第12回厚生科学審議会がん登録部会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

平成30年6月28日(木)13:00~16:00
 

場所

TKP新橋カンファレンスセンター 3階 ホール3A

議題

(1)院内がん登録について(報告)
(2)模擬審査2
(3)その他

議事

 
○事務局(安藤) 定刻となりましたので、ただいまより、第12回「厚生科学審議会がん登録部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
健康局がん・疾病対策課、安藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、委員の出欠状況でございますが、本日は、川本委員、永井委員、名越委員、山中委員、山本委員より、御欠席の御連絡をいただいております。また、本田委員より、遅れて御到着との御連絡をいただいております。
本日のがん登録部会の委員定数24名に対しまして、現在出席委員が18名でございますので、議事運営に必要な定足数13名に達していることを御報告申し上げます。
本日は、3名の参考人に御出席いただいております。
国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センターのセンター長、東尚弘参考人です。
全国がん登録室室長、松田智大参考人です。
全国がん登録分析室室長、柴田亜希子参考人です。
それでは、以降の進行は辻部会長にお願いいたします。
○辻部会長 皆様、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、最初に、事務局から資料の確認をお願いします。
○事務局(安藤) それでは、資料の確認をさせていただきます。
上から、
座席表
議事次第
資料1 院内がん登録について
資料2 全国がん登録 情報の提供マニュアル 別添 利用規約(仮称)(修正案)
資料3 全国がん登録 情報の提供マニュアル 別添 利用者の安全管理措置(仮称)(修正案)
資料4 全国がん登録 情報の提供マニュアル 別添 審査の方向性(仮称)(修正案)
資料5 模擬審査2のポイント
資料6 模擬申請-1(前回資料を改編)
資料7 模擬申請-2(前回資料を改編)
資料8 模擬申請-3
参考資料1 厚生科学審議会がん登録部会委員名簿
また、委員の皆様の机上には、参考資料1~17をまとめたファイルと、模擬審査で使用予定のチラシ「『全国がん登録』をご存じですか」を御確認いただければと思います。
資料の不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
以上をもちまして、撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう、御協力をお願いいたします。
○辻部会長 皆様、資料に問題はございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、議事に入りたいと思います。
議題1「院内がん登録について」に入ります。
事務局から、資料1の説明をお願いします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
資料1を御用意ください。院内がん登録について、今回、整理をいたしましたので、御報告をいたします。
2ページ目をごらんください。がん登録等の推進に関する法律、第2条第4項で、「院内がん登録」について、「病院でがん医療の状況を適確に把握するため、当該病院で行われたがんの罹患、診療、転帰等に関する詳細な情報を記録し、保存すること」とされております。また、がん登録法第44条第1項では、院内がん登録は厚生労働大臣が定める指針に即して実施するよう努めるものとされております。
3ページ目、また、がん登録法第20条では、院内がん登録等のため、当該病院等の都道府県がん情報(生存確認情報等)の提供の請求を受けたときは、都道府県知事は提供を行わなければならない旨、規定されております。こちらの生存確認情報とは、具体的には、生死区分、最終生存確認情報、死亡日、原死因が提供されることとなっております。これらを前提に、院内がん情報の取り扱いについて整理し、病院や都道府県と関係者に周知を図ることとしたいと思います。まず、①、院内がん情報の活用について、②、病院等における法第20条に基づき受領した情報の取り扱いについて、③、留意事項に関しまして、今回、お示ししたいと思います。
4ページ目の図をごらんください。まず、院内がん情報とは、そもそも病院内の診療録等から集められている情報と、院内で得ることができない生存確認情報を都道府県がん情報から提供されたもので構成されております。まずは、この院内がん情報の活用についてお示しします。
5ページ目、院内がん情報の活用について、院内がん登録に関しましては、『全国がん登録事業、院内がん登録事業及び地域がん登録事業に関する「個人情報の保護に関する法律」、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」及び「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」の取扱いについて』、昨年5月30日付で、以上の健康局通知を発出しております。こちらで、院内がん登録事業において、がん登録法の規定に基づき、医療機関が、当該病院において診療が行われたがんの罹患、診療、転帰等に関する詳細な情報を記録し、及び保存する場合並びに国立研究開発法人国立がん研究センターへ当該情報を提供する場合は、本人の同意は必要ないと整理されました。院内がん登録は、がん登録法を根拠に推進され実施されているところでございます。また、2ページで御説明したとおり、がん登録法第44条第1項において、病院の開設者及び管理者は、厚生労働大臣が定める指針に即して院内がん登録を実施するよう努めるものとされております。なお、院内がん情報の活用については、指針で次ページに示す内容に整理されております。
6ページ目をごらんください。「院内がん登録の実施に係る指針」において、院内がん情報の活用により、以下の効果が期待されております。病院において、当該病院において診療が行われたがんの罹患、診療、転帰等の状況を的確に把握し、診療の結果等を評価すること及びほかの病院における評価と比較すること。院内がん情報等を適切に公表すること。国立がん研究センターに提供すること。また、国立がん研究センターにおいては、院内がん情報等を全国規模で収集し、当該情報をもとにしたがん統計等の算出等を行うこと。院内がん情報等を適切に公表すること。また、行政においては、病院及び国立がん研究センターにおいて公表された院内がん情報を活用し、がん対策の企画立案やがん医療の分析及び評価を行うことが期待されております。これらの場合は、がん登録法に基づき、本人の同意なく活用できます。
次に、7ページ目、院内がん情報のうち法第20条に基づき都道府県がん情報から提供された生存確認情報等の取り扱いについて、御説明いたします。
8ページ目、院内がん情報については、指針の第三「個人情報の取扱いについて」等の規定に基づき、適切な管理や利用、保有等が行われているところです。加えて、病院等において、院内がん情報のうち、がん登録法第20条に基づき提供を受けた都道府県がん情報(生存確認情報等)については、各病院の院内がん登録データベースに記録・保存されるところ、がん登録法第30条から第34条までの規定の基づき、適切な管理や利用、保有等を行う必要がございます。上記に関して、特に(ア)管理方法や(イ)保存期間の取り扱いは、以下のとおりといたします。管理方法について、がん登録法第30条において、情報の提供を受けた者は、情報について適切な管理のために、必要な措置を講じなければならないとされております。
この規定に関しまして、具体的な取り扱いについては、9ページをごらんください。がん登録法第20条に基づき提供された院内がん登録データベースに保存された都道府県がん情報(生存確認情報等)は、病院等において、まず、院内がん登録データベースへ保存し、当該病院の診療情報と区別できるようにすること。さらに具体的には、カルテに転記をしないこと。ほかのデータベース等への転用はしないこと。前述の院内がん情報の活用にのみ利用すること等の取り扱いとさせていただきたいと思います。(イ)保有期間についてです。がん登録法第32条の規定により、都道府県がん情報の提供を受けた者は、政令第10条第2項で定める期間を超えて保有してはならないとされております。具体的な保有期間としましては、マル1、原則として、提供を受けた日から5年を経過した日の属する年の12月31日または調査研究を実施する期間の末日のいずれか早い日までの間。ただし、マル2、例外的には、都道府県がん情報を長期にわたり分析する必要がある場合等として都道府県の規則で定める場合には、提供を受けた日から15年を経過した日の属する年の12月31日または調査研究を実施する期間の末日のいずれか早い日までの間、保有できるものとされております。
10ページ目、病院等において、院内がん情報を用いて5年生存率、10年生存率の算出等を行っている実態があり、これらは都道府県がん情報(生存確認情報等)を長期にわたり分析する必要がある場合に当てはまると考えられます。以上を踏まえまして、院内がん登録のために都道府県がん情報(生存確認情報等)の提供を受けた場合については、9ページの②の保有期間とするという方向性を国からあらかじめ都道府県に示させていただきたいと思います。
11ページ、③、留意事項です。院内がん情報の第三者提供に関しまして、まず、病院等における診療録等の情報は、当該病院における診療の用に供するために得られた情報であり、第三者提供等については、その利用目的及び各病院等が遵守すべき法令等に基づき、必要な手続を経て行われているところでございます。第三者提供等に際しましては、院内がん情報が含まれる場合がございますが、がん登録法第20条に基づき提供された都道府県がん情報(生存確認情報等)を除き、病院等における診療録等の情報であることに鑑み、各病院等が遵守すべき法令等に基づき、必要な手続等を経て、活用するものとしていただきたいと思います。
最後、12ページ目をごらんください。国立がん研究センターにおける院内がん情報の取り扱いでございます。院内がん情報の第三者提供のうち、病院等から国立がん研究センターへの提供については、がん登録法第44条第1項及び指針に基づき、本人の同意なく行われているものでございます。国立がん研究センターにおいては、院内がん情報は、がん登録法に基づき、本人の同意なく病院等から提供された情報であることに留意し、指針の第三「個人情報の取扱いについて」等の規定に基づき、適切な管理や利用、保有等を行うものとするとさせていただきます。
資料説明は、以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました内容につきまして、これは報告ということでありますけれども、さまざまな御意見や御質問があろうかと思いますので、委員の皆様から忌憚のない御意見をいただきたいと思います。
天野さんからどうぞ。
○天野委員 ありがとうございます。
1点質問でございます。
6スライド目、院内がん情報の活用についてというところがあります。もちろん、こういった院内がん登録から得られた情報については、個人情報保護等に十分留意していただきつつ、しっかりと利活用いただくことが重要だと考えているのですが、ここのスライドを見ますと、当該病院と国立がん研究センター並びに行政が例として挙げられているわけですが、希少がんの対策や小児がんの対策に関して申し上げると、ナショナルセンターとしての国立がん研究センター以外に、例えば、成育医療研究センター等でこういった情報を利活用するような場合があり得るかと思うのですが、そういった場合の第三者提供と言っていいかわからないのですが、共有というのはどの程度まで可能なのか教えていただければと思います。
○がん対策推進官 現時点では、国立がん研究センター以外に生存確認情報を伴って集められたデータを活用することはできないと考えています。たとえナショナルセンターであってもです。
○辻部会長 黒田先生。
○黒田委員 ありがとうございます。
スライドの9枚目のところでお話があった、法第20条に基づき受領した情報の取り扱いについてというところなのですが、どちらかというと意見になりますけれども、2点ほどございます。
1つ目が、「当該病院の診療情報と区別できるようにすること」及び「カルテに転記しないこと」という2点が書かれているわけですが、これに関して、病院の診療録を管理する立場から考えたときに、一つは、データベースを複数別々に持って、それを全てきちんと防御をする。個人情報をお預かりするわけですから、きちんとカルテと同じように防御をしなければいけないわけですけれども、その防御をするものの数がふえるというのは、情報管理者にとってものすごく負担が大きくなることを意味します。コスト的な意味で、データベースを2つ持つという意味でもお金はかかりますし、それを守るための人員とか手数という意味でも非常に負担がかかります。多くの場合、情報システムは可能な限り1個に集約をして、1つのデータベースを論理的に2つの方向から見ることによって違うデータベースとして見ることができるわけですから、そういう形で運用することがかなり多くあるわけです。もしもこの形で区別するようにすることが物理的に区別することを意味するのであれば、それは相当大きな負荷になってしまいますので、できる範囲で、ぜひ病院にとっての負荷がないような運用をお示しいただくかサポートをいただければということが1点目です。
2つ目は、カルテに転記しないということなのですが、診療録を管理する側からすると、患者さんのデータを、死亡されたことが別のルートでわかっているのに、それをカルテに書かずにずっと放置するというのは果たして好ましいことなのかということは非常に大きな問題だと思っていて、実際、今は電子カルテになっていますので、患者さんの年齢は死亡記録を登録しない限り永遠に延びていきます。私どもの病院のカルテでも、何人かは明らかに日本人の最高年齢を超えている方がいらっしゃるのです。亡くなっておられるのだけれども、その情報の収集はできていないという状況があるわけです。こういう形で入ってきたものがカルテに転記できないとなると、知っているのに書かないということを意味するので、それはそれで診療録の管理としてはいかがなものかという病院の管理上の問題がございます。
その2つについては、法律で定めている範囲でできないことはいっぱいあると理解していますけれども、何かしらの手が打てるような形にしていただいたほうが、病院を管理する者としてはありがたいと思います。そのあたりを御考慮いただければと思っております。
○辻部会長 中西先生、どうぞ。
○中西委員 ただいまの黒田委員の発言と同じ意見でございまして、臨床の現場にいるものとしては、この重要ながん登録情報をできるだけ活用したいと考えます。確かにカルテというのはもともと患者さん同意のもとで医療者と患者さんとの間でつくられたものではありますけれども、そこには存命時の情報だけではなくて死亡情報も入ることもあります。加えて、カルテの情報は非常に機微な情報が満載されておりますので、それに対するセキュリティーは特段の対策をとられています。むしろそこに集約することのほうがかえって安全ではないかという気も私はしております。
つきましては、この情報をより有効に活用すること、また、カルテの持っている性質が個人情報に関してはタイトなバリアになっているということを勘案していただいて、例えば、今回の提示は報告ということでありましたけれども、見直し等のときには、その取り扱いにつきましては、もちろん安全を担保した上で有効に活用できる方法を御検討いただければと思います。
○辻部会長 松本委員、どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。
患者の立場から言いますと、ちゃんと情報が守られるということはぜひお願いしたいことではあるのですけれども、せっかくの情報が利活用されてこそ私たちの命をかけた記録が生かされるものだと思っております。スライド9ですけれども、ここに書かれている生存確認情報等がうまく転記ができなかったり利用できないことが何かしらマイナスになることがあるのではないかということを、参考人の方がいいのかどうかわかりませんけれども、ぜひ少し参考までに教えていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。どなたかにお願いできればと思うのです。今、このように決められていることで、何か足かせというか、マイナスになるようなことがあるのだろうかということです。
○辻部会長 どうぞ。
○黒田委員 参考人に聞かれたのに私がお答えしてはいけないのですけれども、病院の管理をしている立場からすると、そもそもカルテに亡くなられた方の情報が入っていないというのはかなり大きな問題で、結局、カルテの中に書いていないことによって、本来お問い合わせをするべきではなかったお問い合わせを御家族に差し上げることが起こってしまう。研究プロジェクトでも同じことですよね。研究もカルテに基づいて研究が行われていますので、ここで言うと、院内がん以外の研究目的でカルテを送っていったときに、この方は亡くなっているのでしょうかというお問い合わせを差し上げることになってしまいます。それをしてしまうことによって、それは御家族にも、何を今さらということになりますし、いろいろな形で御迷惑をおかけすることは当然出てくる。
死亡された情報は、医学研究とか疫学研究においてはありとあらゆる意味においてものすごく重要な意味を持ちますので、それが正確でなければ問い合わせをしてそれを記載する作業は必ず行われますから、それが既にわかっているのに、もう一度お問い合わせを差し上げないといけないという状況になってしまうのは非常に好ましくないですし、それは大きな副作用になります。かつ、それがないことによって、それを無視して記録を分析すると、全く違う研究成果が出てくることになりますので、それも好ましくない。こういう情報は、正確な情報がそこにあるのであれば、活用できるようにすることは当然好ましいのだろうと、ふだん研究の管理をしている立場からはそう考えます。
○松本委員 ありがとうございます。
○辻部会長 坂元委員、その後に祖父江委員、どうぞ。
○坂元委員 1点、お尋ねなのですが、このがん登録情報のデータベース等について、我々自治体は、医療監視という形で、病院の立ち入りの調査を定期的に少なくとも年に1回行うことが法律によって義務づけられている。その場合、この情報に関しての提示を求めたり、保管状況のチェックとか、つまり自治体が、どういう保管状況にあるのか、どの様な状態にあるのかというのは、チェックをしても構わないという解釈でよろしいでしょうか。
○がん対策推進官 また追って確認した上で御回答させていただきます。
○祖父江委員 20条の情報ですけれども、生存確認情報の詳細な中身としては、死亡日と原死因の情報ですよね。ですから、生存確認というよりは死亡確認情報といったほうが、中身としてはふさわしいものではないですか。
○辻部会長 どうぞ。
○事務局(安藤) 生存確認情報は法律の中で記載されているものでありまして、法律の中の定義として、生死区分、最終生存確認情報、死亡日、原死因の4つが定義されているところでございます。
○祖父江委員 ただ、情報名としては、これは死亡届ですよね。死亡届に端を発した情報であって、従来、人口動態統計と呼ばれていたものの情報ではなく、死亡者情報票という名前でデータが出てくる。その情報をソースとしてこの情報を埋めているという理解でいいですか。
○柴田参考人 参考人の柴田です。
死亡日については、その御認識のとおりです。
最終生存確認日をあえてきちんと定義しています理由につきましては、年の単位で死亡を登録の方たちについて確認をしますが、その年単位での死亡日の確認をとれていないときは生存とすると定義していますので、死亡日が今回の照合で入らなかった場合に、最終生存確認日はその確認した死亡年の年末を入れることになっていまして、永遠に最終生存確認日も死亡日もわからないという状態にはしないということを重要視していますので、あえて最終生存確認日を独立させています。
○祖父江委員 ということは、最終生存確認日のほうは、届出票というか、がん登録で発生した情報に基づいて逐次アップデートをするという情報なのですね。
○柴田参考人 はい。
○祖父江委員 ちょっとお伺いしたいのは、第三者提供が禁じられているというのは統計法でそのようになったということで、そこに由来するようなデータに関しては第三者に提供することはできないということでしょうけれども、そこの縛りは、「死亡者情報票」という言い方をすることで、このがん登録法にかかわる事業に関しては統計法の縛りは受けないですよね。その中で、どうしてこの第三者提供が禁じられるようなことになるのか。法律のたてつけを何とか工夫すれば、これをカルテに転記しないとか他のデータベースへは転用しないとかと言わなくて済むような法のたてつけの修正はあり得るのですか。
○がん対策推進官 本日御報告としてお示ししたとおり、そうした使い方はできないと。
○祖父江委員 それは、法律を変えることで利用可能になることはないのですか。
○がん対策推進官 現行法ではできないと申し上げましたけれども、もちろん法律を変えればという話であればそれはまた別ではあり、ただ、法律を変えるというようなことをこの場で私どもがお答えしていいのかどうかというところの問題はあると思います。
○祖父江委員 今、中西先生などはかなりセーブして言われておられましたけれども、カルテに転記できないのみならず、他のデータベース、例えば、ナショナル・クリニカル・データベースとか、あるいは臓器がん登録とか、こういったもののデータソースとして死亡の情報を使えないというのは、ものすごく利用価値を減らすものだと思います。ぜひともそこのところを共有できるような形に仕組みを変えてもらうほうが、ここで他のデータベースへ転用しないことを守りますというようなことを確認するよりも、議論としてはもっと建設的なものであると思います。
○辻部会長 家原委員、どうぞ。
○家原委員 ありがとうございます。
私も、皆様方と同意見で、この9ページのカルテへの転記やデータベースへの移行が禁じられていることに非常に問題点を感じております。
我々小児がんの分野では、先ほど成育医療研究センターの話がございましたが、臓器がん登録として、成育医療研究センターで、患者様から同意を得た上で、希少がんも含めて、国のがん登録以外の治療とか、詳しいデータのがん登録をしようという試みを行っております。その場合は、同意をとってがん登録をして、いわゆる学会登録、臓器がん登録を行っているのですが、こういった生死の情報の同意をとっていたとしても、ここで禁じられてしまえば、地元にお帰りになって残念ながらお亡くなりになられたデータとか、在宅で亡くなられてしまったデータとかが全てわからず、不明点ばかりのデータベースになってしまいますし、そういったことが本当に患者様にとって利益なのかということは非常に問題点として捉えたいと思います。
今、お話が出ておりましたが、ぜひともここのところは何らかの手を打って変えていただきたい。私どものように同意書をとっているのであれば可能とか、そういった考え方もあるかと思いますので、そこら辺のところの検討もお願いいたしたいと思います。
以上です。
○辻部会長 大木先生、お願いします。
○大木委員 ありがとうございます。
実際に病院で院内がん登録のデータをつくるところからずっと携わっている者です。その立場として、今は実務者が中心に登録するようにかなりトレーニングは進んでいますが、どうしてもわからないところとか、全部位に及びますので、主治医や病理の先生の協力は不可欠です。そういったデータをつくる際に非常に協力をいただいていて、それに対して、逆に、こちらは、得た死亡日を別のルートにしまい、先ほどから治療の結果等を評価することとか、病院のために使うのはいいと言いますけれども、その辺を明確にきっちりと分けることができないような場合等はなかなか難しいかと思っています。
これからもよりよいデータを、きちんとしたステージや病理を出していくためにも、「報告」とありますが、ぜひ考慮いただけるようお願いしたいと思っています。
○辻部会長 小俣先生、どうぞ。
○小俣委員 ありがとうございます。
私は患者の立場からなのですけれども、先ほど松本委員からも話がありましたように、こういった情報が利活用されるということは、ぜひそうしていただきたいと思っています。ただ、今のお話の中で別の意見なのですけれども、第三者の誰でもが見られるということに不安を覚えました。ですので、先ほどから出たような個人情報の保護という点で、患者の情報が漏れないような仕組みをつくっていただけたらと思っています。利活用については反対するものではありませんので、ぜひそのようにしていただけたらと思います。
メリット・デメリットがあるのかということも実はそんなに明らかにはされていないことでもあります。さらにこの利活用をするというところにもメリット・デメリットがあるかと思いますので、できれば、今決めるというよりは経過を見て、メリット・デメリットがあるのかというそれぞれの立場からということも検討していただきたいと考えております。
以上です。
○辻部会長 ほかにどなたございますか。
どうぞ。
○杉山委員 歯科医師会の杉山でございます。
今の議論にかかわる部分なのですが、これから整理されて内容かと考えますが、次世代医療基盤法による認定匿名加工医療情報作成事業者との関係です。これについては、次世代医療基盤法はまだ法律ができたばかりということになりますので、今後さまざまなガイドラインができてくる中での対応になるのだと思うのですが、仮にそことのやりとりの中でそれができないということになると、認定事業者の意味がそれぞれなくなってしまう可能性も非常に高い。
問題は、例えば、その認定事業者に情報を提供するといったときに、認定事業者のその先がどうなるかということも勘案した上で制度設計をしていかないといけない。そこが一番大きな問題かと思います。つまり、認定事業者が匿名加工をした上で、出す先は民間になりますので、それは十分に御留意いただいた中で、次世代医療基盤法の附則なのかあるいはこちらの法律なのかわかりませんが、法律できちんと明記をしないと、野放図な使い方をされてしまう可能性がないわけではないと思いますので、御配慮いただければと思います。
以上です。
○辻部会長 ほかにどなたかございますか。
○友岡委員 方向性が全然違うのだけれども、質問です。
さっきの9ページ、御議論がありましたところですけれども、「これらの規定等を踏まえ」と書いているのですけれども、「これらの規定」とはどの部分を指しますか。8ページでいろいろ書かれておりますけれども、30条の規定を見るとどうもそんな感じがしないものだから、どれをもって、例えば、先ほど議論がありましたようなカルテに転記しないこととか、他のデータベース等への転用をしないと。これは、立場は違うかもしれないけれども、一種の不利益ないしはその扱いに関して一定の義務を課すわけですから、それなりの根拠は必要かと思ったので、そのあたりをどのようにお考えなのかなということを、確認のため、お聞かせください。
○事務局(安藤) これらの規定に関しましては、8ページ目の➢の上から2つ目に記載がございますとおり、がん登録法の30条から34条のところに、受領者に係る、そういった適切な管理に係る規定がございますので、それら全てを含めて「規定等を踏まえ」と記載しております。
○友岡委員 それでは、個別具体的にこの条文がこのような形で当てはまるということではなく、ざっくり言ってこんな感じであるというお話ですか。
○事務局(安藤) おっしゃるとおりです。例えば、全国がん登録の提供に関しましては、これらの規定で、必要な措置などに当てはまるように利用者の安全管理措置などで、今、皆様にも御議論いただいているところでありますので、今回の院内がん登録についても、都道府県がん情報のデータを提供して、提供を受けた側の方が、どのように管理、活用、利用していくかというところを、具体的に今回は9ページ目でお示ししたと御理解いただければと思います。
○友岡委員 非常に抽象的な規定だったので、どこをどのように読めばいいかということで、ある意味、整理された結果がこれなのだと思いますけれども、そういう点では、全国のがん登録情報のレベルに合わせなければいけないという趣旨でお話しされているという理解でいいですね。
○事務局(安藤) はい。
○友岡委員 わかりました。
○辻部会長 よろしいでしょうか。ほかには御意見はございませんか。
9ページについて申し上げたいと思いますが、私も、これを伺って、かなり厳しいなと思いました。特にカルテに転記しないということ、それから、ほかのデータベース等への転用はしないということが書いていますけれども、これですとほとんど利用できなくなってしまうのではないか。特に臨床系の臓器別がん登録でその後の生存率を計算したいと、がん登録法に対して臨床の先生方はかなり期待していらっしゃったと思うので、私もそれで大丈夫ですよと言ってきたのですけれども、これではちょっと困るなというところがあります。がん登録推進法のもともとの理念としては、個人情報の保護と情報の利活用とのバランスをとるということが最初からうたわれていたわけですけれども、これだとほとんど利用できないのではないかというところで、かなり厳しいこともありますので、これまでの情報の取り扱いについての議論をまとめてみたという話なのですけれども、ちょっと厳し過ぎるかなというところはありまして、その辺をもう一度御検討いただければと思います。
亀井委員。それから、黒田先生。
○亀井委員 今は、研究としての利用が制限されるという不利益のほうを考えてしまうわけですけれども、これをどこかに転記することで、行く行くは二次利用されて、例えば、匿名加工情報のような形で商用のそういったデータベースにいつの間にか含まれているとかという、そんなことが起こることも考えられるのではないかと思います。ですので、例えば、転用を検討するときには、かなり限定的にデータを転用できるデータベース等を制限するなど、そういったことが必要なのではないかと思いました。
以上です。
○黒田委員 現場でカルテをマネジメントする者として、30条で書かれている「漏えい、滅失及び毀損の防止」は、電子カルテ以上にそれをやっているシステムは大学病院の中に存在しないはずです。私どもの大学病院でたくさんのデータを扱っていますけれども、例えば、京都大学においても、情報の取り扱い上、病院の電子カルテだけは取り扱いの格を分けています。全く別の運用で全く別の管理基準に従ってやっていて、大学本部が通常扱うデータよりもかなり厳しい制限を課している。多分多くの病院さんはそれが普通だと思うのですが、預かっている情報がこれ以上機微性のある個人情報は世の中に存在しないと思って扱っています。
その意味では、いろいろな御意見が先生方から出ていますけれども、個別にカルテに転記することによって漏えいするのではないかと言われると、さすがに預かっている者としては非常に心苦しいなという気がいたしますし、ほかにいろいろなことを検討された上での結論だと理解はしておるのですが、もしもそれを根拠にしてカルテに移してはというお話であると、運用をやっている者としてはやっていられないという感じになりますので、そのあたりの整理は、もう一度、先ほど御質問がありましたけれども、こういう理由でこのルールになっているのですよということを教えていただきつつ、いろいろな利用の点で考えても、どこかで変更の検討はぜひお願いできればと思います。
○辻部会長 ほかにどなたかございますか。
羽鳥先生、どうぞ。
○羽鳥委員 日本医師会の立場で言えば個人情報保護は一番最優先ではありますけれども、この9ページはやはりおかしいと思います。例えば、スライド5にありますように、この院内がん情報の登録で本人の同意を得ることなく登録できると一方でうたっていながら、せっかくここまできちんとした登録をやっていこうというにもかかわらず、ここで制限して何も活用ができないということになってしまったら、何のためのがん登録かということになると思います。前にも言いましたけれども、公衆衛生に資するものであったら個人情報はある程度制限できるという大前提がありますが、その前提が崩れてしまうようなことはやってはいけないことではないでしょうか。
以上です。
○辻部会長 ほかはよろしいでしょうか。
坂元委員、どうぞ。
○坂元委員 我々は、病院監視のときに、カルテの記載項目とか、保管期限とか、その辺を自治体としてチェックするときに、カルテの保管義務は最終診療から5年間が義務づけられております。そうすると、どこをもって最終診療かというと、死亡の場合は最終診療ととって、死亡時から5年たったら破棄してもいいということを勧めるわけではないですけれども、それ以上の保管義務がないということです。そうすると、その保管義務がこの期限との関係でどう定義したらいいのかという一つの問題と、我々が、病院監視のときにカルテの内容を見ると、そのカルテの記載項目に関してあれこれ病院に注文をつける場合がよくあるのですけれども、基本的にカルテの記載項目は、我々医療監視をする立場から言うと、基本的な項目は決まってますが、それ以外は医師の裁量権の範囲、医師がこれは診療上必要であると判断した場合にはそれを書けるということで、仮に医師が死亡ということをどこかで知った場合にそれを書くということが、もしそれがここから転記したということになったときに、医療監視員がそれは違法であると今後は言わなければいけないのかということです。そういう問題もあって、医師はあくまでも診療上必要と認めたものをカルテに記載できるという立場は、我々が医療監視をしているときに尊重する項目なので、その辺との兼ね合いをどう考えていいかということもまた一つ検討課題ではないかと思う次第です。
○辻部会長 ありがとうございました。
1つお聞きしたいのですけれども、「カルテに転記しないこと」と書いていますけれども、これは院内がん登録で死亡情報が入ったときに、それを主治医に伝えるのはまかりならぬということなのですか。
○がん対策推進官 今日お示しした院内がん登録の活用の範囲であれば、もちろん主治医の先生にお伝えして、その目的に沿って使っていただければいいと思います。
○辻部会長 その後、主治医がカルテにそのことを書いたら転記したことになって、がん登録推進法のもとに懲役または罰金刑が発生するのですか。
○がん対策推進官 生存確認情報等をカルテに転記することで、32条で規定する期間を超えて残してしまうと、その条文に違反することにはなります。また、がん登録推進法は、第6章に罰則規定がございますので、罰則規定に当てはまってしまった場合には、罰金などの罰則が適用されます。
○辻部会長 わかりました。非常に難しいところがあると思います。
平田委員、どうぞ。
○平田委員 私は、今回の討議は第1ステップとしてやむを得ないことと捉える。そうすると、第1ステップを踏んだときには、例えばなのですけれども、私が研究させていただいている中で、がん対策推進協議会で、がんの情報を使ってどのようなことが医療の質として向上していくことがわかりますかというときに、生命予後でエンドポイントをとった研究で回答することになっているのですが、そういう答えが今まではできていたのですけれども、できなくなるということと、それから、今、委員長やそのほかの先生の御発表があったように、転記をしてしまうことはかなり起こり得ると思うのですね。ですから、システム上、医療現場でそれはできないようにしないとかなり違反者が出て、全国の病院で医師が違反行為をたくさんしているということになりかねない。一生懸命な先生ほど、この登録のデータを調べられてお伺いすると思うのですね。そうすると、亡くなっていますとか、生存しているとか、亡くなっていないのだから生存しているとなると、生きているとカルテに書き込んだら、それによって調べたら生きているということに何月何日の時点でこうだと確認したと書いてしまうと違反となるとしたら、それはそれで一時的なものとしていいのですけれども、法律上の問題があってやむを得ない。
それでは、これによって何を国民に知らしめられるか。せっかくのこれだけの動きで、それを明示しなければいけないのではないかと思うのです。誰がどのようにして、この研究成果を、皆さんに、国民のために情報提供できるか。その具体的な姿が、そうなると見えてこないのですね。今の匿名化情報のシステムと法律がしっかりと完成して、委託先も見えた時点で、それを整理するまでとかということになろうかと思うのですが、いわゆる学会研究会の発表は、生命予後に関する研究発表はしないというか、しないのが無難というか、各医師に対して、やってはいけないと学会の人がなると思うのですね。
そうすると、非常に問題点が生じて、臓器がん登録で研究している部分で対策協議会等の回答をする場合に、それでは、何を国民に我々はできるのだろうかということが、質問が出ると思います。そうした場合に、それに答えられる回答が必要かなと。今、お話も聞いていましたし、私も黙っていようと思っていたのですけれども、そのような感じを受けます。それは、具体的には何かイメージとしてはございますか。厚労省の指定研究とか、そういうもので指定されたものに限るとか、法律が上ですから、そういう指定研究等をつくることはできないのだろうと思うのですね。そうすると、どうなるのかなと。今度、ここにいた委員がなぜそういうことを承認したかということになりかねないので、ちょっとそこが困るかなと思ったのです。
ただ、法律で文章として決まっているので、それに縛られることは了解できますので、先ほどから祖父江先生もおっしゃっているとおり、何か解釈の仕方で次の展開を開いてほしいという御要望を、私も学術団体の立場でいくとお願いしたいと思っております。
○辻部会長 予定した時間を大分過ぎてしまいましたので、これについてはこれくらいにさせていただきたいと思いますけれども、もう一度、私のほうからまとめさせていただくと、今回の資料1は現在の法律のたてつけで考えると論理的な帰結としてこのように出てくるということをまとめていただいたと理解しますけれども、ただ、その説明を受けたこの委員会の先生方の意見の多くは、これでは何のためのがん登録かわからないというところ、それによって、研究だけではなくてがん患者そのものに不利益が来るのではないかということを心配する声が非常に多かったということで、これは報告ではありますけれども、もう少し御検討いただけないかというところを、私の気持ちとして申し上げて、ここのところは終わりにしたいと思います。
○祖父江委員 最初、天野委員から、成育医療研究センターでも使えないということでしたけれども、この院内がん登録のデータが法律に基づいて集められていて、その利用に関してはきちんとルール化すべきというのはわかるのですけれども、従来から院内がん登録のデータとして、拠点病院を中心として、拠点病院の関連の人たちではありますけれども、利用がされてきたという実態がありますね。全国がん登録のデータも、きちんと利用に関してのルール化をし、研究者が利用できることになっていますので、院内がん登録についても、この利用者が、病院、国立がん研究センター、行政だけにとどまらず、成育医療研究センターを含めた研究者がきちんと利用できるというルール化をしてほしいと思います。
○辻部会長 どうぞ。
○友岡委員 ついでですけれども、今後、御検討する際にもし御考慮いただけるというのであれば、先ほど申し上げましたように、非常にざっくりした「これらの規定等を踏まえ」と「等」と書いてあるのだけれども、実際にどこかというのもわからないということと、さっき罰則の適用という話がありましたけれども、罰則が実際に適用される条文を見ると、52条以下で33と34に関して規定するものと書いています。そうすると、そのほか、先ほど御言及がありました30条以下に関してはそれから外れるものもあるわけですね。なので、不利益が生じることになる場合に関して、きっちりそこら辺は法律の規定に即しながら御説明いただいたほうが納得がいくという方向だと思いますので、法律家の視点ですけれども、そこら辺も御考慮ください。
以上です。
○辻部会長 そういうことで、今、委員の皆様からいろいろな御質問とか御意見がございましたので、事務局におかれましては、それを参考にして再検討いただきたいということでお願いいたします。
議題2「模擬審査2」に入りたいと思います。
まず、事務局と参考人の国立がん研究センター松田室長から、資料2~4の説明をお願いいたします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
資料2をお手元に御用意ください。
今までに2回ほどがん登録部会で御提示している「全国がん登録 情報の提供マニュアル 別添」の利用規約のほうですけれども、今回も前回の御議論を踏まえて1点修正しておりますので、御説明いたします。
5ページ目、「12.成果の公表」、(2)のマル2「学会又は研究会等への公表予定の場合」です。前回御意見の中で、最近の学会では発表内容などをホームページ上などでアップするなどさまざまな状況があるという御意見をいただきまして、研究者の方には抄録だけではなく当日発表される資料についても御注意いただきたいという意味を込めまして、「発表終了後は速やかに発表資料について報告する」という1文を追加させていただきました。
利用規約に関する修正は、以上になります。
○松田参考人 松田と申します。
引き続いて、資料3の御説明をいたします。
前回の部会で指摘をいただいた部分を赤字で示しております。
5ページ目、「2.物理的安全管理対策」、【対策】(1)の部分については、天野委員からコメントをいただいたところでして、自明とは思いますがという天野委員のコメントがあったと思うのですけれども、きちんと明文化をして、利用を行う利用場所並びに物理的保存を行っている区域からそうした情報を含んだ媒体を持ち出さないことを明記いたしました。(11)の部分なのですけれども、二重にするというところについて、イメージがつきにくいということを黒田委員から御指摘いただきまして、もう少しはっきりとどういった仕組みかということについて明記いたしました。他の業務を担当する職員等、利用者以外も入室が可能な部分で、例えば、何か業務上のやりとり、打ち合わせをする場合があると思いますので、そういった部分と、完全に区域として登録の情報を扱う部分をはっきり分けて情報をきちんと保護しなさいという意味で、この部分をつけ加えております。
6ページ目、赤くなっていないのですが、語句が統一されていないという「サインイン」と「ログイン」の語の統一をいたしました。
8ページについて、これも黒田委員からの御指摘があった部分です。委託契約書に情報の安全管理について記載することも明記すべきだという御意見をいただきましたので、その部分を追記いたしました。
マニュアルについての修正については、以上になっております。
さらに、マニュアルの後、資料3として複数のパワーポイントのスライドをつけております。この部分については、利用を許可された者が実際に利用を開始するに当たってどういった情報を管理すべきかというものを、文章より絵にあらわしたほうがいいのではないかということで、がん研究センターで図示したものです。
最初の1~4のスライドについては、非匿名化情報、つまり、名前がついた、例えば、コホート等の情報をくっつけたようなものを想定しておりまして、場合として、一人で使う、利用申請が複数の利用者、複数の利用者が同じ機関内でサーバからパソコンがクライアントにつながっていて同時に使うという想定で1~3を書いております。4については、中間生成物です。集計表をつくる前のリストとか名前についてチェックをするようなものについて移送したり、もともとのデータを移送する場合に、どういった保護が必要かということを図示しました。先ほどの二重にするという部分についても絵で描いて、このような位置づけですということを図示したものが1~3、部屋の簡単な見取り図、こんな形になっております。カードキーと物理的な鍵と描いてあるのですが、これは一例でして、1つ目はカードキーで2つ目は物理的な鍵でなくてはいけないという意味ではなくて、このようにいろいろな方が入って何かコミュニケーションをとる部分と情報の名前つきのものを管理する部分とを分けるということをこの図であらわしております。
それから、非匿名化情報の後、緑色になっている匿名化情報の部分については、こうした二重の構造がなくて、基本的には匿名化された情報ですので、個人情報が漏えいするというよりは、許可を得て利用している情報が滅失したり毀損したりすることのないように気をつけなさいという意味でこの図示をしております。違いとしては、申し上げたような部屋の二重構造以外に、例えば、有線・無線というところでいいますと、基本的には無線で、例えば、クライアントとサーバをつないでいてもいいですし、外部と遮断されたスタンドアローンのPCとか、そういった規制については、匿名化情報については記載をしていないという違いがあります。ただ、送付・移送に関しては、それがなくなったりいつの間にかそれがどこかに行ってしまったりということがないように、きちんと記録つきのもので移送しなさいといったところについては共通になっているという次第です。
説明は以上になります。
○事務局(安藤) 続きまして、事務局、安藤でございます。
資料4をお手元に御用意ください。
「全国がん登録 情報の提供の審査の方向性(仮称)」でございます。
今回、1ページ目の前文のところに1文を追記させていただきました。前回の模擬審査を踏まえまして、委員の皆様に審査をしていただく上で、がん登録部会の審査委員会で何を念頭に置いていただき審査していただくべきなのかを明確にするために、こちらの追記をいたしました。追記といたしましては、「《審議会等》は、情報の利用目的及び情報の適切な取扱い等の観点を中心に、提供依頼申出者の申請が、法に基づいた情報の提供及び利用に該当するか審査を行うものである」と追記させていただいております。実際に、前回、倫理審査委員会のような視点もがん登録の審査では必要ではないかという御意見がございましたけれども、例えば、がん登録法に基づいた提供にふさわしいかどうかの判断に影響するといった場合には、そういった視点も御検討いただいてもよいとは思いますけれども、基本的には、前述のとおり、がん登録法に基づいた提供及び利用かを御検討いただきたいと思います。その点、皆様に御理解いただいた上で、模擬審査も含めまして、今後、審査を行っていただきたいと存じます。
以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました内容につきまして、これから模擬審査を行いながら、また御意見があるかと思いますけれども、祖父江先生、お願いします。
○祖父江委員 資料2の5ページ目、「12.成果の公表」ですけれども、これの趣旨は特定の個人または病院等が第三者に識別されないように事前にチェックをするということなのだと思いますけれども、その懸念がある程度あるのは匿名化されていない情報の利用であって、匿名化された情報の利用の場合にはそのリスクは極めて低いと思います。その場合、事前の公表を求めるのではなく、事後の報告を求めることで十分ではないかと思います。事後の報告をどこでチェックするかといえば、その研究者が次回データ利用を申請したときに適切な公表がされていたかどうかということを確認し、もし不適切であれば次回のデータ提供を制限する処置をとるというのが一番効率的なやり方ではないかと思います。
公表の前に、あたふたというか、かなり時間の制約のある中で確認し承認をすることには物すごく労力がかかると思うのですけれども、そういう労力があるのであれば、むしろ、この原則、カウントが10以下であるというところは制限しますというところで、ここの判断が微妙な例があると思うのですけれども、要は、希少がん等の場合に、少ないカウントをきちんと報告するという必要性と、個人が同定されるというリスクのバランスを考える際に、研究者が自分で判断するということはなかなかできないものをかわって判断するような組織をつくり、そこに判断を委ねることで、原則はできないなりにも、必要に応じてきちんとそういうものを報告していく、そこを担保するような仕組みをむしろつくって、そこに労力を注いだほうが情報の提供としては適切なものになるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○辻部会長 どうぞ。
○事務局(安藤) 最初の御指摘のところで、匿名化された情報の提供についてはこういったところは必要ないのではないかという御指摘だったと思うのですけれども、研究者に提供されたデータが匿名化された情報の提供であったとしても、今回の模擬審査の中にも入っておりますけれども、小児、AYAがんとか、そういったデータの分析をいたしまして
実際に公表するときに、少数例、1とか、そういったものが出てくる場合もありますので、御指摘のような匿名化された情報については事前の報告が要らないのではないかということは、少し考えたほうがいいかと思います。
2点目の、実際に研究者で判断できないような個人が特定できるのかというところを御判断いただく組織、仕組みなりをつくったほうがいいという御指摘ですけれども、現時点では、必要がない研究者の方には、例えば、10件未満の場合は原則として秘匿としていただきたい。ただ、研究の性質上御判断が難しい場合には、審議会等でどうするべきかというところを御判断いただけるように、(3)の上から3行目のただし書きのところにも、「《審議会等》が特に認める場合はこの限りではない」という1文をつけておりますので、現時点ではそういった運用をしていきたいと考えております。
○祖父江委員 確かにリスクがゼロではありませんけれども、研究者もそれほど不注意ではないので、きちんとそれを守ると思います。それを間違い探しのように逐一チェックをすることに労力を注ぐのは、余り効率的な労力の使い方ではないと私は思います。それよりも、判断の難しいものをきちんと判断するような組織をつくり、それを審議会でと書いていますけれども、それをきちんと制度化するように、この成果の公表の手続のところに、判断が難しい場合はここに申し出るようにとかということを明記して、仕組みをきちんと明確化しておくほうがよいのではないかと思います。
○辻部会長 これについては、またもう少し御検討ください。
ほかに何か、御質問、御意見はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、模擬審査に入りたいのですけれども、前回、3時間を通してやったら非常に批判が多かったので、10分ほど休憩をいただきたいと思います。2時15分に再開でお願いします。
 
(休 憩)
 
○辻部会長 それでは、時間になりましたので、休憩を終えたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、議題2です。「模擬審査2」の前回の続きになります。
実際に模擬審査に入る前に、もう一度事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
お手元にもう一度資料4と資料5を御用意ください。
最初に、模擬審査を行うに当たりまして、前回も御説明させていただきましたが、本当の審査との相違点を御説明させていただきます。
本審査は非公開で行うこととしておりますけれども、本日の模擬審査は公開で行います。議事録も公開となります。また、がん登録部会の審査委員会で扱うものに関しましては全国がん登録情報の提供でございますけれども、今回の模擬審査では国立がん研究センターに置く合議制の機関と都道府県の審議会で扱うものについても申請の中に入れております。こちらの模擬申請書に関しましては、実際の研究者の方に作成いただいておりますが、全て架空の申請書でございまして、そのため、実際の提供は行いません。提供については、応諾か継続審査か不応諾かを審査委員会の意見としてまとめていただきたいと思います。なお、前回と違うところですけれども、追加資料や修正が必要な場合には、継続審査として意見をまとめていただきたいと思います。
資料4をもう一度ごらんください。
先ほど申し上げたとおり、がん登録部会の審査委員会では、情報の利用目的及び情報の適切な取り扱い等の観点を中心に、提供依頼申出者の申請者ががん登録法に基づいた情報の提供及び利用に該当するか審査を行うものということを、いま一度御理解ください。ですので、申出文書を中心に御検討いただきまして、申出文書をもとに御判断いただく中で、研究計画書等を補足資料として御活用いただければと思います。
次に、資料5をごらんください。
こちらは、前回と同様に、模擬申請-1~3について、審査の方向性の10項目を抽出しておりまして、申請ごとに特に注意すべき点がありますので、そこを※でお示ししております。
以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございます。
ここから先は、実際の審査をイメージして模擬審査の進行をさせていただきたいと思います。
それでは、模擬申請-1について、まず、事務局からポイントをお願いします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
資料5と資料6を御用意ください。
模擬申請-1に関しましては、前回の模擬審査での御指摘を踏まえ、再提出された申請でございます。法第21条第8項の規定に基づきまして、一般の研究者の方へ匿名化されていない都道府県がん情報の提供を行うための申請でございます。
(1)~(10)の中の「(2)同意の取得」で、こちらは同意書が必要とされておりますので、今回、資料6の中に入っております同意書とあわせまして、机上に「『全国がん登録』をご存じですか」というチラシも配付しておりますので、そちらもあわせて御検討いただければと思います。
「(3)利用者の範囲」に関しましては、審査の方向性の中で、利用者の実績に関しまして相当数記載がございまして、がんに関する集計またはがんに関する統計分析の調査研究の実績を2以上有することも検討の中に入りますので、御留意ください。
「(5)利用する情報及び調査研究方法」に関しましては、全国がん登録情報の利用として適切かという視点で御検討ください。
「(7)利用場所、利用する環境、保管場所及び管理方法」に関しましては、都道府県がん情報の利用として適切かを念頭に御検討ください。
以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
それでは、申請-1です。資料6について、1つずつ確認していきたいと思います。まず、資料5のポイントに沿って見ていきますと、「(1)情報の利用目的及び必要性」は適切かということですけれども、いかがでしょうか。資料6の2ページになります。利用目的として、がんの罹患が把握できる都道府県がん登録情報を利用して、特定健診受診後のがん罹患を把握するということで、特定健診受診者を対象にメタボリックシンドローム及び関連要因と発がんリスクの関連を前向きコホート研究により解明し、がんの予防に関する知見を得ることが利用目的になっておりますけれども、いかがでしょうか。
特に問題はないということでよろしいでしょうか。
「(2)同意の取得」になりますが、同意書の内容は適切かということが書いてありまして、右下のページ番号で言うと、説明書が15ページからですね。「『メタボリックシンドロームと発がんリスクとの関連に関するコホート研究』ご協力のお願い(説明文書)」ということで、研究の目的、代表者、調査方法、追跡調査、研究計画の開示、問い合わせ先、調査協力者にもらされる利益と不利益、個人情報の保護、調査結果の公表、同意書の保管、任意の同意と同意の撤回、研究費ですね。そういったことが書いてあった上で、同意書として19ページに書いてあります。その次のページに同意の撤回書がありますので、それもあわせてごらんいただきたいと思います。いかがでしょうか。
松本委員、どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。
この部分は、前回、私がいろいろと申し上げたところだったと思います。ひな形のようなものを御準備いただいてはどうかということを申し上げておりまして、恐らくそれがこのリーフレットに当たるのだと思います。これが一般の方向けにわかりやすく書かれたものですので、これをつけるということでいいのだと思います。
1点確認なのですけれども、16ページの囲みの中に、詳しくはこのチラシを使って御説明しますとあるのですが、誰がどのように説明するのかということが少しわかりにくい気がいたします。恐らく忙しい現場で、想定されるのは、これをつけて見ておいてねという暗黙の提示で済まされてしまうのではないかという気もしないでもないので、ここを使って御説明しますということの詳しい意図について確認をさせていただきたいということです。
もう一つ、もし可能ならば、このことについて何かわかりにくい点があればここへお問い合わせくださいという1文をここにつけていただくと、なお患者家族にとっては丁寧だと思っております。
この「使ってご説明します」の詳しい意図について、教えていただけますでしょうか。
○辻部会長 どうぞ。
○事務局(安藤) 松本委員の御指摘のとおり、チラシを使って御説明しますというところで、最初は、例えば、チラシをごらんくださいなどのいろいろな書き方があった中で、研究者とかインフォームド・コンセントをとる方には、きちんとチラシを用いて御説明いただきたいという意図がございまして、この同意書が、今後、がん登録の中でこの部分は特にひな形になっていくものと思いますので、御説明いただきたいということで御説明しますという文章にさせていただいています。
○辻部会長 よろしいですか。
○松本委員 これをごらんになって、実際の研究者の方々が、このようにしなければいけないのだなということをわかってほしいという事務局の意図だと理解いたしました。そこがちゃんと研究者の方々に伝わって、本当に患者家族に理解できる説明につながることを願っております。ありがとうございました。
○辻部会長 この研究は特定健診の受診者を対象に説明して協力をお願いしているものだと思うのですけれども、私ども東北大学が数年前から行っておりますメディカル・メガバンク事業がございまして、これは15万人規模の方にゲノムも含めたコホート研究をするということで協力をお願いしているのですけれども、これはまさに特定健診の場で受診された方を対象に説明させていただいて個別に同意いただいているのですが、説明はかなり詳しく個別にいたしまして、ゲノムも含めてですので、1人当たり15分ぐらいかけて説明した上で同意していただいております。そのような丁寧な取組みも今はかなり広がってきていますので、今、松本委員のおっしゃったようなことがあれば、事務局がおっしゃったようなことも、これからそのように常態化するのではないかと思いますので、よろしくお願いします。
ほかによろしいですか。
○友岡委員 申出文書の関係に関して、特に2のところがやはり気になるのだけれども、表記の仕方だけの話です。要するに、2は「情報の利用目的」としか書いていないのだけれども、マニュアルのほうは「及び必要性」とあえて書いてあるので、できるならばこちらの申出文書についても「必要性」という言葉を入れられたらどうかと思います。目的だけ書いたらそれでおしまいではなくて、どうしてそれが必要なのかということをもっと具体的に書けという趣旨で書かれたらいいと思います。マニュアルどおりやればいいということはあるのだろうけれども、そういうタイトルを付されると、より緊張感をもってかかれるのかなという趣旨です。
以上です。
○辻部会長 わかりました。この最初のところですね。申請書のところで「2 情報の利用目的及び必要性」と書くということですね。
ほかにございますか。
天野委員、どうぞ。
○天野委員 先ほどの松本委員の指摘の後段の部分が伝わっていないような気がしたので、細かいのですが重ねて申し上げますと、問い合わせ先として何カ所か書いていただいているのですが、研究に関する情報の開示や同意の撤回の場合の連絡先について、代表者の連絡先として掲載されているのみで、そもそも患者が不明なことがあったときにここに問い合わせていいのかどうかが明確に示されていないという点が問題であるという指摘であったと思いますので、患者が問い合わせることができるのだということを改めて明確に示していただきたいと思います。例えば、研究計画書について見せてほしいとか、そういったことだけではなく、患者がこの研究に関して不明な点があったときに問い合わせが可能な場所として明確に提示していただきたいと思います。
以上です。
○辻部会長 わかりました。それは追加するようにしたいと思います。ありがとうございます。
ほかにどなたかございますか。
よろしいですか。
次、「(3)利用者の範囲」になりますけれども、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。特にないということでよろしいですか。
ありがとうございます。
「(4)利用する情報の範囲」は、7ページあたりに申出情報ということで○が書いています。それから、3ページのところで「4 利用する情報の範囲」、診断年次、地域、がんの種類、生存確認情報は不要、属性的範囲とありますが、いかがでしょうか。
これはよろしいでしょうか。
「(5)利用する情報及び調査研究方法」として、全国がん登録情報の利用として適切かということですけれども、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。特に問題ないでしょうか。
「(8)調査研究成果の公表方法及び公表時期」になります。それから、この保管場所及び管理方法のところでは、かなり細かいところでチェックボックスが入っていまして、その辺が今回新しくなったと思うのですけれども、この辺も満たされているということでよろしいでしょうかね。
これもよろしいでしょうか。「(8)調査研究成果の公表方法及び公表予定時期」、いかがでしょうか。
お願いします。
○平田委員 これはこれでよろしいと思うのですが、いろいろと厳密なことを申し上げると、この公表の時期については、例えばということで出されて、学会発表が4月、論文投稿予定が10月というのは、資料として出すには余り適格ではないのですね。本来は、データが公表された時点でのノイエス、新知見という扱いとして仮定とするならば学会発表と相前後して、できたら発表前に投稿していたほうがよい。投稿時に宣誓書を書かされるジャーナルで、インパクトファクターが高いほどそうなっています。ですから、例としての記載としては不適切かもしれません。この時期です。
そのことに関して、先ほどの資料の提供ですね。公表する際の資料の提供の時期が、学会と論文等の発表前に出すとした場合に、その登録、事務局のほうに出した場合の資料の扱いは、公表されない資料という理解をいたします。学術的には、データの発表については、公表をしないという扱いになるでしょうか。届出を出した時点で、適格性の有無を調べるために、発表内容のスライド等も全部出すということになりましたので、その場合に、その資料の扱いは発表者の権利をどの程度まで守ってもらえるかなということが、この時期との問題で気になります。公表してしまったのに、その後、発表したというと、その公表してしまったことが公表されたデータという扱いになるとすればまずいのかなと思います。そこだけ担保されれば、学術的には問題ないと思うのです。
○がん対策推進官 こうした書類とか資料の提出は窓口組織になりますので、それが即公表されるわけではないと考えますので、そうした御心配に当たらないと考えます。
ただ、おっしゃるとおり、発表とか論文とかの順番については、そこは御指摘もあるかと思います。そこは今後の議論の中で御意見をいただいてということで、議事録の中で、これから研究者の先生方や都道府県の審議会が検討する際の参考になると考えます。
○辻部会長 よろしいでしょうか。
確かに先生のおっしゃるとおりで、昔のパターンとしては、学会で話して、その後、論文化してというのはあったというか、今でもやっている方は多いのですけれども、本来は、学会の雑誌に出して、それから学会発表というほうが、本来、査読制度のある学会誌に発表して初めて業績として、オリジナリティー、プライオリティーが担保されますので、この順番を逆にしたほうがよろしいですね。どうもありがとうございました。そうしていただきます。
○薄井委員 1つ質問なのですけれども、4ページの「6 利用期間」と、今、先生方が御指摘になった発表と、これは現実的に大丈夫なのでしょうか。つまり、研究そのものはまだ終わらないうちからデータを発表するという形になるのでしょうか。利用期間は2023年12月31日までで、記述はともかくとして、公表は2022年4月、10月、最後に2023年3月と書いてあるので、ちょっとここが気になったのです。もう少し言いますと、このようにきちんと整合性がとれるように書きなさいということなのでしょうか。つまり、研究が終わっていないのに発表ということになるのかなとちょっと思ったものですから。
○辻部会長 どうぞ。
○がん対策推進官 その研究の期間なのですけれども、報告はもちろん、どこを研究期間と捉えるかという議論とも関係してくるとは思うのですけれども、このデータを使って、公表し、発表し、そうする期限がこの2023年12月31日までとしていて、先生はこれの後も研究するべきだという御意見なのですか。
○薄井委員 後から出てくる知見もありますよね。つまり、これはきちんと書き過ぎるのは、実際の研究で利用しにくくなるおそれがあると思いまして、もちろん書けることは書いたほうがいいのですけれども。
○がん対策推進官 ただ、きちんとどう使うかを書いて、それは5年以上続けて使用できるかというところが説明できれば、当然この期間を延ばしても構わないと思うのですけれども、基本的には5年という期限がありますので、この中で研究をして、それ以上は使ってはならない、つまり、きちんとそのデータを破棄すべきだということで、ここにはこのように書かせてもらっていると御理解いただければと思います。
○辻部会長 どうぞ。
○家原委員 1点質問です。ちょっと戻って申しわけないのですが、3ページの「4 利用する情報の範囲」の診断年次が2016年単年になっているのですね。それで、9ページの研究計画書のほうを見ますと、2016年に特定健康診査を受けられて、「5.追跡調査」ですけれども、1)2016年特定健康診査受診日から2020年12月31日まで、2)死亡・転出、3)に「がん罹患」と書いてございますので、データが必要なのは、がんに罹患するのは2016年から2020年までではないかと思うのですが、単年でよいのかとなるとこれは不適切な申請書ということになると思いましたので、戻って申しわけないのですが、3ページの4のところはおかしいと判断したのですが、いかがでしょうか。
○辻部会長 どうぞ。
○事務局(安藤) こちらに関しましては、基本的に今回は2018年に申請されたものとしてまずは考えまして、まず、今度出せるものが2016年しかないというのが一つと、基本的に未来の2016年から2020年までを全てくださいという申請は想定しておりません。ですので、この間、2016年単年で、2017年も提供を依頼する場合には改めてまた申請をしていただくという想定でやっております。例えば、来年に申請されたときに、過去の2016年分、2017年分をくださいということは可能ですけれども、現時点でその先のデータをくださいということは想定していない。ですから、単年の申請になっております。
○辻部会長 どうぞ。
○家原委員 その趣旨はわかったのですが、現実問題として、これは毎年同じ審査をするのかということになりますし、非常に労力が無駄だと思いますので、前向きの調査ですから、それをまとめて許可するほうが現実的には理にかなっていると思いますので、このあたりはできないではなくて、そういうことも可能というモデルにされてはいかがでしょうか。
○事務局(安藤) その点に関しましては、コホート研究への提供の仕方というのは、以前、こちらのがん登録部会でも一度論点にしたことがありまして、御指摘のとおり、同じ研究について毎年申請していくこと、同じことを研究者の方にしていただくのは負担であると。ですので、そういった今回の御意見も踏まえまして、次年度の申請についてはもう少し簡易なものにできるかとか、そういったことも踏まえて、次の申請については、コホート研究の申請については、少し検討させていただきたいと思います。
○家原委員 何度も済みませんが、単年度で申請しなければいけないというのは、どこか法律的な規制があるのでしょうか。なければ、前向きで一括で申請して1回で終わるほうが審査は簡易であるというのは理解できるのですが、研究者にとって負担が大きいのではないかと思うのです。法律的な縛りがあるのでしたら、お教えください。
○柴田参考人 参考人の柴田から発言させていただきます。
私は、全国がん登録の前段の地域がん登録事業に携わっておりました。その時点でも、ずっと昔からのコホートに対して照合して罹患情報を提供するということをやっておりましたが、だんだん研究が長くなってきますと、罹患情報ができ上がったら毎年申請していただいて提供するということを繰り返してさせていただいておりました。
その際、ここは情報の取り扱いは前と同じで、目的も変わっていなくて、大丈夫だねということで、提供審査も簡易にして行っていました。御質問の未来に向けて提供できないのかというところについては、法律的な制限は存じませんが、例えば、過去のそのほかの統計法等での提供を鑑みましても、未来の年度の提供を約束するものは私は経験がありませんので、そういうことができるのかどうかというのは事務局に調べていただく必要があるかと思います。
○がん対策推進官 そういうことですので、事務局でまた未来への提供についての検討はしたいと思います。
○辻部会長 黒田先生、どうぞ。
○黒田委員 黒田です。
私は単年度で申請するものなのだろうと思っていたので先ほど問い合わせなかったのですが、もしも未来に向けてやるということが出てくると、一番ややこしいことは、多分項目の「3 利用者の範囲」で、大学院生なんて毎年来ては出て行く人たちですから、毎年この名前が書きかわっていくことを意味しますので、そこのところは申請上とても面倒くさいことが起こるのではないかという印象を持った次第です。もしも未来をつけてやるのであれば、結局、毎回人が入れかわるたびに変更申請が出てくることを意味しますので、結構ややこしいことになりそうな印象を持ちました。
○辻部会長 そういう考えもありますね。
○杉山委員 補足でよろしいですか。今、黒田先生がおっしゃったのですが、NDBでも、研究者が変わると、その都度、毎回変更届を出します。それもその都度審議しなければいけないという話になります。
○辻部会長 よくわかりました。ありがとうございました。
次に移ってもよろしいでしょうか。
8の公表方法及び公表時期まで来ましたので、「(9)情報の利用後の処置」ですけれども、黒田先生、どうぞ。
○黒田委員 2点、1つは単なる誤変換だと思います。「末梢」が違うと思って見ていました。
2つ目は、溶解なのですけれども、「溶解」とさらっと書いていらっしゃいますけれども、研究者が溶解できるということはすごい技術を持っている方のはずなので、それはあり得ない。そうなると、専門業者に委託して溶解するのだということを明記しておいていただかないと、いいかげんなところに溶解していただくわけにはいかないので、それははっきりと明記していただく必要があると思った次第です。
○辻部会長 先生、この専門業者だけを書けばいいですか。それとも、何か具体的な名称ですか。
○黒田委員 具体名称を書くべきなのかどうかなのか、そこは前に議論があった契約書をどうするのかというお話だと思うのですけれども、もしも契約書があるのであれば、先に契約書をつければいいと思うのですが、ただ、これは溶解するタイミングが大分先のはずなので、現時点で契約書はつけようがないでしょうから、現時点ではそれがついた形で出てくるのは難しいのかなとは理解します。
○辻部会長 ありがとうございます。
ほかにどなたかございますか。
よろしいでしょうか。
それでは、「(10)その他」も含めまして、全体を通してこの資料6の申請はいかがでしょうか。
○中西委員 総論的な質問なのですけれども、先ほど個別のことについて御指摘があったのですが、これはひな形にすぎないので、中身については、例えば、年度がどうであるとか、溶解ではなくてきちんとした一定サイズ以下の裁断でもいいと解釈できますね。そこだけ確認させていただければと。
○辻部会長 それでよろしいかと思います。
ほかにどなたかございますか。
どうぞ。
○友岡委員 さっきの未来のという話ですけれども、原則論だけ申し上げます。細かい点がどのように書いてあるのか、ざっと見ましたところ明文規定がなさそうですから、そこはちょっとわかりません。ただ、個人情報の世界は、既存の情報に関してどのようにアクセスするかというのが大前提ですから、個人情報の延長として保護している、こういったセンシティブ情報に関しては、より高度な形で情報を保護するという趣旨のもと、でき上がった法律として理解するのであれば、既存の情報であると理解するのが素直かと思いました。
○辻部会長 ありがとうございます。
もう一つ、これは単年でしたけれども、この制度が始まってからの話ということなので、過去にさかのぼるという状況が現時点ではあり得ない状況なのですね。一方、我々が死亡小票とか人口動態調査のデータを利用申請するときは、何年から何年までと過去にさかのぼって、例えば、平成23年から25年までの3年分をまとめて閲覧させてくださいという申請をするのですが、いずれこの制度は、時間がたってくると、過去にさかのぼってまとめてデータ申請をするということはあると思うのですけれども、それは問題ないということですよね。
○事務局(安藤) はい。
○辻部会長 よろしいでしょうか。
それでは、まとめますと、2ページの「2 情報の利用目的」と書いているところを「2 情報の利用目的及び必要性」と申請書そのもので変えなければいけないことと、内容的には大きな問題はなかったのですが、6ページの「末梢」という字を直してくださいということと、溶解については専門業者に委託というところ、16ページの説明書のところで、この「『全国がん登録』をご存じですか」を使って御説明しますという下に、それでもなお不明な点がありましたら問い合わせ先はというところを追加して明記するというところでしょうか。そういった修正を加えるということを研究者に伝えるということで、審査委員会として応諾意見を提出するということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、模擬申請-2に移ります。
初めに、事務局からポイントをお願いいたします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
お手元に資料5と資料7を御用意ください。
模擬申請-2に関しましては、前回の模擬審査での御指摘を踏まえて、こちらも再提出された申請となります。法第21条第3項の規定に基づきまして、一般の研究者への匿名化されていない全国がん登録情報の申請となりまして、こちらは法施行前から開始されているコホート研究の申請でございます。
(1)~(10)に関しましては、まず、「(2)同意の取得」は法施行前から開始されている研究でございまして、人数も1万人を超えているものでございますので、同意代替措置に関する指針に即した措置が講じられているかということが審査の一つのポイントとなります。
(3)に関しましては、先ほどと同様、利用者の範囲が適切かということと実績が相当数かというところをポイントとして御判断いただければと思います。
(5)と(7)に関しましては、全国がん登録情報の利用として適切かといったところをポイントとしております。
また、「(6)利用期間」に関しましては、今回、5年以上の利用期間を申請しておりますので、こちらの研究が5年以上分析する必要がある研究なのかといったところも御判断いただければと思います。
以上でございます。
○辻部会長 それでは、資料7の中身について一つずつ確認していきたいと思います。
これは、先ほどありましたけれども、2005年から2012年までに研究に御参加いただいて、それを追跡している最中ということですので、先ほどの資料6は法施行後に始められた研究ですけれども、これは法施行前から行われている研究ということになります。
そういうことで、皆さんの御意見をいただきたいと思いますけれども、まず、「(2)情報の利用目的及び必要性」につきまして、いかがでしょうか。目的としては、がんを中心とする生活習慣病の遺伝及び環境要因の探索、その予防対策の策定に必要な情報の構築、がんの再発や二次がん罹患に影響する遺伝及び環境要因の解明とがん患者の予後改善対策に必要な総合的情報を構築することですので、これは法の趣旨に沿っていると考えますけれども、いかがでしょうか。
「必要性」について付記しなければいけないということはありますけれども、これはよろしいでしょうか。
「(2)同意の取得」、これは同意代替措置に即した措置が講じられているかということですが、いかがでしょうか。
黒田先生、どうぞ。
○黒田委員 事務局から教えてください。代替措置の処理は何ページ目にあるのですか。
○事務局(安藤) 右下ページで言いますと、38ページからになります。大変失礼しました。
○辻部会長 ちょっと見ていただきますと、38ページですね。まず、本研究は、がん研究であり、ベースライン調査終了時の協力者が1万2,000人ということと、研究参加時に、調査研究対象を追跡し、がんに対する情報を取得するということについてのインフォームド・コンセントを得ているということになりますので、一つの条件は満たしているかと。その上で、この同意代替措置としてホームページにこのような情報を書いていますということで、38ページにそのホームページの表紙がありまして、39ページを見ていただきますと、研究目的と内容ですね。それから、がん罹患の把握をしますということ。40ページをごらんいただきますと、がん登録情報を用いられることに同意しない方は、下記まで所定の用紙を郵送して御提出くださいということです。情報として、「『全国がん登録』をご存じですか」ということで、内容的には、そのようなことが書いてあります。登録の流れが42ページに書いていまして、全国がん登録について詳細に知りたい方はホームページをごらんくださいというものが43ページ、そこまでが同意代替措置になりますけれども、いかがでしょうか。
丸山先生、どうぞ。
○丸山委員 前回ももう少し明記されたらいかがかと言ったつもりなのですが、あるいは、私が見えていないだけかもしれないのですが、代替措置の38ページのところの下3行、示すべき項目なのですが、この調査対象者の範囲がいま一つ明らかでないような感じなのですね。この文章を書かれた方は自分たちの研究だから自分たちの研究に参加した人とわかっているだろうと思われているかもしれないのですが、これこれの人と明記して、人数は大体この1万2,000人なのでしょうかね。だから、何々研究への1万2,000人の参加者、そのベースラインの登録期間は何年何月から何年何月までというぐらいの明示がないと、ホームページの公表文書があっても自分のことかどうかということはわからないのではないかと思うのですが、そのあたり、前回も言ったのですが、申請者がお越しなら尋ねたいところなのですけれども、いらっしゃらないので、これは事務局ですかね。どなたか教えていただければと思います。
○辻部会長 どうぞ。
○事務局(安藤) 事務局でございます。
御指摘の点に関しましては、39ページの上のところがホームページ案となっておりまして、確かにこちらの記載に少し足りないことはあるかもしれないのですけれども、具体的な調査、対象者の範囲とか、研究の目的はこういう形でホームページに掲載しますよということを張りつけてこの申請書には提出していただいているという形をとっているところでございます。
○丸山委員 ちょっとしつこいかもしれないけれども、よろしいですか。
それであれば、ここの研究の目的を文章で書く前に、研究名があると思うのですね。何々に対するコホート研究という名称で、実施時期、登録期間、それに参加された1万2,000人の皆様へという書き方あるいはそういう対象者の範囲の表示の仕方ができないのかなという感じなのですね。以前とこのあたりは余り変わっていなくて、自分たちの研究計画なり自分たちのPRの文章をそのまま利用されているような感じがするので、この代替措置に適合させるためには、新たに文書を作成してもらわないとまずいのではないかと思うのですが。
○辻部会長 要するに、丸山先生がおっしゃっていることは、この39ページの上のホームページをコピーしたところはこの研究を始めたときに書かれたものですよね。それに答えた人が1万何千人かいて、その人たちがちゃんと自分のことだとわかるようなことでないと困るのではないかということですね。
○丸山委員 もう何年もたっていると、自分はいろいろな研究に参加したかもしれないけれども、この研究かどうかというのがすぐわからないのではないかというところを危惧するのです。
○辻部会長 特にこの調査の対象となる方が○○歳~○○歳までの男女で、○△県在住の方というと、答えていない人も入ってしまっているわけで、その辺は少し丁寧に書いたほうがいいかと私も思いましたので、これは直していただいたほうがいいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
小俣先生、どうぞ。
○小俣委員 今の丸山委員のお話で、私も自分が受けたかわからないということがあって、例えば、これは問い合わせをすることは可能なのかどうか。自分が受けたかどうか、受けたとわかって、それでは、同意しますという場合もあるかとも思いますし、先ほどのチラシとか、前の審査と同じなのですけれども、そういう問い合わせ先があるとアクセスしやすいのかなと思いました。
○辻部会長 ありがとうございました。
そのとおりだと思います。
黒田先生、どうぞ。
○黒田委員 40ページの緑色のページなのですけれども、これは模擬なので今は仕方がないと思うのですが、「所定の用紙」と書いていて所定の用紙がついていないと思ったことが1つ。
所定の用紙がついていなくて、「所定の用紙を郵送にてご提出ください」と書いてあって、連絡先が、住所、電話、ファックス、Eメールというのは、組み合わせが非常におかしい気がするというのが2つ目。もっと大事なことは、38ページにあるのがトップページなのだと思うのですけれども、本来的には、この手のオプトアウトに係る情報はトップページからワンクリックで行けるところにないといけないというのが、個情法のレギュレーションですよね。そうすると、そのトップページからワンクリックのところで、オプトアウトに係るようなリンクが、ぱっと見たときにこのトップページの中で見えなかったので、これはどこにつくるのでしょうかということがわからない。
3つ目が多分一番大事だと思うのですけれども、前の2つは割とささいなことではあるのですが、問い合わせの受け方に対して研究者の方は真剣に考えていらっしゃらないと、このようになってしまうと判断せざるを得なくなってしまうので、多分そこの整理が要るのではないかという気がいたしました。
○辻部会長 わかりました。その辺は少しわかりやすく、また、ダイレクトにかかるようにということで、後で意見をつけたいと思います。
それでは、次に行ってよろしいでしょうか。
どうぞ。
○丸山委員 今のところなのですけれども、40ページの経過措置の指針について、概要については、40ページの真ん中あたり、緑の枠の上、下から6行目のリンク先ですね。概要についてはリンクをごらんくださいと言うのですけれども、このリンクをごらんくださいでは難しいのではないかと思います。概要を10~20行ぐらいで書いていただいた上で、詳細はリンクをごらんくださいと、あらましは文章を起こしてもらわないとまずいのではないかと思います。
○辻部会長 どうぞ。
○柴田参考人 参考人の柴田ですが、丸山先生に、今後、この修正の方向性をもう少し教えていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
この同意代替措置に係る資料につきましては、先生のおっしゃるとおりに、指針の第二の一ですね。「当該がんに係る調査研究を行う者の属する機関のホームページにおいて十分な期間掲載する等、調査研究対象者等が容易に知り得る状態で適切に公開すること」という中で、まず、ここの前提がホームページによる公開であること、そのホームページのトップページは、38ページ、黒田先生がおっしゃったように、研究者はこのトップページを想定して、今回、この模擬審査用にそのトップページを張りつけたというイメージです。
丸山先生が御懸念になっているのは、1点は、容易に知り得る状態になっていないのではないかということでよろしいでしょうか。
○丸山委員 見出しに当たるところがこの同意代替措置だと、これは一般的な表記で、どの研究にもこういうものは使えるので、そうではなくて、これこれの研究に参加した人が該当する話ですよということで、研究課題名とかを具体的に最初の1~2行目に書いていただくことが必要ではないかと思います。ですから、これがトップページだとすると、「本研究は」とは何かとなってしまうので、研究課題名あたり、あるいは、研究期間、長さ、その参加の時期とか、そういうものをお書きいただくのがわかりやすいのではないかと思います。
○柴田参考人 申しわけありません。トップページは、この38ページで言えば、下の正方形に近い枠の部分だけが実際のホームページになりまして、このコホートに参加されている方は、この研究者いわく、ここのページから常に情報を収集いただいていると。ここにアクセスされた方は、まず、新着情報をごらんになると。新着情報のところに多分追加すればいいと思うのですけれども、今後、全国がん登録情報の利用をしますという情報を追加する。その関連で今あるのがこの右上のパネルなのですけれども、「全国がん登録情報を利用して、研究に参加してくださった方のがん罹患を把握します」というパネルがあり、多分ここをクリックすると、次にこの模擬審査用の資料につけていただいているような文章が出てくる流れになっていると思うのですが、説明しないとわからないような状態では模擬審査をするほうも大変だとは思います。
ただ、模擬審査用につける資料をどのように提供していただくかというのも困っているところでございまして、むしろ模擬審査のときにはホームページのここみたいにURLをつけていただいて、それを見ながら評価したほうがむしろいいのでしょうかと、私も考えているところです。
以上です。
○丸山委員 最初のところのページが38ページの下半分というのは、勘が悪いので、御指摘いただいて初めてわかりました。私だけですかね。そうであれば、枠をつけていただいて、これはネットの画面ですよということで示していただいて、リンクのところにハイライトをつけて、ハイライトをクリックすると次のページに行きますよというところで、リンクをたどるに応じてあらわれる画面を並べていただくというものだったらわかりやすいのではないかと思います。
それから、これは架空の研究という想定ですので、具体的なところは書きにくいかと思うのですが、架空であることを承知の上で、もうちょっと具体的にありそうな課題名とか、期間とか、主任研究者とか、すぐそれを見れば自分がなじみのある研究だなとわかるものが示されていればと思いました。
○辻部会長 どうぞ。
○友岡委員 プラスアルファ、最も丁寧なやり方としては、ここに出ているウエブページに関して、どこの出典かと下のほうにURLを書きますね。いつそれが参照されたかということがあれば、一番丁寧だと思います。すぐに消えたりしますから。そういった意味では、個々のページがどこにあるかということを後でトラックできるようにするというのが本来の参照文献のやり方だということがあると思う。それをやるとより優しいと思いました。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
ほかによろしいでしょうか。
それでは、同意代替措置につきましては、その辺をわかりやすくしていただくということでお願いします。
次、「(3)利用者の範囲」ですが、いかがでしょうか。
どうぞ。
○黒田委員 たびたび済みません。利用者の範囲ですが、これはがんセンターでセットされているのに研修生と大学院生があることが解せなくて、これは模擬審査だから難しいところなのですけれども、通常、NDBの利用のときには、雇用契約の関係があるかということと、例えば、学生の場合は学則等で縛りがかかっていますので、何かあったときに組織として罰則を打てるかということを判断の一つの基準にしていると私はお聞きしたことがあって、そういう視点で見たときに、この○△がんセンターにおられる大学院生というのは、この組織が学生をとっていらっしゃる組織であれば理解できるのですけれども、多分外部の大学院生ということであれば、外部の大学がどこの大学で、そこの間にはどんな契約があるのかということは、研修生とか大学院生については示しておいていただかないと、多分判断はできないのではないかと思いました。
○辻部会長 どうぞ。
○亀井委員 今の黒田委員と全く同じ意見でした。所属機関のところも、がんセンターという名称のみでその部署などがわかりませんので、先ほどの1つ目のほうは医学部といった記載があり特に問題がなかったですけれども、これはがんセンターで分野長が2人いるとか、部署なども記載があったほうがわかりやすいのではないかと思いました。
○辻部会長 どうぞ。
○杉山委員 細かい話で申しわけないのですが、利用者リストの下から4番目と5番目なのですが、嘱託技師と非常勤雇用職員があって、これをこの研究の利用者として認定することが適当かどうかという判断はどこでしたらいいのですか。
つまり、このがん研究センターとのこの方たちとのかかわりは、そこに契約がありますよね。もし必要であれば、その契約書は、NDBのときもそうですけれども、例えば、がん登録は原則的には外部委託ができないという話になっているのですが、外部委託をする場合には契約書を添付します。なので、広く解釈すると、この嘱託と非常勤のものについては、その研究センターあるいはその大学内での身分の保証がどうしても必要になるという気がするのですが、いかがでしょうか。
○事務局(安藤) がん登録においても外部委託は可としていまして、主要な部分以外についてですけれども、可能です。その場合には、委託契約書などを添付してくださいと、お願いしているところでして、その意図としまして、提供されたデータをまずはどこで使うかというところは安全管理上大事でして、もちろん外部委託とか、そのがんセンターの決まったところ以外でのどこか研究施設で使うのであればそういったものが必要だと思います。この方々ががんセンターの中で利用される中で、がんセンターとの契約上、こういった技師とか非常勤雇用職員というところに対して、そこの委託契約書も必要かどうかというのは、実際、NDBですとどうされているのですか。
○杉山委員 NDBでは、多分これはない。いわゆる常勤。既にその大学なり研究機関なりに所属している人たちしか多分出てこない。利用者申請としては出てこない。
黒田先生、違いますか。ありましたか。
○黒田委員 ありますよ。大学で、嘱託技師はないですけれども、非常勤職員はあり得ます。だから、非常勤雇用職員とか嘱託技師が、その組織の契約上、存在するのであれば、契約は存在してその契約のもとに縛られるだろうという判断で、それはリストにできると思います。だから、こういう職種があるのですということがわかるかどうかだと思っていて、その上で、先ほども研修生と大学院生は多分あり得ないでしょうというお話を差し上げたのです。
○辻部会長 非常勤雇用ですけれども、いわゆる大学などですと、技術補佐は非常勤ですよね。ですから、そういうことはあるかと思います。
それから、大学院生なのですが、今、例えば、東北大学の医学系研究科も宮城県立がんセンターと連携大学院を結んでいまして、そこの研究所の人が連携講座の大学院生になることはありますけれども、それはどうなのですか。
○黒田委員 それはあり得ると思っています。その場合であれば、多分、所属機関はがんセンターではないはずで、どこそこ連携大学院に所属されている大学院生で、その方は実質的にここの中でそういう契約が存在していて、ここの所属ですよということはただし書きがつくという形になっていないと理解ができないのではないかと思います。がんセンターに大学院生というポストはないだろうもしくはそういう立場の人間はないだろうと想像するのです。もしこのがんセンターが教育機関を兼ねているのであれば話は別ですが。
○辻部会長 先生、今、連携講座という形で、がんセンターの中でも大学院生を確保できるのですよ。
○黒田委員 はい。そうだとすると、その御所属は何とかかんとか大学のはずだと思うのですよ。連携大学だとすると連携大学の大学名が御所属に入るはずであって、何とかかんとかがんセンターが御所属ではないはずだと。その学生さんは多分所属されているのはがんセンターではないはずだと理解いたしております。
○辻部会長 そういうことですね。それはわかりました。
○平田委員 それについては、いろいろやり方があるのだと思うのですけれども、医療従事者は特に診療行為に対する問題がありますので、がんセンターという臨床を主になさっているようなところでの研究者としている場合には、そこの職名、お給料もそこから出ていますので、大学では大学院生で、そちらでは職名も書いて、あわせて、例えば、京都大学の大学院生であることを添付すれば、本当は厳密にはいいのでしょうけれども、ですから、こういう職名の組み合わせがない場合が公的には起こり得ることかなというだけの話かと思うのですけれども。
○黒田委員 もしそれだとすると私はまずいと思っていて、大事なことは、データは研究班長に対して出すはずなので、研究班長の所属される組織との間で雇用契約関係があるのか、もしくは、研究班長が班員に対して何かしらの罰則だったりを適用できる関係性があるのかということが非常に重要なので、もし御所属としてそれがはっきりしていないということであれば、その方は多分利用者から外していただかないといけないということを意味するのではないかと考えます。
○平田委員 ですから、きちんと大学と、研究科長なり、そこの病院あるいは研究所と連携している約束事の部分と、その個人についての契約がきちんと明示されていることが重要ということになろうかと思います。そこで初めて記載される内容が書き方によって違ってくるのではないか。
○辻部会長 ちょっとまとめますと、下の大学院生3名に関しては、恐らく想定されるパターンとしては、がんセンターで臨床か何かの業務をしていらっしゃって、そのお給料をもらっていて、かつ、○○大学の連携大学院生としてそこで学位論文も書くという立場なので、研究という観点からするとこっちなのだけれども、組織上の縛りとしてはがんセンターで、両方書いていただいたほうがいいのでしょうかね。
先生、どうなのでしょうか。
○中西委員 そういうダブルポジションもこれからふえていきますので、ひな形にそれがあることが大事だと思いますので、ぜひそういう書き方をひな形にしておくことがよいと思います。
○辻部会長 ありがとうございます。そのようにしたいと思います。
次ですけれども、「(4)利用する情報の範囲」はいかがでしょうか。
これも2016年診断なのですね。
○東参考人 参考人の国立がん研究センターの東です。今の論点について確認をさせていただきたいのですが、恐らく窓口組織としてこういう質問は多分たくさん来ると思うのですね。今、問題になっているのは、立場の記載の整合性だけの問題なのか、それとも、主任の代表者や申出者とその方の関係が、申出者が組織としてその方を必要であれば罰することができるような責任がとれる人でないといけないということなのかはどうでしょうか。その辺のいろいろな形があると思うのですが、何が問題になるのか、何だとダメなのかということを聞かせていただきたいです。大学所属の人が共同研究者で申請者ががんセンターの職員という共同研究は普通にあり得ることだと思うのです。そのときには別に雇用関係もないと思うのですが、罰せられるというのは、恐らく申出者ががんセンターの職員だったら、その大学の人に対して罰するということは基本的にはなくて、今後一緒に研究しないとか、その程度と思います。そのレベルでは許されないという理解で審査をすべきものなのでしょうか。その辺の整理において、この事例は記載の整合性の問題なのか、罰則とか、雇用、強制力を持つ関係を重視しているのか、どっちなのでしょうか。
○辻部会長 どうぞ。
○黒田委員 私は、NDBで審査する側ではなくて出す側の人間、申請する側の人間ですが、申請するときに言われていたのは、組織としてNDBのデータを受け取ったときに、そこで漏えいか何かがあった場合に、それを組織としてその人物に対して適切な罰則を与えることができるかどうかは判断の基準であると言われたことがあって、なので、特定の条件だと大学院生ですら出せなかったりするのですけれども、雇用関係がない者については、研究者として閲覧することはならないということをその場合は言われていたということで、これはNDBではないので、がん登録でそこをどのようなレギュレーションのもとで扱うのかという話だと思っています。
ですので、今、私が雇用関係というお話を差し上げたのは、少なくともこの厚生花子さんが全ての方に対して何がしかのガバナンスをきかせることができるかということは考えないといけないということが一つと、それをどこまで縛るかというレギュレーションについては、何か契約で縛るか、そこはここでコンセンサスがあるわけでも事務局から何かお示しいただいたわけでもないので、どのようなレギュレーションのもとの範囲の人しか入れてはいけないかというところは、何がしかの縛りがあるのか、それとも、先生がおっしゃるように、共同研究と一般的な研究者の枠組みの中で整理され得るものなのかというところがよくわからないと思っています。
先ほど申し上げた大学院生が書いてあるのは、それはポストとしてあり得ないでしょうと申し上げただけなのですけれども。
○東参考人 ありがとうございます。その趣旨は理解しましたけれども、それでは、どうするのかなというのは気になるところです。
○辻部会長 どうぞ。
○柴田参考人 今のところ、審査の方向性の中で、利用者の範囲についてお示ししている条件は(3)なのですけれども、調査研究の目的・内容から判断して、全ての利用者について、氏名、所属が申出文書に記載されていて、全ての利用者が当該調査研究において果たす役割が明確かつ妥当で、それが必要な限度であって、不要な者が含まれていないことになっています。不要な者が含まれていないことが多分一番曖昧なところかと思うのですが、これについて、NDBのように、利用者として雇用関係のない者は不要な者だという条件をつけることが妥当なのかどうか、それは私にもわかりかねますので、そのあたりは、この利用の審査の内容を今後考えるに当たっても御意見をいただければ、大変ありがたく存じます。
○坂元委員 我々自治体が、例えば、いろいろな福祉情報とか介護情報を業者に委託するときには、条例等に従って、秘密保持契約というものをしっかり結んで取り扱うことを常々やっています。だから、この情報がそういう行政情報に属するのか、どういう情報に属するのか、その性格によるものなのかなと思います。ただ、今までの流れから言うと、かなり秘密保守の縛りが強い情報なので、もしかするとそれに準ずるかもしれないという気がしました。
○松田参考人 追加で、先ほどの資料3の利用者の安全管理措置の内容については、どちらかというと複数の機関で共同研究をしているような想定で、統括利用研究者という者が厚生花子さんに当たって、違う大学とか、違うがんセンターとか、そういったところの方が入って、各利用場所だったり、各組織に利用責任者を置いてということを想定して書いておりました。その後のパワーポイントの図もそういった想定で書いておりますので、もしそこら辺がふさわしくないということであれば、全体的にその内容も改める部分があるかと思いました。
以上です。
○辻部会長 今の松田先生のお話がよくわからなかったのですけれども、これは単一の組織でやっている研究ではないのですか。
○松田参考人 今の例はそうです。今の厚生花子さんの例はそうなのですが、利用者の安全管理措置で統括利用責任者を置いたりとか、各利用場所で責任者を置くという記述をするときに、頭にあったのは、いろいろな場所で、一つの研究グループでいろいろな大学が共同研究をしているような想定での記述をしておりました。
○辻部会長 それは別の話なので、それはそれで構わないと思うのですけれども。
○松田参考人 それが許されないということであれば、こういう利用と。
○辻部会長 許されないという話をしている覚えはないのですけれども。
○松田参考人 そういうことが今後も検討されるのだと思うのですが、もし、単一のいわゆるそういう雇用関係とか、処罰とか、責任関係が生じるような組織の主従関係があるような人でなければ、この利用申請の利用者に入ってはいけないということになるとすると、利用者の安全管理措置の書き方も変わってくるのではないかという追加の意見です。そういう想定ではなく書いておりましたということです。
○辻部会長 どうぞ。
○黒田委員 今の松田先生のお話を聞いて、確かに複数機関が入ることはあるなというのはよくわかるのですが、今の形で考えると、複数機関にそれぞれ責任者がおられるわけですよね。その責任者の管理のもとに人々がおられるわけで、そういうたてつけでここのメンバー表が整理されていないと、そこのところの整理が読み切れない可能性があるというのは、今、思いました。
もしそうであれば、例えば、ある先生が、何とかの分野長と、何とか大学の研究者として教授だったり客員教授だったり立場を両方兼ねていらっしゃるということならば、それぞれに所属する形で大学院生もおられ、研究員もおられるとなっていると、なるほどこれは一つの組織であって、複数の責任者もしくは1人の責任者が複数の責任者を兼ねていらっしゃって、そこで全部管理がされるのだなということが判断のときに読み取れるだろうということになるのかなと感じました。
○松田参考人 イメージとしては、その形です。この表についても、今回、厚生花子さんについては、全部がんセンターとなっておりますが、ここに○○大学があれば、○○大学の右の役割のところに利用責任者というものが立って、○○大学に所属されている院生の方は、その利用責任者の責任下においてデータ利用をするという書き方をこの表でされるほうがいいので、モデルとしては、それでいいのであれば、そのようにすべきだと思います。
○辻部会長 それでよろしいということで、お願いします。
○東参考人 すみません。それでいいというのは確かにそうなのですけれども、それを要求するのかどうかということをお伺いしたいのです。それは新しい概念ではないかと思います。1カ所で研究をすると、データの保管場所はここであるということを明記しているのはこの申請書の中でその通りと思いますが、そこに複数の所属の人が入ってくるということを許さない、雇用関係にないと許さないという概念は、今、出てきたことなので、今後、そういう方針にするのか、そういう考え方も存在するけれども別にいいとするのか、せっかく新しい概念が出てきたので、その辺の御意見をここで伺っておきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○坂元委員 何度も言いますけれども、例えば、介護保険情報でそれをいろいろ扱うときに、業者に市役所に来てもらって市役所内でやるのは、その業者と雇用関係は別にないわけで、その内容に関して知られたものを外に言ってはならないという一定の秘密保守契約を結んでやってもらったり、情報を渡してその会社の中でそういう情報を扱ってもらうこともあり得るので、そういう一種の秘密保守契約関係がしっかり結ばれていれば、通常、自治体の場合は、自治体が知り得た個人情報をそのように扱うということは可能で、実際にやっています。
○黒田委員 研究データについてはそこまで厳密にやりませんが、電子カルテなどに、過去のある診療科におられた所属者が、その後、どこかよその病院で偉くなられて、どこかで専門医の認定であったり更新のために情報が必要であるということが、通常、発生します。そういう場合、カルテの閲覧権限を提供するわけですが、カルテの閲覧権限を提供するときに、こちら側のつくったカルテの閲覧の規約とか、もしくはそのときの情報の扱いに関することとかを守りなさいと、誓約書は必ずとるのですね。それは契約とまでは呼ばないかもしれませんけれども、何がしかの形で誓約はとっている。
多分各組織でそれはされているのだろうと思いますけれども、そういう何がしかの形での縛りが一定で入らないと、ここでやっているのは、ここの議論の中核にあるのは、この人たちは本当に研究の目的だけで見るのだよねということと、この人たちに見せることで情報漏えいとか毀損とかが起こる可能性がないということをここで判断するのだよねということが、ここに与えられたお仕事というか、判断の役割だと思っているので、そうすると、よその人ですけれどもこういう形で見るときにはルールに従っていただくようなことをしていますとか、一筆書き加えていただくようなことで、毀損とか滅失の可能性がないということを判断できる情報を与えていただいたほうが、審査をするときに審査の仕方としてやりやすいのではないかと受けとめます。
○辻部会長 どうぞ。
○友岡委員 罰則云々の話があるけれども、法律に戻ると、これは33条が根拠になるのかなとちょっと思ったのですね。それは罰則の規定からすると33条なので、52条に罰則の規定がある。これを適用するのかなと。仮想の話ですね。そうすると、33条は、ここに書いていますけれども、「情報の取扱いの事務若しくは業務に従事する者若しくは従事していた者」、このような表現があるので、そういった意味で、ここで今回3ページに挙げられている人が業務にないしは事務に従事しているからといった視点からもし書くのであれば、要するに、罰則の適用がある可能性という意味では、「従事」という言葉が出てきていますから、そういった観点からここに書き込めばいいのではないかということが一つの指針かと思ったのです。
そうした場合に、「従事」という言葉がどのように解釈できるかというのは、研究の視点なのか、それとも実際に事実上の業務としての話なのかというのは、その幅が多分あると思いますけれども、見たところ、漏えいとか、そういったことは常に一体としてこういった個人情報をどう扱うかということを考えないといけないということになったら、ここにある技師とか、嘱託技師の方、院生の方はどのように書くかというのは、私としては、フルの博士課程におられる方とか、例えば、何年生かとか、そういったところまで書くべきだとは思いますけれども、そういう視点から範囲を絞れるないしはそういった視点から誰がここの利用者かということを書くのはありかと思います。
逆に言うと、厚生花子さんだけを書くというのはもってのほかだから、そういった極論を今は申し上げますけれども、誰がそのように従事しているものかという範囲の中で書き込むというのが一つのあり方かなと、法律家の視点ですけれども、一案として申し上げました。
以上です。
○辻部会長 どうぞ。
○中西委員 大学は、連携でほかの大学に国内留学することがありますけれども、その場合、必ず大学間同士で国内留学をすることについて提携した契約があります。ある人材を送ったときには、その人材を送るということは教授会で必ず審議されて承認がされますので、それについては、基本的には事務的に必ずそういう記録があるはずです。また、大学院生が診療するときには、これは病院と診療契約をやって、責任の所在を明らかに、診療に関しては病院側にあります。研究に関しては、もしも、ある大学、A大学がB大学に人材を送ったときには、A大学に所属する者であるけれども、B大学で起こったことについての管理責任は、基本的にはその大学院生とそこで管理している者とかというものがあるはずなので、あとはどこまで明確にするかということなのですけれども、基本的には何も知らない人が未登録の場所でやることはないと思っています。厳密に言うとすれば、そういったものがありますけれども、あらためて責任の所在等についての資料を求めるのか。私自身は、基本、こういう情報を扱っている医療機関、研究機関は、それはもともとあるものなので、間違いなくその人がどこかから派遣された者であること、あるいは、例えば、診療に関しては契約があることさえわかっておれば、それ以上の確認まではなくてもいいような気はいたしております。
○辻部会長 どうぞ。
○事務局(安藤) こういった雇用関係のところでどこまで求めるかというところをお考えいただいている中で、1点だけ、御参考程度なのですけれども、資料2の利用規約ですけれども、基本的にこちらはこの申請書のリストの中に書いていただいている研究者の皆さんにこの利用規約を守っていただくことが前提でして、そういった中に、例えば、2ページ目の「3.管理」で、利用者は、提供を受けた情報を破棄するまで、こちらのマニュアルで具体的に、この場合には別添の安全管理のものになり、そういったものや指示に基づき適正に情報を管理するとありまして、これに対して申請書の中でも最後のところに誓約書をつけていただいていて、がん登録としては、まず、全ての利用者の方に誓約書という形で出していただいているということを御理解いただいた上で、それに加えて雇用関係という委託を証明するものが必要かどうかというところをお考えいただければいいかと思います。
○辻部会長 どうぞ。
○友岡委員 結局、雇用関係を証明するものは、この「職名」という部分に関して、この人は本当にそこに所属していますかという話ですかね。そういうことですね。だから、この利用者という範囲をちゃんと裏づけることが必要どうかという意味で、そういった添付資料が必要か。ここが争点になるということですね。
○辻部会長 どうぞ。
○黒田委員 つまり、今の事務局からの御説明は、個別に全員、毀損とか滅失に関しては契約を結んでいるものであるので、この組織全体の長が一定のガバナンスをきかせるべし、でも、全ての責任を負う必要はないものであるという捉え方でいいのですか。だから、そこら辺をどう捉えて、このメンバー表をどう考えればいいのだろうと、本当に私も東先生と同じで、要は、どこで線引きをすればいいかよくわからないなと思いながらお聞きしているところがあって、そこについては考えずに、研究者の構成員として、例えば、こんなにたくさん分析員が要るかみたいな話だったりするのか、そういう系統の話で判断するのか、どこに判断の基準を持っていって、この場合は判断するし、判断の基準の中に滅失とか毀損を防ぐというのは大きな役割としてあるので、その役割の視点から見たときに、契約とかガバナンスとかということを意識してお話ししていましたけれども、そこの部分についてはここで誓約書がとられているので、そこについて深く議論することはこのメンバーが適切であるかどうかを判断する材料にはならないと考えていいのですかね。
○がん対策推進官 先ほどの御意見の範囲で、それをどう考えるかということを、今、御意見をいただいて御議論していると考えていいのかなと私は思っていて、いずれにしても、恐らく個々の研究で、どんなところをどう議論すればいいのか、この研究者についてそれが適切なのかどうかというところを含めて、それぞれ個々の審議会や審査の会の中で議論していただくことになると思いますので、逆に言うと、線引きを引いてしまえば単にそれにのっとって審査をやればいいというだけの話にはなるのですけれども、ここはそれぞれのケース・バイ・ケースで、それぞれの研究の中で考えていく部分になるのではないかと思います。
いずれにしても、前回と今回の模擬審査で議論いただいた内容につきましては、何かしらの形でまとめて、研究者の先生や審査会の先生が参考になるような形でまとめていきたいと思っていますので、この御議論を踏まえて、こちらで何かまとめて準備したいと思っています。
○平田委員 さきほど中西先生がおっしゃったように、併記したほうが良いと思います。そのほうが、例えば、大学院生の場合に、2年間○△がんセンターにおられた場合に、2年ぴったりで終わったら、そこから所属がもし大学へ戻った場合に、この研究にかかわらないかというと、かかわりが研究機関に残っていれば、一緒に共同研究をしたという記録が残るわけですね。ですから、その年の共同研究に参加していた内容は、大学の大学院生であり、かつ、がんセンターの何とか医という形で、あるいは何とか研究員ということになりましょう。余り困らないようにするには、併記すべきで、期間を余り厳密にすると、友岡委員がおっしゃったとおり、厳密に言い出して何事も四角四面にはめ過ぎますと非常に困難なことが起こってきて、判定の委員会が何回も開かれなければいけないことになります。一番簡単なのは、そういう方たちは、きちんと研究契約を例えば大学とがんセンター間でなさっているでしょうから、バックグラウンドにある内容に従って動くべきです。添付するしないは、申請者、センターの研究代表者が責任を持ってまとめればいいので、おひとりに2つ3つの所属があるのならば、臨床医については大学でも大学院生は2種類以上の形があり得ますので、大学院生と何々診療医、病院の診療医と大学の研究、ですから、そこの部分を、どういう業務、研究にかかわるかによって、その職務の責任者が違ってきますので、書かせておいたほうが無難ということだと思います。そのときに同時に持っている身分ですので。
○辻部会長 なかなか難しいところになってきましたが、今の平田先生と中西先生のラインが現場を最も反映しているのかなという気は私もしますので、その辺はまとめて事務局で提示していただきたいと思います。
大分時間も迫ってきましたが、進めていきたいと思います。
「(4)利用する情報の範囲」は、いかがでしょうか。これはいいですね。2016年診断で、全国でがんの種類全てですね。生存確認情報も必要ということです。
よろしいでしょうか。
次の「(5)利用する情報及び調査研究方法」、全国がん登録情報の利用として適切かというところがありますけれども。
○天野委員 基本的な質問で恐縮です。
5ページの真ん中で、「統計分析結果の公表において特定の個人を特定できる可能性のある場合には、早期に窓口組織に相談する予定である」という1文があるのですが、これは承認するに当たって必須の要件という趣旨ですか、それとも任意の要件なのでしょうかというのが1点目です。
2店目は、この窓口組織は国立がん研究センター等を指しているのかということと、仮にそうだとした場合、例えば、この窓口組織は、公表形式に対して一定の強制力というか、何かそういった指導力みたいなものがあるようなものなのでしょうか。
確認のため、質問させていただきました。
○事務局(安藤) 事務局でございますけれども、1点目、こちらが記載されている理由としまして、前回、コホート研究の性質上、申請するときに公表形式を出すことは難しい、それはわかるけれども、何もないで申請する、それを判断することでいいのかといった御意見がございまして、そちらを踏まえて、今回、追記をしているところでございます。ですので、基本的にはそういった研究者の方にはこういった1文を必須という形で入れていただきたいと考えております。
窓口組織に関しましては、こちらの申請は全国がん登録情報の申請でございますので、国立がん研究センターになります。この窓口組織の権限といったところですけれども、資料2の利用規約の「12.成果の公表」でも、窓口組織に相談して、必要であれば審議会などに出していくとしておりますので、権限といいますか、窓口組織に相談して、窓口組織の判断ですが、そういったもので審議会等で最終的に御判断いただくものと思っております。
○辻部会長 黒田先生。
○黒田委員 今のお話なのですけれども、資料2の5ページ、先ほど議論があった「12.成果の公表」で、そもそも個人を特定できる可能性があろうとなかろうと、事前に窓口組織に報告しないといけないのではなかったでしたか。ですので、ここで書かれていること自身が、それ以外のときは報告せんのかいという感じに見えるのですが。
○辻部会長 言われてみれば、確かに。
どうぞ。
○中西委員 そういうこともあるから、先ほど祖父江先生がおっしゃったように、こういう可能性があるものについては事前にということがあって、それ以外のものは全部事前にチェックするというのは、まず、研究者サイドからするとぎりぎりまでブラッシュアップする努力をしてやっと間に合ったとするようなことが通常は多くて、しかも、自明のことというか、非常に大きなボリュームのデータを出して、個人が出るはずがないみたいなものまで全部チェックするのは現状に即していないというのは、恐らく批判として出てくるような気がいたします。
ですから、ここに書いてあるような、個人の特定ができる情報が懸念される場合にはという取り扱いであるほうが、研究者のサイドからすると非常に合理的であると考えます。
○黒田委員 私は、それには反対の立場です。基本的にはこれをチェックするべきだと思っていて、実際、批判が出るかどうかは、窓口組織の先生方は大変なのですけれども、窓口組織のレスポンスの速さだけで物が決まるという気がしています。
NDBの場合、全部報告しなければいけませんが、今、極めてレスポンスを速く返してくださっているので、我々はそれで困ったことはありません。2日ぐらい前に出して何とか返してくださいますので、さすがに前日というのは普通はないだろうという感じからすると、窓口組織の先生方の大変さは別にして、そこは多分レスポンスの速さだけでものが決まるのだろうと理解しています。
○中西委員 審議会という表現が出てきたので、私の中では拒否反応が出たのですね。一般に審議会はなかなか開かれないので。ですから、そういう実務的に中身をぱっと見てその場で迅速に対応していってくださるような体制があれば、それについては問題ないと私も思います。
○辻部会長 どうぞ。
○事務局(安藤) もともと利用規約の中で成果の公表は全て窓口組織に事前に公表するとさせていただいているのは、先ほど黒田委員から御指摘のとおり、NDBの例に倣っておりますので、全てを審議会が開かれるときに一個一個かけていくというイメージではなくて、窓口組織で一定の御判断をいただく。迷った場合については審議会にかけるとか、方法としては、委員の方々に審議会以外のところで御相談するとか、そういった方法が考えられる上での事前の報告を全てお願いしているところですので、その点は御理解いただければと思います。
また、この2行の記載ぶりについては、こちらはひな形になりますので、少し検討させていただきたいと思います。
○辻部会長 祖父江委員。
○祖父江委員 今回、このがん登録推進法という根拠法があっての利用という議論をしているわけで、NDBの場合は根拠になる法律がなく利用しているという前提があると思います。かなりコンサバティブに判断されているというものを、全部の仕組みに前例として適用するのは危険だと思います。きちんと利用することを前提としたがん登録法があっての議論であるということなので、余りコンサバティブに考えるほうに傾くのはよろしくないのではないかと思います。
○辻部会長 これにつきましても、もう少しまた次回に向けて議論して、いろいろそれぞれ専門の先生方とも議論していただいて、もう一回、次回に方針を出していただきたいと思います。
大分時間も迫ってきましたので次に移りたいのですけれども、「(6)利用期間」ですね。5年以上分析する必要がある研究かということですけれども、これは前にも議論をしましたよね。これはオーケーですよね。
○有賀委員 1つ、確認をさせていただきたいと思います。
資料2の提供マニュアルを拝見しましても「利用を開始した日」となっているのですが、これがデータ提供日を指すのか、それとも研究開始日を指すのかが不明確かと思います。もしこれが後者の研究開始日を指すのであれば、申出文書の中にその日にちを書き入れる項目が必要ではないかと思うのですが、御確認させていただきたいと思います。
○事務局(安藤) 事務局でございます。
基本的に、がん登録の中で利用の開始は提供を受けた日からでございますので、そちらにつきましても、こちらがひな形になることを踏まえて修正等を検討させていただきたいと思います。
○辻部会長 ありがとうございます。
「(6)利用期間」はよろしいでしょうか。
「(7)利用場所、利用する環境、保管場所及び管理方法」ですけれども、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。特にないでしょうか。
「(8)調査研究成果の公表方法及び公表時期」です。これはいろいろな研究がされていくので、2019年から2025年にわたって具体的な時期は明示されていませんけれども、これで発表しますという形ですけれども、よろしいですか。資料6だとかなり具体的に何年何月ぐらいをめどと書いていましたけれども、こんな書き方でもよろしいということでいかがでしょうか。
いいということでよろしいですね。
「(9)情報の利用後の処置」ですが、溶解や「末梢」の話はまた出てきますけれども、大体よろしいということでいいでしょうか。
そういうことで、まとめますと、これは一つ同意代替措置のところをもう少しわかりやすくつくってほしいということと、研究組織の出し方、大学とがんセンターとを兼ねるような立場の場合は、それぞれをちゃんと関係がわかるように示してほしいというところかと思います。少しその辺の積み残しの議論はありますので、もう一度、事務局のほうから次回にまた御提案いただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
資料8、模擬申請-3に移りたいと思いますけれども、御説明をお願いします。
○事務局(安藤) 事務局でございます。
資料5をもう一度お手元に御用意いただいて、資料8をお願いします。
資料5の2ページ目、模擬申請-3に関しましては、前回、資料としては御提示しておりましたが、時間がなく、審査をしていないものでございます。「法第21条第4項の規程に基づく匿名化された全国がん登録情報の申請」となっております。御提案に関しましては、「(2)利用者の範囲」は先ほどと同じように必要か、必要な限度で不要な者はいないかという点。
「(5)利用する情報及び調査研究方法」、「(7)利用場所、利用する環境、保管場所及び管理方法」に関しましては、全国がん登録情報の匿名化された情報の利用として適切かを御判断いただきたいと思います。
また、こちらの提案に関しましては、19ページ以降に予定されている集計表も添付されておりますので、そちらもあわせて御検討いただきたいと思います。
以上でございます。
○辻部会長 それでは、あと10分程度ですけれども、よろしくお願いします。
「(1)情報の利用目的及び必要性」ですけれども、いわゆるAYAがんについて集計をするということですね。同世代のがん医療の質の向上に資する成果を国民に還元するということで、これは重要な話だと思いますので、1番はよろしいですね。
「(3)利用者の範囲」ですが、3ページをごらんいただきますと、部長さんと研究員の方が2人ということになっていますが、これは既に匿名化されたデータを扱う人ということですよね。ですので、実際にデータを扱うということになろうかと思いますけれども、よろしいですか。
「(4)利用する情報の範囲」ですけれども、これも罹患だけですので生存確認は不要で、AYAがんなので属性的範囲は0~39歳。4ページに、精度指標、罹患数・率、地理的単位、層別分析、がん種、統計解析が書いています。あと、少数例の秘匿処理としてさまざまに書いております。いかがでしょうか。
これはよろしいですか。
次が「(6)利用期間」ですね。
○平田委員 先生、時間のないところで申しわけないのですけれども、この利用期間というのは、例えば、一番困るのは、論文を出したときに申請していた利用期間を超えた時期にようやくアクセプトになるといった場合に、幾ら何でも違反行為にはならないですよね。その辺の取り扱いがちょっと大事かなと。
○事務局(安藤) そちらに関しましては、資料2の利用規約をごらんいただきたいのですけれども、5ページ目、「12.成果の公表」の(5)が今の御指摘の箇所かと思います。申出文書に記載した予定時期までに公表できない場合は、窓口組織に申出文書を提出することにより、その理由及びその時点における成果を報告するものとし、厚生労働大臣等が必要と認めた場合、公表に係る期間を延長できるものとする。なお、公表に係る期間の延長は申出文書に記載した利用期間の末日から、原則最大1年間を限度とすると規約の中に入れております。
○平田委員 ありがとうございます。
○辻部会長 ほかにはどなたかございますか。
○家原委員 戻って申しわけないのですが、「(3)利用者の範囲」のところで、前回は実績報告があったのですが、今回はここに実績が添付されていないのです。匿名化が行われた場合はよかったという理解で出ていないということなのでしょうか。
○事務局(安藤) 御指摘のとおり、法律の中で実績を求めておりますのは、一般の研究者の方への匿名化されていない情報の提供のみにその記載がございますので、今回のような匿名化された情報のときには必要はございません。
○辻部会長 ほかにどなたかございますか。
「(6)利用期間」まで来ましたので、「(7)利用場所、利用する環境、保管場所及び管理方法」、この申請は匿名化された情報を扱うものですけれども、いかがでしょうか。
「(8)調査研究成果の公表方法及び公表予定時期」ですけれども、何かございませんでしょうか。
○東参考人 この公表時期について、先ほどの研究ですと何年もの幅があって、この1つ目と3つ目の研究だと公表時期の何月までとあるのですけれども、そこはどのように考えたらいいのですか。6月、10月、12月、3月と書いていますけれども、それは基本的には余り必要ないと考えたほうがいいのでしょうか。その辺である程度の御意見だけでもいただきたいと思いまして、すみませんが、よろしくお願いします。
○辻部会長 いかがでしょうか。どなたか御意見はございますか。
柴田さん、どうぞ。
○柴田参考人 模擬申請-2で詳しく書けなかった理由が、模擬申請-1と3と違って、模擬申請-2は、研究、分析する内容が多岐にわたっていて、研究者も多岐にわたって中にいて、その研究者が複数年にわたって研究成果が出るたびにいろいろなところで発表するので、いちいち細かく書かないで、こういったところでかかわっている研究者が発表していくという想定のもとにああいう書き方になっています。
かわって、模擬申請-1と模擬申請-3は、比較的研究分析内容が限られていて、研究の成果も最初から予測される内容であるので、想定される範囲であらかじめのことを記載しているという認識で、この模擬申請の記述ができています。
○東参考人 恐らくそうだろうと思っていたのですけれども、そういう話もあったかと思うのですが、それでは、本当に繰り返し研究して発表するものであればそんなに書かなくてもよくて、もうちょっと狭い範囲だったら書かなければいけないというのだったら、何を守っているのだろうというのがわからないのですが、その安全性とか見通しとかという意味についてはそんなに変わらないと思うのですけれども、繰り返し発表することが許される、それで幅を持たせることが許されるのだったら、そもそもどんな研究でも別に許されてもいいのではないかと考えまして、なぜそういうことを言っているのかというと、余り細かい情報をあらかじめ書き込んでしまうと変更申請がまたたくさん出てきて大変になるのではないかと、その辺のところも思うのですが、いかがでしょうか。
○黒田委員 予定は予定ではないのですか。ここは多分そこがポイントだと思っていて、予定どおりに発行しなかったら変更申請をしなければいけないとなると大変なのですけれども、片方で、このぐらい短時間のものであると、本気でどういうところで発表するつもりでやっているよねという、ある程度のリアリティーを持った研究計画だよねというものは欲しいと思う瞬間はあるような気はしていて、それはさっきの2番目のものと大分違うだろうなと思って見ていました。
だから、ここで書かれるべきこと、書いていることの審査の対象は、これは本当に研究としてリアリティーがあるのか、ちゃんと公表する気があるのか、社会に対して還元する気があるのですかということを審査するためにここに書くのだろうと理解していたので、それを理解する上で、ある程度の細かさは、要求するかどうかというのはあると思うのですけれども、リアリティーがあるかどうかというところだけは見ることになるのではないかと理解しておったのです。
事務局にお聞きしていいかどうかわからないのですけれども、事務局の判断として、それで間違いないですかね。ここで発表と書いていて発表しなければならないというもともとのたてつけがある中で、どのぐらいリアリティーがあるかという判断の基準だということでよろしいのですよね。
○がん対策推進官 御指摘のとおり、変わります。
○辻部会長 なので、それほど縛られなくてもいいということでよろしいですよね。
○がん対策推進官 そうです。
○辻部会長 もう一つは、マスメディアに公表予定と必ず出るのですけれども、学会で発表すると、重要なものだったらその場で記者が来て記事にされてしまうわけですよね。そうすると、みずからではなくてかなり前にマスメディアに公表させられてしまうわけですけれども、それも構わない、縛られないということでいいのですか。
○がん対策推進官 そうです。それも含めての予定という形で記載いただくことになる。いずれにしても、これもまたそれぞれどういう研究をするのかという中身の個々の議論の話になってくるので、そこはまさにそれぞれの審議会の中で議論をされていく。最終的にはそうなるものと考えています。
○辻部会長 最後になりますが、「(9)情報の利用後の処置」で、これはよろしいですね。「(10)その他」もよろしいでしょうか。
そういうことで、この資料8について、全体を通していかがでしょうか。これはお認めするということでよろしいでしょうか。
そういうことで、資料8まで来ましたので、本日の模擬審査は以上になります。
事務局におかれましては、いろいろ積み残しがありましたので、また今後もよろしくお願いしたいと思います。
それでは、ここからは部会の進行に戻りまして、議題3「その他」ですけれども、何か御意見等のある委員の方々はいらっしゃいますでしょうか。
どうぞ。
○平田委員 1つだけ、この規則なり約束事は、研究にかかわる部分については、文科省とかAMEDとかの関係者には、お教えをする必要があるのではないでしょうか。がん研究においての予後情報についての取得研究にはこれまでの情報のお伝えは不必要でしょうか。
○がん対策推進官 文部科学省やAMEDに対して、研究者の先生方がこの研究をするときに何か照会が必要だという意味でしょうか。
○平田委員 そうではなく、がん研究については、登録情報の利用を行う場合に、研究申請の内容を判定する際の条件としてはこう決まっていますよと、そういうことを国全体として共有しておく必要性があり、情報提供だけはしておいたほうが良いと思うということでございます。
○がん対策推進官 御意見をありがとうございました。了解いたしました。
○辻部会長 ほかにございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、本日の議論はこれまでということにしたいと思います。
事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて、実際の審査に向けて必要な準備をお願いいたします。
最後に、事務局から連絡事項をお願いします。
○がん対策推進官 本日は、長時間にわたって御議論いただきまして、ありがとうございました。
次回のがん登録部会の開催につきましては、決まり次第、御連絡させていただきます。
なお、机上ファイルに関しましては、そのまま机上に置いてお帰りいただきますようよろしくお願いいたします。
事務局からは、以上です。
○辻部会長 よろしいですか。
それでは、本日の部会を終了いたします。
どうもありがとうございました。
 

照会先

健康局がん・疾病対策課

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