第3回認定要領の見直しに係るワーキンググループ議事録

日時

令和3年9月24日

場所

TKP新橋カンファレンスセンター

議題

第3回 認定要領の見直しに係るワーキンググループ

議題 (1)認定要領の見直しの方向性について
    (2)その他
   

 
              

議事

議事録
〇大城補佐 定刻になりましたので、ただいまから、身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方検討会第3回認定要領の見直しに係るワーキンググループを開催いたします。皆様にはご多忙のところ本ワーキンググループにご出席いただきありがとうございます。新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止のための対応としまして、Webでの開催となり、江藤座長と事務局は会場からの参加となります。続いて構成員の出席状況についてご報告いたします。本日は佐藤構成員が欠席のため、13名のご出席となります。また前回同様に日本聴導犬パートナーの会の松本構成員におかれましては、UDトークを使用し、ご参加いただいています。加えて今回は、手話通訳が必要な方が傍聴されておりますので、手話通訳を配置しております。皆様、ご承知おきお願いします。
続きまして、ワーキンググループの取り扱いについてご説明いたします。本ワーキンググループの議事については、公開とさせていただき、また議事録については後日、厚生労働省のホームページに掲載することとしておりますのでご承知おき願います。
それでは本日の議事に入る前に資料の確認をさせていただきたいと思います。構成員の皆様には事前に資料をお送りさせていただいておりますが、資料は、議事次第、資料の1から3と参考資料になります。
今回はWeb開催としておりますので、ミュート機能を設定していただき、ご発言される際は、手を上げるというアイコンを画面に表示していただく、もしくは実際に挙手してお知らせ願います。それでは本題に入らせていただき、江藤座長に議事を進めていただきたいと思います。江藤座長よろしくお願いいたします。
〇江藤座長 それでは議事次第に沿って進めさせていただきます。議題1、認定要領の見直しの方向性について事務局より資料の説明をお願いいたします。
〇周藤専門官 事務局の周藤です。それでは資料1をご説明させていただきます。資料1をご覧ください。第2回のワーキンググループにおいて構成員の皆様からのご意見をまとめまして、記載をしております。主に意見は下線のところになります。まず認定要領に関するものは、意見Ⅰをご覧ください。いただいたご意見としましては「書式の統一化は必要」とのご意見いただきました。
続いて1枚資料をおめくりいただきまして〈統一的な評価に基づく認定〉になります。「統一したものをどのように運用するか、認定審査で何を見ていくのか、指定法人同士で確認することが必要」「申請方法の共通化も考えた方が良い」「アセスメントする際の視点も共通化が必要」とのご意見がありました。
1枚おめくりいただき、認定要領に関する主な意見Ⅱの資料になります。「犬は完璧ではなく、動作検証に際して緊張してできない場合もある。ユーザーがどのように犬をコントロールして持ち直したかを見ていくことが重要」「録画した動画を用いて審査する場合でも、本人の意見を聞くことができる状況はあった方が良い」「審査の透明性の点では、審査委員の代表が撮影することが適当」とのご意見がありました。
1枚資料をおめくりいただき、認定要領に関する主な意見Ⅲになります。「認定審査においては、補助犬を利用することで社会参加できるかどうかについても検証することが適当」「専門職それぞれ役割を明確にしていくことが重要」
1枚資料をおめくりいただき、認定要領に関する主な意見Ⅳになります。これは前回、第2回資料から変更はございません。
続きまして1枚おめくりいただき、認定要領ワーキンググループの取りまとめ(案)になります。
以上のことから、身体障害者補助犬の訓練及び認定等のあり方検討会の議論を踏まえまして検討会のもとにワーキンググループを置いて介助犬、補助犬の認定要領の見直しについてこれまで検討を行ってきました。これまでの議論を踏まえまして本ワーキンググループでは、資料2の通りまとめることとし、あり方検討会に報告するとしてはいかがでしょうか。
資料2の説明に移りますので、資料2をご覧ください。「身体障害者補助犬の訓練及び認定等のあり方検討会 認定要領の見直しに係るワーキンググループ取りまとめ案」になります。まず一つ目ですが、「指定法人に対する申請内容については審査の平準化や透明性の確保、使用者の負担軽減が期待できることから、様式の統一化を検討することが適当である。ただし、検討にあたっては、各指定法人における認定審査の方法、視点その他についての現状を意見交換しながら進めていく必要がある。」
二つ目です。「認定審査における犬の動作の実地検証に際してリモート方式(録画またはリアルタイムによる動画)を活用することについては、指定法人の遠隔地に在住する使用者の負担軽減に資することやICT技術の向上等を踏まえ、活用可能であることを明確化するとともに、指定法人の所在地が限定されていることを踏まえ、使用者負担軽減の観点から活用を進めていくことが適当である。その際、指定法人は、介助犬・聴導犬として必要な能力の認定を適切に行うことができるようリモート方式による犬の動作検証等に当たっての審査方法等をあらかじめ定めておくことが適当である」
三つ目になります。「審査委員会に参画する審査委員については、それぞれの職種に応じて、審査における役割等を明確にしておくことが重要であり、標準化を検討することが適当である。ただし、検討にあたっては、各指定法人における認定審査の方法、視点その他についての現状を意見交換しながら進めていく必要がある。」
四つ目です。「本ワーキンググループの議論においては、補助犬の使用を希望する者に対して、その生活全体を組み立てる支援が重要との意見が多くありました。このため、指定法人における認定審査においては、使用者の自立と社会参加を促進する観点での審査も意識する必要があると明確にすることが適当である。なお、こうした視点は、訓練事業者において使用を希望する者からの相談段階において重要となるため、今後、議論が開始される「訓練基準の見直しに係るワーキンググループ」において十分に議論いただく必要があると考える。」
続きまして、最後です。「認定要領は、介助犬および聴導犬の認定のための一定のガイドラインとして平成14年8月に定められ、以降、具体の運用については各指定法人に委ねられてきた。また、これまで指定法人間の情報交換等を行う場がなかったことから、指定法人相互の運用方法については把握できておらず、指定法人の構成員からも情報交換の場の設定の要望が出された。このため、今後、指定法人が一堂に会する場を設け、それぞれの実態を踏まえつつ、指定法人間で丁寧に意見交換を行いながら、前述の課題について検討を具体化させていくこととしたい。」
以上を踏まえまして、「資料3-1介助犬の認定要領 新旧対照表(案)」の資料をご覧ください。「第2 審査について」「2 犬の動作の検証等」の箇所に赤字の文面で追記をしております。赤字の箇所になりますが、「また、検証等を実施する際に録画やリアルタイムによる動画を用いることは差し支えないので、検証時における使用者の負担軽減の観点から積極的に活用を検討すること。その際には、録画やリアルタイムによる動画を用いる場合でも介助犬として必要な能力の認定を適切に行うことができるよう、あらかじめ検証等に必要な事項を定めておくこと。」
「3 審査」のところになります。赤字のところになりますが、「各審査員の職種に応じた審査における役割等についても定めておくことが望ましい。なお、審査に当たっては、基本動作等の検証等のみならず、使用者の自立と社会参加を促進する観点での審査を行うように努めること。」
資料3-2につきましては同じく「聴導犬の認定要領の新旧対照表(案)」で「2 犬の動作の検証等」の赤字の文面3行目ですね、聴導犬としているところのみが異なる点となりますので説明は省略させていただきます。また参考資料は、改正後の全文案となりますので、こちらも同じく説明の方は省略いたします。以上が改正案というところで提示させていただきます。
最後に、本ワーキンググループは、認定要領の見直しの方向性について、より具体的なご意見をいただく場として、検討会のもとに設定させていただきました。これまでのあり方検討会や今回のワーキンググループにおけるご意見を踏まえて、事務局において取りまとめ案を整理したところです。本ワーキンググループは本日が最終回となりますが、今回のご意見も適宜反映させて、あり方検討会に報告したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。資料の説明は以上です。
〇江藤座長 どうもありがとうございました。「認定要領の見直しに係るワーキンググループ」は今回が最後となります。今回のご意見を踏まえて、「第5回身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方検討会」にとりまとめ案等を報告する予定でございます。資料の「認定要領のワーキンググループ取りまとめ案」に関してご議論いただきますようお願いいたします。これまでの議論を踏まえた形で資料が取りまとめられているように感じますので、概ねこのような方向で差し支えないのではないだろうかというふうに感じておりますが、ご発言がございましたら順番に指名してまいりますので、挙手、または「手を挙げる」のアイコンでお知らせください。それでは、木村構成員。
〇木村構成員 介助犬使用者の木村です。今回いただいたとりまとめ案の「リモート方式による動作検証にあたって」の文章ですけれども、「審査方法を指定法人があらかじめ定めておく」となっていると思いますが、様式の統一化や、審査委員の役割の明確化、標準化と同様に、「リモート方式についても、各指定法人における認定審査の方法、視点その他についての現状を意見交換しながら進めていく必要がある」っていうふうに記載した方が、リモート方式も標準化されると思うので、このただし書きを追加していただいた方がいいと思いました。
〇江藤座長 どうもありがとうございます。リモート方式についてのただし書きも追加していくということでまた検討することになるかと思います。水越構成員どうぞ。
〇水越構成員 日本獣医生命科学大学の水越と申します。審査委員会に参画する審査員についてそれぞれの職種に応じて、役割等を明確にしておくことというのは非常に重要だと思います。私は獣医師ですが、審査委員会での獣医師の役割というと、衛生管理が主となると思いますが、審査委員会にかかる以前に、股関節等のレントゲンなどの骨格が健全であるかどうかという審査もあると思うのですが、レントゲン画像を診断するのは、すべての獣医でもできるかって言ったらそういうことはありません。医師と同じように整形外科を専門とする獣医師、画像診断ができる獣医師が判断する必要があると思います。審査委員会ではなくて、それはそれ以前の問題だと思いますが、例えば認定審査前に申請するときに、レントゲンについてはそのような専門の獣医師の画像診断を受けていること、これはただの証明書的なものでいいと思うんですけども、そういうものを必要として、そしてその審査会については衛生的な面を判断する獣医師というような形にするといいと思います。理由は整形外科画像診断を専門とする獣医師は少ないので、審査委員の資格をそのような専門獣医師に絞ってしまうとかなり大変になると思うんですね。獣医師の認定審査の役割としては大まかにこれらの二つがあると思うのですが、画像診断については申請時、審査会については衛生面について判断するというように分けてもいいんではないかと思います。以上です。
〇江藤座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。木村構成員どうぞ。
〇木村構成員 介助犬使用者の木村です。要領の2番目の「審査について」の「3」に追記された文章の最後が使用者の自立と社会参加を促進する観点から、「審査を行うように努めること」となっているんですけれども、ここを努めるではなくて、「審査を行う」ということで努力義務ではなく、「義務」にしてほしいと思います。以上です。
〇江藤座長 どうもありがとうございます。文章の細かいところについては今後も意見交換しながら続けていくことになるかと思います。小田構成員どうぞ。
〇小田構成員 文章を変更しろということではないですが、自立と社会参加って非常に難しい概念だと思います。今後もさらに協議していかないとならないことだと思います。ただ社会参加の概念がこの補助犬法の中では非常に狭い意味で捉えているってことは認識しなくてはなりません。というのは、補助犬ユーザーが犬を伴って、屋外へアクセスする、社会に出ていくということ、そういう意味での社会参加というふうに位置づけているってことについて共通認識が必要だと思いますので、確認させてください。以上です。
〇江藤座長 社会参加の概念の内容については、狭く、この中ではまとめられているということですね。それについていかがでしょうか。
〇有馬構成員 日本聴導犬協会の有馬です。初めの2002年の段階で検討委員として入らせていただいたときにも申し上げましたが、社会参加というのは今福祉では「自分らしく生きる」とか、「自分で選択する」「自己決定をする」ということです。「就労」とか「外に出る」ことに規定されているものではないと考えます。聴導犬の場合は、生活面で安全に生きるとか、音を教えてくれる利便性が重視されていると思うのですが、外に出ることだけが「社会参加」ではなく、福祉の概念とのずれがあるのではないかと考えますが。いかがですか。
〇江藤座長 どうでしょうか、このワーキングは取りまとめ案をまとめていくということで、その社会参加の概念を論じるという、そういった場としてはふさわしくないかと思いますけども、いかがでしょうか。
〇有馬構成員 もう一つよろしいでしょうか。日本では介助犬をサービス・ドッグとおっしゃっていますが、ADIの規定ではモビリティ・サポート・ドッグとかモビリティー・サービス・ドックの英語になります。介助犬はもともと役割として、ユーザーへのモビリティ(可動性、動きやすさ)が期待されています。聴導犬の役割に関しては、ここで議論することではないですが、本来は、聴導犬を連れていなくても聴覚障がいの方は外出も勤務もできるわけですから、ユーザーへのモビリティ機能よりも安全の確保や音を教えてくれる利便性を期待されていると考えます。身体障害者補助犬法の原点である「社会参加」の意味を、指定法人だからこそ、もう少し広い福祉という視野で考えてなければならないと考えています。
〇小田構成員 有馬さんが言ったことはごもっともですし、我々もそう思っていますが、この法律の中で、例えば電車に乗る、バスに乗る、公共交通機関を使っての社会参加だけじゃなくて、病院に行く等、様々なところへ行くことを保証しているということになると思うんです。そういう意味で、評価をし、その場でも何らかの活用が可能だということについては確認しておく必要があるということだと思います。社会参加の概念そのものの議論ではなくて、この法律に基づいた考え方をどう整理するのかだと思います。今後の検討内容だと思いますし、おそらく今後法律を論じていく中で、この自立と社会参加の概念というのが大きな課題になってくるかなと思っています。ここで議論することじゃないかもしれませんが、以上です。
〇江藤座長 ありがとうございます。その他いかがでしょうか。この取りまとめ案に沿って議論をしていきたいと思いますけれども、どうぞご意見のある方。松本構成員、どうぞ。
〇松本構成員 聴導犬ユーザーの松本です。2点あります。まず1つ目、今の社会参加っていうことですけれども、確かに聴導犬の聴導動作としては、家の中、屋内での作業は確かに多いので、外に行くことだけが社会参加ではないというふうに考える見方もあるかもしれないんですけれども、家の中だけで、屋内だけで仕事をするのであれば、ある意味、聴導犬の認定はいらない、補助犬としての認定はいらないわけですよね。なので、補助犬として認定されるのは、外に出て、普通だったら犬が入れないような場所と施設を、補助犬として同伴し、私達が社会参加をするために認定をしていただくということなので、たとえ仕事が、屋内の作業がほとんどだったとしても、例えばホテルなどに宿泊する、ホテルの室内での仕事かもしれないんですけれども、そこに行くまでに交通機関を使ったり、人がいるところを入っていったりっていう状況のときには、やはり社会参加という意味で、社会の中できちんと行動ができるかということのお墨付きをもらうのが認定でもあると思うので。必ずしも仕事をしなきゃいけないとか、学校に通わなきゃいけないとか、そういう意味では社会参加というのではなくて社会環境の中に参加していくっていうことを踏まえてだと思うので、仕事の場所がどうのということではなく、私達が社会の中で、補助犬を同伴して活動するということへの認定ということだと思うので、そういう点で見ていただきたいなということが、ある意味、補助動作の検証だけではなくて、そういうところの検証をしていただきたいということだと思います。
2点目は、社会参加とは違うんですけれども、認定要領の改正の案を拝見していて、第2の「審査について」以降に赤文字でいろいろ改正案が入っているんですが、最初の認定の申請についてのところは、ほとんどそのままの状態のようです、案としては。最初のときから話に出ていたと思いますが、「書式の統一化は必要」という一文が意見として入ってはいるんですが、実際このままの要領の内容でいると、実際今同じように例えば使用者の意見書と言っても結局、訓練事業者によって解釈の違いがあったりするので、書式や様式の名前はそのままにして、いかにそこに皆さんの書くものが統一されたものになるかっていうところはとても大事になってくるんじゃないかなと思うので、要領としての文面は変わらないにしても、そこに目指すものが、どういうことを目的とした文章として申請するのかということをあり方検討会の方できちんと詰めていただく必要があるということで。要領の第1の認定申請についてという部分が変更なしではない。文面としては変更なしかもしれないけれども、何を申請するのかというところをきちんと意思統一するようなことが必要になるということをお伝えしていただかないと、今までのままのタイトルの書面があちこちからいろいろな内容で届くってことは変わらなくなってしまうので、要領にそれを書き込むのはなかなか難しいかもしれないんですけれども、きちんとあり方検討会での話し合いの中で、その書面が何のために、誰に向けて渡すものなのかということの統一を図っていただくようなお話を伝えていただきたいなと思いました。
〇江藤座長 ありがとうございます。朴構成員どうぞ。
〇朴構成員 今、基準を統一化していくというところに流れているわけですけれども、それは確かに大切だと思います。ですからそれに向けてしっかり話し合いもしていきます。ただ一点お話したいのは、全て統一というのは難しいですし、実はメリットデメリット両方あるということをもう一度お話をさせてください。
日本補助犬協会は盲導犬の事業者でもありますから、また盲導犬の話になって恐縮です。
盲導犬は当協会を含めて11団体あり、地域によっても求められる盲導犬が違うというのは、前回お話しました。更に盲導犬を貸与するユーザーの条件は、全盲の方しか貸与をしない盲導犬協会もあれば、障害者手帳を持っていなくても貸与する盲導犬協会もあるんです。その独自性というか、強みが違うんですね。この話をすると、ロービジョンの方や手帳がない方にも出す方が広範囲でいいと思われる方が多いのです。確かにその面もあるんですけれども、現実的には、全盲の方から、全盲に特化して盲導犬を訓練しているところの犬が使いやすいと大きな支持を集めていることも事実です。ですから、基準が育成団体の独自性を阻害するような規制にならないようにしたい。それでなくても介助犬、聴導犬の申し込みが伸び悩んでいたり、なかなか普及しなかったりっていう現実があって、その理由の中に日本で介助犬、聴導犬を持つのはハードルが高いという意見もあるわけです。ですから、その基準は必要最低限にしたいというのが私の意見です。必要最低限にすることによって、ユーザーにとっても特色のある、自分に合う団体を選べるメリットがあるということをお伝えしたいと思います。
あと一点、水越委員の意見から、骨格に関しては診れる獣医師が少ないんですよね、きっと。現状日本でどのぐらいの数、骨格を診れる獣医科病院があるのかは、ぜひお聞かせいただきたい。骨格をしっかり診ていただくのはぜひ今後考えていきたいと思うのですが。例えばそれが義務になると、数少ない先生を訪ねて、例えば犬を持ち込まなきゃいけないのか、映像を送るだけで良いのか、その映像の撮り方も話し合いをした上で盛り込むというのはなるほどと思うんですけれども、すぐにそれを今回入れるっていうのは避けていただきたいなと思っております。つきましては、水越委員の方からその骨格が診れる獣医師の先生がどのぐらい日本にいらっしゃって、育成団体が地元の獣医師からレントゲンを送るときにどのような内容を送るのかを少し情報共有していただければと思います。
〇江藤座長 訓練基準、認定要領の見直しも含めてですが、かなり細かい内容になってくるかと思いますが、今のことにつきまして水越構成員いかがでしょうか。
〇水越構成員 数としては少なくはないとは思います。例えば麻酔外科学会の外科の認定医であるとか、その他、外科の認定医など、今は認定医・専門医制度が獣医師の方にもありますので、とても少ないというわけではないと思います。また朴構成員もご存知だと思いますが、遺伝病ネットワークのようにレントゲンを送って診断するというようなシステムが盲導犬の方でもされておりますので、そういうのを利用することができると思います。ただ必ず審査委員会に入れるというようになりますと、日程的・地域的な問題などでなかなか厳しいのかなというように思います。そのように考えると、事前に画像審査を行うほうが現実的なのかなと思います。画像を送って事前に診断していただくような審査のシステム等がありますので、盲導犬と同じようにそれを利用していただくというような形ではいかがかなと思っております。ただし、朴構成員がおっしゃったように実際にそのようにする場合には、例えば、整形外科の認定医のグループなどと協議をしていく、協力していただくことをまずお願いというか、協議することをしないとイケナイとは思います。例えば、お願いしますと言われてもどこまでお願いされるのか。全ての獣医師が補助犬について知っているかといったら当然知らない方の方が多いと思いますので、いきなりお願いね、というようなところは確かに難しいところだと思うので、協議や検討をお互いにすることは必要だと思います。以上です。
〇江藤座長 朴構成員、どうぞ。
〇朴構成員 参考になりました。おっしゃった通り、私が懸念したのは、育成団体にも普段お世話になっている獣医師の先生がいらっしゃるので、それを説明し、定着をさせるには、どういうスタートを切るかっていう現実的な問題があります。そうすると私はついつい盲導犬の訓練事業者にもぜひ骨格に関しては一緒にやってもらって、いいところは、みんなでやりたいなと考えてしまうのです。それで事業者だけではなく、獣医師もお互いに意識が上がっていく、それが補助犬の数に繋がっていくのだろうなと思っているので、よろしくお願いします。
さて、私が手を挙げさせていただいたのは、吉田構成員が以前おっしゃっていた育成団体と専門職との繋がりについてです。それは、育成団体と認定団体の法人間の繋がりもありますけど、育成団体と専門職個人の繋がりも大切だと思います。介助犬、聴導犬の育成団体は地方が多くて、まだ小さいところも多く、地域で繋がらないとしんどいっていうところが現実問題あります。その時には特にPOTは国家資格でもあるし、育成団体が地域の専門職と繋がるところが一つのポイントになってくると思うんですね。(通信環境の影響で映像・音声途切れる)
〇江藤座長 不具合が起きているようですがこの間に、関連して議論を続けたいと思います。専門職の役割、それからその具体的なことにつきましては指定法人間でもだいぶ違いがあるということで。審査委員にそれぞれの専門職を入れるということの具体的な何をするかとか役割の細かいことについては、今後議論を重ねながらまとめていきたいと思っております。本日は大雑把でありますけれどもワーキンググループの取りまとめ案ということで、資料の2にございますような内容についてどうであろうかというふうに話を進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。有馬構成員、どうぞ
〇有馬構成員 先ほど聴導犬のことについて認定の際に、室内で安全を保つとか、外に行ったときに、車のクラクションを教えるとか、そういうのは聴導犬の役割ではありますが、なぜ申し上げたかというと、少し論点が違っていて、指定法人の役割として外に連れて行く、その観点だけで補助犬を認定して欲しくないということです。ある介助犬のユーザーさんですが、とても重度で福祉車を使わないと移動できないという方ですが、そうしたら指定法人から認定はいらないのではないかと言われたとか、他の一件では、難病の方でリハビリと関係ないから、あなたには介助犬いらないんじゃないかと提案された事例報告もありました。日本聴導犬協会としては、例えば動けない方であっても介助犬がいることで命が助かるとか役割として、その方にとって利便性が高いとか、または生きるエネルギーに繋がる場合には、その方に必要という視点で認定させていただいています。補助犬法は、同伴許可という視点だけではなく、ユーザーとして希望者さんにとって安全に生きるための相棒であるからこそあちこちに同伴しなくてはならないと考えています。ただ、外に出ることが認定試験の優先ポイントにはしたくないと考えています。「聴導犬が外に出なくていい」という意味ではなく、聴導犬も屋外でももちろん役割があります。しかし、補助犬法が同伴許可のためだけではなく、障がい者の方の権利、人権としていろんな自主選択ができるという障がい支援の考えで成り立っていると考えます。そのチェックポイントで、指定法人として認定試験をさせていただかなければならないと、申し上げていることをご理解いただきたいと思います。
〇江藤座長 ありがとうございます。その他にご意見いかがでしょうか。木村構成員どうぞ。
〇木村構成員 介助犬使用者の木村です。今の有馬構成員のお話でちょっとお伺いしたいのですけれども、社会参加する必要はないけれども、介助犬が欲しいという方が来られたっていうことですよね。それで、その方が社会参加しなかったら、社会参加する上での、しつけとかのそういう訓練や評価はしなくてもいいということでおっしゃっているんでしょうか。
〇有馬構成員 日本聴導犬協会でも、介助犬をこれまでに8頭貸与して、現役6頭ですけれども、社会参加という意味が、自力で外に出なくてはならない、就労しなくてはならないという意味ではないと考えています。例えば、体が動かせない方でもインターネットで力強く発信していること自体も社会参加だと考えています。さっき申し上げた可動性、動きやすさ、もちろん生活を安全を保つとか、落とした物を拾ってくれるだけでも、役割として大事です。ただ、本人が外に出たいと思っても福祉車に乗り、人の手助けがなければ出られないから、それは補助犬の社会参加ではないということではないですね。周りにいるあらゆる方を動かして、ご自身では外出も、就労もままならない脳性麻痺で情報発信している方がいらっしゃいます。ご自身では動くのがとても不自由でいらっしゃるけれど、その方は近くの大学のボランティアさんを駆使して、スケジュールを自分で組んで介護してもらっています。それも社会参加ですね。そういう方たちが、もし介助犬が欲しいと申請があったら、様々な審査をした上になりますが、社会参加のための訓練や介助動作の訓練もされた上でしたら、認定試験もさせていただきます。自分で動けないから「社会参加ではない」と、認定試験の合否のポイントにするべきではないと考えています。木村さんの方が一番よく知ってらっしゃると思いますが。
〇江藤座長 はい、木村構成員
〇木村構成員 今伺ったのは、社会参加は必要がないっていう方が、社会参加する時に電車に乗る等の評価をしないでいいっておっしゃったのかと思ってお話を聞いたのであって、僕はいろいろな工夫をして社会と交流することは社会参加だと思っているので、介助犬の物理的な介助が社会参加に役立つのであれば、介助犬と生活するということは、可能だとは思います。しかし、いつも別の人がいて、本人が犬の管理をせずに社会に出る場合に、介助犬として認めるのは少し問題じゃないかと思っているんですね。やはり、自分ができなくても、横にいる人に指示を出して、「介助犬に対してこうしてください」っていう配慮ができていることを確認しないといけないと思いますので、社会に出るときに、介助犬と出かけることで、社会に問題を起こすことがないような評価をしていただかないと問題だと思っています。海外では日本よりもハードルが低くて、数も増えていますが、実際アメリカでは、訓練が行き届いていない、介助犬とかサービスアニマルが問題を起こして、社会問題になっているっていう話も聞きますので、最低限、街に出かけるときに問題を起こさないということを確認することは必要だと思います。
〇有馬構成員 もちろんですね。木村さんのおっしゃっている通りに日本聴導犬協会でも認定試験を行っています。ただ、指定法人のポイントとして、そのユーザーさんに管理能力があるかないかを拝見しています。補助犬になるには、当たり前のことですが、電車に乗る、バスに乗る、それを自己コントロールする。木村さんがおっしゃったように、周りの人たちにお願いして必要なお手伝いをしてもらうとか。さっきも申し上げた、難病の方で移動は福祉車しか使わない。でも、介助犬を乗せるときには自分の声でちゃんと命令をして、中に入れておとなしくさせる。そういったことができれば、別にいいわけですよね。自分が周りの人を動かして管理してもらうということができればいいわけです。ここで申し上げたいのは、厚生労働大臣指定法人として、認定試験のポイントは、ユーザー自身が外に出るために介助犬のリードを握って、コントロールできるか否かだけではなく、もう少し福祉の目で、認定を出すときに考えなくてはいけないのではないでしょうか。
〇江藤座長 利用者さんが社会参加する気がないからといって、それに関連するような訓練はやらなくていいかということを聞かれているのだと思いますが、そういうことではなくて必要な訓練に関してはきちっと行うとそういうことお答えだと思います。他にいかがでしょうか、小田構成員。
〇小田構成員 この議論を続けていると、とんでもなく時間がかかると思いますが、この法律をどうしていくのかってことの議論になる気がします。あくまでもこの身体障害者補助犬に定められている社会参加の概念をどう捉えていくかを反映すべきであって、障害を持った方たちの社会参加そのものの定義づけをしていくってことではないのです。先ほど松本構成員からも話がありましたが、なぜ認定をするのか、なぜ認定をしなくちゃならないのか、それはペットとの区別化であり、または社会に出ていった活動というものを保障していくことであるので、そこをどう認定の中に盛り込んでいくのかを考えていくべきだと思っています。
ですから、繰り返しになりますが、議論をしていく中で、おそらくこの社会参加や自立という概念というものが今後の補助犬法を考えていく上で、非常に大きなキーワードになるのではないかなと思っています。皆さんのご意見を聞かせていきながら法律を変えていくかどうかは別として、考えなきゃならないポイントかなと思っています。以上です。
〇江藤座長 社会参加、あるいは自立ということですね。ただ一つ、言葉としてはあるんですけど、その概念に関してはかなり深く広いものがあって、そういった議論についても今後意見交換をしながら、細かい内容については定めていく必要があるということかと思いますが。その他に、松本構成員どうぞ。
〇松本構成員 大きな意味での「障害を持つ人の社会参加」という問題と、「補助犬を伴っての社会参加」というものって少し違う部分があると思います。有馬構成員がおっしゃったような、例えば家からも出なくて、インターネットなどを使ったり、他の人の介助を受けながら生活する上で、犬がいろいろな介助動作をしてくれるということで、自分がいろいろなことで自立ができたり、自分ができることが生きる糧になったりっていうのは、確かにそうで、家の中にいても社会参加をできるというのは確かにそうだと思うんですね。ただ、補助犬法における認定ということを考えたときは、あくまでも補助犬を伴っての社会参加だと思うんですね。補助犬を伴って、その社会参加が例えば、介助タクシーを使ったとしても、人の手を借りたとしても外へ出るとか、そういうときに、補助犬を同伴することを認めてもらうための認定、補助犬を伴っての社会参加っていうことが補助犬法の目的だと思うので、家の中で介助動作をするということだけであれば、それは補助犬法の認定をする必要がなくなってしまうんじゃないかなと思うんですね。介助動作する犬っていう意味と、補助犬法によって認定をされる介助犬っていうのはちょっと違うんではないかなと私は感じるんです。家の中だけで、聴導動作をしてくれる、朝起こしてくれる、人が来たのを教えてくれるっていう聴導動作をしてくれる犬だけであれば、それは補助犬法による認定を受ける必要はなくなってしまうと思うんですね。私が誰かの運転する車で外出するにしても、誰かと一緒にお店に行くにしてもそのときに聴導犬も伴って外出するというときに、やはり認定をされた聴導犬であるという必要があると思うんですね。だから、単に介助動作をする犬ということと、補助犬法に伴う認定をされた介助犬というのは区別されるべきではないかなと思ったので、障害者の社会参加のあるべき姿は外へ出ることばかりではないということは、私ももちろんわかるつもりですが、補助犬を伴っての社会参加とはまた違うんではないかということが気になりました。
朴構成員、戻られたので、先ほどの認定に向けての申請、認定申請についてというところで、朴さんのところでは、最低限にしてハードルがあまり高くならないようにというお考えでやってらっしゃるということで。それによって最低限、無駄なものはなくしてということだとは思うんですが、その最低基準というのはやはり難しいのかなと感じたんですね。皆さんの考える最低基準って、日本と外国でももちろん違うと思いますし、指定法人間でも最低必要だろうというボーダーというのは、違ってきて、それが良い意味での特色になるのかもしれませんが、逆に必要なことすら省いてしまうような法人も出てしまうことへの恐れにも繋がると思います。障害のある人が補助犬に関心を持ったときに、特に聴導犬の場合で耳にしたのが、単に同じ犬を飼うなら、補助犬だったら、聴導犬だったら、高いお金を払わなくても犬が手に入るし、マンションにも住みやすいよと、好きなところに旅行に一緒に行けるよ、だから聴導犬にしようと思った、くらいの気持ちで聴導犬に関心を持つ人、アプローチする人もいるので、やはり申請の段階でもきちんと(してほしい)。あそこの法人だったら簡単に訓練してくれる、認定してくれるというようなふるい分けになってしまうのは心配だなと思いました。以上です。
〇江藤座長 朴構成員、どうぞ。
〇朴構成員 うまく伝わっていないと思うので、誤解を解きたいと思います。私がお話したのは、統一基準をつくるときのメリットデメリットの中から、デメリットも考える必要があると言いたいのです。先ほどは盲導犬の育成団体を例にとりましたが、補助犬は地域によって求められる犬であったり、いろいろな条件に違いがあることは事実として考えると、基準というものは必要最低限でいく方が育成団体の独自性という強みが生かせてユーザーにとっていいと私は思っています。ですから、必要最低限の基準イコール簡単でいいとか、程度が低くていいっていうことでは全然ないということです。メリットデメリットの両方を考えたときに、私は日本のいろんな地域にある育成団体の独自性というものを消してしまわないように、基準を規制みたいな形でかぶせていくのは、もったいないですよねということをお伝えしたいと思っています。
もう一点、第1回目のときから小田構成員の認定そのものについて考えましょうという意見に賛成です。なぜならば、先ほど犬の社会参加とか、補助犬を伴った社会参加ってなに?というところにも関わりますが、そもそも、犬と一緒に社会参加をするときに免許証が必要っていうのが、日本では補助犬法ありきなので当たり前ですけど、海外では犬と社会参加するときに電車に乗れたりバスに乗れたりお店に入れたりっていう国がヨーロッパ中心にあるわけです。そもそも補助犬法を今見直しているわけですから、補助犬法ってなぁに?補助犬法の中の指定法人の役割ペットと区別するというところから私は皆さんで考えたいと思っています。ですから、社会システムさんの委員会でまたこの話し合いを継続してくださった判断にとても感謝しております。以上でございます。
〇江藤座長 有馬構成員どうぞ。
〇有馬構成員 「こういう人は持ってはならない」的なことは、厚生労働大臣指定法人は言ってはならないと考えています。もしその方が重度であっても管理能力があって、補助犬と暮らしたい方がいらっしゃれば、その方のニーズをお聞きして、もっと間口を広くしなくては聴導犬も介助犬も増えない。みなさん、頭数を増やしたいですよね。年間に10頭以下しか出ないような状況は、「社会に必要な存在なのか」という疑問につながっていくと考えます。特権階級的な人だけが、ユーザーになれるのではなくて、もっと幅広くいろいろなニーズで補助犬を選択してもいいと考えます。ただ、松本さんがおっしゃるとおりに社会参加をする上での知識とか技術とか。責任感、あなたの補助犬は同伴の権利を得られている、その分、ユーザーさんには責任があると理解できる方がいれば、そういった方たちに貸していく方が頭数は増えていくと思うんです。聴導犬も介助犬についても、さらなる規制なのか、そうではなく、もう少し柔軟に補助犬というものを考えていく必要があのではないか。「難病だから、リハビリ関係ないから介助犬合わないよ」ではなく、難病でも、リハビリは関係なくても、その人に補助犬への管理能力があり、訓練をきちんと受けられる方にはどんどんお貸しした方がいいのではないかなと考えています。規制、規制で間口を閉じて閉じていくことが日本の補助犬にとって良いのか。朴さんもおっしゃったようにもっと間口を広くしていかないと。木村さんが(海外の困った補助犬が)ニュースになったとおっしゃられたのですが、とても類まれなケースなのでニュースになるのだと思うんですね。ADIでお会いするユーザーの方たちはとても素晴らしいですし、社会を引っ張っていくようなエネルギーのある方たちが多いです。だから、障害のある方たちが補助犬と一緒に輝かしい生き方ができるならば、もっともっと増えていってほしいと願いますし、補助犬法についての根本的なところを考えなければならないと考えています。
〇江藤座長 松本構成員、どうぞ。
〇松本構成員 20年前に補助犬法ができるまで、木村さんや私達もずっと一生懸命ロビー活動をして補助犬法にたどり着いたという状態があるので、補助犬法に対しての思い入れは私も木村さんも皆さん以上に持っているつもりですが、確かに現在は数も伸び悩み、むしろ減っているような状況で数を増やして認知を広げていきたいというのはもちろん私達も思っています。でも、単に数が増えればいいというものではなくて、きちんとした補助犬の数が増えるべきだと思います。補助犬と名乗りながら、他の犬に吠えるとか、人に対して飛びつくとか、そういう状況で問題が起きてしまうとか、もしくはそういうおそれがあるから、うちの子は他の犬を見ると吠えるから、普段は抱っこしています、でも、お店に入るときは、聴導犬として、補助犬として入ります、みたいなこともなきにしもあらずなんですね。そういうような補助犬が増えて、それが1000頭になろうが1万頭になろうが、本当の意味での補助犬法の、そもそもの目的としていたことが達成されるわけではないと思うんですね。本当に私達障害のある者が補助犬を伴って、社会に出ていく、社会の一員として生きていくということを認めてもらうための認定はその第一歩だと思います。変な話、障害者と訓練事業者は、犬が欲しいっていうことで、犬を作りたいということで、一致団結してやっていけば、それらしい補助動作をする犬は作れると思うんです。でもその犬を伴って、私達障害のある者が社会に出たときに、社会の一員として認められるかどうかということを判定するのが認定という一つの関門だと思っています。だから認定はあくまでも犬が補助動作をして、その人を助けるかとか、その人の生きがいになっているかということを見るのではなくて、そのペアが社会に出て、社会の一員として、言葉は悪いかもしれないですが、他者に迷惑をかけることなく、きちんと街を歩けるか、社会で生きていけるかということをふるいにかけるところが認定だと思うので、そこは門戸を広げて、数多く貸せばいいのではというのは私としては納得できません。実際に数が減ってしまったとしても、良質な補助犬の数が増えていくのであれば、最終的な補助犬法の趣旨にかなうのではないかなと私は思うので、ハードルを低くして、少しでも欲しいと思う人に渡せるような、つまりハードルを低くして数を増やすのではなくて、良質な犬を認定していけるような制度やルールを決めていってほしいなと、1ユーザーとしても、また補助犬法を作るときに関わった者としてもそこは譲れないなと思いました。以上です。
〇江藤座長 小田構成員どうぞ。
〇小田構成員 朴さんの話の中で、日本が世界と同じように犬の権利ですかね、(犬を)伴って社会に出ていくような、どんな人であっても犬と一緒に電車乗ったりバスに乗ったり、レストランに入れるような社会ができるようなことがあれば、補助犬ってなんだろうねってことになると思います。ただ日本はそういうふうになっていないために「認定」ということが起きているんですけども。ただ今後、補助犬法のあり方を考えなくてはならないこともあるかもしれませんが、認定をするということがどういうことだろうってことをもう1回考えなきゃならないかなと思います。
それからもう一つ松本さんが言ってくれていたのですが、犬を伴って社会に出て行く人たちを支援していく、それが根本にあって、その延長線上に、認定でもあるわけだと思います。ですから我々、リハに関係している人たちも、犬の訓練事業者の皆さんたちも、犬を伴って社会に出ていく人たちをどう育てるのか、支援していくのかっていうスタンスが必要になるのではないかと思います。その延長線上に、認定があるし、今後の法律のあり方があるのではないかという気がしています。以上です。
〇江藤座長 補助犬法の趣旨としては、障害がある方が生活をしていく上で、社会参加をしていく上で、それを支援していくパートナーを、というようなことだと考えておりますけれども、法律ができてはまだそんなには長くない、盲導犬に比べても聴導犬、介助犬はまだ歴史が短いわけですけども、これをもう少し実際に役立つものとして普及できるようにということで、まず認定要領の見直しということを議論しているところであります。
次のステップとしては、訓練基準の見直しについてもワーキングを立ち上げていく必要があるかと思っておりますけれども、まず認定要領の見直し案ということで資料2にございます内容をもう少しご議論いただければと思いますが、いかがでしょうか。川崎構成員どうぞ。
〇川崎構成員 「3審査」のところで審査員で、医師、獣医師、作業療法士の方、もろもろいらっしゃいますが、そういった方に面談して、新しく審査員になっていただく際に、補助犬について詳しく知っている方としては、医師と獣医師は比較的よくご存知ですけれども、作業療法士とか理学療法士の方々は介助犬の認定審査員に含まれているということすら知らない方が大勢いらっしゃいまして、聞きましたら、周りもあまり知らないという方が非常に多いみたいです。そういう意味では各業界でもう少し介助犬の認定に、この業界が関わっているということを浸透させるような流れを、もう少し作っていただければ、審査というものが、いろんな目線でもっと厳格に行われるようになっていくと思います。そうすることで認定される方の質、犬と人のチームワークの質もぐんと上がるんじゃないかと思うんです。今の段階だと、正直、私達の例ですと、育成もするし認定もする、自前で全部できてしまう、揃っております。そこで、簡単に通しちゃえば済むだろうみたいに思われる場合も多いと思います。そこでPOTの方とかにもっと詳しく知識を持っていただき、私達への意見を言える方も増えてくれば、私達がもっとそれを厳粛に受け止めて、一番困るのは、結局一生懸命世の中に出ていくユーザーの方だと思いますので、その方たちのためにも偏った視点で認定を通すのではないことを今回の話し合いの中で構築していく、新たな流れを作っていく、それがとても重要になるんじゃないかなと思います。私としては、他の業界の方にももっと浸透してもらえるように、厚労省から働きかけるのかわかりませんが、この話し合いをきっかけに裾野を広げていただきたいです。
私達が簡単に認定を通す、そういう場合もあるかもしれません。それではユーザーが困る。一生懸命やっているユーザーの信頼が失われる、そういうことになってユーザーの会のご意見も出てくると思うんですけれども、私達は数を増やしていこう、悪い意味ではなく、増やしていくことっていうのは、結局普及啓発に繋がるので、普及啓発に繋がるということは、周りの見る目も変わっていくということです。市民の方々の目がもっと肥えてもらわないと、動物への目線というのも変わってこない。私達が1回認定試験をやったときに、とある町で高校生が4 、5人大騒ぎして飛び跳ねながら認定試験中にぶつかってくるような勢いで来たこともあります。私が知る限りはヨーロッパ等では犬がいたらできる限り静かに避けてあげようねというような一般常識があるようですけれども、日本の中でそういったものがないですね。そういう意味でも私達の普及啓発も一生懸命やらなければいけない立場でもあります。認定育成だけではない。そういうところは少しご理解をいただきたいなと思うんですけれども、でも困るのはユーザーで一生懸命やっている方なので、この機会にぜひ私たち、犬の仕事に直接関わっている人以外の審査員の方々にももっと知識を持っていただいてそれを広げたいと思っていますので。この機会に何か変えていければと思いますので、ご議論にご協力いただければという次第です。よろしくお願いします。
〇江藤座長 吉田構成員どうぞ。
〇吉田構成員 今、川崎構成員が言ってくださったことには、私も作業療法士という職種で周りの作業療法士の状況を見ているときに、心配している部分でもあります。ただ、何もしていないわけではありません。作業療法士の中でも、私を含めいろいろな介助犬、補助犬に関わっている作業療法士もおりますので、その人たちは一生懸命同じ職種の者、作業療法士に講演活動をしたり、勉強会を開いたり、あるいは私のように大学に所属しているものは、大学養成校のときから教えることが一番知識をつけてもらうにはいいと考えておりますので、養成校の中で補助犬についての勉強をするような科目を設けたりして工夫をしているところです。協力してくださる作業療法士さん、理学療法士さん等を探すのが難しいというようなことを、朴構成員からもあの先ほど出たかと思います。それについては、今後専門職の中でのネットワーク作りというのを必要としているなというのは、痛感しているところです。それに対しても、今回の要領の見直しをすることによって、専門職の役割が明確になることから、さらに作業療法士、理学療法士、リハビリテーションの専門職に対してこういう仕事がありますと、皆さんの仕事です、ということがお伝えしやすくなるんじゃないかなということを、ものすごく期待しているところです。ぜひ、これからあり方検討会の方にあげられたときに、専門職の、もちろん犬の専門職も含めてですが、役割を明確にするというところを、しっかりすることでよい補助犬を生み出すこともできると思いますし、お互いの協力体制をつくるという意味でも非常に重要な点ではないかなと考えています。以上です。
〇立石構成員 言語聴覚士協会の立石と申します。今、吉田構成員がおっしゃってくださいましたけれども聴導犬のことに関しましては、言語聴覚士が今後さらに領域の中で何をやらなければいけないのか、どういうことが求められているのか、ということについてまだまだ作業療法士、理学療法士よりさらに言語聴覚士は知らない人が多いです。そのことは前にも申し上げたことではありますけれども、今後役割を果たさなくてはいけないということについて、ぜひリハ職の中での連携も作っていただいて、どんどん人を巻き込むということが、もっと必要になってくると思っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
〇江藤座長 朴構成員どうぞ。
〇朴構成員 特に育成団体が地域の専門家と連携するということが大事で、そのときに連携しやすい制度作りというのが検討課題の一つになっていくと思います。なぜ連携するかというと、ユーザー候補にアドバイスや情報提供できるということだと思います。ただいろんな情報を提供しても、どの方法を選択するかはご本人ということが重要です。私達専門家から見て、メリットとデメリット両方説明して、こっちの方がいいんじゃないですかっておすすめしても、「いや私はあちらを取りたいです」って言う人がいる。やはりご本人の選択を、重く受け止めたいと思っていますし、自己決定が大前提だと思います。認定団体はいつも念頭に置いておかなければいけないと思っております。
もう一つ先ほど骨格を見る、専門医のサインというような話がありました。ゆくゆくはそうだと思うんですけれども、現状では、難しいと思います。何故ならば盲導犬の遺伝疾患の事前検査も、11ある盲導犬育成団体全てに基準として義務化するのは難しいと考えるからです。実際、その検査方法をとっている団体は全部ではないんです。ですからこれから育成団体に何か義務化、基準としていくときには、育成団体に負担をかけるので、実行していただきやすい方法を模索する必要があります。そうでなければ良かれと思った基準が育成団体の足かせになって有馬構成員が言ったような、介助犬、聴導犬の申し込みはハードルが高すぎて、申込者がいません、少ないというような本末転倒にならないように心掛けたいと思っています。以上です。
〇江藤座長 有馬構成員委員どうぞ。
〇有馬構成員 みなさまのご意見を拝聴してとても勉強になっています。ひとつだけ、松本さんに申し上げたいのは、「間口を広げる」ことが、すべてクオリティを下げるという意味ではない点だけはご理解いただきたいです。クオリティを落とすという意味ではなくて、間口を広げるためには認定試験をさらに厳しくするということよりも、違うアプローチがあるのではないかと。日本聴導犬協会のアソシエ―トである英国聴導犬協会では、実働数850頭です。英国は、日本よりも1年遅れて聴導犬訓練を始め、
これまでに、2200頭を貸与しているそうです。イギリスと日本の違いでは、デフセラピストがいて、日本にはない職種ですが、言語聴覚士の方がそれに近いと思いますが、病院や相談所などで聴覚障がいの方のカウンセリングをする際に「聴導犬がいいよ」とすすめてくれる。それが今の2200頭、世界で一番多いのですが、実働850頭に繋がっているんですね。川崎さんがおっしゃったように、作業療法士、理学療法士の方々が、本当に介助犬がいいと思ってくださるならば、やはりPRに協力していただきたいです。育成団体は、障がいのある方にとってそれほど近い存在ではなく、障がいのある方にとっては医療現場の方たちが身近な存在なので、そこをご協力いただければさらに増やしていけるのではないかと考えます。朴さんも川崎さんもみんな同じ考えだと思いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
〇江藤座長 木村構成員どうぞ。
〇木村構成員 介助犬使用者の木村です。認定についてですけども、認定基準が厳しいから使用者になる人が少ないというわけではなくて、日本の場合は同伴拒否がものすごく多いんですね。それが嫌で介助犬使用者になることを諦めている人もかなりいます。ですから、同伴拒否をなくすことも大事なので、もし、訓練や認定がきちんとされなくて、使用者が介助犬をきちんと管理できなかったり、介助犬がきちんと訓練されていないことで、施設に行ったときに問題を起こして、施設へ迷惑をかけるようなことになると、さらに同伴拒否が増えてしまいますので、そこのところは、問題が発生しないように認定するということには着目して実施していただきたいと思っています。以上です。
〇江藤座長 朴構成員どうぞ。
〇朴構成員 過去に盲導犬ユーザーが自主的に自分たちの立ち振る舞いが、盲導犬の受け入れ拒否に繋がらないようにということで、大変努力してこられた経緯がありますので、そこはしっかり育成団体も認定団体も肝に銘じてクオリティを保つということは、大切だと思います。それを踏まえた上ですけれども、まだ実働数が少ないうちに個人の問題に着目してしまうと、絵に描いた餅になると思います。介助犬、聴導犬、盲導犬も日本には良いユーザーがたくさんいて、問題だと思うユーザーさんはどの時代にも探さないといないぐらいだと思います。でも実際受け入れ拒否は、日常茶飯事なわけです。ですから確かに、よろしくない方がいたら指導、必要であれば認定証の返還ということは否めませんけれども、そこに着目しすぎて、これもあれもって心配の上で網をかぶせてしまうと出てくる芽を摘んでしまうんじゃないかと思っています。
話は変わりますが、木村構成員が第1回目のときに透明性っていうことをすごく重要視されていました。今回リモートを積極的に取り入れていこうと、これはメリットが大きいので賛成です。ただ、有馬構成員も動画だけだといいシーンだけとられたりすると、懸念されておりました。これは提案ですけれども、認定審査会に出すビデオを撮るときに、認定審査委員会から育成団体に出向いて、ビデオを撮ってくる。育成団体と認定団体を兼ねている法人の場合は、その訓練に携わっていない審査員が行って、ビデオ撮ってくるというのはいかがでしょうか?とすると認定団体は大変ですよね、出張しなきゃいけないので。ただ、認定するという権限もあるわけですから、権限に伴うだけの労は惜しまない方がいいと思いますので、透明性を保つという意味ではそういった方法もいいのではと思います。これは提案です。以上でございます。
〇江藤座長 松本構成員、どうぞ。
〇松本構成員 先ほど川崎構成員が、訓練や認定のいろいろな問題点があって一番困るのは、ユーザーだと言ってくださったことで、もう涙が出そうな気持ちだったんですけれども。本当に私達ユーザーとしては、軽い気持ちで補助犬に関心を持ったとしても、その過程で、訓練や認定ということを経たうえで社会に出ていくというお墨付きをいただいて、出るつもりでいるので、そのお墨付きがとっても薄いお墨付きなのか、しっかりと自信に繋がるお墨付きなのかということはとても大きな違いだと思います。確かに問題を起こすような使用者は一部の人かもしれないですけれども、その問題というのが、ユーザー自身にあるのか、ユーザーがそれまでに歩んできた訓練の段階や認定を通したところに何か問題点があったのか、見落としがあったのか、そのせいで何か問題が起きてしまったのかということというのは、とてもある意味違うと思います。だから、ちゃんと訓練を受け、きちんとした認定を受けてもユーザーが、問題行動を起こすこともあるかもしれないですけれども、そのユーザーには、責任はないと言ったら変なんですけど、ユーザーはいいと思ってやってきたことで、今の日本の社会では、それが認められなくて問題行動として映ってしまうってことが起きてしまうことを考えると、ユーザーは本当に素人なので、スタートの時点はとても素人なので、それを訓練、そしてそのときに関わる専門職の方、そして最終的には認定のときに見ていただくことによって、ユーザーも補助犬ユーザーのプロにならなければいけないのかなと思うんですね。だから問題行動を起してしまう原因は、ユーザー個人の問題ではなくて、ユーザーになるまでの過程というのはとても大きなものだと思うんです。たとえそれが一部のユーザーだとしても、そのユーザーが問題行動によって他の一生懸命ちゃんと社会参加をしているユーザーたちにも同伴拒否とか、冷たい視線だったりとか、そういう悪影響を呼んでしまう、それが結果として補助犬を持ちたいという手が上がらないことにも繋がっているということを考えると、数を増やすために、ハードルを下げたり、門を開くのではなくて、先ほどの繰り返しになりますが、きちんとした認定をしていくというところから、数が増えていくという結果になるはずだと私は思います。なので、諸外国のことをいろいろ挙げられて、諸外国と比べるご発言が結構あるんですが、日本における犬に対するイメージというのは外国とは本当に違って、外国では犬を連れて普通のペットの犬を連れて旅行に行ったり、飲食店に行ったりということも認められている国も多いですし、犬を飼うというときには、しつけ教室に通ったりということも結構スタンダードになっていて、社会全体が犬と暮らすということに対しての意識が高い国が多いです。それに比べて、日本は少し前までは外飼いがほとんど、番犬として飼われているのがほとんどだったような社会なので、犬というのは、吠える、汚い、かみつく、というイメージが定着している、その中にあって、私達が犬と一緒に社会に出ていくということを認めてもらうためには、きちんとこの犬はそういうことはしませんよ、ということのお墨付きが必要だと思うので、それは本当にきちんとしたお墨付きであってほしい。だから、手続きが煩雑だからとか、みんなで統一化するのが難しいからハードルを下げるのではなくて、そのハードルをクリアするためにどういう方法があるかということを考えていただきたい。難しいからやめるとか、簡単にするのではなくて、それをクリアするための方法を皆さんで考えるということをしていただきたい。それは1ユーザーとして、25年間暮らしてきて、私自身も社会福祉士として社会参加に関しての相談を受ける場合もあるという立場から考えると、やはりその後ろ盾を持った上での社会参加ということを堂々とできるように、そういう育成であってほしいし、認定であって欲しいということを心から願っています
〇江藤座長 水越構成員どうぞ。
〇水越構成員 先ほど朴構成員から、厳しくすると結局補助犬が増えないと、本末転倒なところにも繋がりかねないというご発言がありましたが、これはとても納得できる部分でもあるのですが、今、松本構成員の方から話があったように、ヨーロッパ等でも犬がレストランなどに入ることは、法律上で認められているわけでは決してなくて、社会が非常に犬に対して寛容であって、まあいいじゃないっていうことで、悪い言い方かもしれないですが社会が見て見ぬふりをしているというような環境であると。日本ではよく認められていない、認めろと言う人がいますが、認める、認めないということではなく、社会がそれに対してどう思うかということ、犬がいることは普通でしょ、別にいいんじゃないと思うか、思わないかというようなところだと思うんですね。現状としては残念ながらと言うべきか、日本ではさほど犬に対して寛容ではないというような部分があります。そういったところで、社会参加をしていく場合、現状ではしっかりとした認定というのが必要ではないかと個人的には思っております。それこそ社会的に寛容なというか、いいんじゃない別に、普通に犬がいても全然いいじゃないの、というようなことが一般的になったとしたら、おのずとハードルは低くなっていくのではないかと思っています。私もそういう社会になったらいいなと個人的にはとても思っているわけですけども、現状としては日本においては認定ということがまだまだ必要であり、松本構成員が言うようにその認定を持っていれば堂々と社会参加ができるというような認定が望まれているのではないかと思います。以上です。
〇江藤座長 松井構成員どうぞ。
〇松井構成員 名古屋リハの松井です。熱心に支援してきたからこそ、いろいろな意見が出てくるかとは思うのですが、私は資料2のところに戻らせていただきます。資料2の上の方で「これまでの3回にわたる議論を踏まえ~」というところについて、最初の○の「様式の統一化を検討する」の文章にあります、「審査の平準化や透明性の確保、使用者の負担軽減」という内容を一番上の方に持ってきていただいて、「3回にわたる議論において、社会参加とは犬を伴って社会に出ていくというところを再確認し、標準化透明性の確保、使用者の負担軽減の観点から、本ワーキンググループとして以下のとおり取りまとめをする。」という形で、今日話し合った内容を少し整理しながらまとめていただくといいのかなと感じています。最後の行にある「こうした視点は、訓練基準の見直しに係るワーキンググループにおいて~」というふうに繋がっていくと思います。「社会参加とは」、「何のために補助犬法で認定をしていくのか」というところは、あり方検討会でも確認していただき、皆さんが大事にする部分を統一した上で、「訓練基準の見直しに係るワーキンググループ」へも引き継いでいけるのかなと感じています。以上です。
〇江藤座長 朴構成員、どうぞ。
〇朴構成員 今日は最後の話し合いなのでお伝えしておきたいのが、社会の目についてです。社会がどういう価値観を持って盲導犬を見るのか、介助犬を見るのか。その社会の目が、ストレートに補助犬ユーザー、今までだったら盲導犬ユーザーの生きづらさだったり、盲導犬との生活をする上での負荷になったり、直結するんですね。私も長く盲導犬の訓練士、指導員として今も携わっておりますけれども、社会の目との戦いというのもあるわけですよね。「盲導犬だから」きちんとしなさい、「盲導犬だから」トイレの粗相は認めませんとか。もちろん、だから盲導犬は粗相していいなんて誰も言ってないし、飛びついたり吠えたりしていいなんて誰も言ってないわけです。ただ、やっぱりそこには生きている犬の限界があるし、「きっちり」した「ちゃんとした犬」というものが、どれほど補助犬ユーザーの心にも負担として影響を及ぼすかということは、私達は忘れてはいけないと思っています。私はと認定団体が「社会の目」を意識しすぎて認定基準をこれもこれもと、作っていくのは、補助犬ユーザーの足かせになるときがあると思っています。そう言うと、簡単でもいいとか、緩めるというようなイメージを与えるかもしれませんけれども、良い補助犬をつくるためには、育成団体がいかに良い犬を作るだけの体力があるかが重要だと思います。ですから、認定団体として私達が育成団体に何ができるか、認定団体として社会の補助犬や補助犬ユーザーに対する誤解を解くためにどんな啓発ができるか、育成団体が専門職と携わるためにどういうアクセスしやすいシステムを作ることができるかというのを、認定団体として考える必要があると思っているんですね。「ちゃんとした犬」っていう社会の価値観は具体的にどんなことを言っているのか、これからも話し合っていきたいと思っています。以上です。
〇江藤座長 各構成員からご発言いただいてまいりましたけれども、取りまとめ案に関しましては、おおむねこの方向でいいというご意見のように伺っております。この法律は平成14年にできて、補助犬の一つのガイドラインとして14年に定められたものですが、実際にはこの間各指定法人に具体的な運営については委ねられてきたということで、今回は認定要領を含めて見直しということを議論してきたわけです。そろそろ時間ですが、どうぞ最後に有馬構成員どうぞ。
〇有馬構成員 朴さんがおっしゃったように、頭数を増やすためにクオリティを落とすのでは全くありません。ご理解いただきたいです。それは置いておいて。先ほど、ペンヒップのチェックについてお話がありました。目も、プードル、シーズー、ラブラドール、各々の犬種で、腰だけではなく、先天性の眼病や目の障がいなどしっかり診ないと、ユーザーさんに被害が及びます。眼科専門の獣医さんは全国に20数軒しかないそうです。そこに診てもらった上で、認定委員の獣医さんに判断していただく必要があります。そこをもう少し強調した方がいいですね。
〇江藤座長 水越構成員、どうぞ。
〇水越構成員 有馬構成員から目の話がありましたけども、目に関してはそれこそ朴構成員はよくご存知だと思いますが、遺伝性疾患、繁殖犬のチェック等でできると思います。ただ、遺伝性疾患でも遺伝子検査ができないものというものもありますので、これはできれば、この犬種は何の検査をするなどを決めていただく。犬種によって遺伝性疾患は異なりますので。これに関しても特に審査員に眼科の獣医師が入る必要はなく、認定前の申請の話だと思います。しかし眼底検査をできる獣医師というのもかなり数が少ないということがありますので、何をどの時点で検査するかというようなことの検討が必要だと思います。訓練事業者さんに対しても、こういう病気があって、こういう検査の方法があって、などの周知もとても重要ではないかと。そのようなことをご存知ない訓練事業者もあるのではないかと危惧します。おそらくよくやってらっしゃる訓練事業者さんもいると思いますが。この眼科に関しては認定時に実施するというよりそれ以前のことであり、さらに周知というところから始めなければいけないかもしれないと思います。以上です。
〇江藤座長 最後にいかがでしょうか。この案のところの最後に触れられているんですけれども、今回いろいろと構成員の方々からもご意見があって、指定法人間での情報交換というのが今まであまりなされていなくて、それぞれどのように運用されているか把握できていない面もあるということで、構成員の中からのご意見でもこうした指定法人の情報交換の場をもってはどうかというご意見が出されております。それぞれいろんなご意見もあるかと思います。いちいち一堂に会してやる必要はないといったご意見もあるかと思いますけれども、今回こうしてご意見をいただきますと、それぞれこうした意見交換の場をなんらかの形で持っていけるようなことを、今後工夫していく必要があるのではないかなと感じております。最後に認定要領の見直し案につきまして、一言を言いたいと構成員の方おられましたら、どうぞお願いします。有馬構成員どうぞ。
〇有馬構成員 木村さん、松本さんの方からも同伴拒否の問題がユーザーの数を増やさないという意見が出ました。本当にそう思います。ただもう一つ行政の窓口が、何度も申し上げていますが、日本聴導犬協会の聴導犬のユーザーで4名の方が、行政の窓口で「2年待つから諦めなさい」と言われ、「聴導犬はなかなかもらえない」といった否定的な言葉を受けても、諦めないで協会に来られた方がいらっしゃいます。日本聴導犬協会の場合は、申請書類の審査後に、約半年で訓練に入れます。(補助犬ユーザーに)なった後のことも大事ですけど、貸与前の段階で地方自治体の窓口、特に市町村とかになるともっと聴導犬・介助犬のことが周知されていないようです。「2年待つ」というのは多分、盲導犬の例でおっしゃっているのだと思われますが、せっかく申請しようと思って、行政に相談に行き「やめなさい」と否定的なことを言われてしまう現状があることも、ぜひみなさまにご理解いただきたいと思います。
〇江藤座長 その他にいかがでしょうか。時間も押してきているんですけども。よろしいでしょうか。予定した時間になりました。認定要領の見直し案ということについてご議論いただいてきました。それぞれ構成員の方々のいろいろな思いからご発言をいただいて、どうもありがとうございます。こうしたご意見を基にして、また構成を少し見直して文案を作って、第5回のあり方検討委員会の方に報告していくことになるかと思います。それでは時間ですので、認定要領の見直しに係るワーキンググループはこれまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは本日のご意見をいただきましたことをどのように取りまとめていくかにつきましては、今後また私と事務局との間で話し合いながら改めて皆様にお送りした後に、検討会に報告することといたします。事務局は本日、それからこれまでのワーキングの議論を踏まえて資料の準備等お願いできればと思います。よろしくお願いいたします。それでは進行を事務局にお返しいたします。
〇大城補佐 江藤座長ありがとうございました。また、構成員の皆様には御多忙の中ご出席並びにご意見をいただき、ありがとうございました。認定要領の見直しに係るワーキンググループは今回で最後となりますので、奥出室長より一言ご挨拶を申し上げます。
〇奥出室長 厚生労働省自立支援振興室長の奥出です。構成員の皆さまにおかれましては、3回にわたりワーキンググループでご議論いただきましてありがとうございました。また、江藤座長におかれましては、円滑な進行、本当にありがとうございました。
このワーキンググループにつきましては、認定の見直しというテーマで開催させていただきましたが、皆様にはそれぞれのお立場から幅広に貴重なご意見をいただきまして、大変感謝申し上げたいと思います。このグループの議論の成果に関しましては、先ほど座長からありましたように、10月の検討会の方に報告させていただきたいと思っております。さらに、その後にまた訓練基準の見直しに係るワーキンググループというものを進めていこうと考えております。今回は、認定要領上の修正が必要な点について優先的に結論を出させていただきました。このグループでもご意見がありましたように、認定審査のあり方そのものであるとか、今回の取りまとめで、今後、意見交換しながら進めるとさせていただいた点につきまして、まずは、それぞれの指定法人の間で意見交換の場というのを設定させていただければと考えております。その中で一つずつ課題の対応ということで、標準化であるとか、そういったところをまたさらに議論いただければと考えております。全ての指定法人の皆様には、その会にご参加いただきたいと考えておりますので、よろしくご協力の程お願い致します。
厚生労働省としましては、補助犬について今後も継続して社会の理解、受け入れ促進というものを進めてまいりたいと考えておりますので、引き続きご協力の程よろしくお願いしたいと思います。本当にありがとうございました。
〇大城補佐 奥出室長ありがとうございました。本日ご議論いただいた内容を踏まえ、「第5回身体障害者補助犬の訓練および認定等のあり方検討会」にむけて、事務局で資料を取りまとめさせていただきます。本日はありがとうございました。
 

照会先

 

障害保健福祉部企画課自立支援振興室