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2019年8月6日 第13回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会 議事録
政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室 政策統括官付参事官付統計企画調整室
日時
場所
(中央合同庁舎第5号館3階313号室)
出席者
構成員(五十音順、敬称略、○:座長)
石原 真三子 |
稲葉 由之 |
○今野 浩一郎 |
神林 龍 |
樋田 勉 |
野口 晴子 |
山田 久 |
事務局
鈴木政策統括官 |
山田政策立案総括審議官 |
武藤参事官(企画調整担当) |
瀧原統計管理官 |
大野審査解析官 |
井嶋労働施策情報分析官 |
村木雇用・賃金福祉統計室長補佐 |
議題
(2)とりまとめに向けた検討について
(3)その他
議事
○村木雇用・賃金福祉統計室長補佐
それでは、定刻となりましたので、ただいまより第13回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただき、まことにありがとうございます。
早速ですが、以後の進行については座長にお願いしたいと思います。
カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。
○今野座長
それでは、よろしくお願いします。
お手元に議事次第がございますので、1番目は前回の宿題のようなことをやっていただきます。2番目が今日のメインで、取りまとめに向けた検討に入りたいなと思っておりますので、お願いします。
それでは、1番目からいきましょうか。
○瀧原統計管理官
それでは、まず、資料1に基づきまして、説明させていただきたいと思います。今、座長からお話がありましたように、前回御指摘のあった点についての追加分析ということで、宿題事項でございます。
2ページですけれども、これは本系列と共通事業所系列で伸び率にどれぐらいの差異があるのか、あるいは相関があるのかということで、29年と30年について並べた数値でございます。規模別に出したもので、これにつきまして、前回、一定程度時系列で見る、1月から12月というものの動きで見ていく中には、一定程度相関があるということでの御説明をさせていただいたところです。その際に、この2年間でまとめて散布図をつくっていたわけなのですけれども、この数字で伸び率を見た場合に、29年と30年につきましては、本系列で一定のギャップ、断層が発生しているという事実がございまして、それをまとめて散布図にすると相関が逆に低くなる。全体的に分けて見たほうがいいのではないかという御指摘が山田先生からありましたので、次の3ページでございます。
今、申し上げました29年1月から12月、30年1月から12月を分けて相関をとったものでございます。青色が29年、オレンジ色が30年でございまして、やはり30年と29年とで本系列、横軸については2つのグループに分かれるという傾向がございまして、それぞれでとると、典型的なのは「規模100~499人」のところですけれども、青とオレンジそれぞれで相関が高くなっているというものでございます。「規模500人以上」につきましては、29年のほうは少しばらついてしまっているところがありますけれども、やはりグループ的には右と左で分かれている。29年が低目で、30年が高目に出ているというのが本系列の伸び率でございます。規模の小さいところにつきましては、少し相関は低くなっておりますけれども、グループ的にはそういうふうに見たほうが適切であろうというところを整理したものでございます。これが3ページのところの資料でございます。
続きまして、4ページでございます。こちらは伸びを見るときに、先ほどの前ページでは本系列と共通事業所のそれぞれの平均賃金での伸びを比較したわけですけれども、それに加えまして、今度は平均賃金の伸びという見方ではなくて、それぞれの事業所、サンプル事業所の賃金の伸びというものを見た場合に、今回、共通事業所というのが前年同期比に着目したということで、伸びに着目した場合にどういう動きになるかというところで、これにつきましては前回等の分析で、近い部分もありますけれども、必ずしもぴったり一致するようなものでもないわけですが、それをもう少し時系列で見て、本系列の伸びとあわせて整理したというのがこの図でございます。
動きがどうかというところが数字では少しわかりにくいかと思いますので、次の5ページ、1月から12月までの動きを見たグラフでございます。「規模5人以上」で見た場合には、それぞれ似たような動きになっておりますけれども、規模で見た場合に、黒の部分が少しレベル的には違っていて、オレンジと青については似たような動き、あるいはレベルになっているのかなというところで、やはり本系列と共通事業所については、本系列を代替するものとしての共通事業所というよりは、一定のレベル感なりは違っている部分が出ているのかなと。
ただし、共通事業所だけで見た場合には、基本的には平均賃金の伸びで見るものだと思いますけれども、サンプルのそれぞれの賃金の伸びを平均したもので見るということにおいても、比較的近いレベル、あるいは近い動きになっているのかなというところを、このグラフで確認できるのかなということで整理したものでございます。ここはまた見方、御意見等もあろうかと思いますので、その辺りも御示唆いただければと思っております。
最後の6ページは、共通事業所の割合の数ですので、確認のためにこれまで出てきたものを改めて再掲しているものと思って見ていただければと思います。
資料1につきましての説明は、以上でございます。
○今野座長
ありがとうございました。
何か御質問はありますか。
3ページ目の図なのですけれども、これは縦軸が本系列ですか。どこかに書いてありましたか。
○瀧原統計管理官
縦が共通事業所系列、横が本系列になります。
○今野座長
いかがですか。
5ページ目の平均賃金の伸びの場合と、伸びの平均の場合で、これは各セルを計算したということだよね。各セルって、業種規模のセルがあるじゃない。そのときに平均賃金を出して伸び率を出す場合と、各セルの個別の事業所ごとに伸び率を出して平均を出す、その違いだよね。
○井嶋労働施策情報分析官
セルごとに事業所の平均をとってということでございます。伸びの平均をとったということでございます。
○今野座長
そこから先、復元するときは一緒ということですね。
○井嶋労働施策情報分析官
復元するときは、サンプルの復元と同じように、労働者数で復元をしておるところでございます。
○今野座長
平均賃金の伸び率は、言ってみると、下のサンプルの各事業所の伸びの平均値の加重平均で出すと上に、平均賃金と多分一緒ですね。社員数が違うから。
○石原構成員
それが違うかどうかを確認してみたのですね。
○今野座長
いや、これは加重していないでしょう。これは単純平均ですよね。
○石原構成員
加重していないですか。していますよ。
○井嶋労働施策情報分析官
加重しております。
○今野座長
セルの中ですよ。
○井嶋労働施策情報分析官
セルの中は抽出率で加重しています。
○瀧原統計管理官
セルの中は全部抽出率が同じだとした場合には、1事業所の伸びが1つの足し算の個数になりますので、事業所の人数のみの加重はしていない。
○今野座長
していないということですね。
○井嶋労働施策情報分析官
いえ、労働者数も掛けていますので。
○今野座長
セルの中で。
○井嶋労働施策情報分析官
セルの中です。
○今野座長
では、ほとんど一緒になるはずだよな。
○神林構成員
単位集計区分の中で平均値をとるときに。
○井嶋労働施策情報分析官
労働者数を掛けて。
○今野座長
ということは、ほぼ一緒になると。
○石原構成員
普通の共通事業所の平均値の出し方をしているのですね。
○井嶋労働施策情報分析官
事業所ごとの伸び率を出して、各事業所の加重平均するときは、労働者数と抽出率逆数を掛けて加重平均しています。普通の集計の方法と同じになると思います。
○今野座長
ということは、この2つがほとんど似ているのは当然だという話になるわけですか。これまでは、この平均というものは、そのセルの中の総賃金を出して、総従業員数を出して割っているわけですね。それが平均賃金というものだよな。下は各事業所ごとに伸び率を出して、それに。
○井嶋労働施策情報分析官
1人当たり賃金の伸び率を出して、それに労働者数の加重平均をとっているということです。1人当たりにして労働者数を掛けているので、事業所の総額伸び率と同じになると思います。
○今野座長
ということは、事業所ベースの伸び率の単純平均でいいのかな。そのセルの中に2社しかない場合、一社は伸び率が10%でした。もう一社は5%でした。そうすると割って7.5%ですという計算だな。
○井嶋労働施策情報分析官
いえ、労働者数が掛かってくるので。
○今野座長
その10%、5%に労働者数を掛けているわけね。
○井嶋労働施策情報分析官
そうです。
○今野座長
そうすると、直感的に、平均と基本的にあまり変わらないはずの気がするのだけれども、どうですか。
○瀧原統計管理官
でも、多分、賃金ウェイトが違うから同じにならないですね。
○神林構成員
労働者数というのは、復元するときに使う労働者構成なのですか。でも、それはセルごとに定義されますよね。
○井嶋労働施策情報分析官
事業所ごとの前月末と今月末の平均値でございます。
○今野座長
さっき言ったようにセルの中が2社しかないときに、このセルの、ここで言うとサンプル賃金の伸びの平均でどうやって計算したかを聞けばいいのだ。
○井嶋労働施策情報分析官
1事業所当たりの1人当たり平均賃金をそれぞれまず出しまして、それに労働者数を掛けたものの加重平均をとる。
○神林構成員
その労働者数というのは何ですか。
○井嶋労働施策情報分析官
労働者数は、前月末と今月末の平均労働者数です。
○神林構成員
平均労働者数を掛ける。
○今野座長
でも、これは伸び率の平均だから、2つの事業所の2時点の賃金を平均で出して、その伸び率に対して従業員数を掛けているということ。
○井嶋労働施策情報分析官
そうです。
○瀧原統計管理官
先ほど今野先生が2社しかないと。1つのセルの中に2社しかない場合に、A社の賃金伸び率が10%だったと。B社の伸び率が例えば8%だったとしたときに、単純平均だと、それを足して2で割るので9%になりますけれども、実際には、A社のほうは労働者数が10人だったと、B社のほうは30人だったというふうになった場合には、1対3の加重がかかりますので、今の話ですと実際には8.5という形ですかね。そういう形になるのですが、そうやって加重をすると、もとのそれぞれの全部の平均、A社とB社との賃金総額も足し合わせて、労働者数も足し合わせたもので割り算をしたのが平均賃金で、それの割り算が伸びになるのですけれども、それと何が違うかというと、賃金のウェイトが多分。
○山田構成員
1人当たりの賃金の水準が違うので、そこの違いが多分出ているということですね。労働者数だけで片方はやっているのだけれども、もともとの絶対数の平均の変化は賃金水準も反映しているからということですね。
○瀧原統計管理官
そうですね。
○今野座長
そうかな。こっちは加重しているから同じではないかという気がするのだけれども。
○山田構成員
加重するときに賃金水準が同じだったら数字は一緒になるのですけれども、賃金水準が違うので変わってくるということ。
○今野座長
いや、もういいけれども、直感的には、平均賃金の場合には2時点使っているから、こっちの時点とこっちの時点の労働者数が違うのです。それを足し上げて、総額を出して、平均して比較しているわけだよね。この下の場合は、伸び率を出して加重しているときにどちらかの労働者で加重しているから、そこで違いが出るのではないかと。
○神林構成員
それは平均雇用者数で加重しているのですね。
○井嶋労働施策情報分析官
いえ、これは30年のほうで、産業の規模も30年のものを使っているので、そこもずれます。
○今野座長
多分そこだな。
○神林構成員
今、セルの中の話をしているのですよね。
○今野座長
もちろんセルの中の話ね。
○瀧原統計管理官
この話は、実は結構根本的に伸びの平均はどうとるのが正しいのかという話ではありますね。今、ここでは労働者数、特に期首・期末で考えたら期末に当たるような30年のほうでとっていますけれども、いつの時点でとるかというのは、足して2で割ったというのはとりようがあるかと思うのです。ただ、いずれにしてもその場合は、山田先生がおっしゃるとおり、賃金水準の話が入ってこないので、今の平均賃金での伸び率を見るというのは、賃金水準のところも込みで計算するものになろうかと思いますけれども、伸び率だけを見て平均しようというのは、恐らく水準は考えないで同じで見るのがいいのかということですね。そういう意味では、考え方はやはり、平均賃金の伸びと伸びの平均というのは少し概念が違うのかもしれません。
○今野座長
どうぞ。
○石原構成員
ただ、違うのかなと思ったらあまり違っていなかったということですよね。そこは確認したかったので。
○瀧原統計管理官
そうだと思います。先ほどの話の繰り返しなのですけれども、極端な話で言うと、A社の賃金は100円で、B社のほうが10万円もらっていたら、多分、平均賃金をつくると、A社の10円なり100円が占める割合は思いきり小さいのでほとんど影響ないのです。ただ、そこが、片方の伸び率が10%で、片方が5%だったら、労働者数が10人と10人であれば、賃金水準が違っても、全く違う数字が出てくる形はあり得ると思います。
ただ、今、石原先生がおっしゃったように、実際にはそれほどずれていないので、恐らくセルの中での賃金水準はそれなりには近いところが出るので、労働者で見ても、賃金水準が入っていなくても、結果的にはそれほど出ていないということなのかなと思います。
○石原構成員
もともと本系列と共通事業所の伸び率に関しては、ちょっと不思議なのは、規模で上に行ったり下に行ったりするというのが出て、全体だと平均が変わらないというふうになっているので、これは伸び率が違うと見たほうがいいということですね。
○今野座長
よくわからないのだけれども、普通の政府統計の場合のこういう伸び率はどちらを使っているの。ほかにもいろいろあると思うのだけれども、一般的には。
○瀧原統計管理官
基本的には平均値の伸び率ですね。
○今野座長
それが一番一般的なのね。
○瀧原統計管理官
通常は水準をまず見るというところが統計としてあって、その上で1年前を比べる。なので、毎勤もそうですけれども、そういう意味では本系列が基本的な考え方です。その中で共通事業所だけは特殊で、水準というのは基本的には出していません。集計値としてオープンにしているというか、まず第一として出しているのは、前年同月比を出すために出していると。もちろん、実額もデータとしては出しておりますけれども、考え方として伸び率を見ようというところで、そこは少し特殊な見方。
ただ、それであっても、やり方としては平均値の伸びでやっていて、伸びだけを見るというやり方は今でもやっておりません。ただ、前年同月比を見ることが目的であれば、伸びに注目するやり方もあり得るかどうかということで、計算してみたということです。
○今野座長
でも、何となく、もしあり得るとしたら、事業所によって従業員数は違うし、あるいは賃金水準も違うけれども、そんなの気にしないで、事業所平均したら幾らということぐらいしか意味がないのではないかと思う。つまり、加重してはいけないという意味では単純集計。大きさも関係なく、1事業所が幾ら上がったかというのをやって、足し上げたら平均大体このぐらいというのだったら意味があるけれども、加重してしまうと、今回は従業員数だけ加重したわけですけれども、これに平均賃金というか、加重すれば、平均賃金になると多分一緒になると思うのだけれども、加重すればするほど平均賃金に近い数値を一生懸命出しているという感じになるよね。だから、もう単純でやったときにどうかということかな。でも、意味があるかどうかわからないけれども。
○神林構成員
自分はその考えには賛成です。理由は、やはり毎勤の数字は事業所サイドの数字なので、事業所1つというのがオブザベーションだと考えるのが正統的な考え方です。なので、事業所サイドの加重平均をとるときに、雇用者数という数字があるから雇用者数で平均をとっていますけれども、何で売り上げではないのか、資本金水準ではないのかというポイントは背後にあるはずです。1つの事業所はあくまでも1つの事業所であって、等価ですと考えれば、ウェイトを使わずにそのまま単純平均をするというのは悪くない考え方だと思います。
○今野座長
そうすると違ってくるかもしれないから。
○神林構成員
かつ、本系列というか、今、参考系列で出している数字と考え方が違う集計の仕方になるので、十分差別化もできるのではないかなと。つまり、今まで出していた数字とは違う数字を出します。こちらのほうが、ある意味、西村さんが言うところの共通、ある架空の労働者がいるとして、その人がもらう賃金水準の伸びをトラックするという意味では、こちらの数字のほうがいいかどうかはよくわからないですけれども、また別な側面を情報として提供していると主張できるのではないかと思います。
○今野座長
山田さん、ユーザーとしてはどうですか。例えば今の話の延長で、既存店がどれだけ伸びたかというときに、ここで言うと平均賃金での計算方式で伸びたら幾らというのと、今、神林さんが言ったように、気にしないで店舗の単純平均だと。どっちが欲しいですか。あるいは両方欲しいか。ユーザーとしてどうですか。
普通はどちらですか。普通はこの平均のほうだよね。でも、どうやってしているのだろう。総売上高で出しているのか。
○山田構成員
そもそも論として、やはりこの議論にもあったのですけれども、賃金統計が示しているものは、事業所にとっての平均コストなのか、働いている人にとっての賃金の変化なのかという話があって、事業所統計である以上は、後者の部分だったら純粋にはつくれないわけですね。ただ、さっきの議論で伸び率を単純に、全体の賃金水準まで考えてやってしまうと、労働コストの面がすごく強く明確に出てくるのですけれども、恐らく賃金水準も考えずに単純に事業所ごとのウェイトをやると、やや個人に近いというイメージかなと。
ただ、完全ではないのですけれども、神林先生がおっしゃったように、西村先生は多分そっちに近い数字が欲しいということでいえば、ややそっちには近づくということなのかなと私は感じたのですが、そうではないですか。
○神林構成員
そっちというのはどっちですか。
○山田構成員
そっちというのは、個人の感覚に近いということです。
○神林構成員
ウェイトを使わないほうが。
○山田構成員
使わないほう。単純平均。
○今野座長
例えば、既存店A店、B店があって、A店が平均賃金10万円で、B店が1万円でしたと。そのときにA店の人は10%上がりました。B店の人も10%上がりました。単純平均だと両方とも10%上がりましたとなる。
それだといけないな。A店が30%にすると、30と10だから平均20%ですと。加重平均してしまうと30に圧倒的に近くなってくるので、だから、個人の感覚に近いのはそっちかということですね。
○山田構成員
だから、特定の人だけがすごく伸びていると、個々人それぞれが同じだけの重みを持っていると考えれば、ウェイトづけしてしまうと特定の人が伸びた分に非常に引きずられてしまうので、個人のほうを尊重するのであれば、ウェイトづけしないほうが、それにやや近くなる。
○瀧原統計管理官
そっちに近いかどうかという話なのですけれども、私、神林先生がおっしゃったのは1企業1ウェイトという考え方ですよね。1企業1ウェイトというのは社長さんの感覚だと思います。うちの会社は5%賃上げしましたとか、それを労働者ベースに置きかえようとすると、その感覚を持つ労働者が多いか少ないかというところで、大会社が5%上がってというと、5%の影響を受ける人は多いですね。なので、労働者に対しての影響で見ると、先ほどたまたまですけれども、今、労働者ウェイトでやっていますね。それはどちらかというとそういう話に近くなっていて。
○神林構成員
自分もそういう感覚です。例えば、スーパーマーケットの1店舗とコンビニエンスストアの1店舗を比べましょう。コンビニのほうでは賃上げが10%ありました。スーパーマーケットのほうでは30%ありました。これを賃金コストとして見たときには、10%賃金コストが上がったところと30%賃金コストが上がったところでイーブンなので、トータルで20%上がっているというふうに考えましょう。
もう一個の考え方は、スーパーマーケットのほうが例えば従業員数は10倍いますということだとすると、30%の人たちが10人いて、10%の人が1人しかいないということになると、賃上げは28%ですね。
○今野座長
そのときは賃金水準は考えていないのだな。
○神林構成員
考えていないです。労働者数だけで割ると、28%というのが経済全体の賃金コストの上昇分ですというふうに答えるかどうかですね。
自分は賃金コストという意味では、イコールで20%という感覚はあるのではないかなと思います。大抵の場合、従業員数と商売のセールスの売り上げは相関していますから、マーケットシェアでウェイトを掛けるという考え方もあるとは思いますけれども、そういう意味では、マーケットシェアの代理変数として従業員数をとるのですというふうに考えると、2つの考え方の中間を行くのかなという気はします。
○山田構成員
何となく定義がこんがらがってきたのですけれども、要は、賃金水準のことを考えずに、単純に従業員数でウェイトづけしたものが個人に近いということです。賃金水準も考えると、やはりコストということなのではないかなと。表現が今こんがらがったので、言い直すとそういうことで、そうすると多分同じようなことを言ったのではないかと思います。
というのは、世の中の人がどのように感じているかということなので、賃金水準ではなくて変化だと。賃金水準の高い人も低い人も同じウェイトづけをするということ。
○今野座長
だけれども、この問題を収束させるには、平均の出し方が幾つかあって、こういうときにはこれが使えますよとか、こういうことを言うのだったらこれがいいですかねという整理かな。
○神林構成員
それがいいのではないでしょうか。今、3種類ありますよね。ウェイトを使わない集計の仕方と、労働者数をウェイトにする場合と、支払い総額のシェアをウェイトとする場合と3つある。
○今野座長
そうですね。それが結局、平均賃金だろう。最後のものは多分そうだと思うのだけれども。
○瀧原統計管理官
かなり近い数字ではないかと思います。
○今野座長
だから、ウェイトをつけるとき、ウェイトなし、労働者ウェイト、賃金ウェイトというのも組み合わせとしては論理的にはあるのだけれども、あと、労働者と賃金の掛け算でウェイトというのがあって、最後が平均賃金だと私は思います。どれがいいかわからないけれども、これをとった場合はこういう特性がある、これをとった場合はこういう特性があるということが整理さえできればいいのではないか。
今の山田さんの意見は、労働者ウェイトを使ったときが、例えば個人の賃金の変化に近いのではないかということなのですけれども、そういうコメントを整理しておけばいのではないかと思います。
そうすると、データとしては単純平均データが欲しいというか、見てみたいなというのは出てくるので、暇なときにでも、別に急がないので。
この場合は、労働者ウェイトをやったらこういう結果でしたと、近いねという話なのですけれども。
○瀧原統計管理官
私どものほうでもそこの頭の整理が十分できていなかったので、私もちょっと勘違いした部分がありましたので、その辺りの整理も賃金の伸びをどう考えていくか、どういう指標をつくっていくかというものの一つの論点ではあろうかと思いますので、次回、その辺りの数字も少しお示しできたらと思います。
○今野座長
でも、それは、これが正解というのはないですよね。何を狙うかというときに、どういう選択をすればいいかということだけ整理していればいいので。
○瀧原統計管理官
逆に、今、共通事業所というのはどういう位置づけになっているかというのは、その整理の中ではここだというところが見られるものにはなるかと思います。
○今野座長
資料について、ほかにありますか。
○神林構成員
結局、数字がばらばらになってしまうとのは、セルの中であったとしても、伸び率が事業所によってばらばらだということですね。それが実態だと考えると、そこから無理やり平均をとるというのが、本当に事実を示すのかなという気がしないではない。層化抽出しているので、分布の分位点をそのまま求めるというのは非常に難しいと思うのですけれども、復元をして平均値を求めにいくという考え方も一つあると思うのですが、どれだけばらばらなのかを素直に見せるというのは、自分は一つの情報ではないかなと思います。
その中で、こんな人もいれば、こんな人もいるというのが現実だということを、せっかくあるデータですので、そういう側面も考えたほうがいいかなと思います。全く新しい話をしてしまって申しわけないですけれども。
○今野座長
でも、これまでの整理からすると、変動係数などを見ると、共通系列も本系列とはそんなに違わないということですね。
○瀧原統計管理官
そこはそうですね。
○今野座長
変動係数だとね。
○瀧原統計管理官
ただ、神林先生がおっしゃっているのは、変動係数がある大きさになったとしたら、そうなっている状況というのを見せることがひとつデータとしてと。
○今野座長
それは本系列だって一緒ではないですか。
○瀧原統計管理官
もちろん同じ話だと思います。共通事業所の話ではないかと思います。それはなかなか難しいですけれどもね。結局、ばらつき度合いというのを仮にお示ししたときに、一言で言うとどんな感じなのと言われたときに、また平均の話に戻るとは思いますけれども。
○今野座長
1つとしては、読む人がそれを見て参考にしてというだけで情報を出すというのはあると思います。こちらはコメントなし。こういうデータですということですね。
○瀧原統計管理官
そうですね。
○神林構成員
ちょっと脇道にそれてしまいますけれども、多分、今までの政府統計は、基本的に平均値、日本全体を一つの数字であらわすということを念頭においてつくられてきたと思うのですけれども、今、経済で問われていることはそうではなくて、何かがあったときに影響を受ける人もいれば、影響を受けない人もいる。そういう影響を受ける人は大体どれぐらいなのかを考えておくという点がかなり重要なことになってきています。そういう意味では、平均値だけを見せるというのは1世代前の統計のつくり方かなとは思います。脇道にちょっとそれてしまったのですけれども、意見として言っておきたいと思います。
○今野座長
では、今回は初めてそういう統計をつくってみる。どうかと出して。
ほかにいかがですか。この辺りはよろしいですか。
では、もし時間があったらでいいので、単純平均したらどうなるか。
次は、「とりまとめに向けた検討」ということになりますが、事務局から説明していただく前に、石原さんが取りまとめに関連する資料をつくっていただいたので、それを御説明いただいて、それから議論したいと思うのですけれども、参考資料1です。
では、よろしくお願いします。
○石原構成員
説明しろと言われても、見ればわかりますという感じではあるのですが、定義をきちんとということを今野先生もおっしゃったので、定義をしたいなと。それで、ついでに絵を描いてみました。
定義は3時点考えて、T-1、T、T+1時点を考えます。
新設事業所は、前にはなくて、今ある。廃業事業所は、前にはあって、今ない。既存事業所という名前はこれでいいのかわからないのですけれども、前にも今にもある。共通事業所はちょっと違うのですけれども、標本に前も今も含まれているという定義はこれでいいですかね。
既存事業所という名前は。
○神林構成員
とりあえずこれでいきましょう。
○石原構成員
次の図です。2ページ目は今の定義を図に描いたものです。太い点線は全国の事業所の変化、細い点線は、この事業所がここにつながっていますよという意味です。なので、前の時点の事業所で廃業になったものと既存事業所が前にあったもので、新設と既存事業所が太い点線でつながれているという意味です。
3ページ目です。理想的には、調査の時点で正しい事業所の名簿があるという状態なので、最初に理想の状態を考えると、4ページ目です。母集団はその時点の新設事業所と既存事業所が含まれていて、廃業事業所は含まれていないという状態です。
○今野座長
これはT-1時点も、本当はブルーの太い線なのだよね。
○石原構成員
そうです。これはリファレンスです。
次です。次がちょっと細かいのですけれども、その母集団に対して標本をとります。T-1時点だと何か母集団があって、赤い部分が標本です。T時点にその標本はいなくなるのと、まだあるのと両方あります。点線の赤い標本の部分ですが、いなくなってしまうサンプルアウトの中に廃業が含まれています。黄色い部分が共通事業所、T-1時点とT時点の標本に入っている事業所です。
T時点の標本というのは、共通事業所と今度新しく入ってきた事業所になりますので、T時点の標本は青い実線で囲まれた部分です。サンプルインの緑の部分があって、そのサンプルインの中に新設も含まれていますという意味です。
どう表現したらいいかわからなかったのですけれども、回答がないものを斜線で絆創膏のように入れています。なので、共通事業所は黄色い部分だけです。絆創膏の部分は欠けているという感じになります。
それが同じように、T+1時点もちゃんと名簿があって、ちゃんと標本をとれば、同じように続いていくという、T+1時点の標本はピンクで囲った部分です。
オーケーですか。
○今野座長
その前に、共通事業所の定義は、T-1時点で標本に含まれて、T時点でも標本に含まれる。これが定義だよね。そうすると、今の点で言うと、黄色の中の赤い斜線も含めた全体が共通事業所という定義になるよね。でも、この赤の斜線は答えていない。
○石原構成員
そうですね。では、その定義はちょっと書き直したほうがいいですね。
○今野座長
面倒くさいのだよね、これは。
○神林構成員
とりあえず回答率100%と考えておいて。
○石原構成員
でも、含まれて、しかも回答している。
○今野座長
そう。含まれていて、回答しているのが共通事業所という、5ページの定義だとそうなのです。
○石原構成員
そうですね。
○神林構成員
そこまで入れてしまうのですか。
○石原構成員
入れてしまわないですか。
○今野座長
ここでの議論が、これで言うと赤と黄色を全部含めたのを共通と言ったり、赤の斜線を除いたものを共通と言ったりとか、みんな人によって違うのだよね。だから言葉の統一をしてくれといつも言うのです。
○石原構成員
これは含まれていないわけですよね。
○今野座長
含まれていないのを共通と言っているわけね。
○石原構成員
言っていました。違いますか。
○今野座長
どっち。
○石原構成員
言っていました。
○神林構成員
今までの事務局の共通事業所の定義は、含まれていない。
○今野座長
ない。わかりました。含まれていないね。
○石原構成員
では、含まれていないで、定義も書き直すのでいいですか。
○今野座長
ついでに、黄色プラス赤の斜線を足したのは何と名称がつくのですか。そういうことが出てくることがあるのですよ、流れの中で。
○石原構成員
そうですね。
○今野座長
では、それは宿題で置いておきましょうね。いいですよ。
○石原構成員
私の宿題ですか。
○瀧原統計管理官
こちらで。いい言葉があれば、ぜひ。
○石原構成員
それで5ページ目はいいですか。
○今野座長
はい。
○石原構成員
次が、なので、先にやればよかったのですが、今こういう状態で名簿がきちんと、どの時点でもわかっているという状態だと、廃業事業所と新設事業所が両方わかる。廃業事業所しか書いていないのですが、新設事業所も両方名簿でわかっているので、既存事業所の母集団もわかるはずなので、次のページです。
7ページ目、既存事業所は緑で囲った部分というふうに考えることができます。もし名簿がわかっていれば。いいですか。
しかし、実際にはわからない。その都度その都度はっきりと経済全体を示した名簿があるわけではないので困っているというのが現実の状態で、毎勤の標本から経済全体をあらわしましたというウェイトを戻した母集団が現実とは違うという場合が多々ありますということですね。
それが、例えば9ページのように前の母集団のまま、経済全体は変化しているのに、母集団は廃業と既存が入って、新設が入っていないという状態も考えられます。それを何とかするために、厚労省は雇用保険のデータを用いて労働者数を補正しているということです。
そのときに、産業×規模のウェイトは変更できなくて、そのまま経済センサスの一番新しいものを使っているということです。
なので、次の11ページですけれども、先ほどの状態から少し廃業が減って、新設がふえたという、どういう状態かわからないですけれども、ある母集団を想定して数字をつくっているということになるわけですね。
その場合、12ページですけれども、ここがいろいろ悩んだところなのですが、T時点はさっきと一緒なのですが、T+1時点のサンプルインの緑の部分が、以前の説明だと、もともとの名簿から新しいものを引っ張ってきますというお話だったので、多分、新設が入らないのかなという理解なのですけれども、新設も入れますというふうにどこかで聞いた記憶もあるのです。なので、ここはもしかしたら新設も入っているのかもしれないですけれども、ここはわからないなと思ったところです。
この場合、また一緒ですが、廃業事業所しか書いていないのですが、新設と廃業事業所がわからないので、既存事業所の母集団はわからないので、既存事業所が点線になっているという理解でいいでしょうかというお話でした。
○今野座長
これは11ページでも12ページでもいいのですが、T+1時点の点線が、新設は一部しかカバーしていないし、廃業は一部しか廃業していないみたいになっているのは、厚生労働省が雇用保険データで調整しても十分調整し切れていなくて、せいぜいこんなものでしょうというイメージですか。太い点線ね。
○石原構成員
イメージとしては、労働者数は雇用保険データを用いてきちんと把握しているのだけれども、それを用いて数字を出すときに、産業とか規模とかのウェイトは変更していないという認識なのです。
○井嶋労働施策情報分析官
新設、廃業で把握された産業規模区分のところは把握するのですけれども、全体としては、確かにおっしゃるとおり把握できていないので、そこは反映されないということになります。ちょっと言い方があれですかね。
○石原構成員
もし、新設、廃業の名簿が全部把握できているのであれば、母集団を把握できる。
○井嶋労働施策情報分析官
既存のところの労働者数の変化は使っていないので、新しくできたところと廃止になったところの労働者数だけを使っております。例えば、ある単位産業区分の中で1つふえたら、その労働者数だけは動かすのですけれども、今まであったところの事業所については動かしていないということになります。
○神林構成員
もう一つは、単位集計区分に配置されるウェイトというのは変わらない。
○井嶋労働施策情報分析官
新設であればその分だけプラスになりますし、廃止であればそこだけマイナスするということになります。
○神林構成員
労働者数のところで計算を変えるのではないですか。
○井嶋労働施策情報分析官
母集団労働者数を変えます。
○神林構成員
その抽出率のところは変えないわけですね。
○井嶋労働施策情報分析官
変えないです。
○今野座長
私もこれは点線を書いたのは、新設も全部、別に100%把握し切れているわけではないし、廃業も100%カバーし切れているわけではないので、点線が何となく真ん中に引いてあるのかなと思った。新設のところも全部カバーしていないじゃない。11ページのT+1も。そういう意味かと思ったのです。
だけれども、ちゃんと把握し切れていれば、次のセンサスのときにあんなにギャップは発生しないので、どちらにしても完全には把握し切れていないということですね。
○石原構成員
完全に把握できないですかね。
○井嶋労働施策情報分析官
混乱をふやすかもしれないですけれども、母集団といったときに、サンプルフレーム、事業所の母集団と労働者数の母集団と2つあって、毎勤で使っているのは労働者数だけなのです。サンプルフレームのほうは事業者センサスを使い続けているので、そういう意味では反映しないということになってしまいます。
○石原構成員
その変更はできないということになりますか。
○井嶋労働施策情報分析官
そうですね。
○石原構成員
難しい。
○今野座長
もしやるのだったら、雇用保険の全事業所データを見て、変化しているかどうか全部チェックしないといけないということになるね。
○井嶋労働施策情報分析官
それは事業所の母集団データベースのほうで一応これからやっていくことになっているので、それがうまく回るようになれば、適宜反映したものが母集団として使えるとは考えております。
○山田構成員
私の理解を確認したいのですけれども、経済センサスのほうは個人事業所なども全部含めますよね。ところが、雇用保険データの場合は、一部雇用者として20時間以上働いている人がいれば入るかもしれませんけれども、必ずしもそれが入らないので、もともと母集団として雇用保険データだと経済センサスに比べると小さくなってしまうという問題がそもそもあると考えているのですが、それは間違いないですか。
○井嶋労働施策情報分析官
適用範囲が異なりますので、そうなります。なので、母集団データベースのほうもそのまま雇用保険のデータを足すのではなくて、把握したものをきちんと調査して、それで加えるべきものは加えるし、加えないものは加えないという処理をされるのだと思います。
○瀧原統計管理官
ただ、経済センサス自身は全事業所で、雇用保険データはおっしゃるとおりそのうちの一部になるのですけれども、毎勤はさらに常用労働者数が5人以上という枠がかかるので、毎勤のデータベースで見る場合には、雇用保険に入っていない部分というのは対象にはならないものになるかと思います。
○山田構成員
雇用保険に入っていないのは対象にならない。
○瀧原統計管理官
毎勤のデータベースとしては。
○山田構成員
そこで一応対応しているということですか。雇用保険データと毎勤の。
○瀧原統計管理官
むしろ雇用保険データのほうが少し大きいのではないかと思います。毎勤は5人以上という形で集計していますので、4とか3とかは対象外になるので。経済センサスは一番大きい概念ですけれども。
○稲葉構成員
私も確認したいことがあるのですけれども、雇用保険のデータで加えられた事業所というのを母集団としてみなしておいて、途中で廃業したところの代替としてとってくる標本は、新規にできた事業所も含めて抽出の範囲に入っているというふうに理解してよろしいでしょうか。
○井嶋労働施策情報分析官
いえ、先ほど言いましたように、事業所としては入ってこないので、労働者数だけを使っておりますので、そこは全く。
○稲葉構成員
わかりました。そうしますと、基準となっている名簿というのは、経済センサスに固定されているというふうに考えていいわけですか。
○瀧原統計管理官
そう考えていただいて。
○稲葉構成員
わかりました。私、少し勘違いしておりました。
○瀧原統計管理官
ですので、先ほど井嶋が申しましたのは、我々としては、サンプルとしてとる母集団としては経済センサスのみと思っていただいていいかと思うのですけれども、その経済センサス自身が、今、できるだけ小まめに変えていくのに、雇用保険データとかを使ってという話はありますというか、やっているのですかね。これからだと思いますけれども、いずれにしても、それが経済センサスに反映されれば我々も使うというのが今の流れにはなります。
○神林構成員
なので、標本抽出には使っていないけれども、抽出された標本を復元するときには新設された被用者分というのも加味してウェイトを変更してふやしているという表現になるわけですね。
ただ、二種のほうは実地で調査をして欠落事業所に対して補充しますよね。なので、それは新規事業所も入ってくるのではないですか。
○井嶋労働施策情報分析官
最初に二種も、調査区内の事業所名簿をつくりますので、その時点のものは把握ができるかと思うのですが、基本的には経済センサスの名簿を使って調べていくので。
○神林構成員
二種も改定していないですか。
○井嶋労働施策情報分析官
もちろん改定しています。なので、そこは新設は入ってくると思います。
○神林構成員
二種は入ってくるのですよね。
○瀧原統計管理官
調査区を決めて選びますので、その最初のスタート時点での、そこで調べた事業所ですから。だから、経済センサス以降にできたものが入ってくる。
ただ、一旦そこで決めてしまいますので、それ以降は追加は基本的にはしていない。1年半の間だけですけれども、変わっていないかと思います。
○石原構成員
経済センサスと経済センサスの間に新しく抽出するものに。
○瀧原統計管理官
二種であればできている。
○今野座長
よろしいですか。もう石原さんのはいいかな。どうかな。
それで最後、宿題が残っている。石原さん、ネーミングはどうしたの。共通事業所はわかった。5ページにあるような共通事業所の黄色プラス赤斜線を加えたものを何というかというのを決めておいたほうがいい。多分、これからまとめるときに、いろいろ混乱しているので、言葉は全部共通にしたほうがいいかなと思ったのです。多分ここだけが。
○神林構成員
継続事業所。
○今野座長
継続事業所。何でもいいのだけれども。
○瀧原統計管理官
継続事業所という概念もそうなのですけれども、私から1つ、5ページでよろしいかと思うのですけれども、ちょっと質問させていただきたいのですが、この絵でいいますと、黄色のみが共通事業所で、そこの赤の斜線を加える、加えないというところはありますけれども、母集団として考えるときの既存事業所というのは。
そうか。これではわからない。
○今野座長
ここでは母集団を既存事業所と言っているのです。
○瀧原統計管理官
そうですね。それはこの青い太枠の既存事業所の母集団と考えるのだと思うのですけれども、それでよろしいですかね。
○石原構成員
青いのは本系列の母集団。
○瀧原統計管理官
済みません。だから、これは枠がないのか。
○石原構成員
次の7ページですか。緑の枠。
○瀧原統計管理官
そうです。済みません。こちらです。緑が既存事業所の母集団なのですけれども、そのときに、この既存事業所の母集団から無作為抽出されたサンプルとしては、黄色と緑だと思うのです。
○今野座長
持っているサンプルはないでしょう。無作為抽出したとするということ。
○瀧原統計管理官
いや、実際、調査対象となっているのはこの緑色のついたところも調査対象になっておりますので、既存事業所の母集団に対してサンプルとなっているのは、緑と黄色のところを足したもの。
○石原構成員
もし緑が母集団だとしたら、緑と黄色。
○神林構成員
正確に言えば、黄色というのはサンプリングしていないですよね。
○瀧原統計管理官
そうなのです。なので、前々からここで御議論いただいている共通事業所というのは、既存事業所を母集団としたものであるという考え方に立つと、共通事業所というのは本来の概念は緑と黄色で見るべきと考えるのか、黄色だけで見るのかと。ただ、黄色だけでとったときは無作為抽出ではないので、緑の既存事業所に戻すというのは難しいのではないかという問題意識なのです。
○今野座長
でも、この緑のサンプルインは、対前年比はとれないでしょう。
○瀧原統計管理官
とれないのですが、既存事業所のサンプルという言い方をすると、黄色と緑を足したものにしかならない。
○今野座長
そういう意味ではそうなのだけれども、でも、そこは興味ないでしょう。対前年とか。
○神林構成員
そんなことないですよ。つまり、お題としては、この黄色と緑の標本から緑の枠の既存事業所を導き出すというのがお題になっているわけですね。7ページの真ん中。
○石原構成員
何のお題。
○神林構成員
共通事業所の復元という意味。共通事業所の平均賃金が既存事業所の平均賃金をあらわすというふうに考える。
○今野座長
これは対前年というよりか、既存事業所の平均賃金を計算しようというときであれば、それはそのとおり。
○石原構成員
もし、既存事業所の正しい平均賃金を求めたいと。
○神林構成員
平均賃金を求めようという場合、現在のところは、共通事業所は黄色いサンプルだけを使って、黄色いところから緑の既存事業所に膨らまそうと考えて四角くしているわけですね。
ただ、サンプルインに書いてある既存事業所からのリサンプルされた標本というのも情報としては使えるのだけれども、実態としては、それは既存事業所なのか新設事業所なのかわからないので、使えるかどうかわからないのですけれども。
○石原構成員
でも、もし理想的に名簿があれば。
○神林構成員
今、これは理想からもう外れてしまっているわけですね。なので、黄色、または黄色プラス緑の標本から既存事業所をどうやって復元するかというのが最初に問われたことだと考えていいわけですね。そのときに、黄色のサンプリングというのはT時点ではなくて、T-1時点でサンプリングされてしまっているので、それは緑の枠の既存事業所からサンプリングしたものではないということですね。そこがもう一つのポイントということになります。
この緑のところは既存事業所の枠からサンプリングしているはずなのですけれども。
○石原構成員
でも、黄色のところも、サンプリングは前の時期だけれども、標本としてはその時点の標本ですね。
○神林構成員
情報としてはその時点の情報です。
○石原構成員
標本としてその時点の標本ですね。標本としてとってきているわけですね。前にサンプリングされたものをサンプルとしてとり続けているわけですね。
○神林構成員
そうです。
○石原構成員
なので、その時点の標本ですよね。
○瀧原統計管理官
その時点での標本だとは思いますが、ただ、既存事業所から無作為抽出のものではなくなっています。
○石原構成員
それはそうなのですけれども、その時点の本系列を考えてみると、本系列の標本の一部なわけですね。もし既存事業所の母集団というものを考えるのであれば、それはその時点の標本。何と言ったらいいのだろう。
○神林構成員
その時点の情報はあるけれども、標本という言葉の使い方かな。サンプルされたときに固定されるものが標本だというふうに考えると、この共通事業所はT-1時点で固定されてしまうので、T時点で改めてサンプルされたものではないですね。なので、T時点でランダムサンプリングされている標本は緑の部分だけに限られるわけですね。既存事業所からランダムサンプリングされているもの。
○今野座長
でも、この緑のものも既存事業所からランダムサンプルしたのではないのだよな。
○神林構成員
正確に言うとそうです。
○今野座長
母集団からランダムサンプルしたので。
○神林構成員
かかっているわけですよね、こっちに。
○瀧原統計管理官
もちろんそこはあるのですが、一応、新しい母集団というのは新設tと既存事業所をあわせたものなので、そこからランダムにとれば、新設からも一定割合でとれるし、既存事業所からも同じ割合でとれているという前提では考えているのです。
実際、緑と黄色をあわせたものであれば、ランダムにとっているということで、その復元なり、あるいは母集団、緑の枠がしっかり定まっていれば、多分誤差とかの話もベースとしてできると思うのですけれども、黄色だけを対象にすると、依然として母集団が既存事業所であっても復元の仕方はわからないのかなと。
○今野座長
これまでいつも前期との比較を考えていたので、前期と今期両方あるデータでずっとやっていたではないですか。だからこの黄色だけなのだよね。そうではなくて、T時点の既存事業所の平均賃金をそのまま出してしまえというふうに考えれば、黄色プラス緑で出して、次の時点も黄色プラス緑で出して。
○神林構成員
それは本系列ですよ。
○今野座長
それを既存事業所に。
○山田構成員
そこがこんがらがってしまうのですね。
○今野座長
そのときは緑がわからないのか。
○山田構成員
ちょっと違うのかもしれないですけれども、既存事業所というのは、あくまでずっと動いているではないですか。去年に対して1年間残っているというものなので、私の理解では、この絵が前年との比較において、同じ年にT時点の既存事業所というのは、去年に対しての既存事業所と来年に対しての既存事業所は2通り存在するのです。そうすると、この書き方よりももうちょっと複雑に書かないといけないのかなと。もともとの話になってしまって申しわけないです。
○今野座長
T時点は既存事業所tなのですね。
○山田構成員
そちらのほうがわかりやすい。
○今野座長
T+1では既存事業所t+1なのだよね。そういうことですね。それぞれの時点で違うという意味ですね。
○山田構成員
そうなのです。それぞれの時点というか、1年前か1年先との関係で、絶えず変わっていくものですね。毎月毎月。
○今野座長
変わっていきます。
○神林構成員
そうすると、3時点で書いているのがちょっとあれなのですかね。T時点とT+1時点の2時点に限定をして、今の既存事業所というか、今の共通事業所の考え方を当てはめると、T時点での母集団というのはT+1時点に存在をして、かつT時点で存在をしている事業所なので、T時点で新設tと書いてあるものは既存事業所として定義されるということですね。2時点に限定をすると。
○石原構成員
私、新設tを引っ張ってこようかなと思ったのですよ。そうするとさらにわかりにくくなるのでやめたのですけれども。
○今野座長
これもまた言葉の問題で、しつこいようなのですけれども、7ページのブルーの四角は何と言うのですか。これは標本と言っているの。左側から標本。
○石原構成員
標本です。
○今野座長
では、これはもう統一ね。標本でいくわけね。一番最初の定義になかったので。
○石原構成員
標本は標本しかない。
○今野座長
そうなのですけれども。
○石原構成員
ただ、標本もその時点時点で変わっていくので、標本tとかではあります。
○樋田構成員
1つ確認したいのですけれども、今、標本と名前がつけられた部分の黄色を除く部分、オレンジと黄緑になっていますね。このオレンジと黄緑はどうやっても識別はできないという理解でよろしいのですか。
○瀧原統計管理官
もちろん今はできません。ただ、私の認識は、既存事業所という緑の大枠の母集団というのを明確にすることができたとすれば、そこからサンプリングしたものという意味では、緑とオレンジの識別は可能になるのではないかという考え方です。
○樋田構成員
今はできないということなのですけれども、もしできたとしたら、黄色と黄緑を使って、緑全体を膨らませるというのは、既存事業所を推計するという意味では非常に自然な発想ですね。将来それができれば、それが一番いいと思います。
○神林構成員
今は共通事業所しか使えないのですね。
○樋田構成員
このオレンジと黄緑をどうにかできないのかということなのですけれども。
○石原構成員
私も書いていて、すごくそれは思いました。
○神林構成員
前の前の経済センサスと、前の経済センサスを比べて、前の経済センサスの時点で新規に参入した事業所であるというのを識別すると。
○樋田構成員
それをできれば、正確さは劣るかもしれませんけれども、一応、オレンジと黄緑が識別できて、それを使うと割と自然な形で既存事業所の推計ができるはずですね。
○神林構成員
それは多分、現時点でも可能ですよね。経済センサスに戻って、現在の経済センサスは多分名簿情報に立ち返れば前回の経済センサスのときの調査で見つかっているかどうかという情報は既に格納されていると思いますので、このT時点の名簿を確定するときに、それが過去の経済センサスと比較をしたときに、新しくできた事業所なのか、そうでないのかというのは比較的というか、すぐに識別はできると思います。
○今野座長
それは過去にさかのぼるのはできるけれども、現在、T+1時点だったという場合はどうするの。
○神林構成員
それはないです。
○今野座長
センサスはT時点しかやっていないので、そこから先は3年も待とうという話になるのかな。
○神林構成員
そうです。
○今野座長
そうなるよな。
○石原構成員
同じウェイトを使い続ける。
○神林構成員
今のよりはまし。
○今野座長
でも、もしそういうことをしたら、3年後に新しいものができたときに、それまでは仮計算しておいて、またさかのぼって数字を変えるということになる。
もう少し、今日は取りまとめの方向に行きたいのですけれども、最後、標本という言葉が私は気になっていて、ほかは何とか事業所、何とか事業所と言っているのだから、これは標本事業所ではおかしいですか。新設事業所、廃業事業所、既存事業所、共通事業所。
○神林構成員
共通標本事業所。継続標本事業所。つまり、新設事業所は母集団の話ですね。廃業事業所も母集団の話ですね。既存事業所も母集団の話ですね。共通事業所というのは標本の話ですね。継続事業所というのも標本の話です。
○石原構成員
継続事業所は何でしたっけ。
○神林構成員
非回答を含める。なので。
○今野座長
神林君が勝手にくっつけて、同意は得ていないですが、一応、継続事業所。
○神林構成員
同意を得ていないですか。
○今野座長
いや、継続事業所ね。そうすると。
○神林構成員
共通標本事業所と継続標本事業所にするとわかりやすいかなと。
○今野座長
そうすると、共通のほうにも継続にも標本とくっつけてあげると。
○神林構成員
標本のときはみんな標本とくっつけてしまう。
○今野座長
ないときは全部、母集団。そのほうがわかりやすくていいかもしれないね。それで共通して言葉を統一しますか。
では、それで、取りまとめた検討について、事務局から案が出ていますので、それを説明していただいて、議論したいと思います。お願いします。
○瀧原統計管理官
それでは、資料2と3になります。2のほうは、全てではないのですけれども、今までの分析したデータを整理したというものでございますが、それとあわせて資料3のほうを見ていただければと思います。
まず、資料3、1枚紙ですのでそれをごらんいただきたいのですけれども、取りまとめについてどのように整理をしていこうかと。かなり議論もいろいろしていただきましたので、それについての骨子案という形で骨格といいますか、項目立てというふうに見ていただければと思います。
まずは、毎月勤労統計はいかなるものかということで概要と、実際の、特に今回、実質化をめぐる論点ということで実質賃金でありますとか、あるいは誤差の話も出ましたのでその辺りの整理をするということで、文章でこれを書いていくようなイメージでありますけれども、資料2を見ていただきますと、それの概要的なイメージで、これはこちらの検討会でお示ししたものですが、3ページは毎月勤労統計の概要ということで示しているものと、次のページはその中で実際に出てくる数値の推計方法です。ウェイト掛け、比推定と言っていますけれども、推計比率を使って計算する復元の仕方等々をここで書いているということでございます。
それから、実質賃金につきましては、どのようなものについて実質賃金を出しているかということで、指数をつくって計算しているところで、その式を書いていることと、実際に示している系列等が5ページに示しているものでございます。この辺りも資料で最初の頃に御説明したものです。
その次の6ページのところは、指数をつくるつくり方の式ということで、こういう形で長期の時系列比較をできるような形での指数をつくって、それを実質化することで実質賃金指数等を出しているものだということでございます。
誤差につきましては、誤差計算、今使っている式ということで7ページのところと、これは一種と二種で違う式になっておりますけれども、これに基づいて、現在、結果として計算しているものとしての標準誤差率を示しています。この辺りを今までの資料でお示ししたものでいうと、こういうものだということで、ここでまとめたものでございます。
次の骨子案のところで、共通事業所とはいかなるものかということで、これも検討会の冒頭のところでまずは御説明させていただいた内容であります。10ページで、共通事業所がどういう定義でやっているかというところと、その場合の推計比率のつくり方が共通事業所はウェイトをそろえるというやり方をやっているというところで、前年と当年の、この場合で言うとEになりますけれども、同じものを使って推計して、前年同月比を出しているというものであります。
あと、実際にどの程度のサンプル数であるかというところを示したのが11ページでございます。
その次は、これは途中の分析で出たものですけれども、共通事業所であるものが翌月も共通事業所である割合と、本系列が翌月も本系列の事業所になっている場合での比較ということで、やや共通事業所のほうが1年前も出しているという制限なり、定義上のことから、少し割合が低くなっているのかなというのが以前見たものでございます。
実際、共通事業所の月々でずれていく。先ほど石原先生からお示しいただいた図と似たような感じになりますけれども、集計値のイメージ図ということで13ページに示したもので、こういうところが共通事業所の整理で、これを踏まえて中間的整理をしていただきましたので、それはここでは触れませんけれども、論点整理していただき、さらに検討すべき課題を出していただいたというものでございます。
今日お示ししているものは4番の共通事業所の集計値に係る分析ということで、本系列との比較を中心としてというところで、さまざまな角度から見てきて、先生方にもいろいろ御意見をいただいてきたというもので、それらの数値について、資料2でいきますと16ページから、本系列に比べてどれぐらいの事業所が対象になっているかというもので、17ページでその割合を出しております。規模の大きいところではカバー率が高いのですけれども、5~29人になりますと1年半でサンプルを変えていく。ローテーション・サンプリングの期間が短いということもあって30%程度になっていて、全体で言うと4割ぐらいのカバー率になっているというところも、中間的整理の前に整理したものでございます。
それ以降、実際に平均値が本系列と共通事業所でどれぐらい差異が出ているかというところで、これは本系列と共通事業所の水準について過去に整理したものでございます。
平均値自身、一定程度近いものが出ているということですけれども、若干のバイアスはあるのかなというところもありましたし、標準偏差についても、真ん中の標準偏差を見ていただきますと、かなりy=xのグラフに近いので、共通事業所自身はサンプルが少ないのですけれども、標準偏差が非常に大きくなっているという状況は、このグラフで見る時点ではあまりなかったというところで、これ以降、そういう分析をしたというのがございます。
ここは同じ図が並んでおりますので飛ばしまして、次は31ページです。共通事業所を未提出事業所と比較した分析もさせていただきました。これが先ほど神林先生におっしゃっていただいた継続標本事業所に当たるようなものです。対象にはなっているけれども、回答いただけなかったところを未提出事業所という形で名前をつけて、その分析対象としたものです。実際にそれがどれぐらいの割合あったかというと、共通事業所が1万程度に対して、1,000ぐらいが未提出になっていたと。先ほどの赤い斜線の部分がこれぐらいあったということです。
その数値について、32ページ以降に出ていますけれども、共通事業所のほうがやや高いのではないか。未提出事業所を共通事業所で割った割合で見ると1を切るような部分が全般的に見られるということで、この辺りは継続標本事業所に対して共通事業所は少しバイアスが出ている可能性はあるのかなというところが見られるのが、この未提出事業所との比較であったかと思います。
次は37ページですけれども、これは今度は共通事業所で実際に数値が2つあるということと、本系列、それぞれに対して比較をするものが37ページ以降で、サンプル数は37ページのとおりで、本系列が2万4000程度に対して、共通事業所が1万程度。前と比べるか後ろと比べるかで少し数字が違っていますけれども、レベル的には大体同じくらいと。
これについて賃金額等で見たのが38ページ以降ですけれども、ここで結構ずれが出ていまして、共通事業所も前年と比べたもの、後年と比べたものというところで同じ値が出ているかというと、必ずしもそうでないということと、本系列自身とも差が出ているというところで、この辺り、共通事業所が本系列を代替するものなのかどうかという議論の最初のときの議論のベースになったデータかと思っております。このようなもので見てきたというものでございます。
その上で、次に43ページのところは、これはちょっと最近になりますけれども、時間相関ということで、いろいろ問題点の指摘があったものでございますが、1年前と今年、具体的には29年と30年とで賃金の平均値について散布図を使ったときに相関があるかどうかというところで、これはあくまでも単位集計区分でやっていますので、個別企業ではないというところが、時間相関の見方としてはちょっと標準的ではないのかもしれませんけれども、やったものでございます。
これで、共通事業所で見ただけだと、かなり相関度が高いのですけれども、一番下のところ、本系列から共通事業所を除いたところですと、企業が入れ替わってしまうことの影響ですけれども、相関が低くなってくるということで、共通事業所自身は単位集計区分で見てもそれなりの安定した数値になっているのかなというものを見たものでございます。
これをさらに飛ばしていただきまして、55ページです。これは御指摘を踏まえて、事業所単位でやった共通事業所の相関というところで、29年と30年の数値の比較をするとかなり相関が高いということで、同じ事業所を比べているということもあって、1年前と1年後の賃金に対してはかなり高い相関。特に最近は高い賃金伸び率という時代ではありませんので、グラフの傾き自身もかなり1に近いところになっていたというもので、共通事業所の特徴的なところが1つこれで見られたのかなと思っております。
また少し飛びまして、次が67ページでございます。67ページは、本系列と共通事業所が伸びで見た場合にどれぐらいの近しいものになっているかというところであったわけですけれども、これにつきましては、実はこの資料、サンプルの伸び、平均の伸びと比較してしまったので間が飛んでいるのではないかという御指摘があったときの資料でございまして、今回、追加的な資料で出させていただいた2枚のもので、一番後ろかどこかについていたかと思いますけれども、これがその後やり直したもので、単位集計区分ごとに平均値の伸びを共通事業所と本系列でやったものでございます。
これは今日最初にお示ししたように、時系列で見ると本系列と共通事業所はそれなりの相関があったわけですけれども、単位集計区分ごとに、30年1月、2月、3月という時点時点で見ると、実は相関はあまり高くなっておりませんで、時系列の動き自身には一定程度、経済の変化に伴ってどのように動いていくかというのは共通事業所と本系列である程度近い動きをしていたかと思うのですけれども、時点時点で切った伸びというのは、産業規模で見た単位集計区分ではかなりばらばらということです。そういう意味では、共通事業所の賃金の伸び自身が本系列の賃金の伸びを代替するようなものではないのかなという辺りは、この辺りの資料でも見られたものかなと思っております。
次は、飛びまして71ページでございまして、ここは賃金額の水準の話と伸びの話を平均値や標準偏差を見たものですけれども、この辺り、賃金額と伸び、賃金の高いところは伸びが高いかというと、必ずしもそういうふうにはなっていなかったというもので、この辺りは共通事業所に限る話ではないと思いますけれども、その辺りのものも、これはやってみた結果、こういう感じだったということで、12か月分の数字をお示ししたものでございます。
また飛ばしていただきまして、次は83ページになります。ここは給与の伸びについての相関ということで、これは補足的にやったものでございます。1年前の伸びの高さが1年後の伸びに影響するかどうかというところだったのですが、これもきれいにそのような影響にはならなかったということで、この辺りも伸び自身の分析としては一つやってみましたけれども、各月、1か月ずつやっておりますが、全般的にそこのものはほぼ無相関に近い形で出たというところでございます。
96ページ以降が年間残留率、共通事業所であっても労働者が入れ替わっていくだろうということの御指摘を踏まえて実際に分析したものでございます。96ページの下で行きますと、就業計であっても年間残留率は80%前後ということで、10%あるいは20%ぐらいの人たちが入れ替わっていくのではないかと。一定の前提のもとですけれども、そういう数字が見られたと。パートのほうがもちろん入れ替わりが高いのですけれども、一般労働者においても一定程度、人が入れ替わっていることが見られたというものでございます。それを産業別、規模別で見たのが追加のものでございまして、この辺りも今回の分析の一つの成果かなと思っています。
あとは海外の事例で、アメリカでは共通事業所という概念を使って本系列の伸びを補完するような形で計算しているという事例を御紹介したもので、そのときの資料をここに載せたものでございます。
それから、裏側になりますけれども、最終ページはデフレーターの現在の日本の状況で、これらのデータ、あるいはここにまだ載せ切れておりませんけれども、神林先生に分析いただいた個票データの分析、それに追加的に我々のほうでやりましたものや、あと変動係数の分析等がありますので、それらをどう整理していくかということになろうかと思います。それらにつきまして文章をつくりましたのが、資料3の4のところです。
まず、サンプル特性につきましては、先ほどの資料もありましたけれども、サンプル数は本系列の4割程度というもので、サンプルの入れ替えのやり方のためですけれども、規模間によって少し偏りが出ているということ。
次の○のところは、神林先生の分析であったところではありますけれども、回答事業所に限定するというのが共通事業所の定義でございますが、それをさらに広めて、回答がなかったところ、調査対象であったところで個票データを分析していただいた中では、一定期間ごとにサンプル更新をしていくことによって、サバイバル・バイアスが緩和されているのではないかという部分が見られたものと、あと、ここには書いておりませんけれども、実際に補正値みたいなものを計算したときにも、明らかに一方方向にずれているというよりは、共通事業所の部分が高くなっていたり、あるいは低くなっていたりというのが出ていたというのが個票データによるものであったかと思っております。
その辺りで、次の集計値の特性のところにもつながってくるわけですけれども、その前に変動係数ですね。変動係数につきましては、ここの表には載せておりませんでしたが、サンプル数は少ないけれども、共通事業所自身の変動係数がそのために大きいというほどにはなっていなかった。ほぼ同程度と見られるのではないかというものと、あと、時間相関については共通事業所は非常に高かったので、そのこともあって前年同月比は安定的な値になっているのではないかと。
賃金額につきましては、先ほどの分析の中ではやや高いのが出ているのかなというのもありましたし、個票データの分析ですと、高くなっている産業もあれば低くなっている産業もあるということで、一定方向にずれているとは言い切れないのではないかというものでありました。
変化率については、月々の動き自身は共通事業所の伸び率で見るものと本系列の伸び率というのは一定の相関があったわけですけれども、ただし、それを細かく見ていく、あるいは各時点において見ていくというものについては、必ずしも相関がある、本系列と同じ動きを示しているとは言えないのではないかというもの。
最後、それ以外の論点として幾つかあったかと思いますけれども、ここには事業所調査であるという御議論がありましたので、そこの部分を少し書いております。毎月勤労統計自身は賃金の水準を調査しているものですけれども、実際は事業所単位で、そこでの支払い賃金総額を労働者数で割った平均賃金を見ているということで、その変化は事業所の労働コストの変動を示すという一面があるのではないかということ。
あと、先ほどの残留率のことになりますけれども、やはり事業所内での労働者の入離職というところを含んでおりますので、一定程度、共通事業所で個人ベースの賃金変動を見ようという観点はございますが、そこには留意が必要だというところかなと思っております。
こういう形で分析のポイントをピックアップしたものがこれでございます。ここで先生方からさらに御意見をいただきまして、あるいは訂正等もあればいただきました上で、それらを踏まえた考察という形でまとめていって、その考察を踏まえた提言という形で取りまとめを検討していくのはいかがかということでこの案を提出させていただきました。
以上でございます。
○今野座長
ありがとうございます。
それでは、御意見をどうぞ。特に提言についてはこういうことを入れろというのをいっぱい言っていただいても結構だと思いますので、よろしくお願いします。
内容の前に、今、資料についていろいろお話しいただきましたけれども、例えば共通事業所と言っておきながら、実は継続事業所のことを言っているのではないかみたいなことのチェックはしてくださいね。
○瀧原統計管理官
はい。用語の整理として。
○今野座長
さっきも定義があったので。
○神林構成員
これは資料集みたいな形でまとめて出すものですか。
○瀧原統計管理官
そこはもちろん御意見を踏まえた形にしたいと思いますけれども、今イメージしているのは、これらの分析に関して、こういうふうに考えられるのではないかということを並べるところに資料をつけていくのが見やすいのかなと。もしくは文章をばっと書いて、後ろにこれらの資料を全てつけて、どこを参照という形かなと思っております。
○今野座長
御自由にどうぞ。
○稲葉構成員
それでは、提案部分について1点だけ提案させていただきます。
前回、第12回の検討会において変化率の標準誤差というのを求めることは非常に難しいことであると申し上げました。ただ、それだけではなく、標準誤差に関連する情報を公表することも可能かと思いまして、本日の資料で言いますと資料2の16ページの項目です。標準誤差というのは、標本の大きさが大きいほど小さくて、標本の大きさが小さいほど大きくなるという傾向があります。そこで、本系列と共通事業所の、ここでは集計値という言葉を使っていますが、その値を求めるために使用した事業所数の情報を公表することを提案いたします。
例えば、共通事業所の製造業を見ますと、2,787というふうに2,000を超える事業所があるわけですが、その下の電気・ガス業ですと95ということでサンプルサイズが小さくなっています。これは誤差の大きさを示す一つの指標となりますので、そういったものも含めて毎月勤労統計において公表することを提案いたします。
○今野座長
既にこの研究会をやっている中で、いろいろな提言に近いことは皆さんからでているので、それは当然拾ってもらわなければいけないのですけれども、でも、もう一度言っておくぞということはどんどん言っておいていただきたいと思います。
どうぞ。
○山田構成員
フィージビリティーというのを具体的にやってみないとわからないのですけれども、ずっと前から私の思いは、いわゆる共通事業所というもののデータを使って、既存店という言葉で、今日の言い方では今日継続事業所という言葉ですかね。石原先生のご整理もありましたけれども、これをもうちょっと精緻化してもう一回さらに深くというか、整理を確定していく必要があると思うのですけれども、それをやった上で、私は個人的には雇用保険データを使って、これをウェイトづけにしていくという可能性は探れないのかなと。要は、今の共通事業所は幾つか問題があるわけですけれども、その一つ大きな問題は、ウェイトづけのところに本系列のものを使っている。どうもここの検討から見ると、共通事業所というのは本系列の代替よりは少し、既存事業所や継続事業所というものに近いのではないかと。そうであるならば、ウェイトづけを変えないとだめだという議論があったと思うのですけれども、そのときにウェイトづけのデータとして、経済センサスのほうは少なくとも今の段階では3年に1回ですので、それを使えないので、その代替として雇用保険データを使うと。
私、少し見てみたのですけれども、雇用保険データをウェイトづけするときに、恐らく問題になってくるのは、毎勤のデータというのは集計するときにいわゆるセルを考えていくわけですね。業種と規模ですね。これというのは、それぞれの事業所の全従業員の数で見ているわけですけれども、雇用保険データだと基本的にとっているのは雇用保険に適用される労働者を対象としたものなので、そこのずれが若干生じてくるだろうと。ただ、雇用保険の事業主に対して提出を義務づけている帳票を見ていると、もともと事業所全体で何人雇っているかということを聞いているので、そのデータを使って一応のひもづけはできるのではないかなと。それでセルに当てはめていって。
ただ、そういうやり方によって、もうちょっと詳しく見ないと私もわからないですけれども、前、何となくこの提案をしたら、対象が全然違うので使えないのではないかというお答えをされたと思うのですけれども、使い方によって可能性があるのではないかなという…、私も細かいところまではわかっていないのですけれども、もうちょっとそのところを検討してみる手はあるのではないかというのが私の提案です。
○今野座長
今のは先ほどの言葉で言うと、既存事業所の母集団の構成を雇用保険データでつくってしまえばいいのではないかと。そこでウェイトをつくって、それを共通事業所の平均賃金に掛けて、それで既存事業所の賃金変化率を見ようと。そういう提案だね。
○山田構成員
そうです。かなりこの前と違うのですけれども。
○今野座長
多分、山田さんの提案は、ちょっとぐらい対象が違っていても、構成比だからいけるんじゃないかという感じだと思うのだけれども、提案として。
何かありますか。
○井嶋労働施策情報分析官
多分、事業所のデータというのが、きちんとシステムとして持っているかというと、ちょっと済みません、私もわかっていないのですけれども、基本的に個人の雇用保険の得喪データをもとに集計しておりますので、1人やめたら1人減らす、1人入ってきたら1人ふやすというカウントをして事業所の人数を出しているので、雇用保険の対象ではない人のデータがもしあるとしても、いつの時点のデータかとか、毎月更新されるかというところはちょっと問題があるかと思います。
○今野座長
でも、1年に1回ぐらいは全部行かないの。従業員数とか。
○井嶋労働施策情報分析官
雇用保険としては聞いていないと思います。別な徴収業務とか、そういったところではもしかするとあるかもしれませんけれども。
○山田構成員
その徴収のサイクルですね。一応、私が見ているのは、事業主に対して提出を義務づけている帳票があって、そこには全常用雇用者数を書けというふうになっているのです。
○今野座長
それは徴収なのですか。
○井嶋労働施策情報分析官
拝見していないのでわからないですが、あと、紙で出されたものがデータ化されているかどうか、またちょっと。
○今野座長
それがあるか。
○山田構成員
わかりました。
○瀧原統計管理官
もしそれが一番最初に事業所を起こしたときに出すデータに書くのであれば、その後の更新というのは結構厳しいかもしれないですね。
○今野座長
山田さん、厳しそうだよ。
○山田構成員
何とかならないかと。
○今野座長
前からこれは問題になっていますけれども、既存事業所の母集団をどうにかしないと。
これは全然議論になっていないですけれども、今の共通系列のやり方は、ラスパイレスでやっているではないですか。ラスパイレスである必要はあるのかなというふうにもちょっと思っているのです。これはあまり議論したことがないのだけれども。労働者構成を固定したいということなのですけれども、極端なことを言うと、事業所の平均の労務費用を出すのだったら、別にラスパイレスなんかしなくてもいいのだけれどもというのは、どうですかね。
○石原構成員
私もそれは思いました。何のためにやっているのかよくわからないという気がしました。指数を出しているのかもしれないのですけれども、名目の伸び率を出すのだったら、その時点時点の数字を出して、伸び率を出したほうが普通。
○瀧原統計管理官
そこは実は今回、共通事業所の検討をする中で既存事業所というところに議論が広がって、そこでいろいろ検討いただいたのですけれども、その議論とラスパイレスのように指数でそろえているところは、全くとは言いませんけれども、違っている部分だと思っています。共通事業所がなぜ計算する必要が出たかというところは、毎月勤労統計の本系列のところが、まずサンプルが入れ替わることによってギャップなりが出るので、それを補正したい。それは、なぜサンプルが入れ替わるとギャップが出るかというところに、もちろんサンプルによる標本誤差、サンプルが変わることによる標本誤差はもちろんあるのですけれども、それとは別に新規で入った事業所なりということの影響を除くということで、共通事業所に。これは既存事業所の議論につながっていたものだと思います。
それが一方の理由なのですけれども、もう一つ理由があるのは、経済センサスが新しいものに変わることによって、労働者ウェイトが変わる。そのウェイトが変わることによって賃金の変動に一定の断層なりが出てしまうので、そこをとりたいというだけですので、実はそれは共通事業所ではなくても、本系列でそれをやることもできることではあります。そういう意味では、ラスパイレスによってベンチマークと言っていますが、労働者ウェイトが変わることの影響を排除するというのは少し違う議論なのかなと思います。
○今野座長
議論の出発点として、本系列で賃金変化率を見るとき、おっしゃられたようなギャップがでるので、そこを解消するためというか、それに対応するためにラスパイレスにしたということだと私も理解しています。また、その議論は本系列に代替する指標として共通系列を考えようというのが出発点だったのですが、ここの議論の全体的な結論は、共通系列は別系列として考えたほうがいいという内容です。それは既存事業所がどう動いているのかということを見る指標としてつくったほうがいいと。だから、既存事業所の母集団にどうやって戻そうかということで一生懸命議論している。
そうなると、もしそちらの方向でいくと、ラスパイレスする必要はない。各時点できちんと既存事業所に戻して平均賃金を出してあげて、それで変化率を見ればいい。多分、最初の問題意識と、今ここでの我々がこっちのほうがいいぞと思っているのとはちょっとずれてきているというか、変わってきている。
○瀧原統計管理官
そうですね。ですから、今、御議論いただいている既存事業所の指標が仮にできたとしたときには、それと本系列を比べることは意味があると思うのです。その意味があるというのは、どちらもラスパイレスしないもので比べないと、片方だけラスパイレスにしてしまうと全然意味が違いますので、ラスパイレスの話は多分、今回の議論からは別な次元の話ですし、どちらかというと、最初のほうに山田先生がおっしゃっていたギャップ修正の部分の話に近いことかと思います。
○今野座長
多分、ここの提言で細かいことはいろいろありますけれども、私が聞いていて、皆さんの議論で共通している一番の肝は、本系列とは別の性格を持った系列であるというのが一番重要な提言だと思うのですけれどもね。
○神林構成員
なので、中間としては母集団を既存事業所としたときにどういう修正ができるのかという考え方ですね。共通事業所だけではなくて、前々回の経済センサスから前回の経済センサスまでに新しくできた新設の事業所を識別して、新しくサンプルインする標本について、新設事業所なのか既存事業所なのかを識別して、既存事業所を母集団とする復元を目指すということが一つありますね。
そうすると、その計算の仕方自体は本系列の計算の仕方とほぼ同じになるわけで、比較可能な系列をつくることができるというのが中間的なポイントとして出てくるかな。その後に、いわゆる共通標本事業所を使った系列というのが存在し得るかという議論になって、この会議の性格としては、本質的にはそれは事業所単位の伸び率を使ってどういう統計をつくることができるのかというのが新しい参考系列でしょうかねというのを考えることができるかもしれない。
その際には、今日出た話で、ウェイトのとり方というのは幾つかあって、そのウェイトのとり方で多分複数の系列をつくることができるという流れでしょうか。
○今野座長
ここでも何度も議論になっていますけれども、今との関連ですが、結局、既存事業所の母集団をどうやって確定して、どう復元しようかということについては、いろいろな方法というかいろいろな可能性があるので、そういうのを書いておくことが重要かなと思うのです。一番いいのは、石原さんが言ったように毎年経済センサスをつくってもらって、きちんと確定する。
○石原構成員
それはやる予定なのですよね。
○瀧原統計管理官
やろうと、今、取り組んではいます。
○今野座長
でも、それでない場合はこんな方法があるとか、幾つか考えられる方法を。
前から言っていますけれども、最終的には、我々は完璧なデータで分析はしていないので、サンプリングが今、過渡期なので、サンプリングが安定したときにもう一度きちんと確認してもらうというのもこの提言で書いておく重要なポイントだと思います。
ほかにどうですか。そろそろ時間ですので、言っておいていただいて。
今、議事録はどこまでいっていましたっけ。
○瀧原統計管理官
今、ホームページに載っているものは10回でしたっけ。
○今野座長
もうほとんど追いついてきていますよね。
○瀧原統計管理官
大分追いついておりますけれども、未定稿も含めて、そこも。済みません。その御質問の趣旨は。
○今野座長
9回か10回ぐらいまで議事録で皆さんが言った提言、いろいろ言っているので、そこで拾ってもらえばほとんど拾えると思います。私も後からずっと読んでみて、もう一度とりますけれども、そこで拾って、あと、今日いただいた意見で、それを校正して提言をつくっていただくということにしていただく。
今日の今出た意見だけで提言というのはあり得ないので、これまでいろいろなことを皆さんおっしゃっているので、それを拾ってもらって、この次の段階の原案をつくっていただくことにするということでどうですかね。
○瀧原統計管理官
そこの整理は、これまでの議事録を踏まえて、私も過去のを見たりすると、それぞれの時点で提言が出ているというのは確認しますので、その辺りを整理した上で、一度先生方にまた見ていただいて、あのときはこう言ったけれども、さらにこういうものがあるというものもぜひ追加的にいただけるようでしたらいただきたいと思います。やはり初期の頃より大分議論が整理されてきたこともありまして、あのときの議論をもう少しこのような形で書くといいとかいうのもあろうかと思いますので、その辺りの御意見も、今日出なかったものも含めて、いただければと思います。
○今野座長
では、そのうち原案が出てきますので、それをきちんともう一度見ていただいて、そういう作業を今後するということで進めていきたいと思います。
それでは、ほかに今日はありますか。これで終わりですか。
○瀧原統計管理官
それでは、今日は1点だけ御報告をさせていただければと思います。
参考資料2と参考資料3でございます。これは衆議院のほうで共通事業所の実質賃金について、予備的調査というのが国会議員40名の方から要請が出まして、それを踏まえて衆議院調査局のほうで整理をされた報告書が、昨日出ました。その本体が参考資料3という最後についています分厚い資料でございまして、それの報告書というものが出されたものでございます。中身につきましては、参考資料の概要というところを見ていただければと思います。
具体的には、この検討会で言いますと、第3回で明石弁護士からヒアリングをした際に、簡易なやり方で共通事業所の前年同月比を実質化できるのではないかというお話がありまして、実際の数値もそのときにお示しされたものでありますけれども、そのような考え方でできるのではないかというものに対して、調査局で整理されたものでございます。
1枚目の下の2のところに調査方法と書いておりますけれども、これにつきましては、2行目の真ん中辺りに「衆議院調査局は」ということで、これ自身、統計の作成者は厚生労働大臣なので、衆議院調査局としては毎月勤労統計の共通事業所の実質賃金変化率は算出できないが、統計ユーザーとしての立場から、毎月勤労統計の現在公表されているデータを利用して数値の計算を行ったというものでございます。そういう意味で、こちらの検討会でもユーザーとして利用する分にはどんどん活用するのがいいのではないかというお話があったかと思いますけれども、そのような形で計算されたものだということでございます。
実際、2ページに算式が幾つか出ておりますけれども、上の(1)で毎月勤労統計ではというのは、毎月勤労統計の本系列でやっている実質賃金の計算方法で、指数をつくってそれをもとにCPIで割って、名目の賃金指数から実質賃金指数をつくるというやり方をやっているわけです。この予備的調査におきましては、(3)にありますけれども、こちらのほうは共通事業所については名目賃金指数がございません。名目賃金額だけですので、そこからつくる手法として、○1と○2というのが出ております。○1のほうは、結果的には式としては同様のものになるのですけれども、賃金額、賃金の実数をCPIで割って、それの伸びを見るというものでございます。
それから、○2のほうは伸びから伸びということで、名目賃金の前年同月比とCPIの前年同月比、伸びで割り算をして、実質賃金の伸び、前年同月比を出そうというものでございまして、これを実際に計算したのが3ページのところでございます。
そこにありますように、一番右側の図の太枠で囲ったところがそれぞれ○1、○2のところでございますけれども、ほぼ同じ。小数点以下の切り上げ、切り捨ての関係で12月だけは0.1違っておりますけれども、ほぼ同じような形で出るということで、それを計算してこの報告書として示されたというものでございます。
これにつきましては、この報告書で出されたということですけれども、最後に4ページ、実質賃金の留意点の整理などということで、留意すべき点が幾つか出ておりまして、厚生労働省の説明でありますとか、あるいは本検討会での中間的整理の幾つかのポイントも(1)のイのところで書いております。また、ウの有識者意見というところで大和総研の鈴木様から出ているのは、継続的に調査しているサンプルの伸び率でしかなく、世の中全体の賃金ではない旨が衆議院の公聴会で出たという話でありますとか、川口教授からの話ですと、共通事業所の賃金の伸びが全体の伸びと比べて高いか低いかわからない問題がありというところで、この辺りは比較的、ここの検討会での議論と近い話が出ていたのかなと思います。
あと、明石弁護士からの話もそこに出ているということと、西村統計委員長の発言等もそこに少しまとめて書いてあるというものでございます。
こういう形の衆議院調査局での報告が出たということを、一応、本検討会での御議論と関係する事項として報告をさせていただきます。
○今野座長
何か御質問はございますか。よろしいですか。
では、終わりにしましょうか。ありがとうございました。
○村木雇用・賃金福祉統計室長補佐
皆様、長時間にわたり御審議いただき、ありがとうございました。
次回の開催は、調整の上、追って御連絡させていただきます。
これをもちまして、第13回毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会を閉会させていただきます。
本日はお忙しい中、御出席いただき、まことにありがとうございました。
(了)
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