第14回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和元年8月7日(水)15:00~17:00

場所

AP虎ノ門 Aルーム(11階)

議題

1  2018年度の実績評価及び2019年度の年度目標について
2  その他

議事

 

○河野人材開発総務担当参事官 少し定刻より早いようですが、皆様お集まりですので、ただいまより第14回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。人材開発総務担当参事官の河野です。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
本年4月27日付けで委員の改選があり、本日は改選後最初の分科会となりますので、冒頭、事務局が議事進行をいたします。また、通常この分科会はペーパーレスで開催しているところですが、今回は外の会場であるといったようなこと等々で、紙媒体資料での開催といたします。
人材開発分科会長については、労働政策審議会令第6条第6項により、労働政策審議会の本審に所属する公益委員の方々の中から、本審に属する委員により選出されることとなっております。本分科会において該当する公益委員は、小杉委員のみとなっておりまして、先日事務局よりお伝えいたしましたが、事前に小杉委員が分科会長として選出をされておりますので、以降の議事進行は小杉分科会長にお願いいたします。よろしくお願いします。

○小杉分科会長 それでは人材開発分科会長に指名されました小杉です。どうぞよろしくお願いいたします。今回の委員の改選について、改選後の名簿はお手元の参考資料2、ずっと後ろのほうにありますが、新たに本分科会の委員になられた方がいらっしゃいますので、御紹介したいと思います。まず、公益代表委員として、本日は御欠席ですが、関西大学社会学部教授の川﨑委員です。東京大学社会科学研究所の玄田委員です。法政大学キャリアデザイン学部教授の武石委員です。
本日の出欠状況については、川﨑委員、早川委員、上野委員、臼田委員、角島委員、美野川委員が御欠席です。
次に、分科会長代理の選任をさせていただきます。参考資料1の労働政策審議会令第6条第6項の規定で、分科会長に事故があったときに、その職務を代理することが役割とされており、また、分科会長があらかじめ指名することとなっております。そこで玄田委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。また、本分科会の下に設置されている監理団体審査部会について、部会に属する臨時委員等については、参考資料1の労働政策審議会令第7条第2項の規定により、分科会長である私が指名することとなっており、お手元の参考資料3のとおり指名しておりますので、よろしくお願いいたします。
議事に入ります前に、事務局に人事異動がありましたので、これも御紹介いたします。まず、定塚人材開発統括官です。河野人材開発総務担当参事官です。篠崎若年者・キャリア形成担当参事官です。前田政策企画室長です。山本キャリア形成支援担当室長です。事務局を代表いたしまして、定塚人材開発統括官より御挨拶をお願いいたします。

○定塚人材開発統括官 この度7月9日付けで人材開発統括官を拝命いたしました定塚です。また、今小杉先生から御紹介がありましたとおり、スタッフのほうもかなり変わっております。どうぞ引き続きよろしくお願いをしたいと思います。
人材開発統括官ということで、2年前にこの部局に組織替えがされたところです。御承知の方も多くいらっしゃると思いますが、組織再編以来、人生100年時代、あるいは第4次産業革命などに対応するリカレント教育の充実であるとか、最近の就職氷河期対策であるとか、様々な課題がこの分野にあります。こうしたことに、先生方のお知恵を拝借しながら積極的に取り組んできているところです。短期的には、人づくり革命基本構想、経済財政運営と改革の基本方針2019などに盛り込まれた政策を、着実に実現することが課題です。また、中長期的には、少子高齢化に伴う労働供給の制約、人生100年時代の到来に伴う職業人生の長期化、あるいは、AIロボット、IoTなどの技術革新を踏まえて、雇用労働にどう影響を与えていくか、また、働く方々にどう影響を与えていくか、ということを踏まえて、働く方々の能力を的確に把握して、その能力を生涯にわたって獲得、向上できるように、人材開発政策の在り方を不断に見直していかなくてはならない。このように考えているところです。
こうしたことについて、分科会の先生方においては、幅広い見地から様々な御意見を頂きたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。以上簡単ではありますが、挨拶とさせていただきます。

○小杉分科会長 どうもありがとうございます。それでは議事に移ります。本日の議題は、「2018年度の実績評価及び2019年度の年度目標について」です。内容について事務局から説明をお願いいたします。

○河野人材開発総務担当参事官 資料1-1と1-2を併せて御覧いただければと思います。政策目標の設定と評価については、平成22年度より、労働政策の推進に当たって、PDCAサイクル機能の充実・強化を図るために実施をしているところです。本日は、2018年度の実績評価及び2019年度の年度目標について御議論いただくものです。2018年度の目標を達成したか、その要因は何だったのか、2019年度はどうやっていくのかということについて御説明申し上げます。
まず1番目の項目ですが、地域若者サポートステーションの就職等率についてです。この指標については、2018年度から雇用保険被保険者となることが見込まれる就職、公的職業訓練スキームへの移行も含めて評価することとしておりますが、2018年度の目標60%に対しまして、実績は62.1%となっております。雇用情勢が改善する中で、なおサポステの支援が必要な方については、就職実現の困難度のより高い方の割合が増加傾向にあるところですが、ハローワークとの緊密な連携を強化するなど、就職実現に向けた取組を強化すること等により、目標を達成したものと考えています。2019年度の目標は、前年度の実績も踏まえまして、前年度の目標と同水準である60%に設定をしているところです。
2番目の項目、ハローワークの職業紹介により正社員就職に結びついたフリーター等の数ですが、2018年度の実績は約24万6,000人で、目標の28万9,000人を下回りました。雇用情勢等の影響を受け、支援対象新規求職者数が大幅に減少したこと等により、目標未達成になったものと考えております。本年度の目標達成に向け、引き続き「わかものハローワーク」等におけるきめ細やかな個別支援を徹底いたしますとともに、各種広報活動を通じた「わかものハローワーク」等の利用促進を図ること等により、フリーター等の正社員就職支援の強化に取り組んでいるところでございまして、その徹底を図ってまいりたいと思っております。今年度の目標ですが、ハローワークの職業紹介により正社員就職に結びついたフリーター等の数を25万5,000人としております。年度当初に労働局、ハローワークへ業務指示をした時点での実績の見込み、フリーター等の数の減少、マッチング機能の強化等による就職促進効果を加味しまして、設定をいたしているものです。
続きまして3番目の項目、学卒ジョブサポーターの支援による正社員就職者数です。2018年度の実績は約18万8,000人、大卒等約12万4,000人、高卒等約6万4,000人であり、目標の16万9,000人を上回ったところです。学卒ジョブサポーターが大学等への巡回を行うことにより、未内定の大学生等を対象に、新卒応援ハローワークの早期利用を促すとともに、担当者制によるきめ細やかな職業相談・職業紹介等により正社員就職を実現し、目標を達成したものです。2019年度の目標は、学卒ジョブサポーターの支援による正社員就職者数を18万2,000人とさせていただきたいと考えております。目標設定の考え方ですが、年度当初に労働局、ハローワークへ業務指示をした時点での2018年度の実績見込みを、新卒者、既卒者に分けまして、それぞれに、2018年度末での未内定者の減による既卒の就職支援対象者の減、学生・生徒数の減による2019年度新卒の支援対象者の減を加味して設定しています。
4番目の項目、ジョブ・カードの作成者数です。2018年度におきましては、目標値25万人としていたところ、実績は24万2,000人であり、前年度比で約3万4,000人増加をいたしました。しかしながら、訓練受講者数の減少等により、目標を下回ったものです。2019年度の目標は、2018年度の様式見直しによる活用促進策の効果による実績向上が見込まれますことから、引き続き25万人とし、ジョブ・カードセンター事業の見直しにより、作成者数の増加を図ることといたします。
5番目の項目、公共職業訓練(離職者訓練)の就職率です。2018年度の目標は、施設内訓練が80%、委託訓練が75%に対し、実績速報値は施設内訓練が87.3%、委託訓練が74.2%となっております。2019年の目標は、施設内訓練80%、委託訓練75%としたいと考えております。施設内訓練につきましては、直近3年の実績は目標を上回っているところですが、JEEDの中期目標において80%以上と定めておりますので、引き続き前年度と同様の目標といたしております。委託訓練については、近年目標値を引き上げてきておりますが、実績を踏まえ、前年度同様としております。
6番目の項目、求職者支援制度による職業訓練の就職率です。2018年度の目標は基礎コースが55%、実践コースが60%に対しまして、実績速報値は基礎コースが59.8%、実践コースが64.6%となっており、目標を達成する見込みです。2019年度の目標は、直近3年間の実績を踏まえまして、昨年度と同様の目標といたしております。
最後に7番目の項目、技能検定合格者数です。2018年度の目標は33万人でしたが、実績は32万4,000人で、目標の98.4%を達成いたしました。2019年度の目標は引き続き33万人としているところです。私からの説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○荘司委員 地域若者サポートステーションの関係です。資料1-1の4ページの中で、若者サポートステーションの就職等率には、雇用保険の適用就職となることが見込まれる就職ですとか、公的職業訓練の受講についても含まれているかと思います。中間報告の際にも、報告は頂いたと思うのですが、それぞれの内訳が分かれば教えていただきたいというのが1点です。
それと、各地にある地域若者サポートステーションにおける受入れのキャパシティというものがあると思いますが、今後、就職氷河期世代に関連した数値目標の達成に向けて、対応をどのようにお考えなのかということも質問させていただきます。

○篠崎若年者・キャリア形成支援担当参事官 事務局よりお答えいたします。サポステの就職等ということでございますが、就職者数については7,316人ということです。一方、週20時間未満の就労者数が1,479人、それから公的職業訓練を受講している方が644人、就職してステップアップ支援をしている、継続してサポステが支援をしている方が665人というような内訳になっております。
2つ目の今後のキャパの問題ですが、当然、氷河期対策ということで年齢を拡大して支援するということが必要になってくると思いますので、サポステの相談を受け付ける体制というものを、予算で拡充をしなければいけないというように考えているところです。概算要求に向けて、今作業をしているところです。

○小杉分科会長 よろしいですか。

○荘司委員 地域若者サポートステーションは就職氷河期世代支援プランで重要な役割を今後担っていくと思いますので、実績を適切に評価いただくということと、支援人材の安定的な確保など、適正な運用ができるよう、是非対応していただければと思います。

○小杉分科会長 私からも是非お願いしたいと思います。

○松井委員 ジョブ・カード作成者の目標と実績についてですけれども、資料1-2で実績と単年度目標と中期目標が出ておりまして、この2008年から2020年までに累計取得者300万人という中期目標、に向けて、着実に取得者が積み上がっているところだとは思うのですけれども、ジョブ・カードというものの目的が、生涯にわたってキャリア形成にいかしていくという趣旨であれば、累積取得者数というよりも、実際に活用されている割合とか、実際の活用度をどのように見ていくのかということのほうが重要だと思います。2020年度までに300万人という目標はもう既に過去に決めたものですので、それはそれで達成を目指すにしても、もう2020年というのは目前に近づいていますので、更にその先のことを御検討いただければと思っています。

○小杉分科会長 これは事務局いかがですか。

○山本キャリア形成支援室長 ありがとうございます。今、委員の御指摘の点、正にそのとおりだと思っております。経緯としては、平成22年度において2020年までに300万人だというのがあるので、それはそれで中期的な目標として、引き続き頑張っていくと。また、その単年度ごとに数字の目標も設定していたり、その活用の場面、訓練の場面であるとか、需給調整の場面であるとか、大学、あるいは専修学校の場面とか、そういう場面場面でどのように使われているかという、それは目標の立て方にもつながってくると思うのですが、そういうところの御意見を十分踏まえて、きちんと業績管理、数字の管理、活用の促進をやっていきたいと思っています。

○小杉分科会長 ほかに。

○小松委員 目標値については、ほぼ目標を達成しているということで、取組に対して敬意を表したいと思います。今後また広報活動をされるということで、そこは期待していきたいところなのですが、その際に、当社の事例で言いますと、今回、大学の中途退学者を採用したのです。資料1-1の5ページ等で実施状況を見ると、サポステなどは高校中退者とか高校生を対象にサポートして、今度、学卒ジョブサポーターになると、大学を卒業した人が主に対象だったり、あと既卒の3年以内の方が対象だったりして、そこのサポートはあるのですけれども、大学を中退してしまった方の就職について、ちょっと抜けているというか。今回、大学を中退してしまって就職を探そうと思ったときに、やはり今の時代ですのでネットでキーワードを入れて大学中退、就職とやると、民間のそういった企業が出てきて、そこに頼るという。こういうサポステとかハローワークとか、そういった国の機関は知らなかったのかと聞くと、やはり全く知らないということなのです。大学の就職課はと言うと、やはり卒業生が対象なので、なかなか面倒をみてくれないというのが現状らしいので、広報活動をしていくときに、そういった大学の中退者も目につくような活動をしたらどうかなと思いました。

○小杉分科会長 これに関して事務局いかがですか。

○篠崎若年者・キャリア形成支援担当参事官 おっしゃるとおり、大学によっては取組に違いもありますし、周知をしても在学中になかなか伝わらないということがあります。大学への周知活動というのをしつつも、中退してしまった後どう見るかというと、一般の広報の中でということになりますので、当然ハローワークとかもありますが、インターネットで検索ができるとか、そういうこともありますので、そういった工夫というのは今後もしていきたいと考えています。

○小杉分科会長 ほかにいかがでございましょうか。よろしいですか。ほかに皆様から御意見ございませんようですので、それでは、当分科会としては「2018年度の実績評価及び2019年度の年度目標について」は、案のとおり了承したいと思いますが、よろしいですか。

(異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、この議題はここまでとさせていただきます。次に「その他」としまして、事務局から3つ報告があります。まず、「厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン及び就職氷河期世代支援プログラム」について、事務局から説明をお願いいたします。

○河野人材開発総務担当参事官 資料2-1を御覧ください。就職氷河期世代の方々への活躍支援について御説明します。就職氷河期世代の方々とは、この1枚目の上の※に書いてあるように、おおむね1993年から2004年に学校卒業期を迎えた世代ということで捉えております。この世代は、就職期がたまたまバブル崩壊後の厳しい経済状況にあったがゆえに、個々人の意思等によらず、未就職、不安定就労等を余儀なくされ、引き続きその影響を受けている方々が多い世代です。平成18年以降のフリーターやニート等を対象にした再チャレンジ施策であるとか、経済環境、その後の変化等によりまして、この世代におおむね該当する年齢層の就業状況は、10年前と比べればフリーター等の数は減少するなどしておりますが、引き続き不安定な就労状態にある方、長期にわたり無業の状態にある方、社会とのつながりをつくり、社会参加に向けたより丁寧な支援を必要とするひきこもりの方などがおられまして、政府として、その活躍に向けて一層の支援をしていく必要があると考えております。
厚生労働省の中において、大臣をヘッドとする、2040年を展望した社会保障働き方改革本部において、従来から若年者雇用、無業者対策で就職氷河期世代を支援してきた人材開発統括官が中心となりまして、職業安定局、社会援護局など関係部局と連携の上、今年の5月29日に「厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン」を取りまとめたところです。プランの概要は資料のとおりです。下に3つの類型ということで書いておりますが、不安定な就労状態にある方に対する施策、長期にわたり無業の状態にある方に対する施策、社会参加に向けた支援を必要とする方に対する施策など、対象者の状況に応じたきめ細やかな支援プログラムの展開を通じて、支援対象者の就職、正社員化、多様な社会参加の実現を目指すこととしております。
2ページ、今、御説明しました厚生労働省の支援プランと同様の内容が、今年の6月に閣議決定をされた「骨太の方針2019」にも、就職氷河期世代支援プログラムとして盛り込まれたところです。この骨太2019では、上のほうのポツの2つ目の所にありますように、この3年間の取組により、現状よりも良い処遇、そもそも働くことや社会参加を促す中で、同世代の正規雇用者について30万人増やすことを目指すということも示されているところです。現在、来年度の予算要求に向けて調整中ですが、厚生労働省内の関係部局、あるいは関係省庁、自治体とも連携をしながら、各施策の具体化、またその進捗管理等を着実に行っていって、就職氷河期世代の活躍支援を進めてまいりたいと思っております。私からの説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、この件についても皆様から御質問、御意見等をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

○正木委員 午前中の職業安定分科会でも、ちょっと出た氷河期対策がやはり話題になっていたので、御指摘申し上げたところですが、3年間で30万人の正社員化という目標設定については留意すべきところがあると思います。私ども氷河期対策をいろいろ勉強して、地域のいろいろな支援をされている方のお話などを聞いてみると、氷河期対策として求められている内容は、先ほどの年代にはまっている、はまっていないとかということで対策が違っているということではありません。対策が求められる原因も、就職がうまくいかなかったからということに限らず、学校でいじめに遭ったとか、床屋に行ってスポーツ刈りのはずが丸刈りになってしまったのをきっかけに、そのままひきこもりになって何十年も家から出たことがないとか、いろいろなものがあります。
そのように、いろいろな方を何とか助けようと思って、支援機関の方はやられているということですので、3年間で30万人、氷河期世代、正社員化というのにこだわりすぎないようにすることが重要です。少なくとも、氷河期世代の定義から外れたから、「あなたは今回の対策の対象と違う。だからちょっと後回しよ」とか、「除きます」ということをしてしまったら、結局、社会的には同じような問題になってしまう。目標を立ててそれをきちんと達成するのはとても重要なことなのですが、例えばサポステでケアしている方々に、いきなり正社員というのはなかなか難しいと思っていますし、だからといって目標を達成しやすい人を優先するということではよろしくない。また、今年度からもいろいろ取り組んでもらえるところはもらって、目標達成の開始年度が来年度だからといって今年度の支援をちゅうちょするということもよろしくない。是非、大きな目で寄り添っていただいて、今年に関しては来年度以降の目標達成年に向けて、是非、ノウハウを蓄積していただくようにしていただければと思います。

○小杉分科会長 事務局どうぞ。

○河野人材開発総務担当参事官 御指摘いただいたことはごもっともでして、様々な困難を抱える方々の活躍の支援、安定的な就職の支援といったことに注力をしていきたいと思っております。来年度予算に向けてと申し上げましたが、今年度からできることは前倒して取り組んでいくと考えておりますので、また、皆様からもいろいろな御意見を頂きながら進めてまいりたいと思っております。

○脇坂委員 脇坂です。先ほどの件に少し関連しているかと思うのですが、就職氷河期世代の支援については、今更遅いという声も一部にはありますが、非常に重要なことだと思っておりますので、是非、一人一人に配慮していろいろな支援を進めていただきたいと思います。先ほどあった正規雇用者の数値目標の件でいくと、数値目標を設定すると、数字はどうしても躍るというか、数字ありきになってしまうところが、あるものです。しかし、そうではなくて、一人一人がどういう意向を持っているかということにも是非、配慮していただきたい。就職して定着するためには、やはり本人がモチベーションを持っていかないと、またすぐ辞めてしまうということになってもいけないものですから、本人意向などもうまく配慮していただいた上で、訓練等をつなげていただきたいと思います。
また、職務経験が少ない方も、ひきこもり等も含めてですが、いっぱいいらっしゃると思います。そういった方々については、支援する側もいろいろ手を尽くしているとはいえ、採用する企業の方々にどう理解をいただきながら進めていけるかが、非常に重要な観点であると思います。今でも企業への助成金があるのは存じておりますが、そうした企業側の理解をどう得ていくかという観点をどうお考えか、1つ伺いたいと思います。
また、就職氷河期世代支援プログラムの中には、教育訓練についての記載も少しあるのですが、人材開発分科会として、就職氷河期世代支援プログラムにどのように今後関わっていくかという点についても、お聞きしたいと思います。以上2点、よろしくお願いします。

○小杉分科会長 事務局どうぞ。

○河野人材開発総務担当参事官 まず1点目の企業の御理解を得ることの重要性、それは非常に私どもも思っております。就職だけではなくて、まず定着も非常に重要で、厚労省のプログラムの中ほどに、地域ごとのプラットホームということで書いております。地域、都道府県単位においても、経済団体等にも入っていただきながら、一体的な取組、気運の醸成を図ってまいりたいと思っておりますし、お一人お一人を支援する中で、就職先の企業とも対応しながら、定着を含めてきめ細かな支援の体制を整えていきたいと思っております。
2点目の今後の人材開発分科会と就職氷河期対策の施策の関わりということですが、今、来年度の予算要求に関して調整をしておりますが、例えば、概算要求の内容について次回御報告をすることにしたいと思っております。その後も、今年度実施する施策についても、節目、節目で御報告をしながら、御意見を頂戴しながら進めていきたいと思っております。

○小杉分科会長 よろしいですか。ほかに御意見、御質問ございますか。よろしいですか。それでは、この案件についてもここまでといたします。残りの2つの報告事項については、事務局よりまとめて報告いたただき、まとめて御質問、御意見を伺うこととしたいと思います。それでは、「平成30年度能力開発基本調査」及び「「職業訓練サービスガイドライン適合事業所認定」の認定マークの決定」について、事務局より説明をお願いします。

○前田政策企画室長 それでは、資料2-2、2-3について御説明します。資料2-2は、平成30年度の「能力開発基本調査」の結果です。報道発表資料をベースに御報告します。この調査ですが、国内の企業・事業所、労働者の能力開発の実態を明らかにすることを目的として、平成13年度から毎年実施しております。この調査は、企業の能力開発の方針などを調べる「企業調査」、事業所の教育訓練の実施状況などを調べる「事業所調査」、個々の労働者の教育訓練の実施状況などを調べる「個人調査」の3つから構成されております。ポイントは1枚目の紙に記載しております。各調査のポイントについて、データを基に御説明したいと思います。
2ページ目を御覧ください。こちらは企業調査の結果についてです。企業がOFF-JTに支出した費用と自己啓発に支出した費用を調べております。労働者1人当たりの平均額を見ますと、OFF-JTについては、前回1.7万円でしたが今回は1.4万円ということで減少しております。また、自己啓発支援ということで支出した費用については、労働者1人当たりで0.3万円、前回が0.4万円ですので減少しているという状況です。
5ページ目の一番上の(3)能力開発の考え方という所です。これは、能力開発の責任主体を問うているものです。「企業主体」か「労働者個人主体」か、それをどう捉えているかという質問ですが、正社員については、能力開発の責任主体は「企業主体で決定」というものが25.1%、又はそれに近いとするものが52.3%ということで、77.4%が企業主体かそれに近いという形で回答されております。正社員以外については、「企業主体で決定」する、又はそれに近いとする企業がトータルで66.0%となっており、正社員と比べると11.4%低い状況となっております。
次に事業所調査の結果のポイントについてです。13ページの一番上の2の(1)の①です。OFF-JTの実施状況を調査しております。正社員では75.7%となっておりまして、前回は75.4%ということでしたので、僅かに増加しております。一方で、正社員以外ではOFF-JTは40.4%ということです。前回は38.6%ということで、増加はしておりますが、正社員と比べると低い状況となっております。
18ページ、計画的なOJTの実施状況をお聞きしております。下の文章を御覧ください。計画的なOJTの状況で、正社員に対して実施した事業所は62.9%となっておりまして、前回は63.3%ということで、僅かに減少しております。また、正社員以外に対して計画的なOJTを実施した事業所は28.3%ということで、前回と比べて2%弱減少しております。正社員と正社員以外を比べると、やはり少し差があるという状況です。
最後に個人調査の結果のポイントについて御説明します。41ページを御覧ください。OFF-JTの受講状況を聞いております。労働者全体では35.2%がOFF-JTを受講しております。正社員では45.1%、正社員以外では18.1%ということで、ここでも正社員以外と正社員の差が目立っておりますが、ともに減少している状況です。男女別の受講状況を見ますと、男性は43.6%、これに対して女性は25.6%ということで、女性のほうが受講率が低い結果となっております。また、最終学歴別に見ますと、「中学・高等学校・中等教育学校」が26.4%に対して、大卒以上については38.6%から61.8%ということで、高い結果となっております。
47ページ、こちらでは、自己啓発を実施した労働者について聞いております。自己啓発を実施した労働者は、全体では35.1%となっております。正社員が44.6%、正社員以外では18.9%ということで、正社員以外の実施率は正社員の半分以下となっております。男女別に見ますと、男性が42.9%、女性が26.4%となっております。また、最終学歴別に見ますと、「中学・高等学校・中等教育学校」が24.2%に対して、大卒以上の実施率が47.2%から71.4%ということで、こちらも高い結果となっております。簡単ではありますが、本調査についてのポイントの説明とさせていただきます。
なお、昨年5月の人材開発分科会において、大久保委員から「調査結果の概要について、年数値との比較だけではなく、長いレンジで傾向の変化を表示できるか」という御指摘がありましたので、今年度から、調査年度の前後3年間の平均値の推移を示した3年移動平均の表示を追加しております。これによりまして、単年度に加えて、データ全体の傾向変化を分析できるようになるかと思っております。
続いて、資料2-3について御説明します。厚生労働省で、平成23年に「民間教育訓練機関における職業訓練サービスガイドライン」というものを設定しております。民間職業訓練機関が職業訓練サービスの質の向上を推進するといった場合に取り組むべき事項を、具体的に掲示したものを設定しておりますが、平成30年度より、ガイドラインに適合する機関の事業所を認定する「職業訓練サービスガイドライン適合事業所認定事業」というものを実施しております。初年度の平成30年度においては、20の事業所が認定されております。今年の4月に、この認定を受けた事業所が、対外的に職業訓練サービスの質の向上に取り組んでいることを更にアピールできるように、認定マークを決定しました。それがこの記者発表資料になります。また、この取組をより推進するため、訓練機関の方々が分かりやすく取り組みやすくなるようにということで、ガイドラインの改正を4月に行いましたので、その点についても御報告します。御説明は以上になります。

○小杉分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、皆様から御質問、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

○村上委員 資料2-2の平成30年度の「能力開発基本調査」について意見と質問です。1つは、先ほど御指摘がありましたように、大久保委員からの御指摘を受けて、調査結果については長期のレンジで傾向が見えるように結果も表示していただくということで、全体的な傾向、企業・事業所、労働者ごとに能力開発にどのように取り組んでいるのかいないのかということについては、見えるようになったのかと思うのです。ただ、それだけでよいのかというのがありまして、では調査結果をどのように施策にいかしていくのかという観点が必要ではないかと思っています。御説明は特になかったのですが、例えば、資料の1ページにもありますが、事業内職業能力開発計画は余り作成されていないですとか、職業能力開発推進者の選任もまだ行われていない企業がたくさんあるという結果になっておりますが、ではそれをつかんでどのように施策にいかすのかというところが、この分科会でもこれまで余り議論されてきていないのではないかと思っています。このままでいいのか、あるいはもっと実施してもらうように何か手を打つ必要があるのかということについての議論は、余りなかったということがあります。今後、今回の結果をどのように施策に反映するのかについて、何かお考えがあれば教えていただきたいというのが質問です。
もう一点は、継続してこういう調査をしていただくことで、全体的な状況、能力開発の取組方については分かるのですが、その内容や効果ということについては、多分、そこまで深く細分化した調査にはなっていないので、データが取れていないということかと思います。それぞれいろいろな研究機関でも、能力開発に関しては調査もされたり研究もされているので、そことのすみ分けというのもあるのかもしれませんが、先ほど統括官からも御指摘がありましたが、技術革新への対応や、キャリアチェンジの必要性が高まっているということであれば、調査の中身も何か今後に役立てていくものにしていく必要があります。例えば調査項目を少し変えていくことや追加していくことも考えてはどうかと。この調査ではなくて別の調査で実施するということもありうるかもしれませんが、何かを考えていく必要があるのではないかと思っております。それについて、今後、是非専門的に御検討いただければと思っております。以上です。

○小杉分科会長 調査について検討されていることがありましたら、いかがでしょうか。

○前田政策企画室長 施策にどういかしていくかについては、毎年ずっと取っている調査ですので、適時適切にやっていくということだと思います。例えば、今後も能力開発計画の改定とかもあると思いますので、その際には基礎資料となる調査だと考えております。また、調査の項目等については、これはまず前提として、総務大臣の承認を受けて実施する一般統計になるので、結構、いろいろと融通無碍できるかというと、いろいろな制約があります。そういった中で何ができるかということ。それから、先ほどおっしゃられましたが、いろいろな調査機関がありますので、そちらで深掘りしていくとか、いろいろなことが方策としては考えられると思います。私どもとしては、何が不足しているのかみたいなところは把握していく必要があると思いますし、御意見があれば頂ければと存じます。

○小杉分科会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

○正木委員 村上委員と問題意識は同じです。人的投資については、去年は経済財政白書も似たようなのでちょっと違うデータの検討をしていました。経済財政諮問会議などでも、人的資本投資の量が問題になり、人的投資を金融市場の投資インデックスにすれば、人的投資が増えるのではないかという、ちょっと違和感のある政策議論になっていました。ここでも、例えばキャリア自立がだんだん言われるようになってきている傾向を見るうえでは、OJTからだんだん自己啓発支援のほうが増えていくようになってくる状況を把握するとか、もしそういう雇用のモデルチェンジみたいな傾向が見られるのであれば、そうした工夫を充実させていくためにどうするかという、施策につながる状況をきちんと見ることができるように、調査項目を考えたほうがいいかと思います。日本の人的投資が非常に少ないという言われ方をするのですが、国際比較が可能な指標というか調査項目、設定の仕方を是非考えていただきたいと思います。OFF-JTの量の把握でならうまく比較可能な項目を設定できるのか、OJTでも比較できるようになるのか。何か「どのくらいOJTを受けましたか」というアンケート調査に回答する際の、国民性の違いで、日本の人的投資が少ないと言われるのだとすれば、非常に癪な気もします。
ちなみに、公的職業訓練に対する公的支出で見るとかなり比較可能になるのですが、それだと日本はかなり少ないようです。もし今後、キャリア自立で個人がより自分で教育訓練投資を受けていく世の中になってくるのだとすれば、そちらを増やしていかなければいけないという話になります。やはり施策の方向と、どういう調査をするというのと、連動させたほうがいいと思います。この調査に限らず、是非、意欲的にこういう教育訓練、人材開発をしていくべきだという方向が見えるような形で調査をされていくと、施策に役立つものになるかと思います。

○小杉分科会長 よろしいですか。OFF-JT、OJTの定義からして国際統計とは違うので、なかなか比較するのは難しいところがありますが、おっしゃっていることは正にそのとおりだと思いますので、是非、御検討いただきたいと思います。ほかにございませんでしょうか。ないようでしたら、この案件もここまでとさせていただきます。そのほか、委員の皆様から何かこの際に御意見等ございますか。では、特にないようですので、本日の議論は以上といたします。また、次回の第15回の日程については、9月25日の水曜日、10時よりの開催を予定しております。
議事録の本日の署名委員ですが、労働者側は脇坂委員にお願いします。そして小松委員、よろしくお願いします。それでは、本日はこれにて終了いたします。どうも御協力ありがとうございました。