2019年6月12日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

日時

令和元年6月12日(水)15:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(7名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(4名)

行政機関出席者

 森和彦(大臣官房審議官)
 衣笠秀一(監視指導・麻薬対策課監視指導室長)
 橋本隆志(監視指導・麻薬対策課薬物取締調整官) 他
 

議事

○事務局 それでは定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催させていただきます。本日は、大変御多用のところ、先生の皆様におかれましては、御出席いただきまして誠にありがとうございます。 なお、本日は、北中委員、関野委員、成瀬委員、松本委員から、それぞれ御欠席の御連絡を頂いております。青山先生が少し遅れていらっしゃるということですが、現在のところ、当部会の委員11名のうち6名の先生がお越しくださっているということで、この会議は定数に達しておりますことを御報告いたします。

 部会を開始する前に、本部会の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。まず、審議会総会における議論の結果、この会議については、公開することにより委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されたことから、非公開とされております。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、その発言者の方々に対して外部からの圧力、あるいは干渉、危害が及ぶ恐れが生じるところから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、予め御了承いだだければと思います。

 さらに、厚生労働省全体の取組といたしまして、審議会等のペーパーレス化を進めてございます。本日は、ペーパーレスでの部会開催ということでございますので、お手元には資料として、タブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明な所がございましたら、事務局にお申出いただければサポートさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 それでは、以後の議事の進行については、鈴木部会長、お願いしてもよろしいでしょうか。

○鈴木部会長 それでは最初に、事務局より資料の確認をお願いします。

○事務局 本日の資料の確認をいたします。タブレットを操作しながら資料の確認をお願いします。今回の資料は、1.部会資料、2.文献、3.参考資料、☆委員名簿、座席表となっております。まず1.部会資料をお開きください。1.部会資料には、資料1、資料2-1、資料2-2、資料3が格納されております。

 続いて、2.文献のフォルダーをお開きください。こちらには、文献1から文献17を格納しております。3.参考資料のフォルダーをお開きください。3.参考資料には、参考資料1から参考資料3を格納しております。資料についての説明は以上です。資料や操作等について御不明な点がありましたら事務局までお申し付けください。

○鈴木部会長 ありがとうございました。本日の議題は「指定薬物の指定について」です。それでは審議に入りたいと思います。審議物質について、事務局より説明をお願いします。

○事務局 まず1.部会資料のフォルダーをお開きください。資料1は、各物質の名称、通称名、構造式を記載しております。資料2については、御審議いただく物質のほか、構造が類似する指定薬物や麻薬等について一覧表にまとめたものです。資料3については、国内外の基礎研究や動物実験の結果等について、中枢神経系への影響を中心にまとめたものです。

 それでは、ケタミン(フェンサイクリジン)系物質である審議物質1について御説明します。まず資料2について御説明しますので、資料2-1を御覧ください。資料2-1は、ケタミン(フェンサイクリジン)系の審議物質1の3-MeO-PCE、並びに、これらに構造が類似する麻薬、指定薬物について、自発運動への影響、グルタミン酸NMDA受容体に対する影響などをまとめております。審議物質1は、グルタミン酸NMDA受容体に対するアンタゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明は以上です。

 続いて、資料3について御説明します。資料3の1ページを御覧ください。審議物質1の通称名、3-MeO-PCEですが、指定薬物である3-HO-PCEと麻薬であるケタミンと構造が類似する化合物です。続いて、()の行動・中枢・自律神経症状の観察についてです。1~2ページにかけて御覧ください。マウスに3-MeO-PCEを2、20100mg/kg経口投与し、投与後、3060120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察しております。2mg/kgの投与群では、瞳孔の散大が確認され、行動観察、中枢神経症状観察においては、観察期間中に影響が認められた項目はなかったとの報告を受けております。20mg/kgの投与群では、「反復動作の亢進。洗顔運動、痛反応の抑制。異常歩行。異常姿勢。筋緊張度の低下。震え。けいれん。瞳孔の散大。眼裂の拡大」などが確認されたと報告を受けております。100mg/kgの投与群では、「消極性。洗顔運動、痛反応の抑制。発声。自発運動、筋緊張度、正向反射、耳介反射の抑制。異常歩行。異常姿勢。震え。けいれん。指間離開。眼球突出。瞳孔の散大。皮膚の白化。体温の低下」などが確認されたと報告を受けております。

 続いて、2ページの表1を御覧ください。3-MeO-PCEに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は、各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を3ページに載せております。ここで3ページの写真と併せて実際の動画も御確認いただきたいと思います。3ページの写真の上から順に前のスクリーンの動画とともに御確認ください。こちらは、20mg/kg投与群の投与後約13分経過後のマウスですが、よろめきながらの旋回歩行、挙尾反応、少ない立ち上がり動作が確認されました。続いて、こちらは投与後約1時間53分経過後の別のマウスですが、多い自発運動が確認されました。続いて、こちらは100mg/kg投与群の投与後約7分経過後のマウスですが、激しい飛び跳ね、転倒、挙尾反応が繰り返し確認されました。こちらは投与後約30分経過後の別のマウスですが、上方を見据え、頚部を角壁に寄り掛け、伏臥位姿勢での静止状態が確認されました。こちらは投与後約1時間経過後の別のマウスですが、その場で旋回する異常行動、僅かな頭部の震えが確認されました。動画については以上です。

 続いて資料3の4ページの()について御説明します。Fig1の測定結果のグラフと併せて御覧ください。自発運動における運動量の測定について、マウスに3-MeO-PCE20mg/kgを経口投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しております。3-MeO-PCE投与群、対照として蒸留水群、各群マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離についてWilcoxon検定を用いて有意差検定を行ったところ、総運動量、大きい運動量、総移動距離は、投与後70分を除きますが、投与20分後から180分まで対照群と比べて増加する傾向があり、30分から180分は有意に増加が見られたとの報告を受けております。立ち上がり回数は、投与直後から40分までは抑制傾向が見られ、その後増加に転じて、100分、130分及び150分から180分で有意に増加が見られたとの報告を受けております。

 続いて、5ページの()を御覧ください。マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の報告を載せております。6ページのFig2も併せて御覧ください。コントロール群の水投与群に対する、3-MeO-PCE22mg/kg経口投与群のモノアミンの増加率の有意差をウェルチのt検定で求めたところ、6ページのFig2のグラフのとおり、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されたとの報告を受けております。

 続いて7ページの()には、3-MeO-PCEとコカイン塩酸塩のモノアミントランスポーターに対する機能影響評価についての報告を載せております。7ページの表と8ページの図も併せて御覧ください。ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出したところ、ノルアドレナリントランスポーターについては、3-MeO-PCE5.6×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約1.5倍であり、ドパミントランスポーターについては、3-MeO-PCE1.6×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約7倍であり、セロトニントランスポーターについては、3-MeO-PCE1.2×10-Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約0.44倍であることが確認されたとの報告を受けております。

 続いて9ページの()には、オピオイド受容体(κ及びμ)に対するアゴニスト活性を測定した結果を載せております。3-MeO-PCEのκ及びμ受容体のアゴニスト活性は、いずれもEC50が1×10-mol/L

を上回ると報告されております。続いて、()には、3-MeO-PCEのグルタミン酸NMDA受容体に対するアンタゴニスト活性を測定した結果を載せております。下の表を御覧ください。左から1番目、2番目、4番目のagonist siteglycine sitePolyamine siteについては、1×10-mol/Lを上回るとの結果が報告されており、ケタミンが強く作用すると言われている3番目のPhencyclidine siteについては、2.75×10-mol/Lとアンタゴニスト活性を示す結果が報告されております。

 以上のことから、3-MeO-PCEについては、行動・症状観察において、洗顔運動及び痛反応の抑制、けいれん、異常歩行といった異常な行動や症状が確認されていること、マイクロダイアリシス試験においてモノアミンの有意な上昇が見られたこと、NMDA受容体に対する強いアンタゴニスト活性が確認されたことにより、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。

 以上のことから、3-MeO-PCEについては、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。

 続いて、9ページの()海外での流通状況についてです。2010年のイギリスをはじめ、2011年には、香港、アメリカ、中国、イタリア、タイ、ロシア、オーストラリア他3か国、2012年から2018年において多くの国での流通が確認されております。

 最後に、10ページの()海外での規制状況についてです。スウェーデン、スイス、イギリス、カナダで規制されていることが確認されております。以上です。御審議のほどよろしくお願いします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず最初に、流通実態について、○○委員、お願いします。

○○○委員 本化合物について、○○○○での検出例はありませんでした。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、御意見がないようですので、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました1物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは引き続き、事務局より説明をお願いします。

○事務局 続いて、カンナビノイド系物質である審議物質2について御説明します。まず資料2-2を御覧ください。資料2-2は、カンナビノイド系の審議物質2のCUMYL-4CN-B7AICA及びこれに構造が類似する麻薬や指定薬物について、自発運動への影響、カンナビノイド受容体に対する影響などをまとめております。審議物質2は、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料2の説明については以上です。

 資料3について御説明します。資料3の11ページを御覧ください。審議物質2の通称名はCUMYL-4CN-B7AICAですが、指定薬物であるCUMYL-4CN-BINACACUMYL-5F-P7AICAと構造が類似する化合物です。まず12ページの()の行動・中枢・自律神経症状の観察についてです。マウスにCUMYL-4CN-B7AICA15mg添加したマーシュマローリーフ0.25gを燃焼させ、マウスを薬物にばく露させて、燃焼後153060分後の行動・中枢・自律神経症状を観察しております。CUMYL-4CN-B7AICAをばく露したマウスは、コントロール群のマーシュマローリーフばく露群と比較して、「異常姿勢。震え。瞳孔の散大。立毛」が確認されたとの報告を受けております。下の表2にCUMYL-4CN-B7AICAに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値の抜粋を載せており、数値は、各群マウス5匹のスコアの平均値となっております。また、観察された特徴的な症状を示した写真を13ページに載せております。ここで、13ページの写真と併せて実際の動画も御確認いただきたいと思います。13ページの写真の上から順に前のスクリーンの動画とともに御確認ください。

 こちらは、燃焼終了後約5分28秒経過後のマウスですが、伏臥位姿勢、眼裂の縮小、静止状態が確認されました。こちらは、燃焼終了後約44分経過後の別のマウスですが、指を咬むなどの両側前肢の激しい掻動作が確認されました。こちらは、燃焼終了後約45分経過後の別のマウスですが、伏臥位姿勢で眼裂の縮小、陰嚢の突出、静止状態が確認されました。こちらは、燃焼終了後約1時間7分経過後の別のマウスですが、餌カゴへの寄り掛かり立ち、僅かに口部を開けている、頭部の小刻みなけいれんが確認されました。動画については以上です。

 続いて資料3の14ページの()を御覧ください。カタレプシー試験については、いずれの観察時においても、5匹全てで陰性であったとの報告を受けております。続いて14ページの()を御覧ください。ヒトカンナビノイド受容体(CB1及びCB2受容体)に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。CB1受容体について、4.26×10-mol/LCB2受容体について、8.60×10-mol/Lとの結果から、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性があることが報告されております。ここで、過去に指定したLTI-701ACBL(N)-018と今回のCUMYL-4CN-B7AICAとの比較を文献12に示しておりますので、2.文献フォルダーの文献12を御覧ください。

 文献12の2ページから4ページには、行動・中枢・自律神経症状の観察の比較表を示しており、3ページの異常姿勢、震え、4ページの瞳孔散大では、過去指定した比較の2物質と同等以上の中枢・自律神経症状の所見が観察されております。また、文献1212ページの上から2つ目の比較対象物質のLTI-701と、上から4つ目のACBL(N)-018のカンナビノイド受容体のアゴニスト活性については、CB1受容体では、それぞれ1.17×10-mol/L1.44×10-mol/Lであり、今回のCUMYL-4CN-B7AICAについては、資料3の14ページの()で示したとおり、4.26×10-mol/Lと報告されていることから、過去指定した物質と同等以上のカンナビノイド受容体のアゴニスト活性を示していることを確認しております。今回、CUMYL-4CN-B7AICAについては、行動・症状観察における動物試験の結果で、異常姿勢、震え、瞳孔の散大、立毛といった異常な行動や症状が観察されており、ヒトカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有していることが確認されており、文献12の過去指定した物質との試験結果の比較から、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有すると考えております。以上のことから、CUMYL-4CN-B7AICAについては、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。

 続いて資料3の14ページの()を御覧ください。()の海外での流通状況については、2017年に、フランス、スウェーデン、フィンランドにおいて流通が確認されております。最後に()海外での規制状況についてです。スウェーデン、スイスで規制されていることが確認されております。以上です。御審議のほどよろしくお願いします。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず最初に、流通実態について、○○委員お願いします。

○○○委員 本化合物につきましては、○○○○での検出例はありませんでした。

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、意見がないようですので審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、事務局から、今後の手続について説明をお願いします。

○事務局 今後のスケジュール等について御説明します。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、本日御審議いただきました物質に関する、いわゆる正規用途については、今のところ確認されておりません。いずれにしましても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応いたします。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございました。以上で、本日の議題は全て終了いたしました。事務局から、次回の予定について連絡をお願いします。

○事務局 次回の部会日程については、正式に決まり次第、御連絡いたします。以上です。

○鈴木部会長 それでは、以上をもちまして、令和元年度第1回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。

 (了)

 

備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局 

監視指導・麻薬対策課 課長補佐 坂西(2779)