令和3年4月30日 第57回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和3年4月30日(金) 13:00~16:00

場所

WEB会議(厚生労働省 専用第21会議室(17階))

議事

○事務局 定刻になりましたので、ただいまより、第57回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和3年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
 まず、ウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず、お名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージ、またはあらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。舟越委員が少々遅れているようですが、副反応検討部会委員9名のうち9名、安全対策調査会委員6名のうち6名の委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
 なお、全ての委員において、関係企業の役員、職員等でない旨を申告いただいております。
 また、本日は、議題4「その他」の関係でエモリー大学小児感染症科・ワクチン治療評価部門医師、米国疾病予防管理センター予防接種安全評価室客員研究員の紙谷聡参考人にお越しいただいております。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますようお願いいたします。留意事項に反した場合は、退場していただきます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。
 本日の座長につきましては、森尾副反応検討部会長にお願いしたいと思います。
 それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、まず、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして報告をお願いいたします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。
 本日御出席をされた委員、参考人の方々の、過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。
 本日の議題において審議される品目は、百日ぜき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、肺炎球菌(13価)、Hib、BCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルス、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、帯状疱疹、23価肺炎球菌、HPV、インフルエンザ、新型コロナウイルスの各ワクチンであり、その製造販売業者は、一般財団法人阪大微生物病研究会、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、KMバイオロジクス株式会社、デンカ株式会社、サノフィ株式会社、ファイザー株式会社、日本ビーシージー製造株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社であり、事前に各委員に申告いただいております。各委員からの申告内容については、事前に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
 本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、宮川委員は第一三共株式会社及び武田薬品工業株式会社から、50万円を超えて500万円以下の受け取りがあるため、DPT、DT、4種混合、破傷風、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜの各ワクチンについて、石井委員が第一三共株式会社から、50万円を超えて500万円以下の受け取りがあるため、DPT、DT、4種混合、破傷風、MR、麻しん、風しん、おたふくかぜの各ワクチンについて、意見を述べることができますが、議決に参加いただけませんことを御報告いたします。
 引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
 以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 本日の資料としましては、議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1-1から1-29、資料2、資料3-1-1から3-5、資料4、紙谷参考人提出資料、参考資料1から3になります。
 不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 それでは、早速ですが、開始させていただきます。
 本日の合同部会におきましては、大きく分けて2つ、「新型コロナワクチン」と「新型コロナワクチン以外のワクチン」の安全性評価を行わせていただきます。
 課題番号が前後いたしますけれども、本日来ていただいております紙谷参考人の御予定がございますので、まず、議題(4)「その他」から始めさせていただいて、次に議題(2)「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等について」、その次に、議題(3)「新型コロナワクチンの先行接種健康調査について」、最後に議題(1)「新型コロナワクチン以外のワクチンの安全性について」の順番で進めさせていただけたらと思っております。
 それでは、最初に議題(4)「その他」についてでございます。今、御紹介申し上げましたように、本日は、参考人としまして、米国エモリー大学/CDCから紙谷参考人に御参加いただいております。紙谷参考人からは、VSDを中心にCDCの取組について御紹介いただける予定になっております。それでは、早速ですけれども、参考人提出資料「米国の予防接種安全性監視システムについて」、紙谷参考人のほうから御説明をお願いいたします。紙谷先生、よろしくお願いいたします。
○紙谷参考人 よろしくお願いいたします。
 それでは、資料の共有をさせていただきますが、お手元の資料でもご覧いただけますので、どちらでも御都合のよろしいほうで参考になさってください。
 御紹介ありがとうございました。私は、エモリー大学小児感染症科医師で、ワクチン治療評価部門の共同研究者で、新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験を行っております。かつ、CDCの予防接種安全評価室の客員研究員として、認可後のワクチンの安全評価に携わっております紙谷と申します。本日は、米国の予防接種安全性監視システムについて講演させていただきます。本発表は個人の見解でありまして、所属する組織を代表するものではありません。
 また、エモリー大学のほうでは、新型コロナウイルスワクチンの臨床試験のほうを国の主導で行っておりまして、その資金援助が大学のほうに入っておりますが、私個人としては開示すべきCOIは一切ございません。
 それでは、時間も限られていますので、早速本題に入りますが、予防接種安全性評価の重要性につきましては、もう言うまでもないことではありますが、極めて効果の高い予防接種であっても、極めてまれに起こるリスク、副反応のほうがゼロにならない限りは、こうした予防接種の安全性をモニタリングしていくということは必須のシステムとなります。
 そちらで、ワクチンの安全性評価のライフサイクルにつきまして、まず行政機関による認可が下りる前には、第1相試験から第3相試験の人での臨床試験を行って、その後認可が下りた後、市場後の予防接種サーベイランスを行う。こちらは、多数の人数で、一般の方々対象になって、大規模なコホートでサーベイランスを行うということが極めて重要となります。今回は、CDCの市場後の予防接種サーベイランス、第4相とも言いますが、試験の実際について御説明させていただきます。
 こちらは、CDCのワクチン安全性監視システムの一覧になりますが、予防接種安全評価室がCDCにありまして、こちらが3つの主要なプログラムを有しております。上から、VAERS、VSD、CISAという3つのプログラムがありますが、一番下のCISAはClinical Immunization Safety Assessmentと言いまして、個別の有害事象等のコンサルテーションを行う。個々の事例についての詳細な検討を行うというサービスのプログラムですが、時間が15分と限られておりますので、今回はVAERS、そしてVSDといった主要なプログラムにフォーカスしたいと思います。
 まずは、VAERSについてです。こちらは、ワクチン有害事象報告システムの略になりますが、CDCとFDAが共同で管理しているシステムになります。こちらが、VAERSの実際のウェブサイトになります。
 VAERSは、一番特徴的なのは、早期に予防接種の安全性に関する問題、アラートを検知するモニタリングシステムとして運用されておりまして、こちらは、先進国に限らず、開発途上国も以前から使用している国が多い。特徴としては、アメリカでは、医師に限らず、患者さん、もしくは親であったり、どのような報告者でもいいのですが、自発的にこうした有害事象の報告をして、それを受けて解析するといったシステムになりまして、今ではオンラインの報告が主ですが、従来の郵便やファクスといった方法でも受け付けております。こちらが日本におけるPMDAの副反応疑い報告制度と同様のシステムとなっております。
 こちらがオンラインの実際の報告の窓口になりますが、Option 1のところをクリックしていただくと、そこで必要事項を入力して、安全に、セキュアに報告する。もしくは、PDFをダウンロードして、それに書いてアップロードして提出といった形の報告がメインです。
 では、この安全性監視におきまして、VAERSだけで十分かといいますと、実はそれで十分ということではありません。非常に多い利点もあるのですが、右に挙げられますような弱点がこのシステムにはあります。
 まずは、レポートバイアス等、バイアスに弱い。例えば、メディアなり、ニュースなりで何か有害事象が取り上げられたり、懸念やうわさといいますか、そういった情報が出回ったときに報告が急に増える。そういったバイアスを受けやすい。
 もしくは、アンダーレポーティングとかオーバーレポーティングとか、報告が過小だったり、過大だったりすることもあります。
 決定的な弱点としまして、比較群がこのデータには含まれませんので、因果関係の検討ができないということが分かっております。
 このように、VAERSのシステムは仮説を立てるためのシステムでして、その仮説を検証するためには、別のシステムが必要になります。
 さらに、その点について図を用いて説明させていただきますが、白い部分の健康な集団に青の予防接種を打つ。そうすると、一定の割合で黒い部分の病気になられる方がいらっしゃるとすると、これだけのデータですと、ワクチンによって、それが発生したのかどうかというのが非常に分かりづらい。この個々の事例をいかに検討したとしても、因果関係が分からないということが起きてきます。そのために、ワクチンを打っていない群でどうなのかというところで、その頻度がどうなのかというところも検討する必要がありますが、VAERSはこの非接種群の情報がありませんので、有害事象の因果関係を検証するためには、この比較群の情報が必須となってきます。
 以上のようなVAERSの問題点に対して、では、どうすればいいのかということでして、第4相試験としてより大規模なランダム化試験を行うべきかということですけれども、これは、資金的にも人的にも非現実的でありまして、受け身の受動的なシステムではなくて、よりアクティブな、能動的なモニタリングシステムの構築が、国として、今、必要ではないかということが米国で挙げられました。
 それの解決方法といいますか、新たなシステムとして、このVSD、真ん中の図になりますけれども、システムが開発されました。左のように、先ほど申し上げましたように、VAERSでシグナルを検知して仮説を構築する。その仮説を構築した後に、では、その仮説が果たして正しいのかどうかという因果関係を評価するシステムが、このVSDになります。こうしたエビデンスに基づいて、一番右にありますACIP、米国の予防接種諮問委員会のほうで、こういった科学的根拠から予防接種推奨へつなげていく。こうした大きな一連の流れがあります。
 それでは、VSD(Vaccine Safety Datalink)のシステムについて御説明させていただきます。
 こちらは、1990年にそういった需要から創設されています。特にユニークなのが、9つの民間の病院群とCDCの官民のコラボレーションのプロジェクトであるということです。こちらは、最初は非常に小さいところから始まったのですけれども、30年を経て、1200万人の人口をカバーするコホートに成長しました。こちらのデータを基に、仮説検証のための疫学研究が可能となっております。
 このVSDの特徴ですが、30年以上の実績を持つコラボレーションですけれども、特に極めて高い正確性を保った予防接種データ。いつ、どこで、どういったワクチンを、どのようなロットを打ったかというのを電子的に保存しているシステムになりまして、各データ地区にMD、医師だけではなくて、PhD、MPHといった疫学の専門家、もしくはデータの専門家の専門グループが常在しております。彼らと協力して、様々な研究を行うことが可能となっております。
 安全性監視におきまして重要な情報としましては、予防接種、特に電子化された予防接種の情報に、有害事象として疾患の情報を匿名化して結びつける仕組みが極めて重要となります。
 こちらがVSDの実際のデータファイルになるのですけれども、救急受診録とか予防接種歴、そして退院時の診断名のコードといったものを匿名の研究IDによってリンクづけすることによって、データを保存する。何か問題が起こったときには、こういったコードを用いて迅速に調べることができるのですが、さらに診断コードのエラーとか保険病名といったことで、コードだけでは不確定ということであれば、カルテまで遡って、その診断を確定することが可能ということも、1つ強みとなっております。
 さらに、以前はCDCと各病院群というのは、匿名化したデータではあるのですけれども、直接そのデータをCDCのほうに提出するといった仕組みが90年代はあったのですけれども、個人情報の保護といったことで、こうした需要を取り入れて、個人情報保護を徹底したシステム、DDMという仕組みを用いて、現在では管理しております。これは、こういった個人情報は、各病院群で情報を保持して、その間にHubという中継地点を経て、間接的にCDCと暗号化、そして匿名化したデータをやり取りするという仕組みを構築しております。
 こういったVSDのデータをどのように使っているかということですけれども、こちらはロタウイルスワクチンと腸重積の例ですが、御存じのとおり、古いタイプのロタシールドというワクチンで腸重積の増加が起こったために、市場から撤廃しておりますが、その後、新しいロタウイルスワクチンが承認されて、その認可前の大規模なランダム化試験では、腸重積のリスクの増加はないということで承認に至ったわけです。
 その後、認可が下りた後に、このVSDの仕組みを使って調査したところ、20万回の接種を検討して、バックグラウンド率、背景率を同じコホート内で解析して、年齢、人種、性別といったところを統計学的に調整した後に比較して、ロタリックスで寄与リスク、10万人中5人程度のリスクの増加があるという因果関係を発見しているという使い方が行われております。
 ただ、こうした通常のVSDの研究には問題点がありまして、こうした正式なVSDの研究は数年を要するのです。ただ、新規のワクチンの安全性の評価となりますと、しばしば迅速な評価が求められるために、こうした早期発見のシステムをどうやって構築していくかといったVSDの変革が迫られて、2000年の前半ぐらいにそういった議論が起きました。
 それに対応する形で、このDynamic Data Filesというシステムを構築しております。以前は毎年更新されるようなファイルの仕組みだったのですけれども、これを毎週更新するシステムに刷新しておりまして、これによって、ほぼリアルタイムにアメリカの1200万人の様々なイベントデータを匿名化して、データベースに記録するインフラに強化しております。
 このデータを用いて何が可能になったかといいますと、このVSDはDDFを使ってRapid Cycle Analysis、迅速サイクル解析と言いますが、こちらの解析を構築しました。これは何かと言いますと、データの強みを生かして、ほぼリアルタイムに、ワクチンを接種した後に、あらかじめ定められた有害事象、アウトカムを毎週、比較群と比べて統計的に有意なシグナルがあるかどうかを自動的に解析するという仕組みをつくっております。こちらが真価を発揮するのは、新規ワクチンの導入時となります。
 こちらのデータがRCAデータの例なのですけれども、先月行われたACIP会議で提示されたデータの一例になりますが、21項目の新型コロナウイルスワクチンに関してモニタリングすると決めた各疾患群、左に英語で書かれておりますが、こちらの疾患群に関しまして、ワクチン接種群と非接種群を比較して、リスクの増加があるかどうかというのを検討しております。この発表の時点で、この21項目において両者で有害事象の統計学的な有意な差というのは認めておりません。
 この一番右に、非接種群におけるリスク期間内の予想イベント数とありますが、こちらのほうも統計学的に年齢、性別、人種などで調整しておりまして、ポワソン回帰分析でRate ratioを解析して算出するという形となっております。
 こうしたデータを用いて、VSDというのは予防接種研究や政策に多大なる貢献をもたらしております。先ほど申し上げましたように、ロタウイルスワクチン後の腸重積の因果関係の証明であったり、そういった因果関係の証明だけではなくて、懸念されていた因果関係が実はなかったというデータも非常に多く出しておりまして、ACIPでも、新規ワクチンに関して迅速な安全性に関するデータを提示しております。
 このような活動も含めて、VSDは研究論文発表も現在では300本を超えておりまして、予防接種安全性のデータにおいて、世界で最も信頼される組織の一つとなっております。
 以上、駆け足でしたけれども、全体的な安全性監視システムについて、米国での仕組みについて説明させていただきましたが、左にありますVAERS、受動的なモニタリング、自発的な報告によって受け取るモニタリングでシグナルを検知し、仮説を構築する。その情報を基に、VSDだったり、RCAだったり、能動的なモニタリングを行う。そこで因果関係を評価していく。こうしたエビデンスに基づいた情報を基に、ACIPミーティングのほうで予防接種推奨や政策決定につなげていくという流れになります。
 今回の新型コロナウイルスワクチンのような非常事態に関しては、このVAERSといったデータが一番早く出てきますので、こちらからACIPミーティングで様々な議論をしていく必要というものがありますけれども、真ん中にあるVSDの仕組みも非常に強力なモニタリングシステムの一端を担っているということになります。
 私の知る限り、mRNAワクチン、日本でも導入されたものにおいて、アナフィラキシー以外で重大なアラートが出ているという発表は、現時点ではないと認識しておりまして、引き続き、こうしたモニタリングシステムを用いて、新規ワクチン、特に新型コロナウイルスワクチンに関してモニタリングを続けていく必要があると思っています。
 以上、駆け足でしたが、私の講演は終了といたします。ありがとうございました。
○森尾座長 紙谷先生、非常に明快、かつ分かりやすい貴重なプレゼンテーション、ありがとうございました。
 それでは、今の紙谷先生からの御説明に対しまして、委員の皆様から何か質問や御意見等ありましたら、承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 どうぞ、お願いいたします。
○倉根委員 倉根です。先生、ありがとうございました。
 今回のコロナワクチンでちょっと伺いたいのですけれども、接種者の中に、妊娠と知らずに接種していた方がかなりいると思うのですけれども、こういう方は、妊娠が判明した時点で、私は妊娠していましたというのが、VAERSなどで情報として上がってくるのでしょうか。それとも、もともと妊娠しているということが分からないと、妊娠という項目にカテゴリーに当たらない。その辺、どうなっておりますでしょうか。
○紙谷参考人 VAERSは報告者に依存しておりまして、報告者がワクチンで何か健康被害が起きたのではないかといった疑いを持たれたときに報告するようなシステムになります。
 ただ、今回、新型コロナウイルスワクチンに関しては、CDCも新しいシステムでV-safeという仕組みを導入しておりまして、こちらは接種した方をQRコード、バーコードで登録するのですけれども、積極的に接種者の健康状態をモニターする。1週間に1回だったり、1か月に1回、体調、どうですかというのがテキストで携帯のほうに送られてくるようなシステムで情報を収集するといった新しいシステムをつくっておりまして、そちらの中に妊娠用の項目もあります。先日、V-safeの妊娠におけるデータがニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスンのほうにパブリッシュされたのですけれども、そういった形で積極的に妊婦さんの情報を収集するといった仕組みを構築しております。
 現在、そのデータもまだ初期段階でありまして、今後もどんどん続けていくのですけれども、妊娠が分かっていなかった状態で、後で分かって、それをこのV-safeを通じて報告するということは可能だと思います。
○倉根委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
○伊藤(澄)委員 伊藤ですけれども、教えていただいていいですか。
○森尾座長 伊藤先生、お願いいたします。
○伊藤(澄)委員 大変貴重なデータがつくられているということを教えていただいてありがとうございます。
 RCAデータについて教えていただきたいのですけれども、このRCAデータのページを見ますと、特定の疾患について、常にシグナルを検出されているように見えるのですけれども、これはどういった疾患と決められていて、バックグラウンドデータは何例ぐらいの人たちの中から、シグナルの検出がされているのか、教えていただけますでしょうか。
○紙谷参考人 この疾患群に関しては、もともと新型コロナウイルスワクチン以前に、特にインフルエンザワクチンで、例えばギラン・バレー症候群だったり、アナフィラキシーだったり、特定の今まで有害事象もしくは副反応として疑いがあるものを優先的にあらかじめ選定しております。今回、新型コロナウイルスワクチンということで、新型コロナウイルスの自然感染が起きたときに、どういった合併症があるかということも考慮して、ここにも血栓症といった項目が含まれていると思うのですけれども、そういった自然感染で起きる情報と、もともとのワクチンで起き得る可能性がある疾患を統合した形で、この21例程度の疾患を定めています。
 比較群になるのですけれども、このデータで提示してあるものはバックグラウンド率ではなくて、同じコホート内の非接種群を抽出して、年齢や性別、そして人種等を調整したコントロール群を置いて、そこの中で比較している状況になります。ただ、先生のおっしゃるとおりで、以前のインフルエンザワクチンとかに使われるRCAデータは、VSDのもともとのデータのコホート内でバックグラウンド率を算出して、そして、それを比較群に当てるといった形でやっております。比較群に関しては、非常にいろいろな議論があったのですけれども、今回提示したものは非接種群との比較という形になります。
○森尾座長 ありがとうございます。
 多屋委員から手が挙がっていましたでしょうか。
○多屋委員 紙谷先生、大変分かりやすく明快な御発表ありがとうございました。
 1つ教えてください。VSDの仕組みで、接種群で何か症状が出たときに、情報が集められるとお話いただいたと思うのですが、ワクチン接種の情報は、症状を診ている医療機関が入力されているのでしょうか。接種した医療機関と症状を診ている医療機関が違う場合、何かをもって情報のひもづけがなされているのでしょうか。それは自動的に行われているのでしょうか。教えていただければと思います。
○紙谷参考人 このアウトカムや有害事象を基に予防接種データを抽出するわけではなくて、もともと既にそのデータが自動的に病院群の中でデータベースに蓄積されていくのですね。例えば、普通に健康診断に来た方でワクチンを打ちました。そのワクチンを打ったときにバーコードをピッとやると、それが病院の電子カルテのシステムに入るのですけれども、それがどのロットを打ったかという情報が含まれておりまして、それをふだんから蓄積している状態になります。
 その情報と、例えばその方が腹痛で救急を受診して虫垂炎になりましたという情報があったとすると、その方にその情報もひもづけられた形で保存されるのです。その後、例えばワクチンを打った後に虫垂炎の疑いがあるということがもしあったとした場合、虫垂炎というアウトカムとワクチンを打ったデータをひもづけすることは、後で可能です。後でひもづけることが可能でして、そこでいろいろな比較群があるのですけれども、比較群と比べて、それが有意に増えているかどうかというのを検討することができるといった形になります。すみません、口頭だとお伝えするのはなかなか難しいのですけれどもね。
○森尾座長 多屋先生、どうぞ。
○多屋委員 ありがとうございます。
 日本のように、接種する場所や集団接種の場所と、受診する医療機関が違っている場合ですね。集団接種の場所でワクチンの情報を入れるということはなかなかないのですけれども、米国の場合は、接種するのも受診するのも同じ病院だからできるという仕組みでしょうか。
○紙谷参考人 非常に重要な御指摘ありがとうございます。これは、VSDのコホート内のデータに限っておりまして、御存じのように、アメリカではかなりの方が接種しているのですけれども、集団接種、ドライブスルーとかで接種する方もいらっしゃる中で、VSDが追えるのは、VSDが管理している病院群で打ったデータのみになります。この2月分のデータですと、まだ始まって数か月というところでしたので、60万人程度だったと思います。正確な数は失念しましたが、その数の中で検討を行う。ただ、その時点で数十万程度ですので、ランダム化試験等に比べても非常に大きな数で検討ができますので、この数は今どんどん増えていっている状況ですので、そういったことが可能になると思います。
○多屋委員 ありがとうございました。接種もしているし、受診もする病院が選ばれているということでよろしいですか。
○紙谷参考人 そうです。接種する場所が自分の保険がある場所で打ちますので、それがデータの中に入るということになります。
○多屋委員 ありがとうございました。
○森尾座長 佐藤薫委員から手が挙がっております。その次に山縣委員にお願いいたします。
○佐藤委員 非常に重要なシステムができているということが分かりました。ありがとうございました。
 非常に大規模なデータベースになると思うのですけれども、これらは、例えば製造販売業者さんに、情報をフィードバックすることになっているのでしょうか。ワクチンごとになっているのでしょうか。
○紙谷参考人 有害事象の情報ということでしょうか。
○佐藤委員 そうです。
○紙谷参考人 このVSDなりVAERSで検討したデータというのは、この副反応検討部会と同じようにACIPミーティングで随時発表しておりまして、その会議は製薬会社のほうも注視しておりますので、そこで推奨されたり。
○佐藤委員 会議には会社さんは入っていなくて、結果が出た後に戻しているという状況ですか。
○紙谷参考人 そのとおりです。こういった形で、今回、ジョンソン・エンド・ジョンソンのデータもそうですけれども、ああいった懸念があるということをCDC、FDAで検討して、一旦中止すべきだという形で製薬会社のほうにフィードバックといいますか、伝達が下るという形になります。
○佐藤委員 なるほど。今回のようにモダリティが違うワクチンがある場合は、データ取得の仕方を決めるときにどれだけ分けておくかというのがすごく重要だなと思って伺っていました。
 あと、こちらのデータベースのアクセスはどこまで可能なのでしょうか。つまり、関係者としてガバメントの範囲で可能ということなのか、それとも研究ベースでアクセスできるような状況になっているのかというのを情報として教えていただけないでしょうか。
○紙谷参考人 VAERSに関しましては、どなたでもアクセスできます。ウェブ上でVAERSのデータはアクセス可能ですけれども、VSDに関しては、何か研究ベースで、この有害事象とこのワクチンの関係性を知りたいと言う研究者がいれば、必要な手続を取っていただければ、そのデータを活用できるという仕組みは伺っておりますが、基本的には、先ほど申し上げました9つの病院群の中で、このVSDに割り当てられた研究者、もしくはCDCの予防接種安全評価室の先生方に、国の要請として、例えば血栓性とワクチンの関係性を調べてくださいと言われたところで、それを研究ベースで、CDC内でも各病院群でIRBも全部通すのですけれども、そういった正式な手続を経て研究を行います。
○佐藤委員 その辺はストリクトにやっておられる。
○紙谷参考人 物すごく厳しいです。
○佐藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 紙谷先生、本当にどうもありがとうございます。
 2点、簡単なものです。
 1つは、VSDに参加していらっしゃる患者さんというか、そこの病院の利用者さんに対しては、何か同意を得たコホートになっているのでしょうか。それとも、その病院に入ることによって、自動的にそういうコホートに入っていらっしゃるのでしょうか。それが1点目です。
○紙谷参考人 1点目に関しては、病院の中でエンロールされるときに、そういった情報が匿名化されて蓄積されますよというところは、そこの病院のシステムに入るときに、ほかの症例報告とかも多分一緒だと思うのですけれども、それと同じ形で保存されるという形で、エンロールされた時点で同意を得たことになります。CDCが直接データにアクセスできない仕組みになっておりますので、IRB等を経て研究ベースで行うという形になります。
○山縣委員 ありがとうございます。
 もう一点は、VAERSの場合、さっきバイアスが非常にあると言われたのですが、本当にそうだと思いますが、簡単にそういうデータのバリデーションとかというのは、定期的に行われていたり、そういう仕組みというのはあるのでしょうか。
○紙谷参考人 バリデーションといいますと、疾患のレポートされたもの。
○山縣委員 はい。
○紙谷参考人 ありがとうございます。しております。今回、非常に人数が必要なのですけれども、例えばアナフィラキシーの報告があった場合は、厚労省の先生方もやっていらっしゃるように、それがブライトン分類で何番に位置するのかというところは、CDC内のMDが一例一例検討して、その報告者に連絡を取って必要な情報を提示していただくという形でバリデーションを取っておる形です。
○山縣委員 ありがとうございます。
○森尾座長 どうぞ、岡委員、お願いします。
○岡委員 岡でございます。貴重なデータ、ありがとうございました。
 短い質問なのですけれども、エスニックグループによる対照群をつくられていて、エスニックグループごとの比較分析のデータみたいなものは出していらっしゃるのでしょうか。日本の立場ですと非常に関心があるところなのですけれども。
○紙谷参考人 現時点でACIPの委員の皆様も人種というのを非常に重要視しておりまして、そういったデータを求めている状況です。サブグループになってきますと、それぞれの人数がある程度必要になってきますので、開始してまだ数か月という段階で、現時点では発表はないのですけれども、そういった要請に応じてデータの解析を行っているということは伺っております。
○岡委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 大分時間をいただきましたが、もしショートクエスチョンがありましたらお受けしたいと思います。
 先生、私からちょっとショートクエスチョンなのですけれども、RCAのリスクインターバル、1日から21日と書いてございますけれども、ユニバーサルに大体そのぐらいの形で集めていらっしゃるのでしょうか。自動解析でシグナル検出しているのが21日までということでよろしいでしょうか。
○紙谷参考人 ありがとうございます。
 21日は、全ての疾患でそう定めているわけではなくて、疾患に応じてリスクインターバルを変えております。自分のデータで全て21だったか、確認する必要がありますが、例えばアナフィラキシーですと、通常はより短めなリスクインターバルに設定していることが多いです。リスクインターバル、ほかのインターバルでどうかというところも気になるところでして、そういった検討もされております。
○森尾座長 どうもありがとうございました。それぞれ個別でも検討されているということですね。
 ほかによろしいでしょうか。恐らくもっと質問があると思うのですけれども、ありがとうございました。
 今回のコロナウイルスワクチンについては、アナフィラキシー以外の重大なアラートはないということでございましたけれども、日本でも今日教えていただいたようなデータを参考にして、引き続きデータを収集して解析していきたいと思いますし、紙谷先生には時々いろいろな形でアドバイスを頂戴できればと思っております。大変ありがとうございました。
○紙谷参考人 ありがとうございました。
○森尾座長 それでは、紙谷参考人からの御説明は以上にしたいと思います。現地では、今、1時近いのでしょうか。本当に申し訳ありません。
○紙谷参考人 そうですね。深夜になっております。貴重な機会をありがとうございました。
○森尾座長 これからの議論で先生に御意見を求める予定はございませんので、よろしければ眠りについていただきまして、御退室いただいて差し支えございません。本日は、誠にありがとうございました。
○紙谷参考人 森尾先生、ありがとうございました。
○森尾座長 大変勉強になりました。ありがとうございました。
 それでは、次に、新型コロナワクチンの審議に移ります。まず、議題(2)「新型コロナウイルスワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等」について、資料3-1-1から3-5について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 まず、資料3-1、3-2を用いまして、対象期間中の副反応疑いの報告状況について御報告いたします。
 資料3-1-1「予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について」をご覧ください。
 今回の集計対象期間は、接種開始日である令和3年2月17日から令和3年4月25日報告分までとなっております。
 2ページ目、マル1、週別報告件数の表の一番下、合計(2021年4月25日)の行をご覧ください。2月17日から4月25日までの推定接種回数は271万8090回接種、内訳としましては、医療従事者が約264万回接種、高齢者が約7万回接種となっております。副反応疑い報告件数は4402件、報告頻度としましては0.16%となっております。前回の合同部会報告時が0.17%でしたので、頻度に大きな変化はありません。うち重篤の報告件数が511件、報告頻度としましては0.02%。さらに、死亡報告数につきましては12件報告されております。この死亡報告事例につきましては、後ほど資料3-3にて概要を御説明いたします。
 3ページ目のマル2、4ページ目のマル3は、先ほどの4402件の副反応疑いについて、報告医による因果関係の見解別に集計したものとなります。
 続きまして、5ページ目、マル4、副反応疑い報告の報告基準別報告件数をご覧ください。副反応疑い報告基準に定められている症状であるアナフィラキシーにつきまして集計したものとなります。アナフィラキシー疑い事例につきましては、4月25日までに医療機関から633件が報告されております。詳細につきましては、資料3-4にて御説明いたします。
 以降のページにおきましては、性別、年齢別、症状別、接種回数別、ロット別、発症までの日数別に集計しております。
 各症例のラインリストにつきましては、資料3-1-2にてお示ししております。前回までは、集計表とラインリストを1つのファイルにまとめてお示ししておりましたが、件数が多くなってまいりましたので、今回からは別ファイルにてお示ししております。
 続きまして、資料3-2-1「薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について」をご覧ください。こちらも、集計対象期間は2月17日から4月25日報告分までとなっております。
 2ページ目、マル1、週別報告件数の表の一番下、合計(2021年4月25日)の行をご覧ください。4月25日までの被推定接種者数は271万8090回。企業からの報告件数につきましては、こちらは重篤なものが対象ですが、1028件。報告頻度としましては0.04%で、前回の合同部会時と同一になります。死亡報告が10件ございますが、既に医療機関から報告があった事例ですので、新たな事例の報告というわけではございません。
 3ページ目、アナフィラキシー事例の報告件数は524件となってございます。
 以降のページでは、この報告件数に基づきまして、資料3-1-1と同様に週別等による集計を行っております。
 ラインリストについては、資料3-2-2。
 さらに、各症例の報告の記載内容につきましては、3-2-3にてお示ししております。
 続きまして、資料3-3「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要」をご覧ください。
 「1.報告状況」になります。前回の合同部会以降、副反応疑い報告において、医療機関または製造販売業者から死亡として報告された事例は、集計対象期間中に新たに2件あり、令和3年2月17日から令和3年4月25日までに報告された死亡事例は計12件となりました。この後、資料3-5で御説明いたしますが、100万回接種当たりですと4.4件となります。
 なお、今回の集計対象期間外とはなりますが、上記に加えまして、今週の月曜日、火曜日に死亡として報告された事例が7件ございましたので、今週火曜日までで見ますと計19件、100万回接種当たりでは5.9件となります。
 「2.専門家の評価」でございます。この19事例を対象に、専門家の評価を実施しておりまして、結果は、いずれもγでございました。
 2ページ、3ページ、4ページが19事例を一覧表としたものになります。3ページ目のNo.11以降が今回新たに報告する事例となります。この後に各事例につきまして御説明させていただきます。少し数も増えてまいりましたので、新規報告事例をかいつまんで御説明したいと思います。
 まず、18ページ目の下をご覧ください。事例11、46歳男性の事例となります。
 (3)基礎疾患等は、なしと報告されております。
 (4)「症状の概要」の「概要」の部分の記載になります。予防接種翌日、突然いびき様呼吸となり反応がなかったので救急要請。救急隊接触時心電図上、無脈性電気活動。その後処置が行われておりますが、死亡が確認されております。死亡時画像診断では、スタンフォードA型の大動脈解離を認め、心タンポナーデを形成していたと報告されております。
 (5)報告者の評価としましては、評価不能。直接死因は、急性大動脈解離と考えている。発症年齢としては多少若く、ワクチンとの因果関係が全くないとは判断できないため、報告することとしたと報告されています。
 続きまして、20ページ、事例12、90歳、女性の事例となります。
 (3)基礎疾患等としましては、心臓病、高血圧、大動脈解離、心房細動などが報告されております。
 (4)症状の概要です。概要の上から4行目、接種2日後の未明、臥床された直後に白目のような状態になり、呼吸も止まっているように見えたので、すぐに通報。少し飛んでいただきまして、概要の下から4行目、挿管、アドレナリンが投与されるも反応はなく、午前2時32分に死亡確認された。
 死亡診断書では、急性心不全で、発症から死亡までの間は2時間。また、心筋梗塞等を疑ったと報告されております。
 (5)報告者の評価としましては、因果関係は不明。高齢者で心疾患があり、既に24時間以上経過あり。ワクチンと死亡との因果関係は高いとは判定できないが、死亡例であるため、届出を行ったと報告されています。
 続きまして、21ページ、事例13、77歳、男性の事例となります。
 基礎疾患等としては、原疾患・合併症として、脳出血後遺症と症候性てんかん。既往歴として、脳出血、十二指腸潰瘍などが報告されております。
 (4)症状の概要です。概要としましては、接種4日後の20時に反応が鈍いのが発見され、救急要請されましたが、救急隊到着時には既に心停止の状態で、そのままお亡くなりになったと報告されております。
 (5)報告者の評価では、平成15年発症の脳出血により、右片麻痺、失語などの後遺症があり、施設入所中の方。平成15年以降、新たな脳出血は発症していなかった。少し飛びまして、4月23日救急車で来院時、CTにて脳幹出血を認め、死因と判断した。コミナティとの因果関係については不明であるが、可能性は否定できないと報告されています。
 専門家の評価では、脳出血の既往があり、高血圧以外の何らかの脳出血リスク因子が存在していた可能性が考えられるが、詳細な情報は得られていない。脳幹出血による死亡にワクチン接種が影響したかどうかは評価不能であるとされています。
 続いて、事例14、91歳、女性の事例となります。
 (3)基礎疾患等はなしと記載されておりましたが、下の記載によりますと、抗血小板剤投与中だったと報告されておりました。
 (4)症状の概要です。接種3日後の午前11時半頃、施設で入浴中に体の保持が困難となり救急隊要請。救急隊接触時に左片麻痺を確認され、報告医療機関に救急搬送となり、頭部CT検査で右視床出血の診断がなされております。少し飛びまして、最終的には頭部CTで出血の拡大と脳室拡大も増悪し、死亡が確認されたと報告されています。
 報告者の評価では、評価不能。抗血小板剤内服中の方で脳出血発症及び重症化リスクあり。ワクチン接種との因果関係は評価できないとされております。
 専門家の評価では、画像所見からは、内服中の抗血小板薬が脳出血の悪化に影響したことが考えられるが、脳出血の発症そのものにワクチンが与えた影響は不明であるとされております。
 続いて、24ページ、事例15、85歳、男性の事例となります。
 基礎疾患等として、糖尿病と不整脈が報告されています。
 症状の概要です。接種翌日から倦怠感があるが、発熱はなし。接種3日後に心臓停止にて救急搬送。挿管、心肺蘇生が行われ、一時心拍再開したが、再度心停止。死亡が確認されています。死亡時画像診断では、頭蓋内の病変はなく、糖尿病、不整脈の既往があり、死因は急性心臓死とされたと報告されています。
 (5)報告者の評価では、ワクチン接種との関係は不明だが、他要因の可能性として不整脈が報告されています。
 (6)専門家の評価では、頭蓋内病変は否定されているが、その他の所見については情報がない。また、糖尿病や不整脈の既往に関する詳細情報は得られておらず、心肺停止に至った病態を考察することはできないとされています。
 続きまして、25ページ、事例16になります。※印で注釈を入れておりますが、本事例については、接種医療機関と搬送先医療機関それぞれから副反応疑い報告がなされておりますので、ここでの記載は両者からの報告内容を事務局で統合したものとしております。90歳、女性の事例となります。
 (3)基礎疾患等は、なしとして報告されています。
 (4)症状の概要です。
 まず、接種医療機関からの報告内容によると、接種後約1時間半、喘鳴、SpO2、血圧の低下が見られ、酸素の投与、エピペン0.3mgを筋注し、血圧は120程度に回復。SpO2も改善したが、喘鳴の改善なく救急要請したとされており、症状はアナフィラキシーとして報告されています。
 次に、搬送先医療機関からの報告内容ですが、先ほどの接種機関からの報告内容の続きとなっておりまして、ワクチン接種後、エピペン使用するも呼吸状態の改善を認めないとのことで救急受入れ。初期症状として呼吸器症状が前面に立っており、アナフィラキシーでは病状の説明がつかないと判断。造影CTを施行したところ、両肺動脈に血栓を認め、肺血栓塞栓症と診断された。ヘパリンによる抗凝固療法開始するも状態の改善乏しく、お亡くなりになったと報告されています。
 (5)報告者の評価ですが、接種医療機関からは関連あり。搬送先医療機関からは評価不能として、両下腿の浮腫、CTでの胸水貯留、BNP1200台などから、詳細は不明だが、もともと心不全があったものと推測されると報告されています。
 (6)専門家の評価では、接種医療機関と搬送先医療機関の両方の報告を踏まえたものですが、画像検査の結果から、肺血栓塞栓症による死亡とされている。もともと心不全が存在していたことを示唆する所見が認められており、肺血栓塞栓症の発症に影響した可能性がある。ワクチン接種との因果関係は不明であるとされています。
 続いて、26ページ、事例17、93歳、女性の事例となります。
 基礎疾患等として、てんかんが報告されています。
 (4)症状の概要、(5)報告者の評価、ともに、ワクチン接種との関連はなく、老衰にて死亡と報告されています。
 (6)専門家の評価では、老衰による死亡であり、ワクチン接種との関連はないと報告されてはいるが、それ以上の情報はなく、死因やワクチン接種との因果関係を評価することはできないとされています。
 続いて、27ページ、事例18、88歳の男性の事例となります。
 基礎疾患等として、B型肝硬変、肝細胞がんなどが報告されています。
 (4)症状の概要で、死因としては、嘔吐後の誤飲・窒息として報告されています。
 概要です。ワクチン接種日の19時ころ、患者の個室から呼びかけがあったため、介護ワーカーが訪れると、嘔吐し、ぐったりしていた。19時半頃呼吸停止、20時頃に死亡が確認されたと報告されています。
 (5)報告者の評価では、ワクチン接種との関連なし。他要因の可能性として、がん末期であったことや食事不良であったことなどが考えられると報告されています。
 (6)専門家の評価では、末期の肝細胞がんで全身状態が悪かったことは想像できるが、嘔吐の原因について検討する情報が不足しているとされています。
 最後、28ページ、事例19、101歳の女性です。
 (3)基礎疾患等としては、高齢であったことと、高度アルツハイマー型認知症であったことが報告されています。
 (4)症状の概要です。新型コロナワクチン接種実施後、明らかな副反応は認めず、発熱も見られず経過していた。接種3日後の昼食後までは疎通可能であったが、同日14時30分頃より疎通不能。その後心肺停止の状態となり、蘇生には至らなかったとされています。
 (5)報告者の評価では、評価不能。高齢であり、老衰を疑うものの、ワクチン接種との関連は評価困難と報告されています。
 (6)専門家の評価では、高度の認知症を有する高齢者であることと、接種前に微熱があったこと以外に病態を考察する情報は得られておらず、ワクチン接種との因果関係は評価できないとされています。
 資料3-3の説明は以上になりまして、最後に資料3-4「新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーとして報告された事例の概要」をご覧ください。
 1ページ目、「1.報告状況」となります。前回の合同部会以降、副反応疑い報告において、医療機関からアナフィラキシーとして報告された事例が新たに141件あり、令和3年2月17日から令和3年4月25日までに報告されたアナフィラキシー事例は計633件となりました。
 「2.専門家の評価」です。633事例のうち、今回は作業の関係上、4月22日木曜日までに報告された580事例を対象に、専門家の評価を実施しまして、結果については、表でまとめたとおりとなります。
 概要については、2ページ目の一番上の参考1をご覧ください。ブライトン分類レベル1~3の報告件数は、251万7045回接種について94件、100万回当たりの報告件数では37件でございました。
 ブライトン分類レベル1~3の事例について、性別、年齢別で示したものが参考2、アレルギーの既往の有無で集計したものが参考3となります。
 最後に、今後のブライトン分類の評価の方法についてになりますが、4月9日の合同部会におきましては、現在は、医療機関からの報告時点と、その後の企業からの報告時点の2度にわたってブライトン分類の評価が実施されていること、ついては、企業からの報告件数が増加し、十分に動向の把握が可能になった段階で、企業報告に一本化してはどうかという方針になっていたと思います。また、具体的なタイミングについては、座長と相談の上、事務局で検討することとなっておりました。
 先ほど、資料3-1と3-2で触れましたとおり、今回の集計対象期間中においては、医療機関からのアナフィラキシーの報告数が633、企業からの報告件数が524件となっており、おおむね企業報告でも動向の把握が可能と思われますので、次回からは企業報告に基づいてブライトン分類の評価を行っていきたいと考えております。
 資料3-1から3-4までの説明は、以上となります。
○森尾座長 ありがとうございます。資料3-4まででございました。
 では、引き続きまして、資料3-5の説明を事務局からお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
 資料3-5「副反応疑い報告の状況」につきまして御説明さしあげます。
 まず、2ページ目でございますけれども、こちらは先ほどの資料3-3に該当する部分でございますが、死亡として報告された事例についてでございます。予防接種開始後から前回の審議会までに集計された4月18日までに、副反応疑い報告において死亡として報告された事例は10件でございました。今回の審議会までに死亡として報告された事例は12件、うち出血性脳卒中4件、心不全3件等でございます。
 下にお示ししてございます表が、7から10番までが前回の審議会新規報告分、11、12が今回審議会新規報告分となってございます。
 なお、4月26日から27日までに、医療機関または製造販売業者から死亡として報告された事例は7件ございましたので、こちらも載せさせていただいております。
 続きまして、3ページ目でございますけれども、こちらは国内外の死亡例の最新の報告状況ということでまとめさせていただいております。
 上段、日本がございますけれども、4月25日分まで12件ということで、100万人接種当たりの報告件数ということで6.5件/100万人接種、4.4件/100万回接種ということで載せさせていただいております。
 米国・英国につきましては、この1週間での更新はございませんでしたので、同様の内容となっております。
 4ページ目でございますけれども、以上をまとめまして、死亡例の報告状況についてでございます。
 最新の死亡例の報告状況の整理でございますが、先ほど申し上げましたように、接種開始から4月25日時点までに死亡例は12件でございました。
 死亡例につきましては、報告内容について透明性をもって公表するため、個人情報につながる情報を除き、報告情報を可能な限り公表するとともに、併せて専門委員による評価も公表してございます。
 専門委員による評価は、12件中12件、いずれもワクチンと症状名との因果関係が評価できないものとされております。
 以上に基づきまして御審議いただきたい点といたしまして、死亡例の報告に関しまして、現時点でワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないかということで御審議いただきたく思ってございます。
 続きまして、5ページ目でございますけれども、こちらも1週間ですので、大きな変化はございませんけれども、前回同様、上段が医療機関からアナフィラキシーとして報告された件数、下段がブライトン分類に基づき評価された件数でございます。最下段にございますけれども、まず、上段の医療機関からの報告でございますが、100万回接種当たりの報告件数としては、最新版で233件、ブライトン分類に基づき評価された件数が、100万回接種当たりで37件という状況になってございます。
 また、6ページ目でございますけれども、こちらは海外の最新のアナフィラキシーの報告状況についてでございますが、こちらに関しましては、この1週間でアップデートがございませんでしたので、先週と同じ内容になってございます。
 7ページ目でございますけれども、これらをまとめましたアナフィラキシーの報告状況についてでございます。
 副反応疑い報告制度におきまして、アナフィラキシーとして報告されたものは、接種開始から4月25日までで633件ございました。
 ブライトン分類に基づく評価におきましては、94件がブライトン分類1~3と評価されてございます。
 アナフィラキシーとして報告された例におきましては、透明性をもって公表するため、報告件数をそのまま公表する一方、正確な評価も重要であり、引き続きブライトン分類に基づく評価を行ってございます。
 海外との比較におきましては、被接種対象者の違い、報告制度の違い等の理由から、単純な比較が難しい状況にあると考えられますが、接種後には一定の頻度でアナフィラキシーが生ずるという前提の下に進めていくことが必要と考えております。
 アナフィラキシーとして報告されたほとんどの例で軽快したことが判明してございます。
 以上を受けまして、アナフィラキシーに関する論点といたしましては、これら報告された事例に関して、現時点でワクチン接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないかということを受けまして、総合的な論点といたしまして、副反応疑い報告の状況に鑑み、引き続き接種を継続することでよいかといったことを御審議いただければと思っております。
 なお、参考資料でございますけれども、9ページ目に行きまして、こちらは審議会の回が重なってまいりましたので、御参考までに、これまでの1回目及び2回目の推定接種回数を載せてございますので、御参考にしていただければと思います。
 また、10ページ目以降でございますけれども、前回、1週間前の審議会でも話題となりました高齢者の接種が始まってまいりまして、そちらに関しての御議論がございましたので、参考となるよう資料をつけさせていただきました。基本的には、本年の2月15日の審議会の資料を参考にするものが多くございます。
 まず、10ページ目でございますけれども、こちらはワクチン接種後に生じる様々な事象についてでございますけれども、ワクチン接種は、体内に異物を投与し免疫反応を誘導し、感染症に対する免疫を付与することを目的として行われるため、効果とともに、副反応が生じます。
 接種後には、接種と因果関係のない偶発的な事象も生じるが、因果関係が不明な場合も含めて、副反応を疑う事例として広く収集し、評価の対象としております。
 続いて、11ページ目でございますけれども、こちらは前回の審議会でも少し話題に上りましたが、海外における状況がどうなっているのかといったところの御参考になる資料でございますけれども、こちらも既に審議会で提出させていただいた資料でございます。
 ノルウェーにおきまして、1月、高齢者の方々がワクチン接種後に亡くなる事例がございまして、そちらに関しまして、資料としてまとめたものでございますけれども、高齢者や基礎疾患を有する者への接種についての海外の考え方でございます。
 上段がEUでございますけれども、虚弱な高齢者を含め、ワクチンの使用に関する製品情報を修正する必要はない。ノルウェーの死亡例に端を発し、現時点での報告を評価したところ、65歳以上での接種後死亡例は、既存疾患の進行が最も考えられる。
 WHOにおきましても、ワクチンの安全性に関する推奨事項の改訂は提案しない。現在の報告では、虚弱な高齢者における予期しない死亡の増加や有害事象の異常な特徴は示唆されないとされております。こちらは、いずれも資料としては1月時点となっておりますが、こちらのほうで確認いたしましたところ、こちらのステートメントに関して状況は変わっていないということを確認してございます。
 また、12ページ目でございますけれども、こちらはワクチン接種に関わらず、様々な事象の発生頻度ということで、あくまで御参考となりますけれども、以前出した資料を再掲させていただいております。
 1つ御参考になりますのが、高齢者の死亡(1日当たり)という2段目のところでございますけれども、こちらは平成30年度の人口動態調査、65歳以上の死亡者数約123万人というところから概算したものでございますけれども、全ての値をまとめて評価したところ、概算で言うと、約1万600人に1人の方が1日当たり亡くなられているということで、こちらも参考にしていただければと思っております。
 次、13ページ目でございます。こちらも参考でございますが、平成21年の新型インフルエンザ予防接種におきまして、接種後に報告された死亡事例も参考になるかと思い、再掲させていただいております。ワクチン接種後の死亡例が平成22年6月までに133例報告されました。
 新型インフルエンザの予防接種におきましては、医療従事者、基礎疾患のある者、小児から順に接種が行われましたが、報告された死亡事例は高齢者が多く、因果関係なしと評価されたものや、評価不能のものが大半で、個々の症例の評価の結果において、死亡とワクチン接種との直接の明確な関連が認められた症例は認められていない。
 下に参考といたしまして、左側に年齢別の割合を載せさせていただいております。
 また、右側でございますけれども、これは実際の死亡症例の一覧ということで、基礎疾患や経過・死亡原因等が載せてあるものでございますので、御参考にしていただければと思います。
 また、14ページ目でございますけれども、こうした流れを受けまして、当時の資料でございますけれども、高齢者・基礎疾患を有する者に対する接種に関する考え方でございますが、接種開始後に基礎疾患を有する高齢者等の死亡事例が報告され、平成21年の審議会におきまして評価が行われ、改めて、基礎疾患を有する者のかかりつけ医療機関に確認する等、接種の適否を慎重に判断することが周知されたということで御報告いたしましたけれども、こうした資料を踏まえまして、2月15日の審議会におきましても、本審議会において、新型コロナワクチンに関する高齢者や基礎疾患を有する者への接種についての考え方を御審議いただいたと認識しております。
 15ページ目、これまでお示ししたような資料をまとめまして、論点といたしまして、基礎疾患を有する者は、新型コロナウイルス感染症に罹患した場合、重症化のリスクが高いことから接種の利益が大きいと考えられるが、基礎疾患が悪化する事例が報告される可能性がある。
 しかし、高齢者や基礎疾患を有する者については、諸外国でもワクチン接種の有益性が潜在的リスクを上回ることを示唆すると報告されており、こうした方々についても接種を提供するべきではないか。
 また、接種の判断は、個人のリスク・ベネフィットを勘案し、本人の同意に基づいて行うことが基本であるが、基礎疾患を有する者のうちでも、基礎疾患の状態が悪化している場合や全身状態が悪い者等については、特に慎重に予防接種の適否を判断する必要があることについて、注意喚起することとしてはどうかということでお諮りさせていただきまして、それを受けまして、最後、16ページ目でございますけれども、基礎疾患の状態が悪化している場合や全身状態が悪い者に関する注意事項といたしまして、2つの取組を既に行わせていただいております。
 上段が予防接種実施要領の抜粋でございますけれども、赤線の部分、基礎疾患を有する者等については十分な予診を行い、基礎疾患の状況が悪化している場合や全身状態が悪い者等については、接種の延期も含め、特に慎重に予防接種の適否を判断する必要があること。
 また、下段の予診票の確認のポイントの資料につきましては、現在何らかの病気にかかって治療を受けていますかという質問に対して、確認のポイントとして、特に以下に該当するかに注意して接種の判断をお願いしますということで書いておりまして、基礎疾患の状態が悪化している場合や全身状態が悪い者等。体調が回復してから接種することが大切です。体調が悪いときの接種は控えます。体調がよくなった頃に、改めて次の接種を相談してください。接種後の軽度の副反応が重篤な転帰に繋がることのないよう、特に慎重に予防接種の適否を判断する必要がありますといった形でお示しさせていただいております。
 こうした点を踏まえまして、本日も議論していただければと考えております。
 以上でございます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 事務局のほうから、新型コロナワクチンについて、これまでの副反応疑い報告の状況について説明いただきました。
 大きな論点としましては、死亡、アナフィラキシーの2つを挙げさせていただいておりますけれども、まず、ワクチン接種後の死亡として報告された事例について、御質問、御意見いただいて、その次にアナフィラキシー、最後にそのほかの副反応という形で進めていきたいと思います。
 それでは、まず、死亡報告について、御質問、御意見ありましたら、承りたいと思います。いかがでしょうか。
 濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 ちょっと細かいことで申し訳ないのですけれども、16番の事例ですが、90歳の方で肺塞栓症を接種後2時間ぐらいで発病して、その後亡くなっているというケースです。アストラゼネカとかジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンで血栓症というのは、今かなり注目されていますが、mRNAワクチンで起こすとは余り言われていないので、そういうことではないと思います。
 ただ、この事例は、心不全がもともとあって、それが悪化して、しかも両側の肺塞栓症を起こしたという記載になっていますが、すごく分かりづらい気がするのです。
 アナフィラキシーとして最初処置していて、その後治らないので病院に運んだということですけれども、こういう事例はアナフィラキシーの処置でボスミンを打ったりすることで、心不全が悪化する可能性もあるのでしょうか。接種や救急措置の直後に起きているだけに、こういった事例はもう少し詳しい情報を今後も取っていったほうがいいのではないかと思いました。これ以上の情報はないのではないかと思うのですけれども。
○森尾座長 濱田委員、ありがとうございます。
 もし事務局から追加で情報がありましたら、お願いできればと思います。いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
 本事例につきましては、医療機関から報告が上がってきた段階ですので、この後、企業等とも協力しまして調査を行ってまいります。新たな情報が得られましたら、またこの審議会において報告して審議いただきたいと思っております。
○濱田委員 引き続き、よろしくお願いいたします。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 岡委員、お願いいたします。
○岡委員 岡ですけれども、高齢者の接種がこの時点で7万人とか8万人くらいの段階で、今回は例えば報告者の方が老衰という表現をしているような方も報告されている現状があって、そういう意味で、ある先生は、日本で打ち始めた、まだ新しいワクチンなので、報告しておいたほうが何かの参考になるかなということで報告されますし、逆に言うと、もしかしたら、これは違うと思いますよと御家族に言って、報告されない先生もいらっしゃるというのが恐らく現実のところかなと思います。
 なので、この制度自体は、積極的に因果関係が疑われるような場合には、ぜひ報告してくださいという制度かなと思うので、少し時間がたって全体の傾向が分かってくるまでは、何か抑制するというのもまたおかしいことではあるのですけれども、どういう方を報告してほしいのかということはお伝えしたほうがいいのかなという例も、これは予想されていたことですけれども、今回出てきたのかなと思っております。恐らく老衰と書かれた先生は、その方が本当は天寿を全うされたのかなという形での最期のおみとりだったのではないかなと思うのですけれども、そういう意味で、老衰と書かれた例などは非常に印象的かなと思いました。
 コメントで申し訳ありません。
○森尾座長 重要なポイントだと思います。これから、こういう数多くの死亡症例の報告と私たち、向き合うことになるかと思うのですが、何か事務局からコメントとかアイデアがありましたら、いかがでしょうか。
 事務局、お願いします。
○事務局 報告基準をどう伝えるかというのは、なかなか難しいところだと思っております。重要性の通知を全部見てということもなかなか大変だと思いますので、今回については、この特設のホームページもつくって、コロナに関しての副反応疑い報告の基準というのは、かなり分かりやすいところに置かせていただくという努力はしてきているつもりですけれども、こういったことの周知を引き続き図っていきたいと思います。
○森尾座長 どうもありがとうございます。
 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 宮川でございます。
 ここに挙がっているような事例は、これからもっと増えると思います。高齢者という括りなのか、それともそれにプラスして、高齢者であって高齢者の施設にいる入居者なのかということは、重要な1つのファクターになってきます。つまり、高齢者であれば、かかりつけ医がいたり、個別にワクチンを接種することができ、状態が非常に把握しやすい対象です。高齢者の施設というのは、施設に医師がいるのですが、毎日来ているのではないところもあります。それから、その時だけ接種医師という形で来る医師もいるわけです。
 ですから、以前に指摘しましたように、高齢施設においては、クラスター発生に対するおそれや警戒など、いろいろな因子が強く関連して、せっかく割当てが来たからと焦って接種してしまうことも考えなければなりません。高齢者という括りも重要ですけれども、高齢者施設にいる入所者なのかということも含めて、少し何らかの情報が入ってくると、副反応に関わる状況も把握しやすくなるのではないかと思い、一応コメントいたしました。
○森尾座長 宮川委員、ありがとうございました。記載の中で、施設入居者とある程度分かる方もいらっしゃるという形かなと思います。おっしゃるとおりで、以前からの議論のように、無理してうたない。それは、引き続きメッセージを伝えられたらなと思います。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 続きまして、アナフィラキシーとして報告された事例について、御意見、質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。
 倉根委員、お願いいたします。
○倉根委員 質問ですが、資料3-5を見ますと、アナフィラキシーとして報告された件数も、ブライトン分類1~3と判断されたものも、100万回接種当たりの報告件数というのは、2月から総和でいくとだんだん下がってくる。そうすると、報告が近くなるにつれて、報告数あるいはブライトン分類1~3と判断されるもののパーセントが少なくなっているのかなと、ラフに計算というか、考えられると思うのですが、高齢者が接種されてきてからアナフィラキシーの報告が減ってきているということになりましょうか。計算はなかなか難しいかもしれませんが、いかがでしょうか。最初の頃は、比較的若い年齢の方も随分打っていたということかと思いますので、そこはいかがでしょうか。
○森尾座長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 御指摘は、高齢者が大分増えてきたので、アナフィラキシーの割合が減っているかという御質問だと理解しましたけれども、具体的に高齢者がどれぐらいで、どう減ったかということは、まだ明確には申し上げられないのですけれども、高齢者の数が増えてきていますので、若干そういう傾向は見えてくるのかなと思います。ただ、明確にそこをエビデンス的に証明できる状況にはないですが、一般的にはそういうふうに見えていると思います。
○森尾座長 ちょっと追加でございますけれども、高齢者の接種が7万人程度入っているということでございます。まだ十分な影響は出ていないのではないかというところを今、話しておりました。これから蓄積すると、またいろいろなデータが出てくるのではないかと思います。
 重要な御指摘ありがとうございました。
○倉根委員 ありがとうございます。
○長谷川委員 その点、よろしいでしょうか。
○森尾座長 長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 前回質問させていただきましたけれども、今回も2回目の部分が割合として大分増えてきているので、2回目で起きる頻度が少ないので、全体としてのパーセントが減ってきているということで、前回理解させていただきましたけれども、それでよろしいでしょうか。
○事務局 もちろん、それも要因としては十分あり得ると思っております。
○森尾座長 よろしいでしょうか。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、柿崎委員から手が挙がっているようでございます。お願いいたします。
○柿崎委員 2点確認ですけれども、アナフィラキシー報告のブライトン分類の専門家による評価ですけれども、医療機関報告と企業報告の両方で検討していたものを、企業報告に一本化するというのはいいと思うのですけれども、確認ですけれども、専門家の評価というのは、企業から独立した専門家が評価されるという認識でいいのかというのが1点と。
 あと、企業報告と医療機関報告の情報を解析したときに、情報不足でブライトン分類4に分類されていたものの比率というのは、企業と医療機関報告とで同等だったかというのを確認したいのですが。
○森尾座長 事務局、いかがでしょうか。
○医薬品安全対策第二部長 PMDAから説明させていただきます。
 まず、1点目ですけれども、企業報告についての専門委員評価につきましては、医療機関報告と同様に、完全に独立した評価となっております。したがいまして、企業とは全く独立しているということになります。
○柿崎委員 ありがとうございます。
 もう一点、ブライトン分類4の比率も同等と考えてよろしいでしょうか。
○医薬品安全対策第二部長 そちらにつきましては、4月22日までの報告に基づきますと、医療機関報告では、580件中、ブライトン分類4が471件。企業報告につきましては、524件中326件となっております。企業報告につきましては、医療機関報告の内容を確認した上で、企業が情報を追加して報告されてまいりますので、情報量としては、医療機関報告よりもリッチになってきているというところにつきましては、これまでの報告の中でも確認してきております。
 以上になります。
○柿崎委員 ありがとうございます。
○森尾座長 2点目、よく御指摘いただくところです。今、伺うと、580名中471が、企業報告だと524名中326ということで、4からはある程度脱け出しているような印象も見受けられる気がします。
 すみません、コメントです。ありがとうございます。
 伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
 死亡のほうもそうだったのですが、アナフィラキシーも米国からの報告というのが1月18日で止まっているようですけれども、この後、3か月ぐらいたつのですが、また更新されるのでしょうか。
 それと、これは海外も全てファイザー製のワクチンということだったかと思うのですが、今後、日本でもほかの会社のものがもし入ってきた場合に、会社ごとにこういった情報が海外からも入ってくるものなのでしょうか。教えていただければと思います。
○森尾座長 事務局、いかがでしょうか。米国からの更新のことですかね。
○事務局 海外の情報についてでございますが、米国の情報は、米国で予防接種の委員会で出された資料等を基に掲載いたしておりまして、その時点から本日のところはまだアップデートがないということでございます。
 今後でございますけれども、米国であれば、同委員会の資料や発表情報に基づきまして整理していきたいと思います。その中で会社ごと、製品ごとになっておれば、それを順次掲載していきたいと考えております。
○森尾座長 定期的にアップデートされると考えてよろしいということでいいですか。
○事務局 我々も注視しているところでございます。
○事務局 補足させていただきますと、特に米国は、この委員会のように定期的にやっているわけではありません。我々としては絶えずウオッチしていますので、それがあり次第報告させていただきたいと思っています。また、今回、ファイザーの製品だけで報告していますけれども、他のワクチンが日本で使われる場合は、それらについても別に報告したいと思っております。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
○森尾座長 事務局から、どうぞ。
○医薬品安全対策第二部長 すみません、追加させていただきます。PMDAです。
 現時点でファイザーのワクチンにつきましては、月1回の定期的なサマリーレポートが作成されております。今後、投入されるワクチンがあり、同様のレポートが作成されるのであれば各社別のモニタリングも可能ではないかと思っております。
 以上です。
○森尾座長 ありがとうございます。月1回ということですので、また新たなデータが出てくるものと期待しております。
 ほかに委員の皆様からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、そのほかの副反応疑い報告の状況につきまして、御質問、御意見がありましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
 濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 すみません、そのほかじゃないのかもしれないですけれども。高齢者の対応でいろいろ資料もお示しいただいて、注意喚起も行うということを言われていましたが、高齢者というものを一括りにしていいのかなと思うのです。高齢者と寝たきりの高齢者というか、それを区別して考えていく必要があることを、もう少し伝えたほうがいいのではないかと思っております。
 特に、寝たきりの高齢者の接種は御注意くださいということです。寝たきりの高齢者の場合、外に歩いて出ていくわけにはいかないので、外から持ち込まれる感染リスクの方が高いと思うのです。一般の国民の皆さんに伝える場合には、高齢者と一括りにするのは乱暴であるという感じもしますので、その辺をもうちょっと考えていただいたほうがいいでしょう。多分、先ほど宮川先生が言われたことと通じる内容かなと思いますので、よろしく御検討いただきたいと思います。
○森尾座長 ありがとうございました。発信の方法はなかなか難しいかなと思いつつも、何らか工夫ができたらということで承りましたので、また事務局も含めて検討させていただく事項なのかなと思っております。事務局、よろしいですか。はい。ありがとうございます。
 舟越委員、手を挙げていただいているように思います。お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
 その他、全般のことなのですけれども、先ほど2月15日の資料の説明をいただきましたが、副反応疑いの報告に加えて実施される調査として、高齢者の接種が7万人ぐらいに増えてきまして、接種後健康状況調査を国として行うということが方針として話があったと思います。こちらのほうの準備状況を少し教えていただければと思います。
○森尾座長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
 接種後健康状況調査につきましては、以前の審議会でイメージのアウトラインをお示ししていたところでございます。厚生労働省においては、新型コロナワクチンの接種を受けた方々に対して、接種後に生じた症状等についてアンケート調査を行うことを予定しております。一方、調査方法等の検討に時間を要したということもございまして、当初の計画から遅れてはいるものの、現在、システムの調達などの準備を進めているところでございまして、準備が整った段階で実施することとしてございます。
○舟越委員 こちらのほうは、SNSとか、新たなインフラを使って評価するということを2月に御説明いただいていたので、具体的なものがどういうものができ上がっていくのか、それがいつ頃に始まるのかというのを、またそれが始まるときには教えていただければと思います。
○森尾座長 どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、今まで議論していただいた内容をまとめさせていただきたいと思います。少し長くなりますが、重要なところですので、御一緒ください。
 これまで確認できました内容といたしましては、まず、副反応疑い報告の状況でございますが、期間中の副反応疑い報告の頻度は、医療機関からの報告に基づけば0.16%であり、前回の合同部会時の0.17%から大きな変化はございませんでした。
 続きまして、死亡事例について幾つかございます。整理させていただきますと、前回の合同会議から、集計対象期間であります4月25日までに新たに2件の接種後死亡事例の報告がございました。なお、26、27、月、火に、さらに7件の報告がございました。いずれも現時点では情報不足等により、ワクチンと症状名との因果関係が評価できないと考えられます。
 現時点で得られた情報から因果関係は評価できませんが、偶発事象の可能性もあり、ワクチンとの直接的な関連性を示す事実はないと判断しております。また、ワクチン接種によるメリットはリスクを上回ることから、ワクチン接種に対する考え方を変える状況にはなく、現時点でワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと考えられる。
 続きまして、特に今回の死亡事例は、ほとんどが基礎疾患を有する高齢者の接種後の死亡事例の報告でございました。報告医療機関の評価において「ワクチンとの因果関係はなし」とされているものも含まれてございます。議論がありましたように、これから高齢者の接種が進むにつれまして、新型コロナワクチンに対する社会的な関心の高さもあり、偶発的な事例や他原因による事例も含まれ、死亡報告が多く報告されることが想定されると思われます。
 また、これも先ほど少し御議論いただきましたけれども、今回、高齢者の接種が進む中、当初アナフィラキシーとして接種医から報告され、救急搬送後に死亡されたため、ワクチン接種と因果関係がありとされた事例がございました。この事例は、搬送先の医療機関で肺血栓塞栓症が明らかとなったため、死亡とワクチンとの因果関係は評価不能とされまして、専門委員も因果関係が評価できないとされております。これも御議論がありましたが、高齢者接種開始後も、アナフィラキシーは一定の確率で発生すると予想されます。今回の事例のように、当初アナフィラキシーとして報告された者が亡くなることも出てくると考えております。
 重要な点としましては、以前の部会でも御議論いただきましたが、早期に適切なアドレナリンの投与がなされ、適切な搬送が行われるということではないかと思われます。これから、これまでに求められた対応を引き続き行っていただくという点が非常に重要であると考えております。今後、こうした事例に関しても、本審議会で評価した上で公表し、適切な対策を講じていくことが重要でございます。
 それから、濱田委員、宮川委員のほうから、高齢者の中に施設で寝たきりの方などがいらっしゃり、一概にはまとめられないのではないかという御意見が頂戴できました。いろいろな意味で、そういう方も含めて適切な情報を伝えていくことも重要であるという御意見をいただいたと認識しております。
 報告された事例につきましては、偶発的事例や他原因による事例か、接種との因果関係のある事例かについて、症例に関する情報収集、諸外国も含めた症例の集積、その他の科学的知見等を基に、引き続き当審議会で評価を行い、状況を注視しつつ、可能な限りの情報発信を行っていくことが重要であるということでございます。
 続きまして、アナフィラキシーです。アナフィラキシーの報告状況を整理いたしますと、接種開始から4月25日までに633件の報告がございました。そのうちブライトン分類レベル1~3に分類されたものは94件でございました。
 透明性をもって公表するために、報告件数をそのまま公表する一方、正確な評価も重要であり、引き続き国際的な基準に基づく評価が実際に行われているということでございます。
 海外との比較においては、だんだん幅が狭まってきているような感じもいたしますけれども、被接種対象者の違いや報告制度の違い等、複数の理由から単純な比較が難しい状況にあるということは継続している状況だと考えられます。
 アナフィラキシーとして報告された例は、結果として別疾患で亡くなった高齢の1例がございましたが、引き続き、ほぼ全ての症例で軽快したことが確認されております。
 以上のことから、アナフィラキシーとして報告された事例について、発生動向に大きな変化はなく、かつ、適切な治療が行われ、ほぼ全ての例で軽快していることから、引き続き、現時点でワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないという評価でよいのではないかということでございます。
 また、接種後には、一定の頻度でアナフィラキシーが生ずることを前提とした上で、引き続き、これまでの対策を継続するとともに、国内外の報告を注視していくことでよろしいのではないかということでございます。
 最後に、先ほど事務局のほうから報告がありましたけれども、今回の企業報告では、既に524件のアナフィラキシーの報告が行われてございます。アナフィラキシーの発生動向を評価するに当たり、十分な数の報告が寄せられたものと考えられます。4月9日の合同部会において決定したとおり、次回以降のブライトン分類評価については、企業報告について実施していきたいということでございます。もちろん、医療機関からの報告で、もしアラームみたいなものが出てきた場合には、それはその限りではなく、また改めてしっかりと評価していくということと理解しております。
 以上のことにつきまして、委員の先生から御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○森尾座長 それでは、このような形でまとめさせていただきたいと思います。
 以上、御報告いただきました具体的な事例を踏まえ、新型コロナワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうかということで御意見がございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 先ほど濱田委員がおっしゃったように、高齢者というのは、たった独りで生活しているわけではありません。何らかの形で社会とつながっているという形で構成員としてはいるわけです。ただ、普通の在宅の方、施設にいらっしゃる方、独居あるいは家族といらっしゃる方などさまざまです。在宅であって寝たきりだから、接種しなくてもいいのかというと、家庭内で介護されている方がいらっしゃれば、家庭内感染の可能性も考え配慮が必要であったり、施設であれば施設内のクラスターの可能性も考え、多少の困難があってもワクチン接種の必要性が出てきます。
 独居や老老介護で、おうちにいらっしゃる方の中でも、基礎疾患をたくさん持っている方と比較的少ない方といらっしゃいます。高齢者と言ってもさまざまです。ですから、焦らないでしばらく様子を見なさいと一概にいうこともできず、非常に難しい状況の中でワクチン接種が進んでいます。高齢者接種から生じる事象に対しては、冷静に反応し、対処を考えていくことが必要ではなかろうかと思い、少しつけ加えさせていただきました。
 失礼します。
○森尾座長 ありがとうございました。まとめの中でも少し挙げさせてもらいましたけれども、高齢者と言っても多様であり、それぞれに対して適切な情報を発信するとともに、解析もしっかり行うことが重要であるという御意見と承りました。ありがとうございました。
 佐藤委員、手を挙げていただいていますでしょうか。
○佐藤委員 この場で結論の出る話ではないかもしれないですけれども、先ほどから、例えば高齢者の方の既往症などをふまえて状態を非常に適切にコントロールしたところで接種するべきだということがすごく強調されていますが、一方で、交通の便のいいところに大規模接種会場を造ろうという動きが今あります。そうなると、恐らくかかりつけ医じゃない先生が、患者さんの主訴にもとづいて接種するという状況が、多分これから増えてくるのかなと思うのですけれども、その辺りの情報共有ですね。その方のバックグラウンドというのが、実際の接種会場でどこまで共有されるか、伝わるのか、というところをちょっと心配に思っています。その辺りは今、何か動きはあるのでしょうか。
○森尾座長 どうもありがとうございます。かかりつけ医に相談していただいてということが非常に重要だという意見が今までもございましたけれども、いかがでしょう。
○佐藤委員 東京駅とかビルの一画に造るという話が結構進んでいますね。大人数接種可能、また、そんなに遠くに行かなくても打てるように、ということで。お年寄りの方が遠くに行くのは大変だというところも重々分かるのですが、今、どういう方針なのかをお聞かせいただけないでしょうか。
○森尾座長 現場で苦労されていらっしゃる宮川委員のほうからコメントを頂戴できればと思います。
○宮川委員 国の施策の中で、1つのところで1日1万人という形で考えられていることが発表されました。実際に交通の便がいいとしても、階段があったり、エスカレーターであっても高齢者にとって危なかったりとか、いろいろなことが想定されます。1日1万人と言っても、1か月かけて1か所で30万人です。高齢者といっても、そこですべて解決できるわけではありません。実際には、かかりつけ医での個別接種、また地区の中での集団接種で速やかにできなければなりません。高齢の方であれば、何らかの疾患で、近くの開業医や大きな病院にかかっていらっしゃる方が多いので、連絡を密に取って予診票を一緒に書いていただくことが重要です。
 それができなければ、前にお示ししましたプレ予診票を使って、それを接種会場の接種医に提示していただき、接種会場での予診の目詰まりを解消していくことが重要です。私も希望の患者さんにプレ予診票を書いております。そうすると接種する医師も、患者さんの薬や状態の情報が分かって接種することになります。何らかの形で接種医とかかりつけ医の関係が色濃くなるような方策をこれから考えていければと思っております。
 ありがとうございます。
○佐藤委員 分かりました。ありがとうございました。ちょっと安心しました。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 ほかは、まとめについて、よろしいでしょうか。
 それでは、御審議いただきましたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○森尾座長 どうもありがとうございました。議題(2)は以上でございます。
 それでは、議題(3)に進めたいと思います。資料4「新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コーホート調査)健康観察日誌集計の中間報告(5)」につきまして、伊藤委員のほうから御説明をよろしくお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 伊藤でございます。
 資料4で、今回、5回目の中間報告をさせていただきます。
 4月27日の12時にデータを抽出して、そのデータでリバイスを行っております。1回目が1万9190名、2回目が1万7838名のデータです。なかなか100%にはなりませんけれども、引き続き調査対象施設に入力のお願いをしております。リバイスをして、数字は小数点1桁が変わっているところがありますけれども、ほぼ前回までの報告内容と変わっておりませんので、大部の資料になっておりますが、14ページまでの説明は省略させていただきます。
 15ページは、9日目以降の健康観察日誌の記録で、前回までは、1回目接種後の記録だけを提示しておりましたが、今回は2回目接種後の集計結果も加えております。1回目とほぼ同様の結果ですが、統計学的な検定はしておりませんが、1から8日目までと同様の傾向で、局所反応は2回目のほうが少なく、全身反応が少し多いという状況になっているかと思います。
 16から18ページは、PMDAに報告した症例とSAEについての報告ですが、これは先週と変わっておりませんので、省略させていただきます。
 19ページは、今回は前回と違いまして、今回の報告時期の4月27日までの日誌に記載された自由記載欄をMedDRAコーディングしております。製薬企業と同様の方法で、接種後の期間に発生した事象をMedDRAで集約しておりますが、1回目の8日までの集計で、累計で5114事象。2回目は、全部で1万1348事象のうちの頻度の高い部分だけを表記しております。コードした事象数は、全部で309事象になっております。
 今まで報告しておりますが、1回目の五十肩症状と、2回目の発熱を伴うインフルエンザ様症状で病休とか、腋窩を中心としたリンパ節の腫れ。それから、下痢などの消化器症状が起きるということを、承知していただいて接種するということの基礎的な資料になると思っています。
 20ページです。前回までは口頭で説明させていただいておりましたが、接種直後のAEについても詳細にお伝えすべきと思いましたので、今回、MedDRAでコーディングしてみました。接種直後30分以内に報告があった例数は、1回目接種88例、2回目接種が81例です。チェックボックスでは、有害事象ありと報告されているのですけれども、症状記載の中で、1回目4例、2回目8例の症状無記載例を含んでいることを御承知おきいただければと思います。
 症状の記載内容をMedDRAでコードしておりますが、平文で書かれた症状等をMedDRAでコードしておりますので、1例で最大4事象になっている方もあります。全体として見たときに、接種直後に副反応が起きていた人は0.4%です。前回、迷走神経反射について質問を受けましたけれども、迷走神経反射をMedDRAのコードに書き換えますと、失神寸前の状況、Presyncopeとなります。1回目が8例でした。2回目は1例になっています。それ以外は、発疹や動悸、かゆみ、めまい感などが頻度としては高くなっています。2回目のSAEの報告として、アナフィラキシー3件が報告されておりますが、もちろん、この中に3件とも入っております。
 21ページに1回目と2回目の両接種時にAEが発現された方の詳細を書いております。15名の方が1回目と2回目の両方でAEが発生しておりまして、そのうち両者で同一コードがあった方が9例です。15名のうちの9例ですので6割という頻度を、再現性という点で高いと見るか、低いと見るかはよく分かりません。ただ、1回目直後に全く問題がなかった66例に、2回目のときには副反応が起きているということですので、1回目と2回目が直接リンクするかどうかというのは分かりません。
 この15例をご覧いただきますと、1例を除いて、全部女性です。全体の年齢とか性別の内訳は表にしていないのですけれども、1回目は男性22名、女性が66名、2回目は男性12名、女性が69名で、もともと接種者の3分の2が女性なのですけれども、頻度は女性のほうが高いということかと思います。年齢ごとに見てはおりますが、例数が少なくて傾向ははっきりしておりません。
 他の因子について見始めましたけれども、気管支ぜんそくが1回目が0.93%、2回目が1.42%と高そうですが、事例が少ないので、シグナルとして検出できるかどうか分かっておりません。あと、既存のアレルギーがある方が、接種直後の副反応が著しく高くはなかったと思っております。前回、質問いただいておりましたので、一部でありますが、御報告させていただきました。
 23ページが薬剤の使用実績です。前回、アセトアミノフェンとロキソプロフェンの話をさせていただいたのですが、日誌の中身を調査してみますと、アセトアミノフェンを使って、十分効果がなかった人がロキソプロフェンを使ったという記載もありました。重複を調べてみますと、ロキソプロフェンを使っていた人の3分の2がアセトアミノフェンを使った後にお使いになられたようです。それぐらいの頻度でアセトアミノフェンは効果が不十分で、ロキソプロフェンをかぶせたという状況でございました。結果として解熱鎮痛剤を使った人は、2回目接種後の13%でした。
 COVID-19感染については、前回御質問がありましたので、今回、表にいたしました。終了報告数が9582例で、先週に比べて増えておりますので、最終的にCOVID-19の感染が5例になっております。SAEで報告した20代女性については、既に報告済みですが、全体の例数が増えて1件が追加されています。年齢と性別、施設名を匿名化して表をつくっておりますが、ご覧いただいて分かるとおりで、特定の施設でクラスターが起きた結果ではありません。SAE症例は、2月24日に接種して、症状が6日後ですから、ワクチンの効果はもともと期待できる時期ではなかったということでありますが、他の症例については発症日が分かりません。それについては前回説明させていただいたとおりです。
 24ページは、海外データとの比較表をリバイスしたものです。
 25ページのまとめについては、今、説明させていただいたことを含めて記載いたしました。
 説明は、以上でございます。
○森尾座長 伊藤先生、本当にありがとうございました。前回までの質問にも答えていただきまして、より詳細なプレゼンテーションを頂戴いたしました。
 委員の皆様から質問、御意見等を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 ランセット・インフェクシャス・ディジーズの4月27日号にロンドンのキングスカレッジで63万人の接種後調査をした結果がでていました。ファイザーで8日間ですから、先生のものとほとんど同じような形なのですけれども、これは副反応の割合が低いのです。全体の副反応が22%で、フェーズ3よりも低いというデータが載っているのですけれども、先生のデータはそちらとはまだ照合されていませんか。
○伊藤(澄)委員 すみません、照合しておりません。ただ、一般論から申し上げますと、こういう特定のSolicidated(非自発的)な調査をすると、頻度としては高くなると思っておりますので、そういった点もあるのかなと思います。
○濱田委員 対象の取り方とか質問の仕方とかが違うということですか。
○伊藤(澄)委員 はい。この安全性の調査は、基本的には医師主導治験も含めた治験と同じ形の取り方ですので、どちらかというとニュー・イングランド・ジャーナルに出ている治験のデータとコンパラブルだと思っております。
○濱田委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
 基礎疾患のことですとか、薬剤のことですとか、いろいろ教えていただいて、ありがとうございました。
 薬のことですけれども、解熱鎮痛剤と言いますと、発熱とか頭痛とか、その辺りに使われているという理解でよろしいでしょうか。例えば、倦怠感とかも結構出ていますけれども、薬剤の使用が必要なくらいという中等度の症例もあるようなのですが、主にどういった症状にということが。
○伊藤(澄)委員 日誌に丁寧に記載いただいている方もいらっしゃいます。そういう記載を見ますと、頭痛とか、それから痛みが結構強いので、痛みに対しても使っていらっしゃる。38度を超えるとお使いになられているのかなという気もします。まだ体温と突合していないので分かりませんが。発熱のために使ったというよりは、痛みとか頭痛、局所の疼痛とか頭痛という記載が多かったと思っております。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
 発熱とか頭痛の割合に比べますと、薬剤の使用の割合はかなり低いようですけれども、例えば何度以上だったら、この薬を飲みなさいみたいなことが言われているわけではなくて、耐えられなければという感じなのですか。医療機関によって違うのかもしれないですけれどもね。
○伊藤(澄)委員 この調査をするときに、どれぐらいの熱が出たら使ってくださいという話はしていなくて、熱が出ることが想定されているので、例えばアセトアミノフェン500㎎を4錠渡しておりましたが、実際4錠とも飲まれた方がいるかどうか、その量までは把握できておりませんので、分かりません。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
 結構な割合の方が、発熱とか頭痛があってもお薬は飲んでいらっしゃらない。
○伊藤(澄)委員 意外と飲んでいなかったのだと思いました。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
○伊藤(澄)委員 ただ、もう一点つけ加えさせていただくと、海外のデータを見る限り、予防的にアセトアミノフェンを飲むということについては、余り効果がないという話もありましたので、予防的に内服されることについてはお勧めいたしておりませんでした。
○森尾座長 どうぞ、お願いします。
○倉根委員 観察日誌のDay8までのところで、口腔咽頭痛というのが比較的多いのですが、これは食事とか飲み込むときに痛いということじゃなくて、咽頭辺りの痛みというか、不快感ということですか。それとも飲み込んだときに痛いということなのでしょうか。
○伊藤(澄)委員 コードは全部いたしましたけれども、のどのいがいが感かと思います。時期的に通常、かぜとかが多い時期ではありましたけれども、皆さん、マスクをされているのか、そういうものは頻度としては低かったと思っております。
 今回のワクチン接種に伴って様々な症状が出ていて、目がかゆいとか、思いもよらない、例えば口の中がしびれるとか、不安症状かもしれないですけれども、口の中の違和感があるとか、様々なものを訴えられておりました。
○倉根委員 分かりました。ありがとうございます。
○森尾座長 長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 ありがとうございます。
 自由記載欄の頻度についてですけれども、例えば倦怠感とか、そういう代表的なやつの頻度が非常に低く感じるのですけれども、これは既に自由記載でない部分で挙げた分については、記載していないからという意味合いなのでしょうか。そうすると、ここの頻度をどういうふうに理解したらいいのかなという。
○伊藤(澄)委員 前回、少し御説明させていただいたのですけれども、事象を指定して取っているものは両方重複して出るのです。企業にも相談したのですけれども、治験のときにこういう規定された項目以外に自由記載があるものについては、個別にカウントする。発熱があって、両方とも発熱で、1個でいいじゃないかと消すことはないということでしたので、今回も企業と同じ手法にして、溶け込ませておりません。
 同様に、今回、突合しようと思えば、1回目と2回目と突合することは可能ですが、1回目の有害事象と2回目の有害事象を頻度として分けて、8日間のという形に表示しております。そういう意味で、お一人が2か月間、こういった症状があったかどうかというデータになっていないということについては、御理解いただければと思います。ですので、本来はこういうところから、多分倦怠感とか疼痛のようなものについては削除しても問題はないのかもしれないと思いますが、個別に記載があったものをそのまま入れております。
 もう一つは、先ほど30分以内のものに関しては全部拾いましたと言ったのですけれども、実は日誌については手法の関係もあって、例えば1つの欄に2つの症状、発熱・下痢と書かれると、MedDRAとしては1個しかコーディングしにかったので、そこは全部コード化できていません。1つの欄に複数の項目を書かれたものを個別にコード化すると、もうちょっと頻度としては高くなる可能性はありますが、それに関しては御理解いただければと思っております。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○森尾座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 伊藤委員、いつも詳細な報告、本当にありがとうございます。これは、まだフォローアップ報告とかあるのですか。また、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 それでは、順番が最後になりましたけれども、議題(1)「コロナワクチン以外の各ワクチンの安全性について」に入りたいと思います。事務局から資料1-1から1-29まで説明をよろしくお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。それでは、説明させていただきます。
 初めに、全体的な事項を説明いたします。2020年12月25日の合同会議において御報告申し上げておりますとおり、今回は、審議対象の全てのワクチンについて、昨年10月1日から12月末までの3か月間における報告の状況について御説明いたします。
 まずは、資料1-1、MRワクチンでございます。
 1ページ目、中段の表をご覧ください。MRワクチンの期間内の接種可能延べ人数は52万人、製造業者からの報告は6件、医療機関からの報告は16件、うち重篤なものが8件でございました。製造業者からの報告頻度は0.0011%、医療機関からの報告は0.0031%となっております。今回の集計対象期間内で、後遺症症例、死亡症例の報告はございませんでした。
 9ページ目をご覧ください。アナフィラキシーの症例のまとめになっております。今回は、そのような症例はございませんでした。
 資料1-1は以上でございます。
 続きまして、1-2、麻しんワクチンになります。こちらは、接種可能延べ人数は1万人、製造販売業者からの報告は1件、医療機関からの報告は非重篤1件でございました。報告頻度は、製造販売業者、医療機関ともに0.0093%となっております。こちらも今回集計対象期間内での後遺症症例、死亡症例はございませんでした。
 4ページ目、製造販売業者からの報告No.1は文献由来の報告でございまして、ワクチン接種後に呈した症状を契機に、免疫不全が疑われた症例でございます。
 資料1-2は以上となります。
 続きまして、資料1-3、風しんワクチンでございます。接種可能延べ人数は約2万人、製造販売業者からの報告は3件、医療機関からの報告は2件、うち重篤なものが1件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.014%、医療機関からの報告頻度は0.0093%となっております。今回の集計対象期間内で後遺症症例、死亡症例の報告はございませんでした。
 資料1-3は以上となります。
 続きまして、資料1-4、おたふくかぜワクチンになります。接種可能延べ人数は36万人、製造販売業者からの報告は11件、医療機関からの報告は14件、うち重篤なものが7件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.003%、医療機関からの報告頻度は0.0038%となっております。今回集計対象期間内での後遺症症例、死亡症例はございませんでした。
 資料1-4は以上でございます。
 続きまして、資料1-5、水痘ワクチンとなります。接種可能延べ人数は49万人、製造販売業者からの報告は1件、医療機関からの報告は9件、うち重篤なものが7件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.0002%、医療機関からの報告頻度は0.0018%となっております。また、今回対象期間内に後遺症症例、死亡症例の報告はございませんでした。
 対象期間前に死亡症例が1例報告されております。資料1-28の1ページ目、No.1となっております。調査の結果、「ワクチン接種との因果関係は否定的である」とされております。
 資料1-5は以上でございます。
 続きまして、資料1-6、帯状疱疹ワクチンでございます。接種可能延べ人数は約7000人、製造販売業者からの報告は7件、医療機関からの報告は2件、うち重篤なものが1件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.1%、医療機関からの報告頻度は0.03%となっております。また、今回集計対象期間内での後遺症症例、死亡症例の報告はございませんでした。
 資料1-6は以上でございます。
 続きまして、資料1-7、23価肺炎球菌ワクチンです。接種可能延べ人数は約51万人、製造販売業者からの報告は24件、医療機関からの報告は37件、うち重篤なものが10件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.0047%、医療機関からの報告頻度は0.0072%となっております。
 今回集計対象期間内での後遺症症例の報告はございませんが、製造販売業者から死亡症例が1例報告されてございます。その死亡症例については、資料1-28の4ページ目、No.5をご覧ください。こちらも調査結果の概要として、「情報不足のためワクチン接種との因果関係は評価できない」とされております。
 また、対象期間前の後遺症症例が1例ございます。資料1-25、4ページ目、No.11に詳細を示しております。こちらに関して、専門家による因果関係評価は「ααα」となっております。
 資料1-7は以上でございます。
 続きまして、資料1-8、サーバリックスについてでございます。接種可能延べ人数は2882人で、製造販売業者から3件、報告頻度は0.1%となっております。今回の報告対象期間に後遺症症例、死亡症例の報告はございませんでした。
 次に参ります。資料1-9、ガーダシルでございます。接種可能延べ人数は約7万6000人で、製造販売業者からの報告は10件、医療機関からの報告は15件、うち重篤なものが5件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.013%、医療機関からの報告頻度は0.02%となっております。今回対象報告期間内に後遺症症例、死亡症例の報告はございませんでした。
 7から9ページが報告された個別症例の一覧になりますが、製造販売業者からの報告で失神・意識消失の報告が複数ありますが、多くは転帰回復となっております。
 資料1-9は以上となります。
 続きまして、資料1-10、DPTワクチンについては、対象期間内に製造販売業者及び医療機関のいずれからの報告もございませんでしたので、説明は省略させていただきます。
 続きまして、1-11、DTワクチンでございます。接種可能延べ人数は約30万人、製造販売業者からの報告は1件、医療機関からの報告は4件、うち重篤なものが1件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.00034%、医療機関からの報告頻度は0.0014%となっております。今回報告対象期間に後遺症症例、死亡症例はございませんでした。
 7ページ目にGBS/ADEMについての評価が記載されております。今回、医療機関からGBSの可能性のある症例が1件報告されましたが、専門家の評価によりGBSとされた症例はございませんでした。専門家の意見に基づき、「GBSとは評価できない」。因果関係は「γ」と評価されております。
 資料1-11は以上でございます。
 資料1-12をご覧ください。ジフテリアトキソイドについては、対象期間内に製造販売業者及び医療機関のいずれからも報告がございませんでしたので、説明は省略させていただきます。
 一方、過去の合同会議で報告させていただいたジフテリアトキソイドの出荷量に誤りがありまして、資料の訂正について御説明させていただきます。資料1-29の1から3ページ目をご覧ください。この件については、阪大微生物病研究会において、出荷量データに誤りがあったとの報告を受けておりますので、12月25日資料の製造販売業者からの累積報告頻度のみ、0.091%から0.092%に変更となります。
 同様に、次の破傷風トキソイドにつきましても、微生物病研究会より出荷量に誤りがあった旨、報告を受けておりますので、こちらにつきましても、医療機関からの報告頻度のみ、0.00053%から0.00052%へ変更させていただきます。
 委員の先生方には大変御迷惑をおかけしますとともに、改めて安全性について御評価いただきますようお願い申し上げます。
 次に、資料1-13、破傷風トキソイドになります。接種可能延べ人数が約17万人、製造販売業者からの報告は1件、医療機関からの非重篤報告が1件ございました。報告頻度は、ともに0.00057%となっております。また、後遺症症例、死亡症例の報告はございませんでした。
 資料1-13は以上となります。
 資料1-14、不活化ポリオワクチンになります。接種可能延べ人数が約9000人、製造販売業者から1例報告がありますが、報告期間後の3月8日の追加報において、不活化ポリオワクチンではなく、4種混合ワクチンとして訂正報告されておりますので、説明は省略させていただきます。
 資料1-14は以上となります。
 続きまして、資料1-15、4種混合ワクチンでございます。接種可能延べ人数約88万人、製造販売業者からの報告は2件、医療機関からの報告は26件、うち重篤なものが14件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.00023%、医療機関からの報告頻度は0.0030%となっております。今回集計対象期間内で医療機関から後遺症症例が1例報告されてございます。
 9ページ目がGBS/ADEMについての評価でございます。今回、医療機関からADEMの可能性のある症例が1件報告されましたが、専門家の評価によりADEMとされた症例はございませんでした。詳細は資料1-26の1ページのNo1をご確認ください。専門家の意見に基づき、因果関係評価は「γ」と評価しております。
 10ページ目がアナフィラキシーのまとめになっており、対象期間前の症例でアナフィラキシーとして報告された症例がございましたが、専門家評価によって、ブライトン分類3以上とされたものはございませんでした。
 死亡症例につきましては、資料1-28の1ページ目、No.1および4ページ目のNo.6をご覧ください。No.1につきましては、対象期間前の報告でございまして、資料1-5、水痘ワクチンで御説明した症例と同一でございます。また、No.6は、報告対象期間後の症例でございまして、現在、詳細は調査中のため、調査結果が得られ次第、改めて御報告させていただきます。
 資料1-15は以上でございます。
 資料1-16をご覧ください。13価肺炎球菌ワクチンになります。接種可能延べ人数は約93万人、製造販売業者からの報告は16件、医療機関からの報告は34件、うち重篤なものは28件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.0017%、医療機関からの報告頻度は0.0037%となっております。今回の集計対象期間内での医療機関からの死亡症例が3例報告されておす。また、6か月間の死亡症例の報告頻度は10万接種あたり0~0.17となっており、この数値は急ぎの検討が必要とされる0.5を下回っております。
 死亡症例については、資料1-28の2から4ページ目、No.2、3、4、6、7をご覧ください。報告対象期間内の事例であるNo.2、3、4については、「ワクチン接種との因果関係も不明である」とされており、対象期間後のNo.6、No.7については、現在、詳細は調査中のため、調査結果が得られ次第、改めて報告させていただきます。
 13ページ目、アナフィラキシーのまとめになります。対象期間内に3件、対象期間前の症例で2件報告されておりますが、専門家の評価により、ブライトン分類が3以上とされたものはございませんでした。
 資料1-16は以上でございます。
 また、肺炎球菌ワクチンに関しても資料訂正がございますので、資料1-29の4ページ目、5ページ目をご覧ください。前回報告させていただいた7価及び13価肺炎球菌ワクチンの症状別一覧において、ある1症例の肺炎球菌ワクチンの集計をする際に、13価とすべきところ7価で集計していたことが分かりました。この症例の追加に伴って、12月25日の資料の数値等を修正させていただきまして、公表資料の差替えを行わせていただきます。よろしくお願いいたします。
 次に、資料1-17、Hibワクチンになります。接種可能延べ人数は約88万人、製造販売業者からの報告は11件、医療機関からの報告は32件、うち重篤なものが25件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.0012%、医療機関からの報告は0.0036%となっております。今回集計対象期間内で医療機関からの死亡症例が3例報告されております。また、6か月間の死亡症例の報告頻度は10万接種あたり0~0.17となり、急ぎ検討が必要とされる0.5を下回っております。
 13ページ目は、アナフィラキシーのまとめでございます。対象期間内に3件、対象期間前の症例で2件報告がなされましたが、専門家の評価により、ブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。
 死亡症例については、いずれも資料1-16の13価肺炎球菌ワクチンで御説明した症例と同一となります。
 資料1-17が以上となります。
 資料1-18をご覧ください。BCGワクチンとなります。接種可能延べ人数約21万人、製造販売業者からの報告は3件、医療機関からの報告は36件、うち重篤なものは16件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.0014%、医療機関からの報告頻度は0.017%となっております。今回集計対象期間内で医療機関から後遺症症例が1例報告されてございます。
 後遺症症例については、資料1-25をご覧ください。No.1が対象期間内の症例となります。専門家による因果関係の評価は「ααα」となっております。No.2、No.3は、対象期間前の症例で、再評価いただく症例となっております。
 8ページ目がアナフィラキシーのまとめでございます。対象期間内に2件報告されましたが、専門家の評価により、ブライトン分類3以上とされた症例はございませんでした。
 資料1-18は以上となります。
 続きまして、資料1-19、日本脳炎ワクチンでございます。接種可能延べ人数は約115万人、製造販売業者からの報告は3件、医療機関からの報告は16件、うち重篤なものは5件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.00026%、医療機関からの報告頻度は0.0014%となっております。今回対象期間内、後遺症症例、死亡症例の報告はございませんでした。
 対象期間前の後遺症症例が1例ございます。資料1-25、No.6をご覧ください。こちらは、専門家による因果関係評価は、因果関係評価は「γγγ」となっています。
8ページ目、GBS/ADEMについての評価となります。対象期間前、再評価いただく症例で1症例報告がありましたが、専門家の評価により、ADEMとされた症例はございませんでした。
 資料1-19は以上となります。
 資料1-20、B肝ワクチンでございます。接種可能延べ人数が約106万人、製造販売業者からの報告は10件、医療機関からの報告は24件、うち重篤なものが18件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.00094%、医療機関からの報告頻度は0.0023%となっております。今回集計対象期間内で医療機関からの死亡症例が3例報告されております。
 また、11ページ目がアナフィラキシーのまとめとなっておりまして、対象期間内に2件、対象期間前の症例で3件報告されましたが、専門家の評価により、ブライトン分類3以上とされたものはございませんでした。
 死亡症例については、いずれも資料1-16の13価肺炎球菌ワクチンで御説明した症例と同一となります。
 資料1-20は以上となります。
 資料1-21、ロタウイルスワクチン(1価)の資料となります。接種可能延べ人数は約28万人、製造販売業者からの報告は14件、医療機関からの報告は18件、うち重篤なものが17件でございました。製造販売業者からの報告頻度は0.0051%、医療機関からの報告頻度は0.0065%となっております。今回集計対象期間内で、医療機関から死亡症例が3例報告されてございます。死亡症例については資料1-16の13価肺炎球菌ワクチンで御説明した症例と同一となります。
 11ページ目、アナフィラキシーのまとめでございます。対象期間内に2件、対象期間前の症例で2件報告されましたが、専門家の評価によりブライトン分類が3以上とされた症例はございませんでした。
 資料1-21は以上となります。
 続きまして、資料1-22、5価のロタウイルスワクチンとなります。接種可能延べ人数は約18万人、製造販売業者からの報告は8件、医療機関からの報告は8件、うち重篤なものが7件でございました。報告頻度は、いずれも0.0044%となっております。今回集計対象期間内で後遺症症例、死亡症例の報告はございませんでした。
 8ページ目にアナフィラキシーのまとめを示させていただいておりまして、対象期間内に1件、対象期間前の症例で1件報告されましたが、専門家の評価により、ブライトン分類が3以上とされた症例はございませんでした。
 資料1-23をご覧ください。こちらは、ロタウイルスワクチンによる腸重積の発生状況について、これまでの会議と同様に、製造販売業者であるグラクソ・スミスクライン社、MSD社より資料の提供を受けております。
 資料の2ページ目から6ページ目は、ロタリックスについて、7ページ目以降は、MSD社のロタテックについて、ロタリックスと同様にまとめた資料構成となっております。
 資料1-23までが以上となります。
 次に、資料1-24はインフルエンザワクチンについてでございます。こちらについては、2020年10月から12月末までの結果をまとめております。
 1ページ目をご覧ください。資料構成がほかのワクチンとやや異なりますので、御説明させていただきます。接種可能延べ人数は、表下の注意点2つ目に記載させていただいており、約6641万人となっております。合計は表の一番下で、製造販売業者からの報告は54件、医療機関からの報告は288件、うち重篤なものが98件でございました。報告頻度は、製造販売業者からが0.000081%、医療機関からの報告頻度は0.00043%となっております。死亡症例は、医療機関から3例報告されてございます。
 3ページ目でございます。患者性別が上段で示されていまして、中段は年齢別の内訳を集計した結果となります。下段には、参考として2019年/2020年シーズン、2018年/2019年シーズンのものを記載させていただいております。1ページ目で先ほど御説明させていただいた今回の報告頻度と昨シーズンのものと比べて、特段高いという状況ではございませんでした。
 後遺症症例については、資料1-25をご覧ください。こちらの2ページ目、No.5、7、8、9、10、12、13、14、15、16がインフルエンザワクチン接種後の後遺症症例となっております。専門家による因果関係評価及び意見は右側のカラムに示しており、「因果関係が否定できない(α)」とされた症例が4ページ目のNo.13となっております。
 資料1-23に戻っていただきまして、23ページのGBS/ADEMの評価についてでございます。今回、医療機関からGBS/ADEMの可能性のある症例が10件報告されましたが、専門家の評価によりGBSとされた症例が1例、ADEMとされた症例が1例でございました。
 詳細は、資料1-26となります。ADEMとされたものは、ページ4、No.11でございます。一番右側に事務局評価を記載させていただいておりまして、専門家の意見に基づいて、「ブライトン分類3以上のADEM症例」因果関係評価は「γ」としております。
 GBSとされたものは資料1-26のページ6、No.5となります。こちらは専門家の意見に基づいて「ブライトン分類3以上のGBS症例」となりまして、因果関係評価は「α」と評価しております。
 24ページ目がアナフィラキシーの可能性のある症例についてまとめたものになります。アナフィラキシーとして報告された数、ブライトン分類3以上とされた報告数、その報告頻度を製造販売業者ごと、ロットごとに集計しております。全体的な合計については、表の一番下に記載しております。全体で25件報告があり、うちブライトン分類3以上とされたものが6件となっております。
 25ページ目は昨シーズンの結果で、特段大きな違いはございませんでした。
 死亡症例については、資料1-28の6ページ目、No.1、2、3をご覧ください。いずれも「ワクチン接種との因果関係は不明である」とされております。
 資料1-24の説明は以上となります。
 資料1-25が後遺症症例、資料1-26がADEM/GBS症例、資料1-27がアナフィラキシー症例、資料1-28が死亡症例で、各ワクチンの資料でも説明しております。
資料1-25で、後遺症症例は16件をまとめております。
資料1-26において、ADEMは、11症例中ブライトン分類3以上の症例は4ページ目のNo.11の1症例報告されておりまして、因果関係評価は「γ」とされております。GBSは6症例報告されておりまして、ブライトン分類3以上とされたものはNo.5の1症例で、因果関係評価は「α」とされております。
 資料1-27につきましてはアナフィラキシーになりまして、アナフィラキシーは34症例中、ブライトン分類3以上と評価されたものは、2020/2021シーズンインフルエンザHAワクチンの6症例、昨シーズンインフルエンザHAワクチンの1症例です。
 資料1-28の死亡症例についてですが、対象期間前の1症例で因果関係評価は「β」、対象期間内が4症例で因果関係はいずれも「γ」、対象期間後が2症例で現在調査中となっております。また、2020/2021シーズンインフルエンザワクチンの死亡症例は3症例で、因果関係はいずれもγとなっております。
 最後に、資料1-29は資料訂正についてでございます。こちらは、各項目で御説明させていただいておりますので、説明は以上となります。
 御審議のほどよろしくお願いいたします。
○森尾座長 御報告ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの説明につきまして、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
 お願いいたします。
○倉根委員 個々に関する質問ではないので、ここでの質問に完全にはフィットしないかもしれませんが、ここで出していただいているのは、納入数を母数として出していただいているのですけれども、全体的には、COVID-19の問題があって、去年から今年にかけてワクチンの接種率といいますか、接種数といいますか、その前の年に比べていかがでしょうか。かなり減っているのでしょうか、あるいは余り減っておらないということでしょうか。小児が多いだろうと思いますけれども、もし情報としてあれば伺いたいなと思いました。
○森尾座長 ありがとうございます。
 事務局からいかがでしょうか。事務局、お願いします。
○事務局 今回の数字の中で、特段大きく減少したというほどの数字は認められていないと認識しております。接種回数が推計として出ていると思います。こちらのほうでは、このほかに政令市に御協力いただきまして、特に去年、緊急事態宣言が出ていた頃の接種数についてお伺いして、その数字についても分析して公表しておるのですけれども、確かに4月頃、一時的に落ち込みがありましたけれども、その後は回復して、かえって例年よりも6月、7月頃は多かったりということもございましたので、大きな落ち込みにはなっていないと捉えています。
 また、その中でも、0歳児のワクチンについては、もともと余り影響はなくて、小学生ぐらいで接種するワクチンについて、4月頃に落ち込みがあって、その後持ち直したと認識しております。
○倉根委員 どうもありがとうございました。
○森尾座長 ありがとうございます。重要な御質問をいただいたと思っております。
 ほかにはいかがでしょうか。
 舟越委員、お願いします。
○舟越委員 舟越です。
 資料1-8と資料1-9のサーバリックスとガーダシルの件で確認です。基本的に迷走神経反射ということを含めての副反応に対しては、おおむね回復しているので、そちらに関しては指摘、コメントはありませんが、先ほど委員のほうからもデータとしてありましたが、これまでの接種から比べると、この会でも議論して、去年の10月にリーフレットの改訂版がリリースされたと思うのですが、その影響もあって、ガーダシルのほうは出荷量としては7万6000人ぐらい推定接種人数が増えたと事務局のほうでは評価しているのかというところを、1つ確認させていただきたいと思います。
○森尾座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
 まず、ガーダシルの接種回数でございますけれども、御指摘のように、資料の1-9の10ページをご覧いただきますと、情報提供資材の個別送付以前から徐々に伸びてきている傾向がございました。一番少ない時期では、3か月、4か月で2000人、3000人ぐらいであったところ、平成31年頃から1万人ぐらいになってきておりますし、徐々に伸びてきているという状況にあったと認識しております。令和2年10月以降は、情報提供資材を市町村から各被接種者の方のところに個別にお届けするような取組、この部会でも長く御議論いただきましたけれども、そういった取組が始まっておりますので、そういったことも寄与している可能性があると考えております。
○舟越委員 ありがとうございます。
 あと、ここの議論ではないと思いますが、医療現場ではシルガード9、9価が非常に盛り上がっています。上位の会議かと思いますが、方向的にはまだ任意接種、定期接種のほうに入るような話にはなっていないという状況でしょうか、教えていただければと思います。
○森尾座長 事務局、お願いします。
○事務局 事務局でございます。
 シルガード9の定期接種化につきましては、基本方針部会の下のワクチン評価小委のほうで検討しているところでございます。感染研を中心にファクトシートをつくっていただいて、先日の小委員会でそのファクトシートが報告されたところです。
 ただ、1点、そのときにメーカーにヒアリングを行わせていただいたときに、メーカーから、定期接種の需要を満たすワクチンの供給量を供給するためには、いましばらく時間がかかるという御表明もございましたので、そういったことも勘案する必要があると思いますが、国のほうとしては、今後も引き続き議論していきたいと考えております。
○舟越委員 ありがとうございました。
○森尾座長 重要な情報、ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。御議論、どうもありがとうございました。
 それでは、議論の内容をまとめたいと思います。個別ではなくて、大枠でまとめたいと思いますので、皆様、御一緒ください。
 まず、副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特段高いことはない。今までに比べて特段高いことはないということでございます。
 インフルエンザワクチンについては、副反応疑い報告数、死亡数、アナフィラキシーの発生頻度等については、昨シーズンのそれらと同等程度であり、大きな変化はございませんでした。
 後遺症についてでございますが、報告は対象期間内に10例が報告され、うちBCGワクチンの単独接種の1例、インフルエンザワクチンの単独接種の1例で、ワクチンとの因果関係が否定できないとされました。また、対象期間前に6例が報告され、うちBCGワクチンの単独接種2例、23価肺炎球菌ワクチンの単独接種で1例においてワクチンとの因果関係が否定できないとされました。
 ADEMについてですが、可能性があるとされた症例は11件報告されました。そのうち医療機関報告では、インフルエンザワクチンの単独接種の1例がADEMとされましたが、いずれも専門家の評価ではワクチン接種との因果関係は評価できないとされました。
 ギラン・バレー症候群の可能性のある症例は6例報告されました。そのうちインフルエンザワクチンの単独接種の1例で、専門家の評価では因果関係は否定できないとされましたが、残りの5例は、いずれもワクチン接種との因果関係は評価できないとされました。
 ブライトン分類3以上のアナフィラキシーと評価された症例は、2020/2021シーズンインフルエンザワクチンの6症例、昨シーズンインフルエンザワクチンの1例でございました。
 死亡症例は、対象期間内に、13価肺炎球菌ワクチン・ヒブワクチン・B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンの同時接種症例で3例、23価肺炎球菌ワクチンの単独接種で1例、インフルエンザワクチンの単独接種で3例あり、いずれもワクチンとの因果関係は評価できないとされました。
 同じく死亡症例で、対象期間前の4種混合ワクチン・水痘ワクチンの同時接種症例で詳細調査の結果が報告され、ワクチン接種との因果関係は認められないとされました。
 対象期間後に報告された2例につきましては、現在、詳細情報を調査中であり、次回以降に改めて報告される予定でございます。
 なお、13価肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの6か月における死亡例の報告頻度は、いずれのワクチンも、急ぎ検討が必要とされる、これは基準が定められている10万接種当たり0.5を下回っておりました。
 このような形でまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○森尾座長 ありがとうございます。
 それでは、御審議いただいたワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 それでは、次に移りたいと思います。議題(1)に関連してでございますが、事務局から、資料の作成に関するルールについて報告があると伺っております。PMDAのほうから、次回以降の定例ワクチンの合同部会での個別症例評価の提示について御説明をお願いいたします。
○医薬品安全対策第二部長 コロナワクチン以外の定例ワクチンの個別症例評価に係る事務局評価の表記の変更について説明させていただきます。
 これまで定例ワクチンにつきましては、基本的には複数の専門家による評価を行い、各専門委員の評価とともに、当該評価を踏まえた最終的な事務局総合評価を提示してきたところです。
 今般、新型コロナワクチンについて、定例ワクチンでの従来の本質的な評価方法は変更せず、資料作成に当たっては、事務局総合評価のみを提示させていただいており、これまでのところ、当部会での評価に明らかな支障はないことと承知しております。事務局へのハンドリングの効率化が主な理由とはなりますが、今後の定例ワクチンの資料作成に当たっても、今般の新型コロナワクチンと同様の評価法で事務局総合評価のみを提示させていただくこととさせていただこうと思っております。
 なお、評価方法については、これまでと同様に、複数の専門家による評価を基に最終的な事務局案を御提示いたしますし、評価記号以外に上がってきた特記すべきコメントについては、これまでどおり提示させていただきますので、評価そのものの本質的な変更を伴うもではないことを申し添えさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 ただいまの事務局からの説明につきまして、何か質問や御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○森尾座長 それでは、今後はこちらのルールに従って、資料の作成をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、資料2「予防接種後健康状況調査報告書」について、事務局のほうから説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
 資料2でございますけれども、「2019年度予防接種後健康状況調査集計」が報告されてまいりましたので、こちらで御報告させていただきます。
 資料2の36ページ目をご覧ください。本資料、かなり膨大な資料になってございまして、概論のみ簡単に御紹介させていただきたいと思います。本報告書でございますけれども、総論のところにございますように、新型コロナワクチンと同様、副反応疑い報告に基づくものと、それから、こちら、予防接種後健康状況調査がございまして、こちらに関しましては、当該のそれぞれのワクチンにおきまして、接種後に認められる比較的頻度の高い健康状況の変化を全方視的に調査したものでございます。
 本調査の目的でございますけれども、国民の皆様が正しい理解の下に予防接種を受けることができるよう、接種前に個々のワクチンの接種予定数を報告医毎に決め、接種後、それぞれのワクチン毎に一定の観察期間を通じ、接種後の健康状況調査を実施することによって、その結果を広く国民の皆様に知っていただくことで、有効かつ安全な予防接種を受けていただけるよう提供しているものでございます。
 調査の方法といたしましては、指定の医療機関におきまして、予防接種の際に、本調査に御協力いただける御本人あるいは保護者にお願いさせていただきまして、調査票をお渡ししており、回収したものを年度ごとに厚生労働省でまとめて御報告させていただいております。今回、2019年度の集計分がまとまりましたので、御報告させていただいております。
 少し戻りますけれども、1ページ目にリストを挙げさせていただいておりますとおり、調査の概要のところでございますけれども、4種混合ワクチン以下、従前と同様の11種のワクチンに対する詳細な情報といたしまして、性別や年齢、接種部位別、症状別、発現日別など、様々な集計結果を御報告させていただいておりますので、適宜、広く皆様に御参照、御利用いただければと思っております。
 以上、概論でございますけれども、この場を借りまして、この調査票を御記入いただきました保護者の方、また御協力いただきました自治体、日本医師会、指定の医療機関の皆様に厚く御礼申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○森尾座長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの説明につきまして、何か御意見とか質問等ございますでしょうか。
 多屋先生、よろしくお願いします。
○多屋委員 いつも膨大な資料をおまとめいただきまして、ありがとうございます。
 期別全数・接種部位別という表の47、48、49ページになるのですけれども、前回の報告から、接種部位別にどのぐらいの割合で、どこに接種されたかというのがまとめられていると思うのですけれども、上腕でもなく大腿でもない方が、例えばヒブ、肺炎球菌、日本脳炎も100人ぐらいいらっしゃるのですが、その他というのはどのような場所に接種されたかというのは分かっているのでしょうかというのが1つ。
 もう一点は、この調査は比較的頻度の高い報告が何%ぐらいで起こっているのかというのを出すための資料だと認識しているのですが、極めてまれに発生する重篤な副反応についても報告できるようにしましたとなっています。その結果というか、その情報というのは、どこかに報告されていると思っていていいのでしょうか。
 以上2点について教えてください。
○森尾座長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
 まだこちらの報告資料が上がってきて間もないので、事務局で2点宿題として、また御回答させていただいてもよろしいでしょうか。ありがとうございます。
○森尾座長 それでは、次回以降、どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。
 それでは、議題(1)の審議は以上となります。
 長いお時間いただきましたけれども、そのほか、全体を通じまして、何か御質問とか御意見がありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 山縣委員、お願いします。
○山縣委員 いろいろありがとうございます。
 新型コロナ関係で、前回、ちょっとお願いして、認知症の方とか意思決定が難しい方に対してのお話しをさせていただきましたが、ちょうどその日に、4月23日に、そういう方々を含めて、厚労省から通知を出していただいて、恐らくこれで現場はかなり安心して、同意問題も含めて接種できるのではないかと思いました。同意問題は、結局、副反応とか、いろいろな有害事象が出たときにも課題になると思いますので、対応していただきまして、本当にありがとうございました。
 以上です。
○森尾座長 ありがとうございます。タイムリーな発出、どうもありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 すみません、今後、モデルナとかアストラゼネカのワクチンの承認が行われる予定ではないかと思います。ファイザーのときもこの副反応部会を経ないと接種が開始できないということで、調整をかなり急いだわけですけれども、今後もモデルナとかアストラゼネカのワクチンの場合には、同じような過程を踏むと考えてよろしいのでしょうか。
○森尾座長 事務局、お願いします。
○事務局 ワクチンが承認されたときに、臨時接種に導入するために必要なプロセスについてのお尋ねでございます。
 薬・食審のほうで承認の議を経た後、承認されるということになると思いますけれども、その後、予防接種法上の接種に位置づけるためには、その旨の政省令の改正が必要になります。当部会の担任事項といたしましては、副反応報告基準を定めるということがございますので、その報告基準をここの部会で、新しいワクチンに関しても同じでいいか、あるいは変える必要があるかということは、御確認いただく必要があると認識しております。日程調整等がなかなか不透明な中で、先の日程が分からない中で、先生方には急に御無理をおかけする可能性がなきにしもあらずですけれども、早期に接種体制を取っていくということが非常に重要な局面でございますので、何とぞ御協力を賜りたいとお願い申し上げます。
○森尾座長 濱田委員、どうぞ。
○濱田委員 すみません、それは、この委員会と別にやるということですね。
○森尾座長 事務局、お願いします。
○事務局 いえ、この副反応検討部会が副反応報告基準についても定めることになります。
○濱田委員 そうなのですけれども、例えば今回みたいに、この委員会を開いた後に、議題の3番目とか4番目でやるということと考えてよろしいのですか。
○事務局 ありがとうございます。そこは日程調整上の問題だと思いますので、たまたま一致する場合もあると思いますし、そうでない場合もあると思います。そのときにまた御相談させていただきます。
○濱田委員 分かりました。
○森尾座長 皆さん、心構えをよろしくお願いいたします。
 長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 今の濱田先生の御発言に関連してですけれども、もし今後、この部会において副反応についての検討が必要な場合には、集められて、その日に配られて、はい、どうでしょうというのではなくて、あらかじめ我々独自で集めている情報以外の、厚労省が持っていらっしゃる情報をきちんと提供していただきたいなと思います。特に、アストラゼネカなどの副反応に関しては、今までと違うモダリティになりますので、その辺、どうぞよろしくお願いいたします。
○森尾座長 事前情報提供時期についてでございますが、できるだけ早くということですけれども、事務局、お願いします。
○事務局 例えば、薬・食審の審査報告書であるとか、どういったものが御提供できるか、そのとき、そのときにお示しできるようにしたいと思っております。事前に未公開のものというところまで、なかなか難しいかも分かりませんけれども、引き続き努めていきたいと思います。
○森尾座長 どうぞよろしくお願いいたします。
 ほかにはいかがでしょうか。
 舟越委員、どうぞ。
○舟越委員 ありがとうございます。
 今回、参考人で参加いただいた紙谷先生のVAERSからのVSDみたいなものが日本で実現できたらなと思っているところですが、事務局に1つ、後日で結構なのですが、質問です。医薬品のほうは、今、MID-NETが動いていて、幾つかの病院とは電子カルテの部分で、匿名化しての情報吐き出しで疫学調査に使っていると思います。医療情報のデータベースの基盤について、こういったワクチン関係には、まだ1つも事業として動いていないようです。局としてはちょっと違うと思うのですけれども、日本で医療情報のデータベースの基盤はあるので、どうにかそういったことができないのかなということは、紙谷先生のお話を聞いていて思ったところです。
 すみません、コメントまでです。
○森尾座長 どうぞ、お願いします。
○事務局 事務局でございます。
 この課題は、私ども、かねてからの重要な課題だと思っております。まず、VAERSについては、まさにこの副反応疑い報告と、この審議会がそれに相当するものだと思っておりますので、引き続き先生方の御示唆を賜りたいと思います。
 VSDに関しましては、予防接種を接種した記録と、臨床情報なり、レセプトの情報をひもづけるというところに1つ大きなポイントがございます。カルテの情報だけ集めても、予防接種歴はなかなか入らないというところです。それを両方持っている人は誰で、どう分析すればいいのかということをずっと試行錯誤しておりまして、現在、国のほうでやっている事業としては、両方持っている、ある市町村にお願いして、予防接種台帳の情報と、そこの市町村が持っている国保と後期高齢者のレセプトの情報を突合した上で、匿名化して提出いただいて、それを分析するということを試行的に始めております。1つの市町村だとどうしてもnが少ないので、それをもって、まれな副反応の評価をするというところまで、なかなか難しいのが現時点での状況だと思います。
 また、レセプトの情報ですので、どうしても病名のつけ方といったところに、どう解釈していいかという課題があるということかと思います。
 もう一つ、当部会でもお出ししたことがあるのは、NDBの情報で、例えばロタワクチンの接種率が伸びてきた時期に、腸重積の症例が増えたかどうかという情報を、この部会でもお示しさせていただいたことがございます。ビッグデータをどう使うかということは、私ども、非常に重要な課題だと思っておりますので、アメリカの取組から見ると、まだ匍匐前進しているようなところだと思いますけれども、これからも一生懸命考えながら努力していきたいと思います。
○森尾座長 どうぞよろしくお願いいたします。
 宮川委員からコメントございますか。
○宮川委員 今、事務局からコメントしていただいたわけですけれども、VSDに関しては、アメリカの場合、保険会社がコンソーシアムとしてまとめているというところで、国としてやっているわけではなくて、かなり利害関係も含めて、そのような事情が存在しているところがあります。確かに事務局が申されたように、これをまとめていくのはかなり難しい作業になっていくのではなかろうかと思うので、今後も先生方、いろいろ知恵を出しながら、まとめていくことが必要なのではないかなと思います。
 以上です。
○森尾座長 貴重なコメント、ありがとうございました。
 そのほか、委員の皆様からいかがでしょうか。どうもありがとうございます。
 それでは、本日の議事は以上となります。
 そのほか、事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 本日は、長時間にわたり活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
 次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡さしあげます。
○森尾座長 どうもありがとうございました。
 本日は、会議をこれで終了とさせていただきます。活発な御議論、どうもありがとうございました。閉会させていただきます。