてまいります。日本の国の医療機関はワクチンが手に入ったら、世界に比して最も効率よくワクチンが打てたというのは事実であります。これを保持している医療の在り方というのは、私は正しいのではないかと思っております。今のやり方が駄目だ駄目だではなくて、世界から見てこれがどのようにすばらしいかということをきちんと認識していただきたく思います。かかりつけ医を簡単に定義してぎちぎちの制度にするのは難しいと思っているところであります。
最後に、敷地内薬局について、これを導入して利益を得たり、あるいはアメニティーを改善するなどとんでもない話であります。公的な保険を利用してそのようなことをすることに対しては、ぜひ毅然とした態度で厚生労働省さんにも指導していただきたく思います。
以上であります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 かかりつけ医について発言させていただきたい。ここでは皆さん当たり前のように言っていますが、多分、国民一般についてはよく分かっていないと思います。実際にワクチンの個別接種でも、開業医でやってもらえるからと、自分ではかかりつけ医の患者のつもりで行ったら、あなたは違いますと追い返された。だから、何回かかったらかかりつけ医というのかというのは全く分からないですね。
今回、最後のところで国民に対して医療制度に関する丁寧な説明をすると書いてありますが、かかりつけ医という言葉がいいかどうか分からないけれども、自分の健康、あるいは自分の家族の健康をちゃんと知ってくれる医者を持つ必要性がありますよということをまず説明しないと、医療関係者の間でかかりつけ医、かかりつけ医と言っていても始まらない。
それから、もう一つ、かかりつけ薬剤師ですけれども、これは必ずしもうまくいかないと思うのです。実際に最近、薬局はチェーン化しました。だから、昔ながらの家族でやっている薬局はどんどん少なくなってしまった。私も、ずっとおなじみさんの薬剤師がいたのですが、ある日ぽっといなくなってしまった。それはチェーン薬局ですから転勤があるのです。多分、薬局でデータを保持していらっしゃると思いますが、かかりつけ薬剤師は簡単にはいかないと思うのです。
やはり全体的にこの基本計画は上から目線で書いてあるなという感じなので、患者の目線とか利用者の目線、そういうスタンスをきちんと書いていただきたいと希望いたします。よろしくお願いします。
○田辺部会長 では、松原委員、お願いいたします。
○松原委員 ちょっと付け加えさせてください。発熱外来は、感染防御しての診察室をつくるのは大変だということは御理解いただけると思うのですが、ワクチン接種のときに、ワクチンの温度管理の問題だけではなく、医療機関は6月まで全くワクチンを給付していただけませんでした。これについては、国は出しているとおっしゃっていたわけですけれども、実際に医療機関には回ってきておりません。その中で、限られた量で、しかも、今診ている基礎疾患のある患者さんの分を打ったとしたらとても足りない量でありました。それはその後、ワクチンが足りなくて全国で問題となっていったことで明らかであります。つまり、十分なワクチンの量が給付されない中で、どのようにしていいかということで大変当惑していた先生方はかなり多くいらっしゃいます。その点について十分御理解いただければありがたいと思います。
申し訳ございません。何も武器がなく、ワクチンもない、薬もない状態で、私たちは今診ている基礎疾患のある患者さんの中でとにかくワクチンを打っていかなければならなかったという事情があり、かかりつけ医の機能の問題ではないということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますか。
それでは、令和4年度診療報酬改定の基本方針についてに関しましては、これまでとさせていただきます。
次に、薬剤給付の適正化に向けた取組についてを議題といたします。事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○江口課長 保険課長です。
資料3を御覧ください。1ページ目は、新経済・財政再生計画の改革工程表2020の抜粋になります。赤枠で囲っているところを御覧ください。aのところ、「2020年の関係審議会の取りまとめを踏まえ、保険者の上手な医療のかかり方及びセルフメディケーション推進策の具体化について関係審議会において早期の結論を得るべく引き続き検討するとともに、その他の措置について検討」というふうに記載されております。この措置については、実施時期が21年度とされているところでございます。
ここで記載のあります2020年の関係審議会の取りまとめといいますのが、次のページにある、この医療保険部会で取りまとめていただいた昨年12月の議論の整理であります。昨年いろいろ御議論いただきまして、この12月の議論の整理の中では、2ページ目の下から2つ目の○、「これらの意見を踏まえ」というところで、「保険者の立場からも上手な医療のかかり方とセルフメディケーションの推進策を講じるべき」、最後の○のところのなお書きで、「薬剤自己負担の見直しや他の薬剤給付の適正化策については、引き続き検討すべき」というふうにされたところでございます。
この昨年の医療保険部会での議論の整理を踏まえ、私どもとしては、保険者による上手な医療のかかり方とセルフメディケーション推進策として、今年度から健保組合の成果連動型民間委託方式による保健事業への補助を実施しているところでございまして、その取組を御紹介したいと思います。
3ページを御覧ください。この成果連動型民間委託契約方式といいますのは、様々な社会的課題の解決について、行政の取組だけではなくて、民間セクターのノウハウを積極的に活用するという考え方でありまして、政府として、そのためのアクションプランを令和2年3月に取りまとめています。この中で重点3分野の1つとして「医療・健康」が位置づけられて、その中で地方公共団体等が実施する保健事業について、成果連動型民間委託契約方式、PFSと言っておりますけれども、その普及促進が掲げられているところでございます。
こういったものを踏まえて、健康保険組合においても、このPFSを活用した保健事業を推進するため、今年度、補助事業を実施し、そのスキームを構築した上で横展開を図っていきたいということでございます。
資料の右側に青の点線の枠で囲っておりますけれども、通常ですと保健事業について民間事業者と委託契約を結んで、その契約に基づいて事業者が保健事業を実施するということですが、この場合には、民間事業者との契約を成果連動型支払い契約という形で結んでいただき、民間事業者が加入者に対して行った保健事業の成果を評価した上で、その成果に応じて支払うというスキームになります。これを推進するために、今年度、厚生労働省の補助事業として、健保組合からの公募を募って採択した上で実施しているところでございます。
今般採択した事業のうちの1つが次の4ページになりますけれども、三菱商事健康保険組合が行う「医療費適正化に繋がるセルフメディケーション推進事業」というものであります。上のほうに取組の背景・目的が書かれておりますが、コロナ禍における医療機関受診に苦慮している加入者が多く存在していたということ、それから、比較的若い加入者が多い組合ですので、そういった意味で、この健保組合の医療費の特徴として、軽度な症状の疾患にかかる医療費の割合が比較的大きいことを踏まえて、上手な医療のかかり方を普及・啓発することによる加入者の健康の維持増進及び医療費の適正化の両立を目的としてこの取組を実施されているところであります。
取組の内容は真ん中のところですが、普及啓発活動と実践支援ということで行われております。普及啓発活動については、一般的なセミナーの開催ですとか広報活動に加えて、レセプトデータからスイッチOTCの活用可能性がある患者を抽出した上で、その対象者に対して個別に勧奨の通知を送付されているということであります。その上で実践支援ということで、薬選び全般に関して薬剤師へ相談できる機会をLINEのアプリを用意してサポート体制を構築し、さらにはスイッチOTC医薬品を購入できるECサイトで活用できるヘルスケアポイントを対象者の方に提供することでインセンティブを与えているというような取組になります。
これらの取組については、実施後、定性的・定量的の両面で効果を検証することで、加入者の意識・行動やセルフケア・セルフメディケーションの受容度を測定した上で、次年度以降の取組に反映したいということで、事業を今行っていただいているところであります。
この取組の成果を踏まえて横展開を図るということと、もう一つは、次のページを御覧いただきますと、今後のスケジュールとして、次期データヘルス計画、それから、医療費適正化計画は2024年度からスタートすることになりますけれども、今般のこれらの取組の成果を見た上で、必要に応じてこれらの計画にも反映することを今後検討していきたいと考えております。
それから、先ほど見ていただきました昨年の医療保険部会での議論の整理の一番最後のなお書きで、「薬剤自己負担の見直しや他の薬剤給付の適正化策については引き続き検討すべき」とされている部分ですけれども、厚生労働省として、現時点で御議論いただける具体的な資料を示せる状況には至っておりませんが、この論点について、11月8日に財政制度等審議会で関連する資料が提出されておりますので、それを御紹介して、今回併せて御議論いただければと考えております。
資料の6ページと7ページが財政審に提出された財務省作成の資料になります。これらの資料は過去に財政審に提出されたものと同じ内容となっております。詳しい説明は省略させていただきますが、6ページの資料を簡単に御紹介しますと、上のほうの四角の最初の○ですが、「医薬品の保険給付範囲を見直す際、①OTC類似医薬品等を保険給付の範囲から除外するやり方と、②医薬品を保険収載したまま薬剤の有用性、負担する薬剤費等に応じて保険給付範囲を縮小するやり方がある」というふうに書かれております。
この①の部分については、下の左側のところで、過去の例と今後の検討例が提示されております。また、②の方法については、患者負担について薬剤の種類に応じて設定するやり方、薬剤費の一定額まで全額負担というやり方があるということで、これらに関して下の右側のほうで海外の例としてフランスの例とスウェーデンの例が紹介されているということでございます。
説明は以上になります。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
では、佐野委員、よろしくお願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
ただいま健保組合における取組事例を御紹介いただきましてありがとうございました。そういった中で、薬剤給付の適正化については、今もありましたが上手な医療のかかり方ですとかセルフメディケーション、こういうことに関する啓発は大変重要だと思っております。そういう意味で、この辺については厚労省のほうと連携してさらに取り組んでいきたいと考えています。
また、この点はこれまでも申し上げておりますけれども、やはり薬剤給付の適正化を図るためには、あらゆる手段を講じる必要があると考えております。そのための最も効果的な手段の一つは市販品類似薬の除外や償還率の変更も含めた薬剤自己負担の見直しであると考えておりますので、これについては引き続き検討をお願いしたいと思います。
また、先ほど安藤委員からも御指摘ございましたけれども、後発医薬品については診療報酬上の加算、減算の在り方も含めて検討していくべき時期に来ていると考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 では、次に、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
資料3の2ページにありますとおり、私ども、セルフメディケーションの推進ということに大変着目しておりまして、すぐに医療機関にかかるのではなく、まずは自分自身で健康を管理することが医療費の削減に極めて有効だと考えております。
また、コロナ禍によりまして、自身の健康に対する意識が高まりつつあることを好機と捉えまして、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師の活用を念頭に置きながら、スイッチOTC医薬品のみならず、OTC医薬品全般の使用促進について引き続き議論を行うことが必要だと思います。
以上です。
○田辺部会長 次に、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 どうもありがとうございます。
私も先ほどの佐野委員とほぼ同じ考え方であります。やはり保険者としては上手な医療のかかり方やセルフメディケーションに関する加入者への啓発が非常に重要であると考えており、今後も厚生労働省等と連携して取り組んでいきたいと思っております。そして、やはり薬剤給付の適正化を図るためには、今の保険診療の中で相対的に必要度が低下した市販品類似薬の除外や償還率変更も含めた薬剤自己負担の見直しが最も効果がある手段であると思っております。
また、先ほども申し上げましたが、後発医薬品の診療報酬上の加算、減算の在り方についてもやはり検討していくべきと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 では、村上委員、よろしくお願いいたします。
○村上委員 ありがとうございます。本日御紹介いただきました健保組合の成果連動型民間委託方式による保健事業への補助についてでございますが、こういった保健事業に補助金を出していくという以上は、医療費適正化のアウトカムが得られる事業をピックアップして横展開を進めていっていただきたいと思います。
また、資料の後段では財政審の、既存医薬品の保険給付範囲見直しの資料を出されており、給付範囲を縮小する手法が複数提示されております。いずれも患者負担が増えることになるため、所得による医療格差の拡大も懸念されるところです。また、セルフメディケーションを進められている中で、鎮痛剤の利用が増加しており、習慣的な利用による耐性や依存の可能性がある人の割合が上昇しているとの指摘も見られます。先日の中医協でも依存症の議論の中で、若年者の市販薬の過量服薬による自殺企図が増加といったデータも出されたと伺っております。こうした影響も含め、丁寧に検討していくことを求めたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、井深委員、よろしくお願いいたします。
○井深委員 ありがとうございます。
セルフメディケーション推進事業によってどのように薬剤を選択するかということで、個人の行動がどのように変容するかということに関して、実践と評価の取組が行われているということは大変好ましいことだと思います。今回の事例で取り上げられている事業はPFSという健保組合の取組であって、保険者の特徴としてこちらの資料に書かれていますように、軽度な症状の疾患にかかる医療費の割合は比較的大きいという状況が書かれているかと思います。このような特徴を持つ職域の保険では比較的若い保険者が多くて、今回の実践の取組になっております個別勧奨やサポート体制の充実といったような取組が個人の行動変容につなげようと、その取組によって個人の行動変容を促そうとする試みというのは好事例であると理解しております。また、こういう取組はエビデンスの構築という観点からも重要だと思います。
そこで1点御質問なのですけれども、このようなセルフメディケーション推進の取組について、高齢者の多い保険者や高齢者を対象としたセルフメディケーション推進やOTCの置き換えについて何らかの実践や取組の評価は行われているのでしょうか。高齢者は基礎疾患を持っていたり、複数の薬剤を飲んでいたりという状況で、セルフメディケーションを考えるハードルというのが若年層とは少し違う、ハードルがより高い状況にあるかと思いまして、有効かつ安全にセルフメディケーションを推進するためには、今回の事例とは取組の方向性が必ずしも同じではなかったり、追加的な取組が必要であったりする可能性があるのではないかと思います。仮にセルフメディケーション推進というものを全ての国民全体を対象とした取組として進めていくのであれば、より多くの異なる背景を持つ対象者に対して実践と評価に基づき有効な施策を考えるということが重要ではないのかと考えております。
以上です。
○田辺部会長 1点御質問がございました。高齢者を対象としたものがあるかと。
○江口課長 PFSを活用した取組全般について承知しているわけではございませんが、政府全体の取組の中で1つ、自治体が取り組んでいる事業というのもございます。そういった意味で、必ずしも高齢者のみを対象にしたということではないかもしれませんけれども、政府全体としていろいろな取組がある中で、そういったことを我々としてもしっかり把握して、横展開できるところは整理をした上でやっていきたいと思っております。
○田辺部会長 よろしゅうございますか。
○井深委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○田辺部会長 それでは、次に、森委員、よろしくお願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森です。
医薬品へのアクセスは、医師の診断によるもの、それから自身の選択で購入できるもの、それぞれに意義があり、それぞれへのアクセスが必要で、共存することが重要ではないかと考えます。保険診療に伴い必要となった医薬品は保険診療すべきで、OTCと同一成分の医薬品であっても、医療用とOTCでは効能・効果や使用される患者さんの重篤性などが異なる場合があり、一律の線引きは困難ではないかと思います。
一方、国民自らの健康の維持・増進は重要で、セルフケア・セルフメディケーションに関してはより一層推進していくべきだと思います。上手な医療のかかり方としては、先ほど袖井委員からもありましたけれども、ぜひかかりつけ薬剤師・薬局を持っていただければと思います。
今、高齢者の話がありましたけれども、例えば高齢者が複数の医療機関にかかっていて、さらに一般用医薬品を必要としてきたときに、様々な問題が出てくることがあります。1つは治療中の薬と一般用医薬品との重複投与や相互作用もそうなのですけれども、一般用医薬品が治療している病気へ影響することがあります。松原委員からも様々な情報を持って医師は診療しているというお話がありましたけれども、かかりつけ薬剤師・薬局を持っていただけることによって、その人のこれまでの服薬情報や服薬上の問題点、それから生活、家族背景など様々なことを踏まえながらより適切なセルフケア・セルフメディケーションに取り組んでいくことができますので、ぜひかかりつけ薬剤師・薬局を持っていただければと思います。
私のほうからは以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、移動中でございましょうか、横尾委員、よろしくお願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。
今、高齢者の皆さんのセルフメディケーションのことが出たので少しコメントをさせていただきたいと思います。後期高齢者医療は、75歳以上の方々の医療保険制度でありますけれども、今、考えて見ますと、今回のコロナのワクチン接種においても、いろいろな健康情報を日頃から関心を持って見ておられます。また、ICTには高齢者の方は弱いのかなという意見もあるかもしれませんが、一部の方は御家族とLINEをやったり、パソコンやスマホで医療情報や健康情報を日々見ながら自分を大切にされていますし、さらに、やはりテレビ等の報道番組でも非常に健康関係が増えてきていると思います。高齢者の皆さんをはじめ多くの方々は、これらの情報を有効活用されていますので、例えば政府や厚生労働省、あるいは自治体や行政から適切な情報を提供して、こういう方向に導きたいということであるならば、その趣旨の下にいろいろ情報提供していけば多くの方々は理解の上、行動変容、選択をされると私は認識しています。そういう見方や認識をぜひお願いしたいと思います。
人生100年時代と言われていますので、多くの皆さん、やはり長寿になっておられます。長寿だけれども、単純にフレイルにならないように気をつけておけば、いろいろな健康を維持しながら、自分らしい生活、ライフスタイルも保てる。そういった意味でもセルフメディケーションをはじめ、いろいろな医療、健康の情報、それはこの会議の情報も含めてですけれども、より広く分かりやすく伝えていくことが大切だと思っています。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、池端委員、よろしくお願いいたします。
○池端委員 ありがとうございます。ちょっと途中外れたので、理解していないところもあるかもしれませんけれども、セルフメディケーションについてちょっとお話をしたいと思います。この三菱商事健保組合の事業名ですけれども、「医療費適正化に繋がるセルフメディケーション推進事業」、意味は分かるのですが、セルフメディケーションというものそのものは医療費適正化が主な目的ではなくて、自分の体のことは自分で知っておいて、自分である程度管理するほうがかえって健康管理についてもいいのだという、そこが主であって、その後に医療費適正化がついてくるということの主と従が逆だと思うのです。そういう意味での事業展開を進める形で、事業面の内容にしても、その辺に気を使っていただかないと、何か適正化ありきのためのセルフメディケーションというとちょっと本末転倒してしまうのではないかということがあります。
それともう一点、今、井深委員からもありました、高齢者に関してはより慎重にならないと、私自身は医師が関わって、そしていろいろ説明してもなかなかその説明が非常に難しい。お薬が多いから適当に半分だけ飲んでいて、実は家にごそっと残っていたというのはよくあるのです。こういうことを考えると、高齢者に対してはまた別の観点から、ポリファーマシーの対応等、いろいろな職種がそれぞれいろいろな情報を提供しながら、自分のことは自分で管理していきましょうねという話をしていくのはいいと思いますけれども、あくまでも適正化が主ではない。この辺は強調しておきたいと思います。
以上です。よろしくお願いします。
○田辺部会長 では、次に兼子委員、よろしくお願いいたします。
○兼子委員 どうもありがとうございます。
今、池端先生から触れられましたけれども、医療費適正化ということをあまり強調されると、ちょっとどうなのかなと。様々な形で国民が医療の在り方とか薬について学ぶ機会が広がるということは非常に大切なことだと思います。高齢者のところで言いますと、私は地域で老人クラブ活動をしていますが、例えば市の医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力をいただきながら、学習の機会をつくっていく、そんなこともわずかですけれどもやっているわけです。1つ考えなければいけないのは、高齢者の場合、どうしても国保の加入、それから後期高齢者医療制度のほうに移っていくわけですが、保険料の払えない人とか、そういった方も多いわけです。そういった点では、そこをどうするかというのはなかなか難しい問題ですが、私は常々取り上げておりますけれども、やはり医療制度、今日の議論と関わるかどうか、外れる点もあるのかもしれませんが、例えば保険料の負担でも国保加入者が非常に高いわけですね。そういうことなども是正を図っていくとか、あるいは医療保険、その狙いは所得がなくても受けられるということが基本だと思うのです。そういう点でいくと、保険料が払えないために医療にかかれないという国民が結構多いわけです。やはり減免とか、あるいは免除とか。私はいつもこの場で出しますけれども、非課税の方に保険料負担というのは基本的にはやるべきではないと思いますけれども、そんな点など制度間の不公平な格差の改善等を図っていかないと、所得の低い方たち、特に高齢者がそういう学ぶ機会や必要な情報からも外されてしまうという事態もあろうかと思っております。
それから、OTC医薬品の点で先ほどの議題でも今回も出てきましたけれども、これも常々申し上げていることですが、例えば風邪と思われる症状であっても、私は基本的に素人判断で市販薬というのは望ましいと思えないのです。判断を誤った場合、市販薬に頼っていながら症状がむしろ悪化するという問題も出てきますので、保険適用の見直しということは相当慎重にやらないとまずいのではないかと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、菅原委員、よろしくお願いいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。
医療給付の特に薬剤の適正化についてはいろいろな考え方があると思うのですけれども、1つ、多分こういう整理が必要ではないかということを述べさせていただきます。基本的にやはり有効である医薬品を全ての国民に対してカバーしていくという考え方や理念はすごく大事だと私も考えます。ただ、現実問題として、支え手も減っていきますし、これから先の医療保険財政を考えていくと、これから出てくる薬を全てカバーし、かつて生まれてきた医薬品もそのままカバーしていくという話はなかなか現実的には難しいのではないかと思います。
そうしますと、そもそも医療保険制度で薬を見ていることの最も大事にしなければいけないポイントというのは、個人の財政的リスク保護だと思うのです。つまり、高い薬でそれに対して患者さんが使いたいのだけれども、個人の財政的な側面、負担の側面でアクセスできないということは防がなければいけない。そうしますと、どういう薬剤をこれから先、仮に給付の範囲の中に収めるか、あるいは少し外すことを考えていくかということを検討する際には、例えば年間の標準治療費みたいな形ですね。単なる薬価ではなくて、1年間にどのぐらいの負担が患者さんに発生しているのかということを取りあえず試算してみて、それが基本的には患者さんの負担の範囲の中で十分に収まるものであるかどうかをみる。そのうえで、利用人数が多いので、国全体の負担で考えて非常に大きな財政リスクになってしまうといった場合には、そういうものを優先的に適正化のターゲットとして議論をしていくといった考え方が非常に大事になってくると思います。
逆に言うと、非常に高額な医薬品であっても、それが必須のものであれば、それはやはり医療保険の中に入れていくべきだと思います。高額であっても市場規模が非常に小さいものであれば、それは財政的に大きなリスクには国全体としてはなりませんので、そのような濃淡のついた重点的な検討のやり方、考え方というのが私はあるかなと考えております。
具体的な方法というよりは、これから先こういった議論を深める上におきましては、今言ったような医療保険そのものの考え方と財政との負担の関係、在り方というのを十分に慎重に議論するべきだと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 今の議論を聞いて、大変心配しております。特に高齢者の場合には多剤の薬の影響によっていろいろなことがあります。若い人が一時しのぎに薬局で、あるいはコンビニでお薬を買って治るということはよくあることですし、それは推進していくべきだと思います。ただ、目標が、薬剤の適正化ではなくて、要するに医療財政の適正化のためにとおっしゃるところにおいて、賛成できません。確かに保険者の方々はその保険者の代表でありますので、そう言わざるを得ないのかもしれませんけれども、視点が違っていて、私どもは国民のお金を保険者さんが預かっていらっしゃって、国民が一番良いようになるように使っていただけると思っています。今現在、医療機関は薬価差益もほとんどありませんので、不要な薬剤は使っておりません。その中で薬剤が非常に高くかかるから医療保険で払っている薬剤も、OTCになったら自分で払うべきでというようなことに対しては、暴論だと思います。財政的には分かりますけれども、あくまでも国民のお金を預かっておられる立場、目標は国民が健康で幸せに暮らせることでありますので、そういったことから考えると、少し行き過ぎのような発言に思っています。
また、私どもは医療者の代表でありますので、こういうことを今日はあまり申し上げたくなかったのですけれども、コロナで医療機関も大変苦しんでいます。経営状態も悪くなっています。保険者の方からの先ほどの話では、とにかく診療報酬引き下げしかあり得ないという話がありましたけれども、そうではなくて、やはり国民にとって必要なものがきちんと維持できることについて対応するのが当たり前で、診療報酬は十分上げていただきたいと思います。遠慮しているのですけれども、引き下げるのが当たり前だと言われると、それは違うのではないかと思います。国民のためをもう少し見ていただきたいと思っているところであります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 ちょっと素朴な疑問なのですが、市販薬で済むものはそれで済ませたほうがいいというのも一つの考え方ですけれども、高齢者の場合、たくさんお薬を飲んでいるわけですね。それで、市販薬の例えば総合風邪薬などというのはいろいろなものが入っていて、医師に処方されたものとのバッティングということもあり得ると思うのです。全部処方されていればそれを薬局へ持っていって、そこで薬剤師が、これとこれは危ないとかいろいろな指示をしていただけるのですが、勝手に市販薬を買った場合に処方されているお薬をぶつかってしまうという問題をどう考えたらいいのかということです。
それから、先ほど松原委員からもありましたように、市販薬って高いですよね。だから、やはり、ねえ先生、出してというふうに言ってしまいますね。私も実際に薬屋でも買えますよと言われたこともあったのですけれども、その辺のところをどう考えるかですね。勝手に自己判断して、そして手遅れになるとか、まずいことになるということがなきにしもあらずです。今、医療費がかかり過ぎであることは確かですけれども、それを削減するためになるべく医者にかかるなみたいなセルフメディケーションという言い方はとても抵抗があります。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。この議題に関してはよろしゅうございますでしょうか。
では、本議題につきましては、これまでとさせていただきます。
次に、令和3年度補正予算案(保険局関係)でございますけれども、この主な事項についてを議題といたします。事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○榊原課長 総務課長でございます。
11月26日に閣議決定されました令和3年度第1次補正予算(保険局関係)について御紹介申し上げたいと思います。その多くが令和4年度の当初予算で要求していたものが回ったものでございます。
まず1つ目、最初のスライドの上のほうでございますが、国民健康保険・介護保険等への財政支援ということで、新型コロナウイルス感染症の影響により一定程度収入が下がった被保険者に対して、国保あるいは介護の保険料減免を行った市町村等に対する財政支援に要する費用。あるいは同様に新型コロナウイルス感染症の影響で財政運営が極めて困難となった健保組合に対して財政支援を行う費用といたしまして259億円を計上しているところでございます。
また、その次のところでございます。審査支払システム等のICT化の推進ということで、診療報酬の審査支払等を行うための国保総合システムにつきまして、社会保険診療報酬支払基金との審査基準の統一化等、それから整合的かつ効率的な運用に向けたシステム整備への支援、また、訪問看護レセプト請求の電子化に向けたシステム整備等に対する支援ということで93億円を計上しているところでございます。
また、その下でございます、救急等における保健医療情報の利活用、あるいはオンライン資格確認の推進ということで12億円を計上しているところでございます。
次のページに進んでいただきまして、1個飛ばしていただきまして、参考というところでございます。公的部門における分配機能の強化等ということで、看護、介護、保育など現場で働く方々の収入の引上げということでございます。保育士等、介護・障害福祉職員を対象としまして、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提としまして、収入を3%程度、月額9,000円を引き上げるための措置を令和4年2月から実施します。そして、その後ですが、介護につきましては、まずは地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象にいたしまして賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提としまして、段階的に収入を3%程度引き上げていくこととしまして、収入を1%程度引き上げるための措置を令和4年2月から実施するということでございます。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、この点に関しまして、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。
では、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 部会長、ありがとうございます。
まず、国保でございますが、資料4の1ページでお示しいただきましたように259億円盛り込んでいただきました国保保険料減免等への財政支援ということで、これはコロナ対策として進めておるものでございますので、大変ありがとうございます。具体的に、参考資料2の2ページでお示しいただいておりますが、今回、財政支援6割、特調による財政支援4割ということで、減免を行った部分については全額国で見ていただけることになりましたので、大変ありがとうございます。
なお、コロナの状況を今後も注視していただきまして、引き続き減免を必要とする被保険者が対象となるよう、適切な対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。
それから、もう一点、参考のところでお示しいただいた、これは医療保険部会としては看護のところを中心にということで御紹介いただいたのだと思いますが、少し関係ありますので、介護のところも含めて発言をさせていただきますと、私はここ5年ぐらいずっと三重県を通じて介護職員、保育士、看護師の処遇改善について発言をしてまいりました。お願いをしてきております。といいますのも、行政としてできること、やるべきことをやるときに、当然、特養の新設でありますとか、保育定数の確保でありますとか、これを制度的なところとか補助金などでしっかり確保していくというのはやっておるのですが、実際に介護とか保育の現場の話を聞きますと、結局のところ人材確保、人材不足がこの世界で大変大きな問題となっておるわけでございます。
地域包括ケアを実現していくためにも、当然、医療・看護が一人で立てるというものではなくて、介護との連携が必要でございますので、介護が倒れると医療の世界にも非常に問題として影響が出てくるということでございますので、ぜひ人材の確保に向けて、やはり最終的には処遇、給料というところにつながってくると思います。
津市辺りでどうと、地方都市でもそうなのという御質問をいただくこともあるのですけれども、実は都市部からのリクルート圧力というのは非常にかかっておりまして、津市の中で育てた介護職員の卵がどんどん名古屋、大阪に出ていくというようなことがあるわけでございます。したがって、そういう新規の採用の確保、あるいは離職防止のためにも、ぜひともこの給料を改めていくということをお願いしたいと思っております。
ただ、恐らくこれはいろいろな制度的な課題だと思いますが、どうしてもこの制度が複雑になってしまいます。処遇改善加算の中には、やはり特別な加算要件が課せられて、その方についてだけ給料が上がるということになります。そうなりますと、結果としてその方が研修を受けたり、あるいはその要件を満たすためのことをやらなければいけないということで、そのことによる代替の職員が必要になったりとか、いろいろな難しさがございます。あるいは対象となる職員自身の負担もありますので、ぜひシンプルな一人一人の給料水準が上がるような処遇改善について引き続き国のほうで御配慮いただければと思っております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた健保組合に対する財政支援について補正予算案に盛り込んでいただいたことについては感謝申し上げたいと思います。ただ、一方で、コロナ影響を受けている健保組合の財政状況を考えますと、金額的にはまだ少ないと考えざるを得ません。そういう意味で、新型コロナウイルス感染症による保険料収入の減少だけでなく、人口構造の変化に伴う後期高齢者支援金の増大、こういったこともあって健保組合の財政面は大変厳しい状況にあるということがありますので、特に財政状況が厳しい健保組合については、継続的な財政支援かつ支援の拡大をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田辺部会長 では、安藤委員、よろしくお願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。
資料の1ページの一番下の囲みの、保健医療情報を医療機関等で確認できる仕組みの拡大に、アレルギー情報等、閲覧の対象となる情報の追加と記載がございます。これはマイナンバーカードを使った資格確認の仕組みを活用するのだと思われます。今後、閲覧に係る費用負担について、議論されると思いますが、以前の医療保険部会でも申し上げましたとおり、新たな情報が追加されるたびに費用負担の在り方を議論するのではなくて、まず、厚労省に総合的な全体像をお示しいただいて、利活用の場面やユースケースを整理して、その役割や受益等を踏まえた上で費用負担の在り方を議論すべきなのではないかと思っております。
また、その下に看護職等の収入を引き上げるための措置を実施するとされておりますが、来年度以降についても継続して予算を確保されるのか、先ほど参考資料1-3の30ページの記載をお示ししていただきましたが、その考え方に沿った形で財源を確保する予定なのか、念のため確認させていただきます。
なお、この予算を実際に実効性のあるものとしていくためには、対象となる個人の給与が確実に引き上がるような仕組みをぜひ御検討いただきたいと思っております。
以上です。
○田辺部会長 1点御質問がございましたけれども、お願いいたします。
○榊原課長 御質問の処遇改善に関します財源確保につきましては、これから予算編成過程の中で議論して所要のものを確保していくという方針だと認識しております。
以上でございます。
○田辺部会長 ほかはいかがでございましょう。
では、袖井委員、よろしくお願いいたします。
○袖井委員 最後のところですけれども、看護師の給料が月額4,000円上がるというのが一般的に流布しているのですが、よく読んでみるとそうではないですよね。ほかの職種にも広げることになる。
それから、もう一つ、看護師には全部行くようなイメージが広がってしまったのですが、コロナ対応している医療機関だけですね。コロナ対応している医療機関をどう定義するのか。例えば、注のところを読みますと、救急搬送数年200台とか書いてありますが、実際にそんなに大きくない診療所で在宅のコロナ患者を診ているところもあります。でも、こういうのは入らないのですよね。その辺の区切りとかカテゴリーはどうなっているのか、ちょっとお聞きしたいです。
○田辺部会長 では、お願いいたします。
○榊原課長 こちらの補正予算におきましては、ここにありますように、一定の救急医療を担う医療機関が対象ということでございます。そこのところを対象に助成を行うということが決まっております。
○袖井委員 そうすると、小さな診療所は入らないということですか。
○榊原課長 こちらの補正予算の対象とはなっていないということでございます。
○田辺部会長 ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、御意見等がなければ、本議題についてはこれまでとさせていただきます。
最後に、オンライン資格確認等システムについてを議題といたします。事務局のほうから資料の説明をお願いいたします。
○水谷課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料5、オンライン資格確認等システムについて御説明させていただきます。
1ページ目をお開きいただきますと、10月20日からオンライン資格確認等システムについて本格運用を開始しました。大体1か月たった状況でございますが、状況の御報告でございます。
1ページ目は11月21日時点の数値でございますが、顔認証付きカードリーダーをお申し込みいただいている医療機関・薬局の数、全体約23万施設のうち13万施設、56.5%という状況でございます。このうち院内システムの改修など準備が完了している施設数は2万5967施設、約11.3%でございます。また、実際にオンライン資格確認等施設の運用を開始している施設が1万7394施設、7.6%となってございます。
一番下の点線囲みのところを御覧いただきますと、マイナンバーカード自体の申請交付状況でございますが、交付実施済数と書いてあるところ、現時点で約5000万枚交付がされていて、人口比で約4割程度となっているところでございます。このうち約12%、約600万件について健康保険証としての利用の御登録をいただいている状況でございます。
2ページにお進みいただきますと、10月20日、オンライン資格確認等システムの本格運用を開始した時点と11月21日時点との数値を比較したものでございます。準備が完了した施設数、10月20日時点では約2万施設、8.9%でございましたが、先ほど申し上げました11月21日時点で約2万6000施設、11.3%となってございます。
それから、運用開始施設数でございますが、10月20日時点、約1万2000施設、5.1%でございましたが、これも先ほど申し上げました11月21日時点で1万7394施設、7.6%となってございます。
3ページにお進みいただきますと、実際のオンライン資格確認の利用状況でございます。真ん中辺りの表を御覧いただきますと、マイナンバーカードによる資格確認を行われた件数の累積でございますが、これまでに約12万件ということでございます。それから、保険証による資格確認が行われた件数が約1100万件。それから、一括照会と書いてございますが、医療機関等で予約患者等の保険資格が有効かどうか、事前にオンライン資格確認等システムを使って一括で照会した件数が約330万件ございます。
一番下の表でございますけれども、に特定健診等情報あるいは薬剤情報をマイナンバーカードを持参した患者さんでこのシステムを使って閲覧に同意していただいて、実際に医療機関・薬局で閲覧が行われた件数でございますけれども、特定健診等情報が3,813件、薬剤情報が7,318件となってございます。
一番上の四角囲みの2つ目の○のところでございますが、今後、この利用状況についてヒアリング等を行いながら、利用方法の周知など、実態を踏まえた対応を行っていくこととしてございます。
4ページでございますが、これまでも申し上げてございます、こうした導入状況の中、私どもとしてシステム事業者への働きかけを行っております。今、主な課題といたしまして、パソコン・ルーターなどのハードウェアが不足しているという状況につきましては、経産省など関係省庁と一体となって供給元への働きかけを行っているほか、厚生労働省ホームページにおきまして、パソコンやルーター、どこに行けばどういった見通しで手に入るか、そうした情報を公表してシステム事業者とのマッチングを支援してございます。
それから、システム事業者に改修の対応能力を向上していただく必要がございますので、私どもとして、主要なシステム事業者・団体の経営層に対しまして協力を依頼し、導入ペースの加速に向けて必要な体制の確保ですとかを依頼してございます。また、実際にどういう進捗をしているか、個別にフォローアップを実施しているところでございます。
それから、外部委託の促進でございますが、システムベンダー自らが難しくても、オンライン資格確認の導入支援をする事業者、そうしたものを公表いたしまして支援を進めてございます。
また、実際、当初は院内システムの改修にかかる時間が結構長時間かかるようなものもございましたが、ここは大手のシステム事業者を中心に大分短縮をいただいているということで、そうしたことを含めながら、こうした院内システムの改修等を進めていきたいと考えてございます。
最後に5ページでございますが、医療機関・薬局につきましても、診療報酬支払基金のほうからリーフレット等を配布いたしまして、導入のメリット、補助金等の紹介を行っているですとか、あるいは導入事例の紹介サイト、こうしたものを通じて周知を図っているところでございます。私どもとしてもアンケート調査、ヒアリングなどを通じて準備状況、導入に係る課題を把握してまいりますし、システム事業者のほうでも顧客である医療機関・薬局のそうした導入状況を把握し、能動的に働きかけを行っていただくほか、私どもの足元、公的医療機関等ですとか、あるいはチェーン薬局などにもこうした導入を依頼しているという状況でございます。
私からの説明は以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、藤井委員、よろしくお願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
マイナンバーカードの普及につきましては、国のほうでもいろいろと御努力をいただいているというふうに承知しております。ただ、やはり根強い反対意見があるということも事実でございますので、例えば、マイナンバーカードを保険証利用しないという場合のデメリットを言っていただいてもいいのではないかなと思っております。例えば、私ども事業主としても、従業員の安全や健康について責任を持つ立場でございますが、実際に、例えば、外出先で従業員が事故に遭ったり倒れたりということがございまして、そのときに病歴や薬歴が分からないがために迅速な処置に移れなかったということも実際に直面しておりますので、こういった問題解決型のストーリーをしっかり提示して、皆さんに御協力いただくということをぜひやっていただきたいと思っております。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、前葉委員、よろしくお願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
オンライン資格確認システムという観点でいえば、この施設、つまり医療機関とか薬局に対してこのようなアプローチをしていますという御説明になるのだと思うのですが、いよいよここから先、国民目線というか、国民からすればマイナンバーカードを保険証として利用することそのものに関心が移ってくるというか、そうなると思います。その理由は例の7,500マイナポイントというあれが発表されて以降、そういうふうになっておるわけでございます。したがって、国民からすれば、どこの医療機関で使えますかというよりも、どうやって自分のマイナンバーカードを保険証として利用できるようになりますかという観点でございます。
そこで、厚生労働省におかれても、こういう形でマイナンバーカードの保険証利用をどうやってやりますかということをお伝えいただいておりますが、ぜひこのような広報を強めていただきたいと思います。
実際に市町村の窓口で起こっていることを申し上げますと、マイナンバーカードを交付する窓口で聞かれていることは、前回の5,000ポイントのとき、どうやってマイナポイントをこれにつけるのですかという話があって、それは自分でやってくださいということなのですけれども、なかなかそう簡単に窓口の前から立ち去ってくださる市民の方ばかりでもありませんので、丁寧にお話をするわけです。そうすると、スマホでどのようにマイナポイントをつけるかというところを窓口でやることになりますので、これはぜひ自分でやっていただきたいということで、できる限りマイナポイントのPRも含めてお願いできればと思っております。
最終的にはもちろん窓口で聞かれれば市町村ではしっかりと対応いたしますが、結果としてマイナポイントが保険証利用にプラスになってつながるのであれば、それはそれでオーケーでありますが、しかしながら、我々としては、できる限り効率的な進め方をしたいので、厚生労働省さんにおかれましても、省庁連携の下、もちろん内閣府さんだとかと横の連携を取っていただきながら、国民向けのPRをよろしくお願いしたいと思います。それが最終的にオンライン資格確認制度の国民的な利用につながっていくと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、横尾委員、お願いいたします。大丈夫でしょうか。
○横尾委員 ありがとうございます。
ひとえにこれは広報がすごく大事だと思っておりますので、厚生労働省のみならず政府広報としてしっかり力を入れてやっていただければいいかなと思っています。
また、先ほど前葉委員もおっしゃいましたが、実際に現場ではマイナンバーカード発行により受けとれるポイントが増えるということを聞いて、一部には住民が殺到しているような自治体の出張所とかの現場もあるようですので、ぜひよりよい広報をお願いしたいと思います。
以上です。
○田辺部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、よろしくお願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
今さら言うまでもございませんけれども、本件は国にとっても極めて重要な施策であると思っていますし、保険者も含めて国民が費用を負担しているという中において、今日の資料を見ても、本格運用が開始された後も医療機関における導入がそれほど進んでいないということについては大変残念だと思います。実際に私ども健保組合からの声を聞いておっても、保険証登録を行ったマイナンバーカードを医療機関に持っていって、実際に使えるところは、今日もデータがありまして、まだまだ少ないというのは分かっているわけですけれども、そこで医療機関において、今後に向けてどう対応しますかという確認をしたときに、「カードリーダーは来たけれども倉庫に置いたままで当分使う予定はない」とか、そもそも「オンライン資格確認を導入することは考えていない」というような反応をされたとの情報が寄せられておりまして、そういう意味で本件に関する取組姿勢に疑問を感じている部分がございます。
そういった状況の中では、本日は議論のテーマに上がっていないのですけれども、次に控えているところの例えば医療情報の追加ですとか、電子処方箋の導入等の議論も行う段階に至れないのではないかと思います。もともとオンライン資格確認スタートの段階においては、スタート時において6割程度の導入が前提となっていた話だと思いますし、やはり次に控えている施策の実効性を上げるためにも、6割程度の医療機関での導入の見通しを早急に立てるべきであって、その導入の見通しが立つまでは次の議論は凍結するほうがいいのではないかと考えております。
以上でございます。
○田辺部会長 ありがとうございました。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、御意見等ないようでございますので、本件はこれまでとさせていただきます。
本日の議題は以上で全てでございます。
次回の開催日につきましては、追って事務局のほうより御連絡申し上げます。
本日は御多忙の折、御参集いただきまして本当にありがとうございました。これで閉会いたします。